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1986-03-20 第104回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十日(木曜日)    午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 福島 譲二君    理事 糸山英太郎君 理事 小澤  潔君    理事 西田  司君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 宮地 正介君 理事 岡田 正勝君       伊藤 公介君    臼井日出男君       小里 貞利君    大島 理森君       大村 襄治君    左藤  恵君       坂本三十次君    自見庄三郎君       中川 昭一君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    山岡 謙蔵君       五十嵐広三君    小川 省吾君       佐藤 敬治君    城地 豊司君       細谷 治嘉君    山下洲夫君       小谷 輝二君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 小沢 一郎君  出席政府委員         厚生省保険局長 幸田 正孝君         自治大臣官房長 津田  正看         自治大臣官房審         議官      持永 堯民君         自治大臣官房審         議官      渡辺  功君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         大蔵大臣官房参         事官      塩田 薫範君         大蔵大臣官房企         画官      坂  篤郎君         国税庁直税部法         人税課長    熊澤 二郎君         厚生省保険局国         民健康保険課長 近藤純五郎君         水産庁振興部開         発課長     今村 弘二君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   山下洲夫君     上田  哲君 同日  辞任         補欠選任   上田  哲君     山下洲夫君 同月二十日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     自見庄三郎君   臼井日出男君     大島 理森君   松田 九郎君     山岡 謙蔵君   湯川  宏君     小里 貞利君   安田 修三君     城地 豊司君 同日  辞任        補欠選任   小里 貞利君     湯川  宏君   大島 理森君     臼井日出男君   自見庄三郎君     宇野 宗佑君   山岡 謙蔵君     松田 九郎君   城地 豊司君     安田 修三君     ――――――――――――― 三月十五日  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六七号)(予) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十四日  地方財政の充実に関する陳情書外三件  (第一三号)  国庫補助負担率引き下げ反対に関する陳情書外  二十八件  (第一四号)  地方自治制度に関する陳情書外五件  (第一五  号)  地方税法改正時期に関する陳情書  (第一六号)  退職地方公務員共済年金等の改善に関する陳  情書  (第一七号)  市町村行財政確立強化に関する陳情書  (第一八号)  過激派集団による暴力的破壊行為の根絶に関す  る陳情書(第一九  号)  新産業都市地域整備に関する陳情書  (第二  〇号)  地方事務官制度の廃止に関する陳情書  (第二一号)  関西国際空港建設に係る警察体制整備強化に  関する陳情書  (第二二号)  警察官の増員に関する陳情書外一件  (第二三号)  新産財特法期間延長に関する陳情書  (第一  五六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び  納付金に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第八号)      ――――◇―――――
  2. 福島譲二

    福島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬治君。
  3. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 地方税法の審議で、今度国民健康保険税課税上限が二万円方上がることに提案されておるようでございます。それで、その主な責任というか所管である厚生省から保険局長に来ていただいておりますが、何か用事があるそうなので先に質問させていただきたいと存じます。  この前の国会で、退職者医療制度の発足に伴って一体加入者が何ぼあるか、それで四百六万人という加入前提にいたしまして補助金を約六・五%削りました。しかし、その結果——思わしくなく四百六万という政府見通しどおり加入者がふえない。そのために、補助金を削られた各保険者市町村は大変難渋いたしまして、大きな問題にこの前の国会でなりましたのは御承知のとおりで、私もここで局長さんにいろいろ御質問申し上げたわけであります。  その後、政府は、四百六万人は絶望だ、不可能だ、こういうので、現実に二百六十四万人ですかしか加入がなかった。それで切りかえたようであります。それで、その出た赤字をこの前の六十年度補正で一千三百億ですか、三分の二出したようですが、まだ三分の一残っておるわけで、それが一つの赤字要因になっているのと、同時に今度、四百六万人分のほかの保険者から出してもらった拠出金の千八百八十六億のうち五百八十九億、これは今度返さなければいけない、こういうふうな事態になってきたわけであります。そこでこれを含めて一千三百億補充した、こういう格好になっていると思います。  端的に質問いたしますけれども、問題は、六・五%、補助金を切りましたね、ところが六・五%ですと、結局四百六万人加入者があるという前提で六・五。ところが二百六十四万人しかいない、こうなりますとその差額の分が余計補助金を切ったことになります。これを訂正しませんと毎年毎年この差額の分が国民健康保険財政赤字要因として常に残っていく、こういうことになると思います。そこで、これを私は訂正しておくべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  4. 幸田正孝

    幸田政府委員 国民健康保険退職者医療の問題につきましては、昨年の当委員会におきましても委員から御指摘をいただいたところでありますが、ただいまお話のありましたように当初加入見込みに比べまして、最新の数字で申し上げますと、今年一月末現在二百九十五万人ということに加入者がとどまっております。そのために昭和五十九年度と六十年度の二カ年度分につきましては、六十年度補正予算で千三百六十七億円の補正をさせていただいたわけであります。  御指摘は、国民健康保険国庫補助率を切り過ぎ、補助率を引き下げ過ぎたのではないか、こういう御指摘だと思いますが、実は一昨年医療保険制度改革当たりましては、私ども国民健康保険あるいは被用者保険を通じまして全体的に国庫補助を含めましてどういう姿であるべきかということの検討をいたしました結果、国民健康保険につきましては医療給付費の二分の一を補助するという制度に改めたものであります。国民健康保険につきましては、五十八年の二月に老人保健制度が既に創設をされておりますことや、今御指摘退職者医療制度創設、そういったことによりまして老人医療費というものが相当に軽減されるということも踏まえまして、従来の国庫補助システムを改めまして社会保険システムという基本の上に立ちまして、その半分、医療給付費の二分の一は国庫補助をする、残りの二分の一は保険料で賄ってもらう、こういうシステムにいたしたものであります。御案内のように二分の一という国庫補助は比較的高率の補助でありまして、現在の国の財政状況から見ましてこの補助率を引き上げる、二分の一、五〇%以上に引き上げるということは極めて難しい問題である、こう考えております。  私どもは、しからば今後の国民健康保険運営をどうするかということでありますけれども、幅広く制度改正を含めまして検討をしていきたいということであります。何分にも国民健康保険は他の被用者保険に比べますと、七十歳以上あるいは六十五歳以上のお年寄りを相当多く抱えているわけでありまして、そういった意味負担の不均衡というものが国民健康保険被用者保険の間にはかなり現在でもございます。老人保健制度によりましてある程度は是正をされておりますけれども、そういった老人医療費重圧というものをどうするかということでありまして、私ども医療保険制度改革当たりましては負担の公平ということを政策目標に掲げているわけでありまして、そういった観点から老人保健法改正お願いをいたしているわけでありますが、その結果といたしまして国民健康保険財政には相当の益するところがある、こう判断をいたしているわけでありまして、そういったことなどを含めまして、制度改革も含めた幅広い検討のもとに今後の国民健康保険財政を考えてまいりたいと思っております。
  5. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、この二分の一補助というのは、今ここで三八・何%ですか、切ったのは三八・何ぼですね。あれが二分の一に当たるということですか。そうですね。
  6. 幸田正孝

    幸田政府委員 国民健康保険は、従来は医療費全体に対しまして四五%の国庫補助をする、十割の中で三割は患者さんが負担をする。もちろん、高額療養費制度がありますから具体的な実際の給付率は七七%程度、七割七分ぐらいになるわけでありますが、残りの三二%は患者負担をする、四五%は国が補助をするということでありまして、その残余は保険料で賄う、こういう仕組みでございましたが、一昨年の改正の際にその七七%の二分の一を国で補助をいたします、医療費ではありませんで、医療給付費保険給付をいたしますものの二分の一を国で補助をするということで、結果としまして三八・五%、給付率が若干移動いたしますから、現在では三九%近いのではないかと思いますが、改正いたしましたときの考え方は今申し上げたとおりであります。
  7. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうしますと、今私が申し上げているのはその原則的な問題じゃないのですよ。あなた方は四百六万人という前提でもって、それの半分のものというので六・五%切ったわけですね。ところが、その四百六万人が崩れたわけですよ。だから、その四百六万人じゃなくて、新たにあなた今二百九十五万人とかなんとか言ったけれども、新たな現実数字でもう一遍計算し直さなければいけないのではないか、私はそう申し上げているのですが、いかがですか。
  8. 幸田正孝

    幸田政府委員 先ほども申し上げましたように、五十九年度と六十年度退職者医療対象者数などの見込み違いによります影響額につきましては、六十年度補正予算措置をさせていただいたところであります。  六十一年度以降どうするかという問題でありますが、やはり国民健康保険にとりまして一番重圧になっておりますのが老人医療費であります。五十八年の二月から老人保健制度創設をされまして、その結果がなり国民健康保険財政負担軽減になっているわけでありますが、現在でも、具体的な数字を申し上げますと、制度別加入者数千人当たりどのぐらいの老人を、原則として七十歳以上のお年寄りでありますが、抱えているかということを申し上げますと、実態といたしましては、政府管掌健康保険は四十三人、それから健康保険組合は二十九人、国民健康保険は百二十五人を抱えているわけであります。それを五十八年二月から創設をされました老人保健制度によりまして、政府管掌健康保険は五十五人、それから健康保険組合は四十七人、国民健康保険は百人というふうに是正をいたしたわけでありますが、今お願いをいたしております老人保健法改正によりましてこれを全部の制度が行く行くは公平に抱えていただく、どの制度も千人当たり六十九人抱えていただく、こういうふうにお願いをしたい。このことによりまして、現在、百二十五人抱えております国民健康保険は六十九人に軽減をされるわけでありまして、その結果として国民健康保険財政には相当の好影響がある、こういうことを判断いたしておるわけでありまして、そういった施策を含めまして今後の国保財政の安定を考えていこう、こういうことであります。
  9. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あなた方は公平、公平と盛んにさっきから公平を主張しているのですが、大体国保というのは余り公平な制度じゃないのですよ。あなた御承知のとおり、例えば組合健保でも政管健保でもいいけれども、丈夫で給料が高いときは自分でさんざん使っておいて、そして失業すると国保に入れて、病気になりやすい、給料は低い。初めから公平じゃないのです。だから、国が余計補助しなければいかぬ、国が支えていかなければいかぬので、それをただ、ほかの被用者保険国保が不公平だからこれを公平にしなければいかぬ、こういう主張は成り立たないと私は思うのです。そうなると、年とった人は皆うば捨て山で、どこかへほっぼり出されることになるのですよ、その理論をあれしていくと。  今、あなた方は老人保健だ、老人保健だと盛んに言っていますけれども、それとこの問題は違うのですよ。なぜこれが大きな問題になったかと言いますと、あなた方は四百六万人が絶対大丈夫だ、加入者の一〇%がいれば絶対大丈夫ですと言って、もう町村会市長会や、あらゆるところに行って全部これを約束して歩いた。国会でも全部答弁して歩いた。それがもう何にもできないで、半分もあの当時はできないで、えらい騒ぎになって、町村会市長会があなた方にペテンを食らったとまで言っているのだ。私は、この前のときにあなたにあれしましたけれども、本当に大変な不信感がある。私はここに議事録を持ってきていますが、あのときあなたも、これはお互いの不信感を直さないうちはこの問題は解決しませんと答弁しているのですよ。問題はそこにある。今度は、あなた方は退職者医療制度をカバーするために老人保健でカバーします、そんなことを言ったって、またごまかされるのじゃないかと必ず思うのですよ。  要するに、信頼感を取り返すためには退職者医療制度であなた方にだまされたと思っているあの人たちをきちっとやるためには、人数というものを現実に合わせて、それに合わせた補助率というものをもう一遍改革しておかなければ、保険者は安心しないと私は思うのです。だから、信頼感を取り直すためにも現実数字でもって新しい補助率を決定すべきじゃないか。これをやりませんと、また来年どうするか。六十一年度になると、あなた方は特別調整交付金というのを廃止するというのでしょう。そうですね。——そうなんですよ。もう何にもこれをカバーしてくれるものがない。そうすると、ことしの六十年の補正予算みたいに、ない金をあちこちから集めて、三分の二でしょうが、ない、あるだけやるのだから我慢してくれという格好になって、また来年も同じように補正を組んでやらなければいかぬことになるのですよ。そうでしょう。赤字要因がかなり出てくるのですよ、差額の分が赤字になって出てきますから。  だから私は、四百六万人という三八・五、これではなくて、あなたがさっき言った二百九十五万人でもいいですよ、とにかくそれに合わせてもう一遍補助率を計算し直して、このとおりですよ、こう言って保険者に示すことによって、あなたがおっしゃるところの信頼感というものも取り直して、そして納得して国保をやるということになると思います。  私は、あなたが老人保健から来るから大丈夫だ、大丈夫だと言うけれども、本来この問題とその問題は別の問題です。老人保健が果たしてそうなるのかどうか、これはかなり議論がありますよ。一方的に、老人保健でもって退職者医療をカバーするから大丈夫だ、そんなこと私は信用できません。しかし、今はそれを議論しているときではなくて、退職者医療制度であなた方が明らかに間違って、そして間違ったということを自分で認めているのですから、そうしたならば認めたあなた方は現実数字でもって補助率をきちんと直していかなければ、これは単年度の問題じゃないから言うのですよ。ずっと長くこの問題が国保財政赤字要因として残っていく、そしてやはりだまされたのだという感じを持ちますからね。だから、現実数字で、あなた方が最初に発表した二百六十四万でなくてもいいですよ、二百九十五万でもいいから、その数字でもって補助率というものをもう一遍直して、このとおりですと言って示すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  10. 幸田正孝

