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1986-03-06 第104回国会 衆議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月六日(木曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 山崎  拓君    理事 稲垣 実男君 理事 小沢 辰男君    理事 高橋 辰夫君 理事 浜田卓二郎君    理事 池端 清一君 理事 村山 富市君    理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君       愛知 和男君    伊吹 文明君       稲村 利幸君    古賀  誠君       自見庄三郎君    谷垣 禎一君       戸井田三郎君    友納 武人君       長野 祐也君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    浜野  剛君       林  義郎君    網岡  雄君       金子 みつ君    河野  正君       永井 孝信君    森井 忠良君       沼川 洋一君    橋本 文彦君       森田 景一君    森本 晃司君       伊藤 昌弘君    浦井  洋君       小沢 和秋君    菅  直人君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 今井  勇君  出席政府委員         文部省大臣官房会         計課長     坂元 弘直君         厚生政務次官  丹羽 雄哉君         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         厚生大臣官房審         議官      木戸  脩君         厚生大臣官房会         計課長     末次  彬君         厚生省保健医療         局長      仲村 英一君         厚生省保険医療         局老人保険部長 黒木 武弘君         厚生省生活衛生         局水道環境部長 森下 忠幸君         厚生省薬務局長 小林 功典君         厚生省社会局長 小島 弘仲君         厚生省児童家庭         局長      坂本 龍彦君         厚生省保険局長 幸田 正孝君         厚生省年金局長 吉原 健二君         社会保険庁医療         保険部長    花輪 隆昭君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部流         通対策室長   野崎  修君         警察庁刑事局保         安部公害課長  上野 治男君         大蔵大臣官房参         事官      塩田 薫範君         大蔵省主計局主         計官      中島 義雄君         厚生大臣官房政         策課長     岸本 正裕君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君     ————————————— 委員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   網岡  雄君     多賀谷眞稔君   金子 みつ君     佐藤 観樹君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 観樹君     金子 みつ君   多賀谷眞稔君     網岡  雄君     ————————————— 二月二十七日  年金福祉事業団法及び国民年金法等の一部を改  正する法律の一部を改正する法律案内閣提出  第三〇号)  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第三二号) 同日  国立篠山病院等移譲反対等に関する請願(河  土民雄紹介)(第八二四号)  同外二件(堀昌雄紹介)(第八二五号)  同(藤木洋子紹介)(第八七七号)  同(土井たか子紹介)(第九〇七号)  同(佐々木良作紹介)(第九四一号)  難病患者等医療及び生活保障等に関する請願  外一件(前川旦紹介)(第八二六号)  同(村山富市紹介)(第八二七号)  同(小沢和秋紹介)(第八七八号)  同(菅直人紹介)(第八七九号)  同(辻第一君紹介)(第八八〇号)  同(菅直人紹介)(第九〇八号)  同(菅直人紹介)(第九三一号)  同外三件(伊藤昌弘紹介)(第九四五号)  同(池端清一紹介)(第九四六号)  同(菅直人紹介)(第九四七号)  同(塚田延充紹介)(第九四八号)  建設国民健康保険組合の改善に関する請願(山  下八洲夫君紹介)(第八二八号)  腎疾患総合対策確立に関する請願相沢英之君  紹介)(第八二九号)  同(嶋崎譲紹介)(第八三〇号)  同(武田一夫紹介)(第八三一号)  同(中村茂紹介)(第八三二号)  同(原田昇左右紹介)(第八三三号)  同(福田一紹介)(第八三四号)  同(藤井勝志紹介)(第八三五号)  同(山下八洲夫君紹介)(第八三六号)  同(山中末治紹介)(第八三七号)  同(愛知和男紹介)(第八七一号)  同(浦井洋紹介)(第八七二号)  同(小沢和秋紹介)(第八七三号)  同(柴田睦夫紹介)(第八七四号)  同(友納武人紹介)(第八七五号)  同(平石磨作太郎紹介)(第八七六号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第九〇五号)  同(若林正俊紹介)(第九〇六号)  同(中西啓介紹介)(第九二八号)  同(日笠勝之紹介)(第九二九号)  同(山村新治郎君紹介)(第九三〇号)  同(塚田延充紹介)(第九四二号)  同(浜田卓二郎紹介)(第九四三号)  同(元信堯君紹介)(第九四四号)  原爆被害者援護法制定に関する請願中川利三  郎君紹介)(第九〇四号)  老人医療無料化制度復活等に関する請願(柴  田睦夫紹介)(第九二七号)  国立療養所松戸病院国立柏病院統廃合反対  等に関する請願外一件(新村勝雄紹介)(第  九三九号)  母子保健水準維持発展に関する請願浜田卓  二郎紹介)(第九四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第三一号)  年金福祉事業団法及び国民年金法等の一部を改  正する法律の一部を改正する法律案内閣提出  第三〇号)  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 山崎拓

    山崎委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。
  3. 森井忠良

    森井委員 大臣御就任おめでとうございます。  私は広島でございますが、去年の暮れ組閣が完了いたしまして、早速電話がかかってまいりました。ああ今井勇先生というのは被爆地広島社会労働委員会委員派遣で団長として御調査をいただきました。平和記念館を見ていただいたり、原爆養護老人ホームを見ていただいたわけでございますが、相当な印象をお持ちになって帰られたと思うわけでございまして、大臣はまた広島の対岸の愛媛県の御選出でもございますし、広島県民大変親しみを持っておるわけでございます。恐らく被爆者援護対策についても相当前進があるだろうと、大臣にかける期待というのは実は非常に大きいわけでございます。  また、私的にわたりまして大変恐縮でございますが、私自身大臣とはこの社会労働委員会で、与野党という違いはありましたけれどもお互い理事として苦労いたしました。なかんずく被爆者援護対策についても相当汗をかいていただいたつもりでございまして、小生の終生忘れ得ぬところでございます。  したがいまして、今井厚生大臣に対しましては、真っ先にまずこの被爆者援護対策の問題を聞いてくれという声があるわけでございまして、少なくとも今までと同じようなことをやったんじゃ、これは今井大臣らしくないわけでございまして、やはり相当な前進があるだろうというふうに私自身も率直に思うわけでございます。  また思い起こしますと、私ども野党提出をいたしました原爆被爆者援護法案につきまして、大臣提案者の私に対しまして質問も行っていただきました。これは大臣だけではありません、丹羽政務次官も私に対しまして質問をしていただいたわけでございます。大臣質問も御立派でございましたけれども、思い起こしてみますと、丹羽政務次官の私に対する質問も、これも相当なものでございました。私どもと気心がぴったりと合っておりまして、例えば原爆投下というのは明確に国際法違反であるということをおっしゃっておられたわけでございます。  等々を考えますと、ことしは、御存じのとおり、十年に一回の大がかりな被爆者実態調査死没者調査等も行われるわけでございますが、今申し上げましたように、従来にない新たなものが何か出るだろう。官僚のしがらみというのがありますけれども、これを克服するかどうかというのが、私ども今井大臣のこれからの飛躍をなさるかどうか、そのかぎを握っておると思うわけでございまして、歯にきぬ着せぬ大臣の所感をこの際お伺いをしておきたいと思うのです。
  4. 今井勇

    今井国務大臣 私も森井先生と一緒に被爆地を訪れたこともありますし、またお話のとおり、援護法につきましての野党の案に対しましてやりとりをしたことがきのうのように思い出されるわけでございます。  非常に御熱心に被爆の問題に取り組んでおられます先生の今のお言葉でございますから、十分まじめに受けとめまして、できる限りのことをいたしてまいりたいと思っております。厳しい財政状況下ではありますことを存じながらも、できる限りのことをいたしてまいりたい、こう思っておりますので、御答弁をさせていただきたいと思っております。
  5. 森井忠良

    森井委員 この問題につきましては、いずれ法案審議の時期がございますので、この程度にとどめさせていただきたいと思います、  さて、昭和六十一年度の予算案、現在審議中でございますが、厚生省としては相当御苦労が多かったのではないかと思うわけでございます。どう見積もっても、当然増経費というのは一兆五千億に上る、しかし大蔵省マイナスシーリングを掲げて相当厳しい査定をする、そういう状況にあったと思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、まずお伺いをいたしたいのは、六十一年度予算案編成に当たって、何が一番苦労の種であったのか、何が一番問題であったのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 北郷勲夫

    北郷政府委員 予算のときに何が一番苦労だったかというお尋ねでございますが、当然のことでございますが、いわゆる厳しいシーリング枠がございまして、その中でどうやって本当に予算が組めるか、このシーリング別枠も限られておりますし、当然増の経費が非常に多いわけでございますので、そういうものをどうやって手だてを講じて実質的な福祉水準を落とさないような予算を組むかという点が一番最大、もうそれに尽きるわけでございます。
  7. 森井忠良

    森井委員 具体的には、ことしは先ほど申し上げましたように、当然増経費、まあ大まかな数字でございますが、一兆五千億でしたね。それに対しまして、概算要求基準というのができまして三千九百億余り、残りは全部カットしてしまえという形であります。去年も当然増経費は六千五百億、それに対しまして概算要求基準は三千四百億、したがって委縮減額は三千百億。たどっていきますと、六十年度も五十九年度も五十八年度も五十七年度も、ずっと概算要求基準というのができまして、当然増経費を相当切り込まなければならぬという状況であります。これは来年度も同じような予算編成を行うという形になるのですか。
  8. 北郷勲夫

    北郷政府委員 先生も御承知のように、厚生省予算は毎年当然増が出る構造になっておりますので、まだ来年度のことは、現在予算審議いただいている最中でございますので、来年のことを申し上げる段階ではないとは存じますが、当然のことながら、来年度もここ数年と同じような当然増経費が生ずるということは予測されるわけでございます。で、来年どうするかということについても非常な困難が予想されますので、いろいろどうするかというようなことも、まだ六十一年度予算審議中でございますから申し上げるのはいかがかと存じますが、どうしようかという問題についてはいろいろ思いをめぐらせてはいるというような状況でございます。
  9. 森井忠良

    森井委員 増岡厚生大臣は去年の暮れの予算折衝におきまして、こういう形の当然増経費、それに対して委縮減額などなど考えて切り込みを続けておりますともう来年からは予算が組めない、新たな発想のもとに予算編成を行うべきであるということで一定提案大蔵大臣にしておられますね、社会保障特別会計の設置について。これは恐らく今までの状態でいけば予算が組めない、全般的に見ると御存じのとおりの財政事情でありますから、少なくとも他の省庁と同じように一律カットを前提とした社会保障予算というのを組むのはもう無理がある、こういうことで正式に申し入れをしておられると思うわけでありますけれども社会保障特会というのはおやりになるのですか。
  10. 今井勇

    今井国務大臣 私も事務の引き継ぎをいたしましたときに前大臣からそのようなお話を聞きまして、おっしゃいますように、当然増がこれから避けられないという性格を持っているものが厚生省には非常に多いものでございますから、その社会保障予算一般会計から切り離して社会保障に関する給付負担関係を明確に示すということは私は極めて有力な示唆に富んだ御見解であったと思います。しかしながら一方考えますと、なかなか国の財政構造全体にも関係する問題でございますから、やはりこの問題を頭に置きながらも今後の社会保障の問題、予算あり方について十分検討してまいらなければならぬ問題だと思っておりますので、十分ひとつ今後の問題として頭に置いて勉強してまいりたいと思っております。
  11. 森井忠良

    森井委員 大蔵大臣見えておりますか。——いませんね。あなた、大蔵大臣じゃない。大蔵大臣の御出席を要求したのでありますけれども、どうも主計官のようであります。御苦労さん。御苦労さんですが、非常に重要な問題なので私は大蔵大臣出席を要求いたしました。主計官で役不足というわけじゃありませんが、大蔵大臣のかわりに答弁ができるのならひとつお答えいただきたいと思うのでありますが、この社会保障特会について大蔵省考え方を聞きたい。
  12. 中島義雄

    中島説明員 最近、社会保障勘定の分離の問題につきまして幾つかの御提言がなされていることは十分承知しております。そのうちの一つといたしまして、昨年厚生大臣から御提案のありましたいわゆる社会保障特会構想ということについても私どもは承知いたしておるところでございます。これらの御提言は、今後高齢化進展等に伴いまして社会保障関係費の増加がどうしても避けられないということを前提といたしますと、今後の社会保障負担をどのような形でお願いするかというような観点に立って大変示唆に富んだ御提案であるということは私どもも同様の受けとめ方をしておるところでございます。  ただし、他方におきましては、社会保障関係費につきまして、俗な表現で恐縮でございますが、いわゆる聖域というような形で今後とも必要な歳出合理化努力というようなものが不十分とならないかどうか、あるいは社会保障だけがそのような別枠という扱いでやるということが他の経費とのバランス上納得が得られるかどうかといった幾つかの問題点もあろうかと思うわけでございます。  そこで財政当局といたしましては、こうした御提言を含めまして各界の御意見を承りながら今後歳出歳入構造あり方、それから受益と負担あり方等、幅広い観点から真剣に検討を重ねてまいりたいと考えておる次第でございます。
  13. 森井忠良

    森井委員 これは大臣にもお聞きをいただきたいのですけれども厚生省における、あるいは社会保障予算における当然増経費とは何ぞや。これは他の省庁と違いまして一律削減対象になるかどうか極めて疑わしい、むしろはっきり言えば一律削減対象にならない。例えば年金給付でありますけれども、これは一定の年齢に達したら年金を差し上げますよという前提のもとにせっせと長い間保険料を掛けさせておる。したがって、当然これは支払わなければなりませんし、その意味では国の債務でもあります。  大体、厚生省予算というのは年金医療で恐らく八割ぐらいは当然増経費が出てくる。これは人口の高齢化その他ありますから出てくる。これは異論のないところだろうと思うのです。そういたしますと、当然増経費というのは、前の年よりふえても当然増を足したのが初めて前の年並み予算額であるという認識に立たなければならぬ。当然、金額的に絶対金額だけを見たのではおかしいことになる。例えばことしで言えば一兆五千億の当然増経費があるわけでありますが、その大部分は年金医療です。なかんずく年金の支払いであります。こういったものを大なたを振るって切る、さっき言いましたように、当然増一兆五千億、そのうち認められたのは三千九百億余りでありまして、一兆一千億に余る当然増経費をぶった切るというのは、これはもうどう考えてもおかしい。大臣、いかがですか。
  14. 今井勇

    今井国務大臣 まさに先生のおっしゃるような当然増というものを持っておりますことが我が省の予算の極めて特色でありますことは、おっしゃるとおりでございます。そんなことで私ども年金にしても医療保険にいたしましても制度の根幹にかかわる改革に取り組んでまいりました。六十一年度の予算におきましても老人保健制度や高率の補助金の見直しを行うことにしておるわけでございます。しかしながら、おっしゃいますように、じゃ六十二年度以降を例えば考えましても、予算編成につきまして今の段階では予測しがたいものでありますけれども、従来のやり方ではなかなか困難な予算編成になるというふうに私は思っております、  したがって、厚生省としては今後とも社会保障水準をどうしても確保しなければなりませんから、どのような方策が可能であるか、あるいは予算編成あり方も含めて関係当局とも十分相談をしながら検討を進めることにいたしたいと思います。その場合に、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、社会保障特別会計考え方というのも一つの重要な検討材料になるものだというふうに私は考えております。
  15. 森井忠良

    森井委員 基本的な認識は大体一致するようでありまして、また与党の皆さんも、そうだそうだと言ってもらっておりますからわかるのでありますが、確かに一般会計マイナスシーリングの中で、社会保障予算も同じようにマイナスシーリングというのは認められない。このことについてはお互いに異存のないところだろうと思うわけです。  そこで、考え方として幾つか出てきておるようであります。学説も幾つかありますけれども、要約をいたしますと、一般会計の中に社会保障勘定を設けるという発想と、それから、そうじゃなくて新たに社会保障特別会計を設けるという発想と二通りになっておるようでありますけれども増岡厚生大臣から大蔵大臣に示されましたあの社会保障特別会計構想というのは、そのどっちになるのか、そして今井大臣になりました新体制下厚生省としてはどういうふうなお考えに立っておられるのか、あるいは今まだ検討中なのか、その辺について作業状況をお知らせをいただきたいと思う。
  16. 北郷勲夫

    北郷政府委員 増岡大臣のお考えになっております社会保障特別会計は、当然のことでございますが、一般会計とは別の、特会でございますから一般会計とは別に設けるというようなものでございます。  それから、現在どういう検討をしておるかということでございますが、これはまだ確たるものではございませんが、いろいろ技術的な問題がございます。特別会計等をつくると申しましても、いろいろ検討点がたくさんございまして、一体どういう趣旨で設けるかというふうなところから出発しなければいかぬわけでありまして、主として考えておりますのは、給付負担関係を明確化する。非常に社会保障給付の規模が大きくなっておりますし、国民負担も非常に大きいわけでございますので、負担給付保険料がどういうところに給付に向かっているかということを国民の前に明らかにする、こういうのが一つの大きなねらいだと考えておるわけでございます。  そういった目的を実現いたしますために、例えば、特会でございますから歳入歳出というような勘定が当然出てくるわけでございますが、その対応関係をどういうふうに形づくるか、その目的に沿った対応関係を明確化する方法をどういうふうなことにしたらいいかということは非常に大事な問題でございます。  それから、特別会計に加えようといたします事業範囲、これもいろいろ議論をしなければならぬ。仮に実施するといたしましても、議論が相当あるところでございます。社会保険医療年金保険は当然だと存じますが、そのほかの福祉関係についても入ってこなければおかしいものがあるわけでございまして、ただ、性格上入れられないものもある。社会防衛的なものについては入らぬとか、そういったことで、対象事業範囲をどういうふうにするかというような点もあるわけであります。  それからまた、非常に大事な点でございますが、特会を設けました場合に、歳入の問題がございます。当面予想されます歳入不足を、一体どういうふうな歳入を想定するのかということも検討点でございまして、そういった点について内部的にいろいろ議論をいたしておるという段階でございます。
  17. 森井忠良

    森井委員 まだ不確定要素がたくさんあるから答弁しにくいかと思うのでありますが、先ほど北郷審議官は、六十二年度の予算編成に当たっても六十一年度以上の当然増経費が出るだろうという発言をされました。どれくらい見込んでおられますか。アバウトの数字で結構であります。
  18. 北郷勲夫

    北郷政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、まだ確定数字を、当然のことながらまだ六十一年度予算自体が成立いたしておりませんので、そういった作業はいたしておらないのでありますが、先ほど先生もおっしゃいましたように、五十八年度からここ数年間を見てまいりますと、大体八千億から九千億の当然増が毎年出ておるわけでございます。  先ほど、六十年度六千五百億というようなことを先生おっしゃいました。これは、いわゆる健保の平年度化が抜けておりますので、通常の性格から見ますと、やはり大体八千億ぐらいの当然増が出ておるわけでございまして、大体八千億から九千億程度の当然増は出ておりますので、ほぼ同じ程度自然増が出るのではなかろうかというふうに、これは想定でございますが考えておるところでございます。
  19. 森井忠良

    森井委員 今年度の当然増よりも減るのは、それは次から次へと制度改悪するからそういうことになるのでありますが、いずれにしても、長い間社会保障労働政策をずっと手がけてきた私としては、こんなひどい予算組み方というのはないと思う。  福祉元年という言葉がありました。田中内閣のときです。評価はいろいろ分かれますが、福祉予算だけは削ってはならぬという、そのことの表現としては適切ではなかったか、中身はともかくといたしまして。今は、福祉であろうと、あるいは防衛予算であろうと全部同じ。しかも、最近は防衛予算の方がうんと突出をするという形になってまいりました。憤慨にたえないところであります。  そこで、来年度以降の予算組み方について、先ほど大蔵省は、社会保障特会について一応の理解を示しておられると私拝聴したのでありますけれども、今までと同じ組み方をするか、あるいは社会保障特会あるいは社会保障勘定といいますか、そういった、一般会計別枠にして、そして先ほど言いましたように、高齢化社会に備えまして、福祉については後退をさせない。だから勘定を別にいたしまして、少なくとも今までつぎ込んでまいりました一般会計予算は削らない。これが第一。したがって、それだけでは当然財源不足を生じますから、増大する福祉予算については何らかの新たな財源の手当てをしたい、これが社会保障特会の具体的な提言だろうと思うのです。この点については大蔵省、どうですか。
  20. 中島義雄

    中島説明員 まず、来年度の予算編成をどのような形で進めるかにつきましては、まだ六十一年度予算の御審議をお願いしている段階でございますので、私どもとしても具体的な方針を考えておりません。今後検討させていただきたいと存じます。  ただ、先生御指摘のように、いわゆるシーリシグの手法によりまして大変厳しい予算編成を繰り返しておるという中で、社会保障に必要な財源を確保していくことが大変に難しい課題であるという点につきましては、私どもも同様に考えておるわけでございます。  ことしの、昭和六十一年度予算におきましても、一般歳出が総額としてマイナス十二億という中で、社会保障関係費の伸び額は二千六百九億ということで最大の伸びを確保いたしておりまして、その財源は、他の経費を節減合理化しながら捻出しておるわけでございます。このように、私どもは、厳しい概算要求の枠の設定の中で、いろいろ御批判は賜りながらも、社会保障については最大限の重点を置かせていただいておるということをまず御理解いただきたいと思います。  来年度以降どのようにするかにつきまして、いわゆる社会保障勘定の分離との関連についてのお尋ねでございますが、これについては、先ほど厚生省の方からの答弁もございましたように、幾つかの検討すべき点があるわけでございます。  特に財源との問題につきましては大変難しい課題でございまして、どのように考えていくか。例えば税制調査会など、関係審議会などの意見も十分聞かなければならないわけでございます。したがいまして、概算要求をいただくときまでにそのような新たな方策を打ち出すかどうかにつきましては、私はなかなか困難な問題もあろうかと考えておるわけでございます。  社会保障関係の財源の問題につきましては、もう少し長い観点から検討を加えさせていただきたいと考えておる次第でございます。
  21. 森井忠良

    森井委員 これは厚生大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、先ほど私申し上げましたように、今まで厚生省検討してきておられたものは、これは学者の学説等も参考にしておられますが、このままでは、一般会計と同じような扱いをされたのでは社会保障予算は組めない、そういう前提に立って、増岡大臣特会に対しまして大蔵大臣提言をされました。  中身は、今まで組んでまいりました一般会計社会保障関係予算、その割合は維持する、これが第一点であります。今までどおりの割合を予算上維持していく。しかし、申し上げましたように、当然増経費がふえておりますから、それでは足りません。その部分については福祉目的税的なものをこの際導入をして社会保障の充実を図っていきたい。ですから、新たな財源を求めるというのは、厚生省が今まで参考にしておられますのは福祉目的税なのですね。その中身は所得型の付加価値税があるいはEC型の付加価値税か、その辺についてはまだ判断をしておられませんけれども、いずれにいたしましても新たな財源プラス従来の社会保障関係予算、こういったものを考慮に入れて、申し上げましたように積年の予算編成の悩みといいますか、そういったものを晴らしたい、こういうことだろうと思うのでありますけれども、そういうふうな前提でこれから御検討を進められるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  22. 北郷勲夫

    北郷政府委員 福祉目的税の問題につきましては、今税制調査会でいろいろ検討がなされておるわけでございまして、私どもの方から余り申し上げにくいのでございますが、例えば特別会計をつくりましたときにどういう財源を想定するかという点では非常に大事なポイントになる点でございます。そういう意味で、私どもはそういったものも財源構成の一つとして想定はしておるということでございまして、どういう形のものかというようなことは、これは専門でございませんので、今ちょっとおっしゃいました所得型とか消費型とか、こういう問題については私どもまだ詳細には考えておりませんが、財源の構成の想定の一つとしていろいろ考えてはいるという状況でございます。
  23. 森井忠良

    森井委員 一口で言いますと、そうなると、こういうことですか。いずれにしても、今までの予算編成のやり方じゃだめだ、したがって、厚生省としては特会も含めて新たな道をこの際探求をしたい、そして六十二年度の予算編成に当たってはそういった立場でこれから努力をしたい、こういうふうに理解してもいいのですか、厚生大臣
  24. 今井勇

    今井国務大臣 確かに政府委員答弁しましたようにいろいろ問題がありますが、どうもこのままでは増大します予算になかなか対応しにくいという現実が参りますので、やはり六十二年度以降の予算編成につきましては何か一つ考えなければならぬ。その場合に、私ども答弁申し上げました、前大臣も言われました社会保障特別会計考え方一つの有力な検討材料になるのだというふうに私は考えております。
  25. 森井忠良

    森井委員 どうも、聞いておりまして非常に腰が弱いといいますか、まだ六十一年度の予算審議中ですから無理もないのですけれども、いずれにいたしましても、この際明確に申し上げておきたいと思うのでありますが、今までのような予算編成ではこれはだめだということではほぼ一致すると思うのです。だからこそ、去年増岡厚生大臣がああいう申し入れをなさったということでありますから、そういうふうに理解したいと思うのです。  この際、大蔵省にも再度確認をしておきたいのでありますけれども、今までの予算編成、いろいろ反省点もあると思うのでありますが、厚生省提言に従って大蔵省としても真剣にこの問題の検討をするということなのかどうなのか、この点、一言でいいからはっきりさせてください。
  26. 中島義雄

    中島説明員 これまでの予算編成の手法につきましていろいろ御批判は私ども承知しておりますけれども、そういった厳しい予算編成の過程で、またさまざまな長期的な観点から見て意義のある制度の改革が進んできたことも事実であろうかと存じます。  これから先、いつまでこのような手法を続けられるかについては、またいろいろな御意見があることは十分踏まえまして、私どもも幅広い観点から真剣に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  27. 森井忠良

    森井委員 この問題はこれくらいにしておきます。  次に、やはり厚生省が一番頭を痛めただろうと思うのでありますが、ことしもまたまた大蔵省によって無理難題を強いられてまいりました。幾つもありますけれども、その端的な例は政管健保の国庫負担の繰り延べであります。去年が九百二十九億。去年も腹が立ちましたけれども、これは一年限りだろうと思って我慢しました。そうしましたら、ことしまた千三百億国庫負担の繰り延べをやられました。これは金がないからでは済まされない。短期給付に係る保険料、それをこの際召し上げるというわけでありまして、私は何としても納得のできないところであります。同時に厚生省の弱腰についても強く反省を求めたいと思うわけでありますが、これは一体どういう根拠に基づいているのですか。健康保険法にはないですね。だから、財確法を出しているのだと言われるかもしれませんが、大蔵省、わけを説明してみなさい。
  28. 中島義雄

    中島説明員 昭和六十一年度予算編成といいますのは、大変厳しい制約のもとで財政改革を一歩でも進めるという観点からいろいろな苦心を重ねて編成してきた予算でございます。そういった中で、必要な社会保障財源を何とか確保するために、政管健保につきましても、たまたま政管健保の収支において剰余が見込まれるということに着目いたしまして、臨時の措置といたしまして政府の方でお借りしたという次第でございます。
  29. 森井忠良

