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1986-04-10 第104回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月十日(木曜日)    午前九時五十分開議 出席委員   委員長 福島 譲二君    理事 糸山英太郎君 理事 小澤  潔君    理事 西田  司君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 宮地 正介君 理事 岡田 正勝君       伊藤 公介君    臼井日出男君       大村 襄治君    左藤  恵君       松田 九郎君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山下八洲夫君       小谷 輝二君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     小沢 一郎君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     新田  勇君         警察庁交通局長 八島 幸彦君         警察庁警備局長 三島健二郎君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         自治大臣官房長 津田  正君         自治大臣官房審         議官      渡辺  功君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    柳  克樹君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    大岩  武君         経済企画庁調整         局調整課長   吉川  淳君         大蔵大臣官房企         画官      坂  篤郎君         大蔵省主計局主         計企画官    田谷 廣明君         大蔵省主計局主         計官      田波 耕治君         大蔵省主税局税         制第二課長   日高 壮平君         厚生省社会局保         護課長     萩原  昇君         厚生省児童家庭         局企画課長   市川  喬君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       田辺 俊彦君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     川田 洋輝君         中小企業庁計画         部計画課長   長田 英機君         自治省財政局交         付税課長    遠藤 安彦君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一七号)      ――――◇―――――
  2. 福島譲二

    福島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田正勝君。
  3. 岡田正勝

    岡田(正)委員 大臣、昨日はお疲れでございました。  きのう、私、大変鼻が高く思いましたのは、大蔵との連合審査の場面で、総理が二時間在席をしていらっしゃいましたが、その間四名が質問をさせていただきました。その四名の質問のうち、委員長、実に三名が地行委員なんですよ。すばらしいものだと思いました。これは非常に鼻が高いなと思ったのですが、大臣感想はいかがですか。
  4. 小沢一郎

    小沢国務大臣 やはり総理を相手に質疑をするというのは、地行委員のメンバーの先生方じゃなければなかなかできないのではないかと思いまして、その意味において私も大変鼻が高かったと思う次第であります。
  5. 岡田正勝

    岡田(正)委員 率直な御答弁をいただきましてありがとうございました。  さて、間もなく、今月を含めまして非常に重要な国家的な行事メジロ押しでございます。天皇の御即位の六十周年、イギリスの皇太子の御来日、あるいはサミットで主要国首脳部お越しになるというような、大変ハードなスケジュールが込んでおりますが、これに対する警備費用総額で幾らぐらいになるものでありましようか。あるいは分けることができるなら、その三つに分けて教えていただければ大変ありがたいと思います。これは予定しておりませんから、わからなかったらわからぬと言ってください。
  6. 小沢一郎

    小沢国務大臣 今ちょっと政府委員がおりませんが、たしか機材等の面では七十億、それを全部含めてだと思いますが。あと活動費等については、私ちょっと正確な数字はわかりませんが、これから実態に即して積み上げていくのじゃないかと思っております。
  7. 岡田正勝

    岡田(正)委員 私は、総額にするとかれこれ九十億くらいの金がかかるのではないだろうか。費用のことはとやかく申し上げないのでありますが、ゲリラが  ゲリラと呼ぶのが適切かどうかよくわかりませんけれども、ともかくああいうロケットを発射してみたり、いや火炎弾だ何だというようなことで、その解釈をめぐってまた一論議があってみたりというようなことで、なかなかにぎやかな状態であります。  それで、この問題をめぐりまして当局の規制は日に日に厳しくなっております。これは国家的にはもう当然のことであると私は思っておりますが、片やゲリラとは関係のない一般市民の諸君からいうと、何と不自由になったなという不満も大変出ておりまして、昨日も総理に申し上げたのでありますが、ある新聞の川柳によりますと、国民感情をよくあらわしておるので書き取ってきたのでありますが、「警棒でゲリラ叩きがしたくなり」という川柳が載っておるんですね。私は、これは国民感情を本当によくあらわしておるなというふうに感じ取っております。  中には、荷物を運搬する業者のごときは、一つの例ですけれども大型トラックではもうとても動けぬので、小型トラックに切りかえて何回も回数をふやして運搬しているというような不便もあります。しかし国家的行事なら仕方がないでしょう、こう言ってその業者理解をしてくれておりますが、この川柳にあらわれておるような国民のいらいら、こういうことに対しまして、大臣としてはどのような御感想をお持ちでございましようか。
  8. 小沢一郎

    小沢国務大臣 場所が何しろ最も複雑高度な社会生活機能が営まれている都心部の問題でございますので、現実警戒を厳しくすればするほど国民皆さんに御迷惑をかける点もふえてくるわけであります。しかし、国家的な行事でございますので、先生指摘のようにかといって警戒を緩めるわけにもいきませんので、先日の閣議におきましても、私から閣僚に対しまして、いろいろ御迷惑がかかる点があるかと思いますがひとつ皆さん関係機関団体等を通じまして、国民皆さん、都民の皆さんに広く理解をしていただけるようにお願いいたしますというお話をいたしまして、それに対し総理も積極的に、警察庁はもちろん、警視庁ももちろん、総理府においても各省庁においても理解を得るようにしてもらいたいという趣旨の御発言がありました。警戒はもちろん緩めるわけにはいきませんけれども警察の前線における警察官に対しましても、その点は国民の皆様に理解を求めながらこの警戒をするようにということで指示をいたしておるところでございます。
  9. 岡田正勝

    岡田(正)委員 今度は、国家公安委員長としてのお立場からお答えをいただきたいと思うのであります。  週刊誌でありますからどこまで真実がよくわかりませんが、しかし非常に不気味なことが書いてありまして、二つの軍団のリーダー会見記であります。その中に書いてある一、二のことを申し上げますと、先般ぶち込んだ火炎弾というのですか、直径五センチくらいの爆発しない弾、あれは爆発物を中に詰め込んでいないのだから、ただ落ちただけで大した被害がないのは当たり前である、あれは予行演習みたいなものであって、今度やるときには中に爆発物を入れれば相当の被害を与えるであろう、そういう点でも我々は考えてやっているのだということを言ってみたり、それから、何十億という警備費用を使って十重二十重に取り囲んで警戒を厳重にしておるけれども、その警戒すき間を縫って出ていくのがゲリラである。守る方は果てしなく守らねばいかぬ、突いていく方は一カ所突付はいいので、そんなものは絶対に成功してみせる、目標物は無数にあるのだ、こういうことを言っている非常に不気味な会見記が出ておるのでありますが、もしその攻撃が成功して一大事に至るようなことがありましたら、これは日本国内だけではなくて、国際的に日本の信用を失墜することになりかねないと私は非常に心配をしておるのであります。  そこで、もし万が一のことがあったら、国家公安委員長としていかなる責任をとるおつもりであるか、なんて私はそんなやぼなことは質問をしない男であります。  そこで、お尋ねをいたしたいと思いますことは、そういう不気味な発言二つグループリーダーが公言をしておりますね。そういう状況の中で、国家公安委員長としては今後の警備につきまして、いかにして万全を期せられるおつもりか。これは秘中の秘、マル秘でありますということならば、もうそれだけで結構です。それ以上お尋ねはしませんが、お聞かせいただける範囲があるならば、いかなる万全なる警戒態勢をとる決意であるか、国家公安委員長としてのお立場からの決意のほどをお述べいただければありがたいと思います。
  10. 小沢一郎

    小沢国務大臣 現在進めておりますのは、一番いいことは行事の前に彼らを捕捉して事を起こさせないようにすることが最大の任務であるということで、先般もアジトを押さえまして、そこでいろいろなものもつかみながら、その中心となるべき人間を今懸命に追っているところでございますし、また爆発物等についても、その具体的な中身は申し上げるのはいかがかと思いますが、端緒をつかみまして懸命に追っているところでございます。したがいまして、二十九日以前にこれらの武器あるいはその中心人物等を突きとめて何とか捕捉いたしたいと考えております。  しかし、何といっても彼らはどんな手段を使ってでも、あるいは市民を巻き添えにしてでも構わないという考え方に立っております。特に、自分らのやることは正義であるという確信犯の連中ですから、全部を捕捉することも現実問題としてはなかなか難しいと思わなければならないと思います。したがって、実際の警備はこれから第二弾、さらに強めてまいりますけれども先ほどお話ししたような意味での国民皆さんの御理解を得ると同時に、最終の式典の際には最大限の動員もし、全国の警察皆さん協力も得て、行事自体は絶対万全を期す自信を持ってやっております。  ただ、爆発物についても、いわゆる中核派と呼ばれる最も過激な強力なグループにおいては、かなり本格的な、ある意味ではロケット弾という表現でもいいかもしれませんが、そういう飛しょう物を持っております。したがいまして、実際の警備については、それが一キロ以上飛ぶというものでございますので、都心のほとんどの部分を警戒警備地域にしていかなければならない。そしてまた、こちらは専守防衛でございますし、向こうはそのすきをついてくるという先生の御指摘のとおりでございまして、これについては、今の警備生活に邪魔になるという問題とはまた違った意味で、各事業所とか一般の住民に不審な人を見つけたら通報していただくとかいうような意味での御協力も賜らないといけないと思っております。  本当に国の威信にかかわることでございますので、この問題については私は常に辞表をポケットに入れて対処しておるつもりでございますが、事が起きたときに私がやめればそれで済むということではございませんので、その意味において万全を期してまいりたい、そう考えております。
  11. 岡田正勝

    岡田(正)委員 場内が一瞬しーんとなるほどの大臣決意表明でありまして、辞表を懐にして私は万全を期したいと思う、警戒に当たるという決意表明は本当に感激しました。実に御立派であります。私どもは、大臣におやめいただくことが本旨ではございませんので、ともかく守る方でございますからいろいろ難しいと思いますけれども人間として及ぶ範囲の懸命な御努力をお願いしたいと思います。  なお、車で通っておりまして日々思うのでありますが、雨が降っても風が吹いても警備に一生懸命ついておられる警備当局皆さん方、なかんずく各都道府県から応援に来られるような方々は、生活の不自由をも我慢しながら頑張り続けるわけでございますので、特に国家公安委員長という立場から、大臣からそういう衝に当たっておられる関係筋皆さんに、もし万が一というときには国家威信にかかわる大変な問題を皆さんに御負担していただいておるが頼むと言って慰労の言葉の一つもかけていただけば、随分励みになるのじゃないかと考えております。長丁場になると思いますので、ぜひひとつ万遺漏のないように御努力を重ねてお願いいたしまして、この問題は終わらせていただきます。  次に、本論に入らせていただきます。  政府緊縮財政路線では、六十五年度赤字国債発行ゼロという政府目標達成は不可能であると私は思っております。このことは、六十一年度予算における赤字国債減額が四千八百四十億円と目標の一兆円の半額以下になったという事実をもっても端的に示されておると私は思っております。大臣政府の言う緊縮財政政策で六十五年度赤字国債発行ゼロという目標達成は可能だと本気で考えておられますか。これは、大蔵省お越しになっていますので、両方からお答えをいただきたいと思います。
  12. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この六十五年度赤字国債脱却という旗印につきましては、予算委員会等々でも、総理大蔵大臣、述べておられます。政治は理想を高く掲げながら、しかし現実を踏まえてということがよく言われるわけでありますが、非常に難しい今日の財政状況であるというふうな認識は私もいたしておりますけれども、しかしながら、この目標はあくまでも目標としてそれに向かって頑張るという姿勢は、それはそれでいいのではないかと私は考えております。  今、これは税の面だけの問題ではありませんが、税制についてはシャウプ以来の抜本的税制改正を行うということで税調の御審議もいただいております。そういった意味で、いろいろな観点からかなり思い切った今後の税制面あるいは財政面での対処をしながら、この目標に向かって、難しいけれども努力していくということではないかと考えております。
  13. 田谷廣明

    田谷説明員 お答えいたします。  六十一年度予算におきましては、歳出歳入を通じて財政改革推進最大限努力を傾け、公債発行額の可能な限りの縮減に努めたところでございますが、我が国財政を取り巻く環境には一段と厳しいものがございまして、私どもといたしましても、六十五年度までに特例公債依存から脱却するという努力目標達成することが非常に容易ならざる課題であるというふうに考えております。しかしながら、財政改革推進我が国経済社会の安定と発展を図るためにぜひともなし遂げなければならない国民的課題でございますので、先ほど自治大臣からの御答弁がございましたが、目標達成に向けて今後とも全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。  それから、御質問にございました積極的な財政政策をとったらどうかという点でございますけれども建設公債の増発をいたしまして公共投資拡大する、それを通じて経済拡大して、それによって財政再建を果たしてはどうかということが世上言われておるわけでございますが、こういった問題につきましては……(岡田(正)委員「それはまだ質問しておらぬです」と呼ぶ)それでは後ほどお答えいたします。
  14. 岡田正勝

    岡田(正)委員 政府のこれまでの経済政策では六十五年度赤字国債発行ゼロという「増税なき財政再建」の達成は不能であると私どもは見ております。また、政府がいわゆる緊縮財政のこの経済政策を転換しない限り、これまで続けてきた国の財政負担地方転嫁といったごまかしは今後も続けなければ仕方がないという状態になるであろうと見ております。このことは地方財政にも多大な影響をもたらすことはもう必至であると考えておるのでありますが、自治省といたしましてはどういう見通しをお持ちでございましようか。
  15. 花岡圭三

    花岡政府委員 今後の国の経済政策がどのように展開されるかということにつきましてはちょっとお答えする立場にございませんけれども、国によります地方への負担転嫁ということがなされることのないようにこれからも努力してまいりたいと考えております。各年度地方財政計画策定を通じまして、地方団体財政運営に支障がないよう今後とも適切に対処してまいるつもりでございます。
  16. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、ちょっと通告をしてないことにはみ出させていただきます。  きのうも江崎大蔵大臣代理に御質問をしたのでありますが、今年度一兆一千七百億円という欠損と言ってはおかしいのですが、穴があきますね。それに対しまして、財源としてそれを補てんしてもらえたものは何かといえば、はっきり数字を挙げて言えるのはたばこ消費税、これは今吸っているたばこ一本につき一円値上げをするということで国の取り分千二百億、地方取り分千二百億、合わせて二千四百億円を財源として手当てしますよ、あと地方債で処理したまえ、乱暴に言うならばこういう処理の仕方でございますね。  ところが、実際にはどういう状態になっておるかといえば、どこを探してみても、財源手当てというのははっきりしているのは六十一年度だけですよ。それで、補助金その他に随分大なたを振るわれましたが、それは今度は三年間継続ですよ。三年間補助金カットが継続されるのに、財源の手当ではこの六十一年だけしか考えてない、こういう状態一体先はどうなるんだろうかという心配をしておるのでありますが、そのことについて、来年、再来年の財源手当てについては自信がある、例えば具体的に言えばこういうものであるというものがありましたら、ひとつ発表をお願いしたいと思います。
  17. 花岡圭三

    花岡政府委員 六十一年度におきます補助負担率の引き下げに伴う影響額一兆一千七百億円でございますが、これにっきましては、先ほど指摘のようにたばこ滑費税の税率の引き上げ及び地方交付税特例加算がございます。このほか、六十六年度以降に四百億円加算する措置であるとか、あるいは交付団体分の残りの二分の一の二千四百四十億円、これにつきましても、建前といなしましては後年度加算するという約束になっております。そういうことで後年度措置にっきましてもある程度の措置をしておるわけでございますが、今後この元利償還につきまして、これらの後年度に送りました措置を含めましてもなお交付税が足らないというふうなときには、地方財政計画策定を通じまして交付税総額の安定的な確保を図っていく、そういう考え方でございます。  六十二、六十三年度については、たばこ消費税が一年限りで補助率カットはまだ続くではないか、何か具体的な案があるかというお話でございますけれども、現在の段階でこの具体的な案というものはございませんが、たばこ消費税臨時特例措置というものが一年度限りで終わることになります場合には、これにかわる何らかの措置が必要であると私ども考えております。ともかく、それらも含めまして必要な交付税総額は確保してまいるという考え方でございます。
  18. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。  ちょうど大蔵省お越しでございますので、これも予定外質問になりますが、六十一年度は、たばこ消費税、国、地方合わせて二千四百億円の財源が明確に手当てをされておりますね。ところが、六十二年、六十三年は、補助率大幅カットがあるのにかかわらず、その財源手当ては今おっしゃるとおり明確ではありません。ということになると、これは話を別のところへ持ってまいりますが、ことしの五月一巳から上がる予定でありますたばこ値上げは一年限りということに時限の法律になっておりますけれども、これが来年の五月一日からは現在の値段に戻ると理解していいのでありましょうか。それは戻ることはないよ、一遍上げたらそれまでよというお考えでございましょうか、いかがでしょうか。大蔵大臣に言わなければいかぬですね、そのつもりで答えてください。
  19. 日高壮平

    日高説明員 今回のたばこ消費税引き上げは、御指摘のように限時的に一年というふうになっております。なぜこれを一年といたしましたかという点につきましては、先生御承知のように、現在、税制調査会において税制抜本的改革について検討が行われている。その税制改革の御検討中身につきましては、そのたばこ消費税あり方も含めた間接税の問題も当然入ってくる。したがいまして、六十二年度以降におきますたばこ消費税負担あり方については、今後の税制抜本改革の中におけるたばこ消費税検討の結果を待って対処いたしたい。したがいまして、税制調査会結論がいまだ出ていない段階でございますから、六十二年度以降たばこ消費税がどうなるかという点についてはお答えできない、その点を御理解いただきたいと思います。
  20. 岡田正勝

    岡田(正)委員 本当に模範答弁ですね。すきのない、実に立派な答弁でありますが、余りそうかたくならないで。それはそうでしょう、税制全般を抜本的に見直すという作業が続いておるのですから、その中で、はてさてどういう結論が出るものやら、それまで、幕があくまでお待ちください、こういうことになるわけですが、この幕があいたときに、あなたのような税のベテランはもう幕があかぬ前から透視にかけたようによくわかっておるので、一たん上がったたばこ値段が何ぼ抜本改正があるといってももとに戻るということはそれはありませんよというふうに思っておりませんか。ちょっとその透視の結果を言うてみてください。
  21. 日高壮平

    日高説明員 先ほども申し上げましたとおり、ことし一年の措置にいたしましたのは、いわば税制調査会における審議を先取りしない、いわば制約しないということも含めまして限時的な措置にしたわけでございます。したがいまして、今私がまだ審議も行われていない税制調査会結論を先取りするようなことは差し控えたいというように考えております。
  22. 岡田正勝

    岡田(正)委員 なかなかすきのない模範答弁であります。  次に進ませていただきます。  このような政府政策、いわゆる緊縮財政政策が続く限り、地方交付税減額やあるいはその年度に加算すべき額の先取り、先送りといったような形での実質上の交付税減額が進められてくるんじゃないかと私は心配をしておりますが、心配は要りませんか、
  23. 花岡圭三

    花岡政府委員 毎年度地方財政計画策定を通じまして、所要の交付税を確保してまいるつもりでございますので、私どもといたしましては地方団体心配をさせないようにいたしたいと存じております。
  24. 岡田正勝

    岡田(正)委員 必要な地方交付税は必ず確保する、地方自治団体には迷惑はかけない、局長さんの力強い決意をいただきまして、私も安心しました。  次に、このように地方財政の面からも政府緊縮経済財政政策を改め、二兆円所得減税公共投資大幅拡大などを骨子とする拡大型の経済財政政策への転換を図るべきであると私どもは唱えておるのでありますが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。また、このことについては大蔵省さんの方からもお答えを下さい。
  25. 小沢一郎

    小沢国務大臣 六十五年財政再建という目標に向かって緊縮財政をとらざるを得ないという一方の立場と、その一方、いわゆる国内景気あるいは対外関係の問題からもして内需の拡大を図らなければならない、その両方の要請があるわけでございます。したがいまして、この二つをうまく両立させていくというのは言うべくしてなかなか現実には難しい問題であろうと思います。  税制の面では、先ほど来のお話のように、今税調でいろいろ議論されております。その中には、中身はわかりませんけれども総理も言っておるように、大幅な大きな減税もやるというような議論も含まれているように理解をいたしております。したがいまして、そういった面等を通じながら内需の拡大、これは今年度いわゆる地方の単独事業等についても自治省としても配慮したところでありますが、いずれにしてもそういった面でのこれからのいろいろな仕組み等の見直しも含めながら考えていかなければならないのではないかという気がいたしております。
  26. 田谷廣明

    田谷説明員 建設国債を増発いたしまして、公共投資拡大を図って、そういったことを通じまして経済拡大し、それによって財政の再建を果たすべきではないか。いわゆる拡大均衡論とか、あるいは積極財政論という立場からの御覧間ではないかと存じますが、そういった問題につきまして私どもといたしましては、第一には、建設国債と申しましても公債という点では特例公債と異ならないわけでございますし、当然発行いたしますれば多額の利払いを伴うという問題があるわけでございます。それから、第二点としましては、確かに御指摘のとおり、公共投資拡大を行いますれば、その限りで経済拡大し、ある程度の税収増といったようなものも期待できるというふうには考えられるわけでございますが、一方で税収増を大幅に上回ります将来にわたる元利の支払いの負担というものが発生いたすわけでございまして、私どもの試算では、そういった観点で考えますと、かえって財政体質を悪化させることになるのではないかというふうに考えております。  私どもといたしましても、ただやみくもに何でもかんでも切ればいいというふうに考えているというわけではございませんで、六十一年度予算におきましても、限られた予算範囲内で景気の維持拡大といった問題にっきましてはできる限りの配慮を行っていきたいということから、一般公共事業につきましても、その事業費につきまして前年度は三・七%増でございましたが、六十一年度は四・三%増ということで前年度を上回る事業費の増を図っておるというようなことでございます。  それからお尋ねの第二点でございます所得税減税の問題でございますが、先ほども私ども税制課長から御答弁ありましたように、現在税制調査会におきまして公平、公正、簡素、選択並びに活力といったような見地に立ちまして、所得税負担あり方を含めましてシャウプ税制以来の税制全般にわたります広範な検討が進められておるというところでございますので、その結論を得ない段階で減税を実施するということは適当ではないのではないかというふうに考えております。  なお、この問題につきましては、三月四日の与野党幹事長・書記長会談の合意といったものもございますので、こういった合意を踏まえまして今後各党間で合意を得ますように協議することとされておりますので、なおその協議の推移を見守ることにいたしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  27. 岡田正勝

