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1986-04-14 第104回国会 衆議院 建設委員会地方行政委員会大蔵委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月十四日(月曜日)     午前十時開議 出席委員  建設委員会   委員長 瓦   力君    理事 谷  洋一君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君 理事 平沼 赳夫君    理事 中村  茂君 理事 山中 末治君    理事 新井 彬之君 理事 西村 章三君       池田 行彦君    榎本 和平君       國場 幸昌君    浜田 幸一君       東   力君    村岡 兼造君       森田  一君    山岡 謙蔵君       井上  泉君    上野 建一君       前川  旦君    山花 貞夫君       瀬崎 博義君    中島 武敏君  地方行政委員会   委員長 福島 譲二君    理事 糸山英太郎君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君       臼井日出男君    細谷 治嘉君       宮崎 角治君    藤原哲太郎君  大蔵委員会   委員長 小泉純一郎君    理事 笹山 登生君 理事 中村正三郎君    理事 野口 幸一君       越智 伊平君    東   力君       山中 貞則君    山本 幸雄君       伊藤  茂君    中村 正男君       薮仲 義彦君    正森 成二君       簑輪 幸代君  運輸委員会   委員長 山下 徳夫君    理事 小里 貞利君       関山 信之君    梅田  勝君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         運 輸 大 臣 三塚  博君         建 設 大 臣 江藤 隆美君         自 治 大 臣 小沢 一郎君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       小粥 正巳君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君         海上保安庁次長 岡田 專治君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設省建設経済         局長      清水 達雄君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省河川局長 廣瀬 利雄君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 渡辺  尚君         自治大臣官房審         議官      石山  努君         自治大臣官房審         議官      持永 堯民君         自治大臣官房審         議官      渡辺  功君         消防庁次長   井上 孝男君 委員外出席者         警察庁長官官房         審議官     広谷 干城君         国土庁大都市圏         整備局総務課長 佐々木 徹君         林野庁指導部治         山課長     船渡 清人君         通商産業省立地         公害局立地指導         課地域振興室長 長田 直俊君         消防庁審議官  山越 芳男君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     戸谷 是公君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  東京湾横断道路建設に関する特別措置法案  (内閣提出第二四号)      ————◇—————
  2. 瓦力

    ○瓦委員長 これより建設委員会地方行政委員会大蔵委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出東京湾横断道路建設に関する特別措置法案を議題といたします。  本案の趣旨説明につきましては、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今回の東京湾横断道路建設されるための法律案、その法律的な効果について二、三点御質問申し上げたいと思います。  第一に、建設大臣にお聞きをいたしますが、最近、民間活力政府の施策の中に取り入れようということでいわゆる民活事業というものがたくさん行われているわけでございますが、私は、公共的な施設に対する民間活力利用の仕方は、さまざまな角度から検討を加えていかなければならないのではないかというような気がして実はならないのであります。特に公共施設といいますと、いわば利益中心とする施設ではありません。したがって、国なり地方団体なりが、それぞれ国民のためのないしは地方住民のための諸施設をつくり上げるということが基本にならなければならないわけでありますが、どうも最近そういう公共施設民活という名の利益誘導をもたらすような民間資金の投入と同時に営業としての事業活動が展開される、そういう憂いを持たないわけにはいかない事象が幾つか見えるわけでございます。  今回の東京湾横断道路にいたしましても、法案に示されておりますように、民間資金を導入してこの膨大なプロジェクト計画を完成させよう、こういうわけであります。地方、なかんずくこういう公共施設に対する民間活力のあり方、これからさまざまな投資が行われるわけでありますから、大臣基本的な考え方といいましょうか、あるいはこうあるべきだという姿などを大臣構想としてどういうふうにお持ちか、まず御見解をお承りしたい、こう思います。
  4. 江藤隆美

    江藤国務大臣 今国会の予算委員会におきましても、人によっては、有料道路あるいはまた長大トンネルその他公共事業でなかなか実施が進まないものについて、もっと民活を、ひとつ民間に任せてやったらどうかという御意見も実はあったわけでありますが、今回の東京湾横断道路というのは先生も御承知のように、総経費が一兆一千五百億かかる。これを十年でやっていこうということになりますと、財政的に国が緊迫した中でやるということはできない。したがって、民間資金力あるいは経験技術、あらゆるものの協力もいただき、また、地方公共団体の御協力もいただいて、そしてこの大事業をなし遂げようというものでございます。  しかし、私はこのことについて一つ考えることがあるのです。民間企業参加をいたしますけれども、この事業参加することによって一もうけしようなどという、そういう魂胆を持った企業には参加してもらいたくないと私は思っているのです。これだけの世界的な力を持った日本経済界でございますから、国の財政が緊迫したときに、国と一緒になって後世に残す一つの大きな目的を達成するために自分たちもひとつ損得損得抜きというわけではありませんが、そういうことは抜きにして自分たち協力できるものは協力しようではないかという考え方があっていいのではないか。そういう方々に参加してもらって一緒にこういう事業をやってもらいたい、実はこういう気持ちがいたしております。したがいまして、これに類するものが今計画されておるわけではありませんけれども、今後このようなものがあるとするならば、今回のことを一つの大きな経験として対応を考えてみる一つの試金石になるであろう。  そういう意味で、四十年近くも前から大先輩が志を立てて、やっとこうして日の目を見ることになりまして、図らずも私がその実施を担当する、こういうことになったわけですから、私はけさも起きて考えておったのですが、その衝に当たる者はやはり厳粛な気持ちで、斎戒沐浴するような気持ちでこの東京湾横断道路民活というものには取り組まにゃいかぬなということを実は考えておるというのが偽らざる心境でございます。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大変な事業計画ですから、そういう意味では民間資金力を動員してこれを遂行するということはわからないわけではありません。ただ、政府がそういう仕事をする場合には公団があり特殊法人があり、それぞれの政府の側面的な援助あるいはそういう力を動員する場所というものはあるわけですね。例えば鉄道公団青函トンネルを完成しましたし、そういうことから見てまいりますと民間会社による工事建設という問題は、従来のシステムとはそういう意味では趣を異にするわけであります。ですから、膨大な資金力が要るといいながらも、それでは今まで政府サイドでその調達ができなかったのかといいますと必ずしもそうではなかった。また、技術力民間が持っているそういう力の動員力も、今までの大きなプロジェクト計画を見ればこれまた完全に遂行しているわけですね。  そういう意味で、今回の民間会社によるこの建設事業というものが一つの、国の財政再建という問題もあるでしょうけれども国民の側から見ると何かこれからはあらゆるものがそういう方向に移行するのかな、こういう考えあるいは疑念を抱く要素があると私は思うのです。したがって、そういう意味でこの事業計画国民あるいは関係団体の納得が得られることがこの工事を遂行するのに極めて重要だと思うのです。  せっかく自治大臣お見えですから、ちょっと自治大臣にもお伺いしますけれども、今度は、地方団体がやっておるさまざまな事業、例えば終末処理場であるとかあるいは小さく言えば給食センターとか、地方団体が固有の事業としてそれぞれの市民地域社会におけるニーズに沿った公共施設として展開をしておりますが、ややもすれば、今度のこともそうだ、関西空港もそうだ、そういうことからして我々があるいは政府側が考えておる行政改革とは違った意味で、給食センター民間に委託したらどうだあるいは終末処理場の諸建設を今のような事業団でやるのではなくて、民間工事会社にやって建設をする、こういうような方向をとってはどうか、そういうことを刺激しかねないのですね。  公共施設事業主体というものは常に地方にあれば地方団体中央にあれば国がその責任主体を明らかにすることが極めて大事だと思うのです。こういうことによって地方における諸施設が今言ったような方向にいくことは、市民サイドから見ると必ずしも合理性があるものではないような状況が時たま生まれるわけですね。特に給食センターなどは、学校給食という問題が教育の一環かそれとも単なる子供への食事の供給がという極めて社会科学的に論及をされるような余地がありますがゆえに、今度のことがそういう意味での刺激、あるいはそういう方向にせきを切ったように走り出さないように十分な御留意をいただかなければならないと私は思うのです。どうでしょう。この東京湾工事と即時連動すると私は言いませんけれども、そういう問題が地方団体で起きた場合に自治大臣、これは質問通告外のことでありますけれども見解をお聞きしておきたいと思うのです。
  6. 小沢一郎

    小沢国務大臣 今回の東京湾横断道路民活方式、これは先生も御意見の中に触れられておりましたように、直接あらゆる地方公共団体のいろんな事業と関連づけて必ずしも議論されるものではないだろうと思いますけれども、今いわゆる国とか地方公共団体とか、住民行政サービス基本的な最低限のものはやはり地方公共団体基本的にその地域住民に対しては責任を持って行う、そういう基本理念は当然堅持していかなければならないと思います。  ただ、民間に委託してやった方がむしろいい点もあるでございましょうし、また各地方公共団体財政財源のいろいろな状況等もあります。あるいはまた行財政改革という観点からのものもこれは一概に否定できないであろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、地域住民国民に対する行政サービスは、基本的に公的な部門が責任を持ってやっていくという基本理念においては私どもも同様に考えております。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 単なる口実を求めるだけの措置ではなくして、基本的には大臣がおっしゃったような立場というもので今回のこの事業によって起きるであろうと予想される事態にぜひ対応していただきたい、こう思うのです。  この法案が持つ効果、これは一体何を中心的な効果に置いていらっしゃるのでしょうか。東京という大消費都市、これをまたいで、これを通過をして物の流れ、こういうものが大変煩雑になってきたことは私ども承知をしております。したがって、物流的な効果中心に考えてこの東京湾横断道路はつくられる、そういう法律的な効果をねらっているのでしょうか。それとも今東京湾中心にして張りつきましたいわゆる京葉京浜コンビナート、この工業配置の問題をめぐって新しい房総半島を含めた工業配置計画、そういうものをこの道路建設によって効果を生み出そう、こうされているのか、この法律が持つ基本的な影響あるいは効果といいましょうか、それはどういうようにお持ちでしょう。
  8. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私は、やはり大きく言いますとこれは東北といわゆる西日本とをつなぐ大きなバイパスである、大きく言えばそういう考え方が成り立つと思います。  それから、いわゆる道路行政上からいいますというと、東北縦貫道あるいは関越あるいは東名中央その他もろもろの高速道路東京に一点集中で入ってるわけでありますが、どうしても車が渋滞します。これは年間八千八百回も高速道路が渋滞しておる、こういうことでありますから、これは人の面においても物流の面においても非常な障害になっておることは間違いありません。したがって、東京圏を、東京中心として五、六十キロ圏にいわゆる圏央道をつくりたい、中央連絡道路をつくりたい、あるいはまた十五、六キロを中心環状道路をつくりたい、それから湾岸道路をつくりたい、そしてそれをひとつ成田から木更津、そして東京縦貫道路川崎へ上げてそれから東名なりあるいはその他の道路につないでいく。  これはもう私は道路行政の面からいって、経済効果もさることながら、新しい房総開発等も含めてあらゆる面で可能性をここに発見していくことができる、そういうふうに思っておりますから、端的なことではなくて経済的にもあるいはまたそうした道路の渋滞を解消するためにも非常に大きな役割をこれから果たすであろう、こういうふうに思っておるところであります。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 二つの点を挙げられたわけです。私が指摘をいたしましたように、一つ物流の新しい構想といいましょうか、もう一つ房総を含めた工業の再開発といいましょうか。  通産省においでをいただいておりますが、私どもの聞くところでは東京湾に入ってきている船ですね、今の状態ですと既に満杯状況。もし暴風雨とかそういうことがありますと、東京湾に入っている船はお互いに衝突をしてどういう事故が起こるかわからないという状況下にあるというふうに聞いています。  今度の道路計画によりますと、一定地点に陸上に揚げた排気口を含むピットがあるわけですが、これによって今の東京湾に入っている船、これは私は相当制限されると思う。聞くところによると、二百七、八十隻が東京湾に入って滞留している船のいわばマキシマムだ、こう言われているわけです。建設省計画ですと両サイドにそれぞれ保塁といいましょうか、あるいは私どもピットという言葉を使ってよろしいのかどうかわかりませんが、島がでさることによって、その船隻停泊地が相当狭められるということが言われているわけであります。  御案内のように、東京湾の周りに張りついている企業、これはかつて石油コンビナートと言われる鉄と電力と石油化学のいわゆる密集した工業であります。その工業が、この道路ができることによって、それでなくても重厚長大、撤退をしなければならないという状況下ですが、さらに船隻東京湾内におけるそういう状況が加重されてまいりますと、勢い今の張りについている重工業、いわゆるコンビナートの各企業、相当制限を受け、新しい再配置計画を立てなくてはならないのではないかという心配があるのですが、この東京湾横断道路建設東京湾に張りついている工業工場との関係、どのようにこの道路建設の段階で検討されたのかお聞きをしたいと思います。
  10. 長田直俊

    長田説明員 お答え申し上げます。  全般的に申しまして、我が国の産業構造は御承知のように、高付加価値化それから知識集約化という方向に進んでおります。こうした中で日本中心地帯をなします東京湾岸地域及びその隣接した内陸部におきましても、最近の傾向として多摩川流域などを中心といたしまして内陸部におきましてハイテク産業といわゆる加工組み立て型業種集積が進展しております。また今後、都市の有する高次機能利用いたしました研究開発型企業等いわゆる都市型産業立地が進むことが予想されております。  一方、御指摘のように、一事業所当たり資源消費それから交通負荷の大きい装置型産業につきましては、その新規立地が三大湾地域以外のところで行われるように指導しております点も含めまして、これらの動きを総合してまいりますと、東京湾岸地域でも産業構造高度化、高付加価値化知識集約化が一層進んでいくことと予想されます。  なお、本道路建設が直接的に湾岸産業構造に及ぼす影響につきましては、非常に長期間にわたること、それから特定地域に限定された問題であること等から現在までのところはまだ調査は行っておりません。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これはぜひ調査をしていただきたいと思うのです。今おっしゃいましたように、ハイテク産業、新しいバイオ登場等々含めますと、工業配置という問題が房総の新しい開発と相まって大変問題になってくると思うのです。  建設大臣、私はかつてコンビナートを若干研究したことがあるのです。御案内のようにコンビナートから出る鉄、あるいは化学から出る第二次産品といいましょうか、これが内陸工業地帯に全部張りついたわけです。ですから湾岸でつくられた鉄がそのまま内陸工業地帯に入りまして、加工ないしは金属産業として発展をしてきたわけです。これが、私が今言ったように湾岸産業構造が変わることによって、実は内陸工業地帯工業配置という問題も変わってくると思うのです。そうしますと、そういう工場、例えば最近では研究機関が私どもの選挙区の方であるとか山北の富士山のふもとの方であるとか房総の方であるとか、そういうところに進出をしています。やがてそこを拠点にしてハイテク産業発展すること、あるいは工場ができることは間違いない、こう言われているわけであります。  そこで一つは、この道路ができることによっていわゆる日本産業の核と言われる京浜京葉工業地帯の衰退の問題をどう歯どめをかけるのか。二つ目の問題は、従来張りついておりました金属工業内陸工業地帯が変化をする、これに対してどう考えていくのか。この辺も道路建設と相まって通産省とも十分御協議をいただいて、その存亡、いわば過疎に陥らないような方向をぜひ検討していただきたいと思うわけであります。  そこで、今京浜工業地帯環境調査の問題がたくさん言われております。例の工場制限法の問題をめぐりましていろいろ議論が出ておるところでありますが、これは国土庁にちょっとお聞きします。六十一年、六十二年にかけてこの湾岸工業地帯に対する環境調査あるいは工場制限法見直し等を行うという話を聞いておりますし、また現に調査をされておるわけですが、この調査目的と、どういう方向にその調査結果を活用されようとしておられるのですか。ちょっと国土庁にお聞きしたいと思います。
  12. 佐々木徹

