○林国務大臣 ただいま議題となりました
労働者災害補償保険法及び
労働保険の
保険料の
徴収等に関する
法律の一部を改正する
法律案について、その提案理由及び内容の概要を御
説明申し上げます。
労働者災害補償保険
制度については、高齢化社会の進展等最近の社会情勢の動向を背景として年金受給者の累増、年金受給者の高齢化等新たな
状況の変化が生じているところであります。
このような
実情を踏まえ、
労働者災害補償保険
制度の
改善について、かねてから
労働者災害補償保険審議会において検討が行われてきたところであります。
同審議会における検討の結果、昨年十二月、
制度面において公平を欠くと考えられる点、均衡を失していると考えられる点の
改善を中心に当面措置すべき
制度の
改善について
労使公益各側
委員全員一致による建議をいただきました。
政府といたしましては、この建議を尊重し、
法律改正を要する部分について改正案を作成し、これを
労働者災害補償保険審議会及び社会保障
制度審議会に諮問し、それぞれ了承する旨の答申をいただきましたので、ここに
労働者災害補償保険法及び
労働保険の
保険料の
徴収等に関する
法律の一部を改正する
法律案として、提案をいたした次第であります。
次に、この
法律案の内容の概要を御
説明申し上げます。
まず、
労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。
第一は、年金たる保険給付に係る給付基礎日額について、
労働者の年齢階層別の
賃金の
実態を基礎として
労働者の年齢階層ごとに
最低限度額及び最高限度額を定め、その給付基礎日額が、
労働者の年齢の属する年齢階層に応ずる
最低限度額を下回りまたは最高限度額を超える場合には、当該
最低限度額または最高限度額を給付基礎日額とすることとしたことであります。
第二は、休業補償給付及び休業給付の額について、現行では一日を単位に算定されているが、
労働者が所定
労働時間の一部について休業したときは、休業による
賃金喪失分の六〇%とすることとしたことであります。
第三は、休業補償給付及び休業給付について、社会保険における取り扱い等を考慮し、監獄等に収容されている者に対しては支給しないこととしたことであります。
第四は、通勤
災害に関し、
労働者の通勤経路からの逸脱または通勤の中断後の往復が通勤とされる行為の範囲を
拡大することとし、現行の日用品の購入等の行為のほかに
労働省令で定める
労働者の一定の行為を加えることとしたことであります。
第五は、
事業主が故意または重大な過失により労災保険の手続を怠っている期間中に生じた事故について、保険給付を行ったときは、その費用の全部または一部に相当する金額を
事業主から徴収することができることとしたことであります。
次に、
労働保険の
保険料の
徴収等に関する
法律関係の改正について申し上げます。
第一は、事業場ごとの
災害率により
保険料を増減させるいわゆるメリット
制度について、継続事業のメリット
制度の
対象事業場の
規模を使用
労働者数が現行は三十人以上であるものを二十人以上とし、収支率の算定期間を現行は三暦年間であるものを三年度間とするとともに、有期事業のメリット収支率について所要の改正を行い、
労働災害の防止努力が的確に反映できるようにしたことであります。
第二は、
労働保険の
保険料の納付の手続について、口座振替による納付の方法を導入することとしたことであります。
以上のほか、この
法律案においては、その附則において以上の改正に伴う経過措置を定めております。
なお、施行期日は、年金たる保険給付に係る給付基礎日額の改正につきましては
昭和六十二年二月一日、継続事業に係るメリット
制度の改正につきましては同年三月三十一日、
労働保険の
保険料の納付の手続に係る改正は
昭和六十三年四月一日とし、その他の改正事項につきましては
昭和六十二年四月一日としております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。