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1986-02-21 第104回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年二月二十一日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 瓦   力君    理事 谷  洋一君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君 理事 平沼 赳夫君    理事 木間  章君 理事 山中 末治君    理事 新井 彬之君 理事 西村 章三君       池田 行彦君    糸山英太郎君       榎本 和平君    金子原二郎君       桜井  新君    東   力君       村岡 兼造君    森田  一君       保岡 興治君    山岡 謙蔵君       井上  泉君    上野 建一君       中村  茂君    山花 貞夫君       坂井 弘一君    薮仲 義彦君       瀬崎 博義君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 江藤 隆美君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 山崎平八郎君  出席政府委員         国土政務次官  白川 勝彦君         国土庁長官官房 吉居 時哉君         国土庁長官官房         水資源部長   志水 茂明君         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁土地局長 末吉 興一君         国土庁大都市圏         整備局長    山本 重三君         国土庁地方振興          局長      田中  暁君         国土庁防災局長 杉岡  浩君         建設政務次官  中島  衛君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    佐藤 和男君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      清水 達雄君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省河川局長 廣瀬 利雄君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 渡辺  尚君  委員外出席者         臨時行政改革推         進審議会事務局         参事官     加藤 武久君         警察庁刑事局捜         査第一課長   小杉 修二君         水産庁研究部漁         場保全課長   細田 忠雄君         運輸省国際運輸         ・観光局観光部         振興課長    山下 邦勝君         気象庁予報部予         報課長     黒澤真喜人君         自治省財政局調         整室長     鶴岡 啓一君         消防庁技術監理         官       山越 芳男君         日本国有鉄道事         業局審議役   山口 良雄君         日本国有鉄道事         業局開発用地課         長       西田  博君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  志賀 正典君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  倉茂 周明君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ————————————— 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   伏木 和雄君     薮仲 義彦君   伊藤 英成君     安倍 基雄君 同日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     伏木 和雄君   安倍 基雄君     伊藤 英成君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 瓦力

    瓦委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁高橋国一郎君、住宅都市整備公団理事志賀正典君及び理事倉茂周明君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存しますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 瓦力

    瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 瓦力

    瓦委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。榎本和平君。
  5. 榎本和平

    榎本委員 さき委員会におきまして山崎国土庁長官から所信表明があったわけでありますが、その中に一番筆頭に挙げられておりましたのがすなわち四全総のことでございます。この点につきまして長官からちょっと一言お聞きしたいのですが、この前の御説明ではこの秋に策定を終わる、こういうふうな御発言があったわけでございますが、その中に盛り込まれますところの策定作業というものは実質的につい完了を見て、そしていつの時点閣議決定というふうな段階になるのかをちょっとお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  6. 星野進保

    星野政府委員 作業進捗状況についてのお尋ねでございますので、私の方から御説明申し上げます。  現在、国土庁国土審議会というのがございますが、その国土審議会計画部会におきまして現在課題ごとに御検討いただいておる最中でございます。もう一つは、現在私ども、各都道府県、それからこれはブロックでまとめましてでございますが、各都道府県といろいろ御相談を申し上げておりまして、それぞれの地域での御注文、それから私ども考え方、そういったようなものを現在鋭意交流している最中でございます。  総理の所信表明演説で今秋、ことしの秋ということが言われておりまして、私ども秋に間に合いますように現在一生懸命作業を続けておる最中でございます。
  7. 榎本和平

    榎本委員 今日までいろいろな形でこの四全総内容の発表が行われておるわけでありますが、私はこの四全総、非常に広範な国土計画にわたるわけでございますから、その中の一つ二つの問題に絞ってひとつ御質問を申し上げていきたいと思うわけであります。  二月十九日に私、第四次全国総合開発計画についてという四全総作業状況説明をいただきましたが、これによりますと、今後十五年間、すなわち二十一世紀入り口までに公共投資額というものは、経済成長率を現在の四%に見込んで大体ほぼ同じ伸び率で見ていきますと、これから十五年間、四百五十兆、またそれよりも若干色をつけまして経済成長を五%程度見込んで同率の伸びというふうに見ていきますと、これから六百兆かかる、こういうふうなことが示されておるわけであります。  この額に対しまして、これまで我が国行政投資をやってきた額というものは、一般に言われております額というのは約四百兆だろう、このようなことも言われておるわけであります。これはもちろん、五十五年の価格といいますか、現在の貨幣価値で換算をいたしておるのだろうと思うわけでありますが、こういたしますと、我が国の二十世紀後半、すなわち一九五〇年から二〇〇〇年までの間に実に千兆円の公共投資を行う、こういうふうなことになるわけでございます。私はこういうふうな姿というものは、日本歴史はもちろん世界歴史も、たった半世紀足らずで千兆円の公共投資を行うということは過去の歴史にもなかったことではなかろうかと思いますし、かつまた、これからもそんなに頻繁にあるものではないと私は考えるわけであります。そういう点で、私どもがそういう時代に生まれ合わせたということは幸せと言っていいのか、とにかくすばらしいことだろうと思っておるわけであります。  しかし、私の出身を申し上げて恐縮でございますが、東北地方、特に、私は山形県でございますが、裏日本地域というものは、千兆円に上ろうとするこの投資総額に比べて、まことに比べようにもないような貧弱な、これまで費やされた額もそうでありますし、これから四全総でどういうふうな取り組みをなさってくれるのか、これからの問題でございますけれども、これまでの例を申し上げますならば、まことに悲しむべき現況と言わなければならぬと私は考えておるわけであります。特に、選ばれてそういう地域から出てきた者といたしましては、幸せどころか何かじっとしてはおれないような重圧感を感ずるといいますか、私はまさに幸せだなどとは言ってはおられない気がしてならぬわけであります。  特に東北地方全般、新潟県を含めまして七県を見ますと、いわゆる全国のこれまでの、職後この方といいますか、具体的には三十三年度の計算になるわけでございますが、それから今日までの間四百兆に対しまして、東北七県で約一割、率にして九・数%という投資の額であるわけであります。これは私、自治省からいただいた数字でございますが、まことに少ない額である。ましてや、今申し上げましたように私の生まれ故郷の裏日本は、三十三年から五十八年までの投資総額というものは平均にしてたった一・二%でしょう。一二%じゃございませんよ、たった一・二%、山形県というものを例に引き合いに出しますならばそういうことになる。四百兆の中にたった一・二%という、いわゆるこれまで過去の歴史になかったような経済成長の中でもこのような投資の額であると考えますと、私は、この時代に生まれ合わせた政治家としてまことに不幸せなことじゃないかなとさえ考えておるわけであります。  このようなこれまでの現実というものに対し、まず国土行政責任者でございます山崎長官、さらに公共事業執行官庁の最高の責任者でありますところの建設大臣にまずこの御認識、さらにはお二人にこれからどういうふうな決意でお臨みになっていくかという決意のほどをお聞かせいただけたらありがたいと思うわけであります。
  8. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  ただいま榎本先生からのお話で、三全総そしてこの秋に策定を目指す四全総、夢は大きく、非常に希望の持てる計画ではあるけれども、さて実際の現実は非常にまだ実績をあらわしてなくて、言いかえれば絵にかいたもちではないかというふうに御批判賜りましたけれども、そのことにつきまして少しくお答え申し上げながら御説明いたしたいと思います。  近年の地方別行政投資実績をずっとたどってみますと、今おっしゃったとおり東北地方を初め地方圏シェアが一九七〇年代には増加の趨勢にあったわけですけれども、確かにおっしゃるとおり、ここ数年全般的に公共投資が抑制されるなど、シェアが若干低下しておるのは仰せのとおりでございます。そこで国土庁といたしましては、国土の均衡ある発展を図るための観点から東北地方を初めとする各地域におきましてそれぞれの特性に応じました整備を進める、このために必要な公共投資の確保に十分留意していく必要があると認識いたしております。  以上でございまして、具体的にはまたいろいろとお尋ねにつきましてはお答え申し上げたいと思います。
  9. 江藤隆美

    江藤国務大臣 この前開いてみましたら、一番厄介な東京都内道路整備、今キロ当たり三百三十億から四十億かかるそうです。それを聞きまして、これは山形に限らず北海道あるいは東北、北陸、九州、そういう発展途上国で一キロ三百三十億も四十億もかかる道路予算というものがあったら目を見張るように道路整備ができるであろうということを実はつくづく考えました。まさに今は、都会地においては道路行政というもの一つとっても隘路の打開である、我々の地帯にとってみれば、それはなくてはならぬ生活道路であり地域開発である、こういう両面があると私は思っておるのです。  したがいまして、ただいま国土庁四全総の難題に向かって精力的に取り組んでいただいておりますが、またお尋ねがありますれば私ども考え方も申し上げますけれども、こうした地域開発社会資本の充実、生活環境整備ということを考えながら、私どもは、二十一世紀に夢をつなぐこの四全総構想というものについては積極的に建設省の立場を説明して、計画に盛り込んでいただくようにお願いをしたい、こう思いますし、同時に、やはり過疎地域になるということ、それから人口がだんだん少なくなって老齢化社会が進んでいくということは、生活がしにくいからそうなっていくわけでありまして、だれも好きこのんで故郷を捨てる者はないわけですから、私ども今世紀に生を受けた者はやはり子や孫の代に悔いの残らないようなそうした郷土の開発というものを精力的にやって汗を流していく必要がある、こういうふうに考えておるわけであります。  あとまたお尋ねがありますれば、具体的にお答えしてまいりたいと思います。
  10. 榎本和平

    榎本委員 これは担当局長にお伺いいたしたいわけでありますが、この第四次の全国総合開発計画、今日まで発表されております内容によりますと、いわゆる三全総とやや趣を異にいたしまして、今度四全総の柱といいますか主要テーマといいますか、それは定住そして交流、こういうふうな命題を掲げておるわけでありますが、これにつきまして若干の御説明を賜りたいと思います。
  11. 星野進保

    星野政府委員 御説明申し上げます。  三全総におきまして、これは昭和五十二年につくられた計画でございますが、三全総におきましての基本的な考えというのは、それまで高度成長期大変人口の流動が激しかったことを反省いたしまして、むしろ人間ができるだけ自分の生まれ育ったところへ定着できるような国土づくりをしていくということが非常に重要であろうということを基本にいたしまして、定住構想ということを提唱申し上げたわけであります。  それに対しまして、私ども判断が若干甘いかもしれませんが、かなり定住構想の成果は上がってきたと思っておるわけでございます。これは人口統計等眺めましてそれぞれのところで、例えばでございますが、一村一品運動が起こってまいりますとか、それぞれの地域でその地域を大事にしながら地域を育てていこうという流れが大変強くなってきておるという認識をしておるわけでありますが、今度はいよいよ定住がほぼ定着した上になりますと、国際化時代ではございませんが、それぞれの地域同士、ただ東京地域という形ではなくて、それぞれの地域同士がいろいろな形で交流を深めてくる時代になってきつつあるし、またますます盛んになるであろう、こういう基本認識を持っております。  したがいまして、ある意味で適切な言葉であるかどうかはまだ自信がございませんが、定住及び交流ということを申し上げまして、定住を忘れたのではなくて、定住の上に交流ということを乗せてみたらどうだろうかという考え方を今私ども言い出しておりまして、各方面でいろいろと御批判を得たり、それから御検討を得ている段階でございます。
  12. 榎本和平

    榎本委員 私も素人ながらにまことに結構な構想だろうと思うわけでありますが、この構想を推進するに当たりまして、何といいましても第一の要件というのは交通ネットワーク整備であろうと考えるわけであります。  ところで、このいただいた資料によりますと、また新聞報道によりますと、拠点都市の連絡という視点に立ち、人口五万以上の都市を結ぶ高速道路など幹線道一万三千五百から一万四千キロの整備を想定すれば、これはこの資料にはございませんが、新聞等では四十二兆から四十四兆円かかるのだ、こういうふうなことがございますが、ちょっと事務的なことをお伺いいたしますが、この四十四兆というのはこれまでのものを全部ひっくるめてこの額なのか、ちょっと事務的に教えていただきたい。
  13. 星野進保

    星野政府委員 御指摘資料でございますが、これは先ほど申しました国土審議会計画部会というところで御検討いただいております試算資料でございまして、その中で高規格幹線道路につきまして試算をいたしております。それは今先生指摘のように、人口五万以上の都市を連絡するのに必要な延長は約一万三千五百キロメーターから一万四千キロメーターぐらいであるということをまずキロ数を出しまして、そこに書いておりますのは、金額につきましては平均単価大体四十億円ぐらい、そこは正確でございませんが、というのを掛けまして金額を出したという性格のものでございます。したがいまして、全部をひっくるめて言っておるわけでございまして、積み上げその他でやったわけではございません。
  14. 榎本和平

    榎本委員 これも若干事務的なことになりますけれども新聞等によりますと、四全総に出てくるこれからの高速道路網というものはほぼ一万三千五百キロから一万四千キロ、そういうふうな報道がなされておるわけですが、大体そういう認識でおってよろしいですか。
  15. 星野進保

    星野政府委員 考え方の問題でございますが、第三次全国総合開発計画のときに高規格自動車道を一万キロ余ということを申しております。それにつきまして現在私ども勉強中でございますが、恐らく一万キロ余よりは多くの量を必要とするのではないだろうかというのが審議会等での御意見でもございます。  したがいまして、今はその額が試算で申し上げました一万三千五百あるいは一万四千というような数字でおさまるかどうか、これからもう少し関係省庁とも検討させていただきましてきちんと詰めていきたいと思っております。あくまでも今のところはアバウトな議論の材料として検討していただいている段階でございます。
  16. 榎本和平

    榎本委員 先ほど一番初めに伺った内容によりますと、いわゆる定住交流というものがこれから二十一世紀へのかけ橋としての一つ主要命題である、こういたしますならば、やはりその高速交通体系の路線といいますかキロ数というのは、その割にはもっと拡大しなければならぬのじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。これは後でお話を伺うことにいたしますが、そういう疑問を私は一つ持つわけであります。  さらに、私はいささか枠を超えた質問になるかと思うのでありますが、二十一世紀とよく言いますけれども、二十一世紀というものは果たして日本世界的にもどういう役割を担っていかなければならぬ時代になるかということ、そういうふうな前提がないと、やはりそれなり説得力のある国土計画というものは出てこないのじゃないだろうかという疑問を一つ私は思うわけであります。  これは、いささか生意気な私の意見でございますが、これから将来の二十一世紀日本を展望いたす場合に、私は一面的なことを申し上げて恐縮ですが、今世界の中で日本経済の占める割合というものはいわゆる一割、一〇%だということであるわけでありますが、ことしなんかは四%の経済の上昇、このようなことを考えますならば、日本の国内にべらぼうな地震とか破壊行為がなければそれなり伸びで進むのではなかろうかという一つ考えを私は持つわけであります。これは私だけでなくて、一部の資料なんかによりますと今から十五年後、二十一世紀入り口におきましては、世界経済の中で日本経済が一二%のウエートを占めることになるであろうという指標すら出ておるわけであります。こういうふうに考えますと、二十一世紀がさらに進みまして、二十一世紀の中にすっぽりと入った時点には、さらにそれよりも日本経済の力というものは増しはせぬかとさえ私は思うわけであります。  そういたしますと、これも私が住んでおる地域を例に挙げて恐縮でございますが、今の東京中心とする経済圏というものは日本経済の七割を占めておる、まあ今東京百キロ圏とかいろいろ言われますけれども、先ほど申し上げたような二十一世紀のそういう時代のためには、それをさらに拡大しなければならぬわけだろうと思うわけでありますが、そういうことにもこれまでの、今申し上げた特に交通ネットワークといいますか、そういうものも想定なさっていらっしゃるものかどうかということをちょっとお伺いいたしたいのであります。
  17. 星野進保

    星野政府委員 大変難しいポイントでございまして、私ども一応は、今先生指摘いただきましたように、二十一世紀に入りまして、端的に言えば二〇一〇年であるとか二〇二〇年であるとか、その辺で現在のような世界情勢でそれぞれの地域、つまりアフリカ、アジア、アメリカ、それぞれの大陸の各国が、例えば今のような状況経済発展させていくとしたらどこが一番よく発展するだろうかというようなことをいろいろな文献あるいは自分たちも若干目の子の試算などをやって検討いたしてみますと、やはり巷間言われておりますように、どうも環太平洋地域というものはかなりこれから伸び可能性があるのではないだろうかということであります。  そういたしますと、先生今御関心総合交通体系観点で申し上げますと、従来でございますと、国際空港等の設置につきましては、我が国のむしろ内部的な要因と申しますか、内部の需要その他について関心をもって配置することが基本であったと思いますが、むしろこれからは、例えばでございます、これは軽々に言える話ではございませんが、シンガポールあるいはソウル空港あるいは台北とか、そういったような東南アジア全般における航空機の出入り、そういったようなものを十分踏まえながら、我が国における国際空港であるならば国際空港の位置づけというものを十分検討せざるを得ない。国際港湾についても同様でございまして、現在私ども、ない知恵でございますが、一生懸命いろいろな文献資料等を集めまして、そういう部面についても内々検討はさせていただいているという状況でございます。
  18. 榎本和平

    榎本委員 では、その公共事業を実際に執行なさいますところの道路局長にお伺いを申し上げたいのでありますが、話はいささかさきに戻りますけれども、先ほど両大臣に御質問申し上げましたように、私ども東北、特に裏日本というのは何一つないわけであります。一本の高速道路もございません。山形県も秋田県もないわけであります。表日本はおかげさまで新幹線もできました、し、縦貫道路もできたわけであります。先ほど申し上げましたように本県山形県などは、昭和二十六年から今日まで三十何年間になるわけですか、毎年毎年の公共投資額というものは一%、一番高くて一・三%というふうな額なのであります。そういう日本経済が一番華やかな時代にそうであるわけであります。このように考えますと、どうしてもこの十五年間、いわゆる二十一世紀に入りますところの、すなわち四全総の期間の中でこれは取り戻さなくちゃならぬ。私は、これは私だけじゃない、その地域に住む住民としてもうどなたも同じだろうと思うわけであります。  そういう観点からいたしまして、本県をたびたび例にとって恐縮ですが、本県の一番主要部分というのは、山形市を中心とする山形平野、それから福島と接しますところの米沢盆地、さらに北に進みまして新庄、最上盆地というのがございますが、これがいわゆる内陸地方であります。これが山形県の中では最も産業集積の大きい地域でありますが、ここの中にも先ほど申し上げましたように何らの近代的な見るべきもの、まあ空港がございますけれども、ない、こういうことなのであります。  ここを南北に貫通して、南は福島県、北は秋田県と結ぶ高規格幹線道路をどうしても一本つくっていただかなければならぬ。まことにささやかなお願いだろうと私は思っておるのです。私は、この点につきましての建設大臣の御決意をひとつお聞かせの上、具体的な構想がありましたら道路局長からお聞かせを願いたいと思うわけであります。
  19. 江藤隆美

    江藤国務大臣 山形は先般の国幹審におきまして東北横断道路整備計画にまた編入をいたしまして、御承知の、あれは仙台から酒田に行くわけでありますが、そのうちの約五十七キロがいよいよ建設が進む、こういうことになるわけですが、御意向は二つあると私は思っておるのです。  私の選挙区も、実は高速自動車道路が一メートルもありませんで、新幹線は十センチもないわけであります。まことに情けない限りでありますが、山形の場合には、そうした東北横断道路一つ行きます。行きますが、縦にいわゆる日本海沿岸の高規格道路、それからもう一つはこっちの方から米沢から山形、天童を通って、そして最終には今御意見のような新庄ですか、こういう縦の日本海沿岸と一番交通量の多い真ん中を抜ける高規格道路というものが御要望であろう。それについての考え方はどうだ、こういうことだろうと思うのです。  先ほど来お話がございましたように、道路整備五カ年計画の中で今七千六百キロを整備しておるわけでありますから、今度の四全総の中で幾らになりますか知りませんが、要望だけは九千キロを超す。そうすると、今の七千六百キロが二十年かかって半分しかできてないわけですから、それをはるかに上回る新しい要望があるということは、それほど地域開発というものにこうした高速自動車道路が大きな役割を果たしておるということを住民がやはりひとしく渇望しておる、こういうことだろうと私は思います。  したがいまして、今後、国土庁のそうした四全総策定と相まちまして、何といっても、東京、三大都市圏に人口の七割以上が集まる、一億以上がやがて集まってくるという説もあるわけですから、そういう国土計画というものは私は適切でないと思っております。先ほど先生おっしゃいましたが、二十一世紀日本が本当に繁栄を続けていこうと思うならば、そういうふうな町づくりをやったのではいつかパンクするときがやってくると私は思いますから、御意向の点は十分承って、私も一生懸命研究をしておるところでありますが、できるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  20. 萩原浩

    ○萩原政府委員 国道十三号沿いの高規格道路についてお答えさせていただきます。  この国道十三号、現在非常に交通混雑が著しい区間につきましてバイパス工事を鋭意進めております。山形県内で四車線化になりました率は二二%ございまして、既に事業に着手いたしました率も四七%に及んでおります。今後ともこの国道十三号線の整備を精力的に進めてまいりますけれども、これと並行いたしまして、先生指摘の高規格道路構想がございます。  これにつきましては、先ほどから国土庁の方からいろいろ御説明ございましたように六十一年中に四全総策定される御予定でございますので、この中で総枠の策定を調整を図りながら決めてまいりたいと存じます。それと同時に、六十二年度までにこのおのおのの細かい路線の計画あるいはその整備手法について決めてまいりたいということで今鋭意検討中のところでございます。  この十三号沿いの高規格道路につきましては、非常に多くの十三号のバイパス計画がございます。そのバイパス計画とも整合を図りながら、できるだけ早く整備が進むようなことを考えないと、現実の問題としては、従来の高速道路のような考え方では採算性その他に非常に大きな問題があろう、こういうふうに私ども考えておりまして、そこら辺も含めまして全体の高規格幹線道路網の策定の中に盛り込んでまいりたいと考えておりますので、今後、総枠の問題その他を踏まえまして、御要望をできるだけ実現できるような形で何とか工夫をしてみたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  21. 榎本和平

    榎本委員 ただいま建設大臣それから道路局長から大変積極的な御発言を賜りまして、非常に感激をいたしておるわけであります。国土庁長官、そういうことでございますから、ぜひひとつ四全総の中に組み入れてくださいますことを強く要望を申し上げたいと思う次第であります。大臣、どうぞ。よろしいです。  最後に、国土庁の事務当局の局長お尋ねをいたしたいのでありますが、これはいささかそれぞれ意見の異なることもあろうかと思うわけでありますが、国土計画というものは、私なりに素人ながらに考えておりますことは、やはり全国土的な観点から考えていくという一面が、これは一面というよりもこれが主要部分だろうと思うわけでありますが、もう一つの面は、中央におってはわからないような、それぞれの地方地方の住民の切なる夢と願望というものもこれまたあわせて解決してやる、実現させてやるという二面的な考えのもとに進めていただかなければならぬのじゃないだろうか、私はこのように基本的に考えておるわけであります。先ほど国土庁長官から非常に謙虚な一番当初のごあいさつ、発言がございましたのですが、私は、やはり全国土的に見た場合の日本国土開発というものは、それなりの評価をいたしておるわけであります。  例えて申し上げますならば、最もわかりやすい例を挙げますならば、日本列島、北から見まして北海道、本州、四国、九州という四つの島といいますか大陸といいますか、大陸にはならぬわけでありますが、これがまさに半世紀を待たないで陸路で結ばれたなどというものは、私はすばらしい民族の快挙だろうと考えておるわけであります。それは、今の時点投資額に見合うようなそれなりの効果が上がったとか上がらないとか、それは別問題でありまして、やはりそういう民族の夢と願望というものがわずかの期間でここで達成されたなどということはすばらしいことだ、私はそう思って、全国土的に見た場合の一つ国土のあり方というものに対しては、それなりの評価を私はしておるつもりなのであります。  しかし、もう一面の各地方地方への、特に四全総の中で、三全総の中にもございましたのですが、いわゆる各地域がそれぞれの創意工夫と地域特性を生かし云々という、まさに個性のある豊かな一つ地域のあり方というものを考えますと、これまでのような単なるメニュー方式的な、国でこういうふうな事業がありますよ、あなたのところには学園都市をあげましょう、あなたのところにはテクノポリス構想をあげましょう、あなたのところには何をあげましょうというこれまでのメニュー方式化されたものではやはり特性ある地方の、地域のあり方というものにはならぬのじゃないだろうかと私は原則的に考えておるわけであります。  それは、確かに地方の区域区域の地域分担の役割という面からいいますならば、これは否定するわけにいきません、それも大いに必要なことではありますけれども、本当にその地域の住民が、ここに生まれ、育って、そしてここで一生を終わるということを最大の喜びとするためには、それだけでは足りないのじゃないだろうか。いささか表現が難しくて表現ができないのですが、私の足りない表現で申し上げますならば、日本人の心の回帰といいますか、その地域地域の住民の心の回帰といいますか、そういうものに触れる地域開発というものがこれからなされなければならぬのじゃないだろうかな、また、国土庁がおっしゃっておりますところのいわゆる特色ある地域のこれからのあり方にはならぬのじゃないか、これまでのメニュー方式の、地域にそれだけの地域分担を与えたからそれで地域の特色ができるんだというだけではならぬじゃないだろうかと私は考えておるわけであります。私は、これこそ二十一世紀に向けての最も大切なポイントだと考えておるわけであります。  これは一つの例でございまして、すぐにここでお願いをするというものじゃありませんが、自分のところの山形県を挙げて悪いのですが、山形県というところは、国土庁建設省の方々は存じ上げておりますが、一般の方は余りわからないと思うのであります。東北地方というと、表日本裏日本というのは蔵王の尾根で分かれておるぐらいにしか思っておらないだろうと思うのでありますが、山形県の地形を申し上げますならば、蔵王連峰よりももっと高い山脈が県内の真ん中に、いわゆる東西に遮っておるわけであります。いわゆる海岸地方と内陸地方というように遮っておる。その中の一番の霊峰は月山という、森敦の小説に出てくる月山でありますが、私は、この月山というものは、かつては山形県の歴史、伝統の中に、本当に住民の中に生きてきた山であろうと考えておる。  なぜかといいますと、私が経験したわけでありますが、私どもそれを眺めている、裏表から眺められるわけでありますが、十五歳になりますと、白装束に身を固めまして月山、湯殿山、羽黒山という三山参りをさせられる、まさに元服の式典であったろうと思うのでありますが、そういう長年の風習といいますか因習といいますか、これは、やはり山形県内分け隔てなく、海岸地方の住民も内陸地方の住民もそういう風習、伝統の中に生きてきた。     〔委員長退席、谷委員長代理着席〕  ところが、世の中がだんだん進みますと、そんなことをやる人はだれもいない。逆に、月山という山形県の中に南北に横たわっている山脈によって全く分断、今では経済交流もない。人の交流も、新潟県の方に行った方が早いとか秋田県の方に行った方が早いとかという海岸地方の住民の生活であります。世の中が便利になればなるほど、先ほど申し上げたいわゆるふるさとへの回帰、人間の心の回帰といいますか、そういうものがだんだん失われてきた。私は、そういう点に焦点を持った考え方がこれからの地域づくりにならなければならぬと考えておるわけであります。  私は、どこの偉い人の前でも言うのですが、月山を一またぎする乗り物をつくろうじゃないか。今の日本の科学技術の粋を集めますならば、たかだか、二千メートルありません、一千九百八十三メートルしかありませんが、あそこに、昔のように、山形県民が一つ心になるようなそういう近代設備、いわゆる心の回帰と近代性をあわせた施設をつくる、私は、まさにそういうことこそこれからのふるさとづくり、地方づくりのポイントじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。  これは私の考えで、例に挙げたにすぎませんから、これをしてくれとかこういうことをやってくださいというお願いを今しているわけじゃありません、例を挙げないとなかなかわかりにくい話でございますから例を挙げただけでございますが、今私が申し上げましたことにつきましての国土庁の御見解をお聞かせいただきたいと思う次第であります。
  22. 星野進保