    岡田(正)委員 大蔵省さんの方に予定外のことをちょっとお尋ねさしてもらいますが、皆さんの御答弁が実にすばらしいからちょっと欲が出ましたので、予定外をさしていただくのですが、宮澤さんですね、宮澤総務会長、あの方もなかなかの経済通で立派な識見をお持ちの方でありますが、先般来から新聞をにぎやかしておりますのに、宮澤さんは、現在のこの苦況を乗り切るためには、公定歩合の引き下げに関連をいたしまして金利が下がってきますね、そういう関係がありますから、来年の三月末には百四十三兆円に及ぶであろう国債、この問題について借りかえをしていけばいいじゃないか、借りかえをして利子をダウンさせればそれだけでも何兆という金が浮いてくると言って、まことに耳新しい話をした。自民党としてはですよ。私ども民社党は前から言っておるのでありますが、自民党の中から出てきた議論としては全く耳新しいお話をされまして、中曽根総理も、ううん、これは考えてみなければいかぬなと言ったげなという報道であります。それに対しまして専門家としてどう思われますか。ほんなあほな、そんなもの、宮澤さんの言うようなことはできるか、頭が狂っているのじゃないかというふうに思いますか。それとも、そのとおりだ、どうして中曽根さんがすぐやらぬのか、何をもたもたしておるんだと思っておりますか。どちらですか。
  28. 田谷廣明

    田谷説明員 ただいま御質問ございましたいわゆる宮澤提言の中で、こういった金利が安い情勢なので、高い国債金利を払うよりも低い方が得だということは自明のことでございますので、いわゆるその低利借りかえを行ってはどうかというようなことだろうかと存じます。  私どもとしましても、国債管理政策の上であるいは国債発行政策の上でできるだけ効率的にやっていきたいということは従来から考えておるわけでございますし、今後発行いたします国債につきましてできるだけ有利な条件で発行してはどうか、もっと役人もコストの観念あるいは金利の観念を持って仕事をしてはどうかという励ましの言葉でございますれば、まことにそのとおりだと思っております。ただ、御質問の趣旨が、あるいは過去に発行されました既に八%とか七%とかそういった高利の公債をこの際低利に切りかえてはどうかというようなことであるとしますと、それはなかなか難しい問題があるのではなかろうかというふうに考えております。
  29. 岡田正勝

    岡田(正)委員 なかなか大蔵省の秀才の皆さんは意見を小出しにしかしない。本当のエリートの人のあれはいい癖か悪い癖か知らぬけれども、とにかく出し惜しみをする癖があるんですね。だから、もう一歩突っ込んで話をしていただきたいと思うのですが、今後発行する国債についてはできるだけ低利な分でひとつ処理をしていきたい、これはわかりますよ。今後のことはわかりますよ。だけれども、宮澤さんの言っておるのは既発行債なんですね。それの借りかえを低利の分にどんどん切りかえていったらどうや、二兆や三兆はわけなく出てくるぞというような、まことに国民が喜びそうなことをおっしゃったわけでありますが、これについてはいかがでございますか。そんなあほなことができるかと大蔵省皆さんとしては思っていらっしゃるのか、あるいは個人として思っていらっしゃるか、どっちの立場でもいいです。個人の立場でもいい、大蔵省立場でもいい、宮澤さんに一矢報いるのならば、ばっと威勢のいいはっきりわかったことを言っていただきたいと思います。
  30. 田谷廣明

    田谷説明員 お答えいたします。  私どもは、宮澤提言の正確な内容そのものを存じ上げないものでございますから、先ほど申しましたように、御提言の趣旨がどの辺にあるのかということを必ずしも理解を十分にいたしておらないわけでございますが、繰り返して恐縮でございますけれども、将来に向かっての建設的な御提言ということであれば、私どもの従来の方針どおりでございますので、今後ともそういう方向でやっていきたいということでございます。それから、過去の話でございますと、これは御承知のように国債につきましては市場がございまして、そういったことがマーケットあるいは国債保有者との関係でどういうことになるのか、にわかにお答えしがたい問題ではないかというふうに考えております。
  31. 岡田正勝

    岡田(正)委員 なかなかけがをせぬように御発言になりますが、それではこの問題でもう一つだけ念押しをさしていただきます。宮澤さんがそのことを提言をいたしましたら、それに対しまして中曽根総理が、それは貴重な御意見である、検討に値する、こう言われたげなでございますが、それをもし言われておるのだとするならば、中曽根総理は宮澤さんの人格を尊重するのなら、大蔵省に対して、おい、このことを検討してみろよと言って検討を指示されたはずではないかと私は理解しているのです。国民も恐らくそう思っていると思います。大蔵省としては、検討を指示された覚えは全然ありませんか。
  32. 田谷廣明

    田谷説明員 お答えいたします。  私、直接の担当の衝にある者でございませんので正確にお答えできるかどうかはわかりませんが、私どもとしましても、御提言のような問題につきましては、本来大蔵省として、仕事としまして考えていかなければならないというような問題でございますので、そういった問題につきまして、どなたからであろうとも御提言なり御批判があれば、私どもとしてそれを受けとめ、検討してまいりたいというふうに考えております。
  33. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは、そのことについてはこれ以上お尋ねをしないことにさしていただきます。  さて、そこで大臣、これも予定外でありますが、今のことに関連するのですが、貿易摩擦、貿易摩擦といって問題になりましたね。G5が去年の九月の下旬ですか行われまして、それからどんどん円高になり、ドル安に、こうなってきておりますね。そういう関係を見て、日銀といたしましては、大蔵省と恐らく連絡をとり合いながらでありましょうが、公定歩合を二度にわたって〇・五、〇・五と下げましたね。今後もどうやらまたもう一遍はやりそうだなあというような雲行きでありますが、今のところ合わせて一%下げましたね。一%下げだということは、これはまた自動的に、自動的にと言ってはおかしいのですが、ほぼ自動的に市中金利が下がっていきますね。預金金利も下がっていくわけですね。だから、貸出金利が下がることは、これまたひとつ内需拡大のために設備投資を大いに促進するという利点がございますけれども、片や何百兆という貯金をしておりますね。一世帯で平均をしますと、株券まで入れて約六百九十万円というのが去年の年末のいわゆる統計数字だそうであります。その六百九十万円の貯蓄の中で定期預金として預けてあるものは平均をしてほぼ三百六、七十万円、こういうふうに伝えられております。そういたしますと、今預けておるその定期預金の金利ががらっと一%下がるという、そんなばかなことはありませんですよね。その定期が切れて新しく新規契約するときに下がっていくわけでありますが、いずれにしても庶民の方々が定期預金をしておるのは、その期間というものはせいぜい三カ月、六カ月、一年定期というようなものがほとんど大宗を占めておると思うのです。そういたしますと、その期限が来たらもういや応なしに一%安い金利で預けるわけですね。ということは、極言して言うならば、一年分を通算して考えてみると、金利が一%下がるということは、まあ三百六十万といたしますと、一年間で三万六千円の金利を国民の諸君は損をするわけですね。黙っておって損をいたします。しかも、公共料金の値上がりがざっと計算をしてみますと一月約三千円でございますから、十二カ月掛けると三万六千円。公共料金で三万六千円出費を余儀なくされる。その反面、今度は入るはずのものが三万六千円入らない。このことを往復びんたと言うのですね。だから合わせましたら、国民の諸君は一世帯について七万二千円損するわけです。この現象について大臣はどう思われますか。これはちょっと質問が、それは困るよと思われたら、それは困るとおっしゃってください、答えぬでもいいですから。本当に遠慮のない形で、議事録を気にしないでちょっと言ってみてください。
  34. 小沢一郎

    小沢国務大臣 私は学校は経済を出たのですが、さっぱり経済というものがわからないで終わってしまったんでございますが、いずれにいたしましても、要するに今、G5以降円高基調になっておりまして、その意味においていろいろな輸出産業、中小企業を通じまして皆さん大変御苦労していると思います。しかし、その反面、国内の物価の安定あるいは円高差益による電力あるいは電気等の国民への還元、そういう意味でのメリットもこれあるわけでございますので、必ずしもそういう金利の低下によるあるいは円高によるマイナスだけの作用ではないであろうと思います。したがって、政治の最大のなさねばならないことは、そのプラスの面をできるだけ多く正確に国民に還元していくということが政治に求められておりますし、マイナスの面を逆に少なくしていく、そういう意味で今後政策が十分対応できるようにしていくのが政治のかなめであろうと思っております。  いずれにいたしましても、先ほど来の御議論を聞いておりましたけれども、私どもみたいな余り理論も学問もわからない者は、むしろいろいろな勝手な発想ができるわけでありますけれども、お役所の皆さんは皆優秀な方でございますから、それだけいろいろ税の理論とか財政の理論とか、それは全部頭に入っておるわけですね。ですから、なかなかそれを逸脱といいますか、それからはみ出た発想というのはなかなかしにくい面があると思います。その意味では、それは大切なことですけれども、たまには私どもの乱暴な発想の要素も取り入れられながら政治というものをやっていかなければならないであろう、さっきからの議論を聞きながらそのような感じはいたしております。いずれにしても、その点についてはこの程度しかわかりません。
  35. 岡田正勝

    岡田(正)委員 日高さん、御迷惑かもわかりませんが、税制を担当していらっしゃるのでちょっと感想を聞かしていただきたいのですが、今大臣に私がお尋ねしましたのは、貿易摩擦が起きた、それで日本が年間五百億ドルからその黒字を抱えた、それでその五百億ドルも黒字を抱えたといって、だから日本は豊かになったと世界各国から見られておるわけですね。豊かになったよ、日本はもうけたよと言っておるがだれがもうけたんね、こういうのが国民感情でしょう、正直なところを言いましてね。それは、五百億ドル日本はもうけたよといっても国民皆さんはぴんとこないのですよ。一体だれがもうけたんじゃろうか、こういうことでみんな白けた空気なんですね。  ところが、そのことで貿易摩擦が起きているんだからというので、政府政府の方針でこの貿易摩擦をなくすために円高に持っていこう、そしてドル安に持っていこうというのをG5で協議をして、政府の責任でこの円高が今どんどん進んでいるわけですね。これは先々週の日曜の放送討論会で藤尾政調会長さん、あの方が国民の前ではっきりと明言をいたしましたが、今回のこの円高は政府の責任で行っておることでありますからその出てくる被害というものを救済しなければならぬのは当然政府の責任であります、我々が責任を持ってやらなければいかぬのです、こう言って、あの日曜の放送討論会のときに、藤尾さんにしては珍しくはっきり物を言ったなと思って私は実は茶の間で聞いておったのですよ。  そういうことから考えてみますと、このいわゆる公定歩合の引き下げ、これも一連の関連した問題ですから、そのことによって預金の金利が、なけなしの預金の金利が下がってくる。平均をして一世帯当たり年間三万六千円も金利が失われていくというその現状に対して、まあまあの生活をしておる人ならまあ国家国民のためというので我慢をしていただけるでありましよう。だが、本当に最低の生活をしておるような人たちにとってはこれはたまらない打撃なんです。  こういうことがありますので、この金利が下がったことによって起こる弊害というのは例えば年度末調整において税額控除を行います、これは政府の責任だ、被害を受けた金額は税額で控除しましょうという善政を施してみたらどうかなと私は思うのですが、あなた、ひょっとしたら、上がったときには黙っておって下がったときだけそんなことを言うてと、あんな意地の悪い答弁はしなさんな。もうちょっと上品な答弁をしていただきたいと思います。どうぞ。
  36. 日高壮平

    日高説明員 非常にお答えのしにくい御質問でございますけれども、円高の問題あるいは先生指摘の金利の低下の問題、いずれにしましてもそれによって御苦労をかける方々がおられるという面は私どもも否定してはおりませんけれども、マクロ経済経済の全体から見た場合にやはり景気の振興といったさまざまなプラスの面もあるわけでございますから、私どもも行政の立場から見ましても、先ほど自治大臣が政治に携わる者としての心構えをおっしゃられましたが、私どもとしてもそういったプラスの面ができるだけ国民に還元されるように努力はしていかなければいかぬなというふうに思ってはおります。  ただし、だからといって年末調整でその分、税額控除するというようなことはちょっといかがかなというふうに考えております。
  37. 岡田正勝

    岡田(正)委員 日高さん、本当にすきのない答弁でありますが、もう一つ念押しをしておきたいと思いますのは、認識を新たにしておいていただきたいことなんですよ。  これは、いわゆる貿易摩擦で日本はもうけるばかりじゃないかと諸外国に言われておる、その金をもうけておる人たちの中には金利で打撃を受けて青息吐息になるような人というのは該当者はほとんどないのであります。もうけたお金はみんな金利の高い国へ持っていってまたそこで運用するわけでございますから、日本で金利が下がったことによって直撃を受けるなんていうような人はおらぬのです。そういう人がもうけるのであります。だから、被害を受ける人たちはもうけには一切関係がない、関係がないのみならず被害を受けるのですから、そういう立場をひとつ十分理解をしていただきまして、大蔵大臣に本当は問いたいのでありますけれども大蔵大臣に、県は大蔵大臣のおるところと私のおるところとは山一つ違うだけですから、中国山脈で背中合わせですから、岡田のやつがこんなことを言いおったといってひとつくれぐれもお伝えを願っておきたいと思います。  それでは続けて。昭和五十九年度に、それまで地方財政財源不足に対応して交付税特別会計からの借り入れと財源対策債の発行措置を講じてきたのをやめて、地方財政の健全化を図るため、財源不足に対しては起債ではなく地方交付税総額についての特例措置を講ずる規定が設けられました。この規定は十分に機能していると自治省はお考えでございますか。
  38. 花岡圭三

    花岡政府委員 今回の国庫補助負担率の引き下げに伴います地方負担の増を補てんするために、地方財政対策の一環といたしまして地方交付税法附則第三条の規定に基づく交付税総額の特例措置によりまして千二百億円の増額措置を行うことといたしておるわけでございます。御承知のように、昭和六十年度におきましても同様に一千億円の特例措置を講じておりまして、この意味ではこの附則三条の規定というものは十分機能しておるものと考えております。  なお、五十九年度におきます地方財政対策の見直しは、地方債による財源不足の補てんをしないということをしたわけではございませんで、地方財政の健全化に資するため交付税特会における新たな借入金措置は原則として行わないということにしたものでございます。
  39. 岡田正勝

    岡田(正)委員 よくわかりました。  次に、昭和六十年度及び今年度の場合、国庫補助率負担地方転嫁に伴い、六十年度五千八百億円、六十一年度一兆一千七百億円の地方財政財源不足が生じたわけでありますが、地方交付税の特例措置はそれぞれ一千億、千二百億とわずかでありまして、残りは建設地方債の増発という起債によるものであります。これでは地方財政健全化のための財源不足に対するには起債ではなく地方交付税の特例措置で対応するという規定が全く生かされていないのじゃないか、私はこういうふうに思うのでおりますが、いかがでございましょうか。
  40. 花岡圭三

    花岡政府委員 地方財源の不足が生じた場合の補てんを講ずるに当たりましては、御指摘のように地方税あるいは地方交付税等の一般財源で補てんずることが望ましいことは申し上げるまでもないわけでございます。ただ、現在の国、地方の厳しい財政状況考えました場合に建設地方債の活用もある程度やむを得ないのではないかと考えておるところでございます。  ただ、地方債の償還でございますが、これが将来の財政を圧迫するということになりますので、将来におきまして地方交付税特例加算を講ずることといたしております。さらに、それでも財源が不足するような場合には各年度におきます地方財政計画策定を通じまして所要の地方交付税を確保するという措置を講じてまいりたいと存じておるところでございまして、五十九年度の財政対策の見直しの点につきましては先ほど申し上げましたとおりでございます。
  41. 岡田正勝

    岡田(正)委員 地方財政の借入金残高が地方債残高などを含めまして約五十九兆円となり、公債費の増加や地方税の伸び悩みに対処するためには地方財政の基幹財源である地方交付税総額の安定的確保が不可欠の課題であると私は思います。国の財政事情によって地方交付税の特例措置が今でも不十分にしかなされていない状況の中で、今後交付税総額の安定的な確保は果たして可能と言えるのでありましょうか。
  42. 花岡圭三

    花岡政府委員 地方財政は昭和六十一年度末におきましては交付税特会の借入金を含めまして約五十九兆円に上る借入金残高を抱えておりますし、また個々の地方団体におきます公債費負担も年々著しく上昇しておるという状況でございます。したがいまして、今後とも地方財政の健全化及び自主性を向上する見地からしまして、地方交付税の確保には全力を注いでまいりたいと存じております。
  43. 岡田正勝

    岡田(正)委員 また、この地方交付税においては、国の財源難から、地域特例臨特、利差臨特、財対臨特などの相当額を本来加算すべき年度につけないで六十六年度以降に加算することになっていますね。その金額は六十一年度までで合計六千二百五十二億円に及びます。補助率カットは六十一年から六十二年までの三年間継続するわけでございますが、六十六年以降に加算する措置は継続してとられるのでございますか。
  44. 花岡圭三

    花岡政府委員 六十一年度につきましては、地方財政収支見通しを立てましたところ、国庫補助負担率の引き下げを行う前におきましては地方財政の収支は均衡することになったわけでございます。このために、国庫補助負担率の引き下げに伴う地方財政への影響額一兆一千七百億円だけ地方財源が不足することになったわけでございますが、これにつきましては、地方財政対策によりまして別途補てんされまして、地方交付税につきましても特例措置千二百億円によって昭和六十一年度におきます所要額は確保されることになりました。そういうことでございますから、従来の自治、大蔵大臣覚書によりまして、地方交付税特例加算されるべき子三百五十七億円につきましては地方財政の中期的な健全化を図る見地から、昭和六十六年度以降に地方交付税に加算するということにしたわけでございます。  また、六十二年度以降も措置を行うかどうかということでございますけれども、これは地方財政収支に基づきまして収支の見通しをつくりまして、その上で各年度地方財政対策におきまして所要の交付税額を確保し、地方財政の運営に支障が生じないよう措置しなければならないわけでありますが、それに関連していわゆる臨時相当額の取り扱いも決められるということになるわけでございまして、これはその時点において決められるべきことであろうと考えます。
  45. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、六十三年度まで継続すると仮定をいたしました場合、五十九年度から六十二年度までの金額は合計とのくらいになると想定をされておりますか。
  46. 花岡圭三

    花岡政府委員 六十二年度、六十三年度の臨時の額は、いわゆる財対臨時を除きまして各年度分として額が確定しているものは六十二年度分が六百八十九億円、六十三年度分が六百二十四億円でございます。これらの取り扱いは未定ではございますが、仮にこれらも六十六年度以降に送られると仮定いたしまして御指摘数字に加算いたしますと、合計額は七千五百六十五億円となります。六十一年度までの臨特等で六十六年度以降に送られたもの、これが六千二百五十二億円でございますが、そのうち六十年度及び六十一年度の地財対策におきまして暫定加算する旨大蔵、自治両省で約束されているもの、これは六十年度分で一千億円、六十一年度分で二千四百四十億円でございまして、これにつきましては当面加算の約束になっておりますけれども、なお両省で調整の余地があるというものでございます。  それ以外のものにつきましては法律で六十六年度以降の交付税総額に加算するということになっておるものでございますので、この千億円あるいは二千四百四十億円という数字を含んでおりますところが若干考え方が違うものが入っておるということでございます。
  47. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、この金額は六十六年度以降必ず返してもらえるという保証はあるのでありますか。
  48. 花岡圭三

    花岡政府委員 これは法律に明定をいたしまして返してもらうことになっておるものでございます。  先ほど申し上げましたいわゆる暫定的に加算しておるもの、一千億円と二千四百四十億円、これにつきましては今後暫定期間終了後に話し合いをすることになっておるものがございます。
  49. 岡田正勝

    岡田(正)委員 さきに述べましたように、政府の今の緊縮財政路線では六十五年度赤字国債発行ゼロという「増税なき財政再建」の達成は不可能であると私は考えております。政府財政再建が失敗に帰した場合でも六十六年度から返却は可能であると考えてよろしいのでしようか。これは大蔵省からもお答えください。
  50. 花岡圭三

    花岡政府委員 六十一年度におきます財対臨特等相当額につきましては六十六年度以降の交付税総額に加算するということになっておりますが、これはその旨を法律に規定をいたしまして御審議をお願いするところでございます。したがいまして、国の財政状況いかんにかかわらず法律の定めるところによりまして交付税総額に加算されるものであると考えております。
  51. 田波耕治