    森井委員 厚生省、ここ数年、政管健保の財政というのは黒字が続いているのですね。ずっと借金を返してまいりました。もう昭和四十八年以前の債務につきましても、資産見合いについては返済をいたしまして、借金ゼロです。これはかつて三Kと言われましたけれども、今健保のKはなくなってしまった。毎年毎年黒字決算を続けてまいりました。なかんずく昭和六十年度の決算見込みについては、これは二千億に余る黒字決算を想定をしておるわけであります。大きな原因は何ですか、これは。
  30. 花輪隆昭

    ○花輪政府委員 お答えいたします。  五十九年度、六十年度、引き続きまして二千億程度の剰余が出る、こういう見込みに相なったわけでございますが、その原因といたしましては、健康保険法改正後におきまして、医療費の伸びが予測を下回っておるというふうなところにあるわけでございまして、その背景といたしましては、国民の健康意識の徹底というふうなものも基礎にはあるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  31. 森井忠良

    森井委員 ぼやっとして言われましたけれども、一番大きな原因というのは本人の一割負担の導入でしょう。
  32. 花輪隆昭

    ○花輪政府委員 主要な原因であろうと推察いたしております。
  33. 森井忠良

    森井委員 健康保険法の規定によりますと、健康保険法の第七十一条の四に明確に位置づけがしてあるわけですね。要するに一口で言いますと、黒字が出たときは、これは保険料を下げなさい、赤字が出たときは逆に引き上げなさい。そういう自動改定の措置がとられているわけですね。そして保険料を上げるときは給付の改善とか医療費の値上げとか、それから今では老人や退職者の拠出金だとか、そういうもので不足を生じたときなどなどとなっておりまして、大蔵省に金がないからそのときには出すとは書いてないのです、健康保険法に。その意味では、去年の措置もことしの措置も明らかにこれは健康保険法違反なんだ。強いて言えば去年もことしも財源確保法の中で入れておるから、辛うじてその意味では法律違反になっていないのでありますけれども、本来の健保の筋からいけば、およそこんな邪道はないと思うわけです。  ですから、私はこの話を仄聞したときに早速大蔵省に抗議をいたしました。もしこんなことをするならもう予算委員会審議をとめると、またとめるのに値する問題である。先ほども答弁がありましたように、政管健保の黒字というのは本人の一部負担の導入、一割負担の導入が大きな原因になっておる。それで黒字が出たのなら、当然のことでありますけれども、これは保険料を下げることになるわけです。一割負担を導入したんだから保険料は少し安く上がりました、せめて罪滅ぼしに保険料を下げましょう、これがまず前提でなければならぬ。  大蔵省予算組み方は、まず最初に千三百億召し上げる。私どもが騒いだものですから、私は主計官にも直接詰め寄りましたけれども保険料率千分の八十四を千分の八十三に千分の一引き下げるという措置が後から出てきた。四百十八億でしょう、千分の一下げても。千三百億と比べてごらんなさい。これは千分の一ところか千分の三下げてもペイをする、そういう勘定になると私は思うのです。したがって、これは明らかに健康保険法の精神に違反すると思うが、厚生省考え方を聞きたい。
  34. 花輪隆昭

    ○花輪政府委員 ただいま先生から御指摘のとおり、医療保険、短期保険でございますから、剰余が出れば保険料の引き下げまたは給付改善に充てるというのが基本的な考え方ではございますが、大変長い間健康保険も赤字が続いてまいりまして、積立金というふうなものを全然持っておらないというような状況が続いてまいったわけでございます。  財政規模も四兆円程度に達しておるわけでございまして、やはり制度の安定的な運営ということを考えますと、しかるべき積立金、準備金というようなものを保有したいというような考え方が基本にあるわけでございまして、そういう意味で実は六十一年度におきましても、先生御案内のとおりでございますが、収支見込みといたしまして三千九百億円の積立金見込みの状態に立ち至っているわけでございますが、手元に二千六百億円を積立金として残す、千三百億円につきましては特例措置の対象に充てたというふうな内容に最終的になったわけでございます。千三百億円につきましては特例措置の対象に充てたわけでございますが、後日健保の財政が悪化をするというふうな場合には必ず繰り戻しをしていただくということになっておるような状況もあわせて御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
  35. 森井忠良

    森井委員 答弁になっておりませんね。  もう一度お伺いしますが、千分の一の料率の引き下げというのは四百十八億ですね。財政効果は。どうしてそれ以上できないのですか。もちろんほかの給付の改善もちょっとありますけれども
  36. 花輪隆昭

    ○花輪政府委員 ただいま特例措置の額は千三百億ではないか、料率の引き下げは千分の一、四百十八億ではないかというお尋ねでございます。  私ども六十一年の予算編成に当たりましては財政見込みを立てたわけでございますが、十二月時点、社会保険審議会にも財政状況を御報告をいたしまして財政編成の方針を検討いたしたわけでございますが、単年度収支に剰余があればその範囲内で被保険者への配慮をすべし、こういう御意向も承ったところでございまして、六十一年度の剰余がほぼ千分の一程度保険料換算いたしますと該当するということから、保険料の千分の一の引き下げ、これは実質的な引き下げとしては昭和三十五年以来の引き下げになったわけでございますが、千分の一の引き下げに踏み切ったというところでございます。
  37. 森井忠良

    森井委員 今年度の九百三十九億、それから六十一年度の千三百億、それに先ほど部長が答弁されたような今までの状況等を全部入れますと、本当は実質的な積み立ての金額というのは四千八百四十億、五千億近い積み立てになるはずであります。それが二千六百億そこそこにとどまったのは、これは国庫負担の繰り延べ等があったからでしょう。しかし積み立て予測としては現実に、今申し上げましたように五千億近い積み立てがあるわけであります。  あなた方の計画というのは、千分の一引き下げるのは六十一年度限り、したがって、六十一年度の政管健保の収支は四百十八億、千分の一削減することによって収支ゼロの予算が組んであるわけであります。今までの積み立ての中からでも、千分の一や千分の二は下げられるじゃないかと思うのですが、この点については返事がありませんから、なぜそれができなかったのかというのが一つ。  それから、この積み立てを見ますと、積み立てゼロがいいとは言いませんけれども、大体政管健保については積み立ての経験はほとんどない、今まで借金借金できているのだから。積立金の経験はないのでありますが、一部積み立てをするにしても、相当な余力が出てきていることは間違いない。したがって、もっと下げられないかと言っておるのでありますから、下げられないのなら下げられない理由を言ってください。積み立ての現実からいけばできなくはない。これが一つ。  それから、単年度限りとなっておりますが、仮にあなた方の主張されますように千分の一を行うとしても、これは単年度だけではなくて、この予算で見る限り、例えば六十一年度の政管健保の収支というのは一応黒字が出ないでゼロという形にはなっておりますけれども、そのまま推移をしたとしても、千分の八十三という保険料は一年や二年じゃない、続く、そういう理解もできるわけであります。その辺についてはっきり御説明をいただきたいと思うのです。
  38. 花輪隆昭

    ○花輪政府委員 お答えをいたします。  六十一年度一年度限りの措置ということで千分の一の引き下げを行ったわけでございますが、その考え方といたしましては、十二月二十四日、社会保険審議会にも財政状況を報告いたしました際に、政管健保につきましては、将来人口の高齢化あるいは医学技術の進歩というふうなものもございますし、この剰余はそれに備えるための積立金として保有することが必要であろう。しかしながら、五十九年、六十年の黒字に続きまして、六十一年度もなお単年度収支に剰余が見込まれる、こういうことであれば、それは被保険者への配慮を優先的にすべきである、こういうお考えを示されたところでございまして、この会長所感という形での所感を踏まえまして予算編成に臨んだところでございます。  しかしながら、六十二年におきましては、なお直近の財政状況を踏まえまして、どのような対応をするか検討をするということで、審議会も引き続きまして六十二年度につきましては検討をする、こういうふうなことに相なっております。
  39. 森井忠良

    森井委員 時間がもうなくなってしまいました。いずれにいたしましても、これだけは約束をしてもらいたいと思いますのは、仮に千分の八十三でこれから一年間推移するといたしましても、今後の問題については、先ほど明らかになりましたような積立金がまだあるわけでございます。したがって、積立金の合理的に存在をする限りは、これは国庫負担の繰り延べ分も含めてですけれども、そういうものがある間は保険料の値上げはしない、この約束ができますか。
  40. 花輪隆昭

    ○花輪政府委員 政管健保は長い間赤字を続けてきたわけでございますが、現在の積立金の水準を申し上げますと、手元に二千六百億円、一般会計に繰り入れ調整してある分が二千二百余億ございまして、合計で四千八百余億ある、こういう状況でございます。これを医療費、拠出金と合わせてどの程度のパーセンテージになっておるかといいますと、一二%程度に当たる、こういうふうな状況になっておりまして、大体健保組合等の同じような割合と比べますと、現在まだその大体半分というような水準にあるわけでございます。  こういうふうな水準にあることから考えますと、この積立金を直ちに使いまして保険料の引き下げ財源に充てるかどうかというふうなものにつきましては、私どもはやはり慎重な態度で臨まなければいかぬのじゃないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、六十二年度以降の財政状況医療費がさらに増高するような傾向になるのか、あるいは現在のような状況が続くのか、そのような状況も踏まえまして、六十二年の直近の状態で判断をする必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  41. 森井忠良

    森井委員 これは国庫負担の繰り延べ二年分あるわけですけれども、金利といいますか運用益といいますか、これはどうなるんですか。財確法を見ましても、運用益もしくは利子の規定は書いてありません。それから去年の十二月二十七日の大蔵大臣厚生大臣との覚書にも回りくどく返すとは書いてありますけれども、これも金利のことは書いてありません。短期の金利ということになりますと、これはもう三・五%ぐらいの安いものになる。例えば厚生年金の積立金等の運用益と比べると相当の差があるわけですね。厚生年金の場合は、今金利が下がったとはいえ、やはり六・数%あるわけですから、相当な開きがある。これは短期じゃないですね、返すのも。既に去年のやつは一年たっておる。これからもまだいつ返してくれるかわからない。返すとは書いてありますからあえて聞きませんけれども、もちろん返すのでしょう。返すのなら利子についてはどうなるのか、今申し上げました私の意見も含めて検討して答弁をしてください。
  42. 花輪隆昭

    ○花輪政府委員 お答え申し上げます。  一般会計の特例措置額の繰り戻しに際しまして利子がどうなるのか、こういうお尋ねでございますが、財確法四条の第二項には、後日、政管健保の適正な運営が確保されるために、健康勘定の収支の状況を勘案いたしまして、一般会計から繰り戻しの措置「その他の適切な措置を講じなければならない。」こういう規定がございます。「その他の適切な措置」という中には、この政管健保の剰余は厚生保険特会の規定に基づきまして取り扱われるということからいたしまして、この特別措置によりまする健保財政への影響というふうなものを勘案して利子相当額をつける、こういうことで政府部内が合意いたしておるところでございます。  ただし、年金等の長期の利子と違いまして、これは予定利率というふうなものもございませんし、極めて短期的な運用を現実にしておるところでもございます。また財政が悪化した場合にはいつでもすぐ返してもらうということで法律上もこういう規定を設けておるところでございますので、利息につきましては、短期の利息ということで御理解をいただきたいというふうに思っております。
  43. 森井忠良

    森井委員 時間が参りましたからやめますけれども年金についても、もう六十一年度で締めたとしても運用益を含めても一兆五千億近い国庫負担の繰り延べになっております。これも大変な問題でありますが、きょうは時間がありませんからあえて質問いたしませんけれども、きちっとした利息をつけて返す、これはほかの予算委員会等で既に指摘をされておりますから申し上げませんけれども、私としましては、こういった年金なり医療の国庫負担の繰り延べについては厳重にこの際抗議をしておきたいと思うのであります。  残余の質問につきましては、後日機会がありましたときに引き続いて質問をいたします。  終わります。
  44. 山崎拓

    山崎委員長 河野正君。
  45. 河野正

    ○河野(正)委員 実は今日まで医療行政のゆがみといいますか、そのゆがみはいろいろな形でゆがみがあるわけですが、きょうの新聞でも、新宿の国立病院医療センターにおける検査ミス、七百万円で示談、こういうような報道もなされておったわけでございます。  医療行政というものはやはり国民の生命、健康に対して非常に大きな役割を持つわけでございますから、いかなる形といえどもそういった医療行政のゆがみについては速やかに是正をしなければならぬということは、これはもう明らかな点でございます。  そういうことで、私もこの問題に対して強い関心を持ちながらいろいろと取り上げてまいった問題がございますが、とりわけその中でも業務行政のゆがみ、何といっても業務行政というものは直接人間の今、健康そのものに非常に大きな影響をもたらすわけでございますから、そういった意味で、どうも今日までの医療行政における業務行政のゆがみというものが非常に多くの問題を持っておる、こういうふうに指摘をいたしまして、もうたびたびその改善というものを要望してまいりました。  しかし、依然として私ども考えておるように業務行政のゆがみが、正されておる、誠意を持って指導はしておるというようなお答えはしばしば承りましたけれども、なかなか現実にはそういった改善の跡が見にくい、こういうことを痛感してまいったところでございます。とりわけその中でも私どもが今問題にいたしておりますのは、単に営利追求、国民の健康、命というよりもむしろ営利を追求する、特に最近の特色というものは、健康食品というものに国民が非常に大きな関心を持ってまいりましたから、それらに便乗していろいろな行政のゆがみ、例えば健康食品に便乗してにせ薬が非常に多くなったり、あるいはまた、健康食品であるにもかかわらずそれが何らか薬効を持つ、薬の効果を持つ、そういう意味のPR、宣伝というものを露骨にやる、こういった問題が起こりまして、そうして結果的に国民に大変迷惑をかけておる幾つかの点があると私は思います。  そのことによって、一つには一般消費者、国民に対して正しい治療を受ける機会を失わせる、こういう結果が出てくるおそれがある。それから第二には、不良品、にせ薬がいろいろな形で社会に流れてくる。これは国民にとりましても大変不幸なことでございます。それから第三には、医薬品の正しい使い方が損なわれる。それからまた、今日までもなくさんのにせ薬が出てまいりました。そして、そのにせ薬が、例えば一錠飲むと身長が伸びますよというハイセボン、あるいはこの薬を飲みますというと非常にスマートになりますよといういわゆるやせ薬、それからそういったものの極端なのが制がん剤であるクレスチンのにせ薬、こういうものが出てまいりました。これらの売り上げを見てまいりまするというと、そのにせ薬が大体数十億から数百億の売り上げがあるのですね。そして、クレスチンのごときは、これは制がん剤ですが、包装も、見た目も全くにせ薬と本物が変わらない、こういうような状況等がございます。  今先ほど私が四つの点を挙げましたが、実は今日まで、これでは消費者である国民というものがこういう点で大変迷惑しますよ、事と次第によっては、そのためにとうとい命を失う。クレスチンは制がん剤ですから、それを飲んでおればあるいはがんが抑えられるかもわからぬという気持ちで患者は飲んでおるが、しかし中身は全くにせ物である、そういう状況等もございます。そして、やはり業務行政の中でも薬の流通機構、流れ、メーカーから問屋さんを通ってそれから医療機関に行くわけですが、そういう流れをもう少し厳しく規制をしてもらわぬと、いつまでたってもこういった状況というものが直りませんよ、こういう指摘をいたしてまいったところでございます。  そこで、大臣にお答えいただく前にちょっと、きょう警察庁からお見えでございますから、具体的には後ほどお尋ねしますけれども、当面、ここ何年かわかりませんが、にせ薬事件のために警察庁が手がけた、捜査、摘発をした、こういう案件がどの程度あったか、その点にだけ絞ってひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  46. 上野治男

    ○上野説明員 お答えいたします。  警察におきまして薬事法違反として六十年に検挙しましたのは、全部で人員が八百二十九名、七百二十件ございました。そのうち、今御質問のありました製造、販売に関し無承認、無許可医薬品、すなわちにせ薬事犯というのが二百五十件、三百六人の検挙でございます。数年間のものをとらえてみますと、年々増加の傾向にあります。この五年でおよそ倍ぐらいにふえておる次第でございます。
  47. 河野正

    ○河野(正)委員 そこで大臣、今お聞きになったように、薬剤というものは生命関連商品、命に関連する商品です。業務行政の中でも、例えば医療ミス等は、ミスをやろうと思ってやったのじゃないのですね。たまたまミスが起こったということですね。ですけれども、今申し上げますようなにせ薬事件というものは、とにかくにせ薬をつくってもうけよう、ただ利潤だけを考えて、国民に対して非常に大きな迷惑をかけておるわけですね。でございますから、一般の医療ミスとはおのずから趣を異にしておるわけです。  それで、私ども心配しまして、この二、三年この問題に取り組んでおるわけですが、今警察庁からも御報告のように、にせ薬が年間二百五十件以上も出ておる。それが年々歳々倍増しつつある、こういう現況にあるわけです。これは、国民にとりましては大変なことだと思うのですよ。国民は知らぬのですからね。国民はその実態というものはわからない。にせ薬がどうかわからない。それを国民は高い金をかけて——今度は人成長ホルモンは御承知のように国が正式に輸入するということになりましたから、この問題についてはかなり解決できると思うけれども、クレスチンにいたしましても、非常に高価なのですよ。本物が高いなら話はわかるけれども、にせものも高いのです。  そういうことであり、今申し上げますように、警察庁からもお答えいただいたように、年間二百五十件以上もそういう件数で警察庁が摘発をしておる。しかもそれが年々歳々ここ何年間かに倍増しておる、こういう状況ですね。でございますから、当委員会でも取り上げて、強力な行政指導をいたします、こういうお答えをいただいておるけれども、その実は一向上がらない。上がらないために一体だれが迷惑するか。国民が迷惑するわけですね。しかも、それも命にかかわるような迷惑をこうむるわけです。  ですから、新大臣、初めてのお尋ねでございますけれども、一般論としては今の事情はよく御理解をいただけると思うので、ひとつ大臣からも一言お答えをいただきたい、こう思います。
  48. 今井勇

    今井国務大臣 私が厚生大臣ということで、これからも一生懸命やってまいりますが、今のような品質に疑問を抱かせるような医薬品を取り扱う業者に対しましては、都道府県におきまして重点的な薬事監視を行っているところでありますが、私も、先生の御意見を踏まえまして、今後とも監視指導の強化を十分に図ってまいりたいと考えております。
  49. 河野正

    ○河野(正)委員 まず、その言葉だけは承っておきます。  そこで、実は最近、厚生省でも、いろいろそういうような問題もあるし、それから、認可しておるけれども果たして効果があるのかどうか、そういうことで、現在認められておる医薬品の再評価を進めておるわけですね。ところが、再評価を進めてまいりまして実行してみますというと、何と、有用性を示す根拠がない、効くという根拠がない、こういうことで、製造、販売を中止をして、メーカーに対しては回収しなさい、こういう不良品が実は五十五品目も出てまいっておるわけですね。もともと厚生省が認めておった。それをもう一編再点検してみたところが、五十五品目は効用がない、だからもう製造はやめなさい、そういうような状況もあるわけです。  一体、大臣、今おっしゃったように、十分ひとつ努力しなければならぬとおっしゃるが、今まで我々が取り上げてまいったけれども、しかし今申し上げますように、もう既に認可されておるやつが改めて調べてみたところが五十五品目は何にも効果がない、だからもう製造は中止しなさい、こういう結果が出てきておるわけです。こういうことになってまいりますと、どうも厚生省の業務行政そのものが甘いというのかずさんというのか、そういうことに起因するのではないかというふうに私は考えるわけですが、その点はどうでしょうか。
  50. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 医薬品の再評価のお尋ねでございますが、これは先生も御承知のように、昭和五十四年の薬事法改正で新たに取り入れられた制度でございます。これはよく言われますように、医学、薬学の進歩というのは日進月歩でございまして、まことに著しいものがございます。そこで、古い時代に審査をし承認をした場合、その当時の学問水準から見ますと有効かつ安全だという判断がなされましても、その後の科学技術の進歩が非常に著しいために、新しい目で見た場合にはその後に発売された医薬品などに比べましてもうなくてもいいじゃないかとか、あるいは販売した後予期しない副作用が出たというようなケース、これはやはりその時点時点で見直しをする必要がある、こういう趣旨で設けられた制度でございます。  したがいまして、今先生がおっしゃった品目につきましても、現在は昭和四十二年以前の品目について順次見直しをしているわけでありますが、今の時点で見ると、当時は正しかった判断でございますけれども、医薬品としては適当ではない、あるいはほかにかわるべきものがあって医薬品として認めなくてもよろしいというのがあるのはこれは事実でございまして、そういった面でやはり医薬品についてはその時点その時点で新しい目で見直していく、こういうことだと思うのでございます。当時の承認がおかしかったということではなくて、その後の技術の進歩によって見直した結果そうなった、こういうことでございます。
  51. 河野正

    ○河野(正)委員 その当時その当時と言いますけれども、その当時やはり効果があると認めたから許可したわけでしょう。ですから、今日医学は日進月歩で進んでまいりますね。ですから、そういう意味では今の新薬の方がより有効ですよ、こういうことは結果的にあり得るでしょう。でしょうけれども、かつて有用性というものを認めておった、それが調べてみたところが、いやそうじゃないんだ、そういう結果が出てくることは、やはり当時の審査というものか甘かった。しかも今度審査をいたしましたところが、不合格が三三%なんですよ。三三%。金額にして百五十一億ですね。  それは今申し上げますように、その当時はその効用があるいは少ないけれども、それが最もすぐれた薬だったと思うのですね。今日にしてみれば、医学医術が進歩したから、それは全然効用がないというわけにはまいらぬでしょう、ただ、進歩したからそれよりももっとベターな薬ができました、したがって今までのやつは、とにかく新しい医学医術の進歩によって進歩した薬ができたんだから、そういうことで指導がなされるのならばいいけれども、三三%が不合格ですね。そうして売り上げた金額というものが百五十一億に及ぶ。これじゃ全く国民はとにかくよく効きもせぬ薬で高価な金を使わされて、そして今になって初めて、これは医学医術が進歩して効用、有用性というものがないんですというのは、いささか飛躍し過ぎておりはせぬかと思うのですね。  ですから、行政指導として、もう医学医術が進歩しましたからこういう薬はつくらぬでほしい、そういうような指導ならいざ知らず、今申し上げますように三三%が不合格で、それで大体その間百五十一億にわたって患者さんから消費をしてもらっておる、こういうことを考えてみると、先ほど警察庁からも報告がございましたが、二百何十件かのにせ薬、これはにせ薬ですからね、今の有用性があるないとの問題とは別問題ですね、どうもそういう点が甘いのではないか、そういうふうに指摘をせざるを得ないというように思いますが、これはひとつ大臣の方から、やはりそういう点はもっと審査その他慎重にやらざるを得なかったんじゃないかというふうなお答えでもいただかぬと、ちょっとこれはここで下がるわけにはまいりませんのでね。
  52. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 最初におっしゃいました再評価の話でございますが、これは法律ではっきり、五十四年の薬事法改正で入った制度に基づいて我々やっているわけでございます。四十二年以前を今やっておりますから、早い話が、昭和二十年代、三十年代の古い時代に承認が行われた医薬品について現在の目で見直した場合にどうか、こういう判断を逐次やっているわけであります。  具体的に申しますと、昭和二十年代、三十年代においては今のような試験方法も確立されておりませんし、それから今のような新しい優秀な薬も出てない時代でありますから、その当時としてはいい薬だったというケースもあるわけであります。ただそれは、それからもう既に昭和六十年ぐらいになりますと、試験方法、規格等も新しい目でつくられておりますし、それから古い薬に比べてより優秀な薬も出ているということでありますから、そこはやはり見直しをしていく方がむしろ国民の保健衛生の見地から言うと適当な方策ではないかというふうに考えるわけでございます。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕  ただ、にせ薬問題につきましては、これは甚だ遺憾であります。従来も、先ほど大臣も申しましたように、指導監督をしておりますけれども、その点は確かに遺憾なことでございます。
  53. 河野正

    ○河野(正)委員 見直しをすることを悪いと言っているわけじゃないんですね。その当時の三三%も不合格になるわけでしょう。そういう審査がなぜ行われておったのか。それは例えば非常に低いパーセンテージならわかりますよ。三分の一がだめだというのでしょう、三分の一が。そういう審査で今日まで認めておった。そして不合格にされた薬の中でも、私どもが最も関心を持っている脳梗塞とかあるいは心筋梗塞とか、そういった私どもが一番今恐れておる病気の薬、そういう薬の大部分というものが、先ほど申し上げますように今度不合格になっておる。ですから、その当時はまだ医学医術等の進歩が非常におくれておった、だからまあまあこの程度ならというような意味もあったろうと思います。私ども大人であるからわからぬわけではない。  であるけれども、今審査してみた、再評価してみたところが三三%も合格しない、三分の一がだめだ。これはいささかその当時の審査というものが甘過ぎたんじゃなかろうか。それだから、今ここで再評価してみたところが、五%、一〇%はどうもぐあいが悪いぞ、これは我々はわからないことはないのですよ。だけれども、三分の一ですからね、これはいささか厚生省の審査というものが甘い、あるいはまたずさんであるというように指摘せざるを得ないと思うが、それについて、余り時間がございませんので、とにかくこれはひとつ大臣、十分頭に入れておいてください。後ほど関連することがございますから。  そこで、時間がございませんから次に移りますが、最近いろいろな問題が出てまいりました。特に先ほど申し上げましたように利尿剤ですね、それから身長が伸びるという薬の問題ですね。スリムエース、これがやせ薬ですよね。ハイセボン、これが背伸び、それからクレスチンは制がん剤、こういうものは既に当委員会で取り上げまして、そして強力な行政指導、もう既に警察庁も取り上げて処分したものもございますから、それらにつきましては触れません。触れませんが、最近健康食品ブームというものが非常に巻き起こりましたね、とにかく健康食品、健康食品。この健康食品に便乗して薬まがいのものが最近また非常にふえておるわけであります。  と申し上げますのは、医薬品になりますと、検定その他いろいろな難しい条件がございます。ですから、健康食品と銘打って製造して販売をするわけです。そして健康食品だけでは効果が薄いものですから、そこで一方におきましては、あたかも薬と同じようなものだ、ただ健康だけじゃない、薬用成分というものを含んでおります、それから形が錠剤やカプセル、そういうものが、これは健康食品ですからさっきのクレスチンとはちょっと違いますけれども、そういうふうに、あたかも薬であるかのような薬まがいのような健康食品というものを最近は特にこの健康食品ブームに乗って売り出しを始めておる。こういう現状というものが非常に大きく出てまいっておるわけであります。  そこで、厚生省も医薬品とか化粧品、こういう問題についてはその監視をするための手引書をつくったり、努力をされておるようですが、この健康食品については全然触れてないのですね。そこで業者はそこに目をつけて、そして健康食品の名のもとにあたかも薬効がある、薬としての効用があるというような販売方法をとるというケースが非常にふえてきておる。なぜ健康食品にもいち早くこういう取り締まりのための対応をしなかったのか。それが今申し上げましたように、この健康食品というものがあたかも薬まがいの形になって社会に販売網を広げておるわけですね。これは恐らく厚生省の手落ちだった、言葉を激しく言えば怠慢ではなかったのか、こういうふうに指摘せざる得ないと思うが、その点はどうですか。
  54. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 今お話がございましたいわゆる健康食品と呼ばれるもの、この中には確かにその本質、形状、効能効果あるいは用法、用量等から見まして医薬品に当たるものがございます。これは実は食品その他を含めまして医薬品に該当する基準というものを昭和四十七年に私どもが出しておりまして、各県にも通達してそれで運用してまいってきたわけであります。その考え方というものはその後最高裁でも支持された判例が出ております。そういうことで指導取り締まりをやってまいりましたけれども、確かにおっしゃいますように、最近特に健康食品ブームに便乗いたしまして医薬品まがいの製品が出回るという実態が多くありますものですから、先般都道府県に対しまして無許可医薬品の取り締まりの一層の徹底を指示いたしますとともに、関係団体に対しましても注意を喚起してさらに指導取り締まりの徹底を図りたいと思っております。  さっき先生からもちょっとお話がありましたように、販売、宣伝の方法が非常に多様で、しかも巧妙でございます。そのために違反になるかどうかというのが非常にあいまいになるような傾向もございますので、これらの最近の違反事件をもとにいたしまして、表示、広告、販売方法等につきまして具体的な監視マニュアルをつくって取り締まりの強化徹底を図ることにしておるわけであります。
  55. 河野正

