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1986-03-25 第104回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十五日(火曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 衛藤征士郎君 理事 近藤 元次君    理事 島村 宜伸君 理事 玉沢徳一郎君    理事 串原 義直君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君       上草 義輝君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    片岡 清一君       菊池福治郎君    佐藤  隆君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       月原 茂皓君    野呂田芳成君       林  大幹君    藤本 孝雄君       堀之内久男君    松田 九郎君       三池  信君    山岡 謙蔵君       上西 和郎君    島田 琢郎君       新村 源雄君    竹内  猛君       辻  一彦君    日野 市朗君       細谷 昭雄君    小谷 輝二君       水谷  弘君    吉浦 忠治君       伊藤 英成君    菅原喜重郎君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  羽田  孜君  出席政府委員         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省構造         改善局長    佐竹 五六君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      大坪 敏男君         農林水産省食品         流通局長    鴻巣 健治君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ————————————— 委員の異動 三月二十五日  辞任        補欠選任   駒谷  明君    小谷 輝二君   稲富 稜人君    伊藤 英成君 同日  辞任        補欠選任   小谷 輝二君    駒谷  明君   伊藤 英成君    稲富 稜人君     ————————————— 三月二十日  生物系特定産業技術研究推進機構法案内閣提  出第二七号)  農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する  法律案内閣提出第七六号)  農林中央金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第七七号) 同日  土地改良事業等に関する請願(津川武一君紹  介)(第一六四三号)  同(辻第一君紹介)(第一六四四号)  同(林百郎君紹介)(第一六四五号)  同(藤木洋子紹介)(第一六四六号)  同(三浦久紹介)(第一六四七号)  同(網岡雄紹介)(第一七五六号)  同(駒谷明紹介)(第一七五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の  一部を改正する法律案内閣提出第一五号)  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律  案起草の件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案起  草の件  農業改良資金助成法による貸付金等財源に充  てるための日本中央競馬会国庫納付金納付  等に関する臨時措置法案内閣提出第二八号)      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  内閣提出土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷昭雄君。
  3. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 時間が非常に短くなったようでございますので、私は端的に、今回の改正の問題について三つぐらいの点に絞って質問したいと思います。答弁につきましても、大臣並びに局長からは簡潔にひとつお願いしたい、こういうふうに思います。風邪を引いてしまってのどがちょっとあれですけれども、聞きづらいと思いますけれども御容赦願いたいと思います。  第一に、今回の第三次土地改良長期計画というものについての達成の問題でございますけれども、今回の改正によってこれらの長期計画がどの程度達成できるのか。この達成度によっては、この計画を前提にしておりますいわゆる「農産物の需要と生産長期見通し」及び「八〇年代の農政基本方向」これの実現というものが危ぶまれてくるという状況から、これは当然見直さなければならないのじゃないか、こんなふうに思うわけでございますが、その点いかがでしょうか。
  4. 羽田孜

    羽田国務大臣 第三次土地改良計画は、農地面積五百五十万ヘクタールを確保するために必要な四十七万ヘクタールの農用地造成を行うとともに、農地整備率を七〇%に向上させる、これが主な内容でございます。「八〇年代の農政基本方向」等の農政長期ビジョンと密接に関連しておるわけであります。計画進捗率は現下の厳しい財政事情のもとでおくれぎみで推移しておりますけれども食糧自給力維持強化農業生産の再編成、生産性向上などの農政課題に対処するため、今後とも計画達成に努めてまいりたいというふうに考えております。  なお、現行農政長期ビジョンにつきましては、現在農政審議会におきましてこれまでの成果などの分析、検討のための、いわゆるフォローアップのための作業というものを進めていただいておるところであります。
  5. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 こういうふうな長期計画そのものにつきましては、これは閣議決定その他極めて重要な権威づけをしておるわけでありまして、現在の達成率という点では非常に低いわけでございます。たった四年という経過ではございますけれども事業費ベースで二一・九%、面積ベースでは一六・五%の達成率ということでありますので、極めて低い、したがって今回の改正というものが生まれてきたのではないかというふうに思うわけでありますが、改正のねらいで最大のものは何でありましょうか。  例えば工事短縮するということ、それからいわゆる財政投融資を持ってくることによって四百億のいわば枠がふえる、この枠の中身の問題、こういう点を考えますと、当初ねらっております事業短縮がどれだけできるのかどうか。そして、短縮するとすれば当然農家負担受益者負担というのが減るわけであります。どれだけの負担軽減になるのか、これを具体的に、計量的にひとつ示していただきたい、このように思います。
  6. 佐竹五六

    佐竹政府委員 今回の法律改正は、端的に申し上げまして事業の促進、工期短縮でございます。ただいま具体的に説明をということでございますので、今回の改正によりまして浮きます国費が二百八十億程度節約されることになるわけでございます。これを国営事業を中心といたしまして、関連いたします国営附帯補助事業等にも活用することによりまして四百三十億円の事業量拡大されるわけでございます。具体的に中身を申し上げますと、一般会計国営事業は二百三十億円、それから従来の特別会計事業は約六十億円、それから補助事業が百四十億円の事業量拡大が図られることになるわけでございます。  これに伴います工期短縮効果でございますけれども、これは国営事業の従来の一般会計でございますと平均的な工期が従来二十二年であったものが二十年に、従来の特別会計事業でございますと十四年であったものが十三年、このように短縮されることになるわけでございます。
  7. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 先日の参考人意見聴取からしましても、東大の今村教授が、恐らく今回の改正をいたしましてもせいぜい一年の短縮ではないか、こんなふうに指摘されておりましたけれども、この一年ぐらいの短縮ということでどれだけの負担軽減になるのか、そのことをもう少し詳しく、今の推計の試算で結構でありますからお示し願いたいと思います。
  8. 佐竹五六

    佐竹政府委員 工期短縮をいたしますと、当然のことでございますが建設利息の節約になるわけでございまして、これが現在の平均残高から、正確に数字を今、手持ちしておりませんけれども、十数億程度の金利が軽減になりまして、そのことが直接農民負担軽減につながることになるわけでございます。
  9. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 つまり今回の改正は、農林水産予算がだんだん削られてくる、そのかわりに別から持ってくるということが主でありまして、都道府県なり農民負担軽減ということには直接的には余り効果がない、このように判断せざるを得ないと思うわけであります。  問題は、これは一番大臣に頭の痛いところでありますが、今のように農林水産予算行政改革という名のもとにどんどん落ち込んできておる、これは衆目の認めるところでありまして、したがってその衝に当たっております大臣は大変な問題だと思うのですが、この農林水産予算の落ち込みにどう歯どめをかけるか、そしてこれをどのように増額に持っていくのか、これが我々がこれから考えなければならない最大の問題だと思うわけです。  今回の改正も、今局長がお答えになりましたように、実際は落ち込んでいくので何としても補強しなければいけない、そのための改正だというふうにとられるわけであります。しかし、この部門ばかりではなくて、構造改善ばかりではなくて、実際問題としていろいろな点で農林水産というのが全体の政治の中で落ち込んでおる、我々にとってはゆゆしき問題だと思うわけでありまして、これの増額のために私は何としても国民一つ合意を取りつける必要があると思うわけであります。  その第一に、日本国内農産物というのはどうしても高くつく、この高くつくものをどう負担するかという合意をどうしても取りつけなければいけないと思うのです。今のように安ければ外国から買ってくればいいという考え方に立つ限りは、農林水産予算というのは増額できないと思うのです。そこら辺のコンセンサスを何としても取りつけなければいけない。構造改善の問題について言いますと、私は幾らでも高くしてもいいというわけではありませんから、国内農畜産物コストを少しでも下げるという点では、ひとつ思い切ってこういう構造改善的な生産基盤に関する工事というのは全額国庫負担にすべきじゃないか、政府はそれをまず一つやるということ。第二に、私は、消費者生産物については、安全な食糧という観点からある程度割高な負担をするということ。そして生産者は、自分たちの経営をいわば最大限合理化をしていく、コストダウンをしていく、そのための努力をやらなくちゃいけないのじゃないか。このいわば三方一両損みたいな三つの点、政府はそのために何をするか、生産者は何をするか、消費者はそれでもなおかつ高くつく日本食糧、いわゆる農畜産物をある程度負担する、この三つ構えというものがどうしても今後必要だと思うわけです。大臣はそういうことについてどういうお考えを持っておるのか。これから大臣は、そういうふうな農林水産予算全体、これに対して責任を持っていく立場でありますので、今回の予算は、極めておかしい話なんですけれども残念ながら大臣がつくった予算じゃないわけですね。今後のそういう構え方について大臣の決意をお示し願いたいと思います。  具体的に、今私が言ったコンセンサスを得るための三つ立場、これについて構造改善局長はどういうふうにお考えなのか。特にあなたの管轄しております例えば農業構造改善では、私の従来の主張は、基本的な、言うなれば排水路、これは全額国庫負担にすべきだ、さらには、現在の大規模農道だとか、そういういろいろな幹線道路その他があるわけでありますので、その部分をどれだけ全額国庫の方へ持っていくのか、このことが現在あなたに課せられておる課題だと思うわけですよ。その点で特にお答え願いたいと思うわけです。
  10. 佐竹五六

