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1986-02-25 第104回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年二月二十五日(火曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 福島 譲二君    理事 糸山英太郎君 理事 小澤  潔君    理事 西田  司君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 宮地 正介君       伊藤 公介君    臼井日出男君       大村 襄治君    坂本三十次君       中川 昭一君    細田 吉藏君       松田 九郎君    五十嵐広三君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       山下八洲夫君    小谷 輝二君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     小沢 一郎君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       鈴木 良一君         警察庁警務局長 大堀太千男君         警察庁刑事局保         安部長     新田  勇君         警察庁警備局長 三島健二郎君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         自治政務次官  森   清君         自治大臣官房長 津田  正君         自治大臣官房審         議官      小林  実君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    柳  克樹君         自治省行政局選         挙部長     小笠原臣也君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         臨時行政改革推         進審議会事務局         参事官     重富吉之助君         防衛庁長官官房         法規課長    田中 謙次君         防衛施設庁施設         部施設取得第一         課長      加賀山一郎君         経済企画庁調整         局財政金融課長 大塚  功君         大蔵省主税局税         制第二課長   日高 壮平君         文部省教育助成         局財務課長   逸見 博昌君         文部省教育助成         局施設助成課長 遠山 耕平君         厚生大臣官房政         策課長     岸本 正裕君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     伊藤宗一郎君   中川 昭一君     葉梨 信行君   松田 九郎君     橋本龍太郎君   湯川  宏君     相沢 英之君 同日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     湯川  宏君   伊藤宗一郎君     臼井日出男君   葉梨 信行君     中川 昭一君   橋本龍太郎君     松田 九郎君     ――――――――――――― 二月二十一日  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び  納付金に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第八号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び  納付金に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第八号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一七号)  地方財政に関する件(昭和六十一年度地方財政  計画)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 福島譲二

    福島委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、新たに就任されまして、いよいよ地方行政でこれから一緒に国政にかかわる問題を含めて討論をし、また有効な政策としてぜひ生かしていただきたい。就任に対するお祝いと同時に、期待を申し上げます。  今、予算委員会で、予算を含め地方財政問題、きょうも大変議論になっておるようであります。問題は二点か三点、国家予算の面で絞られておるのではないかと実は思うのであります。一つは、「増税なき財政再建」というものが今の予算を通して可能であるかどうかということ。第二は、六十一年を迎えた日本経済が一体どういう見通しになるのだろうか。特に円高という状況の中での産業構造の変化といいましょうか、私なりの言葉を使わしていただければ、第四次の日本産業構造の変革の時期に来ていると実は思っておるわけであります。言うまでもありませんが、第一次は石炭から石油への転換です。第二次がソフトエネルギーへの転換であります。第三次が今中心に行われておる自動車、電機産業。さらに第四次は原油の値下がりからくる新しい産業構造転換、こういう側面に差しかかっているのではないか。こう見ますと、六十一年度経済指標といま一つはそれに基づく税の収入、同時にそれが落ち込むであろう日本景気浮揚の問題をどう取り上げるか、この辺が予算委員会でも大変重要なことだろうと実は思っておるわけです。  きょうは地方行政委員会でありますから、地方行財政にかかわる問題を中心に、大臣の御見解を二、三お聞きしたいと思います。  第一に、大臣所信表明をずっとお読みをいたしまして、行政改革については大変よく触れていらっしゃるのでありますが、行政改革と並行的に行われる財政再建という問題については、財政という条項はありますけれども再建という課題についての問題提起がなされてない。率直に言って実は大変遺憾に思いました。そこで、「増税なき財政再建」というものに対する大臣の御認識をお伺いいたしたいと思うのです。これは国政にわたる問題もあるでしょう、同時にそれは地方行財政に関係ある問題ですから、「増税なき財政再建」という今日的な意義どこれに対する大臣認識をまずお伺いしたいと思います。
  4. 小沢一郎

    小沢国務大臣 基本的には国と地方税源配分の問題、今税制抜本改正について税調でいろいろ御審議いただいておりますけれども、そういう観点からのとらえ方がまず第一点としてあると思います。それから、本当の地方自治の本旨にのっとって、地方自治体が自主的に豊かな地域社会をつくっていくためには、地方自治体自身財源基盤を強化していかなければならない、これはいわゆる地行の立場だけではなくて、国家政策全般の中からとらえていかなければならない問題ではあると私は思います。本当に地方がそういうみずからの基盤を強化していくという体制をとっていく、またそういう力をつけていくということが非常に必要なことではないかなと考えております。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 みずからの基盤をつくるという中には、行政改革の問題、同時に財政基盤確立の問題があるわけです。どうでしょうか、その基盤のうちの財政確立の問題については、増税という中でのその基盤確立でしょうか、それとも大臣のお考えになっていらっしゃるのは、行政改革の中でいわばよく言われる小さな政府、効率的な地方行政、こういう意味でしょうか。
  6. 小沢一郎

    小沢国務大臣 私が申し上げるのは、もちろん行財政改革地方におきましても、従来の、特に高度成長過程の中でそういったいろいろな問題点、国と同様に改革すべき問題点があると思います。したがいまして、そういう中で不必要なものは改革していく、そういう意味での行政改革の中で考えられていくべき問題と、それからまた、私、後半に申し上げましたのは、いわゆる地域全体の振興という政策の中から地方自治体自身基盤強化、力をつけていく、こういう両方の政策であろうと考えております。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 臨調では「増税なき財政再建」の基本答申の中に、「租税負担率(対国民所得比)の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、」こう述べております。そこで、今回、国、地方それぞれ税制改正がございました。国は三千百八十億円の増税地方では千八百四十四億円、合計で五千二十四億円です。このうちで二千四百億円は御案内のようにたばこ消費税であります。どうでしょう、この税制改革の今年度増税という問題は、臨調基本答申で言うところの、税制上の新たな基本的な措置はとらない、この答申に逆らうものと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  8. 小沢一郎

    小沢国務大臣 今回の、特に六十一年度の御審議いただきます予算につきましては、いわゆる地方税負担公平適正化を図るために事業所税資産割見直しとか、非課税等措置整理合理化を行っているわけでございまして、いわゆる地方税負担公平適正化を推進するという観点からの税制改正であるならば、それは「増税なき財政再建」という趣旨には反しないであろうと考えております。たばこの問題につきましては、いろいろ経過については先生も御承知と思いますけれども、国も地方も大変厳しい状況の中で特に地方自主財源を強化する、補てんするという形でとられましたやむを得ない臨時異例措置であると考えておるわけでございます。特に、今回は税制抜本改正が審議されておるという観点から、これはその妨げとならないように一年間の暫定措置ということにいたしておりますので、御指摘趣旨に反するものではないであろうと考えております。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣たばこ消費税の問題と、この時期における非課税措置見直しとか、そういう面での問題と区分けしておっしゃいましたけれども国民の側から見れば同じですよ。いわゆる増税ですよ。後でこれは少し討論をさせていただきます。  ですから、私が指摘しました五千二十四億円という国、地方を含めての増税計画というものは、増税案というものは、後で大臣がおっしゃった地方財政基盤を、今日的な補助金の問題を含めて、その中で処理をするためのやむを得ない措置と見るのは、それは単年度だとおっしゃいますが、いまだかつてこの委員会で単年度で問題が終わったのはないんですよ。例えば補助金だって去年、単年度だ、単年度だと古屋前自治大臣は何回もおっしゃいました。しかし単年度で終わったことはないんですから。と見れば、たばこ消費税も今までの本委員会経過から見れば単年度で終わる性格のものではない、私はそう思うのです。これは後でまたやりとりいたしますけれども。そうなってきますと、五千二十四億円という増税分は、結果的に六十一年度、今年度増税計画と見るべきですよ。したがって、たばこ消費税は緊急避難的にできたものですという話ではなくして、それらを含めてどうですかという質問を実はしているわけです。  さて、そこで大臣、きょうは大臣の持ち時間が余りありませんから少しはしょりますけれどもたばこ消費税というのは、今度の場合単年度だとおっしゃいますが、これは大変な税制改革改正ですよ。それは国、地方を含めての二千四百億円という額もさることながら、この税を持ち込む、いわゆる税率アップにすることによって、地方と国とにまたがる税法上、制度上の改正でしょう。これが第一点ですよ。  ですから、昭和六十二年度税制抜本改正が行われるから、それまで、六十一年度に限って、今年度に限っての暫定的だと言うにしては、内容が大き過ぎますね。いわゆる二千四百億円という額、さらにその税の性格が持つ、地方と国とにかかわる税の性格上の問題等を含めて、私はどう見ても、臨調基本答申である、新たな基本的な措置はとらないということに反すると思うんですね。まさに新たな基本的な措置にかかわる問題ですよ、この税制改正は。どうですか。
  10. 小沢一郎

    小沢国務大臣 たばこの問題につきましては、先ほども申し上げましたように、予算編成におけるいきさつ等につきましては先生承知と思います。いわゆる負担率の低下に伴う地方補てん措置として、自主財源措置として、しかも一年間の暫定措置であるということでなされたものでありまして、御指摘のように二千四百億円という現実負担があるわけでございますから、国民負担ですね、その意味において国民負担が大きいということは御指摘のとおりであろうと思いますが、今税制抜本改正がなされておる、それとの兼ね合いの中で地方財源をどうするかという検討の中から生まれてきたものである、そのようにあくまでも考えておるわけであります。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 実は少し問題がそれていますが、私が言うのは、五千億円、これだけの増税、同時に、地方、国にまたがる税法上の改正という問題は、抜本改正ですよ。実は基本的な改正にかかわる部分ですよ。したがって、臨調答申に出ていますように、そういう部分については「増税なき財政再建」とは実は違うものですよ。異質なものですよ。臨調は、「増税なき財政再建」は、そういうものはやってはならないという提言なんですから。答申なんですから。したがって、そういうとらえ方をぜひ私はしてほしい、こう思うのです。  それから第二に、今大臣は盛んに地方財源不足からも来る問題として、たばこ消費税の問題を一年間の暫定処置で埋めた、こうおっしゃいますが、さてどうでしょう。たばこ消費税導入は、御案内のように税調に審議されるわけでもなし、自民党の税調の中でも審議されるわけでなし、いわゆる予算編成過程で、最終的にこの二千四百億円のたばこ消費税というのは導入が決まったわけですね。これは大臣案内のとおり。  私は、先ほど言ったような基本的な部分にかかわる問題そのものがこのような形で決められていくこと自身に、財政の民主的な経過というものが踏まえられてないと思うのです。これはもう過ぎ去ったことだといえばそれまででありますが、うちの細谷先生予算委員会でもこの経過は改めて強く指摘をしておりました。財政の民主的な運営という問題を損なっているのではないか。まさにそれはやみくもですよ、国民の側から見れば。あるいは我々国会で審議する立場、あるいは税制調査会の方もそうだと思うのですが、まさにつじつま合わせの中で出てきた政策ではないか。しかもその政策部分が、臨調答申である基本的な部分にかかわる問題ということになればなおさらのこと、財政の民主的な運営という問題に対してそうなっているという指摘をせざるを得ませんね。  さて、そこで大臣、先ほどのたばこ消費税地方財源不足の面を補うために暫定的にということをしばしばおっしゃいましたけれども、どうなんでしょうか、地方財政を補うために、こうおっしゃいますけれども地方財政財源不足が生まれたのは何が原因ですか。
  12. 小沢一郎

    小沢国務大臣 それは、国庫補助負担率の引き下げに伴うものであります。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 国庫負担削減に伴って、一兆一千七百億円の削減に伴って生まれた地方財源不足ですよ。いわば国の財源不足ですよ。地方団体だけで見れば今年度、六十一年度財源過不足なしですよ。それは需要を抑えた面もありますよ。しかし、一応自治省地方財政計画として当初各地方団体から吸い上げられたあるいは積み上げられた財政を執行する上においては、地方財源過不足なしということになれば、地方財源不足をするからたばこ消費税導入をしたという見解は間違いなんです。いわゆる国の財源不足補助金の一律削減の中から生まれた、それが結果として地方財源不足させたのです。  ですから、ことしは、いわゆるノーマルな状態でいけば地方財源過不足なしなんですから、地方財源不足じゃないのです。国の補助金一括削減の結果として生まれたものが地方財源不足になったわけですよ。これはよく言うところの地方財政への転嫁なんですよ。まずこの認識はきちっと持っていただきませんと、何か地方がいろいろな事業積み上げあるいは執行の積み上げをした結果財源不足が生まれたから、この際たばこ消費税導入、ではないということは、ひとつ明確にしておいていただきたいと思うのです。
  14. 小沢一郎

    小沢国務大臣 ただいま先生の御指摘のように、私どももいわゆる国の財政が厳しいから、お金が足りないから補助負担率を減らしてそれを地方転嫁する、こういう考え方は本来の筋道にもとるものである。やはり権限の移譲の問題とか事務見直しとかそういう議論の中で、本当に国と地方がどう仕事を分担し、費用を分担していくか、そういう観点の中からとらえていくべきであるということは先生指摘のとおりであります。  ただ、いわゆる今日の政治は、国と地方両々相まって国民に対する行政サービスを行っておるわけでございます。そういう厳しい財政状況という前提の中で、私どもが今申し上げた趣旨に沿って、一部ではありますけれども検討会閣僚会議やあるいは地方制度調査会意見等もかんがみながら、事務事業見直しという考え方に立って予算編成も行われた。それが今後ともまだまだ必要であろうと思いますが、そういう全般の御指摘については私どももそのように認識いたしております。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、その認識を持っていただきませんと、一兆一千七百億円の後年度の取り扱いの仕方あるいは地方団体に対するその後の財政的な手当て、措置が変わってくるのです。この責任は実は国の財源不足、結果的には地方団体への負担転嫁という中から生まれているのです。したがって、後どうするのですかという問題はやがて交付税の論議のときにやりますから飛ばしますが、まずそういう御認識を持っていただきたいと思うのです。  そこで、これは前の田川大臣のときですが、交付税特別会計は閉鎖したのです。交付税特別会計廃止をいたしまして、当時はちょうど地方財源プラスマイナス・ゼロ、過不足なしという財源状況になりまして、特別交付税を国から借り入れ地方と国がそれぞれ半分ずつ返還をするという状況はなくなったのです。もし交付税特別会計があるならば、国の財源不足は国が、財源がなければ例えば国債発行によって金をつくって、同時に特別会計に回して、特別会計から地方交付をするという措置がとられたと私は思うのです。これは財政局長にお聞きしましょうか。
  16. 花岡圭三

    花岡政府委員 五十九年度におきまして交付税特会からの新たな借り入れはやめるという措置を講じましたのは、特会からの借り入れが、国にとりましては一般会計負担が直接ないというふうなこともありますし、地方でも地方財源不足が生じた場合にはできるだけそっちから借りてもいいではないかということでこれが膨らんでいくおそれもあるというふうなこともございまして、このままでおったら将来大きな問題になるという観点から結局廃止をしたわけでございます。  現在、国の財政状況先生承知のとおりでございますので、御指摘のような方法もないとは言いませんけれども、それができ得るような状況ではないということからこのようなことになったと御理解いただきたいと思います。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政局長、基本的なところはそういう話があるでしょうけれども、五十九年度交付税特会を閉鎖したのは地方財政過不足状況がなくなったことが最大の原因でしょう、なくても地方財政はそれで運営ができるわけですから。したがって、それがなくなって翌年、六十年度に今度は補助金の一律カットが出たわけですね。そして六十一年度ですよ。地方財政プラスマイナス・ゼロになった段階で地方団体への負担転嫁が起き、さらにこの負担転嫁が次に生じている。これは国が痛みを感じないような状況に置いた結果生まれているのではないかと私は思うのです。交付税特会がありますれば、もしお金がなければ、当然国は国債なり何なりを発行してこれを埋めていかなければならないわけです。結果的にはそういう状況を生み出してきたのではないかと私は思うのです。おっしゃるように、再建過程なんだからこの際国も地方痛みを分け合ってくれという意味ももちろんその背景にはあるとしても、お金の面だけで厳しく言えばそういうことじゃないですか。財政局長、もう一遍御答弁いただきたい。
  18. 花岡圭三

    花岡政府委員 五十九年度におきましては、結局特例加算という形で千七百六十億円、そのうち実際に返済しなければならないのは三百億円でございましたが、若干の財源不足を生じておったわけでございます。しかし、このときに将来の地方財政見通したときには、五兆六千九百億円の交付税会計における借金を先送りするという前提では収支が均衡化する見通しにあったということも確かにあったと思います。そういうふうなことからこの見直しが行われたわけでございます。たまたま六十年度におきましては収支が均衡したわけでございますけれども、国の財政が非常に厳しいということから補助率の一律カットが行われた、結局六十一年度におきましてもさらにもう一段のカットを行わざるを得ない状況になったというのが事実でございますが、あの五十九年度のときにも若干の赤字と申しますか収支不均衡であったということ等から考えてみますと、この特会借り入れをやめたことは今後できるだけ地方財政健全化を図っていくということを念頭に置いたものだと考えております。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 細かな三百億のやりとりの問題は後で議論いたしますけれども、問題は、内閣が持つ昭和六十五年度赤字脱却財政の基本的な方針がはっきり申し上げれば今や破綻しているということなんです。結局、今のままいって毎年度赤字国債発行を一兆円減らすことは不可能でしょう。本年度も本予算では不可能ですね。六十年度は補正で食いつぶしをしましたから、これは当初予算からずっと後退しておりますからできませんね。今の赤字国債発行を仮に六十五年度まで継続すれば、年度一兆三千億から四千億の削減をせざるを得ません。できませんよ。したがって、六十五年度まで赤字国債脱却中曽根内閣方針が今や破綻しているのです。現実には破綻しているのです。しかし、今の時期に破綻しているとは言えませんね。言えません。したがって、簡単に申し上げれば、本来国が赤字国債発行すべきものが地方団体への負担転嫁になっているのです。地方債への転嫁になっているのです。  私はこう思うのです。それは、中曽根内閣の政治的な要請であります六十五年度まで赤字脱却財政的要求とがぶつかり合った悲劇的な予算だ。六十五体度までの赤字脱却はもうできない。しかし当面は粉飾しなければなりませんから、六十一年度、六十二年度にかけて、あるいは六十五年度までと言っていいかもしれませんけれども、粉飾しなければなりませんから一兆一千七百億円を地方団体負担転嫁する、同時に今度は地方債発行地方団体はそれを補っている。今のままで言えば、この部分まで含めて本来は、それは赤字国債になるか建設国債になるかわかりませんけれども国債の増発を国はせざるを得なかったのです。中曽根内閣が持っている政策的なものと財政的なものとがぶつかり合ってしまったのです。財政的にはできない、しかし政策的には六十五年度脱却しなければならない、そのぶつかり合った予算が本年度国家予算であり、また地方財政にこれだけ転嫁するという悲劇的な予算だ。私はこう見ているのですが、どうでしょうか。財政見通しを今ここで議論するのには問題点が少し大き過ぎますけれども大臣なりの見解をひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  20. 小沢一郎

    小沢国務大臣 六十五年の財政再建目標につきましては、総理も大蔵大臣も、一兆数千億の赤字国債を毎年やらなければならないというのは大変厳しい難しい課題であるけれどもとにかく六十五年の旗印を掲げて進みたい、そういう答弁をなさっておるわけでございます。特に地方との問題で考えてみますといろいろな当面の措置は、補てん措置あるいは交付税の増額等、たばこも含めてですけれども、とっておるわけでございますが、結局地方債が借金として残る部分があることは先生指摘のとおりであります。したがいまして、私どもといたしましては、これは借金でございますから返さなければならない、利息もつく、そういう金でございますが、そういう点につきましても今後地方財政運営に支障を来すようなことは絶対にないように自治省としては最大の努力をしていくというのが私どもの役割ではないかと考えておるわけであります。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 率直に言って、大臣にしては大変歯切れの悪い答弁だと思うのです。私は、つじつま合わせ、いわば国家予算を含めて粉飾したような感じで、あるいは関係で地方財政負担転嫁するのは間違いだと思うのです。いつかはざっくばらんにおっしゃった方がよろしい。六十五年度赤字国債ゼロという目標はもう無理なんです、したがってその上に立って地方団体どうしてくれますか、あるいは国の財政はどうしてくれますかという議論の展開をぜひされるように、しかも一番若手の大臣なのですからそのくらいの意気込みを持っていただきたいと思うのです。  それから、大臣がおる間に聞きますが、補助金問題、今度は一律削減でございますね。大臣の就任されてからのインタビュー記事、全部読ませていただきました。非常にいいことをおっしゃって、やはり政治を知っていらっしゃる方だなと実は思いました。それは、一言で言えば大臣のおっしゃっているのは一律削減は間違いだ、この補助金が必要なのか、不要不急なのか、あるいはこれを今どうすることによって地方団体との整合性が生まれるのか、そういう観点から補助金を見るべきだ、こうおっしゃっているのですね。今年度大臣になられて、今提案されている補助金削減大臣のその政策と一致していますか。ちょっと御意見を聞いておきたいと思うのです。
  22. 小沢一郎

    小沢国務大臣 私は、基本的に補助金、あるいは負担金についても同様でございますけれども、それはやはりもう地方に任せた方がいいもの、あるいは国でやるべきもの、あるいは各省庁間で重複した補助金等もあるでしょう、そういう不必要なものは削減してもよろしい、必要なもの、国として出すべきものはもっと出してもいいし、本来そういう考え方に立って検討されるべき問題である、そのような考え方は変わっておりませんし、今後もそういう立場で努力しなければいけないと思っております。  今年度御提案している予算につきましては、いわゆる社会保障関係につきまして、その事柄としてはさほど大きいものではありませんけれども、基本的な考え方として事務事業の見画し、権限の移譲という形でとられておりますので、なお私どもとしては最初に私が述べた観点に立って政府部内においても主張すべきは主張していかなければならない、そのように考えております。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 時間がありませんから、いま一問だけ大臣答弁お願いします。  補助金が一律削減です。これは後で大臣がいないときにやりますけれども地方税収の伸びが各都道府県大変アンバランスです。一つの例だけ申し上げますが、例えば東京電力は今原油の値下げでもうかっています。北海道電力は御案内のように石炭火力ですからもうかっていません。法人税の収入が違います。結果的には北海道の今年度地方税収入は平均より大変少ない。これは後で数字的に申し上げます。  さて、そこで補助金は一律カットなのです。地方財政が吸収し切れませんね、一律カットですから。特に福岡のように生活保護世帯が非常に多いところなどは税収が少ない上に補助金が今度は一律カット、十分の七ですね、十分の一は持ち出さなければいかぬわけですね。このアンバランスをどう見ますか。いわゆる補助金の一律カットはすべきではないという大臣見解は正しいのです。したがって、地方財政の税収の見込みと今日の経済的背景から見て、大変地方財政のアンバランスが起きるところに一律カットをすることがどういう弊害を及ぼすかわからぬですね。地方財政の収入と国の補助金一律削減との、そのことが結果的には地方政策上の格差を生むことになる、あるいはいろんな面の格差を生まざるを得ない状況を生み出すわけだ。これは後ほど細かな数字で財政局長とやりとりをしたいと思いますけれども、この点を何らかの形でカバーをしなければ、地方財政地方団体はもちませんよ。どういう形でカバーするかは後で聞くにしても、基本的にそういう状況があるということだけは御認識いただくと同時に、それを何らかの措置でカバーをする。それは交付税でカバーをするかもしれません、あるいはその他の方法があるかもしれませんが、何らかの措置でカバーをするという方向がなければ、各都道府県あるいは市町村に至るまでの行政上の格差を何らかの形で埋めなければならないと思いますけれども大臣の所見だけお聞きしておきたいと思います。
  24. 小沢一郎

    小沢国務大臣 先生指摘のように、地域間の格差が大変大きいということは、私も後進県の出身でございますしよく身をもってわかるわけであります。したがいまして、大前提としてはそういう全体的な国の施策の中で地方の力をつけていくという政策をとっていく、それによって地方基盤確立するということが基本的な問題であろうと思いますが、今日の中におきましては、地方交付税等は地方財源の力の弱い地方でも一定水準を確保するために、そういう意味におきまして理解してとらえていくべきものであろうと考えております。したがいまして、そういう観点の中で地方交付税等につきましても、その配分あるいは算定についても十分考慮していくべきものと考えております。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政局長、今大臣交付税その他の手段を持っている、こういうことですが、具体的にはどうお考えになりますか。
  26. 花岡圭三

    花岡政府委員 御承知のように、補助率の引き下げに伴います地方負担増というものにっきましては、たばこ消費税の税率の引き上げあるいは地方交付税の増額その他起債の増発ということで補てんをすることにいたしておりますから、この補助率の引き下げに伴います地方負担の増加額につきましてはこういった措置で埋められる。御指摘のように、各団体におきまして税収のばらつきが非常に多く出てきております。これは近年どうも業種間のアンバランスといいますか税収のアンバランスといったものが顕著にあらわれてきているのは御指摘のとおりでございます。この点につきましては例えば減収補てん債といったものの発行とかあるいは調整債の配分、こういったことで各地方団体の事情を十分にお聞きしながら、それぞれ地方団体財政運営が適切に行われるように措置をしてまいりたいと考えております。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政局長、一兆一千七百億円については財政上の措置をします、これは後で交付税のときにやりましょう。しかし調整分は八割でしょう。今度千四百億ですか、投資的経費で言えば。これはあと二〇%は地方が持ち出しか単独で負担するかですね。地方団体措置しなければなりませんね。財政上の落ち込みがあり、公共事業投資が、一兆一千七百億円、その中の投資分を含めて、相当固定資本形成としてしなければならないという状況の中で、今の地方税の収入の格差をカバーできますか。現実問題としてはどうでしょう。今の地方団体における地方税の歳入の格差を、今国が求めているような中で、例えば公共事業投資、あるいは一兆一千七百億円、さらに投資的経費その他を含めて地方債発行、同時に調整分については地方団体が、こういうことになった場合にその財政上のカバーができますか。
  28. 花岡圭三

    花岡政府委員 調整債の二〇%の話でございますが、これは昨年いろいろここで御議論いただきまして、経常経費系統にかかるものにつきましては一〇〇%算入せよという御指摘でございますので、六十一年度交付税ではそのような措置をとってまいりたい。その他八〇%のものもございます。しかし、これにつきましても、大枠としましては地方財政計画にその所要額というものは計上しておるわけでございます。  御指摘のように、個々の団体におきまして税収が平均的にとれないという団体につきましては、確かに穴があく部面も出てまいります。そこで、先ばと申し上げました減収補てん債、その他今年度、特に年度末に配分を予定しておりますのはいわゆる枠外の起債、これによりまして地方団体財政運営に支障を生じないようにしていかなければならないであろうというふうに考えておるところでございます。
  29. 加藤万吉

