○松浦
委員 課長さん、高校などは物すごく地域が広くなったのですよ。だから学校の先生が行くのに旅費がなければ行けぬのですよ。旅費がないのですがと言ったら行かなくていいと言うのだそうです。金がな
いから行かなくていい。これではいじめはなくなりませんよ。家庭はわかりませんよ。金がな
いからやれないのじゃなくて、やれるように金を与えなければ
いかぬのです。主客転倒しておるのですよ。教師は聖職じゃないのだからやはり遠くまで行けば金が要るのです。そういう手当を何でやらぬのですか。そういう努力をして初めて
通達が生きるのですよ。ですから、こんなことを言うと学校の先生、経験者、非常に気の毒だけれ
ども、うちのおやじも学校の校長だったのです。私は五人兄弟がおるけれ
ども、おやじが遺言として残したことは、学校の先生にはなるなということです。だれもならなかった。なぜかというと、自分の子供すらも満足に育てられずに他人の子供さんをたくさん預かってできるはずがない。しかし、それをやれと言って教師に与えておるわけだから。そうであるならば、その人
たちがやれるように条件整備をしてあげなければ
いかぬ。稻葉先生がおられて恐縮だけれ
ども、今の中曽根内閣はそういうところに目をつけずに文教
予算を切ってしまうでしょう。だからいじめが中曽根内閣になったら逆にふえるのですよ。稻葉先生、ぜひ
総理大臣にとってもらいたいと思うのです。本当なんです。そのことをぜひ伝えていただきたい。
法務大臣、
人権擁護局長に
お尋ねいたしますが、人権にかかわる擁護
委員というのがおられますね。そういう人
たちは仕事としては本当はいじめの問題等についてする人
たちじゃないのですね、建前上としては。しかし、あえてそういう人
たちをいろいろ督促をして、いじめその他の問題についても法務局は法務局で子供の人権として一生懸命やっておられるのです。
そこで、ちょっと
お尋ねしますが、ジェームス三木という人がおりますね。あれは私が中学時代の藤村という先生のお孫さんで、この前私
たちの同窓会に来て講演をやってくれましたよ。おじいちゃんが「つぶれ」というあだ名で「つぶれを語る」ということで孫のジェームス三木が話してくれた。変な話ですが、「澪つくし」の津川雅彦がしたのは、あれはおじいちゃんをモデルにしてやったというのですよ。なぜ彼がそれをテレビにしたかというと、父権の回復、今子供の非行とかいじめとかいう最大の
問題点は、家庭の中で父権がない、おやじの力がなくなっておる。おもしろいことを言いましたよ、私も含めてでしょうけれ
ども。食事をするときにテレビを見ながら一緒に御飯を食べておるというのです。今まで、そのテレビのあったところにおやじがおったというわけです。ところが、今はテレビがでんと座っておる。おやじは仕事しておるからテレビを見る機会が少ない、情報は子供の方がたくさん持っておるというのです。だから、おやじがこうだと言ったら、お父さんそれは違うよと言って、テレビから得た知識は子供の方が多いのです。
それからもう一つ、ここにおられる官僚の皆さんはどうかわかりませんが、昔はみんな給料袋は自分が奥さんに渡しておった。ところが、今は銀行振り込みになった。それで、おやじさんが奥さんから小遣いをもらっておるというのだね。だから、子供から見たらお母さんの方がお父さんに小遣いを上げるから偉い。昔はお父さんに向かってお母さんは、お父さん本当に御苦労さまでしたと言って給料をもらった。ところが今見ておったら、銀行から、おたくの振り込みがありましたと言ったら、電話口でありがとうございましたと言って銀行に頭を下げている。私はそれを本当に笑いながら聞いたのです。ところが、そういった意味でこのいじめの問題について真剣に
考えるとすれば、高度経済成長になってきて、便利がい
いからということだけで銀行に振り込んでしまうとか、そういうやり方についてもメスを入れて
いかなければ
いかぬ。東京都が今度テレビを見る時間帯について制限を加えるというようなことを言いましたね。マスコミの方がおられる前で恐縮だけれ
ども、年がら年じゅう朝から晩までテレビの放映があるということについても一考を要するのじゃな
いか。場合によっては子供と団らんをする機会というものが家庭の中につくられるように、テレビを離れることができるように、そういうことも必要じゃな
いか。週休二日制だって全然とらない人が多いということだけれ
ども、週休二日制というのはそういう意味で子供と語る機会がふえていく、年休の消化というのもそれだけ子供と家庭で語る機会がふえていく。そういう努力をしなければ、ただ
人権擁護局の人が一生懸命あっちこっち回って、事件があったらそこに行く、そしてはっと広げていく。モグラたたきじゃありませんけれ
ども、これをたたくとこっちから出る、これをたたくとこっちから出る。結局、私
たちが今全体的に
考えなければ
いかぬのは、そういったものを学校は学校、社会は社会、企業は企業、家庭は家庭というふうにトータル的にどういじめをなくしていくかということを議論するときが来ておると私は思うのです。そういう点についてどのようにやろうとされるのか。総務庁に、非行防止対策推進連絡
会議申し合わせとかいうのがありますね。申し合わせしたらそれで終わるのじゃない、申し合わせたら一体実現をどのようにして図るかということが大切だと思う。そういう点についてお答えをいただきたい。