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1986-03-20 第104回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十日(木曜日)     午前九時三十五分開議 出席委員   委員長 角屋堅次郎君    理事 糸山英太郎君 理事 上草 義輝君    理事 近藤 元次君 理事 林  大幹君    理事 新村 勝雄君 理事 渡部 行雄君    理事 貝沼 次郎君 理事 玉置 一弥君       金子 一平君    小山 長規君       古屋  亨君    森下 元晴君       斉藤  節君    玉城 栄一君       春田 重昭君    滝沢 幸助君       瀬長亀次郎君    中川利三郎君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      古賀雷四郎君  出席政府委員         内閣参事官   荘司 晄夫君         総理府賞勲局長 海老原義彦君         北海道開発庁総         務監理官    西原  巧君         北海道開発庁計         画監理官    滝沢  浩君         沖縄開発庁総務         局長      小谷 宏三君         沖縄開発庁総務         局会計課長  五郎丸日出昇君         沖縄開発庁振興         局長      小林 悦夫君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         自治省行政局選         挙部長     小笠原臣也君  委員外出席者         首席内閣参事官 森  幸男君         北海道開発庁総         務課長     楢崎 泰道君         法務省刑事局参         事官      松尾 邦弘君         外務大臣官房審         議官      太田  博君         大蔵省主計局司         計課長     西澤  裕君         大蔵省国際金融         局企画課長   井坂 武彦君         文部省初等中等         教育局教科書検         定課長     小埜寺直巳君         文部省教育助成         局財務課長   逸見 博昌君         文部省教育助成         局地方課長   井上 孝美君         文部省教育助成         局教職員課長  糟谷 正彦君         文部省教育助成         局施設助成課長 遠山 耕平君         文部省高等教育         局大学課長   佐藤 禎一君         文化庁文化財保         護部伝統文化課         長       石藤 守雄君         厚生省年金局企         画課長     鏑木 伸一君         通商産業省生活         産業局原料紡績         課長      江崎  格君         会計検査院長  大久保 孟君         会計検査院事務         総局次長    磯田  晋君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       門田  浩君         会計検査院事務         総長官房人事課         長       小川 幸作君         会計検査院事務         総長官房会計課         長       山口  豊君         会計検査院事務         総長官房法規課         長       中島 孝夫君         会計検査院事務         総局第一局長  三原 英孝君         会計検査院事務         総局第二局長  天野 基巳君         会計検査院事務         総局第三局長  小川 一哉君         会計検査院事務         総局第四局長  立石 一雄君         会計検査院事務         総局第五局長  秋本 勝彦君         北海道東北開発         公庫総裁    吉岡 孝行君         沖縄振興開発金         融公庫理事長  岩瀬 義郎君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十日  辞任        補欠選任   斉藤  節君    玉城 栄一君   塚本 三郎君    滝沢 幸助君   中川利三郎君    瀬長亀次郎君 同日  辞任        補欠選任   玉城 栄一君    斉藤  節君   滝沢 幸助君    塚本 三郎君   瀬長亀次郎君    中川利三郎君     ――――――――――――― 二月二十五日  昭和六十年度一般会計予備費使用  総調書及び各省庁所管使用調書  (その1)  昭和六十年度特別会計予備費使用 (承諾を求  総調書及び各省庁所管使用調書 めるの件)  (その1)  昭和六十年度特別会計予算総則第  十二条に基づく経費増額調書及  び各省庁所管経費増額調書(そ  の1) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十八年度政府関係機関決算書  昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管北海道開発庁沖縄開発庁)、  北海道東北開発公庫沖縄振興開発金融公庫、  会計検査院所管〕      ――――◇―――――
  2. 角屋堅次郎

    角屋委員長 これより会議を開きます。  昭和五十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管北海道開発庁沖縄開発庁北海道東北開発公庫沖縄振興開発金融公庫及び会計検査院所管について審査を行います。  これより、古賀国務大臣及び大久保会計検査院長概要説明会計検査院検査概要説明北海道東北開発公庫当局及び沖縄振興開発金融公庫当局資金計画事業計画についての概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――    昭和五十八年度北海道開発庁決算概要説明  昭和五十八年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画ついで調査・立案し、及びこれに基づく事業実施に関する事務調整推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費北海道開発計画費一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策道路整備港湾漁港空港整備農業基盤整備等事業費であります。  これら開発事業執行に当たりましては、関係各省所管一般会計への移替え又は特別会計への繰入れの措置を講じ、直轄事業については北海道開発局が、補助事業については道、市町村などが実施に当たっているものであります。  昭和五十八年度の当初予算額は七千八十二億九千五百五十七万円余でありましたが、これに予算補正追加額三千百八十六万円余、予算補正修正減少額一億一千六百二十万円余、予算移替増加額四千九百七十一万円余、予算移替減少額二千九百六億八千六百五十七万円余、前年度繰越額三億四千八百四十六万円余、予備費使用額四億九百五十万円を増減いたしますと、昭和五十八年度歳出予算現額は四千百八十三億三千二百三十三万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は四千百八十二億七千九百六十万円余、翌年度繰越額四百六十万円余でありまして、その差額四千八百十三万円余は、不用額であります。  次に、開発事業執行のため、関係各省所管への移替え及び繰入れの状況を申し上げますと、移替えた額は厚生省所管へ七千七百三万円余、農林水産省所管へ二千百七十六億七千九百四十四万円、運輸省所管へ六億七百五十五万円余、建設省所管へ七百二十三億二千二百五十三万円余、合計二千九百六億八千六百五十七万円余であります。  また、特別会計への繰入れとして支出した額は、農林水産省所管国有林野事業特別会計へ百二十六億八千九百十一万円余、運輸省所管港湾整備特別会計へ四百二十五億八千万円、運輸省所管空港整備特別会計へ九十九億八千五十四万円余、建設省所管治水特別会計へ九百一億三百九十七万円余、建設省所管道路整備特別会計へ二千十九億一千六百五十万円、合計三千五百七十二億七千十四万円余であります。  次に、その他の経費支出につきましては、北海道開発庁一般行政費百十二億三千百七十七万円余、北海道開発計画費一億一千三十六万円余、北海道開発事業指導監督費三億八千六百七十五万円余、北海道開発事業の各工事諸費四百九十一億五千七十六万円余、北海道特定開発事業推進調査費八千九万円余、科学技術振興調整費四千九百七十一万円余であります。  以上、北海道開発庁決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。     …………………………………    昭和五十八年度沖縄開発庁歳出決算概要説明  昭和五十八年度における沖縄開発庁歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖縄開発庁歳出予算現額は、一千二百六十七億九千八十万円余でありまして、このうち、支出済歳出額は、一千二百三十二億九千七百八十五万円余、翌年度へ繰り越した額は、三十二億七百十六万円余、不用となった額は、二億八千五百七十八万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額二千百六十四億一千六百七十四万円、予算補正追加額二千八百十四万円余、予算補正修正減少額二億四千三百八十六万円余、予算移替増加額一千七百八十一万円余、予算移替減少額九百三十億八千九百三十五万円余、前年度繰越額三十六億五千四十二万円余、予備費使用額一千八十九万円余を増減しまして一千二百六十七億九千八十万円余となったものであります。  支出済歳出額の主なものは、沖縄振興開発のための財源として、治水特別会計国有林野事業特別会計道路整備特別会計港湾整備特別会計及び空港整備特別会計繰り入れ経費一千四十二億五千三百七万円余であります。  次に翌年度へ繰り越した額三十二億七百十六万円余は、治水特別会計において、計画及び設計に関する諸条件、気象及び用地の関係補償処理の困難により事業実施に不測の日数を要したため、同特別会計への繰り入れ年度内に完了しなかったこと等によるものであります。  また、不用となった二億八千五百七十八万円余は、退職手当必要額予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして昭和五十八年度沖縄開発庁決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和五十八年度決算北海道開発庁及び沖縄開発庁についての検査概要に関する主管局長説明  会計検査院  昭和五十八年度北海道開発庁及び沖縄開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和五十八年度決算北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明  会計検査院  昭和五十八年度北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和五十八年度決算概要                    北海道東北開発公庫  北海道東北開発公庫昭和五十八年度決算について、概要をご説明申し上げます。  当公庫昭和五十八年度事業計画は、当初、総額一千五百億円の出融資うち貸付金一千四百八十五億円、出資金十五億円)を予定しておりました。  これに対し、実績は、貸付金一千百九十二億三千二百万円、出資金七億九千五百万円で、昭和五十八年度出融資合計は、一千二百億二千七百万円となり、前年度実績に比較し、四・〇パーセントの減少となりました。  これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金二十二億円、政府借入金三百二十三億円、債券発行による収入七百八億九千八百六十五万円及び自己資金百四十六億二千八百三十五万円、合計一千二百億二千七百万円をもってこれにあてました。  次に、昭和五十八年度収入支出状況をご説明いたしますと、収入済額は、収入予算額六百七十億一千六百三十一万円余に対し六百四十八億七千四十五万円余、支出済額は、支出予算額六百六十九億八千九百六十九万円余に対し六百四十八億七千七百十四万円余でありました。  また、昭和五十八年度損益状況でございますが、貸付金利息収入等益金総額が八百三十八億八千七十万円余支払利息事務費等損金総額が、滞貨償却引当金繰り入れ前で八百五億一千二百六十八万円余となり、差額三十三億六千八百二万円余を、全額滞貨償却引当金繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、昭和五十八年度末における資産負債状況をご説明いたしますと、主な資産貸付金八千三百五十四億四千七百六十二万円余、出資金九十八億四百万円、主な負債政府借入金三千九十一億二千四百十四万円余、債券発行高五千八十二億八千三百八十万円、滞貨償却引当金三十三億六千八百二万円余であります。また、政府出資金は二百八十八億円であります。  なお、昭和五十八年度末における貸付金のうち弁済期限を六ケ月以上経過したものは、五十九億六千五百四十三万円余でありまして、これは貸付金残高に対して〇・七パーセントになっております。  以上、昭和五十八年度北海道東北開発公庫決算概要をご説明申し上げましたが、何とぞよろしくご審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和五十八年度沖縄振興開発金融公庫業務概況  一、沖縄振興開発金融公庫昭和五十八年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、沖縄国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係営業者等に対する資金で、一般金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。  二、昭和五十八年度事業計画は、当初貸付けとして千三百五十億円、出資として四億円、合計千三百五十四億円を予定しておりました。  この計画に対する実績貸付契約額が千三十九億九千万円余でありまして、出資が三千万円、合計千四十億一一千万円余となっております。  三、次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和五十七年度末の貸付残高は六千八百八十七億五千万円余でありましたが、昭和五十八年度中に貸付けを千二十七億四千万円余行い、回収が六百五十五億八千万円余ありましたので、昭和五十八年度末においては七千二百五十九億円余となっております。  なお、貸付金延滞状況につきましては、昭和五十八年度末におきまして弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は七十三億三千万円余でありまして、このうち一年以上のものは六十五億七千万円余となっております。  四、次に、昭和五十八年度収入支出決算について御説明申し上げます。  収入済額は五百八億五千万円余でありまして、これを収入予算額五百九億六千万円余に比較いたしますと一億一千万円余の減少となっております。この減少いたしましたおもな理由は、貸付金利息収入等予定より少なかったためであります。  支出済額は五百十四億六千万円余でありまして、これを支出予算額五百三十二億二千万円余に比較いたしますと十七億五千万円余の減少となっております。これは借入金利息等予定より少なかったためであります。  五、最後に、昭和五十八年度における損益計算について御説明申し上げます。  貸付金利息等の総利益は五百八十六億五千万円余、借入金利息等の総損失は五百八十三億一千万円余となり、差引き三億四千万円余の利益金を生じました。  この利益金は、本土産米穀資金特別勘定利益金でありますので、沖縄振興開発金融公庫法施行令附則第四条第二項の規定により同勘定積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上が昭和五十八年度における沖縄振興開発金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     …………………………………    昭和五十八年度会計検査院主管一般会計歳    入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決    算に関する説明  昭和五十八年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その大要を説明申し上げます。  会計検査院主管歳入につきましては、予算額二千三百九十七万円余に対しまして、収納済歳入額は、二千六百七十六万余円であり、差引き二百七十九万余円の増加となっております。  収納済歳入額の主なものは、公務員宿舎貸付料等国有財産貸付収入二千百九十九万余円であります。  次に、会計検査院所管歳出につきましては、当初予算額八十七億四千八百五十四万余円から、補正予算額二千四百二十九万余円を差し引き、予備費四億五千四十万余円を加えた予算現額九十一億七千四百六十四万余円に対しまして、支出済歳出額は九十一億七千三百万余円でありますので、その差額百六十四万余円を不用額といたしました。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費八十二億一千七百一万余円、検査旅費五億五千六百四十七万余円、施設整備費三千四百五十四万余円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、昭和五十八年度における会計検査院関係決算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和五十八年度決算会計検査院についての    検査概要に関する主管局長説明                会計検査院  昭和五十八年度会計検査院決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ―――――――――――――
  4. 角屋堅次郎

    角屋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  5. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まず、院長にお伺いいたします。  第一に、今の憲法第九十条は、会計検査院内閣、そして国会に対して何を求め、どういうことを期待しておるのか、その点についての御見解をお伺いいたします。
  6. 角屋堅次郎

    角屋委員長 今の渡部委員の発言の点は、閣僚出席問題できのう質疑者渡部委員委員長との間でいろいろ話し合った経緯がございます。憲法上の問題が指摘されましたけれども、本日の審議の問題について、所属大臣出席、それに今の憲法上の立場から官房長官出席を求めるということで私の方にお話が出ました、それに関連しての問題でございます。  先ほど理事会におきましても、所属大臣以外の閣僚出席の問題については、理論としては今渡部委員が指摘された立場から要請があったのでありますけれども、今後の委員会運営の問題として次の理事懇の際に出していただき、各理事皆様方意思統一を図ってこれからの運営をやっていきたい、こういう立場でございますので御理解をいただきたい、こう考えております。
  7. 渡部行雄

    渡部(行)委員 委員長、私は今会計検査院院長にお尋ねしているのです。大臣じゃないでのす。
  8. 角屋堅次郎

    角屋委員長 会計検査院長、そうですか、私はきのうのやりとりを思い出したものですから……。
  9. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いやいや、違います。
  10. 角屋堅次郎

    角屋委員長 恐縮です。
  11. 大久保孟

    大久保会計検査院長 お答え申し上げます。  憲法九十条の、どういうことを期待しているかという御質問でございますが、御承知のとおり、「会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」こういうことを期待しているものと承知いたしまして、検査院全員を挙げて検査に取り組んでいる次第でございます。
  12. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この中に、「内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」こういうふうに義務づけておるわけでございますが、逆に言うと、そのことは国会に対してある一つ要請というか、期待を持っていると解釈できるのですが、国会に対してどういう対応を期待しておるのか、この中身をひとつ御説明願いたいと思います。
  13. 大久保孟

    大久保会計検査院長 お答えいたします。  毎年、会計検査報告決算とともに提出しておりますが、国会においてどう対応することを期待しておるかという御質問だと承知しております。この点につきましては、検査院といたしましては会計検査報告に毎年多数の指摘事項を掲げてございます。これはもちろん、御承知のとおり、各省庁におきまして今後そういうことのないようにということを主眼といたしまして指摘しているわけでございます。したがいまして、国会におきましてはその検査報告に指摘した事項を御論議いただきまして、今後そういうことがないようにしていただくことを期待しておるわけでございます。  以上でございます。
  14. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、会計検査院は次年度までにちゃんと前年度検査をして報告をしなければならない、内閣もまたそれを国会に提出しなければならない。そういうことは、逆に言うと、国会もまたそれに対応して速やかに審査して国会審議を終結させる、こういう一つの機動的な対応を要求していると思うのですが、その点についてはどういうふうに思いますか。
  15. 大久保孟

    大久保会計検査院長 国会におきまして検査報告を取り上げて論議するにつきましてどういうふうにやったらいいのか、そのあり方についての御質問承知しておりますが、当委員会審査あり方については検査院の側から御意見を申し上げる立場にございません。強いて意見宣言えと申しますならば、先ほど申しましたとおり、我が方で検査の結果を報告しまして指摘事項を掲げてございますので、その点を論議を深めていただく、そして今後そういうことのないようにしていただく、強いて幸せばそういうことを期待しているということでございます。
  16. 渡部行雄

    渡部(行)委員 もちろん、この国会の内部問題についてはあなたは口を出す資格はないと思いますけれども、しかし憲法で保障されておる独立した機関として、国の財政の運用のあり方、そういうものがいつまでたっても承認もされない、そして何年もそのまま引き延ばされておるような現状、例えば五十七年度決算を六十一年に入ってやるような姿、今また五十八年度決算を始めたばかりですが、こういう姿というのは、私は決して憲法が期待しておる姿ではないと思うのですよ。これはあなたの経験からしても、こういうことが相当の隘路になるんじゃないかと思いますが、そういう点はいかがでしょうか。
  17. 大久保孟

    大久保会計検査院長 先ほどお答え申し上げましたとおり、先生も御承知ですが、検査院立場から物を申すことはできませんが、強いて申しますと、なるべく早く審査をしていただきまして、それでその実効を上げていただくということがいいんじゃないか、そういうように感じております。
  18. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私、なぜこういうことを聞くかと申しますと、あなたはいわゆる実務の最高責任者であるわけですから、実際に実地検査や帳簿検査等を通して、なるほどこういう点が困った問題だ、あるいはこういう点をぜひ加えてもらいたい、そういうものが当然出てきていいのじゃないか。つまり、会計検査あるいは決算審査あり方について最も理想的な形はこういうものじゃないだろうか、そういう一つの考え方があってしかるべきだと思うのですよ。それをひとつ聞かせてもらいたいと思う。
  19. 大久保孟

    大久保会計検査院長 検査院といたしましては、実地検査につきましてどうすべきであるかという点は常時検討し、またこれを実行しておるわけでございます。その結果といたしまして、検査報告を毎年国会に提出しておるわけでございまして、その検査報告をどう審議すべきであるかという点になりますと、我が方としてはコメントする立場にはないということを先ほど申し上げたわけでございますが、当委員会におきましてもこの点を十分に審議していただいて、できれば早く審査していただいて、それでその実効を上げていただくということを我が方としては期待しているわけでございます。
  20. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうも私の言っていることがよく理解されていないようです。  そこで、院法改正という、つまり会計検査院法の改正という問題がしょっちゅう出てきておるわけです。これは実際に事務を進める上で、院法の改正によって会計検査院の機能を強化する、権限を強化する、こういうことがなされないと、やはり検査それ自体にいろいろな支障を来すというふうに考えられるわけです。これもやはり会計検査院の実際上の問題として出てきておると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  21. 大久保孟

    大久保会計検査院長 院法改正、言いかえますと権限の強化の問題でございますが、それが今先生御指摘のように実際問題として出ているのではないかという御質問でございますが、現在の段階におきまして、実際検査上非常に困っておるという状況は、直接は聞いてございません。  ただ、概括的なことを申しますと、院法改正につきましては、先生御承知だと思いますが、たび重なる国会の場での御議論、また御決議の趣旨を体しまして、また憲法上の会計検査機関としての検査を十分行いた。いという立場からいたしまして、院法改正をしたいというこの立場は、改正案要綱を内閣に送りました当時と変わっておりません。ただ現在におきましては、内閣におきまして、改正の時期ではなく、当面肩越し検査で協力して検査の実を図るようにいたしたいということでございますので、当面はこれによって検査の努力をしておるところでございます。
  22. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この国会決議、本会議決議と委員会議決というものがあるわけですが、これを見ますと、昭和五十二年五月十九日に決算委員会の議決がなされて以来、委員会議決が十三回、本会議決議が十三回、こういうふうに総計二十六回の決議がなされておるわけですよ。これだけ決議がなされている中身というのは、つまり会計検査院の機能の充実強化と、それを法制化しよう、いわゆる院法の改正を図れ、こういう趣旨だろうと思うのです。にもかかわらず、これに対して全然改正の手続もとらず、ただ最近になって肩越し検査ということで、言葉を悪く言えばごまかしです、いいかげんなやり方で糊塗しようとしておる。こういうことでは、私は議会軽視も甚だしいと思うのです。  そこで、きょうはこの問題について内閣官房長官を呼んだのですが、どうしてもそういうことで来れないというから、これにかわる方からひとつ御答弁を願いたいと思います。
  23. 森幸男