    星野政府委員 先生の御指摘、すべてごもっともだと思います。本日、たしか秋田で、私ども、地方ブロックで四全総についていろいろ御注文を承っている会議を開いている最中でございます。  先生指摘のように、その地域地域の個性あるいは特性を生かすという観点からまいりますと、私ども計画のつくり方から変えていかなければいかぬと思いまして、今度の四全総で初めて、各ブロックの方々と直接いろいろと注文の交換をしようじゃないかということを始めた次第でございまして、今後、十分先生の御指摘の点を踏まえまして計画策定していきたいと思っております。
  23. 榎本和平

    榎本委員 ちょうど時間ですから、質問を終わります。
  24. 谷洋一

    ○谷委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午前十時四十九分休憩      ————◇—————     午前十一時二十分開議
  25. 瓦力

    瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上泉君。
  26. 井上泉

    ○井上(泉)委員 建設大臣、非常に活力のある政治家としての存在であることを私も注目して今日までおったわけでありますが、そこで大臣になられたので、大臣になるのが目的か、政治家として志した場合には、大臣になってこういうことを国家国民のためにしたいというその抱負のもとに大臣を希望しておったのか、大臣という一つの肩書欲しさに大臣をねらっておったのか、どっちですか。
  27. 江藤隆美

    江藤国務大臣 子供のころから、ちょうど私ども一番農村が疲弊した時代に物心がつきまして、いつの間にやら何となしに政治家になろうということを実はそういうふうに考えまして、就職とかなんとかということは一切考えずに、何か青年期を過ごして今日に至りまして、図らずも、図らずもと言ってはうそになりますが、やはり代議士になりますと閣僚の席にということでして、ささやかなりとも自分の持っておる考え方というものをより一歩近づけたい、こういうことになりますわけで、なりたくなかったと言ってはうそですが、そんなに夜も寝られぬくらいになりたかったと言うとこれもうそになりますし、なってみるとこれは悪くないなとも思うというのが心境であります。
  28. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういう意気込みでなっておられるわけで、それにつけても私は残念に思うのは、今年度の六十一年度の予算の編成過程というのは全部、大臣が国対委員長で走り回っておるときだし、そういうことを顧みるいとまもなかったと思うわけですが、前任者の大臣が編成した予算である、おれが大臣になったら、その予算は後から見ておれはこれはこうだと思うがどうだという、そういう何か今年度の予算について新大臣として御意見はないですか。
  29. 江藤隆美

    江藤国務大臣 予算審議の真っ最中でありますから、予算が通りましてからそのことはひとつ言わしていただこうと思っております。
  30. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そう言われると身もふたもないわけですが、そこで、大臣がそういう気持ちで大臣になられておる。それからまた、その編成をされた予算については予算が終わってから、予算が通った後でということでありますし、またそのことは私も後日の委員会等で大臣質問する機会があろうと思います。  きょうはわずか三十分でありますから、要は大臣大臣としての政治理念あるいは大臣としての抱負、そういうものを聞きたいわけでありますが、この所信表明にしても、大臣がどのページを、どの項をつけ加えたか、所信表明は確かにこれはあなたですから、この官房がつくってきたものに対してあなたがこう添削をしたはずだし、そのままであるのか、あなたの意思がかなり反映しておるのかどうか、その点を承りたいと思います。
  31. 江藤隆美

    江藤国務大臣 駆け出しですから余り反映したとはいえないんじゃないかと思います。しかし、読んだ以上は責任があるわけでありますから、これはもう前言を翻すことはできません。  ただ、姿勢についてという先生の前提、今承りました。私はこう思っておるのです。予算が通りましたらといいますのは、これほど円高が進みまして為替差益が出てくる、日の当たるところも出てくるでしょうが、急速に崩れさろうというところも出てくる、それがやはり恐らく四月ごろにそういう現象が出てくるのではないか、そのとき改めて公共事業というものはいかにあるべきかというのが問われる時期が来る、必ず来ると私は思っております。  また、今予算をこうして審議をお願いしておりますが、ことしの経済計画というものは一体このままで来年の三月まで真っすぐにいって過ちはないものかどうかということが、この急激な変化の結果として問われるときが必ず来ると私は思っているのです。それが四月ごろかなと、こういうことがあるものですから、予算が通りました後でひとついろいろなことを申し上げさせていただき、来年に備えさせていただこう、そういうふうに実は考えておるところでございます。
  32. 井上泉

    ○井上(泉)委員 大臣は若いとき勉強は獣医畜産学科ということで、そのときは政治学を勉強してなかったが、その間に、これは政治の場でやらなければ日本の酪農もだめだというお気持ちもあったんじゃないかと思うわけです。  現に、もう牛乳が余って困っておる、牛の搾乳の制限をしなければいかぬ、こういう話が出ておりますし、それから今言われた円高の関係で、これは非常に深刻な影響を各界に与えておるわけです。大臣所管の住宅建設の場合でも、宮崎県の松形知事も非常に奮闘して、中国へ間伐材の輸出の商談がまとまってやっておる。私の方の高知県もそれでやった。やったところが、円高になったがために二百四十円で契約したものが二百円を割って、もう大損をしておる。宮崎はどういうふうな始末をしておるか知りませんけれども、そういう点で、日本の森林資源を大事にするためにも、この円高というものは非常な被害をもたらしておるわけだから、そういう点についても大臣は考慮を払っていただきたい。  というのは、例えば住宅建設につきましても、きのうも本会議で答弁をされておったわけですが、やはり住宅建設をする場合に、一つの団地を形成する、そこが二百戸あるいは一千戸というような場合には、少なくともこの中の何十%は木材住宅建設をせよというような行政指導をする、法律といっても間に合わぬですから、やはり行政指導で木造住宅建設を促進する、こういうようなお考えを持ってやっていただきたいと思うのですが、どうでしょう。
  33. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 ちょっと大臣の前に一言申し上げたいと思います。  もうくどくど申し上げませんが、木造住宅の振興につきましてはいろいろな施策を展開しているということは先生も御理解いただいていると思います。で、今御指摘のありました団地をつくる際に一定の率で木造を義務づけるといいますか、そういうことをしたらどうかという御質問かと思います。  一つ住宅団地をつくる場合には、やはりその地域地域の需要の動向、どういうものが求められているか、あるいは立地状況でありますとか気候風土、そういうものにそれぞれ具体的に即地的に応じて計画がつくられていくわけでございます。したがいまして、全国一律に、例えば何割は木造でなければいかぬ、そういうような形で定めるということは、これは適当ではないんじゃないかというふうに考えております。
  34. 江藤隆美

    江藤国務大臣 国産材を有効に使うということは当然でありまして、私はいつも、これほどせっかく拡大造林をやってきたけれども、このままいったら、日本は山林国ではあるけれども、山林資源国にはなり得ない、私はそういうふうにいつも実は憂えてきたわけであります。  今回、六百七十万戸の五カ年計画住宅でやろうというのに当たって、私は局長にも言っておるのですが、建ってみたらコンクリートとプレハブの住宅だけつくっておって、製材所もつぶれて大工の仕事もなくなって、左官の仕事もなくなって、畳屋の仕事もなくなったということではこれは何にもならぬ。いわゆる住宅建設が内需喚起に役に立つというのはなぜだといったら、これはとにもかくにも住宅をつくれば少なくとも百五十業種ぐらいには波及効果があって、家が一軒建ては百五十の業者に何らかの影響があるというから、これが内需喚起であって、それをやらずに、いつの間にやらコンクリートで建ってしまった。そしてベッドに寝ころがってインスタントラーメン食って、テレビを見ておった、母ちゃんがヒステリーになったなんというのではこれは始まらぬ話でありまして、私はやはり、ここに東家さんおりますが、非常に木材住宅問題で熱心ですから、ひとつ農水省と建設省というものが真剣にこれは話し合って——今までは、ずっといろいろな規制を見ますと、木材が使われないような住宅構造というのになっているのですね。だから、営林局が大体コンクリートでつくるのですから、頭がおかしいんじゃないか、営林局ぐらいは木でつくったらどうだ、営林局をコンクリートでつくっておって木材の需要拡大なんと言うたって、そんなことは始まらぬでしょう。だから、少しくこの一年間は、住宅五カ年計画の初年度でもありますから、そうした日本の気候、風土に最も合った伝統ある木造住宅建設をされるように、ひとつ農水省ともよく意見を聞いて建設省との間で協議を進めながら、御期待に沿うような方向で努力をしていきたい。これは私の念願であります。
  35. 井上泉

    ○井上(泉)委員 大臣は、大臣になられる以前にはかなり血気盛んな議員ということを私は聞いておったので、所信表明に一項でもそういうふうな特色が出ておるかということを期待しておったのです。その期待は外れたのですけれども、今の所信でその期待を子とします。そうしてそれは、一つの政策を出しても、建設省サイドだけで見るということは、これは狭い範囲ですから、その点住宅局長はいろいろと言われましたけれども、役人の言う意見を余り聞くと狭まってしまうのですから、そこら辺はひとつ大臣としての活路を開いてもらいたい、こういうように思うわけです。  そこでもう一点。これは、最近は横断道の花盛りですが、九州と四国を結ぶ線の中で、愛媛県の佐田岬と、それから大分県になるかね、あの間は国道百九十七号線という線で、これは前には新幹線を通すとかというような計画も出されておったこともあるわけです。僕は年がいっておるから橋の完成を見ることは難しいかもしれませんけれども、ここらあたりでひとつ、九州と四国を結ぶ、そして四国は本州と結ぶ、和歌山と結ぶという大きな構想が浮き上がってくるわけなので、その点を大臣は、自分の出身地の九州のことでもありますし、この四国を結ぶ道路というものを考えられたらどうでしょうか。
  36. 江藤隆美

    江藤国務大臣 これは事務当局に答えさすと悪い話でありまして、私から申し上げたらいいと思いますが、いわゆる豊予海峡のトンネルというのは、実は青函トンネルが終わりましたならば、国鉄のあれほどの技術陣を遊ばすのはもったいないということで、当時二億円の調査費を初年度につけまして、そして、宮崎でリニアモーターカーの試験をやって、これが完成したならば、東九州新幹線からいわゆる大分を通って、あの海峡を通って佐田岬に上げて、そして本四架橋を通って、そして本州の真ん中を抜けて、そして新宿につけようというのが実は当時の中央新幹線構想でございまして、宮崎から東京までを三時間で結ぼうという実は壮大な計画でありました。  そのために、実はあれは当時調査をいたしたわけであります。欠点は水深が非常に深いということでありまして、大体二百メートルぐらいの水深があそこはあるわけです。鉄道ですと大体海の底から百メートル下を掘っておりますので、だから、水面下三百メートルのところに鉄道を通すというとなかなか容易ならぬな、こういうことが当時の調査の結果でございました。私は、当初からかかわり合っておりますから、このことについては、せっかくのあれほどの調査とその夢をもったいないと思っておるのです。  ですから、先生今おっしゃいましたが、三十数年前に木更津の海岸に立って、そして向こう岸に橋を渡そうと考えた人がおる。この前ちょっと大波のときに私は明石海峡へ行ってみましたが、あの明石海峡あるいは鳴門の大渦を眺めながら、これを一またぎして橋をかけようと考えたのがやはり三十数年前ですから、それは、我々が九州と四国の間にトンネルを掘るなり橋をかけて四国と九州とを一体にしようと考えるのは当たり前のことだと私は思っておるのです。特に、九州横断道路が長崎から、鳥栖から大分に向けてきます。そして東九州高速道路が抜けてくるわけですから、これらを一緒にして、我々の生あるうちに、どういうことになるかわかりませんが、何らかの形をつけて、将来の遺産としてこれは残していきたい。私はこれはもう大賛成でありますから、ひとつ一緒にこの問題は取り組んでまいりたいと思います。
  37. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは、同日選挙でもって解散になるとまた大臣が交代するというようなことになって、どうも落ちついた計画が立てられないと思うわけですけれども建設大臣にしても国土庁長官にしても選挙基盤の強い方ですから、その点は安心をしてこの計画を推進をしてもらいたい、こう私は思うわけです。  そこで、時間が非常に少ないので国土庁長官お尋ねするわけですが、国土庁の使命と言えば国土の均衡ある発展、こういうことです。均衡ある発展ということは、うんと発展しているところと発展していないところがあるから、だから、そこで均衡ある発展という言葉が生まれている。大臣政治家では珍しい博士で、学問的にも非常に農政には明るい方である。そうなりますというと、やはり三全総の課題というものも、そういう格差のある、低いところを引き上げるということ。  ところが、それが現実には、国土庁ができてもう十何年になるわけですが、三全総が策定されて十年、もう四全総ができる、こういうわけですが、その中で大臣は、三全総のあり方あるいは国土庁はいわゆる国土の均衡ある発展ということに一体どういう役割を果たし得るか、これはどうだろうというように疑問なりあるいは見解なりあれば、そのこともこの所信表明にはないのですから、今までと違った大臣ですから、ひとつそのことを承りたいと思います。
  38. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答え申し上げます。  今お話しいただきましたように、私も本当に図らずも国土庁長官を拝命いたしました。しかし、仕事の内容をいろいろ勉強していきますうちに、これは一番私に合った仕事だなということをつくづく感じております。  ただ、私は過去は、おっしゃったとおり農業が中心世界を歩んできたものでございますから、開発という意味からいきますと、ほんの、いわばヨシの髄から天井をのぞくといいましょうか、非常に狭い視野で物を見ておったのが、今度は国土全体、広い視野から見直すということで、これは勉強しながら、非常にうれしい、私に合った仕事をいただいたと喜んでおります。また勢いづいております。  御承知のように、全国総合開発計画、いわゆる全総が発足いたしまして、そして新全総、三全総、今度まさに四全総に差しかかり、この秋に全体策定を終わるわけでございますけれども先生おっしゃるとおり、これは一番大事な時期に大事な仕事をいただいたと非常に責任を強く感じておりまして、一生懸命誠心誠意傾けて、ぜひとも策定を誤らないようにいたしたいと思います。三全総の構想の中で、いわゆる定住圏という問題が中心になっておりましたけれども、今後は、その定住圏をつくりながら、その間の交流ということをさらに加えてあるわけであります。  そこで、私も九州の端くれでございますけれども先生も四国のお生まれでございます。どちらかというと僻遠の地でございまして、いろいろ不利な点もあります。私は幸い筑後川の、おたくの方では四国三郎、私の方では筑紫次郎という筑後川がございまして、その河口の生まれでございます。その先はいわゆる有明海でございまして、干満の差の激しい非常に変わった河川でございます。そこらも、ちょうど郷里に住みましたために、青年のころからよく川を、しかも渡し船で三年間渡って通いました関係で、筑後川という母なる川には非常に大きな将来の夢を持っておりました。  しかし、これは何も筑後川だけではありません。戦後の開発は御承知のように坂東太郎から始まったわけです。その次は、実は四国三郎に重点が移ったわけです。私はちょうど九州の農政局長どもいたしておりまして、一番財界人などと話したことは、太郎、次郎が順序であるのに太郎、三郎に行って次郎が非常におくれておる、これは情けないことであるということを大いに言い張りまして、どうやら筑後川も少しくおくれましたけれども、今軌道に乗りかけております。  以上のようなことで、また足りない点は先生から御指摘を賜りましてお答え申し上げたいと思います。
  39. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そこで、四全総を今策定中であるということについては、これは確かに歴史的に重要な時期の国土庁長官でありますので、その辺のことについては、学者という人はおろそかにする人じゃないですから言わぬでもいいのですけれども、やはり抜かりのない国土の均衡ある発展ということを私は考えていただきたい。国土の均衡ある発展を図る中で、低いところは第一次産業の地域が多いわけですから、そこは国土庁建設省一体になって考えなければならぬ問題ですが、公共事業の配分にしても、都市発展をしてこれ以上人口が行ったら全部が息が詰まるようなそういう状況投資をどんどんするというようなことではなしに、逆に投資をする金は過疎地域投資をする。交通網の整備にしても過疎地域の鉄道をはいでしまって過密の地域だけを残そうという、そうすると余計にまた地方は過疎になるわけですから、やはり行政の分野は違っても国土の均衡ある発展のためにはこの路線の鉄道は残さなければいけませんよ、これだけの提言はしていただかなければならぬ、私はこういうように思うわけです。  それから大臣も、予算が通ってからの話になりますけれども、予算が通った後における仕事としては、今何が一番緊急な課題であるかということから予算の配分についても留意をしてもらいたい、かように思うわけですが、どうですか。それぞれの大臣から御答弁を承りたいと思います。
  40. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答え申し上げます。  四全総全体についてそれぞれ細かにお話しする時間はございませんが、ちょうど御承知のように半島振興法なども皆様のおかげで通りまして、いよいよ近くすべての結論を出すべく今努力中でございます。確かに日本国土は御承知のように離島等を四千も周りに抱えておりますし、今申し上げました半島も非常に不利な条件でございます。しかも御承知のように三大大都市圏にすべてが集中し過ぎておりまして、もっと全国開発の目を向けなければならない、それが今度の、先ほど申し上げました四全総のねらいでございます。先ほども別の予算委員会の方で東北方面からの先生から強くそのお話が出まして、私どももよく心得ておるところでありまして、均衡ある発展というのは、おくれたところを均衡のとれるように重点的に見ていくということに結局結果的には相なるわけでございまして、余りにも発展し過ぎたところはむしろいろいろな意味から抑えなければならない、そういう気持ちで今後進むつもりでございますので、どうぞよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
  41. 江藤隆美

    江藤国務大臣 二つあると思っております。一つは、六十一年度予算が成立をしました暁においては、よく全国経済状況その他を勘案しながら弾力的に予算の運用をし、特にそうした後進地域については、私は一回調べたことがあるのですが、例えば岩手県あたりを調べてみますと、公共事業が全くないということになると経済活動が二〇%ぐらい落ち込んでしまいます。私どもの県でもそういう傾向があるわけでして、工場地帯でないところは公共事業に頼る比率というのが非常に高いわけでありますから、そうした地域配分については十分に勘案する必要がある、こういうことが一つであろうと思います。  もう一つは、いつまでこの職におるかわかりませんが、予算が成立いたしますと直ちに六十二年度の方向、また四全総を受けて一体建設省は何をすべきか、住宅道路、下水道、公園あるいは交通安全施設その他もろもろのことがありますから、そうしたレールだけはひとつ方向づけをきちっとやっておきたい、私はこういうふうに思っておるところでございます。
  42. 井上泉

    ○井上(泉)委員 後の質問者の都合もありますので私はもうこれで質問を終わるわけでありますけれども、少なくとも大臣というのは、政治家がだれもが願ってもなれるものではない。私なんか幾ら願ってもなれるものではない。何ぼ社会党政権ができてもなれる見通しはない。しかし、やはり政治を行う者としては国家、国民のためにどうするのが一番利益かということを考えなければならぬと思うわけで、その点については両大臣とも熱心に取り組んでおられるということでありまするから、そのこれからの取り組みの過程を注目して、そしてまた時には激励し時には批判をして対峙してまいりたい、対決ではなしに対峙してまいりたい、かように考えておりますのでよろしくお願いしたいと思います。  本来なら、きょうは下水道の問題とかあるいは今言われた河川、四万十川の河川を含めたところの水資源の問題等についても質問したかったわけでありますけれども、わずか三十分にちょん切られたわけですから、これで終わります。
  43. 木間章

    ○木間委員 委員長、関連して緊急発言をお願いします。
  44. 瓦力

    瓦委員長 木間章君。
  45. 木間章

    ○木間委員 お許しをいただきまして、ただいまの質問と関連をして建設省国土庁お願いをしておきたいのでありますが、今一番国民がすぐやってほしい課題に雪対策があります。国土庁建設省もこの間雪の現状などなどの調査もされましたし、また事後対策に鋭意努力されておると思いますが、ぜひ、現状で結構でございますので、被害状況なりあるいはこれから手を打つべき課題について検討されておる分野が多かろうと思いますので、できますならば本日中に国土建設の方から私ども資料提供をお願いしたいと思いますので、ぜひこのことをひとつ了解していただきたいと思います。  終わります。
  46. 瓦力

    瓦委員長 上野建一君。
  47. 上野建一

    ○上野委員 両大臣所信表明を受けまして、きょうは主として開発問題を中心質問をいたしたいと思います。  まず大臣、内需の拡大なりあるいはいろいろな施策を通じて公共事業の前進を図るという趣旨のお話がございましたが、やはりこれは政治ですから具体的でなければならぬと私は思います。ところが、一方で大きなプロジェクトを準備され開始されておりながら、一方では内需の拡大について重要だと思われる、住宅の話は先ほどありましたからこれは避けますが、私は下水道も内需の拡大には極めて重要だと思うのです。ところがこの下水道について五十六年度以降年々下がってきておりますね。そして第五次が今年度で終わるわけですが、これも当初の計画から大変おくれて後退をしておる。それからさらに六十一年度から始まる第六次計画を見ますと、これまた後退をしている。金の額では少し大きくなっているように見えますが、しかしこれには使わない、今までも使ったことのない調整費というのが加えられていまして、これが第五次計画よりも少し上積みされている形なのです。しかし、この調整費というのは第五次計画でも五千九百億とってあるのに使われていない。そして、ほかの一般公共の下水道、それから単独事業でも実績では後退をしています。こういうことなのですけれども、外国の例を見ますと、日本の場合は三四%の普及率、そして一%伸ばすのに数年かかっていますね。ところが、英国やオランダ、西独を見ますと、英国が九二%の普及率、オランダが九〇%、西ドイツが八八%、こういうふうになっている。  そこで、この際明確にしていただきたいのは、大体内需の拡大と言っているけれども、こういう具体的な公共事業の面を見ると実は内需の拡大の方向にはなっていない、こう言わざるを得ないわけで、この点を建設大臣は一体どう考えておられるのか。それから、民活というようなことをいろいろ言っているけれども、こういう大事な住宅建設とか下水道の建設とかこういうものを積極的にやらないで、大きな、東京湾に橋をかけるようなこととか新幹線とか、そういうことだけが民活ということなのですけれども、これは考え方がどうも違うのではなかろうか、本当の意味の内需の拡大については民活もなければ具体的な公共事業費の拡大もない、こう見られますが、大臣、どう思われますか。
  48. 江藤隆美

    江藤国務大臣 今回お願いする下水道整備五カ年計画は、先生御承知のように十二兆二千億でございます。その中に調整費もある、こういうことでありますが、新しいこととしては終末処理に財投資金を入れるようにしました。ですから、その点では、財投資金を使うようになったということは私は一歩前進だと思っております。  それから、ことしの予算は一兆七千七百億であります。私はよく都市局長を初め諸君に言うのですが、考えてみるとそれは少ないようでもあるが、よく国会で議論をされる日本の防衛費の正面装備費が六十一年はおおよそ八千五百億程度だから、その二倍以上のものを下水道予算にいただいておるというこの重みを考えて、この執行については細心かつ有効に、緻密に執行していく必要があるということを就任以来申しておるところでございます。  ちなみに、予算委員会でも私ちょっと申し上げたのですが、日本の下水道は、先生も御承知のように、昭和四十五年、六年の公害国会を通じて与野党の熱心な議論の末にようやく本格的に下水道整備というものが始まったというのが日本のこの下水道の歴史だと私は思っております。それに比べて、今お出しになりました欧米の例から見ますと、例えばフランスの環状の地下の、あのジャン・バルジャンの映画に出てくるでっかい下水道というのはもう既にルイ十四世、フランス革命の前には完成をしておる。ちょうどそのときは、日本では徳川吉宗のころである。ですから、三百年も前にもうフランスあたりではやっておった。イタリアでも側溝を道路につくったというのは日本の鎌倉時代だという書物を見まして私はびっくりしたわけでありますが、それにしても、この六十一年度予算が完全に執行されたとしてもようやく三四%プラス二%、年度末は三六%になりまして、五カ年計画の完成の暁に四六となる、こういうことでございまして、先ほど来御意見がありました四全総の中で、私どもは何とかして九〇%には持っていきたいという願望を持って、実は今国土庁にもいろいろとそうした全体計画の調整をお願いしておるところでございます。  それからもう一つは、東京湾横断道路等の大型プロジェクトだけでは内需拡大にはならないではないかという御意見でありますが、この前私は鳴門大橋に参りましてその点を少しく調べてみました。そうしましたら、これに参加しました企業が、大きいものから小さいものも入れて約七百社であります。そして、九年間にここに従事した者がおおよそ百六十六万人であります。今度明石海峡大橋になりますと、材料だけで四倍かかるそうです。そうして、私は大型のゼネコンがやるのかと思っておりましたら、あれほどの専門的な難しい工事になりますと、小さな本当の専門業者というものがたくさん要るのだそうです。  ですから、今回の東京湾の横断道路というものはそれをはるかにはるかに上回る一兆一千五百億という巨大な投資を要する大事業でございますから、鳴門大橋ですら七百社、百六十六万人が従事した、こう言われておりますが、さらに多くの企業が大小参加し多くの人々がこれにはせ参じて建設に当たっていただければ、内需拡大に資するところ大きいものがあるのではないか、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。
  49. 上野建一

