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1986-04-22 第104回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月二十二日(火曜日)    午前十時三十二分開議 出席委員   委員長 福島 譲二君    理事 糸山英太郎君 理事 小澤  潔君    理事 西田  司君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 宮地 正介君 理事 岡田 正勝君       石原健太郎君    臼井日出男君       越智 伊平君    大村 襄治君       左藤  恵君    坂本三十次君       中川 昭一君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    松田 九郎君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    元信  堯君       山下洲夫君    小谷 輝二君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員          会委員長)   小沢 一郎君  出席政府委員         警察庁長官   山田 英雄君         警察庁長官官房         長       鈴木 良一君         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         警察庁刑事局保         安部長     新田  勇君         警察庁交通局長 八島 幸彦君         自治政務次官  森   清君         自治大臣官房審         議官      石山  努君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         総務庁長官官房         参事官     石出 宗秀君         通商産業省生活         産業局窯業建材         課長      和田 正武君         運輸省地域交通         局自動車業務課         長       植村 武雄君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部技術企画課長 福田 安孝君         運輸省貨物流通         局陸上貨物課長 小幡 政人君         郵政省電気通信         局電波部陸上課         長       佐藤  進君         労働省労働基準         局監督課長   菊地 好司君         建設省都市局都         市再開発課長  近藤 茂夫君         建設省道路局路         政課長     原  隆之君         自治省財政局財         政課長     湯浅 利夫君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     石原健太郎君   宇野 宗佑君     越智 伊平君   五十嵐広三番     元信  堯君   吉井 光照君     森田 景一君 同日  辞任         補欠選任   石原健太郎君     伊藤 公介君   越智 伊平君     宇野 宗佑君   元信  堯君     五十嵐広三君   森田 景一君     吉井 光照君     ――――――――――――― 四月十八日  地方自治拡充に関する請願(田中美智子君紹  介)(第三四九四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)      ――――◇―――――
  2. 福島譲二

    福島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下洲夫君
  3. 山下八洲夫

    山下(八)委員 きょうは道交法委員会審議でありますけれども、その前に、まず一言だけお尋ねしたいことがございますので、冒頭質問させていただきたいと思います。  大変マスコミをにぎわしましたから、それこそもう皆さんも御案内のとおり、四月二十一日午前二時ごろ、静岡県河津町の峰温泉菊本館におきましてまた温泉旅館火災発生いたしました。五十五年十一月二十日の栃木県の川治プリンスホテル以来、最近ではことし二月十一日の、同じ東伊豆町の、今回のところから比較的場所の近い熱川温泉ホテル大東館と、しょっちゅう大きな火災発生しております。今回におきましても、三人の方がお亡くなりになりました。また五十四人の方が重軽傷を負いました。お亡くなりになられた皆さんに対しましては、本当に私自身も心から謹んでお悔やみ申し上げたいと思いますし、また重軽傷皆さん、あるいはまた当日旅館を御利用なさっていた旅行者皆さんに対しましてもお見舞い申し上げたいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、このようにたびたび火災発生してくる、このことを考えますと、また同時にそういう中で二月二十日でございますか、マル適とよく言われておりますこの安全基準の立入検査が下田地区消防組合から行われ、そのときには問題なく、また三月にはマル適査察についても合格をしている、こういうような状況でありながらまたこのような大きな火災発生してしまった。一方では、これはマル適交付もだんだん信用度を落としていくのではないか、私はこのような心配もするわけでございます。その点、まずマル適交付につきましてどのような基準で行われているのかもう一度確認いたしたいと思います。  また同時に、今回の出火原因、いろいろと言われております。あるいはまた、今報道では避難誘導初期消火にも問題があったとされておりますが、これからもっともっと解明されてくると思います。また、火災報知機の問題も、例えば電話が鳴っているような感じだったというような声もあるようでございますし、一方では夜間当直につきましても本来は二名のところが一名であったとか、いろいろとあります。消防への通報も、何か火災発生は一時五十分ごろで通報が二時十九分、この間若干の空白期間があったりしているようでございますが、その辺を総合的に簡潔に一度御答弁をいただきたいと思います。
  4. 関根則之

    関根政府委員 二月十一日の熱川の大東館火災で多くの犠牲者を出した後、また今回こういう火災発生をしたということは、私ども火災予防について常々責任を持ち、指導徹底している者といたしましてまことに残念なことでございます。  御質問マル適関係の問題でございますけれどもマル適につきましては、前々からその趣旨国民皆さんによく理解していただきますよう私どもとしては努力はいたしておるわけでございます。これはいわば一定の、最低限消防法規等の要請を満たしておりますよということを表示するにすぎないわけでございまして、それがあればもう絶対安心して寝られる、寝ていても大丈夫なんだというそういう安全を保障すると申しますか、そういうところまでのものではありません。したがって、「適」マークを交付されておる旅館にお泊まりいただいた場合においても避難路確認であるとかといったことについて十分御注意をいただきたいということを申し上げているつもりでございますけれども、そういうことがまだまだ徹底をしていないうらみもあるのではなかろうかと思います。  また、旅館防火管理者自身がいわばソフト面管理面におきましてきちんとした防火管理徹底させていただきませんと、「適」マークがありましても必ずしも安全ではないということをさらにPRもし、周知徹底もさせていかなければいけないと考えているところでございます。  また、マル適交付基準につきましては、二十四項目の消防法規及び建設省所管になりますけれども建物構造上の基本的な問題について法令規定を満たしているか否か、それによって交付するか否かを決めておるということでございます。  出火原因につきましては、現在調査中でございまして、明確なことを申し上げられる段階ではございません。  それから、火災報知機につきましても、避難をされた宿泊客等お話を伺いますと、鳴ってはいたというようなことは言われておるようでございますが、これも明確に何時何分にどういう形で作動したということについての確認はとれておりません。  それから、消防への通報でございますけれども、朝の二時十九分に一一九番によりまして覚知をいたしております。消防本部電話が通じたわけでございますが、それを受けまして直ちに出動いたしまして、二時二十二分には現場に到着をしておるわけでございまして、消防対応そのものは的確であったと考えておりますが、先生お話のありました正確な出火時間が何時ごろであったのかということについてはわかっていないわけでございます。
  5. 山田英雄

    山田(英)政府委員 お尋ね火災事件につきまして、警察としましては、静岡警察において現地下田警察署に署長を本部長とする捜査員百名から成る捜査本部設置いたしまして、ただいま出火原因構造設備避難誘導等の実態を明らかにして、関係者刑事責任の有無について究明すべく捜査中でございます。死体の検視、解剖、現場検証経営者及び従業員からの事情聴取宿泊客及び目撃者からの事情聴取等捜査を行っているところでございまして、お尋ねの諸点につきましては、捜査の経過において十分に詰めてまいりたいと思っております。
  6. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もう一点だけ、ちょっと消防庁の方へ御確認をとらせていただきたいと思うわけでございます。  マル適は安全でない、最低基準だという御答弁であるわけでございますが、国民一般からしますと、マル適があるかないかで一定安全度をはかって、また宿泊をしようではないか、こういうような考えもあります。同時に、そういう中で、マル適は、マル適なんですから安心して泊まれるのではないか、安全ではないか、このような印象を何となく国民は強く持っておると思うわけです。そういうことから考えていきますと、あくまでもマル適最低基準を満たしているんだというのではなくて、安全に宿泊できるんだ、このような内容にぜひしていただきたいということを強く要求しておきたいと思います。そうしない限り、消防庁の出しておりますマル通も信用できないということになれば、本当に消防庁自身もますます惨めになると思います。  もう一点だけあわせてお尋ねしておきたいと思うわけですが、温泉地中心としました観光的な旅館街と申しますのは大体町村が多くて、特に消防行政も弱いわけです。組合消防にいたしましても、今回にしましても、もっと消防車があれば、あるいは大きなはしご車があれば、いろいろなことも考えられると思うわけです。特にそういうところに対します消防車等中心としました器具、あるいはまた消防職員を含めたそういう充足率もどんどん積極的に、強い指導で進めていただきたいということをお願いしたいと思います。このことにつきまして、時間がありませんので簡潔にお答えいただきたいと思います。
  7. 関根則之

    関根政府委員 マル適の性格でございますけれども、まさにマル適法律に適合しているの「適」でございまして、安全の「安」ではないのです。マル安ではないわけでございます。物的設備をきちっといたしましても、それを管理するいわゆる常時管理者が、例えば避難路につきましても何か物を置いてしまったりしますと避難路として使えませんので、その辺の常時管理する人たちの心がけの問題、努力注意、そういったものもかみ合わせて初めて安全が確保されるものと考えますので、御趣旨はよくわかります、そういう方向に向かって私ども努力をいたしますけれども、直ちに安全を保障するためのマークに切りかえるということは、私は実際問題としてなかなか難しいのではないかというふうに考えております。  また、組合消防等におきます消防施設強化拡充等につきましては、私どももできるだけそういった財政力の弱いところに重点的に力を入れまして整備を進めていきたいというふうに考えております。
  8. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それでは、本来の道交法に移らせていただきます。消防庁、結構です。ありがとうございました。  まず、最初に長官お尋ねしたいわけでございますが、昨年も道交法改正が行われました。今回も提案されて、きょうこうやって質問させていただくわけでございますが、その前を調べてみますと五十三年に改正がなされています。五十三年から六十年といいますのは、七年間ぐらいの期間があったわけです。昨年道交法改正してまたことし、二年連続、なぜこんなに急いで改正する理由があったのか。また同時に、去年も改正しましたしことしも改正案提出した、また来年も提出しよう、そんな考えがあるのかないのか。その辺につきまして御答弁いただきたいと思います。
  9. 山田英雄

    山田(英)政府委員 道路交通法改正と申しますのは、昭和三十五年の法律制定以来、そのときどきのモータリゼーション進展に伴っていろいろ必要な改正をしてまいったわけでございます。逐一申し上げるまでもないわけですが、高速道路が供用される、あるいは暴走族が跳梁する、そういうような都度必要な改正を行ってまいりまして、昨年も、御指摘のとおり、シートベルト、ヘルメットの着用義務化交通事故対策のために必要な改正を行ったわけでございます。  今回、二年連続でございますが御審議をお願いしております改正は、ことしから第四次の交通安全基本計画並びに第四次交通安全施設等整備事業五カ年計画のスタートの時期に当たるわけでございます。そういう諸計画において幹線道路円滑化交通円滑化あるいは死亡事故の死者を八千人以下に抑止する、そういう目標達成のための手段として、現下の交通状況にかんがみまして、幹線道路都市交通円滑化を阻害しておる違法駐車の蔓延というのは見逃しがたいものがありますので、その大きな幹線道路円滑化事故抑止目標達成のために、その手段として違法駐車対策整備いたしたい、かように考え道交法改正の御審議をお願いしているわけでございます。  また、毎年毎年やるのかというお尋ねでもございますが、特に来年この点を予定しておるというようなことはございません。交通情勢進展に伴って、国民免許時代でございます、いろいろな方からの御意見を伺いながら、道路交通の安全と円滑の達成のために、今後とも必要な規定整備改正というのは行っていく必要があろうかと思っておりますが、何を予定しているかという特別な予定は、目下のところございません。
  10. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今回の改正の大きな内容としましては、駐車対策、これが含まれているわけです。去年、昭和六十年度に一気に違法駐車の問題がクローズアップされたわけじゃない。もう長い長い時間、長い時を経過しているわけです。そうしますと、この問題なんかは、昨年の道交法の中で一緒に解決しても何ら問題のない、また不思議でもない大きな課題であったと思うわけです。これが今回、後ほど触れたいと思いますが、内容的には百八十度転換といってもいいような内容改正案がまた出てきているわけです。私は、こういうことを考えますと、疑ってはいけないわけですけれども、また来年も何か部分的に道交法改正を出してくるのじゃないか、このような気がしてならなかったわけであります。昨年も質問し、またことしも質問し、ということになりますと、いろいろな法律があるわけでございますから、できればそのようなことも行革の一つとして、なるべく一回にまとめて、そして長期的な判断に立って改正をしていただきたい。そういう意味では、できれば来年は行わない、少なくとも二、三年は間を置いてから、同じ改正をするのでも提出をするんだ、このような環境づくりをぜひ要望しておきたいと思います。時間がありませんので、答弁はいいといたします。  それから、昨年も質問したわけですが、私は、どうしても納得いかない点があるわけです。  自動車安全走行といいますか安全運転といいますか、特にユーザー皆さん方運転をするわけでございますが、最近、自動車にはカーステレオがついたりあるいはラジオがついたりテレビがついたり、MCA無線であったりあるいはパーソナル無線であったり、また自動車電話とか、試験に受かればアマチュア無線設置とか、要するに自動車無線関係がたくさんつけられるわけでございます。そういう中で私が特に強く感じますのは、パーソナル無線というのは大変簡単に取りつけることができるわけでございますね。このパーソナル無線にいたしましても、一応郵政大臣許可ということにはなっているわけでございます。  私は、この取りつけを禁止しろと言うのではなくて、今の状況を見ておりますと、昨年も質問いたしましたが、ハンドマイクというのですか、ああいうふうなのを持って交差点なんかできょろきょろしながらしゃべりながら片手運転をしている。一方では、安全対策シートベルトをしなさい、安全運転のために警察は一生懸命努力をなさっている。このようないろいろな装備や運転には余り関係のないものがたくさん取りつけられるわけでございますが、そういう観点から、警察としましてはどのようなお考えなのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  11. 八島幸彦

    八島政府委員 お答えいたします。  先生御承知のように、道交法には安全運転義務規定がございまして、運転者は、自動車運転する場合にはハンドル、ブレーキ等装置を確実に操作し、道路交通等状況に応じて、他人に危険を及ぼさないような速度と方法運転しなければならないと規定されております。したがいまして、運転操作以外の作業に気をとられてしまうということは交通安全上好ましいことではないと考えております。しかし、そういう装置をつけるのをすべて禁止すべきだというふうにも理解していないわけでございまして、装置をつける場合には原則として停車中に使用するとかいうようなことによって必要性を満たし、かつ運転上も支障がないという使い方もあるわけでございますので、私どもといたしましては、新たないろいろな装置が開発される都度意見等を聞かれた場合には、それを備えつける運転者にぜひそういう使い方をしてもらいたいというようなことを監督官庁が十分指導した上で認めるようにしていただきたい、そういう意見を申し上げているところでございます。
  12. 山下八洲夫

    山下(八)委員 無線の場合は免許を取るとか許可を得るとか、そうすれば設置できるわけでございますし、電波につきましては郵政省ですし、また運輸省の方では車検を中心としました車両最低限の安全をチェックする、こういう機関でもあるわけです。また同時に、今道交法お話がありましたとおり、警察の方は特に道交法中心である、そういう中で私が今思いますのは、個人タクシーですらちょこちょこ今電話をつけまして、運転中にまた次の客の予約とか、こういう現場にも出くわすわけですね。確かに、今一定指導で、電話にしましても無線にしましても、駐車をしてあるいは停車をして受ける。また、電話につきましてはそのような装置もついているというようなことも言われておりますが、これはどこの機関指導するのか、その指導機関もないような気がするわけです。だからといって、電波国民に親しみやすい身近な電波にしないといけない、このことも私は理解できます。そういう中で、一定のルールと申しますか、これを法的にどうこう取り締まれというのではなくて、やはり自動車につける場合は、例えば、タクシー無線ではございませんけれどもハンドマイクではなくて、名称をよく知りませんけれども上から垂れたようなので前を向きながら話ができるとか、あるいは電話については運転席からは届かない、ベルがなったら近くに停車をしてそれからちゃんと電話に出るような位置に取りつけなさいとか、運転に差し支えのないような一定方法等のことについて、それぞれの役所はどのように考えられるのか、運輸省郵政省、時間がありませんから簡潔に御答弁いただきたいと思うわけです。
  13. 福田安孝

    福田説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のございましたパーソナル無線とか電話というようなものを取りつけております自動車安全運転と申しますか、そういうものについては基本的にはやはり使用の問題であろうかというふうに私ども考えているわけでございますけれども、御指摘のように、場合によりましては運転操作に悪影響を及ぼすというようなケース考えられます。したがいまして、例えば自動車電話というような問題につきましては外からかかってくるようなケースがございますので、そういうものにつきましては応答保留機というようなものをつけまして、安全なところに停車してから使うというようなことを従来から指導しておるわけでございます。
  14. 佐藤進

    佐藤説明員 パーソナル無線でございますが、近年モータリゼーションが大変進んでいるということでございまして、国民の要望にこたえ、簡易な通信手段を提供するものとして提供された通信手段であり、今大変愛好されているものでございます。  この無線を車中で使用して交信する場合の操作でございますけれどもマイクを持ちましてボタンをプレスするという簡単な操作でございまして、特に複雑なものでもないわけでございます。したがいまして、特段車安全運行支障を来すものではないと考えているわけでございます。  また、今フレキシブルマイクといいますか、そういった固定されたマイクの扱いについての御質問でございますけれども、これにつきまして電波関係法令におきまして、走行中の車の中でパーソナル無線使用する場合、安全運転確保観点から運転者が直接手にとって通話することを要しないという意味でのフレキシブルマイク使用を義務づけるということは困難ではないかというふうに考えてございます。ただ、いずれにいたしましても、パーソナル無線通信操作によって自動車安全運転がおろそかにならないよう、運転者の方にそういうことを期待しているというところでございます。
  15. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今、いろいろな形で交通事故もなかなか減少しない。交通事故を減少させるために一生懸命また道交法改正がなされたりして努力がなされているわけです。そういう意味では、例えば友達からの応答で、それを受けてつい夢中になっておしゃべりしている間に赤信号に気づかず事故に遭ったということもこれから起こるかもわからないわけです。特に、パーソナル無線等は本当にこれから一番広範に普及していくでしょうし、また同時に、電話につきましてもこれからどんどん普及していくと思うわけです。そんなことを考えますと、より安全運転の上からいきますと、最終的にはユーザーのモラルではないかと言ってしまえばすべて同じでございますけれども、そうであってもやはり一定指導はこれからぜひ、これは運輸省あるいは郵政省、そして警察庁、三者一緒に検討していただきたいということを要望して、次へ移らせていただきます。  冒頭ちょっと触れたわけでございますが、道交法改正、特に駐車問題につきましては今回百八十度転換と言ってもいいのではないか、そのように私はとらえております。特に今回の提案理由説明には「最近の都市部における駐車問題の深刻化にかんがみ、時間制限駐車区間に関する制度を新設するとともに、駐車違反車両に適正に対処する措置を講じ、あわせて、」云々というふうに書いてあります。また、その中でその一といたしまして、「公安委員会は、時間を制限して駐車できる区間を指定して、従来のパーキングメーターのほか、パーキングチケット発給設備設置、管理することができることとし、その区間において駐車する場合は車両パーキングチケットを掲示しなければならない」等々書いてあるわけです。そのように定めていく。特に、今回路上駐車の拡大を必然的に、申し上げますと、進めるわけでございますが、ちょっと建設省いらっしゃいますね。  建設省お尋ねしたいと思うわけですが、今東京都内には、特に二十三区には七万台ですか、東京都で八万台とか路外駐車場があるようなことを言われておりますけれども、現実に今路外駐車場の利用度、あるいは同時に理状は、道路にパーキングエリア等をつくって拡大しなければいけないほど駐車場に困っているのか、その辺、いかがでしょうい。
  16. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 路外駐車場の整備状況でございますが、東京都区部で約二十三万台ほどございます。現在の利用状況は必ずしも高くございません。平均的な利用状況ですと大体三割台ということで、現在の利用状況としては必ずしも高くございませんけれども、今後その取り締まりが強化されるということになれば、現在の路外駐車場では対応できないということは事実だろうと思っております。
  17. 山下八洲夫

    山下(八)委員 なぜ利用率が低いのですか。
  18. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 原因はいろいろ考えられるかと思いますが、一番大きいのは、やはり違法駐車の存在があるということだろうと思っております。
  19. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今回の改正内容で、違法駐車対策についてということで、車の運行には駐停車場所の確保が不可欠である。その中で特に駐車問題は都市づくりそのものにかかわる問題である。警察としては、従来路外に十分な量の駐車場が整備されることを期待しつつ、都市内においてほぼ全面的に駐車禁止規制を行い、現在の体制及び法制のもとにおいて可能な限りの取り締まり強化に努めてきた。しかしながら、路外における駐車場については、現在のところ、質、量ともその需要に応じ得る状態ではない。駐車場についての需要と供給のアンバランスというようなことが書いてあるわけでございます。  今、建設省の御答弁、お聞きになられたと思うわけですが、警察庁の方としましては、路外駐車場の確保についてどのような努力をなされたのか、あるいはまた、駐車違反の取り締まりについてどのような努力を今日までなさってきたのか、その辺につきましてお答えいただきたいと思います。
  20. 八島幸彦

    八島政府委員 現在の路外駐車場のうち、一般の人が自由に駐車できる駐車場の台数は、私どもが承知しておりますのは、東京都内で言えば約八万台ぐらいというふうに承知しております。一方、違法駐車の台数でございますが、これは瞬間の違法駐車台数としても約十六万台ぐらいあるというふうにわかっておりますが、そういうことから考えますと、やはり一般の人が自由にできるという意味での路外駐車場の余地は、実際上の現在の適法駐車を十分収容できるには至っていないというふうに考えまして、したがいまして、ある程度現在のパーキングメーター等の路上駐車の余地をふやしてまいりたい、こういうふうなことでございます。  もちろん、道路において駐車をするということはあくまでもやむを得ない措置として認めるべきものでございまして、本来は路外駐車場で皆賄えるというのが理想でございますので、警察としても、これまでも折に触れそういうことを関係機関に御要望を申し上げてきたところでございます。  それから今度の駐車の問題でございますが、そういうことで、私どもは一方においてそういうスペースを確保すると同時に、必要な移動命令措置に伴う標章の貼付等の改正もお願いしておりまして、そういうことを総合的に実施することによって現在の駐車問題はかなりの程度解決するのではないかという期待を持っているところでございます。
  21. 山下八洲夫

    山下(八)委員 先ほど建設省の方から、大体路外駐車場は三割程度しか利用されていない、このような答弁がございました。一方では、確かにどこに駐車場があるのかわかりにくい、こういう点で利用の落ちる面もあろうと思います。同時に、路上駐車はなぜあんなに多くしているか。これは少なくとも、やはり一方ではユーザーのモラルの問題が当然ございます。同時に、今度は警察の方での道交法に対します教育の面、啓蒙活動と申しますか、この辺の弱さもあるのだろうと思うわけです。  今回の改正理由の中にございます、捕まった方が運が悪かったというような感覚ではいけないというようなことも、これはスピード違反につきましてもそうですけれども、一般的に交通違反といいますのは、どちらかといいますと運が悪かったと、罪意識を持たないわけです。だけれども、私は、反則金とかあるいは罰金を高くすればするだけ、それだけ運が悪かったのじゃなくて悪いことをしたということにつながるか、いや、決してそうではないと思うわけです。それ以前に、やはり何としましてもしっかりと指導をしていく、そのためには駐車をさせない。今、東京サミットあるいは在位六十年の関係か知れませんけれども、皇居周辺というのは駐車違反、ないんですね。本当に見事に車は片づいているわけです。一方ではあれは指導の結果あのようにきれいになっていると思うわけです。ですから、私は、指導方法考えれば幾らでもあろうと思うわけです。そういう意味では、まず部分的にパーキングチケットをつくったりするのではなくて、私は、まず今の路外駐車場をどんどん利用しなさい、こういう方向へ持っていくべきだと思いますが、その辺の考えにつきましていかがでしょうか。
  22. 八島幸彦

    八島政府委員 先生指摘のように、駐車に関する情報の提供の関係の事務は必ずしも従来十分であったとは思っておりません。そういうこともありまして、今回の改正案では道路使用適正化センターというものを設けまして、このセンターが、駐車だけには限りませんけれども駐車問題につきましてもいろいろ情報提供なりあるいは相談活動あるいは啓蒙活動等も行う、そういうようなことによってよりその種の事業を活発化いたしたいというふうに考えております。  それから、先生指摘のように、本来やはり路外駐車場に駐車をするというのが好ましい姿であるということは、私どももそのとおりだと考えております。ただ、先ほども申し上げましたように、現実に十六万台という違法駐車があるということを踏まえまして考えた場合に、現在の路外駐車場のスペースでは必ずしも十分ではない、そういう認識を持っておりますので、今回ある程度路上駐車のスペースを拡大するということを考えた次第でございます。
  23. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ちょっと一歩先へ進みたいと思います。  現在都内には七千七百基ですか、パーキングメーターがある。今回、二万台ぐらいにしたい。あるいはまたパーキングチケット制度、一定の五十メーター、百メーターの距離でメーターを設置して、歩道のないところでも今度は設置しやすいとか、いろいろないい面があろうと思うのです。だが、一方では今三割しか使われていない。これが大体十割近く、八割、九割と高まってきた、そういう中で、こういうものが次の段階の発想として出てくるのはまだいいと思うわけです。同時に、私は今パーキングメーターをちょっと簡単に調べてみたわけです。東京の場合は四十分以内で二百円。名古屋の場合は六十分以内で三百円。考え方によれば名古屋の方が東京より高いわけですね。六十分以内が三百円ですから、四十分でだって三百円になるわけです。名古屋あたりも、大体平均的な路外駐車場といいますか、私営の駐車場なんか、平均三十分以内二百円になっているわけであります。東京にしましても、私営の駐車場の方がパーキングメーターより高いわけです。  また、今回、うわさで聞くところによりますと、このパーキングチケット制度は一時間単位のと二時間のと二種類ぐらいつくろうか、あるいは一時間につき二百円から三百円にしようか、このような考えもあるようでございます。また、検討されているようでもございます。そうしますと、路外駐車場の方が路上駐車場より高いわけですね。それを考えますと、ますます路外駐車場をユーザーは使うなよ、ドライバーは使うなよということをしているのと全く同じだと思うわけです。じゃ、路外駐車よりうんと高くする、これもまた難しいと思うわけです。高くすれば、国の機関がやっているのがこんなに高いんだから、我々ももっと高くしていいだろう、こういうことにもなろうと思うわけです。私は経済には素人でございますけれども、路外駐車場、特に東京なんか、駐車場経営として成り立つだろうか。そのことを考えても、私はなかなか成り立たぬだろうなと思います。路外駐車場でありますと、少なくとも一台のスペースをとるのに、自動車の出入り等を考えますと、坪数で言いますと六坪ないし七坪ぐらいは必要であるわけです。じゃ、東京の土地がどれだけするか、膨大な値段がするわけですね。つい先日、六十一年の一月一日の土地公示価格が出ました。千代田区にしましても中央区にしましても、二十三区どれを見ても、私たちから見れば目が飛び出すような金額であるわけです。そうしましたら、これからそのような駐車場経営はますます成り立ってこない。そういう中で、特にこのような路上駐車、パーキングメーター制度なりを拡大すればするほど、今度は一般の路外駐車場を閉鎖しろという方向に逆に変わると思うわけです。その辺の考えについてどのようにとらえているんでしょうか。
  24. 八島幸彦

