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1986-05-16 第104回国会 衆議院 文教委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年五月十六日(金曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  文化振興に関する小委員       石橋 一弥君    臼井日出男君       榎本 和平君    大塚 雄司君       北川 正恭君    中村  靖君       鳩山 邦夫君    町村 信幸君       木島喜兵衞君    田中 克彦君       中西 績介君    池田 克也君       中野 寛成君    山原健二郎君       江田 五月君  文化振興に関する小委員長                 鳩山 邦夫君 ————————————————————— 昭和六十一年五月十六日(金曜日)     午前九時二分開議 出席委員   委員長 青木 正久君    理事 臼井日出男君 理事 北川 正恭君    理事 鳩山 邦夫君 理事 町村 信孝君    理事 佐藤 徳雄君 理事 佐藤  誼君    理事 池田 克也君 理事 中野 寛成君       赤城 宗徳君    石橋 一弥君       榎本 和平君    田川 誠一君       中村  靖君    森田  一君       渡辺 栄一君    木島喜兵衞君       中西 績介君    馬場  昇君       有島 重武君    伏屋 修治君       藤木 洋子君    山原健二郎君       江田 五月君  出席国務大臣         文 部 大 臣 海部 俊樹君  出席政府委員         文部政務次官  工藤  巖君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部大臣官房会         計課長     坂元 弘直君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省高等教育         局私学部長   國分 正明君  委員外出席者         議     員 木島喜兵衞君         議     員 中西 績介君         議     員 馬場  昇君         文部大臣官房審         議官      川村 恒明君         文教委員会調査         室長      高木 高明君     —————————————  五月十五日  医学教育充実改善に関する請願佐藤誼君  紹介)(第五二〇八号)  同(馬場昇紹介)(第五二〇九号)  養護教諭配置等に関する請願網岡雄紹介  )(第五二一〇号)  同(佐藤誼紹介)(第五二一一号)  同(中西績介紹介)(第五二一二号)  同(細谷昭雄紹介)(第五二一三号)  高等学校等実習助手制度改革に関する請願  (木島喜兵衞紹介)(第五二一四号)  同(佐藤誼紹介)(第五二一五号)  同(新村勝雄紹介)(第五二一六号)  同外十五件(中西績介紹介)(第五二一七号  )  同外五件(馬場昇紹介)(第五二一八号)  同(細谷昭雄紹介)(第五二一九号)  同外一件(渡辺三郎紹介)(第五二二〇号)  障害児学校教職員定数法制定等に関する請願  (阿部未喜男君紹介)(第五二二一号)  同(木島喜兵衞紹介)(第五二二二号)  同(佐藤徳雄紹介)(第五二二三号)  同(佐藤誼紹介)(第五二二四号)  同外一件(中西績介紹介)(第五二二五号)  同外一件(馬場昇紹介)(第五二二六号)  学校事務職員制度確立に関する請願上野建一  君紹介)(第五二二七号)  同(木島喜兵衞紹介)(第五二二八号)  同(佐藤徳雄紹介)(第五二二九号)  同外二件(中西績介紹介)(第五二三〇号)  同(馬場昇紹介)(第五二三一号)  同(細谷昭雄紹介)(第五二三二号)  公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に  関する法律制定に関する請願網岡雄紹介)  (第五二三三号)  同(木島喜兵衞紹介)(第五二三四号)  同外五件(佐藤徳雄紹介)(第五二三五号)  同外一件(中西績介紹介)(第五二三六号)  同月十六日  身体障害児者に対する学校教育改善に関する請  願(保利耕輔君紹介)(第五四七三号)  同(渡辺紘三君紹介)(第五四七四号)  同(中井洽紹介)(第五七一六号)  同(野間友一紹介)(第五七一七号)  私学助成に関する請願佐藤祐弘紹介)(第  五五三五号)  同(中村巖紹介)(第五七九一号)  同(山原健二郎紹介)(第五七九二号)  医学教育充実改善に関する請願藤木洋子  君紹介)(第五五三六号)  養護教諭配置等に関する請願阿部昭吾君紹  介)(第五五三七号)  同外二件(池田克也紹介)(第五五三八号)  同(江田五月紹介)(第五五三九号)  同(藤木洋子紹介)(第五五四〇号)  同(山原健二郎紹介)(第五七九六号)  同(三浦隆紹介)(第五九五〇号)  横浜金沢区の中世遺跡上行寺東遺跡保存に  関する請願江田五月紹介)(第五五四一号  )  同(田川誠一紹介)(第五七九七号)  公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に  関する法律制定に関する請願外四件(池田克也  君紹介)(第五五四二号)  同(江田五月紹介)(第五五四三号)  同(藤木洋子紹介)(第五五四四号)  同(山原健二郎紹介)(第五八〇一号)  高等学校等実習助手制度改革に関する請願  (阿部昭吾紹介)(第五五四五号)  同(池田克也紹介)(第五五四六号)  同(江田五月紹介)(第五五四七号)  同(藤木洋子紹介)(第五五四八号)  同(山原健二郎紹介)(第五七九八号)  障害児学校教職員定数法制定等に関する請願  (池田克也紹介)(第五五四九号)  同外四件(稲葉誠一紹介)(第五五五〇号)  同(菅直人紹介)(第五五五一号)  同外七件(馬場昇紹介)(第五五五二号)  同(藤木洋子紹介)(第五五五三号)  同(山原健二郎紹介)(第五七九九号)  学校事務職員制度確立に関する請願外三件(池  田克也紹介)(第五五五四号)  同(江田五月紹介)(第五五五五号)  同(馬場昇紹介)(第五五五六号)  同(藤木洋子紹介)(第五五五七号)  同(山原健二郎紹介)(第五八〇〇号)  中学校英語授業時数上限週三時間の強制反対  に関する請願阿部昭吾紹介)(第五五五八  号)  同外五件(池田克也紹介)(第五五五九号)  同(江田五月紹介)(第五五六〇号)  同(菅直人紹介)(第五五六一号)  同外一件(佐藤誼紹介)(第五五六二号)  同(山原健二郎紹介)(第五八〇二号)  横浜金沢区の上行寺東遺跡全面保存に関す  る請願田川誠一紹介)(第五七八八号)  私学助成大幅増額等に関する請願正木良明君  紹介)(第五七八九号)  同(矢野絢也君紹介)(第五七九〇号)  私学助成等に関する請願外二件(山原健二郎君  紹介)(第五七九三号)  私学助成大幅増額、四十人学級実現等に関す  る請願山原健二郎紹介)(第五七九四号)  私学助成の拡充に関する請願山原健二郎君紹  介)(第五七九五号) は本委員会に付託された。     —————————————  本日の会議に付した案件  公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に  関する法律案中西績介君外二名提出、第百二  回国会衆法第五号)  公立障害児教育学校学級編制及び教職員  定数標準等に関する法律案馬場昇君外二名  提出、第百二回国会衆法第六号)  児童生徒急増地域に係る公立小学校中学校  及び高等学校施設整備に関する特別措置法  案(木島喜兵衞君外二名提出、第百二回国会衆  法第八号)  義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正  する法律案木島喜兵衞君外二名提出、第百二  回国会衆法第九号)      ————◇—————
  2. 青木正久

    青木委員長 これより会議を開きます。  第百二回国会中西績介君外二名提出公立幼稚園学級綱制及び教職員定数標準に関する法律案馬場昇君外二名提出公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案木島喜兵衞君外二名提出児童生徒急増地域に係る公立小学校中学校及び高等学校施設整備に関する特別措置法案及び木島喜兵衞君外二名提出義務教育学校施設数国庫負担法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  各案につきましては、第百二回国会において既に提案理由の説明は聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木正久

    青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に関する法律案  公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案  児童生徒急増地域に係る公立小学校中学校及び高等学校施設整備に  関する特別措法案  義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 青木正久

    青木委員長 ただいま議題となっております各案のうち、まず、公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に関する法律案について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤木洋子君。
  5. 藤木洋子

    藤木委員 まず最初に、公立幼稚園学級編制の問題について提案者にお伺いをしたいと思うのですけれども、現在子供たちの発達、これが非常に変化を来している。ある先生は、幼稚園に来た子供たちに、あなたの靴を靴箱に入れなさいというふうに言ったところが、ちっともわからないというかそのとおりにしない。あなた、これをあそこへ持っていきなさいと言うと、ちゃんと靴を持っていって靴箱に入れるということが言われていて、言葉を使わなくても済むような生活になったのだろうかということが言われているのです。このような子供のさま変わり、親にとってもさま変わりでございますけれども、こういった現段階、今日的な意義というものについてお述べをいただきたいと思います。
  6. 中西績介

    中西(績)議員 今の藤木さんの質問にございましたように、生活環境教育環境すべてが多様化し変化してきておる、その中におけるこうした学級定数を減ずるというこの内容でございますけれども、私たち、いろいろなところでお聞きしたり調査した結果、四十人学級を担当しておった教諭が二十人学級に移った際、いろいろ意見を申し述べています。  その一つは、今まで四十名学級であれば一人一人が十分に見えない、手だてが尽くせないということもございまして、子供たちが非常に情緒不安定である。したがって、結果的には泣く子が非常に多かった、あるいはけんかをしたり乱暴を働いたりいじめ行動等があっても、それに対して一つずつ十分な対策を立て得なかった、こういう状況にあったものが、よく見えるようになってきた。そのために、どの園児言葉を交わすことができますから、そうした中から、きのう興味を持たせてようやく参加しておった者に対してきょうどうしていくか、こうした問題等について経験を交えた中で成長過程を見守っていくことができる。こういうこととあわせまして、今言われたような、例えば便所におけるスリッパの問題であるとか手洗いの問題だとかたくさんあるわけでありますが、こうしたことを直接指導ができるようになる。そうしたことからいたしまして、一斉保育四十名であればせざるを得ない画一的な指導が、結局、中程度子供たちが見落とされるという大きな欠陥があったわけでありますけれども、そうしたことがだんだんなくなってきた。こういうことを考えてまいりますと、今子供たちの一学級定数が五歳児二十五名、四歳児同じく二十五名、三歳児二十名、こうした内容になりさえすれば、教育効果も十分果たし得るのではないか、こうした状況等考えられておるわけであります。  したがって、今教育荒廃が叫ばれておるときに、高校あるいは中学校における多くの問題を場当たり的に対応しておりますけれども、それ以前の問題として、このようにして子供に自主的な活動なりを保障させ、伸び伸びとさせることによって、ここから得る大きな効果というものを見落としてはならないのではないか、こう考えております。
  7. 藤木洋子

    藤木委員 私もそのとおりだと思います。ですから、単に一人一人に行き届いた教育ができるということ以上に学級定数を減らすことの今日的意義は大きいということを、まず最初に確認しておきたいと思うわけです。  ところで、今全国的にも公立幼稚園で問題になっておりますのは統廃合でございます。これは文部省にお尋ねしたいと思うのですけれども、これは幼児が減少しているということが理由のようでございますけれども、文部省はこれを奨励していらっしゃるのでしょうか。いかがでございますか。
  8. 高石邦男

    高石政府委員 文部省は奨励しているわけではございません。それぞれの市町村市町村実態に応じて幼児数の減少に対してどう対応していくかを検討している結果から出ていると思います。
  9. 藤木洋子

    藤木委員 それぞれの自治体がその実情に応じてとおっしゃいましたけれども、今やられております統廃合というのは、父母や教員意見も聞かずに一方的に進められているものばかりなんですね。このような一方的な統廃合が問題だということは、既に小中学校などでも実証済みでございます。これは教育上問題があるわけで、文部省は、住民合意も得ずに強引に推し進めるべきではないという旨の通達を出してきておられますし、指導もしてこられました。幼児教育の場合も例外ではないと私は考えるわけです。教育的観点から、住民との合意なしで園の統廃合を進めるべきではないと思いますけれども、この点はどのようにお考えでございましょうか。
  10. 高石邦男

    高石政府委員 それぞれの市町村でそれぞれの幼稚園統廃合考える場合には、その地域実態に応じて、住民の理解も得ながら推進するということが最も円滑なやり方であろうと思います。
  11. 藤木洋子

    藤木委員 そこで、住民合意を得ずに一方的統廃合を進めているやり方は是正させていくべきだと思うわけです。何らかの実効ある措置をおとりいただきたいと思うのですけれども、住民の意向を尊重するということについての通達をお出しになるとか、何らかの措置が必要だろうと思うのですけれども、いかがでございましょう。
  12. 高石邦男

    高石政府委員 小中学校の場合は、いろいろな施設補助金を出しているとか、教職員定数配当とか、そういう直接的なかかわり合いがありますから、そういう観点での指導通達を出す、いわば文部省の持っている権限とのかかわり合い指導通達を出すということはあるわけです。ところが、公立幼稚園については、給与それから設置そのものについては全くそれぞれの市町村の独自の判断で処理しているわけでございます。したがいまして、当然のことながら、市町村地方自治という観点に立って、こういう問題についてどう対処すべきかということは市町村自体で基本的に考えるべき問題であって、文部省がそういう一々のことについてこうしろああしろというような通達を出すことはいかがなものかと思います。  ただ、一般論としては、幼稚園教育振興についてということで、幼稚園設置配置については十分関係者協議をしてやりなさいということを既に通知として示しているわけでございます。
  13. 藤木洋子

    藤木委員 そういたしますと、ぜひその御通知をなさった趣旨が徹底されますように初指導を進めていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  提案者は、この幼稚園統廃合問題についてどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか、お伺いをいたします。
  14. 中西績介

    中西(績)議員 統廃合を行う原因が何であるかということを、十分私たちは精査してかからないと問題があるのではないかと思います。今、幼児教育が重要視されているにもかかわらず、むしろ逆に、こうした時期であるために、臨時職員増加したり正規職員を他の職場に配転をしたり、こういうようなことによって、今現場では大変な混乱を起こしておる。したがって、私たちが今主張するような学級編制あるいは教職員定数標準を決めるための法律なりをつくり出していただいて、もし入園児が減少してくる現象があれば、いち早くそれに対応できる一学級園児の数、さらにまた教諭の数等を整備いたしまして、環境整備をすることによって、統廃合あるいは人員配置要員配転だけによって行うというような事柄は、全く——今、口を開けば、教育は百年の大計だとかいろいろ言われますけれども、幼児教育ほど疎外されている部分はないのではないか。臨時教育審議会だって、いまだにこの問題については手がけておらないし、発言も余りしておらないという状況から考えますと、今最も要求されるものは、ただ単なる統廃合ということではなくて、むしろ環境整備をどう推し進めていくか、そのための法的な措置をどうするのか、このことが一番問い直されておる、こう考えております。
  15. 藤木洋子

    藤木委員 わかりました。  次に、聴覚障害を持った乳幼児教育についてお伺いをいたします。  文部省は、全国ろう学校長会が「聴覚障害乳幼児教育の推進について」という要望を国や県に出しておられるのを承知していらっしゃいますでしょうか。
  16. 高石邦男

    高石政府委員 聾学校校長会で、幼児期における教育の問題についていろいろな論議をされていることは承知をしておりますが、具体的な要望事項というようなまとまった形のものをまだ私は拝見しておりません。
  17. 藤木洋子

    藤木委員 実は、関係者の皆さんが昭和五十年十一月二十六日にも要望提出していらっしゃるのでございますけれども、文部省として把握をしていらっしゃらない御様子でございますが、その研究発表なんかについては関心を持ってごらんにもなっていらっしゃるのではないかと思いますが、その点、実態は把握していらっしゃいますか。要望は知らないけれども、聴覚障害を持った乳幼児の置かれている現状については御存じでしようか。
  18. 高石邦男

    高石政府委員 三歳未満聴覚障害幼児に対する指導を一部の学校において教育相談事業としていろいろ行っているという実態は、二、三の県にあることは承知しております。
  19. 藤木洋子

    藤木委員 これは一部の学校ということでは済まないようでございますね。校長会調査を拝見いたしますと、「正常幼児聴覚機能が生後六ケ月にして一応の完成を見る所からして、聴覚障害乳幼児も、それ以前からの聴覚的刺激が望ましく、聴能訓練はその実施早期であればある程有効」だとされております。就学教育相談の九二%までが聾学校で行われておりまして、残りの八%が他の機関で行われているとなっておりますけれども、学校以外の機関では教育するところがない、これが大きな原因だと言われております。したがって、昭和四十三年度の就学乳幼児教育相談者数が六百六十九人であったものが、四十七年度には二千七十人と、ほぼ一年に三百人ずつ増加をしておりまして、ゼロ歳から六歳までのどの年齢も毎年増加していますけれども、とりわけ二歳児が最も多くなっております。増加率の最も多いのはゼロ歳児となっているわけですけれども、問題は三歳未満教育ですね。これが文部省管轄ではなくて厚生省になっているために、障害児に対する一貫した教育的処理がとられていないというふうに言っておられるわけですね。そのために、ゼロ歳から二歳児までの教育に対しては何ら補助保障もないというのが実情になっております。これに対して国は保障をしていくべきではないかと私は考えるわけですけれども、この点についてはいかがお考えでございましょうか。
  20. 高石邦男

    高石政府委員 先生指摘のように、学校教育対象として、幼児教育段階は三歳以上ということでとらえているわけでございます。したがいまして、聴覚障害児教育機関として聾学校等があるわけですが、その聾学校等には幼稚部といって三歳以上の子供教育するものがほとんど設置されているわけでございます。しかし、問題は、ゼロ歳から三歳までの間については学校教育法対象にならないというようなことから、御指摘のような問題が生ずるわけでございます。  そこで、実態としては、そういう能力を持っている聾学校親たち相談に応じて教育指導をしているというようなことがある、これまたそのとおりでございます。それから、県によりましては、特殊教育センタ一を設置いたしまして、そこでそういう教育相談的な事業を展開するというような形をとっているところもあります。しかし、本質的にはそういう教育機関正規の形で乗ってこないわけでございますから、それを正規教育機関対応するのか、それとも、心身の異常ということで医療行政観点でそれを処理するのかというところの問題があろうと思います。聴覚障害だけではなくして、実はそのほかの情緒障害、そういうような問題とも当然絡んでくる課題であろうと思うのです。現在は、医療機関がそのメーンとして、ゼロ歳から三歳までの子供たちについては責任を持つという一応の区分けになっておりますので、その点を十分調整しながら、厚生省とも連絡をとりながら、この問題については検討を加えていく必要があろうと思います。
  21. 藤木洋子

    藤木委員 厚生省とも協力をするといいますか協議をして取り組んでいくべきであろうということでしたけれども、私もそのとおりだというふうに思うのですね。いかに早期に診断をし、いかに早くから教育することが重要か、やはり医療の分野だけでは見ていらっしゃらないわけです。教育が必要だというふうに述べておられるのですね。「聴覚障害乳幼児早期教育は、心身障害児早期教育の中でもその明確な効果が実証されているという点において先進的な領域であるということは、既に明らかになっている。」このようになっているわけです。  そこで、とりあえず就学乳幼児教育を担当する教員を、一校につき最低二、三名、つまり複数配当をしていただきたいというのが関係者からの非常に切実な願いになっているわけですけれども、医療機関でやるのがいいか、学校でやるのがいいかというような御論議も必要ではございましょうけれども、既にもう実施をしているというところで上げている成果は正しく認めていただいて、それを援助していただきたいというふうに思うのですけれども、この最低の要求である一校当たり二、三名の、複数教員配当してほしいという、これを本当に実現しようと思えば、どのようにすればよろしいでしょうか。その点、文部省、何か名案ございませんでしょうか。
  22. 高石邦男

    高石政府委員 結論から申し上げますと、十分検討していかなければならないと思います。ただ、現行の法制上では、例えば学校教育対象になるのが三歳と学校教育法に書いてあるわけですね。だから、それ以外のものをやるために教職員配置するというような標準法法律にもなっていないというようなことで、学校教育体系全体の法体系からきている問題でございますので、ゼロ歳から三歳の子供まで学校教育が引き受けるということになると、そういう法律体系を全部見直さなければうまい手当てができないという基本的な問題があるわけでございます。ただ、県によっては現実的にそういう相談事業をやっているところがございますので、それぞれの県では若干の人を配置するという措置県単でやっている可能性もあるわけです。  いずれにいたしましても、そういう基本的な法律体系を見直して対応をするのは相当な大仕事になるわけでございますが、現実的な対応として、そういうものについての補助制度というか助成制度というものを、一方において検討してみるということは必要なことではないかと思います。
  23. 藤木洋子