    ○上野委員 私は歴史の話を聞いているのじゃなくて、現実に後退しているわけでしょう。下水道が後退しているのだからおかしいじゃないですかと言っておるのです。しかも、九〇%になるにはこのままでいったら五、六十年かかりますよ、かなりあれしても。特に九〇%二〇〇〇年にやるというような話がありますけれども……。したがって、端的に申し上げるなら、大きな仕事には金をどんどん出すけれども、下水道というような重要な問題について、特に湖沼とか河川の汚濁が最近あちこちで言われているわけで、これなどを含めて下水道に対する対策がこれだけ言われているのになぜ積極的なものがないのか。第六次の五カ年計画だって、金額にしたって、これは減っているでしょう。だから、調整費というものを二兆二千二百億加えて、それでかろうじて第五次計画よりも多くなっている、こういうことですね。この調整費というのは第五次でも使われていないのです。したがって、今度だって使われる可能性はまず考えられない。考えられないのに調整費なんかつけ加えて、あたかも第六次計画では多くやるようなことを言っておる。私はここら辺に、公共事業に対する建設省の構えがよくない、こう思います。そこで、そのことは事実として、もう議論の段階じゃなくて現にそうなっておるということだけ明確に申し上げておきたいと思います。これはまた後で下水道の法案がかかってくることになっておるようですから、その際に議論することにします。  そこで、今大臣が内需の拡大に大変効果があるとおっしゃった東京湾横断道路、これは一兆一千五百億の金を使うということですから、これはやらないよりはやった方が相当な内需の拡大になるでしょう。しかし、それよりも住宅なり下水道なりあるいは河川の改修なり、そういう公共事業をやることの方を今国民はむしろ求めているのじゃないか、こう考えられる点が多くあるのです。答弁をいただきたいのですけれども、この内需拡大についてもそうですが、実際本四橋で使われた大企業と中小企業、零細企業との比較をしてみますと、九対一だそうですよ。企業では九対一、人数は、大企業であろうと小企業であろうと人は使われますけれども。だから、結局大企業が中心にならざるを得ないのです。東京湾横断道については、私はその点がもっと強まるような気がするのです。それは人は使われる、雇用はあると思うのです。土木事業に加わる人たちの雇用はある。しかしそれだって、今度の場合は大規模ですから、機械が非常に多く使われます。だからその点で、やはり順序としては下水道なり住宅なり河川の改修なり、そういうことの方を優先してもっとやって、それでなお余力がある、内需の拡大のためにはさらに民活をやる意味で効果があるというなら私は理解ができるのです。そういう意味では順序が間違っているのではないか。現に下水道なんかは後退している。住宅だって大したことない、いろいろ出されているけれども本格的なものではない。こういう観点で申し上げているわけです。  そこで、そこら辺についても後で御答弁いただくことにして、具体的にちょっと申し上げてみますと、それでは、今度の東京湾横断道について民活ということが出ていまして、出資金を民間にも出させる。会社をつくる。そして全体の資金を調達するようになっていますが、具体的にお伺いしますと、一兆一千五百億円というのは、この金は十年間の事業を終わったときの費用、かかった費用だろうと思うのですが、さらにこの返還をするためには三十年間かかるという計画になっていますね。その三十年間かかる総額の費用というのは一体幾らになるのでしょうか。そのこともちょっと第一点、お伺いしておきます。  それから出資金の中で、民間活力と言いながら総額六百億の会社の中で民間に出させるのはわずか二百億、こう承っておりますが、それと同じぐらいの額を地方自治体に出させようとしている。これはどうもおかしいんじゃないでしょうか。地方自治体に出資をさせるというなら民活じゃなくて、逆に言いますとこの会社の形を考えますと民活じゃなくて官活なんですね。民間の立場から仕事をやるために官を動かす、国を動かす形の体制になっていますね。資金の量的なものからいっても、それから仕事の問題、そういう意味でこれは一体どういうことなのか。その資金調達を含めて、この会社のあり方についてお伺いします。
  50. 萩原浩

    ○萩原政府委員 御説明申し上げます。  ただいま先生指摘の一兆一千五百億円、これは、十年後と予定をいたしておりますけれども、この道路ができたときまでにかかる費用ではないかという御指摘でございますが、私ども試算はそのとおりでございます。したがいまして、それから後三十年かかりまして元利均等で道路公団がこの会社に支払うということを予定をいたしております。したがいまして、その間三十年間には当然のことながら金利がかかるわけでございますけれども、この金利につきましては今のところどういうふうに想定するか、そのときそのときでかなり金利の変動がございますので確たる数字はまだ算定をいたしかねます。しかし、大まかに見まして大体三兆円ぐらいという予想をいたしておりますが、これは金利が現在状況であるという前提のもとに算出をした数字でございまして、当然変動があり得るというふうに御理解をいただきたいと思います。  それからもう一点の出資金につきまして、現在六百億を予定していることも事実でございます。そしてこの六百億の出資金は、日本道路公団、地方公共団体それから民間というものでおおむね三分の一ぐらいずつを御負担いただいたらというふうに考えておるのも事実でございます。  その中で、民間がわずかに、二百億ではないかという先生の御指摘でございますけれども、これは出資金でございまして、現実にはそのほかにいろいろな資金を必要といたします。その資金の内訳といたしましては、割引債を含む政府保証事業債が約三千八百億円、それから民間借入金及び開銀融資を含めて約二千二百億円、それから道路開発資金約二千五百億円等を考えてございます。この道路開発資金のうち約半分、千二百五十億円は国からの無利子の融資でございます。融資でございますからこれは後ほど返していただくことになるわけでございますが、一応国からの融資になりますが、そのほかについてはすべて民間資金を活用するという建前でございまして、その意味で所要資金の大部分を民間資金に期待をしているということでございます。  なお、先生指摘のうちの二百億円の地方への出資のお願いでございますけれども、これにつきましては、法案で地方自治体は自治大臣の承認を得て出資をすることができるという規定になっておりまして、この法案を御審議いただいて成立をさせていただきました暁に、改めて正式に地方公共団体にお願いしようということを考えておりますが、地方公共団体に及ぼすいろいろなインパクトを考慮した場合に、ぜひ御出資を願えればというふうに私ども考えておる次第でございます。
  51. 上野建一

    ○上野委員 そうすると、三兆円全部を三十年間で返済をするということになりますが、この三十年間にかかる管理費は幾らになるのでしょうか。  それから、この三兆円は資金コストとしては六・〇四九%の計算でよろしいかどうか、これもお伺いしておきたいと思います。  そこで、これら管理費とも関連すると思いますが、横断道の料金、たしか五十七年度の計算だったと思いますけれども、これは三千円で計算してありましたね。そして開業したときに三万台という計算であります。そうすると、五十七年度ということになりますと、七十一年度に完成をするわけですから、その間の料金の値上がりというのは当然考えられますが、完成した十年後には料金は一体幾らに想定しておられるか、乗用車とトラック、その二つぐらいのところでお答え願いたいと思います。
  52. 萩原浩

    ○萩原政府委員 第一点の、この道路が完成をして供用開始した後は、当然のことながら電気料その他の管理費が必要になります。その管理費は年間約百億円強ぐらいになるのではないかという試算をいたしております。したがいまして、その百億円も道路を供用する経費として当然加算されますので、償還の対象になることは当然でございます。  それから、資金コストでございますが、今先生指摘の六・〇四九%というものを一応の目安といいますか、それを前提として償還計画も立てておりますし、また、六・〇四九の資金コストを保つためにいろいろな手段、措置を講じて、この資金コストを確保しようというものでございます。  それから、料金の問題でございますが、先生指摘のとおり五十七年価格で普通乗用車で三千円を予想をしております。先ほど申し上げました総事業費一兆一千五百億円の中には、年率約三%ぐらいの建設費の増高といいますか、値上がりを見込んだ数字でございます。したがいまして、もし幸いにして物価が平静に推移をしてこの値上がりがなければ、この一兆一千五百億はそれ以下の金額で仕上がるということになるわけでございますが、一応一兆一千五百億円の中には三%の値上がりを計上をいたしております。したがいまして、この通行料金も五十七年度三千円でございますので、それと同じ仮定をいたしますと、供用時には普通乗用車で四千九百円になるであろうと予定をいたしております。それから、先生指摘の、トラックはどのくらいを考えているかということでございますけれども、乗用車の一・五倍の料金を一応考えております。
  53. 上野建一

    ○上野委員 大体の内容が少しわかってきましたので、この際国土庁長官に、この東京湾横断道についての基本的な問題点をお伺いしておきたい、こう思うのです。  特に、国土庁は総合計画を立案をされておるわけでありまして、その点からお願いしたいと思いますのは、まず、東京湾という大変重要な海、こり海が最近だんだん人間から隔離されまして、海岸線は大体コンクリートで固められる、そして遠浅の地帯は大体なくなってきておる状態、余りなくちゃ困るというので、人工の干潟を少しつくっているというふうな、自然との関係では大変悪い状態になっておる。そこで、今度の問題は、私が東京湾の問題を調査をしたりいろいろやってみますと、その問題にやはり一番突き当たってまいります。特に東京湾をどう利用して、これをどう管理するのかという総合計画がないのです。そして、それぞれが港をつくったり、埋め立てをしたり、役所もばらばらですし、いろいろな形で、ばらばらな形で行われていまして、公害防止計画も若干はありますけれども、これも総合的なものではない、こう思います。  そこで、いろいろなマイナス面が出てきていまして、東京湾はある意味では死の海と言ってもいいような状態に、自然から考えますとなっている。特に、赤潮はもちろんでありましょうが、去年は青潮というのが発生しまして、そしてアサリが全滅したのです。船橋を中心にする地帯ですけれども、大変良質なアサリが全滅をいたしまして、漁民が泣いたわけです。こういうこととの関連で、今度はさらに東京湾横断道をつくる、島も中に二つつくる、こういう形になります。したがって、東京湾はいよいよ悪い方向に向いている。それから、東京湾をきれいにするためには下水道の促進が重要なんですけれども、先ほど申し上げたような経過で、どうも下水道もそう期待はできない。こういう状態なんです。  そこで、国土庁としてはこの東京湾の総合的な利用計画、あるいは保全に関する総合管理計画と言ってもいいと思いますけれども、そういうものをつくるつもりはないかどうか。特に、東京弁護士会からは東京湾保全法の制定というのが求められているのです。しかも、具体的な案まで出して提起をされております。そういうことに対して、やはり四全総の中では当然行われなければならぬ計画だと思いますし、総合的な対策が必要だと思いますが、国土庁長官は積極的に取り組むつもりはないかどうか、お尋ねをいたします。     〔委員長退席、東家委員長代理着席〕
  54. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 先生御承知のように、東京湾は我が国経済社会の上で非常に重要な地位を占めておりますし、また、今後我が国の情報化、国際化の進展に伴って首都圏自体が多様な要請にこたえていくということを考えました場合に、非常に重要な位置づけがなされなければならないと考えております。  しかしながら、現在東京湾は非常に貴重な、有効な空間資源であるということから、漁業の面あるいは海洋性のレクリエーションの面あるいは海上交通の面、そういった各種の利用の調整を図りながら、全体的にその利用の問題を考えていかなければならないと思います。特に埋め立て等の問題につきましては、既存の空間をむしろ利用し、再開発計画的に進める、そして最近、物流の機能であるとか業務機能であるとかあるいは工場生産機能であるとかレクリエーション機能とか居住機能とか、その沿岸地域に展開しております状況等も、将来に向かいましてかなり変わってきたものになろうかと思います。  そういう意味で、私どもとしても、そういった全体的な機能のあり方あるいは土地利用のあり方等も含めつつ、また、貴重な空間資源の保全の点についても十分配慮しながらこの東京湾の保全、開発の問題を考えていきたいと思います。そういうことで、現在、この問題につきましては、関係省庁とも十分協議しながら検討を進めていきたいと考えております。
  55. 上野建一

    ○上野委員 そこで、国土庁長官、今みたいな答弁があったのですが、長官としてどうでしょう、四全総の中で、東京湾の総合的な利用と管理、そういう計画を立てる御意思があるかどうか、お願いしたいと思います。
  56. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 基礎的問題についてはただいま御説明申し上げましたけれども、大きな構想として、いわゆる首都圏、これの将来の発展を図りながら、近県にございます大都市、これとの交流考え、その発展考えなければならないわけでございます。  そういう意味で今の東京湾横断道路もできるわけでございますが、まずこの道路そのものの性格は、御承知のように、やはり東京湾岸を一周する、そういったような循環路が絶対必要でございますので、これを基本考えながら、今御説明申し上げましたように、海洋面からとらえた東京、そして空港、成田空港、それらの位置づけも考え、そしてその総合的な発展を図る。御承知のように、前の三全総、ただいまの計画はあくまで定住構想でございますが、その定住が落ちついたときに、定住圏と定住圏との間の交流をいかにするか、こういう問題につながりますので、そういう意味から、広い視野から、各関係省庁と協力いたしまして、先生から今御指摘のございました心配の点もたくさんございますので、それらを全部あわせて処理していく、そういう構想に立って進めていきたいと考えておる次第でございます。
  57. 上野建一

    ○上野委員 総合計画を立てられるのですね、つくりますね。
  58. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 はい、立てます。
  59. 上野建一

    ○上野委員 そこで、きょうは水産庁においでをいただきました。漁場保全課長さんにおいでいただいていますから率直にお伺いしますが、去年のアサリの被害ですね。私は、専門的に深くはわかりませんが、専門家の言うところによると、酸素のなくなった海水が下に沈んでいる、それが潮の関係とか風の関係で表面に出てきたのが青潮だ、簡単に言うならそうお伺いしているのです。  そこで、なぜ東京湾がそういう状態になったのか、昔なかったのがなったのかということになりますと、東京湾の中は、砂をとって港をつくったりあるいは埋め立てをやったものですから、至るところに穴ぼこがあるのですね。月の表面みたいな穴があっちこっちにあいている、私はそういうことが大きいと思いますが、水産庁としてはこういう問題に対して対策は立てられておりますか。そういう開発のひずみを漁民にしわ寄せをしないために手を打つのが当然だと思いますけれども、水産庁はこれにはどういうふうに対処されているのか。  これは今までのことですが、あわせて建設省にお伺いしたいのは、島を二つつくったりいろいろやるわけです、それから砂の問題もありますが、これは東京湾の中からとるのか、それとも千葉県の山を崩して土砂をとられるのか、その点大変重要な問題だと思いますので、その量ととる場所、明確にこの箇所というふうにはないと思いますけれども、神奈川の方からはちょっと無理でしょうから、結局砂を陸からとるとなると千葉県からということになりますが、どのくらいの量を考えておるのか、あるいはそういうことをやらないで海からとろうとするのか、その点を建設省から答弁いただきます。
  60. 細田忠雄

    ○細田説明員 水産庁の漁場保全課長の細田でございます。  ただいま先生から御質問がございました昨年の千葉の船橋沖に起きました青潮に関連いたしまして、先生の御指摘のとおり、青潮の発生の機構というのは実はすべてが解明されたわけではございませんけれども、一般的に言えば、海底地形のへこんだところといいますか、そういうようなところに堆積いたしました有機物が分解するときに酸素を消費します。または海水が成層化と我々は申しますけれども、潮流がない、温度が安定しているという場合には潮の上下の交換がなくなります。そういう場合には表面水から補給されるであろう酸素が不足する等々の理由で貧酸素水塊ができるというように今のところではなっております。このような海況のときに、例えばこのたびの千葉の場合は、陸から非常に強い風が吹きます、そういたしますと表面水が沖に出される、それを実は底の潮が補給するという形でございまして、これが貧酸素水塊がアサリ等の生息している漁場を襲うというような形で漁業の被害に結びついてきておるというように現在のところ考えられております。  しかし、最初に申し上げましたとおり不明な点が多いというのは、それらの諸要因、申しますならば風だとか潮だとか流れの方向だとか有機物の流入等々ございますが、これらの要因が複雑に関与いたしまして、これがこうだからこうだというような定量的な把握はいまだにできていないという現状にございます。したがいまして、水産庁といたしましては、事業の名前は赤潮対策技術開発試験という名前をつけてございますけれども、そのような状況の海に、底質に酸素を供給することができないか、こういう試験を現在実施しておりますと同時に、どうしたらこういう青潮というものが発生するか、発生の機構を解明するという、一つは防止の意味、一つは機構解明からこういう形で現在研究をいたしておるところでございまして、今後も引き続きましてこの研究を早急に行いまして青潮に対する対応をいたしたい、このように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  61. 萩原浩

    ○萩原政府委員 東京湾横断道路の人工島の建設に必要となります土砂等の量は現時点でおおむね千三百万立方メートルと見込んでございます。そして、この土取り場につきましては東京湾周辺地域の山土を予定いたしておりますが、具体的な非常に細かい土取り場の位置につきましては、これから現地調査等を行った上で選定したいと考えております。また、この一千三百万立米のうち約二百七十万から三百万立米は石でございまして、この石はかなり広範囲から採取するということを考えております。現在のところ東京湾の海底の土といいますか秒といいますか、その海底の土砂をしゅんせついたしましてこれを使用するということは考えておりません。
  62. 上野建一

    ○上野委員 そこで水産庁にぜひお願いしておきたいのは、一定のところまで解明されたならもう対策を進めませんと、また起こるわけですから、それをぜひ急いで対策をしていただきたい。私は既に去年も水産庁長官に申し入れをしてありますので、ぜひ水産庁は漁民を守る立場、海を守る立場でひとつ対処していただきたいことを強く要請しておきたいというように思います。  そこで次の問題ですが、建設大臣東京湾は今の青潮の問題などでもわかりますように大変荒廃した状態、これもすべてと言っていいぐらいに開発の結果であるわけです。したがって、そこら辺のこの開発によって生じたひずみというようなものに対して、先ほど国土庁長官は総合的な対策を考えるという話ですから、それを受けてやはり東京湾を自然の姿に少しでも返す、あるいは問題になる今のような海底にある穴ぼこぐらいはちゃんと補修していく、そういうことが今求められていると私は思うのですけれども、その点はどうでしょうか。そういうことについて大臣は積極的に取り組んでもらえないかどうか、お伺いしたいと思います。
  63. 江藤隆美

    江藤国務大臣 就任しましたときにこの横断道路の話が出まして、私は国土庁長官にも運輸大臣にもそれから環境庁長官にもお願いをしておることがあるのです。  実は東京湾にしても駿河湾にしても大阪湾にしても、これは残された国民の可能性を秘めた大きな資産だ。これは例えば私ども建設省では湾岸道路をつくろう、そしてまた横断道路をつくろう、そしてその周辺に住宅を、船橋から稲毛からあの海岸にどんどん建てていくということをやる。運輸省は羽田空港を沖合いに移転しようとする。今度は千葉県は千葉県で埋め立てようとする。今度また市川沖を何か埋め立てようというお話だそうですが、これほどの東京湾ですから、ただ道路をつくるとか空港を移すとかいうことではなくて、これは国土庁がせっかくそういう局もあることですから私ども、環境庁あるいはまた運輸省、関係省、自治省も含めまして集まって、先生おっしゃるように東京湾というもののあるべき姿、これからの開発というものを総合調整することが必要だということを私かねがねから国土庁長官にもお願いを申し上げておるところでありまして、大至急に、そういう事務的なことも進めておりますから、私ども各省庁大臣集まって御相談を申し上げる機会もなるべく早くつくりたいものだなと思っております。  それから私も漁村に育ちましたので、やはり私のところも新産都市で埋め立てましてそしてハマグリのとれるところがなくなって漁業をやめたわけであります。そういうことですから、漁場が荒らされるということについては私自身非常に胸の痛む思いがいたします。したがいまして、今回も御承知のように川崎側は十キロはトンネルにすると言ったのは、やはり航路の安全ということと、できるだけ漁場汚染ということは避けなければいかぬということが基本になっておるわけで、この十年間の環境調査等についても漁業に対する影響というものは相当綿密に行われております。  しかし、今回法案が提出をされまして御審議をいただいた後においては、今度は閣議決定の正式な環境影響調査をいたしまして、そして漁民の皆さん方に御心配がないようなそういう建設をしたい。道路局長が言いましたように、土砂を掘って埋めやしませんと申し上げたのも、これは湾内の砂を使ったのでは漁場が侵されるということは目に見えておりますから、やはり山の土砂でもって人工島をつくろうというのも、私どものそうした結果に基づく配慮でありますこともひとつ御理解を賜りたいと思います。
  64. 上野建一

    ○上野委員 ぜひその東京湾の総合的な改善に全力を挙げてもらいたい。幸い、両大臣ともにそういう決意を披瀝されましたので、その点では私は安心をして、これからもともに東京湾をよくするために、きれいにするために努力をお願いしたい、こう思います。  そこで、東京湾横断道の問題についていましばらくお伺いをしていきたいと思いますが、まず、内需の拡大、そしてそのためには民活だということで、直接道路公団がやらないで会社をつくってやる、こういうことなんですけれども、まず一つは、自治省の財政局からおいでいただいていますが、この会社に出資をするのは地方自治体から三分の一が予定をされている、こういうことになっています。今日の地方自治体の財政事情は、本来国のやる仕事まで、しかも国のやる仕事にしても私どもはちょっと時期が尚早だ、早いんじゃないかということを申し上げているのですけれども、そういう段階で、国道をつくる、道路をつくるのに地方自治体に出資をさせる。出してもいいと言う自治体もあるようですけれども、神奈川県などは困るということを言っている。やはり中央官庁から出しなさいというようなことになれば、地方自治体は立場が弱いわけですから、これはどうしたって無理してでも出しますよ。これが地方自治という建前からいっていいことなのかどうかということについて大変疑問があります。  そこで自治省の財政局、地方自治体というのはそういうふうにあちこちに金を出すだけの力があるのかどうか、その点をまず聞いておきたいのです。例えば本四橋の場合なんかでも地方自治体が出しているし、私ども身近な千葉県についてだけ見ましても、今度横断道に出せというわけでしょう。それから鉄道、第三セクターで鉄道をいっぱいつくっているのです。本当は鉄道は国がやる仕事なんです。だけど、国鉄があの状態なものですから第三セクターになっている。そこに出資をしろ、金を出せ。これも東葉線なんかでは金を出している、さらにこれから出資金をふやすという話も出ている、こういう形なんです。  そういう形で次々と地方自治体に金を出させる。何か地方自治体金持ちだという印象を与えていますけれども、実際はそうじゃないだろうと思う。自治省、ひとつ明確にその点もお答えいただきたいのですけれども、その点で、力のないところに出させているのではないか、それに対して自治省は、出さなくていいように自治体を守るのが仕事じゃないかと私は思うのですが、それは違うでしょうか、この際お伺いします。それで、もしきょうの室長さんのお話だけで済まないときは本会議場ででもお伺いしていきたいと思いますが、そういうことでひとつはっきりしたお答えをいただきたい。  それから出資金でお伺いしたいのは、建設省としては公団を通じて会社をつくる形になりますね。その場合に公団の出す金というのは、実は全国の有料道路の料金でいただいた金だと思うのです。もし違うとしても、最終的には公団がこの会社の責任を持つようになっていますね。そうすると、公団が金を借りて出すんだ、こう言っているかもしれないけれども、その保証というのはやはり公団の財政ですね。財政であるということは国の財政でもあるのですよ。そういうことになりますと、民活といいながら結局は国が大部分出す。出資金ではわずか二百億。先ほどいろいろ金を貸すんだ、借りるんだというお話がありましたけれども、これはただで借りるわけじゃありませんからね。利子は少し安くなるかもしれませんが、それにしたってただじゃないです。さっき言ったように、利子だけでも大変な額をちゃんと返さなければならぬ。  そうすると、貸す方は民活というけれども、何かというとこれは銀行あるいはそういう資金を持っているところに利子を与えるためにやるようなものですよ。利子は決してただじゃないのですよ、民間の金も。そうなりますと、民活といっても結局今までと余り変わりないではないか、公団が直接やる仕事とどこが違うのか、こう言いたくなるのです。これでやってみますと、今度の会社は、鉄道の場合の国鉄と鉄建公団の関係とよく似ているのですよ。そういうことですから、そこら辺のところはどう考えておられるか。これは道路局長なり、あるいは答弁があったらさらに大臣にもちょっとお伺いしておきたいと思います。  まず、自治省からお願いします。
  65. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 お答え申し上げます。  私どもとしましては、今回の東京湾の横断道路事業につきましては、民間活力の活用を図るという新しい方式を取り入れながら実施される国家的な大規模プロジェクトであるというふうに考えております。基本的には、こういう大規模な事業につきましてはまず第一に国の負担において実施をされるべきものであると考えておりますが、今事業につきましては、東京湾周辺の地方公共団体の地域経済にも大きな影響なり受益も及ぼす事業であるということにかんがみまして、今回の法案においては、地方公共団体としても当該事業に出資という形で参画し得る道を開くのが適当ではないかというふうに判断をしたわけでございます。  なお、先生指摘のように、地方団体の財政も非常に厳しい折でございますし、私どもは地方公共団体の出資をどの程度やるかということについては、本法案成立後建設省と十分協議をしたい、関係地方公共団体の意向も踏まえながら協議をしていきたい。先ほど道路局長さんから御答弁がありましたように、ある程度そういうお考えもあるようですが、その辺はまだこれからの問題であるというふうに考えております。いずれにしましても、本法案にもありますように、私どもの方で承認をするということになっておりまして、地方公共団体に過重な負担が生ずることのないように、出資の内容等については今後十分検討してまいりたいと考えております。  それから、一般的に言いまして各県なり各市町村というのはその地域の活力とか将来の姿というものにやはり大きな夢をかけておるわけでございまして、私どもは、地方公共団体がいろいろな事業に出資をしたり負担をするというのはあくまでも自主的な判断に基づいて今までもやってきていると思いますし、これからもやっていくのだろう、自治省としては必要な財政上の措置なり各省に対する協議なりを今後もそういう線に沿って対処していきたいというふうに考えております。
  66. 萩原浩