    ○田波説明員 今財政局長からお答えございましたように、いわゆる六十一年度までに金額が確定しておりますところのいわゆる既往臨時相当額につきましては、現在御審議をお願いしております交付税法において所要の手当てをしておるところでございますので、その法律の規定に従って適切に対処してまいりたいと思います。
  52. 岡田正勝

    岡田(正)委員 これと関連をいたしまして、これら地域特例臨時などの本来その年度交付税に加算すべき交付金は無利子でそのまま六十六年度以降に加算することになっています。  これに対して、厚生年金の国庫負担の繰り延べ措置はすべて利子つきであります。地方の六十六年度以降に先送りされている分についても利子つきを検討すべきではなかったのでありましょうか。
  53. 花岡圭三

    花岡政府委員 これは五十九年度地方財政対策の見直しの際に、交付税特会における新たな借入金措置は原則として行わないということにして毎年度交付税総額について特例措置を講ずることとされたわけでございますが、これによりまして特例加算した金額は後年度において精算することが原則となっております。特別のものにつきましては精算しないでもいいというものがあるわけでございますけれども、原則として特例加算分については将来精算をする、これについては利子をつけないということになったわけでございますので、それとのバランス上後年度に送ったものについても利子を付さないということになっておるものでございます。
  54. 岡田正勝

    岡田(正)委員 これも予定外になりますが、利子つきでないことが正しいと思われますか。言いにくいですか。
  55. 花岡圭三

    花岡政府委員 それはそれぞれの対策を講じますときの内容にもよるわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、五十九年度におきまして地方財政対策の見直しをいたしました。この際に特例加算をした分については将来利子を付さなくてもいいという形になったわけでございますが、逆の場合もあるわけでございまして、そこの決め方の問題だと思います。時によっては利子は必ずつけなければならぬものもあるかと思いますが、今の見直しによりましてはそういうバランス上その措置をとったわけでございます。
  56. 岡田正勝

    岡田(正)委員 六十六年度から償還することになっています交付税特別会計の借り入れ分五兆六千九百四十一億円については毎年利子相当分、六十一年度の場合でいいますと三千五百四十七億円が地方交付税から減額をされております。それとの見合いからも利子つきとすべきではないかと私は思うのでありますが、いかがですか。
  57. 花岡圭三

    花岡政府委員 利子の先ほどの点につきましては、さきにお答えしたとおりでございますけれども、この五兆六千九百四十一億円について利子が付されている。これはかって特別会計から借り入れをしたものでございまして、これは利子つきで借りておったわけでございます。これを五十九年度におきまして国と地方とに分割、整理をいたしました。元本の分割、整理に応じまして利子を持つ。当時から利子のついたものを借りておったわけでございますので、これとのバランスというよりはそれぞれ別個の性格を持っておるものと御理解願いたいと存じます。
  58. 岡田正勝

    岡田(正)委員 理解をしました。私は昨年も指摘をいたしましたように、交付税特別会計の借入金の償還を六十六年度以降に先送りしたことによって毎年三千五百億円前後の利子相当分を地方交付税から減額されるのは大変むだなことではないか。この措置によって交付税から減額されている額は五十九年度から六十五年度まで計算をしますと合計二兆四千億円強という膨大な額に上ることになります。地方財政が国の財政に比べて全体として余裕があるとするならば、交付税特会借入金の償還を六十六年度以降とすることにこだわらず、その償還を早くから始めて元本をできるだけ減らすことによって利子負担を軽減すべきではないのかなと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  59. 花岡圭三

    花岡政府委員 昭和六十年度及び六十一年度におきまして国庫補助負担率の引き下げが行われたわけでございますが、これが行われない前提では収支が均衡することになっておったわけでございます。その原因といいますのも、主として交付税特会借入金の償還が六十六年度以降に送られているということによるものでございまして、その意味では地方財政にゆとりがあるわけではないわけでございます。この借入金をできるだけ早く返したいというのは私どもも常に考えておるところでございまして、六十一年度におきましても、六十年度の早い時期から六十一年度の見通しというものを立てる時期におきましていろいろ計算をしておりました。年度後半におきまして景気がだんだんと下降してまいりましたために当時試算しておりました収入がだんだんと減ってまいりました。そういう試算をいたしました時期におきましては、かなり地方の財政がよくなりはしないか、そういう場合にはこの借入金の償還に充て得るものができるのじゃなかろうかというふうなことも検討しておったわけでございますが、結果におきましては国税の方も四千五十億円税収の減になった。地方税は全体としては計画額の確保という程度におさまってきたわけでございまして、そういう見通しから六十一年度地方財政計画ができたわけでございまして、御承知のように地方単独事業を三・七%伸ばすのが精いっぱいというふうな計画になったわけでございまして、そういうところで収支が均衡いたしましたためにこの交付税特会の借入金の償還というところまでは、これは議論にも至らなかった状況でございます。
  60. 岡田正勝

    岡田(正)委員 このことについては今後もぜひ御検討いただきたいと思います。  次に、国の財政状況考えますと、今回の補助率カットに引き続いて地方交付税率の引き下げが論議されるんじゃないかなということを懸念をしておるんでありますが、自治省といたしましてはどういう見通しをお持ちでしようか。
  61. 花岡圭三

    花岡政府委員 交付税率は国と地方との間の最も基本的な財源配分に係る問題でございまして、国、地方の事務配分、経費負担区分、地方税制等のあり方、こういったものを総合的に勘案して慎重に検討されなければならないものでございます。現在の地方財政は、申し上げるまでもなく六十一年度末におきまして巨額の借入金を抱えております。また一個々の地方団体の公債費負担も相当な額に上っておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、地方交付税につきましては国税三税の三二%という法定額では不足するために、毎年度特例措置を講じながら所要額の確保を図っておるというのが現状でございます。したがいまして、交付税率を引き下げるような状況には決してないというふうに考えております。
  62. 岡田正勝

    岡田(正)委員 これもちょっと大蔵省お尋ねするのは無理かもわかりませんが、ちょっと模範答弁をしてみてください。いや本当に、自治省もそうでしょうが地方自治団体の諸君が非常に真剣に心配をしておるのですよ。私はきのう、補助率の一律カット、こう言うたら、大蔵省の偉い人が、一律ではございません。一律でなかったら大幅かと言ったら、そうです、こう言っておった。その方が聞こえが悪いじゃないか、仕方がありません。なかなか正直な人がおるなと思って感心をしたんでありますが、そういうふうに正直にお答えをいただきたいんでありますが、同じようにひとつやってください。  今の補助率カットというのは三年間やります、六十一、六十二、六十二とやりますよというのに対して、財源手当てというのは六十一年しかはっきりしてない、それもたばこだけ。まさに六十二年はたばこの煙のように消えていく、もう法律にないんですから。これは税調に任せるのや、こういう今までの答弁でございますが、もっと我々が恐ろしがっておるのは、地方交付税を下手すると切り込まれぬかな、やるかもしれぬぞという心配をしておるんでありますが、その間の情報が、ここに御出席の中では一番早く情報がつかまえられる立場にあることからひとつぜひそういう点で何かにおいがあったら、そのにおいが臭いとか臭くないとかという程度でもいいですから聞かせてください。
  63. 田波耕治

    ○田波説明員 私ども立場から国と地方の財政を見た場合、今御質問の中に幾つかございましたけれども一つ財源配分をどうするか、それから補助金あり方交付税というような形で結びつきがあるわけでございます。したがいまして、その交付税あり方というのは、国と地方の間のまさに基本的な財源の配分にかかわる問題でございますから、地方税あるいは地方譲与税、それから今後国と地方の機能分担であるとか費用負担あり方、そういったものを総合的に勘案いたしまして。あわせて国と地方財政状況をも踏まえつつ幅広い見地から検討をしていくべきものだというふうに考えております。
  64. 岡田正勝

    岡田(正)委員 最後の質問にさせていただきます。  最後に、大臣、ちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、私も非常に心配しているのは、今の地方交付税率をひょっとしてなたを切り込まれぬかという心配をしておるのですが、今の御両者の御発言の内容から見てみるとそこまでは心配することは杞憂ではないかという感じがいたしました。これで一安心するのでありますが、さて大臣、現在の地方交付税率の三二%というのは妥当であるというふうにお考えでございましょうか、それでは妥当ではありませんよというふうにお考えでしょうか、最後にお答えをお願いします。
  65. 小沢一郎

    小沢国務大臣 国税三税三二%をもって交付税としているわけでありますけれども、今日の状況では毎年特例加算の処置をしながらやっておるわけでありまして、その意味でいえば必ずしも交付税総額として十分であるとは言えないと思います。しかし、今日の国の財政状況等もこれあり、その点につきましては交付税率をすぐさま引き上げるとかいうことはなかなか言うべくしてできないことであります。今後いろいろ国と地方の役割分担、費用負担あり方等々についていろいろ議論していくと思いますし、また先ほど質問の中にもありましたが、仮に大幅な減税ということになれば所得税、法人税、その分だけ交付税のもとが減ってしまいますので、その意味におきましては今後の課題ではありますけれども交付税率の問題あるいは三税以外の税の費目を、税目を変えるべきかどうか、そういう点についても総合的に判断していかなければならない問題である。そういう意味交付税率、交付税というものは考えていかなければならぬ、そのように理解いたしております。
  66. 岡田正勝

    岡田(正)委員 希望を申し上げておきます。  大蔵省からせっかくお越しでございますので、お帰りになりましたらぜひ竹下大臣にお伝えをいただきたいと思いますが、先般来の連合審査状況を聞いておりましても、どうも大蔵省の中に、地方財源に余裕があるよ、そういう考えを持っておるような感じがしてならないのでありますが、地方の県会議員出身の竹下さんでございますから地方財政については特に詳しいと思いますので、ぜひぜひひとつ、余裕があるともし思っておるとするならばそういう観念は取り除いていただきたいし、大蔵省の内部にそういう考え方があるとすれば大臣の力でそれは抑えつけてもらいたいといって岡田が希望しておったということを強く要望しておいていただきたいと思います。  それから、大臣に最後にお願いをしておきますが、私は今のお答えを聞いて一応の安心はしたのでありますけれども、これからますます地方財政に対する風当たりは強くなってくると私は考えておるのであります。こういうときに、同じ派から大蔵大臣を出しておられてまさに兄弟分のような立場にある大臣でございます。しかも中曽根総理からも格別の信任が厚い方というふうに我々は承っておりますので、ひとつぜひ竹下大蔵大臣と中曽根総理に対して、地方に財政のゆとりがあるなどというようなことはうそっぱちだよ、そんなことを思って私の立場を弱めるようなことだけはしてくれるなということを大臣からも強く要請をしていただくようお願いをいたしまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  67. 福島譲二

    福島委員長 宮地正介君。
  68. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは警察庁関係の方々が正午から重要な会議があるということでございますので、先に警察庁関係から御質問をさせていただきたいと考えております。  先ほど来もお話が出たと思いますが、いよいよ五月を迎えるに当たりまして国際的に重要な行事でございますところの東京サミット、あるいは四月二十九日の天皇在位六十周年記念式典、またイギリスの皇太子等、大変要人がこの四月から五月にかけましてやってくるわけでございます。これに対しまして特に過激派のゲリラ事件というものが大変に前ぶれ的に、過日も皇居あるいはアメリカ大使館等に行われてまいりました。そういう事件を見ておりますと、特に新手の大変に物騒な爆弾の使用が行われてまいりまして、特に武器開発の技術あるいは無線の盗聴技術のレベル、こういうものが非常に高度化してきている状況でございます。また東京周辺、特に埼玉、千葉、神奈川、こうした首都圏の盗難車を利用してのゲリラ活動もいまだかつてなく大変に多様化してきているし、中身も非常に高度化してきているわけでございまして、こうした対策については既に警察庁も取り組んでいると思いますが、具体的にどのように現在対応を考えられて対策を講じておられるのか伺いたいと思います。
  69. 三島健二郎

    ○三島政府委員 ただいま御指摘ございましたように、極左暴力集団各派は今回の東京サミット、それからその直前に行われます天皇陛下の御在位六十年記念式典を一体のものととらえまして、これを絶対爆砕ということを言っているわけであります。そして、彼らとしてはこのテーマを本年最大の闘争課題として取り組むということで、早い時点から激しい反対の姿勢を示してきておったところでございます。  そういう点から、警察といたしましても、今回のサミットにつきましては前回のサミットのときを上回る激しい反対闘争、ゲリラ等が発生するというふうに考えておったところであります。前段の段階におきまして、御指摘のとおり三月二十五日に半蔵門あるいはアメリカ大使館に対しまする、これは火炎物でありますが、発射事件がございましたし、あるいは三月三十一日に、これは迎賓館の裏に、金属の固まりでございますが、それを打ち込むといったふうなゲリラもあったわけであります。そういう大変厳しい情勢下にあるということを踏まえまして前段警備に全力を挙げてきておったわけでありますが、このようなゲリラ事件の発生とともにさらに警備態勢を強化いたしまして、現在全力を挙げてその警備に当たっているという状況でございます。と同時に、その警備には当然のことながら全国警察の総合力を挙げて当たるという姿勢でもってやってまいっているところでございます。ただ、ごらんのように相当厳しい検問あるいは職質、交通規制等を行っておりますので、国民の皆様に大変御迷惑がかかる事態でございます。しかし、何といいましてもこのようなゲリラを防ぐためにはどうしてもそのような警備活動を行うことが必要でございますので、国民の方々の御協力を得ながら警備の万全を期してまいりたいと思っているところでございます。  それからまた、このようなゲリラを防ぎます対策といたしましては、このゲリラを行います極左暴力集団の動向を把握する、そしてゲリラを行っておりますいわゆる非公然組織といっておりますが、そういう非公然軍事要員の発見あるいはアジトあるいは武器をつくるような工場の発見に努力をしてまいっておりますし、また盗難車等の、これはまあゲリラに使うものでありますが、その発見にも努力をしてきております。そして少なくともそういう違法行為を発見したからには徹底して検挙するという姿勢で現在まで来ているところであります。  その結果、例えば昨年でも全体で九百七十人の極左を検挙いたしておりますし、本年に入りましてからも百名の検挙をいたしております。そして、その中には去年の十二月二十三日にゲリラを現場で三人捕まえたケースもございますし、あるいは先ほどの三月三十一日の迎賓館へ向けてのゲリラの場合も容疑者を一名現場で検挙いたしております。あるいはまた、彼らの飛び道具の中で一番大きなものであります、また長距離を飛びます去年の四月十二日の発射弾に関しまして二名の犯人を割り出して現在指名手配をして、早期に検挙すべく努力をいたしておるところであります。また、アジトにつきましても、去年八カ所ことし三カ所、そのゲリラの拠点となるべきものを摘発いたしております。それからまた盗難車につきましても、御予算をお認めいただきましてコンピューターを使ったところの各種の照会システムを駆使いたしましてその発見に努力をいたしておるところであります。  そのような極左の動向の把握及び捜査の徹底を期しまして、今後ともゲリラの防止に努めてまいりたい、かように思っております。
  70. 宮地正介

    ○宮地委員 特に警備の問題については大変に御労苦をいただいておりまして、私たちとしても大変敬意を表しているわけでございますが、やはり今まではどちらかといいますと拠点警備的な色彩が非常に強かったと思うのですね。しかし今回のいろんなゲリラの活動の内容を見ておりますと、やはり首都圏の広域的な警備というものをさらに強めていく必要があるんではないか。そういう意味ではやはり警備態勢の見直しといいますか戦略の組みかえといいますか、こういうものも当然必要になってくるんではないか。この点についてはそうした研究、検討をされておるのか、伺いたいと思います。
  71. 三島健二郎

    ○三島政府委員 昨年から大変ゲリラのやり方、質が変わってまいっておりまして、先ほど御紹介申し上げました去年の四月十二日の発射弾につきましては約千メートル近い距離を飛ぶ発射弾であるということであります。したがいまして、その後の警備につきましては従来の警備考え方を相当変えまして、そのような飛び道具に対応するための警備ということでずっと研究、検討を続けてまいったわけであります。そして今回の東京サミット並びに六十年記念式典の警備におきましても、むしろ点の警備というよりも面の警備という形でもって、重要な防護しなければならない対象周辺を幅広く面としての警備をしていくという態勢でもって、現在新しい態勢での警備を進めているということでございます。
  72. 宮地正介

    ○宮地委員 さらに、今回特に貴賓、お客様といいますか、そうした要人に対して、ヘリコプターを三機新規購入をされましてその送り迎えをされる、こういうふうに伺っておりますが、この予算あるいはこれに対する利用の仕方、また東京サミットなど重要行事の終わった後の後利用といいますか、そうした問題についてはどういうふうに検討されておるのか、伺いたいと思います。
  73. 大岩武

    ○大岩説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のフランスから買いましたヘレコプター二機の購入の経費でございますけれども、各国から来ます首脳等の送迎用としてこれを導入するわけでございますけれども、その購入価格は附属部品を含めまして約四十八億円となっております。予算につきましては、六十年度の予備費でこれを充てたところでございます。  また、使い方につきましては、サミットが終わりました後は国賓等の輸送が恒常的に見込まれておりますので、これに引き続き充てることといたしております。  その際、管理運用するところでございますけれども、私ども総理府はなかなかそういう機能も持ち合わせておりませんので、これは自衛隊にその管理能力等がございますので所属をさせることとしております。  なお自衛隊がやりますに当たりましては自衛隊法の改正等が必要だ、こういうことで自衛隊に国賓等の輸送能力を付与するという条項をつけ加えるよう、今国会に自衛隊法の改正を提出しておるところでございます。
  74. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしますと、このヘリ三機は今後は自衛隊法を改正しますと自衛隊の管理運用、こういうふうになるわけですか。
  75. 大岩武

    ○大岩説明員 御説明いたします。  自衛隊法が改正いたしませんとこれはそのままになりますけれども、自衛隊法の改正が成立いたしますればこれは自衛隊に引き継ぐことになります。自衛隊に引き継いだ後もこれは防衛目的ということではなくて、現在も考えておりますように国公賓の輸送等を主として行うために自衛隊にこれを権限を付与する、こういうことで考えております。  それから、その他につきましても、災害時だとかそれから救難のときとか、そういうものにも使えるのではないかと今検討を進めておるところでございます。今後の活用につきましては、また関係筋と十分協議しながら決定していきたいと思っております。
  76. 宮地正介

    ○宮地委員 現在は実際には総理府の方に自衛隊の職員をいわゆる出向という形で今回の東京サミットは利用するわけですね。それで今後については、自衛隊法が改正されれば自衛隊の管理運用、所属になる。しかし、自衛隊のそうした防衛的な使用目的ではなくして災害とか消防とかあるいは警察とか、こうした国民のいわゆる生活防衛、そういう面にも多岐にわたって使用ができる、こういう余地をきちっと残しているわけですね。
  77. 大岩武

    ○大岩説明員 御説明いたします。  私どもとしましては、警察や消防、そういう直接のものではなかなかそこに置くことも難しゅうございますが、防衛庁が持っておりますので、先ほど申し上げましたように国公賓の輸送あるいは要人の輸送、それから災害時に例えば視察について状況を把握するとかあるいは実際の行動とか、そういうことにしたいと思っております。ですから警察警備とか、それから消防のための、例えはよく消防でもありますけれども何か水を運ぶとかそういうことでは、ちょっとただいまのところはそこまでは考えておりません。
  78. 宮地正介

    ○宮地委員 ともかく国民の貴重な税金によって賄っているわけでございますので、どうか今後二の三機の四十八億円にわたるヘリコプターの後の利用についてもぜひ国民の合意を得るような形で万全を期して対応していただきたい、このように希望しておきます。  さらに、警察庁関係に少しお伺いをしておきたいと思いますが、最近低金利時代がやってまいりまして、この低金利を利用いたしましていろいろとまた悪徳商法がまかり通ってきている状況でございます。御存じのように、円高を利用した海外先物取引商法、いろいろとこういうワルがはびこりまして、飛鳥が摘発された。また、さきにはあの豊田商事事件、こういうようないろいろな事件が起きてきたわけでございます。  そういう中で、今後非常に心配をされる一つのものといたしまして抵当証券の問題があるわけなのでございますが、まず大蔵に、抵当証券会社がここ数カ月間に非常に多く設立をされている現状を我々は確認しているわけでございますが、その点についてどういうように把握をされているか、御報告をいただきたいと思います。
  79. 坂篤郎

    ○坂説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、抵当証券と申しますのは抵当証券法に基づいて発行される有価証券でございますけれども、法務省からその発行を受けたり、あるいはその発行を受けました抵当証券を譲渡あるいは販売するということにつきましては、いわばだれでも自由にできるということになっているものでございます。  ただ、一般的に言いまして、このような業務を行っている業者というのは、資金需要者、つまりお金を借りる人がまず最初にいるわけでございますけれども、資金需要者に対しまして抵当証券発Jを前提といたしました不動産担保貸し付けを業として行っているということに普通はなるわけでござしまして、その貸し付けを業として行っているという範囲におきまして貸金業規制法の適用を受けるということになりまして、したがいまして貸金業規制法上の登録を必要とするということになっているわけでございます。  私どもはこのような業務を行っている業者の全数については実は把握しておらないわけでございますけれども、例えば大手業者中心とした団体に抵当証券業懇話会というのがございますが、そこに加盟しているメンバーは四十六社、それから法務省所管の社団法人で抵当証券協会というのがありますが、それに加盟しているメンバーは二十八社というふうに聞いておりまして、ほかにもたくさんあるのでございますけれども、私どもが数として確かに知っているというものはこの二つでございます。
  80. 宮地正介