    ○森説明員 本日は、諸般の事情で官房長官出席できませんで、まことに申しわけございません。  今先生御指摘のございました院法改正問題につきましては、先生お話しのとおりこれまでもたびたび国会の決議がございますし、何度か議論もなされておるところでございまして、私どもといたしましても、最大限尊重すべきものであると考えておるわけでございます。  この決議の中にございます会計検査実施に当たってその目的が十分達せられるような所要の措置を講ずるという方向で、これまでも政府あるいは内閣全体といたしましては、検査院の定員、予算の面での配慮とか、あるいは今先生御指摘ございました肩越し検査実施というような面でも、その円滑な実施を図るということのための可能な限りの措置は講じてきたつもりでございます。
  24. 渡部行雄

    渡部(行)委員 可能な限りの措置は講じてきたと申されますが、これが以前に院法改正がなされておれば、あのロッキード事件の真相ももっと確かに把握できたとさえ言われておるわけですよ。そして今の肩越し検査というのは、問題が自分の企業に及ばない限りそれは協力するでしょう。自分の団体に問題が出ない限りにおいては円滑に進めることができるでしょうし、また団体も協力するでしょう。しかし、仮に自分の団体に問題があり、それを指摘され、それを暴かれようとしたときに、拒否されたら一体どうしてこれを検査することができますか。これは両方からお聞きします。
  25. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 今の肩越し検査内閣官房副長官の通達の関係でございますが、確かに当初の通達では、我々の方が検査すべきかすべきでないかというようなところの判断が分かれるようなちょっと明確を欠く点がございましたが、その後の第二回目の通達、これは六十年二月十三日に出ておりますが、これにつきましては具体的に要件を定めまして、肩越し検査が我々の判断に依存してできるようになったというような理解を私どもは持っております。  先ほど会計検査院長も申し上げましたが、それは法律で明定するということが最も望ましいことは言うまでもございませんが、諸般の情勢を考慮いたしまして、現在我々といたしましては、この新しい官房副長官通達に根拠を置きまして、できるだけ先生御指摘のような事態の解消に努めてまいりたいというのが私どもの方の立場でございます。
  26. 森幸男

    ○森説明員 今会計検査院の方からお答えがございましたのと同じ趣旨になろうかと思いますけれども、従来からやってまいりました肩越し検査の円滑な実施という方向で、昨年の二月に再度内閣官房副長官の名前で関係のところに通達を出しまして、肩越し検査の円滑な実施を促進するために具体的な方向を示したところでございまして、これによりまして、今お話にございましたように、肩越し検査が従来に比べてさらに一層前進し、徹底できるのではないかな、こういうふうに考えております。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私はどうしても納得できないのです。会計検査院がなぜ憲法で独立機関として保障されておるのか。それは国民の税金を預かる政府の金の使い方、それが最もガラス張りで適切になされなければならないからだと思うのです。それが適切であるかないかを第三者機関が調査をして国民の前に明らかにさせる、そのいわゆる政府と会計検査院との牽制関係と申しますか、これを対立させてお互いに厳しく事に処するということを要請していると思うのです。ですから、会計検査というものは厳しければ厳しいほどいい。厳し過ぎて悪いということはあり得ないのです。ですから今のお答えの中にも、法律で明定することが最も望ましい。  最も望ましいなら、なぜ最も望ましいことをやらないのか。最も望ましくないことをやって、最も望ましいものをなぜ回避するのか。これでは会計検査が本当にガラス張りのすっきりしたものにならないと私は思うのです。国民の目から見ても、何かあるんじゃなかろうか、こういう疑いの目で見ざるを得ない。これはロッキード事件の経験の中から出ておる一つの大きな問題なんですよ。だとすれば、国民にこたえるまじめな態度をもっと国民に向かって明らかにすべきじゃないか、こういうように私は思いますが、いかがでしょうか。
  28. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 先ほどの私の発言を補足させていただきますが、結論から申し上げまして、現在私どもは内閣官房副長官の通達に基づきまして相当程度目的を達しておると考えております。そういう意味で、法律の改正があるなしにかかわらず、支障なく仕事を続けているというふうに理解しております。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それではあなた、院法の改正はする必要はないというのですか。どっちなのですか。今のままでいいというのですか。
  30. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 私どもが院法の改正に関する事案を内閣に出してからの態度というものは、変わっておりません。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)委員 非常にあいまいな答弁ですが、一方では内閣に院法改正の法律案要綱というものを出しておいて、他方で今の肩越し検査の通達でいいのだという理屈はどこから出てくるのですか。これは今のままでいいのだからこっちは引っ込めますというなら、また話は別だ。しかし、現実に拒否された場合は、その際どういう権限を行使するのですか。強制権というものの裏づけをはっきりさせてください。
  32. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 私どもは検査を実際に行っている過程において支障を認めてないということを申し上げたわけでございますが、会計検査院法の改正自体をどうするかという問題は、内閣の方に依存する問題でございます。私どもが伝え聞くところによりますれば、私どもの要望に対しまして私権への過剰介入がある等々のいろいろな御配慮がございまして、改正の検討が延びているというふうに理解しております。
  33. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この要綱案というものにいろいろと問題点が指摘されておりますが、この問題点は今なくなったのですか。
  34. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 ちょっと済みません。もう一度問題点を……。
  35. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この要綱案にいろいろと問題点が指摘されておるわけですよ。ただこれはひょこっと要綱案という題字が出ているだけでなくて、その理由も付されているわけです。なぜ院法の改正が必要か、そしてどういうふうにしてもらいたいということがここで述べられているわけですよ、時間がないから私読みませんけれども。そうすると、この中身は今の肩越し検査で全部満足させるようになったのかということです。
  36. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 要綱案に盛られた事項につきましては、それぞれ通達に基づいた肩越し検査を行う過程で現在のところやっております。
  37. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、国の補助金を二分の一以上受けておる団体等が相当数あるのですが、これは全部その肩越し検査で金の流れが末端までわかるようになっておりますか、先々とわかるように。
  38. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 その点についてはいろいろな融資機関、今先生おっしゃったのは恐らく融資の話だろうと思いますが、融資機関の御協力、何々金融公庫とか何々事業団とか、そういうところの御協力を得まして、支障なく肩越し検査を相当多量に行っております。
  39. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは後で具体的な問題についてお伺いしたいと思いますけれども、きょうは時間もありませんからこの程度にしますが、そうすると、肩越し検査で十分足りる、こういうことを申しておるわけですね。例えば海外援助資金、経済協力金なんかの金の使い方というのはよくわかるでしょうか。そういうことまで検査の対象になっていますね。その流れは皆わかりますか。
  40. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 もう一度取りまとめて申し上げますが、現段階のところ、肩越し検査で相当程度の実効を上げているというふうに申し上げられると思います。  それから、海外援助の検査に関しましては、担当局長の方から検査の進め方について答弁をさせます。
  41. 大久保孟

    大久保会計検査院長 特に発言を求めまして……。  検査院といたしましては、属越し検査で十分満足しているというものではございません。あくまで立場は変わってないのでございます。ただ、現状においてはそれでやっていく、そういうように御理解いただければ結構だと思います。
  42. 三原英孝

    ○三原会計検査院説明員 お答え申し上げます。  海外援助に関します資金の流れにつきましては、これは国内とはまた別の問題がございまして、相手が外国の政府ということでございますので、それにつきましては、私ども資金の流れにつきましては現在のところ見る手だてがない、こういう状況でございます。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今の院長の答弁は了解しました。私もそうだろうと思っていたのですが、何か今の肩越し検査で十分だというような答弁が続いてきましたから、しつこく食い下がったわけです。  今度は、外国の問題については全然そういう手が及ばない。しかし、会計検査院というものは、国の財政全般についてそれを検査する義務があると思うのです。これは責任というよりは義務であって、やらなければならない、そういう立場だろうと思うのです。いかに外国に金を送ったからといっても、これは国民の血税でございますから、その使われ方、どういうふうに使われて、国民が期待する方向に活用されておるかということをはっきりさせないと、何か他人の金をそのままつかみ勘定でくれるような思想では困るわけです。  ですから、今のマルコスの問題等が出てくるのですよ。とにかく日本では、そのためにフィリピンの国民が相当助かっているだろうと思っておったところが、マルコスの私有財産に組み入れられているかもわからない。そういう状態をやはり明確にさせていく責任があると思うのです。そのためには今後どういう手段をとればいいのか、その方法についてお考え方をお伺いいたします。
  44. 三原英孝

    ○三原会計検査院説明員 お答えいたしますで  私どもといたしましても、海外経済援助に対します検査の重要性については痛感いたしておるところでございます。そこで、現在まずどういうことをしているかということを申し上げますと、まず国内の検査におきまして、外務省とか国際協力事業団とかあるいは海外経済協力基金とか、そういうところへ参りまして、これは毎年行っておりますが、そこで、あります関係書類などを調べましてプロジェクトの実態把握に努めるとともに、また、交換公文に基づく契約の状況とか支払いの状況、これは相手国政府の勘定に間違いなくお金が支払われたというところまでは十分確認いたしておるところでございます。  それから、年に一回ないし二回海外に赴きまして、現地の調査をいたしております。現地におきましては、我が国の関係機関の出先機関説明を求めながら、あるいは時には特に相手国の当局の自発的な説明を受けながら、現地において援助にかかわる施設などが順調に完成されているか、そしてその後の利用の状況はどうなっているか、こういったようなことを調査いたしておりまして、その結果について私ども所見といたしまして外務省などに申し上げまして、援助の効果の確保向上に努めているところでございます。
  45. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この院法改正をめぐる問題について、今のやりとりの中で私なりに認識した点を申し上げまして確認したいと思います。  つまり、この院法というものの改正をしていただきたい、院法の改正をぜひ進めてもらいたいという気持ち、この改正要綱案のとおりぜひ改正してほしいという気持ちは今も変わらない。だが、現在その改正がないので、肩越し検査ということで通達によって補っておる。だから本来の法律的権限を付与してもらいたい、こういうふうに解釈していいでしょうか。
  46. 大久保孟

    大久保会計検査院長 院法改正につきましては、先生おっしゃいましたとおり、基本的な立場は変わっておりません。ただ、現状におきまして肩越し検査でそれを補っておる、そういうことでございます。ただ、これから先のことになりますと、これは高度の政治判断でございますので、国会の方で御判断いただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  47. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、経済協力という名のもとに海外に金が流れる場合、それが本当に所期の目的に合っておるかいないかということは、どこで確認するのですか。
  48. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  まず最初に、我が国の行っている援助資金の流れについて一言申し上げさせていただきますと、我が国が行っております海外援助の資金の流れでございますが、これは原則として我が国政府ないしは援助実施機関から、相手国政府等との契約によって援助を実施した企業に対して、当該の案件の進捗に応じて段階的に支払われることになっておりまして、相手国政府に直接援助資金が流れるものではないということをまず申し上げて、御説明させていただきたいと思います。  その上で、ただいまの先生の御質問でございますけれども、我が国として援助の適正かつ効果的、効率的な実施を確保するために幾つかの措置をとっております。  まず、援助供与を決定するに際しまして、関連の各種の資料の入手、それから事前調査団の派遣等によりまして、援助の対象として取り上げる案件が本当に的確かどうか、フィージピリティー、実施の可能性があるかどうか等について十分な事前の検討を行います。  それから、実際に援助資金を供与するときに交換公文を結びますけれども、その中におきまして、相手国に援助資金の適正使用及び施設機材等の適正な使用、維持を義務づける措置をとっております。  それから、入札に関しまして、公正な入札の確保のために入札ガイドラインを設けまして、これに沿った手続がとられるような措置を議しております。  それから、コスト面の妥当性も含めまして、実際に締結される契約を審査し、認証するということになっております。  それからさらに、プロジェクトが実施され援助が行われた後、事後の評価活動、実際に援助が所期の目的に従って行われたかどうかということを評価する活動の充実を図っている。  こういうような諸措置を講ずることによりまして、我が国の援助が適正かつ効果的、効率的に実施されることを確保しようと努めているところでございます。
  49. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、この援助資金というのは、直接政府から政府に渡るのでなくて、それぞれの企業に直接渡るわけですか。
  50. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  原則としてそのとおりでございます。原則としてと申しますのは、例えば災害援助という援助がございます。昨年のメキシコの大地震のときに我が国政府が災害援助を行いましたけれども、こういうのは直接相手国政府に渡りますが、そのほかの援助資金につきましては、先ほど御説明申しましたとおり、契約によって援助を実施した企業に支払われるということになっております。
  51. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、この企業の選択はどこでやるのでしょうか。そして、過去三年のフィリピンの援助資金を受けた企業名を、後からでいいですから、資料として出してください。
  52. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  どういう企業が実際に援助に携わるかということは、相手国政府がそれぞれのプロジェクトに関して国際入札を行いまして、その入札に落札した企業が実際の援助に携わるということになります。  それから、後刻関連の企業名を提出するようにという御依頼でございますが、ただいま申しましたように、援助を実施するに際しましてどの企業が実際の援助に携わるかということは、相手国政府、つまり日本政府が援助を行います相手国の政府と企業との間の契約ということになっておりまして、日本国政府といたしましては、そういう契約でございますので、企業の名前を公表するという立場にはないことを御理解いただきたいと思います。
  53. 渡部行雄

    渡部(行)委員 公表する立場にないと簡単に言うけれども、これは国民の金ですよ。国民の金を、政府を通さないで、企業に分けて援助資金としてやるその相手がわからない、その相手がわかっていても言えないということは、これはどういうものでしょうか。それを言わなくて、国会報告しなくていい何か法的な根拠があるのですか。
  54. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたとおり、我が国といたしましては、援助資金が、先生御指摘のように国民の税金でございますので、あくまでも適正かつ効果的、効率的に使用されるべきであるという観点から、幾つかの具体的な措置を講じまして、国民から納得のいただけるような援助ができるように最大限の努力をしているつもりでございます。  ただ、企業名の公表問題と申しますのは、先ほど申しましたように、日本政府が直接その企業と契約を結ぶということではなくて、日本政府が援助を与える相手国とその企業が実際のプロジェクトの実施について契約を結ぶということでございますので、先ほど申しましたとおり、当事者でない日本国政府としてそういう企業名を公表する立場にないということでございます。
  55. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この契約が相手の政府とその企業との間で結ばれているから、日本国政府はそれ以上入れないという理屈が私はわからないのですよ。相手の政府にやって、相手の政府から契約によって金が流れていくならば、これは相手の政府にやったという確認をとって、それ以上は今のところどうすることもできないというなら話はわかるけれども、政府を通さないで、金の場合は直接企業にやるんですよ、そう答えておいて、そのやる相手を公表できないというばかな話はないでしょう。
  56. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  先ほど申しました我が国の資金の流れが直接相手国政府に行かないということは、援助の相手がどこであるかということとはちょっと別の、具体的な資金の流れのお話をしたわけでございまして、実際に我が国の援助を行う相手、実際の援助を受ける相手は、当然のことながら被援助国の政府でございます。
  57. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうも答弁がめちゃくちゃで、何を答弁しているかわかりませんな。企業だと最初言っておいて、今度は政府だと言うのは、どういうことなんだい。そんなことで国会答弁になるのか。我々は国民の立場質問しているんだよ。いいかげんな、口先でごまかすような答弁はやめなさい。  そこで、質問を変えますが、最近の新聞に、マルコスが自民党に多額の政治献金をしたと報道されておるわけです。もしこれが事実だとすれば、当然に政治資金規正法の手続がなされていると思いますが、自治省、その点はどういうふうになっているでしょうか。
  58. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  けさほど御連絡がございましたので、私ども、新聞記事に基づいて調べてみたわけでございます。新聞記事によりますと、一九七二年から七三年にかけてというふうになっておりますので、官報によりまして昭和四十七年分、四十八年分の自由民主党本部の政治資金規正法による収支報告を確認いたしましたところでは、お尋ねのマルコス前大統領からの自民党本部に対する寄附の記載はございません。
  59. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、法務省の松尾参事官にお伺いしますが、一体これが仮に事実だとすればどういうことになるのでしょうか。これは一つの犯罪行為というふうになるのかどうか、その辺の御見解をお聞かせ願いたいと思うのです。
  60. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 お答えいたします。  新聞報道等は承知しておりますが、何分にも事実関係がまだ明らかになっておりませんので、いかんとも答弁いたしかねるところでございます。
  61. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いや、私の聞いているのは、仮に事実だとすれば法律上どういうふうになるのか、その見解を聞いているので、事実がどうのこうのと聞いているのじゃないですよ。
  62. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 仮定の問題といたしましても、事実関係そのものが明らかではございません。また、一般論としてお答えできるかどうかについても、先生お尋ねの事実関係がいかなるものであるのかということがはっきりしませんので……(渡部(行)委員一般論でいいです、一般論で」と呼ぶ)  刑法には、例えば日本国民が外国で犯した犯罪については、刑法の二条、三条、四条ということでその処罰する規定を置いているわけでございます。それ以外は、原則としては日本国内における犯罪の処罰規定に基づいておるわけでございます。先生お尋ねの件が日本国内での話なのか、あるいは国外での話なのか、そこらあたりがよくわからないのですが、国外ということであれば、今お答えいたしましたように、日本国民の国外犯の処罰規定その他によって処罰される行為がどうかということに具体的にはなってこようかと思う次第でございます。
  63. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この政治資金もさることながら、今度は複数の商社あるいは自動車会社が逆にマルコスにリベートを贈った、こういうことも報道されているわけですが、いつも私思うに、アメリカからばかり問題が暴露されて、日本では全然暴露されないですね。これは一つの日本の警察体制というか、そういうものに欠陥があるのじゃなかろうかと思うのですが、その点はどうですか。これは答弁する人がいないのか。  それでは、また松尾参事官に聞きますが、こういうリベートが仮に現実に流れたとすれば、それはどういう罪に当たりますか。
  64. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 一般論ということでお答えさせていただきますが、先ほど申し上げましたように、我が国の刑法におきましては、日本国民が外国で行った行為について処罰すべきものとして、刑法第二条に国外犯規定というものがございます。刑法二条で言いますと、例えば通貨偽造罪のようなものは、何人を問わず日本国外においてこれを犯した場合には処罰するという規定がございます。次に、第三条には日本国民が国外で犯した行為につきましての処罰規定がございます。例えば殺人罪でありますとか放火罪、そういった規定があるわけでございます。それから、第四条には公務員の国外犯の規定がございまして、ここには例えば収賄罪というものは日本の公務員が外国で犯しても処罰する規定がございます。  ただ、ここで先生のお尋ねのリベートの問題として通常考えられるものとしては贈賄罪のようなものになるかと思いますが、贈賄罪につきましては第三条あるいは第四条にそれを処罰する旨の規定はございません。
  65. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは複数のとかああいうふうに報道されて、恐らく報道陣では具体的につかんでいるのじゃなかろうかと思いますが、そういうふうに表に出てしまえば捜査の対象としてこれから具体的に進めるようになりますかどうか、その辺はどうですか。
  66. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 新聞等で報道されている事実につきましては承知しておりますけれども、何分にもその範囲を出ないことでございまして、今後どうこうするというようなことにつきましては、現在では答弁いたしかねるところでございます。
  67. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いつも日本は先を越されて仕方なしにやっていくような姿勢で、私は本当にいつもこういう姿勢で政府が政治をとっている限り国民は安心していられるだろうか、こう考えるわけですが、一応その犯罪性のあるものが表に出たら、仮にそれがどんな事件であろうと、特にこういう問題は、日本の国内の問題だから、アメリカから一々資料が来なければできないというようなぶざまなことのないようにしっかりやってもらいたいと思うのです。  そこで、だんだん時間が来ましたのでこの点はこの程度でやめますが、日本の国境を越えて金が出入りするというのを、出る金、入る金、これをどこかチェックする機関はないでしょうか。
  68. 井坂武彦

