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1986-03-20 第104回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 馬場  昇君    理事 天野 光晴君 理事 桜井  新君    理事 村岡 兼造君 理事 渡辺 秀央君    理事 中村  茂君 理事 松前  仰君    理事 薮仲 義彦君 理事 滝沢 幸助君       鹿野 道彦君    鍵田忠三郎君       佐藤  隆君    笹山 登生君       田中 直紀君    谷  洋一君       近岡理一郎君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    畑 英次郎君       堀之内久男君    若林 正俊君       木間  章君    佐藤 徳雄君       富塚 三夫君    山中 末治君       遠藤 和良君    武田 一夫君       水谷  弘君    森本 晃司君       伊藤 英成君    菅原喜重郎君       津川 武一君    中川利三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 山崎平八郎君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁地方振興         局長      田中  暁君         国土庁防災局長 杉岡  浩君         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   中野 公義君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    高多 康次君         環境庁水質保全         局企画課長   西田 哲平君         外務省国際連合         局軍縮課長   宮本 雄二君         大蔵大臣官房参         事官      塩田 薫範君         文部省学術国際         局学術課長   佐藤 次郎君         文部省体育局学         校保険課長   下宮  進君         厚生省社会局施         設課長     荻生 和成君         林野庁指導部治         山課長     船渡 清人君         林野庁業務部経         営企画課長   塚本 隆久君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 黒田 克祐君         工業技術院総務         部研究業務課長 島  弘志君         資源エネルギー         庁公益事業部発         電課長     吉沢  均君         気象庁総務部企         画課長     新田  尚君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      鈴置 哲朗君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部電気通信技術         システム課長  岡井  元君         郵政省電気通信         局電波部陸上課         長       佐藤  進君         郵政省放送行政         局業務課長   岡田 吉宏君         建設省都市局部         市計画課長   伴   襄君         建設省河川局治         水課長     近藤  徹君         建設省河川局開         発課長     山口 甚郎君         建設省河川局防         災課長     帆足 建八君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      渡邉 義正君         建設省道路局有         料道路課長   藤井 治芳君         建設省道路局高         速国道課長   小林 芳夫君         建設省道路局地         方道課長    駒田 敬一君         建設省道路局道         路防災対策室長 寺田 章次君         消防庁予防救急         課長      長谷川寿夫君         消防庁防災課長 田中 基介君         特別委員会第三         調査室長    鎌田  昇君     ————————————— 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   井上 普方君     木間  章君   三浦  久君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   木間  章君     井上 普方君   津川 武一君     三浦  久君     ————————————— 三月十八日  防災事業推進等に関する請願(林百郎君紹介  )(第一四九八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 馬場昇

    馬場委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹山登生君。
  3. 笹山登生

    笹山委員 きょうは長官、いろいろお忙しい中おいでいただきましてありがとうございます。  きょうは、この前の長官所信表明に対します質疑ということでございますが、何分にも災害対策というのは非常に広範なわけでございまして、これにそれぞれ質疑をするということは、非常に荘漢たるものになってしまいますので、私の場合は特に焦点を豪雪対策に絞りまして、その他一般の問題に敷衍しまして集約した質疑を行いたいと思うわけでございます。  今、春らんまんでございまして、もう雪の問題もどうかというような感じもするわけでございますけれども、私の持論は、この雪の問題というのは春でも夏でも秋でも、年がら年じゅうやっていなければいかぬというスタンスでやっているわけでございます。雪はいわば一夜漬けでは解決できない問題であるという考え方でやっておりますので、今、春になったからこそ、ことしの豪雪の総決算というような格好で質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  この前、二月に当委員会におきまして、桜井先生を初めとした同僚議員から、ことしの能生町を初めとする豪雪被害に対する恒久対策と一時的な対策、両方につきましての質問があったわけでございますけれども、きょうはその中間決算といいますか、その後政府がどのような対応をし、そして除雪経費恒久対策についてこれまでどのような措置実施し、考えてきたかというようなことについてまずお伺いし、また、その次に、これからもう春先になりまして融雪被害がそろそろ出始めるというような状況でございますので、これから春先にかけての融雪対策につきましてどのようなことを考えておられるのか、国土庁長官、そして国土庁からお答えいただきたいと思うわけでございます。
  4. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  ただいまお話がございましたように、今冬は北陸や東北地方などでかなりの大雪がございました。このため、今お話に出ました新潟能生町におきます雪崩災害を初め、各地被害も発生いたしておるわけでございます。  そこで、政府といたしましては、道路交通鉄道運行確保、迅速な災害救助実施等災害応急対策に努めてきておるところでございます。特に、今後融雪期を迎えまして、雪崩出水による被害が相当予想されるものでございますので、特に人命の保護を第一義といたしまして、さらに防災体制に万全を期し、関係機関と緊密な連携をとりながら適切に対処してまいる所存でございます。  なお、詳細につきましては政府委員よりお答えさせていただきます。
  5. 杉岡浩

    杉岡政府委員 補足的な説明をさせていただきます。  まず、今冬の豪雪によります被害でございますが、死者は七十三人、負傷者四百三人、住家の全壊が八、半壊三、こうなっております。これは昨年の豪雪あるいは一昨年の豪雪化比べまして、幸いにも元老の数は減ってはきております。しかし、七十二人の犠牲を出したわけでございます。  それから、公共施設とか農林水産業関係被害でございますが、これは現在、関係省庁においてその調査をいたしておる段階でございます。  政府といたしましては、昨年の十二月の中旬に、ことしの降雪期を迎えまして関係省庁連絡会議を開きまして、まず雪崩とかあるいは雪おろし中の被害人的被害がないように関係公共団体等指導するという申し合わせをいたしました。それからまた、交通確保とかあるいは鉄道交通確保、こういったものに万全を期するという確認をいたしたわけでございます。それからさらに、状況に応じて必要な農林水産業者に対する的確な措置、あるいは中小企業に対する措置、こういったものを的確に行う、あるいは迅速かつ適切な応急対策をするというような申し合わせをいたしたわけでございます。  まず、具体的に申しますと、防災体制につきまして関係公共団体指導をいたしたわけでございます。特に雪おろし中の事故等につきまして、従来から犠牲者が非常に多いということもありまして、そういったものに対して徹底を進めてきたわけでございます。幸いにも、雪おろし中の事故というのがだんだん減少傾向にはあるわけでございます。  それから、災害が発生いたしました、特に非常に豪雪のあった新潟県下でございますが、二十二の市町村に対しまして災害救助法適用をいたしたわけでございます。  それから、今回の雪は、各地で相当多くあったわけでございまして、特に除排雪費に対する財源確保が大きな問題になったわけでございますが、先般の閣議におきまして、除排雪費追加等を決定いたしたわけでございます。  まず一つは、国県道除排雪経費に対しまして追加をいたしたわけでございます。国費が三十八億円の追加でございます。それから、市町村道除排雪費に対する特例補助制度をことしの豪雪につきましても実施をいたしたわけでございまして、国費が三十二億円、補助対象になります関係市町村の数は四百九十二、こうなっておるわけでございます。それから、特別交付税交付でございますが、従来の普通交付税に合わせまして、三月分に支給する特別交付税につきまして、豪雪分の百六十億円の配分をいたしたわけでございます。このようなことで、除排雪経費に対しまして財源確保をいたしたわけでございます。  今後、融雪期を迎えまして、出水等あるいは雪崩等事故がいろいろと発生する懸念があるわけでございますが、二月の下句関係省庁連絡をとりまして、中央防災会議の会長、すなわち内閣総理大臣でございますが、内閣総理大臣名をもちまして「融雪出水期における防災態勢の強化について」という通達を出しまして、関係省庁及び関係公共団体におきまして、お互いに十分の連絡をとりながらその対策を強化してまいるという方針をとっておるわけでございます。
  6. 笹山登生

    笹山委員 総決算としまして、ついで建設省にお伺いしたいのですが、冬場の凍結等に伴う舗装の破損について凍上災害という制度があるわけでございます。この制度は、五十九年度から全国的に取り上げられてまだ日が新たなわけでございますが、非常に評判がいいということでございますが、制度としての定着ということから見ますと、毎年大蔵との協議で採択を決めているというような状態で、非常に不安定な状態にあるような感じがするわけでございます。これは非常に評判のいい制度で、私どもはぜひとも定着させたい、そのためにひとつ御奮闘をお願いしたいことが一つと、具体的に本年度の採択についてどのような情勢なのか、その辺の感触を建設省にお伺いしたいわけでございます。
  7. 帆足建八

    帆足説明員 お答えいたします。  まず、今年度の凍上災方針でございますが、現在、異常低温状況並びに被害状況につきまして調査中でございます。被害状況につきましては、まだ積雪中の箇所も数多くございまして、もう少し時間が必要ではないかと思われます。資料が整い次第、十分検討いたしまして、関係機関とも協議し、適切に対処してまいりたいと思っております。  ちなみに、五十九年の発生災害でございますが、全国で約九千七百カ所、工事費にいたしまして四百七億弱、それから六十年は約四千六百カ所で、全国での工事費が二百二十七億という災害復旧費で手当てをしてございます。  それから、最初に御質問がございましたこの制度定着についての御質問でございますが、建設省といたしましては、今後の凍上災害発生状況推移等を見きわめつつ、適切に対応できるように検討してまいりたいと思います。
  8. 笹山登生

    笹山委員 何か非常に弱腰なことでありますが、ひとつもう少ししっかり踏ん張って頑張ってもらわぬと困るというふうに思うわけでございます。  以上で、ことしの冬の豪雪の総決算といいますか、中間決算につきましての質問を終わります。  いよいよことしは四全総策定時期なわけでございます。基本計画でございますから、いわば豪雪の項目がこの四全総一行でも多く取り上げられれば、これは国の方でも豪雪対策に本格的に一歩ずつ前進しているというあかしになる。不磨大典豪雪対策一行もないようではこれはまた困るわけでございますので、しっかりしたスタンスでもってこの四全総の中における豪雪対策位置づけをしていただきたいと思うわけでございます。これまでの全総、新全総、三全総豪雪取り上げ方というのは毎回ふえておるわけでございますけれども、前も木島委員から御指摘があったように、ひとつ四全総の中には豪雪対策というものを一章を設けるぐらいの抜本的な取り組み方をこの不磨大典である基本計画に示していただきたいと思うわけでございます。  同時に、今その策定作業の下ごしらえといいますか、そのようなものをやっているわけでございますが、現在の四全総策定作業進捗状況、そして、それと絡みまして豪雪基本計画見直しといいますか、見返しといいますか、そのようなものにつきましての作業も今進捗しているようでございますので、お差し支えない程度で結構でございますが、その現在の状況をお知らせいただきたいというふうに思うわけでございます。国土庁長官、お願いいたします。
  9. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 ただいまお話しのとおりでございまして、豪雪地帯におきまして雪害の防除などの施策を講じまして産業の振興住民生活の向上を図ることは、国土政策上大変重要な課題であると存じております。そこで、先ほどお話に出ましたように、この秋に向けて策定を急いでおりますその作業におきまして、冬季における道路交通確保居住環境の整備、こういったような豪雪地帯におきますところの雪害の克服と地域振興のための総合的対策につきましてただいま慎重に検討を進めているところでございます。  なお、その進度、状況政府委員からお答えさせていただきます。
  10. 星野進保

    星野政府委員 大筋はただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。ただ、若干作業上の状況等につきまして御報告申し上げたいと思います。  一昨年、私ども長期展望をつくりまして、今後の我が国土における二十一世紀を踏まえたいろいろな課題を摘出いたしまして、昨年の前半におきまして都道府県知事さんあるいは市町村長さんあるいは経済界農業界といった各方面の方々といろいろ御懇談申し上げまして、これからの問題はどうかということにつきまして御意見を拝聴いたしました。その中で特に豪雪地帯方々からの御意見も別途承っておりまして、必要とあらばそういう資料についても御紹介したいと思いますが、本日はちょっと省略させていただきます。それを受けまして、昨年の夏から、課題ごとのテーマを設けまして、現在まで各課題について検討を加えてきておるところでございます。大臣申し上げましたように、特にその中で国土の半分以上を占めます豪雪地帯につきまして、そこの居住環境等につき十分の配慮をすべきことであるというのは言うまでもないことでございまして、四全総の中でそういう関連につきまして現在鋭意勉強中でございます。
  11. 笹山登生

    笹山委員 雪対策は、住民ニーズも非常に細かいところまで求めるようになってきている。幹線の除排雪から生活道路除排雪まで、いろいろな面で細かい点にまでニーズがわたってきているというようなことでございますので、きめ細かな位置づけというものもひとつお願いしたい。  それと、建設省にお伺いしたいのですけれども、いろいろこういう克雪都市づくりというようなことを考える場合、地区計画制度というものをもう少し活用した住民主体の、いわば近隣の相隣関係を余り阻害しないような、オープンスペースをもとにした、そういう都市づくりというものもこれから考えていく必要があるのじゃないかというふうに私は思うわけでございますが、この辺、地区計画制度というものを克雪都市づくりに活用する方途について何かお考えがございましたらひとつお聞かせいただきたいわけでございます。
  12. 伴襄

    伴説明員 お答え申し上げます。  先生指摘地区計画制度を活用して克雪づくりをできないか、こういうお話でございますが、地区計画制度につきましては、先生御案内のとおり、地区レベルのきめの細かい都市計画をつくろうということでこれも地域住民意見を尊重しながらやろうという制度でございまして、この計画によりまして、例えば道路建築物の間に空地を設けましたり、あるいは隣接する家屋の間に空間を設けるというようなことができるわけでございます。  そこで、例えば地区計画で壁面の後退を決めるというようなことをやりまして雪処理を行うための有効な又ペースを生み出すというようなことが可能であるわけでございます。例えば秋田県の雪対策の中でも、建築密集地域におきます地区計画によって雪処理のためのオープンスペース確保するというような方策を打ち出しておられますが、この地区計画制度を活用してそういう方向に持っていくことが大いにできると思いますので、地域によっては例えば敷地規模なり建築物の形状で必ずしもそのまま適用できないところがあるかもしれませんが、地区計画適用が有効な場合には、極力こういった制度を活用いたしまして、オープンスペース確保した克雪づくりというようなことに公共団体指導していきたいというふうに考えております。
  13. 馬場昇

    馬場委員長 先ほどの答弁に田中地方振興局長が補足答弁するそうですから。
  14. 田中暁

    田中(暁)政府委員 四全総策定状況と絡みまして豪雪地帯対策基本計画の御質問もございましたので、お答え申し上げます。  現在の基本計画は、四十七年の改定以来既に十四年間を経過しているというようなことでございまして、万般にわたる状況変化を来しております。国土庁といたしましても全般的な見直しに着手することにいたしまして、国土審議会豪雪地帯対策特別委員会の中に企画部会を設けまして、ことしの二月十八日に第一回の会議を開催いたして検討に入ったところでございます。四全総策定状況等を見きわめながら、今後鋭意見直し作業を続けてまいりたいと思っております。
  15. 笹山登生

    笹山委員 次に、国土庁にちょっとお伺いしたいのですけれども、この雪処理技術というのは民間でいろいろ試行錯誤がなされておりまして、既に技術的なものにつきましてはほぼ成熟段階に達しておるのじゃないかとさえ私は思うわけでございますが、その辺の、民間ベースでどういう技術がどういうふうになっているのかという、所在ですね、情報所在技術所在、そういうものにつきまして、国土庁で、もうそろそろ情報収集なりデータベースをつくるぐらいのことをされてもいいのじゃないか。  また、さらには、この前、ことしの正月ですか、富山県で克雪技術展覧会みたいなのがございまして、テレビや何かで紹介されて非常に好評を博したというようなことでございますので、ひとつこれは夢かもわかりませんけれども、夢じゃないようにしてほしいのですけれども国土庁ぐらいが主催で克雪技術博覧会のようなものを毎年一回どこかで開く。私は、毎年晴海で開いております防災博ですね、これは毎年出席して非常に参考になる点があるわけでございますけれども、あれも国土庁が絡んでおるわけでございますから、克雪技術博覧会のようなものをひとつ開催して、回り持ちでともに雪への関心を深め、その場で各種技術評価というものを行うような、そういう場もひとつ設けてはどうかというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。  それと関連しまして、ついで科学技術庁にお答えいただきたいのでありますけれども、正直言いまして、いろいろな民間技術の中には割高のものとかコストパフォーマンスが非常に悪いものとか、いろいろあるわけでございますので、残念ながらその技術評価というものをどこでやるかというのが今のところはわからないわけでございます。建設省でお聞きしたところによりますと、幸い、優良住宅部品認定制度というものがあるそうでございまして、そこで民間優良技術の発掘とか既存の技術の淘汰とか、そういうものにまで立ち至った技術の再評価というようなものをやっておるようでございますので、こういうようなシステムを活用して、克雪技術版というもののシステムをつくりまして、もうそろそろその辺の民間技術交通整理というものをひとつやってはどうかというような感じがするわけでございますが、いかがでございましょうか。  まず、国土庁にその辺のデータベースの話、そして科学技術庁にその辺の技術的な考えをお述べいただきたいと思うわけでございます。
  16. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御指摘のとおりでございまして、雪対策推進にはやはりベースになります技術開発ということが大変重要であろうと考えておるわけでございます。また、近年、全国行政機関、大学、民間研究機関等々でそういった技術が積極的に研究されているのも事実でございます。ただ、これらの研究は、御指摘になりましたように、個別に実施されているという現状でございまして、これは集大成という観点からまだ乏しいものがあり、また、それの成果の普及につきましても、そのために不十分な点もあるというように認識をいたしておるわけでございます。国土庁といたしましても、今後克雪のための技術研究につきまして積極的に情報収集、分類、整理することにつきまして前向きに検討をいたしてまいりたいと考えております。  また、もう一点御指摘になりました克雪博のような催しにつきましては、その重要性につきましては我々も十分理解しておるところでございまして、現在のところでは、昨年度、新潟県で実施されました全国電シンポジウムあるいは克雪利雪対策技術全国博覧会、それから、今年度になりましても富山県で全国克雪利雪シンポジウムあるいは技術見本市、こういうものを行ったわけでございますが、国土庁も積極的に後援したような次第でございます。  さらに、竿頭一歩を進めまして、国土庁が主催してそういった催しを開催してはどうかという御提言でございますが、大変貴重な御意見だと考えまして、今後積極的に検討してまいりたいと思います。
  17. 高多康次

    ○高多説明員 民間方々克雪技術に対しまして非常に積極的に取り組んでいらっしゃるということにつきましては、科学技術庁といたしましても大変結構なことだと考えておりまして、科学技術庁国立防災科学技術センターがいろいろ特別研究等技術開発を行っているわけでございますが、こういうものの成果につきましては、講演会を開催いたしましたりあるいは刊行物を配布するというようなことで民間の方に使っていただくように努力をしているところでございます。それから、民間を含めまして各種団体等から講演依頼等がありましたりしました場合には、積極的に講師等を派遣いたしまして、民間の自主的な研究開発活動の支援をするということをやっておるところでございます。  それから、先生の御指摘になりましたような、民間研究活動がどういうことになっているかということにつきましては、最前から話題に出ております、例えばことしの一月十七日に富山で行われた克雪・利雪技術全国博覧会というようなところでのシンポジウムのようなところに出ましたりあるいは展示会等で陳列されているものを親しく見て回るというようなことで、どういうことが行われているかについては研究者はすべて把握しているというところでございます。
  18. 笹山登生

    笹山委員 以上で、豪雪対策につきましての質問を終わりまして、若干時間がございますので、防災一般にわたる私のかねてからの持論といいますか、その問題につきまして若干敷衍したいわけでございます。  消防庁と建設省にちょっとお伺いしたいのですけれども、今の都市部における避難体制、これは広域避難体制というようなことで一地区一避難先、例えば永田町であれば皇居というようなことでございますが、この前両国の方へ行きましたら、両国の方も皇居が避難先である。また、この前豊島区の長崎へ行きましたら、長崎の方は光が丘パークというようなことで、我々元気な者でもなかなか、いや遠いなあと思うようなところが避難先になっている。ましてやお年寄りとかいわばハンディを持った弱者の方、こういう方が避難先の表示を見ただけで卒倒しちゃうのじゃないかというようなことで、もう少し弱者のための、遠距離にならない、そういう避難先なり避難体制というものをつくる必要があるのじゃないかというようなことで、私はやはり、今の広場を中心とした十ヘクタール以上の広場でなくてはいかぬというような限定した考え方をもう少し弾力的にして、例えば今国土庁でやっているような防災基地建設モデル事業のようなああいう施設とか、シェルターというとこれはまた核アレルギー等を誘発するというような関係で、そういうような構築物と広場とをドッキングしたような、そういう弱者のための避難場所というものをこれから設けないと、これは高齢化社会に向けた災害対策としてはちょっと片手落ちじゃないかというような感じがするわけでございます。  その点につきまして、消防庁、そして広場につきましては建設省でございますか、国土庁、この三者からのお考えを並べてお伺いしたいわけでございます。
  19. 田中基介

    田中説明員 防災対策推進する上で、お話ございましたような高齢者の状況、あるいはまたハンディのある方々状況地域によっていろいろ異なっておると思います。地域の実情に応じた防災設備ができることが基本だと私ども考えております。極めて重要なことであると考えております。  消防庁におきましては、こういうような観点にも立ちまして、地域の特性に応じた、災害に強い安全な町づくりをする、これを積極的に推進するということで、来年度、防災まちづくり事業という事業を創設をいたしまして、これは起債と地方交付税を活用いたしまして避難地その他の整備を図るというものでございますが、この運用に当たりましても高齢化等、地域の実情に合うよう、できるだけの配慮をした運用をしてまいりたいと考えております。
  20. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  現在、避難地につきましては、それぞれ地域防災計画を各公共団体が定めまして、それに基づきまして整備を進めておるところでございます。主に公園等が中心になるわけでございますけれども、公園以外にも例えば不燃化された地区、例えば丸ノ内、霞ケ関の辺、ここは全体が避難地区になっておるわけでございますし、それから大きな住宅団地、こういったものも光が丘のようなところはなっておるわけでございます。こういった不燃化した地区、これを十分活用しながら避難のための広場を確保するということを進めておるわけでございます。しかし、何といってもその中核は防災公園事業であろうかと思います。建設省におきましては、六十一年度から発足いたします都市公園整備五カ年計画に基づきまして、防災公園の整備というのに重点を置いて進めることになっております。  それからもう一つ国土庁で現在やっております防災基地のモデル事業でございます。これは先ほど先生が御指摘になりましたように、その地区における防災活動の拠点あるいは避難、こういったものを組み合わせたものでございまして、今まで数カ所の事業をやってきておりますけれども、こういったような避難地と防災基地、これを絡み合わせたような避難対策といいますか、防災対策、こういったものもきめ細かくやっていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  21. 笹山登生

