運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-03-05 第104回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月五日(水曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 宮崎 茂一君    理事 加藤常太郎君 理事 関谷 勝嗣君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 田並 胤明君    理事 中川 嘉美君 理事 西田 八郎君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    佐藤 守良君       谷垣 禎一君    額賀福志郎君       野中 広務君    渡辺 紘三君       阿部喜男君    松前  仰君       竹内 勝彦君    山田 英介君       永江 一仁君    佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 佐藤 文生君  出席政府委員         内閣官房副長官 唐沢俊二郎君         外務大臣官房審         議官      都甲 岳洋君         郵政大臣官房長 中村 泰三君         郵政大臣官房人         事部長     櫻井 國臣君         郵政大臣官房経         理部長     成川 富彦君         郵政省郵務局長 高橋 幸男君         郵政省貯金局長 塩谷  稔君         郵政省簡易保険         局長      二木  實君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      澤田 茂生君  委員外出席者         警察庁刑事局刑         事企画課長   上野 浩靖君         防衛庁防衛局防         衛課長     宝珠山 昇君         大蔵大臣官房企         画官      杉井  孝君         大蔵省理財局国         債課長     米澤 潤一君         大蔵省理財局資         金第一課長   石坂 匡身君         通商産業省機械         情報産業局情報         処理振興課長  中野 正孝君         雄性大臣官房建         築部長     田口 好孝君         郵政省郵務局次         長       小宮 和夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     中込 雪男君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     尾畑 芳郎君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役)     児島  仁君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社取締役         通信機器事業部         長)      山本 千治君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社電話企         画本部営業推進         部長)     西脇 達也君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社高度通         信サービス事業         本部専用回線事         業部長)    戸田 晃二君         逓信委員会調査         室長      古田 和也君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   谷垣 禎一君     橋本龍太郎君   田中 慶秋君     小平  忠君   永江 一仁君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   橋本龍太郎君     谷垣 禎一君   大内 啓伍君     永江 一仁君   小平  忠君     田中 慶秋君     ――――――――――――― 二月二十五日  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四九号) 同月二十八日  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五一号)(予) 三月四日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第三四号)  郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出  第三五号)  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 宮崎茂一

    宮崎委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宮崎茂一

    宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮崎茂一

    宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  5. 宮崎茂一

    宮崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  6. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、このたびは大臣就任でおめでとうございます。同郷先輩大臣就任されまして、私も心から喜んでおります。  私、この十五年間、逓信委員会一筋に所属をいたしまして勉強させてもらっておりますが、実は大臣廣瀬郵政大臣村上郵政大臣、この十五年間に、佐藤大臣を含めますと、私ども同郷大分県から実に三名の郵政大臣就任をされております。単純に勘定しますと五年に一人ずつ大分県から郵政大臣が出られておる、こういうことになるわけでございます。これはたまたま偶然かもわかりませんが、加えて先般は、畑政務次官にも郵政で御苦労いただきました。私は、大分県と郵政省のかかわりの深さに驚いておるわけでございます。  しかも、これらの先輩は皆、郵政事業が非常に重要な段階で多くの功績を残されております。今私、思い出しておるのですが、廣瀬郵政大臣が、たしかあれはゆうゆうローンをつくるときだったと思いますけれども、なかなか閣議がまとまらない。大臣は辞表を懐にして、郵便貯金事業を守るために総理としばしば折衝されました。また村上郵政大臣は、郵政労使関係が非常に険悪な時期に、その正常化に大変お骨を折られました。そういう立派な先輩の後を受けての郵政大臣でございます。  しかも大臣所信の表明の中で、今郵政事業を取り巻く情勢が極めて厳しいと指摘をされておりますが、この時期に当たって、国民郵政事業を守るために、ひとつ不退転の決意でこの任務を遂行していただきたいと深く期待しておりますが、大臣に所感があれば承りたいと思います。
  7. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 昨年の暮れ、郵政大臣を拝命いたしまして、私にとっては郵政事業は初めての分野でございます。したがって、委員長初め委員皆さん方の深い御識見と、郵政に対する今までの御経験をぜひとも与えていただきまして、郵政行政国民皆さん方に深く御理解をいただいて、そうして、二十一世紀に向かってより飛躍する郵政省の姿を表現していきたい、こういうぐあいに思っている次第でございます。  諸先輩、特に今御指摘村上廣瀬先輩が大変な実績を、歴代の郵政大臣と同様にいっぱい残されましたので、私も一生懸命に頑張っていきたい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  8. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ただいまの御決意、それから、先般同僚の田並委員質問に対しても大臣の御決意のほどをお伺いさせていただきまして、非常に心強く思っているところでございます。  大臣指摘されておりますように、この郵政事業、特に私は郵政事業が非常に重要な段階だと思っておりますが、その中でも特に大臣指摘の、六ページになりましょうか、郵政事業は人力に頼るところが非常に大きい、したがって、明るい活気のある職場をつくらなければならない、そのためにも労使関係の確立に努めていきたい、こうもおっしゃっておられるのです。私は何も文章が長ければいいというものじゃないと思いますけれども、これは私のひがみかもわかりませんが、何かこれだけでは熱意が足りないように受け取られてなりません。  大臣、御承知のように電電公社民営に移行しました。それがいいことか、悪いことかは歴史が証明する以外にないと思うのですが、ともあれ、非常にスムーズに公社民営に移行できた裏には、電電労使関係が長年にわたって深い信頼の上に成り立って、しかも成熟した関係にあった、私はそのことが電電民営への移行が非常にスムーズに行われた要素だと思っております。それだけではないでしょう、しかし非常に大きい要素であったことは、これはだれも認めるところだと思うのです。  今郵政事業は、申し上げましたように非常に重要な段階にある。それだけに、労使関係というものが大きなウエートを持つだろうと思います。幸いここ数年は、郵政労使関係正常化に向けての努力が積み上げられております。そのことは私は率直に認めますが、しかし何分、不幸にして郵政労使関係は長い間にわたって不正常な状況にあり、紛争が絶えなかった。そういう不信感というものがまだまだ職場末端には多く残されております。したがって、せっかく今、労使それぞれの責任者皆さん正常化に向けて鋭意努力をされているところでございますから、これを成功させるためにはひとつ大臣の決断をいただいて、今日までの経過の中でも、その行きがかりにとらわれずに、話し合いによって解決できるものは一つずつ解決していくことが非常に重要だと思うのですが、そういう点についての大臣のお考えをひとつ承っておきたいと思います。
  9. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 郵政事業がやはり郵政省の大きな一本の柱であり、あと一本の柱というのが電気通信事業として、この二つの柱によって郵政行政が展開されているということは申すまでもございません。  私は、郵政大臣になってまず、百十数年前の、長い歴史をつくった初期の郵政行政の展開の歴史を読んでみまして、税金を使わないで、そしてみんなで郵政の三事業というものを展開しようということで、現在、三十一万の職員のほとんど全部が自主独立て、労使双方協力によって郵政行政が成り立っておる、三事業が成り立っておる。二百四十四億円という一般会計税金によって、わずか二千四百人の方々が電気通信行政において頑張っておる。それ以外の職員というものは、人件費も、あるいは郵便局一つとっても、ほとんど全部みんなの力でもって、その手数料によって三事業というものが展開されておるというこの実態を私は再認識いたしまして、そのもとをなすのは何かというと、労使双方がともに協力し合ってやっていく、こういう態勢であると考えております。  したがって、今先生の言われました労使双方の勤労の意欲と創造性、そして生き生きとした明るい職場をつくっていくというのが原点であると考えております。そういう考え方で私は郵政行政を展開していきたい、こう思っておるところでございます。
  10. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 極めて力強い所信で、ありがとうございます。  それで、大臣ちょっと触れましたけれども信頼関係が今まさに確立されつつあります。私もそう見ておりますが、しかしまだ末端の方では必ずしもそこまで行っていない。大臣、安心してください、大分県は大丈夫ですから。しかし、ほかのところではそういう問題がまだ残っておる。これを取り除いて本当の信頼関係を確立していくためには、過去の問題であってもその行きがかりにとらわれずに、労使双方話し合いによって解決に向けての努力一つ一つ積み重ねてもらいたい。そういう点についての大臣のお考えを承りたいわけなんです。
  11. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 まずちょっと基本的に……。
  12. 櫻井國臣

    櫻井政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、我が郵政労使関係、今や大変労使とも共通認識の幅が広がり、互いにこの三事業を守っていこうという気持ちになりつつありまして、私ども労務を担当する者といたしましても大変喜んでおるところでございます。私ども、そういう領域を、今後とも大いに共通認識の場を広げていくという観点から、ひとつ大事にしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。  これまでの行きがかりを捨ててと、この辺は大変重要なキーワードだと思いますが、その辺のところにも十分配慮しながら、しかし事業運営についてはやはりきちんと守るべきものはございますので、その辺はきちんと守りつつ、今後の展望に向けて労使とも協力をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、お聞きのように非常にいいところまでいっておるのですが、一つひっかかるところが、事業運営について守るべきところは守る、そういうことは言わずもがなのことで、私はそれを聞いておるのじゃないのです。私が聞いたのは、いろいろな行きがかりがあったとしても、その行きがかりを捨てて解決しなければならない問題については、一つ一つ話し合い努力を続けてもらいたい、これがいいか悪いか聞いているわけで、何も事業に対する責任がないとかあるとか、そういうことを聞いているわけじゃないのです。どうですか。私の質問にずばり答えてください。
  14. 櫻井國臣

    櫻井政府委員 お答え申し上げます。  労使の諸問題について、我々今後積極的にお互いに共通認識の場を広げる、そういう努力を続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。そういう努力をお願いしておきます。  次に、郵政省組織令について。今の郵政の姿勢、私に間違いがあれば、改むるにやぶさかではありませんけれども、御承知のように、設置法によりますと、郵政省郵便郵便貯金簡易保険等事業、そして一般行政事務を取り扱う省である、こうなっておるところでございます。したがって、やはりさっき大臣もおっしゃったように、郵便郵便貯金保険というのが大きい現業的な分野としての仕事だ、それからもう一つ電気通信放送行政があると考えております。ところが、最近この省の設置法を見ますと、例えば通信政策局ですか、それから電気通信局放送行政局。この放送行政局というのは、前に電波監理局がありましたから、まあ局になっておった。これは改組をしたと見ても、新しい二つの局ができておる。ところが一方で、三十万職員を擁する人事局人事部格下げをされる、あるいは独立採算制で極めて重要な任務を持つ経理局経理部格下げをされる。その一連の動きを眺めてみまして、私は、どうも最近の郵政省が三つの大きい現業の分野を軽視して、監督官庁としての行政の方に重点を移行しつつあるのではないか、そういうことを非常に心配しておるのですが、こういう点について、大臣、どうでしょうか。
  16. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 私は、就任しましてわずか二カ月ぐらいですけれども、今阿部さんの言われました郵貯、それから年金簡保郵便、こういったような事業というのがやはり郵政省の骨幹だと思いますよ。そうして、現実に第一線職員努力によって、昨年の暮れには百兆円という貴重な庶民大衆のお金を預かっておる、それを運用していくという責任。また、特に簡保に至っては、もう昨年の暮れに二十八兆円という大変な御協力大衆からいただいて、そうしてそれをまた運用して国家の財政投融資の面、あるいは地域の町づくりの面において、それらを通じてすばらしい実績を上げている。こういう三事業がやはり中心になっていくべきものである。その上に二十一世紀に向かって新しい電気通信専業というものが展開されていく、こういうぐあいに基本的に私は考えておるわけでございます。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そう軽々に設置法を変えてもとに戻せと言っても、なかなかそうはいくまいと私も思います。しかし、今大臣も御答弁いただきましたように、私は、郵政の三事業というのはやはり郵政省根幹であり、郵政事業そのものであるというふうに考えております。そういう意味から、ひとつ今大臣の御意見の披瀝がありましたように、たとえ部になっても、財政根幹をなす経理部とか、とりわけ先ほど来問題にしました人事管理の面における人事部というものを、局同様に大切に考えて扱ってやってもらいたい。そのことを大臣に要請しておきたいと思いますが、ようございますか。
  18. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 まさに考え方は私も同じでございます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、私実は先般来――まだ大臣は初めてだと思いますが、そういうふうに郵政省設置法の内容を変えて、行革の一環だと思うのですけれども、今労使関係が非常に正常化し、人事部長もお話しになったように、いい方向に向かっております。ところが、たしか各県に一名ずつ労務連絡官という、かなり月給の高いのを配置をしてあるんです。昔の代官みたいなものでしょうね。労務関係についてはこれが責任を持ちまして、各県、大体県単位、大きいところは幾つかありますが、今五十幾つですか、六十近くあるのですか、それぐらいの人間が配置されておるはずでございます。これはもうひとつ引き揚げて、ほかの方に有効に使うべきだ。もうその必要はほとんどないのではないか。どうしても置かねばならない幾つかのところがあるとするならば、それはそれで検討いただいても、もう必要のないところについては、一律にぼんと置いておかなければならぬという時期ではない。  これは財政の上からも、また行革という全体的な流れの中からもぜひ実行してもらいたいということで、先般も提起をしたのですが、なかなかいい御返答がもらえておりません。しかし、もう大分日がたち、さらに労使関係正常化してきておるはずでございますから、ここら辺でひとつ大臣の初めての仕事として、英断をもって処理をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  20. 櫻井國臣

    櫻井政府委員 お答え申し上げます。  先生承知のとおり、労務連絡官任務は、受け持ち区域内の労務状況の把握と、それの郵政局への連絡という仕事あるいは各局労務関係事務への的確な指導ということを任務にいたしておりまして、目下設置をいたしておるところでございます。  最近、先生承知のとおり、生き生きとした郵便局をつくるという意味で活郵指針なるものを出さしていただきました。これなんかの指導に当たりましても、労務連絡官の今申し上げた職務の中で、こうした認識の徹底を図るのに労務連絡官は重要な役割を果たしてくれておるというようなこともございます。また、三六協定と申します時間外労働協定ども各地方において締結をする、そういう判断権も移っておるというような事情もございまして、そういう労務関係につきましての情報連絡、やはり大変重要な役割を持っているというふうに思っておるところでございます。  しかしながら、こういった制度の運用に当たりまして、やはり時代の変化だとかそうした労使のありようとか、こういったものも総合的に考えていかなければならないというふうに思いまして、今後積極的な経営を志向していくためにも、やはり現状にふさわしい労務連絡官制度というものを私たち考えてみたいというふうに思います。したがって、配置問題あるいは任務問題、そうしたことも含めまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  21. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 今御指摘労務連絡官制度でございますが、これもやはり私は時代の進展とともに、果たして今の姿でいいのかどうかということの再検討を要する時代が来たような気がします。  実は四、五日前、偶然ですけれども、九州の郵政局課長指導して、各県から第一線職員が東京に来て何か研修会をやっていました。ちょうどたまたま隣が結婚式場だったものだから、そこに行ってぽっと玄関を見たら、それがおったので飛び込みまして、そしてともかく御意見を拝聴という中に、やはり手紙、郵便をどんどん出すようにひとつ大臣言ってくださいという意見が出たし、それからまた壱岐、対馬では飛行便と船便が少ないので、こういうような便数を少しふやして、郵便物と小包がどんどん日本全国にデリバリーできるような体制をとってくださいとか、それから、三百万の定額がこのままではいかぬのだ、何とか五百万ぐらい、あるいはそれ以上に枠を広げてくれとか、もう大変な意見が率直に出てまいりました。私、それを聞きまして、三事業の性格も随分積極的に展開されておる、こういう時期における労務連絡官制度というものが果たして今までのとおりでいいかどうかということはぜひとも再検討していきたい、こういうぐあいに考えております。
  22. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 せっかく大臣の御答弁をいただきましたから、もう多くは申し上げませんが、率直にいって命令系統重複をするような場合もある。さっき、いみじくも人事部長基準法三十六条の協定を持ち出されましたが、三十六条の協定は、その職場の長とその職場を代表する職員の間で結ばれるものであって、うまくいっておるかどうかということを横目で眺めるのが連絡官仕事なんです。しかし、今はもう非常にうまくいっていますし、連絡官がおるからうまくいったとか、いないからうまくいかないとか、そういうものじゃなくて、それぞれ自主性を持って結んでいけるほどの労使関係が成熟しつつある。そういう状況の中で命令系統重複をするようなあの連絡官、これは大臣、今は非常にあれになりましたが、ひところはこれは普通局局長の上に君臨して、局長人事まで左右するような時期があったのですよ。けしからぬ時代があったのですが、最近はありません。率直にいってありませんけれども、私は残しておって極めて有益な制度であるとは決して思いませんし、たしかあれは主事を含めると百名を超すはずですね。これだけの人間が、統括局と呼ばれる大分県なら大分郵便局に二名駐在している。これは何とかほかに活用して――優秀な人材です。ここに来る人は皆優秀な人材であることも私は知っています。その優秀な人材をほかに動かしていけるように、せっかく御検討いただくということですからもう申し上げませんけれども、ぜひお願いをしたいと思います。  それから次に、KDD、お見えいただいておりますでしょうか。――郵政省の所管にかかわる国際電気通信株式会社でございますけれども、これは大臣承知のように、国際電電、いわゆるKDDも今まで国際通信については独占をしておったわけでございますけれども、先般の電気通信事業法の改正に伴ってもはや独占ではございませんから、NTTと同じように国際通信分野にも新しい事業が参入してこれる体制になったわけでございます。NTTについてはみんないろいろ気を使って、新規参入についてはこうだああだというふうな議論も行われておるようでございますけれども、同じ状態に置かれておるKDDについて、一体どういうふうにお考えになっておるのか、あるいはまた今日、新規参入というようなものが考えられておるのかどうか、情勢がおわかりになっておるならば、お考えとあわせてお知らせを願いたいと思います。
  23. 澤田茂生

    澤田政府委員 先生今御指摘のとおり、昨年の四月の電気通信事業法の施行によりまして、国内分野と同様に国際電気通信分野につきましても競争原理を導入するということになっているわけでございまして、まだ新規参入の具体的な計画というものについて私ども承知をいたしておりませんけれども、いろいろ研究、検討がなされているというふうには私どもも感じておるところでございます。  私どもも、国際電気通信分野につきましては国内と違った要素がございます。条約に基づかなければならないとか、あるいは外国の企業との合同事業であるというような点もございます。そういったいろいろな難しい点もあろうかというふうに思います。そういった意味で、今後の参入の方法等について御相談があれば、私どももいろいろ御相談に乗っていきたいと思いますし、また国内電気通信につきましても、いろいろな新規参入についての環境づくりというようなこと、税制面あるいは財投の面を通じまして措置をいたしておりますけれども、これは国際分野についても同等のものとして私どもも措置をいたしております。  今後とも、国際分野につきましても競争原理というものが導入されまして、活性化された市場ということになっていくように期待をいたしておるところでございます。
  24. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この問題について、当事者である国際電電に何かお考えがあればお聞かせを願いたいと思います。
  25. 中込雪男

    ○中込参考人 中込でございます。お答えをさせていただきます。  私ども、ただいま電気通信局長さんからお話がございましたように、昨年の四月以降、国際通信におきましても競争原理が導入されたということで、そういうコンペティターはまだ現実には存在しておりませんけれども、そういう時代になっても十分やっていけるよう社内の合理化を進めて、現在努力をしているところでございます。
  26. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは電気通信局長で結構ですが、アメリカが何かATTのほかに新しく参入をするということを発表したというようなことを私ちょっと新聞で見たのですが、その辺御承知ならば、どういう状況か聞かしてもらえませんか。
  27. 澤田茂生

    澤田政府委員 この点につきましては、アメリカも電気通信分野につきましていろいろな新規参入者が出てまいりました。そして、国際分野につきましても新規参入者が、ATT以外にいろいろ活動を展開いたしておりまして、世界各国といろいろそういう国際ネットワークを組みたいという相談、働きかけがございまして、我が国の方にもKDDに対しましてそういう働きかけがございました。KDDといたしましても、従来アメリカとの間では専らATTとやっておったわけでございますけれども、その辺の新規参入者につきまして、通信回線を設定する等についての技術的研究等をいろいろやってまいりまして、一つの可能性ができたということで前向きに取り組んでいくというふうに、KDDの方で今お取り組みになっているというふうに承知をいたしているところでございます。
  28. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、これはもう国際通信に限らず国内の通信も含めてでございますけれども、自由化されて資本がいろいろ入ってくるということについては、今民活と呼ばれておる時代ですから反対はしないのですけれども、しかし一方、通信主権と呼ばれる、例えば国の政治、経済あるいは治安、そういうものについて通信の果たしておる役割は非常に大きいものがあるから、かねてからこれは通信主権という言葉でそれぞれの国が大切にしていたところでございます。今お話しのように、国際通信を初めとしてあらゆる分野に種々雑多な通信が行われることになることが、果たしてその通信主権という立場から歓迎さるべきことなのだろうかと、私は率直にいって懸念を持っております。ただ利益だけ追求すれば通信の主権がどうなっても構わない、そういうものではないのではないかという気がするのですが、この点、大臣なり電気通信局長からでも結構ですが、お答え願いたいと思います。
  29. 澤田茂生

    澤田政府委員 通信はまさに国家主権の重要な分野でございます。ただ、今後の国際関係の一層の緊密化というようなことを考えますと、国際通信分野におきましてもより多彩なサービスの提供というものが要求されてまいると思います。そういった面におきまして、より豊富な多彩なサービスが提供される、ニーズに応じて対応できるというような体制というのはこれからも必要であろうと思いますけれども、今先生おっしゃいました通信主権という観点からの配慮というものは、根底に置いて考えなければならないと思うわけでございます。今後、国際事業者間同士のいろいろな取り決め、協定等につきましては、郵政大臣の認可を必要とする部分もございます。そういった点については十分配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  30. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今大臣に申し上げましたように、国の政治、経済あるいは治安に非常に重要な役割を果たしておる通信でありますから、やはり国の主権の一つ、通信主権というものを守る立場で――確かにサービスの幅広い提供は大事なことだと思います。しかし同時に、通信主権についても十分な配慮をひとつお願いをしておきたいと私は思います。  そこで、ちょっと細かな問題で恐縮ですが、事の起こりは大分前のようでございますけれども、何かKDDの回線が盗用されておったというのをちょっと新聞で拝見したのでございますが、どういう経過だったのか、お漏らし願えますか。
  31. 中込雪男

    ○中込参考人 お答えいたします。  私どもの国際公衆データ伝送サービスに関しまして盗用ということが新聞にも報道されましたが、これは昨年の三月にあるお客様から、そのお客様の中のVENUS-Pの利用に関する担当者が不在の日にVENUS-Pをその会社が使用したということでKDDの方から通信料金の請求があったということが私どもに御連絡ございました。  これは、VENUS-Pを利用するためのパスワードという暗証番号がございますが、これが利用されたということが考えられますので、とりあえず当社といたしましては、このパスワードを変更していただきたい。パスワードはお客様が御自由に変えられることができるようになっておりますので、それを御案内いたしましたが、その後この盗用のような状態が起きておりませんということでございました。また、その調査を進めましたけれども、やはりお客様が通常通信する相手と違うところと通信をしていたということも判明しておりますので、これにつきましてもお客様にお伝えいたしております。  以上でございます。
  32. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 極めて専門的な分野ですけれども、非常に長い暗証番号がある。ところが、今下二けたくらいで通じる。そこでパチパチやっておるとどれかがぼっと通じたりするおそれがあるというようなことも聞いておるのですが、そういうシステムについては改良を加えて再発のおそれはない、そう理解していいんですか。
  33. 中込雪男

    ○中込参考人 おっしゃるとおり、パスワードは実は私ども八けたまで使えるようになっておりますが、けた数を長くした方が盗用されにくいということがございます。これは御指摘のとおりでございます。ただ、お客様は余り長くしますと暗唱しにくいという点もございまして短くしているケースもございますが、これからは少なくとも四けた以上で御使用いただくように、今までも長く御使用いただくように御案内しているんでございますけれども、四月からは四けた以上でないとVENUS-Pのシステムが受け付けないようなシステムに改良するということを計画しております。  さらに、このパスワードが盗用されるという場合には解読というケースもございまして、お客様が解読するためには何回かトライするわけですが、現在でも四回トライして成功しない場合には切れるようになっておるのでございます。そういうパスワードの不一致のケースを記録いたしまして、不正使用の対象と思われるようなものについてはお客様の方に御注意して、その辺の対策を、パスワードを変えるなりなんなりするように、これはことしの九月を予定しておりますが、そういうシステムの方の改良を計画いたしております。  なお、パスワードは時々変更した方が使われにくいのでございますけれども、その辺も、余り長く御使用になっている場合には、これを定期的にアナウンスするということも計画いたしております、ですから、パスワードはお客様の管理によりまして時々変更していただく方がよろしいか、そのように存じております。
  34. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実はKDDにつきましては、そのほか何か新しい技術の開発等について、あるいは附帯業務がかなり自由化されるというような点についてもお伺いしたかったのですが、実は私の質問も時間の都合がございますから、KDDに対する私の質問は終わりますので、よろしければお引き取りいただいて結構でございます。  では、次に移らせてもらいます。  郵政事業の六十一年度の予算を拝見いたしましたが、まず郵便事業の昭和六十年度の決算、まだ出ていないと思うのですけれども、かなりお骨を折られて、いい結果が出そうに承っておりますが、六十年度の決算見通しと六十一年度を通じて累積赤字はどのくらいになるのか、その辺をちょっと知らせてもらいたいと思います。
  35. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 お答えいたします。  昨年まで経理部長でございましたので、そういう立場でお答えできたのでございますが、ただいま郵務局長という立場でございますので、財政面につきまして私つまびらかにしておりません。したがいまして、現在の事業の推進状況から見まして御答弁させていただきたいと思いますが、ただいまのところ、六十年度の業務収入は順調に推移しております。大体昨年の四月、六十年度の当初から一月までの私ども郵務局で把握いたしました数字では、業務収入で四・六%ほど伸びている。私、実は驚いているわけでございますが、予算上は業務収入で三・二%の増を見込んでおりますので、年間予定額は達成できるのではなかろうかというふうに考えております。経費の節減等にも引き続き努力しておりますので、六十年度の予算で計上しております三百五十五億の赤字、これは相当に縮小させることができるのではなかろうかという感じを持っております。  したがいまして、六十一年度の予算で四百三十三億の赤字を予定しておりますが、これにつきまして予算どおりにまいりますと、六十一年度末に八百七十五億の赤字になる予定でございますが、これにつきましても、六十年度の決算いかんによりましては赤字の幅を相当縮小させることができるのではなかろうかというふうに考えております。
  36. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、これは要望ですけれども、大体郵便料金、三年間を通して黒字であれば料金改定の今の省令委任事項をまた検討しなければならぬというような問題もありますので、できましたら、これは経理部の方ですが、大体三カ年ぐらいの中期の収支予想というものを出していただいた方が、我々予算を検討するのにありがたいのでございまして、単年度これこれの赤字でございますと言われても、郵政事業全体の赤字なり黒字の推移というものがどうなるのか、なかなかわかりにくいのです。できれば三カ年ぐらいの中期の見通しをつくりながら、六十一年度の予算というものはこういうものでございますというふうに、お手数でしょうがやっていただければ非常にありがたいと思うのですが、お願いできましょうか。前経理部長、どうですかか。
  37. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 おっしゃるとおり、私どもも中長期的な展望ということについていろいろ考えているところでございます。しかし、御承知のとおり、事業ということから考えますと、収入またその支出、これが非常に波動性といいますか、多少動いてまいりますので、その点私どもできるだけ正確にという観点からまいりますと、なかなかきちっとしたものができないという実態でございますが、今御指摘の点もございますので、経理部の方とも相談いたしまして、何らかそういうものが考えられるかどうか検討させていただきたいと思います。
  38. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、申し上げましたように、やはり委員会で審議をするときには、最低三年ぐらいの郵貯特会の見通しというようなものがあった方が、その年度の予算についてもいろいろ検討しやすいという面もございますので、ぜひひとつお骨折りを願いたいと思います。  それから、ちょうどこれはいずれ貯金、保険郵便、それぞれ法案がございますから、そこで質問させてもらうつもりですが、一つだけちょっと急ぐと思うのですが、簡易保険の余裕金の取り扱い、長年検討してきたところでございますが、何か大蔵省との間でこの問題についての解決の方途が出てきたでしょうか。
  39. 二木實

