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1986-04-09 第104回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月九日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員   委員長 北川 石松君    理事 奥田 敬和君 理事 田中 秀征君    理事 西山敬次郎君 理事 村田敬次郎君    理事 河上 民雄君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       愛野興一郎君    鍵田忠三郎君       鯨岡 兵輔君    竹内 黎一君       中山 正暉君    仲村 正治君       町村 信孝君    山下 元利君       岡田 春夫君    小林  進君       藤田 高敏君    鳥居 一雄君       渡部 一郎君    岡崎万寿秀君       田中美智子君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         外務大臣官房長 北村  汎君         外務省アジア局         長       後藤 利雄君         外務省北米局長 藤井 宏昭君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省経済協力         局長      藤田 公郎君         外務省条約局長 小和田 恒君         外務省国際連合         局長      中平  立君  委員外出席者         経済企画庁調整         局審議官    菅野  剛君         経済企画庁調整         局経済協力第一         課長      小川 修司君         外務委員会調査         室長      門田 省三君     ————————————— 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   石川 要三君     宇野 宗佑君   山下 元利君     細田 吉藏君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     石川 要三君   細田 吉藏君     山下 元利君 四月八日  辞任         補欠選任   石川 要三君     稲村 利幸君 同日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     石川 要三君     ————————————— 三月二十六日  核兵器全面禁止に関する請願経塚幸夫君紹  介)(第一七八六号)  核兵器廃絶等に関する請願阿部昭吾紹介)  (第一七八七号)  同(菅直人紹介)(第一七八八号)  同(阿部昭吾紹介)(第一九五二号)  同(菅直人紹介)(第一九五三号)  非核原則完全実施等に関する請願不破哲三  君紹介)(第一九五一号) 同月二十九日  核トマホーク積載艦船日本寄港反対等に関す  る請願木島喜兵衛紹介)(第二〇四八号)  核兵器廃絶等に関する請願阿部昭吾紹介)  (第二〇四九号)  核兵器全面禁止に関する請願東中光雄君紹  介)(第二一一四号) 四月一日  核兵器全面禁止に関する請願梅田勝紹介)  (第二三一六号)  同(東中光雄紹介)(第二三一七号)  同(藤田スミ紹介)(第二三一八号)  核兵器全面禁止に関する請願柴田睦夫君紹  介)(第二三一九号)  同(田中美智子紹介)(第二三二〇号)  同(簑輪幸代紹介)(第二三二一号)  核兵器廃絶等に関する請願大橋敏雄紹介)  (第二三二二号)  同(柴田弘紹介)(第二三二三号) 同月三日  核トマホーク積載艦船日本寄港反対等に関す  る請願伊藤茂紹介)(第二四五六号)  同(元信堯君紹介)(第二四五七号)  同(山中末治紹介)(第二四五八号)  同(山花貞夫紹介)(第二四五九号)  同(横山利秋紹介)(第二四六〇号)  ILO未批准条約批准に関する請願(五十嵐  広三君紹介)(第二四六一号)  核兵器廃絶等に関する請願塩田晋紹介)  (第二四六二号)  同(塩田晋紹介)(第二五八一号)  核兵器全面禁止に関する請願経塚幸夫君紹  介)(第二五八〇号) 同月七日  核トマホーク積載艦船日本寄港反対等に関す  る請願岡田利春紹介)(第二六四〇号)  同(左近正男紹介)(第二六四一号)  同(和田貞夫紹介)(第二六四二号)  同(河上民雄紹介)(第二七五九号)  核兵器廃絶等に関する請願貝沼次郎紹介)  (第二七六〇号)  同(斉藤節紹介)(第二七六一号)  同(坂井弘一紹介)(第二七六二号)  同(沼川洋一紹介)(第二七六三号)  同(春田重昭紹介)(第二七六四号)  同外八件(福岡康夫紹介)(第二七六五号)  同(二見伸明紹介)(第二七六六号)  同(古川雅司紹介)(第二七六七号)  同(水谷弘紹介)(第二七六八号)  同(宮崎角治紹介)(第二七六九号)  同(吉井光照紹介)(第二七七〇号) 同月九日  核トマホーク積載艦船日本寄港反対等に関す  る請願河上民雄紹介)(第二八二三号)  同(野口幸一紹介)(第二九六六号)  非核原則完全実施等に関する請願正森成二  君紹介)(第二八二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 北川石松

    北川委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鯨岡兵輔君。
  3. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 外務大臣国際情勢の問題について質問するのですが、これは道を聞いても二十五分くらいかかるのに、委員長は、国際情勢外務大臣に二十五分で聞けと言うのです。まことに当惑いたしますが、きのう外務省からわざわざお使いが立って、どんな質問をするかということで申し上げておきました。四項目、したがいまして私は、その四項目全部これから言いますから、それが終わってから外務大臣からお答えをいただきたい。四項目のうちの三項目は、このごろ新聞なんかにいろいろ伝えられて、国民がこれはどういうことかなと不思議に思っているだろうと思うことを、国民を代表して私が承るわけでありますから、国民に答えるようなお心づもりでお答えをいただきたい、こう思うわけであります。最後の一項目は、私が外務大臣にお願いであります。  第一は、日本中国との間に外交関係がなかった時分を思い出しますと、政党で、あるいは民間で、個人で、いろいろ中国との間に折衝を重ねて涙ぐましい努力が実って、それで今日のような日中の関係になった。国交のないときにはそれは仕方がない。今日は立派に国交があるわけですから、中国日本との外交問題は双方の外務省を通じて行われるべきだと私は思います。  一方、皇室というものは、これは政治に利用しているとかいうような、いやしくも疑いを受けてもまことに困る。厳に我々は慎まなければならぬ。先般、政党の領袖が出かけていって中国の要人に会って、皇室問題に関していろいろお話があった。それで、中国の方からは丁寧な御返事があって、それはそれでよろしいのですが、これは外務省はどうしていたのだろう、外務省はどういう考えていたのだろうか、この点が私にはわからない。国民にもわからない。国交が結ばれていないのなら仕方がないですが、いるのですから、これはどういうわけかな、こう思うわけであります。  第二番目は政府経済援助。これは、予算が去年と比べて七%もふえたことは外務省努力もありますが、与野党を通じて、経済大国になった日本責任としてこれはやらなければならぬ、こういうことでやりましたので、これからもどんどんふえていかなければならぬと思います。まことに結構なことでありますが、経済援助というのは平和機関である国連を通じて配分されるのが原則だ、それが本当だ。しかしながら、事情によっては二国間の援助ということもあり得ますから、それはそれでいいのですが、このごろアメリカは財政的にもなかなか大変なんで、アメリカが今まで経済援財していたところに思うようにできないから、どうだろう、日本に肩がわりしてもらえないか、そういうようなことが時々新聞に出てくる。  私は、アメリカ気持ちはわかる。わかるけれども、アメリカにはアメリカ世界戦略というものがあるはずなんです。それに基づいて、二国間援助をやっているんだろうと思う。それを日本アメリカ要請に基づいて、わかりましたというようなことでやるとすれば、いつの間にかアメリカ世界戦略の中に入っていってしまう、私はこれを恐れる。アメリカ日本は終生友好国であって、一番の仲よしの国でいなければならぬと思う気持ちは、私は他の何人にも劣らないつもりであります。けれども、アメリカアメリカ日本日本アメリカにはアメリカ考えがある、日本には日本考えがある。独立国として譲れないところがあるのは当然だ。何でもかんでも、アメリカの言うことを聞いていればいいというものじゃない。  これは決して、アメリカと仲を悪くしようと思って言うのではない。それは失礼ですが、外務大臣安倍先生と仏とが幾ら仲よしでも、安倍さんは安倍さん、鯨岡鯨岡。あなたが風邪を引いたときに、私が風邪薬を飲んでもあなたの風邪は治らない、そういうものだ。どうもそこの点が、だんだん密着の度が行き過ぎてくるのではないか、こういうふうに思うのですが、その心配はありませんか。近々、あなたはアメリカへ行かれるそうですが、そのときにそのような要請を受けたらば、あなたはどういうふうにお答えになりますか。そういう点についてお答えをいただきたい。  それから、経済援助国民の税金です、政府がやる経済援助は。フィリピンに対して、今やアメリカを抜いて日本が一番出している。これはフィリピン国民のために使ってもらいたい、こう国民は思っている。前にもしばしば問題になったのですが、政府は、それはフィリピンの内政の問題であってそこまで立ち入ることはできない、こういうお話がありました。ところが、杞憂に終わらずしてこういう問題になってしまった。そこで今や大問題。あろうことかあるまいことか、日本政党に対してまでリベートの金が出ているなどというようなことをフィリピン関係者が言っているそうです、これも新聞新聞によると、アキノ政権機関はかなり調べました。そこで、もし日本側から要請があれば出かけていって証言をいたします、こう言っている。  ところが、どうも国民新聞面から見ると、全然日本の方の対応が遅い。これはいろいろ思惑もあることでしょうが、国民疑惑を深めるだけだ、私はこういうふうに思って、一日も早くこの問題を究明する機関ができることを望んでいるわけですが、外務省としても、経済援助機関があるんですから調査機関を向こうへ出す、一体どういうことになっていたのかというようなことで、今後続ける上においても——続けなければならぬのですから、なお一層余計に続けなければならぬのですから、続ける上においても、これは外務省として何人かの者を組織を組んで調べにやるというぐらいのことがあってしかるべきだ。そういうことがないから、国民は、何かなあなあでわけわからなく終わらしてしまいたいんじゃないかななどと思う。それが政治不信につながってくる。外務大臣、そういうおつもりがあるかどうか、これが第三点。  以上三点は、全部、新聞を読んで国民が不審に思っているだろうと思うことを私は申し上げた。  最後は、サミットが近づいてくる。何事もなくその目的を十分に達せられるように、国民はみんなそう祈っている。また、関係外務省あたりのお骨折りに対しては私は敬意を表したい。特に、驚くべき警備の状態、今からもう夜も朝もなしにやっているあのお巡りさんたちに対しても、お骨折りを私は多とする。  それはそうと、広島長崎の経験を持つ我が国でございますから、私思いますのに、せっかく日本でやるのだから広島長崎サミット会場ぐらいにしつらえて、そこでやるというぐらいのことがあってしかるべきじゃないか。もし、警備その他の点でできないというのならば、会場になるところへ原爆資料展みたいなものを、ちょっと小さなものをつくって、それにお目通しを願いたいというぐらいのことは私は当然あってしかるべきだと思うし、また、ホテルなどにもそういうようなことをして、広島長崎というものを印象づける必要があると私は思っているのです。  なぜかなれば、今世界政治の中で一番大事なものは核兵器廃絶ということであります。広島長崎ということを言うことに日本はちゅうちょしてはならない、遠慮する必要はない、私はこう思うのです。アメリカは何かというと、あのパールハーバーを言うことは御承知のとおりであります。けれども、我々は、原子爆弾を落とした国を責めているのではない。今さらそんなことを言うても始まらない。そうじゃなしに、二度と原子爆弾というものが人間の頭上で破裂してはいけないという人類愛から我々はこれを叫んでいる。広島長崎を口にすることが何か遠慮になる、遠慮しなければならぬ、それを言うとこれからのことがうまくなくなるのじゃなかろうかなどというような配慮がもしおるとすれば、要らざる配慮だ、私はそう思うのです。そういうことでは、あの原子爆弾で死んだ人に対しては言うまでもありませんが、これからの世界人類に対して愛情が足らない、責任を感じていないと言われても仕方がないと私は思うのです。  いかがでございましょうか。広島長崎市長がお茶の時間か何かに行って陳情をして、私が広島市長です、私が長崎市長です、どうか各国の首脳の皆様、よろしく原子爆弾廃絶にお力添えをいただきたいということを言わせるぐらいのことはあってしかるべきじゃないかと私は思います。  結論を言いますと、どうも広島長崎を口にすることが遠慮になっている、今さらそんなことを言うてもという考えがあるように思えてならない。これは決して、アメリカを非難するというのじゃないのです。どうして遠慮するのだろうかということについて、せっかく日本サミットが開かれるというのに、広島長崎も余り言わない方がいいみたいな考えは間違えている、私はこういうふうに思いますので、外務大臣のお考えを承りたい。  以上四点です。
  4. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今鯨岡さんから御質問がありました四点につきまして、順次お答えを申し上げさせていただきます。  まず第一の点は、具体的に申し上げますと、公明党の矢野書記長訪中されたわけでございますが、この矢野書記長胡耀邦中国共産党書記長に会見されたときに、中曽根総理日中友好に対する熱意が伝達されまして、皇室の御訪中については今後の課題として検討されるべきものである、こういう総理のお考えが表明された、こういうふうに承知しておりますし、その問題が新聞等でも報道されまして、これに対しまして私から、実は皇太子訪中の問題については外務大臣としては関知しない、こういうふうに答えた、こういうことで新聞等にもいろいろと出たわけでございます。  それで、いろいろと各方面からも実は質問とか、あるいは皇室外交あるいは日本外交あり方についての質問、批判、そういうものが寄せられたわけでございますが、この問題につきましては、実は中曽根総理国会で答弁しておられまして、韓国皇太子夫妻がおいでになる、こういうことを前提にして今、日本韓国政府間で協議をすることになっておる、訪中をされるという問題についてはこの次の課題として考えられておる、こういうことを国会でも述べておられるわけです。我々もそういうふうに考えておるわけでございますが、これは先の話です。その点について恐らく中曽根総理が触れられた、こういうことでございます。  しかし、またこれは一つの先の課題ではありますけれども、また、中国側におきましても、皇太子夫妻訪中を歓迎するという声は大きく聞かれるわけでございますが、まだこの点については実は外交ルートでは何ら俎上にのっていないわけでありますし、あくまでもやはりこうした問題は、外交ルートで処理していかなければならぬことは当然のことであります。特に、皇室外国を訪問されるというときは、外国においてこれは国民挙げて歓迎される、こういう雰囲気の中で我々としては訪問していただきたい、そういう立場で十分慎重に外交ルートで話し合わなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。そういうことで、まだ日中間においてこの問題は話にのっていない、いわば白紙だということであります。しかし、将来の課題としては中曽根総理も言われましたように、一つ課題として存在する、その熱意を伝えられたのだろう、こういうふうに理解しております。いずれは外交ルートで話し合うということにもなると思いますが、現在ではそうした状況にあるということを御理解をいただきたい、こういうふうに思います。  それから、二番目の問題として援助問題ですが、援助についてはおっしゃるように、二国間の援助多国間援助と二つあるわけでございますし、我が国もやはり国際機関を通じたこの多国間援助というものを非常に重視しております。二国間援助だけでなしに、多国間援助というものを重視しておりますし、国際機関、こうした多国間援助についての出資拠出等を着実に今日もふやしておりまして、例えば一九七四年から八四年までの十年間に国際機関に対する出資拠出等は、二億四千五百八十万ドルから十八億九千百四十万ドル、七・七倍に増加しておる、こういうことですし、我々は、ですから、多国間と二国間両方並行してこれをやることが非常に有効であると思っているわけです。  そういう中で、今アメリカとの間で、援助でいろいろと協力関係を保っておるわけですが、今のお話によると、戦略的な援助アメリカ戦略構想日本援助が乗せられていくのじゃないか、こういう御心配でございますが、これはないわけです。援助については、我々はお互いに話し合っております。これは次官レベルにおいても、あるいはさらに、私とシュルツさんとの間においても援助問題について話し合っている。しかし、その基本はあくまでもアメリカアメリカやり方日本日本やり方アメリカ援助というのは、アメリカ自身戦略考え方に基づいてやられるわけですし、日本援助は、あくまでも人道主義とか相互依存とかいうものを基本的な理念として進めているわけです。基本的に違うわけですね。  それはアメリカ側にもちゃんと言っているわけです。アメリカアメリカ援助考え方がある、日本日本援助考え方がある。ですから、一緒になれないところがある。しかし、同時にまた、場合によっては援助についても両国で協力してやった方が、相手の国に対して非常に効率的、効果的な場合はお互いに協力してやったらいいのじゃないか。例えば農業問題なんか、タイとかフィリピンなんかでやっているのですから、そういう援助で協力して農業開発等をやれば、一国でやるよりは二国間でやった方が効果を上げるということがあるわけですから、そういう点は大いにやろうじゃないか。  これはECともやるわけですが、これからの援助はそうした多国間援助と同時に、二国間援助だけじゃなくて三国とか四国とか協力してやる場合が、案外成果を上げる場合もあるのじゃないか。アフリカなんかについてもそうです。また、エジプトと話し合ってやろうというふうな計画も立てておりますが、そういうことをやるわけでありまして、決して今おっしゃるようにアメリカ戦略援助日本が乗せられる、それに引きずり込まれていってしまうという自主性をなくした、主体性をなくしたような援助というものは日本は絶対にやりませんから、御理解いただきたいし、御信用いただいて結構だと思います。  それからマルコス疑惑についてでありますが、これは中曽根総理も私も申し上げているように、このマルコス文書が発表されまして、特にその中で日本援助について、その援助の資金の一部がマルコスさんに流れたとか、いろいろとそういう点で疑問が出されて、疑惑が出されて今問題になっておるわけでございます。これは我々としても日本援助ですから、非常に重要な、重大な関心を持たざるを得ないわけであります。日本援助はあくまでも、フィリピン国民の生活の安定あるいはまた経済の安定のために使われるのは当然のことでありまして、これがもし間違った方向へ使われるということになれば大変なことでありますから、もしそういう疑惑があるならば解明をしなければならない。そうしないと、援助に対する国民の信頼というものを我々は維持することができない、こう思いまして、今解明について政府政府なりに資料を集めて努力をしております。  国会もこれを非常に重要視されて、調査特別委員会をつくるという運びになっておりますし、今もあらゆる委員会においてこの問題で論議が行われております。ですから、そういう中で政府としては、国会が追及される場合もこれに対してできるだけ協力したい、資料等も提供したい、こういうことでございますが、ただ、援助につきましても、やはり二国間の外交問題もあるわけでございますし、例えば資料等についても、フィリピン政府が発表しないものを日本政府が一方的に発表するというわけにはいかないわけです。ですから、そういう点で日本政府だけが発表しろと言われても、外交関係考えるとなかなかそういうわけにはいかない。その辺については、フィリピン政府との今後の話し合いの問題もあるわけです。  我々は、フィリピン政府との間では十分話し合いをしたいと思いますし、実はこれまでも政府間のいろいろのレベル話し合いをしている。これまでの援助、例えば十二次援助が残っています、十三次援助はこれからだ、これをどうするか。私は、フィリピンアキノ政権にとって一番大事な課題は、今のフィリピン経済をいかに早く回復するかということだろうと思います。それには、十二次、十三次というものを早く実施しなければなりません。それから、さらに新しい援助も行わなければならぬというふうに思っております。そのあり方等についても、これまでの援助あり方というものを十分踏まえて、どういう形がいいんだということは我々としても柔軟に考えて対応したい、そして積極的に協力したいというふうに実は思っております。ですから、そういう話し合いは今続けておりますし、せっかくの新しい民主的な政権ができたのですから、何とかこれに協力していきたい、こういう基本的な姿勢であらゆる問題に取り組んでまいりたいと思います。  それから、広島長崎原爆惨禍サミットに参加する首脳の方々にも認識してもらうために市長が会うとか、広島長崎原爆展会場で行うとかそういうふうなことをすべきじゃないか、日本としても広島長崎というものを、もっとそういうサミットという非常に世界的に大きく喧伝される場で世界に訴えるということが必要じゃないかと言われるわけですが、私はそれはそのとおりだと思います。広島長崎の問題は、これは初めて日本惨禍を受けたわけでありますし、人類の歴史始まって以来のことですし、これは決して忘れることのできない歴史的な事実であります。こういうものを踏まえて、再び戦争をしてはならないという基本的理念に立って、日本平和国家としての存立があるわけですから、広島長崎を決して避けて通っているわけではありません。  私も外務大臣をやっている間に、例えば国連総会で三回も演説いたしまして、必ず広島長崎の問題、そして原爆の絶滅といった問題を強く訴えておるわけでありますし、核実験全面禁止というのは日本がずっと主張し続けております。あるいはまた、二国間の会談の際にも原爆問題は打ち出して、こうした平和、軍縮、特に核軍縮を強調しております。これは中曽根総理国連の演説でもそうであります。ですから、これは決して避けておるわけじゃありません。  ただ、サミットは、各国で一つの申し合わせみたいなものがありまして、何かそうした国の一つのテーマ、国内のテーマを特別にクローズアップしない、話の内容としては利用するわけですが、そういうものの宣伝といいますか、そういうPRの具に使わないというふうな一つの申し合わせがあるわけです。イギリスはイギリス、ドイツはドイツ、いろいろと言いたいことがあるのですが、それは会談の中ではいろいろ出てくるでしょうけれども、それを殊さらにアピールしてサミットの場とかなんとかでやらないという、一つの申し合わせみたいなものがあるわけでございます。  したがって、そういう非常にいい時期ですから、今度は政治課題としては、平和と軍縮の問題が中心課題になるわけですから、これは必ず総理大臣も私自身も広島長崎の問題についてはもう一回注意を喚起して、そして軍縮を求めていかなければならぬと思いますけれども、今の展覧会みたいなものを会場でやるとかいうことは、今までのサミットの長い間の慣例からしてなかなか難しいわけです。しかし、憲政記念館等でやっていただいて、これを外務省としても各国あるいは各国から来る新聞社等に宣伝をして、ぜひとも見ていただきたいということでいろいろとお世話をすることはできるのじゃないかと思います。  また、二国間の会談等もありまして、広島とか長崎市長さんなんかお見えになって、そして首脳に対してそれぞれアプローチをされる、首脳が会われるというなら大変結構だと私は思うわけで、そういうことがあれば、そういう点に対してはいろいろと便宜を図ることもできると思います。しかし、まとまってどうだというふうなことはなかなか困難でありまして、その点は今までのサミットあり方から見まして、特に日本が主催国であるだけに会議の雰囲気を大事にしてこれを盛り上げていく、コンセンサスを求めるという非常に大事な役割を持っておりますから、日本だけ一方的にリードしてやっていくということは難しいわけで、今のお話の点は十分我々は理解をしておりますし、何とかこれは我々としてもできるだけの便宜は図らなければならぬと思っておりますけれども、その辺にもおのずからサミットのこれまでの会議あり方から見て限界があるということについては、御理解をいただきたいと思います。
  5. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 二十五分になりますから私はこれでやめたいと思いますが、外務大臣から必ずしも私の具体的な質問に対して具体的なお答えがなかったので、私はこういうふうに解釈いたします。  第一番目の問題は、これは外交ルートに乗ってなかった、ちょっと慎重でなかったというようなことをお認めいただいたものと私は思います。将来の問題は当然のことです。将来韓国へ行かれるのですから、韓国へ行かれた後は中国の方にも行っていただくようなことにもなるだろう。また、それはいいことだと思います。だけど、この間の行動は外務省としては何も知らなかった、知らないということはないのです。  それから第二番目の問題は、アメリカ戦略援助であり日本は人道援助である、アメリカからいろいろ言われても戦略援助の中に組み込まれるということはあり得ない、こういうお話でございましたから、それはよくわかりました。  それから、マルコスさんのこの問題は、国会国会です、外務省としてチームをつくって調査に行くというようなことは考えていませんかという質問に対して、具体的にはお答えになりませんでしたが、非常に積極的にそういう面でやっていこうと思っている、こういうお話でございました。今後、日本から税金を使ってのフィリピンへの援助を拡大していくためにも外務大臣、それは非常に必要なことだろうと思います。私は、今度の事件で痛切に国際政治の非情さというものを、マルコスさんのやったことは悪いけれども、それにしても今までのマルコスという者に対するアメリカの見方、それから、ああなってきてからばっと変わったそら恐ろしいような変わり方、これに対して非常な衝撃を覚えました。また、国民の民主的な力というものは、ないみたいに見えてもあるのだなということをつくづく感じたわけであります。  それから四番目の問題は、私がお願いしたのはいろいろ難しいことはわかる。しかし外務大臣、国内的なテーマをPRするなどと言われては困ります。これは決して国内的なテーマじゃない、人道主義に対して世界じゅうでこれが一番の問題です。ですから、具体的に広島長崎市長さんが、大勢で行くのじゃない、個人で一人で行って、お食事の前か何かの時間にちょっとお時間をいただいて陳情いたしたい、まことにお忙しいところを済みませんがこういうことです、私は広島市長です、私は長崎市長です、お聞き届けいただけたらありがたいと言って話をするということはどうだろう、お願いしたのはそのことです。これに対して、ひとつ前向きに検討しようというように私は受け取りましたが、そう受け取ってよろしゅうございますか。
  6. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 受け取り方がいろいろとあると思いますけれども、必ずしも正確じゃないようです。私が言ったとおりなんです。広島市長さんとか長崎市長さんがお見えになって、そういう取り次いでくれというふうなことになれば、取り次ぐことについてはそれはやぶさかではありませんけれども、相手のあることですから……。  それから、皇室外交についてはやはり慎重にやらなければならぬ、あくまでも政府政府のこれは問題ですから、そういうふうに言っているわけであります。
  7. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 これで終わります。  それでは、外交問題ですからあくまでも慎重に、やり損なってミステークは許されないですから、慎重にしなければならぬことは私もわかります。私以上に、外務省がわかっていることは言うまでもありません。外務大臣に取り次いでくれと言われたらば、それを取り次ぐということについてはちゅうちょしないというふうに承りました。どうもありがとうございました。
  8. 北川石松