    幸田政府委員 昭和五十九年の医療保険改革の際の考え方は先ほど申し上げたのでありますが、やはり社会保険システムというものを日本の場合には基本にしていきたい、したがって、医療給付費の二分の一という補助をする、残りの二分の一は保険料で賄う、こういうシステムが適当でないかという判断のもとに、国民健康保険についても改革を行ったわけであります。退職者医療対象者数等の見込み違いによりまして市町村にいろいろな影響を与えていることは御指摘の面がありますけれども、私どもやはり将来の国民健康保険、これからの国民健康保険というものを考えました場合に、老人というものが、今のように医療保険制度が分立をいたしておりますとどうしても国民健康保険にしわ寄せになりまして、国民健康保険に多く傾くことになります。そういった意味合いからいたしましても、老人保健制度改革を御提案申し上げておりますのはそういった負担の不公平をできる限り是正をしようということの一環でありまして、私ども国民健康保険も含めまして全体的に五十八、九年以来医療保険制度改革に取り組んでいる、その一環としての退職者医療制度創設であり老人保健制度改革であり、一言で申し上げますと給付負担の公平を図る、こういうことでありまして、そういった意味国民健康保険の問題を考えているということであります。現在でも国民健康保険無職の方が全世帯数の二割、千五百万世帯、約三百万の方が無職世帯であります。こういった世帯というのは今後老齢化とともにますますふえていくわけでありまして、そういった今後の高齢化社会というものを考えまして、国民健康保険を幅広く、どう持っていくかという観点老人保健制度改革お願いをしているということであります。
  11. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ちょっと聞いていますと、あなた、今の問題と、それから時間がないかもしれないが私は後で聞こうと思っていますが、あなた方これから国保改革しようとしていますね、いろいろな案はあるようですが、それと混同しているのじゃないですか。将来こうやりたいから今のは我慢してくれというふうに聞こえるのですが、私は、これはそれとは別の問題だと思うのですよ。そんないつできるかわからないようなものを持ってきて、やるつもりだから我慢してくれといったって、国保は今崩壊寸前にあるのですよ。  自治省の担当の人、どなたですか。税務局長矢野さんにお聞きしますが、私が今議論したのをあなたはお聞きでしょうけれども現実に四百六万人いなくて、二百六十四万人しかいないのですよ。それははっきり厚生省でも認めている。それなのに、四百六万人分補助金が来ている。それは足りないのですよ。二百六十四万人しかいない。そのためにその差額赤字になって大きく出てきて、あなた御承知のように日本じゅうの、三千三百のうち二百くらいあるけれども、あとはほとんど皆値上げしているのです。値上げは絶対させないといって約束しているのですよ。しかも、これは私がさっき言いましたが、保険局長はこういうふうに言っているのです。問題は、国と市町村との信頼関係の問題である、だから、できるだけこれを何とかしなければいけないと自分で発言しているのですよ。  そこで、私は改めてお聞きしたいけれども、一時的に毎年補正予算を組んでいると毎年補正を組まなければいかぬ。ところが、今の状態であると組めるか組めないかわからないでしょう。補助金をぶった切ったままにしておくと、それがそのまま毎年赤字要因になって残ってくるでしょう。そうじゃないですか。そうすれば自治体の財政を担当するあなた方としてどう思いますか。私はこんなのを残してもらっては迷惑だと思いますけれども、どうですか。
  12. 花岡圭三

    花岡政府委員 国保におきます退職者医療制度創設に伴いまして見込み違いがあった、またこれに対する措置の問題につきまして先生の御指摘のとおりだと私ども思っております。  ただ、昨年の十二月でございましたか、この補正予算におきまして千三百六十七億二千五百万円という措置がなされるときに、市町村の代表と申しますか、市長会あるいは町村会といったところと国保財政危機突破対策本部というところで厚生省申し入れをいたしました。「退職者医療制度創設に伴う市町村国保財政影響については、国の責任で解決すること。」それから「昭和六〇年度市町村国保の収支の状況により、今回の補正措置によってもなお所要の財源措置を講ずる必要が生じた場合には、国は誠意をもって措置すること。」それから、先ほど来保険局長から御答弁にありますような「市町村国保財政の長期的安定を図るため、老人保健加入者按分率を一〇〇パーセントとすることを目途として制度改正を実現すること。」このようなことを申し入れをいたしました。当時の厚生大臣から、今後ともこの問題については市町村国保運営安定化を図るために誠意を持って最大限の努力を払う所存であるという回答があったわけでございます。そういうことで市町村の方も一応納得された。  しかし、これが埋められるかどうかという問題になりますと、今後の推移といいますか、まず老人保健制度改正ということが的確に行われなければ今後の問題は解決しないであろう。しかも、これでどうなるかの問題がございますけれども、この改正を私ども見守りながら、そして各年度退職者医療制度財政に及ぼす影響というふうなものを見守りながら、なおかつ、制度改正されないで穴があくというふうな場合には、私ども所管省に対してこの穴埋めについては的確な措置をしていただきますよう要請をしてまいるつもりでございます。
  13. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 市町村などというのは大変国に対しては弱いものだから、三分の二で我慢してくれと言えばやむを得ず我慢するのです。今回の六十年の補正でも全部埋めたわけじゃないのですからね。三分の二しか埋めていない。三分の一は残っているのですよ。来年また同じやり方をすればまた三分の一残るのです、もし埋めれば。埋めないと思うけれども。もう来年からは特別措置やめたなんて言ってやっているものだから、多分埋めないと思うけれども、埋めなければまるまる残ってくる、補助金をぶった切った差額の分が。それが毎年残っていくのですよ。今財政局長は的確に埋めていくと言うけれども、初めから的確じゃないのです。埋めるならばきちっと埋めなければいかぬ。きちっと埋めることを、絶対迷惑をかけないということを約束しながら三分の二しか埋めていないのです。三分の一は残しているのです。まして、長年後年度に尾を引く補助率をこのまま残しておけば、それがいつまでたってもなるのです。そのうちに、いや健保から金が来た、これが来た、あれが来たといって何もわからなくなってごまかされてしまうのです。ところが、それは現実にはずっとどこまでも、この制度改革になれば別ですが、ある限りは赤字要因として残っていく。  だから、信頼関係を取り戻すためにはこれをきちっとしておくことが一番大切だと思いますよ。ぜひこれだけは、幾らでもないのですけれども数字できちっとあらわれてきていますから、補助率というものを現実数字でもってもう一遍計算し直す。そうすると、町村会にも市長会にも何も言うところを与えなくてもいいと思う。  ただ、老人保健の問題は、あなたさっきから老人保健でカバーすると言うが、それが果たしてカバーになるかならないかということは今議論している時間はありませんけれども、私は必ずしもならないと思いますよ。必ずしもあなたの言うようにみんな老人保健であれだというふうにはならぬと思うのです。あなた方、国保が困った、困った原因は老人保健だ、それから退職者医療だ、何とかこれを実現してくれと言って、ようやく老人保健が実現したけれども何にも国保財政はよくならない。よくなった分をあなた方がかっさらってしまったからだ。そこのところを助けたから何ぼかよくなるのであって、よくなった分を持っていけばもとのもくあみじゃないですか。退職者医療制度だって同じですよ。あるある、四百六万あると言っておいて何もない、半分しかない。そして、それを三分の二しか埋めなければまた悪くなるのです。せっかく何とかやってくれという願望の制度をつくりながらますます国保財政は悪くなっていく。老人保健だから国保財政がよくなるということは私は信じられない。恐らく町村会市長会もみんな信じてないと思いますよ。だからせめてこの点だけは、はっきりと出てきているのだから、もう一遍あなた方、自分が間違ったということをはっきりと世上に発表して、間違いましたと言っているのだから、深くここのところも、間違いに基づいた補助率の率をもう一遍現実数字に合わせて計算し直すのが当たり前じゃないですか。どうですか大臣、あなたの意見は。
  14. 幸田正孝

    幸田政府委員 改めての御指摘でありますけれども、私ども医療保険の全体的な改革一環として国保制度改正あるいは老人保健制度創設ないしはその改正を行っているわけでありまして、そういった意味合いで国民健康保険については二分の一の五〇%の医療給付費補助という考え方でこの問題は取り組んでいるわけであります。今のせっかくの御指摘でありますけれども、私どもとしまして国庫補助率を現行以上に引き上げるという考え方はございません。老人保健制度その他もろもろの制度改革によりまして、国民健康保険重圧になっております老人医療費というものを中心にして国保財政安定を図っていこう、こういうのが私ども基本的な考え方であります。
  15. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 医療の問題は大変難しい問題ですけれども、特に今回のことにつきましてはいわゆる政府の見通しが違ったことによって生じたことでございます。したがいまして、その点につきましては、状況の推移を見なければ一概には言えませんけれども政府責任はより重いものであろうと思います。したがいまして、この点につきましては、先ほど財政局長も答弁いたしましたが、政府としては十分誠意を持ってこれを支障を来さないようにしなければならない、そのように考えております。
  16. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 時間がないからこれでやめますけれども、あなたがお帰りになるそうですが、国保課長に聞いたってとてもそんなに答弁できないでしょうからやめます。また補助金カットの連合審査もあるでしょうし、交付税の審議もありますから、そのとき時間をもらってもう少しやりたいと思いますのできょうはこれでやめておきます。しかし、もう一遍最後に念を押してあれしますけれども、あなた方は完全に自分で参った、間違いましたと言いながら、その間違いによってできた数字を訂正しないという態度は少しかたくなだと私は思います。しかも、これは二分の一じゃないですよ、四百六万人の分で二分の一と言っているのです。ところがそうじゃない、あなたの数字でも二百九十五万人で二分の一という、もう一遍計算し直さなければいかぬのですよ。それを自分の間違いを認めておりながらその結果を訂正しない、こういうかたくなな姿勢というのはちょっと私は合点がいかない。もう一遍後でまた機会を求めておいて願っていろいろ質問したいと思います。あなたの場合はこれで終わりますからどうぞお帰りください。時間がなくなったので国保課長さん、いいです、帰ってください。時間が足りなくてあなたに質問する時間がなくなっちゃったので後で、また……。  今度は自治省にお伺いします。一番先に大臣にお伺いしたいのです。本当は所信表明をお伺いするつもりだったのですができなかったので、きょう初めて大臣にお会いしましたのでお伺いします。  去年の国会で大きな問題になりました補助率の一割カットがありますね。あれが委員会でも連合審査でもあらゆるところで大問題になりまして私どもも随分質問しました。各党各位みんながこれを中心にしていろいろ質問しました。自治大臣は、きょうはおられるからあれだけれども、全部大丈夫だ大丈夫だ。来年になるともっと悪くなるんじゃないか、いや絶対大丈夫です、来年になればもとに返ります、再三再四答弁しているのですよ。ところが、ことしになってみたらよくなるどころか、去年片道びんたなら今度はことしは往復びんたですよ、もっともっと倍も悪くなっておる。あれだけ多くの長い時間をかけて、あれだけ多くの人がいろいろ熱心に勉強してきて質問して、そしてそれに対する大臣の答弁が大丈夫です、必ず来年はもとどおりになりますということを答弁している。そうしてその答弁と全く逆の結果が出ていれば、あれだけ熱心に我々が一生懸命国会で質問したのは一体何だろうか。まことにむなしいのです。まことにむなしい。私は、だから故意にうそをついているのか、うそなんて言うと怒られるかもしれませんが、わかっていて故意にああいう答弁をしているのか。本当にそれをそのとおりになると信じてやっているならば、これはまことに先の見えない政治家だと思うのですよ。  あんなに時間をかけてあんなに一生懸命やったのに、何の価値もない。無価値ですよ、今になってみると。もう少し建前じゃなくてお互いにきちっとした、本当にこれは難しいぞ、じゃどうすればいいか、こういう答弁に入っていかぬと、ただ建前で大丈夫です大丈夫です、次の年になったら全く大丈夫じゃなかった、これの繰り返したと何にもならぬと思うのですよ。いかがですか。私はそう思って、そういうことに対する大臣の御感想をお聞きしたいのです。
  17. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 先生のお話のように、昨年来の経過につきましては私も聞き及んでおります。私どもといたしましては、特に補助負担率の問題につきましては本当に国と地方とどういう仕事を分担し、それについてどういう負担をお互いにしていくのか、そういう議論の中から出ていかなければならないものであるということを主張してきたものであります。  さらに、先生がもっとお互い実情を踏ま哀た、腹を割った議論を委員会においても展開すべきではないか、その点につきましては私も全く同感であります。今日のような国の財政も非常に厳しいことは間違いない、もちろん地方も厳しい、しかしお互いが協力してやらなくてはならないじゃないか、これも本当であろうと思います。  今回、六十年度予算編成以後、その本来の趣旨にのっとりまして閣僚会議やら検討会やらいろいろと議論をしてまいったものであろうと思います。私どもといたしましては、今回の六十一年度の予算編成につきましては十分とは言えないと思いますけれども基本的な考え方として、社会福祉の保障制度の面においてその考え方にのっとった形で行われたという意味におきまして今後もさらにその考え方を推し進めていかなければならないと思います。いろいろな国と地方の関係において、補助金の政策目的を達したものやらあるいは特にいろいろな縦割りの省庁の中でダブった補助金のあり方とか、そういうこともたくさん現実にはあると思います。しかし、それをすぱっと一刀両断解決できるようなものがあればいいですけれども現実にはなかなかそういうわけにもいかぬというところの中で今日のような状況になっておるのであろうと思います。私ども特に地方を代表して、それを政府の中でその政策に反映させる役割を本来的に持っておるものでございますので、これらの補助負担率の問題につきましても本来の筋道を立ててその中で議論し、主張していかなければならない、そのように考えております。
  18. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 議論が結果的に実るか実らないかというか、実現するかしないかは別にして、苦しいことはみんなわかっているのですよね、国家財政から何から。だから、その中でどういうふうにするかということをもっと中身の問題にしませんと、こっちで一生懸命質問した、いや絶対できます、結果は何もできなかった、これじゃ本当に空虚な議論になってしまうから、何にもならぬから、何かそこらをもっと中身のある議論をいつでもして、この問題だけではなくてそういうふうにしたらいいじゃないかという考え方です。  それで、財政局長でもいいですが、政府は税制を抜本改正をすると言っておりますね。やはりその中で見ていると、どうも形として所得税が大減税になる、今度はその財源として考えているのは大型間接税みたいなことをどうも考えているのじゃないか。こういうふうになってきますと、そうすると今度は所得税は交付税の、三税の財源になってくるけれども、間接税の方は三税から外されてしまう。そうすると、交付税というものはがたっと下がってしまう。それを考えておく必要があると思うのですが、これはどういうふうになるのですか、何かお考えはありますか。
  19. 花岡圭三

