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1986-04-09 第104回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月九日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 衛藤征士郎君 理事 近藤 元次君    理事 島村 宜伸君 理事 玉沢徳一郎君    理事 串原 義直君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君       上草 義輝君    太田 誠一君       鹿野 道彦君    鍵田忠三郎君       片岡 清一君    菊池福治郎君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       月原 茂皓君    戸塚 進也君       林  大幹君    藤木 孝雄君       堀之内久男君    松田 九郎君       三池  信君    山岡 謙蔵君       小川 国彦君    上西 和郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       辻  一彦君    日野 市朗君       細谷 昭雄君    遠藤 和良君       駒谷  明君    斎藤  実君       伏屋 修治君    吉浦 忠治君       稲富 稜人君    菅原喜重郎君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣臨         時代理     山崎平八郎君  出席政府委員         農林水産政務次         官       保利 耕輔君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房予算課長   鶴岡 俊彦君         通商産業省構造         改善局長    佐竹 五六君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      大坪 敏男君         農林水産省食品         流通局長    鴻巣 健治君         農林水産技術会         議事務局長   櫛渕 欽也君         農林水産技術会         議事務局研究総         務官      土屋 國夫君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  伊藤 一実君         大蔵省主計局主         計官      竹内 克伸君         厚生省社会局施         設課長     荻生 和成君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   澤邊  守君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ————————————— 委員の異動 四月九日  辞任        補欠選任   佐藤  隆君    鹿野 道彦君   野呂田芳成君    戸塚 進也君   上西 和郎君    小川 国彦君   水谷  弘君    遠藤 和良君   吉浦 忠治君    伏屋 修治君 同日 辞任         補欠選任   鹿野 道彦君    佐藤  隆君   戸塚 進也君    野呂田芳成君   小川 国彦君    上西 和郎君   遠藤 和良君    水谷  弘君   伏屋 修治君    吉浦 忠治君     ————————————— 四月一日  国営八戸平原総合開発計画対象地域からの除外  に関する請願関晴正紹介)(第二三六八号  )  昭和六十一年度畜産物政策価格等に関する請願  (赤城宗徳紹介)(第二四二八号)  土地改良事業等に関する請願野間友一紹介  )(第二四二九号) 同月三日  土地改良事業等に関する請願経塚幸夫紹介  )(第二六〇九号) 同月九日  土地改良事業等に関する請願中林佳子紹介  )(第二九二二号)  同(浦井洋紹介)(第三〇一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農業改良資金助成法による貸付金等財源に充  てるための日本中央競馬会国庫納付金納付  等に関する臨時措置法案内閣提出第二八号)  生物系特定産業技術研究推進機構法案内閣提  出第二七号)      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農業改良資金助成法律よる貸付金等財源に充てるための日本中央競馬会岡庫納付金納付等に関する臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、日本中央競馬会理事長澤邊守君に参考人として御出席を願い、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 大石千八

    大石委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  5. 島田琢郎

    島田委員 この法案審議に入ります前に、先ごろ六十一年度の乳価畜産物価格あるいはその他の対策決定をいたしました中身に若干触れたいと思います。  たまたま、けさの日本農業新聞に、昨日閣議決定されました農業白書内容が載っております。私はまだ手にしておりませんので白書を実は読んでいないのでありますが、ちょうどことしは二十五回目の白書の発表、つまり、政府構造政策中心にして日本農業を進めていく、いわゆる農基法農政と言われてから二十五周年に当たるという点では一つの歴史的な意味を持つ、こう思います。しかし、中身はどうも新聞解説で言い得ているようでありますが、「フラフラ農政」「”猫の目”くっきり」といったような見出しで載っているわけでありまして、そういう白書の感想を、恐らく私たちも読ませてもらうと感ずるのではないか、こう思っておるわけであります。  六十一年度の価格決定、その第一弾で、これが乳価畜産物価格ということになるわけでありますが、総体的に批評いたしますと、今回は大幅引き下げ、こういう新たな事態を迎えた。しかし結果的には若干修正が行われたという面がありますけれども、どうも、当初私たちがこの席から申し上げたのに対して、不退転決意畜産振興審議会に諮問をした、ところが実際には不退転決意という内容にはなってない。しかもそれは関連対策で逃げるというやり方をまたぞろとったわけであります。したがって、今回の価格決定の一連の評価は、僕をして言わしめれば五十点以下、それどころじゃない、二、三十点しか上げられない、こういう内容だろうと思うのです。ここで私もるる述べて政府の姿勢をただしてまいりましたからい改めて同じことを言うつもりはありません。  そこで、関連対策で今後明らかにしていかなければならぬ幾つかの点が盛り込まれていると思いますので、簡潔にひとつこの間の事情をお話し願いたい、こう思います。  一つ酪農関連でありますが、良質牛乳確保ということが言われております。それは言ってみれば無脂乳固形分あるいは脂肪等成分をたっぷりと含んだ、しかもよい質の牛乳確保する、当たり前のことなんでありますが、ただ、従来私が指摘をしてまいりましたのは、脂肪取引という形態から牛乳成分全体を制度的に取り扱った取引というものがもう行われていい時代に入ったのではないか。ところが、これは全く触れないわけですね。ただ良質牛乳確保するのです、こう言っても、これじゃ一体どこに目標を置いてどんなことをやろうとしているのか定かではありません。したがって、この際成分取引制度化するという考え方がありや否や、この点を明確にしてほしい。  私は、もうこの無脂乳固形分を取り上げた制度化を図っていくべき時期に来ていると思う。そうでないと生産者目標が定まらない、こう思います。良質牛乳を今さらのごとく言われるが、今や牛乳細菌にしても、あるいは風味その他にしても、良質牛乳がつくられている点では世界に冠たるものを私は持っていると思うのです。そういう現状を考えたときに、さらに良質というのは何を意味するのかがどうもよくわかりません。そして、その水準をどこに置こうとしているのかも定かではありません。この点をまず問いたいと思います。
  6. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 六十一年度の加工原料乳保証価格決定に際しまして、先生が今御指摘になりましたような良質生乳確保対策を実施することにいたしておるわけでございますが、この場合考えております良質生乳と申しますのは、乳脂肪率が高いことはもとよりでございますけれども、最近におきます牛乳乳製品に対します消費者嗜好の変化もございますので、これらを考えた上で、特に最近需要が高まっておりますナチュラルチーズなり脱脂粉乳の質や歩どまりのよい無脂乳固形分率が高くて細菌数の少ないものを良質生乳と考えまして、この確保を図ってまいろうとするものでございます。  ただ、先生おっしゃいましたように、今日の生乳取引におきましては長い慣行として脂肪率取引が行われているわけでございます。確かにこの脂肪率取引を今や無脂乳固形分取引に変えるべきであるという有力な御意見もあるわけでございますが、ただ、脂肪率取引があくまでも長い慣行によって行われてきているという実態関係、さらにまた生乳需要のおおむね三分の二程度は飲用牛乳であると考えた場合、飲用牛乳につきましては固形分の多寡が必ずしも飲用牛乳評価にはつながらない、そういう面があるわけでございますので、直ちに生乳につきまして脂肪率取引から無脂乳固形分取引への変更というのはなかなか難しい問題があろうかと考えるわけでございます。  ただ、私どもも、今後の方向といたしましては無脂乳固形分を加味していくということは必要であると考えておりますので、いろいろ問題はあるわけでございますが、私どもといたしましても、生乳取引当事者でございます生産者団体、さらには乳業者との間で、こういった方向についてどのように取り組んでいったらいいか等々につきましてはいろいろこれから検討を加え、協議も重ねていきたい、かように。考えております。
  7. 島田琢郎

    島田委員 実にまどろっこしいのでありまして、時代要請だと私は思うのですね。時代要請なんですよ。行政はそれにこたえるべき責任があるのだと思うのです。もうこういう問題が出てから何年たつのでしょうか。まだこれから各界の意見を聞いて検討を加えてなどというのは、政府検討なんでいったら十年ぐらいかかっちゃうのですからね。もう検討段階は終わったんだと私は思うのです。実態に即してやるかやらぬかだと思うのです。その決意がない。遺憾きわまりない。早急におやりいただきたいと思うのだが、どうですか。
  8. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 先ほども申し上げましたように、今後の方向として無脂乳固形分取引というのが一つの大勢であろうかと思うわけでございますが、長い間脂肪率取引が行われてきたという実態、さらにまた、飲用牛乳に関して見ますればむしろ無脂乳固形分の価値はそれほど高く評価されないという問題も一方あるわけでございますので、そういった問題点を含めまして、今後の方向につきましては関係者との間でいろいろと検討もし、協議も重ねていきたい、かように考えている次第でございます。
  9. 島田琢郎

    島田委員 こういう無脂乳固形分というのを私は今話題に挙げたわけです。無脂乳固形分というのは、つまり、具体的に言えば粉乳をつくっていくわけですね。だからいいものが、つまり一キロでできる粉乳と八百グラム、八割の牛乳でできる粉乳とではもう既に製造のコストのところから違うわけでしょう。つまり、明らかにこれはだれかがもうけるわけです。そういうことをいつまでも許しておいていいのか。乳価を抑え込んで、しかも引き下げているという実態のある中で、みんながお互いに我慢し合って分け合う、そういう公平、公正な分配がなければ酪農家は参っちゃう。酪農家に限りません、不公平な分配、不公正な処遇を受けた者はえらい損をしちゃう。経営を続けられなくなるわけです。そういう点を考えますと、行政としては、この事実が明らかなのになお放置していくということは、特定などこかをもうけさせていくことに手をかすことになる、そのことを厳しく指摘しておきたいと思います。これは早急に決断さるべきである。  二番目の消費拡大対策でありますが、一つナチュラルチーズ国産化。今度は国産化を図ってくれるのかなと思ったら、国産化を図るところまではいっていないですね。えらいややこしく回りくどい言い回しで、表現がまことにあいまいでありまして、私も実は一体何をやろうとしているのかがこの項目の中ではわかりません。消費拡大一つとして私が大変重要視しているのがナチュラルチーズ国産化である。  ところが関連対策で示されております項目は、「日本人のし好に合った国産ナチュラルチーズ製品開発を促進するため、原料費の一部等について助成する。」今さら国民嗜好に合った国産ナチュラルチーズなんて言う必要はないのです。それはもう開発されているのです。多種多様、お年寄りから子供までだれが食べても嗜好に合うものがそれぞれの分野でつくられている、それぞれの年齢に合ったようにつくられている。それも世界に冠たるチーズ開発なのであります。チーズがここまで国民の間に親しまれるようになったのはまさにそういう努力が実を結んでいることなんです。今さら、製品開発を促進するために云々、そんな回りくどいことをやる必要はないのであります。直に国産化を促進するという方向でこの大事な予算が使われるべきだ、私はそう思います。  それから、飲用乳が落ち込んだ、これは大変ゆゆしきことであります。この飲用乳が落ち込んだということについても真剣に考えていかなければならないのではないでしょうか。いつまでもごまかした牛乳を売り続けている限り消費は離れていくばかりです。本物牛乳で対応すべきだ。そしてまたその嗜好に合ったものを本物中心にして開発していくという努力があってしかるべきだ。表示にしたってそうであります。いいかげんな表示をして消費者をごまかそうたってそれは長く続くものではありません。いつか化けの皮がはがれていく代物であります。やはり表示についても思い切って正しい表示を行っていくべきだ。こうやって飲用乳のシェアを取り戻していく、この努力が今なくてはいけないのではないでしょうか。  三番目は発酵乳に対する扱いであります。昨年は二十万五千トン。私はこの席からその発酵乳への生乳利用について確信があおかと言ったら、確信ありますと胸を張って答えました。しかし現実はどうですか。この間聞いたところでは八万トンちょぼちょぼか九万トン弱しか発酵乳生乳が向けられていないのです。大丈夫かと畳みかけて二回聞いているが、あれだけ胸を張って自信ございますと僕に答えた政府側責任がこれで果たされているのだろうか。今度はやや下げまして十五万トン、これも生乳をしっかり使ってもらわなければならない消費拡大の大事な一環であります。自信はあるかないか、改めて問いただしておきたい。  以上の三点についてまとめてお答えいただきたい。
  10. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 まず第一点のナチュラルチーズ国産振興対策についてでございますが、今後の酪農振興を考えた場合、やはり日本人嗜好に合ったナチュラルチーズ生産を図っていくことが極めて大事だと考えているわけでございます。ただ、残念ながら現状について見ますと、日本ナチュラルチーズ生産プロセスチーズ原材料生産という意味で発展をしてきたという経緯もございますので、その製造されております種類自体も非常に少ないという問題と、製造技術につきましても残念ながらヨーロッパ諸国に比べますとおくれておる、そういった面があるわけでございます。  そこで、現在のようなナチュラルチーズ需要の伸びを考えた場合は、むしろこの際、日本人嗜好に合ったナチュラルチーズ生産、供給していくということに力点を置いていく必要があろうかと考えるわけでございまして、本年度におきましては日本人嗜好に合った国産ナチュラルチーズ製造開発を促進するための事業を実施するということを考えているわけでございます。  またそれと並行いたしまして、今後の抜本的なナチュラルチーズ生産振興をどういうふうに進めていくかという点につきまして、これは昨年来検討しているわけでございますが、改めて生産者あるいは関係者を含めまして十分協議検討を重ねていきたい、かように考えている次第でございます。  また飲用牛乳消費拡大でございますが、特に昨年度におきましては飲用牛乳消費が前年度を下回るという事態になったわけでございますので、やはり飲用牛乳中心とする牛乳乳製品消費拡大が極めて大事であると考えているわけでございまして、このための具体的な方策につきましては現在鋭意進めているわけでございます。  その基本的な方向といたしましては、例えばテレビの料理番組提供等による牛乳乳製品料理利用の普及、さらには牛乳の栄養上の特性について消費者にきちんと正しい理解を与える、牛乳乳製品に対する正しい知識消費者に与える、さらにまた、LL牛乳を活用しながら、現在牛乳が売られていない駅の構内、列車内等々におきまして新しい販路の開拓を行うとか、また牛乳乳製品の新製品の展示、販売、試食のほかに、牛乳乳製品を活用した料理方法実演等も行う普及センター的なものを都心に設けるとか、そういったことを現在具体的に詰めている段階でございまして、早急に結論を得たいと考えておる次第でございます。  また、第三点目の飲用牛乳表示の問題についてでございますが、先生御案内のように、この問題は生乳生産者団体からの問題提起がございまして、公正取引委員会の指導を受けながら、全国飲用牛乳公正取引協議会において検討が進められておるわけでございますが、現在のところ関係者間で意見が一致いたしました一括表示の義務づけあるいは乳飲料主要原料名表示等につきましては、既に必要な規約等の改正が行われておる次第でございます。  なお、残されました加工乳等商品名牛乳の名称を使うことの是非につきましては、引き続き同協議会検討が続けられておるというふうに承知しているわけでございます。  私どもといたしましても、飲用牛乳表示の問題は、生乳全体としての消費拡大に資するという観点から、問題解決に役立つことがあれば、公正取引委員会等とも連絡をとりながら対応していきたい、かように、考えている次第でございます。
  11. 島田琢郎

    島田委員 長ったらしくおっしゃったけれども、何一つ僕の聞いていることに正確に答えていないのです。例えばナチュラルチーズ国産化、もちろんナチュラルチーズだけがチーズではありませんで、多種多様にわたるプロセスチーズがあるわけです。この原料チーズのいわゆる国産化というものが今言われているわけですから、それをやる決意があるのかないのかがこの中ではよく見えてきません。だから一言、やる、非常なる決意でそこを目指してやるのですと言うのかどうか。  それから、飲用乳についてだって、表示その他について具体的に早急にやるべきだと僕は指摘をしましたが、そのことに画に答えておられない。やれ看板を立てるとか番組をどうするとか、従来と一つも変わっていない。でかい看板を立てて、ミルクを飲みましょうと言っただけじゃミルク消費はふえないのですよ。それを番組でやるとか、健康に関する正しい知識を普及するとあるが、お医者さんを指導するとでも言うのでしょうか。そんなことに十五億も使うのですか。もっとやることが別にある。ですから、皆さんに飲んでもらうために、表示の問題だって今あれだけ消費者から言われているわけでしょう。それはもうきちっとやらなければならないときにあるのですよ。それをやれ検討するだの何だのって、検討検討ばかりやっているうちに日が暮れてしまうのです。  それから、発酵乳に対してだって決意があるのかないのか。ことし十五万トン確実に消化するという決意があるのかどうかを答えてもらいたいと言ったのでありまして、長々とこれの説明を受けるなんという必要は僕にはないのです、中身はよくわかっているんだから。素人が物を言っているのじゃないのです。そういうむだな時間をやたらと費やされてしまったのではかないませんので厳重に警告をして、のらりくらりの答弁をされたのでは時間が幾らあってもたまらぬわけでありまして、先に進まざるを得ませんが、今申し上げた点について決意を持って臨んでもらいたい。  それが乳価を下げた引きかえにあなた方がやらなければならない大事な点なのであります。金を幾らかつけたから、それで乳価引き下げ分がカバーできるなどと考えたら、僕がここでくどくど言ったように、酪農家は七万数千戸しかなくなっちゃったのです。もう五、六年たったら消えてなくなっちゃいますよ、今のままでいったら。一体そのときにどうしようと考えているのか、その点も明確にならないまま乳価が引き下げられたのです。そのために関連対策が出てきたのだが、関連対策も実に中身がわからぬ。国費のむだ遣いだと言われる可能性さえありますよ。だから、生きるような金の使い方をする意味でも、今の局長のような答弁では僕は納得ができません。後ほどまた改めて問題にいたしたいと思います。  さて、競馬の問題に入ってまいります。言わずもがなのことでありますが、競馬会法第一条は「畜産振興」ということを目的に挙げ、その趣旨に沿って競馬が行われているわけであります。幸いなるかな中央競馬会は、今地方競馬、北海道で言えば輓馬輓馬競馬などを含めて斜陽に向かいつつあると言われているときに、日本中央競馬会は何とか命運を保っておる。これは関係者努力があるということについて私は否定はいたしません。しかし、競馬法競馬会法、この法律そのもの大変皆さんに支えられているということでありますから、このファンを大事にしていくということも、忘れてならない競馬会がやらなければならない仕事の一つだと思っております。  それは後ほど触れますが、まずはこの第一条の趣旨に沿って、「畜産振興」、こうなっておりますので、この畜産振興を今度の法律でも図っていこうということの一環であるというふうに私は受けとめるわけであります。特に酪農は、今申し上げましたように、ことしは理事長も御承知のように乳価引き下げ、酪農家は塗炭の背しみをまた余儀なくされるという状態にあるわけです。ですから、いろんな対策が総合的に行われて、何とかその中で生き残っていく道を考えなければならぬという厳しい酪農畜産を取り巻く状況にあるということも御認識いただいていると思います。新理事長畜産局局長さんもおやりですからもうよくおわかりで、私ども何度も何度もここで議論を闘わした方でございますから詳しいことを申し上げる必要はない。そういう畜産振興趣旨というものを損なわない中央競馬会の運営がこの先も行われてほしいと僕はまず期待をしている。  しかし、実際にはこの中央競馬を支えている大変たくさんのいわゆる裏方さんもいます。そしてまた、同時に生産者が何よりもいい馬をつくり、ファンに喜んでいただけるようなレースが展開できるような馬の育成にそれこそ寧日なく努力を続けているわけですね。ところが一面、その努力が報われずに、赤字になり、負債が固定化して払い切れないような状態も生まれている、この点を私たちは憂慮しているわけであります。この対策にしっかりと取り組んでいただくということが私は大変大事だと思います。もちろんこれは中央競馬会澤邊理事長に言うことではなくて、むしろこれは政府に言うことだと思うのでありますが、いかんせん政府は今逆さに振っても鼻血が出ないというような思いをかみしめているときだから、どうしても勢い金のあるところに頼らざるを得ない、こういう苦肉の策にならざるを得ない。まことに悔しい限りでありまして、行政府としてはいかにもこれは無念なことだと思うのでありますが、まともなことができないでおるというのは、これは現状考えますと私もそれ以上追及できませんけれども、そういう面でいささか中央競馬会努力にまたなければならぬところがたくさんあると思うのです。この私の考えに対して、まず大臣からお話を承りたいと思います。
  12. 山崎平八郎

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  日本中央競馬会法におきましては、競馬の健全な発展を図ることによりまして、馬の改良増殖その他畜産振興に寄与することをその趣旨としております。  また、日本中央競馬会法におきましては、中央競馬国庫納付金の四分の三に相当する金額は畜産業の振興のための経費に充てることとなっておりまして、このような競馬会法趣旨にのっとりまして、生産価格、構造、流通と各般の面にわたって畜産振興対策を講じているところでございます。
  13. 島田琢郎

    島田委員 続いて、理事長からも御意見をいただきたい。
  14. 澤邊守

    澤邊参考人 ただいま島田先生お話しの日本酪農初め畜産のいろいろ困難な事態につきましては、私も理解をしておるところでございます。  競馬会の立場といたしましては、中央競馬会法にもございますように、競馬の健全な発展を図りますとともに、馬の改良増殖その他畜産振興に寄与するという目的が明示されております。したがいまして、私どもといたしましては、競走馬を中心といたします馬の改良増殖、強い馬をつくり立派な競馬に役立つ、また生産、育成の経営の安定を図っていく。御指摘ございましたように現在軽種馬の生産経営は負債を抱えて困難な経営が少なくないわけでございまして、農林水産省の御指導で経営改善対策が行われておりますので、それに対しまして競馬会といたしましても基金の造成に対して協力をさせていただいておるわけでございます。  また、ただいま大臣からお答えございましたように、第一国庫納付金、第二国庫納付金の四分の三は畜産振興に充てるという規定になっておりますので、私どもといたしましては、競馬の健全な発展を図り、売り上げの増を図り、また決算上の利益剰余金の増大を図りまして、畜産に充当し得る財政収入の確保にさらに一層努力をしてまいりたい、と考えております。
  15. 島田琢郎

    島田委員 ところで、先ほどちょっと触れましたけれども、軽種馬の生産振興の大変ネックになっているのではないかと言われておりますのが負債の問題です。この負債整理対策について具体的にお聞きしたいと思います。
  16. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 軽種馬生産農家は北海道を中心といたしまして二千四百戸ばかりあるわけでございますが、その経営の一部におきましては、借入金によって急速に規模拡大をした等によりまして固定化負債を抱えて困難な状況になっている農家が出てまいっているわけでございます。  そこで、これに対する対応といたしましては、本年度社団法人でございます日本軽種馬協会が日本中央競馬会等の補助を受けまして三カ年計画で軽種馬経営改善資金制度を設けたわけでございます。この具体的運用といたしましては、毎年償還期に達したものの中で償還が困難なものを長期低利資金に借りかえさせるというふうな内容でございまして、この措置を本年度から実施しているわけでございます。また、この種の負債整理対策実施に当たりましては、何と申しましても負債発生の要因なり経営不振の要因が農家個々によって異なるわけでございますので、こういった資金融通措置にあわせまして、生産者団体、関係団体が一体となりまして農家ごとに最も適切な経営技術等の面の指導を行うという方向でやっているわけでございます。
  17. 島田琢郎

    島田委員 今のお話は、本年度からというのは六十一年度からという意味ですか。
  18. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 失礼いたしました、六十年度からでございます。
  19. 島田琢郎

    島田委員 どれくらいの規模で今やっているのですか。
  20. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 三カ年間で融資額九十億ということでスタートいたしております。
  21. 島田琢郎

    島田委員 これは、酪農負債とか畜産の経営再建資金で考えられておりますような条件、利子だとか償還条件とが借り入れの条件とかいろいろありますが、ややそういう感じの対策ですかり
  22. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 ただいま先生指摘のように、私どもこれまでやってまいりました酪農あるいは肉用牛に対する資金対策をおおむねなぞらえましてやっているわけでございまして、内容について申し上げますと、貸付条件でございますが、末端貸付利率は年五・五%、特認は五・〇と考えております。償還期限につきましては七年以内、うち据置期間一年以内ということでございまして、融資枠はただいま申し上げましたように三カ年累計といたしましておおむね九十億を予定しておるということでございます。なお、実施するに当たりましては、原則として毎年次の償還不能な年償還額について借りかえを行わせるということでございまして、同一経営については六十年度から三カ年間継続して実施するということで実施をいたしておるわけでございます。
  23. 島田琢郎

    島田委員 しかし、これは回転資金でないでしょう。負債整理対策資金でしょう。一体七年なんてこんな短いことで経営の再建できますか。それほど簡単なものでないんじゃないでしょうか。しかも据え置き一年なんといったらこれはないに等しいです。借りる手続をやっているうちに一年たっちゃうのですから、借りた途端に返さにゃならぬ。この前も酪農畜産の負債整理対策で、いわゆる一年以内の据え置きなんということを持ち出されて、我々に追及されて実態を調べてみたら、全く僕の言ったとおりなんで、これは据置期間とは言えないというので二年か三年に延ばしたという経緯があるのですよ。こんな不親切な負債整理対策ってあるのですか。せっかくおやりになるなら、末端金利も五・五%はひどい。負債整理対策と言えば三%ぐらいにしてあげないと、とても軽種馬の生産農家は立ち上がれません。これは改善する考えはありますか。
  24. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 本件につきましてはいろいろ関係者集まって議論した結果の内容でございますが、償還期限につきまして七年以内というのは、先生御案内の乳用牛合理化資金と同じでございます。  ただ金利につきましては、確かに特認といたしまして三・五%は肉用牛に使われておりますが、これは都道府県の上乗せを考えての措置でございまして、本件につきましてはなかなか都道府県の上乗せが期待できないということがございまして、特認につきましては五・〇という、通常よりも〇・五%低い水準に置いているわけでございます。
  25. 島田琢郎

    島田委員 せっかくやったのならやはり喜ばれるようなやり方をしたらどうですか。都道府県の協力が得られないから金利の引き下げはできないんだ、そんなことを言わないで、十年ぐらいにして三年ぐらいの据え置きをもっとやらなければ、今はもう苦しいから何にでも飛びつきたいから、こういう制度が出てきたらそれっというので飛びついてはみたものの、せっかく借りた金がまたぞろ焦げついて、乗りかえ乗りかえしなければならぬというような実態になって、結果的にはこの金がさっぱり生きないというようなことになりかねない。今まで酪農畜産の負債整理対策を我々手がけてきた中で、そういうことを体験上私は指摘をしておきたいのです。これは善処されるよう望みたいと思います。  その次でありますが、冒頭でも申し上げましたように競馬法、これはファンの間からもいろいろ、改正すべきだというような声が早くから上がっておりますね。この具体的な内容は、きょうは竹内委員が大変専門的に取り組んでおりますのでその議論に任せたいと思いますが、私はこの点について非常に不満がございます。  何となれば、この問題提起はきのうきょうに始まったわけではないのですね。私のような競馬に対して余りよくわからていない素人に対しても、あらゆるところからいろんな意見が寄せられています。なぜ改正しないのか、国会ではこういう問題についてなぜもう少し議論してくれないのかという不満も含めて、たくさんの意見または批判が寄せられております。二、三十件できかないくらい来るのです。  だから私も一生懸命勉強いたしまして、競馬法なるものの中身について、その不備なる点を検討してみました。これはきょうは時間がないから余り触れることはできませんが、ただ不満なのは、農林大臣の諮問機関として競馬懇談会というのが組織されていた。ここが、現行法は極めて硬直的である、同枠取り消し対策としての単枠指定制はあくまで暫定措置であって、法改正を含めて基本的に検討されたい云々、これは御存じですね。これが実は四十八年三月に農林大臣に意見として出されているのですね。一体何年前でしょうか。もう十二年以上も前になるのです。この検討がどのようになされたかこの際聞きたい、こう思います。
  26. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 ただいま先生指摘の、現在問題になっております同枠取り消しの問題についてでございます。この問題につきましては、確かに昭和四十八年の競馬懇談会におきまして御論議あったわけでございますし、私どももこの御論議を踏まえましていろいろ検討してまいったわけでございますが、現在のところ抜本的な解決策を見出すに至っていない、率直に申しましてそういう状況でございます。  そこで、現在の対応といたしましては、先生御案内のように、単枠指定方式、これは本命馬等の人気馬を一枠一頭にする方式でございますが、この単枠指定方式によって対処をしているというのが現状でございます。他面、確かに現行方式にはいろいろ問題があるわけでございますが、ただ、それなりに現在ファンの中に定着をしているということも事実であろうと考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、競馬ファンの方々に喜んでいただけるような最良で公正な競馬を施行するということが基本でございますので、この問題につきましても、いろいろ問題多うございますが、さらに各方面の御意見を承りながら引き続き検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  27. 島田琢郎