    ○井坂説明員 お答えいたします。  昭和五十五年の外為法の全面大改正がございまして、対外取引の一層の自由化を図るという観点から、対外取引は原則として自由に行えるという法制に全面的に変わったわけでございます。支払いあるいは支払いの受領につきましても、それまでの原則禁止の法体系から原則自由の法体系に転換が図られております。したがいまして、寄附とか贈与を含めまして、通常の対外送金といったようなものにつきましては、国際収支の均衡を維持することが困難になるというふうないわゆる有事の場合を除きましては、自由ということに相なっております。
  69. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは小さい金のうちはいいけれども、大きな金が国境を越えて移動する場合には、その国の経済にも相当の影響を与えかねない、こういう問題については会計検査院の方ではどういうふう梶考えておられますか。
  70. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 ちょっと恐れ入りますが、もう一度質問の御趣旨を……。
  71. 渡部行雄

    渡部(行)委員 多量のお金が国の内外に出たり入ったりすることによってその国の経済に相当の影響を与える、こういう場合に今のようなシステムで満足できるのかどうか。会計検査院として、金の流れを常に追跡するあなた方の役目として何か考えているところはないか、こういうことなんです。
  72. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 私どもの検査の範囲というものは会計検査院法に明示してございますが、海外援助の関係につきましても、その限りにおいて検査を進めているところでございます。
  73. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最後に一つ。  政府の方では、大分行政改革ということでいろいろ定数削減なり機関の削減なりやってまいりましたが、しかし会計検査院としての体制、これは今までどおりでいいだろうか。近代化というのは一体どうあるべきなのか。特に最近のコンピューターの発達あるいは情報の進歩、そういうものを考えた際に、会計検査院の最も理想的なあり方あるいは時代に対応したあり方というものは一体どんなものか、そういうことは考えていないのかどうか。これを最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  74. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 我々の検査対象が非常に変わっているというのは御指摘のとおりでございまして、私どももその検査対象をいかに効率よく検査していくかということにつきましては、いつも検討を加えているところでございます。また、それに基づきまして改善を行っているところでございます。  主な点を申し上げますと、最近におきましては、五十九年の十二月に機構改革を行いまして、最も現実的な検査実施できるようにいたしました。  それからもう一つ、今御指摘にございましたコンピューター関連の問題でございますが、これは三つの観点からとらえられると思います。実は、五十九年四月に上席情報処理調査官というものを設けまして、この調査官を中心にコンピューター関係の仕事を処理するチームをつくっております。そこで行っておりますことは、まず一つは、いろいろな省庁あるいは実施機関で導入されておりますコンピュータリゼーションを検査するということをやっております。それから、限られた予算、人員でいかに会計検査を効果的に実施するかという観点から、コンピューターを利用した検査手法というものを開発しております。さらには、我々は非常に多量な情報を持っておりますので、その情報を手際よく取り出し仕事に応用できるよう、会計検査情報システムと呼んでおりますが、データベースの構築を現在着々と進めているところでございます。  そういうことでございまして、限られた予算、人員、そしてコンピューターを組み合わせまして、国民の皆様の期待にこたえる会計検査を今後とも実施していきたいというのが我々の考えでございます。
  75. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうもありがとうございました。
  76. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次は、新村勝雄君。
  77. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最初に、会計検査院長にお伺いをいたしますが、渡部委員の方からも院法の改正については質問がございました。このそもそもの起こりは、ロッキード事件の反省の中から出てきた一つの問題であろうと思います。そういう中で、一時期は院法の改正が当然のこととして政府の間においても検討されていたわけであります。さらに、国会でも重ねての両院における決議も行われたということでありますけれども、それがついに実現をしなかったということについてはどこに原因があるのか。先ほども院長は、依然として同じ考えを持っておられるというお話がありましたけれども、現在の院法を改正してさらに権限を強化すべきであるということについては、それは正しい主張であり、院としても依然としてそのお考えを持っているということですね。ですから、この主張は正しいわけですよ。正しいわけですけれども、依然として実現をしないその原因はどこにあるとお考えですか。
  78. 大久保孟

    大久保会計検査院長 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたが、院法改正につきましては、基本的には改正案要綱を提出したときと気持ちは変わっておりません。ただ、現在におきまして、内閣におきましては、困難である、一応肩越し検査という形で協力して実績を上げたいということで、その線に沿いまして現在は最大限の努力をしているわけでございます。  ただ、その原因はどこかというお尋ねでございますが、院法改正に関する論議は再々両院でされております。院法を改正すべきかどうか、内閣側から申しますと、現在こちらが出していますいわゆる改正案要綱につきまして、企業に対する公権力の介入とか、政府系融資がなかなかはかどらないとか、いろいろ議論はしておるようでございますが、基本的にこれを改正すべきかどうかということは高度の政策問題になります。たびたび申し上げましたとおり、これは高度の政治判断に属するということで、検査院といたしましては、内閣または国会において論議して御判断を示していただきたい。御判断が示されれば我々はそれに従うつもりでおります。そういうように考えておる次第でございます。
  79. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 国会の論議はもう尽きているわけですよ。これは本会議においても委員会においても論議が既に尽くされ、そして尽きているわけです。それからまた、その決議も既に両院において延べにしますと十回以上もやっているということでありますから、院としての意思表示は十分にされているわけです。ですから、その院の意向を受けて政府がどうするかということなんですけれども、政府の方が極めて消極的である。一時は、福田総理、大平総理の時代には大分前向きにやった時代もあるのですけれども、いつの間にかそれが消えてしまった。消えたのではないのでしょうけれども、まだすぐに実現をする空気にはなっていないということでありまして、こういう状況は大変残念であります。  院長は、今後ともこの問題について重ねて政府にその改正を、この場合どういう言葉を使ったちいいですか、要求というのですか要請というのですか、意見具申――上下じゃないから意見具申じゃないでしょうが、院のお考えを政府に強く述べるというお考えはございますか。
  80. 大久保孟

    大久保会計検査院長 この点につきましては、五十三年ですか、改正案要綱を内閣に提出しておりまして、これで十分我々の意見は出しているわけでございます。そこで、その立場は現在も変わっていないということで御理解いただきたいと思います。
  81. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうだろうと思います用意思表示をされておるということですけれども、それに対して政府としては何ら反応がないわけですよ。両院の国会の意思表示についても反応がない、また検査院長の要請に対しても全く反応がないということであれば、あれはどうしたのだ、政府としては国会あるいは検査院の意向に基づいてこれをぜひ実現してもらいたいということを、時期、方法についてはいろいろ難しい問題があろうと思いますけれども、重ねて政府に要求あるいは要請をすべきではないかと思うのです。そして、院としては、また院長としても依然として変わらないお考えを持っていらっしゃるということですから、また国会としても恐らくその考えを持っていると思います。にもかかわらず、政府だけがやらないということでありますから、今後ともひとつ機会を見て、時期と方法を選んでいただいて、ぜひ政府にその旨を強く要請をしていただきたいと思います。これは要望であります。  それから、会計検査院の重要性については申し上げるまでもないわけでありまして、特に今財政再建あるいは行政改革が進められておりますけれども、行政改革が進められ、財政再建が切実な国家財政の要求になっていればいるほど、会計検査院の使命は重くなるということだと思います。そういうことで、例えば検査院の定数あるいは体制にいたしましても、検査院の方々にいろいろなことをお伺いすると、とても定数が足りない、現在の体制ではこれ以上のことはできない。確かにそうだと思います。検査に従事をされている方々は、日夜大変な苦労をされているということはよくわかるわけであります。しかし、人間には能力の限度がありますので、定数増あるいは機構の強化ということが、これは必然的に必要になってくるわけであります。  そういう点で、ほかの省庁と言うとこれは言葉が適当ではありませんけれども、ほかの省庁についてはあるいはその機構の簡素化、定数の減少ということが必要かもしれません。それが行政改革であろうかと思いますけれども、検査院においてはむしろ逆に機構を強化し、定数も増加をさして、一層の検査体制の強化を図るということが必要であると思いますけれども、院長のお考えはいかがですか。
  82. 大久保孟

    大久保会計検査院長 ただいま御指摘いただきました緊縮財政下と申しますか、行政改革の中におきまして、検査院はあくまで機構を整備し、人員を増加してやらなければならぬ、こういう御意見は我々も前々から持っておりまして、その点につきましては大蔵省におきましても十分配慮していると存じますが、毎年わずかでございますが定数増、一名ではございますが定数増、また予算におきましても検査旅費の増額、そういう形で協力していただいております。  整備の状況の細かい点につきましては、事務総局から答弁させていただきます。
  83. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 ただいまの会計検査院長の答弁を若干具体的に補足さしていただきますと、昭和六十年度におきまして、定員は千二百二十九名、検査従事職員は九百八十四名、この内訳は、調査官が七百名、調査官補と申しまして調査官の次に位する職が二百八十四名でございます。それから、歳出予算額は九十九億九千五百万円となっており、これをもちましてただいま検査実施しているところでございますが、現在御審議をいただいております六十一年度予算では、定員は千二百三十名、実質一名の純増でございます。それから、予算額の方は百五億四千八百万円の予定となっておりまして、五億五千三百万円、約五%増ということになっております。  見かけは微増というような感じでございますが、これに加えまして情報処理庁費等も充実して、先ほど申し上げました会計検査院自身のコンピュータリゼーションあるいはコンピュータリゼーションに対応する検査というようなことを充実することによって、全体的に体質の強化を図っているというのが現状でございます。
  84. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 一層の御奮闘を御期待するわけですが、そこで、五十八年度の不当事項、これは合計で八十二億八千四百万円でありますが、五十八年度における調査、もちろんこれは悉皆調査ではない。抽出でしょう。その割合ですね、検査対象全体の中で実際に調査をしたのは、金額における比率、あるいは官公庁、事務所数ごとの比率、その比率おわかりですか。
  85. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の問題は、我々検査を進め、しかもそれを反省していく上で非常に大切な指標でございますが、非常にとらえ方が難しゅうございます。それで現在、我々公に行っておりますのは、検査対象箇所分の検査済みの箇所ということで、しかもそれを非常に重要な箇所、中くらいに重要な箇所、軽い箇所と三つの分類をいたしまして、検査の箇所から見た施行率というものを毎年求めております。  検査報告に掲記してございますのは、そのトータルの九・〇%という数字でございますが、内訳も出ておりますが、まず一番重要な箇所については四一・九%、次の重要な箇所は一〇・三%、それから軽い箇所については一・五%というような現状になっております。このところの趨勢を見ますと、前年が八・四%、前々年が八・五%でございますので、若干の改善が見られております。  それから、金額による浸透率でございますが、非公式には我々部内でいろいろ集計してございますが、この集計するルールというのがなかなか難しゅうございます。一つの箇所に行っても金額丸々全部見る、検査対象金額丸々見るということになかなかなりませんので、そこら辺のところを勘案したりいろいろしなければならないということで、これは本当に部内のめどということで持っております。  以上でございます。
  86. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これはそういう言い方をしていいかどうかわかりませんけれども、悉皆調査でなくて抽出ですから、八十二億、これはこの割合で国家財政全部にわたってのそういった事項があるとすれば幾らになるかというようなことは、単純な計算では出てくるわけですけれども、とにかく相当な額の不当事項が残念ながらあるということであります。したがって、一層この機構あるいは人員等の強化をしていただいて、こういうことが根絶されることが理想であります。根絶していただくようにお願いをしたいわけであります。  それについては去年ですか、前の年度で、会計検査院がこれは権限に基づき憲法上の地位に立っておるわけでありますけれども、各省庁においても自律的な監査、検査の体制をつくるべきではないかということがこの委員会で決議をされたはずであります。そして、各省庁にその旨が官房長官から、多分官房長官だと思いますが、各省庁に行っているはずであります。これは検査院検査機能あるいは能力とあわせて、それを補充する意味で各省庁が行わなければならないことだと思います。  この点については、院長からどうこうというふうにおっしゃることはできないと思いますが、その担当の方、ここにいらっしゃいますか。各省庁に対して自律的な会計の監査、検査をすべきであるということに対する各省庁の実績はどうであるのか、どの程度にそれが行われているのかいないのかということについて、これはどなたからでも結構ですけれども、伺いたいと思います。――いらっしゃらなければ保留にしておきます。後でいいです。  次の問題でありますけれども、これは検査院とも大変密接な関係がございますけれども、そして既に指摘をされ、一部は司直の手にも渡っておるわけでありますが、設備廃棄事業実施に当たって、いろいろ遺憾な事実が判明をいたしております。設備共同廃棄事業の融資等の実績は、これは繊維関係でありますが、三十業種二十六組合、助成額、これは中小企業事業団からの貸付額ですね、これが二千四百十一億と大変な多額になっておるわけです。そして、企業種の総廃棄台数が四百五十二万八千百二十八台、これは通産の発表でありますが、こういう膨大な事業について、その中からいろいろと問題点が指摘をされておるわけでありますけれども、これについて通産省は今までどのような監督なり指導なりをしてこられましたか。
  87. 江崎格

    ○江崎説明員 先生御指摘の事件、私どもの所管しております日本撚糸工業組合連合会で幹部がかかわって起こった事件でございまして、今御指摘の設備共同廃棄事業に関しまして、五十七年に実施いたしました仮より機の設備共同廃棄事業に関連しまして、幹部等がかかわって四億二千万円の詐欺事件を起こしたという事件でございまして、私ども大変遺憾に感じておりますし、また監督上の責任を痛感しておる次第でございます。  現在、本件発生に至るまでの詳細な事実関係につきまして、検察当局によりまして調査が行われておりまして、私どもも現段階ですべての問題点を明らかにすることは困難でございますけれども、現在わかっております点から見まして、この五十七年度実施しました設備廃棄事業に際しまして、三つの点で問題があった。組合員でない人間が持っておる設備を対象にしたということが第一点でございます。それから、登録されてない、無登録の設備を対象にしているということでございます。それから、現に事業の用に供されてない設備を対象にしているという三つの点で、本来なら設備廃棄の対象にならないものを対象にしているということで問題があったわけでございまして、こうしたそれぞれの段階で、設備共同廃棄車業の対象設備のチェックに遺漏があったというふうに反省しておるわけでございます。当省としましては、今後こうした不正が発生することがないように、制度の運用の改善を含めまして、必要な検討をしていきたいというふうに思っております。
  88. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 今の答弁だけではなくて、この設備廃棄事業全般にわたってかなりの遺憾な点があるという疑いが現在持たれております。それは撚糸工業連合会の幹部がやったことだけにとどまらない。無籍のものを有籍にしたり、また無籍のものが事業の対象になっていたり、不使用のものがなっていたりということ、これは既にその一部については検査院の指摘で明らかになっておりますけれども、そういう事態がかなり広範に現在も存在しておるという疑い、これは確実な疑いが持たれておるわけですね。無籍の機械も相当数あるんではないかという疑いもありますし、また、無籍のものを政治力を利用して有籍にして、それを廃棄事業の対象にしたというような、そういう数も相当数あるという、その疑いが持たれておるわけです。  五十三年度でありますからちはっと古いのですけれども、中小企業事業団の決算報告で、メリヤス生地製造業組合連合会、ねん糸業組合連合会、縫製業組合連合会等で不当な貸し付けがあったということが指摘をされております。  これは先ほど参議院の予算委員会で我が党の佐藤委員の追及恒よって明らかになったわけですけれども、五十七年に岐阜で設備廃棄機械の破砕が十分でないための不正行為、それから五十九年二月には機械の申告による不正行為が福井で発見され、重大な問題になったというようなことが指摘をされておりますけれども、こういう類の不正がまだかなり隠されているんではないかという疑いが持たれているわけであります。  設備廃棄事業、これは自由主義経済の中において、いわゆる斜陽産業に対する政治の極めて手厚い保護があるわけですけれども、こういう政治の大変手厚い保護の精神から出た施策でありますけれども、こういう制度を逆に悪用して、そこから不当な利益を得る、あるいはまた一部では政治家の関与がうわさをされておるということは大変遺憾なことでありまして、これは税金、国民の血税で賄っておる制度でありますから、その制度の中からこういう問題が出てくるということは、政治に対する不信がこういったことによって倍加される、増幅されるということであって、これは通産の責任も極めて重いと思うのです。  そういうことで、この問題についてはまだまだ疑惑が深まる一方であります。こういうことで、この問題について検査院としてさらに集中的に検査をされるお考えがございませんか。
  89. 秋本勝彦

    ○秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  設備廃棄事業につきましては、先生からお話もございましたように、五十三年度、五十四年度検査報告でも掲記いたしましたような事態が撚工連についてもあったわけでございます。私どもといたしましては、不当事項の指摘をいたしまして、これによりまして通産当局がより一層厳重な指導監督に当たられまして、改善の効果を期待しておったところであります。しかしながら、今回のような異常とも言えるような事態が発生したわけでございまして、私どもとしてもまことに遺憾な次第でございます。  それで今後、私どもといたしましても、このような事態がなぜさらに重ねて発生してきているのか、その事態の原因の究明を深めるとともに、先ほど来廃棄事業に対する多額な融資が行われているという御指摘もございますように、私どもといたしましても厳重な検査を今後十分にやる所存でございます。
  90. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ぜひ検査院の御奮闘を御期待するわけでございます。  既に話が出ていますように、五十三年、五十四年では検査院がおやりになった。それから、五十五年以降については、手が回らないのだと思いますけれども、おやりになっていないわけでありますが、その後においてもこういうことが引き続き行われている疑いが極めて濃いのであります。  五十三年度、五十四年度につきましては、無登録の設備を設置していたものから買い上げをしたというようなことが何件か指摘をされておる。さらに、企業の規模からしても買い上げ対象にならないものを買い上げたというようなこともあるわけであります。  特に問題なのは、無登録の機械を買い上げた、あるいは無登録のものを登録した、登録するに当たって政治家の姿が見え隠れするということが今しきりに言われておるわけであります。本来ならば、登録制ですから無登録というのがあってはならないはずであります。全機が登録されていなければならないはずですよね。それが無登録機が相当数あるということ、これが問題なんですね。ここらの事情がどうなっているのか。  それから、無登録から登録に変わっていく、そういうことはないと通産はおっしゃるかもしれませんけれども、事実これはあるのですね。これは確実な情報によっても、無登録を登録にする際に政治家の姿があらわれるということが言われておるわけですよ。ですから、無登録機がそんなにあるということはどういうことなのか。  それから、無登録から登録に変えて、これは本来ならば変えてはいけないはずですね。ところが、実際には変えられているということです。しかも、その変える手口といいますか、これは古い機械を廃棄すれば新しい機械を設置ができる、新しい登録ができるということがあるようですけれども、そのときに乗じて無登録を登録にするのか、あるいはそういったこととは別に無登録を登録にするのか、その方法はいろいろあるのでしょうが、とにかく無登録が登録にされているその過程が極めて不明朗だということなんですけれども、その辺の事情はどうなんですか、通産の御説明を願います。
  91. 江崎格

    ○江崎説明員 私の所管の撚糸機の問題で申し上げますと、撚糸機の場合に、撚糸業を初めとしましてはかの業種につきましてもそうでございますが、いわゆる登録制というものが行われておりまして、この制度のもとでは、一定の手続を経て登録を受けた設備でなければ事業の用に供してはならないということになっております。それで、事業者が新しく買ったとか人から譲り受けたという何らかの原因で登録されてない設備を持っておりまして、これを登録して事業の用に供するためには、既に自分の持っております他の同等能力以上の設備を壊しまして、その場合にだけ登録できるということになっておりまして、これは調整規則で認められておるケースでございます。こうした手続を経ないで、勝手に無登録の機械を登録するといいますか、有籍化するケースにつきましては、私どもとしては承知してないわけでございます。
  92. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 現に無登録の機械が相当数存在するということはお認めになりますか。  それから、現在のものを廃棄して新しいものを入れる、スクラップ・アンド・ビルドですか、その際に無登録のものがそこに紛れ込むという可能性は十分あるわけですよね。そういった点はどうなっているでしょうか。
  93. 江崎格