    花岡政府委員 今後の検討されます所得税減税といいますか、この減税の内容とかあるいは減税財源をどうするかというふうな問題につきまして、現在、状況がよくわかっておりませんけれども、地方交付税制度は、先生常におっしゃっておりますように、やはり国と地方との間の最も基本的な財源配分にかかわる問題でございますから、私どももこの改正がどのようになるのかということについては常に十分注意をしながら、その対応を考えていかなければならないと考えておるところでございます。  基本的には、地方財政の自主性の向上及び健全化のためには、この地方交付税の総額の確保ということは絶対に必要なことでございます。どのような方策を考えるかということでございますが、具体的には現段階での状況はよくわかりませんので具体に申し上げる状況でもございませんけれども、やはりその点につきましては交付税率の問題あるいはリンク税目の問題、こういったこともあわせて検討して、交付税総額の確保には最大限の努力をしたいというふうに考えておるところでございます。
  20. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 十分気をつけて、ひとつ検討していただきたいと思います。  それで、問題になっております社会保険診療報酬に対する事業税の非課税の問題についてお伺いしたいのですが、これを政府税調が最大の重点にして、わざわざ念を押してこれは必ずやりなさい、今度は特に重点にしてやってきました。これは今度はなぜ出さないのですか。
  21. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 御指摘のように、社会保険診療報酬に対する事業税の実質非課税措置の問題は、私どもといたしましても税制の公平化推進のための残された最大の課題の一つである、このように考えておりましたし、また政府税制調査会においては既に過去二カ年にわたってこれを撤廃せよ、こういう御答申をいただき、さらに今回の六十一年度の税制改正の答申に当たっては、これだけ言っておるのにまだできないのは一体どういうことか、即時撤廃せよ、大変厳しい調子の御答申をいただきました。もとより、私どももこういった従来からの政府税調の御答申の経緯を踏まえまして、この問題に対して全力を挙げて取り組むべく検討の俎上に上せたわけでございます。  この問題につきましては、かねてよりいろいろ議論のあるところでございますけれども、税制改正の折衝の経緯におきましてはやはり議論になりましたのが、一つは医療あるいは社会保険診療というようなものの性格、こういったものが他の事業等とやはり異なるのではないか、こういうような御意見、あるいは先ほど来も御議論があったようでございますが、昭和六十一年度に予定されております老人保健制度の見直しの問題、あるいは薬価基準の引き下げ等に伴う医業経営の実態、こういうものの変化を見きわめ谷必要があるではないかという意見、あるいはさらに、こういった問題はやはり三十年来の制度改正するものであるから、税制の抜本的な見直しの中でやはり医師課税全体の問題として検討すべきではないか、こういったような御意見、そのほかいろいろ御意見がございまして、率直に申し上げますとやはり議論が多かったところでございます。  私どもとしても、この問題は抜本改正を待たずして当然公平化の推進の一環としてでもやはり実施すべきである、こういう考えのもとに取り組んだわけでございますが、残念ながら税制改正についてこの問題についてコンセンサスを得るに至らず、政府税調の極めて厳しい御答申にもかかわらず実現を見なかったこと、力不足の点、大変私どもとしては残念に存じております。今後ともこの問題についてはさらに引き続き努力をしてまいりたい、そういう覚悟でございます。
  22. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あなた方は、政府は、税調だとかいわばそういうような機関の答申はもう最大限尊重するといつでも言っているんですよ。もう二年も三年も、しかも念を押して、あれだけ政府税調がわざわざ総理大臣に念を押してやっているのにやらぬというのは、尊重するというあなた方の趣旨と全く逆ですね、これは。ところが、一方ではたばこ消費税があるんですね。政府税調が何にも答申しないのに、たった一晩のうちに二千四百億出てきた。これは全く——そうすると合意は得ているのですか。何の合意もないのに突然出してきている。これは全くそれこそ審議会無視ですよ。税調も何も全く無視している。片方ではこんなに無視しているのに、片方ではこんなにやっているものを何もやらぬ。こういう両方突き合わせますと、あんな政府税調とか審議会というのは何も要らないでしょう。答申しても聞かないし、答申しないものはどんどん出してくるし、何も要らないでしょう、あんなのは。どうですか大臣、こんなのは何のためにつくっているんですか。
  23. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 たばこの問題につきましては、再三大蔵大臣もひたすらおわびを言っておりましたからそれはそれといたしまして、このいわゆる医師の特別の税制の問題につきましては、これは御指摘のとおり何度も言われておるわけであります。私の感じではそろそろ当事者も決着をつけなければならない時期に来ておるという感じを持ってきておるのではないかと思います。したがいまして、今年できなかったのは甚だ残念でございますが、もうこの問題に終止符を打って決着をつける時期に来ておるではないか、その方針で今後も対処してまいりたいと考えております。
  24. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは、最大の問題になっておった一人法人が今度できたのです。もう一番大きな医師会のよりどころというのがないんですよ。何のためにこれをやっているのか。あなた方、常に税の公平公平ということを盛んに言っているけれども、その不公平の中の最大のものとしてそれこそこれはコンセンサスがあるのですよ、国民的コンセンサスが。それを、最も信頼する税調がやれと言って最重点にしてきて、これでもまだ何がコンセンサスがないのですか。矢野さんにさっき聞いたけれども、何のためにこれを出せないのか、結局は医師会がおっかないから出せないというだけの話でしょう。医師会にも何の理由もないのですよ。最大のよりどころにした一人法人ができちゃった。それなのにまだ出さぬ。今大臣から、幸いと言えばおかしいが、もう終止符を打つときで、来年度だか今度の補正か何かで出すのですか、これは。どうですか、来年度で出すということをお約束できますか。
  25. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 先ほどもお答えを申し上げましたように、私どもとしてはとにかくこの問題については全力を挙げてやるべきだ、政府税制調査会の答申、これは本当に尊重していかなければならないという考え方のもとに取り組んだわけでございます。しかしながら、今申し上げましたように、医療そのものをめぐる情勢等に関する御意見、あるいは御異論等が多く、残念ながらここに至らなかったわけでございます。御指摘のように一人法人の実現を見、これが今後どういうような形で普及してまいりますか、この辺の状況はまだつまびらかではございませんけれども、そういったことも一つの大きな環境の変化になっておると思います。私どもとしては引き続き全力を挙げてこの問題に取り組みたいという覚悟でございます。
  26. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ぜひひとつこれは出してください。でないと、いろいろと公平だ何だと言ったってそれこそだれも信用しなくなりますよ。必ずこの次は出すようにひとつ頑張っていただきたいと思います。  まだ少し時間がありますから、ちょっとまた聞きますけれども、住民税の非課税の限度額のところで、生活保護基準との関係で非課税の限度額を修正しましたけれども、もう一つ夫婦のところが生活保護基準よりも非課税限度額のところが低いのですよ。これは直せないのですか。
  27. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 今回の改正案におきまして非課税限度額の引き上げをお願いいたしております。この非課税限度額につきましては、端的に申しますと、御指摘のように生活保護基準との関係を常に念頭に置いて、これと同程度以下の場合には住民税の負担というものを課さないようにするというのがその考え方でございます。率直に申しますと、直接の理論的な結びつきがあるわけではございませんけれども、そういうことを常に念頭に置いておるということでございます。  御指摘のように、今回の場合、夫婦子供二人の場合あるいは子供一人の場合、独身の場合、こういった場合についてそれぞれ計算をいたしますと、前年度、すなわち六十年度の生活保護基準よりも非課税限度額の方が上回るという格好になるわけでございますが、確かに夫婦の場合のみが、生活保護基準額が亘二十万七千円であるのに対して百二十八万円で若干下回っておるわけでございます。この夫婦の場合は実は五十九年、六十年におきましても下回っておるわけでございまして、一定の今回お願い申し上げておりますような二万円の引き上げということになりますと、どうしてもここのところがカバーできないわけでございます。生活保護にはいろいろな態様がございますので、それらの態様のすべてについてこれをカバーできるように十分な余裕を持って引き上げるということがなかなかできにくいというようなことから、やはり原則としては標準世帯、夫婦子供二人に焦点を当てて引き上げ額の幅を決めておるところでございまして、そういう意味では確かに夫婦二人の場合にカバーできないという点はもう御指摘のとおりだと思いますが、先ほども申し上げましたように、それぞれの態様にすべて対応できるようにというところまではなかなか実はまいらないと考えております。  夫婦の場合にどういうケースが多いか、いろいろ難しいのでございますが、例えば考えられますのは老年者の場合などかなりあろうかと思います。そういった老年者の場合などは、しかし住民税の方におきましては一方で独自の制度として合計所得金額百万円を超えなければ課税をしない。これは収入ベースにいたしますと百六十万円を超えるわけでございます。そういった制度もございますし、その辺をもってある程度対応ができるのではないか、このように考えておるところでございますので、御了承を賜りたいと存じます。
  28. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 大変名答弁で、ごり押ししたと言っていいか悪いか迷うような名答弁ですが、ひとつお考えになっていただきたいと思います。  余りぶった切ってしまったので時間が少し余ったので、最後にちょっとお伺いします。  これは予告しておかなかったのであれですが、京都市の古都税、お寺と京都市が盛んにけんかしていまだに解決を見ないでいるのですが、あれは一体どうなっているのですか。
  29. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 古都税につきましては、かねて当委員会でも、昨年の春等御質問ございましたが、その後、昨年の四月の初めに許可をいたしました。許可をいたすまで随分いろいろ両当事者と申しますか、市とそれから特別徴収義務者である寺院側との話し合いを進めるようにということで私どももそのように指導助言をしたところでございますが、残念ながら完全な了解がつかないままに実施されたわけでございます。  現在、対象寺院のうちの一部がいわゆる拝観停止というような形で古都税の徴収に対して反対をしておるという状況にあるわけでございます。ただ、京都市の方は要件に合致するとして許可を受けて実施をした条例であり、それは市議会において議決をされたものでございますので、その実施について全力を挙げる一方、なおそういった寺院側との話し合いによってできるだけ混乱を避けたいという気持ちのもとに対応しておるところでございます。  いずれにいたしましても、地元でもいろいろ動きがあるようでございます。いろいろなあっせんに入られた方々がございましたし、また京都の市民の間でもこういった事態の解決を一日も早く図るべきであるという考え方のもとにいろいろな動きをされております。私どもとしては、そういった古都税の実施に伴うさまざまな問題につきまして地元当局においてぜひ良識を持ってこの問題をスムーズに進めることのできるよう努力されることを期待をしておるという状況でございます。
  30. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あと二分ありますが、これでやめます。
  31. 福島譲二

