○浦井洋君 私は、
日本共産党・
革新共同を代表し、六十一
年度予算案に対し、
反対の
討論を行うものであります。
今日、
国民が
政治に求めているものは、何よりもまず、核戦争の危険に脅かされることのない平和な
日本であります。そして、高齢者を初め、すべての
国民が安心して暮らせる社会保障の充実であり、
賃金の
引き上げ、大幅
所得減税など、真の意味での
内需拡大であります。また、激しい受験戦争のゆがみ、
教育条件の立ちおくれを克服し、いじめや落ちこぼれのない、ゆとりある
教育環境づくりも緊急に求められております。本来、国の
予算は、このような
国民の願いにこたえるべく
編成されなければならないのであります。ところが
中曽根内閣は、
国民の切実な願いにはことごとく背を向けて、「戦後
政治の総
決算」を
財政面でも貫き、六年連続の
軍事費異常突出、民活の名による新たな財界奉仕を何よりも優先させ、それらの
負担と犠牲をすべて
国民に押しつけて、
国民生活を破壊する暴挙に出てきたのであります。まさに
軍事栄えて
福祉が枯れる最悪の暴走
予算と断ぜざるを得ません。(
拍手)
このような反
国民的な
政府予算に対して我が党は、第一に、核戦争を阻止し、軍備
拡大をやめ、
軍事費を一兆六千億円削減すること、第二に、老人保健法再改悪法案を撤回し、
福祉、
教育、
国民生活の充実を優先すること、第三に、大企業奉仕の
税制、
財政制度を転換し、二兆五千億円の
所得減税を実行することなど、
予算の抜本的な組み替えを強く要求してまいりました。しかるに
政府・
自民党は、一切の修正を拒否し、我が党を除く各党との密室での話し合いを進めたのであります。そこで得られた合意なるものは、
年度内の
減税については、何ら
実施を約束したものとはなっておりません。しかも、
国民が強く望んでおる
軍事費の削減については一言も触れず、結果的にその異常突出を承認するものとなっております。これは、
国民にとって百害あって一利なきものであります。
以下、
反対の理由を具体的に述べます。
その第一は、レーガンの核戦略を補完する歯どめなき大軍拡を推し進めようとしていることであります。
軍事費は、
政府計画に格上げされた
中期防衛力整備計画の初
年度として超突出をし、二十一年ぶりに
一般歳出の一割を突破するに至りました。
政府みずから決めてきた
GNP一%砕きえ、守りたいと念願しているという
総理のあいまいきわまる
答弁を見るまでもなく、文字どおり風前のともしびであります。後
年度負担を合わせると五兆七千五百億円を超える大軍拡は、一体だれのため、何のためなのか。我が党が追及したように、ケリー・
アメリカ海兵隊司令官は、公式論文で、ソ連との戦争の「最初の兆候に対して、
アメリカと同盟国の海軍兵力は大挙出動し、可能な限り遠くまで前進配備する」、ヨーロッパ有事となれば全
世界で「同盟国の対
潜水艦戦力はソ連の
潜水艦部隊を探し出し破壊する」と、
アメリカ核戦略に組み込まれた
自衛隊の任務をはっきりと位置づけております。一千海里
シーレーン有事は
日本有事だとか、
シーレーンで
アメリカ艦隊を護衛するなどなど、今
国会でますますエスカレートした
政府答弁は、これに全力を挙げてこたえようとする
政府の姿勢をはっきりと示しているではありませんか。
広く知られているように神戸市は、核兵器搭載の有無を確認できない外国艦船の入港を禁止しております。唯一の被爆国であり、非核三原則を国是としている
日本で、なぜこの神戸方式が国の
方針として
実施できないのでありますか。逆に、
自民党が発行しておるパンフレットには、「非核都市宣言は有害だ」とか「核兵器廃絶は平和を破壊する」と書いてあります。これが
政府・与党の本音であります。
国民の平和への願いを敵視し、好核
政策を続ける
中曽根内閣と
自民党を、私は怒りを込めて糾弾するものであります。(
拍手)
反対の第二の理由は、
軍事費突出とは対照的に、社会保障
予算を大幅に削減したことであります。
国民の生存権を保障し、国の社会保障増進義務をうたった
憲法第二十五条は、まさに
空洞化されようとしております。
総理は、施政
方針演説で「寝たきり老人や障害者のように、社会的、
経済的に弱い立場にある