    島田委員 十三年たってまだ引き続き検討ですか。そんなまどろっこしい行政ってどこにあるのですか。驚き入りました。これではやはりファンからいろいろ問題が出されて、ごうごうたる非難が寄せられるのは当たり前であります。  冒頭申し上げましたように、中央競馬会に限りませんが、競馬、これはそもそもファンがあって初めて成り立つものですね。その原則が忘れられてはいけないわけでありますから、常に競馬ファンに対するサービスを忘れるということはできないわけであります。ところが、具体的にいろいろ検討して、しかも競馬懇談会までがたまりかねてこういう提言をした、農林大臣に対していわゆる答申をした、あれから十三年、あなたのお話によるとまだこれから検討し続けるという。二十一世紀までかかっちゃうのですか。こんなことをやっていたら、地方競馬と同じように中央競馬もだめになってしまいますよ。なぜ前向きに真剣に取り組むという姿勢が出てこないのか、私は不思議です。  ですから、少し具体的に申し上げますと、まあ幾つかあるようでありますけれども、私の検討いたしました結果によりますと、さしずめ四、五点になるのではないか。  その第一は、今例として挙げました同枠取り消しの問題であります。これは友引制度、こういうものでありますが、法十二条の二項にかかわる問題ですね。  それからもう一つは、これだけ多様化した、いわゆるファン層も大変幅広くなってきて、いろいろな階層、御婦人まで今参加してくれるようになりました。そうすると今までのような同じやり方のマンネリの馬券の売り方というのは、これはファンにアピールしませんね。いろいろな種類のものをメニューを並べてほしいという要求が出るのが当たり前だと思うのです。そうした新種馬券の開発ということについても法制度上大変制約があってできないということになっている。これは法第六条であります。これももう少し幅を広げてもらいたい。メニューをもう少し並べて、みんなが買いやすくしてもらいたい、こういう要求にこたえるのには、この法律の改正がなくてはいけない。  それから、特別登録料というのがありまして、一万円以下、これは法十八条であります。これも極めて不合理だ、実態に合わない、こういうものが指摘されています。  さらに配当金の端数切り捨て、これは法第十条でありますけれども、これだってはかにならぬ金額になるのですね。一説によりますと、この端数切り捨てだけで何億にもなるのですね。ですから、たまりたまればそれだって、ファンの側から見れば切り捨てられたことによって何となしに損をしたという気になる。これは当たり前の話であります。これはやはり四捨五入か何かの、合理的なだれでも納得できるような仕組みに改めるということが大事でないでしょうか。  それから最後に控除率であります。二五%控除率。これによって今までも中央競馬会はいろいろな施設を新しくしたりあるいは趣向を凝らして、皆さんに御不便をかけないように、楽しんでもらうように、つい最近は中山競馬場が装いを新たにしてファンに大変期待をされているという実例もございます。やればやれぬことはない。そういう問題には取り組んでおられるようでありますが、これは忘れてならないいわゆる努力の部分でございます。  そういうことを受けまして、昨年の十二月にまた、中央競馬ファンクラブ連合というのがあるのですね、あれだけたくさんの、競馬人口何千万と言われているようなときでございますから、こういうクラブがあるのは不思議じゃありませんが、これは具体的にまた複数馬同居枠からの出走取り消し、つまり発走除外のこういう取り消しに対して、そこを中心にしてアピールがありました。そこを調べてみますと、五十八年度だけで二十件、三十億余りのいわゆる取り消しが行われている。こういうふうに、やはりファンがたくさんおりますから金額が大変かさばりますね。一人に分けたら幾らでもないという話になるのでありますけれども、決してこれはゆるがせにできない、いわゆる改善すべき点ではないでしょうか。そういうファンクラブ連合というのがアピールを出している。我々もこのアピールをいただきました。ぜひ前向きに取り組んでもらいたいという要求でありました。  こうした一連の改善に対して、当面中央競馬会理事長という立場では、担当する責任からこの問題に対してお取り組みをしているのではないかと思うのですが、いかがなんですか。
  28. 澤邊守

    澤邊参考人 競馬法の改正問題につきましていろいろ問題点を御指摘いただきまして、改正の検討を進めるべきであるという御意見を承ったわけでございますが、競馬法の改正問題は、ただいま先生が御指摘になりましたほかにもまだ数点問題点はございます。  厩務員の名称を古い馬丁という名前を使っておるとか、あるいは競馬場が横浜だとか宮崎にあるけれども実際には競馬場として使用されてないというような問題等もございます。その中で、御指摘ございました同枠取り消し問題は一番大きな問題で、実は基本的な問題でございますので、競馬会といたしましても、もし改正するとすれば、これは政府の行うべきことでございますけれども競馬を施行している私どもの立場としても検討を進めてまいっております。これまでも研究会のようなものをつくりまして種々検討した経緯もございます。  その結果、これはなかなか成案を得るところまでいかない。といいますのは、私も昨年の七月に競馬会理事長を拝命しましてから、この問題は前任者からも、非常に大事な問題であるからよく検討しろよという引き継ぎを受けております。そういうこともございまして、いろいろな方にいろいろな意見を打診をしてみておるわけでございますが、なかなか意見が統一しない、人によって非常な意見の差があるということでございます。  詳しくなりますから一々申しませんけれども、したがいまして、現在のところ、抜本的な解決ではないけれども、同枠取り消し問題が起こらないような予防策といたしまして、馬体の検査だとかあるいは調教の審査だとかいうようなことを厳重にやりまして、出走を予定していたのを取り消すということのないような予防策を講じたりあるいは単枠指定制度をとったりしておりますが、これで根本的に解決したというわけではないということは御指摘のとおりでございます。しかし、専門家の方、ファンの方に聞きましても各人各様でなかなか意見の一致を見ないという大変難しい問題である。連勝式の複をやめなければ解決しないのだとか言う人もあるくらいでございまして、大変難しい問題である。したがって、現在の対策ですべて事終われりというつもりはございません、さらに引き続いて検討はして、いい成案が得られてしかも皆さんの同意が得られるならばぜひ改正をしていただきたいという気持ちは持っておりますけれども、なかなか成案を得るところに至っておらないというのが現状でございます。
  29. 島田琢郎

    島田委員 中村勝五郎さんという馬主連合会の会長さんをおやりになった方が、我が国の競馬法はこれはいただけない、せめてフランス並みの改正が必要だ、こういう提言を本にしておりますね。私もこれを読みました。あるいはまた芸能界では大橋巨泉なんというのが大変競馬に熱心でありまして、私のところにもいろいろなことを言ってきました。国会に呼んで参考人でおれに何か物を言わせるという話で、それは私の知るところではありませんが、大臣、かなりの人たちがいろいろな角度からいろいろな提言をしている、これを真摯に受けとめていただきたいと思います。  中身については専門家の竹内さんがおやりですから、私はこの程度にして先に進みたいと思います。  ところで、場外馬券売り場の話なんですけれども、北海道に例をとりますと、釧路に一昨年でしょうか場外馬券売り場ができました。冒頭申し上げましたように輓曳競馬も含めまして北海道は地方競馬、最近は大変経営が苦しくなっています。中央競馬の馬券売り場が地方競馬を圧迫するのでではないかというので大変みんなが警戒心が強うございます。私もそうあってはならぬと思いまして、新設に当たっては立地条件を十分考慮しまして無定見に流れることがないようにしてほしい、こう思います。ただ、釧路の馬券売り場の設置に当たりましてもいろいろな意見が道内にはあったようであります。最終的には中央競馬会から提案されて相乗り場外という方式をとられた、これが目下のところは成功している。これは一つの見識であろうと思う。そうやって中央、地方が共存できる、そういうことを十分頭に置いて進めていただきたいと思うのです。  現実に、私の周辺にも新しい馬券売り場をつくってほしいというお話があるやに聞いています。しかしそう簡単に今言われているような場所につくるということになれば、北海道競馬は中央、地方を含めて大混乱に陥るというふうに私は懸念をしておりまして、との辺の扱いは慎重にあってしかるべきではないか、こういう私の見解も持っておりますことをつけ加えて、との点に対する考え方を聞きたいと思います。
  30. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 ただいまございました競馬の場外施設につきましては、競馬に実際には行けないそういったファンのニーズにこたえるものとして大きな彼割を果たしておるというふうに考えておるわけでございますが、一方また、競馬ファンの増加なり場外施設の不備に乗じましていわゆるのみ屋がはびこりまして、これによる収入が暴力団の資金源となる、そういった面もあるような状況でございまして、これの対策も必要であるというふうに考えておるわけでございます。  このようなことから、場外施設の整備につきましては地域社会との調整を図ることを基本としながら進めているわけでございますが、特に先生指摘地方競馬との関係につきましては、地方競馬自体総じて申し上げれば困難な事態にあるわけでございますので、それとの関連を十分に勘案する必要があるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、場外施設の整備に当たりましては、これらの点を踏まえまして慎重に対応するように私どもとしては中央競馬会を指導しているところでございます。
  31. 島田琢郎

    島田委員 理事長のお考えも聞きたいです。
  32. 澤邊守

    澤邊参考人 今局長から御答弁いたしましたとおりでございますが、特に北海道地区につきましては、道営競馬あるいは市営競馬いずれも業績が非常に低迷しておりまして御苦労なさっております。その経営の立て直しに道、市を挙げて御努力をなさっている最中でございます。したがいまして、地域との調整のほかに、特に地方競馬、北海道全体の地方競馬に対する影響ということは重重念頭に置いて、そういう点に問題のないところについては設置も検討いたしますけれども、その調整がとれない限り増設をするということは控えていきたいというふうに考えております。
  33. 島田琢郎

    島田委員 たまたま国際協調のための経済構造調整研究会、経構研というところからこういう報告書が出されておりますのを私は手にいたしました。この中で農業部門で言いますと「国際化時代にふさわしい農業政策の推進」という項目がありまして、市場開放、今十二品目を初め新ラウンドの問題がこの年メジロ押しになってまいります。サミットでも恐らくこれは話題になることでありましょう。今の中曽根総理のあの異常なまでの市場開放にかけるものを考えますと、我々としてもこれは容易ならざる姿勢で臨まなければならない。昨日も私は大蔵委員会の補助金一括削減法案の連合審査で江崎担当大臣にもこのことを指摘をいたしました。保利政務次官はよくお聞きになっていたと思うのでありますが、一体何が出てくるかわけがわからないという心配も私たちは重ねて強く持つのであります。  そういう中に競争馬の輸入問題、これが警戒を払っておかなければならないものだ、私はそう思っているのです。つまり、競馬会の軽種馬を中心にした生産対策というのは幅広くしかも濃密的にやらなければならないのでありますが、その一つとして、今関税を四百万円払うと馬が外国から入ってきますね。容易に手に入れることができるということです。今のように為替レートが円高に推移をいたしますとますますこれが容易になってくる、こういうことでありまして、関税四百万円を八百万くらいに上げたら一番いいのでありますけれども、なかなかそうもいかないところはよく理解するのであります。しかし、ほうっておきますと、あるいは無関心でおりますとここに風穴をあげられる、こういう心配を最近強く持っています。この対策についてはやはり具体的にやっていただかなければならぬと思います。  同時にまた、急がれるのは産地における体力強化であります。これは我々農家は常に言われていることでありますが、先ほど軽種馬生産農家の経営実態に触れて、私はきょうは負債整理対策だけ取り上げました。その負債整理対策は、今おやりになっていることについて私は不満を述べました。それがまさにこの一つにもかかわってくる話であります。ですから、体質を強くということに対して、一方では海外からの攻勢をはねのけていくということが大事でありますが、当面円高が予想のつかないような状態で進んでいく、四百万払っても入れてきた方が得だというような認識に計算上なるとしたら、これは大変困ったことになる、体力をつける前にみんな倒されてしまう、こういう心配があります。この競走馬の輸入問題につきまして見解を承りたいと思います。
  34. 保利耕輔

    ○保利政府委員 御承知のように競馬は古くから世界各国で行われておりまして、競馬で走る馬の強いものをつくろうという動きがあるわけでございます。したがいまして、世界各国には先生御存じのようにすばらしい馬がございますが、日本におきましても特に日高地方におきまして、地域産業ともいうべき、あるいは農家経済にとって非常に重要な地位を占めているという軽種馬の生産地域があるわけでございます。  軽種馬生産の安定的発展を図りますためには、需要に見合った計画生産の推進と、そして何よりも競馬で強い馬づくりを主体といたしまして、輸入の馬に対抗できるようなものをつくっていくということが重要だと思っております。  そのために政府といたしましては、草地開発等に対する助成あるいは公庫資金等の融通、あるいは馬の病気、特に伝染性の貧血症といったものに対する予防措置等の施策を講じてきております。  さらに、日本中央競馬会等の助成を通じまして、日本軽種馬協会に対して優良種雄馬の供給でございますとか、あるいは昭和六十年度におきましては、軽種馬の流通の合理化と適正な価格形成を図りますために、北海道に総事業費六億円をかけまして軽種馬市場を整備をいたしたところでございます。さらにまた、衛生対策といたしましては、伝染性の子宮炎の診断及び治療技術の確立のための調査研究などを行ってきたところでございまして、軽種馬生産の安定的な発展を図ることによりまして輸入の馬に対抗すべきであるという考え方に立っておるわけでございます。  政府といたしましては、今後とも軽種馬生産振興と軽種馬生産農家の経営の安定化のために、日本中央競馬会との連携のもとに、軽種馬能力の向上あるいは農家の経営体質の強化、伝染性疾病等の防圧、あるいは軽種馬流通の改善など、各般の対策を一層強力に進めまして、今の先生の御心配に対応したいと存じております。
  35. 島田琢郎

    島田委員 直接的には関税障壁の問題についてお触れにはなりませんでしたけれども、私はあらゆる知恵を払ってここの障壁をしっかりと守ってもらいたい。そして、雪崩を打って競走馬が入ってきて国産と競合してどうにも抜き差しならぬ状態になるようなことのないように、ひとつ厳に行政の立場ではこの点に配慮を加えてもらいたいと思います。  さて、あと一分ありますが、大臣、せっかくおいでなのにさっぱり質問しなくて申しわけありませんでしたが、今一連の畜産酪農から始まりまして、畜産対策、今の競馬の問題、これはすべてかかわりがあり、関連がある我が国農業にとって大変大事な点の、部分的ではありますけれども幾つか問題提起を私はいたしました。しかし、返ってくる答えは私にとっては極めて不満足なものが多い。中には一生懸命やっていただいているものもありますけれども、これでは私は大変我が国の農業の将来に心配があります。  かつて山崎大臣は主としてこの委員会におって私たちと一緒に日本の農業を喜んだり悲しんだり、あるいは心配したりした仲でございますが、今は国土庁長官という立場におられますけれども、やはり農業に対しては重大なる関心を持っている議員の一人と私は受けとめております。御感想を最後に一言承りまして私の質問を終わりたいと思います。
  36. 山崎平八郎

    ○山崎国務大臣 ただいまの島田委員のお話、大変感銘深く承りました。農林水産委員会でともに長い間苦労をした仲間でございますけれども、きょうの先生の御質疑によりまして、競馬という一つの古くから伝統を持った競技でございますが、これがまた農業に大きく寄与もいたしておりまして、特にまた最後に先生お触れになりました円高問題、これも非常に軽視できない重要な問題と存じますので、これらを総合的によく思料いたしまして、そして対策を誤らないようにしっかりと頑張りたいと考えております。どうぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。
  37. 島田琢郎

    島田委員 終わります。
  38. 大石千八

  39. 小川国彦

    小川(国)委員 中央競馬会国庫納付金納付等に関する法案審議に当たりまして、今後の方針についていろいろお伺いしたいと思います。  最初に、これは農林水産大臣の方からで結構でございますが、政府全体としてあるいは農林水産省としまして、予算削減の方針というのが、全体的に事務費あるいは間接経費あるいは公共事業費含めて、それぞれ財政窮乏の折から五%ないし一〇%とカットされている状況がありますが、農林水産省ではどういうふうになっておりますか。
  40. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 農林水産省の予算につきましても、こういう生命産業ということで何とか総額の確保には努めたわけでございますけれども、前年に比べまして九六%強ということで決着を見ております。
  41. 小川国彦

    小川(国)委員 ちょっと金額がよくわからない。九四%ですか。
  42. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 九六%強でございます。
  43. 小川国彦

    小川(国)委員 それから、五%、一〇%という形で全体に削減の方針が大蔵省から出されるのですが、農水省の方はどういうふうなことで大蔵省の方からは来ておりましたか。
  44. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 五%、一〇%は夏の段階のシーリングの話でございまして、このシーリングにつきましても一律ではございませんで、それぞれ事業の性格等に応じまして例外規定等がございまして、そういう一般的な閣議決定を見ましたシーリング枠につきまして夏の段階で要求し、その後大蔵省と協議を詰めまして、先ほど言いましたような決着になったわけでございます。
  45. 小川国彦

    小川(国)委員 いずれにしても、国のシーリングの中で農水省のいろいろな、間接的な経費で五%とか公共投資一〇%とか、たしかそういう削減の方針がありまして、そういう中で予算折衝が進められてきたと思うのです。  その問題はさておきまして、それを伺ったのは、国の財政も非常に厳しい、そういう中で中央競馬会の金の使い方を見ておりますと、相変わらず非常にむだ遣いが多いのではないかというふうに私は思うわけなんです。  その中で、私以前にも取り上げてまいったのですが、中央競馬会のハイヤー・タクシー代、それから食糧費、海外派遣旅費、そういうものの予算が全く減っていないという状況ですね。例えばハイヤー・タクシー代などを見ますと、五十八年が二億九千五百七十四万、五十九年は三億三千二万、六十年は三億六千二百十万、こういうふうにハイヤー・タクシー代は非常にふえておりますし、車両借り上げ料も、五十八年の二億五千二百万が五十九年は二億六千九百万、六十年は二億五千四百万、ハイヤー・タクシー代と車両借り上げ料を総計しますと、五億四千万から五億九千万、そして六億一千六百十万、こういうふうに非常にふえてきているのですね。収入の中を見ると、七割くらいが場外馬券売り場の収入でふえてきているので、こういうハイヤー・タクシー代、車両借り上げ料というのは非常にむだ遣いといいますか、経費の削減の傾向というのは全く見られないのではないか。農水省本省もこういうハイヤー・タクシー代とか車両借り上げ料というのはここ数年ふえているのですか。まず農水省の方から伺います。
  46. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ハイヤーでございますとか、そういういわゆる庁費につきましては一般的に前年より若干ずつここのところ減ってきている状況にございます。
  47. 小川国彦

    小川(国)委員 恐らくこれは農水省だけじゃない、各省庁みんなそういうふうに削ってきている状況なんですが、こういうふうにハイヤー・タクシー代とかがふえてきている。六十年度六億一千六百十万円という車代を単純に全役職員千八百五十六人で平均に使ったとして一人三十三万円ですね。仮にこれが三分の一程度の人が実際に車を使う人だとして考えてみると、一人当たり百万円ハイヤー・タクシー代を使っているということになるのですが、中央競馬会理事長さん、こんなに支出増を必要とする理由というのはどこにあるのですか。
  48. 澤邊守

    澤邊参考人 ただいま御指摘ございましたハイヤー・タクシー代その他につきましては、かねがね御指摘もいただいておるところでございまして、私どももできるだけ節減をする努力はいたしておるつもりでございます。  ただ、競馬事業といいますのは、よく言われますけれども、興行という特殊な事業でございますので、その辺、他の一般の行政関係の仕事とは若干性格も違うために、関係者も馬主、調教師、騎手、その他多数おられますし、また、競馬を開催いたしますと、場外を含めまして地元の方々にいろいろな御迷惑をおかけするというようなこともございますし、また、私ども競馬の発展のためには、できるだけ幅広く国民の各層の方々に競馬を楽しんでいただくという意味で、ファンの新規開発というようなことにも努力しておるつもりでございます。そういうような関係から、タクシーあるいはハイヤーを使う面がどうしてもふえてくるわけでございます。  一時減ったこともございますが、最近またふえてきているじゃないかという御指摘も受けるわけでございますが、この点につきましては、ハイヤー・タクシーの料金も御案内のように若干上がってまいっておりますし、私ども事業全体が伸びておる中で、例えば場外の売り場、電話投票所等がふえてまいっておる、新設もいたしておりますのでふえてきておるというような事情もございまして、どうしても抑制には限界があるということでございますが、なお御指摘の点は十分念頭に置きまして、むだのないようにできるだけ効率的にしていきたいと思います。  その一つといたしまして……
  49. 小川国彦

    小川(国)委員 わかりました。その辺でいいです。ハイヤー・タクシー代だけで時間が終わりそうな答弁になりそうですね。  次に移りたいと思いますが、このハイヤー・タクシー代の使途も、興行というふうにおっしゃっていますが、では興行形態として必要な部分は一体どういう部分であるのか。それから、用途別にこの明細をいただきたいと私は思うのですよ。普通の千八百人ぐらいの事業体で、そして売り上げそのものがそれほど変化をしていないのに、こういうものだけが異常にふえていく。私は、官庁の紊乱の形態というのを見ていますと、役職員が大体タクシーのチケットをみんなポケットに持っているのです。どこかで私的な会合、何をやってもそれをぱっぱと使うという形があるのですよ。私はあえて、やはり中央競馬会もこういう使い方というのは、大体そういう使い方をしているところがこういう金額になってくると見ているのです。では、純粋に興行関係は何なのか、内部用務では何なのか。  それから、皆さんの方は、前回私が指摘をしたら、中央本部のものは今度ふやせないので、中山と東京の方ががんとハイヤー・タクシー代が上がってきているのです。これはうまく分けたのじゃないかと見ているわけなんですが、いずれにしても、農水省、国全体の政府機関がこういう交通費をまずきちっと削減していこうというときに、年年売り上げがふえる、その売り上げのふえ方だって横ばいのような状況の中でこれだけがふえていくというのは異常なので、やはりこういうところは考え直すべきじゃないか、これは御指摘しておきます。  それから、次に食糧費なんですけれども、これも本部費で五十八年四千九百万が、五十九年五千三百万、六十年五千七百万、その他も二千六百万、二千七百万、三千万とふえて、開催場の方も一億二千五百万から一億四千二百万、一億五千百万とふえてきまして、総計では六十年で二億三千八百万という食糧費なんですね。これはかなり巨額な交際費じゃないかというふうに思うわけなんです。  それで農林本省の状態を見ると、競馬会が千八百人で二億三千八百万の交際費、接待費に対して、農林本省は、本省で四千五百人、全体で三万人いる職員の方の使っているこの交際費というのは、五十九年度で六百十九万五千円、こういうのですね。何十分の一になりましょうか。私は、また興行だとこうおっしゃるのじゃないかと思うのですけれども、それにしてもこういう交際費、食糧費の使い方も異常ではないか。理事長がどう答弁されようと、中央競馬会が大体どんな業務で支出を必要とするかというのは、短い時間では言い切れませんが、およそ私はわかっているのですよ、そういう中での食糧費というのは、興行という名をかりて、興行とは言いながら、実際、国営の競馬ではそんな興行的な要素はなくても、場外馬券が七割の売り上げの中で、そんな手間がかからなくてもできる状況になっているのですね。それにしても、この食糧費も年々こういうふうに二千万、三千万とふえてきている。これは、削減する方法というのはお考えになってないのですか。
  50. 澤邊守

    澤邊参考人 食糧費につきましては、私ども事業の性格上、外部の来客が非常に多いのが、内外を含めてでございますが特色でございます。また、競馬場で競馬を開催するときには、事前に、地元の方々にいろいろな点で御迷惑をかけるわけでございますので、そのためにいろいろな対策も講じておりますけれども、しょっちゅう打ち合わせをして、今回はこういうやり方をするのだというようなことで御了解を得るようなこともやっておりますし、また競馬サークルの関係者というのは馬主、調教師初め非常に数が多いわけでございますので、これらの方々との打ち合わせ、会合というものも実は多いわけでございまして、食糧費は内部の職員が全部使っておるということではないという点はぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
  51. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしましたら、それも大体目的別にひとつ明細をいただきたいと思うのですね。これは後ほど委員長にまたまとめてお願いします。  それから、次に海外旅行費なんですけれども、これもやはり減らないで年々ふえてきているわけなんです。五十八年が三十四名で四千六百二十一万、五十九年が四十名で五千三百十三万、六十年が三十八名で五千二百七十三万円、このほか厩舎関係者の海外研修にも五十八、五十九、六十年と十名ずつ、千四百万、千四百万、千五百万と出しているのですね。  これも本当に必要かどうかというふうに思うのですが、この支出の中で私が疑問に思いますのは。この海外旅費も相変わらずかなりむだ遣いがあるというふうに思うわけなんです。例えばニューヨーク・ジョッキークラブの研修会、ニューヨークの競馬場主催の研修会に行かれるということなんですが、その後、大体回って来られるコースを見ると世界漫遊の旅で、ほとんど世界各国を回って、二カ月ですね、六十日の視察をやってくる。国会でも今大体十五日ぐらいがおよそ出張の限度になっているのです。六十日というのは、なぜそういうふうに非常に長期間漫遊しなければならないのか。  それから、海外語学研修というのが五十八年、これも将来の必要な国際知識のためにというので、競馬会へ入ってから語学の研修をやるのではちょっと遅いのじゃないかという感じがするのですね。こういう話学研修が本当に必要だったのかどうか。  それから、第十九回アジア競馬会議というのを日本で主催しているわけですね。ところが、これは日本が主催なんだから、諸外国から来てもらうのだから旅費は要らないと思ったら、事前協議に各国を歴訪して会議のレクチャーをして歩いたという旅費がまた支出されているのですね。外国から来てもらうのに、事前に出回ってレクチャーまでやらなければならないのか。案内状をきちっと出せば済むのじゃないかというふうに思うので、こういうところでも皆さんの旅費のむだ遣いが目立つと思うのです。  これは一例ですけれども、いかがなんですか、こういう旅費も年々ふえてきているのですが、これをきちっと適正化していくということはできないのですか。
  52. 澤邊守

    澤邊参考人 確かに他の機関に比べまして海外旅費が多いということは言えると思います。ただ、私の申し上げたいと思いますのは、日本競馬事業としては非常に発展をしておりますけれども、歴史が浅いために内容は依然として後進国であるというような状況でございます。したがいまして、海外に学ばなければならないことが非常に多いわけでございます。生産から調教の技術から騎乗の技術からすべての面で、あるいはまた競馬の施行面で、レースの施行面、番組面、その他あらゆる面で先進国に学ばなければならない点が非常に多いわけでございます。歴史が浅いばかりではなくて、どちらかといいますと閉鎖的な環境の中でやってきておりましたので、早く世界に追いっきたいという希望がございましたので、研修あるいは視察ということで海外にいろいろ出しておるわけでございます。  そのほか、例として申されました、昨年行われましたアジア競馬会議でいろいろと海外に説明して回っておるじゃないかということでございますが、アジア競馬会議、あるいはまたジャパンカップといって、先進国から馬と騎手に来てもらいましてレースをやっていただいておるわけでございますが、これらにつきましてもなかなか来てくれないという面がございます。日本世界一流の競馬国というふうには評価されておらないために、なかなかいい馬が、いい騎手が日本に来てくれない。そのために賞金もある程度考慮しながら上げて、こういう内容で立派なレースをやるんだからぜひ来てくれという勧誘に回らなければいけない。それによってできるだけいい馬を集め、いい騎手を集めて充実したレースを展開することによって、ファンに喜んでいただくと同時に日本競馬水準をレベルアップしたい、こういうようなことで海外にまで勧誘に行っているわけでございます。その辺の御事情もぜひ御賢察いただきたいと思います。
  53. 小川国彦