    笹山委員 では、最後になりましたけれども、防災技術にもう少しハイテクの技術を応用した方がいいのじゃないかというようなことで、アメリカの方で今防災ロボットというのが非常に開発をされておりまして、ESR一号なんというものは小型であるけれども非常に性能がいいというようなことでございます。我が国でも消防庁の研究所の方でロボットの開発をやっておるようでございますけれども、その辺の進捗状況、またロボット以外の各種防災センサーの開発状況というものがどういうぐあいになされているのか、その辺の概要についてお伺いしたいわけでございます。
  22. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 消防ロボットの件でございますが、消防ロボットの実用化ということになりますと、まず各種センサー技術、耐熱材料あるいは画像の映像を認識する判断処理能力、こういったものを多く集積いたしましてこれを活用しなければなりません。その際、消防上の機能上のいろいろな問題が出てまいりますので、この解決が必要であります。また、実用化には、消防活動をいたしますのに必要な自由自在に動ける機能が必要でありますが、これは他の研究機関成果を活用いたしまして、それに加えまして消防固有のテーマがございます。それにテーマを加えまして実用化に向けての研究が必要だということで、現在研究を進めておるところであります。そして、現在は、消防庁のほかに関係研究機関と協力いたしまして研究を進めておりますが、本年度は火点の検索をするという研究を行っております。また、来年度は模型火災の消火活動を行わせるということも計画をしております。  ただ、いずれにいたしましても非常に多くの技術的な問題の集積と種々の問題の解決が必要でございますので、これが消防士が現場の消防活動をすると同じように期待できる消防用ロボットということの実現化にはなお多くの時間を要するかと存じております。  それから、センサーの件でございますが、現在、火災感知センサーというものがいろいろ開発されておりますが、非常に特殊なものといたしましては、火災を煙とか熱とか、これを非常に持続的に判断するような特殊センサーというのが既に開発されております。しかし、これとても本当の火災が発生したのか、あるいはその火災の状況がどういうふうに発展していくのかということをデータ解析すると申しますか、そういう解析ということはまだ未開発の分野でありますので、その面、消防研究所という特異な立場から解析技術研究を現在進めているところでございます。  以上でございます。
  23. 笹山登生

    笹山委員 文部省を呼んでおりまして質問をしないと悪いので、学校安全の中における防災教育の位置づけということにつきましてちょっとお伺いしたいのです。  実はこの前、私、日本海中部地震のときの質問で、あのときいろいろ調べましたら、どうも防災教育のやられ方が、東海地震のありそうなところでは非常に過密にやられている、ところが東海地震の起きそうもないところはまばらにしかやってない、地域によって非常に防災教育の指導にばらつきがあるというようなことを指摘しまして、その辺のばらつきをもう少し均衡化する必要があるのじゃないかという御指摘をしたわけでございます。  もう一つ指摘したのは、あのとき実は東京都の教育委員会、千代田区の教育委員会で「地震が起こったら」という防災の手引書があったわけでございますけれども、そういうものを見ますと非常に難解で、いざというとき、もう読んでいたら死んでしまうというような難解な手引書が防災教育に使われている、何とかこれをもう少しわかりやすいマニュアルにするべきではないかという御指摘をさせていただいたのでございますけれども、もうあれから三、四年たっておりますので、その改善の成果が上がったかどうか、ひとつ文部省にお伺いしたい。これで私の質問を終わりたいと思います。
  24. 下宮進

    ○下宮説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の防災教育の地域的なばらつきがひどいのではないかということでございますが、これにつきましては、単に東海地方の地震の問題だけではなくて火災、台風その他の災害の問題もございますので、私ども全国的に防災教育が徹底いたしますよう都道府県の教育委員会等を指導しているところでございます。そういったことから、現在全国的に見ますと、学校で例えば避難訓練の実施状況を見ますと、小学校で年間三、四回というのが通常でございます。中学校が二、三回、高等学校のレベルで一、二回というのが平均的な状況でございます。  それから次に、先生が五十八年に御指摘いただきました学校における防災に関する児童用の教材等が大変わかりにくいのではないかということでございますが、これにつきましては、文部省では早速都道府県の教育委員会の主管課長会議の際に、各教育委員会において児童生徒用の教材を作成する場合には地域の実情や児童生徒の発達段階を十分考慮してつくるように指導したところでございます。全国的な状況までは十分把握しておりませんが、文部省のこういった要請等もあったということから、例えば東京都の教育委員会では改訂版を出しまして、小学校、中学校、高等学校別に大変わかりやすい教材を作成している、その他の地域においてもそれぞれ適切な対応をしているというふうに考えているところでございます。  文部省といたしましても、先生の御指摘の趣旨を十分徹底いたしますように今後とも努力していきたいと考えております。
  25. 笹山登生

    笹山委員 これで質問を終わります。  ありがとうございました。
  26. 馬場昇

    馬場委員長 次に、松前仰君。
  27. 松前仰

    ○松前委員 雪害のことにつきましては、私、特に質問しないつもりでおりましたけれども、先ほどから質疑応答を伺っておって、ちょっとだけこの辺について防災局長の方から御答弁いただければと思うのであります。  雪の災害というのは、大ざっぱに考えてみますと、どうも後追いであるような感じがしてしようかない。結局、雪が解けてからでないとわからない。予算配分の点もあろうと思うのですけれども、そういうような状況が毎年毎年続けられているのではないだろうか。地震なんかですと、予知とかという方面で災害を防ごうという方向で動いてきているわけでありますけれども、雪についてはどうも後追いが多過ぎる。降って、災害が起こって、それでどうしようか、こういうようなことが非常に多いように感じるわけであります。  私も青森に視察に行ったのでありますけれども、予算なんかも、マージンといいますか、最大限の災害が起こったときにどうするかどいうところまでは考えていないという点もあるし、ちょっと雪についてはおくれているのではないか、私はそんな気がして仕方がありません。壊れる前に対策をするのと壊れてから対策をするのでは、世の中はどれだけ進歩していくかということになれば、やはり壊れる前に対策をする方がその地域のためにもなっていくということでありますが、雪についてはその辺がどうも欠けているように思うのであります。毎年毎年同じことが繰り返されている。だから、これはこれからしっかりやっていっていただきたいと思うのですが、その辺について、これからの考え方も含めて、国土庁、ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  28. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  豪雪対策につきましては、基本的には、一年を通しまして、豪雪対策特別措置法に基づきまして、雪に強い町づくりあるいは国土づくりが必要になってくるわけでございます。そういった観点から、克雪あるいは利雪、雪にかち、あるいは雪を利用するというような対策を進めておる、地方振興と絡めてそういった対策を進めておるわけでございます。まさに雪に対して強い町づくり国土づくりということでございます。  それから、そうはいっても、ことしあるいは昨年、一昨年のように大雪があるわけであります。これによって雪害が発生する。大雪についであらかじめ予知して対応すると申しましても、その年に雪が降りますと、これを除雪しなければいけない、非常に経費がかかる、したがって、それに対して我々は雪害対策として道路除雪等の各種の経費を、財源確保しながら対策をしていくということになっておるわけでございます。  雪崩等につきましても、雪が降ってからこういった問題が起こるわけでございますが、事前に雪崩対策が十分にとられておって、少しでも雪崩が少なくなるようにしていかなければならないと考えておるわけであります。そういった関係から、雪崩対策関係省庁建設省あるいは農林水産省におきましてこれから重点的に総点検をしながら整備をしていくということであろうかと思います。  いずれにしましても、豪雪対策は、雪に強い町づくり国土づくりということが必要であろうかと私は思います。そういった観点から総合的に雪対策をこれからさらに進めるということであろうかと思っております。
  29. 松前仰

    ○松前委員 私、雪についての質問は午後からの同僚議員の方へ譲りたいと思いますけれども、いずれにいたしましても今まではどうも後追いが多過ぎる。これから雪に強い町づくりの方向でというお話でございましたので、ぜひともそれは前向きに進んでいっていただきたい。先ほど申しましたように、壊れた後から対策するのではもとに戻るだけである、壊れる前にやるならば町の前進につながるということですから、これからそういう方面にうんと力を入れていただきたい、そうすれば後追いの予算も減らすことだってできるということになりますので、そういう点をよろしくお願いしたいと思います。(「地震より雪が先なんですよ」と呼ぶ者あり)地震より雪が先だそうでありますけれども、いずれにいたしましても、私は今から地震の質問をしたいと思います。  地震の問題につきましては、かなり国土庁関係省庁、力を入れて東海地震ということでやってくださっておる。そういうことで大変感謝をしておるわけでありますけれども、この中で私は非常に抜けている点があると思うわけです。  私は、「新放送文化」というNHKで出している雑誌の中に出ておる言葉がこれからの災害対策に非常に重要な点であろうと思います。それはどういうことかというと、「災害は、災害のひどさだけではなく、情報のあり方が生死を分けるようになった」、こういうことを言っております。要するに、情報が非常に重要である。災害が起こるとき、起こる前、起こってから後は、情報の伝達をいかにきちっとやっていくかということが災害を非常に少なくすることになると「新放送文化」に書いてあるわけであります。内容について一々細かく申し上げたくはないのでありますけれども、いい例で言いますと、例えばメキシコの地震の場合、過密都市でありまして、ちょっとでも災害が起こりますと、この町は大パニックになるはずであった。ところが、国営テレビ局が大活躍して市民の状況をずっと伝えて、八万件に上る情報を放送したそうであります。パニックが余り起こらずに済んだという事実がメキシコではあったわけです。しかしながら、逆の方向もあるわけでありまして、コロンビアのアルメロの町の災害のときには、災害が起こりそうだということがわかっていながら大丈夫だということを言われておった、こういうようなことでございます。長野県西部地震の場合には、被災状況情報収集のおくれというのがあって非常に大きな問題が起こったそうでありますけれども、いい例としては、山陰の水害、このときには町長の判断で素早い情報収集と的確な情報伝達を行って、人的災害を最小限に食いとめた、こういうことが言われております。  これはいろいろ災害についての情報の問題につきまして詳しく述べられておりますので、「新放送文化」のナンバー1、ことし出たものですが、非常によく書かれております。皆さんぜひともこれをよく読んでいただいて、情報というものが一体どういうぐあいにこの防災に作用してきているかということをよく勉強していただけるとありがたいと思います。  そこで、私は情報の伝達の面について、今非常にいろいろな対策をやっておりますけれども、まだ不足している部分があるのじゃないか、そのように感じるので、質問させてもらいたいわけであります。  まず、郵政省と消防庁の方にお伺いをしたいと思います。  緊急警報放送システムというのがあるわけです。放送を使いまして、電気が入っていなくても緊急警報が出ますとラジオが聞こえる、テレビが聞こえる、こういう形になっておりますが、それが昨年九月一日にNHK初め民放十四局が運用を開始したわけでありますけれども、このシステムの受信機、これについての普及状況というものは現在一体どういうふうになっておりますでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  30. 岡田吉宏

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  緊急警報放送システムは、御指摘のように、昨年の九月一日から運用態勢に入っておるわけでございますが、現在、NHKが全国的に、また民放では関東、近畿、それから静岡地区等の会社を中心にいたしまして十七社が実施の態勢に入っておるわけでございますが、受信機につきましては、現在三社から発売がされておりまして、専用型の受信機が二機種、それからラジオの受信機に内蔵した内蔵型のものが一機種ということでございますが、六十一年一月末日現在の数字で、これらの出荷台数が約二万一千台というふうに聞いております。
  31. 田中基介

    田中説明員 受信機の普及状況につきましての統計は私どもは持ち合わせておりませんが、昨年の九月一日から運用を開始したシステムでございまして、消防庁といたしましては、都道府県を通じて周知徹底に努めておるところでございまして、今後、順次普及していくものと考えておるところでございます。
  32. 松前仰

    ○松前委員 消防庁の方は非常に楽観的なお考えであるわけでありますけれども、いずれにしても、このシステムが有効にその機能を発揮するということは、やはり普及をしていかなければならぬということなんですけれども、今二万一千台、これは全県民に対してどのぐらいになるかといえば、もうすぐおわかりになると思いますが、非常に少ない。二万一千台ぐらいしか普及をしていないという状況なんですね。既製のラジオ、テレビというのはみんな持っておる、そういう中でこの普及というものについてはやはり推進をしていかなければならぬと思うのでありますけれども、これは既製のテレビ、ラジオを持っている人に対して一体どうやって普及をさせていくか、その辺が私、大変疑問に思っておるわけです。いろいろPRなどなされておりまして、こういう立派なパンフレットをつくって非常にいいのでありますけれども、パンフレットをつくれば売れるという代物ではないと思うのです。受信機の値段にしても、ここにちょっとデータがありますけれども、FMとAMのラジオが一万九千八百円、大体二万円ですね。テレビで音だけが聞こえるのが一万三千八百円、FMが九千八百円、こうなりますと、普通の受信機に比べて値段はどうしても高くなっているわけです。こういう高いものを普及させていくということになると、これはよほど強力な指導がないと普及していかないというように思うのでありますけれども、郵政省、消防庁の方は普及対策についてどのようにお考えになっておられますか。その辺をお伺いしたい。
  33. 岡田吉宏

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、この緊急警報放送システムが緊急時の情報伝達手段として非常に有効だということでございますが、このシステムの有効性が十分に発揮されるためには、このシステムが広く国民に周知されまして、受信機ができる限り多くの御家庭に普及するということが必要なわけでございます。このため、私ども郵政省、それからNHK、民放連等の放送事業者、国土庁、気象庁、消防庁、警察庁、そうした防災機関の皆さん方と日本電子機械工業会、こういったところから成ります周知普及に関する連絡会というものを設置いたしまして、このシステムの周知普及の施策をいろいろと検討して、その具体策を実施をいたしておるわけでございます。特に一般家庭への周知が必要であるということでございますので、そうした地域住民と直接接点を有しておられる地方自治体における広報活動が非常に効果的だということでございまして、先ほど消防庁の方からもございましたように、防災関係機関が所轄のそれぞれの組織を通じまして周知をしていただいているところでございますし、私どももいろいろな会議の機会等を通じまして、市町村におきます広報方を依頼しておるところでございます。  また、放送事業者におきましても、放送の番組を通じまして周知を行うというようなこと、そうしたいろいろなことをやっておるわけでございますけれども、ただいま御指摘いただきましたように、受信機の価格の問題、これにつきましても、静岡県などでは安価な受信機の開発も進めておるように聞いておりますけれども、今後ともよく関係機関連絡をとりまして、周知普及を進めてまいりたいと考えております。
  34. 田中基介

    田中説明員 このシステムの普及の関係でございますが、基本的にはただいま郵政省の方からお話があったとおりでございますが、消防庁といたしましては、直接住民関係のございます都道府県を通じ、当該システムについての周知徹底に努めるとともに、消防機関等にも十分徹底をいたしまして、今後関係省庁とも十分連携をとりながら、この普及促進に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  35. 松前仰

    ○松前委員 今お話がありましたように、普及についてはなかなか苦労されておるようでございますけれども、ぜひともこれは強力に推進をしていただきたい。  というのは、例えば津波の警報伝達経路、こういうものが、今正規のものとしては、気象庁から情報が出て地方気象台なりNTTなりを通って都道府県へ行く、都道府県から市町村へ行く、そして市町村から住民へ行くというような情報のルートが今正規のものとしてあるわけでありますが、これをやりますと非常に時間がかかってしまう。津波の場合において時間がかかるというと大変なことになる。日本海中部地震では、たしか津波警報が発令されたのは津波の第一波が襲ってから六分後になっておるわけですから、津波警報が発令されたのが後になっておる。東海地震の場合の静岡は、私は静岡ですから大変申しわけないのですが、そこでの計算例によると、地震が発生してから五分で津波が襲ってくる、こういうことになれば、こういう多段階のルートを通ったのでは大変に時間が遅くなってしまう。そしてまた、途中の段階で都道府県やら市町村やら通ってきますと情報も間違ってしまうということも、間違ってしまうといいますか、ちょっと変わって、変形されてくるということもある。これはやはり防災にとって意味がないものになってしまう。  気象庁から放送局へ入って、緊急警報放送システム住民に行くという直接のルート、これが一番効果的であるということなのでございまして、ぜひともこの緊急警報放送システムというものを重点に考えていかなきゃならぬと思います。これを正規のルートというようなことに考えていくということについて、郵政省、気象庁からお考えをちょっといただきたいと思います。
  36. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 御説明申し上げます。  気象庁が発表いたします津波警報に関しましては、特に伝達につきましては、防災関係機関による伝達のほかに、報道機関の協力を得まして国民に周知するということになっているわけでございます。緊急警報放送システムはまさにこの一環でございます。したがいまして、正規の津波警報の伝達ルートの一つ考えているわけでございます。  以上でございます。
  37. 松前仰

    ○松前委員 正規の情報伝達ルートの一つということよりも、これが中心になっていくべきだというような方向で進めていかないと、普及というものもそれによって、これはそのうちの一つだから余り重視しなくてもいいようであったらば普及はしていかない。しかし、これが一番有効なんですから、これを大々的にPRするために、これが一番中心になって、一番確実なものであるというような形で進めていっていただきたいと強く要望いたします。そして、普及についてぜひとも強い指導なりをやっていただきたい、そのように思います。  もう一つ、統合防災無線システムというのがございますが、郵政省は去年の四月ですか、このシステム実用化について関係各省庁と協議していくという方針を出したのですけれども、早期実現に向けて協議した結果、実用化のめど、そういうものについてちょっとお伺いをしたいと思います。消防庁と郵政省になりますでしょうか。
  38. 佐藤進

    佐藤(進)説明員 統合防災無線システムの実用化につきまして、各市町村において整備が進められております市町村防災行政無線網、これを補完するシステムとして導入していく方向で現在消防庁とお打ち合わせをしている段階でございます。  それから、その早期実現に向けての実用化のめどということでございますが、ただいま申し上げましたように、今後とも消防庁とお打ち合わせを継続していくわけでございますけれども、郵政省といたしましては、電波法に基づく技術基準の制定あるいは免許方針の制定といった整備をこれからいたす予定にしてございまして、そういったことでの利用の道はことしの秋ごろには開かれるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  39. 田中基介

    田中説明員 ただいまお話がございましたように、このシステムにつきましては郵政省の方より整備促進方の協議を受けているところでございまして、消防庁といたしましては今後とも郵政省と密接な連携を保ちながら、この整備促進の方策について検討してまいりたいと考えております。
  40. 松前仰

    ○松前委員 この統合防災無線システムも非常に有効な手段でありまして、これは一般家庭ではないのですけれども、移動系ということで、市町村防災行政無線を補完するという意味で非常に有効な手段なんで、ぜひともこれを実現の方向へ向けて、もっと実現を早めてもらいたい、そういうふうに思うのです。秋ごろこれが検討されるというか、いつごろまとまるのかわからないけれども、とにかくもっと早くしてくれないと、地震というものはいつ起こるかわからないと言っておりますけれども、とにかく早くしないと、起こってからでは遅いのでありますから、そういう意味でこれを前進させていただきたいと思います。こういうものは何も東海地震に限ったことではないので、緊急放送システムだって東海地震に限ったことではないのでありまして、全国的にこれはいろいろな情報の伝達に使えるわけでありますから、そういう意味で全国的に普及をさせていくというような方向でやっていけば、受信機の値段も当然安くなってくる。先ほどの緊急放送システムのものも安くなっていくし、また、この統合防災無線システムは雪の災害だって同じことで、こういうものが各地に備わっておれば災害を最小限に食いとめることができるのでありますから、郵政省、東海地震関係だけだからというようなことで考えておらないで、ぜひとも強力な推進をお願いしたいと思いますが、郵政省の方にちょっと二言その辺の決意を聞きたいのですけれども、よろしくお願いします。
  41. 佐藤進

    佐藤(進)説明員 郵政省といたしましては、このシステムの実用化に当たりまして、その整備を容易にするための方策ということをいろいろ考えているわけでございまして、その前にただいま申し上げましたような技術基準の制定とか免許方針の制定、そういったことをなるべく早くするような方向で考えているわけでございます。そういったことを積み上げていきますと、急ぎましてもことしの秋ごろではないかということで先ほどお答えしたわけでございますけれども先生のおっしゃることはよくわかりましたので、そういったことになるべく努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  42. 松前仰

    ○松前委員 ぜひとも早くやっていただきたいと思います。  それで、これを実用化するに当たって、緊急放送システムの受信に当たっては、値段が高いとか、いろいろそういうこともあるので、補助ということも検討をしていって、その検討の過程でそういうことも含めて考えていっていただきたいと思うのであります。  話題をちょっと変えまして、地震予知の関係に話を移らせていただきますけれども、中曽根首相がこの間の本会議、いつでしたかちょっと忘れましたが、地下核爆発の実験探知に松代の地震計を全世界ネットワークに組み込んでやるんだというようなことを言っておったんですけれども、こういう計画はあるのでしょうか。外務省いらっしゃると思いますが。
  43. 宮本雄二

    ○宮本説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、政府は核実験禁止について従来から重点項目の一つとしてやってまいりまして、一昨年の六月に安倍大臣がジュネーブの軍縮会議に出席いたしまして、いわゆるステップ・バイ・ステップ、段々に核の敷居を下げていくという提案をしたわけでございます。その提案のフォローアップとしまして、ジュネーブの軍縮会議の審議に協力するという目的でいわゆるレベル2の地震データを八カ国との間で交換、さらに解析する、こういう予算を実は政府原案の中に入れさせていただいているという状況でございます。これは国際的なネットワークというよりもむしろ日本と八カ国が二国間でそういうデータの交換をまずやろう、そういう計画でございます。
  44. 松前仰

    ○松前委員 時間がないものですから、この問題についてはもっと詳しくやりたいのですけれども、そういう地下核実験について地震計を持ったところとのネットワークが組まれる、これは話がえらい簡単にまとまってしまうのですね。ところが、防災の関係についての——今世界じゅうで地震があちこちで起こって問題になっている。こういうものについてやはり情報交換をしていかなければいかぬよということを前の委員会で私は申し上げたのです。そういう世界的なネットワークを組んで地震の予知をして防災に世界的に努めることは必要だということを言ったのですが、そっちの方は余り進むことができないで、何か核実験、そういうものについては一遍にネットワークができてしまう。私は非常におかしいと思う。逆だと思うのですね。外務省の方は余り防災のことを知らないのかもしれないけれども、外務省はそういうのをやるなら地震、防災の方も外務省でもって全世界ネットワークを組むぐらいのことを考えてもらわなければ困る、核実験とか、そういうことはかり考えないで。そういうふうに私は強く外務省の方に申し上げておきたいのですけれども、外務大臣いらっしゃらないので残念ながらここではしゃべりっ放しということになってしまいますが。  そこで、時間がないので地震予知に関しまして申し上げますが、前に予知についていろいろ質問いたしました。そのときに国土庁、気象庁、科学技術庁、それから文部省の方々が、予知技術の向上、予知確度の一層の向上ということをお約束されたわけであります。まさに今の話でありますが、国際的な技術交流についても前向きな姿勢があるということを文部省の方はおっしゃったわけでございます。そういうことで、この一年間、私は地震予知についてかなりの前進をしていると思うのであります。  余りその辺についての検討結果は出ておりませんが、この一年間についてどういうぐあいに努力をされてきたか。そしてまた、国内地震ネットワークというものはどうしても必要だと思うのでありますけれども、これについてはどう整備をしていくつもりであるか。それから、国際的な技術交流というのは一体現状はどうか。そしてまた、将来はどういう形で国際協力の方向へ持っていくかということについて、国土庁、気象庁、科学技術庁、文部省の方から簡単にお答えいただきたいと思います。
  45. 杉岡浩