    北川委員長 次に、土井たか子君。
  9. 土井たか子

    ○土井委員 海外経済援助、わけても二国間の経済援助というのは、相手国の民生安定のためであり福祉の向上に役立つものでなければならない、これは当然のことでありまして、外務大臣は繰り返し繰り返しこれを言われてきた。きょうも、先ほどからそういう御答弁が聞こえるわけですが、今までフィリピン経済援助に対してもそういうことを外務大臣は言われ続け、そして不明瞭、不公正な点はないということも強調されてきたのです。しかし、日本フィリピンに対する経済援助マルコスの私腹を肥やすことになっていたという事実が、事実として判明してきているのです。こういう事実については、答弁の中で外務大臣も今までお認めになってきたという経緯がございます。  アキノ政権になりまして、援助をやらなければならない、しかも前向きにこれを拡大する方向でしなければならない、フィリピン経済的に非常に困っているという実情がある、これは当然のことだと思うのです。しかし今必要なことは、これまでの援助、殊に円借款の使途を十分に調査をしまして、疑惑について徹底的に解明することがただいま大事だ、これが必要だと思うのです。  そこで外務大臣は、今まで予算委員会の席でも、このことに対してこういうお答えをなさってきているのです。今回の事件などを契機にいたしまして、今再検討といいますか見直しを含めて考えたい、こう言われています。これは議事録をここに持ってきておりますが、そのとおりお答えになっている。外務大臣も首を縦に振っていらっしゃいますから、そのとおりなんです。  そこで、ちょっと藤田局長にお尋ねをしたいのです。外務大臣は見直しということに対して指示をされたはずでありますが、何をどういうふうに見直されるのですか、どういうふうに変えようということをなさるのですか、どこの部分をどういうふうに変えようということを今考えていらっしゃいますか、まず援助の方法でどの部分の見直しが今必要だというふうに考えて取り組んでいらっしゃいますか。
  10. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいまの段階は、一つは、いわゆるマルコス文書という公表文書がございますので、これを関係四省庁で検討、精査をいたしております。必要があれば関係者の方からお話も聞いてみるということで、本件に取り組んでいる状況でございます。  第二番目は、今までも行ってまいりましたけれども、後追い評価と申しますか経済協力の事後評価につきまして、本会計年度は特にフィリピンを重点国ということで、四つのセクターの専門の方にお願いをいたしまして、フィリピンに対する、フィリピンとの間の経済協力評価を重点的に行っていくということでございます。  これに関連いたしまして、その評価作業自体の全体の方法論と申しますか手法、これにつきまして当委員会においても累次御指摘がございましたし、外務大臣の諮問機関でございますODA実施効率化研究会においても御提言を得ましたが、第三者的な手法の導入による評価の改善というものにも現在取り組んでいる。  このようなものが現在申し上げられる状況かと思いますが、何もこれだけということではございませんで、外務大臣国会における御発言もございましたし御指示もあり、改善すべきところがそれ以外にどういう点があるか、そういう点についてはどう取り組むべきかということも、今後検討、研究を続けるということかと思います。
  11. 土井たか子

    ○土井委員 今、後追い評価ということを二番目に言われて、その中で四つのセクターということを言われたが、四つのセクターというのはどんなセクターですか。
  12. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 第一はエネルギーと工業分野でございます、第二が運輸、通信セクターでございます、第三が農業、第四が社会福祉、ちょっと広い意味での社会福祉でございますが、この四つの分野を考えておりまして、最初は農業ということで農業の調査団を、これは先方のフィリピン側の受け入れの御都合も当然考えなきゃいけませんので、私どもとしてはまず農業関係調査団を送る方向で、人選及び候補者の方の御日程等を今伺っている状況でございます。
  13. 土井たか子

    ○土井委員 これは後追い評価じゃないじゃないですか。今おっしゃっているようなことならば実態の調査じゃないですか。実態調査でしょう。今私が聞いている手直しということについては、いろいろとこの経済援助に対しての手順がある。手順については、もうちゃんと決められた手順が仕組みとしてあるわけですが、それについて、特にこれは手直しが必要であるということで検討されている部分があるに違いないと思う、外務大臣の御指示があるわけですから。それについては、第三者機関ということも言われておりますが、これは何もかも終わってしまってから第三者機関のいろいろな審査があると言ったって、お話にならぬと思うのですね。これは大きく分けると七つの部門の手順がずっと続くわけですが、第三者機関というのは、終わってしまってからというわけではないわけでしょう。やはりこれを大事に考えてどのようにしていくかということも、第三者機関の審査というのが生きる方向でいろいろ今考えられているというふうに言われて、初めて私は意味があると思うのですが、この点は少し後に回しましょう。  手直しということからすると、経済援助の手順と、もう一つ中身ということがありはしないか。先ほど外務大臣は、十二次、十三次を実施しなきゃならない、そしてまた新しい援助考えなきゃならぬ、何かよくわかるような、わからぬような御答弁をされているのですが、十二次は援助としては終わったんですよ。十三次が問題だったので、それが凍結されてきたわけでしょう。世に言われる表現を使いますと、十三次凍結解除というふうなことがよく言われているのですが、十三次については、これはマルコス時代に十三次の円借款については約束された中身であります。それはそのままで、昨年の十二月二十三日に交換公文が署名された内容のものをお決めになるのか、新しく何もかもこれは御破算にした形でアキノ政権、特にアキノ大統領と話をお詰めになるということなのか、どうなんですか。−いや、これはもう藤田さんはいいです。これは外務大臣にお尋ねしましよう。
  14. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 まず、事実関係を御説明させていただきます。  委員御指摘のとおり、第十三次円借款は昨年の十二月末に交換公文を締結してございまして、十一プロジェクトを対象にしております。十一プロジェクト及び商品借款ということでございます。この十一プロジェクトにつきましては、交換公文締結後、御承知のような状況を踏まえまして、貸付契約の署名に至らないで現在まで至っております。  外務大臣の御指示で、まあ先方は新しい政府ができ、かつ、いろいろ政策も新しく考えておられるようだから、先方の御意向を十分承ってくるようにということで、私も先方に参りまして、経済協力を担当しておられる方々とお話し合いをしてまいりました。先方は、この十一のプロジェクトについては基本的には結構だと思うけれども、一、二後回しにしたいというような考え方を主張している部局もあるので、この十一全体について貸付契約を締結することにするかどうかは、いましばらく時間をかしてもらいたい、もうちょっと検討させてもらいたい、こういうお話でございましたので、私どもとしては、先方の新しい政策の方向に沿った形での検討が終わり、先方からの何分の御返事があるのを待って貸付契約に進む、こういう態度でいるのが現状でございます。
  15. 土井たか子

    ○土井委員 だから、それについてはまだこれからでしょう、具体的に中身について話を進められるのは。だから、十三次をマルコス時代に決めたとおりそのまま踏襲するということでは断じてない、これははっきりしておいていただかなければならぬと思うのです。  外務大臣にお尋ねしましょう。もう藤田さんはちょっと座っていてください。外務大臣、どうでしょう。これは外務大臣から答弁をお願いします。
  16. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 先ほど十二次も全部終わったとおっしゃいましたけれども、商品借款は半分残っておりますから、これは非常に重要な残った分じゃないかと思いますね。  それから十三次についても、当時の政府とはかっちり詰めて交換公文を結んだわけでありますが、これについてはフィリピンの新しい政権ができたわけですし、私としましてはフィリピン側の意向というものも、せっかく交換公文は結びましたけれどもまだ実行していないわけですから、やはりこれはフィリピン側の御判断があればそういうものも入れて、そして両国で納得いく形といいますか、フィリピンで満足いけるような形で実行したい。  ですから、この点については、フィリピン側の意向を十分聞きたいと思っておるわけです。これは今事務当局でもやっておりますし、近くオンピン大蔵大臣もお見えになるということですので、そうした当局者の方々の御意見も聞いて、そして両国で合意に達したということで実行する、実施するという形に持っていきたい、こういうふうに思っております。
  17. 土井たか子

    ○土井委員 大変商品借款にこだわられるのですけれども、まだ残っておりますと言われる。そんなことを言い始めると、十二次だけじゃないのです。十一次についても十次についても、プロジェクトについて未着工のものもまだありますよ、残ってきているのです。だから、残っているということを言えば、正確に言えばそれは十二次の商品借款のみではない。ただ、十二次の商品借款が残っていることが大変に十三次の商品借款に対して影響を及ぼして、十三次の商品借款は凍結のままになっている、そういう格好になっているという事実があるわけです。そうでしょう。だから、今の御発言はその辺がちょっと不正確。ただ、十二次について、後でその商品借款の部分にも触れてまいります。  さて、そうなると、実質的にはマルコス政権に対しては十二次までであって、十三次というのは、実質的にはアキノ政権になって第一次というふうに考えていっていいような、経済援助に対しての取り組みを今回外務大臣としては心づもりとしてお持ちになっている、こう考えていいですね。
  18. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、日比間では一応合意に達して交換公文まで結んだわけですから、国際的な立場からいけばずっと継承していくという形になるわけですけれども、しかし、アキノ政権がああいう形で誕生したという実態も我々は承知しておりますし、そうして今後のアキノ政権考え方というものも今までの政権とは違うことも承知しておりますから、そういうものを十分踏まえてこれをやっていかなければならぬということですから、これは話し合いしていけばいいのじゃないか。新しい第一次としてということでもないかもしれません、日比関係はずっと続いておりますから。しかし、少なくともこれからのアキノ政権としては、新しい借款の年度分が全部これから行くわけですから、それについては十分フレキシブルに考えていったらいいのじゃないかというのが私の考えです。
  19. 土井たか子

    ○土井委員 それで、この点見ておりますと、有償、無償を見ていって、十三次は有償に対して無償が非常に少ないのですね、額からいって。飢餓に苦しむネグロス島救援などのための緊急援助というのも、非常に大事な課題に従来からなっております。これはマルコス政権時代、反マルコス側が非公式にこの問題に対して苦しんでいる、何とかならないかというふうな声も頻々と聞こえてきたという実際もあるままの問題です。こういうことも勘案される中で、この無償援助について少し考え方を改めて、こういうネグロス島に対する緊急救援なども含めて、外務大臣としてはお考えになるということの御用意がおありになりますか。
  20. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いずれにしても、基本的には、前の政権で決めたからこれを全部押しつけるという形で実行を迫るというようなことは、日本側として考えておりません。やはり新しい政権で合意を得ないでこれはやれるものじゃないですから、今までのフィージビリティースタディーもいろいろやってきた、そういう中で、今までのプロジェクトで新しい政権がそれで結構だということになれば、それでいいのだし、この辺はやはり変える必要があるというお話し合い、申し込みがあれば、それに対して我々も弾力的に考えたらいいのじゃないか、こういうふうに思っておるわけです。  そこで、ネグロス島の飢餓救済のための緊急援助については、これは御承知のように三月十四日、飢餓救済のためのユニセフを通じまして十万ドルの緊急救助を行うことを決定したことは、御承知のとおりでございます。その他、いろいろと国際機関あるいはまた二国間を通じまして、これからもひとつ援助は行っていかなければならない、こういうふうに思っているわけですが、基本的には先ほどから申し上げましたように、日比間の話し合いによってすべて事を行う、こういうのが基本的な考え方であるということには変わりはありません。
  21. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど藤田局長は、第一に見直しの中身として、マルコス文書に対して四省庁で精査をするということをしていますという御答弁がございました。この四省庁で、アメリカから入手されたマルコス文書に対する点検作業というのは、もう終わったのですか、終わってないのですか、まだ継続中であるのですか、どうなのですか。
  22. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 まだ継続中でございます。
  23. 土井たか子

    ○土井委員 いつまで続けられるのですか。
  24. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 委員も御一読なさったかと存じますが、非常にわかりにくいものもございますし、意味不明のような文書もございますし、私どもが見てははあという、私どもの記憶に残っているような案件を記載しているものもございますし、それからこの文書自体に書いてあることが、果たして実際どうなのかということも定かでない点もございますので、できるだけ作業を早めよという御指示もあり、一同不眠不休で作業はしておりますけれども、なかなかいつまでに完了ということは今申し上げられないのじゃないかと思います。
  25. 土井たか子

    ○土井委員 まことに心もとない話ですね。可及的速やかにこの疑惑に対しては究明するということが、いつも口を開けば言われる答弁の中身であります。外務大臣、これをどう思われますか、今の。こんなことをやっていたって、らちが明かぬですよ。疑惑について解明する気がないのじゃないかとすら思います。いかがです。
  26. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 それは、事務当局としては精いっぱいやっていると思いますが、今の局長の答弁のように膨大な文書でありますから、なかなかこれを一つ一つやって解明するというのは、多少の時間はかかると思いますね。
  27. 土井たか子

    ○土井委員 多少ということじゃなさそうですよ。今のでは、さあ、わかりませんと言うのです。いつごろ解明できるか、いつごろ具体的に仕上がるか、さっぱりこれは心もとない話。それはもうできる限り全精力を投入してやる必要が、目下の作業の中では問われている問題だと思うのです。  昨日、それだけ非常に煩瑣な資料の中で、藤田局長答弁で、円借款事業で大体十四くらい問題になるのがあるというふうに言われています。十四の事業とおっしゃるのは、第何次の経済援助の中のどういうプロジェクトですか。
  28. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 一次から五次にわたっておりますが、案件名を申し上げますか。
  29. 土井たか子

    ○土井委員 はい、言ってください。
  30. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 第一がマニラ地区洪水制御排水計画、第二が高収量種子生産・配布計画、第三がカガヤン・バレー電化計画、第四が国有鉄道通勤施設計画の第二フェーズでございます。第五が地域修理場建設計画、第六がクバオ・シオウ及び南マニラ道路立体交差計画、第七がかんがい用地下水計画、第八がかんがい維持計画、第九が河川洪水制御・しゅんせつ計画、第十がパシッグ川治水計画、第十一がバターン輸出加工区建設計画、第十二が日比友好道路及び関連道路改良計画、第十三が南マニラ迂回道路立体交差計画、第十四がカガヤン農業総合開発計画、以上十四でございます。  それに加えまして、若干円借款事業か否か不明であるというもので検討していると申しますか、照合を行っているものがあるということを昨日内閣委員会で御答弁申し上げましたが、そのうち、恐らくは円借款事業ではないか、かなり確実性があるのではないかと思われますのが、洪水予報・警報システム計画というのが別途ございます。これは第六次の円借款に入っておりますが、もしこれが円借款事業であるということになると、十五ということになります。
  31. 土井たか子

    ○土井委員 今おっしゃったのは、第一次から第五次までが十四、そして第六次に一つ、それがひっかかる、十五ということを言われたわけですね。その後の点検はまだこれからあるのですか。
  32. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 御承知のとおり、これは円借款に限りませんけれども、マルコス文書のカバーしております範囲というのが大体七七年くらいまでになっております。
  33. 土井たか子

    ○土井委員 したがって、このマルコス文書に記載のある部分についてだけ、今問題を絞ってやっているという格好であって、それ以後の問題については、四省庁で精査をしたり詰めをしたりすることは目下していない、こういう格好ですか。まず、それを聞きます。
  34. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 私ども、現在ございますのはその資料でございますから、その資料の精査をし、確認をし、照合するというのが、当然のことながら最初の作業でございますけれども、その後、そこまで私が今予測をするのも何かと思いますけれども、その後の状況につきまして別に公開資料等はございませんけれども、同様のことがないかどうかということは当然心に置きながら、いろいろ関係省庁間での協議、話し合いということは行っていくことになるかと思われます。
  35. 土井たか子

    ○土井委員 関係省庁間で話し合いをして、資料は外に出さない、国会で追及されても、いかにしてこれを押し隠すかということに対してお互い協力し合おうなんというふうな、四省庁間での協議はまさかないと思いますけれども、そういう協議なら、これ自身大問題だと私は思っているわけであります。  さて、これは先ほど十五言われましたが、日本企業からの事情聴取というのは始まっているのですか、どうなのですか。
  36. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 先ほどのにちょっとつけ加えますと、経済協力の改善のために全力を尽くせという大臣の御指示もあり、国会でのお話もございますので、改善のための方策を探るためにはそういうことも合わせて考えていくということでございますので、一言つけ加えさせていただきます。  それから関係企業からのお話でございますが、これまでの間、本院及び参議院でも外務大臣の御答弁にもございましたが、報道機関に名前等が出たということで、いや実は私どものはこういうお話でございますということを自発的に言ってこられた方のお話を個別に伺っているということは、私どもも通産省も数社ずつございます。それから資料にいろいろ名前が出ておるということで、実態はどうだったのかというお話を行政機関としても、捜査機関ということではございませんけれども、経済協力の効果的な推進ということから自発的な形でお話を伺おう、ただそのためには、各省がばらばらに伺っても御迷惑だろうから、四省庁で共同してお話を伺おうじゃないか。そのためには一体どういう約束といいますか、制度、仕組みで伺うかということを、先週来関係四省庁間で今話し合いをしておりまして、できるだけ早く伺おうということにしておりますが、伺う作業をやっておりますけれども、現実にはまだ伺うには至っておりません。
  37. 土井たか子

    ○土井委員 伺うための作業を今やっておりますがという御答弁ですが、それはもう今週中あるいは来週には始まるというふうに考えられるわけですね。
  38. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 できるだけ早くということで、その覚悟でやっております。
  39. 土井たか子

    ○土井委員 調査の段階で必要があったらフィリピン側に協力要請を求められるはずであると思いますが、この点どうです。
  40. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 現在のところ、そこまでの必要性は考えておりませんけれども、将来そのような必要性が起こってまいりましたならば、その段階で考えたいと思います。
  41. 土井たか子

    ○土井委員 その段階で考えたいというのは、協力要請を求めるということでしょうね、中身は。
  42. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 その点も含めてでございます。
  43. 土井たか子

    ○土井委員 フィリピン側は、必要であればそれに資料も提供しましょう、応じましょうということを、政府機関の声明としてはっきり出しておられるのですよ。そういうことからすると、日本側の姿勢というのがどうもこそくであり、果たしてこの問題に対して真剣に取り組んでおられるかどうか非常に心もとない状況であるということが、今日に至るまでよく言われ続けてきているのです。もう少し、そういうことからすれば、実情に対して真相究明を徹底してやるという熱意と、そういう具体的な活動がなければならぬと思うわけです。この点はしかし、そういうことになれば、それは向こうに対しても要請するという向きも含めて、今御答弁だろうと思うのです。  さて、いろいろ今までに出てまいりました問題について、何としてもまず中身をオープンにして、国民疑惑にこたえるということが大原則だと思うのですよね。今まで私は、経済援助の問題について資料要求、どれほど外務省にしたかわからぬのです。商品借款の資料要求もいたしてまいりました。何遍しても、資料と似て非なるものが出てくる。これを称して資料とはとても言えないものを持ってきて、これでございますと言われるのです。第一次から第十二次までの商品別金額の全資料を、商品借款の資料として昨日も私は要求しました。出てきたのはこれだけなんです。ここにあるこれだけなんです。  円借款というのに比べまして、商品借款は大変性格が異なります。言うまでもない話ですけれども、商品借款を問題にするのはLLDC、後発発展途上国向けということでありまして、国際収支が悪化する、国内経済事情も非常に悪い、したがって経済援助をしても、それがそのとおり生きない、行き詰まるところまで行き詰まっているという開発途上国に対して、初めてとる措置であります。  しかも、もう一つ問題なのは、円借款の場合はプロジェクトなどは形に残るのですね。目で見ればわかるのです。しかし、商品借款というのは形になって残りません。幽霊借款のようなものであります。幽霊融資のようなもの、形に残りませんから。したがって、一体何がどうなっているのかさっぱりわからぬままに、疑惑がどんどん募るのです。一次から十二次までの商品借款について資料要求してこれしか出てこないのですから、そして今まで毎度商品借款について資料要求しても出てこないのですから、疑惑はいよいよ募る一方なんです。何かあるから、こういうことだとしか思いようがない。  そこで、資料はこれだけしか出してくださらないのですから、ここで口頭で今から私聞きたいと思うのです。よろしゅうございますね。  きのう持ってこられた六十一年一月末現在という資料の「調達品目」というところを見ますと、第一次で「原料別製品三九%」とだけ書いてあるのです。これはさっぱり中身がわかりません。わけがわからぬです。この三九%に対して御説明いただきたいと思うのです、この中身のものはわかっているんでしょうから。ちょっと言ってみていただきたいのです。「原料別製品」といわれる第一次の三九%の内容です。
  44. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 資料の提出要求をしてもなかなか応じてないというおしかりでございますが、十二次円借款の場合には、御承知のとおりかなり詳細な資料を作成いたして、御提出を申し上げたと存じます。  一次から七次につきましては、御承知のとおり実施機関たる海外経済協力基金に作成を命じておりますが、何分古い状況でございまして、今御指摘の「原料別製品、化学工業の生産品、機械類・輸送機器、その他」と、このような程度のパーセンテージ、割合でございます。金額としては、もし御要望がございましたら後刻提出いたしますが、そのような形のものをかなり作業しましてようやくつくったという状況でございます。  ただいまの「原料別製品」の内訳、例示的にも内訳を示せという御要望でございますが、今すぐということでございましたら、今作業して御提出を申し上げます。
  45. 土井たか子

    ○土井委員 待ちましょう。  それで、ここでこういう質問をすると、そういうことで作業してどうのこうのと言われるのです。資料要求したら、こんなものを持ってこられるのですよ。資料要求の段階で一次から十二次までの商品借款の、はっきり申し上げたのです、商品別金額の全資料を要求すると私は言っているのですよ。そのときにはこんなものを持ってきて、わざわざ、これは念の入った話であります。基金の方に資料がございますから、それをそっくりそのままお出しになればいい。外務省も御承知のはずなんです。三九%だ、やれ何だ、品目別に製品を類別してパーセンテージを出すという作業をわざわざおやりになる必要はないのじゃないですか、資料をそのままお出しになれば。待ちましょう。
  46. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 実は、経済協力基金の場合には事業完了後、私の記憶では五年で、資料はすべて廃棄処分に付していると承知しております。したがいまして、残っております資料が概数でございましたり総計数であったりということからこのような御提出を行った、こういう状況でございます。したがいまして、原資料とおっしゃいますけれども、原資料がないもの、それからあるもの、あるとしても御承知のとおり膨大な、数百品目についての輸出入の契約に基づくものでございますから、それを集計して、集計のカテゴリー別の分け方等々を勘案して、一番整合性があり、かつ、理解しやすい形の資料を作成したというふうに私どもでは承知しております。
  47. 土井たか子

    ○土井委員 異なことをお伺いしましたね。今、OECF、基金の方では、五年たったらこれは廃棄してよろしいということになっておりますと言われる。何によって決まっているのですか。根拠法は何ですか。そういうことを決めている法律は何の何条ですか。
  48. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 私ども経済協力基金にもう一度確認いたしますが、経済企画庁が御承知のとおり監督官庁でございますので、経済企画庁に権威のある根拠等々を照会いたしまして、私が承知していたのは先ほど申し上げたとおりのことでございますので、根拠法等を照会してみます。恐らく、内部規定か何かではないかと思います。
  49. 土井たか子

    ○土井委員 こんな勝手な話はないですよ。五年たったら廃棄処分にして、そのあたりのことはよくわからない。非常に大事な問題について、昨日はこれを質問すると私は予告してあるのですから、よくわかりませんけれども内部規定だと思います、問い合わせてみましょう——ふざけるなと私は言いたいです。何ですか、これは一体。そうすると、一次から何次くらいまでの資料というのはなくても構わぬということになるのですか、今の御答弁からすれば。
  50. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 昨日、本院の内閣委員会で同様の御質問がございまして、経済企画庁の方から私が答弁したのと同様な御答弁があったものでございますから、それに、その後経済企画庁及び海外経済協力基金でまた資料に当たりまして、今、作業中というふうに承知しております。
  51. 土井たか子