    ○河野(正)委員 今申し上げますように、とにかく速やかに業務行政における監督強化をやらぬと、結局迷惑がかかるのは国民でございますから、そして一面においては命にも関連するでしょうし、一面においては、先ほどから申し上げますように、非常に膨大な何百億という負担を強いられておる。国民にしてみれば、おぼれる者はわらをもつかむという式で、何とかしてという気持ちがあるものですから、飛びつく、飛びついてみたら、今申し上げますように、全然薬効がない、こういう状況があるわけでございます。  そこで、今まで指摘したのは、もう既に当委員会でも取り上げたわけですが、その後また例のカルシウムイオンの問題が出てまいりました。それで、最近医薬品まがいの食品というのか薬というのか、その境界というものがはっきりしないのですね。そこでその脱法行為といいますか、できるだけ犯罪にならないようにということで、その食品そのものには効用を書かない、食品そのものには何々に効きますなんということは書かない。そして別に雑誌を出したりパンフレットを出したり、そちらの方に書いておる。極端に言いますと、厚生大臣今井先生が、私が飲んだら非常によく効きました、そういう談話を別な雑誌に掲載をしたりなんかして、いかにもこの食品が薬効性を持っておるような、そういうふうな宣伝の仕方。同じPRでも、知能犯的になっておるわけですね。物そのものに書けばすぐ違反になりますから、そこで今申し上げますように、物そのものにははっきりしないけれども、それを何らかの形でPRする。その一つが、今度出てまいりましたいわゆるカルシウムイオンですね。西田式にせ薬の問題でございます。  この問題は非常にやり方が悪質であるということ等もございまして、その販売範囲が全国的に物すごく広いのです。でございますから、私どももこれは大変なことだというふうに注目をいたしておるわけですが、この点はひとつ、警察庁ももう既に調査をされておるというふうに伺っておりますが、これは警察庁の方で一応お答えをいただきたい、こういうように思います。
  56. 上野治男

    ○上野説明員 お答えいたします。  お尋ねの件につきましては、本年の一月十日に警視庁におきまして株式会社中医研の役員ら幹部四名を逮捕して、現在取り調べをいたしておるわけでございます。  この事件は、五十六年ごろ今御指摘のありました電解カルシウムを販売し始めておったわけでございます。合計百五十数万本、五十何億の売り上げになっております。事件の内容につきましては先生既に御案内かと思いますが、この事件で繰り返し言っておりますのは、例えば販売を担当しておりました被疑者があちらこちらで薬剤師を集めての検討会で言っておりますのは、例えば言っておる言葉をそのまま引用させていただきますと、役所というのは医薬品の承認に当たっては効果より副作用に重点を置いている、だから効かなくたって副作用さえなければいいんだよというような表現ですとか、あるいは体内浄化と言って下剤を飲ませればいいんだ、下剤を飲ませればやせるに決まっているじゃないか、そういうような表現が繰り返し出てくるわけでございます。  今回の事件につきましては、検挙の後マスコミ等でもって、果たしてこういったものの事件を検挙すべきなのか否かということについてもいろいろ御指摘があったわけでございますが、こういったような事件の内容であるということと、それからただいま御指摘のように、最近の事件としましては、かつては健康を損なうおそれのあるにせ薬というのが非常に多かったのですが、最近は専ら人の弱みにつけ込んで健康を食い物にしている。この電解カルシウムの事件もそうでございます。先生御案内の「スーパーラドン」のように百何十億という売り上げのあった事件についてもかかって健康を食い物にしているということで、私どもとして消費者保護の見地から取り締まりをさらに強めていかなければならないと考えておる次第でございます。
  57. 河野正

    ○河野(正)委員 この西田式にせ薬というものは販売網が非常に全国に広まっておる。これを扱っております薬局が大体一千店を超しておる、こういうふうに言われておるわけです。そして先ほどちょっと指摘いたしましたように、ある学者等がこれを患者に適用してみたところが糖尿病に非常によく効くとか、そういうような論文を学会に発表した。ところが、正直言って、電解イオンというものが糖尿病に効くか効かぬか、これはもう私どもからあえてここで申し上げる必要はないわけでございます。そういうように著名人の名前を出して、そして著名人に学会に報告させる、そしてそのパンフレットをあちこちにばらまいていかにもカルシウムイオン、電解イオンというものが糖尿病であるとかあるいは内分泌ホルモンの調整とかあるいは神経安定剤として非常に効果があるとか、そういうことを今申し上げるような形で宣伝をされる。ですから、全国から薬局の関係者を集めてそこで講演をする、そして今申し上げたような薬効を強く宣伝をする、そういう形でこの西田式学者悪用法といいますか、そういうような研究結果を曲げ、宣伝をして、そしてかなりの何百億という利潤を上げておる。  これは、そういう意味では薬事法違反になるかならぬかという問題等もございますけれども、その薬効が先ほど警察庁では無害であればよろしいというような話をしておるということでございますけれども、しかし消費者といいますか、患者さんの方は金を払うわけですから、効かなければ水を飲んでも同じことですよ、水を飲んで金を払うようなものですから。そういうような宣伝を堂々とやっておる。依然としてこういった悪徳業法というものが影を消さないのみならず、さらにむしろいろいろな形でそういう傾向というものが強まろうとしておるというところに私ども国民として非常に危険性というものを感じておるわけです。  そこで一つは、御承知のように国立の島根医科大学の助教授がイオン水の効能効果について研究の委託を受けて、それを糖尿病等にも実施したらばよく効果があった、こういう論文を発表されるというようなことになっておるわけですが、この学者そのものにも、そういう権威のない論文を医学会に発表するということも一つは問題でございますが、同時にかなりの研究費が出ておるというふうに取りざたされておるわけです。この人は京都大学から島根医科大学に転勤した人でございますけれども、京都大学時代からこのカルシウムイオンに対する治験例を出させるためにかなりの金が出ておる。島根に参りましても約三百万の報酬が出ておる、こういうことが言われておるわけです。島根は御承知のように国立大学でございますから、国の機関でそういうことが研究され、そしてそういう誤った論文が学会誌に報道される。これは国民を惑わすも甚だしいと私も指摘せざるを得ない。これは何といっても国立大学の助教授ですから、社会的にも権威があることはそのとおりです。そういうことをひとつ商法の中に利用していこう、こういったことについては、薬事法違反になるかならぬかという限界だという警察庁のお話もございましたが、これはもう道義的に許されることじゃない。これは文部省、きょうおいででございますから、ひとつ文部省からも御見解を承っておきたいと思います。
  58. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように島根医科大学の助教授が昭和五十九年に西田何がしが代表取締役をやっております中医研から三百万円の奨学寄附金を受けております。その趣旨はカルシウムイオン水が糖尿病治療に及ぼす影響の研究助成という趣旨でございますが、同助教授は学会誌に「糖尿病治療補助剤としてのカルシウムイオン水の意義、その予備的検討」という論文を発表していることは事実でございます。その論文の趣旨は、カルシウムイオン水が若干効くかもしれない、けれどもなお今後十分研究を続けていかなければ断定的なものは言えないという趣旨でございます。それを西田何がしの中医研はあたかも断定的に効くと言い切っているというような言い方で販売、宣伝に使っていたようでございます。  私ども国立大学に対します奨学寄附金というのは、寄附者も寄附額も非常に多岐にわたっておるものでございますので、大学が奨学寄附金を受け入れる場合には必ず審査会を設けて、そこでチェックするか、あるいは教授会でチェックするかいずれかでチェックをして奨学寄附金を受け入れるようにという指導をいたしております。ほとんどの大学がそういうような手続を経て奨学寄附金を受け入れているわけでございますが、島根医科大学におきましても教授会でこの奨学寄附金を受け入れるかどうかということはチェックをいたしました。ただ、今回のようにたまたま寄附者が不正行為を行っておるというようなことが教授会の段階では予見しがたかったということでチェックがおろそかになってしまったということは大変遺憾なことでございます。今後とも、奨学寄附金を受け入れる場合には教授会なり審査会が十分慎重にチェックをして対応するようにという指導を続けてまいりたいというふうに考えております。
  59. 河野正

    ○河野(正)委員 特にそれは私立の大学であろうと、学問の府の中でそういう悪徳業者と組んで、そして先ほどから指摘いたしますような論文を発表する、そうして人心を惑わすというようなことは許さるべきではないわけでございます。論文というものは、なかなか断定して書くべきものじゃないわけですね。論文というものは、研究の結果がある程度出てまいりますればその中間報告として学会に報告をし、さらに研究を続けなければ断定的なことは言えない。これは常識なんです。残念ながらそれを業界の方で利用したということでございます。そういうことでは、結果的にいつまでたっても薬業界の正常化ができない。むしろ知能犯的に、裏をくぐって裏をくぐってという格好でやっていこうというのが今の傾向でございます。だから、厚生省はもう少し業務行政はしっかりしてほしいよということで再三再四私ども指摘をいたしておるところでございます。  そこで、余り時間がなくなりましたのでなんですが、きょうは同僚もおられますからどうしようかなと思って、ちゅうちょしながら発言をするわけですけれども、御承知のように、中医協は議論というものが非公開なんです。この中医協に、この西田式にせ薬に携わっておった方がいらっしゃったという情報も承っております。そうしますと、今、中医協の議論の中身というものは非公開ですから、一体密室でどういう議論がなされておるのか、私どももいろいろ揣摩憶測する場面もあるわけです。三年余中医協の委員としていらっしゃった方もいらっしゃるということですが、こういうことになりますと、一体、中医協の議論というものが果たして非公開でよろしいのかどうか、そういう利益を代表した方がたまたま入っておったということになれば、そういう感じも強く持つわけです。これらについては一体どういう御見解をお持ちであるのか。  今は特に医療行政というものが非常に厳しくなっておるわけですから、この中医協内の議論というものは非常に貴重な議論です。また、大事にしていかなければならない諮問委員会だと思うわけです。ところが、そういう中にたまたまこの西田氏にせ薬と関連のある方が入っておられた。こういうことになりますと、中医協の権威といいますか存在価値といいますか、非常に疑問を持たれますね。やはり、これは今後何とか一考を要するような問題でなかろうかというふうに感ずるわけですが、これはひとつ大臣から一言お答えいただきたい。
  60. 今井勇

    今井国務大臣 今のお話でございますが、極めて重要な事項を中医協に御審議を願って御答申をいただいているわけでございます。先生のただいまの御意見等につきましても、ひとつ一遍会長などともよくお話をしてみまして、御意見を承ってみたいと思いますが、直ちに、はい、わかりましたと言うわけにはなかなか簡単にまいらないのじゃないかと思いますが、せっかくの御議論でございますので、ひとつよくお話し合いをしてみたいと思っております。
  61. 河野正

    ○河野(正)委員 今の大臣答弁は常識的な答弁でございます。しかし、そういう問題の方が三カ年間も中医協に入って議論なさっておった、こういう事実があるわけです。そしてその中医協の議論の中身は非公開です。私どもはわからぬのです。でございますから、これをどうするというようなことは大臣としてもここで即答ができぬと、非常に重要なことですから、それはそのとおりで結構だと思います。でございますけれども、そういうような不祥事件があったわけですから、やはり何らかの形で一考を要するということは否定してもらっては困ると思いますね。その辺は十分頭の中へ入れてひとつお話し合いをしていっていただきたい、こう思いますが、それはそのとおりでよろしゅうございますか。
  62. 今井勇

    今井国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、会長ともよく御相談をしてみたいと思っております。
  63. 河野正

    ○河野(正)委員 もう時間が余りないものですから、どんどんいきまして、詰めができぬで非常に残念でございますが、ここでひとつ政府の姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。  というのは、今日まで薬の流通機構が非常に乱れておる。一般的な流通機構で正しく流れていく部分と、わきの方で、厚生省は第二市場、現金問屋とおっしゃるわけですが、私は、あえてブラックマーケットと申し上げます。それは別といたしまして、今まで国立病院あるいは県立病院、それから地方自治体病院でも、正規のルートで取引しないで、いわゆる現金問屋あるいは第二市場、そういうところと取引をして、そしてにせ薬をつかまされた。あるいは、にせ薬をつくった連中が、正規のルートで薬を購入しますとその不正が明らかになりますから、そこで第二市場あるいはいわゆる現金問屋から原料を仕入れて不当な薬を製造した、こういう経過があったわけです。  ところが、その際、私どもが非常に残念に思いますのは、国の機関である国立病院が正規のルートと取引しないで、四十病院が第二市場、現金問屋取引をしておった。だから、いろいろな事情がありますから、そのすべてをやめなさいと言うわけにいかぬでしょう。ですけれども、さわらぬ神にたたりなしですから、そういうところと取引してにせ薬をつかまされた、クレスチンなんかいい例ですね、制がん剤。これはにせ薬と本物と包装その他全く変わらぬ、そういうことでこの制がん剤をつかまされた、こういう事例もあるわけです。でございますから、できるだけそういう危険なところとの取引を遠慮していく、そして過ちなきょう今後努力をしていく、そういうことで、ひとつ今後努力してもらいたい、こういうことを再三再四お願いをしてまいりました。これはその後どういう経過になっておるのか、この際、ひとつ明らかにしていただきたい、こういうように思います。
  64. 仲村英一

    ○仲村政府委員 ただいままで御議論ございましたように、医薬品につきましては、人体に直接影響を及ぼすものでございまして、質のよいものが供給されねばいけないことは当然だと考えております。国立病院におきましても、同様に良質な医薬品を安く安全的に仕入れるための努力をすることは必要だと考えております。  そこで、私どもといたしましては、医薬品の購入に当たりまして、当然薬事法上の許可業者でなければいけないということ、さらに会計法に基づきまして審査をいたしまして、入札参加資格を得た業者から通常の競争入札によって購入しているところでございます。同時に、入札参加者を決める際は、製造番号が著しくふぞろいのものでございますとか、製造後日時が非常に経過しておる、使用期間が短いなどというふうな医薬品を取り扱う業者からは購入しないようにということで指導しておるところでございます。このような趣旨を各種の会議あるいは文書等によりまして指導通知を出しておりまして、今後医薬品の適正な購入についてさらに指導してまいりたい、このように考えております。
  65. 河野正

    ○河野(正)委員 今まで私が指摘してまいりましたのは、正規のルートで取引すればあるいは高いものがあるかもわかりませんね。しかし、にせ薬をつかまされたりあるいは不純なものをつかまされたり、そういうことがないことはこれは決定的です。でございますから、私はしょっちゅう言いますように、さわらぬ神にたたりなしという言葉があるように、そういう危険な取引はできるだけ避けたがよろしくはないか、こういうことを言ってきたわけですね。  そこで、大体国立病院がどのくらい第二市場と取引しているかと言ったら、四十病院もあると言っているのですね。そうすると、御承知のように、今二百七十あるといたしましても、五分の一でしょう。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕 そして現実にクレスチンのにせ薬その他をつかまされて、そして国民に対して大変迷惑をかけておる。これは正そうと思えば正せるわけですよ。これは一般の医療ミスとは違うのです。医療ミスというのは医療ミスをやろうと思ってやるのじゃないのです。たまたまそういうことが起こるということはあるけれども、この薬の購入というものは、私がいつも言うように三つの原則がある。一つは安全でなければいかぬ。それから安いこともその一つ。それからもう一つは安定供給。今回は大量に手に入ったけれども後は手に入らぬ、これは第二市場というのはどういうところから薬が流れてくるかわからぬのですよ。  一、二私ども調査して大体承知しております。でございますけれども、要するにどういう形で第二市場に薬が流れてくるか、その流れというものが明確じゃないから、したがって不純なものあるいはにせ薬をつかませられるということにも相なっておると思う。でございますから、私ども何もかにも安いものを買うことはやめなさいと言っておるわけじゃない。ただ、さわらぬ神にたたりなしじゃないけれども、その危険な取引はできるだけ避けた方がよろしくはないか、そういう指導をしなさい、こう言ってきたところですね。その結果が、もうかれこれ時間がたちますから、どの程度成果が上がってきたのか。確かに現場ではそういう精神を踏まえてこれこれこういうふうにやっていますよ、そういう成果が上がってこなければ、ここで、委員会の中で、努力いたしております、さらに努力いたします、それでは意味がないわけですね。  やったらこういう成果があらわれましたと言えば、私どもはすぐ質問やめますよ。私どもは、そこが私どものねらいですから、やめます。その辺が今の答えでは抽象的でわかりません。こういう指導をしたらこういう結果が今だんだん出つつあります、そういうことをここでおっしゃっていただかなければ、あなたがここで明確に答えなければ大臣にお答え願わなければならぬ。ところが、大臣はそういうことが一々わかるはずがない。局長、どうでしょうか。
  66. 仲村英一

    ○仲村政府委員 御趣旨は、まさに良質の医薬品を私どもの国立病院等で使う際にそのように努めなくてはいけないということで、十分了解しておりますが、一方におきましてやはり経営努力という面もございますので、安く購入するという努力もしなくてはいけないと思います。しかしながら、今御指摘のように、良質のものあるいは流通のはっきりしたものをできるだけ買うようにという指導はしてございますけれども、金額的に申し上げますと、大体国立病院の薬品購入の一%ぐらいということで、横ばいというふうに私どもは見ておるわけでございます。
  67. 河野正

    ○河野(正)委員 時間がありませんから、的確にひとつお答えをいただきたいと思うのです。横ばいとおっしゃった。横ばいということは成果が上がっておらぬということでしょう。どうですか。
  68. 仲村英一

    ○仲村政府委員 金額的にはおっしゃるとおりかと思いますが、先ほど御説明いたしましたように、その品質のチェックにつきましてはより厳重にしろという指導を重ねてやっておりますので、その点について私ども数字的には横ばいかもしれませんけれども、内容的にはさらに厳重なチェックが加えられているもの、このように考えている次第でございます。
  69. 河野正

    ○河野(正)委員 とにかく、これは答えは、どれだけ改善されたか、それはパーセンテージによる以外にないですよ。ですから、金額については云々とおっしゃるけれども、その金額が減らなければ取引が減っておるわけじゃないですよ。あなた方が指導して、そしてできるだけそういうことを避けよう。我々は完全にシャットアウトしなさいと言っているわけじゃないんだから、そんなばかなことを言いやしませんよ。できるだけ避けなさいと言っているわけです。ところが、できるだけ避けてみたところがこういう状況になりました、それが今の横ばいでは、それは承知できませんよ。  今までどういうことを指導したのですか。指導します、指導しますと言って、もう三回も委員会で約束しておるでしょう。それは局長としてあなたは今度初めてかわからぬけれども、それはパーセントで示す以外にないですよ。そのパーセンテージが一%、それは横ばいですじゃ、何にもあなた、効果が上がってないじゃないですか。
  70. 仲村英一

    ○仲村政府委員 先ほど御説明させていただきましたとおり、入札業者の資格でございますとか、入札の際、製造番号が著しくふぞろいでないとか——製造後日時が経過して使用期間が短いようなものは、医薬品をそういう業者からは買わないようにという指導をしております。その結果、金額的には横ばいでございますけれども、このようなことで私どもとしては指導を徹底したというふうに考えておる次第でございます。
  71. 河野正

    ○河野(正)委員 時間がないから、続けることは非常に困難ですから、もうやむを得ません。大臣に私はお尋ねします。  私どもが、そういう指導をしなさい、指導をいたしますと言って、最終的に指導の効果が上がったか上がらなかったかは、パーセンテージしか出てこぬですね。そのパーセンテージで依然として一%、横ばいですということは、成果が上がってないということなんですよ。成果が上がっておれば、一%だったのが〇・〇五になりました、〇・〇七になりましたと、それなら成果が上がったと言えますよ。ところが一%という数字は変わらぬということになれば、成果が上がったとは言えぬでしょうが。大臣、どうでしょうか。  そこで、もう時間がないといってやあやあ言われていますから、質問者に対してお答えしなければならぬわけですから、ここではっきり言います。一%という数字は変わりませんとおっしゃる。それでは成果が上がったとは言えませんよと言っておる。だから、そこが若干でも動けば私はそれは成果が上がったというふうに評価いたします。ここで大臣、ぜひお約束いただきたいのは、そういう指摘が何遍もあっておるわけですから、その成果を上げるためには若干でもその今のパーセンテージが動くような、そういう成果があらわれてくるような指導を行いますということを、大臣、最後に約束をしてください。そうすれば矛をおさめます。
  72. 今井勇

    今井国務大臣 お気持ちはよくわかりますので、ひとつ指導を強化いたしまして、御期待に沿えるようにできるだけの努力をさしていただきたいと思います。
  73. 山崎拓

  74. 池端清一

    池端委員 厚生大臣、厚生行政はまさに国民の命と暮らし、これに密接にかかわる極めて重要な分野でございます。先ほど我が党の森井委員からも御指摘いたしましたように、懸案事項が山積をしております。極めて厳しい状況ではございますが、どうか国民の願う真の厚生行政推進のためにこれからひとつ御健聞いただくようにまずもって期待を申し上げておきます。  そこで、きょうは時間がございませんので、エキノコックス症、ドイツ語読みではエヒノコックスと言いますが、この対策の問題について絞ってお尋ねをしたいと思うのであります。  北海道では昭和十二年に礼文島でエキノコックス症の患者が発見をされました。それを端緒といたしまして、昭和四十年以降は道東方面、東北海道方面でも患者の発生が見られ、最近では全道的に汚染地域が拡大する、こういう傾向にございます。いや、北海道のみならず津軽海峡をもはや渡ったというふうに言われておるわけでありますが、全国的にエキノコックス症の確認されている状況はどうなっておりますか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  75. 仲村英一

    ○仲村政府委員 お尋ねのエキノコックス症でございますが、非常に珍しい病気でございますけれども、御指摘のように北海道に多発しておるのは事実でございます。  我が国で文献的に初めて発見されましたのは昭和三年に宮城県においてということが報告されておりますが、北海道ではただいま先生のおっしゃいましたように昭和十二年でございます。当時は礼文島だったと思いますが、幸いにして礼文島では本症は駆逐されておりますけれども、現在まで約二百九十人の患者が出ております。そのうち二百三十人が北海道、残りの約六十人が北海道以外の患者さんでございます。ただし、御承知のように、感染源となります汚染されたキツネ等が確認されておるのはもちろん北海道だけでございます。  現在の発症状況でございますが、北海道で毎年五ないし十人程度ずつ発症しておりまして、五十九年で申し上げますと十二名、五十八年で六名という報告がなされております。非常に潜伐期間の長い病気でございますので、患者さんが感染したまま移動することもございます関係もあろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、感染源となる汚染されたキツネ等が発見されておるのは北海道だけという状況でございます。
  76. 池端清一

    池端委員 北海道ではこのエキノコックス症対策重点地域というものがございますが、これが全道二百十二の市町村のうち五十九の市町村にも及んでいるわけでございます。これが従来は十カ市町村程度であったものが、五十八年度、五十九年度、この二年間にわたって新たに確認された地域が三十二の市町村、本年度、昭和六十年度は十三市町村と、近年とみにこの汚染地域が拡大をされている。まことに憂慮にたえない状況ではないかと私は思うわけであります。このエキノコックス症につきましては依然として未解明の部分がございますが、この予防策としてどのような方法を講じておられるのか、簡単に御説明を願いたいと思います。
  77. 仲村英一

    ○仲村政府委員 寄生虫の病気でございまして、動物から人間にというサイクルがございます。したがって、いわゆる媒介動物から人間への感染経路、これを遮断するということが一番重要だと思いますが、原理的にはかなりわかっておりますので、そういうための衛生教育が非常に重要だと思いますし、具体的にはキツネ等を人里に近づけないようなことも努力しなければいけない。これはえづけをしないとかいうふうなこともございます。あるいはその排せつ物等適切に処理しなければいけませんし、水中にも虫卵が出ておる危険がありますので、生水を飲まないとか、そのようないろいろの予防策を講ずることが重要だと考えております。
  78. 池端清一

    池端委員 そこで、この予防策は今お聞きしたわけでありますが、この患者さんを発見するためにはどういう方法がありますか、どういう方法を講じておられますか、その点をお尋ねしたいと思います。
  79. 仲村英一

    ○仲村政府委員 臨床的に発見するということも重要でございますけれども、御承知のように非常にまれな疾患でございまして、お医者さんがそこに着目しないとなかなか診断がつかない場合もあり得るかと思いますけれども、一般的に血清学的な検査をし、被疑者と申しますか、疑いのあるものには精密検診といたしまして、超音波でございますとかいろいろの診断方法で臨床的に確認するという手段をとることになろうかと思います。
  80. 池端清一

    池端委員 そこで、その健康診断の状況でございますが、北海道から私がいただきました資料によりますと、昭和五十九年度までに三十二万四千百二十五人の方がこの健康診断を行っております。六十年度は予定されている者も含めて四万八千四百八十七人、三十七万人以上の方が健康診断を既に実施するあるいは実施予定、こういう状況でございますが、この健康診断は国の事業として行っているのでしょうかどうか、その点を承りたいと思います。
  81. 仲村英一

    ○仲村政府委員 道の単独事業として行っておる状況でございます。
  82. 池端清一

    池端委員 それでは、国はこの問題にどういうふうに関与されておるのか、お尋ねをしたいと思うのです。特にさっきも申し上げましたように、未解明の分野が非常に多いということから、専門的研究の推進が急務ではないかと私は思うのであります。現在、国としてはこの研究についてどういう対策を進められておるか、その研究についてお尋ねをしたいと思います。
  83. 仲村英一

    ○仲村政府委員 厚生科学研究費という研究費を私ども持っておりますが、その中から、この病気についての研究班を組織いたしまして研究をいただいているという状況でございます。
  84. 池端清一