    佐竹政府委員 特に制度的な問題、国庫負担の問題につきましては私からお答えし、それから、その三つ立場についての見解大臣からお答えすることにいたします。  確かに最近の国営事業は非常に規模が大きくなりまして、その影響農業のみならず非常に多方面に及ぶというようなところから、これを全額国費負担すべきであるということを御主張なさる学者先生は大変いろいろいらっしゃいます。確かに一つ考え方であろうかと思うわけでございます。しかしながら私ども、そのような非常に施設の規模が大きく、かつ影響が多方面に及ぶ事業であっても、土地改良事業として農民の申請のもとにその事業をやっていく、そして専ら農業的観点からその優先順位を決めていく、このような事業仕組みに立つところに土地改良事業特色があるわけでございまして、同じような事業を私ども土地改良事業排水事業としてやる場合もあれば、一般河川河川工事としてやる場合も事実あるわけでございます。しかしながら、やはり土地改良事業特色といたしましては、農民のイニシアチブで農業的な見地からその順番を決めていくというところにあるわけでございます。  そのような観点からやはり農民負担を伴うという仕組みができているわけでございますので、これを一般河川工事あるいは道路事業と同様に農民負担なしでやるということになりますと、建設省の公共事業との区別がつかなくなるわけでございますので、私どもとしてはやはり現行事業骨格、今申し上げましたような意味での骨格は維持しながら、しかもなおかつ、非常に事業規模も大きくなり影響も大きいわけでございますから、それに伴う農民負担をどのように皆さん方に御納得いただける水準にするかということを工夫してまいりたいと考えておるわけでございます。
  11. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに今、先生から御指摘がございましたように、農林予算というのはこのところ非常に厳しい財政事情の中で全体的に減額になってきておるということは、もう事実であります。これはもう既に御案内のとおり、国全体の財政、収入というのが非常に厳しくなってきておるということ、そこへもってきて例の国債、こういったものを償還しなければいけない、こういったところに相当ウエートがとられるために、これは農林水産予算だけでなくて、残念ながら福祉ですとかあるいは教育ですとか、こういった面でも実は減額させられておるというのが現状であります。  そういう中で、先ほど来ずっと御審議いただいておりますように、私どもとして、この減額された中で、今日本の国の農業政策が必要としているのは一体何なのか、これを選択しながら、めり張りをつけながら予算案を編成してきたということと、もう一点は、そういう中にあって知恵を働かせるというようなことで、財投資金を今度は導入するというようなこともやっておるところであります。しかし、私どもといたしましては、やはり今、先生からお話があったように、国民の食生活と食糧というものを確保するというのは国の基本的な最も重要なものであるということで、ただ安ければ外国から輸入すればいいやということで済まない。そして、今お話の中にありましたように、やはり安全な食品を安定して供給するということになると、国内生産というものを高めなければいけないだろう。  そのために一体、我々として何をするのかということでありますけれども、今お話がありましたように、やはり生産性の高い農業というもの、要するに、よその規模の大きな国と一遍に競争しろと言ったって実際に無理な話でありますけれども、その中であっても少しでもコストを下げて、国内で安いものを提供するように努力しなければいけない。それの一番の基本となるのは、やはり生産基盤というものをきちんとすること、生産基盤整備をきちんとすることによって、また規模拡大にもつながっていくということにもなると思います。そしてもう一つは、そういったものを助長するために、やはり先端技術なんというものについても、我々としてはめり張りをつけていかなければいけないのじゃないかなというふうに思っております。  そういう中で国としても、ですから、今そういった問題に対してできるだけ予算を、厳しい中でもめり張りをつけていくということが第一であり、また農業者皆さん方としては創意工夫をしていただきながら少しでもコストを下げていただく。それから、急激に国際的な価格になりなさいなんて、これは実際にできるものではないし、日本の国土全体を見たときに、そして人口を考えたときに、とてもアメリカとか何かと同じような価格になることは無理である。しかし、よその国が日本に売ってくれるのは、よその国が生産過剰であるとかあるいは余剰のものをつくることができるから日本に売ってもらえるのであって、これが天候その他によってちょっと厳しくなったら日本に売ってもらえないということになると、やはり基本的な食糧国内生産しなければいけない、そういう意味で、消費者皆様方にも御理解をいただきながら、多少は高くてもそのかわり安全なものを、しかも安定して供給してもらえる、そして新鮮なものを供給してもらえるのだという中で、私は御理解をいただかなければならないというふうに考えております。
  12. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 まず最初に局長にお尋ねするのですが、今私は、いわゆる全体のコストを下げるために政府のやれることは、まず第一に、構造改善の問題で生産基盤工事については全額国庫負担にすべきだ、その原則を言ったわけですが、どうもほかの道路と違ってこの農業構造改善についてはすべてそういうふうにするわけにいかぬ、今の構造改善の枠組みの中で考えていくというふうなお話でありましたが、私はそこの基本を変えない限りはどうしようもないと思うのですよ。  問題は、今例えば道路考える、農道考えた場合、それから大規模排水考えた場合に、農村はほとんど現在、混住地帯であります。混住地帯であるということで社会的な基盤が変わってきている。もう十年も二十年も前に策定した皆さん方構造改善計画というのは、根本的に見直さなければならないという、そういう時代が変わってきているということなんです。思い切って排水なんかは、これは私は年来主張しているのですけれども、もう既に昭和四十年代の終わりに、農林水産省も少なくとも排水路については全額国庫負担にすべきだという観点に立って大蔵省予算要求をしている、しかしそれが大蔵省にけられて現在に至っているというふうに私は聞いておるのですよ。ところが今局長お話を聞きますとそういう考え方に立っておらぬ。あなた自身がそういう考え方に立っておらなくてこんなことどうしてできますか。基本的に農林水産省としては、基盤整備に関する問題は、農民負担じゃなくて、国家食糧安全保障という観点からこれはできるだけ全額国庫負担にすべきだ。大蔵省にその点で要求するという姿勢がなくてどうしてできますか。この点について考え方を変えていかなくてはいかない。現実にできるかどうかというのは、財政の問題もありますよ、ありますが、あなた自身の物の考え方なり姿勢を聞いているわけですよ。
  13. 佐竹五六

    佐竹政府委員 例えば今、先生の御指摘ございました排水事業とか基幹的な農道でございますが、こういうものは現実的には確かに地元負担分市町村等が肩がわりするという形で農民負担になっておらないわけでございまして、そういう必然性先生の御指摘されたとおりでございます。その全額国費とおっしゃられた意味は、公費負担も含めて、要するに農民負担なしでという意味だろうと思います。  余り御答弁を長くとってもいかがかと思いますが、私ども先生の御指摘にはそれなりに合理性があると思いますし、もっともだと思います。そういう方向で努力する一つとして、例えば四十七年の改正市町村協議とか非農地受益者賦課とか——農地受益者賦課先生の御趣旨からいえばちょっと違いますが、さらにそれを強化する改正を先般の土地改良法改正でもやってきたわけでございまして、実際問題として私ども考えておりますのは、やはり地方財政裏打ちをしていただきませんと、ああいう規定を設けましても市町村がないそでは振れないというふうになっているところが多いわけでございまして、従来は大蔵省とだけ専らやってきたわけでございますが、今後は私ども、自治体に対する裏打ちをいろいろやってもらう、そういう意味自治省に対しても働きかけていきたい。  その一つのよい例といたしましては、集落排水事業なんかにつきましては自治省もいろいろ理解を示してくれまして、その財源手当て等については一部、法律に基づかない事業でございますが起債措置等も認めてくれました。今後、起債の償還についての交付税上の措置等も粘り強く続けていきたいと思います。そういう方向をできるだけ拡大していきたい。実態問題といたしまして、受益いたしますのは関係地域住民でございますし、その住民を代表するものとして市町村に相応の負担をしていただく、それに対する財政的な裏打ちをやっていく、こういう方向を努力していきたい。  先生の御質問に対してちょっとすれ違いのところもございますけれども先生実態認識とそれに対してとらなければならない措置については、私ども考え方は大体同じ方向を向いているのではないか、かように考えているわけでございます。
  14. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 私は、本来的には用水も含めて用排水、これは全額国庫負担にすべきだというふうに考えているのですけれども用水につきましては永久水利権の問題もこれあり、農民負担というのはある程度しようがないのじゃないか、こんなふうに思うのですが、少なくとも排水については現在の混住地帯という観点からすれば、もう本当に早く、今言ったような農民負担なし、すべての排水路についてそういう措置を講ずることが必要だ、こんなふうに思っておるわけであります。今言ったいろいろな工夫をしながら、農林水産省、特に構造改善局としては大胆に、基幹農道は言うに及ばず、一般農道についても農民負担ということが極力ないような形でやっていく、この心構えが絶対に必要だというふうに思うわけであります。  大臣にお聞きしたいと思うのですが、大臣と私の見解というのは基本的に同じ基盤に立っていると思うのです。それは食糧がいかに重大な国家的な責任であるのかという認識が同じだからだと思うわけです。現在のような、いわば安ければ外国から買ってもいい、一部にそういうかなり強い意見があるという現実の問題の中で、いかにそれが間違いてあるのか、そしてそれが間違いであるとすれば、どうしても政府国家責任において安定的に安全な食糧を供給する、そのことが大きな責務になってくるわけでありまして、そのために政府生産者消費者である国民がそれぞれ負担をしなければならない、この原則、このことをいかに国民の中に広めていくのかということが問題なわけです。  その合意があれば、単に財政が悪いからといって——財政が悪ければみんな同じように低くすればいいわけですが、反面この五年間の行政改革のもとにおける国家予算の増減を見ましても、一様に全部下がっているわけじゃありません。外務省関係海外開発援助費はぐんと上がっているのですよ。これはいろいろな背景があるわけですね。そしてまた防衛費しかりであります。エネルギー対策費しかりであります。国家の安全にとって極めて重要であるという観点のものについては上げているわけですよ。だとすれば、少なくとも食糧安保というのはそれと同じような比重で考えらるべきが当然であろう、こう思うわけであります。なのに、ほかのと同じようにむしろ中小企業対策費やこういった農林水産費が下げられておるという現実、このことに大きな憤りを感じるわけでありまして、こういう面についてのいわば政府部内における大臣の発言は極めて重要だと思いますし、一部の安いものを買えばいいじゃないか、日本農畜産物は高過ぎるという批判に対して大胆にどう発言されていくのか、このことが極めて重要だと思うわけです。  これから国民コンセンサスを得るために政府が何をなすべきか、農林水産省として何をなすべきかという大臣の具体的な方策がありましたらお知らせ願いたいと思うわけです。
  15. 羽田孜