    福島委員長 小谷輝二君。
  32. 小谷輝二

    ○小谷委員 最初に大臣に二、三お伺いしたいと思います。  大臣は就任のごあいさつを初め、自治大臣とされまして地方財源の充実のために財政基盤を強化したい、このように力強いごあいさつをいただいておるわけでございますけれども、この財政基盤の強化の方途、どのようなお考えを持っていらっしゃるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  33. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 一般的に申し上げれば、地方税源の充実、地方交付税の総額確保ということになるわけでございますが、実際上具体的にどうかということであります。特に、今、税制の抜本改正を審議会でやっておりますので、個々の具体的な問題等につきまして申し上げるわけにはいきませんけれども、そういったいろいろの審議の過程の中におきまして、例えばその税制の従来の経過からいえば、利子所得の課税とかいろいろなことが議論されておると思います。そういう中で地方の税源としてきちんとした確保をしていかなければならないと思っておりますし、先ほどちょっと御議論にありましたけれども、所得減税をすれば交付税がその分下がるということにもなります。そういうようなことを考えてみますれば、今日交付税の総額を下げていいような現状にないわけですから、交付税率を仮に上げるとかあるいは交付税に新たな地方税源としての項目を加えるとか、そういうようなことも、もちろんこれは答申を待っての話でございますが考えていかなければならないであろう、そういうふうに思っております。  それから、直接、税制とかなんとかという問題ではございませんが、誤解を受けてはいけないのですけれども、地方としても単に国の補助とかそういった問題だけに頼るものでなくて、やはり地域の全体の振興という意味で地方みずからもやはりその財政基盤といいますかそれを強化するための方策を積極的に考えていかなければならない、もちろんそれには国全体の全国のいろいろな振興発展計画と相まってやるわけでありますけれども、私はそういうことを念頭に置きながら発言したものでございます。
  34. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣にさらにちょっとお伺いしておきたいのですけれども、今回、所得税、住民税にわたって二兆三千四百億の減税要求が野党から出されまして与野党合意がなされたわけでございますけれども、この合意を踏まえて自治大臣はどのように受けとめておられるのか、これは地方税の減税も含まれておりますので、この点まず大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  35. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 これは与野党、公党問で合意したものでございまして、それに基づいて実際上のいろいろな案を今後検討されていくものと思います。その中で得られましたものにつきましては当然これを尊重し実行していかなければならない、そのように考えております。
  36. 小谷輝二

    ○小谷委員 減税に対する世論、またその意見や提言、非常に多いわけでございまして、特に最近の国際的な大問題であります貿易摩擦の解消、また円高によるところの輸出関連企業の救済等含めまして内需の拡大は急務である、このように我々も思うわけでございますが、そのためにも大型減税をことしは避けて通れない、こんなふうに我々も考えられるわけでございますけれども、大臣御自身はこの問題についてはどうお考えですか。
  37. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 この問題も税のことでございますから税調ということを前提にしてお話し申し上げるわけでありますが、いわゆるそういった先生の御指摘のような状況下にあるということは私も認識しておりますし、また、特に我が国の現状におきましては所得税あるいは住民税、そういった直接税が非常に大きな比率を占めておりまして、それが国民に殊さら重税感を与えておるということも事実でございます。また、その所得減税が内需喚起、景気の振興に非常に役に立つということもそのとおりであろうと思います。  したがいまして、この点につきましては、税調を踏まえてという前提はつきますけれども、たびたび総理も大蔵大臣も発言しておりますし、私もそういうようなことを踏まえて対処すべきものと思っております。
  38. 小谷輝二

    ○小谷委員 大体基本的な考え方につきましてはお聞きしました。  それで、特に総理も、国民の強い要望である所得税の減税については六十二年度に考えていきたい、実施を考えるというふうな御発言もあるわけでございますけれども、この財源の問題、これについては何もまだ明らかに示しておられない現状でございます。  したがって、大型間接税の創設をもって財源と考えていくのか、また利子配当課税等の見直し等も大きな山場の問題の一つであろうかと思いますけれども、その他これという目玉、減税財源というものが今考えられるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  39. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 税制の抜本的見直しに関します税制調査会に対する内閣総理大臣の諮問に対してこれをどのようにお取りまとめいただくかということについては、まず先に負担軽減合理化のためのものからお願いをして、それらの基礎の上に財源措置を含む一体としての包括的な審議をいただきたい、こういうことでございます。これは国税、地方税を通じてのことでございますが、この財源確保に関する議論というものは恐らくことしの春以降において具体的に論議をせられるであろうと思います。  その際、全体のゆがみ、ひずみの是正ということと、それからいわば財源の中立性と申しますか、ニュートラリティーを確保するための財源の確保という観点からどのようなものがその対象として選ばれるであろうかということにつきましては、これはあくまでも今後の御審議の結果にまたなければならない、このように考えております。この段階において私どもの方からこの御審議にあれこれ予断を与えるようなことは差し控えたい、これは政府全体として常にそのようにお答えを申し上げておるところでございます。
  40. 小谷輝二

    ○小谷委員 この委員会におきましても今までも論議された内容の中に利子配当課税、これは最近も税調の方でも随分論議されておられるように思いますけれども、この分離課税に対する地方税の課税、これは現在各自治体からも、特に政令都市あたりからも、利子配当課税のうちの要するに分離課税の分についての地方税、この課税について要望が出ておると思いますが、これはどういうふうな内容でどういうふうな要望がどういうところから出されておるのか、これをまずお答えいただきたいと思います。
  41. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 現在、所得税におきまして源泉分離課税を選択した利子配当所得について、株式配当を除きまして住民税は非課税とされておるわけでございますが、その非課税とされておるものに対してただいま御指摘のように地方団体側からは非常に強い要請、すなわちこれに対して住民税を課税してほしいという強い要請がございます。  六十一年度の税制改正当たりましても、まず全国知事会からは「利子・配当所得について、住民税を課税できるようにするための制度の確立等の措置を講ずること。」こういう要望がなされておりますのを初めといたしまして、都道府県議長会、全国市長会、全国市議会議長会それから全国町村会、全国町村議会議長会からほぼ同趣旨の要望が出ておるところでございます。
  42. 小谷輝二

    ○小谷委員 だから、俗に言う地方六団体すべてこれには強い要望を年々重ねられておるわけです。しかし、これはいまだに自治省の方としては何ら解決の見通しも持っておられない、このように私は認識しておるわけでございますけれども、この問題についてもうちょっと掘り下げて私は質問したいと思います。  最初に、大蔵省きょうお見えになっていると思いますけれども、お尋ねしておきたいと思います。  本年一月からマル優制度の限度額管理が実施されておるわけでございますけれども、この実態は現在どうなのか。また、マル優扱いからはみ出た、超過したマル優以外の預金が生命保険とか他の金融資産等に流出しておると一部では報道されておりますけれども、現時点の限度額管理の実態はどうなっているのか、この点御説明をいただきたいと思います。
  43. 熊澤二郎

    ○熊澤説明員 先生お尋ねのマル優の限度管理の実態がどうなっているかという点についてお答えしたいと思います。  本年一月一日から本人確認制度がスタートしたわけでございますけれども、この制度がねらいとします架空名義預金などを排除できるかどうか、これは金融機関等で本人確認が的確に実施されるかどうかという点にかかっておるわけでございますので、まずもって貯蓄者あるいは金融機関が法令の規定に従って厳正に手続を実施していただくことが重要であろうかと思っております。税務当局といたしましては、こうした本人確認の履行が的確に行われているかどうかを確認するために、金融機関の店舗に入りまして調査を行いましたり、あるいは金融機関から提出されます非課税貯蓄限度額の申告書を住民票とチェックするなどいたしまして、適正でないものがあったような場合には是正していくことにしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この制度が本年一月一日からスタートしたばかりでございますし、旧制度のもとで非課税貯蓄扱いになっていたものにつきましては今後金融機関の店舗で新たにその枠を利用して預入する場合に本人確認を行いまして、新しい制度のもとの申告書を提出いただくわけでございます。これには継続定期預金のようにかなり猶予期間が設けられている場合もございますので、今後順次新しい申告書に切りかわっていくことになるわけでございます。そこで、この制度がスタートしたばかりでございますので、今は実態がどうかということを申し上げられる段階ではございませんけれども、今後適正に行われているかどうかにつきましては十分注視してまいりたいと思っております。  次の点につきましては、銀行局の方から答弁させていただきます。
  44. 坂篤郎

    ○坂説明員 お答えいたします。  お尋ねの趣旨は、限度額管理が強化された結果、金融機関から金融機関以外の金融商品に預貯金等が流れているのではないかということかと存じますが、この点につきましては、限度額管理が強化されたのは本年に入ってからでございますし、本年一月以降の各種金融商品のデータがまだ集計中でございまして、その辺の影響がどうであったか、確たることは実はまだ私どもとしてもわからない状況にあるわけでございます。ただ、全国銀行の例えば個人預金の増加傾向というのが一月まで出ておりますが、これを見ますと昨年の十月あたりから大体前年比八%前後で推移しておりまして、この辺を見る限りでは特に今回の限度額管理の強化といった影響が出ているというふうには見えないわけでございます。  いずれにいたしましても、限度額管理方式の変更とかあるいはその他の税制の影響につきましては、私ども金融当局といたしましても引き続き注意して見守ってまいりたいと考えているところでございます。
  45. 小谷輝二

    ○小谷委員 この際、大蔵省にもう一回聞いておきたいと思いますけれども、普通の標準世帯、親子四人家族で、郵便貯金も含めてマル優扱いができる金額は幾らになりますか。
  46. 熊澤二郎

    ○熊澤説明員 非課税貯蓄限度額につきましては、貯蓄者一人についていわゆるマル優は三百万円、特別マル優三百万円、郵便貯金三百万円、それから住宅積立郵便貯金が五十万円ございまして、九百五十万円までが制度上利用可能となっております。またこのほかに、サラリーマンである場合には財形貯蓄が別枠で五百万円利用可能となっております。したがいまして、サラリーマン家庭の標準世帯であるといたしますと、一人当たり九百五十万円に四人分を掛けますと三千八百万円となりますが、それにサラリーマン本人の財形貯蓄五百万円を合わせますと家庭内での非課税枠は四千三百万円と一応なります。しかしながら、家庭内での稼得所得者以外の配偶者、子供を非課税貯蓄の単なる名義人としているという場合あるいは妻や子供に現金を贈与し、それをもって非課税貯蓄としているような場合には、その実態に応じて別途非課税貯蓄の限度オーバーの問題あるいは贈与税課税問題が生じるということはございます。
  47. 小谷輝二

    ○小谷委員 マル優扱い以外の利子配当課税の分離課税化、これによるところの地方税の減収分は六十一年度ベースでどのくらいの金額になりますか。
  48. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 利子配当所得につきまして源泉分離課税を選択した場合においては、株式にかかる配当所得を除きまして住民税において非課税となっております。これが一つでございます。それからまた、確定申告を要しない利子配当所得についても住民税が非課税となっております。これが二つ目でございます。この二つによりますところの住民税の減収見込み額は、昭和六十一年度におきましては千九百八十二億円と推計をいたしております。
  49. 小谷輝二

    ○小谷委員 ここで、今標準世帯で四千三百万円くらいは非課税というマル優制度に乗って一般家庭では預金ができるわけですけれども、それ以上金を持っている人、それ以上預金をする人の定期なんかは、総合課税を選択するか分離課税を選択するか預金者の選択によるわけです。総合課税ということで申告すればおのずから地方税はかかってくるわけですけれども、分離課税を選択した場合には国税だけで地方税はまるっきりかかってない、こういう矛盾が今のようなおおむね二千億、こういうことになるわけです。これは地方自治体にしましても、何とか考えなければならぬじゃないかという強い要望が出るのは当然なことである、私はこのように思うわけでございます。  なおかつ、過日の新聞報道を見ましても、先ほど大蔵省から説明がありましたけれども、非課税貯蓄の口数だけでも国民一人当たり五・五口あるんです。こんな数字が出ている、このような報道もあるわけです。したがって、限度額管理、また架空名義、これがすべて管理が厳格に、適正に行われた時点におきましては、要するにマル優からはみ出たところの預金、分離課税、総合課税選択でありますけれども、これがほとんど分離課税となったとしたときには地方財源にとっては見過ごすことのできないことになってきますし、かなり大きな金額に膨れ上がってくるのではなかろうか、こういうふうに思われるわけであります。  そこで、この分離課税制度というものをなくして総合課税一本にすればこの問題はまず解消される、このように思うわけですけれども、これは大蔵省どうですか。
  50. 塩田薫範

    ○塩田説明員 今御指摘の利子課税につきましての、どんな方式があるかあるいはどういう議論があるかということでございますが、御承知のように、利子配当課税あるいは非課税貯蓄制度の見直しの問題につきましては、これまでも国会や税制調査会等でさまざまな議論が行われてきたところでございます。  御承知のように、昭和六十年度の税制改正の際に現行のような限度管理の強化ということで方向が出まして、先ほど答弁がございましたように、ことしの一月一日から限度管理の強化といいますか、本人確認の強化が行われることになったわけでございます。ただ、その過程におきましても、いろいろと利子配当の所得の特殊性といいますか、例えばその発生が大量に起こるとかあるいは元本である金融商品がいろいろな多種多様にわたるとかあるいはそれが転々と流通する、そういった特殊な性格を持っておるので、どういう課税方式が適当かということでいろいろな御意見がございました。税調の報告といたしましては先ほども申し上げたような話になったわけでございますが、御承知のように、現在税制の抜本改正の作業が税制調査会で行われているところでございます。したがいまして、おっしゃったような利子配当課税のあり方につきましても税制調査会で広い角度から利子所得あるいは配当所得の特殊性、そういった面も含めまして御議論が行われるのだろうと思います。その結果を待ちまして私どもといたしましては適正に対処していきたいと考えております。
  51. 小谷輝二

