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森島政府委員 まず、
あっせん制度と
裁定制度の違いでございますが、
あっせんも
裁定も、紛争が生じましたときに、その紛争の解決を図るために第三者がその仲介等を行うという制度ではございますが、
あっせんと
裁定との違いは、
あっせんが単に両当事者の話し合いを円滑に進めるために、その仲介を行うためだけでございますのに対しまして、
裁定の場合は、この両当事者の争いの主張を十分に聞いた上で、結論を
裁定として出すわけでございます。したがって、
あっせん案に対しましては両当事者はこれに拘束されないということに対しまして、
裁定の場合にはこの両当事者が法的に拘束されるということになるわけでございまして、この点が相違点というふうに考えます。
それから、
あっせんをやった例は過去にどういう例があるかということでございますが、再
送信につきまして各地で話し合いがまとまらないという
ケースが起こっておりまして、これに対しまして地方の電気通信監理局におきまして事実上の
あっせんという形で繰り返し話し合いの促進を図ってきたところでございまして、現在係争中の約二十の
ケースにつきましても、すべて地方の電気通信監理局において事実上の
あっせんを一生懸今やっておるところでございます。
具体的な例として
一つ、こういうふうに事実上
あっせんしたという例で申しますと、ある
CATV事業者とそれの再
送信の
同意を得たい
放送事業者とが、話し合いを
CATV側から申し込んでもなかなか会ってさえもらえないという状態が続いておったのに対しまして、地方の電気通信監理局の
局長、それから部長、課長、こういういろいろなレベルでこの
民放の
事業者の社長とか取締役に対しまして、局に来ていただくとか、こちらから
民放を訪問するとか、それから
民放と
CATV事業者との打ち合わせの場を設定するというようなことを繰り返しまして、これが七回ぐらいあったというような例がございます。
そういうように指導、
あっせんをいたしまして、これは実際に出向いたり来てもらったりという回数でございますけれども、そのほかに、担当の部長からは
民放に対しまして、電話によって四、五回、
同意を出すように指導するとか、こういうことを繰り返したわけでございますが、それによってこの
区域内の再
送信について
同意が得られるところまで来た。しかし、
区域外の再
送信につきましては、その
区域外の
電波を出しております
事業者、といいますよりはその
区域外の再
送信をやられては困るという地元の
民放局側が難色を示しまして、今言ったような繰り返しの指導にもかかわらず、
区域外再
送信は事実上断念して
CATVを始めざるを得ない、こういうような状況がこの例ではあるわけでございます。似たような例が幾つもございますが、
一つだけ、回数でもこのくらい事実上の
あっせんを行っておるという例を申し上げたわけでございます。