    加藤(万)委員 既にそういう状況になるわけですね。枠外の起債まで含めて財政的な処置を講じなければならぬ、こういう状況ですよね。  さてそこで、時間がありませんから、経済企画庁、ちょっとお聞きをしますが、今経済企画庁がつくりました「六十一年度経済見通し」、中身を多く申し上げる時間がありませんが、経済成長率四%、今日の円高という状況の中でさらに国際的なさまざまな圧力が加わる中で、この経済成長率四%、成長率を修正される用意はありますか。
  30. 大塚功

    ○大塚説明員 最近の経済動向でございますけれども、鉱工業生産は一進一退でございますけれども、国内需要は全体といたしまして緩やかに、着実に増加いたしております。六十一年度見通しにつきましては、先生おっしゃいましたように四%成長を出しておりますけれども、これにつきましては外需は円高の影響等もありまして減少すると見ておりますけれども、内需につきましては、それぞれ消費につきましては物価が安定するということで、所得も着実に増加いたしますし、緩やかに、着実に増加する。それから、設備投資につきましても、非製造業とか技術革新関連等の分野では大変強い投資意欲がございますので、これも堅調に推移するということでございますし、住宅投資につきましても基調としては持ち直しておるわけでございます。  それから、円高につきましては、プラス面とマイナス面がございまして、当面そのマイナス面もあるわけでございますけれども、次第にこの物価の安定ということを通じまして、いわゆる交易条件改善効果というものが働いてまいります。実質所得が増大し、それによって全体としての需要を押し上げるということがございます。また先般、公定歩合の引き下げもございました。  こういうようなことを総合的に考えますと、四%程度の成長は大丈夫ではないかというふうに考えておるわけでございまして、さらに申し上げますれば、為替相場につきましては不規則な変動ということもございますし、その影響を考えるに当たりましてはしばらくその推移を見守る必要もあるというふうに考えておりまして、現在のところ、私ども経済見通しを変更するつもりはないということでございます。
  31. 加藤万吉

    加藤(万)委員 企画庁、「経済見通し」の場合の為替レートは二百四円ですよね。五百十億ドルの貿易収支を見て円が二百四円台で、二十円ですから、掛けますと円に直して約一兆円のマイナス。おっしゃるように、卸売物価、消費者物価、それぞれ多少下がりぎみですね。仮に〇・三%下がりますと、GNPが三百三十六兆円ですから、それに対する約一兆円、国内の需要が拡大する、こうなるわけですね。これはつじつまが合うのですよ。今百八十円でしょう、さらに一兆円減収ですよ、いわゆる円に直しますと。仮に五百十億ドルの国際収支のアンバランスがあったにしても、国内にそれを直して、百八十円台に直しますとさらに一兆円のマイナス。国内の消費が拡大している、ないしは民間設備投資が拡大している、こう言っていますが、電機産業なんかもう全部昨年から七割減ぐらいじゃないですか、国内投資は。  さらに、個人消費が六五%占めるわけですが、六十一年度国家予算、公務員の賃上げを全然組んでいませんね。これは組まないわけにはいかないでしょうけれども、最終的には。国内消費を押し上げるべき、国内の需要を拡大すべき個人消費が、そういう予算の中で今百八十円、さらには百七十円台になろうというこの国際関係の為替レートから見て、当然今の経済見通しは修正されるべき要因が物すごく多くあるのじゃないですか。きょうは予算委員会じゃありませんから、この議論のやりとりをしても当委員会での議論にはならないでしょう。今ちょうど予算委員会ではこの議論をやっているようですけれども、私は、どう見ても今年度経済見通し、やはり民間それぞれの調査機関が見ておりますように二ないしは三%ではないかという見方をどうしても強めざるを得ないのです、特に円高傾向から見て。  さて、問題は、そういう経済見通しの民間調査機関とあるいは政府経済見通しとの違いは、六十年度の補正予算で税収が落ち込んだと同じことを六十一年度再び繰り返すのではないか。国税の見込みが十・何%ですかね、今年度は。一〇・一ですか、前年度比増が。一〇・六ですね。地方税はどうですか。今年度の税収見込み、都道府県で五・二、市町村で八・二、こう出ていますね。前年度は一〇・一ですか、一〇・六ですか、六十年度は。それから見れば大変落ち込みますけれども、この税収見通しについては間違いありませんか。
  32. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 六十一年度地方税収の見込みは、ただいま御指摘のように六十年度当初対比では六・九%でございます。この見込みにつきましては、私ども、各種の資料を用いまして積み上げて計算をしたところでございます。国税の場合の見込み額が対六十年度五・二%であるのに対して、地方税の方の伸び率の方がやや高いのではないか、こういうようなことも聞かれますが、私どもとしては、ただいま申し上げましたように各種のデータに基づきましてできるだけ正確を期しつつ見込んだところでございます。  ただ、昭和六十年度地方税収は、本年度地方税収は、法人関係税はやはり当初の見込みよりやや下回ってくるのではないかと思いますが、その他の税が比較的好調でございまして、計画を上回る見込みでございます。したがいまして、六十年度地方税収については、県、市町村とも合わせますと計画額を若干上回るというぐあいに考えております。  したがいまして、この六・九%は実績に比較いたしますと六%ちょっとぐらいの数字になるのではなかろうか。そういう点から考えてみまして、マクロとしてもこの見込みというのが決して適切を欠くものではない。私どもとしては、もとより今後いろいろ経済情勢の変動はあろうと思いますけれども、この見込み額が確保できるというぐあいに現段階において考えておるところでございます。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)委員 まあ見込みですからこれ以上の論議をしても水かけ論になると思うのですが、五十七年度のようなことにならないように、これは国税、地方税を含めてですが、補正予算で相当減額修正をせざるを得ない、私はそういう状況ではないかと思うのですよ。円高不況という問題が、率直に言って私は大変心配です。  大蔵省、きょう見えていますね。例えば今度大蔵省が増税します、増税計画がありますね。法人税収入、大分多いのですが。その中で損金算入を一年延期するということがあります。法人税収入全体で二千二百三十億円ですが、赤字法人の欠損金の控除制度を一年間繰り延べるということがありますが、この法人税収入二千二百三十億円のうちでそれに相当する額はどのくらいですか。
  34. 日高壮平

    ○日高説明員 六十一年度税制改正におきましては、負担の公平、調整を図るという観点から種々の措置を講じているところでございますが、今御指摘になられました法人税関係、まず税収、税制改正全体の増減収見込額でまいりますと全体で三千四百十億円でございますが、関税の分を差し引きますと三千百八十億円ということになります。そのうち法人税関係、おおむね二千六百億円程度でございますが、そのうち、先生が御指摘になられました欠損金の繰越控除制度の一部停止、これに伴う増収見込み額が二千二百三十億円、そういうことでございます。
  35. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今まで赤字であったものが、今年度赤字として繰り越しの決算には載せない、清算しない、こういうことですね、一年間限りでです。  どうでしょうね。今の円高不況が一番象徴的にあらわれているのが中小企業ですね。しかも、法人赤字欠損をしているところはほとんど中小企業ですよ。これが、前年度赤字の繰越金は入れませんが、単年度、いわゆる六十一年度のはそれを入れないことによって法人税は二千二百三十億円伸びる、こう言っている。その額がそのままとしますと、それの三二%、七百十三億円は交付税です。さらに地方財政計画でいきますと、県事業税の収入が三百五十一億円、住民税が六十四億円、さらに市町村の住民税が百五十八億円、合計で五百七十三億円、この見込みは間違いありませんか、どうですか。
  36. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 ただいまの欠損金の繰越控除、国税における改正に伴います地方税へのはね返り、すなわち国税二千二百三十億円に見合うものは、これは計算をいたしまして四百九十二億円、このように見込んでおります。先生指摘の五百七十三億円のうち、そのうち欠損金の繰越控除にかかわるいわゆる地方税へのはね返りが四百九十二億円、このように見込んでおるところでございます。
  37. 加藤万吉

    加藤(万)委員 常識的な見方をすれば、前年度欠損で繰り越した企業、特にほとんどが中小企業の分野と言っていいでしょう、それが、今年度繰越分を除いたから、その分を欠損金に算入しないから、したがって、地方税がはね返って四百九十二億円ふえるというのはどうも私は見込み違いだと思いますね。  同時に、この問題は交付税にもはね返ってくるわけですね。仮に、今おっしゃった四百九十二億円、それと交付税分を合わせても一千億ですよ。財政局長、これも単年度です。一年度限りです。さっきのたばこ消費税も一年度限りですよ。合計で、仮に国の特別交付税、今度は千二百億円が入りますけれども、これを合わせて二千四百億円と四百億円、約三千億近い単年度限りのものがあるのですよ。後はどうされますか、六十二年度は。私は、六十二年度地方税ももっと膨らむかもしれぬ、あるいは交付税額ももっと大きくなるかもしれぬ、したがってその時期に考えますという言葉はこの際欲しくないのです。今の時期に今の時点でこの問題についてどうお考えになりますか。
  38. 花岡圭三

    花岡政府委員 明年度見通しははっきりいたしませんけれども、御指摘のように現在の国庫補助負担率の引き下げが三年間という形になっておることから考えますと、一年限りのいろいろな増収の計算が基礎に入っておるわけでございますから、明年度以降におきましてはやはり何らかの財源対策が必要であろうと私ども見ておるところでございます。これがどういう形で具現されるか、これはまだわかりませんけれども、何らかの対策をとりまして所要の地方財政計画上必要な額を見積もりまして、地方財政運営に支障のないようにしなければならないと考えております。
  39. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これも留保しておきましょう。交付税あるいは地方税の討論のときにはこの問題は大変重要な課題であります。  次官、今お聞きのとおり、いわゆる今年度地方財政計画ないしは地方税収の見通し等を見ますと、大変不安な要素、私は先ほど悲劇的な予算だ、こう言いましたけれども、そういう内容を持っているのです。これは大臣もその際にはお聞き及びでした。  そこで、臨調は、そういう地方税収のアンバランス、それが行政上の格差を招くかもしれぬ等々も含めまして、今地方団体が持っている保留財源と言われる、県でいけば二〇%、市町村でいけば二五%、この分も財政の平衡交付的要素を含めて検討すべきだという答申をしているのです。  さて、先般の予算委員会で我が党の細谷先生が、先般の覚書に基づけばこの暫定期間中は基本的な改正は行わない、こう覚書が結ばれ、それは交付税ですねというお話をされました。「三二%については変更がありませんね」「これはそのとおりです」、そういう答弁でした。どうでしょうか、今の臨調答申を受けて、各地方団体が持っておる保留分についてもこの基本的な分には触れませんか。
  40. 森清

    ○森政府委員 加藤委員にお答え申し上げます。  大蔵大臣自治大臣予算編成に関して結んだ覚書、基本的な問題は触れない、こういうふうになっているわけでありますが、御存じのとおり六十年度、六十一年度にわたって国庫補助負担率の引き下げを臨時的に行った。それに関連して結ばれた覚書でありまして、直接的には地方交付税問題には触れておりません。というのは、そういう地方財政制度というものを前提にして国庫補助負担率の面についてのみ変更をし、それについて結ばれた覚書でありますので、今言われました留保財源というような問題についてはもとより、地方交付税一般についてはこの覚書は何も触れておらないわけであります。  特に、いわゆる地方留保財源というのは国と地方財源調整という問題よりはむしろ地方団体相互間の財源調整ということにかかわる問題でございますので、そういう意味からいってもこの覚書は地方交付税問題そのもの、あるいはその中における留保財源率というのですか、今言われた八〇とか七五とか、こういう数字の問題とは直接何も触れておらないし関係ないものだ、このように了解をいたしております。
  41. 加藤万吉

    加藤(万)委員 時間がありませんから残念ながら質問を留保せざるを得ませんが、問題は、一兆一千七百億円が出てきた原因地方の責任ではないということ。したがって、今後例えば地方団体負担すべき地方債の利子の負担などについても当然全面的に国が負担をする、そういう方向性を持つべき内容を持っています。  さらに、今申し上げましたように、補助金の一律カットという問題が結果的に、地方税収入の見込みについてはいろいろ議論がありますけれども、その強弱のいかんにかかわらず一律にカットされるわけですからそこでの行政格差が起きる、その面をどう処置をされるのか、これからの行政上極めて重要なことだというふうに思います。  さらに、そういう状況になってまいりますとさらに国の方、大蔵省と言ってもいいかもしれませんけれども地方財政の懐に手を突っ込んで、今の二〇%や二五%の留保財源まで含めてそれは地方団体間の平衡交付的要素、財源として処置をすべきですよ、そういう議論になりかねない要素を実は持っているわけです。私はその点が大変心配です。  さらに、私はこれからもう聞くことができませんが、そういう中で固定資本経費、御案内のように、去年のマイナス〇・六に対して今年度プラス一・一の公共事業投資を拡大しよう、その拡大をする裏負担をする地方財源はありません。結果的には今公共団体が進めている事業計画の何%は遂行できない府県が非常に多くある、あるいは市町村もあるかもしれません。そういうことはこの次に議論しますけれども、そうなってまいりますと、先ほど経済企画庁が申し上げました成長率四%の執行が難しいというように実は私は見るわけです。これは税の収入にはね返ってくるわけであります。  今、閣内でも、御案内のように、さらに公共役賢の見直しを行うべきじゃないかという経済企画庁長官あたり、大臣が言っていらっしゃいますね。閣内でもそういう議論が起きているのです。それに対応する地方公共事業の投資ですから、よほど財政的な処置というものを考えませんと地方団体は行き詰まってしまう。いわゆる上下関係だけが強調されて横の関係、地方自治体をどう強めるかということが生まれてこない、こう思うのです。  警察庁の方、本当に済みませんでした。質問が長くなってしまって警察庁まで質問が及ばなかったことをおわびします。  その点はぜひお考えいただいて、次官も大臣を補佐する役割ですから、聞くところですと、今度は地方団体がいろいろ財政長期計画を出す場合にそれを法的な裏づけをするような法措置もこの国。会に提案されると新聞等でも流されておりますが、こういう面も含めて、ぜひこれからの配慮といいましょうか熟考をお願いしたい、こう思います。  ひとつ今の問題を含めて大臣への進言も含め次官の決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  42. 森清

    ○森政府委員 地方財政計画を定めました段階と、先ほど加藤委員も御指摘のとおり、例えば円高というふうな新しい状況もあり、今後六十一年度経済運営全体もいろいろ工夫をしていかなければならぬ問題が多々あろうか、また、それについてただいま各観点から御指摘があったわけでありまして、我々もそういう状況の変化というものも十二分に考え、しかしまた六十一年度予算編成また地方財政計画というものを立てた以上、それが必ず実行できるように、そしてまた、特に内需振興の観点から地方のいわゆる公共投資、これについて十二分な配慮をしていかなければならない。また一兆一千幾らにわたるいわゆる国庫補助負担率の引き下げに伴う補てん措置については十二分に全体の枠としても措置したつもりでありますし、また個々の市町村、県がそれにどう対応していけるかということは地方財政問題で一番大事な問題でありますから、これについても特例建設地方債の運用の万全を期するというふうな面を通じましても個々の地方団体事業執行に困らないように自治省としては十二分に配慮いたしてまいる次第でございます。  しかし、いずれも御指摘のありましたとおり大変困難な問題を抱えておりますので、大臣を補佐いたしまして、そういう点について、地方団体の側から内需振興というようなものが崩れたり、あるいはそれがひいては日本の景気が非常におくれたり、あるいはまたそれが地方税収入に変動を及ぼして地方財政健全化が損なわれるというようなことのないように、十二分に配慮していきたいと考えております。
  43. 加藤万吉

    加藤(万)委員 終わります。ありがとうございました。
  44. 福島譲二

    福島委員長 平林鴻三君。
  45. 平林鴻三

    ○平林委員 まず、地方財政の当面の諸問題についてお伺いをいたします。  昭和六十一年度経済運営の眼目は、先ほど加藤委員もお触れになりました内需拡大であります。六十一年度地方財政計画を見ますと、規模の伸びは四・六%という伸びでありますからそう大幅な伸びとは言いがたいわけであります。また、内需拡大に寄与する度合いというものは、政府経済見通しを見ましてもそう大きな見込みを持ってないように思います。けれども、それなりに相応の工夫があってしかるべきだと思います。  そこで、財政局長にお尋ねをいたしますが、昭和六十一年度地方財政計画において内需拡大にどのような考え方で具体的な知恵を絞られたか、そのあたりをまず伺っておきたいと思います。
  46. 花岡圭三

    花岡政府委員 御指摘のように、明年度におきましては内需の振興ということが非常に重点とされておるわけでございまして、私ども、もちろん公共事業の受け入れということは当然でございますけれども、さらに地方単独事業を伸ばしたいということを念頭に置いてこの地方財政計画を策定したところでございます。  御承知のように五十八年度以降でございますか、単独事業計画上の伸び率というものはゼロまたは大体マイナスの年もありましたし、五十九年度マイナスになっております。六十年度は一・七と、ほぼ横ばいで推移してきておりました。六十一年度につきましては何とかこの単独事業を増加させたいということでこの計画を策定したわけでございますが、その結果三・七%増、八兆七千三百億円を計上することができたわけでございます。もちろん、この額では少ないという御指摘もあるかもしれませんけれども、現在の段階におきまして精いっぱいの努力をしたつもりでございます。
  47. 平林鴻三

    ○平林委員 そろそろ各県、市町村、予算の編成を終わっておると思いますけれども、まだ自治省ではその状況は完全に把握されておらないと思いますけれども、私が聞いておりますとこれではやはり地方団体それぞれ差があるわけで、単独事業を伸ばすのに非常に苦労しておる、地方財政計画では単独事業がある程度伸ばしてあるけれども実際に財源がうまくついてこないために、単独事業を伸ばそうと思ってもなかなか伸ばせないということで苦労しておる団体も相当あるようであります。  自治省ではそこら辺をどういうぐあいに把握しておられますか。まだ把握しておられないなら緊急に把握をしていただいて、今後補正の機会に単独事業が伸ばせるようにというようなことで財源措置を配慮すべきであると思うのですが、その点はどのようにお考えになっておりますか。
  48. 花岡圭三

    花岡政府委員 各地方団体予算編成状況は現段階では十分には把握をしておりませんけれども、各団体におきまして明年度予算編成状況をいろいろお話しに参られる、そういうのを聞いておりますと、もちろん、税収の伸びのいい団体につきましてはこれは大幅に単独事業を伸ばしている。それから伸びの悪い県、こういったところにおきましても私どもが驚くほど単独事業を伸ばしている。  財源は何かと申しますと、財政調整基金その他の基金の取り崩しでございます。五十九年度後半、かなり税収が伸びましたものですから、地方団体の積んでおります財調基金、こういうふうなものを取り崩して積極的な予算を組んでおるというふうに私ども見ております。この基金を今後もとへ戻すことができないような状況であるから、今年度もう少し面倒を見てくれというようなお話もあるところもございまして、ともかく内需の振興ということに非常に力を入れて予算を組んでおられる。これはもう私どももそのようにかねてからお願いをしておりました。決算と計画との乖離の問題、こういった問題もあるから、単独事業の計上にはできるだけ積極的に取り組んでほしいということを言っておりましたところ、現実的にそのような状況になっておるのではなかろうかというふうに見ております。
  49. 平林鴻三

    ○平林委員 地方公共団体は、各団体の事情に応じて努力をしておると私も思うのでありますが、そのために財政が非常に圧迫をされるということを私は憂慮いたしております。今後の自治省の配慮をこの際要望しておきたいと思いますが、同様の問題が実はあります。それはいわゆる円高不況対策であります。  この円高不況対策は、政府でも今国会に特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法というものを成立させて、緊急に取り組むという方針で臨んでおられて結構でありますけれども円高不況対策というものを個々具体に素早く実施をしていくのは、実は県や市町村が一番先に対応を迫られるわけですね。それに対して自治省がやはり相当相談に乗って、対応策を上手にやれるように配慮をしてやらなければいかぬのではないかと私は思うのです。  この問題も、従来からいわば政府地方公共団体とが呼吸を合わせてやってきておる問題ではあります。けれども、やはり今申し上げましたように、細かな問題になりますと必ず地方団体が細かい面で措置をしなければいかぬ、そのためのまた財源対策も必要になってくる、ところがその財源対策というのはなかなか国の方で面倒を見てもらえない、こういう悩みがつきまとっておるわけであります。これはもう中小企業の金融対策からあるいは雇用、失業の問題の対策からいろいろなことに及んでくるわけであります。したがって、自治省の方でそういう相談に速やかに応じて、地方債なりあるいは特別交付税なりそういうものの配分に十分留意するという態度をあらかじめ地方団体に対して表明をしておかれる方がいいのではないか。  円高不況といいますと、これまた地域差が非常に大きゅうございます。でありますから、そこら辺の個々の地方団体に対する対応策の自治省の指導というものもきめ細かくおやりにならなければいかぬのではないかと思いますが、その辺についてのお考えを財政局長から伺っておきたいと存じます。
  50. 花岡圭三

    花岡政府委員 自治省としましては、これまで地場産業振興のために地域を指定いたしまして、地方債の活用などによりまして地域の安定的な経済基盤確立し、地域社会の均衡ある発展を促すというための地域経済活性化対策を推進してきたところでございます。  今回の円高不況に際しましては、先ほど御指摘ありましたように、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法が制定されまして、特別融資あるいは事業転換等の施策が推進されることになりました。  地方団体のこの中小企業対策といたしましては、地方財政計画上、中小企業に対する貸付金を初めとして所要の経費を計上しておるところでございまして、また個別の地方団体に対しましては、普通交付税あるいは特別交付税によって財源手当てを行うこととしております。このうち特別交付税につきましては、中小企業対策及び地域経済活性化対策という算定項目によりまして、地方団体が実施いたします中小企業金融に係る利子補給あるいは預託金の利子、こういったものについて措置をしておるわけでございまして、この点につきましては地方団体の方もこういった措置自治省において講ずるということを承知いたしております。ただ、実際の状況を見ておりましても、今までの資金の振りかえということで措置されている団体が多いようでございます。今後どのような形で出てまいりますか、私どももこれに対しましては特別交付税等で的確に措置をしてまいりたいと考えております。  また、雇用の問題等、今後起こってくると思いますが、この点につきましては、関係省庁とも十分連携をとりながら適切な対策を講じてまいりたいと存じます。
  51. 平林鴻三

    ○平林委員 地方財政につきましては、実は昭和六十一年度だけでなくて六十二年度以降もいろいろな難しい問題が次々と出てくると思います。きょうは三十分しか質問時間がありませんのでこれ以上地方財政には立ち入りませんけれども、例えば昭和六十二年度税制改正が行われるとした場合には、税の問題もさることながら、地方交付税にもその影響が及ぶと思いますし、また昭和六十五年度に国が赤字国債をやめるというような基本政策がありますけれども、それに対して地方財政がしわ寄せを食らって逆に地方財政がえらい目に遭う可能性も出てくる。昭和六十一年度地方財政計画を批判する声は、まさに国の歳出抑制と公債発行の減額のために地方財政の方が地方債発行を増額せざるを得なかったという点に批判が集中しておるように思いますから、今後の地方財政につきましては、一年一年の措置に誤りなきを期するとともに、長期の対策についても安定した地方財政運営ができるようにということで特に配慮を望んでおきたいと思います。  次は、行政改革関係で若干の御質問を申し上げたいと思います。  地方行政改革地方団体に対して独自で行政改革検討をして進めるようにということで、ある程度の成果は上がっておるように思います。現在までの地方団体側の対応の仕方を伺っておきたいと思いますが、同時に現在の行革審で、今後の地方行革についてどのような審議が行われておるか、例えばこの前ちらっと新聞に出ておりましたが、市町村の合併等によって地方団体の規模をさらに大きくするといいますか、再検討するというようなことも話題に上っておるやに新聞の報道が出ておりましたけれども、そこら辺のことは自治省ではどうお考えになっておるのか、これらについてお伺いをしておきたいと思います。
  52. 大林勝臣

    ○大林政府委員 まず地方の自主的な行政改革の進捗状況でございますが、昨年来各地方団体の御了解のもとに、推進体制、組織、こういったものにつきましてはほとんどの団体で確立をしていただいております。それから、行革大綱にっきましても、都道府県、指定都市段階におきましては、大体全団体もう完了と私ども見ております。市町村が現在のところ約三分の二程度、行革大綱の策定済みという見込みを持っておりますが、おおむね年度内には御協力をいただけるおのであろうと思っております。  それから、現在行革審におきまして、昨年の秋口以来、今後の行革につきましていろいろ議論が行われております。  一つは、国の心置規制あるいは権限移譲、機関委任事務の整理、こういったものも今後引き続きやるべきであり、定期的な見直しをすべきであるという議論、さらに地方の広域行政の推進について論議が行われておると承っております。その広域行政の中で、広域行政機構の一層の活用のほかに御指摘のような市町村の合併についても論議が行われておるようでありまして、各省からそれぞれのヒアリングが行われたところであります。私どももこの合併問題につきましてヒアリングに列席いたしたわけでありますけれども自治省といたしましては、先般合併特例法を延長していただいたときに申し上げましたとおり、それぞれの地域におきまして広域行政の定着化でありますとか住民の一体感でありますとか、合併条件が整った段階で自主的な合併をお願いするという方針を説明いたしております。審議会の中では、さらに一国会併の積極的な推進ができないかという論議もあるようでありますが、地方六団体におきましても、そのヒアリングに際しまして、町村合併につきましてはできるだけ地方の自主性を尊重するよう要望したと承っております。
  53. 平林鴻三

    ○平林委員 地方団体の規模の問題は、実は権限移譲、事務再配分と絡んでくるように思います。いつもそういうことで議論が繰り返し行われるわけでありますから、その辺の問題の整理を間違えないように上手にしないと、いたずらに議論ばかり先行して、実際に実行に移すときには混乱を起こす可能性があると思いますので、地方団体の規模の問題を考える場合には、事務配分の問題をどうするかということも並行して処理をされなければいかぬと思います。自治省の今後のこの問題の検討について、十分慎重を期されるように私はお願いしておきたいと思います。  当面することで一点だけ簡単に申し上げておきますが、地方団体の国鉄職員受け入れ問題であります。これも地域によりまして状況の差がいろいろあろうかと思いますけれども、相当の数を受け入れる、それは結構だと思いますけれども、同時に地方団体行政改革をして人員の減少を図るということも必要になっておる面があろうと思います。自治省ではその辺のところはどのような態度でおられるのか、地域によって団体によって弾力的に考えておられるのかどうか、その辺を伺っておきたいと思います。
  54. 柳克樹