    羽田国務大臣 今先生から御指摘ありましたように、やはり食糧の安定供給というのは国家の安全保障と同様であろう、またその基本をなすものであろうという御指摘、私も全くそのように考えます。確かに一部の中に、安いからよそから得ればいいであろうという安易な考え方、特に今飽食の時代と言われる中で食糧が身の周りに幾らでも積まれておるものですからついそういう安易な考え方が出てくる。また売る方にとりますと、日本消費者のために我が国でつくった方が安く安定して供給できますよというような発言なんかにもよく私たちも触れることがあります。そういう中でそういう考え方が横行するわけでありますけれども、しかし、先ほども申し上げましたように、食糧というのは基本的にその国である程度生産が過剰である、余剰である、また余剰の生産ができるという中でそれぞれの国に売ってくれるのであって、その国が本当にちょっと厳しくなったら途端にストップしてしまうということが現状であります。それと同時に、さあ農薬は一体何を使っているのか、薬品は何を使っているのか、それも本当にチェックするということはなかなか難しいということから、基本的にはやはりその国で生産するということが一番重要であろうと考えております。  そういう中で、私どもとして何かうまいアイデアはないかということでありますけれども、その知恵というのはなかなかそう簡単には出ませんが、しかし食糧というものがそういう要するに人間の生命を守るという一面、また別途のあれとしてはやはり国土保全というものに大きな役割も果たしているんだということについても国民理解を得て、幾ら安い食糧をあれしても国土保全というのがなされなくなったらどうするんだということ、こういったことを訴えながら、私どもとしても厳しい予算の中でも、本当に少しでも生産性の高い日本農業をつくり上げる、足腰の強い農業をつくり上げる、そのための予算を確保するために地道な努力をしていく、地道な説得をしていく、これ以外にないんじゃないかなというふうに考えます。
  16. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 この議論につきましては、前の昭和五十九年の改正の際にもいろいろ議論をしたわけでございます。いかにして政府政府としてコストを下げていくのか、そして生産者生産者としてどれだけの生産コストを下げるための努力をするのか。政府考えているように、いわば面積を集積しながら大規模な農家をつくっていって生産費を下げていく、こういう方法もあるわけでありますけれども、思うように進んでいかない。だとすれば、どうしても農家の現在のコストを下げるためには、過剰投資をどう防いでいくか。機械等の過剰投資が日本の現状でございます。それを防ぐためには、思い切った共同化といいますか協業化といいますか、幾たびかこれをやっては失敗をし、やっては失敗をするという試行錯誤を重ねておるわけでございます。しかし、何としてもこの過剰投資を防ぐためにはそれしか方法がない、こういうふうに思うわけですね。いかにして生産者コストを下げていくのか、この点が一つでありますし、それから、生産者からは比較的高く買い上げる、消費者に対しては安く提供するというのが基本でございますので、現在の市場に任せるという方法から、さらにいろいろな生協その他を結ぶいわゆる流通のバイパスをつくっていく、こんなことも政府がやれる一つの施策じゃないかというふうに思うわけです。  今大臣からお話しのありましたとおり、これという決め手のコンセンサスを得る方法というのはないと思うのですが、消費者国民に対してはそれなりの生協を通ずる、消費者活動を通ずるバイパスをつくるという施策、生産者に対しては、農業改善ばかりではなくて、農政全般にわたるいろいろな指導、コストを下げる工夫、これも一生懸命やらなくちゃいけない。そうして、そのかわりに、今言いましたように農林水産省としては何ができるか。基本的には農民負担を軽くするという観点での構造改善事業負担をなくしていく、私はこのことをさっきから強調しておりますように具体的な施策として進めていただきたい、このように思うわけであります。  このことによって、なるべく早い機会に、少なくとも防衛費ばかり突出するというのじゃなくて、食糧安保という観点に立って、食糧問題だけは別ですよ、どんなに国家財政が厳しくともこの問題は民族の安全に関する問題だという点で、世論でも支持を受けるような農林水産予算増額、このことに一日も早く踏み出していただきたい、このことを強く要求したいと思うわけであります。  時間がございませんので、最後の問題に移りたいと思います。  私は土地改良区の問題について取り上げたいと思うわけであります。今回の改正のように、何としてもこの第三次の長期計画達成したい。そして、達成した暁には、それぞれの地域農民が土地改良区というものに編入されながらこれを維持管理していくということになるわけであります。問題はこの土地改良区がどれだけ民主的に運営されておるのかという問題であります。これは過ぐる昭和五十九年の改正の際に各党、特に野党の皆さん方からこもごも指摘がございました。  その指摘を要約しますと、国民の税金によって大幅に援助を受けながら土地改良その他構造改善をやっておる、それを統括しておるのが各単位土地改良区、その土地改良区を統括して各県ごとにやっているのが県土連等、俗に言います土地改良連合会でございます。この土地改良連合会がしばしば問題になっております。私も残念ながらまだ取り上げざるを得ない。  五十九年の議事録は既に局長もお読みだと思うのです。大臣もお読みだと思うのですが、我が党の日野委員が具体的にいろいろな土地改良連合会の問題について言及をしております。土地改良連合会と土地改良政治連盟とは違うんだという言い方をしておるのですが、具体的に実際問題として土地改良区のやっていることの隠れみのみたいな形でやることが一体できるのかどうか。これは法律論ではなくて、具体的に国民の前にあんな形で土地改良区が一党一派の政治活動をやることが認められておるのかどうか。これは常識なんですよ。  私がなぜこんなふうに言うかというと、先ほども言いましたように、野党も与党もなしに、農村出身議員はいかにして農林水産予算をふやすかということに超党派で取り組んでいるわけです。土地改良の問題についても同様なんです。しかしながら、実際の現場で一党一派に属した政治活動をやっておるとすれば、特に野党の農村出身以外の皆さん方からは、あんなところに金を使う必要はない、こういう指摘が出てくるのは当然だと思うわけであります。我が党の中にも一党一派に使われるような予算増額を控えるべきじゃないかという意見さえも一部にたまに聞かれるわけであります。極めて残念な現状でございます。  このことにつきまして局長はどういう指導をされておるのか、五十九年のこの指摘に対してどういう指導をされておるのか。大臣はその後農林水産省としてどういう指導をされておるのか、確とした御返答をいただきたい。我々はこの返答いかんによって今回の土地改良法改正についての賛否を決めたい、こんなふうに思っているわけであります。
  17. 佐竹五六

    佐竹政府委員 五十九年の議事録は私も読みまして、繰り返しはなるべく避けたいと思いますが、土地改良区と申しますか土地改良事業団体もその本来の目的に反しない範囲で一定の政治活動はできることとは存じますけれども、今御指摘になられたような問題がございますし、特に土地改良区は強制加入の団体でございますし、それからまた賦課金の強制徴収権も認められているわけでございますから、その活動にはおのずから限度、節度があるのだろうというふうに思うわけでございます。  その節度の理解につきましてなかなか幅があるところが難しいところでございますけれども、五十九年に御指摘いただきまして、特に非常に具体的な問題として国会議員が会長を兼ねておられる方々についての報酬の問題が問題になったわけでございます。私どもそのような団体につきましては個別に指導いたしまして、これはそれぞれの会長さんの実際の活動が、あのときも問題になったかと思いますけれども、どのくらいその職務に精励しているか、一般的になかなか難しいのではないかという御指摘が日野先生からございましたけれども、最終的にはそれぞれの会長さんのお考えと、それから団体の内部で決められるべき問題でございますので一律にはまいりませんけれども、御趣旨を体しまして指導した結果、それなりにその報酬額を切り下げるとか無報酬にされるとかいう団体が多くなっておるわけでございまして、御指摘については一応そのような意味でこたえているつもりではございますが、なお今後とも外部からそしりを受けることのないように指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  18. 羽田孜

    羽田国務大臣 土地改良区は、土地改良事業を円滑に推進する、そのための農業者の自主的な組織であるということであります。そういうことで、土地改良事業を円滑に進めていくために、その中にいろいろな問題を起こすことにはやはり問題があるというふうに考えております。そういうことで、政治活動につきましてはそれぞれの各県土連としても誤解されることのないように節度を持ってやはり進めていく、それが必要じゃなかろうかというふうに考えます。
  19. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 局長、今大臣お話ししたこと、これを通達で各県土連、各土地改良区に流しますか。そのことによって、今後十分に皆さん方が国会で答えていることを具体的に実行に移しているかどうかという尺度にしたいと私は思うのですよ。通達を出しますか。
  20. 佐竹五六

    佐竹政府委員 先ほど申し上げましたように、節度ということの理解はなかなか難しゅうございますし、それから事柄の性質上非常に微妙な問題でございますので直ちに今ここでお約束することはいたしかねますけれども、ひとつ内部で検討させていただきたいと思います。
  21. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 この問題につきましては、私たちの党の考え方もありますので、ぜひ理事会でこの問題を取り上げていただきたい、このように思いますが、いかがですか。
  22. 大石千八