    ○二木政府委員 お答え申し上げます。  昨年の年末、要するに六十一年度予算要求におきまして運用の改正を要求したわけでございますが、その中で余裕金の積立金同様の運用ということをお願いしていろいろと議論いたしました。私どもの余裕金というのは、保険料の収入、保険料をいただきましてそれで保険金等を払う、残った――要するに言ってみますれば、他の一般会計の余裕金と違った、事業上積み立てるべきお金でございますので、これを積立金同様に運用するのが私ども理の当然と思っておるわけでございますが、国の財政上全体の余裕金制度という中でこれをどうしても外すわけにいかぬということで、昨年同様、また本年も引き続き検討という形に残ったわけでございまして、まだ解決の糸口がついていないというのが実情でございます。
  40. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 保険事業の場合、余裕金というのがあるのですが、郵貯の特会にもそんなものがあるのですか、ないのですか、貯金局長
  41. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 郵便貯金の場合は、日々窓口でお客様からお預かりしました郵便貯金資金、これは全部その都度資金運用部に預託する、こういう仕組みになっております。
  42. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、大臣、貯金もやはり払い戻しをしなければならぬわけですね。保険も、その年度の中で保険金を払わなければならない。したがって、一年分だけ余裕金として大蔵省の資金運用部が預かっておる。これは利子が非常に低いのです。これは今お話があったように、戻してもらうことはないのですから、そのまま翌年は資金運用部に入っていくお金ですから、最初から資金運用部に入れた金として扱ってもらえれば、年間百億くらいの収入がふえるのじゃないですか。もっとふえますか。
  43. 二木實

    ○二木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生がおっしゃったように、余裕金は一年間だけ資金運用部の方に入っておりまして、一年たちますと積立金として新規の積立金に回るわけでございます。それで、年度当初は確かに少ない額でございますが、最終的に年度末になりますと二兆円を超す金額になってまいります。これは実は全然利子がないわけではございませんで、最高ですと、私どもが自主的に財政投融資の中で運用しております金利とほぼ同じ金額をいただけることになっております。ただ、期間の短いものは三%、長いものですと六・二%くらいで回るようになっております。  したがいまして、これを全部自主運用いたしましてもそう大きな金額にならないのですが、実はその二兆数千という額になるものでございますので、これをどう使うかということは事業運営上大変大きな問題になってまいります。今それを全部私ども自主運用をした場合、例えば財政投融資協力という形で自主運用をした場合にどのくらいになるかというのを、ちょっと細かい金額を出せませんが、この事業で一銭でも一円でも加入者のための増配等に回したいという意欲を私ども持っておるわけでございまして、そういう意味では積立金同様の自主運用ということが筋であろうと思っておるわけでございます。
  44. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣のお仕事になると思うのですが、大蔵と折衝して、一年だけ余裕金として資金運用部に預けてあるお金を積み立てにして運用させてもらう。私の記憶では、少し前の数字ですが、たしか年間百二十億くらいの差益が出るのではないかと記憶している。これは検討してもらえば結構ですけれども、ぜひひとつそういう方向で、大臣、大蔵省との折衝を……。  それで、大蔵省との折衝に係るものに、もう二つあるのです。今回若干の条件つき引き上げが認められた簡易保険の限度額の問題、それともう一つは、さっき皆さんから強い要望があったとおっしゃった郵便貯金の限度額三百万を引き上げるという問題。これとあわせて、貯金ではシルバー貯金の創設、これは一千万ぐらい、特に退職した方々が高齢化社会での老後の生活設計のために郵便貯金としてシルバー貯金一千万ぐらいをというのが、かねて歴代大臣の念願であったわけです。こういう点について、大臣引き続き、そういう数字をひとつはっきりさせての大蔵当局との折衝をお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  45. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 大蔵当局とやはり今の点について十分に折衝したいと私思っております。  念のために、私は簡保に昭和四十九年に三百万入っておりまして、そして先週計算してみましたら、解約すれば三百万が四百五十万いただけるようになっておるということで、やはり加入者に対してより還元をしていく、そういうようなことが必要であろう。自分の経験から考えてもそういうぐあいに考えておりますので、そういう点も折衝の過程の中で頭に入れてやる。  それから、シルバープランの問題にいたしましても、これも長寿社会に向かっての態勢として、ぜひ折衝の大きなテーマにしていきたい、こう思っておりますし、郵貯の三百万の限度額の問題も、長年これをやっておきますと大体郵貯に対する魅力を失ってくるという非常に重要な課題でございますので、こういうことも頭に入れて折衝していきたい、こう私は考えております。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 では、次の質問に移らせてもらいます。  実は、当初郵政省提出する法案の予定として、仮称ですけれども電気通信高度化基盤施設整備促進法案というふうなものを提出したい、こういうふうにおっしゃっておったのですが、その後これが何か民活法案ですか、民活法案一本化ということで各省庁の法案をまとめて一本化した、こういうことに連絡をいただいたわけでございますが、大臣、その間の経緯を御承知ならばちょっとお知らせ願いたいと思います。
  47. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 ただいま阿部先生から御指摘がございましたように、当初今国会提出予定法案といたしまして、郵政省から電気通信高度化基盤施設整備促進法案というものを準備させていただいたところでございます。  ところが、この法案を提出するまでに至る経緯をこれから申し上げたいと思いますけれども、去る一月の閣議におきまして、六十一年度の税制改正に関する措置が決定されたところでございます。その中におきまして、民間活力の活用によって整備をする特定施設につきましては、一定の要件のもとに特別償却等の税制上の助成措置を講ずるということがうたわれております。それを受けて、ただいま申し上げました私どもの法案も準備をさせていただいたところでございますが、その時点で、御報告申し上げましたように、これは仮称として一応の登録をさせていただいたところでございます。また他方、その閣議決定を受けまして、同様な施設の整備を考えておられました通産省、建設省、運輸省におかれましても、それぞれの仮称の法案を準備されたところでございます。こういう状況の中で、冒頭に申し上げましたように、その法案の出てくる原点が六十一年度の税制改正にかかわる閣議決定ということで、税制上の枠組みがすべて同一であるという共通的な土俵がございます。  具体的に申し上げますと、主務大臣が整備指針をつくり、また整備事業について主務大臣が認定するといったことでございます。また、それぞれの対象施設につきましてもダブりあるいは重複等がございまして、実際に風間活力を活用してこれらの整備を行われる方々の混乱を避ける、あるいはその利便に資する見地から、法案の取り扱いについても政府の中でできるだけ句風をした方がいいであろうというような考えが台頭してまいったわけでございます。  こうした過程を踏まえまして、内閣官房の方におかれまして、政府として提出すべき法案としてどのような形態が一番いいかということにつきまして御調整がございまして、その御調整の中で通産、郵政、建設、運輸の四省庁がこれらの法案を、本来統合的な、統一的な法案であるべきものであったという認識から、一つの法案として提出すべく、現在最終的な成案を得るよう努力しているというのが経緯でございます。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、国会法の四十一条によりますと、それぞれの委員会任務は、その属する法案とか請願等を処理することになっておるわけでございます。そこで、一体、郵政省設置法の中でどういうことになっておるだろうかと調べてみますと、郵政省設置法の第三条一項四号あるいは郵政省設置法四条四十七号の四、その辺で、電気通信に関する事項は郵政省の所管になっておるわけでございます。したがって、名称がどう変わろうとも、例えばこの民活法と呼ばれる法律の中でとり行われることになろうとも、電気通信に関する事項については郵政省の所管ですから、これは郵政大臣の許可なり認可あるいは了承を求めて初めて次の手続ができる性質のものであって、勝手にどこかの省でまとめて、どこかの委員会で審議したから、その省ですべてやれるという性格の問題ではないのです。  したがって、国会の審議というものはそれぞれの委員会責任を持って審査する、こうなっておるわけですから、当初、私は、郵政省なり各省庁がそれぞれで計画されたことは非常に正しいことだと思うのです。それを利用者の便宜であるとかあるいは行政の都合によって簡単に一括法案にしてしまって、事電気通信に関する問題、法律が、我々の属する逓信委員会で何の議論もなくでき上がってしまう。しかも、将来、その運用に当たっては、郵政省なり、省はいいですが、特に委員会はその責めを負わなければならない。そう考えてくると、政府の都合だけでこれを一括法案にされたのでは、国会の審議権を軽視するものであると言わざるを得ない。これはぜひやめてもとに戻してもらいたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
  49. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 郵政省設置法には、郵政大臣の権限並びに郵政省の所掌事務といたしまして、電気通信関係行政郵政省に専属的に属することが明記されていることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今回のいわゆる民活法の扱いの中におきましても、郵政省の所管にかかわる対象施設、具体的には電気通信業務等の技術にかかわる開放型研究施設あるいは電気通信高度化基盤施設につきましては、あくまでも主務大臣郵政大臣でございます。また、この法案の、本来一本化すべき性格のものであると申し上げたわけでございますが、その中におきましても、郵政大臣の主務性というものは厳然として確保されているというふうに認識をしておりますし、また、これが成案を得まして一つの法案として提出する場合にも、郵政大臣は当然主務大臣として、他の大臣と同様に一つの位置を占めることになります。  御指摘の国会の審議の問題につきましては、政府の立場から私どもが申し上げる立場にはございませんが、政府といたしましては、先ほど来申し上げておりますような観点から、一つの法案にして出すのが適当であろうという判断で国会に提出申し上げますので、ひとつ国会の審議の方はよろしくお願い申し上げたいと思います。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今お聞きのとおり、政府にとっては都合がいいでしょう。政府にとっては大変都合がいいかもわからないが、しかし審議の形態からいうならば、電気通信事業電気通信にかかわる問題は、その属する委員会である逓信委員会が審査することになっているのです。ところが、そこを省略できるように、そこに関係のないような法律ができ上がってしまう。なるほど主務大臣の権限は落とされないかもわかりません。しかし、委員会の権限は完全に無視された結果になるのです。そういう法案の提出の仕方に問題がある。かねてから私はそう申し上げておるわけですけれども、これはそういう観点からするならばそもそも最初からまとめればいいのであって、各省庁がそれぞれの法案を準備したということは、私の主張の方が正しいから各省庁がそういう法案を準備した。ところが、たまたま内閣官房の方で一本にまとめると言われたから、頭を押さえられてそうなった、そう見た方が正しいのじゃないですか。  国会の審議権というものをどうお考えになっておるのかわかりませんが、せっかくきょうは副長官に出ていただいておりますから、ちょっと副長官に政府の姿勢の方から先にお伺いしておきますが、私がこの委員会に官房長官の出席を求めました。ところが、あなたの方の担当の役人が参りまして、よその委員会には大臣は出ないんだそうですね。よその委員会には大臣は出なくて、参事官とか政府委員とか課長で対応させてもらうことに大体慣行としてなっておりますと。私はどなり上げたのですが、そういう規定がありますか。あなたのところの係官が言ったのですよ。
  51. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 きょう官房長官が出られないということで、大変軽量でございますが、私が出席させていただいたわけでございます。私からお答えを申し上げてもよろしゅうございましょうか。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたから答えてもらわなければ。
  53. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 それでは、先生今おっしゃられましたように、当初四本の法案を出させていただくということで……(阿部(未)委員「法案はいいんだ、法案の前。大臣が出ないという慣行があるのかどうか、そこからまず」と呼ぶ)それは私は聞いておりません。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何とかいうおたくの参事官ですよ。何とかいう参事官がきのう来まして、そして、所管のところの委員会以外には大臣は出なくて、政府委員なり専門課長で対応させてもらうように慣行ができておると言うのです。  実は前にもそういうことが一回あったのです。渡辺美智雄さんが大蔵大臣のときに、私が大蔵大臣出席を求めたところが、いや、阿部さん、よその委員会には大臣は行かぬことになっておる。そのとき官房長官に私は聞いたのです。国会は国権の最高の機関である。それから、内閣総理大臣並びに国務大臣は、国会から呼ばれたときにはその説明あるいはその答弁に行かなきゃならぬと書いてあるのですよ。いつから政府が勝手によその委員会には大臣が行かぬでいいということを決めたのか。これはあなたのところの責任ですよ。どうなんですか。
  55. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 私はそのようなことを伺っておりませんが、もしできることでしたら、私でもってかわりに御答弁をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこからただしておかなければならない。これはあなたのところの責任ですからね。  そのとき私は、宮澤さんだったと思うのですが、まだ会議録を見ておりませんけれども、私がお尋ねしたら、そういうことはございません、それは当然大臣が出て答弁すべきだと思いますというふうに答えたし、私もまた、それぞれの大臣は、自分のところの委員会があるときにはよその委員会には行けないだろう、あるいは外国からの賓客等がお見えになっておるときは儀礼的に出られないこともあるだろう、そういうときにはそのかわりになる政務次官がおいでになるはずだ。その人に出ていただければいいんだけれども、にもかかわらず、きのう見えたおたくの方の参事官は、よその委員会には大臣は出ないことに慣行上なっておって、大体政府委員課長が対応することになっておると言う。この問題を解決しておかなければいけません。あなたは政務次官です。そういうことはないかどうか、からっと答えてください。
  57. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 どういうお答えを申し上げたか知りませんが、そのようなことを私は聞いておりません。官房長官に事故があるときには、副長官がかわってお許しを得て発言をさせていただいておりますので、かわりましてひとつ発言をお許しいただきたいと思います。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それがないということは、郵政大臣、あなたも閣僚の一人ですから、これは今私が申し上げたように憲法の規定なんです。国政の最高の権威であり、そしてもう一つは、総理大臣並びに国務大臣は、国会の要請があったときには答弁並びに説明に出なきゃならない、これは憲法で規定されておるのです。それを政府の中で、よその委員会には大臣は行かないのだというような勝手な解釈をされては、これは国会軽視も甚だしい。今私は会議録を覚えておりませんが、官房長官からそういう答弁もいただいておりまして、出しますとなっておりますので、これは副長官、帰って特に官房長官にそのことを申し上げていただいて、国会並びに委員会の審議を軽視することのないように、厳重にひとつお願いをしておきますから……(「参事官というのはだれだ」と呼ぶ者あり)参事官というのは、僕のところに帰れば名刺があります。それに僕は、あしたこの問題でちゃんとやりますよと言っておいた。それがあなたに連絡がいっていないのでしょう。その姿勢が問題だと言っておいたんですよ。  そこで、今お話がそういうことですから、それが了解をいただければ次に移りますが、今私が申し上げましたような法的な根拠によって、それぞれの属する委員会で審査することになっておる。しかも、各省庁は一応はそういう法案を準備をした。なぜそれを一括しなければならないのか。国会審議を軽視するような措置をとらなければならないのかについて、恐らく言い分がありましょうから、お聞きかせください。
  59. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 もしいろいろ至らない点がありましたら、私からおわびを申し上げる次第であります。  おわびが続いて恐縮でございますが、初め四本の法案で民活関係出させていただくということで、そういうことで先生方も御検討いただいておるときに、法律を一本にさせていただくということで御迷惑をおかけいたしておることを大変遺憾に思う次第でございます。  今、奥山局長が申し上げましたように、一応理由を述べさせていただきますと、民活により特定の施設の整備を促進するための支援措置については、四省共通してひとしく民活税制が認められているということ。それから、実体的に各省構想中の制度や対象施設にかなり重複があって、地元や民間の混乱を回避する必要があるし、また事業主体の皆様が、地方公共団体とか第三セクターとか、ぜひ手続を一本にしてほしいというような御要望もありますし、また上物施設の整備を都市における基盤整備、公共施設整備等と連携をとりつつ一体的に推進する必要があるということから、これに見合う統一的な法律的枠組みをつくることが適当ではないかということで、特にこれは一木の民活法案にまとめるべく今詰めを行っておるところでございまして、ぜひ先生の御理解をお願い申し上げる次第でございます。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほどから申し上げておりますように、行政府は立法されたものに従って行政を運営する責任があるわけです。立法府は立法府なりにそれぞれの所管をする仕事があるわけでございます。  しかも、さっき申し上げましたとおりに、郵政省設置法によりますと、電気通信に関することは郵政省の所管であり、国会法では所属する議案と請願を取り扱うのがその委員会任務になっておる。したがって、まず原則的に、電気通信に関する事項は逓信委員会の所属であるかどうか、ここから議論しなければならないのですが、逓信委員会に属するものであるかどうか。大臣、どうお考えですか。
  61. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 郵政省のやる電気通信の施設について逓信委員会で御審議を願う筋のものでございますが、この問題については両面ございまして、最初阿部先生が言われたとおりに、電気通信に関する特定の施設に関する御審議は逓信委員会でやっていただく、そういう趣旨で当初電気通信高度化基盤施設整備促進法というのを我が省は提案の準備をいたしました。これが本筋でございます。  一方、ことしの一月、閣議におきまして、「昭和六十一年度税制改正の要綱」において、民間活力の活用により整備される特定の施設については、一定の要件のもとに特別償却制度を創設するということが決められたわけでございます。実は四省がそれぞれ提出の準備をしておった内容について税制上の問題で共通項がある、こういうことが出てまいりました。したがって、官房長官は江崎担当大臣と御相談されまして、税制上の問題については共通しているんだ、だからこれをむしろ一本化した方がより事業の推進に役立つであろう、こういう判断をされたと私は思います。  したがって、税制上の問題点と共通する点。それから第二は、特定する郵政省なら郵政省、通産省なら通産省、建設省は建設省、それぞれの手続をする点が、また、手続上非常に近似視されておる、同一視されておるというのが第二点。それから第三点が、整備を行うものの、例えば郵政省として責任を持ってそれを行う、実施の円滑化の上においても共通項がある。こういったような三点の面から本来の一本に、これは正確に持っていくべきであろうということになりまして、その両面からここに民活法としての一本化というものに作業が進められた、こういうぐあいに私判断をいたしておりますので、事業そのものの主管としては、電気通信分野の特定の施設については郵政大臣責任を持ってやる、それについては逓信委員会で御審議をお願いする、こういう経過だ、こういうぐあいに私、判断をいたしております。
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 確かに共通項はあるのです。しかし、共通項があるから一緒にまとめた方がやりやすいというのは行政の立場から言えることであって、それを法律として成立させるための審査の場はおのずから別になるはずでございます。今大臣の言うような理論がまかり通るならば、例えば郵便貯金というものは、金融の中においてはむしろ大蔵省との方が関係が深いかもわかりません、金融という分野から考えれば戸しかし、郵便貯金は明らかに設置法によって郵政大臣の所管の業務になっておるから、郵便貯金法等を我々一生懸命審査しておるわけです。しかし、今おっしゃるように行政の立場からやりやすいというならば、金融の分野においてこれは大蔵省の所管にした方がやりやすいかもしれませんよ。そう考えてくると、やはり所掌事務というものは明確にしておかなければならない、そう私は基本的に考えるわけです。  確かに今回のこの法案について、いろいろな分野において共通事項が多いことは私も承知しております。行政はそれがやりやすいだろうと思います。けれども、もし行政がやりやすいからということだけで国会を軽視されては、一体国会の立場はどうなるか。大臣も政務次官もおやめになれば、また国会の立場にお帰りになるわけでございますから。そうでしょう。それを考えますと、そんな行政がやりやすいからというだけで勝手なことをやられてはいけない。そして、最近この種のものが非常に多いのです。何とかいえば一括法案にしたがるのです。それで各委員会の審議権が軽視されてくるという経緯が非常に多い。今回の場合だけなら、私はこれだけ取り上げて文句を言うつもりはないのです、率直に。ところが、政府全体の流れとしてそういうことをやっている。  しかも大臣、仄聞するところによりますと、今大臣は税制面での共通事項が多い、こうおっしゃいました。それならば大蔵省の方で、大蔵委員会で審査するのだろうかと思うと、そうでもないようですよ。もしも付託されたとするならば、これは通産の方で審査する可能性が非常に大きいと私は聞いております。そして、でき上がった法律の運用に当たっては、例えば電気通信の設備に係るものは、何といったって郵政省の所管にかかわる以上、この委員会でいろいろな問題について議論もしなければならないし、責めも負わなければならないわけですから、今後一括法案については極力慎重に扱って、各委員会の審査権を侵すようなことはしないということを、官房長官の名においてひとつはっきりしてもらわなければ、私は引き下がるわけにはまいりません。これからやらぬということですよ、今回は認めてくれというのなら。
  63. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 阿部先生のおっしゃることもよくわかるわけでございますが、先ほど郵政大臣が述べました理由、また私が申し上げましたようなそういう理由によりまして、一本化を進めさしていただいておるわけでございます。非常にこういうことは例のないことで――今までもあったわけでございますが、今後とも十分慎重にやらしていただきます。
  64. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 やらないと言い切るのは、これはなかなか難しいかもわかりませんけれども、大体国会法の建前からいきますと、各委員会の属しないものは特別委員会をつくってやるというのが本当なんですね、建前としては。そのほかに、今連合審査という便利なものをつくっておるようではございますけれども、大体各委員会に属さないものについては特別委員会でやる、これが私は原則だと思うから、それならば特別委員会を提起すればいいのであって、そう言うと政府は、委員会の審議は国会の方でどうおやりになるか決めてもらいたい、こう逃げるのですよ。自分たちはけしからぬ一括したものを出してきておいて、どう審議をされるかは国会で決めてください、これは私は逃げ道だと思うのですよ。本当に国会の審議権を重視した行政の立場にない。  したがって、私は、あなたのお人柄がいいから余りやかましく言うのは好きじゃないのですけれども、今申し上げたように、帰って官房長官に、きょうの逓信委員会でこういう意見があった、これはやはり傾聴に値するものだと思うのですがということをあなたが言ってくれるかどうか、それから閣僚の一人として郵政大臣がどう考えるか、その辺ちょっと聞かせておいていただきたい。
  65. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 一元化という言葉は慎重にやらなくちゃならぬ原点だと私は思います。例えば先ほど郵貯の問題も出ましたけれども、金利の一元化とか、金融の一元化とか、そういうような問題は、これはもう簡単に一元化ということでやってはならない分野だと、基本的に私は思っているわけでございます。金利だって、一元化をしていって果たしていいかどうか。金利の自由化の時代に来たときに、金利というものは多元的にやっていくということで、もう既に金融の自由化でもって大きなあらしを巻き起こしているアメリカなんというのは金利の多元化でございます。それお一元化一元化ということでいくことについては、私はむしろ慎重に取り扱っていきたい。  したがって、今度の場合、私もなるほど阿部さんの言われたこの問題については、郵政省なり建設省なり通産省独自の法案の準備を進めたことは事実でございます。それが従来の慣習でもあり、当然の姿でございます。そういったような一面と、ただ租税特別措置法の一部の改正ということで、その中で特別にこの各省が出す施設についてはそういう共通点というものはあるのではないか、事業の推進の上についても非常にスムーズにいく新しい分野である、こういうことを考えて、私はこの面について一元化というものもこれは妥当であろうと判断したことも事実でございます。  そういうことでございますので、そういう点を御理解願いまして、官房長官にもきょうの御意見は私率直に伝えまして、将来慎重にこの問題に対処していくように御伝達を申し上げます。
  66. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 官房長官の代言を……。
  67. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 今郵政大臣からも御答弁があったわけでございますが、確かに、初め四本当させていただいて御検討されているときに、一本にまとめまして御迷惑をおかけしたことは本当に遺憾に存ずる次第でございます。もう何もかも御存知の先生ですからいろいろ申し上げませんが、先生から厳しい厳しい御指導のあったことを肝に銘じて、今後慎重にやらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  68. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私がさっきから申し上げているように、あなたのお人柄ですから、もうこれ以上は申し上げませんが、大体官房長官などというのは案外軽く考えているのじゃないですか、国会が何を言っておるかといって。たまにうそを言っても構わぬぞとかなんとか、この前言いましたね。選挙と何とかはうそを言ってもいいとかなんとか言って歩くくらいだから、何を考えているかわからぬが、私がるる申し上げたのは、今回のこの法案については確かに非常に共通項も多いし、一括化することについてそれほど強い反対をしなくてもいいのではないかという気はするのです。しかし、今までの政府の流れが、行政に都合のいいように法案をつくっては出してきて、一括法案だとかなんとかといって出してきて、そして国会の委員会の審議権を軽視してきた経緯がある。したがって、このことについては十分留意をしてもらいたいということ。  もう一点は、繰り返しますが、国務大臣は国会に出席をして説明、答弁をしなければならない義務がある。憲法によって定められておるから、いやしくもよその委員会だから大臣は出ませんなどということを二度と言わないように、特にあなたにお願いをして、決意を聞いて終わりたいと思います。
  69. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 今御指摘の二点は、帰りましてよく復命をいたしておきます。いろいろ誤解があったかもしれませんが、至らぬ点を私からおわびをさせていただきます。官房長官はそういうことはない、きっと先生と同じような意見ではないかと思うわけでございますが、帰ってよく復命をさせていただきます。
  70. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、御苦労でした。終わります。
  71. 宮崎茂一

    宮崎委員長 松前仰君。
  72. 松前仰

    ○松前委員 郵政大臣大臣就任おめでとうございます。  大臣就任以来、郵政大臣はいろいろ多くの勉強をなされて、あちらこちらでいろいろすばらしい御発言をなさっておられることに敬意を表したいと思います。また、この間の大臣所信表明の中では、郵政事業を守るという立場から力強い御発言をいただいたということで、本当に私ども力強く思っておるわけでございます。  そこで、この所信表明の中におきまして、私ずっとこの間聞いておりまして、郵政事業というものは非常に大きな事業でございますから、それを中心にやるということについては私、全く異論はございません。さらに、電気通信分野におきましても、電電公社民営化、NTT化ということで、これからの通信事業に対しまして、その発展ということについて前向きの姿勢で取り組むということについても私は異論はないし、またそのような格好でやっていただきたいし、放送界においてもさらに新しい高度情報化という時代において、その発展に尽くすということは大変結構なことであると思います。  しかしながら、この中で私ちょっと感じましたのは、電波行政につきましては、文章といいますか言葉も非常に少なくて、今度国会で取り上げられます電波行政分野におきましても、貿易摩擦関連とかそういうような感じの部門、これだけしか取り上げられておらないというようなことで、これから先の郵政事業において、電波というものはやはり非常に大切な分野であろうと思うわけでございまして、電波行政につきましても、やはり郵政大臣としても力を入れて取り組んでいただきたいと思うわけでございますが、その辺につきまして、郵政大臣、ちょっと御所見をお願い申し上げたいと思います。
  73. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 電波行政というのが郵政省にとって非常に重要な分野であるということは先生と同感でございます。特に最近感じましたことは、フィリピンの政変事件の問題にいたしましても、やはり電波通信というものが一国の政治に大きく影響するということも、最近私痛感をしたところでございます。したがって、電波というものは一体だれのものだろうかと考えたときに、私は、電波というものは国民のものである、したがって、国民の電波を正しく国民に伝達をし、国民に理解してもらう、そういう使い方というものが基本でなくてはならぬ、こう考えて、今先生の言われた重要であるというのは、そういう基本的な考え方行政指導していきたい、こういうぐあいに思っているわけでございます。
  74. 松前仰