    小川(国)委員 しかし、参考にちょっと伺いたいのですが、語学研修に総務部調査役がアメリカへ八十六日間、百九十六万九千円というのですが、八十六日間どういう話学研修をなすっていらしたのですか。
  54. 澤邊守

    澤邊参考人 私もうかつでございまして具体的な内容はただいま承知しておりませんが、先ほどもちょっと申しましたけれども、海外からお客さんが来たり私の方から出かけたりすることが非常に多いところでございまして、語学ができないとなかなか仕事ができない。私自身はその点で非常に苦労しておるわけでございますが、職員にもなるべく語学研修でしゃべれるようにしろということを、こういう海外へ長期に出かける者だけではなしに、指示して勉強させておるわけでございます。そういう中の一環としてやっておることだと思います。
  55. 小川国彦

    小川(国)委員 しかし、こういうことは恐らく珍しいと思うのですよ、日本の特殊法人でも。語学研修というのは日本でも十分できるわけでございますから、競馬会も研究していただいて、八十六日間海外出張しなくても語学研修ができるような方法を一つ講ずれば百九十六万節減できるのじゃないかと思うのですが、よく御検討いただきたいというふうに思います。  それから、競馬会中央競馬福祉財団を通して施設助成金を出していらっしゃるのですが、毎年大体二十二億、二十三億と出してきて、昭和六十年度では二十二億八千五百万、馬主協会関係で三百六十件、場外関係で六十三件、県関係で百十七件、公益法人関係で十七件、総計五百五十七件。各年五百件から五百五十件福祉財団が施設助成金を出しているのですが、五年間も毎年助成を受けている施設が六十四カ所もあるのですが、これはどういうわけですか。
  56. 澤邊守

    澤邊参考人 中央競馬社会福祉財団が民間の社会福祉施設に対しまして種々の助成をしているわけでございますが、これは私ども中央競馬会が馬主協会賞という賞金の一種として出しておるものを馬主協会が自主的に福祉財団に拠出をいたしまして、一定の基準に従いまして競馬場の所在地あるいは所在地周辺の地方公共団体の区域あるいは場外の売り場の周辺の地方公共団体の区域を中心にいたしまして、全国的に社会福祉施設に助成をしておるわけでございます。したがいまして、これは馬主協会が拠出した金を財源にしました福祉財団の自主的な社会慈善事業と申しますか、例えて申し上げればそういう性格でございますので、私ども一々中身につきましてこうしろああしろということは、細かい点については差し控えておるわけでございますが、交付に当たりましては、都道府県段階におきましては都道府県の民生、福祉関係の職員あるいは共同募金会等の参画を得て推薦委員会等を開催し、その審議の結果中央の福祉財団に推薦をされてきて交付するというようなことをやっておるわけでございます。
  57. 小川国彦

    小川(国)委員 一々この中身については差し控えているということなんですが、もとは中央競馬会の売り上げの中から行っているわけなんですね。もしいわゆる競馬サークルの中の馬主に対する優遇策をやろうというなら、何も馬主協会を通じて福祉事業中央競馬会がやらなくてもいいというふうに私は思うのですよ。福祉は厚生省なり所管の省庁がきちっと中心になってやるべきで、馬主さんがやるべき仕事ではない。だから、今その中身については理事長自身もわからないわけですよね。  今私が聞いたように、五年連続して行っているのはどういうわけかわかりますか。
  58. 澤邊守

    澤邊参考人 どういう事情で具体的に同じところに行っているかということは、私は承知しておりません。
  59. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、補助金を出している中で、宗教法人が経営している保育所等に対しても助成金を出しているのですよ。これは文部省でも厚生省でも、宗教法人が経営するところに補助金を出すのは好ましくないという方向にあると思いますが、厚生省か文部省の方がいらっしゃっていましたら、その辺についての御見解を承りたいと思います。
  60. 荻生和成

    ○荻生説明員 厚生省関係の国庫補助の対象となります社会福祉施設の設置者の方につきましては、地方公共団体、それから日本赤十字社、社会福祉法人、それから民法三十四条によって設立された財団等の法人でございます。それに限定されております。
  61. 小川国彦

    小川(国)委員 そういうふうに限定されているところに、この福祉財団から宗教法人の保育所が受けている助成を調べますと、これは所在地はあれですが、浄福寺というお寺に五十七年で八十五万、五十八年で百万、五十九年で五十万、六十年で百六十万、安養寺というお寺に五十七年で八十万、五十八年で五十五万、五十九年で三十三万、六十年で四十五万、源通寺というお寺に五十六年八十万、五十七年八十五万、五十八年九十万、五十九年五十万、六十年百四十万、このほか元暁寺、法然寺、浄照寺というような、こういう宗教法人の経営しているところに補助金が出ているわけですね。既に文部省の私学振興財団でも厚生省でも好ましくないとしているこういう特定の宗教法人にまで補助金を出している、現状こういう実態があるわけですね。こういうことについては御存じでございますか。
  62. 澤邊守

    澤邊参考人 財団法人でございますので、国なり地方公共団体の場合と同じように適当でないかどうかという点につきましては、検討すべき点があるのではないかというふうに思いますので、私どもといたしましては、財団にその点について十分検討をするように指導してまいりたいと思います。
  63. 小川国彦

    小川(国)委員 とても競馬会理事長さんが手が回らないと思うのですよね、一々この保育所からそういうホームがどうなっているかまで。  またさらに調べてまいりますと、その中の一つで、福祉財団博仁会という特別養護老人ホームがあるのですが、理事長は元自民党の代議士で法務大臣、厚生大臣を務めた古井喜實さんですね。この博仁会に対する助成というのはまた金額がずば抜けて多いのですね。五十六年は自動車、厨房機器に三百四十万、五十七年は厨房増改築、マイクロバス千四百二十四万、五十八年は食堂増改築費で八百四十三万、五十九年は冷蔵庫、便所施設、防火用水で九百十七万、六十年はナースコール、厨房機器、リハビリ機器六百三十六万と、五年間で四千百六十万という金額が出ているわけですね。そのほか、福祉法人武尊台という特別養護老人ホーム、ここは青梅にあるのですが、ここも四千八十万というように、特定のところに多額の補助金が偏って行っているのですが、これはどういうわけか、この辺のことを御存じでございますか。
  64. 澤邊守

    澤邊参考人 競馬福祉財団の社会福祉施設に対します助成は、先ほどもちょっと申しましたけれども、各競馬場ごとにございます馬主協会が窓口となって、競馬場所在の都道府県を重点として、もちろんその他の都道府県におきましても全国的にやっておりますけれども、どうしても重点はその地域に交付されるというようなことになっております。  したがいまして、先ほど言いましたように、馬主協会が推薦をしてまいります際に、推薦委員会を開催し、一定の基準のもとに都道府県なり共同募金会等の参画も得てやっておりますので、私どもとしては適正な配分が行われておるものというふうに思いますが、同じ社会福祉施設に何回も助成が行っているという点につきましては、それぞれの事情があって、また必要があってやっておることでございますので、中身をよく調べてみないと私自身も判断をいたしかねるところでございますが、民間の自主的な助成団体であるという点を考えますれば、ある程度やむを得ないのではないかというふうに思います。
  65. 小川国彦

    小川(国)委員 全国の社会福祉施設の数は四万七千六百十七カ所あると厚生省の数字は出てくるわけですね。その四万七千六百十七の社会福祉施設の中で、競馬会の福祉財団がやっている箇所は五百五十カ所なんですね。そういう特定なところに、しかも継続して五年もやっているところがある。厚生大臣、たまたまこういう予算があるのを知ってお使いになったかどうかわかりませんが、一つのところに四千万も行っている。継続事業でやるのならまだわかるのですが、やっているものは、ちょっと見ても、例えば特殊浴槽とか車いすとか自動車とか屋根内外の改修とか厨房器具とか、単年度で終わりなもので、ばらばらなんですね。だから、競馬場の周りの福祉施設にだけこういうものをばらまいたところで、しかも中身がこういうようなもので本当の福祉の目的に沿うのかどうか、これは厚生大臣いたらお聞きしたいと思うのですが。  私は、この二十二、三億もかけてやっている福祉財団はもう競馬会もおやめになった方がいいのじゃないか。やめるかやめないかは農林省と中央競馬会が決められることなんですね。馬主協会が決めていることじゃない。原資は国の法律によって動かされているのですから。そこを考えるべきじゃないかというふうに思うのです。  そこで、この福祉財団は、六十年度では四億九千万の運営剰余金を出している。そしてまた、六十年度では一億円の基本財産の繰り入れをやって、基本財産の合計は十一億九千万あるのですね。資産合計が二十五億九千四百万に対して負債の合計は九億一千四百万というようなことで、毎年毎年ここに剰余金を出してやっている。聞くところによると、私が調べた中では、使ってくれ使ってくれといって福祉財団から頼まれるというのですね。今福祉の予算が削られて大変な問題になっているときに、使ってくれ使ってくれという予算があるのかと思ってびっくりしたのですが、私はまずこの辺から考え直すべきじゃないか。  その点で一言申し上げるならば、中央競馬会法の中に、第三十六条にこういう規定があります。「政府は、第二十七条の規定による国庫納付金の額に相当する金額を、酪農及び肉用牛生産振興に関する法律第二十四条の四第一項の国の補助のための経費、馬の伝染性貧血症の試験研究施設に要する経費その他畜産業の振興のために必要な経費及び民間の社会福祉事業振興のために必要な経費に充てなければならない。この場合において、社会福祉事業振興のために必要な経費に充てる金額は国庫納付金の額のおおむね四分の一に相当する金額とする。」こうなっているのですね。  私は、今申し上げたように、理事長さんでさえ実態が把握できないような、しかも馬主さんたちも多業種の人がやって、福祉の専門家とは決して言えない、そういう人たちが四万七千もある福祉施設の中から五百カ所選んでやったところで、本当の意味の社会福祉にならぬ。そう考えるならば、この競馬会法の第三十六条を改正して、四分の一を社会福祉事業なんというのはなくして、これは全額畜産振興に充てる。先ほども島田委員から畜産赤字の問題で農家の負債問題で真摯な質問があっても財源的な裏づけができないというような実態を考えるなら、これは全額ここに向けていくというくらいの改正をするということが必要じゃないですか。農林大臣、いかがですか。今までの議論をお聞きになって、こういうことに散り組むお考えというものがお持ちになれないかどうか、ひとつ御検討を願いたいと思いますが……。
  66. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 ただいま先生指摘ございましたように、中央競馬会法の規定によりまして、中央競馬会が国庫に納付します国庫納付金のおおむね四分の一相当額は社会福祉事業に充てるということになっておるわけでございます。このことは、視点を変えれば、中央競馬が我が国の社会福祉の増進に貢献をしていくという思想をあらわしたものかと思うわけでございます。したがいまして、またこれとは別途、社会福祉財団が、中央競馬会から交付を受けます馬主協会賞を財源といたしまして全国各地にございます社会福祉施設に対しまして備品等を中心にして贈与をしていくということは、確かに国が一括的にやるというお考えもありましょうけれども、やはり国としては交付するについては対象に非常に限度があるわけでございますので、こういった民間の組織がきめ細かくそういった社会福祉施設の必要とする備品等について貢献をしていくということは、きめの細かい社会福祉事業の実施なり社会福祉の向上という面から見て、私どもとしては望ましい方向ではないかと思うわけでございます。  ただ、先生再三御指摘のように、この社会福祉財団を通じます金額の申請なり交付ということが問題がありはしないかという御指摘でございますが、私どもいろいろ中央競馬会あるいは社会福祉財団等の話を聞きまして検討してみたわけでございますが、現在の仕組みの中におきましても、必ずしも馬主協会の意向が強く反映することなく、県、市の社会福祉担当部局の責任者、さらには県にございます共同募金会の責任者の意向が反映するような、そういった審査のシステムもできておりますし、かつ中央段階で社会福祉財団が最終的に交付先を決定する際にも評議員会を開くということになっておりまして、その評議員会の中には社会福祉に関係する諸団体の幹部の方が多数参加しておられるということでもございますし、また最終的な結論を出す段階では、私どもと同様に、社会福祉を担当なさっておる厚生省の御意見も伺うという仕組みをとっておるわけでございますので、いろいろ先生から御指摘がございましたけれども、それなりの仕組みなりやり方は確保されておるような気がいたします。ただ、せっかくの先生の御指摘でもございますので、今後とも改めるべき点があるかどうかにつきましてはさらに私どもなりに検討してみたいと思っております。
  67. 小川国彦

    小川(国)委員 建前はそういうことになっているのでしょうけれども、私が今指摘した、一カ所に五年も行っているのはどうか、行っている品物の中身もばらばらで、景品のばらまきみたいになっている、こういう福祉があっていいんだろうか。それからまた、特定の政治家のところの選挙区に、これは亡くなった人のことを言っては悪いのですが、前の自民党の幹事長さんのところは、福岡の一県だけでこの十分の一ぐらいの予算がやはり行っていたんですよ、前回私が指摘したのは。今度調べている中で、なるほど今度は厚生大臣をやった人のところにこんなに集中しているとわかったので、やはりこれはどういう建前を言われても、実態は非常に政治家がこの予算を左右している。それから、やっている効果が薄い。それから宗教法人のようなところにも出していて、文部省の行政や厚生省の行政では、幼稚園とか保育所の場合は、学校法人であるべきだという建前になっているのに、宗教法人のやっている保育所のようなところに出して、これもやはり建前から反している出し方になっている、こういう実態なんですよ。局長さん自体も、建前と実態は大変食い違ってきちゃっているということをお考えいただかなければならない。  私は、大臣と次官とそろってお聞きいただいているので、これは政治家の判断が必要だと思うのです。この私の意見を聞いて、こういうことに改革の必要というものをお感じになっていただけるかどうか、その点いかがでしょうか。
  68. 山崎平八郎

    ○山崎国務大臣 ただいま御意見をつぶさに伺いまして、今後とも農林水産省といたしましては競馬会の業務及び財務が厳正、公平に行われますように指導監督をしてまいりたいと存じます。
  69. 小川国彦

    小川(国)委員 どうも今のはやはり似たような答弁でありまして、もうちょっと山崎大臣の味を出してもらった答弁を欲しいと思ったのですが、それはまた今後にひとつ期待したいと思います。  それから、きょう大蔵省の方が来ていると思いますので、大蔵省の方に伺いたいのです。  ことし、来年とかけて農水省の農業改良資金の方の特別会計に中央競馬会から三百億行くということが法案として出てきておるわけですが、本来国のいろいろな財政収入というのは大蔵省が一元化してその歳入というものをまとめて、それから各省庁に配分していくというのが国の予算、財政の建前だと思うのですが、我々は農林水産委員を長年やってきた、日本の農林水産業の振興を考える立場から思えば、どういう形でも予算はふやしたいという気持ちは私も同じなんですけれども、ただ、そういう一つの財政のルールというものを守っていく必要はあるのじゃないかというように思うのですが、その点大蔵省の所見を伺いたい。
  70. 竹内克伸

    竹内説明員 一般論として申し上げれば先生のおっしゃる趣旨はよくわかるところでございます。ただ、本件につきましては、御案内のような財政事情のもとで財源的にも非常にきつい事情にある、他方で今後の農業あるいは畜産業の振興の観点に立ちますと、この改良資金の需要、役割というのは非常に大きなものが期待されているというような事情にございます。そこで、改良資金の全般的な拡充、特に畜産振興の資金を重点的に拡充する必要があるという観点、同時に、中央競馬会畜産振興に寄与することを旨としている法人でもあるという観点から、中央競馬会からそういう趣旨で特に御協力をいただくことができるというところまでまいりましたので、今回二年間に限りこういう特別の財源的な御協力をいただくという趣旨でこういう仕組みとして提案しているわけでございます。
  71. 小川国彦

    小川(国)委員 その目的がよくわかるから認めた、こういうことなんで、そうすると大蔵省は、これはこういう趣旨が正しければ、目的がこういう畜産振興ということであれば、継続的になってもこれを認めるというお考えはおありになるのですか。
  72. 竹内克伸

    竹内説明員 ただいま申し上げましたような趣旨で提案しているわけでございますので、あくまでも二年間にわたる措置ということでございます。
  73. 小川国彦

    小川(国)委員 そういう考え方は、やはり場当たり的な国の財政運用になっていくのじゃないか。私はこの法案をつくづく考えていてなるほどと、例えば林業の開発に対して、日本の行き詰まった林業の維持発展のために財源がない、そうしたら水源税というものをやったらどうだ、それから建設省が、河川改修のために行き詰まったといえば、水の占用料を取ったらどうだ、今度この畜産の農業改良資金が財源に行き詰まったといえば、じゃ中央競馬会から取ったらどうだ、私はそういう中でこれが生き残ったんじゃないかというふうに、これは想像ですが、思っているわけです。  だから、大蔵省がいろいろな事務費なりあるいは公共事業費を五%、一〇%削減するのはいいのですよ。そのしわ寄せが、困ったらどこかから財源探してこいというのが去年の夏ごろ聞かれた話なんですね。探してこいでこれを探してきたのじゃないか、そしてうまく生きたのじゃないか。私は結構なことだと思っておりますが、ただしかし、そういう形で各省庁が、例えば自転車振興会もあれば船舶振興会もあれば、それは通産省や運輸省と皆つながっている。そういうところがこういうことを者やっていくということになったら国の財政運用が保てますか。どうですか。
  74. 竹内克伸

    竹内説明員 本件自体については今申し上げましたような考え方でございますけれども先生の御指摘のように、一般的にどんどん広がっていくことの懸念はないのか、あるいはそういう点についてどう考えるかという一般論でございますると、御趣旨はよくわかりますので、私どももそういう点についてはよく注意してまいる必要があるというふうに考えております。
  75. 小川国彦

    小川(国)委員 このことは何も農水省だけがやったのではなくて、大蔵省も中央競馬会から、財源不足のときに特別国庫納付金という法案をつくって、電電公社から吸い上げたと同じように、中央競馬会から二回やっているわけですよ。大蔵省もそういう実績がある。今度こういうことだということになってきますと、やはり国の財政制度として、思いつきで中央競馬会からお金を取っているのじゃないかというふうに私は思うのですよね。そういうことではなくて、もっと中央競馬会の財政状況というものをきちんと把握して、ここからどのくらいの財源を毎年得ることができるのだろうか、それをどうしたら農業予算に活用させてやることができるのだろうかということを、単発じゃなくてやはり長期的にきちっと、恐らくあなたは大蔵省の農林水産省担当の主計官だと思うので、やはりそこを考えてやっていただきたいと思うのですよ。  だから、私が申し上げたら今あなたは単年度だとおっしゃったけれども、そうじゃなくて、私は中央競馬会の財政というものをここずっと研究をしてきているのですが、中央競馬会は大まかに申し上げて、私は時間がありませんから目の子で申し上げますが、今四千億余剰金がある。この四千億の中で、例えば農林水産省が毎年三百億ずつ十年間ここから恒常的に吸い上げていくという制度をつくっても、納付させる制度をつくっていっても、十年かかっても三千億。中央競馬会の財政を見ていると、毎年第一国庫納付金を納め第二国庫納付金を納めた後なおかつ二百億ずつ余裕がある。使い切れないのですよ。だからさっき言ったように、海外旅費にしても、ハイヤー・タクシー代にしても、飲食費にしても、あらゆる補助金にしてもどんどんふやしていっているという状況にあるわけで、そういう問題はさておいても、毎年二百億ずつ確実に、第二国庫納付金を納めた後残っている。十年たてばこれはまた二千億になるのですよ。  そういうことを考えてみたら、私もいろいろ財政の専門家と検討してみましたが、最低三百億ずつ十年間、三千億を使っても、今の経営状態でいけば十年後にまた三千億たまっているという状況ができるのです。それ以外に、競馬会の持っている資産は一兆円以上にも評価される。私あらゆる財政分析をしましたけれども、それを取っても絶対大丈夫だ。企業経営の内容日本一ですよ。トヨタ、ソニーとかいろいろな企業の経営収支あるいは財産、財務諸表、全部比較検討しましたけれども日本一の優良企業ですよ。安心してまず三千億お取りになっていい、計画を立てていい。  きょうは、山崎農水大臣の代理も長年農林水産委員でやっておられたし、保利次官もそうですから、こういうベテランの方にひとつ農水省は御指導いただいて、私の提言する三千億円ぐらいを思い切って、私は畜産でも蔬菜でも果実でも米作でもいいと思います、行き詰まってきている日本農業振興のためにこの金を使ってもらう、そういう計画をお立てになっていただけないか、こういうことを提言したいのですが、いかがでございましょうか。
  76. 保利耕輔

    ○保利政府委員 先生御承知のとおり、競馬会から国庫へ納付するものは法律によりまして第一国庫納付金と第二国庫納付金がございまして、例えば六十年度でございますと第一国庫納付金は千六百四十五億、それから第二国庫納付金は三百二十六億の納付をしておるという形で国家財政には寄与をいたしておるわけでございます。一方競馬会といたしましても、競馬を適正に振興させまして国民の健全なレジャーを発展させていくという一つの大事な仕事があろうかと思います。そういった意味におきまして、中央競馬会の円滑な運営あるいは売り上げの維持増進を図っていくためにいろいろな施設その他を片方では整備をしていかなければならないということもあるわけでございまして、私といたしましても、農業振興のために余剰金があれば使いたいということにつきましてはそのとおりだと心得ておりますけれども、しかしながら一方で円滑な運営ということを考えまして今回の三百億円、二年間にわたります特別国庫納付金についてはあくまでも一応今回限りの措置でということで認識をしております。  なお、先生から御指摘をいただきました法改正をすべきではないかという点については、先生の御指摘を十分念頭に置いておきたいと思います。
  77. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に一点だけ大蔵省の主計官の方に申し上げたいのですが、昭和五十七年と昭和六十一年の農林水産予算を比較しますと、五千四百億農林予算が減っているのですね、四年前と比較して。こういう状況の中ですから、この競馬会の余剰財源をどう生かしていくかということについては他省庁並みに考えるのじゃなくて、私は中曽根さんに会ったら申し上げたいと思っているのですが、防衛もともかくとして、農業というものを重視していくという考え方に立つならば、この問題は国の一般的な基準とは別枠で考えていっていただきたいと思いますが、その点農林担当の主計官としてどういうふうにお考えを持っていらっしゃるか、前向きの御答弁が願えればと思います。
  78. 竹内克伸

    竹内説明員 予算編成の技術的な仕組みにつきましてはなかなか難しい問題がございますけれども、ただ先生指摘のようなあるいは御案内のような財政事情の中で、将来のためにやるべきこともやっていかなくてはいけないということでございますので、国庫の財源を少しでも確保できるような努力というのは一般論としては私どもも続けてまいりたいと考えております。
  79. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が参りましたので、申し上げたい点はありますが、これで終わりたいと思います。
  80. 大石千八

    大石委員長 午後零時五十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後零時五十分開議
  81. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内猛君。
  82. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、農業改良資金助成法による貸付金等財源に充てるための日本中央競馬会国庫納付金納付等に関する臨時措置法案に関連をして質問をいたしますが、大体質問は、中央競馬会の制度と運営に関連をする問題、続いて農業改良資金助成法に関連をする問題、それから畜産政策の中の鶏卵の現状方向について、続いて養豚の現状方向についてという問題に触れて質問をします。  最初に警察庁の方へお尋ねをします。  最近十年間の、公営競技、特に競馬も含めておりますけれども、それに伴う暴力団あるいはのみ行為、サラ金等々においていろいろなことが起こっておりますが、過去十年間の地域別で、都市に多いのか農村に多いのかというようなことを含めてちょっと御報告を願いたいと思います。
  83. 伊藤一実

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  競馬ののみ行為の取り締まり状況につきましては、この十年間、大勢的には減少傾向にございまして、昭和五十一年中は千三百五十七件、六千八百三十人の検挙を見たわけでありますが、昨年は六百二十三件、二千九百十九人という状況でございます。  また、地方都市があるいは農村部がという御質問でございますけれども、特にその辺を区別した統計はございませんが、御参考までに都道府県別に見ますと、昨年中の競馬法違反の検挙件数七百五十七件中、一番多いのは愛知県で百八十七件、全体の二四・七%を占めます。次いで神奈川県が百二十五件、以下兵庫県、東京、京都府、このような順になっております。
  84. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、中央競馬会の問題について質問します。  中央競馬は、馬主、調教師、騎手、厩務員、生産者、それからファン等々によって構成されているものであり、三百億も特別納付をするという余地があるのなら、これを競馬振興あるいは競馬サークルの人たちに使うべきであって、特にこの競馬サークル内のバランスのいろいろ違った部分がたくさんありますが、こういうところに使うべきであって、特に生産者、厩務員、ファンのためにもっと還元すべきではないか。先ほど来、我が党の島田委員からは生産者の問題についての質問があったし、小川委員からは競馬会内部のいろいろな問題があったと思いますが、私は全体として競馬の益金というものは、なるべく競馬会の内部のバランスを調整する、それから十の中央競馬会が指揮している競馬場がありますが、競馬によって被害を受けるそれの周辺の環境の整備、特定のところへたくさんやるというのはよくないけれども、一般の迷惑料としてはそういうふうにすべきであると思うのですね。その点についてはいかがですか。
  85. 保利耕輔

    ○保利政府委員 競馬世界各国でかなり古くから行われておりまして、日本におきましても、国民の健全な娯楽として定着をしておるところでございます。今後とも安定的に競馬が運営されてまいりますためには、まず、先生指摘のようにファンというものを大事にしなければいけないということ、そして生産者、馬主、調教師、騎手あるいは厩務員といったいろいろな方々が競馬を支えておりますし、また中央競馬会もこの大事な役割を果たしておると思います。したがいまして、競馬の発展のためにはこうした関係者全員の協力が必要であるということを私どもも考えておるところでございます。  先ほど御指摘をいただきました生産着あるいは厩務員につきましても、競馬会は従来から、優良種雄馬の供給あるいは生産者賞の交付などを行いまして軽種馬生産農家の育成に努めてまいってきておるところでございます。厩務員に対しましては、宿舎あるいは診療所など福利厚生施設を充実させるほか、期末手当でございますとか退職金などの給付の助成を行うなどいたしまして、厩務員の生活安定のために措置を講じてきておるところでございます。  また、競馬ファンに対しましては、従来から、競馬が明るい快適な環境のもとで楽しめるような必要な設備の改善を行うよう、競馬会に対して農林水産省としても指導してきたところでございます。実は、今回三百億円の特別国庫納付金につきましてお諮りを申し上げておるわけでございますけれども競馬の今後における必要な施設改善には支障がないという範囲でこのことを行わせていただいておるわけでございます。  今後とも、ファンへのサービスの徹底、そして生産者、厩務員などの生活安定を図りますよう、そして中がバランスのとれた形になるように、競馬会を十分指導してまいりたい、このように考えております。
  86. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほど小川委員の方から質問があって、競馬会の金の使い道等について厳しい質問があったと思うのですね。特に小川委員は、五十七年来このことについて研究を重ねてきて、五十七年七月号の文芸春秋にかなりのスペースを割いて全国に公表した経過もあります。  私は、そういうようなことはよろしくないと思うのですが、競馬というような、人を相手にし、それから多くの動物とかそういうものを相手にするものは、やはり普通の会社と違って中身がかなり経理の仕方が違うだろう、こう思ってはいるのです。と同時に、監査役もあるし、会計検査も受けておるわけだから、そう不当なものではないとは思う。しかし、あれだけつまみ出されるということになると、これはやはり自粛自戒してもらわなければ困る面がある。こういう点について、剰余金は毎年毎年他の部面につかみ出してしまえというのではなしに、この前五十六年、五十八年にも約五百億近いものを行革の中で徴収されたというか、出さされた、今度の三百億というのは二年間にわたっておるわけですけれども、これははっきり畜産振興という面に関しているからこれは理解ができるし、農業のためにも使えということだからよく理解ができます。けれども、恒常的に競馬会の金を外へ持っていって国の財政の足しにしろ、こういうことはよくない。だからこれは、内部のもっとやるべきことがたくさんある、そのことに重点的に使うべきだ、こう思うのです。そして、生産者が安心して馬を生産する、それから観客の皆さんが喜んで参加をする、それから競馬をやるところの周辺の人々が余り迷惑がらない、あるいは僻遠の地でも均等に公営競技健参加できる、これは場外馬券場、テレホン等の問題があるが、そういうことのためにまだ非常に不十分なところがあると私は思っているのですが、この点についてはいかがですか、理事長
  87. 澤邊守

