○
竹下国務大臣 きょう、寄りつきが百六十七円八十五銭で、三十分ごとにこうやって持ってくるわけでございますが、今、十一時半の分で百六十八円ちょうど、こういう
感じでございます。少し戻ったとでも申しますか、そういうことで見ておりますが、一昨日のレーガン大統領の談話というのが載っておりましたけれ
ども、あれは子細に分析してみますと、G5以来のいわゆる
ドル安傾向に
日本も含め各国が
努力したことを評価するというのであって、さらに
円高になるのを評価するとは言ってないようでございます。それで、さらに新聞記者が、もっと
円高になるのかという問いに対しては、やはり節度を心得えておられますから、答えられない、ノーコメント、こうおっしゃったようでございます。
きのうまた、
産業人のアイアコッカさん、クライスラーの会長、これは車の方でございますから、
日本の車との競争で、これはもっと
円高がいいと言った。それは
輸出産業の
向こうの人で見ればそのような発言があるということもやむを得ぬことかなというふうに思っております。
いずれにせよ
我が国の
競争力というものにつきまして、例えばこの間陶磁器の産地へ本当は参議院の選挙の応援みたいに行っておりましたら、産地の人につかまりまして、自分らは
日米経済摩擦を起こしたことない。そのとおりです、
アメリカでは全くできないものを売っているわけですから。ただ、
競争力がNICS、いわゆる韓国、
台湾等の方についたので、完全にその
シェアをとられてしまった。そういう
産業に対しましては、この間通していただいたあの
法律でもって
金利をまた下げましたし、これらによっていわば内需志向あるいは業種転換というようなことをお考えいただかなくてはならぬだろうというのが具体的な当面の
課題の
一つではないか。業種転換といいますと、すぐ、そんなこと言ったって、あなたに歌うたいになれと言ったってすぐ歌うたいになれるわけないじゃないかと、こういう話もありますが、なるほどそうです。私がどこかで歌でも歌えばそれはとても聞きに来る人もおりませんし、だから、業種転換というのもなかなか難しい問題ですが、そういう指導を申し上げて、そして金融上の
措置は心配ないようにという国内対策というのはやっていかなければならぬというふうに思います。
それから一方、メリットということになりますと、それは兒玉さんこの間外国へ行かれましたが、外国へ行った人は
円高メリットというのをトタで感ずるわけでございます。こっちでは
輸入品が安くなるわけでございますが、それが
経済の
市場原理の中で実勢価格に反映するのには時間がかかるという問題がございます。
それから、よく言われますが、国内へ来た場合は
輸入物価の下がった半分しか消費者還元にはならぬじゃないかという
議論もございます。確かに、先ほ
ども御
質問にございましたが、ウイスキー等が一万円が八千円になったというような状態にはございますけれ
ども、すぐもろに出ておるとは私も思っておりません。
それからもう
一つは、いわば国が関与する価格、
市場原理でないもの、電力、ガスでございますが、これはこの間の総合
経済対策で、実質
減税と同じことになりますが、一兆円の消費者還元をしようということが決まった。何月からかというのは、これは通商
産業省の方で今御検討なすっておるさなかだというふうに私も思っております。
したがって、
経済運営自身に対しましては、そういう当面のデメリットのみの
感じられるところへ非常に目配りのきいた対応策をしながら、一方では交易条件が改善されるわけでございますから、それをどういうふうにして内需に結びつけていくか、それにはやはり金融も大事だというので、この月曜日からでございますけれ
ども、
日本銀行さんも第三次のマル公の引き下げを行われた。そうすると、三・五%ということになりますから、
アメリカとの差はまだ三%ございますけれ
ども、西
ドイツが三・五%でございます、だから、戦後最低の、
世界最低のと言っていいか、そういう状態になったな。ただ、これがほかの
金利に連動しなくてはいけないわけですから、あしたでございますか、
金利調整
審議会に諮問をいたします。それからもう
一つ、郵便局が郵政
審議会に諮問されます。そうすると、もろもろのそういう
金利体系が完全に落ちつくのが来月の十九日くらいじゃないか、それだけこれはかかります。そういうものもやはり内需への下支えの
一つにはなるであろうというふうに考えておるところでございます。
当面の為替そのものにつきましては、さまざまな適切な
措置を講じて安定をさすということがやはり一番大事なことであるという問題意識を持っておりますが、まさに
市場で決まっていくわけでございますから、G5というものが
一つの契機にはなりましたけれ
ども、仮にあれがなかったらどうであったろうかと思ってみますと、あれがなくてもあるいは
市場が変化しておったかもしらぬという気もしないわけでもありません。為替レートというのは、
介入もありますし、それから最近は口
介入といいますか、口で言ったのが勝手な方向へ動く、これは本当は余りいいことではないと思うのでございますけれ
ども、そういうことで政策
努力だけではなかなかまいりません。
市場の心理というのはそういう点も気をつけていかなければならぬなというように今思っております。非常に整理しないままのお話ですが、そういうところへすべて目配りをして対応していかなければならぬ
課題だというふうに思っております。
最後にもう
一つ申しますならば、補助金の
法律案を今参議院で
審議をちょうだいしておりますが、この間いわゆる補助率の
関係のないものは箇所づけ内示をしましたけれ
ども、これが上がるや否やまた箇所づけ内示をさせていただきたい。本当はその時期からでないと前倒しの効果も出ないわけでございますから、それまでに全部入札その他の準備だけはしておいてもらって、何とか四%
成長というのを目指しておるわけでございますから、実質四%
成長の下支えになるように速やかな対応をしなければならぬというふうなことを考えております。
これが今私の
感想を含めた兒玉
先生に対するお答えということでございましょう。