○
田中(美)
委員 それでは、
日本の
皮革や
革靴の
産業が
アメリカに
被害を与えていないにもかかわらず、そのことを何も言わないで
歴史的、社会的、地域的だとか
我が国は苦しいだとか、こういうふうにまるで哀願するような
交渉をしているのでは、
説得にならないというふうに私は思います。やはり革の問題、
革靴の問題というのは、
アメリカの
産業には全く何ら打撃を与えていないということがこの
国会でも明らかになっているわけです。そうならば、
被害を与えられていないものが
ガット二十三条の一項で
提訴すること自体が間違っているではないか、この点でしっかりとやらなかったというところに、今度のようなこういう押せ押せの
文書がつくられてしまった、
合意書がつくられてしまったのだ、一体
日本の
外交はどうなっているのだというふうに私は思います。
これについては、
全日本家内労働組合の
方たちや、また全
解連の皆さん、それから
東京靴工組合の
委員長をしていらっしゃいます
木島初雄さん、こういう
方たちの御意見を聞きましたら、
日本は
歴史的、社会的、地域的というような言い方をしているのは、これは
同和のことを考えているのではないか。
日本にはこうした特殊な地域があり、特殊な
歴史的、
社会的背景があるから、これを助けてくれというような形で
交渉をしているのではないか。これは認識を間違っているのではないか。
現状は決してそうなってはいないのだ。
日本の
産業が
アメリカの
皮革、
革靴の
産業を何ら害してはいないのだ。ここでなぜ堂々と闘わないのだ。それを変な、
同和のような
日本の特殊な
関係がある、もう二十一世紀には
同和の差別もなくなるというような運動が展開されている中に、またこの
業者の中を見ましても実際はそうはなっていないのですね、それをそのような哀願するような
交渉をしたのでは、
アメリカの不当な
提訴——被害を受けていないのに
提訴しているのですから、ここで闘わなかったということは第一の
ボタンをかけ違えた。
第一の
ボタンをかけ違えたから第二の
ボタンのところでは、もはやこれは二十章条の一項ではなくて十一条でもってやられれば、十一条はこれは
輸入制限をしてはならないということになっているわけですから、
ガットで
違反になるということも理論的には納得いくわけなんですね。そこでやるべきところに
努力をしていなかったということが、今度のような全くひどい結果になったのではないかと思います。この点を
安倍外相からお聞きしたいのですが、たびたび立っていただくのはお気の毒ですから、二つまとめてやりますので、この点をひとつ
お答えいただきたいと思います。
最初の
ボタンをかけ違えたために、結局十一条
違反という形で
日本が一方的に悪者にされてしまった、一方的に
ガット違反ということにされてしまった。その
交渉の場で、
違反という中で
交渉すれば、
向こうの
土俵の中で
交渉しているわけですね。ですから三百一条をちらつかせて、ほかのものも全部今度は
自分の方が、
日本は十一条
違反だと言いながら
アメリカの方が十一条
違反をやるぞ、やるぞ、やるぞとおどかす。
向こうの
土俵に乗っていますから、こっちはおどかされっ放しということではないでしょうか。だから、この
文書ができたときに
ヤイター発言の中身を見てみますと、三百一条を出したことが非常に効果があったというようなことを言っているわけですね。これは私は許されない、本当に
日本の
外交の失敗ではないかというふうに思うわけです。
それで、もう
一つの問題ですけれども、これは読売
新聞に
報道されていたのですが、一次
関税の
割り当てが、この
合意が済んだ後、この
合意以外に、毎年一〇%ずつ五年間にわたって拡大していくんだというようなことが書かれております。今でさえ
韓国や
台湾から安い靴が入ってくれば、
日本の
業者が何にも
アメリカに貢献もするわけじゃない、
アメリカに
被害を与えていない、こんなことをされたからといって
アメリカはよくなるわけじゃない、
日本だけが
韓国や
台湾からやられるのじゃないか、こういうふうな状態に追い込んでいきながら、またこれを一〇%ずつ五年間にわたってやっていくというようなことが
新聞に
報道されている、これは事実なんでしょうか。この二つの点を
外務大臣に
お答えを願います。
あとは結構です。