    八島政府委員 路外駐車場の利用率が三割程度と申しますのは、月決め駐車場等も含めた利用率のように私どもは承知いたしております。したがいまして、一般の運転者が自由に利用できる駐車場に限って申しますと、もっと利用率が高くなる。私どもが承知しておりますのは恐らく六〇%程度というふうに理解をいたしております。それから、先ほども申し上げましたが、そういう利用できる台数は都内の場合約七万台ということでございますので、瞬間違法駐車台数の十六万台に比べますと必ずしも十分なものではないというふうに考えております。  そういうことで、ある程度路上駐車のスペースを拡大いたしますが、一方において警察官の違法駐車の移動措置命令等の権限規定も今回改正案でお願いしておりますが、こういうことによってある程度駐車違反の取り締まりということも強化されますので、従来路上駐車の料金が安いとか、そういうようなことで違法駐車をしている者が仮にあるとしましても、そういうもののかなりの部分は取り締まりの強化等によって路外駐車場の方に合法的に駐車することになっていくのではないかというふうに考えております。  それから路上駐車場の料金の問題でございますが、これは現在のパーキングメーターについても同様でございますが、あくまでも駐車の料金とかあるいは道路使用の料金というような考え方ではなくて、パーキングメーターなりパーキングチケットなり、あるいはその維持管理、そういうものにかかる経費を賄うような手数料として定めておりますので、その手数料の積み上げの結果が具体的な金額ということであらわれるわけであります。しかし、私ども今回の改正案でも、そういう駐車情報の提供なりあるいは車両の整理等の事務も公安委員会が行うように義務づけておりまして、そういう新たな事務も加わりますので、従来に比べて、積算をいたしますとそれよりも高くなるというような場所も出てこようかというふうに考えております。また、そういうことからしますと、路外駐車場の料金とそれほど大きな違いがないような実態になるんではないかというふうに考えている次第でございます。
  25. 山下八洲夫

    山下(八)委員 路外駐車場と料金の違いが余りないということより、私はやはり路外駐車場を育てる方向で考えていただかないといけないと思うわけです。特に、道路を何のために広くしたのかということだと思うのですね。これは少なくとも円滑に車が通過できるようにつくられていると思うわけです。やむを得ず駐車をしないといけない車につきましては駐車禁止適用除外車もあるわけでございます。そうしますと、それ以外の車というのは、四十分とかあるいは一時間とか駐車する必要があるだろうか。例えば引っ越しのときは確かに駐車違反のところに半日なりあるいは一日かかるかもわかりません。そのときは引っ越し用で、手続さえとれば適用除外していただけるわけであります。そうすれば、私は、そういうものが方法として現行でもあるわけでございますから、十分にやっていけると思うわけです。  そういうことから考えて、少なくとも、路上にパーキングエリアをふやすとか、あるいはパーキングチケット制をふやしていくとか、私は今の時代に逆行していると思うわけです。どこの道路を見ましても両側にずらっと、東京の場合、特に違法駐車しているのでしょう。お巡りさんはそこへ立ってて何ら指導もしようとしない。あの車というのは、見ていただくとよくわかると思うわけですが、七割は乗用車ですよ、自家用車。荷物の集配のためじゃないですよ。ほとんどが乗用車ですよ。そのことを考えますと、もっともっと指導することが大事だと私は思うわけです。そういう意味で、私は、少なくともパーキングメーターなんか大都市からはなくしていく、全面一〇〇%駐車禁止していく、この方が正しいと思うわけです。その上に立ちまして、例えば宅配便とか郵便とかいろいろなものがございますが、そういうものにつきましてはそれなりに駐車禁止除外証を発行するとか、そういう運用面で幾らでも取り組むことができると私は思うわけですが、その辺につきましてはいかがでしょうか。
  26. 八島幸彦

    八島政府委員 私どもも、駐車は本来路外駐車場に駐車すべきものであるということは全く同じ考えでございます。しかし、現実の駐車需要の実態を見ますと路外駐車場では十分でないと考えられますので、ある程度路上駐車場のスペースを拡大したいということでございます。したがいまして、その路上駐車場のパーキングメーターあるいはパーキングチケット設置場所につきましても、路外駐車場があって、かつ十分に利用されてないような付近には設けることを考えておりませんし、それから、将来、現在はなくても路外駐車場が整備されてそちらの方に十分収容する余裕があるようなことになれば、現在設けているパーキングメーターなりパーキングチケットども撤去していくべきものであると考えております。
  27. 山下八洲夫

    山下(八)委員 いや、今日でもそんなこと、ないですよ。名古屋駅の新幹線口、あそこへ行っていただければ一番よくわかると思うのです。あの辺はいっぱい路外駐車場があるのですよ。そのわきに、今幾らでもパーキングメーターが立っているのです。今おっしゃったこと、私は全然納得できませんよ。全く矛盾しているのです。それでは、今度の法律改正されますと、今後そういうのはすぐ撤去するのですね。
  28. 八島幸彦

    八島政府委員 現在、路外駐車場があいていながら路外駐車場を利用しないで違法駐車をやっているという実態の御指摘でございますが、そういう実態があることはそのとおりでございます。実はこれは駐車違反の取り締まりの難しさからきている面も多々ございます。と申しますのは、運転者現場にいないということで、反則切符を切ることができないということが一つの原因でございます。そこで、呼び出し状等を張ったりあるいはワイパーに挟んだりしているわけでございますが、これにつきましては何ら法的根拠がないものですから、最近は運転者も出頭しなくていいというようなことで、なかなか取り締まりが進んでいないということになってきているわけでございます。結局、取り締まりがなかなかできない難しさがそういう結果になっている面もあるということを御理解いただきたいと思います。
  29. 山下八洲夫

    山下(八)委員 民活導入が今回されて、これにつきましても大きな問題点をたくさん抱えていて、私は後ほど質問しようと思ったわけですが、時間がありませんので、これは困ったなと思っているわけです。  今、私が質問しましたのは、そんなことじゃないのですよ。先ほどの答弁から申し上げますと、要するにパーキングチケットあるいはパーキングメーターについては路外駐車場のある付近には設置をしませんとおっしゃったのですよ。今日、東京ですらたったの七千七百基ですか、名古屋なんかも知れていますよ。だけれども、不思議にパーキングメーターの設置してあるところに限ってたくさん路外駐車場がたくさんあるのですね、よく見ていただくとわかると思うわけですが。だから、そういう意味では、まずそういうことを直してそれからかかっていくならわかりますし、それ以上に違法駐車というのは、何といいましても今度は民活でされるということでございますが、これは警察の権限の問題等含めていろいろな大きな問題点をたくさん抱えていると私は思うわけです。  そういう中で、路上駐車につきましては今まで放置していたところに大きな問題がある。もし百歩譲って、例えばパーキングメーターとかパーキングチケット制をつくるのであれば、タクシー運転手さんとか青ナンバーの運送業とか、プロドライバーがたくさんいらっしゃるわけです。そういう方は昼になっても会社に帰って食事ができない。そうすれば出先で食事をしなければいけない。あるいは疲れたら、長時間運転は労働法でも禁止されているわけでございますし、そうすれば休息もしないといけない。人間の生理的現象もあります。ちょっと駐車をしないといけないときもあります。そういうことから考えますと、パーキングメーターというのは、今のように朝八時から夜の八時まで、そういうような形で通しでやるのではなくて、人間の生理的現象を考えて、八時から九時は大体朝御飯を食べる、十一時半から一時ごろは昼御飯を食べる、三時前後はどこでも一服をする、あるいは五時から六時ぐらいは食事タイムである、そういう時間帯を細切れで、プロドライバーなんかが休養や食事をするためにあちこち設置するのは、私はまだ一面では理解できるわけです。  そうではなくて、路外駐車場が足りないから、それと同時に違法駐車をなくすためにということであれば、路上駐車をパーキングメーターによって合法化するわけでございます。これも大都市だけでやるわけですね。すべての四十七都道府県に設置するわけではないと思うのです。そのことを考えますと、私はまず路外駐車場の確保へ全力を注ぐべきだと思うわけです。この辺をもう一度最後にお尋ねしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  30. 八島幸彦

    八島政府委員 路外駐車場の利用率を高めたり、そちらの方に運転者の人が努めて駐車するようになるということは、私どもも大変好ましいことだと考えております。
  31. 山下八洲夫

    山下(八)委員 終わります。
  32. 福島譲二

    福島委員長 加藤万吉君。
  33. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 山下議員の質問に引き続きまして、まず長官お尋ねをしたいと思うのです。  長官、先ほどの御答弁で、総合交通体系の見直しを行う、したがって、法改正は来年度はやりません、こういうことでしたね。交通体系の見直しをされた後、法改正は出ますか。
  34. 山田英雄

    山田(英)政府委員 第四次の交通安全基本計画の実施のために当面必要な手段として、ただいま御審議をいただいておる道路交通法改正案を提案させていただいたわけですが、今後におきましては、道路運転免許を取る自動車教習の問題あるいは全国を縦断いたします高速道路についての交通対策とか、各般の問題があることは我々も十分に承知しておりますし、そういうものに対応するために、今お尋ねの中にありましたいわば抜本的な対策というものはいろいろあろうかと思います。今後の交通情勢の変化に応じてその都度多くの方の御意見を徴しながら、交通の安全と円滑を図るための努力はしてまいりたいと思います。その一環として道路交通法改正が必要であるならばその改正方も検討していきたい、かように思っております。
  35. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 長官、どうも「その都度」という答弁がひっかかるのですよ。私、道交法審議はこれで三回目ですね。暴走族がありまして、シートベルトがありまして、今度は駐車場。その都度なんです。山下議員が言っているのは、もうその都度やられる状況じゃないのじゃないかということを実は言いたいのですね。自動車免許取得者は、これから十年先、全人口のうちの七千万でしょう。それから、私調べていただきましたが、十年前と比べると高速道路の普及率は大体二倍半ですね。これが一般道路と時には平面交差をし、時にはそこに流れ込んでくる。そうしますと、高速道路を走っている車が一般道路に入ってくる、その関係をとらえてみますと、例えば初心者が高速道路を走って、そして一般道路へ入る、ないしは逆に一般道路から高速道路へ入る、この場合の事故が多いのじゃないですか。これは建設省お尋ねしましたけれども、実は資料が出てまいりませんでしたが、バイパスがやはり高速道路と同じくらいふえているのじゃないかと私は思うのです。  バイパスというのは、長官御存じのように、大体一般道路と平面交差が多いのです。高速道路の場合には迂回路をとりますから、大体直角的に交差する道路が多いですね。そうしますと、従来の信号の位置――バイパスの場合には速度制限が緩和されていますから、若干スピードが速いですね。そうしますと、信号の位置あるいは向かう方向、例えば右カーブをする場合の角度の問題、一般道路の場合は一般的に狭いと見なければいけませんから、等を見ますと、これだけ、この一つの例を挙げてみても、私はもう抜本改正をする時期ではないか、こういう気がするのですよ。  そこへもってきて、日本の産業構造は、御案内のように第三次産業でしょう。先ほども引っ越し荷物の問題等の問題が出ましたけれども、引っ越しセンターなどが、最近、第三次産業で非常にはやっていますね。単身者赴任、企業の側も単身者赴任は大体二年、多くても三年ぐらいですから、そうしますと物の移動が非常に激しくなる。せんだっても東京湾道路の問題で私申し上げましたが、今までの産業構造とは違った産業がそれぞれ配置をされてくる。例えば房総半島にハイテク産業が出てくる。内陸工業は、コンビナート地帯から出てくる鉄を中心とした内陸工業ではございませんよ、新しいハイテク産業ですよ。こうなってまいりますと、物の輸送の形態が従来の船それから貨車、これはなくなりましたね、貨車はもうほとんど……。したがって、物流センターが、航空基地を中心として工業地帯が形成をされる。物が非常に軽くて小さくなりましたから、勢い今度はトラック輸送が非常に多くなる。いわゆる第三次産業の発展というものと交通体系という問題は極めて重要な密接な関係を持っているのですね。しかも、これはもう現在進行中ですよ。  こう見てまいりますと、長官が言っておりますように「その都度」ではもう間に合わないのじゃないですか。私は、今四次の交通体系の総合見直しがあるならば、それに合わせて法改正を検討すべきだ、こういう意見を持っていますが、いかがでしょう。
  36. 山田英雄

    山田(英)政府委員 御指摘の点、御意見、大変傾聴すべきであると思います。私も同感の点が多いわけでございますが、そういう基本的に重要な問題であればあるほど、やはり時間をかけて総合的に検討しなければならないことが多かろうと思います。私ども十分に交通情勢の変化に応じた対策というものを検討してまいりたいと思っております。  ただ、基本的に、道路交通法においては交通に対するマナーといいますか、規制の基本が規定されておるわけでございまして、安全教則においても、ドライバーに対して高速道路を含めて必要なマナー、ルールというものを定めておるわけでございます。そうしたものを守っていただく、同時に、道路交通法を運用して、変転する情勢に対応していくという努力を日々我々繰り返しておるわけでございまして、そうした運用によってカバーし得ないもの、新しい状況というものにどう対応するか、それが御意見趣旨であろうと思いますが、そのことを関係機関の方とも十分時間をかけて協議して、必要な対策をとってまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  37. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 その範疇でその都度というのはわかるのですよ。長官の言葉は、その都度やります、こう言うものですから、私どもは、いや、全体の範疇の中で緊急に必要なものはやらにゃいかぬでしょう。  今度、総理がアメリカに参りまして、例の新しい経済構想を発表しましたね。これなんかは大変なことですよ。産業構造の転換と同時に、交通体系に物すごい影響を持ってくるものだと私は実は思っているのです。だから農産物の問題がそうですね。これなんかでも今度アメリカとの一種の分業的な形になりますと、それでは農村は一体何になるかといえば、僕はハイテク産業あるいは広い意味での新しい空間のゾーンとしてどういう人を配置するか、いわゆる住宅の方向にいくのじゃないかなということを思うのです。したがって、日本の経済のスピードに合わせて、僕はやはり警察庁はいま少し速度を早めた、並行した審議、研究をされるべきだと思うのです。  率直に申し上げまして、警察庁の場合には現業を持っていますからね。今度のサミットの問題でも、これほどまでの実戦部隊を持っているわけですから、どうしても、私どもも仕事が忙しいと、何かその都度やろうじゃないかという話になっちゃうのですよ。ですから、現業を持っていらっしゃるだけに、私はなかなか落ちついて全体の研究ができないのかなという実は不安を持つのです。  例えば、公共交通の問題一つとってみますと、名古屋がバスレーンを御存じのように中央分離帯に沿ってつくりましたね。私は、あれは、今のところは交差点におけるバス停ですからいいですけれども、中間停車をするということになりますと、おりる乗客の歩道をどうつくるか、これは問題になりますよ。今のところは交差点における信号待ちで乗客がおりできますからいいですけれども、例えばあのバスレーン、非常に評判がいいのです。評判がいいだけに、各都市で取り入れようとすれば、必然的にそうなるんじゃないですか。これは中間点でいわゆる信号待ちでないところでも乗客をおろさざるを得ない。その場合の歩行者専用道路をどうつくるか、これは今もう課題ですよ。  これは秋田市ですけれども、うちの同僚議員いなくなっちゃいましたが、秋田市の雄物川の南側にバスレーンを今つくろうとしているのだろうと思うのです。ところが、バスレーンをつくるわけですから、当然道路幅を拡幅しなければなりません。その拡幅することに対していろいろ地元で問題があるのだそうです。例えばその雄物川、私はその場所はわかりませんが、恐らく堤防との関係その他もあるのでしょう、防災上の。建設省の方からなかなか許可がおりない。しかし、この場合に、公共交通がこの時期に、いわゆるモータリゼーションの時代で、勤労者あるいは勤め人の足が奪われるという時代に、公共交通を優先すべきだということが本法の、道路交通法のいわゆる中心的な位置に座ってまいりますと、それが根拠法になって、実はこのバス専用レーンはどうしても道路を広げていただいて、通勤者の足の確保、すなわち、それによって自家用も含め、営業用も含めかもしれませんけれども、一般的な自動車の混雑というのを緩和することができるのですね。それが私は、道交法の公共道路優先という課題をどこかにきちっと入れる、これをもって解決できるのですよ。これは一例です。  先ほど高速道路の問題を申し上げましたが、高速道路、これは長官がまだ長官になられる前に私はここで質疑したのですが、あのときには高速道路に対して、故障車があった場合には三角の信号を後ろ側に置きなさい、摩耗したタイヤはスリップがあるから、これはいけませんよ等々の審議をしたのです。ところが、今日高速道路がこれだけ一あれは五十三年だったでしょうか、あの法改正審議は。それで、これだけ五十三年-五十五年からずっと高速道路の延長競争で、ここに私は資料として持っているのです、時間がありませんから言いませんけれども。少なくとも十年前から比べたら二倍半ですよ。こうなってきますと、さてあれでよかったのだろうかという気が実はしているのです。  高速道路を走る場合の運転手の注意すべきことは、一般道路注意事項とは違いますね。私は初めて聞いたのですけれども、例えば水しぶきが違うそうですね、ワイパーに当たる水しぶきが。したがって、前方確認が、一般道路が仮に。十メーターとするならば八十メーター先を見なければいかぬとか、それから、九十キロ、八十キロが速度制限だとしますと、その場合におけるカーブのとり方はどうすべきかとか、いろいろあるのだそうですね。事例を挙げて私に説明してくれた人がいます。しかも、加藤さん、免許証をもらって一年目じゃこれは無理ですよ、こう言うのです。なぜかというと、長官高速道路免許を取るために試乗運転できませんね。できないでしょう、交通局長。今、高遠道路を仮免で運転ができますか。できませんよ、できない法律になっているのです。いや、法律になっているかどうか知りませんが、少なくともそういう指導をされているのです。その人が免許を取って一年後に高速道路に乗るのですよ。昔のように短ければ、それは君、まだ取ったばかりだから高速道路に乗るなよ、こう言うことはできますよ。しかし、現実に、これほどまでに長くなってまいりますと、一年もたったら乗らざるを得ないですよ。それが、高速道路運転するための訓練が何もされていない。あるいは教習所における技能訓練あるいは学科を含めて、長官がおっしゃいましたマナーを含めてやっていないのです。これは、私は幾つかの例を挙げたのです。現在でもそこが必要なんですよ。  ですから、その都度ではなくて、もう既に道交法全体を見直す時期に来ているのです。物流の問題、高速道路の問題、それからいろいろ申し上げました。どうでしょう、新しい総合計画と同時に、いま少し研究のテンポを速められるべきじゃないでしょうか。これは長官からお聞きして、同時に高速道路の問題は局長から。
  38. 山田英雄

    山田(英)政府委員 私の申し上げた趣旨が、ちょっと言葉の足りないところで御理解いただいていない点もあると思いますが、御指摘の総合的な研究、対策の樹立の必要性というのを私も十分に感じております。  そういうことについて、警察庁の中におきましても、都道府県警察現場意見関係者の方の御意見など十分に徴しながら研究しておるわけでございまして、法改正という形で何をいかなる手で打つべきかということについては、やや時間をかけた準備が必要ではないかと思いますのが私の今の実感でございます。  そういうことで、その都度というその都度主義で申し上げているわけではないわけでございまして、総合的な対策研究の中において、一つの事柄について、例えば違法駐車の蔓延というものをいかにして解決すべきかという答案ができましたわけで、今回御審議をお願いしておるわけでございますが、そういうカテゴリーごとの対策、さらに、御指摘の抜本的な対策ということ、いろいろあろうかと思いますが、総合的な研究の中においてじっくりと対策を立てていきたいというのが私の気持ちでございますので、よろしく御理解賜りたいと思います。
  39. 八島幸彦

    八島政府委員 高速道路運転につきましては、一般道路運転と違う留意事項が多々あることは御指摘のとおりでございます。  そういうこともありまして、現在、交通の教則で、高速運転をする場合の留意事項等を盛り込みまして、更新時講習等の際にいろいろ指導しているところでございますが、先生指摘のように、これからますます高速道路が延長されるに伴って高速化時代を迎えますので、そういう安全教育の問題あるいは免許制度の問題あるいは訓練施設の問題等も、総合的にどういう対応をすべきかということを検討してまいりたい、かように考えております。
  40. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 きょうは審議関係上時間が大変中途半端になってしまって申しわけないのですが、交通局長、今、これから研究の対象にしますということですが、当面、教習所で高速度道路に乗車する運転者の教育指導を何らかの形で指示されますか。これはひとつ後で……。  長官、高速度道路における死亡率というのは一般道路に比べてどのくらい比重があるか御存じですか。――時間がありませんから私の方から申し上げますが、三倍ですよ。そうですね。一般道路における事故、それに対する高速道路における事故と死亡との比率は三倍です。これはスピードがあるということもあるでしょう、それから、追突、玉突きという事故もあるでしょう。  次官、大臣がいたら私はここを言いたかったのですが、これで、免許を取るときに、今局長がおっしゃったように、高速道路を走る全然違った教育をしなければいかぬですよ。違ったと言えばおかしいですが、ただ今言ったように、カーブのとり方とかあるいは水しぶきの問題一つとってみても、一般道路を走るのとは全然違う。私も乗っていてそう思いますよ。これは教育されていないのです。しかも死亡事故は三倍です。しかも、今高速道路は、御案内のように二・五倍延びているのです。これはさらに延びましょうね。東京湾の横断道路なんかができたら、これはまた延びるでしょう。  しかも、これに加えて今度はバイパスですよ。バイパスは一般道ですね、有料道路高速道路ではありません。したがって、これは御案内のようにほとんどが平面交差です。バイパスは速度制限が六十キロ、まあ速いところでも七十キロでしょうか。七〇キロというのは私は余り見ませんが、まあ大体六十キロ以上ですね。それで、一般道路が四十キロ、これにすぐ入れるのですよ。これは運転者としては速度の感覚を、おれは六十キロで走っている、ここは大体このぐらいでいいんだな、今度は一般道路に入ったからちょっと落とそうかといって五十キロ、これはもう完全に違反ですね。  私は、まだたくさんあると思いますよ、時間がないから言いませんけれども、まだたくさんあると思いますが、これだけを見ても、先ほどの長官お話じゃございませんけれども、今直ちにやるべきことじゃないですか、あるいは個々の問題としても今やるべき事項じゃないでしょうか。道交法改正の基本的な改革をやりなさい、それでなければ追いついていけませんよ。これからの日本の物流、第三次産業構造計画あるいは日本列島の新全総等を見てやりなさい。しかし、それが時間を要するならば、緊急に必要なことは、駐車場の問題、都市における問題もあるでしょうけれども、もっとこの死亡事故あるいは事故件数その他を見て――例えば、午後から質問しますけれども、二輪車の事故は全事故の二五%でしょう、自動二輪を含めて。何ら出ていないじゃないですか。しかも、前回の法改正のときには、原付二輪車は三車線のところだけが、直線に行って右へカーブしなさいということでしょう。二車線のところは、向こうから来る車、こちらから来る車の間に入って右へ曲がりなさいというのでしょう。ここが一番事故が多いのですよ、今でも直すべきじゃないですか。しかも、二輪車の事故が二五%、そのうち高校生の事故が多いのでしょう。子を持つ身になってみれば、高校生がバイクに乗って学校へ行って、行きかけに、この前も事故がありましたけれども死亡事故を起こしたとしたら、それはたまらぬですよ。今でもやるべきことはあるんじゃないですか。そして、総合的な法体系というものをどう考えるか、これはもう長官のおっしゃったとおり、もし私ども意見が酌んでいただけるならば、そういうことも含めてやるべきじゃないでしょうか。どうでしょう。  先ほどの高速道路の問題については、これは私はお願いも含めて、今直ちに、少なくとも法律改正ができないならば、教習所における教科科目として取り上げるべきだ、あるいは指導されるべきだ、こう思いますが、どうでしょうか。
  41. 八島幸彦

    八島政府委員 高速教習を指定自動車教習所等で行わせるべきではないかという御意見でございますが、実はかつて、高速道路がない県はこれはやむを得ませんし、あるいはインターが非常に遠いというようなところも事実上無理でございますので、片道三十分以内でインターに行けるようなところにある指定自動車教習所については、高速教習をやるようにという一種の行政指導をした時期がございました。しかし、その後、実は、何といいましても初心者でございますので現実的に一、二件事故発生いたしまして、そういうことで主として指導員の間から義務づけるのはやめてほしいという意見も出てまいりまして、それで、義務づけはしないけれども、そういう教習ができるような教習所で希望者に対しては学科を二時限、それから技能も二時限、教習をやるように、こういう行政指導を現在やっているところでございます。
  42. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 もう時間がありませんから。私、当面の問題について幾つか質問しましたが、どうでしょうか、当面の問題も早急に検討すべき課題として問題を提起したのですが、全体の問題を含めて、その中の当面の問題として私が幾つか指摘した点を長官としてお考えになられることができますか、これからの法改正までの間に。
  43. 山田英雄

    山田(英)政府委員 ただいま高速道路の教習の点について交通局長からお答えいたしましたが、そうした運用の面において我々努力すべきことはまだ多いと思っております。法改正という前段階でいろいろな運用、教育の面で努力を尽くしてまいりたいと思っております。
  44. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 これで終わります。
  45. 福島譲二

    福島委員長 午後四時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後四時三十一分開議
  46. 福島譲二

    福島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉井光照君。
  47. 吉井光照

    吉井委員 まず、最初に消防庁お尋ねをしておきますが、昨日未明の静岡県河津町峰温泉菊本館火災ではまた犠牲者を出したわけですが、去る二月十一日の熱川温泉火災事故の教訓がほとんど生かされていなかったということはまことに残念なことでございます。百十七人の宿泊客がいるのに深夜の警備員は一人きりで、火災発生、客の誘導等には手が回り切れなかった、こういうことでございます。  そこで、消防法は夜間の防火管理体制について規定を欠いているということですが、客数に応じて何人というように最低限基準を設けるべきではないか、このように思うわけですが、長官のお考えお尋ねしたいと思います。
  48. 関根則之

    関根政府委員 河津町の峰温泉におきまして、三人の犠牲者を出す火災発生をいたしましたことにつきましては、消防に関する事務を所管しております私といたしましてまことに残念に思っているところでございます。  ただ、ただいま御指摘の夜間の宿直ないしは夜警の体制でございますけれども、この問題につきましては建物の構造でありますとかいろいろな複雑な要件が絡み合って、いわば必要な警備要員と申しますか、避難誘導要員というようなものが決まってくるわけでございます。したがって、なかなかこれを一律な基準を設けまして、お客さんの数に対して何人という規定を設けるということが難しいものでございますから、実情に応じてその防火管理について責任を有する旅館の方が消防計画を実態に即してつくっていただきまして、その消防計画現場に適合しているか否か、この問題につきましては理地の消防がそれを見ていろいろと指導をしていく、そういうやり方の方がより現実にマッチしたやり方ではなかろうかというふうに考えまして、現法制上はそういう消防計画を通じて現実の指導をしていく、こういうことになっているわけでございます。非常に事柄が難しいものでございますから、なかなかこれを法制化するということは実際問題として大変困難ではなかろうかと考えておるところでございます。
  49. 吉井光照

    吉井委員 そこで、去る二月十二日の当委員会でも私は指摘をしたわけですが、建築基準法が適用されない古い木造建築、これは当然火災になりやすいわけですから、消防法を改正をしてその他の建物以上にやはり厳重な防火義務を課すべきではないかと思うわけですが、いかがですか。
  50. 関根則之