    杉岡政府委員 政府といたしましては、地震予知に関しましては防災の科学技術研究の最大の課題ということで力を入れておるわけでございます。関係省庁いろいろとあるわけでございますが、そういった関係省庁は非常に厳しい予算の中で地震予知に関していろいろ重点を置いておるわけでございます。  最近で言いますと、房総半島の海中地震計の敷設、これが六十年度に終わりまして、来年度からまた新しい総合監視システムを気象庁で導入するということで、地震予知に関して鋭意進めておるわけでございます。それぞれの省庁におきまして、それぞれの持ち場持ち場で地震予知について全力を尽くしておるわけでございます。それぞれの省庁の地震予知の推進につきましては各省から答弁をいたします。
  46. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 御説明申し上げます。  ただいま国土庁からお話がございましたように、予想される東海地震の短期直前予知、それから先ほどもお話ありました津波予報作業の迅速化、こういう二つの大きな目的に対応するために地震活動等総合監視システム及び房総沖海底地震観測システム、これらの整備を鋭意進めているところでございます。  また、気象研究所におきましては、直下型地震予知の研究について鋭意調査研究推進しておるところでございます。  それから、国内の地震ネットワークの整備の状況でございますが、気象庁は全国的な地震観測網を展開しておりまして、日本とその周辺に発生する大中小地震を観測し、その成果を逐次公表しております。このため、これまでにも高感度地震計の設置などを行ってまいりましたし、それによって観測精度の向上を図ってまいるとともに、観測データの迅速な収集と処理を行うために地震資料伝送網の全国展開を図るなど種々の施策を行ってきているところでございます。  今後も、国の地震予知計画の趣旨に沿いまして地震観測網の整備強化に努めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  47. 高多康次

    ○高多説明員 内容につきましては先ほどからおっしゃっておりますので逐一申し上げませんけれども科学技術庁といたしましては、地震予知推進本部の担当といたしまして各省庁とも連携をとりながら、今後とも鋭意観測網の整備、研究観測について推進してまいりたいと思っております。
  48. 佐藤次郎

    佐藤(次)説明員 お答え申し上げます。  大学関係の御指摘をいただきまして、国際協力の関係で、この一年間の動きにつきまして御報告をさせていただきます。  地震予知の大学関係の国際協力につきましては、現在研究機関のレベルとかあるいは研究者個人、また、その方法につきましては共同研究とか学会、研究集会等いろんな方式で進められているわけでございます。  六十年度におきましては、従来から進めてまいりました日中の地震の共同研究について具体的に一歩進めたわけでございまして、昨年の十月に測地学審議会の浅田会長以下五名の研究者グループが訪中をいたしまして、中国国家地震局との間で今後の地震予知の研究協力の分野なり内容、方法につきまして具体的に話を詰めまして、本年度の秋には北京におきまして日中の地震シンポジウムというのを開催することになっておるところでございます。  また、具体的な進め方についてはさらに協議を進めた上、本年度からも共同研究実施に移したい、こういう状況になっております。  そのほか、ルーマニア等との間でも、研究者同士で共同研究が進められておりますし、また地震学に関する国際学会、国際地震学・地球内部物理学協会、昨年の八月に東京におきまして約二週間、世界四十二カ国から七百名の研究者が参加いたしまして多くの研究成果が発表され、また意見交換もなされたということを承知をいたしております。また、メキシコ地震に際しましても、大学関係者が科学研究費補助金によりまして調査研究班を派遣をいたしまして調査研究実施をいたしましたり、政府の専門家チームにも参画をいたしまして御協力を申し上げている、そういう状況でございまして、さらに国際協力については今後も一層推進をしてまいりたい、かように考えております。
  49. 松前仰

    ○松前委員 地震予知についてはいろいろ努力をされているということで今お話あったのですけれども、しかし予知の予算が本年度は五十三億四千二百万円、去年は五十七億円、減っているのですね。これはもうちょっと、努力をしていないから減らされたとしか見られない。とにかく今後、今言われたように非常に重要だと思っているならば、もっと予算をもらって、そして有効な研究をしていって、システムをつくり上げていっていただきたい、そういうふうに思うわけでございます。  時間がありませんので、最後に国土庁長官にちょっと一言お願いしたいのですが、要するに、先ほど雪害の問題では、どうも私は後追いが多過ぎる。地震については前の方、一生懸命やっているけれども、それもなかなか進行していかない。そして、緊急放送システムとか、そういう非常に重要といいますか、有効な手段がなかなかこれができていかない。三つ例を挙げましたけれども、こういうのがどうも今の防災の全般的な感じなのですね。  だから、もっとやはり本当に有効なものはこれだとわかるのがそこに集中するというやり方をこれからさらに推進していっていただかないといけないと思うのです。雪の問題については、とにかく今は春にならなければ災害状況がわからない、それから予算をどうのこうのと、こういう話でありますけれども、その前にやはり対策をしておけば、地元の発展にもつながるという大きなメリットがあるのだから、そういう考え方をとりながら今後は進んでいってほしいと思うのでありますが、そういうことで国土庁長官にぜひそれを推進していただきたい、そういう方向で推進していただきたい、それをひとつ長官のお考えを最後にお聞きして終わりたいと思います。
  50. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  ただいまの松前先生お話、そして特に地震に関する各関係省庁からの答弁なども伺いまして、特に東海地震、これはいつあるかもしれないし、むしろあることがほとんど確実とされていることでありまして、特に予知等については、この地方については非常に細かいところまで行き届いた設備が整えてありますけれども国土全体から考えましても、地震国でありますし、先生のおっしゃるとおり予算が減少したことも甚だ申しわけない、遺憾なことでありますけれども、今後ひとつ新たな感覚に立ちまして、特に東海地震、これを中心に置きましてしっかりした対策を講じたいと思います。本当にいろいろ御意見ありがとうございました。
  51. 松前仰

    ○松前委員 では、終わります。
  52. 馬場昇

    馬場委員長 次に、森本晃司君。
  53. 森本晃司

    ○森本委員 私は、今、島国である日本が山間部に数多くのダムを抱えておるわけでございますけれども、このダムの災害についてきょうはいろいろと質問をしてみたいと思っておる次第でございます。  本来ダムは、国民生活の上で欠かせない大事な水資源の確保の役割を果たしておりますし、それのみならず、洪水を防ぎ、また水力発電によるエネルギーの供給等々、非常にかけがえのない社会資本である、このように私も認識しております。  ところが、このダムが流入土砂で相当多く埋没しているように伺っておるわけでございます。特に我が国のように非常に急峻な山間部を梅雨やあるいは台風期に集中して流れてきた土砂によってそのダムがもう五〇%以上埋没しているということを多く聞くわけでございます。特に暴れ天竜と言われているところなどは全くそのとおりでございまして、こういった状況、防災の立場からももう一度よく考えてみなければならないのではないだろうかと思うわけでございます。しかも、その堆砂したのが単にダムの決壊あるいはダムを埋めてしまうという形だけではなく、そこからはるか五キロ、十キロ上の方まで川床が上がったためにバックウォーターも同時に上がっていき、それによる被害も出ているというふうに私は伺っておるわけでございます。  そこで、まず堆砂率五〇%以上のダム、水系名及び堆砂率を御提示いただきたいと思うのです。
  54. 山口甚郎

    ○山口説明員 御説明申し上げます。  建設省ではダムの堆砂実績につきまして毎年調査実施いたしております。昭和五十八年度の調査では、総貯水容量が五百万立方メートル以上の三百二十二ダムのうち堆砂率が五〇%を超えておりますダムは十ダムでございまして、すべて利水ダムでございます。
  55. 森本晃司

    ○森本委員 そのダムの中でも平岡ダムは八八・九%、それから泰阜ダムが八〇・八%というふうに私は五十八年度の資料から教えていただいているわけでございます。そのほかに七〇%を超えるところがあとニカ所ございまして、言うならばダムのもう七割、八割が土砂で埋まっているという状況でございます。  私はその開発等々については、またダムの効用については全く素人でございまして、それでダム機能が果たせるか果たせないかという問題は別にいたしまして、こういった実態を防災の立場でどのように考えておられるのか、その意見を伺いたいと思います。
  56. 山口甚郎

    ○山口説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のように、全国のダムにおきます堆砂状況は、地域的には、地形、地質等の条件から中部地方の発電の古いダムに堆砂状況が多いものがございます。全国的には平均的に全堆砂率が約六・八%でございます。  しかしながら、地形、地質等の条件から堆砂が進んでいるダムにつきましては、貯水池末端部で洪水時に水位が上昇し、治水上問題が生じるおそれがございます。これらの対策として、建設省事業のダムで堆砂の進んでいるダムにっきましては、貯水池末端に貯砂ダムをつくり、その堆積土砂を排除したり、貯水池内のしゅんせつを行うなどの対策を講じておるところでございます。また、利水ダムにつきましても、堆砂によってその周辺地域に影響を及ぼすおそれのあるダムにっきましては、その対策として、堆積土砂の排除、家屋の移転等、必要な措置を講ずるよう指導してきているところでございます。
  57. 森本晃司

    ○森本委員 現在全国十カ所の調査ダムで堆砂の除去作業を行っておられるというふうに伺っておりますが、今後年々、この除去作業が、堆砂率が大きくなっていくとともに作業が拡大されていくのではないかと思うわけでございますが、一方このダムにたまりました砂利というのは非常に建材部門からも注目を受けているわけでございます。除去作業というのはどういう形で行っているか、伺いたいと思います。
  58. 山口甚郎

    ○山口説明員 御説明申し上げます。  先ほど御説明をいたしましたように、貯砂ダムをつくって堆積したものを掘削、除去いたします場合には、これはおか掘りでございますので、建設機械によりまして掘削をしてダンプに積み込んで、そして主として建材等として搬出をしておる、ダンプ、トラックで運んでいるのが通例でございます。  それから、水の中の堆積土砂を掘削する場合には、これはしゅんせつ船によりましてしゅんせつをして、そして、それをふるい分けまして、これをダンプに積み込んで搬出しているというのが実情でございます。
  59. 森本晃司

    ○森本委員 いずれにいたしましても、その取り上げられたダムが山間部でございますので、ダムの砂利が今度はトラックによって、ダンプによって運搬をしなければならないという問題が出てまいります。この堆砂というのは防災の上からももう一度考え直さなければならない問題であり、また除去作業を、ダムを長く使うという角度からもその作業は進めていかなければならないわけでございますが、そこに、そのダムの砂利の除去作業を行うについて、今度大きな問題となってくるのは、その地域に生活している人たちの道路の面でございます。特に、ダムのあるところは山間部でございまして、なかなかその道路が十分な整地された、整備された道路ではないという場合が多いわけでございます。十分に整地されていない、しかも山間部でございますので、生活道路であるという中で、その除去された砂利が運搬されるについて、その道路確保も極めて必要ではないだろうか。そのものを運ぶに村民の生活にかえって大変な影響を与えてくるのではと思うわけでございます。  先般も私どもの方の奈良県議会でも、このダムの堆砂の採取方法、時間やあるいは運行帯などで地元の理解を得るための調整を行ったとされておるわけでございますが、特に運搬ルートの確立への所要の道路の整備が計画されなければならないということが、先般、我が奈良県の県会でも取り上げられておるわけでございますけれども、この除去作業に伴う道路確保についてどのように考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  60. 駒田敬一

    ○駒田説明員 地方道課の駒田でございます。  お答えいたします。  平岡ダムの場合についてちょっと申し上げますと、上流部の浸水対策のうち、道路につきましては道路のかさ上げ箇所が二十カ所ございます。それから、橋梁のかさ上げ箇所が十七カ所ございます。補償工事的な費用につきましては、ダムの設置者がこれを負担しまして、道路管理者が工事を受託して事業を進めております。現在までに道路のかさ上げにつきましては十七カ所、橋梁のかさ上げにつきましては十カ所が完了いたしておるところでございます。今後ともその推進が図られるように必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
  61. 森本晃司

    ○森本委員 これは平岡ダムだけではなしに、今後も各地でそのことが考えられると思うのですね。奈良県の十津川村の二律野ダム、風屋ダム、ここもまだまだ堆砂率は低いわけでございますけれども、今後県の方も砂利採取を推進していくという方向になっているわけでございます。そうなると、今度は村の人の道路が大変だというわけでございますが、平岡、泰阜だけに限らずに全国でそういうことが多く出てくると思いますけれども、その場合の電源開発なりあるいは電力会社なりに道路確保のための指導はされているかどうか、伺いたいと思います。
  62. 山口甚郎

    ○山口説明員 御説明申し上げます。  砂利を掘削して運搬する場合には、砂利採取業者にいわゆるダンプ公害、過積載の禁止とか交通安全の遵守に努めるように指導しておるわけでございますが、道路整備についても、非常に問題となる箇所につきましては道路管理者の方へ整備をしていただくよう連絡をとってお願いをしているという状況でございます。
  63. 森本晃司

    ○森本委員 いずれにいたしましても、そういった山間部の皆さんの生活の問題がございますので、今後とも砂利は取っていかなければならない、一方運ぶための道路整備というものも同時にあわせて今後も考えていかなければならない、生活道路確保ということが非常に大事でございますので、その除去作業をやると同時に、道路部門もよく考えながら今後も推進し、また指導していただきたいことを要望しておきます。  次に、これは発電課の方でございますが、お伺いしたいと思います。  天竜川水系のダムが、先ほど申し上げましたように、八八・九%、八〇・八%という堆砂率がございますが、その影響が相当上流まで及んだと聞いております。また、そこに多くの災害も発生し、六十七戸の人たちが立ち退いたというふうに伺っておりますが、この災害が起きた後、どのような措置をとられたのか、お伺いしたいと思います。
  64. 近藤徹

    ○近藤説明員 御質問のうち、天竜川の中流にあります泰阜ダムに関しまして御説明申し上げたいと思います。  建設省といたしましては、天竜川の中、上流地区については昭和三十六年の出水により大災害をこうむりまして、泰阜ダム上流部の川路、竜江、竜丘地区においても浸水面積約百ヘクタールの災害となったこともありまして、関係機関と調整を図りつつ、直轄で河川改修工事を進めるとともに、関係機関実施する施策と相まって所要の対策を進めてきたところでございます。  その後の社会的状況の変化もあり、かつまた昭和五十八年台風十号による出水が昭和三十六年災に匹敵する出水となったこともありまして、建設省、地元の長野県、飯田市及び泰阜ダムの管理者である中部電力と協議を進めまして、昭和六十年三月二十一日に「天竜川上流部の川路、竜江、竜丘地区の治水に関する対策についての基本協定」をつくりまして、相互に協力しつつ、それぞれの事業を実施することとしております。  建設省といたしましては、この協定を踏まえつつ、泰阜ダムの影響を完全に排除するための治水対策計画的に実施しているところでございます。この治水対策実施によりまして、過去の大出水であった昭和三十六年、昭和五十八年洪水等に対しまして十分対応できるものと確信しております。
  65. 森本晃司

    ○森本委員 その中で、飯田富山佐久間線の南宮橋及び手塚原米川飯田線の泰阜村地籍の取り組み、道路の拡幅、具体的におっしゃっていただきたいと思います。
  66. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  南宮橋につきましては、これは天竜川にかかる橋でございますが、昭和二十六年に架設された二号橋、それから昭和三十二年に架設された一号橋、この二橋でございます。それで、浸水対策といたしましてはこれをかけかえるわけでございますが、三百二十メートルの橋一本になる計画でございます。かけかえの時期につきましては、ただいま検討中でございますが、他の浸水対策事業等の進捗状況を見ながら検討するということでございます。  それから、ただいま先生指摘の泰阜村の、これは村道でございますが、ただいま村の方において検討しているところでございます。
  67. 森本晃司

    ○森本委員 それらは特に三百二十メートルの橋をかけるというところでございますけれども、具体的にまだ時期等々は出ていないわけでございますか。
  68. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  ただいま御説明申し上げましたように、その他の対策事業との関連を見ながら検討しているところでございまして、今、時期はまだ決まっておらないと聞いております。
  69. 森本晃司

    ○森本委員 現在そのままで、時期をいつぐらいということを決めなくても生活には影響ないと判断されているのですか。
  70. 駒田敬一

    ○駒田説明員 先生指摘のように、堆砂の影響があるわけでございますので、そのために調査をして、事業化を図るために検討しているわけでございますから、私どもとしては近い将来建設工事が始まるというふうに理解をいたしております。ただ、何年度から始めるということについては、まだ時期を聞いておりませんので、お答えできないと考えております。
  71. 森本晃司

    ○森本委員 このようにダムの堆砂による被害というのが、今後もその他の地域にも考えられると思うのです。そういった山村の人々にとって、道路一つ、橋一つが堆砂によって崩れていくということは、非常にその人たちの生活にかかわってくる問題でございますので、いずれにいたしましても、この堆砂による被害、泰阜ダムやあるいは平岡ダムのみにかかわらず、事前によく防災の立場から点検し、そして今調査中だとおっしゃっていましたけれども、そういったところについては一刻も早くそういう措置をなされていき、山村の人たちが生活できるようにきちっとしていっていただきたい、そのように思うわけでございます。  こういった電力ダムの堆砂、これは河川局に直接関係はないわけでございますけれども、電力ダムに堆砂していくそのことによっていろいろな災害が発生する、特に上流の方に発生するということに対して、通産省の指導方針はいかがなものか、伺いたいと思います。
  72. 吉沢均

    ○吉沢説明員 御説明申し上げます。  水力発電所の建設及び運転に当たりましては、河川環境の保全、それから水害の発生防止などに万全の対策を講じるよう、電気事業者を指導しておるところでございます。発電用ダムの堆砂につきましても、水害の発生防止等の観点から、必要に応じて地元の自治体、それから河川管理者などと十分協議して、それぞれの地域の実情に適した適切な対策を講じるよう、電気事業者を指導しているところでございます。
  73. 森本晃司

    ○森本委員 いずれにいたしましても、これは今後ともよく調査し、また指導していってもらいたい、そのように思うわけでございます。  そこで、まだ堆砂率が五〇%まではいっていないわけでございますけれども、その村の生活にとって影響ある問題がございます。例えば奈良県の十津川村、これはまだ一五%ぐらいの堆砂率でございますけれども、この十津川村の風屋、二律野ダムがございます。五十九年十二月に、関係省庁あるいは電源開発に要望書が十津川村から出されているわけでございます。「風屋・二律野ダムの水利使用権の更新に伴う要望書」というのが出されていますが、通産省は御存じでしょうか。
  74. 吉沢均

    ○吉沢説明員 御説明申し上げます。  電源開発株式会社の新宮川水系でございまして、先生おっしゃいました十津川発電所等でございますが、昨年の水利更新に際しまして、十津川村から電源開発株式会社に対しまして、先生指摘の点を含めました各種の要望が五十九年十二月に出ておることにつきましては承知しております。  通産省といたしましては、電源開発株式会社に対しまして、要望事項につきましては地元十津川村と誠意を持って話し合うよう指導したところでございます。
  75. 森本晃司

    ○森本委員 十津川村の要望書の中に「防災対策について」という項目がございますが、通産省も恐らく御存じのことだと思います。数多くの要望が出たわけでございますけれども、防災の角度からの点についてお伺いしたいと思います。なお、全般的には電源開発が非常に多くの企業努力をしてくださっているということ、これは十津川の人たちから私も伺っておる次第でございますけれども、特に二律野ダムの西川合流地点、ここはダムの中でも一番風光明媚なところでございます。ここが堆砂によってダム湖が河原になっているという。これは風光明媚なところが残念ながらそういう状況になったという一つの弊害。  それから、もう一つは、十津川というのは温泉地でございますけれども、上流の下湯というところにその源泉がございます。しかも、そこが堆砂によって今埋まりつつあるという状況でございます。そのことがこの十二月の要望に出されておりますが、それに対していかなる対処がされたのか、電源開発の対処状況について通産省はどこまで周知されているのかということを伺いたいと思います。
  76. 吉沢均

    ○吉沢説明員 御説明申し上げます。  五十九年十二月の十津川村の要望書の中におきましては、防災関係ということで、先生指摘の温泉の泉源が危機に瀕している、そういう御指摘がございます。  その後でございますけれども、十津川村及び電源開発におきましては、この十津川温泉源泉の機能回復につきまして協議を続けてきたわけでございますが、昨年の十二月に電源開発が十津川村に対しまして所要の補償を行い、十津川村はこれによりまして温泉源泉の機能回復対策を行うということで合意した、そのように報告を受けております。現在十津川村におきまして、これによりますいろいろな対策実施しておられる、そのように聞いております。
  77. 森本晃司

    ○森本委員 いずれにいたしましても、災害の角度から現実にはそういう問題が出てくる、生活に対する問題も出てくるという状況でございます。電源開発にいろいろと尽力もいただいておりますが、どうか通産省の方もそういった地域の人々の要望を同時にあわせてお聞きいただき、さらにそれが合意点に達するように今後とも努力をお願いしたい、このように思います。  そこで、今度は鉱山課にお伺いしたいわけでございます。  五十三年に持越鉱山のほおずき沢堆積場が崩壊になりまして、人身事故も出ておるようでございます。その崩壊の事故の概要をお述べください。
  78. 黒田克祐

    ○黒田説明員 御説明申し上げます。  先生指摘の静岡県にございます持越鉱山の事故でございますけれども、昭和五十三年の一月十四日に起きました伊豆大島近海地震によりまして持越鉱山のほおずき沢堆積場の堆積物に液状化現象が発生をいたしまして、その結果、扞止堤、第一扞止堤という部分でございますが、その上部が高さ十四メートル、長さ百八十八メートルにわたりまして決壊いたしまして、堆積物約八万立米が流出いたしました。被害といたしましては、送泥施設にいました従業員が一人お亡くなりになっておりますほか、持越川、狩野川に堆積物が流入いたしまして漁業被害等が生じておるわけでございます。  以上でございます。
  79. 森本晃司

    ○森本委員 今、そういう鉱山課管轄のダム、先ほど水力ダムを伺ったわけでございますけれども、そういった鉱山に関係するダムというのはどれほど全国にあるわけでしょうか。
  80. 黒田克祐

    ○黒田説明員 御説明申し上げます。  鉱山の堆積場につきましては鉱山保安法の規定がございまして、認可堆積場、届け出堆積場というものがございます。認可、届け出対象の堆積場は、五十九年十月時点の調査でございますけれども、二千二百九十八カ所でございます。
  81. 森本晃司

    ○森本委員 この五十三年のほおずき沢の堆積場の崩壊事故以降、その二千幾つの堆積場の危険度合いについて点検されましたでしょうか。
  82. 黒田克祐

    ○黒田説明員 御説明申し上げます。  持越鉱山の事故後に堆積場の一斉総点検を実施しております。さらに、昭和五十五年におきましても一斉点検等を実施しております。  そのほかに、一般的には鉱山保安監督局、部というのが全国に九カ所ございますけれども、そこでの巡回検査等の監督検査を実施しているところでございます。
  83. 森本晃司

    ○森本委員 五十三年の事故の後でございますが、その点検された状況はどうだったのでしょうか。大まかに、大半がよかったとかあるいは大半がその危険性があったとか、特に五十三年以前につくられた堆積場のダムが非常に弱いというふうに言われておりますけれども、その点はどうでございますか。五十五年に点検したときの詳しいデータは結構でございますが、課長感じ取られたその感じですね。
  84. 黒田克祐

    ○黒田説明員 五十三年の持越鉱山の事故の後に立地公害局長の私的諮問機関でございます鉱山保安技術検討委員会の中に堆積場建設基準部会を設けまして検討を重ねまして以後、そういう液状化現象等も考慮に入れまして堆積場建設基準に基づいて我々は認可、届け出の審査をしているわけでございますけれども、そういうものに基づいて、以後、保安の確保に極力万全を期しているわけでございますが、五十五年三月の総点検の結果について今資料を手元に持ち合わせておりませんけれども、そういうものに基づいて十分点検調査をやっているというふうに聞いております。
  85. 森本晃司