    ○小谷委員 今この利子配当課税の見直し、これは国税、地方税ともに大きな財源の一つとみなされるわけでありますけれども、このマル優制度を廃止して低率の一律分離課税、こういうふうな論議もあるわけですが、こうなったときに、これは地方ではどんな対応をしますか、地方税として自治省は。
  52. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 グリーンカード制がかつて一たん制度化されて、これが結局実施に至らず廃止をされたわけでございますが、グリーンカード制が実施されました場合には、もちろん住民税も総合課税として実施をできるということになっておったわけでございます。しかしながら、これが廃止をされましたために改めてこの問題が、いわば非課税貯蓄も含めてどのようにあるべきかということがこれからの抜本改正の御議論になるわけでございます。今までの税制調査会の御答申によりますれば、住民税についても現在所得税において課税をされておるもので住民税が課税されてないものについては基本的には課税すべきであるけれども、いろいろ検討すべき問題があるので抜本税制改正の中で引き続き検討することになり、また、今御質問のように、非課税貯蓄について何らかの制度的な改正というものが行われた場合において住民税をどのようにするかということについても、あわせて同様の観点から適切な検討をやはり行うべきである、このような御答申をいただいております。  非課税貯蓄の問題をどのように扱うかということは、先ほど来お答え申し上げておりますように今後の抜本改正の課題でございますが、その場合におきましてもやはり住民税の問題もあわせて御議論、御検討をいただくことができるように税制調査会の方では答申の中で示されておるところでございます。
  53. 小谷輝二

    ○小谷委員 現在の分離課税、これは配当所得の場合は全部支払い調書が出されておりますね。それによって総合課税になっていますね。ところが、分離課税の分もこれと同様の扱いがなぜできないのか、これはちょっと不思議なんですけれども、現在、分離課税も支払い調書的な形をとって配当所得のような措置をとって地方税をかけるという措置がなぜとれないのか、そのネックになるのはどういう理由なんですか。
  54. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 御質問の御趣旨は、現在の制度のもとにおいて、総合課税については支払い調書が出てくるけれども、分離課税について出てこない、そのことが住民税が課税できないことのいわばネックになっておるのではないか、こういう意味を込めての御質問だろうと思いますが、確かに現行制度のもとでは総合課税をやります場合には支払い調書が必要であります。それに基づいて総合課税を行うことができるわけでございます。ただ、現行制度では所得税について源泉分離課税を行うということになっておるわけでございますが、源泉分離課税は金融機関の窓口のみで課税関係は完結するわけでございますので、そういう意味で支払い謝書を出す必要がない、現行制度を説明すればそういうことになるわけでございます。しかしながら、そのことが一方におきまして住民税が総合課税の建前に立って物を考えようとする場合には、この支払い調書が源泉分離分について行われていないということがすなわち住民税については課税ができないという大きな技術的な理由になろうか、このように考えます。
  55. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣にちょっとこの問題についてお聞きしておきますけれども、今申し上げました利子配当課税の分離課税、これはいわば金持ち、一家で四千三百万以上の預金を持っておられる家庭のその預金に対する課税ですから、これは分離課税にも地方税の課税ができるべうな措置を考えるべきではないか、こう思いますが、大臣、どうですか。
  56. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 この税の問題はこれまた税調のあれを前提として申し上げなければならないことでございますけれども考え方といたしましては先生の考え方も私、理解しているところでございます。ただ、いろいろこれは課税あるいは徴税の技術上のいろいろな点もあるかと思います。その点も税調等においても頭のいい先生方がいっぱいそろっているわけですので、いろいろ知恵を出してくださるのではないかと思っておりますが、基本的な考え方といたしましては先生の御意見も理解をいたしております。
  57. 小谷輝二

    ○小谷委員 あと二、三質問をいたしますが、最近地方税の非課税の特別措置創設、この件数が増加傾向にあるように思うわけでございますが、この推移について御説明いただきたいと思います。
  58. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 件数のお尋ねがありましたので私からお答え申し上げます。  地方税におきましては非課税等特別措置につきましては、税制の面から考える場合には負担の公平を図るために極力これを抑制するという態度で対処するわけでございますが、もちろん政策税制として必要な場合もありますから、御指摘のように新設されるということがございます。したがいましてへ常に、その本来持っていた任務が果たされて既に任務を終了しているというようなものについては、また整理をするという意味で見直しをやっているところでございます。  件数の推移を申し上げますと、最近のことでございますが、五十六年度におきまして百五十九件、五十七年度百五十八件、五十八年度百六十件、五十九年度百五十九件、六十年度百五十八件、六十一年度百六十二件というような推移を示しております。これらの件数は、原則として条文の項ということで、あるいは号等におきまして政策目的ごとにこういう件数を定めまして、こういう数字を私どもとしては年度を追って挙げているところでございます。  なお、新設、拡充の問題につきましては、本年度の税制改正におきまして出されております件数は、ただいま申し上げましたような件数は各条項ごとでございますけれども、そのそれぞれの部分についてやっておる場合もありますので数字がちょっと合いませんけれども、六十一年度におきましては新設十一件、それから拡充十一件、合計二十二件ということになってございます。
  59. 小谷輝二

    ○小谷委員 最近に補助率のカット、これが各分野において厳しく行われておるわけでございますけれども、したがって補助金の要求が今のところ無理である、したがってそのかわりに地方税の特別措置において免税措置を講ずる、こういうふうな、地域のそれぞれの要求が地方税の減税特別措置で補われる、こういう傾向にあるのではないか、このように懸念されるわけでございます。  一つの例、農林省の補助金で漁業協同組合等の種苗の生産、育成に対して施設整備費、これは補助が出されておるわけですけれども、この補助金の推移、これはどうなっていますか。農林省、見えていますか。
  60. 今村弘二

    ○今村説明員 ただいま先生御指摘のように、確かに漁業協同組合が行う種苗の生産の補助金については、大変厳しい財政事情もございまして年々減少傾向にございます。五十九年度については十一億九千万、六十年度については十一億六千万、また六十一年度については十億六千五百万というふうに減少されております。ただ、私どもとしましては、こういう厳しい状況でございますので、いずれにしても栽培漁業というのは非常に重要なこともありまして、減少はしておりますけれどもこの中身をいろいろ組みかえまして、工夫しまして中身の充実を図っているところでございます。
  61. 小谷輝二

    ○小谷委員 このように補助率はずっとカットされつつある。今回地方税の改正案の中に漁業協同組合等の種苗生産、育成に対する電気税、これの非課税措置、これが出されておるわけですけれども、これは今までの農水省の補助金の減少と関係があるのかないのか、これはどうなんでしょうか。要するに補助金をカットして地方税で減税する、こういうふうにとれるわけですけれども、これはいかがでしょうか。
  62. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 極めて厳しい国の財政状況下におきまして、各省庁の補助金等が削減をされておるということは御指摘のとおりでございます。最近の税制改正におきまして、いわゆる政策的な税負担軽減を求められるケースというものは大変多いわけでございますが、私どもの方としては、補助金が削られたからその肩がわりに地方税、私ども所管で申しますれば地方税の減免を行う、そういうような考え方は一切持っておりません。あくまでもその事柄の性格に応じ、そのことが政策的な目的から見て必要であるかないかということを、しかも極めて厳しい見地から判断をした上で税制改正の上にのせるということにしておるわけでございます。  今回お願い申し上げておりますところの水産動物の種苗の生産、育成のための電気税の非課税措置でございますけれども、これは御承知のように我が国の漁業を取り巻く国際環境、非常に厳しさを加えてきております。そういう観点から我が国の水産資源の増大を図るということが一方においては緊急に必要となってきておるわけでございます。そういう意味でいわゆるつくり育てる漁業という観点からの漁協あるいは漁業生産組合、民間団体においで一定の水産動物の種苗の生産、育成、ふ化放流を行うというものにつきましては、既存の措置、例えば農業関係に関しましてもそういった例がございますけれども、そういったものの並び等から見て、まあ政策上理由があるということで行おうとしておるものでございます。補助金の肩がわりというような考え方は一切持っていないところでございます。
  63. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは一つの例でありまして、今後これに類するようなことが起こっては、これは地方自治体たまったものじゃありませんよ。これはもう国の補助金を地方税の特別措置で肩がわりする、全く国の責任を地方に転嫁する甚だしい例になりますからね。しかもこれが法律でぼんときめつけられたら地方はこれに従わざるを得なくなる。地方の意思なんか全くどこにも通じない。この事業そのものが意味のない事業、そんなことは言いません、私は。ただし、このような例が各所に起こるとするならばこれは問題だ、これを申し上げておるわけです。  次に、今回の地方税の改正案の中に第一種電気通信事業者、これの固定資産税の課税の特例と事業所税非課税措置、これが盛り込まれておるわけでございますけれども、この理由はどういう理由なんですか。
  64. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 我が国の電気通信事業につきましては、昨年の四月、いわゆる自由競争の原理を導入するということで電信電話公社が新しく民間組織に改組されたわけでございます。これを機会に第一種電気通信事業の新規参入がかなり出てくる情勢にございます。既に認可を受けたものも幾つかあるわけでございますが、そういった新規の参入者とそれから既存の大きな組織でありますNTTとの有効な競争の原理というものを導くために、そういった政策目的から、今回固定資産税につきまして一定の期間の軽減措置並びに事業所税の新増設分についての非課税措置の規定を改正案に盛り込み、御審議をお願い申し上げておるところでございます。
  65. 小谷輝二

    ○小谷委員 このような第二電電というのは超大型企業です。これにこういう特例措置をとることについて、矢野さんは百一国会の逓信、地行、南工、物持、この連合審査の中で、このような第二電電と言われるようなものにつきましては特例措置を講じる考えは持っておりません、これは民社党の岡田先生の質問だと思いますよ、そのようにあなた言ってはるわけだ。これはまた全然違うことなんですけれども、これはどういうことなんですか。
  66. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 一昨年、専売、電電の改革法案に関連をいたします地方税法の御審議をお願い申し上げた際に、NTTに対して一定期間の経過措置を講ずる、既に膨大な資本蓄積を持ったものに対して講ずる以上、新規参入とのバランスを一体どう考えるか、むしろそういう措置を講ずるならば新規参入についても軽減措置を認めるべきではないか、こういった御趣旨の御質問が当地方行政委員会におきましてもただいま御指摘のようにございました。また、他の委員会等においてもございました。そのときに、私がただいまお示しのようにお答え申し上げたことは、そのとおりでございます。当時におきましては、私といたしましてはこういった新たな高度情報化社会における成長産業については必ずしもその必要はない、むしろ最初から税金を御負担いただいて大いに活躍をしていただきたい、このように考えており、そのような御答弁を申し上げたところでございます。  由来、二年近くを経過いたしました。その間、六十年度の税制改正がございましたが、その税制改正に際しましても、私はやはりそういうことで、特に昨年の税制改正では、そういったことをお願いを申し上げなかったわけでございます。しかし、昨年の四月、NTTが発足をいたしまして、その活動の状況はまことに目覚ましいものがございます。一方、新規参入の第一種電気通信事業も、予想を超えた参入の状況が見られるところでございます。  そういった状況を考え、かたがた国会でのさまざまな御意見等をも私もいろいろ考えました結果、やはりこれからの我が国のこの種の企業の有効な競争を果たすために、いわゆる初度投資、初期投資の負担軽減を図ることによって、いわゆるイコールフッティングの形で適正な競争を実施する条件をつくることがやはり必要だな、このような考え方をするに至ったところでございます。そういう意味でいろいろ検討をいたしまして、従来の、一昨年御答弁申し上げましたところと違っておるという御指摘は、そのとおりでございますが、今回、改めてそういう考え方のもとにお願いを申し上げる、こういうことでございます。
  67. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  68. 福島譲二

    福島委員長 岡田正勝君。
  69. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 先般のリコール問題に続きまして、質問をしたいのであります。  まず、行政局長さんにお尋ねをいたします。  先般の質問で、時間がなくてとうとう落としてしまったのでありますが、リコールの投票用紙、署名ではなくて投票用紙、あれは一体どういうふうに相なっておりますか。
  70. 大林勝臣

    ○大林政府委員 投票用紙の様式の御質問でございますが、投票用紙に賛成、反対という二つの欄がございまして、解職の請求を受けている場合に、この人を解職賛成だという人は賛成欄にその方の名前を書く。それから解職に反対だという有権者は反対という欄に解職の請求を受けている方の名前を書く、こういう様式になっております。
  71. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで大臣、これは番外質問になって恐縮でありますが、今御説明がありましたように、例えばこの人をやめさせたいといって解職請求のリコールをやります。署名が三分の一以上集まった。そこでいよいよ賛否を問う投票に入るわけです。  その投票所に行きました場合に、投票用紙は一般の投票用紙みたいに、例えば裁判官のようにマルとかヘケではありませんで、今の請求されておるリコールに反対ですか、賛成ですかという二つの欄が投票用紙にありまして、その議員をやめさせることに私は賛成ですよという人は自分の名前を書くのです。投票者の名前を書くのです。例えば岡田正勝なら岡田正勝が投票に行きますね。すると岡田正勝という名前を賛成欄に書く、あるいは反対なら反対のところへ岡田正勝と書くのです。  これは法で整備されておることでありますから、私は今、それが違法ということを申し上げるのではありませんけれども、この制度というのはちょっとおかしいんじゃないかな、投票の自由、秘密性の保持という観点から考えますと、何かリコールの投票を圧迫しているような、心理的な圧力を加えておるような投票制度ではないかと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  72. 大林勝臣

