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1986-05-06 第104回国会 衆議院 科学技術委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年五月六日(火曜日)     午前十一時開議 出席委員   委員長 大久保直彦君    理事小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君    理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君    理事 小澤 克介君 理事 関  晴正君    理事 矢追 秀彦君 理事 小渕 正義君       有馬 元治君    伊東 正義君       櫻内 義雄君    若林 正俊君       村山 喜一君    八木  昇君       遠藤 和良君    小川  泰君       山原健二郎君   出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      河野 洋平君   出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     矢橋 有彦君         科学技術庁原子         力局長     中村 守孝君         科学技術庁原子         力安全局長   辻  栄一君         科学技術庁原子         力安全局次長  堀田 俊彦君         海上保安庁次長 岡田 專治君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房審議官   松井  隆君         科学技術庁原子         力局政策課政策         企画官     結城 章夫君         科学技術庁原子         力局核燃料課長 石田 寛人君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課長    堀内 純夫君         科学技術庁原子         力安全局防災環         境対策室長   千々谷眞人君         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課長    岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課原子炉施         設検査室長   吉村佐一郎君         科学技術庁原子         力安全局核燃料         規制課長    穂波  穣君         厚生省生活衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       横田  勇君         水産庁漁政部協         同組合課長   上野 博史君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全審         査課長     山本 欣市君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     神田  淳君         気象庁観測部測         候課長     山中 陸男君         参  考  人         (電気事業連合         会副会長)   野澤 清志君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      大町  朴君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団再         処理部長)   松本 憲一君         科学技術委員会         調査室長    工藤 成一君     ————————————— 五月二日  研究交流促進法案反対等に関する請願(藤田高  敏君紹介)(第三八二一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  五九号)  原子力基本法及び核原料物質核燃料物質及び  原子炉規制に関する法律の一部を改正する法  律案関晴正君外五名提出衆法第一二号)      ————◇—————
  2. 大久保直彦

    ○大久保委員長 これより会議を開きます。  内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案及び関晴正君外五名提出原子力基本法及び核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 早速ですが、長官サミット首脳会議ソ連原発事故への声明発表をいたしました。その中で、現在のIAEAの規定によりますと、事故発生をしてから満四カ月というような非常にテンポの遅い報告事項にとどまっているようでございますが、国境を越える災害のひどさというものが現実にあらわれてきている。これに対しては早く対応の仕方をしなければならない非常に重大な事故でございますだけに、声明の中に盛られている内容は自然なものであると思うのでございますが、ただ、この声明をつくる場合に長官はどういう立場で参加をされたのか、参加されておるとするならば、それをまずお答えをいただきたいと思います。  それから、この前、二日の日にこの科学技術委員会におきまして決議を上げまして、政府は速やかにそういうような情報公開等の措置をとるべきであるということに対する決議が行われたわけでございますが、その後科学技術庁としてあるいは日本政府としてこれにどういうふうに対応をしておいでになったのか、それが第二点。  それからもう一つ非常に重要な問題は、約八千キロも離れました日本においてソ連原発事故影響が出てきた。その中で、千葉の場合には雨水の中に一リットル一万三千三百ピコキュリー放射能が入っているということが指摘をされております。ここに資料もございますが、原子力安全委員会が出しました五十五年六月の基準値によりますると、飲食物摂取制限に関する指標として、飲料水の場合には三千ピコキュリー以上という基準が示されている。葉菜についてはグラム当たり二百ですか、それから牛乳六千という数値が示されておりまして、余りにも異常に高い数値資料であるだけに、国民ひとしくこの問題については神経過敏になっているわけでございます。ところが、初めの安全委員会委員長の談話の中でも、我が国民の健康に対する影響はないものと考える、それからまた長官自身も、これは日本にはほとんど影響はないものだと考える、こういうような見通しであっただけに、どうも内容的にもあるいは量的にも非常に大きなものがショックとしてあらわれてきている状況の中にありますので、安全を第一に考えなければならない科学技術庁長官としてこれに対応する考え方を明らかにされたいと思うのです。  以上三点。
  4. 河野洋平