    池端委員 具体的な金額は幾らですか。
  85. 仲村英一

    ○仲村政府委員 六十年度におきましてエキノコックス症の放射線診断及び免疫血清学的情報データベースの開発ということで、北海道大学の入江先生という方が主任研究者になっていただきまして、厚生科学研究費補助金といたしまして百二十万円でございます。
  86. 池端清一

    池端委員 昭和六十年度から厚生科学研究費補助金として百二十万円を補助しているということでありますが、私は非常にその内容が不十分だ、もっとはっきり言わせてもらうならば、極めてお粗末の限りではないか、こう思うのであります。北海道独自としても、昭和六十年度におきまして健康診断等のために六千五百四十一万三千円の予算を計上してこの対策を進めております。六千五百万円余。さらに旭川医大や北大の研究に対してかなりの額の道費の補助を行っております。また道立衛生研究所等においても独自の研究が進められておる。それに引きかえ国はわずか百二十万円の補助。申しにくいことでありますけれども、これでは本当にお粗末ではないか、こう思うのであります。  これは単に北海道のローカルの問題ではございません。北海道の特殊な風土病ではないのであります。北半球にも南半球にもこのエキノコックス症は発症をしておるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、津軽の海を渡って、厚生大臣、あなたの四国にもやがては行くような事態になるというふうにだって考えられるのです。エイズの問題でも同様でしょう。海のかなたの問題ではなくなってきている。そういうときにこういうような対策では極めて不十分だと私は思いますが、いかがですか。
  87. 仲村英一

    ○仲村政府委員 先生の御指摘のように十分な研究費とは言いがたいと考えておりまして、先生の御指摘もございますので、来年度さらに研究費を増額する方向で努力をさせていただきたいと考えております。
  88. 池端清一

    池端委員 研究費の増額ということで一歩前向きのお答えだと私は思いますけれども、研究費の増額にとどまらず、地方自治体が大変厳しい地方財政の中でやりくりをして多くの道民の方に対する健康診断等も実施されておるわけであります。そういう点についても、横路知事からも再三厚生大臣厚生省に対して要望がなされていると私は思うのでありますが、北海道の要望の主なものをひとつ挙げていただきたいと思います。
  89. 仲村英一

    ○仲村政府委員 五十九年度におきましては、本症の対策に対する経費の国庫補助についての御要望を受けております。六十年度におきましては、本症の健康診断についての国庫補助制度の創設及び本症に関する研究についての国庫補助の拡充についての御要望を受けておるところでございます。
  90. 池端清一

    池端委員 先ほども申し上げましたように、エキノコックスは日本だけの問題ではございません。世界的に分布する寄生虫でございますし、北半球のみならず南半球にも分布している、こういう状況でございますので、今ここで十分な対策を講じなければ、私は悔いを千載に残す、そういうようなことにもなりかねないと思うのであります。そういう意味で、ぜひ私は大臣の御所見を承りたいのでありますが、先手必勝という言葉もございますように、ここの水際でこれを防止する、そういう対策が今緊急の課題ではないかと私は思うのでありますが、道の要望も含めて、大臣として前向きにこの問題について御検討いただく考えありやなしや、ひとつ所信を承りたいと思います。
  91. 今井勇

    今井国務大臣 せっかくの先生の大変な御熱意でもございますので、ひとつ微力ではございますが、研究費はぜひ増額をさせてまいりたいと思いますので、努力をさせていただきたいと思います。(「いい答弁だ」と呼ぶ者あり)
  92. 池端清一

    池端委員 私にとってみれば余りいい答弁ではないのですがね。研究費の増額だけではなしに、その他万般の対策を道としては講じておるわけですよ。これは厚生省、対岸の火災視することなく、それらの問題も含めてひとつ前向きに検討するというふうにお考えをいただかなければならないと思うのでありますが、どうですか。
  93. 今井勇

    今井国務大臣 いずれにしても、研究を進めて究明しなければどうにもならぬことでございますから、そういう意味を含めてぜひ研究費の増額をしたいというふうに私は申し上げたわけでございまして、健診等につきましても研究の結果を見守りながらできるだけ早くこれをしっかりやってまいりたいと思っております。
  94. 池端清一

    池端委員 ぜひ、この問題は単なる北海道の風土病という認識ではなしに、これは対策がおくれますと大変な問題になるという御認識の上にひとつもっと前向きに対処していただきたいことを心からお願い申し上げ、本会議の時間も迫っておりますので、私の質問はこれで終わります。  以上です。
  95. 山崎拓

    山崎委員長 沼川洋一君。
  96. 沼川洋一

    ○沼川委員 まず最初に、人工腎臓の診療報酬の引き下げについて何点かお尋ねしたいと思います。  先月の二十八日に厚生大臣の諮問機関であります中医協のいわば診療報酬についての答申が行われたわけでございますけれども、この中で、人工腎臓については、一回につき四時間未満の場合が千三百点であったのが千二百五十点、要するに五十点、五百円の引き下げになっております。また四時間以上の場合、千八百点であったのが千七百点となりまして、いわば百点、千円の引き下げ、このようになっておるわけでございます。  そこで、これは昨年の四時間を基準とするところの透析時間区分の採用というのがございまして、さらに点数の切り下げに続くところの二年連続のいわば引き下げである。したがいまして、これが四月一日から実施されるということになりますと、透析医療供給体制あるいは透析医療内容などに非常に重大な影響があるのではないか、こういった点で非常に心配されておるわけでございます。  そこで、まず二点ほどお尋ねしたいと思います。昨年の改定によりまして、医療施設によっては時間短縮を実施するところが非常にふえる傾向にある、このように聞いておりますが、一つは、その実態についてどのように把握をなさっておるか。第二点として、透析患者の中には、これはもうよく御承知と思いますけれども、身体の状態とか、あるいはその人の体力、年齢、合併症などによっては五時間の透析を必要とする人もおりますし、あるいは六時間の透析が必要な場合もございます。そのような実態を無視した保険点数の引き下げというのは患者本位の透析のあり方から逸脱しているんじゃないか、何か無理やり短縮せざるを得ないような方向へ方向へ持っていこうという、そういうものを私は感じてならないわけでございますけれども、いかがなものでございましょうか。
  97. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 確かに御指摘のとおり、昭和五十九年から昨年あるいは本年の改定にかけまして人工透析の時間の区分を変更したのでございますけれども、これはダイアライザーの技術進歩等によりまして膜の性能がかなり向上したこと、それから関係の学会の御意見を聴取いたしましたところ、透析時間は一回四時間程度であるという現在のヨーロッパなりアメリカの状況を踏まえまして実施をいたしたものでございまして、現在の技術革新なりあるいは医療技術の開発進歩の状況に適応するように改定をいたしたものでございます。
  98. 沼川洋一

    ○沼川委員 ダイアライザーの膜の性能がよくなった、あるいはきちっとした学会の意見を聞いたとおっしゃいますけれども医療現場では現在なお四時間の人、五時間の人あるいは六時間の人、九時間の人もおります。そういう医療現場の意見あるいは実態調査、そういうのを踏まえていらっしゃるのですか。
  99. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 もちろん、御指摘のとおり、関係の学会を通じまして医療現場の状況も私ども十分に把握をいたしているつもりでございます。時間の区分の変更はもちろん四時間ということにいたしたわけでございますが、四時間未満の場合の金額と四時間以上の金額と点数とを区分したということでございまして、ただいま申し上げましたような技術進歩に応じまして、私どもは実態に応じた改定を実施をいたしておるものでございます。
  100. 沼川洋一

    ○沼川委員 大臣にちょっと率直にお尋ねしたいと思いますが、今御答弁で、技術進歩に応じてこういうふうに変えたとおっしゃいますけれども、最近のいろいろな医療行政は、はっきり言いまして国の財政難ということで医療費の削減が次から次に行われているわけでございます。こういった更生医療に切り込みをやるとどうなるか。本当にそういった医療技術、機器の進歩によって四時間で安心してできるようになったからそういうふうに切りかえなさいという理論的根拠があるものなら私もわかりますけれども、どちらかというと、医療費が切り込まれた、点数が引き下げられた、何かやむなく短縮せざるを得ないという、財政対策が優先された形でこういうような形になっていくとしか思えないわけでございます。  例えば、去年の改正を見ましても、四時間の場合も六時間の場合も点数が同じになります。時間が長ければ、やはりそれだけ透析液も多く使うわけでございますし、余計に経費もかかるわけです。あるいは看護婦の労働力という問題もあります。そういうものがありますと、何か六時間、週に二回なんかばかばかしくてやっていられない、そういう考えもわからないではないような気がいたします。そういうことで、非常に医療現場で——中には、たとえ点数が引き下げられても患者本位にやる、そういう病院もあります。しかし、ある病院では、きょうから四時間透析になりました、体の調子のいい人は四時間透析になりました、そういうふうに変わっていく病院もあるわけです。こういった実態をひとつしっかり調査して、患者本位の透析ができますように、その辺の御指導をひとつきちっといただきたいわけでございますけれども大臣の御答弁をお願いします。
  101. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 私ども、もとより国民医療、特に人工透析の場合には、その患者さんの立場を考えましていろいろな施策を進めているわけでございます。日本の場合、四十二年にこの人工透析の技術が導入をされまして、現在医療界で完全に定着をいたしているというふうに私ども考えております。また、その普及につきましても、世界的に見まして我が国の場合には非常に高い水準になっているわけであります。それからさらに、人工透析医療部門につきましては、採算上特に問題はないのではないか、こう私ども考えているわけでございます。  私ども医療の質の向上を図るということで不断の努力をいたしているわけでございますが、人工透析につきましても、例えば患者さんから非常に要望の強い夜間透析の問題につきまして、本年の改定におきましては、従来四百点でございました加算を五百点に引き上げるという改定を行っておりますほかに、従来夜間透析の条件といたしまして、開始時間が午後五時以降ということだけでございましたけれども、それに加えまして午後九時以降に終了した場合も加えたわけでございます。そういった意味合いで、医療現場のと申しますか、患者本位と申しますか、そういった格好で今後とも人工透析の問題を進めてまいりたいと思っております。  私ども、決して保険財政の見地からだけこういった人工透析問題を取り扱う気持ちは全くございません。御指摘のような医療の質の向上を目指して今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  102. 沼川洋一

    ○沼川委員 大臣から御答弁がないので、これは御要望しておきますけれども、確かに患者にとって時間が短縮されるということは福音だと思います。だれだって、一時間でもベッドに寝ている時間が少なくなればうれしいわけですから。ただ、そのことが、さっきから何回も言いますように、医療技術、そういった機器の発達によって確かに安心してそのようになった状況で行われるのだったら何にも言いませんけれども、ややもすると、医療削減という流れの中で短縮されるということは患者に大きなしわ寄せになってまいりますし、この辺の点に対する指導方をひとつぜひお願いしたいと思いますが、大臣、よろしゅうございますでしょうか。
  103. 今井勇

    今井国務大臣 お説のとおりだと思います。私も、今局長答弁しましたように、いろいろ技術が進んだことによって透析に要する時間が減ってくるということはやはりそれなりに受けとめなければならぬと思いますが、無理して縮めるようなことがあってはならないというふうに私は理解いたしております。
  104. 沼川洋一

    ○沼川委員 次に、透析の件数払い導入という問題でちょっとお尋ねしたいのです。  聞くところによりますと、厚生省では、人工腎臓の点数について、透析回数あるいは透析時間、時間帯、治療方法、治療方法にはHDあるいはCAPD、こういうのがあるわけですが、これを問わず月単位の点数とする。例えば一カ月に四万点とかあるいは五万点とか、こういう件数払いの導入をどうも検討されていらっしゃるということで、このことがまた透析現場で非常に話題になっておりまして、患者の非常に不安の種になっておるわけでございますが、この件いかがなものでございますか。
  105. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 診療報酬問題につきましては、私ども、常日ごろから合理化、適正化ということを考えましていろいろな角度から検討を続けているところでございます。  御指摘のとおり、人工透析につきましても、件数払いをした場合にどういう問題があるかということ等について部内で検討した経過はございますけれども、私ども、現在の状況から見まして、人工透析につきまして件数払いを導入するということは、当面全く考えておりません。他の診療報酬とのバランスをどうするか、現在の出来高払いとの整合性をどう図っていくかという基本的な問題もあるわけでございまして、現在、人工透析について件数払いを導入するという考え方はございません。
  106. 沼川洋一

    ○沼川委員 全く考えてないという御答弁をいただきましたので安心いたしましたが、アメリカあたりでDRGと言いましてやはりこういうのを導入しておりまして、透析治療の水準が著しく低下した、こういう実態の報告も私も聞いております。こういうのが現場に導入されるとなりますと、診療報酬の請求手続等は簡単になるかもしれませんけれども、病院にとっても患者にとってもこれはもう大変な問題になってくると思うだけに、こういう導入はひとつ絶対しないように、重ねてお願いを申し上げておきます。  第三点目といたしまして、これは大臣にまずお伺いしたいと思いますが、国の腎不全対策というのは、人工透析療法の進歩あるいは腎移植、CAPD療法など、医学的対策が非常に大きく進んでまいりまして、患者のとうとい生命が救われてきたということは確かに事実でございます。  ところが問題は、この透析患者が依然として年間六千人から七千人ずつ増加している、既に六万人を超えておる、このように現在言われておりまして、数年後には十万人に達するのじゃないか、このように心配がされておるわけでございます。  御案内のように、腎対策というのは、単に腎不全患者の医療費対策あるいは供給対策、これだけでは基本的な解決には不十分だと思うわけです。やはりこれらの対策とあわせて、予防対策を基本としたところの関係各部門の有機的な連携による総合的な対策が現在緊急に必要である、このように思うわけでございます。やはりそのためには、国が腎疾患総合対策、こういうものを早期に確立していただく必要がある、このように思うわけでございますけれども、この点について大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  107. 今井勇

    今井国務大臣 先生おっしゃいますように、確かに慢性の腎不全のために人工透析を受けている患者が年々ふえておりますことはまことに事実でございまして、非常に憂慮をいたしておるところでございます。厚生省としましても、腎疾患に関します研究とかあるいは各種の健康診断の実施を通じまして腎不全の予防、これは先生おっしゃいますとおり、本当に努めなければならぬと思っております。そうしてまた、総合的な腎不全対策の推進、これも積極的に進めてまいりたいと考えております。
  108. 沼川洋一

    ○沼川委員 ぜひひとつ早期にそのような総合対策が確立されますよう、これは御要望申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  薬の関係で、ちょっと卸関係についてまず最初にお尋ねをしたいと思います。  国とか地方自治団体あるいは日赤、各種共済組合、私立医科大学病院、こういった病院が現在地域医療の中核として、また教育機関としても非常に重要な役割を占めておるわけでございますが、これらの病院におきまして、購入者側のいわば力を背景にして価格未決定期間が長期化する、仮納入、支払いの遅延、さらには買いたたき、買いたたきといったって山買いとか、総価値引きとか、こういったことがあることは大臣よく御承知と思いますが、これが今、はっきり言って慢性化の傾向にあるわけです。特に、御案内のように五十六年度に一八・六%の薬価の引き下げがございまして、ずっとここ五年間、ことしが五・一%ですから、いわば通算しますと五一・二%も薬価が大幅に引き下げられたわけでございます。  こういう影響もございまして、特にこの医療機関の卸に対しての代金支払い、この買い取り価格の決定というものがますます遅延する傾向にあります。また、卸に対する値引き要求というのは、今まで以上に何かひどくなっている、そういう状況があることは大臣恐らく御存じではないかと思います。しかも支払い期間が——前にもこの委員会でこれは指摘されたことが何回もあります、五カ月から七カ月半も支払いをしない、こういう状態が一向に改まらない。逆に薬価引き下げがそういう状態を余計いわば慢性化させ、買いたたきを何か勧めているみたいな、そういう側面もあるわけです。したがいまして、卸としましては、これは非常に弱い立場でございますし、いずれもこういった病院が医薬品の大口需要先であるだけに、卸の経営に与える影響も大きいということから、黙って仮納入している。何回も行くけれども払われないけれども、頑張っていわば通って我慢しているといいますか、非常にこれは苦しい立場に追い込まれているわけでございます。  こういう一つの形態が、先般もございました例えばクレスチンのにせ薬事件、やはり経済ペースで進んでおるからそういう中ににせ薬がつけ込む因にもなっておると私は思うわけです。したがいまして、こういう支払い遅延が公然とまかり通っている、いわば強い側が言ってみれば弱い者いじめしているような、まさしくそういう格好になっておると思うのです。  こういう問題に対して、大臣として実態を御存じかどうか、またどういう指導をされるか、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
  109. 今井勇

    今井国務大臣 おっしゃるとおり、医薬品の購入の問題でございますが、適正な契約に基づきまして支払いの遅延の生じないようにする、これは当然なことであろうと私も考えております。  そこで厚生省としましては、かねてから国立病院・療養所に対しましてこの点を強く指導をいたしております。なお一層、私も、病院あるいは療養所の所長会議等々がございますので、その機会にもまたこの問題を再度強力に指導をいたしたいと思っておりますが、一方また文部省あるいは自治省に対しましても、大学病院あるいは自治体病院につきまして指導をこの間も強く御要請を申し上げました。いずれまた両大臣に対しましても、これを強力にまたなお御要請をいたしたいと考えておるところでございます。
  110. 沼川洋一

    ○沼川委員 強く指導するということで期待したいと思いますけれども、ただ、ひとつ参考までにお聞きいただきたいと思いますのは、ずっと歴代の厚生大臣が同じような答弁をなさっているのですよ。前回の健保のときだって、たしか渡部厚生大臣だったと思いますが、同じ答弁をされました。なかなか改まらないのです。厚生省大臣がせっかく指導されているのに。例えば国立にしても、やはり厚生省としてはどうしてもある一面から、医療機関の経営という面を考えますと、効率的な薬品の購入となりますと安く買えという指導をされています。文部省あたりでもそうです。片一方では安く買えとなりますと、やはりたたかざるを得ない。片一方では、会計法規違反じゃないか、会計法規はきちっと守れ。ですから、何か非常に指導が二面にわたって一貫してないような感じを受けますだけに、どうかひとつ過去のそういう例があるだけに、今強く指導すると御決意をいただきましたので、ぜひ期待したいと思いますが、その辺も踏まえてよろしくお願いいたしたいと思います。  そこで、きょうはたしか公取の方から野崎さん、お見えになっておりますでしょうか。——ちょっとこの問題でお尋ねをしたいと思いますが、これは独占禁止法関係の法令の中で、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律というのがございまして、この第十九条には「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」このようにございます。さらにこれは昭和五十七年九月一日から施行されました告示ですが、「不公正な取引方法」というのがございまして、この中に一項から十六項目にわたって具体的な事例が述べられております。この第十四項にこういうのがございます。「優越的地位の濫用」こういう項目がありまして、この中には「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること。」と言って、一から五まで項目がございます。この中の第三号には「相手方に不利益となるように取引条件を設定し、又は変更すること。」さらに四には「前三号に該当する行為のほか、取引の条件又は実施について相手方に不利益を与えること。」こういう項目があるわけです。  そこで、今厚生大臣にお尋ねした問題で再度公正取引委員会にお尋ねしたいと思うのですが、今、メーカー、卸、いわば医療機関、この三者を見た場合に、卸の立場というのは本当に薬価はどんどん切り下げられていく、卸は別に新薬開発ができるわけではございませんので、非常にそういう中で苦しい立場にございますが、医療機関になりますと、要するに、そこにやはり納入せざるを得ないということがございまして、価格はたたかれる、値段は決まらないまま仮納入させられる。ほとんどの例がその場合に納品書に期日を書き込まないで納入する。これが慣例になっております。これは全国的にそうです。  そうなると、いつまでたっても代金は払ってくれない。だから、そういうことを行政に指導を求めますと、行政では、金を払わぬようなところには薬は納めるなといとも簡単に指導されるけれども、納めなければこれは生活が成り立たないわけですから、やはりそこに行かなければならない。ですから、どっちが優位かというと明らかにユーザーの方がこれは優位な立場にあるわけです。そういう立場で五カ月も七カ月半も代金を払わない。徹底的に買いたたく。しかもその伝票には期日も記載させない、そういう仮納入をさせる。こういうことはひとつ独禁法に触れるのじゃないかと思いますが、これは一般論として、その点どうお考えになります。  さらにちょっと具体的に一つ事例を申し上げてみたいと思いますが、これは「日刊薬業」という業界紙です。最近の業界紙で「厳しい納入条件で苦慮大病院の購入姿勢で波乱」ということで、具体的に仙台市で起こっている事例が述べられています。二月一日にオープンしたその私立病院、随分大きい病院らしいのですが、価格交渉を卸を飛び越えてメーカーの本部のある大阪と東京でやっているわけです、メーカーと直接。そして今度は帰ってきて地元卸を集めて、メーカーの指示価格の五%を自損するように求めているわけですね。しかも支払いサイトについては六カ月にする、こういういったことを卸に対していわば自損を求める、こういう行為、まさしくこれは独禁法に抵触する、自分の優越的な立場を利用して相手に不利を与えるという行為そのものじゃないかと私は思います。  しかもまだ、これは仙台市の準公立病院ですが、これはお調べになればすぐわかる病院です、今私が挙げる病院は。この病院は現在納入している卸六社を集めまして、四月からは、御承知のとおり薬価基準の改正が四月一日から実施されます。ですから、四月から八%の自損をしろ、さらに在庫管理のために人員派遣をしろ、こういうことをいわば強制しているわけです。しかも納入卸数を三社に絞り込むというような方針を勝手に打ち出している。その後の会議で人員派遣については撤回したそうでございますけれども、自損率に関しては依然八%自損しろ、こういうことを強要している。  こういう具体的な例がございますが、最近のそういう姿を見ていますと、これはただ単に、厚生省内部でもこれは指導して解決してもらわなければならぬ問題ですけれども、むしろ薬品の流通の場合は生命関連ということがございまして、ちょっと一般の流通とも全く違いますし、本当ならばこういうのは通産省が扱うべき問題が、実際業務局の経済課でこういう問題をなさっている、そういうこともありまして、これは非常に難しい問題かと思いますけれども、独禁法に照らしてこういう問題がどうなのか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  111. 野崎修

    ○野崎説明員 医薬品の仮納入問題等の御指摘でございますが、本問題につきましては、今先生御指摘ございましたように、最近の薬価改定等いろいろ医薬品をめぐる一つの問題としまして私ども耳にしているところでございます。  本問題につきましては、当然のことでございますけれども、薬価制度なり医療制度といったそういう公的制度と非常に深くかかわり合いがあるということでございますし、一方では、従来からの医薬品業界の取引慣行と申しますか、そういう問題ともかかわっている問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては従来から厚生省と連携をとりつつ、こういった問題の改善のために検討、指導を行ってきているところでございます。  この問題につきましては、実は昨年、六十年一月に卸連合会、医薬品の卸業連合会がございますが、そこで卸売業者のいわば地位の向上と申しますか、それと正しい流通の確保を図るという観点から「医療用医薬品の卸販売適正化指針」といったものを実はつくっておるわけでございます。  例えて申しますと、その中で言っておりますのは、例でございますが、「生命関連商品としての性格上、やむを得ず仮納入した場合を除いて、価格未決定のために長期にわたり要請される仮納入は、望ましくない。」ということで、「ユーザーに理解を求めることに努めるべきである。」云々ということで言われておるわけでございますけれども、こういった指針を卸連が作成する際にも、私ども公正取引委員会といたしましては十分なる関心を持って実は相談に応じているところでございます。  それからもう一点ございました独禁法との関係でございますけれども、これは仮にということで申し上げますけれども、ユーザーが取引上の優越的な地位を乱用してと申しますか、それで仮納入を強要する、それから仮納入を拒否する特定の卸売業者を不当に差別し、取引の停止を行うといったことがありますれば、これは公正な取引の観点から好ましくないということでございます。したがいまして、今後とも厚生省と連携をとりながら、こうした行為が行われないように十分監視をしていきたい、かように考えております。
  112. 沼川洋一

    ○沼川委員 一般論的な立場からでございますが、例えば先ほど私が具体的に挙げました仙台市の例なんか、これはもうはっきりしているわけです。これはぜひこういう問題に対してもっと実態調査をやれないものか、この点、再度お尋ねをしたいと思います。
  113. 野崎修

    ○野崎説明員 今の仙台市の事例につきましては、実は私ども詳細な点について把握をしておりません。独禁法に違反するか云々ということにつきましては、それぞれの個々の行為につきまして、その実態ないしは事実関係に基づいて個別具体的に検討をする必要があるわけでございまして、独禁法に違反しているかどうかということは、この場では一概にちょっと申し上げられないのでございますけれども、なお、この点につきましては、追って具体的なお申し出が公正取引委員会の方にあれば、その内容について検討をすることについてやぶさかではないということでございます。
  114. 沼川洋一

    ○沼川委員 こういう問題になりますと、具体的な申し出となると、果たして勇気を出してやる卸が何軒あるかなと、率直に言って心配いたします。もしそういうことでしこりを残せば、もう以後取引を断られるという非常に弱い立場にあるだけに、こういった問題に対して、ひとつぜひ、これは厚生省としても、大臣、こういう実態は最近特にひどくなっていますし、しかも、それが薬価が下がるたびに余計ひどくなるというのは、やはり本来ならば厚生行政、特に業務行政の中で抜本的な解決を図らなければならぬ問題じゃないかと思うのです。  大臣も御案内のように、現在卸売業者の医療機関への納入方法というのがいろいろありますけれども、特に値引き補償制度、これが、大体一般の大手メーカー等ではこういう制度をとっております。今まではメーカーが結局その卸に対してどういうことを指導してきたかというと、自損行為は絶対するな、要するに自損行為というのは即自体が自分で勝手に値段を下げるわけですが、それをやるとまた薬価を引き下げられるから絶対この値段から下げるな、こういう自損行為をするなというメーカーが、この仙台の例なんか見ますと、いわばユーザーとメーカーが話を決めていまして、どちら側もいわば卸に自損を求めている、こういうパターンが全国的に定着しますと、これは卸にとって大変な問題だと思います。これはただ単なる仙台に起こっている事例としてとらえるのはおかしいのじゃないかと思うのです。こういうことが全国の卸業者の中には、今からますます医薬品業界は厳しくなっていくわけですから、こういうパターンが定着するのじゃないかという心配がございます。  そこで大臣、一言で結構です。こういう問題を御存じなのかどうか、こういう問題に対して今後どういうふうな指導をされるのか、一言御答弁をいただきたいと思います。
  115. 今井勇

    今井国務大臣 私も着任をいたしまして、卸の人たちと、先生お話はずばり何遍も聞かされておりまして、これはやはりこれから大きな問題でもございますし、よく話し合っていこうじゃないかということで、会合をひとつぜひやろうということで意見の交換を今やりつつあるところでございます。
  116. 沼川洋一