    ○大林政府委員 個々の賛成欄、反対欄の下に書く名前は、有権者の名前を書くのではなくて解職の請求を受けておる人ですから、議員さんの名前を書く。この議員さんの解職に賛成の有権者は、その賛成欄の下に議員さんの名前を書く、こういうことでございます。
  73. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうですか。それではこれは私が誤解をしておりましたので、潔く撤回をさせていただきます。  次に、大臣にお尋ねをするのでありますが、地方公共団体の行政サービスに伴う費用のあり方について、住民の意向が反映されることは住民自治の基本ではないのでしょうか。これは直接請求全般に関連をしてのお尋ねです。
  74. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 これは、いろいろな事務の個別の問題についてのあれも法で決まっておるわけでありますけれども基本的には、日本の政治の形態は代議政治をとっておるわけでありますが、地方の政治につきましては、できるだけ住民自治、住民の意思をより多く反映させようということで、国政とは別に、そういったいろいろな直接民主制的な要素を取り入れて今組み立てられておるのであろうと思います。したがいまして、現行の制度の中でも、かなりそういう要素を取り入れた仕組みになっておるであろうと思います。  あとは、先生の御指摘を念頭に置いて考えますと、どこまでそういった直接的な要求を取り上げた仕組みにするか、その調和といいますか、程度問題といいますか、その問題に帰するのではないかと考えております。基本的には、それが行政サービスを住民のためにより向上させるという観点からとらえれば、ほかに支障がない限りは、住民の意思が直接反映できるようにできるだけ仕組みを工夫していくということは、制度の上からいって当然考えられることであろうと思います。
  75. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私も決定的な信念を持って申し上げるのではありませんけれども、今大臣が申し述べられましたように、住民自治のあり方ということを考えてみると、できるだけ住民の意思が反映されるような仕組みにするのが一番いいと私も思っております。だがしかし、これは支障のない限りと、大臣はそういう言葉で言われましたが、随分それを制限してあるところはたくさんあるのです。  それで、一番大きな問題といたしまして、住民自治の基本にかかわるのは地方税が一番大きいですね。この地方税の決定に関する論議は、そのほとんどが国会における地方税改正によって決められる、今我々論議しておるわけでありますが、その実態を一体どのように考えられるか。局長さんで結構です。
  76. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 御指摘のように地方税は地方公共団体の歳入の基幹をなすものでございます。それは同時にまた、地方団体の行政サービスの受益者である地域住民が行政に必要な費用を負担する、そういう関係にあるものとして地方自治の基本をなすものでございます。そういう意味では、地方税制につきましてはできるだけ地方公共団体の自主性が確保されることが理念としてはやはり望ましいことだと考えます。  ただ、一方ては、地方税といえども国民にとりましては国税とともに租税負担の一部をなすものでございます。この租税総量について国と地方との間の適切な税源配分を確保する必要があるということがございます。特に我が国の場合、地方自治体が内政の中で分担をしておる分野というのはほかの国に比べても非常に広いと私は思います。そういう意味では、どのように税源配分をやるかということがまず一番基本になろうかと思います。  それからまた一方では、我が国のようにいわば非常に均質化された先進社会におきましては、地方団体の間である程度の違いがあるということはしかるべきかと思いますが、大きな住民負担の差があるということについては必ずしも望ましくないのではないかというようなこと、それからさらに、国税、地方税両方あるわけでございますから、その課税の仕組み、あるいは地方公共団体相互間の課税の仕組み、どのように分け合うかというような課税の仕組み等について調整を図る必要がある。  そういう意味から、我が国の場合は、この地方税の制度全体の基本的な枠組みは地方税法において定める、そしてその範囲内において条例による自主的な定めを行う余地を地方団体に付与する、こういう仕組みをとっておるわけでございます。具体的に言えば、標準税率に対してこれと異なる税率をとること、あるいは法定外普通税の仕組み等は自主的な決定で行われる。こういったような仕組みをとることについてはいろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げたような我が国の特質から申しますと、それはそれなりに一つの意味を持っているのではないかな、このように考えます。
  77. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ということになりますと、今こうやって我々国会で論議をしておるわけでありますけれども、これが時間的な関係から、地方議会におきましては、肝心な基本的な地方税の問題についてはほとんど議会で論議されることはありませんね。そのいとまがない。したがって、その首長さんの専決処分にほとんどゆだねられておるというのが今日の実態ですよお。やはりこれが地方自治というものの目覚めに対して非常に大きな支障になっているのではないかなと私は思っているのですが、いかがでございましょうか。
  78. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 御指摘のとおりでございまして、地方税法の枠組みのもとで地方公共団体が条例を定めるわけでございますから、時間的ないとまが極めて乏しく、専決処分によって行われる例が非常に多いということはもうそのとおりだと思います。専決処分が安易に行われるべきものでないということは法の趣旨からいって当然でございますけれども、一方では年度開始に間に合わせなければならないという要請からそのような形になっておるのが事実でございます。私どもとしては、確かに基本的な枠組みは地方税法で決められるわけでございますが、しかしその中でも地方議会において税の条例に関する議論が十分行われなければならないということは当然だと思っておりますし、また地方団体、特に六団体の中でも議長会の方からはたびたびそういった点についての強い御要請がございます。私どももできればそういうぐあいにしたいと考えておるところでございますが、税制改正そのものがいわば予算、地財対策と並行して行われるということ、また国会の御審議の日程等の都合からいってもどうしてもぎりぎりになる、そういう意味では、そういった地方団体の要請に必ずしもおこたえできないことが残念だと思っております。せめて若干の期間でもいいからそういった年度末までの期間が地方団体の審議のために留保することができるならばなあといつも考えているところでございますが、その点につきましては私どももいろいろまた工夫をしてまいる必要もあろうかと考えております。
  79. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今、その欠陥は認められる、何か工夫をしなきゃならぬなと考えてはおるということでありますからこれ以上申し上げませんけれども、やはり地方議会において住民の意思が税に対して十分反映ができるように、例えば会計年度をずらすとか、これはまあ大胆な発想でありますけれども、何かそういうような措置を講ずるかしてでも地方議会に対して住民の意思を酌み取る十分な余裕を与えるということは必要であると思いますので、今後とも真剣にひとつ御検討をいただきたいと思うのであります。検討したくないとおっしゃるのなら答弁に立ってください。検討しますね。——それじゃ結構です。  それでは、一番最後の質問にさせていただきます。  これは行政局長さんになるんでしょうか、住民の直接請求制度の対象の中から住民税と使用料、それから手数料なんかを除いてありますね。直接請求はできませんよというふうに除いてありますが、その除かれた理由というのは一体何でありましょうか。
  80. 大林勝臣

    ○大林政府委員 条例の直接請求に関しまして御指摘の地方税、手数料その他住民の負担を徴収する問題を除きましたのは、たしか昭和二十三年であったと記憶しておりますが、当初は何でも直接請求できるということで、税金が高いとか負担金は嫌だとか、そういう音頭をそれぞれの方面でとりますと、やはり住民個々人にとりましてはそれは取られない方がいいんだということで、そういう請求がすぐ成立してしまうわけでございます。当時大変な混乱期にありまして財政逼迫もございました地方団体としては、これでは仕事にならないということでそういった例外措置を設けた、こう記憶をいたしております。
  81. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 二回にわたりまして質問を継続してまいりましたが、これで質問の時間は終わりました。  そこで大臣に最後にお願いだけ申し上げておきますが、今いろいろと各委員からも出されておりますように、私の質問にもありましたように、やはり地方自治法の中身というのは相当見直しをしなければならぬような問題が最近は起きてきているなというふうに私も実は自覚しておるわけでございます。また、いろいろな御答弁の中にもそういうのが大臣からも各局長さんからもちょこちょこと漏らされます。やはりそういう見直しの時期に来ておるのではないかということを私は強調しまして、ぜひできるだけ早くその見直しをしていただきたい。折から地方税制の問題も、税調でこれから論議をされるようでございますが、そういう問題等も含めていろいろと各般にわたって見直しをしなきゃならぬ時期が今日ではないかというふうに思っておりますので、大臣におかれましても、前向きに地方自治の確立のためにかくあるべしというお考えのもとにひとつ作業を進めていただくよう心から希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  82. 福島譲二

    福島委員長 経塚幸夫君。
  83. 経塚幸夫

    ○経塚委員 国民健康保険の件についてお尋ねをいたします。  国保料の収納率でありますが、五十五年度は九四・三%ですね。これが五十九年は九三・六%、年々下がってきておるわけでありますが、この原因について厚生省の方はどういうふうに考えておられるのですか。
  84. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答えいたします。  国保保険料の収納率が低い、それがさらに低くなっているということがよく言われるわけでございますが、私ども、この収納率が低い原因といたしましては、やはり制度的に源泉徴収ができないということでございまして、個別徴収によらざるを得ないというのが宿命的な制度の非常に難しい点だというふうに考えておりますが、その中で都市化が進展いたしまして、被保険者の住所移動というのが非常に多くなっておりまして、そういう人たちの居所が確認できないというふうなのが一つの大きな原因だろうと思います。それから、ひとり暮らしの御老人ですとか、あるいは共稼ぎの世帯が多くなってきているわけでございまして、こういう人たちには夜しか行けないとか、あるいは留守がちであるというふうなことで、なかなか個別の指導ができないというふうなことが考えられるわけでございまして、そのほかの理由といたしまして、やはり一般論といたしまして負担が重くなれば収納というのにも影響するのであろうというふうに考えております。
  85. 経塚幸夫

    ○経塚委員 自治省の方へお尋ねしますが、所得のない者の世帯の比率は、四十九年それから五十八年それぞれどういうふうになっていますか。
  86. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 お答えいたします。  国民健康保険税及び料を賦課している市町村におきまして、国民健康保険の被保険者総数に対します総所得金額等のない世帯の割合でございますが、四十九年度は一〇・九%でございまして、五十八年度は一七・九%でございまして、七ポイント増加している状況でございます。
  87. 経塚幸夫

    ○経塚委員 厚生省の方の御答弁では、この収納率低下の原因として個別徴収しかできないとか、最後にその他の理由ということの中で負担が重くなっている、こういうことを挙げましたが、その他の理由の中でという、これが私は最も決定的な収納率低下の原因だと思うのですね。今自治省の御答弁でも所得のない者が四十九年一〇・九%、これは五十八年度実に一七・九%と膨れ上がっておりますね。私どもが調査しましたのは、これは北海道の小樽でありますが、不納欠損の理由、生活貧困が四一・八%、生活扶助が一〇・五%、これだけで実に半数を超えておるわけですね。東大阪市の場合でありますが、滞納繰り越しの世帯数が全世帯の二一・三%に上っておりますが、生活困窮が実に八四%、不納欠損処理の理由も生活貧困が九四%に上っておるわけですね。  そこで、お尋ねをしたいわけでありますが、厚生省、今度保険料滞納者に対しては、保険証の交付について一定の制限を加えるというようなことを法案として出されておるようであります。同時に、収納率が低いところに対しては調整交付金で制裁措置を加えておりましたが、これも今回九二%を九四%に引き上げるわけでしょう。こういう二つの制裁措置を強化されるわけでありますが、こんなことをやって収納率が上がると厚生省の方では判断されておるのですか。
  88. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 滞納者に対します保険証の不交付の関係でございますけれども、私どもは、国民健康保険保険料というのは保険制度を構築する非常に重要な財源でございますので、これをきちんと納めていらっしゃる方とそうでない方につきまして、これを放置しますと、負担の公平という見地からやはり是正すべきではないかというふうに考えているわけでございます。ただ、この保険証不交付というものにつきましては、これは私どもは悪質な者というふうなものに限定してやりたいと考えているわけでございまして、資産や所得があるというふうに認められながら故意に保険料を滞納している方、こういった人たちを中心に被保険者証の不交付というふうな形をとりたいと考えているわけでございまして、経済的な困難、こういったような方にまで広げるという考え方はないわけでございます。  それから普通調整交付金の関係で、私ども、今までも経営努力という面から評価しているわけでございまして、一生懸命頑張って収納率を上げているところとそうでないところにはやはり差をつけるべきではないかという声が非常に強いわけでございまして、こういったことを反映いたしまして、普通調整交付金だけでございますけれども、収納率がいいところと悪いところ、これにつきまして差を設けているわけでございます。私どもはこういった措置でいわゆるインセンティブを与えるというふうなことで収納率の向上というものを目指しているわけでございまして、効果はあるものというふうに考えております。
  89. 経塚幸夫