    河野国務大臣 村山議員に御指摘をいただきましたが、ちょっと順序が前後いたしますけれども、前回の科学技術委員会におきまして、委員の総意で御決議をいただきました点が数点ございます。  まず、ソ連に対する情報公開要請等でございますが、この件に関しましては、引き続き在外公館等を督励いたしましてさらに情報収集努力をいたしておるところでございます。何分にも情報収集に難しい地域ではございますけれども、少しずつ少しずつ情報ソ連から明らかにされておりますし、また、周辺のさまざまなデータ等が出てまいりました。さらにはソ連に旅行した人たちが帰ってきたということなどもございまして、少しずつではございますけれどもデータが手元に集まりつつはございます。しかしいずれも、例えば旅行者にいたしましても、ソ連旅行中は状況を十分知らされていないようでございまして、的確な情報と言えるかどうか、多少問題があるわけでございます。ただ、昨日国際原子力機関ブリックス事務局長みずからが訪ソして、事故原因究明に努めるというような動きも出てきておるようでございまして、こうしたことから、かなりその状況は明らかにされるのではないかというふうに期待をいたしておるところでございます。  また、現在開かれております先進国首脳会議におきまして、ソ連に対し事故に関する情報を求めること、緊急事態もしくは事故に際し報告及び情報交換を義務づける国際協定を早期に考案すべきことなどを内容とする声明などが出されたわけでございます。報道によりますと、ソ連政府も今回のこうした声明に対して一応の評価をしているというふうにも報じているところがございまして、今後はこうした動きを背景にして、国際的に協力しつつ、情報収集あるいは事故原因究明等に何らかの進展があるものというふうに期待をいたしておるところでございます。  私自身、本委員会決議を踏まえまして、中曽根総理にもお目にかかって、サミットにおきます声明にもひとつ本委員会での御討議を踏まえて、そうした内容を盛り込んでほしい旨要望をいたしておきました。また後ほど委員から御要請があれば、この声明作成科学技術庁としてかかわっておりました担当者からも御説明を申し上げたいと思いますが、科学技術庁といたしましては、このサミット声明にも多くの関心を当然のことながら持ち、かかわってきたところでございます。  また、先生指摘我が国におきます放射能調査につきましてでございますが、鋭意調査を実施させてそのデータ収集努力をいたしてまいりましたが、御指摘がございましたように、五月三日に東京、千葉、神奈川におきまして沃素131を初めとする今回の事故に起因すると思われる放射性物質が検知されたところでございます。このため、政府といたしまして直ちに五月四日早朝に放射能対策本部会合を開催して、関係者専門家から意見を聴取したわけでございます。  私どもといたしましては、先生指摘のように、当初考えておりました想定よりもこの影響が極めて早く我が国にあらわれたということで、正直、もう一度事故の実態について考えなければならぬ。専門家の中には、実はあるいは事故が起きたのはもう少し早い時期ではなかったのかとか、そういったような疑問を呈する方もあったくらいでございます。まだ定かにはできませんけれども、やはり何らかの偏西風に乗ってちりが日本まで届いてきたというふうに考える以外に考えようがないのかな。これもまだまださらに検討すべき問題が残っていると思いますが、こういったようなことを今さらに研究をしてもらっているところでございます。ただし、明らかに自然界に存在しない沃素131などが日本で検知されたということから、あの事故に起因するものであろうというふうには考えておりますが、ただ、それが国民の健康に直ちに影響を与えるかどうかという問題になりますと、現在の時点ではそう考える必要はないというのが対策本部会合におきます議論でございました。五月四日の早朝の対策本部会合では、まだ非常に局部的であり、データの蓄積などもう少し慎重に推移を見た方がよかろうというような御議論もございまして、その後の推移を慎重に見ておるところでございます。  さらにもう一点御報告を申し上げるとすれば、五月二日、ソ連旅行中の帰国者四名が放射能汚染をされているということがわかりまして、この検査をいたしました。さらに五月三日、モスクワ大使館より送付された牛乳水道水などの放射能汚染について調査を行い、これらは特に問題はない旨、その結果を公表したところでございます。さらに昨日五月五日には、ソ連キエフ地方からの邦人帰国者に対し健康診断を成田空港で実施いたしましたところ、百二十二名中四十五名に汚染が認められました。このうち一部の者について検査を継続しておりますが、これまでの結果得られているものについては、健康上特に影響はないと判断をしているところでございます。  今後とも放射能対策につきましては、さらに慎重に対応してまいる所存でございます。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 新聞が伝えるところによりますと、持ち帰ったカバン類が異常な放射能数値を示している。数値自体は書いてないようでございますが、一カ月あるいは四十日か五十日間くらいは保管を必要とする、こういうような数値だというふうに報道しておりますところを見ると、相当汚染をされているという事実関係があるのじゃないだろうか。もちろん、沃素131の元素などは半減期がたしか八日だったと思います。そういうような放射能半減期等の問題もございますので、一概には言えませんが、やはり国民の疑惑には正しくこたえながら、また、いたずらな心配にならないように適応した対処方が必要であろうと思うのでございますが、そのことをまず要望申し上げておきたいと思います。  そこで、さっき長官の発言の中にもございましたように、どうも今回の資料等を拝見をしてまいりますると、事故発生をしたのは、ソ連側のタス通信が発表したその時点よりももっと早いのじゃないのだろうかというような現象がございます。そうなりますると、これは気象庁関係なんですが、ジェット気流に乗って日本に届いたとかあるいは偏西風に乗ってやってきたとかいうような点からいうならば、そういう異常な状態というものを一体どういうふうに分析をしていらっしゃるのか、この点についてちょっと承っておきたいと思います。
  6. 山中陸男