    大石委員長 理事の皆さんお聞きになっていましたか。——これはまた後ほど理事の皆さんと協議させていただきます。
  23. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 終わります。
  24. 大石千八

    大石委員長 辻一彦君。
  25. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私はきょう、法案審議に絡んでかねてから懸案になっておりました国営農用地開発事業等の償還条件の緩和等の問題、さらに農家負担軽減問題について二、三質問いたしたいと思います。  その前に大臣にちょっとお伺いしたいのでありますが、何カ所か私もずっと国営の農用地開発その他かん排等を見て回ったのでありますが、その中で、国営の土地改良事業規模が大きくなりますと、前にも論議されましたが、設備が近代化をされてくる、明渠は暗渠に、地下にパイプというようにどんどん複雑化をしていく、こういう中で工事完了後の設備の維持とか管理経費が非常に大きくなっていく懸念が多いと思います。こういう点で、国営土地改良事業の維持管理について将来国の助成が必要でないか、こういうふうに思いますが、これに対して今後どう考えておられるか、この点をまず一つ伺いたいと思います。
  26. 佐竹五六

    佐竹政府委員 国営事業、特に最近造成される施設につきましては先生の御指摘のとおりの内容を持ったものが多くなっております。しかしながら、財政一般的なルールとして維持管理費には金を出さないというルールがほぼあるようでございまして、これは農業施設に限らず、農林省の農業施設はもちろんでありますが、その他の各種の施設についても維持管理に直接補助金等が出されている例はないようでございます。  しかしながら、私どもとしては、先ほど先生の御指摘のあるような実態も踏まえまして、そのような施設については何らかの意味の公的な管理に移して農家負担軽減していくという方向をとっているところでございまして、具体的に申し上げますと、例えば国営の直轄管理の拡大、それから国営造成施設の県管理補助の拡大、今年度も一つ頭首工を県管理補助の対象に加えることといたしたわけでございます。その他施設の整備についての助成措置拡大、それから維持管理についての技術指導、いろいろ知恵を絞りまして、一般的な財政のそういうルールのもとでも、維持管理に対する助成をやらないというルールのもとでも、実質的に農民負担軽減に役立つように、それからまた非常に高度な複雑なテクニックを要する施設については公的管理が行われるように、毎年努力しているところでございます。
  27. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう二点だけちょっと関連して伺っておきますが、同じように国営の土地改良事業が大規模化すると、道路であるとか河川をかなり取り込む工事が進んでくる、そうなりますと事業費が非常に拡大をするのですが、これは公共的な役割から考えると公共団体の負担というかそういう分野にかなり考えてもらわなければならない点があるのじゃないかと思うのですが、これがこれから非常に問題になると思うのです。この点いかがでしょう。これは要点だけで結構ですから。
  28. 佐竹五六

    佐竹政府委員 大規模排水施設とか基幹道路につきましては、御指摘のようなこともございまして、現実に各市町村等負担している例が多いわけでございますが、その財政的な裏づけについて自治省等とも今後いろいろ協議してまいりたい、かように考えております。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
  29. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは自治省との協議等ということに既にお触れになったので三点目はもう割愛しますが、国営の工事遅延、全体の事業費がかさむ、農家にはなかなか多くの負担もかけられぬとなると、間に挾まった自治体が相当犠牲を払っているという状況で、今までは何とかやれたにしてもこれからは地方財政も非常に困難になっていく中で容易でないと思うので、こういう公共面の分野については自治省と十分協議をしていただくようにお願いしたい。これは大臣にもひとつ強く要望しておきます。  そこで、この改正案の法案審議で提案趣旨は何回も伺ったのですが、それによると国営土地改良事業事業量拡大、確保、それからその促進、こういうところに今度の改正法案のねらいがあるように思いますが、従来方式による特許方式における幾多の経験から何か学んだというか、その経験を生かしたという考え方がこの法案の中にあらわれていないのかどうか。この点について、これはひとつ大臣に伺いたいと思うのです。
  30. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほど来御指摘がありますように、公共事業一つの制約がございまして工期が遅延しておるというのが現状であります。このために今回の改正法案では、新たに従来の一般会計事業費の一部にも財投資金を活用し、国の財政資金というものの効率的な運用を図っております。なお、国営事業を中心とした農業基盤整備全体の促進をそれによって図ろうとしておるところであります。  なお、大規模な国営土地改良事業につきまして、事業費が大きいことから、この新しい制度によっても相当の工費を要することになるため、受益者の要請など地区の状況を勘案しつつ、より一層の事業量拡大を図り得る従来の特別会計制度を活用し、事業の促進を図ってまいりたい、こんなふうに考えておるところであります。
  31. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは大変結構なんですが、私の伺いたい一つは、従来の特許方式によれば農家負担分も財投等を受けてこれでやる、こうなっておるわけですね。ところが、今度はその農家の負担分は国の一般会計と同じように国費による立てかえ払いである、こうなっておりますね。もし、事業量拡大だけを目指すならば、農家負担分も財投を繰り入れればそれだけ事業量はふえるわけですから、それだけがねらいであるならばそうなってもいいのではないか。しかし、そうでないところには、これはやはり、個々の農家に財投の資金を導入すれば、金利の変動等によって重い負担がかかる懸念があるという過去の経験にかんがみて、この法案が、表には出ないけれどもこういう一点があるのではないか、この点をひとつお尋ねをしたい。
  32. 佐竹五六

    佐竹政府委員 従来の特別会計方式にいたしますために、切りかえるためには、これは当然のことでございますが、先生、今御指摘になったような問題点もございますので、同意をとらないとできないわけでございます。端的に事業量をすぐに拡大させるためには、農民負担には影響ないような措置にしておくことが必要になってくるわけでございまして、今回、事業量拡大工期短縮をすべての事業についてやるためには、やはり同意手続等をとるということになりますと、これは実際問題といたしましてすべての事業国営事業についてそれをやることは不可能になりますので、そういう観点からこれは今回提案したような仕組みにしたわけでございます。  私どもはそういう趣旨でございますが、先生のような見方をすることもそれは可能と申しますか、それなりに理由はあろうかと思います。
  33. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣、この法案のねらいはよくわかるのですが、もう一つその点が、そういう経験が生かされなければいかぬと思うのですが、この法案の中に生かされていくのではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  34. 羽田孜

    羽田国務大臣 今、局長が御答弁申し上げたとおりであるということでしか申し上げられないと思います。
  35. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そういう考えもあるでしょうという局長のことですから、それで子としますが、やはり財投をつぎ込んで早くやるねらいが、金利のいろいろな動きによって農家の方に思わぬ負担もかかってくる、だからこれでは同意もとりにくい、こういう点からここはひとつ外して、農家の負担軽減しやすい、軽い方でやっていこう、このねらいがこの中に多分にあるように私は感じますので、そういう考え方もあるだろうということで今確認をいただいたので、それはいいですね。それでは、その問題について一点伺いたいのは、この法案が可決されて適用されるようになると、新しくやるところあるいは今までの一般会計でやっておった国営事業はかなりいい点が出るだろうと思うのですね。しかし、五十一年に出発した全国七地区に特別会計の従来方式というのがそのまま残っておるのですが、これは新しいのに切りかえるわけでないようでありますから、そうするとやはり問題点は残されたままになっておる。したがって、こういう従来方式の特許地区に対してどのような配慮と対策を考えているかということが大事だと思いますが、これも時間の点からそう長い御説明は要りませんで、要点を伺いたい。
  36. 佐竹五六

    佐竹政府委員 七地区のうち、既に工事の完了しました美々津、それから青蓮寺、それから坂井北部等につきましては、おっしゃるように特別なメリットが出ないわけでございますが、現に事業をやっております。その他の地区につきましては、今回の措置によって浮きました事業費は事業拡大に使っております。例えば、国営農用地造成の五十一年度着工以降の特別事業である藤沢地区とか能代地区、これは藤沢の場合は十六億が十八億に、能代は十八億が二十五億というふうにやはり事業量をふやしておりますので、それなりのメリットは及んでいるわけでございます。
  37. 辻一彦

    ○辻(一)委員 改正案はそれなりに前進であると思いますが、過去の経験をいろいろ生かして七つの地区にも特に配慮をして、やはりこの改正案の適用を受ける地区に横並びに十分なるように、より以上の努力をひとつお願いしたいと思います。  そこで第二として、既に論議をされましたように、今七つの特許地区、特に償還問題に当面する四地区等の一番大きい問題は、工期遅延による事業費の増大、結果としての地元負担金の増大であって、これによって償還がなかなか困難になっているという点にある。この点は、私は昨年の四月二日に約一時間この問題について論議しましたので、大臣、これはちょっと国会の論議も頭に入れておいていただいて、その上でこれから質問をしたいのですが、一応読んでいただいたと思いますが、いかがですか。     〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 羽田孜