    ○柳政府委員 先生指摘のように、国鉄の雇用問題は国鉄再建にとって大変重大な問題であろうと思いまして、私どもも自主的に御協力いただきますようにお願いしておるところであります。これもただいま御指摘のように、行革あるいは定員の適正化ということに地方団体で取り組んでいただいておりますので、それと矛盾しないように事を運ばなければいけないと存じます。ただ、行革あるいは定員適正化の進行中といえども、新陳代謝といいますのは組織の要請でございますので、その枠内でできるだけ御協力いただきたい、こういうふうにお願いしておるところでございます。  なお、各団体において非常に積極的に取り組んでいただいておりまして、現在のところ採用しようというふうに手を挙げていただいておる団体もかなりございます。
  55. 平林鴻三

    ○平林委員 国鉄城下町というような地域も実はあるわけです。そのような地域は国鉄の民営・分割において大きな影響を受ける場合もあり得ると思います。でありますから、地方団体側の国鉄問題に対する対処、今人員の問題だけ申し上げましたけれども、そのほかにも地域経済に対するあるいは市町村の財政に対する影響も考えながら自治省は取り組んでいただきたい。このことを要望いたしておきます。  次は、消防関係であります。  先般の熱川温泉の大東館の火災につきましては前回のこの委員会でも質疑が行われたわけでありますが、問題点といたしまして、非常ベルが鳴らなかったのではないか、この旅館では火災通報装置が作動しなかったのではないかという話が一つ出ておりました。これはなお捜査中でありましょうから今あえてその状況をお伺いはいたしませんけれども、火災報知機の故障がしばしばあるという話はよく聞きますし、誤作動ということも聞きますので、その技術的な改善を消防庁でもさらに進めていただきたい。その点が一点。  もう一つは、火災発生から一一九番で消防署に通報があったのが非常に遅かったのではないかという指摘があるようであります。これは電話のかけ方を間違ったのだという話などが新聞に出ておったりしましてよくわかりませんが、これも電話によりまして、内線電話が外線につながる場合のつなぎ方、あるいは公衆電話においても種類によって一一九番の呼び出し方が違うということも出ております。実際に私はかけてみたことはありませんけれども、そんなことをしていたずら電話と間違えられても困りますからやったことはありませんけれども、そこら辺のところをなるべく統一ができるように、だれでもかけられるように知恵を出せないものか、この二点につきまして消防庁の見解を伺っておきたいと思います。
  56. 関根則之

    ○関根政府委員 熱川の大東館の火事の際に、自動火災報知機が機能しなかったのではないかという疑問が出されております。実態につきましては現在調査中でございますので、最終的な結論はまだ出ていないところでございます。しかし、これにつきましては前々から非火災報が多過ぎる、間違った警報が鳴ってしまうのでついつい切ってしまう、こういう傾向がありまして、かねてから消防庁の内部で民間の方々にも入っていただきまして研究を続けてまいりまして、一応蓄積型の火災報知機ができ上がっているわけです。そういうものが整備できるようになっておりまして、これを導入することによって、間違いが多いからスイッチを切ってしまうということがないように持っていきたいと考え、現在進めているところでございます。なお、機器の開発等につきましては、技術は日進月歩でございますので、引き続き進めていきたいというふうに考えます。一また、もう一つの問題といたしまして、自動火災報知機に常に電気が入っておる、遮断されておらぬということをきちんと玄関等に表示できるような方式はとれないだろうかということにつきまして現在技術的な開発等もお願いいたしまして、仮にスイッチを切った場合には赤いランプがついてしまうとか、そういったやり方で常に警報装置が作動できるような状態に保つことも研究をしているところでございます。  それから、一一九番の通報問題でございますが、確かに熱川の火災の場合にはおくれたようでございます。なぜおくれたのかにつきましては、これもまた最終的な結論が出ておりませんが、どうもかけ方が適切ではなかったのではないかという感じがいたします。したがって、一般の公衆電話につきましては、片通話になってしまうようなピンク電話、赤電話が現在まだ百万台を超えるような台数あるようでございますので、それらをできるだけ改善をしていただくようにNTTに対しまして消防庁がかねてから申し入れをしておるところでございますが、今回も特にお願いを申し上げていきたいと思います。  それから、旅館等におきましては、旅館の宿直の方が一一九番のかけ方がよくわからないというのは、これは大変困ったことでございますので、ふだんからの訓練を繰り返し徹底するということが一つでございますとともに、機械の面からも、ボタンを押せば直ちにそれによって消防署なり一一九番がつながっていく、そういう機械につきましても開発をしていきたいと思います。これは技術的には必ずしも不可能ではないようでございますので、開発されました段階でその普及に努めていきたいと考えておるところでございます。
  57. 平林鴻三

    ○平林委員 警察庁に一つお尋ねをしておきたいと思いますが、最近横行して大問題になっておるいじめ問題であります。  この問題は警察も重大な関心を持って対処しておられると思いますけれども、やはりデリケートなところがありますから、警察が正面から取り組むという姿勢をそうあからさまに出すわけにも必ずしもいかぬと思いますが、私どもが従来経験しておりますのは、学校で起こった問題というのはとかく学校側、父兄側あるいは地域社会というものが責任の押しつけ合いをしてしまう、そういうことが非常に多うございます。お互いが共同して絶えず情報を交換し合いながらも問題を解決する努力を続ける、こういうことが非常に大切であろうと思うのでありますけれども警察庁は今日頻発しております事件に対してどのように対処をしておられるか。現場に行きますと、今申したようにどうも警察が入る入り方がなかなか適切に、適時にうまくいかないというような感じを持つわけであります。なかなか難しい問題でありますけれども警察庁の積極的にしてしかも配慮のある取り組み方を求めるものでありますが、この点についてのお考えを伺っておきたいと存じます。
  58. 新田勇

    ○新田政府委員 いじめ問題についてお答えいたします。  いじめの問題は、ただいま委員指摘のように、基本的にはしつけの場である家庭、教育の場である学校あるいは生活の基盤を置いております地域社会というところが取り扱うのにふさわしい問題であると考えておりますが、この間にありましていじめに絡んで取り返しのつかない、例えば自殺であるとかそれから重い犯罪というものも起こっている現状を踏まえまして、いじめを早期に発見して保護者、学校等と連携して取り返しのつかない事態に至る前に解消するということに努めることといたしておるわけでございます。  予防策といたしまして具体的に申し上げますと、例えばいじめの実態であるとか特徴的なこと等をパンフレット等にまとめまして広報宣伝をいたし、少年たちの間にいじめを排除する機運が生まれるように取り計らっている点がございます。二番目には、学校、保護者等との連携をさらに一層強化するということでございまして、全国の小中高等学校の九四%が参加いたしております学警連、学校警察連絡協議会というのが全国に二千四百近くございますが、こういうものを通じていじめについての解決を探るということといたしております。また少年あるいは保護者の方々から気軽に御相談いただけるようにということで少年相談活動というものを行っておるところでございまして、昨年も、一月から十月まででございますが四千七百件余御相談をいただき、それぞれ解決に当たっておるところでございます。なお、こういう一運の予防措置を講じておりますが、教育の限界を超えるような事案というのに遭遇いたしましたときには、これは警察本来の刑事事件ということで、少年問題でございますから十分に配慮はいたしますが、刑事事件ということで措置いたすことといたしておるところでございます。
  59. 平林鴻三

    ○平林委員 現場の警察官は、外勤の人たちは日常地域の子供たちの状況については相当程度知識も持ち、また行動についても注意をしておるはずなんであります。ところが肝心のときには手おくれになる。そこらのところが我々の警察に対する批判ということになって出てくるように思います。でありますから、先ほど申したように非常にデリケートな問題でありますけれども、学校あるいは父兄あるいは地域社会のいろいろな青少年の育成組織との連絡をさらに密にして、こういう問題が事前に防げるようにということで警察の一層の努力を望みたいと思います。  時間が参りましたのでこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  60. 福島譲二

    福島委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時七分休憩      ――――◇―――――     午後二時開議
  61. 福島譲二

    福島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。五十嵐広三君。
  62. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 地方自治体もあるいは我が国の地方自治制度も大変大事な大きな曲がり角にあるような気がいたしますし、そういう折に、まさに実力派大臣を迎えまして、まことに心強いところでありますが、ぜひ我が国の地方自治の一層の発展のために御在任中御尽力賜りたい、このようにお願いを申し上げる次第であります。  まず、お聞きいたしますと、今度のこの国会にかなり懸案の、自治省としてもあるいは地方自治体としても大変重要な制度改正等が提案されるというふうにお伺いしているのでありますが、本当にごく簡単でいいのでありますが、どんなようなものを御用意になっておられるか、まずちょっとお伺いしたいと思います。
  63. 小沢一郎

    小沢国務大臣 簡潔に申し上げます。  第一点は、地方制度調査会答申に即しまして、いわゆる代行制度の問題でございます。それからまた、同様に議会制度、監査委員制度を整備するとともに、いわゆる地方公共団体の議会あるいは長の連合の組織から国会や内閣に対しまして意見を提出することができる制度、その規定の整備の問題。それから第三につきましては、公有地の土地信託制度導入問題等が主なものではないでしょうか。
  64. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いずれも大切な問題であり、殊に代執行の問題、それからいわゆる地方六団体などの国や国会に対する意見の提出権というようなものは、私ども大変大事な問題だと思いますので、ぜひ今国会でいろいろ議論をしていきたい、こういうぐあいに思うのであります。  従前、五十六年ですか、一遍かなり大幅な地方自治法の改正をお考えになられて、そのときにも地方の団体の意見の提出権を盛り込もうということで当時自治省に大変御苦労いただいたのでありますが、各省の抵抗が強くて結局果たすことができなかった。我々も非常に残念に思ったことがあったのでありますが、他の各省庁との交渉なんかは大体済んだ、調ったというふうに思ってようございますか。
  65. 大林勝臣

    ○大林政府委員 現在法案づくりの最後の詰めをやっておりまして、近く各省と相談をする予定に促しております。
  66. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そこで、各省との話の詰めでぜひひとつ大事なところが欠落しないようにしてほしいという気持ちがします。この前の五十六年のときも、意見を提出するのはいいが提出のしっ放しじゃなくて、やはり国はこれを尊重するといいますか、あるいは努力するというようなことについて、おしまいのところでかなりもめたような話も聞いたのでありますが、ぜひそういう点も今度の法案にはきちっと盛り込んでほしいというふうに思うのですが、大臣、いかがですか。
  67. 小沢一郎

    小沢国務大臣 先生指摘の点につきましては、私どもも本来の、そういう制度をつくる意義、目的というものを十分勘案いたしまして、ただいたずらに形だけのものをあれしてもいけませんので、各省庁との詰めはもちろんありますけれども、できる限りその目的を達することのできるような制度にいたしたいと考えております。
  68. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 国が重要な政策なり国と地方に深いかかわりのある制度等について決定をしようというときには、これは何といったって国民にとって大きな、行政の三分の二くらいは地方自治体が直接やっているわけでありますから、そこのところの意見を十二分に尊重するということでやってもらわなければ、国としても誤りが出るような気がいたしますから、そういう点は非常に大事だと思うのですね。これは長い間、知事会にしても市長会にしても、あるいは地方制度に関心を持つ諸団体、いずれも強く要請を続けてきているところでありますから、ぜひお願いしたいと思うのであります。  そこで、地方国政参加という意味からいって、一つちょっと私、以前から気がついていることで、一遍機会があれば申し上げたいと思っておったのでありますが、いろいろな審議会のようなものがあるわけですね、国家行政組織法第八条に基づく審議会で、これはちょっと前の時点ではありますが、二百十四ぐらいで、その委員が当時五千二百人ぐらい、これは去年がおととしぐらいなんですが、さっとそれを見まして、地方行政になかなか深くかかわる審議会も多いのだけれども地方自治体の代表の委員が、これはまた恐ろしく少ないのですよ。  ちょっと幾つか挙げてみたいと思いますけれども臨時行政改革推進審議会、これは御承知のように、委員定数七人でありますが、自治体代表としてはゼロですね。いわゆる行革審では委員七人で、その内訳を見ますと財界が四、労働界二、自治省OBが一人いますけれども、いわゆる自治体代表というものはいない。顧問は十人あるわけですが、ここに一人の自治体代表もいないわけであります。地方行革推進小委員会には、たしか知事が一人参与として加わっていたというふうに思いますが、行財政改革委員会は十二人中ゼロ。  それから、この間の臨時行政調査会、行革審の本家になるわけでありますが、これを見ても、委員が九人、専門委員二十一、顧問六、参与五十六人、このうちで、自治体代表というものでもないでしょうね、丸山さんは労働側代表で出ていたわけですから、そうとは言えぬのではないかと思いますが、参与に長岡の市長さんが入っておられた。たしか、僕のざっと見たのではそんな程度でしたが、見落としがあってもう少しいるのかもしれませんが、そんなような調子なんですね。  他の審議会等を見ますと、自然環境保全審議会は定数四十五人以内で自治体代表二人。国土審議会が定数四十五人以内で自治体代表三人。国土利用計画審議会は定数二十五以内で自治体代表二人。道路審議会が定数二十五以内で自治体代表三。河川審議会が定数三十以内で自治体代表三。税制調査会委員定数三十以内で自治体代表三。それからまあこれはあれですが、しかし本当は入った方がいいと思うのですが、日本国有鉄道再建監理委員会も定数五だがゼロ。臨時教育審議会が委員定数二十五で教育長か一人入っていますけれども……。それから水資源開発審議会が委員定数十五以内で地方自治体一人。住宅宅地審議会、定数二十五で自治体代表一人。消防審議会、十五以内で自治体から一人。ちょっと少ないんじゃないかなと思いますね。どうでしょう。
  69. 小沢一郎

    小沢国務大臣 私も詳しく調べたわけではありませんけれども先生指摘のように中央のいろいろな審議会について地方の代表の人が少ないということは事実であろうと思っております。国のいわゆる行政、政治は、御指摘のように三分の二というお話もありましたが、かなり多くの部分地方自治体地方を通じて国民に接しておるわけでありまして、そういう意味におきまして甚だ、私どもの力のなさもこれあるのかもしれません。そういう点も十分考え合わせ、また、どうしても日本人というのは中央志向的な発想が割合多いものですから、そういうことも考え合わせまして今後十分地方の声が反映できるように、その機会をそういった審議会等におきましてもつくるように、私どもも心がけていかなければならないと思っております。
  70. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 審議会が多いというのはいいんじゃなくて、審議会が余りどうもこのころはちょっとむちゃくちゃに多過ぎるようですから、いわゆる国会軽視なんという言葉も出るわけですし、それは多いことがいいというふうには思いません。従前ある審議会の委員の選定に当たりましては、ぜひ努めて地方自治体代表も関係のある部分についてはもう少しお考えいただければありがたい。これは閣議等でもできましたら、機会があれば御発言いただいたりして、各省庁に関係することでありますので、そのような御協力をお願い申し上げたい、こんなふうに思います。  そこで、さっき今国会に提出を予定しているという重要な自治制度改革一つの問題であるいわゆる代執行の問題についてお伺いしたいと思うのであります。これは大臣、言うまでもないのですが、国と地方自治体というのは、上下、本店、支店なんという関係ではなくて、これは憲法でも言われているように横並びといいますか、よく車の両輪なんという言葉も使われますが、あるいは対等、独立というようなことも言われますが、そこら辺はどういうぐあいに御認識になっていますか。
  71. 小沢一郎

    小沢国務大臣 国家全体の政治、行政は、国と地方が両々相まって、お互い助け合って初めてうまくいくものであろうと思っております。新しい憲法下におきまして地方自治を定め、その本旨につきまして私ども先生指摘と同様な考え方に立っております。
  72. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そこで、きょうは行革審の事務局から重富さんにおいでいただいているわけなんですが、どうも我々が聞いているのでは、この行革審における代執行の問題の議論経過について非常に賄に落ちないといいますか納得がいかぬ感じがするのであります。  いろいろ委員の方々のお話を仄聞したりあるいは書いたものを見たりいたしますと、行革審のこの小委員会が五十八年暮れぐらいからですか、いわゆる機関委任事務の整理問題の審議を熱心にやってこられた。まあ四十回とも五十回とも言われているようでありますが、審議を重ねながらその小委員会報告をまとめる段階に入った去年の六月二十日ころ、突然行革審事務局の山本次長から職務執行命令訴訟制度見直しが持ち出された。これは当時の一連の審議、作業とは何の脈絡もなく唐突に持ち出されてきた。これはどうもどういう経過でそこのところで出てきたのか、事務局がまるで差し込んできたような格好であったというのでありますが、そのことをちょっと書いたのがありまして、少し読んでみましょうか。  これは去年の七月五日付の自治日報でありますが、「地方行革小委では、昭和五十八年の暮から機関委任事務のあり方をめぐり勉強を続けているが、その中で、職務報行命令訴訟制度見直し案は、一度も議題にのぼっていなかった」「それが審議も大詰めを迎えた今年六月二十日の草案づくりの段階で、突如として”上”から降ってきた」。  また、去年の七月十七日の毎日新聞ではこういうぐあいに言っています。地方行革小委で、「そのペーパーが配布されたのは、六月二十日のことである。同小委が正式な報告書を作成する一週間ほど前「報告書のタタキ台とするための事務局案」(山本貞雄事務局次長)として提出された。」「当のペーパー自体も、手書きの文書をコピーしたもので、土壇場になり突然頭ごなしに押しつけてきたという印象がぬぐえなかった。」そしてこのペーパーは「会議終了と同時に」「一枚残らず回収され、今日では極秘扱いにされている。」  そのほかにも資料がいろいろあるのですが、こういうことなんですか。
  73. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  先生最初におっしゃいましたように、機関委任事務のあり方につきましては政府から昭和五十八年の五月の行革大綱によりまして諮問を受けたことは事実でございます。私どもとしては、行革審としては五十八年の秋以降機関委任事務制度のあり方等について検討を始めたわけでございます。ただ、申し上げておきたいことは、検討を始めたわけでございますが、五十九年の当初から、それから五十九年の五月ごろ、政府から二回ほど、別に地方行革それから地方に対する関与、必置規制の緩和、そういう緊急の検討要請がございまして、正直に申しまして五十九年中はその審議にかなりの時間を費やされたということでございます。  それから機関委任事務のあり方につきましては、機関委任事務制度というのはもう廃止してもいいじゃないかという議論等もございまして、いろいろな基礎的な勉強をその小委員会でやっていただいたわけでございます。そういうことがございまして、機関委任事務に関する答申は二年後の六十年七月になったわけでございますが、ただ審議のプロセスで、機関委任事務のあり方に関しましては、世界各国の状況とかいろいろなものを勉強していただきまして、機関委任事務というのは運用のよろしきを得ればかなり有効な制度ではないか。そういうことから、小委員会委員の大部分の方々は、機関委任事務というのは有効な制度であるから存置せねばならぬという意見が固まり出したのは、実は六十年の初めになってからでございます。  そうしますと、機関委任事務制度のあり方を検討してまいったわけでございますが、検討の対象が制度そのもののあり方ではなくて、機関委任事務に関連いたします制度、すなわち、先ほど先生からいろいろと御意見が出ておりましたけれども地方議会や監査委員のこの機関委任事務に対する関与の制度をもう少し強めたらどうか、それから、先ほど御質問が出ました職務執行命令訴訟制度、これに先生方の関心が移ってまいったわけでございます。そういうことでございまして、先生がおっしゃいますように唐突に降ってきた、唐突に事務局から提出したという理解を私どもは持っているわけではございません。
  74. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかし、あなた方はどう思っているか知らぬが、御参加になっていた委員の皆さんはそういう印象を持たざるを得ないような提出の仕方であったということですね。したがって、結局小委員会先生方は、直前に出てきたものだから審議だって二回ぐらいしかできていないんでしょう。  そこで、当初の原案の中には、議会の関与と監査権の介入の問題、これだけしか入ってなかった、代執行が入ってなかった、こういうお話を聞いているのですが一事実だけでいいんですよ、論議しているうちに入ったりなんなりするのだろうから、そういうことだってあろうと思うが、そうなのですか。
  75. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答えを申し上げます。  事実は先生のおっしゃったように、当初は関与、心置規制だけであったというふうに思っております。
  76. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 七月八日の行革審の審議の前の行革審顧問との懇談会で、山本次長が、議会の関与、監査権の拡大と代執行とはセットだ、こういう発言をしだそうですね。どうですか。
  77. 重富吉之助

    ○重富説明員 先ほどからお話がちょっとあっておったのを私お聞きしておるわけでございますが、各省の機関委任事務に関します地方公共団体に対する指揮監督権、こういうものについて、それを大幅に緩和するというような議論がございまして、それからもう一つ、この小委員会では機関委任事務を、できるだけ時代に合わないのを廃止して地方に譲っていくということを議論中心に据えたわけでございます。とすると、その機関委任事務地方公共団体の方で適時に不作為なり、適時に執行しないというような場合には、その指揮監督をきっちりやる必要があるんじゃないか。そういうことから現行の代執行について、それが弾力的に適時適切に行えるような改革を行う必要があるのではないかという意見が出まして、代執行の問題がそれに加わっていったと理解しております。
  78. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 私がさっき聞いたことのお答えでいいんです。顧問との懇談会のときにそういう発言があったかということ。
  79. 重富吉之助

    ○重富説明員 当時の議事録を手元に持ちませんので、ちょっとわかりません。
  80. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 まあそういう御発言があったということだそうです。  そこで、さっき言った小委員会に出された事務局メモ、この中にこう述べているのです。「本来、機関委任事務について、最終的に国の意思と地方公共団体の機関の意思が競合することは認められるべきではなく、国の意思が優越することが制度上担保されていることが不可欠である。」これは重大ですよ。どうですか。それは、いやそんなものは出してないというのなら出してないと言ってくださいよ。出しているものを出してないと言ったのでは困るよ。
  81. 重富吉之助

    ○重富説明員 行革審の委員会及び小委員会等における審議の内容というのは、委員先生方の自由潤達な御議論を期待しておりまして、外部にはお出しいたしておりません。今先生の御質問のようなメモがあったかどうかは、私は記憶しておりません。
  82. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そうしたら、六月二十日の報告案で、その項目を「機関委任事務の適正執行を担保する手段の見直し」ということにして、その具体的方向の末尾に「なお、この代行手続は、もっぱら国の意思の最終的な優越を担保し、機関委任事務の適正な執行を確保する見地から」ということを付記しているのだ。これはあなたわかっているでしょう。どうですか。
  83. 重富吉之助

    ○重富説明員 審議の内容でございますので、私どもはここでつまびらかに申し上げるわけにはまいりません。ただ、審議のプロセスについては、行き過ぎた意見とか、引っ込んだ意見とか、いろいろな意見が出ると思います。そういうことはあると思いますけれども、そのような文言の文書が出たかどうかについては、私ども承知しておりません。
  84. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それは行き過ぎた意見があってもいいわけだ。僕はそのことをどうこうと言うのではない。いろいろな意見が出て、やり合いながら一定の正しい方向を求めていくのだから。それは国会の論議だって何だってそうですよ。行き過ぎの論議は我々だづてすることはしょっちゅうある。だからそのことを言うのじゃないのです。しかしそういう考え方も――これは後で削除されているのだから、後で残っているんじゃないのだから。しかし、僕の言っているのは、その経過の中であったということの確認だけなんだから。だから、余り隠すことばかり考えないで、議事録を出せとかなんとかと言っているわけではないのだし、ややそれに似たようなことはあったかもしれぬくらいのことは言わなければ話が進まないじゃないですか。どうですか。
  85. 重富吉之助

    ○重富説明員 審議の内容の細部にわたることでございますので、ここで明らかにするわけにはまいらぬと思いますし、私は今、記憶にございません。
  86. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いずれ法案が出た段階で、また改めて議論するわけだから、余りそのことばかり今言っていてもしようがないのでしょうが、しかし、僕はこれを見て驚いたですよ。どうも「国の意思の優越の原則」だの――さっきも大臣にお聞きしましたね、国と地方というのはどういう関係にあるか。それは大臣のおっしゃるとおり、上下というようなものではないということはだれしもみんな思っていることだ。しかしこの大事な機関委任事務の代執行の問題でこういうようなものが事務局から出てくる。しかも十分な議論を成熟させた中で出てくるなんというものじゃない、取りまとめの直前になってそんなものが出てきて、こういう審議の仕方というのはうまくないですよ。僕は事務局に言っておきますよ。地方は今の制度をつくるために過去四十年間みんなで苦労しながらつくってきているのだから、こんなことを、今のような扱い方でばっさり切られたのではかなわないですよ。お帰りになったらぜひお伝えをいただきたいというふうに思います。  さて、今、国の優越ということについて、経過の上でそんな文言があった。最終的にはそれは切られているわけでありますが、しかし全体を通じて貫いているのはやはりそういう一つの思想、地方に対する不信感、国の優越というようなものが盛り込まれているような気がしてならないのです。御案内のようにこの問題に関しては最高裁はいわゆる砂川訴訟で見解を示しているわけですね。僕はあの判決文の中にある趣旨というのは、まさに憲法なりあるいはそれに基づく地方自治のあり方というものを踏まえてあの判断が出たなというふうに非常に敬意を持ってあれを見ているのですが、大臣、あの砂川の最高裁の判断についての御印象があればちょっとお伺いしたいのです。
  87. 小沢一郎

    小沢国務大臣 砂川判決の全文についてまだ読んでおりませんでしたので、申しわけございません。
  88. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 結構です。これから始まるものですからぜひひとつ読んでおいてもらって、そのうちまた一遍お伺いしたいと思います。  やはりあそこでは、結局機関委任事務として地方自治体の首長が受けるという立場一つありますね。そういう命令指揮を受けて国の機関委任事務を進めていかなければだめだという立場と、しかし同時に住民から公選で選ばれた自治体の首長という自主独立の性格というものと一つの矛盾した性格がそこにあって、そういうようなものの立場からその事務を執行する上で見解の差が生じたときに、これを第三者である裁判所の判断に委任するということで実はあの訴訟の制度があるということをそこできちんと書きまして述べているのですね。ですから、僕はあの百四十六条というものは実は精神の上から言うと地方自治体にとって非常に大事なことだ、今日ある地方自治制度の根幹的なルールだというふうに思うのですよ。ですから、これを簡素化するということで切っていくということだけではうまくないように思うし、そういう簡素化という意味では、この前の地方制度調査会の論議の中で細谷先生を初め委員の皆さん万が一つの意見書のようなものを出して、例えば二度裁判をやるということになっているものは一つにまとめるようなことの努力で済むのではないかというような、非常に妥当な常識的な意見を六人かの委員の皆さんが出しているのです。しかし異例の採決でどうもそれが取り入れられなかったことを非常に残念なことだと僕は思うわけですね。ぜひそういう視点から、大臣この問題を改めて御検討いただきたい。まだ法案は出ていないですから、できれば代執行のところはカットして、そして罷免の問題なんというのは論外みたいなもので、あの存在自身が憲法違反の疑いがあるくらいのものでありますから、それはカットするのは当然のことです。現実には地方の議会だとか監査委員会では、機関委任事務だからといってそれを別にして検査をしているわけではないのです。したがいまして、これも地方議会や監査委員会が関与するのは当然のことでありますから、そういう部分に限ってやるべきではないかということを強くこの機会に提案しておきたい、こういうぐあいに申し上げる次第であります。  そこで局長さんどうですか、機関委任事務というのは全体で正確には何件あるのですか。
  89. 大林勝臣

