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1986-03-24 第104回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十四日(月曜日)     午後二時開議 出席委員   委員長 北川 石松君    理事 奥田 敬和君 理事 西山敬次郎君    理事 村田敬次郎君 理事 玉城 栄一君       臼井日出男君    大塚 雄司君       佐藤 一郎君    佐藤 信二君       竹内 黎一君    中川 昭一君       仲村 正治君    林  大幹君       堀内 光雄君    山下 元利君       岡田 春夫君    小林  進君       高沢 寅男君    鳥居 一雄君       伊藤 英成君    岡崎万寿秀君       田中美智子君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      斉藤 邦彦君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省経済局長 国広 道彦君         外務省経済協力         局長      藤田 公郎君         外務省国際連合         局長      中平  立君  委員外出席者         外務省経済局次         長       池田 廸彦君         外務委員会調査         室長      高橋 文雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     佐藤 信二君   石川 要三君     堀内 光雄君   鍵田忠三郎君     臼井日出男君   鯨岡 兵輔君     大塚 雄司君   中山 正暉君     林  大幹君   町村 信孝君     中川 昭一君   永末 英一君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     鍵田忠三郎君   大塚 雄司君     鯨岡 兵輔君   佐藤 信二君     愛野興一郎君   中川 昭一君     町村 信孝君   林  大幹君     中山 正暉君   堀内 光雄君     石川 要三君   伊藤 英成君     永末 英一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正  し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉  の結果に関する文書締結について承認を求め  るの件(条約第一号)  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正  し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉  の結果に関する文書締結について承認を求め  るの件(条約第二号)  所得に対する租税に関する二重課税の回避のだ  めの日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連  邦政府との間の条約締結について承認を求め  るの件(条約第四号)  雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結  について承認を求めるの件(条約第六号)  人的資源開発における職業指導及び職業訓練  に関する条約(第百四十二号)の締結について  承認を求めるの件(条約第七号)      ————◇—————
  2. 北川石松

    北川委員長 これより会議を開きます。  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中美智子君。
  3. 田中美智子

    田中(美)委員 アメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の中で、特に皮革革靴に関する問題のところで質問したいと思います。安倍外相のお体の関係がありますので、大臣お答えくださいと言うときだけお立ちになってください。あと担当者の方にお願いいたします。  今度、靴の輸入割り当てを大きくしたということで、その前提になりましたガット二十三条一項でアメリカ提訴をした。そのときに、ここで二国間の話し合いがなされることになっていたわけですが、日本政府は二国間で話し合ったときにどのような形で交渉したのでしょうか、どのような形で説得努力をなさったのでしょうか、簡単にお答え願います。
  4. 池田廸彦

    池田説明員 お答え申し上げます。  二十三条一項の交渉におきましては、我が国皮革及び靴産業現状、これには歴史的、社会的な背景も含めまして、非常に苦しい事情をるる説明いたしまして、何とか二国間の話し合いで解決しょうとしたのでございますが、アメリカ側は我が方の説明には納得せず、二十三条二項の手続を発動したわけでございます。
  5. 田中美智子

