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1986-05-16 第104回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年五月十六日(金曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 角屋堅次郎君    理事 糸山英太郎君 理事 上草 義輝君    理事 林  大幹君 理事 新村 勝雄君    理事 渡部 行雄君 理事 貝沼 次郎君    理事 玉置 一弥君       小坂徳三郎君    小山 長規君       古屋  亨君    渋沢 利久君       玉城 栄一君    小渕 正義君       中川利三郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 加藤 紘一君  出席政府委員         防衛庁参事官  瀬木 博基君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  千秋  健君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       宍倉 宗夫君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      大高 時男君         防衛庁人事局長 友藤 一隆君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛庁装備局長 山田 勝久君         防衛施設庁長官 佐々 淳行君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      宇都 信義君         防衛施設庁建設         部長      大原 舜世君         防衛施設庁労務         部長      岩見 秀男君         科学技術庁計画         局長      長柄喜一郎君  委員外出席者         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         大蔵省主計局主         計監査官    奥平 敏幸君         会計検査院長  大久保 孟君         会計検査院事務         総局次長    磯田  晋君         会計検査院事務         総局第二局長  天野 基巳君         参  考  人         (財団法人国際         科学技術博覧         会協会事務総         長)      伊原 義徳君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ————————————— 委員の異動 五月十六日  辞任        補欠選任   斉藤  節君    玉城 栄一君   塚本 三郎君    小渕 正義君 同日  辞任        補欠選任   玉城 栄一君    斉藤  節君   小渕 正義君    塚本 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十八年度政府関係機関決算書  昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十九年度政府関係機関決算書  昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管防衛庁)〕      ————◇—————
  2. 角屋堅次郎

    角屋委員長 これより会議を開きます。  昭和五十八年度決算外二件及び昭和五十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管防衛庁について審査を行います。  この際、防衛庁長官概要説明及び会計検査院当局検査概要説明を求めるのでありますが、便宜これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。    昭和五十八年度防衛庁関係歳出決算に関する概要説明  昭和五十八年度における防衛庁関係歳出決算につきましてその概要を御説明いたします。  まず(組織防衛本庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は二兆四千五百五十四億三千百万円余でありまして、これに政府職員昭和五十八年四月以降の給与を改善するための予算補正追加額百三十二億三千五百万円余、高空における放射能塵調査研究等のため、科学技術庁から移替えを受けた額一千八百万円余、震災対策総合訓練調査のため、国土庁から移替えを受けた額七百万円余、科学的財務管理調査のため、大蔵省所管大蔵本省から移替えを受けた額二百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移替えを受けた額十八億八千九百万円余、前年度からの繰越額五十一億五千九百万円余、職員基本給に不足を生じたため、警察庁等から二十五億四千六百万円余の移用増加額を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額五十六億四千三百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二兆四千七百二十六億四千七百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済歳出額は二兆四千六百八十二億一千八百万円余、翌年度へ繰り越した額は二十二億七千三百万円余でありまして、差し引き不用額は二十一億五千五百万円余であります。  昭和五十八年度予算執行に当たっては、「防衛計画大綱」に従って計上された予算を効率的に使用して計画を着実に実施し、実質的な防衛力整備を進めることを主眼といたしました。  以下陸・海・空各自衛隊別にその主な内容を申し上げます。  一 陸上自衛隊につきましては、七四式戦車七十二両、七三式装甲車九両を取得し、新たに昭和五十九年度以降取得予定の七四式戦車六十両、七三式装甲車力雨購入契約をいたしました。  また、航空機は、連絡偵察機一機、観測ヘリコプター六機、多用途ヘリコプター六機合わせて十三機を取得し、新たに昭和五十九年度以降取得予定連絡偵察機一機、観測ヘリコプター三機、多用途ヘリコプター七機、対戦車ヘリコプター五機合わせて十六機の購入契約をいたしました。  二 海上自衛隊につきましては、昭和五十四年度 計画護衛艦三隻、昭和五十五年度計画護衛艦一隻、潜水艦一隻、昭和五十六年度計画中型掃海艇二隻、昭和五十七年度計画支援船一隻、昭和五十八年度計画調達に係る支援船一隻合わせて九隻を取得し、新たに昭和五十九年度以降に竣工予定護衛艦二隻、潜水艦一隻、中型掃海艇二隻、海洋観測艇一隻、支援船一隻合わせて七隻の建造契約をいたしました。  また、航空機は、対潜哨戒機五機、練習機二機、計器飛行練習機三機、対潜ヘリコプター六機、救難ヘリコプター一機、初級操縦練習ヘリコプター二機合わせて十九機を取得し、新たに昭和五十九年度以降取得予定の対潜哨戒機七機、救難飛行艇一機、計器飛行練習機二機、対潜ヘリコプター五機、初級操縦練習ヘリコプター一機、新対潜ヘリコプター(艦載型)用機体一機合わせて十七機の購入契約をいたしました。  三 航空自衛隊につきましては、要撃戦闘機十七機、支援戦闘機三機、輸送機二機、早期警戒機二機、高等練習機四機、救難ヘリコプター一機合わせて二十九機を取得し、新たに昭和五十九年度以降取得予定要撃戦闘機十三機、支援戦闘機三機、救難ヘリコプター一機合わせて十七機の購入契約をいたしました。  昭和五十八年度防衛本庁職員定員は、自衛官二十七万二千百六十二人、自衛官以外の職員二万三千七百二十五人、計二十九万五千八百八十七人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、自衛官については一千九百七十八人の増員であり、自衛官以外の職員について百六十三人の減員となっております。  また、予備自衛官員数は、四万三千六百人でありまして、これを前年度員数に比べますと二千人の増員となっております。  次に翌年度への繰越額二十二億七千三百万円余は、計画又は設計に関する諸条件等のため、工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額二十一億五千五百万円余は、外国為替相場の変動があったこと等により航空機修理費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  続いて(組織防衛施設庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は二千九百八十六億七千八百万円余でありまして、これに政府職員等昭和五十八年四月以降の給与を改善するための予算補正追加額二億一千八百万円余、前年度からの繰越額二百二十五億二百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額十億五百万円余・防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移替えをした額、農林水産省所管農林水産本省へ七億七千九百万円余、建設省所管建設本省へ十七億三千八百万円余、(組織防衛本庁への移用額三億三千九百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三千百七十五億三千七百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済歳出額は二千九百三十三億一千三百万円余、翌年度へ繰り越した額は二百三十億五千六百万円余でありまして、差し引き不用額は十一億六千六百万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、調達労務管理費につきましては、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍従業員労務管理離職者対策福祉対策等に要した経費百九十一億二百万円余、施設運営等関連諸費につきましては「防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定」に基づく提供施設維持運営等に関連し必要な土地購入及び借上げ施設整備各種補償障害及び騒音防止措置飛行場周辺移転措置民生安定施設助成措置等に要した経費二千四百七十四億四千六百万円余、提供施設移設整備費につきましては「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定」による日米間の合意に基づき、現在提供中の施設及び区域返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するのに要した経費六十億三千百万円余等であります。  昭和五十八年度防衛施設庁職員定員は、三千四百五十八人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、十四人の減員となっております。  次に、翌年度への繰越額二百三十億五千六百万円余は、計画又は設計に関する諸条件用地関係アメリカ合衆国軍隊等事情等のため工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額十一億六千六百万円余は、返還財産補償等が少なかったので施設運営等関連補償費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  以上をもって、昭和五十八年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終ります。  なにとぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和五十八年度決算防衛庁についての検査概要に関する主管局長説明                会計検査院  昭和五十八年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、戦車道舗装工事設計に関するものであります。  防衛施設庁札幌横浜防衛施設局におきましては、五十八年度において、戦車等が走行する演習場内等の道路、いわゆる戦車道舗装工事六件を、地元地方公共団体に委託し又は補助金を交付して、いずれもセメントコンクリート舗装により施行させておりました。  しかしながら、仙台防衛施設局におきましては、戦車による走行試験の結果を踏まえて、五十一年度以降、管内の戦車道舗装工事セメントコンクリートより単価の安い高安定度特殊アスファルトコンクリート、いわゆる耐キヤタアスコンを採用しており、この戦車道は、四年ないし八年を経過した現在でも、わだち振れ、はく離等の損傷は発生していない状況であります。  これらの点を考えますと、札幌横浜防衛施設局におきましても、セメントコンクリート舗装でなく経済的な耐キヤタアスコン舗装を採用することが適切であったと認められました。  そこで、防衛施設庁見解をただしましたところ、同庁では、五十九年十一月に戦車道舗装について耐キヤタアスコンを採用するよう各防衛施設局に通達を発し、同年十二月以降の契約分から適用することとする処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     —————————————    昭和五十九年度防衛庁関係歳出決算に関する概要説明  昭和五十九年度における防衛庁関係歳出決算につきましてその概要を御説明いたします。  まず(組織防衛本庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は二兆六千二百三十八億七千三百万円余でありまして、これに政府職員昭和五十九年四月以降の給与を改善するため等の予算補正追加額三百五十一億三千三百万円余、高空における放射能塵調査研究等のため、科学技術庁から移替えを受けた額一千七百万円余、震災対策総合訓練調査のため、国土庁から移替えを受けた額八百万円余、科学的財務管理調査のため、大蔵省所管大蔵本省から移替えを受けた額二百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移替えを受けた額十八億四千七百万円余、前年度からの繰越額二十二億七千三百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額七十五億九千七百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二兆六千五百五十五億五千七百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済歳出額は二兆六千四百八十一億八千五百万円余、翌年度へ繰り越した額は四十二億二千八百万円余でありまして、差し引き不用額は三十一億四千三百万円余であります。  昭和五十九年度予算執行に。当たっては、「防衛計画大綱」に従って計上された予算を効率的に使用して計画を着実に実施し、実質的な防衛力整備を進めることを主眼といたしました。  以下陸・海・空各自衛隊別にその主な内容を申し上げます。  一 陸上自衛隊につきましては、七四式戦車七十二両、七三式装甲車九両を取得し、新たに昭和六十年度以降取得予定の七四式戦車六十両、七三式装甲車十五両の購入契約をいたしました。  また、航空機は、対戦車ヘリコプター六機、観測ヘリコプター三機、多用途ヘリコプター七機、連絡偵察機一機合わせて十七機を取得し、新たに昭和六十年度以降取得予定の対戦車ヘリコプター五機、観測ヘリコプター九機、多用途ヘリコプター四機、輸送ヘリコプター二機合わせて二十機の購入契約をいたしました。  二 海上自衛隊につきましては、昭和五十五年度計画護衛艦二隻、昭和五十六年度計画潜水艦一隻、潜水艦救難母艦一隻、昭和五十七年度計画中型掃海艇二隻、深海救難艇一隻、昭和五十八年度計画支援船一隻合わせて八隻を取得し、新たに昭和六十年度以降に竣工予定護衛艦三隻、潜水艦一隻、中型掃海艇二隻、補給艦一隻、支援船一隻合わせて八隻の建造契約をいたしました。  また、航空機は、対潜哨戒機五機、計器飛行練習機二機、対潜ヘリコプター八機、救難ヘリコプター四機、初級操縦練習ヘリコプター一機合わせて二十機を取得し、新たに昭和六十年度以降取得予定の対潜哨戒機八機、救難飛行船一機、訓練支援機一機、計器飛行練習機一機、対港ヘリコプター七機、救難ヘリコプター一機、初級操縦練習ヘリコプター二機、新対潜ヘリコプター用機体一機合わせて二十二機の購入契約をいたしました。  三 航空自衛隊につきましては、要撃戦闘機十七機、支援戦闘機一機、輸送機二機、早期警戒機二機、高等練習機八機、救難ヘリコプター一機合わせて三十一機を取得し、新たに昭和六十年度以降取得予定要撃戦闘機十七機、支援戦闘機三機、輸送機二機、輸送ヘリコプター一機、救難ヘリコプター三機合わせて二十六機の購入契約をいたしました。  昭和五十九年度防衛本庁職員定員は、自衛官二十七万二千百六十二人、自衛官以外の職員二万三千五百五十八人でありまして、これを前年度定員に比べますと、自衛官については同数であり、自衛官以外の職員について百六十七人の減員となっております。  また、予備自衛官員数は、前年度同数の四万三千六百人であります。  次に翌年度への繰越額四十二億二千八百万円余は、計画又は設計に関する諸条件等のため、工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額三十一億四千三百万円余は、職員に欠員があったので、職員基本給を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  続いて(組織防衛施設庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は三千百六億四千七百万円余でありまして、これに政府職員昭和五十九年四月以降の給与を改善するための予算補正追加額一億七千万円余、前年度からの繰越額二百三十億五千六百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額八億三千六百万円余、防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移替えをした額、農林水産省所管農林水産本省へ六億三千九百万円余、建設省所管建設本省へ十七億五千八百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三千三百六億四千万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済歳出額は三千二十億八千五百万円余、翌年度へ繰り越した額は二百六十七億六千八百万円余でありまして、差し引き不用額は十七億八千五百万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、調達労務管理費につきましては、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍従業員労務管理離職者対策福祉対策等に要した経費百九十七億七千三百万円余、施設運営等関連諸費につきましては「防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定」等に基づく提供施設維持運営等に関連し必要な土地購入及び借上げ施設整備各種補償障害及び騒音防止措置飛行場等周辺移転措置民生安定施設助成措置等に要した経費二千四百九十七億二百万円余、提供施設移設整備費につきましては「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定」による日米間の合意に基づき、現在提供中の施設及び区域返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するのに要した経費百七億二千二百万円余等であります。  昭和五十九年度防衛施設庁職員定員は、三千四百四十五人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、十三人の減員となっております。  次に、翌年度への繰越額二百六十七億六千八百万円余は、計画又は設計に関する諸条件用地関係アメリカ合衆国軍隊等事情等のため工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額十七億八千五百万円余は、返還財産補償等が少なかったので施設運営等関連補償費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  以上をもって、昭和五十九年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終ります。  なにとぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和五十九年度決算防衛庁についての検査概要に関する主管局長説明                会計検査院  昭和五十九年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     —————————————
  4. 角屋堅次郎

    角屋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
  5. 新村勝雄

    新村(勝)委員 最初に、会計検査院院長がお見えになっておりますので、院長にお伺いをいたします。  それは、今問題になっております対比円借款の問題につきまして、多くの疑惑を呼んでおるわけであります。この問題について、私ども決算委員の有志が四人ほどでフィリピンに参りまして、現地調査、あるいは要人との会見をしてこの問題についての調査をしたわけでありますが、その中で特に決算の立場から、フィリピン会計検査院長であるギンゴーナ氏に会いまして、この問題についていろいろ意見の交換をしたわけでございます。そして、この対外援助を今後日比両国の友好を促進する、増進するという方向で健全に進めるためには、やはり現在の疑惑を解く必要があるのではないか、こういう点では意見一致を見ました。そこで、現在の疑惑を解明する、同時にまた、将来こういう問題を引き起こさないためには、両国政府努力はもちろん必要でありますけれども、特に両国会計検査院当局の御努力が必要ではないかということでございます。  申し上げるまでもなく、日本会計検査院は行政の各般にわたって大変能率的に、しかも熱心に検査をなさっておりますけれども、対外援助については、海外経済協力基金が主として金の取り扱いをしておるようでありますが、そこを離れると実質的な調査はいろいろと難しい点があるということであります。それからまた、検査院当局におきましても、従来努力をされ、十分な関心をお持ちのようでありますけれども、実際に対外援助成果あるいはその実績について検査をされることにはいろいろ障害があるというふうに聞いております。従来もやってはいらっしゃるようでありますけれども、いろいろな障害があるというようなことであります。  そこで、向こう院長とも話し合いをした中で、これからこの問題については両国検査院長あるいは検査院協力をして、しかるべき新しい方式を見出す必要があるのではないか。現在の解明についてもそうでありますけれども、将来について制度的なあるいは両国の取り決めによる適当な方法を考えるべきである、そういうことについて我々と原則的な意見一致を見たわけでございます。もちろん我々は政府代表でもないし、正式な機関代表ではありませんけれども、日本国会議員として正式に向こう院長お話をした中でそういう話が出てきたわけでありますから、そういうことについての可能性は十分あると思いますし、またそういう努力をしなければいけないと思うわけでございます。この点について特に院長の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  6. 大久保孟

    大久保会計検査院長 お答え申し上げます。  ただいま先生お話で、フィリピン会計検査院が我が国の検査院と援助問題に関して協力する意向があるということでございますが、両国間で共同して実効のある調査ということになりますと、事柄の性質にもよりますが、両国間の合意を要するものと考えられると思います。  しかしながら、御承知のとおり海外援助は国民の税金、預金等貴重な財源によっているものでありまして、適切有効に利用されるべきであり、検査院といたしましても検査の万全を期してまいらなければならないと考えております。したがって、検査体制整備でありますとか、検査方針や技法の再検討中でございますが、現在の検査資料の見直しをしている等、体制整備等に万全の努力を重ねている次第でございます。  なお、ただいま先生から御指摘ありましたフィリピン訪問の御成果につきましても、外務省海外経済協力基金に対する検査の徹底を図る段階で真剣に検討させていただきたいと存じております。
  7. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、この件について必要があればフィリピン検査院長とも意見を交換されるあるいは協議されるというお考えでございますか。
  8. 大久保孟

    大久保会計検査院長 お答えいたします。  現在の段階では、具体的な基金、外務省、そういった検査の徹底を図る段階でございまして、その段階において真剣に検討させていただきたいと考えております。その対応を検討させていただきたいと考えております。
  9. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、その検討の中で、相手さんがそういう意向でありその必要があるという場合には、協議することもあり得るということですか。
  10. 大久保孟

    大久保会計検査院長 私も直接、先方の院長はどういうお考えか、どういう構想でそういうことをおっしゃったかわかりませんが、我々はまず第一段階として、今検査資料の点検その他具体的に基金において調べておりますので、その検査の徹底を図る段階におきましてこの問題の対応を真剣に検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  11. 新村勝雄

    新村(勝)委員 ですから、将来においてフィリピン検査院とも実効が上がるような方法を検討するということはお考えいただけますか。
  12. 大久保孟

    大久保会計検査院長 今の先生お話、ちょっと聞き取りにくかったのでございますが、どういう……。
  13. 新村勝雄

    新村(勝)委員 フィリピン検査院日本検査院が実効ある検査の方法等について、もちろんそれは相手は主権国家ですからいろいろ難しい問題があると思いますけれども、実効ある方法について協議をするあるいは検討を相互にされるというお考えがあるかどうかです。
  14. 大久保孟

    大久保会計検査院長 先ほど申し上げましたとおり、両国検査院が実効ある共同の調査ということになりますと、国家間の合意というものが前提になるものですから、そういう点を踏まえまして、現在、検査の徹底を図る段階でその対応を検討したい、こういうように考えておる次第でございます。
  15. 新村勝雄

    新村(勝)委員 実効ある方法を検討するということですか。要するに、今までいろいろ主権の問題等について障害があってできないということを我々は聞いておるわけですよ。ですから、そういうことを踏まえながら実効ある方法について検討する、また、必要があれば両国の協議もあり得るというふうに理解してよろしいですか。
  16. 大久保孟

    大久保会計検査院長 たびたび申し上げて恐縮でございますが、実効ある調査ということになりますと、その前提として両国間の合意というものがなければならないと考えておる次第でございます。
  17. 新村勝雄

    新村(勝)委員 ですから、両国合意のもとにそういう方法を追求していただきたいと思うのですよ。そういうお考えがあるかどうか。
  18. 大久保孟

    大久保会計検査院長 もちろん、国家間の合意がありまして、その上に立ってやるということは、我々は体制のもとでやる所存でございます。
  19. 新村勝雄

    新村(勝)委員 もちろん、これは強制的にやるわけにはいきませんから、両国合意のもとに実効ある方法をぜひ検討していただきたい、こういうことでございます。
  20. 大久保孟

    大久保会計検査院長 仮定のことでございますが、もし両国間の合意が前提となりまして、個々の具体的案件にっきまして合意が成立するという段階でありましたならば、我々検査院としては、当然その体制のもとで検査を実施するということになるものと存じております。
  21. 新村勝雄

    新村(勝)委員 ぜひ前向きにそういう方向で、もちろん両国合意のもとでありますけれども、実効ある方法について御検討をいただきたいと思います。  以上、強く御期待を申し上げまして、院長に対する質問を終わります。退席をされて結構でございます。どうぞひとつよろしくその点について御検討をいただきたい。
  22. 大久保孟

    大久保会計検査院長 先ほど申しましたとおり、先生方の御成果につきましては、現在実施しております基金の検査の徹底を図るという段階において真剣にその対応を検討させていただきたい、こういうふうに存じておる所存でございます。
  23. 新村勝雄

    新村(勝)委員 わかりました。そういう方向でぜひ実効のある方法を検討していただきたいと思います。退席をされて結構でございます。  次に、これは防衛庁の問題になりますけれども、いわゆる戦車道戦車が通る道の舗装の問題について、その設計基準を再検討すべきだという検査院の指摘があります。  そこで、いわゆる戦車道というのは総延長はどのくらいあるのか。その延長の中で、演習場内の戦車道、あるいは演習場外の駐屯地と演習場を結ぶ戦車道があると思いますけれども、その種別ごとに総延長はどのくらいあるのですか。
  24. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  私ども、戦車道舗装事業を計画しておりますが、施設内の距離数は約七キロメートル、それから施設外につきましては約三十キロメートルごさいます。
  25. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そこで、従来の戦車道設計の基準はどうなっておるのですか。
  26. 宇都信義

    ○宇都政府委員 戦車道舗装工事につきましては、従来セメントコンクリート舗装によることとしておりまして、セメントコンクリート舗装要綱により設計を行っておりました。当該基準は一般車両の設計の基準でございますので、コンクリートの厚さにつきましては、戦車の荷重によって算出しております。
  27. 新村勝雄