    ○宮地委員 最近こういうチラシが新聞の折り込みとかで各家庭にばらまかれております。具体的には、これはナショナル抵当証券の「”新しい時代”の資産づくり」だ、こういうことになっておるわけですね。裏には「夢が大きくひらきます。高利回り・確定利率・元金保証 少数限定!」「七・六% 二百五十万円 二年間のお受取り額 二百八十八万円」「ドリーム」、夢だ、これは一つの例ですけれども、こういうものが出ているわけですね。  これが出ておりまして、今度は一般の新聞の紙上に別にこういうのが出ておるのですね。これは今度はナショナル証券株式会社という会社が新聞広告を出すわけです。それは     「抵当証券について」   ナショナル証券株式会社および関連会社では、抵当証券の取扱いは現在いたしておりません。  類似社名の抵当証券は弊社と全く関係ありませんので、ここにお知らせ申し上げます。  昭和六十一年四月三日こういうように片方では大変迷惑がって会社が広告を出しておりますね。  私はこの一つの事例を見て非常にぞっとしているのです。それは何かというと、あの豊田商事がああした事件を起こして悲惨な状況になってまいりましたが、あの豊田商事がいろいろとこの悪徳商法をやっているとき、同じように一流会社のブランドを利用してタケノコのようにいろんな会社ができてきたのですね。豊田商事も根を追っていくとトヨタ自動車に発想を持っておるわけですね。同じように大変多くのそうした一流会社の名前に近いような名前を利用してどんどん、どんどん出てくる。そして、もう既にこの問題について「いかがわしい訪問販売にご用心 利殖ブームで注目の抵当証券」、今度はこういう問題が非常に起きてきますぞよと、こういう状況が今徐々に最近のこうした経済の環境の中で起きつつあるわけです。大蔵省におきましてはこの抵当証券法を持っているわけですから、きちっとした法的な運営とともに、がっちりとこうした状況の動きがあるということをきょうは警告しておきますから、ぜひ行政当局としても重大な関心を持っていただきたい。  また、警察の方もどうかこのワル退治について、一つの兆候が既にこうした抵当証券において出ておりますので、警察も特に今回は各県警に生活経済課という新たな機構も設置された状況でございますので、豊田商事事件のああした教訓を生かして、今後さらに悪徳商法が蔓延しないように特にこの抵当証券問題については関心を持ち、ぜひこの監視をしていただきたい、こう考えておりますが、この点についての所見を伺っておきたいと思います。
  81. 新田勇

    ○新田政府委員 御指摘のように抵当証券あるいはそれを扱う業者が最近ふえているということでございまして、私どもで把握しているのは約百社、九十九社ほどあるわけでございますが、この中には実態が必ずしも明らかでないものがあるということを承知しております。また、警察や消費者センターなどへ相談あるいは苦情も幾つか寄せられておりまして、二年肝で四十二件ということと承知いたしております。  もともとこの悪徳商法を営む者は法律どもよく調べておりまして、合法、違反すれすれの商法を行ったり、あるいは証拠を残さないという巧妙な手口を行うわけでございまして、捜査には今まで以上に時間や手数がかかることとなるわけでございます。警察といたしましては、刑罰法令の適用でございますから厳格に解釈をいたさねばならぬと思いますが、被害も大きいというようなことから、各種法令を多角的に運用して取り締まってまいりたいということでございまして、悪質な抵当証券事犯というものも発生いたせば、今後ともこの方針を堅持していく所存でございます。
  82. 宮地正介

    ○宮地委員 この抵当証券の問題については大蔵省あるいは警察庁も今後重大な関心を持ち、監視をし、ワルがはびこらぬようにぜひ予防的措置を講じるように私はきょうの段階は要請をしておきたいと思います。ネズミ講のときもそうでしたし、あるいは豊田商事の問題も私は物特において再三早い時期に警鐘を鳴らしてまいりました。ネズミ講においては幸い超党派で議員立法ができまして、ああした取り締まりに大変貢献できたわけであります。豊田商事においても大山鳴動してネズミ一匹も出ないというようなどうも最後はしりすぼみになっている状況でございまして、こうしたワルというものはやはり事前にできるだけつぶしていくということが大事でありますし、当局のそうしたワルに対する今後の対策、対応を強くお願いをしておきたいと思います。  さて、警察庁にさらにあと一、二問。いずれまた道交法改正のときに審議をさしていただきますが、今回のこの道交法改正の中で一つの大事な問題が駐車に関する規定、もう一つは罰金の引き上げあるいは反則通告制度の範囲拡大、こういろいろ細かいことがあるわけでございますが、そういう中で特に罰金の引き上げのことについて、罰金はおおむね二倍程度、反則金は一・五倍程度引き上げる。ただし、速度超過、駐車禁止違反の反則金の限度額は二・五倍に引き上げる。この罰金の問題についていろんな角度で御検討された御努力に対しては私も敬意を表しているわけでございます。例えば物価とのいわゆる絡みということで、現在の罰金額は最高十万円、三十五年以来引き上げがされていない。反則金においても限度額が一万五千円、昭和四十二年以来据え置かれている。そういう中で昭和四十八年以降の物価上昇が二倍強になっておる、また道路運送車両法の罰金が五十七年に三倍から十倍に引き上げられた、現在十万円から五十万円程度のようであります。そうしたような状況、また、現実に最近の道交法違反をする者にとってどうも違反の抑止上の機能というものをもっと回復しなければいかぬ、抑止効果を高めたい、罰としての感銘力を高める、こういうようないろんな理由によって今回引き上げられるようでございますが、いろいろ私どももこの問題で議論をしてまいりました。いや、この程度じゃまた甘いんじゃないか、あるいは消費者的立場からすると少し引き上げが高いんではないか、いろいろ議論があるわけでございますが、警察庁として今回のこの引き上げ措置についてどのようにお考えになって法案を提出されたのか、その点もう少し中身のところをお聞かせいただければありがたいな、こう思っております。
  83. 八島幸彦

    ○八島政府委員 お答えいたします。  今回、道交法改正の御審議をお願いしております中に、先生指摘のように、罰金につきましてはおおむね二倍、また反則金の限度額につきましては同様におおむね二倍といたしますが、具体的な引き上げ幅は政令で定めることになっております。その額はおおむね五割程度引き上げるということを考えているわけであります。  この引き上げ考え方でございますが、先生指摘のように、道路交通に関するその他の法律、特に道路運送車両法と道交法はいろいろな面で密接な関連がございます。例えば道路運送車両の整備不良車両の運転につきましては道交法で取り締まることになっておりますし、無車検車あるいは無保険車の運行につきましては道交法の点数制度の適用対象になっております。そういうようなことで非常に密接な関連のあります道路運送車両法が先生指摘のように数年前に引き上げられまして、現在大変バランスを失した体系になっております。自由刑は別といたしまして、罰金で申しますと道路運送車両法の最低刑と道路交通法の最高刑が一致しているような状況でございまして、罰則の非常なアンバランスがあるということが一つございます。それから反則金の面にっきましては、先生先ほど指摘のように物価水準等から考えますと著しく低い額になってきているように思います。  その結果、累犯者の数が非常にふえてきておりまして、例えば道交法違反二回以上犯した者が全違反者の一七%ほどおりますけれども、この一七%の違反者が全体の違反件数の七一%の違反を犯しているということでありまして、特定の者が繰り返し繰り返し違反をしている、こういう傾向があらわれてきております。それから、そういう累犯者が起こします交通事故が四十八年と比べますと非常にふえてきておりまして、そういうようなことも考えますと、罰金も反則金も同様に罰としての機能が低下してきているのも一つの原因ではなかろうか、かように考えた次第でございます。  そういうことから、今回罰金、反則金の限度額をそれぞれ二倍程度に引き上げることにいたしたいと思ったわけでございますけれども、ただ、先生も御指摘のように道交法は今や国民の大多数に非常に密接な関係を持ってきている法律でございますので、その改正による影響というのもまた当然多くの人に影響を与えるものでございます。そういうこともございまして、限度額としては反則金につきましても二倍程度にお願いしたいと思っておりますけれども、ただそういう影響等もすべて考えまして、政令で定めます額につきましては五割程度と考えた次第でございます。
  84. 宮地正介

    ○宮地委員 警察関係皆さん会議が十二時から行われるようでございますから、会議に御出席される局長さん以上の方は御退席して結構でございます。  それでは、次に本題に入ってまいりたい、こう思います。特に地方財政の問題と補助金の削減問題について少し議論をしてみたいと思っております。  何といいましても六十年から補助金カットが本格的に行われるようになってまいりました。昭和六十年度においては五千八百億円の補助金一律カット、そしてこの自治大臣大蔵大臣の覚書等によりまして六十年度限り、こういうことでございました。昨年も大蔵委員会で連合審査をいたしまして、当時は大蔵大臣もあるいは自治大臣、厚生大臣、建設大臣等も、六十年度限り、こういうことで国会の審議の中ではお約束をいただいたと思います。ただ、大蔵大臣は、これは六十年度中に権限移譲の問題、地方と国の費用負担の問題を検討する、こういうことになっておるということで、若干含みがありました。私は、大蔵大臣、その含みは、要するに一年限りであるけれども、六十一年度以降も同じような手法が行われる可能性があることを含みの中に残しているのか、こういうことで再三議論をした覚えを持っておるわけでございます。  六十一年度予算編成の中でこれがさらに三カ年の延長、暫定措置、今回は一律カットではございませんが、やはり高率補助金を主体といたしまして相当切り込んでまいりました。五十九年度比較で一兆一千七百億円、こういう削減が行われたわけであります。この一兆一千七百億円がもし切られておらなければ、地方財政計画も非常にバランスのとれた、収支とんとん、こういう大変国民の期待した方向に行ったわけでありますが、国の財政危機ということで一兆一千七百億が切られた。そしてその中で、たばこ消費税引き上げと大衆課税によって二千四百億円が急速穴埋めをされ、残りの九千三百億円がいわゆる建設地方債、こういうことで、地方の自治体も大変に御苦労が重なってきているわけであります。特に、こうした地方の建設地方債というものを毎年多額に発行させていきますと、やはり地方の財政の公債依存率というものが非常に高まってくるわけでありまして、既に地方自治体の約四分の一が二〇%を超えた公債費率にもなっているわけでございます。  私は、確かに国の財政が六十一年度末で百四十四兆円近い公債残高を残す大変な財政危機にある、これは国民皆さんもよくわかると思います。だからといって、この地方に対する財政の負担転嫁という問題について、金額ももちろんでありますけれども、こうしたいわゆる暫定措置というものが、国会の場で、また大臣間でお互い覚書を交わして約束をした、しかし新たな予算編成になるとそれがいとも簡単に不履行にされてしまう。これを国民立場からあるいは地方自治体の立場から見ておりますと、やはり国というものは横暴だな、国は何をやっているんだ、国会における審議大臣間の覚書もこんなに簡単に不履行にされてしまうのか、この疑念といいますか、国に対する、行政に対する、あるいは我々政治に携わる国会に対する不信感、不満というものが募っていく、これが非常に問題ではないか。私はそういう点に大変危惧を感じている一人でございまして、この点について大臣はどういうふうにお考えになっているか、まずお伺いをしておきたい、こう思います。
  85. 小沢一郎

    小沢国務大臣 六十年度予算編成に際しまして、両大臣間で覚書が交わされました。その中には、先生指摘のように、これは一年間の暫定措置とする、そして、六十一年度以降につきましては役割分担、事務事業の見直し等を踏まえて検討するという趣旨のものであったと理解いたしております。その後、昨年一年間検討委員会等の報告を経まして、その考え方に基づきまして今回、社会保障の中において一部事務事業見直しを行いながら予算編成をいたしたと思います。したがいまして、この六十年度予算編成時における大臣間の約束等々につきましては、これを全く不履行、約束違反ということで今年度予算編成がなされたものではないと考えております。  しかしながら、御指摘のように財政事情が大変厳しい状況の中にありますので、どうしても財政が厳しいという面からの議論が現実問題として強く出てくることは否めない事実であろうと思います。検討会の報告におきましても、今後さらに国と地方の役割分担を見直しながら、その中で補助負担率の問題は決めていくべきである、そういう基本的な考え方が示されておりまして、私どもも、単に財政が厳しいから地方負担転嫁する、結果としてそういう形にならないように、今後とも本来の筋道に従ってこの問題につきましては議論を重ね、対処していかなければならない、そのように考えております。
  86. 宮地正介

    ○宮地委員 私は、こうした財政問題について、国民皆さんも国の財政が厳しいということはよく知っていると思うのですね。ですから、言葉は悪いのですが、余り変な小細工をするよりも、大変なときは大変なんだ、こういう覚書をした、しかし現状がこういうことなのでどうしても新たに暫定的に三年を延長して対応しなければならないんだ、そういうことをきちっと事前に地方の団体の責任者にも根回しをするなりしませんと、やはり私は、財政の危機というものと実際にやる事務的な運営、そして国民がそこに見ているわけですね。そういうときに、そうしたものが行政不信あるいは政治不信になっていく方がお金にかえられない大変な財産を失うことになるのではないか、ここを私は非常に心配するわけです。今後ぜひそういうことのないように政府としても対応していただきたい。  例えば、中曽根内閣が掲げておりますところの「増税なき財政再建」の問題につきましても、昭和六十五年度に赤字公債依存体質脱却をする、これはもう不可能な状態にあることは国民も知っているのですね。もう既にこの問題は単なる努力目標になってきている。現実的には形骸化しているわけですね。確かにこの旗をおろすということは大変に内閣としての責任もあるでしようし、内閣としてのいろいろ対応もあるでしょうけれどもいしかし現実問題としては、もうこの六十五年度に赤字公債依存体質脱却というのはどんなすばらしい総理大臣が出てきても不可能であります。であるならば、やはりこの目標に対して、計画に対して、不可能であるならば新たなる見直しの計画を発表する、これも時の内閣として大変大事な決断ではないか、こう思うのです。  そういう点で、きよう大蔵省も来ていると思いますが、このいわゆる昭和六十五年度赤字公債依存体質脱却不可能になった今日、いつまでも努力目標として置いておくのか、ある時期に計画の見直しをして国民の場に新たなる一つ目標を設定すべきではないか、こう私は考えているわけでございますが、きょうは大蔵大臣がいないので大変残念でございますが、この点について大蔵省としてはどのように考えておりますか。
  87. 田谷廣明

    田谷説明員 ただいまお尋ねございました、いわゆる昭和六十五年度に赤字公債依存から脱却するという目標についての問題でございますが、確かに御指摘ございましたように、私どもが国会にお出ししております「財政の中期展望」や仮定計算例でも明らかになっておりますように、現在の財政事情は中期的に見ましても極めて厳しい状況に置かれておりまして、六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという努力目標達成が容易ならざる課題であるということは十分認識いたしております。しかしながら、現在のような財政状況をこのままにしておきますならば、我が国経済の活力自体の弱化を招くという懸念が強うございますし、そうなりますと、物価、雇用といった経済の各方面に悪影響を与えますとともに、国際情勢の変化に適切に対応していくことも難しくなるわけでございます。したがいまして、財政改革推進しまして財政の対応力の回復を図っていくということは現下の最重要課題であり、六十五年度の脱却という財政改革努力目標達成に今後とも全力を尽くしてまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、御指摘ございました新たな財政目標ということが、例えば六十五年度という目標年次を先に延ばすということであるといたしますと、確かにその財政改革の進度というものは緩やかになるわけでございますが、その間一層の特例公債の累増ということを招くことにもなりまして、長期的に見ますと、かえって国民全体にとって負担が大きくなるということも十分考えなければいけない問題ではなかろうかと考えております。したがいまして、繰り返して恐縮でございますが、六十五年度脱却という旗をおろしますと、実際問題として歳出増大の、言葉は適切でないかもしれませんが、圧力が強まりまして、これまで進めてまいりました歳出の節減合理化の努力というものが水泡に帰してしまうという恐れもあるわけでございまして、こういったことから目標を延ばすということは適切でないと考えております。
  88. 宮地正介

    ○宮地委員 事務レベルですから、私はそんなに強くは言いませんが、例えば大蔵省が六十五年の段階において今後の公債の依存率の指標の問題について、既に考え方の中に非常に変更していこうというものがあるわけですね。例えばGNPに対するGDPの比率による新たな指標にするとか、そういうような動きというものは既にもう大蔵省部内にあるわけですね。であるならば、そうした指標についても、もう不可能になった段階であれば、やはり中堅のこれから大きくリーダーになっていく立場皆さん方局長大臣に、これからの二十一世紀を迎える財政においてはもっともっと勇気を持ってやっていくべきではないか、こういう発言が私は欲しいわけなんですけれども、こういう点についてどういうふうにお考えになりますか、率直な御意見を伺いたいと思います。
  89. 田谷廣明

    田谷説明員 御覧間にございましたような、例えば新たな目標として公債の残高のGNP比率等を考えたらどうかというようなことが巷間伝えられているわけでございますが、私ども政府部内の話といたしましては、経済計画にも盛り込まれていますように、昭和六十五年度に特例公債の発行額をゼロにする、いわゆる依存体質から脱却するという点と、それから特例公債、四条公債を含めました公債全体の発行を抑制いたしまして、その額を減らしていくという二つ目標を掲げてございまして、今御提案がございましたような目標に転換するというようなことは少なくとも私どもとしては考えてございません。
  90. 宮地正介

    ○宮地委員 今の点については、私は竹下大蔵大臣と昨年いろいろこの問題で議論いたしまして、六十五年以降になりますとGNP比に変わっていくなというような話はもう既に出ているんです。ですから、会議録などよく見て御研究してください。宿題を与えておきます。  時間がありませんので、私は次に、四月八日に政府が発表いたしましたところの総合経済対策の問題について少しお伺いをしてまいりたいと思っております。  今回の総合経済対策がいわゆる内需拡大目標といたしまして七本の柱からでき上がっているわけでございますが、この総合経済対策でどの程度の内需拡大の効果を考えているのか、まず経済企画庁に伺いたいと思います。
  91. 吉川淳

    ○吉川説明員 お答えいたします。  今回の対策は、先生指摘のように七本の柱ということで考えておりますが、計算に当たりましては、最後の「国際社会への貢献」というのはさしあたり内需と直接関係ございませんので、残りの六本をどのように内需拡大の効果の推計に結びつけていくかということで、この点は総理からこの間の決定の折に私どもに指示がございまして、関係省庁とも相談しながら、実は現時点におきましてもその辺の推計の詰めを行っておるところでございまして、なお一両日の余裕を与えていただければ幸いでございます。
  92. 宮地正介

    ○宮地委員 要するに内需拡大の中で最も大事な消費需要を喚起していくための減税の柱がこの中に入ってないんですね。この点についてはどういう理由で入れなかったのでしょうか。
  93. 吉川淳

    ○吉川説明員 内需拡大の問題といいますのは昨年来の課題でございまして、私ども去年の秋にも内需拡大策を取りまとめまして発表いたしまして、しかもまだ年末におきましても予算税制改正の関連におきまして内需拡大策をまとめてございます。その延長上ということで再びまた今回取りまとめたわけでございますけれども、この間の議論を通じまして、税制につきましては前回の予算税制改正の折に、本年度税制改正において取り込まれました内需拡大関係いたします税制改正、例えば住宅減税等ございますけれども、そういうものを今年度の内需拡大策として位置づけておるところでございます。したがいまして、いわゆる所得減税等につきましては、目下税制調査会で御審議中でございますので、その結果を見守りたいと思っておるわけでございます。
  94. 宮地正介

    ○宮地委員 今回の円高によるデフレ現象あるいは原油の低落、こういうものによっての経済の環境の変化。こういうことで本当に国際的に、内需拡大によって今までの日本の輸出志向型の経済から内需拡大型の経済に変革をしていくという強い決意と意思があれば、その魂的な、中心的な柱はやはり所得税減税、こういうもののいわゆる減税政策というものをやはりこの柱の中に盛り込んでいく、これは私は経済一つの流れからして当然のことであろうと思います。  また、今回この公共事業投資に対しましても前年にない七七・二%を超える前倒しをやる、これだけではやはりしり切れトンボになってしまうわけでございまして、例えば建設国債を財源としてこの秋には思い切った大型補正を組んで公共事業を拡大していく、こういうような思い切った措置というものが入ってこの内需拡大の即効性というものが生かされてくるのではないか。何か今までの六十一年度予算の中に出てきたそれを集大成してただ整理しただけ、こんな感じなんですね。これでは本当の意味の内需拡大の総合経済対策とは言えないと私は思うのです。  この点については大蔵省に伺った方が早いと思いますが、今申し上げたような所得税減税あるいは建設国債を財源としたところの大型補正をこの秋に組んで対応しようという、そういう意思は大蔵省の内部にはないのかどうなのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  95. 田谷廣明