    佐々木説明員 お答え申し上げます。  私ども所管しておりますのは工業等制限法でございまして、工業等制限法といいますのは御案内のように、大都市既成市街地人口とか産業が過度に集中している、それを防止するために制限区域というものを指定いたしまして、そこに立地いたします一定規模工業について制限しようということでございます。私ども、五十八年には政令改正いたしまして、非常に要望の強かった中小企業につきましては設備近代化あるいは合理化を図るための設備更新が容易にできるように行ったところでございます。  今お話しございましたように、最近関係地方公共団体あるいは経済団体から工業等制限法について緩和要望が非常に強くなっております。そこで、私ども六十一年度から、工業等制限制度に関連いたしましてどのような実態になっているのか、例えば制限区域活力状況がどうなっているか、あるいは工場跡地がどういうふうに利用されているのか、そういうことを少し突っ込んで調査していきたいというふうに考えております。  こういう調査結果を踏まえまして、私ども基本的には現在の工業等制限制度そのものは、確かに大都市への人口産業集中というものは鈍化傾向にございますけれども、相変わらず既成市街地における工業集積というのは非常に高いと思っておりますので、工場新規立地を抑制いたしまして地方に分散を図ることは、国土の均衡ある発展を図るという国土政策基本的な枠組みであるというふうに考えております。今申し上げましたような六十一年度からの調査結果を踏まえまして、工業等制限制度がどうあるべきかということを少し検討していきたい、かように考えております。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 国土庁の今の御説明、先ほど言いましたように我々過疎といいますと田舎の町、こう思うのですが、最近都市部における過疎という問題を本格的に考えなければいかぬと思っているのです。例えば横浜で今、みなとみらい21という計画があります。これは御案内のように三菱重工が撤退をいたしまして、撤退をするということ自身は実は過疎なんです。そこに新しいみなとみらい21の計画が生まれる。そうしますと、この過疎を活性化するという方式道路問題を絡めても羽田アクセスの問題を含めてあることは大臣案内のとおりです。  今の工場制限法の問題も、先ほど言ったようにハイテク産業なり新しいバイオ産業発展しますと必然的に重厚長大と言われた企業撤退という問題が川崎やその周辺の過疎を生み出す。したがってそこに工場制限法見直しという問題が出てくる。このことを抜きにして、実は東京湾道路だけを物流関係その他を含めてやるというわけにはいかないだろう。ひとつ十分な配慮をお願いしたいと思うのです。きょうは時間がありませんからこれ以上のことは申し上げません。  そこで、この新会社に対する出資をひとつ地方団体に要請をするという話が法案でも明記をされています。どうでしょうか、この出資についてはどの都市にどのくらいの割合で、時間がないからついでにお答えいただきたいと思うのですが、しかも地方団体財源の中の一般財源で処理するのか、あるいは特別な起債その他を認めてこの財源の裏づけをしてやるのか、ひとつお聞きしたいと思うのです。  これは御案内でしょうが、例えば地方団体が新しい駅をつくる場合に出資をいたします。この出資をする場合にはいろいろな面で自治省側大変制限を加えているわけです。例えばある都市都市とを結ぶところに一つの駅をつくる場合には、その都市の新しい開発計画とかその駅ができることによって利用度とかそういうものが果たして地方団体が分担するに値するものかどうか。そういう結論を得た結果としてその出資を認める、一般財源その他いろいろな財源措置がありますけれども、こういう方式を認めるということになっているわけです。  どうでしょう、どの範囲でどのくらいの割合で、しかも地方団体がそれに参加をする場合の出資の形態については自治省サイドでどういう判断でなされようとしているのか、あるいはまたその間の話し合いがこの道路建設一緒に行われておったのかどうか。話として協議が進められておるのかどうか、その辺をお聞きしたいと思うのです。
  14. 萩原浩

    萩原政府委員 会社出資金先生承知のとおり、大体六百億円を予定いたしております。そしてそのおのおの三分の一ぐらい、これは幾らか変動があり得ると存じますけれども地方公共団体日本道路公団民間ということで三分の一ぐらいを負担をしていただこう、今のところこういう考え方でございます。  先生指摘地方公共団体出資の範囲でございますとかその金額につきましては、現在御審議いただいております法案の成立した後で関係地方公共団体あるいは自治省さんとも十分調整を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。現在のところその範囲とか額についてはまだ定まったものはございません。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 どの範囲でどの団体にということが確定ではございませんから言えませんが、仮に六百億のうち三分の一ずつ負担というと二百億ですね。間接的な影響ですから、東京都がどのくらい持つのかわかりませんけれども、これは財政力があるといたしましても、千葉、神奈川あるいは周辺に張りつく都市としては相当膨大な負担になりますね。これは、もしそういう話が出た場合には地方団体一般財源、いわば固有の財源から出すのかあるいは特別な措置をして、その財源の裏づけをされようという立場で協議に臨もうとしておられるのか、その辺はどうですか。
  16. 持永堯民

    ○持永政府委員 出資金の額につきましては今建設省からお答えがあったとおりでございます。それから財源の問題でございますが、これは各団体の財政状況にもよりますけれども、必要に応じまして地方債を措置していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 地方債で措置をするということになりますと、交付税に基準財政需要額として算入されますか。
  18. 持永堯民

    ○持永政府委員 交付税の基準財政需要額には算入されません。これは今回の出資金に限らずほかの、例えば本四公団でありますとか関西新空港でありますとかいろいろな出資金がございますけれども、それらも同様でございまして、出資については通常といいましょうか必要に応じて起債を措置いたしておりますけれども、交付税の算定上は対象にしていないということでございます。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自治省が一番御存じですが、東京都は比較的財源的な状況が今の状況では他の都市に比べていいようであります。しかし、他の府県あるいは都市にとってみれば財源的な負担が相当多くなる、こういう背景がありますから、仮に単独の起債の措置にいたしましても、例えば政府資金の流用であるとか政府資金をこれに充当するとかさまざまな措置を講じて、地方団体の負担分が地方団体の行政のサービス低下やあるいはその負担に応じかねられないような条件、こういうものはできる限り排除してほしいと思います。  きょうは短時間でありますから、大臣、まさに要点といいましょうかあるいは私どもが懸念する問題だけを申し上げました。一つ工場配置の問題、いま一つは、この道路問題をめぐって東京湾に張りついた産業構造が変化をするということを含めて内陸工業地帯もまた構造変化を起こすだろう、そうしますと、内陸工業地帯に結びつけるための道路配置という問題が、地方の縦貫道、東京湾湾岸道路あるいはさまざまな府県段階における道路計画等含めてその条件が満たされませんとそれ自身が行き詰まってしまうという条件があります、これが第二です。第三には、これは自治大臣お聞きのとおり財源的な負担が大変多くなる、もしも起債で求めていくということになれば、民間資金地方団体がお借りした場合の利率の問題から含めまして大変負担がきつくなりますから、この辺は政府資金をどのように起債なら起債に充当させるか、その辺も含めて今後の御協議をお願いしたいと思います。  予定の時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  20. 瓦力

    ○瓦委員長 伊藤茂君。
  21. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 本法案の審議も大詰めのように伺うわけでありまして、特に私、地元横浜、神奈川でございますから、この成り行きを非常に注目しているわけであります。大詰め段階ということで、けさも電話で県といろいろな話をしたところでございますが、駆け足質問になりますけれども、ポイントをお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず大蔵大臣建設大臣、両大臣に認識を伺いたいのでございますが、実は、地元というだけではなくて、いろいろ全体的に心配があるということで今日まで議論がされてきました。大蔵大臣にはちょっと申し上げたのですが、「選択」という雑誌をこの閲読んでおりましたらおもしろいことが載っておりました。「東京湾横断道路」「異常な中曽根首相の執念」「ツケだけが道路公団に残る仕組み」「建設の段階で「甘い汁」の民間」「これでは青函トンネルの二の舞」というふうな中見出してあります。そんなことがいろいろ心配あるいは政策的に論議の焦点になってきたというふうなことではないかと思います。  それで、両大臣基本的認識を伺いたいのですが、こういう形が民活導入あるいは今後の民活のモデルということでお考えなんでしょうか。第二、第三、第四とこういう形がまた考えられるということなんでしょうか。実は国際的にも内需喚起が迫られています。さまざま努力をしなければなりません。民間でもJAPIC等いろいろな動きがございます。あるいはまた、大きなプランで研究段階でございますけれどもワールド・インフラストラクチャー・ファンドとか、私の勉強会でありましたが、いろいろな動きが起こっております。そういう場合に、将来のモデルをどう考えるのかということが非常に大事ではないだろうか。  租税特別措置法で先般議論いたしましたけれども、例えば割引債の問題、これも民間金融機関、日本興業銀行などではライバルになるあるいは税の公平からいってもどうか。それからこういう民間企業政府が保証を与えるというのも初めてである。出資の減税も法案で通りました。いろいろと問題があるのだろうと思います。それから、物の本によりますと、建設省も今やトンカチ官庁ではない、何かお金を使って道路をつくる、建物をつくるという現場官庁ではなくて、まさに日本の将来に向けてどういう国土、どういう社会をつくるかという壮大な見通しを持った政策官庁に今やなりつつあるなというふうなことも出ておりますけれども、そういう意味では見識が求められておるというふうなことではないだろうか。  内需問題それから民活導入が生まれてきた内外の背景などを考えてみて、しかもこれが焦点になっているということを考えてみますときに、私はやはりパブリック、公の方がベースをつくり、責任も持ち、そういうベースの上に民間の方がさまざまのいい活力が動いていくというふうなことにするのが当然だろうと思いますし、そういう角度からもう一つ構想なり知恵を今後とも考えるべきだろうと思います。  私見を申しますと、私は国、地方民間、さらには都市の再開発とか国土建設、そういう意味で申しますと、国民活力と申しましょうか国民的共感の得られるような方向づけとか、そういう方程式を考えるべき問題ではないだろうか。これがモデルということではない、またこれがモデルだけではまずいと私は思いますが、御見解か御見識をまず伺いたい。
  22. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今気がつきましたが、ずっと連合審査会ばかりやっておりましたので、まだ補助金の連合審査会で私が主管大臣かと思っておりましたが、本当は江藤さんが主管大臣でございまして、したがって、主管大臣がここへ座るのが本当ですので、この答弁が済んだら位置をかわります。  御質問の趣旨でございますが、これはいわゆる経済論の中で非常によく出ます。私はすべてこれを肯定するものではございませんが、よくISバランス論というのがございます。すなわち、インベストメント投資と、セイビングス貯蓄。いずれにせよ、貯蓄というものはどこかへ投資されなければ金融機関業務そのものも成り立たぬ川その借りる相手はどこか、国か地方企業か個人か外国か、こういうことになる。したがって、民間資金需要の多いときには政府等は手控えをして、民間資金需要が少ないときには政府が表面へ出て公債政策等を行うというような、別の意味におけるISバランス論というのがよくあります。  私はこのすべてを肯定するわけじゃございませんが、今日、財政というものの現状から考えますと、やはりかような民間資金がそういう民間企業活力の中に吸収されていくということが好ましい。その意味におきましては、それはいろいろな知恵を建設省でお考えになりました。我が方に直接関係のありますのは民間出資金に対する措置、それから割引債をこの会社が出すことができるというようなことをこの間租税特別措置で既に通していただいた法律の内容でございますが、そういうものも含めて、まさに民間出資金、割引債、政府保証事業債、民間借入金、道路開発資金、そういう幅広い民間資金を活用するという意味において、私は民活そのものだというふうに思っております。  しかし、モデルか、こうおっしゃいますと、目玉ではあるがモデルというものであるかどうかについては、これから草の根民活などというものがいろいろ考えられていく場合に、この手法が全部に当てはまるかどうかということになりますと、モデルというよりも当面目玉とでも申しましょうか、代表的な知恵の塊というものがこれに集約されたのではなかろうかというふうに、建設当局のロマンを追った政策官庁への脱皮に心から敬意を表しておる、こういうことであります。
  23. 江藤隆美

    江藤国務大臣 この民活も実はさまざまありまして、きょうも実は大川端の再開発で起工式を今ちょうどやっている時期だと思います。これは大体政府が千六、七百億ほど、隅田川の河川改修、橋梁その他にやると、やはり一兆円ぐらいの投資が行われる。それから六本木の再開発、あれは国が出した金が四億七千万ぐらいであります。それから地方で一番成功したのは、おいでになったか知りませんが、神戸のハーバーランド、目下建設中の六甲アイランドというのはやはり神戸市長の民活一つの見識だと私は思って、これはできるだけひとつお手伝いをしよう、こう思っております。  ですから、さまざまのことがありますが、今回の東京湾につきましては、これは特殊なことでございますから特別立法をお願いしてそして建設をやるということでありまして、したがってこれを第二、第三、第四の、いわゆるモデルにするのだという考えはありません。しかし、将来仮にこの種のまたプロジェクトが生まれるといたしますならば、やはり大事なこれは一つ経験として今回のものを踏まえて、そして新しいものに取り組む、こういうことになると思いますが、これをやったから次をやるということではありません。
  24. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 竹下さん、この前の答弁よりもきょうは後退しているのですよ。法案を間違えたか知りませんけれども。この前はあなたは、単独法でお願いしていることに示されるように、イージーにこれらの措置を波及させないように考えなくてはならぬというふうに御答弁になっていますよ。違ったのですか。方針を変えたのですか。
  25. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いや、単独法でお願いをしておるというのは、イージーにこの手法を使ってはならぬということの基本一緒でございます。ただ、したがってモデルじゃなく、今日時点における目玉だ、こう申したわけであります。
  26. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 目玉かどうかは評価が違うところでありまして、一般論をやっている時間がございませんから具体的なことを伺います。  一つは、本計画、特に湾岸自治体に対する影響、私ども神奈川県側というふうなことになるわけでありますが、今まで道路公団がなされましたたくさんの調査費をかけました報告書とか、読ましてもらいました。マクロのさまざまの意義づけや分析が書かれております。しかし具体性がございません。大臣、いかがでしょうか、例えば神奈川県にしても、千葉県もそうだと思いますが、これによって具体的に物の流れがどうなる、工場の流れがどうなる、人の流れがどうなる、あるいはお互いにどのような開発がされるのか、そういうことによって例えばどういうメリットが生まれ、どういうデメリットが生まれるのか。デメリットはこれは国も協力をして消さなくてはなりませんね。  そういう意味での段階になってくるわけでありまして、ですから、今確かに東京湾岸地域整備連絡会議というのがあるわけですけれども、それだけじゃなくて、責任を持ってそういうものを整理をしてデメリットはこうして消しますというようなことを、今までだって僕はやるべきだったと思うのですね。だから、具体策の域におりてこないですね。具体論の現実的なさまざまのことをどのようにやるのか、お考えになっていますか。
  27. 江藤隆美

    江藤国務大臣 横断道路ができたらその地域がよくなったというのでなければやった意味がないわけでありまして、さっき私は加藤先生の話を聞いておりまして、例えば京浜地帯の工場がどんどんよそへ行って、そして過疎地帯になってきた。やはり環境問題がやかましいときですから、道路だけだった、道路もろくすっぽなものがなくて、いわゆる海からの交通網だけに頼った京浜工業地帯じゃなかったかというような気が私はするのです。これほど人間がふえ、車がふえるというと、それに対応できないからああいう工場制限法等にひっかかってくる。  今度は例えば湾岸道路を七十年までには完成をさせる。そして同時にこの横断道路でバイパスの大きな役割を果たす。川崎縦貫道路をつくる、圏央道をつくるということで、この物と人との流れというのを新たなルートに乗せていくということによって、千葉県側もそうでありますが、京浜工業地帯のこれからの影響というのはかなり変わってくる。また、変わってくることによって、今までの隘路が改善されなければならないと私は思っておるのです。  道路というのは、地方は地域開発だ、大都市圏はこれは際路の打開だと私は思っております。ですから、隘路の打開になる。工場制限法をつくらなければならなかった一つの険路というのは、私は、道路にあることも間違いないと思っておるのです。あるいはまた、物流でいろいろと問題のあるのもやはり道路でありますから、この横断道路ができることによってもろもろの問題を片づけるための先駆者に私はなっていきたい。そのためには各方面の御意見をよく承って、特に今回は神奈川県、川崎、横浜等も御参加いただくわけで、直接関係のあるところですから、十分地方自治団体の御意見等も承って今後の建設に取り組んでいこう、こう思っております。
  28. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大臣、お気持ちを伺っているわけでありませんで、とにかくメリットも起きる、デメリットも起きる、デメリットの心配もいろいろある。そうすると、そのメリット、デメリットさまざまの動きというものを具体的に全部データを出して、あるいは問題点を各自治体それから国、国土庁、みんなが出して、そういうものをどうやっていけるのかということがまず今までもあるべきだったというのですよ。ないのに法案審議は終局を迎えつつあるという段階ですね。ですから、採決のときはどうなるか知りませんけれども、そういうのはすぐやりますということだけ聞きたかったのですが、むしろ事務方の方ですか。
  29. 萩原浩