    羽田国務大臣 ちょうだいをいたしております。
  39. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それでは、それをごらんいただいたという前提に立って質問を二、三いたしたいと思います。  例えば、例として私は一番よく見ている坂井北部の国営農用地開発総合事業について触れたいと思いますが、国は第一回の計画変更のときに、特許導入によって一般会計よりも早く、かつ、償還金も少なくなるという説明をしておりますですね。実際はそういう指導をしているというふうに言えると思うのですが、これを信じた農家や土地改良区が同意したという経緯があります。ところが、実際は特許は工期がおくれてはるかに高い地元負担、償還金になってきた。今私はどこにそういう問題の責任があるかということを論議したいとは思いませんが、事実としてはこういう経緯があるということですね。  そこで、国鉄の場合に特急に乗ってそして時間がおくれた。私もゆうべは雪でおくれてしまって、二時間半ほどおくれたのですが、一般の方には特急料金を払い戻していますが、同様に、工期が六年ほどおくれることによって起こったところの利子増等による負担はかなり重いのですが、国鉄特急料金払い戻しに準じて配慮を、対策を講すべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  40. 佐竹五六

    佐竹政府委員 確かに五十五年に完了ということで特許事業に移したわけにもかかわらず、六十一年までかかったわけでございます。しかしながら、私どもとしてはそれなりに努力はしたつもりでございまして、五十一年度と五十年度、特許移行前と比べますと一・九倍、二十一億事業費をつけて、最高の年度では三十一億くらいまでつけたわけでございますが、遺憾ながら五十五年以降の公共事業の抑制それから諸般の事情による事業費の増高等もあって今年までかかったわけでございます。  最終的には私ども、各受益者の方々に御納得をいただくために同意の手続もとるわけでございます。そのような意味で、私どもとしては受益農家の方々に御納得のいただけるような説明もしてまいりたいと思いますし、建設利息についても県それから地元でそれぞれ御負担をいただいて、それに御納得いただけるような説明をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  41. 辻一彦

    ○辻(一)委員 確かにこれは同意をしてそしてやるのですから、これは当然ですね。  ただ、ちょっと私は指摘をしておきたい。それは責任論を言うのでなしに、こういう事実があったということを頭に入れてほしいという点からですね。要求して農林省からもらった資料にも、昭和五十年の十月に「国営坂井北部総合農地開発事業計画変更について」というので、現地の農林省の事業所と土地改良区が連名で出しておる説明資料がありますね。私は、縮小版を資料でもらいまして拝見しました。これによって農家はそうかなということで同意をしたと思うのです。  ところが、これをやるには土地改良区が理事会を開いて、そしていろいろ論議をして、こういう方針を、特許を導入してやろうということを決めたわけですね。その理事会のときに国がどういう説明をしているかということですが、これはちょっと申し上げると、私は、昭和三十八年にこの坂井地区等穀倉地で生産大学という農民の学習運動を起こして以来、二十何年随分農村の関係には知り合いが多いものですから、いろいろな懇談会に行くと昔の資料を引き出していろいろ見せてくれるのです。たまたまそういう懇談会を何回かやっておる中で、こういう経緯があったということで、私に古い資料、五十年のを出してくれたのですが、これをちょっと大臣局長に見てほしいのです。  その一枚目はもう時間の点からいいのでありますが、二枚目の半ばから「特別会計制度導入の必要性」というのがあって、これは読んでいただくとわかりますが、こうありますね。  事業所において今後の事業進捗予測を現時点で検討してみると次のことが考えられる。 として、  現行一般会計のもとで年度事業費の伸び並びに物価上昇をそれぞれ一〇%と想定し完了年度を算出すると昭和六十三年度が見込まれ、五十一年度以降残事業費百四十五億円は三百七億円に増加し、総事業費は三百四十二億円となることが予想される。これを基礎として受益者の十アール当年賦償還金を算定すると三万二百円となる。  一方特別会計に移行した場合は物価上昇を一〇%と仮定しても、昭和五十五年度に事業完了が期待でき、五十一年度以降残事業費は百四十五億円が百九十億円に増加し、総事業費は二百二十五億円程度にとどまる見込である。これを基礎として受益者の十アール当年賦償還金を算定すると二万千二百円となり、一般会計の場合より三割程度償還額は少くなり、特別会計の方が有利となる。  更に工期短縮により早期に事業効果が発生することとなるので、当地区においては積極的に特別会計制度を導入して年度予算の大幅な増額を計り事業を早期に完成させることが得策と考えられる。 これは、当時事業所が理事会に説明しておるわけです。  この問題は私は去年の四月二日に論議をしましたから、詳しくは言いませんが、こういう説明を受けて、そして理事会も、なるほどそれなら特別会計でいこう、また、それを受けてこの一枚のパンフレットがつくられて、一般農家に配られて、農家もそれならやりましょう、こうなったと思うのですね。同意というのはそういうふうに得られておると思うのです。そういう点から考えてみると、単純に、当時農家の皆さんが特許はやはりいいんだということで同意をしたということですね。  そこで、事情は非常に変わってきたわけですが、私も実は五十一年三月の今ごろと思うのですが、土地改良改正案を参議院で審議をして、その社会党の責任者をやっておってこの論議をしたのです。私自体も、この特許制度はそういうようにして農家にプラスする、地域にプラスする、こういう判断で賛成をしたものですから、一半の責任はそれを承認した私たちにもあると思うのです。だけれども、事実としてこういう状況が起きているとすると、今、二万一千円が、農地造成五万五千円、区画整理、水を入れると七万五千円、水田の区画整理、用水九万五千円の年償還額では、農家の皆さんも米一俵にしてくれということを運動論として今やっておりますが、そう言うのも私は無理のない点があると思うのですね。もちろんそういう経緯の中でいろいろ事業がふえることの御説明があったことは知っておりますが、大筋はこういうところから出発している。  そして今日に至っているとすれば、さっきの特急料金の払い戻してはないが、本来ならば制度的に考えるべきであるが、これが制度的に困難であるならば、特別な救済対策をこういうことに対して国としては考えるべきではないか、こう思いますが、これについて大臣の所見をお尋ねしたい。
  42. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほどの特急料金の払い戻しにつきましては、先ほど局長があれされたとおりでありまして、また、そういうことでありますので、五十一年特別会計の振りかえ時におきましても対前年比で一九一%ですか、そういうふうにして相当な予算というものをつけながら早期完了というものを図ってきたということであります。  そういう努力をしておるわけでありますけれども、今御指摘のございましたもろもろの背景の変化というものがあって、負担がどうしてもふえざるを得ないという点については本当に遺憾に思っております。
  43. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、今度は農家の経営の中から償還金を生み出す可能性があるかどうか、このことについてもう一点お尋ねをしたいのです。  先ほど申し上げた数字、年償還額が農業者負担能力の限度を超えるのではないかという懸念がいたしますが、この点について簡単で結構ですが、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  44. 佐竹五六

    佐竹政府委員 私どもは、計画変更に際しましても、その事業費の増高と発生する受益によって計算される投資効率が一以上になること、それからもう一つ農民負担が増加所得に対しておおむね四〇%以下になるような指導をしているわけでございまして、変更計画について仮に当初の割合で試算いたしますと、受益農家負担の年償還額は先ほど御指摘のあったような数字になるわけでございまして、農家によっては事業費償還の初期においてはかなりの負担となる場合も予想されるわけでございます。しかしながら、その経営が安定した際には四割の以内におさまるというふうな見通しを得ているわけでございます。
  45. 辻一彦

    ○辻(一)委員 実は私、一昨晩、この地区における二・五ヘクタールから五ヘクタールくらいの十四人の専業農家の皆さんから一晩いろいろな実態を聞いてみました。そこでは、償還はなかなか困難であるという話は出ても、個々の経営でどれだけ所得があって、どれだけ経費が要って、家計費が幾ら要って、残りがどれだけで、償還が幾らでどうなるか、こうなるとみんなの前ではなかなか話ができない。  それで、きのう個々の農家を何軒か訪ねて、青色申告の内容等も見せてもらって具体的な数字を見てみたのですが、それを紹介する時間的ないとまがありませんから、要点だけ申し上げると、例えば水田二ヘクタール、畑一ヘクタールの三ヘクタール、この大まかな水揚げ所得が一千万で、所得率が〇・五から六として五百五十万から六百万の所得になっております。そして、この家族だと三十万から多いときに四十万、普通三十万台、大体毎月の生活費が要る。だから、年にはやはり四百万要るというんですね。そうしますと、去年は作柄が割とよかったので二百万くらい残っているから、償還額は計算すると百五十万になるが、去年の場合はこれだけ働いて五十万残るということになる。しかし、一昨年は状況がよくなかったので経営の中で百万しか余裕がなかったというのです。そうしますと、この百五十万の償還を払っていけばこれは赤字になってしまうわけですね。  そうすると、三ヘクタール前後という専業農家、中核農家が五、六百戸いるわけですが、ここらの話を聞きますと、これだけ一生懸命やって、国営でやってもらったのでこれは何とか頑張らにゃいかぬ、こう思ってやって、そしてこういう結果になって、償還で持っていかれてあとほとんど残らぬということになると、一生懸命やる意欲が薄れていく。それから、後を継ぐ子供がそんな苦労はもうかなわないと言って後を継いでくれぬというわけですね。そして、そういうことが重なると、結局この赤字がだんだんと出て、せっかく国営でやったその造成した土地自体を手放さなければならない事態も起こりかねない。国営でやった以上は一生懸命やる者が何とかやれるようにしてほしいという非常に切実な声をいろいろな場所で私は聞いてまいったわけです。  それを考えると、この現在の償還額が、いわゆる土地改良によって所得がふえるという中で可能であるかどうかということは、もう一遍再検討をする必要があるのでないか、こう思うわけです。  もう数字でいただいておりますから、こちらの方で数字だけ言って確認をいたしますが、この資料でもらったのを読みますと、例えば、農地造成で所得がふえた分が十五億三百万、それから土地改良、これはいわゆる区画整理と用排水を含んでおりますが、それによってふえた分が二十六億八百万、合わせて四十一億千百万がこの地区において国営土地改良の結果新しい所得として生まれていくということが見込まれる、こういう内容になっておりますね。そういう中で、労力費が軽減されてそれをほかに転用するとか、維持管理費がふえたり減ったりそんなのをずっと差し引きしますと、作物として所得がふえる分は大体三十六億くらいになっておる。そこで、その内訳は農地開発で十五億六千九百万、それから土地改良で十九億九千八百万、こうなっておるのですね。  これをずっと見ると、農地を新しく開発した場合には、資料によれば十アール当たりの所得が三十四万になっておりますから、〇・六で割る、いわゆる所得率で還元しますと反当五十六万くらいの粗収入になる。これは小面積をつくっている場合には不可能ではありませんが、何町歩、何ヘクタールとつくっている場合にはこの五十六万の粗収益は目いっぱいのところじゃないかと思うのです。二ヘクタール、三ヘクタール、そういう農家がこれだけ上げるのはちょっと大変だと思いますが、これは数字にそんなに大きな開きがないとして、これはおいておきたいと思います。  そこで、農業用の用排水と区画整理の所得増をずっと見ると十九億九千八百万という数字が出ております。これは局長、それで間違いないですね。
  46. 佐竹五六