    ○江崎説明員 登録制のもとでは、登録されてない設備を事業の用に供してはならないということでございまして、事業の用に供さない限りは、保有しておること自体は違反ではないわけでございます。その意味で、登録はされてないけれども事業の用に供してないという設備は恐らく何台かは存在しておろうかと思いますが、無登録のまま事業に供されているという設備について、そういうものがたくさん存在しているというふうには私ども理解してないわけでございます。
  94. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それは存在していないというふうにおっしゃいますけれども、一部抽出の調査でさえもこういう事例があらわれてくるわけです。これは検査院さんの調査の結果ですけれども、その一部抽出の調査の結果でもこういうものが出てくるわけですね。無登録のものを使用し、しかも、使用するだけではなくてこれを買い上げの対象にしたというのですから、これはさたの限りだと思うのです。この事実から見ても、そういうことが相当数あると言わざるを得ないわけですよ。これは五十三年度、五十四年度、しかも一部の調査においてもこういうことが出ているわけですから、全体としてはそう考えざるを得ない。どう思いますか。  それから、無登録の機械が存在するだけでは、これは別に問うことではない、いいんだということですけれども、存在するというのはどういうことなのか。据えつけをしないで、使える状態ではなくて倉庫の中にただ機械としてあることを言うのか。機械として据えつけてやった場合には、これは使いませんと言ったって、検査に行ったときに使ってなくたって使うのは自由ですから、その辺は管理が大変あいまいです。その辺はどういうことなのか。
  95. 江崎格

    ○江崎説明員 例えば撚糸機のメーカーが販売する目的で撚糸機を製造いたしまして、まだ撚糸業者に売り渡してない状況のようなことがあるわけでございますが、こういう場合もまだ事業の用に供してないということでございますし、それから、その撚糸機を買いました撚糸業者が、スクラップ・アンド・ビルドでまだ正規の登録を受けていなくて倉庫等に保管しておくというような状態は、事業の用に供してない状況と言っていいかと思います。
  96. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、通産では無登録はないとおっしゃるわけですね。だけれども、これは事実に反すると思うし、納得ができないわけです。  それから、無登録のものを使っていた場合には、これは違法で処罰の対象にもなるということなんですけれども、ごく一部の調査でさえも、そういう無登録のものが買い上げの対象になっているということがあらわれているわけですから、これは相当数ある生言わざるを得ないのですが、この指摘をされた業者は、無登録のものを賢い上げの対象にしたわけですから、使っていたとみなされてもやむを得ないわけですね。こういう場合に、これに対する処置はどうなんですか。この買い上げの相当金額を繰り上げ償還させるということで終わってしまうわけですか。
  97. 江崎格

    ○江崎説明員 通常、各産地に登録に関しての監視委員会というのがございまして、これが無登録の設備が事業の用に供されてないかどうかというのを監視しているわけでございますが、無登録の設備を発見した場合にはこれを廃棄するように命じまして、廃棄処分をさせるということで指導しております。
  98. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 聞くところによりますと、登録事務、それから更新の事務、更新登録、こういったことについてはすべて地元の組合あるいは組合連合会がやっておって、通産ではめくら判を押すだけだというふうに聞いておりますけれども、そういうことなんですか。
  99. 江崎格

    ○江崎説明員 登録台帳の管理は、撚糸工連が管理しております。
  100. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、撚糸工連を信用して一切を任していらっしゃるわけでしょうけれども、そういうところからこういう問題が起こってくるわけじゃないですかね。ですから、たくさん数があるのですから、常時全体の業者について監視をするあるいは指導するということは困難でしょうけれども、直接この経営者、業者を通産が監督指導する、こういう体制ができないのか。それから、今までそういうことを全くやっていないのか。
  101. 江崎格

    ○江崎説明員 登録台帳の管理に関しましては、先生御指摘のような問題があったというふうに私どもも現在理解しております。それで、今後の改善の一方策としまして、登録台帳の管理につきまして改善を検討すべきであるというふうに考えております。
  102. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 台帳の管理だけではなくて、やはり企業者について通産が直接監督指導をする、一件一件というわけにはいかないにしても、直接監督指導するという姿勢が必要だと思うのですよ。地元の組合にだけすべて任しておくということでは、これは間違いが起こるのは当然ということは言いませんけれども、そういうところからこの制度の運用に大変なミスがあったと言わざるを得ないと思います。  そこで、五十四年の六月四日から六月二十日ごろまでの間に検査院さんが四国の各地を調査をされたわけですけれども、その当時、これは報道でありますけれども、四国地区で設備共同廃棄事業の対象となった機械の不正転売が判明した。その際、通産省などに報告せずもみ消していたことが明らかになった、関係者の証言でわかったということが報道されております。また、撚糸機登録シールを不正に交付し、その謝礼として現職の理事が単位組合から海外旅行に招待されたことが明らかになっておる。  これは五十四年のことでありますけれども、こういうことが今言われておりますが、それからもうかなりの時間がたっておるわけですね。こういうことが実際に行われていたことを通産が全く知らなかったというのは、非常におかしいのですよね。常識を超えておる。こういうことを今まで通産は全然御存じなかったのですか。     〔委員長退席、渡部(行)委員長代理着席〕
  103. 江崎格

    ○江崎説明員 この件につきましては、今回新聞報道されるまで私ども気がつかなかったわけでございます。
  104. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 新聞報道がされるまでわからなかった。新聞の情報力の方が監督官庁よりも上だというのですか。これは大変な問題ですよ。国民にこういうことをおっしゃれますか。監督官庁が何のために存在しているのかということですよね。監督官庁の力よりもマスコミの情報の方が上だという、これは我々には信じられないことなんですよ。  それからさらに、「岡山県内の業者が約三十台を破砕せず」、これは廃棄事業が適用されれば機械を破砕するわけでしょうけれども、「破砕せず一台約四十五万円で大阪、中国地方のブローカーに転売。」これは機械そのものを転売したわけでしょうから、こういうところから無籍の機械が出回る可能性が十分あるわけですよ。そして、その「うち数台が岡山県の二業者の工場で登録シールのない無籍機として稼働していた。」こういうことが伝えられております。こういう事実をどうお考えですか。
  105. 江崎格

    ○江崎説明員 先ほど御指摘の撚糸工連そのものの設備廃棄に関連する不祥事、それから今御指摘の岡山で起こりました問題、いずれをとりましても、この設備の破砕につきましても問題があったというふうに私どもも認識しておりまして、現在その改善方法につきまして検討しておるところで事います。破砕のマニュアル等について整備するとか、それから破砕について、現在立ち会いをやっておりますが、この第三者による立ち会いの徹底といったような方向で検討をしておるところでございます。     〔渡部(行)委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 こういう数年あるいは七、八年と、かなり古い時点における問題点が指摘をされておりますし、これだけではない。その後においても、この事業の体系の中で遺憾な点が相当の点があるのではないかということが、今深い疑いの中にあるわけであります。  そこで、これは一つの例でありますけれども、私の調査したのは石川県の某会社の経理の内容でありますけれども、社名は伏せます。なお数字については端数は省略しますが、この経理の内容を一見しますと、大変疑問があるのですよ。A社は資本金二千万、株主約四十名、決算は一月一日から十二月三十一日までの会社ですけれども、主な項目を拾ってみますと、流動資産が四千五百万、固定資産が一億一千万、売り上げが三億四千万、売り上げ原価が三億三千五百万、流動負債が八千万、固定負債が一億八千万、欠損金が一億八千万、経常損失が三千万、支払い利息が二千万、貸借対照表の主な項目を拾うとこうなるのですが、このように経営が極めて悪化しているわけですね。  このA社に特別利益として同社の撚糸機を対象とした設備廃棄事業の助成金が入っているわけです。その廃棄助成金、この収入から業界の負担金、撚糸業界振興対策預託金、手数料等が引かれて、それでその引かれた手取りが三千万。ところが、この三千万からさらに設備廃棄手数料ということで、手数料という形で六百万引かれておる。この六百万の性格が全くあいまい。例えば他の業種で使途不明金と言うに等しいような六百万、この説明のつかない六百万が支出として計上されているということなんですよ。  そこで聞きたいのですけれども、標準的なこの事業実施をされる対象の会社が、この事業によってどういう形で設備廃棄の買い上げ金が入って、その買い上げ金からどういう形でそれが持ち主の手取りになり、あるいは連合会への預かりになり、保証金になるのか、この経路についてちょっとお伺いしたいと思います。
  107. 江崎格

    ○江崎説明員 設備廃棄事業につきまして、まず、買い上げを希望する業者の希望をとりまして、これらを最終的には撚糸工連が取りまとめて、計画案をつくって通産省の方に出してくる。通産省の方では、これを指導会議という場で、これは通産省中小企業庁、あるいは事業団、関係の都道府県等で構成しているわけでございますが、こうした場で最終的に計画を吟味いたしまして、そこで計画がいいということになりますと、今度は各組合員が工連に対して設備の買い上げの申請をしまして、そして工連と組合で契約を結びます。個々の組合員の契約を全部取りまとめまして、工連の方から事業団へ融資の申請をするわけでございます。  それで、融資金が出ますと、その金額は一部返済原資に、これは金利によって違っておりますが、大体三五%から四〇%程度の幅でございますが、それが返済原資として残されまして、その残りの金額のまたさらに一〇%を保証金としてとっておきます。ですから、約半分ほど、五〇%近くが業者に渡るわけでございますが、ただその際、工連の場合は三%の手数料、これは、実際の破砕等に立ち会ったり、そうした経費がかかりますので、手数料として三%取っておりまして、残りを業者に交付するという格好をとっております。
  108. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ですからこの制度は、例えば買い上げ金の額を仮に一〇〇とすれば、五〇は持ち主に入る、それから四〇は連合会が預かる、それから一〇は保証金として預かる。半分は持ち主に入る、そして、その持ち主に入る分から三%の手数料が取られるということですよね。今の御説明はそうですよ。原則そうだと思いますよ。  ところが、この会社では、この会社の決算によると、そのほかに使途不明というか、説明のつかない六百万が支出をされているということなんですよ。この六百万がどこへ行ったのか。これは石川県ですから、石川県の連合会に行ったのか、あるいはそのほかに流れたのか、これが大変疑惑がある。これは一つの例ですけれども、こういうふうに、業者の経理の中からもそういう疑惑が今指摘をされているわけなんです。  通産では、この個々の経営者について、その経営者の経理等について調査をしたことがありますか。
  109. 江崎格

    ○江崎説明員 個々の組合員について、私ども、調査したことはございません。
  110. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これは、こういう長期にわたる、しかも国の経済政策あるいは不況業種に対する救済の政策ですから、国としても重要な政策なはずですよ。しかも、累計で二千四百十一億出ているわけですからね、これは税金がそれだけ出ているわけですから。この全部が交付されているわけじゃありませんけれども、このうちの半分は交付されているというようなわけですけれども、その対象となる経営者の経理を一回も見たことがないということは、これは明らかに通産の怠慢と言わざるを得ないと思います。  そこで、資料のお願いですけれども、これは後で結構ですけれども、石川県撚糸工業連合会の五十三年以降各年度にわたる財務諸表、それから決算書を資料としてお願いをしたいと思います。これは委員長、よろしいですか。
  111. 角屋堅次郎

    角屋委員長 はい。
  112. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そこで、これはぜひ所管大臣に今後の決意、対策をお伺いしたいわけですけれども、大臣はいらっしゃいませんけれども、大臣にかわってひとつ、この事件についてどういう反省を持っていらっしゃいますか。
  113. 江崎格

    ○江崎説明員 私どもの所管しております団体の幹部がかかわった不祥事ということで、非常に遺憾に感じておりますし、私どもの監督責任というものを非常に重く痛感しておるところでございます。  現在、司直の手によりまして事実関係の究明が行われておりますが、私どもの調査、それから司直関係の行っておられます調査の解明を待ちまして、二度とこのような不祥事が起きないように、設備廃棄の制度の抜本的な改善、運用ということに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  114. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 今回の事件はたまたま撚糸工連から問題が発展したわけですけれども、これは撚糸工連だけではなくて、設備廃棄事業は三十業種にわたってやっているわけですから、三十業種の各県あるいは全国の連合会、単位組合についても、これは別に悪いことをしているということを言うわけじゃありませんけれども、これらの他の業種についても十分調査、指導を強化すべきだと思います。それからまた、今までの通産の姿勢は根本的に変えなければなりませんけれども、制度の運用あるいは制度そのものについても、これは再検討の要があるのではないかと考えられるわけであります。その点についてはいかがですか。
  115. 江崎格

    ○江崎説明員 撚糸関係だけではなくて、他の業種も含めまして、設備廃棄事業全般につきまして抜本的な見直しをするつもりでございます。
  116. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ひとつ一大決意を持ってこの問題についての再検討、それからいやしくもこういう不正事実が再びないように、大臣にお伝えを願いたいと思います。  次に、これも先ほども出ましたけれども、ODA、海外援助の件です。この件については渡部委員の方から詳しく質問がありましたけれども、なお納得のできない点がかなりあるわけであります。  というのは、海外援助というのは、今後日本の国策の一つになるのではないかと考えられるわけであります。日本がすばらしい経済発展をしたというのも、やはりある意味では大変恵まれた状況の中で日本が経済活動に専念ができたということ、それからまた、それについては先進諸国の直接間接の協力ないしはある場合には庇護もあったということは争うことのできない事実でありますし、またそれらを分析してみますと、彼らが言っているようにフリーライドというような事実もなきにしもあらずということでありますから、こういう批判をなくするため、また世界第二の経済大国として国際責任を果たしていく上からいっても、今後ODAの飛躍的な拡充が要請されていると思います。  こういう中でその海外援助が、これはもちろん国民の血税でありますから、これが本当にその援助の趣旨に合って運用されているのかどうかということを確認することが、国民に対する義務ではないかと思います。しかし、いろいろ主権の問題あるいは制度上の問題等で壁があるということも伺っておるわけでありますけれども、これらについてそういった将来の展望等もあわせながら院長のお考えを伺いたいと思います。
  117. 大久保孟

    大久保会計検査院長 ただいまのODA、開発援助に関する検査でございますが、先ほど局長からも御説明したとおり、検査院といたしましては、国内的には執行機関である外務省、国際協力事業団、経済基金等に行きまして厳格な検査を行っておりますとともに、現地におきましても、相手方の協力を得まして、実際に設備が完全にできているのかどうか、また実際に有効に使われているのかどうか、そういったことを確認しておるわけでございます。  なお、将来の展望につきましては、これからますますODAが、海外開発援助が増大することになりますので、検査院といたしましては、さらに国内における検査を厳重にいたしますとともに、外国現地へ行きまして調査をするために外国旅費予算増額を大蔵省に要請し、ますます検査の充実を図りたい、こういうように考えておる次第でございます。
  118. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 各省庁については、検査院さんの方で検査報告等も出されておりますけれども、そしてまた、そこには必ず不当事項等も掲記をされておるわけですが、海外援助についてはそういう報告も余りない。それから、不当事項等についても全く掲記が今まであったことがないということでありますけれども、ということはやはり実態的な検査ができないというところから来る悩みだと思いますが、その辺で何か実際に効果のあるような検査の手法、これを何とか考えることができないのでしょうか。それらの検討については今研究されておりますか。
  119. 三原英孝

    ○三原会計検査院説明員 お答えいたします。  海外の調査につきましては、過去十年の間に十一回ほど行っておりまして、多少の問題もなきにしもあらずでございますが、日本と国情の違うところでの話でもございますので、気がついた点は一応現地で申し上げたりなんかして参考にしていただいているわけでございますが、これまでのところ、検査報告において指摘するような事態はなかったということでございます。  今後の問題につきましても、昨今の国会の内外の御論議など踏まえまして、私どもも海外援助に対しまする検査の重要性がますます増してきた、こういう認識を持っておりまして、そのような認識のもとに、与えられた条件、方法、手段のもとでなお今後どのような効果的な検査ができるか、その点につきましてはこれからなお鋭意検討してまいりたいと思っております。  なお、これは若干つけ加えさせていただきたいのでございますが、私ども会計検査院のアジア地域におきます国際機構がございまして、その国際機構の活動の一環といたしまして、発展途上国から会計検査院の職員を我が国にお招きいたしまして研修させていただいたり、あるいは私どもの方から相手国に講師を派遣したりなどいたしまして、援助が適切かつ効率的に行われるようにそのような努力もいたしているところでございます。
  120. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 外務省にお伺いいたしますけれども、この問題は検査院だけではなくて、やはり外務省としては現地の情報が豊富に入る立場にありますし、相手国の国情にも通じておられるわけでありますから、我が国の援助がどういう効果を生んでいるかということについての検査――検査ということではないと思いますけれども、そういう情報等を日本政府あるいは検査院に入れるとか、あるいはまたみずからそういう援助の後の効果についての追跡、こういったことをされるべきだと思いますけれども、それらについては現在どうなっていますか。
  121. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  我が国の援助が真に適正にかつ効果的、効率的に使われているかどうかということにつきまして、外務省といたしましては、先ほども御説明いたしましたように事前にいろいろな措置を講ずるとともに、実際に援助が行われた後、その援助に関する評価の活動を行っておりまして、これを拡充するように努めております。現在のところ、年間約百件ぐらいのケースにつきまして評価活動を実施しておりますけれども、今後とも我が国の援助が適正に使用されるということを確保する観点から、事後の評価活動を一層充実させていきたいというふうに考えております。
  122. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 時間でありますからこれで終わりますけれども、内閣官房と賞勲局からおいでをいただいておりますが、時間がなくなりましたので、申しわけありませんが次の機会にさせていただきます。  終わります。
  123. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次は、春田重昭君。
  124. 春田重昭

    ○春田委員 五十八年度決算検査報告につきまして、会計検査院長の御所見をひとつ簡潔にお願いしたいと思います。
  125. 大久保孟

    大久保会計検査院長 五十八年度決算報告についての所見をという御質問でございますので、簡単に述べさせていただきます。  もとより、国民の血税を執行しているのでありますから、常に正しく、かつ経済的、効率的でなければなりません。戦後の混乱期はともかくといたしまして、今日におきましてもなお多数の指摘があり、とりわけ不当事項が多数指摘せざるを得ないということは、極めて遺憾と存じております。当局者の一層の自覚を望むものでございます。  検査院といたしましては、さらに検査の充実に努力してまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  126. 春田重昭

    ○春田委員 会計検査院の指摘があったのが、百七十七件で百七十一億四百万となっております。しかも八・四%の実地検査の結果でありまして、したがって、この件数、金額は氷山の一角でありましょう。こうした不正、不当事項というのは、毎年会計検査院が指摘しても事態がなかなか改善されないものもあるわけであります。  例えば、昭和五十五年から五十九年におきまして毎年検査報告に掲記されている不正行為、不当行為というのがあるんですね。例えば、大蔵省では租税の徴収に当たり徴収額に過不足のあったもの、文部省は補助事業実施及び経理が不当と認められるもの、厚生省は健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり徴収額が不足していたもの、農林水産省は補助事業実施及び経理が不当と認められるもの、通産省は中小企業設備近代化資金の貸し付けが不当と認められるもの、郵政省は職員の不正行為、建設省は補助事業実施、こういったように各省で五年間毎年挙がっているわけです。また、事業団としては、中小企業事業団が高度化資金の貸し付けで不当と認められるもの、日本私学振興財団が私立大学等経常費の補助金の経理が不当と認められるもの。  こういうことで、これは指摘されることは当然問題でございますけれども、一回くらいだったらまだまだ許されるわけでございますが、こうして毎年毎年、しかも連続してこのように指摘されているわけでございます。指摘された省庁は、この決算委員会で、善処します、反省しています、わずか十秒ぐらい大臣が謝るだけ。これで本当に反省しているのかという感を持つわけであります。検査院としても威信が廃れるんじゃないかと私は思いますけれども、こういった毎年毎年同じ事項で指摘されている問題に対して、検査院としては手をこまねいていていいのかどうか、院長はどう思いますか。
  127. 大久保孟

    大久保会計検査院長 お答え申し上げます。  毎年多数の不当事項等が指摘され、また場合によっては同じケースの同じ官署で指摘される、これは大変遺憾なことと存じております。  その原因はどうか、また検査院はどうなのかという御質問でございますが、基本的に申しますと、予算執行立場にある方々が、これは国民の血税を使っているんだ、そういう基本認識に若干のあれがあるのではないかと思っております。  また、我々が指摘しますのは、それを指摘したことを契機といたしまして、その当局者だけじゃなしに、他の機関におきましてもこれを他山の石として自分の管轄にそれを流す、そういう努力をしていただきたいということで我々進んでいるわけでございます。したがいまして、我々といたしましては、特に予算執行のトップに立つ方がこれを十分認識していただいて、いわゆる内部監査と申しますか、自主的な監査を、他省庁に起きましたことも他山の石としてこれを自分の方に徹底させる、そういうことをしていただきたい、こういうように考えている次第でございます。
  128. 春田重昭