    新村(勝)委員 ところが、検査院の指摘によりますと、この設計では、これだけの強度は必要としない、もっと安いというか経費を節約した工法で十分耐えられる、いわゆる耐キャタアスコンという資材によって十分その目的を達成することができるということで、その分だけ経費のむだ遣いといっては不適当かもしれませんけれども、余計に金をかけている、こういう指摘があったわけですね。  そこらの点について、防衛庁では、一定の目的を達することができればなるべく安い方がいいはずなんですけれども、これは戦車道あるいは飛行場の滑走路の舗装、同じだと思いますが、そういう点でどういう方針であるのか、伺います。
  28. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  戦車道舗装につきましては、先ほど申し上げましたように、従来セメントコンクリートによって実施しておったところでございますが、近年、舗装材料の開発あるいは舗装技術の進歩等がございまして、ブルドーザー等のキャタピラ車が通行する工場の中の舗装などに安定度の高い特殊アスファルトコンクリート、通常耐キャタアスコンと称しておりますが、その耐キャタアスコン舗装も見受けられるようになりましたので、昭和五十一年度に、六一型戦車が走行しております宮城県の王城寺原演習場におきまして、テストケースとしまして耐キャタアスコン舗装を実施しておりました。その後、その状況が良好であったものですから、王城寺原演習場におきましては、昭和五十八年度においてもその舗装方式を採用しておったところでございます。  しかし、アスファルト舗装の耐用年数は約十年ということでございますので、北海道や富士演習場のように、六一戦車と型の違います七四式戦車が通行する演習場では、舗装の方式を、従来から実績のありましたセメントコンクリート舗装によって実施しておったところでございます。  その富士演習場地区において実施しておったことにつきまして、検査院から、テスト中ではあるが、もうかなり長期間の実績ができたので、耐キャタアスコンによって舗装してもいいのではないかというような御意見がございまして、私どもは、テスト中ということでございましたが、検査院の御指摘をも踏まえまして、昭和五十九年の十二月以降実施する事案につきましては、現場の条件あるいは交通状況、それから経済面等いろいろ検討しまして、耐キャタアスコンが採用できるものについては採用するようにということで、昭和五十九年の十一月十三日に各局に指示の通達を発出しております。
  29. 新村勝雄

    新村(勝)委員 七四戦車は六一戦車に比べると接地圧が低いんですよね。総重量は重いかもしれませんが、単位面積当たりの接地圧は少ないというようなことが言われておりますから、十分耐キャタアスコンでもつのではないかと思います。  そうしますと、今後は、何かほかに事情がない場合、原則として耐キャタアスコンでやるという今のお話のようでありますが、耐キャタアスコンの場合には経費が四〇%も安く済む、そして十年ぐらいはもつ、セメントコンクリートは二十年ということでありますが、十年経過の時点で補修をしても、なおかつセメントコンクリート舗装よりははるかに安い、こういう試算があるわけです。そういうことで、もう一回今後の方針について伺いたいと思います。
  30. 宇都信義

    ○宇都政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、耐キャタアスコンと従来とっておりますセメントコンクリート舗装との施工の条件、その地理的条件、気象的条件あるいは経済的条件等をすべて比較検討しまして、耐キャンアスコンで施工が可能であるというような事案については、そういう方向で実施するということで各局に指示して処理してまいっているところでございます。
  31. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、同じような工事で飛行場の滑走路等についてはどうですか。
  32. 大原舜世

    ○大原政府委員 お答えいたします。  自衛隊が設置いたします飛行場は、自衛隊法第百七条の規定によりまして運輸大臣と協議して定められた飛行場及び航空保安施設の設置及び管理の基準に関する訓令及びこれに基づき防衛施設庁が制定いたしました飛行場基本施設等の設計要領を基準として設計を行っているものでございます。訓令では、航空法施行規則と同様に、着陸帯の長さ、幅など飛行場施設の基本的な事項を定め、設計要領では、滑走路、誘導路などの持たなければならない強度とか性能などの細部の設計を定めているものでございます。
  33. 新村勝雄

    新村(勝)委員 設計はそうだとしても、同じ機能というか同じ強度で、さらに経費を節約する方法はないかということです。
  34. 大原舜世

    ○大原政府委員 ただいまの御覧間は、耐キャタアスコンが飛行場に使用されるのではないかという御趣旨かと解するわけでございますが、高安定度特殊アスファルトコンクリート、いわゆる耐キャタアスコンは、装軌車などの走行に耐えられる道路用舗装材として開発されたものであると承知をしております。一方、飛行場舗装設計に当たりましては、特に飛行の安全に留意しなければならないことから、飛行場舗装としての確実性をも勘案いたしまして最適な工法を選定しているものでございます。今後とも新技術の動向には細心の注意を払ってまいる所存でございます。
  35. 新村勝雄

    新村(勝)委員 次に移りまして、防衛庁長官にお伺いしますけれども、今防衛庁では次期戦闘機の選考について検討されていると思います。これに関連をして、かつて防衛庁の採用された軍用機について残念な事態がございました。いわゆるP3Cの導入に関して忌まわしい事件が起こっておるわけであります。たまたまきょうそれと密接な関係のある全日空ルートの控訴審の判決がございました。先日別の判決もございまして、きょうの判決は橋本登美三郎氏についての控訴審でありますけれども、この控訴審は控訴を棄却するという判決がなされております。この判決について長官はどういう感想をお持ちですか。
  36. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 司法が下されました判断につきまして、行政の庁の人間として特に具体的なケースについてコメントするのは避けさせていただきたいと思います。
  37. 新村勝雄

    新村(勝)委員 いや、裁判を批判するとか裁判の結果についてのコメントではなくて、この全日空ルートというのはP3Cの問題と表裏一体のものなんですよ。P3Cについては、中心人物である児玉氏が死亡したということで、絶対消えたわけではありませんけれども、表面からは全日空ルートとは違った扱いになっておりますけれども、全日空ルート、いわゆるロッキード事件とP3Cの疑惑、これは一体のものであるし、むしろP3Cの方が事件からすると重いと我々は思うのです。というのは、P3Cは国が採用する問題についての疑惑ですから、それとの関連において全日空ルートの裁判が行われ、司法の判断が下されたわけであります。それについての裁判に対するコメントではなくて、そういう事態に対して現在の政府、特に防衛庁長官の御感想なり今後の決意なりがなければいけないと思うのです。そういう点でお伺いしておるわけです。
  38. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 ロッキードトライスターの導入に関する種々のそういった司法的な判断が今行われておるわけですけれども、このロッキードトライスターの話とP3C、防衛庁とは特に関係ない、そういうふうに思っております。  いずれにいたしましても、政府が導入いたします航空機等につきまして、特に防衛庁が導入します戦闘機とか対潜哨戒機とかそういう問題につきまして、過去にいろいろな議論があったりしたことは残念なことだと思います。私たちが今考慮いたしております次期支援戦闘機の決定に関しましては、そのプロセスにおきまして一点の曇りもないように促していかなければならないと、過去二、三年私たちは慎重に配慮いたしているつもりでございまして、一切そういうことはないことにする自信はございます。  いずれにいたしましても、航空機導入等につきましていろいろ政治倫理の問題が論じられたことが幾つかございますので、政治家として倫理の確立には十分に気をつけなければいけないことだと思っております。
  39. 新村勝雄

    新村(勝)委員 過去の問題について現長官の責任云々ということではなくて、過去においてそういう軍用機の導入についても忌まわしいうわさがあったことは事実であります。その点についての厳しい反省を、現長官がやったということではありませんが、長官としてあるいは政府として軍用機の導入についてそういった過去の事件があったことについての反省をぜひしていただくと同時に、その反省の上に立って絶対にそういう問題を起こさないような厳しい姿勢を持っていただきたい、こういうことであります。
  40. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 P3Cの導入の問題につきまして、防衛庁、役所そのもの自体がいろいろ関与したというような御指摘だとかうわさというものは、従来なかったと思っております。  ただ、私、政治家一人として考えますと、防衛庁長官という立場を離れて、過去航空機導入等についていろいろ国民から御指摘を受けるような議論があったことはございますから、そういう点につきましては今後とも、単に個人としてではなく、政治家全体として批判を招かないように倫理の確立に努めなければならないと思っております。  また、今後私たちが導入を考えており、採用等をいろいろ検討しております対地支援機等の決定のプロセスにつきましては、従来のいろいろな御議論もありますので、一点の曇りもないようにその決定までのプロセスに細心の注意を払ってやってきておりますし、今後もそのようにやっていく自信を持っております。
  41. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そこで、現在検討されております次期支援戦闘機FSXの選定問題でありますが、この問題について現在当局では資料を集めておられる、あるいはまた最近調査チームを派遣したということのようですけれども、その辺の事情をお知らせいただきたいと思います。
  42. 西廣整輝

    西廣政府委員 現在使用しておりますF1支援戦闘機の後継機につきましては、さきの政府決定の五カ年計画によりまして、外国機を導入する、あるいは現用機を転用する、もう一つは新たに開発をするという三つの選択肢をもって今後検討し、しかるべき措置をするということをお決めになっているわけでありますが、現在外国機の導入につきまして候補となる三つの機種について資料の要求をいたしまして、第一回目の回答が届いております。ただ、我々が必要とする項目が必ずしも全部満たされておりませんでしたので、さらに追加の要求をいたしておる。その上で調査団を派遣いたしまして、一部聞き取り調査をして十分な資料を集めて、そこで今申し上げた三つの選択肢の中のどれを選択すべきかという事務的な検討をいたしたいというように考えております。
  43. 新村勝雄

    新村(勝)委員 国産の開発、F4戦闘機の転用、外国機の導入の三つの選択肢があると言われておりますけれども、長官はこの三つの選択肢をどうお考えですか。
  44. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 今防衛局長が申しましたように、現有機の利用、国産、それから外国機導入、この三つにつきましてそれぞれ全くの白紙の立場で、そして我が国の防衛政策上の観点、防衛上の効率という点から考えて物事を決定したいと思っておりまして、現在のところ、ただいま申しましたように全くの白紙の状態でございます。
  45. 新村勝雄

    新村(勝)委員 三つの選択肢のうち国産の開発ということが考えられるわけですけれども、我が国は言うまでもなく平和国家でありまして、兵器の開発研究等については原則としては積極的にやるべきではないというのが国是だと思います。自衛隊は存在しておりますけれども、日本が独自に最新鋭の兵器の開発研究といったことをやること自体については、そういう点から問題があるのではないか。しかも、世界最高の科学技術あるいは科学水準を持っておるわけでありますから、その高い水準を縦横に駆使をして新しい兵器を開発生産すること自体が日本の国是にとって危険性をはらむのではないかというような気がするわけですけれども、長官はいかがですか。
  46. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 我が国自体の防衛政策というのは、御承知のように非常に厳しい専守防衛の原則に基づいて、節度のある防衛力整備をいたしております。私たちは、その限りにおきましては、我が国の防衛力が、諸外国の技術的水準の動向にも配慮しながら我が国の技術水準をしっかりと踏まえて、効率のいい立派な装備をつくり、また開発しなければならないものだと思っておりまして、専守防衛の原則に合致する限り、私たちの国が自衛隊の装備のための開発研究をすることが国是に反することだとは思っておりません。
  47. 新村勝雄

    新村(勝)委員 兵器の開発研究というのは、ある一定の線でとめておこうということにはならないわけですね、兵器というのは相手の戦力を上回る力を蓄えてそれを撃破するということですから。そうしますと、あらゆる科学の力を駆使して最新鋭のものを創造していくというのが兵器開発の原則でしょうから、専守防衛ということを念頭に置いたにしても、相手を撃破する、相手の力を上回る力を発揮するためにはどうしたらいいかという研究になるわけです。兵器の競争というのは必然的に相手の力を上回る力をどうつくっていくかということになるわけですから、そういう意味で専守防衛にはならないのではないかという気がするわけですけれども、いかがでしょう。
  48. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど長官からお答え申し上げましたけれども、我が国の防衛の基本姿勢はあくまで専守防衛である、他国に侵略的な脅威を与えるものではないという基本的な考え方は十分踏まえながら、しかしながら、我が国を他国からの侵略から守り切るためには、それなりに世界の技術水準あるいは軍事的な技術水準というものに十分対応し得る有効な防衛力を持つということは、これまた非常に必要なことであろうというように考えております。もちろん、我が国が開発したり生産したりした武器を外国に輸出するというようなことは、別途武器輸出三原則等によってまた厳しく規制されているところでありますが、我が国自身が装備すべき装備品につきましては、やはり侵略に十分耐え得る優秀なものを持つということが必要なことであろうと考えております。
  49. 新村勝雄

    新村(勝)委員 ですから、当然世界の最高水準を目指して努力するということになるわけです。そうなった場合に、平和国家としての国是に反するのではないかという疑いがあるわけです。  それともう一つは、日本の兵器の技術は総合的にどの程度のレベルにありますか。
  50. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 自衛隊の装備しておりますものは、陸上自衛隊用、海上自衛隊用、航空自衛隊用、いろいろさまざまでございます。戦車のような火砲戦闘車両もございますれば、F15のような要撃戦闘機あるいはF1のような支援戦闘機あるいは護衛艦等とございます。いろいろな分野によりまして、アメリカがすぐれているところもありますし、ドイツがすぐれているところもある、そしてまた日本が世界と同じ水準あるいはややすぐれている部分もあると思います。  一概に言えませんけれども、我が国の場合には総体的に民間の技術が発達しておりますので、その意味で最近のハイテク産業、特にエレクトロニクスを活用した部分、ミサイルの目の部分ですとかいうところは世界の水準にあろうかと思います。しかし、航空機をとってみますと、戦後七年間の空白がございました。例えば、世界の趨勢がプロペラ機からジェット機に移る非常に大切な段階で航空機産業がなかったものですから、その分おくれているわけでございます。したがいまして、世界の第一線、第一級の要撃戦闘機でありますF15に関しましては、アメリカのライセンス生産で日本はこれをつくっているということでございます。第一線、第一級のものにつきましては、開発という面についてはいささかアメリカが分がある。日本はややおくれている。しかし、生産技術ということになりますと、アメリカと引けをとらない技術を我が航空機産業は持っておると思います。  船、これは造船王国と言われております日本でございますから、いわゆるフレーム、悪い言葉でございますけれども、どんがらと言われる部分につきましては、日本は非常にすぐれた世界水準以上のもりを持っていると思います。しかし、ミサイルですとかあるいはそれをコントロールするいわゆるファイア・コントロール・システムというものにつきましては、やはりアメリカの方が一歩進んでいるのではないかと思います。一概に言えませんけれども、我が国は技術先進国としてそれ相応の技術水準とその能力あるいは将来性、特に生産技術についてはすぐれているというふうに私、感じております。
  51. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、調査団を派遣されたようでありますが、その調査の対象はどこを考えておるわけですか。
  52. 西廣整輝

    西廣政府委員 候補となっている外国機につきましては、我が方の運用要求等から見まして、米国のF18とF16、それからヨーロッパで共同開発しまして生産しましたトーネード、この三機種を対象といたしております。  そして、先ほど申し上げたように、我が方から各項目についての質問状を出して返事をいただいたわけですが、それらの点について、一部欠けているものあるいは十分でないものについて改めて聞き取り調査といいますか、十分向こう意見を闘わせながら我が方の必要な資料を集めたいということで、それぞれの関係の工場あるいは国防総省等に参って調査をいたす予定であります。
  53. 新村勝雄

    新村(勝)委員 仮に外国製品を導入するとなった場合に、これはやはり導入は直接じゃなくて商社を経てやるわけですか。
  54. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 外国機を導入するかどうか、今検討の中の白紙の状態でございますから、仮定の問題として、一般に輸入品というものを防衛庁が調達をいたす場合には、二つの方式がございます。一つは、今先生おっしゃいましたような米国政府、国防省でございますけれども、直接に契約をして購入する、いわゆるFMS、フォーリン・ミタリー・セールスという制度がございます。もう一つは、商社等を通ずる一般輸入、この二つがございます。  それぞれ一長一短ございます。調達の期間、価格、アフターサービスその他いろいろございますので、物によってケース・バイ・ケースで、FMSの方がいい場合、それから一般輸入の方がいい場合、それをケース・バイ・ケースで判断をしてまいりたいと思っております。
  55. 新村勝雄

    新村(勝)委員 今までの経験からしましても、FMSの方が公明正大であり、国民の目から見てもその方がいいというふうに考えられますけれども、長官はいかがですか。
  56. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 ただいま私、申し上げましたように、FMSのいろいろな特色、いい点、それからまた一般輸入のいい点、逆にFMSばかりがいいかというと、例えば納入が非常におくれるとかあるいは価格が高いとか、そういう面もございます。これはアメリカの政府の管理しあるいは所有しているものを分けていただくという、一種の有償援助方式というものに基づくものでございます。メリット・デメリット、そのときの状況に応じまして、私ども防衛庁が効率的に、いただきました御予算の範囲内で最も有効に調達するという道をケース・バイ・ケースで選んでいるわけでございます。
  57. 新村勝雄

    新村(勝)委員 長官、いかがですか、その点は。
  58. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 装備局長から御答弁申し上げたとおりでございます。
  59. 新村勝雄

    新村(勝)委員 今まで外国品を導入した場合のとかくのうわさ、あるいは問題を惹起したというような経験からして、ぜひそういうことのないように慎重な御配慮をいただきたいと思います。  次に、長官にお伺いしますけれども、今陸上自衛隊の改編構想というのが伝えられておりますけれども、それはどういうものですか。
  60. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほども若干お答え申し上げましたが、我が国の防衛力というものは、やはり各国の軍備の動向であるとかあるいは軍事技術の水準というものを十分にらんだ有効なものでなくてはいけないというように考えております。そういう意味で、陸上自衛隊につきましても、海上自衛隊航空自衛隊と同じように、逐年装備の近代化等を進めてきたわけでございますが、何せ陸上自衛隊の主軸になる編成と申しますか、骨幹的な枠組みである師団編成というものは、今から二十五年も前、昭和三十五年につくられたものでございます。そういった点で、やはりいろいろな点で現在の装備、体系、そういったものとマッチしない部分もある点もないわけではないわけであります。そういうことでいろいろな方面からいろいろな御批判もいただいております。  また、我が国をめぐるもろもろの戦略環境につきましても、特に北部日本等について言えば、例えば北方領土に師団レベルの部隊が新たに配備をされたとか、あるいは海軍歩兵であるとかヘリボーン部隊が増強されたとか、あるいはまた航空機の行動半径が広くなったとか、いろいろな意味で戦略環境というものは変わってまいりまして、そういう意味では北部日本の防衛等についてもいろいろな問題点を抱えております。  そういったことも含めまして、我共としてはやはり一度、最も効率的な陸上防衛力というものはいかにあるべきかという勉強をいたしたいというように考えております。  そこで先般、つい最近でございますが、防衛庁部内に次官を長とする防衛改革委員会というものを設けまして、これから数年かけて、今市し上げたような点についてどういう考え方があり得るか、広く研究をしてみたいということであります。  まだどういう構想であるかというようなことを申し上げる段階にもちろんないわけでありますけれども、いろいろなアイデアあるいはいろいろな御意見もありますので、そういったものをまず整理をし、我共として十分検討してみたいというように考えております。
  61. 新村勝雄

    新村(勝)委員 現在の自衛隊の配備は、戦前の旧軍に比較をするとかなり特色があるわけですね。北方重点、北方超重点ということが言えるのでしょうね。旧軍の場合には、北海道は旭川に一個師団があっただけですけれども、現在は四個師団が北海道にある。しかもその中でも機甲師団、これは最も精鋭だと思いますけれども、精鋭部隊が北海道にある。しかも戦前の一個師団に対して現在は四個師団。現在は十三個師団、戦前は十七個師団だと思いますから、そういう点からいっても北方、北海道超重点、こういう配備だと思いますが、これの配備をさらに北方重点にしよう、こういう方向なんですか。
  62. 西廣整輝

    西廣政府委員 今先生申されたように、旧軍というのはいわば外征軍という頭でつくられておったと思いますので、御承知のように画一の師団編成をとって、そしてできる限り隊員の募集等と合った郷土配置というようなことで師団の配置も決められておったと思います。  現在の師団といいますか、陸上自衛隊の編成なり配備というのは、国土防衛というはっきりした任務がございますので、やはりそれに合った編成なり配置をする必要がある。ということになりますと、日本のような非常に細長い地形を持っている国ということになりますと、やはり防衛力の振り回しといいますか、展開等がなかなか難しい、そういう点では、やはり平時配置から有事にできるだけ即応できる体制にしておくということは、一つの重要な着眼点であろうかと思っております。  さらに言いますと、例えば北海道なら北海道の防衛をするということになると、北海道のどの地域に配備をされるかということによって、その地理的特性に合った編成ということも考えられるんではないかということで、現在は十三個の師団のうち十二が比較的似通った編成をとっておりますけれども、より地域に密着した、その地域の防衛に合った装備体系なり編成というものもあり得るんではないかということも十分念頭に置いて、これから研究をいたしたいというように考えております。
  63. 新村勝雄

    新村(勝)委員 ですから、現在の改編の方向が一層北方重視、北海道に精鋭の部分、例えば機甲師団を集中するとか、そういう方向になるのかどうかということなんですけれども、戦前は外征、現在は防衛だということは素人にもわかるわけです。その方針に従って現在配置をされているということもわかるんですけれども、現在論議をされておる改編構想の方向というものが、それを一層強化する方向であるのかどうかということですね。
  64. 西廣整輝

    西廣政府委員 再々申し上げているように、まだこれから研究いたすので、具体的な答えを置いて物を考えておるわけではございませんが、ただ申し上げたいのは、確かに有事における体制、そのままで有事に対応できるような体制にしたいという希望があると同時に、やはり平時の教育訓練というのを考えますと、それぞれの地域に分散してないとしかるべき演習場が得られないとかいろいろな制約がございます。また、隊員の点につきましても、やはりできるだけ出身地に近いところに置いてやりたいとか、そういったこともございますので、そう極端に、例えば現在五万人程度いるものを十万人までふやしてしまうとか、そういったようなことはなかなか難しい。いずれにしましても、そういったいろいろな要素を組み合わせた最もいい案というものを模索していきたいというように考えております。
  65. 新村勝雄

