○
山下(八)
委員 私は、
日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました
地方税法等の一部を
改正する
法律案につきまして、
政府案に反対の討論を行います。
既に当
委員会におきましては、地方自治確立のための地方財源、とりわけ自主税源の確保、そして、高まりつつある国民の租税
負担の
是正のためにも不公平税制の
是正、この二つの点は、与野党一致の
基本的、統一的認識として確立されておると理解してまいりました。
しかし、私は、こうした認識が
政府案に何ら具体的に反映されていないと
指摘せざるを得ません。
第一に、
地方税法改正案においては、多くの勤労国民の要求であり、不公平税制の
是正に不可欠でもある個人住民税の大幅減税が含まれておりません。
政府は、この当然の
措置であるべき住民税減税を放置しております。我が党は、個人住民税等の減税について改めて強く要求いたします。
第二に、
政府改正案におきましては、不公平税制の
是正につきまして、その前進となるべき
制度改正が何ら含まれておりません。六十
年度においては新聞輸送等七業種に対する課税適正化が盛り込まれ、六十一
年度においては当然利子配当所得課税の適正化、社会保健診療報酬課税の適正化、我が党提案の社会
保険診療報酬課税の適正化を含む
是正が実施されるものと期待しておりましたが、極めて遺憾な結果となっております。
第三に、私は、地方財源の安定確保に対する
自治省の姿勢が極めて安易であることを
指摘せざるを得ません。
地方財政は、累積五十四兆円を超える借入金を残しており、かつ、八六
年度におきましては、収支均衡とされながら国による新たな地方
負担転嫁によって一兆一千七百億円の財源不足を生じさせております。しかも、六十
年度においては五千八百億円の転嫁に加え、国税、地方税の落ち込みにより後
年度清算の借金と地方債の増発すら余儀なくされております。さらに、
政府の
財政縮小路線による行政投資の抑制に対し、地域の行政需要は増大しており、そうしたギャップはすべて脆弱な自治体
財政に重くのしかかっています。今や自治体の自主税源の拡充は緊急の課題であり、私は、社会党の主張する事業税における外形標準課税の導入、事業所税の課税拡大等はもとより、国と地方の税配分を抜本的に見直し、国税の地方への移譲を速やかに行うことこそ必要であると考えます。
第四に、今回の地方税
改正は極めて異常な経過で行われております。言うまでもなくたばこ消費税のことでありますが、
政府税調案決定後に税制が政治的に動かされるということがあってよいものでありましょうか。しかも、前述したとおり不公平税制には手をつけず、大衆の消費物に対して
負担を重くするということは容認できません。まして、一兆一千七百億円の補償としてわずか一年限りの国分と合せても二千四百億円という程度の財源保障で議論がすりかえられようとすることは無
責任きわまる姿勢と言えましょう。
最後に、
政府は、六十二
年度において税制の抜本
改正を行うとしておりますが、その方向は全く不明であります。社会党は、高齢化及び経済のサービス化等社会経済の変化に基づく住民の医療・教育・文化・交通・福祉等ニーズの増大に対応し得る地方公共団体の
財政基盤の強化を図るため、戦後税制の基礎をなすシャウプ勧告の趣旨、地方
制度調査会の地方税制充実に関する一連の答申及びこれまでの
国会における地方税制審議を踏まえ、法人課税及びその配分のあり方、住民の租税
負担の
軽減とその税
負担のあり方、非課税
措置の
是正等不公平税制の
是正など地方税源の安定的確保充実を図るとともに、税源の地域的不均衡の
是正等を図るための
財政調整
制度に一層の充実を税制
検討の最重点とすることを強く主張いたしまして、
政府案に対し反対の討論を終わります。(拍手)