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武田委員 どうもありがとうございます。
その中で今、真心をもって対処するという、私、これは政治の本質の中で一番大事なことだと思うのです。安心して
国民が生活できるように守っていくための一つの
基本というのは、やはり真心と誠実だと私は思います。その誠実、真心のある政治が本当に一つ一つの
施策の中に、あるいは政治の範疇の中で実現されていけば、私はその心は、受ける
国民も農民の方々も間違いなく受けとめると思うのであります。それは、たとえ自分たちの意にそぐわないものであったとしても——万が一ですが、それは一生懸命やったんだという心は、私は間違いなく通る。以心伝心ということもありますが、一生懸命思えば思ったほどのことは必ず反応するものだ、こういうふうに思うのであります。
ですから、要するに私は今後の政治の原点として、誠心誠意農家の皆さん方のために、
国民のために日本の
農業というのをしっかり守っていく、そのための努力をするということに心を徹していただきたい。
私は、かつての農作業が、本当に汗水をたらしながら、地味でありますが誠実であった仕事を思い浮かべるわけでありまして、カルチャーという言葉がある、文化あるいは教養とかというけれども、その根底にやっぱり耕すという、汗水をたらして一つの物をかち取る、実りあるものにするというところに私は大事な政治の原点があると思います。そういう意味で、
農業というものは文化のいわゆる一番のもとにあったんじゃないか。
農業から現在の一切の生活というものが
発展してくるということを思うときに、その原点たるものがこういうふうに地盤沈下とかあるいは後退とかと言われることは私は非常に残念でならない。そういう意味で、ひとつこのことを心に踏まえて今後の対応をお願いしたい。
そこで、日本の
農業のいろんな歩みといいますか動きを見ていまして、要するに、
基本的な国策の中で一番重要な、主要なものだというとらえ方をしているように思いますか。例えば、
農業というのは生命
産業であるとか
農業は国の基ということはきちっと言っているのですが、しかし私は現実の日本の
農政を、日本の政治を見ていますと、ほかの国々と比較すると恐縮でございますが、やはり恐縮でありますけれども比較せざるを得ない。海外へあっちこっち行ったときに、本当に
農業に対する取り組みがすばらしいものを皆持っていた。中国に行ったときもあるいはまたブラジルに行ったときも。アメリカ、オーストラリア等へ行きました。一緒に行かしていただきましたが、
農業を大事にするというのは、一つはそれは言葉だけでなかった。
例えば中国に行ったときは、万里さんが副首相の中で筆頭であって、もう
農業にかけてはすごい勢いで、
農業が国の
発展を支えるんだ。それからブラジルに行ったときも、ブラジルの農林大臣も、
農業の
発展こそが工業以上に大事で、
我が国の
基本的な
産業として大事なんだ、こういう話もした。こういうことを考えますと、この日本の
基本的なものとしての
農業、本当に国の
基本的国策として第一次
産業こそが非常に重要であるという、そういうことを具体的な一つ一つに示してほしいという気がしてならないのであります。
というのは、なぜ私はこんなことを申し上げるかといいますと、恐らくこれは午前中あるいは午後からあった質疑の中でもあったと思いますが、一つは、やはりこの農林
予算というものが非常に切り込まれている。それはお金がないと言えばそれまででございますが、しかしながら、こんなに農林
予算が毎年のように削減されるというのはこれでいいのかということ。新聞等にも、とうとう一般歳出に占める農水
予算は九・六%、一割台を割って防衛
予算と逆転してしまった、丸々ここ数年の間の
予算というのは防衛費に持っていかれたんじゃないか、こういうような論評も出ている。今後このままで行くならば、大砲の陰に泣く農家という表現もあったのでありますが、ミサイルの陰に泣く農家、こういう
予算ということが
定着をしてしまったらどうなるんだ。
この間、中曽根総理がそのことを指摘されましたときに、食糧の
安定供給に必要な
予算は
確保している、こういうふうにして澄まして答えているのでありますが、私はそんなに澄まして堂々と答えられるだけの
内容のものではないと思うのであります。
そういう意味で、大事な問題として、今後
農業は国の基であるという
基本理念を、しかとやはり
羽田大臣の期間中——私は長くあってほしいと思います。しかも今そういう環境があります。例えば今度の中曽根内閣の閣僚の中で
農林水産に
関係された方が何人いるかといったら、こんなにたくさんいるということもないんじゃないでしょうか。防衛庁長官しかり、ここの
委員会で一生懸命御活躍なさった。山崎
国土庁長官も
委員長でありました。
今井厚生大臣も
委員長でありました。それから江藤建設大臣も
農政のベテランであります。安倍外務大臣は農林大臣であった。
渡辺通産大臣も農林大臣であった。こういうことを考えると、こんなに恵まれた環境にいる
羽田大臣は非常に福運があるんじゃないか。こういう方々が結束したら、たとえいろんな雑音があったとしても、閣僚の三分の二以上が
農業に
理解ある方々がそろったということはこれは希有なことでありますから、私はその力をフルに活用して、その意思を統一して、もう一度、
農業が国の一番大事な
基本的な基幹
産業であるということをひとつ心にとどめると同時に、そうした
施策をひとつ優先的に実行してほしい、そういう意味で、
予算もこんな切り込みはもうさせてもらいたくないと思うのであります。
まず、この点、これで十分なる食糧安定
確保、供給の対応ができるという総理のそういうことに、大臣として
責任を持って当たれるかということをひとつお聞きしたい。これはちょっと酷なことではございましょうが、やはりタブーに挑戦する大臣でありますから、そういうことではっきり物を言ってもらうことによって我々
国民は信頼をすると思います。本音と建前のない、正直な答弁を聞かしていただきたいと思います。