    ○森本委員 五十三年の原因の中に液状化現象というのが出てきたわけでございますが、それまでのダムのつくり方については液状化現象が起きると考えないでつくられた状況だと私は伺っているわけです。したがって、五十三年のこの沢の原因が液状化現象だという結果が出たときに、液状化現象ということに対する対処が、それまでのダムがどうだったのかということをもっともっと点検をしていかなければならないと私は思いますし、それから同時に、その後の方針の中で当然液状化現象を対象とした調査はされておるわけでございますが、特にその五十三年の液状化現象が出るまでのダムのつくり方、それでいいのか、それに対する補修がされたのかということについて、そのままであれば非常に危険が伴ってくると思うわけでございます。補修指示をされたのですか、どうですか。
  86. 黒田克祐

    ○黒田説明員 御説明申し上げます。  現在のそういうものを含めた堆積場建設基準に基づきまして、一般的な話になるかもしれませんけれども、極力そういうものに基づいて堆積場の安全を期している、こういう次第でございます。
  87. 森本晃司

    ○森本委員 現在の安全度はどんなものですか。安全度といいますと必ずすべて大丈夫だと確信をしておりますという答えになってくると思うのだけれども、その二千カ所の安全度合いについてはいかがですか。それは今は巡回点検されているのですか。どういう点検の方法になっているのですか。
  88. 黒田克祐

    ○黒田説明員 鉱山保安法に基づきまして基本的には鉱山における定期検査等がございます。さらに、鉱山保安監督局、部におきまして巡回検査といいますが、鉱害検査のたぐいでございますけれども、巡回検査、こういうものを行いまして排水路、それから扞止堤、そういうものについて点検を行っているところでございます。
  89. 森本晃司

    ○森本委員 いずれにいたしましても、堆積場の場合には、一つは、防災面から大変な事故が起きるということと、もう一つは、これはいろいろと鉱害問題にもなってくる問題でございます。そういった角度から、この堆積場のダム決壊ということについては大変なことになってまいりますので、どうか今後とも保安確保のために十分なる処置をお願いしたい、これを私は特に要望しておきたいと思います。また、私は、願わくは今後一斉点検という方向で点検をしていただきたいし、その結果もぜひ知らせていただきたい、このように思うものでございます。  それから、時間がございませんので、最後になりましたが、大和川水系の王寺町の水害に関しましてはいろいろと皆さんに御尽力いただきまして、ほぼ堤防工事が完成され、見た感じの上では非常に安全になったなというふうに私たちは実感しておるわけでございますけれども、その大和川改修の最大の課題は、何といっても王寺町の下流にある亀の瀬地区の地すべり対策でございます。昭和三十七年から直轄の事業として毎年相当の工事を行っておるように伺っておりますし、また、地すべり対策の予算の半分がこの亀の瀬に今使われているというふうに伺っております。幸い、この数年小康状態を保っているわけでございますが、私も五十九年四月に災害対策のこの委員会で亀の瀬についてどうするかということをお伺いしたわけでございますけれども、五十九年四月以降の対策、それから今後の見通しについてお尋ねしたいと思います。
  90. 渡邉義正

    ○渡邊説明員 お答えをいたします。  先生質問の亀の瀬の地すべりでございますけれども、この地すべりは大和川を初めといたしまして国鉄でありますとか国道、それから人家等にかかわるものでございまして、非常に影響の大きい我が国有数の地すべりでございます。それだけに、先生が先ほど御指摘のございましたように、建設省といたしましては、地すべりによりますところの災害を防ぎますために昭和三十七年から直轄事業として重点的に取り組んでおるところでございまして、現在これらの地すべり対策というものによりまして、動きは一応小康状態を保っておるところでございます。  お尋ねの昭和五十九年以降でございますけれども、五十九年、六十年と地すべり対策工事を重点的に実施いたしておりまして、その事業の内容は、水路工でございますとか深礎工、それから排水トンネルというふうなものを実施しておるところでございます。なお、昭和六十年度におきましては十四億四千六百万円をもちましてそういった工事を実施しておるところでございます。  今後におきましても、引き続きまして地すべりの安定を図りますために積極的に対策工事の促進を図ってまいりたい、そういうふうに考えております。
  91. 森本晃司

    ○森本委員 先ほど申しましたように、亀の瀬の地崩れがあった場合、これは大和平野一帯が水浸しになってしまうという状況でございます。いろいろと御尽力いただいていることについてはよくわかるわけでございますが、なお不安が去り切れないというのがその上流に住む人々の心境でございます。どうかさらなる御尽力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。  いずれにしても、上が全部、ちょうどそこがのど元になっておりまして、そののどが詰まったという状況になってまいりますので、ぜひその点をお願いいたしまして私の質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。
  92. 馬場昇

    馬場委員長 次に、伊藤英成君。
  93. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 地震対策についてお伺いいたします。  まず最初に、昨年メキシコに大地震が起こりましたけれども、あの際に日本からも調査団等を派遣して、ある面では国際協力という立場でメキシコにもいろいろな協力をしたりいたしましたけれども、日本として、あのメキシコ大地震から酌むべき教訓というのはたくさんあると私は思うのです。そういう意味で、地震国日本として、あのメキシコ大地震からどういう教訓を酌むのか、そして、それをこれからどういうふうに生かしていこうとするのかということについてお伺いいたしたいと思いますが、最初に国土庁長官からメキシコ大地震についての所見、これからについての考え方の所見をまずお伺いして、その後、防災局長から具体的に対策等についてお伺いしたいと思います。
  94. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  メキシコ地震につきましては、自然条件等を異にする我が国の状況と単純に比較することはできませんけれども、我が国は世界でも有数の地震国でございます。エネルギーで計算しますと世界の一〇%。そこで、このメキシコ地震につきましては非常に強い関心を抱いておるところでございます。したがいまして、調査団を派遣いたしましてその報告等を受けましたが、これをつぶさに検討してみますと、まず、施設の耐震性の確保、これを初めとします都市防災化の推進に万全を期することが必要であると思います。  なお、メキシコは、実は防災体制の面では余りしかと用意ができていないと承っておりますけれども、我が国はこれを参考に、一層の防災体制の充実を図ることが重要であると考えております。  以下、政府委員から細かいことは答弁いたさせます。
  95. 杉岡浩

    杉岡政府委員 我が国は、メキシコの地震が発生いたしまして直ちに調査団を派遣いたしたわけでございますが、初めは防災対策全体を担当しておる者を団長といたしまして、それから二回目が建物の耐震診断を中心とした調査団、それからさらに防災体制指導すると申しましょうか、我が国の防災体制を御紹介してメキシコのために役立つというような調査団を派遣をいたしたわけでございます。  ただいま大臣からも答弁がございましたように、非常に遠いところ、四百キロ先のところでマグニチュード八・一の地震がありまして、メキシコシティーが中心部がやられたわけでございます。地盤その他、日本とは大分違うわけでございますが、しかし、ああいったように大都市の建物が崩壊するということは、都市の防災面で非常に大きな問題であるわけでございます。我が国におきましては、そういったことから、現在、建物の耐震設計あるいはいろいろな面の都市の防災化といったものが十分かどうか、もう一回関係の省庁においてあるいは専門家においてこれを見直しておるわけでございます。  それからさらに、防災の対策という面で、向こうはあらかじめ定められた防災計画とかといったものがあるわけではございませんし、そういったものに対してどういうふうに対応するかというのはない。しかし、我が国におきましては災害対策基本法という法律がございまして、各省がそれぞれ計画を持っている、あるいは公共団体計画を持っているということで、防災体制はある程度進んでおるわけでございますが、この防災体制をさらに強化しなければいけないというようなことを強く痛感いたしたわけでございます。  そこで、我が国の防災対策でございますが、まず初めの都市の防災化という面で従来からいろいろと進めておるわけでございます。一つは、避難地あるいは避難路の整備ということで、地震が発生いたした場合に的確な避難ができるような都市の構造にする。それからさらには、都市の不燃化を図るということが大事でございます。再開発の推進あるいは不良住宅の改良その他、特に、例えば東京等におきましても不燃化の事業がだんだん進んできておりますし、不燃化地域も広がってきておるわけでございます。さらには、地震があった場合に的確な水の供給ができるような体制をとるといったような体制を進めておるわけでございます。  それから、防災体制の面でございますけれども、これは先ほど申しましたように、諸計画を整備いたしまして、一たん災害が発生した場合にはそれに的確に措置できるようにするということが大事でございます。そのために計画の整備、さらにはその計画に基づいた訓練、こういったものが大事でございます。日本におきましては九月一日の防災の日を中心といたしましていろいろな訓練をいたしております。さらには、住民に対しまして防災知識の普及、こういったことが大事でございます。それを政府あるいは公共団体とともに住民それぞれが防災に対して的確な知識を持って対応するということでございます。さらに、住民方々の防災に対する自主防災組織、こういったものの拡充が必要でございます。  こういったことで従来から進めておるわけでございますけれども、メキシコ地震を契機といたしましてさらにそういった面の強化ということを強く教訓として我々受けとめて、それを推進していくということにしておるわけでございます。
  96. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の点は、住宅の建設の仕方から始まってそうした建設基準等の問題も含めていろいろな問題があると私は思います。そういう意味で、また後刻この問題については取り扱いたいと思います。  次に移りますけれども、大都市災害、震災に関する問題で、昨年の十一月に世田谷でケーブル火災事故がありました。あのケーブル火災は非常に大きなものを物語っておると私は思うのです。今の大都市における例えば震災がどういう影響を与えるかという意味で非常に大きな意味を持っていると思うのです。それは、今は電話回線で結ばれております。あるいはコンピューターによってオンラインで全国が結ばれているというような状況にあったりいたします。それは情報の伝達ということが、こうした事故による災害をできるだけ少なくするという意味で物すごく大きな役割を果たすということと同時に、いわゆる産業社会、経済社会の機能という意味においても大変大きな意味を持っていると思うのですが、そうしたいわゆる社会の中の神経系統といいますか、こういうものの弱さ、脆弱さというものをこの間は示したと思うのですが、こうした問題についてどのように対策をとっているのか、あるいはこれからどのようにしようと考えているのか、まず郵政省にお伺いをいたします。その後で長官に御意見をお伺いいたします。
  97. 岡井元

    ○岡井説明員 お答え申し上げます。  高度情報社会というふうなことになりますと、電気通信の果たす役割は非常に大きくなるわけでございまして、これが一たん停止いたしましたときの国民生活に及ぼす影響というのは、先生おっしゃるように、極めて重大なことになるわけでございます。  このため、郵政省ではいろいろな施策をとっているわけでございます。主な施策といたしましては、まず第一点、電気通信事業法、有線電気通信法などの法律に基づきまして電気通信設備の耐震対策を含めまして必要な技術基準を定めております。  次に、日本電信電話に対しての指導でございます。日本電信電話に対しましては、電気通信設備の耐震防火対策を十分に行うように、また重要な設備については分散する、また通信回線を二ルート化する等の措置をとるよう常日ごろから指導しております。さらに、災害が発生いたしました後、応急復旧用設備の配備等を十分行うような指導も行っております。  それから、今後の施策でありますけれども、電気通信システム全体にどのような安全・信頼性対策が求められるかというふうな点について何らかのガイドラインが必要であろうというふうなことでございまして、ただいま電気通信技術審議会にその点に関して諮問をいたしております。ことしの六月には答申をいただけるというふうなことになっております。  以上が主な対策でありますけれども、これらの対策を通しまして、非常災害における電気通信システムの機能確保という点につきましては今後も一層の努力を行いたいと思っております。
  98. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 確かに先生仰せのとおり、世田谷のケーブル火災、まだ記憶に新たなものがございます。そこで、我が国の経済社会活動というものは、今日では先生の仰せのとおり、電話を初めとする情報通信施設に大きく依存しておるわけでございますが、震災とか火災とか急に起きた場合、この機能をいかに確保するかということは経済社会活動を維持する上で非常に重要な問題でございます。したがいまして、このために情報通信施設につきまして、今お話もございましたけれども、例えば特に多ルート化といいましょうか、一本の同線だけじゃなしに、多ルート化とか不燃施設に切りかえるとかいろいろなことを関係省庁と緊密な連携をとりながら推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  99. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の問題にも関連するわけでありますけれども、行政監察年報の五十九年度版を見ますと、「震災対策に関する推進体制の整備」というところがありまして、「防災計画等による総合的計画的な震災対策行政の推進」ということについて勧告をされております。それに対して国土庁の方で回答をし、あるいは「その後の改善措置状況要旨」というのが説明をされたりしております。その中に「「南関東地域地震被害想定調査」の実施」云々ということがあります。これは現在はどういう状況になっているでしょうか。
  100. 杉岡浩

    杉岡政府委員 南関東の地震対策の一環といたしまして、いろいろな項目にわたって、大規模な地震があった場合にどういう被害が生ずるか、また、その被害に対しましてどういう応急対策あるいは防災対策をとっていくかという調査でございます。その被害調査それ自体はそういった応急対策をするための前提でございますが、その項目はいろいろ多岐にわたるものがございまして、一部にはもちろん結果も出ておりますけれども、まだまだ検討も重ねておるものもたくさんあるわけでございます。  いずれにいたしましても、応急対策を進める、例えば情報の伝達、収集、これを広域的にどういうふうに持っていくか、あるいは地震が発生した場合に今後の住民の生活のために例えば木材とか住宅、仮設住宅、こういったものの搬入をどのようにするか、あるいは道路の啓開をどうするか、あるいは大規模な医療対策をどうするかといったような広域的な応急対策が必要であるわけですが、そういったものを進めながら、また、これはもう一遍被害を見直すというようなことで、現在応急対策検討を進めながらその被害状況等も見きわめておる段階でございます。
  101. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今私が南関東地域の問題についてお聞きしましたのは、東海大地震ということでいろいろ私たちも議論をしてまいりましたし、それぞれの場で対策をとってきたわけでありますけれども、この南関東の辺も非常に心配をされる状況だと私は思うのです。先ほど世田谷のケーブル火災の問題について触れましたけれども、もし東京で大地震があったならばどういうふうになるのだろうかということを考えましたときに、先ほど申し上げたとおり、本当に心配される状況だと思うのですね。そういう意味で、これからの情報化社会ということを考えたときに、どこかのローカルで起こった地震とは全然違う、そういうところで起こる地震とは意味が違うと私は思う。そういう意味でも、情報化社会の中での神経系統の問題はこれから物すごく大きな力を注いで推進をしていかなければならないと思いますので、ぜひ積極的な推進をよろしくお願いを申し上げます。  それから、先ほどの情報の問題でありますけれども、もう一つ地域における情報処理の問題でお伺いしたいのでありますが、今までも例えば多くの災害、震災等が起こってくる、あるいは火山の噴火とか、そういうようないろいろな事態が起こったときに、どういうふうにその情報が末端まで届くのかということが災害防止の上で決定的な役割を果たす、こういうふうに言われてきたりいたします。そして、例えば三宅島のときには防災無線の村内放送がうまくいって死者、けが人が出なかったとか、いろいろなことを言われたりします。現在鋭意その整備のために努力をされていると思いますが、現在の整備状況はどういうふうになっているか、それをどのように評価されるのか、それから今後の計画についてお伺いをいたします。
  102. 田中基介

    田中説明員 消防庁が現在整備を推進しております市町村防災行政無線についてでございますが、昭和六十年六月三十日現在で整備率は全市町村の三一・三%でございます。これは同報無線の整備率でございます。この数字を見まして、引き続きこの整備促進には努める必要があるというのが私ども考え方でございます。  今後の問題でございますが、消防庁といたしましては整備率の向上のために従来より補助金予算額の増額あるいはまた限度額の引き上げに努力をしてきたところでございまして、昭和五十九年度には限度額を一千万円引き上げたとか、あるいはまた来年度は本年度に続きまして非常に厳しい財政状況の中で補助金を増額したという状況でございます。また、来年度より地方債と地方交付税を活用いたします防災まちづくり事業ということを実施することにもなっておりまして、この事業によっても無線の整備が行えるようになるということでございます。  消防庁といたしましては、今後ともこれらの補助制度あるいは防災まちづくり事業その他措置を講じながら、できるだけ整備促進を図ってまいりたいと考えております。
  103. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 時間が少なくなりましたので、最後に一点だけお伺いをいたします。  東海大地震等、先ほど申し上げたとおりに、関係方面の方みんながいろいろ努力をしてきたわけでありますけれども、今これから何をすることが重要かというような問題について、実は国土庁の方で出されて編集等されておりますけれども、「人と国土」という雑誌がございます。この中に昨年防災特集を組まれました。この中で座談会をやっておられます。その中にも、ある座談会のメンバーが、一番問題なのは一般の住民に対する教育、啓蒙だよという話をされております。私はもっともだと思うのですね。  そういうふうに考えたときに、これはことしの初めだったでしょうか昨年だったでしょうか、NHKのテレビで防災問題について特集番組をやっておりました。その中で私は非常に印象的だったのは、東海大地震が来るということでみんなが一生懸命努力をいたしました。住民もみんなそうでした。そして、例えば非常食をどうしよう、あるいは水をどうしよう、薬をどうしようというふうなことでいろいろ努力されてきましたけれども、今見ると、そうした一時の熱は冷めてしまったのではない」だろうか。そして、NHKの記者の方だと思いますが、それぞれインタビューして回ったりしております。そうすると、例えば非常食とかそういうものが十分になっていないというようなことが言われてしまいました。そういう意味では、ある学者なんかは、今若干静かになっておりますけれども、見方を変えれば、大地震が起こる確率というか可能性はどんどん強くなっているというふうにむしろ考えなければいけないという話がありました。そういう意味で、教育なり啓蒙の問題についてどのように考えられているか。  それから、もう一つちょっと私が気になりますのは、例えば九月一日の防災の日といっていろんなセレモニーはやりますけれども、いわゆるセレモニー的に堕していやしないだろうか。習慣として惰性に流れてはいないんだろうか。あるいは家族防災会議とかいって提唱されたりしておりますけれども、本当にやっているんだろうか。年に一回本当にそれぞれが見直して実行しているんだろうかというようなことが心配になります。そういう意味で、今後の考え方等をお聞きして終わります。
  104. 杉岡浩

    杉岡政府委員 東海地域に大規模な地震があると昭和五十一年ごろから言われておるわけでありますが、十年ちょっとたったわけでございます。しかし、これはまさに地球の年齢でございまして、地球規模から見ればほんの一瞬にすぎないわけでございます。そういった関係から、十年だったから地震はないというようなことは絶対に、そういうようなことで安易に流れてはいけないというふうに我々みずから戒めておるわけでございます。これは国だけではございませんで、県あるいは関係市町村におきましても、そういったことで気を引き締めるということでいろんな対策を講じておるわけでございます。  九月一日を中心といたしまして各種の訓練あるいは広報活動、こういったことをやっておりますけれども、同時に日々、例えはNHKあるいは民放といったところで、スポットの地震の心得といったものを絶えず流しながら、住民方々の地震に対する対応あるいは知識、こういったものを植えつけておるわけでございます。静岡県等におきましてはパンフレットも配っておりますし、あるいは静岡などでは学校の副読本等にもその地震対策等を使っておるわけでございます。  そういった面から、常日ごろから地震対策につきまして住民方々の防災意識の高揚あるいは防災知識の普及というものに努めておるわけであります。  それから、災害対策は何といいましても国、公共団体等におきます防災体制の強化が必要でございますけれども、それと同時に、住民方々の御協力なしには防災対策はできません。それに被害を少しでも軽減するというためには、やはり住民方々の防災意識の高揚あるいは知識の普及ということが大事であるわけでございます。我々といたしましては、従来からもそうでございますが、今後もそちらの面におきましても重点的な施策の展開をしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。幸い静岡県等におきましては自主防災組織も既に九〇%を超えて、相当の組織率になっております。しかし、組織ができたばかりでまだ参加していないというようなところもございますので、やはり組織に参加してもらって、地域ぐるみの防災対策を進める。  それからさらに、昨年は防災の日、九月一日が日曜日であったわけでございます。我々といたしましては、その日曜日、家族がそろっておるわけでございます。したがって、家族においてお互いで話し合うという家族防災会議を大きくキャンペーンをいたしたわけでございます。我々としてある程度の効果は上がった、こう思っております。しかし、それは昨年だけで終わってはいけない、今後もそういった家族の話し合い、すなわち家族で災害についていろいろな意識を持つということも大事であろうというふうに考えております。  そういった観点から、国、公共団体、それから地域、それから家族、四者がそろって災害を迎え撃つと申しましょうか、災害に対処するということが大事であろうということで、そういった面においても今後重点的に施策を展開してまいりたいというふうに考えております。
  105. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 終わります。
  106. 馬場昇

    馬場委員長 次に、菅原喜重郎君。
  107. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 まず、国土庁長官にお伺いしますが、長官所信表明の中にもありますように、我が国の自然条件は地震、台風、豪雨、豪雪あるいは火山噴火などによる災害を受けやすい、そういう国土にあるわけでございます。ですから、政府の対応といたしましては、常時臨戦態勢の意識を持ってこの防災対策に取り組んでいかなければならぬわけでございますが、予算面では、ことしゼロシーリングの余波を受けまして、やはり総額防災関係予算が減っているわけでございます。  このようなことでは、本当にいつまた災害が起こるかもしれないこういう国土にありましては、大変心もとないわけでございます。ついては、調整官庁機能を有している国土庁、また長官としてさらに未然に災害を防ぐという、そういう観点からこの予算獲得に取り組む長官の決意のほどをお伺いしたいと思うわけでございます。
  108. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  災害から国土を保全し、国民の生命財産を守ることは国の基本的責務であることはもう御承知のとおりでございます。このために政府といたしましては、国土保全の推進に努めるとともに、地震の予知等の科学技術研究推進災害復旧事業の早期実施に努めてきたところでございますけれども、今後とも災害の未然防止という観点からそのための予算の確保に努めまして、災害予防施設の充実強化に努めてまいる所存でございます。  なお、先生から予算面から前年度対比マイナスではないかということでございますけれども、これは災害予算の中にいろいろ項目が含まれておりまして、事実上の科学技術研究の立場からの予算等はふえておりますけれども、前に起きた災害復旧費等の著しい減を加えて平均するとマイナスになるのでありまして、この辺はまた政府委員の方から詳しく御説明をさせていただきます。
  109. 杉岡浩

    杉岡政府委員 今の災害予算でございますが、全体といたしましては四・五%の減でございます。しかし、一番減になっておりますのが災害復旧費でございます。災害復旧費は、六十年に発生いたしました災害につきまして六十年度の補正予算で過去にない前倒しの予算をつけております。すなわち、当年において過去最大の進捗を見るというような災害復旧の方針をとったわけでございます。そういった関係から全体の減が出てくるわけでございますが、非常に厳しい情勢の中で所要の経費等につきましては精いっぱいの努力を関係省庁においていたしておるわけでございます。
  110. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 突出している防衛費なんかと比較しまして、やはり防災意識に対しまして、これは国民の喚起を必要とするわけであります。また、国民からも同意が得られるはずだと思いますので、重点的にこういう予算獲得には長官にも頑張っていただきたい、こう思うわけでございます。  次に、災害復旧事業に関しましてお聞きいたしますが、災害復旧は一応原形復旧を原則とするということになっているわけなんです。しかし、原形復旧が不可能なところあるいは不適当と認定される場所がたくさん出てきておりまして、こういう点では改良的要素を取り入れた復旧事業を行っているわけであります。しかし、私は、この改良復旧事業の制度をもっともっと活用すべきじゃないか、こう思うわけなんでございますが、この点についてまず建設省の方からお伺いいたします。
  111. 帆足建八