    田谷説明員 大型補正を考えてないかという御質問でございますが、こういった追加補正の問題につきましては、まずその前提といたしまして経済の現状あるいは今後の推移というものをどう見ているかという点が問題になるわけでございますが、私どもといたしましては、現在我が国の経済は物価の安定が続きます中で設備投資が総じて着実に増加するなど全体として景気は緩やかな拡大を続けているのではなかろうか、また、今後につきましても円高の定着に伴います実質所得の増大による内需の拡大効果でございますとかあるいは昨年の二度にわたります内需拡大策、今回の四月八日に決定を見ました総合経済対策といったようなものの効果あるいは公定歩合引き下げの効果等が今後本格的にあらわれてくるのではなかろうかというふうに考えております。また、原油価格の低下の効果といったようなものも期待できますことから、今後とも内需が堅調に推移するのではなかろうかと見込んでおりまして、そういう意味におきまして六十一年度におきましては内需を中心としたインフレなき安定的成長というものが持続するのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、御指摘のような施策を講じていかなければいけないというような経済情勢ではないのではなかろうかというのが第一点でございます。  それから六十一年度予算におきましても、厳しい財政事情の中ではございますが、先ほども御答弁申し上げましたが、一般公共事業の事業費につきまして民間資金あるいは財政投融資の活用といったような種々の工夫を凝らしまして、前年度の伸び率の三・七を上回ります四・三%の伸び率といったようなものを確保いたしておりまして、そういう意味で、私どもといたしましても内需拡大に十分に配慮しているところでございまして、今後ともそういったことに力点を置きましてまいりますれば御指摘のような施策を講じなくても済むのではないかというふうに考えておるところでございます。
  96. 宮地正介

    ○宮地委員 さらにこの総合政策一つ一ついろいろ見させていただきますと、電力、ガス業界における円高差益や原油値下がり益についてはやはり消費者に速やかに還元するとともに、原油のいわゆる価格の推移というものをよく見て、特に電力、ガスの原油価格の洗い直し、これをやはり進めていかなくてはならないのではないか。特に長期的安定化を配慮した料金制度の見直し、これを早急にやるべきではないか。  先日も私は月曜日に総理にこの点についていろいろ伺いましたけれども、原油のスポットが一番高いときは一バレル四十ドル、それから二十八ドル、そして十五ドル、十ドル、こうだんだん落ちてきているわけですね。しかし、電力料金やガス料金のコストを決めたときの価格というものは三十四ドルのときもありました、あるいは二十八ドルのときもありました。そういう点を見てみますと、六月一日に料金を引き下げて今後一兆円程度吐き出させるというのですが、まず、遅過ぎる、もっともっとスピーディーに消費者に還元をしていく、さらに、この一兆円という額も少し甘過ぎるのじゃないか、もっと吐き出すことのできる金額があるのではないか、こういうふうにも私は考えているわけでございます。  きょう通産省、来ていると思いますが、この点についての原油の価格の洗い直し、あるいはヨーロッパあたりは御存じのように料金体系が原油の価格が下がりますとガソリンの小売価格が連動して自動的に下がる仕組みになっているわけですね。日本の場合はヨーロッパと比べましてそれがなかなか連動しない。これはどこに原因があるか。こういう点について通産省、御説明いただきたいのです。
  97. 川田洋輝

    ○川田説明員 公益事業部の業務課長でございます。電気料金の担当でございますので電気にっきまして御説明をさせていただきます。  先生指摘のように、現在のところでは総合経済対策の中で、最近の円高及び原油価格低下に伴って発生いたします差益について需要家に暫定的な料金引き下げ等の形で還元するということで、六月から実施を目指してやるということで今鋭意検討を進めておるところでございます。具体的には今、電気事業審議会の料金制度部会などで具体的方法などを検討させていただいておるところでございまして、今回の差益についてはそういう形で対応してまいりたいと思います。  先生のただいまのお話の中には、そのほか今後の見直しの話も含まれておったと思いますが、現在考えておりますのは、六十一年度の応急的、暫定的な措置でとにかく早くやることだということで作業を進めているわけでございますが、六十二年度以降につきましては先般、電力・ガス差益問題懇談会というものの報告の中でも、今後の為替レートあるいは原油価格の動向を見きわめて適切に対処すべきであるという御指摘を受けておりまして、そういう方向で考えてまいりたいというふうに思っております。  それからもう一つ、我が国のような燃料を輸入に依存している国の電気料金みたいなものにつきましては、為替レートの動きや原油価格の動きがあった場合にそれがスムーズに自動的にその価格に反映される仕組みというものについてもお話がございましたが、この点につきましては昭和五十三年度に実は非常に似たようなことが、これは円高でございましたが生じたときに、電気事業審議会の中でいろんな論議が行われておりますが、必ずしもびたっとこれでいいという方法が見当たらないのではないかという結論が出ておりまして、ケース・バイ・ケースの処理にならざるを得ないということには相なっておるところでございますが、将来に向かっての一つ検討課題ではないかというふうには思います。
  98. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 宮地委員指摘の石油製品とガソリンの問題でございますが、石油製品の場合には円高あるいは原油価格の低下が基本的に市場メカニズムを通して消費者に還元されていくということでございまして、現にそういう方向に動いておると理解しているわけでございます。原油価格につきましては、産油国の積み渡しベースの時点から石油産業のコストに反映いたしますのが今大体五カ月半ぐらいかかっております。したがいまして、原油価格の低下は一月末にスポット市場が大変荒れてきたわけでございますが、六月ごろから石油産業のコストダウンになってあらわれてくると思っております。したがって、ただいま三月積み渡しベースではまだ二十三・三二ドルというCIFベースの状況になっております。少しずつあらわれてくると思います。  それから円高でございますが、昨年の十月以降から円高が始まったわけでございますが、ちょうど備蓄在庫が三カ月ございますので、一月ごろから石油産業のコストの中に円高の効果があらわれてきているということで価格も低下しているわけでございます。  実際の価格の状況を見ますと、ガソリン、灯油という市況製品を見ますと、ガソリンは五十九年の下期に百四十五円だったものが六十年の円高が始まる前に既に百三十八円に小売ベースがおりておりまして、非常に円安の中で価格低下が行われたという状況でございました。その後、一月以降は円高効果が少しあらわれまして、三月時点では百三十二円という状況でございます。現在もなお輸入自由化も相まちまして軟化傾向にございます。灯油は五十九年の下期が七十七円でございましたが、六十年の九月段階、冬の需要期の初めに七十五円程度に下がっておりまして、六十一年二月の灯油の最需要期におきまして六十六円三十銭というのが調査の結果出ておりまして、この厳寒の中で大変に市況は弱含み、そして低下傾向にございました。私どもは、こういうメカニズムを通して消費者に還元しつつあると理解しているわけでございます。
  99. 宮地正介

    ○宮地委員 特に原価の洗い直しをぜひ積極的に進めてもらいたいと私は思っております。また、今回のこうした円高によりまして、新潟の燕市の洋食器など特に輸出産業の中でも産地対策、これが私は非常に大事な問題であろうと思いますが、既にこの問題については中小企業庁も取り組んでおると思いますが、現段階においてその対策、また効果といいますか、そういうものが出てきているのかどうか、この辺についてお伺いをしておきたいと思います。
  100. 長田英機

    ○長田説明員 先生がおっしゃいましたように、中小企業庁としましては昨年秋の円高以来、中小企業に対してどういう影響を与えるか非常に重大な問題と考えておりまして、適時適切な措置を講じなければいけないということで対処してきたわけでございます。  具体的には昨年の暮れから特別融資制度を設け、さらに本年に入りまして二月二十五日から、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法という法律を通して、公布、施行してきたわけでございます。この法律の実施状況も適時実施されてきておりまして、その上、下請の関係につきまして通産省に本部を設けるなりしてやってきております。  このようにいろいろな対策を講じてきまして、さらに今回の総合経済対策で産地対策につきましてもよりきめ細かい対策をやっていこう。それからさらに、成立しました予算に基づきまして補助金も交付できる状況にもなっております。そのようなことで二月二十五日の法律は着実に実施されてきておりまして、さらにこれからよりきめ細かい対策が講ぜられていくという状況でございまして、このような方法によって、いろいろな施策を駆使することによって万全を期していきたい、このように考えているわけでございます。
  101. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣政府閣僚の一人といたしましてこの総合経済対策の問題について総括的に最後に一言御質問するわけでございますが、やはり今回のこの総合経済対策を見て私たち率直に感じますことは、余り即効性がない中身になっているな、今本当に我が国が抱えているところの新たな経済政策の転換、先ほどから申し上げているような、今までの輸出志向型の経済から内需拡大型の経済へ転換をしていく一番重要なときの経済対策であろう、ここのところでやはり思い切った対応をしていきませんと、今までも口では、輸出志向型の経済を内需拡大型の経済に変えて貿易摩擦を解消するんだ、また国際協調の中の経済に変えていくんだと今までも何年も言ってきたわけですね。しかし、現実的には本年度も五百億ドルぐらい貿易の収支のバランスが崩れる、場合によっては八百億ドルになるのではないか、こんな状況にあるわけです。  そういうことを考えたとき、今回のこの七つの政策でそうした対策が講じられるかというと、私はやはり疑問だと思うのです。そういう点で、どうせこれからのこうした内需拡大型の総合経済対策を打ち出すのなら、やはりそれなりのきちっとした柱を、やはり大事な柱は見落としてはならない。減税問題については六十二年度税制改正からやる。これはいろいろ議論されておりますけれども、何か逃げ場になってしまっているんですね。それはそれだ。しかし、これからの内需拡大をやっていくためには思い切った所得税減税あるいは法人税減税、住民税減税もやっていきますよ、こういう需要喚起の一番の、内需喚起の六割は消費ですから、そこに火をつけるためのダイナマイトの対策というものも出さなければならない。あるいは今回の原油低落問題においても一兆円のはき出しとか牛肉バザールだとか、中曽根総理、格好のいいアドバルーン的な言葉をたくさん出していますけれども、そんなもので国民は納得しないと思うのですよ。本当に原油の原価の洗い直しをして、本当に消費者に還元されるのは一兆円なのかどうかもやはり私は精査する必要があろうと思う。  また、公共事業の投資の中で日本の国が一番やらなければならないのは何といいましても住宅問題ですよ。世界の国々、どこを回ったって日本はやはりウサギ小屋ですよ。日本人にマイホームの夢を与えていく住宅対策をがしっと柱にして公共事業の対策をやっていく。七七・二%の前倒し結構ですよ。それじゃ、その後についてしり切れトンボにならないために夏から秋にかけてはどうするんだ、当然これは大型の補正予算を組んで財源的にも建設国債を使うなら使うとか、そこに私は政治としての決断が求められるのであって、今中堅の大蔵省皆さんお話を聞いてきまして、これはごもっともです。しかし、私は閣僚の大臣として同じような答弁では許されないと思います。どうせこれからのそういう重要な経済転換をやるんだったら、それなりの思い切った勇気ある決断をした政策、対策というものを国民に示すべきではないかと思っているのですが、大臣としての所見を伺っておきたいと思います。
  102. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この経済対策につきましては、現時点での、現制度の仕組みの中で最大限努力してやっていくというものをまとめたものであろうと思います。したがいまして、先生の御指摘、御発想、お考え方からすれば、その意味ではもう一歩踏み込みが足りないというお考えを持たれる点は私も理解をするところがあるわけでございますけれども、御指摘のように例えばきちんとした原油価格等とか輸入価格の洗い直しとかそういう点につきましては、現在の仕組みの中でも努力してやればできる面もなお余地があるわけでございますのて、そういう意味におきましては今後厳に対応していかなければならないと考えております。  そのほかの、先生の御指摘の思い切ったあるいは現段階での枠にとらわれずにもっと踏み込んで句点がお挙げになられましたが、その点について考えていくべきではないかということにつきましては私もそのような考え方に共感を覚える点、多々あるわけでございますが、今後ともその点を念頭に置きながら閣内の一人といたしまして努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  103. 宮地正介

    ○宮地委員 これでお昼休みの時間三十分超過いたしまして、皆さんもおなかがすいたでありましょうし、限られた時間が五分まだありますが、きょうはこれで終わらせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
  104. 福島譲二

    福島委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  105. 福島譲二

    福島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤万吉君。
  106. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 過般、連合審査交付税にかかわる問題、特に国の補助金の引き下げによる日本の国と地方との行政の分担あるいは財政秩序のあり方大臣お聞きになっていらっしゃったと思うのでありますが、今回の場合、私はこの視点を実は大変重視をしているのであります。  あの際にも申し上げましたが、今までは地方団体財源不足の積み重ねの中で地方財源が不足をする、それをどう補てんするかという視点、今回の場合には国の補助率の引き下げによる地方財源不足、この形態というのが従来のものとは全く違うということが第一点であります。したがいまして、これに対する財源不足を補う諸政策も従来の方式とは当然異なるべきではないかという話を申し上げました。しかし、結果的には、起債の問題一つ取り上げてみましても、従来の二分の一ずつの国と地方との分担割合が今回の場合には二対八になるという、いわば地方財源不足を手当てする措置がむしろ後退しているというような現実、したがって、そういう幾つかの要因を挙げてみますと、結果的には、従来の財政秩序が国と地方との財源配分その他をめぐってこの際新しい状況をつくり上げつつあるのではないかというふうに申し上げたわけであります。しかし、総理初め各大臣の御答弁も、いや、これはそういう新たな財政秩序という問題ではありません、国が困っているときは地方も助けてほしい、地方が困っているときには国がこれをまた援助していく、そういう意味での今回の措置ですということでありました。  改めて自治大臣にお聞きいたしますが、今回の国の補助率の引き下げによる財源不足類、そしてこれに伴う諸措置は、この覚書にもありますようにまさに暫定的な措置と見てよろしいのでしようか。
  107. 小沢一郎

    小沢国務大臣 今回の補助負担率については三年間の暫定措置であることはそのとおりであると思っておりますけれども、我々自治省も従来主張しておりましたように、この補助負担率は国と地方の役割のいかんによって決められていくべきであるという考え方に立ちまして、六十一年度予算編成も社会保障の一部について見直しが行われ、その中で補助負担率が決められてきておるわけであります。  この三年間の暫定措置の期間内におきましても、それらの役割分担、事務事業見直し、権限移譲等々を進めながら負担率を考えていくわけでございますから、それが完全に実現していくということになれば、ある意味においては今までと異なった新しい財政秩序がそのときにもたらされるという考え方も成り立つのではないかと私は思います。もちろん、今日の時点においてはそれがまだ十分ではございませんし、国も厳しい、地方もひとつお互いに助け合って、そういう考え方がバックグラウンドにあることは間違いないと思いますが、基本的な考え方、流れとしては前段で申し上げたとおりではないだろうかと思っております。
  108. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そういたしますと、この三年間に社会福祉の負担比率の問題も含めて見直しを行う、その間はあくまでも暫定ではあるが以後においては新しい財政秩序を含めた構想というものがあり得る、こういうことになるのでしようか。
  109. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この三年間の議論からどういう形で個々の負担率について結論が引き出されるかどうかは言えませんけれども、そのような意味において、暫定期間内に種々検討されてその結果の負担率の決定というものが導き出されてくれば、今先生指摘のような考え方といいますかあり方ということになるのではないかと思っております。
  110. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、今大変踏み込んだ御答弁だったと私は思うのです。従来、本暫定案に関する限りは、この措置に関する限りは暫定的な三年間の問題であるという、それから一歩踏み込んで、さらに三年後には負担比率やそれぞれの行政分担区分と申しますか、そういうものまで含めて新たな財政秩序と申しますか国と地方との関係をつくり上げる可能性もこの法案の三年後にはあり得るということは、大変踏み込んだ御答弁だと私は思うのです。  したがって、地方団体にしてみれば、三年間は一応こういう状況地方財政計画ができるにいたしましても、四年目からは新たにそういうものがどういう形で出てくるかということが想定されない限り地方の財政計画を組むことはできないということになります。そういたしますと、この三年の間にそういうものの見直しが行われるわけですか。
  111. 花岡圭三

    花岡政府委員 今回の補助金問題検討会の報告では、今後とも事務事業の見直しをしなければならないということから暫定措置とすることが適当であるということを報告いたしておるわけでございます。そういう意味合いからいたしますと、この六十四年度以降の取り扱いにつきましても、この暫定期間中において国、地方財源配分及び役割分担のあり方等とともに検討を行ってまいらなければならないものと考えております。
  112. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大変大事な答弁だと思います。もしそうだとするならば、従来この補助金問題検討会、去年の覚書によりましてそれぞれの地方団体の意見も聞いてこの見直しを行う等があったわけですから、もしそういう状況が起きるとするならば、当然、地方団体その他の意見も聞いてその上で三年後からはどういう地方と国との役割分担あるいは財政秩序といいますか構造にするかを行う、そういう地方団体の意見を聴取する、あるいはその意見を取り入れる機会が当然あってしかるべきと思いますが、そのように理解してよろしゅうございましょうか。
  113. 花岡圭三

    花岡政府委員 補助負担率の見直しあるいは役割分担の見直しということになりますれば、これは地方六団体とも十分な連絡をとり合いながらやっていかなければならないというふうに考えております。
  114. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 その場合に、この三年間の暫定措置はいずれも切り下げる案ですが、三年後に国の財政状況が大変好転してきた、あるいは好転の方向が見出せるという場合には従来の、去年から引き続いて行われる補助率引き下げという問題と同時に、それを復活する、従来の地方と国との補助率関係も復活するということもあり得るわけですか。
  115. 花岡圭三

    花岡政府委員 補助率のことでございますから、事務事業を見直しいたしまして、国と地方との役割分担が決まりましてこの負担率が決まってくるという点におきましては、理論的にはそういうことがあり得ると思います。  ただ、補助金問題検討会におきまして種々議論されました中の社会保障関係、これが今回の経常経費系統の補助率引き下げの大半を占めておるわけでございますが、このうちおおむね結論を得ました児童福祉あるいは老人福祉等、かなりの部門にわたっておるわけでございます。なお、結論の出なかった生活保護等につきましては議論が残っておるわけでございますけれども、大方のものはそういう点で片がついておる、一応暫定措置とはなっておりますが、そういうことでございます。  ただ、これが将来、三年後に国の財政が好転するかどうかということははっきりわかりませんけれども、少なくとも補助負担率を引き下げる方向だけで議論されるというふうな態度はとってはならないものだと私ども考えております。
  116. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財政局長、意図的に落とされたのかもしれませんけれども、厚生大臣大蔵大臣との覚書の中で、生活保護費については大変問題がありまして、六十一年度は七、三の割合にする、こうしましたが、国の本来担うべき任務という立場からもさらにこれは協議をするということになっているわけですね。したがって、これは協議の結果によってはいわゆる協議の対象としても復活する可能性というのは十分あるわけでしょう。そうしますと、今おっしゃったように、児童福祉であるとかそういうものは一つの決着はついているけれども、決着のつかない一番大きな問題に生活保護費があるんじゃないですか、どうですか。
  117. 花岡圭三

    花岡政府委員 検討会におきましても両論併記となりました生活保護費、この問題につきましては、その後の関係大臣の間でも決着がつかなかったということでございます。これは、今後、この三年間終了した後におきましてはっきりした姿を決めなければならないわけでございますから、この間におきまして関係省庁で話し合いをすることになっております。  もちろん、私どもといたしましては先般の検討会におきましても、生活保護に関しては国が地方に事務を移譲すべき何物もないではないか、またその国の責任というものは一番重いものではないかというふうな考え方でこの十分の八ということを主張したいきさつがございます。今後とも、私どもの態度は変わっておりませんので、そういったことで主張をしてまいりたいと考えております。
  118. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうですね。おっしゃるように、今自治省がとっている立場というものは当然八対二という復活の方向、復活と言ってはおかしいですが、もとに戻すというその論拠を中心にしてその間でも検討、どういう委員会が扱われるかわかりませんけれども、その中でもそういう意見が表明される。もちろん、地方団体からもそういう意見があろうかと思うのですね。そういう問題として四年以降の問題はとらえておきたい、こう思うのです。  さてそこで、この補助率引き下げに伴って幾つか大変矛盾した問題が起きているわけですね。先ほども議論がありましたように、単年度限りの問題が一つあります。例えばたばこ消費税の問題はどうするのですか。あるいは、この三年間を見通した中でも大変難しい問題があります。例えば税制の改正を基本的に六十二年度からは実施をしたいという問題があります。それから、その税制改正の中には、今よく言われておりますが、所得税減税、なかんずく交付税にかかわる問題でいきますと、法人税の上積みされている一・三%、せんだっても税調あたりで議論されて答申があったかのような報道がされておりましたが、一・三%の特別に取っていた分を今度はもとに戻せという意見が出ています。これが減りますと、交付税総額の基礎になる数字でありますから、当然、交付税減額をされます。さらにそれが三年後に続くとすれば、交付税総額の三年間の減額ということは起き得るわけですね。補助金カットは三年です。しかし、単年度で処理する、あるいは単年度で終わるたばこ消費税、あるいは法人税の、国が今度税法改正やりました例の赤字法人の単年度繰越控除の停止の問題、これで六十二年度はいわゆる地方財源としては交付税額は減になります。それに伴いまして、財政局長、細かな数字は今申し上げませんけれども、法人事業税が減になりますね。それから住民税法人税割が減額になりますね。ことしは両方含めて五百何十億ですか、地方財政計画に載っていますが、六十二年度、減になりますね。そして六十三年度には、先ほど言いましたような所得税減税が行われる、法人税減税が行われる、そうしますと、これまた交付税総額見通しとしては、今よりも少なくなることはあっても多くなることはありませんね。  ところが、一方、最小限、一兆一千七百億円だけはとにかく三年間削られることは間違いないんです。一兆一千七百億円という補助率の切り下げによる減額があって、片一方にはそれを補てんすべき交付税総額減額をされる等々が起きますと、私があそこでいろいろ御質問しましたように、どうしても交付税法六条の三の二項に該当するのではないか。今年度でさえ九千三百億円の公債の発行でありますから、それは交付税総額に対する一〇%を超える額であります。同時に、三年間を見てみても、交付税総額が減ることはあってもふえることはないということになれば、六条の三の二項に該当する。  どうなんでしょうね。補助率の見直しを三年後には行います。しかし、片方ではそういう要件というものと一体どう一致をさせるのですか。私は大蔵大臣にいろいろ聞きました。大蔵大臣は、そのことは税制改革をやってみなければわかりません、あるいは交付税総額もどうなるか、今後の見通しについては今架空の数字で物を申し上げるわけにはまいりませんという御答弁でした。それはそうでしよう。しかし、私どもがここで審議をしている過程では、大体想定されるであろう六十二年度、六十三年度、それを見ていけば、今言ったような矛盾とまた片方で起きるであろう新しい課題との矛盾、そこを詰めておかなければ、地方団体としては財政計画が立てられないと思うのですね。どうなんでしょう。これは専門的ですから、財政局長にお聞きしましょう。
  119. 花岡圭三