    田中(美)委員 それでは、日本皮革革靴産業アメリカ被害を与えていないにもかかわらず、そのことを何も言わないで歴史的、社会的、地域的だとか我が国は苦しいだとか、こういうふうにまるで哀願するような交渉をしているのでは、説得にならないというふうに私は思います。やはり革の問題、革靴の問題というのは、アメリカ産業には全く何ら打撃を与えていないということがこの国会でも明らかになっているわけです。そうならば、被害を与えられていないものがガット二十三条の一項で提訴すること自体が間違っているではないか、この点でしっかりとやらなかったというところに、今度のようなこういう押せ押せの文書がつくられてしまった、合意書がつくられてしまったのだ、一体日本外交はどうなっているのだというふうに私は思います。  これについては、全日本家内労働組合方たちや、また全解連の皆さん、それから東京靴工組合委員長をしていらっしゃいます木島初雄さん、こういう方たちの御意見を聞きましたら、日本歴史的、社会的、地域的というような言い方をしているのは、これは同和のことを考えているのではないか。日本にはこうした特殊な地域があり、特殊な歴史的、社会的背景があるから、これを助けてくれというような形で交渉をしているのではないか。これは認識を間違っているのではないか。現状は決してそうなってはいないのだ。日本産業アメリカ皮革革靴産業を何ら害してはいないのだ。ここでなぜ堂々と闘わないのだ。それを変な、同和のような日本の特殊な関係がある、もう二十一世紀には同和の差別もなくなるというような運動が展開されている中に、またこの業者の中を見ましても実際はそうはなっていないのですね、それをそのような哀願するような交渉をしたのでは、アメリカの不当な提訴——被害を受けていないのに提訴しているのですから、ここで闘わなかったということは第一のボタンをかけ違えた。  第一のボタンをかけ違えたから第二のボタンのところでは、もはやこれは二十章条の一項ではなくて十一条でもってやられれば、十一条はこれは輸入制限をしてはならないということになっているわけですから、ガット違反になるということも理論的には納得いくわけなんですね。そこでやるべきところに努力をしていなかったということが、今度のような全くひどい結果になったのではないかと思います。この点を安倍外相からお聞きしたいのですが、たびたび立っていただくのはお気の毒ですから、二つまとめてやりますので、この点をひとつお答えいただきたいと思います。  最初ボタンをかけ違えたために、結局十一条違反という形で日本が一方的に悪者にされてしまった、一方的にガット違反ということにされてしまった。その交渉の場で、違反という中で交渉すれば、向こう土俵の中で交渉しているわけですね。ですから三百一条をちらつかせて、ほかのものも全部今度は自分の方が、日本は十一条違反だと言いながらアメリカの方が十一条違反をやるぞ、やるぞ、やるぞとおどかす。向こう土俵に乗っていますから、こっちはおどかされっ放しということではないでしょうか。だから、この文書ができたときにヤイター発言の中身を見てみますと、三百一条を出したことが非常に効果があったというようなことを言っているわけですね。これは私は許されない、本当に日本外交の失敗ではないかというふうに思うわけです。  それで、もう一つの問題ですけれども、これは読売新聞報道されていたのですが、一次関税割り当てが、この合意が済んだ後、この合意以外に、毎年一〇%ずつ五年間にわたって拡大していくんだというようなことが書かれております。今でさえ韓国台湾から安い靴が入ってくれば、日本業者が何にもアメリカに貢献もするわけじゃない、アメリカ被害を与えていない、こんなことをされたからといってアメリカはよくなるわけじゃない、日本だけが韓国台湾からやられるのじゃないか、こういうふうな状態に追い込んでいきながら、またこれを一〇%ずつ五年間にわたってやっていくというようなことが新聞報道されている、これは事実なんでしょうか。この二つの点を外務大臣お答えを願います。あとは結構です。
  6. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私からまず概略をお答えしまして、あと具体的に事務当局から話をさせますが、御承知のように革靴皮革問題については、日米間におきましてもあるいは日・EC間におきましても長い交渉歴史があるわけであります。私も通産大臣のときに、随分この問題で日米間で話し、激論をいたした思い出があるわけであります。アメリカからすれば、やはり革靴皮革製品については日本市場を自由化すべきだ、これは当然彼らの自由貿易という立場からいえば、日本自由貿易を主張する以上は日本市場も自由化すべきだ、だからアンフェアだということを彼らは盛んに主張してきているわけです。  しかし、日本の場合は日本立場がある、それぞれの国はいろいろの事情を持っているわけです。農産物についてもそうですし、あるいはまた革靴の問題、皮革製品についても日本日本事情があるのですから、それはアメリカが言うように一方的には自由にはできませんということでアメリカとも議論してまいりましたし、あるいはECともその間で議論してまいったわけであります。必ずしもECアメリカの主張に我々は同調してきたわけじゃない。  しかし、だんだんとガット問題等も出てきまして、このまま推移すればやはりガット違反という可能性は非常に強くなってくる、またそういう勧告も受ける、こういう状況になりまして、やはりこの問題は日本自由貿易体制というものを世界の中で堅持していく場合においては、何とかこれは話し合いで解決する必要がある、こういうことで日米間で交渉を始めたわけでありまして、何も日本が一方的にアメリカの言いなりになったとかいうことじゃなくて、むしろこの問題を解決して貿易拡大均衡を図っていこうというのが目的でやったわけであります。  その中で、アメリカの数量を決めて、二億数千万ドル、アメリカが犠牲を受けておるからそれだけ関税をまけろとかいうことは、もちろん我々としてはちょっと筋の通らない話だ、こういうふうに思うわけですけれども、しかし全体的には、やはりこれはお互いに譲り合って円満に解決をしなければならぬということで大変な努力をいたしまして、その結果一応の決着を見たわけです。ただ、アメリカ最後に三百一条によってまだまだ制裁の可能性を残したということは、我々にとっては非常に不満な最終結論でありましたけれども、全体的には、両国の話し合いによって問題は一応決着がついたのじゃないか、こういうふうに思っております。これは長い歴史のある交渉でありまして、それはそれなりに日本側言い分があるし、アメリカ側言い分があるわけですが、最終的にはそういうことになったわけで、一応の決着がついた、そういうふうに思います。
  7. 田中美智子