    関根政府委員 確かに、木造の家屋というのは一たん火が出ましたときの延焼の速度は、一般的には鉄筋コンクリートでありますとかあるいは鉄骨モルタルづくりのいわば耐火構造の建物に比べると速いわけでございます。しかし、木造がすべて鉄筋よりも危険かというと必ずしもそうではございません。先日大阪の生野区で起こりました、これは鉄骨モルタル塗りのいわば耐火構造の店舗併用住宅だったのですけれども、わずか十坪近くのものが燃えて、二階に寝ておりました八人の方が亡くなってしまう、こういった事故も起こりましたし、東京のホテルニュージャパンでは、一応鉄筋コンクリートの建物がああいう物すごいスピードで火災が広がっていった。その結果として多くの方が亡くなっておるという事故もあるわけでございますので、私どもは、木造だからといって常に鉄筋よりも危険であるというふうには実は考えていない。むしろ、木造が危険で鉄筋は安心なんですよという考え方を一般国民に持っていただくことを大変心配をしておるというような状況でございます。  木造の建物でありましても、必要な消防上の規制というのは、例えば自動火災報知機でありますとか、あるいは避難路の確保でありますとか、消火器、消火栓の設置義務でありますとか、こういったものにつきましては必要な設備規制は私どもはいたしておるわけでございます。そういう消防器具を整備した上で、あとは管理者が本当に注意を払いながら火を出さないように、また火が出ましたときにはふだんの訓練を通じてお客さんの避難誘導を的確に行うとかそういう訓練を繰り返す、そういうところに実際犠牲を出さないで済むような防火管理ができるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、確かに現在新しい木造三階の旅館をつくることは建築基準法ではできないわけでございますけれども、既につくってあるものにつきましては、一応建設行政サイドでもそれの使用が認められておるわけでございます。そういうものにつきましては、ただいま申し上げましたような消防設備をできるだけきちんとつけていただきまして、かつそれの管理というものをきちんとやることによりまして、火を出さないように、また出た場合でも犠牲者を出さないで済むようなそういう防火管理徹底していきたいと考えておるところでございます。
  51. 吉井光照

    吉井委員 こうした旅館、ホテルの火災というのがいわば連鎖反応的に起こって多くの犠牲者を出す、こういうことでございますが、消防庁はその都度原因究明やまた緊急通達を出して注意を喚起しているわけですが、この際、旅館、ホテル等の防火体制のあり方についてやっぱり関係者等を集めて抜本的な検討をきちっと行うべきではないか、このように思うわけですが、いかがですか。
  52. 関根則之

    関根政府委員 先日のと申しますか、二月十一日の熱川の火災を契機にいたしましていろいろと、もちろん国会におきましてもいろいろと御意見をいただきましたし、また新聞等を通じまして国民の皆様から取り組みにつきまして改善すべき点等の御指摘もいただいたわけでございます。そういう指摘をいただきまして、私どもの方といたしましては、例えば自動火災報知機につきまして仮に電源を切ってしまう、スイッチをオフにするというようなことがありましたときには自動的に赤ランプがついてきて、そういうことがお客さんにもわかる、そういうものを通じて、またスイッチを切るなんということが行われないようにしよう、そういった具体策も講じたところでございます。このほか、例えばできるだけ簡便な方法消防機関に対して通報ができるようなそういった機器の開発ができないかとか、こういった検討もいたしております。消防庁の中にこのための検討委員会を組織いたしまして、関係消防機関の方々にも入っていただきまして検討を続けているところでございますし、今回重ねて河津でこういう火災が起こりまして大変残念に思っておるわけでございますが、河津の原因がまだ必ずしも解明されておりませんが、河津の例も含めまして、連続してこういった旅館における大きな火災発生をしないよう、そのための抜本策につきまして引き続き私どもとしては検討を続けていきたいと考えておるところでございます。
  53. 吉井光照

    吉井委員 消防庁、結構でございます。  じゃ、本題に入りまして、道交法につきましてまず基本的な考え方を長官お尋ねしておきたいのですが、都市の交通の流れ、これは都市再開発事業、また大規模施設の新設、道路網の整備、また大量輸送機関整備、物流システムの改善等都市の形態によって大きく変化をしてくるわけでございます。したがって、交通対策のあり方は、このような都市の形態の変化に対応した総合的な都市対策の一環としてきめ細かな対策が講じられるべきである、このように思うわけですが、長官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  54. 山田英雄

    山田(英)政府委員 お尋ねのように、交通安全対策の推進につきましては、都市に限らず、交通実態や交通事故発生状況あるいは国民の要望等を踏まえまして、交通安全施設等の整備のみならず、安全教育、交通指導取り締まり等の各種施策を総合的に推進する必要があろうかと思います。特に、都市においてはこうした施策の総合的な推進の効果というものを上げていく必要があると思いますので、今後とも努力してまいりたいと思っております。
  55. 吉井光照

    吉井委員 そこで、ちょっと建設省サイドにお尋ねをしておきたいのですが、建設省サイドのこの道路というものに対する基本的な考え方はあくまでも公道という立場である。したがって、極冒すれば、これをいわゆる私的な駐車場に使用するということは建設省の基本的な考え方からいえば疑念があるのではないか、そういう気がするわけですが、今回の道交法改正はそういったものもたくさん盛り込まれているわけですが、今回の道交法改正には全面的に賛成なのかどうか、この点いかがですか。
  56. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 基本的には、道路というのは道路交通の場に供さるべきであって、駐車場として利用されるのは好ましくないという考え方はございます。しかし、現在路外駐車場の整備が必ずしも十分ではないということで、違法駐車の存在が相当あるということで、それについての取り締まりが強化された場合には対応できない面がございますので、暫定的な措置としてはやむを得ない、そういう考え方でございます。
  57. 吉井光照

    吉井委員 建設省に続けてお尋ねをしますが、今回の改正案で予定しておる時間制限駐車区間を現在の約三倍に拡張することの理由の一つとして、警察庁は路外駐車場が質、量ともに不足をしているという点を挙げられているわけですが、現在路外駐車場による収用台数は都内、それから全国でどのくらいありますか。
  58. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 私どもが把握しておりますのは駐車場法による駐車場ということでございますので、都市計画駐車場とか届け出駐車場、附置義務駐車場ということになるわけでございますが、全国で附置義務駐車場を含めて約百十七万台、東京都の場合には二十三万台でございます。ただ、都市計画駐車場と届け出駐車場に限りますと約七万台ということでございます。
  59. 吉井光照

    吉井委員 この収用台数は近年の車の保有台数の伸びといったものに比較してどうなんですか。車の伸びに比例をして駐車場もふえている、こういうことですか。
  60. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 全国ベースで申し上げますと、車の保有台数の伸びを約二倍程度上回る形で伸びております。
  61. 吉井光照

    吉井委員 そこで、都内の路外駐車場の数は増加しておるようですが、しかしその路外駐車場の利用率は都内で約三〇%、このように聞いておるわけですが、なぜこのように低いわけですか。
  62. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 平均利用率で見ますと、やはりその三割程度という数字があるわけでございますが、その基本的な原因といたしまして、私どもの見方によりますと、やはり違法駐車の存在が非常に大きいのではないかというふうに見ております。
  63. 吉井光照

    吉井委員 したがって、違法駐車の取り締まりを強化すればその利用率は高まる、これは当然なことですが、またその利用率をもっと高めれば違法駐車台数は減少すると思われるわけですが、利用率向上のための対策をどう講じているか、またどう講じようとしておるのか、ここらあたりはどうですか。
  64. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 確かに利用率の低い一つの理由としては、現在その路外駐車場の存在についてのPRが不足している面がございます。したがいまして、私どもといたしましては何らかの形でそういった面の路外駐車場の存在を明らかにするということが必要であろうと考えておりますし、実際六十一年度から高崎市、神戸市で駐車場案内整備システム、これを具体の現地に即して調査することといたしております。こういった方向で利用率を上げることについても努力してまいりたいと思っております。
  65. 吉井光照

    吉井委員 違法駐車対策としては、路外駐車場を増加させるということが基本であるということは、これはもう警察庁指摘どおりと思います。そこで、建設省違法駐車を減少させるためにもっと路外駐車場を増加させなければならないと思うのですが、こういう計画なり、またお考えはいかがですか。
  66. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 御指摘のとおり、路外駐車場の整備につきましては、建設省といたしましてもいろいろ努力しているわけでございます。現在、再開発事業関係駐車場につきましては補助制度もございます。それからまた、道路特別会計からの無利子貸付制度、さらには都市開発資金等によるあるいは開銀融資等による長期低利融資措置もございますので、そういったものを活用して今後とも整備に努めてまいりたいと思っております。
  67. 吉井光照

    吉井委員 そこで、建設省は五十八、五十九年度の二カ年にわたって、都内におけるところの駐車整備の方向性を探る「都市内駐車整備の体系化に関する調査」を実施されまして、その結果がもう出ていると聞いておりますが、これを今後どのように具体化をしていかれるつもりなのか、これはいかがですか。
  68. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 今先生指摘調査結果では、いろいろ理状分析を一般的にした上で今後の基本的な考え方を取りまとめております。その中には助成の強化であるとか、あるいは駐車場案内システムによる駐車場の有効利用の推進とか、あるいは公共用地の活用、そういったことを提言しているわけでございまして、私どももそういったことを踏まえまして今後政策的に反映していきたいというふうに考えております。
  69. 吉井光照

    吉井委員 今、ちょっと例を引かれたわけですが、一般的に考えられる路外駐車場の増設の手段は、例えば大規模な専用駐車場ビルの増設、これも東京都あたりではちょっと手が出ないかもわかりませんけれども、またこれに対する助成措置、これも先ほどちょっとお話しになりましたが、それから高速道路下の空間を利用するとか、また公園等の地下利用、また休日における役所関係駐車場の開放、これも管理面にまたいろいろ問題があるかもしれませんが、こうした問題についてやはり積極的に推進すべきだと思いますが、もう一度ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  70. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 確かに、今後路外駐車場の整備を促進しなければいけないという観点からは、先生今御指摘ありましたように、いろいろな工夫をして総合的に整備に努めていかなければいけないと思っております。したがいまして、今先生指摘になりました、例えば専用駐車場を休祭日に公開するということについても、静岡市等では実際の例もございますので、確かに管理上の問題点がいろいろあろうと思いますが、今後検討してまいりたいと思っております。それからまた、いわゆる公共空間の利用につきましても、これは当然私どもといたしましても今後積極的に考えていかなければいけないと思っております。
  71. 吉井光照

    吉井委員 そこで、道路管理者である地方団体は駐車場法に基づいて道路上に駐車場を設けることができることになっておりますが、このような路上駐車場は昭和三十年代には七千台の収容能力があったわけですね。その後、東京、名古屋、京都でこれが全廃された。このように大都市を中心に順次撤廃をされて、そして六十年三月現在では十道府県、十三カ所、二千台に減少しているわけですが、この減少の理由は何ですか。
  72. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 確かに、路上駐車場については現在二千台程度ということで急激に減少いたしております。路上駐車場の基本的な考え方でございますが、駐車場法ではあくまでも路外駐車場が原則である、路外駐車場が絶対的に不足している地域について代替的な措置、暫定の措置として路上駐車場を認めるという体系になっているわけでございます。現在、路外駐車場の利用状況というのは、先ほど申し上げましたように平均的には必ずしも高くないということから、その利用状況が低くなっている状況において、道路交通観点から必ずしも好ましくない路上駐車場が逐次減少させられていった、そういうふうに理解いたしております。
  73. 吉井光照

    吉井委員 では、警察当局にお尋ねいたしますが、今お話がありましたように地方団体設置路上駐車場が減少している、その一方で警察が路上の時間制限駐車区間を拡大をする、これはちょっと考えれば何か矛盾しているのではないかという気もするわけですが、いかがですか。
  74. 八島幸彦

    八島政府委員 現在の路上駐車場の設置場所の問題もありまして、と申しますのは、そういうところに路外駐車場が整備されてまいりますと、その必要性がなくなってくることによって路上駐車場の場所が減少してきているという面もあるのではないかというふうに考えております。  そこで、警察が現在も、先生御承知のように、パーキングメーターによりまして短時間の駐車を認めているわけでございますが、このパーキングメーターの利用率に関しましては、所によってもちろん違いますけれども、全国平均で申しますとかなり高い利用率になっております。  ただ、残念なことは、最近違法駐車の実態と警察の取り締まり能力とのバランスを著しく欠いております結果、特に大都市においてパーキングメーターの駐車余地がありながら、すぐそばに違法駐車をしているという実態が出始めてきているのも事実でございます。それから現在の違法駐班の台数が東京都の場合は十六万台ぐらいある。それに反して現在パーキングメーターの設置基数が東京都の場合七千七百基でございますから、一方警察官が今後違法駐車の移動措置命令等の措置を強化するという面も考慮いたしますと、ある程度現在のパーキングメーターのような路上駐車スペースの拡大を図らなければ、どうしてもやむを得ない駐車をカバーすることができないのではないか、そういう考え方に基づくものでございます。
  75. 吉井光照

    吉井委員 この区間の拡大は現在の三倍にするということですが、この三倍という拡大の根拠、これはどこからどのようにして出てきたのか、また業務その他によってやむを得ず駐車しているという違法駐車台数が果たしてこれによってどの程度解消されるとお考えなのか、この点いかがですか。
  76. 八島幸彦

    八島政府委員 三倍にいたします根拠でございますが、今回の改正に当たりまして各都道府県、特に大都市におきまして現在のパーキングメーター等の路上駐車のスペースをどの程度拡大できるかという調査をいたしました。所によって違いまして、特に京都等道路が本来非常に狭い、そういう道路が多いところは増設をするスペースはそんなにないところもございますし、一方がなり増設できるところもありまして、全国平均いたしますと約三倍、こういう数字が出てきたものでございます。
  77. 吉井光照

    吉井委員 では、ここでちょっと失礼いたします。
  78. 福島譲二

    福島委員長 宮地正介君。
  79. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは大臣も行ったり来たりで大変に御苦労さまでございます。  最初に、大臣は現在はペーパードライバーですかどうですか。
  80. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 現在、ほとんど運転することはありませんけれども、たまに休みのときにやることもございます。
  81. 宮地正介

    ○宮地委員 たまにやるということはペーパードライバーじゃない、こういうふうに理解してよろしいですね。
  82. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 そういうことになると思います。
  83. 宮地正介

    ○宮地委員 実は、私も昭和四十八年に免許証を取りまして、以来四回書き直ししているわけでございますが、自分自身の体験を含めましてペーパードライバーの問題について少しお伺いしたいと思います。  長官、今皆さん方のいろいろなデータによりますと、いわゆる一七%違反者と言われるデータが出ているわけですね。要するに免許証を持っていても八三%の方はほとんど無違反である。最初に、交通局長、その中にどのくらいペーパードライバーがいるのでしょうか。
  84. 八島幸彦

    八島政府委員 まず、ペーパードライバーの定義の間脳がございますが、私どもは過去一年間に一同も運転したことがない、一年以上運転したことがないという人たちを一応ペーパードライバーというふうに考えておりますが、こういう人たちがどの程度、現在運転免許を持っている方の中にいるかということにつきましては、時々免許証の更新等の際にアンケート調査をやって調べております。調べる都度、若干の差はございますが、おおむね一〇%から一五%の間というのが実態でございます。
  85. 宮地正介

    ○宮地委員 こうしたペーパードライバーに対しての再教育といいますか、運転の教習、特に実地の教習、これはやはりやる必要があるんじゃないか。特に、今私なんかの体験を含めますと、三年来ますと私は眼鏡を持って、免許証を持って地元の所管の警察に行きまして、目の検査をいたします。過去一年間私は乗っておりませんから、無違反でございますね。そうすると、これはもう教習所に行って教科の勉強もしなくても結構です、こういうことである期間が来ますと免許証がいただける、そういう対応は非常に――今後たまに私も乗る場合があろうかと思いますが、そうした一般のペーパードライバーと言われる方々に対して、今後やはり教習所などに行って、例えば乗る前に一週間くらい実地の訓練をするとか、そうした何らかのフォローをやっていくような対応というものも必要ではないか。この点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。
  86. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、ペーパードライバーが運転技能に不安を感じたままいきなり自動車運転することは、交通安全上も問題があると考えております。そういうこともありまして、現在、指定自動車教習所では、希望者に対してでありますが、リフレッシュコースなどを設けまして、ペーパードライバーの安全運転教習を実施している教習所がかなりありまして、約半数で実施いたしております。今後とも、御指摘趣旨、そのとおりだと思いますので、教習所におけるペーパードライバーの教習がより充実されるよう指導してまいりたい、かように考えております。
  87. 宮地正介

    ○宮地委員 教習所も最近は大変に経営が難しいし、新しい販路というかそういうものを求めていると思うのですね。そういうことで、ペーパードライバーに対する再教育の関心もやはり経営実態の中からも非常に新しい一つの方向じゃないか。そういうものも含めて、私はぜひ今後御検討いただきたい。また、これはもろ刃の反面、余りこれを逆に厳しくしますと、免許を取った者が今度は大変な制限を受ける。こういうことで、法的措置は私は反対でございますが、自由の中にもドライバーとしてのモラル、また技術というものをやはり常にある程度きちっとしておきませんと、これが大きな交通事故につながるのではないか。こう心配しておりますので、今後ぜひそういった面におきましても、法で厳しく金縛りするのでなくして、現在の法的措置の中で十分できる範囲で、特に再教育問題については前向きに取り組んでいただきたい、こう思っております。  それから、長官、先ほども私はお話しましたように、一七%ドライバー対策というのは、これが一番大事じゃないかと思うのですね。やはりそういう面で今回、罰金や反則金の引き上げが抑止効果をねらって行われる。私は、反面非常に、これは消費者的立場から見ますと余り大賛成はできませんが、やはり交通事故の多発を防止する、こういう面から見まして、抑止力が低下しているのであれば――一部のそうしたドライバーが繰り返し違反を犯している。私も、この三年間に違反の検挙総件数が三千四百万件あった、そのうち七一%はこれらの一七%ドライバーによって犯されていた、ここのところをどう今後力を入れて対策を講じるかが今回の道交法改正の目玉ではないか、こう思っているわけでございます。この点について長官の御意見をお伺いしておきたいと思います。
  88. 山田英雄

    山田(英)政府委員 御意見のとおり、その一七%の違反を繰り返すドライバー、こういう悪質といいますか、ドライバーに対するモラルの向上を教育していくことが交通秩序維持のため一番必要だと思っております。そういう意味で、やや威嚇力を失ったと思われます反則金及び罰金を、今回の法改正によって上げることをお願いしておるわけでございます。これは過去においても四十八年に反則金を引き上げたことがあるわけでございますが、翌四十九年には交通事故死者数が前年に比較して三千人以上も減少したという事実がございます。これは、反則金の引き上げたけが貢献したとは思いませんけれども、威嚇力の高まりが大きく寄与したことは間違いないと思っております。そういう意味で、交通違反の取り締まりにつきましても、そうした悪質危険な行為を反復継続するドライバーに対する取り締まり、本当の意味交通安全に寄与する取り締まりに重点を志向するように第一線を指導してまいりたい、かように思っております。
  89. 宮地正介

    ○宮地委員 やはりこうした何度も何度も違反をする者に対して、そうした罰金とか反則金といういわゆる金銭的な面からのお仕置き、これだけでは改善はなかなか難しいと思うのですね。やはり基本的にはそうしたドライバーのもう一度人間的な教育といいますか、資質の向上というものも大事ではないか。ただ、そうしたお金によって制裁を加えれば、それは一時的にはタクシーの運賃値上げと同じように、一時タクシーに乗らなくて、またその後数カ月たって乗り出すと同じように、そうした一時的な特効薬的なものにはある程度なると私は思いますけれども、本質的にはやはりそうしたドライバーを、何度も何度も違反を犯して、ただ点数が十五点の中で減っていって免許が取り消しになる、これだけじゃ私は弱いのじゃないか。やはり何らかの再教育、それこそ日本国民の一人として、また公的な運転免許運転する者の人間的資質をもっともっと反省をして向上するようみずからが努力するようなそういう教育システムといいますか、こういうものも何らかの形で検討していきませんと、この一七%の常習犯はなかなかこれは手ごわい、こう思うのですが、そうした人間教育面からの角度からの問題については、長官はどのようにお考えでございましょうか。
  90. 八島幸彦

    八島政府委員 具体的な問題でございますので、私の方からお答え申し上げます。  先生指摘のように、ただ単に罰を科するとかそういうことだけで運転者の改善というのはなかなか図れないのが実態でございます。そういうこともありまして、現在、免許の取り消しに至る前に停止の段階がございますが、免許の停止につきましては、一応任意ではありますけれども処分者講習というものをやっております。講習を受けますとある程度処分の期間が短縮されるということもありまして、この処分者講習の受講率は非常に高こうございまして、ほぼ九〇%近くの人が講習を受けております。そういうことで、そういう講習の場におきましてできるだけ安全マインドを高めるような教育もやっているわけでございますが、何せ最近は特に反則金等がかつてに比較いたしますとかなり低額なものになっているということもありまして、そういう努力にもかかわらず先生指摘のように一部の者が繰り返し繰り返し違反をしている、そういう残念な結果になっているのが実情でございます。
  91. 宮地正介

    ○宮地委員 ぜひ、今後この道交法改正を機会に、私はやはりそうした繰り返し違反をするドライバーに対して、これが集中的に大体わかっているわけですから、特に悪いのはブラックリストぐらい各都道府県本部で、各警察署管内ぐらいに、余り表に張るのはちょっといろいろプライバシーの問題があるでしょうから、警察署の受付あたりに、少しそうした社会的な一つの制裁措置というものも必要ではないか。当然、大変な問題については裁判所の刑事犯というあれがあるわけでございますが、やはりこの一七%ドライバーに対する集中的な今後の対策というものが、これからの交通戦争と言われるような、ますますモータリゼーションの進む中においての重要な問題ではないか、こう思っているわけですが、大臣、この点について所見をちょっとお伺いしたいと思います。
  92. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 この点につきましては、先生指摘のように、本当にこれは人間がやることでございますので、どこかの国で行っておりますようにちょっとした窃盗をしても銃殺なんというようなことであれば、その現象としてはなくなるでしょうけれども、それでもっていわゆる道徳、道義的な向上心といいますかそういうものがなくなるわけではない。したがって、単に罰金とか刑罰を強めただけでこれが完全に払拭できないことは今の一七%の問題が示すとおりだと思います。したがいまして、そういう意味では、やはり御指摘のように運転者のモラルといいますかそういう気持ちの持ちよう、認識、そういったものを改めるのが大事なことであろうと思います。したがいまして、今後警察におきましてもそういった面での考え方というものを、そしてまた啓蒙といいますか教育といいますか、そういう点を十分留意していかなければならないということは、先生指摘のとおり私も同感に感じておる次第であります。
  93. 宮地正介

    ○宮地委員 これは交通局長だと思いますが、今回、超過速度二十五キロメーター・パー・アワー以上、三十キロメーター・パー・アワー未満の速度違反者に対する反則制度の適用の問題ですね。私たちは交通違反の三悪ということをよく聞いておりまして、三悪というのは、まず一つは酔っぱらい運転、それから無免許運転、そしてスピードの二十五キロオーバー。これは恐らく二十五キロをオーバーしますと刑事犯になりますから三悪だ、こういうことになっているわけですね。この三悪の二十五キロが今度三十キロになる。これは見方によりますと何か緩和したような感じを受けるのですね。この辺についての言い分は、私もいろいろ法案を見させていただきましたし、皆さんから御説明を大体聞いておるのです。ここのところ、国民の目から見て、何だ警察庁は、道交法改正して今度三悪をかさ上げしたのか、こういう見方をされる嫌いがあるのですね。この点について、交通局長はどのように弁解いたしますか。
  94. 八島幸彦

    八島政府委員 先生指摘のような疑問を、私どもも今までいろいろ御説明に歩いている段階で示される方もいらっしゃいました。私どもは今回の二十五キロを三十キロに上げることにつきましては、基本的に安全には関係がない、こういう考え方をとっております。と申しますのは、二十五キロを三十キロにいたしましても、従来の二十五キロ以上三十キロ未満の人につきましては罰金と同じような額の反則金を徴収されることには変わりがないということ、それから違反についての点数も付加されるということでございまして、したがいまして、罰としての機能には変わりがない。手続的に従来は簡易裁判所に行っておりました方が簡易な手続で反則金等を納めることができる、こういう変化があるというふうに考えまして、先ほど申しましたように安全には変わりがないという前提で今回の御提案を申し上げた次第でございます。
  95. 宮地正介

    ○宮地委員 警察庁の方でおつくりになったこの解説書にも、昭和五十九年度の速度違反の検挙件数、昭和五十四年対比で二十五キロ・パー・アワー未満が一三%増に対しまして二十五キロ・パー・アワー以上は二六%増で、こっちの方が多いのですね。これが今度は三十キロ以上、こういうふうになりますと、こういう違反を犯していた連中はしてやったり、こんな嫌いになるとちょっと困るわけですね。これはお考えがあって、また最近の高速時代、いろいろ時代の変化もありますので私も理解はできますが、三十キロにかさ上げしたことによって交通事故が、特に二十五キロから三十キロ間のこの辺がふえないようにぜひチェックをよろしくお願いしたい。これは時間がございませんから、私は御要望にとどめておきたい、こう思っております。  もう一つ、これも交通局長になろうかと思いますが、今回みなす公務員というのが出ますね。これはどういう定義になっているのでしょうか。
  96. 八島幸彦

    八島政府委員 職務の性質上、刑法等の適用について公務員と同じ身分を持たせる方がいいという者をみなす公務員としているわけでございます。したがいまして、その効果といたしましては、刑法の適用では贈収賄の対象といいますか、贈収賄罪の適用を受ける、あるいはそういう事務を執行することが一種の公務と同じ扱いを受けますので、それに対する暴行とかそういうような妨害がありました場合には公務執行妨害を構成するというような法的効果が伴うわけでございます。
  97. 宮地正介

    ○宮地委員 自治大臣、何か大分お忙しいようで、お隣の先生が大分ハッパをかけてまいりますので、また機会がありますから、どうぞゆっくり歩いていってください。  そこで、具体的にこのみなす公務員、これは今回公益法人、指定法人ということで、全国レベルでは全国道路使用適正化センターの職員ですね。都道府県レベルでは都道府県道路使用適正化センターの職員がなる。これは実際、ここの職員はどんな仕事を主にやるのでしょうか。
  98. 八島幸彦

    八島政府委員 道路使用適正化センター、都道府県のセンターの職員につきましては、大きく分けまして二種類の仕事をやっていただくことを考えております。一つは、主として運転者に対するサービス向上に関する事務でありまして、駐車その他の交通規制に関する情報の提供あるいは広報、相談活動に応ずるとか、そういうような業務でございます。もう一つの業務は、現在、道路使用許可の事務が結構多うございますけれども、そういう道路使用許可、例えば積み荷の高さが三・五メーターを超えるような場合は運送の途中の経路にトンネルがないかとか、あるいはガードレールがないかとか、橋梁の荷重の限度はどのくらいになっているかとか、そういうふうな許可を与えるについてのいろいろな調査がございます。こういう調査につきましては、警察の委託を受けまして、その下調査といいますか、必要な調査を行ってもらう、そういうものを前提として最終的に許可をすべきかどうかを判断する、こういうこと。この二つが主な仕事でございます。
  99. 宮地正介

    ○宮地委員 このみなす公務員の設定の一つのバックグラウンドに、一つは警察官の増員問題がある。警察官の増員問題については今までも行革の中で非常に厳しい対応でありまして、六十一年度予算では公安職員の二千八百八十名くらいを回して、何とか警察は増員にこぎつけた。六十年度ではほとんどゼロの状態であった。そういう行革の中で、警察官の増員が非常に厳しい現在の日本の財政事情、こういうものがやはりバックグラウンドにあって、しかし年々警察の仕事というもの、特に交通警察の仕事というのは非常にふえて、また、非常に多角化している。そうした補完的な一つの対策として、このみなす公務員というものが設定された、こういうふうに私、伺っておるのですが、間違いございませんか。
  100. 八島幸彦