    新村(勝)委員 それと関連するわけですが、臨調の答申に基づく行革が行政のほとんどすべての分野にわたって推進をされておるわけですが、この臨調の行中の対象には防衛庁はないんですね。そこで、ないけれども、防衛庁官身としても、それからまた行革という点からしても、現在の編成そのままでいいということにはならないと思うんです。そういう点で長官はどうお考えですか。
  66. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 臨調、行革審の対象に防衛庁がらち外であるということではないと思います。防衛庁の内局の行政組織のあり方、その運営の仕方のあり方、運用の効率等にっきましては、行革審等からいろいろ御指摘をいただきまして、また臨調からも御指摘をいただいて、例えば局の削減というようなこともやっております。  ただ、防衛力整備またはその運用そのものの部分につきましては、やはり防衛力の性格、特性等から、それは臨調が踏み込むということはしないから、その分だけ防衛庁、自衛隊において、みずからの手でしっかりと効率化を図ってもらいたいという方針がとられたわけでございます。したがいまして、昨年の十二月だったと思いますけれども、私たちとしてもみずから自主監査をしなければいけないとということで委員会をつくりました。私たちは、自衛隊のあり方自身も決して行政改革、効率化のらち外にあっていいものだとは思っておりません。そして、それに基づきまして、ことしの四月までにある程度の検討の結果を出しました。そして、来年の四月までにはまだ、より時間のかかるものについての検討結果を出す予定でおります。  こういった業務・運営自主監査委員会の動きの中から、もっと基本的な防衛力のあり方等について自分たちが深い彫りのある議論をしなければならないという認識に至りまして、先ほど防衛局長が言いましたような防衛改革委員会を一ランク上げまして、事務次官の指揮のもとに今検討を始めたわけでございます。二つの大きなテーマがございますが、その一つが陸上防衛力のあり方という点です。今先生が御指摘になったところです。もう一つは洋上防空の今後のあり方についてということでございます。
  67. 新村勝雄

    新村(勝)委員 我々、素人でありますけれども、陸海空それぞれに戦略的なあるいは戦術的な観点からどうあるべきかということは問題があろうと思いますけれども、特に陸上について見ますと、これは専門家の見解でありますが、現在の師団は甲師団と乙師団、九千師団と七千師団があると言われております。しかし、そういう戦力の弱い小さい集団を分散的に配置をするよりは、これからは一定の、早く言えば経費ですね、一定の防衛資源ですかのもとに最高の能力を発揮するためには、こういう七千師団なんというのじゃ問題外だ。九千師団でも足りないのだ。要するに一万三千あるいは一万四千程度の強力な師団、これは外国でもソ連とかではそういうあれをとっているようでありますけれども、数は少なくなっても戦力を集中していくことの方がいいんだ、機動力もあるし昔と違う、小さいブロックを方々へ配置するよりはその方がいいという専門家の見解もあります。こういった点についてはどうですか。それから、そういった点が今後の師団の再編に考慮されるかどうか。
  68. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生言われましたように、確かに陸上部隊の装備も、例えばミサイル化されるとか、あるいは各種の火砲等が自走化する、あるいは戦車等もかなり大きくなっているというように重装備化してきて、一部の師団が大きくなるという点もないわけではございませんが、一方、我が国の地理的特性等を見ますと、これまた今の師団をつくるときも十分検討したわけですけれども、日本という国は平野部なりあるいは盆地というものが飛び飛びにありまして、その間が二つ、三つの道でつながっておるというようなことで、移動するのにどうしても隘路のようなところを通っていかなくちゃいけない。そうすると、部隊の移動等は、例えば夜間相手に見つかりにくいときに移動するわけでございますが、夜間一晩で移動できる一つの量的な限界等もございます。そういった点で、日本の地理的な特性からすると、そうむやみに大きな師団にすると動きがつかなくて、移動したときに二つくらいに分かれてしまうとか、そういったような問題も出てまいります。そういったことで、必ずしも日本に大型の師団が適当であるというふうには考えておりません。  今後の方向、これまた先ほど来申し上げているように検討課題でありますけれども、私どもの念頭にありますのは、一つは、地域的にそこに張りついて、まさにそこの地域の防衛に向いたような師団編成というものがあるんではないか。と同時に、すべてをそういった形で地理的に張りつけてしまうということはなかなか難しゅうございますので、一部については有事緊急に移動させて部隊、展開をするというものも必要ではなかろうか。ということになれば、それはそれなりにそういう緊急展開に向いた形につくっておくということもまた必要ではなかろうか。そういったことを考えますと、やはり一種類の師団編成ということでなくて、それぞれの目的なり配備に適した多様性のある師団編成というものを追求していかないといかぬのじゃないかなというのが現在の考え方でございます。
  69. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そういう見解もあるでしょうけれども、現在の自衛隊の編成はかなり時代おくれだ、こういう見解もあるわけでよ。それから、弱小師団を数多くつくるということになりますと、これは将軍の数も当然ふえてまいりますから、ある意味ではそれぞれのそういう方々のポストをつくるために小師団をつくったのではないか、そういううがった見方もあるわけです。  時間が参りましたからやめますけれども、これは確かに地勢も考えなければいけませんが、少なくとも一定の防衛資源で戦力を最高にする、そういうことで、一定の戦力を保持するために一定の防衛資源と経費のもとでどう有効に使うかということも、これは我々は言う立場ではありませんけれども、そういう観点からの行革も必要ではないか、こういうことを言いたかったわけですが、その点について簡単に一言だけ大臣から答弁を願って、終わります。
  70. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 いろいろ組織をつくって将軍のポストを確保しようとしているのではないかという見方もあるぞという御指摘でございますが、自衛隊の場合には、本年度から将の数を極端に減らす動きをいたしております。現在九十六あります陸海空の将の数を、たしか五十六か五十四か、ちょっとその数字を正確に覚えていませんが、かなりの削減をここ数年の間にやってしまうということをスタートいたしましたので、そこは大変な努力としてお認めいただいていいことだ、私はこう思っております。  いずれにいたしましても、今後の自衛力のあり方につきましては、技術的な水準、動向、それから我が国の地理的な特性、そしてそれぞれの地域におけるいろいろな演習場の確保の条件とか、それから移動可能の装備がどの程度持てるとか、そういうことをすべて考慮に入れて、戦後自衛隊が発足以来三十年続いてまいりました現在の十三個師団の体制がこのままでいいのかどうか、大胆だ、頭に先入主のないようにしながら検討を命じているところでございます。
  71. 新村勝雄

    新村(勝)委員 終わります。     —————————————
  72. 角屋堅次郎

    角屋委員長 この際、お諮りいたします。  本件につきまして、本日、参考人として財団法人国際科学技術博覧会協会事務総長伊原義徳君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  74. 角屋堅次郎

    角屋委員長 渋沢利久君。
  75. 渋沢利久

    ○渋沢委員 加藤長官にはお尋ねしたいことが幾つかありますけれども、先立ちまして、筑波万博の後始末の整理が締めくくりに入っている段階で、若干の点でこの機会にただしておきたいことがありますので、最初に筑波万博の事業に絡んで幾つかお尋ねをしておきたいと思います。  私、なぜこの問題を質問したいという気になったかといいますと、予定よりも決して多いとは言えない入場者にもかかわらず、結果はかなりの事業の収益、黒字を出すということが伝えられて、一見この事業は大変成功したように言われているわけでありますけれども、一面では、協会に対して関連した、参加した企業の間から訴訟が起こる、これは異常なことだと思います。あるいは毎日新聞でありましたか、新聞の伝えるところによっても、職員の不正事件が非常に大きな疑惑を集めるというようなこと等がありまして、一体この事業は本当に成功したんだろうか、裏側に問題があったんだろうかなかったんだろうか、幾つかの点でただしておきたいという気になったわけであります。  若干のお尋ねをしておきたいと思うわけでありますが、まず、この事業の収支見通し、かなりの黒字が見込まれているようですが、今の段階でどういう数字で見込んでおるのですか。
  76. 伊原義徳

    ○伊原参考人 お答え申し上げます。  筑波万博のために費やされた金は、関連公共事業投資も含めますと六千数百億円になるわけでございますが、その中で財団法人国際科学技術博覧会協会が建設費及び運営費として費やした金は一千億を超えるわけでございます。  その中で、特に運営費につきましての収支、これは先生の御覧間のポイントかと思われますが、中間段階におきまして約八十四億円の剰余金が見込まれております。
  77. 渋沢利久

    ○渋沢委員 入場者の総数は幾らだったですか。
  78. 伊原義徳

    ○伊原参考人 二千三十三万四千数百人であったかと記憶しております。
  79. 渋沢利久

    ○渋沢委員 当初見込んだ入場者数というのは幾らだったですか。
  80. 伊原義徳

    ○伊原参考人 昭和五十四年の閣議了解の時点におきまして、二千万人を計画値とするということが定められておりまして、その二千万人が計画値として、例えば会場建設をいたしますときの基本的な数値として採用されております。
  81. 渋沢利久

    ○渋沢委員 二千万を見込んで、そしてそれに必要な準備をやって、最低の見込み数をやや上回るかというような、ほどほどの結果であったということですね。  その二千万の入場者推定を前提にして、当然、適正な営業店舗数というものの枠を決めて、適正な運用を図るという計画がおありになったと思うのですが、それは具体的にはどういう数字ですか。
  82. 伊原義徳

    ○伊原参考人 二千万人をもう少し詳しく申し上げますと、一日に一番多くお客様がおいでになるピーク、ピーク日と私どもは申しておりますが、これが百八十四日の会期中に十日ないし二週間程度あるという推定で、一日二十万人の観客を対象といたしまして、その方々に余り御不便をおかけしないように食堂、売店等を整備する、こういうことで計画を立てました。  その整備につきましては、一般的な公募、それからパビリオンの参加あるいは施設参加と称します寄附の御協力、そういった方々に対しましての別途の割り当て、大きく二つに分けましてそれぞれに割り当てをいたしまして、さらに国際博覧会条約に基づきます諸規則がございます。それに基づきます契約を結びまして店舗をお出しいただいたわけでございます。
  83. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いや、聞いているのは、総数が何店舗と計画したかと言っている。
  84. 伊原義徳

    ○伊原参考人 総数についての計画はございません。ただ、会場計画作成のために、総面積を一応定めまして、それが二万一千平方メートル、こういうことでございます。
  85. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これだけのスペースでこれだけの入場者数を見込むという事業の中で、店舗数の総枠を全く定めてないというのは、それは間違いでしょう。さまざまなあなた方の出された事業計画概要その他の文書で既に示されてもおりますし、当然これは科学技術庁の指導を含めて、多過ぎても少な過ぎても迷惑が与えられる、混乱が起こるということでありますから、一万人を超える入場者を見込む場合には、それに対応できる店舗配置と数を押さえるのは当たり前のことであります。無計画だなんというのは、そういうことは、それはあり得ない話じゃないでしょうか。
  86. 伊原義徳

    ○伊原参考人 店舗数の定めがないと申し上げましたのは、多少不正確な御答弁かもしれません。ある程度の見当をつけて、いろいろ図面を引いたりしておりますが、それが時の推移に伴いまして非常に変動をいたしております。また、それはそうせざるを得ないいろいろな理由がございましたので、多少の変動がございます。したがいまして、私どもは店舗数というものを余り決定的な計画要因としてとらえませんで、むしろ面積というものを会場計画上はっきりさせることの方に重点を置いて計画を立てた次第でございます。
  87. 渋沢利久

    ○渋沢委員 今あなたのお話の中にも、公募を中心にして云々というような言われ方がありましたが、これはもう言うまでもないことですけれども、国家的な事業、それは協会がおやりになる仕事だといいましても、莫大な国費を投じて政府のいわば責任で行った事業でありますからして、これにかかわるさまざまな関連の事業が、公明正大でガラス張りで行われなければならぬというのは当たり前のことでありますから、この事業に絡んで営業収益を上げようなどという私企業とのかかわりについては、当然これは十分な配慮を持って契約のありようなどが決められたというふうに思うのであります。そういう趣旨でおやりになったということはもちろん間違いないでしょうね。  ところが、例えば開幕の一年も前に業者を集めて公募で入札をやって、そのときにいろいろな資料を配ったり、説明しておりますが、そのときの数字、それから開幕の一カ月前にあなた方が公式にお出しになった概要、ここにありますけれども、この中では非常に詳細にパビリオン店名まで明記いたしております。パビリオンを含めて全店舗が二百八十店だというものが明確に示されております。そして、業者を集めた入札の際の説明もございます。あるいはこういう立派なガイドブックをお配りになりましたけれども、この中には数字がやはり明確に示されております。概要では二百八十店、ガイドブックでは二百九十という数字になっておりますが、まあそれは十や二十の動きのあるのは別に問うところではありません。  入札の際に示された数字などでは、優先割り当て百四十一店、公募によるものが百三十九店。実際この入札で契約したものが百十九店、こういうことになったようでありますけれども、いずれにいたしましても、優先割り当て百四十一店、それから公募百三十九店、合計二百八十店、その他パビリオン内に若干の店舗が加わる、こういう説明がありまして、二千万の入場者を想定いたしました中で、おおむねさまざまな店舗は二百八十店、幾らかふえて三百を超えるかもしれないが、まあそこそこにということでその事業概要説明して、公募による業者の参入を求めてきたという経緯があります。しかし、最終的にはどれだけの店舗がこれに協会と契約をなすって入ったのですか。
  88. 伊原義徳

    ○伊原参考人 ただいまのお話のございました二百八十店舗と申しますのは、いわゆるパビリオン内営業を除く数字でございます。そのほかにパビリオン内に食道、売店が置かれる。それは一般規則によりまして、パビリオン面積の二〇%以内というものが出せる、こういうことになっておったわけでございます。したがいまして、二百八十店舗に限るということではございません。そのパビリオンにつきましても営業店舗が出るということについての御説明は申し上げておるわけでございます。
  89. 渋沢利久

    ○渋沢委員 先ほど言いましたこの配られた概要の中では、パビリオン店舗も明示してある、店名もはっきり書いてある、そういう状態であります。パビリオンを除くという形になっておりません。それで総トータルが二百八十になっておる。一般の業者に説明したのも、先ほど言いましたように、二百八十と若干ふえるかもしれない、こういう説明をしている。  なぜ今度の問題、この万博で参加した業者と協会との間で大変トラブルが起こったかといいますと、そしてついに訴訟まで出てきたかといいますと、結局、国がかかわっているこれだけのいわば国家的な事業の中で、協会の説明というのは、言ってみれば公正な説明、あるいは協会が出した文書は、これは公正な、いわば政府の文書に近いもののような受けとめ方で関係者が受けとめて、そしてその参加する営業者にとっては、これだけの入場者推定数の中でどの程度の店舗枠をもって配置をするかという計画が、言ってみればこの事業に参入する一つの重大な選択の、選別の物差しになるというのは当たり前のことであります。  ところが、協会が説明をしてきたもの、配ってきた文書では、お店は二百八十ないし二百九十、若干ふえるかもというような程度の説明を続けて、結果、だれも知らない間に、調査によれば四百六十幾つ、四百六十八と、あるいはもっと多いかもしれないが、少なくとも最低で、調査をしたところによると四百六十八店という出店を見たということであります。  今度の事業で協会は八十四億の利益を上げたというけれども、出店によってかなりの施設使用料、寄附金も取っておる。施設の寄附のあったものについては出店を優先する。優先の場合には、外国の場合、企業への対応と同時に、施設寄附者への店舗配置というようなこともやられたようです。それはそれぞれ結構なことだと思いますけれども、しかし、総体として予想をはるかに上回る店舗を設置することによって、協会の収益にはなったかもしれないけれども、わずかなお客さんを業者が奪い合うという、テレビでもしばしば報道されましたが、大変醜悪なトラブルを国民の前に見せつけたわけであります。あの博覧会の最中に、出店の業者と協会との間でとなり合い、殴り合いに近いようなトラブルをしばしば起こして、それがテレビの映像で国民に展開をされたというような始末であったのではないでしょうか。  これは、少なくとも協会の店舗配置計画ということが全く無計画で、野放しで、しかも、最初に一度だけやりました入札によって、公募入札という公正な手段をとったものはわずか百十九店舗です。あとは優先契約ないしほとんどが随契です。随契がこんなに多い理由というのは何ですか。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理者     席〕
  90. 伊原義徳

    ○伊原参考人 先ほどの御質問の中に実情と多少違う点があるかと懸念されますので、御説明申し上げますと、一般営業区域において例えば二百八十店舗というふうな数字があったことは、説明書にも一応そういう数字を出した時点はあったかと思いますが、そのときに、展示館内は別である、そちらはそちらで食堂、売店が出るのであるということは明示されておるわけでございます。  なお、過去の類似の国際博覧会におきましても、一般営業区域以外に展示館の中において食道、売店の営業が行われた、こういうことでもございますし、博覧会の国際条約に基づきます一般規則におきましても、展示館の中での営業というものが認められておるということがございます。  そこで、営業者との間のトラブルの問題でございますが、開幕当初、天候に必ずしも恵まれませんでしたこともありまして、営業者の方々が、ある地域の方々は御不満を持たれたというのは事実でございます。それは、理由の一つには、会場の中でまんべんなくお客様が動かれるということが当初ございませんで、一部にお客様が集中しがちであったということもあるわけでございますが、いろいろ御不満の声が出まして、それとともに営業違反という行為が続出したのは事実でございます。  私ども協会といたしましては、不振営業区域を中心といたしまして可能な限り営業活性化を図るということで、営業者の皆様方と十分協議をいたしました上で、営業活性化対策に多くの努力を払ったわけでございます。また、違反営業につきましては、これはお客様に御迷惑をかけてはいけないということがございます。また営業者間の公平を保つ、そういう必要もございます。そういう観点から、ぜひ是正していただきたいということで営業者の御協力を求めたわけでございます。会期中を通じまして、事務当局といたしましては最大限の努力を払ってまいった次第でございます。
  91. 渋沢利久

    ○渋沢委員 最終的な店舗総数は幾らですか。
  92. 伊原義徳

    ○伊原参考人 いわゆる一般営業区域と私どもが呼んでおります区域、これは三百二十七店舗でございます。それから展示館、これはパビリオンの数で申しますと、例えば食堂は、三十八のパビリオンが食堂を設けておりました。それから物品販売店は、六十二のパビリオンがこの販売店を設けておったわけでございます。
  93. 渋沢利久

    ○渋沢委員 合計幾らですか。     〔新村(勝)委員長代理退席、委員長着     席〕
  94. 伊原義徳

    ○伊原参考人 三百二十七に百を足しますと四百二十七でございますが、そういう数字になっております。
  95. 渋沢利久

    ○渋沢委員 おおむね私が調べた範囲では、四百六十八店ということになっておるわけであります。  公式な外に出す文書ではこの数字を明示いたしまして、そしてその分の一部については公募という形で、たてまえは大変公正にやった形になっていますが、今の話ですと、ふえた分で随契になったのは、しかもそれがみんな随契だというのは、どういうことだといえば、それはそれぞれパビリオン内のものに限定されるような趣旨で言っていますけれども、それは実際はかなり違うようであります。  では、具体的に一つだけ尋ねます。Bブロックの富士通パビリオン、これは一番人を集めたパビリオンですが、この前に出したバラエティーストアという店がある。例えばこういう店を、業者を随契で入れた理由、そういう契約をした理由は何ですか。  ここは非常に収益を上げたのです。なぜかというと、場所が非常にいい。立地条件がいい。それだけじゃなくて、私のところに投書が参りました。その中身に間違いがなければ、その周辺の百五十平米、その店の周りにかなりの地域を休憩所につくって、そしてここは、休憩所に必要な費用は全部協会が出して、その店舗の事実上の専用休憩所にして百席ばかりの設備を整えておる。非常に立地条件がよくて人の集まる場所で、しかもその周辺の休憩所は、ここはなぜか協会が費用を持って設置をする。ほかはみんなその面積に応じて使用料を払わせたり、自前でいろいろないすやテーブルを用意させているが、ここはそういう優遇措置をとっておる。  これは大変差別が甚だしいということで調べたところが、これは協会の職員の義理の弟の業者をそこに選んで、随契でこういう店を契約して、しかもその周辺は協会の費用で、細かくいろいろ書いてきていますが、日よけ、それから百席に及ぶいすなどの休憩所設備をやっておる。これは不正じゃないかと言うのです。契約の相手は山田何がし、職員の名前を申し上げでもよろしい。その職員がといいますよりは、これは協会とその業者の特約であります。  こういう業者を特別に——入札のときにはここは店になっておらなかった、入札のときに参入しておるわけでもないが、特殊にこういう随契を結ぶというようなことを協会はやらしておったわけですか。
  96. 伊原義徳

    ○伊原参考人 休憩所につきましては、博覧会場の中に多数これを設けたわけでございます。これは当然に博覧会協会の経費で設置したわけでございます。したがいまして、たまたまある休憩所の近くに食道、売店があるというケースも多数あったかと思われるわけでございます。  それから、先生御指摘の場所がよいという点でございますが、これは博覧会が開幕されるまでは、どこのパビリオンが人気館になるかは全くわからないわけでございます。したがいまして、ある場所が特にいいということを開催前に、それはそのお申し込みになる方々がそれぞれの判断で、ここはよさそうだという御判断で入札をされるというケースが多いわけでございますが、端的に申しますと、どこが一番いい場所かというのは、オープンするまではわからないということが事実かと思われます。  それで、御指摘の店につきましては、希望者が当初入札のときになかったということで、その後さらに入札者その他の方々に希望があるかどうかいろいろ調べまして、希望をするという方につきまして、資格審査会というものを協会の中に設けておりましたので、そこで、資格審査をいたしました上で、そこに営業をしていただくということで契約を結んだわけでございます。
  97. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それでは、細かいことで本当にしつこいことを聞くのも嫌なんだが、せっかくだから伊原さん、この事実だけは明確にしておきましょう、私、申し上げた以上は。  そうすると、ここの場所がいいか悪いかは結果論だ、しかしここには、公募したけれども、関係者の皆さんに知らせたけれども希望者はなかったんだというふうにおっしゃいましたね。そのとおりですね。では、いつ、どういう方法でそういう公募を事実なさったか、これははっきりした方がいいと思います。それから、そのときにたった一人希望者があってそれを審査会におかけになった、どういう審査会か。  これはもうきょうは時間がありませんから、後で文書でその詳細をお出しいただきたい。本件については、いつ、どういう方法で公募したか。ここを店にするということについてみんなに知らせたか。そして希望者がなかったという確認をどういう方法でおやりになったか。そして、たまたまあった業者について審査会にかけた、その経緯を文書でお示しいただきたい。これは委員長にもお願いしておきます。伊原さん、いいですか。それは回答なさいますね。
  98. 伊原義徳

    ○伊原参考人 ちょっと補足させていただきますが、この店はいわゆる一般公募の対象ではございませんで、外国に対する優先割り当て、そういうカテゴリーのものであったと記憶いたしております。  なお、ただいま先生お話にございました文書による御説明につきまして、できる限りのことをいたしたいと思います。
  99. 渋沢利久