    花岡政府委員 地方交付税法第六条の三第二項に該当する事態というのは、申し上げるまでもありませんが、著しい財源不足が二年度連続して、また三年度目以降も続く見通してあるという事態でございます。この場合、著しいというのは、財源不足額が普通交付税総額のおおむね一割程度以上になる場合を指すというふうに解釈されておるわけでございます。  それで、先ほど指摘になりましたけれどもたばこ消費税一年限り、交付税の加算も一年限り。ただ、六条の三第二項の計算をいたしますときには、この交付税特例加算部分というのは、普通交付税が分母、いわゆる特例措置が行われる前の普通交付税が分母になってまいりますから、この計算上から除外されるものであるかもしれません。また、国税における法人税の欠損金の繰越控除の適用の一部停止による交付税の減、これは、今の制度から申しますと六十三年度にその影響が出てくるというふうに私ども見ておるわけでございます。  こういうふうなことから見ますと、減の要素は確かにございます。一方、地方税収入あるいはその他の歳入についても伸びもございます。そういったこともあわせ考えますと、六十一年度は確かにこういった六条の三第二項で考えておりますような一割程度以上になる場合ということに該当はしておると思いますけれども、明年度以降の財源不足の見込みというのは現段階では算定が非常に難しいわけでございます。歳入がどの程度伸びてくるのかということが基本にもなってくるわけでございます。そういうことから申しますと、六十二年度も果たしてそういう状況になるのかどうか、この辺は、直ちに六条の三第二項の規定そのものに該当するとは思いませんけれども、確かに非常に巌しい状況が続くであろうことは予想ができるわけでございます。  そういったことも踏まえまして、今後の財源不足の額は明らかになりませんけれども、私どもも、将来の考え方についてどのように持っていくかということは、現段階からは十分考えていかなければならない問題であろうという認識は持っておるところでございます。
  120. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財政局長先ほどの法人の欠損金の繰り越しの、国の税法の改正ですが、六十三年度からの影響ですか。六十一年度の国の税法の改正による収入額が出ているでしよう。六十一年度からじゃないですか。まずそれが第一です。  それからいま一つ。財政局長、今の中身大蔵大臣答弁と同じなんですよ。そういうことは、厳しい状況はわかるけれども、歳入の伸びがどのくらいあるかあるいは将来的にどういう変化が起きるかわからない、したがってと、こういう話なんですね。そこで、私は、そういう御答弁だろう、不確定要素も十分あるわけですから、したがって、六十二年度財源不足が起きたときに、あるいは六十三年度財源不足が起きたときに、それでは地方の財政計画に対する財源的な措置は完全に行われるのですか、こう大蔵大臣質問したのです。それは行います、こう言うのです。それはやります、いわゆる地方に迷惑をかけるようなことはしません、地方が必要なだけの財源措置はします、こう言うのですね。どういう措置があるのでしょうか。例えば六十一年度行っておりますように、財源不足額をそれぞれ起債によって充当する、こういうお考えでしようか。今言ったような見通しの上に立って、財源不足が起きましても地方団体が困らないような措置は国としては考えます、こう言われるのですが、それでは、その考える内容は、財政局長から言わしむればどういう方法がありますか。
  121. 花岡圭三

    花岡政府委員 六十二年度あるいは六十二年度におきまして地方財源に穴があくというふうなことになりますと――六十一年度におきましてはたばこ消費税等で埋めたわけでございます。私ども考え方といたしましては、少なくともこれまで六十年度、六十一年度にとってまいりましたような、いわゆる経常経費に関します不足分、これについては交付団体分の二分の一というものは、最低、いわゆる現金と申しますか、措置をしてもらわなければならないと考えておるところでございますから、これが何で措置をされるかということにつきましては、まだ具体的にどういうものが出てくるかわかりませんけれども、基本的な考え方は、最低限は今までとった措置を下ることのないようにしてもらわなければならないと考えております。
  122. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 二分の一は現ナマで経常経費分については措置をする、結局たばこ消費税の延長じゃないですか。たばこ消費税は一年限りと言っておりますけれども、実際はたばこ消費税の二千四百億円を取り込まなければ現金の手当てはできないということでしょう。どうなんですか。それとも、六十年度、現金で一千億、特例措置で加算されましたわ、そういう方法でもとられるのでしようか。
  123. 花岡圭三

    花岡政府委員 御指摘のどれになるかわかりませんけれども、やはり国庫補助負担率の引き下げということが行われまして、地方団体が国の事情も納得しながらこれに協力していったということには、その財源対策があったということが一つの要素でございます。これが全然なくて地方団体協力せよといいましても、非常に難しい問題でございますから、これは何になるか、どのようなものかはわかりませんけれども措置はしていただくつもりでございます。
  124. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、財政局長は、二分の一、経常経費分については現ナマで何としても措置します、こういうお話ですよね。どうですか、このお約束は、六十二年度予算折衝でも当然起きるわけですから、その際できますか。
  125. 小沢一郎

    小沢国務大臣 たばこ消費税は、いわゆる税制抜本改正の妨げとならないようにということで一年間と区切られておるものであろうと思います。したがいまして、六十二年、たばこ消費税になるのかあるいはほかの財源になるのか、それは今ここで即断はできませんけれども、何らかの形で自主財源として地方団体に与えられるべきものである、そのように考えております。
  126. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 先ほど、国税におきますところの欠損金の繰越控除の特例、これは一部停止でございますが、それに伴って地方税収がどうなるか、この措置がもとへ戻ったときはどうなるんだろうというお話がございました。  御指摘のように、欠損金の繰越控除の停止によりまして、地方税には、法人税割、事業税、合わせまして四百九十二億という影響額で出ております。したがいまして、これが六十二年度は平年度化されますために、増収措置は消えていくわけでございます。廃止されましたときにどれだけ減収を生ずるかということでございますが、これは欠損金の状況がどんなふうになるかということもあります。同様な状況であるとすれば六十一年度増収額に相当する程度の減収は生ずるのではないか、こういう問題がここにはございます。  以上でございます。
  127. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 審議官、私は単純な計算をしてみたのですよ。いわゆる六十一年度の法人事業税、法人住民税の部分から平年度分を差し引いてみたのです。これは単純な計算ですよ。それでも二百三十六億ですね。これは後で計算してみてください。僕の計算は間違いないと思うのです。六十二年度は、単年度で法人住民税、法人事業税が二百三十六億円、単純計算でも落ち込みますよ。同時に、法人税割が今度は三二%あるわけですから、国は二千六百億円予算を組んでいますけれども、そのうちどのくらいが赤字欠損分の繰入額がというのは、率直に言って確定できません。二千六百億円のうちのどのくらいかということはわかりません。しかし、仮に二千億にしましても、それの三二%ですからね。合計しますと、地方税の歳入の欠陥は、交付税額の分と同時に、住民税法人税割、法人事業税がそれぞれ落ち込みますよということが言われるわけですよ。これは数字の上のことですけれども。そうなってきますと、先ほど申し上げましたように、地方財政の需要額に対する交付税を含めた国からのおりてくるお金ないしはそれに割り込んでくる法人住民税その他が、六十二年度は相当落ち込むというふうに見られるわけです、これは一例ですけれども。  したがって、今の御答弁で、六十二年度以降は経常的経費の分は二分の一は何としても現ナマで措置するようにします、こういうことですから、それはそれなりに理解してよろしいですよ。今の部分も含めて当然六十二年度予算折衝が起きるときには起きる話でしょうから、十分その辺は配慮して財政局長大蔵当局と折衝されることが必要だろうということだけ御注意申し上げておきたいと思うのです。――何か答弁しますか。
  128. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 ちょっと私の答弁が不足していて、先生に誤解を与えたように思いますので、答弁をさせていただきます。  六十二年度は平年度化いたしますために、これは増減収は税の方からは出ない、つまり国税の方にもほぼゼロになるだろう、これも欠損金の状況によるのでございますが、同じような状況であれば平年度化されてゼロというふうに考えておりますので、それに伴う税割あるいは事業税について減収を生ずるということはございません。この制度が廃止されて、六十二年度、仮にそういう状態、今のところそういうことで予定されておるわけでございますが、そうなると、それが今度は減収となって生じてくる、こういうことでございます。
  129. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そこで財政局長、いま一つの問題は、国の税制抜本改正どこの三年間の暫定措置との関係です。政府側は今年度じゅうに答申を受けて、六十二年度から実施をしたい、こう言っているわけですね。この税制改正どこの補助率の切り下げに伴う国の負担転嫁との関係はどう見るべきでしょうか。あるいはどう解決をされるべきでしようか。  というのは、もしも税制改正という問題が国と地方との財源負担区分にまで及ぶ税制改正ということになりますと、一兆一千七百億円という三年間の地方団体への負担転嫁、これはもっと多くなる可能性もありますね、対象人口がふえたりなんかするわけですから。したがって、税制改正のときには、この問題と、いわゆる一兆一千七百億円の問題と地方と国との税の配分の問題とは絡んで論議をされていかなければならぬわけですね。当然税制改正の段階で、いやそれならば地方への財源配分はこうしてもらわなければ困りますよ、先ほどたばこ消費税の問題が出ましたけれどもたばこ消費税も今までのように国の会計に入れるのではなくて、これからはたばこ消費税は全額地方財源ですよ、これも一つ税制の改正ですよね。方法論としては極端な話で申しわけないですけれども。したがって、国が考えている税制改正という問題と今度の三年間の暫定措置の延長の問題、しかもそのうちで生活保護費を除いたその他大まか国との負担比率の問題は大体決着がついているのです、こういうことになりますと、地方財源はそれをしょい込んだ形で、地方財源を充足するための税制改正という問題が提起をされていかなければならぬわけですね。この辺をどうお考えでしようか。
  130. 花岡圭三

    花岡政府委員 抜本的な税制改正が行われるということになりますと、やはりそのときには国と地方との事務の分担と申しますか、経費の負担区分というものを前提として、国と地方との財源の配分ということを行わなければならないものと私ども考えております。したがいまして、この補助率あり方、これが今暫定期間でございますけれども、これらといわゆる税制の改正ともにらみ合わせながら、この補助率の問題というものもやはりあわせて議論されなければならないことになるであろうと存じます。
  131. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうだと思うのですね。そこは非常に大事だと思うのです。  今度、我が党内でもこの国の税制改正に対する、対応をすべき機構をつくろう。やはり一番私ども問題にしているのは、国と地方との財源配分を例えば我が見なりにどう考えるかという問題が一つ大変議論になっているのです。恐らく、これから持たれるであろうあるいは今審議されているであろうこの税制抜本改正審議の経過の中では、この問題を抜きにしては論議はないと私は思うのです。しかも現実には一兆一千七百億円という負担転嫁をどうその中へ取り込んでいくかという問題を含めて出てくるわけですから、ここはひとつ自治省側が相当踏ん張っていただかないととんでもないことになるぞ。補助率はそのままずっと切り下げていくわ、税制の面では吸い上げられていくわ、そして結局、地方一般財源の中での自主的な運用あるいは地方の財政に対する柔軟性というものを失わせるような結果になり得る。その結果は、もっと広く言えば自治権の侵害になってくる、あるいは自治という問題に対する財政的な裏づけのないものが存在してしまう、形骸化してしまう、こう私は思うのですよ。やや専門的な話で申しわけないですけれども、その辺は大臣も相当心して構えていただきませんと、今まで我が党の議員を初め皆さんから御意見がありましたが、補助率の引き下げは負担転嫁じゃないか、いわゆる自治への介入じゃないかということも含めて、そうではないんだよ、地方の自治はこれからの税制改正の中でしっかりと守っていきますよ、したがって、この問題は三年間の暫定問題ですよ、こういう論拠になりませんと、地方団体は、さて三年後はあるいはその後はという不安の中で、本来持つべき住民ニーズにこたえる政策が生まれてきません。ここはひとつ大臣決意を、地方団体を預かっている市長さんや県知事さんを含めて、あなたの決意がどう出るかということを含めて、決意を述べていただきたいと思うのです。
  132. 小沢一郎

    小沢国務大臣 ただいまの先生の御指摘につきましては、私も十分理解をいたしておるところでございまして、その点につきましては、いわゆる地方自治、そして地方の制度の上でもあるいはまた財政の上でも、地方自治体が本当にみずからの自治の精神にのっとって今後とも運営できるように、私どもとしては、税財源の配分の仕組みについてそれを十分生かし得るようにこの機会に肝に銘じて対処していかなければならない、そのように考えております。
  133. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 具体的には税制改正の中で問題が提起されるでありましよう。今の決意のもとにぜひ対応していただきたい、こう思います。  さて、自治大臣大蔵大臣とで覚書を結ばれました。この覚書は、この三年間は基本的な変更をしないという内容であります。これまた連合審査で私はいろいろお話をしまして、基本的な変更は事実上もうされているのじゃないですか。なぜかと言えば、今言った財政秩序の問題まで踏み込んで今日されているじゃないですか。まさにそれは、地方と国との基本的な変更的要素を持っているのですよ。しかし、今はそれはこっちへおきましょう。大蔵大臣は、この基本的な変更という問題は、今度の補助金問題に限定して基本的な変更はしないんです、こうおっしゃいました。そこで、きのうも我が党の質問あるいは皆さん質問の中にも出てきましたが、留保財源をこの基本的な変更の中に含むのか、含まないのか、あるいは交付税率の変更という問題がこの基本的な変更という中には含まれるのか、含まれないのか、議論があったところです。大蔵省答弁は、補助金問題に限定してという答弁でございました。要するに、今提起をされておる一兆一千七百億円の補助金の国と地方との負担割合については、向こう三年間基本的な変更は行いません、こういう答弁でした。  まず最初に、大蔵省、見えていますね。交付税担当の方、見えてないですか。――それじゃよろしいです。大蔵省はそういう答弁でした。  そこで大臣大臣はきのうこういう答弁をされているのです。それは覚書とは別の問題です、留保財源とか交付税という問題は別の問題です、こうおっしゃっているのです。今度の両大臣の覚書の中には、留保財源とか交付税率の変更とかという問題については全然別の問題ですから、この中には含まれておりません、こういう答弁でした。さて、別の問題ということになりますと、これまた日本語の難しいところですが、別の問題ですからそれには手を触れますよということもあり得るわけですよ。これは補助金問題に限定した問題ですと言えば、ああそうですかとわかります。補助金問題にこの両大臣の覚書は限定して基本的な変更をしないという問題です、がしかし、留保財源交付税についてはこの覚書とは別の問題です、ということになりますと、別の問題なら、それじゃ今臨調等で議論されておるように二〇%を五%切り込むとか二五を二〇にするとか、いわゆる交付税総額を減らすために別の問題として議論されるのだろうか、留保財源についてはそういうことも議論されるのだろうか、それは別の問題で、これからは交付税率の問題や留保財源については触れませんよ、こういうのでしょうか、それはどうなんでしょうか。
  134. 花岡圭三

    花岡政府委員 今回の覚書は国庫補助負担率の引き下げ措置に関連して結んだものでございます。基本的に変更するような措置を講じないという趣旨は、現行の税源配分を前提として六十年度や六十一年度のような補助負担率の変更等によって国、地方間の負担区分の変更はしないというものでございます。そういう意味で、この覚書は直接交付税の問題に触れたものではございません。しかし、私どもこの趣旨を酌んで解釈するならば、今後三年間補助率の変更が行われない、すなわち国、地方間の負担区分は変わらないのであれば、財源配分での基本的な変更、例えば交付税率の変更といったことも行われるべきものではないというふうに理解いたしております。特に留保財源あり方につきましては、これは国、地方の財政関係というよりも地方財源の配分の問題でございます。そういうことで、これにつきましては、この覚書が留保財源あり方についてまで触れたものではないというふうに考えております。
  135. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 交付税についてはわかりました。それは対象の外です。いわばこの変更はありません。留保財源についてはこの議論の対象の外です。いわゆる地方の自主財源ですから、対象の外です。対象の外にあるけれども、基本的な変更にはあるけれども、対象になることはあるのですか。
  136. 花岡圭三

    花岡政府委員 留保財源をどういうふうにするかということにつきましては、これは地方団体におきます財政調整をどうするかということでございますので、これは財政調整制度の正確さを期するためには常々研究はしていかなければならない問題でございます。ただ、巷間よく言われておりますような、留保財源の引き下げというものが何か留保財源率を引き下げれば交付税が浮くとかいうふうな考え方であるならば、これは非常な間違いでございます。留保財源の問題は、これの率を引き下げますときにはそれに見合った基準財政需要額というものを増額しなければならないわけでございまして、その部分というものは現在でも地方財政計画に組まれておる歳出の一部でございますから、それをどの程度基準財政需要額に取り込むかということを考えていかなければならない。すなわち、そういう意味では留保財源率をいじることによりまして交付税総額がどうこうなるものではございません。そういったことで、言うならば留保財源の問題は今回の覚書の外である、しかし、留保財源を研究するといいますか財政調整制度を研究するということでは、これはまた別途研究していかなければならない問題であると考えております。
  137. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 たまたま財政局長がおっしゃったように、単純に言えば、これを切り下げることによって交付税総額が減るのではないかという議論ですね。それと、財政局長が言いましたように、それを切り下げることによって結局基準財政需要額が総体としてふえます、したがって交付税とは関係ありません、この議論とは、きょうはたまたま大蔵省の方が見えませんからあれですけれども、大変対立する議論なんですね。あるいはこれからの議論として残っている問題じゃないですか。私は連合審査で聞きましたときに、一体それはどうなるのですか、例えば交付団体が基準財政収入額に五%繰り込んだ、そうしますと一〇・九九の財政力指数を持っているところは一になって不交付団体になることもあり得ます、したがって五%を切り下げることは結果的に財政力の強いところと弱いところとの財政需要額に対する均てん化の方向はあるかもしれませんけれども、しかしそれは交付税とは連動しませんよ、こう言ったのです。そうしましたら、その切り下げの論議は地方の財政力が弱いところと強いところとの均てん化の方向で議論すべきだ、あるいはそうなる性質のものです、こういう答弁がありました。こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。また、現実に今臨調から来る論議の中でもそういう方向の議論として比重が置かれているのでしようか、それとも交付税総額を少なくするという方に軸足を置いての議論が行われているのでしょうか、どちらでしょうか。
  138. 花岡圭三