    藤木委員 一つは、その助成制度によって救済ができる可能性があるかどうか、この辺は検討が必要だというふうな御意見だったのですが、それはぜひ早急に進めていただきたいと思うのです。  今お話がございましたように、県単でやっているところもたしかあるようなんですね。私が拝見した限りでは、どこの県というところまでわかりませんけれども、専任者のみの配置をしていらっしゃる学校が八十校中二十八校ほどございます。また、県が独自に特別のセンターをつくっているというところもあるのですけれども、それが余り活用されてないのです。やはり地域にいろいろなところにまくばってこういう施設がございませんと活用しにくい、使いにくいという点が一つはあろうかと思いますので、そういった実情に即して御検討いただきたいと思うわけです。やはり文部省厚生省が協力し合って、最小限の要求が満たされるようなことをまず手がかりにいたしまして、法の改正も見直さなければならないかどうかということにまでなるかもわかりませんけれども、ひとつその辺は真剣に御検討を加えていただきたいと思うのです。  そして、このようにも言われているわけです。「聴覚障害児教育においては、もし早期教育が閑りにされますと、教育は上へ上へと延長され、その為にぼう大な財政と人手(教師の数)を必要とするにもかかわらず、」それだけのことを投入してもまだ「教育は根本的治療にはなり得ず、対症療法の域を出ることはできません。」ですから、このような教育に極めて意義が大きいわけでもありますし、この校長会ではこうも述べていらっしゃるわけですね。「聴覚障害者の社会的自立、人間性開発の為に、教育投資の効率性の上から、行政的、財政的最重点施策は、早期教育におくべきであります。」と述べていらっしゃるわけです。  この辺を踏まえて真剣に御検討いただきたい。また、関係する厚生省との協議というのにも早急に取りかかっていただきたいということを再度御要望申し上げたいと思います。その点、確認をさせていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  24. 高石邦男

    高石政府委員 十分な問題意識を持って検討してまいりたいと思います。
  25. 藤木洋子

    藤木委員 ありがとうございます。  では、私の質問はこれで終わります。
  26. 青木正久

  27. 馬場昇

    馬場委員 どうも提案者、御苦労でございます。  実は、この法律案は、一九八二年、昭和五十七年に国会に提案されてから、もう五カ年を経過しておるわけでございまして、今回のきょうの審議が四回目の審議であると思うのです。そういう経過を踏まえまして、この審議の経緯と、現在、五カ年たっても成立していないという現状の認識を提案者はどうなさっておられるのか、提案者のお考えをまず聞いておきたいと思います。
  28. 中西績介

    中西(績)議員 この問題が提起されましてから既に相当の年月がたっておるということを今御指摘がございました。特にこの問題につきまして私たち経過を振り返ってまいりますと、昭和三十一年、幼稚園設置基準、数次の改正がございましたけれども、基本的には全く変わらずに、明治三十三年の小学校令、小学校学級七十人以下、あるいは幼稚園四十人以下というこれがそのまま、小学校中学校においてはある程度改変されておりますけれども、維持されておるというのが実態であります。  そこで、入園児数の減少期に、現代の保育の重要性にかんがみまして法律整備し、教育の向上を図るという目的を持ちまして、時間がございませんから申し上げませんけれども、四項目にわたって我々は目標設定をしてこの法案を提案したわけであります。そして、五年間の年次計画を経まして必要な経過措置を講じていこう。ところが、今言われましたように九十六国会におきましていろいろ論議されました。その際に、幼稚園教育振興計画というものがあるわけでありますけれども、公立幼稚園につきましては大変なおくれをもたらしておる。特にこの幼稚園設置基準なるものがあるわけでありますけれども、これに違反するものが四一%に上るという調査すらも明らかになり、これら問題について教諭の劣悪な条件、労働賃金あるいは定数の不足等を含みまして、定数法の制度をここで設けるべきだという各党からの御意見をいただいたわけであります。  そうした中で、特に問題になっておりました私学助成法一部改正との関係の中で、こうした定数までも含めて幼児問題検討委員会なるものを設置しまして、ここで検討していこうということでございましたけれども、これが今立ち消えの状況になっておるというのが実態であります。そして、百一国会、百二国会連続しまして討論をし、その内容は先ほども申し上げますように幼児教育、このことがいかに重要であるかという面からいたしましても、ぜひ早急に定数法を改正する必要があるのではないか、そうした意味で学級編制あるいは教職員定数標準を策定せよ、こういう声は日増しに拡大され、さらに小委員会なりなんなりを設置してでも追求していかなくてはならぬ現状になっておるのではないか、こういうように理解をいたしております。
  29. 馬場昇

    馬場委員 政務次官、今お話をお聞きになったと思うのですけれども、この法律はもう五年にわたってこの委員会で審議していますし、きょうで四回目なんですね。だからもう審議し尽くされておるのです。そして、反対という意見はほとんど余り出ていないんですよね。  そういう中で、私はきょう文部大臣に、文部省としてもこの問題にはもう決断をすべきだ、その決断を迫りたいと思っておったし、特に与党にも、また委員長にもその取りさばきをお願いしようと思っていたのですけれども、きょう文部大臣ちょっと所用ですが、文部省を代表して政務次官にお聞きするわけですけれども、その前に、政治家政務次官にお尋ねします。  閣法は、政府が出しましたら、各党一巡しましたら、大体ほとんど採決して結論を出しているんですね。これはもう一巡どころか、各党何回でも質問している、それで五回目なんですよ。衆法がこのような取り扱いをされるということは、私は非常に遺憾だと思うのですけれども、政務次官、衆法に対する次官の考え方をまずちょっと聞いておきたいと思うのです。
  30. 工藤巖

    ○工藤(巖)政府委員 衆法についての考え方でございますが、これは申すまでもなく、国会は唯一の立法機関でありますし、国会議員みずからが法律案検討し、これを発議していくということは重要な職責でもあります。これを大事にとらえて十分に検討をし審議をしていくべきものと、このように考えております。
  31. 馬場昇

    馬場委員 まさに議会制民主主義の中で衆法というのは非常に大切なもので、特に諸外国では、政府が出したのよりも議員が出したのを大切にするという風潮もあるわけで、それが大切ですが、実際、五回にわたってそれが無視されているということは非常に遺憾な点であるわけです。  そういう法律の取り扱い方とともに、やはり問題は乳児あるいは幼児、この幼児教育の重要性というものを、そのことからもどう認識しておられるのかということを私は疑いたくなるんですよ。  そこで、次官、幼児教育の重要性というものについてどのようにお考えになっているのか、その点についてもお考えを披瀝していただきたい。
  32. 工藤巖

    ○工藤(巖)政府委員 幼児教育の重要性でございますが、申すまでもないことだと思いますけれども、幼児心身の発達が非常に顕著でありまして、いわば人間形成の基礎が培われるときでもございます。幼児教育は、家庭においても、あるいは学校すなわち幼稚園等の教育機関においても、あるいは地域社会においても、よい環境を用意をしながら適切な教育をしていくことが極めて重要である。三つ子の魂百までということがよく言われるわけでおりますけれども、幼児教育の重要性をさらに強調していくべきときであろう、私はそう考えております。
  33. 馬場昇

    馬場委員 提案者にも、幼児教育が大変大切だということでこういう提案をなさっていると思うのですけれども、この幼児教育の重要性というものに対しての提案者のお考えも一言披瀝していただきたいと思います。
  34. 中西績介

    中西(績)議員 今次官の方からもお答えがありましたように、基礎的な人間形成はほとんどこの時期にと言われておるわけであります。したがいまして、先ほどもお答え申し上げましたけれども、こうした時期であるからこそ、私たちはその環境をどう整備するかということがまた極めて重要な課題になっています。したがって、先ほどから申し上げておりますように、幼稚園なりにおける、今まで四十人学級から二十人学級を担当した経験者などが申し上げておりますように、今まで一人一人が見えなかったことが十分見える体制をそこでつくり上げることができた。そのことが、幼児と十分な語らいができる、その中で成長の過程が十分認識できる、したがって、それにどう対応すべきかが十分把握できるし、そのことが、さらに今度は父母との関係から申し上げましても、十分な打ち合わせの中における家庭生活幼稚園生活との関連性、そしてさらにそれぞれ子供間における社会形成の中におけるいろいろな経験、すべてを通じまして大変重要な内容を持っておるわけであります。したがいまして、この幼児教育というものが、この場に立ちますと大変重要だと言い、教育は百年の大計だと言い、その中における幼児教育はまた極めて重要なものだということを絶えず言いますけれども、ところが施策の面では、今一番欠落をしておる部分に該当するのではないかと思います。したがいまして、何としてもいち早くそうした体制を、環境をどうつくっていくかということが極めて重要ではないかと思います。
  35. 馬場昇

    馬場委員 幼児教育の重要性につきましては、文部省提案者も全く一致して、非常に大切だ、こういうことの御答弁でございますけれども、これも次官が言われましたけれども、やはり教育の目的というものは人間を形成するということにあるわけでございまして、さっき言われましたように、やはり三つ子の魂百まで、この幼児期に人間形成の土台というものをつくるわけでございますし、まさにそういう点からいいますと、幼児教育というのは教育の原点ですよね。そういう点は、先ほど提案者も一緒にお述べになったのですが、もう一つは、やはり幼児教育の場というのは社会の形成者として社会に触れる初めですよね。そういう意味で、まさに社会性というものの芽生えにもなるし、人間形成の原点であり、社会性の芽生えにもなる、そういうことですが、今提案者も言われましたように、みんな、大切だという言葉はあるのですけれども、具体的な実践が全然ないんですね。どうすれば一番いいかということは、やはり教育というのは一人一人の子供が、提案者も今使われましたけれども、よく見えなければ教育にならないんですよね。そういう点から考えますと、では、果たして今の幼児教育というのが、一人一人の幼児がよく見えるような実態になっているかどうかというと、全然なっていないと私は思うのです。  そういうことで、あと具体的な問題に入りますけれども、その前にもう一つだけ聞いておきたいのは、だからこそ今児童生徒の中に問題行動が非常に多い。いじめの問題から、最近は自殺まで非常に多い。つっぱりもおる、非行もある、暴力もある、こういうものの芽生え、こういうものの問題行動と幼児教育の現在の状況というものとの関係は非常にあると私は思うのですけれども、どうお考えになっていますか。
  36. 高石邦男

    高石政府委員 結論的に言いますと、相当な因果関係があると思います。特に小学校の低学年の段階までに、家庭においてどういうしつけ、教育を受けてきたか、また幼稚園学校においてどういう教育を施されてきたか、また、どういう社会環境で育ったかということが相当影響をしていることは事実であると思っております。
  37. 馬場昇

    馬場委員 本当に幼児を見ていますと、情緒不安定で泣いたり、あるいは人をいじめたり、いろいろ発達過程の中で情緒の不安定な面もあるし進歩もあるわけですね。それを一つ一つきちっと見て、家庭と連絡しながらそこで教育をしていく、そういうことがこの幼児期に行われれば、小学校になり中学校になり高校になり、さらに大学に行っても、本当にあの問題行動というのは非常に減ってくる、その原点を大切にしていないからこそそういう問題行動が起こってくるのではないかと私は思うのです。抽象議論はそういう点は皆一致するわけですから、問題は、具体的にどうするかということです。  先ほど提案者がおっしゃったのですけれども、一九〇〇年、明治三十三年に小学校令で、小学校学級定員を七十人以下とする、そのときに、幼稚園は四十人以下とする、こういうことになっているのですけれども、小学校はだんだんだんだん学級定員が七十人から下がってきまして、今日四十人学級になっております。またそれを三十五人だとか、さらに少なくせいと言っているのですけれども、そういうことになりますと、幼稚園は明治三十三年の小学校令の四十人以下そのままに放置されているのです。このことは、完全に幼児教育を軽視した、このことの端的なあらわれがここに来ているのです。このことについてはどうお考えですか。
  38. 高石邦男

    高石政府委員 御指摘のように、幼稚園の一学級当たりの人数は変わってない。ただ、今日まで幼稚園教育の重要性を認識してとってきた政府のやり方は、まず幼児教育を受ける者を拡大していこうという施策が戦後とられてきたわけでございます。したがいまして、幼稚園教育振興計画のもとに幼稚園整備を図ってきたということで、その就園率を上げるということで、現在の時点でいいますと、幼稚園で約六〇%強、保育所で三〇%強、九〇%を超える五歳児が幼児教育を受けるようになった。これは戦前に比べると比較にならない数であります。それを四歳児、それから三歳児へ拡大していくということで、幼児教育を受ける数をまず急速にふやしていこうということで、いろいろな助成措置を講じてやってきたわけでございます。  ただ、条件的な面の学級数については改善されてこなかったということは事実でございますし、この点の改善は今後の重要な課題として取り組んでいかなければならないと思っております。
  39. 馬場昇

    馬場委員 先ほどのお話と今の答弁は全然違うのです。幼児教育の重要性については、結局一人一人が、教育の原点だけは見えるような教育をしなければならぬということはみんなわかっていながら、今の答弁では、そういうことは考えなかったんだ、数をどんどんふやしてきたんだという話なんですけれども、やはり問題は、教育ですから、一斉教育なんかで教育になっていなかったらかえって弊害になりますよ、一人一人が見えないような教育教育でないわけですから。そういう意味で、本当に今日まで幼児教育を軽視してきたということははっきり言えるんじゃないかと私は思うのです。  提案者は、こういう法律を提案されているわけですから、その文部行政、教育行政というものに対して、明治三十三年から今日までをどう考えておられますか。
  40. 中西績介

    中西(績)議員 今質問者から言われましたように、約八十五年にわたっていまだに一学級定数が変更されてない。その変更されなかった理由としては、今局長が答弁されましたように、まず就園児をどう拡大していくかということに精力を注いだという言い方でありましたけれども、私は、やはり一番の問題は、一九五六年、昭和三十一年の文部省令で決められました幼稚園設置基準に一つは問題があったと思うのです。これは一学級四十人以下を原則とするということになっておりますけれども、園長一人、それから学級ごとに専任教諭一人、それから特別事情ある場合には学級数の三分の一以内助教諭あるいは講師をという認め方をしています。それから、養護、事務職員につきましては、置くように努めなければならないということになっておりますけれども、これに対しまして緩和措置をあるいは規定をしてあるところに問題があると思うのです。四十人以上一、二名程度増員を認めておるわけです。こういうようなことが過大学級あるいは過大規模幼稚園を容認することにつながり、さらに今度は、数が減ってくると幼稚園統廃合学級減で応ずるという、質的なものを全くそこには度外視する、無視するという、こうしたものが働いておるところに、この問題についての一番大事なところを見落としておるのではないかと考えます。  ですから、今一番問題になっておりますのは、園長一人といいますけれども、兼任園長、そして学級数と同数教諭配置されておるかあるいは相当数いるところでプラス一名教諭をしておるところを合わせると八〇%なんですね。ですから、昨年の討論の際にも文部省言われましたけれども、園長はちゃんとおるんだから措置されておるんだということを言いますけれども、八〇%兼任の園長であるということになれば、兼任されておるところではどういう障害が起こっているかというと、小学校の校長が大部分ですから、あるいは他の行政職にいる人がなっているでしょうから、その人の日程に合わせて園の行事から全部が左右されていく。そこには園長あっても園児は全く無視されておるという実態が出てきておるわけであります。  さらにまた、問題になっておりますように、臨時講師の増大がますます多くなってきています。臨時講師になりますと毎年配転されていくわけですね。そしてそこには、労働条件もあるいは賃金も全部違うわけでありますから、そこで出てくるギャップの中からいろいろなそごが出てくることは必至です。そして、その園のあるいはその地域の状態というものを十分認識し得ないまま園児教育に携わらなければならぬという実態等が行われる。こうなってまいりますと、幼稚園からの切々たる訴えがあるように、何としてもこうした事態をなくすということがなければ、今の幼児教育を私たちが期待するように完成させることは大変不可能だと思います。そうした意味で、ぜひ提案をされている内容でより具体的に文部省も提案をするか、あるいはそうした起案をすることが今一番肝要ではないだろうかと考えます。
  41. 馬場昇

    馬場委員 文部省を代表して政務次官来ておられるわけですけれども、今までずっと幼児教育の経過を議論したわけですけれども、私はやはり文部省としても十分であったとは思っておられないのじゃないかと思うし、教育というのは人間形成という視点から見まして、そういう点でやはりこの際、今日までの幼児教育というのはやはり不十分であったのだという点を厳しく反省しなければ、今後の対策というのは出てこないのではないか。私はこの場でも厳しい反省の言葉というのをまだ聞いていないのですけれども、次官もいろいろこういう経験はなさってきておられるわけですから、十分でなかったし、今後は厳しい反省の上に立って本当に真剣に取り組まなければいかぬのじゃないかと私は思うのですが、そういう点はどうですか。
  42. 工藤巖

    ○工藤(巖)政府委員 幼稚園の問題につきまして、いささか私見がまじるかもしれませんが御了承いただきたいと思いますのは、長い伝統を持っている幼稚園でありますが、特に戦前の場合などは本当に幼児教育に対して情熱を持った人たちが、あるいは宗教団体等が幼児教育のために骨を折ってきたという経過がございました。戦後になってから幼児教育の重要性が特に強調されて、公立幼稚園も出てまいりまして普及発展をしてきたように思います。しかしながら、三十年代のころまでは幼稚園の就園率というものはまだまだ低い状態でありまして、どうして幼児教育の普及率を高めるかということが地方においても課題になっておったように思います。こういうものに対応しながら、文部省としても、幼児教育の普及と特に私立の幼稚園に対しての援助等を含めまして幼児教育普及のための政策をとってまいった。そういう中で、ただいまお話ありました昭和三十一年には設置基準をつくって進めてきた、こういう段階にあります。  しかしながら、義務教育学校においては、かねてより標準法によってその定数も定められ、かなり体制が整ったものになってきておったわけでありますが、幼稚園義務教育でなかったせいでもございましょうか、教員の給与の負担にしたって義務教育とは全く違った扱いになっている。そういう状態の中で今日まで参っておるということだと思います。したがいまして、御指摘のありましたように幼児教育の問題、特に幼稚園の課題については公私立を通じましてその振興の方策についてここで十分に検討していかなければならないし、臨教審においてもまた幼児教育については、今後の課題としてこれからの審議に残されておりますけれども、これに取り組んでいくことに相なっておるわけでありますから、私どもも決意を新たにして幼児教育振興のために取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  43. 馬場昇

    馬場委員 非常に抽象的で、本当に反省しておられるのかどうか、今わからなかったのですよ。それはそれとして、今日の日本の経済の歩みを見たって、高度経済成長の中で結局質よりも量だ、心よりも物だということでずっと日本の社会が歩いてきたわけです。それと軌を一にした幼児教育の歩き方ではなかったろうかと思うのですが、そういう日本の経済ではいけないんだ、やはり質よりも量という物の考え方はいけないとか、あるいは心よりも物だということはいけないという厳しい反省の上に立って、今日本人みんなが物を考えているのです。殊に教育に携わっているわけですから、今までの点は非常に厳しい反省をする、これは本当に深刻な反省をしてもらいたいと思うのです。また、そういう中からしか本当に強い対策は生まれてこない。  そこで、今度は具体的に聞きますけれども、量をふやしてきたとおっしゃる。確かにふえた。ところが、今幼児は減っているんですよね。だんだん減っている。そのときこそ質の転換をやるチャンスですよ。今幼児が減っておる段階の中で、幼児教育の質をどう高めてきたのかという点で、局長、具体的にどう高めましたか。幼児が減るのに、幼児教育の質はこういう点でこういうぐあいに高めました、何かありますか。
  44. 高石邦男

    高石政府委員 幼児教育の質の向上策をとる必要があるということで、実は幼稚園教育要領に関する調査研究協力者会議を既に一昨年に発足させまして検討に着手しているわけでございます。したがいまして、まず保育内容が現在の幼児教育内容でいいかどうかということを検討し、今回の教育課程審議会には、今まで小学校から高校までが大体改訂の対象になっていたわけですが、今回は幼稚園を含めて保育内容の見直しの検討に着手するということで質の転換を図る政策に着手し始めだということが一つであります。  御指摘のように幼児数が減ってまいります機会をとらえて条件整備を図っていくことも必要であろう。したがいまして、一クラス当たりの編制基準を教育内容の見直しとあわせて少し積極的に取り組んでいきたい、こういう検討を現在加えている段階でございます。
  45. 馬場昇