    ○渋沢委員 伊原さん、文書で出さぬでも、今答えられるなら答えてもらったらいい。  外国のものだと今度おっしゃったが、外国のパビリオンも国内のパビリオンにも、そんな問い合わせをしておりませんよ。私の承知している範囲ではしておりません。それをいつ、どういう文書で、疑いのないように、あなた、この事業では非常に公正な契約をおやりになったと言うんだが、それを今お答えできるなら答えてください。文書で出すと言うから、じゃ文書で出しましょうと。私の調べと照合して、また機会を見て、科学技術庁がお出ましのときにじっくりお尋ねすることにいたします。  協会の職員、しかも店舗の配置などの窓口の職員のまさに身内をそういう場所に選んでいるというこの事実は、動かしようのない事実です。しかも、それは職員対業者の問題じゃなしに、まさに協会とそういう特定の職員の身内を、兄弟をそこに契約させるというこの事実だけは残っておるわけです。そして、参加した業者の九〇%を超える業者が莫大な赤字で苦悩している中で、それは結果論だとおっしゃるけれども、こういう非常に一等地と言われるところで大きな利益を上げたという結果があらわれておると、これは不信を招かない方がおかしいですね。それは、この事業にかかわる協会のかかわり方はいささかも公正なものでない。  それで、八十数億の利益を上げたと言うけれども、一方では八十億から百億、総計ではそのくらいの赤字。つまり、当初予定した店舗数の倍に近い店舗を導入して、施設料を巻き上げた。巻き上げるという言葉は的確でないかもしらぬが、大きな収益を上げて八十四億の増収につないだけれども、一方では、協会の職員の身内をこういう形で随契でもって誘い込んで契約させるというようなことをやっておる。これが今回、協会に対する不信、科学技術庁に対する不信、この事業に対する不信を関係する企業家の間に招いて訴訟にまで至っている、こういう事態じゃないですか。  余りにも不親切で、無計画で、無責任な事業執行の態度だと言わざるを得ない。こういう契約の仕方というのは、世間では公正とは言わぬのですよ。これは不正だと言うのですよ。あなた、これは公正なやり方だと思いますか。こういうことで欄係業者間が不信を持つということは、理由があるというふうにはお考えになりませんか。
  100. 伊原義徳

    ○伊原参考人 補足して御説明申し上げますと、外国の参加各国に対する優先割り当て区域ということで、外国に照会の文書を出したのでございますが、それについて、そこを使いたいという申し出がなかったということが一つございます。  それから、契約の対象といたしましては、博覧会協会の中に資格審査会を設けまして、そこで十分資格審査をいたしまして、それで通れば契約の詳細に入るということで、厳正にその審査は行ってまいったわけでございます。
  101. 渋沢利久

    ○渋沢委員 伊原さん、そこまでおっしゃるなら、もう一つ聞きますが、そうすると、外国のパビリオンに使わないかと言ったら要らぬという返事があったから、それでどうしたのですか。それならば、公正だと言うならば、もっと広く公募して、たくさんの関係者に公表して、そしてだれにもわかるような契約の仕方をなすったらいいんじゃないですか。  審査会にいつかけたかもだれも知らなかったでしょう。結果、店が出てきて、ああ、さようなことがあったかということがわかったんじゃないですか。皆さんにわかるような告知方式をとったのですか。ましてや、協会の中の有力な職員の身内が選ばれるということの中で、あなた、審査会、審査とおっしゃるけれども、これは極めて慎重を欠く態度じゃないですか、協会のやり方としては。
  102. 伊原義徳

    ○伊原参考人 公募を昭和五十九年四月に実施いたしましたときに、ある予定店舗につきましては多数の入札があり、ある予定店舗はだれも入札しなかった、そういうふうなばらつきがございました。  そういう入札のなかったところについていま一度第二次公募をやるべきかどうかということにつきまして、私どももいろいろ検討したわけでございますが、いろいろな観点からむしろ、いわゆる空き店舗でございますが、それにつきましては、入札に応じたお店の方々がその後も協会事務局へおいでになって、いろいろお話なども伺ったというふうなことがございました。その後もその他いろいろ店を出すということの可能性についてのお問い合わせ等がございましたので、第二次公募ということは行わないでも何とか空き店舗は契約者が得られるという実態と判断いたしました。しかし、その契約の相手方については、十分過去の実績なり資金能力、そういったものを審査した上で、その資格審査に合格したものを契約対象にする、こういうことで運営してまいったわけでございます。
  103. 渋沢利久

    ○渋沢委員 伊原さん、協会の職員がかかわっていることについて、あなたは一言の反省の弁もない。僕はそれを言っているのですよ。公正な事業をやろうというならば、たくさんの利害関係がある。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理者席〕 我々も区々たる一部の利害で物を考えたり判断したりしません、こういう場でなるべくこんなことは言いたくないけれども、しかしその点は極めて不用意、不見識、無責任だと私は思うのです。しかも今の説明は、なるほど立派にやっているというような説明じゃないじゃないか。だれにもわかるような話でもない。その点について、あなたはこういう誤解を招くようなやり方にいささかも反省はないのですか。それはごく当たり前だ。これも結果論ですか。たまたまそういう協会の有力職員が結果としてそうなったという話ですか。
  104. 伊原義徳

    ○伊原参考人 協会の職員がその契約について直接関与したかどうかにつきましては、私どもといたしましては明確にその中身がわからないわけでございます。ただ、ある時期におきましてある新聞にある報道がなされたことがあったと記憶いたしておりますが、もしその新聞記事を対象として考えますと、そこで示唆された者は協会のかつての職員であったようでございます。
  105. 渋沢利久

    ○渋沢委員 やめさせたのでしょう、いろいろ事情があって。もうこれ以上言いませんけれども、今の新聞の話では、ここにもありますけれども、協会職員に四百万を業者が内装業者のあっせんで贈ったとか、警察の調べが入ったとか、極めて具体的な報道もあったわけであります。もう時間がありませんのできょうはやめにいたしますけれども、非常にこれは細かい部分ではあるかしれないけれども、今度の事業を通して多くの不信を残した、不公正な契約も残した、そしてこの八十四億の利益だけは残った、こういうことであります。  今後機会を見て、今のあなたの答弁やこれから文書でお答えになる中身をさらに検討して指摘を続けていきたいというふうに思いますが、きょうは時間がありませんので、筑波万博にかかわる質疑は以上で終えます。  防衛庁に若干のお尋ねをさせていただきたいと思います。  加藤長官、せっかくでありますので、一つまず政治家としてお尋ねしたい点がございます。  ゴルバチョフ書記長の登場によってソ連は変わるというふうにあなたは感じていらっしゃるような部分がございますか。あるとすればどう変わるか、あるいはあの国は書記長がかわったことで変わる様子はないというふうにお考えになっておるだろうか。  それからもう一つ、最近、米ソ首脳会談を広島でやろうじゃないかという意味の提案をしたというような報道も伝わっておりますけれども、これについてのあなたの所感はいかがなものでしょうか。
  106. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 私は、ソ連の国についての見方を、ここで、公式の場で、外務大臣でもないのに申し上げるわけにはなかなかいかぬと思います。  ソ連という国は、行政組織、官僚組織的にかなりかたいところがあるのではないかな、こう日ごろから思っておりますけれども、そういった種々のしがらみがある中で、ゴルバチョフという人がどのようにそれを超えて判断をしながらあの国を引っ張っていくかということは、政治家個人として非常に興味のあるところであります。     〔新村(勝)委員長代理退席、委員長着     席〕  そういった可能性があるなど思われる部分もありますし、特に就任直後半年、七、八カ月はそんな感じが非常に、強いなと思うときもありましたし、最近はやはりそのしがらみの中から抜け切れないのかなと思ったり、これはあと一、二年見ないとわからないことなのではないかなと思います。それで、その行政組織、官僚組織を超えて発言し、行動し、政策決定できるかどうかというのは、やはり書記長自身が国内における権力基盤をいかに確立するかと相関関係になっておるわけでございますから、その辺は非常に興味のあるところだな、こう思っております。  それから、昨日報道されました広島における米ソ首脳会談というようなことでございますが、これにつきましてはちょっとコメントを差し控えさせていただきます。  いずれにしろ、そういうことをアイデアとしてお考えになるときには、事前に開催地、座敷を貸すことになります日本に一言あってもいいのじゃないかな、こう思います。
  107. 渋沢利久

    ○渋沢委員 防衛庁長官の範囲を超える超えないなどということにぜひこだわらないで、政治家としてお尋ねしているわけであります。今防衛庁の長官だけれども、いずれ遠からず自民党のニューリーダーの位置に立たれるのですから、そういう意味で、とりわけ自由民主党の本流を自負されるはずのあなたの一つの感覚で……。  今の世界情勢の中でゴルバチョフに期待するというよりは、やはりソ連が変わる、米ソが変わる、そして特に首脳会談がともかく持たれたという意味は非常に大きい。ショー的な要素ももちろんないわけではないかもしれないけれども、ショー化したサミットの薄い意味合いと比べると、はるかに米ソ首脳会談の意味は大きい。その中身よりも、持たれたということと、継続性、続けてやろうということが確認された部分で、まさにこれは米ソ首脳の高い大きい政治判断というものを評価せざるを得ないし、世界の国々の指導者はこの芽を大事に育てていくということがなくてはならぬというふうに思うわけであります。  もちろん、先般の原発の事故でのソビエトの対応など見ていると、おっしゃるとおり古い、かたい、官僚的で閉鎖的なあの国の姿がまざまざとしているというにすぎませんけれども、ああいう国だけに、リーダーがかわってもそれが国全体のかじ取りに大きな、全体を動かすような方向に進むまでに多少の時間が必要なことは理解できるところでありまして、そういう意味で、この米ソ首脳会談の芽を大切に育てていくということで日本の政治家は、政府は大事な役割を配慮していかなければならぬのじゃないかというふうに考えているのです。  広島でというようなことを、相談もなしに人の座敷を勝手に使うような話はいかがなものかという意味合いのおっしゃり方はわからぬではないけれども、広島であれどこであれ、首脳会談を継続的に発展をさせていくというその流れに対しては、やはり大きな理解を日本の政府は常に示して努力をしなければならない。これは防衛庁長官を含めてこの国の内閣の責任だというふうに考えておるのです。いま一度その点の感覚をお尋ねしておきたいと思うのであります。
  108. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 米ソ首脳が会うことは、会うこと自体で意味があって、またそれが継続的に会えるような芽を大切に育てていくべきではないかという御指摘につきましては、私も全く同感でございます。例えばもうちょっと別な話で言えば、日米首脳会談というものがときどき行われますけれども、私もそういう会談に陪席したり、その準備段階を見ておったことがありますが、会談をするということで双方の国が懸案を解決しておこうという努力をするわけでありますね。それはそれぞれの事務当局、政府レベル、各層レベルでそういった動きがかなり頻繁に行われるわけで、そういうのを見ていますと、会うこと自体が意味があるなど思いますけれども、それが特に我が世界の運命を左右する米ソの間で行われるということは、すべてに優先するような重大な利点があるのではないかというふうに私は思います。  そこで、その会談がしょっちゅう行われればいいのですけれども、それが行われないのは、その行うこと自体でお互いがプロパガンダするのではないか、そういった用心、警戒心というものがあるから行われないケースがあるわけですけれども、そういった意味がないように、お互いにプロパガンダについての猜疑心が起こらないようにいろいろ努力しながら、何といいますか、ガラス細工を丁寧に積み上げていくような努力をしなければならないのではないかと思います。広島の今度の件につきましても、そういう意味では若干ソビエトの配慮というものがラフなのではないかなという懸念があって、さっきのようなことを申し上げたような次第です。
  109. 渋沢利久

    ○渋沢委員 米ソ首脳会談のこのリズムを大事にしていくということの高い位置づけと評価を言われることについて、私も全く共鳴するお答えであったと思うのです。その認識が非常に大事である。朝鮮半島の部分を見ましても、決して悪い方向に行っていない。南北の対話、交流がそれなりに、いろいろ薄氷の上を歩くような思いがあるけれども、前へ進んでいることも間違いない。日本と北との非公式ながらの交流が進んだり、韓国との交流、そのいいリズムが日本の周辺で米ソ首脳会談あるいは朝鮮半島の新しい芽へと進んでいる、これは大事にしていかなければならぬ。一歩間違うととんでもないところへ行きかねない危険な要因をはらんでいるこの軍事的な軍備競争のエスカレートする局面を持っているだけに、今私が申し上げ、長官がおっしゃった意味が非常に大事だというふうに思うのであります。  そういう中で一つだけただしておきたいと思いますのは、伝えられるところによると、アメリカの戦艦ニュージャージーが日本に八月に寄港するというのですね。そして、日本海での訓練をやる。今までもやっておったけれども、今までの状況を見ても、アメリカが日本海へ入ってやる、ソ連がそれを大変神経をとがらせて監視的に飛行機を出したりいろいろ動く、また、その反応を見ることによってソ連の側の機動力、反応力というようなものをさらに逆観察する、まさに日本海、水の舞台でそういう軍事相互挑発の展開、綱引きが行われているというふうに思うのであります。これは非常に危険な要素を持っておると思うのです。  あそこでもって軍事訓練をやるということがどこを見据えておるか。ウラジオストクを見据えて訓練をやっておるという意図はもう明らかでありまして、これに日本海上自衛隊の参加を求めるなんということ、またそれが検討されているというようなことがあるとすると、これは重大なことだと私は思うわけですよ。いつごろ寄港されて、いつごろ訓練をされるというような連絡が来ておるのですか。日本海上自衛隊の訓練に対する参加というようなことが検討されておるのでしょうか。
  110. 大高時男

    ○大高政府委員 ただいま先生御指摘の米戦艦ニュージャージーでございますが、これについて海上自衛隊日本海において訓練を行うというような打診は、米側から一切ございません。  なお、ニュージャージーの行動にっきましては、私どもの方ではその様子を承知いたしておりません。
  111. 渋沢利久

    ○渋沢委員 全く何らの打診もない、どんな計画も知らない、そういうことですか。
  112. 大高時男

    ○大高政府委員 ただいま申し上げたとおりでございます。
  113. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そのとおりであれば、そのことについては大変結構なことだと思うのでありますが、長官、今の状況の中でぜひひとつ、挑発的な動きに介入したり乗るようなことのないような配慮をしていただかないと困るので奉ります。  数日前の新聞にも出ましたように、防衛庁の陸自の方の改革計画も、今までの計画をさらに一歩進めて、明らかに地域的には北海道、ソ連の侵略に備えて一層きめの細かい濃密な行動配置のできる体制づくりに整備計画をやる、いろいろ伝えられておるのであります。  ある意味で、やはりこの日本の持ち味、よさというもの、今の経済の力量などを支えてきたものは、申し上げるまでもありませんが、防衛支出においても国会が一%枠というものについて非常な神経を集めて議論をする、そしてこの種の自衛隊の行動についてもさまざまなチェックがさまざまな議会の機関で議論をされる、これは非常に大事なことであります。これで政府が常に水をかけられて、制服組の独走にコントロールを政治がかけていくというこの仕組みとリズムを崩してはならぬ、これが日本の基調です。  ちょっと私、前に自衛隊の関係で働いておられた方の文章の中で、これはいいことを言っているなと思ったのが一つありました。防衛研修所で室長をやっておられた前田さんという方がこう言っておるんですね。「核兵器を積み上げてソ連と鋭く対立し、世界中のあらゆる紛争に首を突っ込んでいる国。それが米国の現実である。どこの国とも軍事的に対立する理由を持たず、経済交流を通じて今日の繁栄を築いてきた国。それが日本の現実だ。米国の現実から生まれた「抑止と均衡」の戦略を日本が鵜呑みにすることは、」いかがなものか。これは防衛の世界で仕事をしてこられた方の、そこを離れて一市民、国民の立場で見た今の防衛に対する感覚だろうと思うのです。私はこれは非常に貴重な意見であるなど思っておるわけでありますが、長官の所感はいかがですか。
  114. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 我が国とアメリカは、日米安保条約によってお互いに防衛関係の同盟関係にあるわけでございますけれども、我が国の政策のあり方、また自衛隊の運用につきましては、あくまでも自主的な判断で行っていかなければならぬと思っております。  それから、先ほどシビリアンコントロールの現状を評価するという御趣旨の発言がございましたけれども、それは大変ありがたいことだと思っておりますし、今後自衛官の方も、戦後の教育を受け、シビリアンコントロールのあり方、日本における防衛のあり方について、特にそういうシビリアンコントロールというようなことが必要にならないぐらい同じような外交的感覚、国際的感覚、そして政治的な感覚を持っていきつつあると思っておりまして、その教育等につきましては、私たちは自信を持っていいのではないだろうかな、こう思って、ますますいい方向に進んでいるのではないかと思っております。  それから、我が国の防衛の整備のあり方につきまして一言だけ申し上げておきますと、先ほどの御質問にもありましたけれども、我が国が装備しておりますのは完全に専守防衛でございますので、我が国の防空ミサイルでも首数十キロしか飛ばないようになっておりますし、長距離爆撃機も持たないようになっております。したがって、私は我が国が節度のある防衛力をやるということが他国に対して脅威を与えるような形にはならぬのではないか。それは最近中国も東南アジア諸国もよくわかってくれて、ソビエトの方が日本の自衛隊のあり方を脅威に感ずるという表現は、私は今までのところなかったのではないかなと思っております。こういった守りに徹した自衛隊の運営を今後ともしっかりとやっていきたいと思っております。
  115. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いささか認識を異にするのですけれども、時間が参りましたので、また改めて質疑をすることにいたします。終わります。  ありがとうございました。
  116. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次に、貝沼次郎君。
  117. 貝沼次郎

    貝沼委員 初めに、防衛庁長官がちょっとおりませんので、その間に陳情をさせていただきたいと思います。  と申しますのは、現在造船不況が深刻でございまして、この造船不況に関する要望書というのがずっと出ております。造船関係都市連絡協議会とか造船関係都市議会協議会の方でいろいろな要望が出ておりますが、私は岡山県なんですが、岡山県の方も例えば玉野市などは造船不況が大変深刻でございます。工業出荷額の八〇%を実は造船関連企業が占めておるというような場所でございます。こういうようなことで、これは別に造船所の要望とかそういうものではなしに、市全体として深刻な状況に今なっておるのです。五十九年度には前年比三〇%も減っておりますし、六十年度は五六%減るのではないか、こういうようなところで、働く人たちの生活も脅かされてきております。  こういったところから、この要望書の中に、「官公庁船等の建造促進」ということで、「造船業及び関連企業の工事量の確保のため、官公庁船、公団船の建造を促進されたい。」こういう要望があるわけでございます。これはもう私が申し上げるまでもなく、御存じのことでございます。  この中で、実は従来玉野あたりでは自衛隊関係の仕事がかなりございました。これで少し助かっておったわけでございます。六十一年度護衛艦二隻で、金額はわかりませんが、大体そういうような予定になっておる。あとは修繕船が年に十何隻ずつあるわけでありますが、この点についてはまだはっきりわからない。こういうようなところから、例年どおりあるいはそれ以上に何とかひとつお考えを願えないだろうかという地元の要望があるわけでございますけれども、防衛庁当局としてはこういう問題についてどういうふうにお考えになっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  118. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 私ども、防衛力の充実を図るという面におきまして、装備面が一つの重要な課題になっておるわけでございます。その防衛力を装備面から見ますと、我が国の産業の力と申しますか、それを基盤としているという面がございます。そういう意味で、我が造船業界が毎年毎年御予算いただいた艦艇の建造について協力をし、努力をしているという点は、私ども多としているわけでございます。しかしながら、毎年毎年の御予算あるいは私どもの調達建造計画というものは、一定の限度、枠がございますので、それをどういう会社にお願いするかという点は、それぞれの生産能力あるいは特色等々によって毎年毎年決めてお願いをいたしているわけでございます。  ただいま御指摘の岡山県の玉野造船所は、三井造船株式会社の所属でございますけれども、従来とも自衛艦の新造船あるいは修理を行っておりまして、私どもと相協力関係にあるわけでございます。例えば契約実績を過去五年間とってみますと、潜水艦救難母艦一隻ですとか、護衛艦について二隻の建造を行っておりまして、その他いろいろございますけれども、合計約五百三十億円の契約をいたしているわけでございます。そういうことでございますから、私ども防衛庁あるいは海上自衛隊にとりまして重要な造船所であると認識をいたしているわけでございます。私どもといたしましては、今後ともこのような認識の上に立ちまして自衛艦の建造あるいは修理を行っておるわけでございますので、その一環としてこの造船所につきましても常に関心を持ち、注目をし、また御協力関係というものを維持していくというふうに私ども考えているわけでございます。
  119. 貝沼次郎

    貝沼委員 どうもありがとうございました。  それでは、先ほども質問で出ておりましたが、報道によりますと、巡航ミサイル・トマホークを搭載した米軍の戦艦ニュージャージーが今年八月日本に寄港する見通しと言われておるわけでございます。これはあくまでも報道でございます。また、「四月十八日に長崎県佐世保市を訪問した米太平洋艦隊副司令官H・ハーディステイ中将が「西太平洋で訓練の計画があり、その際、日本のどこかに寄港させたい」」、こういう寄港意図を明らかにしたと伝えられております。  この点につきまして、まず、寄港する見通しとありますが、こういうことは事実あったのかなかったのか。先ほど局長は、米側からは一切ないという答弁でありましたが、この寄港という点についてあったのかなかったのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  120. 西廣整輝

    西廣政府委員 米艦の寄港等については外務省の所掌でございますので、外務省の方にあったかなかったかということを改めて問い合わせてみなければいけませんが、少なくとも私どもの方には、現在までのところ外務省の方からニュージャージーが寄港するという旨の通報はございません。
  121. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、この佐世保市での発言に対して、これは事実であったのかどうか、また、事実であるとすれば、防衛庁としてはどのように受けとめておられますか。
  122. 西廣整輝

    西廣政府委員 私、あいにく佐世保市におけるその発言について十分承知しておりませんので、真偽のほどをはっきり申し上げるわけにまいりませんが、一般的に申し上げまして、実はこれも新聞でいろいろ報道されておりますけれども、ミッドウェーという横須賀を母港としている航空母艦がございますが、これが近く大改造といいますか、かなりの期間ドックに入るという事実がございます。そういうことになりますと、北東アジア地域におけるその種の抑止力を持つ部隊というものが一時的にお休みになるわけでございますので、その間何らかの形で、航空母艦なりあるいはニュージャージーかもしれませんが、そういったものが北東アジア地域の海域に遊よくすることはあるかもしれないというような感じを受けております。
  123. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、こういう報道がありますので、私は全然火の気のない話ではないと思うわけですが、もしそういう日本に寄港したいという要請があった場合、どういうふうに対処しようかというようなことは検討されておるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
  124. 西廣整輝