    ○沼川委員 公取にもこういった実態についてぜひひとつ調査されることをお願いしたいのですが、もともとこういう問題がお互いの話し合いの中で解決できれば一番いいわけですけれども厚生省の方から特にそういう点の御指導方をお願い申し上げて次に参りたいと思います。  やはり卸に関連する問題でございますけれども、現在、卸業というのは、中には昔の非常に古い慣習がそのままの業界もありますけれども、最近の状況としては、日本の医療の一翼を担い得る近代的な流通業者に脱皮しなければならないということで非常にいろいろな努力をしております。例えばコンピューターの導入なんかまさしくその一つでございますけれども、ところが公的病院を中心に、いわば医療機関の中には各機関が個別に定めた独特の書式による請求書等の提出を要求するところが非常に多いわけです。ですから、この処理に卸の方はコンピューターを入れているのだけれども、向こうが決まった書式を言ってきます。個別にそれが違うわけです。請求書も向こうが指示してきますから、せっかくコンピューターを入れて合理化を図ろうとしても、実際その納品書、領収書等を手書きで書かなければならぬ。見ましたけれども、こんな膨大な納品書をコンピューターがあるのに手書きで一生懸命書いているのです。  ですから、そういう現状を私考えてみますと、やはりこれは関係機関あるいは業界を貫く統一した様式あるいはコード、例えば薬品記号がAの一〇〇なら一〇〇、こういう統一されたものがあれば、これはこのコンピューターが活用されまして非常に合理化が図られる。情報受け渡しルールというのが非常に確立されていくわけでございます。人手あるいはコンピューター資源が実際今申し上げますようにあるけれども、全く浪費されている、こういう問題もあるわけでございますが、こういう現状を御承知かどうか知りませんけれども、いわば合理化を進めようとせっかくしている中で、こういうのが合理化を阻害する大きな要因になっているわけです。こういう問題に対してもっと的確な御指導を願えませんでしょうか。
  117. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 ただいま先生から御指摘のありました事実関係は私ども耳にしております。改めて言うまでもないのですが、医薬品の流通につきましては多品種少量の医薬品を医療上必要に応じて随時供給する必要があるということでありますので、そのシステム化ということが大変重要だ、しかも業界からも強く望まれているということも存じております。  コンピューターの導入あるいはニューメディアの活用等によりまして流通のシステム化、コード化を行うためには、先生お話しのように卸売業者だけではなく流通に携わるメーカーでありますとか、あるいは医療機関等の各当事者の連携というのはどうしても不可欠でございます。そこで、私どもは今医薬品流通近代化協議会というのをつくっておりまして、それにメーカーも卸売業者も医療機関の代表の方も、そしてさらに学識経験者も入っておるそういう協議会でございますが、そこで統一伝票の普及等を含めた医薬品流通活動のシステム化、コード化の推進のためのいろいろな検討をお願いしている最中でございます。この結論を得まして、その議論を踏まえながら、今おっしゃいましたような問題に対処してまいりたいと考えております。
  118. 沼川洋一

    ○沼川委員 非常に明確な答弁をいただいて、ぜひそういう指導を行っていただきたいと思います。  やはりこれは卸の方からなかなか言えないわけですね、おたくのをうちのコンピューターに合わしてくださいとは。これはやはり行政の方から、全体を含めて一貫した、今もうオンラインで結ばれていく時代ですから、せっかくのコンピューターを浪費している、今どき一生懸命伝票を書くなんか、こういう作業が今なお残っているということじゃなかなかこれは合理化するといったって大きな阻害になっているわけですから、ぜひひとつ今答弁いただきました方向で御指導方をお願いしたいと思います。  大臣が三十分までということでございますので、あと五分ありますから、もう一つだけ大臣にちょっとお伺いしておきたいと思います。  薬価基準の問題が、いろいろと引き下げが行われるたびに問題になっておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、五十六年六月以降からずっと通算しますと五一・二%も引き下げられた。業界ではそういったことでメーカーあるいは卸に与える影響がいろいろと売り上げ、そういう経営の中にはっきりあらわれてきております。  そこで端的にこれはお尋ねしたいわけですが、後でそれぞれまた保険局長、業務局長には個々にお尋ねしたいと思いますが、はっきり言って、今厚生省の中で薬価を扱っていらっしゃる課といいますと、業務局の経済課。これはむしろ薬価調査をされております。また反面、産業育成という面で新薬の収載、そういう折衝も経済課ではされておるわけです。ところが、その基準を決めるとなりますと、保険局の医療課。それぞれ同じ厚生省だけれども、立場が全然違うわけです。ですから、恐らく中医協でもいろいろと問題になっておると思います。特に最近、医師会でも薬価基準の検討委員会をつくってやはりこれからどういう算定方式がいいのかいろいろと研究を進められておると聞きますし、業界は業界でリーズナブルゾーン方式とかあるいはオンコスト・アローアンス方式とか、いろいろなそういうものが今までも提唱されております。ところが、厚生省としてこの薬価問題をどうするかという本当に忌憚のない検討が行われているところはどうもないように私は思うわけです。  この点について、中医協があるからということでなくて、厚生省としても、現在まで既にもう三十年近く現在行われております九〇%バルクライン方式あるいは八一%バルクライン方式、こういう算定方式を用いてきましたけれども、最初に使われた時点から考えますと、経済の状況もずっと大きく変わっているわけですね。そろそろこういった問題も踏まえて薬価の見直し、こういうのをやる時期に来ているんじゃないか。それにつけても厚生省が何か一本化した、薬価はどうあるべきかというそういう検討をやる場所があったっていいんじゃないか、こういう気がいたしますけれども大臣、いかがでございましょうか。
  119. 今井勇

    今井国務大臣 お説わからぬわけでもございませんが、私は、従来から省内でも連絡はやっておりますし、特に私もこの問題は非常に関心が強いものですから、業務と保険局の二局で十分に連絡をとり、それで私を中心にしてやろうじゃないかというふうなことを言っておりますので、これは今の状況の中でうまく連絡をとらせて、私が調整をとりますので、ひとつ今のままでさせていただきたいなという感じがいたします。
  120. 山崎拓

    山崎委員長 厚生大臣の退席を認めます。  沼川洋一君
  121. 沼川洋一

    ○沼川委員 今の問題であと業務局長保険局長いらっしゃいますのでお尋ねしたいと思いますが、はっきり言って業務局と保険局、厚生省の内部の局でございますけれども、この薬価になりますと、どうも私、立場が全然違っているんじゃないか、こういう気がいたします。先ほどから申し上げましたように、薬価調査をやる。これはもう業務局の経済課が担当して薬価調査をやる。ところが、この基準を決めるときには保険局の医療課が決める。ところがどういう立場かといいますと、保険局の場合は、保険財政というのを抱えておりますので、どうしても保険財政という面から薬価を考えなければならぬ。  ところが業務局の場合は、やはり経済課が担当いたしております産業育成という課題がございますし、今まではどちらかといいますと、五十六年当時一八・六%の大幅な引き下げがございましたけれども、やはりあの当時は新薬の収載ということが相次いで行われたために、むしろそういう薬価引き下げを大きくカバーできる状況にありました。ところがずっとこうして続いていきますと、何か最近はもう新薬の収載をしても薬価と相殺されているみたいで、非常にこれから矢その辺のメーカーの新薬開発にも影響を与えるような形で薬価という問題がどうしても出てくるわけです。  したがいまして、いろいろと遠回しな言い方をしましたけれども、業務局の立場は、産業育成もやらなければならぬ、新薬の収載を早くしてあげなければならぬ。薬価を下げるから、薬価を下げるかわりに、今まではどちらかというと、御褒美と言っていいかどうかわかりませんけれども、そういう形で新薬の収載をやってきた。これからも産業育成をやらなければならぬ。ところが、一方の保険局は、非常に厳しい保険財政、今回も老人保健法の改正で、また負担の問題が出ています。今後ますますそういう負担の問題が出てくると思います。保険財政の上から考えなければならぬ。  そういう全く違う立場ですと、この薬価についても意見が食い違うのは当然だと思いますが、今私が申し上げたこういう問題に対して、業務局長保険局長、それぞれのお立場からひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  122. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 業務局と保険局の関係についてのお尋ねでございますが、先生もおっしゃいましたように、業務局としては薬価調査を責任を持って適正に実施するというのが一つ。もう一つは、薬価基準の決め方に際しまして業界の実情等を十分聴取、把握をいたしまして、これを保険局の方にお伝えし、いろいろなお願いをする、こういう二つの立場でございます。  それから、産業振興は確かに業務局の所管事項でありますが、産業振興という面で見ますと、薬価基準だけではございません、諸々の産業振興政策があるわけでありまして、その一つに薬価基準制度もかかわりがある、こういうふうな理解をしております。  いずれにしましても、業界の実情あるいは要望というものを十分につかまえた上で保険局にお話をし、いろいろなお願いをする、こういうことでやっているつもりでございまして、しょせん省内の話でありますから、そこら辺は十分連絡がとれているものと私は考えております。
  123. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 お話しのとおり、私どもの問題は保険財政の問題がもちろんございますが、私どもの主たる目的は、広い意味でやはり適正な国民医療の普及、確保というところにあるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、やはり製薬企業が十分に成り立っていく、健全に発展をしていくということはもちろん必要なわけでございます。そういった観点から、この薬価基準のあり方については、従来の経緯がございまして中医協で御審議をいただくことになっておりますけれども、中医協の場におきましても、昨年の四月と六月に医薬品関係業界からそれぞれ意見の陳述を求めた、こういう事実もございます。今後とも、必要に応じて、そういった形も含めまして関係業界の意見の聴取に努めてまいりたいと思っております。  同時に、薬価基準あるいは新薬の収載に際しましても、先生御案内のとおり、製薬企業の生命は何といいましても研究開発というところにあるわけでございまして、例えば新薬につきましてそういった問題についての加算を行う、こういったことを中医協で決めていただきました薬価基準あるいは新薬の算定方式でも十分に加味をしていただいているわけでございます。今一、二の例を申し上げましたけれども、そういった観点を含めまして、今後とも業務局と十分連携をとってこの問題に対応してまいりたいと考えております。
  124. 沼川洋一

    ○沼川委員 それぞれに御答弁いただいたわけでございますが、これはむしろ業務局の所管かと思いますけれども、臨調がいろいろ発表しております中に、現在日本が年間六億トンの資源を輸入して、九千万トンの製品を輸出している。そうしなければ国の営みができない、そういう国になっているのだ。ですから、そういうことを考えますと、今後も六億トンもの資源が集められるかということを考えますと、やはりどうしても知識集約型の産業を育てていなかければならない。そういう中に候補を上げますと、医薬品産業の育成、これはやはり今後の柱として取り組まなければならない問題じゃないか、これは私も思うわけです。  ただ問題は、やはり医薬品産業の育成を考えるときに、今後どう育成していくかという中に、本当ならば薬価基準というのが主流をなしてはおかしいのじゃないかと思うのですね。ところが、残念ながら、医薬品産業の育成という問題を考えた場合に、現状はどうしても薬価という問題を切り離しては考えられない。そういう現状もございますし、今後の医薬品産業の育成という問題、それからそれに絡む薬価の問題、そういうのを含めて、今後将来どのような対応を考えていらっしゃるかお聞かせいただけますか。
  125. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 確かに、おっしゃいますように、医薬品産業といいますのは省資源、省エネルギー、知識集約型産業の典型であります。私どもは、最も日本に向いた産業、こういう考え方を持っております。  そういうことで、例の産政懇にいろいろ関係業界にも入っていただき、あるいは学者さんにも入っていただいて答申をいただいたわけでありますが、昨年以降、産政懇でいろいろ貴重な提言をいただきましたので、それに応じて、それを実現する方向で去年、ことしと努力をしてきたわけであります。したがいまして、その産政懇の意見の中で幾つか実現したものがございます。必要があれば申し上げますが、その路線を今後とも続けてまいりたいと思います。  それから、薬価基準と産業育成との関連でございますが、理屈を申せば、薬価基準制度保険での支払いの物差してありますから、そのもの自体が産業政策ずばりというわけにまいりませんけれども、ただ、業界の実態を見ますと、どうしても経済的な影響度が一番大きいものですから、薬価基準制度に非常に関心が高いということでございます。  ただ、これは保険とも関係がありますので、むしろ、薬価基準もさることながら、それ以外の研究開発の促進だとか海外進出だとか、あるいは大衆薬で言えば大衆薬市場の活性化という、産政懇でいろいろ述べておられますそちらの方向の対策をメーンにして進めてまいりたいと考えております。
  126. 沼川洋一

    ○沼川委員 これはむしろ幸田保険局長にお尋ねしたいと思いますが、産業育成という面がありまして、業務局長がいろいろな会合に出られた折に、薬価算定方式というのはそろそろ検討する段階に来ているんじゃないか的な発言は、確かに業務局長の場合は聞いております。保険局長の方からは余りそういう話を聞いたことがないのですね。ですから、長いこと今の九〇%バルクライン式でやってきまして、確かに状況も変わってきたし、ここらでやはり薬価算定方式を十分時間をかけて検討する段階に来ているのじゃないかと思うわけです。  先ほども言いましたように、業界としてはオンコスト・アローアンス方式とかあるいはリーズナブルゾーン方式とか、こういうのを盛んに提出されておりますし、医師会でもいろいろと検討されておる。したがって、ただ、中医協で決めたから今後もずっと薬価調査をやって薬価引き下げを続けていくということじゃなくて、一遍、しばらく間を置いてその辺について十分に検討する段階がどうも来ているのじゃないかという気がするわけでございますけれども、これはむしろ保険局長の方の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  127. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 薬価基準の問題、薬価算定方式につきましては、先生御案内のとおり、いろいろな経緯がございます。  昭和五十年代半ばごろ、この社会労働委員会におかれましてもいろいろな御指摘、御意見がございまして、毎年一回薬価基準を見直すべきだ、こういう非常に強い御主張の経緯も踏まえまして、中医協で御検討を願い、五十七年に現在のような格好の御答申をいただいた、こういうことでございます。その際にも、毎年一回薬価を見直すべきだという御指摘と同時に、九〇%バルクライン方式でございますと、企業の販売方法によってかなりゆがんだものになっているのではないか、したがって、もう少しきついバルクライン方式をとるべきじゃないか、こういう御指摘、いろいろな御指摘がありまして現在のような形に落ちついているわけでございます。  御指摘のとおりこれを実施をいたしまして、五十七年に御答申を得まして、その後三回ほど薬価基準の改定を実施をいたしております。その結果といたしまして、関係業界を初め関係方面におきまして、現在の薬価算定方式でいいかどうかということについていろいろな御意見がまた出てきているということは十分私も承知をいたしております。  そういった意味合いで、薬価基準のあり方について私ども検討を続けているところでございますけれども、この問題については今るる申し上げましたような何分にも長い経緯がございまして、今直ちにこれを全面的に見直すということはなかなか困難ではないかと私は率直に申し上げて思っておりますが、せっかくの御指摘でございますので、なおよく勉強をいたしてみたいと思っております。
  128. 沼川洋一

    ○沼川委員 一時から本会議もございますので、以上で終わります。どうもありがとうございました。
  129. 山崎拓

    山崎委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  130. 山崎拓

    山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案及び年金福祉事業団法及び国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。今井厚生大臣。     —————————————  児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案  年金福祉事業団法及び国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  131. 今井勇

    今井国務大臣 ただいま議題となりました児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  母子家庭及び心身障害者に係る諸手当につきましては、従来からその充実に努めてきたところでありますが、国家財政の再建が課題とされている最近の厳しい財政状況のもとにあっても、社会経済情勢の動向に対応した適切な配慮がなされる必要があります。  今回の改正案は、このような趣旨にかんがみ、児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当等について給付の改善を行うこととするものであります。  以下、改正案の内容について、御説明申し上げます。  まず第一は、児童扶養手当の額を、児童一人の場合月額三万三千円から三万三千七百円に、児童二人の場合月額三万八千円から三万八千七百円に、それぞれ本年四月から引き上げることであります。  第二は、特別児童扶養手当の額を、障害児一人につき月額二万六千五百円から二万七千二百円に、重度の障害児一人につき月額三万九千八百円から四万八百円に、それぞれ本年四月から引き上げることであります。  第三に、本年四月に制度が発足する障害児福祉手当及び特別障害者手当についてでありますが、障害児福祉手当の額につきましては月額一万千五百五十円を、特別障害者手当の額につきましては月額二万八百円を、それぞれ支給することといたしております。  さらに、特別障害者手当制度の発足に伴い経過的に支給されることとなる福祉手当の額につきましても、本年四月から、障害児福祉手当と同様、月額一万千二百五十円から一万千五百五十円に引き上げることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました年金福祉事業団法及び国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、年金福祉事業団法の改正について申し上げます。  この改正は、年金福祉事業団の新たな業務として、資金運用部から還元融資を受けた厚生年金保険及び国民年金の積立金の一部について国債等の有価証券の取得、金銭信託等の方法により、安全確実かつ有利に運用できる道を開くものであります。  なお、この事業から生じた運用益につきましては、これを積み立て、将来必要があるときは、厚生年金保険等の被保険者に対する住宅資金の貸し付け、福祉施設の整備等年金福祉事業団が行う各種の還元福祉事業の財源に充てることとしております。  次に、国民年金法等の一部を改正する法律の改正について申し上げます。  この改正は、昭和六十一年度における拠出制国民年金の額の引き上げに準じ、老齢福祉年金の額を、月額二万六千五百円から二万七千二百円に引き上げるものであります。  また、これらの改正の実施時期は、本年四月一日といたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  132. 山崎拓

    山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  133. 山崎拓

    山崎委員長 厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大橋敏雄君。
  134. 大橋敏雄

    ○大橋委員 厳しい財政難の中でとかく福祉関係の後退が取りざたされているわけでございますが、私はせめてこれだけは緊急に前進的措置を講ずる必要があると考えまして、次の七項目の柱を立てまして政策要求として求めました。  その一つは、家庭婦人等の健康診査体制の拡充整備、二つ、がん予防検診の充実、三つ、健康増進対策の充実拡大、これは健康増進センターの増設及び充実ということです。四つとして、エイズ対策の推進、五つ、中毒一一〇番体制(データベース)の整備充実、六つ、中間施設整備促進のための国庫補助の強化、七つ、独居老人健康コールシステムの確立という七項目でございますが、予算は全部で百五十四億八千万円となりました。  そこで、「健康アップ緊急百五十億円プラン」と銘打ちまして提案したわけでございますが、この政策要求は政府の六十一年度予算案に対する野党共同修正要求の項目の中に盛り込まれたわけであります。その結果、社会福祉の充実等については、引き続き健康増進対策等にきめ細かな配慮を払い適切な措置を講じますとの回答を得たのであります。しかもこの回答には、六十一年中に実施するとの努力目標も含まれているわけでありまして、「健康アップ緊急百五十億円プラン」に対する大臣の所信と申しますか、あるいは決意をお聞きしたいと思います。
  135. 今井勇

    今井国務大臣 人生八十年時代の到来に伴いまして、長い生涯を充実したものとして生活するためには、まず健康であることが基本でございます。このための健康づくり対策は極めて重要であると考えまして施策の充実強化に努めてきたところでございます。  ただいまの御提案のプランにつきましては、国民の健康増進に関する施策につきまして幅広く、またきめ細かく配慮されておりまして、極めて示唆に富むものと考えております。したがいまして、今後の施策の推進に際しまして十分参考にさせていただきまして、その施策を推進していくようにできる限りの努力をさせていただきたいと存じます。
  136. 大橋敏雄

    ○大橋委員 実は昨年の通常国会におきましても、老人対策緊急百億円プランといたしまして、そのときは六項目の柱を立てて要求したのでございますが、これはおかげさまで六十一年度の政府予算案の中にほとんど反映されました。言うならば全部が実現した形となったわけでありまして、非常にうれしく思っているわけでございますが、昨年の百億円プランを要求した中で、病院と家庭いわゆる在宅との中間施設の必要性を強調しておりました。今回、老人保健法正案の中にそのことが取り入れられて実現の運びとなってきているわけでございますが、しかし、内容を見てまいりますと、モデル施設として十カ所の予算しか計上されておりません。それは余りにも少ないのではないかということで、今回百五十億円プランの中で、少なくとも倍の二十カ所くらいにする必要があるのじゃないかということで再要求したところでございますが、この点はいかがでございますか。
  137. 黒木武弘

    ○黒木政府委員 お尋ねの中間施設につきましては、私どもといたしまして、今後の高齢化社会に備えましてぜひ要介護老人のための中間施設でございます新しい施設体系が必要であると考えておる次第でございます。このため、今回御提案申し上げております老人保健法の改正の中で老人保健施設として制度化を盛り込んでございます。これが実施は、六十二年度以降本格的に実施したいと考えておる次第でございます。  お尋ねの六十一年度に行いますモデル実施でございますけれども、これは本格的実施に備えましていろいろの具体的な基準を定めるに必要な基礎データを収集するということを目的としまして、全国で十カ所程度モデル実施を予定いたしておるところでございます。このように、六十一年度の実施はいわば実験的と申しますか試行的に実施することでございますので、この程度の箇所数で十分所期の目的が達成されるのではないかと考えております。しかし、ただいま御指摘のように、老人保健施設はこれから非常に重要な施設でございますので、御指摘も踏まえまして十分成果が上がるように試行実施をいたしまして、その上で要介護老人にふさわしい施設として制度運営が図られますよう努力をいたしたいというふうに考えております。
  138. 大橋敏雄

    ○大橋委員 まあモデルだからせいぜい十カ所程度で間に合うのじゃないかと思っているというお話でございますが、私は、この重要な中間施設の問題については、やはりもう少し幅広く対策を充実強化して、その成果のきめ細かい内容を掌握しながら前進してもらいたいことを強く要求いたしておきます。  そこで、時間が非常に短うございますので、次に移るわけでございますが、ひとり暮らしの老人の死亡等が往々にしまして放置状態と申しますか、発見が非常におくれる、そういう不幸な状態というものが報道されているわけでございます。私は、これはもう何としても解消したいと念願している一人でございます。したがいまして、今度の百五十億円プラスの中に御機嫌コールシステムの確立等新しい提案をしているわけでございますが、これは簡単に申しますと、週に一回お元気ですかという安否確認をするだけの単純なものでございます。ボランティアの協力等を得ましてぜひ実現したいと考えているわけでございますが、そのためのアイデアについてはいろいろあろうかと思いますけれども、地域の事情にマッチする体制を是が非でも確立をしていただきたい、このような思いで提案しているわけでございます。この点はいかがでございましょうか。
  139. 小島弘仲

    ○小島政府委員 御指摘のとおり、特にひとり暮らしの御老人につきましては、その安否をも含めまして生活状況を的確に把握しておくということと、社会的な孤立感というものを解消していく施策が重要だと考えております。したがいまして、従前から市町村等を指導いたしまして、ひとり暮らし老人の的確な生活状況の把握をしておくようにということで、その台帳等を作成するとともに、地域の老人クラブ活動あるいは婦人会活動やボランティア活動を通じましてできるだけ社会参加を促進していく、同時に、定期的に訪問して安否を確かめるとともに、孤立感を解消したりいろいろな相談に乗っていくという施策を行っております。  また、特に低所得者につきましては福祉電話の貸与をも行っておりますので、先生提案の健康コールというものにつきましても、これはその孤独感の解消策の一つの有力な手法であろうと考えております。したがいまして、今後地域の実情に応じまして、いろいろな手段があろうと思いますが、それになじむような手段を組み合わせながら、こういう施策がより推進できますようにさらに指導を徹底してまいりたいと考えております。
  140. 大橋敏雄

    ○大橋委員 あらかじめ時間帯を決めまして、本人の希望をとって、ちょうどホテルなどのモーニングコールシステムみたいに一週間に一遍、それでも百十四万人ぐらいいらっしゃるわけですから、電話料が全体で年間六億近くかかるのではないかと思うのですが、その半分は国が面倒を見る、あと地方自治体等で何らかの形でそれを実施していただきたい。これを強く要望しておきます。  最後に、在宅老人支援情報センターというものを構想いたしまして、今度の百五十億円プランの中にうたっております。これは、事業内容は老人のいざというときの不安感の解消のために、一つとして、緊急通報体制の整備でございます。これはシルバーホン等の設置です。二つとして、介護体制等の生活情報の提供でございます。三つとしまして、生涯の生活プラン等の相談、提供、これは非常に大事だと思います。遺産あるいは資産運用等につきましては、専門家を配置いたしましてその相談にこたえていく。よくお年寄りのお金をねらって悪徳商人がうろついていろいろな事件を起こしておりますけれども、だれに相談しようもなくそういうものにひっかかる可能性も十分ありますので、これはぜひともやりたいところでございます。  またそのほか、保健、福祉相談体制の整備その他いろいろあるわけでございますが、実施主体は都道府県といたしまして、第三セクターに委託をし、職員は一つの施設に五名程度を配置しまして実施したい。六十一年度には少なくともモデルとしまして、大都市、中都市、小都市といいますか、三カ所ぐらいで実施したらどうだろうか。経費負担は国と都道府県が二分の一。こういう考え方を持って提案しているわけでございますが、これについて厚生省のお考えをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  141. 小島弘仲

    ○小島政府委員 御指摘のように、民間の老人サービスもだんだんふえてまいりましたし、公的な保健、福祉の総合的な情報を的確に提供いたしましたり、民間のいわゆる福祉サービスの実態等について的確な情報提供をする、またいろいろな相談に乗れるシステムの構築は非常に大切なことになってきておると考えております。  現在は、特に高齢者につきましては、厚生省が就労あっせん、生きがい対策を中心にいたしまして高齢者能力開発情報センターというようなものを設置して、その情報の提供に努めておるわけでありますが、幸いにも労働省関係で高齢者の就労対策については格段の施策がとられるやに伺っておりますので、厚生省のこのセンターは、むしろ先生お話しのように総合的な情報センターとしていくような方向で組織を充実してまいりたい、こう考えているところでございます。
  142. 大橋敏雄

    ○大橋委員 最後に、大臣にもちょっとお答え願いたいのですが、こうした在宅老人支援情報センターというのは非常に重要だと考えるわけでございますし、また一カ所五人程度の職員で一億数千万ぐらいで運営できる、こう思うわけでございますので、何が何でも、是が非でも、モデル的にでも実施していただきたい。また、我々が要求しております緊急百五十億円プランの中に示していると項目が少なくとも今年ないしは来年の予算要求の中で是が非でも反映されますように強く要望しまして、質問を終わりたいと思います。最後に一言。
  143. 今井勇

    今井国務大臣 先ほども冒頭御答弁申し上げましたように、御提案のプランというのは非常に示唆に富むものでございます。しかもまだ、きめ細かいものでございますので、今後の施策の推進に当たりまして本当に十分に参考にさせていただきたい、心からそう思っております。
  144. 大橋敏雄