    山中説明員 お答えいたします。  ソ連原子力施設事故の日時、規模、これらが現在明らかでありませんので、一義的に推定することは非常に困難でありますけれども、もし仮に気象庁が通常使用しています天気図の高度、約五千五百メーター気流に乗って放射性物質日本に運ばれたと仮定してみますと、これから申し上げるようなことになるのじゃないかと思います。  仮に事故が起こったと考えられています二十六日ごろ、すなわち二十六日の夜ごろのことを考えてみますと、二十六日夜のキエフ上空状態から推定をしてみますと、四月二十九日まではちょうど上空に低気圧がありまして、その周りを流れるような風に乗って運ばれたのじゃないかと思われます。それから二十九日の夜ごろにジェット気流に乗りましてずっと東の方へ流れまして、バイカル湖付近の上空に達しまして、その一部が五月一日の朝ジェット気流から外れまして偏西風に乗りまして、偏西風で五月三日の夜に本州上空に達することが、これは五千五百メーター気流を仮定した上でのことなのですけれども、そのようなことが推定されます。放射性物質が運ばれた高さによっては、この予想される経路、それから速度にかなりの差がございます。相当の差が生ずると考えられますけれども、何しろ物質の放出された状況の詳細、これらが明らかでありませんために、放射性物質がいつごろ放出されたか、これを推定することは非常に困難でございます。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、ソ連のこの黒鉛型の原子炉日本加圧水型の原子炉とは炉型も違うし、あるいは多重防護装置がついているから安心だということが言われておりますが、五月三日のワシントンの共同通信の記事によりましても、アメリカ原発事故も増加をして、重大なケースが昨年十二件発生をしている。これはマーキー委員長発表によるNRCの報告事項でございます。なお、原子炉壁周辺主要配管中性子化等が予測された以上に早く進行をして、地震国では特に危険であるという、これはちょっと前の記事でございますが、アメリカ原子炉十三基が危険だ、原子炉壁材質欠陥が出てきているので加圧水型についてもアメリカでは監視体制に入っている、あるいは冷却水流出事故原子炉破裂のおそれがあるというような記事が出てまいりまして、それに対応して日本でもいろいろ指摘をされた科学的なデータに基づいて調査をされたようでございます。特にPWRの原子炉容器の銅の含有率が問題になっておりまして、一%を超えるようなものについては大変危ないんだということが言われておりますが、この中で加圧水型の原子炉容器の銅の含有率についてはどのような調査をなさっていらっしゃるのか、調査をしたデータがありましたらそれを発表願いたいと思うのです。——委員長、その前に。私が言いました一%は〇・一%で、単位が一つ違っておりましたので、申し上げておきます。
  8. 山本欣市

    山本説明員 資料提出につきましては、先生からお申しつけがございまして、きょう先生の方にお届けするように手配をしたところでございます。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、これの銅の含有率危険値として言われている〇・一を上回るものが大分日本にもあるわけでございますが、これらについてのいわゆる大丈夫だという問題については、どのようなテストをなさって確認をされておりますか。
  10. 山本欣市

    山本説明員 御説明申し上げます。  中性子照射に伴いまして原子炉圧力容器材料の靱性値につきましては低下するわけでございますが、プラントの設計に際しましては、この点を十分考慮して材料の選定、製作が行われているところでございます。また、原子炉容器内に監視試験片を挿入いたしまして、中性子照射によります材料特性の変化を監視し、十分安全性確認を行っているところでございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、監視試験片テストピースの問題をちょっと聞きますが、これはそのテストピースだけで確証試験ができますか。というのは、炉の中は百五十気圧ですね。それで運転をすると炉壁には常時平方メートル当たり千五百トンの張力がかかるわけですね。それだけの大きな圧力が、内圧による張力発生をする。ところがテストピースは、その張力試験にはならぬのですよ、そこに入れてあるだけですから。とするならば、特に問題になりますのは、溶接部分等については熱応力等がかかりやすいわけですね。そういうような問題の上から、あるいは水素の浸入によります脆化現象が特に進んでいくという問題が考えられるのですが、複合的な作用によって脆化現象が進んでいくとするならば、今おっしゃったようなテストピースによる測定監視というようなものが十分だというふうに言われるおつもりなんでしょうが、それだけじゃどうも大丈夫だということにはならないんじゃないですか。
  12. 山本欣市

    山本説明員 お答え申し上げます。  監視試験片につきましては、炉の初期におきましては各定検ごと、それから後半になりますと平均的には三年ごと程度で出しておるというようなことでございます。  それから先生指摘の、アメリカにおきます脆性破壊問題提起でございますが、私ども承知しておりますのは、アメリカ初期炉銅含有率が〇・三%程度以上のもので問題になっておるというようなことでございまして、日本の炉の銅含有率は〇・二%以下というものでございまして、安全性は十分確保しているというふうに考えております。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 ちょっと今のは言葉をはぐらかしてあなたは答えているんだが、問題は、銅の含有率が〇・一以下であれば大丈夫だということじゃないんですよ。これは、そういうような銅の含有率が高ければ高いだけ脆化現象というものが進む可能性があることはアメリカでも指摘をされているわけです。アメリカの場合には非常に高いから、日本の場合にはそこを抑えているから大丈夫だとおっしゃるけれども、しかし、脆化現象というのは時間の問題じゃないのですか。そういうような意味では、含有率が〇・一以下であれば絶対大丈夫だ、こういうことにはならないでしょう。その証明ができますか。
  14. 山本欣市