    ○松前委員 郵政大臣のそういうお言葉で私も安心いたしましたですが、先ほどお話ありましたように、電波というものについて、フィリピンの放送局の問題、これはマルコス派とアキノ派ということでそれぞれ利用された。電波というものはやはり国の政治といいますか、そういう世論というものを動かずに非常に大きな影響を果たす。そういう意味で、前の国会におきまして電気通信事業の、電電公社民営化というようなときに、主権を侵すようなことがあってはならぬということで、外資の導入についていろいろお話しして議論をしたわけでございますが、そういう点で大変重要なものが電波ということでございますので、どうかしっかり頭に置いてこれからも行政に携わっていただきたい、そのように思います。  そこで、同じ電波でございますけれども、今までの郵政省考え方といいますか、行政のあり方ということを考えてみますと、非常に前向きの姿勢があって、非常にいいと思います。新しい高度情報化社会に向かうということで、いろいろと新しいものを打ち出しておられる点は非常に評価をいたすわけでございますが、その逆といたしまして、悪用されるといいますか、電波につきましていえば、混信をほったらかしにするとか、そういうような問題がまだたくさん転がっているし、ますますそれがひどくなっていく。  そういうことで、私は一つの例としてここでいろいろ御質問申し上げたいと思うのでございますけれども、それは三メガから三十メガヘルツの間におきます短波帯のOTHレーダー、今新聞紙上などをにぎわしておりますOTHレーダー、この問題につきましてちょっとお伺いをさしていただきたいと思うのです。  OTHレーダー、日本でも何か防衛庁あたりが設置をするというような話をしておるようでございますけれども、現時点でこのOTHレーダーの妨害があるということがあちらこちらから言われておる。この実態につきまして郵政省はどの程度把握をされておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  75. 澤田茂生

    澤田政府委員 先生指摘のOTHレーダー、それによる妨害でございますが、これによりまして国内のアマチュア無線、それから太平洋上の広い海域での船舶向けのファクシミリに対する混信、妨害というものがあるというふうに報告を受けております。
  76. 松前仰

    ○松前委員 アマチュア無線とファクシミリというようなことで妨害があるという話でございました。その具体的なものについては詳しく把握されておりますでしょうか。いつ、一体どんなような形で妨害を受けているかというようなこと。知らなければ知らないでも結構でございますが。
  77. 澤田茂生

    澤田政府委員 いろいろございますが、例えば九州におきまして漁業海岸局、二十七メガヘルツ帯に混信があった、電波の型式、通信内容等は不明である、混信波がパルスというふうなことでございますとか、あるいは五十八年の暮れでございますが、アマチュア無線、七、十二、二十一メガヘルツ帯に混信があったというふうなこともございます。また、共同通信社の船舶向けファクシミリ、八メガヘルツ帯受信に混信があった。これは五十九年の一月等でございます。そのほか漁業関係についての混信の例といたしまして、これは無線業務日誌がございまして、それによっていろいろ報告が出ておりますが、八メガヘルツ帯につきまして北米あるいは北太平洋、豪州、そういった広い範囲における船舶についての混信というようなものの報告を受けているところでございます。
  78. 松前仰

    ○松前委員 今広い範囲での把握されている内容を御説明いただいたわけですけれども、私の知っております――いろいろ調べたのですけれども、これは極秘に調べたわけじゃなくて、表立って出ているところからずっと調べたのでありますけれども、この妨害波というのは特徴は何かというと、あらゆる周波数帯にまたがってといいますか、あらゆる周波数を使ってきているということですね。短波帯の三メガから三十メガ、この間全部使って、その妨害を受けているというような状況なんです。  例えば、先ほど話がありましたようなものを含めましてファクシミリの八メガ帯、キツツキのようなカタカタカタカタという雑音でありますけれども、ファクシミリに妨害が与えられる。それからNHKのラジオジャパン十七・八一〇メガヘルツですね。それから海岸局の長崎無線十六・八七七五、VRNという、これはコールサインらしいのですが、十七・一九二メガ、十二・七〇七メガ。六メガ帯ですね、六・三二五という周波数を出していると思ったら六・三三〇に変わって、その後また六・三二〇に行って停止するとか、そういうのが全国各地、太平洋航路ですか、そういうところとか豪州航路とかいろいろなところでこれが被害に遭っておる。アマチュア無線は当然これが始まりますと全くだめになってしまうというような状況なんでございまして、こういうような広範にわたります短波帯の妨害というのは、郵政省はいつごろからこれが始まったというのを把握しておられますでしょうか。
  79. 澤田茂生

    澤田政府委員 今おっしゃいましたウッドペッカーノイズによる混信の申告を私どもが受けましたのは五十六年の三月、九州における漁業海岸局に対する混信というのが初めてではなかったかというふうに考えております。
  80. 松前仰

    ○松前委員 五十六年三月ですか、その辺の時点からこれが発生し出したということでありますけれども、確かに、その辺で何が起こったかということをいろいろ原因を調べてみると、OTHレーダーの基地がどうもその辺ででき出したというような状況のようでございますが、この電波の方向というのはどっち方向から来ているかというのはおわかりですか。
  81. 澤田茂生

    澤田政府委員 この調査、なかなか難しい点もいろいろ技術的にあるようでございますが、私どもの現時点において把握している方向といたしましては、北の方向というふうに承知をいたしております。
  82. 松前仰

    ○松前委員 北の方向というようなことくらいしか言えないんだろうと思いますけれども、具体的には、現在OTHレーダーが確かに運用されておるというのはソ連だけだそうであります。ほかは実験だそうでございますけれども、どこの国がやろうと、こういう妨害を与えるような電波というものは、やはり日本としては問題にしていかなければならぬだろう、そういうふうに私は思うわけでございます。  郵政大臣、ちょっとお見せいたしますけれども、これが妨害があったときのデータなんでございます。ファクシミリの気象情報、天気図、このところに妨害が与えられますとそういう格好になっている。そういうような感じでありとあらゆる周波数にわたっておる。そしてこの特徴が、短波帯ですから電離層反射という格好をやりますので、もう短波のラジオの放送と同じように非常に遠くまで届いていってしまうということですから、こういう電波はやはり許してはちょっとまずいわけでございます。  そこで、私が伺いたいのは、郵政省としては、こういう混信が五十六年ころから出ているということがわかっておったということならば、それに対して一体どういうようなことを今までやってきたんだろうかということをちょっとお伺いしたい。
  83. 澤田茂生

    澤田政府委員 こういう妨害につきましてその発射源、それからその特性等について、いろいろ調査をしてまいりました。そしてこの種の電波の到来方向について今までいろいろ調査をしてまいりまして、先ほども北の方向ということを申し上げたわけでございますが、今までの調査結果をもとにいたしまして、私ども郵政省の方からソ連邦の主管庁に対しまして、問題解決のための適切な措置をとるように要請をいたしました。そしてまた太平洋地域、広い地域における混信妨害ということでもございますので、この混信妨害の実態把握のために、関係諸国の電波監視機関に対しましても、関係資料の提供方の協力要請をいたしたところでございます。  そして、実は昨日、ソ連邦主管庁の方から回答が参りまして、この種の電波の発射は行っていないという回答が来たところでございますが、私どもといたしましては、関係諸国の電波監視機関に対してもいろいろ資料提供方をお願いをいたしております。そういったことを踏まえまして、今後の対応、調査検討をいろいろ進めてまいりたいと思っているわけでございます。  なお、現実に今先生指摘ございましたようなファクシミリに対する妨害というようなものがございますので、これに対しましては、現在周波数を変更して妨害のないような形のものに移っていただくということについても準備を進めているところでございます。
  84. 松前仰

    ○松前委員 今、ファクシミリについて妨害のないようなところへ移ってもらう、こうおっしゃいますけれども、そういう周波数が見つかるかどうかということなんですね。要するにこのOTHレーダーらしきもの、OTHレーダーとは言わないけれども、どうもそうらしいというものについてはありとあらゆる周波数、先ほどもうちょっと例を言えばわかったのでありますけれども、短波帯のありとあらゆる周波数を使うわけです。それがずっと使っているんじゃなくて、ある例えば一分間くらいそこを使っているとすぐほかへ行ってしまう、そしてほかをまたやりますとまたほかへ行く、そして北の方向から来ているというから、北の方向に向けて電波をこちらからアマチュアあたりが出しますと、さっとほかへ逃げる。こういうようなことで、ありとあらゆるところを全部、もう傍若無人に使われてきているという状況なんで、ファクシミリをほかへ周波数を移すなんということは、そんな簡単にできる代物じゃないというように思うのです。私は逆に、こういうような使い方をするものについては、やはりやめてもらいたい、そっちの方向でもって強く交渉してもらいたいのですけれども、これについて、外務省の方、来ていらっしゃいますか。――外務省の方はこういう問題についてどの程度把握して、どういうことをやってきておられますでしょうか。
  85. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 私どもも本件の電波妨害につきましては、郵政省の方から事実関係を通報を受けておりまして承知いたしております。  当面、ソ連の方の問題につきましては、先ほど御答弁ございましたように、実務当局間の連絡によりまして、ソ連側からそのような電波の発射は行っていないという回答が来た段階でございますので、今後これを踏まえてどういう対応をしていくかということにつきましては、郵政省の方と十分協議してまいりたい、そういうふうに考えております。
  86. 松前仰

    ○松前委員 やはり電波というのは国際的なものでございます。短波帯は特に国際的に重要な資源なんでありますから、これはただ郵政省だけに任せておいては問題の解決にならぬ。しかもこういう軍事的な問題が絡んできますと、これは当然外務省が一生懸命動いてやらなければいけない問題だと思うのです。  なぜそういうふうに動かなければいかぬかといえば、これは船舶の航行に対して大変に重要な無線なんですね。遭難関係にもありますし、水路情報とかそういうものにいっぱい使っておる。天気の情報も送らなければいかぬ。そういうものをみんな頼りにして、遠くへ出かける船はそれを使っておるわけでありますから、そういう意味で、そういうものに妨害を与えてしまっては――軍事だから何でもできるというのではなくて、そうであってはならないわけですから、外務省としても十分それに対処してもらいたいと思っておるのであります。  そこで郵政省にお伺いしたいのですが、これに対する法律的な、法制上の面についてはどういうふうに解釈できますでしょうか。
  87. 澤田茂生

    澤田政府委員 まず、国際関係でございますが、国際電気通信条約によりまして、すべての無線局は有害な混信を与えないように設置し、運用しなければならないという定めがございます。それから、調査結果によりまして、妨害電波の発射源が外国であると特定したときは、条約によりまして、相手主管庁に対しまして妨害排除の措置を求める通報をすることができるようになっております。それから、妨害排除の通報を受けた主管庁は、その責務といたしまして、妨害排除を誠実に履行する努力義務があるということがございます。さらに、これらのことによりまして問題が解決しないというような場合には、IFRBと言っております国際周波数登録委員会というのがITUの中にございますが、そこに対しまして措置をとるよう要請することができるというような仕組みが、国際的にはできているわけでございます。  なお、国内法につきましては、電波法五十六条の規定によりまして、無線局は、他の無線局等に混信その他の妨害を与えないよう運用しなければならないということでございますが、これは外国に開設された無線局に対しては、国内法でございますので適用はされないということでございますが、国際的にも国内的にも一定の制約がございまして、電波の利用から生ずる混信、妨害を防止するということについては、先生冒頭にお話がございましたような電波の有効利用にとって不可欠なことでございますので、私どもはこういったことについて積極的に対応していかなければならないというふうに考えているところでございます。
  88. 松前仰

    ○松前委員 国際法上の問題に積極的に対処していかなければならないというよりも、もう既に問題が起こっているわけですから、もっとどんどんやってもらわなければ困るわけでありますけれども、国際法の中で一つ非常に気になる項目がございまして、国際電気通信条約に、「連合員は、その陸軍、海軍及び空軍の軍用無線設備について、完全な自由を保有する。」こういう言葉が載っているわけですね。完全な自由を保有するから何でもこれはやっていいというようなことに解釈して、各方面がやろう、自衛隊なんかもやろうとしているかもしれないのですけれども、先ほど話がありましたように、こういう場合でも、遭難の場合とかその救助に関する規定とか、有害な混信を防ぐための規定は守らなければいけない、こういうことになっておりますので、ぜひともこれについては、国際的にいろいろとあちこちで問題が起こっておるのですから、こういうものの排除に向けて郵政省はもっと頑張ってもらいたいし、また外務省もその排除に向けて頑張ってもらいたいと思うわけです。  先ほど北の方向ということで、ソ連ということで話が特定して国が出ましたけれども、ソ連がやっていないということになれば、これは本当かうそかわからないけれども、アメリカだってこれは実験をやっておるわけですね。随分前から実験をやっております。どこでやっているかはアメリカはわからない。ソ連の方はSIPRIとかそういうところが一生懸命調べるからわかってしまうけれども、アメリカの方は余り調べないから、どこでやっているかわからぬですね。やっているかもしれないのです。北の方といえばアラスカかもしれない。それからイギリスもやっております。フランスもやっております。あちこちでこういうものがやられておるということになれば、これがもう大っぴらに認められてしまうということになってしまうでしょう。認められてしまったら、一体これはどういうことになるか。短波帯はそういうもので占有されてしまう、自由にそんなものでわあわあ使われてしまうという格好にならざるを得ない。これについてやはり私どもは、郵政省はもっと強くこの妨害排除をやってもらいたいと思うわけです。  そこで、日本で防衛庁が今OTHレーダーを検討している、こういうことを言っておるようでございますけれども、この問題につきまして、郵政省はどういうお考えをお持ちでしょうか。
  89. 澤田茂生

    澤田政府委員 OTHレーダーの導入につきましては、郵政省、私どもといたしましては、その具体的な内容をまだ聞いておりませんので、具体的な検討というものは現時点においては行っていないわけでありますが、一般に周波数の割り当てに当たりましては、他の無線局に対する混信を生ずることのないよう検討の上その使用を認めるということで、我々は今までも対処いたしております。防衛庁のOTHレーダーの具体的な話がございますれば、そういった点も踏まえまして私どもとしても検討をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  90. 松前仰

    ○松前委員 きょうは、防衛庁の方、来ていらっしゃいますでしょうか。――防衛庁の方は、このOTHレーダーの設置ということにつきまして、電波監理上の問題を含めてどのような御認識をお持ちですか。
  91. 宝珠山昇

    ○宝珠山説明員 御説明いたします。  専守防衛ということで進めております我が国では、警戒、監視あるいは情報収集というのは大変重要な意味を持っております。  先ほど来御論議のOTHレーダーは、一部の国で運用されており、近く米国での運用が予定されているわけでありますが、遠距離での見通し線外での航空機あるいは艦艇というものの動静を探知できるということで、早期警戒の観点からぜひ装備できないかという考えを持っているものであります。そういうことで、来年度から始まります中期防衛力整備計画の中で、有用性などについて詳細に検討して、必要な措置を講ずるというところが決められているわけであります。  現在米国で開発中の、リロケータブルと言っておりますが、海軍で開発中のOTHレーダーについての技術資料を私ども逐次受けながら、我が国で仮に運用するとした場合どの程度有効であろうか、ではどのような運用を行えば有益であろうかといったようなことを基礎的に検討している段階でございまして、今御指摘の電波障害というような問題についてまだ検討を十分に行う段階でございませんで、郵政省の方とも全くまたコンタクトするという状況にはないわけでございます。
  92. 松前仰

    ○松前委員 防衛庁のお話を聞きますと、そのOTHレーダーの情報収集能力とかその有用性だとか、そういうような使い道の方向ばかり見まして、実際電波は一体どうなっているのかなんてことは全然まだ考えていないというように聞こえたわけでございますけれども、それではOTHレーダーやろうよなんて大きな声を出すことは絶対にできないと思うのですよ。  一番問題は、電波を使うのだから、電波というのは一体どうなのだということを勉強すればいい。論文がいっぱい出ていますよ。私、差し上げましょうか。いっぱい出ていますからね。こういう論文を見れば、どういう電波を出してどういうふうになるのだ、どれだけ妨害を与えるのだということくらいはわかるわけですから、そういうことを考えながら、OTHレーダーというのは有用なのかどうか、有用というのは、電波の使い方について有用なのかどうかということを検討しなければいけないと思うのですけれども、どうもその辺が防衛庁抜けているから、アメリカとの間でOTHレーダーをここに設置しましょうなんというようなことは大変おかしいと思うのですよ。今はそんな段階ではない。アメリカは勝手にやれるというような調子でいるから、それは言うでしょうけれども、日本としては、そういうレーダーを設置するとなれば、やはり日本の国内の電波法に照らし合わせなければいけなくなりますね。この辺についてどう考えておりますか。
  93. 宝珠山昇

    ○宝珠山説明員 電波の問題につきましては当然郵政省と協議をし、障害など生じないような形で運用しなければならないということはよく承知しております。  それから、先ほど御指摘の、電波障害などについて全く勉強してないかという点については、一般論として論文などで十分勉強しているわけでありまして、本件OTHレーダーの性能としてどのようなものであるかということがポイントになろうかと思いますが、米国でもまだその種のものについて運用の試験を行っているという段階でもありますし、さらに海軍で開発中のものというのはもっと先に運用開始が予定されるものでありますので、それらの技術資料を得ながら、相当のデータを得たところで郵政省とも協議すべきものと考えているところであります。
  94. 松前仰

    ○松前委員 そういう状況なら、余り大きな声で、OTHレーダーをつくるよとか、そういうことを日米間で協議することはないと思うのですよ。それなら先にそういうことを考えて、それから協議するべきものであって、それが逆なんですね。とにかく何か力ずくでもって、アメリカも勝手にやっているんだから日本も勝手にやれるんだというような調子でやられたのじゃ、これはもうたまったものじゃない。混信を受けた方、民間の大事な外国航路とか漁船とか遭難通信とか、そういうようなところがやられてしまうのではたまったものじゃないのです。下手をすると短波帯全部それに使われてしまう。  今OTHレーダーが日本近海に三つ置かれますと、混信は物すごいことになってしまいますよ。それにまた北の方からも来る、またどこかわからないヨーロッパの方からも来るということになれば、OTHレーダーだらけになって、あらゆる周波数がばんばん使われてしまう。そして、さっき言われましたようなファクシミリ等の通信に対して妨害をばんばん与えるという格好になれば、三メガから三十メガの間は一切軍用しか使えないということになってしまうじゃないですか。こんなことであっては、とてもじゃないけれどもこれは大変なことになる。  郵政大臣、特に短波帯につきましては、国際的に非常に長距離に届く、長距離通信には非常に重要な電波なんだから、これは大事に使いなさいよということが、国際電気通信条約の中でも、附則の方でもうたわれておるわけですね。ですから、その一番重要なところ、便利だからそういうふうに使うというようなやり方をともれたのではかなわぬわけです。そういう意味で、郵政省としてもこの問題については、混信に対して十分防御をするという方向で検討していただきたいと思うわけですけれども郵政大臣の御意見をちょっとお伺いしたいと思うのです。
  95. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 今先生からいただいたこの電波妨害の図面、これをちょっと見まして、大変貴重な御意見を私承りました。OTHのレーダーによる妨害電波の打ち方というのは、ちょっと専門家にも聞いたのですけれども、トットットッというウッドペッカーノイズというのですか、それの断続でございますね、この図面を見ますと。そういうのが、太平洋を航行中の船舶に向けて発射されたファクシミリに対して大変な妨害を与えているということ。それからまた、国内のアマチュア無線に対して悪影響を与えているという実態も、五十五年の後半から非常に激しくなったということでございますので、これは郵政省といたしましても十分な対策をしなければいかぬ、もちろん外務省その他の省とも連絡をとってやらなければいかぬと思います。  あれは五月だったか、カナダのモントリオールで電気通信、交通の大博覧会があるんだそうです。それの第一回の電気通信の全世界の担当大臣が集まってやるというので、私の方にも招待が来ておりますけれども、いろいろな状況で私はまだ、いましばらく出席するということは言っておりませんが、少なくともこういう分野においてこういう実態があるのですよということを伝達をいたしまして、そしてこれに対する対応策をとっていかなくちゃならぬなということを今考えたわけでございます。先生の貴重な御意見郵政省を挙げましてこの問題に対処していきたい、こう思っております。
  96. 松前仰

    ○松前委員 大変に心強い御意見をいただきましてありがとうございました。大臣も短波の受信機をもしお持ちでしたら、ちょっと電波の状況のいいところへ持っていって、今ですと六メガから七メガ、八メガくらいのところでそのカタカタというのがしょっちゅう聞こえるのです。それも一波だけじゃなくて、同時に三波くらい出ている。一局じゃないみたいですね。やはりあちこちから妨害を受けているような感じなんで、もしそういう機会がございましたらぜひ聞いていただきたい。放送といいますか、しゃべっている声の上に乗っかってきたり、トン・ツーのところに乗ったり、テレタイプのような音のところに乗ったり、いろいろしておりますので、その辺を聞いていただくと具体的におわかりになると思います。よろしくお願いします。  この問題については以上で終わらせていただきたいと思います。  その次に、先ほども取り上げられましたけれども、最近KDDデータ網への侵入という記事がたくさん出ておりまして、KDDデータ網への侵入という、ちょっと言葉が悪くて私も誤解したのでありますが、KDDがデータ網に侵入したのかと思ったら、そうじゃなくて、KDDのデータ網に西ヨーロッパの四カ国から侵入してきた、こういうようないわゆるハッカーという問題でございます。この問題について先ほどKDDの方からお話がございましたが、高度情報化社会になるとこういうことがかなり出てくるということが一つの大きな問題であろうと思うのです。通信につきましていろいろと自由に使うような方向に法律が変わってきたし、またそういうふうに使っていくことができるようになって大変喜ばしいわけですけれども、その反面、こういうハッカーということが出てくるということになれば、やはりこれに対して十分な検討をして、それに対する対策というものを考えていかなければならぬ、そう思っておるわけでございます。  この記事の中で見ますと、警察庁が情報システム防護法の策定作業を急ぐことを決めた、こういうことが書かれておりますが、警察庁の方はきょうはいらっしゃいますでしょうか。――これはどういう内容なのか、教えていただきたいと思います。
  97. 上野浩靖

    ○上野説明員 お答えいたします。  コンピューター犯罪につきましては、今御指摘になりましたように、一たん発生いたしますと社会に重大な影響を与えるのみならず、取り返しのつかない損害を与えることが多いわけでございまして、こうしたことから、警察庁といたしましては、コンピューター犯罪につきましては事後の処罰による抑止よりも、むしろそのような事態の発生を防ぐ対策の方がより重要であると考えておるわけでございます。  こうした考えに立ちまして昨年一月、警察庁関係者と部外の有識者とが共同いたしましてコンピューター・システム安全対策研究会を設置いたしております。具体的な防止対策につきまして検討を行い、本年一月に中間報告といたしまして「情報システム安全対策指針」というものを取りまとめまして公表いたしましたところでございます。警察庁といたしましては、この指針に基づきまして、コンピューターシステムの利用者が自主的に必要な安全対策を講ずることを期待しているところでございます。  なお、今先生指摘のありました防護法その他の法制の問題も含めまして、そういうものにつきましてはこの安全対策の一層の普及を図らなければならないという立場もございまして、関係省庁と緊密な連絡をとり合って今後進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。
  98. 松前仰

    ○松前委員 警察庁の今のお話ですと、情報システム防護法というのは特につくってはいないのですか。
  99. 上野浩靖

    ○上野説明員 お答えいたします。  まだそういう段階には至っていないわけでございます。
  100. 松前仰

    ○松前委員 そうすると、これについての指針という格好であるということですね。  警察庁の皆さんKDDのデータ網侵入についてこうやって動かれたということは、犯罪の取り締まりというような方向からなんでしょうか。こういう通信のハッカーというようなことが起こる、その防御として、全体のシステムとしてどうあるべきかということを考える方向なのか、それとも、このハッカーの犯人を捜すという方向で警察庁が考え始められたのか、どっちが先なんでしょうか。
  101. 上野浩靖

    ○上野説明員 ただいま申し上げましたように、私どもも、コンピューターが悪用されるということになりますと大変取り返しのつかない事態になるということで、取り締まりというよりもむしろ防止といいますか、いかにしたら事前に防止できるか、そういうことが先になりまして、将来を予測した上での話でございますけれども、そういうところから出発したわけでございます。
  102. 松前仰

    ○松前委員 そうすると警察庁の皆さんは、かなり大きなといいますか、技術的な内容もすべてわかりながらそういうものに取り組んでいくという姿勢を示しておられるようでございますけれどもKDDデータ網ということになれば、これは通信網ということになりますし、また、相手がコンピューターということですので、情報産業という格好になろうと思うのですけれども、これについて郵政省皆さんはどういう取り組みを今までなされてきているか。それとその後に、通産省来ていらっしゃいますでしょうか。――通産省の方々はどういう取り組みをなされておるか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  103. 澤田茂生

    澤田政府委員 先般のKDDデータ網の事件につきましては、これは情報通信の健全な発展という観点から見まして、見過ごしのできない問題であると私ども認識をいたしております。  この件につきましては、私どもKDDの方と連携をとりながら、暗証番号のけた数をなるべく多くとるということで、これを早期に徹底させる、対処する。それから、不審な暗証番号のコールが続いた場合のチェックと正当利用者への通知というようなことで対応する。あるいはユーザーに対する暗証番号の管理の徹底というようなこと、いろいろそういう措置をとるように話をしてまいったわけでございます。もちろんこういう通信の秘密あるいは安全の保護ということにつきましては、事業法上も規定がございまして明定をしております。またそれを受けまして、省令等で技術基準というようなものも定めているわけでございます。正当利用者以外の者が容易に通信の内容あるいはその他これに係る情報を知るとかあるいは破壊するということを防止するため、正当利用者のみに与えた識別符号の照合確認その他の防止措置が講じられていなければならないというようなことを定めているわけであります。  いずれにいたしましても、その具体的な防止措置というものを充実させていくことが重要であろうということでございまして、この分野の技術開発を積極的に推進していくことも必要であろうということで、これまでも通信に係る情報を保護するための暗号化手法というようなことの研究開発等も行ってまいったわけでありますが、現在その一層の充実を図るということから、電気通信技術審議会というのがございます、そこに全般的な安全性、信頼性対策の技術的検討というものを昨年の七月に諮問をいたしておりまして、本年の六月に御答申をいただく予定でございますが、私どもといたしましてもこれを受けまして、ユーザーが安心して利用できる通信というものを目指して万全の配意をしてまいりたいと考えているところでございます。
  104. 中野正孝

    ○中野説明員 通産省におきましては、コンピューターシステムを設置、運営している事業者はたくさんございますけれども、いわばコンピューターセキュリティーをみずから確保していくためということで、昭和五十二年六月から専門家が集まりまして、どういうことに心がけたらいいかということを二百数十項目にわたりまして対策を決めまして、ガイドラインということで遵守方を指導しております。コンピューターシステムあるいはデータ、プログラムに対していわば不正なアクセスが起こらないように、技術的なあるいは運用面のもろもろの知恵を絞り込んだ対策にいたしておりまして、今お話がありましたパスワードでありますとか識別コードというようなこともつくりまして、適正なアクセス制御ができるように心がけるという指導をしておるところでございます。
  105. 松前仰