    ○春田委員 私は、会計検査院検査するだけが目的ではない、国会報告するだけが目的ではないと思うんですよ。なぜ検査院検査するのか、なぜ国会報告するのか。その結果によって再発が防止される、これが最大の主眼でなければいけないわけですよ。  それは当局が一生懸命やってもらわなければ困ります、それは基本的な認識に欠けている、こういうことで同じことが毎年出ているわけですよ。だから、会計検査院としての存在価値をきちっとするためにも、関係当局の当該者だけが処分されるだけでなくして、同じ事項をやったら、省庁の、また事業団の十ツブの方たち、高級幹部の方たちが責任をとるぐらいの腹がなかったならば、この問題はおさまらないと私は思うのですよ。それで、言葉だけで終わっているわけですよ。こういった点ではもうちょっと厳しく、今日行政改革や税のむだ遣いという形がとかく言われているわけでございますから、そういった面で一歩前進の、何といいますか、会計検査院の指摘が即反映できるような形で考えていただきたい、私はこう思うわけでございます。  さらに、この検査院報告が新しい予算にどう反映されるのかということが問題だと思うのですね。これは常に指摘されている問題であります。検査報告は、新年度予算に対して二年前の検査でございます。しかも、国会報告されるのは十二月でございますし、この段階では大蔵省原案がある程度固まっているわけですね。そういった面で、この検査報告で指摘された不当、不正問題、非効率の問題が新年度予算にどう反映されるか、これが一つの課題じゃないかと私は思うのです。これは検査院としてはどういう御努力をなさっているのですか。
  129. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 ただいま御指摘がございましたように、補助金、租税、保険あるいは貸付金検査対象が非常にたくさんあるということもございまして、非違事項がなかなかなくならないという御指摘の点はまことに遺憾に思っておりますが、私どもが検査報告で指摘した事項につきましては、全体的に申しますと、財政当局あるいは各省庁等では、予算の編成あるいはその執行において本院の指摘を受けとめていただいているものと理解しております。  例えば、最近の顕著な事例といたしまして、昭和五十八年度決算検査報告で見ますと、そこに掲載されたものに農林水産省の農業集団の育成事業に関する改善意見の表示事項がございます。簡単に申し上げますと、事業の内容、範囲が明確を欠いていたなどのために極めて効果の薄い事業運営となっておりましたので、その事業の抜本的な見直しを、五十九年十一月二十八日に農林水産大臣に対して意見表示をいたしております。この点につきましては、六十年度から当該予算が相当程度大きぐ減額されたという実績がございます。その他いろいろな点で執行当局が是正している点も、この際御認識いただきたいと思います。
  130. 春田重昭

    ○春田委員 わかりました。検査院が御努力なさっているのはわかっているのですよ。わかっているけれども、改善されない項目が非常に多過ぎると言っているわけです。  そこで、十二月の国会への報告についてでございますが、これを何とかもうちょっと早くできないかということです。これは大蔵省が検査院の方に報告されるのが翌年度の十一月三十日ですから、非常に限られた期間で検査して報告しなければいけませんので、現在の十二月というのは非常に厳しいかもしれませんけれども、ある程度、十二月の固まる段階のもうちょっと前に報告されれば、それがかなり反映されるんじゃなかろうかという考え方も持つわけでございますけれども、この点どうですか。
  131. 大久保孟

    大久保会計検査院長 ただいま御指摘のとおり、我々といたしましても、なるべく早い段階に作成して国会の方にもお出ししたいという気持ちでございます。ただ、先生御承知のとおりいろいろと制約がございまして、また内容を充実するという意味もございまして現在の状況になっておりますが、我々としては今後なるべく早くやりたいと思っております。
  132. 春田重昭

    ○春田委員 検査の途中でもそれは十分対応できるわけでございますから、それなりにひとつ努力してやっていただきたいと思います。  五十八年度検査報告の中で、文部省の不当事項、義務教育の国庫負担金の経理が不当と認められるものが挙げられておりますけれども、この問題につきまして簡単にひとつ御説明いただきたいと思います。
  133. 天野基巳

    ○天野会計検査院説明員 御説明いたします。  昭和五十八年度決算検査報告に掲記いたしました検査報告番号九号から一四号までの六件は、義務教育費国庫負担金の経理が不当と認められるものでございます。この国庫負担金は、義務教育費国庫負担法の規定に基づき負担するもので、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律による教職員の標準定数等を基礎として算定されますが、この標準定数は、各学校から報告される当該年度の五月一日現在の児童生徒数に基づき、先ほど申しました標準に関する法律によって計算される標準学級数を基礎として算定されることになっております。  そして、北海道ほか五都県における昭和五十六、五十七両年度のこの国庫負担金について検査実施いたしましたところ、これらの都道県内の一部の小学校及び中学校では、実際は児童生徒が実在していなかったり、既に他の市町村へ転出していたり、また他の学年に在学する者であったりするなど、当該学校または当該学年に在学していない者であるにもかかわらず、これらの者を在学していることとしてその数を実数に上積みして、事実と相違した過大な児童生徒数を報告しておりました。しかるに、これらの都道県では、これをそのまま用いて算定したため当該教職員の標準定数等が過大なものとなり、その結果国庫負担金が過大となっていて、十億六千八百一万余円が不当と認められたものでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  134. 春田重昭

    ○春田委員 この問題につきましては、五十九年度決算報告、昨年十二月に出されておりますが、この中でも不当事項として挙がっております。すなわち、五十六年度、五十七年度、五十八年度における公立小学校、中学校の児童生徒の水増しによる教職員の国庫負担金の不正要求である。  この国庫負担金要求のためには、学校現場から校長先生や教頭先生や関係の先生等を通して書類が出されます。そして市町村の教育委員会を通りまして、都道府県の教育委員会等でチェックされて国に上がってくるわけです。したがって、それぞれのチェック機関があるわけでございますけれども、なぜあえてこういう不正要求をしたのかということでございますが、その原因は、四月の転入とか転学とかいう問題があろうと思いますし、そういった見積もり予測の違いで学級編制のやり直しや教職員等の採用でごたごたするのを避けるために、やむを得ずやったある程度情状酌量の余地のある行為なのか、また、意図的に改ざんした構造的な今回のやり方なのか、どちらなんですか。ちょっと検査院の御所見を伺いたいと思います。
  135. 天野基巳

    ○天野会計検査院説明員 お答え申し上げます。  新しい学年が始まり、それによって学級を編制し、また先生を張りつけるということにつきましては、いろいろの推測というものがございまして、学校当局ではいろいろ苦労されると思いますけれども、この負担金の算定につきましては、どういう負担をするかという一つのルールを決めなければなりませんが、現行法体系において決まっているのは、五月一日現在の児童生徒数を基本としてやる、この数によって負担金を計算するという一つのルールがございます。  一方、そのような先ほどの実際の学級編制の問題、これは都道府県及び市町村の教育委員会の権限で、これをどうするか、いろいろの事態に対して予測したりして、実際どういう配置をするかということをお決めになる、これは教育行政上の問題であると思います。したがいまして、我々の今見ております負担金の算定の問題とは別問題であると思います。負担金の算定の場合は、我々が検査いたしました結果、いろいろの実在しなかった生徒を報告してきたり、またそれに基づきましてそれに合わせるように学齢簿だとか出席簿等を作為しておったということでありますし、まだかなりの県にも出ておりますから、補助金算定が十分適切に算定されるためには、こういうことが正確に報告されなければならないということを各都道府県及び学校関係の方々が十分認識されて、二度とこのようなことがないようにお願いいたしたいと思っております。
  136. 春田重昭

    ○春田委員 ただいま局長からも御答弁がございましたけれども、私の手元に昭和五十九年度検査の中で、五十七年度、五十八年度に行った事例についてどういう不正が行われたかという資料があるわけでございます。それによりますと、実在してない者、まあ幽霊児童生徒が全体の五九%になっております。実際その学校におったけれども、その時点で他の学校へ転学した者が一九%。当該学校にいた事実はなく、他の学校に在学している者一五%。ある市におきましては、A校とB校が名前の貸し借りをやって連係プレーをしてそういった出席簿等を改ざんしている、こういうことです。その他六%となっておりますけれども、こういった実在してない幽霊児童、他の学校と名前を交換して水増しして補助金を取っていくというのは、構造的というか悪質というか、それ以外の何物でもないと思うのです。  これは文部省としてはどうなんですか。どんな処置をしているのですか。
  137. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  いわゆる水増しの問題につきまして、昭和五十九年十二月、六十年十二月、二回にわたりまして不当事項との御指摘を受けましたこと、まことに申しわけなく、残念に思っているところでございます。  今先生から御指摘がございましたように、水増しの問題、これは例えば単にケアレスミステークで教職員の算定を誤る、こういったことであれば、会計検査院の前でございますが、まだ許されるところもあろうかと思います。しかし、そうではなくて、今御指摘のとおり、本当は学校から県に対して報告されます児童生徒数、これが誤りであることを承知しつつ報告をなされる、こういったことに基づいて教職員の定数が算定されるということによりまして義務教育国庫負担金が過大に交付される、こういった事態が生じていることでございます。これは大変遺憾なことでございます。  ただ、これは二回続けて御指摘を受けておりますが、私どもはこのように考えております。五十六、五十七、五十八、五十九年度まで確かに出ております。この問題はこういうふうに構造的に違法な行為が行われてまいっておりますので、この指摘を受けました五十九年の十二月以降初めて新たな義務教育国庫負担金の事務処理手続が始まりますのは昭和六十年度分からでございます。したがいまして、私ども五十九年の十二月に御指摘を受けまして以降、それこそ最大の努力をもってこの絶滅を期して頑張っておりますので、これは少なくとも昭和六十年度以降は絶無を期し得る、こういうふうに考えておるところでございます。
  138. 春田重昭

    ○春田委員 文部省としては絶滅のために最大限の努力をしているという話でございますが、例えば五十八年度検査の中では、五十六年度、五十七年度の両年度の補助金の問題につきまして十二都道県やって、六都道県から問題があると指摘されたわけですね。したがって、やってない都道府県につきましても、検査院の方から、残りは内部監査してやりなさい、こういう指摘をされたわけですね。どうですか。
  139. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  今先生御説明になったとおりでございまして、検査院の方からは、自主的な努力によってこれをなくすようなそういったいわば見直し、これを指示するようにというふうなことも御注意をいただきまして、五十七、八、九年度のもの、特に五十八、九年度のものにつきまして鋭意県を督励いたしまして見直しを行ったところでございます。
  140. 春田重昭

    ○春田委員 見直しをせよということで、五十七、五十八、五十九年やったわけでございます。その結果は会計検査院の方に報告されまして、問題ありませんという県が、実は奈良県等におきましても五十九年度検査院の中で報告されている。特に奈良県等は非常に幽霊児童が多いという形で報告されていますし、ある都市に集中しているみたいでございますけれども、こういったことを考えたとき、一生懸命やっております、絶滅のために頑張っておりますと言いながら、そのいわゆる足元から出てくるということは、文部省自身の内部監査というのが非常に甘いのではないか、これの違法行為を今まである程度容認してきたのではないかという考え方も、悪く考えれば言えるわけですよ。  六十年から絶対ないという御答弁ございましたけれども、こういった点で、やはり検査院のいわゆる実地というのは非常に限度がございます、人数の点から。あくまでもやはり内部監査が大事になってくるわけですから、六十年以降こういうことが再び出ないようにひとつ最大限の努力をしていただきたい、私はこのように要望しておきます。  時間がなくなってきましたので、そうしたら残りの問題、まとめてこれは文部省の方から御答弁いただけますか。  この学級編制に関しましては、今四十五人ないし四十人のところもございます。児童が減少している市町村は四十人学級も既にやっておりますけれども、全国的に四十人学級にするのは、昭和五十五年から六十六年度にかけて漸次学級編制を移行する、こうなっておりますけれども、六十六年度までに間違いなく完成するかどうか、この一点。  それから、現在臨教審の第二答申が近々発表されるということで、途中のいろいろな経過等が新聞で報道されておりますけれども、その中で一点、初任者研修制度、これは従来六カ月を一年にしようという今回の臨教審の答申が出されるみたいでございますけれども、これにつきましては日教組等がかなり反対をしているやに聞いています。この点、文部省としてはどう考えるか。  さらに二点目としては、大学の春秋の二回の入学制度につきましても、新しい制度ということでこの臨教審の第二答申に盛られるみたいでございますけれども、文部省としてはどう考えるか。  この三点につきまして、ひとつまとめて御答弁いただきたいと思います。
  141. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。私、担当は四十人学級の部分でございますので、それについてお答えいたします。  御承知のとおり、五十五年から六十六年度までの十二年間にかけて四十人学級を実現する、大変国の財政状況ただいま厳しい中でございますが、この点につきましては六十六年度までには必ず完成をさせる、こういったことで現在進めておるところでございます。
  142. 糟谷正彦

    ○糟谷説明員 初任者研修制度のことに関しまして、臨時教育審議会の「審議経過の概要(その3)」で検討をされている内容が発表されているわけでございまして、それに対しまして、日教組等いろいろな見解を出しております。それも私ども読んでおりますが、その見解の中でも、いろいろ誤解に基づくような見解等もあるわけでございまして、今後臨時教育審議会の第二次答申が出ました段階で、その初任者研修制度等につきまして書かれております答申、十分に私どもの方で検討をいたしまして、どのように対処していくか今後とも慎重に検討してまいりたいと思います。
  143. 佐藤禎一

    ○佐藤説明員 御指摘のように、臨教審の「審議経過の概要」の報告の中におきまして、大学の学期の区分を原則として二学期制とするということ、それと、これに関連をして春秋の入学の機会を設けることが望ましいという意見があるということが述べられておりまして、さらに論議を深めるということが掲記されているわけでございます。私ども、こういう経過を踏まえまして臨教審の方で御論議が進むというふうに見ておりまして、その答申を待ちまして検討させていただきたいというふうに考えております。  なお、現行制度におきましても、帰国子女等につきまして学期の区分に応じて入学をさせる、そういう規定が施行規則の上で整備をされておりまして、数は少のうございますけれども、学期の年度途中から学生を入れている、こういう実態があるわけでございます。
  144. 春田重昭

    ○春田委員 義務教育並びに高校の年二回入学制度につきましては、どうお考えになっておりますか。
  145. 佐藤禎一

    ○佐藤説明員 ちょっと直接の所管ではございませんが、これまでの審議の経過を読みますと、全体を通じて検討いたしておりますけれども、特に第四部会、高等教育を担当いたしております第四部会におきましてこの検討がとりあえず先に進んでおるという状況でございまして、義務制等につきましては臨教審の中でも積極的な議論は今のところない、そういう状況になっております。
  146. 春田重昭

    ○春田委員 最後になりますけれども、検査院長、先ほど言ったように同じ事項が毎年、しかも数年間続いているというこの指摘の問題、この問題につきましては、私は従来のやり方でそれが再発防止になるかというと、ちょっとやはり懸念を持ちますので、その辺のところは十分ひとつ院内で御検討いただきまして万全を期していただきたい、こう思いますので、院長の最後の決意といいますか、御所見を聞いて終わりたいと思います。
  147. 大久保孟

    大久保会計検査院長 ただいま先生の御指摘の点につきましては、十分心して検査に邁進したいと存じております。
  148. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  149. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次は、玉城栄一君。
  150. 玉城栄一

    玉城委員 沖縄開発庁の方にお伺いしたいのですが、きょう長官いらっしゃらないのですか。一いらっしゃる。  去年の三月の二十六日のこの委員会で、昭和五十六年度決算の総括に当たっての議決がされたわけでありますが、その議決に対する内閣としてのとった措置として、ことしの二月の七日に報告が来ております。  去年の三月二十六日の議決の中の四項目目、ちょっと読みますが、   沖縄県読谷村内の国有地問題はいまだ解決していない。  政府は、沖縄県の国有地の現状に配慮し、早急にその利活用が図られるよう努めるべきである。 それに対する政府のとった措置としての報告は、これも四項目目でありますが、   沖縄県読谷村内の国有地について  沖縄県読谷村内の国有地については、沖縄振興開発にとって貴重な財産と考えられるので、その利活用に当たっては、地元の土地利用構想を尊重しつつ沖縄振興開発特別措置法の趣旨を踏まえて、対処してまいる所存である。 これは非常に抽象的ですが、ちょっともう少し具体的に、簡単でいいですから御説明いただきたいと思います。
  151. 小谷宏三

    ○小谷政府委員 お答え申し上げます。  読谷村は、昨年十二月に土地利用計画を作成したわけでございます。この土地利用計画につきましては、その具体化について現在読谷村及び沖縄県におきまして検討中でございまして、沖縄開発庁といたしましては、解決すべきもろもろの問題点を含めまして、県、読谷村という地元の検討結果を聞いた上で関係省庁と協議させていただき、沖縄振興開発特別措置法の趣旨を踏まえて検討してまいるという準備を整えております。
  152. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、具体的に一点お伺いしたいのは、沖縄振興開発にとりまして沖縄の農業振興というのは非常に重要な要素であると思うのですが、いかがでしょうか。
  153. 小谷宏三

    ○小谷政府委員 沖縄の農業振興が重要であることは、先生おっしゃるとおりでございます。鋭意努力しておるつもりでございます。ただ、読谷村の土地利用計画につきましては、約七割を農業用地に使うという計画でございます。
  154. 玉城栄一

    玉城委員 この委員会でもそうですが、国会におきましても、沖縄開発庁あるいは大蔵省もそうですが、沖振法の九条の政令改正については前向きで検討しているという答弁を何回もしておられるわけですよ。ですから、この回答からしまして、今おっしゃるように農業というのは沖縄振興開発にとって非常に重要であるということからしますと、地元がこの国有地について、今七割とおっしゃいましたけれども、そういう農業振興に利活用したいという考え方を持ってきたときに、当然これは尊重するということですから、沖振法九条の政令改正についても、この農業振興について当然検討されていくと常識的に理解するわけですが、いかがでしょう。
  155. 小谷宏三

    ○小谷政府委員 お答え申し上げます。  農業振興について努力しなければならず、また努力しつつあることは先生御承知のことと存じます。ただ、沖振法に基づく政令で無償または時価より安い価額で譲渡し得る国有地と申しますと、これは法律で公共公益用地に限られております。  そこで、農業用地でございますが、現在の読谷村の土地利用計画を入手して拝見した限りでは、単に農業用地約七割、何ヘクタールとございますだけで、その中身が必ずしも明らかではございませんので、その農業用地が公共公益用地であれば沖振法に基づく政令に乗る余地はあろうかと思いますが、現在のところ農業団地という言葉が土地利用計画で使われております。それでは、あるいは個々の農家の方々がその土地を自分の所有地として払い下げていただいて耕作するということであるならば、やや法律に乗りがたいかなというふうに感じております。
  156. 玉城栄一

    玉城委員 この中で、「沖縄県読谷村内の国有地については、沖縄振興開発にとって貴重な財産と考えられるので、その利活用に当たっては、地元の土地利用構想を尊重しつつ」というふうに政府は回答されたわけですから、農業振興ということは沖縄振興開発にとって非常に重要なものである、そういうものに利活用したいという地元の考え方については尊重するという回答ですから、当然その沖振法九条の政令改正の問題についても、農業振興ということも含めて検討されるべきではないかと思います、今あなたの具体的なそういうことじゃなくして。時間がありませんので、だめならだめ、そうならそう、それだけでいいですから。
  157. 小谷宏三

    ○小谷政府委員 具体的に土地を払い下げるかどうかは、国有地を所管しておられる官庁のおやりになることでございますが、私どもといたしましては、おっしゃるとおり地元の計画が農業振興ということでございますれば、できる限りそれを尊重いたしまして、沖振法の精神に従って御援助いたしたいと思っております。
  158. 玉城栄一

