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1986-01-31 第104回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十年十二月二十四日)(火 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       大島 理森君    加藤 六月君       金子原二郎君    瓦   力君       笹山 登生君    自見庄三郎君       田中 秀征君    中川 昭一君       東   力君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    宮下 創平君       山岡 謙蔵君    山崎武三郎君       山中 貞則君    山本 幸雄君       伊藤  茂君    川崎 寛治君       渋沢 利久君    戸田 菊雄君       野口 幸一君    藤田 高敏君       武藤 山治君    石田幸四郎君       古川 雅司君    宮地 正介君       矢追 秀彦君    安倍 基雄君       玉置 一弥君    正森 成二君       簑輪 幸代君     ————————————— 昭和六十一年一月二十七日  越智伊平委員長辞任につき、その補欠として  小泉純一郎君が議院において、委員長選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和六十一年一月三十一日(金曜日)     午後六時十二分開議 出席委員   委員長 小泉純一郎君    理事 笹山 登生君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       越智 伊平君    大島 理森君       自見庄三郎君    高鳥  修君       中川 昭一君    西山敬次郎君       東   力君    宮下 創平君       村上 茂利君    山崎武三郎君       山本 幸雄君    伊藤 忠治君       兒玉 末男君    戸田 菊雄君       中村 正男君    堀  昌雄君       古川 雅司君    安倍 基雄君       玉置 一弥君    正森 成二君       簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  熊川 次男君         大蔵政務次官  梶原  清君         大蔵大臣官房総         務審議官    北村 恭二君         大蔵省主計局次         長       小粥 正巳君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省銀行局長 吉田 正輝君         大蔵省国際金融         局長      行天 豊雄君         国税庁次長   塚越 則男君  委員外出席者         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     川田 洋輝君         中小企業庁長官         官房調査課長  上田 全宏君         中小企業庁計画          部計画課長   長田 英機君         運輸大臣官房国         有鉄道部財政課         長       後出  豊君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     松原 東樹君         建設大臣官房政         策課長     伊藤 茂史君         建設省住宅局住         宅・都市整備公 野田 正弘君         団監理官         自治省財政局財         政課長     湯浅 利夫君         参  考  人         (日本銀行総務澄田  智君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員異動 昭和六十年十二月二十四日  辞任        補欠選任   石田幸四郎君     柴田  弘君   宮地 正介君     薮仲 義彦君 同月二十八日  辞任       補欠選任   熊谷  弘君     中村正三郎君   熊川 次男君     中西 啓介昭和六十一年一月二十四日  辞任        補欠選任   瓦   力君     小泉純一郎君 同月二十七日 辞任       補欠選任   越智 伊平君     藤波 孝生君   中川 秀直君     村上 茂利君   平沼 赳夫君     深谷 隆司君   山岡 謙蔵君     高鳥  修君 同月二十八日  辞任       補欠選任   深谷 隆司君     越智 伊平君 同月三十日  辞任       補欠選任   川崎 寛治君     伊藤 忠治君   渋沢 利久君     兒玉 末男君   藤田 高敏君     中村 正男君   武藤 山治君     堀  昌雄君 同月三十一日  辞任      補欠選任   金子原二郎君     西山敬次郎君 同日  辞任       補欠選任   西山敬次郎君     金子原二郎君 同日  理事熊谷弘君及び熊川次男昭和六十年十二月  二十八日委員辞任につき、その補欠として中村  正三郎君及び中西啓介君が理事に当選した。 同日  理事中川秀直君同月二十七日委員辞任につき、  その補欠として笹山登生君が理事に当選した。 同日  理事沢田広君同日理事辞任につき、その補欠と  して野口幸一君が理事に当選した。     ————————————— 一月三十一日  昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処  理の特例に関する法律案内閣提出第一号) 同月二十三日  北陸財務局存続に関する請願外一件(伊藤茂君  紹介)(第三号)  同外一件(石橋政嗣君紹介)(第四七号)  同外一件(川崎寛治紹介)(第四八号)  同外一件(武藤山治紹介)(第四九号)  大型間接税導入反対等に関する請願遠藤和良  君紹介)(第四号)  同(貝沼次郎紹介)(第五〇号)  同(斉藤節紹介)(第五一号)  同(坂口力紹介)(第五二号)  同(橋本文彦紹介)(第五三号)  同(日笠勝之紹介)(第五四号)  同(水谷弘紹介)(第五五号)  同(宮地正介紹介)(第五六号)  同外一件(森本晃司紹介)(第五七号)  同(吉井光照紹介)(第五八号)  国民本意税制改革に関する請願外一件(坂口  力君紹介)(第五号)  同(経塚幸夫紹介)(第五九号)  同(工藤晃紹介)(第六〇号) 同月二十九日  国民本位税制改革に関する請願浦井洋君紹  介)(第一九七号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一九八号)  同(工藤晃紹介)(第一九九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二〇〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第二〇一号)  同(田中美智子紹介)(第二〇二号)  同(津川武一紹介)(第二〇三号)  同(中島武敏紹介)(第二〇四号)  同(中林佳子紹介)(第二〇五号)  同(林百郎君紹介)(第二〇六号)  同(不破哲三紹介)(第二〇七号)  同(藤木洋子紹介)(第二〇八号)  同(正森成二君紹介)(第二〇九号)  同(松本善明紹介)(第二一〇号)  同(簑輪幸代紹介)(第二一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  国の会計税制及び金融に関する件(財政金融  の基本施策)      ————◇—————
  2. 小泉純一郎

    小泉委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、各位の御推挙によりまして、大蔵委員長に就任いたしました。  甚だ微力ではございますが、委員各位の御鞭撻、御協力をいただきまして、円満かつ公正な委員会運営を図り、その職務を全うしてまいりたいと存じます。  何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  3. 小泉純一郎

    小泉委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事沢田広君より、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小泉純一郎

    小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任による欠員のほか、委員異動に伴う欠員三名、計四名の理事欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小泉純一郎

    小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、       笹山 登生君    中西 啓介君       中村正三郎君 及び 野口 幸一君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  6. 小泉純一郎

    小泉委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国の会計に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  専売事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小泉純一郎

    小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 小泉純一郎

    小泉委員長 この際、新たに就任された熊川大蔵政務次官及び梶原大蔵政務次官より発言を求められておりますので、順次これを許します。熊川大蔵政務次官
  9. 熊川次男

    熊川政府委員 今般図らずも大蔵政務次官を拝命いたしました。  財政事情極めて厳しい昨今でありますが、その職責重大なことを痛感いたし、最善を尽くす所存でございますので、委員各位の特段の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手
  10. 小泉純一郎

  11. 梶原清

    梶原政府委員 このたび図らずも大蔵政務次官を拝命いたしました梶原清でございます。  浅学非才でございますが、国の財政事情まことに厳しい折から、職責の重大さを自覚し、一生懸命頑張る覚悟でございます。  どうぞ温かい御指導と御鞭撻を賜りますように心からお願いを申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  12. 小泉純一郎

    小泉委員長 国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  まず、財政金融基本施策について、大蔵大臣所信を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  13. 竹下登

    竹下国務大臣 今後における財政金融政策につきましては、先般の財政演説において申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。  我が国経済は、国民の英知と努力によって数々の困難を克服し、今日の繁栄を築き上げてまいりました。  今後我々がなすべきことは、現在の我が国経済繁栄の上に立って国民生活の一層の向上を目指すとともに、国際社会において、我が国の占める国際的地位にふさわしい責務を果たし、これに貢献していくことであると考えます。  このため、私は、今後の財政金融政策運営に当たり、五つの課題、すなわち、インフレなき持続的成長確保財政改革の強力な推進、税制抜本的見直し世界経済発展への貢献、金融自由化及び円の国際化促進、これを政策目標としてまいる所存であります。  まず第一は、引き続きインフレなき持続的成長確保を図っていくことであります。  インフレなき持続的成長確保は、国民生活向上を目指す上で必要不可欠なものであります。今後とも民間活力の一層の活用基本としつつ、その確保に努めてまいる所存であります。  このため、厳しい財政事情のもとで、昭和六十一年度予算におきましても、一般公共事業事業費につき前年度以上の伸び率確保し、また住宅減税を行うなど景気維持拡大にはできる限りの配慮を払っており、昨年末には、これらの予算税制等に係る内需拡大のための措置を取りまとめたところであります。  また、金融政策の面では、今般二年三カ月ぶりに公定歩合引き下げが行われたところであり、この措置により、市中金利全般の低下が促進され、景気維持拡大に資することが期待されます。  第二は、財政改革を強力に推進することであります。  財政改革目的は、できるだけ早期財政対応力を回復することにより、我が国社会経済活力を維持し、国民生活の安定と充実を図っていくことにあります。  このため、政府は、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」において、昭和六十五年度までの間に特例公債依存体質からの脱却と公債依存度引き下げに努めるという努力目標を示し、それに向けて懸命の努力を重ねてきたところであります。  しかしながら、このような努力を行っても、なお昭和六十一年度予算においては国債費歳出予算の二割を占めるに至り、また昭和六十一年度末の公債残高は百四十兆円を超えることとなるなど、財政事情は極めて厳しいものとなっております。  このため、政府は、今後とも財政改革を引き続き強力に推進してまいりたいと考えます。その際、中長期的視野に立ち、国、地方を通ずる行財政守備範囲見直しを進め、既存制度施策について、その改革にさらに努めていく所存であります。  第三は、税制抜本的見直しを行うことであります。  税制につきましては、税制調査会において、公平、公正、簡素、選択並びに活力といった見地に立って、シャウプ税制以来の抜本的見直しの御審議、御検討をいただいているところであり、本年秋ごろには包括的な指針をいただく予定となっております。  税制は、国民経済全体はもとより、国民生活企業活動に密接な関係を有しており、その見直しに寄せられる国民期待関心は多大なものがあります。国民各位の御理解と御協力のもとに、その幅広い支持に基づく新しい税制を確立し、安定した歳入構造確保することを目指して検討を進めてまいる所存であります。  第四は、我が国世界経済発展に貢献することであります。  ここ数年、我が国貿易経常収支は、米国の財政赤字に基づく高金利等を原因とするドル高や、一次産品価格低迷等背景として、大幅な黒字を続けております。この不均衡是正するためには、基本的には国際的な経済環境の変化が必要であると考えられます。昨年九月に五カ国蔵相中央銀行総裁会議が開催され、為替レート適正化のためのより密接な協力を図ることなどの合意がなされて以来、為替レートドル高是正の方向で推移しており、今後貿易経常収支の不均衡是正に資するものと期待しております。  他方我が国としては、自由貿易体制維持強化を図るとの見地から、新ラウンドを推進するとともに、率先して市場の開放と輸入の促進に努めることも重要と考えております。  このため、政府は、昨年七月、「市場アクセス改善のためのアクションプログラム骨格」を策定し、千八百を超える品目関税率引き下げ、撤廃を本委員会の御賛同を得て本年一月一日から実施する等、各般施策の着実な実施に努めているところであります。  さらに、昭和六十一年度関税改正におきましても、引き続き諸外国関心の強い品目関税引き下げ等措置することとしております。  新ラウンドにつきましては、本年九月に開催される閣僚会議に向けて、交渉の早期開始のために鋭意努力してまいる所存であります。  また、国際通貨制度につきましては、昨年六月の十カ国蔵相会議東京会合において、私は議長として、これをよりよく機能させるための現実的かつ漸進的な改善策の取りまとめに当たったところであり、本年四月のIMF暫定委員会においては、この改善策の本格的な検討が行われることとなっております。我が国といたしましては、今後とも、諸外国と密接に協力して、国際通貨制度の機能の改善に積極的に貢献してまいる所存であります。  一方、開発途上国自助努力を支援し、もって世界経済の安定と発展に資することも、我が国の大きな国際的責務となっております。このため、昨年九月、政府開発援助の第三次中期目標を策定したところであります。今後とも経済協力や累積債務問題に真剣に取り組んでまいる所存であります。  第五は、金融自由化及び円の国際化促進であります。  金融自由化及び円の国際化を進めることは基本的に望ましいものと考えており、これまでつとに諸般の自由化弾力化措置をとってまいりました。  昨年七月に策定した「アクションプログラム骨格」においても、預金金利自由化等、可能な限りの金融自由化及び円の国際化のための措置実施スケジュールを盛り込んだところであります。  また、いわゆるオフショア市場についても創設に向け準備を進めております。  他方、このような金融自由化を進めるに際しては、信用秩序維持のための方策を整備する等、金融自由化環境整備を図っていく必要があります。このような観点から、金融機関健全経営確保のための方策充実預金保険制度拡充等各般にわたる措置を講じていきたいと考えております。  さらに、有価証券に係る投資顧問業に関し、投資者被害の防止を目的とした適切な規制を導入したいと考えておりますが、その際にも、内外の投資顧問業者につき平等の取り扱いが確保されますよう配慮していきたいと考えております。我が国金融自由化及び円の国際化に対しては、諸外国から強い期待が寄せられており、今後とも、相互の協調と理解の増進に努めてまいりつつ、金融自由化及び円の国際化を積極的に進めてまいる所存であります。  次に、昭和六十一年度予算の大要について御説明いたします。  歳出面におきましては、既存制度施策改革を行うなど徹底した節減合理化を行い、全体としてその規模を厳に抑制したところであります。  概算要求の段階から、引き続き厳しい要求基準のもとに、各省庁において、それぞれ所管の予算について根底から洗い直し、優先順位の厳しい選択を行ったところでありますが、その後の予算編成に当たりましても、あらゆる分野にわたり経費節減合理化に努めるとともに、社会経済情勢の推移に即応した財政需要に対しましては、財源の重点的、効率的配分に努めることといたしました。  補助金等につきましても、引き続きその整理合理化を推進するとともに、事務事業見直しを積極的に進めながら、補助率総合的見直し等を行うことといたしております。  この結果、一般歳出規模は、三十二兆五千八百四十二億円と前年度に比べて十二億円の減に圧縮いたしております。これは、昭和五十八年度以降四年連続の対前年度減額であります。これに国債費及び地方交付税交付金を加えた一般会計予算規模は、前年度当初予算に比べ、三・〇%増の五十四兆八百八十六億円となっております。  歳入の基幹たる税制につきましては、現在進められている税制全般にわたる抜本的見直しとの関連に留意しつつ、昭和六十一年度改正において、住宅取得者負担の軽減、民間活力活用等を通じ、内需拡大等に資するため所要の措置を講ずるとともに、最近における社会経済情勢と現下の厳しい財政事情にかんがみ、税負担公平化適正化を一層推進する観点から租税特別措置整理合理化等を行うほか、たばこ消費税の税率を臨時措置として引き上げることとしております。  税の執行につきましては、今後とも、国民の信頼と協力を得て、一層適正公平な税務行政実施するよう努めてまいる所存であります。  また、税外収入につきましては、極めて厳しい財政事情にかんがみ、可能な限りその確保を図ることといたしております。  公債につきましては、以上申し述べました歳出歳入両面にわたっての最大限の努力により、その発行予定額を前年度当初予算より七千三百四十億円減額し、十兆九千四百六十億円といたしました。その内訳は、建設公債五兆七千億円、特例公債五兆二千四百六十億円となっております。この結果、公債依存度は二〇・二%となり、前年度当初予算の二二・二%より二・〇ポイント低下しております。  また、昭和六十一年度においては、十一兆四千九百二十四億円の借換債の発行予定しており、これを合わせた公債の総発行額は二十二兆四千三百八十四億円となります。  財政投融資計画につきましては、内需拡大地方財政の円滑な運営など、政策的な必要性を踏まえ、積極的かつ重点的、効率的な資金配分に努めることとしております。  この結果、昭和六十一年度の財政投融資計画規模は二十二兆一千五百五十一億円となり、昭和六十年度当初計画に対し、六・二%の増加となっております。  この機会に、昭和六十年度補正予算につきまして一言申し述べます。  昭和六十年度補正予算につきましては、災害復旧費追加給与改善費国民健康保険特別交付金義務的経費追加等、当初予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となったやむを得ない事項について措置を講ずることといたしており、この結果、昭和六十年度一般会計補正予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対し七千二百三十二億円増加して、五十三兆二千二百二十九億円となっております。  以上、財政金融政策に関する私の所見の一端を申し述べました。  本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係法律案は、昭和六十一年度予算に関連するもの六件、その他五件、合計十一件であります。それぞれの内容につきましては、逐次御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第であります。(拍手)     —————————————
  14. 小泉純一郎