    花岡政府委員 留保財源の問題が交付税の率の切り下げと関連があるという点につきましては、もうこの説は間違いであるということは御理解いただいておると思います。ただ、均てん化という方向にこれが向かっていくという点につきましては二つ考え方があるのではなかろうか。相変わらず財源の効率的使用という面から均てん化を眺める場合、すなわち仮に不交付団体でございますと、超過財源額がふえるという意味ではそこの財政力が大きいから補助率カットをやってもいいではないかとか、あるいは交付団体の中でも財政力の高いところについては差等補助率を設けるとか、そういうふうな考え方のもとにこの均てん化を利用すると申しますか、そういう考え方が根底にありながら均てん化を行うということも一つ一方にあるかもしれません。私ども考えております財源の均てん化というものは、もちろん財政力の弱い団体が地方の自主性にのっとって仕事のできるようにするための均てん化、その意味では財政力のある団体から財政力のない団体に財源がある程度移動するかもしれませんけれども、留保財源の研究をいたします場合に、この均てん化の効果というのはそういった純粋な財政調整の考え方のもとに行われなければならないと考えております。
  139. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、これは極めて重要なところです。これまた大ざっぱな計算で申しわけないのですが、地方税収入は大体二十四兆円ですね。それの五%といいますと一兆二千億前後の金になります。もしも留保財源に対して論議をするとすれば、譲って、この一兆二千億の地方財源が均てん化することまでが限度だ。そうだとすれば私はそれなりの意味があると思うのです。しかし、交付税総額がこれによって減るのだという議論に陥ってしまいますと大変なことになる。今財政局長がおっしゃったところが自治省としてとられる最大の限度だと私は思うのです。それでなくても御案内のように地方への権限移譲、機関委任事務の問題等々が地方へどんどん一いわば国の身軽な行政機能ということも含めてでしょうけれども、いい意味か悪い意味がわかりませんが、機関委任事務問題を含めて、権限の問題その他を含めて地方の時代がもう一遍何となしに出てきている状況ですね。それだけに地方における政策の選択の幅が相当広くなっていると私は思うのです、機関委任事務その他ができてくれば。そうしますと、その広くなった政策の選択に裏づけされるものは何といっても今のところは留保財源です。交付税も含めまして一般財源もありますよ。しかし、留保財源が大きな財源になっていることは間違いないのです。したがって、少なくとも今財政局長が言ったところの答弁地方財政の弱いところ、強いところの調整財源ないしはそれぞれの地方団体の積み上げた財政需要額に充当するための留保財源の扱い、そこを限度にして、これまたもう議論は決着がついたと言いますから私も安心しましたけれども、その考えをぜひひとつ基本に持っていただきたい、こう思います。  さて、そういうことで留保財源交付税の一定の、きょうの議論では私どもが求める、歯どめという言葉は余りよくないかもしれませんが、あり方としての確認ができました。問題は、さてそれで国の財政再建ができるだろうかどうだろうかということですね。これはしばしば言われていることですが、六十五年度までの赤字国債発行の脱出という問題がこれ以上ここまでの段階でできるのだろうか。さらに三年の暫定措置以後切り込みをしなければ、この国の赤字脱出はできないのではないかということが何となしにあるわけですね。したがって、地方団体が私が言いますようにどうも国がやっていることに対して認識が追いついていかない、あるいは地方国体は、先ほどの三年後にさらに補助率負担区分の見直し等も含めてあるとすれば、さてどういう政策を立案してよろしいのだろうかということがわからない。どうなんでしょうか。赤字国債の六十五年脱出という問題は可能でしょうか。これは大臣、ひとつ所見でいいですからお聞かせ願いたいと思います。
  140. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この点につきましては私から断定的に申し述べる立場ではないと思いますが、六十五年度赤字国債脱却という財政再建目標を今の時点におきましておろすことはできないであろうと思います。しかし、現実の問題といたしまして、六十五年にそれができるかどうかということは非常に厳しい、難しい状況にあるであろうと私も考えております。
  141. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 申し上げるまでもありませんが、これ以上の地方団体への財政負担転嫁が起きないように、ひとつさらなる御努力をお願いをしておきたい、こう思います。  財政局長、今度の六十一年度の覚書で暫定加算の問題が出ております。これは覚書の内容を読みませんが、暫定期間終了後、両省間で調整をする、こう書いてありますね。例えば経常経費の二千四百四十億円、暫定期間終了後両省間で調整をするということは、一体どういうことですか。前段には、六十六年度以降の交付税に加算をすると書いてあるのです。さらに後段に、暫定期間終了後両省間で調整をする。くれるのですか、くれないのですか、極端に言えば。
  142. 花岡圭三

    花岡政府委員 この二千四百四十億円につぎましては、六十六年度以降に精算すべき地方交付税の額に加算するというのが建前になっております。しかし、またこれは両省間で調整をする余地があるということでございます。
  143. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それはどういうことですか。よくわからぬですね。加算するというけれども、両省間でさらに調整する余地が残されているというのです。するのですか、しないのですか。日本語で言ってください。
  144. 花岡圭三

    花岡政府委員 これは昨年度の場合でございますが、交付団体分二千億円、これだけの影響があったわけでございまして、そのうち一千億円が交付税特例加算、残りの一千億円をどうするかという問題があったわけでございます。  昨年度大蔵省といろいろ折衝いたしました際に、私どもとしましては、こういった補助率の一律カットを行うということであるならば財源補てんは完全にしてもらわなければならぬ、しかしこれを全部埋めたのでは国の財政が浮かないわけでございましようから、それは将来でもいいからこの穴埋めはしてほしいという主張をしたわけでございますが、大蔵省立場といたしましては、これはとてもそこまではまいらないのだということで、長時間議論をしたわけでございます。しかし、結局このような一律カットというふうなことが行われて、地方団体に対する財政措置というものが十分でないということは極めて問題であろうということの認識もございまして、それではとにかく加算しよう、しかしこれを法律ですることは勘弁してほしい、覚書でいかがか、その際には補助率問題というものは一年間検討をすることになっておる、一年検討をした段階において補助率がどのようなものになるかわからない、そこで正しい補助率補助率カット分と見合うようなことであれば、やはりそれは特に財源措置をしないでもいいではないかという議論もあったわけでございます。  いろいろそういった議論を重ねまして、最終的には将来国の方で六十六年度以降加算しますけれども、この補助率問題があるから一年間この検討結果を待って話し合いをもう一度しましょうということになったのが昨年度の経過でございました。今年度におきまして、二千四百四十億円について同じような問題が起こったわけでございますが、今回も三年間の暫定措置ということになったわけでございますので、さきに述べました一千億円とあわせまして、暫定期間終了後両省間で調整をしようではないかといういきさつになったものでございますので、それを覚書にあらわしますとそのような文章になったということでございます。
  145. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、六十年度の一千億は一年間の補助率検討期間が終了した段階で決着がつくわけですね、今の御答弁ですと。一年間の期間中に検討しましょう、こうなって一年間の検討の結果が今度は六十一年度補助率の引き下げと出たわけでしょう。そうすると、六十年度の一千億円についてはどうされるのですか。もう決着はついたわけでしよう。
  146. 花岡圭三

    花岡政府委員 先ほど申し上げましたのは、六十年度におきましての覚書では、要するに補助金問題の検討の結果、両省庁間で調整ということになっておりましたけれども、今回の覚書によりまして、また三年間の暫定という問題も加わりました。これとあわせて暫定期間終了後に両省庁間で調整をしようということになったものでございます。このことを覚書に書いております。
  147. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、あの覚書の前段であります、六十年度を云々とありますね。ということは、六十一年度の今後の補助率の切り下げ分も含めて、六十年度の一千億も含めてこれから検討しましょうということになった、こういうことですか。
  148. 花岡圭三

    花岡政府委員 仰せのとおりでございます。
  149. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 六十年度の覚書、それと六十一年度の覚書とは内容的に変わりませんか。と申しますのは、私は最近皆さんが結ばれる覚書、注意して読まなけれいかぬなと思っていることが幾つかあるのですよ。去年は協議をするとありますね。ことしは調整するとあるのですよ。どうなんですか、その字句の違いは。
  150. 花岡圭三

    花岡政府委員 六十年度におきましても、その取り扱いについては両省間で調整するものとするとなっておるはずでございます。
  151. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 「検討の結果を踏まえ、その取扱いについて両省間で調整する。」この二項の前段の、いわゆる先ほど言いました六十年度の一千億円は今度は六十一年度の分として結ばれたものの中に含まれているという話になりますと、六十年度の一千億円も含めてそれではこの暫定期間終了後、その取り扱いについては今財政局長が述べられたような幾つかの要素を加えて調整をするということになるわけですか。
  152. 花岡圭三

    花岡政府委員 この覚書の第二項でございますけれども、後半の方に「昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税交付金の額に加算されるものとし、その取扱いについては、」その下でございますが、「昭和五十九年十二月二十二日付大蔵・自治両大臣覚書第二項の取扱いとあわせ、」というのが、これが一千億円のことでございます。それとあわせて「暫定期間終了後、両省間で調整するものとする。」という覚書を結びました。
  153. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 わかりました。そうしますと、要するに六十年度も六十一年度もその分についてはまだ不確定ですということですね。麗々しく六十六年度以降は交付税で加算をするなどということは、むしろ後半の部分が前段でしょう。そして六十六年度以降に加算することもあり得るということでしょう。
  154. 花岡圭三

    花岡政府委員 これはやはり素直に読みますと、加算するというのが先でございまして、加算が前提でこれについては話し合いをしょうということでございます。
  155. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大変勉強させていただくわけですが、皆さんの覚書を結ばれる内容が、私どもその都度慎重にそれこそ中身を吟味いたしませんとなかなか難しいのです。  これは財政局長、私に一つ教えてもらいたいことがあるのです。交付税の算定の基礎でございますが、例えば廃棄物処理施設に対する処理人口は住民基本台帳でおやりになるのですか。
  156. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 処理人口につきましては、財政局の指導課の方で調査をいたしております資料に基づきまして密度補正で行っておりますので、考え方として住民基本台帳人口という考え方でございます。
  157. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私も実はそういうふうに理解しているのです。廃棄物の処理施設に対する処理人口を交付税で算定する場合に、その密度補正は住民基本台帳でおやりになる。  住民基本台帳には外国人は載っていますか。
  158. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 現在の指導課の数字をとります記載要領には入っておりません。
  159. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、外国人の処理は交付税に算入されてないということになるのですか。
  160. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 清掃費、特にこみ、し尿の収集につきましては交付税の算定上、測定単位の数値は人口ということになっております。この人口には国勢調査の結果による人口を使っておるわけでございまして、これには算入をされておる。したがいまして、交付税の算定上、測定単位の数値、単位費用を人口として使って算定する部分については入っておる。ただ、御指摘のように処理人口が多い団体、少ない団体、いろいろありますので、その辺の調整については密度補正で補正をいたしておりますが、その中には入っていない。一部分単位費用に入っている、密度補正の算入基礎には入っていない、こういうことになっております。
  161. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私があえて教えていただきたいと申し上げましたのは、外国人登録問題に対して当委員会でもいろいろ意見が出ました。外国人登録に対する諸費用については委託費で処理をされている話を聞きました。これが超過負担になっているという話も実はあるのですが、委託費の算定基礎、今度は少し補正されたそうでありますから若干の前進は見たのでしょう。しかし、今申し上げました廃棄物処理施設に対しては外国人が非常に多いところでは大変な費用なんですね。おっしゃいましたようにこれに対する処理人口は住民基本台帳ですよ。したがって、私は、これは検討を加えられるべき問題ではないか、そして交付税の算定の基礎について補正をするかないしは改正をされるべきではないか、こういう意見を持ちますが、いかがでしよう。
  162. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 その点につきましては先生の御指摘のとおりでございまして、私どもの方も公信力のある数字を使うという意味から、現在指導課でまとめております数字を使っております。それには外国人の数が入ってない、こういうことでございますので、部内のことでございますのでこれは平衡するように協議をいたしておりまして、六十一年度の調査から改定をしてもらうように協議をいたしております。統計処理の問題があるものですから若干検討しなければいけない点もあるようでございますが、ほぼそういう方向で現下では検討をしていただいておるというように理解をいたしております。
  163. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 これは一つの例でございますけれども交付税の算定をする状況としてそういうことも現実としてあるということをぜひひとつ理解をしておいて、直すべきものは――特に外国人にかかわる問題、委託費の問題もそうですけれども、何か差別感でとらえるような客観的な見方をされるということは日本国として極めて遺憾なことですから、ぜひひとつ、やや技術的なことも含めてでありますけれども、早急に処理をされるように、これは大臣のお手元の問題ではございませんでしょうけれども、よろしくお願いしておきたい、こう思います。  さて、次の問題は六十一年度の税収見込みでございます。どうでしょうか。五十七年度のような減収補てん債を出すようなことはないでしょうね。税務局長はいませんか。財政局長、いかがですか。
  164. 花岡圭三

    花岡政府委員 六十一年度の際につきましては、税収入は政府経済見通し等による諸指標を基礎として慎重に積算されておるものと存じます。
  165. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 積算の基礎が、六十年度の補正予算で国税差し引き、所得、法人、石油、関税で五千七百億円の三角、マイナス。その他増税分もありましたから国税で四千五十億円の減収ですね。六十年度の補正といいますとついこの前です。この延長線上に六十一年度はあるんじゃないでしようか。もしもそれも織り込んで今財政局長空言いましたように六十一年度の税収見込みは間違いがありません、こうおっしゃるのでしょうか。
  166. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 御指摘がありましたように、国税におきまして四千五十億円の減額の補正が行われたわけでございます。その補正が行われるということになりましたその段階におきましては、その基礎となります法人あるいは所得税の状況というものがだんだん明らかになってきたわけでございます。例えば所得割ですと前年所得課税ですからまさに先生指摘のように六十年の所得というものが問題になるわけでございますが、それはただいま申し上げましたように織り込んで私どもは積算をしているところでございます。それから法人の関係につきましても、そうした六十年度の課税の動向を織り込んで税収の積算をしているところでございます。  ただ、そうした状況の中で国税の方はそれだけ発射台が低くなったといいますか、そういう状況をも踏まえてどうなんだという点も御指摘の中にあるんだろうと思います。地方財政計画の六十年度の収入の状況は財政計画に対して若干ではございますけれども増となるのではないかというふうに現在考えておりますので、そうした状況考えますと、六十対六十一の対比は計画費ベースの伸びよりも伸び傘としては若干少ない伸び率ということに実質的にはなるというふうにも見ております。そういう意味では地方税収の場合は前年度対比におきましても若干緩和された形になっておるのではないか、こういうふうに私どもは見ておるところでございます。
  167. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 市町村はわかりませんけれども、六十一年度の道府県の普通会計当初予算がそれぞれ出ているようであります。地方税全体の問題は別としますが、道府県でいきますと、地財計画の伸びが五・二%、現実に当初予算で四・五%ですね。国税の方が発射台を下げたということもありますけれども、それでも各府県の当初予算の構成はやや、〇・七%ないしは八%落ち込んでいますね。この状況はどう見られるのですか。
  168. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 ただいま全体の六十年の税収見込みで申し上げましたが、御指摘のように道府県税の方が厳しい状況にございます。わけてもその中で県の間に若干ばらつきが多いということが見受けられまして、それが法人事業税を中心としまして法人税割等に影響を及ぼしておりますので、六十一年度の計上に当たってはそれぞれの個別の地方団体におきましては、特に大きな企業にその税収を依存しておるような団体におきましてはある程度具体的な見当がつくということもありましてそうした予算の計上を行っておると思います。全体としての地方財政計画地方税収入の見込み額につきましては、政府経済見通しにおきますいろいろな定められた条件が達成されるという限りにおきましては計画計上額を確保し得るものというふうに考えているところでございます。
  169. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 都道府県でばらつきがあるというのじゃなくて、財政力のアンバランスが出たというのが正式じゃないですか。ばらつきじゃないですよね。都は抜きますけれども、道府県で財政力に大変格差が生じてきた、これが本当じゃないですか。それは後でまた議論します。  今、地方税の伸びが国の経済見通しを含めて大体順調にいくだろう、当初予算、道府県では少し財政力は弱いけれども、こうおっしゃっていますが、五十七年度のときも恐らくそういう答弁だったと思うのですね。結果的には大変な経済見通しの誤りも含めて、国税、地方税とも落ち込んだわけです。私はどうも六十一年度はそういう気がしてならないのですよ。  なぜ私がこのことを申し上げるかといいますと、先ほどの国の経済見通しの問題にも触れてくるわけですが、国は固定資本形成、今年度は思い切って、内需の拡大も含め、公共投資、単独事業を含めて一・一%、こういう見通しですね。しかし地方団体は、少なくとも今め道府県から上がってきているこの当初予算で見る限り、市町村までは自治省の方もまだ集計されてないようですから出ませんけれども、例えば単独事業でいけば地財計画では三・七%、道府県は当初予算では二・四%でしょう。それから普通建設事業でも二・九%に対して二・三%でしょう、六十一年度道府県普通会計当初予算額。結局のところ、地方団体は裏負担も含めて財政力が弱いから国が地財計画で言っている公共事業あるいは単独事業を含めてそれだけ伸ばすことはできませんという数字じゃないですか。どうですか。
  170. 花岡圭三

    花岡政府委員 御承知のように、地方団体が当初予算を組みます際にはいろいろな見通しを立てるわけでございます。それぞれの団体におきます調査に基づきまして予算を計上いたします。その場合には今後の補正の見込みも踏まえて財源を留保する場合もございます。そういうことでございますし、また、今回の当初予算の調べによりますと骨格予算を編成しているような団体もあるものでございますから、いろいろと見方が変わってくるかもしれませんけれども、歳出につきましての、先ほど指摘のございました普通建設事業の伸び率は二・三%になっているわけでございます。そのうち補助が一・二、単独二・四。このうちいわゆる骨格予算であった団体を除いて見ますと普通建設事業は三%の伸び、補助が一・九、単独三・三というふうになっております。地方財政計画の伸びは、普通建設が合わせて二・五%、そのうち補助が一・三、単独三・七でございます。そういうふうな状況でございますから、今後の補正等を考えますと、一応計画に計上しておる程度の投資的事業というものは計上されるものではないかと私ども段階で見ておるところでございます。
  171. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 建設省、せんだって大臣が、公共事業についてはどんなことがあっても一〇〇%執行させます、地方団体地方税収の伸びその他を含めて、起債も含めてそういうお金がないと言うならば、お金がないとは今のところは見通せませんけれども、その際には公共事業の執行を、まあ優先という言葉は使いませんでしたが、それを執行するための財政的な裏づけは行います、こういうお話をされました。今私とのやりとりで花岡財政局長は、補正を見て多少留保財源を含めていってやがてそれは地財計画のとおりに執行されるでありましょうという見通しを言われました。これは民間の調査機関がそれぞれやっておりますけれども、今年度経済成長率が四%いくのかどうか難しい。あの経済企画庁の案が出たときに、民間の調査機関で四%以上の経済成長率を見たのは二社か三社、あと二十社に近いそれぞれの民間調査機関は二%ないしは三%、そういう見通しです。私はその見通しの方が当たりそうだと思うのです。円高の問題を含め、あるいはここに最近の新聞をたくさん持ってまいりましたけれども、例えば東芝は今期四五%の減益だとか、化学産業のどこどこはどうだとか、日立は今期は三四%の減益だとか、さまざまなことをずっと読んでみますと、どうも政府が出しておられる経済見通しよりも、むしろ全体としての見通しが経済成長率として三%前後ではないか。一%落ち込みますと国税で大体一兆円くらい落ち込むとよく言われていましたね、数字が適当であるかどうかは別としまして。こうなってきますと、私は財政局長が強気でおっしゃっておることが意外と当たらないというような気がするのです。それでもなお、国際的な状況等から見て公共事業投資、内需の拡大、特に輸出産業の落ち込みから来る不況の下支えをするものとしては公共事業を伸ばさなければなりませんよ。公共事業に対して地方団体が、もうそれほど借金はできません、起債ができません、それを裏負担をすべきものもありません、こうなったときに一体建設省としてはどういうふうな財政的な処置で、例えば自治省に、大蔵省に物を言って公共事業の一〇〇%解決される道をとられるのですか、ちょっと教えてください。
  172. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お答えします。  ただいま先生お話しのように、先般の大蔵委員会の連合審査でも私ども大臣から先生に御答弁申し上げたわけでございますが、一言で言えば、建設省におきましては、六十一年度予算編成に当たりましてとにかく内需の拡大のために公共事業が極めて重要である、こういった認識の中で予算編成をしていただいたわけでございます。そういった中で、ただいまお話しのようにことしの経済見通しが一体どうなるか等々いろいろな議論あるいは物の見方等があることは御指摘のとおりでございますけれども、私どもとしましては、何としても経済見通しに沿った経済の成長というものを実現しなければならぬ、特にまた内需中心経済拡大ということが非常に重要である、こういった認識で公共事業の的確な執行に全力を挙げていこうという構えでいるわけでございます。そういった中で、お話のような地方財政状況等々の中で一部懸念されているところも私どもないわけじゃないという認識は持っておりますし、先般も大臣が非常に大きな関心を持っておるというふうに御答弁申し上げた次第でございますが、ただ、我々率直に感じているところを申し上げさせていただきますと、建設省の所管事業に関して今のところどちらかというと地域経済が非常に冷えている中でむしろ公共事業を積極的にやっていこうという構えを我々非常に強く肌で感じております。そういった中で、今のところ私ども計上させていただいた公共事業予算というものについては完全実行というものがまず十分可能であるといった認識を持っておりますけれども、おっしゃるような個々の団体によります財政事情等々を考えまして、我々も箇所別の張りつけなどについては公共団体などと十分連絡をとりながら、緊密に事業の円滑な執行に努めてまいりたい、こんな姿勢で今いるところでございます。
  173. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 自治省、どうですか。もし私の見込みのようなことになった場合にはどういうふうな形で地方団体への財源的な裏づけを考えられますか。
  174. 花岡圭三

    花岡政府委員 公共事業の執行の問題でございますけれども、私ども一番懸念いたしておりますのは、計画に計上しました税収の確保が地方団体ごと、地域間によって差があるというのが昨今の状況になっておるわけでございます。そういうわけで一平均的な計画に計上しました税収が確保できない団体があるいは出てくるのではないかというふうに考えるわけでございます。こういう団体におきましてもやはり公共事業の執行ということはそれなりにやっていただかなければならないわけでございますので、その点につきましては、もちろん税収が平均までまいりませんと減収補てんという問題になってまいります。その意味地方交付税の配分がなされるわけでございますが、なお地方債の適切な配分によりまして事業執行に支障のないようにしてまいりたいと考えております。
  175. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 去年、投資的経費の建設地方債の部分、調整分が千二百億でしたね。これは増発されたのじゃないですか。どのくらい増発されたのですか。
  176. 花岡圭三

    花岡政府委員 数字につきまして資料がございませんので、後ほどお答えいたします。
  177. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 金額的にはきちっとせぬでもいいですが、千億という単位ですか、百億という単位ですか。
  178. 花岡圭三

