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関谷政府委員 主要農作物種子の場合に、それが実用に供される一番かなめになりますのが
奨励品種決定という
制度でございまして、今度の
改正におきましても、この決定
制度自身はやはり存置をしてその適正な運用を図っていくということでございますので、先生の
お尋ねになりました三つの点、大変大事な問題であるというふうに
考えております。
第一の構成の問題でございますが、現在、御承知のように県の試験場とか行政の
関係者、それから
農業団体等が構成員となっておりますが、我々としましては、そういう県の内部組織的な運営について
一つの指導をする必要があろうというふうに
考えておりまして、やはりこれから育種技術も大分高度化してまいりますし、
品種の需要も多様化してまいる、そこに
一つ民間参入の道も開かれるということでございますので、構成メンバーにそういう新しい育種なり育種技術の動向に即しました学識経験者、それから
民間育種
関係者、それから小麦等に特に大事になります
農産物の需要者、そういう
方たちを加えましたもう少し幅の広い構成で
考えて、そういう
方たちの審査会によって、単に試験対象
品種を決定するというだけではなくて、その後の
奨励品種の普及
状況とか、
制度の全体も含めた幅広い
検討を行っていくように指導したいということで、構成の幅を少し広げたいというのが第一点でございます。
二番目の審査基準の問題については、これはもう国や県の育成した
品種が中心でございますので、あるいは国や県であるだけに非常に厳しい要求をしております。これは国や県の育種担当者にそれだけ厳しい、いわば育種の課題を課しているわけでございますが、
民間の参入もあるし、それから多少
農産物の需要の方も多様化が進んでくるというようなことになりますと、もう少し基準を下げるというわけにもまいりませんけれ
ども、やはり実際の需要の動向、特に多様化している需要の動向に即して、ある程度の優良性が認められるし、需要もあるだろう、こういうようなものを
奨励品種の中で少し柔軟に対応していく、こういう指導をいたしたいというふうに
考えております。
その辺については、
奨励品種の中を二つに分けるとかいうことではございませんけれ
ども、実際上の、いわば本当の従来からの系統のものと、それから少し現実の需要に対応したもの、それから一部、耐病性、耐伏性等のような
品種の重要な特性のうちで、特定のもので明らかに
改善が認められる、こういうある部門の優等生みたいなものとか、少し評価の幅を広げていくということは必要であろうかということで、この
奨励品種の決定についてそういう指導をいたしたい、かように
考えております。
三番目は、各県だけではなくて、少し幅広い範囲で広域に運用される
品種が出てくるという問題でございます。
現在でも、コシヒカリ、ササニシキはかなり各県でつくっているわけでございまして、やはり
制度の建前としては、
日本のような非常に南北に長くて標高差も大きいとか、気象、土壌条件、その他いろいろ違うところでは、少なくとも県単位あるいは県の中の地域に適合する、こういう
観点で優良
品種の決定をしなければいけないという実態はこれからも変わりないわけでございます。ただ、相当広くなってまいりますと、広く使われるような適応性のある
品種については、こういう県ごとの運用だけでもまいりませんので、今後はある県が既に
奨励品種として使っておる、採用しているという場合に、そのいろいろな
品種決定試験のデータのうちで、ほかの県にも適用されるもの、そういうデータで代替可能なものは、既に
奨励品種として採用されている県のデータをほかの県でも少し幅広く使う、こういうような広域的な運用をしていきたい、こういう
方向で指導していくことによりまして、
制度のかなめになります
奨励品種決定試験、調査を十分に活用してまいりたいと思っております。