    小泉委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁澄田智君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 小泉純一郎

    小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  16. 小泉純一郎

    小泉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  17. 沢田広

    沢田委員 夜分また御多用の中、総裁にはおいでをいただきまして、厚くお礼を申し上げます。  今回公定歩合引き下げられましたけれども、この点についての背景、それから何をいわゆる目的としてお考えになられたか、その点ひとつお聞かせをいただきたい。  それから、果たしてこれで景気がよくなり内需拡大するかということに疑念を持つ人もなくはありません。さらに、また引き下げも考えられるのではないか、こういうようなことも言われております。二重にそういうことは答弁しにくいであろうと思いますけれども、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  18. 澄田智

    澄田参考人 昨年九月のニューヨークにおきます先進五カ国の大蔵大臣、中央銀行総裁出席してのいわゆるG5の会議以来、多年にわたりますドル高の修正ということが各国の間で合意をされました。為替相場は、各国経済のファンダメンタルズ、基礎的諸条件をよりよく反映すべきである、そして、それが対外不均衡是正に資するように働くべきである、こういう合意ができた次第でございます。それ以来、日本銀行といたしましては、為替相場重視金融政策をずっととってまいりました。その方針は今後とも続けていくところでございますが、それと同時に内需拡大ということに対しましても、為替相場重視方針と両立する範囲内において、やはり金融政策としてこれを考慮すべきである、こういう見地に立ってまいったわけでございます。  このほど、ロンドンで開かれましたその次のG5の会議におきまして、昨年九月以来の為替面における成果というものを後戻りさせないという合意ができまして、そういう合意等が背景になりまして、先週末以来、為替相場はさらに円高の方向になって、百九十円台というふうなことになってまいりました。この機会をとらえまして、公定歩合引き下げ内需拡大に資する、そういう政策が妥当であると判断いたしまして、このほど、二十九日でございますが、臨時政策委員会を開きまして、公定歩合の〇・五%引き下げ、その結果、公定歩合は四・五%になったわけでございますが、これを決定いたしました。翌三十日から実施に入ったわけでございます。  今回の公定歩合引き下げは、現在の我が国の置かれております国際的立場からいたしましても、内需拡大して、それを通じて対外不均衡是正を図っていく、こういうところから行ったわけでありまして、金利水準が下がることによりまして、設備投資あるいは在庫投資あるいはまた住宅投資といったような投資がふえる、そして企業収益にも金利コストを引き下げるという効果がある。その結果、心理的にも明るい情勢をつくるということが期待できるわけでございます。  今回の引き下げの効果につきましては、今申し上げましたようなことで期待できると確信をいたしておりますが、ただ、金融面の措置は、金利の機能を通じまして間接的に働くものでありまして、これが効果が出るまでには一定の期間を必要とするものでございます。今後、私どもといたしましては、そういう効果の状況というものを十分注視をしてまいりたい、かように存じている次第でございます。  ただいまお尋ねの、さらに今後の金融緩和についての点でございますが、この点につきましては、冒頭申し上げましたように、為替相場重視、円高基調の維持定着ということにつきまして、やはり今後とも重点を置いて金融政策を考えていく、そういうことでございますし、今の時点において申し上げるということは全くできません。
  19. 沢田広

    沢田委員 じゃ、重ねてもう一つだけですが、今のアメリカ経済と貿易収支というのは、日本の立場から見ると、アメリカ経済のやり方が言うならば失敗をしているのであって、日本が悪いのではない、だからアメリカ自身が反省するべきであるというふうな主張もなくはありません。しかし、もしこのまま続くとすれば、さらに貿易収支はまた五百億ドル以上にもなる可能性もある、というふうに見ていきますと、また五月までの間においても、サミットに与える影響ということを日本は考えざるを得なくなるのではないかという予測もされるわけですが、その点はいかがお考えになっているでしょうか。
  20. 澄田智

    澄田参考人 ドル高の修正は、かなりのテンポで進んでまいったわけでございます。これは当然に、米国の立場からいえば輸出に有利に働いて輸出を伸ばす、そして輸入を抑制する、こういう効果を期待して行ったわけであります。  我が国といたしましても、その点については必ず日本の輸出数量が抑えられる効果というものは期待できるわけでございますが、ただ、ドル建ての輸出価格が円高になることによって引き上げられる、こういうことが伴うわけでございまして、こういう効果によってしばらくの間は輸出が、数量では伸びが鈍化するにいたしましても金額においては伸び続ける、こういうこともあるわけでございます。  そしてまた、原油の価格が下がっているということや、その他一次産品の価格の海外における低迷というようなこともありまして、しばらくの間は、やはり貿易収支の日本の黒字というものは縮小するということなしに続くということは十分考えられるところでございます。  しかしながら、円高基調が続いてまいれば必ず輸出の数量は伸びが抑えられ、輸入は増大する、こういうことでございますので、時間をかけることによって、貿易収支のアンバランスの是正に資する条件というものはだんだん整備されてきている、かように存ずる次第でございます。
  21. 沢田広

    沢田委員 お忙しい中、ありがとうございました。また、いろいろ機会を改めましてお伺いすることにしまして、私の分はこれできょうは終わりにしますので、どうぞお引き取りいただいて結構です。どうもありがとうございました。  大蔵大臣の方に今度お伺いしますが、大蔵大臣に一言先にまず言っておきたいことは、今回、たばこの値上げの法案が突如として出されました。これは、普通ならば税調税調といって、もう税調にかけないうちは法案なんか出すものじゃないというぐらいに金科玉条に考えていた大蔵大臣が、いみじくもこのたばこ消費税の値上げだけはすぱっと思い切って、たばこだからすぱっと吸ったのかわかりませんが、その提案をされました。これは関係者としては極めて意外であるし、また横びんたを食ったような気持ちでありまして、言うならば審議なりあるいはコンセンサス、そういうものを十分にとらないで、一人株主であるがゆえに大蔵大臣の専決でやられたということは、一つの悪例をつくったのではないか、こういう気もしないではありません。その点極めて遺憾でありますので、この点釈明しておいていただきたいと思います。
  22. 竹下登

    竹下国務大臣 今沢田委員は、極めて遺憾、悪例をつくったではないか、こうおっしゃいますが、私は、率直に申しまして悪例をつくったという気がしております。  各方面、まず一つはやはり国会だと思います。その国会に対しても、私は、仮に予測から少し離れたような施策を行う前には各党の理事の皆さん方でございますとか、事前にある種の相談と申しますか、言い古された言葉でございますが根回しと申しますか、それを自分の信条だと心得て今日まで参りました。  ところが今回、いよいよ予算編成の最後の段階で、まあ正直な話でございますが、どうしても地方財政の不足分というものをさらに補てんするとすれば赤字公債の増発によらなければならぬ、ぎりぎり赤字公債の減額というものを念頭に置いて予算編成に臨んでおります最終の段階において、どうしてもこれだけの金が足りなくなった、何としても何とかしなきゃならぬという環境の中で、結局たばこに手をつけざるを得なかったということでございます。  それでもこれが、例えば全部を地方消費税にした場合には税制の根幹に触れることになりはしないか。そうなれば、やはり半々で、国から別途交付税交付金として地方財政へ手当てをするということにしたら、まあ丸々が地方財政の方へ行くことになる。あれやこれや、原則に触れることもないようにというふうなことを考えながらこれを決断をいたしまして、それで後から税調へ持ち込んだ、こういうことでございます。で、税調は、やむを得ぬということを言ってちょうだいをいたしまして、事後了承というような形でございますから、これはやってはならないことをやったというような良心の苛責に耐えつつ、自分自身を反省しておったわけであります。  もう一つ言えることは、これはやはり会社——人で言いますならば長岡社長さん、あるいは労働組合、そして生産者の方、小売店関係の方、この方々にも、あの法律を通していただきます場合に、私は、世界一の労使関係だなんということを外国でも言っておりますし、それを今度の措置によって、せっかく世界一だと思われる労使関係を株主が壊してしまうことに結果としてなりはしないか、そんな反省もしまして、事後ではございますが一生懸命頭を下げ、まあ頭を下げる下げぬは別問題といたしまして、苦衷をお話ししたり、それから結果としてこうせざるを得なかったということを御了解を得るように、各方面にお断りして歩いておるというのが実情でございます。  私は、違法行為を犯したとは申しませんけれども、本当はやってはならないことをやらざるを得なくてやった、こういうことを素直に申し上げて、何回聞かれても遺憾の意を表したいと思っております。
  23. 沢田広

    沢田委員 これから総理大臣になろうという人がどうもこういう失敗をされることは、党内をまとめていくのにも極めて不都合になるのじゃないかと思うのですが、率直にお認めいただいたことはまあ敬意を表しておきます。しかし、中身に賛成したということではありませんので、ひとつそれは理解をしておいていただきたいと思います。  続いて、時間の関係でありますが、「増税なき財政再建」は堅持する、これはそのとおり理解してよろしゅうございますか。
  24. 竹下登

    竹下国務大臣 これはやはり、いわゆる当時は財政改革というより財政再建、こういう言葉を使っておりましたが、これのてことして、まず歳出削減に精いっぱい努力しろ、それには糧道を断ち、増税なきということがてこであるという、このお諭しを受けて今日までやってきたわけでございますから、それはやはり理念としてことし、私どもは財政改革に当たって持ち続けなければいかぬ課題だというふうに思っております。
  25. 沢田広

    沢田委員 これは、中曽根さんの任期が来て、大蔵大臣のときはそう言ったけれども、もし総理大臣になったら今度は変わる、こういうことではないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  26. 竹下登

    竹下国務大臣 その何になったらということは、やはり五百十一人の衆議院議員、二百五十二人の参議院議員の方それぞれ首班指名の資格をお持ちになっているわけでございますから、自分をその場所に仮定してお答えするということはやはり避けるべきだと思っておりますが、財政改革を進めるてことし、理念として堅持すべきものであるというふうに、堅持し続けていくべきものであると思っております。
  27. 沢田広

    沢田委員 その中で、減税も今私たちは主張をいたしております。財源の問題は今後また議論しますが、昭和五十年のときに租税収入は十兆円であります。そのときに源泉徴収は五兆円でございます。それから昭和五十五年のときには二十兆円が租税収入で、源泉徴収は十兆円であります。昭和六十年のときには全部で二十九兆円、約三十兆円でありますが、それで源泉は十五兆円、約半分ずつで来ております。だから昭和五十年から六十年にかけて考えてみると、源泉徴収者は五兆円から十五兆円という負担をするようになってきているという事実、これは現実です。結果的には、現在の累進税率というものは、増税なきという言葉ではあるけれども、実質上、自然に増税というものの適用に入って、結果的には三倍の税金を納めるようなことになっておる。この事実についてはどう御判断なされますか。
  28. 竹下登

    竹下国務大臣 私は正確に数字をとったわけじゃございませんが、事実は、恐らく沢田さんのおっしゃるとおりであるというふうに思います。  結局「増税なき財政再建」のいわゆる増税とは何ぞやということについて、またもとの議論に返るわけでありますが、新たなる税目によって租税負担率が大きく変わっていくというようなことであるとすれば、それはその範疇には入らないではないかというふうに考えております。
  29. 沢田広

    沢田委員 それでは、増税という言葉の意味の中には入らないけれども、それだけの負担が重くなってきた、こういう表現ならば、その事実としてお認めになられますか。
  30. 竹下登

    竹下国務大臣 重いということがいわゆる俗に言う重圧感というものであるか。数字が多くなったということであるわけでございますから、数字が多くなっておるということはこれは十分私どもも認めます。重圧感ということになりますと、もとより重圧感を持っていらっしゃるであろうと思うがゆえに税調に諮問をしておるわけでございますが、重圧感というものはそれぞれ人様によって異なるでございましょうから、実態として重くなっておるという感じであろうというふうに思います。
  31. 沢田広

    沢田委員 これは金額の絶対値だけじゃなく、比率においても、もう細かい数字はきょうは言いませんが、二五%というふうな比率になっているくらいですから、当初は一二%くらいなものがずっとそれだけになっているわけですから、所得がふえたから自然にふえたという部面もあるけれども、同時に今度は所得に対する割合においてもそれだけの増税が事実上行われておる。これがいわゆる直間比率というものの中で今問われている一つの中身だとも思います。  だから、源泉徴収者に精神的にもまた現実的にもそれだけの負担増が現実にある、そのことを率直にお認めをいただきながら減税について努力をしていく、こういう気持ちは持っていただけるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  32. 竹下登

    竹下国務大臣 それは同感であります。だからこそ抜本見直しという形で税調に御審議をいただいて、春ごろにはそういう重圧感等の分野から一つの方向を検討し終えていただけませんかとお願いをしておるということであります。
  33. 沢田広

    沢田委員 時間の関係ではしょりますが、今申し上げたことで、意識としては重税感、不満感は五〇%を超えておる、こういうことを念のためひとつ申し上げて、それにこたえていただくよう希望をいたしておきます。  続いて、赤字解消へ、今年度も歳入欠陥でなかなか難しくなって、一兆円はついに達成できなかった。そこで、きょう配られておる「中期的な財政事情の仮定計算」におきましても、六十五年の赤字解消へのこれからの道のりは極めて厳しい、だけれどもこれはやらなければならぬ、そういうふうに解釈をしてよろしゅうございますか。
  34. 竹下登

    竹下国務大臣 六十五年度赤字公債依存体質からの脱却、これは大変難しいことであると思っても、今この旗をおろすべきではないと考えております。  いろいろな仮定計算、中期展望にいたしましても、同じようなものを出してまいりましたが、多少そこに透かしみたいなものが出てきて、変化を遂げたのが電電株を売らせていただく、評価は現実の評価と合うかどうかは別として、一応予算にも出させていただいたり、そういうものが将来見通しの中で多少の変化というものをもたらす要因にはなるだろうと思っております。
  35. 沢田広

    沢田委員 これは、円高不況、円高デフレというようなこと、また今の総裁の発言もありましたが、そういう苦難にもめげず、この旗はおろせないし、この主張は貫かなければならない、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  36. 竹下登

    竹下国務大臣 やはり円高デフレというものを私も十分認識しておりますが、円高メリットの方が出てくることもまた私の期待の中にはございます。
  37. 沢田広

    沢田委員 メリットの話がありましたから、石油は相当、新聞にきのうも出ておりましたが、電力においては一兆円ぐらい出てきておる、こういうふうにも言われておりますし、また輸入の一次産品その他については相当安く入ってくる、こういうこともありますし、牛肉も安く入ってくる、あるいは外国のお酒も安く入ってくる。しかし、それには流通マージンなんか、この前も言われたように、八百円のものが千五百円の税金加わって今度は一万円で売られているという、こんなばかな話もなくはありませんので、結果的にはメリットの分をどう吸い上げてデメリットの分をどう補うか、こういう政策的な手法を求められるだろうと思うのでありますが、その点はどういうふうに行うつもりでありましょうか。
  38. 竹下登