    澤邊参考人 中央競馬会中央競馬の開催者あるいは施行者になっているわけでございますが、だからといって競馬会だけで競馬が開催されることが可能なわけではございません。ファンはもとよりのこと、馬主さん、調教師、騎手、厩務員の方々が日ごろ努力して強い馬づくりをし、技術を磨いて、充実したいいレースを行うということによってファンの方にも喜んでいただけるということでございますので、これら多数の方々が参加されて競馬が円滑に施行される。また、竹内先生の御指摘健ございましたように、地元にもいろいろ迷惑をかける面もございます。この方々の御理解なり御支持を得ながらやりませんと円滑に施行されない。そういう意味関係者多数の理解、参加のもとに競馬が行われておるということでございます。  したがって、剰余金につきましても、あるいはそれを年々積み立てた特別積立金につきましても、これは私どもの経営努力という面ももちろんございますけれども、そういう関係者多数の努力なり理解のもとに初めて実現をしているわけでございますので、今後競馬の円滑な運営なり、あるいは競馬の発展のために使われることを関係者は強く期待をしておるわけでございます。したがいまして、生産者あるいは厩舎関係あるいはファンの方あるいは地元と、それぞれに還元をするといいますか、その方々が一層喜び、競馬を楽しんでいただける、また競馬に対して協力もいただけるというようなことに主として使っていくべきではないかというふうに考えておるところでございます。
  88. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほど島田委員からも発言がありましたが、現在の競馬法というのは非常に古いですね。しかも、四十八年ごろから競馬の問題については見直しをしようじゃないかという懇談会も開かれてきたわけですが、依然として内審が直っていない。だから、どうしても直してもらわなければならない点が幾つがありますね。  その中で、三十二条ですか、「馬丁」という言葉がある。馬丁という言葉はこれくらい人をばかにした言葉はない。広辞苑によると「馬丁」とは「駄馬の口取り。乗馬の口取り。」と書いてある。こういうことが、確かに政令といいますか運用については五十年ごろから厩務員に変わっているけれども、本法に「馬丁」なんという言葉を残しておいて、それでほうっておくなんということはこれは法律違反だ。こういうことはよろしくないですよ。だから、これはまず直さなければならない、どんなことがあっても。  それから今度は、特別登録料の一万円以下というのも、当時二十三年ごろも今も一万円は同じだという。金額をそこへ載せること自体もどうかと思うけれども、これも余り感心したことじゃない。だから、これは直さなくちゃならない。  それから、先ほどあった同枠問題については、日本だけが同枠という問題をやっている。海外では余りこういうものは見られないということ。確かに同枠を好むファンもおりますから、一挙にそれをどうこうということは言えないにしても、もう十何年間も研究研究。何を研究したかわからないけれども、研究をしたといっても何も報告もないし、それじゃ研究にはならない。研究というのは、やはり中間報告もあって、どこに問題があってどうだこうだということにならなければ研究にはならない。  こういう点もあるし、その他、先ほど指摘をされた面もあるから、競馬法の改正という問題について踏み切れるかどうかという点は前から問題で、きょうは大臣が見えているからひとつ大臣の決意も聞きながら、競馬会の方からも意見を聞きながら、これは直していかなければどうにもならないことですね。
  89. 山崎平八郎

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  昭和二十三年に制定されました現行競馬法につきましては、実は三十七年以降大きな改正は行われておらず、検討すべき問題がありますことはよく承知いたしております。  ところで、我が国の競馬国民の健全な娯楽として現行法のもとで長年にわたり定着しているところから、競馬法の改正につきましてはその内容いかんによっては影響するところが大きく、また、他種公営競技との調整を図る必要がありますが、その調整自体、公営競技全体の売り上げが減少する中で中央競馬のみが着実に伸びてきているという最近の状況のもとではなかなか難しい面があると考えられますので、これらの点を十分踏まえ、慎重に対処する必要があると考えております。  いずれにいたしましても、競馬法の改正につきましては世論の動向、他種公営競技の動向を見きわめながら、我が国競馬国民の健全な娯楽として発展が図られるよう、引き続き検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  90. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 先ほど先生から幾つかの改正点についての御指摘がございましたので、その点につきまして簡単に、私どもの考え方並びにこれまでの検討経緯につきまして御説明させていただきたいと思います。  まず。馬丁という名称の使用でございますが、これは先生御案内のように旧競馬法以来現行法に引き継がれてまいっておるわけでございまして、ただ、実態上は私どもの方も中央競馬会におきましても、厩務員という言葉を一般に使用しておるわけでございます。したがって、実行上は死語となっているものでございます。したがいまして、この馬丁の名称につきましては法改正の際に改めたい、かように考えておるわけでございます。  次に、ステークスマネーについてのお尋ねでございますが、先生御案内のようにステークスマネーにつきましては、かつて貴族がお互いに持ち馬を競走させるために賞金として出し合ったのが起源でございまして、これを一着から三着までが分けたというのがかつての例のようでございます。  ところで、現在の特別登録料につきましては、金額は一万円となっておりまして、これは昭和二十三年に決められて以降変わっておりません。したがいまして、これを外国並みにもっと引き上げるべきではないかという意見もあることは承知しておるわけでございます。ただ、競馬が大衆の娯楽となりまして、賞金がむしろ馬券の売り上げの中から支払われているという実態になってきておりますので、その意義もむしろ最近では出走登録料的な性格に変わってきていると言っていいのではないかと考えているわけでございます。こういった背景、状況でもございますので、今後このステークスマネーをどのようなものとして位置づけるか、あるいは政令にゆだねるかにつきましては、今後さらに検討してまいりたい、かように考える次第でございます。  次に、同枠取り消しの問題でございます。これにつきましては、先ほど島田先生からもお尋ねがございました点でございますが、私どもいろいろ検討はしてまいっておりますが、現実的に具体的な解決策を見出すに至っていないということから、当面は単枠指定方式をとっておるということでございます。いずれにいたしましても、この問題につきましてはいろいろ問題があるわけでございますので、先ほど先生検討の経緯を話せという御趣旨であったと思いますので、ちょっとお時間をいただきまして私どもなりの同枠取り消しに関します問題点等について御説明をさせていただきたいと存じます。  同枠取り消し問題を扱うにつきましては、その万法としては、まず連複をやめる、あるいは一枠一頭にする、あるいはレース前に申請があった場合には払い戻しないしは買いかえを認める等の措置を講ずることが必要でございまして、こういう措置を認めない限りは同枠取り消し問題はとれないと考えるわけでございます。  しかしながら、まず連複をやめることにつきましては、我が国は連複の売り上げが全体の九五%という高い割合を占めるに至っておりまして、例えば単複が中心でございますベルモント競馬場におきましては七%でございますが、ファンの間に連複がすっかり定着しておると考えられますので、これを変えることが本当によいであろうかという点がまず問題として考えられるわけでございます。  また、一頭一枠にすることにつきましては、少頭数レースの場合には問題がないわけでございますけれども、多頭数レース、例えば八枠制で九頭以上の場合には的中率が著しく低くなります。このことは、昭和三十六年の公営競技調査会の答申に即しまして重勝式をやめ八枠制連複方式を採用した、その趣旨に反することになりはしないだろうかという問題がございます。  また、レース前であれば払い戻しまたは買いかえをすることができるかどうかにつきましては、連複の売り上げが全体の九五%を占める我が国では、払い戻しまたは買いかえに大変な時間を要する、そういうことでございますればその次以降のレースの予定が大幅にずれてしまうのではなかろうか。そうなりますと、競走馬は通常予定されましたレースの予定時間に合わせて最良の状態につくために調整しておるわけでございますので、レース時間が大幅に遅延いたしますと競走成績に大きな影響を与えはしないだろうか。そういう点から、公正確保上問題なしとしないと考えられるわけでございます。さらにまた、我が国の場合、場外売り場の施設が大きくない状況の中では混雑が生じまして、払い戻しに応ずることが事実上不可能に近いのではないかという点もあるわけでございます。また一方、場外施設で馬券を購入後に立ち去ったファンにつきましては買いかえのチャンスがないことになるわけでございますので、場外利用者相互間で取り扱いの不公平が出てくる等々の問題があって、いずれも実施は困難ではないかということでございます。  私ども、同枠取り消しを行うについてどういう措置がとられるべきかについていろいろ検討し、それにまつわる問題点検討してまいっているわけでございますが、いずれも問題が多過ぎまして、私どもとしては今日段階では具体的な解決策を見出すには至ってないわけでございます。したがいまして、そういう状況から当面は単枠指定方式によって対処している状況でございます。しかしながら、いろいろな意味ファンの御意向もあるわけでございますので、こういった問題点問題点といたしましてさらに詰めながら、この問題については積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  91. 澤邊守

    澤邊参考人 法律改正の問題につきましては、先生の御指摘がございました大きな三点につきましてはただいま局長からお答えしたことと重複いたしますので詳しくは申し上げるのを差し控えさせていただきますが、その他の問題につきましてもいろいろ問題点がございます。  新種の馬券、勝馬投票券を売り出すべきだ、重勝式を売り出すべきだというような御意見あるいは控除率の問題、のみ行為に対する罰則強化の問題、あるいは現在増資規定がございませんが、つくった方がいいんじゃないかというような問題、その他まだあると思いますが、私どもの立場といたしましては、政策的な判断は最終的に農林水産省で御検討いただくことにして、それに必要な材料を集め、我々なりに施行者としての経験からぜひこれはこうすべきだということがあればしたいということで、内部の研究は引き続きやっておるところでございます。  一番問題の同枠取り消し問題につきましては確かに難しい問題でございまして、今局長からお答えがあったとおりの問題点があるわけでございますが、いずれにいたしましても関係者の合意を達成しないとなかなか行い得ないだろうと思います。その合意がなかなか今のところ見出しがたいところに一番問題があるのではないか。いろいろな案は考えられるのですが、どれも多数の方がそれでいこうじゃないかというところまでまだ至ってないということでございますので、私どもといたしましてもさらに研究をいたしまして、合意が達成できるような下準備は努力したいと思っております。
  92. 竹内猛

    竹内(猛)委員 局長からもかなり細かい同枠問題が出たし、いろいろ出たけれども、馬丁という言葉も見られるように、この法律が非常に古くて、一カ所手をつければあっちこっち手をつけなければならない。先ほど島田委員から端数切り捨てという話もありました。いろいろあるのですよ。難しい問題であるから問題なんだから、それを避けないで十分に検討していく。それには、多くのファンの人々やあるいは評論家の方々もいるのだから、そういう人々の意見も十分に聞きながら前向きに法律の改正に踏み切る、こういう方向で進めてもらいたい。  特に先ほど話があったけれども昭和五十五年を境にして公営競技の全般が下り坂になっていますね。オートレースにしても競輪にしても、あるいは地方競馬などは赤字になってきている中で、中央競馬だけが今ひとり黒字になっている。その黒字になっている一番の根源は、場外馬券場での売り上げが非常に多いということだ。その場外馬券場が全国に今二十一しかない。四十七都道府県があって二十一の場外馬券場しかない。一県一馬券場もないわけだ。そうすると競馬ファンは平等にこれに参加することができないということになる。衆議院の議席が三名区だとか二名区だとかいろいろ言っているけれども競馬ファンだってもう少し平等に場所を与えなければおかしいじゃないかとなるのです。  中には場外馬券場けしからぬという声も随分ありますよ。賛成だとばかりは言えない。けれども競馬会なり関係者としては競馬振興十カ年計画ぐらいのものをつくって、何も公表することはないけれども、あっちこっちに場外馬券場をつくりますと、先ほど北海道からもつくりたいという希望があったというように、計画を立てながら、反対をするところに無理に建てなくてもいいから、賛成のところを先にやって、反対のところはそれを見てなるほどなと思ったらそうしたらいいわけだ。東京から上野を出発して常磐線や東北線が行く。汽車はとまらないが、そこにぽつんぽつんと落ちるものがある。何だ。競馬の予想の新聞が落ちている。次の朝になるとマーケットの前、ショッピングの前に予想表がずっと並んでいる。あれは買う人がいるから落ちるのだから、そしてそれがのみ屋の手に渡ってサラ金、後ろの暴力団、こういう関係になって思わしくないことになる。それをとめるためには適正に配置をしていく、過剰にやることはない、こういうふうに僕は考えるし、そうやってほしいわけです。  それで、先ほど警察庁からの話を聞くと、最近十年間に大分そういう犯罪が減っだということは大変いいことだと思うのです。だから、こういう点についてももっと配慮をしてもらいたいということを一つ希望をします。  そこで、高松に場外馬券場をつくるということで、高松の市会議員の方から反対の要望があります。この田村地区というのは、農協の土地に対して大阪の阪急株式会社がそこに場外馬券場をつくろうという形で、この周辺には学校とかそういうものがたくさんあってこれは好ましくない。署名だけでも一万三千の署名が集まって反対をしている。こういうところは無理をしてつくらなくても、阪急がつくるのだからどうせ金もうけのためにものをやるのだから、競馬会中心になってやるぐらいのことをしなければ、金もうけのために場外馬券場をつくるなんということはうまくない。だから、そういうものについては余り無理をして押さない方がいいですよ。町内会長あるいはPTA、みんなこれは反対をしているのです。この点についていかがですか。
  93. 澤邊守

    澤邊参考人 高松市に場外売り場を設置することにつきましては、昭和五十七年ごろより誘致の打診がございまして、当時中央競馬会の内部におきまして調査いたしましたところ、地方の中核都市ということでございまして、将来市場性もございますし、交通の事情も割と恵まれているところであるというようなことから、できますれば設置したいということで誘致事業体とも相談をしながら検討を進めてきておるわけでございます。  先ほど竹内先生の御指摘がございましたように、最近の中央競馬の売り上げは七七%が場外でございます。そういう意味では場外志向が非常に強まっておるという現状でございますし、地域的にも非常にアンバランスでございますので、この高松地区に設置することは地元の了解が得られるならば大変望ましいことであるというふうに考えて進めてきておるわけでございますが、計画地の周辺のPTAを中心とした住民の方の一部に反対運動が起こっておることは承知をいたしております。  私どもといたしましては、午前中にもちょっとお答えしましたけれども地方競馬に対する影響ということも配慮し、さらに重点的に地元の調整ができて御同意が得られるという前提で設置を進めたいというふうに考えておりますので、現在粘り強く地元に説明をし、誘致機関に御努力をお願いをしておるところでございます。私どもといたしましては、地元の御了解が何とか得られるならばぜひあの地区にも設置したいというふうに思っておりますが、さらに説得について努力をし、できますれば円満に解決することを期待をいたしておるところでございます。
  94. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは円満に解決する見込みがないから、しばらくの間は状況を見て、余り無理押しをしないでやってもらいたいと思うのです。それよりももっと先にやるべきことがたくさんある。  そこで、私は一つどうしてもここに問題を出さなくてはならないことがあるのです。それは何かというと、調教師と厩務員との関係ですね。厩務員というのは二千数百人いるわけでしょう。調教師は二百二十六人ですね。その二百二十六人が二千数百人の厩務員を抱えてここに雇用関係がある。調教師というのは今のところ終身雇用みたいなもので定年制がない。それは競馬法によると、中央競馬会が騎手、調教師は免許するという形になっているのですが、その調教師の中に事故が起きたり何かした場合に、一体この厩務員というものの生活はどうなるかということになると、これは非常に不安です。しかも、馬主の預託金が今四十五万から五十万と言われているが、これも高いじゃないかという声もある。一人の調教師が馬房を二十か二十幾つか持っているでしょうか、そういうものを持ってその預託金によって払う。あるいはもう一つは、競馬のいい馬を持った場合には進上金を払うという形になれば、それは雇用が平等になれば一生懸命馬の手入れをしないじゃないかというようなことがあるかもしれませんが、少なくとも厩務員の方は定年制がある。だからこの人たちの雇用の関係というものをもう少し近代化しなければ、このごろストライキをやらないけれども、かつてストライキをやったときには厩務員と調教師の間では何も話ができないじゃないか。中央競馬会が乗り出して二十億ぐらい金を持っていかなければ始末がつかない。こういうことでは仕方がない、何とも主体性がないですね。この関係は何とかならないものですか、どうですか。
  95. 澤邊守

    澤邊参考人 厩務員は調教師に雇用されまして、調教師の行います飼養管理の補助をするというのが仕事になっておるわけでございます。したがいまして、労働関係につきましては、労使の間で事が円満に運びますことが競馬の円滑な施行にとって非常に大事なことは申すまでもないわけでございます。中央競馬会は雇用当事者ではないということでございますが、労使関係が円滑に労使交渉を通じて進められることを願っておるわけでございます。  また、最近の労使関係を見ますと、ここ数年は比較的安定しているということでそう大きな問題はないと思います。ただ、けさの新聞でお目にとまったかと思いますけれども、ちょうど春闘時期でございますので、昨日第一回の労使の、調教師会と三労働組合との間の賃金を中心といたします交渉が行われまして、第一回の交渉で労働側は不満だということで、来る十一日、十二日、十三日ストライキを行うというような通告をいたしたところでございます。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕  調教師会の方は、御案内のように、十三日は皐月賞という大レースが行われるわけでございますので、何とかこれは回避しなければいけないということで第二回の労使交渉を申し込んでおりまして、あした開かれるということで、私どもとしては何とか円満に解決することを念願いたしておるわけでございます。確かに調教師あるいは調教師会も古い体質をまだ抜け切らないでおりますので、近代的な労使関係をつくり上げるのに力の足らないところもございますので、私どもいろいろ研修だとか指導ということで、雇用主としての責任を持って処理するようにというような指導はいたしておるつもりでございます。  なお、厩務員の労働問題で問題になりますのは、非常に朝早くから作業をするとかあるいは非常に危険を伴うというような特殊な仕事でございす。したがいまして、それらの方々の生活を安定するというためには調教師の力だけではなかなか及ばないところがございますので、宿舎を整備したりあるいは厚生施設、厚生会館と言っておりますが、いろいろな施設を私どもの方で整備して使っていただくとか、あるいは退職金、期末手当等の一部の手当につきまして、一部を中央競馬会において負担をするというようなやり方をして側面的に援助協力はしておるところでございます。  転厩の問題がございましたけれども、転厩の場合、調教師がいなくなるという場合には、他の調教師のところに移って厩務員の仕事を続けていただく、その場合新しい調教師にとっては、かなり高年齢の人が来て、定年六十五歳でございますので、六十五歳になってすぐ退職金を自分のところで払わなければならないということについて非常に矛盾を感ずるという面もございますので、そういう点から私ども中央競馬会が退職金につきましては負担をしておるというような変則的なやり方をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、労使関係が安定していくことは大変大事なことでございますので、今後ともそのような方向競馬会なりに、労使関係に直接介入するわけにはもちろんまいりませんけれども、側面的な援助は続けていきたいというふうに考えております。
  96. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私はここで幾つか要望したいわけですが、一つは、今の調教師の社会的地位というものがばらばらで、これははっきりしない。二百二十六人のそれぞれが厩務員を雇用していくというような、そういう経済的基礎なりなんなりが保障されているかどうかということになると、これはかなり難しい問題があるだろう。特に、朝早くから起きて馬の手入れをする、これは気の知れた間柄だとしても、馬ですからいろいろの事故が起こりやすい状況にあるわけですから、そういう場合におけるところの労災だとかなんとかいろいろな問題もあるだろうという点については、もう少しこれは近代的なものにしていかなければならないであろうということが検討をしてもらいたい一つの問題ですね。この関係の検討。  それから次は、中央競馬会の第一納付金は一〇%、これは売上高の一〇%ですね。それから今度は剰余金から第二と特別というような納付金の形があって、それで現在三千億を超えるような金がまだ準備されている。もちろんその三千億というのはいろいろな事故があった場合にそれに必要な金であり、その中から今度三百億の金が農業改良資金として出されるということになるわけですね。そういう中でこの前も五百億近いものが出たのだが、まだ内部でやるべきことがあるだろう。  この間中山の競馬場について、余りにも古くてよろしくない、観客に対して失礼だということで調査をし、提案をして、今直して大変喜ばれていますね。では阪神はどうだ。あれも昭和二十九年ごろにつくったのでしょう。中山の方は三十年ごろつくったものでしょうね。二十九年ということになるともうそろそろ三十年ぐらいたつわけだから、これももう少ししっかりした方がいいのじゃないかということで、阪神の問題もあるだろう。  それから環境。環境というのは、例えば中山に行ってみた場合に、あそこに国道があってその道路が非常に混雑をする、競馬の開催日などは本当に何キロか渋滞をする、こういう点では通行者全体が迷惑をするという形になるわけだが、あれは何とかならないかという声もあるのですね。そういう点で、競馬を実行する中において内部で処理しなければならない点がたくさんあるわけだから、剰余金があるとすれば、その方面にそれを活用して万全を期して、なおそれでも余ればそれは結構な話でしょう、こういうふうに私は思うのですね。これは要望です。  そこで、時間も過ぎていきますから、今回の特別国庫納付金は六十一年、六十二年度となっているが、これは競馬会に質問しているのじゃないですよ、農水省の責任者に質問するのですが、その後は一体どうなるのか、後のお金はどうなるのですか。
  97. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 今回中央競馬会の方から二年間にわたりまして三百億円いただくわけでございますが、その二年間後の問題については、これは昨年もそうでございましたが、やはり我々としては資金需要をよく見きわめ、また一方、農家からの償還金が入ってまいりますと、これを貸付財源に回しますので、それらを含めまして資金のやりくりをいたしまして、やはり必要なものは従来どおり一般財源というか、一般会計の方から要求をして支出をする、こういう方向努力をすべきものというふうに考えております。
  98. 竹内猛

    竹内(猛)委員 呼び水としてそれが出てきた、一般財源が減らされているときに、競馬会の方から百五十億ずつ二年にわたって臨時収入があるということは結構なことだから、これを足場にしてなお引き続いて努力をしてほしいということで、別に特別に苦言を呈するわけじゃないが、大いにこれを活用してもらいたい。この活用についてはこれからまた質問します。  そこで私は、畜産振興審議会が過ぎてしまって、いろいろなことが決まってしまった後ではあるが、なお問題を提起をしなければならないことがあります。それは昨年の六月二十五日ですか、第百二回国会が終わるその直前に、社会党、公明党、民社党で鶏卵の需給の安定に関する法律案を提案をしました。これは今度も引き続いてここに提案をしているわけですが、あの直後から、農林水産省も局長通達ということで七月四日ごろにかなり厳しい調査の通達を出したはずですね。そのことによって、羽数の確認という問題で十一月ごろに約一千万羽ぐらいのやみ増羽というものがあらわれてきた。その後なお調査を続けていると、最終段階では二千四、五百万のやみ増羽というか不正増羽といいますか、生産調整を超えたものが出てくるであろう、それと従来のものと加えて——今日卵価がほぼ前よりも上がった形で安定をしているというか動かない状態にあって、従来よりはいい状況にあることは事実です。ところが、その中で問題になっているのは、一千羽から五千以下、この農家というのが非常に少ない。大型のものが多いですね。そうすると、家庭養鶏とか農家養鶏といわれるものはだんだん倒れて、企業養鶏みたいなものが残ってくる方向にある。これは非常に困ることだと思う。我々は農家養鶏というものを育成をしていこうということを言ってきたけれども、それが中身が少し変わったものになっていくのはよろしくないが、ここまで調査をされたということについては畜産局努力に対して感謝をしなければいけません。  しかし問題は、じゃ一体一億二千数百方羽のこの増羽に対しては、これを不当として基金や何かから除外をするのか、それとも正直にこれを届けたから、これはやむを得ざるものとして採用するのか、まずその辺はどういうふうに扱われますか。
  99. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 ただいま先生お話ございました鶏卵の計画生産についてでございますが、昨年七月に、計画生産を一層推進するということから、三点から成る局長通達を出したわけでございます。  その内容として、まず第一には、計画生産の基礎となる飼養羽数調査のうち、大規模飼養者に対する調査につきまして、国、県も参加いたしまして調査の徹底を図るということ、第二点目といたしまして、調査の結果、台帳記載羽数を超えたものに対しましては是正の指導をするということ、第三点目といたしまして、ひなの供給段階でのチェックを行うこと、これらを骨子といたします改善強化の方針を示した次第でございます。  通達を出してから最初の定期調査は実は昨年の十一月下旬に行ったわけでございまして、調査精度も向上したこともございまして、おおむね畜産統計で把握されておりますのと同じような数値が私どもの調査でも把握できたということでございます。具体的に申し上げますと、今回の調査の結果、五千羽以上の飼養者を対象としているわけでございますが、飼養羽数で申し上げれば一億九百万羽でございまして、台帳記載羽数に比べますと約一千万羽多くなっておるという状況になっているわけでございます。  台帳記載羽数を超過した者に対します指導でございますが、これは鶏卵需給調整協議会等を通じまして、特に羽数超過の大宗を占めます大規模な飼養家に対しましては、国、県も一緒になりまして、計画生産趣旨の徹底なり計画生産への参加なり羽数減羽計画の作成等につきまして粘り強く指導をしているところでございます。  また、減羽措置につきましては、ひなの導入等、鶏舎の更新等の機会をとらえて行うよう指導しているわけでございますが、計画生産趣旨については理解いたしておりましても、地場からの雇用等の実情から直ちに減羽することが難しい、そういう場合もあり得るわけでございますので、相手方の事情も十分聞きながら粘り強く進めておるという状況にあるわけでございます。また、こういう超過飼養者と取引のある市場等関係事業者に対しましても、計画生産趣旨を十分尊重した取引を行うよう重ねて指導を行っているという状況でございます。  そこで、問題は今回の調査を踏まえた今後の対応についてでございますが、今回の調査はあくまでも、先生も先ほどおっしゃいましたように、飼養規模五千羽以上のものについて調査を実施したわけでございまして、実は、千羽から五千羽層の調査につきまして、本来ならば本年の五月末に行う予定の調査につきまして繰り上げて現在調査を実施しているわけでございます。したがいまして、前回調査しました五千羽以上の階層の状況と現在調査しております一千羽から五千羽階層の状況とを合わせまして、全体像を把握した上で、生産者団体とも十分意見交換しながら、御相談いたしながら、最終的にどのような対応をした方が一番いいかにつきまして結論を得たいというふうに考えておるわけでございます。
  100. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私が聞いているのは、やはり生産調整をやるということで厳しい調査をしたときに、不正がそこへ出てきた。本来であるならば、これは基金から除外をしたり、融資を抑えたりするという形でペナルティーが科せられるべきものなんですね。従来もそういうことになっていた。そういうことをするかしないかという問題が一つなんですよ。  それから、これはもう価格はかなりいいところへ来ているから、これからひなの状況を見ると、今度はまた値が下がるような危険な方向に行っているわけだ。今のような状態が続くとは言えないですね。そういうときに、かつて五十三年にタケクマ、イセという両社をここへ参考人として来てもらっていろいろ意見を聞いた。その片方のタケクマは倒産をしてしまった。イセというのはもう一つの側にある。これはアメリカに一千四百万羽の企業を持っていて、国内においてもこの間五百万羽を十カ所に分けてやるんだ、こういうことを新聞なんかに語ったわけですね。  それで、これを調査した。一カ月間にえさの使用量が一万四千トン、そのうち豚に一千トン、あとの一万三千トンというのは養鶏、これを一羽のあれで割っていくと三百七十万羽ぐらいになるだろう。ということになると、それの割り当てというのはどのぐらいになっているのかということで、これも宮城県の方では既に有名な不正という形になっている。私は、この間イセの社長と会ってこのことについて追及をしたところ、これを全部認めた。  こういうふうになれば、これも含めてどのような処置をとるのかということがこれからの行政としては大事なことなんですね。一方において調整を守る者がある、一方においてそれを壊していく者がある。この指導をしっかりしなければ、せっかくいいところに来たものがだめになってしまう。これが第二点目。  三点目は、丹羽兵助さんが会長をやっている日本養鶏協会が、三月六日にそれぞれの団体を集めていろいろ話し合いをした中で、三つのことをやっていますね。組織の問題、それから法制化の問題、あとは今の価格の問題です。そこで、組織の方は余りしっかりしたものじゃないが、法制化については、法制化を検討しようという形で今おろしてきている。各地でいろいろ検討していますね。今まで法制化に反対した者でも、やはり法制化をしなければだめだというような意見を持っている人もいる。この、法制化をやれということが日本養鶏協会から上がってきたときに、一体農林水産省は法制化を認めるか認めないか。これはどうですか。
  101. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 二点についてお尋ねがあったわけでございますが、まず、大規模ないわゆる企業経営に対する対応の仕方でございます。これらにつきましては、現在の調整手法は、生産者生産者団体、関係業界の代表者等に行政も加わりました鶏卵需給調整協議会を、全国レベル、地域レベル、県レベル、市町村レベルにつくりまして、それぞれ、飼養羽数の把握なり羽数の調整等の実施を通じまして鶏卵生産量の調整を図っているわけでございます。また、別途、先生もお話しございました日本養鶏協会におきましても、鶏卵需給安定の委員会を、中央、地域、県の各段階につくりまして、行政サイドの計画生産と連携を保ちながら自主的に計画生産を推進している、こういう状況にあるわけでございます。  そこで、大規模ないわゆる企業養鶏につきましてもこのような調整機構の中に取り込みまして、生産者団体が組織の中で自主的に調整活動を推進するということが望ましいと考えられますし、かつまた、このような対応が現実的であるというふうに考えられますので、今後ともそういった面での組織の強化なり、運用の強化なり、円滑な調整なりにつきまして指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  次に、第二点目の問題でございますが、確かに先生指摘のように日本養鶏協会におきまして、一昨年の夏以降、養鶏安定に関する法制等検討委員会というものをつくりまして、計画生産に関する法制化について検討が続けられておるということは私どもも承知いたしております。ただ、計画生産推進につきましては、日本の養鶏業自体が専ら自助努力によって発展をしてきたというこれまでの経緯等からしまして、一片の法律によって強制することではなく、むしろ行政指導の一層の徹底を図りながら、生産者による自主的な調整活動を助長し、さらにまた、卵価安定基金制度なり配合飼料価格安定基金制度、さらには補助事業、制度融資等との調整措置を講ずる、そういった手法、手段を組み合わせて進めていくことが現実的ではなかろうかと考えているわけでございまして、そういう観点に立ちまして、実は先ほど申しましたように、昨年の七月にこれらを内容といたします計画生産の改善強化を打ち出した局長通達を発出した次第でございます。  なお、私どもといたしましても、計画生産の法制化につきましては独禁法等、他の法令との関連等で種々問題があると考えてはいるわけでございますが、全体の養鶏関係者が今後の養鶏政策について望んでいる方向等につきましては謙虚に耳を傾けまして、御意見を拝聴しながら日常の施策運営に極力生かしていきたいと考えているところでございます。
  102. 竹内猛