    山本説明員 先生の御指摘の点でございますが、このような問題がございました以降、念のためでございますが、電力会社に計算をさせまして、原子炉の通常の運転期間、四十年程度でございますが、その期間安全性というのを確認いたしてございます。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 確認をしてあると言ったって、あなた、私にわかるように説明しなければ、ああそうですかというようなことになっちゃう。私が申し上げたいのは、現実熱応力が集中をする溶接部、それから残留応力が働くのも溶接部ですから、そこら辺が危ないですよ。というのは、東海村における再処理のときの溶解槽の中のピンホール溶接部で生じて、そうして長い間ホールドアップして仕事ができなかったことは大臣も御承知だと思います。そういうような意味原子炉壁材質欠陥があるんじゃないかということが指摘をされて、しかもそれはテストピースによって検査をしているから大丈夫だ。ところが、テストピースは中に入れたって、それには張力が働かないからそれを幾ら調べてみたって材質が脆弱になっているかどうかわからないのに、それをやっているから気休めに大丈夫だと言われても、科学的じゃないのですよ。  だから、新しいうちはよくても、二十年もたち三十年もたってまいりますとだんだん脆化現象は進んでいくわけですから、そこにひび割れが入っておる中にECCSで緊急な冷却の挙動に入った場合等には、そのひび割れが急激に冷却されましてそこから破裂をするおそれもあるんだという指摘がされている以上は、日本の場合もこういうようなソビエトの原発事故が出た機会にそういうような状態にないかどうか。これは炉型は違いますが、やはり危険性指摘をされておればそれについて注意をする、そしてそれを絶えず安全に監視体制に置くということは必要なことじゃないでしょうか。そうでないと国民期待にこたえることにならないんじゃないですか。最近は、三百六十日連続運転で、稼働率を上げるために燃料の取りかえ等によって何をやる、そして短期間定期検査を三十日ぐらいで済まして、それでおれのところの炉では世界一稼働率が高いぞというようなことで競い合うような状態原子力発電をめぐりましては現実にあるのですよ。そういうようなのを見ますと、安全よりも効率を第一に考えているんじゃないかというふうに思われる節がありますので、私は念のためにそのことを申し上げているわけでございますが、大臣の所見を承りたい。
  16. 河野洋平

    河野国務大臣 確かに先生指摘のとおり、今回の事故日本におきます原子力発電所の炉の型の違いを前面に出して、型が違うから問題ないという御説明を申し上げていることは事実でございます。事実、この炉の型は全く違うわけでございます。しかし、その炉の型は違いますけれども、そして炉の型が違うから、ソ連事故が起きたからといって直ちに日本の炉が心配だということはございませんよと国民の皆さんに御安心をいただいておりますけれども、その一方で私どもといたしましては、ああした事故はやはり他山の石として十分に当事者は心してその運転操作に当たらなければいけないということを考えているわけでございます。御指摘がございましたが、私どももさらに一層心を引き締めて操作に当たるよう関係者には指示をすることにいたしておりますが、御指摘ピンホールその他の具体的な問題につきましては、局長から答弁をさせていただきたいと思います。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 後で質問を具体的にするからいいです。私は、一応本体の原子炉等規制法律改正案について具体的な問題を尋ねてまいりたいと思っておりますので、これは担当局長の方からお答えをいただけば結構でございます。  高レベルガラス固化体キャニスター溶接溶接部分検査についてでございます。動燃のガラス固化プラントにおいては、ガラス注入キャニスターのふたの溶接はTIGですか、タングステン・イナート・ガス溶接によって行う計画だというふうに承っておりますが、そうでございますか。
  18. 中村守孝

    中村(守)政府委員 溶接の方法につきましては、今先生指摘のとおりでございます。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、この場合には溶接の条件を十分管理するとともに、溶接後はテレビカメラ外観確認をやって、外観に異常がなければよろしい、こういう考え方でございますか。
  20. 中村守孝

    中村(守)政府委員 先生指摘のとおりでございます。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでお尋ねいたしてまいりたいのは、一本のキャニスターは直径が四十センチぐらいで高さが一メートル五十センチぐらい、そういうスチール製のものでございますね。その一本に高レベル廃棄物を入れますと、一本当たり大体四十万から五十万キュリーぐらいの放射能を閉じ込めることになると思いますが、大外そういうことになりますか。
  22. 中村守孝