    ○萩原政府委員 まず第一点の御指摘でございますが、公団からの出資はおおむね三分の一ということで二百億円程度を予定いたしておりますけれども、この出資は、公団が民間から借り入れましてこれで出資していただこうというふうに考えております。  それで、こういう形になりますと、先生は第二点といたしまして民活といいながら公団の事業方式と余り変わらないではないかという御指摘でございます。もし公団方式でやるといたしますと、御承知のように財投その他から借金をいたしまして、その借金が先ほど申し上げました六・〇四九の資金コストを保つことができません。したがいまして、国からの出資金であるとか利子補給という措置をとりまして六・〇四九に薄めなければならないということになるわけでございます。そういたしますと、私どもといたしましては大体千九百億円ほどの出資金が必要になるだろうというふうに試算をさせていただいております。出資金でございますからこれは無利子でございますが、出さなければならないということになりますと、現下の財政状況からいきますと非常に大きな負担になるのではないだろうか。これを民間の力といいますか民間の資金力を活用させていただいて、今回このような先ほど申し上げましたような資金構成でこれを支弁することができるという意味でも非常に大きな民間の力を利用したやり方ではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。  なお、第三点といたしまして、先生いわゆる俗称P線方式と呼ばれているものと似てないかという御指摘がございましたけれども、ある意味では似ているところも確かにあろうと存じますが、P線方式の場合は、将来とも民間がその施設を買い取るという形をとっていると存じます。ところが今回の場合は道路公団そのものの所有になっておりますので、根本的にP線方式とは違うのではないかというふうに私ども考えております。ただ、いろいろ形式的に似ている点は正直のところ先生指摘のとおりございますけれども、根本的に私どもはP線方式とは違うのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  67. 上野建一

    ○上野委員 じゃ大臣、後でまとめてお聞きすることにして、そこでもうちょっとその点お伺いしたいのですが、千九百億ぐらい出さなければならぬのに少なくて済む。だけれども、これは先ほどの答弁の中にもありましたが、一千二百五十億は国が出すわけでしょう。そうすると、そんなに差がないですね。それからほかに自治体が出すわけですから、地方自治体も出す。そういうことになるし、それから公団も出すわけですからね。公団が責任を持つわけです、最終的に責任を持つわけですから、そう考えるとこれは民活じゃないんだね。むしろ民間が大規模な仕事をやるためにこういう形をとったという方が比率からいっても高いというふうに思いますね。したがって、この民活によっていい点というのは余り感じられないのです。  特に、私は鉄建公団との関係で申し上げましたのは、結局かかった費用を全部、この会社でつくるわけですけれども、つくったものは、かかった金全部公団が引き受けて金を返す形になるわけでしょう、簡単に言うと。返しますよね。それで万が一地震でもあったりいろいろな事故があったりしたマイナス面も含めて公団が責任を持つことになる。そうすると、この民間会社というのは一体何だ。仕事をやるための会社じゃないか。一兆一千億の仕事をやる会社にすぎないじゃないか、こう思うのです。  そこで、それとも関連をして、一体その会社はどういう構成になるのですか。秋ごろに出発させるということをおっしゃっていますが、その点では一体この会社というのはどういう構成になるのか。これは当然建設省からもいわゆる役人と言われる人たちが多く行くでしょうし、それから財界からも行くんじゃないですか。出すんじゃないでしょうか。そうすると、この建設ということ自体が大変ルーズな会社になりはしないか。厳しいいろいろな入札その他を通じて建設が進められなければならぬわけですけれども、そこら辺含めて、考えられるのは、できる会社というのは大きな建設会社あるいは銀行それから鉄、セメント、そういうところの会社のいわば代表的なもので会社がつくられる。そうすると、自分の会社みたいなもので自分で仕事をやる。  ですから、今までは建設省が直接監督をしていろいろな形でやっている、影響が及んだのにそれがカットできる。カットできる上に自分たちの、簡単に言うなら、悪い言葉で言うならやりたいほうだいの建設事業をやることができる。こういう、国民の立場から見るとぐあいが悪い形になりはしないか。しかも道路公団で責任を持つということは何かといえば、全国の有料道路から上がる金が最終的な裏づけなんですね、裏づけとしては。そうすると、やはりこれは国民の金なんですよ。言うならばこれは税金ですよ。道路にかかった税金みたいなもので、そういうことではやはり国のものなんです。  だから、そういう意味でこの会社というのは余り責任を持たない、少し安い金をかき集めるくらいのことしかやらない会社になるのじゃないでしょうか。それから道路建設等専門的な仕事になれば、当然建設省道路公団から技術者が行くでしょうから、そういう人を集めてやれるということになると、どうもこの会社は何のことはない利益を追求するためにできる会社じゃないのか。公共事業が足りないということで、その公共事業の仕事を確保するためにつくった会社とも言えるのじゃないだろうか。この点はどうですか。
  68. 萩原浩

    ○萩原政府委員 今回、東京湾横断道路建設を担当いたします会社は、先生御承知のようにいわゆる関西空港株式会社のような特殊会社は考えておりません。特殊法人は考えておりませんので、本当の商法上の会社、通常の会社というふうに考えております。したがいまして、その設立手続であるとかあるいは資金構成、役員構成、そのようなものはすべてその会社の自主性にお任せするということになるわけでございまして、私どもで役員をどういうふうにするとか、そういうことは一切考えておりません。  それから技術の点につきましても、民活の一つの柱といたしまして民間の技術力の活用というのも非常に大きな柱になっておりまして、現在民間におきましてもかなりの建設技術を保有しておりますので、そこら辺を十分活用していただきたい。ただし基本的な設計その他につきましては、これは当然のことながら公団と協定の中で十分協議をするという建前をとっておりますので、例えば営利に走って構造上問題のあるようなものをつくる、そういうようなことは一切考えられないような仕組みにしてございます。  それから先生指摘の、この会社はもうかるだけもうかってしまうんじゃないだろうかという御指摘でございますけれども、この会社は大体私どもといたしましては、少なくとも供用開始をするまではほとんど配当をするというようなことは不可能ではないだろうかというふうに予想いたしております。ただ、会社がどのような手段をとられるかは別といたしまして、通常考えられる考えとしては、ちょっと配当までこぎつけるというのは無理ではないだろうか。そういう意味で非常に公共的といいますか、企業としては苦しい経営を迫られるであろうというふうに私どもは予想しておりますけれども、ぜひこの公共性を認識していただいてこの事業を遂行していただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それからもう一方、リスクの問題、公団がリスクを負うではないかという御指摘でございますけれども、確かに天災、不可抗力などにつきましてはリスクを負わないと、非常に資金コストに響きます。その結果料金が非常に高くなるというような問題もございまして、これは公団がリスクを負っていただくことになりますけれども、一方でいわゆる財源といいますか、資金を多様化してこれを調達する問題であるとか、あるいは先ほどから申し上げております技術の能力の活用であるとか、あるいは経営能力の活用ということによりまして、かなりの経費の節減をやっていただくということもまた期待をいたしているわけでございまして、このような意味から現下で民間活力を活用する方策としてはいろいろな意味で最大限の仕組みをつくったのではないかというふうに考えておる次第でございますので、どうぞよろしく御理解賜りたいと存じます。
  69. 上野建一

    ○上野委員 それで最後になってきましたが、一つは会社の構成というのは、特に一兆一千億の仕事をやる会社ですから、この仕事の量というのは大変なもので、これはやはり会社の役員の構成いかんによってはいろいろな問題が指摘をされる。例えば癒着の問題。けさの新聞にもその一部が出されていましたけれども、そういう可能性がやはりあると思わなければならぬのですが、具体的には会社の、私はもうかると言っているわけじゃないのですよ、三万台とか、計算がちょっと無理な点がむしろあるというふうに私は思います。  法律がまだ出てきているわけじゃありませんから、それは後でゆっくりやりますが、そこで、問題は会社の構成は一体どういうことになるのか、出資をしたところからなるとなると、大体三分の一の比率で役員が出てくるのか、その場合、会社の主導権はどこが握るのか、これをちょっとお伺いします。
  70. 萩原浩

    ○萩原政府委員 通常の会社の役員構成の常識から申し上げますと、当然のことながら出資をしたところから役員が出るというのは通常の常識でございますから、そのことは十分予想されるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、会社がどういう形で設立されて、どういう役員の構成になるかということについては会社の自主性にお任せをしたいというふうに考えておる次第でございますが、通常のことからいいますと、当然のことながら出資をしたその構成というものはかなり参考になると思います。  それからまた、主体はどこが握るかということにつきましても、今後会社が自主的にお決め、はっきり申し上げますと株主の皆様でお決めいただく、こういうことになると思います。
  71. 上野建一

    ○上野委員 最後に大臣一つ。今討論をした中のこととも関連をして、これはいろいろな疑惑のあることも事実ですから、そこら辺に対処する大臣の姿勢をお伺いしておきたい。
  72. 江藤隆美

    江藤国務大臣 建設省が取り扱う民活第一号、しかも東京湾を横断する世紀の大事業をやる、そういうときに私は図らずも建設大臣を拝命いたしました。これは、私ごとき者が身に余る光栄でありまして、後生恐るべしといいますから、いささかもそのような疑惑を生むことがないように、厳重にやっていきたいと思っております。  したがって、例えば出資して、そしてこれに参加した会社が仕事はやって、ほかは全部排除するんだというような、そういう形のものはさせない、私はそういうように考えておりまして、多くの国民の皆さんの注視の中でやることでありますから、建設省の名誉をかけてこの問題は公平に推し進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 上野建一

    ○上野委員 これで終わります。
  74. 東家嘉幸

    ○東家委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後二時十七分開議
  75. 瓦力

    瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  76. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、先般の建設そして国土大臣所信表明に関連いたしまして何点かお伺いしたいと思います。  最初に建設大臣にお伺いしたいわけでございますが、最近の円高、それに伴います不況ということが非常に叫ばれております。現在の中曽根内閣に与えられた重要な経済政策は、やはり内需を拡大して景気をどのように維持、さらには浮揚させていくか、これは非常に大事なことだと思うのです。なかんずくその中で建設大臣所掌の公共事業の執行いかん、これは本年度の景気にとっては非常に重要であろうと思うのでございます。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕  そこで大臣、六十一年度の公共事業の執行について巷間さまざま言われておりますけれども、前倒しの必要性は当然あろうかと思いますが、さらには補正等も含めて景気を浮揚させるためにどういう御決意で六十一年度取り組まれるか、現在予算審議中でございますが、御決意をお伺いしたいと思うのでございます。
  77. 江藤隆美

    江藤国務大臣 御承知のように六十年度の補正予算で総額六千億、そのうちで建設省分が約四千億弱でございます。そのほかに災害復旧を、六十年度災、五十九年度災合わせますとこれが約四千億、締めて建設省分が、前倒しというような格好で、災害のないところには関係ありませんが、約八千億余りの公共事業の執行、こういうことになろうかと思います。前倒しについては、予算審議中でございまして、また審議も待たずにそういうことを建設大臣が申し上げるというのは国会に対して大変失礼でありますから、そのことは差し控えさしていただきたいと思いますけれども、巷間よく伝えられております。  それから、けさも実は閣議がありまして、そのときに月例の経済報告があって種々論議をされたわけです。その中で、このまま円高が定着をしていきますと中小企業の倒産やら失業やらもろもろの問題が起こってくる、そういう可能性がある。したがって、現在は金融対策ぐらいしかできないけれども、予算が成立をしたちょうど四月ぐらいになるとそういう円高の問題やら石油の問題やら一応の方向が出てくる。そのときには、当初つくったいわゆる六十一年度の経済政策全体をかたくなに守るのではなくて、やはり弾力的に見直してみる必要のある時期になるのではないか、こういうふうな意見が出されたわけでありまして、まさに公共事業の執行というのも、今先生のおっしゃるような意を含めて、予算の執行を最も効果的にやるにはどうしたらいいか。それによって起こってくるその後の問題についてはどうするのだということを検討する時期は必ず来るであろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  78. 薮仲義彦

    薮仲委員 政治というものは生き物でございますので時宜適切にただいま大臣がおっしゃられた事柄を判断、執行されるように望んでおくところでございます。  重ねてお伺いいたしますが、現在、財政再建ということでゼロシーリングが昭和五十五年から七年間続いております。特に、建設省はいろいろ苦労して事業量を伸ばそうとか、努力はしていらっしゃるのは十分承知いたしております。しかし、このような公共事業予算の削減が国民生活に影響を与えるということが今後も続いていいのかどうか。快適な国民生活を維持向上させるにはより良質な社会資本を充実していかなければならないということになると思うのです。そのために、建設省住宅、下水道、公園等の五カ年計画を立てていらっしゃる。六十一年度はいよいよ次の五カ年計画のスタートの年になるわけでございます。  しかし、その中で、公園にしても下水道にしても三年後に見直します、いわゆるローリング方式をとっているわけです。これは大臣も非常に不本意であろうと思いますけれどもさき公共事業の五カ年間の達成率を見ますと一〇〇%いってない。七〇%、八〇%です。ゼロシーリングが続けば、計画は立てたけれども、物価の高騰を含めますと次の五カ年はこれ以上にダウンするのではないか。計画を立ててさきの五カ年よりも悪い結果が出るということは大臣としても甚だ不本意で、あってはならないし、国民に快適な生活環境を提供する建設省としては好ましくないと思うのです。財政再建の折からゼロシーリングも必要かもしれないが、かえって経済を後退させている要因かもしれません。このゼロシーリングをこれからもずっと続けていくことが、建設省として政策の運営、遂行の上から正しい判断なのか、その点について現時点における大臣のお考えをお伺いしたいのです。
  79. 江藤隆美

    江藤国務大臣 七年間ゼロシーリングが続いておるということでいろいろ問題が起こっておることも事実であると思います。そういう中でありますけれども建設省は種々の工夫をいたしまして、公共事業においては名目成長率五・一%を上回る五・七%の伸びにしていただいたし、住宅金融公庫等を含めますと十三兆五千億ですからおおよそ一〇・一%の事業量の伸びということだけにはしていただいた。  しかし、物価、賃金その他の上昇から考えて、今内需拡大の担い手と言われている建設行政からすると、それが十分かと言われると必ずしも十分ではないと思うのです。ですから、苦しいながらに民活元年と称して東京湾横断道路とか明石海峡大橋、そういうものに民間資本を、例えば東京湾横断道路でも八千五百億民間から金を入れるわけでありますから、そういう工夫をしながら事業量を確保しようということで必死に努力をしておる。それから、今度の税制改正でも住宅減税等を三百九十億、全体で五百億の中の三百九十億を住宅減税でやっていただくわけですから、小さいながらも精いっぱい、あっちこっちで細やかな工夫をしながらやっておるわけであります。  私、就任しまして言っておりますことは、予算の中で仕事をするということはだれでもできることであって、金がなかったら知恵を出して、とにかく日本じゅうには五百兆に及ぶ預金があるわけですし、五百億ドルを超す黒字があって、どこかでその金が動いておるわけですから、本当に国づくりに協力してもらうのには政府に対する信頼感と安心感を持ってもらうことだと思うのです。  したがって、私どもがこれから一生懸命汗をかいて、それだけの国民の埋もれたエネルギーがあるわけですから、何もかもお国がやらなければならぬという考え方じゃなくて、ときによっては官民一体になってこういう一つの大きな転換期を乗り切っていく役割を果たさなければならぬのかなと今考えまして、民活プロジェクト推進会議を先般来発足させまして、建設大臣を座長としてこれから精力的にそういうことも自分たちでやろうということで今取り組もうとしておるわけでありますから、またいろいろ御意見を賜り、御指導を賜りたいと思います。
  80. 薮仲義彦

    薮仲委員 六十一年度予算、審議中の予算は、こういうことを言っては不謹慎かもしれませんけれども大臣がその長として編成なさった予算ではない。六十二年度の予算に私は期待しているわけでありますが、このゼロシーリングをいつまでも続けることが果たして是か非か、そろそろこの辺で見直す段階に来ているだろうと思います。大臣が来年度どう決断なさるか、あるいは予算執行の中間においてどういう判断をなさるかは今後の論議にまちたいと思うのでございます。  今、大臣が民活とおっしゃいました。確かに東京湾横断道、明石大橋の問題については一応の評価はいたします。ただ、経済原則、経済効率というものがその裏になければなりません。千葉とか川崎とか、ああいう人口動態の多いところであれば確かに民活に民間も参入してまいります。しかし、民間活力は経済効率、経済性を無視して成り立ちませんので、山間僻地——山間僻地といってもずば抜けてすばらしい観光資源でもあれば民間活力は導入できますけれども、いわゆる僻地に近いような場所、四全総でも当然出てくると思いますけれども国土の均衡ある発展ということになってまいりますと、民活というとバラ色に見えますけれども、民活のきかないいわゆる周辺の都市であるとか小さな都市、辺地というものは民活によって何ができるかというと、限られてくるのではないか、規制緩和しても余りできないのじゃないか。  ですから、公共事業の執行ということがある意味では、傾斜配分とまではいかなくても、片や民活、片や公共事業を十分に配分して、民活と同時に建設省の持っている公共事業の予算において国全体の景気の浮揚ということに目配りをしていただきたいと思うのでございますが、その辺いかがですか。
  81. 江藤隆美

    江藤国務大臣 全国の市町村で、みんな過疎地域になっては嫌なものですから工場誘致、工場誘致ということを、海岸地帯であろうと山の中であろうとそれぞれ我が村こそと言ってやるわけですが、なかなか行かない。仮に行きましても、それは若年労働力が吸収されるだけであって、中高年やら婦人層の働く場所はない。そういう意味で、私は宮崎県で、自分のことを言って大変恐縮でありますが、私どものような後進地域の山間僻地というのは、公共事業を継続的、安定的に導入することが工場誘地にかわる一つの産業である、そう言っても差し支えないのではないかと私は思っておるのです。  そういう点においては、先生が言われるように、いわゆる都市部、三大都市圏においては民活を一つの大きな目玉とすることは必要でありますが、地方においてはどうしても公共事業の優先的な配分と効率的な利用をやらざるを得ぬ。ことしの六千億、災害復旧等を含めてこれらが五千億、一兆一千億を補正予算でお願いしたというのも、東北、北陸、北海道、九州、こういうおくれた地方の年度末から六十一年度初頭にかけての仕事が途絶えないようにしよう、そしてそのまま六十一年度の予算に乗っかるようにしようということが、今回の六十年度の補正予算をお願いすることにもなった一つの原因でございます。
  82. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは具体的な問題を数多く聞きたいものですから、その問題は今後の委員会審議にまちたいと思うのでございます。  特に大臣お願いしておきたいことは、ゼロシーリングもいつかは破らなければならないときが来るのではないだろうか。経済の安定的な成長、拡大再生産という意味から、現在とり得る手段としてはそう手法はございません。建設大臣に課せられた責任たるや重かつ大であると思いますので、今後の執行あるいは予算編成につきまして大胆な改革をお願いして、この問題は終わりたいと思います。  次の問題に移りたいわけでございますが、大臣も大変心を痛めていらっしゃる静岡の熱川のホテル大東館の火災でございますが、これは、建築基準法初め各種の建物の安全、防災ということは大臣の所掌のところであり、非常に心を痛められていると思います。住宅局長名で、いわゆる既存不適格であるとか、現在のホテル、旅館の中でも小さいところはどうなっているのか、このように小規模なところまで迅速に通達を出されておることに私敬意を表しております。  さらに大事なことは、こういう事態にかんがみまして、大臣として再発防止に取り組まれる、このことは私非常に重要な事柄であろうと思いますので、国民が快適なレジャーとして旅行を楽しめるように、建設大臣の再発防止の御決意をまず伺っておきたいのです。
  83. 江藤隆美

    江藤国務大臣 早速担当官を現地に派遣いたしまして、原因を明らかにしようとしたのですが、当時のいわゆる図面その他がございませんで、まだ確たることをこうこうですと申し上げる段階にございません。  しかし、いずれにいたしましても、建設省が所管するこれらの建築物において、せっかくのそうした楽しみが一夜にして悲劇に変わるなどということは心の痛むことでありまして、今お話を聞くだけで胸が痛くなり、本当に申しわけない限りだと思います。したがいまして、私は、きょうも昼、建設省幹部皆集まりまして、そのときも話をしたのですが、二月十七日に通達を出したからこれで済むということではない、これはいついかなる場合も、県に責任があります、市町村に責任がありますということじゃなくて、一番の責任はやはり国にある、国の窓口はやはり建設省だということを考えて、これは胆に銘じてこれら再発防止についてあらゆる努力をしようということをきょうも話し合ってきたところでございまして、今後もそのつもりで取り組んでまいりたいと思います。
  84. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかただいまの大臣の御決意どおり、各レジャー基地、温泉旅館が楽しい家族の憩いの場になりますようにお願いをするところでございます。  さて、こういう事故が起こりますと、どう対処するかというためには、やはりなぜそういう火災が発生したのかということが重要な課題であると思います。しかし、我々も現地の大変痛ましい事態を見るにつけ聞くにつけ、原因の究明ということは大変困難をきわめているんじゃなかろうか。一瞬にして二十数名の大変とうとい人命が失われてしまった、救助された方もごくわずかということでございまして、非常に原因究明に御苦労なさっている。  警察庁お見えでございましたら、現在おわかりになる範囲で結構ですので、捜査状況、原因等について、あのような状態の中で原因を究明する何か科学的な手法があるならば、こういうことで努力いたしておる等含めて、それを伺って今後の対応を私たちは関係機関にお願いしなければなりませんので、お知らせいただきたいと思うのです。
  85. 小杉修二

    ○小杉説明員 お答えいたします。  本件につきましては、発生当日の朝六時半に現地下田警察署に捜査本部を設置いたしまして、百名の体制で現在捜査が継続されているところであります。  私、御質問に対しまして三点に分けてお答えを申し上げたいと思いますが、まず、当初の遺体関係でございますけれども、当然のことといたしまして、遺体の収容と身元確認に全力を挙げてまいりました。その結果、発生後三日目の二月十三日に、御案内のように二十四人の犠牲者の方すべての身元の確認を終わりまして、御遺族にお渡しをいたしました。  第二点は、死因の問題でありますけれども、これまでに遺体の検視あるいは解剖、それから遺体の血中一酸化炭素濃度等の鑑定を行った結果によりますと、一酸化炭素中毒によって倒れたところを焼死をしたというふうに現在のところ判断をしているところであります。  三点目でありますが、御質問の出火原因等につきましては、これは捜査の本体でございますので、現在のところ鋭意捜査を進めてはおりますけれども、特定するに至っておりません。現場検証の結果、あるいは現場から押収された暖房器具等をしっかり鑑定をして出火原因の判断材料にすることはもちろんでありますが、そのほかにホテルの関係者あるいは当時の宿泊客、目撃者等から事情聴取もいたします。  それから出火時の状況、防災設備の実態あるいは避難誘導等の有無の実態、こういうものを総合的に確認をいたしまして、刑事責任の有無を追及してまいる所存でありますが、目下のところでは、捜査中でございますので詳細については差し控えさせていただきますけれども、鋭意原因究明に努めているところでございます。
  86. 薮仲義彦

    薮仲委員 この原因が究明されますとその次の対策も万全になりますので、どうか鋭意努力をお願いするところでございます。警察庁さん結構ですよ。ありがとうございました。  一たん火が出てしまった、その後は、やはりいかに安全に避難をするかということが宿泊したお客様にとって次善の策であろうかと私は思うわけでございます。今回不幸にして、お二人を除いてはその避難ということができなかったという事態でございます。ここで一番言われましたのは、自動火災報知機が作動しなかった、スイッチが切れていた、こういうことが何と言っても一番問題になったわけでございます。  そこで、私が確認しておきたいのは、通報の段階でおくれたとか、こういう問題もございました。消防庁お見えでございますか、こういうことを順次お伺いしますけれども、まず、出火したときは通報が完全でなければならない。三十数分云云とありますけれども、だんだん事情がわかってまいりますと、電話機がいわゆるクロスバー方式、ゼロ発信で、ツーと言ってからかけないとかかりません、話し中になります。このように諸般の事情がわかってまいりました。しかし、緊急のときに対処する際、クロスバー方式の、ゼロを回してしばらく待ってということが果たしてホテル、旅館等の電話機として適切であるかどうか、これは消防庁としても研究の余地があろうかと私は思います。  非常通報の場合には必ず一一九番に間違いなく通ずる電話機、これだけ電話機が進歩しているのですから、フロントであるとかいろいろな見やすいところにある電話機の中で、いたずらされるというのではなくして、一一九番に必ず通ずるような電話機が設置できないものか、あるいはワンタッチの、緊急のときにすぱっと一一九番に通報できるシステムをあの中からくみ取っていかなければならないのじゃないか。昔はよく非常通報装置があったのですけれども、最近の電話機の発達によってそういうのがだんだん見えなくなりました。でも、こういう事態にかんがみまして、消防庁としては、今後の改善として、やはりワンタッチで通ずるような方策をとらざるを得ないのじゃないか、こう思いますが、いかがでございますか。
  87. 山越芳男

    ○山越説明員 今回の火災の際に、どうして一一九番がおくれてしまったのかということにつきましては、警察当局ないしは地元の消防本部で現在鋭意検討中でございます。いずれにいたしましても、結果的に見まして、先生指摘のように関係者がかなり手間取っだということは否定のできない事実だというように思います。  そこで、こういう問題を解決いたしますためには、御指摘のようなワンタッチシステムの電話機というものを、ホテル、旅館の例えばフロントのところでございますとか、ないしは防災センター、こういったところに設置をしておくことは大変望ましいことだというふうに思っております。  私ども消防庁といたしましては、NTT等の関係機関がございますので、そういうところとも今後十分協議をいたしまして、ワンタッチ方式の電話機の普及につきまして十分指導してまいりたいというふうに思っております。
  88. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかワンタッチで通ずることが最も好ましいと思いますので、その普及に全力といいますか、早急な対応を重ねてお願いいたしておきます。  それから、残念なことに、私もホテル・ニュージャパンのときも質問いたしました、あるいは蔵王観光ホテルのときも、いつも心を痛めるのは、消防法上立派な自動火災報知機等をつけるんですが、スイッチが切られてしまう。これは先般の建設委員会で、私、消防庁に検討お願いした。いわゆる誤作動する、誤作動ということの原因について、もっとその実態を調査していただきたい。  例えば、余りにも設置の場所が悪いんじゃないか、煙であるとか温度に対して鋭敏に反応し過ぎるようなところへ、設置の場所の適、不適というのはどうなんだろうか。あるいは機器が古くなって誤作動を起こすのか。あのテレビを見ておりますと、大東館の近所の方が、誤作動があって、またかまたかでオオカミ少年みたいな話題にもなっておりました。私はそういう報告を受けながら、原因をはっきりして、もしも設置の場所が悪い、機器が古ければ、これは設置義務者が直さなければならない。それは個々具体的に指導すべきだと思うのです。誤作動するからといって全部が、例えば十カ所の感知器が悪いわけじゃないと思います。誤作動を起こすのは、どこかの一カ所が設置が適切でない場合もあろうかと思います。あるいは、余りにも鋭敏に反応する機器である場合もあるかもしれませんが、新しい機器を開発したというふうに、先般の委員会で御答弁がございました。  新しい機器を普及するには、やはりタイムラグがございます。きょうも多くの方が泊まっていらっしゃいます。まず、誤作動をどうやって防止するかということが一つ。それから、簡単に切らないように、例えば就寝時には必ずスイッチがオンになっているとか、あるいはいわゆる自動火災報知機は今オンになっていますよということが、宿泊しているお客様にも安心できるような表示をするとか、それがお客様はオンになっているかどうか全然わからないわけですから、そういう意味で、安心して宿泊できるような対策等も御検討いただきたいと先般お願いはいたしました。  こういう切らないような指導だけではなくて、切ってしまうという現状に対処して、例えば夜の十時からは切っちゃいけませんよということを明確にするとか、あるいはまた、切ればわかるような対策というものについていかがお考えでしょう。
  89. 山越芳男