    帆足説明員 改良復旧事業の補助制度といたしましては、現在まで、昭和九年に創設しました河川、海岸を対象とした大規模な改良復旧事業でございます災害復旧助成事業というのが一つございます。それから、昭和二十九年創設の河川、海岸、砂防、道路、橋梁を対象といたしました災害関連事業というのがございます。さらに、昭和五十年に創設いたしました災害の原因となりました障害物の除去を目的といたしました河川災害特定関連事業というのがございます。さらに、五十九年に創設いたしました、これらの三つの改良復旧事業の効果を増進する目的の災害関連河川特別対策事業という、以上の四つの事業が制度化されておるわけでございます。地方公共団体にありましては、従来激甚な災害を受け、原形復旧のみでは再度災害防止を期し得ない場合にこれらの制度を活用いたしまして、大部分のものにつきましては一定計画に基づきまして改良的要素を大幅に取り入れた復旧事業を行ってきておりまして、建設省といたしましても積極的にこれらの制度の活用を指導しているところでございます。  さらに、昭和六十一年度におきましては、河川災害特定関連事業の採択範囲の拡大をするとともに、災害関連河川特別水害対策促進事業の制度を創設することとしてございます。今後とも改良復旧事業制度の一層の充実どこれらの活用を図ってまいる所存でございます。
  112. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 農林省の方にお聞きするわけですが、農林省の災害復旧事業においても、このような原形復旧不可能あるいは不適当な場合には改良的要素を取り入れた復旧事業を行っていると思うわけでございます。現在この復旧事業、原形復旧の工事形態とこういう改良的要素を入れた復旧形態の復旧事業との比率は大体どのくらいになっておりますか。
  113. 吉國隆

    吉國政府委員 改良復旧の問題につきましては、農林水産業施設全般を通じまして農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置法で、まず原形復旧が不可能な場合には従前の効用を復旧するために必要な施設は災害復旧事業として扱う、また、災害関連事業につきましては、再度災害の防止という点から、必要な場合に、原形復旧が著しく困難または不適当な場合におきましてこれを実施することができるということになっておるわけでございまして、もとの復旧事業と関連事業との比率としましては、もとの復旧事業費の額を超えない範囲、一対一の範囲ということで基準が定まっておるわけでございます。現実の事業費総額の比率では、もちろんその年々の災害状況によって異なるわけでございますけれども、農地、農業用施設の場合で関連事業費が大体一〇%ぐらいというような実情になっておるところでございます。
  114. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 建設省の方にまたお伺いします。  先ほどの答弁の中で聞きましたが、災害関連河川特別水害対策促進事業の概要はどうなっているわけでございますか。このことをお聞きいたします。
  115. 帆足建八

    帆足説明員 災害関運河川特別水害対策促進事業でございますが、これは先ほど御説明いたしました河川災害復旧助成事業、関連事業等の改良事業と一体的に施行することが効果的である水害対策の活動拠点等を整備しまして、水害対策の促進を図る事業でございます。補助対象は、堤防に隣接して築造される盛り土広場で、水害対策活動拠点として使用されるものでございまして、また河川管理用通路に接続いたしまして水害対策の活動用通路としても使用されるものでございます。なお、これらの施設は災害等の非常時に避難、救援などの空間としても利用されることになると考えております。
  116. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 長官にお伺いいたします。  今質問し、また答弁を得たように、災害の復旧は原形復旧よりもむしろ原形復旧不可能あるいは不適当という箇所が多いわけでございまして、そういうところに改良的要素を取り入れる事業を進めるとなりますと、これまた予算を必要としてくるわけでございます。さらに、私は、災害予防に対しまして、その工事は努めて自然の防災能力を助長する方向に予防対策も重点的に進めるべきじゃないか、このように考えているわけでございます。殊に雪崩のような現象につきましては、やはりある程度自然の林相を形成してこれを防ぐ、本当に自然の防災能力で防ぎ切れないと思われる箇所に人為的施設を加えていく、このような観点で一つの哲学を持って防災事業を進めるべきじゃないか、こう考えるわけでございますが、このことについて長官はどのように御所信を持っているか、お伺いいたします。
  117. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 確かに先生の仰せのとおり、災害を原形復旧で終わらしたのではまた再び災害をこうむることはもう必至であります。したがって、思い切って改良復旧ということをこれに加えまして、さらに、悪い条件にも対応し得るだけのものをつくっていく、これは非常に大事なことでありまして、実は私も農林省の干拓班長をいたしまして、ちょうどその年に伊勢湾台風に襲われました。そこで、日本の干拓は古くから直立型の堤防だったわけですね。これはもろに波の圧力を受けますから崩れますけれども、ちょうどその当時オランダから緩傾斜型堤防というのをヤンセン教授という方が持ってこられまして、それを学びまして、ちょうど工事中の農林省の干拓の堤防一切、緩傾斜堤防に変えてしまいました。その後割合にいわゆる堤防の破壊するような災害がございませんけれども先生の仰せのとおりでございます。  さらに、ほかの災害等につきましても、やはり先を見た思い切った、防災という立場からもいろいろ計画に織り込まなければならない、おっしゃるとおりでございまして、大変参考になりました。ありがとうございました。
  118. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 こういう自然の防災能力を助長、扶助していくという点で、林野庁で、列島に残る約四百六十万ヘクタールのこういう天然林を自然の状態で次代に引き継ぐ方針を決めたという記事を見たわけでございますが、この点については内容はどうでございますか。
  119. 塚本隆久

    ○塚本説明員 お答えいたします。御指摘の報道は今後の国有林の森林整備の方向として、特に天然林を伐採した後に人工造林を行う拡大造林の見直しに関する内容であると承知いたしております。  我が国の国有林、民有林を通じての今後の森林整備の方向につきましては、昨年八月に林政審議会の専門委員会が取りまとめた中間報告、具体的には「森林の危機の克服に向けて」という副題がついておりますが、ここにおいて述べられておりまして、ちょっと読まさしていただきますと、「広葉樹材の根強い需要と自然環境の保全・形成等国民の森林に対する多様な要請の高まりに対応するため、天然林を積極的に育成」することとし、拡大造林等を主体とした造林施策の見直しを行うといったような考え方が示されております。現在、これを踏まえまして、森林資源に関する基本計画等を改定するということで、それに伴う森林施業等のあり方等につきましても検討を進めておるところでございます。  御指摘のございましたように、天然林問題につきましては、今後、森林の有する多面的な機能を総合的かつ高度に発揮させるというためには健全な天然林を保全する、あるいは良好な状態に維持するということが極めて重要であると考えておりまして、今後とも天然林の取り扱いにつきましては適切な天然林施業を実施するなど、十分に配慮してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  120. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 もう時間が来ましたが、都市災害の防災活動の中で、自動車の持ち出しといいますか、自家用車がはんらんしておりますので、交通規制だけではどうにもならないし、小さい工事は事前に十分にこれを宣伝していないと大変な被害増大、また混乱を起こすのではないかと思っています。かような観点から、ぜひ事前に自動車への対応、災害時を予想した対応のPRということ、このことを十分に心がけていただきたい。答弁は、時間がちょうど終了しましたので、要望にしておきます。  以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
  121. 馬場昇

    馬場委員長 この際、休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後三時二十二分開講
  122. 馬場昇

    馬場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中川利三郎君。
  123. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まず、国土庁長官にお聞きするのでありますが、長官はこの前の所信表明で、災害に対して、我が国のそういう特性としての自然条件で地震、台風、豪雨その他を挙げながら、もう一つは社会経済環境の変化に伴い災害の態様も変化、複雑になっている、こうおっしゃっているわけでありますね。このことはあの五十九年十一月の国土庁がまとめました四全総中間報告の中にも過疎過密の問題、これが近年の災害の態様変化として、この過疎化に伴う問題あるいは過密に伴う都市化の問題、こういう問題が災害の発生要因をつくっている、こういうことになっているわけでありますが、国土政策にとってこの過疎過密問題は非常に大事な不可欠の課題であるというふうに私理解しておりますが、この点について国土庁長官の御意見はいかがでしょうか。
  124. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  我が国では近年災害危険区域への人口、資産の集中や都市化の進展等、国土利用の変化に伴いまして、都市水害、土砂災害などの新たな災害の発生要因が出現してまいりました。また、都市空間の高度利用に伴いまして地下街爆発、ビル火災など都市型災害の増加が顕著になってもまいりました。さらに、都市への中枢管理機能の集積に伴いまして、通信ケーブルの焼損、切断による都市機能の麻痺、電力、ガス、水道等のライフラインの障害などの発生の危険性が増加をしてまいりました。このように、近年におきましては社会経済環境の変化に伴って災害の態様は複雑、多様化いたしてまいりました。  今後、我が国経済社会はますます都市構造の変化、技術革新、高度情報化、高齢化、そして国際化などの変化が進展する見込みでございまして、これらの変化に十分対応し得るよう、関係省庁とも緊密な連絡をとりながら防災対策を総合的に推進いたす所存でございます。
  125. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今の長官の御答弁は、過疎過密問題が国土政策にとって不可分であるということをお認めになったものだと思うわけであります。  そこで、私は、本題の豪雪対策、除雪問題に触れるわけでありますが、それに先立ちまして、ことしは全国的にいつにない豪雪といいますか、雪が非常に多かったわけでありまして、その除排雪問題をめぐりましてもいろいろな問題が発生しているわけでありますね。  例えば、青森県ではこの前大々的な除雪作戦をやりまして、後できょうは津川さんも触れると思うのですけれども、そのことがNHKテレビで全国的に除雪大作戦ということで報道されているわけです。しかし、それは結構でございますけれども、その経過をお聞きするところによりますと、市民がこれは大変だ、すぐ手をつけるというのに対して、なかなか当局は腰を上げなかったというのですね。その理由は、どうせ春になれば雪が解けるのだ、今大枚の金を出すなんということはもったいないというのですね。そういうことでなかなか腰を上げなかったが、大作戦をやるちょうど二、三日前に小学校の子供さんがこの道路の雪を積んだ、車の大型のあれに挟まって死んでしまったのですね。それでああいう大作戦が始まったというのが経過でございまして、ちょうどその後に青森の市会議員選挙がございまして、私現場に行ってその場所を拝見して拝んできたわけであります。  同時に、私の秋田市内におきましても、二月十七日の四時半ごろに四ツ小屋の小阿地というところで、五歳の少女がバックしてまいりました除雪車にひかれて、除雪車のキャタピラにひかれてなくなっているわけですね。これも大きい問題になりまして、我々の申し入れに対しまして市の助役さんは、本来除雪車の場合、見張りがついていなければならないけれども、それがなかったということで、その仕事の委託をさせた中小業者との間でいろいろな委託契約をめぐるトラブルなんかも聞かされることになったわけでありますが、こういう関係の中で、秋田県内でもこの冬、雪おろし作業だとかあるいは雪崩による死亡者が五人を数えているわけでありますが、なかなか自治体当局も金のないせいでもあるかわかりませんが、人が亡くなるとかそういう悲惨なことがあれば腰を上げてみたり、あるいは非常に不備な状況の中で子供がひかれてしまうというような、そうして最終的には責任の所在をめぐってうやむやになるということが起こっているわけです。  これは、今前段申し上げました過疎過密とは違った、都市で起こった問題でありますけれども、一体そういう点からいいましても、除雪のやり方、安全対策そのものについて大きい手がかりが全般に得られると思うのですけれども、その背景に一体何があるのか、なぜこういうことが起こるのか、非常に問題があると私は思うのですが、これは杉岡さんからでも結構でございますので、お聞かせいただきたいと思うのでございます。
  126. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  ことしの冬に入る前、すなわち昨年の暮れでございますが、降雪期を迎えまして、政府といたしまして、関係十九省庁集まりまして、まず雪によって人身事故が出るということをまず第一になくさなければならないという申し合わせをいたしたわけでございます。  去年の雪によりまして八十八人の死者が出た。その前の豪雪では百二十一人あるいは五十六年豪雪では百十九人という、最近は風水害等による死者は非常に少のうございますけれども、雪による死者が非常に多いということを我々は非常に憂慮いたしておるわけでございます。そういった関係から、関係省庁昨年の暮れに集まりまして、特に雪おろしとかあるいは除雪中川に落ちる等の事故、こういったものを徹底的になくそうじゃないかということで、関係省庁から関係地方公共団体等にその指導をいたしたわけでございます。なかなか屋根の雪おろし等による事故をゼロにするというのが難しゅうございましたが、ことしは雪おろしによる事故が、昨年が二十三に対しまして、あるいはその前の年が三十に対して、二十というふうに減ってきております。ただいま中川先生指摘のございましたような道路除排雪作業中の事故、あるいは雪が両わきにきまして子供が車にひかれた等々、非常に痛ましい事故が青森等で報道されておりますが、ああいったことが少しでもないことが必要だということで、その点について重点を置いておるわけでございます。我々といたしましては、そういった雪がたくさん降るというのをとめるわけにもまいりませんので、やはり必要な除排雪は絶えず続けるということで、その経費についても、その財源についても十分な対策関係省庁連絡をとりながらとったつもりでございます。  なお、雪に強い都市と申しましょうか、雪が降ることによってそういった事故がないような都市づくりといったことも必要だろうと思います。今後、豪雪対策の一環としてそういった雪に強い都市づくりということを進めてまいりまして、少しでもそういった事故のないような対策が必要だと考えております。
  127. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今のような問題の背景には、例えば臨調行革による地方財政のいろいろな苦しみだとか、あるいは全体として、そういう人命の問題が起こってから初めて腰を上げるというような人命軽視の思想だとか、もろもろの要因があることは当然のことでありますが、こういう問題について国土庁には十分な配慮をしていただかなければならないということを前段に申し上げておきたいと思うのです。  それでは、まずお聞きするわけでありますが、六十一年二月、ことしの二月ですが、皆さんの方では豪雪対策特別委員会企画部会というものをつくったわけでありますが、その中でどういうことを書いてあるかといいますと、豪雪地帯対策基本計画見直しをやるんだ、こういうことなんですね。私はかねがね、四十七年三月にできた現行法によって今やられておる豪雪地帯対策基本計画、このことに非常に疑問を持っておるわけでありまして、これはどういうことかといいますと、道路交通確保という問題であります。  これはなぜ問題と考えているかといいますと、これは皆さんの出しておる豪雪地帯対策基本計画、四十七年三月の今やられている基本計画でありますが、この基本計画の中に「道路交通確保」ということで(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)といろいろ項目を書いているわけです。特にその中の(カ)の項にこうなっているのです。「道路除雪を実施することが困難な地域については、」「集落移転等の施策を推進するものとする。」引っ越しすることを施策の重点に掲げているということですね。いろいろな項目の中には、例えば主要な国道だとか府県道だとか、そういう路線についてはそれなりの体制をいろいろ、除雪体制だとか除雪事業というのが位置づけられているわけでありますが、一番困難なところは全部引っ越してしまえ、こういうことが基本になっていらっしゃる。これはどうしてだろうかといろいろ疑問に思っているわけであります。  皆さんの出しておる豪雪白書、五十八年の調査によりましても、もしもこういうことをやられるとするならばこういう人々は一体どうなるかということの一つの見本として申し上げるのでありますが、豪雪地帯で一カ月以上、三十日以上の長期間、自動車交通その他が途絶する集落は、その資料によりましても四百六十集落あるのですよ。そして、その戸数を私いろいう計算してみましたら一万一千百三十戸、つまり一万一千戸以上の方々がそういうところに暮らしていらっしゃるというわけですね。  そういうことから見ると、これを一くくりにして集落移転が基本方針だということでは余りにも乱暴な過疎地帯の切り捨てにつながるのじゃないかと思うのです。この点について、今度の新しい見直しもあるわけでありますが、現状のこうした問題についてどういう御感想をお持ちなのか、お答えいただきたいと思うのです。
  128. 田中暁

    田中(暁)政府委員 お答えいたします。  確かに現在の豪雪地帯対策基本計画は四十七年に改定されておりますが、その当時の状況を反映いたしまして、道路除雪についてはいわゆる重要な路線とか幹線道路というようなものを中心に対策が行われておりまして、特別豪雪地帯対策におきましても、例えば基幹的な市町村道の県代行でございますとか、あるいは県道への昇格、こういうような内容に相なっておるわけでございます。ただ、実際の除雪対策は、一般の生活道路でございます市町村道につきましてもその後随分進展をいたしておりまして、例えば五十七年の数字で申し上げましても、豪雪地帯におきます除雪延長がほぼ十六万キロでございますが、そのうちの十万八千キロというのは市町村道の除雪でございます。そのほか、例えば各種の防雪施設でございますとか流雪溝、消雪パイプ等の設置、延長、その中の市町村道の割合というのはいずれも五〇%以上、相当大きなウエートを占めて現在に至っておるわけでございます。  そういうことでございますので、実際の対策と現在の基本計画の表現とがやや遊離しているということが今回の見直しに踏み切った一つの理由でもございます。  なお、現在のこの基本計画の内容、それから(1)の「交通、通信等の確保に関する事項」の(カ)で、先生指摘になりました集落移転の問題でございますが、「道路除雪を実施することが困難な地域」と申しますのは、現在交通途絶が一月以上というような集落が全部、道路除雪実施がイコール困難な地域だというように見ておるわけではございませんので、これは道路除雪は今後とも努力して、そういった交通途絶日数はできるだけ短縮するということが一つの重要な施策でございます。そういうことを行いましてもどうしても交通途絶の解消が難しい、相当の日数見られるというような集落にありましては、住民の皆さんの合意によって集落移転等の施策も推進することがある、こういう意味に我々は受け取っておるわけでございまして、道路除雪の努力を放棄して、すぐ集落移転というような措置を講じようという気持ちは毛頭ございません。
  129. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 時間がございませんので、なるべく簡単にお答えいただきたいと思うのです。  それで、今あれこれお述べになりましたけれども、この四十七年の現行法がつくられた当時、田中さんの列島改造論の真っ盛りで、高度経済成長がさらに進むんだということで、不便なところはどんどん引っ越しさせろということで考えた部分がたくさんあったと思うのですね。しかし、今、田中さんがいろいろおっしゃいましたけれども、そう一概に移転だけを考えているのじゃないということでありましたが、私はまだ疑問に思うのですね。  といいますのは、五十八年五月二十四日に中央防災会議が「当面の防災対策推進について」という文書を出しておるわけでありますね。その中に雪崩対策について危険箇所の把握等という項目がございまして、四ページの(2)というところですが、「雪崩災害防止施設等の整備の促進」という問題がありますね。「整備の促進」と言いながら「危険住宅の移転促進に努めるものとする。」という逃げ道をちゃんとつくっているのですね。ですから、あれこれ言っても結局集団移転の逃げ道がちゃんとそこでつくられていると読めるわけでありますけれども、そういう点で非常に不安なわけでありますね。  さらに申し上げるならば、これは建設省にちょっとお聞きするわけでありますが、この前、二月四日に我が党の三浦久議員が質問しているわけでありますが、皆さんの方で「昭和六十一年度に雪崩の危険箇所の総点検を実施いたしたい」というふうに答えているわけでありますね。そういう雪崩の危険地帯の総点検は大変結構でございまして、我々もどうしてもそういうものをどんどんやっていただきたい、こういう願望を持っているわけであります。  ところで、この対策事業の実施方針というものを私は持っているわけでありますが、これを拝見いたしますと、雪崩対策をどうするかということについての「採択基準」の第一に掲げられているのは何かというと「移転適地がないこと」、こう書いているのですよ。移転適地がない場合は、そういうところには何ほかの事業をやってあげますよということですね。こういう考え方は一体どういうところから出ておるのかということが聞きたいことなのです。つまり、移転ができるかできないかが、この場合のあなた方の発想の出発点になっているのですね。予防的に、危険なところはこれこれだと日ごろから手入れしていくのではなくて、そういう雪崩が何回かあったところでも、引っ越しするのかそれとも工事をやってほしいのかどっちだ、こういうことで何か後追い的に手をかけるというのは、そういう発想のあれがちらちらと見えるわけでありますね。こういうことで本当に抜本的な総点検に見合うような対策ができるのかどうか、この点について建設省はどうお考えでしょうか。簡単で結構です。
  130. 渡邉義正

    ○渡邊説明員 お答えをいたします。  ただいま先生指摘の点でございますけれども、移転適地がないということが私ども雪崩防止工事のうちの「採択基準」の第一番目にあるわけでございますが、雪崩につきましては非常に複雑な要因が絡まって発生するというふうなことでございまして、また、雪崩の発生のメカニズムというものはまだ解明されていない面が多いわけでございます。したがいまして、雪崩の危険のない地域に移転をしていただくということが私どもといたしましてはまず大切ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。それで、移転地がない場合にこういった雪崩対策事業というものに取り組まさせていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  131. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 だから、移転地がない場合にはそういうことをするという、その考え方の移転が何でも先に出てくるというところを、そのことを私は指摘しているわけであります。  なぜかといいますと、例えばこれは六十年四月一日付の新潟県から取り寄せた資料でございますが、県内で危険箇所だと、そういう箇所数が四百九十九カ所あるのです。そこに住む人家の戸数は二千五百四十六戸あるのですね。そこに住む住民の数が九千七百六十六人いることになっている。こういう大方はほとんど移転するあれがない人ですね。つまり、こういう人にまず移転せよということがどうしても前提にならざるを得ないわけですが、このことは、雪国にはもう住むな、こう言うことに等しいような乱暴な意見につながるものじゃないだろうかと私は思うのですね。必ずしも移転そのものは否定するのじゃないですよ。やむを得ない場合は、本人も希望してどうしても移転させてくれという場合には、それは移転させるための援助の手を差し伸べるということは当然でありますけれども、そういう考え方について私は今、この問題は新しい見直しもありますので、問題だということを指摘しておきたいと思うわけであります。その点については、次の質問の時間がなくなりますので答弁をそのままにして、ここで次の問題に移らせていただきたいと思うわけであります。  次は直下型の地震の問題でありまして、首都圏の地震対策についてお聞きするわけであります。  今、地震といいますと、頭に浮かべるのはどうしても東海地震ですね。あるいは今のところ鳴りをひそめておるようでありますが、関東地震ですね。どっちもマグニチュードからいえば八あるいはそれ以上と言われていますが、しかし、これらの大規模地震に比べまして首都圏で予想されるところの直下型はマグニチュードからいえば大体七から六、それ以下、こういうことでありますけれども、一たん地震が発生したとなりますと、東海地震以上に甚大な被害を及ぼすということは、大体東京、千葉、埼玉、茨城でしょう、こういうところが全部その範囲に入るだけでなくて、日本の人口の約四分の一に当たる二千八百万人がそこにいらっしゃるということですね。超過密の実態からも明白なわけであります。  そういう点で、この首都圏の直下型地震の問題は、我が党も例えば不破さんの五十六年の予算委員会総括質問なんかもありまして、そのときも、当時の鈴木総理大臣から非常に、閣僚も各省庁挙げてやらなければならないというようなお答えもあったわけでありますが、国土庁長官も新たに御就任なされたわけでありますから、この直下型地震についての御認識はどうお持ちになっていらっしゃるか、簡単で結構ですから、ひとつお答えいただければありがたいと思います。
  132. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 先生も御存じのように、直下型の地震の予知ということは、ありのまま申し上げると、現段階ではまだ不可能でございます。しかしながら、おっしゃるとおり直下型地震の予知ということをぜひとも可能化するということは極めて重要な課題だと存じております。したがいまして、地震予知に関する省庁間において、地震予知推進本部等の場を通じまして緊密な連携をとりながら直下型地震の予知のための観測研究を進めているところでございます。  ちなみに、首都圏直下型地震予知のための主な観測研究ということは、既に五十六年度から五カ年にわたりまして関係機関が協力して約十一億四千万円をかけましていろいろと研究を進めておるところでございます。現に三千メーター級の深井戸を掘りまして高感度地震観測も関東で行っております。岩槻、府中、下総、そういうところでやっておるわけでございますが、気象庁には直下型地震予知研究のために研究室を二つ設けてあります。  以上、現状を御報告申し上げます。
  133. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今、長官から七〇年代に、埼玉県の岩槻、千葉の下総、それから東京の府中、いずれもかたい岩盤のところを掘削して、深いところで三千数百メートル——実は私、十八日にこの府中の深層地殻観測所に行ってまいっているわけであります。そして、その実態もいろいろ見てまいりましたが、今三つのそういうものをつくっていろいろやっていらっしゃるわけでありますけれども、それがどのような効果をあらわしているのか、そこら辺からまずお聞きしたいと思うわけであります。
  134. 高多康次