    八島政府委員 今回の道交法改正で、警察の行う事務の全部または一部を民間の法人に行わせることができるという規定が実は三カ所ございます。一つは先生指摘のように適正化センターに関する事務がございます。これは先ほど申しましたように道路使用許可等の調査事務等を行わせるということがございます。  第二に、指定車両移動保管機関規定がございまして、これは違法駐車車両の悪質あるいは危険な駐車車両をレッカー移動する、これもいろいろな予算上の制約等もありまして、警察が直接やるという制度ではこれ以上ふやすことができないということもありますが、その関係の事務を指定車両移動保管機関にやっていただくということがございます。  それから第三に、現在のパーキングメーターあるいは今度できますパーキングチケットに関する駐車の情報の提供あるいは駐車の整理その他の事務を公安委員会がやるように義務づけますとともに、その全部または一部を指定した法人に行わせることができる、こういう三種類の事項がございますが、いずれも御指摘のように、一つには、昨年は幸い交通事故の死者は一名だけですけれども減少いたしましたが、事故件数あるいは負傷者数は五%ないし六%ふえておりまして、交通警察官の事故処理の事務だけでもそれだけ毎年ふえてきている。しかし、一方において、増員等は厳しく抑制されているという関係もありまして、民間の法人に一定の適切な指導監督が行われるような担保手段を講じながら一定の事務を民間の法人に行っていくように措置をいたしたい、こういうことでございます。
  101. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に、長官に伺っておきたいと思います。  私は、このみなす公務員というのは非常にユニークを一つの新しい処方せんだと思っております。しかし、やはり公務員という名前がつく以上、先ほど交通局長もお話しございましたように、これは大変に重要な立場でございまして、例えば今までの都道府県の安全協会の職員なんかはここに入ってくるわけですね。そういう点で贈収賄とかいろいろな問題、いろいろな業者との接点になりますから、これは公務員ということであれば、大変に規律も厳しく要請されると思います。当然、監督規定というものをこれから設けていくと思いますが、私は、そうした監督規定を設けるに当たりまして、このみなす公務員が「みなす」の方に余り力が入って国民からひんしゅくを買うようなことがあっては断じてならない、公務員、公僕としての厳正なる規律、また仕事に対する姿勢、こういうものが求められると思います。ぜひ、そうした監督規定の策定に当たりましてはそういう面の御配慮を十二分に踏んで対応していただきたい、こう思うわけでございますが、この点についての長官の御決意をお伺い申し上げまして、終わりにしたいと思います。
  102. 山田英雄

    山田(英)政府委員 今回の改正の中に含まれております指定法人への事務の委託、これにつきましては、御指摘のように事務の執行が適正に公正に行われることを担保する必要があると思います。そういう意味で、警察においても公安委員会においても所要の監督を行うわけでございますが、御指摘のとおり適正な運用が図られるよう配意してまいりたいと思っております。
  103. 宮地正介

    ○宮地委員 どうもありがとうございました。
  104. 福島譲二

  105. 吉井光照

    吉井委員 では、引き続きまして、警察庁お尋ねをいたします。  警察庁は、住宅地域、それから学校周辺、商店街等の住民の日常生活が行われている地域をとらえて、歩行者、自転車利用者の通行の安全とそれから良好な生活環境を確保するため、生活ゾーンの区域割りを行っているわけです。このゾーンごとに各種の交通規制を総合的に組み合わせた生活ゾーンの規制を実施しているわけでございますが、今回のこの区間の拡大、これは良好な生活環境に影響を与えるものではないか。このような生活ゾーン対策と今回の区間の拡大との関連をどのように理解すればよろしいのでしょうか。
  106. 八島幸彦

    八島政府委員 今回の改正によりまして、パーキングチケット等を設けることにいたします場所でございますが、これは現に短時間の路上駐車利用があるところで、かつ、歩行者及び車両の通行あるいは沿道利用者に支障を生じない範囲でそういう場所を決めてまいりたいというふうに考えておりますので、生活ゾーンについてもそういう障害の生じないような場所があれば指定することもあるかもしれませんが、原則としてそういう支障が生じるようなところでは設ける考えは持っていないところでございます。
  107. 吉井光照

    吉井委員 この区間の拡大は、通常的に考え自動車による都心への乗り入れを促すとまではいかないかもしれませんが、ひいては新たな駐車需要というものを増大させることにもなりかねないわけです。これは大都市の交通総量抑制を緩和することになって、今までの方針に逆行するのではないかとも考えられるわけですが、いかがですか。
  108. 八島幸彦

    八島政府委員 今回の改正でお願いしておりますのは、一つには御指摘のように路上駐車のスペースを一定の範囲内で拡大するということでございますが、もう一つ、駐車違反に対する措置、移動命令の措置を行うことができるということもございまして、その意味ではある程度駐車の取り締まりの強化が図られるというふうに考えております。したがいまして、現在東京都で十六万台あると推定されております違法駐車のかなりの部分が、むしろこれによって減っていくというふうに私どもは予測をしているところでございます。
  109. 吉井光照

    吉井委員 近年、住宅事情から効外へ移り住んで、そして都心へ自動車で通勤するサラリーマンが増加をしつつある、こういうことですが、先ほどの都心の交通総量抑制を実効あらしめるために、いわゆるパーク・アンド・ライド・システム、これをより積極的に推進すべきだと思うわけですが、最大のネックは、やはり最寄りの駅に十分な駐車場のスペースが確保されていないことだと思うのです。したがって、この確保のための対策は何か考えられているか、どうでしょう。
  110. 八島幸彦

    八島政府委員 通勤通学等のマイカーをバスあるいは電車というような大量公共輸送機関転換させ、都市への流入交通量の削減を図ることは、現在の都市交通対策を進めます上で極めて重要なことだと考えております。  バス路線あるいは地下鉄の延伸等による新駅の開業等にあわせまして、警察といたしましても関係機関に御指摘のように駅周辺の駐車場を整備するよう強力に働きかけを行ってまいったところでありますが、最近では名古屋市の基幹バスレーンの整備に合わせた引山バスターミナルへの設置あるいは福岡市の地下鉄箱崎九大前駅開業に伴う駐車場の設置等もあるように、私どもなりにそれなりの努力をやってまいっているところでございます。
  111. 吉井光照

    吉井委員 次に、いわゆる商業業務地区ですが、この地区では業務目的の交通量が非常に多くなってきている。したがって、交通渋滞や交通事故が頻繁に起こっているわけですが、このような地区の事故防止対策として警察はどのような対策を講じていらっしゃいますか。
  112. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘の商業地区に限りませんが、駐車車両に衝突する死亡事故はこの五年間に約八割ふえておりまして、このほかに例えば二輪車等が駐車車両を避けようとして中央寄りに出て後続車両と衝突するような事故を含めますと、違法駐車問題は交通安全上もゆゆしき問題となっております。特に、商業地区につきましては御指摘のようなこともありますので、駐車禁止規制あるいは通行禁止規制、歩行者天国等を強化しているところでございますが、問題は、やはり地域住民等がこの駐車問題をよく御理解いただいて、地域ぐるみでそのような違法駐車をなくしていくということも大切でありますので、駐車問題協議会を設置しまして違法駐車排除機運の盛り上げ等を図っているところでございます。  また、このような駐車対策と並行しまして、荷物の集荷、配送等の効率化を図るため、当面は今回改正をお願いしているような駐車時間制限規制区域の拡大を行いますとともに、今後とも関係機関等と連携をとりながら、特に商店街等についての総合的な駐車問題の解決を図ってまいりたい、かように考えております。
  113. 吉井光照

    吉井委員 今御答弁をいただきましたが、この時間制限駐車区間幹線道路は避けてこうした商業地区等に設ける、このようにされているわけです。しかし、これによって駐車禁止でない区域は拡大されるわけですね。したがって、交通の混乱や渋滞が増加をして、また子供やお年寄りの事故が増加することも十分考えられるわけですが、新しい区間の設定によって自動車駐車に伴う往来がその地区で激しくなるということはもう必至でございまして、ある意味でその区域の環境が悪化をするということにもなりかねないわけでございます。したがって、今も局長から答弁がございましたように、区間の新設に当たってはその区域の住民の方々との十分な協議がなされなければならないと思いますが、その御意向はいかがですか。
  114. 八島幸彦

    八島政府委員 特に、生活地域、住宅団地等の場所につきましては、御指摘のように子供の交通事故その他の問題が増加する可能性もありますので、パーキングメーターやパーキングチケット設置する場所につきましては十分そういう点も配慮しながら場所を決めてまいりたい。特に、現在でもスクールゾーン等につきましてはそのような規制を行っているわけでございますが、学童等が通行するようなそういう道路につきましては原則としてそういうパーキングメーター等を設けることはしないように指導してまいりたいと思っておりますし、また、先生まさに御指摘のように、この問題は単なる規制だけではなくて地域住民に真に理解をしていただいてそういう協力をしていただくということが極めて大切でございますので、地域住民等の意向を十分尊重しながら決めてまいりたい、かように考えております。
  115. 吉井光照

    吉井委員 この時間制限駐車区間の指定による駐車対策というものは、路外駐車場対策と同じく、基本的には総合的な都市対策の一環として決められていくべきものではないかと思うわけですが、したがって、この区間の指定に当たっては都市計画部門との十分な協議も必要と思いますが、いかがですか。
  116. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、十分協議しながら場所を決めてまいりたい、かように考えております。
  117. 吉井光照

    吉井委員 そこで、本来やるべき路外駐車場対策を講じないでおいて今回のような措置で違法駐車を追認するというのは、ちょっと本末転倒のような気もするわけですが、今回の時間制限駐車区間拡大とあわせて路外駐車場の利用促進や増設の対策を講じないと、また数年後には同じような措置が必要に、なってくると思うのです。だから、ここでひとつ抜本的な路外駐車場対策が必要ではないか、このように思うわけですが、長官、いかがでしょう。
  118. 山田英雄

    山田(英)政府委員 御指摘のとおりだと思います。特に、都市部においては駐車需要も高いわけでございますから、交通の安全と円滑を図る上からは、車両は基本的に路外駐車場に駐車すべきということであろうかと思います。そういう意味で、我々は、今考えております短時間駐車需要にこたえるためのパーキングメーターの設置というのはやむを得ない例外的な場合と思います。したがいまして、今後とも都市部における路外駐車場の整備、これが促進されていくことが重要だと考えております。関係機関とも十分に打ち合わせして、そういう方向が促進されるように努力してまいりたいと思います。
  119. 吉井光照

    吉井委員 駐車場の問題でいろいろな問題点が指摘されるわけですが、自動車の保管場所の確保等に関する法律、これでは自動車を登録するときだけ車庫証明というものが必要であるわけですが、果たして本当に車庫があるのかどうかのチェックがされているのかどうか、非常に疑問でありますし、またそのとき車庫があったとしても、その後の確認は何らされておりません。したがって、この実態の確認システムを確立すべきではないかと思うわけですが、いかがでしょう。
  120. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のような問題点があることは、私どもも全く同じ問題意識を持っております。ただ、その確認のシステムでございますが、国民負担の増加等の問題も並行して出てまいりますので、それとのかかわり合いを考えながら、できるだけ御指摘のような方向に進むように今後努力をいたしてまいりたいと考えております。
  121. 吉井光照

    吉井委員 次に、盗難車対策ですが、御承知のようにグリコ・森永事件や銀行強盗、また一連の過激派ゲリラ事件、こうした凶悪事件に必ず出てくるのが盗難車であり、これを使った広域、スピード化した犯罪が最近非常に横行しているようですが、このような盗難車を利用した犯罪に対処するためにどのような施策、研究、また実用化がされておりますか。
  122. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 盗難車両対策につきましては、警察といたしましても重要な課題の一つと受けとめまして真剣に取り組んでいるところでございます。  参考までに申し上げますと、自動車保有台数の増加に伴いまして自動車の盗難被害も増加傾向にございまして、現在全国で一日平均約百台に上る車両が盗難の被害に遭っているところでございます。警察におきましては、自動車の盗難を認知した場合には、その都度いち早くコンピューターに車両ナンバー等必要なデータを入力するとともに広域的な手配をする一方、犯行後間もないような場合には自動車検問とか緊急配備等行いまして、被害車両の早期発見、被疑者の早期検挙に努めておるところでございます。  対策といたしましてはいろいろございますが、いろいろなシステムを研究開発いたしておるわけでございます。一つは車両照会システムでございますが、各種警察活動におきまして不審車両を発見したような場合には、直ちに車両照会を行いますと、即時に盗難車両か否かの回答が得られるシステムができておりまして、現在運用されておるわけでございます。また、ことし四月からは、警視庁と五都県警察におきまして、パトカーに小型コンピューターを搭載しまして、パトカーから直接不審車両の照会を行うことができるシステムを試験運用中でございまして、既にこれまでに四十台に上る盗難車両を発見、検挙をいたしておるところでございます。  このほか、こういった対策の前提といたしましては、まず車両の盗難を防止することが必要でございますし、また、盗難に遭った場合には直ちに警察に届けていただくことが大切でございますので、関係機関、団体等との連携のもとに一般に対しましても防犯指導を行うということで対処しているところでございます。
  123. 吉井光照

    吉井委員 次に、東京都の調査によりますと、五十八、五十九年度の二カ年で車運転中の急死、亡くなった方が四十三人いた、このように報告されておりますが、そのうち二十七人が心臓などの病歴がある人なんですね。そして、その三割がタクシーやバス等の営業車、そして事故と直結したものが九件となっております。こうしたことが私のおります山口県警の六十年度の交通白書にも出ているわけですが、こうした背景には、急激に進む高齢化社会、こうしたものからますますドライバーの高齢化が進んでいるということにも一つの原因があると思いますが、今後こうした高齢者ドライバー等の健康管理や、また免許更新のあり方について何か改善策を考えていらっしゃるかどうか、いかがですか。
  124. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、これから高齢化社会がますます進むにつれまして高齢運転者事故も増加してまいるだろうというふうに私ども考えております。そこで、今後の安全対策の中で高齢者運転者の対策をどのように講じていくかということも一つの大きな検討課題であるというふうに理解をいたしております。  その際に、制度的に高齢運転者を、例えば更新の制度を改めるというような、一般的な規制を強化するというようなことにつきましては、高齢者と申しましても先生御承知のように非常に個人差がありますので、一律に制度的に規制をするということについてはなお検討を要するのではないか。当面は、例えばお年寄りはそれなりに聴力や視力が低下するのは自然的な事実でもございますので、そういう事実をよく理解をした上で安全な運転に努めていただくという意味で、更新時講習等の際にお年寄りの学級のようなクラスを設けまして、お年寄りに伴う事故の特徴だとかあるいは身体的ないろいろな能力の低下の特徴等をよく御理解いただく、そういう面で今後検討する余地が残されているのではないかというふうに考えております。
  125. 吉井光照

    吉井委員 今後の交通安全対策ですが、当然、施設整備対策も重要でございますが、やはり私は交通安全教育の面にしっかり重点が注がれるべきだ、このように思うわけです。結局運転者の教育それからマナー、この徹底がいわゆる事故を撲滅していく最大の要因になってくるのではないかと思うわけですが、例えば自動車教習所ですか、受ける教習もやはり技術面も無論大事ですけれども、技術面に偏重するのではなくして、もっともっとこういったところの教育面といいますか、これを重視する方向をとっていかなければいけないんじゃないか、このような気がします。いわゆる健康管理の面でも、また対症療法というのじゃなくていわゆる健康管理といいますか、そういったものに非常に力点が置かれる時代になってまいりました。事故が起きた、それからではもう遅いわけで、やはりこういった教育面というものをあらゆる角度からあらゆる場所で徹底をしていかなければいけない時代に入ってきたんじゃないかと思うのですが、長官いかがですか。
  126. 山田英雄

    山田(英)政府委員 御意見のとおりだと思います。先ほどもお答えしましたように、交通安全対策というものを効果的に推進しますためには、単に安全施設の整備だけでなくて教育を含めて総合的な施策というものを実施すべきであると思っております。特に、お尋ね交通安全教育につきましては、第四次の交通安全基本計画におきましても生涯教育ということで位置づけておりまして、これを体系的に実施していくことを重要な柱としております。  交通秩序を維持するということは、それに参加しているドライバー、ドライバーのみならず歩行者も同じでございますが、特にドライバーのモラル、これが向上していくことが大きな重要な柱であると思います。そういう意味では、我々警察といたしましても、いろいろな機会に安全教育ということを重点としてその教育内容の一層の充実に今後とも努力してまいりたいと思っております。
  127. 吉井光照

    吉井委員 次に、違法駐車車両に対する措置の強化ですが、今回の改正案では、現場運転者がいない違法駐車車両について警察官等が移動すべき旨を告知した標章を取りつけて、これをみだりに取り除いてはならない措置を講ずるということになっているわけですが、現在のステッカーは法的根拠のない事実上のものであるため破られてしまえばそれまでで、いわゆる逃げ得になっているものが多いわけで、正直に出頭した者との間で不公平になっているということが改正の一つの理由のようでございます。例えば、都内の場合瞬間路上違法駐車台数十六万台からすれば、そのすべてにステッカーを取りつけていったならば、これはもう事務量の点でとても対応ができないと思うわけですが、とすると、どんな基準でこのステッカーを取りつける車を選定するのですか。
  128. 八島幸彦

    八島政府委員 今回の違法駐車車両の標章を貼付いたしますのは移動措置命令を下すべき違法駐車でございまして、その移動措置の命令を意味する標章を貼付することといたしております。したがいまして、そういう必要性の高いもの、例えば交差点内あるいはその付近あるいはバスの路線、消火栓の前というような迷惑性あるいは危険性が非常に高いものに重点を志向してそういう命令を発するということになると思いますし、したがいまして、標章の貼付もそういう違法駐車に行われるというふうに考えております。
  129. 吉井光照

    吉井委員 時間も余りありませんので、総務庁がお見えになっておりますのでちょっとお尋ねをしておきたいんですが、地方自治体の業務の民間委託、これは行革の観点から一般的には非常に結構なことだと思うわけですが、その対象業務に何を選択するかについてはやはり慎重でなくてはならない、このように思うわけです。そこで、総務庁は、このように警察業務を指定車両移動保管機関に民間委託することについてどういう御見解ですか。
  130. 石出宗秀

    ○石出説明員 お答えいたします。  交通安全の確保につきましては、先生御承知のように、ひとり政府行政サイドのみの努力によっては達成できるものではございませんで、これは官民が一致協力して推進すべきものと考えているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、この交通安全に関する民間団体の育成につきまして大いに努めているところでございます。したがいまして、今般のこの違法駐車車両の移管業務につきましても、機能的に活動できる民間の公益法人に委託することにつきましては交通安全上も望ましいことである、このように考える次第でございます。
  131. 吉井光照

    吉井委員 今回の改正で、指定車両移動保管機風のほか、道路使用適正化センターを設けて警察業務を委託することにしているわけです。このように、法律上公益法人に業務を委託して委託金や補助金を支出する事例が一般に増加しているようですが、総務庁としては何らかの規制を行うべきではないかという気もするのですが、いかがでしょう。
  132. 石出宗秀

    ○石出説明員 お答えいたします。  公益法人に対しまして委託しました業務の適正な運営の確保につきましては、先ほど警察庁の方からの答弁にもございましたように、適正な運営確保のための所要の措置を講ずるということでございますので、適正な運営も確保できるものと、このように考えておる次第でございます。
  133. 吉井光照

    吉井委員 最後に、最近東京都心の主要道路における最高制限速度が時速四十キロから五十キロに引き上げられた。このように速度規制の緩和に合わせて実勢速度が上がることになりますと、事故による致死率が余計アップすることにならないかということでございます。例えば、新潟県警の資料によりますと、事故による致死率は時速三十キロを超えますとあとは十キロ増すごとに二倍ずつの割合で高まっていくということが指摘されているのですが、どうでしょうか。
  134. 八島幸彦

    八島政府委員 一般的に申しますと、スピードが上がるに従って致死率が幾何級数的に高くなっていくということは事実でございます。ただ、現在の速度規制の見直しの基本的な考え方は、かつては必要であった速度規制であっても、その後安全施設が整備される、あるいは道路そのものが拡幅される、あるいは歩道ができるというようなことで、相対的に規制が厳しくなってきている。つまり、道路環境なり安全水準との兼ね合いで速度規制値も決められるものである、こういう考え方から、そういう道路について規制の見直しを全国的に進めてきているのが実情でございますので、規制を緩和したから直ちに事故がふえるということにならないような場所について見直しをしてきているというふうに御理解いただきたいと思います。
  135. 吉井光照

    吉井委員 以上で終わります。
  136. 福島譲二

    福島委員長 岡田正勝君。
  137. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 長官初め当局の皆さんに冒頭に申し上げておきますが、この委員会は恪勤精励、きょうまでやってきておるわけですが、特にきょうのごときは、私なんか今から三十九分やりまして、今度は二時間半待たないとまた次ができないのですよ。そして、ようやくやらせてもらうのが十九分、こういう状態ですから、本当にとぎれとぎれの息遣いと言わんばかりの質問になるかと思いますが、受け答えの方はひとつまじめに取り組んで、よくわかるように御回答をいただきたいと冒頭にお願いをしておきます。  さて、第一の質問でありますが、前回に続いての質問です。  速度超過の反則行為とする範囲の拡大については、現在の実態に合わない速度規制を早急に見直す必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
  138. 八島幸彦

    八島政府委員 先生指摘のとおりでございまして、速度規制は道路の安全施設その他道路交通環境の変化に伴って常に見直しをすべきものだというふうに理解いたしております。このような観点から、最近全国的にそういう観点からの見直しをするように指導をしてまいりました。  そこで、この一年間に全国的にスピード規制を緩和したのが二千四百キロメートルに及んでおります。東京の場合には、まだ計画中で未実施のもございますが、四次に分けまして二百三十キロメートルにわたって規制を緩和するという計画のように承知をいたしております。
  139. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ちょっとくどくなるようでありますが、長官、大臣がいらっしゃいませんので長官にお答えいただきたいと思いますが、今お答えになりましたように、時々刻々と様子が変わっていっております。したがいまして、実態に即していないから、だれでもというのはちょっと言い過ぎかと思いますが、速度制限を守られないところがある。そればかりか、制限速度を守って車の流れを乱すような運転をしているとかえって危険が大きいというような現状があります。そういう地点の見直しを行わずに、かえって逆に今度はネズミ取りをするというような、規制の方だけを強化するのでは片手落ちではないかという国民の声があるが、いかがでございましょう。
  140. 山田英雄

    山田(英)政府委員 先ほど交通局長からお答えしましたとおり、速度規制の見直しということについては鋭意努力しております。この点については、国民免許時代でございますから、国民の共感を得る交通警察行政でなければならない。そういう意味では、道路の構造の安全が許す限り法定速度に近づけることがよろしいのではないか、こういう基本的な考え方に立っておるわけでございます。そういう努力は続けておるわけでございますが、他方、速度違反といいますのは三悪の一つにも数えられるぐらい重大事故に直結する違反でございます。したがって、死亡事故の大きな原因になっておる違反でございますので、この取り締まりというのはなおざりにはできないと思っております。  ただ、取り締まりのあり方がお尋ねのようにいろいろな観点から眺められて御批判もある、これは十分我々承知しております。そういう意味で、取り締まりのための取り締まりはやはり排すべきである。当然のことでございますが、しかし、危険なスピード違反、時間、場所、道路状況において危険なスピード違反というものはやはり的確に取り締まっていかなければならない。ただ、そのときの方法については常にいろいろな方の御意見を伺って、妥当な、納得のいく取り締まりを――私は交通部長会議でも、説教するなら切符を切るな、切符を切るなら説教するなという卑俗な言葉でも申したのでございますが、やはり取り締まりを受けるドライバーの立場に立って納得のいく取り締まりをすべきではないか、特に速度違反については今後そういう配慮をしてまいりたい、かように思っております。
  141. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 第三次交通安全施設整備五カ年計画、これは五十六年から六十年度までのことでありますが、その当初計画は千九百億円、その実績は千三百十一億円となり、その達成率は六九%となっていると聞いております。達成率がこのように低い理由というのは一体何でございましょうか。
  142. 八島幸彦

    八島政府委員 先生指摘のように、第三次の特定事業の実施率が六九%という大変低い実績にとどまったことは、私どもといたしましても大変残念に思っているところでございます。  その理由でございますが、警察の安全施設予算は、財源が特定財源ではなくて、一般財源でありますところから、国の最近の厳しい財政事情が直に反映された結果でございます。
  143. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 警察庁としまして第三次計画達成率の低さというものを、国の財政が厳しいからというあおりを受けたんでありますが、それを踏まえて第四次五カ年計画については今後どのように取り組んでいかれるおつもりでございましょうか。
  144. 八島幸彦

    八島政府委員 先生御承知のように、第四次の交通安全施設整備計画につきましては、依然として国の厳しい財政事情と第三次の実績というものを踏まえまして現実的な規模とせざるを得なかったものでございまして、その結果、一千三百五十億という計画にとどまっております。ただ、私どもは、特定事業も地方単独事業も含めまして全体の安全施設整備が第三次の計画を下回ることのないように、あわせて安全水準が低下することのないように計画を定めてまいったところでございます。
  145. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、長官、これは予定外でございますが、今のお答え、私は非常に正直に答えていらっしゃると思うのです。一般財源でございますから、国の方の財政が非常に厳しいというので結局は達成率が落ちてくる、それから第四次の予算要求も抑え込まれるというようなことで、せめて地方分と合わせて第三次の実施額よりは下がらぬようにせないかぬという決意のほどはよくわかるのです。だが、大臣おられぬからあれですが、警察庁長官、ここらで大蔵大臣に対して猛然と怒りを燃やさなければいかぬのじゃないですか。国民の生命と財産を預かるための施策でしょう。それを国の予算が少ないからといって抑え込まれた。その抑え込まれた反動として、今度は反則金が上がると国民は思うのですよ。国が予算を出さぬから、仕方がないから、安全施設をやらぬわけにもいかぬし、それじゃあ反則金をちょっと上げるか、取り締まりをもうちょっと厳しくいけ、そうすれば打ち出の小づちで何ぼでも出てくるぞと言わんばかりの――警察庁長官考えておるというのではないですよ、大蔵はそういう考え方が根っこにあるのじゃないのかな。だから、そういうことに対しては、国民の生命財産を預かる一番大どころの要に立っておる長官の立場としては、大蔵大臣に対して一言も二言も顔を険しくして文句を言ってもらいたいと私は思っておるのであります。さぞかし言っていらっしゃるとは思うのですけれども、決意はいかがですか。
  146. 山田英雄

    山田(英)政府委員 この交通安全施設の財源という問題は、私ども今後とも十分御指導いただきながら研究していかなければならないと思います。御指摘のとおり大変重要な予算でございます。  そして、昨年度の予算要求におきましても、御指摘を待つまでもなく猛然とやったわけでございます。これは経緯を申し上げるとあれでございますけれども、当初は警察庁予算にシーリングがかかっておりますので、実は単年度八十五億円の計上しかできなかったわけでございます、他の経費も重要でございますから。しかしながら、百億円を超えなければ先ほど交通局長がお答えした規模の三次五計を上回る計画はできなかったわけでございます。要求以上にとる、要求しないものをとるというのは、大蔵官僚にとっては、大蔵大臣以下考えもしないことのようですが、それを、猛然とかみつきまして百一億とったわけでございます。これは予算要求史上例のないことのようでもございますので、来年度以降も御指導いただきましてさらに猛然と努力することをお答え申し上げたいと思います。
  147. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 長官の決意を承りまして、非常に力強く思いました。ぜひ、ひとつ今後とも頑張っていただきたいと思います。  さてそこで、この抑え込まれた第四次五カ年計画の財源が国分で三百二十五億円減少しておると聞いております。国家予算できちんとこれを確保すべきではないか。今かみついたけれども、なかなかそうはいかなかったというお話は承ったのでございますが、三百二十五億円の減少というのはちょっと大きいなという感じがするのでありますが、いかがでございましょうか。
  148. 八島幸彦