    萩原政府委員 メリットにつきましてはもう既に大臣から御説明いたしました。  デメリットの問題につきましては、確かに対応を誤りますと環境及び漁業への影響であるとかあるいは船舶航行安全に対する問題あるいは俗に言われます地域の乱開発というような問題が考えられると存じます。  この環境問題、漁業問題、船舶航行安全に対する問題につきましては、各種委員会その他の調査を進めまして、調査は一応終わっております。そしてこの対策について現在、特に漁業、航行安全につきましては関係者と、今後この法案の御承認を得れば具体的対策について真剣に検討していくつもりでございます。  一方、環境問題につきましては、やはりこの法案が御承認いただいた直後に、日本道路公団におきまして、環境アセスメント、五十九年八月の閣議決定に基づきます環境影響評価の手続をとらせていただきまして、その中で、必要とあらば特別の対策を講じよう。また、地域の乱開発につきましては、現在東京湾岸地域整備連絡会議を設けておりますが、この東京湾横断道路が予見といいますか、現実の建設に着手したという状況のもとで、さらに緻密な地域開発計画をまとめていくように御協議をさせていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  30. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大臣が先ほど、東京湾関係方面がみんな喜ぶようなことをしなければならぬとおっしゃいました。ある人か、ある地域が、○○会社だけが喜んで、あとはみんな指をくわえて見ているということはあってはならぬですね。  この間、朝日新聞のこの問題のシリーズがございまして、読んでおりましたら、「狂乱の土地 既に大規模な買収 着工決定で地価三十倍も」という記事が載っておりまして、何か大きな会社の系列会社のジャパン・デベロプメントというのですが、JDと書いてございますが、膨大な土地を買っている。それから、横断道路を前提にして、地上げ屋を動員して土地を買いまくった。それで、着工決定で今や事情は一変し、「一兆円は下らない資産価値になろうとしている。」云々というようなことが書いてございますね。これはちょっと無責任な新聞かもしれませんが、読んでおりましたら、民活とは何か、カツサンドのカツのところだけ大企業が食って、においのついたパンのところだけを人が食うということが載っておりましたが、そんなことはつまらぬと思いますね。    〔委員長退席、中村(正三郎)委員長代理者席〕  例えばイギリスの場合でもそうですし、ドイツの場合もそうですけれども都市計画、パブリックな努力によって、地価が上がるとか、さまざまのメリットが生まれる。八割ぐらいは吸収して、地域開発に充てるとか、日本はそうなりませんが、そういうことをやっている先進国がございますね。ですから、三十年後○○会社だけがもうかったということになったんじゃこれはしようがないので、こういうことをやはり一遍きちんと調べて、パブリックな立場からコントロールする、そういうものがないと、本当の意味での国保土改造に役立っていく民活ということにならない、大きいだけにそういう御手配などをやるべきではないかと私は思いますが、いかがでございましょう。
  31. 江藤隆美

    江藤国務大臣 さまざまな憶測がなされますけれども、特殊な企業利益を上げるという結果を招くようなことは、私はこの事業の名において断じてやらしてはならぬと思っております。したがいまして、まだ現在この場所で言うべき筋合いではございませんが、御指摘のような点につきましても、私なりに一つ考え方を持って、非公式に話をしておりますので、私はそういうことはやらせないと思っておるのです。そんなことはやらせない。しかも、これらの開発をやるのにはちゃんとそれなりの開発許可あるいは関連する諸手続があるわけでありまして、特定の企業が勝手気ままに開発をやっていいというものじゃありませんから、そのようなことはやらせない。また、やらせたら、特別立法までして議会に御審議を煩わして、そしてやる事業がそういう結果を招いたら、それは我々の責任だということを肝に銘じておりますから、その点は十分気をつけていきます。
  32. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大変明確な決意の表明がございましたが、具体的にそうなるようにお願いをしたいと思います。  大臣承知のとおりに、神奈川県から三首長の要請、この間三月の下旬には、神奈川県会終幕に当たりまして、意見書の提出もございました。  二つお伺いをしたいのですが、一つは、大臣に御確認をお願いしたいと思うのですが、この間大蔵委員会道路局長にお越しをいただきまして議論をいたしましたときに、例えば横浜の湾岸五期分については、一応予定は七十年までになっているが、建設の促進について今後懸命の努力、できるだけの努力をいたしまして早期完成に向けていきたい。今までの論争のうち、これだけは極めて前向きで道路局長のいい答弁だったと思いますね。大臣からも御確認をさせていただきたいと思います。  要するに、十年後まで待っていたのではパンクする状態でございまして、この間も建設委員会が御視察に来られまして、横浜はいい町だなと感心されておりましたけれども、余り見られなかったので、市役所、県庁の前をトラックが行列をしているという状態でございまして、何とかしなくちゃならぬ、これはもう関係者の心からの要望に前からなっているというわけでございますし、それから、川崎縦貫道路につきましても、この間道路局長から答弁を聞きました、これもできるだけ早く、同時に国の責任要望にこたえる努力をするということをやはり大臣から言っていただきたいというのが地元の切なる要望であろうと思います。湾岸五期早期にということと、国の責任川崎縦貫道路について努力をするということを、確認の意味大臣にひとつ御発言をお願いしたいということ。  もう一つは、さっきから問題となっていた工場制限諸法の問題でありますが、担当の国土庁の方に私どもの意向がなかなか十分に伝わりませんで実は残念なんでありますけれども、私どもは、均衡ある国土全体の発展ということは当然だと思います。神奈川県側も千葉県側も含めまして均衡あるいい発展をしなくちゃならぬ、これは当然のことだと思っております。ただ問題は、ある法律が三十年代からできた後さまざまの意味状況が変わった。工場の性格も工業の性格も変わりました。あるいは人口移動など就業構造についての状況も変わりました。あるいは技術開発センター、そういう意味での中枢部分をどう立地すべきかという新しい問題も起きております。世界とつながる工業という問題も起きております。  そういう観点の中で、均衡ある国土全体の発達ということを、こんなことは当然ですからベースにきちんと置きながら、この十年間に五百平米以上ぐらいの工場が二割減っちゃったんですよね。今までのように煙をもくもく出すようなとか、そんな工場をつくることは全然ありません。今まで以上に大幅に技術革新をした、静かでいい工場をそこに改築をしたいという希望があっても、できない。これは国家にとって損失だと僕は思うのですね。そういうことを私どもは延々説いているわけでありまして、これはまたいろいろと国土庁なり通産省関係法律もございますから聞かなくちゃならぬと思いますが、やはり建設大臣といたしましては、こういうことと関連をいたしますから、そういう事情その他を十分に見きわめて、積極的に神奈川県の心配が解消するように閣内でも御努力をいただきたいと思うわけでございますが、その二点、御確認の意味でお願いいたしたい。
  33. 江藤隆美

    江藤国務大臣 湾岸五期につきましては、何としても昭和七十年には終わらせたい。横断道路が完成するわけですから、それはもう一年でも早いにこしたことはないわけでありまして、これは七十年を待たずに、できることなら、多分あれは一部用地交渉があったと思いますが、そこだけがちょっとひっかかっておりますので、用地交渉等が順調に進めば、できるだけ短縮して、何も一緒にする必要はないのですから、これは少しでも早く完成させたい、こう思っております。  それから、圏央道それから川崎縦貫道路は当面国道十五号線までは直轄でやろうということにしておりまして、それ以西も、実はこれは用地買収はかなりですが、またいろいろ御指導いただいて、川崎縦貫をやらないとこれは目的を果たしたことにならないのですね。  ですから、私はいつもうらやましいと思うのですけれども建設大臣をやりながら、この横断道路をやると、これに関連する道路だけで六兆から七兆円かかりますね。すると、私の宮崎県の百年分ぐらいの予算がここへ要るのですね、六兆も七兆も我が日向の国にかけたら宇宙都市みたいなところができるんじゃないかと思って。  それぐらいな思い切った投資をやろうとするわけですから、今ほどの国土庁のお話でも、例えばこれらの横断道路ができる、それから圏央道ができる、あるいは川崎縦貫道路ができる、また湾岸道路ができるということになれば、今おっしゃったようにトラックが列をなして渋滞しているというな形がなくなっていくだろう。なくなってくると、国土庁のいわゆる工場制限法等に対する考え方についても、我々が積極的に物が言えるようになる。今もいろいろと国土庁と御相談を申し上げておりますが、しかし、事業が進むとともに、現実的な問題としてあの京浜工業地帯の様相はかなり変わってくるであろう、こういうふうに私は思っているところです。また、そうしなければならぬ、こう思っております。
  34. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 東京湾全体のことで御見解を伺いたいと思うのです。これは直接には環境庁、その他運輸省も関連があるし、いろいろな関係があると思います。ただ、この問題と関係いたしまして建設大臣としての御見解を伺っておきたいと思うのです。  実は間もなく、五月か六月に首都圏サミットと申しまして六都県市首長会議が開かれる予定になっているわけであります。当然、この問題が国会でどうなったのか、その結果どうするのかということも大きな話題になると思います。率直にさまざまな議論がなされることはいいことだと私は思います。その中で環境問題が非常に心配でありまして、うちの神奈川県でも、特に川崎取りつき部分とかトンネル出口部分とか心配ですから、予算を組みましてこれに伴う独自の調査をしたいというようなことで対応がなされているわけであります。今予定では、その首都圏サミットでも東京湾の総合プランが必要ではないかということについて、今までも御議論がございましたが、さらに突っ込んだ議論をしたいということになっているわけであります。  この間、資料を読んでおりましたら、東京弁護士会で東京湾保全基本法をつくったらどうかということがございました。何か諸外国の方でも、サンフランシスコの場合にはサンフランシスコ湾保全開発委員会というものがあって、埋め立て、しゅんせつあるいは内陸部開発などを含めまして許認可権を持つという大きな権限を持ってなされているようであります。先ほど来話がありましたように、世界最高の過密、しかも埋め立ても非常に進んでいるというふうな状態でございますから、これは国際的な常識から見ても必要な時点であろうと思うわけであります。  私は、こういうことを推進される建設省建設大臣がこれを機会に東京湾について、例えば港湾、環境その他含めて総体的な総合システムをつくっていく、場合によってはそのための計画だけではなくて立法をしてもいいのじゃないかというふうなことを言われることが非常に大事ではないかと思いますし、そういうことをきちんと言われればまた認識も変わってくると思うのですね。そういう点について、大臣の決意のほどを伺っておきたい。
  35. 江藤隆美

    江藤国務大臣 建設省湾岸道路をつくる、横断道路をつくる、周辺にマンションあるいはアパートをつくる、運輸省は羽田沖を埋め立てて沖合移転をする、千葉県は千葉県で埋め立てて幕張メッセをやる、いろいろなことを各方面がまちまちにやることについては私もいかがなものかと思っております。  したがって、私は国土庁長官と就任したときから話しているのですが、大都市圏整備局ですか、せっかくそういうところがあるわけですから、屋上屋を架する必要はないので、しっかりこれからも、四全総をいよいよこの秋には取りまとめようといって国土の総合的な開発をやろうとする役所ですから、大都市圏整備局で主導権を持って私たちに呼びかけて、東京湾の総合開発について統一的な行動がとれるようにひとつ御配慮願いたいということをよく話しておりまして、国土庁中心にそれらのことを鋭意努力いたしたいと思っております。
  36. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間ですから、簡単なことを一つだけ聞きます。  さっき、自治体の出資、二百億の負担の内訳はどうなるのかという加藤議員の質問に対して、法案通過後という何か一月前の答弁と同じことを萩原さんは答えておりました。これはもういよいよ大詰めでしょう。関係自治体はみんなここでの質疑応答がどうなるのかと心配して見ているわけですね、お金を出す話ですから。ですからこの前も、大体常識でいって関係の自治体が五でいくのですか、十ぐらい広げるのですか、それから、それは均一なんですかそうでないのですかと。今の段階で、いよいよ終局段階でそんなことも明らかにできないのでは困るのですね。ですから、この段階になりましたから、もう一歩それについての考え方をきちんと言ってもらって、御理解をいただく、これが責任ある審議というものであろうと思うのです。最後にその一、点だけ。
  37. 萩原浩

    萩原政府委員 先生の御指摘でございますけれども、実は、現在御審議いただいております法案の中に「出資することができる。」というふうに明記されているものでございますから、現在まだ出資がいただけるというその権限がございません。したがいまして、この法案を御承認いただいた後できるだけ早い機会に関係地方公共団体あるいは自治省とも調整を図りながら、ぜひ地方公共団体の御出資を仰ぎたいというふうに考えておる次第でございます。大変残念でございますが、現在のところまだそういう構想は抱いておりません。
  38. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 終わります。
  39. 中村正三郎

    中村(正三郎)委員長代理 関山信之君。
  40. 関山信之

    ○関山委員 いろいろな角度から既に御議論が進んでおりますので、私からのお尋ねはある意味では念押しみたいなことになるかもしれませんが、この際お尋ねをしておきたいと存じます。  私どもの所属の委員会からすれば、この問題に関して言えば、何よりも心配なのは海上の交通安全、船舶の航行の安全の問題であります。御案内のように、東京湾が船舶の航行の安全上極めて異常な状況に置かれてきているということは、今回の横断道がかかる、かからないにかかわらず、大変な事態が常態として存在をしておるということだと思うのですけれども、せっかく両大臣がお見えでございますから、その辺の状況について、それぞれどういう御認識をお持ちなのか、まず最初にお尋ねをしておきます。
  41. 江藤隆美

    江藤国務大臣 東京湾は、世界的に見ても船舶が過密に入っておる港であることは間違いありません。したがいまして、この東京湾横断道路については昭和四十一年四月から建設省調査に入りまして、やれるという結論を出したのは実は昭和五十年であります。そして昭和五十一年に道路公団に引き継ぎまして、道路公団においては十年間にわたって諸般の問題について検討を行ってきました。  その最たるものは何だといいますと、それは何といってもこれだけの船舶が入ってくるところですから、航行の安全ということが一番であります。それから、周辺の環境に対する影響、漁業に対する影響、それらを中心にやってきたわけでありまして、川崎側十キロをトンネルにするというのは、航行安全ということを第一に考えてきたということであります。したがいまして、今後の航行の安全につきましては、海上交通安全調査委員会にそれぞれの専門家の皆さんから御参加をいただいて諸般の御意見を賜っておるわけでありますから、その御意見を十分に踏まえて、運輸省その他関係のそれぞれの機関とよく相談をいたしながら遺憾のないように進めてまいりたい、こう思っております。
  42. 三塚博

    ○三塚国務大臣 御指摘のとおり、この地域は船舶交通が大変ふくそうしておる地域でございますが、海上交通の安全に配慮するというのが運輸省の最大の基本テーマでありますので、本件について保安庁等におきまして建設省とよく協議をしつつ、この確保について検討、調整を行ってまいったところであります。特に、現在の計画案は川崎側トンネル案ということで、従来の計画案に対して海上交通の安全の面からも大幅に改善をされておるという点で、この趣旨に沿ったものであります。  しかしながら、人工島の構造等設置に伴う航行安全対策等について今後とも検討する必要があるということでありますので、ただいま建設省と十分な連絡をとりつつ、安全航行の確保という意味で、工事由及び完成後の交通安全について万全を期する、また期すことが可能であります、こういうことであります。
  43. 関山信之

    ○関山委員 ちょっと言葉じりにこだわるわけじゃありませんけれども、五十年にやれる、このやれるというのは、船舶航行上の安全も含めてやれるとあなたはおっしゃっているのですか。
  44. 江藤隆美

    江藤国務大臣 東京湾横断道路建設について十年間検討してまいりました結果、これは技術的にも十分やれるという結果を得ました、こういうことでございます。    〔中村(正三郎)委員長代理退席、東家委員長代理着席〕
  45. 関山信之

    ○関山委員 ですから私伺っているのですけれども、そういう御認識が先に立ってしまうわけですね。技術的にやれれば船舶航行の安全上の問題は後でもいいという御認識じゃないかと思ったから冒頭伺っているわけですね。まあいいでしょう、そのことが確かめられただけでも、私は今後の問題へのあなたの立場というものを認識を改めさせていただいておるのですが、やはりそういうことでは困るわけです。  ところで、公団は、この現計画を確定したのはいつですか。
  46. 萩原浩

    萩原政府委員 先生がおっしゃいます現計画という善言葉を、川崎側十キロをトンネルとした計画というふうに解釈させていただきますれば、これは、正式に決定をいたしましたのは昨年の九月ごろのことでございます。
  47. 関山信之