    ○土井委員 作業中はいいですよ。その五年たったら廃棄処分になるという根拠をひとつ明らかにしておいてもらいます。それは商品借款のみならずでしょう。経済援助の全資料について同じ取り扱いですか、どうですか。
  52. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 その根拠も含めまして正確なところを後刻、照会をいたしまして、きちんとした形で御答弁申し上げます。
  53. 土井たか子

    ○土井委員 これは、その答弁が出るまで私は待っていましょう。こんな大事な問題について、後刻なんということはないですよ。それをはっきり答えられるまで、私は座ります。
  54. 北川石松

    北川委員長 速記をちょっととめて。     〔速記中止〕
  55. 北川石松

    北川委員長 速記を始めてください。
  56. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 委員の御指摘が、商品借款の内容等の数字が極めて概数的であって不十分であるという御指摘でございましたので、海外経済協力基金に照会し作業をせしめました結果、このような数字が現在お出しし得るものであるという回答を得ました。その過程におきまして、どのような作業をしたのかということを照会、聴取している過程で、昔の資料がすべて完全に存置されているわけではないという説明の過程で、先ほど申し上げましたように、事業完成後五年後には廃棄されるという説明を私は聞いたものでございますから、それを御説明の合間にと申しますか、御説明の一つの説明材料として申し上げましたけれども、基金の権限ある説明ないしは監督官庁としての権限ある説明でないものでございますから、根拠法令ないし規則等もきちんと確かめずに御説明を申し上げたことをおわびいたします。  どのような資料の保存状況であり、どのような規則に従って資料が廃棄ないしは保存されているのかということは、現在、経済企画庁を通じまして海外経済協力基金に照会をいたしておりますので、その照会の回答が来ましたら、早速お答えすることにいたします。
  57. 土井たか子

    ○土井委員 大体、この問題が問題になってからもう何日たっているのですか。基金に対して、どういう資料がどれだけ用意できるかを検討しております、そして、した上で——今ごろ何をおっしゃっているのですか。とっくの昔にこんなことは、外務省としては掌握済みの話ですよ。今ごろ何をおっしゃっているのです。  しかも、五年たって廃棄するというその取り扱いというのは、これは大変大きな問題なんです。それについての根拠を聞いたら、監督官庁である経済企画庁の方がそれについては答えるべきであって等々と言われるが、外務省としたら、そのことなども全部知った上での商品借款に対する取り扱いじゃないですか。五年たったら廃棄するというのは、商品借款のみならず経済援助全般についてそうなんですか、取り扱いは。
  58. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 第一点の、この商品借款についてはずっと前から問題になっているんだから、きちっとしておくべきではないかという御質問でございますが、これは御承知のとおり、十二次の商品借款につきましては累次にわたり御質疑、資料要求等がございましたので、私どもも鋭意作業を進めておりましたけれども、第一次から第七次までの件につきましては、御承知のとおり大分古い話でございますし、すべてもう円滑にと申しますか、完了していることでございますので、資料の御要求等々が昨日でございましたか、数日前にありまして、その後、関係省、経済企画庁及び海外経済協力基金に照会をして得た次第を申し述べたのが、先ほどの御答弁でございます。  それから第二の、すべてのものについて資料の廃棄がどうなっているのかという御質問でございますが、私も正確を期し、先方に、きちんと関係機関に照会した後に、正確なところを御答弁させていただきます。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 これは、連日連夜問題になっている問題なんです。問題になり始めて、もう大分日がたっているのです。そんなことを、今ごろ先方に照会して、そして正確を期してここで御答弁したい——ちょっとどうかなっているんじゃないですか。ひとつそのことに対してはっきりお答えになるまで、私、待ちますわ。
  60. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 連日、確かにフィリピンに対します経済協力の問題が議論になっておりまして、私どもも資料の作成、それから御答弁等を行っているわけでございますけれども、第一次から第七次までの商品借款の内容いかんという御質問は、実は昨日初めて提起された話だものでございますから、そこで、急速古い資料を照合して作業を行っているというのが、経済協力基金における実情でございます。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 私は以前から言ってきているのですよ。そして、今回こういう疑惑が問題になってから何日たっているのですか。具体的に問題になって、もう日はずんずんたっているのです。それで、今ごろ経企庁に問い合わせをする。今お話を聞くと、きのう初めて問い合わせをしたがごとき御答弁であります。藤田さん、そのあたり、余りごまかそうという魂胆で物をおっしゃっちゃだめですよ。その辺ははっきりした御答弁が出るまで、私は待ちますわ。
  62. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 私どもは、ごまかす云々ということは全くございませんで、御承知のとおりフィリピン……(土井委員「それじゃ早く聞いてください」と呼ぶ)今照会中でございます。ただ、御承知のとおり、本日も両院でいろいろの委員会が開かれておりまして、それぞれみんな関係課長等が出ておりますものですから、責任者を今見つけまして、きちんとした御答弁のできる材料を入手中であるということでございます。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣、どう思われます。藤田局長の答弁はああいうぐあいなんです。そうして、この資料を私に出して来られたのですよ。資料を出すについては、今私が聞いているような質問に対しては、ここではっきりお答えになるだけのきちっとしたわきまえがあったとしか思いようがない資料ですよ。裏づけについて、今のようなあいまいな理解でもってこういうものを出してこられるのですか。外務大臣、これをどう思われます。
  64. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 どういう経緯があるか、私もつまびらかにしませんが、局長としてもベストを尽くしておる、こういうふうに思います。この問題が起こってから、外務省はいわば不眠不休というような形になっておりまして、大変に少ない人数で各委員会にそれぞれ対応していかなければならぬというようなこともあって、国会の御期待に十分こたえられない面もあるわけです。それから、やはり四省庁体制というところにも問題があることも事実でありまして、例えばOECFについては経済企画庁が主管をしているというようなこともあって、そういう点で、私も、今の五年廃棄とかいう問題についての質問は初めて承ったように思います。  ですから、外務省としても、ある程度のことは知っておったと思いますからそういう立場でやったのでしょうけれども、確実にお答えをするには、やはり経企庁を通じてOECFから確認をとらないとこれはできないのではないか。国会での発言でございますから、最後の段階になれば、そうしたはっきりした形をとらなければならぬというふうに思いますが、いずれにいたしましても資料の提供等につきましては、外務省としては与えられた権限の中でベストを尽くしておる、こういうふうに思います。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣に承っても、今のような通り一遍の教科書めいた御答弁しか出てこない。  これは、五年たったら廃棄処分にするという内規があるがごとき御答弁だったのです。ごときと私が言ったのは、それを確信を持って言わないからであります。どういうことになっているか突っ込んでいったら、よくわからない御答弁ですよ。そんな程度で、五年たって廃棄してあるので、資料としてつかむことはなかなか難しいということによる資料だとして外務省は出してこられている。こういう資料を出すについて、外務省として責任がありますよ。今言われた五年についての答弁があったら、それはなぜ五年なのかと聞いたことに対しては答えられるという御答弁でなければ、答弁自身が無責任だと私は言わざるを得ない。そうでしょう。ぞうお思いになりませんか、外務大臣
  66. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはやはり経済企画庁それから基金で、そうした内規だとか方針というのは決定するわけでしょうから、もちろん外務省にはそれなりに連絡はあったかもしれませんけれども、そういうところは私は承知しておりませんが、最終的な責任というのは、基金とか企画庁がその責任のもとにやっておることだろう、こういうふうに思います。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 連絡があったどころじゃないですよ。資料要求したのは私は経企庁にしたのじゃない、外務省資料要求して、これは外務省が出された。出されるについては外務省責任ですよ。したがって、そのことについては外務省責任として、きちっと知っておかなければならない話なんです。どうも無責任だとしか言いようがない。一体いつまで待ったらいいんでしょう。
  68. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 資料の御要求がありました際に、私どもが、これは経済企画庁に御照会いただきたいというふうに御返事するのが適当であったのかと思います。ただ、外務委員会における御質疑の御要望であったものでございますから、かつ、四省庁の一員として経企庁にお願いをし、経済協力基金をして作成せしめた資料がその資料でございます。したがいまして、私どもも基金等から伺っていることを実は御説明を申し上げましたので、どこから御質問をいただいてもお答えできるようなきちんとした形で、もう一度経企庁及び海外経済協力基金からお話を伺ったものを御紹介させていただきたいと思いますが、何分合照会中でございまして、かつ、正確を期さなければいけないということでございますので、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 いいかげんなことですな。それじゃこの一次から第七次について聞いても、同じようなことの繰り返しになると思うのです。  そこで、十二次の商品借款についてちょっとお尋ねしてみましょう。  十二次の商品借款というと、これはいわくつきなんです。この当外務委員会でも再三再四問題になりました。一九八四年の五月十四日というのは、御承知のとおり戒厳令後初の国民議会選挙があったときで、その直前に決められた経済援助の中身としての商品借款。選挙を前にして、これはやめるべきであるということを再三再四言い続けたいわくつきの問題であります。しかも商品借款というのは、このときは何と三百五十二億二千万円。全体の額が約五百五十五億の中で、商品借款の占める部分が大部であった。これは経済援助の中身なんです。異例といえば異例なんです。大変異例中の異例というふうな商品借款の中身であります。  さて、この商品借款について、私は二月十九日に当外務委員会質問をいたしましたら、四七%しか消化していないということを外務大臣お答えになった。ところが、昨日外務省が出されましたこの十二次商品借款の資料を見ますと、八六年一月末現在ですから私が質問するより前の話ですよ。八六年一月末現在、日本よりの調達率六六%と書いてあるのです。これはどういうことですか。
  70. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 日本よりの調達率というのは日本から購入したものでございまして、その他のものは第三国から購入したものを示しております。
  71. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、消化率というのが四七%の中で、日本から調達した中身が六六%だという格好になるわけですか。
  72. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  73. 土井たか子

    ○土井委員 それならば、日本からのその六六%の調達率の中身について少し質問を進めてみましょう。  この一の品目の生ゴムと書いてあるのですが、これは幾らなんですか、そして単価は幾らなんですか、中身は何なんですか、生ゴムと書いてある。
  74. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 生ゴムの合計額が一億七千二百万円ということでございまして、内訳はここにございますように、合成ゴム及び再生ゴムを含むということでございます。用途は、恐らくは工業用の用途かと存じますけれども、用途について詳細承知したいという御要望でございますならば、どの程度判明するのかよくわかりませんが、再度関係書類に当たってみまして、例示的にこのような用途に向けられているようであるということは、御説明できる限り御説明できるようにいたします。
  75. 土井たか子

    ○土井委員 御説明できる限り御説明すると言うが、資料要求したときにはこれは出されないのです。今初めてその数字を言われたんです、一億七千二百万という。後にも先にも、こんな数字を言われるのは初めてでしょう。そして、その生ゴムと言われている中身についても、ひとつ単価を示していただかなければなりません。いかがでございますか。
  76. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 単価とおっしゃるのが、どういう意味か、私にもよくわかりかねますが、経済協力基金として把握しておりますこのカテゴリーに入る商品借款を用いてのフィリピン側の輸入額の合計が、一億七千二百万円ということでございまして、これは土井委員に御提出申し上げました資料に記してあると私は理解しております。  それから、単価と申しますと、恐らくは私契約の内容にかかわることになるかと思いますので、これはどの程度判明するかももちろんわかりませんし、御説明が果たしてできるかどうか、むしろ政府としては明らかにはいたしかねるということになるのかと思います。ただ、例示的にどんなもの等に具体的に使っているのかという御質問でございましたら、関係の者に聴取をしてみます。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 何でそれが答えられないのですか。  それじゃ、具体的にもっと聞いてみましょう。十三という項目のところに医薬品とあるのですが、これまた額が大きいのです。一億五千二百万、数字はそうでしょう、資料の中にそう書いてある。これは一体中身は何なんですか。胃腸薬ですか、特定の会社はどこですか、そして玉露丸なんですか何なんですかよくわかりませんが、何がその中身になっているのですか、そして単価はどういう価格ですか、これも。
  78. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 これも医薬品、すなわちメディカル・アンド・ファーマスーティカル・プロダクツというカテゴリーに入ります品目で、フィリピンが円借款を使いまして輸入したものが総計で一億五千二百万ドルになるということでございまして、具体的にどういう調達先からどのような価格で入れたかというのは、私契約の内容になりますので申し上げることは差し控えたいと存じますが、胃腸薬が入っているのか入ってないのかとか、主としてどのような薬品なのかということを例示的に説明せよということでございましたら、改めて照会をして結果を御報告いたします。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 これは改めてとおっしゃっているのですが、この第十二次の商品借款については、特別のこれに対する取り扱いというのが、具体的に交換公文の中にも条件として決められているのじゃないですか。一つは、日比両国政府が合意する円借款プロジェクトにこれを使用しなければならぬ。もう一つは、使途は日本政府に報告されなければならぬということが決められています。これは御承知のとおりであります。私は官報を持ってきていますが、ここにもちゃんと書いてありますよ。日本政府フィリピンに対して、報告を求めてきたのでしょうな。そしてその中身は、はっきり円借款プロジェクトに使用されるということに対して確認をしているのでしょうね。しなかったのですか、したのですか、どうですか。
  80. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 御質問は、この商品借款により創出されました見返り資金の使途に関しての御質問かと存じますが、見返り資金につきましては御指摘のとおり、我が国フィリピンとの間の経済協力プロジェクトの内貨分に充当するということで両国間で合意を見ておりまして、フィリピン側よりこの使用についての了承を求め越し、これに同意を与えまして、日比間の経済協力プロジェクトでございます九プロジェクトの内貨分に使用する要請が出ておりまして、それを了承し、フィリピン側からその第一回目の報告が十二月末現在で参っております。
  81. 土井たか子

    ○土井委員 それについても、具体的にひとつ資料として提示してください、中身について。よろしいか。  それから、改めてこの商品借款に対しては、十二次の借款の場合、これはこんな資料じゃわけがわからぬ。具体的に中身について、その品目そして単価を明示することをひとつ資料として求めます。私企業だと言われるけれども、この商品借款に使用されているのは国民の税金並びに財投ですよ。どうして、そういうことに対して出すことを阻まれるのです。  委員長、これは委員長に申し上げますから、改めて今私が言っているとおり、ここに調達率六六%、八六年一月末現在、こう書いてある日本からの商品借款についての調達の中身に対して、それぞれの品目、それぞれの商品名、それぞれの総額と単価を資料として提示されることをひとつ求めたいと思います。これははっきりお願いしますよ。どうです。
  82. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 第一点の、第十二次の商品借款により生まれました見返り資金の使用につきまして、フィリピン側が十二月末現在で報告をしました使用状況につきましては、資料として御提出いたします。  それから第二点の、第十二次商品借款の品目別の内訳という御指摘でございましたが、これは累次にわたりまして御要望がございまして、私ども基金に作業をさせましてつくりましたのがお手元にある資料でございまして、これ以上の詳細な品目別のブレークダウンと申しますものは、恐らく作成できないのではないかと考えられます。しかしながら、御要望があったということは基金に伝達して、その対応を御報告申し上げます。  それから、何ゆえに契約の内容を発表できないのかという御質問につきましては、これはプロジェクト借款に関しますのと同様でございますけれども、政府といたしましては一定額の借款をフィリピン政府に供与いたしますが、その後その借款を入札に付し、かつ契約を行うというのは、フィリピン政府が当該企業、これは日本企業に限りませんけれども、当該民間企業との間で行う契約でございますし、それから商品借款の場合は、特にフィリピンにおける輸入業者が日本ないしはその他調達国から輸入をいたします輸出入契約という私契約の内容にわたるものでございますので、日本政府としてこれを発表する立場にはないというのが、累次申し上げている御答弁でございます。
  83. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣疑惑を晴らすと外務大臣は言われてきた。こんなことで疑惑が晴れるのですか。ただいまの十二次の商品借款についても、支払いへ積み立てた通称見返り資金と先ほど言われた問題の流用は常に問題視されてきたんですよ。大変疑惑のあるところなんです。外貨不足のために輸入できずにいた物資が借款によって供与される、フィリピン国内で各企業が中央銀行からの自国通貨ペソをもって購入するという格好になっていくわけなんですが、その間にどれだけの物品がどれだけの単価で総額どれだけ購入されたかというのは、きちっと資料として出すということはできるじゃないですか、こんなのは。それは、委員長も首を振っていらっしゃいますとおりです。疑惑を晴らすということからすれば、当然出してしかるべき資料ですよ。何でそんなに拒まれるのですか、これは納得できない。委員長に私は要求として強く申し上げます。善処をお願いしますが、委員長、ここで一言言ってください。
  84. 北川石松

    北川委員長 ただいま土井委員質問で、フィリピン援助に対する詳細なる報告を外務省に求めておられますので、後刻理事会に語ると同時に、外務省にその面を通達します。
  85. 土井たか子

    ○土井委員 これは理事会に諮る必要はない。その由を委員長が理解されれば、外務省にはっきり命じられるのが委員長の職務であります。委員長、よろしゅうございますね、はっきり言ってください。
  86. 北川石松

    北川委員長 再度の御要望がございましたので、委員長より外務省にただいまの資料の提出を求めます。
  87. 土井たか子

    ○土井委員 もう時間が来てしまいますが、あと一問だけ私は申し上げて、残りの時間がだんだん少なくなって恐縮ですが、後、河上議員の御質問の方に回さなければなりません。  あと一つは、先日私は東チモールに関する質問主意書を提出いたしました。それについて、主意書に対する答弁書が出てきたんですが、この答弁書を見れば見るほど納得できない問題ばかりなんです。つまり、政府の認識と政府のこれに対する取り扱いがどういうことになっているのか、読めば読むほどこれはどうにもならない。  東チモールといいますと、インドネシアとオーストラリアとの間にある、御承知のとおり岩手県くらいの大きさの地域で、島でありますが、この東チモールでどういう状況が現在起こっているかということに対して、「政府として正確な状況を確認し得る立場になく、立ち入った見解を示すことは差し控えたいが、」などとおっしゃっている。ここの人権状況というのはまことに大変なことになっているということが、再三再四国際的にも訴えられてきたんです。国際アムネスティーの活動の中では、自主的な実情調査の結果報告などが出たりいたしておりますし、国際的規模でこの問題に対して憂慮する、そして、東チモールの自決権というものを尊重しなければならないという立場での取り組みが動いてきているわけですが、一体政府としてどういうふうな調査をされているのですか。「正確な状況を確認し得る立場になく、立ち入った見解を示すことは差し控えたい」という、つまり政府としては十分な調査をなすっていらっしゃらない、こういうことだと思いますが、外務大臣、正直にこれはおっしゃってください。
  88. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 先ほどの資料の問題も含めてちょっと御答弁さしていただきますが、資料につきましては、政府としてはできるだけ国会の要望にこたえて協力したいと思っております。しかし、外交関係の問題でもありますから、全部出せと言われてもなかなか出せない資料もあるわけです。これは国会でしばしば答弁したとおりで、例えばフィリピン政府と企業との契約の内容、フィリピン政府が行うわけで、フィリピンが公開してないわけです。それを日本政府として公表するということはできませんから、資料としてそういう点は提出はできないということを国会でもはっきり申し上げているとおりであります。
  89. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣そんなことをおっしゃるから、そこでちょっと申し上げておきます。  フィリピン政府の方は、必要とあらば資料を提出するということをはっきりおっしゃっているんですよ。日本政府フィリピン政府に対していろいろ相談する必要があれば、なさったらいいじゃないですか。フィリピン政府の方の姿勢というのは、どうぞ疑惑解明に対して徹底的にやってください、究明してくださいという姿勢ですよ。日本政府がそういうことに対して、一体何で資料を出すことを拒まれるのですか。
  90. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 それは、フィリピン政府が公表すれば我々は出します。それ以上は出しません。
  91. 土井たか子

    ○土井委員 それはおかしなものですね。フィリピン政府の方は、資料が必要とあらばいつでも出す、こう言われているのです。日本国会であります、日本経済援助であります、国民の税金であります、ただいま疑惑があるのであります、これを解明する日本国会に対して、日本政府資料を提出するのは当然のことじゃありませんか、いかがですか。もう外務大臣はいいです、委員長からきちっと外務省に対してそれは命じていただきましたから。
  92. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 委員長のお言葉でございましたから政府の立場を今はっきり申し上げたわけで、フィリピン政府が公表してない資料を、そしてフィリピン政府自体の問題にかかわる問題ですから、それについて公表しない資料日本政府が公表するということはできない、これは外交上の問題として日本としてはできないということは、ずっと答弁しておるとおりであります。ですから、提供できる資料はしますけれども、そういう問題の資料は残念ながら日本政府としてはできないということを申し上げておる、これは……
  93. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣、御答弁中でありますが、日本国会からそういう要求があったということにこたえて、こういうことに対して提示するということを相手国の政府、つまりアキノ政権に対して言われたらいいじゃないですか。向こうの方としたら十分それに対して受けられますよ。そういう努力もなさらないのですか。
  94. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ですから、日本政府としてはフィリピン政府が公表されれば、援助についてはその他の国においても公表している政府もあるわけですから、フィリピン政府が公表に踏み切られれば、日本政府はそういう資料を明らかにすることは当然のことだということを申し上げておるわけです。
  95. 土井たか子

    ○土井委員 実に消極的姿勢であります。それは納得できない。安倍外務大臣らしくないです。  それで、そのことについては、なおかつ後で河上議員の方からも質問が続行でございますから、今の東チモールのことについてお答えいただいて、私は終わります。
  96. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは後でちょっと事務当局から説明させますが、私も、東チモールの人権問題等について土井委員がいろいろと憂慮され、また、問題提起されておることはよく承知しております。日本政府としましては、この問題が平和的に話し合いによって解決するということを求めておりますし、これは日本政府基本姿勢でございます。どういう状況になっておるかということについては、日本政府としても関心は持っておりまして、大使館員等も派遣し、いろいろと調査に努めておるということも私聞いておるわけでございますが、具体的にはアジア局長から答弁させます。
  97. 土井たか子

    ○土井委員 時間が余りありませんから……。ただ、調査をやっていらっしゃらないという事実は今の御答弁でもわかりますし、外務大臣もそれについては、そうではない、しっかりやっているとはおっしゃらないだろうと思うのです。  さて、そういう状況の中で、これは平和裏に解決したいということを今おっしゃるのですが、それならばなぜ日本国連の討議の場において、インドネシア軍の撤退を求めて東チモール民族自決権を認めようという立場に対して反対票を投じられるのですか。これは、事実に対して十分に知らない。という日本であるならば、せめて棄権ですよ。なぜ、インドネシア軍の撤退を求めるということに対しても反対される、それから東チモールの民族自決権を認めようということに対しても反対されるのですか。これは、事に対して平和裏に解決を求める姿勢とはとても言えない。こういう取り扱い方については間違っているということを私は申し上げますが、どうですか。
  98. 中平立

    ○中平政府委員 確かに、国連の決議に対しまして日本は反対いたしました。これは、先ほど先生おっしゃいました回答書にも答えておりますが、二つの理由、及びインドネシアを一方的に非難しているということは問題を解決するゆえんではないという観点から反対したわけでございます。しかし、一九七五年、この問題が提起されましたとき、日本は安保理のメンバーといたしまして、国連関係国及び紛争当事国が国連努力に協力するべしという安保理決議の取りまとめに努力しておるわけでございまして、我々としては、関係当事者が平和裏にこの問題を解決するというのが一番いいという観点、そういう立場で今現在でもおるわけでございます。
  99. 土井たか子

    ○土井委員 一言申し上げます。関係当事者と言いますが、最も当事者は東チモールの人民であります。この代表が、関係当事者の話し合いの中に全く入ってないのですよ。疎外されて、無視されて、何が関係当事者ということになりますか、日本政府の認識もちょっとどうかしていると思う。このとについては、国連に対しての取り扱い、それからまず何よりも実情に対しての調査、この調査については、誠実にやるということをここでもう一度はっきり約束願いたいと思う。
  100. 中平立

    ○中平政府委員 調査につきましてはアジア局の方で御答弁すると思いますが、私どもが得ておる話によりますと、昨年九月に国連の事務総長報告が出ました。一昨年から国連事務総長のあっせんによりまして、当事国の間で話し合いが昨年の夏まで六回にわたって行われまして、非常にいい雰囲気で協議が行われたと我々承知しておるわけでございます。両当事国も、今後ともこういう良好な雰囲気のもとに協議を続けていきたいということを国連事務総長に約束しておるわけでございまして、我々としてはこの両当事国の協議を静かに見守っていきたい、こう考えておるわけでございます。
  101. 後藤利雄