    八島政府委員 第三次の特定事業の事業規模は先生御承知のように千九百億でございまして、その実績が千三百十一億だったわけでございますが、私どもは当初安全施設の計画を立てるに際しまして、少なくとも第三次の規模を若干でも上回る計画にいたしたいということで二千億にいたしました。その二千億と現実に決定された規模千三百五十億の差が六百五十億円でございまして、それを国の補助金分ということで二で割りますと、先生指摘のような額になるわけでございます。この分につきましてはそのまま事業を実施しないということではございませんで、事業の実施区分を見直しをいたしました。と申しますのは、見直しをしまして地方単独事業として実施することにしましたのは、信号機の新設と大型標識もしくは可変標識に関する事業でございます。この両者を地方単独事業に回しました理由は、先ほど申しましたように財源的に非常に厳しい情勢があるので現実的な類とせざるを得なかったということがもちろん大きな理由でございますが、それ以外にも、最近は特に大府県におきまして信号機が多過ぎるんじゃないか、それが結局かえって交通渋滞を招いているのではないかという意見が出始めております。こういう一方、また地方の県ではまだまだ信号機が足りないという県もございます。  そういうようなことで、信号機の新設につきましては、どうもその必要性に都道府県間のバランスが非常に変わってきている、アンバランスになってきておる。こういう実態が出始めておりますので、まさに都道府県の実情に応じて設置することにしたらどうかということが一つございます。  それから大型標識の問題につきましても、最近標識が多過ぎるんじゃないか、いわゆる標識ジャングルじゃないかというような御意見が出始めております。そういうことで、御承知のように通常の標識は都道府県の単独事業として従来も実施しているものですから、大型標識をつくることによって視認性を高め、それによってまた標識の整理統合も図れるのじゃないかということで、あわせて大型標識の整備も都道府県単独事業にしたらどうであろうか。ただ、単純に事業だけを押しつけるということでは地方としても困りますものですから、その点につきましては関係省庁に十分お願いをいたしまして、地方財政計画基準財政需要額にも計上していただき、交付税等の財源措置も講じることによって全体の計画を、第三次よりも若干でありますけれども上回るような計画といたしたところでございます。
  149. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 非常に丁寧な御説明でよくわかりましたが、ちょっとこじつけたところがあるようですね。  それで実際に言いまして、それは信号機が多いなという声もあるかもわかりません。しかし、信号機をつけてくれと何ぼ言っても予算がないからつけてくれないところもたくさんあるのであります。  それから、カーブミラーのごときは、つけてくださいと言っても地方ではなかなかつけてもらえない。それから、せっかくつけていただいたカーブミラーが、どういう関係か知りませんがいつの間にか真っ白けになっちゃって、あれはどういう現象か知りませんが、全然見えないのですよ。それで、それがそのまま放置をされて、早く取りかえてもらいたいと言っても、取りかえていただくことができない。そのためにごっつんこといった。それはカーブミラーが悪いから事故が起きたとは言いませんよ。だけれども、カーブミラーがあっても、見えぬカーブミラーというんじゃ処置ないじゃないかという地方の声がたくさんあることも、ひとつ頭に入れておいてください。  次に、今、御説明がありましたようなことで、それの二分の一の三百二十五億円が、国の分が今度抑え込まれたわけでございますが、予算をよく見てみますと、地方の負担分が二百五十五億円、かわりにふえておるという状態でありまして、これをまたさらに見てみますと、今回の改正による反則金の引き上げによる増収額にほぼ見合った金額となっているじゃないか、国はずるいぞという指摘があるのであります。一方で国の負担を減額しつつ、地方の増額分を反則金の引き上げによって賄うつもりではないかという誤解をドライバーの皆さんは持っておるのであります。そういう誤解が生じやすいのであります。国の予算を減額して、国としての責任を放棄して、そしてドライバーの反則金にその財源を求めているのじゃないかといった国民の声ですね、これに対しましては、当局の見解はいかがでございますか。
  150. 八島幸彦

    八島政府委員 私ども、今回、反則金あるいは罰金の引き上げをお願いいたしましたのは、挙げて交通事故を防止するためでございまして、その理由は、現在、反則金の額が十二年間上がっていない結果、相対的に低額なものになっている。その結果だろうと思いますけれども、一部の運転者が繰り返し繰り返し違反をしているという実態がございますので、この際、反則金等を引き上げることによって罰としての機能を回復さしたい、こういう目的でお願いをしているところでございます。  なお、御承知のように、今回の第四次の交通安全施設整備計画につきましては、既に昨年の暮れの段階で全体の計画及び特定事業の計画というものができておりまして、その財源として反則金を値上げするものであるとすれば、むしろ昨年中にこのような改正をお願いしなければいけなかったものでございますので、決してそういう意図ではないということを御理解いただきたいと思います。
  151. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 次にお尋ねしたいと思いますのは、自動車の教習所の問題についてであります。  昭和五十九年末現在で、全国の指定自動車教習所の数は千五百カ所と聞いております。五十九年の指定自動車教習所の卒業者の数は約二百三十九万四千九百人に上っておりまして、同年の運転免許試験合格者数の七八・二%を占めていると聞いております。しかし、法的には一定の職員と設備などに関する基準が満たされておりましたならば、その教習所の指定を受けることができる、こうなっておりまして、法的には道路交通法の九十八条にその規定があるだけですよ。それで、自動車教習所の社会的役割と交通安全教育の視点から、現在の教習所を改編いたしまして交通安全に資する運転教育を可能とする機関として位置づけるために、業法として自動車教習所法のようなものを制定してはどうであろうかと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  152. 八島幸彦

    八島政府委員 先生指摘のように、指定自動車教習所制度につきましては、現在極めて簡単な規定が置かれているだけでございます。ただ、その規定におきましても「自動車運転者の資質の向上を図るため、」という一応社会的役割を明確に規定しているところでございます。また、法律の条文は確かに極めて簡単な条文でございますが、先生御承知のように、具体的な教習の内容なり、あるいは指導員や検定員の資格の問題なり、そういうような実質的に必要な事項につきましては政令にゆだねられておりまして、政令及び総理府令の段階ではかなり詳細な規定が設けられておりまして、適切な運営が図られるよう十分指導監督ができるような仕組みになっているわけでございます。そういうことでございますので、現時点で特別に自動車教習所法のような独立の法律を設ける必要があるかどうかにつきましてはなお検討さしていただきたい、かように考えております。
  153. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 次に、白トラ、白バス、運転代行取り締まりの問題についてお伺いをいたします。  自動車運送業界におきましては、白トラ、白バス、運転代行といった行為が依然として後を絶っておりません。道路運送の安全や輸送秩序の確立を妨げているのであります。白トラ、白バス等の違法行為については、道路運送法を初めとする関係法規の厳格な適用をもって今後とも取り締まりの強化徹底を図るべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  154. 八島幸彦

    八島政府委員 白トラ、白タク等の行為は、輸送秩序を乱すだけではなくて、乗客の安全面でも問題があるというふうに思っております。そういうことで、その取り締まりの強化に努めてきているところでございますが、最近はその手口が非常に悪質、かつ巧妙化してきておりまして、その捜査、立証上に多大な時間と労力を要しているのが実情でございます。そのような中にありましても、警察といたしましては工夫を凝らして取り締まりを強化してきておりまして、ちなみに昨年中の検挙状況を申し上げますと、白トラにつきましては三百八十三件、これは五年前に比較いたしますと五四%の増加でございますし、また白タク、白バスにつきましては五年前に比べまして約四倍の増加というような状況となっております。今後とも運輸当局等との連携を密にしまして、違反情報の把握、検挙した業者、使用車両等の行政措置等が十分行われるように配慮してまいりたい、かように考えております。
  155. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 運輸省、いかがですか。
  156. 植村武雄

    ○植村説明員 運輸省といたしましても、先ほどの交通局長の答弁と全く同じでございまして、輸送の安全の確保、また運輸事業の秩序を維持するという見地から、従来から取り締まりをやってきたつもりでございます。今後とも先生の御指摘も受けて精いっぱい努力してまいりたい、このように思います。
  157. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 運転代行については、警察庁が第二種免許の義務づけを検討していたと聞いておったのですが、その後一体どうなったのでございましょうか。
  158. 八島幸彦

    八島政府委員 運転代行に限らず、白タクとか白トラというようなものにつきましては、先ほども申し上げましたように非常にその安全上も問題があるということで、かねがね道交法の立場でこの取り締まりを強化するような余地はないかどうかというようなことを検討してまいっております。ただ、御指摘運転代行につきましては、白タクの禁止規定との関係あるいは事故の実態等の問題もなお検討を要する点がございますので、改正案に盛り込む段階には至っていないというのが実情でございます。
  159. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは後の質問のときに冒頭に答えていただきたいと思いますが、今質問しましたこの運転代行のいわゆる第二種免許義務づけの検討という問題については、今回形になって出ませんでしたが、今後も十分検討をしていくというふうに受け取っていいのでしょうか。
  160. 八島幸彦

    八島政府委員 運転代行の形態が、先生御承知のように、多分に白タク類似行為的なものが多いわけでございます。そういうことで、現在の白タクの禁止規定との関係の問題とかあるいは事故の実態等、もう少し調べた上で判断をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  161. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 警察庁としてそのための改正案を、これは念を押すようでありますが、今国会に提出をすると聞いておったのでありますが、その提出されなかった理由というのは、先ほどのいわゆる御答弁と同じですね。
  162. 八島幸彦

    八島政府委員 そのとおりでございます。
  163. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 運転代行などタクシー類似行為をなくすために取り締まりが不可欠だと思っておりますが、さて、運輸省としては今後どういうふうに対応していかれるおつもりでございますか。
  164. 植村武雄

    ○植村説明員 運転代行業に名をかりまして、先ほど来御質問の違法な白タク行為というものがあれば、それは旅客の輸送の安全の面からも、また正規のタクシー事業の適正な運営という意味からも問題がございます。そういうことで、違法な代行行為につきましては、従来から私ども取り締まってまいりました。今後とも警察当局と十分連携を密にしまして、その強化に努めてまいりたい、このように思います。
  165. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 次に、道路の掘り返し規制についてでありますが、道路のたび重なる掘り返し、これは国民からも大変なひんしゅくを買っておるのでありますが、そのために交通の円滑性が損なわれておることはもう御承知のとおりです。公共輸送に支障を来しておるとの苦情が全国各地から相次いております。それから、これは特に年度末、大変な苦情でございまして、このための経済的なむだというのは言うまでもありませんが、ドライバーの受容の限界を超えたものは交通政策としても放置できないはずであります。  主たる原因というのは、工事主体のいわゆる連携が欠落しておるからでありまして、道路行政及び交通規制行政の怠慢は免れないというところではないかと思うのであります。政府といたしまして、こうした批判をどう受けとめていらっしゃるか、そのことについてお答えを願いたいと思います。しれは建設省も、両方お願いいたします。
  166. 原隆之

    ○原説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のように、ドライバーの方々に大変御迷惑をおかけいたしております。ただ、御理解をいただきたいのでございますが、この掘り返しに伴う工事というものには主として二つございます。一つは、道路管理者道路の機能を回復したりあるいは向上させたりするために行いますところの道路の舗装の打ちかえでございますとか、拡幅でございますとか、そういった工事がございます。それから二つ目には、電気、ガス、水道といった公益事業、公益物件の埋設のための掘り返しというのがございまして、この二つ目の道路の占用工事が、国道でございますとか市町村道でございますとか、道路の種類によっても異なり、あるいは大都市、地方という地域によっても異なりますし、また年度末とか年度初めとかいう時期にもよって異なりますが、道路の掘り返し工事全体のおおむね八割から九割程度がこの占用工事というふうに私ども見ておるわけでございます。そこで、この占用工事を根本から防止をするために、共同溝の整備というものを私ども昭和三十八年以来いたしておりまして、現在までに二百キロメートルの共同溝が整備をされておるわけでございまして、今後ともこの共同溝の整備によりまして道路の掘り返しの防止を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  また、先生、むだな掘り返しというふうにおっしゃいましたけれども、私どもせっかく公共事業として道路の舗装を新しくいたしました後にすぐ掘り返すということでは大変申しわけないわけでございまして、さような観点から、これは昭和三十七年でございますが、道路の舗装工事、打ちかえ工事をいたしました後、五年とか三年とかその舗装の種類によって異なりますが、その間は掘り返し工事をさせないということを厳守をいたしてまいるつもりでございます。  こういった二つの措置をとるということのほかに、連携が悪いではないかという先生の御指摘でございますが、道路工事と占用物件の工事、あるいはガスと電気といった占用工事同士の工事の調整といったことを図りますために、公益事業者、警察等の御協力も得まして、毎年度、年度の初めに、その年度に行います工事の場所、種類あるいはやり方といったものを、計画をお互いに調整をいたしまして、できるだけドライバーの方々に御迷惑をおかけしないというような努力をしてまいっているつもりでございますが、御指摘趣旨に沿いましてなお一層努力をしてまいりたいというように思っておるわけでございます。
  167. 八島幸彦

    八島政府委員 道路工事等によります無秩序な道路の掘り返しは、御指摘のように交通渋滞の大きな原因となるばかりでなくて、交通安全上も重要な課題であるというふうに私どもも理解いたしております。政府といたしましては、このようなことを防止するために、昭和四十五年十一月六日に「地下埋設工事等による道路の掘り返し規制及びこれによる事故の防止に関する対策要綱」というものを事務次官会議で申し合わせを行いまして、これに基づきまして、大規模工事につきましては一応実施時期等について関係機関において調整をすることといたしております。ただ、これらの調整対象とならない臨時的なものあるいは小規模な工事等も多々ございまして、それが結果的にしょっちゅう掘り返しているというようなことになっているのも事実でございますので、今後ともできるだけ全体として調整が広がっていくように私どもとしても努力をしてまいりたい、かように考えております。
  168. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間がありませんので、この最後の一問だけにとどめさせていただきます。  今の答弁でよくわかりました。しかしながら、せっかくの御努力をなさいましても、いわゆる大規模なもの、大規模の工事については調整が一生懸命とられておるようでございますが、大規模のものをやろうと、小規模のものでちょっと掘ろうと、道路が寸断されることは同じなんですよ。十メートル穴がほげとるからとかあるいは五十センチほげとるからというので状況が変わるのじゃありませんですね。工事の大小にかかわらずドライバーの受ける迷惑というのは大変なものなんですよ。  それで、今、共同溝の関係を全国で二百キロメートルやっておる、私、非常に認識を新たにいたしました。どこをやっておるのか、今度一遍見せていただくとありがたいと思っておりますが、どんどんこの工事を延ばしていただきたい。いわゆる公共事業を延ばしていくための予算は、私は極端なことを言うたら、共同溝に半分ぐらい持っていってもいいのじゃないかなというくらいに思っておるのでありまして、今度為替差益でがっぽりと言ったら言い過ぎかわかりませんが、少しおもうけになりましたところもたくさんあるわけですから、そういうところはどんどん全部地下へ埋設がえをしてもらうというのに便乗をするというようなことで、建設省、私はこれから脚光を浴びるような仕事を共同溝の関係で大いに頑張ってもらいたいと思いますが、建設省の御意思はいかがでございましょうか。  それから、警察庁におかれましては、こういうふうに大規模は調整できているのですが小規模はなかなか調整ができておりません。そういう関係で、これはもちろん国道だけじゃありません、市町村道、県道もあるわけですからなかなか大変だと思いますが、全国に対して道路管理者あるいはその取り締まりの管理者という立場からいたしまして、もっと厳しい、勝手に道路は掘らせぬぞという厳しい態度をとっていただくように期待をしたいのでありますが、いかがでございましょうか。続いてお答えください。
  169. 原隆之

    ○原説明員 私ども建設省といたしましては、掘り返しの防止という観点のみならず、歩行空間の確保とか都市防災機能の向上あるいは都市景観の向上といった側面から電線類の地中化というような施策も進めておるわけでございまして、そういったことの意味も含めまして共同溝の整備には今後とも万全の努力をしてまいるというつもりでございます。  それからもう一つ、細かいものに手が回らないという点につきましては、これは私どもそれなりの理由がございまして、現在埋設物件の管理あるいは把握というものを、道路管理者におきまして手がきの図面、帳票等でいたしておりまして、これがなかなか調整がうまくできないという原因になっておるわけでございます。     〔委員長退席、小澤(潔)委員長代理着席〕 そういった意味から、昨年度から占有物件の埋設位置、あるいはいつごろ埋めたのかという時期等々を総合的に管理し把握するために、コンピューターマッピングという技術を利用いたしましてシステムを構築していこうということにいたしておりまして、今後このシステムを活用することによりまして先ほど御説明いたしました工事調整の会議というものの精度を高める、あるいはこのシステムを活用いたしまして工事調整の新しい手法の開発に努めるというようなことを検討してまいりたいというふうに考えております。
  170. 八島幸彦

    八島政府委員 警察といたしましても、御指摘趣旨に沿って努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  171. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。
  172. 小澤潔

    ○小澤(潔)委員長代理 経塚幸夫君。
  173. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最初に大和信用債券の事件についてお尋ねをしておきます。  これはもう四月十八日に大阪府警が摘発したようでありますが、この郷田社長は元豊田の社員ですね。全く手口も豊田商事と同じような手口でやっておるわけでありますが、被害者もお年寄りが中心で約千人、二十億とか言われておりますが、これは、一番最初に警察がこういう違法行為を知ったのはいつごろですか。
  174. 新田勇

    ○新田政府委員 豊田商事の例の事件が発覚して以来、この商法の持つ問題点は広く知られるところとなったわけでございますが、警察といたしましても、この商法がどのようなふうに広がっているかということで関心を持って被害の防止あるいはその後判明した事件の検挙といったような対処を進めておったわけでございます。  こうした一連の流れの中にありまして、今おっしゃいました大和信用債券株式会社につきましては、昨年の末にいろいろな情報から見まして犯罪性が大変高いという判断をいたしまして重点的に情報収集に当たってまいったところでございますが、このたび心証が得られましたので捜索に踏み切ったということでございます。
  175. 経塚幸夫

    ○経塚委員 去年の暮れに犯罪性が強い、こう判断されて今回の摘発に出たということでありますが、これはどうなんでしょうね、去年の六月にもう大阪市内で一女性が告訴しておりますね。それから大阪府の消費者保護センターの例によりますと、もう既に五十九年に四件相談を受けておる。昨年度は十四件、急増したのですね。それで去年の九月に大阪府警に連絡をとった、こう言っておるわけなんですよ。早くその摘発をしておればこんなに被害が広がらずに事は済んだのではないか、こういう意見も出ておるわけでありますが、その点はいかがですか。
  176. 新田勇

    ○新田政府委員 豊田商事に関連した人は大勢おりまして、その後いろいろな事業といいましょうか、そういう活動をいたしているということは承知いたしておるところでございます。しかし、犯罪ということで摘発する以上、しかるべき信頼のある情報でなければならないわけでございますので、そういった数ある情報の中から精査いたしておりましたところ、昨年の暮れになって非常に確からしいという確実な情報をつかんだということから、これを重点的に見てまいる、そしてこのたびの捜索に移った、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
  177. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今摘発したのは出資法違反の容疑だと聞いておるのですが、詐欺容疑についてはどうなんでしょうか。
  178. 新田勇

    ○新田政府委員 現在の容疑は預かり金ということでございまして、なお、この捜査を進めていく段階で新たな容疑が出てくれば、そういった容疑についても立件いたす、捜査を進めるということは当然でございます。
  179. 経塚幸夫

    ○経塚委員 豊田商事のときにも私はお尋ねをしたわけでありますが、これは明らかに詐欺罪が成立をする、豊田商事に対してもっと手厳しくなぜ手を打たなかったのかという法曹関係の批判もあるわけであります。こういうことが二度とまかり通らないように、これはぜひ手厳しくやっておいてほしいと思うのです。  そこで長官にちょっとお尋ねしたいのですが、これは各省庁にもまたがることでありますので長官お尋ねをしたいと思っておるのでありますが、私が通産省に聞きましたら、この事件は知っておった、明らかに出資法あるいは証券取引法ですかの容疑はある。では、警察に連絡をしたのかと言うと、いや、これは大蔵所管にかかわることなので全然連絡はしなかったし、する考えも持っておらなかった、こういうことなんですね。これは全くの縦割り行政で。それで、この事件につきましては私の大阪の事務所へも何件か相談がありまして、通産の方へ行かしたわけでありますが、通産は、弁護士に相談をしてくれ、こういうことで振ってしまったのですね。それで、私の事務所で独自に解決をしまして、七割か八割金を取り返させたわけでありますが、いまだに大口が一件取り返せずに事務所で預かったままになっておるわけでありますが、これは各省庁間の連携を密にする対策が必要じゃないかと思うのですよ。大阪府の消費者保護センターも警察とは情報の交換はやっておるということでございますが、こんなに事件が相次いできますと、都道府県の担当の窓口それから通産、警察、場合によっては法曹関係者も入れる必要があるのじゃなかろうかと思うのですが、何か半ば常置的な連絡機関が必要じゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  180. 山田英雄

    山田(英)政府委員 この種事犯は、消費者保護といいますか弱者保護といいますか、そういう観点から捜査徹底的に行う必要があると我々は考えております。そういう意味で、四月に保安部に生活経済課というものを新設し、また各府県警にも同種の課を設置いたしまして、全国的に警察相互の連携をとって捜査を強力に進めておるわけでございます。今、その捜査の過程において、御指摘関係機関からの情報収集、これは私どももその必要性は痛感しております。本事件についても、当然に警察独自の情報以外にも関係機関からの情報を入手しておるわけですが、御指摘の点については、事件捜査のいろいろな教訓を積み重ねて、広く関係機関に呼びかけてまいりたい、かように思っております。
  181. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ぜひ、ひとつ早急にそういう体制をとって、こういう事件が再発しないように対策を講じていただきたいと思います。  次は、指定自動車教習所問題についてお尋ねをいたします。  指導員の労働時間の問題でありますが、昭和五十三年、参議院の交通特別委員会審議をされましたときに、労働基準局長は、大体一日一人一時間、それで八人が限度、こうお答えになっておるわけですね。続いて警察庁交通局長も、労働省がおっしゃったことはそのとおりであります、こういう御答弁をなさっております。今日もこういう見解に変わりがないわけですか。
  182. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘の件につきましては、当時の杉原交通局長は「理想的な姿として」ということで申し上げたのでございまして、そうすべきだというふうに答弁したとは承知しておりません。私ども、基本的には、本来労働時間につきましては労使交渉によって定められるべき問題でありまして、また警察は中立的な立場にありますので、労使問題につきましては原則として介入しないという立場をとっております。ただ、現実的に過酷な労働時間によりまして教習の質の低下につながるようなことがあれば、その範囲内で教習所を指導監督しておるところでございます。このような観点から、今後とも指定自動車教習所に対して指導監督を行ってまいりたい、また、必要に応じて労働省とも協議してまいりたい、かように考えております。
  183. 経塚幸夫

    ○経塚委員 その当時、望ましいということでの御答弁であることは承知いたしております。しかし、「月刊交通」の一月号に運転免許課長の論文が掲載されておりますが、その中でも、いわゆる教習所での質の高い教育がマナーを十分備えたドライバーを社会に送り出す上で極めて重要だ、こういうことを述べられておるわけでございますが、過酷な労働条件のもとではなかなか至れり尽くせりの教育ができないと思うのです。こういうことで五十三年の御答弁があったと思います。この際にも、労働省とも協議、検討してまいりたいという御答弁になっているわけです。  ところが、労働科学研究所の調査によりますと、東京、神奈川、静岡、京都、大阪など主要な都市で、九時間以上が九八%という結果が出ておるのです。十時間以上も六八%なんです。こういう状況では行き届いた指導教育が保障されないと思うのです。だから、行き届いた指導によって教養の高いドライバーを送り出すという使命から見れば、やはり労働時間においてもそういうことが保障されなければならぬと思うのでありますが、当時の状況から見ますと残業時間なども改善どころか悪くなっておりますので、時間短縮の問題、それから稼働台数に対する入所生徒数の問題について、もちろん労働省との協議は必要でありますが、しかるべく指導をやるべきだと考えているのですが、その点いかがですか。
  184. 八島幸彦

    八島政府委員 先生御承知のように、現在の指定自動車教習所の教習時間は五十分単位で実施しておりまして、残りの十分を休憩時間としているところもありますし、あるいは労働時間にしているところもあるようであります。いずれにいたしましても、全体としての勤務時間がどうなるかという問題は、季節的な要因によって非常に繁忙の時期にはそれが一時的に非常に長いことになることもあるだろうと思いますし、そこら辺の問題は基本的にはあくまでも労使間で決めるべき問題であると理解をしております。  ただ、くどいようでありますが、私どもとしましては、そういう長時間労働によって安全な運転者の育成に支障が生じるというような事態になれば黙過しておくことはできない、そういう観点から今後とも労働省と協議しながらそういう面について十分関心を持って指導をしてまいりたいと考えております。
  185. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これはぜひ指導を強めておいていただきたいと思います。  次は、過積み問題についてお尋ねをいたします。  通産省、お見えになっておりますか。最近、粗悪セメントが随分問題になっているわけです。私の手元へも関係者からたくさんの写真が参っておりますが、大変なひび割れでありまして、大阪の吹田市の市営住宅などは、建築後わずか十五年で全部取り壊したというような例も出ておるわけであります。粗悪セメントと生コン車の過積みの問題との関連でありますが、これはどういうふうにお考えですか。
  186. 和田正武

    ○和田説明員 今の先生の御質問でございますけれども、生コンクリートの輸送におきます運搬車の過積みとコンクリートの品質の関係につきましては、現状では必ずしも明らかではないということでございまして、当省といたしましては、工業技術院におきまして運搬車の生コンクリート積載量と品質の関係につきまして調査検討を行っているところでございます。
  187. 経塚幸夫

    ○経塚委員 明らかでないということでございますが、素人判断から見ましても、洗濯機の中へ容量以上に物を詰め込んでしもうたら、これはうまいこと洗濯機が図らずに行き届いた洗濯ができぬということははっきりしておるわけですが、恐らく生コン車も同じことだろうと思うのですね。容量以上に詰め込んだら、ばあっと回転せぬわけですからうまく攪拌ができない、それが粗悪セメントの要因になるだろうということは容易に判断がつくわけであります。  そこで、警察庁お尋ねをしたいわけですが、この容量以上に過積みをするということについては、ある程度一定の幅はお認めになっておるわけですか。
  188. 八島幸彦

    八島政府委員 違反でありますものを認めるということはございません。
  189. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ことしの三月十一日に大阪地方裁判所第一民事部へ宇部グループ桜島生コンが準備書面を提出しているのです。この裁判所に提出をした準備書面の中にこういう文言があるわけであります。「一一トン車であれば、五m3で一一トン五〇〇キログラムとなり、四・五パーセントの過積みとなるが、地方自治体や都道府県においても交通渋滞回避の意味もあってこの程度のものは現在黙認されており、何らかの行政措置が取られたり或いは道路交通法違反として処罰された事実は一切ないのである。」こういう準備書面を提出しているのです。係争中の事件の内容は、労働債権の問題でこれとは関係ないわけでありますが、少なくとも裁判所で、その中で労働側から過積みの問題について指摘をしたところが、桜島生コンが今言ったような準備書面を提出しておるわけですね。だから、これだけを見ますと、交通渋滞の中で一定量上下は目こぼししてもらっているのだという意味なんですが、こういうことはないわけですね。
  190. 八島幸彦