    ○大橋委員 終わります。
  145. 山崎拓

  146. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 厚生省と中央薬事審議会ががんの薬を判定、認可する問題などについて質疑をやらせていただきたいと思いますが、がんの病はがん細胞によって衰えた体があらわす症状でありまして、がん細胞を攻撃するだけでがんが治るというものではございません。弱った体が問題でありまして、この体を治療しなければがん細胞は再発をするのであります。がんには制がん剤、免疫剤、補助剤があるのですが、薬事審議会は制がん剤の評価はできるけれども、それ以外の薬物については評価の基準を持たない、これが大事でありましょう。私は評価の基準を持たないと考えるのですが、業務局長、いかがでしょうか。  なぜかといいますと、がん病のすべてを制がん剤の基準で行うことはむちゃくちゃであるからです。弱った体に作用する別の薬が必要なんで、制がん剤だけの基準ではこれはいけないと思うからお尋ねするわけですが、答えてください。
  147. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 今おっしゃいますように、制がん剤といわゆる免疫療法剤とございますが、現在のところ、検討はしておりますけれども、免疫療法剤については基準はございません。ただ、従来制がん剤として承認をしておりますのはいわゆる腫瘍縮小効果で、この基準はございまして、これに従って承認をした例が幾つかあるということでございます。
  148. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 ピシバニールとクレスチンは免疫剤として身体に働く薬であって、がん攻撃の薬ではないと私は考えています。しかし、抗がん剤としてこれを認可してしまった、がん攻撃の薬として認可してしまった。今、局長はがん縮小ということをおっしゃったが、それはがん攻撃剤です。しかし医者は抗がん剤としての使い方をしていない、抗がん剤とは違った使い方をしているのです。私の言い方は違っていますか。
  149. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 実際に医療の現場でお医者さんかどういう考え方で使っているか、これは私どももつまびらかにしませんけれども、少なくとも中央薬事審議会でこれを新薬として承認するかどうかということで判定した際は、あくまで腫瘍縮小効果に着目をして、それに効果があるという判断をして承認がおりたものと考えております。
  150. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 中央薬事審議会が薬の使い方まで触れることは誤りであります。やるべきことは別にある。これは免疫剤だから抗がん剤と異なった使い方をしているのに、一回の使用費は高い費用の制がん剤と同じに決めている。制がん剤は高い、免疫剤は安い。それを十年間、免疫剤を制がん剤と同じ高い費用で決めている。これでは、長期使用であるから財政のためにはよくない。今の薬価基準は高過ぎる、だれが考えても高過ぎる。これは癒着があるのではないかと疑われてもいたし方がない。疑いたくないが疑いたくなる。大臣、いかがですか。
  151. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 先生も御案内と思いますが、現在日本で承認されているがんに対する薬の中でいわゆる免疫療法剤はございません。現在は腫瘍縮小効果の判定基準で承認された薬だけであります。したがいまして、薬価についても、免疫療法剤と制がん剤とおっしゃいますけれども、比較をするわけにはまいりません。制がん剤は制がん剤としての新薬の薬価というものを一定のルールでつけている、こういうことでございます。
  152. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 クレスチンを制がん剤などという学者はいません。いたら教えてほしい。最初、中央薬事審議会で制がん剤として認可をしたが、その制がん剤として認可をしたときのデータと、その後十年たってたくさん量を使用したそのデータとはおのずと違っておるはずだ。それをはっきりさせなければ医者の側だって困りますよ。抗がん剤の能書きを使われたら医者は迷いますよ。許可をしたときには抗がん剤かもわからぬ。しかしその後使って、抗がん剤と言われないデータがかなり出ておるはずだ。大臣、私の言うことはおわかりでしょう。それだけ頭に入れておいてください。  クレスチンなどに続いて申請している薬は今幾つありますか。——時間がないから後でいい。覚えておいてくださいよ。効く薬ならばたくさん許可をしてお互いに競争させなければだめです。一品じゃだめです。何でクレスチンだけに利益を与えなければならぬのですか。一、抗がん剤、二、抗がん剤を補助する薬、三、免疫賦活剤、この三つを混同することなく、ごちゃごちゃじゃなくそれぞれ正しい薬価を決めなければだめです。がんの薬は三種類に分かれるのだから、だれが考えだってそうだ。  大臣、こんなことを申し上げては悪いのですけれども、日本の大臣は一年以内にかわっちゃうのです。こういう重要な問題は大臣の任期中にしっかり調査をして、そしてだれが見てもなるほどということに直していただきたい。これはひとつよく研究をしていただきたいのであります。大臣はこういう問題については専門家でおありにならぬので余り答弁を求めるとお気の毒だから、後でよく研究しておいてください。  六十年十一月、レンチナンが承認されましたが、適応症は限定をされた。すなわち、手術不能、再発胃がん、この二つの患者に絞って抗がん剤のテガフールという薬と併用するという条件つきなんです。私は薬剤師なんです。薬というものは早くから使うものです。命を捨てる直前にしか使っちゃいけませんなんというそんな薬は聞いたことがない。手術不能やがん末期は死の直前、死の直前でないと使ってはならないという使用方法は私は聞いたことがない。テガフールと一緒でないと使ってはならない、こういう医事という医師の裁量権を侵すのはおかしいと私は考えたが、この両薬併用は実は治療ではなくて生存期間延長としてこれを認可している。いいですか。治癒ではなく生存期間延長にしても、なぜ早期に使わせないか。  早期に使っていいのはクレスチンだけだ。これはだれが考えてもクレスチンの保護と思うじゃありませんか。今、日本には比較臨床治験データというものはないのです。しかし、比較臨床治験データのない薬なんというのはないのですよ。ないのはクレスチンだけです。それからレンチナンだけです。どうですか、これについてどうお答えになられますか。
  153. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 クレスチンにつきましては、先ほども申しましたとおり、腫瘍縮小効果があったという判定を中央薬事審議会がしたわけであります。したがいまして、そういう直接的な効果があったということで評価され、承認したものでありますから、比較臨床試験成績は必要としないというのが一つのルールでございます。
  154. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 監督官庁がそれでどうするのです。国の税金を五千億円も——五千億じゃないか。ちょっと伺うが、クレスチンというのは一年間の使用費は幾らですか。
  155. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 売上高は年間約五百億でございます。
  156. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 五百億の十倍、五千億円、そしてがんの薬はクレスチンしかない。そういう重大な薬を監督をする官庁が今のような答弁でよろしいか。
  157. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 ある申請された物質が医薬品として適当かどうかという判断をする場合、いろいろなメルクマールがございます。ただ、がんの場合には、これは腫瘍が縮小したということで医薬品としてふさわしいという判定は従来からやっているところでございます。  ただ、レンチナンのようなものは、先ほどおっしゃいましたいわゆる延命効果を期待するものでありますから、これについては比較臨床試験は要りますけれども、腫瘍そのものが縮小するという直接的な効果が期待されるものは、比較臨床試験は期待をしていないわけであります。
  158. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 大臣、五千億円も使ってこんな程度なんです。本当に真剣に検討してくださいよ。これが民主主義国家のお役所の仕事かね。五千億円ですよ。それで今のような答弁だ。がん縮小効果なんか今あるわけがない。あったらデータを出してほしい。僕は後で資料要求しますからね。臨床データがないから答弁できないのです。  中央薬事審議会が十年前に許可をしたことをそのまま言っているだけのことです。こんなのありますか、先生方。臨床データがないのに、この薬は生存期間延長の効果しかないのだから、再発胃がん、手術不能だけにしか使ってはならない、こんなあいまいな話は小学校の生徒だって笑いますよ。だって、これらは免疫剤なのに抗がん剤で許可しているのですから、これはむちゃくちゃであります。いわゆる古いデータそのまま振りかざしている。新しいデータを出しなさいと言うんだ、私は。出さなかったらだめですよ。もう済んだことはいいから、出すことに努力をしなければだめです。  昭和五十一年にクレスチンが承認されてから九年間、免疫療法剤の承認はストップされてしまいました。クレスチンは、今言ったように、今までで五千百億円、これは一品商品としては世界医薬品市場類例を見ない。クレスチン認可後なぜほかの薬の承認をしなかったのか。局長、ちょっと答えてください。簡単でいいですから。
  159. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 その後も申請は幾つかありましたけれども、医薬品として承認するに足りるだけのデータがそろってなかったというケースであります。  それからちょっとつけ加えさせていただきますが、先ほど、臨床試験はないということを言った覚えはありません。臨床試験はあるのでございます。ただ、比較臨床試験、例えばダブルブラインドとか、そういうものはこういう腫瘍縮小効果の場合には要求していないということを申し上げたわけであります。
  160. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 比較臨床治験というものはいつでも出せるような態勢にしておかなければいけない。また順番にやっていきますからね、飛ばすと皆さん方わからなくなるから。  そればかりではありません。クレスチンを擁護するために、またBRMの本質を考えないで、いわゆる桜井基準と言ってよいかどうかわかりませんが、当時厚生省で桜井先生が中心になって——今までは抗がん剤の基準しかなかった。ところが世論がやかましくなったものだから、今度は免疫療法剤の判定基準を桜井先生がおつくりになったわけです。これは本当の判定基準じゃないのです。悪い言葉で言うと、言葉の羅列です。そして残る六品目、六品目だと思うが、後で検討してくださいよ。六品目のものを合格させなくした。  すなわち、クレスチンが合格したときのハードルはこんなに低いのです。またげばまたげるものです。ところが、それを桜井先生を中心にしてハードルを高くしてしまった。だから、六つの残った薬はハードルが高過ぎて飛び越えられない。だから、クレスチンも一遍高いハードルの内側に入れて、用意ドンでみんなやらせなかったら不公平ですよ。だれが考えたってわかる。クレスチンは桜井基準のハードルを越えないでだれでもまたげるハードルを越えた、やさしかった。そこで、人体の薬なんだから、桜井ハードルを新たに越えさせなければならぬ。そうでしょう、大臣。どうお考えになりますか、常識的に。私の言うことは間違っておりますでしょうかね。ちょっとお答えいただきたい。常識でいいですよ。
  161. 今井勇

    今井国務大臣 私が答えるのはまさに常識以外にないわけでございますから、そのハードルの高さというのがどういうのかよくわかりませんけれども、やはり当時は当時でそれなりのハードルで越えたものでございましょうから、もうちょっとよく聞かせていただきましてから私の意見を申し上げたいと思います。
  162. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 何もびくびくすることはないのですよ。いわゆるクレスチンのときのハードルというのは、抗がん剤としてのハードルを越えたのです。今度はいわゆる免疫剤としての新たなハードルをつくったわけです。だから、免疫剤としてのハードルをクレスチンにも越えさせなければならないでしょう。おわかりですね。抗がん剤のハードルは越えた。ところが、厚生省は免疫剤のハードルをおつくりになった。その薬は免疫賦活剤という種類の薬だから、免疫剤のハードルを越えさせなければだめでしょう。
  163. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 クレスチンの場合には腫瘍縮小効果というハードルがあったわけでありまして、それを越えたわけでございます。その後で出た薬の中には、腫瘍縮小効果はないけれども、別な要素で承認ができるかどうかというのが問題になったわけでございます。その際に桜井試案というのが出たわけで、もっともこれは試案でございますから公に決めた基準ではございませんけれども、いわば先生言葉をおかりすれば、腫瘍縮小効果というハードルと別のハードルをもう一つ用意した、こういうことであります。どちらかを越えればいいという趣旨でのハードルということが言えると思います。
  164. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 国民のために医療というものはあるものなんです。そんな逃げるようなみっともないことをしなさんな。大臣、いいですか、ここで答えられなくても真剣に考えてくださいよ。がんの患者がどんどん死んでいるのですからね。年に五百億円の金を使っているのですから、考えてください。私だってこんなことは言いたくはない。言いたくはないけれども余りにもひどいから立場上やはり言わなければいかぬでしょう。代議士が言わなければだれが言うのですか。私な言わなかったら、製薬会社は厚生省のやり方が間違っておると思ったって文句を言いに行きませんよ。  クレスチンの研究開発は、癌研究会癌化学療法センター所長でありました桜井先生、それからセンター部長でありました塚越先生が中心でありますと私は聞きます。もし違っておったら教えてください。この桜井先生と塚越先生が開発に参加したかしなかったか。僕はしたと思っていますから、間違っていたら教えてください。自分が研究した薬を承認させて莫大な利益を上げて、次に競合した薬の認可基準を難しくして、ハードルを上げて通さなくする、これは悪巧みだと疑われてもいたし方ない。私はこの二人の先生は品格があるから悪巧みだとは思わないけれども、今の厚生省のやり方を率直に批判するならば、この二人の先生の悪巧みと国民に思わせます。この先生は悪い先生じゃない。そんな悪巧みをするような先生じゃない。しかし、今のようなやり方を続けていくと、この先生方を非難しなければならないようなことになる。すなわち一人二役、悪い言葉で言うと、マッチポンプと言われてもいたし方ありません。これは厚生省の良識いかん。そういうことでは気の毒です。  桜井先生は薬事審議会に入っておられたと私は思っておりますが、もし間違っていたら教えてください。間違っていなかったらそのままで結構。薬事審議会の抗悪性腫瘍剤調査会のクレスチン審理は、わずか二回しかやらなかった。こんな大事なものを二回しかやらない。五十一年三月二日法曹会館で開かれた会合に桜井先生は座長として出席した、私の調べでは。これも間違っていたら訂正してください。自分がつくった薬を自分が審査をし、自分が座長になって決める。もしこれが本当だったら、これは不見識きわまるもの。やらせる厚生省がよくない。その後の特別部会、常任部会は形式だけと私は聞いている。間違っていたら教えてください。  教えてくださいということは、これは形式だけじゃありません、記録はこうでありますということを出してください。実質二回、短時間の審理で承認をしてしまいました。桜井先生は一人二役、いや一人三役。研究開発をしました、承認をいたしました、そして私に言わせればあいまいな判定基準をつくってハードルを高くいたしました、こんなふうに思わざるを得ないじゃないですか。私は思いたくない、疑いたくない。しかし、一連の筋を見ればそう思わざるを得ないじゃないですか。一人三役。大臣、後でよく検討してください。私は物を扱うならこんなことは言わない。物を扱うのでなく人間を預かっているんだ、国家の財政を預かっているんだ。  日経ビジネスも六十年十二月九日号で「クレスチンは日本だけの薬」という見出しで抗がん剤特集をやった。私も調べた範囲では、効いたという医者はいない。医者は何となく使っている。日経産業新聞では、効き目のないむだ薬という酷評が医療関係者の間で言われております。そうしたらにせクレスチンが全国に出回ってきた。にせものを長期間患者に使ったが、これは重大な問題ですね。もちろんにせものだから効くはずがない。そうですな。それでもお医者さんたちはにせものを平気で使っていた。ということは、本物でも効かないのだから、にせものに気づくわけがない。これほどはっきりした比較臨床治験はないはずである。大臣、いかがですか。  これが事実であるとしたならば何たることか。効かないのだから、にせ薬だってわからない。大臣、これが本当だったらどうお思いになりますか、ちょっとお答えください。常識でいい、私も常識でしゃべっているのですから。
  165. 今井勇

    今井国務大臣 私、まさに素人ですから、おかしいなと思いますね。
  166. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 さて、今度は局長伺いますが、六十年、昨年の九月二十一日、東京プリンスホテルでクレスチン発売八周年記念大会というものを開いたといううわさを聞いたか聞かないか。厚生省でどなたが出席をしたか。
  167. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 そういう催しがあったことは私聞いておりませんし、したがいまして、だれが行ったかもわかりません。
  168. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 それじゃ、恐れ入りますが早速製薬会社に調べて、そして私に報告してください。もしこれがあったとしたならば、厚生省から必ずどなたかが出席しているはずだ。うそを言ってはいけませんよ。国会の場というのはうそを言うところじゃない。あなたと私が議論をしているということは、これは国民に対してなされるもの、二人だけの論議じゃない。国民にわからせる心で質問をし、国民にわからせる心で答弁をしなければ、国会の答弁、議会の答弁とは言えません。逃げてはだめだ、ごまかしてはだめ、堂々とやらなければ。もしこの会が開かれていなかったら、ひとつ間違いだということを指摘してください。  大臣、クレスチンは年間患者一人当たり百七万円かかっているのです。私の家内が医者だから計算さしたら、一人当たり患者の負担が百七万円。それを使わせて、それで数万人の患者を死なして、亡くなった方などは、八周年やるということはもう七回忌やってみえる。自動車の販売ならまだしも、効かない薬で人を死なして、そして販売高五千億円達成祝賀パーティーをやったとしたならば、何たる非常識かと言われてもこれはいたし方ない。そんなところへ厚生省がもし出ていったとしたならば、これは不見識と言わざるを得ない。  小川一誠癌研臨床部長、それから福島雅典愛知県がんセンター内科部長、仁井谷日医大教授が、がん専門医でありますが、クレスチンを使っていない。なぜお使いにならないのですかと聞いたら、不確定要素が多過ぎるから使わない、臨床効果が確立していないから使わない。私は、これは悪いという意味で言っているのじゃないですよ。今のクレスチンのいわゆる治験の状態はそういうことだということを申し上げているだけですよ。悪いと言っているのじゃないですから勘違いしないでくださいよ。  クレスチンは抗がん剤として承認されています。薬事審議会の審議の結果を見ますると、今局長が盛んにおっしゃっておった、「腫瘍に対する直接効果とともに」と書いてあります。すなわち、がんの縮小があったと薬害が言うのです。これによると、分類は明らかに抗がん剤になっているわけであります。つまり、がんを直接攻撃する、そんなおかしな話はないのです。エールリッヒの定義である化学療法の分類での抗がん剤に入っているわけであります。  なぜ免疫剤を抗がん剤にしたか。悪く言えば値段を高くしたかったから抗がん剤にしたと、疑う方は勝手であるけれども、こんなことをやっていたら疑われると思う。はっきりさせなければならぬ。三共にも気の毒。抗がん剤は副作用が大きいから、したがって薬をお休みする期間があるのです。抗がん剤というのは毎日使ってはいけないのです。したがいまして、抗がん剤というのは一回投与する薬価は割合高く立てられておるのです。その高いところに基準を合わせて高いお金を払ってある。実際は、これは抗がん剤ではなくて免疫賦活剤である。これに抗がん剤として認可したために高い値段をつけてしまった。これは全くむちゃくちゃであります。こんなおかしなことは厚生省のやることではない。  新しい薬価基準では——今の薬価基準はいつ改定をなされたか、その薬価基準の値段は、旧と今と比較をするとクレスチンは下がっているかどうか、ちょっと答えてください。
  169. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 クレスチンの薬価でありますが、収載をされましたのが五十二年五月で、当時の一グラム当たりの値段が千百四十一円九十銭であります。
  170. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 昔から言わぬでもいい。旧と今でいい。
  171. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 現在は六十年三月からでありまして、一グラム当たり九百九十一円四十銭ということになっております。
  172. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 その前の薬価基準は。
  173. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 その前の薬価基準は千三十円六十銭であります。
  174. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 幾らか下げたわけですね。
  175. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 はい。率にいたしまして三・八%の引き下げであります。
  176. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 同じ免疫剤で、私は丸山ワクチンを今勧めておるわけじゃありませんよ、丸山ワクチンが一番聞こえておるから申し上げるが、丸山ワクチンというのは一年間に七万二千円。一本四百五十円、ですから一年間で七万二千円。同じ免疫剤のクレスチンは一年間に百七万円。Aという薬は七万二千円、Bという薬は百七万円。大臣、同じ種類の薬でどうお思いになりますか。大臣、素人のお感じでいいです。
  177. 小林功典

    ○小林(功)政府委員 先生御存じと思いますが、クレスチンは正式に医薬品として承認されて薬価に載っている。それから丸山ワクチンは、承認申請はありますけれども、まだ承認になっていないわけであります。要するに、治験用の段階でございまして、有償治験の価格ですから、それを両方そのまま比べるというのはいかがなものであろうかと思います。
  178. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 それにしても、お役人の一番偉い方が堂々とその程度答弁では、あなたは世の中を知らな過ぎる。百七万円と七万二千円、承認されれば十何倍になっていいのですか。大量生産すれば安くなるわけですよ。あなたは頭はいいかもわからぬけれども、悪いが、物を知らない、世の中を。頭のいいのとそれから腹の悪いのとは違います。そんな答弁を堂々と国会でするものじゃありません。  全然違った薬なら別ですよ。大量生産すれば安くなるのです。丸山ワクチンなんというのは大量生産しないでしょう。本当に考えてくださいよ。とんちんかんなことを言ってはだめですよ、あなたは一番偉いのだから。  また、癌研究会の有名な斉藤達雄先生の講義用資料、対象厚生省がん予防技術職員研修会にも、クレスチンは抗がん剤となっている。そしてその資料を見ますと、クレスチンは十一例判定可能例、そのうちで効いたというのはゼロ。厚生省の資料だ。とすると、細胞縮小という直接効果はうそである。今局長が言ったこと、うそである。これはあくまでも生体防御賦活剤であります。前記三人の学者の方々がいわく、BRMの判定基準は確立されていないのだから。だから、斉藤先生の講義資料にもあるように、効き目はゼロ。この資料は厚生省の内部資料であります。だから、クレスチン認可には問題があるから、もう一度検討し直していただきたい。薬害の——まあこんなことは言うのはよしましょう、けなすことになるから。  もう一つの資料、昭和六十年十一月二十六日、社会労働委員でありました草川代議士の文書質問に対しまして、これは厚生省の文書答弁ですよ。「財団法人がん実学的治療研究財団は、」「延命効果の比較臨床試験を打っているが、その試験はいまだ終了していないと聞いている。」と厚生省は文書で出された。五年間たって試験がまだ終了していないはずはない。なぜならば、リューマチのようなものは長くかかりますから試験期間は長い。しかし、がんの場合は勝負が早い。勝負の早い患者を対象にして比較臨床試験が出てこないわけはない。試験がまだ終了されていないわけはない。これは常識であります。堂々と厚生省はそういう答弁を文書でお出しになった。ここにあります。出したか出さないか聞いたってしようがない、厚生省答弁ですから。時間がむだになりますから答弁は要りません。よく検討しておいてください。  財団ができてから五年、クレスチンが認可されてから十年になるのです、大臣。そして五千億円の売り上げをし、国家財政をむだ遣いし、多くの人々を死なし、人命に関するこの大問題を預かるのに、比較臨床試験が全くないということはどういうことでありましょうか、厚生省の怠慢、無責任、その極だと言わざるを得ません。国民はそう思います。大臣、常識的にちょっとお答えください。今私が申し上げた、十年になるが比較臨床治験ができていない、五千億円の金を使った、多くの人を死なした、こういう大問題について厚生省が今のような姿勢でおるということは無責任だと私は思うが、大臣、どうお思いになりますか。おかしいなとでもいい。
  179. 今井勇

    今井国務大臣 もう先ほど答弁申し上げたように、私も素人でございますけれども、少なくもクレスチンという薬は、薬事法にのっとりまして専門家で構成されます薬事審議会というもので審議されまして認められたものだと私は理解をいたしております。したがって、それとこれとは別問題じゃないかなという感じがさっきからいたしておるものでございます。
  180. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 大臣だっておかしいとお思いになる。これはおかしくないと思ったら、おかしい人。比較臨床試験はクレスチン認可のときの条件つき認可と見てもよいと私は思う。そうは書いてないけれども、比較臨床試験を添付しないで薬事審議会は許可をした。その後、本態をよく研究しなさいよという条件をつけておる。その文書は、私はちゃんとここに持っているのだから、当たり前のことだ。それをメーカー側はやらなかっただけ。世間がやかましくなって、五年たって財団をつくった。その財団はメーカーが何社か金を持ち寄ってつくった。それから五年たったけれども、まだ依然として治験が出ておらない。こういう種類のものなんです、抗がん剤というのは。  さて、BRMの比較臨床試験結果は、今のところでは出ないものなんです。出ないものだから出せない。出したら笑われちゃう。厚生省の講義資料と同じ。出したら笑われちゃう。だから出せないもの。そういう立場に立って、これからこの薬にどう対応するかということを考えていかなければだめ。マンネリじゃ、このままじゃだめ。一般的に思うに、こんなことをやっていると莫大な金が動いていると疑われてもいたし方がない。私は疑います。  もう一度、悪いけれども中央薬事審議会にも考えていただきたい。抗がん剤でもない薬を抗がん剤として認可をし、かつ認可の前に試験データを整えておかなければならないのに、そのデータなしで許可をして、その治験データのようなものを後でお出しなさいという条件をつけたけれども、またそれが果たされていない。さきに述べたように、いつまでたってもそのデータはできるわけがない。すなわち、効き目がはっきりしないからであります。だから私の言うのは、いい気になってこんなたくさんもうけさせてはいけないということだ。多くの人々を死なしておきながら、癒着と思われたっていたし方ない。  大臣、よって、がん治療薬という最重要な医薬品こそ、厚生省は権威ある姿勢で、我々が本当にありがとうと頭の下がるような、惰性の癒着を引き裂いて権威ある姿勢で、今までにどんな使われ方をしたか、また効果のあるなしを早急に調査をして、大臣、これからが問題です。使われた総量に比較をして、延命の効果がないか、あるいは余りにもわずかで、その格差が大きければ保険医療費乱用として、薬価基準に関する問題としてこれを取り上げ、見直しをしたり、または薬価基準から外す作業を直ちにやらなければならないか、あるいはBRMでも薬によっていろいろ作用がありまして、一、免疫賦活、二、新陳代謝高進、三、組織修復、これだけいわゆる作用が違うのです。局長、このようにいろいろあって、BRM効果を一概に線引きすることは困難であります。よって、薬の持つ特徴を十分に生かした判定はそれぞれの薬についてなさるべきもの。特徴があるのですから、その特徴というものをよく見きわめて、そしてそれぞれの薬の特徴を認めて判断しなければならないと私は思います。  そういう考え方に立って、幾つかの薬を適薬であるならばこれを認可をする、そして使い方は医師の判断で、こういう患者にはどの薬を使おうかということを判断させる。しかし値段は、丸山ワクチンがこんなに安いのだから、できるだけ安い費用で、それ以上の過当競争ができないくらい——私はまた将来今の薬価基準について徹底的にやりますからね、全部調査してやるから。おかしな過当競争ができないように適正価格、そしてメーカーとしての権威を保って、小商人のようなまねをしないで、いわゆる競合品がそういう姿勢でやってもらえるように、それで国家も得する、患者も得する、疑われることもなし、その理念が人命の健康を守る源の考え方でなくてはいけないと思う。今のやり方は狭い、いわゆる言いかがり的判断だから、すぱっとした答えができやしない。大所高所から見た判断ではないと私は思います。私の言うことが間違っておったら反論をしていただきたい。何も行政側は我々の言うことに服することはないのですから、間違っていたら間違っているとおっしゃっていただいていいのですから、それで私は学びますから。  最後に大臣、復習しますよ。最初に抗がん剤の目的でテストして、いわゆるそれなりの効果があった、これは局長のおっしゃるとおりです。それなりの効果があったあったと今一生懸命言っているわけだ。あったことを認めましょう。それなりの効果があったから中央薬事審議会は認められた。しかし、今は分類が違うのです。前は抗がんの分類、今は免疫の分類。分類が違ったのだから、どう効能が変わったのか。わかるでしょう。分類が違ったのだから効能が変わるのは当たり前なんですよ。どう効能が変わったのか、はっきり区切りをつけるべきである。もし言うことを聞いてくれなかったら何遍も私は同じことをやりますよ、ここで。はっきり区切りをつけるべきである。  例えば、現在でも直接効果が一体あるのか、がんを縮小するだけの直接効果が今でもあるのかどうか、十年間やっているのだから、使っているのですから、実際使った症例を集めて検討しなければならないと私は思います。そうでないと、効能などについて正しくない能書きができ上がるのです。私が医者だったら迷います。そうなっては医者が困る。ですから大臣、業務局に言ってください。わかりやすい、その後の治験資料を出してください。出さなかったら、私は疑っているから何遍も何遍も同じことをやらなければならない。すなわち、人命、それから国家の財政——したがいまして、私はここで真剣に今問うたわけであります。いつかやるのでなくて、直ちに取りかかっていただきたい。ぜひ御答弁をお願いをします。  これで終わります。
  181. 今井勇