    ○松前委員 これにつきましてKDDの方々からもちょっとお話を伺ったのですけれども、これは普通考えられるような犯罪といいますか、いたずらではないということなんです。例えばKDDデータ網への侵入という、これはどういうことかというと、普通ならばこれはパスワードを持っていますから、絶対その本人以外は相手のかぎをあけることができない。まずKDDのデータ回線のかぎをあけて、そしてKDDのデータ回線を使ってさらにコンピューターのかぎをあけるという二重のかぎがありますから、普通は簡単にはこんなものはあくわけがない、本人しかできないということなんだけれども、この場合には他人がそれをやったのですね。ということは、教えちゃったということですね。使える人が他人に教えてしまっているというところにこの犯罪が起こっているらしいのですね。  そういうようなケースを考えていくと、やはり事前の防止というようなことで警察庁が考えておられるようなことも成り立ち得るのかなという気がするし、また、今度は逆にこういうことが盛んに起こって、ハードウエアの改善ということで研究されて何かハードウエアをつくった。例えば今度は電話がかかってきたら、かけた相手の電話番号がわかるなんというシステムもできるそうでありますけれども、それをもっと進めちゃって、パスワードでキーをあけようとしたときに、そのあけようとする本人が一体だれかということをしきりに聞いて、本人であること間違いなしという確認をするまでやって、それからキーをあけるということになれば、今度はその人のプライバシーの侵害になってくるとか、そういういろいろな難しい問題がこの中には絡んできております。  そういうことで、これはもう非常に大変な問題だと思うけれども、プライバシーの侵害というようなことも、私ども法律として提出もさせていただいたわけでございますけれども関係官庁、十分に勉強をして、こういうことが二度と起こらないように十分な対策を立てていただきたいと思います。法律で縛るだけではだめだというところもどうも見受けられる。警察庁のおっしゃいましたように指針というような格好でやって、事前に防止するとかいうようなことも考えなければいかぬ。ところが、警察庁のあれをちょっと読ませていただきましたけれども、コンピュータールームに入るときの管理というのが非常に厳しくなってくるということになると、今度は逆の意味で警察の介入みたいなことも起こってくるし、これは非常に大きな問題になってまいりますので、その辺も含めて十分検討してやっていかなければならないだろうと思うのです。  もう一つ、週刊誌の方にちょっと載っておったので、週刊誌だからどうってことないのですけれども、本当かうそかわかりませんけれども、カードの偽造事件が起こっている。今銀行でカードを使っておりますけれども、あのカードが偽造されるというような事件が起こっているということでございます。これも言うなればカード自体に今度はパスワードが入っているというので、あれはしゅっとやりますと一遍にコピーできるというようなことなんで、磁気カードですから、しゃっとやればさっとコピーできる装置が二万円で売り出されているみたいなことが書いてありましたけれども、そんなようなこともあるわけでありまして、どうしてもそういうところについて、そういう犯罪を防ぐという何らかの対策を講じていかなければ、高度情報化社会という時代にはなかなか進んでいかないのじゃないか、そんな気がするのです。  郵政省も通産省も、ともに高度情報化のためのニューメディアとか、インフォメーションシステムとか、テレトピアとか、いろいろやっておりますけれども、そういうことをじゃんじゃん前向きに進めるのでありましたら、こういう問題についてもきちっとフォローして検討して、高度情報化社会の健全な発展に努めるべきだと思うわけです。その辺について郵政大臣も十分御認識いただいて、御指導をお願いしたいと思いますが、何かコメントございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  106. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 電気通信の安全性とか信頼性の対策は技術の進歩と非常に問題がございまして、これらの技術の動向を踏まえて、具体的な措置といたしまして、先ほど局長が申し上げましたとおりに、この六月には審議会からの答申が出ますので、それらを十分頭に入れまして、この対策に万全を期していきたいと考えております。
  107. 松前仰

    ○松前委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。  先ほど阿部議員の方からちょっと質問がありましたけれども郵政事業財政につきましてお伺いをしたかったわけでありますが、郵務局長は何か重大な事故がございましたようで、かわりに次長の方、いらっしゃっておりますか。――それでは、簡単に御質問させていただきます。  先ほどお話ありましたように、六十年度決算というものが出ておらない、単年度欠損として三百五十五億円ありますということでございますけれども、先ほどの話ですと非常に努力をされてこの欠損というものが縮小をされてきたということで、大変喜ばしいことだと思います。六十一年度についてもまた努力の結果があらわれてくるんじゃないかということで、大変うれしい御報告だったわけでございます。  しかしながら、私大変疑問に思いますのは、五十九年度予算累積赤字三百五十六億円、六十年度予算累積赤字四百四十二億円、そして六十一年度予算累積赤字八百七十五億円、これは予算の上でだんだんとふえてきている。赤字をどんどんふやすということは、日本の国の今の財政と同じように困ることになってくると思う。これをこうふやしていくということについて、一体将来はどうするつもりなんだろうか、将来はこれをどういうふうにしていくかということを考えながらこういうふうにやってきているのかということをお聞きしたいのですけれども、先ほど三年計画で将来見通しを出しながらやってくれというお話がございました。私は、今のこの三年間の予算ですか、これを見たときに、具体的に近時点の問題としてどうしていくつもりだったのかということを聞きたくなってしまったのです。よろしくお願いします。
  108. 成川富彦

    ○成川政府委員 五十九年度の決算関係でも、当初予算では百五十五億円の赤字を見込んでおりました。しかしながら、決算では六十四億円の黒字ということで大幅な改善ができまして、累積欠損金も八十七億まで縮小することができたところでございます。先生の御指摘のとおりでございます。営業努力によりまして、あるいは経費の節減に努めて、できるだけ赤字の幅を小さくしていこうということでございます。  六十年度につきましても、先ほど郵務局長から阿部委員質問に対してお答え申し上げたとおりでございますけれども、収入の面におきましても、ふるさと小包を初めとして職員一人一人の努力によりまして、収入が予定を上回っている状況にございます。それと経費の節減に努めているところでございます。そういったことから、三百五十五億円の赤字を予定しておりましたが、それがかなり消し込めるのじゃないかと思っておるところでございます。  今後につきましても、六十一年度におきましても六十年度と同様に営業努力に努め、あるいは事業運営の効率化、合理化、経費の節減に努めて、できるだけその赤字の幅を小さくして、国民生活に及ぼす影響等からいたしまして料金の値上げ等もなかなかできない状況にございますし、また競争が激しい中でございますので、そういった意味合いから簡単に料金値上げなどができる状況ではございませんで、できるだけ赤字幅を小さくして健全経営に努めていきたいと思っておるところでございます。
  109. 松前仰

    ○松前委員 今のお話ですと、当初予算では赤字をたくさん見積もっておったけれども努力によって赤字の累積が減ってきたというようなお話ですね。これについては、郵政省の全職員の御努力は大変なものだったと思うのでございます。しかし、私が思うに、これはどんどん赤字の累積額をふやす予算を組んでいるというところですね。これは一体将来どういうふうにしようとしておったのかという点が私は疑問なんですよ。何も考えずに赤字をどんどんふやすわけはないと思うので、赤字があったっていいという考え方なのか、それとも何か意図しているのか。例えば先ほど料金値上げということをやるために――やるためにということはないんですけれども、やらざるを得ない状況になってしまうことをこれで言いたいのか、その辺がちょっとよくわからぬのですが、どうなんですか。どうも赤字をふやす、その先の見通しが全然わからないのですけれども、その辺をちょっとお願いします。
  110. 成川富彦

    ○成川政府委員 六十一年度予算におきましても、累積欠損金で八百七十五億円の赤字を見込んでいるところでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、六十年度予算におきましても、職員一人一人の大変な努力もございますし、また経費の節減に努めた結果、三百五十五億円の赤字が消し込めるのではないか、かなり減らせるのではないかと思っているところでございます。したがいまして、八百七十五億円の累積もかなり減らせることになるというふうに、現在のところ感触をつかんでいるわけでございます。  予算が始まる前からこういうことを申し上げて恐縮でございますけれども、六十一年度におきましても、郵便の需要動向あるいはベア、物価の動向等いろいろと難しい要素、不確定な要素がございますので、的確な見通しを今申し上げる段階ではございませんけれども、営業努力と経費の節減に努めて、来年度におきましても四百二十三億円と見込んでいるわけでございますけれども、その赤字幅をできるだけ小さくしていくことによって健全経営を図っていきたいと思っているところでございます。予算は前年度の赤字、六十年度で予定しました三百五十五億円をそのまま計上しておりますために、累積欠損金が八百七十五億ということで大きくあらわれるわけでございますけれども、それをできるだけ小さくしていきたいと思っているところでございます。
  111. 松前仰

    ○松前委員 郵務局長がちょっといらっしゃらないので、きょうは詳しいところまでお聞きすることはできないのでございますけれども、郵務局長も大変ですので仕方がないと思いますが、先ほどから話を聞いていると同じ答えなのでありまして、要するに郵政事業の公共性を保つためには、欠損というものはできるだけ少なくしてやっていかなければならぬということなんです。それなのに、累積赤字をふやしていくような予算が組まれておることは公共性を放棄するのではないか、そういうような感じがしてならないのですね。今は職員の一生懸命の努力によってこの欠損が減るという格好になって、皆さんは助かっているのですよ。本当に助かっていると思うのです。だから、こういう変な予算を組むという格好ではなくて、累積欠損、赤字が減るような方向でいろいろな対策を講じていかなければならぬと思うわけであります。  いずれにいたしましても、累積赤字を減らすという方向になったときに、公共性と郵便事業の特殊性は当然考えていただいて、たくさんの人がいることを頭に置きながら、郵政省としていろいろ検討をしていってほしいと思うわけでございます。そういうことで、料金値上げという方向につながっていかないように努力していただきたい、私はそのように思うわけでございまして、この辺につきましてちょっと郵政大臣の所見をお伺いしたいと思うのです。
  112. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 郵政事業の中で郵便関係でございますけれども、特にまた今度の国鉄の民営・分割に伴って、本年度五百七十名という国鉄の職員の方を温かくお迎えして、郵便局第一線で内勤、外勤で頑張っていただくということもあわせて頭に入れながら、郵便物がより増加していくこと、それから小包がお客様から郵便局にたくさん届けられて、それをデリバリーするといったようなことで、新しいアイデアとか創意工夫で積極的に頑張っていこうというムードが出てきておりますので、これも明るい見通しであると私は思うのでございます。  したがって、そういうような第一線職員とともに頑張って、赤字克服に向かって前進することが郵政省の大きな柱であると私は考えております。頑張っていきたいと思います。
  113. 松前仰

    ○松前委員 それでは、次に最後の質問に移らせてもらいます。NTTの市内料金の値上げについては、前回同僚議員の方から質問があったと思いますけれども、この問題についてお伺いしておきたいと思います。  第百一、百二国会全部を通しまして、電電公社民営化の議論の中で、真藤社長からこの問題についてたびたび御答弁いただいているわけですが、真藤社長の答弁の内容は全部一貫しております。この間の御答弁も一貫しておりました。それはどういうことかというと、遠距離料金の値下げにまず努力して、市内料金はそのままということを前提にしている、市内料金を上げて、その財源をもって遠距離料金値下げ、遠距離を下げるから市内を上げるというようなことは、同時にやるということは全く考えていない、そして現在市内料金の値上げとかいうことを言うだけの資格がまだできていないということは申し上げる、その時期が来るのは六十一年の終わりか六十二年に入って、設備が一応できてから勉強して、どうするか、数字を根拠に説明できるようにしたい、こういうことで百一、百二国会はずっと通されてきておりました。  それがこの間、スクープされたのか何か、NTT市内料金の値上げというのがいち早く出てきたわけでございます。電電皆さんのお話を聞くと、トラフィックといいますか、それについて調査するハードウエアがまだ全部整っておらない、そのデータもまだ出てきていない、だからまた市内料金を上げるとか下げるとか言う資格はないのだという状況のようでございます。  ところが、この百一国会、百二国会を通してちょっと食い違いがあった。私どもはあれで議論してきたときに、大臣の言うことを信用してきた方が多かったわけでありますけれども大臣の方はこの審議を願って、どうしてもこの法案を通してもらいたいと言っているのは、競争によって電話料金が下がることを期待しているのだ、競争によって下げられるのだということを期待して皆さんにお願いしているのだ、こういうことで、私どもはそのときに大臣のお話を聞いて、ああそうか、民営化という方向もいいのじゃないかということでやってきたのですけれども、この間の市内料金値上げということになりますと、あれ、これはちょっとだまされたかななんて、こんな感じがしてしまうのであります。競争というものは、公共料金といいますか料金の値下げ、下がるという効果があるものと私はいまだに思っているのです。大臣も恐らくそのようにお考えだろうと思うのですが、この点について、市内料金値上げということをそう安易にやってもらっては困ると私は思います。  そこで、その辺について、どうも大臣と真藤社長と、ちょっとニュアンスが違うものですから、今の郵政大臣のお考えをちょっとここでお聞きしたいと思うわけです。
  114. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 NTT民営になりまして、NTTの社長としての真藤社長がやはり民間企業として料金の問題について考えるというのは、これは民間の企業の経営者として当然だと思います。非常に重要な仕事の一部面だと私は思います。  ただしかし、民営になっても現実は独占体制でございますので、本当に民営になって経営が合理化されているのか、それからまた適正な報酬というものが形成されているのかどうか、そういったような面については、環境はまだ独占体制である、それから社内体制はまだそういう現況をつかむことができない、そういう現況でございます。したがって、経営者としてのいろいろな考え方があるでしょうけれども、私としては、法定料金から認可料金に変化したわけでございます。したがって、その認可をする責任が私にあるわけでございますので、そういう面が環境的にも競争状態に真になっているかどうか。第二電電、あるいは日本テレコム、あるいは日本高速通信などのそういう競争会社が、ことしの秋から来年に実は稼働されるのでございまして、そういう環境が整備されてきたかどうか、それからNTTの企業としての内容が、以上述べましたような点について数字的につかむ段階にまだなっておりませんので、電話料金を市内を上げるとか上げないとか、そういうことを今言うことは適切でないし、また私もそういうことを言うべきではないということで私の考え方を申し上げた次第でございます。
  115. 松前仰

    ○松前委員 理時点ではまだそういう議論をやるような時点じゃないということ、私も思います。郵政大臣の今まで勉強されましたいろいろな内容につきまして、これからの郵政事業にぜひ大いなる貢献を果たしていただきますよう心からお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  116. 宮崎茂一

    宮崎委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  117. 宮崎茂一

    宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。山田英介君。
  118. 山田英介

    ○山田委員 私は最初に、郵便局の窓口で国債を販売することにつきまして、何点か質問したいと思います。  御案内のとおり、明治三十七年から昭和二十六年までの四十七年間の長きにわたりまして、郵政省では国債の販売を行いました実績を持っておられるわけでございます。改めましてこの際、郵政省が国債の窓口販売の再開の実現を目指す理由につきまして、概略御説明をいただきたいと存じます。
  119. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 郵便局で国債を販売することでございますが、これは山田先生承知のとおり、今後も毎年国債が大量に発行される予定である、恐らく二十兆円を超すペースでいかれるのじゃないかという状況でございまして、そのためには、国のために役立って、国民が待望する、いわばタイムリーな施策ではないかということで、私ども昨年、来年度の予算要求に重要な柱として要求した次第でございます。  郵便局で国債を販売することに伴う利点といいますか、いいところとしてはこんなことが考えられるのじゃないかということで申し上げたいと思いますが、その一つは、これは私どもデータがございまして、国民の六〇・五%が、郵便局で国債を買えるようにしてほしいという要望を出しておる。銀行あるいはそういう公社債を扱っておる窓口というのは、非常な大都会士か限定された地域では比較的容易に行ける、あるいは容易に利用できる窓口があるわけでございますが、住宅地帯でございますとかあるいは比較的商業地域でないようなところでございますと、国債を個人で買うということを思い立っても、なかなか手軽にそういうところを利用できないというような状況もございます。その点、郵便局は津々浦々いろいろなところに設けておりますので、そういった利便におこたえすることができるだろうということでございます。  それから、こういう国債を買うということが、ひいてはそれぞれ国民の健全な資産形成といいますか、今いろいろ貯金をしたり、そういう国債を買ったり、あるいは株を買ったりというようなことで金融資産を選択して自分の将来設計に倣える、そういった点で多様化したニーズがございます。それにひとつこたえる意味でも、国債は大いに利用されてしかるべきだろうということでございます。  それから、個人個人が消化しますと、これは国の方としてもいいことだと思うのですけれども、何と申しましても国債が安定的に消化できるだろうということでございます。大勢の人が、一人一人は細かくても、大量に消化できるだろうということでございます。  さらには、これは大事なことだと思うのですけれども、ちょうど優良の会社が、従業員が持ち株で自分の会社を愛する、あるいはかつて神戸市で市債を発行して、市民が市の財政というものに理解を持って、市のいろいろな施策に協力するという例があるわけでございますけれども、国の発行する債券を持つということによって、財政再建あるいは国のいろいろな施策に対しての国民のいわば実感的な理解が深まることになるのではないかということでございまして、そういった理由から、私ども国債の販売を再開いたしたいという要求を出した次第でございます。
  120. 山田英介

    ○山田委員 今局長の御答弁でも触れられておりましたけれども、六十一年度予算要求におきましてこの国債の窓口販売、窓販につきましては、大蔵大臣郵政大臣大臣折衝にまで昨年の暮れ持ち込まれたと承知をいたしております。結果的には、大蔵省はこれを認めなかったということになっております。その理由はどういうことなのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  121. 石坂匡身

    ○石坂説明員 お答えいたします。  国債が円滑に、また安定的に消化されていくことは非常に大切なことであるというふうに私ども考えております。このために、発行条件を弾力的に改定いたしますとか、あるいは国債の種類あるいは発行方式の多様化といった点でさまざまな工夫を凝らしますとともに、金融機関におきます窓販、これを五十八年の四月から実施しておるところでございまして、国債の個人消化はここのところ非常に順調に行われておるところでございます。民間のこういった金融機関等の協力によりまして、現在のところ非常に円滑に個人消化が行われているというふうな状況だものでございますから、郵便局の窓口で現在国債の窓販までやっていただく必要性はないのではないかというふうなことが一つでございます。  それから、臨調の最終答申におきましても、官業のあり方について触れられてございまして、「官業は民業を補完しつつ適切な役割を果たしていくことを基本」にすべきであるというふうな御答申がございます。郵便局で国債窓販を行うということにつきましては、こういった答申の趣旨との関係もございます。行政の効率化、簡素化というふうな問題あるいは民業との関係といった問題が多々ございまして、そういったことから六十一年度の予算においてはこれが認められなかったというふうなことであると承知しております。
  122. 山田英介

    ○山田委員 民間の金融機関におきまして、大変円滑に国債が個人消化といいますか進んでおるという御答弁でございますが、私の承知しておりますところでは、国債の全体に占める個人消化の割合、いわゆる国債の個人保有量といいますか、その割合は一〇%少々かなというふうに記憶いたしておりますが、大蔵省はその辺をどのようにつかまえておられますか。
  123. 米澤潤一

    ○米澤説明員 六十年三月末で個人保有の国債として登録されておりますものが八兆二千八百五十六億円、国債全体に占める割合では六・八%でございますが、御承知のように国債というものは有価証券でございますから、現物、無記名の本券のままで保有されておる国債が十二兆二千九百八十七億円でございます。これが残高に占める割合が大体一〇・一%ございます。これは無記名のものでございますから、個人だか法人だかわからないわけでございますけれども、この相当部分は個人の保有であろうと思われます。  日本銀行は別途統計的な手法で、ある程度推計を含めて、六十年三月末で国債、これは個人金融資産の統計でございますけれども、個人の金融資産としては十五兆六千二百五十八億円という推計をしておられます。これはその本券分についてある程度の推計をしておられるのだと思いますが、それによりますと一二・五%でございますから、先ほどの登録分と、それから本券分の大体三分の二ぐらいを足しますとそんなもので、大体本券の部分は、正確にはわかりませんけれども、当たらずといえども遠からずであろうと思われます。  ただ、これが個人の持っておる国債のすべてではございませんで、実は最近非常に多くなっておりますのは、個人が中国ファンドなどの公社債投信その他を通じまして、間接的に実質的に保有していると思われるものがございます。これもはっきりはわかりません。推計をするしかないのでございますけれども、推計してみますと大体これが六兆円前後あろうかと思われます。これを加えました実質的な個人の保有国債というのは二十一、二兆円ということで、かなりの水準に達しているのではないかというふうに思っております。
  124. 山田英介

    ○山田委員 円滑に個人の保有量が推移をしておる、こういうことでございますが、いろいろ今御説明いただきましたけれども、全体の一割、そして傾向としてはむしろ個人保有量、シェアが低下をしておるという傾向もあるのではないかというふうに私は考えております。これが国債発行残高の、例えば三割とか四割とか五割とかということで推移をしておるということであれば、円滑に推移をしておりますので郵便局の窓口で販売をしていただかなくても大丈夫だということは言えようかとも思いますが、しかし、残高に占める率が今申し上げましたように極めて少ないわけでございます。しかも、見方によればそのシェアは減少しつつあるということも言えるわけでございまして、そうなりますと、必ずしも円滑に推移しているからということにはならないだろうと私は思っております。  それとともに、官業のあり方にも触れられましたけれども、全体の一割前後ということであれば、私は、むしろ郵便局の窓口で国債の個人消化というものを拡大していくことが、形からしたら、現状からすれば、いわゆる民業を官業が補完をするということになるのではないかというふうな気がしてなりません。もう一度ちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  125. 石坂匡身

    ○石坂説明員 先ほど御答弁申し上げたところでございますけれども、臨調の最終答申におきましては、「官業は民業を補完しつつ適切な役割を果たしていくことを基本」とすべきであるというふうに書いてあるわけでございまして、郵便局が国債窓販を行うということになりますと、やはり機構、人員の膨張等を招くというふうな問題もございましょうし、また、国債と貯金商品のいろいろな組み合わせといった関係もございまして、民業とのあつれきというふうな問題も生じてくるという問題も片やあろうかと思います。そうした点から見まして、これはなかなか難しい問題であるというふうに考えておる次第でございます。
  126. 山田英介

    ○山田委員 それでは郵政省に確認をしたいと思いますけれども、仮に郵便局における国債の窓販が実現をしたと仮定をいたしまして、この国債窓販のために必要な人員というものは新規にかなり配置をしなければならないのですか、それとも、現状の体制において国債の窓口販売は可能であるのか、その点をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  127. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 郵便局が実施しようと計画しております国債販売でございますが、これは新規発行のものに一応限定しておりまして、新規発行の国債販売の事務というのは、形態的にいいますと、これは郵便貯金の受け入れとそれほど大差ないというふうに考えられます。国債の場合は保護預かり証の発行でありますとか現金の受け入れというような事務、貯金の場合は、それに相応するような貯金証書の発行でありますとかあるいは現金の受け入れ、こういう相応した事務がございますので、そういった点で、それほど大差はないだろう。それから、一局当たりの取り扱い件数もそう過大なものにならないというふうに見込まれますので、私ども、お尋ねの点につきましては、新しい仕事ですから、これに伴う職員の訓練といいますか、事務を覚えるということについての訓練をする必要は十分あろうと思いますが、事務処理の効率化を図ることなどによって、特別に要員措置をすることなく可能であるというふうに考えております。
  128. 山田英介

    ○山田委員 これはぜひ、大蔵省からきょうおいでいただいた課長さんにしっかりと踏まえておいていただきたいと思います。したがって、臨調の答申ということを繰り返し大蔵省としてはただいま御答弁で強調されたわけでございますけれども、国債の窓口販売を再開をさせても、これは機構が肥大するとか、あるいはまた人員を新たに配置をしなければならないとかということは、今の局長の答弁で明らかなように、それはないということでございますので、その点は大蔵省としてもしっかり踏まえて対応していただかなければならないというふうに私は考えます。この点は、答弁は結構でございますが、よく踏まえておいていただきたいと思います。  それから、関連をいたしまして、機構というふうにおっしゃいましたけれども、確かに事務量はふえるのだろうと思います、それは国債を販売するという新たな仕事ですから。しかし、人減らしあるいは仕事減らしというものが行革の目指す大きなことの一つであるといたしましても、私は、それが真に国民のためになり、あるいはまた国家の財政をしっかりと下支えする――毎年膨大な量の国債が発行されていくわけですから、この安定的な消化は極めて国家的な重要な課題であるということからいたしまして、窓販を実現することができれば、それは財政当局にとっても、ひいては国家の財政基盤にとっても非常に大きな支えとなるわけでございます。そういう仕事を取り入れていくということが行革に反するなどというふうには到底思えないわけでございまして、先ほどの新規の要員の配置が必要ではない、現体制でもできるということとあわせまして、この二点は大蔵におかれてはしっかりと踏まえて対応していただきたい。重ねて申し上げたいと思います。  それから、これまた大蔵にちょっと聞きたいのですけれども、先ほどもちょっと出ておりましたが、国債を郵便局の窓口で販売をすること自体が民間の金融機関を圧迫するというふうに御認識になっておられるのですか。そうでなければ、他にどういう圧迫する要因が考えられるのでしょうか。この点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  129. 杉井孝

    ○杉井説明員 お答え申し上げます。  先生承知のように、国債の消化につきましては、民間金融機関やあるいは証券会社の長年にわたる協力努力の積み重ねによって円滑に行われているところでございます。したがいまして、このように民間で対応している分野に官業が進出するということになれば、やはり民間金融機関サイドでは、それ自体を官業による民業圧迫というふうに受け取るのじゃないかと思います。  また、私どもとしても、官業が進出すれば、やはり民間部門についてかなりの影響が出るように考えているところでございます。
  130. 山田英介

    ○山田委員 極めて大まかな御答弁で、決して納得はしておりませんけれども、しかしよく考えてみてください。国が発行する国債を、国の機関の一つたる郵便局が率先して販売をする、市中消化、個人消化をしていくということは極めて当たり前のことでございまして、抽象的なといいますか、民間金融機関が脅威に感ずるとか圧迫されるのではないか、あつれきが起こるのではないかという大ざっぱなとらえ方ではもう対応できないのだろうと私は思っております。よく踏まえていただきたいことは、国が発行する国債を国の機関が販売するというのは当たり前のことですから、これは申し上げておきたいと思います。  それから、今証券会社とか銀行でシンジケート団が結成をされて、この大量の国債の引き受けをやっているわけですけれども、実際に郵便局の窓口で、六十一年度の予算要求では一兆円だけ取り扱わせていただきたいというような要求があったのですが、それすらもだめだということになったわけであります。あるいはそれが、仮に資金運用部資金が六十一年度引き受けようとしている額の五兆円であったとしても、それが郵便局の窓口で販売されたとしても、私は証券会社とか銀行とかが圧迫をされるというようなことにはならないのだろう、このように考えております。年間二十兆を超えるような、そして発行残高が百兆円を大きく超えるような状況のもとでむしろ考えなければならないことは、いかにこれを市中において一般国民の一人一人の皆様により多く保有していただくか、買っていただくかということに財政当局としては心を砕き、真剣に取り組まなければならない、このように私は思います。  先ほどるる郵政省サイドの御答弁でも出ておりましたが、新聞のアンケートなどを見ても、国民の三人に一人が国債を買いたいという結果が出ております。同じく新聞アンケートで、国民の六〇・五%、さっき局長ちょっと触れられておりましたが、郵便局や農協でも国債を買いたい、こういう国民の要望があります。山間辺地といいますか、そういうところではなかなか証券会社、銀行がないわけですから、買いたくても買うチャンスがないというようなことであってはならないと私は思います。加えて、証券会社とか銀行に行って五万円とか十万円とかの国債を買うということについて、少額であるがゆえに何となく気兼ねをして買いにくいというような声も現実にあるわけでございます。しかし、この五万円とか十万円とかいう国債をどれだけ多くの国民が買うかということが実は一番大事なことでございます。したがって、これらの国民の要望にこたえまして、郵便局での国債の販売を私は認めるべきだ、このように申し上げたいと思います。これは、大蔵省から言いただいておきましょうか。
  131. 石坂匡身