    ○後藤(利)政府委員 調査の問題でございますけれども、先生御指摘のように、東チモールの人権状況につきましてはいろいろな見方があると思います。参議院の予算委員会で御同僚の粕谷委員からも御指摘がありました、アムネスティー・インターナショナルのあれもあります。他方、赤十字国際委員会なんかの見方もございますが、いずれにしましても私どもの目で見る、できるだけ我々の目でそれを確かめたいという点で、昨年一度我が方のインドネシア大使館の館員が東チモールに参りましたけれども、先日の粕谷委員に対する大臣の御答弁にもありますが、私どもとしては、改めてインドネシア大使館の方に可及的速やかにまた東チモールに行って調査をするようにという指示は出しております。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 インドネシアにある大使館を通じてとおっしゃる。インドネシア情報でやったらだめですよ、これは正確な情報になり得ない。一方的情報であり、しかもいいところ取りだけしかしないのです。本当に人権が抑圧され、今どういう悲惨な状況がそこで展開されているかを見ようとするならば、日本から直接外務省調査すべきであります。これはやらなければいけない。これを外務大臣に申し上げて、私は終わります。もう時間ですから、局長はいいです。大臣、それを誠実にやってください。
  103. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今局長が答弁したのは、インドネシアにおる日本の大使館員に調査をさしているわけですから、これは外務省調査しているのと同じことじゃないだろうかと思っておりますが、大使館とは密接な連携をとってといいますか、十分指示をしまして、御指摘のようにさらに調査させるようにいたしたいと思います。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 ありがとうございました。
  105. 北川石松

    北川委員長 次に、河上民雄君。
  106. 河上民雄

    河上委員 ただいま土井委員の方からマルコス疑惑について、外務省に正確な資料要求をいたしたわけでございます。もう余り時間がございませんので、私、一、二だけ確認をさせていただきたいのでございます。  この前、私ども外務委員会理事にお配りいただきましたいわゆるマルコス文書、つまりマルコス夫妻アメリカに持ち出し、ホノルルの税関で差し押さえられてアメリカの議会のソラーズ小委員会に提出され、その中で日本関係のものということで、外務省でセレクトしてコピーしたものを私どもにお渡しいただいたわけでございます。これを正確に分析するためには、かなり専門的な知識が必要かと思いますけれども、その中で一つだけちょっとお尋ねしたいのでございますが、いわゆる東陽通商の工作に関連いたしまして小竹氏がマルコス大統領にも直接手紙を送り、契約高の一五%をアシジェニト社に振り込むことを確約している。その実際の文書は、ここに朝日ジャーナルが翻訳したのがございますので読んでもいいのですけれども、余り時間がありませんので省略をいたしますけれども、それぞれ払い込む額は総額の一五%に相当するということを明確に小竹氏の手紙は述べているわけでございます。外務省では今検討しておられるということでございますけれども、適正なマージンというのは大体どのくらいだというふうに理解されておりますか。
  107. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 確かに、委員御指摘のとおりの文書がマルコス文書の中に含まれておりまして、当該商社がフィリピンにおけるすべての役務提供に対して、コミッションとして一五%を支払うということが内容として書いてございます。私ども、適正やコミッションというのがどのくらいのパーセントなのか、これは商慣習でございますとか取引の内容ですとか相手国の状況とか、いろいろなことに従って異なるものと承知しておりますし、担当の、直接の商慣習がどうか、コミッションの額はどのくらいが適当かということを申し上げるだけの専門的知識はございませんので、私として、どのくらいであるなら適当なコミッションの額であるということは申上げることはできません。
  108. 河上民雄

    河上委員 外務大臣もお聞きになっておられると思うのですけれども、我が国にも商社はたくさんあるわけでして、それは皆命がけで商売やっておるわけですから、お互いに他社のいろいろな相場というものも十分承知して、しかし、大体こういうところだという適正な相場というのはあるわけです。それを全然御存じないというのも、随分おかしな話だと私は思うのです。私どもが複数の商社の方に伺いますと、こういう場合の適正なマージンというのは一%から五%ぐらい、金利を頭に入れても七%ぐらいが最高ではないかというふうに言っているわけです。したがって一五%というのは、普通最高と考えるものの倍ですね。これはどう考えてもおかしいわけですね。  そこで、私お伺いいたしたいのでありますけれども、きょうは大蔵省の方お見えになってないかもしれませんが、こういう場合、日比租税条約の関係からいいまして、こういう異常なコミッションを取ってそのまま経費で落として申告すれば、当然大蔵省でこれはおかしいというので否認されるんじゃないかと思うのです。もちろん、日比租税条約でどういうふうになっているかということもございますけれども、少なくともこんなことを本契約に織り込むことはできないと思うのです。そうなりますと、大蔵省でこういうフィリピンとの関係において、これはおかしいという否認をしたケースがあるのか——なければおかしいと思うのですけれども、あったら何件、どういう問題についてということを次の機会に報告をしてもらいたい、これをお願いしたい。今でもすぐ、大体のことがわかればおっしゃっていただいてもいいのですが、正確なことを後で御報告いただきたい。
  109. 後藤利雄

    ○後藤(利)政府委員 大蔵省に今の件を伝達いたしたいと思います。
  110. 河上民雄

    河上委員 二番目にお伺いしたいのでありますが、アキノ新政権におきましてはマルコス疑惑、特に蓄財の状況をすべて明らかにしてその金をフィリピンの国家に取り戻す、こういう方針のようでございまして、既に新聞等でも報道せられておりますように、日本の企業もフィリピンの法律に照らして犯罪の容疑がある場合は召喚し、必要あれば逮捕するところまで言っているわけでございます。  そこで、日本フィリピンの間にそういう捜査に関する協定、犯罪人引き渡し協定、司法共助に関する協定、そういうものがどうも私は改めてよく調べていないのですが、さっと見た限りでは余りないのです。この問題を外務省ではどういうようにされますか。そういう話が起きてから改めて調べますでは、もう遅いんではないかと思うのです。
  111. 小和田恒

    ○小和田政府委員 具体的な処理につきましては、今河上委員が御指摘になりましたように、そういう問題が起きてから対応するということにならざるを得ないと思います。ただ一般的に、そういう問題が起きたときにどういうことになるのかという仕組みについて簡単に御説明したいと思いますが、御指摘になりましたように、そういう問題について日本フィリピンの間で二国間の国際取り決めはございません。したがって、日本の法令及びフィリピンの法令によって処理をするということになると思いますが、いろいろなケースについて分けて考えてみますと、今御指摘になりましたのは、フィリピンにおいて違法な行為あるいは犯罪を構成するような行為について、フィリピン側から捜査あるいは捜査共助あるいは司法共助さらには犯罪人の引き渡しというような要請が行われる場合に、どういうことになるかというお尋ねだと思います。  捜査共助につきましては、捜査共助に関する取り決めがございませんので、我が国における国際捜査共助法の規定に従って処理をするということになります。したがいまして、この法律に規定してあります要件を満足するような形で捜査共助の要請があれば、関係当局がそれに従って対応する、こういうことになると思います。  それから、司法共助につきましても同様でございまして、取り決めがございませんので、個々のケースについてそのときに対応するという形になると思います。  犯罪人引き渡しにつきましても国際取り決めがございませんので、犯罪人引渡法によって我が国の場合には処理をするということになります。この場合も、国際捜査共助法の場合と同じようにいろいろな要件がございます。中で、一番重要な要件と申しますのは相互主義の要件でございますが、そういう要件に合致するような形で要請がなされるかどうかということによって対応する、こういうことになると思います。
  112. 河上民雄

    河上委員 今のお話ですと、日本には日本の法律があり、フィリピンフィリピンの法律がある。現実に相互でやらなければならない場合、それに照らしてやるということでありますが、そういう場合は改めてフィリピン政府と話し合って、しっかりとした法律、協定のような取り決めでないまでも、何らかの取り決めを行う意思がございますか。
  113. 小和田恒

    ○小和田政府委員 先ほども申し上げましたように、これはまだ現実の問題になっておりませんので、現実にそういう事態が生じましたときに、関係当局がこの問題について判断をして政府としての対応をする、こういうことになると思います。ただ、先ほど申し上げましたように、捜査共助あるいは犯罪人引き渡しにつきましては我が国の国内法がございますので、その国内法の要件に合致すれば国内法の適用が可能になる、こういうことでございます。
  114. 河上民雄

    河上委員 それから、先ほど来の論議を伺っておりまして、一般の国民の方々はなかなかよく理解できないかと思うのでございますけれども、簡単に言ってしまえば、日本政府つまり海外経済協力基金は、フィリピンに対する経済援助の計画書はチェックしていると思います。したがって、それは十分承知はしているけれども、フィリピン政府の同意がない限り発表できないという意味の御答弁であったのかどうか。恐らく外為法とかあるいは輸出貿易管理令による輸出承認書とかいろいろあるチェック、たくさんの中ですから、なかなかそれを選別するのは難しいと思いますけれども、あるはずなんですが、そういういろんなものでどこかでチェックはできておるし、少なくとも海外経済協力基金では金を出しているわけですから、計画書はチェックしているはずだと思うのですね。ただ知っているけれども、フィリピン政府の同意がない限り発表できないという意味で御答弁があったのかどうか、そのことだけお答えいただきたい。
  115. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 円借款に伴います事業の先方政府が行います入札、その際の落札者の決定、それから決定した後の契約、これは海外経済協力基金が承知をいたしております。しかしながら、入札行為それから契約はいずれも相手国政府関係企業との間で行います行動でございまして、日本政府はその当事者ではございませんのでそれを公表する立場にはないということが、今まで御答弁をしてまいりました内容でございます。
  116. 河上民雄

    河上委員 もう一度。非常にわかりやすく、私が言ったように理解してよろしいわけですか。
  117. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 受注企業名を含みます契約の内容等は、審査、承認をいたしますので承知はいたしておりますけれども、その契約の当事者ではございませんのでそれを公表する立場にはないというのが、日本政府の立場でございます。
  118. 河上民雄

    河上委員 きょうは余り時間がないのであれですけれども、そういう言い方だと、一般国民は何言っているんだかわからないのです。だから、よう知ってはおるが相手政府の同意がないと発表できないということなのかどうかということだけ言ってもらえばいい、簡単に言えば。
  119. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 同意云々の問題ではなく、むしろ発表されるとすれば、相手国政府が発表されるべき問題だというふうに考えております。
  120. 河上民雄

    河上委員 またここで押し問答していてもあれですけれども、要するにはっきりしていることは、あなた方は計画書をチェックしているから全部知っているということですね。知らない部分はそれこそ一五%とかその裏金のことは知らないけれども、計画書は知っているはずです。ただ、実際に契約したのは向こう側だということだと思うのです。だからなるべく簡単に言ってもらわないと、一般の人は何空言われているのかようわからないと思いますので、聞き直したような次第です。  いずれにせよ、私ども国会としては、税金が使われている以上、この疑惑を明らかにする責任がやはりあるわけでございまして、もちろん政府も同様だろうと思いますから、本委員会あるいは本委員にあらゆる資料を最大限提供して論議を明らかにして、再び誤りを犯さないようにしていただきたい、しなければならない、私はそう思っておるような次第でございます。ぜひその点は、ひとつ間違いのないようにお願いしたいと思います。  先ほど土井委員から要求されました資料それから私が要求しました資料につきましては、次の機会に必ず全部出していただくようにお願いをして、この話はこれで終わりたいと思います。また次回やらしていただきます。  外務大臣、今度アメリカに行かれます、OECDの会議にも行かれますが、これはやはり東京サミットとのいわば三位一体といいますか、そういうような関係にあるのではないか、あるステップではないかと思います。そこでちょっと気にかかりますことは、先ほど鯨岡委員からもお話が出ましたが、いわゆる皇太子訪中問題につきまして総理外務大臣総理官邸と外務省との二元外交のようなことが行われておる。これは大変重要なことだと思うのでありまして、外務大臣とのようにその点をお考えになっておるか。特に、今度呉学謙外相が日本に来られるという直前にこういうことをやるということは、外交上望むべき姿であるかどうか、外務大臣からお答えいただきたいと思います。
  121. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 皇室外国訪問につきましては、これはやはり非常に慎重に行わなければならぬと思っておりますし、外国との話し合いもそういう見地でしていかなければならぬ。やはり皇室の方がおいでになるときは、外国から挙げて歓迎されるということが大事ではないかと思います。そういう意味での十分な打ち合わせとか準備というのは必要だろう、こういうふうに思いますし、そういう中でずっとやってきております。ですから我々としましても、そうした今の基本方針を踏まえましてこれまでやってきておりますし、今後ともいろいろと課題としてありますから、また各国からいろいろと御要請等もありますから、そういうものを踏まえて外交ルート十分話し合いをしてまいりたい、こういうふうに考えております。  これは、あくまでも皇室の方の外国訪問ということですから、そういう意味では政治というものとは直接関係のないといいますか、もちろんそれは国と国との親善外交の大きな象徴的な意味をなすわけでございますが、やはりそういう点は配慮していく必要がある、私はそういうふうに思っております。
  122. 河上民雄

    河上委員 今外務大臣は、こういう問題については外交ルートできちんとやるべきである、もう一つは相手国の国民挙げての歓迎の中で行われるべきであるという、いわば二つの条件を提起されたわけでございます。  今、いろいろ取りざたされております訪問計画が二つあることはもう御承知のとおりでありますが、韓国につきましては、御案内のとおり野党はこれに挙げて反対をしておるという状況です。今安倍外務大臣は、国民挙げての歓迎の中で行われるべきだ、こう言われたわけでありますけれども、こういう点につきまして外務大臣の御見解を承りたいと思います。
  123. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 韓国につきましては、皇太子夫妻の訪問を歓迎するということで、日本政府としましても、訪韓ということを前提にいたしまして今外交ルート話し合いをいたしておるわけでございます。そういう中で、いろいろな新聞報道あるいは韓国における野党の動き等も情報として伝わっておりまして、私も承知しておるところでございますが、先ほど申し上げましたように皇太子殿下御夫妻が訪問されるということになれば、やはり官民挙げての歓迎をしていただきたいというのが、これは日本政府としましても、また日本国民としてもそういう共通の願いを持っているのではないかと思っておるわけでございまして、そういう気持ちを大前提といたしましてこれからも話し合いを進めてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。
  124. 河上民雄

    河上委員 その場合に韓国の野党の反対ということにつきましては、外務省としてもこれは考慮すべきファクターというふうにお考えになっておられるのですか。
  125. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まだ時間のある先の問題でございますし、今ちょうど話し合いを始めたというところでございますから、今後とも日本側考え方というものを説明をしながら、韓国政府との間で、この皇太子の御訪韓が韓国の皆さんに歓迎されるような形で成功するということを大前提にして話を進めてまいる、こういう方針であります。
  126. 河上民雄

    河上委員 なぜ、そういうもろ手を挙げての歓迎ということにならないかについて、外務大臣はお考えになったことがおありでしょうか。これは、戦前の日本が朝鮮半島あるいは中国に対してやってきたこと、その歴史的な誤りについてのこだわりというのが、やはり完全にぬぐわれていないということにあると私は思うのです。  そういう点からいいまして、これまでもそうでありましたけれども、皇太子の訪韓、訪中につきまして、そうした問題についての謝罪というか、率直な気持ちの表明というか、歴史的な誤りについて、それを全く念頭になしにということはあり得ないわけでございますけれども、今回そういうことが提起されております目的というか背景について、これは謝罪のためであるか、そういうことを十分かみしめていくということであるのか、その点について外務大臣の御見解を承りたいと思います。
  127. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日韓両国にいたしましても日中両国にいたしましても、国交が戦後回復をし、そして今日に至るまでの間には、いろいろと曲折があったわけでございます。そういう中で、日本がやはり歴史の教訓というものを踏まえて、日本なりの反省をして隣国との関係に対処してきましたことは、条約あるいはまた首脳の相互訪問等においてもそれは明らかでございますし、我々はそうした歴史の教訓というのを今後とも忘れてはならないという、基本的な考え方を持っておるわけでございます。  そういう中で、日韓関係にいたしましても日中関係にしても、大変友好関係が促進をされる、政府間だけではなくて民間の親善友好関係も大いに進んでくる、こういう事態になって、そして、皇太子夫妻の御訪問について政府として歓迎をしたいという、そうした立場からのお考えが提起をされ、日本政府としても、そうした状況の中で二国間の関係をさらに推進発展をさせるためには、皇太子夫妻に訪問していただくことが適当ではないかという判断で計画がつくられ、そして、日韓においては外交ルートを通じて既に折衝に入っておる、こういうことでございます。  私たちは、これまでの両国の全体的な立場というものを踏まえながら、やはりこの皇太子夫妻の訪韓というものが成功するといいますか、両国間の親善をさらに高める、そういう雰囲気をもたらすような形での御訪韓であることを期待をして、そういう期待のもとに合いろいろと話をし、相談をし、また準備をいたしておる、こういうことであります。
  128. 河上民雄

    河上委員 先ほど来、それぞれの当事国の政府との話し合いということで外務大臣から御答弁があったわけでございますが、外交というのは政府間でやるべきだ、外交ルートでやるべきだ、こういうお考えは、それで一つのお考えとして私は了承できるわけでございます。しかし、きょうもいろいろ議論されましたように、フィリピンマルコス疑惑一つ取り上げましても、マルコス政権とだけ話していればいいのだということで来たことが、今日のこういう大きな挫折を招いているわけです。日本がアジアの中で尊敬と信頼をかち得る国としてこれから行動していくためには、その国の民衆の気持ちを十分洞察していかないと大変なことになるのではないかと私は思います。  かつて、田中首相がASEAN諸国訪問のときに、大変手ひどい歓迎といいますか攻撃を受けたこともありますし、また今度のマルコス疑惑も、そういう我々のこれまでの対アジア観の誤りの一つのあらわれだと私は思うので、外交ルートでやるべきことはちゃんとやるということは大事なことでございますが、それは二元外交にならぬようにするために絶対必要でありますけれども、これからアジアの諸国との関係考えるときには、同時にその国の民衆の心を十分認識する必要があろうと私は思いますので、外務大臣、ひとつ誤りのないようにしていただきたいと思います。  きょうは時間が余りないので、予定した質問を割愛させていただきますけれども、最後外務大臣、今度訪米されますが、そこで、幾つか想定されるような問題について、事前ではございますけれどもお考えを承って、私の質問を終わりたいと思います。  一つは、核実験の停止ということが、ゴルバチョフ政権ができまして以来、ソ連の政府首脳から世界世論に強くアピールされているわけでございますが、それに対し、アメリカ政府はこれを拒否して今日まで来ております。レーガン大統領と首相あるいは外相がお会いになれば、当然この問題が議題になると思います。西側の一員としての協力を求められるような場合もあるかと思うのでありますけれども、そこは最初の被爆国の日本としては、当然アメリカとは違う立場がなければならないわけでございますが、この問題について外務大臣はどういうようにお考えになりますか。
  129. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 十二日に立ちまして、中曽根総理とともにワシントンに参ることといたしておりますが、これは両国の首脳会談、レーガン・中曽根会談がいわば中心でありまして、私はついていく。もちろん、首脳会談には同席をいたします。同時にまた、シュルツ国務長官との間でも、二人だけで会う時間を持つことにいたしておるわけでございますが、どういう問題をテーマにして話すかという具体的な問題までは、まだはっきり申し上げられる段階ではございません。  しかし、全体的に見ますと、日米の経済関係、まだ依然としてこれだけ日本の黒字がふえ続けておるという状況、しかし同時に、円高によって日本経済へいろいろな面で影響が生まれてきておることも事実でございます。そういう中で、日本が総合経済対策を発表いたしましたし、また、経済構造改革を目指す経構研の答申も出たわけでございますし、そういうものを踏まえた二国間の話し合い、これは経済問題だけに限らず広く全体的な話し合いになると思います。  何時にまた世界情勢、今お話にあった米ソ首脳会談がこれからどういうことになっていくのか、シェワルナゼ外相も近くアメリカを訪問するということでございますし、そういう問題、さらに、アジアの情勢等が討議されるのではないかと思います。同時に、私もシュルツさんとの間では、そうした問題を踏まえて、せっかくの機会でございますから話し合いをしたい、もちろんフィリピンの問題も意見の交換をしたい、今こういうふうに思っておるわけでございます。軍縮の問題、特に東京サミットを控えてのいろいろな国際情勢に向かっての日米間の意見交換も当然首脳間で行われる、こういうふうに判断をして推測いたしておるわけでございます。
  130. 河上民雄

    河上委員 外務大臣、議題になるべきテーマで今お考えの中にあるものについてお話があったわけですけれども、我々からいたしますと核軍縮の問題、具体的には核実験の停止という呼びかけに対して、ゴルバチョフ書記長は、現実に期限を切りながら二回も延期して今日まで来ておるわけです。これについてアメリカは拒否しておるわけですけれども、この問題について日本政府としては、どうも拒否するのはぐあいが悪いのではないかと言うくらいのことは、これはNPTの第六条からいいましても、また二十三年前のネケディ時代の部分核停条約の精神からいっても、そのくらいのことは言うべきじゃないかと思うのです。  もう一つ、SDIに対する参加の問題。東京サミット参加国の中で、SDIに参加表明していないのは日本だけでございます。恐らく、レーガン大統領からこの問題について強く要求が出てくると思いますけれども、外務大臣、これについてどういうふうにお考えになりますか。くれぐれも、中曽根さんは大いに賛成、安倍さんは慎重論だなんという二元外交にならぬように、この点はちゃんとしてもらわないといかぬと思うのです。ましてや、日本国民全体からいいますと、その影響するところ非常に大きいので、SDIの参加はアメリカ戦略日本経済そのものまで巻き込まれる危険があるという立場から、我々は強く反対するわけであります。核兵器と言ってもいいような性格のものであるならば、これは参加を断然拒否すべきだと思います。  もう一つアメリカの今の政治のテーマからいいますと、中南米に対する経済協力が提起されるのじゃないかと思うのです。この点につきまして、恐らくレーガン大統領からアメリカ援助の肩がわりを要求されると思います。しかし、紛争地域に対する経済技術協力について、その紛争を助長するがごときものは行わないという当委員会の決議もございます。今日の中南米の状況から見まして、またアメリカのレーガン政権の姿勢から見まして、これは非常に重要なことだと思いますので、絶対そういうことはしないという確約をいただきたいと思います。
  131. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろん米ソの交渉の問題については、核軍縮あるいは軍備管理の交渉の問題については、アメリカからも恐らく説明はあると思っております。御承知のように、核実験停止のゴルバチョフ提案に対しましてアメリカのレーガン大統領から、査察の問題につきましてソ連側の態度が不明確であるという意味での反対提案も行われておるわけでありますし、同時に注目すべきは、米国が八日ネバダの実験場で予定されていた核実験を延期した、こういうことでもあります。恐らく米ソ両国とも、首脳会談への熱意は相当強いのではないかと私は判断もいたしておりますが、そうした点等についても日米の首脳会談の中で話し合われる、こういうふうに考えております。  同時にまたSDIにつきましても、これは首脳会談で話が出るかどうか全く予断はできないわけでございますが、しかし日本としては、まだ第三次調査団が行っておる段階でございますし、帰ってからいろいろと勉強しなければなりませんから、ここでアメリカからいろいろと意見が仮に出たとしましても、これに対して明確に今の態度をさらに超えてどうするこうすると言える立場にはない、それはもうはっきりしておるわけでございます。  それから、中南米に対する援助あるいはフィリピンに対する援助、これらの問題も恐らく話が出てくると思います。我々としては、先ほどからも答弁もいたしておりますが、日本日本の立場で援助を進めておるわけで、中南米に対しても中南米の政治の安定、経済の安定という立場から、特に流動的な面を踏まえて協力関係援助関係を進めております。同時に、フィリピンに対しても積極的に対応したいというふうに考えております。  そういう中で、アメリカとの間で協力できる面は協力をするというのが日本考えで、その点についてはいろいろと話し合っております。しかし、協力はしておりますけれども、これはあくまでも日本日本の立場に基づいた援助でありますし、アメリカ戦略援助といいますかそういう一方的な立場、日本がその方向に従ってその網の中でやるということでは決してないわけで、その辺はアメリカとの話し合いの中で私もはっきりしておりますし、そういう問題が出たとしても日本日本なりの立場を貫いてまいりたい、こういうふうに考えておるわけです。
  132. 河上民雄