    玉城委員 今度は長官にお伺いしたいのです。  急激な円高、それから大幅な原油安で、電力料金は引き下げるべきである、いわゆる差益を還元すべきであるという声が全国的に起こってきているわけですね。それで沖縄につきましても、長官も御存じのとおり、そういう声が地元で今大きく起きてきております。当然料金引き下げということは検討されるべきだと思いますし、また肝心の沖縄電力自体も、五月ないし六月には料金引き下げということも含めて検討して結論を出したいという意向を表明しているわけですね。長官はどんなものでしょうか。
  159. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 お答え申し上げます。  今後の沖縄振興開発推進していくためには、エネルギーの安定供給、これは非常に大事なことでございますので、その問題の取り扱いは今後慎重に検討していかなければいかぬというふうに考えております。  ただいまの電力料金問題は、所管外ではありますが、現在通産省において円高、原油安に伴う還元方策について鋭意検討されていると聞いております。新聞紙上でもちょくちょく拝見するわけですが、沖縄の電力料金については、現在の段階では値下げ問題に私から言及するのは差し控えたいと存じます。しかし、電力は沖縄振興開発にとって非常に重要な課題でございますので、我々としましても重大な関心を持ってこの問題に対処していきたいというふうに考えていることを御理解賜りたいと思います。
  160. 玉城栄一

    玉城委員 平時といったらなんですけれども、急激な円高、非常に大幅に原油が値下がりしているということ、これはひとり沖縄県だけの問題ではなくて、全国的な問題です。ですから、電力料金の値下げということは、私は当然好ましいことだと思いますが、長官は好ましくないとお考えですか。
  161. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 私は値下げしたい方ですが、ただ沖縄電力の現実の情勢、また全国的にやられる電力料金の算定の問題とも関連しまして、そういう意味で今後検討すべき問題が多いかと思いますので、御趣旨は私もよく理解できるのですが、所管外でございますので、ここで値下げ問題に言及することは差し控えたいと思います。しかし、沖縄開発庁としては、先生の御趣旨を十分踏まえて今後対処していくことをお約束申し上げたいと思います。
  162. 玉城栄一

    玉城委員 趣旨を踏まえてお約束されるということでありますから、料金が値下げされることを期待して、あと御要望を申し上げておきたいと思います。  もう一つ沖縄の場合、長官も御存じのとおり離島で成り立っている県でありますが、その離島航路について具体的な問題でちょっとお伺いしたいのです。  これは離島航路補助不正受給問題に端を発しましたが、時間がありませんから、この不正問題は別にします。具体的に申し上げまして南大東、北大東ですが、御存じのとおり、離島住民にとっては飛行機も大事でありますが、さらに生活必需物資を輸送する海上運航が安定的にちゃんと確保されるということは、まさに命綱、生活路線とでも申しましょうかそういうことでありますから、この南大東、北大東両島の離島航路が今後どうなるのかという不安が今非常に大きくなっているわけですね。長官、今後この航路が安定的に確保される体制あるいは対策をどうとっていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
  163. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 南北大東島の航路は、島民の生命線であります。その安定的運営は極めて重要であると私もよく承知しております。私としましても、島民の皆さんに不便をかけないように、また生命の維持のための食糧の問題とかいみいろな問題を含んでおりますので、県、運輸省とも十分協議してこの問題の解消を図っていきたいというふうに考えておることを御理解賜りたいと思います。
  164. 玉城栄一

    玉城委員 これは、そういう離島住民に不安を与えないような体制をぜひ沖縄開発庁とされてもとっていただくように、強く御要望を申し上げておきます。  もう一つ、今度は空の問題なんですけれども、いわゆるコミューター航空ですね。沖縄本島の那覇から慶良間諸島を結んでいるコミューター航空があるわけですが、これが今月のたしか十一日に全面運航ストップということで、長官も御存じのとおり、これは年間三万ぐらいの人が利用し、もちろん地元の方々、観光客の足として定着しているわけですね。トラブルによってこれがまた全面運航ストップ、こうなりますとこれまた重大問題で、開発庁とされてもただ眺めておられるというわけにいかない問題だと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  165. 小林悦夫

    ○小林(悦)政府委員 先生今御指摘の慶良間―那覇間の航路でございますが、先生もいきさつは十分御承知だと思いますので、もう省略をさせていただきますが、現在、土地所有権、使用権等をめぐり、また会社の運営をめぐっていろいろ問題が起きているのは御承知のとおりでございます。我々も非常に強い関心を持っておりますと同時に、沖縄の慶良間の住民の足といたしまして、また観光振興の面で非常に重要な航路だと考えております。  民事上の問題もありますので、開発庁として現在あれこれ申し上げにくい立場にあるわけでございますが、今後の沖縄振興開発に非常に重要である、こういうことを考えまして、できることがあれば適切に対処してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  166. 玉城栄一

    玉城委員 沖縄振興開発にとって非常に重要で関心を持って見ている、できることがあればやっていきたいということだけでなくて、既にとまって非常に不便を来しているわけですから、やはりもっと積極的に指導助言するなりして、ちゃんとその航路が確保される体制を沖縄開発庁としてもぜひとっていただきたい、このことを要望をいたしますが、どうですか局長さん、ありきたりのさっきのお答えだけではなくて、どうされますか。
  167. 小林悦夫

    ○小林(悦)政府委員 先ほど申し上げましたように、土地の使用権であるとか会社の構成、まあ会社は一つできておるわけでございますが、そういう民事上の問題で県としても取り扱いに非常に苦慮しておる、こういうこともあるわけでございますが、先生御指摘のとおり非常に重要なことでございますので、余り言葉は変わりませんけれども、できるだけ対処してまいりたいと考えております。
  168. 玉城栄一

    玉城委員 時間もありませんので、最後に、沖縄にとりましてこのコミューター航空というのは、これから二十一世紀に向けて、現実にやはりそういう要請が非常に高まってきておると思うのですね。このコミューター航空について、沖縄振興開発という立場から沖縄開発庁としてはどういう位置づけをされておられるのか、お伺いいたします。
  169. 小林悦夫

    ○小林(悦)政府委員 先生御承知のように、沖縄県というのは、その地理的特性から離島間交通としての航空交通に強く依存しておりまして、離島の振興、住民生活の向上に対する航空交通の果たす役割は非常に大きいわけでございます。このような認識を踏まえまして、復帰以降、計画的に離島航空路の整備を進めてきているところでございますが、まだまだ解決すべき問題は多いと考えております。  沖縄開発庁といたしましては、さきの航空審議会の中間答申、いわゆる第五次空港整備五箇年計画の基本的考え方についてでございますが、この中間取りまとめでも指摘されておりますように、離島における航空路線の整備は、民生の安定や地域の振興に多大な貢献をなすものとして、引き続き要請が強いと考えております。  また、先生御指摘の小型航空機による航空路線、これにつきましても、先ほどの中間答申で、「小型航空機による地域航空輸送のあり方及びこれに伴う空港整備のあり方についても十分調査を行うこととする。」このような中間答申がなされているわけでございまして、地元、また沖縄県の意向も踏まえまして、路線の需要、民営の見通し等に留意しながら、その整備を進める方向で運輸省初め関係省庁と相談をしてまいりたいと考えております。
  170. 玉城栄一

    玉城委員 これは御要望ですが、ぜひそういう方向で十分御検討いただきたいわけです。もう御存じのとおり、沖縄は那覇空港一本ですから、特に中部から北部にかけましてこれからいろいろなリゾート開発で、那覇空港から本土に行くというのに交通渋滞、これはもうどうにもならないという状況ですね。ですから、道路もそんなに急には拡張といっても、あるいはいろいろなバイパスをつくるにしても期間もかかるわけですから、やはり空の小型飛行機の活用ということも真剣に考えていかないと、沖縄全体の振興開発ということは口だけであって、実態としてそういう交通網のネックをどうするかという問題は常にかかってくるわけですから、それを要望いたしまして、質問を終わります。
  171. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次は、貝沼次郎君。
  172. 貝沼次郎

    貝沼委員 きょうは、会計検査の強化という問題につきまして、またその効果の上がり方について種々質疑がございましたが、私も、どうしたら効果が上がるのかという点について二、三お伺いしたいと思います。  そこで、初めに会計検査院検査をいたしまして、そして報告をされる、その後各省がそれを受けまして、例えば何年度決算検査報告に関し国会に対する説明書というものが提出をされます。この説明書が出た段階で、会計検査院はこの説明書に対して、これでいいとかあるいは悪いとかというような確認はなさる権限があるのかどうか、この点をまず一点伺っておきたいと思います。
  173. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 私どもが毎年十二月に決算検査報告を出しますと、それに対しまして、決算検査報告に関し国会に対する説明書を内閣の方から提出されております。この中身は、それぞれの私どもの指摘した不当事項その他の事項について、是正した内容あるいは是正する方針についていろいろ書かれてございます。これらについて、後日私どもはいろいろ追跡調査も行っているわけでございますが、今までのところ、そのとおり履行されているという状況でございます。  また、私どもといたしましては、会計検査院法第三十四条あるいは第三十六条で是正改善の意見を表示したものにつきましては、次年度あるいはそれ以降の適当な時期においてその是正状況報告しておりますが、これらにつきましても満足すべき状態となっております。
  174. 貝沼次郎

    貝沼委員 わかりました。  それで、要するに乙の国会に対する説明書は、国会だけでなく、会計検査院にもこれで説明しておるということですね。したがって、そのとおりになっておるかどうか、この後を追跡調査しておるということですね。それで今まではよかったという御答弁のように承りましたが、それでよろしゅうございますか。
  175. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 ちょっと補足いたしますと、説明書自体は私どもに対して出されるものでございませんが、それと同様の内容について、例えば直接あるいは文書によって私ども承知しておりまして、それに基づきましていろいろその後の検討を行っております。  その他につきましては、先生おっしゃったとおりでございます。
  176. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、この説明書を見て私びっくりしておるのですけれども、それは昭和五十七年、八年、九年と今三つ持ってきておる。ところが、中に書かれておる文章はほとんど毎年同じなんですね。てにをはに至るまで同じ。ただ違っておるのは、数字が違っておる。それから、単語が前になったり後ろになったり、ちょっと違うくらいですね。余り変わりありません。新しい問題について違っておるのは、これは当然のことであります。こういうふうに毎年毎年同じようなことを報告しておるということは、これは余り発展していないということですね。つまり、会計検査院に指摘されてその痛みを感じていない、こういうふうにも受け取れるわけでございます。したがいまして、こういう各省庁の取り組み、これをまとめておるのは大蔵省だと思いますが、こういうまとめ方でいいと考えておるのかということと、会計検査院の方ではこういう説明書で満足であるというふうに考えておられるのか、これを両方からお答え願いたいと思います。
  177. 西澤裕

    ○西澤説明員 初めに大蔵省の方から……。  この説明書は、先ほど先生からお話がございましたように、決算検査報告に関しまして指摘を受けた各省庁が作成したものを私どもが取りまとめさせていただいているわけでございますけれども、内閣から送ってもらいました書類を各省庁に送付する際に、私ども事務連絡的なメモで、大臣名の書類の後ろにつけまして、説明文につきましてはなるべく前年度と同文にならないように、それから例文的な表現にならないように工夫を凝らして必ず見直しをしていただくようにお願いをいたしておるわけでございます。結果的に先生の御指摘になっている点は見られる点がございますけれども、それぞれの省庁では少しずつ工夫を凝らして、御説明をわかりやすく直していると思っております。この点につきましては、今後とも徹底を図るように努力をしてまいるつもりでございます。
  178. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 説明書の表現はいささか抽象的な点もあるとは思いますが、私どもは検査報告に掲記した事項につきましては極めて詳細なデータを持っております。それで補足しながら追跡調査をして、先ほどの御答弁のような結果を得ているわけでございます。
  179. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がありませんので……。  それで、内容について今度読んでみますと、ちょっと不可解な点があります。具体的な例で一番わかりやすいのが建設省の空調工事の問題がありましたので、これを建設省にお尋ねいたしますが、要するに七千七百万円割高になっておったという指摘でございます。これに対しまして建設省のこの説明書は、「指摘の割高相当額については、請負人と協議の上、昭和六十年十一月十八日に収納済みである。」こういうふうに書いてあります。  そこで、一たん契約をしたものが、会計検査院に指摘されたからその契約を変更してお金を返しなさいというようなことは、いかなる法的根拠によってこれができるのですか。その点をお答え願いたいと思います。
  180. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、先般会計検査院の方から通産省のビルの建設に伴う空調設備工事で御指摘のようなお話をいただいたわけでございますが、これにつきましては、率直に申しまして本当に私どものミスということが基本でございますので、まことに残念に思っておる次第でございます。  ついては、その事後処理の問題でございますが、建設省といたしましても、とにかく七千七百万という金額の設計過大があったということは事実であるわけでございまして、これについて私どもの責任はまことに重いわけでございますが、ともかくそういった契約のままで事業実施し、支払い申し上げるということについては貴重な国損を与えてしまうということを非常に重くとらえまして、業者の方と御協議申し上げ、御相談申し上げて、国に納付することについて御理解を賜ったという経緯でございますので、よろしく御理解願いたいと思います。
  181. 貝沼次郎

    貝沼委員 ですから、そこが問題なんです。普通の商取引であるならば、契約をして、そうして金を払っちゃって決算も終わっているわけですよ。それが会計検査院から指摘されて、それでどうもあのときはまずかったようだから契約のやり直しをやってくれませんか、七千七百万円の金を戻しなさい、こういうことが言えるのは国家権力がバックにあるからです。あるいは、次からもう乙の仕事はあなたには行かないかもしれませんよというような暗黙の力があるからです。国家権力の横暴じゃないかと私は思っておりますし、また法律的に例えば民法第一条の信義、誠実の原則という面から考えても、こういうことは行われない。であればこそ、あの悪徳商法についてクーリングオフの制度をわざわざつくるわけであります。ところが、なぜ官庁だけが一年もあるいはそれ以上たったものについてそういう勝手なことができるのか、そういう法的根拠はどこにあるのかということを私は尋ねておるわけであります。
  182. 望月薫雄

    ○望月政府委員 確かに先生御指摘のとおり、この件については、私ども明確ないわゆる適正化法等によります根拠はないということはそのとおりだと存じております。また、民法で規定されておりますいわゆる不当利得が相手方にあったとかいうものにも当たらないと思いますし、我々としてはそういった点で明確な法的な根拠はずばりこれというものは率直に言って見当たりませんが、はっきり申しまして、契約の当事者の建設省の立場におきまして一つの大きな間違いがあったということは事実でございますので、この辺を何とか相手の業者に御理解賜るように御説明申し上げ、御理解を得てこういった処理をさせていただいたというものであるわけでございます。  なお、その過程においていわゆる国家権力あるいは発注者の地位の利用というようなものがあるのではないかという御指摘でございますが、私どもはそういったものをちらつかせて御協議申し上げたことは実際ないわけでございまして、あくまでも本当に先ほど申しましたような積算の過大ということについての事実を御説明申し上げ、御理解を賜ったというものに尽きようかと思います。
  183. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は今これは一つの例として実は挙げたわけでありまして、そのほかにも各省にわたってこれを返還させる、あるいは返還した、いろいろ説明があるわけでございます。例えば補助事業にいたしましても、これは各県を通じてやはり業者が結局は払っておる。というようなことになってまいりますと、その担当の省庁というものは痛みを感じない。実際に金で痛みを感じておるのは、それを引き受けた業者の方が痛みを感じておる。こういうようなことが続いておる限り、私は会計検査院の指摘というものを恐らく痛く感じるということはないのではないかと思うわけであります。  したがいまして、きょうはもう時間がありませんのでこれ以上議論できませんが、この点は国会としての大きな問題でありますので、法的根拠というものをきちっとしておかなければならないと思うわけであります。現在法的根拠がないという答弁がありましたが、会計検査院はそれでもよろしいとお考えでしょうか、何とかしなければならないとお考えでしょうか。
  184. 望月薫雄

    ○望月政府委員 ちょっと私の答弁があるいは舌足らずかと思いますので、検査院から御答弁の前に一言補足させていただきますが、ずばり何法の何条というものはないというわけでございますが、私ども、これはちょっと失礼かもしれませんが、契約の極めて重要な事項一つであることは間違いないわけでございまして、そういったことをめぐっての修正といいましょうか変更ということで、言うなれば契約自由の原則に立って当事者同士で御協議させていただいたと理解しておるところでございますので、補足させていただきます。
  185. 貝沼次郎

    貝沼委員 今契約自由の原則と言いましたけれども、これは例えば不可抗力が起きたとか、そういう場合ですよ。両方とも責められない状況にあった場合に、契約自由の原則あるいは事情変更というものがあるわけです。だけれども、会計検査院から指摘されたから契約を変更するのは契約自由の原則にのっとるという理論は、もともと成り立ちませんよ。  会計検査院、何か御意見がありましたらお聞かせください。
  186. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 ただいまの点は、先生と建設省の間でいろいろ往復された議論に尽きるかと思いますが、私どもといたしましては、国の契約あるいは補助金の執行において、基本は国民の大切な税金が使われているということで、可能な限り事後的な是正が図られたものと受けとめております。
  187. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  188. 角屋堅次郎

    角屋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時十五分開議
  189. 角屋堅次郎

    角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。滝沢幸助君。
  190. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長大臣以下御苦労さまに存じます。  さて、私はまず初めに、会計検査院の制度、これは旧憲法時代、新憲法にわたりましてそれぞれの機能を果たしてきたところでありますが、この運用上のことについて、顧みでどのように反省しておられるでありましょうか。いささか抽象的に過ぎますので、次の質問に加えさせていただきますが、実は今日ゼロシーリングあるいはまたマイナスシーリングと言われているような状況の中で、会計検査院の指摘というものが国民の側から見ると、いわば重箱の隅をつまようじでほじくるような枝葉末節な、ないしは形式上のことに過ぎているのではないだろうか、私はこのような批判を持つものであります。  例えば、補助目的が違うということで、建設省にもございます、農水省にもあるでしょう、補助金の返還等が要求をされる場合が少なしとしません。これは、例えばここに広場や球場、そういうものを建設しようとして補助金をもらって土地等を取得いたします。しかし、いろいろの事情でそれを半年や一年いわば休ませる、遊休の施設とされる場合がございます。そのようなときに、市町村等が苦労をして他にこれを一時転用といいますか流用をしているような場合、しかもそこからいささかの収入等があります場合、今補助金の一括削減というようなことで行革の名において事実は地方自治体に負担がしわ寄せされているのが現実でありますが、そういうときに地方自治体が非常に苦労をして今のような過程において得ましたところの零細な収入にまで、これがいわば補助目的が違う、本来終局的には補助目的どおりに使うのだけれども、さっき申し上げましたとおり、一時そのような工夫を凝らした場合についても会計検査院の指摘を受けて返還させられるというようなことは余りにも酷ではないだろうか。  もっと大所高所に立った予算そのものの精神を酌み取ったような指摘が必要ではないのか、こういう批判を私は背に受けているのでありますが、今日の市町村等が置かれております立場を踏まえてお考えのときに、今日まで会計検査院が果たしてきた役割、また成果は何であったでありましょうか、ひとつ反省をも含めて承りたいところであります。
  191. 大久保孟