    ○大林政府委員 機関委任事務の数を正確に数えることが実は非常に難しいわけてあります。一つ法律で許可という言葉、認可という言葉、報告、届け出、検査、立ち入り、いろんな態様の言葉が使われておるわけでありまして、それを全部拾い上げるということになりますと大変でありますので、大変恐縮でありますが今まで申し上げてまいりましたのは、便宜地方自治法の別表におきまして都道府県知事あるいは市町村長その他の行政機関に委任されておるものを項目としてピックアップしておるわけであります。したがって一つ一つ事務の数ということになると、大変申しわけないのでありますがお答えできないのでありますけれども、項目といたしましては現在地方自治法の別表の整理済みのものが五百二十二項目。ただ、これは昭和四十九年で一応整理がストップしておりますので、昭和四十九年現在で五百二十二項目ございます。その後の十年間、私ども現在整理中でありますけれども、恐らく五百五、六十項目にふえているんではないだろうか。その間一昨年、機関委任事務の一割整理というかけ声のもとである程度の整理が行われましたから多少それよりも減っておるけれども、大体五百数十項目はまだ現在残っておるという計算でございます。
  90. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そうなんですよ。これはなかなか対象がつかめない。第二臨調第三部会で赤澤主査が言っているのも同じようなことなんですね。別表が五百二十二、その他に枝葉がついて個別の法律によるのが百六十から百七十、事務を細かく枝番で分けると七百くらいのものでしょうかというようなことなんですね。大臣、そういうものなんですね。本当にちょっと首をひねりたくなるのですが、何かそういうことなんですね。その範囲も非常に不明確。これはしかし四十九年のというのです。今六十一年ですから、機関委任事務の問題についてこうやって徹底的に論議しているわけですね、これはそんなような答え、そんなようなつかみ方でいいんでしょうかね。行革審の方、どうですか、余りお立ちになる意欲もないですか。
  91. 重富吉之助

    ○重富説明員 私どもの方は自治省と同じ考え方といいますか、実態把握でございます。自治省からいろいろと教えてもらって把握しているというのが実態でございます。
  92. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかし、いずれきちっとしていただいて資料なども求めたいと思います。  そこで、今度の代執行について、今までほとんどそういう裁判ざたにというのは、例えば裁判所が判決で示したというのは例の砂川訴訟があるだけなんですから、そんなことはめったにないわけですね。多少ありましてもそういうことになる前に大体話し合いで決まっちゃうということで、今まで膨大な行政量が過去あったと思うが、しかし事実そういうことで意見の対立や紛争があったというのは本当に取るに足らぬものだということなんだが、しかしそのことを合わざわざ、しかもその百四十六条に手を入れる、まさに自治の根幹を動かすというようにとられてくるくらいな重要な部分についてなぜ手を入れなければならぬのかわからないですよ。どうにもわからない。  行革審ではこう言っていますね。「万が一、このような事態が生じた場合、」今のような裁判では間に合わぬから、こう言っているのですね。万が一の事態、これは何だ。あるいはまた行革審の別のところでこう言っている。「公益上重大な支障が生ずるおそれがあると認められる場合に限り、」範囲を縮めているわけですね。限定しているわけだが、「重大な支障が生ずるおそれがあると認められる場合」というのは何か。これは地方制度調査会のこの間の答申でもこう言っているのですね。やや似たような表現で、それを受けて言っているのですが、「明らかに重大な公益の侵害がもたらされるおそれがある場合に」限り、こういうときに代執行の発動をする、こういうことなんですね。これはどういうときのことをいうのですか。  まず行革審の方から聞きましょうか。
  93. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  行革審としましては、代執行の問題につきましてはあくまでこの制度の一般的なあり方について慎重に検討した結果、改善の方向を出したものでございまして、具体的にどういう事態であるかということについては審議をいたしておりません。
  94. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 だって、あなた、何か考えるからこういうことをやるのでしょう。表現は仮にこういう抽象的なことであったって、そこの陰にはつまりさまざまなことを、皆さんは専門家ですから、こういう行政のケースがあり得るな、こんな場合もあるだろうな、さまざまなことの中で、しかしそういう中ではこういうような制度をちゃんとしておかなきゃうまくないよということで出てきておるわけでしょう。だから、こんなこと、こんなことがあるというのが何かあるでしょう。何もなくてこんなものが出てくるわけないじゃないですか。地方制度調査会としてはどうだったのでしょうね。別に事務局をお招きしておるわけではないが、しかし自治省さんが事務局をやっているわけだと思うが、何か御意見ありますか。
  95. 大林勝臣

    ○大林政府委員 確かに過去の例は砂川事件一件しかなかったわけでございます。したがって、今回何で今さら、こういう御疑問が出るのは私どももっともであろうと思います。  ただ、地方制度調査会でいろいろ議論されました結果、その小委員会段階におきましてもまさにおっしゃるように、例えば具体的にはどんなものがあるんだろうなということはその都度出ておりました。ただ、今後砂川事件のようなものが起こらぬという保証もない。しかも問題の提起のされ方自体が、機関委任事務制度的なあり方として先ほど来お話がございましたような地方議会とか監査委員の関与、これも一つ制度論だ、それからもう一つ代執行の問題も一つ制度論だ、それで過去の唯一の砂川事件というものしかありませんけれども、非常に時間が長くかかった、機関委任事務という制度、これは当面は残さざるを得ない、残さざるを得なければその適正な執行の確保という制度も残さざるを得ない、そうすると、その代行制度を残す前提において考えます場合に現実の問題としてどうも動かぬではないか、こういう批判が従前からあったわけでございます。  そこで、結局純粋に制度論として動かぬではないかという問題の提起に対しましては、やはり動かぬでもいいというわけにもまいりません。やはり制度としてある以上は一つ制度として現実的なものに整備をする必要があろう、こういうことで地方制度調査会としては論議を進められたわけでありまして、具体的にどういうケースがあるのかということは別としまして、制度の問題として検討が行われたということであります。
  96. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 制度の問題として議論をするという意味では、僕はまさに百四十六条というのはもう絶対に守ってもらわなければだめです。あそこに決められている制度というのは、我が国の地方自治の、さっきから言うようにそれこそ動かされない根幹があそこに根をおろしていると言わなければならないわけで、あの部分を切ってしまうということは我が国の地方自治制度というものを非常に弱いものに結局はしてしまう。そんなことは改めて権威者である局長さんに言う必要もないことなんだが、それはきっとさまざまな各省との話し合いや何かの中でそういうところに押し込められたのではないかというように、好意で見ればそんな感じもしないわけはないが、しかし、ここはほかのことと違う。議会や監査委員会に関与させるからこの問題はこうしていいなんというような、それは取引できるようなそんな軽さ、重さの問題では全くない。ぜひひとつ御再考をいただかなければいかぬというふうに思うわけです。  そしてまた、今具体的にはいろいろの話があった、それはそれとしてという話であったが、個々に考えられるものがあるとすれば、それはそれで個別法でやればいいわけでしょう。理にあるわけですからね。訴訟を経ないでやろうと思えばできるものは個別法として現在でもあるわけです。幾つでしたか、六つか七つでしたか、そういう制度があるわけですから、どうしてもということであれば、そういうことで考えるというのは我々は余り賛成でないですよ、そうやったらいい、こう勧められるようなものではないが、しかしそれは百四十六条の根幹を変えるというくらいであれば別に道がないわけではない、今おっしゃるような意味からいえば。そういう点がどうも納得がいかぬ。だから言う人は言うんですよ。このごろあちこちで、この間も「世界」にある学者が書いていました。どう考えても、結局これは突き詰めていけば何か有事的な場合のことしか考えられない、一般的には行政力は考えられないことなんだから、そういう危機管理の一環かという見方さえ出ておるわけであって、そんな意味では特に大臣、今ずっと話してきたような経過であるので、ぜひ慎重に御検討いただきたい。代執行というのはそういう問題だというふうにお含みをいただきたい、このように思います。  代執行の問題はその程度にいたしまして、さっきも議論があったようでありますが、来年度、六十一年度の地財対策で、大蔵省と自治省地方財政対策について、去年の十二月二十一日に覚書を交わした。これは従前も毎年こういう覚書を交わしているわけだけれども、こういう、いわゆる覚書というものはどんなものなのですか。どんなものということはないけれども、つまりすごく大事なものなのか、ちょこっと書いたものなのか。やはりこれは、例えば保管なんていうのは、長期に保管し、大事にしておく公式な、重要な文書というものなのか。つまりそんなようなことなのですか、まずちょっと聞きたいのは。
  97. 小沢一郎

    小沢国務大臣 覚書は各省大臣の間で取り交わしたものでありますし、また私も政調で予算編成等に携わった経験もありますが、約束事でありますし、それだけに重要な文書、覚えものである、そのように考えております。
  98. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それは自治省自治省として公式な、自治省としての正式な、もちろん文書ということで、当たり前の話だけれども、そうですね。
  99. 花岡圭三

    花岡政府委員 覚書につきましては、いろいろな種類の内容のものがありますけれども、後年度に両省間の意思につきまして疑問の生じないように省庁間が合意したという意味で、これは我々としては重要なものであるというふうに考えております。
  100. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それじゃお伺いしますが、一番頭のところにこう書いてあるわけですね。「予算編成が大詰めとなった十二月二十一日、大蔵、自治両大臣は、自民党政調会長立会の下で最終的な大臣折衝を行い、次のような合意に達した。」中身がずっと書いてある。下に、「昭和六十年十二月二十一日、大蔵大臣自治大臣、政調会長」。これ、政調会長が署名に加わるというのはおかしくないですか。これはやはり両大臣が署名するのなら、もちろんそうですよ。その陰でいろいろ政調会長が苦労したというのもいいですね。それは当然のことでしょう。しかし、これは正式な大蔵省と自治省の覚書の文書ですよ。そこに一政党の政調会長が何で一体並べてこうやって覚書の当事者として署名、捺印するのですか。おかしいじゃないですか。
  101. 花岡圭三

    花岡政府委員 これは過去からのいきさつがございますので、私も詳しいことは存じませんけれども、この自治、大蔵との覚書に関しまして、特に地方財政対策に関しましては、政調会長が御署名をなさっております。この辺につきましては、物によりましては政府・与党連絡会議で決まったものもございますでしょうし、やはり極めて重要であるという意味合いにおいて、政調会長がお加わりになっているのじゃないかと思います。
  102. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 おかしいですよ、あなた。一つの政党の政調会長じゃないですか、単なる。行政の構成員じゃないでしょう。それは行政の秩序からいっておかしくないですか。いや、今後のこともあるからね。やはりおかしいならおかしいと言ってくださいよ、大臣
  103. 小沢一郎

    小沢国務大臣 いわゆる政府・与党の間で予算編成するに当たりまして、例えば三役の裁定とか協議の結果の文章、それについては党三役、政調会長がやることがあると思います。私は、この覚書については、大蔵大臣自治大臣の閣僚間の覚書と考えております。
  104. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そのとおり。やはりさすがに期待する実力派大臣。そういうぐあいに明快に行政の秩序というものは守っていってほしい。  やはり同じようなことなんだけれども、ついでだから言うのですが、今余り言おうとは思わなかったのだけれども――まあやめましょう。この次にやりましょう、時間も余りないから。  それでは最後に一つ、ちょっと大臣にお伺いしたいと思うのですが、例の定数是正にかかわる選挙の問題なんですが、最高裁で違憲の判決が出た。今の定数のままで選挙をすることがある、適当だと思いますか。
  105. 小沢一郎

    小沢国務大臣 最高裁の違憲の判決が出ておりますから、これは速やかに違憲状態を脱して改正案をつくることがまず先決だろうと思っております。
  106. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 つまり、今の定数のままで選挙をやるということは、これは違憲状態のまま、違法状況のまま選挙を執行することになるわけですからね、それはできないでしょう。
  107. 小沢一郎

    小沢国務大臣 内閣に付与された解散権とこの議論につきましては、総理もたびたび答弁いたしておりますが、これは国民の判断を仰ぐことが必要であるという政治状況に立ち至ったときに、国会と行政府との関係で内閣に解散権が与えられておるわけでありまして、憲法上の権限、権能としては否定されるものではないと思います。あとは選挙法のことやら、実際の選挙執行を決めておる選挙法の問題あるいは実体問題、それはまた別の観点からの議論であると思います。
  108. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いや、つまり違憲とされた定数の状況の中で選挙をやることは許されるのですか。今、解散権のことは別においてですよ。選挙そのものですよ。
  109. 小沢一郎

    小沢国務大臣 憲法解釈を私がやる立場ではございませんけれども、解散権というのは、権と言う以上はあくまでも憲法上の権限、権能でありまして、解散権を行使するかどうか、それはそのときの政治情勢で内閣が判断することでございます。したがいまして、解散行為ということがそういう法律上のいろいろな問題で制約されることはない、そのように私は思っております。
  110. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 憲法九十八条で、違憲の法律は無効だと明記しているのですよ。それは無効の法律でやるのですか、選挙自身を。どうなりますか。
  111. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 お答え申し上げます。  法律が最高裁判所によって違憲と判断された場合には、立法府において憲法に適合するような改正が速やかに行われることを念願するわけでございますし、それが期待されております。私どもも、ぜひそういう立場で定数是正が実現することをお願いしたいと思うわけでございますが、仮に定数是正が行われないままに選挙を行わなければならないような事態が生じた場合、これはやはり現行法としては現在の公職選挙法しかないわけでございます。確かに先ほどおっしゃいましたように、六十年七月の最高裁判決によって五十八年選挙当時における現行の公職選挙法の規定は憲法違反であると判断されたわけでございますが、改正されてない以上それは消滅したり失効したわけではございませんで、あくまでも現行法として存在するわけでございますので、そういう事態が生じた場合にはその現行法に従って選挙を執行しなければならない、このように考えておるわけでございます。もしそういう解釈をとらないとすれば、任期満了や、あるいは先ほど大臣の方からお話がありましたような解散という事態が生じた場合に、衆議院が不存在というような事態にもなるわけでございますし、また、憲法の規定には解散の場合には四十日以内に選挙を執行しなければならないという規定もあるわけでございますから、それらを総合して判断をするならば現行法によって選挙を執行せざるを得ない、このように考えております。
  112. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 仮に今の見解の上に立ちましても、それは任期はまだ残っているのですから、その場合の選挙の裏づけになる解散というものの行使については重大な制約があるということは言えるでしょう。どうですか。
  113. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 その点は先ほど大臣からお答えいただきましたとおりでございまして、解散というのはそれ自体非常に重要な内閣に付せられた権限でございまして、これが法的に拘束されるということはないという立場に立っております。
  114. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 超法規的な、憲法も何も無視するようなことはやはりうまくないと思いますね。  もう時間がありませんから最後の質問にさせていただきますが、地方自治法第二条第十五項では、「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。」ということになっております。ですから、地方自治体あるいは選挙管理委員会は最高裁判決で違憲とされた法令に従うというわけにはいかぬのではないですか。憲法九十九条では、「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」ということになっている。選挙管理委員会委員だって特別職の公務員ですよ。あるいは自治体の職員だって皆そうでしょう。これは状況によっては大変な混乱になるのではないですか。しかも、それはそれぞれ選挙無効訴訟、差しとめ訴訟などが各地域で起こるということだって予測されるでしょう。そういうことを考えていかなくてはいけないのじゃないかと思うのですが、そんなことは全然考えなくていいのですか、どうですか。
  115. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 お答え申し上げます。  憲法擁護義務が公務員にあることは確かでございますし、公務員法に法令等に従う義務が規定されておることも確かでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたような法律的な結論もまたとらざるを得ないわけでございますし、そういう事態あるいは法律的な考え方を選挙管理委員会の方あるいは職員に十分説明いたしまして、その御理解、御協力を得て選挙の執行には万全を期してまいりたい、このように考えております。
  116. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 以上で終わりたいと思いますが、今のことに関して、大臣、ひとつ慎重にしてほしいと思うのですよ。やはり選挙担当の大臣ですから、一言ありましたらいただいて終えたいと思います。
  117. 小沢一郎

    小沢国務大臣 基本的には今国会において前国会を受け継いで速やかに定数是正がなされることを期待しておるわけであります。先ほどからの憲法、解散の問題につきましては、片っ方においては定数のアンバランス、憲法の一つの柱である基本的人権の尊重の原理と、もう一方においては国民主権の統治の機構の要請からくる国会と内閣の解散権との問題であろうと思います。したがいまして、もちろん実際上の解散というものはそういったもろもろの判断をした上でなされるものでありまして、その結論の判断は主権者が下すということであろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、実際上の解散ができるかどうかということは実体としての判断であると思います。  そして、もし仮に解散ということがなされた場合には、先ほどの選挙部長の話のように、現実には現行法しかないわけでありますし、選挙管理委員会も選挙を公正に執行するというのが役目でありますし、国民の側からとれば参政権の最大の行使の機会でございます。したがいまして、そういう中にありましては、そういう事態が生じたときはもちろん選挙が公正にいくように私どもとしては理解を賜る以外ないわけでありますが、いずれにいたしましても、今国会において各党間の協議がまとまって違憲状態を脱することを念願しておるわけであります。
  118. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 どうもありがとうございました。
  119. 福島譲二

    福島委員長 宮地正介君。
  120. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは限られた時間でございますので、大臣に端的に御質問をさしていただきたいと思います。  私は、最初に地方財政の問題について少しお伺いをしたいと思います。  国の財政もこの六十一年度末には約百四十二兆円の公債残高を抱えて大変な状態にあるわけでございます。そういう中で中曽根内閣は「増税なき財政再建」、こういうことで努力をしているわけでございます。そういう中におきまして、最近特に地方財政富裕論というのが出てきているわけでございまして、特に「増税なき財政再建」の国の財政の大変な中で、歳入面におきましては公債の大量発行、ただいま申し上げましたように六十一年度末には約百四十二兆円、また歳出面におきましては公債依存度が二〇・二%と、二〇%を超える状態であります。そして、さらに繰り延べなどによりますところの財政措置というものが大はやりになってまいりまして、そういう中でそうした財政の危機というものが国から今度は地方財政危機へと今転嫁されようとしてきているわけでございます。そうした地方への負担の振りかえ、転嫁、こういうものがいわゆる地方財政富裕論という名のもとに今まことしやかに巧妙に行われてきているのではないか。こうした財政運営の手法というものが、大変大きな問題が今後に出てくる可能性があるわけでございまして、率直に、こうした手法についてまず大臣はどのようにお考えになっておるか、所見を伺いたいと思います。
  121. 小沢一郎

    小沢国務大臣 地方財政の富裕論につきましてでございますけれども、例えば公債の依存率等々の単なる数字から見ますと、まだ地方の方が国よりも低いというようなことやら、あるいは地方の一部の給与の問題を取り上げたり、そういう観点から地方が富裕であるというがごとき議論がなされておると思うわけでありますが、現実地方財政状況を見てみますと、公債の依存率もかなり高くなっておりますし、また現実問題としてとてもとてもそんな議論されるような状況ではないと考えております。特にいわゆる国の財政も厳しい、金がない、したがって負担率を切り下げてその分は地方負担してもらおうやというような安易な考え方のもとに立ってなされてはならない。私どもが従来主張しておりますように、権限の移譲の問題やらそういった議論の中で初めて国と地方の費用の負担のあり方、そういうものの中から出てくるべきだと考えておりまして、先生のお話のように単に地方への転嫁に終わるようなことであってはならない、そのように考えております。
  122. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣昭和の二けたて、これからの大変に、将来の大器と言われる大臣でございますから、私は、今回の自治大臣、国家公安委員長になられたお立場というものにおいてぜひ勇気ある行政の対応をして、若者らしく政界の中で振る舞っていただきたい、こんな期待をしている一人でございます。  そうしたいわゆる地方への財政転嫁、つけ回し、こういうような負担転嫁の最たるものとして、私は昨年、六十年度から行われてまいりましたところの国庫補助負担率の引き下げの問題が出てきているのではないかと思います。御承知のように六十年度においては五千八百億円、これも先ほどお話ございましたように大蔵大臣自治大臣あるいは厚生大臣等の覚書で暫定措置として一年限りである、こういうことで昨年の国会におきましても、大蔵大臣も守る、古屋自治大臣もこれを守らなければ大変な事態になるということを再三予算委員会、大蔵委員会等で答弁をしてまいりました。しかし年がかわってみれば、六十一年度におきましてはさらに三年の暫定措置、三年の延長、その上五千八百億円の削減が今度は一兆一千七百億円。こういうやり方をいつまでも是認をしておりますと大変な事態が、今度は国同様に地方財政に大きな危機がやってくるのではないか。そういう意味で、こうしたカット措置の手法というものに大臣として大きな歯どめをかける政治的な責任というものがあると思うのです。確かに六十一年度予算編成では前大臣のもとで行われまして、小沢自治大臣を追及するのはいささか感慨もあるわけでございますが、一たび大臣に就任した以上は政府の中のことでございますから私は同じ責任があると思うわけでございます。まず、こうした手法に今後いかなる自治大臣として歯どめ的対応をしていく御決意があるか伺っておきたいと思います。
  123. 小沢一郎

    小沢国務大臣 六十年の予算編成においては、この一年間の暫定措置とする、今後のことにつきましては、六十一年以降については、その間地方と国の事務あるいは権限、そういった問題を考えながら決めていく、こういうことになっておったわけでありますが、六十一年の予算編成におきましては、一部ではございますけれどもそういった考え方に立って事務事業あるいは権限の移譲、社会保障関係で認められまして、そういうことと、それからいろいろな補てん措置がとられたということでやむを得ないものと判断したわけでありますが、いずれにいたしましても、ただ単に、先ほど申し上げましたように国が金がないから地方負担してくれやということであっては筋道が通らない。やはり本当に国と地方のお互いの機能の分担、役割、それをきちんと精査して考えた上での議論でなければならないと思います。実体の問題といたしまして、財政が大変厳しい中で、私も地方の意見を代表して政府部内で政策に反映していく自治大臣の職についたわけでございますから、今後本当に地域の振興のために地域の意見を十分酌み取って、微力ではありますが政府部内におきましても言うべきことは言っていく、そういう決意で対処していきたいと思います。
  124. 宮地正介

    ○宮地委員 私は、地方財政の今日置かれた厳しい現状というものをお話をする前に、大臣、大変失礼でございますが、いわゆる中曽根内閣の最も重要な財政的な面における国民への公約というのは、昭和六十五年度赤字公債の依存体質から脱却をする、これが一つの大きな生命線になっているわけですね。鈴木内閣が最後に政局において大きな問題が出ましたのも、やはり鈴木内閣赤字公債の脱却というものが五十九年度にできる見通しが立たなくなってしまった。そこで責任をとったとも言われているのです。そのくらいこの財政問題というのは時の内閣の生命線なんですね。大臣昭和六十五年度赤字公債依存体質脱却というものについてどの程度大臣としてこの問題について御理解と、政府としての、大臣の一人としてこの問題解決の決意というものをお持ちなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  125. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この六十五年度赤字公債脱却という問題は、中曽根内閣として財政再建の旗印になっておるわけであります。総理大臣大蔵大臣も、それならば毎年一兆数千億ずつ赤字公債を滅らさなければいかぬじゃないかということでありますから、それについては非常に厳しい、難しい状況であるけれども、六十五年になくするという旗印を掲げてできるだけ努力したい、そういう考え方をお話しなさっておるわけであります。私もそういった財政全体の観点からお話しする立場ではございませんけれども、百四十兆円にも上る、地方においても五十兆円以上の借金をいわば抱えておる、こういう財政状況を後世の負担に任せるということであってはならない。やはりお互い努力し、知恵を出しながら財政再建というテーマに向かって努力していかなければならない問題ではないかな、そのように考えております。
  126. 宮地正介

    ○宮地委員 私があえて今この問題を大臣にお伺いしたのは、大変に今後の地方財政の問題について重要であるからお話しをしたわけでございまして、釈迦に説法かと思いますけれども大臣も御存じのように、ちょうど昭和四十年の福田内閣のときに日本で初めて建設国債発行されたわけです。これはまだ社会資本という一つの資本ストックというものがありますから、見返りがありますから、ある程度国民も納得をいたしました。しかし、昭和五十年に入りまして、今度はいわゆる特例公債というものの発行政府はいたしました。この特例公債は御存じのように紙っぺらだけであります。何のストックもありません。そして、昭和六十年になりまして、今度は特例公債の償還の時期がやってまいったわけであります。そして、この償還の時期を目前にいたしまして中曽根内閣がやりましたことは、特例公債に対して借換債というものを今度は認めるという手法をとったわけであります。いわゆる償還財源にしよう。ここにいわゆる鈴木内閣中曽根内閣の根本的な財政の大きな対応の違いが出たわけです。どういうことかといいますと、六十五年にいわゆる赤字国債の脱却を、ゼロにするということは、昭和六十四年に発行する赤字国債の償還というものは――鈴木内閣のときにおきましては償還が最高十年物であれば十年で返ってきた、ところが、借換債をやることによって、御存じのように国債というものは六十年償還ルールによってやっておるわけであります、建設国債はしかりであります。特例公債においてもこのいわゆる六十年償還ルールを適用したわけであり、そしてさらにいわゆる借換債を断行したわけであります。六十四年に中曽根内閣発行する特例公債というものの最後の償還というものは何とそれから六十年後なのであります。昭和百二十四年になりませんと六十四年に発行した特例公債というものは我々国民の手に返ってこない、そのくらい厳しい対応を今中曽根内閣はやっているわけなんです。自治大臣は既に御存しかと思いますが、ぜひそういう事態を深刻にお知りいただき、御理解いただき――私は直接中曽根総理にも大蔵委員会でこの問題についても強く進言をいたしました。当時総理はそこまで深刻には受けとめておりませんでしたが、初めてその深刻さを知ったようであります。  私は、こうした深刻さというものを二度と地方財政の中に持ち込んではならない、これを実は言いたかったわけなのであります。特に、御存じのように現在の地方財政の現状の中におきまして、公債費の負担が非常に最近ふえてまいりまして、公債費率二〇%を超えている地方自治体というものは五十八年度決算におきましても三千三百の地方自治体のうち約四分の一、二五%が超えているという現状になってきております。昔、地方の自治体に対して公債費率二〇%を超えることのないようにと厳重にお達しをしたのは自治省であろうと思います。私の住んでいる埼玉県上福岡市がいち早くそうした状態になりまして、自治省のおしかりを受け更生団体としての対応に迫られたという体験を私は身近に知っております。しかし、今、そうした二〇%超の公債費率の自治体が四分の一を超えている、これは大変なことだと思うのですね。  さらに、御存じのようにその上借金が非常にふえてまいりまして、六十一年度末では現在五十八兆八千億、今地方の自治体では累積の借金を抱えております。さらには地方交付税借り入れということで五兆七千億近いお金が借りられております。そして、先ほど申し上げましたような補助金削減によりまして年々建設地方債が増発をされております。  こういうような地方財政の現状というものを見たとき、この地方におけるところの建設地方債などにおいては現在では十年近道とかあるいは十八年返還に延ばすとかやっております。国のような六十年償還ルールなどを断じて適用してはならない。これをやりますと私は大変な事態になってくると思います。さらに、御存じのように財政の硬直化も今地方においては進んできております。経常経費収支比率も非常に上昇してきております。  私は、こうした地方財政の現状というものを的確にそして現実を素直に見て今から先手先手の対応をしていかなければ、まさにサラ金地獄に国同様に地方財政が落ち込んでいく、これを心配をしているわけでございまして、単に国の財政が大変だからといって地方財政富裕論などを掲げて一時しのぎの財政運営であってはならない、私は小沢自治大臣にそういう点を御賢察いただいて、現在の厳しい状況を見ると同時に、将来に向けての地方財政のあり方、地方財政運営のあり方、こういうものに先手を打っていただきたい、このことを強く希望するわけでございますが、この点についての御所見を伺っておきたいと思います。
  127. 小沢一郎

