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後藤(康)
政府委員 御指摘のとおり、農協について申しますと、やはり信用事業と共済事業に非常に収益を依存しております。ただ、時系列で見ますと、ここ数年、信用事業、共済事業の収益に対する依存度が若干でございますが低下をしている。系統
組織の中でもそのことについての認識はございまして、いろいろな努力は積み重ねられてきておるというふうに一応私どもも受けとめておるわけでございます。
ただ、今後、
金融自由化が進んでまいりますと、今お話しのございましたように、
一つはシェアの競争というのが非常に激しくなってまいる。それからまた金利の自由化、それから、全体的に今のように
金融緩和というような状態でありますと特にそうでございますが、利ざやが縮小してくる、こういったことに対する対応をどうしていくかということでございます。
この点につきましては、昨年の秋の第十七回の農協大会あるいはそれに至りますまでに系統内部でもいろいろ議論をされ、
経営刷新のためのいろいろな方策も
決議をされているわけでございますが、大ざっぱに申しますと、
経営体質の強化と事業
運営の効率化、それから第二には組合員との紐帯の強化と事業
体制、
機能の強化、第三番日が資金運用力、収益力の強化、こういうことであろうかと存じます。先般当
委員会で御採択をいただきました農協の合併助成法なども
経営基盤の強化ということに役立ち、またそういう中で合併をいたしますと、管理部門が
簡素化されることによりまして、営農なり信用事業なりというものへの要員の振り向けということも可能になってまいるということがあろうかと思います。
それと同時に、今ちょっとお話ございましたように、農家が非常に均質であった時代と、今のように非常に多様化し、分化をし、混住化している中で、農協の
運営のいろいろな慣行そのもの、例えば一戸一組合員制でございますとか、あるいはまた貸出金利などもどの組合員にも平等に適用する、いわゆる形式的な平等主義でございますけれども、こういうものも、他の
金融機関との競争が非常に激しくなってまいりますと同時に農家そのものが分化してくるということになると、例えばおやじさんは稲作をやっているけれども息子は酪農をやっている、二人とも農協をよく利用しているという場合には二人制組合員になってもちっともおかしくないではないか。あるいはまた、
協同組合というのは事業利用をベースにして成り立っている
組織でございます。たまに、ごくわずかしか
協同組合を利用しない方と、
協同組合を非常によく利用して熱心に
農業をやっているような方との間の貸出金利なんかについても、一定の客観的な評価で違いもつけていくということがないと他の
金融機関と対抗できないというような面も出てまいってきているかと思います。
そういう
意味の慣行の見直し、形式的な平等から実質的な平等への慣行の見直しということも含めていろいろな面で、そしてまた、最後は農協であり総合農協だ、
農業であり
協同組合でありまた総合
経営だ。今、
金融自由化の中で業態間の垣根が取り除かれるというようなことが進められておるわけでございますけれども、農協はもともと総合事業でございます。そういう総合
農業協同組合、総合であり
農業であり
協同組合であるという原点に返って、その原点をどうやってフルに生かしていくか、その中で、組合員農家の生活、営農を含めたトータルな相談
機能を充実していく、あるいはまたいろいろな面での決済
機能、これは機械化の問題なども絡んでまいりますが、あらゆる面における対応をやっていかなければいけないのではないかと思っておりますし、私どもも、そういったあらゆる面で、お手伝いのできる限りにおいていろいろな環境整備なり指導もしてまいりたいと考えているところでございます。