    ○関山委員 現計画と理解をしてとおっしゃる意味はどういう意味ですか。
  48. 萩原浩

    萩原政府委員 この計画はいろいろな変遷を経ておりますけれども、一応計画案としてまとまりましたのは、当初は木更津側五キロ並びに川崎側五キロ、これを橋といたしまして、真ん中のトンネルは、私ども技術的に言いますと沈埋トンネルと呼んでおりますが、それを昨年の九月に、川崎側はシールドトンネルに直したというものでございます。
  49. 関山信之

    ○関山委員 私の聞いている意味は、そういう川崎側をシールドトンネルにして、なお現計画というのがそういう意味でおっしゃるならという、そのただし書きをつけているのはどういう意味ですか、つまり、これ以降また計画が変わるという意味ですか。
  50. 萩原浩

    萩原政府委員 これから計画を変えるつもりはございません。
  51. 関山信之

    ○関山委員 そこでもう一遍お伺いいたしますが、これから法律が通りますと、特措法に基づいて建設大臣道路の許可の申請が出されていく、その前にアセスやら何やらいろいろな手続があると思いますけれども、その段階での計画案というのは、今お話のあった、あるいは中間報告に報告をされている計画そのものだというふうに理解をしておいてよろしゅうございましょうか。
  52. 萩原浩

    萩原政府委員 特措法に基づきます許可の申請のときには、当然のことながら船舶航行の安全対策なども盛り込まれることになろうと存じます。したがいまして、これからアセスメントを行います段階におきまして、並行いたしまして漁業関係者あるいはその航行の皆様方といろいろ協議を進めていくということになりましょう。
  53. 関山信之

    ○関山委員 これも委員会で御議論があったことだろうと思うのですが、運輸省の方が国際交流ビレッジ構想という、いわゆる人工島構想をお持ちですけれども、これはどういう扱いになっていくのでしょうか。それから、当面具体的にどんな作業が進むのでしょうか。
  54. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 私たち、いわゆる東京湾の沖合人工島構想というものを持っておりますが、これは内部的に検討している過程にあるものでございます。一応ああいう形での構想案として取りまとめた格好にはなっておりますが、まず、その内容につきましては、現時点で考え得る機能を盛り込んだものでございまして、規模でありますとか形状、機能など、その具体的な内容については、今後環境問題やら安全問題その他漁業者との調整問題、いろいろ課題がたくさん周辺にはございますので、ここらあたりとの検討、調整を図りながら最終的には決まってくるというふうに考えております。現時点の一応の構想でございます。
  55. 関山信之

    ○関山委員 なお、重ねてお伺いしたいのですが、その調査は、本年度どのような具体的な予算措置なんか盛られておりますのかどうか。それからもう一つは、仮に将来これが現実化していくとすれば、どういう主体がこれを扱うことになるのか、この二つ
  56. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 運輸省では、昭和五十五年から沖合人工島構想の幾つかのものにつきましての勉強、調査をやってまいりまして、順次それなりの成果を持っておりますが、昭和六十一年度は、その中の一つとして東京湾調査海域の一つとして調査をしたいというふうに思っております。今も若干触れましたが、利用計画なり建設の工法とかまたそれらの経済性みたいなこと、そして環境、安全面等の調査を新年度は進めていきたいというふうに考えております。  なお、どういう主体が今後これをやることになるのかということについては、現在御披露できるようなまとまったものはございませんので、御了承いただきたいと存じます。
  57. 関山信之

    ○関山委員 建設省の方に改めて伺いたいのですが、先ほど手続上の問題をお尋ねいたしましたけれども、当面建設省としては、この人工島構想というものをのみ込まないのだ、それとは関係ないのだといったような答弁が建設委員会でもあったように漏れ承っておりますけれども、そこら辺のところはどうするのですか。  今の御答弁でありますと、大臣も、建設省といろいろ詰めながらということをおっしゃっていますし、現実に運輸省サイドは、もう今年度から調査の予算などもつけているということになりますと、そういうものをどう取り込んでこの横断道というものを展開をしていくのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  58. 江藤隆美

    江藤国務大臣 三塚運輸大臣に聞きましたら、これは昭和五十年の中ごろから全国六カ所ぐらいとか言われましたが、埋め立て構想があったことであって、今急にでき上がったことではない、こういうことでありまして、局長も言われましたが、今直ちにやるとかどこがやるとか決まったわけでもない、調査をすることですというのですから、私は、調査をしたり研究をしたりすることは、こんな狭い国ですから至極結構なことで、この横断道路だって、建設省調査を始めて二十年後にやっと物になろうというのですから、いつどのようなことに対応しても責任が全うできるようにいろいろな研究調査をしておくことは決して悪いことではない、こう思っております。  しかし、この人工島は直ちに横断道路とかかわりのあるものではありません。また、漁業補償とか環境問題あるいは航行安全というような問題、これは十八ヘクタールとかちょっと聞きましたが、膨大なものですから、また新たな問題でありまして、今回の横断道路と直接にかかわりはない、こういうふうに御理解をいただいて結構です。
  59. 関山信之

    ○関山委員 二十年も調査なさったものが、あっという間に俎上に上ってくるわけですから、同じような意味では、この時期どういう形で俎上に上ってくるかわからないものですから伺っているのですけれども、そうしますと、この横断道に関しては、人工島の計画はいずれの形でもリンクするものは何もない、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。
  60. 江藤隆美

    江藤国務大臣 この高速道路に人工島を、トンネルの入り口につくることは、それは、二つつくることはつくるのです。ただ運輸省の今言っておられるのとリンクしておるのではない、こういうことであります。  運輸省の構想も、漁業者やら関係住民が絶対つくれ、それは日本の領土を広げることだから大変いいことだということになれば、それはまたそれなりの意味があることであろう。今ごろからいいとか悪いとか私どもが断定することではないと思っております。
  61. 関山信之

    ○関山委員 いいとか悪いとかじゃなくて、現実に調査が片方で始まって、建設省とも相談しながらと言っておるわけですから、それはあなた、そうおっしゃっても、あすあす人工島に着手するかどうかといって聞いているわけじゃない。横断道の計画そのものがそれをのみ込んでいくのかどうかと聞いているわけですから、それとは全く別のものだといっても別なところにつくれるわけはないんでしょう。あなたは別のところにつくるものだという御理解ですか。
  62. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ここの解釈なんですが、現実に言いますと、建設大臣は、人工島をつくり、その上に横断道の、海上に入るところのあれを行くんだという意味ではないのですと。いわゆる今回の横断道路横断道路としての計画の中で取り進めるということなんですね。  運輸省は、今港湾局長が言いましたとおり、また私も委員会で答弁いたしましたとおり、海洋時代を迎えまして、我が国の人工島構想は五十五年のころから六カ所程度、東京湾を含め勉強、検討をいたしております。この中の一つにこの東京湾人工島というのもございます。これは今港湾局長が言ったとおり検討調査中でございます。ですから、今後のあり方をどうするか、いろいろな問題があるわけでありますから、こういうことで十分にこれから詰めてまいる。  しかし、たまたまその時点に、今度最終的に決められましたトンネル案という意味で、換気塔を含め、今度さらに木更津から入りまして海底に潜るところ、これは、海の中にドボンと入ればだめですから、やはりそこにこういう形のものをつくって入るという意味では、最小部分のいわゆる人工島ができます、こういうことであります。そういうことで、建設大臣の言っていることも私の言っていることもそういう意味では軌を一にしておる、こう御認識をいただきますればと思います。
  63. 関山信之

    ○関山委員 納得はいきませんけれども、この際の計画は別物だということで理解をしておきましょう。  海上保安庁にお尋ねをいたしますが、いずれにせよそのことはそのこととして、昨年の九月段階  からわずか半年足らず、しかも今の人工島などの問題も含めて未確定部分がたくさんある、にもかかわらず大丈夫だと一体言い切れるのですか。
  64. 岡田專治

    ○岡田政府委員 お答えいたします。  昨年の九月に本格化されました今度の川崎側トンネル案という案は、先ほど政府委員からも御答弁がありましたけれども一つは、一番船舶交通流の多い川崎側がトンネルになっているということ、それからトンネルの建造方法が、沈埋工法からシールド工法に変わっていることによって工事中における安全の問題が大幅に軽減されたこと、そのようなことから、東京湾横断道路に関する交通安全上の問題はこの案によりまして大幅に改善されたと認識しております。  しかしながら、やはり海面に人工島あるいは橋梁ができるわけでございますので、これらの橋梁あるいは人工島の及ぼすいろいろな交通安全上の問題がまだございます。それらの問題につきまして今委員会で検討をしておりますので、その委員会の検討結果を待ち、また、我が方もその意見を十分に用意しながら万全を期したいと思っております。
  65. 関山信之

    ○関山委員 保安庁の立場は、私は非常に弱いんだと思うのです。今この問題について、東京湾で何らかのこういった海上構造物ができることについて、海上交通の安全上から、湾内は別ですけれども、ノーと言える法的な根拠はありますか。
  66. 岡田專治

    ○岡田政府委員 法律上私どもの方の同意を得る必要があるとか、そういう制度、仕組みにはなってございませんが、私どもも海上交通安全に関する主管官庁でございますので、必要な問題点については十分それを提起し、解決策について提案いたしたいと考えております。
  67. 関山信之

    ○関山委員 本会議で同僚上野議員の質問に答えて大臣から、船舶協会その他から私のところにはただいま反対の意見は参っておりませんという御答弁があったのですが、それはそうなのかもしれませんけれども、しかし昨年の七月に海事七団体が申し入れ書を出して、その当時の案はC1の案ですか、ですからその後トンネルに変わったというお話になるのかもしれませんけれども、しかしいずれにしてもここで言っていることは、船舶航行上の安全対策というものは、基本的に対策が立たない限り反対だ、こう言っているわけです。私もちょっと念を押してみたのですけれども、この要望書は別に取り下げられたわけでもない。その後こういった団体とお話し合いが行われているのか、あるいは、行われていないとすれば、この種の団体に対して同意を取りつける御用意があるのかどうか、それを伺っておきたい。
  68. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先ほど海上保安庁の話がありましたが、主管官庁の海上保安庁が危険でだめだと言ったら、この橋の建設は、法律があろうがなかろうが、建設省はそれはやることはできないのです。ですから、一番相談するのは、意見を求めるのは、建設省でしたら海上保安庁の厳正な意見を求める、あるいは環境庁の環境評価を受ける、こういうことでありますから、その点は御心配要りません。  それから、海事七団体から去年の七月に反対の意見が出されたというのはそのとおりですが、そのうちの六団体はいわゆる海上交通安全調査委員会のメンバーに入っていただいておりまして、今鋭意それらの問題について直接委員会の中で専門的に御審議を願っておる。その検討の中身はどういうことだというと、船舶交通流における影響について、海難事故における影響について、台風時の避泊に与える影響等について、それからレーダー偽像への影響工事中の船舶航行への影響、これらの問題を中心に実は直接参加して、御審議願っている、こういうことであります。
  69. 関山信之

    ○関山委員 最後にもう一点だけ大臣にお尋ねをしたいと思います。  残念ながら今保安庁のサイドといいますのは、つまり船舶の安全上のサイドから、ということは結局は大臣にもということにもなるんだろうと思いますが、東京湾の中で各主要港の港域を出ると、法律的には船舶安全上の立場から規制する何の根拠もない状況だということを私どもは専門家の意見として承っているわけです。しかし、いずれにせよ船舶の状況は、もうふくそうもふくそうでありますし、大変な状態なわけですし、錨泊地などの問題も、二百三十五隻入れなければならないのに百二十六隻しか余地はないとか、橋をつくれば七十六隻に減るとか、いろいろな調査の結果もあるわけで、今まで皆さん方、調査をやった調査をやったと言っておりますけれども、この調査の現実はかなり否定的な、警告を発する調査結果というものが私どものところにもあるわけです。二建の調査もそうですし、関東地建の調査もそうです。  ですから、この際、東京湾全体を港とみなして、総量規制をする、あるいは大型タンカーのチェックをするといったような、先ほど来、東京湾全体をカバーしての開発基本的な方針をなんという御発言もありましたけれども、特に、船舶の航行安全上の問題としては、東京湾全体をカバーする法体制の整備をもう一つ進める必要があるのではないか。海上交通安全法はありますけれども、しかし、なおその内容の充実というものについて法的な整備を進めるお考えがないかということを最後にお尋ねをして質問を終わります。
  70. 三塚博

    ○三塚国務大臣 その前に、ただいま江藤建設大臣から、航行上の安全が大変だというのならいつでもやめる。正解だと思うのです。政治というのは、本来そういうものであり、運輸大臣としても、安全第一という所信表明を、関山先生一緒に申し上げた。この信念は変わりません。ですから、安全上の問題については、保安庁次長が申されましたとおり、万全を期しましてこの問題をきちっとしていく。今回、川崎トンネル案というものがそういう意味一つの問題点をクリアーしておるな、こう思っておりますし、さらにそういう問題について詰めてまいりたいと思っておるわけであります。  海事七団体についても、特別反対だという意見は、おっしゃるとおりございません。しかし、御指摘でありますから、お呼びをしてよく懇談してみます。そういう点で、やはり意を尽くすところは十二分に尽くしてまいらなければならぬだろう、こう思います。  それから、四全総でもこの東京湾を、総合計画を検討すると聞いておりますものでありますから、それとの関連の中で東京湾の安全の問題というものについて、担当する建設省を含め、関係省庁一体となりまして勉強、検討会を進め、法制度がなじむのかなじまないのか、できるのかできないのか、いろいろ難しい問題があろうと思うのでありますが、交通安全という意味では、今日の保安庁体制で万全を期せられるというふうに私自身は思っておりますが、御指摘でありますから、念のために勉強させていただきます。
  71. 関山信之

    ○関山委員 ありがとうございました。  いずれにしても、建設大臣からは、海上保安庁がこれを危険だと言えばつくらないという御発言もありましたが、どうぞひとつそれぞれの御発言に責任をお持ちいただくようにお願いをいたします。  質問を終わります。
  72. 東家嘉幸

    ○東家委員長代理 薮仲義彦君。
  73. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、先般東京湾横断道路につきまして、建設委員会建設大臣並びに道路局長に何点か問題を提起させていただきました。特に、高速国道の抱える問題といたしまして、大臣に今後の検討課題にしていただきたいということでお願いしたのは、現在の高速国道の料金の設定のあり方あるいは交通量の推移、総合交通体系の中での高速国道の位置づけ、こういう問題については十分検討をしていただきたい。私は幾つか問題を提起させていただきましたので、きょうは整理して、冒頭に、私は非常に複雑多岐にわたって質問をいたしましたので、一遍にそれを解決しろとは申しませんが、大臣にこの私の指摘について、今後十分道路行政の中へ反映し、検討していただきたい。  まあ、整理してもう一度この間私が質問をさせていただいた点を申し上げますと、今のような料金設定の中で、現在国鉄が歩んだと同じような道は通らないでほしい。その問題点の一つに、四十七年からプール制の料金制度を導入なさった。しかし、このプール制の料金の導入には限界がある、これを、まず第一点申し上げました。それはなぜかといいますと、現在、高速道路の収入の全体の中で東海道自動車道、中央自動車道、いわゆる縦貫道にその収入の約半分を頼っている。現在の国鉄が、東海道新幹線に収入を頼っていると同じような状態であって、これで北海道、九州まで道路をつくっていくということには無理が出てきます。  現在、五十九年段階で、当初の計画よりも自動車の利用台数が、計画は二万五千五百台、しかし、実態は二万三千二百台。これはいろんな理由があるにしても、数字の上では減少の傾向にあるというこの実態、これはさらに解決をしなければならない問題だと思うのです。特に、なぜ料金に限界があるかというと、道路審議会の答申の中でも、既にいわゆる建設費を償還した道路の料金については、今後値上げ等については十分考えなければならないというところがございます。  御承知のように、東名建設費は三千四百億です。稼いだお金は一兆四千三百七十五億円余でございます。さらに、通称名神と言いますけれども建設費は一千二百億。稼いだお金が八千億円を超えているわけでございます。もう償還金額をはるかに上回っております。その東名、名神沿線の住民の方が、原価主義でいったら償還が終わっているんだから、私たちは本来ただでいいんですよと言う。一般有料道路並みの発想になりますと、これは非常に説得しにくい部分も出てまいります。道路審議会では、そこで利益があったと言いますけれども、後発のところも利益が出てくるという点は私は指摘をさせていただきました。  それから、線区別の収支の明細というものについて明らかにしておかないと、ちょうど現在の国鉄が貨物との分離の中で収支の明細がはっきりしなかった。同じ線路の上を旅客も貨物も走るからということで収支の分担がはっきりしない部分がございました。今度肋骨の道路ができたときに、横断道ができたときに、やはり線区別の収支というものが非常に大事になってくるであろう。  それから、車種別の利用のキロ数も明確にしておく必要があります。六十三年にあの料金の機械をかえられるそうですけれども、そのときに、車種別に何キロ乗っているか。いわゆる総合交通体系の中で、車が一番力を持っているのは三百キロ帯。国鉄等いわゆる列車が持っているのは五百キロから七百五十キロ帯。これは列車の強いところです。千キロを超えれば航空機。その三百キロ帯の中で実際に今後道路行政をどう考えるか。いわゆる車種別の利用のキロ数をはっきり掌握していただきたい点も私申し上げました。  等々、もっと論議を尽くしたいのでございますが、きょうは、むしろ道路防災の面から、日本坂トンネルの事故にかんがみて何点か問題を指摘しなければなりませんので、最初に大臣に、私がお願いした高速国道の問題ですね、これについては将来の課題として御検討いただきたい。  御答弁いただく前に、一般有料道路のことをもう少し御認識いただきたいと思うのです。今高速国道を申し上げましたけれども、いわゆる一般有料道路の実態がどうなっているか。これは事務的な問題ですから道路局長からお答えいただきたいのですが、現在、一般有料道路で供用している路線名、何線区、そのうち黒字路線が何路線、赤字路線が何路線か、数字だけ言ってください。
  74. 萩原浩