    馬場委員 ずっと幼児が減っているのに、今の答弁を聞きますと、委員会をつくって学級編制の基準も今から検討するんだということでございますが、先ほど提案者がおっしゃいましたように、私も言いましたが、現在まで学級定員というのは、幼児が減っていく過程においても改善されていない。  それから、さっき提案者が言われました兼任園長は、最近改善されたのですか。先ほど八〇%近いのが兼任の園長である。兼任の園長なんかになったら、子供中心の幼稚園じゃないですよね、小学校長中心の幼稚園。大体小学校長があいているときにしか幼稚園の行事などはできないという格好になるわけですから、これが八〇%もおるのでは本当の幼稚園は成り立たたないと思うのですが、こういう兼任園長の数の率はだんだん減ったのですか。  教員配置がこの間改善されておりません。例えば、来年この人がやめるというときになると、どうせ園児が減るのだから臨時の先生を入れておく。その先生は次にはどこかにやってしまう。かわりになった先生幼稚園に置かなくてほかの役場などに入れてしまう。こういうぐあいにして、教員配置改善は全然されていないというぐあいに私は思います。ましていわんや、養護教員だとか事務職員だとかいうものの配置改善されてきておるのかということです。去年でもいいし、おととしでも資料があるならいいのですが、どれだけ幼稚園先生が退職されて、新しい先生がどれだけ入ったのか、たくさん入っているのか、あるいは減っているのか、こういう点について具体的にちょっと説明をいただきたい。
  46. 高石邦男

    高石政府委員 まず、園長の兼任の問題でございますが、一番新しい六十年の調査でございますが、兼任園長は六二・六%ということで、八〇%から六二%台になっております。専任教諭学級数にプラスした教諭配置率も若干の改善が図られておりまして、幼児数が減る段階をとらえて、それぞれの設置者においてはそういうことについての配置考えていくという傾向にあることは今日の傾向を見るとうかがえるわけでございます。
  47. 馬場昇

    馬場委員 これは後でいいですから、幼稚園先生が退職なさった数、そしてどれだけ補充したか、あるいはどれだけ減ったか、どれだけふえたか、そういう最近の五年くらいの統計をぜひ届けていただきたいと思います。  そこで、学校というのは子供中心ですから子供中心の議論をしたのですが、もう一つは、やはり親、父母の側から見た場合に、今物すごく教育費の負担が増大しつつあるわけですね。そういう意味で、父母は幼稚園教育費に大体どれだけ支出しておるのか。文部省が五十九年の調査で発表なさっているのを見ますと、公立幼稚園では十六万円、私立の幼稚園では三十万円、父母が年間に幼稚園教育費を支出した、こういう数字になっておりますが、この数字を見たとき父母は、これはうそだ、こんなうその数字ってあるかとみんなが言ったのを私は聞いている。自分が出しているのはまだ非常に多いのです。ところが、何でこんな少ない数字が出るのだろうかと言って、この数字は統計がうそじゃないかという話も聞いたのですが、いずれにいたしましても、最近の新しい統計があれば出してもらいたいと思うのです。  これは結局、父母がお金がなければ今度は幼稚園も出せない。父母の経済的な理由によって子供教育権が侵害される、こういうことは今の憲法、教育基本法の建前からあってはならないわけでございますが、ちなみに言いますと、これは幼稚園だけではございませんで、ある保険会社の調査によりますと、オール公立幼稚園から大学まで行ったら大体百七十五万、オール私立で行ったら二千五百三十三万、幼稚園と大学が私立で、あと小中高公立でも千九百二十万、こういう教育費が要るのだといって、まさに教育費地獄、教育費貧乏という状況があるのですが、最近の幼稚園の父母負担の傾向はどうなっておりますか。
  48. 高石邦男

    高石政府委員 昭和六十年度の国公私立幼稚園の一人当たりの父母負担額について申し上げますと、公立が五万一千三百三円、私立が十七万七千百五十三円というような状況でございます。  私学の場合の状況を見ますと、五十六年度が十六万、五十七年度が十六万五千、五十八年度が十六万九千、五十九年度が十七万二千ということで、少しずつ伸びておりますけれども、そう大幅な急激な変化ではない。公立についても同じような傾向を示しているわけでございます。
  49. 馬場昇

    馬場委員 これは中身は何ですか。その年間に五万というのは、月に五万の間違いじゃないでしょうね。例えば教育費について、父母が教材を買うたり教具を買うたり、極端に言うといろいろな手習いなんかさせるとか、いろいろあるわけですよ。あなたが今言ったのは、幼稚園に出したPTA、保護者会費とか、そういうのが含まれているか含まれていないかわからないけれども、これは中身を教えてもらわなければ、こんなはずはない。こんなことを言ったらもうごまかしとしか言われないわけですが、これは確かにきちんと調べなければいかぬと思うのです。父母は教育費をたくさん支出しているのだから、こういう項目、こういう項目と、各項目をつくって、そしてこれだけの負担をしておると、父母が納得し、出している者が、うんなるほどこの統計は信用できると言われるようなことをやらなければだめです。もう時間がありませんから、そういう調査をやりなさいということをひとつ要求しておきたいと思うのです。  そこで、まず文部省考え方。諸外国では、西欧諸国では特に幼稚園は二十五名くらいが常識です。それから、一九六一年の国際公教育会議でも、やはり標準は大体二十五名ぐらいが望ましいという勧告が出ておるわけでございますが、幼稚園学級定数というものは、今後、大体どのような方向に、どのような手順で改善していこうというぐあいに思っておられるのかということを聞いておきたいと思いますし、さらに、そのことにつきまして提案者考え方も聞いておきたいと思います。
  50. 高石邦男

    高石政府委員 先ほども答弁を申し上げました幼稚園の保育内容の見直しを図っております。したがいまして、その改正は教育課程審議会の答申を得て行うということになっておりますので、その答申が多分六十三年度には明らかになってくると思います。そうしますと、幼稚園につきましては、六十五年度くらいから新しい保育内容の見直しの実施ができるというふうに思います。  それと関連して、一クラス当たりの幼児数についてもあわせて検討して、結論を出していきたいと思っております。方向としては、現在の四十人をもう少し積極的に改善する方向での具体的な内容に固めてまいりたいと思っております。
  51. 中西績介

    中西(績)議員 今の答弁を聞いておりますと、既に三回の討論をしてまいりましたけれども、その当時から我々の主張を取り入れていただいて検討し始めておると、大体来年くらいからこれを徐徐に取り入れることが可能であったと私は思います。  なぜ私がこのことを強く申し上げるかといいますと、今、入園児の数が減少することによって教諭が余るということになってまいりますと、甚だしい一つ市町村の例を挙げますと、そのために教諭指導主事に引き上げまして、一つ市町村幼稚園指導主事が四名おるというような状況が出てきておるのです。  さらにまた、これを見ていきますと、そうした資格を持っておる人たちをわざわざ国体の事務局に入れてみたり、教育委員会の一般事務に、あるいは図書館に、あるいは社会教育機関にというように、本人が希望しておる、そして教育に携わることを大きな喜びとして今まで努力をしてきた方方を、こういうように措置してしまっている。しかも、それに加えて、臨時職員あるいは臨時講師というのはこれにプラスして入れられておるといたしますと、こういうことこそいち早く解決をする手だてとして、今大変重要ではないだろうかと思っています。  それで、私に手紙が来たある一人の方なんかの場合には、別の水道局に移されたというのです。ですから、私はそういうあれは全然してないし、幼稚園教諭として任用されたはずだということを言いましたところが、採用のときに一般の事務職員の中に組み入れて一緒に採用しているわけです。そしてそこから幼稚園に出向の形で出しておるというごまかしをしておるわけです。ですから、今度はもともと一般職員のところに配置をした、こういうことで全く無視されてしまったという。したがって、賃金はどうかというと、教職の(三)表を使うのではなしに、逆にこれの結果は行政職(一)表を使うということになるわけであります。  したがって、こうしたことがずっと考えられてまいりますと、今こそ私たちが提案しておるこうした内容についてぜひ手がけていただくことが、こうした諸矛盾を解消することにもなるし、幼稚園教育充実内容を高めていくことにつながるのではないかと思います。  そうした意味で、申し上げる時間がございませんけれども、提案をしておる四つの項目にわたってぜひ手がけていただくことを皆さんにお願いを申し上げると同時に、期待を申し上げるわけであります。
  52. 馬場昇

    馬場委員 時間が来たのですけれども、次官によく聞いておいていただきたいのですが、局長、あなたの方は、答弁を聞いていると教育官僚としてはあなたは全然意欲ないね。そうして、何かとぼけているのか、いや、これじゃ私は問題だと思うのですよ。というのは、あなたはずっと前からこの委員会で聞いているのです。この前の委員会で前の森文部大臣は、私たちが出している法律案には内容には異存はないのだ、ただ問題は財源なんですよと、非常に意欲的な発言をしたのです。だから、その下の官僚であればそういう答弁をしなければいかぬ。それをあなた、六十五年がどうのこうのと言ったって、話にならないのですよ。そういう点でこの場のやりとりだけではなしに、本当にかわいい子供の人格形成とかなんとか見た場合に、さっきのような答弁は納得できぬ。これはぜひ次官、前の森文部大臣の答弁もあるのです。海部さんがおったら、私は森さんの答弁を受けてここで決断を求めようか、そう思っているのですよ。ところが残念ながら——そういうことを省内でぜひきちんと意思統一をして、大臣の言ったとおりに局長は頑張るというような文部省の姿勢をつくってもらいたい。  そこで、委員長、きょうは五回目ですけれども、もう委員長も長年の国会議員ですから衆法の大事さは御存じだと思うのですが、これは、例えば小委員会をつくるなり、各党の代表が集まって議論するなり、あるいは何かしてやはり結論を出すという方向にひとつ取りまとめをぜひ努力をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思いますが、どうですか。
  53. 青木正久

    青木委員長 馬場君の申し出につきましては、理事会において十分審議をしたいと思います。
  54. 馬場昇

    馬場委員 終わります。     —————————————
  55. 青木正久

    青木委員長 次に、公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木島喜兵衞君。
  56. 木島喜兵衞

    ○木島委員 まず最初に、提案者にお聞きしますが、さっき提案者が前の衆法について御質問なさったように、もうこれも何回も何回もやっておる。正直言いまして、この点に関する限りは、最高の機関でありかつ唯一の立法府であるこの文教委員会が、何か政府の下請機関のごとく、政府提案のものについては上げろ上げろ、てんぷら屋のように揚げろ揚げろ、こう言っているのであります。しかし、衆法についてはそういう意欲がいささか文部省においても自民党の中にも見られない。これではまさに国会の自殺的行為だと言わなければならないかもしれない。そういう意味では、提案者はずっと長くやっていらっしゃるわけでありますから、提案者のお考えをお聞きしたいということ、それが第一。  第二は、さっきもお話ございましたが、特殊教育だとか特殊学校だとか特殊学級だとかというこの「特殊」ということ、この言葉については、別に金がかかるわけじゃない。特殊ということは普通でないということです。差別用語です。そういうことがなぜ今日もなおまかり通っておるのか。その点についての今までの経緯を含めて御答弁をいただきたいと思います。
  57. 馬場昇

    馬場議員 木島委員にお答えを申し上げます。  実は、この障害児学校定数法、今提案しておりますのと同趣旨の法律案を我が党は十二年前に、一九七三年、昭和四十八年に参議院に提出して議論をいたしております。それから十二年たつのです。それから、本衆議院におきましては八年前の一九七九年、昭和五十四年に提出をしておるわけでございまして、それから八年経過をいたしております。そうして審議は第一回目が一九八一年、昭和五十六年、第九十四国会で審議をしたわけでございますが、それから二回目が一九八三年、それより毎年審議をいたしまして、実は本日で本委員会でも五回目の審議でございます。そして、さらにつけ加えるならば、質問者は公明党が三名質問なさっております。民社党が一名、共産党が四名、社民連が一名、そして我が党は四名実は質問しておるわけでございまして、自民党を除きまして十三名の者が既に質問を終わっておるわけでございます。私は、この法律についての現状認識といたしましては、既に慎重に審議はし尽くされておる、こういうぐあいに思うわけでございますが、特に重要なのは、この審議の過程の中でこの法律に対して特に反対というような趣旨の意見というのはほとんどございませんでした。そういう中で、審議し尽されておるのにまだ日の目を見ないという点について、私は本当に現在の状況は遺憾である、こういうぐあいに考えておるわけでございます。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕  さらに、今質問者も言われましたように、やはりこれが閣法であったなら本当に早く通っているんじゃないか。これが衆法だからといってこういう格好に放置されておる。まさに衆法軽視、議会制民主主義の軽視、あるいは文教委員会の自殺行為だとさえ私は現状を考えておるわけでございます。  さらに、次に、特殊教育、特殊学校という呼称の変更については、これまた非常に議論の歴史は古いわけでございます。やはりその議論する基本というのは、「特殊」というのは、さっき質問者が言われましたように普通と違うことというのを特殊というわけでございますので、特殊教育、特殊学校というのについてはやはり世間的に偏見と差別を感ずるという用語であることでございます。  そういう点で、やはりこれは変更すべきだということが、この国会におきましても一九六九年、昭和四十四年ですから、今からいいますと十七年前になります。今衆議院議長をなさっている坂田道太さんが文部大臣であったときに議論なさって、坂田さんはこういうような答弁をしておるのです。用語が適切でないので早急に改めるように検討したい、これが昭和四十四年、十七年前の坂田文部大臣の答弁でございます。  それから、参議院にこれと同趣旨の法律が提案されまして、一九七三年、昭和四十八年に議論しておるわけでございますが、そのときに当時の奥野文部大臣はこういうような答弁をしております。教育そのものは個人の特性に応じて可能性を見出していかねばならない、それを心身障害者に限って特殊教育という言葉を使うのは穏当ではない、適当な言葉があれば積極的にそういう言葉に切りかえるのにやぶさかではない、そして後日の委員会でさらに奥野文部大臣は、いろいろな言葉を探し求める努力やアンケート調査などをやってみて検討する、こういうことを昭和四十八年に答弁しておられます。  今のは参議院ですが、さらに衆議院におきましても昭和五十年、一九七五年に、今御質問なさっております木島委員が当時の永井文部大臣にこの問題について質問をなさっておるのですけれども、特殊教育という言葉については好ましくないので、何かよい言葉があったら教えてもらいたい、改めるという意思の表明を永井文部大臣もこの席上でなさっておるわけでございます。  それから昭和五十八年、一九八三年、今は亡き湯山委員がここで熱心にこの問題を追及なさったことは私は今でも目の前にはっきり浮かんでくるわけでございますが、当時の瀬戸山文部大臣も、学校教育法の特殊教育という言葉に固執しているわけでは全然ない、改正の問題について研究するということを言っている。さらに、湯山さんの質問に対して前の森文部大臣も、瀬戸山大臣が検討すると述べておられるのですから、おくれておっておしかりを受けるかもしれないけれども、もう少し検討させてもらいたい、こういうようなことを実は答弁しておるのです。  そういう経過をずっと振り返ってみますと、この問題については二十年近く議論してきて、歴代の文部大臣も実は検討を約束しておるような問題でございまして、私は、これは国会の権威にかけてきょうここで海部大臣から、直ちに改正するんだ、こういう言質がなされてしかるべきだということを経過の上から感ずるわけでございます。こういう問題は、この国会のやりとりだけでなしに、やはり何としても、障害を持つ子供の気持ちあるいはまたその親の立場で考えれば当然であるわけでありますし、さらに障害児学校とか障害児教育という言葉は既に定着しておる言葉でございますので、今質問者がおっしゃいましたように、この問題は直ちに改正すべき問題であろう、こういうぐあいに考えております。
  58. 木島喜兵衞

    ○木島委員 文部省、まだ検討中ですか、二十年近くたっているのですが……。
  59. 高石邦男

    高石政府委員 御指摘のような論議が長い間にわたって続けられてきていることは十分に承知しております。そこで、文部省としてもこの言葉にこだわる気持ちはないわけでございます。ただ、これにかわる適当な国民的な合意が得られるような言葉が現段階では見出せないというのが現在の状況でございまして、実は、一昨年学者、教育者、団体関係者の有識者に集まってもらいまして、この言葉の問題についていろいろ論議をしてもらったわけでございます。その結論は、特殊教育にかわる現在の国民的合意が得られるような言葉は現段階においてはなかなか見出せないということでございましたので、引き続き検討をしていかなければならないと思っております。
  60. 木島喜兵衞

    ○木島委員 さっきも言いましたように、「特殊」ということが普通ではないという差別用語だという意識があるのかどうかということにかかってくる。ですから、完全にだれもが納得する国民的合意になるかどうかは別としても、次善の言葉であろうとこれを改めるという意識がなければならないのだろうと思います。  次、養護学校が義務制になったのは七年前。なぜ養護学校の義務制というのはおくれたのでしょうか。例えば盲・聾学校は学年進行でやってきましたね。もし財政的に厳しいならば、それに引き続いて養護学校が義務制になってもよかった。七年前まで放置されておったということは、戦前において国家目的のために有効性を発揮しない人たち教育は放棄されておりましたが、ひょっとすればその思想が今日もなお生きておるのだろうか、それらの点について局長の御答弁をいただきたいと思います。
  61. 高石邦男

    高石政府委員 養護学校の義務制がおくれたのは、一つは、そういう教育を担当する専門の教員の養成がその段階まで十分な整備が行われなかった、それから、施設設備の整備について計画性を持って一気にできなかったというようなことで、御指摘のようなそういう発想から養護学校の義務制をおくらせてきたというふうには思っておりません。
  62. 木島喜兵衞

    ○木島委員 そうすると、こういう養護学校なら養護学校の教師養成というのはいつから始めたのですか。それができなかったからというなら、そうです、おっしゃるとおりです。何年からやろうとするならば何年か前から教師を養成せねばなりません、おっしゃるとおりです。しからば、何年から始めたのですか。
  63. 高石邦男

    高石政府委員 所管の局長じゃありませんので、そこまでのデータを整備してこの場に臨んでおりませんので、今お答えができないのでございます。
  64. 木島喜兵衞

    ○木島委員 結構です。担当の局長がおいでになられてもそのことについての十分なる御答弁ができるはずがないわけであります。しかし、関係の方がいらっしゃいませんから省きます。  次、統合教育。欧米では統合教育が常識というのでありましょうか、当然になっております。これは健常児のためにも統合教育が有効であると言われております。子供のときから障害児を別扱いにしておりますから、したがって、社会に出ても、例えば就職問題でも社会全体が別物扱いにする。障害児の雇用について一定の法的な目標がありますけれども、それが達成されないのもそういうところに原因があるのじゃなかろうか。各地において健常児と一緒に学びたいという親の希望がありあるいは本人の希望がある。だけれども、その希望がなかなか実現されておらない。その原因は一体どこにあるのだろうか。もちろん養護学校を否定するつもりはありません。今直ちにすべての統合教育をするとしても、それは教師の問題もあろう、あるいは施設の問題もあろう。したがって、施設が不十分であるならば、統合教育といってもそれは完全に子供教育権というものを保障することはできませんから、そういう要素はある。けれどもしかし、そういうことを超えてなお努力をせねばならない問題がたくさんあるように私は見受けるのでありますけれども、その点についての御見解をいただきたいと考えます。
  65. 高石邦男

    高石政府委員 実は、明治以来、義務教育整備していく過程で、普通の小中学校をつくる、そして盲・聾学校整備していく、そしてそれだけでは十分でないということで、障害の種類、程度に応じた肢体不自由児の学級情緒障害児の学級、そういう特殊教育整備していく、それでもなお十分でないので養護学校整備していくということで、いわば一人一人の子供に最も適合する効率的な教育の仕掛けをどうするかが戦後今日まで歩んできた過程であると思います。  統合教育の問題については、欧米との比較がよく出されるわけでございますけれども、欧米でとらえている障害児というのは、日本の場合よりも非常に幅が大きいわけであります。ちなみに申し上げますと、日本の場合は特殊教育学校に在籍している者、それから特殊学級に在籍している者は全体の児童数の一%でございます。アメリカは特殊教育対象となる者を八・九%と見ております。イギリスは約二%と見ております。西ドイツは四・二%と見ております。いわば本来普通の小中学校教育を受けているような者も、実は特殊教育対象児としてとらえているわけであります。そういう障害の種類、程度に応じては、普通の子供と一緒に教育をしていくことが必要であるという発想がいわば統合教育一つの流れであると思うわけでございます。  そういう意味からいいますと、日本の場合の統合教育は、まさに普通の小中学校のクラスに入れて教育ができる者は、いろいろな若干のおくれがある子供についてもいろんな対応を講じながら、いわば統合教育のような形で実施しているということが言えると思います。それよりもなお障害の重い子供たちについては、種類、程度に応じて養護学校へないしは特殊学校へという、施策の充実に従ってそういう教育をして効率的な教育を展開している、こういう発想に立っているわけでございまして、一人一人の子供の能力を最大限に引き出す仕掛け、そしてまたそういう障害児に対する理解、そして一般人の子供が障害の子供に対する理解を深めていくということは、また一方においての交流の場をつくっていくというような形で展開していく必要があろうと思っております。
  66. 木島喜兵衞