    ○石坂説明員 先生からの貴重な御意見、十分拝聴させていただきました。ただ、私ども六十一年度予算折衝におきましてとりましたスタンスは、先ほど申し上げたとおりでございます。そうした考え方でおるわけでございますが、先生の御意見も十分拝聴させていただいたというふうに御答弁をさせていただきたいと思います。
  132. 山田英介

    ○山田委員 もう一、二点この点で申し上げておきたいと思いますが、大量の国債消化を行うためには、販売機関を銀行と証券に限ることは私は危険だと思っております。現在のような国債を消化する環境が永続するという保証は、実はどこにもないわけであります。事実、昭和五十六年には三回、五十七年には一回、五十八年にも一回国債を発行することができなくなったわけです。外債に財政当局は追い込まれた、そういう歴史的な事実経過がございます。シンジケート団と金利等での折り合いがつかなかったからです。  それから、全国に約二万カ所になるのでしょうか、生活に最も身近なところに郵便局というものが配置されておるわけです。したがって、ここを活用していくことが、国債の安定的な消化につながるということも申し上げておきたいと思います。とともに、郵政省のために国債窓販を認めるのではないのです。今までるる申し上げてまいりましたように、これは国民のために窓販を認めるのだということでございますので、大蔵省におかれては、郵政省のためにそれを認めるというような考えがもしあったとすれば、それは間違いだと思います。国民のために、国民の私益あるいは福祉の増進のために、そしてまたそれは、重ねて申し上げるようですけれども、我が国の財政基盤をより強固なものにするために国債の窓販を再開をすべきである、この観点もひとつしっかりと踏まえていただきたいと思っております。  先ほど、国債消化の環境が永続する保証はどこにもないと私は申し上げました。逆に、個人消化というものをどんどん進めていくことができれば、国債消化の負担から免れることのできた民間の資金が公共事業等に投資をされていけば、折からの貿易摩擦ですよ、内需の拡大に大きくこれは貢献をすることも論をまたないという観点も踏まえていただきたいと思います。  これで国債の窓販問題につきましては終わりたいと思いますが、佐藤大臣おいででございますので、この問題に対する御所見を一言伺いたいと思います。
  133. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 六十一年度の予算編成の過程で大蔵大臣と前郵政大臣とがお話し合いになって、今大蔵省から御説明のあったような方針で、国債の窓販というものが一応見送られたことは御承知のとおりでございます。  ただ、国際の金融情勢、また国内の金融、財政の大きな動き、それからまた大口の預金金利の自由化、それに続いて起こってくる小口預金者に対する金利の自由化等、こういうことが一万九千の郵便局にひしひしと迫っているわけでございます。簡易郵便局は除いてございますが、普通郵便局と特定郵便局でそういう情勢がひしひしと迫っておる。こういう自由化の大きな影響の中で、それぞれの金融機関が自己責任というものを果たしていかなければならぬ、そういう分野が今から開けてくるわけでございます。自己責任というのは何かというと、自由化の裏腹を言えば、銀行であろうとも郵便貯金でも赤字になりますよ、ひいては倒産していきますよ、これがアメリカにおける自由化の大きなあらしてございました。そういうことを考えてみると、郵貯の責任者の一人といたしまして、そのような自己責任を果たすためには一体どうすべきかということを考えたときに、いろいろな手法というものを考えていかなくちゃならぬという中に、国債を窓口で販売させてほしい、あるいは市場金利連動型の貯金制度というもの、新しい商品というものを過渡的に考えていかなくちゃならぬ、こういう大きな流れの中にこの問題は出てきたと私は解釈いたしております。  したがって、先生の御意見の、要するに庶民大衆を当てにした唯一の国営の郵貯制度というもの、それの窓口をどのように守って庶民を守っていくかという立場からこのような問題が出てきたと思いますので、この点は引き続いて大蔵大臣とも折衝いたします。そうして、何といっても竹下大蔵大臣は国際金融あるいは財政面における大変なベテランでございますので、そういう考え方でこの問題をどのように――今先生の御意見ども入れまして、大蔵省と郵政省の事務当局が折衝を重ねている最中でございます。したがって、事務当局の方においてもプロジェクトをつくりまして、そのような問題もあわせて連日折衝を重ねているような現状であるということを御報告申し上げまして、今後慎重にこの問題について私も考えていきたい、こう思っております。
  134. 山田英介

    ○山田委員 次に、小口預貯金金利の自由化、金融の自由化と郵便貯金資金の自主運用に関しまして若干の質問をさせてもらいます。  既に小口預貯金金利自由化の検討状況という点で、臨時行政改革推進審議会の答申、昨年の七月二十二日でございますが、「小口預金金利については、預金者保護、郵便貯金とのトータルバランス等の環境整備を前提として、早急に検討を進め、大口に引き続き自由化を推進する。」とあります。それから昨年七月三十日、政府・与党対外経済対策推進本部決定で、「アクション・プログラムの骨格」の中では、「具体的諸問題について早急に検討を進め、大口に引き続き自由化を推進する。」もう一つ、昨年九月二十四日閣議決定、「当面の行政改革の具体化方策について」の中で、小口預金金利自由化の「措置予定時期」につきましては「大口に引き続き逐次」、このようにございます。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕  これは両省からちょっと伺いたいのですけれども、既に大口の預金につきましては金利の自由化が推進をされておりまして、一つのめどとして、六十二年といいますから来年の春完了予定と伺っております。今の閣議決定等の表現、中身を踏まえまして、小口の預貯金の金利自由化の措置予定時期は六十二年の春以降になるのか、それとも、それ以前にも動き出す可能性があるのでしょうか、大蔵からまず伺いたい。
  135. 杉井孝

    ○杉井説明員 お答えいたします。  預金金利の自由化につきましては、私ども前向き、主体的に推進することとしておりますが、基本的な考え方としては、信用秩序に大きな混乱をもたらさないように、漸進的にこれを進める必要があると考えておるところでございます。このため、金利の自由化につきましては、金融情勢等を総合的に勘案しながら、大口から小口へと順次段階的に推進する考えでおります。  先生指摘のように、大口預金につきましては、昭和六十二年の春までには、金利規制の緩和あるいは撤廃を実現することとしておりますし、これまたアクションプログラムにも表明したところでございますが、小口預金につきましては、大口に引き続きまして自由化を推進するということで考えておるわけでございます。そのために現在、小口預金の自由化につきましては、私どもの中で学識経験者で構成されております金融問題研究会、そこで鋭意検討を進めておるところでございますし、郵政省を初めとして関係省庁ともいろいろ意見交換をただいま行っておるところでございます。
  136. 山田英介

    ○山田委員 六十二年の春以前にも動き出す可能性はあるのでしょうか。もう一つ、金問研、金融問題研究会を一年と数カ月以前に設置をされたと承知しておりますけれども、そこで鋭意検討されております金利の自由化問題、これらについての成案はいつごろ得られるのでしょうか。その二点。
  137. 杉井孝

    ○杉井説明員 先ほど申し上げましたように、小口預金の金利自由化につきましては現在金融問題研究会で検討しておりまして、これは昨年の秋から検討を開始しておるわけでございますが、私どもといたしましては、今後の審議状況にもよりますから明確にお答えはできないのでございますが、もし可能ということになってくれば、本年の夏ごろまでに一応中間的な取りまとめをしていただけるのじゃないかと考えております。  それから、大口と小口の関係で六十二年春の関係の御質問でございますが、この点につきましては、私どもとしては、先ほどの基本的な考え方のところで申し述べましたように、金利自由化は金融情勢等を勘案しつつ大口から小口へと順次段階的にやっていく、大口の方は六十二年春までに一応の金利規制の緩和、撤廃を実現して、それに引き続き小口預金自由化を推進していくという考え方をとっているところでございます。
  138. 山田英介

    ○山田委員 私ちょっと勘違いしまして、金利の自由化をテーマにしたこの金融問題研究会は数カ月前に設置をされたということです。理財局長の諮問機関の財投研究会が一年数カ月前に設置をされた、こういうことでございまして、失礼いたしました。  いずれにしましても、極めて大きな時代の変化、流れ、動き、そしてそれにかかわる問題ですから、当然大きなテーマでございます。研究会を設置され、学識経験者の皆さんに論議をしていただくということは大事なことだと思いますが、それにしても、極めて重要なテーマにしては取り組みが非常に消極的であるという感を持つわけでございます。  それで、郵政省のお考えをちょっと聞きたいのですが、六十二年の春以前にも動き出す可能性があるのか。大蔵との兼ね合いですから難しい答弁になるかもしれませんが、それ以降になるのか、あるいは希望とか要望とかいう次元でも結構でございますが、先ほどの点につきまして言いただきたいと思います。
  139. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 小口預貯金金利の自由化といった問題につきまして、一連のオフィシャルの面でのスケジュールといいますか展望の日程という点は、今先生指摘のとおりでございまして、私ども、そういった中でこの問題について基本的に考えておりますのは、やはり金利自由化ということ、あるいは金融の自由化ということ、これは、これまでの規制金利のもと、あるいは業態間などいろいろ業務規制もありました全体の金融の枠組みが大きく変わってくるだろう、そういう重要な転機に差しかかってきているわけでございまして、その中で、金融全体の効率化でありますとかあるいは社会的な公正の確保、小口の預金者も、大口の自由化された預金金利に見合うだけの、自由化された時点での高金利というものの保証も欲しいし、それからやはり、自由化された段階でも、公的な金融面で果たしております郵便貯金役割という点から、今後とも安定的に資金調達をしていきたい。  そういったことを考えますと、先生おっしゃるまでもなく、小口預貯金金利の自由化については、郵政省として積極的にかつ的確に対応していきたい。積極的にというのはなるべく早期にということでございまして、的確にというのは、これは今大蔵省の方からもお話がありましたように、金融秩序、信用経済の問題もありますから、やはり現実に即応した視点というものも欠くことができないわけでございます。そういったところで、いろいろ大蔵省とも事務的に協議を詰めていきたいというふうに考えております。昨年九月以降、具体的な諸問題について、円滑な実施を目指して意見交換をしております。今後ともそういった協議を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  140. 山田英介

    ○山田委員 的確に金融自由化に対応してまいりたいということでございますが、確かにもう小口預貯金金利の自由化は、やる、やらないという段階はとうに過ぎまして、いっその実施時期を迎えるか、目前に迫っていることだと言えると思います。したがいまして、自由化に対応する上での問題点を今こそ整理をし、検討をし、そしてまた解決を図り、その条件を整備しなければならない時期に来ている、こう言わざるを得ません。  金融の自由化あるいは小口金利の自由化というものを考えましたときに、表裏一体の関係で、やはり郵便貯金資金の運用のあり方が極めて重要になってまいります。御案内のとおりでありますが、郵便貯金資金は、資金運用部資金法第二条によりまして、現状ではその全額が資金運用部資金への預託が義務づけられておるわけでございます。この自由化を踏まえて、いわゆる市場で金融的に調達をされた、利子をつけて調達をされた有償の郵貯資金というのが、今日百兆円を超えるようなそういう時代に入ってきた。したがって、百兆円を超えるような郵貯資金が、資金運用部資金法の規定の中で低位に決められた法定利率のままで置かれているということは、これは、いわゆる金融市場から全く隔絶、隔離をされた形で運用されているということにほかならないわけでございまして、これは極めて不自然な形であり、公的金融全体の姿としてもあるべき姿ではない、このように考えられます。  そこで、六十一年度の予算折衝で、市場金利による資金運用制度の創設を郵政省が大蔵省に要求をいたしました。その規模三兆五千億円、これを大蔵省は認めることがなかったわけでございます。その理由につきましてこの際明らかにしていただきたいと思います。
  141. 石坂匡身

    ○石坂説明員 お答え申し上げます。  六十一年度の予算要求といたしまして、郵政省から三兆五千億円の自主運用の要求が出されたことは御指摘のとおりでございます。  ただ、私どもは、郵便貯金資金等の風の制度、信用を通じて集められました資金といいますものは、公共目的のために、財政金融政策との整合性を図りながら、できるだけ有効かつ整合的に運用されるべきであるというふうに考えております。そのためにはこの統合運用が最も望ましい姿であるというふうに考えておるところでございまして、そうした考え方から要求を認めなかったところでございます。  臨調答申におきましても、財投の原資となる郵便貯金等については、「それぞれに有利運用の要請があるが、運用面では資源の適正な配分等公共性の要請が優先するもの、と考えられており、現在、これを原資から運用を通じた一つのシステムとして調和を図っているのが資金運用部である。」郵便貯金等の公共的な性格を有する資金をできるだけ有効かつ整合的に配分するためには、現在の資金運用部による統合運用を維持すべきであるという答申をいただいております。また、その後行革審でも同様の御意見をいただいているところでございまして、そうした御意見を踏まえ、また私ども財政当局といたしまして、統合運用という仕組みが、現在の財政投融資を、内需振興でございますとか中小企業対策でございますとか、農林漁業対策あるいは経済協力、地方財政、そういった公共目的のために活用していくための一番望ましい姿ではないかというふうに考えておるというところでございます。
  142. 山田英介

    ○山田委員 臨調並びに行革審の答申なり意見でございますが、私はその考え方に反対でございます。  それは、財政投融資あるいはまた資金運用部資金の統合運用というものが極めて時代の要請に適合した形で展開をされておるということであれば、あなたのおっしゃるとおりだと思います。ただしかし、後ほど触れたいと思いますけれども、これはもう周知の事実です。郵便貯金の運用のあり方は、臨調や行革審の答申、意見ではそうなっているけれども、一方においては、郵貯の運用のあり方、それから、資金運用部資金の統合運用のあり方、財政投融資そのもののあり方、この見直しというものが今また強く迫られているということも事実でございます。したがいまして、この一元的なといいますか、統合管理の運用が最もすぐれていると申しましたか、最も有効な運用の方法であると御答弁がありましたけれども、それは極めてへんぱな、偏った見方である、私はこのように思っております。  それで、これはもうどう考えても、財投機関の使い残し、不用額というのがこれまた大変国民的な関心を呼び、そしてその問題点が指摘をされているのは御案内のとおりでございます。今私は資料をちょっとここへ持ってきておりますけれども、これはもうどうなっているのかという感じですね。それは、決して今の資金運用部資金の統合運用が唯一有効な運用のあり方だなんて言えないですよ。  ちょっと念のためにポイントだけ指摘をさせていただきますけれども、五十九年度の財政投融資計画の当初計画は、全体規模は二十一兆一千六十六億円で組まれました。ところが、未消化額四兆九千百六十四億円、二三・三%、約四分の一が未消化額ということになっております。その中で、繰越額は別といたしまして、不用額、これは使わないで済む部分を、要するに不用ですからまた資金運用部に戻さなきゃならないという、これが当初計画全体の六・四%、実に一兆三千四百六十四億円も不用額。これをそのまま回せるわけはありませんけれども、六十一年度の野党四党の予算共同修正案の中の所得税減税の規模が一兆一千億余りですから、それを上回るような規模の財投機関の使い残し、しかもその中でも、不用額という形でこれだけ出てきているわけでございます。  それから、先日注意して見ておりましたら、二月十日、これは各紙に一斉に載った部分ですけれども、財投機関たる十二の政府系金融機関の六十年度における投融資が、昨年の四月から十二月までの間で財投計画のわずか四五%しか運用を実施されておらない、運用実績が半分以下だ、あと一、二、三、この三カ月で五五%もの資金を残しておる、こういうようなことが今各方面から指摘をされておるわけでございます。したがって、現状のままの資金運用部資金の統合運用あるいは財投のあり方、決してこれは最高の運用の方法ではないということはもう明らかでございます。日本輸出入銀行などは未消化額が五千二百三十億もあるのですね。うち当初計画に対する未消化割合、不用額の割合が五一・八%ですよ。これはどう考えても今の財投のあり方が、郵便貯金も厚生年金国民年金簡保の資金も全部集めておいて統合運用して、そしてこのように半分も不用だというような、財投機関に対する配分、増分主義といいますか、これはもう明らかに破綻してきているのですね。  それから中小企業金融公庫も、未消化額が五十九年度で三千百億円、それで対当初計画の未消化割合というのが一八・四%。こうなってくると、現実には円高・ドル安の中で中小企業というのは輸出関連は特に厳しい状況に置かれておる。しかし、この中小企業の底上げ、支えを目的とする中小企業金融公庫が三千百億円も残しておる。僕はそっちの角度から今度は心配になってまいりますね。いずれにしても、これは財投のあるいは資金運用部資金の統合運用の限界がはっきりと出てきておる。したがって、先ほどの課長さんの答弁は正しくないと私は思いますので、その辺もひとつしっかりと、金融の自由化がそこまで来ておるのですから、小口預貯金にまで迫っておるのですから、財政当局の大蔵省さんがそのような御認識であってはならないと思いますし、そのような対応であっては極めて遺憾でございます。  それから、切りがありませんのでこの程度にいたしますが、先ほどちょっと触れましたけれども、今年度もそうですし六十一年度もさようでございます、資金運用部資金で五兆円もの国債を引き受けるということになっているわけですね。引き受けたし、引き受けようとしているわけですが、これはよく考えてみると大変おかしいと思いますね。国債の発行主体である財政当局が引き受け主体と同一なわけですね。財政当局が国債を発行する、資金運用部資金統合管理運用だということで財政当局が動かしておる。財政法の第五条、すべて公債の発行については日本銀行にこれを引き受けさせてはならない。これは要するに安易な国債発行につながるということに対する強力な歯どめの一つになっておるわけです。したがって、国が、財政当局が発行する国債を財政当局が引き受ける。しかし、その原資になっておるのは、要するに郵便貯金事業とか厚生、国民年金保険とか、こういう事業の目的のために集めた資金が主体になっておるわけですね。  これは非常に安易な国債発行につながるおそれがあるという点とともに、一番最初に戻りますけれども、それだったら何で国の機関たる郵便局に窓口販売を認めないのか、こういうことになるわけですよ。しかも郵政省の方では、私たちからいえば二兆でも五兆でもぜひ要求してもらいたいという気持ちがあるのですが、一兆円ということで昨年度予算要求をやったわけでしょう。そしたら五兆円も売らせればいいじゃないですか、五兆円売ってもらえば。その点がどう考えてもおかしいのですよ。それを、財投資金でもって引き受ける、資金運用部資金で引き受ける、だけれどもその原資の中心になっている郵便貯金、そしてその郵便局に国債の窓口販売はさせぬ、これは筋が通りません。しかも、みずから発行してみずからが、言っては失礼ですけれども、他の人たちが集めてきたその資金を使ってみずからが引き受けるという、引き受けるところだけ前面に出てこられるというのは、これはどう考えても私は理解できませんし、納得できません。  問題はもう、五年も十年も先の話を申し上げているわけじゃないわけです。大口の預貯金の金利の自由化というものは来年の春ですもの、もうあと一年ですよ。しかも、小口の預貯金についても大口に引き続いてと、閣議決定もされておるし、行革審でも出ておるしというような状況の中で、少なくとも今日までのような取り組み方あるいはお考えのなさり方というのでは、それじゃ対応できない。この点についてだけ、この問題の大蔵省の締めくくりの御答弁としてちょうだいしたいと思います。五兆円を運用部資金で引き受ける、だけれども郵便局の窓口では国債販売は一兆円だってやらせない。どういうことですか、一言御答弁ください。
  143. 米澤潤一

    ○米澤説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の問題は、実は二つの側面があろうかと思います。一つは、国債の発行あるいは国債の消化という観点であろうかと思いまして、先ほど先生が日銀引き受けの例を引用なさいましたけれども、市場メカニズムというものを通じない国債の消化が行われることによって、つまり発行主体と引き受け主体とが同じであるということによって、国債発行の市中消化の歯どめがなくなるのではないかという御趣旨かと思います。  その国債の発行サイドの点から申し上げますと、まず資金の性格から申し上げまして、資金運用部の資金は、さらにそのもとをたどりますれば郵便貯金など国民の貯蓄をもとにしたものでございますから、まず日銀引き受けのインフレマネーといったものとは根本的にその経済的な性格を異にしているという点については御異存のないところだろうと思います。さはさりながら、主体が同じだから、マーケットメカニズムが働かないで国債発行の歯どめが失われるのではないかという点につきましては、それは確かに恣意的な引き受けが行われていれば御心配のとおりであろうと思いますが、これは、資金運用部によります国債の引き受けが始まりました昭和四十年度の補正予算以来、その条件は市場の実勢に即しまして、市中の金融原則に従って決定されますところのシ団引き受けの国債の発行条件と全く同じ条件によるということによっております。したがいまして、それは市場メカニズムによって決定されました条件をそのまま使っているということで、その恣意的な国債の発行、引き受けというものが一切入る余地のない仕組みとなっております。  それから、わかったと、条件はそういうことだけれども、では量はどうかねという御心配かと思いますが、その量につきましては、特別会計の予算総則二十条におきまして、いわゆる長期運用の予定額の議決としての議決をいただいているところでございます。したがって、発行サイドの面から見まして、発行体と引き受け主体が同じ――それはもちろん、発行する立場の大蔵大臣と資金運用部を管理している立場の大蔵大臣とは人格が違うのだろうと思いますけれども、それが同じ大蔵大臣であるからといって、国債の発行が乱に流れるといった御心配は、その意味制度的にないものと思っております。  しからば、今度はその運用の問題として、資金運用部に預託している各公的資金が直接に国債を引き受ける、ないしは引き受けて販売するという形が効率がいいのか、それとも資金運用部に、国の制度、信用を背景とする資金がすべて統合的に集中されて、そこで一元的に運用される方が効率がいいのか、その資金の運用の政策的な効率という点でどちらがいいかという問題につきましては、これは先ほど担当の方から答弁いたしました一元運用の問題かと思います。  お尋ねの点はその二つの側面かと思いますけれども、そのどちらの側面から申しましても、現在の資金運用部による国債の引き受けというのは合理的、かつ国債の消化の面から見ますと非常に理想的な制度ではないかというふうに思っております。
  144. 山田英介

    ○山田委員 御答弁ですが、私は納得をいたしておりません。私は、そういう御答弁が出れば、やめようかとも思ったのですけれども、資金運用部資金法の第八条、資金運用審議会というのがある。これはいずれかの機会に僕は質問させてもらいます。これは大変な問題ですよ。この審議会、機能してないですよ。しかも、資金法九条に、「重要事項を調査審議する。」この財投の資金運用部資金の統合運用のあり方とか、これはもうすぐれて資金運用に関する重要事項ですよ、これに対する調査審議をやっていますか。やらせていますか。この問題は別の機会にやらせていただきます。大蔵省、結構でございます。御苦労さんでした。  最後に、KDDの方にもおいでいただいているわけでございますが、あと五分ほどしかありませんが、私、四つほど質問を用意してあるのです。何とかやりとりで、あと五分の中でおさめられるよう御協力いただきたいと思います。  一つは、KDDの六十年度の収支状況及び六十一年度の収支見通し、これについて御報告をいただきたいと思います。
  145. 尾畑芳郎

    ○尾畑参考人 お答え申し上げます。  国際電信電話株式会社の六十年度の収支の実績見込みにつきましては、端数を省かせていただきますけれども、売上高二千百八十億円、経常利益は三百二十四億円、税引き利益百六十五億円を予定しております。これは、昭和六十年、昨年の四月一日に二百四億、値下げ率約九・五%の料金値下げを実は実施いたしましたので、以上の数値を結果といたしまして、そのもう一年前の五十九年度と比較いたしますと、六十年度、本年度の売上高は約三%の微増でございまして、経常利益は逆に約二五%、税引き利益は約一九%と、ともに減少する見込みでございます。  次に、六十一年度、次年度の見通してございますけれども、収支につきましては、昨今の経済情勢が厳しくなっておりますので、不透明な要因も踏まえまして厳しい数字でいろいろ計算いたしておるのでございますが、売上高は二千四百五十六億円、前年度比約一二%増、経常利益四百十七億円、約二八%増、税引き利益は百八十二億円、約一〇%増という見込みが得られるのではないかと思っております。  以上のとおりでございます。
  146. 山田英介

    ○山田委員 ごく最近の新聞報道によりますと、KDDの石井社長が先月の二十七日に、この秋、八%程度、国際電話や国際間のテレックスの料金を値下げするという発言をしたとされておりますけれども、この点はどうなのか、そして値下げの実施時期について、この秋ということのようでございますが、これは何月のことか、最近の国民の国際電話等の利用の普及にかんがみて、いま少し値下げを繰り上げて実施ということは全く不可能なのか、この点について言いただきたいと思います。
  147. 尾畑芳郎

    ○尾畑参考人 最初に、当社の社長が述べました国際通信値下げの見通しについての点でございますが、御指摘のとおり、国際通信料金につきましては、先生も御承知のように、昭和五十四年度以来、可能な限り機会をとらえまして値下げを実施してまいったわけでございますが、さらに将来に向かいましても、可能な限り低廉な料金でサービスを提供できるよう努めてまいりたい、こういうことで、経営の許す範囲内におきまして、我々一同できる限りの努力を今結集しているところでございます。  次年度の中におきまして、我々としては相当額の値下げをすべきだという決意を持って社長も述べたわけでございます。ただ、その具体的な値下げ幅や時期につきましては、率直に申し上げまして、まず本年度の決算の状況、これがやはり四月末ないし五月にならないと正確な数がつかめない。さらに、次年度の収支状況というただ単に数字だけの問題ではございませんで、最近におきます国際電話あるいはテレックス、まあ電報はこの何年間か、非常に下回った数しか利用がないわけでございますけれども、こういう各サービス業態の変動が現在いろいろありまして、将来への需要の動向のつかみがなかなか困難なのでございます。それで、そういう問題を見ながら、六十一年度の収支状況を結論として申し上げますと、実績から見て、先ほど申し上げました数字に本当に近寄り得るのかどうか、そういう点をある程度確信の持てる段階でこの値下げを実施させていただきたい、そういうことでございます。新聞にも出ましたように、値下げ率で見まして平均約八%、総額平年度で約二百億程度といいますものをやっていくという決意で今やっておるわけでございます。  今、日時の問題で御指摘がございましたけれども、できるだけ早くしたいという努力は我々として重ねたいと思いますが、一応本年秋ごろという見当と申しますか目標と申しますか、このあたりを確実に果たしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  148. 山田英介

    ○山田委員 最後になりますが、経営側の考え方、今それ以上は踏み込んだ御答弁は無理だろうと思います。  国際電話料金等の認可権は郵政大臣が持っておられるわけでございますので、最後に大臣、そういう大きな利用の流れもあるわけでございます、国民が期待をしておるということも事実でございます、認可をする権限を持たれた佐藤郵政大臣から、ぜひできるだけ早い時期に値下げの御決定をいただきたい、このように存じますが、最後に大臣から一言御答弁をいただきまして、質問を終わらせていただきます。
  149. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 山田先生から、国際交流を非常に活発化しなくちゃならぬこの時期に国際料金の値下げをやれ、こういう御意見は、私、国民から見て、非常に感謝する御意見だと思います。  先般、二十七日にKDDの社長が参りまして、国際電話料金を下げる方針のために投資は十分やっていく、新しい技術改革をやっていく、こういうことでどうだねと尋ねましたところが、企業としてもぜひそれをやりたい、そしてこの秋できるだけ早くやりたい、こういう意見が出てまいりました。そこで、この事業の計画については先般受け取りましたので、事務当局でも早急に検討を始めまして、一カ月以内に認可をしていきたいな、こういうようなつもりで作業を進めております。貴重な御意見ありがとうございました。
  150. 山田英介