    ○山越説明員 まず第一点の誤作動の問題でございますが、御指摘のございましたように、設置場所の問題ないしは感知器の維持管理の問題、こういった問題が大変誤作動に関して大きなウエートを占めているわけでございます。  消防庁といたしましては、防火管理体制研究委員会というものを設置いたしまして、そこでいろいろと誤作動の分析をしたわけでございますが、非火災報のかなりの部分は調理の煙によりまして作動してしまう、それからもう一つは、御指摘ございましたように、繰り返し誤作動を出す感知器というのはかなり限られたものである、こういったことが判明いたしたわけでございます。  したがいまして、例えば飲食室とか厨房の隣接地域とか、そういったところにはそれに見合う感知器をつけていただく、客室ないしは階段、それぞれに見合う感知器、俗にいいますと、適材適所の設置基準を策定をいたしまして、その指導をいたしておるところでございます。しかしながら、まだその指導が十分徹底していないうらみがあることは事実でございますので、今後さらにその指導を強化いたしてまいりたい。  それから同時に御指摘ございましたが、新しい蓄積型付加装置というものも最近開発をされましたので、これにつきまして現在、日本消防検定協会でその性能を鑑定中でございます。できるだけそういったものを早期に市場に提供いたすようにしまして、そちらの方の普及も図り、あわせて誤作動対策に万全を期してまいりたいと思います。  それから、次の点の表示の問題でございます。御指摘がございましたように、かねてからベル停止は絶対にあってはならないということで強く指導をしてきたわけでございますけれども、その趣旨が必ずしも徹底をしていないわけでございますので、私どもといたしましては、その趣旨を徹底せしめる一つの方策といたしまして、旅館、ホテルにつきましては、自火報のベルが遮断された場合にはその状況が第三者にも容易に確認できるといいますか、そういった方法で何らかの表示をする方法を検討してぜひ指導する、そのことによってベル停止がないようにしてまいりたいと考えております。
  90. 薮仲義彦

    薮仲委員 今のことは非常に大切なことでございまして、いかに高感度のセンサーをつけましても、切られてしまえば何ら作動しないわけです。しかし泊まる方は、ついてるなと思って安心するという事態になりますので、消防庁の十分な対応をお願いいたしておきます。  それから先般、もう一点私が指摘しましたのは、いわゆるマル適マークから下はどうでもいいのね、という言われ方をしました。しかし消防法等を読んでみますと、マル適マークというのは一つの目安である、それ以下の安全、防災に無責任であるということは断じてないと、我々は法律を読めばわかるわけです。しかし一般国民は、あの報道の中で理解したのは、マル適マーク以下はどうでもいいのだなという認識がございました。  私は、やはり安全で快適な旅行をどこへ泊まっても楽しめるために、消防庁の責任として、マル適以外の小規模な旅館とかホテルとか、こういうものに対して十分な安全指導、少なくとも人命に関しては安全です、というような的確な指導というものが大事だと思うのでございますが、この辺はいかがですか。
  91. 山越芳男

    ○山越説明員 ただいま御指摘ございましたように、小規模な旅館、マル適マークの対象になっていない旅館といえども、消防法の適用になっているわけでございまして、そういった旅館にも一定の基準に従いまして自火報でございますとか、消火器等の設置基準がございます。  そういう施設の維持管理の徹底というものを一層やってまいりたいと思いますし、同時にマル適がない、したがって防火管理の対象にならない、そういった旅館、ホテルにつきましても人命安全の上で絶対に必要な事項、例えば火器の管理でございますとか避難誘導でございますとか、先ほどもお話が出ましたが、通報の問題でございますとか、そういった絶対に必要な事項につきましては、全国の消防機関を通じまして関係者の注意を十分喚起して、その周知徹底を図ってまいりたいと思います。
  92. 薮仲義彦

    薮仲委員 消防庁、最後にお伺いしたいのですが、これは私もまだ正確な判断はできないのでお伺いしたいわけですが、言われるところで、いわゆる収容人員のカウントの仕方がどうなっているのかなという誤解がございます。地域によって違うのかなということも考えられますし、あるいは消防計画書が出ている、出ていないという論議もございます。やはりこれは、その地域によって収容人員のカウントが違うとかいろいろあるかもしれませんが、この際、こういう問題について適正で明確な判断基準がないと、私は間違いだと思うのですね。  ですから、全国の旅館等に必要な、消防法上出さなければならないいわゆる消防計画書がきちんと出ているかどうか、一度総点検といいますか、確認は当然していただくと同時に、そして収容人員等について誤りがないかどうか、やはり消防庁としての正式な見解をこの辺でお出しいただく必要があるんじゃないかと思いますし、私は静岡です。県にとって、安全な旅行が楽しめないというダメージは非常に大きいと思うのです。きょうから、ああいう温泉に泊まっても大丈夫だというのは、やはり消防庁に対する国民の信頼がなければならないと思うのですね。そういう意味で、今後万全な対策を消防庁にお願いしたいわけでございますが、その御決意を伺いたいと思うのです。
  93. 山越芳男

    ○山越説明員 収容人員の問題でございますが、消防法の施行規則によりまして収容人員の算定方法が記載をされておるわけでございますが、それをもとにしまして、現地の消防機関がそれぞれの施設の実態に照らして計算をしておるということでございます。今回の大東館の旧館の場合にもそういった考え方に従いまして、現地でそれなりの判断をしているわけでございますが、御指摘がございましたようにもう少し明確といいますか、きめ細かくといいますか、そういう面での消防署の指導の問題、御指摘がございましたが、そういう点があることは、私どももそう感じておりますので、私どもといたしましては、今後、旅館、ホテルの収容人員の算定方法につきまして、御趣旨の点も勘案しながら十分検討をさせていただきたいと思います。
  94. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか消防庁さん、そういうことを含めて、安全な旅行を楽しめるように万全を期していただきたい、心からお願いをいたしておきます。  運輸省さん、来ていますか。運輸省さん、観光事業は運輸省さんの所掌でございますから、消防庁あるいは建設省関係省庁と連携を保って、安全な宿泊、旅行、観光、レジャーが楽しめるような行政の確立を、運輸省としての行政を通じてお願いしたいのですが、一言御決意を。
  95. 山下邦勝

    ○山下説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、観光を振興するということにおきまして、お客の安全を確保するということは、何よりもまして当然のことであります。  運輸省では地方公共団体とも協力いたしまして、内需振興の意味からも観光の振興策というものを推進しているところでございますので、今回のような事故が発生するということは、観光の需要にも重大な影響を与えかねませんので、非常に憂慮しているところでございます。関係省庁とも協力しながら、一層の安全確保につきまして対策を推進してまいりたいと思います。  具体的には、運輸省では、事故の翌日の二月十二日にホテル、旅館関係の六団体に対しまして、旅客への避難方法の案内でございますとか、警報の伝達体制の確立とか、夜間における避難誘導体制、こういったものの励行などにつきまして一層の徹底を図るように、指導通達を出しております。特に、今回の火災事故が木造旅館に発生いたしましたことにかんがみまして、二階以上の木造の政府登録ホテル、旅館六百三十一軒に対しまして、防火体制及び避難誘導体制のチェックをいたしまして報告をすることを求めさせて、こういったものを踏まえまして、必要な対策をさらにきめ細かくいたしていきたいと思っております。よろしく御協力をお願いいたします。どうもありがとうございました。
  96. 薮仲義彦

    薮仲委員 運輸省さんもしっかり防災に重きをいたして、楽しい旅行ができるように努力をお願いしておきます。  国土庁長官、お見えでございますね。長官に次にお伺いしたいと思います。  私は、一億二千万の日本の国民にとって、外交、防衛上の安全ということ、これはやはり非常に大切なことであると思うんですね。同じように、国土が安全であるということは、国民にとって重要な問題だと思うのです。これは何も国土庁長官お一人の責任ではなく、当然、中曽根内閣はもちろんのこと、我々一人一人の政治家全部が国土の防災に重きをいたして、努力をしていかなければならない。しかし、その中心の官庁としてやはり国土庁が、国土の防災に責任を持って当たられる省でございます。そのお立場から私は、国土庁長官に何点かお伺いをしたいわけでございます。  私も国会に籍を置かせていただいて十年になるわけでございますが、災害対策の場にずっとおりました。いつも思うことは、自然災害で人命が亡くなることを何とか極力なくせないかな、特に、自然災害によって起こる事故がもしも防げるものなら防ぎたい、いつも心を痛めてまいりました。これは大臣としても、日夜を分かたず心を痛めていらっしゃる事柄だろうと思うのでございますが、国土の防災の上から何が今必要か、この行政改革の折に、水資源局をやめても防災局を設置した、これは今の内閣の国土の防災に対する決意だと私は思うのです。単に東海大地震という、地震防災だけではないと思うのです、防災上は地すべりとか洪水とか火山噴火とかあらゆる災害があるわけでございます。このすべてを、何とか一歩一歩安全な国づくりをしていかなければならないわけでございまして、その適切な行政をやるために何が一番必要かといえば、的確な行政判断というのは、的確な情報があって初めてできると私は思うのです。  大臣も就任早々新潟の能生町へおいでになった。私は敬意を表します。それで、おいでになられた後、私は委員会質問させていただきました。行かれたときに、各省庁が行っていらっしゃいます。あるいは大学の研究機関も行っています。それがどういう原因であったかということが必ずしも今の国土庁に集約されてくるシステムにはなっておりません。やはりそれが国土庁に集約されてくるということが絶対必要じゃなかろうか。  このことで私は過去三年間、国土庁に情報収集機能を備えなさい、建設省はすぐれた資料を持っております用地質であるとか危険渓流であるとかあるいは河川の状況であるとか、どのようなときに溢水するとか被害想定図等も建設省は持っていらっしゃる。農水省もすばらしいのを持っていらっしゃる。大臣の今までずっと歩んでこられた農水省も、植生であるとか地質であるとか山腹の崩壊であるとかいろいろなことを研究していらっしゃる。あらゆる省庁がすばらしいデータを持っていらっしゃる。もしもそれが国土庁に集約されてくれば、私は、すばらしい情報といいますか、国土防災の機能を発揮できると思う。それがわかって初めて次の手が打てると私は思うのです。  そういう意味で、国土庁長官、この間の委員会では、予算委員会の関係で私はこの地図をちょっとお見せしなかった。委員長、よろしゅうございますか。
  97. 野中広務

    ○野中委員長代理 はい、どうぞ。
  98. 薮仲義彦

    薮仲委員 防災局長いますか、防災局長、ちょっと説明してあげてください。これはあなたには私は何回も言っている。一つもやってくれないから、きょうはもう大臣にじきじき。もうそろそろやる気になったらどうですか。これは三、四年やっているんですよ。これは大臣、ちょっと防災局長説明を受けてください。これは地方の自治体が苦労して、地形図の上に山腹崩壊とか地すべりとか浸水とか重ねて、どこが安全でどこが安全でないかというのをいろいろ苦労してやっているのです。大臣、一日見ればわかるでしょう。これは植生も載っています。地形図に重ねていくと出てくるのです。地形図に重ねればそうなるのです。よろしゅうございますか。ごらんください。  例えば建設省さんは、今建設大臣、ちょっと言っておりましたけれども、河川情報センターなんか苦労をして河川の情報を集めていらっしゃる。そういうすぐれた情報がもしも国土庁に集まってくれば、科学技術庁、各大学の研究施設から集まってくる、あるいは大規模地震の場合は、気象庁にリアルタイムであらゆるデータが入ってくるのです。ひずみ計、ラドン計、地震計、全部入ってきます。もしも国土庁がそういう情報をきっちり集めれば、防災のペンタゴンみたいに完全な防災の機能ができると私は思うのです。  例えば例を挙げましょうか。国土庁、簡単で結構ですから、過去十年間の自然災害で亡くなった人命、負傷者の数だけ、トータルで言ってください。数だけで結構です。     〔野中委員長代理退席、東家委員長代理     着席〕
  99. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 お答えいたします。  死者の数で申しますと、五十年が二百二十二人、五十一年が二百七十四人……(薮仲委員「トータルの合計、わかりますか」と呼ぶ)ちょっと合計は入れておりませんが……。  それでは、最近の数字を申しますと、五十七年が五百二十四人、それから五十八年が三百一人、それから五十九年が百九十九人、こうなっております。
  100. 薮仲義彦

    薮仲委員 今の資料は、さっき局長からいただいて私は持っているのですが、今申し上げたように年間大体二百人亡くなるんですよ。負傷者は千人台なんです。例えば、五十一年は千九百七十四人の方が負傷していらっしゃる。五十九年は千五百五十九名の方が負傷していらっしゃる。過去十年トータルしますと、自然災害で亡くなられた方は二千四百五十名です。負傷なさった方は二万四千四百十一名です。これは国土庁資料です。どれだけ多くの方がとうとい命を自然災害で失っていらっしゃるか、これを心にとどめていただきたい。  私はいつもこれを読むのですよ、災害対策基本法の第三条です。「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」これは災害対策基本法第三条、国の責任なんです。だから私は言うのです。これだけの方が亡くなっているのは、よそからの生命の危険かもしれませんけれども、自然災害というのはある意味では我々政治の場、行政の場で力を合わせて防止していかなければならない重要な課題だと私は思うのです。だから真剣にやっていただきたいと何回もお願いしているのです。いまだにやらない。これは、私は大蔵省にも言いたい。大臣、行っていらっしゃいよ。金があるとかないじゃない。人命にかかわることは、なくたってやるのが政治でなければならないと私は思うのです。ないからできない、そんなことじゃないと思う。やるべきことはやることが政治家の決断であり判断だと私は思うのです。それが現在の国土庁長官に求められると思うのです。  例えば気象庁が、この間の新潟の能生町の災害のときに、何を基準に警報をお出しになるか、ちょっと聞いておきたい。
  101. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 新潟県の場合の雪崩注意報の発表の基準でございますけれども、新雪の雪崩につきましては、降雪の深さが五十センチあって気温の変化が大きい場合、また全層雪崩につきましては、積雪が五十センチ以上ありまして最高気温が摂氏八度以上に上がると予想される、あるいはそういった積雪の状態の中で一日の雨が二十ミリ以上に達するという基準を設定してございます。そしてこういった状態が予想される場合には雪崩注意報を発表いたしまして、警戒をお願いするということで進めてまいっております。
  102. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、今お聞きになったでしょう。これが気象庁のあれなんです。何と何を資料におやりになっているかというと、雪が五十センチ降りました、気温の変化が著しいです。新潟はどう区分されているかというと、上越、中越、下越なんです。上越地方、中越地方、下越地方に雪崩の危険がありますと警報を出すのです。言われた方は一体どこで雪崩が起きるのか絶対わからない。わかったら不思議です、手品ですよ。それではいかぬと私は言うのです。そのために今のような防災マップをつくりなさい。今警報をお出しになっているのは気象庁だけです。それは積雪量の五十センチということだけです、気温の変化だけです。  でもこの間の能生町のときのあれは、長官もごらんのとおり、一月の気温の変化を見ますと、八日ごろは気温が一時下がりまして、それから中間で上がって、雨が降って、今度はまた寒気団が来て、二メーターぐらい降っているのです。それは積もった雪が、雨で気温が上昇して解けて、アイスバーンになって、それでまた温度が下がって二メーター降ったわけです。だからアイスバーンの上に雪が乗っている。これは科学技術庁や建設省にお伺いすると、今度の雪は泡雪崩といって、もしも雪崩が起きたら物すごい爆発的な破壊力のある雪の質でございますと雪の質もそこでわかっているわけです。  しかも大臣が長年いらっしゃった農林省は、植生は雑木林です、急傾斜です。もしも気象庁のデータに今急傾斜で植生は雑木林で雪崩をとめにくい状態にあるとか、あるいは雪の質とか、あるいは国土庁の持っていらっしゃる土地の履歴書があるのですよ。過去にここはどういう履歴があったか、水浸しになったとか雪崩があったとか、長官の各ほかの局では全部土地の履歴書を持っていらっしゃる。そういうものを全部重ね合わせれば私は、少なくとも気象庁がお出しになるのは、苦労して雪崩警報をお出しになっているけれども、危険渓流であるとか山腹の状態や、全部情報が集まってくれば大臣は的確な判断が可能である。  ですから情報を収集する機能を国土庁持ちなさい、持ったものを生かして防災マップのようにして、気象庁と協力して、この辺が危ないですよと。例えば危ない条件を三十ぐらいつけておいて、雪が降った、温度がこうなった、変化があったとか、三十ぐらいの条件のうち二十の危険状態がクリアーすればこれは危ないなと判断しなさいというようなことを言ってあげれば、逃げてしまうと私は思うのですよ。五十年百年とデータを積み重ねれば、私はやがて、この防災局をつくったことが国民にとってどれほど感謝される日が来ることか。大臣がここで就任なさって、御自分の初仕事としてきっちりこの情報を集めるような収集機能と、活用できる防災マップをおつくりになって——これは私防災だけじゃないと思うのです。翌年度の公共事業に、例えばお隣にいらっしゃる建設大臣と、あそこには雪崩の導流堤をつくってくれとか、あるいは御自分のお得意の林野庁に行かれて、砂防のための堰堤をつくってくれとか、先導的な役割も国土庁は果たせるわけです。これがどれほど、今申し上げた二千数百名のとうとい今、むだにしないために、私は、長官がやるべき重要な仕事だと思うのです。大臣、やっていただきたいですね。決意はどうですか。そろそろやったらどうですか。
  103. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 ただいま防災に関しまして長年いろいろ御検討なさっていらっしゃった非常にとうとい御体験を含めての御意見をいろいろ賜りました。  実は私国土庁長官として就任するということは全然予想もしておりませんでしたけれども、偶然お引き受けしたわけでございますが、先生おっしゃるとおり、確かに農林行政の中で防災を受け持ったことがございます。あくまでこれは農地等に関するものでございまして、幅は狭いわけでございます。しかしやはり人畜の被害というものもあるわけでございますけれども、これほど深刻な問題は割合少のうございますが、しかし私の体験からいたしますと、河川のはんらんという問題で、これは何も農林省の用水路じゃなくて、日本の大きな河川、特に私は福岡なものですから筑後川、これが偶然私が本省の、農林省の防災班長をしておりまして、そのとき現地派遣を受けました。一週間中流から下流に向けて全部悲惨な崩壊の跡をじっと訪ねまして、これは私の一生にとって非常に勉強になって、大変お気の毒な家庭も多かったわけですけれども、そのおかげで今は中流域に両岸にダムを二つつくりました。やはりいざというときのポケットがありませんと洪水防除ができない。  それからもう一つは、筑後川という川、これはよそもそういうのがありますけれども、有明海に流れておりますが、この有明海が干満の差が日本では一番大きいわけです。したがって塩水が筑後川という河川にずっと上ってきます。いわゆる感潮河川、ところが我々の先人はなかなか知恵があるものでございまして、結局塩水の方が比重が高い、重い、したがって下から潮が上がってくると上に浮き上がるのは真水でございます。それを、堤防のところに樋門を設けて、その樋門をあける、そうすると上の真水だけが中に入る、これを用水に使っておったわけです。  しかしこれは近代的な感覚で見ますと、まず潮の時間に支配されてしまう。いろいろなことで、結局は本流から、よそにあるように用水路を引っ張って、それをだんだん細かい水路に分けていく。それが今やっと始まりましたが、そのせき、筑後ぜきというのをどこに設けるべきかというので、私の構想では久留米の瀬下というところまで感潮河川だから、その上に設ければいい。現にそれができ上がっておりました。ちょうど先刻行ってまいりまして、そんなふうで、結局そういう方式にしますとあらゆる面からの水利用が非常に広範なものになってくる、こういうことを学びましたが、それを学んだのも結局は二十八年、二十八災と称しておりますけれども、深刻な大災害、潮害も兼ねて起きたわけです。  そういうことで、先生のおっしゃるとおり、自分の過去を振り返りますと、いろいろ思い出があります。伊勢湾の台風、例の鍋田干拓の崩壊あのとき私は干拓の班長をしておりまして、これまたいろいろ対策に苦労しました。やはり物事は、決して好ましいことではありませんけれども、深刻な場面をしっかり目で見、いろいろ研究する、これが防災という問題の一番大きな柱になろうと信じております。  そういう意味で、今の先生の御意見のとおり、防災というお仕事を受けましたが、これはかなり幅が広うございます。御承知と思いますけれども、今の先生のお説を含めましてお答え申し上げますと、次に例の防災マップの話も触れたいと思いますが、何といいましても、国土を災害から完全に保全する、そして国民の安全を守るということは国政の基本であろうかと思います。先生おっしゃるとおりでございます。  政府といたしましては、かねてから防災というものに関しますところの科学技術研究をどんどんと推進してまいり、また災害の予防を策として強化もしてまいりました。国土保全の推進にももちろん努力をしてまいりました。しかも、いざ災害が発生してからではなかなか遅いが、それにしてもまず迅速的確な、今の先生のマップに見るように根拠になる資料を持っておることは非常に大事でありまして、そこでいざ起きましても応急対策をまず講じなければならない、こういうことも一生懸命推進しておるところでございます。  しかし、今後は特に防災体制の整備と防災意識、これはもちろん被災者を含めての広い意識の高揚ということを図っていかなければならない。それに情報化時代でございますが、この情報化の進展に対応した各種の防災情報の有効かつ適切な活用は、先ほどの先生のマップにも出てくるわけでございます。もちろん震災もございます、土砂災害、火山災害、そして先ほどお話に出た豪雪対策、いろいろな災害の対策を各省庁と連携をとりながら、非常に密接な関係をつかんで結果を出して、緊急に全力を傾けて対処する、これが大事でございます。  そこで、先生の防災マップの問題に触れますが、災害対策の総合推進に当たりましては、もちろん関係する各省庁が持っております貴重な情報を有効に活用しておりますことは間違いございません。そこで、関係各省庁の御協力を得ながら、防災対策上有効な、先生のおっしゃる防災マップをどう考えるかという考え方につきまして、その作成の手法その他ただいま研究を始めておりまして、災害に関する各種の情報の的確な収集、分析及びデータバンクの整備、このための調査検討を含めて六十一年度、明年度から積極的に取り組んでまいる考え方でございます。  以上、お答え申し上げます。
  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣のその御答弁を聞いて私もほっとしました。大臣のきょうの決意、きょうの一歩が五十年、百年先に必ずよかったという国民の賛同を得られると私は信じておりますので、どうか大臣国土庁長官のときに日本の防災の方向が決定したと言われるような実行力ある大臣の行動を心から期待しておりますので、よろしくお願い申し上げます。  もう時間が参りましたので、きょうはたくさん聞こうと思ったのですけれども。ただ、きょう国鉄さん来ていますか。——国鉄さん、こうやって建設大臣国土庁長官都市局長のいる前でお答えするのは大変じくじたるものがあると思うので、時間がありませんので……。  大体ここにいる人は——国鉄さん、土地をお売りになるのは結構です、三十七兆三千億の赤字のために国鉄用地を五兆八千億売ります、公開競争入札で売りますというお立場は、私たちはわかります。国鉄の再建のためには一円でも高く売りたい。でも、これをマクロの経済で見ますと、例えば私は静岡ですが、駅周辺であるとか、全国同じだと思うのです、日本の国に残された最後の駅周辺の一等地です。しかもそれは、地方自治体は過去五年、十年にわたって営々と都市計画を組んで、私たちの住みよい町をつくろうという都市計画に取り組んでいます。  それがある日突然に一般公開競争入札よと言われると非常に困るわけですね。今までは公共的なものは随契でという国鉄さんがいろいろと御配慮をいただいた。一般公開競争入札で一円でも高く売るということになると困るわけで、少なくともここにいる建設大臣が今度の五期五計をやるにしても、公共事業推進のために駅周辺の再開発が引き金になって土地が上がっては困ると思うのです。特に、今国土庁長官に答えさせますと、都心部の地価が高騰しているから何とかしてくれと心を痛めていると思うのです。こういうことをほうっておきますと、日本全体の公共事業の執行の中で用地取得費が六割、七割と高騰しまして、本当の事業が進まなくなります。  そういう意味で国鉄のお立場はわかりますけれども、ここはどちらかというと国鉄も高く売るのは反対じゃないかと思うのです。皆さんに言わせてからあなたにお答えさせると非常に言いにくいと思うので、きょうは時間がないからちょうどよかった。建設大臣から国土庁長官から都市局長からみんな聞こうと思っていた。その上であなたのところをぐっと押さえ込もうと思ったのですけれども、これだけ言っておけば、あなたもまさかこれだけの前で高く売るとは言えないでしょう。関係省庁と協力して何とか公共的な立場を御理解いただいて適正な値段で努力する、こうやっていただきたいのですが、これを聞いて私の質問を終わります。
  105. 山口良雄

    ○山口説明員 国鉄といたしましては、先生御存じのように国鉄再建監理委員会意見を踏まえまして、長期債務の処理に当たりまして国民の皆様方に多大な御負担を願うということにかんがみまして、あらゆる国鉄用地の中からその用地の生み出しを図っているということでございます。  そこで、用地売却に当たりましてはこれらの趣旨に沿うということで、公正と適正を確保するということで、原則といたしましては公開競争入札をいたしたいと考えております。しかし、国鉄の用地の中には鉄道の施設の整備とか統廃合とかいろいろなことを行う地域がございます。それらにつきましては、地元、地方公共団体と十分協議をさせていただき、都市計画とか地域開発計画とか、それらに十分整合性がとれるようにしていきたいというふうに考えております。  それで、地方公共団体等で既に公共、公益目的のために計画がなされている地域につきましては、債務償還という観点から売却価格につきましては適正な価格ということでございますけれども、契約方式につきましてはいわゆる随意契約を含め今後対処していきたいと考えております。
  106. 薮仲義彦