    ○木島委員 今欧米との比較のことをおっしゃいましたけれども、私も何も障害の程度においてすべてが統合されなければならないということを言っているわけではありません。ただ、各地にいろんな問題があってそれがなかなか解決されない中には、統合教育でいい者もたくさんあるじゃないか、そういう者についての統合教育の方向が好ましいんだという意識の上に立つのか。障害の程度というものが厳密に規定されて、これは確かに、環境の問題あるいは施設の問題、あるいは教師の問題あるいは父母の問題、そういう問題はいろいろ総合的に考えなければならぬものでありますから、私単純なことを言っているつもりではありませんけれども、いろんなことをお聞きしている限りにおいてそういうことが何かかたくなに拒否されているという感じも時に持つわけでありますが、そういう点では余りかたくなではないと理解してよろしゅうございますか。
  67. 高石邦男

    高石政府委員 基本的にはその子供をどういう形で教育をしていくことが最大の幸せであるか、最大の効果を上げることができるかという観点考えていくべき問題であろうと思います。各地でいろいろ起きておりますトラブルということは確かにあるわけでございますが、それが、普通の小中学校先生方も含めて受け入れて十分に教育ができるというような子供まで除外するというケースは非常に少ないので、さあ引き受けることについて、それぞれの小中学校教育ができるかなという不安を一方に現場において持っている、そういう状況と、そういう特別の養護学校、特殊学校教育をした方がより効果が上がるのじゃないかというような気持ちからの判定、そして親はできるだけ普通の小中学校に入れたいという気持ち、そういうものが複雑に絡み合ってトラブルの原因になっておりまして、要は、一人一人の子供の最大の幸せ、教育効果を上げるためにどうしたらいいかという出発点に立って考えているわけでございます。
  68. 木島喜兵衞

    ○木島委員 次の問題に入ります。  障害児教育というのは、ある意味では学校教育の原点であるとすら思うんです。障害児教育ができれば、健常児の教育というものはそれに比べたら非常にまともに進めるわけであります。ところが、ある大臣に私は障害児の野球の話をした。そうしたら、大臣全然理解できないで、そして課長さんかなんかに大分お聞きになってから御答弁をいただいたことがありましたがね。例えば、盲・聾の学校なんかへ私たまに参りまして、聞こえないわけでしょう、ところがレコードにぴちっと合わせた例えば日本舞踊なら日本舞踊を踊られる。私はそういうのを見ますと、教師の成功、教育の勝利というような感じをすら時に持つんですね。そういう意味でまさに学校教育の原点だとすら思うのです。  臨教審も何か言いましたな。教育実習に障害児教育の実習をさせるというのはいいというようなことがありましたな。その点、どうですか。私やはりそれが非常に大事だと思っているんですよ。障害児の実習をやったら、そこで教師としての基本的な態度ができるのじゃないだろうか。それでいやだったら、それはもう教師の資格はないかもしれない、やめたらいいかもしれない。その辺はどうですかな。
  69. 高石邦男

    高石政府委員 この点については先生意見と全く同感でございまして、障害児教育教育の原点である、したがって、教師が一般の学校に行く場合でもそういう学校で研修をしていく、そして経験をしていくということは非常に重要なことであろうと思います。  研修の一つの形態の中に、単なる勉強の研修だけではなくして、障害児学校での研修をするとか、青年の家、少年自然の家等へ行ってボランティア活動の研修をするとか、そういうこともこれからの教職につく人にとっては一つの大切な形態ではないか、そういう議論であったかと思います。
  70. 木島喜兵衞

    ○木島委員 局長、ボランティアなどと余り幅を広げないでね。そうなっちゃうと、今あなたは大分うまいことを言ったんだけれども、それで消えちゃったよ。  学校教育の原点だとあなたがおっしゃったんですからね。じゃ、教員養成の実習に特殊学級のあるいは特殊教育の実習をさせることにあなたはこれから努力いたしますか。
  71. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま御指摘教員養成におきます問題でございますけれども、先ほど来御議論がございますように、その教育実習というのは教師になる際の一番最初の非常に大切な実習でございます。そういうときに、教育の原点と言われます特殊学級での経験をさせるということは大変重要なことで、現在でも既に小中学校の免許を取る際に小中学校での実習を義務づけておりますけれども、その際に特殊教育学校で実習をしても構わないというふうな通達は既に出して、一部では行われております。ただ、それでも実際にはなかなか十分に行われているとは言いがたい。ただいま先生指摘のように、このたびの臨教審の第二次答申でも先ほど来御議論のあるような検討がなされております。私どももこの方向に従って、この教育実習の改善ということにさらに今後とも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  72. 木島喜兵衞

    ○木島委員 学校教育法七十五条に「小学校中学校及び高等学校には、」「特殊学級を置くことができる。」とあります。公立高校の中に特殊学級はあるのですか。
  73. 高石邦男

    高石政府委員 現在は置いている学校があるとは承知しておりません。
  74. 木島喜兵衞

    ○木島委員 「小学校中学校及び高等学校には、」「特殊学級を置くことができる。」小学校中学校については文部省は大変に力を入れております。なぜ高等学校に特殊学級がないのですか。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 高石邦男

    高石政府委員 一つは、心身の障害に応じた人たちに対する高等学校教育のレベルの教育をどこで展開したらいいかということで、養護学校の高等部を設置していくということで、養護学校の高等部の設置に、比率は約五割程度だと思いますけれども、そこで教育の機会を与えていこうという政策をとってきているわけでございます。普通の高等学校には、現在高等学校教育が一般的にねらっているやり方、手法では、なかなか特殊学級という形まで置いてそうした子供たち教育に当たるという条件の整備に至っていないというような状況から、設置されていないと思っております。
  76. 木島喜兵衞

    ○木島委員 そうでしょう。要するに、養護学校では小学部も中学部も高等部もある。そして、小学校中学校に特殊学級があるごとく、高校に「特殊学級を置くことができる。」と学校教育法七十五条にはある。なのに、法律にあるのになぜ——養護学校にとあなたはおっしゃるのだけれども、養護学校はさっき言ったとおり小学部もある、中学部もある、そして高等部もある。別に、程度の軽い障害のレベルにおいて特殊学級小学校中学校に進められているなら、高校にあってしかるべきじゃないのか。なぜないのですか。
  77. 高石邦男

    高石政府委員 先ほども議論がありましたように、義務化という観点から、実は小中学校における特殊学級整備して就学の機会を保障していく、それとあわせて養護学校の小学部、中学部をつくっていくという、いわば義務教育であるか否かということによってその政策の進め方の前後があると思います。したがいまして、今日までとってきたのは、小中学校に特殊学級を置いたのはそういう子供たちの義務を完成していく一つの手法としてどうしても整備していかなければならないということがあったと思います。
  78. 木島喜兵衞

    ○木島委員 それじゃ、法律は空文であっていい、学校教育法七十五条は「小学校中学校及び高等学校には、」「特殊学級を置くことができる。」とある。その法律を否定するということですか。
  79. 高石邦男

    高石政府委員 法律を否定する気持ちはございません。「置くことができる。」ということでございますから、そういうものを整備する政策を具体的に実行する段階にまだ現在の状況は至っていないということでございます。
  80. 木島喜兵衞

    ○木島委員 いいよ、議論せぬ。  これから進める気持ちはありませんか。
  81. 高石邦男

    高石政府委員 基本的には、まず養護学校における高等部の整備を進めていくということが優先してくると思います。そして、普通の高等学校にそういうものを設けて具体的な教育効果を上げることができるようにするためには、相当いろいろな研究を重ねていかなければならないということを考えております。
  82. 木島喜兵衞

    ○木島委員 これは少し議論しなければならなくなってしまったかな。——まあ、やめておこう。  障害児学校の高等部、養護学校の高等部、これは希望者全入ですね。違いますか。
  83. 高石邦男

    高石政府委員 希望者全入というよりも、やはり選抜という形で入学を認めております。
  84. 木島喜兵衞

    ○木島委員 どんな選抜をするのですか。
  85. 高石邦男

    高石政府委員 養護学校の高等部において教育を受ける能力があるかどうかを認定した選抜でございます。
  86. 木島喜兵衞

    ○木島委員 別にそれは、選抜という言葉を使っておるけれども、要するに在宅がいいのか、あるいは病院に置くべきなのか、あるいは養護学校に入っておれるものかという選択というのか選別ではあろうかもしれないけれども、入試じゃないですね。そうでしょう。
  87. 高石邦男

    高石政府委員 現在の法制度では、入学の許可というようなことで、高等学校の場合と同じでございます。  少しつけ加えますが、義務教育を終了した段階における心身障害児のその後の教育ないしは職業訓練等の対応をどう考えていったらいいかというのが基本的に考えられなければならないことであろうと思います。実態を見ますと、義務教育段階を経た後に、そういう職業訓練を施すような施設に入所して一定の技能を身につけるという子供もおりますし、それから、どうしても教育にたえない、むしろ医療機関とか福祉施設に入って対応していかなければならないという子供もおりますし、また、高等部に入って教育を受けて能力を開発していくという子供もいる、多様にいるわけでございますので、そういうことを十分見た上で高等部の教育というのは展開していかなければならないと思っております。
  88. 木島喜兵衞

    ○木島委員 どうあれ、憲法二十六条の第一項で、「国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」とありますが、ここで、よく言われるように、能力を中心に考える人たちと、教育の機会均等、等しくを中心に考える人たち、いわゆる能力派と等しく派というものがよく論争の過程の中に出てまいります。けれども、僕は、そうじゃなくて、能力派か等しく派がじゃなくて、逆に能力が低い者ほど厚い教育を受けなければならない、それが統合された憲法の理論だろうと思っておるのです。能力中心の考え方、機会均等の考え方、これが少し極端な方向に曲げていっておるおそれがある。「能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利」、この問題だけで言えば、能力が低いと言われる人たちはそれだけ厚い教育を受けなきゃならない、そういう前提というものがあるのだろうと思っております。  そこで、ちょっと別の話をしますが、幼稚部——幼稚部ですから、零歳、一歳、二歳は対象になりませんね。これはそういう施設があれば保育所に入るということになるでしょう。けれども、殊に勘の養成というのは零歳、一歳、二歳の時期が非常に大事ですね。その時期におけるところの勘の訓練がなされるかなされないか。それは、例えば目の見えない人にとってはそのときの訓練というものが、教育というものが人生を左右することになるかもしれませんね。しかし、幼稚部にはない。これはどう考えたらいいんでしょうか。
  89. 高石邦男

    高石政府委員 これは先ほども御質問がございましたが、現在の学校教育法の体系では、三歳から幼児教育対象にしている。そして、大学まで一条学校での学校という形態で教育を行う形を整えている対象というのは、一定の狭い範囲内で教育を展開しているわけです。ところが、人間の能力を最大限に引き伸ばしていくためには、ゼロ歳から三歳の間でも積極的な対応をしていく必要のある分野があるということは、先ほど御指摘のとおりであろうと思います。それを今まではどういう形で補っているかといえば、それはいわば医療行政というか、そういう面でいろいろな施設をつくって整備してきたということであろうと思うのです。しかし、それは学校教育との接点の分野でもあろうと思います。したがいまして、今後そういう分野の教育、障害者に対する教育がどうあったらいいか、臨教審自身でも議論をされていくと思いますし、我々としてもその付近は十分問題意識を持って、そういう場合の教育医療、それから人間の能力の開発とのかかわり合いを、一体、オール教育で受けるのか、もっと有機的な連携のもとでそういう人たちに対する能力開発、付随して教育の機会均等というものを与えていくか、相当研究していくべき課題であろうと思います。
  90. 木島喜兵衞

    ○木島委員 臨教審の生涯学習体系というものの中に学校教育も含めるという理論の中でこの問題を考えれば、生涯学習というのは生まれてから死ぬまででありますから、まさに教育というのは三歳以上、学校教育では三歳以上になっている。しかし、零歳、一歳、二歳、人間の脳細胞は三歳までに六〇%できるのでありますから、したがって、そのときの教育というのは決定的に大事である。それは生涯学習という中において物事を考えなければ、今あなたがおっしゃるように、学校教育法体系の中では確かにおっしゃるとおり。ただ、その子供たちはそれでは人生を誤るかもしれないのです。だから、生涯学習体系全体の中でどう含めていくか、どう考えていくかという観点がなければならないと思う。うなずいていらっしゃいますから、そういうことでお願いしましょう。  時間が参りましたので、提案者馬場さん、今いろいろと議論をしてまいりましたけれども、そういうことを踏まえて、そういうことの中で、あなたの提案していらっしゃること等、文部省に対するあなたの反論があったら、心行くまで反論していただければと思います。
  91. 馬場昇

    馬場議員 障害児教育教育の原点であるというようなお話がございましたが、私も、まさにそのとおりでございまして、障害児にこそ行き届いた教育を施さなければならない、こういうぐあいに思うわけでございますし、また、我々がそれを施すということじゃなしに、障害児も人として教育を受ける権利を持っておるわけでございます。そういう意味で、今日の文部省がやっております障害児教育というようなものは決して十分ではございません。その中で私たちが、もうきょうで五回もこの法律をこの委員会で審議していただいておるわけでございますし、これに対しましても、御質問なさいます各党の方で反対の人は一人もおられない、こういう状況でございますので、その重要性の言葉だけではなしに、これを具体的にあらわすというのは、やはりこの法律を一日も早く上げてやるということだろうと私は思います。  こういう意味で、特に与党も文部省もひとつぜひ我々の提案に理解をしていただきまして、その中で、各党同意しておるわけですから、委員長がぜひ取り計らいをしていただきまして、一日も早くこの法案が成立しますように心から期待をしておるところでございます。
  92. 木島喜兵衞

    ○木島委員 委員長にもお願いしますが、例えば、最初に申しましたように、特殊教育だとか特殊学校だとか特殊学級だとかという「特殊」という言葉、これは金がかかるわけじゃない。それは完璧な言葉はないかもしれない。しかし、より次善の言葉であろうとも、そういうものは金がかからないのだから直すべきです、差別用語ですから。そういうことも含めて、委員長としての御努力をお願い申し上げて、終わります。
  93. 青木正久

  94. 山原健二郎

    ○山原委員 今、木島委員の方から大変原則的な障害児教育についての質問が行われましたが、学校教育の原点であるという言葉が何回か出たわけですね。このことについて臨時教育審議会は第二次答申でどういうふうに述べておるか、最初に伺ってみたいのです。
  95. 高石邦男

    高石政府委員 特殊教育関係につきましては、第三次の検討課題ということで論議を深めていくということで、二次答申までは具体的な内容には触れられていないと思います。
  96. 山原健二郎

    ○山原委員 非常に重要な問題が、臨教審第二次答申の「結び」のところではこういうふうに書いていますね。「第一次答申における本審議会の主要課題のうち、まだ十分な審議を尽くすことができなかったものも残されている。これらの課題としては、例えば、次のようなものが挙げられる。」ということで、「障害者教育」というのが出てくるわけですね。ほとんどこれは論議をしていないというふうに見ていいのかどうか、ちょっと確かめておきたいのですが、いかがですか。
  97. 高石邦男

    高石政府委員 論議はこれからであると思っております。
  98. 山原健二郎

    ○山原委員 学校教育における原点であるという認識からするならば、いわば一番大事な問題をほとんど議を尽くしていない、論議もしていないということ自体に実は非常に大きな問題があるわけですね。このことは最初指摘しておきたいと思います。  それから、五十四年四月一日から盲・聾・養護学校の小中学部において義務教育実施されまして、学校の建設あるいは施設設備の充実教職員配置等については、多くの問題、課題はありますけれども、一応それなりに進んできたと思います。後期中等教育充実の問題が今課題になっておると思うのですが、私どもの党としては、後期中等教育について、高校及び養護学校高等部等に障害児を受け入れて、希望者全員の入学を求めているところであります。  この点についてきょうは最初伺いたいのですが、障害児の中学部卒業後の進学率及び養護学校高等部設置率が小中学部設置数の何%に当たるかということについて、あらかじめ申し上げておいたのですが、この数字をお聞かせいただきたいのです。
  99. 高石邦男

    高石政府委員 まず、進学率について申し上げます。盲学校につきましては、高等部に進学している者が九二・五%、普通の高等学校に進学している者と合わせますと九四・三%でございます。それから、聾学校における進学率は、高等部に進学している者が九六・八%、その他の学校高等学校に入っている者を合わせますと九八・五%でございます。それから、養護学校関係で申し上げますと、養護学校の高等部に進学している者が六一・四%でございます。高等学校等へ入っている者を合わせますと六七・二%というのが養護学校関係の進学率でございます。  それから、設置率でございますが、養護学校につきましては学校数が七百三十三あるわけでございますが、そのうち高等部が設置されているのが四百二で、五四・八%でございます。なお、この養護学校の七百三十三の中には病院等に付設された分校的なものが入っておりますので、独立した養護学校、いわば本校的な学校との比率で見ますと六百三十八が本校的な学校、ということになりますと、高等部の設置率は六一%ということでございます。
  100. 山原健二郎

    ○山原委員 今後の増設計画というのはどういうふうになっているでしょうか。
  101. 高石邦男

    高石政府委員 それぞれの地方公共団体で整備計画がつくられれば、それに応じた補助制度を持っておりますので、その計画に従って整備をしていくということになります。
  102. 山原健二郎

    ○山原委員 提案者の方にお伺いしますが、高等部の教職員定数配置を、現行法及び提案されております改正案につきまして少し御説明をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  103. 馬場昇

    馬場議員 現行の高等部におきましては、公立高等学校設置、適正配置及び教職員定数標準等に関する法律で定められております。そういう中で、一九八〇年、法が改正されまして、十二カ年計画で現在少し改善が行われておるところでございます。重複障害児学級が三名、その他九人で学級編制をすることになっておるわけでございまして、教員学級数掛ける二、六学級以上に一人の養護・訓練担当教諭を加える、こういう現行でございますが、先ほど言いました十二カ年計画によりまして、八〇年度よりずっと毎年、八五年から七十六名ずつふえておりまして、八六年は七十八名の増になっておるわけでございます。  これが現行の状況でございますけれども、私どもといたしましては、この法律案では普通学科の定員を六人にするということにいたしておりまして、重複の学級は三名にする。教員数は、学級に二・八三を掛けた数で教員数を配置する、こういうぐあいにいたしておるわけでございます。この二・八三というのは、最近重複とかで先生方の健康破壊というのが非常に進んでおるわけでございますので、週の持ち時間を十二時間とするということで二・八三という掛ける数をはじき出しておるわけでございまして、これによりますと相当改善されることになるわけでございます。  以上です。
  104. 山原健二郎

    ○山原委員 教職員定数配置についての抜本的な改正というのは、もちろん私どもは賛成の立場で御質問を申し上げているわけですが、これが先ほどからも言われておりますように五回にわたって審議をされておるわけでございまして、いわば法案の審議が行われれば質疑を終了して採決というのが当然のあり方だと思うのですけれども、そういう意味でこの法案が成立することを私どもも期待をしておることを申し上げておきたいと思います。  文部省の方にお伺いしますが、東京都教育委員会学校建設に当たっての標準規模についての文書を見ますと、小学部十四教室、中学部七教室、高等部七教室、それ以外に専科教室等を考えているという文書となっております。このことは、一学部一学級並行に重複障害児学級を小二、中一、高一を想定しておるものと考えられるわけでございます。  しかし、現実には予想を超えるものとなっておりまして、これは私いただいております大阪府の例でございますが、例えば大阪府立寝展川養護学校、人数が四百三十四名、そのうち高等部生徒数が二百九名。高槻養護学校では三百八十七名、高等部生徒が百九十一名というふうな数字。多少の数字の変化はありますけれども、こういう例が大阪府下の高等部生徒の実態としてあるわけでございますが、こういう状況は把握しておられますか。
  105. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいまお尋ねの養護学校の規模でございますけれども、私どもそれぞれ、ただいま御指摘のような児童生徒数にしてみると、例えばどの程度の学校が多いか、あるいは学級数にすればどうかという実情は、全体的な数字としては承知をいたしております。
  106. 山原健二郎

    ○山原委員 非常に過大規模校なんですね。当然、高等部は増設をしまして分離し、こういった状態を解消しなくてはならぬと考えるわけでございますが、文部省として、こういう実態に対してどういうふうに指導をしてきたか、またこれからどういうふうに指導するおつもりなのか。この点はいかがですか。
  107. 川村恒明