    佐竹政府委員 間違いございません。
  47. 辻一彦

    ○辻(一)委員 一々数字を確かめるといいのですが、時間の点から私のメモで読み上げて確認をしていきたいと思います。  この十九億九千八百万という中で、水田で区画整理をしてそして用水を入れたのは三百四ヘクタールであります。これは湿田で、谷地田といいますが、狭いところで谷間にあるような田んぼ、そういうところは一反五俵しかとれない。そういうところが仮に九俵か十俵とれるとしても、裏作等入れると、この資料にもありますが、米で四万増、麦で一万増、五万ほど土地改良の効果が上がる、こう計算しておりますね。そうしますと三百ヘクタールでは一億五千万、それから用水補給だけをやっている水田が五百八十ヘクタールあって、これも同様の五万の増と計算すると二億九千万、合わせて四億四千万ですね。十九億九千万からこれを引きますと十五億五千八百万になるのですが、これを、畑地を区画整理をしてそして水を入れたところで十五億五千八百万というのを割ってみると、非常に高い所得がないと計算が合わぬということになるのですね。  私がざっと計算したところによりますと、従来の畑地はサツマイモをつくって麦をつくる、サツマイモが粗収益で二十二万円ほど、麦が六万円で二十八万円、まあ二十五万円とするのですね。それくらいは曲がりくねった畑でも大体皆できたわけなんです。その上に十五億五千八百万円というものが所得増として上積みになったとしますと、これは一反に七十五万くらい粗収益を上げないとこの計算が合わない、詳しい計算はもうあと五、六分だから申し上げませんが、私の試算したのではそういうことになるのです。  そうすると、一反や二反とか五反、小面積をつくって、そして施設園芸をやればこれは幾らでも出ますが、三町歩前後、中堅農家というような面積をつくった場合に七十五万の粗収益を皆上げるというようなことは、さっき三町歩で一千万ですから、三十万なんですから、不可能ですね。こういう計算をして、そして最後には、所得率は四〇%でぎりぎりのところで心配ないというお話でありますが、この計算をやってみると、この分野については償還率が四〇%を超える可能性がかなりあると思うのですね。そういう意味でやはりこの試算にはいろいろ問題点があるように思いますが、これについて局長なり大臣として、ひとつ見解を伺いたいと思います。
  48. 佐竹五六

    佐竹政府委員 具体の個々の農家の経営条件から見た場合にいろいろ問題点が出ることは事実だろうと思いますが、私ども、この計画変更につきましてはそれぞれの経営の専門調査員にお見せいたしまして審査していただいておりまして、その報告もいただいておりまして、まあ大体いけるだろうという御報告はいただいているわけでございます。  最終的には、いずれにしても同意をいただかなければならないわけでございますから、私どものこの計画が実際に農家の方に受け入れられるように、なおいろいろな面で関係地方公共団体とも相談して御説明してまいりたい、かように考えております。
  49. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この試算をもう一遍再検討する用意はありませんか。
  50. 佐竹五六

    佐竹政府委員 塗言葉ではございますけれども、大変長い月日をかけて積み上げてきた計算でございまして、これを制度的に再検討するつもりは現在ございません。
  51. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それでは、ちょっと私のこの時間ではその論議をさらに詰めるわけにはいかないので、しかるべき資料を提出をいただいて私が理解できるようにやっていただきたい、これは委員長、いいですか。
  52. 佐竹五六

    佐竹政府委員 御要求いただく資料の内容にもよりますけれども、できるだけ先生の御疑問に答えられるような資料を提出するよう努力いたしたいと思います。
  53. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣、前回の論議ときょうの論議を聞いていただけば、農林省も一生懸命やったし農家も県も町もそれぞれ一生懸命やったのですが、農家の責任の外にある日本の経済状況の変化等々によって、予想したよりも大きな負担がかかって、非常に熱意がある農家が困っているというのが実態であろうと思うのですね。これに対して、さきの点についても救済策が必要であろうということを申し上げたのですが、いま一度この両方を含めて、大臣、今後の救済対策を特に考えていただきたいと思いますが、ひとつこのお考えを伺いたい。
  54. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話をいただきまして、またいろいろとやりとりをお聞きしまして、確かに背景はいろいろとある、しかし、実際に農家自体の償還の負担率は非常に高くなってきておるという現状は私どもよくわかるところであります。そういうことで、償還条件の緩和の問題につきましては、六十一年度の予算要求の段階で検討が行われ、大蔵省との間で引き続き私どもは協議することになっております。現在、具体的な方法及びその問題点等につきましては検討中でございますが、現下の国の厳しい財政事情のもとで償還期間の緩和を制度化することは、今局長の方からもずっとお答えいたしましたように非常に難しいと考えております。  いずれにしましても、この現状というものは私たちも踏まえながら、それぞれの関係機関とも十分話し合ってまいりたいと考えております。
  55. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは一遍担当大臣として、かつて構造改善局の重要な課題として昨年末は取り上げたわけですから、それが別途協議で持ち越されておるとすれば、やはり大蔵大臣と話をしてもらってしかるべき対策を講じてほしいと思いますが、いかがですか。
  56. 羽田孜

    羽田国務大臣 この点につきましては、佐藤前大臣からも私ども引き継ぎを受けておりますので、これからも話し合ってまいりたい、かように考えております。
  57. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、時間が来ましたので、最後に一点だけお尋ねします。  今、福井県の坂井地方一帯に福井平野開発計画というのが農林省で採択されて建設段階に入ろうとしておりますが、これは有名な九頭竜川の堰堤、頭首工が非常に傷んできているので、これを改修して用排水路整備しようというので、国費三百億、県費百億で当面四百億ですが、その他いろんな附帯を含めると八百億を超える大きな事業であると言われております。ところが、坂井北部の例からかんがみて、農家の皆さんは将来また負担が非常に重くなるのではないかという心配を現実に随分している。冬のうち私が回った中でも、そのことを至るところで聞くわけですね。  そこで、この改正法案が決められて適用されるときに、従来の国営一般会計における事業よりも農家の負担が重くなるということは、この条文を読む眼力ないとは思いますが、念のために、そういう心配がないかどうか、このことをひとつ伺っておきたいと思います。
  58. 佐竹五六

    佐竹政府委員 今回の制度改正仕組みからいって、そのようなことはございません。
  59. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それでは、時間で終わりますが、大臣、土地改良は大変大事な問題でありますので、この法の施行に当たってもひとつ重大な決意でこれから御努力をいただくように、農林省の幹部の皆さんもお願いしたいと思います。  それでは終わります。
  60. 大石千八

    大石委員長 武田一夫君。
  61. 武田一夫

    ○武田委員 私で最後でございますが、時間が随分詰まっておりますので三点だけ質問して終わりにさせていただきますので、要点を、しかも前向きの答弁をお願いしたいと思うわけであります。  私たちは、土地改良法及び土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、現地を視察いたしましたり関係者と懇談をしたり、あるいはまた先日の参考人の御意見などをお聞きいたしまして、いろいろと勉強したわけであります。その中でやはり共通して出てきたのは、農業を取り巻く環境が非常に厳しいということに触れて、特に、土地改良事業工期の大幅な遅延の状況が農家の負担を大きくしているという声が大きく、これが農業経営に大きく影響するものがあるという声が出てまいりました。そして、それはさらに食糧の自給率の向上や農業生産の再編成や農業構造の改善を進める上で大きな障害になっているという声が、大体どこへ行っても出てくる共通の声でございました。  そこで、私は今回の改正を契機に、政府はこうした問題を率直に受けとめまして、工期の遅延の回復を図ると同時に土地改良事業が円滑に進むような万全の対応をしていただきたい、このことをまず要望して、締めくくりの意味で三問質問をいたします。  一つは、大臣にお尋ねいたしますが、土地改良事業農業で果たしている役割をどういうふうに評価をしているか、また、基盤整備の社会的効用をどういうふうにお考えであるかという問題をお尋ねをしておきたいと思います。
  62. 羽田孜

