○堀
委員 ただいま三人の
参考人から
意見陳述がございましたが、実は、大体私
どもの大蔵
委員会における
法案審議というのは、まず
最初に私
どもが政府との間にその
法案についてのいろいろな
問題点について論議をいたしまして、その過程の中で実は
参考人の皆さんにお越しをいただいて
意見陳述、私
どもの質疑を行わせていただくというのが本来の慣例でございますけれ
ども、今回は、
審議日程の影響で本日初めてこの
投資顧問法の
審議に入るわけでありますけれ
ども、この
法案について政府の見解を全然ただしてないわけでございます。
そこで、きょうはちょっと時間をいただいておりますので、まず
最初にこの
法案審議の問題について政府側との間で質疑を行いまして、それを皆さんもお聞きをいただいた上で、その次に私の方から皆さんにお尋ねをいたす、こういう形で本日私の質問を行いますので、事前に御了承をいただきたいと思います。
そこで、皆さんのお手元にお配りした資料がございます。
有価証券の売買一任勘定取引の自粛について
(昭三九・二・七
蔵 理 九 二 六
大蔵省理財局長から
各財務局長宛)
標記のことについて、別紙写のとおり
日本証券業協会連合会会長あて通知したから、了知のうえ、この趣旨を貴管下
証券業者に周知徹底せしめるとともに、この通ちようの実施につき十分な指導、監督を行われたい。
ということで、
別 紙
蔵理第九二六号
昭和三十九年二月七日
日本証券業協会連合会会長 殿
大蔵省理財局長
これを読んでおきますので……。
有価証券の売買一任勘定取引の自粛について
証券取引所の会員が
顧客から
有価証券の売買取引について売買の別、銘柄、数及び価格の決定を一任されてその者の計算において行う売買取引は、
有価証券の売買一任勘定に関する規則(
昭和二十三年七月二十四日付
証券取引委員会規則第一五号)で制限されているところであるが、最近の
証券業者と
顧客との間の紛争をみると、
有価証券の売買取引について売買の別、銘柄等の決定について
顧客から一任されてその者の計算において行ういわゆる売買一任勘定取引に起因するものが多く見受けられる。この種の取引は、その方法のいかんによっては、
自己の
判断と
責任で
投資するという健全な
投資態度を歪めるばかりでなく、
顧客との間の紛争を招き、
証券業者の信用をそこなうおそれもあるので、一般に
証券業者は
顧客のために、この種の取引を行うことを自粛されたい。
証券業者の自粛にかかわらず、
顧客の強い要請により、一任の
内容に売買の別および銘柄の決定を含む一連のいわゆる売買一任勘定取引(以下売買一任勘定取引という。)をやむを得ず特別に行う場合は、
証券業者は下記の手続を遵守することとし、またその役職員が
個人の資格で
顧客のために売買一任勘定取引を行うことは絶対にないよう十分監督するとともに、今後下記の手続をとっていない取引について
顧客との間に紛争が生じた場合には、
証券業者が売買一任勘定取引であったという抗弁をすることのないよう指導されたい。
この趣旨を貴会会員に所属する
証券業者ならびにその役職員に周知させ、その指導に万全を期するとともに、一般
投資者に対しても周知徹底をはかられたい。
ということで、後に「記」として詳しくいろいろな条件が書いてございますけれ
ども、厳しい制限を課する通達が
昭和三十九年二月七日に出されているわけであります。
私は
昭和三十五年から大蔵
委員会に参りまして、証券問題についていろいろな
調査研究をし、国会においても論議をいたしておりましたけれ
ども、この一任勘定を含めて紛争が非常に起きて、それは
証券会社は知りません、特に、正会員である者の中にすらそういう事故が起きたという歴史が過去にありまして、こういうことでは
証券業の健全な
発展は望めない、一任勘定をやめるべきである、強く理財局証券部長の方に要求いたしまして、その結果実はこの通達が出されたわけであります。
証取法の改正も、私が田中
大蔵大臣との間で、今の紛争をベースにした形では登録
業者では今の
トラブルは避けられない、少なくとも
証取審の
答申も出ておるから免許制で行うべきであると、これは
昭和三十九年四月八日の大蔵
委員会で論議をいたしました。その席上で当時の田中
大蔵大臣が、証券部長の加治木さんは大臣ひとつ慎重にお願いしますと盛んに言っておられる中で、今の堀
委員の提起については事務
当局は極めて消極的でありますけれ
ども、一年や二年でやってもらっては困ると言っておりますが、私は政治家の