    竹内(猛)委員 依然として野明局長時代と発想が余り変わらない。きょうは時間がないからこれ以上のことは言わないが、いずれまた日を改めてこの問題についてはじっくり話をしていきたいと思うのです。せっかくここまでいい調子になってきたものを、行政がもう一歩頑張れば卵の方は非常に前進する。  では、今度は豚はどうかということになりますと、豚はこの間も畜産物価格の中では値を下げましたね。これは自由化品目ではあるが値を下げた。ところが、最近の状況を見ると、台湾から豚が非常によく入ってくる。かつて一万九千トンぐらいのものが、今や六万トン以上入ってきた。しかも、台湾の豚は、本来必要なところだけ、いい部分だけ、ハムなどをつくるところだけ欲しいけれども、枝肉からはらわたから何からみんな来る。それで、一頭大体二万円ぐらいで入ってくる。それでは国内の養豚家はたまらない。  農水省の方は、規模拡大をしろ、お金は貸しますよ。一生懸命規模拡大をして、借金をして、生産が成り立つようにすれば外国からどんと入ってくる。そのために値が下がってしまった。それはえさが下がったから値が下がったっていいじゃないか、冗談じゃない。それで豚を飼っている農家が何軒か倒産をして、家屋敷まで取られてしまったという状態が続いている。  これには差額関税制度というものがあるのだが、この差額関税制度は一体適用しているのかいないのか、いまだにどうも余り聞いたことはない。それから、この法律によって畜産振興事業団をやろうとすれば、いやそれは母豚がふえたのだから母豚を殺せ、去年の六月はそういうふうな指導をして、六万何千頭からの母豚をつぶした。そして、去年の暮れにようやく二十九万頭買い入れをして二十五億の金が入った。本年になっても依然として豚の値は上がらない。そうでしょう。こういうことは行政として愚かなことだ。だから、制度があるのならその差額関税制度を使って、国内で自分たちが進めて育成してきたものに対してはそれを防衛してやることが必要じゃないですか。それはどうですか。
  103. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 昨年一年間の豚肉の輸入量を見ますと、一昨年に比しまして九七%程度ということでございますので、全般的な需給なり価格の動向から見ますと減少の仕方が確かに少ないというのが率直な感じでございます。その理由は、ヨーロッパがなべて減少をしている中で、台湾だけが独歩高で輸入量がふえている実態があるわけでございます。  この台湾産豚肉の輸入の急増の原因といたしましては、五十七年にデンマークにおいて口蹄疫が発生したということから輸入停止をしたわけでございますが、その際に、デンマーク産の豚肉のかわりとして台湾産の豚肉を輸入し始めたというのがどうも発端のようでございまして、それ以降台湾における豚肉生産が急増いたしまして、かつまた急増する中で価格も下落するということから日本に輸出をしてまいっておるということでございます。  ただ、先ほど先生からもお話がございました差額関税制度でございますが、安定基準価格と安定上位価格中心価格、新しい六十一年度の価格で申しますとキログラム当たり六百五十円になるわけでございますけれども、これがいわば輸入基準価格として定められておりまして、これよりも輸入価格が下回る場合にはその差額は差額関税として徴収されるわけでございまして、このことは現在でも有効に働いているわけでございます。そこで、安値での輸入については現在の差額関税制度のもとで調整措置が図られている実態があるわけでございます。  ただ問題は、需給が全般的に緩み価格が下がった段階でなぜ輸入がそれほど減らないかということでございますが、これにつきましては、一つには、日本人の豚肉の消費構造の問題があるわけでございます。例えて申しますと、ヨーロッパでございますとハム、ソーセージ等の加工品で消費するのが一般でございますが、日本の場合は、半分以上はテーブルミートと申しましょうか精肉として利用される、その際も全体の部位に需要がいくのではございませんで、ヒレとかロースといった特定の部位に需要が集中してしまう、そこで馬とかももの肉は需要が低いまま安値で放出されていくという問題がございます。さらに最近は、ハム、ソーセージあるいはベーコンの需要がふえているわけでございますが、ハムで申しますと、ロースハムがほとんど主流を占める状態になっている。ということになりますと、まず生食段階でロースの需要が先取りされますと、ロースハムに回ってくる国内のロース部分はほとんど少なくなってしまう。ということになりますと、ロースハムを製造するメーカーとしてみれば、どうしても海外に依存せざるを得ないという実態が起こってくるということでございます。したがいまして、今日このような需給関係の中で輸入がなかなか減らないというのは、むしろそういったロースハム向けのロース部分、さらにはベーコン用のベリー部分の輸入がふえているという実態があるわけでございます。  そこで、一つには日本人の食生活、肉の消費の特殊性があるのと同時に、もう一つは、日本人の豚肉の消費自体が精肉消費が主体であったことから、精肉に向いた豚の改良がこれまで行われてきたということがあるわけでございますので、私ども二年前から加工にも向いた適当なロース部位がとれるような豚の改良に取りかかっております。かなり息の長い話でございますが、一つには日本人の豚肉に対する消費構造を変えていくこと、これについても本年度は新しい事業を実施したいと思っております。そういった面の努力と、また、やや時間を要しますが、豚の改良問題に取り組んでいくことが豚肉の輸入に対する対応策であろうと思いまして、先ほど御説明いたしました差額関税制度による運用と相まって、こういった面での対策にも今後とも力を入れてまいりたいと考えておる次第でございます。
  104. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間がありませんからまとめて質問します。  今の大坪局長答弁に対しては、大変御熱心だけれども、まだ十分な点がない。台湾から入ってくる豚については、例えばコレラのワクチンにしても台湾では十七円、日本では二百五十七円というような、一本の注射でもそんなに値が違う。それから、国内では養豚の経営安定推進会議というものができている。これは養鶏にもそれができているわけだけれども、その後にできたのですが、こういう機能を十分に活用しているかどうかという問題も含めて、今答弁はもう必要ないから、いずれまた一般のときに質問しますから、ぜひ今から十分に準備しておいてもらいたい。  最後に、農業改良資金の問題について質問します。  農業改良資金の政策目標、そのねらいは一体何か、これが第一点。それから、農業改良資金を単に貸し付けるだけではなくて、貸し付けた改良資金が農家の手に入って、それが所得にならなければ目的は達しないと思うのです。したがって、投資した後の農家経営の指導というのもしなければならない。これが改良普及員の仕事になるわけです。茨城県では、どこでもそうですけれども、農協あたりが最近は特産化ということを言っているわけです。私のところではレンコンとかサツマイモとかそういうものを特産にしている。レンコンなんというものはあちこちでできたら過剰生産でだめになってしまうから、こういうものについては特産化して、これを加工なりなんなりしてやっていくようなそういう措置をとるべく、例えば研究所をつくるとか、何かそういったことにしてほしいということを要求している。ただ金を貸すだけではこれは意味がない。所得にならなければいけないということ、すべてのことがそうですね。畜産物にしても何にしてもそうだ。これが農政の基本じゃないですか。これに対してひとつお答え願いたいと思う。
  105. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 農業改良資金は昨年制度改正で拡充されまして、内容的には、一つには新しい技術を組み合わせました生産方式の導入、それから経営規模の拡大、それから農家生活の改善、後継者育成、こういう四つの道を通じまして、究極的な政策目標としましては、最近の農政の課題でございます需要の動向に応じた農業生産を再編成していくこと、またコストの低減、そういうことによる農業経営の合理化というか、そういう課題に対しまして対応しながら、基本的にはやはり融資でございますので、農業者の自主性、また創意工夫に基づきながら、今申し上げましたような生産方式の改善、導入、規模拡大等々を推進していく、こういうことがこの制度のねらいだというふうに私ども理解して進めております。  そのためには、御指摘のございましたように、ただ貸すだけではなくて特に貸し付け後の営農指導、あるいはお話しございましたような流通面も含めましたそういう対応が必要でございます。御承知のように、従来からこの資金は農業改良普及事業と大変密接な連携のもとに運用されておりまして、主として普及員を通じます改良資金関係のいろいろな情報の提供、それから意識の啓発、こういうことを行いますと同時に、特に貸付決定の際に普及所という組織が十分参加しまして、その貸し付け後の営農がうまくいきますような意見の反映を行われるようにしております。さらに、貸し付け後につきましては、普及員等が農家に密着して営農指導を行う。こういう諸点をいわばポイントとしまして、御指摘のような特に営農指導面については、この資金の融資効果が十分発現されますようにこれからも努力してまいりたいと考えております。
  106. 鴻巣健治

    ○鴻巣政府委員 レンコンを例にお尋ねがございましたが、所得の確保、私どもは野菜行政をお預かりいたしますが、その面からいっても大変重要なことと考えております。  実際には、キャベツなどの十四品目の指定野菜につきましては、既に需要見通しをつくって生産出荷協議会を開催するといったような形で、計画的な生産出荷をやっておりますが、指定野菜以外の各県の特産の野菜につきましては、県がそういう需要に見合った生産出荷などの指導をやっておるところがあります。  具体的に言いますと、広域流通をいたしておりますイチゴ、それからスイカ、メロンについては、既に系統団体による実質的な全国的な協議会で需給のすり合わせをやっております。今お話しのようなレンコンといったようなこれらの品目以外の地域特産の野菜につきましても、やはり消費者家計の中でその野菜が極めて重要であるとか、生産の動向が大事だとか、あるいは共販体制があるとかといったことを総合的に勘案して、やはり必要に応じて生産県あるいは系統団体が今言ったような需給のすり合わせをしながら、需要に見合った生産をしていくように指導してまいりたいと考えております。
  107. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  108. 島村宜伸

    ○島村委員長代理 駒谷明君。
  109. 駒谷明

    ○駒谷委員 私の方から、今回提案されております国庫納付金納付等に関する臨時措置法案、それに関連した問題についてお尋ねいたします。  農業の経営の改善、さらに農業の生産力の増強、これを図ることは農政の推進の上で大変重要な問題でありますけれども、近年、厳しい財政事情を理由にいたしまして農林水産関係の予算は四年連続減額という形になっておるわけであります。六十一年度予算案におきましても三兆一千四百二十九億円余ということで、六十年度の当初予算に対比いたしまして約一千五百七十九億円、四・八%の減という形になっておるわけであります。補助金等につきましても大変大幅な見直しが行われる。そういうようなことで、農政の推進の上から大変重要な局面を迎えておるのではないか、そのように判断をするわけであります。  その中にありまして、この関連になります農業改良資金制度、これは六十一年度の予算におきましては貸付枠と制度の内容が拡充された、この点については評価をするわけでありますけれども、農業施策を推進する上でこの農業改良資金制度というのは大変重要な役割があると私は思います。それだけに本資金の財源確保という問題が大変重要になってくるわけでありますけれども、今回の制度の内容、さらにそれを拡充していく段階において重要な課題であろう、このように私は思うわけであります。  今回提出されましたいわゆる日本中央競馬会国庫納付金納付等に関する臨時措置法案競馬会の特別積立金の一部を二年間に限り本資金の貸付財源とする特別措置を講じられておるわけでありますけれども、まずこの法案の提出の背景、内容について簡単にお伺いをいたしたい。特に、今回の改正の中におきましては、従来農業改良資金に充てられました一般会計の額は、六十一年度は百億から四十億に減っておる。拡充いたしておりますものは、今度の改正におきます百五十億という日本中央競馬会の特別積立金をこちらに流用する、そういう形で行われておるわけでありますけれども、この一般会計の減額になった経緯等も含めて、特にそこに絞った形での内容の御答弁をいただきたいと思います。
  110. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 農業改良資金制度については、昨年法律改正をお願いしまして改良資金に生産方式改善資金というものを導入し、またさらに農業経営基盤強化措置特別会計による資金のいわば調整をやる、こういうことにいたしたわけでございます。  今お尋ねございましたように、昨年百億円という一般会計からの繰り入れによりまして新制度によります資金の拡充、制度の拡充をしたわけでありますが、六十一年度さらにこういう面の拡充をしたい、こういう計画でございまして、それに伴います財源措置としまして、全体として、これは相当制度の拡充をすることになりますと百九十億円の新しい国庫措置が必要である、こういうことになりまして、うち百五十億円を六十一年度については中央競馬会からの納付金ということで、これは中央競馬会の方の状況から見てその程度の納付金をお願いをする、こういうことにしたわけでございます。したがいまして、全体として見ますと、国の特別会計に入ります財源措置は、一般会計の四十億円、それから中央競馬会からの百五十億円、合わせまして百九十億円という原資がありまして初めて拡充をされた、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、今お尋ねのありましたような全体の農林予算の厳しい中で、特に農業改良資金というような大変重要な政策手段に対して、一般財源それから中央競馬会納付金、合わせましてこの強化措置を講じていくというのが今回の法律趣旨である、こういうふうに理解しております。
  111. 駒谷明

    ○駒谷委員 この百億が一般会計の中で四十億に削られておるわけですね。この農水予算全体が四・八%という減額の状況の中で大変厳しい予算編成であったろうと思うわけでございますけれども、これは後でまた質問いたしますけれども、百億が四十億という形が、これはますます農林予算の中で一つのあらわれとして出ているのではないか、そのように私は感ずるわけであります。事業そのものの原資というものは拡大を行われておりますけれども、その点大変残念だと私は思うわけであります。  今回二年限りという措置になっておるわけでありますけれども、特別積立金からということで過去において二回中央競馬会の方から特別納付が行われておるわけであります。五十六年と五十八年、百八十四億そして二百二十一億、一年限りになっておるわけでありますけれども、今回二年限りというふうに措置が行われたその事情、これからの問題等についてお伺いをしたいと思います。
  112. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 まず、三百億から御理解賜りたいと思うわけでございますけれども先生御案内のように、この三百億は、中央競馬会が積み立てております特別積立金、この中から三百億を国庫に特別納付していただくわけでございます。その三百億につきましては、特別積立金の中で競馬会なりにいろいろな資金需要がございますし、かつ相当な部分は不動産に充てられている部分もあるということでございますので、いろいろ御相談した結果、三百億程度であるならば中央競馬会としても、あくまで臨時特例的なものであるとして納付するものであれば農政に協力してもいい、そういう御理解をいただきましたので、三百億の国庫納付金納付していただくことにした次第でございます。  ただ、この納付につきましては、あくまでも中央競馬会の円滑な運営にも配慮いたしまして、この三百億につきましては二カ年に分割してそれぞれ百五十億ずつ納付していただくというふうに御相談をして決定した次第でございます。
  113. 駒谷明

    ○駒谷委員 この件については、中央競馬会澤邊理事長お見えでございますので、拠出をされた方の立場として御意見を伺いたいと思います。
  114. 澤邊守

    澤邊参考人 私どもの特別積立金と申しますのは、毎年、決算上利益剰余金が出た場合、二分の一を第二国庫納付金に納めまして残余の二分の一を積み立てる、いわば内部留保の利益積立金ということでございます。  六十年度末の利益を繰り入れまして、その時点で特別積立金は三千九百四十八億円ということになっております。しかし、今局長からもお話ありましたように、これは全部現金で預金その他で流動資産として積み立てて持っておるわけではございませんので、既にスタンドだとか馬場だとかあるいは厩舎だとかいう固定資産化されているものが大部分でございます。  流動的な資産として持っておりますものは、そのうち約一千三百八十億円ぐらい持っておるわけでございます。これは流動可能な預金とか国債とか農林債券とかいうような形で持っておるわけでございますので、必要な場合には現金化できるというものでございますが、これは何のために持っておるかと申しますと、競馬事業というのは、ファンが移り気といいますか、浮沈が非常に大きいわけでございまして、いつも順調にいくとは限らない。現に地方競馬その他公営競技は非常に経営上お困りになっているというような事態もあるわけでございますので、私ども中央競馬も、今のところは調子がいいんですけれども、将来ともこれが続くかどうかわからない。しかも独立採算制でやっておりまして、国から補助あるいは特別な低利の融資を受けるという道がございません。したがいまして、そういう不振になったような場合にも内部で何とかしのげるような準備として持っておる必要があるわけでございます。  これはただ経営が不振だということだけではございませんで、集団的に伝染病などが発生いたしますと競馬がとまってしまいます。そういうことが二、三カ月続きますと相当大きな痛手になるわけですが、競馬サークルで厩務員の方、調教師、馬主さんもそうですけれども、騎手、それは全部私の方の売上金を賞金その他いろいろな形で出した中で生活を維持している面があるわけでございますので、私の方としてはそういうときも、競馬がとまっても何か手当てをして生活を保障しなければいけないということになるわけで、そういうための準備金として持っておるというようなこと。  それからもう一つ、レジャー産業は競争が非常に激しい中でだんだん施設等がデラックス化しておりますので、私どもとしてもファンに喜んで快適に見ていただくために、施設を高級化するというのですか、向上する、改善するということについては相当力を入れなければいかぬだろうというふうに思っております。そういう今後の投資のための準備金、それから何か赤字でも出たときの穴埋めのための準備金というような意味で、先ほど申しました一千三百八十億円ばかり現時点で持っておるわけでございます。  その中から三百億出すという御要請があったわけでございますが、今の財政事情あるいは農政上の必要性もよくわかりますし、私ども政府機関でございますから、政府になるべく御協力申し上げるのが筋でございます。しかし、私どもの内部の財務運営、今後の投資の予定というものを見て、可能な範囲内においては御協力しなければいかぬということでいろいろ御相談しまして、改良資金の資金造成額、所要額と両方にらんで、三百億円ならば私ども今後経営努力をしていけば大きな支障はないだろうということで御協力申し上げることにしたわけでございます。
  115. 駒谷明

    ○駒谷委員 先ほど畜産局長から御答弁があったんですけれども、私のお尋ねをしておる趣旨は、前におきましては一般会計に戻入された例でありますけれども、過去二回は単年度、一年限りになっておるわけですね。今回は二年限りということで三百億、こういう形になるのですけれども、これは特別会計の方に戻入されるわけですけれども、なぜ今回二年に、これは財政事情ということはわかりますけれども、そのような形の中で、これは後々影響してくるのではないか。この内容について、二年限りという考え方がやむを得なかったのかどうか、そこらの事情が伺いたかった点だったわけであります。  それと、さらにあわせてお伺いしますが、この二年限りが恒常化する心配はないか。先ほど競馬会理事長から御答弁がありましたけれども、特別積立金の用途というのは予想外の問題が起きたときに対応するというようなことがあるわけですから、そういう問題等を考えていきますと、余力があるようで大変厳しい状況ではないか、そういうことも思うわけであります。したがって、先ほども答弁がございましたけれども、この二年間の措置の後、この財源確保の関係についてどのような方向を農林水産省としては考えておられるのか、その点も含めてお伺いします。
  116. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 経緯から申し上げますと、私ども中央競馬会といろいろ御論議したわけでございますが、その際には、総額として三百億につきましては特別積立金から農政に協力もやむなしという御返事をいただいたわけでございます。ただ、その納付につきましては、競馬会自体の円滑な運営にも配慮いたしますし、私どもの方も、既に御案内のように本年度に使用しますものは一般会計からの繰り入れの四十億と中央競馬会から納付を受けます特別国庫納付金百五十億で一応足りるわけでございますので、そういう両面から総額三百億につきましては二年間に分けて納付していただこうということにした次第でございます。  ところで、そういう意味では総額三百億に意味があるわけでございまして、その三百億につきましても、法文上あくまでこれは臨時特例の措置であるということで、名称と第一条の文言とを総合的に考えますと、あくまでこの措置は臨時措置法。といっておりますように臨時でございますし、かつ第一条の末にございますように歳入特例であるということでございまして、名称、この第一条の文言から考えまして、あくまでも臨時的かつ特例であるというふうに考えておりまして、私ども今回これ以上のものを中央競馬会から納付を求めることは考えておりません。
  117. 駒谷明

    ○駒谷委員 明確にこの二年限りということの答弁があったわけですけれども、当初に申し上げましたように、農業改良資金助成法という一つの大きな目的のために、財源資金というのは大変重要な問題になってまいります。今回は一般会計四十億に事実上削られておるわけでありますけれども、この二年間の措置の後、やはりこれは一般会計の問題になろうと思いますけれども財源確保について農水省の御決意のほどを伺いたいと思います。
  118. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 二年間というのにしていただいた理由は、今畜産局長のお話にもございましたように、資金のいわば貸し付けの面から見ても、一年三百億円が決まったとしまして、全体で一年というよりは二年間に分けていただいた方が貸し付け上もいいということもあったわけでございます。  その後の問題でございますが、先生のお尋ねにございましたように、これは従来どおり一般会計の財源措置ということになるわけでございまして、その時点になりますと、その後の貸し付けの需要がどのくらいあるか、それから農家から返ってまいります償還金、これは回転資金として次の新しい貸し付けに繰り入れることができるシステムになっておりますので、その貸付金の戻り方、これらを見合わせまして必要な額は一般会計で確保する、こういうことで六十三年度以降予算において私ども努力したいと考えております。
  119. 駒谷明

    ○駒谷委員 先ほど競馬会理事長から御答弁がありましたけれども、今回の特別納付になっております原資のいわゆる積立金につきましては、固定資産の関係、それから流動的な部分につきましてはいわゆる準備金的な要素ということで御答弁があったわけですけれども、競走馬の疾病等が集団発生したことによって競馬の開催が中止をされた、そういう事例が過去においてあったように伺っておりますが、そのときの状況と、実際にどの程度の準備金が流用されたのか、そこらの件を伺いたいと思います。
  120. 澤邊守

    澤邊参考人 過去の例といたしましては、長期間競馬が中止された事例として、四十六年の十二月のほんの末でございますが、それから四十七年の二月下旬の約二カ月間にわたりまして馬のインフルエンザが大流行いたしまして、これは全国じゃございませんが、東京と中山の両競馬場における競馬開催が中止された経緯がございます。  このときにどれくらい経費がかかったかということでお尋ねでございますが、このときは不幸中の幸いと申しますか、その期間両競馬場においては競馬は施行できませんでしたけれども、年度の初めでございましたので、後、振りかえて施行した。年度の途中になりますと、振りかえるといいましても、大体土曜、日曜に全国で毎週二カ所、三カ所でやっておりますので、それをさらにその間に入れるわけでございますが、入れるのが非常に難しくなります。年度後半にとまりますとその分を振りかえるのは非常に難しくなりますが、このときは不幸中の幸いと申しますか、年度の初めであったものですから、インフルエンザによって中止した回数、日数を全部年度内に若干無理しながらも振りかえ可能でございまして、その意味では損害は非常に少なくて済んだということでございます。ちょっと今手元に正確な数字は持っておりませんが、大した金ではなかったように記憶しております。  先ほど申しましたように、これが時期によりまして振りかえが不可能だということになりますと、丸々穴があいたところだけ開催日数が減るということになりまして売り上げ減になり、その間、賞金その他から直接間接生活の資を得ておる関係者の収入がなくなるということでございますが、それに対して何らかの手当てをしなければいけない。  私どもといたしましては、中央競馬会法がつくられました際に損失準備金という制度ができております。これは二億円ぐらい現在積み立てておるわけでございますが、現在二億円じゃとても足りませんけれども、そのときの考え方は、約三カ月間全国一斉にとまったような場合を想定して当時の金で二億円ということであったわけでございます。現在それと同じような考えで三カ月ぐらいとまった場合どうかというような仮の計算をしてみますと、これはいろいろな計算の仕方がございますので、これ以外推定のしようがないというような意味で断言的に申し上げるわけじゃございませんが、おおむね四百億ぐらいかかるんじゃなかろうかというふうに考えております。これは振りかえができなかった場合という想定で考えますとその程度と推定をいたしております。
  121. 駒谷明

    ○駒谷委員 私の心配をいたしておりますのは、競馬の運営というのは、今レジャー産業として競馬ファンが大変多いわけで、後でお尋ねをいたしますけれども競馬の開催については健全なそして公正な運営ということが大きな一つのテーマであろうと思うわけです。したがって、環境の整備もしなければいけない、あるいは施設整備等もやっていかなければならない。  そういう点から考えますと、先ほどお話のございました不測の事態が起きたときにきちっとそれに対する補償あるいは対応ができるような準備金といいますか、そういうものはもちろん必要であろうと私は思うわけであります。今の状況で試算して三カ月で四百億というお話が出ておりましたけれども、そういうふうなことがこれからないという保証はない。また、施設の不測な問題で緊急に整備しなければならぬという問題がないということも保証の限りではない。  そういうことを考えますと、今回の三百億を出されたというのはかなりいろいろな状況を判断した上で了解をされたというふうに思うわけですけれども、この準備金の関係で将来不安が起きないかどうか、農林水産省としては二年限りの措置ということで後の問題については一般会計云々という話がございましたけれども、そういう将来的な問題等を考えて理事長の御意見があればお伺いしたいと思います。
  122. 澤邊守