    竹下国務大臣 まずメリットの方で申しますと、それは今沢田委員おっしゃいましたとおり、例えば電力で言えば一円で百二十億円ですか、そういう計算が出るわけでございますが、それらを恐らく設備投資等の前倒しとかいうことで景気浮揚のためにいろいろお考えになっておるではなかろうかと思いますし、また一方、それだけのものは、アバウト半分とでも申しましょうか、法人税でちょうだいできるというようなこともあるでございましょう。それから輸入品全体の実態の小売価格、そこまで影響がいつ出てくるかということ、今売っておるものは前の分でございますとかいろいろなお話もございますが、これは行政指導という範疇に入るかどうか別といたしまして、円高の差益といいますか、そうしたものが国民生活の購買力というものを刺激する状態に持っていくべきであろうと思っております。  そこで、そのメリットを今度デメリットの方へ対策として充てていくかどうかということは、これは私は別問題ではなかろうか。円高によるいわば転廃業等を伴う対策というものは、別の政策判断で選択していくべきものではなかろうか。すぐリンクするわけにもいかぬなというようなことを常々苦悩しておるところであります。
  39. 沢田広

    沢田委員 私も、直接それがリンクしたり、そっちの分を右から左へ隣のうちへ物を持っていくようなわけにはいかないとは思います。そこがやはり政治なのでありまして、一方は痛さで泣いているわけでありますから、政治としてはどういう手法を用いながらその分を回すことができるかを考えるのが我々の仕事であるというふうにも思うわけであります。その意味においては、例えば電力の一兆円と言いますが、前の山中通産大臣は、きょうはいませんけれども、前の円高のときには一部還元、返しましょう、二百四十六円で今つくられている相場であるから今になってみればそれだけ浮いてきているんだ、そうしたら次の通産大臣になったらそれはやめた、こういうことになったのであります。今度通産大臣に聞かなければわからないけれども、通産省は来ていると思うのですが、通産省はどう考えているのか。行ったり来たりしているような話でありますから、この際ひとつお答えをいただいて、私の方の提案について今度はお答えをいただこう、こういうふうに思います。
  40. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  現在の円高につきましては、円高になりましてまだ余り期間もたっておりませんし、影響が出るのにタイムラグもございますものですから、現在ようやくその影響が収支の面にあらわれ始めたというところであると思っております。私どもとしては今後、為替の動向とか、最近いろいろ情報が出てまいっております原油価格の動向でございますとか、あるいは全体の決算の状況がどうなっていくか、そういった事態の推移を見きわめさせていただきまして、その上でどういう方策をとるのが最も適当であるか慎重に検討させていただきたいと思っておるところでございます。
  41. 沢田広

    沢田委員 それは、今なったばかりだなんて、そんなことうそっぱち言ったってしょうがないので、前の前の大臣のときにも既にそれだけの差益が出ていたわけでありますから、その出ていたときに、還元します還元しませんという議論があって、その前が高かったから赤字を補てんするのです、最後はそういう言葉で我々だまされた格好になったけれども、そういうふうな答弁で済まされたわけであります。今度はそうじゃないはずなんです。だから、少なくとも現在の段階において、二百四十五円なりの相場から見て大体五千億なり一兆円なりというものは浮いてきているはずなんです。ただ、それをどう還元するか、その還元の方法が問題なんだと思うのですね。それはそうでしよう。どうですか。
  42. 川田洋輝

    ○川田説明員 御指摘のとおりでございまして、そのためにはまず事態をしっかり見きわめる必要があることを申し上げさせていただいたわけでございます。  今先生御指摘の点は、たしか五十八年に原油価格の値下がりが生じましたときに、それをどう取り扱うべきかということでいろいろな論議が行われたというふうに承知しております。現在はその状況を引き継いでいるわけでございますから、そういうことも総合的に踏まえた上で今回の事態の推移をよく見きわめて、何が最もいいかということをその上で考えていくべきであるというふうに思っておるところでございます。
  43. 沢田広

    沢田委員 そんなことだったら、日銀総裁はわざわざ公定歩合下げやせぬですよ。これでやればいける、百九十五円になるか、百八十七円になるかわからぬが、とにかくその辺くらいの金額になっても何とかここで越せると判断したから公定歩合もまた下げたんだと思うのです。あなたはまだ仮定だとこう言っている。片方はそれで大丈夫だろう、こう言っているわけです。  そこで、あなたにはそれ以上聞いても、責任者じゃないからだめなのかもわからぬけれども、少なくとも電柱をケーブル化するというような工事を全国的にすることだけは不可能ではないのじゃないか。計画も何か拠点には置いているようですから。  今借り賃は、一本例えばこの辺で四百円くらいでしょう。その値段だって政府が決めて、本人の承諾のいかんにかかわらず、かかわらずといっては悪いが、大体必要だからしようがない、こう言って民地をそのまま占有して、占有料はそっちで決めている、こういう格好でしょう。  そういう立場から見れば、当然これは皆地下にしてケーブル化して、公共事業にもつながるわけですから、そして樹木をふやせば緑も多くなる、こういうプラスもあるし、加えて河川の改修にもプラスになるし、洪水防止にもなる。そういうことを一つの例として、それを二千億やるか、三千億やるか、五千億やるかわからぬが、そのくらいのことは考えていいのじゃないか、どうですか。
  44. 川田洋輝

    ○川田説明員 どういう方策が最も適当かというのは、先ほど来申し上げましたように、事態の推移を見きわめた上で考えさせていただきたいということでございます。  ただいま御指摘のございました電柱をなくすお話でございますが、これは大変大事な問題であろうかと思っております。例えば快適な通行空間の確保でございますとか、都市災害の防止といったような観点から意義があることであるというふうに思います。  しかしながら一方、地中化というのは架空線に比べますとかなり多額の建設費を要するとか、あるいは一たん事故が生じますとなかなか早期復旧が難しいとか、あるいはやはり土地を掘る工事をするわけでございますので、地元との調整がきめ細かいものを要するといったようないろいろな事情がございますので、この点につきましては、私ども計画的に着実に進めていく必要があるであろうということで、実はここ数年間の平均で見ますと年間二十キロメートルほどという平均でございましたが、そういうことではなくて、今後十年間で千キロメートルということで、年間に直しますと百キロメートルという規模にかなり飛躍的な増大を図って、財政当局とも御相談をいたしましてこれにいろいろ支援もするということで、着実な進め方を今考えておるところでございます。
  45. 沢田広

    沢田委員 建設もおいでになっていただいていると思いますが、若干しつこくなりましたが、共同溝をつくって電電も共同溝の中に含めていくような施策ということは建設は考えておりませんか。通産も同じように、ひとりだけでやるのではなくて、今のような道路じゃなくて、掘っては掘り返し、掘っては掘り返しというようなぶざまなやり方ではなくて、共同溝をつくって、もし必要なら水道も一緒に入れ、ガスも入れ、そういう形に切りかえていくということが考えられると思うのですが、建設からお答えください。
  46. 伊藤茂史

    伊藤説明員 担当の道路局ではございませんので詳しいことは存じませんが、今通産の方からもお話が出ましたように、電力会社あるいは通産省とお話し合いをしながら必要な地域の電線の地中化というものを進めようということで、計画的に考えております。  今先生がおっしゃいました共同溝、あるいは建設省が最近モデル事業で進めておりますキャブシステムというのがございます。もう少し簡易な、ボックス形式のものを歩道に埋めていくものでございますが、そういったもの、あるいはケーブルのまま埋める、こういうものも場所場所によって適否があろうかと思います。そういうことも御相談しながら、町づくりのため、あるいは景観上も非常にようございますし、通行、交通の空間としてもその方が上等なわけでございますから、そういう施策関係者と相談しながら進めたい、こういうことで道路計画をやっておると思います。  それから、六十一年度の税制で、これにつきまして若干の特別償却制度その他の制度を設けておりますが、これもプラスになろうかと考えております。
  47. 沢田広

    沢田委員 今までの議論で、大蔵大臣、ひとつプロジェクトでもつくってそういう方向で——これは下水道もそうなんでありますが、下水道であるとかこういうものも、大型な景気浮揚の一部、内需拡大という意味で社会資本の充実という立場から私は一例を挙げたわけでありますが、そういう意味において、こういう円高利益というようなものを内需拡大あるいは社会資本の充実というところへこれから指標を向けていくべきではないかというふうにも思いますが、いかがでしょう。
  48. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、私は全くそのとおりだと思います。私自身の経験で、筑波の万博の会場へ行くまでの間を東京電力でたしか埋められたことがあります。それから中部電力では掛川の駅前の歩道、あの辺は森林地帯ですから、間伐材か何かできれいにする、そのかわり電柱を取っ払うということで、これは現地を見させていただいたこともございます。それに、さらに総合的にやればいいということは私もかねて思っておりましたが、ただ世田谷のケーブルで一遍、当時まだ電電公社でございましたか、あれをやられたときに、ははあ、そういうこともあるかなと思ったこともございます。が、また田舎の人と話をしましたら、田園はやはり電柱が立っておった方がふるさとだという感じがするというおじさんもおりまして、なるほどと感じたことがございますが、総合的に言いますと、今沢田さんのおっしゃることに私は全部賛成でございます。
  49. 沢田広

    沢田委員 時間の関係で若干飛ばさせていただきます。  労働も来られておりますが、なぜ労働を呼んだのかといえば、サミットを前にして、円高だ、公定歩合を下げる、こういう状況の中で、先進国最大の労働時間を持っておる。二千三百十八時間、とにかく二千時間を超えている先進国は日本以外ないということであります。三百十何時間、ちょうど四十日分に相当します。だから四十日分を減しても、西ドイツは千八百時間ですからまだ及ばない。こういう状況の中で、公定歩合を下げただけで事が済むわけではないと考えれば、この四十日間を、お盆休暇と年末年始休暇くらいで埋めるとしても二十日間ずつ、暮れの二十五日から十五日の成人式ぐらいまでどさっと休む、夏は夏で、二十日間はさっとフランス方式に休むというくらいな決断をしなければ——日本の今のだれかが出ているというのは極めて不親切なんですね。大臣、これは念のため言っておきます。公務員もそうですが、いると思ってこっちは電話をかける。きょうは休暇です、それで用が通じない。では代理の人で間に合うかといったら、日本の組織機構では間に合わない。部長さんがいませんからだめです、こういうことで、結果的には半端なんですね。それなら全部休んだ方がエネルギーも得だし、内需拡大にもなるし、非常にその点は一律的に、公務員も含めてでありますが、休んだ方が得である。得であるという言葉は適切じゃないでしょうが、効率的である、こういうふうに思います。  ですから、労働省はそういう立場に立って、サミットを前にしてこれから——それで一年限りで終わったんじゃだめですよ。ずっと続くという前提に立って、ひとつ労働省は考えてほしい、また、考えなけりゃならぬのじゃないか、こういうふうに思いますが、決意のほどを、まあ、大臣じゃないから余り期待はできないかもしれませんけれども、とにかくその決意のほどをお聞かせをいただきたい、このように思います。
  50. 松原東樹

    ○松原説明員 御指摘のように、労働時間の短縮の問題につきましては、週休二日制の拡大あるいは年次有給休暇の取得、そういった点で欧米と大きな格差がございますこと、御指摘のとおりでございます。  私ども昨年策定いたしました「労働時間短縮の展望と指針」、これは中央労働基準審議会の議を経て策定いたしましたが、それにおきましても週休二日制の拡大といったことを重点に据えております。  また、御指摘のように、年次有給休暇の取得につきましては、なかなか取得が進まない。その理由としておっしゃるような点もございますので、私ども年末年始、夏あるいはゴールデンウイーク、そういった季節あるいは業務の繁閑に応じまして連続休暇、できるだけ一斉に休むということを指導してまいっておるところでございます。昭和五十九年の政府調査におきましては、年間連続休暇の日数は十一日程度というふうになっておりますが、さらに、一律に全部強制的に休ますということはなかなか無理でございますが、今後とも一生懸命働きかけ、御趣旨に沿うように努力してまいりたいと思います。
  51. 沢田広

    沢田委員 御趣旨に沿うようにと言ったことだけはちゃんと責任を持って伝えて、御趣旨に沿ってやってもらわなければだめですよ、いいですね。あんたもここで言ったんだから、御趣旨に沿ってもらう。これは、約束したんですから、その点はきちんと、言葉じりをつかむというのじゃないですよ、その点は間違いなくやっていただきたい。  それからもう一つ、次にですが、税調の進捗状況はどうなっているのか。来年度の税制改正、これは今年度は中間的な財政である。ここに出ておりますように、三兆円なり四兆円なり不足をずっとしていく、そういう状況を見ていくと、税調の進捗ぐあいと考えている方向、どの程度まで現在進んだのか。きょうはそれは呼んでおりませんけれども、大蔵省側として知り得る範囲内においてひとつ経過を報告していただきたい。
  52. 竹下登

    竹下国務大臣 主税局長からお答えする前に私の感じだけちょっと申し上げてみますと、まず最初諮問をいたしまして、それで国会審議を詳細に勉強してもらうために委員の皆さん方に熟読してもらう。そこからかかって、そうして総論を議論してもらって、それで今三つ特別部会ができまして、それでかなりの問題点というのが大体出てきたな、こんな感じが今しておりますが、正確を期するために水野主税局長から正確なお答えをします。私の分は大変感じを申し上げただけでございます。
  53. 水野勝

    ○水野政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、昨年九月諮問を受けた後、総会を何回か開催した後、特別部会を三つ設置いたしまして、各税、国税、地方税を通じ一わたり審議をお願いをいたしたところでございます。そこで出てまいりました幾つかの主なテーマにつきまして、さらに技術的、専門的な観点から掘り下げて検討をしていただくために、学者を中心といたしました専門小委員会を設置し、そこに大きなテーマを幾つかおろして検討を依頼したところでございます。  現在、専門小委員会なり、そのさらに下のスタディーグループ的な形でその検討が行われておりまして、二月の下旬ぐらいからそういったものがまとまったものが出てまいりましたら順次また特別部会でもう一段階深めた検討をしていただく、そのようにいたしましてある程度の中身——その中心としては、負担感の軽減合理化を中心といたしました問題につきまして取りまとめがいただければ取りまとめをいただく。そうした取りまとめをいただいた後、全体を含めた姿、これは去年の総理の諮問なりあいさつにございますように、ことしの秋ごろまでに全体としての姿を取りまとめていただければ幸いである、こういうふうな段取りで現在お願いをし、審議が進められているところでございます。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  54. 沢田広

    沢田委員 アバウトな話になりますが、可処分の所得を現在の日本の風土あるいは日本の現在の民族性、そういうものを対象として今までもいろいろ、年金問題でも議論されてきたことなんであります。要すれば、所得の中でどの程度が公的負担としてやむを得ない限界なんであろうか、そういうことで税制、それから健康保険の負担、さらにもう一つは年金の負担、これが公的負担として考えた場合に、それぞれ今審議されているようですが、日本としては三五なら三五、三三なら三三が限界だというふうに置いているのか、スウェーデン、デンマークのように四五、四七、四八もあり得ると考えているのか、その辺のめどは、今どのようなめどで考えておるわけですか。
  55. 水野勝