    ○川村説明員 養護学校学校の規模の問題でございますけれども、これは普通の小中学校の場合と異なりまして、在学しております子供たちの障害の程度も状態も非常に多様である、さらにまた、小中高等部が併設されておるというようないろいろな事情がございます。でございますので、また、現実に設置せられておる学校の運営も、それぞれの地域実情でございますとか子供状況に応じていろいろな形で行われておるというふうに理解をしております。  したがいまして、その養護学校の規模について、何学級以上ならばこれが過大規模校である、何学級以下ならこれが過小規模校であるというふうな、一律的な物の言い方は大変困難であろうというふうに思っております。でございますから、そういう意味で適正規模を超えるものは云々ということは大変難しいわけでございます。ただ、それぞれの設置者におかれまして、やはり現在のうちの学校ではこの規模では非常に過大だ、敷地の広さに比べれば余りにも子供の数が多いとか、やはりそういうことがなくても教育上非常に支障があるというふうなことで整備をしたいということを設置者の方がお考えいただければ、それは私どもとしては、ぜひその設置者の御要望に応じたそれぞれの援助措置を講じてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  108. 山原健二郎

    ○山原委員 設置者の要望に対しておこたえになるという姿勢は結構だと思いますけれども、同時に、文部省として該当する都道府県に対してそういう指導をするという気構えといいますか、そういう姿勢はあるのでしょうか。
  109. 川村恒明

    ○川村説明員 先ほど申し上げましたように、養護学校の規模につきまして全国一律の形で適正規模はこれだけと言うことはなかなか困難ではないか。したがいまして、これだけの規模を超えればこれは過大規模校だからぜひ分離せよというようなことを指導することは必ずしも適当ではないというふうに思っております。ただ、先ほども申し上げましたように、そこはいろいろな事情があるわけでございますから、そういう事情があるときにはどうぞ御遠慮なく我々の方に相談をしていただきたいということは、折に触れて施設担当所管課長会議等を通じて指導をしておるところでございます。
  110. 山原健二郎

    ○山原委員 別の問題ですが、三年前にこれは私がこの文教委員会で質問しまして、定数未充足県を明らかにしてもらいたいということで、例えば八〇%台というので、秋田とか宮城、群馬、静岡、山梨、福井というふうな、こういう数字を挙げていただいたことがあるのですが、その後の充足状況はどうなっているか、おわかりになりますか。
  111. 川村恒明

    ○川村説明員 障害児学校教職員定数の未充足の問題でございますけれども、全国的に見れば、六十年五月一日現在で見れば、全国的には定数に対して実数が上回っている、いわゆる充足率が一〇〇%を超えているわけでございます。  ただ、ただいま先生指摘がございまして、昨年のこの国会でも御論議がございました定数未充足県というのは相変わらずあるわけでございます。昨年、五十九年度時点で充足率が九〇%未満という県が六県あったわけでございまして、その状況はその六県ということはことしも同様でございます。ただ、昨年の御議論等も踏まえながらこの充足については指導をしてまいりまして、したがいまして、去年はその充足状況の平均をこの六県につきまして見ますと、六県の平均が八五・八%でございましたけれども、これは五十九年度現在でございます。六十年度にはこれが八八・一%、二・三%の改善が図られておるという状況でございます。
  112. 山原健二郎

    ○山原委員 私の手元に静岡県の例がありますが、旧定数法でもまだ充足していないという例です。例えばある養護学校を例にとりますと、単一障害児が小学部一年生一名、二年生〇名、三年生二名、四年生一名、この四名ですね、これを複式編制と称して一学級として。五年生二人、六年生二人、これ四名ですね、これも複式編制で一学級。こういう状態になっているのですが、こういう実態は御承知でしょうか。
  113. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま御指摘の静岡県の場合でございますけれども、御指摘のとおり現在九〇%未満ということでございます。ただ、私どもの承知している範囲では、年々改善は図られておるわけでございまして、五十八年時点では充足率が八四%でございましたけれども、それが六十年五月一日現在では八九・七%、約九〇%ということで、改善の方向で努力が重ねられているというふうに承知をいたしております。
  114. 山原健二郎

    ○山原委員 定数法では、一人でも児童生徒が在籍していれば一学年一学級を編制できるというふうに言っているわけですが、この建前から見て、今私が申し上げたような例に対してはどういう見解でしょうか。
  115. 川村恒明

    ○川村説明員 定数法で決めております考え方というのは、その学校教育の妥当な規模と内容を確保するために、やはりこれくらいの教職員の数が必要だという、そのスタンダードを決めたということでございます。そういうことで考えますと、やはりこういうふうな未充足というふうな状況があるということは必ずしも好ましいことではない、そういう御指摘でございまして、私どももいろいろ各県にその事情を尋ねておるわけでございます、どうしてそうなっているのか。それにつきましては各県やはりそれぞれの事情がいろいろあるということでございますけれども、せっかくこういう法律もあることでございますから、法律の定められる標準に従った配置ができるようにということを従来から指導もしておりますし、今後ともそういうことで続けてまいりたいというふうに思っております。
  116. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がなくなってしまいましたが、最後に、これはこの間も厚生大臣に対して私が質問したわけですが、きょうは文部省に対して、厚生省が一月九日に国立病院・療養所統廃合の十カ年計画を発表しまして、現在各地で大問題になっているわけですね。国立療養所に併設されております養護学校が百一校ございまして、そのうち今回の統廃合十カ年計画によって直接影響を受ける学校が三十二校ございます。また、自治体に移譲するという計画のものが四校ございます。これは大変な状態でして、私の県のことを申して恐縮ですが、私の県には国立療養所東高知病院というのがございまして、ここに若草養護学校施設があるわけです。これは今まで非常に苦労してこの学校経営も行われてきまして、県としましても六十年からボーリングを始めましてこの学校を新設をするというところまできておりました。ボーリングも終了しているわけですが、それを今度の計画が一月に発表されましたために非常に大きな混迷が起こっております。と申しますのは、現在学校のある国立療養所は八万坪の土地を持っておりまして、環境は緑に囲まれ、またたくさんの空地もありますし湖もあるという、非常に環境としてはいいところなんですね。その八万坪の土地を、これを廃止をいたしまして、別のところに国立高知病院というものがございますが、これは現在一万坪の土地しかありません。八分の一の土地なんです。しかも、そこはもう毎日交通渋滞のところでありますし、また有名な浸水地帯でもあるわけです。こういうところへ教育施設を持っていくということになってくると、これはもう大変な問題でございまして、単純に国立病院の統廃合ということが、ストレートに教育内容まで一遍に崩壊さすという事態になりかねない情勢があるわけでございます。子供たちは、僕たちはもうかごの鳥になるのかというようなことも言っておりまして、現在その一万坪の土地には既に国立病院が新しく建てられているわけですが、そこへ子供たち教育施設を入れるということになりますと、何階もの上に継ぎ足すということにもなりかねないという状態があるわけですね。私は、こんなことはすべきでない、厚生省が幾らそういう計画を持とうと、教育施設に対して、また教育環境も全く劣悪化さすということに対して、文部省が黙っている法はないと思うのですよ。その点で、きょうは大臣がおれば一番いいのですけれども、ここだけではないのですね。先ほど言いましたように三十二校、そして四校が移譲される、そういう事態を迎えているわけですが、文部省としてこういう実態調査をして、そして厚生省に対してもこういうことになることは好ましくないんだということを少なくとも意思表示をする必要があると思いますが、そんなことはお考えになっているでしょうか。
  117. 高石邦男

    高石政府委員 厚生省で国立病院の再編成計画が進められていることは承知しているわけでございます。具体的にどういう箇所をどういうふうにするかというのはこれから決められていくと思われます。  そこで、その病院に付設されている養護学校等につきましては、十分なる教育保障できるようにしてもらいたいということをお願いしているわけでございます。例えば高知の場合に具体的に今後どういうふうにしていくかということは、設置者である高知県、高知県の教育委員会と病院、そういうものが具体的に話を詰めていくことになろうかと思います。したがいまして、一般論としては、子供教育上の機会が十分に保障されるように、支障のないようにしてもらいたいというお願いをしている段階でございます。
  118. 山原健二郎

    ○山原委員 一般論としてそういう希望を持っておられるのであれば、私は今高知の例を挙げたのですが、高知だけじゃないのです、各地にあるわけですね。しかも、子供たちにとって緑とそして太陽と空気というものがどれほど大事なのかわからないという状態でございますから、これは文部省としては、きょうは大臣がおいでになりませんけれども、こんなことは許さないぞと、先ほどあなた自身がおっしゃったように、障害児教育というのは学校教育における原点であるという立場に立つならば、これを防衛するということが絶対必要だと思います。このことは文部省に強く要求しますとともに、提案者馬場先生にもこれについてのお考え伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  119. 馬場昇

    馬場議員 厚生省が予定しておりますところの国立病院・療養所の再編成計画でございますけれども、今言われましたとおりに、六十一年度より十カ年計画による統廃合の計画でございまして、二百五十三カ所ある病院を八十八カ所統廃合、三十三カ所を移譲ということでございまして、このことにつきましては国立病院・療養所再編促進法案というのを国会に出しているわけでございますが、私どもといたしましては、何としても、国立病院というのは高度で地域に根差した医療活動を行っており、これからますます高齢化社会に向かう時代にこういうことをしてはいかぬということで絶対に反対でございますし、患者、住民の立場からいっても反対で、許すことはできない。だから、厚生省統廃合計画自体をやめさせなければならないというのが基本的な立場として考えております。事実、住民の中でも、もう既に三千ぐらいの自治体が、こういうことをやっては困るという地方議会の決議を上げて反対運動をしておるわけでございます。だから、これをさせないということが大事でございまして、その中で、これをさせないということを含めながらも、その理由一つとして、今言われましたような養護学校の廃止の問題が、何か三十二校あるわけでございますから、これは絶対に文部省もそういう立場からも養護学校を守るという立場をぜひ強く主張をしながら、そしてその先の厚生省の計画をやめてもらうというようなことでやっていくべきだ、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  120. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  121. 青木正久

    青木委員長 伏屋修治君。
  122. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今提案のあっておりますところの公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案について、提案者並びに文部省にお尋ねをしたいと思います。  さきの質問者からもお話がございましたとおり、身体的な弱者に対する手厚い教育というものが今大きく焦点化されなければならない、このように私も考えておるわけでございますが、そういう意味からも、この問題については文部省当局も鋭意検討を加え、そういう方々が教育に専念できる環境をつくっていただきたいということを冒頭にお願いを申し上げる次第でございます。  まず最初に、提案者にお尋ねをしたいと思いますが、この定数法の再改正の要点はどのようになっておるのか、御説明いただきたいと思います。
  123. 馬場昇

    馬場議員 基本的には、先ほどから議論されておりますように、障害児教育というのを教育の原点として考えて、充実、維持、発展させなければならぬと思っておるわけで、そういう立場から出したのですが、具体的な中身につきましては、まず、先ほど議論いたしましたように、呼称の問題で、特殊教育、特殊諸学校というのを障害児教育障害児学校、こういうぐあいに呼称を変えたい、差別的な用語を使いたくない、こういうのが第一点でございます。それから第二点は、幼稚部に、大切な幼児教育のところに定数法がないわけでございますので、これはやはり幼稚部にも定数標準をつくる。それから、今、小中が義務教育の方に入っておりますし、高等部が高等学校に入っておりますので、それを全部抜き出して幼稚園から高等部まで一本の定数法にして、障害児教育というのは非常に関連性があるわけでございますから、これを一本にするということでございます。それから、学級定数を少なくして、生徒の見える行き届いた教育をやりたいということで学級定数を少なくする。それから、教員も非常に健康破壊が進んでおりますので、教職員配置の基準をよくする、こういうことでございますし、そのほか寄宿舎等を教育の場として考えて、それにふさわしい法を提案しておるわけでございますし、その他のもろもろの職員なんかを充実する、こういうことで障害児教育の維持向上をこれによって図りたいということで提案したわけでございます。
  124. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今、提案者から説明がございましたけれども、それに対しまして文部省はどのようにお考えになっておるのか、文部省の御説明を願いたいと思います。
  125. 高石邦男

    高石政府委員 特殊教育の重要性の認識は同じでございます。  ただ、この法案では、義務教育段階における小中学部の定数、それから義務教育段階でない幼稚部、高等部の定数というのは、御存じのとおりに制度が異なっているわけでございます。したがいまして、そういう制度の異なっているものを一つ法体系の中で整備することについては若干問題があるというふうに思っております。  それから、義務教育段階において国の負担の対象となっている職種は学校における基幹職員というような形で整備されておりまして、その他はそれぞれの設置者が負担するというような制度になっております。ところがこの法律は、およそすべての職員についての標準定数になっているというようなことから、これまた現行制度の他の法令とのバランスからいって若干問題があるというふうに思っておりまして、こういう形での法律改正については現行制度との絡みで慎重に検討する必要があろうというふうに思っております。
  126. 伏屋修治

    ○伏屋委員 確かに、今文部省から御説明ありまして、制度間のいろいろな違いがあるということはよくわかるわけでございますけれども、事障害児ということになりますと、健康児とは違ったそういう環境に置かれておるわけでございますので、そういう面からも、障害児教育教育の原点であるというお考えてあれば、そういう諸制度間の違いの面を乗り越えて、そういう方々に光が当たるような方途を大胆に文部省考えていくべきではないか、このように思いますが、もう一度局長の御答弁をいただきたいと思います。
  127. 高石邦男

    高石政府委員 これは先ほども答弁いたしましたように、特殊教育振興充実ということは積極的に取り組んでいかなければならない問題であります。したがいまして、定数問題に、つきましても、普通の小中学校と異なり、相当手厚い内容になっているわけでございます。学級編制の基準にいたしましても、そういう特殊性に着眼して現在の法律整備してやっているわけでございます。したがいまして、現行制度の改善充実によってまず進めていくということが必要でありまして、現在はその改善計画が進められている途上にあるという段階でございますので、現行制度での改善充実をまず先行してやりたいというふうに思っております。
  128. 伏屋修治

    ○伏屋委員 次に、一九八〇年五月の九十一国会で政府提案によるところの教職員定数法改正案が成立し、障害児学校関係部分も改正された、こういうふうに私は思っておるわけでございますが、その面について提案者はどのようなお考えを持っておみえになりますか、お伺いしたいと思います。
  129. 馬場昇

    馬場議員 御質問のとおりに一九八〇年の九十一国会定数法が改正されました。その十二カ年計画の中で教員、寮母が総計五千百二十四名増員になるということについては私たちも評価をしておるところでございます。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕 しかし、今局長からも答弁がございましたけれども、障害児教育教育の原点だ原点だと口では言うけれども、後の答弁が全然ついてきていないわけでございまして、幼稚部だとか高等部とかは制度が違うからこういう法律は困るんだ。制度が違うからこそ、教育充実するために新しい立法をしておるわけでございますので、そういう点で新しい立法でさらに教育充実したいということで出しているわけでございますが、この十二カ年計画、この前の改善の中でも、やはりそういう意味で幼小中高、この一貫教育というのが障害児には非常に大切なんですね。そういう点の視点が改善でも抜けておりますからこの法律にきちんとそれを入れておるわけでございますし、さらに、寄宿舎の寮母の最低保障が八名から十名になっておるわけでございますけれども、盲学校聾学校とか精神虚弱等の養護学校の寄宿舎の寮母はこの前全然増員されていないのです。そういうこともございますし、その他、最近教職員が非常に健康破壊が進んでおるわけでございますが、それに対する対策、教職員配置というものがこれでは不十分である、こういうことで、一定の評価はしつつもこれでは不十分だというようなことでこの法律を提案しておるわけでございます。
  130. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今提案者の方から御説明ございまして、先ほどの局長の答弁にもございますが、十二カ年計画が進行中であるからという答弁はございましたけれども、今提案者は、幼小中高一貫した身体的弱者、障害児の方々の教育というものを重視していかなければならないということで、思い切った、いわゆる改善計画の十二カ年計画が進行中であるけれども、一貫したものを何とかしたい、こういうようなお考えでございます。私もその点については全く同感でございまして、そういう面で、今までの文部省考え方から脱却して、大胆にそれをもう一度見直してみる、こういうような御意思があるかないかお尋ねしたいと思います。
  131. 高石邦男

    高石政府委員 具体的な行政を担当する立場から申し上げますと、六十六年度までを目指した改善計画を完成するというのが現在の財政事情の中で大変苦しい状況下にありながらも最大の努力をしているわけでございます。したがいまして、そういう財政事情が非常に難しい中にありながらその計画を達成したいというところに力点を置いて行政としては対応するのが、正直なところ精いっぱいでございます。したがいまして、その他の内容のものを抱き込んでやるということになれば、それはそういう完成した後の段階考えていくべき問題でございますし、また、高等部とか幼稚園というのは制度が異なるものでございますから、それは小中学校標準法高等学校標準法が別の法律になっている、そして財源措置も別の形になっているというような仕組みから考えて、それを一体化して一本にするということは非常に困難ではなかろうかと思っております。
  132. 伏屋修治

    ○伏屋委員 行政の責任者の局長の答弁としてはそういう御答弁だろうとは思いますけれども、今臨時教育審議会等々でも現在の教育について真剣に考えておる過程であるわけでございますから、十二カ年計画を立てたから昭和六十六年度まで現在の財政の中でそれを達成するのが精いっぱい、こういうようなお考えですけれども、計画は絶えずもう一度見直しを進めていかなければならないのではないか。確かに、国の財政が苦しい中でそれを達成するのが精いっぱいだという御答弁ですけれども、それもわかりますけれども、今後二十一世紀にわたる子供さんの教育ということを考えれば、もう一歩その辺を思い切って文部省も脱却できないものか、このように私も考えるわけでございます。これはもう答弁は要りません。  次に、法第四条で学級編制基準が定められておるわけでございますが、これはどのような内容になっておるのか、提案者に御説明いただきたいと思います。
  133. 馬場昇

    馬場議員 先ほど文部省から答弁があったわけですけれども、政府はいろいろ計画をつくるけれどもどんどん守っていかないわけですね、ちょっと今の質問と離れるのですけれども。中曽根さんがこの次やめたらまた変わっていくのですね。だから、文部省文部省自体として、本当に障害児教育を大切にするんだったら、今のような答弁では、提案者ですけれども全然納得できないわけでございまして、本当に踏み出さなければいかぬということを強く感じたわけでございますが、ただいまの御質問につきまして、そういう意味から今チャンスなんですね。というのは、盲学校聾学校で児童生徒の数が減っているわけですね。今こういう減る段階学級の編制基準というものを改善するのに非常にいいチャンスだという一つの時期でもございます。もう一つの側から言いますと、最近重度とか重複障害児の入学がどんどんふえてきておりますから、その教職員の健康破壊というのはどんどん進んでおる。これは一日も猶予できないような状況ですから、これも改善をしなければならない。こういう面から考えて緊急を要する法律だとこの法律考えているわけでございまして、小中を現在の七名から六名にいたしております。高等部を八名から六名にいたしております。それから専門学科を七名から六名にいたしております。幼稚部定数を五名にいたしております。そして重複障害児学級を三名にしておる。こういうような学級編制基準がこの法律内容でございます。
  134. 伏屋修治

    ○伏屋委員 教師の健康が破壊されておるということから考えましても、やはりそういう面に十分な配慮がなされないと肝心の教育というものが進められない、こういうことを懸念するわけでございます。  次に、法第六条及び第九条の七、また十一条で寄宿舎について定めておるわけでございますが、どのような考え方でこのような内容になっておるのか、提案者の方から御説明をいただきたい。
  135. 馬場昇

    馬場議員 僕も寄宿舎にもしょっちゅう行くのです。これも昼だけではなしに夜も行くのですが、本当に障害児教育という中で寄宿舎の果たす役割というのは非常に重いのです。それも、そこで寄宿舎という立場で、寝るあるいは生活するというだけではなしに、教育の場として非常に重要でございます。そういう意味におきまして、この法律では、寄宿舎というのを教育の場というように考える、そういう立場から実は寄宿舎問題を提案しておるわけでございます。寄宿舎の教育的機能というものを発揮させる、こういうことにしておるわけでございます。  そういう意味におきまして、寄宿舎の舎の中にどれだけ生徒、子供を入れてやるか、こういうような格好にしておるわけでございまして、児童は、小中は寄宿舎編制の中で五名、高等部は三名、重複児は一人を三人として計算しておるわけでございます。そして、寄宿舎の寮母さんがおられますけれども、これを参議院の方に別の法律学校教育法改正の法律を出しまして、これを寄宿舎教諭ということで身分の確立をいたしまして、教育を十分つかさどっていただきたい、そういうことにして、寄宿舎の教諭は一部屋につきまして小中は三人、高校は二人、幼稚部は四人、こういうぐあいに定数を、寄宿舎教諭配置する、こういうことにしておるところでございます。
  136. 伏屋修治