    萩原政府委員 一般有料道路日本道路公団の一般有料道路に限らせていただきますが、現在、日本道路公団の一般有料道路、五十路線で営業いたしておりますが、五十九年度決算上におきまして収支が赤字となっております路線は、二十七路線でございます。
  75. 薮仲義彦

    薮仲委員 今御答弁のありましたように半分以上、五十路線のうち二十七路線が赤字でございます。ということは、一般有料道路は今半分が赤字なんですね。これは重大な問題だと思うのです。ちょうど国鉄でいえば地方交通線が赤字で、それを第三セクターをつくってどうするかという論議が起きないとは言えないような問題があります。  これは資料要求といいますか、線区別の収支及び利用台数の推移、今おわかりですか。わからなければ資料要求をしておきますが、局長、今わかりますか。線区別の過去十年ぐらいの収支、利用台数の推移、今おわかりですか。わからなければ後ほど資料をいただきたいと思います。
  76. 萩原浩

    萩原政府委員 線区別の交通量の推移でございますとか、あるいはその収支のデータ、一般有料道路については整理をいたしております。
  77. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、後ほどいただきたいと思います。そこでもう一度局長に、今度もう少し具体的にお伺いいたしますけれども、私が静岡ですから地元の道路を言った方がわかりやすいと思うのですが、五十九年度末累積欠損金で結構です、一号線のバイパスの藤枝、掛川、磐田、浜名、この四バイパスの五十九年度末累積の欠損金は幾らですか。
  78. 萩原浩

    萩原政府委員 藤枝バイパス、掛川バイパス、磐田バイパス、浜名バイパス、この四路線の五十九年度末累積欠損金は二百一億九千四百万円ということです。
  79. 薮仲義彦

    薮仲委員 この四路線だけでも五十九年度累積欠損が二百億を超えておるわけです。  それから、もう少し具体的に局長にお伺いしたいのですが、大変嫌なことだけ申し上げてちょっとじくじたるものがあるのですが、昭和五十九年度の路線別の収支の実態があるわけですが、今申し上げた四路線で年間どの程度の赤字になりますか。
  80. 萩原浩

    萩原政府委員 ちょっと足し合わせた数字がございませんが、藤枝バイパスが十億二千万、掛川バイパスが七億一千三百万、磐田バイパスが五億一百万、それから浜名バイパスが十四億三千四百万でございます。したがいまして、合計いたしますと大体四十億くらいになるのではないかと思いますが、ちょっと細かい数字は足してございません。
  81. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここから先は余り細かく言うとあれですから、私の方で試算してあるのですが、トータルいたしますと今おっしゃったような金額になるわけですが、これを一日で割るとどうなんでしょう。三百六十五で割りますと、四バイパスだけで一日約一千万ですね。  さらに、今局長がおっしゃった赤字路線二十七路線のトータル、金額おわかりですか。二十七線のトータルで結構です、赤字の総計。——こちらで大体計算してありますけれども、百九十二億余だと思うのです。これを年間で割りますと、一日五千二百万円余の赤字が出ておるわけです。有料道路は時間当たり二百十九万の赤字が出ているのです。  なぜこういうことを申し上げるかといいますと、先般の高速国道も一般有料道路も、私が問題を指摘しましたように収支の面で検討する必要がある段階に来ているんじゃないかな。東京湾横断道路はそれなりの経済効果が出てきますし収支については不安はないかもしれません。しかし、高速国道も一般有料道路ももう一度全体的に見直していただいた方がよろしいんじゃないか。この件、大臣にお伺いしたいのです。
  82. 江藤隆美

    江藤国務大臣 路線別に収支を明らかにしてみろというお考えは、私は大事なことだと思っているのです。電電公社のときに電電の電話料金の遠近格差を調べようと思って、東京都内が十円、私が宮崎へかけると七百四十円、自動化された今日これは何の根拠もないですね。一体、原価は何ぼだといったら同じことですから。それを相も変わらず今十円対四百円、こういうことにしている。なかなか明らかにならないのです。私は、国鉄に限らずそういうどんぶり勘定みたいなことがあったと思います。それが電電の黒字を増してきた。  これは形は違いますが、おっしゃるように道路公団もこれはもって他山の石としなければならぬということがあると思うのです。特に七千六百キロ指定の中で今三千七百キロが供用開始で、あと残ったものがこれからいよいよ今世紀末にかけて完成して供用開始になる。おくれておるのは何だといったらやはりこれからは不採算の路線ですよ。特に、来年度には幹線自動車道路を含む高規格幹線自動車道路を今度はまた追加指定をしよう、こういうことになって、頭の中で考えただけで、先生この前から言っておった清水から甲府を通って佐久に行くというもの、こう考えても余りもうかりそうな路線じゃないですね。これは山の中やら橋を渡ったりトンネルを通ったりするのですから、工事費は私は相当なものだと思うのです。ところがそれだけ車が通るかというと、これもなかなかそういかぬだろうと私は思うのです。あるいは日本海沿岸をずっと通してくれというあれがあります。これも余りもうかりそうにない。和歌山の紀伊半島を取り巻く道路をつくってくれ、これも海岸端の余り人間の住んでいないような、海鳥のおるようなところを通る、これも余りもうかりそうもない。  これからの高速道路というのは、やはり地域開発ということを考えれば絶対につくっていかなければいかぬけれども、採算の面からすると、それはなかなか採算に合わないものが多い。そういうときに、これからの建設の手法をどうするか、それから経営の内容等についてどういう改善を図るかということは、それは適切な御指摘でありまして、私どもは今も準備はいたして着々と取り組んではおりますけれども、切実な問題としてやはりこれから取り組んでいく基本的なことだろうと私は思っております。
  83. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか大臣のただいまの御答弁のように、私の懸念が杞憂であれば幸いでございます。どうか道路公団がますます国民のために役に立つような機能を発揮していただきたい。それを願いづつ私は問題を指摘したわけでございますから、よろしくお願いしたいと思います。  では次に、防災面をちょっとお伺いしたいのですが、私は静岡に住んでおりまして、日本坂の大きな火災がございました。あのとき私は、地元でございましたから現地を何回か視察に行かせていただきました。あのときに思うことが数多くございますので、きょうはその防災面から、長大トンネルの防災は大丈夫かどうか、この点で懸念される点を質問したいと思いますので、御答弁いただきたいと思うのでございます。  冒頭に道路局長東京湾横断道の防災面は万全の措置を講じていただけますね。
  84. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、東京湾横断道路は約十キロのトンネルでございますから、もしトンネル内で火災その他の事故が発生いたしましたときは非常に大きな事故になる懸念がございます。したがいまして、その防災面については現在のところ、日本坂トンネルの事故以来かなり技術的には進歩いたしましたけれども、なおさらに技術開発を進めまして、これの供用時点では日本坂トンネルをもちろん上回るような防災対策を講じたいと考えている次第でございます。
  85. 薮仲義彦

    薮仲委員 続けて局長にお答えいただきたいのですが、東京湾横断道のいわゆる計画の台数が三万台になっていますね。この中での大型車の混入率を何%と見ていらっしゃるかというのが一つ。    〔東家委員長代理退席、中村(正三郎)委員長代理着席〕  それから逆に、今度は東京湾横断道の場合、私は、限界台数というのをはっきりしておきませんと大変なことになると思うのです。マキシマムは何台ですか。
  86. 萩原浩

    萩原政府委員 昭和七十年の供用時には二五%ぐらいの大型車の通行を予定をいたしております。なお、ちなみに日本坂トンネル付近では昭和五十九年現在三五%の混入率になってございます。それよりは低く想定をいたしております。(薮仲委員「横断道の限界台数」と呼ぶ)  東京湾横断道路につきましては、供用時に三万台の交通を予測いたしまして二十年後には六万台の供用を予定をいたしております。交通容量からいきますともう少しあると存じますが、一応六万台から六万五千台くらい、大体このくらいになりますと交通量の伸びはとまってくるのではないかという予測を立てております。
  87. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、もう少し局長に計数だけお伺いしますけれども日本坂トンネルのいわゆる横断面で結構です、あのときの計画台数が供用開始のときは何台、そして火災発生時何台、現在の交通量何台、大型車の混入率何%、それから限界台数は何台ですか。
  88. 萩原浩

    萩原政府委員 五十四年時に日本坂トンネルは四万台通っておりまして、事故時は五万台の交通量がございました。現在は六万台の交通量が通っております。先ほども申し上げましたように、混入率、そのおのおのの面はちょっとわかりませんが、五十九年は三五%でございます。  なお、これから先交通容量があるかどうかということでございますが、交通量の時間的分布によりましてはまだキャパシティーがあると存じますけれども、大体もうそろそろかなりの限界に達しておるのではないかというふうに考えております。
  89. 薮仲義彦

    薮仲委員 私がなぜ限界容量までお伺いしたかといいますと、これから当時の事故の状況を具体的に申し上げますけれども、いわゆる数珠つなぎの状態、普通車と貨物車が数珠つなぎになっておってあのような火災が発生したわけです。トンネルの中に車がびたっと並んでしまった。半焼等を含めると百八十九台、二百台近い車がトンネルの中に入っていた、これは下り線一方ですよ。そこであれだけ大きな事故になったわけです。  供用開始のときの計画が今おっしゃられたように四万台です。事故発災当時は五万台を超えて五万四、五千台になっていると思います。そして現在は六万台、このように台数がふえております。長大トンネルのところでこれだけ車が数珠つなぎになるということは非常に危険なんです。警察庁でお調べいただければわかると思いますが、現在でも日本坂トンネルの上り線のところは渋滞します。自然渋滞です。トンネルに入るときにどうしてもドライバーがブレーキを踏むから慢性渋滞になるのです。  東京湾横断道路、これが便利だということになって車が全部そこに集中したならば、四車線で何台までというような事態が来なければいいけれども、これは限界容量を決めておかないと、四万、五万、六万とふえていきます。東京湾の将来の可能性について私は、十分な検討というものを——ただ、収入が少ないから心配だということもありますけれども長大トンネルの場合は限界容量を決めておかないと、それ以上通せば事故発生のときに大変なことになります。  きょうは、当時の事故を思い起こして具体的に何点か質問いたします。  建設省道路公団は、日本坂トンネルについて、昭和四十二年の鈴鹿トンネルの事故を上回る防災をやりましたということを言っておられました。A級の防災を日本坂トンネルにやったと言ってああいう事故になったのです。だから私は、計画と実態というものは開きがありますよということを言いたい。先日の建設委員会のときからずっと言っているのです。計画と実態が合わなかったら絶えず見直しなさい、三年たったら、六年たったら、十年たったら、見直して防災面の検討をしなければならないのです。  そこで、日本坂トンネルの事故にかんがみまして、警察庁と消防庁に専門的な立場から、この東京湾横断道路建設するに当たって心配な点があったら、簡潔で結構ですから御意見を伺いたい。
  90. 広谷干城

    ○広谷説明員 トンネル内の交通事故と申しますのは、トンネルが閉鎖性を持っておるという意味から、一たび事故が発生いたしますと、今お話しございました日本坂トンネルの事故のように大変大きな事故が発生するわけでございます。したがいまして、事故の未然防止、あるいは事故が発生いたしました場合の被害の拡大防止のためにいろいろの安全対策が講じられなければならぬというふうに考えております。  この東京湾横断道路の安全施設の問題につきましては、具体的に設計が始まります段階から、道路管理者といろいろとお打ち合わせをいたしながら万全の安全対策ができますようにしてまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、日本坂の事故の経験、それから現在長大トンネルとして供用されております恵那山トンネルあるいは関越トンネル等の経験もございますので、そのノーハウ等も生かしながら、道路管理者と十分協議をいたしまして安全対策を進めていかなければならぬ、かように考えております。
  91. 山越芳男

    ○山越説明員 先生指摘日本坂トンネルの車両火災を踏まえまして、消防庁といたしましてもいろいろとその検討に参画をいたしておるところでございまして、その結果、道路トンネル非常用施設設置基準が策定されたことは、先生案内のとおりでございます。  この基準によりまして、通報設備といたしまして例えば非常電話とか非常警報装置といった各種の設備を整えるとか、消火設備として消火栓その他の設備、そういった幾つかの防災設備について充実を図ったわけでございます。  私ども消防庁といたしましては、東京湾横断道路につきましても、その建設計画が今後具体化される中で、関係機関とも十分協議いたしましてさらにその防災対策の充実に万全を期してまいりたいと考えております。
  92. 薮仲義彦