    ○水野政府委員 現在、全体としての負担水準につきまして税制調査会で詰めて結論を出しておるという段階ではございませんが、臨調の考え方、行革審の考え方、このあたりの考え方におきましては、現在の西欧の負担水準よりもかなり低いところでとどめるのが適当ではないか。これはしかし、すぐことし、来年ということではございませんで、中長期的にそういった負担水準をめどにするのが適当ではないか、すべきであるというふうな方向が出されているところでございまして、税制調査会としても大ざっぱにはこうした考え方を背景審議が進められていると私ども考えておるわけでございます。
  56. 沢田広

    沢田委員 大体日本の預貯金率は一七%、アメリカは大体五、六%ですね。ですから、それを含めて考えて、三五としても五二、ですから四八ということになるわけです、可処分の所得は。ですから、その辺をよほどきちんと決めてから——一つ一つのことだけに入ってしまって、全体的な国民の可処分所得というものをどの程度にするか、こういう配慮を失しないようにしてほしいということ。これは大蔵大臣に答えていただくわけですが、特にその辺を念頭に置いてそれぞれの分野の検討をされたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  57. 竹下登

    竹下国務大臣 終局的には、いわば公的支出と見合う税収ということになりますと、そこのところは最終的には国民選択、こういうことになるでございましょうが、その問題と今度の税のあり方の問題とはまた別の次元でとらえなければいかぬ。そうすると、そのあるべき税制の姿というようなことについては、今沢田さんが御指摘なすったような問題意識は皆さんお持ちいただいて議論をしていただいておるというふうに私も見ております。
  58. 沢田広

    沢田委員 では、それはそれで、きょうは最初の会ですからその程度にしておきます。  次に、赤字法人の対応、今度も若干出されておりますが、赤字法人に対しては、結論だけ言いますと、いわゆる内部留保金は二分の一ぐらいに——これはやはり国民がひとしく痛さを分かち合うという論理からいくと、今赤字法人が百万あるわけですが、これはいわゆる法人税を納めていないわけで、内部留保はそのままぬくぬくと置いておいて帳簿上赤字になったからと言って納めない、一方の源泉徴収者は借金しても納めなければならない、これはどうしても庶民感覚の上において不公平感がぬぐい切れないのであります。ですから、現在全部で二十五兆円も内部留保金あるわけですから、そういう赤字の場合は二分の一ぐらいにして、あとは内部留保を見ないということになれば合理化も進むであろうし、いろいろな節約も行われるであろうし努力もされるだろうと思うのであります。二分の一がいいかどうか、数字の問題は別といたしまして、そのままが内部留保になって税金は納めないという形は不自然ではないのかというふうな気がいたしますが、その点はいかがでしょう。
  59. 水野勝

    ○水野政府委員 ただいまの沢田委員の赤字法人と内部留保の点の問題の御提起が税制上の引当金の適用に関してのものであるとして御答弁させていただきますと、引当金につきましては、これは法人が黒字でも赤字でも、その経理の過程におきまして費用収益対応という考え方から費用を適正に期間配分するという見地から法人税の課税所得を合理的に計算する、そういうことからのルールであるといたしますと、赤字の場合にその点を半分なり何なりに税制上削減するというのは直ちにはいかがかなという感じがするわけでございます。
  60. 沢田広

    沢田委員 検討する余地もありませんか、あなたの頭の中には。
  61. 水野勝

    ○水野政府委員 現在の引当金制度が戦後いろいろな変遷を経てきた中では、引当金として純化する前に準備金とかいろいろな名前で制度が適用されていた時代があり、そういった時代におきましては所得限度等の制度もあったわけでございますが、その後法人税が経理基準の整備合理化に伴いまして引当金として純化してまいっておる現時点では、これは税制だけの問題として簡単に検討してその方向に向かいたいというふうにはなかなかお答えしにくい点でございます。
  62. 沢田広

    沢田委員 そうすると、そういう赤字法人はもうやむを得ない、内部留保金を持って赤字だと言って税金を納めなくてもしようがないんだ、これは今の税法上やむを得ないんだというふうにあなたは思っている、こういうことですか。
  63. 水野勝

    ○水野政府委員 確かに百万近い赤字法人が、税額を申告してない法人がございますが、その税金の申告をしてない法人につきましては、それがどういう原因で、正当な経理処理の結果としてそうなっているのか、その経費なり損金処理のいろいろな操作によってそうなっておるのか、いろいろな原因があろうかと思います。二回のオイルショックを経まして赤字法人がかなりふえてなかなか低下してきていないということは一つの大きな問題点ではあろうかと思いますので、赤字法人についてどう考えるかという点につきましての問題意識は十分私ども持っておるわけでございますが、直ちに引当金の問題としてお答えを申し上げるには難しい問題であるというふうに考えております。
  64. 沢田広

    沢田委員 初日に難しい問題を出して申しわけないと思いますが、十分調査していく意向は持っておる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  65. 水野勝

    ○水野政府委員 赤字法人の問題については十分な問題意識を持って対処してまいっており、またまいりたいと考えております。
  66. 沢田広

    沢田委員 次に、今の内需拡大の中で、今後の一番大きな問題は住宅問題であります。衣食はほぼ足りたけれども、住はウサギ小屋と言われ、あるいは二DKの中に親子四人がひしめいている現状というようなことで、住宅問題はこれからの日本の社会資本といいますか、いわゆる国民期待感というものを満足させていく上に極めて重要な問題であると思います。  もう時間がありませんから、ちょっと調べた結果では、三千四百八十一万の住宅の中で持ち家が二千二百六十三万、借家が千百六十万、その他、社宅五十八万戸。そのうち不備な住宅は、三八%の千三百三十七万戸というような数字が出ておりました。  そこで、今まで何回か私も質問しましたが、東京都の都議選のときにも、二DKでふろがない、それで団地でわざわざ、区会か何かでふろ屋をつくって、大衆ぶろに入っておる。公団でつくった団地です。それが今日に至るもなおそのまま残されておる。これは極めて情けないといいますか、住んでいる人も悲しいでしょうし、政治としても随分お粗末な話だというふうに感じるものです。時間がありませんから、ひとつ大臣もその点、そういうものがあるんだということを認識してもらって、この住宅問題についての対応を今後図っていただきたい。  それから、三十分節約しますからもうあと二、三分になりましたが、今の国民意識の中で、石橋委員長も言いましたが、自殺率、高齢化社会、それから下水道、ひとり住まいの老人問題、母子世帯、離婚率の高さ、それから今言った住宅費、これはいわゆる住宅ローンの負担であります。現在、大体給与の八・三四%ぐらいの負担。これも公費負担に該当すると思いますが、そういうものを考えて、これが今の国民意識の中のデメリットの分を私は挙げたわけであります。これらについてもひとつ今後検討をしていただきながら、それぞれ対応した措置を講じていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、自治省にも実は来てもらいまして、現在の地方自治というものの歳入と歳出のあり方、それから憲法で保障された地方自治の今後のナショナルミニマムヘの、到達している分野と、していない分野の区分け、あるいはシビルミニマムとして到達している市町村、県のものと、達していない府県との調和、こういうものが地方交付税あるいは現在の三二%の税制の中で改めて見直されなければならぬ時期に来ていると思います。  以上三点になりましたが、二分ぐらいでお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  67. 野田正弘

    ○野田説明員 お答え申し上げます。  今先生から御指摘いただきました、二DKでふろのないものがあるというお話でございますが、この点につきましては、公団の住宅、今六十数万戸ございますが、そのうちでいわゆる二DK以上といいますか、世帯向けの住宅は一DK以上を我々は言っておりますが、その中ではふろがないものは今のところございませんで、昭和三十年代等に建てましたいわゆる一Kでございますが、その住宅にはふろのないものが相当ございます。これにつきましては、今の予算でこれからいろいろやるわけでございますが……
  68. 沢田広

    沢田委員 あるということがわかって、直すと言えばいいよ。
  69. 野田正弘

    ○野田説明員 今後直すように努力いたします。
  70. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 地方財政の問題につきましての御質問でございますが、地方財政におきます歳入歳出のあり方につきましては、適時見直しを行うことは当然必要なことでございます。  歳入につきましては、地方自治を振興するためには何と申しましても地方税源を充実するということが大事でございますが、何せ地方団体には税源の偏在がございますので、これを是正するための地方交付税というものはどうしても欠くべからざるものでございます。そして、この財源を確保した上で、それぞれの地方団体の財政需要を的確に捕捉するように今後とも努力していかなければならないと思っておりますし、毎年度交付税法を提出いたしまして、その財政需要の捕捉の仕方についていいか悪いかという点について国会にも御審議を賜っているところでございます。今後とも努力してまいりたいと思います。
  71. 沢田広

    沢田委員 あと大臣からひとつ。
  72. 竹下登

    竹下国務大臣 石橋委員長のお話も聞いておりましたが、自殺のときに県別でいうと私の県が自殺者が一番多いという数字が回ってきまして、じくじたるものがございましたが、やはり住宅問題、住環境問題につきましては、今度も税制上の措置とか住宅金融公庫等の措置とか行いましたものの、これは確かに土地が狭隘であり過ぎるという日本の宿命もございますものの、政治家全体として政治の問題としてこれからもきめの細かい配慮を絶えず行っていかなきゃならぬ暮らしの問題としては、一番重要な課題であるという問題意識は私も持っております。
  73. 沢田広

    沢田委員 強く要望して質問を終わります。
  74. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 坂口力君。
  75. 坂口力

    坂口委員 久しぶりに質問をさせていただきますのでお聞きしたいことはいろいろございますが、夜分の審議でございますので、できるだけ簡潔にお聞きをして終わりにしたいと思います。  「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」並びに「中期的な財政事情の仮定計算例」を先ほどちょうだいいたしまして、今ちらっと見せていただきながら二、三感じたことがございますので、ひとつこれを先にお聞きをさせていただきたいと思います。  この「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」を拝見いたしますと、歳出の面ではいかに切り詰めていかなければならないかということがるる書かれてございまして、福祉にいたしましても医療にいたしましてもさらに見直しをして合理化を推進しなければならないということが厳しく書かれているわけでございます。  その個々の問題はきょうはもう別にさせていただきまして、その六ページに「財政の中期展望」が書かれてございます。この昭和六十年度から六十四年度の「財政の中期展望」を先ほどから拝見をしておったわけですが、これを拝見いたしますと、昭和六十一年度の予算と、これから六十一年度の予算審議に入ろうというときに六十二年のことを申し上げるのは大変失礼ですが、六十二年とを比較して見せていただいておりますと、歳出の方は、昭和六十二年におきまして四兆四千六百十四億これでふえることになっております。上段と下段がございまして、下段の括弧の方は「新規施策等に充てるための予備枠を含む計数」と書いてございますから、上段で拝見をさせていただきましても、六十一年度に比較いたしまして六十二年度は四兆四千六百十四億ふえることになっております。  税収の方は、六十一年度に比較いたしまして六十二年度は二兆五千六百億円ふえることになっております。  公債の方は、特例公債は一兆三千百億円ずつ削ってございます。  これで六十三年、六十四年とずっと拝見をいたしますと、各年度ごとに比較をいたしますと、歳出と歳入との間にかなり差がございます。六十二年度だけ見ましても、歳出と歳入で、三兆四千億くらい歳出の方が増で歳入が少ない、こういう表でございます。  これは、「財政の中期展望」と書いてございますし、それからその前に「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」ということで考え方がここにるる述べられておりますけれども、こういう考え方をしてもなおかつ歳出の方はこれだけ要ります、そして歳入の方は公債を償還をしていきます限りこういうことでございますということで、「財政の中期展望」と申すよりも「財政の破綻展望」みたいな表でございますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  76. 竹下登

    竹下国務大臣 毎年出させていただいているのをずっと振り返ってみますと、なるほどこれだけの調整額をいろいろな苦心をしてよくぞ抑えたものだなという見方も私はできると思います。したがって、これは確かに見方によっては、今坂口委員おっしゃいますように、何だかこのままではこういうふうに破産しますよということを理解してもらうために出しておるような感じすらしないわけじゃございませんが、もともと前提を置きまして、例えて申しますならば「八〇年代の展望と指針」の七、六、五抜きの四、三、二、一の名目成長率、七、六の真ん中の六・五をとって弾性値を掛けてというような極めて機械的な問題もございますし、それから現在の制度施策をそのままに延長していくという物の考え方でやった場合はこうなりますので、過去の分と比較してもらうと、私も振り返ってみて、四年続いて一般歳出で三角の立った、こんな努力をよくぞ各省がしてくだすったな、こんな感じで見ております。やはり大きく将来をこの考え方に沿っていろいろな問題を展望していただく場合の資料としては、この「中期展望」も意義ある資料の一つではなかろうかというふうに考えております。
  77. 坂口力

    坂口委員 こちらに「財政事情の仮定計算例」の方もいただいておりまして、ちょっとこれと比較して見せていただきますと、成長率は三%と五%の間くらいの計算に歳出の方の数字はなっております。中間がどうかわからないが、四%前後くらいな数字になっているのではないかというふうに思います。この歳出の方は、この「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」を推し進めていった暁において大体このくらい、これ以下にはなりませんということを示したものなんでしょうか。
  78. 小粥正巳

    ○小粥(正)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの「中期展望」それから「仮定計算例」の一般歳出伸び率についての御指摘かと存じますが……(坂口委員「いや、その内容ですよ」と呼ぶ)内容につきましては、先生御案内のとおりでございますが、今回提出さしていただきましたものも、「中期展望」では六十一年度予算におきます制度施策をいわばそのままにして後年度に投影をしたいわゆる後年度負担類推計方式によっておりますので、これは文章に書きました「財政改革基本的考え方」では財政改革を強力に推進する、そして、先ほど大臣の所信表明にもございましたように、歳出各経費にわたりまして節減合理化をさらに一層強力に進めていくということでございますが、この「中期展望」は、これは一つの前提を置かしていただきまして、あくまで六十一年度予算におきます制度施策を特に変えないという、そういう意味でのいわば自然体推計と申しますか、そのような性質のものでございますから、この姿が「基本的考え方」に示されておりますさらなる歳出の節減合理化ということを必ずしもお示ししたものではございません。その点は、そのように後年度負担類推計方式を御理解賜ればと存じます。  一方、「仮定計算」の方は、ただいまの後年度負担類推計方式を離れまして、これは全くの仮定といたしまして六十二年度以降の一般歳出伸び率をここにお示しいたしましたように、それぞれ五%、三%、〇%という三通りの仮定を置いて、機械的にいわば延ばして数字をお示ししたものでございます。したがいまして、この「中期展望」あるいは「仮定計算」いずれの場合にも、一般歳出の六十二年度以降の姿は今申し上げましたような仮定を置いての数字でございますから、それがこの文章にございます「基本的考え方」で今後とも各経費にわたって歳出削減を強力に進めていくというその結果の数字では必ずしもございません。その辺はそのような前提に基づいての計算でございますから、御理解を賜りたいと思います。
  79. 坂口力

    坂口委員 今説明を聞いて大体わかりました。その説明を聞かないと、最初に「六十一年度予算と今後の財政改革」それから「今後の財政改革の進め方」、これらを拝見をしてこの後の「財政の中期展望」を拝見をいたしますと、この前に書かれておりますことを基本にしてはじき出された数字が大体この中期展望として当たるのかな、そういう気がいたしますが、そうすると前に書かれておりますこのこととそれから「財政の中期展望」のこの表の数字とは、これは連係したものではないということですね。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 小粥正巳