立場として堀
委員の提案に賛成であります、たまたま内閣
委員会に証券局の設置法をお願いしておりますが、これが通過をさせていただきましたら直ちに免許制に取りかかります、これが証取法改正の
最初の
大蔵大臣の発言でございまして、これによって御承知の免許制、あるいは免許制というだけではなくて、
業務の、ブローカー、ディーラー、アンダーライターに区分した免許をする、これも私の提案でありますけれ
ども、これらの私の
考え方に基づいた証取法の改正が行われることになったのでありまして、
法律としては、この一任勘定の自粛制限の問題は旧証取法の百二十七条にございまして、その部分はそのまま新法の百二十七条に移っているのでありますが、これで
証券業界に対する一任勘定は
禁止と同様の効果をもたらすことになった歴史的な経過があるわけであります。
しかし、先ほどから
参考人がお話しになっておりますように、
欧米の状態を見ましても
日本の国内におきましても、
国民の
金融資産が次第にふえてまいりまして、あるいはまた企業年金その他厚生年金基金というようなものがだんだん大きくなってまいりまして、今
参考人がお述べになったような
投資顧問業というものに対する
ニーズが高まってきたわけであります。
そこで、私はこの問題を提起して言うなれば一任勘定が行えないように問題を処理したものでありますから、適切な時期にこういうシステムをもう一遍
法制化する必要がある、こう考えておりましたが、大蔵省の人事というのは、銀行局という局はかなり優遇されておりまして銀行局長が一年でかわるなどということは大体ないのでありまして、最低二年長いときは三年いるということでありますけれ
ども、証券局長というのはどういうわけか任期が短くて、吉本証券局長以来、その後の証券局長は全部一年ずつなのであります。局長が一年ということになりますと、その局の専門的な
知識を持っておれば別でありますけれ
ども、おおむねその他の局から来る方は、局長として仕事をなさるためには半年以上が勉強のためにかかります。あと半年では
法案の
整備はできないのでありまして、私は公式にこの
委員会の中で証券局長を二年にしろ、それでなければ
法律ができぬじゃないかと、
投資顧問法をやってもらおうと思うために何回かここで論議をいたしました。
私も長年大蔵
委員会におりますので、この人が一年しかできないか二年いけるかは年次を見れば大体わかりますので、たまたま佐藤徹さんが証券局長になりましたときに私は佐藤局長に、佐藤さん、あなたこれなら大体二年いけるぞ、だから、見通しが立ってからでないとまずいが、見通しが立ったら、あなた
投資顧問法をやってくださいよ、こういう話をしておりました。そこで、
昭和五十九年の人事異動の前に見通しが大体固まってきましたので、佐藤さんに、大体間違いない、あなたは二年目に入ったら直ちにこの
投資顧問法の作業にかかってくれ、こういう話をしたわけであります。
実は、この
投資顧問業法の中の今の二十四条に関する一任
契約の
投資顧問業だけが当初私の頭の中にあったのでありますが、御承知のように
昭和五十九年八月に
投資ジャーナル
事件が起きてマスコミが大々的に取り上げたものですから、そうすると今の、問題になっておる
投資顧問業を無視して一任
契約だけを
法制化するのは無理があると
判断いたしました。そこで、五十九年十一月にアメリカに参りまして、ニューヨークでアメリカの
投資顧問業を詳しく視察いたしまして、そうしてこの問題についての
考え方をまとめて、大蔵省の皆さんに大体こういう方向でひとつ
投資顧問法をつくったらどうでしょうかという提案をさせていただいたというのが、実は今日までの経緯でございます。
そうしてきょうここでこの
法案を初めて
審議をするに当たって、ですからこの
法案は
二つの問題を含んでおるわけであります。
一つは、要するにベースになっております
投資顧問業者、これはこの
法律第四条で「登録」を書き「登録の申請」その他の条件ををずっと書きまして、少なくとも一般的などこれまで言われておる
投資顧問業、今の一任
契約にかかわりのないものをベースに、ずっと
法律は書いてあります。この
法律がベースに書いてあるものが
一つでありますね。
大蔵省にちょっとお尋ねをしますけれ
ども、現在、今の一任
契約でない
投資顧問業というのは、完全にはなかなか把握できないと思うのでありますが、大体どのくらいあるというふうに承知いたしておりますか。