    薮仲委員 今、警察庁、消防庁から伺いましたけれども道路局長、私が申し上げることをよく聞いておいていただきたい。  道路トンネル技術基準が昭和四十九年十一月に告示されております。これは建設省道路局長名でお出しになったのですから、局長はよく知っていると思うのです。これは、トンネルの等級をA、B、C、Dに分けまして、その用意すべきものとして通報装置、非常警報装置、それから消火設備として消火器と消火栓を用意しなさいと書いてあります。間違いございませんね。それが日本坂トンネルの災害にかんがみて、昭和五十六年四月に都市局長道路局長名で道路トンネル非常施設設置基準が、改善の上、通達されました。  当時の道路公団の総裁が御答弁になっているわけですけれども、鈴鹿トンネルの災害にかんがみて道路上の防災基準ができております、日本坂トンネルはそれをはるかに上回っておりますという委員会での答弁がございます。今ここに示したように、こういう基準があるから大丈夫だろうと思っていますけれども、何がだめかということをきょう具体的に言っておきますから、東京湾横断道路のときに私の指摘を思い起こしていただきたい。  これは静岡県の静岡及び焼津両消防本部の報告による資料でございます。消防庁に聞いた方がいいのでしょうけれども、時間がありませんから私が申し上げます。  消防庁の資料で、まず一番いけないのは発火場所の確認ができてなかったことです。「東名川崎指令センターから専用電話で静岡市消防本部に「東名下り線、日本坂トンネル内で大型トラックと乗用車の衝突事故があり燃えている。けが人はわからない」旨の入電があり」ここまではいいのです。この次です。「静岡市消防本部から東名川崎指令センターへ火点確認を行ったところ「日本坂トンネルの静岡側に近い地点で、現在スプリンクラーが作動している。テレビカメラでは火が立っていない。」旨の回答あり(十八時四十五分)。」ここに間違いがあるのです。「日本坂トンネルの静岡側」というところに誤りがあったのです。火点は焼津側なんです。消防庁に聞けばおわかりのとおり、東名の下り線は静岡消防署が出ていくのです。上り線は焼津消防署が出動するのです。ですから静岡消防署は、静岡側だと思って現地へ行ったのです。  ところが火点はとんでもない、この報告書にありますように日本坂トンネル下り線焼津側出口約四百二十メーター、これは二千メーターのトンネルですからね。焼津側から四百二十メーター、道路公団式に言うと東名高速道路下り線百六十九・一KPというところです。そこが火点なんです。  ところが、最初のモニタテレビを見たときの報告が間違っておった。これによって出動の態勢が、静岡から出ていったけれども、実際は焼津から来なきゃならなかったというのがあるのです。そのために焼津へ連絡が行ったのが十九時十八分です。ここに約三十数分間の問題点があります。このモニタテレビ、スプリンクラーが作動しております、火は出ておりません。火は出ているのです。入ったときに、ここに消防のものが出ております。「焼津市消防本部の最先到着隊が到着した時(十九時四十分)は、大型トラック等四〜五台が燃焼の最盛期となっており、火焔は天井に達していた。」物すごく燃えていた。火が出てないという判断と、火点の位置が間違っているということが大きな問題なんです。それから、ここで問題を指摘しなければならないのは、まずあの日本坂トンネルの消火容量が少なかった。これはいわゆる水噴霧機、ありましたね。それから給水栓の問題もあるのです。これは、きょう時間がないから具体的に言っておきますから、東京湾横断道をおつくりになるときによく研究していただきたい。水噴霧機というのは、道路公団がおつくりになって、霧のような水の幕がおりるのです。これは、一つ一つの区画に降るわけですけれども、この容量があの当時は百七十トンしかないのです、後で改善されました。全部使いますと四十分しかその水はなかったのです。  ですから消防隊が、こう書いてある。「焼津隊は、積載タンク水の注水後本線上にある給水栓を活用し、ポンプ車三台による中継による防ぎょ活動を実施したが、水量不足によりトンネル出口西方約二百メートルの地点の花沢川からポンプ車七台中継による防ぎょ活動を行った。」  ここに二つ問題がある。あの日本坂トンネルで消防が出動しても、消防のあのホースとつながるのは入り口の二本しかなかったのです。真ん中は消火栓なんです。ここに、表に書いてあってそういうことが抜けておりますけれども、消火栓のゲージ、局長聞いてごらんなさい。当時四十ミリのはずですよ。消防庁お見えですから消防署のホース聞いてみてくださいよ。六十五ミリですようながらなかったのです、中では。ですから、トンネルの両側しか消防のホースがつながらないのです。しかも水量がなかった。消防の方が、花沢川から物すごい苦労をしておった、水がないのに。  ですから、この水で消すという問題、この初期消火の水噴霧機というのは消火ではございませんという説明なんですよ、道路公団では。温度を下げて、そして消火しやすいようにします、消火は車に乗っているドライバーが消火器で、あるいはトンネルの中の消火栓で消すのが消火でございます、こう言っているのです。水噴霧機は温度を下げるだけです。確かにそうかもしれません。消えなかった。普通乗用車に全部消火器を積むようになっているけれども、全部が全部積んでいるかどうかは疑問です。もしも火災が起きたときに、じゃ、どうやって消すか。水をじゃあじゃあかければ消えるか、これはまたよく研究していただきたい。  それから、消火器でといいますけれども、あの消火器というのは、人間にとってまた非常に危険な部分がございます。火を消そうとしてやったときにガソリンの火災を、例えば非常に消えやすい消火器がございますね。あれをトンネルの中で使ったら今度人間が酸欠状態になってまいります。人命救助の問題もあります。トンネル内の火災を消すということは、私はあの火災を見ておって技術上非常に難しいな。ここにあるのですが、やはり消防隊が、「濃煙、熱気が激しく困難をきわめた。」  あのトンネルの中の温度は一回調べてください。スプリンクラーも使えなくなりました。それからテレビのモニターカメラもだめでした。水噴霧機ノズルも使えませんでした。全部、あのトンネルの中にあった最新鋭の消火施設あるいはモニタテレビが温度のためにだめになったのです。  そこで、あの二キロのトンネルの中でも逃げる人が一番困ったのは、トンネルの中が真っ暗になったことです。例えば局長、自分の置かれた立場を考えてください。トンネルの真ん中で、右へ逃げたらいいのか、左へ逃げたらいいのかわかりませんよ。例えば焼津側の四百メーターのところにいて、逆に静岡側に逃げたら、千六百メーター走らなければならないのですよ。こっちへ逃げればいいというその標識をつけなさいということで、トンネルの中に、右側へ逃げれば何キロ、左側へ逃げれば何キロというのは、私が指摘したから道路公団はおつけになった。それから火災に強いケーブルもおつけになった。  また、私は、あの高速道路上の安全の問題でずっと何回も指摘したときに、道路公団はつける、つけると言って、ラジオ再放送施設があのときまだなかった。一番困ったのは、焼津と静岡の消防隊が無線で通信できなかった。どういう火の状況になっているかわからなかったのです。しかも、あそこの中をジェット噴流ではあっと、後で構造を変えましたけれども、あそこへ例えば風を送りますと余計火が燃える。例えば、あのトンネルは炭鉱と同じですから閉鎖すればいいかもしれない。閉鎖したら中の人が死んでしまうわけです。どうやって避難路をやるか。上り線と下り線に三カ所逃げ道があったのです。でも、そこへの誘導の照明は必ずしも正確じゃなかったのです。ですから、この三カ所の逃げ場所には絶対火に強いランプをつけなさい、今ついています。今度東名高速を走ったらごらんください。私はあのトンネルを走るたびに、今申し上げた何点かのことが心の中をよぎるのです。  もしも、東京湾横断道の十キロのど真ん中で火災が起きたらどうするんだろうか。五キロ歩く、走るといったって、一時間、二時間逃げなければならない。そういう点で、このトンネルの中での火の消し方の難しさ、これは十分考えていただかないと、避難をどうさせるか、簡単にはできませんよ。特に、私がなぜ限界量を明らかにしなさいと言ったかというのは、トンネルの中が数珠つなぎになったのです。それで火が燃え出したものですから消しに行けないのです。ですから、私は、トンネルの中を車を通すのは結構です。あのとき、車線変更もやめさせなさい。四車線の車線変更はやらせるべきでありません。逃げ道をどうするか、これは十分考えていただかないと重大な惨事を引き起こしかねません。  ですから、これは警察庁で御検討いただきたいのは、限界容量。他の一般有料道路と違って、通して採算面だけでやることはやめていただきたい。やるんだったら安全面を、人命尊重の立場からしっかり考えていただきたい。車間距離をしっかり守らないと事故を起こします。もしもぶつかって火災が起きたら大変です。ですから、東京湾横断道の中はむしろ、何台通そうかなんという採算ベースで考えるのではなく、限界は何台です、これ以上通せません、そして四台と四台のその車線は結構ですが、必ず車間距離はとる。もしも縮めれば、途中で何か、今高度情報化社会なんですから、車間距離が縮まったときにドライバーに、あなたの車は少し近づき過ぎました、こういう警告を与えるぐらいでなければいけないと思うのです。あれを道路構造は八十キロでやっていらっしゃいます。八十キロですと、警察庁にお聞きになれば、八十キロなら八十メーターの車間距離、百キロなら百メーターの車間距離と必ず言うはずです。そうすると、八十キロという道路構造でおやりになって本当に安全を見るんだったら、トンネルの中に何台しか卓が入れない、そこから収支の計算をおやりになることです。ただ数珠つなぎにやって、もしも火災が起きたら、これは炭鉱の火災以上に悲惨な状態になります。  だから、日本坂トンネルの事故にかんがみて、今道路局長は万全でございますとおっしゃいましたけれども、私は現地に何回も行った。あの火事は消えなかったのです。あの火災が起きてから私は本当に心が痛んだ。あの翌日も見に行った。翌日も消えませんでした。その次の日も消えなかった。正味約三日間近く燃えておったのです。これは正式に申し上げますと、これも局長覚えておいてください、七月十一日の十八時四十分に発火しました。これは消防署の資料です。消えたのが七月十四日の十二時です。正式に言えば二日と十七時間燃え続けておったのです。二日目になっても消防隊は消しに入れなかったのです。風を通せば燃える、ふさげばどうなるかわからない。この消防技術がまだあのトンネルの中で、教訓は多々あったと私は思うのです。  もっともっと申し上げたいことはたくさんあるのですけれども、きょうはたくさん質問があるものですからこれでやめておきます。私の言った幾つもの点は、本当にケーブル一本にしても高熱に耐えられるようにしてほしい、もしも不測の事態が起きたときに救急体制はどうするか、あるいは病人ができたらどうするか、いろいろなケースを考えて救急体制は考えていただきたい。  消防庁に一つ聞いておきたいのは、私は災害対策の質問のときにアルメロの地震がありました。あのとき私は、建設委員会、昨年の十一月だったと思いますけれども、消防庁に国際救急救助隊をつくってやってくれ、消防庁のすぐれた救急技術というのは見上げたものだ、あのアルメロの水の中で命を落とされた子供を見て心が痛む、救いに行ってくれないかという提言をして、消防庁は国際緊急救助隊をおつくりいただくということで努力をしてくださった結果を私は評価しておりますが、こういう長大トンネルの中でもしも火災が発生したときに、消防庁のレスキューの技術はどのような対応をしてくださるのか、ちょっと伺っておきたいのですが。
  93. 山越芳男

    ○山越説明員 一般的に申しますと、消防機関の救助操法の一つとしまして、濃煙中の救助操法というのがございまして、これによって訓練を積んで消防活動を行っているところでございます。  具体的には、救助隊員が空気呼吸器でございますとか循環式の酸素呼吸器、こういったものを装備いたしまして所要の活動を行うわけでございます。ただこれらの装備自体、例えば空気呼吸器でございますと二十五分でございますとか、循環式の酸素呼吸器で百二十分とか、そういった一定の限界がございますし、先生指摘長大トンネルというような場合には、もちろん消防といたしましてもそういった活動は行いますけれども、トンネル自体として、例えば適正に排煙設備を設けるとか、そういった総合的な防災対策を講じた上で消防の能力を発揮するということが望ましいというふうに考えております。
  94. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣並びに道路局長にお願いでございますけれども、私が申し上げたのは、静岡で日本坂トンネルのあの消火の困難さ、本当に心が痛みました。私は駆け足で申し上げたから必ずしも正式に御理解いただけなかったかもしれませんが、どうか東京湾横断道をおつくりになるときに、万が一火災が起きると大変なことになりますので、十分な対策を関係省庁と積み重ね、消防技術あるいは救命、救急施設、あるいはどうやって避難するかという、そういう人命尊重の見地から、この道路構造についてはまだ未解決の部分が数多くあるのじゃないかと思います、特に海底ですから。その点十分研究開発をなさった上で、万全の上にも万全、絶対事故の起きないように、交通の専門の方、消防の専門の方の御意見を十分取り入れておつくりいただきたい。大臣、いかがですか。
  95. 江藤隆美

    江藤国務大臣 ありがとうございました。私もお話を承りまして、絶対安全ということはあり得ない、何が起こるかわからないわけでありますから、それはもう幾ら慎重の上に慎重を期しても、なおかつ不慮の災害をおもんぱかって対応しなきゃならぬのだなということを改めて認識をいたしました。十分心してまいります。
  96. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか大臣、その点よろしくお願いしたいと思います。この問題はこのぐらいにして、まだたくさん聞きたいことがあるものですから済みません。  私いつも一号線のことを心配するのですが、特に一号線の中で、東名高速と一号線と東海道、三つが全部集まっておりますのが静岡県の由比地区なんです。ここは常襲の地すべり地帯で、もしもこれが地すべりを起こしますと、日本の大動脈のその三つがだめになるのです。この地すべりについて万全の対策をお願いをしたいわけでございますが、建設省、林野庁。それから、あそこの蒲原海岸も全部やっておかないと、一号線が壊れますと非常に不安でございますから、今の地すべり対策と海岸対策、時間がありませんので、簡単にお答えください。
  97. 船渡清人

    ○船渡説明員 お答えいたします。  由比地区におきます林野庁所管の地すべり防止区域といたしましては、寺尾地区を中心といたしまして二百四十七ヘクタール指定をいたしております。事業といたしましては、昭和五十年度から第三次の国の直轄地すべり防止事業ということで、重点的にその推進を図ってきておるところでございます。昭和五十年度以降六十年度までの事業実績は、事業費にいたしまして百八十四億七千百万、このような形になっております。  この地区は、先生も今お話ございましたように、東名高速道路を初めといたしました我が国の交通通信の大動脈、それと密集する人家など大変重要な保全対象を有する地区でございますので、今後とも引き続き計画的、重点的な事業の推進によりまして万全を期してまいりたい、このように考えております。    〔中村(正三郎)委員長代理退席、瓦委員長着席〕
  98. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 由比地区の地すべり対策は、林野庁が今御説明いたしましたように、二百四十七ヘクタール実施をいたしておりますが、建設省はその西側の十九ヘクタールを実施しております。四十五年から事業に着手をいたしておりまして、自来六十年度までに補助、県単事業を合わせまして約九億二千万の対策事業実施いたしております。目下のところ、人家密集地域の裏山斜面対策は、アンカーつき格子枠工を主体とする工法により、今年度ほぼ概成する見込みであります。また、その上部の中段斜面の対策につきましては、抑止ぐい工法を中心といたしまして現在工事を継続いたしております。  当該地区は、先生指摘のとおり人家が密集しておりまして、民生上もまた、東名高速、国道一号線、国鉄東海道本線といった我が国経済を支える大動脈でございますので、建設省といたしましては、その重要性にかんがみまして、今後とも地すべり対策の促進を図っていきたいと考えておる次第でございます。  引き続きまして、海岸事業について申し上げたいと思います。富士海岸蒲原工区は、背後に市街地が密集し、東名、国道一号、東海道本線が海岸に迫っておりまして、日本列島の大動脈となっております重要な地区でございますし、また、海象状況が極めて厳しいところでございます。このため、四十二年から直轄海岸事業といたしまして整備を進めているところでございますが、一連の高潮堤防は昭和六十三年で完了する見込みであります。さらに、六十一年度におきましては離岸堤にも着手をしたいということで目下考えておりまして、この離岸堤も早期完成を図るべく努力をしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  99. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうもありがとうございました。私は道路公団に渋いことばっかり言いましたけれども、逆につくった方がいいと思っています中部横断道、これは私は日本海と太平洋をつなぐ非常に希望の持てる道路だと思います。大臣、お考えを一言で結構です。
  100. 江藤隆美

    江藤国務大臣 ことし準備をいたしまして、来年度第十次道路整備五カ年計画が始まる前、すなわち第九次の中でこれは考えさせていただくということでありますから、しばしば御意見をいただいておりますので、十分念頭に置きまして検討させていただきます。
  101. 薮仲義彦

    薮仲委員 ありがとうございました。終わります。
  102. 瓦力

  103. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今までの質疑の中で重複した部分もあるかとも存じまするけれども、まず建設大臣から三点にわたってお答えをちょうだいをいたしたいと思います。  東京湾横断道路建設は、いわゆる首都圏の幹線交通体系の骨格をなすプロジェクトであるわけでございまして、そういう面では私どもも十分理解をしておるつもりでございます。しかしながら、巨額の投資を要するこの建設に当たりましては、地域に対する影響であるとかあるいは効果であるとかそういうものを十分予測することがぜひとも必要であるわけでございまして、横断道路川崎と木更津を結ぶ計画ということになっておりまするけれども、このことについてどのように把握をされておられるか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  104. 江藤隆美

    江藤国務大臣 成田から木更津を通りまして川崎に至る、いわゆる国道四百九号線と認定をされたわけでありますが、これを十五キロ横断道路をつくろう、こういうことでありますが、これはまさに大きな、いわゆる関東地域あるいは日本全域における一つのバイパスだと私は思っております。しかし、これが一つできたのでは意味がありませんで、やはりこの首都圏の東京湾岸道路それからこれとつなぎますいわゆる川崎縦貫道、圏央道それから東関東、向こう側は木更津と、こういうものを全体的にやはり関連するものを整備して、そして首都圏全体の交通あるいは物流に資する、あるいはまた地域の新しい産業開発を促す、こういう万般のいわゆる波及効果を念頭に置きながら建設を進めるというものでございます。
  105. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 東京都民にとりまして高速道路というのは、まあ一面からいえば便利でございまするけれども、何と申しましても、北から上ってくるものあるいは西の方から上ってくるもの、みんな東京を通過するわけでございまして、そういう意味では、時によっては渋滞が非常に激しくて高速道路の体をなさないというような事態もございます。  そういうような意味からいえば、いわゆる通過道路ですね、東京の都心部を通らないで湾岸道路とかあるいは今川崎と木更津を結ぶようなトンネルをつくって横断道路をつくるということは、私は、今の交通体系からいっても、あるいは今の日本産業をふり円滑に進めるというような意味からいっても、大変有効な手だてだというように思っておるわけでございまして、今の大臣のお話を十分理解しておるつもりでございます。  ただ、この工事というのは大変大きな工事でございますので、したがって、海中には相当大きな構造物を建てるとか、そのことによっていわゆる周囲の環境というものも非常に影響されてくるでございましょうし、それから先ほど来いろいろお話がございましたけれども、何と申しましても、この安全対策の面で十分慎重の上にも慎重、しかも確信に満ちた実行案でなければこれは問題を残すのではないか、かように私は考えておるわけでございまして、環境保全の面あるいは安全対策の面で、先ほど大臣大分自信のあるお話をしておられましたけれども、再度確認の意味でお伺いをいたしておきたいと思います。
  106. 江藤隆美