    小沢国務大臣 ただいま先生指摘のように地方財政も大変厳しい状況にあります。今回の御審議いただく予算編成等に当たりましてももちろんその実情を十分考えながら行っておるわけでありますが、結局いろいろな補てん措置を講じても地方負担として、借金として残っていくということは事実でございますし、もちろん私どもはそういうことの積み重ねによりまして、地方財政が支障を来すようなことのないように最大努力はいたすつもりでございますけれども、基本的に、借金をどんどんやっていきいわゆるサラ金地獄のようにふえる一方だという形の財政運営にしてはならないわけでございますので、今後先生の御指摘を十分念頭に置きまして最大の努力を払っていくようにいたしたいと思います。
  128. 宮地正介

    ○宮地委員 次に、昭和六十一年度地方財政計画の問題について少し触れていきたいと思います。  今回の地財計画財政規模は、御存じのように五十二兆八千四百五十八億円でございまして、前年度比約四・六%増と抑制型につくられております。特に内需拡大ということに力を入れよう、こういうことで、地方単独事業費、これは三千百五十四億円を増加いたしまして前年度比三・七%増。特に一般財源の伸びが約六・〇%ということになっているわけでございます。そこで、地方税の伸びを約六・九%に見込んでおります。地方交付税の伸びは、これは政府の実質経済成長率の伸びと同じ四・〇%、こういうふうになっているわけでございます。こうした問題は日本経済の動向と非常に相関関係の強い要素を持っておるわけでございまして、特に我が国の実質経済成長率六十一年度で四%、この達成が一つのベースになっているわけでございます。  しかし、私は、現段階で云々するのは少し早いかもしれませんが、いわゆる円高問題というものが大変急速に、予想以上に今ピッチを上げてきておるわけでございまして、たしか実質経済成長率のバックボーンのときの円ドルは一ドル二百四円で計算をしておったと思います。現在の円高状況を見ていますと一ドルが百八十円台、場合によっては百八十円を切る、こういう大変な状況でございますから、当然輸出志向型の今までの日本経済というものは急激に今デフレ現象で冷やされているのは事実であろうと思います。こうした景気の動向というものへの対応、これもまた財政運営では非常に大事ではないか。まず大体政府の四%実質経済成長率というのは少し高めではないかという論議も前々から聞かれるわけでございまして、民間では三%台が非常に多いわけでございます。また、円レートにおいても大体二百円前後で皆さん計算をされて六十一年度経済成長、日本の景気の動向というものに対応しておるわけでございます。  そこで大臣、こうした大変難しい景気の動向の時期に今、日本経済が入ってまいりました。まず円高で、急激な百八十円前後という状況ですね。それからもう一つはやはり油の値段ですね。これが非常に急激に安くなってまいりました。一時はスポットで一バレル四十ドルくらいで出回った時期がありましたですね。最近では十四ドル原油あたりが、もう日本でも輸入が十五ドルを割って入ってくる。大変に油の値段が下落をしてきている。これは我が国にとっては卸売物価を抑えるまたは安定させるには大変いいです。しかし、考えようによっては、発展途上国などの累積債務はさらにふえてまいって、これは国際的にも大変大きな問題になってきておるわけです。  こうした経済変動に伴う財政の対応、この弾力性というものもやはり臨機応変にやらなければいかぬと思うのです。予算審議をやっている最中ですから、来年の三月までの努力目標、これはできて結構です。しかし今置かれた経済の環境は、大変に微妙なものが来ている。こうしたものが国税の税収見積もりに大きな影響を与え、ひいては地方交付税に対する、地方財政への大きな影響が出てくることも必至だと思うのです。まだ予算が通る前ですから私は云々言いませんが、努力目標は努力目標で結構ですが、やはり現在置かれた経済環境にタイミングよく、財政との関連の中で、予算が通った後においてもこの治療というか対症療法を見誤ったら大変なことになると思うのです。こういう点について、本来的には大蔵大臣経済企画庁長官がやる仕事でございますが、やはり地方自治財政を預かる大臣でございますから、若さに物を言わせ、また逆にそうしたところに進言をして地方財政の大穴があかないような対症療法をすべきタイミングというものを当然はかっていくべきじゃ狙いか、こう思いますが、こういう点については大臣はどのようにお考えでございましようか。
  129. 小沢一郎

    小沢国務大臣 私は経済は素人でございますしわかりませんけれども現実問題として先生指摘のように円高の問題、そしてひいては地方財政へのいろいろな影響が出てきた場合ということでございます。もちろん、今予算の審議をしていただいているところでございますし、これを変える変えないという議論先生もおっしゃっておるのではないと思いますけれども、私どもといたしましては地方財政という観点から、地方がそれらの影響をこうむらないように、物事は絶対真実というものはないわけでございますから、それは制度の中で可能な限り経済情勢の推移等を見て対処していかなければならない、そのように考えております。
  130. 宮地正介

    ○宮地委員 経済企画庁、来ていると思いますが、当初一ドル二百四円で、昨年十一月のインターバンク中心相場ではじいてこの四%をつくっていますね。例えば一ドルが百八十円の相場になった場合との程度デフレ効果といいますかデフレ現象が起きるのか、これについてもし調べているようであればちょっと教えていただきたい。
  131. 大塚功

    ○大塚説明員 円高の影響につきましては、一般論といたしまして両様ございます。まず経済にあらわれます影響は、輸出数量等の減少というようなことから所得の増加を抑えるという方向が働いてまいります。しかしながら、この円高がしばらく続きますと、今度は輸入原材料価格等が下がるわけでございますから、全体の物価水準が下がるということによりまして物価安定を通じて実質所得が拡大する、これによって需要が押し上げられる、いわゆる円高の交易条件効果と言っておりますが、そういったプラスの効果が働くわけでございます。六十一年度経済成長率につきましては、私ども実質成長率で四%という見通しを立てておりますが、これにつきましてはただいま申し上げましたような円高プラス面の効果も織り込んでいるということでございまして、先ほど先生が御指摘ございました民間の見通しとの主要な違いの一つはそういった点の織り込み方ではないかと考えておるわけでございます。  円高の具体的なあらわれ方につきまして計算をしておるかということでございますが、ただいま申しましたように両様の影響がありますし、御承知のとおり為替相場は現在変動制でございまして、不規則な変動をすることもございますので、その影響を考えるに当たりましてはある程度の期間をならして見なければいけないというようなことがございますので、私ども為替相場の動向につきましては注目をして見ておるところでございますけれども、その具体的影響について今どうだというような計算はいたしておらない次第でございます。
  132. 宮地正介

    ○宮地委員 外需の依存度はどのくらいになりますか。あなたの方は、当初二百四円で計算したときは内需の寄与度が四・一%、外需の寄与度はマイナス〇・二、こう計算していますね。この外需の寄与度はどういう変化をすると理解すればよろしいですか。
  133. 大塚功

    ○大塚説明員 六十一年度の成長率の内外需寄与度につきましては、先生指摘のとおりの数字でございまして、私どもは、内需寄与度が四・一、外需寄与度がマイナス〇・二、足し合わせますと三・九になりますが、四捨五入の関係で、これで足し合わせますと四%、こういうことでございます。  一般論として申し上げますと、外需につきましては、円高が続きますと輸出数量の減少、片っ方で輸入数量の増加という効果が出てまいるわけでございますから、両面から外需寄与度を引き下げる要因として働くわけでございますので、ただいま申し上げました依存度はさらにマイナス幅が大きくなるということだろうと思います。一方で、先ほど申し上げました円高プラス効果、交易条件改善効果が働くわけで、これは内需の面で内需寄与度を引き上げるという方向に働くわけでございます。いずれにいたしましても、両面を考えました場合には、経済成長率の見通しにつきまして四%という考え方を現段階で改める必要はないのではないかと考えておるわけでございます。
  134. 宮地正介

    ○宮地委員 あなたは事務方だからそれ以上の答弁はできないから、私は無理してさらに追及するつもりはございません。ただ、民間の調査機関に私も間い合わせでいろいろ聞いてみました。大体〇・二くらい影響が出てくるのではないかという話でございます。要はきょうは私は、こうした円高によるデフレ現象というものが今後の国税の税収見積もりあるいは地方税においての税収見込みというものに変化が当然起きてくるであろう、そういうときに、特にプラスの働きで増収になれば結構な話でございますが、減収になる可能性も十分考えられるわけでございます。そうしたときに、穴があいたということでまた国から地方へのそうした負担がふえないようにタイミングよく事前事前に政府としても積極的に対応策をとっていくべきである、このことが私は言いたいわけでございまして、大臣も真剣に取り組んでいくということでございますので、この点については強く御要望して、この問題については一応ピリオドを打っておきたいと思うわけであります。  さて、昭和六十一年度の特に地方財政対策、財源対策の問題について少しお伺いしてまいりたいと思うわけであります。  先ほど申し上げましたように、国庫補助の削減に伴いまして地方財政が約一兆一千七百億カットされたわけでございます。中身はもう既に御存じのように、経常経費系統が約六千百億、投資的経費の方が五千六百億円、これが今後三年間の暫定措置として行われる。端的に言いまして、特に一兆一千七百億円をばらしてみますと、たばこ消費税の引き上げによって二千四百億、残り九千三百億は建設地方債措置をする、こういうことであろうと思います。そこで、この中におきましても、たばこの引き上げに伴う、特に地方においては地方たばこ消費税率引き上げで千二百億、そして国の方のたばこ消費税を引き上げて千二百億、これを地方交付税特例加算をして地方にいわゆる対応措置をした。この手法は大臣も先ほどから臨時異例措置である、これも六十一年度限りである、予算が通ればこの五月から来年三月までのものである、こう言いますが、こうした財政手法は大きな問題を今後残すのじゃないか。地方交付税というものは国が地方の自治体の行政に対しての計画的なあるいは地方の自治体の自主性を尊重して国税三税から三二%を地方交付税として回しているわけですね。その中に、今度いきなりたばこ消費税の引き上げの二千四百億というのは、これは言うなればまさに大衆課税ですよ。国民にダイレクトに引き上げて、一本当たり四十五銭と四十五銭、あとたばこ産業の方が十銭取って、ざっといえば一本当たり一円ですよ。この引き上げによって地方に穴埋めをする、こういうどんぶり勘定的な手法というのは余りいただけないのじゃないかと私は思っておるのです。大臣、手法としてこういうのは余りやるべきじゃないと思うのですね。ましてや、手続をいろいろ伺っていますと、何か政府税調を無視してしまって予算編成の中でちょろちょろっとやってしまった。これはいろいろ論議されていますからいいですけれども、私はこういう大衆課税をストレートにやって財政的な手法をするというのはいかがなものかな、こう思っているのですが、大臣、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  135. 小沢一郎

    小沢国務大臣 経過等につきましては先生の御存じのとおりでありますけれども、いわゆるそのやり方、手法でございますけれども、少なくとも基本的な議論、長期的な観点に立って本来はそういう税源対策とかあるいは財政上の問題は議論されるべきものであろう、そのように考えております。  今回の場合は生活保護費の問題等々の予算編成の際のいろいろな議論の中で地方財政対策の一環としてなされたということであるわけでございますが、筋道としては最初に申し上げましたとおり、そういう地方財政の基本的な考え方検討の中から決められていくべきものであろうと思っております。
  136. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣、これは六十一年度限りということになっておりますが、六十二年度以降恐らく、今までの過去の大蔵省のやり方等を見ますと、一度取ったものをまた引き下げて国民にお返しするなんということは常識的にはなかなか、今までの大蔵省のとった手法としてはやらぬと思うのです。自治大臣、ここのところどうしますか。六十二年度以降については、もし大蔵省がそうした対応にきたときに一緒になって取りっ放しですか。
  137. 小沢一郎

    小沢国務大臣 六十二年度予算編成のときまで私が在職しているかどうかわかりませんので何とも言えませんけれども、少なくとも私の現在の心境といたしましては、今回のこの一年間ということは、現在税制調査会等で抜本的税制改正、その妨げにならぬようにということでなされたものと思っておりますけれども地方財政に関しましては、たばこ消費税という形でなくとも、それはもちろんそういう形ではなくて、これが三年間の暫定処置となっておりますから、その点の地方財政に対しましては何らかの形でその分の補てん処置は必ずするようにしていかなければならない、そのように考えております。
  138. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣も御存じのように、専売公社を民営化して日本たばこ産業株式会社が発足したわけですね。それでいよいよ製品たばこの輸入自由化が始まっているわけですね。外国にはフィリップモリスだとか一兆円産業のたばこ会社がいっぱいあるわけです。ですから、むしろ専売公社を民営化したときできるだけそういう自由競争に我が国のたばこ産業株式会社も勝てるように環境づくりをしていこうというのがあのときの国会における論議なんですね。ところが今、はっきり申し上げて真綿で首を締めているのですね。たばこ産業株式会社の長岡社長だってこれは口には出せませんが、腹の中では煮えくり返っていると私は思うのですよ。そういう点を考えたときに、やはり政府税調も六十二年度税制改正の中の暫定措置の一年だ、こうおっしゃっていますから、それを信用したいのですけれども、やはり大蔵省の今までの、昨年の補助金の一律削減なんかの一年限りの暫定措置の不履行なんかを見ていますと、一度取ったものをまた返すなんということは大蔵省としてはそうたやすくしないだろう、何らかの理由づけをしてさらにこの問題は恒久化していくんではないか、こういうおそれを私は抱いているわけでございまして、そういう点について、今の段階では大臣にこれ以上側質問するのは酷でございますから差し控えますが、そうした国際的な状況、またたばこ産業株式会社を民営化にしていった経緯、こういう国会論議の中で行われたものというのは尊重してもらいたいと思うのです。こうした委員会でいろいろ論議したことが時とともに不毛にされていくということであれば、何のための国会が、立法府であるか、こういう問題も出てくるわけでございますので、ぜひどうかこの問題については慎重に対応していただきたい、強く御要望しておきたいと思うのであります。  そこで、せっかくきょうは文部省、厚生省、建設省にも事務方の方々に来ていただいておりますので、いわゆる補助金削減にまつわるところの、特に文部省あるいは厚生省におきましては経常経費系統の削減問題に関連するわけであります、また投資的経費の系統においては建設省が非常に関連するわけでございますが、率直に言って、こうしたいわゆる国の補助率削減措置というものが、福祉の問題とか教育の問題だとか社会資本の投資の問題だとか、確かに事業は拡大するとか、何とか建設地方債で手当てするとか財源措置をしているのだから、事業そのものには余り変化はない、こういう言い方もあろうかと思いますが、私は、こうした補助金削減措置というものが口厳しく言えば福祉の切り捨てあるいは教育の形骸化というか切り捨て、こういう方向にやはりなっていくのではないかという危惧を持っているわけでございますが、時間も限られておりますので、その点について一言ずつ御答弁をいただきたいと思います。
  139. 岸本正裕

    ○岸本説明員 今回の補助率の変更につきましては、福祉行政のような住民に身近な行政につきましては身近なところで地方の自主性を尊重して事務事業を執行していくのがより望ましい形であるというところから、このような補助率の引き下げの措置を行ったわけでございます。  地方負担は当然増加することになるわけでございますけれども、その増加分につきましては所要の地方財政対策が講じられているわけでございます。私どもといたしましては、このような行政地方に定着してきているわけでございますし、今回の措置によりまして給付水準が低下したり必要な事業が実施できなくなる、こういうようなことで福祉の切り捨てになるということは決して起こらないと考えております。
  140. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  六十一年度予算における補助率見直しにつきましては、六十年十二月二十一日の補助金問題閣僚会議の決定に基づきまして、補助金問題検討会の報告の趣旨を踏まえて補助率の総合的見直しが行われて、その一環として公立文教施設につきましては、二分の一を超える高率補助についてその引き下げが行われたわけでございます。  公立文教施設につきまして六十年度より事業量が若干減っておりますのは、これは児童生徒数が昭和五十七年をピークにその後減少しておりますために事業量が減ったわけでございまして、高率補助率の引き下げがその原因である、このようには私どもは考えておらないわけでございます。
  141. 望月薫雄

    ○望月政府委員 公共事業の関係で御答弁させていただきますが、今先生お話しのありましたように、公共事業につきましては挙げて社会資本の整備のおくれの中で公共事業を着実に拡大してまいりたいということと、あわせまして、内需の拡大という当面の大きな課題にこたえて事業費をどう確保するか、こういった要講を踏まえまして、今般補助率の一部引き下げということに建設省としても応じさせていただいたわけでございます。これにつきましては、既に先生お話しのとおり、所要の地方財政対策も講じられるということで、基本的には国、地方一体になっての社会資本整備というものを着実に進めていくことに大いに寄与するのじゃないか、こう考えております。  しかし、こういったことを今後どうするかということ等々の問題も当然あろうと思いますが、私どもといたしましては、あくまでも今回暫定的なものであって、やはり公共事業の着実な推進、あわせまして特に地方財政事情等によりまして整備がアンバランスにならないようにということ等々から考えますと、既に定着しております補助率の体系というものは今後とも基本的には重視し尊重してまいるべきもの、こんなような考え方で、今般暫定的措置として講じさせていただく次第でございます。
  142. 宮地正介

    ○宮地委員 今、私、三省の事務方の方からいろいろ伺ったわけですが、私は、こうした補助金削減というものが福祉の切り捨て等にならないように一番頑張っているのは皆さんよりも地方自治体であるということを言いたいのです。皆さんは政府でありますから、福祉切り捨てにはならぬ、こういうふうに大見えを切って言いますが、現場の地方自治体がどれだけ苦労しているか、福祉を守るために教育を守るために、また公共事業の投資を拡大して社会資本の充実のためにどれだけ苦労しているか、ここのところをよく知って皆様方も今後の対応について取り組んでいただきたい。時間がありませんから、私は強く御要望しておきたいと思います。また、こうした地方財政問題につきましては、今後この委員会におきましても逐次いろんな角度から御質問させていただきたい、このように考えております。  そこで、大臣、時間もあとわずかでございますので大臣に伺いたいわけでございますが、自治大臣として就任されて大きな仕事の一つは、先ほども出ておりましたが、今国会における定数是正問題、この取り組みの決着の問題があろうかと思います。この点についての御決意。  もう一つは、何といいましても、この五月に東京サミットが行われるわけでございまして、国際社会の中における日本の果たす役割、こういうものを高揚していくにも大変重要な会議でございまして、この警備を担当されるのも国家公安委員長大臣でございます。こうした問題についていろいろ最近は過激派の不穏な動き等もあるようでございます。法治国家として、また先進国の我が日本国として、この東京サミットに万々が一の異常事態が発生してはならない。そういう意味におきましてこの警備の問題というものは非常に重要な問題であろうと思います。もう既に警察庁も警察庁長官を先頭に今から頭をひねりまして大変な御苦労をかけ、警備局長などは腹切りの決意でこの問題に取り組んでいるようでございまして、この東京サミット警備問題について大臣としてどのように万全を期していくのか、この御決意を二つ目にお伺いしたいと思います。  三つ目は、私は今回の自治省あるいは消防庁の予算等を綿密に見させていただきました。その中で大変残念なのが消防庁の予算であります。百六十一億一千三百万、年々削減をされておる。私は、むしろこれからの近代的な防災設備、研究、こういうものを考えていったときには、やはりこの消防庁の予算というものは余りカットしていくべきではない。確かに補助金カットの影響でカットされているのは十二分に理解できるわけであります。しかし何らかの手当てをして、マイナスにするということはちょっとしんどいのではないか。  先日、私は自治省消防研究所に我が公明党地行部会で視察をさせていただきました。大変に結構な施設でありました。しかし、五億円の年間予算の中、研究費はわずか二億円、そして今新たなロボットの研究に取り組んでいるようでございますが、民間の研究等にいろいろ依存せざるを得ない、こういう状況も伺ってまいりました。私は、まさに国の消防研究あるいは消防・防災体制というものを考えたときにはもっと積極的に、予算も必要なものは取る、づくっていくという姿勢で大震にぜひ対応していただきたい。六十二年度以降においてはかようなことのないよう、篤と頑張っていただきたい。  この三点についてお伺いして、きょうの質問を終わりたいと思います。
  143. 小沢一郎

    小沢国務大臣 まず第一点、定数の問題でございますが、これは最高裁におきまして違憲と判断されておるものでございますので、速やかに是正措置を講じなければならない。昨年の国会の経過を踏まえまして議長見解等が示され、各党の党首もそれを理解されて今度の国会に臨んでおることと思います。したがいまして、各党間の協議を鋭意進めることが法の本質からいっても第一義的に要求されるものと思いますが、政府国政全般に責任を持っておりますし、選挙の執行に関しましては自治省が所管する省でございます。したがいまして、各党間の協議を踏まえつつ、私どもといたしましてはどのような状況にも対応できるように勉強をしていなければならない、そのように考えておりますが、いずれにいたしましても、実務者会議も設置されておるようでございますので、私どももその責任を自覚しながら各党間の協議が進むよう最大の協力をしなければならない、そのように考えております。  それから、第二点の東京サミットについてでございますが、これは先生指摘のように本当に国の威信にかかわる問題であり、また今後の我が国にとって非常に重要な会議であろうと思います。これを妨害しようとする者は右にしろ左にしろ絶対にさせないように取り締まりをしなければならないと思います。特に成田闘争などにおきましても、極左の暴力集団がサミット爆砕ということで、これを最大の焦点として取り組んでゲリラ活動を強めております。砲弾みたいなものをつくったりあるいは市民生活を混乱させるような、手段も非常に凶悪化そして広域化しておるわけでございます。この警備の責任は挙げて私にあるわけでございますけれども、この問題に関しましては事が起きてから私が辞表を提出すれば済むという問題ではございませんので、万全の態勢をとるようにいたしたいと考えておる次第であります。  それから第三点の消防の問題ですが、これは国民の生命、財産を守る、外にあっては国防、内にあっては警察消防というのは、本当に社会の基盤的な仕事としてその使命、責任を負っておるものと思います。残念ながら消防の関係の予算が伸びておらないわけでございますけれども、ただいま申し上げました事の本質を財政当局はもちろん、各界の方面の皆様にも十分理解して、防災体制に遺漏のなきようにしていかなければならない、そのように考えておる次第でございます。大変微力でありますが、先生方の御指導をいただきながら今後とも頑張ってまいりたい、そのように考えております。
  144. 宮地正介

    ○宮地委員 どうもありがとうございました。終わります。
  145. 福島譲二

  146. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 新大臣、どうもおめでとうございます。おめでとうと心から申し上げたいと思いますが、同時に大変御苦労でもあるというように思っておるところでございます。  ところで、新大臣は当年とって四十三歳ということでございますので、そうしますると、まあ戦後新憲法下で地方自治制度がしかれて、いわゆる自治大臣の生まれ育ったものと重なり合っておる感じでございまして、そういう点から、自治大臣に就任されて、今の地方自治というものをどのように大臣として評価されておるのか、この機会に伺っておきたいと思います。
  147. 小沢一郎

    小沢国務大臣 新憲法になりまして、その最大の原理の一つといたしまして地方自治確立ということがうたわれておるわけであります。いわゆる旧憲法下から戦後の新憲法になりまして、もちろんこれはいろいろ世界各国それぞれの国の伝統やらあるいは国民性やら違っておりますから、一概にほかの国とどうこうという議論にはならないと思いますけれども日本の場合におきましては、憲法の本来ねらっておりました地方自治の基本的なあり方というものは着実に地域の皆さんに、また国民の皆さんに理解されてきておるのではないか、かように考えておりますし、私も御指摘のように新憲法下でずっと育った人間でございまして、こういうような形で本来地域行政というものが進められていくべきものではないかな、そのように考えております。
  148. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 新進気鋭の新大臣を迎えたわけでありますが、今の地方自治の現状を見ておりましても、高給与の問題であるとか高い退職金なんかの問題であるとかということで、国民の間にも地方自治の問題が多くあることも御承知のとおりであります。しかし、国民に民主政治の訓練の場が与えられて、いわゆる民主主義の基本は地方自治の発展にある、こうまで言われるようになったということは、私は地方自治が戦後四十年間大きく発展した大きな成果だというように考えておるわけであります。  そういうようなことを考え合わせながら、これから高齢化社会を迎え、あるいは情報化社会を迎え、国際的な社会を迎えてまいりますにつけましても、これからいわゆる地方自治のあるべき姿というものを大臣としてどのようにお考えになっておられるか、こういう機会に伺っておきたいというように思います。
  149. 小沢一郎