    澤邊参考人 今先生がおっしゃられましたように、私ども、流動的な資産として持っております特別積立金は、そういう不測の事態、これは天災地変等の場合もあり得るわけでございますが、そういう不測の事態に備える準備金的な意味とあわせて、今後いろいろ投資をしていかなければいけない、施設の整備その他に投資をしていく場合の資金に充てるというふうに考えておるわけでございます。レジャー産業、非常に競争が激しくて、どんどん新しい施設を整備しませんとファンが離れていきますので、これから継続して積極的な投資を続けていかなければいけない、そういう意味での準備金と、二つの意味を持っておもわけでございます。  そういう点からいたしますと、私どもといたしましては、今回の二カ年にわたります合計三百億程度ならば我々の経営努力によって支障はないというふうに考えて協力しているわけでございますけれども、今後のことにつきましては、今後の経営状況いかんということもございますけれども、積極的な投資をかなり長期間続けていかなければいけないという前提に立ちますと、毎年納付するということはとても無理な話ではないかと思います。  また、そういうことをやりますと、ファンの方方からは、控除率をもっと下げろ、払い戻しの率を上げろ、あるいは馬主の方々からすれば、もっと賞金を上げてほしい、厩務員の方からすれば、私どもの方で見ておりますいろいろな給与関係の一部、退職金とかそういうものをもっと引き上げろ、そういう要求が当然出てくることも考えられます。また、私どもの利益が出たのは、ある意味では経営努力の成果ということもありますので、そういう企業努力をしても結局競馬事業の内部で使えないということになりますと、やはり士気にも影響することも否定できない面がございますので、それやこれや考えますと、特別の事情、情勢の変化があればまた別でございますけれども、現段階で考える限り、毎年納付するということは好ましくなくて、第一納付金、第二納付金というこれまでの制度で国庫に寄与していくのが筋ではないかというふうに考えております。
  123. 駒谷明

    ○駒谷委員 先ほどから理事長のお話がございますけれども、公正かつ健全な経営をしていくという面では、競馬会の内部の問題、競馬の開催時におきます、その関連でいろいろと従事される人たちの施設環境の整備の問題、それから周辺の住民に対する競馬開催に対する理解、あるいは交通混雑等におきます協力の要請など、開催にまつわるいろいろな問題があろうかと思うわけであります。  現在、競馬会で施設中期整備計画というものを策定されて、そしてそれに基づいていろいろと計画を進めていらっしゃるというふうに伺っておるわけでございますけれども、この中期計画の内容とこの事業計画についてお伺いをしたいと思います。
  124. 澤邊守

    澤邊参考人 先ほど来お答えしておりますように、施設投資によりまして快適で明るい環境の中で競馬を観覧していただくようなことをやりますことが、今後ファンの要望にもこたえるゆえんでもありますし、私どもの売り上げを一層伸ばしていくゆえんであるというふうに考えておりまして、施設投資につきましては今後とも積極的に努力してまいりたいというふうに思っております。  中期計画というものも、内部のものとして、まだ外部にお示しするほどのものではございませんけれども持っておりますが、その重点として考えておりますのは、競馬場の施設の改善、スタンドその他の居住性、快適性を高めるというようなことをやりたいと思っております。  現在十カ所競馬場がございますけれども、中山の競馬場とか阪神の競馬場などは、先ほど竹内先生からも御指摘がございましたけれども、かなり老朽化しております。冬などは吹きさらしで寒いというのは、今の時代からするとどうも望ましくない、少なくとも、全部とは言わなくても、一部であっても冷暖房を完備するべきではないかというふうにも思います。部分的には雨漏りがするという面もございますので、ぜひこれは順次、今の二場は優先でございますが、その他の競馬場についても直していきたい。その中で、さしあたり現在売店とか食堂の設備を改善するというようなことをやっております。  それからまた、最近場外で馬券をお買いになる方が非常に多くなってきておるわけでございますが、いろいろ映像情報サービスなども整備しております。その成果かと思いますけれども、非常にたくさんいらっしゃる。これまでの場外売り場では、とても狭隘で、空気は悪いし、混雑をしておるということで座る場所もないような状態でございますので、既存のものは限界がございますけれども、少しでも改修して気持ちよくごらんいただけるようにリフレッシュメントといいますか、ぜひやりたいと思っております。現在、渋谷の場外馬券売り場で既に着手しておりますが、ほかのところでもやりたい。また、場外売り場の新設も全国的に可能なところについては着実に進めていきたいと考えております。  また最近は、映像情報を見ていただく、要するにテレビで観戦できるようにする、実況がわかるとかいろいろなデータが場外におきましても場内においてもあるいは一般のテレビを通じてでもわかるというようなことを整備していくことがファンのニーズにこたえるゆえんだと思いますので、各場外の売り場で実況が全部見られるようにするとか、競馬場において大型ディスプレーといいまして、十五メートル・八メートルぐらいの大きなスクリーンを設けまして、向こう正面を走るときでもそのスクリーンを見ればレースの模様がよくわかるというような施設も順次整備をしておりますが、これを全部に、行き渡らせたい。  また、馬場施設も整備をして事故が起こらないようにするとか、あるいは厩舎の老朽化したのを建てかえることによりまして強い馬づくりの一環にも役立てていくというようなところに重点を置きまして、本年度は土地取得を含めまして四百二十四億の設備投資をすることにいたしておりますが、ここ二、三年ぐらいはおおむねその程度の規模の投資を続けてまいる方向で考えておるところでございます。     〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
  125. 駒谷明

    ○駒谷委員 場外馬券売り場のお話が出ましたけれども、場外馬券売り場は競馬開催におきます馬券の販売についてかなりウエートを占めておるわけでありますけれども、神戸の中央区元町にあります中央競馬会の場外馬券場の設置の問題について現況をお伺いするわけでございます。  御承知のとおり、この場所は昔の神戸元町、商店街として一番有名なところでございます。オフィス街であり商店街ということで、場外馬券場そのものの環境整備という問題でいろいろと御努力をいただいておるわけであります。神戸市あるいは地域住民との協議等が進められておるわけでございますけれども、新しくこの周辺で改築をするというふうな話も出ておるわけでありますが、この施設整備について現在どのように進行されておるのか、また将来の問題等についてお伺いいたします。
  126. 澤邊守

    澤邊参考人 神戸元町の分館設置の問題でございますが、元町には既に在来のものが一カ所、元町三丁目にあるわけでございますが、これは相当古くて狭隘でございまして、環境問題もいろいろ出ておりますので、その近くにぜひ新たに分館を設置して二カ所にいたしまして、今の本館を分散することによって収容力もふやし、施設も立派にいたしまして周辺の環境問題の改善にも役立たせたいということで、かねて、昭和五十二年から地元の業者の方から誘致申請がございまして、私どもも種々検討いたしまして、今申し上げましたような趣旨から、地元との調整がつきますればぜひ分館を設置したいということで、地元の方々の同意を得べく努力をしてまいったところでございます。  しかし、商店街を中心にいたしまして反対期成同盟というものが設けられまして、その方々とも精力的に話し合いをし、それから、誘致企業の方が現地の方でございますので精力的に御努力いただいて、かなりいいところまでいけるのではないかなという予想をしておりましたところ、最後の段階でなかなか理解が得られず、またそのような反対運動が続いておるところでございます。  これは、地元企業と申しましたけれども、阪神電鉄株式会社の子会社が誘致企業になっておるわけでございます。場所は、阪神電鉄の元町の駅舎の改築をいたしておりますが、その地上部を利用いたしまして、駅前というのか、駅そのものを使って場外売り場をつくるというような計画にいたしておるわけでございます。  地元に賛成をしていただける方もかなりあるわけですが、全面的にというところまでは至っておりません。さらに努力をいたしまして、何とか円満に御同意を得てぜひ分館を設置いたしたいということで努力をいたしておるところでございます。いずれにいたしましても、地域調整にはもう一踏ん張り努力をしなければいけないというふうに考えております。
  127. 駒谷明

    ○駒谷委員 先ほどの答弁で、結局二カ所ということで、現在の馬券売り場、ここも整備したいというお考えのように伺ったのでございますが、そうでございますか。今のところは全面移転するのですか。現在のところも十分整備したい、こういうことでございますか。
  128. 澤邊守

    澤邊参考人 現在ございますものも廃止はしなくてそのまま利用し、それから、新しくより規模の大きなものを駅舎を利用してつくるということでございます。したがいまして、現在いろいろ環境問題等がありますところが分散をされますので、そこももちろんきれいになりますし、また、そこの施設も改善はしたいと思っております。
  129. 駒谷明

    ○駒谷委員 この問題は大変長い問題でございまして、いろいろと御苦労なさっていらっしゃるようでありますけれども競馬ファンにとってはやはりこの場外馬券売り場というのがかなりウエートを占めておるわけであります。環境の問題からいきますと、あそこは建物そのものが大変古い状況でありますので、どうしてもあの地域で必要であると私は思うわけでありますけれども、よく地元と協議を重ねて解決できるように格段の努力をされますように要望をいたしておきます。  場外馬券に関係するのですが、四月二日の新聞報道で、変造馬券で場外馬券のいわゆる自動払い戻し機から払い戻しがなされて被害が出たということが出ておりますけれども、この状況につきましては先ほど来申し上げておりますように大変不愉快な問題であります。公正という問題、健全な運営という問題からいきますと、こういう事件が起きますのは競馬ファンにとってはおもしろくない内容でありますけれども、これに対してどういうふうに対応をされるか。これについて警察の方の内容があるわけですけれども競馬会としてのこの自動払い戻し機に対するそういう不正を防止するための今後の方向といいますか、そういうことをお伺いしたいと思います。
  130. 澤邊守

    澤邊参考人 事件の具体的な内容については既に御承知かと思いますので、必要ならば御説明しますけれども省略しまして、今後の対策ということでございますが、私どもの方といたしましても偽変造対策につきましてはあらかじめそれなりの知恵を出していろいろ考えておったところでございます。複合勝馬投票券について変造があったわけでございますが、各種の偽変造対策というものは事細かにやってはおったわけでございます。したがって、五十一年に設置以来今まで皆無であったところ、今回そのチェック網を突破して変造されたということで、大変遺憾に思っておるところでございます。私どもといたしましては、事件後早速現在とり得る防止手段はすぐとりまして、すぐとりました結果、犯人を捕まえることができたわけでございます。  とりあえずの対策としては、今後新たに同じようなのが発生しないようにという措置は講じております。やや長期の対策といたしましては、やはり施設をさらに改善いたしまして、今はちょっと手をかけたことでチェックをする対策をとりあえず講じているわけですが、手がかからずに、同じ当たり馬券が二枚出てくれば全国どこでもすぐ判明をして払い戻しをとめることができるようなチェックシステムを早急に設けたいと思っております。ただ、具体的なやり方につきましては、これは申し上げるといろいろまたその裏をかかれるというようなこともございますので、差し控えさせていただきたいと思います。御了承いただきたいと思います。
  131. 駒谷明

    ○駒谷委員 裏をかかれないように、ひとつその対策については十分にやっていただきたいと思います。  次に、農業改良資金の関係でお尋ねをいたしますけれども、六十年度におきましてこの農業改良資金助成法が大改革をなされたわけであります。いわゆる技術導入資金が再編成され拡充されて生産方式改善資金という形になったわけでありますけれども、大別して四つの資金種類になっておるわけですね。発足以来貸付枠を決めて貸し付けが行われておりますけれども、この六十年度の貸し付けの実績はどのような状況になっておりますか。年度末は三月でございますので全体としては出てきていないと思いますけれども、年度末における見通し等についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  132. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 昭和六十年度のこれら資金の貸し付け状況でございますが、お尋ねございましたように、実は年度末の整理というにはまだちょっと時間を要する段階でございます。  ただ、全体的に申しますと、今度六十年度に新設しました資金関係については、いわば私ども趣旨の普及あるいは関係者の方々の十分な御理解を得ない、そういう不十分な点があったかと思いますけれども、どうも新しい資金関係が比較的消化状況が悪いのではないか。そんな中で畜産振興資金はかなり計画額に近い額までまいるような見込みでございますが、果樹、野菜、養蚕、これら関係については、まことに残念でございますけれども貸付実績が計画よりかなり下回るというような状況ではなかろうか、かように思っております。
  133. 駒谷明

    ○駒谷委員 この六十一年度におきましては新設の資金等があるわけでありますけれども、この資金の関係につきまして、前回のこの改正の段階におきまして私が申し上げておりました稲作省力生産、稲に関する問題、米、麦、大豆あるいは畑作等に関する問題について技術導入資金から生産方式改善資金の方に取り入れるべきではないかという質問をし、その答弁をいただいておったのですけれども、今回これが入れられたということを私も大変喜ばしいと思うわけであります。  この経緯について簡単にお伺いをしたいのと、六十年度におきまして私がこれまた取り上げた問題ですが、畜産振興資金その他の内容で標準資金需要額の設定、これは新しい分についてはこの需要額の設定が省令によって行われるということになっております。従来からの標準需要額の設定については、昭和五十五年以降これについての見直し、検討が部分的には行われておるというふうに局長からも伺ったわけでありますけれども、今回この資金を新しく設定をする、これに基づいて従来の問題についてやはり検討、見直しをすべき時期ではないかというふうに思うわけでありますけれども、以上の二点についてお伺いしたいと思います。
  134. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 第一点でございますが、お尋ねございましたように、昨年は、新しい生産方式改善資金の部門別については、畜産、果樹、養蚕、野菜、そういう部門に限ったわけでございます。そのときもお答え申したわけでございますが、これからいろいろ資金の動向に応じて新しい部門の新設の必要性についてもよく検討するという考えを申し述べたというふうに記憶しております。  その後、私ども、今回資金の拡充問題を検討いたします際に、稲作につきましては、御承知のように生産性の向上、コストの低下が非常に急務になっておりまして、一方、技術の動向を見ますと、例えば側条施肥田植え技術でありますとか成苗田植え技術、これと絡みます地方増強、こういうかなり新しい技術の課題も出てまいりまして、これに対応しよう、こういうことで、今回、稲作の関係の資金を設けた次第でございます。  また、畑作につきましては、これも従来の課題であると言えばあるわけでございますが、やはり基本的には、合理的な輪作体系を確立しまして、また、施肥、播種等から最後の収穫、調製に至りますまで一つの一貫した技術体系をつくりまして、それに従って生産の合理化をする、こういう必要性がかなり強い、こういう判断に基づきまして、今回、畑作の資金もあわせて設けることにした次第でございます。  また、第二点の標準資金需要額の問題でございます。これは、お尋ねのように、昨年の制度改正によって新設されたのではない従来の技術導入資金部門、六つばかりございますが、この関係については昭和五十五年度に新しい標準資金需要額の設定等がございまして、その後の改定をいたしていないわけでございまして、私どもこれについてはやはり必要があれば改定をする、引き上げる、こういう考えで臨んでおるわけでございます。  ただ、たまたま五十五年度あたりから、最近の、主として農業生産資材の価格動向等を見ますと、最近は、あるいは一部円高の影響もあらわれたかと思いますが、若干横ばいないし上昇してもそれほど大きいものではないという傾向でございますので、今のところは標準資金需要額で対応できると考えております。  これは、今後とも資材の価格動向、必要な資金の額、こういう点についてはよく調べまして、必要となりましたら対応するという考え方で今後ともまいりたいと思っております。
  135. 駒谷明

    ○駒谷委員 以上で質問を終わりますけれども、無利子で、地元の農業者にとっては大変期待をされている改良資金制度でございます。したがって、この貸付限度額という問題、地元ではいろいろ意見があるわけであります。もう少し見直してもらいたいという意見が地元自治体でも出ております。特に、地方自治体としてはその標準設定を見た上で、それを基本にした形での貸し付けをせざるを得ないという形になっておりますので、その点ひとつ、常時、実勢価格に合った形での見直しというものを今後も努力をしていただきたい、そのように要望いたしておきます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  136. 大石千八

  137. 稲富稜人

    ○稲富委員 競馬会国庫納付金の臨時措置法に対する質問をするに当たりまして、農林大臣に特に承っておきたいと思いますことは、中央競馬会法が改正されましたのが昭和二十九年でございます。そのときの農林大臣が保利次官のお父さんでございまして、井出一太郎さんが委員長で、その時分の委員で生き残っておるのはもう私一人でございます。その点の事情をよく存じ上げておりますが、そのときの委員会中央競馬会法ができましたきっかけ、あるいはその当時の状態、こういうことを知っておくことがこの法案審議にもまた非常に必要のあることでありますので、その当時の経過というものをどの程度まで今政府として認識されておりますか。農林大臣、御承知であるならば、御存じの点だけひとつお述べ願いたいと思うのでございます。
  138. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 甚だ申しわけございませんが、昭和二十九年と申し上げれば、国営を日本中央競馬会にいたした時期かと思うわけでございますが、当時の状況、当時の問題等につきましてはつまびらかでございません。まことに申しわけございませんが、御容赦いただきたいと思います。
  139. 稲富稜人

    ○稲富委員 なぜ私がこれを申し上げるかといいますと、実は、この問題につきましては五月十四日の本委員会、その当時の状態を申し上げると、議事録もあるのでございますが、中央競馬会法をつくるにあたりまして政府は財政措置というものを何もやってないわけなんです。御承知のとおり、その当時日本競馬会というものが民間団体として競馬を開催いたしておりました。ところが、競馬正いうものが軍馬の供出等に協力をしたということで、GHQから解散団体としての指定を受けるようになりました。その結果、民間団体の日本競馬会が所有いたしておりました財産その他を全部国が継承したわけでございます。それだから、国営競馬として国が競馬を開催しておったというのがその当時の状態であります。  それで、国が競馬を開催することはどうかということが論議されまして、それじゃこれを民間団体に移そうということで日本中央競馬会法というものが制定されたわけでございまして、国は、日本競馬会から無償で継承しておった財産をそのまま中央競馬会の財産として移行したのでございまして、ただでもらっておったのを、またただでやったということなんで、国は財政的な措置というものは一つも支出していない、これが現状であるのでございます。  この点は、今日の日本中央競馬会に対しましても、政府といたしましても、日本中央競馬会がそういうような事情でやっておるのを、ただ自分の方が権利を与えたからどれだけでも吸い上げていいのだ、こういうような考え方はおもしろくない。こういうような点から、どういう経緯でこの日本中央競馬会法というものができたかということをまずもって我々が認識することが一番必要ではないか。国は一つも財政的な処置はやっておりません。そのことを一応認識していただきたい、かように考えまして私申し上げたわけでございまして、そういうことに基づきまして私は質問を申し上げたいと思うのでございます。  まず最初にお尋ねいたしたいと思いますことは、この中央競馬会から第一納付金と第二納付金ということで国庫納付金をもらっております。その金額は一応あなたの方で説明してもらいましょう。この数年間に国が競馬会からどのくらい国庫に金額を納付させておるかということがわかっておるはずでありますから、それをひとつお知らせ願いたいと思うのです。
  140. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 先生御案内のように、中央競馬会は売上高の一〇%を第一国庫納付金として国庫に納付するほかに、剰余金が出た場合はその剰余金の二分の一相当額を第二国庫納付金として納付することになっておるわけでございます。六十事業年度の例で申し上げますと、第一国庫納付金は千六百四十五億八千六百万円でございます。また第二国庫納付金は三百二十六億六千七百万円でございます。第一国庫納付金、第二国庫納付金合わせまして、六十事業年度におきましては千九百七十二億五千三百万円を国庫に納付しているということでございます。  なお、剰余金のうち、二分の一を第二国庫納付金として納付した残額につきましては、特別積立金に積み立てているわけでございますが、その累計額につきましては、六十事業年度末におきましては三千九百四十七億八千六百万円になっております。
  141. 稲富稜人

    ○稲富委員 今御説明ありましたように、国庫納付金を納めておりますのは、私の調査によりますと、五十九年は第一納付金と第二納付金を合わせまして千七百九十四億円を納入されております。六十年は千九百七十三億。実にこれだけの膨大なる金が国庫に納付されているという、これは国からいうならば、実に日本中央競馬会様々でございます。  さらに、この競馬法第十条の二項に端数切り捨てというのがありますが、この金額は幾らになっておるか、それを承りたいと思います。
  142. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 ただいま先生指摘の端数切り捨て金額でございますが、中央競馬会の報告によりますと、六十事業年度におきましてはこの金額は八十四億二千万円でございます。
  143. 稲富稜人

    ○稲富委員 端数切り捨ては六十年度は八十四億二千万ですか。この金というものは、御承知のとおり収入として国に納めであるかどうか、これはどういう処理をされておるか、この点を承りたいと思うのです。
  144. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 払戻金の計算の際に生じます端数切り捨て金につきましては、競馬法第十条の規定によりまして、算出金額十円当たり一円未満の端数が出てきたときは、その端数を切り捨て、競馬会の収入とする旨が規定されているところでございます。
  145. 稲富稜人

    ○稲富委員 競馬法の第十条には、今御説明のありましたようにこの払戻金の交付を受ける場合は「前項の端数切捨によって生じた金額は、日本中央競馬会の収入とする。」ということになっております。すると、利益金の中から国庫納付をされるでしょう。それではこの端数切り捨て分は国には一つも行ってないのですか。全額中央競馬会の収入になっておりますか。その点を承っておるわけなんです。
  146. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 一般の収入と同じような扱いになっておりますし、利益の根拠になっているものでございます。
  147. 稲富稜人

    ○稲富委員 一般収入と一緒に取り扱っている。するとこの端数切り捨ての中の金額も、昨年度は八十億から入っておりますが、これも半分は国に納まっておるということなんですか。
  148. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 さようでございます。
  149. 稲富稜人

    ○稲富委員 実はこの点はこの法律をつくるときに随分問題になりまして、端数切り捨ての金額は別途にすべきであるというわけで、わざわざ「前項の端数切捨によって生じた金額は、日本中央競馬会の収入とする。」とはっきりなっているのです。日本中央競馬会の収入とすべきものなんだ。これは普通の一般の収入と違うわけなんです。特にこう決めだというのは、日本中央競馬会でその他いろいろと費用も要る、あるいは馬主への待遇であるとかいろいろ問題があるから、これは特別に「日本中央競馬会の収入とする。」ということをはっきり明文でうたってあるのですよ。これを一般の収入と一緒に国庫納付金に半額入れたということは、法の精神に反しておると思うのでございますが、いかがでございますか。
  150. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 あくまでも中央競馬会法の規定によりまして処置しているわけでございますが、他の収入とともに競馬会の収入として種々の事業利用しているということでございまして、ちなみに、他種の公営競技につきましてはこの種の明文の規定はございませんが、同じような端数整理をいたしました結果出ました切り捨て金につきましては、同様に収入として各種の事業に使用しているというふうに承知しております。
  151. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうも答弁がはっきりしないのですが、このできたときのことを御存じないからだけれども、わざわざここに、この端数切り捨て分は「中央競馬会の収入とする。」ということをはっきりうたったのは、ほかの収入と別個だということを意味しているのですよ。これは、中央競馬会自体がこの益金を何かに使用すべきである、こういう意味でここにはっきり「中央競馬会の収入とする。」とうたってあるのですから、これをほかの利益と一緒に国に納付するというのは、この法の立法の精神に沿っていない、こう思うわけでございますが、それをどう解釈なさいますか。
  152. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 結局、端数整理に伴います収入につきましても、一般の収入と同じように競馬場スタンドの整備なり場外施設の整備等々、各種ファンサービスの面に支出されているわけでございますので、結果的にはこの種のものに利用され活用されることによりまして、かっこのようなサービスを通じましてファンへ実質的な還元がされていると考えてよいのではないかというふうに考えます。
  153. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は冒頭、この法律をつくったときの事情というものをどのくらい認識されておりますかと質問いたしました。これが今後の審議に非常に影響すると思うから質問したわけなんですが、私はその立法の衝に当たっているのです。立法の衝に当たって、特別に「中央競馬会の収入とする。」ということをはっきり明文でうたっているのです。「中央競馬会の収入とする。」とうたった以上は、ほかの益金があった、あるいは馬券の売り上げたとかその収入とは別個に考えなくてはいけない、かように私たちは解釈をしております。その点をほかと一緒に考えて、「中央競馬会の収入とする。」とはっきり法法的にうたっているものを、この半分は国庫納付金として納めた、こういうことは法の精神からいって——それならばこの法に「中央競馬会の収入とする。」とわざわざ明文化する必要はないわけなんです。これをあなた方は勝手に解釈なさって、国に半分を持っていったということなんでしょう。どちらが正しいのですかね。——わからぬならわからぬでいいよ。
  154. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 お金に色はついてないわけでございますので、結果的には他の収入と同じようにいろいろな事業に充てられるわけでございます、たまたまその半分が第二国庫納付金として納付される場合に、その納付金の中にこの端数切り捨てによって生じました収入の一部に相当する金額が入っているかどうかにつきましては、入っているといえば入っておりますし、入ってないといえば入ってない。金に色がついてないだけに、これはなかなかはっきり申し上げかねるところでございます。
  155. 稲富稜人

    ○稲富委員 あなた方は、入ってないといえば入ってない、入っているといえば入っているとおっしゃるのだが、そのとき立法した者、この法律をつくった者は、それとは別個に特に「中央競馬会の収入とする。」ということをうたった。立法した我々は、これははっきり法文にうたってある。そのことはひとつ十分頭に入れて考えていただきたい、かように考えます。  さらに、競馬会の当たり馬券でもらいに来ないのがありますね。これを時効収入とされております。この金額はどのくらいあるか、馬券が当たってそれをもらいに来ないのが。
  156. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 六十事業年度について見ますと、今御指摘の時効完成額は十六億六千九百万でございます。この金額の水準はここ四、五年大体同じでございまして、ここ四、重年を見ますと、年間大体十五、六億の金額が時効となっておるという状況にございます。
  157. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま申しましたように、時効収入というのは国が取るべきものじゃなくして、本来からいうならばこれは当然ファンに還元すべきものなんですよ。馬券が当たった者が取りに来なかった、これは一つの拾得物なんですね。それを国が取り上げるということもどうかと思うのですね。これは別個に競馬会としてファンに返還するというような、何かの優遇対策を講ずるために使うべき金であって、これができたからこれを半額これまた国庫に持っていくんだなんということは、国がやることとしては余りにがめついです。  第一納付金、第二納付金ははっきり国に納めることになっております。しかしながら端数切り捨ての問題は、今申し上げたようにこれは別個の問題だから「中央競馬会の収入とする。」となっている。今度時効の問題は、これは競馬に当たった人が取りに来なかったものなんだから、本来からいうならば何かの形でこれはファンに還元する、こういうことを考えるべきものであって、先刻から申し上げましたように、国は毎年、五十九年には千七百九十四億という金を競馬会に第一、第二納付金で納めさせておる。六十年は千九百七十三億という膨大な金を納めさせておる。しかも、冒頭に言ったように、中央競馬会をつくるときには国は一つも財政的な措置をやっておらぬのですよ。ただ乗りしてやって、これだけの莫大な金を取りながら、さらに今言うような時効のその金あるいは端数切り捨ての金、これまで巻き上げてしまうというのは余りにもがめつい、こういうことにならぬですか。どうなんですか。ひとつ率直に政府としての考えを述べていただきたいと思います。
  158. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 先ほどの端数整理の結果生じたもの、また時効によって取得したもの、いずれも収入として他の収入と同じような意味で使用されているわけでございまして、その内容として見れば、例えば競馬場のスタンドの改良工事とか、場外施設等新増設、さらにはテレビ等による情報活動の充実など、各般のファンサービスヘ支出をされている経費の一部に充当されているものでございますので、金に色がついてないだけに非常に厄介でございますけれども、時効によって取得したもの、あるいは端数整理によって取得したもの、これらの収入が即、剰余金の一部として国に対しまして第二国庫納付金として納付されているというふうに一概に言うのはいかがなものかというふうな感じがいたします。
  159. 稲富稜人