    中村(守)政府委員 動燃の場合は、四十万キュリーを上限として考えております。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 それをテレビカメラによる外観確認で、しかも遠隔操作で厚い窓からのぞいて不確かな溶接に頼るしかない、そういう格好の仕方になると思いますが、そういうようなテレビカメラによる外観確認だけで果たしていいんだろうか。といいますのは、肝心な非破壊検査や気密試験というものは実施されないように聞いておりますが、それは実施する計画がございますか。
  24. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  動燃でガラス固化体キャニスターに封入するという溶接法につきましては、その研究過程におきまして溶接技術についてどういう手順でやったらいいかということについていろいろやりまして、溶接中の電圧、電流とか溶接時間とか、そういったものをきちんと確認することによってその溶接が確実に行われているということを確認しているわけでございますし、本件は特に原子炉容器等と違いまして、溶けたガラスを封じ込んだ後は別に内圧がかかるという問題でもございません刀しかしながら、溶接の方法についてはそういう方法で研究いたしまして確立しておりますので、実際に溶接を行うときの電圧、電流それから溶接時間、そういったものをきちっと確認し、しかも外観検査を行うということでその溶接が確実に施行されたということが確認できるというぐあいに、技術的にそういう答えができております。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 実績のある、確立された溶接技術、こういうようなことを言われるように聞こえたのですが、実際例えばエックス線とかガンマ線を使いまして非破壊検査もやらないわけでしょう。あるいは気密検査をやりまして窒素ガスを使って中に水が浸入しないように、そういうような構造処理ができているかどうかということも検査もできないわけでしょう。そういうような状況の中で四十万キュリーの高レベル放射能を閉じ込めましたよと言われても、これは何百万年、何千万年、何万年もそういうような状態で保持していかなければならないものでございますから、このことが確立された技術であるとおっしゃっても納得できませんよ、これは。
  26. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  非破壊検査につきましては、行いません。これは中からいろいろ放射線も出てまいりますから、外からエックス線とかそういうことで簡単には調べても調べられる問題ではないわけですが、ただ、今まで封入することについての実験は長い間動燃の中でやってまいりました。要するに、そのときには模擬体でもいろいろやっているわけでございますから、そういうことで安全に封入をされているということは確認してありますので、やり方をきちっと管理すれば、いいかげんなやり方をするならば別でございますけれども、工程をきちんと管理すれば溶接は確実に行われているということでございます。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 やはり科学的に処理をするということでなければ容易に——そういうよう確立された技術であるから、例えば超短波を用いてやるとかなんとかというようなことを言われるのかと思っておったが、時間の問題とか技術の問題で処理をされるようなことでございますが、容器の検査はやっても中身の検査はやらないのでしょう。やる構えはないのでしょう。容器自体はどうするのですか。入れてからの容器の検査もできないのでしょう。しないということは、それは放置するということですか。
  28. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  キャニスターにつきましては、内容を充てんした後は、先ほどから申し上げておりますように、溶接につきましてはその溶接をするときのふたの検査とか容器の検査とかは事前にやりますが、その上で、溶接法もそういう条件下で電圧、電流、溶接時間というものを確認すれば溶接が確実に行われているという事前のいろいろなデータに基づいて確認されておりますので、そういう方法に基づいて確認をするということでございます。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 溶接条件、その中における溶接の電流、溶接電圧、それからトーチ、回転速度などを十分に管理することでできるのだということなんだろうと思うが、溶接条件を管理することで果たしてそれが、溶接後はテレビカメラで外から眺めますよというようなことで全体を保管をし、管理をしていくわけでしょうが、それができるのかということを聞いているわけですよ。
  30. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  何か事前に確認するのがおかしいじゃないかという御批判があるようでございますが、何もそこに溶けたガラス体を封じ込めて溶接したものを事前に確認する、そういう意味じゃありませんで、今まで技術開発の過程におきまして、コールドの状態、中に模擬体、これは全く廃液と同じ構成を持ちますがラスの溶融体をキャニスターの中へ入れまして、その後封じ込めるということをやっているわけです。これは実際にその後溶接が完全に行われたかどうかについてはいろいろな方法で確認できるわけでございますし、それからCPFという実廃液を用いた小型の施設も今ございます。そういったところでも実験もしておりますし、そういう今までの研究成果から見て、その溶接の方法、その溶接の過程の工程管理、そういうものが所定の今まで研究開発で得られているデータのとおりのものであれば、溶接は確実に行われると認定して差し支えない、そういう技術は確立しているということでございますので、実際にそういうガラス溶液をキャニスターに封じ込めた場合には、そういうデータに基づいて必要な溶接したときのデータ確認すれば、溶接が確実に行われたということを認定しても差し支えない、こういうことでございます。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうような状態確認すれば確立された技術として認める。確認をするに当たってどういう検査の方法でやるのかということを聞いているわけなんで、それがそういうような検査はなしに外観検査だけで確立されたというふうに見られるのじゃ、これは科学的な処理ではないではないかと聞いているわけですよ。
  32. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  確認する事項は、その溶接の条件である電圧、電流、溶接時間と、その溶接に際しましてとられた方法が実際にどういう数値であったかということを確認し、これまで得られているデータと十分チェックして、それが所定の数値の中に入っているということの確認外観検査、こういうことでございます。
  33. 村山喜一

    村山(喜)委員 この問題についてはどういうようなテストをやって検査をやるのかということを問いただしているわけで、私が言う非破壊検査とかあるいは気密試験とかあるいは超短波による試験とか、いろいろなテストの方法はあるでしょうが、それはいずれも我々が考えてみると採用できない、そういう高いレベル放射能の処置の前では手の出しようがないじゃないか、では具体的にそういう検査の方法があるのですかということを聞いているわけですよ。国民が安心できるような検査の方法を示してもらわなければ、これは承認できるわけはありません。だから、今の話を聞いていれば検査というものは必要ないということになる。
  34. 辻栄一