    江藤国務大臣 環境調査は昭和五十一年以来道路公団がやってまいりまして、間もなく最終的ないわゆる報告書が提出をされる、恐らく六片ぐらいまでには提出をされまして、そしていろいろな環境評価について関係の皆さんから御批判をちょうだいし、そして御検討願うという段階に至るであろうと思っております。  私どもが環境問題で一番心配してきましたのは海上交通の安全、それからやはり漁業が行われておるのですから漁業への影響、それからどうしても道路の取りつけ口、特に川崎側、木更津もそうですが、特に密集地帯の川崎、その周辺に対するいわゆる環境の汚染というものに対しては非常に注意を払っておるわけでありまして、先ほども申し上げましたが、どんなに注意を払って万全を期したと思ってもやはり手落ちのあるものでありますから、各方面の御意向は謙虚に承って、これからしっかり建設に取り組んでいこうと思っております。
  107. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 先ほどもちょっと大臣からお話がございましたけれども、この東京湾横断道路をつくる。そうしますると、例えば川崎口にいたしましても七区間か八区間、そういうところの取りつけ道路が一体どういうような格好になるかということによって、新たな交通状況というのが生まれてくると思うのですね、あれをつくることによって。どうやっていくかということ。そういうことになりますると、ある程度のその関係の土地買収その他も、道路の拡幅その他も行われるようになるというように考えられるわけですね。その辺のことが一つ。  それから、せっかく木更津に行くわけでございますので、今の東京に、都心に入ってきましても、大体錦糸町から中に入ってくると全然動かなくなるのですね。そういうことを考えますと、やはり成田空港との関係一つ頭に置きながら、もう全く近い将来の構想としては、少なくとも、せっかく木更津まで延ばしたら、成田空港との関係では、一体大臣は、これはちょっと飛び入りのことで恐縮でございますけれども、どういうことを想定して考えておられるか。やはりこの辺のところも少し考えておくと、中心部に対する交通緩和策にはなるのではないかというように、これは素人考えでございますが持っておりますが、どうぞひとつ……。
  108. 江藤隆美

    江藤国務大臣 今一番最初御意見がありましたが、東京高速道路というのは渋滞しておる方が多いわけでありまして、年間八千八百回、九千回近く朝晩に渋滞しておるわけですから、どこを通ってみても渋滞が通常だ、こういうふうになってきた。  それは、何といっても、一つにはやはり五、六十キロの外側の環状道路、いわゆる首都圏中央連絡道と私どもは言っておりますが、あれがどうしてもなかなか進まない。それから山手線に沿ったような環状道路が、人口密集地帯ですから、なかなかうまくいかない。そうすると、高速道路が東から西から南から全部一点に集まってくる、こういうことですから、一つには御意見のように成田から木更津、川崎、それから川崎縦貫道路あるいは圏央道というふうにやって、そして東西をつなぐ一つの大きなバイパスにしたい。ですから、ただ木更津までつなげばいいという考えではありませんで、この成田をつなぎ、また東北、北海道とつないでいく一つの幹線自動車道の役割を果たす、そういうふうなこと。  それからどうしてもやはり早いのは、人口の多いところよりか湾岸道路ですね。今一生懸命つくって、私ももう何回も飛行機で上から見ておるのですが、ことしから横浜から金沢の湾岸五期を始めて、これを七十年までには少なくとも、一年でも早く終わらせよう、こういうことですから、湾岸道路ができ上がりますと、かなり変わりますね。それに横断道路ができる、また関連道路ができるということになると、随分と人と物の流れというものは変わってくるのではないかと期待をいたしております。
  109. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ありがとうございました。  ちょっと自治大臣にお伺いをいたしたいと思います。  今度、東京湾横断道路建設によりまして、将来、湾内の行政区域を決定する必要に迫られてくるのではないかと思うわけであります。御案内のように、東京湾というのは一都二県、東京都と神奈川と千葉ということでございまして、その関連する地域でございますので、この決定に当たりまして、やはり東京都を含めた自治体の意向を十分お聞きをいただいて、その上に立って東京湾横断道路建設に関連しての行政区域をどうお定めになるおつもりなのか、この辺のことについての自治大臣からの見解を承っておきたいと思います。
  110. 小沢一郎

    小沢国務大臣 こういった事業を進めるに当たりまして、ややもすれば市町村の境界争いといいますか、その行政区域を決める問題は、争いが生じやすくて深刻化する場合が多いわけでございます。したがいまして、御指摘のようにできるだけ地方公共団体意見を聞きながら、その調整を自治法の趣旨に沿って法定手続を進めていくことが必要であると思います。  今回の場合も、完成まではかなりの年月を要するわけですが、工事の進捗状況も見ながら、事前にやはり地方公共団体意見を十分聞きながら、この境界線のことについては対処していかなければならない、そのように思っております。
  111. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 どうぞひとつ関係の自治体と十分御協議をいただきたいというように思います。  引き続き質問を進めてまいりたいと思います。  今回の東京湾横断道路建設に当たって会社が設立をされるわけでございますが、地方公共団体に対しまして出資を予定されておるわけでございます。地方公共団体出資を求める理由について、これは建設省の方から伺いたいと思います。
  112. 萩原浩

    萩原政府委員 東京湾横断道路は、先生も御指摘のとおり、首都圏におきます広域幹線道路網の一環といたしまして、地域の発展に非常に大きな役割を果たすものだろうというふうに私ども期待をいたしております。したがって、関係地方公共団体が、東京湾横断道路建設を促進するために会社にひとつぜひ出資をしていただきたい、こういうように考えている次第でございます。  また、一方におきまして、地方公共団体出資をお願いすることによりまして会社の経営に直接参画していただくことになりますので、事業の適切な遂行という意味でも出資をいただければというふうに考えている次第でございます。
  113. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 自治省にお尋ねしたいのですが、会社に対する地方団体出資については、そういうことが適切であるかどうか、このことについてはどうお認めになられましょうか。
  114. 持永堯民

    ○持永政府委員 今度の東京湾横断道路事業は国家的な事業でございますけれども、一方におきまして、今建設省からもお答えございましたように、関係地方公共団体あるいは関係地域の産業なり経済なりに大変大きな影響あるいは受益をもたらすということになると思います。そういう観点からいたしまして、出資ができるということになっているわけでございまして、そういった例は関西国際空港株式会社の例もございますし、あるいは本四公団の例もございますし、妥当なものであるというふうに理解をいたしております。
  115. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今回のこの事業を進めるに当たりまして、直接的に国が出資をしていないのはどういう理由によるものか。国も今、御案内のように財政が非常に厳しくて、それでいわゆる民活に頼るという考え方の中でこういう措置が出されておると思うのですけれども、そういうように国も厳しい、地方団体も同様に財政的には厳しいわけでございまして、同じ条件なわけでございますね。にもかかわらず、地方自治団体に対してこういうものを要求をするということは、国だって厳しければ地方団体だって厳しいんだから、何かほかの方法でやるべきではないかという一般論というものが生まれてくるんではないかと思うのですが、この辺の考え方について建設省から伺いたいと思います。
  116. 萩原浩

    萩原政府委員 東京湾横断道路事業実施に当たりましてはどのような手法を講ずるかということで随分いろいろ御議論をいただいたわけでございますが、いろいろなことを総合勘案いたしまして、民間資金、経営能力及び技術的能力を活用することによりまして、民間の自主的、機動的な運営を期待をする方式がよろしかろうということに相なったわけでございます。  そのような観点からいたしますと、民間の自主性というものを上げるためには、国の出資ではなく、日本道路公団出資するという形式をとらせていただきました。ただし、本事業が公共性の高い国家的プロジェクトであることにかんがみまして、国としても、会社に対する資金の無利子貸し付け等の形で協力するとともに、必要最小限の財務上の監督ということで、民活の実を上げたいというふうに考えた次第でございます。
  117. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいまの答弁を承っておりまして、民間の自主性を尊重しながら、そのもとでこの会社の運営を図っていきたいというお話のようでございます。  それはそれなりの理解をするのでありますけれども、そういうことならば、例えば出資割合等をちょっと考えてみましても、公団地方自治体あるいは民間会社ですね、それで大体三分の一、三分の一、三分の一というようなことを考えておる御様子でございますけれども、例えば関西国際空港の場合は公団が六分の四持って、残りを民間地方自治体が六分の一、六分の一というようなことで事業開始という考え方の御様子でございますけれども、まずこの辺が今度の場合に異なっておるのはどういう意味か。普通からいえば、民間活力民間の力を導入してやるということになれば、もっとその辺のところにウエートを置いてよいのではないか。せっかくのそういう考え方だったのなら、もっとその辺を生かしておくのが一般的ではなかろうかと私は思うのですが、この辺はどういう経緯があるのでございましょうか。
  118. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のように、関西空港株式会社では四対一対一という出資比率になっているというふうに承っております。関西空港株式会社の場合は初めて一対一の一の方の民間資金を導入されたということでございますが、会社の形態といたしましては、法律に基づきますいわゆる特殊会社でございます。したがいまして、国が直接関与するという形で国の四というものが入っていると存じますが、今回の会社は、商法上の本当の一般の会社でございますので、そこに国の出資ということは妥当ではないんではないか。そうなれば当然のことながら、特殊法人という形になってしまいます。  今回の東京湾横断道路はその関西空港方式とは別個の、さらに民間活力を入れたこういう形での出資割合を考えて、しかも民間ができるだけ自由濶達に事業の遂行ができるように監督形態は非常に緩くするという形で実を上げたい、こういうふうに考えた次第でございます。
  119. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今までの経過の中で、今法案が提案をされておるわけでございますけれども関係の自治体に対しまして出資についてどのような交渉を持たれておるか、その交渉の経過についてこの機会に御報告をしていただきたいと思います。
  120. 萩原浩

    萩原政府委員 出資をお願いいたします地方公共団体の範囲であるとかその額というものにつきましては、現在御審議をいただいております本法案をお認めいただいた後で、正式に関係地方公共団体あるいは自治省と調整をして御相談をしていこうというふうに考えておりますので、現在のところ腹案というものはございません。  ただ、従来の経過でございますけれども、既に昨年の九月に、横浜市、川崎市、神奈川県から五項目の御要望をいただいております。そのときに、事業の執行状況については事前に十分協議をしてもらいたいという一項目が入ってございます。その項目を受けまして、昨年末、数度にわたりまして関係自治体とはいろいろお打ち合わせをさせていただきました。これは事業実施方法その他のことが主でございます。その際に、そういうふうになりましたら、ひとつぜひ地方出資もお願いいたしますということを非公式にはお願いをいたしておりますが、正式には、まだこの法案の御承認を得てからというふうに考えている次第でございます。
  121. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 多分、審議中のことで、余り先走ったことを言うと、またいろいろとその面から言われるのじゃないかということで、大分慎重な発言をされておりますが、これは普通常識からいえば、こういうことがあれば相当事前に根回しというのが当然行われて、こういうことになりますけれどもその節はということで相当な話が進んでいるのじゃないかと思いますが、この点は余り深入りをしないことにしましょう。  自治省に伺いたいのですけれども地方団体出資をした場合に、国としてはどのような財政措置を講じられようとしておられるか、この点について伺っておきたいと思います。
  122. 持永堯民

    ○持永政府委員 今度の東京湾横断道路事業出資金につきましては、今建設省からもお話がありましたように金額がまだ固まっておりません。したがいまして、その金額がどうなるかということ、あるいは各団体の財政状況にもよりますけれども、必要に応じまして地方債で措置をしていきたいというように考えております。
  123. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 財政措置は考えておるということでございますので、今までの関西空港株式会社等の先例等々を十分に考えながらこのことについての財政措置について特段の配慮を願っておきたいと思います。  もう時間がないので大変あれでございますけれども自治大臣に伺っておきたいと思うのです。  青函トンネルは公海下ということで十二・二キロありますけれども、これについては去る五十六年に、公海下といえども我が国の管轄権が全面的に及ぶという政府見解が既に出ておるのであります。しかし、その後現在まで地方団体の区域の決定が行われておりませんで、したがって課税権の所属もいまだ未定であります。これは青森県と北海道との関係でございますけれども、こういうものがそのままになっておるということについてはやはり問題があるのではないかと思います。したがって、来年トンネルが完成するわけでございますけれども、自治省はこの点について現在までにいかなる検討を進めておられるのか、またいつごろまでに結論を出そうとお思いになっておるのか、この機会に伺っておきたいと存じます。  続きましてもう一点、関西の国際空港の問題も同様でございまして、我が国の初めての海上空港ということでこれまた地方団体の区域というものが未定でございます。このことについての検討の状況をお示しいただきたいと思います。
  124. 石山努

    ○石山(努)政府委員 青函トンネルにかかわる問題でございますが、これは今委員から御指摘のあったとおりでございまして、制度的には、従来地方公共団体の区域に属しなかった地域、いわゆる所属未定地域としての手続が必要になるわけでございまして、利害関係があると認められる都道府県なり市町村の意見を聞いた上で内閣が定めるということになっております。そういうことで、私どもとしてもこれまでいろいろと検討を重ねてきたわけでございますけれども、このような事例が過去にございませんので、なかなか検討すべき問題が多くあるわけでございます。  六十一年度におきましても類似の事例、類似の事例といっても全く同じのはないわけでございますけれども、類似の事例の研究なり関係地方公共団体の実態調査等を十分に行いまして、どういう方式で決定するのが最もいいのかということについてさらに研究を重ねることにいたしておりまして、少なくともトンネルが完成するときまでには編入する地方公共団体を定める、こういうことで今後取り進めていきたいというように考えております。  それから関西空港につきましては、これは青函トンネルの問題とは内容が違うわけでございますけれども、これにつきましても、大阪府ということではございますが、そのいずれの市町村に属するかということを定める必要がございます。この点については地方自治法のそれぞれに定められておりますところの規定に基づいて定めるということになるわけでございまして、現在、この法の手続のいわば前段階として、大阪府を初め関係地方公共団体との間でいろいろと話し合いが続けられているというように承知をいたしております。  このようなこの種の問題、先ほど大臣からもお答えをしたように、できるだけ早く解決をすることが望ましいと考えておりますので、できるだけ早く関係地方公共団体のコンセンサスが得られますように大阪府に対しても要請をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  125. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わりたいと存じますが、何と申しましても、この事業は十年間にわたる、しかも一兆一千五百億に上る膨大なプロジェクトの仕事でございまして、この仕事を立派になし遂げるためには今まで論議されたこと、それから今後いろいろ問題が出てまいると思いますけれども、どうぞひとつ万遺漏なきを期していただきまして、国民の足を守るこの事業が立派に完成されますことを期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。
  126. 瓦力

    ○瓦委員長 梅田勝君。
  127. 梅田勝

    ○梅田委員 四月八日経済対策閣僚会議で決定いたしました「総合経済対策」によりますと、東京湾横断道路建設は「内需を中心とした景気の維持・拡大を確実なものとするための積極的な努力を行う」としたいわゆる民活の一環として位置づけられております。ところが、今日までの国会論議におきましては、これは公共のためというよりも民活を看板とした大企業活力を与えることが目的ではないか、あるいは東京湾の環境を破壊するものではないか、船舶の安全航行に支障を来すものではないかという心配、さらには利用度の過大見積もりで事業の採算性に問題があるのではないか等々重大な問題点が指摘されてきております。率直に言いまして、これほどの多くの問題点が指摘され、計画の撤回が求められているにもかかわらず政府が急ぐのはなぜなのか私は疑問を持っております。しかし、きょうは時間がございませんので、この議論は後の機会に譲るといたしまして、具体的な問題でお尋ねいたしたいと思います。  まず、運輸大臣建設大臣がおそろいでございますので、お二人にお聞きをしたいわけでありますが、四月八日の参議院の運輸委員会で我が党の内藤議員の質問に対して運輸大臣は、東京湾に国際交流ビレッジ構想なる巨大人工島建設の検討を進めているということを明らかにされましたが、その構想はいつごろ計画を立てられたのか、先ほど五十五年ごろとおっしゃっておりますが、具体的な紙になって出てくるようなものはいつつくられたのか、それから東京湾横断道路建設とはどういう関係になるのか、この点をお答え願いたい。
  128. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本人工島の問題は、五十五年金国六カ所と申し上げでありますが、それとはまた別に、昨年度、一年前からこの検討、調査が行われておるということでございます。  第二問の人工島と横断道路との関係いかんということでありますが、本件につきましては、今申し上げましたような具体的な海域でのケーススタディーを含めた六カ所にプラス一カ所ということで、東京湾でも横断道路をアクセスの手段として活用する人工島構想を沖合人工島構想一つとして内部的に検討を行ってきたことは事実であります。この人工島構想はアクセスの手段として横断道路利用することにはなりますが、必ずしも横断道路と同時に整備をする必要性はなく、人工島構想自体の必要性に応じて今後のスケジュールを設定する、こういうことでございまして、結論的に申し上げますならば、検討調査を始めた。  梅田委員が具体的に聞くということであれば、補足的に港湾局長から申し上げさせてもよろしいと思いますが……。
  129. 梅田勝