    ○高多説明員 お答えいたします。  この三つの深井戸は、先生御案内のように、都会のノイズを消去いたしまして岩盤の微細な地震の波形をとらえることができるということで、今までこの観測施設がなかったときにはとらえられなかった小さな地震が首都圏、特に東京の周りでたくさん起こっているというようなことがわかりまして、そういうことを分析していくうちに首都圏を中心としたところの地震のテクトニクスがわかってきたということが最大の成果であろうと思っております。
  135. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今まで十分把握できなかったいろいろなことが解析できるようになってきたということで、大変前向き、進歩的でありますが、私はこの際ひとつ申し上げておきたいのは、五十九年十一月十六日に、科学技術庁研究調整局が主催して、「首都圏における直下型地震の予知に関するシンポジウム」というものを開いていらっしゃるわけであります。  この中で、いろいろな学者からいろいろな御意見が出されまして、特に「首都圏直下型地震の予知」という題目で、東大名誉教授で地震予知連の名誉会長である萩原先生が、もうこの直下型の首都圏の地震の起こることとその被害が出る可能性というのは非常に明らかだということ空言っているのですね。首都及びその周辺対策は、「当面はこの直下の浅い所で起る中規模地震を目標とすべきである。」こう断言していらっしゃるのですよ。ここにこの御講演の要旨が書いてあるわけであります。同時に、この萩原先生は、この中でも関東平野の微小地震、これは三つの深井戸のために飛躍的に向上した、そして詳細な震源地の分布図もできるようになったし、太平洋プレートとフィリピンプレートの衝突、地下の大構造もはっきりつかむことができた、こういう非常に効果があるということをそれぞれ述べていらっしゃるのですね。  それで、それはそれでありますけれども、特に私が申し上げたいのは、そうでありながらいろいろな学者先生が共通してお話しになっていらっしゃることは、確かに今お話ありましたように、今あるのは岩槻、埼玉県ですね、それから千葉県ですか、それから東京の府中ということになっておりますが、こういう北の方に偏った状況では本当の直下型地震のあれを覆うことは、カバーすることはできないのだということをひとしくお話しになっていらっしゃるのですね。そういう意味からいいますと、この図面で見ましても神奈川の方ですね、横浜を中心としたこちらの方は十分でない状態が共通して指摘されているわけであります。  例えば、浅田先生がこうおっしゃっているのですね。「深井戸三コでは十分とは言えない。」「微小地震観測網はかなりの成果を挙げていることは確かであるが、まだ不十分であると言わざるを得ない。」こうおっしゃっているわけであります。そのほかにもこの先生は同じようなことを言っているのです。また、国立防災科学技術センターの高橋先生はどうおっしゃっているかといいますと、「現在の深層井は」、深井戸ですね、「東京の北半面を覆うように配置されているため、その検出範囲が北偏しているので、その南部の深層井の整備が求められている。」こういうことをおっしゃっているわけであります。  私も確かに、現地で、府中のあれを見まして非常に感動したわけであります。なぜかといいますと、あの施設は無人でありまして、ふだんは人はおらないわけでありますが、刻々と地中の何千メートルか底からデータが伝えられてくるわけであります。それを筑波の防災センター、つまり本所に送られてくる仕組みになっておるようでありますが、そこでわざわざお迎えいただいた、先ほど申し上げたセンターの高橋先生だとかその他の方々から、実際について御説明をいただいたわけであります。そこで感じたことは、ふだん我々が全く気がつかないようなところで、多くの皆さんが、備えあれば憂いなし、こういう格好で、科学の最先端を駆使して直下型地震に備えていらっしやる、そういうお姿に打たれたことでもございますし、もう一つは、グラフの図面上に刻々とあらわれてくる地下の巨大なプレートとプレートのもぐり込みやあるいはそのすべり面での衝突、動きですね、これが微小地震となってぐっと動いてくる、グラフに出てくるのですね。自分の足元にそういうあれがあるなと思うと、何か特別な感慨がわく思いであったわけであります。  で、結論的にお聞きしたいことは、今確かにそれなりの成果を上げておっても、北に偏っているという部分は否定できないし、押しなべて学者先生関係者は、もう一つ横浜あるいは神奈川県の方も覆ってくれるならばよりいいんだ、こうおっしゃっているわけであります。これについて当局の御見解はいかがでございましょうか。
  136. 高多康次

    ○高多説明員 ただいま先生のおっしゃいましたシンポジウムで防災センターの所長、萩原先生等が述べられていることは私どもも承知しておりますし、それはそれなりの御意見であろうかと思っておりますが、首都圏の地震活動というのはこの三井の深井戸の観測データばかりではなく、防災センターで申し上げますと、地震計とか傾斜計等を含めて関東一円に六十七カ所の地震計がございまして、いずれも微細地震を観測し、テレメーター化しておるわけでございます。  これらすべてを使いまして現在鋭意研究を進めているところでございまして、特に今年度、昭和六十年度からは、首都圏をねらいました地震前兆解析システムというものを研究開発をしているというところでございまして、先生の今おっしゃいました、もう一つ南の方に今後必要ではないかということにつきましては、こういうような現在進めております研究成果を踏まえまして、さらにその必要性等を含めて検討してまいりたい、かように思っております。
  137. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いろいろな今の研究成果を含めて、さらにその先に考えたらどうかということでありますが、私は、そういうことじゃなしに、やはりこれは国が国として、政府としても約束したことなんですね。  例えば、私の手元に、昭和五十六年の二月四日、我が党の不破議員が質問したのに対し、当時の科学技術庁長官であった中川一郎国務大臣はこう言っているのです。「この三本の井戸を中心にして観測を進め、まだ足りなければさらに増設をする等観測体制については万全を期していきたい」、こう言っていらっしゃるのですね。それだけではありません。「第五次地震予知計画推進について」、これは昭和五十八年五月、測地学審議会、これは政府も、科学技術庁もメンバーですね、その建議の中にもはっきりと「国立防災科学技術センターは、首都圏を中心とした南関東地域の地震検知能力を充実させるため、深井戸観測点の増設を含め微小地震観測網を整備強化する。」こうおっしゃっているわけであります。  そういう点で、そのほかにもいろいろ観測する施設はあるとおっしゃっておりますけれども、私は、やはり今の臨調行革だとか財政問題だとか、そういういろいろな要素がそういう答弁を引き出しているものだと思うのですね。しかし、問題は直下型の大地震、これに十分な体制、万全の体制をしいていくということが今国民から一番要請されているわけであります。そういうことから考えましても、今のような御答弁は、測地学審議会の建議にももとるし、かつての大臣の答弁にももとるものだと思いますし、何があなたのそれを妨げているのか、私は非常に疑問に思うわけであります。まして、この問題はまだ緒についたばかりなわけでありますね。本当にまだまだこれからどうなるかというときですから、この点について大臣から、はっきりしたあなたの決意を含めてお聞かせいただきたいと私は思うのです。
  138. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 ただいままで関係省庁のいろいろな意見を含めまして、直下型地震の予知を可能とすること、このことはもう極めて重要でもあり、かつ焦眉の急務だとも考えております。したがいまして、この土とも関係省庁とますます緊密な連携をとりながら地震の予知のための観測研究ということを推進する所存でございます。このために国土庁は一層の努力をしてまいる所存でございます。
  139. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 お役人の答弁ですが、大臣はさすがにそれなりの責任ある発言をしたと私は評価をいたしておるわけでありまして、特に空白地帯になっておる神奈川、横浜地帯ですね。神奈川県にも過去に横浜地震という直下型の大きな地震があって相当な被害を出しているわけであります。お役人さんの立場からすれば、今のいろいろな財政構造の問題その他によって制約があるし、ああいう答弁にならざるを得ないということも理解できるわけでありますが、わずか十二億円か三億円ですね。府中の場合は十二億円と言っておりますね。今何ぼか物価が上がりましても一カ所つくるのに十五、六億あればできるというお話も聞いているわけです。特に災害問題について言えば、今、東京湾横断道路、これは一兆何ぼかかると言っているのですね。これも国土政策の立場からいえばそれなりに問題だと思うのです。あの千分の一の金を、十何億あればできるわけでありますので、何とかそういう発想の転換も含めて先ほどの大臣の御決意を十分実りあるものにしていただきますように、重ねて大臣から、確認の意味でもう一言お願いしたいと思います。
  140. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 仰せのとおり、人命は金銭で買えるものではございません。金銭の額いかんでこのようなことをちゅうちょするということは許されません。そのように存じます。
  141. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ありがとうございました。  終わります。
  142. 馬場昇

    馬場委員長 次に、木間章君。
  143. 木間章

    ○木間委員 レギュラーでございませんが、質問の時間を与えていただきまして、委員長委員各位、そして大臣以下の皆さんに心から敬意を申し上げておきます。  私は、今冬も豪雪でございましたので、雪関係を中心にいたしまして私の考えを述べ、そして関係者の御答弁をお願い申し上げたいのであります。  昨年暮れからの異常気象は日本列島を覆いまして、北海道、東北、そして北陸各地豪雪を降らせまして多くの災害をもたらしたのであります。この豪雪は三八、五六の形と少し違いまして、あのときは広い分野にまたがったのでありますが、今度は局地的に集中型であったと私は見ておるのであります。十一月には北海道に降り始め、十二月中句は北陸に、一月は北陸、そして上越に豪雪をもたらしました。二月には、さらに青森へと飛び火をしたのであります。政府も緊急に対策に着手をされまして、現地に調査団をそれぞれ派遣されたのでありますが、山崎国土庁長官新潟能生町を訪ねられて被災者に手厚いお見舞いをされたのを初め、連日災害復旧のために頑張っております関係者の労をねぎらわれたのでありまして、私たち雪国の一人として心から敬意を申し上げておるところであります。  冬の季節風は日本列島に年間を通じて五百億トンから六百億トンの雪をもたらすという著書を読んだことがあるわけでありますが、積雪地域国土の五二%、総人口の二〇%にも及ぶ広い範囲にまたがっておりますし、行政もそういった中では雪対策を強めながらも、特に雪の多いところには豪雪地帯あるいは特別豪雪地帯として指定をされましてさまざまな施策に取り組んできたところであります。災害時はもちろんでありますが、日常からも交通、通信の確保を初め、あるいは農林水産業の振興や生活環境、国土保全の施設整備にも努力をしてきておるのであります。しかし、多雪、豪雪地帯の人々の暮らしは大変深刻であります。最近までは冬の期間は屋内に閉じ込もるという生活を余儀なくされてまいりました。そういったことから見ますと、十カ月間の収入で一年間を切り盛りをするという暮らしの状況であったのですが、最近の経済社会の発展やあるいはそのことが家庭内にも生活の多様化を持ち込んできまして、ある人は出稼ぎに出かけたり、若者は流出し、ある世帯では祖先伝来のふるさとを離れるというさまざまな人間模様が繰り広げられました。単に人間模様といってもなんでありますが、そこには悲劇、悲惨がつきまとっておりまして、今日もその後を絶っていないのが現状であります。行政関係者の御努力があるとはいうものの、今雪国の人たちが求めておるのは、行政の力であるいは科学の力で雪を降らせないようにしていただけないか、これが本当の生の声であろう。私も日々そういった皆さんと交流を続ける中で嫌というほど知らされておるところであります。  そういったことを背景にしながら、能生町の被災現地で国土庁長官はみずから陣頭指揮をされたわけでありますが、九州御出身の長官があの悲惨さをかいま見られまして受けられた感想なり印象を述べていただきたいと同時に、今、国土庁長官として災害から国民の生命財産を守るという任務についておられますので、特に雪の災害についての御決意をまずお聞かせ賜りたいのであります。
  144. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  ことしの一月二十八日、政府調査団の団長といたしまして視察をいたしました新潟県下各地におきましては、今冬も大雪の続く厳しい状況でございました。特に、例の能生町の雪崩災害現場におきましては、一瞬にして壊れました家屋等を目にいたしまして、豪雪の恐ろしさを強烈に感じました。また、不幸にして他界されました十三柱のひつぎがお寺に並んでいるところにお参りいたしまして、涙で目の前が真っ暗になりました。そのような恐ろしさを強烈に感じたわけでありますが、それだけではなくて、除排雪また警戒監視に対しまして日夜懸命に取り組んでおられましたところの地元の方々や県及び市町村などの関係者の方々に接しまして、その御労苦はいかばかりか、まことに大変なものと改めて認識いたしました。  次に、今冬におきましては、雪害からの人的被害の軽減、防止、道路交通鉄道運行確保、迅速な災害救助実施等を重点といたしまして災害対策に取り組んできたところでありまして、とりわけ大きな問題となった道路除雪経費に対する財源措置につきましても、去る十四日に決定いたしたところでございます。今後とも関係省庁と緊密な連携のもとに、状況に応じて対策に万全を期してまいる所存でございます。
  145. 木間章

    ○木間委員 当委員会はもとより、国会議員あるいは政府、官庁挙げて、雪災害はもとよりでございますが、各種の災害を乗り切っていかなければなりませんので、ぜひ長官にも今後とも先頭に立っていただくことを切望しておきたいのであります。  今、国土庁では、国土審議会豪雪地帯対策基本計画見直し作業に入っておいでるのであります。この基本計画は、もとより雪に関する国民生活万般について述べておいでるのでありますが、一日も早い、そして適切な結論を出していただくように、雪国の皆様は見守っておりますし、期待をしておりますし、お願いをいたしておきたいと思いますが、作業に入られた段階でお聞きするのはいかがかとは思いますけれども、いつごろをめどに作業を進めておいでるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  146. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御指摘のとおり、豪雪地帯対策基本計画見直しにつきましては、この二月に企画部会がスタートしたばかりでございまして、今後いろいろと現計画の全般につきまして見直しをいただきたいと思っております。ただ、現在策定中の四全総の関連というものを十分考慮する必要がございますので、この四全総策定作業を見ながら検討を進めてまいりまして、四全総策定を見た段階では、余り日を置かずに見直し作業も完了している、こういうぐあいにやっていきたいと思っております。
  147. 木間章

    ○木間委員 以下、この基本計画でぜひ議論をお願いしたい、そういう立場で幾つか質問を申し上げたいと思うのであります。  まず、税制度豪雪災害あるいは災害万般にも関するものでありますが、大蔵省の方にお尋ねをしたいと思います。  いつも話題になることでありますが、屋根雪の除排雪の費用と所得税法との関係でございます。今日この種の経費につきましては、所得税法では雑損失控除として分野が開かれております。本来雑損控除の対象は、性格からいって、不可抗力の損害を認めよう、それで、それは火災とか盗難とかすり、窃盗、そういった被害に遣われたときに適用をされてまいりました。特に、五六豪雪以降、雪の除排雪も大きなメニューとして加えて適用になってきたのでありますが、雪災害なりこれらの自然災害は確かに不可抗力には間違いございませんけれども、さきの火災とか盗難とか人的災害とは性格を異にしておるのではないだろうか。したがいまして、私は税法上、雑損控除扱いではなくて、切り離してこの災害損失を明らかにすべきじゃないだろうか、このように感ずるものでありますが、大蔵省の御答弁をお願いしたいと思います。
  148. 塩田薫範

    ○塩田説明員 今、先生指摘雪害控除といいますか、そういったたぐいの新しい控除を認めるべきではないかという議論でございますが、従来からございます。ただ、今申し上げましたような積雪地帯というような地域的な事情を税制上考慮して特別な控除を設けることにつきましては、これまでも税制調査会でしばしば議論されておるところでございますが、その答申の中でしばしば指摘されますように、地理的な条件や社会的条件の差異等に着目して新規控除を創設していく場合には、税制をいたずらに複雑化するし、そもそもさまざまな国民の生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して税制上しんしゃくするにはおのずから限界があり、また、しんしゃくする場合の客観的な基準を見出すことは困難である、そういったことを考慮すれば、新規の特別控除を創設することは適当でないと言われております。私どももそう考えております。それで、雑損控除の対象として、先生が今おっしゃったように、雪害関係も対象となりまして、五十六年度から足切りの特例を設けていることは先生指摘のとおりでございます。
  149. 木間章

    ○木間委員 地域的にも五二%、国土の半分が積雪あるいは豪雪地帯である、そういった中で大変困難性があろうし、税制度を余りいじくってはいけない、このようなお考えのようでありますけれども、やはりその種の災害から国民の生命財産を守るという立場であれば、そういったものをきちっと見据えていくということが大事じゃないでしょうか。先ほど前段にも申し上げましたけれども、台風を行政の力、科学の力で防いでもらいたい、雪を降らせないでほしいというのが雪国の心情でございますので、例年問題になりますと、大蔵省は雪に対して大変冷たい、国の政治は大変冷たい、こう私は指摘せざるを得ないのであります。  例えば、雪おろし作業に雪国の皆さんは日夜専念をするわけでありますけれども、この経費を見ようという五六豪雪の経験から制度化されたものではありますけれども、自家の労賃は計上することはできないという、雪国にとって大変残念な結果になっておるのであります。例えば、領収書その他の証拠書類がなければいけない、裏を返せば除雪排雪の人夫を雇い入れたときにしか利用できないのであります。御承知のとおり、雪は集中的に降るとはいいながらも、特定の県なりあるいは県半分を覆ってしまうということでありますから、人夫を探そうといっても探すことはできない状況であります。五六、三八の例のように、あるいは北信越全体がすっぽり包まれてしまうとなりますと、まさにそういった人夫探しは不可能でありましょうし、自前でやらざるを得ません。  また、後ほど申し上げたいと思いますが、今、日中は若者はほとんど勤めております。日中は勤めています事業所、会社、工場の雪捨てに専念をいたしますし、勢い夜間それらに集中せざるを得ません。おじいちゃん、おばあちゃん、子供まで総動員をしてやっておるのが豪雪に一たん見舞われた地域の実情でございます。したがいまして、収入額との関係もあろうと思いますけれども、例えば一律金額で見積もるとか、あるいは率で置きかえるとか、さまざまなことも考えられるわけでありますから、今後税法上の再検討もあるやに承っておりますから、そういったときにぜひひとつ御検討をいただきたいのであります。  それで、自家労賃の判定の問題でございますけれども、私は、領収書が伴わないといけないという今の制度では雪国の心を酌んだ行政ではないと断言をするものであります。したがいまして、これらについても、ぜひ新しい制度見直しのときに十分議論をしてやってもらいたいもの、こう要請を申し上げておきます。  いま一つ、法人税との関係でございますが、御案内のとおり、雪国の事業所は出勤時から退社時まで経営者も総ぐるみで屋根に登りまして屋根雪の除雪排雪をやっております。五日間続きますか、さらに河川敷その他へ排雪するわけでありますが、それらにも四日間も五日間もかかる、その期間十日間も全部企業活動がストップの状況であります。したがいまして、最近のこの豪雪地域の実態は、働き場所を探そうと思っても新しい工場進出は大変困難な状況であります。もちろん営業活動でありますから、その間事業所がとまれば収入は見込まれないでしょう。その分がまた税にもはね返ることははね返るわけでありますけれども、私はこの地域が新たな工場進出を期待をし、そして、そこで労働力を確保していく、そういう立場に立った場合に、企業進出がしやすいような法人の諸税の見直しをいただかなければならないのではないだろうか。工場誘致につきましては、地方自治体は道路を完備する、あるいは環境を整えてあげる、さまざまな優遇策をとっておりますけれども、やはりこの雪の問題が一つのネックになるわけであります。私たちの地域でよく話題になることでありますが、あの天気予報の雪のマーク自体暗いイメージを与えるから、何とかあれを直してもらえないか、こういう話すら笑い話で済まされないようなことなどが話題になるわけでありますから、こういった法人諸税の見直しについても個人所得税と同じような考え方を持っていただきまして、新たな決意で臨んでいただきたいと思いますが、大蔵省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  150. 塩田薫範

    ○塩田説明員 今の御質問でございますけれども、積雪地帯におきまして事業を営む法人の場合、その業務の遂行上必要な除雪のための各種の費用を支出する、これは当然ございますが、その場合の費用の額は法人の所得金額の計算上、先生指摘のように、損金に算入されるということで、所得金額がそれだけ少なくなる、あるいはそれだけ収入が減れば同じく所得金額も減るということで、法人税の課税所得の計算上自動的に反映されるようになっておるということでございます。  先生の御指摘が、それに加えて豪雪地帯といいますか、あるいは積雪地帯なるがゆえにいろいろなハンディキャップといいますか、マイナスがあるので、そういったものについてそれ以上に政策的に法人税の面で何かできないかということでございますが、現在、先生指摘のように、税制の抜本的な見直し作業が行われているところでございますが、その中でいろいろな方面からの御議論があるだろうと思います。今おっしゃったような問題は、租税特別措置一つの範疇になるのだろうと思いますけれども、税制調査会でいろいろな御議論が出て御検討いただけるのだろうと思います。ただ、全体の方向といたしまして、法人税の租税特別措置につきましては、この十年来、なるべく見直しの方向といいますか、縮減合理化の方向で作業してきておるということでございますので、そのことを申し上げて、後、抜本改正の中で税制調査会の御議論を得て適切に対処していきたいというふうに考えております。
  151. 木間章

    ○木間委員 税制調査会で議論になるだろう、このようにお話しでございますけれども、果たして議論になるだろうかと私は危惧するものです。というのは、諮問をされる皆さんの立場で問題提起をしていただかなければ議論の発展にならないと私は思っております。この豪雪地帯対策基本計画にいたしましても、私の見た限りではそのように断ぜざるを得ませんから、ぜひそういった機会に積極的に皆さんの方から問題提起をいただく、それが全体で御議論いただきまして、結果としてあるいは実らないかもしれません。だけれども、私たちは少なくともそれぞれの場で議論をいただくことがまず出発点でないだろうか、こう感ずるものでありますので、ぜひその点お含みおき、作業に着手をいただきたいと思います。  次に、災害弔慰金の問題で厚生省にお尋ねをしておきたいと思います。  発生の都度、各種制度がフル回転するわけでございますけれども、この災害弔慰金も同様であります。この弔慰金制度は昭和四十八年に議員立法で制度化をされまして、今日まで時の要請によりまして、金額的にもレベルアップをしてきております。四十八年に五十万で発足いたしましたが、五十年に百万円になりました。五十一年に百五十万、五十三年に二百万、五十六年に三百万となって今日支給されておるのであります。二年ないし三年ごとに見直しが行われているということでありましょう。最終五十六年の三百万から今日既に五年間もたっておるわけです。当然この間社会経済の変遷もありましたし、また類似するこれらの支給金額に当たるものが、例の新宿でバス放火事件がありましてとうとい犠牲を失ったのでありますが、例の行きずり殺人の場合には八百万円も支給されております。せめて私は、災害で亡くなられた方に、この通り魔殺人の被災を受けられた方のようなレベルアップまでやっていただきたい、こう考える一人でありますが、厚生省の方のお考えをお尋ねしておきます。
  152. 荻生和成