    ○小粥(正)政府委員 ただいまの点でございますが、六十一年度予算を前提といたしまして先ほど申し上げましたような一定の仮定を置きまして、中期的視点、六十二年度以降の数年間にわたります中期的な観点に立ちまして、財政運営を今後進めていく上での検討あるいは御議論の手がかりをお示しする、こういうことで後年度負担類推計に基づいた歳出の姿を一つの仮定計算ということでお示しを申し上げたわけでございます。ですから、これは率直に申し上げますと、この六十一年度予算で前提にいたしました制度施策を仮にそのままにして後年度に投影いたしますと、ごらんいただきますような非常な歳出圧力と申しますか、後年度負担がこのような厳しい財政事情の中で大変大きなものになってまいります、いわばそういう状況を率直にお示し申し上げた、こういうふうに御理解願いたいわけでございます。
  81. 坂口力

    坂口委員 そこまで聞きますと大体わかりますが、先ほども申しましたように、初めのこの文章とそしてこの「中期展望」とをこうして同じに比較をして拝見をいたしますと、そういうふうにはちょっと見えないわけですね。これこれいたしますということがるる書いてある。そうして、その次に「財政の中期展望」というこの数字が出てくる。そうすると、こういうふうな基本的な考え方でいきますと中期展望としてはこういうふうなことになってまいります、そして破綻をいたします、こういうことがここに書いてあるというふうにしかとれないわけですね。どうもこの書き方はちょっとおかしいんじゃないかという気がしたものですから、今先にひとつお聞きをしたわけです。そういう気持ちがいたしますね。  そして、一番最後を拝見いたしますと、確かに「要調整額」と書いてございまして、「各年度ごとに算出した歳出と歳入の差額を計上した。」と一番最後に一言書いてはあるわけです。ですから、これは「財政中期展望」というよりも「財政破綻展望」、こういうふうに破綻いたしますということを大蔵省がお書きになったのか、それならば最初にございます「基本的な考え方」のこの文章とそれはマッチしない、どちらが中心なのかということにいささか疑問を感じたものですから、御質問を申し上げたわけでございます。ひとつ御検討いただきまして、少しわかりやすいようにしていただきましたら幸いでございます。
  82. 小粥正巳

    ○小粥(正)政府委員 ただいま坂口先生の御指摘、私どもも十分謹んで承りまして、今後のこのような資料を作成いたしますときの大事な参考にさしていただきますが、ただ、あえてもう一度申し上げさしていただきますと、「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」では大変厳しい財政事情を御説明申し上げまして、このような公債依存度の大変高い財政ではやはり財政対応力が著しくいわば弱化しております、これを何とか回復しなければならないという考え方で、そのためのまず第一にやるべきことは経費の徹底した節減合理化であるということを繰り返し述べているわけでございます。  ただ、あえてこの「中期展望」で、先ほど申し上げました後年度負担類推計で大変大きな六十二年度以降の歳出の数字をお示ししてございますのは、繰り返し申し上げますけれども、現在の制度施策をそのままにしておけば、制度改革のさらなる努力をしなければやはり後年度の歳出増加圧力はこのように大変大きなものになりますということをむしろ率直にお示しをするのが、こういう資料をお出しいたしました一つの私どもの願いと申しますか、意図でもございます。そこを率直に申し上げさしていただきます。  一方、「仮定計算」の方は、これも極めて難しい道でございますけれども、例えば五%、三%、〇%という、こういう一般歳出伸び率ゼロを今後六十五年度まで続けるというような大変難しい仮定を置いたケースもお示しをしているわけでございます。歳出削減のさらなる努力基本的考え方では繰り返し申し上げ、しかし「中期展望」では、もし制度施策をそのままにしておけば歳出増加圧力がこれほど巨額なものになるということ、これをむしろ率直に申し上げ、お示し申し上げたかった、その点はお酌み取りをいただきたいと存じます。私ども、説明が大変不手際でございます。その点は率直に反省をさしていただきます。
  83. 坂口力

    坂口委員 わかりました。わかりましたが、私の申し上げているのは、今おっしゃったように現状を変えないということでいけばこういうふうに破綻をいたしますという、表の前段のところでかくのごとく改革をいたしますという文章が書いてあるからややこしくなるということを申し上げているわけです。少しこの点を訂正をしていただければというふうに思います。じゃ、この問題は一件落着でございますので、もうこれ以上申しません。  続きまして、先ほどG5のお話、日銀総裁の方からも出ておりましたが、昨年とことし一月、二回にわたりまして会合が持たれまして、そしてドル高に対します協調介入、そしてまたことし一月におきますところのG5におきましては、金利の問題がそこでお話し合いになられたということになっておりますが、ことしのその会合におきましてどういう具体的なことが話し合われたのかということは必ずしも明確になっていない面もあるわけでございます。その辺のところが今後の経済の動向にいろいろの影響を与えかねない面もあるわけでございますので、大臣から、ことし一月に行われた会議におきましてどんな問題がそこで話し合われたのか、今後このG5はさらに継続されるものか、そして、これが今後継続されるといたしましたならば、その話し合われる内容はいわゆる為替、金融に限られたお話なのか、それともその内容はさらに大きくなっていくのか、その辺のところをお聞かせをいただきたいと思います。
  84. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、そもそも論になりますが、G10というのがもう一つありまして、これはオーソライズされた会合でございますが、G5というのは、本当はどこかでだれかが決めて、規約があってということではなく、何となくIMFの暫定委員会とか、あるいはG10がある前にごそごそと集まりまして話をしたのがずっと数年間続いておる。悪口を言う人は、通貨マフィアの集まりだ、こう言います。通貨マフィアということはどういう意味かというと、要するに通貨ばかの集まりだというふうな意味にもとれるのでございます。通貨のことはおれたちが一番知っているぞというような連中が、物好きが何となく集まった、こういう批判もあります。だが、強いて私申しますと、SDRの構成国でございますからそれが集まって、あるいはベルサイユ・サミットのときに、将来IMFの専務理事あたりをチェアマンにしてお互いの相互監視をやったらいいじゃないか、多角的サーべーランスなんて言っていますけれども、相互監視をやるようなことがいいじゃないか、こういうことが、オーソライズされておる理由をあえてつければつけることになるんじゃないかな、こんな感じを私自身は持っております。  そこで、本当に五カ国だけでございますから、おまえのところは財政赤字が多過ぎるとか少ないとか、そんな議論が実際問題としては出てまいります。お互いが相互監視し合おうという感じで集まりますので、すっとんきょうな話もいたしますが、ニューヨークのときのG5が余りにも衝撃的であったということから世界じゅうの関心をより得るようになったのではないかと思っております。  やはりニューヨークのことから簡単にお話ししなければなりませんが、私は本当は会う機会は、十月六日ソウルでIMFの総会をやりますので、二週間しか違いませんからそのときに集まってもいいのではないかと思っておりました。が、どうしてもベーカーさんは二十二日に会いたい。しかし私は、ヨーロッパの三カ国が本当に来なければ、おれ一人遠いところへ行って、近いところの韓国で二週間待てばあるのにという気持ちがございましたけれども、最終的にヨーロッパが参加するというのがわかりましたので、私も成田からひそかに出た、こういう感じでございます。  向こうへ参りましたら、要するに上手にみんな整理いたしましたのは、先ほど申しました主要通貨国の通貨当局者による多角的サーべーランスの一環としての会合を持とうということで何となく集まったということになりましたが、本会合におきましては、通貨を初めとする世界経済をめぐる諸問題ということの意見交換が行われました。  それで、その第一が各国経済パフォーマンスと政策の協調が順調であること、そして他方、それが現下の為替レートに正しく反映されていないことということで認識が一致したわけです。  各国いろいろやっておるが、どうも今の為替レート各国経済のファンダメンタルズを正確に反映しておると思えないではないか、こういうふうな意見の一致でございます。あれだけ議論して変動相場制にしたわけですから、本来は介入なんというのは邪道だというような気持ちも、私自身も昭和四十六年、官房長官をしておりまして、直接の担当者ではございませんでしたけれども側面から見ておっても、いろいろ議論して変動相場制しかないというときに、やはり市場にすべてゆだねるべきだという気持ちがないわけでもございませんけれども、どうしてもこれでは、私の方で言えば円安に過ぎる、ドル高に過ぎる。五人集まったら、結局ドルの独歩高じゃないかというような認識で大体一致しまして、それで共同して政策をとろうや、密接に協力しようや、こういうことになったわけでございます。  そうなりますと今度は、しかし日本はそれだけではいけません、これだけの貿易、経常収支の黒字は、やはりもっと市場をオープンにしたり内需政策をとったり、これもしなければならぬと思いますという附属文書も私は私なりに出しました。それも確認し合ったわけでございます。  それからいわゆる俗称協調介入が始まるわけでございます。それで急速に円高基調がずっと定着してきた、こういうことになりました。今度はやはりそれをフォローアップしてみにゃいけないではないかというので、これは私も勘で考えまして、十八日の土曜の晩ぐらいかあるいは一週間後にそれを設定して、どちらかで集まってもいいなという気持ちはございました。したがって、私のコロンビア大学で学位をちょうだいします会合をちょうど真ん中へ設定しておきますと、どちらであっても参加できるという時間的、距離的にいいところにおるという自信も持っておりましたが、開くことになったわけでございます。今度はロンドンでございました。  それで、フォローアップで結局大事なことは、いい方向へ行っておるから後戻りせぬようにしようやということだけは合意したわけです。そうしますと、開発途上国の問題等がまた議論になりますと、やはり当面金利が下がるということはあの人たちの累積債務のためには大変いいことでございます。それから、内需ということを約束しておる私にとってもいいことでございます。  ただ、私どもとして気をつけなければいけませんのは、澄田総裁いらっしゃいましたが、公定歩合というものは法律上でも日銀の専権事項でございます。政治が恣意に働くべきものではないという節度だけは、出ておる大蔵大臣は皆ちゃんと踏まえております。そこで、我々の意識としては、インフレも大体いいところへ行っておるじゃないか、日本と西ドイツはべらぼうによくて、ほかもややいいということでございましょう。インフレが静まっておるというのは金利を下げる環境が整っておるというところまでが我々の意思統一で、あとは中央銀行さんの親方——親方は取り消します。総裁方でそれぞれ協力してやってもらったら一番いいな、こういうところまでにとどめてあります。その辺の節度は節度で考えております。  したがって、よく協調介入失敗とか、新聞に出ておりましたが、結局、金利問題というのはそれぞれの国の通貨の番人でございます中央銀行さんでお決めになることであるが、我々はそういう共通の認識は持った。そこでこれからの問題ということになります。金利問題になりますと、経済の動向でございますとか、また、当然のこととしてレートの問題とか、いろいろ参考にしてお決めになることでございますが、これを私なりにこの間整理してみますと、五カ国はできるだけ政策を協調してやろうやということになっているわけですから、経済政策の協調の一環としての金利問題が論じられた、そして環境が熟しておるというところまで合意したということに尽きるんじゃないかなと思います。  それじゃ今度は、将来どうするか、こういう坂口さんのお話でございますが、一つは、今問題になっておりますのは七カ国にしてくれという陳情、陳情というとちょっとおかしいのですが、申し入れがあっております。それはなるほどと思いますのは、SDRの構成国じゃないのでございますけれども、サミットで一緒になっておってどうだろうか、こういうことでございます。また、イタリーの場合などは、ヨーロッパの共通通貨の場合に介入をかなり余計されて被害者意識みたいなものもあるのかなという感じがしないわけでもございませんが、その問題はまだ結論が出ておりません。  我々、国際会議に出ますと、ちょっと集まろうやということは将来ともあり得ると思っておりますが、何を議題にしようという感じではなく、集まった合意が大体こういうことだったというような性格の会で、あくまでもインフォーマルな会であることは事実でございますけれども、世界で五人、中央銀行の総裁と十人で集まれば、それぞれの国の通貨の価値があれだけ一遍に翌日変わるものだ、田舎の方へ行けば、おまえも偉いものになったなと私も言われるのでございますけれども、これは私が偉いのじゃなくて日本経済がそれだけ評価されておるというにすぎないことでございます。余りにも九月二十二日が大きかったから、非常に権威のあるG5という格好になっていますが、本来は依然として非公式なものではないか。しかし、これからも折に触れそういうものはあって悪い課題じゃない。  それから、IMFの専務理事さんが招集されれば、五カ国のお互いの経済の相互干渉、おまえのところはこうやったらいいじゃないかとか、そういうような意見交換の場というものは、これはサミットでもある程度認知されておるというふうに考えます。  何といいますか、非常に現実そのままを述べましたので、あるいは整理した言葉になっていないかと思いますが、G5というものの性格として、今後もそういう非公式会合というものはやはりあり得るだろう。それから我々にとって、実際問題として、先進国でございますその五カ国の経済力というのは相当なものでございますから、集まって話をすることに意義はいつもあるなという感じはしております。ただ、それでそれぞれの国の内政干渉にわたるようなところまで、話としては友達になっておりますから議論しますけれども、表面でそれを声明に出すというようなことはしないという性格のものでございます。  大変行ったり戻ったりの説明になりましたが、そのとおりをお話ししました。
  85. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。竹下大蔵大臣個人演説会の感を呈しておりますが、二十分御答弁をいただきまして、私の質問する時間がなくなってまいりました。  幸いにいたしまして日銀総裁お戻りをいただきましたので、私総裁の方に質問の要求を出してないわけでございますけれども、ついででまことに恐縮でございますが、ひとつ一言だけお聞きをしたいと思います。  それは、今大蔵大臣からもお話が出ましたように、G5が持たれまして、そこでいろいろのお話があったということをお聞きしたわけでございます。その中で大蔵大臣は、公定歩合のことはわしの範囲じゃない、これは親方の範囲だということでございましたが、総裁の方で、公定歩合の問題、どんなお話が出たのか。そして、日本は引き下げが行われましたが、これは最終の底なのか、事と次第によってはまだ第二段階があり得るのか、あるいはまた、日本がこうして引き下げましたが、アメリカ初め他の国々はこれに対してどんなふうに対応してくるというふうにお考えになっているのか、その辺のところ、話しにくい話でございましょうけれども、できる限りのお話を伺いたいと思います。
  86. 澄田智