    ○梅田委員 建設大臣にお伺いをいたしますが、四月九日の今度は衆議院の建設委員会におきまして我が党の中島議員に、ただいま運輸大臣がお話しになりましたこの運輸省の構想につきまして、政治は夢を持たねばならない、構想はそれなりの意味がある、このようにおっしゃったわけでございますが、これはいずれも構想として考えられているものであって、具体的に横断道路を進めるに当たってきちっとやっていこう、こういうような感じで政府部内で調整をやられておったのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  130. 江藤隆美

    江藤国務大臣 そんなことはありません。
  131. 梅田勝

    ○梅田委員 先ほどから建設大臣は盛んに関係がないとおっしゃるわけでありますが、運輸省内部におきましてこれは関係があるということで構想されておったのは事実であります。  私はここで具体的に資料を二つお示しをしたいと思うのでありますが、私どもは六十一年四月の「東京湾に国際交流ヴィレッジ」という文書をいただいております。ところが、別に同じような同文のものがございまして、「構想のねらい」というものが私どものいただいたものと違うのですね。具体的にどういう点が違うかといいますと、「構想のねらい」として、我々に示されなかった原案でありましょうか、この案によりますと二つございまして、一つは「首都圏において来るべき国際化社会、余暇社会、高齢化社会に対応する親水性の豊かな環境を創造する。」具体的に幾つかの柱がございます。いま一つの二番目の柱として「東京湾横断道路建設事業を支援する。」というのがはっきり「ねらい」に書かれておりまして、「本構想横断道路の木更津個人工島を包含させることにより、建設費の軽減を図る。」「本構想により横断道路の発生交通量を誘発させ、横断道路事業の採算性の向上を図る。」「横断道路により利用制限される海面の活用を図り、横断道路建設によって減少する船舶避泊水域を補填する。」  建設大臣、あなたは関係がないとおっしゃるが、運輸省ははっきりと「東京湾横断道路建設事業を支援する。」という形で位置づけて研究しているじゃないですか。どうですか。
  132. 江藤隆美

    江藤国務大臣 直接に関係ありませんで、人工島ができなくても私ども横断道路はつくるのです。ですから、こっちが思ってなくても向こうが思って恋焦がれるということもありますから、そんなふうに今のところ御理解いただいたらいいんじゃないでしょうか。
  133. 梅田勝

    ○梅田委員 運輸大臣、先ほど答弁を聞いておりましたら、こういう構想を軌を一にしてやる。総合経済対策におきましてもこれは民活の一環としてやるんだと位置づけて、中曽根内閣の閣僚として建設大臣と運輸大臣がそれぞれこれはこういう格好でいこうということでやっているわけでしょう。ところが、あなたの方では建設省計画した横断道路というのはかなり採算性に問題がある。建設大臣に言わせると、それは要らぬ心配だとおっしゃるかもしれぬけれども、あなたの方は採算性が悪いと見て、そして工事の上におきましても材料置き場等大きな場所が必要だということを考えて、そしてもっとでかいものをつくったらどうだ、このようにやっているわけでしょう。これは明らかに食い違いじゃないですか。どうですか。
  134. 三塚博

    ○三塚国務大臣 これは建設大臣は直接的に関係ありませんと、こういうことなんですね。横断道路をつくろうと思えば、工法上いろいろあるんだろうと思うのです。ですから、それはそれでいけばサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジのように下を航行ができる、こういうことも構想にあったやに聞きますが、しかし採算性等考えてやりました場合は、今御指摘のようなことを運輸省として考えたことは事実です。そういうことの方がよろしいのではないでしょうかと、こういうことを相協議をしました結果、今申し上げましたとおり、これは海底をくぐるわけですから、くぐる以上海の中からドボンと入るわけにいきませんで、やはり海に人工島をつくり、そこで海底に入りまして神奈川県側に参ります、こういうことでアクセスの一部として人工島が活用される。  それと、たまたま運輸省が一年前から人工島構想として東京湾に考えておりましたものは、先ほど来港湾局長申されますように、まだ研究、検討の段階でありますけれども、それはそれなりにこれからの地域社会に向けて、高齢化社会に向けて、また海洋国家である我が国のこの東京湾の多角的利用、活用という意味でそれは重要なのではないでしょうかということで、研究、検討結果を得ようということで今ケーススタディーに入る、こういうことであります。そういう点で、先ほど申し上げましたとおり、コンセンサスはできておりまして、大差はないと私は思っておるわけであります。
  135. 梅田勝

    ○梅田委員 いや、これはいよいよ重大な問題ですよ。我々国会議員の方に出してきた資料にはこういうことは全部抜いてあるんだよ、書いていないんだ。私はこの資料を入手して、最初は同じものが来たなと思ったんですよ。しかし、よくよく見たら五番目に「その他」というのがあって、私どもの資料にはそれがないんだ。それを見たら、「本構想実施することにより、横断道路計画に次のような効果が生じる。」と書いて、「横断道路の木更津個人工島を単独で建設する場合よりも、護岸費等の節約ができる他、作業基地の確保等が容易となる。」これはお互いに関連がある問題ですね。運輸省にしてみればもともとその構想があって、道路をつくるのなら足場はなるべく広い方がいいということで考えられたかもしれない。  しかし、その次に、「レジャーランドを中心として年間百五十〜二百万台の誘発交通量が発生することにより、横断道路事業採算性の向上に寄与する。」一日三万台があるかないかということで予算委員会でも議論になった。レジャーランドで人を寄せる。年間百五十万ないし二百万台といえば、一日当たりで計算いたしますと四千百九台ないし五千四百七十九台。最高の場合をとれば、三万台に対して二割近い誘発交通量を出そうとしている。大臣、あなたは盛んにあるある言うけれども、交通の専門の運輸省はそれで心配しているんだ。だから問題は、この必要性よりも、いかにこれが大企業奉仕のための民活計画であるか。そのためには航行安全も無視しておるし、いろいろなことが出てきたのではないですか。本音のところはどうですか。
  136. 三塚博

    ○三塚国務大臣 これはいろいろ御心配をいただいてありがたいことでありますが、東京湾国際交流ビレッジという人工島をつくります以上、やはりこういうきちっとした構想でつくらざるを得ないだろう、こういうことで、一年前からその構想を練りつつ調査研究に入る、これが一つここにあるわけです。  それで、内需喚起という重要な課題、それと、東京湾横断道路をつくりますことが両地域のためにも、またこの首都圏の今後の交通交流のためにも重要な施策であるな、こういうことで、これはかねがね道路公団が真剣に研究検討されてきたことも事実ですね。それを建設省が受けて、政府部内でこういうことで取り組みたい。しかるに、これを取り進めるに当たって海上交通に支障がないか、こういうもろろもろの中で、結局、先ほど来御答弁申し上げておりますように海上交通はただいまのところ心配がない、こういうことになりまして、建設省建設省としてこの案でいくことが正解であるという、建設専門技術省としてこれをやられたわけでありまして、私もその御説明を聞かせていただいて、なるほどそれはそれなりだな、こういうことでありまして、これはこれとして別にお考えをいただき、それを一つの起点として将来どう発展するのかという点の研究検討はいたしますので、あくまでも研究検討、こういうことなんですね。ビレッジ構想ですから、アイランド構想ですから。それを、この場合は、今度は政府決定は、きちっとしたアクセスとしてビレッジとしてやるためには、やはりさっき言ったように海にどぼんと入るわけにはまいりませんものですから、そこに人工島をつくらせていただきまして、きちっと確実な工法で前に進める、こういうことであります。
  137. 梅田勝

    ○梅田委員 予算委員会からずっと議論してきたわけです。海事関係者に対してあなた方はこの資料も配って説明したわけだ。我々国会の論議になぜきちっと本音を書いたものを出さなかったのか。これを出さないというところにやはりやましいところがあるというふうに我々思わざるを得ない。  そこで、この法案の第二条におきまして「東京湾横断道路建設及び管理に関する事業を行うことを主たる目的とする株式会社」、「主たる目的」以外にどんな目的があるのですか。どうもこの構想と関連して考えた場合、レジャーランドのような事業もできるということでございますか。
  138. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、今回御審議をいただいております法案第二条に「主たる目的とする」会社というふうに規定をいたしております。そして、この「主たる目的とする」ということは一つの要件でございます。むしろほかのサイドワークが主体になってしまって、横断道路建設がおろそかになってしまっては困るということでございます。しかし、この会社は商法上の会社でございますから、ほかの仕事を絶対やってはいかぬということは言えないものでございますので「主たる目的とする」会社というふうに規定をいたしておるものでございます。  現在、御議論になっております運輸省の人工島構想のような事業がこの関連する事業ということで読めるかどうかということにつきましては、この構想の具体的なスケールでございますとか、あるいはそういうものの建設費でございますとか、そういうものとの勘案で議論さるべきものであるというふうに考えております。法的には建設、管理以外の事業を行うことはできるということでございます。
  139. 梅田勝

    ○梅田委員 結局、公共的性格というけれども、レジャーランドをつくって交通量を確保しよう。そのためにちゃんと法案はそういうことの事業もできるということになっている。全くけしからぬ構想だと思うんですよ。  日本道路公団の中間報告を読ませていただきましたが、運輸省の大きな人工島構想というのは大体建設省も前提にしてないわけだ。あなた関係ないと言ったから、ないのだ。ところが、こっちの構想一緒にやりたいと考えておる。(「いや、そんなことは考えてない」と呼ぶ者あり)いや、考えてないと言ったって、ちゃんとここに書いてあるじゃないか。一緒にやれば建設費が安くなると書いてあるのだから。ところが、埋立面積が百八十ヘクタールだ。先ほど大臣は十八と言ったがうそだ。百八十ヘクタール、膨大な埋め立てをしなければならぬ。土砂も相当要るし、環境問題も大変なことになる。航行の問題につきましても、当然障害が出る。突き当たったり、見通しが悪くなるでしょう。  そこで、海上保安庁にお伺いしたいのでありますが、四月一日に、本四南備讃瀬戸大橋で工事中の橋脚に船が衝突しておりますね。どういう原因でやったのですか。
  140. 岡田專治

    ○岡田政府委員 ことしの四月一日の二十二時四十分ごろでございますが、香川県の坂出市沖合で建設中の南備讃瀬戸大橋の北側の橋脚、これは5Pというナンバーがついておりますが、それに大洋海運の貨物船カミ丸二号、四百九十一トンが衝突しております。  この事故によりまして、橋脚の基部の周囲に取りつけられました工事用の鋼製の作業足場が約三十メートル破損しましたけれども、橋脚本体には影響がございませんでした。同船の方はマストが倒壊いたしまして、右舷船首部外板に直径約二十センチメートルの破口等が生じましたけれども、油の流出はなく、また乗組員にもけがはございませんでした。  同船は、伊予三島港から東京港に向けて視界良好な海域を航行中であったものでございまして、海難の原因についてはまだ調査中ではございますけれども、これまでに判明した限りでは、同船は自動操舵を使用しており、居眠り運航していた模様でございます。同船の進路の異常に気づいた警戒船の方から、汽笛、拡声器等を用いて注意を喚起したわけでございますが、なお間に合わなかったという状況でございます。
  141. 梅田勝

    ○梅田委員 いずれにいたしましても、見張り不十分であったことは事実でございます。だから当たったのだ。東京湾におきましては過密であることは、もう今まで十分に議論されてきたところです。  ちょっとさかのぼって古い話でございますが、昭和二十四年にキティー台風がございましたが、京浜港でどれくらいの船が沈没しておりますか。
  142. 岡田專治

    ○岡田政府委員 何分古いデータでございまして、実は正確なものがないのでございますが、京浜港で約四十隻の船舶が海難に遭遇しておるというデータが残っております。(梅田委員「流失したのは」と呼ぶ)流失でございますか。——失礼いたしました。実はキティー台風としてトータルをまとめた数字があるのでございますが、東京湾内というふうにはなっておりません。流失した船舶は、二千七百二十二隻という数字になっております。
  143. 梅田勝

    ○梅田委員 とにかく、台風が来たときに東京湾の中は大変なことになるというのは、大臣、今の数字で御理解いただきましたな。  それから、昭和四十九年の十一月に、LPGタンカー第十雄洋丸が衝突して大爆発を起こした。最後は自衛隊が行って魚雷を打ったり爆弾投げたり、そういうことでやったのです。これがもし大混乱が起こっている荒天時に発生したときには、横断橋はできたものの大変なことになるよ。そう思いませんか。
  144. 江藤隆美

    江藤国務大臣 横断橋ではなくてトンネルなんです。
  145. 梅田勝

    ○梅田委員 大臣も勉強しておらぬのう。横断橋もあるし、トンネルもあるのだ。二つともあるのだ。そして、トンネルは人工島をつくって息抜きをつくっているのだ。木更津側は橋があるのだ。今みたいないいかげんな答弁をしてもらっては困ります。  いずれにしても、小さな船も含めて相当な混乱が予想されるわけです。だから、これは今までたびたび議論されてきたところで言うまでもないことでございますが、海事関係者の日本船主協会、日本内航海運組合総連合会、日本旅客船協会、全日本海員組合、日本パイロット協会、日本船長協会、日本航海士会、各団体がそろって、これは基本的に反対であるということで反省を求められておるわけであります。  きょうは時間がないからこれ以上追及するわけにいかぬけれども建設大臣、これだけたくさん問題点が出ている。また、運輸省は自分のところは自分のところでさらにでっかい、あなたのところが事前に調査した環境調査で考慮に入れていないような問題まで考えてやっているということが続いてくると、将来非常に大きな禍根を残す。そういう点で、採決なんか焦らずに十分に慎重審議をすべきだ、そして計画を撤回すべきだと思うのでありますが、最後にもう一度見解を聞きたい。
  146. 江藤隆美

    江藤国務大臣 二十年間も検討してきたのですから、梅田さんが心配されるようなことは専門家はもっと心配しておるのです。海事七団体のうちの六団体の代表は海上交通安全調査委員会に実際に委員として入って、そしてあなたがおっしゃるような今後の普通のときの航行の安全あるいは台風時、災害時等の安全という問題をただいま一生懸命検討していただいておるわけでありますから、皆さんの御意向のあるところを私どもは十分踏まえて海上交通安全は図っていく、これは一番大事なことですから、それは御心配のないようにお願いしたいと思います。  それから、運輸省の構想はこれは構想ですから、私は結構なことだと思っているのです。私ども建設省が考えておる人工島は約六・五ヘクタールです。六・五ヘクタールでも海上交通、漁業に影響があるのではないかと思って一生懸命その環境調査をしておるのですけれども、その三十倍のをつくっても安全だと実際に港湾を管理する運輸省が言われるということになると、大変ありがたい話だと思っているのです。  しかし、それは新たな問題でありまして、新たに漁業問題やら航行の問題等についてはそれぞれの機関と御相談をなさらなければ実現しないことですから、この横断道路と運輸省の人工島との問題をこんがらかって勘違いして、それだから財界奉仕だなんというふうに考えずに、これができたらあなたもこれはいい道路ができたなと言って必ず渡りますから、ひとつ賛成をお願いしたいと思います。
  147. 瓦力

    ○瓦委員長 以上をもちまして、本連合審査会は……(梅田委員委員長、今のあんな言いたいほうだいだから一言言わせてください」と呼ぶ)梅田君、時間が参りました。(梅田委員「三万台の計画をつくること自身が問題なんで……」。と呼ぶ)梅田君、梅田君、約束の時間がまいりました。(梅田委員「それはこそく的な需要を計画したものであって、そんなもの絶対に承知ならぬ、反対だ」と呼ぶ)以上をもちまして、本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後一時十四分散会      ————◇—————