    八島政府委員 先生指摘の裁判の事例につきましては、私、現在具体的に承知いたしておりませんので、その事件について意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的にいいまして、特に過積載に限らず、警察の取り締まり体制等も考慮して、悪質重大な違反を重点に取り締まっているという実態はあろうかと思います。
  191. 経塚幸夫

    ○経塚委員 こういうことが公然とまかり通りますと、先ほど申し上げましたように粗悪セメントの要因にもなりますし、何よりも働いている人あるいは交通安全上重大な問題でございます。  そこで、続いてお尋ねをしたいわけでありますが、もうこういう過積みが公然とまかり通っているのですね。これは警察庁も、運輸、通産などと連絡会議を持って取り締まっておるようでありますが、減らないばかりかふえる一方なんですね。そこで、関係者が自発的に摘発をしようということで摘発を始めて、私の手元へいわゆる過積みの証拠になる送り伝票がたくさん来ているのです。これはもう現場でその車をとめて、そして送り伝票を協力してくれということで提出をさせたつづりなんですけれども、ほとんど宇部セメントグループなんですよね、やっておりますのは。ここに伝票ございますけれども、これは大成建設あてに港生コン株式会社が公然と五立方メートル、いわゆるもう過積載を認めた送り伝票なんですね。最近は悪質になってきて、伝票上は規定どおりということにして、実態は過積載というようなことまでやっておるようであります。こういう実態についてどういう取り締まりの体制をとるのか。これは車、道路上を通行しておるものを調べただけでは運転手の責任になってしまう。したがって、大事なことは、何回も忠告をしておるにもかかわらず違反を重ねておる企業について、立入検査だとかあるいは指導をやるということを抜きにして私は解消できないと思うのですよ。  こういう企業は、聞いてみますと、過積みをやらぬことにはもう昼飯抜きだというようなことで労働者を脅迫するとか、あるいは賃金をカットするとかいうようなことまでやっておるようでありますので、そういう立ち入った対策を講じないことには一掃できないのじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  192. 八島幸彦

    八島政府委員 過積載違反につきましては、荷主あるいは運送業者が絡む構造的な違反である場合が多いのが実態でございますので、運転者の責任追及だけでなく、これを下今、容認した使用者、運行管理者等の背後責任もあわせて厳しく追及してきているところでございます。今後とも、警察といたしましては、その背後責任の追及の徹底を図りますとともに、事件を検挙いたしました場合は、所管行政庁による的確な行政措置が行われるような関係行政庁へ通報して、総合的にこの種の事案が防止されるよう努めてまいりたい、かように考えております。
  193. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ぜひ、ひとつ実効ある対策をとってほしいと思うのです。  次に、レッカーの移動についてお尋ねをいたしますが、「道路交通法改正案の解説」、警察庁交通交通企画課監修、これを見せていただきましたが、移動保管事務の活発化ということで、「レッカー移動することは違法駐車の状態を解消するために最も強力、かつ、効果的な方法である。」そして「都道府県の一般会計予算の枠にしばられているため大幅な増加は望み得ない」、「予算にしばられることのない公益法人にこの事務を委託し、レッカー移動を活発化し、真に効果の上がる違法駐車車両の排除体制を作ることが必要である。」こう説明されておるわけであります。     〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕  ここでちょっと疑問が起きますのは、今は思うようにレッカー移動できない、なぜかといえば、それは予算に縛られておる、今度の案でいけば予算に縛られずにレッカー移動ができる、こういうことになってくると、違法駐車をやりようによっては全部レッカー移動させることもできる、こうなるわけでありますが、そういうふうに解釈してよろしいのですか。
  194. 八島幸彦

    八島政府委員 違法駐車につきましては、現在の道交法では、とりあえず五十メーター以内に適当な移動場所があればそこに移動しなさい、五十メーター以内に適当な移動場所がなければそれ以外の場所に移動してよろしい、こういう規定になっているわけでございます。それから、駐車違反につきましては、後で反則金を徴する等のことによっては現実に生じている交通の障害が除去できない。交差点の中の駐車のような場合は、とにかく早急にその駐車を移動させなければいけないわけでございまして、こういう極めて迷惑性の高い、あるいは危険性の高い違反が、東京の場合で申しますと八千台ぐらいあるだろうと私どもは推定いたしております。しかし、現実に一日にレッカー移動しておりますのは六百台でありますから、一割にも満たない。そういう必要性がありながら移動できないでいる、そういうのが実態でございまして、その理由は、先ほど先生指摘のように、一つには現在の公安委員会の予算の制約があって、国だけではなくて都道府県も大変厳しい財政事情にありまして、必要なレッカー移動がなかなかできないというのが現実でございますので、そういうものを指定車両移動保管機関に行わせることによって、また収入等も直接指定車両移動保管機関に入るような仕組みにすることによってよりレッカー移動を活発化いたしたい。とは申しましても、違反はすべてレッカー移動をするというようなことではなくて、おのずから悪質、迷惑性の高い、先ほど申し上げましたような駐車車両中心にレッカー移動をしていくことになると考えております。
  195. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうすると、さしあたって東京では今八千台くらいが移動しなければならぬ、ところが現に六百台しか移動ができない、今度の改正案によれば八千台くらいいける、こういうことになるわけですね。  時間が参りましたので、もう一問だけお尋ねしておきますが、ステッカーです。これは例えば私が大阪から車に乗って東京へ来る、それで駐車違反してステッカーを張られる、ところが親の急病だとかなんとかで警察へ寄る暇がなくて大阪へ戻った、そうするとこれは張られた警察へ行かぬとはがしてもらえぬわけでありますが、これははがしてもらうのにまた大阪から東京へ来るんですか。救済措置は全然ないわけですか。はがしてもらうのはまた張られた警察へ行かないといかぬわけでしょう。その点はどうなりますか。
  196. 八島幸彦

    八島政府委員 違反車両に貼付いたします標章は運転者が見やすいような場所に貼付することといたしておりますので、原則としてそういうようなことは予定をしておりませんけれども、仮にそういう事案が生じました場合には、その離れた場所の最寄りの派出所なり警察署に連絡をしてもらいまして、その指示に従って、場合によってはかわりに措置をしていただくというようなことになろうかと思っております。
  197. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、法文上は張った警察へ出頭しなければならぬとなっているのですが、今の御答弁だと別の警察に出頭してそれをはがすということも可能なんですか。法文上はそうは受け取れぬわけでありますが、そこは何か特別措置を講ずるわけですか。
  198. 八島幸彦

    八島政府委員 レッカー移動したものにつきまして貼付した標章をはがすのは警察署長の名と責任において行うものでございますので、警察署長の名と責任において行うものであれば差し支えないというふうに解釈をいたしております。
  199. 経塚幸夫

    ○経塚委員 終わります。
  200. 福島譲二

    福島委員長 加藤万吉君。
  201. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣がお見えになれませんから、午前中の質問に引き続きまして関係ある事項を先に御質問させていただきます。  交通局長にまずお聞きしますが、先ほどから若干出ておりました初心運転者の講習実施、これは任意でやっておるわけですが、この中で原付、二輪、普通、それぞれやっておりますが、原付と二輪の割合はどのくらいでしょう。今手元に数字がなければ、大体どのくらいの割合で講習を受けていますか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  202. 八島幸彦

    八島政府委員 原付の安全技能講習につきましては、昭和六十年中の数字で申しますと九六・五%という状況でございまして、自動二輪車につきましては、現在手持ちの資料がございませんので後ほど御報告申し上げます。
  203. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ペーパードライバーの人がもう一遍講習を受けることもありますけれども、これは神奈川県の資料ですから、全国大体そのくらいじゃないだろうかと思われるのですが、原付と自動二輪で講習が大体五〇%です。私、この数字を見ましてびっくりしたのです。なぜ原付なり自動二輪がこれほど再講習を受けるんだろうか。やはり事故件数が極めて多いということと自動二輪が急速に使用されているということに原因がある、こう私は見たのです。恐らくこの見解は間違いがないと思うのですね。そして、その自動二輪が五十ccから四百ccまで十六歳以上だれでも取ることができる。しかも、それが販売をされている。そういう中で一体どこの層が一番自動二輪を使い、同時に事故が多いんだろうか等々精査してみますと、高校生とか、もちろん年代が若いわけですかも若者の層が非常に多いのですね。  そこで、午前中ちょっとお聞きしました、学校が免許を持たせないという教育があります。それから、公安委員会と連絡をとりまして、だれが持っているのか、そういう者に事故が起きないかという、いわばやや監視的なものを持った形で生徒を指導しようというのがあります。現実にはどこでも取れる、どこでも買えるという状況があれば若者は乗ってしまうと思うのですね。結果として、数字はきょうは申し上げませんけれども、高校生が大変な事故を起こして死亡事故が傘として高い。私はその層が取るものだ、そして乗るものだという前提でこれからは対処された方がいいと思うのです。免許証を持たせないという学校当局なり公安委員会の連絡をとってやるという指導方向よりも、むしろそれは取るものだという前提でこれから指導されることが必要ではないか。  そこで、これは一つの案ですけれども、例えば五十ccを持った者が百二十五cc取る、百二十五ccを乗り切れた者が今度四百ccを取る、そういうことを検討してみてはどうでしょうか。  さらに、何といっても経験と先ほどから言われております交通教育あるいはマナーの不足、この面は一種の熟練度の問題ではないですね。技術の問題ではないです。これは車社会と言われる世の中ですから、それなりに車に対する教育を極めて重視をしなければならぬ、そういう時期に来ていると思うのです。  私、ある教習所に参りましたら、原付の自転車というのですか、これに乗っている人は主婦の人が多いですね。そして、再講習を受ける場合が非常に多いのです。そこで子供さんを預かっておるのです。一種の保育室のようなものがありまして、これはどこの教習所でも最近はサービスしてやっているようです。そこに塗り絵が置いてあるのです。そして、その塗り絵を子供にかかせるのです。その塗り絵は全部交通安全に関する塗り絵です。これは鶴見の教習所でやっています。大臣、御参考までにここに持ってまいりましたが、これがその本です。子供たちが読んでくれる本です。これは自主販売、自主教育ですね、自主的に教習所が教えているのです。ここにあるのは塗り絵です。表にはきれいにこういう絵が書いてありまして、全部これは、交通安全の標識をよく見なさい、そしてあなたの交通はどこが間違っていますかという指示をしています。そして、その裏が全部塗り絵になっているのです。こういう式になっております。これを塗り絵をしながら交通安全の幼児教育をやっている。私は感心しました。これは初歩的な教育でしょう。しかし、こういうことが教習所で取り上げられていく。これは後で、自治省の方も、こういうことを一遍交通反則金からくる交付金などで善処するということも考えてもいいんじゃないかと私は思うのですけれども、そういう教育がだんだんと積み重なっていって、もちろん主婦は覚える、あるいは青年も、あるいは学生の諸君もそういう意味交通教育というものを覚えていく、そういうシステムをこの際検討されてもよろしいんじゃないでしょうか。  同時に、全体の事故のうちの二五%が原付ないしは自動二輪ですから、そうなりますと、私どもが決めました道交法、いわゆる三車線以上では歩行者と同じように右折しなさいというところは改正をすべきではないでしょうか。二車線においても歩行者と同じような角度で曲がる、対向車の間に挟まって自動二輪があるという、そこは今回の法律改正でも改正すべきではなかったか、私は実はこう思うのです。  時間がありませんから全体を通して申し上げましたけれども、教育について、そして次の法改正に対応する問題点について、交通局長の御見解を求めておきたいと思います。
  204. 八島幸彦

    八島政府委員 原付あるいは自動二輪車の免許の取り方につきまして、御指摘のように、最初は排気量の低いものから徐々に排気量の大きいものに移っていく、そういう取らせ方をするべきではないかという御指摘でございますが、まことにそのとおりでございまして、現在では試験場におきましてもあるいは指定自動車教習所におきましても、まず取るのは小型二輪から取りなさいという指導をしておりまして、この面の指導はかなり徹底をしてきております。  それから、自動二輪の現在の事故の実態を分析してみますと、まさに先生のおっしゃるように、運転テクニックの問題ではなくて、安全マインドが欠けているがゆえの事故、例えば単独事故、カーブでは当然スピードを落とすべきであるにもかかわらずスピードを落とさないで転倒する、あるいはガードレールに激突するといった形態の事故が非常に激増をいたしております。こういう実態にかんがみまして、先般自動二輪車の教習所におけるカリキュラムを改正いたしまして、学科教習を四時限、技能教習を一時限ふやすことにいたしました。この学科教習を四時限ふやしました中身は、法令の知識を教えるのではなくて、事故の怖さ、あるいは物理的な法則といいますか、例えばカーブではどのように遠心力が働いていくのかというようなことを知識として十分教育する、そういう内容の教習時限を延長したところでございます。  最後に、原付の二段階右折の問題でございますが、御指摘のように、できるだけ二段階右折で右折をするということが好ましいと私どもも思っております。ただ、二段階右折をいたします場合には、交差点の中で信号が変わるまで待っていなければならない、そういう問題がありまして、現実問題としては、片側二車線以下の道路では交差点の中に滞留をする場所がない場合が多いものですから、原則として三車線以上の場合に二段階右折をする。なお、片側二車線以下でも二段階右折をすることが差し支えないような道路については、標識でそのような表示をすることによって二段階右折をしてもらっているというのが現在の法律の建前でございます。
  205. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 午前中の高速道路における仮免の場合の実車の問題も含めまして、これは公安委員会の方でそういうものが走ったらむしろ高速道路が停滞してしまうんじゃないかという反対意見もあるようです。そういうことは私は承知をしております。しておりますが、先ほど言いましたように、道路のキロ数がこれだけ延びてまいりますと、その意見と一体実際の事故との関係ではどうだという議論が当然あるべきでありますから、今の原付の問題も含めましてぜひひとつ御検討いただきたい、こう思います。  大臣がお見えになりましたから大臣にお聞きをしますが、今度は反則金が上がりまして、例の交通安全対策特別交付金が、例えば六十年度と同じような検挙率にあったとしますとどのくらいふえるかといいますと、本当は大臣の見解を聞きたいのですが、時間がもったいないですから申し上げますが、反則金で三百億円ふえるのです。罰金から反則金に今度は回りますから、二十五キロから三十キロに上がりますから、結果百二十億、四百二十億ふえるのですよ。さて、四百二十億ふえますと、六十二年度の交通安全対策特別交付金は、六十年度は六百四十一億、それから六十一年度が六百九億、恐らく一千億超えますね。先ほどもある議員からこの指摘がありました。それだけお金が反則金でふえるんだから、したがって一般会計における国の支出分は六十二年度から減りますよ。  実は大臣は前の御質問はお聞きになっていなかったのですが、第三次交通整備計画は千九百億円あったのです。地方団体はお金がありませんから、それの裏づけをする裏負担ができませんでした。結果的に千三百五十億ですよ。警察庁考えておった道路整備計画の遂行ができなかったのです。交通安全特別交付金は目的財源ですけれどもふえますから、警察庁がおっしゃっているような仕事ができるのですよ。ところが、大蔵省から見ますと、今までは罰金に取っておったものが反則金で今度は百二十億もいくんだから、その分だけ何かでカットしろ、こういうことが六十二年度の予算の編成段階では必ず起きるに違いないと思っているんです。現に第四次総合計画では三百五十億カットする、こういう話が出ているのですよ、今までの分が。そんなことを考えてまいりますと、今度の反則金に見合ったものを地方財政の需要額として配置をしませんとその分をカットするということが出てきますよ、六十二年度予算には。需要額はそのままですと地方団体の負担は六十一年度と同じですということになります。反則金だけ浮いた分はどこへ行くか。一般財源の中で国から出すべきものをカットしますよということになりますよ。これは六十二年度予算編成では必ず起きる問題です。先ほど岡田先生指摘をされました。大体そういう方向になるでしょう。交通局長、大臣は聞いていませんからね。先ほどの岡田先生とのやりとりのところなんです。私も実は質問をしようと思ったのですが、岡田先生に先を越されましたから私はこれ以上質問しませんが、どうですか。
  206. 八島幸彦

    八島政府委員 先生御承知のように、交通反則金の収入はそのまま特別交付金という形で都道府県に配分になっておりますが、公安委員会の安全施設分として使用できる分はそのうちの約三〇%程度でございまして、それ以外の部分は都道府県あるいは市町村の安全施設の整備の財源になっているものでございます。したがいまして、特交金の額では地方単独事業の安全施設の整備が十分に行われるわけではございませんので、従来から都道府県の一般財源の予算を公安委員会の安全施設分としてかなり充てているのが実情でございます。  そういうことでございますので、今度反則金を上げたからといって、公安委員会がそのまま使用できるものでもございませんし、従来からも一般財源でそれなりの財源的な裏づけをやっているわけでございますので、今回、非反則から反則に移ったからといってその分を減らすというようなことには絶対にならないように、私どもも気をつけて予算折衝をやってまいりたいと考えております。
  207. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、まだおのみ込みができないかもしれませんけれども、よく聞いていてください。基準財政収入額がそれだけふえるわけだから、何らかの形で予算編成にきますよ。先ほどの第三次の整備計画警察庁が予定された計画よりも三百五十億実際上はできなかったのですから、それを充足する意味でも、この辺はぜひ頑張っていただきたいと思うのです。  次に、軽油引取税についてお聞きをしたいと思います。  これは御承知のように都道府県税であります。この金は、都道府県によって一般財源の中で繰り入れていますから、もちろん一般財源として交通安全関係にそれを使用する場合もあります。この軽油引取税のうちの一部が、今度はバス協会、トラック協会ないしは公営のバス事業にそれぞれお金が配分されています。これは、軽油引取税ができた経過が、値上げした分はそちらの目的的なものに使うことも含めまして国会で可決したものですから、それが使われています。  この使い先について自治省の事務次官通達がそれぞれ出ています。例えば、それはドライバーのいろいろな供用の問題に使いなさいとか休憩所に使いなさいとか、いろいろな目的が指示されているのです。今度はそれを受けた地方の、府県段階のトラック協会、バス協会がそのうちの三〇%を中央への出揃金という形でお金を出しています。これによって、長距離輸送のためのトラックサービスセンターその他をつくっているということになっているのです。事実また、全国十九カ所にその設備をつくっています。  さて、その金は中央に吸い上げられておりますから、トラックサービスセンターをつくる場合の管理監督は一体どこだろうか。一番根っこは軽油引取税から出て、都道府県が支出をしているわけです。それに対する事務次官通達が出ておりまして、使用目的はこういうことですよ、こうなっています。ところが、中央にいった場合には、例えばトラックサービスセンターをつくる場合には長い距離、私の聞いているところでは往復で大体六百キロぐらいで、今全国で十九カ所つくって、また六十一年度は八カ所つくるということですが、これは地方自治体がどういう関係で関与するのだろうか、どこに何をつくってほしいか、これが権限としてない、あるいは関与できない仕組みになっているのです。私のところなんかは高速道路がたくさんあるものですから、例えばその中間点に小規模な休憩所をつくってほしいという要望がありましても、その要望を都道府県知事が要請する場がない。使用目的は自治省の事務次官通達で出ているのです。運輸省、これはどういうことになっているのでしょうか。
  208. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、県レベルの地方のトラック協会が都道府県から交付金をいただきまして、そのうちの三〇%を中央の全日本トラック協会の方に中央出損金として集めてございます。その集めておる趣旨は、トラック事業というものは全国的な規模で広域的な活動をしておりますので全国的な観点から見た上で施設の整備等が必要であるということで、全国事業を行うという観点から中央出揃金という形でいただいているわけでございます。その事業の執行については運輸大臣の承認を得ることになっておりまして、その承認を、運輸大臣にいたします場合には、自治省に協議をさせていただき、その了解を得た上で承認するという仕組みになってございます。
  209. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財政課長にその前のことで聞こうと実は思ったのです。大臣は着いたばかりで御理解がちょっと難しいようですからこれは除きますが、今の問題、運輸省からそういう話がありましたけれども、自治省は御相談を受けられたことがありますか。
  210. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 ただいまの軽油引取税の交付金の関係につきましては、税務局の方で所管をいたしております。それで、毎年度、ただいま運輸省の方から御説明のとおり、事業計画の認可に当たっては合議がございまして、お互いに了解したところでトラック協会の方に承認するというシステムになっているわけでございます。
  211. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そういたしますと、トラックサービスセンターをつくるという事業団的なもの、事業主体があるわけですが、その事業主体に対する指導あるいは監督、五十九年度では都道府県のバス協会へ運輸事業振興交付金として出たお金が二十二億、トラック協会には百五十二億、公営のバス事業には三億、そのうちの三〇%が中央へ出揃金として、バス協会の六億六千万、トラック協会の四十五億七千万、それを使ってそれぞれのトラックステーションをつくるわけです。  自治省と運輸省とは、運輸省が決めた計画に対して自治省はそれは通知を受けています、こういうお話ですが、この場合、都道府県知事の各振興交付金として交付したものに対しての関与というのはどういう形になるのでしょうか。――ちょっと難しいですか。関与というのは、例えば高速道路の中間点にバスステーションをつくってほしい、静岡県知事が東名高速のこの辺につくってほしいといった場合、もちろん大きなエリアはありますが、そのほかに中間点に休憩所、休息所、仮眠所をつくってほしい、こういう要求というものはこの中に地方団体としての意見反映がどういう形でできるかということがわからないのです。何かあってしかるべきだと思うのです。これは後でトラック運送運転手の労働条件にかかわる問題でお聞きしますけれども、どうしてもそういうものが欲しいと言っているのです。――時間が経過しますから、これは財政課長、あなたに宿題で預けておきますから、どういう形で関与の仕方があるのか、もしも現在ないとするならばどういう形でこれから運輸省との間で――あなたの方で承認したというのですから、そういうものに対する自治体の関与のあり方をぜひ私にお答えをいただきたいと思うのです。  運輸省にちょっとお聞きしますが、この十九カ所のトラックサービスセンター、皆さんよく知っているのでしょうか、トラックの運転手さんは。たくさん利用しているのでしょうか。利用状況というものについて運輸省が調べたことがありましたらお聞かせください。
  212. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答えいたします。  現在十九カ所のトラックステーションが供用済みでございますけれども、利用規模を踏まえて設置させていただいておりますことと、それから運営面につきましては独立採算で運営可能かどうかということも、実は設置の際の基準にしております関係上、現在のところ予定どおりの利用状況にはなってございます。
  213. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 予定どおりの利用状況といったって、数字がなければ明らかにならぬじゃないですか。トラック関係の労働組合がありますが、それが調べたところでは知っているという人は九・六%です。十九カ所あって九・六%というのは随分少ないなと思いました。それからそういうのがあるのを知らないという人が三〇%です。知っているけれども利用しないという人が五四%です。知らないという人と知っているが利用しないという人を合わせますと八四%です。  高速道路におけるトラックの事故、これは午前中警察庁とやりとりしましたけれども、大変なんですね。一般道路における事故から起きる死亡と、高速道路で起きる死亡事故との比率を言いますと、大臣、三倍なんですよ。いかに高速道路事故発生、しかも重大な事故発生するかということがおわかりになると思うのですね。  さて、それではそういう事故というものは何で起きるのだろうか。過積の問題が一つあります。あるいは労働時間の問題があります。あるいは今日における過当競争の問題があります。過当競争がありますからどうしても運行距離を長距離をとるというような問題もあるようです。  幾つか重要な問題点はありますけれども、私はこの際、過積の問題と労働条件だけに絞ってみたいと思うのです。労働省、お見えになっておりますけれども、どうでしょう、トラック運転手の一年間の労働時間は今どのくらいでしょう。
  214. 菊地好司

    ○菊地説明員 御指摘の労働時間の件でございますが、全産業合計で見た場合に年間の総実労働時間が二千百十時間になっているのに対しまして、道路貨物運送業では二千五百六十八時間とかなり長い時間になってございます。
  215. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 二千五百時間ですよ。仮に平均のものを引いても一年間で約四百時間長いのです。  労働省、もう少し皆さんに御理解を得るためにお聞きしますが、この二千五百時間というのは一年間の休日あるいは一日の所定労働時間はどのくらいの時間になるのでしょうか。例えば休日はどのくらいとっているのだろうか、一日の所定労働時間はどのくらいの長さをとっているのだろうか。ちょっと資料があったら説明してください。
  216. 菊地好司

    ○菊地説明員 手元に詳細な資料を持ち合わせておりませんが、年間を通じて約四百五十時間労働時間が長いということになりますので、年間の総労働日数が何日であるかということとかかわりますけれども、一日平均二時間程度長いという感じになるかと思います。
  217. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 もちろん、これは休日、休暇も少ないですね。過労なんですよ。私は玉突きという事故を何回か調査といいましょうか、遭遇したことがあります。過労なんですね。  そこで、労働省にいま一遍お聞きしますが、こんな長時間ではだめだということで労働省で指導されておりますね。一応こういうことは、当面の目的と将来的にはこうしてほしいというものが出ていると思いますが、これを説明してください。
  218. 菊地好司

    ○菊地説明員 御指摘のとおり、労働省といたしましては、自動車運転手の特性に基づきまして労働基準法で定めます最低労働条件はもとよりですけれども、そのほかに拘束時間、一勤務から次の勤務の間の休息期間運転時間、休日労働の同数の制限、賃金制度のあり方などを盛り込んだ改善基準に基づきまして行政指導を進めております。  なかなかその違背率が減少しませんで苦労しているところでございますが、労働時間全体の取り組みとしては、向こう五年の間に年間二千時間という目標で全体的な指導を進めておるところでございます。
  219. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 全体の目標を二千時間にしよう、こういうわけですね。大体、今残業を込めまして一般の産業、二次産業だと思いますが、二千百時間前後ですね。それより百時間減らそう。しかし、現実にはこれだけの労働時間で働いていることもこれまた事実なんですね。  そうなりますと、事故発生を防ぐにはどうしてもサービスステーション、いわゆるトラックの運転者の休養、休息の場所が必要だと思うのです。  運輸省、私はなぜ必要かということを、実は労働時間だけに限定して今やりとりをやったのですが、どうでしょうか、この次につくられるトラックサービスステーションなどについては、今やりとりしたことを含めまして、もっとミニ的な、大規模なものではなくても休息、休憩時間を与える、そういう施設をつくる計画を一遍、どういう会議があるかわかりませんけれども、そこで論議ができませんでしょうか。
  220. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答えいたします。  先ほどお答え申し上げましたトラックステーションは、実は全国的な見地から設けます大規模なトラックステーションを考えてございました計画でございます。そのほかに、実は県レベルのトラック協会、ここの交付金を使いまして、先生おっしゃられましたような小さい形の、ミニトラックステーションと称しておりますが、そういうものの整備も実は進めておるところでございまして、現在全国十カ所で供用されております。  今後も計画がございますが、先生おっしゃられた趣旨の中で労働時間の問題、特に深刻でございます。その中でこういう施設が労働者、特に運転手さんの労働環境の整備という面で非常に大事なものだということを考えておりますので、そういう見地からさらにまた全ト協あるいは県ト協を指導していきたいと思います。
  221. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ちょっと、そこにそのままいてください。  そのミニステーションないしは中央のトラックステーション、そういうものをつくるときに、地方団体の御意見もひとつ聞いてもらう、同時に、中央の方ではあるようですけれども、労働者代表を入れてそういうものの計画に対して諮問をするとか意見を述べてくれとか、そういう機会は得られないでしょうか。
  222. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答えいたします。  全国団体の全日本トラック協会、ここで実は交付金の全国の三割分でございますけれども、この実施方法、中身につきましては、実は審議会を設けてございまして、そこの席には都道府県の代表の方にも入っていただいた形で御審議いただくという仕組みをつくってございます。  それともう一つ、全国団体の執行につきましては、先ほど申し上げましたように、運輸省が承認する際に自治省に協議申し上げてございますけれども、その際にどういう形で都道府県の方々の御意見を承るか、これにつきましては後ほど担当の部局と御相談させていただきたいと思います。  それからもう一つ、特に運転手さんを抱えます労働組合の御意見をということでございますけれども、我々この問題に限らずトラック運送全般につきまして、実は物流政策懇談会というものを設置してございます。この構成メンバーは、我々役所とトラック協会、それと労働組合、この三者構成による懇談会でございますが、こういう場で、実は交付金の問題につきましても小委員会をつくりまして、いろいろ御意見を伺う機会を設けてございます。
  223. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 中央で審議会があり、それに何らかの形で参加しているという話を私は聞いておりますが、地方の段階でもそういうミニの施設をつくる場合に、例えば都道府県段階でもそういう意見が諮問できるようなシステムをぜひ強化してほしい、こう思います。  先ほど過積の問題がたくさん出ました。一年間に検挙というのでしょうか、しているのは大体十万件と聞いておりますが、間違いございませんでしょうか。
  224. 八島幸彦