    ○伏屋委員 確かに、今提案者がおっしゃったように、寄宿舎の中での教師と子供の触れ合いというものは非常に重要であると私も考えておりますし、また、今現行の教育というものがとかく知識偏重という形で、子供が偏差値に追いまくられるような非常に悪弊があるわけでございまして、そういうものを一日も早く打開しなければならない。もっと健康な子供さんにも遊びの場というものをつくってあげる。いわゆる異年齢の子供さんが、遊びを通じて子供さん同士のルールを覚えていき、それを守ろうとする、また他の子供を思いやる、そういうお子さんがその中から育ってくると思います。そういう意味からも、寄宿舎における教師と障害児の方々の触れ合いというものは一番原点になるんではないか。しかも、その教師が健康破壊にならない、健康な教師が障害児の方々と触れ合うこと、そういう機会をつくる意味におきましても、今提案者の提案されたようなことは妥当なことではないかな、このように私は考えるわけですけれども、文部省はどのようにお考えでしょうか。
  137. 高石邦男

    高石政府委員 文部省もそういう観点改善していくことが必要であるということで、十二カ年計画でも寮母の定数、それから一クラス当たりの児童生徒数の改善、これに努めているところでございます。
  138. 伏屋修治

    ○伏屋委員 次に、教職員定数標準について、法の第九条の一並びに二で、教員等の数が小学校が一・八四人、中学が二人、高等部二・八三人、こういうのは根拠はどういう根拠ですか。
  139. 馬場昇

    馬場議員 基本的には、先ほどから何回も言っておるわけでございますが、障害児学校教職員の健康破壊というものが相当進んでおるわけでございまして、手元にあります資料で大阪の場合をとってみますと、腰痛を訴える人たちが五六・三%、それから肩とか胸とか首とか、こういうところの症候群が出ている人が二六・二%、女性の場合の妊娠障害が四三・三%という、これは本当に大変な数でございまして、こういう労働条件というのはもう一日も許すことのできないような状況に今来ておるわけでございます。そういうものを解消しなければならないという立場でこの定数法を出しておるわけでございますが、教員の週の持ち時間というものは大体小中学校は十五時間、いろいろ前後の準備だとか個別指導とかたくさんあるのですけれども、週授業時間は十五時間にする、高等部は十二時間にする、そういう基本原則を置いたわけでございまして、この基本原則で学習指導要領に定められました時間を割りまして、学級数に純化まして小学部は一・八四、中学部は二人、高等部は二・八三、こういうような数字を出して教員定数を決めよう、こういう考え方に立っております。
  140. 伏屋修治

    ○伏屋委員 障害児教育に携わる教員の健康破壊、こういうことから考えてこの定数が妥当なんではないかという提案者のお考えでございますが、障害児教育に携わる教師のそういう健康破壊の実態というものは、提案者は掌握されておられますが、文部省もそのように掌握されておられるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  141. 高石邦男

    高石政府委員 昨年、これは体育局で養護学校教職員のそういう実態調査ということを行っているわけでございます。その報告では若干の内容の把握ができているわけでございますが、そういういわば健康障害というものについて十分な配慮を加えるためにどういう施策を講じていくべきか、どういうようなことをしていかなければならないかということを検討していかなければならないと思っております。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  142. 伏屋修治

    ○伏屋委員 時間も迫りましたので、次の問題に移ります。  派遣教員についての定数配置についてどうなっておられるのか、提案者にお尋ねしたいと思います。
  143. 馬場昇

    馬場議員 この訪問教育につきましては、本当に子供も父母も待っておるわけでございまして、これを充実させなければならないというのは非常に大切なことでございますが、現在、訪問教育対象児は五人を一学級として計算しておるわけでございますけれども、十二カ年計画が完成します段階ではこれを三人にする、こういうことになっているわけでございます。私どもとしては、この法律では児童生徒五人までには教師を三人、二人増すごとに教師を一人ずつふやす、こういうような法律になっておるわけでございます。  さらに、現在この訪問教師を、講師とか非常勤講師とか、こういうのでやっておる県がたくさんあるわけでございますが、私どもは、あくまでも本務の教諭というものをこの訪問教師に充てたい、こういう考え方でございます。そういたしますと、現在多くの県で週二回、一回二時間で四時間ということが大体行われておるのですけれども、私どものこの法律が成立いたしますと週七時間から八時間の訪問ができる、こういうことにしておるわけでございます。
  144. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最後の問題でございますが、養護教諭定数もその根拠をお尋ねしたいと思います。
  145. 馬場昇

    馬場議員 これも言われておりますように、重度の障害者とかあるいは重複の障害者というものの入学が最近非常にふえてきておるわけでございます。そういう子供に対しては、やはり健康の保持とか健康の回復だとか、あるいは医療保障的な機能をやはり学校で果たすとか、こういうことが必要になってきておるわけでございまして、そういう業務がまた非常に多くなってきておる、こういう状況でございます。そういう状況でございますので、盲・聾学校につきましては各学部に一名の養護教諭を置きたい、さらに、十一学級以上の学校にはもう一名追加したい、こういう法律になっておりますし、養護学校は各学部に二名の養護教諭配置するし、十一学級以上はさらに一名を追加する、こういう法律案内容になっておるわけでございます。  以上です。
  146. 伏屋修治

    ○伏屋委員 文部省にお尋ねすれば、十二カ年計画が進行中であるから、それにのっとってそれが達成するように努力する、こういう答弁が返ってくると思いますが、やはり今こそ教育というものが本当に見直されなければならないときであるだけに、十二カ年計画の一つ一つについても鋭意検討を重ねられまして、財政も非常に苦しい中でございましょうが、その中でもやはり、今提案者からあったように、教育に携わる教師の健康破壊、そういうものにも十分配慮できるような、そういう思い切った見直しというものを文部省がやっていただきたい、このように考えるわけですが、最後に文部省のお考えを聞いて終わりたいと思います。
  147. 高石邦男

    高石政府委員 先生御存じのとおりのことだと思いますが、十二カ年計画でも学級編制の基準を改善していく、そして教職員配置率の改善を図っていく、また寄宿舎の定数改善していく、寮母の定数改善していく等、相当内容については積極的に取り組んでいるつもりでございます。それよりももっと上回った内容が提案されている内容であるということでございまして、文部省も鋭意努力を続けてまいりたいと思っております。
  148. 伏屋修治

    ○伏屋委員 終わります。     —————————————
  149. 青木正久

    青木委員長 次に、児童生徒急増地域に係る公立小学校中学校及び高等学校施設整備に関する特別措置法案及び義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案の両案について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤木洋子君。
  150. 藤木洋子

    藤木委員 時間も限られておりますので、端的に伺ってまいりたいと思います。  最初に、小中学校建設に関連をして私が一昨日の質問で児童生徒急増地域の三年前向き整備をただしました際、阿部教育助成局長は、予測が違った場合には補助金を返却してもらっているという趣旨の答弁をされました。局長いらっしゃらないわけですけれども、教育助成局の方からお答えをいただきたいと思いますが、この点、間違いはございませんでしょうか。
  151. 川村恒明

    ○川村説明員 一昨日の質疑につきまして、まことに申しわけありませんが、そのとき答弁いたしました局長が本日やむを得ぬあれで参っておりませんので、かわってお答え申し上げます。  そんなことで、私もその当日の御発言につきまして、先生の御質疑につきましてもつまびらかにしているわけではございませんが、要すれば学校施設のいわゆる三年前向き整備の問題の御指摘であったということで承知をいたしております。  御案内のとおりに、施設整備する場合に、三年間前向きで今後の人口動態などを考えて三年後の児童生徒数を把握をし、それに見合った施設整備を認めるということがいわゆる三年前向き整備の件でございます。これは現在の三年後の児童生徒数を把握するということでございますから、どうしてもそれは事実として今、三年後の数字がわかるわけではない、これから大規模な団地ができたり、あるいはもう少し他の要素で、社会増等で、あるいは学年進行的に児童生徒数がふえることがあり得る、こういうことでございますから、私どもとしては、三年前向き整備をやることにつきましてはできるだけ確実な資料をいただきたい、確実に三年後にこれだけの子供の数になりますよということを押さえていただくということをお願いするわけでございます。ただ、これは三年後の数字でございますから、どうしてもそこで交付時点から見れば推計数になる、こういうことでございます。でございますから、三年たった場合に結果としてその数字が食い違うことは当然あり得るわけでございます。その場合に、その食い違いがなぜ起こるかということでございまして、それがもし仮に申請者の側において事実関係を誤認をした、あるいはその事実関係が十分行き届かなかった、団地ができるといううわさだけで、極端なことを言えば、それじゃこれだけの子供になるというふうな私どもがお願いをしております事実関係の把握について間違いがあったというようなことがありますと、それは大変困るわけでございます。私どもとしてお願いをしております、具体的には省令で書いてございますけれども、省令で書いてあるような方法できちんと適正に予測をしてそれが違ったという場合にその返還を求めるということではありませんけれども、ただいま申し上げましたように、そうではなくて、いろいろなことで市町村の方で事実と異なった数字を持ってこられた、それが錯誤になるのかいろいろな事情があろうかと思いますけれども、そういうことで間違ったことでやられたのではこれは困るので、その場合は当然返還をしていただく、これは大変残念でございますけれども、そういうケースが毎年幾つかあるわけでございますから、多分局長が申し上げたのはそういう意味で、三年前向き整備だってそれはそういうことで違っていれば当然返還をしていただくということでお答えを申し上げたのではないかというふうに存じております。
  152. 藤木洋子

    藤木委員 そういたしますと、この補助金返却の事例は昭和五十五年度以降で十二件あるようでございますけれども、それはこのことを指しているというふうに考えてよろしゅうございますか。
  153. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま御指摘のとおりでございまして、過去の事例は今申し上げましたようなことで生じた返却ということでございます。
  154. 藤木洋子

    藤木委員 それでは、文部省が定めたつまりこの省令で定めている推計方法によります推計、これに操作を加えたり水増し申請をしていたり、あるいは市町村独自の推計方法で申請していたからそういうことが起こったということでございますね。どうでございましょうか。
  155. 川村恒明

    ○川村説明員 過去の事例につきましてはいろいろなケースがございます。例えば、小学生の場合に二年後、三年後に入ってくる子供の数というのは、例えばその時点で住民基本台帳で確認すればできるわけでございますが、それからは拾わなかったというようなこともございます。あるいはその子供の数を勘定するときに学区外に居住している子供の数を含めたとかいうようなこともあります。あるいは先ほどの建築確認が十分できていなかったとか、あるいは戸数を勘定するときに独身寮の戸数もカウントしておったとか、そんなケースが主なところでございます。
  156. 藤木洋子

    藤木委員 文部省が定めた方法どおりに、つまり今おっしゃいましたような要件をすべて満たして申請をして国庫助成が出されたというとき、その後の変化で、例えば当初の十八クラスを建設したところ実際には十五クラス分しか児童や生徒が入らなかったということもあり得るわけですけれども、こういった場合は返却の対象にしないというのが文部省の方針じゃなかろうかと思うのですが、それはいかがでございますか。
  157. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま申し上げましたように、省令その他で具体の手続を決めているわけでございます。一例だけ申しますれば、新しく入学する子供の数であれば住民基本台帳で確認していただく。そこで、住民基本台帳であったけれども学区外の子供もついでに入れてしまうというようなことがあっては困りますが、学区内の子供について基本台帳できちんと計算をしたけれども、三年後に社会情勢の変化でそのとおりには入らなかったというふうな、省令に定められた手続で適正に算定をしていただいて、その結果で食い違いが起こっても、それは返還をお願いするということはございません。
  158. 藤木洋子

    藤木委員 そのように、すべて要件を整えてやったにもかかわらず実際に余ったという事例はどのぐらいございますでしょうか。
  159. 川村恒明

    ○川村説明員 そういうケースにつきましては、当然返還を求めないわけでございますので、どの程度それがあったのかは私ども今数字を持ち合わせておりません。
  160. 藤木洋子

    藤木委員 今おわかりでないようでございますけれども、後ほどで結構でございますので、ひとつお調べをいただいてお知らせいただければと思うのですが、いかがですか。
  161. 川村恒明

    ○川村説明員 そういうことで、今まで洗ってみたことがございませんので御指摘のとおりきちっとした数字が出るかどうかはわかりません。ちょっと努力をさせていただきたいと思います。
  162. 藤木洋子

    藤木委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思うのです。そうでなければ、本当に要件をそろえていたのに余ったのかそうでなかったのかという点はどうやってお調べになって返却を求めたのかなということを私疑問に思うのです、今の御答弁ですと。ぜひその点は御努力をお願いいたします。  そういたしますと、小中学校の建設に当たって、文部省が定めた推計方法つまりすべての要件をそろえた申請であったにもかかわらず、その予測どおりに児童生徒がふえなかった場合と、設置者である各自治体が文部省による推計方法とは異なった独自の推計方法あるいは誤った申請をした場合で、補助金を返すか返さないかということが決まってくるわけですね。そこのところが先日の御答弁では非常にあいまいであったわけでございます。それをあいまいにしたまま学級編制問題における水増し論と同一視されかねないような御答弁は適切でない、こんなふうに思うのです。ですから、校舎の建設に関して、その推計方法のいかんを問わずオーバーした場合は補助金を返却させているということではないことをもう一度確認したいのですが、それでよろしゅうございますか。
  163. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま御指摘の件につきましては、当日の議事録も間もなくできることだと思います。誤解を招いたりあるいは間違った趣旨で申し上げたとすれば大変申しわけございませんが、よくその辺、議事録等も確認をさせていただきたいと思っております。
  164. 藤木洋子

    藤木委員 提案者にお伺いをさせていただきます。  児童生徒急増地域の指定要件が文部省の場合と異なるわけでしょうか。その場合、現行に比べてどのような違いが出てまいりますでしょうか。
  165. 木島喜兵衞

    ○木島議員 文部省では二年としておりますのを三年にしておるという点では有利になっておるだろうと考えます。
  166. 藤木洋子

    藤木委員 わかりました。  次に、高校急増・急減対策について質問いたします。  昭和六十四年度を全国的ピークに高校生が急増しております。高校新増設補助を三年間延長せざるを得なかったことはそのことを示しているわけですが、急増対策と言うには全くほど遠いのが国や都道府県の対応であって、高校生と教職員にそのしわ寄せが集中しているというのが今日の高校教育実態でございます。例えば兵庫県の場合でも、一学級が四十七人あるいは四十八人というような詰め込みになっておりましたり、高校を新増設するのではなくて学級増を行うということでマンモス校化しているということになっております。東京の場合などは一学級五十人を超えるすし詰め学級も珍しくないというような状況になっております。文部省はこのような実態を承知していらっしゃるのか、そして、承知した上で望ましいというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  167. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま御指摘がございましたように、高校生は現在まだ急増の途中でございます。六十四年でございまして、あと若干の期間があるわけでございます。その後は六十四年のピークを過ぎますと次は急減に入るということがまた見込まれているわけでございます。  そういう状況でございますから、各県でこの間近に迫ったピークに対してどのような対応をとるか、いろいろな対応が講ぜられておるわけでございます。その中で、ただいま御指摘がございましたような、一学級当たりの生徒数を増加させるというような対応を講じておられるところも多いと承知しておりまして、私どもが承知している範囲では全国で十ほどの県で、一学級当たりの生徒数を何人かふやす、現在四十五人という普通科の定数でございますけれども、若干それをふやすという措置が行われていることは承知しているわけでございます。  こういうことがいいのかという御指摘でございますけれども、現在のような生徒数の急増・急減というふうな状況その他を勘案いたしますと、やはりこういう措置もやむを得ない措置ではないかというふうに理解をしているところでございます。
  168. 藤木洋子

    藤木委員 やむを得ないということでは済みませんね。これがまた受験競争を激化させていることは周知のところでございます。高校入学の門を狭めておきまして、推薦入学など多様な選抜方法をとり入試の改革とおっしゃっても、国民は納得するものではございません。解決は一つしかないだろうと私は思うのですね。それは希望者を全員入学させる、それに見合う高校を増設することだと思うのですけれども、いかがでございますか。
  169. 川村恒明

    ○川村説明員 先ほどお答え申し上げましたように、現在急増の途中でございますけれども、それが終わりますと次は急減期に入るわけでございます。でございますから、この後二、三年のピークの乗り切り方としていろいろなやり方があるのだろうと思います。各県それぞれいろいろ御苦労いただきまして、一つ公立と私立の割り振りということもございます。将来を見越した公私立の割り振りということを考えながら、その中でまた公立についてどういう対応をするのかということがございまして、御指摘のように新しく高等学校を新設するというのももちろんそれは一つ対応方法でございますし、また、そういう事例がございますからその補助の延長ということも考えておるわけでございますけれども、それ以外に、ただいま御指摘のありましたような、場合によりまして一学級の定員増を図るとか、あるいは一部の特別教室を転用する、それによって学級増を図るというふうないろいろな対応の仕方があるのだろうというふうに思っております。でございますので、もちろん今回の予算で三年間補助の延長ということはやっておりますけれども、そんなことを含みながら全体として適切な対応を各県でとっていただきたいというふうに思っているところでございます。
  170. 藤木洋子

    藤木委員 私は、子供の急増・急減というのをまさに災害か洪水のようにおっしゃって、それが過ぎるまで待つというような、そんな対応は本当に我慢ができない、そんな思いでいっぱいでございます。  そこで、提案者伺いますけれども、こういう文部省対応なのですが、この問題についてどのようにお考えになられますでしょうか。
  171. 木島喜兵衞

    ○木島議員 だからこそこの法律を出しておるゆえんがここにあります。さっきも申しましたように、とかく議員立法に対しては文部省もあるいは自民党も冷淡であります。だが、国権の最高機関であり、唯一の立法機関でありますから、むしろ議員立法の方が優先さるべきものであって、それがなされておらないところにむしろ行政府の下請機関的立法機関になっているのじゃないのか。これはまさに立法府としての権威の問題でもあると思っておるのです。ですから、そういう意味で、この法律について十分なる御議論をいただきながら——きっとこれについては、正直言って反対される方はないのだろうと思うのです。ないのであるならば賛成なされること、そのことが立法府の権威を高めるものである、こう考えております。
  172. 藤木洋子

    藤木委員 よくわかりました。文部省対応は、高校生には泣いてもらう、まさに高校生いじめだと思うんですね。後期中等教育保障するという国の責任の放棄にほかならないものだというふうに思います。  そこで、急増は一過性だと言われますが、その次に来る急減期については、文部省は具体的な対策をお持ちでございますか。
  173. 川村恒明

    ○川村説明員 六十四年のピークが過ぎますと急減期に入るわけでございます。急減期における高校教育充実ということにつきましては、いろいろな考え方があるわけでございます。それは現在の施設設備というものも若干余裕が出てまいることもありましょうし、あるいは教職員定数なんかにつきましても、これをどうするか。これはただ高校生の急減というだけが社会的な要素ではなくて、ほかにいろいろな要素があって、あるいは進学率をどうするかとか、あるいは地域的な差異もあろうか、いろいろな条件がそこで考えられるわけでございますが、私どもとしては、この急増の次に急減が来るということを踏まえて、今後とも高校教育の一層の充実に努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  174. 藤木洋子

    藤木委員 具体的には何にもないわけですね。私は、この機会にこそ高校でも四十人学級を実現する絶好のチャンスだというふうに思っております。このような積極的な対策について検討すべきだと思いますが、先ほどあなたはいろいろ例を挙げられて、こんな場合もあんな場合もあるだろうと言われましたけれども、それを積極的に進めていこうというふうにはお考えになりませんか。
  175. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま御指摘のございました教職員定数の問題でございますけれども、現在、御案内のとおりに五十五年以来の定数改善計画を進めている、その中では、こういう急増期ということもございますから、一学級当たりの生徒数は四十五人ということでそのままにしてあるわけでございます。  この急減期においてその定数改善を大幅に進めるべきではないかという御指摘でございますけれども、現在はこの五十五年からの計画を着実に実現をするということに取り組んでいる段階でございまして、ともあれ六十六年までのこの計画を実現をするということが私どもに課せられた最大の課題ではないかということで取り組んでいるところでございます。
  176. 藤木洋子