    田中(美)委員 もう一つの問題、今二つ質問しているわけですから。わざわざ二つくっつけて質問しているわけです。
  8. 池田廸彦

    池田説明員 第二点の方は事実関係でございますので、一次クォータ、一次税率の適用されるクォータの大きさ、これにつきましては、国内経済状況市況状況及び市場参入の条件、これらもろもろの状況を勘案しまして関税率審議会にお諮りして毎年決めている、こういうことにいたしております。
  9. 田中美智子

    田中(美)委員 一〇%というのはどういうことですか。一〇%、五年間ということがもう決められているのじゃないですか。
  10. 池田廸彦

    池田説明員 ございません。今申し上げましたとおり、毎年決めてまいります。
  11. 田中美智子

    田中(美)委員 これは決められていないということですね。そうすると、合意をした上にまだ毎年また拡大していく、数字を決めているわけじゃなくて、毎年話し合いで決めていくということですね。
  12. 池田廸彦

    池田説明員 アメリカと話をして決めるということではございません。私どもの国内上の措置としまして、国内市況、それからもちろんその時点における市場参入状況も勘案いたします。しかしながら、あくまでもこれは日本側が考えて決めることでございまして、手続的には、今申し上げましたとおり、毎年関税率審議会にお諮りする、こういうことにいたしております。
  13. 田中美智子

    田中(美)委員 今外相お答えになりましたことは、私の質問にかみ合ったお答えではないわけです。一方的に自分たちはこのように努力をし、このように歩み寄ったんだ、こういう弁解に尽きているわけですが、私はどう考えても、日本人として悔しいと思わないんだろうかと思うのですね。  アメリカは、農産物についても特例をつくって随分輸入制限をしているじゃありませんか。世界の国だって、いろいろな意味でのあれがあるじゃないですか。フランスなんか、四十幾つもやっているじゃありませんか。そういう中で、相手国に対して被害を与えた場合だけガットに申し入れるというのがこの二十三条の趣旨でしょう。何の被害も与えられていないアメリカ日本ガットに訴えるということ、そのときの応対が間違ったのじゃないか。もう二項になったときには、これはどうしたって十一条違反になるのに決まっています。そんなことはわかり切っているのに、なぜ一項のところで二国間で話し合うときにやらなかったのか。ここで、歴史的だとか社会的だとか日本が苦しいとか、日本が苦しかろうと苦しくなかろうと、やはり正義正義で、アメリカにはガットに訴える権利はなかったんだ。  そこで闘うということが、攻撃最大の防御という言葉だってあるじゃないですか。攻撃をせよとは言いません、何の被害も与えられていないアメリカがなぜガットに訴えるのか。ここで闘わないで、日本は苦しいから助けてください、こういうやり方が、最初ボタンをかけ違えたから、後の二項のところでガット違反になればそれはお互いに譲歩し合ってといっても、どこに譲歩していますか。三百一条でさんざんやっつけられて、おどかされて、そして結局、結果的にはこういうふうになったのじゃないですか。そういう意味で、この文書については、私たちは、共産党・革新共同としてはやはり認めることはできないし、私は日本人の一人として、非常に悔しいということを通告したいと思います。  あとの方のは結構ですから、安倍大臣は悔しくないのか、その点を安倍大臣お答え願いたい。
  14. 国広道彦