    花岡政府委員 昨年度の場合に拡大分の算定というふうに非常に簡単に申し上げましたけれども、要するに投資的経費に係る影響額のうちに特例債分、いわゆる補助率カット、国費の減額による部分と事業の拡大分とがあったわけでございます。この拡大分につきまして昨年度千二百億円と申しておったわけでございますが、そのときの算定には拡大事業量に係る国費部分、これは拡大の方ヘカットしたものを持ってまいりましたけれども、これを使ってさらに事業費を拡大したわけですが、その際にこの拡大に使った補助金部分、これも補助率カットされておる、カットされたものをここに使ったわけでございますから、考え方としてそのカット部分を拡大分の中に算入しておりませんでした。しかし、これは起債を措置する段階におきまして、これも国費減額相当額ではないかというふうに見まして、この事業費拡大分に係る国費部分の補助率減額相当額も臨時財政特例債で措置をしたわけでございます。そういう意味で、この拡大分に係る起債というものは現実に千億を超えるもので増額されておると思います。
  179. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、私も余り難しいことはわからぬのですが、要するに補助率カットされましてその部分だけ起債でやりました、ところがこっちの部分、いわゆる地方の部分もカットされましたから二千億のカットに対して千二百億円じゃ足りなかったということですよ、簡単に言えば。いわゆる調整分としては二千億プラス今財政局長の話では約一千億前後追加せざるを得なかった、お金を余分に出したというのです。いわゆる借金をしたということです。簡単に言えばそういうことなんです、起債は。財政局長、これは余り聞いてよろしくないことかもしれませんが、今年度は臨時財政特例債が四千二百億でしょう。調整分が千四百億円ですね。去年は二千億円に対して千二百億円です。臨時財政特例債が倍以上になりまして調整分が二百億円増で足りるのでしょうか。しかし、これは一つおきます。大変矛盾ですよ。結果的には調整分今年度も千四百億円じゃ足りないんじゃないですか。私は先ほど建設省にどういう財政補てん措置を講ぜられるのですかと言ったときに、それは税収の伸びその他も含めてあるいは建設地方債の増発等も考えなければならない事態が起きるかもしれませんというのが大臣答弁なり今も大まかそういう答弁ですね、内容的には。結局のところ、仮に国のカット分による事業執行、これを臨時特例債として四千二百億円の事業をやったとします。調整分として千四百億円じゃ足りません。なお、地方団体はこの部分としてでも調整分として借金をせざるを得ない、本年度こういう状況が起きるのじゃないですか。いかがですか。
  180. 花岡圭三

    花岡政府委員 先ほど申し上げました部分を含めての答弁になりますけれども、投資的経費に係る影響額のうち特例債分と調整債分との比率に六十年度と六十一年度に差が出てきておりますが、それは一つには補助率区分ごとの事業量の割りつけが変わった。例えば拡大分の事業費が直轄事業といったふうな国の負担割合の高い事業ヘシフトしたことが一つ挙げられます。それから、昭和六十年度の場合には、先ほど申し上げましたけれども拡大事業量に係る国費部分の補助率削減相当額、これは調整債で措置をすることにしておりましたけれども現実にはこれは臨時財政特例債の方に持っていきました。結局振りかえが起こったわけでございます。六十一年度はこの分を、既定事業量にかかる部分と同じく初めから臨時財政特例債で措置をするというふうに算定をしております。そういうことで現実には組み方が違っている。六十年度には、実際には最終的に臨時財政特例債で措置をした部分があるわけでございますが、六十一年度は初めから臨時財政特例債分はそちらの方に組んだということが一つございます。それから、事業量拡大につながらない国費の減額分、これは失対とか公立文教等で特例債でカバーされる分でございますが、こういったものは六十年度よりも六十一年度の方が大きくなっております。そういうふうなことで、昨年度におきますカット分が二千億で拡大分が千二百億、六十一年度カット分が四千二百億で拡大分が千四百億、非常にアンバランスになっておりますのはそのような理由によるものでございます。  なお、このほかの問題といいますか、組み方の問題もございましたけれども、実際問題として各団体における税収のばらつきが非常に大きくなっておったということもございまして、枠外の起債を出して地方団体財政運営に支障を来さないように措置をした部分がございます。これについて先ほど申し上げましたような調整債分がふえた、枠外の調整債と申しますか、これは補助率カットに係る事業量の増加部分ではございませんので調整債とはいえないかもしれませんけれども、枠外の起債として出した部分がございます。調整債としてふえた部分と申しますのは、事業量拡大に回した国費減額相当分の組みかえということで調整債がふえておるものと御理解をいただきたいと思います。
  181. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 中身の積算の基礎については、今財政局長がおっしゃったようなことだと思うのです。国費の負担部分が多いものを横にちょい出した、去年は出さなかったとかいろいろあるでしょう。いいですよ。しかし、今最後におっしゃったところです。そういう意味で、地方では税収のアンバランスのところはそれを補てんをするために枠外債を出さざるを得なくなった。これは大変なことです。これが一つ。  それから、六十年度建設地方債を増発しました、しかしその増発の中には、今言った枠外債の問題もありますけれども、同時に、臨時財政特例債の方のものを今度は向こうに振りかえるものがこっちに来たものですから余計増発しました、今こういうお話がありました。財政局長、その部分、増発分は交付税に算入されますか。
  182. 花岡圭三

    花岡政府委員 枠外を出したことについては、六十年度当初、当委員会における審議におきましても、この計画どおり税収が取れない団体が出るのではないかという御質問がございまして、その当時、いざとなればそういうことを考えなければならない事態もあるかもしれない、団体ごとに税収の伸びの差があるということは申し上げておったわけでございますが、現実にそのような状況になって一ともかく地方団体の財政に支障を来さないように措置をしなければならないということで枠外債を出したわけでございます。  それから、先ほど申し上げました振りかえ部分の臨時財政特例債でございますが、これは全額交付税に算入いたしまして、その二分の一は国費も増額するということに大蔵省と話がついております。
  183. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 いずれにいたしましても、これは算入率は八〇%です。枠外債の問題も含めて、二〇%は自主財源です。本来、国の財源不足から出てくるものでしょう。そうすれば、一〇〇%交付税算入が当たり前じゃないですか。それを八割に落とした上に、財政のアンバランスから出た枠外債は交付税ではカウントしないわけでしよう。地方単独の借金でしょう。  建設省、公共事業の執行はなかなか難しいと私が言ったのはそこなんです。そこに問題が出てくるから地方団体は、それでなくても起債の負担比率が財政の大体二〇%を占めるというような状況の団体がそれぞれ出てくる。建設省は、公共事業の執行は一〇〇%やりなさい、なければお金の手当てはいたします、しかしお金の手当ての仕方が枠外債で出したものは地方単独の借金になります、そしてしかも、特例債に繰り込んだ、あるいは振りかえられたものは二分の一の負担は後やるとおっしゃっておりますが、これもまた六十六年度以降調整ですよ。二分の一は国が出すということは信用しましょう。しかし、その部分について、いわゆる調整債として出た枠外債については交付税には算入しない。これはまた地方の単独の借金になるわけです。  きょうはこれ以上細かなことはやりとりしませんけれども、こういう借金財政の中で公共事業の執行ができるのですかということを私は言いたいのです。すなわち、公共事業を執行させるには調整分も含めて最低でも一〇〇%は交付税にカウントします、あるいは私は連合審査でも申し上げたのですが、この際いま一遍、特会の復活をすべきじゃないですか。法的な裏づけを持った――先ほどの二千四百四十億円の問題もそうですけれども、経常経費分における建設地方債の発行についてもそうですけれども、不確定要素です。少なくとも交付税特会があったときには、いずれもが制度の改正ということで二分の一を国が負担するという制度になっていました。そういう制度上の措置がないまま今度の削減案をやれば、地方団体がしり込みするのは当たり前じゃないですか。問題は、そこを詰めてやらない限り公共事業の執行は難しい、あるいは固定資本形成の一・一%の執行は難しい、したがって経済成長率四%は難しい、こういう論理が成り立っていくのです。どうですか、これは大臣にはちょっと難しい問題でしょうから、財政局長から正確に答弁をお願いいたしたいと思うのです。
  184. 花岡圭三

    花岡政府委員 いろいろな御指摘がございましたけれども一つは税の減収補てんの問題でございますが、これは減収補てん債で補てんされるわけでございますから、それぞれ性格に応じまして、県分が算入率八〇、市町村分が七五になるのは御理解いただけると思います。  それから枠外債につきましては、これは特にこういう補助率カットによって生じたものではございません。地方団体財政運営上、いろいろ事情がございましょうけれども、中に、一つは五十九年度まで拡大分と申しますか財対債の中の拡大分、本来起債を当てておらなかったものについて起債を充当しておった部分がございましたが、これがなくなりました。そういうところで、地方団体が仕事を従前やっておった場合に急にその措置がなくなるという場合には問題があろうということもあってそのような措置をしたわけでございますので、これは通常の調整債とは趣旨の違うものもございます。そういうことでございますし、また、先ほど申し上げました臨時財政特例債に振りかえました拡大分の補助率カット相当部分についての交付税算入は一〇〇%でございまして、国から措置いたしますのは、元利償還を行う年度において国の方から二分の一を交付税に加算するわけでございます。  なお、いわゆる調整債の交付税算入率が八〇%であることにつきましては、これは従前の財源対策債と同様の性格を持つということで八割算入。昨年度委員会で、いわゆる経常経費系統の国庫補助負担率の引き下げ相当分については一〇〇%算入すべきではないかという御議論がありましたので、こちらの方は一〇〇%算入ということで今回の交付税法の審議をお願いいたしておりますが、拡大分につきましては、財対債と同様の性格を持つということで、従前どおり八割ということで計算をいたしております。  ただ、いろいろな考え方でございまして、これは交付税から出したから一〇〇%でいいじゃないかというお考え方もありましょう。また、これは拡大分であるということから考えますと、交付税から振りかえられた団体、それと違ういわゆる補助金の配分が多くなされた団体にこれがいくわけでございますから、そういう意味では、交付税の性格ともあわせ考えて、全額算入しなくてもいいではないかという議論もあるわけでございます。これにつきましては、どのような需要を交付税、いわゆる基準財政需要額に算入するのが妥当であるかという問題に帰するものと存ずるわけでございます。  なお、最後に御指摘のございました特金借り入れの復活ということでございますが、これは五十九年度にいろいろ御議論をいただいておりますように、いわゆる地方の借金の増大というふうなことはやはりこの辺で見直しをしなければならないということで行われたわけでございます。私ども、今後とも地方交付税の安定的な確保を図りまして地方財政の運営に支障のないようにしてまいりたいと存じております。
  185. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ベテランの財政局長を相手にしまして、私、細かな中身まで突っ込んで論戦がなかなかできないことを実は残念に思うのですけれども、いずれにしても、今言ったような現象があらわれるということは間違いないのです。したがって私は、地方財政が、地方の今回の措置による財源があらゆる面できちっと確保されて公共事業が完全に遂行ができる、この措置をぜひひとつ深く考えていただきたいと思うのです。  大臣、専門的なやりとりですから多少御理解がしにくい面があったかと思いますけれども、要するに私の言いたいことは、先ほどおっしゃいましたけれども、今度は国の財源不足ですからね、その負担転嫁なんですよ。これは基本的に違うのですよ。そこから発して、しかもそれに沿っていこうとしても沿い切れない財政力の弱さ、そういうものが今言ったような形でさまざまに出ていますよ。その財政力の弱さのところを、ここはこう補ってあげますよ、ここは国の財源不足から来たんですから一〇〇%交付税に算入してあげますよ等々の手当てが講ぜられることが今日非常に重要なことなんです。  したがって、短い時間でこの討論をしても切りがない、切りがないというよりも大変深い論議のあるところですから、これ以上はやりませんけれども、そこはひとつ一遍自治省内部でも、加藤の言ったことはこういうことなんです、財政局長の言ったことはこういうことなんです、そこを大臣がよく見定めていただいて、それはこうあるべきじゃないかという定見を持たれるように私はお願いしたいのです。でなければ地方財政は大変なことになっていきますよ、公共事業の執行もできませんよということだけこの際申し上げておきたいと思うのです。  少し時間が長くなりましたけれども、今のやりとりをお聞きして、私の見解に基づいて、大臣、ひとつ省内で御検討いただけるかどうか、あるいはそういうサゼスチョンに基づいていま一遍財政当局からも意見も聞いてみましょう、こういう御意見があるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  186. 小沢一郎

    小沢国務大臣 難しい今の御質疑のやりとりを聞いておりまして、具体的に十分に理解してない点もありますけれども、いずれにいたしましても今回の補助率カット、そしてその中における、一方における内需の拡大という要請、そして地域におきましては公共事業というのが非常に大きな役割を持っており、また地域民、地域全体の振興、これに深いかかわりを持っておることは私自身も十分わかっております。したがいまして、それらの執行がなされますように、今の御議論を踏まえまして私もさらに十分勉強をいたしまして、財政局長ともまたいろいろお話を聞きながら、できるだけ地方が完全にできるように対処してまいりたいと思っております。
  187. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今しばしば地方団体の財政力のアンバランスという問題が出てきました。その際に、特に去年は生活保護費の問題が大変議論がありまして、先ほど七対三にするあるいは八対二にするという、国の本来あるべき負担行為という、その責任の所在もめぐりまして背景には議論があったところです。しかし、補助率の一律カットという問題が、財政力指数の弱いところ、これはきょうはもうここでは申し上げませんが、例えば平均的な財政力が一〇九なら一〇九としますと、それ以下の団体が大変ふえていることは、私は連合審査でも申し上げたとおりです。  そこで、去年は生活保護費については、特別にそういう地域あるいは団体に対して二百億円の別建ての資金を用意いたしました。厚生省の方にお聞きしますが、中の配分についてはいろいろ問題があるようですから私はお聞きしませんが、去年はそれは完全にそれぞれの財政力の弱い団体に配分されたんですか。
  188. 萩原昇

    ○萩原説明員 昭和六十年度補助率の変更に伴いまして、生活保護につきましては五十九年度までの十分の八が十分の七になった……(「補助率じゃないよ、負担率だよ」と呼ぶ者あり)負担の性格を持っておる補助金という名前でございます。それに伴います地方負担の十分の二から十分の丘への増についての財政的な負担増を緩和する意味とともに、生活保護の適正な実施を確保するための性格のものとして、二百億円の生活保護臨時財政調整補助金というものを予算化していただいたわけでございます。この考え方に基づきまして、補助率の引き下げによる負担増の影響が大きく、かつ財政力の脆弱な公共団体、かつ、その中で生活保護の適正な実施に努めておるというような団体に交付することといたしまして、二百億円の配分を終わっておるところでござ、います。
  189. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 六十一年度は同じ生活保護の負担率の引き下げがあったにもかかわらず、どうしてその問題が六十一年度、いわゆる暫定期間の間、処理されないのですか。六十年度に限ってはそうされたんですけれども、六十一年度以降はどうなんですか。
  190. 萩原昇

    ○萩原説明員 昭和六十一年度におきまして、昭和六十年度に引き続き十分の七の率での予算をこのほどお認めいただき、法案につきましてこれから御審議をいただくわけでございますが、昭和五十九年度からいたしますと、十分の八から六十一年度の十分の七へという事態は変わっておりませんし、そういう意味におきまして地方公共団体によりましては財政への影響が大きいというところもございますので、昭和六十年度に引き続きまして、六十一年度も同じような考え方におきまして二百億円を配分をいただいておるところでございます。  六十一年度の配分方針につきましては、これから検討をしていくところでございますが、やはり個々の地方公共団体の補助率の引き下げによります財政負担の大きなところにつきましては、生活保護の適正な運営が確保できるように、そういう考え方を基本として配賦の方針を定めてまいりたいと考えております。
  191. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、六十一年度についても六十年度同様の基本方針で二百億円予算を計上し配分をする、こういうことですね。  今年度補助率の切り下げで次に大きな科目は児童保護費ですね。これについてはどうなんでしょうか。
  192. 市川喬

    ○市川説明員 御説明申し上げます。  児童福祉施設への措置費等を中心といたします児童保護費につきましては、今回その国庫負担率の見直しを行ったわけでございますが、これは御案内のとおり社会福祉全般にわたります見直しの一環といたしまして、地方の自主性を尊重する観点から事務事業の見直しを行いまして、これにあわせまして、その費用負担につきまして国と地方負担割合を変更いたしたところでございます。御指摘のように、今回の見直しによりまして児童保護費に係ります地方公共団体負担分も増加するわけでございます。この地方公共団体の負担分の増加につきまして関係省庁とも協議をいたしました結果、他の見直しが行われる分と合わせまして、地方財政対策といたしまして地方財政計画の上で所要の手当てが行われるところとなったところでございます。これは御案内のとおりかと思われます。  御指摘のように、生活保護につきましては、保護率の地域間格差等の生活保護に特有の事情に着目いたしまして臨時財政調整補助金の制度が設けられたものというふうに私伺っておるところでございますが、児童保護費につきましては、ただいま申し上げましたような地方財政計画の上で必要な対策を講じることによりまして事務事業の執行に支障を生じないような手当てがなされることになりましたため、調整補助金のような特別の措置はとらなかったものでございます。地方公共団体の御理解を賜りたいと思っております。
  193. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財政局長生活保護費についてはそういう措置が講じられる。児童保護費については、御案内のように生活保護費に匹敵する額です。今、地方財政計画の中でその措置をとるように両省間で話し合いが行われた、こういうことですが、どういう措置を行われたわけですか。
  194. 花岡圭三

    花岡政府委員 児童保護関係につきまして増額いたします地方負担額、これはそのまま財政計画に計上しておるわけでございます。
  195. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 生活保護費については二百億円、いわゆる厚生省が別枠で予算化しているわけですね。私は、まあ全部とは言いませんよ、今度そうやってしまったら、いわゆる財政再建の目的が失われるでしょうから。少なくとも地域的に財政力のアンバランスのあるところに対する高額な切り下げに対する削減額を補てんする措置は当然あってよろしかったのじゃないですか。どうでしょう。
  196. 花岡圭三

    花岡政府委員 生活保護費につきまして調整補助金が交付されることになっておるわけでございますが、私どもが対策をとります際には、この国費の増額部分からこの二百億円を差し引いたもの、これを措置をするわけでございますから、だからこれがない場合には結局全額を措置する。いずれにいたしましても、何らかの措置、厚生省予算に計上される部分を差し引くか差し引かないかということで、措置は全額いたすわけでございます。
  197. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財政局長、素人にお話しするならそれでいいでしょうけれども交付税総額の弾力性が失われることは間違いないでしょう。二百億円外にあるのと交付税の中に取り込みましたということは基本的に違うですよね。そうじゃないですか。まあそれはおきましょう。  いずれにしても、私は、地方団体がそういう地域的な財政力のアンバランスがある限り、先ほど公共事業についても申し上げました。あるいは今度の経常経費部分に対する削減の影響力の度合いが、一律カットでありますがゆえに、その対象人員が多ければ多い、しかも財政力指数が非常に弱いところには特別な財源的配慮というものがなければいかぬですよ。私はそのことこそ、まさに当初申し上げました財政力のアンバランスを解消する第一歩だと思うのですよ。そしてその上に立って、例えば保留財源をどうするかという均てん化の問題、あるいは財政調整という問題もあるでしょう。しかし、今一番困っている、しかも財政力が弱いところに対するそういう措置というものが、それは自治省大蔵省に言わなくて、どこも言うところないですよ、まあ厚生省は自分の立場があるでしょうから言えたにしても。これは六十二年度も続くことです。あるいは三年度も続くことです。そして税制抜本改正の際にはさらにこの問題も尾を引く内容でしょう。要するにどういう形で地方財源を確保するか、法律上の改正をどうすべきか、ここまで延引される問題ですよ。私どもは今度、できる限りそういう対象になっている市町村の首長の苦しさを知ってもらおうということで参考人も選んでいるところですけれども自治省はその盾になってほしいと思うのです。でなければ、とてもではないけれども、国の財政再建、苦しいときは地方もといいますけれども、首つりをしている足を引っ張るようなことは避ける努力を、最大限の力を自治省は発揮をしていただきたいと思う。  大臣、最後に、私、きょう約二時間にわたって、連合審査における基本的な問題、それから今度は具体論として討論さしていただきました。私どもの意見をできる限り政治に取り入れてほしい、いわゆる国政の中で処理をする、それを発言していただくのは閣内では大臣しかないわけですから、ひとつ大臣からも、地方団体がそういう状況に追い込まれないような条件整備を、個々の具体的な問題までよく聴取をしていただいて、そして対処していただきたい、このことを強く要望したいと思います。最後に大臣の御意見を聞きます。その前に、財政局長、御答弁があればひとつしてください。
  198. 花岡圭三

    花岡政府委員 先ほどの二百億円の問題でございますけれども、私どもの理屈から言いますならば、とにかく国費をできるだけとれという御指摘、まことにごもっともでございますが、でき得べくんばこの二百億円も交付税に加えていただきたかった、こう思うわけでございます。  なお、先ほど答弁できませんでした調整債の枠外の増額分と申しますか、一般単独として配分しました枠外債、三百十六億円でございます。
  199. 小沢一郎

    小沢国務大臣 地方の実態を把握し、その地方の側に立って、政府部内で個々のいろいろな政策に反映さしていく、その役割を担うのが自治大臣自治省であろうと思います。したがいまして、先生方の御意見も十分念頭に置きながら、本来の役割を果たしていくことができますよう今後とも全力を尽くしてまいりたいと思います。
  200. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 終わります。
  201. 福島譲二

    福島委員長 次回は、来る十四日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十九分散会