    ○経塚委員 効果があるものと考えておる、こういう御答弁でありますが、これ、厚生省の方では全国的に調査されたのですか。調査された上での御答弁なんですか。全然効果なんて上がるはずがないですよ。逆効果しか出てないですよ。  一つの例を申し上げておきましょう。札幌市。ここは保険証の交付をかなり大量にわたって滞納者に対して停止したところなんですね。社会問題になっているところなんですよ。私ども、行って調査してみた。これはこういう結果が出ていますよ。例えば五十四年度でありますが、保険料が一人当たり三万八千四百八十六円、収納率が九二%。ところが、収納率が低いというので厚生省は調整交付金を減額されたわけでしょう。交付金減額で削減をされた額が一億三千二百三十九万円ですよ。よく聞いておいてくださいよ。減額をされたものですから保険料の値上げをやった。保険料の値上げ分は幾らかというと、交付金の減額が一億三千二百三十九万円に対して値上げは七千九百九十八万円。これは追っつかない。差額がなお五千二百四十一万円。それでやむを得ずまた翌々年度も翌々々年度も値上げをやった。例えば五十八年度。五十四年が保険料三万八千四百八十六円に対して五十八年は実に五万四千七百八十三円。かなりな思い切った値上げをやらざるを得なくなってやった。そうしたらどうなったかというと、五十四年度収納率九二%が五十八年度は収納率何と八七・六%に落ち込んでしまった。そうすると、収納率が悪いじゃないかというのであなたのところの方はさらに五十四年をはるかに上回る調整交付金の減額をやったわけでしょう。交付金の減額が五十四年度一億三千万、五十八年度二億八千万じゃないですか。五十四年度の倍額以上の減額をやったわけでしょう。そうすると結果はどうなったかといいますと、保険料を三万八千円から五万四千円へ、かなり大幅に引き上げをやりましたが、一方では収納率がうんと下がりましたから、調整交付金の減額が五十四年の倍額以上になったために、値上げ分が千五百九十二万円に対して調整交付金の減額が二億八千万円でしょう。何と差し引き二億七千万円足が出た勘定になるのですよ。それで五十九年度は札幌市の保険料は五万九千二百二円、全国最高になった。これはまだ決算は出ておりませんが、収納率は五十八年八七%から八五%ぐらいに落ちているはずですよ。そしてあなたのところの調整交付金の削減率は、ことしの六月一日から考えております削減率からいきますとかなりなものになりますよ。大臣、こういう状況なんです。これは全国的に見ましても、財政が苦しいから保険料を値上げせざるを得ない。そうすると収納率が落ちます。収納率が落ちたら調整交付金は制裁、ペナルティーをやりよります。そうするとまた穴があくから、さらに前年度より大きな保険料値上げをしなければなりません。値上げをしたら収納率はまた落ちます。そうしたら調整交付金の削減額がまた大きくなります。そして穴があくのがまた大きくなります。これはイタチごっこです。それを今度は、もうこれ以上はどうにもならぬというので保険証の交付の制限をやるわけでしょう。それで調整交付金のペナルティーも、従来は九二%だったのを九四%まで収納率を上げないとペナルティーをやるというわけでしょう。全国平均だって収納率九三・六%ですよ。このイタチごっこ、こういう悪循環をいつまで続けるつもりなんですか。あなたは好転するとおっしゃいましたけれども、好転するはずないじゃないですか。どういうふうに判断されているのですか。
  90. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 札幌市の事例が出ましたが、ちょっと今数字を持ってないわけでございます。収納率の問題は、こういう保険料の水準そのものも関係があると思いますけれども、収納体制そのものも問題があるわけでございまして、札幌市につきましては収納率の向上というふうなことでこの二年ほど一生懸命取り組んでいただいているわけでございまして、この二年間は必ず上がっているだろうと思っております。  それから全国的な関係で申し上げますと、確かに収納率は長らく低下を続けてきたわけでございますけれども、私ども五十九年度から保険料の収納率の向上対策ということを打ち出しまして、札幌市等を初めといたしまして全国各地で収納率の向上につきまして御努力をいただいているわけでございます。その成果の一端といたしまして、五十九年度におきましては五十七年度の水準ぐらいまで戻ってきたということでございまして、若干はその効果が出ているというふうに考えております。
  91. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これはそんなに甘い見通しのとおりにはいかないでしょう。いよいよ深刻の度を増していくばかりなんですね。  そこで、ちょっと問題を変えてお尋ねいたしますが、事務費の超過負担額は、五十五年、五十九年、それぞれ全国的にどういう状況になっておりますか。
  92. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 国保におきましては、給与が国家公務員の水準を上回る、こういった市町村の独自の負担に帰すべきものを除きまして、その事務の執行に要する経費につきまして全額国庫負担という形になっているわけでございます。国保制度に必要な運営費につきましては、実態調査をもとにいたしまして、人件費の動向等に即しましてこれを毎年改定しているところでございまして、基本的にはいわゆる超過負担というものはないものと考えております。
  93. 経塚幸夫

    ○経塚委員 基本的には超過負担がないという、このこと自体、一体厚生省は何を考えているのかと言いたいわけですよ。今のは調査された上での御答弁ですか。ここ数年来、全然調査してないのでしょう。北海道の小樽の場合は、五十八年度、事務費の国庫負担の対象経費のみを抽出しましても、必要な額は五六・六%しか保障されておらない。五十四年度は五七%ですよ。大阪府下では毎年のように事務費の超過負担額を集計いたしておりますが、五十五年は三十四億七千二百万、五十九年は四十九億三千百万。被保険者一人当たりにすると、五十五年が千二百六十六円、五十九年が千八百八十一円です。実態調査すればこういう数字が出てくることがわかっているから、あなた方、実態調査されないのでしょう。それで基本的な解消をしている、こういうお考えなんでしょう。これはもってのほかであります。  それから次にお尋ねをいたしますが、保険会計の決算額との比で保険料、国庫支出金、五十五年、五十九年、それぞれどういうふうになっておりますか。
  94. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 保険料でございますが、五十五年が一兆一千五百七十二億円、五十九年度が一兆五千六百六十六億円でございまして、伸び率といたしまして三五・四%となっております。  それから国庫支出金でございますが、五十五年度が二兆一千二百六十四億円、五十九年度が二兆一千六百三十五億円でございまして、一・七%の伸びになっているわけでございます。
  95. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今のは額と伸び率でありますが、決算の総額に占める比率は五十五年、五十九年、それぞれどういう比率になっておりますか。
  96. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 五十五年度におきましては保険料の収入が三二・三%でございます。それから国庫の支出金が五九・三%でございます。それから五十九年におきましては、保険料の方が三六%、国庫の支出金が四九・八%でございます。
  97. 経塚幸夫

    ○経塚委員 仮に五十九年度の決算の場合でありますが、国庫支出金を五十五年の五九・三%並みにするとその差額はどれくらいになりますか。
  98. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 五十五年から五十九年にかけまして老人保健制度創設等があります、あるいは退職者医療制度、こういった国保財政の費用負担面で大幅な変更があったわけでございます。したがいまして、単純に比較するのは余り意味がないと私どもは考えておりますけれども、純粋に、仮に計算をいたしますと五十六年度で四百九十四億、五十七年度で六百二十一億、五十八年度で千三百十六億、五十九年度で四千百四十一億円、ただ、退職者の関係で療養給付費交付金が出ますので、これを差っ引きますと五十九年度は二千二百五十五億円ということになります。
  99. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大臣にお尋ねをいたしますが、私はわずかな時間でありますが、いろいろお尋ねしてまいりましたが、聞きたいと思っておりました要旨はこういうことなんです。  今回、最高限度額が三十五万、三十七万に引き上げになる。全国的にも保険料の引き上げというのはかなりの率で上がってきているわけです。しかし、同時に収納率も低下してきておる。それで、今あえて保険料と国庫支出金の両面にわたりまして五十五年、五十九年の数字をお尋ねいたしましたのは、五十五年の保険料全体の決算額に占める比率三二・三%が、五十九年は三六%に上がっておる。しかし、国庫支出金は、いろいろな要素が加わったとしましても五九%が四九・八%、九%近く下がっている。伸び率を見ますと、保険料はこの四年間で三五%伸びている。国庫支出金は一%台しか伸びておらない。それですから市町村が一般会計から幾ら繰り入れをしていってみましても、一方では国庫支出金がこうして大幅に削減をされてきておりますから、これはもうイタチごっこになってきているのです。保険料の引き上げ、収納率の低下、一般会計からの繰り入れ、一体こういう矛盾をどこまで続けるのか。先刻来も質問がございましたように、国保財政は今全くピンチなんです。それで、一般会計の積立金も取り崩しながら国保財政の穴埋めをしてきましたが、これは正直言ってもう六十年度で限界ですよ。六十一年度はそういう手を打てないところも随所に出てきております。そこへ退職者医療見込み違いによる地方への負担転嫁であります。これはどうなるのかということなんですね。だから、私はその最大の根源は、国庫負担金の削減が何といっても一番大きな原因になっておりますし、その中でも事務費の超過負担ども含まれておるわけであります。したがって、やはり抜本的に国保財政の立て直しを図ろうとするのなら、この際国庫負担金のあり方についてもとの原点に戻って考え直さないことには国民健康保険制度そのものの存立にかかわるような事態に今来ておる、かようにも考えております。老人保健法改正によって補てんをしたいということでありますが、これは全く糊塗的な対策にしかすぎないというふうに私は考えられるわけであります。  それで、大臣としてはこういう状況についてどういうふうにお考えなのか。単に国民健康保険財政の存立いかんにとどまらず一般会計からの繰り出しも年々ふえていっているわけでありますから、しかも積立金も取り崩さなければならぬという状況なんですから、地方の一般財政にも当然影響してきておるわけなんですね。この点についてひとつ大臣のお考えをお尋ねしておきたいと思います。
  100. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 医療を中心といたしまして社会保障全体のあり方等もこれは考えなければならないものであろうと思いますが、国民の負担と、それからその受ける受益サービス、これはどうあるべきか、いろいろ今制度改正等々考えながら、国民の皆さんの合意を得ながら、この問題につきましては抜本的な制度を見直しながら考えておることであろうと思います。  今御指摘ありました退職者医療等の改正によりましてその見通しが狂った、それによって地方の負担が大きくなる、そういうことにつきましては、先ほどの御質問のときもお話ありましたが、国の責任というものは十分果たしていかなければならない、そのように考えておりますが、全体の問題といたしましては、国の財政状況も厳しいということはありますけれども基本的な仕組み、制度負担とサービス、受益の関係というものがどういう形の中でどの程度でお互いが合意するのか、そういうことを考えながらこの点については制度全体の見直しを含めてさらに検討し、努力しなければならない、そのように考えております。
  101. 経塚幸夫

    ○経塚委員 終わります。
  102. 福島譲二

    福島委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  103. 福島譲二

    福島委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。小澤潔君。
  104. 小澤潔

    ○小澤(潔)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、政府提案の地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。  地方財政は、累積した借入金残高が本年度末で五十六兆円を超すなど、引き続き極めて厳しい状況にあり、今後その健全性の回復を早急に図っていく必要があります。  また、最近の社会経済情勢の推移に対応し、地方公共団体の自主性、自律性を高めながら活力ある地域社会を形成していくことも緊要な課題であります。  このためには、地方公共団体においても、従来にも増して事務事業の見直し等を行い、行財政の簡素効率化と経費の節減合理化を推進し、節度ある財政運営を行うとともに、地方自主財源、なかんずく地方税源の充実を図っていくことが不可欠であります。  また、近年、税負担の公平性に対する国民の関心は極めて強く、国税、地方税を通じて税負担の公平確保を図ることが重要な課題となっております。  以上のような観点に立って政府提出の本法律案を見ますと、厳しい地方財政事情下ではありますが、住民負担軽減及び合理化を図るため、個人住民税所得割について非課税限度額の引き上げ及び同居の特別障害者に係る扶養控除額等の引き上げを行うとともに、不動産取得税について住宅及び住宅用土地に係る税率等の特例措置の適用期限を延長する等の措置を講じております。  また、地方税負担の公平適正化を推進する観点から、事業所税の資産割の税率の見直しを行うほか、非課税等特別措置の整理合理化を行うことといたしております。  さらに、昭和六十一年度における地方財政対策の一環として、昭和六十一年五月一日から昭和六十二年三月三十一日までの間に限り、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の従量割の税率を引き上げることといたしております。  これらの改正は、最近における地方税負担の現状及び地方財政の実情から見て、いずれも当面の課題に的確に対応するものであり、適切妥当なものと考える次第であります。  以上の理由により、私は政府原案に賛成の意を表するものであります。  以上をもって、私の政府原案賛成の討論といたします。(拍手)
  105. 福島譲二