    ○稲富委員 ともかくも、政府としては何でも取れさえすればいいというような調子なんですね。これはもっと競馬というものを考えながら、競馬の発展策をどうするかというものを考えなくちゃ、何でもかんでも取るものは取るんだということ自体が非常に考え方がまずいんですよ。  しかも、中央競馬会をつくるときに国が相当に金を助成をしておって、国が金を出してそしてそれができた、それだから国としても当然国庫納付金を納めてもらおう、その出資に対する返還をしてもらおうというようなつもりで取るならともかくも、中央競馬会をつくるとき一文も金を出してない。民間にあったものをGHQによって与えられた、それを今度は中央競馬会に与えた。国としては一つも支出はしてない。中央競馬会ができたところが、取れるだけ取れということで何でもかんでも取ってしまう。これは競馬の発展上、政府のやることとしては余りにもおもしろくないじゃないかと私は思う。あなた方としたら当然だ、一つもそれに対して悪いと思わないとおっしゃるなら別なんですが、あなた方はそれは当然だ、こういうふうなお考えなんですか、いささかでも気の毒だという気持ちはないんですか、ひとつ承りたい。
  160. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 中央競馬会自体、国民に対しまして競馬の施行ということを通じまして健全な娯楽を提供していくということ、またファンに対しまして、いろいろな施設整備を通じながら、かつまたファンが喜ぶレースを提供することによってファンへのサービスを行っていくということは競馬会の使命だと思うわけでございます。  ただ、今回の三百億円の特別納付金の納付に関しましては、特別積立金の三千九百億の中をいろいろ吟味した結果、将来予想されます設備投資あるいは競走馬の病気等によって競馬の開催が不可能になった場合の手当て等々を考えた場合におきましても、何とか三百億程度であれば、非常に農政が困っている時期でもあるし、今回限りであれば協力してもいいという中央競馬会並びに馬主さん方、そういった競馬関係の方々の温かい御理解をいただいたものでございますので、私ども、一方で農政上盤業改良資金の資金需要が高こうございまして、これに対して政策的に対応していくという必要性を持っているわけでございますので、この三百億につきまして農業改良資金のファンドとして使わせていただくということで関係者間の合意に達しまして、こうしてこのような法案の形として今御審議を賜っておるということでございます。
  161. 稲富稜人

    ○稲富委員 これはもう議論しても水かけ論でございますが、この点に対してよほど検討してもらいたいと思うのです。  さらに、競馬益金の支出は、御承知のとおり日本中央競馬会法の三十六条に、畜産振興または社会福祉事業に使う、こういうことになっております。ところが、あなたの方では幸いなことには、二十九条に特別積立金というのがある。この特別積立金をまたひとつ政府は何とかしてこれから引っ張り出そうという考えをお持ちになって、過去二回においては、二回はこれを特別積立金から、何年ですか、出させられておりますね。今度三回目になるのですね。こういうようなことは大体当然のことだと——競馬の益金から第一納付金、第二納付金、さらに端数あるいは時効、十分に取るだけ取っておいて、その上にこの特別積立金からまた国に出させよう、あと二回は出させる、こういう意味ですが、今度は農林関係だからいささかいいようなものだけれども、この積立金から出させよう、こういう意味でございますか、今度の考え方は。
  162. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 昭和五十六年度と五十八年度におきます中央競馬会の特別な国庫納付につきましては、当時の大変厳しい財政事情の中で財政一般への寄与ということで、中央競馬会だけでございませんで、専売公社なり日本電信電話公社等等が一定額の金を国庫の一般会計に納付をしたということでございますが、今回の措置はあくまでも農林サイドの、農政上の必要に応じまして、中央競馬会自体畜産振興というのを一つねらいとする組織でもございますので、畜産振興主体の農業改良資金の拡充という面での資金需要に対応するということで特段の御理解を賜った結果でございます。したがいまして、前二回の場合は一般会計へ納付ということだったわけでございますが、今回は農政上の必要で農業改良資金の財源に充てるということから、農業改良資金の方の特別会計に直接納付していただくというふうなことを考えているわけでございます。
  163. 稲富稜人

    ○稲富委員 過去の二回は一般会計へ入っておったので我々実にこれは不満でございますけれども、今度の場合は農林省関係の中に使おうとおっしゃるのだから、我々もこの点だけは実にいいんじゃないかと思うのでございますが、ここでお尋ねしたいのは、二十九条に「競馬会は、第二十七条第二項の規定による納付及び前条第一項の規定による積立をしてなお剰余があるときは、すべてこれを特別積立金として積み立てなければならない。」二項に「前項の特別積立金の処分については、政令で定める。」こうなっております。どういう政令ができておるか、承りたい。その政令を承りたい。
  164. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 実はこの政令の問題については、五十六年、五十八年におきまして国庫納付金を出す際には特別立法措置を講じたわけでございますが、この政令の規定を使うか使わないかが議論された経緯があるわけでございます。これの政令につきましては、あくまでも会の運営の中で例えば欠損金が出てきたとか、その際に損失補てん準備金をもっては十分でない、したがって特別積立金を崩して埋めなくてはならない、そういった会の運営全体の中で処理するような場合にはこの二十九条第二項の政令が使われる場合が出てまいろうかと思うわけでございますが、あくまでも今回の措置、さらに五十六年、五十八年度の措置は、いわば第一国庫納付金、第二国庫納付金に類するような大きな変革でございますものですから、やはり政令によることなく改めて国会に法案として提出し御審議を得た方がいいのではないかということで前二回は行われたと思いますし、私どもも今回の特別の国庫納付金につきましては、政令で処理することなく、やはり国会に法案として提出し御審議を賜ることが適当ではないかと考えて法案といたした次第でございます。
  165. 稲富稜人

    ○稲富委員 それは非常に勝手な解釈でして、法文の中に、「前項の特別積立金の処分については、政令で定める。」ということがはっきり書いてある。法文に「政令で定める。」と書いてあるならば、政令で定めなくてはいけないじゃないですか。こういう明文があるにもかかわらず別個の方法でこれをやっていこうということはどういうことなんですか。それは法違反じゃないですか。「政令で定める。」と明記されているのですよ。それで、その政令を見せてもらいたいと言っているのです。
  166. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 この法律中央競馬会法が政令にゆだねている範囲につきましては、先ほども申し上げましたように、欠損が生じた場合に、損失補てん準備金のみによっては処理できない、特別積立金を崩して損失を埋めなくてはならぬ、そういうふうな会の運営全般にわたる中で何らかの特殊の財政事情が出てきた場合の措置について、この政令を制定することによって対処していくということを予定しているのではなかろうかと考えるわけでございまして、前二回につきましても、これはそれぞれ特例法を国会に提出いたしまして御審議を賜った経緯もあるわけでございますので、私どもとしても、今回のこの種の三百億円につきまして中央競馬会から納付を受けるにつきましては、政令ではなく、やはり国会に法案として提出して御審議を賜るべきではないかという結論からこういった法案として提出し、御審議を賜っている次第でございます。
  167. 稲富稜人

    ○稲富委員 局長、非常に苦しい答弁をしていらっしゃいますが、政令はないのじゃないですか。政令がありますか。それをはっきりしてください。ないならないでそれはしようがないですよ。
  168. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 今までこの種の政令を制定したことはございません。
  169. 稲富稜人

    ○稲富委員 それならそんな政令はないじゃないですか。法令では「政令で定める。」と決めてあるでしょう。それじゃその政令をつくってないのですか。そこに非常に政府の怠慢があるじゃないですか。これはどうなんですか。
  170. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 先ほど申しましたように、中央競馬会の業務運営全般の中で例えば大幅な欠損が生じまして、欠損準備金のみをもってしては償却できないというような場合には特別積立金を崩すことがあろうかと思うわけでございますが、そういった事態が発生してないということもございまして、この政令は今もって具体的に公布、施行されてないということでございます。
  171. 稲富稜人

    ○稲富委員 局長、どうも答弁がはっきりせぬですね。あなた、政令があるのか、ないのですか。この二十九条にはこれは「政令で定める。」となっているから、やはり政令をつくっておかなくてはいかぬですよ。政令ないのでしょう。ないから、今言ったような非常に苦しい答弁をされているのじゃないですか。政令がないならない、それだから便法でこういう方法をやっております、こうおっしゃるのならわかりますよ。政令がないのじゃないですか。それだから今言うような便法でやっていらっしゃる。本来からいうなら政令をつくっておかなければいけない。政令がないからそういうことを言っていらっしゃるのじゃないですか。はっきりないならない、それだからやむなくこうやっているのです、はっきり言いなきい、そうしたらわかるのです、こっちは。
  172. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 はっきり申し上げまして、この政令はございません。ございませんということは、この政令をつくる必要性がなかったからでございます。
  173. 稲富稜人

    ○稲富委員 そういう弁解をされるからおかしいのですよ。法に「政令で定める。」となっている以上は、この条文どおり政令をつくっておかなければいかぬですよ。その政令がないから便法でやっていらっしゃる。あなた、そういう政令がなかった、それで便法でやったとおっしゃるなら納得いきますよ、こちらは。政令をつくる必要がなかった、それじゃ私は納得できませんよ。法違反ですよ、それは。しかしながら。政令がないからやむを得なかった、それで法律の立法によってこれをやっていこうと思っているんだとおっしゃるならいいんだ。それはそうだろうと思うのです。政令は必要がないからつくらなかったなんとおっしゃる、それはあなた、いけないですよ。必要はあったはずなんだ。前につくっておかなければいかぬのですよ、これは。その点をはっきりしてくださいよ。そういう、ごまかさないで、正直に言ったらどうですか。
  174. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 政令をつくっていないということを申し上げておりますのは、政令を規定するような事態が起こっていないということでございまして、決して私ども怠慢でつくってないわけではございません。  それで、もう一つ、この点は先生御理解賜りたいと思うのでございますが、拡大解釈すれば、今回の三百億につきましてはこの政令をもって足り得るではないかという意見もないではないわけでございましたけれども、やはり前二回と同様、当初法律として予定をしていなかった、特別積立金から第一ないし第二国庫納付金に類するような特別国庫納付金を国庫に納付させるわけでございますので、これは行政政府限りで判断し実行するのではなく、やはり立法府における御判断を賜るのが正しいのじゃなかろうかというふうに考えまして、私ども改めて前二回と同様、立法ということを考えまして法案を出しまして、今日こうして御審議を賜っているわけでございます。
  175. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題だけに時間をとられると後の時間がありませんから、私も非常に困りますけれども、これは「前項の特別積立金の処分については、政令で定める。」ということははっきり法にうたってあるでしょう。それならば政令がなかったとするなら、今度は政令をつくることが本当じゃないですか。今まで政令をつくらないで便法でやったということ自体が違反なのです、これは。ないならないとあっさり言えばいいですよ。必要がないからつくらなかったのだ、いつまでもこれでやっていくつもりなんですか。  法律の中に「政令で定める。」こう書いてある以上は、政令があらなければいけないわけなんだ。それをあなた方、政令をつくってないから便法で、法律としてこの剰余金の中から、特別積立金から金を出そう、こういうわけでしょう。政令をつくってなかったからそういうことをやる。それじゃなぜ政令をつくらぬのですか。つくることが本当じゃないですか。いつまでも政令をつくらないで全部処理していくつもりですか。  ちゃんと二十九条に「前項の特別積立金の処分については、政令で定める。」と書いてあるのですよ。ならば当然政令を決めなくちゃいけない。その政令がまだできていないから、あるいは政令をつくってないから便法で今やっているということなんでしょう。必要がないから政令をつくりませんでしたなんて、必要じゃないことを法律でうたっていること自体がおかしいじゃないですが。法律にうたっているのになぜ政令をつくらぬのですか。違法じゃないですか。そういうふうな詭弁じゃこれは通りませんよ、はっきりこの条文の中にうたってあるのだから。この特別積立金から出すのだから、積立金で出す場合は、その処分に対しては政令で定めなければいけないことになっているのだから、なぜ政令をつくらなかったかということなんだ。それをつくる必要がないからと言う。つくる必要がないならこの法律にうたう必要はないじゃないですか。法律にちゃんと「政令で定める。」とある。法律に明文がはっきりしておるじゃないですか。これをやらないということは怠慢ですよ。  しかもそういうような今の逃げ方、詭弁ですよ、それは。我々は納得できません、そんなことは。なぜ政令をつくっておかぬのですか。ところが今政令がない、しかし今度、急を要するからやむを得ません、これならいいですよ。それはやむを得ないとするならば我々も納得しましょう。ところが、必要がないから政令をつくらなかったんだ。条文の中に「政令で定める。」と決めてあるのに、いつまでもこれはつくらないで、今言っておったような便法ばかりでこの積立金から出していこうということ、これは許されないですよ。どうなんですか。この点を大臣からはっきり、重大な問題だからひとつ大臣の考え方を承りたい。これは局長じゃ納得できません。この立法の問題、重大な問題なんですから、法の精神を無視するかどうかという問題だから、これは重大な問題だから、これは局長じゃいかぬ。大臣から答弁してもらいたい。(大坪(敏)政府委員「私からひとつ」と呼ぶ)あなた同じことを言うばかりじゃないですか。そんな答弁じゃ納得できません。大臣から答弁してください。
  176. 大石千八

    大石委員長 じゃ、先に局長答弁して、その後……。
  177. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 繰り返すようで恐縮でございますが、先生盛んに御指摘ございます二十九条二項の政令は、通常予定されます、この中央競馬会法で書かれております中央競馬会の目的なり業務なり、そういった中でどうしても特別積立金を崩さなければならないような事態が起こった場合に政令を出して処分をする。それが例えば、先ほど申しましたように、現在損失補てん準備金なるものを二億円積んでいるわけでございますが、これが仮に二億円を超すような事態が起こった場合には、当然のことながら特別積立金を崩すことになろうかと思うわけでございまして、そのときはまさしく第二十九条第二項の政令を出しまして、処分についての明細を規定すると思うわけでございます。  ところが前二回と今回の特別国庫納付金につきましては、全くこの法律が予定してない特別のものでございますので、この法律の体系の中で予定しております政令でもって書くことについては、そこまではこの法律は予定をしていない、委任をしていないというふうに考えるわけでございまして、この点につきましてはこの法律の中で入れられた政令でございませんで、改めて新しい法律として国会の御審議を受ける、国会の御判断を受けるということがやはり正しいのではないか、かように考える次第でございます。  決して私ども、第二十九条第二項の政令を出すことを怠っているわけじゃございませんで、現在までのところこの種の政令を出す事態が起こっていないということだけでございます。
  178. 稲富稜人

    ○稲富委員 あなたの答弁、同じことで時間をとるばかりで、質問時間がなくなってしまいます。どうも農林省としては競馬の問題に対してやり方がずるいのですよ。例えば一例を申し上げますと、さっきありますように、競馬会法の中に競馬会納付する金額は百分の十、二五%のうちの一〇%ということになっておりますね。これは競馬会法をつくりますときに、国庫納付金は八%というのが最初の原案だったのですよ。ところが八%では国庫納付金が少ない、競馬会、よ過ぎるじゃないか、こういうことから、これをもっと上げろということになりました。それで委員会で非常に協議をしまして、それなら二五%のうちの半分にすればいい。フィフティー・フィフティーにすればいいじゃないか。一二・五%ずつしようということになった。ところが競馬会の方がそれでは競馬を主催できない。それではどれだけ取ればいいかということを競馬会に質問したところが、井上部長が、競馬会としては一四%、二五%のうちの一四%を取得すれば競馬は開催されますということで、一四%となって国庫納付金は一一%になったのです。今までやっておった。そういう非常な論議のもとに一一%になった。  ところが驚くことには、昭和三十一年に、あなた方は地方税法の一部を改正する法律案の中において、二十二条「日本中央競馬会法の一部を次のように改正する。」として、これを百分の十に変更されている。中央競馬会法で非常にもめて決定したその法律の十一というものをなぜ中央競馬会法の改正でやらないのか。地方税法の一部改正の中でこれをやってしまって、中央競馬会法は一〇%にしてしまっている。こういうずるいことをなぜやるのですか。  これは法律をつくったときに非常に論議されて一一%になったのです。それを地方税法の改正でやってしまって農林省は知らぬ顔をしている。そして今ではこの法文まで一〇%にしている。これは法制局が来ているなら聞きたいけれども、地方税法の改正で一〇%にしたからといって、法律は何もせぬでこれを一〇%に書きかえていいのであるか。中央競馬会法には一つも触れないで、ほかのことで決まって、これでいいのであるか。その点はどうなんですか、こういうあなた方のやり方は非常にずるいのですよ。なぜ堂々と中央競馬会法の改正でやらないのですか。
  179. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 三十一年当時のことでございますので、私当時の事情についてはつまびらかではございませんが、多分この時期には地方税法の改正がいろいろ行われまして、まさしく今先生の御指摘のこの点は、固定資産税の課税に関連しての一一%から一〇%への改正だったようでございますが、いろいろございまして、結局地方税法の附則におきましていろいろな関連法律の改正をしたのではなかろうか、これはあくまで想像でございます。早速調べてみたいと思いますが、想像としてそういうことでなかろうかなという感じはいたします。  確かに正攻法としては中央競馬会法の単独の改正法案を出しましてこの部分だけの改正を御審議いただくということもあろうかと思いますけれども、立法形式としてはよく課税関係につきましてはこういったことが行われる例もあるようでございますので、決してこのやり方が間違っているということではないと思いますし、当時いろいろな事情の中からこういった附則で改正するという方法がとられたのではなかろうかなと思います。この点については帰りまして早速当時の事情につきまして調べてみたいと思います。
  180. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうも答弁が長くて質問がされないで困るのです。しかも要領の得ないような答弁でさっぱりわからぬけれども、次の質問です。  問題は、国としては、今言うように中央競馬会の益金というものを国が取ることばかり考えないで、中央競馬会の発展策というものをもっと考えたらどうかということなんです。これに対しては法の改正等も必要なんです。  時間がないから、私は結論を申し上げますが、今日中央競馬がこういうふうに発展しておるということは、ファンもそうだが、馬主に非常に苦労があるのですね。この優遇策を何か考えなければいけない。先刻から申し上げましたような端数のごときは、これは中央競馬会が収入とするということになっている以上は中央競馬会の収入で、あるいは馬主の待遇とかファンの待遇とか考えなければいけない。今日競馬が盛んになっておるというのは馬主が苦労しているからなんですよ。御承知のとおり今日の競馬というのは人が走らせたもので競馬会はもうけておるわけです。益金を上げている。その馬の価格は幾らか御存じですか。一番高いのは一億八千万円。一千万円を超さない馬はほとんどないのです。馬主は全部そういう自分の高価な金を出して馬を買っている。馬を養う維持費は毎月四十万円は要るのです。毎月四十万円出して、そして高いのは一億八千万円なんだ。ハイセイコーが一億三千万円ですよ。そういう高価な金を使って馬主はこれに協力しておる。この馬主に対する待遇というものは余りやりてないじゃないですか。こういうことも考えなければいけない。  あなた方はこちらの方で、国がそういうような納付金その他で金を巻き上げることはかり考えないで、今後の競馬の発展策というものを考えなければいけない。そのためにはやはりこれに協力している馬主の待遇であるとかファンに対する待遇であるとかいうこともあわせて考えなければ、いつまでも馬主だけ犠牲を払っていたら馬主は逃げていきますよ、高価な私財を投じてやっているのですから。これは馬を持っておる者でなければわからない。維持費が毎月四十万円は要るのですよ。預託金が要る。それほどの金を入れながら賞金は少なくされている。賞金がこれまた税金を取られるのですよ。そういうことも考えなければいけない。  さらに私は、競馬の発展策として前から言っておりました、場外馬券場というものをもっときれいなものにしなさい。あんな共同便所のようなところにつくらぬで、環境のいいところに、明るいところに場外馬券場をつくってそこで映写でもするということになると、ファンはそこに行って馬券を買ってまたそれを払い戻しをする。そうすると複数になるからまた売れるのですよ。これは多年主張しておったが、なかなか競馬会はやらなかった。ようやく最近石和にいいのをつくったということでこの間見に行きました。なるほど理想的な場外馬券場ができております。これは澤邊理事長の大手柄だと私は澤邊理事長の識見に敬服をしておりますが、こういうような環境のいい場外馬券場をつくるということなんです。  競馬ファンというのは環境なんですよ。天気のいい日と天気の悪い日は馬券の売れ方が違うのです。それほど環境というものが馬券の販売にも影響するものなんだ。そういうことを考えながらいかにして競馬を発展させるか、それがために協力者に対してどうサービスをするか、こういうことをあわせて考えていかなければいけないと思うけれども、こういうことは一つも考えていただいてない。こういうことは非常に遺憾であると私は思うから、国としても将来の競馬の発展策に対しては十分理解を持ち、競馬会もまたそういうことにのっとって今後競馬の発展を期し、これに対して国も協力する、こういう体制でやっていくことが必要であると思いますが、これに対する決意のほどを承りたいと思うのであります。
  181. 山崎平八郎

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  競馬は長い歴史を持つ健全な娯楽として大衆の間に定着しておりまして、競馬の実施を通じまして国や地方の財政収入にも寄与し、我が国の畜産振興に多大な貢献をするなど、重要な役割を果たしております。このような我が国の競馬が安定的かつ円滑に運営されるには、競馬を支えているファンはもとより、軽種馬生産者、馬主、調教師、騎手、厩務員など、多くの関係者の協力が必要であります。  このため、軽種馬生産者競馬関係者に対する各種対策の充実を図るほか、公正競馬確保を基本といたしまして、レース内容の充実やテレビなどによる情報提供の強化、さらには明るい快適な環境のもとで、ただいま仰せのとおりでございますが、競馬が楽しめるような競馬場や場外施設の改善、整備を図ることによりましてファンサービスの充実に今後とも一層努めてまいりたいと考えております。
  182. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がまだ二、三分あるそうでございますから……。  この際、競馬法の改正を思い切ってやったらどうですか。例えば、御承知のとおり競馬法には現在競馬場は十二カ所あるのですが、競馬を開催しているのは十カ所なんです。私は前にもこの問題を質問したことがある。その十二カ所の中には横浜競馬があり、宮崎競馬があります。横浜はもう競馬場はないのですよ。宮崎は競馬場はあるけれども競馬はやっていない。そして一カ所で競馬は三回以内やるということになっている。あれほどの設備をしておって三回というと、一回が八日でしょう。三、八、二十四で二十四日しかやらないなんということはもったいない話なんだ。それだから今では横浜競馬、宮崎競馬をあるいは東京でやり、中山でやっている。法文には、その競馬場が天災地変その他やむを得ない事情で競馬を開催することができない場合は他の競馬場でこれを開催することができるとなっておるんだ。競馬法ができまして何十年の間、天災地変その他やむなき事情において他の競馬場で開催する、厚かましいにもほどがあると思うのですよ。  こういうものは思い切って競馬法の改正をして、三回がもったいないなら四回にしても五回にしてもいいじゃないですか。競馬場のないところのものを、宮崎競馬を京都で開催する、横浜競馬を府中で開催するなんてそういうこそくな手段をやらないで、競馬回数に制限をしないでもっと合理的にこれを行ったらどうですか。そうするともっと明朗な競馬ができると思うのですが、そういうところ自体に触れようとしないのです。  どうも農林省は、競馬法に触れるということになると苦手と見えて触れない。触れないから、今言う一一%納付するのに地方税法改正でごまかしてしまうというような、そんなことをやられる。政令をつくればいいと思うのに政令をつくらない。これではいけないのですよ色もっと堂々と胸を張って競馬をする。それがためには競馬法を改正して、みんなが納得いくような競馬をしたらどうですか。  競馬場は十二カ所あるけれども、開催しているのは十カ所である。あとの二カ所のものはほかの方で競馬をする。しかも今申しましたように、天災地変その他やむなき事情によって競馬を開催することができないときというが、天災地変でも何でもない。競馬場がないんじゃないですか。競馬場のないところを競馬場の名前だけ残しておるなんて、こういうことはいっそおやめになったらどうですか。こういうことも本当に思い切って競馬法を改正したらどうですか。  馬券でも、今日の馬券はどうかというと、単価は十円ですよ。今日馬券一枚の単価が十円と法文には書いてある。こんなのは笑われますよ。それで百円のものは、十円を十倍にしたら百円だといって売っている。十円馬券はない。百円馬券はある。ところが、法文には十円と書いてある。こんなこそくなことをやらぬで、堂々と競馬法を改正して明朗な競馬をやる、こういうことにもっとなさったらどうか、かように考えますが、どうでございますか。
  183. 保利耕輔

    ○保利政府委員 先生が大変競馬の発展について尽くされたことに対して、心から敬意を表する次第でございます。  ただいま法の改正の必要性についてお話がございましたが、他の公営競技との兼ね合いでございますとかいろいろなことを考えながら、そして先生から御指摘をいただきましたことを十分念頭に置いて、引き続いて検討してまいりたいと思っております。
  184. 稲富稜人

    ○稲富委員 いろいろ質問したいことがありますけれども、時間がありませんのできょうはこれをもって私の質問は打ち切ります。どうもありがとうございました。
  185. 大石千八

    大石委員長 次に、津川武一君。
  186. 津川武一

    ○津川委員 農業改良資金の拡充に中央競馬会の特別積立金を財源として充てる、こういうことで賛成はいたしますが、幾つかの問題がございます。その一つは、補助から融資という農政の転回、その融資に競馬会のお金を充てる。もう一つには、予算が苦しくなった。軍事費や大企業などに予算を集中して財源が足りなくなっている。そこで改良資金の道が狭まる。それで競馬会の益金に目をつけた。こういう点で手放しには喜べるものでない。したがって、もとのように補助に返すように、要求しながら、質問を進めていきます。  今回、中央競馬会の特別積立金の一部が農業改良資金の原資となるというので、軽種馬生産者は、我々が丹精込めて育てた馬による益金なんだから、改良資金がもっと我々の役に立つものになるのではないかと期待を持っていました。ところが、拡充の内容を見ると、去年からは果樹、養蚕、さらに稲作、畑作、野菜、肉牛、酪農が拡張され、しかし待っていた軽種馬用はない。がっかりしております。  そこで、農水省は改良資金は軽種馬生産者も借りられますというのでその実績を聞いてみたところ、生産者は二千三百軒あります。ところが、五十五年は借りたのは四件、五十六年、五十七年はともに一件、五十八年ゼロ、五十九年は七件とわずかであります。近代化資金、公庫資金は何百件も借りているのに改良資金はこのとおりごくわずかであります。従来の改良資金は軽種馬生産者に役立つものになっていないと言います。そして今回拡充部分にも盛られておりません。しかし、競馬会の益金を使うというのだから農業改良資金の中に軽種馬生産者用のものをつくらなければならないと思いますが、この点はいかがでございますか。
  187. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 まず先生にぜひとも御理解賜りたいのは、改良資金の中での生産方式改善資金につきましては、その対象とするために、この資金を借方受けまして導入し普及される技術等が先駆性、モデル性及びリスク性の三つの要件を有することを要するのだということが一般に言われているわけでございます。  ところで、軽種馬生産につきましては、品種改良の面、飼養管理等の面におきまして現在までのところこれらの要件に合致するような具体的な技術等につきまして、私どもいろいろ勉強してみたわけでございますが、見出すに至っておりません。したがって、今日の段階では軽種馬生産につきましては、貸付対象としておりませんが、引き続きまして今後の軽種馬生産の技術等の進展等を踏まえながら検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  188. 津川武一

    ○津川委員 同じようなことを政府は私たちの小笠原参議院議員の質問主意書に答えています。そこで皆さんの方から資料をもって適用できるもの、考えられるものと言っているものは、私が今話したものはあるのです。これは論争になりますので、後刻質問が終わってからゆっくりお互いに詰めてみたいと思います。  生産者のために、本当に新たに拡充すべきであると私は思っておるわけであります。青森の生産者も、中心地北海道日高の農家も経営は深刻になっております。そこで少しでも有利な無利子の改良資金から借りられるようにしてやるべきだと思うのですが、この道を本当に検討していただきたいのです。その検討の御用意はあるのかどうか。
  189. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 私ども何とかして対象にいたしたいというふうに考えて今日まで検討してまいったわけでございますが、検討なり議論の過程といたしまして一つ非常に大きな問題として考えておりますのは、いわゆる軽種馬生産の分野につきましては、一般の農業分野と違いまして、それぞれ軽種馬生産農家が人よりも一歩でも速い馬、少しでも優秀な能力の馬をつくるという、そういう競い合う世界でございます。ところが、改良資金と申しますのは、新しい先駆的な技術が出た場合には、それを有する農家にこの改良資金を貸しまして、それを契機として広く普及しようとするのに意味があるわけでございます。そうしますと、どうしても軽種馬生産は、隣の農家よりも少しでも優秀な馬をつくっていく、秘伝だと言う人もいるわけでございますが、そういった技術を競い合う世界であるということになりますと、なかなかこの資金がなじみにくいという面があるわけでございますが、なお私ども実態をよく調べまして、少しでもそういったものが適用できる分野があれば対象とする方向検討したいと思います。
  190. 津川武一