    西廣政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げたように外務省の所掌でございますので、防衛庁として検討いたしておるというような事実は全くございません。
  125. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからさらに、十四日、防衛庁筋の話として、戦艦ニュージャージーは日本海で訓練を行う方針であるとか、あるいは海上自衛隊も参加するよう打診があったとか、この事実も全くありませんか。
  126. 大高時男

    ○大高政府委員 米側の訓練の計画については承知をいたしておりませんし、ただいま先生御指摘のような申し入れ等はございません。
  127. 貝沼次郎

    貝沼委員 それじゃ、全然なければ話になりませんので、次の問題に移ります。  もう一点は、昨年来、自衛隊艦隊が今春ごろ韓国を親善訪問するらしい、こういうふうに言われてきておったわけでございますが、これについてどのようにお考えでしょうか。
  128. 大高時男

    ○大高政府委員 韓国との間の海上自衛隊の艦艇のいわゆる親善訪問でございますが、これは両国の友好のために行うというのが趣旨でございますが、現在までのところ、具体的な計画はございません。
  129. 貝沼次郎

    貝沼委員 具体的計画がないというわけですが、具体的までいかなくても、例えば希望とか、あるいはこういう方向で検討しておるとか、そういったものがありましたら御答弁願いたいと思います。
  130. 大高時男

    ○大高政府委員 いわゆる練習艦隊でございますが、これにつきましては、できるだけいろいろな国を訪問するというのが友好親善、相互理解の増進のために役立つわけでございますけれども、現在のところ、具体的に検討するような状況と申しますか、そういうものはないというところでございます。
  131. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからさらに、昨年五月、当時夏目防衛事務次官でありますが、訪中し、日中防衛交流が本格化する動きがあったように見えたわけでございます。この訪中後の影響あるいはその後の考え方、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  132. 瀬木博基

    ○瀬木政府委員 先生よく御案内のとおり、現在日本と中国とは、各方面におきまして極めて友好的な関係にございます。防衛方面につきましては、その中において、日中関係の一層の相互理解を深めるという観点から、人的な交流を徐々に推し進めておるというのが実態でございます。  先生が御指摘になりました夏目前次官の訪中というものもございますが、また中国からも国防部長がかつて日本に立ち寄りをしたこともございますし、来週には楊得志総参謀長が日本に立ち寄ることになっております。そういうようにいたしまして、日中間の国防関係者が人的な交流をすることによって相互理解を深めるということは、日中関係の全体の友好関係の中で重要なことではないかと考えております。
  133. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、時間も制約されておりますから、SDIの問題に移りたいと思います。  SDI、米国の戦略防衛構想でありますが、このSDIへの我が国の研究参加問題については、関係閣僚会議でこれまで二回検討されております。防衛庁長官関係閣僚会議の一員になっているわけでありますが、これまでの検討の経過について質問したいと思います。  まず、その検討のやり方でありますが、これは参加することを前提として検討、論議がなされておるのかどうか。例えばそのための有利な条件はどうだとか、あるいは歯どめ策はどうだとか、参加の仕方がどうだとかというようなことで検討されておるのか。それとも単なるSDIに参加するかしないか、要するにそういう条件までを考えないで検討だけしておるということなのか。この辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  134. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 SDIに関しましては、先生御承知のとおり、昨年三月にワインバーガー米国防長官からSDI研究参加招請の書簡が我が国外務大臣あてに来ているわけでございますけれども、外務省が中心になりまして、防衛庁も政府の一員として通産省、科学技術庁ともどもこれの検討に参画しているわけでございます。  ただいま先生おっしゃいましたような参加を前提としてということでの検討ではございません。例えばアメリカにおけるSDI計画のそもそもの構想の背景は何だろうか、あるいはその技術的な可能性についての研究計画であると言っているけれども、アメリカではどんな分野での技術を研究しているのか、使用しているのであろうか、あるいはこれが持つところの米ソの核戦略、軍備管理交渉等の問題について我が国の防衛に与える影響はどういうものであろうかというようなことを現在政府部内で検討しているわけでございまして、参加を前提としたものではございません。
  135. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは従来の米側の説明、例えば報道によると、レーガン大統領の説明としては、SDIは非核兵器であり、防御的なもので、最終的には核全廃につながるとしておるわけであります。防衛庁長官お見えになりましたが、長官は、この非核兵器であり、核廃絶につながるという説明に対して、このとおりと受けとめていらっしゃるのか、それとも別の判断認識を持っておられるのか、所見を伺いたいと思います。
  136. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 今構想しておられるものは、いわゆる非核であり、防御的なものであり、最終的に核を廃絶に持っていくものとして立てられているということは、私は事実だと思います。ただ問題は、それが本当に構想どおり進むのかどうかというようなことから始まって、幾つかの問題点があるのだろうと思います。人類のいわゆる武器の開発競争というのは、常に防御するものとそれを凌駕するような攻撃力の開発とのシーソーゲームみたいなところがあるわけでございますが、そういった意味で本当にトータルなディフェンスシステムができ上がるのかどうか、それがどういった戦略上の意味を持つのかを検討しなければならないことなのだろうと思っております。
  137. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういたしますと、現在説明を受けている範囲では、目指すものはそうであろうけれども、しかしそのとおり進むかどうかそこのところにはやはり疑義がある、疑義があるというのはちょっと語弊があるかもしれませんが心配な点がある、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  138. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 疑義があるということは的確でないような気もいたしますけれども、それが本当に技術的に可能なのであろうかといった側面と、それを研究する段階においてどんな問題点があるのかを、今各種制度面も含めて詰めているところでございます。
  139. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、説明説明として一応認めます。ところが、SDIの第三次官民調査団の報告によりますと、SDIは非核兵器であると報告は明確に示されていないと思います。その理由は、非核兵器であるという明確な根拠確認ができなかったということではないかと思うわけでございます。したがいまして、アメリカの説明を、そういう方向でいくのならそういうことかいな、こう受け取るだけでなく、やはりSDIというものを認識する上においてはそういう明確な根拠確認というものが必要になってくると思いますので、防衛庁としてはそういうものをどうやってつかまえようとするのか。つまり非核兵器であるという一つの確証ですね。こういうものは今後どうしてつかもうとするのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  140. 筒井良三

    ○筒井政府委員 ただいま先生おっしゃられましたように、SDI研究計画に関する官民合同調査団報告の中に非核だということをはっきりうたってないじゃないかという御指摘がございましたけれども、私も調査団の技術担当の一員として行ってまいりましてこの作成にもかかわっておりますけれども、当然非核だという大前提で書いておりまして、中をごらんいただくとわかりますけれども、ウエポンとして大きく分かれて、運動エネルギー兵器と指向性エネルギー兵器とこの二つがウエポンになります。それからセンサー類、いろいろなものがございますけれども、この中に核兵器ということは一つも入ってないということはごらんいただけると思いますし、冒頭「非核の防御的手段により弾道弾を無力化」するというはっきりしたアメリカの姿勢も書いてございますので、その点はよろしく御了解賜りたいと思います。  純技術的に言いますと、私どもの知っている範囲で、核爆発をこのウエポンのエネルギー源にしようというたった一つの研究計画がございます。これはエックス線レーザーでございますけれども、米側の説明によりますとソ連側もこのような研究を実施している可能性がある、したがいまして、もしソ連がこのような兵器を実現化した場合に対処するために技術的な研究だけは行っていくのだ、そういう説明を受けております。  あらゆる他の研究計画は、核爆発というものは一切使用しないという大前提でやっております。先生御存じのように、ICBMを防御しますのに、きょう現在モスクワの近所に六十四基のミサイルを持っておりますけれども、これは核弾頭を使いまして入ってくるICBMを吹っ飛ばしてしまおうというものでございますが、そういうものをもし使えるのであるのなら、SDIというものは非常にやさしい技術になってしまいます。  きょう現在何に苦労しているかというと、ICBMの飛行の多層防御といういろいろな段階におきまして、核を使わないでいかにそれを直撃するか。例えばレーザーを使う場合には〇・〇五マイクロラジアン、これは千キロ先で十センチの誤差しか許されない、そういった精度が必要であり、あるいは最近成功しておりますところのホーミング・オーバーレイ・エクスペリメントというのがありますけれども、これは大気圏に入る直前のところでエリマキトカゲみたいな小さなミサイルが直接相手と当たって、爆薬すら用いないで直撃してそれを無能力化する、そういった実験等もやっております。  きょう現在SDIで行われておる研究計画のすべては、核の爆発ということを伴わないでどうやってこれを迎撃するかというところにすべての焦点があるというぐあいに私ども調査団一同理解した次第でございます。
  141. 貝沼次郎

    貝沼委員 大変詳細にありがとうございました。  その次は、SDIは防衛兵器であるという認識であり、専守防衛という日本の基本的な防衛政策と合致するという基本認識で一致したと伝えられておるわけでありますが、この点は間違いありませんか。また、SDI研究参加は日本の従来の防衛政策と矛盾しないという新しい判断を示したことになるのではないかと思いますが、この点はそのとおりですか。
  142. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 SDIにつきましての関係閣僚会議が、先日第二回目のものとして行われました。そのときもそうですし、第一回目もそうなんですけれども、基本的なある種の認識の一致とか合意というものはまだできておりません。いろいろな論点について、この点についてはどう考えるべきかというようないろいろな角度から議論をスタートしたばかりでございまして、結論めいたものは、別に隠すわけではございませんけれども、今のところ全くございません。  例えば専守防衛に合致するのではないかというようなことは、仮にそのコンセプトが本当にできるならば、そして理想的な形でできるならば、完全に守りに徹していかなるものをもはねのけてしまうということになれば、それはもう全世界が攻撃兵器を持っても意味がないわけですから、そして、それは当然のことながら守りに徹する我が国の原則に合致するわけですけれども、しかし、本当にそれが実現可能であろうか、それが中途程度でできた場合にどういったインパクトがあるのか、影響するのか、そんなところを議論し合っている段階であります。
  143. 貝沼次郎

    貝沼委員 今度は句点か個別に伺ってまいりたいと思います。  SDI研究にもし参加するということになれば、当然問題になってくるのは、例えばスパイ防止法というような考えではなく、それと逆に機密保護の問題があるのではないか。せっかく開発した先端技術の民間利用に米国の機密保護法の網をかぶせられて、汎用品を第三国に輸出しようとするとき規制をかけられるのではないか、これで国益が損なわれないのかという心配が業界にはあるわけでございます。こういった点については検討されておるのでしょうか。
  144. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 ただいまのところ、技術的な面あるいは戦略的な面といったものを関係閣僚会議で第一回、第二回と御討議をいただいた点は、加藤大臣御答弁のとおりでございます。また、アメリカヘのいろいろの調査団、これは主として技術的な面を中心といたしておりまして、まだ制度面、今先生御指摘の秘密保護の問題でございますとか成果の利用の問題でございますとか、いろいろ課題はあろうかと思います。これはこれからの検討の課題でございまして、ただいま私ども、アメリカ側とこういった点についてのいろいろな話し合いというものは、従前はまだ行っておりませんが、これからはいろいろ情報収集する課題であろうかと思っております。
  145. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、確かにこれは重大な問題だと思います。何もこのことだけでなくて、例えば米国と西独との取り決めの問題もありまして、西独の方が困っておる、ハイテクの覇権ができ上がるのではないかというような問題もあるわけでございます。そういった担保をどうするのかという問題もありますが、それは今後研究していただくことにいたしまして、もう一点は、昭和四十四年五月九日、国会において決議されましたわが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議とのかかわり合いでございます。SDIの研究に参加することとこの国会決議の「平和の目的に限り、」という精神にもとるのかもとらないのか、こういった点がこれからの議論になると思います。予算委員会等でもこの問題は出たわけでありますが、どうもはっきりしないで終わったようなところもありますので、改めて長官にこの点についての御見解を承っておきたいと思います。
  146. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 ただいま先生御指摘の昭和四十四年の宇宙の開発利用に関する国会決議につきましては、今国会におきましても、内閣総理大臣初め政府としてこれを尊重していくということは従来から答弁をしているとおりでございます。  さて、この国会決議とSDIの研究参加というものにつきましての関係でございますけれども、先般来私どもSDIの実態を研究し、関係閣僚会議においてもディスカッションしているという状態でございまして、我が国の対応ぶりというものにつきましてあらゆる角度から慎重に検討している最中でございますので、この国会決議との関係につきましては、ただいまのこれを尊重するという方針のもとで、対応ぶりにつきいろいろな角度で検討中の課題でございます。
  147. 貝沼次郎

    貝沼委員 確認をしておきたいと思いますが、尊重するという言葉の中身は、国会決議の解釈は国会がやり、政府としてこの解釈はやらないで尊重する、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  148. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 国会決議というものはいろいろございますけれども、ただいま先生おっしゃいましたように、国会決議というものの有権解釈というものは国会にあると私ども思っております。しかし、この国会決議というものがそれぞれの行政上の判断においてどういう意味を持っているのだろうかということは、時々私どもとしての意見、解釈の仕方は私どもなりに持っておりますけれども、国会決議というものに関しましては政府としてはこれを尊重することを、総理大臣初め今国会においても常日ごろ御答弁申し上げているとおりでございます。
  149. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後に一言だけ、この研究に参加するかしないかという結論は、いつごろをめどに出そうとなさいますか。
  150. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 現在のところ、いつまでに結論を出すというデッドラインというものを特に設定して閣僚会議は進んではおりません。いろいろな角度から検討しなければならないと思いますので、慎重に各論点を詰めていきたいと思います。それは、我が国の防衛政策上また戦略上、それから我が国の技術開発と将来に向けての話とか種々の問題点がありますし、また自由主義諸国における協調の問題とか幾つかございますので、それを早々の間に決定するというようなことではございません。
  151. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  152. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次に、玉城栄一君。
  153. 玉城栄一

    玉城委員 ちょっとお伺いいたしたいのは、急激な円高・ドル安によりまして、米側も在日米軍基地予算関係も相当影響が出ているのではないか、こう思うわけでありますが、これは外務省の方にお聞きした方がよろしいのでしょうか。米側が、在日米軍基地維持のために年間どれくらいの予算を組んでいるのか。これは六十年、それから五十九年、五十八年、この三年分ぐらい。外務省の方、いらっしゃいますでしょうか。
  154. 岡本行夫

    ○岡本説明員 在日米軍駐留経費についてのお尋ねでございますが、私どもが把握しておりますところでは、一九八五会計年度では二十五億ドル、これは日本円に換算いたしますと、レートのとり方によって変わってまいりますけれども、当時の一ドル二百四十円というレートで換算すれば約六千百二十億、現在の百六十円で換算すれば四千八十億円となります。  さかのぼりまして、八四会計年度は二十二・八億ドル、八三会計年度が二十三億ドル、八二会計年度が二十三・四億ドルでございます。
  155. 玉城栄一

    玉城委員 ちょっとその前に防衛施設庁の方に伺いたいのですが、いわゆる日本側の負担する予算、言われている思いやり予算、これも三年ぐらいで結構ですけれども、ただ思いやり予算と言われるものを日本側が負担するというふうになったいきさっと、どういう部分を日本側が負担しているのか、その辺の概略を説明いただきたいのです。
  156. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  思いやり予算の経緯は、五十三年、当時円が百八十円ぐらいになったことがございまして、在日米軍の経費が逼迫をした、それから、地位協定によりまして米側が負担すべきでない経費、それについての日本側の提供施設整備及び労務費の負担、こういうことで、労務費については五十三年度から、提供施設整備については五十四年度から始まっております。  この提供施設整備につきましては、原則といたしまして当時から行っておりますのは、地位協定上は安保条約第六条によりましていろいろな施設を含むわけでございますが、主として生活関連施設、住宅であるとか宿舎であるとか、その他周辺対策、環境整備、すなわちハッシュハウスと呼んでおりますけれどもエンジンの音を消す装置であるとか、管理棟であるとか、こういうようなものを担当をいたしております。最近では貯油タンク等も次第にこれに含まれるようになってきておりますが、御承知のように、米側の人事政策が徴兵制から志願兵制に変わったということ、それから海兵隊の家族海外帯同基準が緩和をされた、こういうことから、今一番重点は住宅建設に志向されております。  労務費の方でございますが、これはプリベーリングプラクティスという考え方、すなわちその国で行われておる標準的な給与を基準といたしまして、米側が米軍駐留に必要な経費、人件費を負担をしてまいったわけでございますが、日本の場合は、プリベーリングプラクティスの基準は国家公務員の給与ベースでございます。しかしながら、駐留軍労務者と申しますのは将来の保証がないものですから、非常に割高だったわけです。それで、それを公務員並みにいたしますと駐留軍労務者に不利益がある。こういうところから、国家公務員の基準を超える米側が負担すべきでない経費、例えば格差給であるとか語学手当であるとか、それから雇用者負担の社会福利費、こういうものを日本側が負担をする、こういう仕組みに相なっております。  なお、駐留軍労務者の総数は今約二万一千名でございますが、この雇用形式は間接雇用という形になっておりまして、この雇用主は法によりまして施設庁長官ということになっておりまして、公務員給与のべースアップがあるとき、これは同劇同率という基本条件でベアをしていく。先般のように給与制度の改正があった場合も同様でございます。
  157. 玉城栄一

    玉城委員 ですから、さっきの三年分ですね、六十、それから五十九、五十八の日本側負担のいわゆる労務関係施設関係負担、ちょっと教えていただきたいのです。
  158. 平晃

    ○平政府委員 お答えいたします。  過去三年でよろしゅうございましょうか。——五十九年度、六十年度、六十一年度について申し上げますと、まず提供施設整備費でございます。五十九年度五百十三億三千四百万、六十年度六百十三億三千七百万、六十一年度六百二十六億八千三百万。それから労務費関連でございますが、五十九年度百七十九億七千四百万、六十年度百九十三億二千八百万、六十一年度百九十億六千七百万。以上でございます。
  159. 玉城栄一

    玉城委員 これは外務省の方になるのでしょうか。先ほど米側の八五年で二十五億ドルということ、これは二百四十円ベースで六千百二十億円、百六十円ベースで四千八十億円、こういうことですが、これは細かく計算するとあれですが、大体ドル安の目減り分ですね、およそ三分の一ぐらいというふうに大ざっぱですけれども見た場合に、従来のその米側の経費の中の約三分の一は上乗せしないと従来どおりの維持ができない、こういうふうに理解してよろしいのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  160. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先ほど御説明いたしました数字は、在日米経費の総額でございまして、もちろん大部分は、ドルで払われる米軍人、米軍属の人件費等があるわけでございます。したがいまして、為替変動によります米側の負担増というのを一概に総経費との関係で申し上げることはできないかと思いますが、労務費について見ますと、先生の御指摘のとおり大体三割、現在、先ほども御説明ございましたが、約九百億円の労務費の米側による負担と推定されまして、それがさらに約三百億円、二百四十円から百六十円に円レートが上昇したことに伴いまして、米側の負担増となっておると推測されます。
  161. 玉城栄一

    玉城委員 この思いやり予算ですね、地位協定の中で現在ぎりぎりの線で日本側が負担しているわけでありますが、こういうドル安ということによって、日本側がその部分さらに現在よりも負担をカバーしていく、あるいはそのうちの幾部分かを負担していく、そういう考え方でいるのかいないのか、その辺はどうなんでしょうか。
  162. 岡本行夫

    ○岡本説明員 私どもも実は仕組みについて詳細には承知しておらないのでございますが、米軍は為替変動調整基金というものを有しておりまして、諸外国におきます為替変動の差損分、差益分はそこでやりくりして、大体のところ収支を合わせている、そこで調整しているというふうに理解しております。  労務費につきましては、これまでも政府側からたびたび御答弁申し上げてまいりましたけれども、これまで地位協定の範囲内で精いっぱいのものを負担してきたと考えておりまして、これ以上の負担は困難かと存じます。また、地位協定をそれでは改定するのかという御示唆もございましょうけれども、私どもとしては地位協定の改定は全く考えておらないところでございます。
  163. 玉城栄一

    玉城委員 ことしの一月、ハワイの安全保障事務レベル協議で、米側が日本側の思いやり予算について何らかの要望があったのかなかったのか、その辺、いかがでしょうか。
  164. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  ハワイ会談に私は出席いたしませんでしたが、出席をいたしました次長の報告によりますと、なお一層のコストシェアリング、日本側の駐留支援を期待する、こういう一般論はございましたが、具体的な要求はなかったと承知しております。
  165. 玉城栄一

    玉城委員 地位協定も改定する意思は全くない。したがって、これ以上日本側が負担を増額するということも考えてない。しかし、アメリカ側は事務レベル協議で、一般論であるけれどもさらに期待をする。こういうことであるわけですが、先ほど長官もおっしゃられた二万一千名、いわゆる在日米軍基地の日本人従業員、そのうち沖縄に相当数いると思うのですが、これは何名でしょうか。
  166. 岩見秀男

    ○岩見政府委員 お答えいたします。  沖縄県に勤務する従業員は、従業員総数二万一千百十七人のうち七千四百六十七人でございます。
  167. 玉城栄一

    玉城委員 約七千五百名ですね。これはちょっと、ちょっとどころじゃなく相当心配なのは、こういうドル安で、目減りの三分の一は、米側のいわゆる労務関係予算はさらに増額しなければならない。同時に今度は、一般論であるけれども日本側にそれを期待する、しかし日本側というのは、地位協定上これはぎりぎりで、これ以上の増額はない。ところが、先ほどの岡本さんの御説明では、アメリカ側は為替相場変動調整云々でやっているのでということですが、心配なのは、率直に申しまして、そういうことで解雇だとかあるいは時間短縮、極端な例としてそういうことが出てくると、現状のアメリカの持つ予算の中で、その目減りした状態で労務費はそれだけしか出せないとなりますと、全体では二万一千、沖縄では七千五百、七千五百の三分の一というのは二千五百の人が、これは極端論ですけれども、解雇ということも考えられるのかなということで、それが非常に心配なので、その点、どちらでも結構ですけれども、そういうことはない、ちゃんとアメリカ側と話し合いしてそういうことをしてない、ただし日本側は負担しない、その点はどういうふうな日米間の話し合いがされているのか、お伺いいたします。
  168. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、日本政府が米駐留軍の所要の労務者を雇用するという間接雇用の形式をとっており、かつ、同時同率という原則によって国家公務員並みの処遇をしておるわけでございます。現実に円高・ドル安の中におきまして、御承知のように六十年度につきましては五・七四%という人勧がございまして、また、二十年ぶりになりますか、給与制度の見直しがございまして、等級、号俸等の新設がございました。これをめぐりまして、在日米軍司令部の労務部と間接雇用の雇用主である施設庁長官及び施設庁労務部との関係で鋭意折衝を行いまして、この五・七四のベア及び等級、号俸の新設については同時同率の原則でもって米側がこれを承知した、こういうことでございます。  また、解雇するんではないか、時間短縮するんではないか、こういうことでございますが、まじめに働いておる駐留軍労務者の権利、これを守りますのが御用主の責任でございますので、この点については、私どもの知らないうちに、あるいは意思を無視して解雇が行われるということはない仕組みになっており、先般、神奈川の横須賀のネービーエクスチェンジあるいは沖縄等におけるいわゆるPXなんかの労働者のパートタイマーの比率をふやすとか、あるいは各週の勤務時間を減らすという動きが若干出たことがございますが、これも適切に対処をいたしまして労働者の権利を守った、こういう経緯でございます。
  169. 玉城栄一