    ○山田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  151. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 永江一仁君。
  152. 永江一仁

    永江委員 それでは、二、三の点につきまして御質問させていただきます。  午前中、阿部先生からも若干触れられておりましたけれども郵政行政の一番国民に身近な郵便事業につきましてお尋ねいたしたいと思います。  午前中も若干御答弁ありましたが、五十九年度の決算では百十四億円の黒字が出た。予算では百五十五億の赤の予定が百十四億の黒字が出たということはまことに御同慶の至りなのでございますけれども、このように予算と決算が、それはいい方に狂ったわけでございますから文句を言うあれはございませんけれども、これほどの違いが出たという最大の理由は何か、お答えいただきたいと思います。
  153. 成川富彦

    ○成川政府委員 先生今お話がございましたように、予算上では百五十五億円の欠損を見込んでおりました。決算では百十四億円の利益となったわけでございますが、利益が出た主な理由を申し上げますと、収益が予定に比べまして全体で三十五億円上回りました。それと、支出の方で全般的に経費の節減に努めました結果、費用全体で二百二十四億円、支出を費用が下回ることができた。合計いたしまして二百六十九億円好転いたしました結果、百十四億円の黒字となったというところでございます。
  154. 永江一仁

    永江委員 費用が二百三十四億円も少なく済んだということ、数字はそのとおりで、そのことは結構なんですけれども、余りにも大きいような気がするのです。それはかなり合理化をしたということでしょうけれども、特にどういう点に努力されたのか。少し将来の郵便事業の予算のあり方につきましても考えたいと思いますので、特にどういう点でそういった合理化が進んだのか、お答えいただきたいと思います。
  155. 成川富彦

    ○成川政府委員 端的に申し上げますと、仲裁裁定の実施等で予算外の経費が必要だったわけでございますけれども、それにつきまして経費の節減で賄うことができました。予備費二百億円ございますが、予備費に手をつけずに済んだということでございます。
  156. 永江一仁

    永江委員 それで、けさの御答弁にもありましたけれども、六十年度の見通し、予算額においては三百五十五億円の赤字になっておりますけれども、これは実際はどの程度に縮まりそうでございますか。
  157. 成川富彦

    ○成川政府委員 今全国的な規模で予算執行中でございますので、現時点におきましてはっきりした見通しを申し上げられる段階ではございませんが、一月末時点で郵便業務収入が予定を約一%ぐらい上回っているような状況でございます。これも職員一人一人が、ふるさと小包を初めとして営業努力をした結果でございますが、同時に経費の節減につきましても、従来と同様に努めているところでございます。そういうことからいたしますと、三百五十五億円の欠損は相当減少させることができるのではないかと思いますが、どのくらいという数字は、現時点では申し上げられる段階ではございません。お許しいただきたいと思います。(永江委員「まだわからない、言えない」と呼ぶ)今のところ減るということは申し上げられるのですが、どの程度まで減るということまでは申し上げられる段階ではございませんので……。
  158. 永江一仁

    永江委員 そうすると、次の質問も若干しにくくなるのですが、六十一年度の予算では四百三十三億円の赤字を見込んでおるわけですけれども、昨年このようにトータルして二百六十九億円も実際予算よりも事情が好転をしたというこの傾向からいうと、ことしの、六十年度の数字がはっきり言えないということですからなかなか詰めて御質問しにくいのですが、六十一年度は四百三十三億円という赤字を見込んでおりますけれども、どんなものですか。これももっと圧縮できるというふうに思うのですけれども、いかがですか。
  159. 成川富彦

    ○成川政府委員 先生指摘のように、六十一年度四百三十三億円の赤字を見込んでおりますが、これをできるだけ少なくしていきたいということで努力していかなければならぬと思っております。現時点、六十一年度予算は始まっておりませんで、ベアがどれくらいになるか、あるいは収入がどれくらいふえていくか、郵便需要がどれくらいふえていくかというようなことを今的確に見通すことはできないわけでございますので、どの程度圧縮できるかというようなことは申し上げられませんが、できるだけ営業努力をすると同時に、経費の節減といいますか、事業運営の効率化、合理化に努めて赤字幅を小さくしていきたいというふうに思っておるところでございます。
  160. 永江一仁

    永江委員 私がこうやって五十九年、六十年、六十一年について少し事細かく質問いたしますのは、郵便事業の損益計算をずっと見ますと、五十六年に例の郵便料金を値上げして、それまでの累積赤字二千四百九十億円を一千三百二十億円に減らした。それから、とにかく年々累積赤字を減らしてきて、五十九年には八十七億にまでなったわけですね。本来ならばこれでずっとゼロまでいってくれればいいのですけれども、これを見ますと、六十年度、六十一年度とまだ赤字がふえていきつつある。五十九年から六十年は、そういう意味での郵便事業の損益の分岐点に来ているわけなんです。従来から赤字がそこでまたたまれば郵便料金値上げ、これの繰り返しの中でいろいろ国民の批判も強いわけでありまして、そういう意味ではいろいろな合理化あるいは郵便量をふやす努力郵政省なりにかなり努力をされて、ことしまで入れますとこれで五年間郵便料金据え置きで来ているわけですけれども、どうもこの傾向は、グラフでいくとまた二、三年後には郵便料金の大幅値上げになるのではないかという心配が大変あるわけです。ですから、せっかく五十九年、ここまで黒字で来ておるので、六十年に赤字に転ずる――先ほどのお話では、三百五十五億というような赤字にはならないだろうということであります。しかしながら、今日のはっきりした数字はお答えできないと言いますけれども、それでは仮に、もう少し端的に言えば、黒字になりますか赤字になりますか。それだけでもお答えいただきたいと思います。
  161. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほどの答弁の繰り返しになって恐縮でございますけれども、現在全国的な規模での予算を執行中でございまして、計数をまだ十分に把握している段階ではございません。そういうことからいたしまして、現時点におきまして、赤字になるか黒字になるかということも申し上げられない状況でございます。
  162. 永江一仁

    永江委員 六十年度ということはこの三月三十一日ですからね。この時点で、私はこの予算では三百五十五億の赤になるはずだ、これがどうなるかということの具体的なお答えはできないということでは、納得はある程度したんですけれども、しかし、事ここの時点に至って、去年まではあの五十六年の郵便料金値上げ以来ずっと一貫して黒字で来たわけですね。これがことし赤字に転落するのか、依然として少しであろうが黒字でとどまるのか、大変重要な時期に来ておると思うのですね。そして、しかもきょうはもう三月の五日ですからね。少なくとも赤か黒かという、これもわからぬというのは、微妙な、とんとんぐらいだという意味なのか、それは何か意味があるのですか。なかなかはっきり赤か黒か言いがたいということは、非常に微妙なところへ来ておるという意味ですか。予算では三百五十五億もの赤字だから、いやそれがおかげで百億ぐらいの赤字になりますとかいうならまだわかるのですけれどもね。あるいはもう非常にとんとんに来ておるのか。そのあたり、どうなんでしょうか。
  163. 成川富彦

    ○成川政府委員 今お尋ねのそれらを含めまして、微妙かどうかというようなことではなくて、計数的に減るということは言えるのですけれども、赤字がどの程度減るか、あるいはそれが大幅に減って黒字になるかというようなところまで言える段階ではないということでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、収入面で一月末での数字を申し上げますと、前年対比で四・六%ぐらいの収入増でございまして、一月末時点における予定収入に対しまして百億円程度上回っている状況にございます。その分が丸々減らせるかどうかわかりませんが、そういうことからいたしますと、三百五十五億円という赤字幅は減らすことができるのじゃないかということは、現時点で言える状況でございます。
  164. 永江一仁

    永江委員 私は余り複雑に考えようとは思ってないのですけれども、今お話しのように、予算では三百五十五億の赤字のはずが、一月段階では百億ほど収入が多いということは、単純に計算すれば赤字が、三百五十五億が二百五十五億ぐらいにおさまりそうだという理解でいいのでしょう。そうすると、少なくとももうこの時点で赤字か黒字かぐらいはわかると私は思うのですけれども、しつこいですかね、どうしてこれはわからないのですかね。ちょっと理解に苦しむのですが、いかがですか。
  165. 成川富彦

    ○成川政府委員 たびたび先生を煩わして申しわけございませんが、収入の面では、先ほど申し上げましたように順調に推移しております。けれども、経費の節減の方につきましては、計数が、全国的な規模で事業をやっておりますので、その集計にかなり手間取るところがございまして、そういった意味合いにおきまして、かなり減らせるとは思うのですが、赤字か黒字かというところまで申し上げられない状況でございます。
  166. 永江一仁

    永江委員 これ以上押し問答はやめますが、どうも今のやりとりを私自身が聞いておりましても、民間企業ならこれは大問題のところなんですね。今までは黒字で来た、ことしは赤字になるか、それが、少なくとも一番の責任者たる部長がなかなか答えられないというのは、何かよほど意味があるのか、あるいは本当にわからないということになれば、これはまた大問題だという気が私はするのですね。大臣、うなずいてお聞きいただいておるから、大臣はおわかりいただいておるような気がするのですけれども、実際問題ここで、今のお話ではどうもことしから赤字になるような答弁に聞こえるのですね、今までの傾向からいって。     〔関谷委員長代理退席、畑委員長代理着席〕 しかしながら、五十六年以来四年間黒字であったものが、この六十年度で赤字になるということは、これはやはり深刻に損益、事業のあり方というものを一つの分岐点として考えなければいかぬと思うのです。  同時に、非常に大きいずうたいであるというゆえんかもわかりませんが、少なくとも民間企業ならば、やはり毎月毎月の損益というものがきちっとわかってきておって、この三月三十一日で六十年度の分の一つのけじめがつくということであるならば、少なくとも昭和六十一年の二月末までの、企業でいうならば企業の損益がどうなっておるかということは、赤か黒か、細かい計数まではわからなくても、わかっておるのが普通じゃないかと私は思うのですね。そういうことがわからないということであると、これはやはり郵政事業が非常に野方図というか、何かきめ細かい面での営業という視点からこういったものを押さえていないんじゃないかという非常な心配をかえってするわけでございますけれども大臣、いかがですかね。
  167. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 私は、二カ月たちまして、今先生の言われる点を一番注目いたしました。郵便事業で黒字になっていくのか赤字に転落していくのか、そういうところにやはり一番関心を持ったというのが、昭和四十年だったと思いますが、四十年のときに国鉄の小包が駅離れを始めた。そのときは実は軽易に考えておったのでございます。ところが、それが契機でだんだんと赤字になって、現在の民営・分割という方向で再生をしようということになった経験があります。  そこで、累積赤字が郵便関係ではだんだんと減っておる。ただしかし六十年を限度にして、そういう先生の御指摘も一番注目するところでございましたが、私が非常に、ああこれならやっていけるなという自信を持ったのは、例えば郵便小包に対して職場第一線皆さん方が、ふるさと郵便で圧倒的に郵便局でひとつその地域の産業と結びつこうという運動を始めたこと。それから、切手の取扱所が全国に四万軒ございますが、そこでも小包を扱おうじゃないか。ですから、合わせて二万三千の郵便局と四万の、六万数千の扱い所でもって皆さん方の小包を扱って、郵便局で利益を上げていこう、こういう運動が始まったこと。  こういうようなことを見たり、それから、年間の手紙の取扱量が百七十億通というのですか、それが今度は第一線の、これは例になりますけれども、例えば青森県の郵便局長さんが山下泰裕さんの奥さんになる人に、あなたの文わざが寝わざに勝ちましたね、郵便局としてお礼を申し上げます、という手紙を出している。その手紙を私はいただきました。あるいは壱岐、対馬の郵便局第一線職員が、郵便と小包をスピードアップさせたいというので、航空便と船便をふやしてくれという運動が始まりまして、それから、一昨日ですか、名古屋の飛行場から四国の高松と松山ですか、それから新潟あるいは北海道に航空便で送ろうということのセレモニーがあったように聞いておりまして、それだけで半日縮まるのだそうでございます。そういったような第一線職員の大変な努力というものに期待をかけまして、私は赤字がだんだんと累積していくというものではなくして、それが減っていく傾向にあるな、こういう見通しを立てておることを私として先生に御報告申し上げまして、請う御期待をひとつお願い申し上げたい、こう思っておるわけでございます。
  168. 永江一仁

    永江委員 大臣のお話を聞いておると何となく安心するのですけれども、数字というものがずっと減ってきて、五十九年までは黒字であった。これは確かな話。そこで私はしつこいように、この六十年は大丈夫かということをお聞きしておるのですけれども、予算では三百五十五億の赤字になっておるわけなんです。今のところ百億ほどふえたと言うけれども、しかしそれは単純に言ってもまだ二百五十五億の赤字になるというおそれが、もう予算のときからことしは出ておった、六十年度は出ておったわけです。しかし、今大臣がそれだけ明るい希望的なお話をしていただいたわけですから、それはそれで私は信頼して、それはまことに結構なことだ。現実に昨年も百五十五億の赤字になるという予算が百十四億の黒字になったわけですから、そういうことには期待を持って受けとめさしていただきますが、どうもだんだんとやはり――これはもちろん人件費も上がりますから。郵政事業というものは人件費の占める割合が非常に高いという宿命を持っておりますから、なかなか合理化にも限界があると思います。  しかしながら、せっかくこれだけ累積赤字を減らしながら、二千四百九十四億もあった累積赤字が八十七億まで来て、ここでまた赤字に転ずるということになると、いずれ数年後には郵便料金値上げにまた到達するんじゃないかという非常な心配、危惧を持っておるわけなんです。そういう意味で今の大臣のお答えを受けとめさしていただきますが、少なくともあと一年、二年郵便料金の値上げということは全く出てこない、こう信頼してよろしいですね。
  169. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 郵便料金の値上げでこの問題を片づけるということは極力すべきでない、こういうぐあいに基本的に私は考えております。社会的ないろいろな影響、国民生活に影響のある問題でございますから、そういう基本的な考え方でやっていきたい、こういうぐあいに思っております。
  170. 永江一仁

    永江委員 それでは次に、昨年の二月一日から県内翌日配達というのを実施をしたわけですが、昨年もこのことについて質問した記憶がございますが、せっかく県内翌日配達体制をとった途端にあの大雪で、実際はその予定どおりいかなかったわけでございますけれども、約一年たちまして、この体制というものはどのように推移しておるのか、お答えいただきたいと思います。
  171. 小宮和夫

    ○小宮説明員 ただいま先生お話しのとおり、五十九年二月から同一県内の翌日配達、そしてその周辺につきましてもできる限り翌日配達というシステムを考えまして、いろいろのシステムを確立したところでございます。制度を大きく変えましたので、過渡的にはいろいろございましたが、現在はおおむね全国的にこれも定着いたしまして、私どもの意図した翌配体制、ほぼ順調にいっていると考えております。  ただ、先生のお耳にも入ることがあろうかと思いますが、何せ全国五千五百ほどの集配局もございますので、あるいは時期によっては配達がおくれるというようなことでおしかりをこうむることもございますけれども、以前の状況と比べましたときに、おおむね順調に推移してきているというふうに考えているところでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  172. 永江一仁

    永江委員 それでは、この郵便事業のことにつきまして、最後に一点だけ、地元のことでまことに恐縮なんですが、神戸市の北区に淡河町というところがあるのですけれども、そこの郵便番号、神戸市内は大体六五幾つ、こうなるのですが、ここだけが六七三-〇六ということで、これはどうしてこうなったのかわからないのですけれども、姫路局管内という郵便番号に、神戸の市内でありながら一部だけそうなっておる。そのために速達が一日おくれて行くということで、最近神戸の市議会でも陳情が出ておるのでございますけれども、こういうような郵便番号、一遍決めたのはなかなか変えられないのですか。やはりこういうのは、不都合な点は合理的に変えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  173. 小宮和夫

    ○小宮説明員 神戸市の北区の方の実態、先生のおっしゃるとおりの状況が今でも実は残っております。  御承知かと思いますが、昭和四十三年に郵便番号制をつくりましたときの道路事情と申しますか、そういったようなことで、この淡河町でございますか、これは姫路の方から回っていかざるを得ないということで、当時そういう郵便番号をつくりました。ただ、現在はその神戸の北の方の道路状況が実は変わっておりまして、郵便の線路も神戸地方からのも一便引いてあるとか、それなりの改善はしてございますが、基本的には先生のお話のような郵便番号の変更がございませんと、姫路経由の郵便ができることは事実でございます。  ただ、同一府県内でございますので、一般的には翌日配達ということは確保されておるわけでございますが、一部の速達であるとか、出された時間によっておくれるというようなことも、システム的にも予想されますので、結論的には、郵便番号も神戸の区域の方に変えた方がよろしいのではないかということを現在近畿郵政局でも考えておるようでございますし、相談をして、また地元の方には、郵便番号を変えるということはそれなりの一時的な負担もございますが、この辺は御了解を得ながら前向きに考えていきたい。現在そのような考えを持っておるところでございます。
  174. 永江一仁

    永江委員 一応地元の市議会でもそういった陳情を採択しておるようでございますし、最初決めたときの道路状況がそんなに、どう考えても神戸市内と姫路が近いとはちょっと考えられないのですけれども、それは最初のときのことでございますからあれですが、地元の住民からの要望でございますので、そういった変更も含めてぜひ御配慮いただきたいと思います。  次に、いわゆるNTTの現状、あるいは競争原理の導入という点について質問をしたいと思います。  私は、NTTはもう民営化されましたので、なるべく国会に呼び出すということは御遠慮したいと思っておりまして、これは一応監督官庁である郵政省にお聞きするのでございますが、NTT民営化された一年後の現状を、郵政省としてはどのように評価しておられるのか、まずお尋ねいたします。
  175. 澤田茂生

    澤田政府委員 昨年の四月一日にNTTが経営形態を変更したわけでございますが、それ以来、まず社内組織は、サービス別あるいは地域別の事業本部制というものをとっておる。また、企業意識の高揚あるいはその定着というものを図るためのいろいろの施策を行って、民営化の目的でございます経営の一層の合理化、効率化というものに努めているというふうに私どもも見ているところでございます。  財務の状況につきましても、さきの中間決算を踏まえた今年度の収支の中期見通してございますが、これによりましても、当初の事業計画を九百億円上回っておりまして、二千九百二十億円という経常利益というものを計上するということでございまして、この面からもおおむね順調に推移しているのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。  一方、電気通信の先端分野についての投資、いわゆる子会社をつくっておるというようなこともございます。それにつきましても、関係業界からいろいろな意見も出ておるということもございます。また、端末機の販売につきましても、関係業界から一部の行き過ぎについて自制を求める声というようなものも反面出ているということもございます。  私どもといたしましては、NTTが今回の制度改革の趣旨であります公正にして有効な競争状態の実現に留意をいたしまして、また、特殊会社でございますNTTの公共的使命というものも十分認識をして、関係業界との関係におきましても調和を図る、あるいは十分話し合いをしながらというようなこと、経営の効率化にさらに一層努めるというようなことで、何といいましても我が国における電気通信の基幹としての事業者でございますので、国民、利用者に対しましてもより一層の低廉かつ良質なサービスが提供できるように、努力をしてもらいたいというふうに期待をいたしておるところでございます。
  176. 永江一仁

    永江委員 ところでNTTは、今お答えあったように、民営化一年、おおむね順調に推移しておるということでございます。それは私なりに非常に評価するところでございます。  ところで問題は、今後新規参入があるかどうか、これが私は非常に問題だと思っております。国鉄経営の日本テレコムとか、あるいは日本道路公団の日本高速通信、また京セラの第二電電、そして最近は東京電力がこの第一種電気通信事業に参入という意思表明をした。こういうことが新聞等では報じられておるわけですけれども、こういったものの新規参入の見通しは一体どういうふうになっておりますでしょうか。郵政省としてどう考えておるか、お答えいただきたいと思います。
  177. 澤田茂生

    澤田政府委員 第一種電気通信事業分野におきます新規参入状況でございます。昨年の六月二十一日付で、今先生おっしゃられました第二電電株式会社、日本テレコム株式会社それから日本高速通信株式会社、これが地上系の三社でございます。それと日本通信衛星株式会社、宇宙通信株式会社、こういう衛星系の二社の第一種電気通信事業者、合計五社でございますが、これに事業許可を与えたところでございます。  地上系の三社につきましては、ことしの秋から専用サービスを行うということでございまして、それから電話の方は来年の秋から電話サービスを行うということで、営業活動あるいはケーブルの敷設とかマイクロ中継施設の建設というような工事をいろいろ進めておるということでございます。また衛星系につきましても、六十三年春サービス開始を行うことを目途に、一社につきましては米国製の通信衛星二個、それから追跡管制設備の購入契約を締結済みでございまして、また他の一社も、通信衛星の設計等についての契約を済ましているということで、準備を着々進めているということでございます。  なお、そのほかの新規参入の動きといたしまして、衛星系につきましてはいま一社、サテライトジャパンからの許可申請が出ているわけでございますが、これにつきましては今日の通信衛星の利用の状況、需要と供給という関係から見まして、今日の時点において参入を認めるということになりますれば、これは三社共倒れのおそれもあるということで、現時点においては処分を保留するということで、これは私ども電気通信審議会の方にも御説明をし、御了解をいただき、また当事者の方にもそういうことで御通知をしているというところでございます。  そのほか、今先生お話しございました東京電力が第一種電気通信事業に参入するという意向を持っておるわけでございますが、これにつきましてはまだ具体的な計画を策定中ということで、東京電力の方で新しい会社設立のための準備を目下進めている。そう遠くないうちに会社設立という段取りになるのではなかろうかと思いますが、私どもそういう具体的な計画策定を待って、そういったものの申請を待って適切に対処していかなければならないな、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、無線の関係の利用の分野といたしましては、現在電気通信技術審議会の方にも新しい技術基準の御審議を願っておるわけでございますが、自動車電話とかポケットベルの新しいサービスというようなことについても新規参入の道が図られるように、いろいろと段取りを進めているところでございます。
  178. 永江一仁

    永江委員 電電民営化のときも一番申し上げたのですが、電電公社民営化、これはこれで結構、しかしながらここで競争原理が働く新規参入があって、競争原理が働いて初めて電電民営化というものが本当に国民のニーズにこたえ、あるいは新しい電気通信産業の時代に即応したものになる、このことを私は強く土俵したものでございますが、今のお話では、それなりに新規参入というものも徐々にいろいろな姿になってあらわれてきておるということで、これはこれなりに私も心強く思うのでございます。しかし、何せ一方は百年来の電電公社でございますから、とても太刀打ちできない。特に技術者の養成というようなソフト面においては、これはなかなか太刀打ちできないのじゃないかと思うわけでございます。  そういうことで私は、郵政省が、電電は民軟化した、後は新規参入自由だといって腕をこまねいておったのでは、なかなか本来の競争原理は働かないのではないかと思うのでございますけれども、本当の意味でのそういった競争原理が働くのはいつごろになるとお考えでございますか、端的にお尋ねします。
  179. 澤田茂生

    澤田政府委員 今御説明申し上げましたように、電気通信市場が独占市場から競争市場になったのが昨年の四月一日からでございます。第一種について見ますれば、新規参入事業者が出てきたと申しましょうか、事業許可を得たのが昨年の六月二十一日でございます。実際のサービス営業をするのが、専用サービスがことしの秋、電話サービスについては来年、衛星については六十三年の春からというような状況でございまして、ある意味ではそれぞれの時点で競争の効果というものがそれなりに発揮されるという状況は出てくるのかなと思うわけでございますが、今先生も御指摘ございましたように、電電という百年の経緯を持った先行の実態があるわけでございます。新規参入分野につきましても、当面はサービス提供の地域的な限定というものもございます。あるいは、市内網につきましてはやはりこれも電電の回線網によらなければならないというような状態がしばらくは続くのではなかろうかというようなことを考えますと、有効、公正な競争状態を実現するためには、郵政省といたしましてもそれなりの環境整備というようなことについてまだまだ取り組まなければならないのではなかろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
  180. 永江一仁

    永江委員 そういった環境整備について取り組まなければならないというお答えでございますが、免税とかあるいはいろいろな、郵政省として具体的に何かやるべきこと、今具体的にございますですか。
  181. 澤田茂生

    澤田政府委員 制度改正の趣旨でございます有効、公正な競争市場をつくるということが、当面の電気通信行政の最大の課題であろうと私ども考えているわけでございます。それで、新規参入者がそれぞれ創意工夫を凝らして事業を進めるというのが第一義ではございますけれども、有効な競争市場形成のための環境づくりということで、一つ電気通信事業育成のための金融、財政面の優遇措置としての税制、それから財政投融資制度上の措置というようなことでございますが、これにつきましては固定資産税の軽減とか、あるいは事業所税の免除等の措置を行うということにつきまして、今回会での地方税の改正ということで、私ども自治省の方にもお願いをし、そういう案として取りまとめてこれから御審議をいただくことになろうかと思うわけであります。  なお、財政投融資の面につきましては、第一種電気通信事業用の設備に対しまして最優遇特別金利で融資が受けられるような措置を行う。開発銀行で現在の最優遇特利としての六・三%を適用するというようなこと、また通信衛星の輸入に対しましても低利融資の道を開こうというようなことで、そういうことをやってまいったわけであります。  なお、第一種電気通信専業者につきまして、周波数の利用という面でも、新規サービスが提供しやすいようにというようなことで、波の割り当て等につきましてもいろいろ配慮をしていこう、そういう対策も考えておるわけでございます。  なお、料金算定に当たりましても、新規事業者の料金設定に当たって弾力的な対応ができるような料金算定の作成というようなことによって、これは電気通信審議会の方の御答申を受けまして、そういったものに取り組むというような段取りも行っているところでございます。さらにそういったものを今後とも一層充実させていくというようなことで、私どももこれからもいろいろ努力をして、制度改正の有効競争市場というものの形成に努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  182. 永江一仁

    永江委員 もう一点お尋ねしますが、NTTとその新規参入のいわゆるアクセスチャージ、接続料金の交渉というものはどういうふうになっておりますか。
  183. 澤田茂生

    澤田政府委員 現在、第一種電気通信事業者とNTTの間で、サービスを提供するためにNTTの回線との接続をしなければならないということで、接続協定締結についていろいろ話を進めているわけでございまして、大部分のところはかなり煮詰まったというふうに私どもも話を聞いているわけでございますが、いま一つのアクセスチャージの問題についていろいろ議論が交換されているということでございます。アクセスチャージと申しますのは、NTTとしまして自分のネットワークの維持の費用の不足分、言うなれば市内の赤字分と一般的に言われるものではございますけれども、こういったものがあるという前提のもとに、これをその新規参入者に対して負担をしてもらいたいという話し合いでございます。  これは、第一義的には両当事者の話し合いで解決をしていくべき問題ではございますけれども、私どもといたしましては、金目の問題でもございますし、アクセスチャージというものは具体的、合理的なデータに基づいたものであるべきであろう。これは、アクセスチャージ自体につきましては、アメリカのATTの分割に伴って、アメリカにおいて議論された問題でございますが、アメリカと日本の事情というものも違いますし、NTTのそういった市内における不足部分についての合理的なデータというものもまだ取りそろってないという状況でもございます。そういったものを踏まえた議論というものがされるべきであろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  184. 永江一仁