    八島政府委員 昭和六十年中の過積載違反の取り締まり件数は十万六千七百五十六件でございます。
  225. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 運輸省に聞きますが、この過積に対して運転者の責任を大分問われます。同時に、過積をした事業主の責任も問われていかなければならぬわけです。先ほどやりとりがありましたから私は詳しくは言いませんが、さて、運輸省が事業監査をして過積を摘発したものは何件ありますか。
  226. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答えいたします。  ちょっと数字が古くて恐縮でございますが、五十九年度におきます処分件数は千三百四件でございます。
  227. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 長官、せっかく警察が十万件ですよ。これは本当のところ言って大変だと思うのです。いわゆる重量のはかりの上に載せて、台ばかりが狂っていないか狂っているかとかという論争をやりながら、とにもかくにもやっているのが十万件ですよ。事業監査は千三百件ですよ。先ほどもちょっと御論議がありましたけれども、過積の責任が一体だれにあるのか。私は、最近、いろいろな過当競争等から見まして、その責任はどうも事業主に大変あるんじゃないか。したがって、事業監査をもっと強化するということが重要だと思うのです。まあ、いいや、多少警察も余分に大目に見てくれるところもあるだろう、と言ったら、ないというふうに交通局長答弁しました、そういうことも含めて。しかし、とにもかくにもおまえさんがたくさん運んでくれなければおれのところ成り立たないよ、事業監査をやっても大して処分受けないから、こういう意識があるのじゃないでしょうか。  しかも、トラックの交通事故、特にプロドライバーの交通事故による死亡事故、多いですね。物は大型ですし、ぶつかったら大体死亡だ。トレーラーで事故を起こした場合、九五%くらいの死亡率ですよ。大型特定自動車で六五%くらい死亡でしょう。  この前、渋谷で例のトレーラーが転覆しまして火災を起こしましたね、大きな事故。当委員会でも取り上げたんです。私は非常に残念だと思ったのは、あの事故の検事側の公訴が、最終的には運転手の責任ですね。これは、ここに資料を持っていますけれども、事業主の責任じゃないのですよ。私はここでも言ったのです。これは運転上のミスか、それとも、トレーラーの部分と運転席との、ジャックナイフとよく言うんですけれども、そういう技術的な問題じゃないか等々も含めて、運転手の責任よりもむしろ事業主の責任を問われるべきじゃないか。しかも、私は川崎臨港の地帯に行っていろいろ聞いた。加藤さん、こういうことはどうしても朝早く走らないとやれぬもんですから、こういう事故を起こしがちなんですよ。運転手のミスでいつも片づけられるけれども、たまったもんじゃないですよというのが現場の労働者の意見ですよ。  十万件検挙して千三百件しか監査がない、ここに問題があるのですよ。交通局長、この場合の事業主の刑罰はどのくらいですか。
  228. 八島幸彦

    八島政府委員 運転者と同じ刑罰だったと承知しております。
  229. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうじゃないでしょう。過積み監査――ごめんなさい、僕の質問が悪かったかもしれません。こういう意味です。業務監査をやりまして、改善命令を出しまして、改善命令に沿わなかったときの事業主の刑罰はどのくらいですか。
  230. 八島幸彦

    八島政府委員 運送法上の罰則でございますので、不勉強で承知いたしておりません。
  231. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 たしか三万円だと思いますよ。運輸省、そうですね。お答え要りませんけれども、大体三万円だと思うのですね。  長官、今度、反則金最高五万円ですよ。これは不合理と思いませんか。反則金の値上げは行ったけれども、事業主の改善命令に服さなかった場合の刑罰は三万円ですよ。これは、道路を走っている車の責任が常に運転者にあるというその発想からくるものですよ。  労働省にお聞きをしますけれども、労働者災害補償法が変わりました。あれは基準法で直したんでしょうか。あのときに、建設関係のジョイントベンチャーがありまして、事故を起こしたときにだれの責任か、現場の責任か現場監督の責任かといろいろありまして、これは現場監督の責任ではない、元請の会社の社長の責任だということで、ジョイントベンチャーするときに、わざわざだれが最高責任者になるべきかというのを決めたんです。そして、工場における災害が起きた場合には現場操作をやった者のミス、同時に監督責任、同時にそういう安全装置を行わなかった社長のミス、いわゆる事業主のミス、そこまで対象にすべきだということで法改正したことがあるのです。そしてその場合の事業主の責任は、たしか執行猶予まで入ったと思うのですよ。懲役刑というんですか、禁錮刑というのかわかりませんけれども。  実は、私はその事件に遭ったことがあるんです。そうしたら、この社長、私はそんなことで刑罰を受けるのは嫌だということでやめちゃったんですよ。やめちゃいましたら、ワンマン社長だったものですから、その会社がつぶれちゃうというので、いろいろお願いして、とにかく刑罰は少しやわらかくして罰金刑くらいにしてくださいなんという話をしたことがあるのです。それで実は記憶に残っているのですけれども、多少私の記憶が間違いなら、後で直します。  これに比べて、今言ったような過積みの問題を含めた事業主責任が余りにも小さい。小さい結果として、監査をしても何もあんなもの三万円を払えばいいんだ、これで終わっちゃうんじゃないでしょうか。私は、この法案を審議しているときに、皆さんがよくおっしゃいました、取り締まりのための取り締まりはしなさんな。あるいは反則金を上げることによって何か取り締まりが強化をされたというだけに一般の市民は思いますよ。問題は、反則金なり罰金が上がることと並行して、全体の今の社会におけるいわゆるそういう犯罪といっていいのでしょうかどうかわかりませんけれども、そういうものに対する罪刑の処分が片手落ちになっているのですよ。ここに怨嗟の言葉が出てくるのです。  どうでしょうか、交通局長、私は、この法案の罰則その他を読みまして、罰金とかあるいは反則金の内容を読みまして、このくらいの額がおっしゃるように、三十何年ですか、改正してから今日までですから妥当かなということを、実はそれによって事故の抑止ができるだろうかな、そういうふうに実は極めて好意的に理解していたんです。ならば、一方における過積みの問題もそういう処置をしなければだめですよ。そういうことがないから、警察は取り締まりのためにやったのじゃないか。あるいは先ほどの議員の質問じゃありませんけれども、反則金を上げて来年度は四百億財政収入額が多くなる、そのことをもって、そのためにわざわざ反則金を上げたのではないかという声が出ちゃうんですね。  どうでしょう。これは運輸省の方には、事業監査を強める方向、同時にこの事業監査による改善命令その他を含めてもう少し強力な処置を行うべきではないかということに対する御意見を聞きたいと思うのです。警察庁には、今言ったような経過を含めて長官の方に求めましょうか、御見解をいただきたい、こう思います。
  232. 山田英雄

    山田(英)政府委員 過積載の検挙あるいは予防対策についての御意見は、私もまことに傾聴に値すると思い伺っておりました。  警察努力といたしましては、御答弁申し上げておりますように、運転者を検挙するだけで足りるわけではないという認識を十分持っております。そういう違反を命令し、また容認した使用者の背後責任というのは刑事罰をもって担保されておりますから、その背後責任の追及というものは徹底するようにかねてから努力いたしておりまして、さらに自動車使用制限処分というような行政処分もございます。これの厳正な実施にも努めているわけでございます。しかし、結局、御指摘のように、自主規制といいますか業界自体が、使用者自体が過積載というものについて反省をして、それを改めることにならなければ根を絶つことはできないと思います、そういう意味では、まさに御指摘のように行政分野における努力、業界への指導というものが強力に行われなければならないと思います。私ども警察としても、取り締まりの結果を単に通報するということにとどまらず、今後とも関係行政当局へ強く要請してまいりたい、かように思っております。
  233. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  先ほど、五十九年度におきまして千三百四件の処分をしたと実は申し上げたわけでございますが、我々が監査いたしました事業者数は三千二百二十九でございます。それに対して千三百四の過積みが認められて処分をしたということでございます。  それから、我々の方の処分と申しますのはいわゆる刑罰ではございませんで、道路運送法に基づきます行政処分でございます。そういうことで我々の処分の内容といたしましては、一番多いのが車両使用停止というような形で事業体としての責任を追及する、そういう形のものでございます。我々の方も、先生指摘のように、この過積み問題というものは非常に構造的な問題で難しい問題だと思っておりますけれども、過積みそのものが健全な事業の育成という見地を離れて、さらにまた社会的な罪悪であるという見地から、実は取り締まりというか行政上の監査について力を入れているところでございまして、五十八年の処分件数が実は九百七でございました。それが五十九年度に至りまして千三百とふえているわけでございますけれども、これは我々の方の監査の方針といたしまして過積みを最重点として監査しておるということの結果でもございますし、今後ともそういう方針のもとで過積みについての徹底的な指導を行いたい、このように考えているところでございます。
  234. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 行政上の処分については、先ほど私が言いましたように、三万円だという話を聞いていますが、これは間違いないですか。今、車両制限の問題はもちろんありますよ。これをもっと強化される必要があるのじゃないか、行政上の処分としてもいかがでしょうか。
  235. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  我々の方は行政法規に行政処分をする権限を盛ってやらしていただいているわけでございますが、それとあわせた刑罰問題、これにつきましては、一般基礎法たる道路交通法、それに加えて実は道路運送法ということで事業者についてそういう規定があるわけでございます。その辺の軽重の問題につきましては、実は我々専門ではございませんで、法務省、そういうところとの御相談の上ででき上がってくる仕組みでございますので、そういったところと十分相談してみたいと思います。
  236. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、二つ大臣の見解を賜りたいのです。  一つは、午前中実は大臣お見えにならなかったから、警察庁長官質問のやりとりをしたのですけれども、それはこういうように小間切れ的に法律改正をする、今のいろいろな状況に応じてこれは短期的にどうしても解決せなければいかぬから、ひとつ駐車場をつくるための措置をしてほしい、あるいは罰金を強化してスピード違反その他をなくしてほしい、これはわかりますよ。しかし、全体の今の日本のモータリーゼーションなりあるいは車社会と言われる中では、もうもはや道交法の基本的な改正をすべき時期に来ておるのじゃないか、こう思っているのです。これは午前中に余り触れませんでしたが、特に公共交通の優先的な法配備というものがないと、これだけの中で働いている通勤者、労働者、サラリーマンを含めまして、公共交通の確保というものを法の中心に据えながら、同時に今起きているさまざまな問題、例えば先ほど午前中は高速道路が非常に延びている話をしまして、あるいは初心者の乗車が極めて困難ならば、教習所における初心者教育は高速道路に乗って実車の試験をやる、そういうこともやったらどうか。  例えば、大臣のすぐそばですけれども、秋田市の雄物川のそばにバス優先レーンをつくろう、そのために道路の拡幅を求めよう、こうしましたら、ちょっと待った。それはせき堤の問題もあるでしょう。バス優先レーンのために当該建設を許可するわけにいきませんというようなこと等も含めて、バス優先道路の建設計画がおくれている。  あるいはマンションが最近物すごいですね。マンションの場合に駐車がどうなっているんでしょうかね。私、ここに資料を持ってまいりましたけれども、マンションに入居する人の条件があるのですが、その入居条件には、当マンションには駐車場がございません、したがって自動車をお持ちの方は駐車ができないことを承知で入居してください、こうなっているのです。これはここに資料がありますからお見せしてもいいのですけれども。この場合には私は駐車場をちゃんとここに持っていますよという車庫証明を持っていかれる方がいますが、実際は路上駐車だ。いわゆるマンションというものがこれだけ起きてくる場合に、その面も含めて道交法の基本的な改正に着手すべきだ、こう思って午前中長官とやりとりしたのですが、ひとつ大臣の御見解を聞きたいと思うのです。  それから、今当面の処置としてもいろいろな法律改正が必要ですよ。そして、例えば自動二輪の問題に対する講習の問題、あるいはカーブのとり方の問題、今は行政処分で行われている運輸省関係の運送の問題、それに連なって道交法上の法律上のアンバランスの問題、これらも含めて、当面、この法案の成立と同時に検討しなければならぬ問題が含まれているのじゃないか、こう申し上げたのです。この二つの点に対する大臣の答弁をお聞きしたいと思うのです。
  237. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 今日、車社会、いわゆる国民免許、皆保有者というような状況の中にあるわけでございますが、このモータリゼーション国民経済の向上とともに急速に普及いたしまして、それを完全に受け入れる例えば駐車場その他を含めました都市の環境あるいは道路交通事情、そういうものが必ずしも十分に追いついていけなかったというような、ある意味で日本の産業発展のアンバランス、社会発展のアンバランスの問題等もあるであろうと思います。したがって、この問題を完全に解決していくためには、道交法の基本的な見直しといいますか発想の転換ということと同時に、例えば都市構造の改善あるいは人口の集積、産業の集積等々も含めまして、どのようにこれを直していったらいいのかというような面からも、これを整合性を持った形で道交法というものも見直していかなければならないのではないかというように考えるわけでございまして、私どもは、道交法を所管する者といたしまして、もちろんその見地からの先生指摘のような考え方に立った発想をもとにしまして今後も十分検討しなければならないと思いますが、各省庁や各般の政策にわたる問題も関連しながらこれは考えなくてはいけないのじゃないかというふうに思います。
  238. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 やや抽象的ですけれども、私はなるべく早く着手してほしいと思うのです。長官には僕は申し上げたのですが、警察庁というのはどうしても理場を持っていますから、ほかの省と違いまして、こういうものを検討機関を置いてしっかり研究してみようという時間的余裕というのがないような気がしてならないのです。例えばサミットがあればこれだけの布陣をしくわけですし、そのために長官は真っ先に立ってやっていらっしゃるのでしょうから、当委員会をやっていることすら今日の情勢から見ればなかなか厳しい、そういう身の回りの条件じゃないかと思うのです。そうしますと、これは、そういう対策をするための検討研究機関を設けるということは、公安委員会なり、大臣の口から言われませんと、現場は目先に出た事故の問題あるいは条件だけを整備するようになりますよ。ぜひ、ひとつ留意していただきたいと思います。今の御決意は聞きましたから、聞いた以上は、ひとつ実行してくださいよ。お願いします。  交通局長、ここに「警察官を泣かせる本」というのがあるのです。ごらんになったことがありますか。あるかないかでいいです。
  239. 八島幸彦

    八島政府委員 その本に関しては読んだことはございません。
  240. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 この中で、絶対違法駐車にならない方法というのがあるのです。私、ずっといろいろな点を読んでみました。今度の法律ができまして、違法駐車は全部取り締まれますか。
  241. 八島幸彦

    八島政府委員 体制、取り締まり能力の面からしても、全部取り締まるということはできないというふうに思っております。
  242. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうですね。正直でいいと思うのです。そのとおりですよ。  私はこれを読みまして、なかなか頭のいいやつがいるものだなと思いましたよ。例えば駐車場の計器がありますね。これが故障したとします。そこへ自動車を置いた場合にはこれは違法駐車でしょうか。いわゆる指定区域、パーキングメーターがあるところでパーキングメーターが壊れておった場合に、そこへ駐車したら違法駐車でしょうか。
  243. 八島幸彦

    八島政府委員 違法駐車にならないと解釈しております。
  244. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そのとおりですね。ですから、今度はみなし公務員が必要になってくるのですね。みなし公務員はパーキングメーターの故障まで含めて対処するのでしょう、ということがなければおかしいですね、今おっしゃったように違法駐車にならないわけですから。  一方通行がありまして、右折があります。その場合に、真っすぐ行きましてその交差点をバックで入って右側に駐車した場合には、違法駐車になりますか。ちょっと難しいですか、これも実はならないと書いてあるのです。そして、出口は、一方通行ですから前進しちゃったらだめなんですね、バックで出ていくのですよ。バックで出ていったら違法駐車にならない。警察官にそう言いなさいと書いてあるのです。  局長がおっしゃいましたように、違法駐車にならない方法というのはいろいろ考えるものです。この前には、張ったステッカーをはがしなさい、はがしても何も罪にはなりませんと。ですから今度は、罪になります、二万円の罰金になります、こうなったわけですね。そこは押さえたわけですよ。そういう駐車場を道路上に設定する以上は、私は一〇〇%とは言いませんけれども、そういう抜け道が少なくともないような措置は最大限してもらいたいと思うのです。これはこれからの行政通達あるいは指導の方向になるのでしょうけれども、そういうことをぜひ念頭に置いて、このパーキングメーター、同時に道路上の駐車場の設置の問題は検討していただきたいと思うのです。  私は、どうも道路駐車場になること自体がおかしいと思っているのですけれどもね。先ほど同僚の山下議員が話しましたように、本来は駐車場というものを設置すべきですよ。外国の例を申し上げるまでもありませんけれども、ターミナルには必ずそういうものがありますね。そして、なるべく都心への乗り入れをそこでとめる、あとは公共交通機関を全部使う。この方式が日本の場合でもとられていかなければいけません。そのために必要な道交法改正、大臣の言葉で言えば、さまざまな客観的な諸条件をそろえる必要があると私は思うのです。ぜひ、ひとつ考えていただきたいと思うのです。  先ほど、マンションの建設について、マンションに入居する条件として、駐車場はうちにはありませんよ、そのことを承知で入居してください、こういう広告あるいはそれを入居条件とする契約条件があるとするならば、これはひとつ建設省と相談をしていただいて、例えばマンションが、まあ五十戸のマンションということはありませんけれども、大型マンションだったら二百戸、三百戸。ならば、少なくとも三分の一はそのマンションで駐車場をちゃんと用意させる、このくらいの建築基準法の改正があってしかるべきだと私は思うのですね。こういう点を措置をした上で、なおはみ出している道路上の問題、それへ行きませんと、どうも取り締まりのためとか、道路は本来走るものにもかかわらず、という論議が出てきますよ。  念のためにお聞きしますけれども、公共交通が走る、バス、一番長いのは大体十一メーター五十センチあります。これが停車場に停車をします。そうすると、事故を起こさないためには、入って出てくるには大体二十五メーターから三十メーターくらい必要だと一般に言われています。まさかその地域にはパーキングメーターはないでしょうな。これはひとつ局長が答弁してください。
  245. 八島幸彦

    八島政府委員 そういうバスの停留所及びその前後十メーターにつきましては、本来駐車停車もできない場所に指定されておりますので、そういうところにパーキングメーターを設置していることはないというふうに思っております。
  246. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 絶対あってはいけないと思いますね。午前中お話をさせていただきましたが、例の名古屋市におけるああいうバスレーンの問題等も含めまして、そのバスが停車をすべき位置から少なくとも前後――まあ今の場合、中央分離帯の場合どうなるか、私はまだ構造的にわかりませんけれども、一般道路の場合、バス専用レーンはもちろんありませんが、優先レーンの場合もそういうことは絶対に排除していただく、こう、ぜひお願いをしておきたいと思うのです。  幾つか、私は当委員会審議を通しまして確認をしたいことがあります。まず第一に、今の問題点でありますが、時間制限の駐車区間の設定に当たっては、バス路線に対する配慮、これは原則としてバス運行路線上にはそういうものは配置をしない、時間制限駐車区間の設定についてはいかがでしょうか。
  247. 八島幸彦

    八島政府委員 全く設置しないというふうには申し上げられませんが、原則として設置しないというふうに考えております。
  248. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私は、先ほどからも論議しておりますように、公共交通というものを全体として最優先順位に置くようにしていただきたいと思うのです。道交法上の公共交通の設定が今何項目あるだろうかといってみましたら、バス優先レーンの問題も含めまして、条項としては極めて少ないですね。私は、本法第一条ぐらいに、道交法の目的の中に、公共交通の要件を確保するために他のものについてはというぐらいの配慮というものがぜひあってほしい、こう思います。  二つ目に、駐車違反の取り締まりでありますけれども、最高裁で駐車違反に対する、五分間停車に対して違反だという判決がおりましたね。これは争いになったのは、たまたま運転者電話をかけに行って、その間に捕まった、しかも乗車してなかった、これは道交法上からいくと確かにそのとおり書いてあるのですね。運用上大体五分間くらい、こういうようになっておるようです。いわゆる常に運転する状況のもとに車はとまっていなければならない、すなわち運転者は乗っていなければそこに駐車してはならない等がこの判決の理由になったわけです。ところが、同僚の山下議員が質問いたしましたように、今、車社会ですから、先ほどの引っ越しの場合に、さて五分間で済むだろうか。これはとても済みませんね。私は、そういう場合の何か営業用の標識を業者に与えてやるというのも一つの方法じゃないかと思っておるのです。しかし、これは乱用その他がありますから、警察庁としてはなかなかできない、こういう御意見でした。しかし、少なくとも営業用に限って言うならば、最近の高層ビルの中の集配、集めたり配ったりするという状況の中ではいかにも五分間ではという気がするのです。どうでしょう。営業用の集配の駐車などというものについては、事業用車両については取り締まり上特段の配慮が必要ではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  249. 八島幸彦

    八島政府委員 現在、先生指摘のように五分以内につきましては道交法の定義で駐車にならない、貨物の積みおろしの場合でございますが、こういうことになっております。この五分間をもっと延ばすかどうかにつきましては、実際の必要性から考えますと必ずしも貨物の積みおろしに限らない場合もございますので、一律的にこの五分間を延ばすことについては困難な面があろうかと思います。  また、先生指摘のように特定の業種あるいは目的を限って取り締まりをやらないということを一律的に申し上げることはできないのでありますが、要は取り締まりのための取り締まりにならないように、適正妥当な取り締まりにこれからも努めてまいりたい、かように考えております。
  250. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ビルの中などに入っていますと、率直に言ってお客さんと話をしておったら五分とか八分とかいう時間帯がなかなかわからないですね。ですから、今もうやっておられるようですけれどもマイク等によってこの車は駐車違反ですよと、いわゆる事前のそういう警告をぜひしてもらいたい。その上に立って、なお営業車についてはそういう指導上の配慮をしていただくことが必要だろうと思うのです。どうでしょう、このことは実行できるでしょうか。
  251. 八島幸彦

    八島政府委員 今後とも駐車違反の取り締まりにつきましては、適正妥当な取り締まりを行ってまいりたいと思います。
  252. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 質問時間が参りましたので、最後に二点だけ局長に御見解をお聞きしておきたいと思うのです。  私は、君、ステッカーを張ったのは取っても罰にならないよと言いましたら、何だ、おれは損しちゃったというのが大分いましたよ。罰になるものだと思っておったのです。逆に罰にならないものだと思っている人もおりました。今度これを施行しますと、営業関係をやっている人は大分認識を、それぞれの会社を通して今度はこうなる、二万円の罰金を取られるぞということは言われると思うわけです。しかし、自家用車その他はまだ認識が相当浅いのじゃないでしょうか。そういうことを考えてみますと、施行前に相当の周知期間というものが必要ではないかと私は思うのです。したがって、周知徹底するための措置についてどういうお考えでしょうか。  それから、きょうの議論でずっとありました速度制限についても、連合審査ではうちの沢田議員から、こんな閑散としたところで四十キロということはないじゃないか、あるいは深夜を走るときには仮に五十キロと書いてあっても若干のオーバーがあってもそういうものは指導上取り締まるというよりもむしろ注意をすべき事項じゃないかという意見がございました。そういう深夜の道路あるいは極めて閑散とした道路でも、先へ行けば混雑するからここは四十キロという制限があるかもしれません。そういう場合の取り締まりについては、そういう配慮も当然取り締まりの中に加えて行うということについてはどうでしょうか。
  253. 八島幸彦

    八島政府委員 周知の徹底の問題でございますが、標章をはがすことは今後罰則が適用になるということも含めまして、施行が明年の四月一日になっておりますので若干時間的な余裕もございますので、十分周知徹底を図ってまいりたい、かように考えております。  それから、深夜等の速度規制の問題でございますが、速度規制を行いますのは主として安全上の見地から行っている場合が多いのでございます。特に、大都市におきましては地域住民の騒音に対する苦情、そういうものも配慮して規制を行っているところもございまして、むしろそういう安眠ができないとかいう苦情は深夜に集中するわけでございます。そういうこともありまして、速度規制そのものはそういうところではなかなか緩和できないという場所もございますが、結局この速度違反の問題につきましても、最後は常識的といいますか、要するに取り締まりのための取り締まりにならないように配慮して行うということにいたしたいと思います。
  254. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、連合審査から私ども同僚と二人で三時間近く討論さしていただきました。私、きょう一日じゅうずっと聞いておりまして、各議員の先生方も本当にいろいろな角度から道交法の見直しが必要だということを言われている気がいたしました。私も何点か申し上げました。ぜひ、そういう観点に立って、今回の法の中には盛り込まれない部門も含めて、あるいは全体的なこれからのモータリゼーションという、車社会という問題も含めて一層の御検討と、この次に出てくるときは少なくともまた肉の細切れかと、きょうの質問じゃありませんけれども、行ったり来たりということがないように最大の御検討をいただきますことをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  255. 福島譲二

    福島委員長 岡田正勝君。
  256. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 国家公安委員長、先ほどお留守の間に警察庁長官はいいことを言ったんですよ。法改正に当たっては国民の共感を受けるものにすべきである、また、妥当な納得のいく内容にしなければならないと考えておりますと。いいことを言いますね。そして、現地の取り締まりに当たりましては、これまた名言ですよ、切符を切るなら説教するな、説教するなら切符を切るな、こういう指導をいたしております、まことにいいことを言われたと思いますが、委員長はどう思われますか。
  257. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 まことにいいことだと思います。私が答弁するより長官答弁した方がいいんじゃないかと思います。
  258. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、暴走族の取り締まりについてちょっとお尋ねをいたしますが、前回の道交法改正によりまして騒音運転等についての取り締まりができるようになりましたが、その検挙の状況はどうでありますか。また、共同危険行為の検挙件数はいかがでございますか。
  259. 八島幸彦

    八島政府委員 前回の道交法改正でお認めいただきました騒音運転の罰則規定でございますが、昨年九月以降本年三月までの検挙件数は二千二百五十六件となっております。例年これからの時期が暴走族が活発化する時期でございますので、今後この改正規定を積極的に運用してまいりたい、かように考えております。また、共同危険行為の検挙状況につきましては、昭和六十年中で件数で二百件、人員で五千三百二十八人検挙いたしております。これは対前年比それぞれ件数で五%、人で四%ほど増加しておる状況でございます。
  260. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これはちょっと予定外でございますが、この暴走族の諸君がよく使っておる改造車というのがありますね。名前はどういうのか私よくわかりませんが、ああいう改造車が平然として出てくるということに一般の市民は大変な怒りを持っているんですよ。これの取り締まりは一体どうなっておりますか。
  261. 八島幸彦

