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加戸政府委員 今回の
プログラム登録特例法を
提案させていただきましたのは、昨年の通常
国会におきまして
著作権法の一部
改正を行い、
プログラムに関します
登録の
制度を、七十六条の二で
プログラムの特性に見合った創作年月日の
登録の
制度を設けさせていただきました。と同時に、七十八条の二におきまして、この
登録に関しては「別に
法律で定める」という形の法制定をいただいたわけでございます。
そのときの
考え方としましては、
プログラムの
登録に関します各種の手続的な
事柄につきましては、
著作権法体系ではなくて別の
法律で
措置をするという
考え方をとったわけでございます。
その理由といたしましては、今回
提案申し上げております法案の中身にも見られますように、例えば
登録原簿の問題、複製物の納付の問題、公示の問題、指定
登録機関等の問題、いずれも別個の
法律によって
対応することが適切であり、また
法律に
規定することにふさわしい
事柄でございます。しかしながら、
著作権法の中では、いわゆる
権利の性質周辺を書いておりますけれ
ども、今申し上げた
プログラムの
登録についてのみの特別な手続法でございますので、
著作権法体系とは別の
法律で制定するのがふさわしいという
考え方をとったわけでございます。
なぜ
法律でなければならないか、つまり政令でもよろしいのではないかという
先生の御
意見でございますが、例えば第一点の
著作権登録原簿は、
法律で、
著作権法本体で書いてあるわけでございまして、これは
登録原簿自体はバインダー式帳簿によって作成いたしますけれ
ども、それは
登録原簿でなくてもいわゆる磁気テープによっても作成ができるのだというつくり方の
法律の
特例を書くわけでございます。
それから、第二点の、複製物の納付でございますと、本来ならば、そういった各人の所有物を提出させるという
権利義務に関するような
事柄というのはやはり
法律事項で制定する方が適当であろう。
それから、第三の、公示の問題につきましても、本人が希望するか、しないかにかかわらず、その
プログラムに関します一定の事実を世の中に公表するということにつきましては
法律をもって制定する方が適当であるということでございます。
第四点の、指定
登録機関につきましては、これは当然
文化庁長官が行うべき
登録を、一定の機関に一種の事務委託的な
考え方で行わせるわけでございますので、
法律によらずしては、
文化庁長官の権限を譲るあるいは民間機関に任せるということは考えられないわけでございまして、いずれも政令に
規定する
事柄ではなくて
法律事項であると判断をして
提案をさせていただいたわけでございます。
それから、
プログラムの
登録に関しますメリットでございますが、創作年月日
登録を設けた
制度の
趣旨ともほぼ合致するわけでございますけれ
ども、
プログラムにつきましては、通常、内部使用にとどまる場合が多うございまして、世の中にこれを発行したり公表したりするケースというのは少のうございます。もちろん、パソコンソフト、ゲームソフトのように市販、発行されるものもございますけれ
ども、汎用
プログラム等につきましては、企業の内部等で
利用されるものでございまして、それは世の中に公表されるという事態がないわけでございますから、
登録制度を援用するということが極めて難しいわけでございます。そういう
意味で、
プログラムに関しましては創作年月日
登録を設けることによりまして
登録の道を開くということでございます。
この道が開けますと、
登録の効果といたしましては、いつの時点で
プログラムが創作されたかということを
法律上推定する効果を
規定いたしておりますが、そのこともさることながら、実質的なメリットといたしましては、
登録しておくことによりまして、この
プログラムの具体的な
著作者はこの人であるということが事実上確定される。それから第二点といたしましては、訴訟上のトラブル等があるいは盗作等のトラブルが起きました場合においては、どの
プログラムのどの部分をまねしたのかということを立証するためには、
登録しておきますと立証が非常に容易である、そういった訴訟上の便宜もあるというようなメリットもあるわけでございます。そういう
意味で、貴重な
プログラムが盗作の危険がある、あるいは人からまねされないように、あるいはまねされた場合にそれに有効に対抗するための
手段としてこの
プログラム登録制度というのは大いに活用し得ることでありまして、一種の保険と申し上げては恐縮でございますけれ
ども、そういう安全弁として、安心料といいますか、
登録をしておくことによってこれが盗まれるということは蓋然性が下がるであろうという期待を
登録側も持たれるのではないか、そういう
意味で
登録上の
制度としましては、法的な推定
制度以外に事実上の
観点からの視点から
登録制度が活用されるのではないかと期待をしている次第でございます。