    今井国務大臣 お話はだんだんわかってまいりました。御趣旨につきましては、先ほど申し上げましたように、中央薬事審議会で厳正に、公平に審議をされまして承認されたもので、私は学問的に正しい評価をいただいたものだと理解をいたしております。  ただ問題は、新薬につきましても承認後に蓄積されましたデータをもとに逐次再評価を実施するということは至当だと思いますので、本件につきましてもその枠組みの中で取り組んでまいりたいと思います。それで、今のいろいろなお話にもありましたので、よく私も検討いたしまして、先生の御懸念を晴らしてまいりたいと思っております。
  182. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 委員長、どうもありがとうございました。
  183. 山崎拓

  184. 菅直人

    ○菅委員 きょうは今井大臣に初めて質問をするわけですけれども、きょう朝来同僚の委員の方からも話がありましたが、今井先生は長く社労の理事をされていて、私も一年生議員のときからいろいろな問題で御一緒に社労の審議に携わらしていただきまして、そういう意味ではいろいろな思い出があるわけですが、その今井先生が今度は大臣という行政の責任者ということで、期待をするところも大変大きいわけであります。そういう点で大変詳しい大臣でありますから、もう内容についてはいろいろ詳しいと思いますけれども、ぜひ思い切った政治力を発揮していただきたいということをまず期待を申し上げておきたいと思います。  今から約五年ほど前にいわゆるフェニックス計画という法案がかかりまして、正式には広域臨海環境整備センター法案ですか、運輸省との共管になって可決をされたことがあったのを大臣も覚えておられると思います。その後この法律に基づいて大阪の方ではそういったセンターが生まれた。東京に関してはまだかなり問題があるということでスタートを切っていない状況です。また、ことしのこの国会に厚生省の方から廃棄物処理施設整備緊急措置法の改正案を出されるという予定にもなっておりますけれども、そういう状況を踏まえてこの廃棄物の問題について幾つか御質問をしていきたいと思います。  まず第一に、廃棄物いろいろありますが、きょうの議論は一般廃棄物に限りたい、産業廃棄物は除いて考えたいと思いますが、一般廃棄物の廃棄量がかなりの勢いでかつては伸びていたわけですが、フェニックス計画の当時、五年くらい前の一般廃棄物の伸びの見通し、それがその後実際上どういうふうに変化をしているか、あるいは今後の廃棄物の見通しをどういうふうに見ているか、まずその点について厚生省の見解を伺いたいと思います。
  185. 森下忠幸

    ○森下政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のただいまの廃棄物処理施設整備五カ年計画を策定いたしましたときには、これは五十六年に策定いたしましたが、そのときに用いましたごみの排出量の実績は、昭和四十九年度から五十三年度までの実績をもとに計画したわけでございます。そのときの数値を申し上げますと、家庭から出ますごみの量を人口一人当たり一日に直しますと、四十九年度には七百六十グラム程度でございましたが、五十三年度には八百九グラムというふうにふえております。これはかなりふえる要因もあったわけでございますし、かなりこのような状況で伸びるのではないかということで、五十六年の予測では年間一人当たり二%ぐらい伸びるのではないかというふうなことで計画をつくったわけでございます。  その後毎年実績をとってまいりますと、どうも五十三年度あたりが一つの節目みたいな感じでございまして、五十三年度以降伸びが非常に鈍化しておるわけでございます。年によりまして若干でこぼこがございますが、例えば五十二年には八百九グラムでございましたものが五十七年には八百四十二グラム程度ということでございますので、非常に伸びが緩やかになっております。大体一%弱ではないかと思っております。なかなか将来予測というものは難しゅうございますが、現在のトレンドからいたしまして、前回の伸びよりは低いわけでございますけれども、このような緩やかな一%弱というふうな伸びは、今後の経済社会情勢がこのような状態が続く限りある程度続くのではないか、このような予測をしております。
  186. 菅直人

    ○菅委員 このごみの排出量の変化というのは、こういったいわゆるフェニックス計画とかいろいろな計画に大変大きな影響があると思うのですが、この伸びの低下の原因、もちろん経済的な状況、いろいろあると思いますが、私は、リサイクルといういろいろな問題をいろいろなところで今進めているわけですが、そういうものも一つ要素としてあるのじゃないかと思います。そういったことも含めて大臣の方で、このごみの伸び率というものが変化をしてきている、特に低下をしてきている原因をどういうふうにごらんになっていますか。
  187. 森下忠幸

    ○森下政府委員 今先生の方からリサイクルというお話がございました。伸びが前回の見通しよりも下回ったということはいろいろな原因があると私ども考えておりまして、一つには経済の安定成長ということで消費が落ちついている、それから、省資源、省エネルギーの思想が定着しているということもあると思います。  それから御指摘のリサイクルの推進、これは大変大きな要素かと考えております。ちなみに古紙の回収率などを見てまいりましても、五十年度の三九%というのに対しまして五十八年度には四九%に上がっておりますし、瓶などのカレットの使用率も上がってまいっております。こういうことが仰せのように市町村が集めますごみになる前の段階でごみを減らすということに大変有効であったというふうに考えておる次第でございます。
  188. 菅直人

    ○菅委員 そういう状況を踏まえて、リサイクルということに対する厚生省の現在進められている施策、あるいは今後どういう方向で取り組まれようとしているか、その問題について大臣の御見解を伺いたいと思います。
  189. 今井勇

    今井国務大臣 リサイクルの問題は先生が非常に御熱心にお進めいただきまして大変ありがとうございます。この問題は、廃棄物そのものを減らすという観点から、また省資源、省エネルギーの観点からも、私も重要なことだと思っております。厚生省としましては、リサイクルの推進を含めまして廃棄物の減量化、有効利用につきまして自治体を今指導いたしておるわけでありますが、廃棄物処理施設整備にかかわります補助制度の一環としても、減量化あるいは資源化に資するものに補助を行っているところでございます。  そこで、リサイクルを推進してまいりますには、何よりも先生が言われますように住民の参加と関与が極めて必要でございます。また、リサイクルを成り立たせる販路が整備されていることが前提になると思いますので、厚生省としましても、できる範囲で前向きにこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
  190. 菅直人

    ○菅委員 大変前向きな姿勢を示していただいてありがたいと思いますが、多少具体的な問題を、時間が少ないので指摘だけにとどめたいと思いますが、一つは、現在古紙が大変暴落をしている。実際に、古紙が暴落をしますと民間の古紙回収が減ってごみの量がかなりふえるというようなこともあって、これは通産省でも少し関連をされているようですが、やはり価格の最低の水準を維持するというようなことがリサイクルというものを維持していくかなり大きな柱になるのではないか、これが一点です。  それからもう一つは、空き缶などでかつて京都などでデポジットの問題がかなり議論されましたけれども、必ずしも厚生省議論の場に十分乗っていない。つまり、ビール瓶と同じように、空き缶を持っていけば五円返してくれるというような制度にすれば自然に空き缶が集まってくるわけですね。そういう物の考え方。  それから、最近特に問題になっている乾電池などのいわゆる重金属が微量であっても含まれているものの処理、これは自治体は大変困っております。例えば私が住んでいる武蔵野市なんかは、電池を別個に市が集めるわけです。電池をどう処理していいかわからないので、最終的にはそれを船に積んで、高橋先生のおられる北海道まで持っていって、北海道の水銀のとれる山に持ち込んで、その水銀のとれる山で、ちょうど鉱山から水銀をとるのと同じように電池を焼いて、そこから水銀をとっているといいましょうか、リサイクルに回している。物すごい膨大な金がかかるわけですね。  ですから、例えば電池などについても、今百円の電池があればとりあえず百二十円で売って、そのかわり使い終わった電池を電機屋さんに持っていったら二十円返してくれる、こういうふうにすれば自然に集まってきますし、まあつくったところが一番よくそのリサイクルの仕方もわかるわけですから、そういうやり方をとれば、自治体の費用あるいは国の費用を大きくかけなくても十分やっていけるという問題があると思うわけです。こういう点をぜひ厚生省としても先ほどの前向きの姿勢の中身としてとっていただきたいと思いますが、もう一度だけそういう問題についての姿勢をお尋ねしたいと思います。
  191. 森下忠幸

    ○森下政府委員 まず古紙の問題でございますが、私ども研究をいたしましたところ、この流通の経路、逆流通を含めまして大変複雑でございます。こういうものを合理化してということでまず価格の安定にもつながる問題ではないかと考えております。これは一つは産業政策にわたる事項でございますので、私ども直接対応は難しいわけでございますが、しかし仰せのとおり、そういう市町村の清掃事業に入る前の段階でごみが減るということは大変結構なことでございますので、そういう観点から関係省庁といろいろと協議してまいりたいと考えております。  それからデポジットでございますけれども、これは私ども廃棄物行政といたしましても大変重要な研究の課題であるというふうに考えております。しかし、これを全面的に導入するということになりますと、小売店の負担が非常にふえるとか、あるいは逆の流通の経路をどうするとか、あるいは所管をする役所がたくさんあるというようなこともございます。全国的に一律にやるということはなかなか難しい問題だと思いますけれども、ただいま実験的に一部の地域で試みがあるわけでございますので、こういうものの結果を検討するなどいたしまして研究を進めてまいりたい、こんなように考えております。
  192. 菅直人

    ○菅委員 もう時間ですので終わりにしますが、今の局長の返事の中に、役所がいろいろ絡んでいるから大変だと言われるのは、それは役所としてはわかりますが、それはまさに答えにならない答えでして、それこそ大臣の方でこういう問題は、必要なときには役所をまたがってもぜひ進めていかれるよう強くお願いをして、質問を終わります。
  193. 山崎拓

  194. 浦井洋

    浦井委員 今井大臣とは長い間社労委員会で一緒でございましたし、ヨーロッパにも一緒に経済やら社会保障制度の視察、そのほかいろいろとおつき合いをお願いしておるわけで、私は私なりに今井大臣のお考えなり御性格なりをよく存じ上げておるつもりでございます。そこで、きょうは、新しく大臣に就任をされた大臣の御所見に対する質問をいろいろしたいと思うのですが、ひとつ温かい所見をお願いしたいと、まず最初に申し上げておきたいと思います。  それで、先ほどの本会議で渡辺通産大臣が一言されたわけでありますけれども、彼は前に大蔵大臣、その前には厚生大臣をやっておられて、私もよく存じておるわけでありますけれども、彼の考えは、いろいろと物すごくショックなことを言われるわけであります。「乳牛は乳が出なくなったら屠殺場へ送る。豚は八カ月たったら殺す。人間も働けなくなったら死んでいただくと大蔵省は大変助かる。経済的にいえば一番効率がいい」こういう一連の発言、もう一つ申し上げておきますと、「長生きにはコストがかかる。金を出したくない人は早く死んだ方がいい」あるいは「老人医療無料は親不孝奨励金だ」というようなことを言われておるわけですね。これは八五年、去年の六月五日です。  私は、今井大臣というのは少なくともこういうようなことは言われないだろうし、高齢者の方々を含めてやはり国民の命を大切にするという立場に立って、厚生行政の長として今後努力していかれる決意だと思うわけでありますけれども、ひとつ新厚生大臣の温かい御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  195. 今井勇

    今井国務大臣 私も人の子でございますし、早くから両親を失っておりますから、そういう人の温かさというものには極めて敏感でございます。したがいまして、人の命は何物にもかえがたい、命を大切にする、これは全く同感でございますし、長生きの問題も、一年でも一日でも長生きしてもらいたい、これは人の子として当然だと思うわけでございまして、今始まったことではないだろうと思っておるわけでございます。
  196. 浦井洋

    浦井委員 非常に温かい御所見を賜りまして、ありがとうございます。  そこで、まず最初の問題でありますけれども、国立病院・療養所の統廃合の問題であります。  国立病院・療養所にいろいろ問題があることは私も十分承知をいたしております。しかし、今度十カ年計画で出されてきた国立病院・療養所の統廃合、民間、自治体を含めての移譲という、こういうやり方は私は賛成できないわけであります。これは私の考えてありますが、新大臣によく聞いていただきたいのですけれども、大体医学部というのはひところに比べまして入学試験が難しくなりましたね。頭のよい人間が集まりまして、そしてでき上がった医者が、よく吉村事務次官などが言われるように、臓器を見て人間を見ないというような傾向があるということは私も承知をいたしております。ところが、こういう方向はよくないと私は思うのですよ。  やはり医師というのは全人間として患者を見る、あるいは地域の中での人間として患者を見ていくという方向でなければならぬというふうに思うわけでありますけれども、今度の厚生省が出された国立病院・療養所の統廃合のやり方あるいは移譲のやり方というのは、そういうように臓器を見て人間を見ないというような医者の傾向にさらに拍車をかけるのではないかという感じがして仕方がないわけであります。  厚生省の方はなかなかはっきりしておりまして、これをちょっと大臣委員長や各理事さんに配っていただいたらと思うのですが、大臣に見ていただきたいと思うのですけれども、五十九年の厚生白書と六十年の厚生白書の「国立病院と国立療養所」の関係を調べてみますと、もう明らかに、五十九年には国立療養所の使命として真ん中に「地域医療」というのがあったのですよね。ところが、六十年の厚生白書は、そこがすぽんと全く白地になっているわけですよ。そして、国立病院のところの五十九年の「一般医療」もなくなっておるということでありまして、こういう傾向はよくないのではないか。  国立病院・療養所でこそ、総合的でしかも一貫性のある、専門性、一般性というものが結合した医療体制がやられなければならぬのではないか。むしろそのチームリーダーといいますか一番バッター、リードオフマン、こういうような立場をとっていかなければならぬのではないかというように私は国立病院・療養所については考えるわけでありますけれども大臣の御所見をひとつお尋ねをしたいと思います。
  197. 木戸脩

    ○木戸政府委員 浦井先生の御質問でございますが、大臣からお答えする前に、私から御説明をさせていただきます。  今、先生がおっしゃったように、国立病院はやはりリーダーでなければならないという点については、私どももそう思っております。ただ、公的医療機関というのは全部で約千八百あるわけでございますが、国立病院は現在でも二百四十しかないわけでございます。それから国立てございますから、やはり国民全部の税金ということでやっているわけでございますので、できるだけ多くの方にサービスが均てんするように配置をされなければならない、こういうことがあるわけでございます。  このたびの国立病院の再編成考え方でございますが、医療法も改正されて今各県とも地域医療計画の作成中でございますが、その中で国立病院はどういう役割を果たすかということにつきまして、私どもは、やはり他の私的医療機関あるいは他の公的医療機関がやらない、他の医療機関の頼りになるような高度の医療あるいは専門医療、こういうものをやるべきだというように考えてこの再編成計画をつくったわけでございまして、リーダーという点においては私どもも全く同じ考えでございます。
  198. 今井勇

    今井国務大臣 今、担当の方がお答えいたしましたが、やはり国がやるべきことというものを絞り込んでいってやっていくことが極めて大事になってくると私は思います。特に、最近のように医療が高度化し、しかもまだ民間の医療機関がずっと普及してまいりました現状から見ますと、同じようなことを国がやっていくということより、むしろ国でなければやれないことを積極的にやっていくということが極めて大事だと私は理解をしておるわけでございます。
  199. 浦井洋

    浦井委員 僻地医療とか離島医療というのは、国でなければやれぬのではないかと思うのですよね。そういう抽象的な論議をしてもしようがないし、また、木戸さんが出てくると話がわやになるのです。少なくとも、大臣は所信表明の中で、今度の統廃合の「実施に当たっては、地元と十分協議しながら、地域医療に支障が生じることのないよう配慮してまいる所存であります。」こういうふうに言われておるわけです。だから、その点は十分に協議をしながら、十分に配慮をしながらやられるということでは、これは百歩譲っても大臣もお認めになりますね。
  200. 今井勇

    今井国務大臣 これは私が言った言葉でございますから、そのとおりでございます。
  201. 浦井洋

    浦井委員 ところが、きょうもずっと現地の方が来ておられる、きのうも大臣お会いになられたわけでありますけれども、十分地元と協議しながらと言いながら、今問題になっておる長寿園については十分に協議をされておらないというふうに思うわけであります。  きのう大臣は、もう町で決まったことだから町に任せておけばよいというふうに言われたわけでありますけれども、長寿園の存在している吾妻町では、五十九年九月に長寿園の整備拡充の要望というのを町議会で決議をされて、それは生きておるわけであります。そして六十年の九月十九日に、それまでいろいろなややこしい話があったのですけれども、そのときに診療所建設の費用が補正予算として組まれておる、こういうことになるわけなんです。そのときにこの補正予算に賛成をした坂土地区出身の七人の議員は、今でもなお顔を上げて歩けないというような状態であるわけなんです。  きのうも大臣は聞かれたと思うのですけれども昭和十四年に長寿園ができたときは、もうどこも結核療養所の引き受け手がないので、それで地域医療を行うということを条件にして建設に協力をし、勤労奉仕もした、知事も頭を下げてきてよろしくとお願いしてきたということを涙ながらに八十六歳の御老人が切々と訴えられたわけなんですけれども、これで一体十分に協議をしたということが言えるのかどうか。いまだにそういうような人たちがたくさん坂土地区におられるということ自身が問題ではないかと私は思うのです。納得されてないのですよ。
  202. 木戸脩

    ○木戸政府委員 大臣からお答えをする前に、私から経過を御説明をさせていただきます。  先生が今御指摘のとおり、現在でも長寿園を残してくれという要望はございます。それから、特に坂土地区は長寿園がある地域でございますから、そういう御要望もあるというのは存じております。何遍も陳情の方がお見えになっておりますし、私どもも何遍もその話を聞いているわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、この長寿園の西群馬病院との統合につきましては、地元吾妻町あるいは県の意見というのをよく聞きまして、実際に現在長寿園には十五人ないし二十人の年老いた患者が通院をしておられるという点から見ても、やはり長寿園がなくなればその地区は無医地区になる、こういうことがございましたので、町とも相談をいたしまして、診療所の建設を町としてしよう、これに対して国と県が補助をしようということで、先生も今御指摘のように診療所をつくることになったわけでございますので、私どもとしては、地元の意見はできるだけ聞いた、最大限に聞いたということにしているわけでございます。  ただ、今おっしゃられるように、全然反対の方がないのかという点につきましては、それはおありになると思いますので、その点については何遍も御陳情の方からは意のあるところは聞きまして、私どもはそれには適切に対処をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  203. 浦井洋

    浦井委員 大臣のお答えの前に、それならもう一つ木戸さんにお尋ねしたいのですけれども、七十床の病院を五床の有床診療所にしようというわけでしょう。これで代替措置になりますか。それともう一つは、その診療所の運営主体がどこになるかというのは、はっきり決まっているわけですか。
  204. 木戸脩

    ○木戸政府委員 第一点の五床の診療所で七十床の長寿園の代替になるか、こういう御質問でございますが、それは結論的にならないというふうに私は考えております。と申しますのは、長寿園というのは結核なり脳血管障害といういわば専門的な医療をやっている施設でございまして、一般的、総合的な地域医療をやっているわけではございません。それで一般的、総合的な地域医療というのは、先生もよく御存じのように、少し離れたところに原町の日赤、約二百床の総合病院がございまして、そこがやっているわけでございます。私どもは、現在入院しておられる患者さんは原則として、御希望があれば別ですが、西群馬病院の方へ移っていただいて、そこで現在よりいい医療を受けていただく、こういうふうに考えているわけでございます。一般医療については、診療所と原町日赤あるいは西群馬病院あるいは前橋にあるいろいろな施設とのシステム的な連係というものがなければ、それは一般的な医療については代替ができるということではない、こういうことでございます。  二番目の診療所の運営主体でございますが、これは原町日赤の診療圏の中におりますし、そこの入院患者にいたしましても外来患者にいたしましても、かなりのパーセンテージを占めていること、また原町日赤がかなり機能も高く運営状況もいい、それから地元の吾妻町、県もぜひ日赤に運営を頼んでほしいということがございまして、私どもの方としては、それを踏まえまして現在日本赤十字社の方に依頼をしているところでございます。それについて、やりましょうという返事はまだ来ておりませんが、私はぜひ原町日赤にやってもらいたい、またやってもらう必要がある、こう考えているところでございます。
  205. 浦井洋

    浦井委員 二点、木戸さんからお答えがあったわけですけれども、私は実情を余りにもじゅうりんしておると思うのです。原町日赤へ通うだけでも時間がかかる、しかも高齢者の方が入院しておられて、そこへ面会に行くことももうできなくなるというような非人道的な事態も起こるのですよ。原町日赤がそばにあるような錯覚を与えますけれども、随分離れているのですよ。そうなると、坂土地区というのは全く無医地区になってしまうのですよ。  だから大臣、何だったら一度調査に行ってよく見ていただいて、それで長寿園がいかにあるべきかということを再考していただきたい。私は人道的な立場から申し上げておるわけなんで、ここで勝手にぱんと決めてしまうと、きのうからきょうにかけて来ておられる方は本当に困るのですよね。毎日朝起きるとおてんとうさまと長寿園を拝んでいます。そのどちらが欠けても生きていけないのです。私のおじいちゃんは西群馬病院に転院させられたらすぐ死んでしまいますと言っている。  私は西群馬病院にも行ったのです。確かに拡充はしておりますけれども、長寿園の患者を引き取るために拡充しておるのではなしに、肝臓外科を見きわめようということで拡充しているのだと院長ははっきり言っておるわけですから、そういうことをもう一遍よく考え調査をして、木戸さんだけに任せないで大臣が一遍乗り出していただきたいと思うのですよ。大臣、どうですか。
  206. 今井勇

    今井国務大臣 私は、この問題につきましては前大臣から引き継ぎを受けましたが、少なくも調査をせずにやっているとは思っていないわけです。当然そこには施設長もおられるのでしょうし、施設長というのは一番患者さんを毎日見ている人ですから、その施設長の話を十分聞いて、承知をしてやっている、私はそう思います。それで、あなたもおっしゃるように、ある日突然抜き打ちでなんて、私は少なくとも聞いておりませんし、前大臣からもよく実情は聞いております。
  207. 浦井洋

    浦井委員 施設長も、この場合西群馬病院と長寿園、二人おられることになりますよね。そのどちらの施設長も、長寿園の院長ですか、院長先生は小さいながらも何とかこの坂土地区の一般診療、地域診療を受け持っていこうということでなかなかユニークな診療活動をやっておられる。それで、これがなくなるというようなことは考えられない、私はもうここへしがみつくんだというようなことを施設長は言われておるわけです。  それから西群馬病院の院長は、長寿園と統廃合するというようなことは一切考えておらぬ、こういうことなんですよ、私が調べたのでは。  だから、木戸さんの言うことだけじゃなくて、大臣、平静な気持ちで一遍よく考えてみていただきたいと思うのですよ。どうですか。
  208. 今井勇

    今井国務大臣 こうやって毎日、朝から晩まで国会でとめられておりますから、とても私は、はい、あしたでも行ってみましょうという、気持ちはありましてもなかなか行けない状況でございます。そのために、私どもにはちゃんと組織がございまして、それなりの対応ができることになっておりますから、少なくとも抜き打ち的だとか、ある日突然だとか、何にもしないでやったというふうには私は考えておりませんので、その点だけはお認めいだだかないと、血も涙もないんじゃないか、私はそんなことは全く考えておりませんから、少なくとも実情を把握して、しかし、国全体としてこの問題は国立病院・療養所の問題を通じてよりよくするためにどうすればいいかということを考えておるのが一つでございますから、そういうふうに御理解をぜひいただきたいと思っております。
  209. 浦井洋

    浦井委員 私はある日突然とか突如としてというようなことは言ってないわけですよ。長寿園というものを私なんかもいろいろ調査をした結果、長寿園というものを国立として残してそれを整備拡充していくことこそ国の果たすべき役割ではないか、こういうふうに考えておるわけですから、この議論はいつまでたっても……。しかし、多少なりとも大臣、おわかりいただけますか。
  210. 今井勇

    今井国務大臣 わかるどころではないので、おっしゃるように、国立の病院・療養所は今の行革とかなんとか言われる世の中で別扱いだよというふうになれば、私はおのずからまた解決の策があろうと思いますが、極めて財政の厳しいときに、しかもまだ国立病院・療養所というものが国民の期待により多く沿うためにどうすればいいかという二つの面のぎりぎりの選択だと私は思うわけですよ。  あなたのおっしゃるように、予算もどんどん持ってこい、人間もどんどん持ってこい、これができれば私はそれは極めて可能だと思うのですが、なかなかその二つの道が閉ざされていながら、では国立病院・療養所はどうやって今後国民のためになっていくのか、そんなことを考えますと、やはりその中で、スクラップ・アンド・ビルトという言葉を言いますとまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、そういうことも考えていかなければならぬのではないか。そうやっていくことが全体として考えれば国民のためになるんだというふうに私は考えておりますから、この問題はひとつぜひ御理解を賜りたいと思っているわけでございます。  決して今の患者さんを死ねとかなんとか、そんなことだれも言ったことはありませんし、患者さんのことを粗末に扱うようなことはだれも言ってないはずですよ。私はよく知っているのですから。私も年寄りがいて、また繰り返しになりますが、私は早くから両親に別れているのですから、そういうことは人一倍、人の心、真心、情けというのは私はあなたよりもよく知っているんじゃないかと思っています。
  211. 浦井洋

    浦井委員 どっちがよく知っているか、それはよくわからぬですけれども、とにかくぎりぎりの選択を迫られているという事態でしょうね。それは私もそう思います。だから、そこで新しい大臣として、早くから高齢者の苦しみをわかっておられる今井大臣として、長寿園を残す方向で、むしろ拡充、充実させる方向でやってほしいと言って私は懇願をしているわけなんです、今井先生に。
  212. 今井勇

    今井国務大臣 浦井先生から懇願されてしまうと、またいよいよ困ってしまうのですが、私は、懇願されるとか懇願されないでなくて、全体としてよかれと思っているわけです。ですから、確かにあなたがおっしゃるように、けしからぬじゃないかという場合もあり得ると思いますけれども、しかし、それは先ほどから申しますように、現在のものはやはり療養所もつくりましょうし、それからまた、そこにおられる方々は西群馬病院にお移りいただいて、そこでよりよい医療を受けるようにしましょうじゃないかというふうにいろいろ御説得をしているわけですから、そういうことにもひとつ耳を傾けていただきたいと思うものでございます。
  213. 浦井洋