    小沢国務大臣 基本的に地方自治は、先生指摘のように地方の自主的な、そして地域民の考えに基づいてその地域行政運営される、そういうことであろうと思います。個々の人間をとらえれば、いわゆる民主主義の発展の根本は自我の確立にあると言われておるわけでございまして、同じような考え方のもとに立つのであろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、基本的にはそういう地方自治の本旨を突き詰めていえば、私どもがこのようにして先生方の御指導をいただきながら四苦八苦してやらなくても、地方自治体が本当に財政基盤確立し、そして地方自治の本旨にのっとって運営ができるという状況になれば、それは一番好ましい姿であろうと考えております。
  150. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ぜひ今自治大臣が展望されていますような状況が立ち至りまするようにせっかくの努力を御期待申し上げる次第でございます。  ちょっと具体的なことに入ってまいりたいというように思います。  機関委任事務制度改革の問題についてでございます。大臣のただいまのお考えはまことに結構ではございまするけれども、最近の政府の動きの中にはこのような地方自治の将来の方向にとりまして危険なものがあるというか、何か危惧をされるような問題があるわけでございます。例えば機関委任事務整理合理化の問題でありますが、この問題は戦後地方自治制度が誕生したときから指摘されてまいったわけでありますが、現在までほとんど進展をしないのが実情であります。今国会にも行革審の答申に基づきまして整理法案が出される予定になっておるわけでありまするけれども、残念ながらその件数、内容というものはまだ十分でないというように評価をせざるを得ないのであります。この際、機関委任事務は全面廃止あるいはまた必要なものは残すという大胆な発想で本格的な整理統合というものに進むべきではないか、あるいは取り組むべきではないかと思うのでございまするけれども、その考え方についてのお考えを承っておきたいと思います。
  151. 大林勝臣

    ○大林政府委員 機関委任事務の抜本的な改革あるいは大幅な整理合理化というのが地方団体側の年来の要望でありますし、地方制度調査会からも累次にわたる答申が出ておるところであります。当省といたしましても、その都度法案協議等におきまして努力はしてまいりましたが、御案内のようになかなか遅々としてその整理合理化が進んでおらないのが現実であります。  確かに、先ほど来御指摘の、今後老齢化社会あるいは情報化社会、そういった新しい社会を迎えました場合に、まずその重要な担い手になるのは住民に身近な事務を持つ地方団体自体であろうと思います。地方団体自体の知恵と能力がなければ、恐らく新しい事態には立ち向かっていけないと思います。今後とも機会をとらえまして、そういった抜本改正を目指しながら当面辛抱強く整理合理化に努力をしてまいりたい、こう考えております。
  152. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 これはぜひ、今までもこういう答弁はいただいてまいったわけでありまするけれども、相当の決断と勇気がなければこのてとはなし得ないのですね。だれでも、よいと思っていてもなかなかできないことというのはあるわけですね。そういう点では、もう戦後四十年たってまいりまして、地方自治体でも相当成熟していると私は思うのですね。そういうものを受け入れる対応というのは十分あると思うわけなんです。だから、このことはぜひ、まさに思い切って取り組むときが来ておるような気がいたしますので、特に強く要望いたしておきます。  先ほど来も大変議論があったのでありますけれども、関連をいたしまして特に問題になりまするのは、いわゆる裁判抜きの国の代執行を認めようとする改革の問題というのは昨年の夏ごろから行革審で突然出てきたということでございまして、この辺の経緯も国民にとりましても唐突な感じ、突然びゅっと出てきたという感じがするというのが率直な国民の感情でもあろうと私は思いますし、私どももそのように感じ取っておるところでございます。  現行制度では国の代執行の前提として裁判所の判断が必要であるわけでありますが、これを不要とする改正地方自治の後退につながるものではないかと考えるわけであります。もし仮にいろいろの行政を執行する上でどうしても万やむを得ざるものといたしまするならば、これは賛成とか反対とか、私ども出てこなければ言えませんけれども、やはり最小限に限って代執行を認めるという場合もあり得るかもしれません。しかし、少なくともそういうときには最小限に限定をすべきであると考えるわけでありますが、このことについてのお考えをこの機会に伺っておきたいと思います。
  153. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この問題がテーマとして上がってきた経過は別といたしまして、代執行の点につきましては、先ほども五十嵐先生の御議論があったわけでありますが、私は、これは本当に素直にお互い考えていかなければならないのじゃないかなという気がいたします。  今日の代執行の制度は、総理大臣の首長の罷免権まで認めておるわけでございます。これは戦後の占領政策の中でのいろいろないきさつがあったのだろうと思います。しかし、それにいたしましても、いわゆる先ほど来の今日の地方自治の本旨からいえば、これはどうしてもおかしな制度であろうと思います。そういうような観点から行政改革の中で制度論として考え出されてきたものであろうと私は思っております。本来的に国と地方が一体となって行政を行っておるわけですから、国と地方が真っ向から対立するなんということは、私はまずあり得べきでないし、ないと思っておりますけれども、国が上位とか地方が下位とかということではなくて、全体としての非常に大きな公益の問題がもし仮に出てきた場合には、制度論としてこのような仕組みにしておくことも必要ではないかという考え方であると思います。  そこで、地方制度調査会においても、その対象についても先生指摘のように明らかに重大な公益の侵害があるよという場合に限るべきである、そのような答申もなされておりますし、実際に法律上立法技術としてどういうふうに分類できるかは別といたしまして、もちろんそういう大事な問題にのみ限られるべきであると考えております。
  154. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今、代執行制度の問題については大臣から特に発言があったわけでございますが、この問題はまず国民の中にも十分理解を深める必要があるのではないでしょうか。唐突というような感じで、何かを意図してやっているのではなかろうかという危惧の念を国民の多くに持たせることは得策ではない。やはりその内容はこういうことですよとかいろいろなことをちゃんとオープンにして、国民がみんなこういうことで限定すればまあ認められるなどか納得がいくな、そういう一つのものが事前段階で十分了解された上でないと、これを余りぐっと押し出しますと先ほど来の御議論が当然出てくるのではないかと私は思いますので、大臣におかれましてもその点は十分御留意をいただきとう存じます。  ところで、先ほど来お話があったのでございまするけれども、衆議院の定数是正の問題が今国会の大きな政治的課題であることは言をまたないところであります。ただ、大臣就任の新閣僚のインタビューでも、公職選挙法の定数是正なしに選挙が行われた場合にその選挙事務の執行をめぐって問題が生ずるおそれがあると大臣自身も述べられて、いろいろと混乱も生ずるのではなかろうかということを危惧されての御発言があったのであります。これは余り仮説を言ってはいかがかと思いまするけれども、選挙事務の拒否といったような事態が起きた場合、現行体制のもとでも国は代執行はできないと思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。この場合、国としてどんな対応策をお考えになっておられるか。余りこういう事態が起こらないことを私どもは望んでおるわけでありまするが、そういう事態が起きた場合のことも一つ想定をされるわけでありますので、お考えの中に何か対応策がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  155. 小沢一郎

    小沢国務大臣 先生と同様に私も今国会において速やかに定数是正が行われて違憲状態をなくすることになるものと期待しておりますし、信じておるわけであります。その状況、仮定の問題でございますが、そういうことが行われる前に解散行為があって、そして選挙管理委員会の選挙管理事務の執行の問題でございますが、これはまず第一点、代執行につきましては今代行制度の対象になっておりません。そしてまた現時点におきまして、国の事務という観点からは考え方としては代執行の対象ともなり得るわけでありますが、代執行の法律検討を今進めておりまして、選挙の事務はその性格上大変な事務でございますから、それを対象にするという気持ちはございません。また、定数是正が行われないうちに解散という行為が起きてしまいますと、衆議院はなくなってしまいまして、そういう状態を放置するわけにもいきませんし、また現行法がある以上、行政当局としてはもちろん現行法でやらざるを得ない。したがいまして、選挙管理委員会もとにかく選挙の公正な執行を確保することを本来の仕事として独立機関にされておりますし、また解散されたのがいいか悪いかの判断は別として、選挙ということになりますれば、選挙権を行使するというのは国民の最大の基本的権利の機会でございますので、そういうことが侵害されることのないように選挙管理委員会等に対しましても十分理解いただいて執行するということ以外ないのではないかと思います。
  156. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今、自治大臣から本件についての御答弁がございましたが、私は国政がそういうような選挙拒否というような状況を醸し出す段階の選挙そのものにも大変問題があるのではないかというように思いますので、少なくともそういう状態でない状況をつくり出すことに最大の努力をすべきではなかろうか、かように考えておるわけでありまして、かりそめにも選挙拒否というような状況下での選挙という状況を想定をしないような状況をつくり上げるように自治大臣としても最大の努力をしてほしいというように希望をいたしておきます。  それから次に、地方行革の問題についてお尋ねを申し上げたいというように思います。  自治省は昨年の一月、地方団体に対しまして地方行革大綱の作成を指示をされておるわけであります。地方団体は足並みをそろえて行革に取り組むことになっておるわけでありますが、その作成状況は一体どのようになっておるかお伺いをいたしたいと存じます。
  157. 大林勝臣

    ○大林政府委員 組織づくりはほとんど全部できております。行革大綱の策定につきましては、都道府県、指定都市段階はほとんど完了しております。あと市町村におきまして現在の段階で約三分の二程度の段階になっておりまして、非常に作業を急いでいただいておりますので、年度末までには足並みをそろえていただけるものと期待をしております。
  158. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今の御報告で都道府県は相当進んでいるようでございますが、市町村の段階では三分の二ぐらい残っておるということでございますが、何ゆえ市町村がこういうようにおくれておるか、その理由をお聞かせを願いたいと思います。
  159. 大林勝臣

    ○大林政府委員 今回の行革体制の整備自体につきまして、従来はどちらかと申しますと部内の組織で対応しておったわけでありまして、これがなかなか一般住民にはわからない。そこで、行革というのは住民にもわかるような形でやっていただきたいということで、できるだけ民間有識者を参加させていただきたいというふうに組織がえをちょっと要請したわけであります。この組織がえにについて多少手間取ったということがございます。  それからもう一つ、市町村段階におきましては、やはり県の作業の推移を見守っておったということもございましょう。さらに、市町村におきましても大部分の市町村が長い間がなりの、第一次から二次、三次というふうに順次行革を進めてきてまいっておりますが、さらに今後そういった先進団体で何をするかという話になりますと、非常に細かい内容になってまいります。それだけに、いざとなりますと総論賛成、各論反対、こういう気風も出ておるやに伺っておりまして、多少足並みがおくれております理由として考えられますことは今申し上げたような事情であると思います。
  160. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今お伺いしますとそれぞれ理由はあるし、行革の大綱そのものに対しても十分なる理解がいまだ得られない点でおくれておるということでございますが、これはひとつ大いに督励をして促進方を要望しておきたいというように思います。     〔委員長退席、平林委員長代理着席〕  それから、地方行革大綱では高給与、高退職金の是正、定数削減、民間委託などが取り上げられておるわけでございますが、いわゆる行政経費の節減が図られておるというように伝えられておりまするけれども、節減の効果というのは金額で言えばどのくらいの推定になるか、何かそういうものもお取り寄せになっておられるかどうか、この機会に伺っておきたいと思います。
  161. 大林勝臣

    ○大林政府委員 従来も二年に一度の割合で地方の行革の実績を集計いたしてまいりました。ただ、金額的にこれを全般的にまとめるということが極めて難しい問題でございます。例えば組織でございますと、組織の改編に伴ってどれだけの金額的な換算ができるかという話になりますと、換算の仕方がなかなか難しい。補助金削減でありますとかいうふうにすぐ金額に直結するものにつきましては数字がすぐそろうわけでありますけれども全般として行革の評価というものを量的に金額であらわすということはなかなか難しいと思っておりまして、現在におきましてもそういった数字自体はつかんでおりません。
  162. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 率直に申し上げまして今の答弁しか得られないんじゃないかというように私も想定をされるわけでありますが、今まで金額では洗うことができなくても相当の効果があらわれているというように判断されるわけでありまして、こういう行革の推進方についてせっかくの御努力を願っておきたいというように思うわけであります。  ところで、本年度補助率の引き下げの問題でありますが、国の負担地方転嫁だというように考えるのでございまするけれども、先ほど来もいろいろ御議論のあったところでございます。補助率引き下げに伴う地方負担は、本年度の場合、交付税特例加算のほかに大部分が起債増発で補てんされたというが、起債の返済は地方団体負担になるのであります。したがいまして、国から地方に対するところの負担転嫁ということが言えると思っているわけでございます。そういたしますると、地方行革でせっかく節減をして、そして何ぼか財政を豊かにしようと思った地方団体にとりましては、ちょっとよくなったと思ったら国の方から締め上げがきてもうアブハチ取らずのようなことで、国から見れば努力したからそれでよいんじゃないか、こういうことになるのでありまするけれども、これでは地方団体にとりましては努力のしがいもございませんし、こういう点で国の全体の財政再建のために地方行革が行われているような感じがしないわけでもないわけでありまして、国も地方も一緒に行革をやるんだという基本路線からいえば何も、この筋道が正しくない、否定的ではございませんけれども、せっかく努力をしてきた、そうしたら今度はまた補助率を引き下げてやっておる、こういうことについては、地方にとりましては少なくとも国の負担地方転嫁だという批判が現実に厳しくあるということも事実であります。この事実認識については自治省はどういうようなお考えでございますか、私と同じような考え方……。
  163. 花岡圭三

    花岡政府委員 国庫補助負担率の引き下げによります地方財政への影響額は一兆一千七百億円でございますが、このうち地方たばこ消費税の税率の引き上げ及び地方交付税特例加算、この二千四百億円を除いた九千三百億円につきましては、御指摘のように建設地方債の増発によって対処いたしております。この場合の地方債の元利償還費は、これは将来地方団体負担することになるわけでございますけれども、この元利償還費につきましては、地方交付税の基準財政需要額に算入するということで将来手当てをしてまいるわけでございます。また、これに関連いたしまして後年度地方財政措置といたしましては、一つには経常経費の国庫補助負担率の引き下げに伴って増発をされます三千七百億円の地方横について、そのうちの文体団体分についてでございますけれども、四百億円を六十六年度以降交付税に加算する。なお残りの二千四百四十億円につきましても、暫定的に地方交付税に加算するという措置を講じております。また、投資的経費にかかる国費減額相当額に対する補てん措置として発行されます四千二百億円、この臨時財政特例債につきましては国が元利償還費の二分の一を交付税総額に加算する、こういった措置が講じられておるわけでございます。今後これらの措置を含めましてもなお交付税の総額が不足するという場合には、毎年度地方財政計画の策定を通じまして所要の財源措置を講じて全体として必要な交付税を確保するという考え方でございますので、今回の措置地方への負担転嫁であるとは考えておりません。  なお、後段御指摘になりました今回の補助負担率の引き下げによる地方負担の増加額につきまして、これは地方たばこ消費税の税率引き上げ等によって補てん措置を講じておりまして、地方団体が行革によって経費の節減をした部分、これを充てておるというわけではございません。地方団体はみずからの手によりまして行政改革を積極的に推進して財政構造の健全化を図って、そして住民のニーズに積極的に応ずることができるようにしていかなければならないものと考えておるところでございます。
  164. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 財政当局はそういう見方のようでございますが、地方から見ればいろいろの負担が加算してくるなという率直な感じを受けておるということだけは間違いないところだと思いますので、その点は地方地方なりに行革を進め、そして健全財政をつくるように努力させることも大切でございまするし、同時に努力をしたのにかかわらずそれがいろいろの面で、せっかく健全化へいこうと思っているところに補助率の引き下げその他でその芽が摘まれるというような感じもしておるのではないかというように思うので、この点ひとつ御配慮をいただければありがたいと思うわけであります。いろいろの点での配慮をしておるというお話がございまして、ぜひその辺の特段の配慮を願っておきたいと思います。  それから次は、国庫補助金負担率の引き下げの問題でありますが、補助率引き下げは本年度にとどまらず、来年度にも一層拡大をして実施されようとしておるわけであります。先ほど来お話がございましたようにこれに伴う地方負担は一兆一千七百億円ということでございまして、こういうものを今のような地方財政の現況で地方団体が耐えられるかどうかということも私は疑問の点もあるわけでございます。昨年も当委員会指摘されておったところでありまするが、補助率の引き下げは補助金そのものは残り、それから引き下げられた補助率の相当分を国でなく地方負担することになるのでありまするから、金も人も仕事も減らずして行革とは全く関係のないものであるわけであります。仕事を減らし同時に補助金も減らす、思い切って補助金を整理する、そういうようなことが一番望ましいのではないかと思うのですけれども、この点のお考えを承っておきたいと思います。
  165. 花岡圭三

    花岡政府委員 国庫補助金整理合理化考え方は全く先生指摘のとおりでございまして、私どもも対象事務事業廃止、縮小あるいは地方に定着同化しております補助金の一般財源化、こういったことを基本として行うべきものと考えておるところでございます。  今回の措置は国の厳しい財政状況を背景といたしまして補助率につきまして補助金問題検討会の報告、この趣旨を踏まえて、社会保障中心事務事業見直しを行いながら、この補助率見直しを行ったというものでございます。
  166. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 例えば補助金の問題でございますが、箱物という補助金と言われるものがあるのでありますが、現在は文部、労働、農水等の各省庁が地方団体につくる種々の会館や施設に補助金を出しておるわけでございます。ところがそれぞれの縄張り根性、縄張り意識がありましてなかなか調整が難しくて、昨年ですか一昨年ですか、自民党の小杉さんも、できたものが窓口も幾つにも分かれておるとかいろいろな疑義のある問題が出ておったわけでありますが、やはり地方団体がこれらの施設を一ところにまとめて建設するわけでありますけれども、入り口や事務所はそれぞれ別々につけるとかあるいは館長は別々に置けとか、こういうことで実際閉口しておる現状があるわけであります。  やはりこのような施設の補助金は本来廃止して地方団体補助金なしで自主的に建設すべきで、昨年は自治省もこういうことを提案をして努力をされたのでありまするけれども、大蔵省自体もこういうことについて、この補助金を総合的に使う、あるいは統合メニュー化ということを自治省も指導しておるのでありますけれども、自治体はなかなかそういっていないのですね。やはり縄張り根性でうまくいっていない部分というのは多いわけでございまして、やはり自治も大蔵も各省庁に話をして、やはりこういうものを総合補助金化をして一つにまとめて合理的に建物を建てるなら建てる、そういうようなことにすべきではないか。この辺くらいのことはぜひひとつ、まあ御苦労でも自治大臣、あなたも新進気鋭の大臣でございますので、やはり同じ一つの会館を建てるのに補助金がこっちへ来たら入口が違う、こっちは入口が違うとか館長を二人もうけろとか、そんなむだなことをやったら全く行革に反するわけでありますので、この辺のところをきちっとすべきではないか。いわゆる総合補助金制度にするのか、あるいはいわゆる統合メニュー化ができるような状況をつくり上げることが望ましいのではないかと思うのですが、この辺の見解をお願いをします。
  167. 小沢一郎

    小沢国務大臣 先生指摘の問題は私も地元のいろいろな事業や陳情等も通じまして感じるところでございます。今メニュー化というお話もありましたけれども、これは各省庁の政策目的あるいはいろいろな考え方を思い切って調整していかなけれぱならない問題でございますので、言うべくしてなかなか難しいのでございますが、現実にただ単に形だけのメニュー化で終わったんでは実際上の意味はございませんので、従来も自治省は主張しておったと思いますけれども、そういう点は十分に踏まえまして今後各省庁に対しましてもぜひ要請してまいりたい、そのように考えております。
  168. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今自治大臣からお話がございましたが、これは中曽根内閣としてもこのことがきちっとできたら大変な成果だというように国民は見るわけでありまして、ぜひ新自治大臣のもとでこのことを成功させてほしいというように願う一人であります。  次に、また補助率の引き下げを行うにしても、補助率の二分の一を超えるいわゆる高率補助率のみが割に問題になるのでありまするけれども、いわゆる低率の補助率の引き下げも大蔵省等に取り上げさすべきではなかろうか。これは自治省が提案して取り上げるようにさせたらどうか。低率補助率の引き下げはいわゆる補助率をゼロにしてしまう、つまり補助金廃止につながるわけでありまして、補助金の整理統合ができる一つの方向づけをつくるわけでありまするから、このこともあわせお考えをしていただいたらどうかと思いますが、お考えを伺っておきたいと思います。
  169. 花岡圭三

    花岡政府委員 御指摘の点は、地方制度調査会におきましてもこのような答申をされておりまして、「補助金額が少額なもの、実質的な補助率が著しく低いもの」、こういったものにつきましては「地方交付税等による財源措置に振り替える」べきだということを墾言いたしております。また、補助金の統合メニュー化についてもたびたび答申をいただいておるところでございます。このような点を踏まえまして、今後とも十分大蔵省にもこの点を要請してまいりたいと存じます。
  170. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 それではひとつ御努力を願っておきたいと思います。  次に、今年度補助金整理においては人件費補助金がほとんどすべて交付金化いたしておりまして、一般財源化されておるわけであります。そして、交付金化されたものは次の段階では一般財源化すべきであるのにかかわらず、来年度交付金から一般財源になるものがほとんどないわけでありまして、交付金のまま残っておるわけでございます。したがいまして、どうして一般財源化ができなくなったかという理由について、この機会に伺っておきたいと存じます。
  171. 花岡圭三

    花岡政府委員 いわゆる人件費補助に関する問題でございますけれども、六十一年度におきましては、通産省関係の診断指導事業交付金の職員設置費、千百八十人分でございますけれども、これは十八億円一般財源化されました。しかし、それ以外のものについては依然として交付金として存続いたしております。  それで、この理由は、それぞれの交付金の所管官庁におきまして、行政水準を維持する等のために存続させる必要があるということ、これは、大蔵省の方からはいわゆる一般財源化を申し入れたわけでございますけれども、各省庁との折衝におきましてそのようなやりとりがあって、結局できなかったということでございます。  自治省といたしましては、これらの事業はいずれも地方団体事務事業として同化しているという考え方から、今後とも一般財源化を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  172. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ぜひそのような御努力を願っておきたいというように思います。  ところで、来年度から補助率引き下げは一層拡大されるのではないかと思われるわけですが、地方負担は本年度の約二倍となる、そしてその処置は三年度のものということになっておるわけでありますが、この三年間とした理由は一体何でございましょうか。例えば、税制改革見通し、そういうものを見込んでこの三年間としたのかどうか、この辺の真意を伺っておきたいと思います。
  173. 花岡圭三

    花岡政府委員 これは、一つには補助金問題検討会の報告におきまして今回の補助率見直しについての提言をいたしておるわけでございますけれども、ここにおきまして、「国・地方財源配分のあり方についての抜本的な見直しは今後の課題とされていること、政策分野の特性に配慮しつつ、今後とも引き続き事務事業見直しを行う必要があること等から、今回の措置は、当分の間の暫定的なものとして行われるべきものと考える。」ということを言っております。  同時に、地方団体におきましても、六十年度において行われましたいわゆる六十年度における暫定措置、それからまた、六十一年度にも行われる。これは毎年こういうことが行われるというのは地方財政運営にとって非常に好ましくないではないか、できるだけ安定化してほしいという御意見もございました。地方制度調査会でもそのような御趣旨答申をいただいておるわけでございますが、それらを勘案いたしまして三年間の暫定措置といたしたものでございます。
  174. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 これは、これからの国の財政再建がどうなるかという課題と大変かかわり合いのある問題ではなかろうかというように思います。  中曽根総理は、この税制改革におきまして、いわゆる減税それから増税というものを行うのについて、大体同額のことを考えているということを今まで言われておるわけでありまするけれども、そういうことになると、現在の国の財政再建には、いわゆる同額ということになれば、補助率を引き下げた処置というものが四年後に復元をするという見込みは全く立たないのではなかろうかというのが、これは我々素人でも常識的にわかるわけでありまして、そういうことを考えてまいりますると、本年度を含めて四年間の暫定措置だといっても、実施をされてまいりますると、そのことがやはり既成事実となって補助金引き下げの処置というのは、将来にわたってこれが恒久化してしまうのではなかろうかという率直な危倶があるわけでありまするが、これは恒久化しないようにしなければならぬのでありますけれども、この辺の見通しをちょっと伺っておきたいと思います。     〔平林委員長代理退席、委員長着席〕
  175. 小沢一郎

    小沢国務大臣 補助金の問題につきましては、私どもも、いわゆる地方と国との事務事業あるいは権限の問題、そういう議論の中から費用の負担割合のあり方というものが出てくるべきである、そういう主張をしてきたわけであります。この三年間の間に検討を加えますのもそういう観点から行われるべきでありますし、そのようにしていかなければならないと思います。したがって、この中で、国の負担を現在以上により多く求めるべきであるということになれば、それは逆に国が上げなければならないものも出てくるかもしれませんし、そういうような前提議論をしっかりとしていくことによって単なるカット、単なる負担転嫁というような結果に終わらせてはならない、そのように考えております。
  176. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ぜひひとつ大臣にそのように強力に御指導願いたいと思います。  それで、減税問題をちょっと出しておりまするけれども、これは時間の点で省略をさせていただきまして、税制改革地方自治についての御質問をさせていただきとう存じます。  ところで、ここ数年間、国、地方間の税源配分の割合は国が大体六五%弱、地方が三五%強ということになっておるわけであります。経費支出の割合から国は三、地方は七になっているところでございまするけれども税源配分において地方の割合を少しでも高めることが地方団体の強い要請であると同時に、地方自治をより健全化をする、地方財政健全化する上で必要だと考えるわけであります。大臣は国と地方間の税源配分はどの程度の割合が望ましいとお考えになっておるか、ひとつ新大臣に伺いたいと思います。
  177. 小沢一郎

    小沢国務大臣 税源配分の問題につきましては、いわゆる先生の今御指摘の数字のとおりでありますが、いわゆる地方の固有の財源として、地方交付税によりまして財源調整の制度ができておるわけであります。したがいまして、国と地方の額は大体半分半分という税源配分の実態になっておると思います。  これがどの程度の率になれば一番いいのか。これはその地方財政状況、国の財政状況、いろいろあると思いますので、一概には言えないと思いますけれども地方公共団体が本当に自主的に地域行政をやっていけるように今後とも税源の充実には努めていかなければならない、そのように考えております。
  178. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ぜひそのような御努力を願いたいと存じます。  中曽根総理は戦後税制の大改革ということを言っておられるわけでございますが、この内容いかんによっては、現在の国と地方間の税源配分が大きく動く可能性というものを私は心配しておるわけであります。中曽根さんは自治大臣じゃございませんから、総理でございますが、地方は富裕だ、こういうようなことも時によっては申したりしておりまして、そんなことを考えますと、この方向というのは大変関心を持つものでございます。  もちろん、現行の地方の比率が低下することはあってはならないと思うわけでありますが、やはり税制改革の中では国と地方財源の比率というものは、さっき大臣が国も地方も大体五〇%、五〇%、五分五分だね、こう言われましたが、私も具体的にひとつ五〇対五〇ぐらいのところまで持っていくべきではないかというように思っておるところでございますが、既に大臣が大体その辺のところだというようなお答えというか考え方が申し述べられましたので、ぜひそういうような地方財源の充実についての御配慮を願っておきたいというようにこれは希望いたしておきます。  それから、次でございますけれども、既に大蔵大臣は、税制改革がなされる場合には、国、地方間の役割分担の見直し等によって地方交付税の税率は動く可能性があるということを明言しておられるところであります。税源配分比率が大きく動けば交付税率が動くことは当然であるわけでございます。しかし、大臣所信表明その他の文面を拝見をいたしておりましても、今後の地方自治のあり方にすれば、地方税あるいは地方交付税の一般財源が現在よりもとにかく充実をさせるというような状況をつくらなければならぬというように思っておるのでありますけれども、今大蔵大臣もいろいろなことを考えて、どうも大蔵大臣は私どもの考えでは少し締めてくるのではないかというような危惧もあるわけでありますから、この辺で大臣はこの問題についてはどのような決意でおられるか、伺っておきたいと思います。
  179. 小沢一郎