    国広政府委員 事実関係、一言御説明させていただきたいと思います。  ガット二十三条に、締約国が訴えます場合は、自分の国の産業被害があるからということだけではございませんで、この場合には、アメリカ日本ガット十一条に違反して輸入制限を維持している、それがゆえに日本市場におけるアメリカ輸出利益が害されている、こういう見地から問題を提起してきたのでございます。これは、日本製品アメリカ被害を与えているかどうかということとは関係のない議論でございます。
  15. 田中美智子

    田中(美)委員 関係のない議論ではないと思います。これは、そのところで、日本がもう最初ボタンのところで、この社会的、地域的、日本は苦しいから、そんなことでアメリカにお願いするという態度ではなくて、もっと対等、平等に胸を張って最初からきっちりやっていただかないと、こういうふうなことになるのだという非常に鮮やかな例証であったというふうに私は思います。  それで、次の質問に移りますが、この二、三日来、大変に世界じゅうを驚かせておりますマルコスの二十年の政治の一端が浮かび上がってきているわけです。まさに、これに対する怒りはフィリピン国民だけではなく、全世界の人々のものになろうとしている。例えば亡命先亡命を決定したパナマが、あのような政治的くずを受け入れるわけにいかないと言って飛行機に乗る寸前に拒否するとか、またスイスが、銀行に秘密で入れられているものも要請があれば特例としてこれを公表するというような形になっていることは、いかにマルコスのやったさまざまのことが大きな衝撃を与えているかということだと思います。そのために、このマルコスの不正、さまざまな問題がありますが、その中の一つ、不正の蓄財について、日本円借款が加担していたのではないかというようなことは、ほとんどどの新聞にも報道がなされております。  このお金は、私たちの税金だけでなく、厚生年金郵便貯金なども回されている大事なお金です。こういうものがマルコス財産づくりに使われたとすれば、これは大変な問題だと思います。今のところ、フィリピンサロンガ行政管理委員長日本協力を求めたいと言っておりますし、またアキノ政権も、日本関係の専門の調査班をつくったというようなことも報道されております。それで、日本としては最大協力をして、これを明らかにしなければ日本の名誉にもかかわることですし、世界に見られておりますことですので、早急に国際司法共助協定を結んでいただきたいというふうに思います。この点、法務省と外務大臣お答え願いたい。簡単にお願いいたします。
  16. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いろいろとフィリピンマルコス関係については情報をとっております。アメリカ太平洋軍事小委員会での公表された分とか、その他フィリピン側からも、これからも日本に関する面については、我々も重大な関心を持っておりますから情報を得たいと思っております。まだフィリピン政府より、具体的な正式な要請を我々は受けておりません。もちろん、受けた場合は全面的に協力したいと考えております。  司法共助に関しましては、具体的要請がなされていない段階で、あれこれこれを論ずるということは困難ではなかろうか、こういうふうに思います。
  17. 田中美智子

    田中(美)委員 しかし、これはもう日本としては、これをやらない限りは徹底的な究明はできないわけですし、中曽根総理も徹底的に究明すると答えているわけですから、向こうから要請があった場合には、司法共助協定を結ぶ用意があるかということを聞いているわけです。安倍外相、お願いします。
  18. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まだそういう要請がありませんし、要請を受けた段階で、関係の各省とも相談をしなければならぬと思います。
  19. 田中美智子