    澄田参考人 公定歩合のような金融政策は為替の介入の政策とは趣を異にしておりまして、各国それぞれ国内あるいは対外的な情勢を総合判断をして、それぞれの国において自主的にその中央銀行が決定する、こういうことは国際間には全く徹底している考え方でございます。したがいまして、G5の集まりに私も竹下大蔵大臣に御一緒して参加したわけでございますが、ロンドンにおける会議の際も、各国公定歩合政策について各国がそこで申し合わせをする、そういうようなことは初めから予定をされていた事項ではございません。ただ、今も大蔵大臣も言われましたように、各国の政策の協調という意味合いにおいて、金融政策についてそれぞれの国がそれぞれの国の置かれている立場あるいは考え方を述べるということはございました。  そこでその際、私の方からは、日本にとりまして内需拡大も極めて重要でございますので、公定歩合引き下げというようなことも機会があればやる考えがあるということを申したわけでございます。ただ、為替相場は、ニューヨークのG5以降各国と協調してドル高の修正をしてまいったわけでございますから、それが逆に戻るようなことがあってはならない、現在の相場はどうしても維持しなければならない、そういう意味で為替重視の政策をとっている、したがって、為替重視ではあるけれども、やるチャンスがあれば公定歩合引き下げということも考えられることである、こういうことを申し述べた次第でございます。  それに対しまして、各国それぞれの立場からの話がございました。私どもの方はそういう考え方で終始しておったわけでございますが、幸いにいたしまして、ロンドンのG5の後さらに一段と円高が進んだというようなことになりましたために、公定歩合引き下げを二十九日に決定し、昨日三十日から実施するということができた次第でございます。  そういうようなことで、為替相場をあくまでも注視をしながら、為替市場の状況に応じてそういうチャンスをとらえて実施をしたということでございますので、ほかの国につきましては、現時点におきまして他国も金利の引き下げ公定歩合引き下げをするかどうかということについては私全くよく申し上げられるような状態ではございません。各国ともそれぞれ今後の情勢の推移を見ながら判断をしていくことではないか、こういうふうに考えております。  それから、今後はどうだというお尋ねでございますが、現時点におきましては、私どもとしては引き続きまして円高基調の維持という意味において、為替相場重視の政策を続けていくつもりでおります。そういう前提の上で、今後の情勢によって総合的な判断をし、常にその時点時点において機動的、弾力的に対応していく、こういうことでございまして、今の時点において将来のことというのは全く申し上げられない次第でございます。
  87. 坂口力

    坂口委員 わかりました。それ以上のお話をお伺いするのは大変難しいと思いますので、これだけにしたいと思います。  それで、最後にもう一つだけ大蔵大臣にお聞きをして終わりにしたいと思うのですが、認知されたものであるにしろないにしろ、G5が将来G7になるのかどうかわかりませんが、そうした会合が持たれるということが世界の経済に大きな影響を与えることは、これはもう紛れもない事実でございます。  そこで、今まで金融を中心にしていろいろの意見交換が行われたわけでございますが、もう一つ税制の問題等も、それぞれの国が独自の税制を行うということ、これは当然でございます。しかし、そこにも世界の経済というものの調和を保っていくためには、税制というようなことについてもこれまた主要各国間で話し合いが必要になる可能性もなきにしもあらずではないかという気がいたします。そのことに対する大臣のお考えを、余り長くならない程度にひとつお答えをいただきたいと思います。
  88. 竹下登

    竹下国務大臣 いろんな分野で国際協調が必要になる。それで、G5といいましても人口は皆足しても六億弱でございましょう。したがって、世界の恐らく七分の一か八分の一ぐらいの人口で、恐らく世界の経済の五割ぐらいでございますから、それは確かに大きい影響を与えることになります、政策協調が行われた場合は。  税の問題は、大蔵大臣同士ではしょっちゅう話します。むしろ予算よりも税の方が多うございます。と申しますのは、予算は、例えばアメリカは大統領府の行政管理予算局に予算編成権がございますし、財務長官は予算そのものには関係ないとかで、日本はその点、大きな蔵と書いてあるくらいですから大変な権限のある役所になっております。しかし、税の問題は共通した課題として非常によく話される話題でございますが、何分歴史が違いますから、お互い議論しているうちに徐々に近寄っていくことは好ましいな。したがって、アメリカのレーガン税制の問題もまだ下院を通っただけでございますけれども、非常に我々も関心を持っておりますし、行った場合に、そういう審議の状況はどうなっておるかとか、参考になるものは聞かなければいかぬというような気持ちを十分持っております。  一方、G5でやるかそれは別としましても、税に関する国際会議というものも暮れにございました。私にも招待状来ましたけれども、ちょうど予算編成で行けませんでしたが、我が方からもそれぞれの識者に行ってもらいました。国会からも行ってちょうだいいたしましたが、そういう空気が政策協調の一環の中にあることは事実でございますので、私どもも十分関心は持っていなければならぬというふうに思っております。
  89. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございます。じゃ、これで終わります。
  90. 小泉純一郎

  91. 玉置一弥

    玉置(一)委員 大変遅くまで御苦労さまでございます。また、澄田総裁にはわざわざ戻っていただきましてありがとうございました。  先ほどからの話とほとんどラップするわけでございますけれども、やはり今一番の課題といいますか重要課題、そういう意味で、できるだけ中身をオープンにしていただいて、それぞれ国民の対応といいますか、そういうものをできるだけ適切なものにしたい、こういうこともございますので、ありのままに短くお答えをいただきたいと思います。  私も円高の問題から入ってまいりたいと思います。  先ほどから九月のG5のお話が出ておりましたけれども、このときに、為替相場に積極的な介入をされる、こういうことを取り決められたということでございますが、それ以降の変動の状況をずっと見ておりますと、余りにも急激な変動が続いてきているのではないか、こういうふうに思うわけでございます。こういう状況が続いたならば、やはりそれなりの行政としての対応もちょっと見直しをやっていかなければいけない、私自身はそういうふうに思ったわけでございますが、先ほどからのお話を聞いておりますと、円高基調を維持していくんだ、こういうことでございまして、そこでまずお伺いをいたしたいのは、当初九月のG5のときに決められた内容、今坂口委員の方に大蔵大臣の方からおおよそのお答えをいただきましたけれども、具体的な項目として挙げていただいて、現在の日本の円高、この状況から見てそれぞれどの程度その各項目が対応しているのか、そして逆にどういう判断をされているのか、これについて大蔵大臣並びに日銀総裁にお聞きをいたしたいと思います。
  92. 竹下登

    竹下国務大臣 この九月二十二日の評価ということは、ロンドンでいわゆる九月二十二日、日本は二十三日が休みでございましたから二十四日からということになるでしょう、日本の市場から見れば。それ以来の外国為替市場の状況をお互いが検討して、きょうまでに生じた為替相場の進展には満足だというのが完全なこれは合意でありました。  この問題は、そしてまたその後の評価は、私だけの評価になるのでございましょうが、言ってみれば為替市場の自律的な動きで今日の円高基調が定着、継続しておるということは好ましい、こういうふうな評価をしております。  それ以上になりますと、例えばどれぐらいな水準かということになりますと、私自身も反省しなければなりませんが、語学が達者でございませんので、質問が、二百一円が百九十九円になったらどうかというような話があったものだから、それは自律的にそれぐらいの動きはあってしかるべきだ、こういう表現が、何かロイターでは百九十円を日本の大蔵大臣が許容したというふうに伝えられたとかいうようなことも言われました。日本の大蔵大臣の発言というのは大変な影響を及ぼすものでございますので、私がどれぐらいでございましょうというようなことを知る由もございませんし、また言うべきでもないと思いますが、今の状態は経過的にも現実も満足しておるというのがお答えのあるいは限界かな、こういうふうに思います。
  93. 澄田智

    澄田参考人 為替相場の面におきましてそれまで続いておりましたドル高修正の点につきましては、今大蔵大臣も仰せになられましたように、非常にその成果というものは評価に値するものである、こういうふうに考えているものでございます。初めの間は、市場は半信半疑と申しますか、またドル高に戻るというような、そういう空気もないわけではございませんでしたが、その後時間がたつにつれまして、市場観あるいは相場観、市場の空気というものが非常に変わってまいりまして、現在の時点におきましては、その変わった市場の空気というものが現実の相場を支えている、こういう面も出てきているようでございます。そういう意味におきまして、今までのところは、ロンドンのG5において合意されましたように、成果は評価さるべきものである、こういうふうに考えております。  なお、政策協調の一環としての金融面のことでございますが、十月の下旬ごろに一時為替相場がやや停滞と申しますか、ドル高の修正、その足並みが衰えた時期がございます。この時点におきまして、日本銀行といたしましては、短期の市場金利、これが金融市場において引き締まるというような場合には、そのきつ目あるいは締まっている市場というものをレートにそのまま反映させる、これを金融調節によって緩和をしたりすることをやらないというような政策をとりまして、これがその後の円を高くする上において相当効果があったように思います。これも金融面における政策面の協調である、こういうふうに思いますし、また、一昨日、円高な為替市場の状況に応じまして公定歩合引き下げる機会を得ることができまして、〇・五%引き下げました。これは内需拡大を図るという、これもニューヨークのG5におきましての政策面で協調して進めるべき政策の中にある項目についての金融面の対応である、こういうふうに考えております。
  94. 玉置一弥

    玉置(一)委員 当初の目的からするとどこまでという幅はなかったけれども、大体大まかに言うといいところだ、こういうお話だと思います。ただ、確かに米国との関係からいくと、ねらっているところまでいっているかなという感じがするわけでございますが、日本のいろいろな企業、特に輸出型企業といいますか、輸出ウエートの高い企業、こういう企業にとっては大変深刻な問題になっているわけでございます。  中小企業庁等がいろいろな調査をされておりますけれども、これは中小企業団体中央会の調査でも、例えば二百十円の場合、二百二十円の場合、二百三十円の場合あるいは二百円以下となった場合、こういうのがございまして、ほとんどのところが二百円以下の場合には採算割れというようなことが言われております。そして、二百十円でドルが推移をした場合、これでもほとんどアウトということなんですね。また、十月の末ぐらいの新聞によりますと、これまた一ドルが二百円を割りますと業種としてほとんど赤字に転落をする、こういう形になっております。  こういうことを見ていきますと、ただ単に対外摩擦を解消していく、こういうことで最初は手がけられたことだと思いますけれども、たしか先ほどの澄田総裁のお話の中で、これは沢田委員に答弁された内容ですが、この円高基調の定着がしばらく続けば、内需拡大あるいは対外不均衡是正、あるいは金利負担とかに公定歩合引き下げが回り回って響いてくる、こういうお話をされておりました。円高基調というのも、これは一定期間続けなければ影響が出てこない。逆に、確かに一時的には価格の上昇になりますから収入がふえる、それでその収入がふえて次の契約から響いてくる、こういうことになるわけですから、確かにおっしゃるとおりでございますけれども、今度逆に日本の商品、これは強い商品と弱い商品といろいろあるわけですが、今の日本の景気、まずこれから考えていきますと、経済企画庁等のいろいろな調査によりますと、竹下大臣のよくおっしゃるおおむね堅調といいますか、こういう状況になっているようでございます。  ただ我々が感じますのは、余りにも業種間の好不況というのがはっきりし過ぎてきたのではないか、こういうふうに思うわけだし、また、今まで日本の景気を支えてまいりました弱電、これがICの関係の設備過剰、こういうものから、非常に先行き不鮮明というくらいに状況が悪くなってきております。そういう影響がもう既にいろいろなところに出始めているわけでございますから、円高もある程度のレベルにやはり抑えていくということも必要かと思います。  そういう意味で、ヤイター通商代表部代表、また、ボルドリッジ商務長官等米国の関係者の中では百八十円から九十円ぐらいが水準として望ましいというような話が伝えられている。一方、先ほどの調査によりますと、日本の企業はドルが二百円以下になったらとても採算がとれないんだ、こういう結果が出ているわけでございます。  ただ、今の円高基調、たしかきょうは百九十一円ですか、一円数十銭という数字にまでなっているわけでございまして、このままいって本当に内需拡大につながるのかな、あるいは逆に輸出をセーブしたために内需拡大に回る資金がなくなってしまう、こういうこともあり得るのではないかというような心配があるわけです。相場は幾らというのは、これは確かにおっしゃいますと物すごく大きな影響力がございますから難しいとは思いますけれども、これから先行き相場がどうなるかということよりも、もしもそういうところに行き着いてしまった場合にやはり政府なり日銀として何らかの対策を立てなければいけないと思うのでございますが、そういうことを含めて考えた場合にどうなるのかということ、その辺についてお伺いしたいと思います。
  95. 竹下登

    竹下国務大臣 今いみじくもおっしゃいましたように、業種間でいろいろな差がございまして、それで我々も選挙区の方からもあるいはいろいろな業界の方からもいろいろなお話を聞く機会もございますが、絶えず政治家としてそれは肌で感じていなければならぬ問題だと思います。  確かに向こうの欲しい物は値上げしたって売れるわけでございますから、その点は影響を受けることは少ないと思いますが、どちらかと言えば中進国から追い上げられておって、わずかな技術の差で、品物のよさで勝っているというようなところへの影響というのはやはり一番大きいと思います。  私は、自分自身で思いますのは、あの石油ショックをとにかく切り抜けた日本経済というよりも日本人、しかも節約をしまして、その節約が今日まで続いて、油の代金が下がればそれだけ輸入がふえるわけではございませんので、節約が続いておりますから、貿易黒字の点においてはそれだけから考えればいい方向じゃないと言えるかもしれませんけれども、あの石油ショックもしのいだ。そうして、五十二年、五十三年の大幅な円高局面でも、結果としてはいわゆる柔軟に日本の企業が、労使が対応してこれに耐えてきたではないか。だから、すばらしく労使関係はいいし、勤勉だし、頭はいいし、その柔軟性というものは十分国際競争力にたえ得るものだと、期待と一つは誇りみたいなものを持って、時々そんなお話を私はするのでございます。  今おっしゃった業種によって競争力が本当にぎりぎりのところというようなものは、大体において産地を形成しておりますから、その産地形成しておるところに対しては地方自治体も敏感に反応されるし、それに対する対応は一応十二月二日からでございましたか、金融を稼働させようということになったわけです。それを今度は金利も下げて対応しようというようないろいろな政策的な対応策を考えなければならぬなという問題意識は十分持って、今度のいわゆる税法上等におきましてもそれなりの対応をさせていただいておるということですが、今おっしゃいましたように、しょっちゅう非常に目配りをして見ていなければならぬ問題だと思います。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕  それから、ボルドリッジさんも商務長官でありましたし、ヤイターさんは通商代表部の代表であって、それの制度の仕組み仕組みによりますが、中央銀行と大蔵大臣はそういう観測を打ち上げませんけれども、割合に通商代表部なんかはよく打ち上げられます。市場の方も賢うございますから、それによって大きなぶれが出たということは今のところ余りないなというふうに見ておりますが、政策課題としては、本当に絶えず目配りしていなければならぬ課題だという問題意識は十分持ってこれからも対応していくつもりでございます。
  96. 澄田智

    澄田参考人 日本銀行の立場から申し上げます。  円高化の進展に伴いまして輸出産業にとって採算面とか受注面で影響が出る、これは避けがたいところでございます。しかも、コストでありますとか競争力とかいうものは個々の産業、個々の企業によって違いますので、その影響も区々であると思います。  私どもといたしましては、今後の輸出産業の動向につきましては最大の注意を持って見守ってまいりたいと思っております。そうして、日本銀行の立場におきましては、内需拡大を通じて対外不均衡是正を図ることがやはり期待されるわけでございますので、昨日から公定歩合の〇・五%引き下げ、四・五%になったわけでございますが、これもそういう観点から実施した次第でございます。このような措置は、輸出企業の金利負担を軽減するという意味におきまして、輸出企業にとりましても相当の好影響を及ぼすものと期待しておる次第であります。
  97. 玉置一弥