    永江委員 大臣電電民営化され、そして競争原理が働いてくるということ、そういう方向に郵政省はやるべきである、この点は大臣も同じじゃないかと私は思うのでございます。ただ、今澤田局長もちょっとお答えになったように、アメリカでもATTを分割したことによって電話料金が高くなって、そのために大口のユーザーは自分のところで無線を導入してバイパスをかけるというようなことも現実に起こっておるわけでありまして、電電民営化のときでもここで随分議論したわけでございますが、決してバラ色ばかりでない、やはりどうしてもマイナス点もあるわけでございます。  今後、このアクセスチャージの問題、あるいは新規参入が本当に容易になって競争原理が働けばいいけれども、働かない場合には、巨大なNTT独占的なことだけが続いていく。そして、きょうはそういう質問はいたしませんが、NTTの電話料金の問題も、ちょっとのことでも新聞を大いに騒がしておるわけでありまして、民営化によって電話料金が上がる、そして日本最大の株式会社だけができたということになったのでは、せっかく我々が努力した民営化ということがマイナス作用になったのでは、何にもならないわけであります。そういう意味で、これから郵政省としてもこの問題をどうリードしていくか、大変重要な問題だと思うので、最後に、この問題の今のやりとりの中での大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  185. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 先般、ノーザンテレコムというアメリカの企業の社長が、そこの交換機をNTTが貿易摩擦解消の目的もあって購入したということでやってきたときに、ATTが分割されてついにNTTが世界一になりましたね、こういうごあいさつでございました。そのとおり、現実にNTTは世界一の大きな企業、しかも民間の企業になっておる。現実的に現在はまだ独占体制でございます。そういうような状況で、先ほど局長が言ったように、新規参入事業者がことしの秋、幹線、来年の秋には端末の電話機の利用、そういうガイドラインが今示されたわけでございますけれども、現実的にはもう世界一の大企業でございます。  したがって、本当に合理的に経営がなされているかどうかとか、あるいはその報酬体系が現実にどうなっているかとか、どこの部分が赤字でどこの部分が黒字であるとかいう数字はまだつかんでないわけでございます。したがって、軽々に電話料金の問題を、上げるとか下げるとか言うべき時期にまだ達してないわけでございまして、そういう問題がクリアされていって、なるほどNTTがにっちもさっちもいかないなというときならば、そういう料金改定の問題なんということも逓信委員会で審議されていいと思うのです。国民も、それでどうなっているんだということも現実にわかってくる時期が来ればいいのですけれども、現実にそういう数字は全然出ておりません。したがって、NTTの料金の問題等も含めまして、企業では企業なりに研究するのは、それはもう民間会社でございますからどうぞおやりなさいよ。  しかしながら、それの認可料金をもって郵政省としては――国民大衆皆さん方の御意見というのは、競争場裏になって、低廉で明瞭でサービスがよくて、そして料金が下がっていく、そういうことを期待していることは事実でございます。そういう御期待に反しないような、そういう確証がつかめない限り、軽々にこういう問題に取り組むべきものではない。こういうことで、今後自由競争の環境整備とNTTそのものの経営の合理性、そういうものをしっかりとにらんでいきながら対処していきたい、こういうぐあいに私は考えておるわけでございます。
  186. 永江一仁

    永江委員 おおむね大臣の御意向で結構でございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  ちょっと時間がなくなりましたが、最後に、昨年十二月四日の本委員会で私が質問したことの続きというとなんでございますけれども、あの十一月二十九日に例の首都圏の国鉄が中核派によって全面ストップさせられた、その逮捕者の中に郵政省職員が二人おるという答弁がございました。  そこで、職場規律の問題でございますけれども、こういったことに対して、その処分はその後どうなったのか、またあわせてその監督責任者というものはどういうふうに処置されたのか、そしてその二名の逮捕者が出たという職場はどこなのか、お答えいただきたいと思います。
  187. 櫻井國臣

    櫻井政府委員 お答え申し上げます。  先日の国鉄ゲリラ事件に関連しましての御質問、所属はどこだったかということでありますが、一人は晴海通常郵便集中局、もう一人は東京都内でありますが、荒川郵便局職員でございます。両名とも一月二十三日付をもちまして懲戒免職の処分をいたしました。なお、管理者のその後の措置でありますが、管理者の処分は、平素からこの種公務員としてのあるべき勤務の姿というものについて、日々職員との接触の中で常に指導し教育をいたしております、そういう事情もありまして、今日はあえて問責はいたしておりません。  なお、この事件が発生いたしましたことに関連をいたしまして、私ども一月に入りまして、こういった事件の再理を防ぐべく厳重な指導通達を出しましたし、その後各郵便局におきましても、この趣旨を受けまして指導を徹底してくれておるというふうに思っておるところでございます。
  188. 永江一仁

    永江委員 この事件は十一月二十九日で、私がここで質問したのは十二月四日でございましたけれども、そのときに当時の左藤前郵政大臣が、警察からの通報で職員が二人おることを知った、こういう御答弁でございましたが、それは十一月二十九日にその事件があって、逮捕されて何日目でございましたか。
  189. 櫻井國臣

    櫻井政府委員 晴海通常郵便局職員につきましては一日後の十一月三十日でございます。また荒川局の職員につきましては三日後の十二月二日でございます。
  190. 永江一仁

    永江委員 実は私はあのとき警察庁に質問通告をいたしましたら、大体みんな完黙で、本当はどうかわからない、前日の段階ではそういうお答えだった。たまたま実は二人おった、私はそういう答弁が出てくるとは思わずにあのとき聞いたのです。  それはそれとして、さらに追い打ちをかけるようですけれども、私がここで言いたかったことは、これは十一月二十九日に起こって、三日後の十二月二日、普通ですと職場を二日も三日もあけておれば、その職場の中から、おかしい、どうなっておるんだということで、一日だけではなかなか無理かもわかりませんが、本当に職場の中の風通しがよければ、当時の郵政大臣が警察から聞くより前に、職場の中から、どうもこういうことだという報告が本当は欲しかったなと思うのです。普通の民間会社ならば、二日も三日も無断欠勤があれば、一体どうなっておるんだということで、何か事故でもあったのかというようなことが当然あるわけなんです。しかしながら、一般的にこういった公務員の職場においては、そういった人間関係が希薄というのか、警察から知らされて驚いた、こういう実態ではないかな、こう思うものですから聞いておるわけですけれども、それでは荒川郵便局は、警察からこちらへ連絡があって職場にいくまで、その上司は全く知らなかったわけですか。
  191. 櫻井國臣

    櫻井政府委員 荒川郵便局職員につきましては、実は二十九日当日年次有給休暇をとっておりまして、次の日は非番、週休日、こういうことになっておりまして、二日になりましてようやく出勤というような状況にあったものですから、その間どういう対応であったかということについて、当該局、少しくわかりにくい状況にあったものだと思います。  晴海通常郵便局職員については一貫して欠勤でいきましたから、私ども照会をしたりいろいろそのプロセスでも、やや早く実態がわかったというようなことではないかというふうに思っております。
  192. 永江一仁

    永江委員 私が前回に続いて御質問申し上げたかったことは、そういう過程を少しでも明らかにしていただく中で、この間も前の議事録を読みましたら、大臣が警察からの通報でわかった、こういう御答弁であったものですから、本来ならばそれは職場の中からの通報で知るべきでなかったかなという気がしたわけでございます。ただ、次の日にもう警察の中で身分を明らかにしておるならば、一日ぐらいのことですから、余り事細かく追及はいたしませんけれども、私が前回質問通告しましたときには、警察の方はこれは完黙でわからないという一応の答弁でございました。そういう意味で警察もなかなかわからない。しかしながら、警察がわからなくとも、少なくとも職場の中からはわかってくるのじゃないかな、こういうこと。しかもそれが風通しのいい上下関係のある職場でないかということでございます。  そういうことで、私は、冒頭お聞きしましたように、何も処分者をつくるということが私の趣旨ではございませんし、処分がきつければよいということをただ要求しておるわけではございません。少なくとも管理者の問題、先ほどは不問に付されたと言いましたけれども、もちろんこの本人も、それだけの問題があって懲戒免職という極刑に等しいものを受けておるわけですから、やはり管理者なりそういったものの姿勢、このことこそが最も重要なことではないか。その本人さえ処分しておけばいいのだ、管理者は不問だということには、私は若干問題があるような気がするのでございます。  そういう点で、時間も参りましたので、最後に郵政大臣に、そういった面も含めての職場のあり方について、特に管理者の責任につきまして御答弁をお願いしたいと思います。
  193. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 就任早々でございましたが、こういう事件が発生しまして、これはもう郵政行政の最高責任者として極めて遺憾でございまして、私、責任を痛感いたしました。  そこで、今先生の言われたとおりに、服務の管理というものが一番大切だと私思いまして、直ちに通達をもってそういう事態が起こらないように、人間関係というものをよく確立して、服務管理というものをしっかりやりなさい、こういう意味の通達を出して、今後二度とこういうことが起こらないような処置をいたしました。  ありがとうございました。
  194. 永江一仁

    永江委員 終わります。
  195. 宮崎茂一

  196. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 きょうはNTTの方にお見えいただいておりますので、最初にNTTに関する問題、続いて郵便の問題をお尋ねしていきたいと思います。  まず、新大臣にお伺いを一言したいと思います。  大臣所信で、逓信分野の発展について述べておられます。具体的な問題は順を追ってお聞きしたいと思うのですが、これは他の分野でも同様の問題がありますけれども、特に電気通信分野は公共性が非常に強いわけですから、国民の理解、支持といいますか、そういうものがあってこそ初めて正しく発展できるのだというふうに私は考えておるのですが、その点について大臣はどうお考えか、まず一言お聞きしたいと思います。
  197. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 特に電気通信分野というのは国民の理解のもとに展開しなくてはならぬ、こういう御質問だと思います。  先般もお答えを申し上げましたが、電波というものは国民のものである、そしてその電波の使用に当たっては自由を原則にする、しかし自由の裏には、その事業者というものは社会、公共に対してやはり責任を持ってもらわなければならない、こういう考え方電気通信行政というもの、電波行政はいきたいな、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  198. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 早速NTTにお尋ねします。  電話料金の問題です。実は真藤社長に直接お聞きをしたかったのでありますけれども、所用で来られないということでありまして、しかし大事な点につきましてはぜひ社長の真意をしかと確かめてきていただきたいという御要望も申し上げてありますので、社長もお見えでありませんから、幾つかに絞ってお尋ねをしていきたいと思います。  社長が新年に入っての記者会見で、市内料金の値上げとかあるいは番号案内の有料化とか、そういうことを示唆された。大変大きな反響を呼びました。これは私、当然だと思うのです。それが予算委員会でも取り上げられましたし、前回の当委員会でも取り上げられました。それに対する真藤社長の答弁は、要約しますとこういうことだろうと思うのです。これまでの料金は国営独占であった、今度は民営独占、そういう料金体系に見直していく必要があるんだ、しかし現在は十分コストなども測定できるようになっていない、だからそれを、コストが幾らといったデータをしっかりとそろえて検討していきたいんだということだったように思います。その際に、市内料金がどう、あるいは番号案内がどうと個々に切り離して議論するのは余り意味がないんだというふうなこともおっしゃっておられたように思います。しかし、多数の国民にとりましては、そういう見直しということの結果、自分たちにどうかかわってくるのか、市内料金が値上げされるのか、番号案内有料化の方向へ持っていかれるのかどうか、それはやはり非常に強い関心なわけですね。  それで、二点まずお聞きしたいと思います。  第一点は二月八日の予算委員会。ここで真藤社長は、事業法の見直し期間である三年、「この三年以内にこの料金体系というものも全体の中で検討なされて考え方が根本的に変わるものだろうというふうに考えております。」こう答えておられる。この答弁の中には、真藤社長の想定としては、市内料金の値上げがこの中に当然のこととして入っているのかどうかという点が第一点であります。  それから第二は、同じ答弁の後段で、市内料金を引き上げるのかという質問に対する直接的な答えとして、「この引き上げの幅あるいは時期というものはずっと先のことでございまして、すぐどうのこうのということになるものではございません」こう言っておられるわけであります。このずっと先ということと三年以内の見直しとの関係であります。三年以内といえば六十三年の四月です。あと二年であります。ずっと先といいますとそれよりももっと先というふうに一般的には聞こえるわけですが、その点はどういうふうにお考えなのかという点です。
  199. 児島仁

    ○児島参考人 直接お答えする格好にならないかもしれませんけれども、私ども社長等々といろいろ事業面について相談もし、やってまいりますが、社長が申し述べたかったことは次のようなことであろうというふうに思っております。  それは、日本の国では電電公社がコモンキャリアとして唯一の電気通信事業者でありましたために、その料金というものが一つしかなかったということでございます。その一つしかない料金といいますのは、最終的にはいろいろな分野から上がってくる収入といろいろな分野に出ていく支出とをトータルして、帳じりが合うか合わぬかということで検証されておるわけでありまして、個々のサービスあるいはある区間の料金というものについて、これは原価に忠実に料金を設定する、あるいはこれは効用に準じて設定するというふうなこと等が割合なくて、全体として料金水準としてどうだろうかということになっておった。そういった最終的には一本で調整されるような料金というものが、今度たくさんのコモンキャリアとしての新規参入業者の方が入ってこられたときに、果たして適当だろうかどうか。ここは根本的に勉強し直す必要があるだろう。  そうした場合に、たまたま三年後には事業法の見直しということもありますし、三年以内にはその新規事業者の方々が入ってこられて事業をなさるということになりますと、政策の問題と、それから私どもが業者として活動してまいります。その現実の経営活動というものを両方あわせて一つ検討ということがなされるだろう。その際には、かつて日本に一社しかなくて、その一社のためにつくられておったような形の料金というものは、果たして多数のコモンキャリアに対して適当な料金であろうかどうか。それが競争というものに対してまた適当なものであろうかどうか。こういった検討が総合的になされるだろうというふうなことだろうと思います。したがってその時期は、社長の考えとしては、三年の事業法の見直しという時期にはやはり論議される問題であろうというふうに答えたかったと思います。  ただ、このような、特に料金の改正ということになりますと、私どもの恣意だけで当然にこんなものは変わるものじゃございませんし、国民感情その他政策、こういったものを含めて御判断願うことでございますから、そういった節目はありますけれども、その時期についてはすぐ決まるというふうには考えていないというふうに言ったと了解しております。
  200. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この問題、つまり市内料金が値上げの方向にいくのじゃないかということは、実は電電民営化法案の審議の際にも相当やりとりがあったわけです。私も質問をいたしました。けさの午前の質疑でも触れられた質問がありましたけれども、当時の質疑を改めて私も読み返してみたわけです。  そうしますと、当時の真藤総裁、それから当時の奥田郵政大臣、ともに公共性あるいは社会的な責任ということを非常に強調されまして、市内料金は上げないのだということを繰り返し述べておられるわけです。  幾つもあるのですけれども、例えば真藤総裁、今競争のお話もございましたが、競争というのは当時当然予見できていたといいますか、当然そういうものを想定するというよりも、そういうものを求めての民営化であったわけですから、これは別に新たな要因ではないわけです。「競争相手と競争するために長距離料金を下げるから平面的に市内料金を上げるということでは私どもの社会的な責任を果たしておるというふうには考えられません」こういう答え方もなさっているわけです。また、そういうものを「イコール市内料金にはね返すということは一口も申し上げておりませんで、それをやったのではさっきから議論になっております競争と公共性というものの根本を崩すことになりますので、そこは十分覚悟して経営を続けていくつもりでございます。」こう答えておられる。  つまり、独占から非独占、国営から民営ということでの料金体系の見直し、当然あってしかるべきであろうと思います。同時に、この民営化法案の審議の中では、しかしながら市内料金にはね返すということはしないのだということを明言されているわけです。「そこは十分覚悟して」、ここはどう読んでも市内料金にはね返すということはしない。その点は「十分覚悟して経営を続けていくつもりでございます。」こういうことが書いてある。こういう点からいいますと、今言われたような料金体系の見直しに当たっても、いわばこの原点をしっかりと守る、つまり市内三分十円の料金を守るという前提に立って検討される、それが国会と国民に対する責任だと私は考えるのですが、その点はどう考えておられますか。
  201. 児島仁

    ○児島参考人 国会におきましてそのような応酬があったことは、私も十分承知をしております。  現在新規参入の方々が入ってこられますと、世上言われておりますように、当面東京-大阪間というふうなところで入ってこられるだろう。これはその区間だけおやりになるわけでありますから、しかも私どもよりも安い料金でサービスを提供なさるということになりますと、NTTのネットワーク加入者をやめて新しい業者の方のネットワークの加入者になるということでなしに、NTTのネットワークの加入者でありながら回線だけは安いのを使うということでありますから、相当の需要というものが流れてまいると思います。ダイヤルを四つ回すだけでいいわけでございますから、これは当然に相当流れていく。ですから、局地戦と申しますか、それでは私ども相当のダメージを受けるだろうということは、実は覚悟しております。  ただ、そのダメージを受けたものを直ちに市内の料金にはね返すというふうな安易なことは現在考えておりませんで、私ども基本的にいろいろなことを勉強して、そのダメージの程度はどの程度だろうか、そのリカバリーは一体どのところで回復できるだろうかということをやっております。一つだけ例を申しますと、日本の電話の利用度数というのは、アメリカに比べますと三分の一なわけでございます。この三分の一というのは国民性に由来するのか、ネットワークにもうちょっと付加価値をつけないとふえないのか、いろいろなことがあるのでございますが、それを今徹底的に勉強しております。やはり欠損といいますのは、料金体系そのものもございますけれども、需要との関係でございますから、需要を喚起すれば赤字幅が減る、あるいは黒字になるという性格は当然にあるわけであります。ですから、その三分の一しかない通話需要というものが、強制的でない形でいかに自然的に発生してもらえるだろうか、この勉強を続けております。したがって、料金値上げなどということは、私ども営業していく場合に一番やりにくいことでございますから、そういったことを避けていく道というものを現在考えております。  さらに、現在の私どもの収入は、ニューメディアとかいろいろなこともやらせていただいておりますが、総収入のほぼ九〇%に近いものは電話で稼がせていただいております。その電話の利用回数というものがわずかにふえることによって相当のゲインが得られるだろう。ですから、基本的には全体の需要喚起をどうしてやっていくかという方向で当分この勉強を続けていきたい。さらに、新規参入業者の方が入ってきていろいろな活動をなさるまでには、そういうためどというものもぜひつけたいものと考えております。
  202. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、考え方の点でお聞きをしたので、答弁が若干違うのですが、この点は大臣にもお聞きをしたいと思っております。  というのは、この審議が行われましてまだ一年半なんですね。国民民営化法案についていろいろ疑問やら不安を持った、それに対してこの場でいろいろな角度から審議をしたわけです。大臣も答弁をなさった。だからこれは国民に対する約束といいますか責任だと思うのですね。ですから、当時の発言が軽々に変えられてはならぬのだと思うわけです。そういうわけで先ほどNTTにお聞きしたわけでありますが、当時の奥田大臣もいろいろ答えられておるわけです。  要点は、民営化によって国民はより安いサービスを受けることはあっても、料金値上げはないんだということを繰り返し答弁なさったわけですね。紹介もしておきたいと思いますが、最初は七月五日の逓信委員会での議論です。「結局は国民に安くて良質なサービスという形で具体化して還元されなければ、今度の法案の意味もないわけでございます。」こう言っておられる。それから、これは連合審査で我が党の小沢委員質問に対する答えですが、「したがって、今回の法案を成案化いたしますれば、新電電も新しい競争原理の中で安い料金、料金値下げという形で必ず国民利用者に報いてくれるということを確信いたしております。」さらに、参議院の本会議でありますけれども、「新電電会社は、租税負担、配当負担等の負担増にたえ得て十分経営を行うことができるものと考えております。したがいまして、国民・利用者は料金の値下げを受けることがあっても値上げはないと、かたく期待しておるところでございます。」こう言われました。  このように所管大臣として公の場で繰り返し表明をされ、国民の不安にそういう形で答えを出された。ですから、私は当然この立場が貫かれなければならぬと思うわけです。佐藤大臣としてもこの立場をしっかりと貫いていただけるというふうに思うのですが、その点をお聞かせいただきたい。
  203. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 今の奥田元大臣の答弁の内容も読ませていただきました。そういうことですから、その趣旨というものは続けていきたい、私はこういうぐあいに思っております。一方、民営化されたNTTの経営者としての考え方というのは、新しい民営体制のもとでコストをどのように下げようか、それから適正なる報酬というものがどの辺になればいいのか、そういうことで、より国民サービスへの合理的な経営をどうしようかということを今真剣に勉強中であるということを私は聞きました。それから郵政省といたしましても、新料全体制に対してどのような考え方でいくべきかということについて審議会等で審議をしていただき、さらにその答申を得て、そして新しい時代に向かってより低廉でよりサービスのよい電気通信体制というものが確立できるかということも勉強中でございます。三分十円がやり方によっては三分九円になるかもしれない、やり方が悪ければ三分十一円になるかもしれない、今ちょうどそのような勉強の最中である、これが現実でございます。したがって、そのような値上げにつながらないようなそういう面について、十分料全体制の勉強をしながら、より国民へのサービスに向かっていくような体制をとっていきたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  204. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大臣は値上げにつながらないような方向でということをおっしゃっておられて、その点はぜひそのようにしていただきたいと思いますが、私が確認をしたいといいますか強調したかった点は、料金体系の見直しといいましても、赤字会社を民営化したのではなかったわけですね。毎年かなり大きな黒字を出しておる優良企業を民営化したわけです。ですから、本来の姿としては、値上げというのはどこからも出てこないんだと思う。特に国民的な不安の強かった最低料金については値上げをしないんだ。その他いろいろありましても、その見直しも恐らく値下げだ。これまでも何年かずっと長距離とか夜間通話とか値下げをしてきたわけですね。だから、国民に対する約束である最低料金は値上げしない、そういう前提で考えなければならぬのだと思うのです。九円になればいいということではなくて――なったらなったでいいですよ。十一円になることがあり得るというのは困る。やはり十円は十円、最低は絶対値上げしないんだ、その点を再度大臣決意としてお伺いをしたいと思うのです。
  205. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 この料金の問題につきましては、情報の川の流れというものがふえてくる時代を迎えたいと私は思うわけでございます。情報の川の流れが減ってくるようなことになったならば非常に難しい事態に陥ってくるのではないか、こういうぐあいに私は考えますので、情報の川の流れ、その流れの情報量というもの、それからそれを使う方々の数をふやしていくということが、料金の安定というか、理行料金を守っていくという基盤になるということも考えていかなくてはならぬ、こう思っておりますので、料金改定というか、料金を安定的に理状維持をもっていくということを考えていくことがやはり基本でございます。
  206. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 では、ぜひ最低料金は値上げをしないということで努力をしていただきたい。  そこで、値上げの話ではなくて値下げの方をお聞きしたいのです。  さっきも言いましたように、五十五年以来を見ましても、公社時代はほとんど毎年のように値下げをしてきたわけですね。五十五年が深夜割引と夜間割引の時間の拡大、それから五十六年は遠距離、五十七年は飛びまして、五十八年がやはり遠距離、五十九年も中距離というふうにですね。民営になりまして、去年は値下げがありませんでした。ことしも、六十一年も値下げの計画というのは聞いていないわけなんです。黒字であるという報告がさっきもございましたけれども、やはり国民の期待にこたえるという点で、長距離の値下げあるいは近距離の値下げ、そういうものを当然やられるべきだと思うのですが、予定はどうなっておりましょうか。
  207. 児島仁

    ○児島参考人 結論から申しますと、現在、値下げをいつの時点でやるという計画は持っておりません。  ただ、定性的な言い方をさせていただきますと、新規参入の方がかなり安い料金で参入してこられるということになりますれば、対抗上私どもも、値下げということは競争としてひとつ考えなければいかぬ。しかし、その値下げの幅が大き過ぎて全体の財務を壊すようでありましては、これまた社会のためにはならないわけでありますから、私どもが今考えておりますのは、先ほども申しましたのとちょっとダブりますけれども、全体の水揚げをいかにして増していくか。水揚げが上がったところで、配当性向その他諸経費を見まして、これはあるいは社長がこの前の委員会で申し述べたかもわかりませんが、大体三千数百億の税引き前の利益があれば社会的責任が果たせるであろう、それから社内的にも安定的な運営ができるだろうというふうに考えておりますので、三千数百億以上の利益を得て、これを値下げに回したいという定性的な考え方は持っております。しかし、その三千数百億を上回る水揚げというものが、私ども計画して一つの数字を得たとしましても、新規参入業者の方々に流していく得べかりし収入が非常に多ければ、これまた値下げができない。そうすると、これは競争として成り立たなくなって、私どもはまた大変なことになってくるわけでございまして、総合力で三千数百億の税引き前利益を何とか上に上げたい。それを原資に使って下げていかないと、競争にもまた大変なダメージを受けるというふうに、考えております。  結論を申しますと、定性的には値下げに向かっていきたいというふうに考えておりますが、時期、程度については現在原案を持っておりません。
  208. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 値下げの計画はないというので残念なわけですが、この間、国民の利用する電話では値下げがない。逆に、値上げの話がちらついたりして不安が広がっているということがあって、これはそうあってはならぬわけですが、その一方で、主に大きな企業、大口ユーザーが使っています専用線サービスがありますね。この専用線サービスが高速ディジタル化によりまして実質的には大幅な値下げになっているということがあるわけです。  例えば一例を挙げますと、東京-大阪間の従来のアナログの専用線、電話が一本とれるD2というものでいきますと月額が三十五万円だ。これに対して、高速ディジタル回線六メガビット秒でやりますと、これは月額使用料は千百万円なんですが、電話が百九十二本分とれるということで、電話一チャンネル当たりの料金にしますと五万七千円になる。アナログ回線だと三十五万円だったのが、高速ディジタルのそういう大きな容量のものを使いますと、電話一本当たり五万七千円になる。D2に比べると一六%という安さで電話が利用できるということになるわけですね。  それから、データ伝送の場合はもっと格差が激しいのです。余り細かくは申しませんけれども、これまでのD1の専用線は九千六百ビットですが、月四十二万円でした。これを、六メガビットだと四百八十本分とれるのですね。結局のところは、四十二万円だったものが二万三千円、五・五%の使用料で済むということになる、こういうことがあるわけです。これは、料金がこういうふうに非常に安くなるというだけでなくて、これまで別々にやっておりました電話とかファクシミリとかデータ伝送、そういうものも一本でやれると、利用の上でも大変便利になるわけですね。そういう意味では、サービスの点でも料金の点でも格段に安くなっている、こういうことがあるわけです。  こういうことで、結局こうした恩恵を受けているのは、専らそういう大口のユーザー、大企業ということに現状はなっておるわけですね。よりよいサービスをより安くということが審議の場合も強調されまして、大臣も答弁されたということがあるのですが、これがまさに大企業にだけは実現しているという状況になっておるわけです。こういう点について、どういうようにお感じになっておられるかという点をまずお聞きしたい。
  209. 児島仁