    大久保会計検査院長 お答え申し上げます。  今先生の御指摘は、余り重箱の隅をつっつくような細かい点ばかりにこだわるべきではないのではないかという趣旨の御指摘だと思いますが、会計検査院は、御承知と思いますが、検査によって会計経理を監督し、その適正を期し、是正を図ることを使命としております。したがいまして、個々の会計経理の合規性、経済性、効率性の究明の努力をおろそかにするわけにはまいりません。しかしながら、今日のように国の財政が国民生活と密接な各種の政策遂行のために行われている時代におきましては、個々の経理の当否にとどまらず、事業全体としての有効性を確保することも極めて大切なことでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この面におきましても十分な検査の努力を払い、毎年度相当数の改善要求あるいは特記事項として検査報告に掲載しているわけでございます。いずれにしましても、個々の会計経理とのバランスを考慮しつつ、それぞれ行き届いた検査実施してまいらなければならないと考えております。  具体的なことにつきましては、事務当局から御答弁させていただきます。
  192. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 私どもが毎年十二月に国会の方にお出ししております決算検査報告の内容でございますが、簡単に申し上げますと、いろいろな側面をとらえております。例えば昭和五十九年度検査報告で申しますと、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項百四十八件、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求した事項四件、同じく第三十六条の規定により意見を表示しまたは改善の処置を要求した事項八件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項十八件、特に掲記を要すると認めた事項二件というふうに、いろいろな側面で検査報告をさせていただいているわけでございます。先ほど院長も申し上げましたように、合規性の側面はもとより、経済性、効率性、有効性の側面から検査実施しておることは検査報告に明らかになっているとおりであると思います。  さて、先ほど先生御指摘の事例、ちょっと私思い当たらないのでございますが、補助事業関係の具体的な指摘事項の中に、例えば五十九年度で申しますと、公民館としてつくったものを役場の庁舎に使っていたというような事例、あるいはせっかくつくった施設を無断処分したような事例、我々としては、これは補助事業の目的に沿っていないのじゃないかと指摘せざるを得ないという事例は、よくよく検討の上検査報告に載せているわけでございまして、御指摘のような事例はちょっと思い当たらないのでございます。十分慎重に検討した上で検査報告させていただいておるつもりでございます。
  193. 滝沢幸助

    滝沢委員 てこで具体的な町村等の名を挙げるとその町村がおしかりを受ける、これが今日の中央集権的行政システムでございます。つまり、そういうことを問題にしますと、直ちに建設省なり農水省なり厚生省なりから、君の市町村については今後補助金等は一切構わぬからというようなことになるものですから、我々もそれを具体的に出すわけにもいかぬというほどに今日中央から地方はいじめられているのであります。そういうときに、私利私欲のためにこれを転用したりする場合ではなくて、いずれにしても公共のためにこれを使っているような場合は、その補助金を出した当該省庁と相談の上でもっと温かい措置ができないものかどうか、私はこれこそ生きた会計検査院だと思うのです。  しかし、これももちろん具体的な固有名詞は出せませんけれども、ある病院がありました。事務局長といいますか事務総長が厳罰に処されました。これは、何年も予算要求をしているのだけれども、予算がついてないものを薬屋さんからちょうだいしたというものであります。これはけしからぬ、そのとおりであります。しかし、よその事務局長はどうしていますか。薬を定価どおりに買うのは公立病院しかないじゃありませんか。そのサービスできる分で事務局長が個人で背広をちょうだいしたり自動車をちょうだいすれば、会計検査院から見れば、帳簿上まことに立派にできているということになるじゃありませんか。それを、公共のためにサービスをしてもらった者は厳罰に処する、これが今日の会計検査院あり方ではありませんか。そういうことにつきまして、私はもっと血の通う会計検査の姿勢を要求してやまないのであります。  さて、このことで会計検査院そのものについての質問を終わらせますので、申し上げましたようなことについて今後血の通った会計検査ができるかどうか、ひとつ所信を簡単にちょうだいしたいと思います。
  194. 大久保孟

    大久保会計検査院長 お答え申し上げます。  御指摘は血の通った検査ができるかどうかということでございますが、検査院としての使命がございますので、血の通ったということに対して適当なお答えができるかどうかわかりませんが、我々は、個々の経理の正確さ、これは基本でございますが、先ほど申しましたが、もっと大きな観点から、この事業は有効かどうか、そういう面に力点を置いて最近はやっておるつもりでございます。
  195. 滝沢幸助

    滝沢委員 会計検査院というのは裁判所の次でありますから、まことにお手本どおりの答弁に終始しますが、私は、今指摘しましたようなことは地方末端において熱烈なる要求だということをひとつ申し上げさせていただきます。  さて、北海道開発庁長官として見えていていただくわけであります。そこで一つは、開発庁というものと北海道庁というものが屋上屋ではないのか。言うなればつるし二階、中二階的な存在として開発庁というものがありはしないか。例えば地方農政局等をも含めて中間の存在が必要なのかどうかということは、行革審においても種々議論されたことだと聞いております。そのような意味で、開発庁というものと道庁というものと本省との関係、これは本当に必要なのかどうか、こういう反省はいかにお持ちですか。
  196. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 北海道開発庁昭和二十五年に設立をされました。そのときの目標は、北海道が持つ土地並びに資源を活用して、国の食糧政策その他に大きな役割を果たしていこうということで始められたわけであります。したがいまして、国はその当時、戦後で非常に混乱した時代でありますし、このために北海道が大きな役割を果たしてくれるということで期待してやってきたわけでございます。そういう意味で、国が直接予算をつぎ込んで、本当に国の大きな役割分担としてやっていこうという目標のもとに設置されたわけでございまして、さらに今日までその伝統を受け継ぎながら開発行政を進めているところでございます。  道庁は、北海道そのものに限って行われるわけででざいまして、日本的な視野、国内的な視野のもとで北海道をどう眺めていくかということは、国の大きな役割であると存じます。
  197. 滝沢幸助

    滝沢委員 そのようなことをおっしゃっていれば、いつまでたっても行政改革はできないじゃありませんか。二十五年にそのような社会的状況において設置されたと今おっしゃいました。しかし、その目的は達したのじゃありませんか。今日なお達しないとすれば、それはしょせん達し得ないもの、こういうふうに思わざるを得ません。  私は、今日の日本の政治の中で責めらるべきものは、一たんできた制度というものは孫末代これが廃止されないことであろうと存じます。何も北海道開発庁だけを言っているわけじゃありません。いわゆる地方出先機関のごとき中間の存在はもはや要らない。例えば、私のところは福島でございますが、仙台まで地方機関に行ってこれは書類を回し、また陳情もする、そしてまた東京に出てこなければならぬというようなことでしょう。このようなことについて大胆な選択をしなければ行政改革はできない、私はこういうふうに存じます。  今日まで果たされた成果を評価するに私はやぶさかではありませんけれども、今日なおしかし果たし得なかったものがあるとするならば、もはや今後とも達し得ないのではないかと思うものでありますから、再度、今日まで果たした成果は何か、果たし得なかったものは何か、ごく簡単にひとつおっしゃってちょうだいしたいと思います。
  198. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 北海道は、御承知のように、屯田兵制度がしかれまして、国の最北端としての役割も兼ね合わせながらその発展に努めてきたわけでございます。しかしながら今日まで、開発庁ができて以来北海道の有効活用のために国策としてやってこられたわけでありますが、そのために交通網あるいは土地改良面でも非常に成りましたし、治山治水でも非常に災害の少ない土地柄になりつつあります。そういう意味では大きな役割であったと思います。しかも、国が重視したのは、最初は十分の十という高率の負担によってやっていかざるを得ないという段階でございましたので、そういう点で開発の目的は達成しつつある。  しかし、今日の状況は非常に厳しい情勢にございまして、失業率も一番高い。北海道は積雪寒冷地でございますので、生活環境も必ずしもよくない。また、企業立地をしようとしましても、土地柄上なかなかその達成ができないという状況でございまして、現在は活性化がなかなか進まないというのが現状でございます。そういう意味で、国はさらにてこ入れして北海道の役割分担を果たしていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
  199. 滝沢幸助

    滝沢委員 開発庁は幾らの金を使うか知りませんけれども、その人件費とその事業費――事業費というのがあるかどうか知りませんけれども、これを北海道に、道庁に補助していただいた方がいいと違いますか。また、仙台に数々ありますあの中間的地方機関は、東北六県に全部お金でちょうだいした方がいいと違いますか。  さて、そのようなことを申し上げながらひとつ具体的なことを――これも余り具体的じゃありませんけれども、ソ連の軍事基地が北方領土に構築されていると新聞等は伝えております。このような状況の中で、北海道の総合開発を阻害するものがそのような関係においてあるだろうか。もしもあるならば、これをどうして打開されようとしているものでありましょうか。  長官の直接の職掌ではないかもしれません。しかし、北方領土返還の事業は国家内叫びと言わなければなりません。このようなときに、いわゆる北方領土の存在というもの、またこれがいかに変わっていくかということ、また北方領土返還の運動そのものというものも、決して開発庁として無関心ではおられないことと思うものでありますから、北方領土の今日の状況、特に、両国の外相会議が持たれたような状況の中で、ややもすればこれに希望的な観測も流れておりますけれども、大臣としてはこれをいかに認識されておりまするか、承りたいと思います。
  200. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 お答えをいたします。  私も、長官という立場もございますが、もちろん個人としても、日露通商条約の中において決められました択捉島と得撫島との境まで、それが北方四島でございます。したがいまして、その領土は日本の固有領土であるということで、今日まで一貫した方針でやってきております。そういう意味で私は、この北方領土の返還は国民全体の悲願でございまして、これを達成することが両国の安定的な関係をつくる大きな要因であるというふうに理解しております。  北方領土の一括返還を実現して日ソ平和条約を締結し、両国間に真の相互理解に基づく友好関係を確立することが、北方領土問題に対する政府としての一貫した方針であることは御承知のとおりでございます。この目標を実現するためには、国民の一致した理解と返還を求める幅広い国内世論の存在、それから国際的な世論の形成が極めて重要であると思います。  特に国際的というと、北方四島、これが必ずしも各国の地図に明快に示されていない、自由主義社会でもそういうところが見受けられるということで、こういった点を、国際的な立場に立ってこれらの問題を解決してもらわなければいかぬと私も考える次第でございまして、今外務大臣もこの点につきましては非常に関心を持っておられまして、積極的に今後対応していきたいというお話が予算委員会であったこともつけ加えさせていただきます。  北方領土返還を求める国民運動というのは最近大変盛り上がっております。北方領土返還都道府県民会議は四十六都道府県において結成されたと聞いておりますし、また、二月七日の北方領土の日には全国大会が盛大に開催されたのを初め、全国各地において多彩な行事等が行われたところであります。政府としましても、私らとしましても、これらの運動団体等と連携協力しつつ、国民に対する啓発活動等を推進し、粘り強い返還要求運動の一層の発展の強化を図る必要があるというふうに考えております。  さらに、根室地域には北方領土から引き揚げを余儀なくされた方々がたくさん居住されております。北方領土返還要求運動の発祥の地であり、また、重要な北方領土返還の拠点であると思います。この地域の活力の維持発展を図るために、北海道開発庁としては、北方領土問題等特別措置法に基づき、生活の安定のために地域振興対策を計画的に講じてきております。今後とも必要な施策を推進してまいり、これらの方々の安心と安定した生活が営めるように、全力を挙げて頑張るつもりでございます。
  201. 滝沢幸助

    滝沢委員 大変意欲的な御返事をちょうだいしましたが、どうでしょうか、北海道というものは、ソビエト連邦にとりまして日本に対する平和攻勢ないしは戦略という立場に立って重要なターゲットの一つであろうと私は考えます。例えば、オホーツク海の聖域化あるいはまた三海峡の権利の確保というようなことはソビエトにとっては軍事的に不可欠の要請だ、私はこういうふうに認識するものであります。  こういう点を考えますときに、今も大臣がおっしゃっていただきましたけれども、私はこれは防衛という面を考えましても、あるいはまた魚のこともございます、貿易のこともございます、通産省的な立場での理解からいきましても、あるいはまたあそこに産出する各種の産物を見ましても、農水省としての立場ないしは建設省、あるいはまた教育という面も決して見逃すことはできません。外交の面は今おっしゃっていただきましたとおりであります。こういうものをもっともっと緊密に連絡、協調をいたしまして、この民族的大運動を実りあるものにするためにいろいろと今意欲的におっしゃっていただきましたが、各大臣に私はこのことを申し上げているのですが、しかし一歩実際面を見ますると、まだまだ足らざるものを感じざるを得ません。そういう意味で、いわば内閣を挙げてこれらのことに取り組んでいただくという決意をもう一度伺わさせていただきたいと思います。
  202. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 北海道はソビエトに近接しておりまして、いろいろな点で道民の方はそれに対するいろいろな意見を持っておられると思います。ソ連の飛行機、潜水艦等も来ているようでございますし、そのたびごとにスクランブルが行われているという事態を見れば、私らとしましても、当然のことながらそういう脅威を感ずるというようなこともあり得るのではないかと心配をいたしております。国際的にも緊張の高い地域であると思います。私としましては、こういった意味からも北海道の開発を総合的に推進しまして、安定した安心のできる地域社会を形成するように努力してまいらなければならないと思います。北海道開発庁だけでは到底達成できるものではありませんので、政府、各省庁と協力しましてひとつこの問題の解決のために前進していきたいと考えている次第でございます。
  203. 滝沢幸助

    滝沢委員 ところで、つかぬことをお伺いしますが、たしかおととしあたりの新聞記事であったと記憶しまして、無責任な言い方で恐縮でありますが、北海道の沿岸の海底に小型の戦車の軌道の跡があった、これを昆布取りの漁民が発見して、驚いて海上保安庁に通報したということが書いてあったのでありますが、このことは事実でありましょうか。であったならば、その後の経過等を御報告いただきたいと思います。
  204. 滝沢浩

    滝沢政府委員 あるいは先生のおっしゃることがあったかもしれませんが、ちょっと私どもの耳には具体的に入っておりませんので、よく調べてみたいと思います。
  205. 滝沢幸助

    滝沢委員 滝沢同士で余りやり合うのもどうかと思いますから……。  そこで、私は先ほど教育の面でもこの北方領土の面が大事な一つの課題だ、こう申し上げましたけれども、実は私は、この北方領土返還の運動というものの先行きに対して極めて悲観的な見方をしている一人なのであります。だとするならば、これは本当に長い歳月を費やして貫くべき国家的、民族的要求だというふうになるわけでありまして、そうなれば我々の世代だけではこれは実現できないものだという認識も含めまして、我々の後に続く子々孫々にこれを受け継ぐ必要がある。  そのような意味で、学校教育の面で北方領土に対する教育、認識、特に教科書等における記載、つまりは教科書によって多少のニュアンスは違いまするけれども、ソビエトはヤルタ協定の約束によって進出をしてきたというような記載にとどまっておる例もなしとしないというようなことを思いますると、教育の面での北方領土の返還の運動、教育が運動かどうか知りませんけれども、理解は極めて若い世代には受け継がれていない、私はこういうふうに思うのでありますが、文部省から見えていただいたわけでありますが、ひとつ重ねてお伺いいたしたいと思います。
  206. 小埜寺直巳

    ○小埜寺説明員 お答え申し上げます。  先生も御存じのとおりと思いますけれども、文部省といたしましても、北方領土につきましては国民的課題である、大変大事なものであるというふうに考えております。したがいまして、学校教育におきましても、特に小学校、中学校、高等学校の社会科の授業において、北方領土が我が国の固有の領土であるという観点から、児童生徒にその点が十分理解できるようにという観点で教育をしているわけでございます。また、教科書の検定に当たりましても、北方領土の学習が十分達成できるようにという観点で検定を行っている次第でございます。  なお今後とも、先生御指摘がありましたとおり、この北方領土の問題は大変重要な問題でございますので、我々としても一層努力をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  207. 滝沢幸助

    滝沢委員 少し話が変わりますが、青函トンネルがようやくできた。しかし、新聞等によれば、何かこれは今になってみればさほど必要でもなかったみたいなことに書かれて、あれだけの膨大な国費を使いながら、どうしたものかなというのが国民の偽らざる感触だろうと私は思うのでありますが、これは今後どのように利用され、あるいはまた事業推進されますか。
  208. 滝沢浩

    滝沢政府委員 青函トンネルの利用につきましては、現在運輸省を中心としてその使い方についての検討が進められておりますが、私どもの承知しているのは、開通後については当面在来線を通すということでございます。  それから、北海道新幹線を通すという地元側の強い要望がございますが、この問題につきましては、現在政府部内で財源等の検討委員会が開催されるように聞いておりますので、その結果を見ながら結論が出されていくことになると思いますが、北海道開発とも非常に大きなかかわり合いがあることでございますので、私どもはできるだけそういう動向を見きわめながら前向きに取り組んでいかなければならぬ、こう思っておりますが、まだなかなかお答えになるような具体的な状況にまでは進んでいないのは事実でございます。
  209. 滝沢幸助

    滝沢委員 ところで、これは文部省から見えていただいておるうちに先に拝聴しますが、話はすっかり変わりますけれども、教員住宅、これを決算当該年度においても計画的に建設されておると思うのでありますが、しかし僻地等の現実を見れば、教員住宅はあいております。これは学校の先生が任地に居住されないで、近くの都市から車で通っていなさるからであります。私はこのような意味では、本当の教育はやはり教師は児童生徒と同じ場所に居住する生活の中にあるというふうな認識の上に立ちますならば、このことは反省さるべきことだと思いますが、いかがなものでしょうか。
  210. 井上孝美

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  いじめなど児童生徒の問題行動が憂慮されております今日、教員と児童生徒との心の触れ合いが大切であり、そのような意味におきましては先生の御指摘の趣旨は望ましいこととしては私どもも同感でございます。ただ、地域の実情や住宅事情などから、教員と児童生徒が同じところに住むということは、一般には大変困難な状況にあるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  211. 滝沢幸助

    滝沢委員 そういうことを言っているから、教育がだめなんですよ。連休なんかの場合に、例えば土曜日に先生と生徒が別れていきます。先生は都心へ帰っていきます。その後で児童生徒が事故、病気等で亡くなっても、お葬式が終わっても先生に連絡できないのです。そして、連休が終わって三日目に出てきたときに、だれ君どうしたのと言ったら、死にましたというようなことなんですよ。こういうことで血の通った真の教育はできないと私は思うから申し上げておるわけであります。  ところで、この当該会計年度におきまして学校火災はどの程度あったものか、そしてその原因は何であったものか。私は県議会に長くお世話になりました。そのときの状況を今つらつら考えまするに、学校火災は原因がわからぬもの、こういうふうに議員連中はささやき合っていました。学校火災はその火災発生の原因がわからぬもの、こういうことになっております。そのことを思うときにも、これも教育の緩みじゃないかなというふうに思うものであります。昔は、学校を焼いた校長は原因のいかんにかかわらず進退伺いを出したものであります。そういうことにおきまして無責任教育の象徴だと私は思いまして、これを一言お伺いさせていただきたいと思います。
  212. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  文部省としましては、毎年春秋の全国の火災予防運動の際に、各都道府県の教育長さんに通知を行いまして、防火施設の充実あるいは火災予防の万全を期するよう指導しているわけでございますが、先生御指摘のように、公立学校の火災は絶無とはいかずに、六十年度をとりますと、報告のあった全焼と半焼を合わせまして十五件でございます。これは十五件ということで、毎年少なくなっておりますが、今後とも火災予防の徹底を図りまして努力をしていきたいと思います。  また、その原因でございますが、これも先生お話のありましたように、原因不明というのが十五件のうちの十一件でございます。それから失火が三件、放火が一件という報告をされているわけでございます。
  213. 滝沢幸助

    滝沢委員 今日の警察の調査力でわからぬはずはない。それをわからぬのが教育現場なのであります。御注意を願いたいと思います。  そしてもう一つ教育問題で、宿日直制度がいろいろと変遷をいたしまして、今はあれは代行制度になりまして、日中農業をされたりあきんどをされたりした方が、夜は学校の宿直をなさるわけです。そしてこの人は、自分の本来のお働きにその宿日直代行のお手当を加えても、学校の先生ほどの収入にならぬじゃありませんか。そしてその人が学校の夜の警備に当たるわけです。  ですから教育長は、火事になったら逃げてください、これだけです。学籍簿を持って逃げろなんて絶対言えないということでしょう。ところが、自分の先生が宿直する日はいつなんだ、そのとき僕ら三人で行こうじゃないか、五人で行こうじゃないか、そしてそこで先生といろいろとお話をするなんということが本当の教育であった時代を思うならば、私はここにも心のない教育を思わざるを得ません。これらについて今後検討される用意があるかどうか、承りたいと思います。
  214. 井上孝美