    田中(美)委員 ぜひこれは、今検討なさるということでしたので、要請がありましたらすぐに国際司法共助協定を結んで、徹底的に調査していただきたいと思います。  次に、アメリカで活動しておりますフィリピン銀行家グループでマグディワン83というのがあるわけですが、このグループアキノ政権が設置した行政管理委員会にしばしば手紙を送っております。その三回目の手紙の中で、余り知られていないマルコスの側近が香港に金融機関をつくって、そこから自民党に一連の政治献金をしているということが言われているわけです。これはフィリピンビジネスデーという新聞に出ているわけです。  これはまだほんの一部であって、サロンガ委員長も言っておりますように、マルコスの悪政の百科事典では今のところはない、ほんの一部分だと言っているわけですが、このように自民党政治献金がなされているということは大変なことだというふうに思います。この事実の有無を早急に自民党内で調べていただきたい、調べるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。新聞では、一回に九千万円などという金が動いているというようなことも報道されております。これから次々と出てくるのではないかと思いますので、自民党として十分にこの事実の有無を調べていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  20. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 全く一部の報道でございまして、我々としてはそういうものを調べる意思は全くありません。
  21. 田中美智子

    田中(美)委員 幾ら世界に広まっても自民党としては調べる意思はない、自民党の中を自浄する意思はないということですか。
  22. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は、今外務大臣として答弁しておりますから、外務大臣としてそういう問題に対して、今の政府関係しているわけじゃありませんし、また調べる機能もありません。そういう立場にもありませんし、答弁する立場にもありません。
  23. 田中美智子

    田中(美)委員 じゃ、自民党員としては答える立場にもないわけですか。
  24. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 外務大臣として答弁しているとおりです。
  25. 田中美智子

    田中(美)委員 一自民党員としては答えられないということですね。わかりました。  その次。中曽根内閣になりましてから、これは一九八二年です、このときから安倍外相もなられて、ずっと御一緒に今まで約三年とちょっとやられているわけです。これで見てみますと、特に中曽根内閣になりましてから円借款が急激にふえているということですね。そしてその中でも、すぐにお金にかえられる商品借款も数として非常にふえているということは一般紙にも報道されておりますけれども、やはり中曽根内閣になってからますますおかしいのではないか。そのときの外務大臣として御一緒にやってこられたわけです。そういう点での疑惑を持たれているんだ、一般新聞にも報道されているんだということをちょっと申し上げますが、今まで一〇%から一五%のリベート、わいろですね、これが常識であった、これは各紙報道しております。こういうことはこの三年とちょっとの間、安倍外相は御存じだったのでしょうか。
  26. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 円借とか無償供与につきましては、この国会でもしばしば論議されましたように、我が政府として、フィリピンだけじゃなくて開発途上国に対する援助を行う場合は、事前の調査だとかフィージビリティースタディーとか交換公文だとかやりまして、その後で相手側政府が入札をして事業を行う。その事業がどういうふうに行われているかということについても、また我我として関心を持って評価もしております、フォローアップもしているわけでございますが、ただ、円借、無償供与につきましても事業主体相手政府であるわけでございまして、その辺に今おっしゃるような問題も全く起こらないと言い切れるものではないと思うわけで、その辺は我々としても、やはり大事な日本援助ですからこれから十分注意をしていかなければならぬ、確実に相手国国民の民生の安定とか福祉の向上につながっていくものでなければならぬ、こういうふうに思っておりますし、日本援助というのは大体そういう方向で来ている、私はこういうふうに思っております。  先ほどのお話で、中曽根内閣になって援助が非常に多くなった、それが何かマルコス大統領の資金のあれにつながっていくというふうな、そういうことを言われましたが、これは全く論外でありまして、我々はそんなことを考えておるわけじゃなくて、マルコス政権を助けるということじゃなくて、非常に困っておるフィリピン国民協力しなければならぬというのがこれまでの援助の基本的な方針でした。しかし、最後段階ではやはり政情が非常に不安になりましたから、国会要請もありまして我々も相当厳しい枠をはめまして、商品借款等についてはまだ五割も消化できない、こういうふうな状況になっておるわけです。ですから、いろいろとそういう御指摘、ただうわさだけで政府に対してとやかく言われるというのは、我々としても非常に心外でして、もう少し何か具体的に問題をはっきりして言ってもらいたい。先ほどの自民党の場合もそうでして、何か自民党を傷つけるために、中傷するためにこの国会を利用されておるとしか思えません。
  27. 田中美智子