人々に対しても、きめ細かい配慮を行ってまいります。」と述べましたけれども、これほど白々しい言葉はありません。老人医療の本人
負担の大幅
引き上げは、二年前の有料化によって既に健康と生活に大きな打撃を受けておる多くのお年寄りに対して、さらに過酷な追い打ちをかけるものであります。さらに、老人ホームの入所料の
引き上げや、
中曽根総理の地元の長寿園を初め国立医療機関を廃止し、寝たきり老人を無理やり移転させようとするなど、まさに老人いじめそのものではありませんか。
国保料滞納者への制裁
措置の
導入も、これまた言語道断であります。そもそも、
国民健康保険への国庫
負担の大幅削減が保険料の
引き上げを招いて、払いたくても払えない事態をつくり出したことは、周知の事実であります。このような
人々に対し保険証を渡さないという今回の
措置は、
国民の命さえ守ろうとしない
中曽根内閣の姿勢を象徴的に示すものにほかなりません。さらに
政府は、来
年度の
歳出削減の主要な部分を、
地方自治体に対する国の
負担の新たなカットで賄おうとしております。これが生活保護の締めつけを初め、老人ホームや保育所、障害者施設における
福祉の後退をさらに一層進めることは必至であります。
政治の温かい光を最も切実に求めておる
人々に対するこのような冷たい冷たい仕打ちに、我が党は断固
反対するものであります。(
拍手)
反対の第三の理由は、民活の名によって新
日本列島改造
計画とも言うべき超大型プロジェクトを解禁し、ますます財界奉仕を強めようとしていることであります。
目玉である東京湾横断道の場合はどうか。我が党の追及で明らかになったように、
参加する大企業が出す金は、わずか二百億円にすぎません。にもかかわらず、これにより一兆一千五百億円もの工事を手に入れるのであります。しかも、中心に座っておる新日鉄は、千葉県側で既に膨大な
土地を買い占めております。こうして大企業にしこたまもうけさせた後、完成後に生ずる大きな赤字は、すべて道路公団、ひいては国、
国民に背負わせようというのでありますから、まさに国家的
規模での悪徳商法と言うべきでありましょう。
政府がいよいよ
国鉄の分割・
民営化に乗り出したことも重大であります。九万人を超える労働者の首を切り、全国的公共鉄道網を解体するばかりか、どさくさに紛れて水増しする三十七兆円の借金の後始末を
国民に押しつけ、もうかる
路線と超一等地にある
国鉄用地を大企業の思うがままに任せようとしているのであります。その一方で、
円高不況にあえぐ
輸出関連中小企業や地場産業、農業などには、おざなりな
措置しかとらない。現に、
予算を四年連続で削減しているではありませんか。
反対の第四の理由は、この
予算が六十二
年度の大
増税を
前提としていることであります。
総理の言う
税制改革なるものは、大企業と大金持ちへの
減税と軍拡のための
財源を、最悪の大衆課税であるところのEC型付加価値税
導入によって、すべて
国民に
負担させるものであることがますます明らかとなりました。たとえ
福祉税という仮面をかぶせようとも、その本質は何ら変わるものではありません。我が党は、このような
増税を断固として拒否をするものであります。(
拍手)
私は、元来医者であります。私が医学生のころ、大学病院にやってくる患者は、押しなべて重症で、親戚などから多額の借金をしながら、おどおどした態度で受診をしておりました。
日本の社会保障は、ここから出発をして、
国民の営々とした努力によって、ようやく今日の水準に
引き上げられてきたのであります。しかるに
中曽根内閣は、
国民のこの努力の成果を、社会保障においても、
教育、民主主義においても、「戦後
政治の総
決算」の名で根底から覆そうとしているのであります。とりわけ、天皇在位六十年と称して
戦前の暗黒
政治、侵略戦争を美化し、
国民の
反対によって廃案にまで追い込まれた国家機密法案の再提出にあくまでも執念を燃やす、こういう
自民党・
中曽根政治を私は絶対に許すことができません。(
拍手)フィリピンの例を見るまでもなく、
国民は常に歴史を発展させる側に立っております。
私たち
日本共産党・
革新共同は、
国民の皆さんとともに、核廃絶、平和、
国民生活
防衛、民主主義擁護のため、引き続き全力を挙げて闘うことを表明をいたしまして、私の
反対討論を終わります。(
拍手)