    羽田国務大臣 まず第一点からでありますけれども農業生産基盤整備開発を図ることによりまして、農業生産性の向上あるいは需要の動向に即応した農業生産拡大ですとか農業構造の改善等に資するものである、まさに農政上の一番の基本課題であるというふうに考えております。  それから、社会的効用につきましてでございますけれども、圃場条件ですとか水利条件、これを改善することによりまして、農業生産性の向上、農業構造の改善、農産物の安定供給、これに直接貢献しているばかりではございませんで、さらに国土の均衡ある発展、国土の保全、土地あるいは水利用の秩序化など多くの社会的な効用をもたらしておると考えております。  なおまた、土地改良事業につきましては、事業費に占める用地費などの割合が非常に低いことで、地域経済に対してもやはりこれをプッシュする大きな力があるのじゃないか、このように考えております。  ただ、先ほど来論議がありましたように、全般的に工事がおくれておるということのために、今前段でお話がありましたように、私どもとしてもこの工期がおくれないようにいろいろな努力をしながら、やはり予算措置もしていかなければいけないなということを改めて痛切に感ずるところであります。
  63. 武田一夫

    ○武田委員 この事業は非常に重要な事業である、農業基盤として大事なのは、人的資源と土地資源というものが二つ欠かせないものであります。それに、事業というのは投資した額の四倍の効果を地域経済に与える、こういう評価をされている。これは内需拡大においても非常に効果がある。労賃が高い、地元の中小企業の皆さん方が仕事に携わることができる、あるいはまた用地買収というものに余り金がかからないということで、効率的なお金の運用ができる、こういうようなこと。それにもう一つ大事な点は、昭和五十八年四月に第三次土地改良長期計画において、閣議決定によってこの計画が決められているということが普通の計画とは違うという重要な問題を含んでいる。  そういうことで、これは安全総合保障という問題の中では重要な土地基盤を確保するという農業最大課題に取り組むということでございますが、残念ながら、最近の予算の状況、実績等を見ますと、そういうことから少し外れていると言うと誤解がありますが、弱い感じがするということでございますから、こういう大事な基盤整備の問題については、ひとつ最優先に予算の獲得と事業の迅速なる完成というものを私は要望したい、こういうふうに思います。  そこで二番目に、そうした工期の遅延による地元負担に対する特別の配慮、特に従来方式の特別会計地区等における対応でございますが、聞くところによりますと、農家の負担が十年間で約二倍くらいの負担になっている、限界に近いという声もこれあるわけでありまして、そうした事業のおくれが当たり前という風潮はストップしなければいけないことは当然でございます。  そうした点におきまして、やはり農家の負担軽減のための国庫助成というものは格段の配慮が必要ではなかろうかと思うわけであります。特に、これから山間僻地の基盤整備に移行していきますと、これまでのような価格ではとても賄い切れない。結局、これは農家負担になる。しかも、平地並みの耕作による収量も期待できないということになると二重の苦労でございます。そういうところへの十分なる対応、御配慮をしていただきたいと思うわけであります。  それと同時に、高度な機械設備になりますと維持管理という問題が非常に重要な課題になってくる。特にこれは農村地区の混住化傾向による関係もございまして、適切なる管理運用が必要である。こういうところに対する手当てをしてやらぬと大変ではないか。専門家を一人用意しなくてはいけない、そうでなければ高度化された機械設備に対応できないということもこの間の参考人意見等にございましたし、地元の土地改良の皆さん方もその点を心配されておる。こういう問題についてひとつ格段の対応、御配慮をお願いしたいと思うのでございますが、これについての御決意を聞かせていただきたいと思います。
  64. 佐竹五六

    佐竹政府委員 現下の土地改良事業の重大な問題点といたしまして、ただいま農家の負担問題それから維持管理問題の御指摘がございました。  負担問題につきましては、まず何よりも工期が延びることが一番の原因になっておるわけでございますので、新規採択事業の抑制とか今回のような措置による事業量拡大、それからまた、できるだけ工法等についても工夫を凝らして事業負担の増高を防いでまいりたい、かように考えておるわけでございます。  維持管理問題につきましては、特に、施設が大規模化し高度化してくることと、土地改良施設をめぐる社会的な環境が変わってまいりまして、端的に申し上げますと、混住化社会に移行するに伴っていろいろ問題点が出る、このようなことでございます。  施設の高度化、大規模化に対する対応といたしましては、さまざまな予算措置を通じて、実質的に維持管理に伴う農民負担軽減、公的な管理方式の導入を図ってきているところでございます。  また、混住化問題につきましては、四十七年の法律改正、それから五十九年の法律改正等を通じてそれに対応するような新しい仕組みを導入したところでございますが、これらが実質的にうまく機能いたしますように、要は、農家の負担を適正ならしめるとともに、地域住民全体から見ても問題がないような適正な維持管理が行われるようにすることにあろうかと思うわけでございますけれども、そのような方向に今後とも土地改良区の指導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  65. 武田一夫

    ○武田委員 維持管理費が土地改良の総支出の二〇%ぐらいを占めるんだということが言われております。国土庁の試算では、二〇〇〇年にはそれが三割、二〇二五年には四割、しかもこれは公共投資が年率三%伸びた場合である。ところが今のようにゼロだと、二〇〇〇年には三割が五割、二〇二五年には九割も経費を食われるという試算をしているのです、これは農林水産省も御承知だと思いますが。結局これが改良区、いわゆる農家の皆さんの負担にかかってくるということは極めて心配でございますから、大臣、この点は特に今後の大きな課題でございますので、これに対する十分なる御配慮をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  66. 羽田孜

    羽田国務大臣 基本的にはただいま局長から御答弁申し上げたとおりでありまして、やはり農業生産が本当に健全に運営される、これが一番の目的でありますし、またそのために土地改良を進めておるわけでありますから、今局長の方から御答弁申し上げましたようなことを十分に踏まえながら、農家の負担をできるだけ軽減できるように、そしてその効果というものが早期に発現できるような措置を私どもとしても進めてまいりたい、かように考えております。
  67. 武田一夫

    ○武田委員 三番目に、土地改良事業計画の作成とその実施に当たりましては、私たちは前々から衆参の農水委員会では十分に申し上げておいたのでありますが、要するに関係者の意見を十分に反映させるということ、そして導入作物あるいは地形、地質など地域の実情に即して経済的かつ効果的な施行に努め、それによって農家の負担軽減を図るべきである。これが大事だということを私も前の法案のときに申し上げておりました。参議院の方でもこのような主張をしておるわけでございます。  そこで、その問題につきまして以前岩手大学の石川先生指摘されている点も申し上げまして、土地改良について是正するべき点を何点か申し上げたいわけであります。  いろいろ聞きましたところ、以前土木屋的発想による欠陥田の発生が心配されるという指摘があった。それは最近大変是正されまして、農林省の努力は評価しなければならないということでございます。しかしながら、それでもなおまだ大事な問題が放置されているということでございまして、その点を申し上げて、その改善方法を御検討していただきたいなと思うのです。  それは圃場整備の問題であります。農林省の事業単価が高過ぎるというのであります。石川先生によりますと、我々が研究して実際当たって指導しながらやった場合は二〇%ぐらいでいい。例えば、今百万かかるとすれば、二十万程度でやれる、どんなにかかっても三十万あれば大丈夫である、そういうやり方があるのだ、こういうことでありますから、単純計算しますと、もしそれが五十万だとしても半分で済む、事業量が倍になる、こういうことが事実のようでございます。  このようなことを考えますと、これまでずっと米価が抑制される、それで土地改良の単価がどんどんふえるということは、とりもなおさず農家負担の増大でありますから、農家の皆さん方が改良事業に支払うお金はどこから持ってくるのかというと、農外収入で支払っている人の方が多い。ということは、農業を専業としている方々の影響は一番深刻だ。それを考えるときに、こういう専門家の意見や地元の関係者あるいは村、町、農協等々の関係機関の御意見を十分に聞き入れての工法、対応というものが必要ではなかろうか。ですから、例えば若い人に技術を習得させることによって経費が軽減できるものならそれもやってみるかという地域があればやらしてみるとか、そういう新しい方途を開くというような方向で農家の負担を軽くする、そしてお金が効率的に使えるような方向に持っていく必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに思います。  しかも、事業量が余り拡大せず、このままの状態でいきますと、土地改良事業に従事する皆さん方の仲間が全国で一万人ぐらいはいるはずでありますが、こういう人たちがとばっちりを受ける心配があります。仕事が余りないのだから、おまえら行革の対象だなどと言われたらどうするのだということを考えると、農林省の土地改良技術者は優秀であります、この方々をそういう心配に陥れないためにも、適正な事業量、そしてまた工期がスムーズにいくように、それによって農家負担軽減されるように、こういう専門家の意見は尊重して、本当に単価が半額でできるものなのか、こういうことも検討しながら、できるならその方向でしっかりとした土地改良の道を今回の法改正一つの契機としてやってほしいな、こういうことでございますが、この点についての御所見と御決意がございましたらお尋ねをいたし、もしいい答えが出ればこれでおしまい、そうすると十分早く終わるということでございますので、明快な御答弁をいただきたいと思います。
  68. 佐竹五六

    佐竹政府委員 まず若干事務的に私から御説明しまして、後から大臣がお答えします。  私ども事業費の節減につきましては常日ごろから努めているつもりでございます。五十七年にも今先生の御指摘のございましたような趣旨も踏まえて通達しているところでございます。今後ともやっていくつもりでございます。  石川先生の具体的な提言につきましては、私どもつまびらかにしておりませんので何とも申し上げようがございませんけれども、石川先生は岩手大学に籍を置かれて、現場の農民に学べということを非常に強く主張されて、私もそのお書きになられたもの等拝見しまして常々敬服しているところでございます。私ども、こういう時期でもございますから、さまざまな立場のさまざまな御意見を、心を広く開いて謙虚に学ぶ姿勢が大切かというふうに考えておるわけでございまして、私ども構造改善局内の農業土木の専門技術者に対しても、そのようなことで十分今後の運用の遺憾のないようにしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  69. 羽田孜