    玉城委員 非常に気になる点でありましたので、これは単純にドル安になることによって三分の一といっても、二万一千のうち七千、沖縄では七千五百のうち二千五百、これに連なる家族というのは大変で、特に沖縄の場合は非常に失業率が高いわけですね。そういう点はちゃんと米側とそういうことはないという確約がされている、いわゆる米側の負担によってドル安の分は全部プラスをしてやっていく、こういうふうに理解してよろしいわけですね。もう一回確認しておきたいのです。
  170. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  昨年米側と交渉に当たりました際も、米側から解雇の問題とか時間短縮の問題とか、公式の場では一切そういう要求が出たことがございません。五・七四あるいは等級、号俸の新設について、もう少し低くならぬか、こういう交渉は確かにございましたが、これも同時同率の原則という日本政府の基本方針を貫きまして、先ほど申し上げましたように米側も全面的にこれを認めた、こういう経緯がございまして、私ども制度上の間接雇用の雇用主として最善を尽くしてまいりたいと思っております。
  171. 玉城栄一

    玉城委員 以上です。
  172. 角屋堅次郎

  173. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 東京防衛施設局が発行した「艦載機着陸訓練場」というパンフレットによりますと、その中で、「艦載機着陸訓練とはどんな訓練か」ということでタッチ・アンド・ゴーについていろいろ述べておりますが、「この訓練は主に夜間に行われます。」こう書いてありますね。同時に、昨年の十月十八日、三宅村の寺沢村長に渡した説明書を拝見いたしますと、これにも主として夜間のみと書いてあります。  主として夜間のみというのは、昼間でもタッチ・アンド・ゴーが米軍の必要性によってはあり得るということを念頭に置いたものかどうか、この点についてまずお聞きしたいと思います。
  174. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  タッチ・アンド・ゴー、離着艦訓練という概念から申し上げますと、居間もあり得るということでございます。これは地位協定上、提供施設において米軍が必要な訓練を行うことは認められておりますので、昼間のタッチ・アンド・ゴーはあり得ます。  しかしながら、夜間離着艦訓練ということで御説明する場合には、文字どおり夜間の離着艦訓練、それもミッドウェーの艦載機の夜間離着艦訓練でございますので、おおむね日没後午後十時まで、これが現在行われておる厚木の実情でございまして、ミッドウェーの場合は夜間のみということになろうかと思います。昼間に行われるのはその他の一般の訓練、こういうことで御理解いただきたいと思います。
  175. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 主として夜間のみということは、昼間もあり得ることを念頭に置いたものだということを御答弁いただいたものと理解いたします。  それから、ことしの四月十四日に参議院の決算委員会で、我が党の下田議員の質問に対する平防衛施設庁総務部長の御答弁の中に、今の夜間の問題について、「現に厚木飛行場で十時以降も、夜中もNLPの訓練、タッチ・アンド・ゴーの訓練をやったという事実はございません。」こういう断言した御答弁があるのでありますが、この御答弁は根拠があってのお話でございましょうか。
  176. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  厚木飛行場におきます航空機の飛行時間につきましては、昭和三十八年九月、日米合同委員会におきまして、運用上緊要と認められる場合を除いて二十二時までとなっております。先生おっしゃられます夜間の着陸訓練につきましては、五十七年以降も二十二時までに行われておりまして、それ以降の訓練を行ったことはございません。
  177. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私の手元に厚木飛行場所在の大和市が発行した「大和市と厚木基地」という本がございます。この本を拝見いたしますと、「昭和五十七年二月から行われた艦載機の夜間離着陸訓練による騒音は一段と激しく、市民からの苦情も増加している」、そういう点で、「本市の騒音を把握するため、県と市では、市内五ケ所に自動記録騒音計を設置し、年間を通して二十四時間の騒音測定を行っている。」こういうことを書いて、その中でいろいろな調査地点でやったものを報告しているわけであります。  それを見ますと、例えば滑走路から北側三キロの地点で見ますと、七十ホン以上の音が五秒以上継続したものの測定結果がここに出ております。二十二陣から二十四時までの深夜が八二年、つまり昭和五十七年では七十回あります。八三年、昭和五十八年では七十七回となっています。八四年、昭和五十九年ですが、百五回にもなっているのですね。  これは測定結果の数字でありますが、そうすると、これはみんなうそだということになるのですかな。同時に、この大和市は、私いろいろ調査したわけでありますが、深夜の騒音は、民間機がこの時間帯に通過することはあり得ない、はっきり言っているのですね。大和市が言うには米軍機と自衛隊機による音だというのでありますが、念のために自衛隊の方の関係者からちょっとお聞きしたわけでありますが、自衛隊機は緊急以外にこの時間帯は飛ばないことになっているというお話であったようであります。こうなれば米軍機しかないのではないか、つまりあなたの御答弁はおかしいのじゃないか、こういうことでありますが、いかがですか。
  178. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  今御指摘の年度で二十二時を超えた例といたしまして、たくさんございますけれども、三月三日は二十二時二分であった、あるいは五十九年八月六日は二十二時四分であった、一番遅いのが六十年五月八日でございますが、二十二時八分。これは風向きだとかそのときの空港の込みぐあいとか、そういうことで若干二十二時を超えてNLPの最後の着陸が行われた事実はございます。二十二時ぴったりに全部終わっているということではございませんが、これは着地の安全上のためにやむを得ない処置であろうかということが一つ。  もう一つは、実はミッドウェーの艦載機訓練を厚木だけにお願いしたのでは周辺に御迷惑があるということで、米側と交渉をいたしまして、米側は訓練効率が悪いということで余り賛成ではございませんけれども、三沢、岩国において一部実施をいたしておるわけでございます。これが三沢、岩国での訓練を終えて帰ってきた場合に二十二時を超えて着陸する、こういうことで、二十二時を超えた後爆音が出ることが若干ございます。
  179. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大和市の時間帯の分析は、二十二時から二十三時までの調査、二十三時から二十四時までの調査、深夜を二つの段階に分けて調査しているのですね。各年度のそれを見ましても、昭和五十七年では、二十二時から二十三時は四十九回、二十三時から二十四時は二十一回になっているのです。次の年では、二十二時から二十三時は五十四回、それ以降の深夜は二十三回、それから昭和五十九年には、二十二時から二十三時までが八十一回、二十三時から二十四時までが二十四回になっているのですね。  そうすると、あなたの今の御答弁では、岩国や三沢その他から帰ってくるものがどうだと。しかし、二十三時以降にはならないはずなのに、これは一体どういうことなんですか。
  180. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先生のお尋ねが夜間離着艦訓練、タッチ・アンド・ゴーがどうなっておるかということでございますので先ほどの御答弁を申し上げましたが、厚木飛行場はタッチ・アンド・ゴー、離着艦訓練だけではございませんで、日常の業務、すなわち連絡業務とかミッションフライトでもって飛んでおったものが帰ってくる、そういう在日米軍の訓練以外の所用による夜間着陸にも使われておりますので、夜間に着陸をするということはあり得ると思います。
  181. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 下田議員の質問に対する答弁では、まずタッチ・アンド・ゴーの問題にも触れておりますけれども、「厚木飛行場で十時以降も、夜中もNLPの訓練をやったという事実はございません。」こういう答弁になっているわけであります。この点は、今の答弁の範囲内では何か要領を得ないわけでありますが、この点について余り時間をとるのもなんでありますので、一応別の問題に移らせていただきます。  米軍機は民間空港でタッチ・アンド・ゴーの訓練は許されていないと思いますが、まずこの確認からお伺いしたいと思います。防衛庁があるいは外務省でも、どちらでも結構です。
  182. 岡本行夫

    ○岡本説明員 日米安保条約及び地位協定に基づきまして、私どもは在日米軍のために施設区域提供しているわけでございます。したがいまして、施設区域内において行うことが可能であり、かつ期待されている種類の訓練を、施設区域外でとることは適当でないということは一般的に申し上げられると思います。個々の訓練につきましては、その態様に即して具体的に考えていくよりほかないと思います。  タッチ・アンド・ゴーの訓練につきましては、タッチ・アンド・ゴーの訓練そのもの自体は、今市し上げましたような仕組みから、地位協定でそれを民間の飛行場でやることは想定していないところでございます。ただ、地位協定の第五条は、米軍に対しまして、地位協定上出入りを必要とする民間飛行場への出入りを認めております。したがいまして、その前提といたしまして、最小限必要とされる慣熟飛行として、タッチ・アンド・ゴーを行うこと、このことは地位協定で米軍に認められた権限の範囲内かと存じます。
  183. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 民間空港での米軍のタッチ・アンド・ゴーは適当ではない、米軍地位協定もそのことは想定していないということですね。しかし、想定していないということは、民間空港でタッチ・アンド・ゴーをやれば地位協定に違反するかどうか、そこのところを聞いているのでありますが、いま一回、簡単にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  184. 岡本行夫

    ○岡本説明員 ただいま御答弁申し上げましたとおり、タッチ・アンド・ゴーの訓練そのものを民間の飛行場で行うことは、これは地位協定の想定していないところと考えます。ただし、地位協定の五条に基づきます米軍に対して与えられております出入りの権利、これを実効ならしめるために、個々の民間飛行場にかかわる種々の条件、地理でございますとか管制のパターンでございますとか、そういったことに十分慣熟することを目的として、このタッチ・アンド・ゴーがあくまでも慣熟飛行として民間の飛行場で行われること、これは地位協定の範囲内というのが私どもの解釈でございます。
  185. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、ただしの方を聞いているのじゃなくて、一応地位協定で想定していないということは許されないということと同じことだと思いますが、それは違うのですか、許されるのですか。
  186. 岡本行夫

    ○岡本説明員 繰り返しの御答弁になり、恐縮でございますけれども、あくまでも個々の具体的な事例の態様に即して私ども判断していくより仕方がないと思います。  タッチ・アンド・ゴーの訓練そのものは、民間飛行場では行うことは想定されていないけれども、それが慣熟飛行として行われるものであれば、これは地位協定の範囲内というのが私どもの考えでございます。
  187. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 慣熟飛行云々の問題については後でまたやりますけれども、そんなことを聞いたわけではないのですからね。  それで、一昨年、一九八四年の十一月二十九日に米軍機が三宅島でタッチ・アンド・ゴーをやったが、この問題について我が党の岡崎万寿秀議員が質問主意書を出しまして、その政府答弁書によりますと、米側は「今後、いかなる民間空港においても、日本政府の事前の同意なくしてこの種の訓練が行われることはない旨明らかにしている。」こう述べております。  民間空港で米軍がタッチ・アンド・ゴーの訓練をしたい、こう通告すれば、こういう今の米軍の見解からいたしましても、日本政府が、はい了解しました、こう言ってやれる性質のものではないはずだと思うのですね。日米合同委員会で例えば基地提供合意したとすれば話は全く別でありますけれども、そういうこともやらないで、ただ政府の同意があればタッチ・アンド・ゴーをやれるということではないと私は思うのですけれども、この点については政府の見解をやはりはっきりさせておかなければならないと思うのです。いかがでしょうか、大臣。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理着席〕
  188. 岡本行夫

    ○岡本説明員 御指摘のとおり、政府といたしましては、岡崎議員の質問主意書に対する答弁書の中で、「米軍に提供された施設区域外で米軍がタッチ・アンド・ゴーの訓練を行うことは、日米地位協定上予想されていない」云々、「今後、いかなる民間空港においても、日本政府の事前の同意なくしてこの種の訓練が行われることはない旨明らかにしている。」と述べているわけでございます。  その後、米軍とは随時この問題につきましても協議ないし非公式な話し合いを行っておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、米軍は、先ほど来答弁申し上げております我が方の地位協定上の解釈を十分理解しており、したがいまして、地位協定の五条で認められないようなタッチ・アンド・ゴーの訓練がその後行われたとは私ども承知しておりません。
  189. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 当然のことですが、民間空港での米軍のタッチ・アンド・ゴーの要請には、以上の趣旨からいたしましても、いかなる同意も与えないことを言明しておく必要があると私は思うのです。  今御答弁の中で、そういう点でその後の状況が、アメリカ側の意向がはっきりしたのでやられていない、こういうような御趣旨の御答弁であったと思うのですが、確かに地位協定上民間空港でタッチ・アンド・ゴーが認められていないにかかわらず、松山空港、さらには三宅島でも行われている事例がありますね。松山空港のタッチ・アンド・ゴーは地位協定上問題があるということで、アメリカ大使館を通じて政府は申し入れをしているわけです。また、三宅島でやったのですね。そして、その三宅島のときも政府は米側に再発防止を強く申し入れたということになっています。  そうすると、その後は、今御答弁あったとおり、タッチ・アンド・ゴーは民間空港でやられていないということになるわけですが、そうなんですか。
  190. 岡本行夫

    ○岡本説明員 松山空港では、その後タッチ・アンド・ゴー訓練は行われていないと承知しております。  三宅島につきまして、その後米軍から遺憾の意が表明されたこと、これもこれまで御説明してきておりますとおりでございます。  その後米軍として、地位協定によって認められないようなタッチ・アンド・ゴーの訓練は、民間飛行場では行っていないということを先般来御説明申し上げているわけでございます。  なお、確認のためにつけ加えさせていただきますけれども、私が先般来御答弁申し上げておりますのは民間飛行場ということで、官民共用飛行場はまた別のことであること、これは先生御存じのとおりでございます。
  191. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、例えば昨年の七月六日、函館空港でタッチ・アンド・ゴーとほとんど同じ訓練が三回にわたって行われているという新聞記事がここにありますが、「午前十一時ごろまでの間に三回にわたり函館空港滑走路の上空約六十メートルを通過する進入(アプローチ)訓練をおこないました。函館空港事務所では「事前のフライトプランの通告はなく、午前十時過ぎに同機が函館管制エリアに入って、初めて訓練の内容が分った」」。まさにタッチ・アンド・ゴーとほとんど同じものじゃありませんか。  これは知らなかったのですか。もし知っておったとしたならば、その後どういう処理をしたのですか。
  192. 岡本行夫

    ○岡本説明員 地位協定第五条のもとで認められております慣熟飛行につきましては、包括的に米軍に対して与えられた権利でございますので、その具体的な事例の一々につき、私どもは事前に通報を受けることはございません。したがいまして、御指摘のケースについても、私どもとしてその詳細を知る立場にはないわけでございますが、先般来からの答弁の繰り返しで恐縮でございますけれども、地位協定の第五条によって認められないようなタッチ・アンド・ゴーの訓練は米側はやっておらない、これは種々の場でも私ども確認しているところでございますし、したがいまして、函館空港の問題につきましても、それはあくまでも地位協定によって認められる第五条のもとの慣熟飛行の範囲内であったというのが我々の理解でございます。
  193. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、一般的には地位協定で認められないけれども、それは多分慣熟飛行であったろう。どこでそれを見境するのですか。アメリカが勝手にこれは慣熟飛行でやったと言えば、それでオーケーということになるのですか。そんなものではないのでしょう。しかも、これをやったからといって、慣熟飛行だという理解をして何もやらない、そういうやり方ですから、例えば地位協定上問題があるのだとか、それだから申し入れたとか、再発防止の申し入れをやったとかいろいろ言いますけれども、それなのに地位協定違反のこういう行為がどんどんどんどん拡大されてきているというか、続いているのですね。なぜ完全にやめさせることができないのか、起こさせないためにどういう措置をとるのか、はっきりしていただかなければならないと私は思うのですね。  そういう点で、問題はタッチ・アンド・ゴーだけではなくて、その他の米軍の軍事行動にも恒常的な使用が見られるという問題があるわけであります。私の手元に資料がございますが、昭和五十九年、つまり一九八四年ですね、あるいは六十年、一九八五年ですね、この二年間をとってみましても、民間空港の恒常的な使用化がどんどん進んでいるのです。例えば、この二年間で仙台空港は二百二十五回米軍機が離発着していますね。稚内七十二回、長崎四百二十四回、広島七十一回。これは通常使用ということにならざるを得ないと思うのですね。こうした恒常的な使用ということは、やはり地位協定第五条と日米合同委員合意の趣旨とも明らかに違っていると私は思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  194. 岡本行夫

    ○岡本説明員 安保条約に基づきまして、我が国及び極東の平和と安全のために駐留しております米軍に対しては、地位協定第五条に基づきまして、御指摘のような包括的な民間飛行場への乗り入れの権利が認められているわけでございます。したがいまして、米軍機がその運用の必要上、民間飛行場に出入りすることは何ら問題のないところでございます。  もちろん、米軍の活動に伴います国民生活への影響というものはできるだけ小さくするべきであること、これは申すまでもございません。したがいまして、私どもといたしましても、累次の機会に、民間空港の米軍機による使用は必要最小限に限られるべきであるということを米側に申し入れてきております。米側もこの点をよく理解しているところでございます。
  195. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 二年間に仙台空港に二百二十五回、稚内七十二回、長崎四百二十四回ですよ。こういうまさに恒常的な、日常的な使用が当たり前になっているのでしょう。こういうところに、今のようなタッチ・アンド・ゴーにいたしましても、何ぼ皆さんが申し入れしたとか何だかんだ言いましても、平気でやられる根拠があるのじゃないでしょうか。したがって、それを起こさせないためにどういうけじめを、どういう措置をとるかということがはっきりしないと、やはりこういう問題が今後際限なく続くと思うのですね。歯どめがなくなると思うのですね。この点についてはっきりさせていくというような立場での決意なんか、一体おありなんですか。
  196. 岡本行夫

    ○岡本説明員 地位協定に基づきまして米軍機に対して認められている民間空港の使用というものは、これは米軍の運用の必要に基づくものに限られているわけでございます。したがいまして、私どもは、今後とも随時の機会をとらえまして、必要最小限を超える民間空港の使用はこれを慎むように、常に米側に対し注意を喚起してまいる所存でございます。
  197. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 必要最小限を超えるやり方は慎め、こう注意を喚起していると言うが、実態はこうなんですよ。もう全然無視されているということが実態ではありませんかね。こういうことでは非常に困るわけであります。  ましてや、一九五二年五月の日米合同委員会の合意というのがありますね。この合意によりますと、今あなたのお話にもちょっとありましたが、「軍用航空機は、通常開港又は米軍の管理する空港から出入する。」と書いてあるのですね。また確かに、「緊急の場合は、他のいずれの日本国の港又は空港にも入ることができる。」こう区分けして書いてあるのです。したがって、米軍機が民間空港を使用するということは、基地と違いまして、恒常的でないことが前提となっているわけでありますね。したがって、米軍機の恒常的使用は日米合同委員会の合意にも背くものである、こういうふうに私は考えるのですが、いかがですか。
  198. 岡本行夫

    ○岡本説明員 日米安保条約に基づきまして米軍に対しまして与えられております権利は、裏返しに申し上げますと、日本側にとっての義務でもございます。日米安保条約のもとにおきまして米軍の活動を効果的に行わせる、そのような見地から、私どもは、民間空港及び港への出入りも、地位協定が定めるところに従って認めてきているわけでございます。  ただ、御懸念の点に関連するかと思いますが、我が国は国土も狭隘でございますし、騒音問題、それから民間の航空の管制の問題等の諸点もございますので、それらの諸要請と調和させつつ、今後も米軍の使用は最小限に抑えていくというのが私どもの考え方でございます。  それから、先生の御指摘になりました使用回数というものは、一見多いようでございますけれども、これは離着陸のたびにとっているものではございますけれども、通年での数でございまして、私どもは、近年この数がふえてきているという認識は有しておらないところでございます。
  199. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 調和させつつ云々ということをあなたはおっしゃるが、こういう民間空港に対する米軍の演習がどんどんどんどんふえてもう何百回というような状況、つまり恒常化されているということは、調和させつつじゃなくてもう日常化されているということで、全くそういう米軍の地位協定あるいは日米合同委員会の合意そのものにももとるものだということは、はっきりしているんじゃありませんか。そうでなければ、米軍が自分の軍事基地と同じように恒常的使用がオーケー、何でもいいんだ、こういうことになりますと、民間空港はいつでも米軍は自由に使えることになりまして、大変重要だと私は考えるわけであります。  それで最後に、今の問題の締めくくりといたしまして防衛庁長官にお聞きしたいのでありますが、こうした地位協定さえもねじ曲げて民間空港の基地化を図るということは、ガイドラインに基づいた極東有事での米軍への便宜供与として民間空港を自由に使用させるねらいがあるからではないかと思うのです。  今、私の選挙区の秋田空港でも、自衛隊による救難隊設置の動きが具体化して、その施設の工事なども始まっているわけでありますが、もともと秋田空港設置の際、自衛隊であれ何であれ、演習、訓練など軍用に使わせない、そういう県民合意が基礎となってこれが設置されたわけでありますが、いざ開港となりましたら、だれが一番乗りをかけてきたかといったら、一九八二年の八月、秋田沖での日米合同演習のときに米軍機が強行着陸しているのですね、全然予告なしに。これも大問題になったわけであります。  そういう意味で私は、今まで指摘してまいりましたように、他の民間空港では米軍のタッチ・アンド・ゴーがやられている、こういう点について、秋田県民の中にも、今救難隊設置の動きを絡めてそういうことに対する不安を非常に持っているわけでありますが、秋田空港を含めて、今市し上げましたような民間空港に対する米軍使用は一切やめさせるべきだと私は思うわけで、あります。でなければ、歯どめがなくて現状のような状態になるわけでありますから、どんどん拡大するわけでありますから、この点について国務大臣でもある加藤防衛庁長官の答弁を求めて、私の質問を終わらせていただきます。
  200. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 この問題は外務大臣の所管の問題でございますので、私から御答弁申し上げるのは適当ではないと思います。
  201. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 わかりました。非常に不満ですが、終わります。
  202. 新村勝雄