    玉置(一)委員 確かに影響が出てくるのはこれからだと思いますけれども、我々の感じでは既に仕事の発注がとまったというところがかなり出ておりまして、いろいろな対策を急がなければいけないのかなと思う。先ほどもちょっと言いましたけれども、冷え過ぎた場合、ブレーキがかかり過ぎた場合、この辺が一番大きなポイントだと思うのです。今の為替レートを一応維持していくということで考えていきまして、百九十一円台という値段がついているわけですけれども、この百九十一円台というのは、先ほどの中小企業団体等、あるいは新聞紙上にも出されましたような調査によりますと、各企業ともに採算がとれないというふうになるわけですね。採算がとれないのに加えて、今度は上げますから売れなくなる、こういうことになってまいりますから、その辺の調整は、先ほどしばらくの間というお話をされましたけれども、大体いつごろ効果としてねらったところに差しかかってくるのか。そうなってくるということは要するに輸出のブレーキがかかるということでもあるかと思います。  それから、逆に言えば、そのころから国内企業のいろいろな、不採算のための資金繰りとか、今度は合理化への努力のための資金とか、こういうことが必要になるわけでございまして、これについて中小企業庁に来ていただいておりますけれども、その時期との関連もあるわけで、通常の場合、例えば為替の大幅変動があった場合に大体どのくらいで影響が出てくるのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  98. 上田全宏

    上田説明員 お答え申し上げます。  今般、中小企業庁におきましては、輸出比率の高い中小企業産地五十五産地につきまして、六十年、去年の十二月からことしの一月中旬における円高の影響調査実施いたしました。  先生お尋ねのレート、今後の見通しの問題でございますが、これにつきましては二百円ないし百九十円と聞いておりまして、かなり厳しい見通しを持っておるところでございます。具体的に申し上げますと、新規成約額、経常利益、いずれも百九十円で、おのおの四十七産地、三十八産地において影響が出るというように回答が来ておるわけでございます。
  99. 玉置一弥

    玉置(一)委員 影響はいいのですけれども、先に大蔵省並びに日銀の方から、為替変動が大幅にあった場合にいつごろからその影響が出てくるのかということについてお答えをいただきたい。
  100. 行天豊雄

    行天政府委員 為替が変動いたしました場合、例えば今度のように円高になりますと、どうもちょっと重複的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、当然、まず円建てで輸出されております分につきましては、直接すぐには影響は出てまいらないわけでございます。ドル建てで輸出されておりますものにつきましては、ドル建ての輸出価格を引き上げませんと円の手取りが減ってしまうものでございますから、輸出者といたしますとできるだけドル建ての価格を上げて円の手取りを減らさないように努力することに相なると思います。  そういたしますと、先ほどからお話がございましたように、買っている方にいたしますと、値段が上がるわけでございますからもっと安いものを買った方がいいなというようなことで、輸出の数量がだんだん減ってまいるということに相なるわけでございます。  そういった効果がいつごろ出てくるかというのは、それぞれの商品の競争力、これも値段だけじゃございませんで、品質の問題とかその他サービスの問題とかいろいろございます。そういう要素で決まってまいるわけでございますので、余りはっきりしたことを申し上げられないわけでございますけれども、通常、今までの経験を見ておりますと、早いところで二四半期ぐらい、それから長いところではさらに一年ぐらいかかってそういう為替の上昇に伴います価格がだんだんと出尽くしていく。その過程で、輸出者にいたしますと確かに数量の減少に伴う輸出収入の減少という影響も出てくることに相なろうかと思っております。
  101. 玉置一弥

    玉置(一)委員 それでは、もう一回中小企業庁に聞きますけれども、もう既に影響が出始めているかどうか。先ほどかなりの影響があるというお話でしたけれども、その辺についてはいかがですか。
  102. 上田全宏

    上田説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように調査実施したわけでございますが、今回の調査によりますと、まず前回までの調査で目立ちました円高模様眺めによります輸出向けの新規成約ストップ、これは減少しております。ただし、成約価格、これにつきましては、前年に比べて低下をした産地がかなり多い。それから、受注残につきましては、適正水準を下回る産地がさらに増加いたしております。また、受注残の食いつぶしが進行した産地も多いということでございます。さらに、資金繰りが苦しくなっている産地もさらに増加いたしておりまして、全体で七割に達しております。また、操業短縮が見られる産地が過半数を超えております。それから、一部に休廃業、倒産も見られるわけでございます。  こういった調査結果から見まして、前回調査、これは去年の十一月時点でやっておりますが、それに比べまして円高の影響はさらに進展しているものと中小企業庁としては判断いたしておる次第でございます。
  103. 玉置一弥

    玉置(一)委員 今お聞きになりましたように、いろんなパターンがあって既に影響が出ているということです。  先ほど国際金融局長のお話によりますと、大体六カ月から一年、その間にばらついている。それが十、十一、十二、一の四カ月なんですね、四カ月で大体七割ぐらいに資金繰りの悪化あるいは受注残食いつぶしが出てきているわけで、六カ月待つと半分ぐらい倒れてくるんじゃないかというようなちょっと心配もするわけです。ただ、アットサイトで契約しているとかあるいはユーザンスを使っているとかというので、それで三カ月ぐらいずれますから、企業によってあるいはやり方によって大分違うわけですけれども、少なくとも大蔵省として、そういう為替変動のあった場合、通産省あるいは中小企業庁と相談をされまして、できるだけ早い時期に対策を具体的に展開をしていかなければいけないと思います。  ただ、先ほど大臣の方からお話がございましたように、確かに産地に集中する場合が多いわけですね、中小企業は特に。その場合、地方自治体が何らかの措置をとるというようなお考えでございますけれども、補助金は削られるわ、人件費はなかなか抑え切れないわ、あるいは税収は、地方税は非常に逆に低下をしてきております。そういう情勢で、地方だけに依存するというのは非常に怖いわけでございますから、より具体的な、また、早い対応が必要だと思いますが、これについてどういうふうにお考えになっておりますか。あるいは中小企業庁で具体的にあればお答えいただきたいと思います。
  104. 竹下登

    竹下国務大臣 私の方からまずあらまし申し上げておきますが、私が自治体と申しましたのは、本当は年末対策等を考慮して十二月の初旬に決めましたときに、各自治体の対応がそれよりも早いといいますか、スピードがかかっているわけです。ああやはりこういう産地形成しているから自治体というのは早いものだなという強烈な印象を受けたのがまだ頭の中に残っておったわけでございます。その際もでございますけれども、中小企業庁の方と我が方で対応し得る問題というのは、政府系三機関に対する対応の仕方とかでそれぞれ相談して緊密な連絡をとってやっておるということが私は言えると思っております。私からはその程度のお答えにとどめておきます。
  105. 長田英機

    ○長田説明員 昨年の秋の急速な円高に伴いまして、先ほど調査課長からも御答弁申し上げましたように、円高による影響が徐々に徐々に深まってきているという状況下に直面いたしまして、私ども中小企業庁といたしましては、大蔵省とも十分相談をいたしまして、昨年の十二月に特別の金融制度を創設いたしました。そしてさらにことしに入りまして、この金利水準を六・八%から五・五%まで引き下げております。  そしてさらに、中小企業者が活路を求めて事業転換する場合の対策も含めまして新規立法措置を講じるように、今国会において新しい法案を提出するように用意をしているところでございます。
  106. 玉置一弥

    玉置(一)委員 あと三分だそうでございますが、円高については、今いろいろお話がありましたように大変影響が出てきている。そして私が思いますのは、大手企業の場合には、ことしの為替レートといいますか、大体四半期ごとに分けて為替レートの設定をして、それによって損益を予測をする、こういうことで予算化するわけでございますけれども、当初人為的に始まったものでございますから、その人為的に始まったものがどこのレベルで落ちつくのかという心配もあるわけで、そういうこともあって、今後どうなるのかというお話を申し上げたわけです。  逆の言い方をしますと、日本のいろいろな基幹産業といいますか、そういう輸出の、まあ昔は貢献者ですね、今は悪みたいに言われているわけですけれども、そういう企業が安定しないと、日本経済に影響を及ぼすわけでございますから、何らかの指針たるものというか、らしきものですね、そういうもの、あるいは少なくともまあまあおおむねこのぐらいとかいうものが出てくれば一番いいわけでございます。こういうようなことができないかどうか。というのは、予算というか事業計画、こういうことに非常に影響するわけですし、場合によっては資金繰り等にも響く、こういうこともございまして、その辺について、できるかできないかお伺いをしたいと思います。  あと、予定は所得減税の話があったのですけれども、これはもう次回に譲ります。ただ、ぜひそのときにはよろしくお願いしたいというふうに申し上げますけれども、とりあえずそれだけお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。
  107. 竹下登

    竹下国務大臣 為替レートに一つのガイドラインとかあるいはターゲットとかを設けるということは、これは市場主義とでも申しましょうか、マーケットにゆだねることが一番いいことだという変動相場制をつくったときの土台からいえば、やはりターゲットというのは、これは難しい問題であろうと思います。  今玉置委員おっしゃるように、各企業内レートというのを確かに設定しておりますよね。それは非常に苦心のあるところであろうと思いますので、それぞれの業界とか産地とか、中小企業庁等の指導を得られていろいろな対応をしていかれると思います。率直に申しまして、中には転廃業もあろうかと思います。それらに対する対応の仕方というものは、これは政策で対応するということには絶えず目配りをしていなければならぬ課題だというふうに考えております。
  108. 玉置一弥

    玉置(一)委員 同じような点で、日銀総裁はいかがですか。
  109. 澄田智

    澄田参考人 G5の会合等におきましても、特定の為替の水準というものを目標、ターゲットとして設定いたしまして、それを目指して市場に臨むというようなことではございませんで、円を含めまして各国通貨につきましてそれぞれ各国の基礎的な経済諸条件、いわゆるファンダメンタルズ、これを十分に反映した水準になることが望ましい、こういう姿勢で臨んでいるわけでございます。
  110. 玉置一弥

    玉置(一)委員 終わります。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 小泉純一郎

  112. 正森成二

    ○正森委員 遅くまで大蔵大臣以下政府委員がお残りいただきまして恐縮でございます。また、奇特にも今までお残りいただいた同僚議員にも御礼を申し上げたいと思います。  大蔵大臣財政演説を拝見いたしますと、この中に、「昭和六十五年度までの間に特例公債依存体質からの脱却と公債依存度引き下げに努めるという努力目標を示し、それに向けて懸命の努力を重ねてきたところであります。」というようになっております。六十五年までの特例公債脱却が努力目標ということになっておるわけです。これは今後とも維持されるというように今までの御答弁がございましたが、一たび緩めるとこれはいろいろ緩みができるということだそうでございます。  しかし、考えてみますと、六十一年度では、国債で減額されたのが前年度比七千三百四十億ですが、そのうち特例公債は四千八百四十億しかございません。さらに、六十年度を見ますと、当初予算で一兆円の減額でございまして、赤字国債は七千二百五十億円でありましたが、補正予算で残念ながら七千五百八十億円増額になり、そのうち赤字は四千五十億円でございますから、言ってみれば当初の努力がほとんど消えてしまったと言っても言い過ぎではありません。したがって、六十一年度減額いたしましたが、なお赤字国債が五兆二千四百億円残っております。  ただ、物は見方でありまして、補正予算に比べれば実に総額一兆四千九百億円減額した、赤字国債は八千九百億減額したという言い方もできますが、しかし、これは六十年度における不十分な減額を前提にすることになりますから、当初予算で考えると非常に厳しい状況であります。  きょういただきました「展望」を見ますと、六十五年度までに赤字国債依存から脱却しようとすれば、当然のことながら、五兆二千四百六十億円を四で割りまして一兆三千百億円ずつ減額しなければならないということになります。これは、いかに努力してもこれまでの通常の税制のもとでは極めて困難なことだと思いますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  113. 竹下登

    竹下国務大臣 六十五年度までにいわゆる特例公債依存体質から脱却するというこの努力目標の達成は容易ならざる課題であるという問題意識は、私も持っております。したがって、今正森委員おっしゃいましたように、ここで外すと今までの努力が水泡に帰してしまう、それこそかたくななまでにこの旗はおろさないで進めていかなければならぬ。しかし、本当に毎年毎年、私もこれで五回予算編成をさせていただきましたが、ここのところ四年連続見まして、本当にこれでやれるだろうかと。が、結果を見れば、とにもかくにも一般歳出の前年同額以下ということを続けてきた。だから、この努力をやはり引き続きやることによって、この旗をおろさないで努力目標達成のために努力を続けていかなければならぬ。  今いみじくもおっしゃいました税の問題等につきましては、いわば税調で抜本をやっていただいておって、まだ結論が出ない前にどうのこうのと言うわけにもまいりません。強いて去年お出しした試算から多少違ったものは何があるかと言えば、結局ことしは、要するに予算でもお願いしておりますが、電電株を売るということで透かしがちょっと表へ出たという変化があっておるかなというふうに思います。
  114. 正森成二

    ○正森委員 一般歳出をほとんどふやさずに抑えてきた。確かに、ことしの予算は十二億円減というようになっているはずであります。しかし、ここに主計局次長もおられますけれども、忌憚なく指摘させていただきますと、これには非常に無理を重ねたからくりがあるのじゃないか。  例えば、国庫負担補助率削減による地方への負担転嫁分が、一兆一千七百億円からたばこ消費税等の二千四百億円を引いた九千三百億円あります。これは当然一般歳出増になるべきものでありました。  それから、国家公務員の給与改善費の一%分、これは毎年計上しておりましたが、これを補正予算に初めから回しまして七百八十億円節約しております。  特別会計の振替操作分、揮発油税の一部を道路整備特会直接繰り入れで千百二十億円であります。  それから、国債費への振替操作分、国鉄長期債務の一部五兆円の利子助成を国債費にすりかえることによって、一般歳出を千七百三十億円減額しております。  それから、後年度に先送りした分では、厚生年金の国庫負担繰り延べが例によって三千四十億円、政府管掌健保国庫補助の削減が千三百億円、住宅金融公庫利子補給金の繰り延べが千八十四億円、合計五千四百二十四億円で、それを合計いたしますと、当然一般歳出は一兆八千三百五十四億円政府原案よりも膨らまなければならないということになるわけであります。  それに加えて、今年度は何とか予算繰り入れで賄いましたが、国債整理基金が枯渇してまいりますから、来年はそういうわけにはまいらぬ。もちろん、NTTが非常に高額に売れれば別な話であります。それが本年度では二兆七百四十億円入れておらないということを考えますと、政府が非常に努力をいたしましても、現状のままで特例公債を一兆三千百億円ずつ減額していくというのは極めて困難なわざであるというように言わざるを得ないということをやはり指摘しておきたいと思うのです。  その上で、大臣に本音の話を聞かせていただきたいと思います。  新聞を見ますと、「シャウプ博士、蔵相と語る」という記事が、ある新聞に出ております。これは、コロンビア大学での名誉法学博士の授与式にニューヨークに立ち寄られたのを機会に、日本税制にとって非常に関係の深いシャウプ博士と今月二十三日税制問題について対談されたという内容であります。もちろん公式には、税調で御審議の最中でございますからとか、あるいはこの春以降答申が出る予定でございますからとかいう答弁になろうかと思いますが、我が国の一流新聞がこういうように堂々とお書きになったことについては、権威ある大蔵委員会で答弁をしていただく必要があると思います。  それで伺いますと、こう言っておられます。「個人所得税についてはこれまでの小委員会などの議論を参考にした結果、地方税を含め六割台程度の負担が限界ではないかとの結論だ。法人税についても地方税を含め五割以下とするのが適切ではないか、というところまで議論が進んでいる。」これは、政府税調の議論が進んでいるという意味であります、前の方は省略しましたけれども。「政策的減免措置も極力縮小していこうとの方針だ。」こう言っておられるのです。  ここから言えることは、個人所得税というのが—これは新聞の誤りではないかと思いますが、同じ新聞の別のところに、大臣が「地方税を含め九〇%近い日本の個人所得税の最高税率を「六割台程度に引き下げたい」との意向を表明した。」というリードを出しているところがあります。しかしこれは、確かに国税が七〇%、地方税が、市町村民税が最高一四%、都道府県民税が四%、合わせれば八八%になりますが、御承知のように特例で七八%で頭打ちでありますから、「九〇%近い」というのは恐らく大臣が必ずしもおっしゃらないことを書いているのであろう、こう思います。  いずれにせよ、七八%という最高を、六割台程度の負担が限界ではないかということになれば、六割台の上の方として少なくとも一〇%、下の方の六割台でありますと一五%以上ということになりますが、そういうところへ持っていきたい。法人税は実効税率が大体五三%前後でありますが、それを五割以下にしたいということになりますと、これは数%の減税になるということで、別のところで大臣は「累進制度を前提とした上で所得の半分程度は納税者の手元に残すことが、納税者の創意と努力を損なうことなく個人の活力を維持する上で適当だ。」と言っております。そうしますと、この六割台というのは無限に六〇に近い六割台であるというように言わなければならないと思うのですね。これは重大な発言であります。大臣の真意をお聞かせ願いたいと思います。
  115. 竹下登