    ○児島参考人 お答えに入ります前にちょっと時間をかしていただきまして、専用線の歴史をお話しさせていただきたいと思います。  前に、大変電話需要が高くて、それに対して電話の架設が追いついていかないという時期があったわけでございますが、そのころ専用線というのは、ちょっと平たい言葉で申しますと、正規の商品ではございませんで、私どもの設備にあきがあったときに恩恵的に使わせるんだと、まあ非常にひどい言い方でございますが、そういった感じで、設備にたまたま余裕があるところはお貸ししますということで発生したのが専用線でございます。法体系はそのままでございましたが、設備も相当潤沢になりました後、専用線もかなり開放的に使っていただく、もう正式な営業品目の一つであるというような格好で、ここ何年間はずっとやってまいりました。  ただ、発生がそういうことでございますので、料金の設定の仕方と班実の設備との間に考え方のおくれみたいなものがございまして、しかも、かつてはその専用線というものは電話しかなかったということでございます。ですから私どもは、この専用線の料金ももうすでに現実の問題としてそぐわなくなってきているということは痛切に感じております。  さらに、現実の問題としまして、一次業者が二次業者に回線を貸して再販をやっていくということになれば、これは非常に安い回線がまたどんどん出てくるわけでありまして、私どももまた現実に、先ほど先生指摘のような商品も出しておるわけであります。  したがいまして、現実の姿として、やはり安い商品がどんどん出ていって、かつての高い料金の専用線というものは駆逐されるというふうに考えておりますが、しかし、その残存します旧式の専用線というものの料金は、現実の姿に後追いになりますけれども、一遍考え方を整理しなくてはいけないんじゃないかなと思っております。これは、郵政省の御勧告、御忠告もいただきながら、ぜひ御相談をさせていただきたいということに考えております。
  210. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大企業だけはより安く、より便利にというサービスを受けているということについて申し上げたわけですね。過去の経過などの御説明があったわけですが、若干すれ違っているというふうに思います。  本当にこれは、改めて調べて、そんなに進んでいたのかと驚くほどだったのですね。  ここに「日経コミュニケーション」という雑誌があります。これは去年創刊されたわけですね。郵政省NTTの方も登場しておられて、情報通信の専門誌といいますか、そういうものなんですが、これを見ますと、企業が経済性と利便性に着目してどんどん高速ディジタルに切りかえていっているというありさま、様子が詳しく出ているわけです。  例えば、その結果どれほどの安さになっているかといいますと、日本鋼管とか各社出てくるのですけれども、日本鋼管の場合でいいますと、九本の高速ディジタル回線を導入した。担当者が言っておられるわけですが、「「何といっても通信料金を大幅に節約できるのが魅力ですな。うちの場合、この切り替えで通信容量が三〇%増えるのに、NTTへの支払い額は現在の月額三千万円から二千万円に減るんだから、大した違いですよ」。」「情報システム部長はこう言ってにんまりする。」というふうな表現までついておりますが、三分の二に減ってしまう。一千万円というのは非常に大きいですね。使用量が三〇%ふえているわけですからもっとになるわけです。それから伊藤忠の場合も、月額四百四十万円、年間だと五千万円以上になりますね。それから三菱信託銀行も、年間換算で六千万円のコスト削減効果を生み出しつつあるということになってきているわけです。  この点、やはり国民に対するサービスの方が非常におくれておって、大企業に対するサービスはどんどん進んでいる、それもかなり巨額なものとして進んでいるという点について、大臣としてはどういうふうにお考えなのか。それは大変好ましいというのか、あるいはそれならば広範な国民に対するサービス、料金値下げを含めてもっとやるべきだというふうに私は考えるわけですけれども、その点どう考えておられるか。
  211. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 ちょっと局長から。
  212. 澤田茂生

    澤田政府委員 私どもは、新しい電気通信体制になりまして料金のあり方はいかにあるべきかということで、現在の電気通信事業法自体におきましても料金原則というのが書いてあるわけでございますが、それをより具体的に適用するためのあり方というようなことについて、昨年の三月にも基本的な答申を電気通信審議会からいただきまして、それをさらに算定する場合の算定要領作成に当たっての電気通信審議会の御意見というものも最近いただいたわけであります。したがいまして、従来の電気通信の料金をすべてそれによって見直すということは、これはいろいろな経緯もあり、またなかなかできにくい問題もございます。  私ども、これを適用する新しい考え方、こういったものを適用するには、今後改定を行うに当たっては新しい考え方で見直していこうということでございまして、この基本はやはり適正な原価、適正な報酬というものに基づいた料金というものをもとにするという考え方でございます。そういう合理的な料金というものによっての競争市場ができていくということが一番望ましいことであろうというふうに考えておりまして、今後の料金の改定に当たっては、そういう物の考え方で対応していこうと思っておるところでございます。
  213. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 アナログからディジタル化の方に進んでいくというのは、もう時代の要請だと思います。これはもうとめることのできない流れだと私は思っておりますので、やがてそれは大衆への大きな奉仕になる、こういう考え方でディジタル化に向かっての行政指導あるいは民間の指導、こういうものはやっていきたい、こういうぐあいに考えております。
  214. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 もう一つはっきりしませんが、では別の問題で、国民の方はどうかという問題です、国民に対するサービスの方。そういう面から聞きたいと思います。  一つは電話機の買い取りとレンタルの問題です。これはNTTが発足されて、買い切りといいますか、売り切れというので強力な指導をやられたということがあるわけですが、その過程で、一般のユーザーに対してもうレンタルはないのだ、買い切りしかないのだということでやられた。いわば国民や利用者をだますような商法までがあったということが問題になりました。昨年、一部新聞にも報道されて問題になったわけです。私も直接苦情をたくさん聞きました。例えば一つの例ですが、福岡で福祉電話についてまで福祉事務所に買い取れと言ったのですね。言われた方はびっくりしてしまったわけですよ。福祉電話というのは御承知のように厚生省でちゃんと助成措置をとっている、補助金を出している、そういうものですね。これはもちろんレンタルが前提なわけです。そういうものに対してまで買い取れということで苦情が来たわけですね。私は厚生省にも問い合わせてみました。そうしましたら、福岡だけじゃないというのですね。かなり全国各地からそういう問い合わせがあったというのですね。  この点でまず郵政省にお聞きをしたいのですが、当然NTTの契約約款でも、申し込みがあればレンタルで提供するということははっきりしておるわけです。ところが、そういう事業法にも違反することがやられた。これに対して郵政省としては、昨年十二月にNTTに文書で指導したというふうに聞いておりますが、どういう指導をされましたか。
  215. 澤田茂生

    澤田政府委員 昨年の十二月に私どもNTTに対しまして文書指導を行ったところでございます。  その内容のポイントでございますが、NTTに対しまして、営業活動の公正化、適正化について全社に指導徹底を図り、関係各部署の責任者に対しては、今後かかる事態の生じないように特に指導する、また不適切な販売方法をとった事例については、改めて利用者の意向に沿った方法で端末機を提供するよう措置すべきであるという内容の文書でございます。
  216. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 NTTにお聞きします。事態をどう考えているかということと、郵政省指導に対してどういう対処をされたか。
  217. 山本千治

    ○山本参考人 お答えいたします。  本件に関しましては、民営化以降郵政省からも御指導いただいておったのでございますが、こういったお客様から多数の苦情を受けたことにつきましては、私どもまことに遺憾でございまして、深く反省をしておるところでございます。  さて、御指導いただきました内容につきましては大きく三つあるかと思うのでございますが、まず、公正なお仕事をちゃんとしなさい、営業活動しなさいということでございまして、これにつきましては、窓口等に、レンタルあるいはお買い取りをいただける、そういった告知文といいますか、案内文を掲示いたしました。これは既に実施をいたしております。また、お客様にはオレンジカードといったカードをお渡しいたしまして、それで何かございましたらすぐにお問い合わせいただくといったようなこと等を、一般利用者に対しましてはやったところでございます。  特に責任者に対しまして十分指導するという御指示がございまして、私ども、事業部長会議あるいは私たちの仕事を担当しています総支社の部長、こういった者に対しまして、会議等を通しましてこの趣旨の徹底を図っているところでございます。  また三点目の、そういったことにつきまして再度レンタルの御希望のあるお客様に対しましては、私ども全国で百三件と心得ておりますが、さような措置をさせていただきました。今後ともかような事態のないように十分注意してやっていく所存でございます。
  218. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今御答弁がありましたそういう方向で本当に進められなければならぬというふうに思うのでございますが、若干経過を見てみますと、相当用題があるのじゃないかという感じが強くするのですね。といいますのは、郵政省から指導を受けたのは十二月二十四日、クリスマスイブの日ですね。ところがその前に、それよりも一カ月半前の十一月十五日に既に通信機器営業部長会議というものが招集されていますね、全国で。このことが問題になっているわけですね。本社の事業部長の山本さんがあいさつをされまして、そこで、公正にやらなければならぬのだということ、しかし同時に、売り切りが基本だということも強調された。いろいろあります、そこはまあ省略いたしますけれども。  この模様を私聞きまして、ここに文書もあるのですが、ちょっと驚きましたのは、書き物で、つまり印刷物だと思うのですね、レンタルはないといった表現をしているものについては修正するか撤去しなさいということを言っておるわけですよ。つまり、そういう文書は存在したということですね。  どんな事例があったかというのは営業部のまとめで出ているのですが、応対の内容に次のような事例があった。「今はレンタルはやっておりません。買い取りだけです。」こういう言い方とか、「今は買い取りでやっていただいております。」あるいは「公社時代はレンタルでやっておりましたが、今は買い取りのみです。」いろいろな言い方でやっておったということですね。郵政省の担当官が直接現場へ出向いて、そのことを確認しているらしいというような話も出てくるんですよ。実際にそういう事例があったというのも聞きました。  驚いたといいますのは、最後の方で、まとめの段階で、そういう漏れてまずいような表現のあるものはなくしなさいということを言った上で、問題とならない表現の仕方についていろいろ考えよということまで話し合われているんですね。それで御丁寧にも、裏文書として出してもいいけれども表には出さないように、こういうことまでこの不正問題を議論して襟を正そうとした会議で、結びで言われているんですよ。これは大問題だと思うんですね。一体これはどういうことですか。
  219. 山本千治

    ○山本参考人 お答えいたします。  私、そういうことをしたことは今記憶がございませんが、私たちも民間になりましてから、先輩のいろいろの会社のこういった公正条件の確保ということについてはいろいろと勉強させていただいておりまして、指導者が持つべきマニュアルといいますか、そういったものと、実際お客さんに当たっていろいろと対応される社員のものといったことにつきましてはそれぞれあるようでございまして、私どももそういった意味で申し上げたのだろうというぐあいに私は了解をしております。
  220. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 どうもそうではないようなんですね。つまり、十一月十五日にこの会議がありました。それで、それから一カ月以上後の十二月十九日の朝日新聞が「NTTに〝トラブル・コール〟」というので大きく報道したわけですね。それで出題になったわけですが、ここでNTT通信機器事業部業部長の談話というのが載っているわけです。十一月十五日に十分こういう問題が議論されて、社内に徹底しているはずですね。ところが、それより一カ月後のこの問題での談話で、そういうケースが現実にあるとは信じがたい、こういうことを言っているんですよ。もうおとぼけもいいところですね。ここには謙虚に反省して正そうという姿勢が見られないわけです。このことを強く指摘をしておきたいと思います。本当にこの点は厳格にやっていただきたいと思うんですね。そうでないと、いつまた裏文書をつくっているかわからぬということになるわけです。  時間がなくなってまいりましたが、関連してもう一点。ここに私、こういうものを持ってきています。これはNTTの広島中央支社というところで出している、NTTがおつくりになったものですね。社員用となっております。つまり、言うならば販売作戦ですね。トラフィック増作戦も含んでいますが、こういうふうにやれというので出しておられるわけです。一般的に営業収益を上げるためにいろいろ工夫なさるということはあると思うのですが、中身を見ましてちょっとひどいなというのが幾つかあるわけですね。  例えば、「電話は安いと、ことあるごとにささやこう。」というのがあるんですよ。それでどういう例が出てくるかといいますと、「スーパーに買物に行ったら、品物を手にジッと見つめながらおもむろに「ウーン、それにつけても電話は安い…」とつぶやいてみよう。二、三度くり返えすうちに周囲は人だかりとなるはずだ。」いや、とにかく、サービスをよくするというのは電話をうんとかけさせるということではないのです。今は子供たちの長電話で困っているというお母さんが結構多いのです。  特に私、問題だと思いましたのは、子供にそういうものをそそるといいますか、そういうのがあるわけですよ。これはちょっと許せぬという感じがするのです。具体的にこの文書でいいますと、「電話をどんどんつけていただこう」というところで、「他人の子供が遊びに来たら菓子でも与えて「自分の部屋に電話があると宿題の答え合わせができるぞ」とくすぐってみよう。」こういう言い方をしているのです。子供を唆して、とにかく電話を引かせよう。これは明らかに行き過ぎだと私は思うのですよ。小学校の校門の前でテレホンサービスのカードを配るとかいうことが、去年参議院の逓信委員会で問題になりました。やはり節度がなければならぬという答弁をされているわけです。ところが、それ以後も依然としてこういうものが出ている。  あるいはその次のページですが、「学校に子供を迎えに行ったら、校門近くでさりげなく子供向けのパンフを配ろう。」こういうのもあるわけですよ。営業収益を上げるために、子供に的を絞っていろいろなことをやっているわけです。これはぜひ直ちにやめてもらいたいと私は思うのですが、どうですか。
  221. 西脇達也

    ○西脇参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のようなパンフレットがあったのは事実でございます。私どもは、お客様のサービスの向上に役立つように、あるいは経営基盤をちゃんと確立する、あるいは社員の働きがいをふやすというような見地から、積極的に営業活動しておるのでございますが、ただいま先生が御指摘になりましたパンフレット、実は広島中央支社で社員用につくったものでございますが、表現など若干行き過ぎがあるかと思いまして、回収をいたしております。  ただ、私ども、トラフィックをふやしていくというのは、現在電話で飯を食っている状況でございますので、ただいま先生からお話がございましたような社会常識の範囲内でいろいろ工夫を凝らしてトラフィックをふやしていくということで、今後も努力していきたいと思っております。
  222. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これはすべて回収されたということですか。
  223. 西脇達也

    ○西脇参考人 ただいまちょっと御説明が足らなかったのでございますが、十二月の中旬に出たものでございますが、年内に回収をいたしました。
  224. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それでは郵便の問題の方に移りますので、NTTさん、どうも御苦労さまでした。  先ほど若干議論になりました五九・二の問題でお尋ねします。  一昨年、昨年と私もこの問題を質問させていただきました。それに対して、一昨年四月の段階でも、当時の永岡郵務局長は、県内はほぼ一〇〇%だ、隣接県も九五%程度翌配になっているというふうに答弁されたわけです。今回の大臣所信でも、現在郵便業務はおおむね順調に推移しているというふうに言われております。先ほどの答弁でも、おおむね順調だということがあったのですが、私は若干疑問を持っているのです。最近の具体的な数字がありますか。結束の数字。主な局単位で結構です。
  225. 小宮和夫

    ○小宮説明員 先生、数字というお言葉でございますが、私ども郵便は一日じゅう動いているものでございまして、その全体の数字をきちんとつかむことは事実上できておりません。むしろ一番シビアなところと申しますか、私どもの中で調べておりますのは、現在の五九・二のシステムは、夕方お引き受けしたものを翌日に配達をするというシステムでございますが、この一番きついところ、最後の引き受けの段階、具体的に申し上げますと、引き受けの窓口に七時ごろということにしてございますが、この時間帯にいわゆる試験通信の郵便を入れまして、この状況を調べておるということでございます。全国各局非常にたくさんのルートでやっておりますけれども、具体的な数字の一つ一つはとても申し上げられないのでございますが、全体的につかみますと、最終の便でもかなりの数字、全国でおおむね最終便で九割程度、非常に郵便物の波動が多くてなかなか難しい、東京とか近畿、この辺で八五%という数字でございます。この最終便の全体における比率というようなことを考えますと、大ざっぱではございますけれども、おおむね全国では九七%ぐらい、それから東京、近畿の管内でも九五%ぐらいは平均的に確保できておるというふうに私ども考えておるところでございます。
  226. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 しかし、私も資料は持っているのですが、今のこの八〇%とかは相当むらもあるのですね。七〇%台であったり、特に全国的に見ますとおおむね近畿が悪いですね。最終便の試験通信で八〇%前後程度です、ここは。ずっとそうですね。だから、それを、最終便だから全体をならせばパーセントの数字は高くなるんだという説明ですけれども、しかし、翌配されていないものは相当にあるということにもなるのですね。実数でいいますと大変な数ですよ。たとえ五%にしても大変な数になるわけですね。だから、うまくいっているんだ、うまくいっているんだという答弁ではなくて――私も翌配体制がスムーズにいけばいいと思っているのですよ。しかし、この審議になりますといつも、けがを出さないというのかな、そういう感じで、うまくいっているという答弁になってしまうのですね。そうではなくて、やはり現状をリアルに見る、問題点を正確に指摘して改善していく、そういう姿勢でこの問題はやらなければ、本当に根本的な改善はできないだろうと思うのですね。その点を特に強く要望をしておきたいと思います。  それで、関連しまして、速達について私、大変疑問を持っているのですが、速達についてちょっと聞かせてほしいのです。  以前は、たしか八時でしたか、郵便局に八時までに届いたものはその日のうちに配る、速達は午後八時までに届いたものは即日配達ということになっておったと思うのですね。五九・二以降は何時までに届いたものをその日に配るのですか。
  227. 小宮和夫

    ○小宮説明員 郵便局に到着する郵便物は当然運送便で運んでまいりますので、一律に何時ということを決めるというより、実はその郵便局に到着した最後の便を原則として従来からやっているところでございます。したがいまして、地方の方に行きますと、最終便が三時とか四時とかいうものもございますが、原則的にはその日の最終便で入ってきたもの、現実に申し上げますと、時間は局によって違いますが、夕方と申し上げてよろしいと思います、夕方までに到着したものは配達する。現実には、先生今お話しのような、その日の八時に到着するというような便は、私全部を今承知しているわけではございませんが、原則的にはないのではないかというふうに考えております。
  228. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 以前はきちっとあったのですよ。郵便規則の一部改正というのもやられまして、その段階で八時と七時に全国を分けたのです。東京だとか全国の県庁所在地あるいは川崎、横浜、こういったところは、午後八時までに到着したものはその日に配るということが決まっておったわけですね。これが変えられたわけです、今度。現在はないのだろうと思いますよ、それは。  しかし、そこで私が問題を感じるというのは、きょうは時間がありませんので、大臣、問題提起だけしておきますけれども、速達が普通郵便と大差ないという事態が今起きているのですよ。普通郵便は翌日配達だと言っておるわけでしょう。速達で三時過ぎぐらいに投函したものは翌日配達になってしまうのですよ、今のシステムだと。以前だと、午後八時までに郵便局に着けばその日に配りました。ところが、今度は夕方で打ち切ってしまうわけですね。そうすると、それ以降に届いたものは翌日配達なんですよ。いい場合は翌日の第一便に乗ります。そうすると午前中に大体配達される。同時に普通郵便も、三便出ておりますから、第一便が午前中に届くということがあるわけですね。そうすると、普通郵便と速達がほとんど大差ないというケースがかなり出てくるということになるわけですね。普通郵便も翌配で三便までは出しているわけですから、その日のうちには着くという建前で、ほぼ順調にいっているという答弁ですからね。  そうすると、今速達は二百五十円ですか、二百円ですか、取って、実質余り変わらないという事態になっているのですね。これは見直しが必要だろう。そうでないと、不当に高い料金を取っているということになるわけですね。この点はぜひ検討していただきたい。やはり速達というのは、出す方の気持ちからいえば、確実にその日のうちに着いてもらいたいとか翌日も早朝着くとか、何かそういうメリットがなければサービスの改善にもならぬわけですね。スピードアップということを五九・二は全体として強調しているわけです。速達についてはそうなっていないのです。そこのところを強く指摘をしておきたいと思います。  最後に深夜勤問題をお伺いしたいのでありますけれども、ちょっとその前に、地元の問題であれなんですが、一つお聞きをしておきたいと思います。  足立の郵便局の跡地の問題です。足立郵便局の跡地というのはかなり大きいのです。かねがねそこを郵政省から足立区が譲り受けるという話が進んでおりました。そのためには、今、もとの局舎があるのですが、その一部を使って小さな局、中居郵便局というのがやっているわけですね。その移転先がなければどうにもならぬということで、区側は一億数千万円出して代替地まで買ったのですよ。五十九年の九月です。代替地まで買いました。ところが、せっかく代替地を買ったのだけれども、なかなか中居郵便局、建ててもらえないということで、もとの郵便局跡地も千数百平米ありますが、そこも有効に活用されていないし、代替地も遊んでいるという状態になっているわけですね。だから、これは経過からいいまして、郵政省が中居郵便局を代替地に建てるということを早く予算化していただいて、そしてもとの足立郵便局跡地についても足立区との話し合いを早急に進めていただきたい、そういうふうに思うわけですが、どうなっておりましょうか。
  229. 田口好孝

    ○田口説明員 旧足立郵便局跡地の件でございますが、現在、御指摘のように、足立中居局というのが窓口を設置しておりまして、これにつきましては、六十一年度において足立区の取得された用地を私どもで取得いたしまして新築移転いたしまして、その後、旧足立局跡地は足立区へ譲渡するように進めたいと考えております。
  230. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ではそのようにお願いいたします。  最後に、深夜勤問題についてお伺いします。  幾つかお聞きしたいと思っておったのですが、時間がありませんが、郵便の理場に深夜勤を導入しようということを進めようとしておられるわけです。これに対して労働者の間から不安とか心配、反対の声がかなり強いということだと思います。大臣所信の中でも、本当に明るい職場にしなければいけないんだということを言っておられるわけですが、実態はなかなかそうではないのですね。五九・二以降の夜間労働の集中はすごいのですよ。物数がこれまで、それ以前を一〇〇とすると二七七%になっているとか、午後十時から午前六時の時間帯は特に集中するのですね。そういうふうなシステムにしたわけだから当然そうなるわけですが、そういうことで深夜労働がふえているわけですね。で、かなり深刻なアンケート結果もきょうはお話ししたいと思って実は持ってきたのですが、時間がなくなったので紹介できませんが、非常に健康に不安を持つという人が東京中郵、あそこは特に大きいわけです、全国で一番大きなところですから、労働密度も高い。ここで、三十代の中堅の働き盛りの労働者で非常に健康に不安を感じる、定年まで働けるかどうか心配だというようなことを答えている人が五九・二%いましたかね、そういう調査結果も出ているのですね。これは東京中郵労組というのが調べたわけですが、その上にさらに深夜勤という、これは詳しく説明をしている暇はありませんけれども、要するに仮眠時間を抜いて専ら働かせよう、そういうものです。労働力の効率的活用というそちらの用語になると思うのですが、実態はやはり労働者の健康、そういうものを非常に弱める、非常に私は過酷なものだというふりに思っています。それで、東京中郵労組とか郵産労、東京中郵とか大阪中郵の五大中郵、それから晴海の局とかの連名で、深夜勤撤回要請という要請書がたしか大臣のところに行っているというふうに思います。どうしても深夜勤を導入しなければならぬのか。いろいろ話し合いもされているようですが、今どういう状態になっているのか、それをまずお聞きしたい。
  231. 小宮和夫

    ○小宮説明員 深夜勤を地域区分局につきまして実施したいということで組合に提案をし、組合の方がこれを受けて現在組合の中でも討議をし、また今後私ども話し合いをしていくという段階でございます。
  232. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大臣に、この問題では本当によく検討していただきたいということを要望しておきたいと思うのです。これは昨年も前大臣、やはり左藤大臣でしたが、左藤恵大臣にも私は質問いたしました。やはり人間は、本来昼働いて夜眠るというのが正常なわけでして、深夜勤というのはそれと逆なわけです。だから、やむを得ないものに限るということが必要だと思うのです。ところがそうではなくて、こういうふうに業務を進めるためにはこれだけの夜勤が必要だからやってもらうといいますと、そういうことばかりが先に行き過ぎていると私は思うのです。  そういうこともありますが、同時に、深夜勤が続いていると労働者の健康、家庭生活、これは家庭での団らん時間が本当に少なくなってしまうのです。それから社会生活ですね。何か見に行くとか社会生活への参加とか、そういう時間も非常に限られてくるわけです。ですから、これがどんどんふえていくということは望ましいことじゃないのです。そういう点では、本当に深夜労働をやらせることが必要な場合には最小限のものにしていくし、健康上の留意とかいろいろなことをあわせてやっていかなければならぬと思うのです。そういうことをこの前も要望しまして、前大臣にも御答弁をいただいたわけですが、それを読み上げることはいたしません。大臣も問題点はおわかりだろうと思うのですが、人間の生命を守るという立場、私自身は、いろいろ社会発展の中ではもっともっと深夜労働というのは減っていかなければだめだと思うのです。そういう無理なことはやらないということについて、大臣の見解をお聞きして終わりにしたいと思います。
  233. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 深夜勤の問題につきましては、関係局から私よく聞いておりまして、時代の進展とともに、この問題はやはり解消しなければならないというお考え方も一方ではありますけれども、この問題を合理的にやることにおいて、よりサービスあるいは郵便物のスピードアップ等が行われているという面もございますので、今先生の言われたような御意見を十分頭に入れて検討していきたい、こう思っております。
  234. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。      ――――◇―――――
  235. 宮崎茂一

    宮崎委員長 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び郵便年金法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。佐藤郵政大臣。     ―――――――――――――  簡易生命保険法の一部を改正する法律案  郵便年金法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  236. 佐藤文生

    佐藤国務大臣 簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び郵便年金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  初めに、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における社会経済情勢の推移及び保険需要の動向にかんがみまして、簡易生命保険の加入者に対する保障内容の充実及び加入者の利便を図るため、保険金額の加入限度額の管理方法を改めるとともに、保険金額を増額するための簡易生命保険契約の変更をすることができることとすること等を行おうとするものであります。  まず、保険金額の加入限度額について申し上げます。  現在、保険金額の加入限度額は、被保険者一人につき、千万円とされておりますが、加入限度額の管理方法を改め、一定条件を満たす簡易生命保険契約に係る保険金額については、加入保険金額に算入しないこととすることにより、実質的な加入限度額の引き上げを図るほか、被保険者の年齢に応じて加入限度額を設定することとし、そのため、これらの具体的な限度額の管理方法等について政令で定めることとしようとするものであります。  第二は、簡易生命保険契約の変更についてであります。  これは、加入者の利便を図るため、保険金額を増額するための簡易生命保険契約の変更をすることができることとしようとするものであります。  このほか、家族保険について被保険者が保険期間中の一定期間生存したごとによっても保険金の支払いをすることができるものとすること等を内容といたしております。  なお、この法律の施行期日は、保険金額の加入限度額等の改正については公布の日から起算して六カ月を、簡易生命保険契約の変更等の改正については公布の日から起算して一年六カ月を超えない範囲内において政令で定める日からといたしております。  次に、郵便年金法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における年金需要の動向にかんがみまして、郵便年金の保障機能の充実を図るため、保証期間付年金契約について、年金契約者が年金継続受取人を指定できることとすること等を行おうとするものであります。  その内容は、保証期間付年金契約については、年金受取人が保証期間内に死亡した場合は、年金継続受取人に年金を支払うこととされておりますが、この年金継続受取人を年金支払い事由発生日の前日までにおいては年金契約者が指定できるものとするほか、年金継続受取人の終身にわたり年金の支払いができるものとしようとするものであります。  このほか、郵便年金契約の解除等があった場合に支払う返還金について、年金支払い事由発生日の前日までにおいては、受取人の指定がないときは年金契約者をその受取人とすること等を内容といたしております。  なお、この法律の施行期日は、返還金の受取人等の改正については公布の日から起算して六カ月を、年金継続受取人の指定等の改正については公布の日から起算して一年六カ月を超えない範囲内において政令で定める日からといたしております。  以上が簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び郵便年金法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  237. 宮崎茂一

    宮崎委員長 以上で両案に対する趣旨の説明は終わりました。  次回は、明六日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十九分散会      ――――◇―――――