    河上委員 いずれにせよ大変重要な時期ですので、先ほど私が要望いたしましたように、特にSDI、それから中南米に対する経済援助アメリカ戦略援助に巻き込まれないように、その点だけは御確約をいただきたいと思います。  まだ少し時間がございますけれども、先ほど土井委員藤田局長質問されまして残っております、特にきょう御返事いただきたいという点について再質問を希望されておりますので、私はこれできょうの質問を終わりたいと思います。
  133. 北川石松

    北川委員長 この際、先ほどの土井たか子君の質疑に関し経済企画庁より発言を求められておりますので、これを許します。菅野調整局審議官
  134. 菅野剛

    ○菅野説明員 海外経済協力基金におきます文書の保存についてのお尋ねであると伺っておりますけれども、海外経済協力基金では、これは内部規定でございますけれども文書取扱規程がございます。この規程によりますと、商品借款の場合リインバース方式で貸し付けが行われる場合には、リインバース方式の請求書に添付されます証憑類の保存期間は、貸し付け完了後三年ということになっているわけでございます。これは貸し付けが的確な品目であるか、あるいは的確な調達先から行われたものであるかということを確認するために、必要な証憑を取っておるわけでございまして、そういう観点からいたしますと、三年の保存期間で適当ではないかと考えておるところでございます。  それで、土井委員の御質問ございました一次から七次までの商品借款の調達品目の、前にお出ししました資料よりさらに詳しい品目別の分類ということでございますけれども、この点につきましては、私どもといたしましてもできるだけ詳しい内容は明らかにしたい、努力いたしたいと存じますけれども、果たしてこれを明らかにする資料が残っているかどうかというところについては、現在のところ何とも申し上げられないという状況でございます。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 さっき藤田局長の御答弁では五年と言われたのは、今の御答弁で三年の間違いなんですね。  商品借款は三年、まずそこのところは押さえておきましょう。他の円借の事業についてはどうですか、プロジェクトに対する取り扱いは。
  136. 菅野剛

    ○菅野説明員 プロジェクトに関する文書でございますけれども、プロジェクトの調達に関します文書につきましては五年ということにいたしております。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 大体、これ全部公文書なんですよね。公文書の保存というのは、普通十年じゃないですか。内規で三年にしたり五年にしたり、勝手にそれが適当である、経企庁は一体何ですか。そして、これから調査をしようという段階なんですよ。今承ってみれば、プロジェクトについて五年ということを言われた。ならば、今日鋭意努力をされている、四省庁でマルコス文書について調査をされている部分なんて、廃棄処分になっている部分じゃないですか。これはどういうふうにして調査なさるのですか。  今から五年以前の、これは完成後五年たったら廃棄するということでしょうから、完成後五年たったものは全部ないと言ったって、これは内規で決まっておりますから仕方がありませんと言われたら、それまでなんでしょう。何で調査なさる、どういうふうに調査なさるのですか。これは誠実に調査すると大臣がお答えになっていらっしゃるのですからね、徹底的に究明すると言われているのです。  第一、内規自身の根拠は何によっているのですか、三年、五年とおつくりになっている。これは公文書でございますが。
  138. 菅野剛

    ○菅野説明員 保存期間について申し上げたわけでございますけれども、それぞれ五年ないし三年たてば、実際の問題といたしましてすべて廃棄しなければならないというようなことになっているわけではございませんので、あるものについてはできるだけ事態の解明に努めたいということでございます。
  139. 土井たか子

    ○土井委員 その答弁を聞いていたら、疑惑を究明することはまことに心もとなくなってきますよ。しなければならないとなっておりませんから、あるものはあるでしょう、ないものはないでしょう。しかし、三年たったら廃棄してもよろしいとなっておりますから、ございませんと言ってしまえばそれまでだ。これは五年たったら、廃棄したらいけないということにはなっていない、だから廃棄いたしました、それまでだ。そういう措置が既にとられてしまっているものについて、一体何によってこれは調査なさるのですか。また、とられてなくともとりましたと言われたって、これは追及のしようがないですよ。この内規は何ですか。この根拠になる法は何です。
  140. 菅野剛

    ○菅野説明員 この内規につきましては、これは海外経済協力基金の内部の規程でございますけれども、この期間の定めにつきましては、貸し付け実行が的確な品目に、あるいは的確な調達先からなされたかどうかということを確認するために、相手側から求めているものでございますから、先ほど申し上げましたような期間で適当ではないかということを海外経済協力基金が判断いたしまして、内部規定として定めているものでございます。
  141. 土井たか子

    ○土井委員 公文書でしょう、これも。公文書は本来、保存期間十年ですよ。勝手に三年、五年となっていて、しかもこれに対して後で問題になったときに、もう三年たってしまって資料がないという場合どうなさるのですか。五年たって資料がないという場合はどうなさる。さしずめ、今これから調査をしなければならない部分にひっかかってくるのがいっぱいありますよ。どのようになさいますか。
  142. 菅野剛

    ○菅野説明員 保存されております文書、あるいは関係者からの事情を伺うということによりまして、できるだけ事態の解明努力いたしたいと考えております。
  143. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣、これをお聞きになっておりまして、日本の公文書並びに日本政府資料によって、今回のフィリピンに対する経済援助の内容というのを具体的に徹底究明できるとお思いですか。調査について十分にできるとお思いですか。こんなことですよ。そして、恐らくある資料でも今のような言いわけになるでしよう。利用して、出すべきものも出さないということもあり得ると思う。これはなってないですね。経済援助というのがこういう取り扱いでいいのですか。疑惑を持たれるようじゃ本来、経済援助というのは好ましい姿、形じゃないですよ。国民に対して責任があるのです。国民の税金で経済援助というのは賄われるわけですから、これでどうして国民に申し開きができますか。外務大臣から一言承ります。
  144. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 資料の保存期間等については、これは基金が決められたことであって、今私がとやかく言う立場にはないわけで、どういう立場でそれが決められたのか、今のお話も一応聞いたわけですけれども、資料については、政府としてできるだけ集められるものは集めるということで努力は重ねておるわけです。マルコス文書というものが出てきましたし、これをいろいろと精査をして、さらにまた四省庁で集まって関係の企業等から話も聞こうということでやっておるわけでございます。  そういう中で我々としましても、これは外務省だけの問題じゃないですから、法律違反とかそういうことになればまた関係当局の問題になってくるでしょうし、総合的にそういうのはやっていかなければならない。そういう中で問題点を明らかにしながら、これからの経済援助に改善する点は大いに改善して、やはり国民から疑問を持たれないように、本当に援助というのが相手の国に喜ばれ、国民に喜ばれるような形にさらに持っていかなければならぬ、こういうことでやっておるわけであります。  私は、基本的にはフィリピン援助、何かすべてが疑惑に包まれているような印象を与えておりますが、全体的に見てフィリピンのこれまでの援助全体は、フィリピン経済の安定あるいはまた福祉の向上にはそれなりの貢献をしてきたのじゃないか。しかし、問題はその中にあることも事実ですから、それはやはり明らかにしなければならぬということでやっておるわけですから、全体的にはすべてが何か疑惑に包まれ、すべてフィリピン援助、今までやってきたことが否定的な立場で言われていること、非常に残念に思っております。そういうやはり全体に裨益した点はあるのじゃないか、私はこれは確実にあると思うのです。  しかし、問題があることも確かに事実で、それはフィリピン政府が企業と契約する中に合いろいろと問題点が出ているわけですから、これはフィリピン・サイドの問題ですけれども、日本政府としてもこれは日本の企業が関連していますから重大な関心を持って、この点についてやはり明らかにする点は明らかにしなければならぬ。そうして、これからいろいろと改めるべき面があると思います。評価のあり方につきましても、あるいはまたこれからの相手国政府との間でのいろいろと詰めの問題、あるいは交換公文のあり方、いろいろな改善すべき点があると思います。そういう面を積極的にとらえて検討していくことが必要じゃないか、そういうふうに考えておるわけです。
  145. 土井たか子

    ○土井委員 それこそ、フィリピンに対する経済援助がすべて悪いのじゃないとおっしゃるんだったら、疑惑を晴らすことのためにはもうあらゆる限りの努力をされるべきだと思うのです。資料要求一つに対して十分にお答えできない。フィリピンが出すんだったら結構だけれどもこちらが出すことは差し控える、こんな姿勢でどうなるんですか。今手持ちの十二次の商品借款一つについてもそうですよ。以前の書類について言うと、今言ったように商品借款の場合は三年たったらなくなっているかもしれない。プロジェクトは五年たったらなくなっているかもしれない。これは一体事実究明はどういう格好でできるのです、疑惑は一層募るばかりですよ。国会から要求する資料に対してはそれに誠実にこたえられる、国政調査権からいったって当然じゃありませんか。このことをひとつしっかり履き違えないようにわきまえていただいて、今回要求している資料に対しては御提示を願います。  そうしてさらに、経企庁の三年、五年の資料に対しての保管の期間というのは、適当であると経企庁自身が勝手にお決めになっている話でありまして、公文書に対する取り扱いとしてはどうも適当とは言えない。そのことが、今回のこういう事件、疑惑をめぐってたまたま問題になっているわけでありますが、重要なこれから調査する部分についてもこれは支障を来しますよ、随分。少なくともそれを言いわけに使って、資料としてはございませんなんというふうなことを言わないように、どこまでもその調査についてはやるということを意思表示としてはっきりしておいていただきます。これもおかしな話ですよ。だから、その辺も再検討を少なくとも迫られている問題だと思う。そういうことで、資料要求を再度私はここで強力に申し入れまして、これのお取り扱い方いかんによりましては、本国会における条約に対する審議にも支障を来すということを申し上げて、終わります。
  146. 北川石松

    北川委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開講
  147. 北川石松

    北川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉城栄一君。
  148. 玉城栄一

    ○玉城委員 まず最初に大臣にお伺いしたいわけでありますが、従来から我が国の開発途上国に対する経済援助につきましてはとかくいろいろな、今回のマルコス疑惑のようにリベートであるとかそういううわさが聞こえておったわけであります。我が国経済大国でありますから、大臣もおっしゃっておられますように、今後やはり開発途上国に対する援助の強化ということは当然やっていかなくてはならない、こう思うわけであります。しかし、そういうことに関係してある特定といいますか、あるいはこれは政治家も含めて、そういうことからある特殊の利益を得るというようなことは絶対にあってはならない、こう思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  149. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 お説のとおり、全くそのとおりだと思っております。そういう点については厳にこれは慎まなければならない。援助というのは、やはりその国の好意が相手の国に直接伝わっていく、そういうものでなければならない、こういうふうに考えます。
  150. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこでもう一点、私はどうしてもこの機会に大臣の御所見をお伺いしておきたいわけでありますが、今回のマルコス疑惑という問題については、国会でも非常に重大関心、もちろん国民全体的にですが、この問題について一体どうなっているのかということで、非常に関心が高まっておるわけであります。当然フィリピンに対する経済援助につきましては、大臣も何回もおっしゃっておられますように、フィリピン国民の民生の安定、福祉の向上ということでやってきたということを強調しておられるわけであります。しかし結果としまして、本当にフィリピンの民衆の民生安定あるいは福祉向上ということになったのかどうか。それは全然なっていないとは言いませんけれども、喜ばれていない、あるいは今回のような事件、いわゆる前マルコス政権の私腹のためにそういう日本経済援助の一部がリベートという形で流れている、あるいはこれがまた我が国に逆に還流してくるというようなことがまさに疑惑となっておるわけであります。  しかしこのことは、今後経済援助というものは強化していかなくてはならないだけに、従来の経済援助あり方については当然政府としても重大な責任を持って、一体どういう反省をしておられ、その反省のもとにどういうふうに今後経済援助あり方について見直しをされるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  151. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今度マルコス文書が出ましてそれをいろいろと検討する中に、日本援助に絡んでリベートがマルコス前大統領あるいはその周辺に対してずっと継続的に行われだというような、そういう疑問、疑惑が出ておるわけで、これは日本フィリピンに対しては非常に大きな援助をしているだけに、援助全体に対して不信感という、そういうものが出ることを我々は非常に恐れております、心配しております。  私は、全体的には日本援助というものはきちょうめんにやっておりますし、それなりに相手国に非常に評価をされておる、そういうふうに思っておりますし、これがさらに拡大していくという考えを持って努力をしておるわけでございますから、そういう中で今の疑問が多少一部でも出るということは非常に残念に思っております。したがって、その疑惑の点については、政府としてもできるだけこれは解明をしなければならぬ、そういうふうに思って、合いろいろと資料も集め、関係者にも話を聞いておる。また国会においても、そのために特別委員会をつくって、国会の立場から究明をするという姿勢をとっておられるわけでございます。  我々はそうした援助について、少なくとも今日のマルコス疑惑についての解明を進めるとともに、せっかくのこれはいい機会でございますし、これから援助を倍増していくという状況にあるわけですから、今までの援助あり方についてODAの効率化研究会等を持っておりますが、これは見直すところは見直していく、改善すべき点は改善していくということが大事じゃないか、こういうふうに率直に思っております。そういう点で事務当局にも、いろいろの角度から援助あり方について検討して、改善するところがあったらしていこうじゃないか、こういう援助に対するやり方というのは、何も今までどおり決まったことをそのままやっていかなければならない、そういうものでもない。相手の国の立場もありますし、また、いろいろと国際的な環境の変化もあるわけですし、また、こうした問題を契機にしていろいろと問題点も明らかになるわけですから、そういう点を踏まえて改善する点は柔軟な姿勢で改善していこうということで、いろいろと今検討をさしておるところであります。
  152. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣も何回もこれまで国会でも強調しておられますとおり、経済援助というものは拡大あるいは強化していかなければならないという立場からも、やはりこの際、この経済援助に対する国民の信頼、あるいは不信感というものを与えてはならない、信頼ということからもこの事件については解明していかなければならないということをおっしゃっておられるわけですが、しかし私たちが受ける感じは、率直に申し上げて、大臣は非常に積極的かなという感じもしないでもないのです。政府全体として、特に外務省は非常に消極的という感じがし、果たしてこういう姿勢で、本当に国民の信頼をこの経済援助に求めることができるのかどうか、これは非常に疑問に思うわけであります。  これは午前中もありましたけれども、資料一つの問題にしましても、国民の代表という私たちにそういうものをなかなか提供してくれない。あるいはまた外務省も、午前中の藤田さんのお話では、今回のマルコス文書についてはある一定の一部分である、あるいはその前後のものについてはどうするのかということについては、将来のものはそのときはそのときで考えましょう、あるいはフィリピンの新政権が独自にいろいろな疑惑資料を集めている、そういうものについても要求するということもはっきりおっしゃらない。藤田さん、その点いかがですか。
  153. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 フィリピン側に対して追加資料を何らか要求するかという御質問であるとしますと、政府が相手国政府に対して何らかの要請、要求を行います場合には、要請します根拠、その要請の目的、それから何を要請するのか、要請する場合の条件、どういう条件を我が方としては考慮に入れて考えるのかということを、きちんと特定した上で行わなければならないものと思っております。現在のところ、先般も御答弁申し上げましたように、そのような形でフィリピン政府に何らかの資料を要求する、ないし要請するということは考えておりません。
  154. 玉城栄一

    ○玉城委員 だから、そういうことではなかなか経済援助の問題について国民の信頼を得ることはできない、このように思うわけであります。  そこで、これは藤田さん、大臣も見直す、改善すべき点は改善するとおっしゃっておるわけですから、従来の経済援助あり方についての仕組みの改善あるいは中身の改善、それはどうなんでしょうか。どういうふうに具体的に改善、仕組みあるいは中身をどういうふうに見直ししておられるのか、お伺いいたします。
  155. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 委員よく御承知のとおり、我が国の円借款について見ますと、相手国政府要請がございまして、それを受理し、政府部内で検討を行い、相手国に要すれば調査団を派遣し、海外経済協力基金が調査団を派遣しまして、案件を相手国政府と協議しながら確定をいたしまして、それで交換公文を先方と結びます。これが政府間の取り決めになります。その後、実施機関たる経済協力基金が相手国政府に対して貸付契約を結びまして、その貸付契約の際に、原則として公開入札によってこの事業を実施する実施の企業と申しますか、それを決定すべき旨の義務づけを行っております。  それから以降は実は相手国政府が、これは本来、相手国政府の事業でございますから、相手国政府責任を持って入札を行い、落札者と契約を結ぶわけでございますけれども、入札をし、その落札者を決定するに際しましては、一応我が方にも相談越しまして、我が方がそれを見まして、きちんとした入札を行い、かつ、きちんとした落札者の決定に至っているかどうかというのを見まして、それでこちらが了承しました場合に契約を結ぶ、相手国政府がその落札者と契約を結びます。それで実施に至るわけでございます。  今般のいわゆるマルコス文書に出ておりますお話は、我が国の企業がフィリピンにございます企業との間に契約を結んでいたということが、その文書に出てきたりするわけでございますけれども、それが真実かどうか一応別にしまして、出ております文書は、フィリピンの国内における一切の役務をその日本の商社がフィリピンの会社に委託をする、その対価として契約額の何%かを支払うという話でございます。これが先ほどの御質疑でございましたように、大き過ぎるのではないかというお話とか、それからフィリピン政府高官の方にそれが行っていたのではないかという疑惑があるということで、現在の御審議、報道等がいろいろ行われていると理解しております。  そうしますと、そういうような発生をしている状況が、我が国の、どちらかと申しますと、ほかの国のシステムに比べますと煩瑣過ぎるくらいのかなり厳しい組織、制度になっておりますけれども、この制度に照らしてみまして、事実とすれば遺憾な事実、疑惑とすれば疑惑でございますが、このようなことが起こらないように改善する点があるのかどうかということを関係省間で精査をいたしまして、それで検討を行っているというのが今の状況でございます。  では、具体的に何を検討しているのかという御質問に対しましては、先ほどお答え申し上げましたように、プロジェクト完成後の事後評価の徹底ないし手法の改善、第三者的な視点の導入ということもあると思いますし、それからプロジェクトの、先方政府要請越しました後に政府部内で決定します際の決定過程の改善というようなことも入ってくるのではないかと思いますが、いずれにせよ、現在まだ関係省間で資料に基づきましていろいろ検討を進めておりますので、この点とこの点を改善することにしたいというふうに特定をして申し上げる段階に至っておりますのは、事後評価の改善ということだけが今のところございますが、これにとどまるものではございませんし、今後検討の進捗に応じまして、いろいろな改善点等を御報告できるようになるかと思います。
  156. 玉城栄一

    ○玉城委員 今、従来の経済援助の仕組みですね、この流れは資料もいただいて、よく説明を伺っているわけですが、問題は、相手国政府に行った後についてはどうしようもない。どうしようもないというか、チェックするすべがないというようなことなんですが、問題はいわゆる入札、落札という段階ですね、相手国政府といわゆる業者との。そこについて、仕組みの中では大事な部分だと私は思うのですよ。ですから、見直す、改善するとおっしゃるのですから、そういう点については今後どうされるのですか。
  157. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま委員御指摘のとおり、この相手国政府が行います入札行為、基金がまず入札書類の審査ということで、これを見まして承認をするという行為がございます。それから次に、入札を行いました後の評価でございます、落札者の決定ですけれども、その過程におきましては、基金による入札評価結果の審査、承認、こういう手続がございます。それからその後に、契約を先方政府が行いました際に、基金による契約の審査、承認、この三つのカテゴリー、すなわち相手国政府の行っている行動を任せっぱなしにはしないで、それももう一回チェックをしているという手続を踏んでいるわけでございますけれども、これが今後の改善点の対象になるのかどうかという御質問でございますならば、これをも含めてすべてのシステムが今後改善を要する対象、私どもが改善点として検討する対象になっているということでございます。
  158. 玉城栄一

    ○玉城委員 今、改善点をどういうふうに検討しているのかということを伺いたいわけです。先ほど局長さんもおっしゃいましたように、今回のこの疑惑の問題について、リベートというものが事実とすれば遺憾であるということをおっしゃいましたから、従来のこのシステムの流れの中で、リベートとかコミッションとかそういうものがどの段階で発生すると藤田さんは思われますか。
  159. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在明らかになっておりますマルコス文書だけについて見ますと、あそこに出ております文書での御指摘の点は、ある日本の商社が相手国商社に対してコミッションを支払う契約を結んでいるという文書が出てまいります。そのコミッションというものが問題視すべき対象であるということになりますと、この流れとはちょっと別のところの契約、私契約でございますが、日本の民間企業と相手国の民間企業との間の私契約でそういうことがとり行われているわけでございますから、ここの過程で契約をしたものとそれからその私契約を結んだ当該商社が一致している場合に、発動されるということになるのだと思います。
  160. 玉城栄一

    ○玉城委員 このリベートあるいはコミッションというものが出てくるということが考えられますのは、これは私たち素人として考えられるのは、例えば見積価格の水増しであるとか、あるいは工事の手抜きであるとか、どういうふうに見ておられますか。
  161. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 その前提としましては、そのコミッションの額というものが適正なもの以上だということになった場合にどうかという御質問だと思いますけれども、今委員のお述べになりましたような点も含めて、経済協力の効果的な実施に何らかの影響を与えるようなことがあったかどうかということを、その資料に基づき、かつ、関係省が集まって検討しておるという状況でございます。
  162. 玉城栄一

    ○玉城委員 どうも藤田さんのおっしゃることはわかりにくいのですが、例えば見積価格を水増しするとか、あるいは工事の手抜きをするとか、そういうことが当然考えられるということですか。
  163. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 そういうことが起こらないようなシステム、手続で私ども今まで対処してきたというのが現状でございます。
  164. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、起こらないように対処してきたけれども、そこが大きな疑惑となって、アメリカの議会の公表した資料にもそういう点があるということからすれば、今申し上げた点は十分考えられるということですか。
  165. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 現在のところは、何が考えられ得る一番可能性の強いものかというような予断は特に持っておりません。
  166. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは大臣にお伺いしたいのですけれども、この見直しとか改善の中身の問題なのですが、新政権のラウレル副大統領なんかの言い方は、従来の円借款、いわゆる大型プロジェクト中心のそういう援助あり方ではなくて、もっと国民生活に密着するような形の援助であってもらいたいというような要望もあるわけですが、御存じでしようか。
  167. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 そういう話はまだ正式にといいますか、我々のところでは聞いておりません。
  168. 玉城栄一

    ○玉城委員 こういう段階に来ますと、根本的に援助あり方については、その中身の問題についても今申し上げましたようにプロジェクト中心的なやり方と、そうではなくてもっと向こうの民生安定あるいは福祉向上、あるいは向こうの生活そのものに非常に必要であるというような基本的な考え方は、やはり持っていかなくてはならないと思うのですが、いかがでしょうか。
  169. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本援助については、フィリピンだけではなくて開発途上国全体にやっておりますし、それは日本なりのやり方でやっておるわけでございます。そしてまた、相手の国もこれを了承して進んできている、それなりの成果が十分上がっておる、私はこういうふうに思っております。  プロジェクトを中心にした円借款の援助は、目に見える成果を上げるということに私は大きな意味があると思うわけでございますし、そしてそれは積み上げ方式でずっとやって、それなりの評価も得ているわけでございますから、そうした援助基本的なあり方について変えることはそう簡単にできないと私は思いますが、しかし、フィリピンとの間の話し合いで、相手の国と了解し合わなければ援助は進まないわけですから、今のフィリピンの直面している事態から、そうした援助についてもっと弾力的に考えてほしいという要請があれば、日本政府としても十分お聞きをして、そして真にフィリピンの民生の安定、経済の回復に役に立つような形で話を進めて合意を見るべく努力はしなければならぬ、こういうふうに思っております。
  170. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、今回のリベート商法というのでしょうか、相手側の政権と癒着をして、その政権のいわゆる不正蓄財というものに日本援助がリベートという形で流れていく。プロジェクトに群がるような形で、そこには巨大な金と資材の流れができていく、そこにいろいろな関係する企業なりが出てくる。プロジェクトというものを中心にしていく限り、そういうものがなかなか防ぎにくいのではないかという感じもするのですが、いかがでしょうか。
  171. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 援助を大きく分けますと、委員御高承のとおりプロジェクトか、非プロジェクトかということになります。現在のところ、円借款で見ますと、プロジェクト借款は我が国が主体でございまして、八割から九割プロジェクトにしております。非プロジェクトは商品借款ということで、先ほど来御指摘がございますように形として残らないということで、どちらかというとプロジェクト借款を先行するというのが、今まで我が国援助関係機関の態度でございます。  国際的には、むしろ非プロジェクト借款の方が開発途上国に歓迎され、経済困難に助けになるということで、非プロジェクト借款を増加せよというのが今の時代の趨勢と申しますか、そういうことが申せると思います。  ただ、我が国の場合には商品借款という形しかございませんので、今の委員の御提言等を踏まえて考えてみますと、商品借款をどちらかと申しますとプログラム化と申しますか、農村開発計画というようなプログラムをつくりまして、それに対しての商品借款を供与する。するとその商品借款は、言うなれば農機具等の農業用関係の機材がそれによって輸入され、それによって創出されました見返り資金が農村改善のための内貨分として利用される。こういう姿になれば、先ほど委員が御指摘になった住民と密着する形の援助であり、かつ、大型プロジェクトではないということになるかと思いますが、これは何分にも相手国の政府がまずそういうような要望、要請をし、かつ、それに優先度を与えてもらいませんと、援助国の方で一方的にそれを先方に押しつけると言ってはなんでございますが、指導するというわけにもいかないものでございますから、先方がそのような形での要望をしてくるということになりますれば、先ほど大臣御答弁申し上げましたように、それをどちらかというと好意的に考えていく、そういうものを重視していくという態度で対応するということになるかと思います。
  172. 玉城栄一