    田中(美)委員 自民党を中傷するというような言葉は、ちょっと不穏当な言葉じゃないですか。これは私が言っておることではなくて、きちんと原典まで出しているわけです。フィリピン新聞にまで出ているのです。それから、これは日本一般紙にも出ているのです。ですから、一般の新聞にも出ている、世界にも報道されている、これだけひどいことになっていても、それは私の方は何の関係もありません、知りません、自民党としても自浄していこうということはしないんだ、こういうことでは、これはちょっとひどいんじゃないかと思うのです。一〇%から一五%、わいろが贈られているというのは常識であるということは、各紙が載せているのです。単なるうわさではないです。各紙が載せているのです。それがうわさであるというなら、すべての新聞安倍外相は抗議を申したらどうですか。そういううわさで物を言うなと言ったらどうですか。ロッキードのものだって日本からは出なかった、アメリカから出た、今度だってそうではないですか。  私が伺っているのは、一〇%から一五%のわいろが常識であったというふうに報道されているわけですが、そういうことを知っていたかということを聞いているのです。知っていたか知っていなかったか、これだけお答えください。——いや、安倍外相が知っていたか知ってないかと聞いているのです。
  28. 藤田公郎

    ○藤田(公)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、経済協力の実施につきましては事前の十分な調査、それからプロジェクトのフィージピリティーと申しますか的確性、可能性等を検討いたしまして、要請の行われたプロジェクトの規模等を十分に審査し、その上で相手国との間で交換公文締結いたしております。交換公文の中には、相手国援助資金の適正使用及び施設、機材の適正な使用、維持を義務づける条文が入っております。その後相手国側が、この供与されました資金を用いまして、いかにこれを的確に使用するかということを確保するために、公正な入札を行わなければいけないということを義務づけているわけでございます。この公開入札によりまして、相手国政府は、その国にとりまして最も質のよいものを安い価格で購入するという道を確保している、こういうことでございます。  その入札の過程におきまして相手国政府が、例えば企業との間でいろいろな話をされると思いますけれども、その価格の構成等々ということについては、私どもは内容については契約の当事者でもございませんので、ここで申し上げるという立場にはございません。
  29. 田中美智子

    田中(美)委員 一〇%か一五%のわいろが常識であったということを知っていたかどうかということを聞いているのですよ。だから今の、答えることができないとか、それとも知っていたとか知らなかったとか、今の方は答えることはできないと言われたのです。もう結構です、私は大臣に聞いているのです。知っていらしたか、知っていないか、答えることができないのか、この三つのどれか一言で答えてください。もう時間になりましたので外務大臣——いや、やめてください、あなたは答える立場にないと言ったじゃないですか。外務大臣お答え願います。
  30. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 知っているかとか知っていないとか、何のことかわからぬですね。そんなことを答える必要はありませんよ。
  31. 田中美智子