    新村(勝)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十一分休憩      ————◇—————     午後二時五十四分開講
  203. 角屋堅次郎

    角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小渕正義君。
  204. 小渕正義

    小渕(正)委員 私、時間が迫っているものですから、こういう非常に変な状態のようですけれども、多くを申しません。始めさせていただきます。  まず第一に、最近非常に急激な円高になっているわけでありますが、防衛予算につきましては非常に論議のあるところでありますので、それだけに予算の中身についても有効に使われなければならないという立場はわかるわけであります。  昨今のこの急激な円高に見られるように、日米を中心にしまして一層貿易摩擦が厳しくなっているわけでありますが、こうした中で防衛装備品に関し、海外、特に米国からの輸入圧力が一段と強まるのではないか、こういう感じもするわけであります。そういう点から考えますならば、やはり防衛装備品についても、そういった円高・ドル安という関係から、従来の考え方を変えてやるべきでないかという意見等もまた出てくるのは自然のことかと思いますが、そういう点からいきまして、防衛庁は従来から、防衛の本質から見て、国を守るべき装備付我が国の国情に適したものをみずから整えるべきであるという、装備の自主的な開発及び国産化を推進するというのが今日までの防衛庁の方針ではないかと思います。  そういった考えで防衛庁長官は、防衛と通商は別問題、こういうことでたびたび態度表明なさっていることもあるわけでありますが、こういう状況の中で、新しい急激な円高の中で防衛装備品に対する輸入圧力がかなり強まってくるのではないかと思いますが、これに対して防衛庁はどのような対応をなさっていくのか、その点についての防衛庁見解をお尋ねいたします。
  205. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 ただいま先生御指摘のように、私ども「装備の生産及び開発に関する基本方針」というものを、昭和四十五年でございますけれども、決定いたしておりまして、その中で、「防衛の本質からみて、国を守るべき装備はわが国の国情に適したものを自ら整えるべきものであるので、装備の自主的な開発及び国産を推進する。」という条項を現在も守りながら行っているわけでございます。そのように、どのような装備品を調達するか、これは我が国国情に適したものを専ら防衛上の観点から決定されべきものと考えておるわけでございます。  したがいまして、直ちに、円高だから輸入するとか、円安になったから国産に変えるとかいう性格のものではございません。しかしながら、もとより費用対効果ということが、私どものどのような装備品を調達するかということに関しての一つのポイントでもございます。しかし、そういう場合でも、装備品の維持、補給等も含めまして、いわゆる長期的に見たライフサイクルコストというものがその対象になるわけでございます。直ちに、円高だから輸入、円安だから国産ということではございません。  装備品の調達につきましては、先生御指摘の国内開発、国内生産というものもございますし、外国の技術をライセンス生産によって国内で行うというものもございます。また、外国品の輸入というものもございますけれども、私どもは、こういったものを差別することなく、幅広く検討して最適なものを取得する方針でございます。  先生御指摘の装備品の国内開発という面につきましては、従来から防衛上の要求、それから国内開発のメリットあるいは中にはデメリットもあるかと思いますけれども、総合的に勘案をしていく、こういう方針は今後とも変わらない方針でございます。
  206. 小渕正義

    小渕(正)委員 わかりました。  では、次に移ります。  次は、防衛費の中における研究開発費のあり方というか問題でありますが、防衛庁は日ごろ、防衛の本質という立場から見て、国を守るべき装備は我が国の国情に適したものをみずから整えるべきである、そういう考えから装備の自主的開発並びに国産を推進する、こういう自主技術の開発強化ということが基本にあろうかと思います。——そういう点から見ますならば、現在欧米各国においては自主防衛技術の強化ということについてかなり力を入れておりまして、防衛費に占める研究開発費の割合も、米仏等では約二%台、英国が七、八%台、西ドイツでも五%台となっているのに対しまして、我が国は従来一%ないしは一・二%程度であるわけでありまして、六十、六十一年度を見ても一・七%程度となっているというふうに私は思うわけであります。  政府が研究開発の重要性を認識しながらこういう努力をされていることはわかりますが、防衛費の対GNPの数値そのものがかなり我が国は違いますから、ただそういう形で一概に論じるわけにはいきませんけれども、こういった研究開発という点について見るならば、少し我が国は少ないのじゃないかという感なきにしもあらずであります。  そういう点で、中期防衛力整備計画によりますと、大体六十五年度で二・五%程度にするということのようにお話を承っておりますが、少なくとも欧米諸国に見ますならば、これでもまだまだ二分の一または四分の一程度であるということを考えますならば、防衛先端技術あるいは軍事機密に関する技術の導入というのは特に今後ますます困難になってくるということ等を考え合わすならば、政府としてはこういった防衛開発費といいますか研究開発費というものについては、限られた予算といえばそれまでですが、そこらあたりについてもそういう水準をもう少し上げみことが必要ではないかという考えもするわけであります。この点についての防衛庁見解をお尋ねいたします。
  207. 筒井良三

    ○筒井政府委員 先生御案内のとおり、確かに防衛庁におきますところの研究開発費が、防衛費総額に対する比率というものは一般的に低うございます。仮に技術研究本部の予算をその経費といたしましても、本年度が一・九五%でございます。各国の例を見ますと、やはり米国が大体コンスタントに一〇%から一一%いっておりますし、フランスがそれよりちょっと上ぐらい、ドイツでも五、六%というようなところが在来の傾向でございます。  ただ、一つ御理解賜りたいことは、各国の場合、特に米国の場合におきましては、基礎研究、一般大学における研究に至るまで国防省がいろいろと予算を出しております。例えばこの一、二年の予算でも、国防省は約十億ドルの金をユニバーシティー用に研究開発費から支弁しております。私どもはそういうような予算はまずないと等しいわけでございます。  国全体の研究開発費を見ました場合に、もちろん、政府、会社あるいはいろいろな研究所を含めた全体の研究開発努力の額でございますが、これはアメリカが世界で一番多いのですが、自由圏におきましては日本が第二位に来ております。少し離れて西独があり、さらに下に英国、フランスが並んでいるという状態でございます。つまり、私どものいただいている予算は確かに一%掛ける二%弱で非常に少のうございます。しかしながら、私どもが使い得る日本国内における技術力、それに対応する国家としての国民全体の研究開発の投資額というものは、まさに自由圏においては第二位を占めておりまして、そういった結果を十分利用してやっておりますので、外見上非常に少ないことは事実でありますが、成果としましては決して引けをとらない優秀な装備品の研究開発を行っていると自負しております。
  208. 小渕正義

    小渕(正)委員 今のお話からいきますと、そういった広い意味で、我が国は自由主義国家群の中では、民間を含めた中では研究開発にかなり投資されている、そういった総合的な見方を含めて見ると大体これくらいでもいいのではないか、こういう御見解ですか。
  209. 筒井良三

    ○筒井政府委員 研究開発費と申しますのは、私どもの場合にはあるミッションがありまして必要な装備品に対応しての研究開発活動を行いますので、一般の大学のように毎年これぐらいでよろしいといったような性格のものではございませんので、私どもとしましては、与えられている一%という総額の中で必要性に応じてできる限りの努力をしているというわけでございます。
  210. 小渕正義

    小渕(正)委員 今一%でできるだけ重点的な研究開発に使っているということはわかりますが、先ほどの御答弁の中で、我が国としては研究開発に対する全体的な投資という意味では先進諸国の中でも非常にトップクラスにあるので、あえて防衛関係だけの研究開発費で見ないでも、そういう総合的な見方でいってそう引けはとらないのだ、何かこういうふうな感じのことを言われたような受け方をしたのですが、その点についてそういうことなのかと聞いておるのです。いかがですか。
  211. 筒井良三

    ○筒井政府委員 限られた予算の中で最善の努力をしておりますというのが正直なお答えでございますけれども、外見から見ていただいて非常に少ない研究投資であり、その程度の研究成果であるというぐあいに判断されると、それはいささか実態と違っておりますということを申し上げたかったわけでございます。日本の場合には、戦前あるいは米国のように軍からの技術の波及効果により民間が進歩するというのとは逆に、むしろ底流にある民間の技術力、エレクトロニクスにしてもコンピューターにしても、民間の開発済みのものを軍用型にさらにアップするということで足りておりますので、見かけ、つまり予算の一%掛ける二%という実額以上の成果は得ております、こういうことでございます。
  212. 小渕正義

    小渕(正)委員 要するに、アメリカ型とは違うということですね。一応わかりました。  では、次に移ります。  今国を挙げて行政改革に取り組んでいるわけでありまして、そういう意味で政府はこの問題が一つの大きな課題でありますが、その一環として防衛庁も自主的に行革ですか、そういう立場で検討されていると思います。新聞等にもいろいろ報道されておりましたが、これらの進捗状況並びに今後の計画についてひとつ状況を御説明いただきたいと思います。
  213. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 昨年秋に中期防衛力整備計画ができまして、その中期防衛力整備計画で効率化、合理化を図る、こういうことになっておりましたことにかんがみまして、昨年の十月に、おっしゃいますようなことで防衛庁、自衛隊の自主的な行政改革を進めるために、業務・運営自主監査委員会というのを私が委員長ということでつくりましたのが経緯でございます。  それで、何をやっていくのか、どういうことを勉強していくのかということがまず問題でございますので、庁内外からいろいろ意見を取り集めまして、昨年の暮れから今年の一月にかけて整理をいたしました。ことしの一月に、ガイドラインと言っておりますけれども、業務運営に関する改善検討事項を整理いたしまして、これが三十二項目ございました。それぞれの項目につきまして、この項目はどこの部局で担当し、いつまでにどれだけの作業をするという目標スケジュールを決めまして、それから作業に当たってきたわけでございます。  一回目の区切りというのをことしの四月にしておったものでございますから、ことしの四月になりまして、区切りに当たる十九項目につきましてその時点における結論を取りまとめました。残りの十三項目につきましては、来年の四月がまたこの目標スケジュールの一区切りなものですから、来年の四月までかかってなお検討、勉強をしていかなければならないと思っております。  それで、ことしの四月に一応取りまとめた十九項目につきましては、それぞれ例えば統幕の調整関与の強化につきましては訓令をつくるようなことを大体取りまとめておりますし、骨幹的な通信網の統合運用につきましては、ディジタル化をすることを含めまして、防衛マイクロ回線の抗堪化の計画を取りまとめておりますとか、あるいは婦人自衛官の活用面につきましては、婦人自衛官の適用職種を四分の三ぐらい、七五%までに広げたというようなこともやっておりまして、その成果が着々上がることが、当然のことでありますけれども考えられておりまして、六十一年度中にこれが実現に移せるものは移すし、六十二年度予算に反映していくものにつきましては、これからの予算編成作業を通じましてその実現に努力してまいりたいと思っております。  なお、この後のことでございますが、十三項目につきましては引き続き勉強をする、それから十九項目の実施につきましては引き続き自主監査委員会としては監視の目を光らせていくわけなのですが、さらに、自主監査委員会では主として行政の分野につきましての改善検討事項につきまして議論をしてきた、やってみますと、どうもそれだけでももう一つ足りないな、つまり、作戦運用の面につきましては土俵を狭めておりまして、その面については議論をしないということで最初出発したものですから、その辺のところに限界がある、どうももう一歩踏み越えてみないと、防衛庁、自衛隊の行政改革といってももう一つ物足りないものが残るのではないかということで、五月の上旬に防衛改革委員会というものに拡大発展をいたしてございます。業務・運営自主監査委員会は、その防衛改革委員会の中の業務監査小委員会というところで継承いたしまして、引き続いてこの面での行政改革、防衛改革を精力的に推し進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  214. 小渕正義

    小渕(正)委員 防衛改革委員会の方に発展的に組織を変えていったという報告でありますが、そういった方向から今後はどういったものを中心に検討を進めていかれるのか、また、これは「防衛計画大綱」との関係はどのようになっていくのか、もしそこらあたりで御説明できるものがありますれば、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  215. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 ただいま申し上げたようなことで、先生がまたおっしゃってくださいましたが、そういういきさつで防衛改革委員会というのができたわけであります。これは事務次官が取りまとめの委員長でございまして、統幕議長、各幕僚長、そのほか事務次官の指名する内局の局長などが委員になりました委員会でございます。その下に、先ほど申し上げました業務・運営自主監査委員会の流れをくみます業務監査小委員会があります。そのほかに、今度新しく、先ほど申し上げました作戦運用の部面にまで踏み越えたところの検討をする研究会というのを二つ設けることにいたしてございます。その一つは、洋上防空体制を検討する委員会でありますし、もう一つは、陸上防衛体制の検討、研究をする委員会でございます。いずれにいたしましても、これらの研究につきましては、我が国の防衛環境、統合運用の重要性などを十分考慮した上で、「防衛計画大綱」の総枠の中で検討をするということでございます。今までの経緯はもちろん踏まえざるを得ませんけれども、経緯だけにとらわれることなく、自由な発想で前向きな検討をしていきたい、こういうことでございます。したがいまして、「防衛計画大綱」の総枠の中でということで、先生今御質問がございましたことにつきましてのお答えといたしたい、こういうふうに思っております。
  216. 小渕正義

    小渕(正)委員 それでは次に移りますが、SDI計画についてお尋ねしたいと思います。  これは今、一つの大きな課題でありまして、我が国が参加するかどうか、官民合同調査団を派遣して、現在その報告を受けて、これから検討されると思います。そういった検討をされる段階の中で、民間ベースで参加するのか、国として参加するのか、いろいろ議論はこれからの問題だと思いますが、そういう議論をする中において、現在西ドイツにおいては、新聞報道等からいきますならば、民間参加方式で参加することが決まっているようであります。  そういう中で、伝えられるところでは、そういう参加した結果、研究成果の移転については米国が非常に大きな裁量権を持つようなことが報道されているわけです。特に、米国は先端技術の西独からの輸出を拒否できる権限とか、ココム協定の強化とか、そういうものの強化を附属文書に非常にうたって、参加したにかかわらず、相手側、米国からいろいろと技術の成果についての帰属といいますか、また、情報を入手した場合守秘義務といいますか、そういう技術流出制限とか規制といいますか、いろいろそういう問題があるのではないかと思われます。これは民間ベースで参加する、国家べースで参加する、いろいろそういう議論がどのような形になるか別にいたしましても、こういうものは十分実態を知った上で初めて最終的な検討結果が出てくるものと思うわけであります。  そういう点からいきました場合、防衛庁だけの問題ではございませんで、中心は外務省になって取りまとめられると思いますが、現在こういうふうに私が今市し上げましたようないろいろな問題が提起されている中で、防衛庁としてのこれらに対するお考えが何かありますれば、ひとつそういった見解をお示しいただきたいと思います。
  217. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 従来から、SDIにつきましては、我々の態度はアメリカがこの構想を研究することについて理解する、こういう立場でございまして、そこの研究に我々が参加するかどうかということにつきましては、現在、関係閣僚会議で二回の討論を終えた段階でございます。  で、今小渕議員が御指摘の点でございますけれども、まさに今おっしゃったような点が、いわゆる技術とその開発、我が国に対する影響という意味で問題点となっておりまして、十分に今後討議しなければならないし、どのようなアメリカの考えであろうか、また、諸外国とアメリカはどのような交渉をしているのだろうか、その辺について米政府の意向とかその関連の情報を集めて慎重に検討しなければならないなど思っている段階でございます。かなりの重要なポイントであろうと思っております。  一例を申しますならば、我々の日本の民間企業がかなり高度のハイテクノロジーを持っていて、そしてその企業が、実はそれは我が国のそれぞれの企業の製品、将来民需用の製品をつくろうと思って開発していたものだけれども、それが、参加することによって、例えばその技術自身がかなり制限された技術みたいになってしまっては、我が国はそれぞれの民間企業が参加したこと自体によって逆にマイナスになるというようなケースもあり得るわけです。そういったような論議しなければならない観点というのは本当にいっぱいあると思っておりますので、今その問題点の洗い出しと検討をやっとスタートした段階でございます。
  218. 小渕正義

    小渕(正)委員 民間ベースでもし研究に参加するとした場合に、今言われたような非常に微妙な問題点がたくさん考えられるわけでございますが、そういう意味では、より情報を十分にお集めいただいて、慎重な中での御検討をお願いしておきたいと思います。  それから、日米武器技術供与の問題、これはちょっと質問の中で一項目入れてなかったのですが、だから突発的でありますのでもし御答弁できなかったらやむを得ませんが、一応質問させていただきたいと思います。  昨年来から米国に対する武器技術供与に関する細則取り決めが決められ締結されまして、実行段階に入っておるわけでありますが、その後この問題について余り活発に動いているというような情報は聞かないわけであります。細目取り決め以前に政府間において正式ルートで、防衛庁が開発されたミサイルの追尾装置ですか、これの技術供与がアメリカから要請されたというようなことも実は聞いておるわけでありますが、その後この問題はどのような状況になっておるのか。これはちょっと質問項目の中で落としておりましたので、その点、一応前提を置きながら御質問いたしますが、よろしくお願いします。
  219. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 対米武器技術供与につきましては、官房長官談話あるいは日米間の交換公文が結ばれましたが、その後先生御指摘のように、昨年の十二月二十七日に実施細目取り決めというものが署名されました。私もその署名した者の一人でございます。したがいまして、その枠組みができ上がったわけでございます。  一方、具体的な案件につきましては、昨年外交ルートを通じまして、アメリカからいわゆる第一号案件の要請がございました。それを受けまして、日米間の武器技術共同委員会というものが開かれたわけでございます。アメリカ側から、その第一号案件の具体的な名前につきましては公表しないでほしい、時期が来れば考え直すかもわかりませんが、当面公表しないでほしいということを言われてありますので、私どもからそれが何がしであるということは申し上げられませんけれども、その後何回かにわたりまして、ワシントンあるいは東京において日米間でこの第一号案件に関します交渉が行われたわけでございます。私の感ずるところでは、かなりの程度日米間の考え方が整理されまして、もうほとんど合意に近いくらいの状態になっておりますので、近くJMTCの場あるいは関係当事者間での結論が出るものと予想をいたしておるわけでございます。  まだ第二号、第三号についての情報はアメリカから来ておりません。それはどういうことかと申し上げますと、その間アメリカは、一体どんな技術が日本にあるのか、その水準はどうだろう、それとアメリカの国防省の関心とのつけ合わせを行ってきているわけでございます。幾つかの調査団が参っております。国防科学審議会の民間の方方だけによるミッション、あるいは国防総省の科学技術専門家のグループ、マッカラム博士を中心とするグループが、ミリ波と光電子工学に関しまして、二回にわたって我が国の企業あるいは私どもの技術研究本部、通産省を訪ねて調査をいたして、その結果は文書になっておりますけれども、いわばアメリカが、どういう関心分野にどういう技術が日本にあり、その水準はどうだろうかということを調査してきたのが現在までの経過ではないかと思います。  そういったことで、具体的な案件はまだ一件しか出ておりませんけれども、アメリカとしては、この件に関しましてはかなりの関心を寄せている課題であろうかと思います。
  220. 小渕正義

    小渕(正)委員 では、次に移ります。  防衛庁陸上自衛隊の抜本的改編についての基本構想を取りまとめた、特に北方抑止力の向上を中心にしてそういった基本構想がまとめられたということが、新聞報道等が行われておりますが、そういった構想が事実なのかどうかということと、それはやはりどういう考え方でそのような基本的な構想をまとめられるのか、そこらあたりの考え方をお尋ねいたします。
  221. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど官房長が御答弁申し上げましたが、防衛改革委員会というものを設けまして、その中に二つの研究会を置いた。その一つが陸上防衛体制の見直しといいますか、改善のための研究会でございます。今研究会をつくったばかりということで、現在構想がまとまったとかそういうことではございませんが、かといって、これから何をするか全くわからないということでもございませんで、要は、我々としては防衛力そのものを、各国の軍備の動向であるとか軍事技術の進歩、そういったものに適応しながら有効な防衛力整備していきたいというように考えておるわけです。  その中で、陸上自衛隊そのものは逐年装備の更新、近代化等進めてきたわけでございますけれども、先ほどもほかの先生にお答え申し上げたところでありますけれども、現在の陸上自衛隊の中核になる組織、つまり師団というものがもう二十五年間余り変わっていないということで、そういうことでは急激に進歩している各国の軍備の動向になかなか対応できないということが一つございます。  もう一点は、特に北部日本を中心として、北方領土にソ連の一個師団規模の兵力が配備されるとか、あるいはいろいろな新しい装備が出てくるといったような、日本をめぐる戦略環境というものがかなり変わってきているということがございます。さらにつけ加えれば、陸上自衛隊そのものが長年低充足であるとか、いろいろな問題を抱えております。そういったもろもろの問題を踏まえまして、この際、従来の組織というものに必ずしもこだわらないで、もう少し広い視野、それからいろいろな問題点を踏まえて、最も効率的な陸上防衛力のあり方はどういうものであろうかということを研究してみたい。  その中で、特に北部日本の防衛というものについては、逐年防衛力整備は進んでおりますけれども、最も穴があいているというか、一番おくれている、あるいは過去何十年か前よりもかえって状況としては悪くなっているところについてはそれなりの手当てもしたいというような、我々としてのいろいろな期待は持っております。そういったものをもとにこれから勉強していきたいということでございます。
  222. 小渕正義

    小渕(正)委員 いろいろ勉強されることは結構ですけれども、有事の事態に十分即応できる体制をいかにするかということは基本ですが、それで当面今の陸上自衛隊にとりまして最大の課題は何か。いろいろな報道の中では、水際撃破能力をいかに向上するかが現在の我が国陸上自衛隊に対する最大の課題であるという報道も一部行われているわけでありますが、この点についてはどのような御見解をお持ちですか。
  223. 西廣整輝