    ○辻政府委員 ただいま原子力局長の方から申し上げましたように、まず第一番目に、固化体につきましては、廃棄物を挿入する前に固化体そのものについては溶接部分についての検査は十分に行えるわけでございますからして、十分に検査をすることができるということであろうかと思います。その次にガラス固化体が封入されるということで、第一義的にはガラス固化体においていろいろな内容放射性物質の閉じ込めということが行われるわけでございまして、その上に外側にふたをしてこれを溶接するわけでございます。  これの溶接につきましては、先ほど原子力局長が申し上げましたように、材料の問題が既にわかっている、さらに使用温度条件等もわかっているということから、溶接の信頼性についての事前の溶接法のチェックというものが行われるわけでございます。したがいまして、溶接の信頼性については十分なものが事前の研究状況と、先ほど原子力局長が申し上げましたような電源等の調節、溶接方法の適正な管理ということによって十分確認されるわけでございますし、さらにその外側につきましては、テレビカメラ等で具体的に欠陥があるかどうかということについてはチェックをするわけでございます。それ以上のエックス線写真を撮るとかそういう問題につきましては、既に放射能の非常に強いものが中に入っているわけでございますから、これらを非破壊検査をする方法はございませんので、検査の方法としてはそこにとどまらざるを得ないというのが現状の技術であろうかと思います。  しかしながら、それによって直ちに固化体の健全性が否定されるものではもちろんないわけでございまして、十分なそういった事前の準備を行う溶接によりましてまず欠陥があることは考えられないということであるし、さらにその亀裂等につきましてはテレビ検査によりましてチェックすることができるわけでございまして、そういうことで固化体についての検査が動燃において行われるということになろうかと思います。それから先に今度は施設の方で放射能の閉じ込めをやるわけでございます。したがいまして、安全審査を行います場合には、そういった固化体の健全性、溶接について最終的なふたの溶接については、外観検査しかできないという前提をもちまして安全審査が行われるということになろうかと思います。  仮に、先生指摘のように将来あるいは亀裂が出ることは全く否定することはできないと思います。あるいは出てくるかもしれない。しかし、それによって基本的には揮発性のガスがガラス固化体の中に入っているわけでございますから、それで第一次の防護はできているわけで、第二次の防護としてキャニスターの外側の容器があるわけでございますね、そういうもので防護されている。さらにそれをも破って出てきたということにつきましては、今度は管理施設の方でこれを閉じ込めようということが考えられるわけでございまして、一体それで将来どの程度、万が一に生じたるところの亀裂によって揮発性のガスが仮に施設内に出てきました場合にも、直ちにこれを外に放出するということは、今度は管理施設の方で抑えるという設計思想がとられることになるわけでございまして、直ちにそれが外へ出るのではなくて、それはフィルター等によって十分こされる。そういうことによって外にある程度は出さなければいかぬかもしれませんが、そういった施設全体の安全評価をどういうふうに見るかということが安全審査の基本になるわけでございます。  安全審査の際にそういった容器の健全性についてのアンノーンな部分があれば、それについてはしかるべき技術的な前提をもとに、一定の、かなり安全サイドに見積もった事故といいますか、欠陥を想定した上で、今度は周辺の管理施設においてそれをどの程度閉じ込め得るかということを審査するわけでございまして、フィルターの能力がそれで不足であれば、もっとどんどん何段かにやる必要があろうかと思いますが、そういったようなことをやりながら、管理施設全体としての安全審査を事業の許可の際に十分にやる、そしてしかる後に施設の建設に取りかかる、こういう段取りでやるわけでございますから、必ずしも固化体の溶接の部分についての非破壊検査ができないからといって、そういったものが安全に管理されることはできないということにはならないわけでございまして、その点につきましては、原子力安全委員会の専門部会におきましてもいろいろ検討中でございます。そういった場合の事故評価をどういうふうにするか、そういったような問題についてただいま安全委員会の専門部会で検討中でございますので、そういったものを使いまして慎重な審査をやり、いささかも周辺の住民に影響を与えることがないように規制をしてまいりたい、かように思っているわけでございます。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 今安全局長のお話を承っておりますと、幾らか考え方がわかってまいりました。