    小沢国務大臣 今御指摘の、特に地方交付税の問題につきましては、大蔵大臣がその税率の見直しみたいなことを言うはずはないと思いますが、むしろ地方を心配してしゃべってくれているんじゃないかなと思っておるわけでありますが、これは国と地方の根本的な問題でございますし、軽々に地方交付税率を下げるとかなんとかというようなことは論外の話であると私は思っております。  今後、抜本的な税制改正もなされるわけでありますけれども、そういうような状況の中で、さらに私どもとしては地方の税源を充実していくという方向で努力していきたいと考えております。
  180. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 これからの税制改革というものは国民にとっても大問題でありますし、特に地方自治をより発展せしむるという立場からいえば、財政基盤の強化等々が考えられるわけでありますけれども、そういう点ではひとつせっかくの大臣の御検討を願っておきたいというように思うわけであります。  さて次に、これは消防庁の関係でございますが、大臣所信表明の中でもいわゆる国際消防救助隊についての御発言がございました。私どもはこの考え方については大賛成でございまして、日本は、世界の中の日本経済大国と言われるような状況になっておるのでありますから、そういう点を考えたときに、諸外国での大災害が発生した場合、被災国の政府の要請に応じて機を逸せずして消防救助隊その他の態勢をとるということは非常に大切なことであると同時に、日本がまさに国際社会でのそういう立場を大きく認めるような状況下になっておるのでありまするから、我が国も国際協力を積極的に展開していくというようなことで、この考え方について私どもも賛意を表したいと思っておるところでございます。したがいまして、この問題について簡潔に質問をいたしたいと存じます。一現在までの整備体制の問題でありまするけれども地方消防機関からこういう問題についての協力申し出があっているかどうかというのが一であります。それから、こういう国際消防救助隊というものをつくるということになりますと、事前の研修であるとか訓練とかというものも当然必要だということになると思います。もちろん、消防警察その他の協力も得るという形になってくると思いまするけれども、この辺の実施の時期、内容等々についてのお考えがございますればお聞かせをいただいておきたいと思います。  それから、海外派遣をするに当たりまして公務災害その他の場合も想定されるわけでありまして、そういう場合は日本の国の法律に基づいた公務災害が適用になるのかどうか、この辺のことについての問題。それから、派遣の経費その他の負担というものも、これは当然国が持つべきものであると思いまするけれども、この辺の関係。それから、どこが中心でこのことを推進していくか、このようなことについてひとつ伺っておきたいと存じます。
  181. 関根則之

    ○関根政府委員 お話ございましたように、外国におきまして大災害等が起こりましたときに、日本も主要な国際社会のメンバーになっておりますので、それ相応の役割を果たさなければならないというふうに考えております。その際に、日本消防の救助の水準というのは国際的に見ても極めて高い水準にあるわけでございますから、積極的に協力をしていくべきもの、そのための対応策を積極的にとっていかなければならないという基本的な立場に立ちまして対応策を講じているところでございます。  御質問のございました協力を得られる消防本部の数でございますが、今までのところ三十三消防本部、三百九十名の協力の申し出が参っております。  訓練につきましては、これはせっかく派遣いたしました以上立派な活躍ができるだけの実力を養成していかなければいけませんし、危険な作業でございますから、隊員の安全を確保する上におきましても訓練は徹底的にやっていく必要があるというふうに考えております。特に、これは国際救助隊、その専門の部隊をつくるわけではございません。各消防本部は地域におきまして住民の救助のための活躍をしている部隊でございまして、日常の活動を通じて訓練は積んでいるわけでございますが、お互いに各救助隊同士の連携、連絡調整、そういったものを図るために合同訓練が必要であろうというふうに考えております。今のところ、四月になりましてから大々的な消防救助隊の合同訓練を実施したいと考えております。例えば警察でありますとか他の機関との合同訓練も行く行くは必要になってくるだろうと思いますが、現在のところまだ具体的な日程等はございません。  それから、公務災害の際には、当然、国内におきまして消防隊員が災害に遭いましたのと同じような措置を講ずる必要があるものと考えておりますが、今後、具体的にどういう法制のもとにやっていくかということにつきましては、外務省等とも相談をいたしまして決まっていく問題であろうと考えております。ちゃんとした手当ては講じる必要があるものと考えております。  それから、経費につきましては、国際協力事業団に直接的な経費はお願いをしたいと考えておりますし、外務省もそういうことで今まで折衝を続けてきているところでございます。おおむねそういう方向で片づくものと思います。もちろん人件費等につきましてはそれぞれ所属の部隊が持つ、消防については消防が、当然人件費は自分のところで持つという考え方をとりたいと考えております。人件費まで持ってもらうという考え方はとりません。  それから、どこが中心かということでございますが、これも当然のことながら、外国との交渉の話もあるわけでございますので、外務省を中心といたしまして関係各省が協力体制を組んでいくという形になるものと考えております。
  182. 三島健二郎

    ○三島政府委員 ただいまの問題につきましては、昨年の十二月二十七日の閣議におきまして、外務省から各省庁の協力を要請されておりまして、警察といたしましても積極的にこれに協力をするという姿勢でございます。現在、全国の各機動隊に機動救助隊というのを編成してございますが、その中から適宜国際救助隊を編成いたしましてこれに呼応するという形でございます。編成、派遣あるいは訓練、装備、資機材、法的根拠等につきましては今後とも十分研究してまいりたいと思っております。
  183. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 もう時間が参ったようでございますので、以上で質問を終わりたいと思いますが、大臣、国際消防救助隊というか、これは非常に意義のあることだと思いますので、ぜひひとつ警察消防の関係等、大臣の関係する所管をまとめていただきまして、この方向で鋭意努力をしていただきたいと思います。  それから、東京サミットに関連をいたしまして、これは警察庁を初め警察の方々に大変御苦労をかけますけれども、万遺漏なき警備態勢――よくこういうことをやりますと過剰警備だとかいろいろ御批判を受けますけれども、とにかく安全を確保することが大切でございますので、そういうことについての都民に対する十分な理解と協力を得られるようなことも含めて御配慮をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  184. 福島譲二

    福島委員長 経塚幸夫君。
  185. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最初に、大臣にお尋ねをいたします。  補助金カットの問題でありますが、予算委員会で我が党の瀬崎議員が補助金カットの問題でお尋ねをしたわけでございますが、その際に、大臣補助金カットの問題につきまして「臨時異例補てん措置も行われまして、この点につきましては地方公共団体も納得していただいておるものと考えておるわけでございます。」こう答弁されておるわけですね。私はこれを何回も読み返してみたのですが、一つ不思議に思っておりますことは、「臨時異例補てん措置」、これは何を指して「臨時異例補てん措置」と大臣はお考えになっておられるのか、まずお答えをいただきたいと思うのです。
  186. 小沢一郎

    小沢国務大臣 「臨時異例の補てん処置」と申しましたのは、いわゆる地方財政対策の一つとして、たばこ消費税によりまして地方分千二百億、国分は交付税に加算して二千四百億、その点について申し上げたわけでございます。
  187. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうですか。いや、たばこ消費税の引き上げならこれは異例は異例でも余りよくない方の異例じゃないかと思うのです。臨時異例措置とおっしゃっているわけですから、今までやったことのない、つまり異例でありますから、例がないわけでありますから、いい方の措置を講じられたのかと思って、実は幾ら探してもそういう措置が見当たらないのでまずお尋ねをしたわけでありますが、大臣、これは余りいい方の異例じゃないと思うのですね。結果的にはこれは住民の負担になるわけでありますから、だからこれは余り強調されるべき筋合いのものではないと考えております。  それから、財政補てんの問題でありますが、一兆一千七百億、特別会計一兆二千八百億ということになるわけでありますが、この財政補てんが、今のたばこ消費税の問題を入れたといたしましても、これは二千四百億のうちもともとは地方団体に入るべきものですね。それから、四百億は国の責任で見ましょうということになるわけで、それから国の方へ入ります千二百億のたばこ消費税、これは合わせますと千六百億ですね。それから投資的経費のうちで四千二百億の地方債の半分、これは二千百億円は交付税特会の方へ入れましょう。私がお聞きしたいことは、国の直接責任で面倒を見るというのは、一兆一千七百億のうち合計をいたしますと今市し上げました千六百億と二千百億で、結局は三千七百億でしょう。そうすると、これは三二%にしか当たらぬわけですね。たばこ消費税千二百億はもともと地方の分でありますから、三二。%しか補てんをしておらぬ、こういうことになるのじゃないですか。その点の判断はいかがなんでしょうか。
  188. 花岡圭三

    花岡政府委員 地方たばこ消費税はもともと地方のものであるということでございますけれども、結局、臨時異例と申しますのは、税制調査会が一たん閉じた後にまた開いていただいてああいう難しい措置を決めていただいたということでございまして、そういうことがなければ地方たばこ消費税も取れないわけでございます。地方団体がそこで納得をしたというのも、これは地方にとっては自主財源の増強になるということがあって、またそこまで努力していただいたのかということがあってこれは納得されたものでございまして、したがいまして、地方たばこ消費税というものもやはり財源措置というふうに考えておるところでございます。
  189. 経塚幸夫

    ○経塚委員 たばこ消費税、なかなか取りにくいものをあえて取ることに決断をした、結構なことじゃ結構なことじゃと言ってそれで地方も納得してもらった、こういうふうに解釈できるわけであります。  これも大臣の御答弁でございますので、その異例の補てん措置を講じて地方団体は納得をした、この地方団体が納得をしたという意味たばこ消費税を取ることについて納得されたと解釈していいのか、それとも一兆一千七百億の財源補てん措置全般について地方の方はようやってくれた、こういうように理解しておる、こういう御判断ですか。これはどちらともとれますので……。
  190. 小沢一郎

    小沢国務大臣 私は六十一年度予算原案の編成に当たりまして、国の財政も大変厳しい、もちろん地方も厳しいですが、そういう中で地方立場に立って一兆一千七百億の補てん措置をとって当面の財政運営に支障を来さないようにしたという意味において一応納得しておるということではないかと思います。
  191. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは地方は納得されておらない。地方は一年限りということを、信じておったか信じておらなかったかは別問題として、こんな地方負担転嫁するようなことは六十一年度はまさかやるまい。同僚議員からもいろいろ御質問がございましたけれども、これは前自治大臣のときに、本当に一年限り間違いおまへんか、一年限りですねと何回もだめ押しされた。私も予算委員会でお尋ねをした。そうしたら、前大臣は一年限りでございますと言い切った。竹下大蔵大臣の答弁は大分ややこしかったわけですが、今から考えてみると、あの人の方が一枚、いい意味での知恵者じゃなしに別の知恵者だったと思うわけでございますが、結局地方はだまされた。今度ふたをあけてみますと、五千八百億をはるかに超えて一兆一千七百億、項目も五十七項目から九十八項目、しかも三年、これは何のことだ、恐らく地方はふんまんやる方ない気持ちだと思うのです。  ですから、地方は了解をしておりますという前提に全国三千三百余の自治体にかかわりを持つ自治大臣が考えておられるのか、いや、地方はそう簡単には了解しておらぬ、これは大変なことだとお考えになっておられるのか、ここは今後の地方行政に対する極めて重要な分かれ道になると私は思うのです。納得している、了解しているということになれば、悪く言えばもっと横柄になります、そんなものは了解してもらっているのやからと。しかし、これは大変な迷惑をかけておる、地方は納得しておられぬ、納得されるはずはないとお考えになっておれば、また別な視野からの地方行財政大臣として対応する姿勢が生まれてくると思うのでありますが、その点はどっちのお考えなんですか。
  192. 小沢一郎

    小沢国務大臣 地方公共団体そして国、このどちらが欠けても国全体の行政は成り立たないわけでございます。そういう意味におきまして、今度の一連の補助負担率の引き下げということで地方自治体に対して、先生指摘のようにその意味においては御迷惑をおかけしておる。私どもといたしましては、例えば地方横の問題におきましても、そのかなりの割合は借金という形で残るわけでございますから、そういうことの元利償還等の問題が今後起きてきて、そのことによってまた地方財政運営に支障を来すというようなことは絶対ないようにしなければならないと考えておるわけでありまして、今後さらに地方の実情をよく再認識いたしまして精いっぱい努力してまいりたい、そのように考えております。
  193. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これも答弁に関連をしてお尋ねしたいのですが、こうおっしゃっています。「事務見直し、権限の移譲等も行われまして、私どもが従来主張してきた、それはまた地方公共団体の主張でもあると思うのですが、」こういうふうに御答弁されておるわけですが、この「事務見直し、権限の移譲等」と大臣が引用されました中身は、今回の国と地方負担割合の変更に伴う国の機関委任事務を団体委任事務とされるという意味を言われておられるわけですか、その点はいかがですか。
  194. 花岡圭三

    花岡政府委員 例えば保育所等については機関委任事務を団体委任事務にする、あるいは施設の最低基準についてもある程度弾力化を図っていく、それから職員の設置についても規制の緩和をする、あるいは費用の徴収基準についても簡略化する、こういったことで地方の自主性が高まってくる、こういうことを指して言っておるわけでございます。
  195. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうすると、これもまた地方団体の意見を十分反映された今回の適切な措置とは言えぬと私は思うのです。  大臣が御出席されていたのかどうかわかりませんが、自由民主党の地方行政部会で全国知事会を代表して鈴木知事が意見を述べておられます。(小沢国務大臣「出席しておりません」と呼ぶ)御記憶ないですか。そこで「機関委任事務を団体委任事務にするといった形式面での変更では、補助率を変更する理由にはならない。」という意見を述べておるのです。ですから、大臣のおっしゃっている国の機関委任事務を団体委任事務に変えましたよ、そして補助金カット負担割合の変更ということでありますが、そうおっしゃっておりますけれども、これは地方団体が要望されておった内容と明らかに食い違っております。もう一回申し上げますと、これは全国知事会代表として大臣の党であります自民党の地方行政部会で意見を述べられたわけですが、六十一年度の権限移譲の問題をどうするか、あるいは補助金削減の問題をどうするかということについて地方財政と関連されて述べた意見の中で、「団体委任事務にするといった形式面での変更では、補助率を変更する理由にはならない。」だから補助金削減、国と地方負担割合の変更については反対である、こういう要望を出されておったのです。  そうすると、この大臣委員会における答弁とは食い違っておるでしょう。だから、これは地方団体の意向を反映した見解ではないと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  196. 花岡圭三

    花岡政府委員 鈴木知事が地行部会で御説明になりましたとき、当初たしか厚生省の方から、児童福祉あるいは老人福祉等について二分の一にしたいという案を出したことがございました。そのときの考え方は、当時は機関委任事務を団体委任事務にするというだけでございました。私どもも、だからそういうことをするだけではだめではないか、それでは補助率を引き下げる理由には不十分であるということも申し上げたわけでございます。当時、また生活保護についても三分の;にしたい、これは地方団体に譲るべき何物もないではないですか。住宅補助、ですか、これについてのちょっとの手直しがございましたけれども、これもだめである。こういうふうなことで我々は地方団体とも相談しておった、その結果を踏まえて知事が申されたわけでございます。  その後、補助金問題検討会において、これは知事会の代表、市長会の代表、町村長会の代表も入られて種々議論をし、また厚生省におかれても先ほど申し上げましたような事務の移譲に取り組まれたわけでございまして、その上で納得されて補助金問題検討会の結論が出たわけでございます。納得というのも喜んで納得したというわけで申しておるわけではございませんで、これは国の財政事情等も考えて、事務移譲の問題あるいは財源措置の問題、こういうことをひっくるめまして、また、今回はこういった補助率の引き下げの過程において地方団体といろいろ密接な連絡をとりながらこの対策を進めていったわけでございますので、そういった意味合いにおきまして、地方団体もやむを得ないものとして納得をされたものでございます。
  197. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それはこんなものだれも喜んで納得するはずはないわけで、強引に押しつけたとしか解釈されないわけであります。地方六団体が十二月十三日に緊急要望を出された中にも、「国の財政負担地方公共団体に転嫁してはならない。」という文言があるわけですから。  そこで、これは六十一年度初めて補助金カットがやろうとされているわけではない、既に六十年度の実績があるわけでありますから、六十年度の結果がどういうことになってきたのか、二、三例を挙げて指摘をしておきたいと思うのです。  これは二月十九日、総理が「負担が国から地方に移る。ただし、国はそのかわりいろいろまた交付税交付金とかあるいはその他のいろいろな措置で面倒を見る、そういうシステムにシステムが変わっただけの話です。」国と地方負担割合が変わった、だけど地方にも迷惑かけないし、ましてや国民に影響を与えるというようなことはない、このことを繰り返し繰り返し答弁されておったわけですね。一古屋国務大臣もそのときにこうお答えになった。「万全の地方財政措置を講ずることを前提としてこれを受け入れ協力することとした次第であります。」これは、その前のだしか十一月の当委員会で、補助金カットの問題がいろいろと論議をされておるという報が入ったものですから、委員会で受け入れるのかどうするのかという質疑が行われた。財政局長もそのときは随分はっきりとした御答弁をされておったわけですね。補助金カット交付税で見るというのは地方の共有財源を食い合いするものでそんなものは認められぬと、はっきりそこまで言い切ったかどうかはともかくとして、地方の共有財源を食い合いすることになるとまでは言ったわけですね。だから、交付税で面倒見るという考え方は持っておらないということは、与党の自民党さんの質問で財政局長もお答えになった。そういう経過があった後受け入れたものですから、古屋さんとしては万全の地方財政措置を講ずることを前提として受け入れたと言わざるを得なかったと思うのです。  そこで私はちょっと調べてみたのですが、これは万全の財政措置を講じたと言えるかどうかという問題であります。大阪府下を一、二調べてみました。八尾市でありますが、いわゆる国庫負担金、生保のカットによりますカット額は四億四千五百五十万、交付税で手当てをされましたものが三億五千二百五十六万、それから生活保護の臨時調整補助金が六千六百万、合わせまして不足額が二千六百九十四万円であります。  私の住んでおります東大阪市の場合は、生活保護だけでありますがカット額九億三千三百五十七万。交付税とそれから臨調で手当てをされましたものが八億九千百七十八万、不足四千百七十九万円。  福岡県の田川市、これは大変ですね。生活保護率が全国十番以内、上位でありますね。ここは生活保護、老人福祉一般財源所要額十億五千万、それから交付税需要額に算入されましたのが十億一千百万、不足が三千九百万。そのほかに児童保護、心身障害者等々一億三千八百五十七万に対しまして六千三百八十二万余でありますから、不足額七千四百六十八万円。合計いたしますと、カットの影響で財源手当てをされなかったもの約一億五千五百十万に上るわけでありますが、この中で交付税で補足されない分、詳細に約三千万と言っておりますから、これは一応補助金削減から除外したとしましても一億二千万不足ということですね。ここは公債費率一八・五%でしょう。六十年度予算編成の際には基金、積立金が三億四千万あった。ところが、これに手をつけないと六十年度予算が組めないというので二億基金を取り崩してしまった。もうあと一億ちょっとしかないわけですね。それで議会で追及をされまして、答弁としては当然国の責任において措置されるものと期待をいたしております、積立金、基金はもとのとおり戻します、こういう答弁をせざるを得ない状況に追い込まれたけれども、先ほど言いましたような状況で、議会での答弁に反しまして積立金、基金はもとへ戻らない、今の国の財政手当ての状況では。財政担当者はこういう苦境を訴えておられるわけですね。  そのほかに例を挙げれば幾らもございます。またこれは地財の審議のときにでも申し上げたいと思っておりますが、これで万全の措置が講ぜられたと言えますか、その点どうですか。
  198. 花岡圭三

    花岡政府委員 生活保護につきましては、私どもの算定におきましては、全国的に見た場合には全体としてどちらかといえば過大算定といいますか、算入しておる額の方が実際の決算額よりも多くなっておるのが通例でございます。しかし、今回の場合におきましては補助率カットの問題でございますから、その部分は全部交付税に計上しようということでやっておるわけでございます。ただ、御承知のように、交付税というものは画一的な算定をやりますために全体としてかなりオーバーをいたしましても、団体によりましてはそこら辺に若干数値の食い違いといいますか、画一算定による誤差というものが出てくる場合もございます。ただ生活保護につきまして、先ほど先生の御指摘になりましたような数字につきまして私ども個々には承知しておりませんけれども、中にはいわゆる単独事業と称せられるものも若干田川等については入っておるものと私は考えております。しかし私どもとしましては、普通交付税において今回の措置が全部できなかったものにつきましてはさらに特別交付税におきましても、これは算定もある程度全国一律の算定になるとは思いますけれども、そういった措置も講じて万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
  199. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは確かに今局長御答弁になったように、全国的に見れば実支出額に対して財源手当てが行き届いておるという状況が出るかもわからぬ。しかし私が今申し上げましたように、個々の例を見ると不足額が生じておるところも出てきておるわけです。少なくとも万全の措置を講じたという以上はそんなところが出ないように措置を講ずべき、これが万全の措置でしょう。  それで局長、ちょっとぐらいはと言いましたが、田川の例はちょっとじゃおまへんで。だから財政状況を申し上げたわけです。先ほど言いましたように、交付税で補足されない分三千万、これは横においておきましょう、交付税で補足されない部分というのは随所にあるわけですから。これ自体も交付税の基準財政需要額につきましては見直しをされなければならない性格のものだとは私は思いますが、あえてそれは申し上げません、補助金カットの問題を論議しておるわけでありますから。これを横へおいたとしましても、先ほど申し上げましたように一億二千万の不足額を生じておるわけですね。これは基金を取り崩してまでやらないと六十年度予算が組めないという状況だったわけですから。  これはさらに私も六十年度予算委員会で総括質問のときにお尋ねをして、こういうことになるんと違うかいなと思って危惧しておった問題の一つでありますが、一般財源化の問題についてもこの際お尋ねをしておきたいと思うのです。  これは学校教材費ですが、六十年度は五十九年度に比べましてわかりやすく、小中学校それぞれ一学級当たり単価が幾らのが幾らに引き上げられたわけですか。
  200. 花岡圭三

    花岡政府委員 普通交付税におきます教材費の単価でございますが、五十九年度におきましては二分の一の国庫負担相当額の残りの地方負担額について算定しておるわけでございますが、その一学級当たりの算入額は、小学校については二万円、中学校については三万二千円であります。  それから、六十年度につきましては、教材費の一般財源化に伴います所要額を全額交付税措置をいたしました結果、その一学級当たりの算入額は、小学校については四万二千円、中学校については六万七千円でございます。
  201. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、計算上は五十九年度に比べまして、仮に五十九年度を二分の一ではなく一〇〇%と六十年度並みに計算をいたしますと、二万円が四万円ということになるわけですね。そして四万円が四万二千円に約二千円ほど引き上げられた、こういう計算になるわけですね。そうしますと、交付税でわずかではありますけれども引き上げられておるということになりますと、当然各市町村の学校教材費の予算も、学級数がうんと減るとかというような変動があれば別でありますけれども、そうでない限りはこれは予算もふえておらなければならぬ、こうなるわけでありますが、文部省いらっしゃいますか。四十七都道府県の中で六十年度の教材費の予算が五十九年に比べましてふえた県が何県ありますか。
  202. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  十四県でございます。
  203. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ふえた県は十四県だけ。それでは、あとはこれは減った県ですね。
  204. 逸見博昌

    ○逸見説明員 ふえた県に対しましては減った県でございますが、減りました状況は、例えば昨年度の九割以上確保しているものが二十九県ございます。それから、最低でも八割八分は確保いたしておりますということで、○・九未満O・八八以上というのが四県でございます。合計四十七県、こういった状況でございます。
  205. 経塚幸夫