    ○荻生説明員 お答えいたします。  昭和四十八年に災害弔慰金支給法ができまして、それから四回ほど議員立法で金額について修正されてきたところでございます。  それで、この災害弔慰金支給法上の災害弔慰金の性格でございますけれども、いわゆる社会連帯に基づいて見舞金を支給するといったような性格のものでございまして、犯罪被害者等給付金支給法上の制度と違いまして、損害賠償とか損失補償といったような性格のものとは違ってございます。そういうようなことを踏まえまして今回のこの制度考えましたときに、警察表彰規則等によります殉職者の賞しゅつ金等の他制度との均衡から見ますと、現在のその三百万というのはおおむね妥当なものじゃないかというふうに考えております。
  153. 木間章

    ○木間委員 行きずり殺人の場合には損害賠償的なもの、こういう判断のようでございます。しかし、先ほどからも言っておりますように、窃盗とか盗難とかあるいは殺人とか、こういったものは人為的なものでありまして、雲とか地震とか、これらは自然的、現象的なものでございまして、全く性格を異にしておるのであります。したがいまして、私もこの間消防、警察等々、皆さんともお話し合いをしてきたわけでありますけれども、そう。いった立場で考えてみたときに、やはり国民は、何遍も繰り返しますけれども、雪を降らせないでほしい、これが心情ではないだろうかと考えますと、私はこの災害については厚生省のお考えは余りにもひど過ぎるのじゃないだろうか、こう指摘せざるを得ないのであります。  いま一つ、この弔慰金制度の中に大きな矛盾を持っていることを指摘したいと思います。それは、この運用に全くといっていいほど、差別、選別すら三百万の中にも存在をしているのであります。例えば、その支給をする場合に条件があります。住居が五世帯以上減失した災害であること、あわせて都道府県内に災害救助法適用市町村一つ以上あったことに限ると実はされております。これで一体、国民の生活を保障し、あるいは生命財産を守ろうとする厚生省なのか。私は、厚生省のお考えが余りにも非国民的じゃないだろうか、この制度運用を見ながらこう感ずるものであります。したがいまして、だれも喜ばない雪のために、地震のためにとうとい命を失うわけでありますし、また犯罪との関係でも、二度と再び起こさせないという意味合いのものも警察、消防の諸制度の中にあるわけでありますけれども、私は、この自然災害と別の見方をされる、しかも段違いに劣勢な御判断では納得できないのでありまして、もう一遍、厚生省の真意を明らかにしていただきたいと思います。
  154. 荻生和成

    ○荻生説明員 災害弔慰金支給法の適用になる場合に、先ほど先生の方からお話がありましたように、一つには、災害救助法適用になったというようなことがございます。それは、そういった考え方に立ちましたのは、自然災害のうちでもある程度以上の規模のものに限定しようという考え方があったところにこのような限定が入っているというふうに考えております。
  155. 木間章

    ○木間委員 限られた時間でありますから、これ以上繰り返しませんけれども、それは余りにも選別し過ぎておいでる、こう断ぜざるを得ません。災害特別委員会の皆さんの御意見等もお聞かせいただきながら、これから厚生省に迫っていきたいと思います。  大体この制度は昭和四十八年に議員立法でできておる。役所はかねがね議員立法諸制度については冷たいのですね。そして、私たちが好みもしない、むしろやめてもらいたいという法律はどんどん押し込んでこられる。今国民が切望しておりますこの種の災害扱いについては本当に冷たいのです。ですから、これからも厚生省に対応を迫っていきたいと思いますが、大臣、結局私の申し上げたいのは、国土審議会で審議をされております、行政分野が本来やるべき仕事はほとんど網羅されておるだろうと思います、中身についてはまだまだ不十分さは持っておりますが。しかし、住生活といいますか、国民生活の内々の問題については全然述べられておりません。したがいまして、これからこれらの基本計画見直し四全総の完成前後にはされるということでありますけれども、ぜひ皆さんの方から積極的にこの審議会に問題提起をしていただきたいと思うのです。あるいはそこで直ちに制度化されるかされないかは別といたしましても、皆さんの方から問題提起をしていただかなければ国民の胸にすとんと落ちるような制度ができ上がらないだろう、こう私は思っておりますので、あえて貴重な時間をおかりいたしましてこの新計画に対する大臣の御決意をただしたいと思っておりますので、簡単で結構でございますから御決意をお願いいたします。
  156. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 ただいま大蔵省並びに厚生省のいろいろの御意見も傍らで承ったところでございますけれども、いずれにしましても豪雪地帯対策基本計画、これは現在、改定後十四年を経過しております。その間、対策も大幅に進展したと思いますけれども、また社会経済情勢も大きく変化してきていることでございますから、この際、基本計画の全般的な見直しを行うという考えでございます。  なお、基本計画見直しに当たりましては、御提案の事項の趣旨も含めまして、根拠法である豪雪地帯対策特別措置法の規定内容を念頭に置きながら幅広く検討してまいる所存でございます。
  157. 木間章

    ○木間委員 最後に一つだけ。  社会経済の変遷、大臣も認識いただいたようでありますが、例えば三八豪雪、五六豪雪を比較いたしましても、私、富山県の出身でございますが、富山県の車両保有台数、三十八年のときには四万台に満たなかったのです。ところが、五六のときに優に十一倍、四十五万台になりまして、今日では五十万台を超えておるのであります。したがいまして、一時期とはいいながらも道路その他が閉ざされてしまうというこの雪の問題、そういったことでぜひ各省庁とも真剣に雪国の心に入っていただく行政をつくり出していただくために、これからさまざまな審議会その他の議論をお持ちのようでありますので、皆さんの方から積極的に提案をいただきまして審議の展開をいただきたい、このことを切に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  158. 馬場昇

    馬場委員長 次に、薮仲義彦君。
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は静岡でございますけれども国土庁長官に絶対やっていただきたくないことが一つだけある。それは、九月一日は防災の日でございますけれども、あのときに国土庁長官が、訓練とはいうものの警戒宣言の発令をなさるわけでございます。あれを聞きますと、静岡県民にとっては非常に心が痛むわけでございまして、長官の時代に地震が起きないようにと、これは長官に願っても無理でございますけれども、祈りつつ、私はこの防災の問題をいつも質問させていただくわけでございます。  警戒宣言が発令になりましてから発災まである一定の時間が、これは巨大地震、マグニチュード八を超えるわけでございますが、あるわけでございます。そのとき、特に日本の大動脈、一号線あるいは東名、名神を初め高速国道、特に高速国道上の車にどのように地震の発災を伝達するか、これは重要な課題で、この問題は私は何回もこの災害委員会質問を続けてまいりました。いずれにせよ、高速国道上にある車は最寄りのインターから平場へ出ていただく、これは非常に重要な安全対策の方法だと思うのです。  そこで、問題になりますのは、大動脈が渋滞しておる、あるいはインター周辺で車がスムーズに出ないということになりますと、これは非常に大きな問題でございます。私はそういう観点から、今心配されるというよりも問題になっております、例えば一号線、私のところでは静清バイパスをつくって一号線の渋滞緩和のために努力してくださっております。建設省は大変な努力をしておられるわけでございますが、これもあと数年、といっても五年以上の長い年数がかかるわけでございます。さしあたって、この一号線は、静岡—清水間というのは慢性渋滞の状態にございますが、特に清水に限って言いますと、私が問題を提起したいのは、今、清水のインターと国道の出入り口、ここのところをちょっと横断面で申し上げますと、これは大臣質問しませんから大丈夫ですよ、建設省に聞きます。一番のピーク時にインターに入るのと出るのの交通量は大体八千台、出入りで合計しますと一万五千台がピーク時にはインターを通過交通するわけです。また、ピーク時に一号線がどうなっているかといいますと、これは横断面でとりますと、大体一号線は四万台、上下入れますと、これは大変だな、四万台の車が通っておるわけでございます、ピークのときですね。  何が一番問題かといいますと、特にラッシュ時にこのように車が混雑したときに、インターへ入ろう、あるいはインターから出ようというところに、特に入る方へ二百メートルぐらい車がつながってしまうわけです。インターからも出にくいし、国道沿いも非常に渋滞がある。発災ということが直ちに起きるわけじゃございませんけれども建設省並びに道路公団あるいは警察庁のそれぞれが御専門の立場で今鋭意検討を加えてくださっていると思うのでございますが、私はこの問題はさしあたって、やはりこのように二百メートルも渋滞長が続くということは非常に問題ではないかと思いますので、この改善をお願いしたいと思うわけでございますが、建設省のこのインターの、地元では通称第二インターと、こういうお願いをしておるようでございますけれども、これに対するお考えをちょっとお聞かせいただきたいのです。
  160. 小林芳夫

    ○小林説明員 清水インターから出てまいります車、それから国道一号線の交通状況、この辺はただいま先生の御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましても、国道一号線と清水インターから出てきますところの立体交差につきまして計画をしておりまして、六十一年度から立体交差の調査、設計、地元との協議といったものに入りたいと思います。そういった協議が順調に調いますれば六十二年度から工事にかかりたい、こんなふうに考えております。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員 地元としては第二インターの設置は大変要求が強いわけでございますし、市長さん初め関係地域の方も非常に熱心でございますので、地域で解決しなければならない問題は一生懸命努力するという姿勢でございますが、大体一年なのか二年なのか、どの程度工事にかかるのか、見通しはおわかりでしょうか。
  162. 小林芳夫

    ○小林説明員 交通量の多い国道一号線を横断した構造物をつくるというようなこともございましておおむね二年ぐらい工事期間はかかるのではないか、こんなふうに考えております。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 警察庁お見えだと思うのでございますけれども、警察庁にちょっとお伺いしたいのは、さしあたって地元としては、今の一号線の東京へ向かう上り線はほとんど車の切れ目がございません。下りの車が右折しようと思いましても信号の間合いが数秒間ということでございまして右折できる車の台数が数台とか限られて、信号の調整についての要望も非常にございますし、これは建設省の方も恐らく、あるいは道路公団が警察庁の方へ御協議はしていらっしゃるかと思いますけれども、おおむね警察庁としてこの問題について、何とか時差あるいは矢印をつけてほしいという要望もございますが、この辺とのような御見解が、お聞かせいただきたいのです。
  164. 中野公義

    ○中野説明員 ただいま先生の御指摘の清水の第二インターのところでございますが、これは道路の形からいいますといわゆる丁字路になっております。現在ここには右折のレーンを百五十メートルほどつけてあるわけでございます。先生から今御指摘のありました信号の方が上りに対しても下りの車両に対しても同時に赤、青になるという形になっております。したがいまして、右折をしてインターの方に入ろうとする車がどうしても一つの群れになって、ずっと来る車の間を縫って右折をしなければならないということになっておりまして、御指摘の渋滞が生じておるということでございます。したがいまして、ここでは時差式の、三現示というふうに私ども呼んでおりますけれども、上りの方の車に対して赤信号を出す、その間しばらくの間は下りの車に対しては緑の信号を出しており、そして右折車両をある程度通過させていく、その後に下りに対しても赤信号を出すという信号の調整をいたして、極力そこでの右折車の通過がスムーズにいくようにしていきたいと思っております。  ただ、今、先生の御指摘のありましたように、この国道一号は一日四万台も通っておるということでございますので、余り右折の方に時間を割きますと——時差の間を何秒ぐらいの時間にするかということにつきましては、国道一号を直進する車両への影響ということも十分考えていかなければならないと思いますが、この処理をいたしまして、今御指摘のように、ここでの渋滞を極力解消するようにいたしたいと思っております。昨日も静岡県警と連絡をとりまして早速その方法について着手をすることにいたしております。
  165. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっともう一点警察庁規制課長にお伺いしたいのです。今、建設省の方と道路公団等が調査機関を置いて早急に解決をしてくださると思うのでございますが、信号についてはなるべく早くという声もございます。いろいろ問題もあって大変かと思うのでございますが、大体いつごろまでに結論を出していただけるかということを、もしもおわかりでしたらお聞かせいただきたいのです。
  166. 中野公義

    ○中野説明員 ここの信号機は管制センターのコンピューターと連動いたしておりますので、若干そのソフトの部分の手当てをすることと、それに伴いまして経費もかかるということがあります。これがちょっとそれの時間ということになってくるわけでございますが、おおむね二カ月前後までには何とかそのようにいたしたい、このように考えております。
  167. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうもありがとうございます。地元にとってはこの清水のインターは大変要請の強いところでございますので、何とかお願いをいたしておきます。  道路ついでにもう一点お伺いしたいのですが、一号線というのは建設省にとっては看板だと私は思うのですね。百何十号線とか何百号線というのは、これは地方道に入ってくるかもしれませんけれども、一号線というのは日本の国の看板だ、建設省の看板道路ですよ、この渋滞は建設省が責任を持っていただかなければ困ります、地方に責任を持たせてもらってはいかぬということは、私は建設委員会で何回も歴代の道路局長にお願いしました。しかし、現実にはいろいろ諸般の情勢もありまして一概にそうは言えないのは我々もわかっておるわけであります。ただ、私が将来心配しますのは、今一号線のバイパスの静清は建設省がやっております直轄でございます。トンネルを越えて、藤枝バイパスはいわゆる一般有料道路でございますから、そこから有料になります。無料で来た車がトンネルを越えると有料になる、同じ一号線のバイパスがこうなるということは非常に不本意である、こういう問題の指摘、その他数多くございますが、きょうはやめておきます。そういうような問題を含めましてこの一般有料道路のあり方というもの、利用率であるとか料金の算定であるとか、これでいいのかという問題は私は絶えず指摘をいたしました。現在道路局で鋭意その問題点を解決しようと努力していらっしゃることを聞き及んでおりますので、きょうはこれはやめます。  ただ、地元として騒音防止の観点から、夜間の利用率を上げるために、現道の騒音を何とか軽減するために夜間の有料道路料金を下げてほしいということで、過去三年間道路公団並びに建設省は問題解決のために御努力をいただいてきているわけでございますが、まだ結論が出ない段階でございますので、地元の声としてはあと一年間この割引を延長する中で、抜本的な解明を努力してくださっていると思いますので、それに期待しつつ、あと一年の割引延長をいかがなものか、私はこう思うのでございますが、御答弁をいただきたいと思います。
  168. 藤井治芳

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  今、先生から御指摘いただきましたように、藤枝バイパス及び浜名バイパスの夜間料金の割引措置につきましては、過去二年間いろいろな観点から試行させていただいております。いろいろな問題がまだ残っております。したがって、私どもといたしましては、本来試行でございますので、もうこの辺でいろいろな本格的な対応をということもございますけれども、いろいろな問題点が残っておるということもございますので、道路公団に対しまして、この四月一日からもさらに一年間試行を継続させながらいろいろな検討をするようにということで指示をいたしているところでございます。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 それは大変に結構でござ、いますので、あと一年間で道路局のすばらしい検討結果が出ることを期待いたしております。  そこで、もう一度警察庁にお伺いしたいのですが、私はきょうは細かいことはやめますけれども、今、有料道路課長が浜名バイパスの例をお引きになられたわけでございますが、浜名バイパスは当時スピードが六十キロ、七十キロという段階を経て現在八十キロまでなっておるわけでございます。やはりお金を払った道路が現道と同じような、例えば五十キロあるいは六十キロ制限というと余り料金に対するスピードのメリットがないわけでございまして、警察庁の方で浜名バイパスのスピードをアップしていただいた、このことは即利用者の方へはね返ってまいりまして、利用率の増という結果が出ているわけでございます。しかし、藤枝バイパスが今必ずしも完全な道路構造にはなっておらない。八十キロの道路構造ということで設計をしてつくっていただいておるようでございますが、この藤枝についてもスピードアップということはやはり利用者の重要な条件になるのではないか、こう思いますので、将来、藤枝バイパスが完成といいますか、完全な道路供用というような段階になったときに、このスピードについても十分検討をしていただけないかどうか、この辺いかがでございましょう。
  170. 中野公義

    ○中野説明員 藤枝バイパスでございますけれども、これは完成された暁には中央の分離帯ができまして、片側二車線という道路になってまいるのでございますが、現在は全部完成をいたしておらず、その片側の二車線の方を一車線ずつ使って運用、供用をしているという状態でございます。やはりスピードという問題については危険が伴ってくる問題でありますので、完成の暁には八十キロということになっておりますが、その危険性を考えまして現在は六十キロということで運用をしておるわけでございます。私どもの方は、何よりも安全の確保ということでございますので、これからの道路整備の過程でそうした安全面についてのいろいろな措置がとられていくということを踏まえつつ、今、先生の御指摘の速度を上げていくという問題についても真剣に、前向きといいますか、上げる方向で検討をしてまいりたい、このように考えております。
  171. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは本当は長官にほかの問題でもっとじっくりお聞きしたかったのですが、もう時間がございませんので、先般、私が建設委員会長官に防災マップの作成についてお願いしたところ、長官は六十一年から本格的に取り組んでくださる、力強い御答弁をいただいて、私非常に感激をしておるわけでございます。  というのは、長官も御承知のように、ことしは国際平和年に当たるということで、政府が記念事業として日本の国で地域防災国際会議を開かれますね。国土庁はやはりその中心の官庁であろうかと私は思うのです。開かれるのは東京、そして私の地元の静岡、名古屋でございます。ここで何が語られるかというと、大災害というのは人命が失われるだけではなくて、住宅や道路、鉄道、社会資本が破壊される。これはもう大変な経済的な損失になる。ですから、こういう問題をむしろ前向きに取り組んでいって、防災の観点から、発災してから後救援というのではなくてやろうという会議と私は承っております。しかも、この災害発生のメカニズムを明確にして何とか予防的な行事に、公共事業等も先行的にやっていこうということを伺って私は喜んでいるわけでございます。  長官は御出身が福岡でございます。これは気象庁の注意報、警報の出し方でございます。これから台風シーズンでございますが、どういうときに大雨洪水警報が出るかといいますと、気象庁は、一時間当たり五十ミリ以上、三時間で百ミリ以上、二十四時間で百五十ミリ以上雨が降りますと大雨洪水警報を発令します。このピンクの色が警報です。こっちの黄色いのが注意報です。気象庁だけがお出しになったときに、どこの河川がはんらんするのか、どこのがけが危ないのかということは必ずしも明確にならない。ですから、そういう意味で、関係省庁の持っている貴重なデータを集めて、国土庁長官が中心になって、すばらしい防災上の地図といいますか、そういうものをつくって対応していただきたい。  きょうは、本当は、時間があれば、国土庁長官に御理解いただこうと思って私はここに気象庁、建設省、農水省、林野庁、通産省工業技術院、環境庁、全部来ていただいたのです。もう時間がないからやめますけれども長官、これはアルメロの被害想定図です。上が想定図で、下がそのとおりアルメロが被害を受けた写真です。これは御存じだと思うのです。このように被害というのは明確に想定されたとおりのことになっている事実がございます。  次の写真ですが、これをなぜ持ってきたかといいますと、これは農水省の資料なんです。長官が長年いらっしゃった農水省でも、これは地域に存在する資源をどう有効に活用するかという有効利用の方ですが、逆に、裏を返しますと防災に使えるのです。この写真は何を意味するかといいますと、地下水の河川への流出はどうなっているかなど、いろいろなことがわかるのです。これは農水省の資料ですよ。農水省は資源の有効活用のためにこういう資料をつくっています。これを裏を返すと、河川のはんらんの可能性であるとか地質の透水性であるとかがわかり、防災に役立つのです。  先ほども申し上げたように、福岡でも植生図があれば、その植生によって何ミリの雨でどの程度保水能力、湛水能力があって、下流までどのくらいで水が来るか、こういうことも気象庁だけではおわかりにならない。もしも建設省が持っているすばらしい——建設省はすばらしいデータをたくさん持っているのです。浸水の実績図とかあるいは河川がどの程度ではんらんするかというのは持っております。  きょうはもう時間が来ましたからやめますけれども、農水省も山腹崩壊危険地区あるいは崩壊土砂流出危険地区といろいろな資料を持っていらっしゃって、きょう関係省庁に応援してくれますかと聞こうと思ったのです。気象庁さん、それから長官のもといらっしゃった農水省、まさか反対しないと思うのです。応援してもらいたいのですよ。それから、杉岡防災局長がいらっしゃった建設省。これは賛成するか反対するか、一言ずつ聞かしてもらおうと思うのです。それから、通産省、環境庁。環境庁だって植生図を持っているし、地盤沈下を持っている。通産省の工業技術院は活断層を地質調査所できちっと持っているのです。こういうのを集めてくれば立派なものができるのです。各省庁が、山崎国土庁長官が防災マップをやろうとするときに、その趣旨に賛成するか反対するか。また、きょうは自治省もお見えだと思うのです。国土庁がしっかりやりますと、地域防災計画をやっている自治省は非常にやりやすくなると思うのですが、自治省の御見解。  それぞれ簡単に、応援するかしないかだけ言って、自治省さんまでいって終わりにしたいと思います。
  172. 新田尚

    ○新田説明員 防災マップの作成は、防災上有効なものと考えられます。賛成でございます。
  173. 船渡清人

    ○船渡説明員 お答えします。  農林水産省といたしましてもできるだけの御協力をしてまいりたい、このように考えております。
  174. 島弘志

    ○島説明員 協力するにやぶさかではございません。
  175. 帆足建八

    帆足説明員 賛成いたします。
  176. 西田哲平

    ○西田説明員 防災に関連する情報として環境庁が保有しているのは、先生指摘のとおり、地盤沈下に関するデータ、それから現存植生図などがあります。国土庁から要請があれば、環境庁としても資料の提供など必要な協力をしてまいりたいと思います。
  177. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう時間ですから。長官、これだけ協力していますから、しっかりやっていただきたいと思います。一言、しっかりやると言ってください。
  178. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 ただいま伺っておりますと、関係各省庁から、皆さん御賛成の意思の表明がございました。実は私も土木屋でございますから非常によくわかるわけで、特に、マップになります、図面になります、絵になります、これが文字やら声よりも一番明瞭にわかることでございますから、特に民主主義の世の中でもありますし、これだけの御賛成があって国土庁が先頭に立ってやらないはずはございません。  以上、お約束申し上げます。
  179. 薮仲義彦

    薮仲委員 ありがとうございました。
  180. 馬場昇

    馬場委員長 次に、滝沢幸助君。
  181. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長、御苦労さまです。長官、御苦労さまです。  私は予算委員会の分科会でもお伺いをいたしましたが、国土庁におかれては日本の全領土に、いわば全国土に人口はどのように分布されることが望ましいとお考えなのか、せんだってお伺いしましたら、余りはっきりしませんでした。そういう理想図は持っていらっしやるのかどうか、ちょっとお伺いします。
  182. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答え申し上げます。  日本の経済の成長、いろいろな段階がございましたが、今日はよく言えば安定成長、言い方によっては低成長時代でございますけれども、特に高度経済成長の時代の過程で、地方圏から大都市圏へ大量の人口移動があったことはもう御承知のとおりでございます。そこで、大都市圏におきましては居住環境が悪化いたしましたし、防災性も低下いたすなど、また一方、地方圏において地域活動の低下などもございまして、さまざまな問題が生じてまいったと認識いたしております。  特に近年の状況を見ますと、大都市圏への人口集中は、今徐々に鎮静化いたしておるところでございますが、一方、三全総によります人口の定住が地方の方に進展しておるところでございます。さらに、安全な国土づくりを行う上でも、国土の均衡ある発展が重要であると認識いたしまして、そのための諸施策につきまして、現在次の四全総政策の策定という作業におきまして十分に検討いたしておるところでございます。
  183. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 つまり、人口の適正分布図、こうあることが望ましいという将来設計はまだ持っていらっしゃらないということですね。
  184. 星野進保