    羽田国務大臣 近年の農業経営というのは非常に高度化してくるということで、耕地につきましても、例えば汎用化でありますとかあるいは農作業の機械を導入しやすいもの、あるいは労働生産性を高めるとか、いわゆるニーズというものが非常に高くなってきて、整備の水準といいますか、やはりそういったものを高めていかなければならない、そういう時代でございます。  ただしかし、そうはいいましても、今お話がありましたように、確かに古くからの知恵を使うとか、あるいはやり方によってはそんなに高度なものをしなくてもいい場所、そういったものもあるのでしょう。やはりそういったことを広く意見を聞きながら、効率のいいもの、そしてできるだけ負担の少ないもの、こういったものを、いろいろな高度なものを求めながらも、また技術の開発等によっても低めていくということもできるのじゃなかろうか。いずれにいたしましても、今御指摘がございました点を私どもも十分踏まえながらこれから対応してまいりたい、かように考えております。
  70. 武田一夫

    ○武田委員 私は最後に、利用増進の問題がありますね、これは結局いい基盤整備をしておかぬと、貸してやるとか——貸し借りが大部分ですが、そのときに、現実にそんなの借りないという人が出てきているのです、それをやらないから。つまり、兼業農家の方なんかはそんなの投げっぱなしにしておいてもいいという傾向がある、これは非常に専業農家や規模拡大する農家にとっては支障を来しております。負担が大きいことと、さっき言ったように、米価が上がらないとかいう価格の問題等を含めたすべてがございます。それから、転作作物をどうするかという問題もこれありますね。ですから、そういうもろもろの中で、国がきちっと手を打ってやれば流動化も進むものが、農業委員やあるいは農協あるいは関係者の皆さん方の努力にもかかわらず進んでいかないという大きな欠陥はここにあるのですよ。  このことをやはりもう一度総点検をされまして、そして、これから本当に第三期、ポスト第三期もあるわけですから、そのときにこの基盤整備がもっと順調に進んでいかなければ、日本農業、特に米を中心とした日本農業というものは、どんどん低迷していくだけでなくて、分解していくおそれがある、専業農家の皆さん方は一番苦労なさる、こういうことであったら、日本農業の安定的な基盤というものを確立をしていく問題で一番のみそをつけてしまう。  私は羽田大臣は、これからのポスト第三期はあなたが成功するか失敗するかのかぎを握っていると思うわけでございます。そのときに出てきたこの土地改良法というのは、その土台である一番重要な一つの要素でありますから、この点をじっくりと心の中にとどめられまして、機会があれば、先ほど申し上げたそういう地域の専門家の意見等々も十分に踏まえながら、効率的に、しかも金が十分に活用できて、なおかつ工期が進み、改良事業が進んでいくということの中で、農家の皆さんに、やはり新しい大臣になったときにはこういうふうに変わっていったという姿、現実の証拠を示してほしい、そして、日本農業の夜明けをひとつこの点から農民の前に示してほしいという願いを込めまして、私の質問を終わりますが、どうか局長におかれましても、十分そういう関係者の、専門家の意見を取り入れて、謙虚に、そのよきものは今までの古いしきたりとか慣習にとらわれないで取り入れていくという大胆な発想を大臣と一緒にやってほしい、このことを要望いたします。  これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  71. 大石千八

    大石委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  72. 大石千八

    大石委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  73. 大石千八

    大石委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  74. 大石千八

    大石委員長 この際、本案に対し、玉沢徳一郎君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。辻一彦君。
  75. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、自主民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   最近の農業を取り巻く厳しい状況のもとで、土地改良事業工期の大幅な遅延は、農家負担の増大をもたらす等農業経営に影響を与えるとともに、食料自給力の向上、農業生産の再編成、農業構造の改善等を進めるうえで障害となっている。   よって政府は、本法の改正を期に、工期遅延の回復を図るとともに、左記事項の実現に努め、土地改良事業の円滑な運営に遺憾なきを期すべきである。      記  一 第三次土地改良長期計画における計画事業量達成されるよう必要な予算の確保に努めること。  二 従来方式の特別会計地区等には、工期の遅延をふせぎ事業の進捗を図るため特別の配慮を行うとともに、完了後における農家負担軽減に資するよう各般の措置を講ずること。  三 土地改良事業計画の策定とその実施に当っては、関係者の意見を十分反映させるとともに、導入作物、地形・地質等地域の実情に即して経済的かつ効果的な施行に努め、農家負担軽減を図ること。  四 土地改良事業の実施効果が十分発揮されるよう、導入作物の選定、機械の効率的利用等営農に対する指導の強化に努めること。  五 農道排水路等地域全体に資する施設については、広く公的負担の確保に努めること。  六 土地改良事業推進における地方公共団体負担の重要性にかんがみ、土地改良事業に係る地方財源の確保に遺憾なきを期すること。  七 農村地域の混住化傾向に対処し、土地改良施設の維持管理が適切に行われるよう国及び地方公共団体の指導・助成の拡充に努めること。  八 農用地開発公団事業については、これが我が国農畜産業の健全な発展と農山村地域の活性化に果たしている役割の重要性にかんがみ、事業の安定的推進を図ること。  右決議する。  以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通して委員各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  76. 大石千八

    大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  玉沢徳一郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  77. 大石千八

    大石委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。羽田農林水産大臣
  78. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。     —————————————
  79. 大石千八

    大石委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  81. 大石千八

    大石委員長 この際、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案起草の件及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案起草の件について、順次議事を進めます。  まず最初に、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、本日、その協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を作成した次第であります。  その内容につきまして、便宜、委員長から御説明申し上げます。  本案は、昭和五十七年三月末日をもって期限切れとなっている農業協同組合合併助成法に基づく合併経営計画の認定制度の適用期間を、この改正法律の施行の日から昭和六十四年三月三十一日まで復活延長することとし、この合併経営計画の認定を受けて合併する農業協同組合に対し、従前と同様に、法人税、登録免許税、事業税等の軽減措置が適用されるよう、租税特別措置法等関係法律について所要の改正を行い、合併促進の一助としようとするものであります。  以上がその内容でありますが、その詳細につきましては、お手元に配付してあります案文により御承知願いたいと存じます。     —————————————  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律   案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  82. 大石千八

    大石委員長 この際、本案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。羽田農林水産大臣
  83. 羽田孜

    羽田国務大臣 本法律案につきましては、政府としては、やむを得ないものと考えます。  御可決された暁には、その趣旨を体し、その適切な運用に努めてまいる所存でございます。
  84. 大石千八

    大石委員長 お諮りいたします。  お手元に配付いたしております農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  85. 大石千八

    大石委員長 起立多数。よって、本案は委員会提出法律案とすることに決定いたしました。     —————————————
  86. 大石千八

    大石委員長 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、本日、その協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を作成した次第であります。  その内容につきまして、便宜、委員長から御説明申し上げます。  本案は、酪農の健全な発達に資するため、農林漁業金融公庫が行う乳業者に対する牛乳の処理または乳製品の製造に必要な施設の造成等に必要な資金の融通に関する臨時措置の期限、すなわち昭和六十一年三月三十一日をさらに五年間延長しようとするものであります。  以上がその内容でありますが、その詳細につきましては、お手元に配付してあります案文により御承知願いたいと存じます。     —————————————  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  87. 大石千八

    大石委員長 お諮りいたします。  お手元に配付いたしております農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  88. 大石千八

    大石委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出法律案とすることに決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました両案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  90. 大石千八

    大石委員長 この際、内閣提出農業改良資金助成法による貸付金等財源に充てるための日本中央競馬会国庫納付金納付等に関する臨時措置法案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。羽田農林水産大臣。     —————————————  農業改良資金助成法による貸付金等財源に充   てるための日本中央競馬会国庫納付金の納   何等に関する臨時措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  91. 羽田孜

    羽田国務大臣 農業改良資金助成法による貸付金等財源に充てるための日本中央競馬会国庫納付金納付等に関する臨時措置法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農業改良資金制度は、農業者創意工夫に基づく合理的な生産方式の導入等のための無利子資金の貸し付けを通じて、農業経営の安定と農業生産力の増強に貢献しているところであります。この農業改良資金制度につきましては、今日の我が国農業をめぐる内外の厳しい情勢に対処し、生産性の高い農業の実現を目指して農業経営基盤の強化を一層推進するため、同資金の拡充を行うとともに、これに要する財源につきましては、現下の財政事情にかんがみ、一般会計からの繰り入れに加えて、特別の財源を緊急に確保する必要が生じております。  政府といたしましては、このような状況に対処するため、日本中央競馬会の協力のもとに、昭和六十一、六十二両年度限りの特例措置として、同会の競馬事業の円滑な運営に支障のない範囲内で、同会に積み立てられている特別積立金の一部を国庫に納付させ、これを農業改良資金の政府貸付金等財源に充てることとし、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、日本中央競馬会は、昭和六十一、六十二両事業年度において、日本中央競馬会法の規定による通常の国庫納付をするほか、特別積立金のうち百五十億円ずつ合計三百億円を特別国庫納付金として、国庫に納付しなければならないものとすることであります。  第二に、この特別国庫納付金は、農業経営基盤強化措置特別会計の歳入とし、農業改良資金の政府貸付金等財源に充てるものとすることであります。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  92. 大石千八

    大石委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、明二十六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十八分散会      ————◇—————