    ○津川委員 畜産局長、冗談じゃないの。お米の生産のときには、収量を上げる、生産性を上げる、投下労働力を減らすということがお米のためのいろいろな新しい萌芽を出していくわけです。軽種馬は速く走って優勝することが生産性なんだ。そこのところを抜きにして問題を考えているから混乱するので、この点をぜひひとつ、軽種馬にそういうものが検討できるように今考えてみると言っているから、私は質問を進めていきます。  そこで、中央競馬会理事長澤邊さんにお尋ねしますが、地方で自主的にやられている馬を使った競技の振興の問題でございます。  昔から東北・特に私たちの青森県には農耕馬によるいわゆる馬力大会、輓馬大会、こういう伝統がございます。このごろ盛んになってきておりまして、津軽の金木町、木造町、県南の南部の方の十和田市などではかなり大規模にやられております。馬百頭、馬主が相当数出てきてこの競走をやって、ギャンブルではないのでございます。こうして、これは花見などとも重なって見物客も三千人、四千人と来て町も活気づいてきます。健全な大衆のレクリエーションでありスポーツでございます。金木町では馬力大会だけでなく輓馬の競技場をつくれないかとの希望も出しているほどでございます。中央競馬会地方競馬会に対する対策も結構ではありますが、こうした民間で自主的に行われておる馬術競技、多様な競馬一つの形態と言いますか、こういう大会の運営を助成したり、または馬主の改良増殖への助成——これは競馬会理事長ではなくして政府にお尋ねします。政府で答えていただきます。
  191. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 農用馬のうちのいわゆる輓馬についてでございますが、この輓馬地方競馬におきまする輓曳競馬用のほかに農用や冬山の造材などの輓用として北海道や北九州などで生産されているわけでございまして、一部地域におきましては、先生ただいまお話がございましたように、祭典輓馬大会とか称しまして地域住民に非常に親しまれているという状況にあるわけでございます。  このような農用馬、輓馬生産助長のためには、従来から国の種畜牧場で生産、育成いたしました優良種雄馬を毎年五頭ないし十頭馬事協会を通じまして農協に貸し付けております。さらにまた、農協等が農用馬の改良増殖を行うために優良な種畜を導入する場合におきましては、地方競馬全国協会を通じまして補助金を交付しております。こういった措置を講じておるわけでございますが、またこれらのほかに各地の輓馬大会につきましても、伝統ある祭典競技を助長するという観点から、毎年三、四件につきまして地方競馬全国協会から協賛金を交付いたしておるわけでございます。  今後とも優良な輓馬生産振興なり、そういった地域での輓馬大会等が円滑に開催されますよう、地方競馬全国協会等を通じまして私どもなりに努力してまいりたい、かように考えております。
  192. 津川武一

    ○津川委員 畜産局長、馬力大会の、輓馬大会の馬というのは山に行って木材を引っ張ってくる馬じゃないのです。よく実情を見てほしいのですが、とても太らせて力だけつけておって山に登って木を引いてこれるような性格のものじゃなくて、全く引く力のない、そしてこれは大事に家の中の一番いいところにしまっておいて飼っている。シャモ。闘鶏のシャモも座敷に飾ってある、こういう形で育てている馬を畜産局長が農耕馬だなどと言うと大変な認識不足になりますので、この点ひとつ十分に育成するようにしていただきたいのです。  それで、補助金が出ている馬の頭数や賛助金が出ている地方競馬の方はどのくらいあるか、これを答えていただいて、そこで、この輓馬の馬力大会のファン中央競馬会の場外馬券のまたファンなんです。したがって私は、中央競馬会の益金からここに出すべきだ、こういう主張でもあり、お願いでもあるわけなんです。両方で答えていただきます。
  193. 澤邊守

    澤邊参考人 中央競馬の役割といたしまして、競馬の円滑な施行と娯楽を提供するということとあわせまして、附帯的にやはり競馬といいますか、馬にかかわる文化的な行事についても、競馬に直接関係なくてもそれなりの援助をしていくというのは私どもの役割の一つではないかというふうに思っております。競馬の成果をそういう馬と人間とのかかわり、馬文化と申しますか、そういうことに少しでも使っていくという努力はやっておるつもりでございます。  今やっておりますのは、一つは、日本の在来馬、木曽馬とか吐喝喇馬とか、ああいう在来馬の保存に対して援助をしているというようなこと、それから伝統的な行事、馬にかかわるお祭り、相馬のお祭りとかチャグチャグ馬コとか、ああいうのに対して援助をするというようなこと、それからもう一つ、草競馬振興ということに対しても助成をいたしております。その三つばかりやっております。  そういう意味で、お尋ねのございました青森県地区での輓馬の大会については、中身を私、実はよく承知しておりませんけれども、農用馬というとまたおしかりを受けるかもしれませんが、今まで農用馬関係は地金協の方の仕事ということでやっておりまして、私の方は乗用馬関係の仕事を主としてやっておるというようなことでございましたけれども、この辺よく農林省の方とも御相談をして、内容もよく調べて、検討させていただきたいと思います。
  194. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 地方競馬全国協会の助成の関係でございますが、先ほど申しましたように祭典輓馬大会に対しましては毎年三、四件、金額では七十万か八十万程度でございますが、こういったものを交付しているわけでございます。さらにこれにつきまして増額できるかどうかにつきましては、地方競馬全国協会とよく相談してみたい、かように考えます。
  195. 津川武一

    ○津川委員 そこで具体的に、きょうも十和田市の私の友達の市会議員が来て、そんなことをしてくれればいいなどと言っておりますが、十和田市と金木町で具体的に今までやってきた歴史を申し上げて、賛助なり援助なりを申し込んだら、ひとつ検討していただく用意があるかどうかお答え願います。
  196. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 検討させていただきます。
  197. 津川武一

    ○津川委員 中央競馬会法の第二十条の競馬会が行える業務で、その最後の項目がありますが、その最後の項目は、「その他競馬の健全な発展を図るため必要な業務」と言っております。馬力大会も立派な馬術競技、日本の伝統的な馬を使った伝統的な行事でございます。中央競馬会としてこれらの馬術馬の振興に援助をし、今の競技馬だけでなく、多様な健全な競馬振興を考えてよいのではないかと思いますが、この法二十条の適用について積極的にやってくれるかどうかお答え願います。
  198. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 ただいま中央競馬会法第二十条第二項の三号に関する御指摘かと思うわけでございますが、この種のものといたしまして馬術競技の振興とかあるいは馬術クラブに対する助成等を行っておるということでございます。
  199. 津川武一

    ○津川委員 その馬術でございますけれども、馬力大会のときに、輓馬大会のときに重い荷物を積んで坂を上っていくためにはかなり馬を訓練しなければならないわけなんですよ。だから私は二十条が適用になると思うのですが、そういう意味輓馬に二十条を適用できるかどうか明確にしていただきます。
  200. 大坪敏男

    大坪(敏)政府委員 ここで明確な解釈を申し上げるにつきましては、実態も知りませんし、この解釈につきましてもう少し詰めてみたいと思います。いずれにいたしましても、先生のただいまの御発言を念頭に置きまして少し研究いたしてみたいと思います。
  201. 津川武一

    ○津川委員 五月五日に金木で大会がありますから、ひとつ私と一緒に行って見てくださいよ。そしてその後で相談します。局長自身が行けなかったらだれかをやって、検討させていただきたい。これが地方における本当の中央競馬会の熱心なファンです。ここが富士のすそ野でありますので、御検討願いたいのです。  そこで大臣にお尋ねします。  軽種馬農家、日高だとか青森の生産者は依然として経営難が続いております。競馬、特に地方競馬の不振で馬が売れない。生産調整もしているがそれでも過剰ぎみでございます。売れても買いたたかれております。生産費すら取り戻せない安い価格で手放さざるを得なくなって、馬主の幹部は毎年一〇%前後の負債がふえていっております。二戸当たり今三千万円からの負債。うち半分が固定してしまった負債。売れなければ安い馬肉用として処分しているのもございます。こういう中で、軽種馬農家の当面の経営を守り、将来に不安のない見通しを持てる方針を打ち出し、展望を与えることがぜひぜひ必要だと思います。大臣の御答弁をお願いします。
  202. 保利耕輔

    ○保利政府委員 先生からの御質問は、軽種馬農家の経営が非常に苦しい、何か今まで農水省として施策を講じてきたかという御質問かと存じます。  軽種馬生産振興と軽種馬生産農家の経営安定を図るために、農林水産省といたしましては、従来から軽種馬生産農家に対する農林漁業金融公庫資金の融通の措置を講じてきておりますし、また、馬の伝染性貧血症というような病気の予防措置なども講じてきておるのでございます。  それから、日本中央競馬会等の助成をいただきまして優良種雄馬の供給を図りますとともに、昭和六十年度におきましては軽種馬の流通の合理化と適正な価格形成を図りますため、北海道の静内町に近代的な軽種馬市場の整備を図りました。また、特に軽種馬生産農家の一部には負債を抱えましてその償還が困難になっている農家がございますのは先生指摘のとおりでございますので、軽種馬経営改善特別資金を創設いたしまして、昭和六十年度から三年にわたりまして、償還が困難な年償還額につきまして長期低利資金に借りかえをしていただいております。  生産者団体、関係団体等と一体になって、このような農家に対しての経営再建のための支援、指導を行うようにいたしております。また、政府といたしましては、引き続きまして日本中央競馬会地方競馬全国協会とも連携をとりながら、軽種馬生産振興生産農家の経営安定に努めてまいりたい、このように考えております。
  203. 津川武一

    ○津川委員 最近の軽種馬の飼い主の本当の苦労の一つの根源は、地方競馬が不振なんですよ。そこで地方競馬会ともよく相談して、三千万を超す借金を、特別に検討して今までのある制度を全部適用していただくと同時に、何らかの新しい道を講じてあげなければ、かなり苦しい状況になっている日本の軽種馬が下り坂に、衰退に向かっていくと思いますので、その点格別な御奮闘をお願いして、質問を続けていきます。  そこで、今度は改良資金の貸し付けでございますが、五十五年からのデータを見せてもらいました。五十五年から五十九年まで枠は毎年三百五十億円、ところが実績を年ごとに見ると、二百七十五億、二百七十三億、二百四十四億、二百五十三億、二百六十一億であり、枠に対して八割にもなっておりません。七割台です。六十年は四百六十億円と枠をふやしてみましたが、二百六十一億円の貸し付けにとどまっております。農村では農業改良資金が注目を浴びております、無利子ですから。私のところにも、負債対策に使えないか、災害復旧にどうか、そう言ってくるほど無利子なので魅力があるのでございます。しかし実際は貸し付けはこの八割も満たしていない。  その理由について、一つは、いかに無利子とはいえ、新技術導入、後継者育成のための資金を借りようとする意欲が出てこないのです。農家の経営が厳しいからです。将来の展望が持てないからです。二つは、貸付要件が農家の実態から考えてみますと厳し過ぎる。貸付枠に達せずせっかくの無利子資金がもったいないことになっております。仁の背景をどう見ておりますか、お答えいただきます。
  204. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 改良資金の貸付実績については、今お尋ねの中にあったように、実績が計画よりかなり下回っていることは事実でございます。この原因なりこれからの問題については、今先生二つの点をお挙げになりましたが、確かにそういうような点も問題であろうと私どもも思います。  一つはやはり、金融全般の中で見ますと、農業近代化資金でございますとか農林公庫資金のような利子つきのものがございまして、それより以上に非常に政策的な要求の高いものが改良資金になっているということでございますので、例えば果樹にしても養蚕その他にしましてもいわば技術の革新的な面の要件を設けておりますので、それに対して需要の方がなかなか追いつけない、こういう事情は確かにあろうかと思います。それからもう一つは、いろいろ要件という面では資金需要額に完全に応じ得ないのじゃないかという問題はございますけれども、これは従来少しずつ改善を行ってきておりまして、現状では貸付率その他の点でもそれほど不利になっているということはないのではなかろうかと思います。  ただ、こういう実態的な問題が一つと、もう一つどもこれから非常に努力を要する点としましては、いわば貸し付けの手続、仕組みの問題でございまして、これが補助金等から融資に移りました場合にやはりどうしても従来と違った経路で貸し付け等が行われるものですから、貸す方の側も借りる方の側からもなかなかうまく資金に対応し得ないということがございますので、いわばこういう手続的な面でもっと趣旨の普及を図るとか、手続をやりやすくするとか、それから営農指導とうまくかみ合わせるとか、こういう面も含めまして、全体としてせっかく設けました改良資金の枠が十分消化されるような方向での努力はまだまだすべきことが多い、かように考えております。
  205. 津川武一

    ○津川委員 今度競馬会から三百億円もいただく。六十年で四百六十億組んで二百六十一億、これでは何のためにあるのかわからない。そこでこの点をやはり徹底的に検討しなければ、一つのチームでもつくって検討しなければ、四百六十億円そっくり農家のところに届くような特別体制なり特別指導体制をつくらなければならないと思います。漫然と今までのように流しておっては問題が解決しないと思いますが、こういう御決意はいかがですか。
  206. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 ただいま二百六十一億円の貸付実績とお尋ねの中にありましたのは五十九年でございまして、六十年分は四百六十億枠を設定しまして、ただ実は正直申しまして三百億円と四百億円の間で、かなりやはり実績は下回っております。  その原因が、内容的に見ますと、従来からやっております資金は割合貸付実績がよろしいわけですが、六十年に特に新設しました関係の資金、これは畜産振興資金を除きまして非常に実績が低そうな見込みでございまして、私も正直に申しましてこういう傾向は非常に問題である。特にこれから競馬会の御理解を得てこういう資金の充実も図っていただくわけでありますので、やはり率直に反省いたしますと、先ほども申し上げましたが、どうも我々なり県の方が、融資に変わりましたときに大いに借りてくれというぐらいの気持ちで積極的に利用してもらうような気持ち、組織という体制にどうも切り変わってないのではないかという率直な反省を持っております。  こういう点で、昭和六十年特に貸付実績が伸びなかった点については十分反省しまして、実は先般、年が変わりましたあたりから地方農政局、県、両方を通じまして、いわば貸し付けの体制の問題からもっと積極的に借りてもらうというような気持ちの運営に切りかえていかなければいかぬだろうということで、これを六十一年度の課題として取り組んでまいりたいと考えております。
  207. 津川武一

    ○津川委員 その課題が実現するように私からも要請して質問を進めていきますが、本当に競馬会から三百億円つぎ込んで予定した資金が全部借りられるということには、農業の状態が、政治の状態がよくならないと資金申し込みはふえないと思うのです。  実際この資金がいいものだから、無利子なものだから、農家に聞いてみました。新たに投資して新しい技術を入れたい、しかし今の借金が何とかならないか、これが問題なんです。無利子でも借金はこの上なかなか耐えられない、こういうことなんですね。ここに一つの大きな問題があるわけでございます。もう一つには農業の見通し。この間の畜産物価格、豚肉については一〇%の引き下げ、牛乳は二円五十銭の引き下げ、しかも牛乳生産削減。こうなってくると、資金を借りたくても借りられないわけであります。  そこで大臣、まずこうした農家の借金対策を片づけていく、農業にあしたがあるような、不安のない農業をつくっていく、これが今提案されておる資金の完全消化の道なのでございます。臨時においでになった大臣で恐縮ですが、ひとつ日本の農業のために、こういうものを片づける方針を伺わしていただきます。
  208. 山崎平八郎

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  農家経営の安定を図っていくためには、その基盤である経営規模の拡大と生産の向上を推進し、その体質強化に努めていくことが重要であると考えております。  このためには、まず農地の流動化等を通ずる経営規模の拡大、さらには農業生産基盤の整備、また農業技術や経営の指導、そして農業改良資金等による資金面での支援等を進めまして、技術や経営能力にすぐれ、高い生産性と農業所得を実現できる中核的な担い手や生産組織の育成を図っていくということが一番大事だと存じます。
  209. 津川武一

    ○津川委員 もう少し資金が目的どおり農民に届くようなために若干の質問をまた続けていきますが、今農協の理事会を開きますと、営農のことも議論になりいろいろなことも議論になりますが、一番議論になるのは、借金を返せない農家の借金をどうするかということです。長年待ってもなかなか返せないので最後には差し押さえをかけるという議論がある。これでかなりもめてしまっているわけであります。ここまで農家の借金がふえたのですが、今度の資金も借りようと思っても保証人が必要なんです。ところが農家はみんな相互に保証人になってしまっていて、どこか一角が崩れると芋づる式に皆さんの財産が差し押さえられる、こういう状態になるからなかなか保証人になってくれない、これがこの資金の利用の障害となっておるかなり重大な要件になっております。  農業改良資金はもともと補助事業であったものを今度融資にしたのでありますから、補助のときは保証人も担保も要らなかった。今度それを融資にしたのですから、保証人を条件にするということを弾力的に考えていけないものでしょうか。ここの点が質問の一つ。補助を融資に変えたのですから、国、地方自治体がこの借入金の保証人になる、保証する、こういう道でも開かないと、全額のこの消化は面倒じゃないかと思いますが、いかがでございます。
  210. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 保証人の問題でございますが、この農業改良資金の場合には、発足以来いわゆる人的保証、連帯保証人の制度をとっておりまして、これ以外の保証方式を採用しておらないような状況でございます。  この考え方は、比較的貸付金額が一件当たり大きくない。現在ですと、畜産は大きゅうございますけれども畜産以外ですと大体百二十万円ぐらいが平均になっております。こういうようなこともございまして、ある意味では比較的保証が得やすいのではないかという考え方で人的保証、専らそれに依存しているわけでございまして、いろいろ自治体による保証制度等もあるいはいわゆる保証協会等の方式もほかの資金ではございますけれども、なかなかどうも県の資金の貸し付けについてはとりにくいというようなことで今まではとっておりません。今後の問題として、農業改良資金が相当資金額としても件数としても多くなりますと、お尋ねのあったような問題、だんだん出てまいると思いますけれども、これから将来の問題としてこの保証の問題については十分また検討させていただきたい、かように思っております。
  211. 津川武一

    ○津川委員 この改良資金でございますが、これまでの分に加え、六十年度は一般会計から百億円入れて、新たに百五十億円の枠をふやしました。畜産資金が九十億、野菜資金が十五億、果樹資金が三十億、養蚕が十五億円。これに対して六十年度の見込みを聞いてみたところ、それぞれ八十三億、十億、九億、二億でございます。四十六億円の枠が余ります。これは新資金で手続のおくれなどあるかもしれませんが、そうするとこれだけ余ると、三分の二を国が持つのだから四十六億円の三分の二、約三十億円の金が国の農基特会の中に余ってくることになります。  そこで、これを六十一年度は有効に活用したい。三十億円も六十一年度の財源に合わせて、繰り込んで、それぞれの資金枠に乗せる、こういうことでなければならないと思いますが、いかがでございますか。
  212. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 ただいまのお尋ねの中にございました六十年度の貸付計画に対して実績で余る分、この金額につきましてはまだ確定しておりませんが、いずれにしてもある程度の金額が出てまいることは事実でございます。  ただ、六十一年度の方でございますが、これは貸付額の枠につきましては、総体で前年四百六十億円のところ五百九十七億円という大変大きな増、これは競馬会からの納付金がございましてこういう拡大が可能になるわけでございますが、五百九十七億円でございまして、この新しく設けられた生産方式改善資金だけとりましても、前年百五十億円が二百八十五億円、こういうことにもなっております。また、その中で実行に応じて相互に融通もできますし、全体として見ますと、今計上しておりますこの新しい年度の貸付枠でかなり、余裕とまではまいりませんけれども、これを十分活用するということ自体が、先ほど申し上げましたように私ども行政課題としては大変大事なことだと考えておりまして、現状ではお話のような前年度分の上乗せをしなくても、むしろかなり、今決まっております枠を消化することがまず第一の課題である、こう考えております。
  213. 津川武一

    ○津川委員 最後の質問でございますが、まだ貸し付けを狭めている条件がございます。それは、昨年の四月三日、農業改良資金助成法の改正論議で共産党の中林委員の質問に関谷局長が答えたのですが、その答えは、生産方式改善資金の貸し付けに当たり、小規模農家あるいは規模の小さい、若い農業者の方々、こういう方を排除するという考え方は一切とっていない、あくまでも経営の改善意欲、能力を重点として融資する、こう述べております。  しかし、実際に当たってみますと、大臣が定める基準として、貸し付けの対象になる農業者を「酪農又は肉用牛生産の近代的な経営を実現する意欲と能力を有しており、当該地域の中核的な農業者であるか、又はそのような者となることが見込まれる」こう定めている。これで、小さな人、必要な人のところがシャットアウトされてしまうのでございます。小さな人たちが排除されないように考えて運営しなければならないと思いますが、いかがでございますか。
  214. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 昨年の審議の際のそういう経過もございまして、昨年の五月に出しました改良資金制度運用基本要綱の中で、まさに今おっしゃいましたような、「農業経営の改善につき意欲と能力を有する地域の中核的な農業者又はそのような者となることが見込まれる者であって、」このようなことが確かに書いてございます。  問題は、この「見込まれる」ということで、そのときもお答え申し上げましたが、現在の経営規模にこだわらずに、多少期間がかかっても、これは貸付期間が五年とか七年でございますので、少なくともその間が、その前半分でも結構でございますけれども、この資金を借りることによってそういう状態になっていく、こういう能力がまさに大事でございますので、現状において規模が小さいから、そのことだけでもってそういう方を資金の借り受けから排除するということのないように、引き続き指導いたしてまいりたいと思います。
  215. 津川武一

    ○津川委員 安心しました。  委員長、これで終わります。
  216. 大石千八

    大石委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  217. 大石千八

    大石委員長 この際、本案に対し、玉沢徳一郎君から修正案が提出されております。  修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。玉沢徳一郎君。     —————————————  農業改良資金助成法による貸付金等財源に充   てるための日本中央競馬会国庫納付金の納   何等に関する臨時措置法案に対する修正案     —————————————     〔本号末尾に掲載〕
  218. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、農業改良資金助成法による貸付金等財源に充てるための日本中央競馬会国庫納付金納付等に関する臨時措置法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付いたしましたとおりであります。  その内容は、原案において、この法律の施行期日が「昭和六十一年四月一日」となっているのを「公布の日」に改めるものであります。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  219. 大石千八

    大石委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  220. 大石千八

    大石委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出農業改良資金助成法による貸付金等財源に充てるための日本中央競馬会国庫納付金納付等に関する臨時措置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、玉沢徳一郎君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  221. 大石千八

    大石委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 大石千八

    大石委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  224. 大石千八

    大石委員長 内閣提出生物系特定産業技術研究推進機構法案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。山崎国務大臣。     —————————————  生物系特定産業技術研究推進機構法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  225. 山崎平八郎

    ○山崎国務大臣 生物系特定産業技術研究推進機構法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  近年における技術革新の動きは目覚ましく、特に、バイオテクノロジー等先端技術の発展には著しいものがあります。農林漁業、飲食料品製造業等の分野においても、これら新しい技術の開発、導入により技術水準の高度化を図り、生産性の飛躍的向上、画期的新品種・新製品開発等による新たな展開が期待されているところであります。  御承知のとおり、我が国では、農林漁業等の分野におきましては、民間の技術開発への取り組みは他の分野に比べ十分ではなく、国や都道府県等の公的機関における試験研究が大きな役割を果たしてきたところであります。  しかしながら、さきに述べたような技術革新の状況下において、農林漁業、飲食料品製造業等に関する技術の分野も将来の大きな進展が見込まれる分野として、民間における関心が最近急速に高まってきているところであります。  また、欧米諸国においては、既に官民挙げてこの分野における技術開発に積極的に取り組んでいるところであります。  このような状況にかんがみ、我が国としても、国等の公的機関における試験研究の充実強化に努めることはもちろんでありますが、それと同時に、民間が、これら分野における技術開発に積極的に取り組み得る方途を講じ、全体としてこの分野の技術水準の高度化を図ることが、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上の観点から喫緊の課題となっております。  政府といたしましては、このような認識のもとに、農林漁業、飲食料品製造業等における生物系特定産業技術に関する民間の試験研究を促進する等のため、農業機械化研究所を改組して、生物系特定産業技術研究推進機構を設立することとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、機構は、民間において行われる生物系特定産業技術に関する試験研究を促進するための業務を行うことにより、生物系特定産業技術の高度化を推進し、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に資することを目的とするとともに、農業機械化の促進に資するため、農機具の改良に関する試験研究等の業務を行うことを目的としております。  第二に、機構の民間研究促進業務の対象とする分野につきましては、当面、農林漁業、飲食料品製造業等の産業分野としておりますが、生物系特定産業技術に係る他の産業分野も対象とし得ることとしております。  第三に、機構は、生物系特定産業技術についての民間の関係者が発起人となり、政府及び民間が出資して設立される認可法人とすることとしております。  第四に、機構は、民間が行う試験研究に必要な資金の出資及び融資を行うほか、国の試験研究機関と民間とが行う共同研究のあっせん、国による遺伝資源の提供についての民間の研究者に対するあっせんその他民間において行われる生物系特定産業技術に関する試験研究を促進するために必要な業務を行うこととしております。  また、機構は、これらの業務にあわせて、農業機械化促進法に定めるところにより、農業機械化の促進に資するため、従来農業機械化研究所が行ってきた農機具の改良に関する試験研究、農機具についての検査等の業務を行うこととしております。  第五に、機構が設立されることに伴い、農業機械化研究所を解散することとしておりますが、その権利義務については六機構が承継することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようよろしくお願い申し上げます。
  226. 大石千八

    大石委員長 次に、補足説明を聴取いたします。櫛渕農林水産技術会議事務局長
  227. 櫛渕欽也

    櫛渕政府委員 生物系特定産業技術研究推進機構法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由におきまして申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、この機構の業務の対象となる生物系特定産業技術につきましては、生物の機能を維持増進する等生物の機能にかかわる業務を行う事業のうち、農林漁業、飲食料品製造業及びたばこ製造業その他政令で定める業種に属する事業に関する技術であって、その開発に当たり生物の機能等に密接に関連する試験研究を必要とするものとしております。  なお、政令で定める業種といたしましては、これに属する事業に関する技術の性格を勘案し、その技術の高度化を図ることが特に必要でかつ適切と認められる業種を定めることとしております。  第二に、機構の資本金につきましては、その設立に際し政府及び政府以外の者が出資する金額と農業機械化研究所から承継する同研究所に対する出資金の合計額とし、機構は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができることとしております。  第三に、機構の業務の適正な運営を期するため、機構の業務に関し学識経験を有する者二十五人以内で構成する評議員会を置くこととしております。  第四に、機構の財務及び会計につきましては、民間の研究促進のための出資及び融資等の業務と農業機械化促進のための試験研究等の業務とは性格が異なることから、それぞれ業務ごとに経理を区分し勘定を設けて整理することとしております。  なお、民間の研究促進のための業務に係る勘定におきましては、毎事業年度の損益計算において利益が生じたときは、繰越損失への充当及び積立金の積み立てを行った後の残余の額について、主務大臣の認可を受けて、その出資者に対しそれぞれの出資額に応じ分配することができることとしております。  第五に、機構が設立されることに伴い、農業機械化研究所を解散するものとし、その一切の権利義務は、機構が承継することとしております。  また、このような措置を講ずることに伴い、農業機械化促進法につきまして、農業機械化の促進に資するための農機具の改良に関する試験研究、農機具についての検査等の業務は、機構が行うものとする等の所要の規定の整備を行うこととしております。  以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  228. 大石千八

    大石委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  229. 大石千八

    大石委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま趣旨説明を聴取いたしました生物系特定産業技術研究推進機構法案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十六分散会      ————◇—————