    薮仲委員 質問を終わりますが、今国鉄さん、国鉄を代表しておっしゃったと思うので、いざ実施のときにころっと変わらないように。建設大臣国土庁長官も関係局長もみんな聞いておりましたし、我々もしかと承りましたので、どうか国鉄用地売却が好ましい公共事業の進展に役立ちますようお願いして質問を終わります。ありがとうございました。
  107. 東家嘉幸

    ○東家委員長代理 西村章三君。
  108. 西村章三

    ○西村委員 最初に江藤、山崎両大臣に申し上げますが、非常に内外情勢厳しい中、特に建設行政あるいは国土庁の事業環境も極めて厳しい中でございますが、今回それぞれ建設大臣国土庁長官に御就任をされました。大変な御苦労があろうと思いますが、どうか国家のため、国民のためにせっかくの御努力をお願いをいたしたいと思います。  そこで、まず建設大臣にお伺いをいたしますが、先日の所信表明でも若干承ったわけでございますが、今後建設行政を担当されるに当たりまして、今日の我が国経済情勢、これをどう認識をしておるのかということはやはり大切なことでございまして、そういう意味で今日の日本経済の情勢についての認識、その中で何が一体中心的な課題なのか、さらに、この課題に対応するためにどういう政策展開を行わなければならないか、このことにつきまして、まず大臣の御見解をお伺いをいたしたいと思います。
  109. 江藤隆美

    江藤国務大臣 昨年末に予算編成が行われました時期と今日とは、私はいささか趣を異にしたと思っております。恐らく、昨年末は多分に安定成長ということを念頭におきながら予算編成は行われた。今日になってみますというと、やはりこれほどの為替動向あるいはまた円高、石油価格の、スポット物では十五ドルとなったわけですから、そういうものがだんだん定着してくるということになってくると、これはいささか様相は変わってくる。経済成長も思いどおりいくのかなというとと同時に、それは輸入業者はいいかもしれませんが、輸出業者は今度は軒並みにいかれるおそれがある。そういうときに、予算委員会でもしばしば議論をされておったようでありますが、どうしても一番の影響力を受けるところは中小企業である。中小企業が多いところはどうしても後進地域になってくる。ですから、後進地域は農畜産物もなかなか価格が上がらないし、公共事業費の配分も少ない。それから、零細中小企業の多いところですから、そういう面からのしわ寄せもずっと寄っていくということを考えると、やはり容易ならざる時期になってくるのかなというような実は感じが今いたしております。  そういうものを、実はじっとこれから腰を据えて判断をしながら、今後の内需拡大あるいはまた社会資本の充実というようなことに対してしっかり取り組んでいく時期になってきたな、要するに、公共事業というものが、予算編成の時期からすると、さらにその役割を重くしていきつつあるという感じを今感じておるというのが率直な意見でございます。
  110. 西村章三

    ○西村委員 安定成長が崩れて、円高その他もろもろの不安要因が非常に拡大をしてきた、こういうことでございます。私どもも同様な考え方を持っておるのでありますが、私は若干時間をおかりいたしまして、今日我々がどういうふうに経済情勢を見ておるかということについて、党の立場につきましても若干説明をしたいのであります。  私ども民社党は、現在我が国経済は三つの大きな課題を抱えておるという認識をいたしております。  それは、まず、対外経済摩擦の解消、円高による景気減速への対応、「増税なき財政再建」の達成、この三つであると思っております。大幅な貿易黒字を背景といたしました対外経済摩擦の激化は、諸外国における保護主義の台頭と我が国の国際的孤立を導きかねないほど危機的な様相を呈しております。また、最近の急激な円高は、輸出関連を中心とする我が国産業に大きな影響をもたらしておる、我が国の景気というものを急速に悪化させておる、こういう原因にもなっております。さらに、このところの景気の減速に伴う税収の伸び悩み、これは「増税なき財政再建」の見通しにこれまで以上に暗い影を落としておるものであります。  このように我が国経済の三つの課題というものは、いずれをとりましてもそれだけで重要であります。かつ解決困難な問題であるわけであります。のみならず、この三つはそれぞれ相互に密接に関連し合っております。したがって、政策運営いかんによりましては、一つの政策目標の改善が他の政策目標の改善を防げる、こういうことにもなりかねない問題を含んでおるわけであります。  これら三つの課題のすべてを解決するためには、いわゆる縮小均衡型の経済運営、これを速やかに拡大均衡型へと転換をさせることによりまして積極財政政策を推進することが必要だ、私どもはこう思っておるのであります。積極的な財政政策を推進することによりまして、急激な円高のもとにあっても景気は減速することがない。また、実質五%程度の内需主導型の適正成長が実現をし、輸入増と輸出減を通じて対外経済摩擦の解消が図られる。さらには、このことによる大幅な税の自然増収の確保によって「増税なき財政再建」の早期達成にも明るい展望が開かれるのではないか。そのための具体的な対応といたしましては、来年度予算を拡大均衡型経済運営の基本方針に沿ったものにすることが急務だ、こう私ども考えておるのであります。  ところが、政府の予算案を眺めてまいりますと、民間活力活用の方針にもかかわらず、大幅な所得減税あるいは投資減税を見送った。さらに、法人課税を強化する。一般会計、公共事業費の抑制もあった。円高不況の克服と内需の拡大を阻害する対応をとりながら、縮小均衡型経済運営をなおも踏襲しておるということは極めて残念なことだ、こう理解をいたしておるのであります。このような経済運営では、政府の目指す来年度実質四%の経済成長、これの実現も対外経済摩擦の解消も到底困難ではなかろうか。さらには、このことが、その行き着く先は大幅増税、これ以外にはないんじゃないか、こういう見方をいたしておるのであります。  そこで、私は、こういう基本的な認識の上に立ちまして、建設省が昨年八月に出されました資料がございます。「二十一世紀に向けての住宅社会資本整備」と銘打った資料でございますが、これを参照しながら幾つかの御質問をさせていただきたいと思うのです。  そのまず第一は、我が国経済の潜在能力、適正成長の問題についてであります。  私どもは、我が国経済は、高水準の貯蓄率あるいは労働生産性の向上によりまして、中期的には五%程度の成長を持続する力を持っている、こう考えているのでありますが、さらに内需拡大によりましてこの潜在成長力を顕在化させ、中長期にわたる適正成長を維持することが、大幅な税の自然増収の確保による財政再建を達成するためにもあるいは対外経済摩擦の解消のためにも、そして、円高による景気の減速を克服するためにも必要である、こう考えるわけであります。  建設省は、ただいま申し上げました、この「二十一世紀に向けての住宅社会資本整備」という資料の中におきましても、「我が国経済は、昭和七十五年に向けて新しい成長過程を迎えており、長期的な潜在成長力は少なくとも五%程度は見込みうる。」こう言い切っております。国際的に調和のとれた対外均衡の達成を図るためには、国内投資の増進による貯蓄投資バランスの回復あるいは内需の拡大が不可欠である、こう述べておるのでありますが、建設省として、五%程度の実質成長実現のためにはこの時点において何を行うべきだとお考えになっておられるのか、具体的な施策というものを明らかにしていただきたい。また、これらの内容は、六十一年度政府予算が五%経済成長の達成を図るための予算としてふさわしいものであったかどうか、この辺についての御見解を承りたいと思います。
  111. 江藤隆美

    江藤国務大臣 御承知のように、公共事業の六十一年度予算は、名目成長率五・一に対して五・七%の伸びで一応決着させていただいた。住宅金融公庫等を含めますと一〇・一%の前年度増でもって一般公共事業の予算はつくらしていただいた。それについてはいわゆる補助率の調整等行いましたから、財源の特例債ですとか財源対策債とかいうようなものを見ながら後で交付税で処理するという方法をとりながら、かなり苦しいやりくりをしたことは間違いがない、私はこう思っております。そういうことで、事業量においては一応どうにか形だけはついたということが一つの柱であろうと思います。  もう一つは、民活元年と言われるように東京湾横断道路ですとか明石海峡大橋、それから今実は全国で五十八上がってきておりまして、こういうものを少しく地方都市にもさらに広げるように努力をしようということで、省内に民活プロジェクト推進会議をつくっていよいよこの予算審議、一般質問と並行しながら本格的に検討を開始しようということをして、そしてとにかく国の金がなければ民間の金を使ってでも事業をもっと伸ばしていこうではないか、内需の拡大を図っていこうではないか、こういうことをいたしておるのが二つ目であろうと思います。  もう一つは、御承知のように六十年度の補正予算で前倒し、いわゆる債務負担行為六千億、それから災害復旧五千億、災害復旧はこれでもう六十年災はおおよそ八五%、五十九年災は九五%は進むと思います。これは前例のないことでありまして、そういう思い切ったことをやりながら仕事の切れ目がないようにして次年度につないでいく、こういう方法をとったり、住宅金融公庫の二万戸の追加融資をやるというようなことをしながら六十一年度の予算を組ましていただいておるわけでありまして、現時点においてはこうしたいわゆる住宅五カ年計画の初年度でありますから、住宅減税いわゆる取得促進減税、それから贈与にかかわる減税、これは五百億の減税の中で三百九十億は建設省分、住宅にいただいたわけですから、まあ苦しい中に減税の大部分は住宅政策につき込んでもらった。こういうもろもろのことをやりながら今年度を初年度とする五カ年計画策定さしていただいていよいよスタートする。  私は本会議でもちょっと申し上げたように、きょうも御批判がありましたが、これが終わって、その時の都合でできなかったというのでは今回は責任は免れないと思っておるのです。ですから、これは建設省もよほど腰を落ちつけて、魂入れて初年度のこれらの事業の達成には万遺憾なきを期さなければいかぬ。もし遺憾ならどこかに大きな欠陥があるはずですから、大胆率直にそういうことは反省をして次年度からは正していくという勇気ある行為が必要ではないか、こう考えておるところでございます。
  112. 西村章三

    ○西村委員 大臣から非常に自信に満ちあふれた力強い御答弁をちょうだいしたわけでありますが、私ども現実問題として五%の実質成長を図るために果たしてこれだけの施策で可能かどうかいささか疑問に思っておるわけでございます。これはいろいろな角度からの検討が必要でございますから、今この時間では到底この問題の解明はできないわけであります。  引き続きまして、私は次に社会資本の充実についてお尋ねをしたいと思います。  我が党は、福祉社会の基盤をなす社会資本整備のための公共投資、これは財政が景気調整機能を果たす上でも大きな役割を担っておると考えておるのでありますが、この数年間にわたる政府・自民党による公共投資の抑制策は、基礎的な社会資本整備をおくらした。それだけではなくて、景気の低迷あるいは財政再建そのものを遅延をせしめたというぐあいに考えております。我が党は、公共投資を今後名目経済成長率と同程度伸ばすことによって、国民生活の向上と適正成長の維持を図るべきだと考えておるのでありますが、建設省はどうお考えになっておられますか。
  113. 高橋進

    高橋(進)政府委員 基本的にはただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。  おっしゃいますように、近年の厳しい財政事情のもとで公共事業予算が抑制された、そのために社会資本計画整備におくれが出ているのではないかという点、ごもっともな面もあるわけでございますけれども、ただいま大臣が申し上げましたように、少なくとも建設省の関係の予算については、住宅金融公庫の関係を除いても一般公共事業費の伸び率を五・七%ということで、政府経済見通しの名目経済成長率が五・一%でございますが、それを上回る事業費を確保して、何とかそういったおくれを来さないような、あるいはまた内需振興に資するようなことで努力した次第でございます。
  114. 西村章三

    ○西村委員 わかりました。  この問題は先ほども同僚議員から御質問があったわけでございますが、最近の急激な円高による景気の落ち込みを最小限に食いとめるためには、六十一年度においても公共投資の大幅な前倒し、いわゆる前倒し執行をやるべきだと思うのであります。予算審議中で大臣としてはまだまだ言いにくいのでおりましょうが、基本的に一体どう考えておられるのか、この問題は率直に答えていただきたいと思うのです。仮に前倒しをやるとしたら、その目標率はどの程度に置くべきか、これも腹案がございましたらお示しをいただきたい。  なお、前倒しの際には、補正予算による追加というものが明らかにされていないと十分な景気の刺激効果が発揮できませんので、この辺についても御見解を承っておきたいと思います。
  115. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、六十年度補正予算で債務負担行為六千億というのはまさに前倒してございまして、例年やってきたわけでありますが、今年は特にそういうことに配慮をしてきた。  それから、午前中ちょっと私は申し上げましたけれども、きょうの閣議でも話がありましたように、四月時点になると円高その他によって起こる経済的な今日の状態が一応将来を展望できる時期になってくるのではないか、そのときには六十一年度の予算も成立しておるでしょうから、この予算の運用をどうするか。六千億は前倒しをした、それから四月時点になると円高その他による経済的なもろもろの状況がどうなるかはわかってきますから、そのときに六十一年度の予算の執行運用はどうあるべきかということは当然例年と違った形で議論されるようになってくるだろうと私は思っております。そのときに前倒しをするかしないか、前倒しをするとすればどの程度のものであるか。  それから、補正予算などということを今ごろ議論するのは適当ではありませんが、そういうこともそういう時期になればあるいは議論の対象になるのかもしれません。ただ、今はこれは厳に口を慎まなければいかぬといって事務当局から、大臣ちょっとしゃべり過ぎていけませんと言われておるからこの程度で御勘弁をいただいて、これは国会の議論がやはり中心ですから、これから建設委員会もしばしば開かれることでございますし、お互い建設行政公共事業関係の熱心な先生方が集まってここで御議論をいただくわけですから、私どもはそれらの議論を与野党ともにしっかり承って、そうして公共事業というのは、国づくりというのは政党政派を超えて行われるものだと私は思っておるのです。そういう謙虚な気持ちを持ってこれからやっていこうと思っておりますから、これからも率直な御意見をお聞かせいただくと大変ありがたいと思っております。
  116. 西村章三

    ○西村委員 申すまでもないことでございますが、公共事業の前倒しの執行は、それのみでは限られた景気浮揚効果しかないということでございまして、むしろその消化を通じて民間投資を誘発していくことが非常に大事なことでございます。この十年間で前倒しの実績がなかったのはわずか二年程度でありますけれども、とりわけ下期のいわゆる公共工事発注の追加分の見通しというものが非常に大事であります。例えて申し上げますと、昭和五十七年度の公共事業の前倒しが十分な景気刺激効果を発揮できなかった背景として、年度当初からもう息切れが見通されたという先行きの不透明感が非常に大きなネックになったわけでございます。そういう意味で、そういう点につきましても十分な配慮をいただきながら、ぜひこのことは御努力を願いたいとお願いをいたしておきます。  次に、建設国債の発行についてでございます。  これまで政府は赤字国債脱却にのみ目を奪われる余り、同じ国債減額という名のもとに、見返りとなるべき資産を生む公共投資の財源となる、赤字国債とは全く性質が異なる建設国債の発行も抑制し続けてきました。我が党は、このような政策運営は、長期的視点に立った財政運営の必要性、経済情勢に見合った財政運営の重要性に対する認識が欠落しているものと判断せざるを得ないのであります。  もちろん建設国債でありましても、その過剰な債券市場への放出は、民間資金の締め出しあるいは財政インフレを招来する危険性を持っておるのでありますが、市場の状況に応じた発行を行うことによってこれらの危険性は回避ができる。特に、現在我が国経済は貯蓄超過の状況にございまして、建設国債の適度な増発は消化面で全く問題がない。建設省も、建設経済局の調査資料というか報告の中では、我が国におきましてはいわゆるクラウディングアウト効果、民間資金の締め出しは小さいという分析を行っておられるのであります。  このような見地から、我が党は、建設国債の適度な発行を主な財源とする公共投資の拡充とその有効利用を図るべきだということを持論として持っておるのであります。もちろん大蔵省は建設国債の増発も財政再建に反するという立場は常に堅持しておるところでありまして、そのことは私どもも十分承知いたしておりますが、建設省として建設国債の増発とその財政への効果というものをどのようにごらんになっておられるのか、御見解をお尋ねいたしたいと思います。
  117. 江藤隆美

    江藤国務大臣 公共事業費を伸ばそうというときには、いつも建設省と大蔵省の間で激しいやりとりがあることは否定することはできません。西村先生おっしゃるように、私どもも、建設国債というものは子や孫の時代に借金を残すということではなくて、それにもまさる大きな資産を残していくものであるという意見を持って、いつも政府部内で意見を闘わすわけであります。  しかしながら、建設国債について全く配慮がないのかと言われますと、六十一年度末に百四十三兆円の赤字国債が残るわけでありますが、そのうちの七十九兆円が実は建設国債でございまして、ことしも五兆七千億の財源は建設国債で賄う、こういうことになっておるわけでございます。したがって、財政再建下の今の時点では精いっぱいのことをやらしていただきました。建設国債がふえる、多々弁ずることについては私どもはこれはもうありがたいきわみでありますが、予算の審議に入ったばかりでありますから、ことしはさしずめこれで御勘弁をいただきたい、こう思うところであります。
  118. 西村章三

    ○西村委員 大臣のお気持ちはありありと私どももわかるわけでございます。  就任早々の「新経済政策を聞く」という記者とのインタビューの中でも「議論が決着したとは思っていないし、私は(増発を)あきらめていない。建設国債は後世にツケを残すといわれるが、ツケだけでなく社会資本という資産も残す。ツケしか残さない赤字国債と同列に論じるのはおかしい。」と述べておられます。この建設国債の発行につきましては既にいろいろと与党の幹事長も発言をしておられまして、極めて積極的であります。また政府部内でも、四月に予定されておりますいわゆる総合経済対策の主要な柱として、上半期の公共事業の執行と同時に、建設国債の増発という公共事業費の追加を予定され、具体的な検討を始められたようであります。この建設国債の適度な発行、増発についての見解を大臣にもう一度述べていただきたいと思います。
  119. 江藤隆美

    江藤国務大臣 政府部内で増発について方向が決まったということではございません。ただ、ただいまは予算審議中でございますし、四月になりますと大きく経済情勢もまた変わってくることでありましょうから、やはり時こそ至れりというときがありますから、それまでじっとチャンスをうかがって、もしそういう機会があったらぜひ皆さんのお力添えをいただいて、そうなってほしいなということでございます。
  120. 西村章三

    ○西村委員 これ以上重ねてお尋ねすることは避けたいと思いますが、せっかくの御努力をお願いいたしておきます。  大臣が予算委員会の方においでになるようですから、先に住宅減税のことについて若干お尋ねさせていただきます。  今回、制度改正をおやりになりまして、住宅取得促進税制の創設が盛り込まれましたが、私どもは一歩前進と評価をいたしております。これに関する具体的な数字は後ほど事務当局からお聞きするといたしまして、我々今、御承知のように野党の共同修正で住宅減税についての要求を出しております。  今回の住宅減税におきまして、税額控除をされる額が住宅ローン残高の一%相当額というのが政府の原案でございますが、これを何とか二%程度に引き上げること、あるいは適用期間が三年でございますが、これを五年間ぐらいに延長したらどうかという問題、もう一つ住宅減税の適用対象でありますが、借入金の残高を、自己資金も含めて取得費全体ということにしたらどうかというのが私どもの要求でございます。  これは大臣自身が、これももう既に新聞記事になって広く報道されておるわけでございますが、住宅減税にしても一%などと言わずにもっとやったらいいではないか、こうおっしゃっておるわけでございます。そういう面で、この住宅減税に対する大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  121. 江藤隆美

    江藤国務大臣 民間ローンであったものを今度は公的ローンにまで広げだということが一つの前進であるし、それにまた減税率を決めていただいた。五百億の減税という中で三百九十億は住宅減税だったわけですから、苦しい中にも精いっぱいの踏ん張りはやった、ひとつこういうふうに評価していただければ大変ありがたいと思います。  一%よりか二%にこしたことはありません。三年よりか五年にこしたことはありません。二千万でなくて全額にこしたことはない、こう思いますが、私ちょっと、減税だけで一体うまいこと住宅が建つのかなという……。  去年、実は私、国対委員長でありまして、与野党の幹事長会談で五・七四のいわゆる給与改定を、人勧を七月からやる。あれで大蔵大臣びっくりして実は幹事長室に飛んできました。私はついでに国対委員長会談で地方公務員もやってしまう、こういうことをやったものですから、ひとしきり大騒動になったわけですが、ああいうのは、実はあのとき考えておりましたのは、なるほど公務員の皆さんの給与改定もさることながら、そうした一つの給与が上がらない、所得がふえないということがどうも住宅ができないという最大の原因じゃないか。だから、先行き可処分所得がふえていくんだというものがあれば住宅も建つじゃないかというのが、去年私どもが、皆さんからすれば四月にさかのぽらずにけしからぬとおっしゃいますけれども、七月から五・七四の人勧の給与改定をやらしていただいたというのも、そこいらに実は少しく考えを持っておったわけであります。  ですから、そういうもろもろのことを考え、土地政策も考え住宅減税も考え、あるいはまた融資枠の引き上げ、あるいは融資対象、そういう条件の引き上げ等を通じてやはり総合的にやっていかなければいかぬのかな、こういうふうに考えておるところでございます。
  122. 西村章三

    ○西村委員 それでは、私は住宅政策につきまして若干お尋ねをさしていただきます。  戦後四十年が経過いたしまして世界第二位の経済大国に成長したのでありますが、その経済水準とは最もアンバランスな形で立ちおくれておりますのがいわゆる国民の住生活であります。また、我が国経済の当面の政策課題である内需の拡大、その中心的な柱が住宅建設にある、このことも間違いないと思います。  住宅建設は、建設省中心になりまして第一期の五カ年計画から第四期まで、今日まで計画的に進められてきたのでありますが、今日なお依然として最低居住水準未満の住宅がおよそ四百万世帯もある、こういう実態でありまして、まだまだ改善を要する面が多いのであります。  そこで、来年度の六十一年度を初年度とする第五期住宅建設五カ年計画、これがいよいよスタートされるのでありますが、今後の住宅建設に対する、あるいはこの五カ年計画基本的な考え方というものを聞かしていただきたいと思います。
  123. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先生指摘のように、日本住宅問題というのは非常に内政の重要課題であるという認識はもちろん我々持っているわけでございます。  昭和六十一年度を初年度といたします第五期の住宅建設五カ年計画、これにつきましては、六十年の六月、去年の六月でございますが、住宅宅地審議会の答申に示されました基本体系、これを踏まえまして現在その策定作業を進めているところでございます。  まず、先ほどもお示しのありました最低居住水準世帯、これは四百万世帯もあるという問題、これは六十年度までに解消しようという計画であったわけでございますが、残念ながら一一・四%残ったということでございますので、これをできる限り早期にすべて解消したいというのがまず第一点でございます。  それと同時に、昭和七十五年、西暦二〇〇〇年でございますけれども、それまでに半数の世帯が、新たに設定いたします誘導居住水準、これを確保できるようにしたいということを考えております。  この場合、誘導居住水準につきましては、都市中心部及びその周辺におきますいわゆる共同住宅を想定いたしました都市居住型誘導居住水準と、それから郊外及び地方におきます戸建て住宅居住を想定しました一般型誘導居住水準、この二つの水準を設定しております。  また、第四期のときにございました住環境水準、これは引き続きそれを指針といたしまして、住環境の向上に努めたいというふうに考えております。  そこで、そういうものを前提といたしまして、世帯の形成でありますとかあるいは住みかえ、建てかえ等によりますいろいろな住宅需要を計算いたしますと、全体として計画期間中に六百七十万戸を見込んでおります。これは大体、五で割りますと百三十四万戸、年間百三十四万戸ということになりますが、漏れ率というのが四%ございまして、着工統計上は大体百二十九万戸ぐらいということになるわけでございます。それから、その六百七十万戸の中で公的資金によりますいわゆる施策住宅、これを三百三十万戸と見込んでおるわけでございます。  今後は、関係省庁との調整を行いまして、住宅宅地審議会の意見を聞いた上で、今年度末までに閣議決定を行うという予定になっております。
  124. 西村章三

    ○西村委員 住宅建設の促進に果たします金融公庫あるいは都市整備公団、公営住宅など公的な住宅供給の役割は非常に大きいわけであります。ただいまも数字をお示しのとおり、三百三十万がいわゆる公的資金を使ったものだということでありますが、最近のこの利用者ニーズやあるいは社会経済情勢の変化、これに対応した見直しがこの公的な住宅供給の中でも必要になってきているのではないか。このことにつきまして、五カ年計画の中では一体どのように措置をされたのか、検討内容も含めて、できればお示しをいただきたい。
  125. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 御指摘のように、いろいろな社会情勢、経済情勢がどんどん変わってきていると思いますし、そういうものを踏まえて国民のニーズというものも、住宅をめぐりましていろいろ変わってきております。その内容は、非常に高度化、多様化するということとともに、最近の傾向といたしまして、賃貸住宅に対する需要が高まっております。またさらに、これはもう申すまでもありませんが、高齢化あるいは都市化、こういった大きな潮流があるわけでございます。  そこで、新しい五カ年計画の案でございますけれども、この中におきましては、まず、先ほど申しましたように、住宅ストックを良質なものとして形成する。二十一世紀に向けました新しい居住水準というのをセットいたしたわけでございます。それが一つでございます。  それから二つ目に、賃貸住宅に対します需要が非常に高まっているということを申し上げましたが、こういうことで、例えば公団住宅について賃貸住宅のウエートを引き上げております。  また、高齢化に対応いたしますために、最低居住水準あるいは誘導居住水準の中に、高齢者を含む世帯についての特別な配慮を行っております。  細かい点はほかにもありますが、大体基本的には以上のような点を含めまして国民の住宅に対するニーズに的確に対応した住宅政策を推進してまいりたいというふうに考えております。
  126. 西村章三

    ○西村委員 高齢化、都市化というのは、これはもう時代の波でありますが、ただいま高齢化の問題につきましては、高齢者を含むという表現でございました。ただ、これからのいろいろな社会の階層傾向というものを考えてまいりますと、いわゆるお年寄りだけの住宅というものも非常に必要性が高まってくるのではないか。いわゆる高齢化そのものに対する住宅政策の対応、このことも必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  127. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 今御指摘でございましたいわゆる高齢者が単身で住む場合もあるのではないか。確かにおっしゃるとおりでございまして、そういうものとして例えば、都市居住型誘導水準でございますと、一DK、住戸専用面積として四十三平米というものをセットいたしておりますし、一般型誘導居住水準につきましては、住戸専用面積五十五平米という新しいランクを一つつくっておるわけでございます。  高齢者対策ということでございますが、確かに一人で住みたい人あるいは一緒に住みたい人あるいは近くに住みたい人、隣居、近居とかいろいろな形があると思います。そういったものの組み合わせをどうやって選択していただくかといういろんなメニューを用意しながらやっていく必要があるだろう、そういうことを十分心しながら対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  128. 西村章三