    八島政府委員 道路運送車両法上の保安基準に合致しない整備不良車両のうち危険性のあるもの及び著しく迷惑なものにつきましては、道交法整備不良車両運転規定で取り締まることができるようになっております。そういうものに該当しないものにつきましては運輸省の方で整備通告等を出しまして、それを守らなかった場合に初めて罰則が働くようになっております。
  262. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今後暴走族をなくすためにはどのような施策をとっていかれますか。
  263. 八島幸彦

    八島政府委員 暴走族の八〇%は少年でございます。したがいまして、暴走族問題は少年問題でもございますし、ひいては社会問題でもある、そういうとらえ方を私どもはしておりまして、したがいまして、今後暴走族対策を進めるに当たりましては、地域ぐるみ、家庭ぐるみ暴走族を追放する、そういう機運を盛り上げることがぜひ必要である、そういうふうに考えておりますので、今後とも警察の取り締まりを徹底することはもちろんでございますけれども、あわせて国民が力を合わせてその追放に努力していくように警察としても働きかけてまいりたい、かように考えております。
  264. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これも予定外でございますが、よく道路を走っておりますと、単車の走行ぶりが目に余る走行をする人が随分おりますね。車の間をちょろちょろ縫って、乗っておる我々でも危ないことをするなあと思うのでありますが、あれをすることによって快感を得ておるかもわかりませんが、一般市民の中には、ああいうことをさせぬように単車は左を通るなら左を通るように規制ができぬものなんだろうか、こういう素朴な意見がありますが、これはいかがですか。
  265. 八島幸彦

    八島政府委員 一般的に車はキープレフトという原則がありまして、できるだけ一番左の車線を走るという原則がございます。また、単車等は御指摘のようにジグザグ的な通行をやるわけでございますが、それは一般的に申しますと安全運転義務に違反するという場合が多いであろうというふうに考えております。ただ、取り締まりといいましても、警察官が現認すれば取り締まりができるわけでございますけれども警察官が見ていないようなところではなかなかそういう違反もやらないものですから、私どもは基本的には二輪車の安全運転につきましては、できれば二輪車専用レーンとかそういうレーンを設けることによって二輪車と四輪車の通行を分離するということが最も好ましい形態であるというふうに考えております。
  266. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これから申し上げることは国民の声なき声でございますので、声なき声を発する一般の国民というのは警察の人に直接今から私が言うようなことを言うのはおっかないという感情を持っておりまして、しかし私には言いやすい、こういう立場でありますので、私ども政治家の立場というものは国民の声を代弁するという役目がありますので、気分を壊さぬように聞いてください。それで素直にお答えをいただきたいと思うのであります。  そこで、まず第一にお尋ねをいたしますが、今回の法改正というのは、車洪水の社会の中で国民の生活と安全を守るためという大目的のために行うものであって、その中身というのは取り締まりに重点というよりは指導に徹するということが法の精神ではないかと私は思うのでありますが、いかがでございますか。
  267. 八島幸彦

    八島政府委員 私どももできることならば指導だけにとどめたいわけでありますが、逆に指導だけにとどめますとまた法律を守らないという人も出てまいりますので、しばしば申し上げておりますように、やはり検挙をいたします場合も取り締まりのための取り締まりにならないように適正、妥当な運用を図ってまいりたい、かように考えております。
  268. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、法の精神というものは、反則金や罰金を取ることが目的ではないというふうに言い切れますか。
  269. 八島幸彦

    八島政府委員 反則金の限度額及び罰金を引き上げることにしましたのは、先生の御質問趣旨とは違うかもしれませんけれども、それを取ることによって罰的な機能を回復しようという意味もございますので、その意味では取ることが目的であるということにもなろうかと思いますが、要は交通の安全のために引き上げる、こういうものでございます。
  270. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 さて、そこで反則金や罰金は法を守らぬ人があるからそういう場合にはいたし方がない、取り締まらざるを得ない、こういう二義的な考えではありますが、しかし国民の安全を守るためにやっているのだ、こういうことでよくわかりました。  さて、先ほどの質問と関連をするのでありますが、国の予算を減らされた、減らされた分だけが反則金で増収になる、この仕組み、これは決してそうではありません、予算を組んだのは去年の暮れでありまして、この法律は今出しておるのでありまして、決してそんなことは考えておりませんということでありますが、思想的に反則金で安全施設をつくっていくのだという考え方は、これはどうも余り感心しないのですよ。いかがなものかなと私は思っているのでありますが、いかがですか。
  271. 八島幸彦

    八島政府委員 先生御承知のように、現在反則金につきましては、一度国庫に入りまして、そのまま同じ額が都道府県に交通安全施設等の整備のために配分されておりますが、これはすべて公安委員会の安全施設分に使われているわけではございませんで、むしろ三〇%程度しか公安委員会の安全施設に使われていないわけでございます。そういうことで、そういうふうにいたしましたのはこの反則制度を制定いたしました段階で、安全施設を整備するために取り締まりを強化するというようなことにならないようにするという配慮もあったわけでございまして、そういうことを御理解いただきたいと思います。
  272. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 善良な国民はみんな法律を守ろうと努力しているのですよ。いろいろ取り締まりがありますが、今から取り締まるよということを事前に通告をしておいて、言葉は悪いのですが――これからだんだん言葉が悪くなりますよ、隠れたりしないで堂々とやったらどうなのですか、こういう声がありますが、いかがですか。
  273. 八島幸彦

    八島政府委員 隠れて取り締まるというようなことを意識的に行っていることはないと思います。結果的に、例えばそういうメーター等が設置している場所が一定の広場等が必要でございますので、道路から少し離れたところにそういうメーターと測定器とを備えつけているということはあると思いますが、いずれにしましても、先ほど長官答弁申し上げましたように、やはり国民意識と遊離しないように、今後取り締まり面でも十分気をつけてまいりたい、かように考えております。
  274. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 もう一遍、さっきの質問に返るようでありますが、反則金ゼロを目指して指導をしていくというのが本当じゃないのでしょうか。
  275. 八島幸彦

    八島政府委員 それが理想ではございますけれども、理想はそうであっても現実はなかなかそうならないことがございますので、取り締まりもある程度はやらなければいけない、こういうふうに考えております。
  276. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、これは言った、言わぬということになるかもしれませんが、声なき声が伝えてきたところによりますと、納税者である善良な国民をつかまえて――このネズミ取りですよ。隠れておる分ですよ。通行人がそれを、ははあ、こんなものでやっておるんかいと立ちどまって見ておると、来た来た、カモが来たと言われるそうであります。まさにネズミ取りを仕掛け、わなをかけるというこの姿勢は、一体何事ですか、これは。国民の批判がこれに一番大きいのですよ。ネズミ取りに対して一番批判が大きいのです。いかがでございますか。来た来た、カモが来たというのは。
  277. 八島幸彦

    八島政府委員 私どもは、速度の取り締まりにつきまして内部でネズミ取りという言葉を使ったことはございません。運転者をネズミ扱いするような表現は努めて慎むよう指示をいたしておりますが、気持ちの上でそういうような取り締まりをやることのないように従来から十分指導をしているつもりでございますが、御指摘のような事実があるとすれば、今後そういうことのないように指導徹底を図ってまいりたいと思います。
  278. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私が道交法の今回の審査をするに当たって一番気になっておるのは、ここなんです。それで、とにかくいかがですか、隠れて取り締まるなんというのは。あれは国民から見たら確かに隠れていますよ。ひょこっと出てくるんですからね。これはまさに通りよるネズミが大きな猫が出てきてびっくりたまげるような、よう事故が起きぬものだと思うくらい国民はたまげているんですよ。あんなこそくなことは今後一切やめる、こういうことが言えませんか。これは長官かな。
  279. 山田英雄

    山田(英)政府委員 およそ違反というのはよくないという前提に立っていただきたいと思うのです。警察官がいるから違反をしない、いないからする、こういう状況違法駐車の蔓延状態を招いている一因でもありますし、いろいろ交通違反が絶えない、それで人身事故も減らないということにつながっているわけでございますので、私ども指摘の公開取り締まりといいますか、ただいまこの路線で取り締まっております、あるいはあす何時から何時まで取り締まりますという方法ももちろん使っております。しかし、そういうことを知うせないで違反があった場合に取り締まるというのも当然やらなければならないと思います。ただ、先ほど交通局長からお答えしておりますように、方法その他は反感を持って迎えられないように十分に注意いたしたいと思います。
  280. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 やりかけたことはなかなかやめられぬということだと思うのですがね。当局にも意地がありますからね。しかし、このことだけは知っておいてください。とにかく国民から今警察が何をもって批判されるかといったら、ネズミ取りです。恐らく、警察に対して余り協力する意思を持っていないなあというような連中をつかまえてごらんなさい、ほとんど一〇〇%ネズミ取りの恨みを持っています。だから、余りよくないことだと思うのですよ。だからできれば、私の希望といたしましては、こういうネズミ取り的な、隠れておっていきなり飛んで出て、ちょい待ちというようなことだけはおやめになった方がいいというふうに希望を特に強くしておきます。  それから、これはちょっと話が変わりますが、ネズミ取りに使っておるのは、あれは何か電波の高級な機械ですね。そうじゃありませんか。あれは何というのですか。
  281. 八島幸彦

    八島政府委員 定置式の光電管を利用した測定器でございます。
  282. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 さて、その定置式の光電管の機械の誤差は幾らでございますか。
  283. 八島幸彦

    八島政府委員 現在使っております速度測定器の誤差は、考えられるのはコンマ以下でございますが、それでも事実上下回っているにもかかわらず規制速度を上回ることのないように、ある程度のアローアンスをつけるようにいたしております。
  284. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは電波法の免許はお持ちにならぬでも使えるのでございますか。
  285. 八島幸彦

    八島政府委員 電波法の免許は必要ないと承知いたしております。
  286. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これも声なき声でございますが、駐車違反の取り締まりをなさることも結構でありますが、一日見てこれはヤーさん、暴力団の車だな、これは偉い人の車だなと思われるような高級車に対しては遠慮しているという声がありますが、事実ですか。
  287. 八島幸彦

    八島政府委員 そういうことはございません。ただ、けさほど来申し上げておりますように、現実に運転者がいない場合に取り締まりがなかなか難しいという実態はあろうかと思います。  それから、先ほどちょっと申し上げましたことを訂正させていただきますが、レーダー免許については電波法の免許が必要であるということのようでございますので、おわびして訂正させていただきます。
  288. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それを取っておきに残しておこうと思ったのですが、先に訂正されましたね。  そこで、これはもう質疑時間が終了しましたのでこれ以上申し上げないことにいたしますが、例えば今のスピード違反取り締まりの定置式光電管の操作におきましても、電波法の免許を持った人が全部おるとは限っていませんね。これがもしアメリカであったらどうなりますか。アメリカ人というのは割と開放的ですから、あなた免許証を持っていますか、見せてくださいと言われて持ってなかったら、逆に告訴されますよ。それは大丈夫ですか。あれ四人一組でずっとみんな控えておりますが、あれも全部免許持っておるとはっきり言えますか。
  289. 八島幸彦

    八島政府委員 レーダースピードメーターにつきましては、必ず免許を持っておる者が一人はいることになっております。
  290. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 なっておるそうですから、私も素直にそう理解いたしましょう。  最後に、国家公安委員長並びに警察庁長官に一つだけ申し上げて終わりたいと思いますが、実はこの声なき声の中にこういうものもあるのです。実はたくさん車がとまっておるから、全然知らない町であったので車がとまっているからそこへとめてもいいんだと思って、とめた。それを例えば午後二時であったとします。そこで、その店で品物を買って出てきた。所要時間十分間。ところがその間に、いわゆる五分間ですね、五分間を過ぎたからといってぱんと駐車違反の札を張られたのです。それでよく注意して見ておったら、ここは駐車違反だからだめなんですよということを注意しないで、さっき言うた、来た来た、カモが来たぞというのと一緒で、やったやった、あと何分というのでぱっとやる、こういうことをやっているのではないかとさえ疑いたくなるほどタイミングがよ過ぎるという声も実はあるのです。  ですから、国民の生命と財産を守り、安全を守るために一生懸命努力をしていただいておることはよくわかるのでありますが、先ほど警察庁長官が言われましたように、国民の共感を得るものにしたい、妥当な納得のいくものにしたい、切符を切るんなら説教なんかするな、説教するくらいなら切符を切るな、少なくともこの長官の精神で、国民が、ああ、いきましたか、と言って笑って頭をさするくらいのもっと和やかな取り締まりになるように、開かれた警察になることを期待をいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  291. 福島譲二

    福島委員長 経塚幸夫君。
  292. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最初に、大臣にお尋ねをいたしますが、今の質疑答弁の中でも、取り締まりのための取り締まりにならないように、こういうことがいろいろ論議になっておりますが、私は先ほども引用させていただきましたが、この「道路交通法改正案の解説」、警察庁交通交通企画課、これを読ましていただきましたが、今度の重要な三つの改正についてこう言っているのですね。「路外駐車場に駐車余力がありながら、その駐車料金を惜しんで、路上に違法駐車をする例が増えており、取締りを受ける確率の低さと反則金の額の低さが相乗的に作用して違法駐車に拍車をかけている」、だからこれを引き上げるということですね。それから二つ目には、「ワイパーに出頭通知の用紙を挟んでもこれを破って駐車違反を繰り返す」、これをできないようにする。それから三つ目には、「レッカーによる移動も現行法上可能であるが、移動すべき対象が余りに多く、予算、体制等の制約下で実効ある十分な措置がなされていない。」これを改める、こういうことなんですね。  そうしますと、今度の発想が取り締まりのための取り締まりにならないようにとおっしゃいますけれども、これを読む限りにおいては、発想がやはり取り締まりのための取り締まりを目的にして今回の改正が提案をされておる、こう受け取らざるを得ないのでありますが、その点が一点。それからもう一つは、こういう取り締まりの強化のみによってこれだけの違法駐車問題が解消の方向に向かうと大臣お考えですか。その二点、いかがですか。
  293. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 先ほどの岡田先生の御質疑をずっと聞きまして、また先生の御質問をいただいたわけですが、法律は取り締まりのための取り締まりになってはならない、それは当然のことで、実は私、先ほど来のお話を聞いていて小学校のころ読んだ漫画を思い出したのです。あるところの殿様が領内の代官さんを全部集めまして、その代宵の領内の一年の施策を尋ねた。それがたまたま犯罪の問題に及びまして、各代官は、私は十人泥棒を捕らえた、私は二十人捕らえたと言って報告した。ある人が私は一人も泥棒を捕まえませんということで、殿様が大変怒って、おまえはサボっておるのではないかということで詰問いたしましたならば、いいえ、私の村には一人の泥棒もおりませんでした、そう答えたというのを思い出したのでありますけれども、まさに警察のそして政治の要請はそこにあるのだと思います。したがいまして、そういうような考え方のもとに、そうしてまた今後ともその精神をもって対処してまいりたいと思います。(発言する者あり)
  294. 経塚幸夫

    ○経塚委員 なかなか大臣の答弁がさえてきたという評価が右の方から聞こえてまいりましたけれども、それはまさに理想でありまして、それでは、今回の改正の精神が大臣の今お答えになったような精神で臨まれておるということであるとするならば、もっとほかに打つべき手があったと私は思うのですよ。  続いてお尋ねいたしますが、大臣はこれをごらんになりましたか、大阪の道路交通考える会、ことしの三月十三日に出されたもの。――ごらんになっておられない。六十一年一月十六日、都心部駐車対策推進本部、これも大阪でございますが、意識調査、これはごらんになりましたか。これはごらんになっておりませんか。――それでは、大臣は長官に聞け、こう名指してございますから、私は長官に聞く意思はございませんでしたが、大臣の名指してございますので、長官いかがですか、二つの文書、ごらんになりましたか。
  295. 山田英雄

    山田(英)政府委員 その意識調査、見たことございません。
  296. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ごらんになっておられないということであればこれに触れざるを得ないわけでございますが、これは一つは大阪府警本部が中心になって調査をされたもの、もう一つは大阪府警本部が要請をしてそして大学の先生委員長になってつくられたいわゆる交通、特に駐車問題解決の提案でございます。  時間の関係もございますので詳しく触れるわけにはまいりませんけれども、ここで触れておりますのは、例えば大阪の都心部の例でありますが、駐車需要が一日六十八万台、収容可能が八万三千。パーキングメーターを仮に三倍にするとしましても三千ちょっとということになるわけでありますが、この結果によりますと、駐車需要の一五%なんですね。それから、この府警本部が一斉に行いました世論調査の結果では、仕事で車を利用する人を中心にお調べになった。路上駐車を四五%がやっている。理由駐車場が足りない。それから事業所の場合は、来客用の駐車設備が四台以下があるいは全くないというのが六五・六%なんですね、事業所の調査の中から。小売店の場合は一台以下しかないというのが五一・四%なんですね。  それで最後に、この対策として何を望みますか、こういう問いに対しまして、自治体への要望、これは大規模な低料金駐車場をつくってもらいたい、事業所の場合これが八四・七%なんですね。実態はこういう状況なんですね。  それですから、パーキングメーターを仮に三倍にふやしたとしましても、先ほど申し上げましたように、二割にも収容能力が達しないわけなんですよ。そうすると、取り締まりのための取り締まりにならないようにと思いましても、この三つの改正の重点からいけば、これは結局取り締まりを目的にした取り締まりをやらざるを得ないようになると思いますし、また、そうやったところでこれはもう大幅な解消にはならないという答えが出てくると思うのですが、その点はいかがですか。
  297. 八島幸彦

    八島政府委員 今回の改正をお願いしましたのは、現在の違法駐車の実態が交通円滑化を害し、あるいは路線バスの路線にはびこって著しくバスの運行を阻害する、あるいは最近は駐車車両に衝突して死んでしまう事故がこの五年間に八割ふえているというようなことで、交通円滑化あるいは安全上の観点から現在の違法駐車を何とかして減らすことができないかということが一つございます。  しかし、一方において御指摘のように、どうしても駐車をしなければいけないけれども付近に路外駐車場等がないという駐車需要にもそれ相応にこたえていかなければいけないということで、短時間、時間を限って駐車するスペースを拡大するという措置をあわせてとらしていただこうと思っているわけでございます。それともう一つは、現在ございます路外駐車場につきましても必ずしも十分に利用されてないという実態もございますので、そういう余裕のある路外駐車場の駐車スペースも含めまして、現在のパーキングメーターの基数の約三倍程度にふやすことによって何とか、どうしてもやむを得ないような駐車需要をカバーしてまいりたい。必ずしも十分ではないかもしれませんけれども、一応、道路交通円滑化等を害するという実態との兼ね合いにおいてできるだけの用地を確保したい、こういうことでございます。
  298. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私がお尋ねしておりますのは、少々取り締まりを厳しくしても、こんな状況ではこれは解決つきませんよ。先ほどの御答弁で局長は、東京の例を挙げればまあ六百台レッカーで移動している、これを今度は公益法人に委託するということになれば予算の枠にとらわれずに、悪い言葉で言えば何ぼでも引っ張っていけるわけですからね。だから、こういうことがどんどんふえていくという結果になりかねぬ。私どもはそれを憂えておるわけでありますが、根本的に今の駐車場不足対策をどうするかということを真剣に論議も深め、これの解決策を出さないことにはこれは決着つきませんよ。  これも同じく府警本部の調査の結果でありますけれども、取り締まりについてどう考えるかということでありますが、厳し過ぎる、今のままでよいと答えたのが小売店で五四・四%です。一般ドライバーで四三・五%ですね。それから、それなら今後の対策をどうしたらいいかという問いに対しまして、取り締まりを強化せよというのが一三・一%なんですよ。府警本部はかなり広範な調査をやっているのですよ、一般ドライバー、それから事業所ですね。事業所の場合もいわゆる工場、企業、それから小売店。これは違反者も調査をやっているわけですが、違反者の方は取り締まりに対してどう考えているかということは例としては省いておきましょう、これは取り締まられた当の本人でありますから。これを除きましても取り締まりを強化すべきだというのは一三・一%なんですよ。それで駐車場をふやすべきだというのが六六・九%なんです。七割近いわけなんですよ。これはこういう一般の世論にどう対応していくかということを今問われている問題だと私は思うのです。それで世論調査の結果、この資料についてお読みになりましたか、こういうことをお尋ねしたわけであります。  そこで、ここで大きな三つの提案が行われております。この点について長官と大臣の所見をお伺いしておきたいと思うのであります。  都市構造の抜本的な改善を含めた対策が必要だということを前段に書きまして、一つは駐車施設の利用促進。これはなぜ駐車場が利用されないかということの最大の原因として、どこに駐車場があるのかさっぱりわからない、料金が高い云々ということもありますけれども、表示されておらないというのが最大の原因として回答の中で挙げられております。  それから二つ目には、駐車施設の整備促進でありますけれども、この整備の中身は公共駐車場の建設問題、これが非常に多いわけですね。  それから三つ目の問題としては、今の駐車規制の見直しをやるべきじゃないか、こういう一般的な通り一遍の駐車規制ではなしに、どこをどういうふうに重点的にやるかなどの見直しをやるべきだ。そういう三つの提案が行われております。そして最初に申し上げましたけれども、都市構造の抜本改造、これはいわゆる交差点の立体交差の問題だとかあるいは物流施設の見直し、こういうものが提起をされておるわけでありますが、その点につきまして長官と大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  299. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 ただいま先生の御指摘ありました具体的な三点につきまして、その点は警察におきましても従来とも真剣に考えてきた問題であろうと思いますが、そういう問題点のあることは事実として存在するわけでございます。したがいまして、今後ともさらに改善する策を講ずるべく努力をしてまいらなければならないと思います。  ただ、先ほど加藤先生の御質疑にもございましたが、そういった前提条件となる、主として大都市の機能になりますけれども、そういう構造的な全般の改革というものが相伴っていきませんとなかなか実現は言うべくして難しいと思いますので、その点も含めまして今後対処していかなければならないと考えております。
  300. 山田英雄

    山田(英)政府委員 もう大臣のお答えしたとおりでございますが、都市機能、道路交通の安全と円滑が阻害されているということは事実なんです、違法駐車の大変な蔓延で。大阪においては交差点にすら二重駐車をしているという実態がある。これは見逃しがたいことです。それで、私どもも路外駐車場の増設なりそこへの誘導案内の広報、これを徹底して行うべきだということは全く同感でありますし、関係機関にお願いしてまいりたいと思いますが、警察の立場において今申し上げた違法駐車の蔓延をここで断ち切らないことには、住民からの大変な不満が寄せられている。そのための必要やむを得ざる対策だということを御理解いただきたいと思います。
  301. 経塚幸夫

    ○経塚委員 終わります。
  302. 福島譲二

    福島委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  303. 福島譲二

    福島委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。経塚幸夫君。
  304. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、道路交通法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  今回の改正案は、違法駐車対策を重点に、反則金を引き上げ、出頭を義務づけ、レッカーによる移動保管体制を強化するなど取り締まりを一段と厳しくすることを改正の骨子としているのであります。  もちろん、安全を大きく阻害する悪質な駐車違反を重点的に取り締まるなどの対策は必要なことでありますが、今、最も求められていることは、駐車場対策を初め物流システムの見直し、交差点の立体化、公共交通機関拡充など人命尊重の交通環境への転換であります。  駐車施設を例にとってみても、五十九年度、全国の車の保有台数が四千四百五十四万台に達しているにもかかわらず、駐車場台数は百十七万台で、一万台当たり二百六十三台にすぎないのであります。駐車場対策こそまさに急務であり、取り締まり強化では抜本的解決策にならないことは余りにも明白であります。  大阪の道路交通考える会が行った調査結果では、駐車場の増設を求める者六六・九%に対して、取り締まり強化を求める者は一三・一%にすぎないのであります。  ところが、改正案では、移動保管についても取り締まりを一段と強化する内容となっておるのであります。移動保管の業務を公益法人の指定車両移動保管機関に委託する理由として、予算の枠に縛られず十分効果を挙げられるようにと述べておりますが、もし、このようなことが実施されるなら、違反車が無制限に移動保管されかねないのであります。  昭和四十六年の改正によって、それまで移動保管車が「著しく交通の妨害となる」場合に限られておりましたのが、「必要な」場合にと大幅に制約が緩められた結果、移動保管件数が一挙に七・五倍に急増したことを見ても、明らかであります。  また、道路交通状況調査などの業務が民間に委託されようとしておりますが、これらの業務は道路使用許可など署長の権限行使のために必要な調査であり、本来警察の責任において直接行うべきものであります。  以上が主な反対の理由であります。  最後に、道路交通取り締まりに名をかりた人権侵害事件について触れておきます。  警察法二条二項では、警察は「いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」と規定警察官の人権侵害や職権乱用を厳しく戒めているのであります。また、昭和四十二年の道交法改正の際にも、「いやしくも取締りのための取締りとならないよう周到な配慮と責任ある指導を行なうこと。」との国会の附帯決議も行われたのであります。  憲法、警察法、国会附帯決議に反することのないよう申し添え、討論を終わります。
  305. 福島譲二

    福島委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  306. 福島譲二

    福島委員長 これより採決に入ります。  道路交通法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  307. 福島譲二

    福島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  308. 福島譲二

    福島委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、平林鴻三君外四名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。平林鴻三君。
  309. 平林鴻三

    ○平林委員 私は、この際、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五党を代表し、道路交通法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について所要の措置を講ずべきである。  一 交通指導取締りに当たっては、交通事故の防止、公共交通の健全な維持・発展をはじめとする良好な都市交通環境の保全の見地から、いやしくも取締りのための取締りを厳に慎み、広報の徹底指導に力点を置いた交通行政の徹底を図ること。  二 都市における交通環境の改善に資するため、今後の交通行政においては、バス、軌道等の公共交通優先の行政思想の確立と徹底を図るとともに、関係業界に対する長時間運転・過積載等の改善指導徹底、営業用車両駐車・休憩施設の整備、専用・優先バス・レーン等の促進等、総合的な施策を展開すること。  三 時間制限駐車区間の設定に当たっては、バス路線に対する配慮等大都市交通の現状を勘案して設置基準を設定する等慎重に対処するとともに、交差点周辺、バス・レーン等における違法駐車の排除に努めること。  四 指定法人及び職員の活動については、独自の取締り権限を有するかのような誤解を与えることのないよう特段の配慮を払うとともに、指定法人によるレッカー移動については、警察署長は移動の必要性の判断に当たり危険性、迷惑性の強いものに重点を指向すること。  五 違法駐車車両に対する標章の取付けについては、危険性、迷惑性の強いものに重点を置く等適正、妥当な運用に努めること。また、運転者等による標章の除去に対する罰則については、施行前に十分周知徹底を図ること。  六 駐車違反の取締りに当たっては、駐車理由等に配慮する等、その危険性、迷惑性に応じ適正、妥当な運用を行うよう取締りの現場への徹底を図ること。  七 速度制限については、常に実情を調査し、交通実態に応じたものとなるよう、検討・対処すること。  八 反則金の限度額の引上げに伴う反則金の引上げ額の決定に当たっては、慎重な検討を加えること。  九 法令改正に当たっては、国民への周知徹底を考慮し、頻繁な改変とならないよう配慮すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  310. 福島譲二

    福島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  311. 福島譲二

    福島委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、小沢国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小沢国務大臣。
  312. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 道路交通法の一部を改正する法律案につきましては熱心なる御討議をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。  政府といたしましては、審議過程における御意見並びにただいまの附帯決議の趣旨につきましてはこれを十分尊重いたしまして、交通安全対策の推進に万全の措置を講じてまいる所存でありますので、どうぞ今後とも御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。  長時間にわたる御審議をいただきまして、まことにありがとうございました。     ―――――――――――――
  313. 福島譲二

    福島委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 福島譲二

    福島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  315. 福島譲二

    福島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時十九分散会