    田中(美)委員 答えられないということですね。これだけ常識になっていたにもかかわらず、平然として円借款をどんどんふやしていったということだけは事実ですね。それはお答えになりたくない。それはフィリピン問題は、出たら初めからすねていらっしゃるわけですから、そのような態度というのは私はいい態度じゃないと思います。世界の問題になっているのですから、もっとこの問題を素直に受けとめて、真剣に事実の有無をちゃんと調査するということが大事じゃないかと思うのです。これは、衆議院ではきょうが初めてですが、これからは証人喚問もやられるでしょうし、集中審議もやられるでしょうし、そういう中で出てくるわけですから、そういうすねたような態度ではなくて、もっとまじめに、この問題は国民全体とやはり解決していかなければならない問題だと思います。  フィリピンのあの貧しさを見るにつけても、いかにひどいものであるかということは、思想、信条を超えてだれでもが、あのテレビからかいま見ただけでも本当に胸が痛くなるようなひどい生活。それに比べて、わずか年百万の月給の大統領がなぜあれだけの蓄財ができたかということは、どう考えても考えられないことです。これにはアメリカもいろいろかんでいるようですけれども、日本が最もかんでいるのではないか、その蓄財にかんでいるのではないかということが報道されているわけですから、それに対して、そんなことに答える必要はないんだとか自浄作用などは持たないんだ、そんなことはする必要ないんだというようなことでは、済まされない問題ではないでしょうか。そのことを強く要求しまして、今後この問題、引き続いてこの委員会でやっていただきますことをお願いしたいと思います。
  32. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今の御質問が、何かまともに答えることをしないとかすねているとか、そういうことじゃないのですよ。我々も今のマルコス問題については、実情を明らかにしなければならぬと思っています。日本も、それはフィリピンに対して最大援助国ですから、私もその責任を感じているのですが、今のあなたの方の質問が非常に何か一方的に歪曲されて、何かいかにも自民党に問題があるとか、あるいは外務省そのものに問題があるとか、そういうことに焦点を合わせて、マルコス、今の問題はもっとまともに正直に、そしてこれを具体的にもっとはっきりしていこうという素直な態度でないんですね。そこに問題があるのです。  ですから、もっと質問も素直にやってもらいたいんですよ。我々、素直にこの問題は明らかにしなければならぬ、それが日本のためにも大事だと思いますし、日本フィリピンの将来のためにも大事だと私は思っていますから、その辺はひとつ御理解いただきたいと思います。
  33. 田中美智子

    田中(美)委員 一言です。歪曲など全くしておりません。新聞をよくごらんください。新聞の中をそのままに言っているわけですし、数字も外務省の数字を使っているわけですし、そういう点では決して歪曲などはしていないということですので、その点はお間違いのないように、むしろ抗議を申したいと思いますけれども、大変お困りのようですが、素直に一生懸命でやっていただきたいと思います。
  34. 北川石松

    北川委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  35. 北川石松

    北川委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。  まず、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  36. 北川石松

    北川委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  37. 北川石松

    北川委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 北川石松

    北川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  39. 北川石松

    北川委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結について承認を求めるの件、雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件及び人的資源開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより各件について政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣安倍晋太郎君。  所得に対する租税に関する二重課税の回避のた   めの日本国政府とソヴィエト社会主義共和国   連邦政府との間の条約締結について承認を   求めるの件  雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結に   ついて承認を求めるの件  人的資源開発における職業指導及び職業訓練   に関する条約(第百四十二号)の締結について   承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  40. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、ソ連邦政府との数次にわたる交渉を経て、昭和六十一年一月十八日に東京において、私と先方シェワルナゼ外務大臣との間でこの条約に署名を行った次第であります。  この条約は、できる限りOECDモデル条約案に沿ったものであり、従来我が国が諸外国との間で締結した租税条約または協定とほぼ同様の内容となっております。  この条約の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する所得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる所得につきましては、相手国において全額免除することとなっております。また、投資所得に対する源泉地国での税率につきましては、配当に対するものは一五%、利子及び工業的使用料に対するものは一〇%を超えないものとし、文化的使用料については免税としております。  この条約締結によって日ソ間の二重課税が回避されることにより、両国間の経済活動の円滑化が図られ、また、両国間の交流が促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、経済の成長及び発展の促進、生活水準の向上、失業等の克服を図ることを目的として、昭和三十九年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の四十八回総会において採択されたものであります。  この条約は、この目的達成のため、加盟国が完全雇用、生産的な雇用及び職業の自由な選択を促進するための政策を宣言し及び遂行すること、かかる雇用政策に関して労使団体の代表者と協議すること等を定めております。  我が国がこの条約締結することは、経済の成長及び発展並びに完全雇用の実現に関する国際協力に寄与する見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、人的資源開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、昭和五十年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の第六十回総会において採択されたものであります。  この条約は、雇用と密接な関係を有する職業指導及び職業訓練に関する包括的で調整された政策及び計画を採用し、発展させること、かかる政策及び計画の策定及び実施に関して労使団体と協力すること等を定めております。  我が国がこの条約締結することは、人的資源開発における職業指導及び職業訓練に関する国際協力に寄与する見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  41. 北川石松

    北川委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十分散会