    ○玉城委員 御存じのとおり、向こうの方はそういう大型プロジェクトに偏った形でなくて、フィリピン国民の失業、そして貧困、そういうものが解消できるように、あるいは労働集約型のそういうような形での援助が欲しいというような意向も聞いておるわけですね。  それで、先ほど午前中だったですか、第十三次の円借款、十一のプロジェクトのうち幾つかを見直すという話がありましたね。幾つ、何を見直すのですか。
  173. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 これは私どもも、実は情報としてはちらちらとは聞いておりますが、先方政府と正式に話をしますと、当然のことながら、現在検討中なので一、二のプロジェクトについては先送りということをお願いするかもしれない、そのプロジェクトについては、今フィリピン関係各省間で協議中であるという態度の表明がございますので、私どもとしても、先方が十一プロジェクト全部をそのまま実施方希望されるのか、それとも一、二については若干延期を言ってこられるのか、仮に一、二を言ってこられるとしますと、それがどういうプロジェクトなのかというのは、正確には承知しておりません。
  174. 玉城栄一

    ○玉城委員 向こうの高官から、この十三次においては、道路はもういい、荷揚げ機械の新設についても結構だ、あるいは農業水利、こういうのも結構だ、そういう要請が来た場合は、皆さんとしてはどういう話し合いをされるのですか。
  175. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 まず第一点の、具体的に何らかを先送りするという要請が来たらどう対応するかという御質問でございますが、御承知のとおり交換公文の署名を下しておりますので、私ども事務当局としましては、閣議の御決定を得、交換公文を下している十三次の円借款であるという立場でございますが、他方、先ほど来外務大臣からの御説明にございますように、先方も新しい政府ができて、政策も新しい方向をたどりつつあるのであるから、同情的と申しますか、理解ある心を持ってオープンマインドで対処するようにという方針を鮮明にしておられます。したがいまして、先方が特定のプロジェクトにつきまして納得し得る説明を付しまして我が方に提起越しました場合には、協議に応ずるという態度で臨むことになるかと思います。  それから第二点の、委員の言及されました三つのプロジェクトにつきましては、私どもも情報としては聞いております。その理由としては、先方の負担する内貨分が多い、すなわち、援助原則として外貨を見ますので、外貨分は援助でもって見てもらえるけれども、それ相応の内貨の手当てをフィリピンの国内で予算措置を講じなければいけませんので、内貨負担の多いプロジェクトについては経済がもう少しよくなるまで延ばしてもらいたいという観点に立って、一、二のプロジェクトをと言っておられるという情報は入手しております。しかし、正式な形ではまだ伺っておりません。
  176. 玉城栄一

    ○玉城委員 今月の末に向こうの大蔵大臣も来日されるということでありますから、そういう席でもいろいろ具体的に正式なお話もあろうかと思うのです。  もう一つフィリピンの中小あるいは零細企業ですか、メンテナンスの問題で、こういう中小零細業者を育成するような援助の方法とか、飲み水も飲めない地域もある、ですから水道事業とか、あるいはマニラから四十分行ったところの工業団地で、日本の円借款でつくられたところですが、そこは電話も通じないというような、いろいろな状況があるわけですね。そういう本当に生活の役に立つような援助を何とかしてもらいたいということ、どうなんでしょうか、藤田さん。
  177. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 水道は、まさに委員の御指摘のとおりフィリピンでも非常に感謝され、かつ、高い評価を受けているプロジェクトでございまして、現在も円借款でもやっておりますし、無償援助でも、最近フィリピンの国内で非常に話題になりましたのは、小学校に手洗い所を新設し、かつ、上水道を引くというプロジェクトでございまして、上水道ができた途端にその地域のコレラがなくなってしまったという効果が非常に広く伝えられ、かつ、高い評価を受けておりまして、先月、三月十七日にも新しいプロジェクトの開所式がございまして、先方の関係大臣が出席して、日本からのフィリピンに対する援助は非常にありがたいと思っているというあいさつをしておられます。我が方では余り報道されておりませんが、そういうふうに非常に高く評価をされていることもあるということを申し添えます。  それから第二点の、一般論として零細な人たちに裨益するプロジェクトということになりますと、形態的に申しますとツーステップローンという形で、中間に、例えば日本で申しますと中小企業金融公庫のようなものが入りまして、そのフィリピンの中小企業金融公庫のようなものに対して日本政府が円借款を供与する、実際の最終需要者は零細な中小企業者である、ないしは農林漁業金融公庫のようなものに貸しまして、それが農民、漁民に貸す、こういうような形態の円借款になります。これはフィリピンに対しても過去に供与いたしておりまして、それなりの評価、効果というものは上げていると考えております。
  178. 玉城栄一

    ○玉城委員 藤田さん、大臣もフィリピンについては、援助をさらに今後も拡大していかなければならないというお話も盛んにしておられるわけですから、側存じのとおり向こうはアキノ暗殺以後、経済がマイナス五・四とかということで急に低下していますから、これから日本政府フィリピンへの援助については、少なくともタイ、インドネシア並みくらいには援助してほしいということがあるのですが、いかがでしょう。
  179. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 援助の額自体は、累次外務大臣からも御説明申し上げておりますように、人道的な考慮と相互依存という観点から、援助の実行それから額等もその国との密接度、当該国の貧乏度と申しますか、貧困度等を考慮の上、従来決定されてきたということでございまして、その過程におきまして現在、約束額ベースで申しますと、インドネシア、タイ、中国それからフノリピンという、第四番目くらいの約束額になっております。  今委員が御指摘のように、フィリピン側の新政権が、ぜひフィリピンの直面している経済困難にかんがみて、ASEANの一員として援助量を増額してもらいたい、ASEANの中ではタイとインドネシアがフィリピンよりも多い、ぜひフィリピンも第一位、二位並みにしてもらいたいという発言をされたことは承知しておりますし、現に要望もございます。これは被援助国同士皆それ空言っておられて、インドネシアは例えば中国よりは多くなければいかぬと言っておられるし、タイは自分が一番多くてしかるべきだと言っておられまして、どちらかというと被援助国同士の競争みたいな側面もございます。  それからもう一つは、当然のことながら、我が国がプロジェクトの積み上げ方式によっておりますので、我が国の精査にたえ得るような良好なプロジェクトがきちんと要請されまして、時宜を得て協議、交渉し、解決するかどうかということにもかかっておりますので、現在までのところ、私どもとしてどのくらいの額に云々というふうに、先見的な数字を申し上げるという状況にはないのが現状でございます。
  180. 玉城栄一

    ○玉城委員 オンピンとおっしゃるのですか、フィリピンの大蔵大臣が今月の下旬来日されるときには、第十三次の円借款についての話し合いをされ、あるいは署名までというようなことになるのですか。
  181. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 オンピン大蔵大臣が現在ワシントンで開催中のIMF世銀総会に出席の帰途訪日される、ないしは別途訪日されるという予定があるということは承知いたしておりますけれども、現在まだ日程は確定しておられないそうでございます。これは、実は我が方の受け入れ態勢のこともございます。したがって、まだ日程は確定していないと承知しております。  第二点といたしまして、この貸付契約の締結に至るかどうかという御質問でございますが、これはまさに委員が先ほど御質問になりましたように、十一のプロジェクト全体を先方がそのまま受け入れると申しますか、合意して貸付契約の締結に進むかどうかということを先方政府部内で検討しているという状況でございますので、貸付契約の締結時期というのは、現在のところ未定であるということしか申し上げられないのが現状でございます。
  182. 玉城栄一

    ○玉城委員 今回のいろんな疑惑の事件で、援助評価検討部会が今月の末現地を視察されるというふうに報道で知っているわけですが、ただその時期と、どういう調査をするのか、商慣行の実態については調査外であるということなのですが、その辺はいかがでしょうか。
  183. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 先ほど委員が、今後改善点は何かという御質問のときに言及いたしましたが、具体的に改善を図ろうとしている一つの試みとしまして、事後評価の改善ということを考えております。それとともに、現在の状況下にかんがみまして、本会計年度の評価作業の重点は、フィリピンにおける日比間の協力案件を重点的に評価するようにという大臣からの御指示がございまして、現在検討いたしております、準備しております状況は、一応フィリピンとの間の経済協力案件を四つの分野に分けまして、第一分野エネルギー、工業、それから農林業、それから社会インフラと申しますか、社会福祉というような部門、セクター別に分けまして、その各セクターの専門家をフィリピンに派遣いたしまして、既往案件の評価をしていただくということで現在考えております。  具体的な日時はフィリピン側の受け入れ態勢にもよりますので、今のところまだ決定しているわけではございませんけれども、私どもの方の心づもりとしまして、行っていただく方の御日程等を伺って、四月の末ぐらいに、農村、農林業関係調査団を第一陣として行っていただければという感じでおります。  それから、商慣行についてはその評価の外であるというのはなぜかという御覧間でございますが、先ほど申し上げましたように、いわゆるリベートと申しますか、コミッションと申しますか、受注しました企業がコミッションという形で先方に払っていること、このコミッションの高が適当かどうかという話、それから、そのコミッションを支払うに際して日本の国内で違法なことがなかったかどうかという話、それから現在言われておりますように、先方におきましてその支払われたコミッションが先方の政府高官の方に行っているのではないかというお話、これはすべて商慣行の話であり、国内の関係当局が国内法の違反の問題は調べられると思いますし、先方におけるコミッションの行方云々は、先方の政府関係者ないし司法当局が調査をされ、先方の国内法に従って対応されるべき問題でございますので、経済協力の効果的、効率的な遂行いかん、結果いかんということを評価していただくこの評価部会及び調査団は、その問題は評価とは次元の異なる問題だということから、評価の対象外というふうに評価部会の方々も主張され、私どももそのとおりだと考えている次第でございます。
  184. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこがおかしいのですよね。今あなたが詳しくおっしゃった部分が、最大の疑惑の部分なんです。そこは調査しない、そんなピンぼけな調査をしていたら、冒頭から申し上げるように、経済援助についてはこれからさらに強化をしていく、国民の信頼を得るという最初のテーマと皆さんのやることとは全然だから、そういう今最大の関心の部分を、せっかく現地に調査に行かれるならば、当然調査をするということは当たり前の話だと思うのですね。それをぜひやるべきです。  それと、僕は藤田さんに申し上げたいのですけれども、きょうは午前中も土井委員からそういう資料の問題がありまして、そのことで大臣も、外務省としても資料の提供についてはベストを尽くして協力するという話があったのですけれども、私はきのうからきょうのこの委員会に備えて、課長補佐もちゃんとうちの部屋に来まして、はい、わかりましたと言って、いまだに持ってこないのですね。  私は、むちゃくちゃな資料の要求をしているのじゃないのです。例えば、フィリピンの円借款についてその返済状況はどうなのか、それをちゃんと資料にして出してくれ、これが一つですね。それから、現実に進行しているプロジェクト、いわゆる未返済についてさうに新しい手当てをした、そういうプロジェクトがあればそれも資料にして出してくれ、こういう要求をきのうから何回もやっているのですけれども、資料を持ってこないのですね。ですから、その公私は質問できないのですよ。それは意図的に資料を持ってこないのですか。
  185. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 返済状況につきましては、御説明が不十分であったといたしますとおわびをいたしますが、個別的、具体的な返済状況ということになりますと、フィリピンの第三国に対します債務返済の履行及びフィリピンの金融に対する信用への影響ということもございますので、金融機関たる性格も有しております海外経済協力基金としては、これは公表はいたしかねるという立場でございます。ただ、概論として、この場で返済状況いかんという御質問委員から受けます場合には、当然のことながら、御承知のとおり債務繰り延べ措置は講じておりますけれども、その繰り延べに応じて順調な返済をフィリピン側がなしているというのが現状でございます。したがいまして、本件についての資料の御請求に対しまして、きちんとした御理解を得る説明を我が方でいたしていなかったとしますならば、この場をかりておわびをいたしたいと思います。  それから第二番目に、未完了プロジェクトの補修という御質問でございますが、必ずしも御質問の真意と申しますか、よくわかりませんが、既往の、既に行いました円借款のプロジェクトを補修する円借款を供与したか、こういう御質問でございますと、そういう円借款はございません。しかしながら既往の、賠償も含みました過去の我が国関係しましたフィリピンとの間の共同の事業につきまして、その補修も含めた何らかの円借款があるかという御質問でございますならば、四件ばかりございまして、第三次円借款の地域修理場建設計画、第四次円借款の日比友好道路及び関連道路改良計画、それから第十三次円借款で供与いたしましたダム操作洪水予警報システム、この三件が部分的には過去の協力案件の補修もその中に含んでいるという状況でございます。
  186. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは委員長も、午前中からこの資料の問題については御存じのとおり、厳重に注意してくださいよ。私は、むちゃくちゃな資料の要求をしているのじゃないですよ。その円借款について、返済の状況はどうなのかという資料をいただきたい。今、いろいろなことをおっしゃっていますけれども、そういうことで、あなたがそこで長い時間、私の質問時間をとっているわけですが、こんなことは絶対にだめですよ。  じゃ、もう一つ聞きます。  五十五年にこの委員会でワシントン条約、いわゆる絶滅のおそれのある野生動植物の保護に関する条約審議をやりました。そのときに、私はワニとかニシキヘビとかトカゲとかそういうものについては、時間をかけてでもいわゆる人工養殖をすべきである。そのときに外務省は、そのときの三千五百万ですか、いわゆる予算をつけてあります。五十五年ですよ。それはどうなりましたか。
  187. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ワシントン条約に関連しまして、ワニの人工養殖を研究するということで、既に昨会計年度になりますけれども、一九八五会計年度の六月、先方、フィリピンとの間で交換公文を締結いたしましたワニ養殖研究所建設計画と申します案件が、十七億六千百万円で先方政府と合意に達しております。現在、このための実施にかかっている状況にございます。
  188. 玉城栄一

    ○玉城委員 今おっしゃったその日比共同のワニ養殖場、この建設を請け負った企業、それからその場所、それから今後の計画、それからいろいろうわさがありますが、まず最初の段階からお答えください。
  189. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 場所でございますけれども、場所に関しましてはいろいろの候補地がございましたけれども、結局最終的にはパラワン島に建設をするということで合意を見ております。  それから請負業者でございますけれども、これは従来より当委員会におきましても、国会審議の場で御説明を申し上げておりますように、先方政府が企業との間で結んでおります契約の内容に関することでございますので、政府として公表いたす立場にはないというのが政府の方針でございます。
  190. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちゃんと新聞にも報道されていますよ、その請負企業の名前については。これは報道されているとおりですか、とおりでないのですか。
  191. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 政府として公表いたすことができないということでございますので、報道を確認することも否定することもできないというのが、政府が従来から申し上げている立場でございます。
  192. 玉城栄一

    ○玉城委員 五十五年には、この委員会でのあの条約審議の際には、フィリピンのフイの字も出てなかったですね。いつからフィリピンということをお決めになって、こういうことになったのですか。
  193. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 フィリピン側が本件の要請をしてまいりましたのが、たしか二年以上前だったのではないかと記憶いたしておりますが、いずれにせよフィリピン側が要望越しまして、それに対応しまして事前調査団を派遣し、その結果を踏まえましてサイトを決定して、基本設計調査団を一昨年派遣して、昨年の合意に至ったという状況でございます。
  194. 玉城栄一

    ○玉城委員 たしか、当時はインドネシアかだったと思う。今あなたのおっしゃるのは二年前ですね、フィリピンにこういうものをつくるということ。このことについては、報道もされていますからあなたもよく御存じだと思うのですが、そういう報道もされている請け負った事業主体者というのですか、施工者についても言わないというのでは、これはどうしようもないです。  もう一つ藤田さん、五十七年、五十八年度にかけて、フィリピン人造りセンター建設のために幾らの経費で、この施設はどうなって、どの企業が請負をして、現在どういう状態になっているのか。
  195. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 アセアン人造りセンターは、御承知のとおり鈴木総理のASEAN諸国御訪問の際に、ASEAN各国政府との間で合意を見まして、ASEAN各地域及び沖縄にセンターを建設するということで発足したプロジェクトでございます。  フィリピンにおきますセンターは、フィリピン人的資源開発センターと称しまして、先方の関係省は居住環境省、我が方は農水省、建設省、通産省等と御協議をしながら進めているプロジェクトでございます。これは目的としましては、生産性向上運動という見地から、住宅建設、小規模工業、水産養殖の分野におきまして、農村開発の担い手を育成するということを目的にいたしております。金額はちょっと今……、すぐ調べて御報告します。
  196. 玉城栄一

    ○玉城委員 これもさっきのように、請け負った業者についても言えない、こうおっしゃるのでしょうけれども、じゃあ私が申し上げますが、確認してください。  これは現地で、イメルダ夫人のペット・プロジェクトというふうに言われているわけです。あなたさっき、沖縄の国際センターということ。だが、これは立派に機能していますよ。これは二億円の新型コンピューターがパソコン程度にしか使われていない、七台のテレビを備えたビデオスタジオも一年余りで作成したテープは十五本だけ、カキ養殖場はいまだに研究段階である、これはそのとおりですか、違いますか。
  197. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 私どももフィリピン関係者も含めまして本件関係に従事しております者は、当該記事を見て非常に憤慨をしたわけでございますけれども、御承知のとおり約一年前に開所したものでございます。現在までのところ、一年余りでテープは十五本だけという記事がございますが、建設及び手工芸関係の訓練用教材及びセンター紹介用として二十本のテープが制作済みでございまして、この訓練用の教材につきましては、相手国の訓練のニーズですとかレベル等の実情を詳しく調査した上で、最も適切な内容のものを作成するという必要がございますので、一本の教材の制作には極めて多くの労力と時間が必要とされるのが通例でございまして、本数を一年間で急激にふやすということが、特に本センターの有効な利用と関係するものとは思われません。したがいまして、専門家の意見を聴取しましたが、開所後一年余りという期間で二十本のテープを制作したという実績は、評価してよいというコメントをいただいております。  それから、七台のテレビカメラ云々という記事での言及がございますけれども、専門家に伺いましたところでは、テープ一本を制作するためには最低三台のカメラが必要であるということであり、かつ、野外でのカメラ撮りも実施しているということでございまして、そこに書いておられる記事でございますが、どちらかというと悪意に満ちた記事であるということが申せるかと存じます。
  198. 玉城栄一

    ○玉城委員 その二億円のコンピューターが現在パソコン程度にしか使われていないというのは、どうなんですか。
  199. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 コンピューターの問題でございますが、この機材を有効に活用いたしますためにソフトの面で協力をするということで、日本側の技術協力の相手でございますフィリピン側カウンターパートの訓練のために、フィリピン側要員九名を研修生として日本に受け入れ、我が方の専門家も派遣して、教材の開発、プログラミングコース等での指導に当たっており、今後さらにコース数、対象者もふやしていくということにいたしております。したがって、ハードの供与のみでソフトの協力がないということは当たってないと存じますし、パソコン程度の使用というのも極端な表現かと考えられます。御承知のとおり開所後一年ということでございますので、対象の国のレベルということを考えて、もう少し長い目で見守っていただきたいと感じております。
  200. 玉城栄一

    ○玉城委員 うちの党も現地調査を今度やってきて、今その状況をずっと分析、検討している段階ですが、この経済協力評価報告書に、プロジェクト評価についてもあなたがおっしゃるようなことが書いてあるのですよ。しかし、実態はそんなものじゃない。あなた方は、このプロジェクトを決める前に事前にきちっと調査するわけでしょう。ところができ上がったもの、あなたは時間をかけなくちやどうのこうのと盛んに言っていますけれども、そういう無定見な我が国経済援助あり方について現地では決して喜んでいないし、実にいいかげんである、こういうことですが、これはあなたは謙虚に受けとめて、これから経済援助というのが非常に大事であればあるほど、国民の信頼をきちっと得るためにもこれはやっていただかないと、このような状態だったらますますこれは大変だということになりますよ。ですからその点を強く要望いたしまして、時間が来ましたので終わります。
  201. 北川石松