    藤木委員 提案者に最後にお尋ねを申し上げます。  先ほどもこの法律を成立させることの意義をお述べになったわけですが、今臨調行革が、児童が減少していることを理由にいたしまして、施設設備などの補助金の削減というのを非常に過酷に進めてきております。私は必要な教育の条件整備を積極的に進めていくことが求められていると思うのですが、実際には今文部省対応しておりますのは、子供たち教育的見地からむしろ後退をしていっているということを極めて残念に思うわけです。そういう時点に立ってのこの法案の今日的意義と申しましょうか、そういうことをもう一度はっきりお述べをいただきたいと思うわけでございます。
  177. 木島喜兵衞

    ○木島議員 今臨教審のことについてお話がございましたけれども、元来臨教審には中曽根総理大臣の思想が入っておる。中曽根総理大臣は、行政改革、財政改革、教育改革の三つの改革を同時にやろうとする限りにおいては、教育改革をやる限りにおいて金がかかる、しかしそれは財政改革にならない、その矛盾の中から出てきておるものが行革主導の教育改革になってくるから、したがって、今御指摘のとおり、予算が極めて苦しいということになってくる。  いずれにいたしましても、どんな場合であっても、子供たちはよりよき教育環境の中に育てられなければなりません。ですから、先ほど御指摘のように、急増があり、やがて急減になるならば、そのときこそ、一学級の児童数を減少せしめる以外に道はないわけです。しかしそれには金がかかる。しかし、世界全体の動向はもはや言うまでもない。四十人になったからそれが文部省の今の最大の使命でございますなんというものでいいのだろうか。それで教育改革になるのだろうか。  例えば、大規模校であればあるだけ問題行動の子供たちが多い、これはもはや文部省も認めざるを得ないわけでしょう。臨教審が第一次答申でもって個性尊重の原則というものを教育改革の最高の理念にしておる。もしも個性を尊重しるということを本気で考えたら、一学級子供の数が四十人、四十五人でもって成るわけがない。そういう意味においても、この法案を皆さん御協力の上にぜひ通していただきたいということをお願い申します。
  178. 藤木洋子

    藤木委員 ありがとうございました。  これで終わります。
  179. 青木正久

  180. 江田五月

    江田委員 社団法人社会経済国民会議というのがございます。各界の有識者の皆さんがお集まりになって、社会経済のあり方についていろいろな提言をされておりますが、その中の政治問題特別委員会というのが一力月前、四月十六日に報告書をお出しになられております。  この特別委員会委員には、経営者の代表の皆さん、学界の代表の皆さんもいらっしゃいますが、同時に、労働界の代表の皆さんもかなりお入りになっておられるわけです。専門部会長の岡野加穂留明大教授から私も直接にこの「提言」をいただいたわけですが、その中に国会改革——行政改革なんということを今言われているわけですが、行政改革の前に政治改革が行われなければいけない、その政治改革の前に国会改革が行われなければいかぬ。  そこで、「衆参両院の改革で「新議会」の創造を」という総論で提言が幾つかございますが、その中に「衆議院は「討論の自由化、活性化」を基軸として、形式的かつ権威主義的な審議運営全般を抜本的に改革する」というのがあるのです。なかなか鋭いところを突いていますのでちょっと読んでみますと、  わが国の国会の旧態依然とした審議運営は、かねてより批判にさらされてきたところであるが、とりわけ過度に形式主義かつ権威主義に傾斜した委員会審議は、本来、自由闊達な討論を通じて議案の精査につとめるべき委員会の場を形骸化させ、政府の提出する法案のたんなる承認機関におとしめている。しかもわが国の国会議員は、耳の痛いところですが、与党、野党を問わず、合意と妥協の精神を如何なく発揮して、緊迫感あふれる討論を闘わす気概もなく、与党議員は審議が紛糾することなく効率よく法案の可決に至ることを願って終始沈黙を守り、その実体は定足数確保のための出席であることも少なくない。きょうはその定足数確保さえ一体どうなっておるかということです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)いや、しかし野党もあるのですよ。また野党は法案の審議以前から賛否の態度を決し、委員会の審議を通じて合意できるところと合意しかねるところの、ぎりぎりの妥協と攻めぎ合いのなかで、よりよい選択を積み重ねてゆく姿勢も皆無である。わが国の国会に政党間の自在な討論、国民を代表する一人の国会議員としての気概に満ちた討論が途絶えたのはもはや周知の事実であり、「討論の府」たる言葉で形容することが憚れるほど国会の凋落は極まっているといって過言ではない。そして、国会における良識と理性は、政党政治を営み議院内閣制の原則にもとづいて内閣を組織する、第一院たる衆議院にこそ求められるべき緊要の課題である。そのためにも衆議院に討論の意義を復活させ、議案審議の過程に合意と妥協の精神を生かす方向で、今日の形式的かつ権威主義的な審議運営を抜本的にあらためることが先決である。こういう提言があります。  こういう提言が出てくるゆえんのものは、国民の本当の気持ち、いらいらする気持ちというのが国会に伝わっていかないというところにあるのではないだろうか。例えば、今この瞬間に議題になっている法案じゃありませんが、一昨日ときょうとの審議の中で出ております養護学校定数の問題なんか見ても、とにかく養護学校に通っている肢体不自由な子供たちは自分の意思どおりに手足が動くわけじゃない、自分の意思と違う方向に手足が動いてしまう。これを先生たちが追いかけていってスプーンですくって御飯を食べさせるという、まさに神わざのような仕事をしなければならぬ先生たちがいらっしゃる。この子たちというのはのどから物を入れるとすぐに出てしまうという、そういう反応が非常に過敏であって、したがって御飯を食べさせるとすぐに座らせておかなければならぬ。しかも座らせておいたらすぐに出てくるわけではないので、二十分、三十分ずっと座らせ続けておかなければならぬ。こんな子供たちを一体一人の先生が何人抱えることができるだろうかというと、今の事情は大変だ。そしてその中で体を壊す先生方が随分たくさん出ている。そういう声が国会に届いていかない。過大規模校にしたって、あるいは児童生徒の急増地域にしたって、そういうところにいらっしゃる皆さんの生の声というのが国会に届かない。どうも国会から見たり文部省から見たりしておるとそういうことが見えないのじゃないかといういらいらした気持ちがある。  そういう中で、私はやはりこういう議員立法というものが国会審議、あるいは日本の政治を生き生きさせる大変に大切な機能を持っているんだと思うのですが、まずそういう点について、提出者の御感想、それから文部大臣いらっしゃればありがたいのですが、政務次官の長い政治経験をお持ちの政治の先輩としての御意見伺いたいと思います。
  181. 木島喜兵衞

    ○木島議員 新しい議会にどう生まれ変わるかという団体の御提言ですが、それはしょせんは政権政党、第一党の態度にかかわってくるであろう。いろんな角度から物が考えられますけれども、その点では第一党のあり方、例えば今あなたがおっしゃいましたように、自由な討論だけれども、自民党は討論をしないこと、しゃべらないことが任務だと思っていらっしゃるんじゃないでしょうか。それで国民の声を反映するとおっしゃる。議員じゃないんじゃないか。そこから出発しなければならぬのじゃなかろうかと思います。  なお、障害児のお話がございました。私は先ほども質問で言ったのでありますけれども、障害児教育というのはまさに学校教育の原点であろう、出発であろう。障害児教育をまともにやれれば健常児の教育が当然立派にできる。そういう意味ではあれだけれども、そのことが、おっしゃるように国民の声が届かない。今人口急増地帯の人たち学校をたくさんつくらなければならない。ところが、その学校をつくるために、実は財政的には行革の中で苦しんでおる。ですからつくれない。だからこうした補助をしよう。だけれども、それに対して今日まで、議論の中では自民党からの御質問がない、意見がない。そういう意味で、私は、最初に申しましたように、第一党からの発言がない限りにおいては新しい議会というものは生まれ変われないだろうと思います。  以上です。
  182. 工藤巖

    ○工藤(巖)政府委員 国会の改革、あり方についての御意見でありますが、私も余り長い経験ではありませんが、国会に参りまして、自由な討論の場が欲しい、活性化した委員会でありたいという気持ちは否定できないわけでございます。ただ、今までの審議の経過等を見ておりますと、与党であります自由民主党で法案を出してくる場合は、党の中でさまざまな部会あるいは調査会、プロジェクトチーム、そういうところでいろいろな議論をして積み重ねて出てくるので、委員会に出てくれば物を言わない、こういう形になっているわけであります。また、野党の方々の御質問も、いわゆる自由討論の場ではございませんから、同じような御質問が同じように重ねられ、答弁もまた同じような答弁が重ねられる。率直に言いまして、こういうことがどうもこの委員会の出席も悪くしているのではないのかという感じが、私見ではございますけれども、そう思うわけであります。  ただ、これを改革していくという場合は、いろいろと各方画から検討も必要なことでございましょうし、こうした議員の持っている率直な考え方を突き合わせながら国民の期待にこたえるような審議が十分に行われるように、そうした国会を目指す検討がされてもいいのではないかというような感じを持っております。
  183. 江田五月

    江田委員 どうも率直に言いまして、議員立法が本当にもっと真剣に議論されていいんではないか。議員立法というと、とかくいろいろ細かな目、配慮が行き届いていないから問題なんだとか、あるいは時によっては、どうもその点は細かな配慮が行き届いていない、いろいろ問題がある、したがって内閣が提出するわけにいかないから議員立法で何とかやっておけというようなことになったりとか、そういうように言われるところも顧みて内心じくじたるところがないわけではないのです。しかし、私は、政治過程というものは、余り何もかも全部きちっとまるで金属の結晶のようにすべてのことがきれいにできている、それがいいというわけでもないんで、時々横の方に飛び出てみたり、整合性がうまくついていなかったりというようなこともありながら、しかしみんなの声が反映していくという、そういう政治過程というのが活性化した政治過程に結局つながっていくのではないかという気がするのですが、そういう意味では、もっと議員立法というのは大切にしなければいけない。しかし、そうは言っても、恐らく提出者も、単に現場の生の声をそのまま反映したということではなくて、そこは政治家として大所高所の見地から、抑えるべきところは抑え、実現可能性考え、お出しになっていると思うのですが、その辺の現場の生の声はもっとこうなんだけれども、この辺はやはり抑えてこう出しておるのだということがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
  184. 木島喜兵衞

    ○木島議員 その点は、おっしゃるとおり大変難しいところでございまして、現場からいえば、これは例えば二分の一を四分の三にしても、それは全額だ。何も人口急増というのは、今までの住民からすればふえた分だけはこれは国の政策じゃないのか、それをなぜ我々が負担しなければならないのだということがありますから、全額負担説も出てきますね。ですけれどもそうではない。とすれば、例えば今おっしゃる問題でいえば、二分の一ならばその全額だと言うならば、その半分だから四分の三というあたりは、これは一つのおのずから出てくる結論かもしれませんけれども、そういう式のものはそれはなさねばならぬと思っております。殊に、例えば高校の問題についてはいろいろと議論があろうかと思います。  これは江田さん、ちょうど裁判官でいらっしゃいましたから、憲法の番人だと言われる裁判官でありますから、例えば憲法二十六条の第二項「国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」この「保護する子女」とは未成年ですね。しかし、今日の日本の法律の中では、例えば児童福祉法は十八歳までという規定はありますけれども、保護すべきことの中では十八歳以下はありません。しかし保護しなければならない。普通教育させる。普通教育に対置する言葉は何か、それは高等専門教育すなわち大学であります。その義務を負うのです。だから、言葉をかえれば、国民は十八歳までの子供高等学校に入れなければならない。となれば、普通教育を受けさせなければならない。高校は普通教育ですね。義務教育はこれはむしろ義務なんですね。そう解釈できないだろうか。とすれば、高校というものを一体どう考えるか。しかしそう言っても、憲法でそうだからといって、そう理解できたからといって、それをストレートに私は言おうとしているのじゃありません。けれども、そういうことも含めて、しかし文部省やあるいは自民党からすれば、土地まで補助するのはどうかという論が出てきます。しかし、そこに少なくとも今日九四%まで高校進学ですから、高校を出なければまともな就職ができず、まともな就職ができなければまともな生存ができないのですから、もはや中学校までが生存的基本権ではなくて、高等学校を卒業するまでが生存的基本権だと考えるならば、そのくらいのことは当然あっていいじゃないか、そういうことが今御質問を法的に理解をしながら考えたところだと御理解いただければありがたいと思います。
  185. 江田五月

    江田委員 どうも質問の始まりのところでもう時間になってしまいましたが、とにかく提案者としてはこれはもう十分に考えておるし、この程度のものができないはずがない、もしできないと言うなら政権かわってみろというくらいの気概でお出しになっているんだろうと思いますが、これが採決もどうもできないということではまことに、しかもその理由というのは何だか理由にならぬような理由で腹が立って仕方がないという状態ですが、時間ですのでこれで終わります。
  186. 青木正久

  187. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 今次第百四回の通常国会の文教委員会は、定例日があと一日閉会までありますけれども、実質的にはその審議はきょうで終わりなのかな、こんな感じがしておりまして、そういう意味ではいみじくも私がその最後の質問に立つわけであります。同時に、この国会の締めくくりの意味でも、ひとつ文部大臣から明快なそして前進的なお答えが出ますよう期待をしているところであります。また、長年政治の経験を持っております私の先輩の木島先生にお答えいただくこと、まことに恐縮でありますが、心から敬意を表しながら、いろいろわからないところをお尋ねいたしますので教えていただきたい、こう思うところであります。  さて、第一は、義務教育学校施設費国庫負担法があるわけでありますが、その第一条の「目的」と第二条「定義」の第三項につきまして御説明をいただきます。
  188. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいまお尋ねのございました義務教育学校施設費国庫負担法でございますけれども、昭和三十三年に制定された法律でございます。  お尋ねの第一条は、この法律の目的を定めているわけでございます。この目的は、本来学校設置とか管理運営ということにつきましては、いわゆる設置者負担主義というものが学校教育法で別途定められているわけでございますけれども、しかし、この義務教育につきましては、その妥当な規模と水準を維持するというふうな国の重大な責務があるわけでございます。そういう国の重大な責務ということを考えてみた場合に、教育条件いろいろございますけれども、その中の特に基幹的な要素の一つとして、学校施設整備ということがございます。こういう施設整備につきましては、先ほど申し上げました国の責任という観点からその建設費の一部を国が負担をする。いわゆる設置者負担主義だけれども、その建設費の一部は国が負担し、もって義務教育の円滑な実施に資するということをねらいとするのだということがこの第一条で示されているというふうに理解をいたしております。  それから、もう一つお尋ねのございましたこの法律の二条の三項でございますけれども、この第二条はいわゆる定義規定でございまして、「「義務教育学校」とは、」とか「「建物」とは、」というふうな定義がございまして、三項は、その中で「学級数」というのはどういうものであるのかという定義でございます。この第三項はいろいろないわゆる技術的な要素が入っておりますけれども、要すれば、先ほど申し上げました国が負担をするという場合に、基礎となる面積を算定しなければいかぬ、その面積の算定に当たっての学級数は、いわゆる標準法で定められておりますところの標準学級数によって所要の面積を算定する、そういう意味での学級数の定義規定というふうに承知をいたしております。
  189. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 ずばりお尋ねいたしますが、提案者にお尋ねいたします。標準学級とは何ですか。
  190. 木島喜兵衞

    ○木島議員 学校教育法施行規則の十七条かと思いましたが、小学校においては十二学級から十八学級までを標準とするとあります。そして、中学校においてはそれを準用されております。標準がある、だからその標準というのは、それ以下の、十二学級以下の学校があった場合には、それがどうなるように、するかという方策がなければならないし、それから十八学級以上の学校があるとすれば、それはどう分離して標準学級にするかということの努力がなされなければ、今質問者がおっしゃいますように、何のためにつくったかわからなくなってくる。少なくとも学校教育を最も効率的によりよき環境にするには、十二学級ないし十八学級が一番いいんだと文部省が法的な性格を持たせて決めておるのでありますから、そのことになるような努力がいささかなされておらないではないかというところに、この法律を出したゆえんもあることを御了承いただければありがたいと考えます。
  191. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 お答えのとおり、まさに学校教育法施行規則第十七条に「小学校学級数は、十二学級以上十八学級以下を標準とする。」と明記されております。  ちょっと大臣にお尋ねいたしますが、今提案者の木島先生がお答えになったようなお考えでしょうか、今の問題について。同時に、何のためにこれを定めたのか、文部大臣としての御見解を承りたいと思います。
  192. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま提案者から御説明がございましたように、この施行規則の十七条は学級数の標準を決めているわけでございます。この学級数の標準をなぜ決めるのかということでございますけれども、こういう規定ができるにつきましてはいろいろ沿革があるわけでございますけれども、結局、学校の適正規模を決定するときにどういうことを考えたらいいのか、いろいろな要素があるわけでございます。それは教員の適正配置ということもございますし、あるいは施設設備の効率的な使用、活用ということもございましょう。何よりもそこにおきます教育活動、学校の運営全体が適切に行われるということ、あるいは校内での教職員間あるいは教職員と児童生徒間の人間関係を適正に保つというふうないろいろな観点があって、学校というものはそれらの要素を勘案した上で一定の適正な規模で運営されることが望ましい、こういう観点から、それを具体の形としてこの十七条で標準規模という形で決められておると承知いたしております。
  193. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、小規模校の統合の場合、国庫負担の対照になりますか、なりませんか。
  194. 川村恒明

    ○川村説明員 先ほどお答え申し上げましたような趣旨でございますから、学校の規模が極めて過小であるということでは困るので、設置者の判断によりまして統合をしたいというふうな御要望がございましたときには、国といたしましても、これに要する施設整備費について補助を行っておるところでございます。
  195. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 幾らですか。
  196. 川村恒明

    ○川村説明員 施設整備に要する経費の二分の一でございます。
  197. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 大規模校が分離した場合はどうなんでしょうか。
  198. 川村恒明

    ○川村説明員 同様の趣旨でございますので、施設整備費の二分の一を補助するということでございます。
  199. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 今度は大臣にお答えをいただきたいと思うのでありますけれども、これから審議を進める上で、あるいはまたこの問題を大きく前進させるための基本にもなる問題でありますが、負担法とは何ですか。定義といいますか、基本といいますか、ここがお答えによっては非常に大事な問題に発展するんじゃないか、こう私は思っておるわけでありますけれども、それじゃ先に提案者からお答えいただきましょうか。
  200. 木島喜兵衞

    ○木島議員 その前に、今川村審議官が答弁でもって、大規模校の分離をした場合には二分の一補助がある、これが法律で定められておるならばこの法律を出すわけがないのです。明らかに誤りであります。そう思います。これは誤りです。だからこそ出しているんです。  それから、負担法の性格でありますが、負担法は、言うなれば補助法じゃありません。補助金ではありません。負担金であります。負担金というのは、例えば学校で言うならば市町村立ですから市町村の責任であるけれども、しかし、教育というものは国家の問題でもあるから、したがって共同責任である。共同責任であるから、したがって国は負担しましょうという意想に立っております。と同時に、しかしその場合に、この施設負担法は条文の中に補助法的なものがありますからいささか問題なんでありますけれども、それは別といたしまして、本来、負担法という思想で言うならば、市町村立でありますから市町村長が市町村議会にかけてそれが可決されたときに国に申請する。した場合には、市町村立の学校ですから当然事業主体は市町村です。したがって、それは予算があるないにかかわらず、本来負担すべきが負担法の性格です。けれども、今申しましたように施設負担法の中には補助法的な条文がありまして、予算の範囲内とかその他ありますから、今私が言うとおりでありませんけれども、負担法というものの本来の性格はそういうものだと考えております。
  201. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 提案者から川村審議官に対して間違いじゃないかという指摘をされたのでありますが、私はそういうお答えをいただけば大変結構なんでありまして、何も取り消さなくても結構ですよ。そういうことでやっていただければ大変ありがたいわけであります。ただ、釈明があったらお聞きいたしましょう。
  202. 川村恒明

    ○川村説明員 先ほどのお答えを申し上げました件でございますけれども、学校の分離について補助対象になるのは誤りではないかというお尋ねでございました。結局、非常に規模が大きくなって学校分離をするということは、新しく一つ学校をつくる、新設をするということでございます。でございますので、これは実際の処理といたしましては、学校を新築する場合の補助一つの態様として現在補助制度が行われておるということでございます。分離という言葉で、あるいは若干適切でなかったかもわかりませんが、実態としては学校を分離するということは一つ学校を新設するということでございますので、その新築に要する経費に対する補助の一環としてこれをやっておるということでございますから、事実として間違ったお答えをしたわけではございませんので、よろしく御了承いただきたいと思っております。
  203. 木島喜兵衞