    浦井委員 私は、今度の国立病院・療養所の統廃合あるいは民間移譲、自治体への無償譲与ですか、こういうことを全体をかなり研究いたしました。そしてその計画の無計画さというのですか粗っぽさというのですか、それにはつくづくあきれ返って腹の煮えくり返るほどの腹立たしさを感じておるのです。だから、こういう意見もあるんだということで、新しく大臣に就任されて、もう一遍その横におられる木戸さんから実情をよく聞いていただきたいと思うのです。  大臣、時間がもうないようですから、最後にもう一遍、再考する、人の命を大切にするんだということで御決意を聞かしていただいて御退席いただいて結構ですから。
  214. 今井勇

    今井国務大臣 よく審議官から聞きますけれども、この男も極めてまじめな男ですから、私をだまかしたりちょろまかしたりするとは私は毛頭考えておりませんから、私は彼の今までの研究結果を尊重したいと思っているわけでございます。
  215. 浦井洋

    浦井委員 いや、しつこいようですけれども、部下の意見を尊重しなければ長として仕事が成り立たないということはよくわかるのですよ、そのお気持ちは。しかし、これはやはり地域医療という観点から国が撤退をするということ以外に考えられぬわけなんですね。だから、そういう点で大臣としてもう一遍再考願いたい、このことを懇願しておるわけなんですよ。だから私、この問題で終わるというか、時間全体がこれで終わりましたけれどもね。
  216. 今井勇

    今井国務大臣 あなたはよくわかっておられると思うのですが、地域医療からの撤退なんというのは考えておりませんよ、後医療のことをちゃんと考えたいと思っているのですから。後医療のことを考えるのですから、地域医療からの撤退と言われると私はまことに心外な感じがいたします。
  217. 浦井洋

    浦井委員 だから、ここでこの問題だけで議論をするわけにもいきませんし、あれですけれども、とにかく私がこういうことを言った、そしてこういう坂土地区からもこうやって来ておられるんだ。きのうも大臣、会われましたし、こういう事実をよく見てぎりぎりの選択をしていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。
  218. 山崎拓

    山崎委員長 浦井君、厚生大臣退席いたしますが、よろしゅうございますか。
  219. 浦井洋

    浦井委員 結構ですよ。  そこで保険局長にお尋ねをしたいのですけれども厚生省内に高齢者対策企画推進本部というものが発足したわけですね。これはいろいろ検討されておるということが新聞に出るのですけれども、一体どうなっておるのか、何を検討されておるのか、我々が要求してもさっぱり返事が返ってこないわけなんですが、これはどういう事情なんですか。
  220. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 お話しのございました高齢者対策企画推進本部でありますけれども、本格的な高齢化社会を迎えまして整合性のある社会保障施策を確立する必要があるだろう、こういうことで、いわば省内の勉強会、省内でもいろいろ意見がございますけれども、そういう意見を少し勉強していこうということで設けたのがこの高齢者対策企画推進本部でございます。事務次官を長にいたしまして幾つかのテーマを決めまして現在勉強をいたしている最中でございます。
  221. 浦井洋

    浦井委員 大体ここ数年の厚生省の傾向は、現在勉強をしておる最中でございますと言っておって、突如として極めて国民を苦しめるような、福祉を切り捨てるような法案が出てくるわけなんです。だから、勉強中なら、こういう勉強をこの段階までしておりますということを、要求すれば我々に出したらどうですか。
  222. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 いろいろな意見がございまして、その勉強をいたしておりますが、できますならば今月末ぐらいを目途に発表できないかということで急いでいるところでございます。
  223. 浦井洋

    浦井委員 それはどういう項目についてですか。
  224. 岸本正裕

    ○岸本説明員 人生八十年という社会を迎えているわけでございますけれども、これからますます高齢化社会に向かうわけでございまして、社会保障が長期に安定した社会になるように、社会保障が長寿社会で有効に機能するようなものとするような観点から、幅広く厚生行政の全般にわたっていろいろと検討しているわけでございます。ですから、所得保障、医療保障、それから保健医療福祉、こういうものの総合的な見直しを行っている、こういうことでございます。
  225. 浦井洋

    浦井委員 それならもう一つ策課長にお尋ねしたいのですが、医療保険とか医療については、具体的にはどの辺まで勉強されているのですか。
  226. 岸本正裕

    ○岸本説明員 今保険局長からもお答え申し上げましたけれども、今月末ぐらいに何とかまとめ上げたい、こういうことで鋭意やっておりますので、今まだその細部でいろいろな詰めは残っておりますけれども、かなりの程度まとまりつつある、こういうところでございます。
  227. 浦井洋

    浦井委員 わからぬですね。そういうことは社労御専門の政務次官も十分御承知ですか。
  228. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)政府委員 まだ就任したてでございますので、まだ勉強中でございますので、今後鋭意勉強いたしまして、先生の御質問のようなことがございましたら、できるだけ御要望に沿うように努力したいと思います。
  229. 浦井洋

    浦井委員 保険局長は、今国会既に老人保健法の、あえて私は改悪と申し上げたいのですけれども、改悪案を国会に提案されておるわけです。これが医療福祉の第一次の改革と第二次の改革の橋渡し役をするものだということをあちこちで言っておられる、この真意は何ですか。
  230. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 昭和五十八年に老人保健制度を創設いたしまして、五十九年には医療保険制度の抜本的な改革を行わせていただいたわけであります。また、昨年の暮れには医療法の一部改正ということの成立をさせていただいております。  私どもは、この社会労働委員会でもたびたび申し上げておりますとおり、将来の医療保険あり方といたしましては、医療保険制度の一元化を図る、具体的には特に給付負担の公平を図るということが私ども考え方でございまして、これは昭和六十年代の後半にぜひとも実現をいたしたいということはたびたび申し上げているとおりであります。私が申し上げておりますのは、今申し上げましたここ数年の医療保険を含む医療制度の改革と、それから将来に向けての医療保険制度の一元化、特に給付負担の公平化ということとの橋渡しを今回の老人保健法の改正はするものではないか、こういう意味で申し上げているものであります。
  231. 浦井洋

    浦井委員 上手に言われるのですけれども給付負担の公平化であるとか、あるいは制度の一元化とか、いろいろなことを言われるのですけれども、私は、やはり幸田さんの考え方の根本には、医療保険には国からのお金をかけずにできるだけ民間に負担をさせて、今の中曽根内閣の民活ではないですけれども、民間保険どもどんどん売り出してというような方向に見えて仕方がないわけであって、そういう方向ではなかなか国民は納得しないだろう、そして、中曽根内閣の言う内需の拡大にも成功しないだろう、私はそういうことを強く考えておるわけでありまして、勉強されるのは結構でありますけれども、同じ勉強をされるならば、国民が願っている方向に勉強をしていただきたい。皆さん頭がよいわけでありますから、そういう方向に勉強をしていただくことを心からこいねがって、ひとつ政務次官に最後に御決意でもお伺いして、私の質問を終わります。
  232. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)政府委員 まだこれから勉強を始める段階でございますし、貴重な御意見を承りまして、よく先生功の考え方も参考にし、これからよく省内において研究していきたい、このように考えております。
  233. 浦井洋

    浦井委員 終わります。
  234. 山崎拓

    山崎委員長 長野祐也君。
  235. 長野祐也

    ○長野委員 先般の内閣改造の一つのポイントは、内閣の要所要所にいわゆるはまり役が就任をされたことで、これは中曽根仕事師内閣の見識であると思いますし、大いに歓迎すべきことだと思っております。例えば海部文部大臣、三塚運輸大臣あるいは小沢自治大臣あるいは羽田農林水産大臣、そして何よりも我が今井厚生大臣でございます。私も国会に出させていただいて六年、社労一筋に参りまして十年後の厚生大臣を目指しておるものといたしまして、社労族の尊敬をする先輩が厚生大臣になられたということに同僚議員とともに大変心から拍手を送りたいと思いますし、従来の大臣と違った、厚生行政に精通した大臣として一味違った御活躍を、今、予算の分科会でおられませんが、丹羽政府次官からぜひお伝えをいただきたいと思いますし、あわせて、私どもの仲間であります社労の若手のホープである丹羽雄哉議員が政務次官になられたことにも、心から御健闘をお祈り申し上げたいと思います。  そこで、老人保健法の改正案が今国会に提出をされております。改正案は、六十一年度の予算案に絡んでおりますからやむを得ない面もあるわけでありますが、国民、特にお年寄りや中高年の方々に不安を与えていることも事実でございます。つまり、外来、入院時の一部負担の引き上げに関してでありまして、負担がゼロであればいいという老人医療の無料そのものについても、いろいろ批判はございます。したがって、一定の応能負担といいますか応益負担という議論にも大いに理解できるところがあるわけであります。しかし、問題は、この負担がどこまでも上がっていくのかということについての不安があることでありまして、予算が組めないから一部負担は上げるのだということになると、これは一体、将来どこまで一部負担というものが上がっていくのであろうかという不安があるわけで、そういう不安を国民に与えないためにも、安心できる将来ビジョンというものが必要である。したがって、厚生省として、被用者健保の負担あるいは老人保健の負担はどこまでなのだという限界についての将来ビジョンを示す必要があると思うのでありますが、その点について明らかにしていただきたい。
  236. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)政府委員 医療保険制度につきましては、昭和六十年代の後半のできるだけ早い時期に、御案内のように全制度を通じまして給付率を八割程度で統一したい、このように考えまして、そして、真の国民の公平を確保していきたい、このように考えております。  それから、今、長野委員の御指摘のいわゆる高齢化問題でございますが、私ども大変頭を痛めておるわけでございます。そういう観点から、今度の国会におきまして老人保健法の一部負担をこれから御審議をお願いしたい、このようにお願いを申し上げておるわけでございますけれども、私どもは世代間の負担の公平ということを大変重視いたしております。御案内のように、現行では一部負担が四百円でございますが、これが一・六%に当たるわけでございます。今度お願いいたしまして、これを六月から三・七%、満年度では四・五%ほどの負担をお願いしたい、このように考えている次第でございます。  それから、老人医療費の一部負担をどの程度を限界にするかということは大変難しい問題でございまして、今この席で率直に申し上げましてはっきりしたことはなかなか申しにくいわけでございますが、当面は五%程度一つのめどにしたい、このように考えている次第でございます。
  237. 長野祐也

    ○長野委員 ただいま健保二割、老人保健五%という将来ビジョンが初めて明らかにされたわけでありますが、この負担論に関して社会保障全体のあり方についても厚生省のお考えをお伺いをしたいと思います。  まず最初に、数日前の新聞によりますと、行革審が四月に出す予定の報告の中で、年金医療負担を実は対国民所得比で二〇%以内にすべきである、そういう提言を出す予定だと言われております。果たしてこの二〇%以内に医療年金を抑えるということが可能なのかどうか、本当にそれで高齢化社会を迎えてやっていけるのかどうか、厚生省としてどういうお考えなのか、あと医療年金も個々には伺いますので、総論的なお考え方をまず示していただきたいと思います。
  238. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)政府委員 新聞の報道については承知しておりますけれども、中身につきましては、率直に申し上げましてまだ十分に把握しておりません。ただ、社会保障負担率でございますが、六十一年度が一一%でございます。この内訳は年金が六・三%、医療そのほかが四・七%でございますが、私どもの試算では、ピーク時の三十五年後には年金だけで大体倍くらいになるんじゃないか、一二%くらいになるんじゃないか、そういたしますると一一プラス六で年金だけで一七%くらいまでふえる可能性があるわけでございます。医療そのほかにつきましても合理化、節減を図っていきたいと思いますが、率直に申し上げまして、私どもは二〇%以内に抑えることを今後とも一つの努力目標にしたい、このように考えているわけでございますけれども、諸般の情勢は大変厳しいというのが偽らざる今の実態ではないか、このように考えている次第でございます。  ただ、この問題につきましては、いずれにいたしましても国民の皆さん方の御理解を得ながら進めていかなければならない、国民のコンセンサスを得ながらこの問題についてこれから十分に検討していきたい、このように考えている次第でございます。
  239. 長野祐也

    ○長野委員 年金医療負担のうち年金に関しましてはこの四月からスタートをする新しい制度で一応将来の姿が描かれ得ると思うのですね、明確になっている。言葉をかえて言えば、年金負担は将来にわたって決まったわけでありますが、対国民所得比のある程度はわかるわけでありまして、もちろん今おっしゃったように将来国民所得というものがどういうような伸び方をするかという不確定な要素もあるわけですが、正確なところは出ないでしょうが、厚生省として年金が成熟する二十一世紀前半に年金負担の対国民所得比がどの程度になるのか、先ほどの答弁の中にもちょっとあったようですが、はっきりお答えをしていただきたいと思います。
  240. 岸本正裕

    ○岸本説明員 社会保障負担率のうち、年金につきましては昭和六十一年度見込みで六・三%とされておりますけれども高齢化のピークを迎える昭和百年ごろでは一二%程度になるものと予測されております。
  241. 長野祐也

    ○長野委員 年金昭和百年ごろには一二%程度になるということを今言われたわけでありますが、次は医療負担についてお伺いをしたいと思います。  医療費などの負担率は先ほどのお話のとおり対国民所得比四・七%であります。五十八年以後国民所得の伸びの中に医療費の伸びを抑えるという努力をされたことがあって医療負担率は上がっておりません。今後ともこの医療費の伸びを国民所得の伸び以下に抑えることができれば負担率は現在より増加をしないわけでありますが、この点についての今後の方針をお示しいただきたい。
  242. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)政府委員 私どものいわゆる省内のコンセンサスとして国民医療費につきましては国民所得の伸び内に抑えたい、こういうことをこれまで一つの柱としてきたわけでございます。また、老人医療につきましては一けた以内に抑えたい、これが一つのコンセンサスとしてできつつあるわけでございます。しかし、率直に申し上げまして高齢化が大変進んでおります。欧米の三倍ないし四倍のスピードで高齢化の波が押し寄せてきているわけでございます。  こういう実情にかんがみまして、この国民所得内にできるだけ抑えるよう今後とも努力はしていくつもりでございますけれども、果たしてこれがいつまで守られるのか、守ることができるかという点につきましては、私ども、率直に申し上げまして、このことをもう一度見直さなければならない時期に来ているのではないか、このように考えている次第でございます。
  243. 長野祐也

    ○長野委員 先ほど政務次官の答弁の中で年金だけで「七%と言われたけれども、あれは今の一一%に年金を足したら一七%という意味でよろしいですわ。——となりますと、年金医療を合わせた負担率は、行革審の提言のように一応表面上は二〇%以内にとどめることができるというふうに考えられるわけですが、今後の国民所得がどういうふうに伸びるのか、高齢化のテンポというものを勘案していくと、先ほどの政務次官の答弁のニュアンスにもあるように、そう簡単なことではないようにまた私も理解をいたします。ただ行革を進めていく上で、あるいは小さな政府を実現する上で、行革審の二〇%以内という目標を掲げること自体は、私はそれなりにそういう意味で意味があると思います。  ただ私がここで申し上げたいことは、医療負担について、それを患者の負担に回していけば社会保障負担率そのものは二〇%以下にとどめることはできるかもしれないのですが、国民の実際の負担はそれ以上になるという点を実は指摘したいわけです。意地の悪い言い方をするようで恐縮ですが、統計の上であらわれる数字を目標以内にとどめようとする余り、統計にあらわれない部分での負担をふやすことになりかねないのではないかということを危惧するわけです。  その意味からも、冒頭に伺ったように、老人医療費の歯どめといったものを国民に示す必要があるということを指摘したわけであります。つまり負担というものについて混同しないで、保険料負担あるいは税の負担、それから国民負担率の統計にあらわれない患者の負担、こういうもののあり方を明確にしなければならないのではないかと私は思います。今の厚生省予算にしても、保険料の部分は特別会計でやっておりますし、税の方は言うまでもなく一般会計でやっている。ところが、財政難ということで税の方を削って特別会計に食い込んできているというのが現状であります。毎年厚生省予算をつくるのに大変な苦労厚生省も我々社会部会もやっておるわけであります。  そこで、たまりかねて増岡厚生大臣大蔵大臣に昨年の暮れに特別勘定とするように申し入れをされた、自民党も社会保障調査会でこの問題の本格的な検討に入ったわけでありますが、この問題についての厚生省のお考え方をお示しいただきたいと思います。
  244. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)政府委員 御案内のように、ことしの厚生予算は九兆七千七百億円でございますが、ただいま長野委員が御指摘のように、大変苦しい中での予算編成でございまして、いわゆる厚生年金の繰り延べが三千億円、さらに政管健保で一千三百億円の繰り延べをお願いしまして、やっとの思いで、綱渡りの思いでこの予算編成をしたわけでございます。そういう中でいつまでもこういった状態を続けていくことができないわけでございまして、ただいま御指摘がございましたように、いわゆる社会保障問題につきましては、一般会計と切り離しまして、いわゆる社会保障に関する給付負担関係というものを明確に示すという考え方を私どもは今後の社会保障あり方考える上で大変示唆に富んだ考え方である、このように認識をいたしているような次第でございます。
  245. 長野祐也

    ○長野委員 特別勘定考え方大変示唆に富んだ考え方であるという積極的な受けとめ方をしていただいておりますので、ぜひそういう形で御検討をやっていただかないと、今のような物の考え方予算が組まれていきますと、社会福祉に大きな期待を寄せている人たちに大変大きな不安を与える。そういう意味でぜひ積極的な御検討といいますか、取り組みをお願いを申し上げたいと思います。  一方、患者負担がふえできますと、先ほどのお話にもありましたが、民間保険でカバーをしようという動きが出てくるわけであります。現に四月から大蔵省の認可によりまして生保、損保で入院費を中心とした新しい医療保険の商品を開発、発売をされます。今後こうした動きは非常に高まって、国民のニーズも高まってくると思いますが、政府として患者負担をふやす以上、ある程度自分の努力で頑張りなさいよという以上は、こういう民間保険を育成をしていく必要といいますか責任があると思います。そういう意味で民間保険料の控除額が現状のままでいいのかどうか。私は控除額を引き上げるべきであると思いますが、大蔵省、どういうふうにお考えでしょうか。  さらに、国民の生命、健康を守る厚生省として、老人保健法のような法案が出てきた以上、やはり自分の負担をしなければならないのだということはわかりますが、当然そこに手厚いそういう自己努力を国民ができる環境をつくる責任があると私は思いますが、こういう点を大蔵省に積極的に働きかけていく意思があるかどうか、伺います。
  246. 塩田薫範

    塩田説明員 先生御指摘の生命保険料控除あるいは損害保険料控除は、税制上の誘引的な機能を活用していこうということで租税特別措置として設けられております。その加入率も相応の水準に達しておりまして、ここ何年かそれほどの変化も見られない。それに対しまして、租税の減収額の規模も相当の額に達しているということから、かねてからその見直しが指摘されているところでございます。現在、厳しい財政事情のもとで、連年にわたりまして各種設けられております租税特別措置につきまして整理合理化を進めてきたところでございますが、先生御指摘のような、御提案のような控除額の見直しといいますか、引き上げは極めて困難であるというふうに孝えております。
  247. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 必要にして適切な医療は公的医療保険制度で保障していくという方針は、今後とも厚生省としましては堅持をしてまいる考えであります。しかし、非常に国民のニードが多様化をし、価値観も多様化をしておりますので、そういったことから、公的保険を補完するものといたしまして民間保険の適切な導入が図られるのは基本的に適当であると私ども考えている次第であります。  こういった観点から、ただいま御指摘のありました民間医療保険における保険料控除等、税制のあり方につきましても、これから新しく発売をされていく商品でもありますから、関係業界や関係方面の御意見も十分伺いまして勉強を進めて、今お話のありましたように、必要に応じて大蔵省に働きかけをいたしてまいりたいと考えております。
  248. 長野祐也

    ○長野委員 厚生省答弁は納得できますが、どうも私、大蔵省答弁は時代に逆行していくのではないか、高齢化社会時代を迎えるということについての基本的認識に大いに欠けておると批判をせざるを得ないわけであります。つまり、一割負担が入るまではそういう理屈も成り立たないではないでしょうが、被用者本人の一割負担が導入をされて、先ほどの答弁のように、近い将来二割にもなる、そういうことが予想される現在、状況が全く変わってきているということを御認識をいただきたいと思いますし、今回出る商品は、まさにそうした負担分を補うという、いわゆる健保の補完をするという新しい時代的な役割を担っておる、いわば準公的な保険性格を持つものになりつつあると言っても過言ではないと思います。そういう意味で、現行の生保の控除制度の枠組みとは別に、民間医療保険社会保険料の控除の考え方を導入するという形で新しい発想でひとつ前向きに御検討いただきたいということをきょうは申し上げておきます。  そこで、年金についてでありますが、年金についても民間分野の役割に期待をしなければならなくなってくるわけであります。つまり、企業年金あるいは個人年金といったものでありまして、厚生省は企業年金を今後とも育成をするという考えだと聞きますが、そのためには二十年前につくられた制度というものを仕組みを変える必要があると私は思っております。例えば、厚生年金基金は単独で設立をする場合は、現在は従業員が一千人以上必要であります。これを七百人にするというような話も聞いておりますが、事実であるのかどうか、いつから実施をされ、そのほかにどういうことを考えておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  249. 吉原健二

    ○吉原政府委員 企業年金を公的年金を補完するものとして今後育成普及をさせていきたいという基本的な考え方に立ちまして、ただいま御質問の厚生年金基金の設立条件として現在加入者が千人以上ということがございますけれども、これにつきましても、千人ということでは千人以下の中小企業の場合には厚生年金基金を設立てきないということになっておりますので、この千人という基準を現在七百人程度に低くいたしまして、中小企業でも基金というものが設立しやすい条件というものをつくっていきたいということを考えているわけでございます。  時期といたしましては、ことしの四月からということを考えております。
  250. 長野祐也

    ○長野委員 そのほか総合型の要件などの改正もあるのではないかと思いますが、明らかにしていただきたい。
  251. 吉原健二

    ○吉原政府委員 それから総合型の基金、つまり中小零細企業が一緒になって基金をつくる場合に全部で五千人以上という条件があるわけでございますけれども、これにつきましても、五千人という基準は原則として今後とも維持をしていきたいと思っておりますけれども、五千人以下であれば絶対だめだということではなしに、仮に五千人を多少欠くような加入員の数でありましても、基金としての将来の安定性というものが確実であるというような場合には認可をしていきたいと考えております。
  252. 長野祐也

    ○長野委員 事務の委託先についての改正についてはどういうお考えですか。
  253. 吉原健二

    ○吉原政府委員 現在、事務の委託先は、委託をする場合には資金の運用面の委託と同時にすべてを委託する包括委託ということに限定をされておりますけれども、先般成立させていただきました年金法の改正におきまして、そういった資金面の運用委託とは別に、その他の業務につきましてだけ一定の条件に該当する場合の法人に委託できるという道が開かれたわけでございますけれども、その場合の具体的な基準につきまして現在考えておりますのが、年金数理についての専門家がいるということが第一。それから、そういった事務を処理するのに必要な技術的能力を備えている、さらには十分な社会的な信用を備えているということが第二。第三に、一定の財産規模を有する、つまり経営的基盤というものがしっかりしている。その三つを条件に業務の委託ができる道を開きたいというふうに考えております。これも四月からの実施を考えております。
  254. 長野祐也

    ○長野委員 そうした当面の改正も企業年金を伸ばしていく上で大変大事なことであり歓迎をすることでありますが、私は他の制度についても抜本的な改正を考えていく必要があると思うのです。この点について、いつどういう方法を考えて実施されるのか。あわせて、その場合、抜本改正における具体的な検討項目というものについてはどういうことを考えておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  255. 吉原健二

    ○吉原政府委員 最初に申し上げましたように、今後企業年金を積極的に育成普及をしていくという観点から、国民の老後保障における企業年金の役割とか位置づけを明確にしていくことが第一。それから、企業年金給付設計あるいは給付水準というものをどう考えていくか、その考え方が現在必ずしもはっきりしておりません。また、先ほどもお話がございましたように、二十年前の考え方でいいかどうかということも見直してまいりたいというのが第二でございます。それから第三に、資金運用というものが現在生保と信託に限定されているわけでございますけれども、それでいいかどうか。既に年金基金の積立金が十兆を超えているような状況にございますので、この資金のより有利で確実な運用の方途もあわせて検討していきたいということが今後の検討に当たっての基本的な項目になるかと考えております。
  256. 長野祐也

    ○長野委員 これは大体いつごろをめどに抜本改正になりますか。
  257. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)政府委員 厚生省内に学識経験者による研究会を設けまして、ことしの四月ごろから検討に入っていくわけでございますが、私ども三年後をめどに一つの結論を出したい、このように考えております。
  258. 長野祐也

    ○長野委員 検討項目、それなりに御検討いただきたいのですが、先ほどの局長答弁の中で一つだけ気にかかるのは、最後に言われた資産運用、確かに有利な運用ということは大変大事なことですが、国民性として、アメリカあたりは自己責任の原則がはっきりしておりますからハイリスク・ハイリターンで結構なんでしょうが、日本の場合は、いろいろな調査によると、安全第一という考え方が圧倒的に多いわけですので、そのときはそういう点についての慎重な御配慮もぜひお願い申し上げておきたいと思います。  最後に、今もちょっとお話がありましたように、年金の積み立ては今や十七兆、十年後にはこれが間違いなく六十兆になるだろうと言われておるわけであります。そうした重要な企業年金の柱となっている厚生年金基金について、厚生省の対応が今のままでいいのかどうか。今後ますます重要になってくる。指導室というものだけで果たして対応ができるのか。当然、部や局に昇格があってしかるべきだと思います。こうした考え方を言うと、行革に反するということもよく言われるわけでありますが、真の意味での行革というのは、必要性の少なくなったところを縮小したりあるいは廃止する、あるいはまたこれからの時代に向けて必要になってくるところにはきちんと対応して効率のいい行政をやるということではないかと私は思います。部局へはいきなりはいかないでしょうが、少なくとも課への昇格はあってしかるべきだと思いますが、いつごろそういう方向になるでしょうか。
  259. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)政府委員 長野委員御指摘のとおり、厚生年金基金を中心とした企業年金に関する企画調整や指導を行う体制を充実する必要性を私どもも十分に認識しております。現在、関係省庁とも協議中でございますけれども、私どもは遅くとも今年の十月までに、現在厚生省の中に置かれております年金基金指導室を新たに企業年金課に昇格したい、このように考えている次第でございます。
  260. 長野祐也

    ○長野委員 時間が来ましたので、一分間だけまとめをさせていただきますが、私がきょうこの問題を取り上げましたのは、現在、国民がみずからの負担に非常に敏感になってきておりますし、負担増が当然避けられないことが予想される高齢化社会に向けて、将来の負担あり方議論が非常に盛んになってきているからであります。同時に指摘をしておきたいのは、例えば民間医療保険国民の八八%を占めておりますアメリカで、国民一人当たりの医療費が約千五百ドル、約三十万ということで、我が国の二倍以上の数値を示していることを考えれば、患者負担の増大が必ずしも医療費の抑制にはつながらない可能性があると私は思うからであります。  政府としてもこういう点を十分御賢察の上、誤りなき社会保障政策を進めて、国民が安心できるようにしていただくことを強調して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  261. 山崎拓

    山崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十七分散会      ————◇—————