  106. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、政府案に反対の討論を行います。  既に当委員会におきましては、地方自治確立のための地方財源、とりわけ自主税源の確保、そして、高まりつつある国民の租税負担是正のためにも不公平税制の是正、この二つの点は、与野党一致の基本的、統一的認識として確立されておると理解してまいりました。  しかし、私は、こうした認識が政府案に何ら具体的に反映されていないと指摘せざるを得ません。  第一に、地方税法改正案においては、多くの勤労国民の要求であり、不公平税制の是正に不可欠でもある個人住民税の大幅減税が含まれておりません。政府は、この当然の措置であるべき住民税減税を放置しております。我が党は、個人住民税等の減税について改めて強く要求いたします。  第二に、政府改正案におきましては、不公平税制の是正につきまして、その前進となるべき制度改正が何ら含まれておりません。六十年度においては新聞輸送等七業種に対する課税適正化が盛り込まれ、六十一年度においては当然利子配当所得課税の適正化、社会保健診療報酬課税の適正化、我が党提案の社会保険診療報酬課税の適正化を含む是正が実施されるものと期待しておりましたが、極めて遺憾な結果となっております。  第三に、私は、地方財源の安定確保に対する自治省の姿勢が極めて安易であることを指摘せざるを得ません。地方財政は、累積五十四兆円を超える借入金を残しており、かつ、八六年度におきましては、収支均衡とされながら国による新たな地方負担転嫁によって一兆一千七百億円の財源不足を生じさせております。しかも、六十年度においては五千八百億円の転嫁に加え、国税、地方税の落ち込みにより後年度清算の借金と地方債の増発すら余儀なくされております。さらに、政府財政縮小路線による行政投資の抑制に対し、地域の行政需要は増大しており、そうしたギャップはすべて脆弱な自治体財政に重くのしかかっています。今や自治体の自主税源の拡充は緊急の課題であり、私は、社会党の主張する事業税における外形標準課税の導入、事業所税の課税拡大等はもとより、国と地方の税配分を抜本的に見直し、国税の地方への移譲を速やかに行うことこそ必要であると考えます。  第四に、今回の地方税改正は極めて異常な経過で行われております。言うまでもなくたばこ消費税のことでありますが、政府税調案決定後に税制が政治的に動かされるということがあってよいものでありましょうか。しかも、前述したとおり不公平税制には手をつけず、大衆の消費物に対して負担を重くするということは容認できません。まして、一兆一千七百億円の補償としてわずか一年限りの国分と合せても二千四百億円という程度の財源保障で議論がすりかえられようとすることは無責任きわまる姿勢と言えましょう。  最後に、政府は、六十二年度において税制の抜本改正を行うとしておりますが、その方向は全く不明であります。社会党は、高齢化及び経済のサービス化等社会経済の変化に基づく住民の医療・教育・文化・交通・福祉等ニーズの増大に対応し得る地方公共団体の財政基盤の強化を図るため、戦後税制の基礎をなすシャウプ勧告の趣旨、地方制度調査会の地方税制充実に関する一連の答申及びこれまでの国会における地方税制審議を踏まえ、法人課税及びその配分のあり方、住民の租税負担軽減とその税負担のあり方、非課税措置是正等不公平税制の是正など地方税源の安定的確保充実を図るとともに、税源の地域的不均衡の是正等を図るための財政調整制度に一層の充実を税制検討の最重点とすることを強く主張いたしまして、政府案に対し反対の討論を終わります。(拍手)
  107. 福島譲二

    福島委員長 宮崎角治君。
  108. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出に係る地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  今日の社会経済情勢を見たときに、内外ともに重大問題を抱えております。中でも、これまで、我が国の経済を支えてきた輸出依存の経済構造は、急激な円高デフレの進行と、内需拡大の要請に直面しており、その変質を求められているのであります。  こうした中で、税制の果たす役割は極めて重大であることは言うまでもありません。しかし、今回の政府の税制改正を見たときに、改正の目玉は何一つ見当たりません。これでは、総理の日ごろ標榜しております仕事師内閣どころか、緊急課題には何ら寄与できないのであります。  以下、具体的問題について、主な理由を申し述べます。  まず初めに、反対理由の第一点は、住民税についてであります。  ここ数年、所得税を初め住民税については減税が行われておりません。そのために、名目収入はふえても、実質収入である可処分所得は減少しているという事実すら生じており、特に、住民税に対する重税感は、年々増大しているのであります。また政府は、最近の貿易摩擦の解消について、これまでの輸出依存型経済政策を、内需主導型に転換するといっておりますが、このように国民の実質所得が減少している実情では、政府の期待している内需の拡大を図ることは、全く困難と言わざるを得ません。今こそ、国民の税負担軽減を図り、経済を内需主導型に転換するときであることは言うまでもありません。  こうした観点からも住民税の減税を強く主張するものであります。残念ながら政府案には、この点が全く欠けているのであります。  次に、反対理由の第二点は、自主財源の強化についてであります。  今日の地方行財政制度は、補助金によって大半が占められており、このため地方の自主的行政運営は、極めて困難な状態に置かれております。  我が国は、世界に類例を見ないほどの高齢化が急速に進んでおり、また、住民の価値観は多様化しております。しかし、現在、行政の対応は地域的に異なっており、補助金による画一的行政では、今日の事態に対処することは不可能な状態であります。  私どもは、これまで地方の自主的行政運営を推進するため、その基盤である地方税の充実強化を主張してまいりました。しかし、今回の政府案では、このような改革が見られるところか、その方向すらうかがえないのであります。  次に、第三点は、非課税措置等の問題についてであります。  電気税等の非課税措置と、国税の租税特別措置等による地方税減収は、昭和六十一年度で、交際費課税の特例を除き一兆一千億円にも上っており、地方財政に及ぼす影響は少なくありません。今日の我が国経済の置かれた現状から見ても、こうした不合理な税制は早急に見直さなければならないことは言うまでもありません。  また、利子配当所得に対する分離課税を選択した場合、地方税が課税されていない問題についても、一向に改革しようとしておりません。こうした税制の不公正を早急に是正することを強く望むものであります。  次に、第四点は、たばこ消費税についてであります。  政府は、六十一年度予算で、窮迫している国の財政の対策のために、六十年度の二倍に当たる一兆一千七百億円にも上る補助率カットを強行しようとしており、このために不足した地方財政の穴埋めの一部として、たばこ消費税の引き上げを本法案に盛り込んでおります。しかも、たばこ消費税の引き上げは、税調の当初の答申ではなく、追加答申により行うという、その手続においても、これまでのルールを無視したものであります。  六十一年度予算は、このように国民に負担の増大を強いるものであり、これは、まさに中曽根内閣の標榜する「増税なき財政再建」にも反するものと言わざるを得ないのであります。我々は、このような政策には反対するものであります。  以上、主な理由を申し述べ、反対討論といたします。(拍手)
  109. 福島譲二

  110. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、国民の強い期待にもかかわらず、昨年度に引き続き個人住民税の減税が見送られたことであります。  個人住民税については昭和五十九年度減税を行いましたが、その規模は約三千百億円と極めてわずかでありました。その結果、その後の物価上昇などで減税の効果は相殺され、実質的に負担は増大しておるのであります。特に源泉徴収により給料から住民税を自動的に天引きされる一般サラリーマンの税負担の増大は著しく、このような一般サラリーマンの税負担軽減し、税負担の不公平を是正することは、当面の緊急課題であります。また、我が国経済の内需の振興を図り、困難ともいうべき今日の経済摩擦問題の解消に資するためには、個人消費の拡大が不可欠であり、この点からも住民税の減税が強く求められていたのであります。かかる状況を全く無視し、住民税の減税を見送り、非課税限度額の引き上げという小手先の対策でお茶を濁したことは遺憾であり、認めることはできないのであります。  第二の理由は、たばこ消費税の増税を行ったことであります。  政府は、今回、国の補助率カットに伴う地方財政対策として地方たばこ消費税の増税を行い、千二百億円の増収を図ろうとしております。この措置は、国の財政政策の失敗のしりぬぐいを負担の転嫁という形で、地方公共団体にとどまらず国民にも負わせるものでありまして、断じて認めることはできません。また、政府税調の答申にもなかったのに、政府が急速たばこ消費税の増税を決定したことは、税調をないがしろにするものであると同時に、余りにも身勝手な措置であり、許されないのであります。  その他、所得税においても、分離課税を選択した場合の利子配当所得に対する地方税の課税を見送ったこと、不公平税制の是正も不十分なこと等々の問題があります。  私は、政府に対し、来年度は本格的に住民税減税を断行すると同時に、今後の税制改革において、税の不公正是正と地方税収の安定的確保を図る視点から、抜本的税制改革を行うことを求めて、反対の討論を終わります。(拍手)
  111. 福島譲二

    福島委員長 経塚幸夫君。
  112. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、何よりも国民が強く要望している大幅減税の願いにこたえていないからであります。  総理府が行った国民生活に関する世論調査によると、中曽根内閣成立後、税への要望が二四・五%から三七・七%へと急上昇、一般報道機関の世論調査でも重税と税の不公平感が八五%にも達しているのであります。国民がいかに減税を求めているかは明白であります。  ところが、今回の政府提出案による減税は、非課税限度額の引き上げや同居特別障害者控除の引き上げなどを合わせても平年度わずかに五十二億円にすぎないのであります。  しかも、他方では、五千百億円に上る個人住民税の増収と、大衆課税と言われているたばこ消費税、二千四百億円の引き上げであります。  特に、国庫負担金削減による地方財政へのツケ回しは、負担転嫁を禁止した地方財政法、さらに生存権を保障した憲法二十五条の精神に反するとともに、影響額の一部をたばこ消費税引き上げで補てんしようなどとの態度は、国が負うべき責任を国民に転嫁するものであり、断じて容認できないものであります。  また、政府は、国民健康保険税の課税限度額を三十五万円から三十七万円に引き上げようとしていますが、これまた国民へのツケ回しにすぎないのであります。  今日、国民健康保険財政は、かつてない危機的状況を迎えていますが、その最大の原因が国庫負担金の大幅な削減にあることは明白であります。  全国市町村国民健康保険決算によると、収入額に占める保険料の割合は、五十五年度三二・三%であったものが、五十九年度は三六%へと大幅に増加しているにもかかわらず、国庫負担金の比率は、逆に五九・三%から四九・八%へと下がっており、実質削減額は四千百四十一億円にも達しているのであります。  加えて、退職者医療見込み違いによる不足額も、三分の二しか補てんせず、保険料引き上げなどで国民の負担に肩がわりさせるとともに、負担増で保険料が支払えなくなれば、保険証不交付という制裁措置さえ講じようとしているのであります。これまた憲法二十五条の生存権への侵害と言わねばなりません。  反対の第二の理由は、国民には減税どころか増税策をとりながら、他方、大企業にはさまざまな優遇措置が温存されているばかりか、今回拡大さえされようとしていることであります。  産業用電気税非課税措置など、そのほとんどが大企業で占められている優遇措置による税の軽減額は約二千五百億円にも上っており、毎年その見直しが強く要望されながら、六十一年度は産業用電気一品目の見直しなどごく微々たるものにとどまっています。そればかりか、新たに電気会社の電線地中化設備固定資産税の軽減措置や第二電電に対する事業所税非課税措置創設など拡大さえされようとしているのであります。  日本共産党・革新共同議員団は、大企業、大資産家に対する優遇税制の見直しと、一兆六千億円の軍事予算を削減、二兆五千億円の大幅減税実施を内容とする予算組み替え提案を行ったところであります。  特に、個人住民税については、国民所得に占める負担率が、五十二年度の一・八%から六十一年度二・六五%となり、地方税に占める比率も二五・四%から二八・三%に上昇、年ごとに負担が増大しつつありますが、今五十二年度並みの国民所得比にすれば一兆九千億円、地方税収比率にすれば八千七百億円の減税が必要となるのであります。  思い切った減税を実施することこそ、国民多数の要望にこたえるとともに、内需を拡大し、ひいては国と地方の財政再建にも大きく貢献するものであることを改めて強調して、討論を終わります。(拍手)
  113. 福島譲二

    福島委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  114. 福島譲二

    福島委員長 これより採決に入ります。  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 福島譲二

    福島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  116. 福島譲二

    福島委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、平林鴻三君外三名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。平林鴻三君。
  117. 平林鴻三

    ○平林委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四党を代表して、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、今後の税制の検討に際しては、高齢化等社会経済の変化に対応しうる地方公共団体の財政基盤の強化を図るため、地方制度調査会の税財政に関する答申等の経緯を踏まえ、地方財源の確保に努めるとともに、次の事項について所要の措置を講ずべきである。  一 国、地方の機能分担に即応した税源再配分について、抜本的に検討すること。  二 利子所得等の課税の適正化を図るため、源泉分離による所得税の課税が行われているものについては、住民税の課税について適切な対応策を速やかに検討し、その実現を図ること。  三 税負担の公平を図るため、非課税等特別措置の整理合理化を図ること。  四 地方税収の安定確保を図るため、法人事業税における所得課税と外形課税の併用等課税標準の見直しを図ること。  五 事業所税については、その課税団体の範囲の拡大等所要の検討を行うこと。  六 国民の租税負担の現状にかんがみ、個人住民税の減税の実現に努めること。  七 固定資産税の課税について、居住用資産等に係る負担軽減措置を更に検討すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  118. 福島譲二

    福島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  119. 福島譲二

    福島委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、小沢自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小沢自治大臣。
  120. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重して対処してまいりたいと存じます。     —————————————
  121. 福島譲二

    福島委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 福島譲二

    福島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  123. 福島譲二

    福島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十一分散会