    ○経塚委員 文部省の考え方もちょっとおかしいですね、今の答弁では。ふえた県が十四県、それであとは減った県だけれども、減ったところでも九〇%は確保しておる、うんと減ったところでも八八%は確保しておるということでありますが、文部省がそんな考え方でおったらこれはあきまへんで。  私は予算委員会の総括質問でお尋ねしたときには、教材費充実十カ年計画、これのもう七カ年目を迎えるというのに全国の教材充実状況が四八%だ、国が二分の一を負担して十カ年計画を進めてきておっても七カ年で四八%しか充足をしておらぬじゃないか、これを国の二分の一の国庫負担金を廃止して、そして一般財源化してしもうて市町村の責任に任せたらこの十カ年計画年度内に充足できるのかという懸念で私は文部大臣にお尋ねした。そうすると、あのときの文部大臣の答弁はこうだったのですよ。五十九年度よりも若干上回る財源措置がなされました、だから心配要らぬ、こういう趣旨の答弁だったわけですよ。ところが、六十年度予算の実態を見ますと、全国どこの府県でもこれならばふえておらなければならぬ、こういうことになるはずですよ。交付税の充当額はふえたわけですけれども、実際の予算化は減っておるわけであります。  東京都下の市町村の場合は、六十五億千六百七十二万に対しまして六十四億七千六百三十二万、これは四千万減っているのですね。北海道は六千二百四十万減っている。福岡県は二億五千四百八十六万減っている。こんな状況では、文部省が立てた教材費充実十カ年計画、期限内にこれは達成できないことはいよいよ明らかでしょう。一体文部省の方としては計画計画どおり達成できなくてもいいという判断なのか。  それからもう一点、こういうふうに一般財源化をした結果、教材費に充当する予算がふえなければならぬのに、五十九年度より六十年度減ってきている。一体この責任は国にあるのかそれとも地方の団体の側にあるのか。その二点についてお答えをいただきたい。
  206. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  基準を定めた以上、それを達成するというのが私どもの目標でございます。ただ、遺憾ながら今御指摘ございましたとおり、五十七年度から大変大きなブレーキがかかっておりまして、五十七、五十八、五十九、六十、対前年度一〇%ずつという形で予算が減額されております。この六十二年度までが計画達成年度でございますが、恐らく達成は若干難しい状況になってきておる、こういったふうに理解をいたしております。  それから、二番目の御質問ですが、御案内のとおり、学校教育法の建前は設置者管理主義という原則がとられております。学校の設置者が学校の運営についてすべて責任を負う、これが大原則でございます。ただ、それに対しまして、例えば全国的な義務教育の水準を保たなければいけない、こういったふうな場合には、これを義務教育国庫負担金というふうな形で負担金を各都道府県ないしは市町村に差し上げる、こういった制度がとられておるところでございまして、基本的には教材費の整備の場合には各市町村が責任を持って整備をしていただく、こういった建前でございます。
  207. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは大臣お聞きのように、私は一般財源化されることについてすべてがそれはもう問題があるというふうに言っておるわけではありません。しかし、国が行政上重大な責任を負うべきものについて、単に市町村の身近な行政だからとかいうようなことでもって一般財源化をするということになりますと、これは今日の地方財政が極めて困難な状況の中では必ず問題が起きてくる。こういうことで、私は、単に市町村へ国が負うべき財政負担転嫁するにとどまらず、義務教育という重大な問題についての国の行政責任を地方転嫁することになりかねぬ。これは教育問題だけじゃございません。社会福祉、社会保障関係も皆そうでありますけれども、単に財政のツケ回しにとどまらず、公的保障について国家が負うべき責任の地方への行政責任の転嫁になりかねないということで、六十年度補助金削減問題については幾つかの問題で指摘を申し上げたのです。案の定、こういう結果になってくる。  それで、教材費充実十カ年計画、もうあとこれは両三年度しかないわけでありますが、事ここに至って計画が五〇%もまだ達成できないどころか、予算が後退しているという状況、それで今文部省に聞きますと市町村の責任だ、こうなってきているでしょう。こんなあほな話おますかいな。義務教育、これは国家の責任として二分の一の国庫負担がいわゆる地方財政法十条に基づいて定められてきておった項目なんでしょう。これは一般財源化された。それで、地方財政不足しておりますから、交付税は使途は制限されませんから、幾ら財政局長が五十九年度よりも六十年度は教材費の分は交付税の基準財政需要額で上積みをいたしましたよ、頑張ってくださいよと言っても、受け取った地方の側は、相次ぐ補助金カットだとかあるいは財源不足でもって、そして交付税も、ふえておるところもありますけれども絶対額は不足をしておる。こういう事実上の財源不足状態では、交付税は使途を制限されませんから、国庫負担金、補助金とは違うのですから、国庫負担金、補助金につきましては国の関与がありますけれども交付税は何に使ってもいいということなんでしょう。そうして、国の関与といえば二百四十五条に基づく助言しかないわけでありますから、けしからぬじゃないかと言ってみたところで、地方は、何言うてんのや、国が負うべき国庫負担金を一般財源化して、そうして我々が交付税をどこに使おうとこれは法令上も自由じゃないかと、こう言って反論いたしますよ。ですから、結果的にはこれは義務教育上欠かすことのできない教材費の充実については計画どおりいかない、しかもその責任は地方転嫁をされる、こうなってきておるのですね。この点、大臣とのようにお考えですか。
  208. 花岡圭三

    花岡政府委員 教材費につきましてはいわゆる地方団体事務事業として同化定着したということで一般財源化したわけでございまして、その財源措置としましては交付税の算定上二・八%の増額をした。御指摘のように地方交付税はひもつきではございませんので、一々幾らこれを予算に細めということは申し上げるわけにはまいらないわけではございますけれども、やはり大きな制度改正でございましたために私どももこの周知徹底を図らなければならぬということで、総務部長会議なり地方課長会議なりを通じまして、こういうことで交付税措置をしておるから所要の予算措置はしていただくようにとお願いをしたところでございます。本来なればそういうことを言うのも交付税のシステムからいって問題であろうかとは思いますけれども、ここのところはそういったことを周知を図ったわけでございます。  その後の結果につきまして、文部省の方でつかまえておられるようでございますが、ともかくいろいろ事情があってどのようになっておるのか私も詳しく個々の点についてまでは存じませんけれども、全体として文部省から私ども聞いたところでは三%程度ふえておるという話を聞いておったところでございます。  個々の団体におきまして学級の減あるいは学校の減、こういうことがあったのかどうかもよくわかりません。しかし、いずれにしましても、所要の教材費が組まれないというのは問題でございます。そういったことがございまするならば、やはりここは交付税の建前あるいは地方自治の建前からいきまして、財源措置はしてあるわけでございますので、これは議会において十分審議をしていただいて予算措置をしていただくべきものと考えております。
  209. 経塚幸夫

    ○経塚委員 財政局長もこういうふうに制度が変わった年度のいわゆる財政の運用についてはもうちょっと細心の配慮を払ってもらわないと、文部省が教材費三%ふえた、なるほど全国総額では三%ふえていますねん。ふえたけれども、このふえたのは神奈川県がうんとふやしました。それで全国の総額が上がっただけのことであって、中身は先ほど言いましたように、ふえた県は十四県で減った県が三十三県と、こうなっているのですね。だから、ことほどさように生易しい状況じゃないということを改めて私は言わざるを得ぬと思うのですよ。今度のいわゆる機関委任事務を団体委任事務化される問題につきましてもいろいろと問題が惹起されてくることは火を見るよりも明らかであります。したがって、こういう制度の大幅な改正という年に当たっては、財政運営がそれぞれの地方によって一体どういう状況であるのか、こういうことについては十分留意を払っていただいて次年度の対策を立てるという点をもう少しきめ細かく配慮をしていただかなければならぬ、こういうように考えております。  次の問題に移りたいと思いますが、先ほど来からも論議をされておりました代執行制度の問題でありますが、まず大臣に所信をちょっとお伺いしたいんですが、百四十六条で訴訟手続を導入したそもそもの理由についてはどういうふうに判断をされておりますか。
  210. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この制度は、基本的に占領政策の中におきまして現実の代執行という現在の制度があるわけでありますけれども、この間の事情は先生も既に御承知と思っておりますが、この訴訟制度が取り入れられたということは、いわゆる地方公共団体の首長の本来の地位の自主独立性の尊重、そういう地方立場制度上、手続上で最大限尊重していこう、そういう趣旨によって取り入れられたものであろうと考えております。
  211. 経塚幸夫

    ○経塚委員 昨年の五月二十三日、この問題をも含めまして行革審の方からヒアリングがございましたか。
  212. 大林勝臣

    ○大林政府委員 この百四十六条の問題につきましては、当省にヒアリングはございませんでした。
  213. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、機関委任事務の問題でのヒアリングもございませんでしたか。
  214. 大林勝臣

    ○大林政府委員 機関委任事務整理合理化についてはヒアリングがございまして、その際に私ども年来の地方団体側の要望をるる述べたわけでございます。
  215. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは日にちは五月二十三日ですね。その際に自治省はこの代執行問題については全然意見は言っておりませんか、ヒアリングの際に。言いましたか。
  216. 大林勝臣

    ○大林政府委員 代執行問題についてはヒアリングの議題とはされておりませんでした。
  217. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それじゃ行革審と自治省との関係では、行革審に対して自治省が代執行の問題で一回も意見を聞かれたこともなければ、言ったこともない、こう解釈してよろしいんですか。
  218. 大林勝臣

    大林政府委員 そのとおりであります。 ○
  219. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これはまことにもって行革審の専制独断だと言わざるを得ないわけであります。こんな重大な問題について自治省に対して何の意見も聞かなかったというのはもってのほかだと思います。  そこで、お尋ねをしたいんですが、今いわゆる訴訟手続を廃止しなければならない何か具体的に緊急事態あるいは必要性が起きているんですか。
  220. 大林勝臣

    ○大林政府委員 この問題が起こりました動機につきましては、具体的にこういった問題に対応するためという論議があったとは私ども聞いてないわけであります。行革審側の説明によりますと、専ら機関委任事務制度のあり方というものを論議されている段階で制度的にいかがなものであるか、こういう問題が提起された、これが動機である、こう承知しております。
  221. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうすると、制度的な論議の問題であって、今これをすぐに改めなければならない具体的な事情は起きておらない、こう解釈されるわけでありますが、自治法の別表第三について、知事が管理し、及び執行しなければならない事務が定められておるわけであります。これにつきましてちょっとお尋ねをいたします。  防衛庁の方、いらしていますか。――この中に、三の四でございますが、日米相互協力、安保条約六条合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地の使用等々ですね。「防衛施設局長の請求により代執行をする」ことができる云々の文言がございますが、これは防衛施設局長の請求で代執行ができる、こう判断してよろしいんですか。
  222. 加賀山一郎

    ○加賀山説明員 お答えいたします。  地方自治法別表第三の一の現在は三の三となっておりますが、これは収用委員会で明け渡し裁決があった場合に、当該土地または当該土地にある物件を占有している者がその土地もしくは物件を引き渡したりあるいは物件の移転の義務がございますが、その義務を果たさない場合に、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法、駐留軍用地特別措置法と呼ばせていただきたいと思いますが、その十四条において適用します土地収用法第百二条の二第二項の定めるところによりまして、起業者、この場合は防衛施設局長でございますが、その請求によりまして、都道府県知事は、義務者のなすべき行為を行うことができることとなっております。
  223. 経塚幸夫

    ○経塚委員 さらに五の三の自衛隊法による事務の執行の問題でありますが、「治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合に」代執行云々ということでありますが、この「重大な事態につきやむを得ない必要」という、この判断はどなたがされるのですか。
  224. 田中謙次

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘になりました点は、自衛隊法第八十一条に規定しております要請によりまして治安出動を行う場合、この条項にかかってくるものかと思いますけれども、ここでいっております「治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合」という判断は、自衛隊法の八十一条に基づきまして都道府県知事が行うこと、こういうふうになっております。
  225. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それからもう一点お尋ねしますが、同じく五の三項に、「自衛隊の防衛出動が命ぜられた場合に防衛庁長官等の要請に基き、病院、診療所等の施設を管理し、土地、家屋若しくは物資を使用し、物資の保管を命じ、若しくは物資を収用し、」云々とありますが、この「防衛庁長官等」というのは長官以外にどんな職務の人が含まれるわけですか。
  226. 田中謙次

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘になりました部分は自衛隊法で申し上げますと、第百三条の規定を受けたものかと思われますが、百三条の規定は「都道府県知事は、長官」、防衛庁長官でございますが、「又は政令で定める者」この要請に基づきまして今先生指摘になりましたような事務を行うことというふうにされておりますが、現在この百三条で言っております「政令で定める者」という、その政令はまだ定められておりません。
  227. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は今別表の三の中で、日米協力に基づく機関委任事務の問題、それから自衛隊法に基づく問題も取り上げたわけでありますが、これが発動されるということになりますと、極めて広範、多岐にわたって土地、家屋の収用あるいは輸送業務の供出等々、まさに戦時体制当時のような状況が惹起されてくるわけでありますが、こういうような重大な問題が今の百四十六条では二度の訴訟手続を経由しなければ代執行ができないということでありますが、これが排除されるわけですね。これは極めて重大な問題だと思うのですね。総理の答弁では最終的には訴訟制度が生かされておる、こういう御答弁がございました。これは大臣も御承知のとおり。  しかし問題は、最終的に異議を申し立てて裁判に訴えるという権利が長に保障されておったとしても、今の百四十六条は代執行の執行の効果そのものを訴訟によって歯どめをかけるという、ここがいわゆる国の機関委任事務の執行権というものと地方の長のいわゆる主権というものとの調和として訴訟制度が持ち込まれたそもそものゆえんなんでしょう。代執行やってしまってから、文句あったら裁判にかけなはれ、こんなもの何ぼ制度として残されたって意味がないわけですよ。代執行そのものが訴訟で拘束をされるというところに意義があるのであって、これを外してしまって、文句があったら後で裁判に訴えられる訴訟制度が最終的には生かされておりますよといったところで何の意味もないわけであります。したがって、こういう本当に新しい憲法のもとで、九十二条で明文化されました地方自治の本旨を根底から覆すようなものは提出すべきでない、かように考えているのですが、その点、大臣いかがですか。
  228. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この問題につきましては、私は、基本的に国の政治は中央の政府地方自治体と相協力して行って初めてその実効を上げることができるわけでございますから、国の意思と地方自治体とがそういう対立状況になるというようなことは本来考えられないし、またそうあるべきではないと思うわけであります。  先生、今、自衛隊の出動の話を出されましたけれども、これはいわゆる非常の事態の問題でございまして、それは実際上の平時の、平時といいますか、こういう状況の中での議論の中で例として出すのは必ずしも適切ではないであろう。いずれにしても、国がその機関委任事務を執行するということでありましても、国民政策的支持を得られなければ、それは実際として発動してもあるいは発動しようにもできない問題であろうと私は思っております。  ただ、今の制度のままにしておきますと、特に当面この問題でという意図ではなくて、いわゆる行政改革の中で制度諭として議論されておるわけでございますが、今の訴訟は二度の訴訟という手続が認められておりますが、今回の答申に当たりましても訴訟制度は認められておりますし、現行の制度の、特に総理大臣の首長の罷免権というのは、たとえ手続がどのように慎重に構成されておりましても、地域の住民が面接選んだ首長を総理が最終的には罷免権を持つというようなことは、これは戦後のあの混乱の中からの産物であるにしても、今日の時代においてはむしろ地方自治の本旨にもとるものではないかと私は考えておるわけであります。したがいまして、基本的には国と地方がお互いに理解し合って、行政を円満に行っていくということが本来の姿であろうと考えております。  ただ、制度諭として、国の全体の利益の中でどうしてもしなければならない問題も惹起するかもしれませんし、こういう際に不都合な点も改めていくということは、それはそれなりに意義があるのではないか、そのように考えております。
  229. 経塚幸夫

    ○経塚委員 罷免権というのは、もともとこんなものはあってはならぬことであります。改めるべきは、この国の機関委任事務というのは原則廃止、必要なものもあるでしょうけれども、原則は廃止という前提に立ってこれは処理をされておらなければならぬ性格のものだというふうに私は考えております。  最後に、時間もございませんので、簡単に申し上げて大臣の所信をお尋ねしたいわけでありますが、国立病院、療養所の移譲の問題であります。  これは地方自治体などを対象にしまして三十四施設移譲ということでありますが、三十四施設の中で五十九年度決算で赤字の病院、療養所が何と三十一カ所あるのですね。そこへもってきて、移譲の対象になっておる地域をちょっと例にとってみますと、大阪の堺市の場合は、移譲したいという病院も赤字なら、地元の市立病院も累積欠損金が六億四千二百万、それから市の財政も実質単年度収支赤字なんですね。三拍子そろっております。それから山形県の湯田川療養所、これも三億の赤字でしょう。鶴岡市も単年度収支赤字ですね。兵庫県の国立加古川、これも赤字ですね。地元の市立加古川病院も何と累積欠損金十二億です。一般会計からの繰り入れが四億。こういうように厚生省が移譲したいという病院も赤字なら、移譲の対象になっておる市町村の公立病院も赤字なら、市町村の財政赤字、こういう状況なんです。  それから、二つ目の重大な問題は、厚生省は一体どういう考えでこういう移譲を発表されたのか、まことに理解に苦しむわけでありますが、北海道の稚内などは市立病院を改築した、この改築のときに厚生省と協議をしたのですね。そして、国立は一般内科と結核を面倒見てもらう、うちはうちの方でこういう任務を分担いたしますよと厚生省と協議、了解の上で改築したばかりなんです。そこへこの国立も引き取らぬかという話なんでしょう。横須賀もそうですね。横須賀の場合は全国でも珍しく国立病院を開業医が利用できるといラセミオープンでありますけれども、これは医師会の会長も反対されておる。市長はもちろん、市民病院を建てたばかりで八億から九億の赤字だ、こんなもの、国立を持てと言われたところで、二つも病院は持てないということで強硬な反対姿勢をとっておられます。全国の自治体では反対決議が一月三十一日現在で既に八八・二%に上っております。どうでしょう、大臣、こういう状況では地方自治体としては受け入れる状況にないと思うのですよ。今必要なことは、国立病院を受け入れる状況にないところに押しつけるよりもむしろ現在の国立病院の条件を改善をする、そしてこういう無理な移譲計画は撤回すべきだ、このことを自治大臣としても厚生省に要望しておくべきだと考えられるわけでありますが、その点はいかがなものでしょうか。
  230. 小沢一郎

    小沢国務大臣 対象となっておる病院が私の地元にも一つありまして、それだから言うわけでございませんが、御指摘のように自治体の病院も非常に厳しい経営状態になっておることは事実でございます。したがいまして、地方の医療制度のあり方、どうあるべきか、そういう点も十分に協議の上考えられていくべき問題であろう、そのように考えております。
  231. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ちょっとくどいようですが、市町村の財政状況がどうあるべきかということ――私はもうちょっと踏み込んで、これは今の状況では受け入れるような状況にない、だから厚生省はそういう計画は撤回しなさい、それは言えませんか。もうちょっとはっきりした御返事をいただきたいと思うのですが、どうですか。
  232. 小沢一郎

    小沢国務大臣 これは国の全体の方針として決まっておることで。ございますから先生の御希望どおりの返事ができませんけれども地方公共団体の、あるいは地域の医療のあり方、そういう問題も十分考慮に入れながら今後地方公共団体としても慎重に対処していくべき問題であろう、そのように考えております。
  233. 経塚幸夫

    ○経塚委員 慎重という言葉の中に内容がある、こう判断をしておきましょう。  それじゃ終わります。      ――――◇―――――
  234. 福島譲二

    福島委員長 この際、昭和六十一年度地方財政計画について説明を聴取いたします。小沢自治大臣
  235. 小沢一郎

    小沢国務大臣 昭和六十一年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。  昭和六十一年度地方財政は、累積した巨額の借入金を抱え、引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方税負担公平適正化を推進しつつ地方税源の充実と地方交付税の所要額の確保を図り、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。  昭和六十一年度地方財政計画は、このような考え方により策定しておりますが、以下その策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税負担の現状と地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人住民税所得割について非課税限度額の引き上げ及び同居の特別障害者に係る配偶者控除額及び扶養控除額の引き上げを行い、不動産取得税について住宅及び住宅用土地に係る税率等の特例措置の適用期限を延長する等の措置を講ずるとともに、地方税負担公平適正化を図るため、事業所税資産割の税率の見直し及び固定資産税等に係る非課税等特別措置整理合理化を行うほか、昭和六十一年度における臨時措置として道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の従量割の税率を引き上げることとしております。  第二に、現下の厳しい財政環境のもとで、今後三年間の暫定措置として国庫補助負担率の引き下げが行われることとなりましたが、これに伴う地方財政への影響額一兆一千七百億円に相当する額について財源の補てんを行うことが必要となりましたので、地方たばこ消費税の税率引き上げ、地方交付税の増額及び建設地方債の増発により補てんすることとし、地方財政運営に支障が生ずることのないよう措置いたしております。  第三に、抑制的基調のもとにおいても、財源の重点配分に努め、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、その特性を生かした地域社会の形成を進めるとともに、住民生活に直結する施策の推進、住民生活の安全の確保等を図ることとしております。このため、内需拡大の要請にこたえつつ、住民生活に身近な生活関連施設等の計画的な整備を図るため地方単独事業費の確保に配意するとともに、福祉施策、教育、文化振興対策等の推進を図ることとし、これに必要な財源を確保し、また、過疎地域等に対する財政措置を引き続き講ずることとしております。  第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助単価の適正化等の改善合理化を進め、さらに年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な財源をあらかじめ確保することとしております。  以上の方針のもとに、昭和六十一年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は五十二兆八千四百五十八億円となり、前年度に対し二兆三千百八十七億円、四・六%の増加となっております。  以上が昭和六十一年度地方財政計画の概要であります。
  236. 福島譲二

    福島委員長 以上で説明は終わりました。      ――――◇―――――
  237. 福島譲二

    福島委員長 内閣提出地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。小沢自治大臣。     ―――――――――――――  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び   納付金に関する法律の一部を改正する法律案  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  238. 小沢一郎

    小沢国務大臣 ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  明年度地方税制につきましては、最近における地方税負担の現状及び地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、住民税所得割について非課税限度額の引き上げ及び同居の特別障害者に係る扶養控除額等の引き上げを行い、不動産取得税について住宅及び住宅用土地に係る税率等の特例措置の適用期限を延長する等の措置を講ずるとともに、地方税負担公平適正化を図るため、事業所税資産割の税率の見直し及び固定資産税等に係る非課税等特別措置整理合理化を行うほか、昭和六十一年度における臨時措置として道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の従量割の税率を引き上げ、あわせて国有林野に係る市町村交付金の特例措置整理合理化を図る等の所要の改正を行う必要があります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、低所得者層の税負担に配慮するため、所得割の非課税限度額の引き上げを行うことといたしております。  また、特別障害者の居宅における介護等に配慮するため、同居の特別障害者に係る配偶者控除額及び扶養控除額を三十四万円に引き上げることといたしております。  その二は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、住宅建設の促進を図るため、住宅及び一定の住宅用土地の取得に係る税率等の特例措置の適用期隈を三年延長することといたしております。  また、国の行政機関が作成した計画に基づく補助を受けて取得した農林漁業経営の近代化等のための農林漁業者の共同利用施設に係る課税標準の特例措置等の整理合理化を行うほか、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法の規定により日本国有鉄道から無償で譲り受けた特定地方交通線に係る非課税措置の適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。  その三は、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税についての改正であります。これらのたばこ消費税につきましては、昭和六十一年度における地方財政対策の一環として、昭和六十一年五月一日から昭和六十二年三月三十一日までの間に限り、従量割の税率を道府県たばこ消費税については千本につき百六十円、市町村たばこ消費税については千本につき二百九十円引き上げるとともに、従価割の課税標準について特例措置を講ずることといたしております。  その四は、自動車税についての改正であります。自動車税につきましては、メタノール自動車に係る税率を、昭和六十一年度分及び昭和六十二年度分に限り、昭和五十九年度改正前の本則税率とする特例措置を講ずることといたしております。  その五は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。固定資産税及び都市計画税につきましては、新エネルギー総合開発機構がアルコール専売事業特別会計から承継し、かつ、アルコール製造業務の用に供する固定資産に係る課税標準の特例措置廃止する等特例措置整理合理化を行うほか、昭和六十二年度までに限り、湖沼水質保全特別措置法に基づくみなし特定施設に係る汚水等の処理施設について非課税とする等の措置を講ずることといたしております。  その六は、電気税についての改正であります。電気税につきましては、産業用電気に係る非課税品目の縮減を行うとともに、漁業協同組合等が専ら水産動物の種苗の放流を目的として当該種苗の生産または育成を行うための施設において直接その用に使用する電気に係る非課税措置を講ずることといたしております。  その七は、特別土地保有税についての改正であります。特別土地保有税につきましては、湖沼水質保全特別措置法に基づくみなし特定施設等に係る汚水等の処理施設の用に供する土地またはその取得について非課税とする等の措置を講ずることといたしております。  その八は、自動車取得税についての改正であります。自動車取得税につきましては、昭和六十一年四月一日から昭和六十三年三月三十一日までの間に取得されたものに限り、メタノール自動車に係る税率の特例措置を講ずることといたしております。  その九は、事業所税についての改正であります。事業所税につきましては、都市環境整備に係る財政需要の増大等の状況を考慮して、資産割に係る税率を一平方メートルにっき六百円に引き上げるとともに、一定の第一種電気通信事業者が昭和七十一年三月三十一日までに新増築を行った第一種電気通信事業の用に供する一定の施設に対する新増設に係る事業所税非課税措置を創設する等の措置を講ずることといたしております。  その十は、国民健康保険税についての改正であります。国民健康保険税につきましては、被保険者相互間の負担の均衡等を勘案して、課税限度額を三十七万円に引き上げるとともに、減額の基準のうち基礎控除相当額を、昭和六十一年度にあっては二十七万円とすることといたしております。  第二は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律改正に関する事項であります。  分収造林契約の目的たる国有林野で地方公共団体が造林者であるものに係る土地に係る市町村交付金の非交付措置について、造林者である地方公共団体の範囲を限定するとともに、分収育林契約の目的たる国有林野で一定の地方公共団体が費用負担者であるものに係る土地に係る市町村交付金を非交付とする措置を講ずることといたしております。  このほか所要の改正を行うことといたしております。  以上の改正の結果、明年度におきましては、住民税所得割の非課税限度額の引き上げ等により三十四億円の減収となる一方、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の従量割の税率の引き上げ等により千八百七十八億円の増収が見込まれ、差し引き千八百四十四億円の増収となる見込みであります。  以上が、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政状況にかんがみ、地方団体財源の充実・確保を図る等のため、昭和六十一年度分の地方交付税の総額について、所要の加算を行うとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源措置するため地方交付税の単位費用を改正し、あわせて、新産業都市の建設、首都圏の近郊整備地帯の整備等に係る財政上の特別措置を引き続き講ずることとする等の必要があります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。  まず、昭和六十一年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額から同年度分の利子の支払いに充てるため必要な額三千五百四十七億円を減額した額に、地方交付税の総額の特例措置額千二百億円を加算した額としております。  また、昭和六十六年度分から昭和六十八年度分までの地方交付税の総額について新たに千七百五十七億円を加算することとし、当該額を現行法の規定により当該各年度分の地方交付税の総額に加算することとされている額千五十五億円に加算した後の合計額二千八百十二億円について、昭和六十六年度及び昭和六十七年度にあってはそれぞれ九百三十億円を、昭和六十八年度にあっては九百五十二億円を、当該各年度分の地方交付税の総額に加算することとしております。  次に、昭和六十一年度の普通交付税の算定につきましては、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げ及び国庫補助負担金の廃止に伴い増加する経費に対し所要の財源措置し、あわせて、生活保護基準の引き上げ、老人保健施策の充実等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善及び私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設、市町村道、下水道等住民の生活に直結する公共施設の維持管理に要する経費並びに過密過疎対策、消防救急対策、公害対策等に要する経費の財源措置することとしております。  さらに、投資的経費について、地方債振替後の所要経費を基準財政需要額に算入するほか、昭和六十年度において発行を許可された臨時財政特例債等の元利償還金を基準財政需要額に算入することとしております。  第二は、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正についてであります。都道府県分の利子補給措置について新たに十年間の利子補給期間を設ける一方、新規に発行を許可される地方債等について利子補給の基準となる利率の縮減等を行うとともに、市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について財政力による調整の割合を高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することとしております。  第三は、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正についてであります。都府県分の利子補給措置について期間を五年間とする一方、新規に発行を許可される地方債について利子補給の基準となる利率の縮減を行うとともに、市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について財政力による調整の割合を高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することといたしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  239. 福島譲二

    福島委員長 以上で両案についての趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る三月四日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十二分散会      ――――◇―――――