    北川委員長 次に、渡辺朗君。
  202. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 朝からずっと会議が続いておりますから皆さんお疲れだろうと思いますが、お願いをいたします。  いろいろな点をお聞きしたいと思います。ただ、これはフィリピン問題解明のための特別委員会ではございませんけれども、やはり当面の問題として、まず一つフィリピン問題を聞かせていただきたいと思っております。  新しい政権フィリピンに誕生しました。これはみずから暫定政権とすることによって、新しい政権あり方をみずから規定したわけでありますけれども、同時に私ども見るところ、マルコス政権の残したいわばマイナスの遺産といいますか、負の遺産あるいはまた汚濁の遺産といいますか、汚れた、ダーティーな遺産をも負っての発足であります。これからその掃除をしたり、新しいものをつくろうとする意気込みも今感じられるわけでありますが、このアキノ新政権に対して日本外務大臣は、どのようにその性格なり安定性というものを認識しておられるのか、また、これからどのように対応していこうとしておられるのか、まず基本的なところから聞かせていただきたいと思います。
  203. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アキノ政権は、フィリピン国民の圧倒的な支持を得て生まれた、いわゆる国民の強い支持を持っておる政権だ、こういうふうに思っております。しかし同時に、抱えている問題は大変難しい問題を抱えておる。政権内部におきましても、政権を構成する要素が、アキノ大統領直接支持派とともに、軍部であるとかあるいはまたラウレル副大統領系のグループであるとか、内容的には相当複雑な要素で成り立っておるのじゃないか、こういうふうに思っております。  何といいましても、大統領に対する国民の支持の強さというものは、これまでのフィリピン政権に見られない圧倒的なものがある。そういう中でこれから新憲法も制定をされて、これから真の民主主義を実現しようという大変意欲に燃えておられるので、我々としてもフィリピンの大衆に支えられたアキノ政権のこれからの政治の安定、また経済政策の成功を祈っております。同時にまた、日本としてもこれに対して協力をしなければならぬ、こういう基本的な考えてあります。  特に経済援助については、アメリカとともに日本援助は、これまでもそうでございましたが、今後ともフィリピン経済を支える大きな一翼を担うものである、こういうふうに思っております。アキノ政権の抱える問題としては、一方においてはいわゆる新共産軍といいますか、NPAの問題もあるわけでありますが、一面においてはやはり非常に経済が疲弊をしておるといいますか、困難な状況にある。この経済をどういうふうに立て直すかというのがアキノ政権のこれからの行方を占うと言っても過言ではない、そういう意味における日本の役割というものはやはり非常に大きいのではないか。そういうことを踏まえて、今後とも密接な協力関係を保ちながら支援すべきことは支援をしていかなければならぬし、また友人、友邦国として、日本としてもいろいろと助言をさせていただく面は率直に助言もさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  204. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 ただいま基本的な考え方をお聞きいたしました。  特に、私、この一カ月間に二度もフィリピンに行き、そしてまた、アキノ大統領初め皆さんにお会いする機会がありましたが、今般行きました際も、アキノ大統領はこう言っておりました。今、大臣の御指摘のとおりでありまして、経済的な問題、困難性というのがもう当面の大変大きな問題だ、これを解決しなければいけない、特に一年以内に見るべき成果を上げることができなければ、国民が正しい選択をしたということが言えないことになってしまう、国民の期待にこたえるようにそれをやりたい、ついては日本援助及び協力、これをぜひお願いしたいというような言葉がございました。  私は、大臣もそのようなお気持ちであろうと思いますけれども、問題はこれからの援助の中身と、システムといいますか形、私はこういったところにかかってくるように思います。特に、今問題になっておりますマルコス疑惑、これを早急に解明していくこと、そして援助の方は、解明しなければやってはならぬというようなものじゃなくて、今大臣のおっしゃったようなフィリピンの情勢であるならば、新政権に対して早く民生に役立つような援助は出すべきでなかろうかと私は思っておりますけれども、真相解明というものと同時に、今言ったような民生援助というような形のものを進めるという考え方については、大臣いかがでございますか。
  205. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 おっしゃるとおりであろうと思います。やはり一面においては、いわゆるマルコス疑惑というものに対する解明、これはフィリピンはもちろんでありますが、日本の関連した問題については、日本解明をするように力を入れなければならぬと思いますが、しかし、この問題が解決しなければ新しい援助に入れないということではないわけでありますし、一面においてはそういう解明努力をしながら、一面においてはフィリピン政府と協議を進めながら、援助が実施できるという体制を早くつくってまいりたい、こういうふうに思っておるわけであります。  十三次の援助も、交換公文は旧マルコス政権との間で交換をいたしましたけれども、まだ実施をしてない。これなんかもどういうふうな形で実施をするか、こういう問題からまず始めたいものだ、こういうふうに思っておるわけです。事務当局では大体話は進んでおりますけれども、今度はオンピン大蔵大臣も日本を訪問されるというようなことでございますし、そうした時期をとらえて私もお目にかかって、そして、基本的な日比間の援助の方向というものを話し合ってみたい、こういうふうに考えております。
  206. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 基本的なこれからの方向づけ、さらに掘り下げていろいろお聞かせいただきたいと思いますけれども、まず第一番目、やはり援助もすぐにしてあげなければ大変だろうというふうに思いますが、同時に、日本国民の側といたしましては、ここまで大きくなっている、しかも、どんどんと毎日のように報道されている新しい情報といいますか、そういうものでマルコス疑惑、これに日本の企業が絡んでいる、もしかしたら政治家も絡んでいるのではなかろうかというような疑惑、これを今、大臣がどう認識しておられるのか、私はちょっとお伺いをしたいと思うのです。  といいますのは、疑惑問題がクローズアップいたしましたそのときに、ちょうどフィリピンにおり、あるいはASEAN諸国を回っておりまして、現地の方々というのは相当にショックを受けていると思います。全部が全部、そういうようなものに巻き込まれている人たちだとは決して思いません。だけれども、何か日本のイメージ全体が今、大変に汚れたものになりつつある。まじめにやっている経済人あるいは専門家だとか海外青年協力隊の若い人たちとか、第一線で本当にそういう活動をしている人たちが、まとめてみんな何か悪くなってしまったような状態に置かれている。これは早急に解明をしていかないと、そして、もしうみが出るものであって出さなければならぬなら、本当に早く出してしまうべきではなかろうか。そうしないと、一番大事な、日本国民の対外接勢に対する姿勢なり心というものが急激に冷めたり、反対の側に行くに違いない、そういう大変大事な分水嶺にあると私は思うのです。  先ほどから資料の問題とかいろいろと出ておりますけれども、まず、大臣の姿勢がここで真相解明のために全力を挙げる、そのためにできるだけのことはするという姿勢を打ち出されることが大事だろうと私は思うのですが、どうぞ御所見を聞かしてください。
  207. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 この問題は、フィリピン政府フィリピン政府が契約した企業との問題、それはあるいはマスコス大統領周辺にもいたのではないかという疑惑、それがマルコス文書等を通じて出てきて、疑惑疑惑を呼んでおるということでございます。そして、その中で日本企業も一部絡んでおる、そしてまた、日本援助の問題をめぐって日本企業が絡んでおるのじゃないか、こういう疑問、疑惑が出ておるわけです。それで、これは日本だけではなくて、資料等によれば、アメリカ企業等も相当に関連していることは事実であるようでございますが、しかし私は、この辺は非常に大事なことですから明らかにしていかなければならぬ、こういうふうに思っております。  今お話しのように、これまでフィリピンに対して我々は膨大な援助をしてきましたし、その中では技術援助あるいはまた青年協力隊等の真剣な身を挺しての協力というものもあったわけでございますし、そうした全体的に見れば、フィリピンのこれまでの国の発展には大きく寄与した日本援助であると思いますが、そういう中で少なくとも部分的にもこういう問題が出てきたということで、全体を覆うような不信感というのが出てくることを私も大変心配をしております。したがって、疑惑の点ははっきりしなければならぬ。  同時にまた、ちょうどこういう機会でありますから、そうした解明の時期を一つの転機として、これからの援助全体についてここで改善すべき点は、いろいろと改善する必要があるということを常に言っておるわけでございます。そういう基本方針でこれまでも取り組んでまいりましたし、今後も取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
  208. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 つきましては、これは外務大臣ではなくほかの担当の方だと思いますが、例えば今伝えられているこのマスコス文書でございますが、それが二〇%程度であって、全体はまだまだ膨大なものだというような話があったりするわけでありますが、外務省としてはどれだけのものを今入手しておられるのでしょうか。そして、それは今きちんと分析もされ、整理もされているのでしようか。
  209. 後藤利雄

    ○後藤(利)政府委員 今、マルコス文書として外務省が入手しておりますのは、先生御案内のように、アメリカのソラーズ委員会アメリカ政府からもらいました、マルコスアメリカに入りますときに持参した文書のコピーでございまして、その全体が二千ページを超えるわけでございます。その中の大部分の約二千ページを入手しております。なお、その中で日本に特に関係あると言われておりますのが、大体百七十ページくらいございます。これはもちろんその中に入っておりまして、入手しておりまして、衆参両院の各委員会の御要望に応じてしかるべくお渡しをしている、こういうことでございます。
  210. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 まだほかにもあるわけですね、その点はいかがでございますか。あるいはまた、加えて一緒に答えていただきたいのですが、サロンガ委員会の方に問い合わせて、どのくらいのものがあるというふうに御存じでございましょうか。
  211. 後藤利雄

    ○後藤(利)政府委員 先ほど申し上げましたマルコス文書のほかに、若干のページの文書で公表されてないのがあると聞いております。これは、アメリカの国務省及びソラーズ委員会の説明によりますれば全く私的に関連する文書でありまして、日本の企業等に関連する部分は全くないということで公表されておりませんので、私どもはこれは入手しておりません。  それから、先ほど先生もそれは全体の二〇%、要するにまだフィリピンに残っている文書がかなりあるのではないかということはよく言われておりますが、それがどの程度であるかということについては公表はされておりませんので、私どもは承知しておりません。
  212. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 残っている、ソラーズ議員が持っている文書にしましても、私は要求しておくべきではなかろうかと思うのですが、これはいかがでございましょうか。それからまた、今のサロンガ委員会の方で、聞いたところによりますと、数量はきちっとは言いませんでしたけれども、大変膨大なものがある、しかもよく保管されていたので驚いたということを言っておりましたけれども、その意味でも早くフィリピン政府に対しても、事実を解明するために必要な措置を講じられるのが私は大切だろうと思います。その点いかがでございますか。
  213. 後藤利雄

    ○後藤(利)政府委員 アメリカから入手しました文書につきましては、アメリカの国務省及び国会の方で、全く私的に関連する文書であって日本に関連するところはないということをはっきりと伝えておりますので、しかも公表されておりませんので、私どもは、これを入手するという必要はないのではないだろうかというのが立場でございます。  それからフィリピンにおきます文書につきましては、あるいは渡辺先生の方が御存じの部分があろうかと思いますが、まだ公表されておりませんし、かなりの部数であるために、フィリピン側においてもこれを整理するのに相当時間がかかるということを伝えられております。公表されますれば、私どもは逐次必要な部分についてはこれを入手したいと考えております。
  214. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 先ほどから、フィリピン側が発表したらとか必要性が起こったらというようなお話でございましたけれども、早く両国の間で法的な措置を講じて、そのような文書の請求であるとか参考人、証人といったものの招致、こちらの派遣、こういうふうなこともできるように、司法共助の取り決めというのは両国間で早くしておいた方がいいんじゃなかろうかと思いますけれども、これは大臣、いかがでございますか。要請がないと、しないという立場でございますか。むしろ、こちらから今からしておいた方がいいんじゃないかと思いますが。
  215. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 それについてまだ何も考えておりません。文書について、公表された部分について目下外務省として全力を挙げて解明に努めておりますし、関係の方々等も呼んでいろいろと事情も聴取しておるわけであります。  なお、フィリピン政府自体が結んだ契約でございますが、第一義的には、フィリピン政府が公表する、しないということはフィリピン政府が決める問題であろうと思いますし、日本政府としては、フィリピン政府が公表するということでないとこれを公表するという立場にはないわけでございますし、その辺のところは、これからのフィリピン政府の問題追及がどのようになるか、見きわめてまいらなければならぬと考えておるわけです。
  216. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣がおっしゃるのもわかりますけれども、しかし先ほども言われましたように、これは今大変デリケートな、クルーシアルな分水嶺みたいなところにある状態だということで、真相究明が急務だということに大臣もおっしゃったところであります。特に、私ども野党でございますから、これはちゃんと政府に言うべきだというふうには言いましたけれども、フィリピン側の方も事態を解明するために、日比の協力なしにはできぬのだということをはっきり我々にも言っておるわけであります。そうしますと、こちらの立場からしましても、両国政府の間、あるいは相手国の方には国会はありませんけれども国会としての立場、そういったものを明らかにしておいてやらないといけないのではなかろうか。  何しろ革命政権といいますか、でき上がったばかりの政府ですから、まだがたがたしておるように思います。そういった点で、一事が万事でございますけれども、何か相手が出てきてからとか何かを発表してからとかというような態勢では、大変に事態をおくらしてしまうことになりはせぬかということを懸念いたします。いま一度、その点を真剣に考えてみていただきたいと思います。特に向こうは、サロンガ委員会の人たちあるいはまた閣僚クラスの人たちをも派遣してもいいというような考え方も言っております。ですから外務省外務大臣の方から、むしろこういうふうにしたらどうだというような形を打ち出された方がいいと私は思いますけれども。いま一度……。
  217. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 フィリピン政府が公開しない資料の問題につきましては、私も実は一番初めは、この問題を解明するためには日本政府も早く入手しなければならぬし、場合によっては明らかにする必要もあるのじゃないか、簡単にそういうふうに思ったときもありました。また、実際これはそう極秘なものじゃないわけで、知る人はちゃんと知っているわけでありますから、日本政府がこれを明らかにしても、特別に問題はないのではないかというふうに思っておったわけですが、しかし、いろいろと検討してみますとなかなかそうはまいらぬ。やはり二国間の関係援助のそうした、向こうの政府が向こうの政府責任において企業との間で取り交わした契約等については、向こうの政府が第一義的に明らかにしない限りは、日本政府としてもどうにもならない問題である。  これは、その他の国でいろいろと援助をしておる国がありますが、その他の国では明らかにしておる国もあるわけです。それは日本政府としても問題ないわけですが、フィリピン政府の場合はフィリピン政府が公開ということにならないと、日本政府としてこれをみずからの手で、具体的にはもういろいろと出ておるわけでありますけれども、それを日本政府として認めることは二国間の立場からはどうしても困難である、難しいということでございます。  したがって、そうした今までの二国間の援助あり方、それから二国間の外交的な一つの信義といいますかそういう立場、そういう面から見て、フィリピン政府が公開に踏み切らないのに日本が踏み切ることは到底できないことであるということで、その辺は国会にも御理解をいただきたい、御容赦願いたいということで、今日まで答弁をいたしておる次第でございます。
  218. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 実を言いますと、これを真剣に考えていただきたいのは、向こうの方も真相を解明したい、特にマルコスの隠し財産を早く取り返したいというものがあるでしょう。ところが、いろいろな調査の中で、マルコスという人は大変賢い人だったとある人が言っておりましたけれども、幾つかのダミーをつくってありまして、お金なんかの流れがなかなかよくつかめないのだということを言っております。そういう意味でも、向こうの方も国際的な協力の中で早く取り返す、そのことを考えているようであります。そのためにも協力をしてやることが必要ではなかろうか。  私は、関連して一つ二つお聞きしますけれども、確かに向こうの円借の場合、プロジェクトが決まる、そうするとこれに対してOECF、海外経済協力基金の方からお金が行くわけでありますが、全部でなくてもいいです、例えばフィリピンの十一久借款の場合、たしか昭和五十八年からでございましょうか六百五十億五千万、このときに、主な計画、プロジェクトでよろしいから、一体だれが入札し、だれが落札しておりますか。規定によりますと、これは国際入札になっているはずなんですけれども、実際に何社ぐらいが入札に参加し、どこが落札しているのか。これをお聞きするのは、どうも日本の方が全部独占しているじゃないかという国際的な批判があるからでございます。そういう問題についての解明をしていただきたいので、お聞きいたします。
  219. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいまの委員の御質問は十一次円借款ということでございましたが、十一次の円借款も現在まだ工事を発注しないで、コンサルタント雇用の手続中等のものもございますものですから、便宜八二年、八三年という形で御覧間の趣旨にお答えするのが、数字としてはきちっとしているかと思われます。  フィリピンの場合は、一九七八年以降、一般アンタイド化を実施しておりまして、本体部分については原則として一般アンタイになっております。例外としては、プラントバージに関する特別円借款はタイドになっておりますけれども、年次円借款は一般アンタイドでございます。ただし、コンサルタントに関係する部分は、私どもLDCアンタイドと申しますが、日本及び開発途上国のみが調達適格という姿になっております。しかしながら、大部分は一般アンタイというのは委員御指摘のとおりであります。  八二年—八四年度、年度の契約承認ベースの累計で見ますと、我が国において調達されましたものが五三・八%、フィリピンも含みます我が国以外の国で調達されましたものが四六。二%ということになっております。
  220. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 これはパーセンテージですが、OECFを管轄しておられる経企庁の方、いらっしゃいますか。——社数はわかりますか。それから、会社の名前はわかりませんか。
  221. 小川修司

    ○小川説明員 今の受注企業の数あるいは企業名につきましては、先般来御答弁申し上げておりますとおり、向こうのフィリピン政府が行っている行為でございますので、それに対して私どもの方から申し上げることはできないのでございますが、十一次、十二次の案件が幾つかございますけれども、契約後に実際に入札に付したりということで今調達の契約まで至っている件数で申し上げますと、十一次が十三件、十二次が四件契約しておりまして、そのうち契約の件数で言いますと、十一次の場合は日本企業のとった件数が十件、その他が三件、十二次の場合は四件とも全部が、先ほども経済協力局長から御答弁ございましたようにコンサルタントの契約でございますが、日本企業でございます。
  222. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 重ねて経企庁の方にお尋ねいたしますが、こういうケースはありますか。未完成だけれども既にお金は払ってある、あるいは着手していないけれどももうお金を払ってしまったというようなケースはございますか。
  223. 小川修司

    ○小川説明員 基金の実際のお金の出し方でございますが、フィリピン政府と受注企業との間の契約が結ばれて、その契約に従いまして契約の履行がなされます。具体的には、工事の施行とか物品の納入ということがございますが、それが進むに従いましてお金を出すということになっておりますので、工事が進まないあるいは物品の納入が行われないときにお金を出すということはございません。
  224. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私は、後でぜひ会社名も、これは個人的にも教えてもらえませんか。
  225. 小川修司

    ○小川説明員 この関係については先ほど来の答弁のとおりでございまして、お話しするわけにいかないということでございます。
  226. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 なぜ出せないのか、明らかにできないのか。私はそこら辺だと思うので、もう一遍お聞きしたいのですが、いかがでございます、小川さんでしたね、理由は何でございますか。
  227. 小川修司

    ○小川説明員 海外経済協力基金はお金を貸している立場でございまして、契約の当事者はあくまでもフィリピン政府とそれの受注企業ということでございますので、お金を貸している基金という立場から企業の名前を申し上げることはできないということでございます。
  228. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 そこら辺を何とかしないと、真相解明に近づくことができないだろうと思います。  藤田さん、何か名前を出してはまずいことがあるのですか。私は、その会社の名誉のためにもむしろ出してあげた方がいいのじゃないか、そして、そのことによってあらぬ疑惑は解いたらいいし、ただすべきことはただすというところから始まるのではなかろうかと思うのです。この点、藤田さんのお考えはいかがでございますか。
  229. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 先ほど来御説明をいたしておりますけれども、我が国政府は先方政府と当該企業との間で結ばれております契約の当事者ではない。したがいまして、当事者でない者が公表するという立場にそもそもないということでございますし、それから日本政府として公表するというのはやはり一つの公的な行為でございますので、その公的な行為をとる責任を負う立場にないということがお答えになるかと存じます。
  230. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 押し問答していてもどうにもなりませんので、これはまた別の機会にと思いますが、私申し上げているのは、真相解明というものをやっていかないと、国民感情としても援助全体を何か疑惑の目で見てしまうのではなかろうか、あるいはまた企業体にいたしましても、そのような目で見られてしまったら気の毒な場合があるであろう、こういうことを考えるからでございます。特にまた、内政干渉になるからということやら、これが他国に及ぶからというような懸念をあるいはお持ちかもわかりませんけれども、いい機会だから援助あり方について見直しをしようというふうな意欲を持っておられる大臣であります、大臣がそう言っておられる。であるならば、私はまずそういうところから始めていただきたい。  確かに、いろいろなところでチェックポイントをしておられまして、経済協力のあり方について特に汚職やら腐敗にこれがなってはならぬということでチェックをしておられる、チェックポイントはある。あるけれども一番肝心なところで、契約が相手の国と企業との間だからというところで、そこだけは聖域のように触れられないということになってしまいますと、実際のところこれはチェックポイントの機能を果たしてないことになりはしないだろうか。大臣、どうでございますか、どのようにお考えでございますか。そこのところが一番大事なところだと思うのです。
  231. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 その辺のところは、おっしゃるように非常に大事なところだと思います。今後援助を進めていく上において、日本政府としても十分考えていかなければならぬポイントじゃないか。  それではこれをどういうふうに改善するかということは、相手もあるわけでございますから、その辺がこれから研究をしていかなければならぬと思います。交換公文等の形をどういうふうにするかということも一つの点でしょうし、基金の具体的な契約の問題もあるでしょう。あるいはまた、外務省として援助を進める場合においては後の評価が非常に大事だ。評価の点においては相当改善できると思っておりますが、今肝心のその点についてはどうしたらいいか。やはり相手の国の立場もありますから、その辺のところを踏まえながら、日比関係については日比間でいろいろと話し合う必要も今後出てくるのではないかと思います。
  232. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私は、その点前向きに取り組んでいただきたいということだけ要望して、この場は終わりたいと思います。  次の問題にいきたいと思いますが、今度はこれからの援助の中身であります。  評価委員会ということをおっしゃいました。外務大臣がODA評価委員会をつくっておられる、これは大変立派なことだと思いますが、少なくともこれを機会にこれからの援助あり方を見直すという立場には、向こうからの要請ベースということで全部受けるのじゃなくて、こういういい計画があるというなら官民の立場で何かタスクフォースをつくり、向こうにもつくってもらう、それを検討し合う。あるいは、あるプロジェクトはむだなことであるということで、むしろノーならノーとはっきりと言ったらよろしいと思いますし、長期的にはこれの方がプラスだということを考えてあげるというような作業が必要であろうと思います。  事後の評価だけではなくて計画段階から、これを業界に任じたりあるいは一部の人に任せるだけではなくて、官民でともに少なくともそういうタスクフォースみたいなものを合同でつくる、そして協議し合う、プランをつくるというような段階で進めていくことを提案いたします。  それは別に、全部に適用するということを今早急に言うわけではなくて、フィリピン政府側の方が今求めている状態だと私は思います。この問題は個人的に提案しましたときに、先方は、アキノさんもラウレルさんも他の閣僚の方々も、ぜひそれはやってほしいということを言っていたくらいでありますから、思い切っておやりになったらいいんじゃなかろうか。終わってから後の評価ということでなくて、事前から計画を立案され令ことが重要だろうと思います。その点、いかがでございましょう。余り時間もありませんが、これは大臣にお聞きすべきだろうと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  233. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 渡辺さんが提案された点については、私たちもよく承知をしておりますが、援助については日本援助やり方は、相手の国の要請に基づいてやるという基本方針を持っておりますし、今後ともこの方向というものは変えることはできないのではないか。  ただ、今までもそうですが、要請があったものをすべて受けておるわけではありませんで、要請があって両国間でいろいろと協議をして、そういう中で両国で選択をして、両国の合意に達したものから始めている、こういう形をとっているわけでございますし、終わってからまた評価もそれなりに行っておる。そういうことで、ただ向こうの要請があったから、それを頭から順番でやっておるというだけではないわけでございます。  しかし、こうした問題も起こったわけでございますし、今後日比間でいろいろとこれからの援助日本が進める場合においては、十分政府間の話を詰めて協議を行って、そして両国が完全に合意に達した案件から援助を進めるという形に持っていきたい、こういうふうに思います。
  234. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣の諮問機関であるODA実施効率化研究会の中にも、提言として出ているのですね。要請主義というのは見直そうということ、その点はぜひ、この提言にあるように進めていただきたいと思います。  なお私は、時間がありませんから簡単にお聞きしますけれども、タイの政府で昨年ピチャイ副首相が中心になって作成したと言われるタイと日本経済構造白書、これが出ておりました。これは端的に言えば、今までの日本との関係というものに対する見直しがタイ側で始まった、援助の見直してあります。これについての評価、これは藤田さんからでも簡単にちょっと言っていただいて、後でどなたからでもこれはどのように受けとめておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  235. 後藤利雄

    ○後藤(利)政府委員 昨年タイから発表いたしました、ただいま御指摘の、いわゆる日本・タイ経済関係構造調整白書でございますが、これは御案内のように、日本との経済関係を貿易、投資及び経済技術協力の三つの分野にわたって分析して、構造調整を行っていく上の基本方針にしたいということでつくり上げたのでございます。  私どもも、タイ側が我が国との貿易問題を取り組むに当たって、単に短期的ではなくて中長期的にわたり、かつ、構造的な視野に立って対応を検討していくという姿勢を、この白書を拝見いたしまして基本的に歓迎し、評価しておるわけでございます。かかる観点から、同白書で提起されております諸点全般につきまして、昨年十二月、日本とタイの両国政府間で意見の交換を行ったのも御案内のとおりでございます。  右意見交換を通じまして、両国間の今後の経済関係、広い分野での経済関係あり方というものについて、タイ側はもちろんのことですが、私どもも非常に理解を深め得たと思っておりますので、この白書及びそういう意見を通じまして、日本とタイの関係というものを中長期的に今後とも検討する、あるいは参考にしていきたい、かように考えております。
  236. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 つまり、端的に言ったらタイの方は、今までの、日本側がこれの方がいいよというような形で、要請主義といいながら実際いろいろ押しつけてくるような援助でなくて、輸出に役立つようなもの、経済自立に役立つようなものに転換させていく、そのような援助であってほしいということを要請したというふうに理解しますが、よろしいですか。
  237. 後藤利雄