    星野政府委員 ただいまの御質問でございますが、現行の計画は第三次全国総合開発計画でございまして、その第三次全国総合開発計画におきましては、先生多分御案内だと思いますが、大都市の人口抑制、地方振興ということを言いまして、定住構想というスローガンを掲げまして、人口の目標値というのを掲げております。それは、大都市圏とそれから地方圏におきますそれぞれの人口について、こうあってほしいという形の人口の、ブロック別でございますが、数字を提示しているところであります。  それを今度、ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、第四次全国総合開発計画で、その定住構想という考え方を受け継ぎつつ、第四次全国総合開発計画としてどのようにこれから表現していくかということにつきましては、現在検討中でございます。
  185. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 しからば、その分布図はどの程度の精密さをもって、いわば細かさをもって区切っていらっしゃるのか。地方別とおっしゃいました。どのようなことですか、地方というのは。
  186. 星野進保

    星野政府委員 先生御案内だと思いますが、東京圏であるとか東北地域であるとか、あるいは中国地方であるとか、あるいは北海道、九州地域、通常考えられております、ブロック別と言っておりますが、ブロック別で示しておりまして、特に東京圏につきましては一都三県、東京、千葉、埼玉、神奈川というのを特掲しておるところでございます。
  187. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 私は先日は自治大臣に対して、市町村合併、あの総理大臣の強力な勧告をも含めて強行されまして以来三十年、各市町村におきましてはそれぞれ祝賀会等を持っていらっしゃる。私は何カ所も出席をいたしましたが、その所期の目的を達しておるかどうかという反省は、寡聞にして聞かないのであります。私は、今おっしゃる大きなブロック別で、東北地方にどのくらい人口があることが望ましいなどというのは設計などというものじゃないと思うのですよ。同じ東北地方六県、これはまるで国鉄の分割・民営案みたいな話で、それはちょっと大ざっぱ過ぎる。同じ東北地方の中に過疎地、過密地があるんじゃありませんか。三十年にして、市町村合併の当初志した人口の状況はいかに変化しているのか。つまり、あのとき奨励の意味で三万にして市ということにすると言いました。それは将来四万、五万になるという想定じゃありませんか。それが今、二万数千という市もたくさんあることであります。私の会津の金山町のごときは、当時一万二千と言われたものが今四千を割っているわけであります。それでもそれは町であります。何か聞けば、町と村の人口の標準はないんだとおっしゃっておりますが、何が町で何が村かといいますと、全くまちまちな話であります。  そこで、今私は、国があれだけ鳴り物入りで市町村合併を実現しまして、以来三十年、そのことについてきちんとした反省を持たないのはけしからぬと申し上げさせていただきます。  今ここに私は反省しますると、人口の過疎過密、これを比較してみました。ものすごいものであります。つまり、過疎地、過密地、そして北と南、南北問題ですよ。日本はまるで南北問題です。そして、イメージとして明るい地方と暗い地方。そして、裏日本、そして太平洋、表日本。寒い地方、暖かい地方。そして、西に厚く東に冷たい政治の恩典であります。あるいはまた、農山村といえば、こっちは工業都市でしょう。  いいですか、国土庁長官、坪一万円にも満たない国土があれば、私の町では二百坪からあるお屋敷の人が老齢に達して東京の息子のところへ行きたい、ついてはこれを百万円で買ってくれと言ったけれども「だれ一人買わずに、そのまま家の門をくぎづけにして出てきました。空き家がたくさんございます。しかし、一方、土地問題としていつも言われているものが、何とか駅前が、銀座がどうとかいうのでしょう。坪万百万、一千万円という土地が同じ国土であるのですよ。そしてまた、一方は職業がない。東京にいる青年はうちに帰りたい。けれど、ふるさとには職場がないじゃありませんか。しかし、こちらは、仕事場はあるけれど、例えば東京の零細中小企業のごときは、求人難ということになっていますね。数えれば切りはりない、全く明暗の格差があるわけです。  こういうことを思いますると、これをいかにして調整するかということこそ国土計画の最たるものではないかと私は思うのでありますが、長官、いかがですか。
  188. 星野進保

    星野政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、私ども全国総合開発計画というのは、今策定中のものを含めまして四回目になるわけでございますが、今までの全国総合開発計画が行ってきました基本目標というのは、まさに先生から今御指摘があられましたように、過疎過密をいかに解消していくか、それから所得格差が生じておる、あるいは最近におきましては所得格差のみならずいろいろな意味の生活の利便性の格差、そういったようなものにつきましていかに全国土が均衡していくかということを目的といたしまして全国総合開発計画というのを策定してまいったわけでございます。もちろんその効果につきまして、高度成長期にはある意味では人口の集中の速度が非常に速かったわけでございまして、そういうことで計画をいたしたとおりにはなかなかまいっていないわけでございますが、先ほど大臣も御説明申し上げましたように、五十年代、安定成長期になってまいりますと徐々に人口の定住という方向が見えてきておるわけでございますので、私ども今度第四次全国総合開発計画におきましてはより一層そういう傾向が定着するように諸般の政策を考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  189. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 つまり、今のような大ざっぱな人口密度の設計ではなくて、きめ細かいものをおつくりになりますね。つくらずんばやまぬものを持っていていらっしゃってよろしいと私は思うのです。  続けさせていただきます。  ところで、ここは災害特別委員会でございます。その立場において物を考えますと、先般は新潟能生町のあの悲惨な災害であります。つまり、裏日本、寒い地方、過疎地、農山村、そして政治の恩典に浴せざるところにおきます災害はあのごとく雪害であり、また地すべりでありしますね。ところが、これに対して手だてがないじゃありませんか。つまり、私が申し上げたいのは、それぞれのうちを持っていらっしゃる、しかし寝たきり老人が一人でお住まいのうちもある、女の方だけのおうちもたくさんある、そして大事な家の柱が出稼ぎをしていらっしゃるうちも枚挙にいとまがない。さっき申し上げたとおり、もう既に門をくぎづけにしてこの数年間お住まいにならぬといううちは大変な数に達しております。  ここでどうしてうちをつぶさないでおけるのです。自分のうちの除雪ができない状況じゃありませんか。それなのに、大蔵大臣にたびたび私はお尋ねをしましても、雪おろし作業をどうするんだ、そのときに雪おろし作業に苦労した費用というものは税制面で配慮できないかと言うと、領収書をお出しくだされば五万円の足切りをもって雑損控除を認めますと言うでしょう。今雪国に行きまして、雪おろしのために人様を賃金を払ってお願いできるような状況じゃありませんよ。みんな自分のうちで精いっぱいなんです。これに対して領収書のないのはだめだと言うだけで答えになるでしょうか。災害という面においてとらえればこのとおりです。これがいわゆる恵まれざる過疎地の、裏日本の、雪国の、北の、東の課題です。  逆に考えるならば、恵まれた地方、明るい地方、暖かい地方、南の、西の地方におきまして問題は何ですか。これは公害じゃありませんか。そして、交通災害でしょう。そして、住宅難という問題です。  片っ方は空き家で困っておれば、片っ方は住宅難で困っておるわけです。これほどの差があるわけです。これを災害という立場にとらえて物を考えますときにも、とにかくこの過疎地に若人が帰ってくるための大胆な政策展開がなければ日本は崩壊する、私はこういうふうに憂えるものでございます。長官、いかがでしょうか。
  190. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 ただいまの豪雪地帯の問題、本当に深刻であることを、私は先般新潟能生町の雪崩現象を現地に参りましてつぶさに視察いたしまして、また調査もいたしまして承知したわけでございますが、特に豪雪地帯、過疎化や高齢化が進んでおりまして、お年寄りが屋根に上がって高いところで危険を目の前にして除雪しておられるお姿も拝見してきまして、これは何とか手はなかろうかと深刻に考えたわけでございます。  しかし、こうした問題に対しましては、行政だけでなしに、住民と行政が一致いたしまして地域ぐるみで雪にかっていく、克雪活動ということをしていただくことが大事でありますが、現在、克雪生活圏整備事業というものや特別豪雪地帯集落防雪体制整備事業、これをモデル事業として実施しているところもございまして、これをだんだん拡大してその波及効果をぜひとも地域に普及したいという考えが私の現在考えている一つでございます。
  191. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 そこで、一つの提言がございます。これは実は日本人、満二十歳になれば成人式。何か三十万円のお召し物を着て二万五千円の記念写真を撮ってワインで乾杯、ケーキでお茶ということだそうであります。いかに無意味なことであるか。私はここで何も徴兵制度をしけと言っているわけではありません。満二十歳に達したならば、すべての青年男女は一年間国家社会に奉仕をするものだ、青年奉仕隊でも青年協力隊でもいいでしょう。そうして、この人たちに、例えば公園のお掃除にしても、あるいはまた道路の簡単な整備ないしは交通の整理、何でもいい、そういう奉仕活動をさせるとともに、朝五時なら五時、六時なら六時になったら全部日本じゅうの二十の青年は起きる、そして一緒に歯も磨けば生活訓練もするということをしませんと、もうここ十年ほど私は朝食を食べたことない、私は二十年間午前中は起きていたことありません、午前二時まで寝たことありませんみたいなこと。そして、敬礼もできなければお葬式に行ってみると御焼香もできない青年がたくさんいますよ。こういうことで、戦争と言いませんが、いざというとき、例えば水害、地震というときにどうして一緒に退避し、あるいはまた防災活動に当たることができますか。  私はこういうことを考えますと、一挙に日本じゅうの青年全部と言いません、とにかく長官の御決意で今できることは、行政の指導のもとに、行政の提唱のもとに、民間の協力を得て、除雪隊というようなものを結成して、この村の雪は我々で守ろうやというものを結成することができると思うのです。こういうものがありませんと、とても隣の雪までは、今高いところに上ってとおっしゃいました。私のところなんか只見線の横田駅というのですが、おりますと、私の頭よりもまだ雪が高いですよ。きょうも電話したら雪が降っていますよ。ですから、私のところでは高いところに上がって雪おろしではありません。低いところから高いところにうちの屋根の雪を上げなくてはならないのです。こういうことになっているときに、あなた、どうして八十、七十という老人が、いや、うちのところはやっとこ掘り出したけれどもお隣の寝たきり老人のうちを掘り出さなければならぬというようなことを思ってもできないではありませんか。  そういう意味で、私は長官の提唱があればこれは市町村の協力のもとに除雪隊の編成ということができようと思うのでありますが、いかがなものでしようか。
  192. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 初めて承ったお説でございますけれども、これは非常に精神的にも肉体的にも若者を鍛え上げるという意味、二十一世紀に向けていずれはまた我々の後を継いでもらわなければならぬ連中ですから、現時点のような甘えた暮らし方では私も難しいと思っておりますから、ボランティア活動として大変立派な御発想と敬服いたしております。
  193. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 十分に議論ができればいいのですが、二十分の時間だけですからこれで失礼させていただきます。  委員長大臣、御苦労さまでした。
  194. 馬場昇

    馬場委員長 次に、津川武一君。
  195. 津川武一

    津川委員 国土庁は、豪雪地帯対策特別措置法に基づく豪雪地帯対策基本計画見直しを進めていると聞いております。私は、積雪期の交通確保について、現行計画では国道や道府県道など幹線道の除雪による交通確保を強調しておるが、必要なのは市町村道住民生活道路であり、今後市町村道住民に身近な生活道路、歩道の除雪対策についてもぜひ課題として考えなければならないと考えておりますが、長官の御答弁をいただきます。
  196. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  現在の豪雪地帯対策基本計画は、昭和四十七年の改定後約十四年を経過いたしております。その間、道路除雪を初めといたしまして各種の対策は大幅に進展いたしておりまして、現在では四十七年改定時の状況から大きく変化を来しておるところでございます。さらに、道路除雪につきましては、四十七年改定時の幹線道路の除雪から、市町村道等の生活関連道路にまで及んでおりまして、住民道路除雪に対するニーズも高まりつつあるので、そうした現状を十分考慮しながら幅広く検討いたす所存でございます。
  197. 津川武一

    津川委員 ぜひひとつ生活道などにも普及するように重ねて要請して質問を進めます。  ことし、青森県は三年続きの豪雪に見舞われました。特に県都の青森市は、最深積雪量が史上三位、累計降雪量では十二メートルを突破し、戦後では最高になりました。それだけに雪との闘いは深刻で、青森市の除排雪費用は当初予算の九億円を軽く突破し、二月末で十六億五千万円と史上最高になっております。県内六十七市町村除排雪経費の見込みは五十億円。国県道分を加えると、県全体で五十八年度の七十一億円を突破することは確実になってまいりました。青森市の除排雪作業のすさまじさについては二月十六日、テレビでも紹介され、私自身も市を訪ね、実情を聞いてみました。  そこで何といっても訴えられたことは、これだけ除雪経費に金がかかると市の財政はパンクしてしまいます、国の援助をもっと強化してほしい、こういうことであります。政府は三月十四日に、今年度の豪雪に対する財源措置を講じたようだが、市町村道については幹線道路にしか特別補助を出さない。そのために青森市の場合、今回の臨時特例措置の対象となるのは、十六億円使ったお金のうち約二億円。しかも、補助率が五割だから、実際市に来るのは一億円だけでございます。幹線道路だけでなく、住宅地の生活道路除排雪について市では責任を持ってやっておりますから国の援助もそこに目配りしてほしい、これが市の関係者、市民の同じ声でございました。雪寒道路法に基づく補助、臨時特例措置としての補助を生活道路まで拡大すること、このことがことしの豪雪で今痛切に感じられたわけでございます。いかがでございます。
  198. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  市町村道の除雪費につきましては、通常は普通交付税措置されておりますし、豪雪の際につきましては特別交付税措置する道も開かれております。全国的な豪雪になりましてこういった措置では賄い切れないというときに初めて一般会計予備費から臨時特例の措置といたしまして幹線市町村道に対しまして補助するということになっております。先生指摘のとおり、今年度もそういった状況になりまして、過去四回そういう臨時特例の措置を講じてまいったわけでございますが、今冬も臨時特例の措置といたしまして幹線市町村道につきまして補助いたしたわけでございます。
  199. 津川武一

    津川委員 それでは、もう一回国土庁にお伺いしますが、皆さんのことしの三月十四日に出した財源措置生活道路に対する対策に欠けておるわけでございます。この措置生活道路まで広げていただかなければ国民のニーズに合わないと思いますが、国土庁、いかがでございますか。
  200. 杉岡浩

    杉岡政府委員 今回、三月十四日に除排雪財源措置を講じたわけでございますが、まず市町村道につきましては、従来は普通交付税によって積算されておるということで、それによるわけでございます。すなわち、通常の雪の場合は普通交付税でございます。ただ、通常の雪よりももっと多い大雪があった、豪雪があったというときは特別交付税が配分されまして、そういった生活道路除排雪も含めまして市町村道除雪経費等はそれで賄われるということで特別交付税の配分が行われるわけでございます。  ところが、さらに、それが異常な豪雪ということになりますと、普通交付税及び特別交付税では足らない、したがって、幹線の市町村道につきまして補助制度を特例に開くということでございます。五十二年の豪雪、五十六年あるいは五十九年、六十年と過去四回の豪雪に対しましてそういった措置をとったわけでございますが、今回も相当の異常豪雪ということで、従来の普通交付税特別交付税に加えまして、幹線の市町村道について特に経費がかかるということで市町村道の除雪費の特例補助を出したということでございます。そういったもろもろの経費でもっていわゆる都市内の道路除排雪というものの財源措置がなされたというふうに我々は考えております。
  201. 津川武一

    津川委員 次に、青森市の場合、機械による除排雪がほとんどでありました。一冬十数億円お金を使って雪を捨てにかかっております。これを毎年繰り返してきました。お金を使ってでも除排雪するということは市民生活にとって絶対に必要ではありますが、その使ったお金が次の年に防災、防雪の役に立っていないのでございます。もったいない話でございます。除排雪に使ったお金が次の年、防災、防雪施設として残る、次年度からの除排雪費を少なくする、そういうふうにならないか、金の使い捨てにならないように、そういうことが今度がなり大きく皆さんから叫ばれてきたのでございます。  そういう立場から、青森市などでは、豪雪地帯の都市で、全国でもやっておりますけれども、青森市では幾つかの流雪溝や消雪施設を積極的にやっております。その一つは、地下水をくみ上げて排雪をして、その地下水をまたもとのところへ戻しております。もう一つには、ロードヒーティングをやって、ヒートポンプをつくって除雪しております。こういうところは二カ所ありました。温泉の湯を使って消雪しているところが二カ所ございました。さらには、造道というところでございますが、ここではアメニティー下水道という言葉でやって、下水道で温まっている水で解かして捨てているという。そして、最も大規模だったのは青森駅の操車場。ここでは川から水を上げて、ため池を三つつくって、池の上の水を上げて、そして、それを消雪溝に流して別の川に捨てているという、こういうことなのでございます。  この中で、特に私はアメニティー下水道は非常に感心しました。こういう施設について豪雪地帯では国が年次計画をつくって計画的に建設する必要があると思うのです。こうすると、使ったお金は次々除排雪費を少なくしていく。この点で政府考えを聞かせていただきたいのです。  また、積雪寒冷地域道路交通確保五カ年計画には、側溝整備、流雪溝整備などの事業も入っているようだが、幹線道路中心で、ここでも住宅街路などは含まれていません。この点でもやはり生活道路を含むように雪寒道路法をもう少し進めていただきたい、こうでございます。  この二点、お答え願います。
  202. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  まず、アメニティー下水道のことでございますが、現在建設省におきましては、豪雪地帯におきます積雪の速やかな排除といたしまして、下水処理水を導水いたしまして都市下水路でございますとか公共下水道の雨水渠に水量、水深を確保いたしまして流雪、融雪機能を持たせるためのモデル事業といたしまして昭和六十年度に創設された事業でございます。今後ともこの事業の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、雪寒事業の拡充でございますが、現在雪寒道路事業につきましては、除雪事業、これにつきましては県道以上について実施いたしております。それから、防雪、それから凍雪害防止事業につきましては、市町村道のうち重要な役割を果たします幹線市町村道以上の道路におきまして事業を実施いたしております。  ところで、市町村道全般でございますけれども、これは先生御承知のように、膨大な延長になっておりまして、これを一律に事業を実施いたしますということは財政的に非常に困難でございますし、また効率的ではないというようなことから、私どもの方におきましてはこの幹線市町村道を選定いたしまして、優先的に事業を実施しているという状況でございます。今後ともこの方針に基づいて実施してまいりたいというふうに思っております。
  203. 津川武一

    津川委員 市町村道の幹線だけでなく生活道についても、ことしみたいな豪雪があって二ードが高くなれば考えてくれる、こういう意味でありますか。もう一度ひとつ。
  204. 寺田章次

    ○寺田説明員 先ほど申し上げましたように、市町村道の除雪と申しますのは機動的、弾力的に実施するのが望ましいというようなことから、通常の雪につきましては普通交付税豪雪になりますと特別交付税といったようなことで措置されるということになっておりまして、それを超えるような、要するに交付税では措置ができないといったような状況になってまいりますと、臨時特例の措置といたしまして一般会計予備費から幹線市町村道につきまして除雪費を補助するということになっております。今後ともこういった方針によりまして対処してまいりたいというふうに考えております。
  205. 津川武一

    津川委員 時間もなくなりましたので、豪雪によるリンゴの被害、一括して質問申し上げますから、一括して答えていただいても結構でございます。  ことしの豪雪、農産物特に矮化リンゴに大きな被害を与えております。  先日、藤崎町のリンゴ畑、伊藤さんといううちですが、行ってみました。県では、平均積雪量百五十センチを超えるところでは矮化は適さないと指導しておりますが、この藤崎町では平均九十センチということで矮化のリンゴを植えたのです。ところが、ことしは百七十センチの積雪で、例年の倍、枝がかなり折れて被害が六割地域に及んでおります。  伊藤さんたちは、数年前に稲転の永年転作として矮化リンゴを導入したもので、転作案件整備の補助金のほか近代化資金、土地改良資金など借金をしました。現在十アール平均で四十二万六千円残っておると聞いております。  そこで、こうした農家の借金に対して償還猶予とか延期とか、条件緩和の措置をとる必要があると思いますが、どうか。これが一つ。  二つ目には、今回の被害を見て改めて感じましたが、青森県のような豪雪地帯において、矮化栽培については検討し直さなければならないんじゃないかと思うわけであります。これがどうか。  同時に、現在行われている矮化、切り捨てるわけにもいきませんので、雪に強い矮化栽培の仕立て方、つくり方を指導しなければならないと思いますが、この点いかがでございます。  もう一つ、伊藤さんたちはこの際支柱を丈夫なものに取りかえて、下枝の高さを高くして雪の被害に遣わないようにしたい。そのためには十アール当たり十五万円ばかりかかる。これに対して農業改良資金など無利子なり低利の制度資金が欲しいというのでございますが、これは提供してくれますか。  もう一つ豪雪のときにはリンゴの茎をネズミが食べてしまいますので、皆さんが周りを踏んでネズミが来ないようにしておりますが、根本はやはりネズミの駆除というものを豪雪地帯の矮化地帯でやらなければならないと思いますが、この四つ、続けて答えていただきます。
  206. 吉國隆

    吉國政府委員 お尋ねのございました四点につきましてお答え申し上げます。  まず、現在借金をしている人が被害を受けたという場合の償還条件の緩和、猶予等の措置でございます。  これは一般的に申しまして、被害を受けた農林漁業者等につきましては、実情に応じまして、貸し付けされております制度資金の償還条件の緩和について弾力的に措置をするよう関係の金融機関に対して常日ごろ指導してきておるところでございます。今次の災害につきまして、目下被害状況はよくわかっておりませんけれども、実情に応じまして適切に措置されるように努力してまいりたいと思っております。  第二点の矮化と雪の関係でございますが、御指摘のような問題がございますので、積雪が多い場合におきます営農上の指導といたしまして、例えば積雪前に勇定を行って枝を短くしておくとか、あるいは夏のうちに、交差分枝処理と呼んでおりますが、枝を反対側に曲げまして、バネの力で雪解けのときに雪に耐える力を持たせまして枝が裂けるのを防止する、そういったような幾つかの技術がございますので、こういった点につきまして、積雪の多い県でも御指導しておられるところでございますけれども、国といたしましても、ことしも春夏作の技術指導におきまして必要な技術指導を行っておるところでございますが、今後とも適切な指導に努力してまいりたいと思っております。  それから、下枝の高さの調整という問題でございますが、この点につきましては、技術的な問題として、収量との関係もございますので、一般的に指導することが適切かどうかという問題が一つございますが、資金との関係につきまして、無利子の改良資金等を使えないかというお尋ねでございますが、この改良資金の中に設けられております資金は、品種更新でありますとか品質向上という見地から設けられておる制度でございますので、災害対策というような見地から適用することには難しい点があるということを御了解いただきたいと思います。  それから、ネズミの駆除でございますが、これにつきましても幾つかの技術上の対策があるわけでございまして、根雪の前に殺鼠剤による防除を実施いたしますとか、あるいは金網等によって樹幹を被覆して保護するとか、忌避剤を塗布するとか、また、二月以降雪が緩んでまいりましたときにネズミの通路ができるということでございますので、雪の踏み固め等によりまして樹幹を守る、そういったような対策が幾つかございます。  青森県におきましてもこういった面について農家に指導しておられるところと承知をいたしておるわけでございますが、野鼠対策につきましては農家の努力ということもございますので、関係県を通じまして今後とも適切な指導に努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  207. 津川武一

    津川委員 終わります。
  208. 馬場昇

    馬場委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十三分散会