    西廣政府委員 我が国は島国でございますので、当然のことながら、陸上自衛隊だけではなくて、我が国防衛全般にとって、国土防衛上できる限り洋上あるいは水際で相手を撃破するということが望ましいことは当然のことであるわけです。その点、海空の果たすべき役割というものも大変大きいわけでございますが、地域的にはなかなかこちら側が航空優勢をとれないといった地域もございます。そういうところでは、当然のことながら海上部隊も活動できないというようなことになりますので、必然的に陸上自衛隊がその種水際撃破なりの分野も負担せざるを得ないということになると、現在の陸上自衛隊の装備体系ではなかなか対応できないというように考えております。  その点、我々前から考えておりまして、昨年つくられました五カ年計画におきましても、陸上自衛隊にかなり射程の長いSSM、地対艦誘導弾部隊といったものを整備して、少しでもそういった能力を高めていきたいというように考えておりますが、今後、地域によって違いはございますが、陸上自衛隊に洋上なり水際で敵を撃破する能力というものもかなりの程度与えて、そういった任務を分担させていきたいということを考えております。
  224. 小渕正義

    小渕(正)委員 限られた戦力の中でそれをどのように生かすかということになりましょうが、そういう点からいきますならば、陸上自衛隊についても、各地域にそれぞれが配置されておるわけでありますが、それぞれ現在の極東における情勢に十分対応できるために、ただ画一的でなしに、地域のそれぞれの特殊な事情等を十分配慮して、そういう中で自衛隊の配置というものをもう一度考え直すべきではないかという意見もいろいろ我々は耳にしているわけであります。  そういう意味で、現在陸上自衛隊の充足率は平均的には八六%、しかし、実際の個々の現場の師団で見ますならば六〇%程度になっておるという苦しい状況の中で、いかに効率的な有効な対策、対応をするかということ、そういう意味では、今の陸上自衛隊の配備についてももう一度見直す必要があるのじゃないか。そういうことが、最初にお聞きいたしました陸上自衛隊の抜本的な改編等を行うという基本構想の中に生かされてくるのではないかという気がしているわけでありますが、その点についてはいかがお考えなのか、お尋ねいたします。
  225. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生の申されるとおり、我が防衛は主として国土防衛でございますので、はっきり防衛目標が決まっておるということですから、それぞれの地域の地形、地物といったものを最大限に活用する、そして効率的な防衛をやるということが重要であろうかと思います。ただ、何せ限られた防衛力でこの長大な地形の日本国土を守るわけでございますから、全部が全部それぞれの地域に張りつけてしまうというわけにはなかなかいかない。やはり重要性なり危険性というものを十分考慮して、地域に張りつける部隊というものはそれなりに考えなければいけないし、また、場合によっては相手がどう出るかわかりませんので、それに応じて柔軟に運用できる部隊というものもある程度留保しなければいけない、そういったことを踏まえまして、できる限り効率的な部隊の編成、配備等を考えていきたいというふうに考えております。
  226. 小渕正義

    小渕(正)委員 時間がございませんので、あと一つだけ最後にお尋ねいたしますが、陸上自衛隊のいろいろな実態をいろいろの関係者の方からお聞きしまして、私ども、これでいいのかという感を非常に強くするわけであります。特車は七四年型式のものがまだ二分の一しか古いのと入れかわってないとか、地上部隊が対空火器をほとんど持たないとか、それから対戦車用のロケット弾は年間八十発なので、演習の場合大体一年間に十人ぐらいが一発しか撃てない、したがって、全部そういうロケット弾を撃つ経験をするのは十年にやっと一発撃つような状況であるとか、こういう中身の実態がいろいろあちこちから聞こえてくるわけでありますが、確かにジェット機、そういう対戦闘機、対艦ミサイルとか海上自衛隊とか、何か非常に正面装備のみに重点が置かれて、そういう点では一応華々しい体制をとったかのごとき印象を与えながら、その実、一たん非常事態のときのそういう実態を見たら、そういう基礎的な条件がまだほとんど——ほとんどじゃないですけれども、整備されてないのじゃないかという危惧を非常に強く持つわけであります。  そういう意味で、限られた防衛予算でありますから、それの配分が極めて難しいことはわかりますが、余りにも何か表面の華々しいところだけに、正面装備だけに力点が置かれて、そういう一番基礎的なベースのところにおいては余り配慮されてないのではないかという感じがしてならないわけでありますが、その点について防衛庁長官の御見解をお聞きいたしまして、私の質問はとりあえず終わらせていただきます。
  227. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 防衛力整備というのは、陸海空それぞれバランスがとれて、なおかつ正面と後方のバランスがよくとれてないといけないというふうに思っております。前粟原長官時代から、特に単に正面だけに重点を置くのではなく、例えば戦いを続けることのできる能力、継戦能力、具体的に言えば弾薬等の備蓄等にもなったりしますし、また通信機能でそれぞれが効率よく運用でき、対処できるような体制という問題についても意を用いなければならないという方針でやってまいりましたけれども、私はその辺の後方の充実というものも大きなポイントでなかろうかなと思っております。今度の中期防衛力整備計画の実施に当たりましても、またその立案に当たりましてもそういう点は十分に考慮したつもりでございますけれども、今後各年度ごとに予算化し、それを具体的に運用していくときに、十分に配慮しながらやっていかなければならないことだと思っております。
  228. 小渕正義

    小渕(正)委員 では、終わります。
  229. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次に、上草義輝君。
  230. 上草義輝

    上草委員 まず、国際軍事情勢から防衛庁にお伺いしたいと思います。  昨年来、十一月に米ソ首脳会談が開催されまして、東西間の平和と軍縮に向けての話し合い、その成果、進展が期待されてきたわけでありますが、現在までのところ、その進展は余り見られていないというのが私の認識でありますが、最近の国際情勢には依然として厳しいものがあると存じます。また、ソ連の一貫した軍事力増強と、これを背景にした周辺諸国や第三世界への勢力拡張の動き、さらには世界の各地域における紛争の継続もあって、極めて厳しく流動的であると思います。  こういった情勢の中で、我が国周辺の軍事情勢も厳しさを増していると言わざるを得ないのでありますが、最近における極東ソ連軍の増強に著しいものがあるのではないか、私はこう思っておりますが、ひとつ極東ソ連軍の増強、これの状況と実態について、いわゆる大綱策定当時と比較して具体的に現在とのようになっているか、まず説明をいただきたいと思いますし、またこれをどのように防衛庁は認識しておられるのか、防衛庁見解をただしたいと存じます。
  231. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 国際情勢というものは一張一弛していくものであろうと思いますけれども、しかし国際軍事情勢について言いますならば、最近のソ連極東軍の配備の増強というものは、やはり若干懸念せざるを得ないものがございます。ソ連の方は、通常戦力及び核戦力ともに、それぞれの三分の一ないし四分の一のものを極東地域、具体的に言えばバイカル湖以東に配備いたしておりますので、その増強にはやはり顕著なものが、過去七〇年代の後半ぐらいからあったと言わざるを得ないと思います。また、北方領土に陸上師団一個師団を配備いたしておりますし、カムラン湾における海軍基地の創設というものも、我々にとっては関心を持たざるを得ないところであります。  そういった意味で、我々は厳しい国際軍事情勢の中で防衛努力をやっていかなければならない、こう思っておりますけれども、詳細の最近の軍事情勢の動向につきまして、国際参事官より御報告させます。
  232. 瀬木博基

    ○瀬木政府委員 概括にっきましては、ただいま防衛庁長官から先生に御答弁いたしたとおりでございますが、多少これを具体的に申し上げさせていただきますと、過去十年、この大綱が作成されまして以来この十年を見ますと、地上戦力にいたしますと三十一個師団三十万人という数字であったものが、今日においては四十一個師団三十七万人、しかも数がふえているのみならず、戦車装甲車等により火力、戦闘力の増強が極めて著しいと見られております。  また、航空戦力にいたしますと、数にいたしまして二千三十機と見られておりましたものが、現在においてはおよそ二千二百機、これもまた単に数が増えているのみならず、極めて新型の戦闘機、爆撃機等、新鋭機に更新をされているというところが注目されるところでございます。  海上戦力にいたしましても、七百五十五隻の百二十五万トンと見られておったものが、現在においては八百三十五隻、百七十八万トンというものであるのみならず、例えば、今現在ソ連が持っておりますところの航空母艦というものの三隻ございますうちの二隻が太平洋艦隊に配属になっている等、極めて増強配備がございます。  また、先生もよく御案内のSS20であるとかバックファイアであるというものを見ましても、十年前はこれは存在しなかった。今日においてはソ連の持っている三分の一以上のものが極東地域に配備されておるというところでございます。  この中の一部のものが北方領土に既に配備されておって、地上兵力においても航空兵力においても、我が国の領土であるところの北方領土に配備されておるということは、ただいま長官も申したところでございます。  こういうようなものを背景にいたしまして、我が国周辺におけるソ連の海上兵力、航空兵力の活動というのは、目に見える形で大きく、非常に活発化しているということは遺憾ながら事実であり、我が国に対する潜在的脅威は増大しつつあるということは認めざるを得ないところではないかと思います。
  233. 上草義輝

    上草委員 こういった情勢を踏まえて、我が国の防衛体制等について、やはり各国の軍事技術といいましょうか、経済水準、科学技術水準、いろいろな意味での技術水準の動向に有効に対応していかなければならない、これは日ごろからたゆまぬ研究をしておくことが極めて大事なことだと思うわけでございますが、今般防衛庁は、効率化あるいは合理化の徹底を図るために、みずからの手で業務運営全般にわたり厳しく点検することを目的とした業務・運営自主監査委員会を発展拡大して、防衛改革委員会を設置して、将来に向けて効率的な防衛体制のあり方を研究していこう、こういうことに聞いておりますが、その趣旨については大変結構だと思いますし、評価したいと思いますが、具体的にどのような方向で研究を実施するのか、できるだけ具体的にわかりやすく説明していただければ大変結構だと思います。  また、これらの研究について、あるいは大綱の見直し、次期中期計画策定のための具体的な作業の着手に入ったというようなことで理解していいのかどうか、この辺も防衛改革委員会に続いてちょっとお尋ねしたいと思います。
  234. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 お褒めいただきまして大変ありがたいわけでございますが、私どもといたしましては、とにかく中期防衛力整備計画でお金の枠が上限ということで決まりまして、その中で最も効率的に防衛力整備をやっていくためにはどうしたらいいだろうかということの思いのたけの結果がこういった作業になっているわけでございます。  今般、業務・運営自主監査委員会を発展拡大しまして、作戦機能面まで広げたところで、我が国の防衛環境、統合運用の重要性等を十分考慮した上で自由な発想のもとに、「防衛計画大綱」の総枠の中で、さらに効率化、合理化を徹底していこうという趣旨で防衛改革委員会をつくったわけでございます。新しい勉強といたしましては、そこで洋上防空体制の研究と陸上防衛体制の研究、これをやっていこうということでございます。  大綱との関係でございますと、先ほど申し上げましたように、大綱の総枠の中でというのが大前提でございますし、それから次期中期防衛力整備計画との関係からいたしますと、次期中期計画は三年たってローリングするかどうか、今のところまだ決まっておりません。ことしが一年目、来年が二年画、再来年になってやっと三年目になるわけでございますが、いずれにいたしましても、その先のことはともかくといたしまして、今この中期防衛力整備計画の一年目、二年目というところで、その中で我々としてどういうことをやっていかないと今後の国際軍事情勢の動向、それから諸外国の技術水準の変化に伴って、一定の制約の中でどういうやり方をするのが日本の国防のために最もいいのかということを地道に研究していく必要があるではないかという趣旨でございますので、そのように御理解賜ればありがたいと存じます。
  235. 上草義輝

    上草委員 そこで、我が国の防衛力整備についてでございますが、私個人としては余り好むものではありません専守防衛というこの方針、姿勢に徹底する、従来の基本的な姿勢を堅持していただくことは結構でありますが、ただいま御答弁ございました諸外国の軍事技術の進歩あるいは周辺諸国の軍備の動向に対応し得る有効かつ効率的なものでなければならない、当然のことでございますが、特に最近の航空機の発展といいましょうか、速度あるいは航続距離の増大、また長距離の射程の対艦ミサイルなどの出現によって、従来に比べて洋上における空からの脅威というのは大幅に変化していると私は認識しているものでございます。  政府は、昨年策定した中期防衛力整備計画において、「効率的な洋上防空体制の在り方について、速やかに検討を行う。」こととして、また防衛改革委員会においてもこれらの問題を当然検討していくと聞いておりますが、この防衛改革委員会における洋上防空に関する検討の方針あるいは今後の見通し、もう少し詳しく御説明いただきたいと存じます。
  236. 西廣整輝

    西廣政府委員 洋上における防空というのは、正直申し上げて、十数年前までは、日本海等で防衛行動をとるとき以外は、洋上で敵の航空機にねらわれるというようなことは余り配慮しなくてよかったわけでございますが、今先生の御覧間にありましたように、やはり長距離、高速の航空機が出現するとか、あるいは非常に遠距離を飛ぶミサイルが出てくるといったような状況で、今や洋上防空というものが非常に重要視されるようになったわけでございます。  そこで、我々としては二つの問題点を認識しておるわけでございます。一つは、例えば太平洋上のような非常に広い地域において行動する我が艦艇あるいはそこを航行する民間船舶、そういったものの空からの脅威をどうやって守ってやるかということでございます。この広い海域といいますか、地域を個別に守るということはもうはなから大変難しいというか、不可能な話でございまして、そういったことはとてもできない。とすると、やはりそういう洋上に進出してくる敵をいち早く発見するということがまず第一でありまして、発見をして、そぎ得ればこちらは回避をする、さらに相手が接近してくるようであればそれを要撃するといったような新しいシステムが必要ではないかというふうに考えております。  もう一点は、例えば北海道なら北海道で防衛作戦をしなくちゃいけないといったような場合、この地域になりますと、どうしても我が方の防空力というものが手薄でございます。そういった手薄な地域に、例えば本土の方から増援部隊なり物資を補給する、あるいは北海道におられる住民の方を避難させる、そういったことで、どうしても大量輸送というものは船舶を用いざるを得ないわけですが、船舶を用いてそういった海上輸送をする、そして敵の航空優勢下に入っていかなくちゃいけない、そういったことも考慮しなくちゃいけない。その際に、従来のように高射砲みたいなものを積んでいるだけでは済まなくなってきている。非常に遠距離のミサイル等が出てくるということになると、それを護衛するための艦艇の防空ミサイル等についても新しい観点からのものを装備しなくちゃいけないのじゃないかといったような、大きく分けて二つの問題点を考えておるわけでございます。  そして、前者につきましては、かねがね国会等でも御議論いただいております例えばOTHレーダーといったような非常に広域の捜索能力があるものが有効に活用できるのであれば、そういったものを土台に置いた一つの防空システムというものが成り立たないかなというのが我々の研究の取りかかりといいますか、入口であろうかというように考えております。また、後者の方の艦艇の防空システムとしては、新しいタイプの対空ミサイルといったものについて今後研究をしていきたいというように考えております。
  237. 上草義輝

    上草委員 長官が四時にお出になるというふうに伺っております。改めて長官にまたお伺いをしたいと存じますが、この防衛改革委員会の設置に関連してお伺いいたします。  昭和六十二年度は、中期計画の第二年度としてどのような点に留意して防衛力整備を行おうとしているのか、また、防衛改革委員会におけるただいまいろいろ御答弁がありました洋上防空体制だとか、あるいは後ほどちょっとお伺いしますが、陸上防衛体制の研究についてどのように扱っていこうとされているのか、長官としての所見をお伺いしたいと思います。
  238. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 私たちが防衛力整備につい杯考えております最大のことは、「防衛計画の大網」に定められました水準を今度の五カ年計画の中で達成していきたいということでございました。その第一年度目の昭和六十一年、つまりことしの予算につきましては、大体我々の計画がこの予算で実現されると思っております。第一年度目としてはまずまずのスタートを切ったのではないだろうかな、こう思っておりますけれども、問題はやはり第二年目だと思います。ここでしっかりと一年目並みの進捗度というものを確保できれば、その後はある程度のペースに乗っていくんではないかなと私は思っておりますので、そういった意味で、内容的にはいろいろございますけれども、大ざっぱにいきますと第二年目としてふさわしい予算を何とか確保していきたいな、こんなふうに思っております。  それから、洋上防空体制と陸上自衛力のあり方の防衛改革委員会の問題でございますけれども、先ほど申しましたように、やはり三十年というのは一昔でございます。世の中変わっております、諸外国の技術的な動向も変わっておりますので、この際、やはり陸上自衛隊の発足したときと現在までの変化を考え、そして、師団というものが本当に現在のように大体横並びになっておるわけですけれども、それでいいのかということを先入観なく検討してもらいたい、こう思っております。米国でも軽師団化というようないろいろな動きもあることでございますので、我が国も機動力を持った師団、それからそれぞれの駐屯地の地理的特性に合った師団というのがそれぞれ幾つかのタイプにあってもいいのではないかと思いますし、ある意味では方面総監部のあり方という問題も、現在のままでいいのかを含めて大がかりに議論してもらいたい、洋上防空についても、これは新しい技術的な進歩に伴う体制をしっかりと検討してもらいたい、こう思っております。
  239. 上草義輝

    上草委員 そこで、もう一点加藤長官にお尋ねをいたしますが、ソ連の一貫した軍事力の増強は、私ども北海道でありますが、北方領土におけるソ連軍の配置状況も先ほど御答弁をいただきました。これらの状況をかんがみるとき、北海道における防衛力は一層の強化が図られなければならないと存じます。私どもと同じ世代の加藤防衛庁長官、就任早々に真冬の北海道最北の部隊を御視察いただいて、野営をしていただいたりして隊員を激励していただきました。地元も大変感激していたところでございますが、北海道における防衛力整備について、十分御理解いただいて御認識いただいている加藤長官でありますけれども、きょうこういう機会を得ましたので、改めて長官の決意、所見を賜りたいと存じます。
  240. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 北海道という場所は、地理的な特性からも、具体的にいいますと本州から海峡を隔てて離れているという意味におきましても、つまりいざ有事のときに、例えば戦車を運ぶにいたしましてもそう簡単ではないという側面を有するわけでございますので、私たちとしては非常に重視をして考えていかなければならないところだと思っております。今度の防衛力整備中期計画の中でも、内地にあります戦車の約三分の一をこの五年問で北海道に移すという部分も、余り注目されていませんけれども入っておるわけでございまして、それは私たちが北海道の持つ我が国防衛上の重要性を強く認識しておるところからきているとお受けとめいただいていいだろうと思っております。  そして、そういった防衛力整備をするにしましても、我が自衛隊が活動するにいたしましても、やはり国民の理解が十分いただけないときには何の活動もできないのですけれども、幸いなことには、北海道の皆さんには自衛隊について非常に温かい御支援を得ております。今後北海道における自衛隊の存在は、若干ふえることはあっても減ることはない状況になっていくと思いますので、ますます御支援方を北海道の皆さん方にお願い申し上げたいと思っております。
  241. 上草義輝

    上草委員 長官、大変ありがとうございました。お忙しければ結構でございます。我々も、加藤長官は二十一世紀を待たずして総理大臣になる政治家であるということで、大いに期待をしております。今後とも北海道の防衛力整備関係について十分御配慮を賜りたいと存じます。  そこで、先ほどちょっと洋上防空についてのお尋ねをいたしましたが、何か海上あるいは防空の方にばかり重点が置かれて、多少偏重しているんじゃないかという批判もなきにしもあらず、陸上防衛体制について改めて防衛局長か官房長から答弁していただきたいと思うのです。
  242. 西廣整輝

    西廣政府委員 最近、海空重視ということがよく言われておるわけでございますが、これは日本が島国であるということに着目しての御発言であろうと思うわけですけれども、島国と申しましても、日本の場合非常に細長い地形をしている、しかも、悪いことにといいますか、よその国に非常に接近しているところは日本の両端みたいな格好で、ある意味では非常に守りにくい地形でございます。ということは、そういう離れたところに何か起きたときに、部隊なり装備を急に持っていくということはなかなか難しいといったこともございます。  それと同時に、そういう地域でありますと、彼我の例えば航空戦力の集中度合いが非常に変わってくる。例えば先生の御出身の北海道を考えますと、札幌を中心として三、四百マイルの地域にある飛行場を考えてみますと、日本で戦闘機が使える飛行場というのは恐らく五つか六つあるいは七つぐらいじゃないかと思いますが、一方ソ連は、北方領土、樺太等を含めて三、四十の飛行場はあるということになりますと、物理的にそこに配置できる航空機の数というものが五倍なり六倍になってしまうということであります。ということは、航空部隊、防空能力がどうしても手薄になってしまう、空からの援護というものが余り期待できない状況になるということになります。そういうことであれば、当然のことながら海上部隊もまた十分な活躍はできないという状況になりますので、北海道のような地理的条件にあるところでは、防衛の主体はやはりどうしても陸上自衛隊にならざるを得ないというように私どもは考えております。  したがって、先ほど来何度か御答弁申し上げましたけれども、陸上自衛隊そのものが洋上撃破なり水際撃破という能力を持たなくてはいけないし、場合によっては防空能力も相当負担しなくてはいけないといったようなことにもなろうと思います。さらに、洋上、水際で守っていればそれじゃもう大丈夫かといいますと、よその国はまた、例えば空挺部隊とかヘリボーンといったような能力も持っておりますので、内陸部にぽっとおりてこないとも限らない。そういった際に今後は機動力を持って、相手が十分な力を蓄えないうちにたたいてしまうといったような能力も、これまた必要であろうかと思うわけであります。  そういったことを考えますと、防衛力というのは、何か一つの機能に頼ってしまうということは非常に危険でございまして、やはり陸海空というものがバランスを持って、縦深性といいますか、厚みのある防衛体制をとるということが何よりも重要であろうというように考えております。
  243. 上草義輝

    上草委員 時間がありませんので、質問というよりも希望を申し上げて、私の質問を終わります。  国を守るという崇高な任務に当たっている隊員の厚生関係について、粗末に扱っているとは決して言いませんが、宿舎だとか隊舎だとかいった施設を見るにつけましても、極めて老朽化したものが多い。特に北海道の場合顕著なんでありますが、創設当時からのものがいまだに使われているということでありますから、この辺の整備も怠りないようにぜひ配慮していただきたい。  それから、健康管理につきましても、これまた十分配慮していただいていると思いますが、先般我が決算委員会で防衛医科大学校を視察する機会をいただきました。その充足率等についても、委員長を初め我々は非常に心配をしたところでございます。  どうぞひとつそういった面につきましても十分配慮しながら、先ほどの長官の御答弁のとおり、正面また後方も含めて皆様方の一層の御努力を期待してお願いするものでございます。  ありがとうございました。
  244. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次回は、来る二十日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時八分散会