    ○後藤(利)政府委員 援助関係では、日本の今までの援助というものを高く評価しているという点が、その白書の中の第一点でございます。これにつきまして第二点は、タイ側においても、案件の選択とか優先順位の決定において一タイの中の組織的な援助要請計画策定に若干欠陥があったことは認めておりますので、その点はタイ自身がこれから改善していきたいということを言っております。それを踏まえまして、日本側においてそれを十分尊重してほしいということをその白書の中で言っております。それからさらに、やはり輸出の分野に役に立つような経済協力というものも求めたい、かように言っておると思います。
  238. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いろいろたくさんお聞きしたいのですが、時間がなくなってしまったので、最後外務大臣にお聞きしまして、質問を終わりたいと思います。  それは、ASEANの外相会議サミットを前にしてインドネシアで開かれる。そしてまた、ASEANの国々で恐らくいろいろな共通問題があろうと思います。例えば累積債務の問題、特に日本からの借款を受けているところは、返すのが大変難しくなってきたという悩みも共通でございましょう。あるいは、第一次産品の値下がりの問題もありましょう。しかし同時に、もう一つ大事な政治問題があります。いわゆるカンボジア問題であります。  カンボジア問題については、私はびっくりしたのですが、難民問題でマレーシアもまだ頭を抱えておりました。タイに行きましたら、プレムさん初め閣僚の人たちがみんな難民問題に触れました。タイの国内には、難民と避難民と両方合わせて三十万とも、四十万近い数を言っておりましたけれども、出てきている。こういう問題が経済、民生に対する大変な重圧にもなっている。その解決策というのは、カンボジア問題の政治的解決しかないのではないか。三月十七日に北京において、三派、いわゆる民主カンボジアが発表いたしました新しい提案であります。そして、二段階のベトナム側のカンボジアからの撤退、それからまた、ヘン・サムリンを含めた四派連合政権の樹立という新しい提案が行われました。  日本政府として、サミットの際に、我々もアジアの一国でございますから、そういう問題を聞かれたときに、我々のスタンスは何だ、そしてまた、ASEANの国々に対する我々の基本的姿勢はどういうことだということの場合に、大臣はどのような姿勢でこれに臨んでいかれようとしておられるのか、四派連合政権樹立というような新しい提案に対するお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  239. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 難民がタイ、マレーシアでふえつつあるということは、我々も非常に心配をいたしております。私も、難民の地域を視察もいたしました。胸の痛む思いもいたしたわけであります。日本政府としましても、難民に対する援助、これは相当思い切って今行っておるわけでございますが、これは今後とも続けたい、こういうふうに思います。  しかし、何といいましても難民問題を解決するには、その基本であるカンボジア問題を解決しなければならないわけでございまして、カンボジア問題の解決のためには、ベトナム軍の撤退とカンボジア人の民族自決の実現とを柱とする包括的政治解決が不可欠である。ベトナムは、表面的には柔軟な姿勢を示しながらも、基本的にはカンボジア情勢の既成事実を図るとの姿勢を変えておらないわけで、問題は長期化しているわけでございます。  我が国としては、立場を同じくしておりますASEAN諸国の政治的解決を目指す努力を支持してきております。また、同様の観点から、三月十七日民主カンボジア連合政府は、具体的な和平のため初めての包括的政治解決案として八項目の提案を行ったわけでございますが、我が国としては同政府のかかる対応を高く評価しておる、これが我が国基本的な姿勢でございます。
  240. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 ただいまお聞きをいたしました。改めてまたの機会に、いろいろと掘り下げた議論をさせていただきたいと思います。  時間を超過いたしましたことをおわび申し上げます。また、御協力ありがとうございました。
  241. 北川石松

    北川委員長 次に、岡崎万寿秀君。
  242. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 本日の委員会は、フィリピンマルコス疑惑そして日本の対外経済援助問題等について、集中的に質疑が交わされました。私、ずっと注意深く聞いてまいりましたが、どうもすっきりしない点が幾つかございます。端的にお聞きしたいと思うのです。  マルコス疑惑解明する第一歩というのは、円借款に基づく事業の日本受注企業名を明らかにすることだと思いますし、きょうもそのような指摘が幾つかありました。政府側の答弁を聞きますと、第一義的には契約を結んだフィリピン政府にあるし、ここが発表しないものを当事国でもない日本が一方的に発表するわけにはいかない、そういう御答弁だったように思うのです。  しかし、安倍さんも三月二十九日の参議院予算委員会で、受注企業のリストについては、私もこれは当然出したっていいんじゃないかと思うと答弁されておりますし、きょうの先ほどの御答弁でも、今後話し合う必要が出てくると思う、こういうふうにも言われました。一方、アキノ政権の方も、このマルコスの不正蓄財問題については日本政府の協力を期待すると言っていますし、またラウレル副大統領も、日本政府が必要とすれば資料を引き渡す用意があるとまで協力的な姿勢を表明しているわけでございます。  そうしますと、双方ともそれほどの隔たりがあるわけじゃないし、日本の受注企業リストの発表について、相手待ちではなくて、フィリピン政府日本の方から話を持ちかけてでもやるべきじゃないか、もうその段階が来ているのじゃないか、今後じゃなくて今やるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  243. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 今、三点おっしゃったかと思います。  第一点の、受注企業名を明らかにすることから始めたらどうかという御質問でございますが、これは今まで繰り返して申し上げておりますように、政府としては契約の当事者でないのでそういう立場にはないということでございます。  それから第二番目の、日本側に協力を求めたいというアキノ大統領の発言があるかどうかという御質問でございますが、これは、フィリピン側が事態解明努力をしておられる過程におきまして、我が国政府に何らかの協力依頼をしてこられました場合には、その依頼の内容を検討して適切な対処を行うというのが、従来政府が御答弁申し上げている立場でございます。  第三番目の、資料の引き渡しを先方に要求すべきではないかという御覧間でございます。公開資料の分析を行っているのが現在の状況でございまして、先方の政府に対して何らかの要望をいたします場合には、いかなる根拠で、どういう目的で、いかなる資料を要求するのか、その際先方から言われることあるべき条件に対しては、どういう態度をとるのかということをきちんと詰めた形で行うべきものと考えます。そのような資料要求をするつもりはないというのが現在のところでございます。
  244. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 藤田さん、少し勘違いされた答弁なすったと思うのです。私は三点聞いたんしゃない、最後の一点についてお聞きしたんです。つまり、安倍外相も、受注企業名については当然出したっていいんじゃないかという答弁をされていましたし、今後話し合う必要が出てくると思うというふうに述べていらっしゃるわけですね。また、フィリピン側の方も協力的な態度なんですよ。だったら、相手持ちじゃなくて、日本の方からこの問題について話し合いを持ちかけたらどうか、話し合いをしたらどうかということを質問しているわけなんで、そこを端的にお答え願いたいと思うのです。
  245. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、確かに私は予算委員会でそういうことを言いましたが、それはちょっと後が抜けているわけですね。私は初め、問題を解明するためには企業名を明らかにしたっていいじゃないか、別に不都合はないし、それが明らかになればいいんじゃないかと簡単に思っておったこともありますけれども、しかし、やはりいろいろと調べてみますと、二カ国間の問題ですし、フィリピン政府自体の問題で、フィリピン政府が公開していないというのがわかったものですから、公開していないものを日本政府が一方的に発表することは、それも公式の場で発表することは到底二国間の問題としてできない、こういうことで、これはひとつ御容赦いただきたいということを申し続けて今日に至っておるわけであります。  それから今、それでは日本から要求したらいいじゃないかというお話でございますが、これはもう先ほどから申し上げましたように、フィリピン政府自体が明らかにするかどうかというのは御決定になるわけでございまして、日本がこれに対して今申し上げるという立場にはないというのが、私の基本的な考え方であります。しかし、今後援助をどうするかといった問題については、これはフィリピン政府との間でいろいろと話をしていかなきゃならぬ、これは当然そうだと思っております。
  246. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 御承知だと思いますけれども、一九七八年の四月五日当委員会は、全会一致で対外経済協力に対する決議を行っています。この中では、「その実施に当っては、不正の疑惑を招くことのないよう十分配慮すること。」ということが明記されているわけですね。この立場に立っても、現に今不正疑惑が起こっているわけなんです。当委員会での全会一致の決議の線に立って、大臣、私が言っているのは決して無理なことを言っているわけじゃなくて、一方的に発表せよと言っているわけでもないのです。政府アキノ政権に対して、アキノ政権もこの問題については協力的で前向きな姿勢をとっていますので、日本の受注企業名を明らかにするよう話を持ちかけてはどうか、協議してはどうか、そのことを言っているわけなんです。このことが、この国会決議に対する最低の義務ではないかというふうに思いますが、そう思いませんか、大臣。どうでしょう。
  247. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはもう私が前々から答弁しているようなことでありまして、その考え方は今も変わりません。
  248. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 きょうずっと私聞いていまして、そこがよくわからないし、皆さんもそこが納得できないという点なんですよね。向こうも協力すると言っているし、決して拒否しているわけじゃないのです。なぜ、話を持ちかけようとしないのか。企業名を明らかにされたからといって、そのこと自身が不正というわけではないのですから、この時点でははっきりと日本政府フィリピン政府に対して、不正疑惑解明するために受注企業名を明らかにしようじゃないか、そういう協議をする姿勢もないのですか。その点をお聞きしたいのです。協議ぐらいはしたっていいんじゃないですか。なぜしないのか、どうも不思議なんですよ。
  249. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 この問題については、これはフィリピン政府が第一義的に公開するかどうかということについては御判断なさる問題であって、それを受けて日本政府が公開ということになればこれは公開ができるわけでございますから、あくまでもフィリピン政府の問題であろう、こういうふうに思います。
  250. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 疑惑日本でも起こっていますし、日本でもこの問題についての国会決議があるわけなんですね。そのときに、どうしてフィリピン政府がやらない限りはうちは何にもしない、座して待つという態度なのか、話を持ちかけてもいいんじゃないかというのは国民の常識じゃないかというふうに思えるのです。何でフィリピンがやらなかったらやらないのか、一方的に日本から発表するのじゃなくて、やるように協議をしたらどうか、そういうことを言っているんですよ。それもどうしてもできないというのは、これは私だけじゃないと思うのです、聞いている方みんな納得いかないと思うのですよ。大臣、そう思いませんか。
  251. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、これまで答弁したとおりです。
  252. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 そういうところに、政府のこの問題に対する大変遺憾な姿勢があるというふうに私は思います。同じ繰り返しになると思いますので、次の三宅島のNLP問題について質問したいと思うのです。  私ども、三月二十一日、二十二日、三宅島の現地で対話集会を開きまして、自民党の集会を上回る多数の方が参加なさいました。そこで私どもが痛感したのは、そしてまた島民の方々が真剣に訴えられたのは、島民は政府や防衛施設庁のやろうとしていること、言いたいことはよく知っている、決して私たちは誤解はしていない、誤解をしているのはむしろ政府の方じゃないか、そういうことを政府や施設庁に伝えてほしいということでした。  これは島民だけの意見ではなくて、朝日新聞の三月十一日付の主張でございますが、「飛行場建設反対は村民の生き方に深く根ざしていることを、政府・自民党関係者はもっと理解する必要があろう。」こういうふうに言っていますが、こういう島民の、みずからの足で平和で緑に満ちた島をつくっていこう、そういう生き方に根差した絶対反対の気持ちを理解されていないのは、誤解しているのはむしろ政府じゃないか、私自身もそう思うわけです。  そこで、自民党も政府も施設庁も今盛んに説明会を開かせてほしい、そういうふうに言われていますけれども、私どもも、施設庁の方も自民党の方も何をどうしようかということについてはもう随分説明されているし、それは島民はよく知っているのです。知った上で絶対反対なんですね。これ以上何を説明なさろうというのか、この点をお聞きしたいと思うのです。
  253. 平晃

    ○平政府委員 お答えいたします。  まず、現地説明会という言葉でございますけれども、これは地元の方々には大変誤解を与えているようでございます。と申しますのは、私ども気がつきませんでしたけれども、地元では、説明会というのは強制収用の第一段階の手続である、したがって説明を聞けばそれ以後どんどんと手続が進められてしまうんだ、最後まで説明は拒否すべきであるといううわさが流布されている。それを聞きまして、私ども大変残念に思っているわけでございますけれども、私どもが考えていますのは、島の方々との質疑応答といいますか、対話集会で島の方々の疑問、いろいろ誤解があると申し上げました、それは後でまた申し上げますけれども、そういう心配されていること、あるいはまた島の将来のためにどうしてほしいのか、いろいろな腹を割った話をひざを交えてお話し合いをしてみたいということでございます。一つの形式を踏むということではございません、実質的に島の方々のお気持ちをじかに知りたいということでございます。  それから、誤解は何もないはずだとおっしゃいましたけれども、二月十五日、自民党の政調会長以下が島に行かれた際に私も島に参りました。それで私は二晩泊まりまして、一部の方々と懇談いたしましたけれども、そのとき私は非常にびっくりしたのでございますけれども、先生も御存じのとおり、島で非常に強く反対されている方々、御婦人方が大変反対が強い。自民党の議員団が行かれたときも、沿道で手を振り上げて反対を叫んでおられたのは御婦人がほとんどであったということで、私、本当にあの方々は何が心配で、また何を拒否されて反対されているのだろうかということをお聞きしたわけでございます。そうしましたら、米軍の基地ができると島の婦女子は暴行されるのだ、風紀が乱れる、島の道路も交通違反、交通事故が起こるし、婦女子にとって大変な問題が起こるのだと言われますので、私びっくりいたしまして、そういうことを本当に信じておられるのでしょうかと聞きましたら、本当に信じているんだというお話でございました。  一つ例に挙げますとそういうことでございますけれども、そのほか具体的な例を申し上げますと、訓練場ができると高じゅうに騒音がばらまかれる。例えば、賛成されている方々も条件として出された中に、高じゅう防音工事をしてもらいたい、こういう要望が出ております。私、これもびっくりしたわけでございますけれども、厚木の騒音コンターを島に当てはめてみましても阿古地区に限定されます。阿古地区も、住宅防音をしなければならぬような対象地区はごく一部であるというように考えておりますけれども、島では、島じゅうが騒音のるつぼに化すんだ。それから、島じゅうが墜落の危険にされされる。これも、私どもが訓練場を今の予定地に考えているところにつくった場合には旋回コースを海にとりますので、住民地域の上を飛ぶことは一切考えておりません。したがって、万一航空機事故が起こるというようなことがあっても、民家に落ちるというようなことは考えられないわけでございます。  まだまだたくさんございます。非常に誤解が多い、しかもそれを信じ込んでおられるということで、誤解があるならば、国にとってこれだけ大変重要な施策でございますから、そのような御心配があって反対されているならば、ぜひその誤解を解きたいということで、説明の機会を与えていただきたいという申し入れをしているわけでございます。
  254. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 施設庁の方はこの機会に随分PRなさりたいでしょうけれども、短時間でございますので簡潔に答弁を願いたいと思うのです。  今お話を聞いても、誤解しているのは施設庁の方ですよ。婦女子が暴行を受けるなんて考えている人はいませんよ。それから、説明会をやればそれは強制収用の第一段階なんて考えでいる人はいません。もっと冷静だし、もっとよく勉強しています。それを知らないあなた方自身が、不勉強だというふうに思います。それで、説明会で何を説明したいかといえば対話集会をやりたい、質疑に答えたい。私は、せんだって予算委員会でいろいう質問をしました。農業の問題、漁業の問題、観光業の問題、それらについて、国権の最高機関であるはずの国会でさえもほとんどまともな答弁をなさらないじゃありませんか、これからでないとわからないということで。そんなぐあいで質疑応答をしたって、ほとんど島民の知っているぐらいのこと以上には出ないのですね。説明会をやりたいというのは、ねらいは基地建設にあるのでしょう、NLP基地ですよね。説明会をやったからといって、それで終わるわけじゃないわけでしょう。説明会をやった後で何をなさろうと考えておいでになるのですか。簡単にお願いします。説明会で終わるわけじゃないでしょう。問題はその役なんですよ。
  255. 平晃

    ○平政府委員 私ども、ぜひ三宅島に艦載機の訓練場をつくらせていただきたいと考えております。この希望を実現するために、誤解で反対されている方が大変多いという、先生は今そういうことはないとおっしゃいましたけれども、私が直接話し合った人も、実は私もびっくりしました、ある村会議員、しかも反対派の方ではない方が、私もそう思っておりました、説明会が第一段階の手続だと思っておりました、こうはっきり言っておられます。それから反対派の、名前は具体的に申し上げませんけれども、どなたも知っておる幹部の方ですけれども、この方があちこちでお話ししている、それから紙に書かれたものについても、説明会は強制収用の第一歩であるとはっきり述べておられるわけです。ですから、誤解がないということは絶対ないというふうに私考えております。それで、そういう誤解がなくてすべて本当の話を理解した上で、冷静に考えていただければまた別の意見も出てくるのじゃなかろうか、そういうことに期待しているわけでございます。
  256. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 全然質問に答えていませんけれども、少なくともNLP基地化への第一歩であることは間違いないと思うのですよ。質疑その他をやりたいと言うのですけれども、そのねらいははっきり基地化にありますので、そういう実績づくりには反対だという島民の意思は当然だというふうに思うのです。  話を進めまして、NLP問題、せんだって来日されたワインバーガー米国防長官は死活の問題だというふうに言われました。それほどの重要性を持っている日米間の約束のようです。しかし、これは一九七三年十月にミッドウェー空母が横須賀を母港化する際にはほとんど論議されていない、国民には説明されていないということを、私は当時の資料を見て驚いたわけです。単に乗組員の家族が居住するだけだという説明に終始しているわけです。今と同じように、大したことはありませんという話なんですよ。この当時、NLP問題でどういうふうに対処なすったのか、その点、これは外務省でしょう、お答え願います。
  257. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十八年、空母ミッドウェーの乗組員家族が横須賀に居住するという当時でございますけれども、政府としては、米軍の活動に伴って生じる周辺住民に対する影響を最小限にとどめるため、ミッドウェーの艦載機の訓練などの飛行に伴う騒音軽減のための対策を含めて、アメリカ側と協議するということで対処しているわけでございます。
  258. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 NLPでございますから、どこでやるかということなんですよ。当時は、主として三沢及び岩国でやるというふうになっていましたね。このように了解されたと思いますけれども、どうですか。
  259. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 当時厚木につきましても、政府アメリカ当局との間でミッドウェーの乗組員家族の横須賀居住に伴いまして、可能な限り騒音を軽減しようという観点から、騒音規制措置の遵守とかあるいは不必要な夜間飛行の自粛、それから安全対策の徹底など累次話をしたわけでございます。その後、委員御指摘のように、主として岩国それから三沢でNLPが行われてきているということはございます。
  260. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 今言われたように、主として三沢及び岩国でやってきた、それは米軍が了解しての上のことでしょう。横須賀の母港化の際に米軍は、NLP訓練は主として三沢及び岩国でやるということを了解の上でやっているわけでしょう。
  261. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 実際問題として、主としてNLPが三沢それから岩国で行われてきたということでございますけれども、空母ミッドウェーのいわゆる母港化、乗組員家族の横須賀居住に伴いまして想定しておりましたことは、厚木その他につきましてNLPが行われるということでございまして、厚木につきましては先ほど申し述べましたように、アメリカとの間で騒音規制措置等について話し合いを当時から行ってきた次第でございます。
  262. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 厚木についてはそうじゃないのですよ。私はそのときの、昭和四十八年十月六日付の神奈川新聞を持ってきましたけれども、神奈川の津田知事自身が談話として述べられているわけです。これは、ミッドウェーの母港化の問題についてロジャース在日米軍司令官と会談したときのあれとして、「同飛行場では着艦訓練をしないことを再度確認している。」このような談話を述べられているわけです。また、同じく十月五日付の神奈川新聞にも載っていますけれども、県議会で県の八木渉外部長が「改めて確認をとったところ、厚木飛行場での着艦訓練は行わないとの言質をとった。」はっきり述べているわけです。当時政府は、こういうことについては聴取していなかったのですか。
  263. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 NLPをどこでやるかにつきまして、日米間で特に合意とかそういうものは存在してないわけでございまして、アメリカが事実上その後三沢それから岩国というところで行ってきたということでございます。
  264. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 事実上主として三沢そして岩国でやってきた、しかし厚木については、やらないという保証はなかったということなんですね。しかし、現実にやらないということを県知事にも米軍司令官が言明しているわけだし、県議会でもそのことが明らかになっているわけです。その事実を外務省は知らなかったのですか。
  265. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 厚木は、御存じのとおり人口稠密でございますし、できることならば厚木であるよりはほかのより人口の希薄と申しますか、周辺住民に対する影響が比較的少ない場所でNLPが行われることが望ましいことは、言うまでもないことでございます。先ほど申し述べましたように、ミッドウェーがいわゆる母港化を行いました昭和四十八年当時から、厚木につきましていろいろと騒音対策等についてアメリカ側に申し入れを行ったわけでございまして、そういう状況を勘案しながら、アメリカが自発的に本格的には厚木でNLPをやらなかったという事情が存在していることは、外務省も十分その事実は存じております。
  266. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 米軍は自発的にそして本格的にやらなかったということ、そのことを承知していて、県知事等が述べているようにやらないという確認についてははっきりおっしゃらないわけです。しかし、その米軍が一九八二年二月から厚木でNLPを始めたわけなんですね。この実施に当たっては外務省の方に連絡がありましたか、それとも勝手に無断で強行したのですか。
  267. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 連絡があったと承知しております。
  268. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 少なくとも知事にはやらないという約束をしていますし、自発的にやっていなかったわけですから、ああいう人口密集地域でやることについては、住民に与える被害は人なんです。そういう点で、連絡があった場合に遺憾の意ないしはやめてくれ、そういう抗議の意思表示なり中止の申し入れなりなさいましたか。
  269. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 NLPは、御存じのとおりミッドウェーにとりましては、まさにその機能を維持していく上で死活的な重要性を持っておるわけでございます。八〇年代に入りましてアメリカは、特にその抑止力の維持向上のために努力を強化したわけでございますが、その関連で米軍部隊の即応性の改善ということに重点が置かれたことは、累次の八〇年代に入りましての国防報告でも明確になっておる点でございます。  その観点から、空母艦載機のパイロットの練度の向上ということが、即応性の強化のために一層重要性が増してきたということがあるわけでございます。さらに、そのような状況におきまして、三沢、岩国において主として実施されてきたNLPがより高度の練度を維持するためには、天候条件や燃料費の問題もございますので、今度は厚木の方でやらなければいけないという状況が生まれたわけでございます。このような状況につきましては、厚木基地を施設区域として基地提供しております我が国が国政府といたしましては、日米安保条約の円滑な運営の観点から、厚木基地においてNLPが行われることを認めるということが必要であるわけでございます。  他方、先ほど申しましたように、厚木基地は人口稠密な地帯でございますので、艦載機のパイロットの訓練を行うに当たりましては、騒音による影響を最小限にとどめるべきであるとか、厚木の訓練への集中を避けて可能な限り分散することだとか、夜間遅い訓練の自粛とか、あるいは騒音の低い機種の使用、土曜、祝日の訓練自粛等々、いろいろな側面からの周辺住民に対する影響を最小限にするという申し入れを米側に対して行った次第でございます。
  270. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 横須賀は首都圏の入り日なんですね。人口、その周辺だけでも三千万住んでいるところなんですよ。ここにミッドウェーの母港をつくるとなれば、当然NLP問題が起こってくる。これが首都圏に、もしその周辺につくるとなれば、そのことを当時からはっきりと国民に説明をし、そして国民の大方の理解のもとにやるべきだったと思うのです。この問題は、ほとんど当時は諮られていない。そして、自発的というふうに言われましたけれども、三沢そして岩国でやった。それが突如として厚木に持ってきて、即応性の向上ということについて了解したという話なんですけれども、こういうのはまことに卑屈ではないかというふうに思うのですね。米軍の言いなりになって、厚木の住民は今騒音で本当に苦しんでいる。そして、そこを解決するためと言って、また三宅島に強引に持っていこうとしているわけですけれども、もともとこれは、首都圏にこういう米空母の母港をつくったこと自身に大きな問題があったように思うのです。  これは、先ほど紹介しました朝日の三月十一日付の社説でさえもこのように言っています。「首都圏にある横須賀基地などの基地機能強化は相当な無理を伴うことを、米側に主張する場面があっていいのではないか。」これは、安保条約に賛成の方も反対の人も、やはり同じように共通の考えであろうというふうに思うのです。こうした米空母の母港というのはギリシャも断って、世界日本だけでしょう。こういうところに無理があるわけなんで、それをどうしても三宅島に基地をつくれと言っているのは、これは大変無理難題だというふうに思うのです。  私は、外相、結論はもう変わってないと思いますけれども、こういう問題については、住民が圧倒的に反対していますので、やはりここでは母港化自身について再度考え直してみる、首都圏にこういうのを置いておくこと自身に非常に大きな問題がありますので、そういうこと自身も根源に立ち返って考えてみる必要があるのじゃないか、そのことについていかがお考えでしょうか。
  271. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 事実関係を御説明いたしたいと思うのでございますけれども、首都圏すなわち人口稿密な地域でNLPを行うということが、できることなら望ましくないということはそのとおりでございますので、先ほど来御説明申し上げておりますように、昭和四十八年以来日本側のいろいろな要求をアメリカ側も勘案しつつ、三沢等でNLPをやってきたというのがその歴史でございます。決して、アメリカの言いなりになっているということではございません。  それから、五十七年に厚木でNLPを行わざるを得ないという事情は先ほど申し述べたとおりでありますが、厚木がまさに人口稠密地域であるがゆえに、翌年から厚木の代替地を探したわけでございます。その探した結果、最も適当と思われるのがまさに三宅島ということでございますので、今御指摘のように首都圏、稠密なところをできるだけ避けていく、しかも安保条約の実施を円滑にしていくということが、政府に与えられた課題であるというふうに存じておる次第でございます。
  272. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本の平和と安全を守るために日米安保条約を誠実に履行するというのが、日本責任であろうと思います。
  273. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 誠実に履行する上でも、やはり人口密集地の首都圏に母港を置くべきではないということを強調して、私の質問を終わります。
  274. 北川石松

    北川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時散会