○石山(陽)
政府委員 最近一部の新聞紙等にも私どもの刑務
作業の実態につきまして多少
紹介されたということもありまして、ただいまの
委員の御質問のような御懸念が出てまいったというふうに私ども考えておるわけでございます。
実情を申し上げますと、
昭和六十年度、つまりことしの三月末日決算の段階で、私どもは全国で就業しております収容者の数約四万三千人を持っております。いわゆる刑務
作業にいろいろな種類がございますけれども、大きなものとして外部の企業等から注文をいただいてそれを加工して製品にしてお届けするという、いわば委託加工を受ける賃収
作業というものと、それから私どもが独自の生産計画を立てまして自発的に製品をつくって外へ売る、いわゆる製作収入
作業の二本立てがあるわけでございます。このうち特に賃金収入
作業といいますのは、民間の業者の御注文を受けてやる仕事でございますから、景気に非常に左右されがちでございます。現在四万三千人の就業人口のうち約八五%の三万七千人程度の
作業人口というのは、この賃収
作業に従事しておるわけでございます。
ところが、毎年上半期と下半期で、一応スポット生産等がございますので、契約が終了して業者が撤退される、こういう数字によって一時的に不就業にたる人員が出てまいります。ところが、これは六十年度で申しますと、前半が約千六百程度でありましたのに後半に参りまして二千五百程度というふうに、上半期に比して七、八〇%解約人口がふえた、これが三月三十一日現在の締めになりましたので、この点に多少危機意識を持って私どもが受けとめておるということが新聞記事になって出たのだと思います。毎年、通年でございますと、上半期と下半期で多少下半期の方が年度の終了でございますので契約終了の人数はふえるわけでございますけれども、これは大体上半期、下半期の比率でいいますと下半期は四〇%増ぐらいで済むのが通例でございます。それが倍近くたりましたので、結果的にいいますと約二千五、六百の人が三月末で一応不就業の状態ができ、四月以降また新しい
作業を探してそちらに振りかわっておるという状態になるわけでございます。まだこういう
作業が見つかるうちはよろしゅうございますが、本年度に入りまして円高がいよいよ進みましたので、ことしの上半期よりもむしろ中期以降にその影響がより深刻に出てまいるのではないか。そうなりますると、
作業が見つからずそのまま不就業になってしまうという人員が出ては大変でございます。このため私どもは、独自の製作収入
作業の方への転換を含めましていろいろ新しい
作業の開発、御注文を受けるという受注
作業でございますが、これを一生懸命各企業にお願いして取ることに努めておりまするけれども、今後ともこの努力をしまして、収容者に
作業につけさせようと思っても
作業がない、こういう事態を防がなければならないというふうに思っておるところでございます。