    ○西村委員 六十一年度の新しい施策としまして地域特別賃貸住宅、これをスタートさせたようでありますが、この制度の概要というのは一体何を目的としているのか。  あるいは新公営住宅という一面の呼び方もあるようでございますが、いわゆる所得階層からいって公団あるいは公営の賃貸住宅との収入区分、この辺のところが一体どうなるのか、少し詳しく聞かしてください。
  129. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 六十一年度予算が通りますと、この地域特別賃貸住宅と我々呼んでいるものが制度化される、予算措置でございますけれども制度化されるわけでございます。  これを考えました背景を申し上げますと、人口の定着でありますとかあるいは企業誘致、そういったような地域政策の展開に関連いたしまして新しい雇用者が入ってくる。しかし、収入基準等の関係で公営住宅には入れない場合があるということもあります。住生活の安定あるいは向上を求めまして幅広い賃貸住宅需要が高まっているというのが実情でございます。  こういったことを背景にいたしまして、いわゆる従来からやってきております公営住宅制度を補いつつ、中間所得階層、これは大体二五%から四〇%ぐらいというものを考えております。で、公営住宅の場合には一種が三三%、二種が一七%までということですから、それより少し、一種の上限よりも高く幅を持って対象と考えているわけでございます。いわばそういった中間所得階層の比較的所得の低い階層を対象として実施します新しい公共賃貸住宅制度というふうにお考えいただければよいかと思います。  そこで中身でございますけれども、供給方式二つ考えております。それで一つはA型と呼んでおりますけれども、地方公共団体が直接建設いたしまして管理する方式。もう一つはB型と呼んでおりますけれども、良質な民間賃貸住宅を地方住宅供給公社、これによりまして公的管理をする。まあ現実には企画、設計、建設段階から供給公社が、何といいますか関与していくということになると思いますけれども、そういう公的管理を通じまして一定期間それを活用していくという、その二つを考えております。戸数は、大体六十一年度としては全体として四千戸を考えております。  それから助成措置でございますけれども、まずA型の方の地方公共団体が直接供給する方式につきましては、補助率を三分の一で建設費の補助をいたそうということにしております。それから、いわゆるB型、民間の賃貸住宅を活用する方式につきましては、住宅金融公庫の公社土地担保賃貸住宅制度というのがございますので、それを活用してやっていこうということでございます。それから年限は違いますけれども、両方式に共通いたしまして一定期間の家賃対策補助、これは補助率二分の一でございますけれども、そういうものを実施して需要に応じていきたい、そういうことによって適正な負担による賃貸住宅をできるだけ供給してまいりたいというふうに考えている制度でございます。
  130. 西村章三

    ○西村委員 これは例えば地方自治体が建設をした場合には、その建設の補助率を三分の一に引き上げるということで、特にその場合は家賃の補助というものはやらないわけでございますね。
  131. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 おっしゃるとおり、建設費につきましては、いわゆる公共団体が直接やるものだけについて三分の一補助をいたしますが、家賃補助につきましては、公共団体がやるものについても、民間の住宅を活用する場合、両方に補助を行おうという考えでございます。
  132. 西村章三

    ○西村委員 わかりました。  それでは次に移りますが、公的住宅供給の中でいわゆる住宅金融公庫というものの位置づけも大きいわけであります。五カ年計画の中でこの住宅金融公庫の位置づけをどのように考えておられるのか、あるいはまたどのように措置をされたのか、融資制度の改善の方向とあわせて六十一年度においてはどういう措置をやろうとされておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  133. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 申し上げるまでもなく、住宅政策の基本は国民の居住水準を何とか引き上げていくということでございます。そのためには住宅建設を促進するということが必要なわけでございますけれども、御存じのとおり、最近ではそれがかなり伸び悩んでいるということがございます。  それで、先ほど大臣も申し上げましたように、その一つの非常に大きな要因として住宅の価格といわゆる所得との乖離よいう問題があるわけでございます。そこで、これに対応するためには住宅の価格を安くするか所得を上げるかあるいは取得能力をふやすかという選択しかないわけでございます。住宅の価格を安くするというのは非常に難しい。せめて抑えるというぐらいしかできないということだと思います。それから所得の方は、やっぱり一般経済情勢といいますかそういうことで規制されるものだと思います。そこで、その取得能力を向上させるために、いわゆる長期低利の融資、これの拡充あるいは税制の拡充といったことで対応するということでございます。  そういうことからいいますと、金融公庫は長期低利の融資によりまして資金の確保と取得能力の向上という役割を果たしておるわけでございます。そこで、住宅政策の中で非常に大きな役割を持っておるわけでございますが、こうした観点から、今度の五カ年計画におきましては、第四期計画の二百二十万戸を上回ります、わずかでありますが、二百二十五万戸の建設を図るということを考えております。  それから、六十一年度の予算案におきます公庫の融資制度の改正の概要でございますが、まず基本的には国民の持ち家需要というのは非常に強い、それが潜在的にあるというふうに我々は考えております。そこで、それにこたえるために、無抽せんによります貸し付けに必要な戸数として、先ほど大臣も申しましたが、対前年度二万戸増の五十一万戸を計上いたしております。それから限度額の引き上げにつきましては、土地費相当分につきまして三十万円の引き上げを考えております。それから対象面積の区分を引き上げる。これはかなり大きな問題だと思いますが、従来は五・五%口でありますと百十平方メートルまでのものしか対象にできなかったわけでございますが、これを十平米、これはつまり六畳一間でございます、引き上げて百二十平方メートルまでにする。それから、その上のいわゆる六・四%口につきましては百三十五平米までであったのを百四十五にする。さらに、その上の大型住宅につきましては百六十五平米までであったのを百八十平米と、かなり大きな住宅まで対象とするとしたわけでございます。  それから、先ほどもちょっと出ましたが、老人同居につきまして四十万円の割り増し貸付額の引き上げを行っておりますし、また老人・身障者用の設備工事に対する割り増しとして五十万円を考えております。  それから、木造住宅の振興を図るということから、地域優良木造住宅に対する二百万円の割り増し貸付制度を新設したいと考えております。  それからさらに、先ほどもいろいろ議論になりましたけれども、雪に勝つ、つまり克雪住宅、こういったものに対しますいわゆる地域政策割り増し貸付というものを、これは五十万円でございますけれども、新設いたしまして、地域に根差した住まいづくりの推進をやっていきたい。  それから最後に、落としてならないのは、既存住宅、これは中古住宅でございますが、この貸付対象地域につきまして、従来は三大都市圏と人口おおむね五十万以上というものであったわけですが、これを県庁所在市または通勤圏内二十五万以上の市の通勤圏まで拡大した。そういったものが主なところでございます。
  134. 西村章三

    ○西村委員 ただいま御説明ございましたように、住宅金融公庫の果たすべき役割、というものは、日増しにウエートが高まっておるわけであります。第四期五カ年計画の中でも二百二十五万戸金融公庫分でやるということでありまして、二層の安定的な運営というものが、経営基盤の強化というものが要請をされておるわけでございます。  ところが、現在も実は利子補給金の繰り延べが行われております。金融公庫の貸借対照表を見てまいりますと、昭和五十九年度決算額で千四十五億円、六十年度末の予定で千三十四億円、六十一年度末が千八十四億円、それぞれ当期特別損失金として計上されております。この措置につきましてはかねてから改善要求が強いわけでありまして、また先般の行革審の中でも指摘をされております。公庫の経営基盤の安定と改善について、建設省は現在この利子補給金の繰り延べ問題についてどういう見解を持っておるのか、今までも何回かこの委員会では議論がされたかと思いますが、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  135. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 確かにこの補給金につきましては、財投金利が比較的高水準にございました昭和五十年代半ばにおきます事業量の拡大でありますとかあるいは貸付条件の改善等によりまして、近年急増してきている状況にあるわけでございます。  確かにそれに的確に対応していく必要があるわけでございますが、非常に厳しい財政事情のもとでございます。その中でこういった補給金の急増に対処しながら、かつ、他の公営住宅とかいろいろな住宅政策を展開していかなければならないわけでございまして、バランスのとれた総合的な住宅対策の実施を図っていくという必要があるわけでございます。  そこで、昭和五十七年の四月と六十年の四月の公庫法の改正によりまして、補給金の一部を繰り延べるという措置を設けているところでございます。繰り延べ額につきましては、後年度に交付金として一般会計から補てんすべきことが法定化されております。そういうことから、公庫の安定的な業務運営に支障を生ずることばないと考えております。当面はやむを得ない措置ではないかというふうに考えております。
  136. 西村章三

    ○西村委員 本来この補給金というのは、国の予算、いわゆる一般会計から賄われるべきものでございます。また、補給金の特別損失としての繰り延べは単に後にツケ回しをしているにすぎない、こういう臨調の指摘もあるわけでございまして、さらに改善努力をやっていく必要があると思うのであります。  時間の関係もございまして、まだまだ質問をしたいのでありますが、住宅公団、来ていただいておりますか。住宅都市整備公団につきまして若干のお尋ねをしたいのであります。  昨年に公団設立後三十年目を迎えられましたが、現在いろいろと問題を抱えておられます。例えば売却のできない長期保有地の処分問題、あるいは建てたけれども入居者がない未入居住宅、入居者を募集できない保守管理住宅、建築中野ざらしのままにされております無人住宅、これが公団全戸数百十八万戸のうちのおよそ六万戸、五%弱のものが今この状態にありまして、そのための家賃収入がおよそ四百二十億円ぐらいになるという指摘もあるわけであります。  また、昭和三十年当時に、発足時に建てました住宅、これもだんだんスラム化をいたしてまいりまして、しかも二DKという狭い住宅中心でありますだけに、建設省の指標でありますいわゆる最低居住水準、これすら満たしておらない低質の住宅というものが全体の約三割程度あるということも事実のようでありまして、その建てかえは今おやりになっておられることだと思うのでありますが、こういう問題、さらに含めて、最近は公団住宅建設戸数そのものが年々減少してきておる。さらに借入金が八兆円近い。借入金に対する年間利息だけでおよそ六千億円。利息は年々五百億から六百億円ずつふえ続けておる、こういう状況にあると思うのです。  私は、まだまだ非常に残念なことだと思うのでありますが、この現状につきまして、一体建設省の方はどういう認識をされておるのか。また整備公団としてはどういう認識でこれを受けとめておられるのか、まずお聞きをしたいと思うのであります。
  137. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 未利用地の問題あるいは未入居住宅の問題等、過去に随分いろいろ指摘されました。例えば未入居住宅あるいは保守管理住宅につきましては、五十二年に四万戸であったものが五十九年度の末におきましては六千八百戸に減少する。いろいろな施策を展開して、建設省の中に委員会をつくりまして、そしてその対応を図ってきておるわけでございます。  そのように、公団そのものについていろいろな形でもって経営の効率化、合理化というものを今後とも建設省は強力に指導して、国民の期待にこたえたいというふうに考えております。
  138. 倉茂周明

    倉茂参考人 ただいま局長からお答えのあったとおりでございますけれども、未入居住宅につきましては、保守管理住宅と合わせまして昭和五十二年度に四万戸を超える新築空き家というものがございました。昨年度末におきましては、建設省の御指導、御支援をいただきまして六千七百八十四戸まで減少することができました。一つの山を越えたという感じもしないではございませんけれども、さらに気を引き締めまして、そのような空き家が発生しないよう努力したいというふうに考えております。  それから、長期保有地につきましても、昭和五十五年度に会計検査院から問題ありと御指摘いただきました地区が二十一地区ございましたけれども、これも住宅建設に着手するあるいは処分をするというようなことを逐次やってまいりまして、現在は具体的な開発について自治体等と交渉中のものが三地区残るだけになりまして、これまたさらに鋭意努力して、活用その他の利用を促進したいと考えております。  それから、先生指摘の公団の賃貸住宅につきまして、最低水準未満の住宅が三〇%ありということにつきましても残念ながら御指摘のとおりでございますが、私ども五年ごとに賃貸住宅につきましてはぼ全数の実態調査をやらしていただいておりますけれども、その結果によりましても二六%という最低水準未満の住宅が残っております。  これは私どもお客様を募集するときに、何人以下でなければこういう住宅に入ってはだめよというような募集は、特別な場合を除いてはできませんものですから、例えば三Kと申しますような、四人家族でも一応住める住宅に四人家族が住んでいるんだけれども、最低水準の五十平米ないというような実態もございますものですから、先生お話しのように、既存賃貸住宅の改善も含めまして、今後努力することによって最低水準未満の解消を図っていきたいというふうに考えております。  そのほか、戸数が実際にできてないじゃないかということにつきましても、さらに努力を続ける所存でございます。  以上でございます。
  139. 西村章三

    ○西村委員 時間がなくなりましたので、各論につきましてはまた改めて私はそれぞれお尋ねをさせていただきたいと思うのであります。  この際、今私が申し上げたそれぞれの資料をぜひ提出していただくように取り計らいをお願いいたしたいと思います。  住宅都市整備公団の問題につきましては、去る二月六日の行革審の中でも特殊法人問題等小委員会、いわゆる住宅都市整備公団についての業務の縮小問題等も提言をされておるようでございます。そういう面で一つの大きな曲がり角にあるということでありまして、これからは私どもも勉強さしていただきます。建設省も御検討いただきたい、このことを要望いたしまして質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  140. 東家嘉幸

    ○東家委員長代理 資料の申し出がございましたので、何分よろしくお願いいたします。     〔東家委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 瓦力

  142. 中島武敏

    中島(武)委員 最初に、住宅行政、特に住宅都市整備公団のいわゆる縮小、民営化問題について伺いたいと思っております。  実はこの問題が報道されましてから、公団団地の居住者を初めとして国民的にも大変大きな心配の声が上がり、そういう声が私どもの方にもたくさん寄せられております。  初めに、総務庁来ていらっしゃいますか。総務庁に伺いたいのです。  今、行革審の特殊法人問題等小委員会住宅都市整備公団についての検討が進められているわけですけれども、この検討進捗状況、それから検討内容、それからこれからのスケジュール、この辺についてまずお聞きしたいと思います。
  143. 加藤武久

    ○加藤説明員 お答えいたします。  行革審におきましては特殊法人等の活性化を図るために特殊法人問題等小委員会をつくりまして、昨年の十月から十八回に及びまして検討を進めてきているわけでございます。  検討項目でございますが、特殊法人等の一般的活性化方策及び基本的見直しを必要とする特殊法人等についての活性化方策について検討をいたしておりますが、その基本的見直しを必要とする特殊法人の一つといたしまして住都公団についても検討をいたしております。  今まで建設省からヒアリング等を進めてきているわけでございますが、住都公団につきましても、事業の効率化、活性化を図るという観点から検討をいたしております。住宅分譲、賃貸住宅それから土地分譲等につきましていろいろヒアリング等を進めてきているということでございまして、また、これからの検討のスケジュールでございますが、このような形でのヒアリング等をさらに進めまして、四月末をめどにいたしまして小委員会といたしましての報告をまとめる、六月中には行革審としての意見をまとめまして政府に提出をしたい、このように考えております。
  144. 中島武敏

    中島(武)委員 スケジュールについてのあらましはわかりました。検討内容については、どうも今のお答えではまだはっきりしないんですね。  新聞報道が伝えておるところによりますと、この行革審の特殊法人問題等小委員会では住都公団について四点にわたっていろいろ問題にしているようであります。  第一は、住宅分譲を公団事業として実施する必要性はもはや乏しくなってきているのではないか。いわば分譲からの撤退、分譲は民間に任せる、こういうことのようであります。  それから第二は、公団による新規賃貸住宅建設は立地条件の恵まれた既存老朽賃貸住宅の建てかえ、立体化によるものを主体とすべきではないかということのようであります。つまり、賃貸住宅は建てかえ、立体化にほぼ限定をしたいということのようであります。  さらに第三には、宅地供給については新規の土地取得は抑制すべきではないかということのようでおりまして、いわば土地取得の抑制であります。  それからさらに第四には、会計処理の仕組みについては、経営実態を的確に反映するような会計処理の仕組みとすべきではないかということでありまして、会計処理の仕組みの変更が問題になるということのようなんですね。  こういう四点について建設省を呼んでヒアリングをして、問題にしておるのではないのですか。
  145. 加藤武久

    ○加藤説明員 御質問の件でございますが、今先生の、分譲住宅につきましてはもう必要ないんじゃないか、新規賃貸住宅につきましては既存の住宅の建てかえ、立体化に限定すべきではないか、また宅地につきましては新規の土地取得を抑制すべきではないか等々の問題が新聞で報道されているということでございますが、これは行革審で公表したものではないわけでございます。  審議の過程におきまして、先ほど申しましたように、こういった分譲だとか新規賃貸住宅、宅地の問題につきましていろいろ議論はされているわけでございます。その議論の過程でいろいろな考え方が出てきているわけでございますけれども、行革審としては報告したものではない。審議の過程の中でいろいろな意見が出た。その中の一つが外へたまたま漏れてしまったということでございます。  行革審としましては、先生方のいろいろな自由闊達な意見、その意見を十分交わしまして、また慎重審議いたしまして、妥当な結論をまとめていきたい、このように考えております。
  146. 中島武敏

    中島(武)委員 過程の議論である、たまたま漏れた。私これは率直に言いますけれども、非公開で議論をやっている、これがよくないんですね。やはり国民の見えるところで、一番国民が心配している問題ですから、堂々と公開して、そしてどうするのがいいかという議論をやるというのが私はいいと思うのです。  それから、私なぜこういうのにいろいろこだわるかといいますと、総理はどうも答申が出る前から、審議会で答申が出たら尊重しますということを中身がわからぬうちから言うんだね。それで、答申が出ると早速閣議決定をして、答申尊重というふうに決めちゃったりするんですね。こういうふうになりますと国会は一体どういう役割を果たせばいいのか、国会は大変無視されるということになるわけでありまして、だからこの種のことは結果が出てしまったときにはもう遅いのですから、その前にやはりちゃんとよく議論が国会でできるというふうにしなければならないと私は思うのですね。  そういう点からいいますと、いまさっき程度の答弁でありますから、私は大変不満でありますけれども、おっしゃっていただけないのだからしようがない。もう結構です。  それでは、引き続き建設省に伺います。  今のお話にもありましたように、建設省の方は特殊法人問題等小委員会のヒアリングに応じて、出席をしていろいろと意見を述べておられるわけでありますが、どんな意見建設省としては述べていらっしゃるのか、この点についてお聞きしたいと思うのです。
  147. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先日の建設委員会におきましても私ここで申し上げたわけでございますけれども、私どもは行革審のヒアリングを受ける立場でございまして、いろいろ質問を受けたり、あるいは説明を求められたりということでございまして、そういうことで、私の方からどういう議論がなされているかということを申し上げるのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  148. 中島武敏

    中島(武)委員 これも残念な話なんですが、では、私の方からお尋ねして、建設省の見解を聞かせてもらいたいと思うのですね。住都公団の住宅分譲ですけれども、これを公団の事業として実施する必要性というのは、もはや乏しくなってきているというふうに建設省はお考えでしょうか。
  149. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 五十八年三月の、やはり臨調でございましたか、その答申におきまして、四大都市圏、特に二大都市圏を中心に四大都市圏に地域を限定するということと、それから分譲住宅につきましては、民間では適切な対応ができないいわゆる町づくりに関連したものに限定するという線が出たわけでございます。  建設省といたしましても、そういう線に沿った、そういう範囲の中での分譲住宅の供給という必要性は十分認識しております。
  150. 中島武敏

    中島(武)委員 今局長が言われた臨調の、これは基本答申の中にあることですけれども、今局長が言われたとおりなんですね。「街づくりとの連携を図る事業を中心にする等その事業範囲を見直す。」ということで、その線に沿ってという今のお話だったのです。ところで、「街づくりとの連携を図る事業」というのは一体何ですか。
  151. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 例えば新規のニュータウンをつくります。その場合に、初期入居という問題がございます。つまり、町開きという場合に公団が自分で分譲住宅なり賃貸住宅なりバランスのとれた町をつくっていく。そういう場合に、最初から民間がなかなかそれに対応できないという場合がございます。  そういう場合でありますとか、それから、公団はいろいろ公共施設の直接施工権限などを持っておりますが、いわばこれも初期入居でございますけれども、そういうものとあわせて住宅を張りつけていくというような場合に、やはりバランスのとれた町づくりをする。  それから、公共団体からの要請が非常に強い場合がございます。これもやはりバランスの問題だと思いますが、単に賃貸住宅だけじゃなくて分譲住宅もつくってくれ、これも一種の町開きの問題かと思います。  それから、再開発をこれから大いにやっていかなければならないと思いますが、そういう場合におきましても、やはり一つのバランスのとれた賃・分といいますか、賃貸と分譲のバランスのとれたものをつくっていく、そういったようなものを我々は町づくり関連というふうに認識しております。
  152. 中島武敏

    中島(武)委員 今の局長の話だと非常に限定されるなというのが私の率直な感じであります。ニュータウンにしろあるいは都市の再開発にしろ、初めから住都公団がかんで、そしてここは分譲に、ここは賃貸に、ここはこういう町に、そういうことができるという場合でありますから、非常に限定されてしまうというふうに思うのですね。  私は、公団の中心的な事業というのはやはり賃貸住宅の提供だというふうに思うのです。思うのですけれども、やはり分譲ももっと積極的に供給するようにしなければならないと思うのです。といいますのは、住都公団は、保証期間が、物によりけりですけれども、五年とか七年とか十年とかいうふうに、一般よりはうんと長くされております。  実は、私、宅建業法の改正に関してここで質問をしたことがあります。五十五年の五月ですけれども。このとき、瑕疵担保責任二年は短過ぎる、これじゃだめだ、十年にしなさいということを私は要求しました。そのときに当時の宮繁計画局長も、それからまた当時の渡辺建設大臣も、現在検討中なんだ、可及的速やかにやりたい、こういう答弁だったのです。それから随分たちますけれども、可及的速やかはどこへいったんだか、さっぱり実行されていないのです。しかし、その後住宅公団の方では、今申し上げたように、こういう声が聞こえたのでしょうか、国民の声が聞こえたのでしょうか、これを長くするということをやったのですね。これは民間の分譲業者、マンション業者に対しても、住民のサイドから見ると非常にいい影響を与えているということが言えるわけなんです。それから、こういう場合もあるのですよ。欠陥住宅だったという場合もあるのですけれども、そういうことが二、三年後に発見されても、期限が切れておっても、発見された場合にはすっぱりきれいに欠陥住宅を直すということをやる。これはなかなか民間はやりませんけれども、住都公団の場合にはこういうことをやります。  それから、私が知っている限りで言いましても、オープンスペースなんかもかなりやはり広くとって、民間のマンションとは違うのですね。そういう意味では、住都公団の分譲住宅というのは、品質においては、一般的に言うとやはり民間よりもいいというふうに申し上げても間違いない、国民の信頼性が非常に高いと私は思うのですね。だから、住都公団が賃貸とあわせて分譲住宅ももっともっと積極的に供給するということが日本住宅水準を引き上げる上で非常に大きな役割を果たすのじゃないか、そういうふうに思うのですね。だから、局長が言われたみたいな、あるいは臨調が言っているみたいなところに限定するというのじゃなしに、大いにしっかりやる必要があるのじゃないかということなんです。どうですか。
  153. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 確かに、御指摘のように住都公団の分譲住宅、あるいは賃貸住宅もそうですけれども、いろいろな意味で先導的な役割を果たしてきたという点はあると思います。  しかしながら、やはりこの公団の分譲住宅には、長期特別分譲住宅として財政資金を入れております。こういう非常に厳しい状況のときでございますから、やはり民間で対応できるようなものについてはなるべく民間活力を活用するというのが現在の基本方針でなければならない。そういうことから考えますと、先ほど私が申し上げましたような形のものが妥当な線ではないかというふうに考えております。
  154. 中島武敏

    中島(武)委員 それだからだめなんです。だけど、余り論争していると時間もなくなってしまうから次へいきますよ。  賃貸住宅の問題について聞きたいのです。最近、賃貸住宅に対する要望が国民の中から大変強まっているというふうに言えると思うのですね。それで、公団の賃貸住宅の新規住宅の応募倍率は全国平均でどれくらいになるか、それから東京でどれくらいになるか、また、空き家賃貸住宅の応募倍率は全国平均東京では一体どれだけになるかということをお答えください。
  155. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 新規公団賃貸住宅の応募倍率でございますが、大変申しわけありませんけれども東京の分は持っておりませんが、全国で五十九年度で四・九倍でございます。それから空き家住宅応募率でございますが、全国で五十九年度におきます公団の空き家住宅への応募倍率は十三・七倍でございます。  それから、空き家につきまして東京という御質問なんですけれども、空き家募集に関しましては東京圏を一つの区域として募集を行っております。その東京圏の数字を申し上げますと二十二倍という数字になっております。
  156. 中島武敏

    中島(武)委員 お聞きのとおり、新規の住宅の場合にも空き家の場合にも応募者が非常に殺到しているということがこれでわかるのです。  それで、私は新宿にありますところの募集センターの募集企画課に問い合わせて空き家の応募倍率を聞いたのですけれども、六十年の五月は二十八・四倍だというのですね。それから八月は二十七・四倍、十一月は二十八・二倍、こうなっているのです。さらに東京都の二十三区の場合これを調べてみますと、六十年の二月、中野、杉並では千四百二十九倍です。それから世田谷一ですけれども、ここでは千三百八十九倍にもなっているのです。つまり全国的に見ても非常に要求が強いということが非常にはっきりしているのです。  住宅問題で大変な要求が渦巻いている東京の場合には今申し上げたように非常に要求が強いということになるわけでありまして、そういう点からいいますと、伺いたいのですけれども、公団による新規賃貸住宅建設は立地条件の恵まれた既存老朽賃貸住宅の建てかえだとか、あるいはその立体化によるものを主体とすべきだというふうに考えられますか。これだけ要望が強いのですからそのような程度のことじゃいかぬ、私はこう思っているのですけれども建設省どうですか。
  157. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先ほどもちょっと出ましたように最低居住水準未満の世帯というのが三百九十五万戸もございます。それに関連して、四大都市圏で四、五人向けの広さを持った賃貸住宅かどのくらい不足しているかということを賃貸住宅の在庫戸数と存在する世帯数とで比較いたしますと百四十万戸という必要性があるわけでございます。さらに最近やはり賃貸への指向というのが強まっております。そういうことで、建設省といたしましては賃貸住宅に対する施策をさらに強めていかなければならないというふうに考えておるわけです。  そこで先生からの御質問の点でございますけれども、単に今までのものを建てかえていくというだけでは、例えば六十一年度予算から、これは通りますればですが、二団地建てかえを実施しようと考えております。しかし、御存じのとおり建てかえの場合にはそこに既に人間が住んでおるということもございまして、これは非常に難しい仕事でございます。どんなに頑張っても恐らく非常に難しいと思いますけれども、五年間で一万戸程度しか供給できない。ちなみに、現在案でございますけれども今度の第五期の住宅建設五カ年計画、この中では公団の賃貸住宅は五・五万戸を考えておるわけでございまして、そういう数字からいいましても、今後賃貸住宅を新たにつくっていかなければならないというふうに建設省考えております。
  158. 中島武敏