しかし、安全の確認なくして実験なしということは、これはもう昔から言われているわけでございますが、現実の問題がそういう状況の中で、今安全についての審査がどういうふうにこれからやったら管理ができるかというような段階の中で、法律だけが先に出てくる。一体、そういう状況で立法府の我々がその問題を法律として作成をする段階にあるのだろうかということを考えざるを得ません。  それで、今のような形で行くならば、いわゆる事前のキャスクにつきましての検査はできるとしても、事後の措置については外観から眺めるだけしかできないような状態になってくる。そしてそれは、話を聞いていくと、フィルターを通して外へ出ないようにやるような措置もまたお考えのようでございますが、三十年、五十年たちました後、地下の中に埋没してしまうことになるのじゃないかという問題が出てくるわけです。そして地下には地下水があるわけですから、水が入ったら一体どうなるのだろうというような問題も、これは検討しなくちゃなりません。そういうような問題が現実的な解決のめどがついていない中で、法律だけは先に通してしまう、そしてガラス固化体にして保存をする、その一本のキャニスターに四十万キュリー放射能を持ったやつを何本がそこに−そこへ一本だけ置くわけじゃないから、ずつと並べておくのだろうと思いますが、そういうような形で保管をしていくことについての技術がまだ確立していないのに、そういうような立法作業を今からやらなければならないというのはどこにあるのですか。
  36. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  ガラス固化体キャニスター関係について、原子力発電所の一般的なものとの類推から危険性、例えばピンホールみたいなものについての危険性というものを非常に大きくお考えのようでございますが、このガラス固化体は非常に高温、千二百度近い温度で溶けたものでございまして、そういう意味での揮発性のガスはもう既にその段階で外に出ておりまして、ガラスの中にそういう放射能物質というのが閉じ込められた形に固体としてなっているわけです。  ただ先生御案内のように、ガラスというものは機械的に非常にもろいものでございますから、そういう意味で輸送とかあるいはその後の管理におきましても、これをきちっとした丈夫な容器の中に封入しておくことが必要であるということ、それが取り扱い上の問題として第一の問題でございまして、厳重なキャニスターの中に入れるということになっておるわけでございます。したがいまして、貯蔵所で管理しておく場合に、ピンホールの中に水が入ったらどうか。ピンホールから入った水の程度では、とても放射性のガラスの中に溶け込んだものが外に出てすぐどう悪さをするということじゃございませんで、そのためにも管理の段階においては、室内は空気で冷却しまして管理をしているというようなことでございます。  それから、実績はないじゃないかということにつきましては、フランスのマルクールにおいて既にその貯蔵の実績を持っておるわけでございますし、それから現在東海村に液体の状態でタンクにためておるわけでございますので、これはガラス固化してキャニスターの中に入れて貯蔵した方が、流体であるよりも固体化して貯蔵した方がはるかに安全上はいいわけでございます。  それから、地中に埋めた場合どうなるのか、こういうことにつきましては、まさに現在我々、高レベル廃棄物を地中に処分したときに再び人間界に戻ってこないためにどういう措置を施したらいいかということはいろいろ検討しているわけでございまして、そういう意味で、その方法がまだ確立していない段階では、そこまで今回の法律でもってどう管理するかという、法律上今回の埋設事業だとか管理事業だとかそういう中でこの問題は取り扱わない、将来そういうことについて確立した段階でまた法案の体制について検討させていただきたい、こう申し上げておるわけでございますので、先生の御疑問についてはひとつこういったことで御了承をいただきたいと思います。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 もう時間がありません。私の持ち時間はあと二分ぐらいしかありませんが、私はこの検査の問題については非常に重要な問題だと思います。おまけにこの法律改正案を見てみると、PPPの原則というものがはっきりしておりません。発生者責任というものをどこまで貫いているのかということが、原子力委員会の結論が出ているにもかかわらず、原則が明らかにされているにもかかわらず、法律の中にはそれが入っていないのですよ。そういう欠陥の法体系の中で、しかも民間が処理をするというような格好の問題等も若干あるわけでございますし、国の法律体系の中で、だれがどこまでどういう責任を持つのかということを明確にしておかなければならない非常に重要な内容のものでございますから、今の説明についてはわかりましたというわけにはまいりませんことをつけ加えて、時間が参りましたので、この点はまた後ほど他の委員の方が追及をされるであろうことを期待しておりますが、以上で私の質問を終わります。
  38. 大久保直彦