    竹下国務大臣 一月二十三日、そのとおりでございます。  二十二日にコロンビア大学に参りました。シャウプ先生もコロンビア大学の元先生でございますが、もう八十三歳とおっしゃいましたか、若い先生はいらっしゃったことを知らないような状態でございました。しかし、私が敬意を表したいということを申しておりましたが、やはり元先生でしたからちゃんとコロンビア大学へ出ていらっしゃいました。それでわざわざそっちへ行くこともなくホテルでお会いをできたわけでございます。  そこで、原則として私は国会で予見を申し上げないということをいつも言っております。それはばかの一つ覚えみたいによく言っております。その線を越しちゃならぬなということは承知しておりまして、シャウプ先生の考え方を引き出そうと思いながら確かにいろんな話をいたしました。  どちらかといえば、いわば所得税のときはシャウプ勧告も本当はあれだけの税率の刻みはございません。だからシャウプ先生は、自分が勧告したことがやはりまだいいという大体の感じのようでございまして、その先生の御意見等は我が国においてもそれはいろいろ聞かされて評価をされておりますというようなお答えも私からしました。  税調でそこまで進んでいるというようなことを言いますと、これは私、ばかの一つ覚えみたいに、予見を交えてはいかぬということをよく言っておりますから、自分を知っておりますから、帰ったら大変なことになりますから、したがって、その点は非常に気をつけて、とはいえ、シャウプ先生の意見をできるだけ敬意を表しながら引き出そうという意図が私にあったことも事実でございます。それらが総じてそんな感じになったのかな、そういうふうに思っております。  それともう一つは、これは恥ずかしい話でございますけれども、特に専門の話でございますから通訳を入れないと話ができません。それも私の語学力の劣悪さがなさしめておる面も若干はあろうかと思いますが、確かに私は、丁重にシャウプ先生の考え方を可能な限り引き出そう、しかし、自分が国会で言っている予見問題については節度を重んじていなければいかぬという議会の子としての立場は守りながら、若干取材したような感じもあったかと思います。
  116. 正森成二

    ○正森委員 もちろん、八十を超えられたシャウプ博士に対する思いやり、敬意というよりはむしろ思いやりであったと思いますが、そういうことで話を引き出そうとされたということは私も十分理解できます。  しかし、新聞を見ますと、「シャウプ博士と二十三日、税制問題について対談してもらった。(ニューヨーク=船橋洋一特派員)」というようになっておりまして、やはり対談という形をとられたような外見に新聞ではなっておるわけです。  しかも、ここ一カ所だけではございませんで、もう一カ所読みますと、「賛否両論いろいろある上、利子・配当課税のあり方には最近の金融国際化自由化もからんでおり、実に難しい問題だ。ただ、二十兆円近い所得が非課税となっている事態は早急に是正しなくてはならない。キャピタル・ゲイン(資本所得)に対する減免措置見直しが必要だ。ここのところまではおおむね税調でも合意が得られつつあると判断している。」こういうように表現されております。これは、税調でそう言っているとまでは断言しておられませんが、税調でもう合意が得られつつあると判断しているというのは、大蔵大臣が判断しているわけですから、非常にリアリティーを持っているのですね。  また、なぜそう申すかというと、公平のためにもう一カ所引用しますが、EC型付加価値税について触れておられるところで、「その財源としては間接税に依存することが適当だし、そうならざるを得ないという議論もある。ただ、政府としては、それではその不足分は間接税に求めるというところまで議論は進んでいない。」というようにここでははっきり言うておられますね。ところが、利子課税の点については、ここまでは「おおむね税調でも合意が得られつつあると判断している。」これはニュアンスが非常に違うのですね。  そうしますと、やはり私は、この記事を総合勘案して、所得税は国税、地方税を入れまして六割台の低い方に、法人税は五〇%を切るところまでおおむね考えがまとまっておる、あるいはまとまりつつある、財源については、大型間接税についてはまだ政府は決断しておらないが、利子配当所得についての課税についてはこれは大方の合意が得られておる、こういうニュアンスに読まざるを得ないわけですね。  そうしますと、今、村山税制とかあるいは加藤六月さんの正式な自民党税調とかあるいはNIRAとかいろいろ言われているところと符節を合わせまして、それに、赤字公債依存から六十五年までに抜けるためには今までの税制のままでは無理であるという客観的事情を勘案いたしますと、この「シャウプ博士、蔵相と語る」という記事は、恐らくは蔵相の、したがってまた中曽根内閣の真意を示したものではないかというように思わざるを得ないのですが、再度率直な御答弁を願います。
  117. 竹下登

    竹下国務大臣 大体私が気をつけておりますのは、税調の今の審議よりも今までの中間答申とかあるいは年度ごとの答申、何年度税制についての答申、これは一応今までの経過の中ではお答えしてもいいというふうにしております。だから、今の税調でそこまで言っているとは、それはやはり私も気をつけて言いませんでした。今までの税調の中での中間報告とかでは、そういう問題がコンセンサスに達したような報告も受けておりますということは私も承知しておりますので、そういうふうに言葉を選んで申し上げたつもりでございます。  で、シャウプ先生自身が、何といいますか、割合にお年以上にシャープでございますので、可能な限りシャウプ先生の御意見を引き出し、かつ、それに対して尊敬の念を払いながら受け答えをいたしておりましたので、どちらかといえばシャウプ先生の考え方の中で、税調で既に何年か前であろうと去年であろうと出たものに対して、その意見は税調でも中間答申等でおおむねのコンセンサスができておりますというふうにお答えするように大変気をつけてやったつもりでございます。
  118. 正森成二

    ○正森委員 大臣がそうおっしゃいますからそう伺っておきたいと思いますが、私があえてこう聞きましたのは、先ほど沢田委員からたしか御質問があったと思いますが、今年度のたばこ消費税の増税について、政府税調、党税調を事実上無視する形で決められました、それについては、大蔵大臣から極めて遺憾といいますか、申し開きができないというお言葉をお使いになったかどうか、それに近い御表現でございましたので、それについて再度伺おうとは思いません。十分にお心持ちのほどはわかりました。ただ、新聞をいろいろ見ておりますと、このたばこ消費税という案は、これは政府税調、党税調が赤字企業について一年分だけ税をかけるとかそういうものを決めてしまった後で出てきたんだという新聞もありますが、実はそうでなしに、もう十日ごろから主計局——いいですか、主計局次長、主計局の幹部がたくらんで、たくらんでと言うと悪いけれども、考えておって、それで自治省との一括カットのやりとりの中で、いつになったら出してやろうか、こう思っておって、いよいよというのでぱっと出したということで、初めから腹の中に入れておったのだということがずっと新聞に書いてあるのですね。主計局次長もそのたくらんだ者の一員であろうと思いますが、それでそれをやった中で新聞を見ておりますと聞き捨てならないのは、ここにあります二十二日の新聞に、「「仕方ない」と会長」とこうありまして、「たばこ値上げ追認で税調の権威失墜」という見出してあります。新聞がこう書いておるならばまだいいんですが、「総会後記者会見した小倉会長は「権威は以前から相当失墜している」と、半ば投げやりな態度。」こうなっておるんですね。つまり税調会長は、権威は以前から相当失墜している、つまり男を下げておるということを新聞記者に言うておる。これはもういろいろありますから。そうしますと、結局たばこでも、ここにおられるかどうかわかりませんが、勢いすこぶる盛んな党税調も大蔵の主計局は無視してやる。いわんや政府税調もそうだということになれば、一番大事な六十二年度以降の税制についても、大蔵大臣が戦後の我が国税制の生みの親のシャウプ博士とこういう対談をして、それが一応国内の相当権威ある新聞に載っているということになると、幾ら答申をまとめるといいましても、小倉税調会長は権威は初めから失墜しておるということで、やはり大蔵の意向に沿う方に議論をリードせざるを得ないということになるのではないかというように思わざるを得ないのです。それで私は竹下大蔵大臣に伺ったわけであります。  そういう点で、たばこ消費税の一騒動といい——やはり一応小粥さんに聞いておきましょうか。あなた、予算編成をするのに、一兆一千七百億円も新たに地方に吹っかけようというときに、国の方が手土産なしにそんなものを自治省やら地方自治体がうんと言うと思って折衝していたというのが、本当の話、大体おかしいですね。そんなものは何か対策を持っておるのが当たり前で、対策を持っておればそれは党税調くらいにはやはり言わねばいかぬです。それも言わないで隠しているなんというのは、国権の最高機関を軽視し、そして政府の正式な諮問機関を軽視した、官僚専行、官僚独裁的なやり方であると言われても仕方がないんじゃないですか。小粥さん、あなた一遍答弁してごらん。
  119. 小粥正巳

    ○小粥(正)政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、今回の、たばこ消費税の増税をお願いをいたしましていわば地方財政対策に充てるという方針、先生のお言葉でございますけれども、例えば主計局あるいは大蔵省の中の問題といたしまして、先生の仰せられるような初めからそういう筋書き云々ということとは私承知をしておりません。こういう形での増税をお願いするに至ったゆえんあるいは税調へのお願いの仕方等々につきましては、先ほど大臣から御説明がございましたので私もそれにつけ加えるものはございませんし、本当に最後のいわばぎりぎりの局面におきましての大変ぎりぎりの構想ということで御理解を賜りたいと存じます。
  120. 正森成二

    ○正森委員 ぎりぎりの構想だと言うならそうしておいてもいいのですが、私、主税局次長にもう一遍立ってくれとは言いませんよ。だけれども、恐らくぎりぎりの才覚だったとしても、主計局が頭の中で考え出したものであろうというように思わざるを得ないのです。そういうことを十二月の二十日段階になって突如思いついてやるというようなことであれば、大蔵省としては余りにも手から口への先見性のない官庁であると言わざるを得ない。私は大蔵省はそういう官庁ではなかろうというように思いますから、あらかじめたくらんだという言葉が悪いなら準備しておったのではないかということを言うておるわけです。  それで、時間がございませんので、円高との関係で、為替の問題などは同僚委員が伺いましたので全部省略いたします。これはいろいろ説がございますが、九月二十二日のたびたび出ておりますG5の会合以来、人為的とは申しません、現在のファンダメンタルズが反映しているのですから。しかし庶民は、竹下大蔵大臣も含めて偉い方が五人か十人集まってこうなった、今までのように自然になったのではない、それに対しては、被害を受ける輸出関連の中小企業等々はしかるべき救済措置を政治の側から受け取っても当然ではないかというように思っている人が私どもが地元へ帰りましても多いわけですね。  そこで、中小企業庁なども来ておられますが、時間がだんだんなくなってまいりましたので、対策としてどういうことを考えておられるかということは玉置委員の御質問にも若干あったようですから、全部省略いたします。  ただ、大蔵大臣あるいはその前に銀行局長にお伺いしたいのは、当初の貸出金利は十二月段階で六・八という非常に高いものでありました。一月になりましてからやっと五・五ということになったのですが、今度公定歩合が五%から四・五に下げられます。短期プライムレートもこれに連動するということになれば、この円高不況の被害を受けている中小企業に対しても五・五%を公定歩合に連動して下げてやるのが当然ではなかろうかというのが私の意見でございますし、新聞の社説などでも出ている意見であります。  それからもう一つ、銀行局長には、昨年、幾ら二千万、四千万というように貸し出しの枠をふやしていただいても、その担保がないということで借りられない、今まで担保いっぱい借りている、したがって、円高不況で注文された製品さえ引き取ってもらえないという場合には、在庫担保ですね、在庫製品を担保にしていただくというようなことも考えていただかなければ、幾ら融資ということを考えていただいても、これは借りるに借りられないんだというのが中小企業の意見であります。そして、それらの人の陳情を聞きますと、幾ら府県段階でそういうことをお願いしても、これは中小企業庁とそれから大蔵省の銀行局の御了承がなければそういう貸出条件についても府県段階ではいかんともしがたいんだというのがそれらの人々の痛切な叫びであります。そこで、金利の点と貸出条件の点について円高不況に苦しむ中小企業救済のためにお考え願えないかということをお伺いいたしたいと思います。
  121. 吉田正輝

    ○吉田(正)政府委員 まず、金利の点からお答えさせていただきますと、今御指摘のとおり、いわゆる国際経済調整対策等特別融資の金利、これは六・八%でございましたのを五・五%にいたしました。現在の民間金融機関の優良企業向け最優遇金利でございます長期プライムレートでございますけれども、これは国民公庫、中小公庫の基準金利とされて七・二%になっているわけでございます。五・五%というのはこれを一・七%下回っている金利でございまして、下げる前の六・八%が既にこの二つの公庫の最優遇金利つまり基準金利をさらに割りまして貸し出していたわけでございます。このことはつまり五・五ということですら資金調達コストである財投金利の六・八%を一・三%下回るということになっておりまして、事業資金としては極めて低い水準になっておるわけでございます。御指摘のとおり、円高基調による影響を受ける中小企業に対して事業転換、内需転換の企業経営の調整が円滑に進むことは必要でございますが、私どもとしては、五・五%の金利水準というのは特段の配慮を払っているということで御理解いただきたいというふうに思う次第でございます。  それから、この両金利だけじゃなくてその他の条件など、例えば担保などについて委員が御関心を示されたことを私もしかと記憶しておるわけでございますけれども、この特別融資制度を創設いたしましたときに、この政府系中小企業金融三機関に対しましては、その実施に当たりまして貸出手続をまず迅速にせよ、それから特に窮境にある企業に対しましては、担保の徴求等については十分配慮するようという指導を行ったわけでございます。この特別融資に当たりましては、担保等が必ずしも十分でない中小企業のことを考えますと、例えば信用補完制度の弾力的運用を行うというようなことで保険限度に別枠八千万円を設定するなどの措置を講じたような次第でございます。
  122. 正森成二

    ○正森委員 今、一応答弁をいただきましたが、どうやら従来の政策を大きく変えられないというように受け取らざるを得ないような内容だったかと思いますが、極めて遺憾だと思います。  次に公共事業について、整備新幹線について承りたいと思って運輸省にも来ていただいておりますけれども、これまで私に先行する三つの党がそれぞれ、多きは三十分、少なきも十数分質問時間を供出しておりますのに、私が全くそれに配慮しないということではどうもつき合いが悪うございますので、わずか十分ほどでございますが、私も他党に同調したいと思います。どうもありがとうございました。
  123. 小泉純一郎

    小泉委員長 次回は、来る二月五日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時二十五分散会