    中島(武)委員 国民が非常に心配していることの一つに、今特殊法人等小委員会で議論されているであろうと思われておる問題なんですけれども、民営化問題ですね。その一つの形態として特殊会社にされるのじゃないかという心配が出てきているのです。建設省としては、民営化とかあるいは特殊会社化するなどということはとんでもないことだというふうに思っておられますか。
  159. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 住宅公団の役割は、公営住宅が一番下の層を対象としてやっている、その上に公団住宅あるいは公社住宅がある、さらに公庫住宅がある、それからさらに一般のいわゆるそういうもののお世話にならない民間住宅があるという政策体系をとっているわけでございます。  そこで民営化あるいは特殊法人化の問題でございますけれども住宅公団は少なくともそういう形において国の住宅政策の一環を担うものとして、例えば今度補正で措置していただきました一千七百億円というような国費を費やして政策の遂行をやっておるわけでございます。すなわちそういった財政援助でありますとか財政投融資を使える機能、さらに公共施設につきまして直接施工あるいは建てかえ施工するといったような特殊な機能を政策上持たされているものでございます。そういうものでございます。したがいまして、それが民営化、特殊法人化することによってそういうものがもしなくなれば、そしてまた現実にはそれは非常に難しいと思います。そういう機能を与えることは非常に難しいと思います。そういうことからいって、我々としては現在の状態が最適の状態であるというふうに思っておるわけでございます。
  160. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣に伺いたいのです。  今私は、住都公団が縮小民営化されるのではないかというおそれを国民が持っている。あの行革審の特殊問題等小委員会でいろいろ議論がされておりますので、それで総務庁も呼んで直接話を聞いたのですが、また建設省にもじかに聞いたのですけれども、しかし、内部でどんな議論がどういうふうにということについてはおっしゃらなかった。しかし、この問題についての建設省局長考え方というものは大体私はわかりました。  それで大臣に聞きたいのは、国民が非常に心配している、ゆめゆめ縮小民営化なんというようなことはあってはならない。さっきも言ったのですけれども報告や答申が出されてからではどうも最近の様子を見ていると遅いのです、それから議論というのじゃないのですから。だからここでひとつ報告や答申が出る前に大いに奮闘する必要があるのじゃないか。縮小民営化などではなくてきちんとやる必要があるのじゃないかというふうに思うのです。ひとつ大臣決意をお聞きしたいと思います。
  161. 江藤隆美

    江藤国務大臣 住都公団の使命というのは私はますます大きくなったと思っておるのです。五カ年計画で六百七十万戸家を建てようというものの中で三百三十万戸は公的住宅をもって充てよう、こういうことです。  それからもう一つ見ますと、昭和五十五年ごろの持ち家住宅建設がおおよそ七三%ぐらいなんです。それが六十年になりますと減ってきまして五六%ぐらいしかないのです。やはり建築費がかかるようになったということ、それから収入がそうふえない、あるいは地価が高いということから、いわゆる個人の持ち家を欲しいけれどもなかなか家が持てない。したがってだんだんそうした公的住宅、賃貸住宅というものがその割合を伸ばしてきたということが言えるだろうと私は思うのです。  きょう昼間、ちょうど東家さんが前におりますが、どうも大都市圏だけ住都公団やってけしからぬ、おれの熊本あたりでも何でやらぬとかと言っておりました。私どもの宮崎市あたりでもやれないのです。まだ全国各地を住都公団はやっておるということではありませんで、これからいわゆる民活も進まないようなそういう後進地域においては、こうした公的な機関が投資を行うということは極めて大事なことでありますから、これらのことを踏まえて、民営にするとかあるいは機能を縮小するというようなことは全く考えてない、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。したがって、公団の諸君も、それほどの厚い期待があるのですから、心を新たにして使命感に燃えてしっかり働いてもらいたい、こういうふうに私は希望しておるところです。
  162. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣決意はしかと伺いました。  次の問題に移ります。国土庁に伺いたいのです。これは国鉄用地の利用問題です。  国土庁は、汐留貨物駅及びその周辺地区の調査をやっていると思うのですけれども、何のためにどんな調査をおやりになっていらっしゃるのでしょうか。
  163. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 御承知のように、汐留の貨物駅敷は都市機能整備上非常に拠点的な位置にございます。また、相当まとまった広がりを持った貴重な空間資源でございます。その有効活用を推進するということは都市整備の上から、また特に首都圏整備の上からいっても極めて重要であると考えております。したがって、その活用については周辺地区との整合性に十分配慮して、首都東京ないしは首都圏全体の均衡ある発展に資するよう長期的かつ総合的な観点から十分検討していく必要があると考えております。  現在国土庁では、運輸省、建設省と協力して、汐留駅周辺地区総合整備計画調査という形で、学識経験者等から成る委員会を設置いたしましてその調査を実施しているところであり、今後その有効活用に当たってはこの調査結果を踏まえてすることが望ましい、そういう観点から行っている調査でございます。
  164. 中島武敏

    中島(武)委員 重ねてちょっと伺いたいのですが、汐留地区は国民の貴重な財産であります。そういう点では、後でまたちょっと述べたいと思うのですけれども、公共優先の考えでやっていらっしゃるのかどうかという点について伺いたい。
  165. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 ただいま申しましたように、汐留駅の敷地の性格から考えて、我々は当然そういった観点から広く検討する必要があるということでやっております。
  166. 中島武敏

    中島(武)委員 政府の側から開発整備構想を立てる対象として汐留貨物駅が挙がったわけであります。これはいわゆる国鉄用地活用プロジェクトであります、これは五十八年六月であります。今度の予算委員会で国鉄の「売却可能用地の試算」という文書が運輸省から発表されました。この中で初めて売却可能用地として汐留が挙げられました。これは初めて汐留の名前が挙げられたのです。  ところが、東京都臨海地域開発研究会という団体が東京地域開発協議会という名で結成されたのが昭和四十八年九月であります。名称を東京都臨海地域開発研究会と変更したのが五十四年五月であります。「汐留地域開発計画報告書」これなんですけれども、これを発表しましたのは五十七年三月であります。汐留をどうするかということは、五十七年の三月時点というのは公式には全く問題にされていない時期であります。しかも、中身を見てみると、計画の範囲は国鉄汐留駅を中心として、南は芝、芝浦地区から北は銀座、築地地区に至る面積約三百五十ヘクタールの区域であります。このうち汐留駅地区は三十二万平方メートル。  どうするかいいますと、これを業務商業地区にふさわしい街区にするのだ、主な用途と施設としては、業務地区、マーチャンダイズマート、公共ターミナル、鉄道技術博物館をつくる、こうなっているのです。それで、容積率は一〇〇〇%にする、こういうことが書いてあります。それで、全体の事業費は一兆八千二百九億円だ、うち汐留駅地区は一兆一千九百四十一億円だ、こうなっていますね。それで、五十六年五月に国鉄総裁に要望書を提出しているのです。それから、同じく五十六年五月に国土庁に要望書を提出をいたしていると書いてあります。それから、五十六年十二月に行管庁に汐留地区高度利用計画案を説明している。それからさらに、同じく五十六年十二月に国鉄首都圏本部に汐留地区高度利用計画案を説明している、こうなっているのです。それで、この報告書には「地域住民からの提言」という副題がつけられているのです。  この会には町会や商店会の会長さんも入っておりますけれども、名立たる大企業がずらりと名前を並べております。JAPICも参加しております。それで、国鉄来ていらっしゃいますか——国鉄も参加しているのです、東一工。これは私にとっては驚きです。一体いつからこの団体に国鉄は参加したのか、何しに参加したのかということについて明快な答弁を願いたいと思う。
  167. 西田博

    ○西田説明員 お答え申し上げます。  学識経験者という立場でその先生の御指摘の研究会でございますか、ぜひ一度どういう使い方をしているかあるいは将来どんな計画があるかといった点を聞かせていただきたいという御要請がございまして、それにおこたえする格好で現状等を主体に申し上げたことはございますが、ただいま現在ではそういった研究会そのものには私どもは直接参画していないのが実態でございます。正確な日はちょっと今手元にございませんが、たしか三、四年ほど前かと思っております。
  168. 中島武敏

    中島(武)委員 なぜ抜けられたのですか。
  169. 西田博

    ○西田説明員 いろいろなお考えがあろうと思いますが、私どもは当時はまだ貨物の拠点駅として位置づけておりまして、即利用等が考えられるという観点を持っていなかったためであります。
  170. 中島武敏

    中島(武)委員 私は今の答弁を聞いていて非常に不思議なものを感じるのですね。最後に言われたように、汐留駅が今日問題にされるようになるなんということは全くない時期に民間がそういういろいろな調査立案をやる、そこへ国鉄が参加して、現状はこうでございますと物を言っているというのでしょう。非常に不明朗であります。私ら国会で国鉄についていろいろなことを資料を出しなさいと要求したって、予算委員会がストップするぐらい出しやしないのですから。だけれども、こういうところにはのこのこ出かけていっていろいろ現状を提供しているのですから、全くそんなことでいいのかという気がするのですね。  それで、さらにこれを読んでみますと、用地買収費は、二百五十万円、これは一平方メートルでございます。坪に直せば八百二十五万円になります。一体こんなことも一緒にやっているのかなと、大変腹立たしい気がするわけであります。この辺は現在坪でいって二千五百万円は下らないだろうと言われている地域であります。これは八百万円で買収するんだ、こんなことが麗々しく書いてある。こういうことにも相談に乗っているのですか。
  171. 西田博

    ○西田説明員 一切そういう事実はございません。  先ほど申し上げました現状というのは、どういう荷物を扱っているとかあるいはどの程度の貨物を扱っているとかあるいは荷物を扱っているとかいうような事実関係だけでございまして、私どもがどういう計画を持っているとかあるいは将来どういう予見を持っているというようなことは一切申し上げておりませんし、今のような買収がどうこうというようなあるいは価格がどうこうというようなことは一切申し上げた事実はないと確信しております。
  172. 中島武敏

    中島(武)委員 あなたは確信しているかもしれないけれども、実際ははっきりしませんよ。ここにちゃんと、会員の名簿の中にちゃんと国鉄は登録されているのですよ。そしてこれが発表されているのです。私は、こういう不明瞭なことがやられているというのは是正されなければいけないと思うのですね。  それで、国土庁長官建設大臣とに私は伺いたいと思うのですが、私どもは国鉄の民営・分割には反対であります。しかし、売却対象としてこの汐留の名前がその可能性を持っているものとして挙げられているから私言うのですけれども、民間がこういうことをやるのは勝手だとも言えるのですけれども、しかしこういうことを勝手にやって、それでいろいろいろいろ陳情もしている、説明もしている、大体ふざけているじゃないかと私は思うのです。率直な気持ちです、これは。それで、国鉄はそれに参加している。そこへ行って何をどうやったかは別としても参加している。そんな話はとんでもないとなぜ国鉄は言わないのか。冗談じゃないと言わなければいけない。ところがそれもやらないでのこのこ参加していて、そんなことはなかったものと確信しますじゃ済まないと私は思う。  それで、これは大臣お尋ねしたいと思うのですけれども、やはり国民の非常に貴重な財産であります。だから民間に安く払い下げるなんということはとんでもないことなんですね。やはり公共優先という点を貫いてしっかりやらなければいかぬのじゃないかというふうに思うのですけれども、両大臣の見解を伺いたいと思う。
  173. 江藤隆美

    江藤国務大臣 国鉄がそれに参加したかどうか私は知る山もありませんけれども、国鉄運賃値上げ、私はずっと運輸の理事をやっておりましたから、国鉄は私はもう当選以来関係しておりますが、国鉄再建問題の中で、国会の審議の中で、それはいつどこであったかと言われるとちょっと記憶にありませんが、国鉄は随分と遊休地を持っておるではないか、これを処分してそしてもっと有効に活用すべきだという議論は国会の中でしばしばこれは議論がされたことはあると私は記憶しております。このときに、やはり新宿とか錦糸町とかあるいはまた汐留とか大阪駅のところとか、いろいろなものが具体的に国会の議論の端に上ったことはあると、私はそういうふうに記憶しております。  ですから、まあ国鉄が、来て説明してくださいと言われれば、それは研究会に行ってするのも私は別に差し支えないことじゃないか。陳情したから何もそこにやるわけでもなければ何も既得権があるわけでもありませんし、今度の国鉄用地の払い下げというのは、これはもう厳正、公正にやらなかったら国鉄の再建などというのはそこから壊れていきますよ。ですから、これは政府の責任においてこの払い下げ問題というものは厳しく監視されてしかるべきだ、私はこう思っておりますから、そういう研究会があったからといって不正な取引があるということにはならぬと思うのです。  それから、今中島さん言われましたけれども、あそこは二千五、六百万はする、恐らくするでしょうね。紀尾井町の方が二千八百万したのです。私は正直言ってあれは不愉快に思っているのです。大体国有地を二千五百万も六百万も八百万もて買って何を建てるというのですか。地方公共団体に払い下げると言いますが、一体今地方公共団体が、坪二千五百万も三千万もするやつをどうして払い下げを受けますか。そこに建てるものといったら、とてつもない家賃の高いビルか、億ションどころか二重丸億ションぐらいをつくらぬだったら有効利用できないと私は思っているのですよ。  ですから、ちょうど山崎国土庁長官がおられますが、我が国には法律に基づいて地価公示制度もあればあるいはまた地価の鑑定制度もある。ですから、そういう制度で決められたものを余りにも飛び越えて取引が行われるということは、周辺の地価のつり上げにこれは関連することであっていかがなものかな。私は正直にこれからの都市の再開発ということを考えたときに、国公有地のそうした放出についてはやはり周辺に悪影響を及ぼさないように、それからおっしゃるように疑惑をいささかも持たれることがないように、そういう方法を真剣に考えていくべきことであろう、こういうふうに思っております。
  174. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  ただいま建設大臣からもお話がございましたが、国土庁といたしましても、国公有地というもの、国鉄用地、これは国民の共有財産であるとともに社会資本整備の立ちおくれている我が国の貴重な空間資源でもあるわけでございますから、これらにつきましては基本的には良好でしかも安全な都市環境の形成に資する住宅建設都市開発に有効に活用されることが必要であると考えておりまして、今後とも国有地等有効活用推進本部等を通じまして関係省庁とともに緊密な連携を確保しながら、国公有地の総合かつ効果的な活用に努める所存でございます。
  175. 中島武敏

    中島(武)委員 建設大臣が、国会で遊休地問題が問題になった、それはそのとおりであります。かつまた、名前も挙げられた。ただしこれは昭和五十八年以降のことだということであります。それ以前に問題になっているのじゃないんです、私が言っているのは。そのことをちょっと指摘をして次の問題に移りたいと思います。  建設産業ビジョン、この問題についてであります。  二月一日に私的諮問機関、これは建設経済局長の私的諮問機関であります建設産業ビジョン研究会が、「二十一世紀への建設産業ビジョン——活力ある挑戦的な産業を目指して——」という報告書をまとめました。この報告は、建設業各界に非常に大きな反響を及ぼしております。とりわけ中小零細建設業者は、業者が多過ぎるという名のもとに切り捨てられるのではないかという不安感それから危機意識を持っております。  それで私、端的に質問をしたいのでありますが、この報告書全体を貫いているのは、建設産業の需要が低迷しているのに業者が増大をしている、それで過当競争になって安値受注、倒産の増大につながるという考えではないのか。それで業界を再編成するというところにその眼目があるというふうに書いてあるのではないかと思うのですけれども、これはそのように読んでよろしいのかどうか。
  176. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、建設業の現在の状況というのは、確かにおっしゃるとおり需要が低迷いたしておりますのに業者は依然としてふえ続けている、その結果非常な過当競争になっておりまして、いわゆる安値受注というようなことで、いわゆる利益率がどんどん下がっておりますし、したがって倒産もふえている、こういう状況であるわけで、そこで、今後将来を展望いたしましても、かつてのように建設需要がそんなにどんどん二けた台でふえるというようなことは考えられない。そういうことになった場合には、ますます建設業の経営環境というのは厳しくなる。どうしたらいいのか。今後の建設業のあり方というのはどうしたらいいのかということを検討したのがビジョン研究会でございます。  そこで、ビジョン研究会の内容を一言で申し上げることは非常に難しいわけですけれども、やはり需給が非常にアンバランスになっているということはいろいろな意味で産業に非常に弊害を与えている。ダンピングが中小企業にしわ寄せされる、あるいは労働者にしわ寄せされるというふうなことで産業全体の体質を非常に弱くしている。いわゆる内部蓄積もできない。したがって、発展のための力も生まれてこない。こういう状況を何とか回復しなければならぬ。そういう需給均衡の回復という問題が一つのテーマでございます。  それから、労働生産性が他産業に比べて非常に停滞している。最近におきましては、資本ストックとか従業員数なんかで言いますと、むしろ低下ぎみというような状況にありますから、労働生産性をいかにして引き上げていくか、これが第二番目の大きな問題。  それから第三番目には、建設業の場合に、産業組織といいますか、非常に前近代的な要素がある、これは元請、下請関係。この点について、やはり経済合理的な関係に持っていかないと、いわゆる下請企業などがなかなか経営体質の強化を図れない。ほとんどの労働力はそういうところで抱えておりますから、将来に向かって産業全体として非常に問題が多い。したがって、元請、下請関係の合理化等を進める必要があるというふうなことが、大ざっぱに申し上げますとビジョン研究会の報告の骨子ではなかろうかというふうに考えております。
  177. 中島武敏

    中島(武)委員 国鉄の方、おられましたらどうぞ、結構ですから。  やはり中小零細の建設業者の人が心配するのは無理ないと私は思うのですね。それで、どこにいろいろ問題があるか、これは非常に大事な問題だと思うんですね。それで、かねてから建設業界には大手、中堅、それから中小零細という社会的役割分担ですね、そういう秩序がずっと形成されておった。ところが、全体として建設業の需要が低迷するという中で大手が中小の分野に入り込んでくる。それからまた、異業種が建設業に入り込んでくるというようなことになって、弱肉強食型の競争が横行するようになった。正常な競争が阻害されるというふうになってきた。ここに一番大きな問題があるんじゃないか。この点をはっきり指摘しないで、何か業者の数が多いというような一般論を展開されると、やはり中小零細業者の方々は非常に心配すると思うんですね。私はこういう点が非常に大事な点だと思うのです。局長、この点どうですか。
  178. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 確かに最近の傾向といたしまして、全体のマーケットが伸びないというふうなことから、大手業者がかなり小さな工事にまで参入しているということはよく我々も聞くわけでございます。このビジョン研究会におきましても、大手企業あるいは中堅ゼネコン、中小ゼネコン、専門工事業、それぞれがどんな方向を目指して経営努力をしていったらいいかというようなことも書いてございますが、特に大手ゼネコンにつきましては、技術革新等の方向に沿った新しい建設事業の創造といいますか、そういったふうなことが、いろいろ経営改善の方向としては大変書かれております。  私どももやはりそういったところ、新しい建設マーケットの拡大に向かって努力をしていく、あるいは海外建設に努力するとか、そういうふうな方向が大手の一番進むべき方向じゃなかろうか。中小につきましては、今後リホームといいますかメンテナンス関係の建設需要などが大変伸びてくると思いますが、やはりそういうものを的確に自分のマーケットにしていくというふうな努力、あるいは中小建設業といえども、そう大きな建物でないような、例えば商店街なんかの建てかえとか、そういうようなものについても需要を開拓しながら経営努力をしていくというようなことが必要ではないかというふうに思っておるわけでございますが、そういう点にももちろんビジョン研究会は触れておりまして、今後、業界の中でもそういったことをいろいろ議論していただいて、それぞれの進むべき方向を模索していくというふうなことになるんじゃないかというふうに思うわけでございます。
  179. 中島武敏

    中島(武)委員 具体的な問題でお尋ねしたいのです。「不適格業者」というのが出てきますが、この「不適格業者」というのは、例えば暴力団とかあるいはペーパーカンパニーというものを指すのであって、小、零細を指しているんじゃないというふうに理解をしていいですか。
  180. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 これは特に許可審査の厳正化というふうなところに関連して、不適格業者の排除をしなきゃならぬ、そのために建設業の許可に当たって審査を厳正化しろというようなことが言われているわけですが、そういうところで言われている「不適格業者」というのは先生が今おっしゃったようなことでございます。
  181. 中島武敏

    中島(武)委員 最近、暴力団やあるいはにせ同和団体、これが公共事業と大変癒着をしまして、東京都なんかでも非常に問題になっておるのですね。そういうケースもあるのです。こういう不適格業者こそやはり排除されるべきじゃないかというふうに思うのですけれども、どうですか。
  182. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 まさにそのとおりでございます。そういう先生が御指摘のような事態が広域的に相当あるというふうなことを私ども業界の方方からいろいろ指摘を受けているわけでございます。  そのために今私どもが努力をしたいと思っておりますのは、先ほど申し上げましたように許可審査を厳正化して、技術者が実際にはいないのにいるようにして申請をするとか、そういう事態を防止しようということ、それから建設業の本当の施工能力といいますか技術力といいますか、そういうものをもっと客観的に把握できるような経営事項審査といいますか、企業評価の制度を充実改善していきたい、そういうことによって今おっしゃったようなものを排除するように努力したいというふうに思っておるわけでございます。
  183. 中島武敏

    中島(武)委員 報告書では許可基準の適正化について述べてありまして、「特定建設業者の下請管理能力を確保するという観点から許可要件化も含め何らかの制度の検討が望まれる。」こういうふうに言っているのですけれども建設省としては許可基準の見直しを、法改正も含めて検討するおつもりであるのか、またその場合に、特定だけでなく一般も含めて検討するつもりであるのか、この辺について伺います。
  184. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 ビジョン研究会報告の結論的な部分のところに、当面早急にやらなきゃならないこととしまして、やはり許可制度の見直しの問題それから経営事項審査の改善の問題等々が掲げられております。  先生が今おっしゃいました許可基準の問題でございますけれども、これから中央建設業審議会に諮問をいたしまして、具体的な処方せんを答申してもらおうというふうに考えておりますが、私どもといたしましては、特に最近の傾向といたしましてゼネコンが請け負って下請に出す比率が非常に高くなってきておりますし、それからまた、いわゆる一括下請が多いといいますか丸投げというか、そういうようなことも相当あるというふうな指摘を受けておりますから、やはり元請業者、特に多額の下請工事を発注するといいますか、そういう元請業者につきましてはかなりしっかりした業者になってもらわなきゃならぬというふうなことで、特にその点に力点がビジョン研究会の報告の中でも置かれているというふうに我々理解しておりますけれども、最終的な結論は中建審の答申を待って私どもとしては態度を決めたいというふうに思います。
  185. 中島武敏

    中島(武)委員 まだいろいろ伺いたいのです。伺いたいのですけれども、時間も間もなく来るんじゃないかと思いますので。  私がきょうここでいろいろお尋ねしておりますのは、今度の報告が中小を切り捨てるものになるのじゃないかという心配が中小業者の中に非常に広がっているからなんです。中小企業の存在価値というのは、私から申し上げるまでもないのですけれども、大企業ではできない地域に非常に密着をしているとか、地域経済に下請あるいは材料の仕入れなどを通じても寄与しているとか、あるいは雇用も地元でやるとか、非常に地域経済に貢献するところが大きいわけであります。それで、中小企業基本法それからまた官公需法などに書かれている精神というのは、結局、中小企業の保護育成の観点あるいは中小企業を発展させるという観点が貫かれていると思うのです。私は、この種の問題を扱うときにこの点をきちっと踏まえて、そうしてこの問題を扱わなければいかぬのじゃないか、中建審に諮問する場合にもそういう立場でやる必要があるのじゃないだろうかと思うのですね。  これはある新聞によりますと、建設大臣が一月三十一日の閣議後の記者会見で、ビジョン報告について、業者が多過ぎる、だからいろいろな問題も出てくる、すぐれた業者がそれなりに成長することができるような施策が重要であり、今後中建審に諮問し具体的な施策を講じていきたいと述べたと書いてあるのです、本当かうそかわかりませんけれども。これはとりようによりますと、何か中小企業切り捨てというふうにとれないわけでもないのですよ。私は、そんなことは絶対にしないんだ、やはり中小企業基本法というところに述べられているような精神に立ってこの問題の処理を行っていくんだというのでなければならないと思うのです。  最後に、大臣のこの問題についての見解を伺いたいと思うのです。
  186. 江藤隆美

    江藤国務大臣 政治は強いもののために汗を流してはいかぬと私は思っておるのです。政治は弱いもののためにこそ汗を流して苦しまなければならぬと思っておりますから、小さなものを切り捨てていこうという考え方は全くありません。  しかし、零細なるがゆえに甘えの構造の上に立って、努力もせずに生き長らえていこうという考え方を持つとするならば、それは誤りであると私は思います。少なくとも、民需だけで生きていくのなら別ですが、国民の税金にかかわる公共事業に参加しようという心がけを持つものとするならば、やはりそれなりの企業努力といいますか、それなりの自覚を持って、そして仕事をやっていく必要があると私は思うのです。そういうやる気があって、そしてまた人に見えないところで技術を磨いて一生懸命苦労しておる。私は、大きいのが優秀だとは言ってないのです。今は田舎の業者の中でも、高校、大学を出て、そしておやじの跡取りをしたというような優秀な連中が中小零細企業の中に後継者として随分と入り込んでおります。もう昔と違うのですね。  ですから、そういう努力をし、あるいは意欲のある人たちにそれなりに生きていける分野というものをきちんと与えてやるのがやはり我々の仕事だろうと思います。ですから、これから中央建設業審議会においてそれらのことを含めまして十分議論をしていただこうと考えておるところでございます。
  187. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  188. 瓦力

    瓦委員長 以上で中島武敏君の質疑は終わりました。  次回は、来る二十六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会