    ○木島議員 これは全然違います。これは前の前の事務次官の三角さんが管理局長のときに、砂田さんが文部大臣、そのときに私はこの問題提起をしたのです。答弁できなかったのです。それで砂田さんが、木島さん待ってください、実質的にやりますからというので私はおりたのです。それ以来実質的にやっておるのであって、確かに実質的にやっておるのです。だけれども、法律上そうなっておらない。だからやりなさいと負担法、この法律の方は、一定のことを国はやっておるのですよ、だけれども、さっき御質問のように法律上なってないじゃないか。それじゃ標準学級を何のためにつくったのか。標準学級のために統合の方は二分の一補助するというのが文章にあるのです、法律にあるのです。ところが、分離をして標準学級にしようとするのにはないのです、実態としてやっているけれども法上はないのです。確かにおっしゃるとおり新設校として見ているというのはあるのです。だが分離というものはないのです。そこには標準学級に持っていこうという意欲がないんだ。だから我々はこれを提案しているのです。その違いがあるのです。
  204. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 川村さん、私は誤りだなんという表現は一回も使ってないのですよ。それは木島先生が誤りじゃないかと私語でおっしゃった話でありまして、私は誤りであると言っていないのでありまして、だから結構な答弁だなと思っているわけでありますから、政府の見解として受けとめておきたい、こう思っているのです。だけれども釈明したいようなお顔をしておりましたから、それで釈明があったらどうぞ、こう言ったのでありまして、誤ったなんということをお尋ねをしているわけではないのです。まだ釈明がありますか。こんなことで時間ばかりとっておられませんけれども、あなたのメンツにかかわる問題もあるから、ありましたら……。
  205. 川村恒明

    ○川村説明員 負担法におけるただいま申し上げました分離、いわゆる分離は、私どもの申しておりますその新増築の一環としての補助、分離に要する場合の補助でございますけれども、これは現在の義務教育学校施設費国庫負担法の第三条の第一項第一号におきまして、「公立小学校及び中学校における教室の不足を解消するための校舎の新築又は増築に要する経費」、これにつきましては二分の一を補助するというのは法律上に規定がございます。公立小中学校における教室の不足を解消するということで、その一環として現在の御指摘のような分離、いわゆる分離と申しましょうか、新増設の補助を行っているということでございまして、これは法律の規定に基づく補助であるというふうに承知をしているところでございます。
  206. 木島喜兵衞

    ○木島議員 だから、標準学級を軸に置いて、統合には二分の一というものがあるんだ、分離というのはないんだよ。だから分離を入れろというのがこの法律です。
  207. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 提案者のお答えのように、私の質問は大規模校が分離した場合はどうですかという聞き方ですから、木島先生のお答えで私はいいと思うのでありますけれども、こんなことで余り時間をとりたくもありません。しかし、これは極めて重要な問題であります。本法案の意義がそこにかかっているという御説明がありましたが、もっともだと思います。  さて、大規模校というのは何学級以上を大規模校と文部省考えていらっしゃるのですか。
  208. 川村恒明

    ○川村説明員 大規模校の定義でございますけれども、先ほどの学校教育法施行規則の規定あるいはこの負担法の政令における考え方等を勘案をいたしますと、一応二十五学級以上の学校は大規模校と言えるのではないかというふうに考えております。
  209. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 先ほど説明ありましたように、学校教育法施行規則十七条には「十二学級以上十八学級以下を標準とする。」とあるでしょう。そうすると、二十五学級というのはその標準よりはるかに飛び出していますね。この後私は幾つかの事例を出しますけれども、それでは、そういう意味で標準学級を超えているいわゆる大規模校というのは全国に何枚くらいあるのですか、校種別にお知らせください。
  210. 川村恒明

    ○川村説明員 先ほどお答えを申し上げましたように一応二十五学級以上ということで押さえておりますが、六十年五月一日現在で小学校は三千四百一校、中学校は千七百八校でございまして、小中を合わせますと五千百九校になっております。
  211. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 だから私は断ってやったんですけれども、標準学級を超えているという私の質問に対しては、これは正確ではありませんね、二十五学級以上だと言うのでありますから。ここにどうもその法律を尊重するその精神が欠けているというふうに指摘をしなければなりません。  それでは、その次にお尋ねいたしますが、学校の適正規模についてどうお考えでしょうか。まず提案者からお答えください。
  212. 木島喜兵衞

    ○木島議員 適正規模というのは、先ほど申しましたように学校教育法施行規則十七条で十二ないし十八になっておりますね。ただ、今二十五学級以上——二十四学級と出たのが、これは義務教育学校施設負担法の施行令の三条だったと思うのでありますけれども、この場合、統合の場合二十四学級までをと言っておるのですね。そのことをおっしゃったんです。だから、今の答弁は、二十五以上というのは、施設負担法を中心に考え学校教育法の十二ないし十八というものを中心にお考えにならない物の考え方だと思っております。それは補助の問題、統合の場合二十四というだけであって、本来標準たるべきものは何かと言ったら十二から十八なんですから、そのことが中心だと思います。
  213. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 文部省、いかがですか。
  214. 川村恒明

    ○川村説明員 先ほど二十五学級と申し上げましたのは、ただいま提案者からお話がございましたようなことで、義務教育学校施設費国庫負担法の施行令に、一応十二学級から十八学級までとし、五学級以下の学校を統合する場合にはこれは二十四学級までが適正な規模であるというふうに書かれているわけでございます。  ただ、学校教育法の施行規則自体におきましても、「小学校学級数は、十二学級以上十八学級以下を標準とする。」とございますが、ただし書きがございまして、「ただし、土地の状況その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。」というような弾力的な規定も設けられておるということでございます。
  215. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 この問題だけやっちゃって終わってもしようがありませんから前に進めさせていただきますが、文部省のお答えを聞いておりますとどうも何かそらぞらしいな、表現はよくありませんが、そんな空虚な感じを持たざるを得ません。藤木委員も同じようなことを先ほど申し上げたようでありますが、私もお答えを聞いて全く同じように感ずるわけであります。  さて、大臣、ついこの前、私は要請もあったものですから自分の地元の中学校に行ってきたのです。体育館を見てくれというわけなんですね。それは福島県郡山市立の第六中学校なんでありますが、そこは私もよく知っている学校でありまして、四百人から五百人規模で建てた学校であり体育館だったのですね。ところが何と六十年五月一日現在は生徒数が千六百二十名もいるのですよ。それで学級数はといったら三十八学級であります。特殊学級——特殊という言葉、さっき差別だと言いましたけれども、通常使っておりますから。それも一、二含まれていると思うのですが、まず大変ですね、もう生徒を、天気のときには校庭に集めるということはありますけれども、体育館に一堂に集めることは不可能ですね。入り切れないのです。何とかしてほしいという訴えをいただきました。ところが市の方も、設置者の方もいろいろ判断をいたしまして、六十年の四月一日現在に新しくそれこそ分離をさせまして富田中学校というのを新設したのであります。これが現在五百九十八名で十五学級であります。中学校の十五学級くらいは適正規模でありましょう。ところが分離したのにもかかわらず、ことしの五月現在は郡山六中というのが一千百六名なんですよ。そして二十六学級。従来まで三十八学級あったわけでありますから、新設が十五学級ですと差し引くと勘定が合わないのですね。それだけふえておる、また急増になっておるわけです。もうどうにもならないのですね。それで職員室にも行ってまいりましたが、入り切れません。この学校だけではありませんが、例えば同じ郡山市立第一中学校なんというのもそうなんでありますが、職員室が学年ごとにあるんですよ、一学年、二学年、三学年と。そうでもしないと学年の意思疎通もできないし、ましてや全体の意思疎通なんというのはできない実態です。まさに私は、やはり建物もそうですけれども、子供たちがかわいそうだなという感じを非常に強くしてきたわけであります。  例えば、新市内になりますが、東京も同じでありましょうけれども、ドーナツ現象になっておりまして、中心部は非常に過疎地、過疎地と言ってはあれですが、少なくなってきている。そのかわり周囲が非常にふえている。安積中学校というのですが、ここは生徒数が千三百五十三人、三十三学級です。行ってきました。校舎が足りなくてプレハブが建っているのですよ。夏は暑いし冬は物すごく寒いし、子供も大変だし先生も大変だと思いますね。これを解消してやらないと、子供の健康の問題もあるし、あるいは教育効果、学習意欲の問題もあるのではないか、こんな感じを強く持ってまいりましたし、現場の学校長を初め先生方ほとんどが、やはりこういう大規模校の解消をしてもらいたいし、急増地域の対策をもっともっと進めてほしいということは理屈なしに実は望んできているわけであります。  中学校の例だけを申しましたが、小学校だって類似したのがたくさんありますね。例えば、今安積中の例を出しましたが、その近くにあります私のところの安積第一小学校なんというのは児童数が千二百七十四名ですよ。それで三十一学級であります。これまた足りなくてプレハブであります。これはどうしようもないのですね。こういうのが私のところの地元だけではなくて、先ほど数字を挙げていただきましたが、正しく言えば標準学級を超えているのはもっと多いはずだ。そういたしますと、いろいろなことがここで起こるだろうと思っているのです。幸い今事例を挙げました学校では、いじめや校内暴力の問題が起きていませんから、それだけ生徒指導が徹底している、子供と心と心が通い合って教育活動を続けているのだなと思いますけれども、少なくとも、文部省の発表によっても明らかなとおり、いじめや校内暴力、非行、いわゆる教育の荒廃現象ですね、この発生率というのは学校規模によってかなり率が高くなってきているという事実もあるのですよ。  それで、時間がありませんからそう多くを語ることはできませんが、教育効果や生徒指導の面も含めまして一つの事例を出しただけにすぎませんけれども、大臣いかがでしょうか。御見解を承りたいと思います。
  216. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 人口構造が変化していきます全体の数字と、またそれぞれの地域、特に大都会なんかにおいてはそれと全く違った動きを示す場合もよくあるわけでして、先生が今具体的に御指摘になったように、分離をしてもまた直ちに分離をした効果がなくなるように急増してきて、プレハブで困っていらっしゃるところも確かに全国的に見ればまだまだあろう、こう思います。そういったこと等を考えますから、せめて過大規模校の分離促進という政策は続けていかなければならぬ、こう考えておりますし、文部省も急増用地の補助制度というものは五年間継続することも決めておりますし、さらに大規模校を解消していくことは児童生徒のためでもありますから、政策として力を入れていかなければならない。  それに関連して、後段でお触れになりました過大規模校と校内暴力その他の関連でございますけれども、全体の傾向から見ますと、やはり過大規模校の方が、場所も都会地に多いということもおり、また児童生徒数も多うございますと、そこにいろいろな問題、摩擦熱が起こることは想像できることでありまして、結果としてはそのような傾向があることは率直に言って認めていかなければならぬことでございます。当面の対策はやはりいじめとか非行防止のためという面もありましょうけれども、やはり文部省も一人一人の児童生徒に行き届いた教育をしたい、そのためには教育関係、教育条件を整備していく等、大きな願いを持って努力もいたしておりますので、今後も引き続いて過大規模校の解消に向かってはいろいろな政策努力を重ねていくべきである、私もそう判断をいたしております。
  217. 木島喜兵衞

    ○木島議員 今のお話、三十八学級だそうですけれども、分離したらまた大きくなった。これを三十六学級とすると、三つに分けたら十二学級、二つに分けたら十八学級、ともに標準学級の範囲ですね。けれども、ひょっとしたら、急増地ですから三つに分けた方がいいと思ったかもしれない、市町村理事者もあるいは学校も。だけれども地方財政が苦しいからさしあたり一つにしようということなんだ。だから、もしも補助率が二分の一でなくて四分の三だったら三つに分けるということになったかもしれない。そこにこの法案を出すところの意味があるということを御理解いただければありがたいと考えます。
  218. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 よくわかりました。私もそうだと思っております。  それで、さっき出しました事例に引き続きますが、余り生徒も多いし先生も多い、一日じゅう顔を合わせないんですね。先生方が顔を合わせることができないんですね。何日も顔を合わせない。お話ししたことがないというのはやはりあると言っていましたよ。これで生徒に目が届きますかと言ったら、中学校の場合なんというのは、最近体も非常に大きくなってきておりまして、そういう大規模校における教育効果の問題や生活指導の問題は非常に神経を使っているんですね。それで、教育効果生活指導の面でこういう大規模校における考え方を、そう長い答えは要りませんから、初中局長、せっかくいらっしゃっていますので一言。
  219. 高石邦男

    高石政府委員 大規模校における生徒指導は、小規模、適正規模の学校に比べて大変難しい問題があることは御指摘のとおりであります。それだけに、教職員がチームワークをとって一体となって、そしてそれぞれの役割分担を明確にしながら対応していくということが必要であろうと思います。
  220. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 臨教審の第二次答申、私も随分時間をかけて読ませてもらったのでありますが、初任者研修に対する指導教員の問題がありましたね。文部省、あれはオーケーするんだと思うのですけれども、そんなことよりも、今問題提起した、そういう予算があるならそんなところに使うべきじゃないでしょうか。これはやはり国民的要求ですよ。お答えは要りません。私の意見として言っておきます。  さて、次に、もう時間がありませんから簡単に言いますから簡単に答えてください。文部省の当初予算額に対する対前年度の伸び率についてお伺いいたしますが、五十四年度から六十一年度まで各年度ごとにひとつ明らかに示してください。
  221. 西崎清久

    ○西崎政府委員 文部省所管予算につきまして、先生お尋ねの伸び率でございますが、五十四年度が一一・六%、五十五年度が五・七%、五十六年度四・七%、五十七年度二・六%、五十八年度以降の問題でございますが、五十八年度から三角でございまして、五十八年度が三角一・一%、五十九年度は退職手当の問題等がかさみましてちょっとふえております、〇・八%増、それから六十年度がゼロでございます。六十一年度、本年度が全体としてはちょっと減っておりますが、コンマが二けた以下でございますので、ゼロ%、こういうふうになっております。
  222. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 人件費の割合はいかがでしょうか。五十四年度から年度ごとに示してください。
  223. 西崎清久

    ○西崎政府委員 人件費の割合につきましては、五十四年度が六二・二%、五十五年度六二・四%、五十六年度が六三・六%、五十七年度が六六・一%、五十八年度が六七・六%、五十九年度七〇・七、六十年度が七二・八、本年度、六十一年度が七四・六%でございます。
  224. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 その次に、公立学校施設費の割合はいかがですか。補正後の予算も含めましてお答えください。
  225. 西崎清久

    ○西崎政府委員 補正後の公立学校施設費の構成比でございますが、五十四年度が一三・六、五十五年度一三・二、五十六年度一一・六、五十七年度一〇・六、五十八年度九・八、五十九年度八・六、六十年度が七・八、六十一年度、本年度が七・二%でございます。
  226. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私が五十四年度からと申し上げましたのは、そこを境にしてずっと下降するのですね。逆に人件費は上がってくるのですよ。それで、その相関関係を判断したいと思ってお尋ねしたのでありますが、ここで、多分補助金の一括法案の連合審査のときだったと思いますが、大臣の答弁の中で、こういう状態が続いていけば、一つの枠の中にしかない予算を、人件費がふえればその枠の中からそこに食わざるを得ない、これじゃ教育費がだんだん減少していくのは当たり前じゃないか、こう思ったのでありますけれども、そこで恐らく大臣はODAのようなことをやっていただければありがたいんだがというお答えをしたことを記憶しているのであります。  そこで、私は、このままの状況で推移をするとすれば七、八年後の事業費とか施設費というのはどうなってしまうんだろうかということを心配するのでありますけれども、七、八年後の先の話でありますからどういうふうに政治が転換するかわかりませんが、今の状態を基準にしていった場合についてはどうなってしまうんでしょうかね、ちょっと見通しを聞かせてください。
  227. 西崎清久

    ○西崎政府委員 先生お尋ねの点についてちょっと二つ申し上げなければなりませんが、公立学校施設費の金額が五十四年度は大変大きゅうございまして、現時点では額がかなり減っております。この点は、実は御承知のように、児童生徒の数の問題として小学校中学校が減少傾向にある。そうしますと、新増設が減ってきておる、こういう問題が一つあり、かつ、危険改築につきましては各県がかなりその事業を進めておりまして、学校施設整備事業事業費自体が全体の需要としては当時と現在と比べればかなり減っておる、こういう問題点が一つ背景としてございます。それから、もう一点は、やはり先生指摘のように、全体の国家財政の状況並びに人件費が文部省予算において大変伸びてきておる。全体の構造的な問題として大変こういう箱物については厳しい事情がある、こういう二つの状況があるわけでございまして、端的な先生のお尋ねの七、八年後はどうなるかという点につきましては、臨教審答申もございますし、臨教審答申に係る改革課題につきましてはかなり長期的な見通しで財政措置を講じなければならないというふうに私ども思っておりますので、全体の今後の教育改革の課題について、改革の課題ごとにどういうふうな財政計画を立ててその財政需要について文部省として対処するかということにつきましては、十分私どもも検討し、必要なものについては財政当局にも要求を十分していく、こういうふうな姿勢で対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  228. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 だから、今日の状況が推移をするとすればという前提で申し上げたのでありますけれども、臨教審第二次改革の中でいろいろ審議されております、実行するかどうかは別にいたしまして、現在のような状況が推移していった場合は、臨教審が幾ら出してみたって絵にかいたもちになってしまうのではないか。これは、公明党の池田先生がよくこの問題について発言されたことを私は記憶しているんでありますが、提案者の木島先生、どうですか、七、八年後は提案者としてはどういうふうになってしまうと思いますか、現状推移していった場合。
  229. 木島喜兵衞

    ○木島議員 これは提案者と余り関係ない問題でありますが、ただ、おっしゃるとおり、仮に現在の文部省の予算を前提にして今までの人事院勧告があった場合、七、八年後にはきっと事業費がほとんどゼロに近くなるであろうと想定されます。ですから、これはちょうど昭和四十五、六年から、お医者さんの学部がないところの大学をなくしようという、無医大県をなくするためにつくりました。すると病院が必要になってくる。看護婦さんも、従業員も大変たくさん要る。それでは総定員数の枠の中でははみ出してしまう。ですからそれは別枠にいたしました。総定員数の枠外にして、そこで無医大県を解消したわけですね。ですから、そういう観点と同じような立場に立って、これから臨教審の問題であれ、あるいは臨教審以外の問題であれ、そのような別枠を別途に考える知恵が今必要なんだろうと考えます。
  230. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 おとといの委員会では少し時間をはみ出して黙認していただきましたから、きょうは守りたいと思うので、もう大体終わりなんでありますが、最後に、大臣ひとつ、まさにこういう予算の状況というのは厳しい状況ですね。だがこのまま教育を停滞させるわけにはいかないわけですよ。それと四十人学級もあるわけでしょう。だから、児童生徒数の問題、学級編制の問題と建物の問題というのは整合性を持たなければいけませんね。これは私は、文部省が弱腰になったら大変なことになるな、こう実は思っているわけであります。そういう意味で、概算要求の際しっかり頑張っていただきたいと思いますし、その意味ではひとつ本法案が、採決をしていただいて、自民党の皆さんにも御賛成をいただいて、そして日の目を見て、国民の皆さんのためになるようなことをしていただきたい、私はそう念願をしているわけでありますが、最後に大臣、ひとつ今後のこの問題を中心にした教育予算の問題について御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  231. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 官房長から御説明しましたように、最近の文教予算というものの実情は大変厳しいものがございます。先生指摘のように、ただいま御議論願っておる問題も含めさらに大きく教育全般を考えますと、臨教審の答申も受けて、国民の皆さんのために、児童生徒のために改革しなければならぬ施策もたくさんあるわけでございます。私は、きちっとした方策をまず文部省の中で、そしてまたそれぞれの必要な審議会は審議会を通じて御議論を願って、これだけはしなければならぬという柱を立てまして、財政当局ともきちんとした話し合いをしていくつもりでございます。また、七年先、八年先のことを今から云々するわけにもいきませんが、そんなような暗い状況で物を考えていくのも残念なことでありますし、教育は何よりも不断の努力の積み重ねが大切であると考えておりますから、概算要求に当たっては、私も大いに頑張って文教予算獲得のために努力を続けてまいりたい、このような決意をお伝え申し上げまして、私の御答弁といたします。
  232. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 提案者も大変御苦労さまでありました。敬意を表しまして、これで終わります。
  233. 青木正久

    青木委員長 次回は、来る二十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十一分散会      ————◇—————