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の趣旨につきましては私どもも理解できるところでございますが、公立の小中高等学校における教員の宿日直につきましては、休日、夜間における学校管理のあり方、教員の勤務条件などにかかわる問題でございますので、このことにつきましては、昭和四十一年五月二十五日、衆議院文教委員会学校警備員小委員会報告、すなわち、「政府は、宿日直の頻度の多い小規模学校の教職員の勤務量の軽減をはかるため必要な措置を至急に講ずべきである。」という御趣旨を尊重し、かつ、女子教員の増大等の状況を勘案いたしまして、教職員の勤務の軽減を図るため、昭和四十二年度から、宿日直を廃止する学校に対しては火災報知機、耐火書庫、防犯灯などの防火防犯用の設備の整備に要する経費の補助を行ってきたわけでございまして、現在公立の小中学校等において教員が宿日画を行っている学校数は、五十七年度の調査結果について見ますれば、学校総数の四%以下となっているわけでございます。
  215. 滝沢幸助

    滝沢委員 その経過はわかっている。わかっているから言っているのです。これでは本当の教育はできない、こう言っているわけです。自分が生涯を教育にささげようとする者が、夜そこを守ることができないでどうしてよその人を守ることができますか。私たちの経験でも、三人だけの学校でも宿日直をきちんとやっていたのです。教育が今日荒廃している一つの原因はここにもある。  あなた、火災報知機が教育しますか。子供と一緒に、きょうおまえ零点だったけれども頑張れよと言いますか。先生、私とても数学嫌いなんだけれども、私、お父さんとお母さんがいつもけんかして嫌なんだけれどもと生徒が火災報知機に告白したら、火災報知機は何か適切な指導しますか。教育とはそういうものなんです。帰られたら、どうかひとつ大臣にきちんとおっしゃってちょうだいしたい。  最後に、北から南に飛びまして沖縄のことでありますが、沖縄の観光ガイド等印刷物等を見ましても、日本の兵隊さんは島の人々を防空ごうから出して兵隊さんが入っていたとかいろいろと、日本の兵隊というのはいかにも島民を矢面に出して、犠牲にして自分たちの安穏を図ったように言われやすいのであります。これはまた受けるのであります。しかし、これは正しく戦史を物語ってはいないと思うのであります。しかも、あの僻地の島を軽薄なる観光の地としてしか掌握できないような沖縄開発の姿勢というものがあったならば、これは間違っているのではないかと思うのですよ。  しかしまた一方、沖縄は犠牲の地だということで、これに対する慰撫の工作として不急不要のものに対する過剰サービスの予算措置等もありまして、いずれにしましても沖縄経費については一考を要する面が多々あるということを申し上げまして、簡単に一言御答弁といいますか、今後の考えを示していただきたいと思います。
  216. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 先生からお話がありましたとおり、さきの大戦で沖縄は我が国唯一の戦場となり、多数のとうとい生命が失われたところでございます。そのときに日本の軍人が、先生御指摘のような観光ガイドの話は私も耳にしたことがありまして、私はそういうことを聞くたびに胸を痛めているところでございます。今後その話のような悲惨な事態が起こらないように、全力を挙げて努力しなければならないと痛感するものでございます。  また、沖縄はいろいろ優遇され過ぎでいるというようなお感じの発言でございましたけれども、現在沖縄県民の所得というのは内地の大体七割程度でございまして、また施設その他におきましてもまだ十分でないという点が多々ございます。沖縄返還国会におきまして問題になりましたのは、やはり本土並みにやってくれというのが本当に沖縄県民の切なる願いでございまして、乙のために国は沖縄開発庁をつくりまして、おくれているいろいろな問題を片づけながら活性化を促していきたいということで進んでおるわけでございます。一日も早く失業者もなくなり、本当に豊かな、また安心のできる地域社会をつくっていくのが開発庁の役目だと思いますので、先生の御趣旨も十分承りながら、全力を挙げて頑張ってまいりたいと思っております。
  217. 滝沢幸助

    滝沢委員 お答えにも数々不満の点もありますが、時間が参りましたので終わらせていただきます。  委員長、御苦労さまでした。大臣、御苦労さま。
  218. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次は、瀬長亀次郎君。
  219. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は、国立芸能劇場の建設について最初にお伺いします。  その前に、去る三月三日、沖縄県議会で西銘知事は、国立芸能劇場について、「現在、文化庁と調整を進めている」、こう述べておりますが、文化庁と調整を進めておる、これは事実ですか。
  220. 石藤守雄

    石藤説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいました沖縄におきます国立芸能劇場の件につきましては、まだ沖縄県の方から正式な御相談は受けておりません。
  221. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでわかりましたが、いかにもこの問題で知事と文化庁が直接調整を進めているといったようなことが新聞にでかでか載ったものだから、私もこれを確かめているのです。これはただいまからの質問と関連しますので、今のお答えであればそれでいいと思います。  これは長官に最初にお伺いしたいのですが、現在沖縄の重要文化財に指定しておる組踊、あれは沖縄の言葉では組踊(くみおどい)というのですよ。これとか雑(そう)踊(おどい)、琉球歌劇など琉球舞踊がありますが、これが国立劇場の公演で話題を呼んでいるとともに、今中学校、高校でも、クラブでちゃんと女の子も男の子も三味線とか琴、古典文化などをやって、実際上芸能人口の数は非常に生活化しているのです。中学校とか高校といったところでもやっているわけなんで、現在人口として実に二万人そういうところに関係しているというのが現状なんです。それで、現在本当に要求している国立劇場は、そんな二千人、三千人というふうなものではなくて、五百人とか六百人ぐらい入るような国立劇場をつくってほしいというのが今の芸能人の本当の願いなんです。  これは経過なんですが、昭和四十七年、一九七二年になりますが、四月二十五日の参議院商工委員会で須藤五郎さん、これは共産党の議員ですが、この人が当時の田中角榮通産大臣質問しております。田中通産大臣は、二十年間の異民族統治のもとから返ってくる記念事業として、その種のものは、すなわち国立劇場、そういったものは非常に意義がある、こう述べております。これが最初なんです。  それから同じく五十年、これは一九七五年です。五月二十二日、衆議院沖特委で私が質問しました。そのとき植木開発長官、もちろん今でも御健在であります。植木開発長官は、私は実際見た、見た感じでありますが、この沖縄の伝統芸能は、沖縄の宝であるだけではなくて、日本の宝であるというふうな認識のもとにこういった国立劇場をつくるために努力するということを述べておられます。  続いて五十二年、一九七七年ですが、十二月二十七日、私はこの件について質問主意書を出しました。このときは伝統芸能の保存公開の施設を含む総合的文化センターの検討を進めていると聞いておる。ところが、現在はそれがなくなりまして、そういった文化センターの一環として国立劇場の建設をやりたい、これはこの質問主意書に対する答弁なんです。  それから、今の総合文化センターの問題は、今度西銘知事になってからさたやみになりまして問題になっておりませんが、この点はいずれにいたしましても、さらに稻村開発長官時代も植木長官と同じような答弁をなさって、開発長官としては一員して沖縄の無形文化財を保護する。特に組踊とか雑踊というのはどこにもない沖縄だけにある。この問題は、今中学校、高等学校の話もしましたが、沖縄県民の心の中に生きている、生活化しているということなんで、最初に、文化庁に聞く前に古賀大臣のこれに対する考え方をまず聞いてから、文化庁に質問しようと思っております。
  222. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 伝統芸能を非常に大事にしていくということは、私はあらゆる意味で、また歴史を保存する意味でも非常に重要なことだと思います。これらの問題につきまして、私もまだ就任して日が浅うございますので的確な知識を持ち合わせませんし、担当局長から報告させていただきます。
  223. 小谷宏三

    ○小谷政府委員 お答え申し上げます。  先ほど瀬長先生引用なさいましたとおり、当時の植木国務大臣の答弁で、   伝統芸能というものが地域の住民にどれだけ潤いを与えるものであるかということについては、私も十分認識をいたしております。また、先ほど申し上げましたように、沖縄県には伝統的工芸品とともに、すぐれた伝統芸能がございます。これは私自身がそれを鑑賞いたしまして深い感銘を受けたところでございます。これはただ単に沖縄県の宝であるばかりではなく、日本全体の宝であるというふうに私は認識をいたしているのでございます。  ただいま国費による劇場の建設という御意見がございましたが、私は、振興策全体の中で、いま御指摘のありました劇場の建設につきましては、担当省と協議をいたしまして、検討を進めてまいりたいと存じます。 という答弁がございます。御指摘のとおりでございます。現在も沖縄開発庁の私どもといたしましては、沖縄の伝統芸能が極めて貴重なものであり、沖縄県民にとって宝であるということを認識しております。  ただ、先ほど文化庁に御質問されましたように、最近の国立劇場の建設につきましては、現地の新聞に出ておったことは承知しておりますが、私どもも御相談を受けておりません。ただ、現在沖縄県で県民センターとかコンベンションセンターというものが建設中でございますが、あるいはああいう場所を一つの拠点として沖縄の組踊その他伝統芸術を展示する場所ができるのではないかと期待している次第でございます。
  224. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 今答弁になったとおりでありますが、私、長官に、もちろんこれは文化庁が担当庁なので、ぜひ長官、その見地から文化庁を督励して、できるだけ早く国立劇場ができるようにひとつ努力してほしいと思いますが、いかがですか。
  225. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 非常に大事なことでございます。したがいまして、今後文化庁ともいろいろ協議をしてまいりたいと存じております。
  226. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次は文化庁にお伺いしますが、県知事が別にそういった調整などしておらないということは別として、今沖縄県民が非常にこれは要望しているのですよ。今いろいろ国がつくるべきのは文化的に相当ありますが、文化庁は担当庁であるだけに、ぜひ一日も早くこの国立劇場を建設するように私はやってほしいと思うのですが、文化庁、いかがですか。
  227. 石藤守雄

    石藤説明員 現在、国立のいわゆる文化施設をつくってほしいという御要望は、各地から幾つか出されている状況でございます。ただ、現在のような大変厳しい財政下におきまして、これらの御要望を具体的に検討する段階にはまだ至っておりません。  ただし、文化庁といたしましては、こういった国立の文化施設というものが将来的に全国的にどういう配置、あり方があればいいかということを全国的な視野から調査研究しようということで、そのために若干の予算も計上いたしまして調査研究を行っている状況でございます。ただいま先生からのお話のございました沖縄関係の御要望も。今後のこの調査研究を進める上で参考にさせていただきたい、かように考えております。
  228. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 文化庁としては、来年あたり、特にいろいろな全国的なその調査ももちろんですが、今の国立劇場問題について、例えば調査費とか、来年あたりはぜひ組んで取り組むという姿勢がありますか、ないんですか。
  229. 石藤守雄

    石藤説明員 先ほど各地から国立文化施設の御要望が出ているということを申し上げましたが、これは今お話の出ておりますいわゆる芸能関係のものだけではございませんで、博物館でございますとか美術館でございますとか、そういうふうないろいろな種類の施設の要望を我々いただいているわけでございます。したがいまして、本日お尋ねのこの芸能関係の施設というまた新しいお話でございますので、それらも博物館や美術館等すべて含めまして今後調査研究を進めさせていただきたい、かように思っております。
  230. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、ここは大臣お一人しか今おられませんので、これはぜひ私は――いじめの問題もありますね。沖縄はいじめがそんなに、さほど自殺者を出したというのはないのですよ。こういった情操教育の問題からいっても非常に重視しておる。その意味で今の小中校、高等校までそういう情操教育というのを非常に重視されておるというので、大臣、ひとつここは古賀大臣しかおらないので、文化庁長官にもお話しになって、ぜひひとつ種まきの役割を果たしてほしい。今すぐつくれと言わぬが、その種をまくと、開花は、来年開花するか再来年開花するかはあれですが、そういったような努力をぜひしてほしいと最後に思いますが、いかがですか、古賀長官
  231. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 御意見を十分承りました。
  232. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次は、四月一日から施行されますが、新しい国民年金制度の老齢基礎年金、この問題につきまして、給付額で沖縄県の加入者が本土の被保険者に比べて相当格差が生ずることは事実であります。  そこで、開発庁や厚生省、これにお聞きしたいのですが、この救済のための政令――法案は出ておりますから、もうすぐあと十日もすれば施行になる。この政令を出すのか出さぬのか、ここら辺をはっきりさせてほしい。政令措置の中身は、言うまでもなく、たとえ一部でも県民の負担を絶対にさせないといったような政令にしてほしい。いわゆる格差年数を無条件で免除するという方向での配慮をしてほしいと思いますが、これは最初に厚生省から答弁しますか。
  233. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 お答えいたします。  沖縄の年金につきまして格差が生ずるという御指摘でございますが、これは御承知のとおり、国民年金制度が沖縄では昭和四十五年四月に発足、それから本土は三十六年四月、この九年間の開きがあったということが一つの大きな原因でございます。  その後、沖縄の本土復帰に際しましては、当時の沖縄の制度をもとにいたしまして、一定の年齢層の方につきまして一定期間保険料を追納していただくという特別措置を講じたところでありまして、今回の年金改正におきましても、現在五十五歳以上の加入者につきましてはこの復帰の特別措置で十分対応できる、格差の問題は生じないというように考えておりますけれども、現在五十四歳から三十六歳までの万につきましては、今回の年金改正によりまして年金額の計算方法が変わったということによりまして、今申し上げました本土復帰の際の特例措置だけでは将来の年金額の格差が生じることになった、こういうような経緯でございます。  この問題につきましては、関係方面からの御指摘もございます。これらを踏まえまして、年金制度の公平、公正の観点から、本土と比べて沖縄の年金加入者に不利にならないよう可及的速やかに対応策を考えたい、そして措置を講じたいと思っておるわけでございます。  ただ、今御指摘のありました時期の点につきましては、現在早急に成案を得るべく検討中でございますけれども、内容につきましてはいろいろ多岐にまたがることでもございまして、なおしばらく時間がかかりますので、四月一日ということでは間に合わないのではないかと考えております。  なお、念のため申し上げますと、この問題が現実に発生いたしますのは五年先でざいます。もちろん、その対応策が早ければ早いにこしたことはないわけでございますけれども、沖縄の年金加入者に直ちに影響が出るものではないということは御理解いただきたいなと思います。
  234. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これだけもう一遍聞きたいのですが、この問題を情感に訴えるわけではないのですが、適用されるお年寄り、今のお年寄りはほかの県とは違いまして、本当の死地をくぐって、死ぬか生きるかのあの激戦をくぐって生き残った人だということをまず頭に入れでもらわなければいかぬのですよ。だから法律にも、沖縄の被保険者の受給資格及び年金額その他これらの法律に規定する事項については、これらの法律の規定にかかわらず政令で特別の定めをする。百四十七条ですよ。実際これはそういった事情があるのですよ。これを頭に入れてもらわないと答弁はおかしい格好になってくる。  県庁の皆さんに聞いたら、本当にそのためにお百度を踏んだというのですよ。もう回数を覚えられぬほど、この点については厚生省の皆さんにお百度を踏んだ。これは事実なんでしょう。どうなんですか。来なかったのですか、来たんですか、それだけ答えてください。
  235. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 この問題につきましては、昨年来沖縄県の方から照会等ございました。ただ、やはり役所の中でもいろいろございまして、事務的な判断の段階、それから政策的にどうすべきかというところを考える段階、いろいろございますので一定の時間がかかってしまったということはございますので、御了承いただきたいと思います。
  236. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私もっとお聞きしたいのは、じゃどうするんだ。あと十日ですよ。適用は何年後になるといったようなことでは、これは済まされないのですよ。実際上、法律はもう四月一日から施行になる。政令は、さあ検討しているがいつになるかわかりません。これじゃ問題にならぬでしょう。もう法律が施行されるその日にちはわかっているのです。四月一日。一体全体どうするつもりなんですか。いつ政令はやるのか。政令の中身は、今私が申し上げたような中身にして、沖縄県民の負担にならぬような条件にというようなことが政令の中身でなくちゃいかぬということなんですよ。だから、県庁の皆さんもあなた方にお百度を踏んでいるわけなんです。それは認めたんです。なぜ今までそういったようなことができないのか。まさに怠慢じゃないのか。もう一遍答えてください。
  237. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 どうも同じ答弁になってしまうのでございますが、具体的な対応策につきましては現在関係方面と協議中でございまして、まだ結論を得ておりません。  いずれにいたしましても、所定の年数保険料を納めて老齢基礎年金を受給しておられます本土の方と比べまして、沖縄の加入者の方が不利益になるということのないように政令でもって措置いたしたいと考えております。
  238. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 関係方面と調整中。関係方面はどこですか、具体的に言ってください。
  239. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 もちろん、その中には沖縄県も入力まずし、財政当局も入りますし、各政党の方でも御関心を持っておられるわけでございます。いろいろございまして、特にどこと申し上げたわけではございませんけれども、やはり財政措置という視点も一つあろうかなと思うわけでございますが、なおしばらく時間がかかるという状況でございます。先ほど申し上げましたように実際に影響が出ますのは五年先であるということで、極力早く措置いたしたいと思いますけれども、そういったことでございますので御理解いただきたいなというのが率直なところでございます。
  240. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 すると関係庁というのは、県庁はもちろんですね。沖縄県は早くやれ早くやれと言っている。これは問題じゃないんだな。それで今度は開発庁も関係するわけでしょう。それは金の問題だから大蔵省だな。そうなると、開発庁も問題でないと私は思うんだよ、特措法は振興開発のためにもぜひ必要なんで。そうすると残るのは、金の問題だから大蔵省になるのですか。それが難航しているのでいつ出すのか見通しもつかないんだよ。政令を出す見通しもつかない。もう一遍答えてください。どこにいわゆる難点があるのか、どういうかぎを入れればあくのか、ちょっと見通しを言ってください。
  241. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 確かに負担の問題も一つあろうかと思います。一定の特別措置を講じますと、それに対応いたします負担をだれがするかという問題、やはりこれは考えておかなくてはいけない問題であろうと思います。  なお、必ずしも財政的な問題だけではなく、具体的にどういう特別措置を講ずるかということを考えた場合に、その対象者をどうやって特定するのか。昭和四十五年まで沖縄にいらっしゃった方、全国に散らばっていると思うのですね。そういった対象者の把握もございます、一例として申し上げますと。ですから、財政的な面のみならず、各般の調整を要するということでございます。
  242. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので締めますが、今あなた、関係省庁と言うが、だんだん制限されてあなた方自体の問題になっているんだよ。大蔵省も別に大した問題じゃない。開発庁も問題でない。あなた方自体の問題になってくる。  それで、あと二、三分しかないので古賀大臣に最後にお聞きいたしますが、この問題は、申し上げましたように、沖縄は特殊な事情があって百四十七条というのが入れられているわけなんですから、厚生省は今のような状態でしょう、ぜひ大臣の方で督励して、厚生大臣にもお話しになってこの問題を一日も早く解決するように、政令の中身を、無条件に沖縄県民に負担がかからぬようにというような中身にするために、大臣、ひとつ政治的にも厚生大臣にお会いになって、今も申し上げましたが、そういった方向で努力してほしいと思いますが、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  243. 古賀雷四郎

    古賀国務大臣 私も、沖縄と本土の国民年金の格差問題につきましてはあちこちからお話を聞きまして、困ったなというところでございます。幸い、厚生大臣も私よく知っておりますし、また審議官の方もよく知っておりましたので、早速この問題についての善処を申し入れをしたところでございます。ところが、御承知のとおり、先般厚生省から、沖縄の年金加入者に不利にならないよう、可及的速やかに制度改正によってひとつやっていきたいということでございました。しかし、今厚生省からお話を聞きますと、日時が限定できない、その事情もよくわかりますので、私らとしましても、厚生省と一緒になってひとつ問題解決に努力してみたいと考えております。また、具体的な内容等につきましても、私らもよくわかりませんし、事務当局とともに、ひとつこの問題の解決に努力させていただきたいと考えておる次第でございます。大変心配をいたしている次第でございますので、その点は御理解を賜りたいと存じます。
  244. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたので終わりますが、これは厚生省、もう少ししっかりしてもらわぬと、今答弁を聞いただけでも、もう厚生省にかかっているのですよ。しかも、実務問題はこういったような形では政令がいつ出せるかわからぬというふうなことにならぬように、そのために努力してほしい。  さらに、長官の答弁はそのとおりにひとつ奮闘してもらいたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  245. 角屋堅次郎

    角屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会