    ○大久保委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  39. 大久保直彦

    ○大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  両案審査のため、参考人各位から御意見を聴取いたします。  御出席願います参考人は、電気事業連合会副会長野澤清志君、動力炉核燃料開発事業団理事大町朴君及び同再処理部長松本憲一君であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたく存じます。  なお、御意見は質疑応答の形で賜りますので、さよう御承知願います。  質疑を続行いたします。関晴正君。
  40. 関晴正

    ○関委員 冒頭、先ほどの我が党の村山さんの御質問があったのですが、その御質問に対するお答えが極めて不明確でありますので、この際もう一遍お聞きしておきたいと思います。  言うなれば、高レベル廃棄物処理、そしてキャニスターにおさめているガラス固化体内容、これを溶接の後にどうチェックするのかということを聞いているわけです。溶接内容がうまくいったかどうかというものを何で検査するのかということを聞いている。検査の方法はこれから検討するというのが安全局長の答弁のようであったし、検査のことについては方法がないと言っているのが原子力局長の答弁のようにも聞こえているわけなんで、ここに両局長の答弁が食い違っているような感じがするし、まず方法があるのかないのか、そういう点についての村山さんの御質問に明確でなかったものですから、関連してお答えいただければと思います。
  41. 辻栄一

    ○辻政府委員 検査の方法につきましては、溶接後のテレビカメラによる目視検査があるということでございます。
  42. 関晴正

    ○関委員 その方法できちんと安全が確保される、こうお考えなんですか。
  43. 辻栄一

    ○辻政府委員 私はそれで十分であると思います。先ほどもるる申し上げましたが、そもそもガラス固化体で固化するわけでございまして、そこからガス等が放出するというおそれはないわけでございます。基本的にはありません。固化をいたしますときに千二百度の高熱で処理する、固化体を注入するわけでございますからして、その際に放射性の希ガスがもし残っていたとしても、それは大部分はその時点で外へ出てしまう、ガラス固化体の中には含まれていないということでございまして、基本的にはガラス固化体から放射性希ガスが出ることはないということでございます。その後、内部のアルファ崩壊がございますのでヘリウムガスが多少発生してまいります。しかし、このヘリウムガスは放射性ガスではございません。強いて出るとすれば、ガラス固化体の表面からルテニウム等の希ガスが極めて微量揮発することがあるわけでございますが、これはむしろ学問的にそういうものが揮発するという程度でございまして、そもそも技術的な観点から申しますと、ガラス固化体から放射性の希ガスが発生するということも基本的には考えられないわけでございます。  したがいまして、ヘリウムガスが中で出るかもしれないということはあれでございますけれども、これまでの研究の結果では、それによるキャニスターの内部の圧力上昇は五十年たちまして一・一気圧程度の増加であるということから、固化体のキャニスターの本体につきましては、これは溶接検査というのは放射性物質を入れる前に十分検査できるわけですからして、それは十分検査ができておる。それから後、上にふたが乗っかっておりまして、一応ふたができておればいいわけでございまして、それの強度はそれほど大して大きな強度を要求される性質の溶接ではないのでございますからして、そういう観点から、テレビカメラによる外観検査によって目立った欠陥がないということが確認されれば、強度的には十分であるというふうに私は思っておるところでございます。
  44. 関晴正

    ○関委員 非破壊検査と気密テストというのは方法がない。方法がないということでは、どうにもならないのじゃないですか。どんなことがあっても、最低限この検査は必要な検査になりませんか。  あわせて、中村局長ピンホール程度水が入ったって大したことがないとおっしゃったのですが、そうですか。
  45. 辻栄一

    ○辻政府委員 私は、検査の方法がないというか、放射性廃棄物が入った後は、非常に放射線レベルが高いわけですからして、レントゲン検査等の非破壊検査はできないけれども、テレビ等による外観検査はできます。それで、この部分の溶接自体はそれほど強度上重要なものとしてエックス線検査等で透過試験をやらなければならないほど強度のかかる部分ではございませんので、外観検査でもって十分であるというふうに思っているわけでございます。
  46. 中村守孝

    中村(守)政府委員 キャニスターの表面温度は、大体空気中で保存保管しているときでも実際に中にガラス固化体が入りますと百度ぐらいになりまして、空気中の水蒸気がまず表面にいわゆる露点という形で水滴になるようなことはございませんし、万一小さなピンホールの中へ水が入り込んでも、そういう温度からいってすぐ蒸発してしまうということでございまして、ピンホール程度のものがあったとしても、保管管理しているという段階においては特に問題はないと思います。
  47. 関晴正

    ○関委員 この問題については、さらに検討してみなければならない内容が含まれているとのお答えもまたあったわけです。そういう意味で、この問題についてはよほど吟味しなければならない内容を持っているものだと思いますし、この後もまた私の方で続いて質問を予定しておりますので、ただいまの答弁で了承というわけにはいかないことだけを申し上げておきたいと思います。  私はさらに、先般のソビエトにおける原子力発電所事故に関連しまして、我が国原子力発電所の総点検をしたらどうか、こう提言いたしました。それに対して科学技術庁長官は、年に一遍検査をしておることでもあるし、今にわかにそれによってすることも必要ではないのじゃないだろうかという見解を出されました。そのときに私は、年に一遍の検査というものがあると言うけれども、年に一遍の検査というものがちゃんと行われているのか、十二カ月のうち九カ月稼働、三カ月点検、場合によっては十カ月稼働、二カ月点検、そういうようなことがきちんと行われているのか、こうお尋ねをしましたところ、一年の一カ月内外でということがお答えの中にありました。しかし、電気事業法等を見まして、また通産省の規則等を見ますと、原子力発電所における定期検査というものが、それぞれの事態において一年間にきちんとやったりそれを過ぎてやったりして、非常にまちまちになっているのじゃないだろうか。それに対して原子力研究所等の所有にかかわるところの原発については、確かに年に一遍、一年以内にきちんと行われている、こう資料としても出されているわけです。  いただいた資料を見ますと、年に一遍きちんとやっているのは原研の発電所の実態で、電力会社の持っているところの原子力発電所の点検というものは一年に一遍ということが行われていない。そうしてこの表を見ますと、当然一年に一遍行われていなければならないのが、例えば福島第一原子力発電所一号機、これは四十六年三月に運転であります。四十六年の三月ですから、今の六十一年四月までということになりますと十五年たっている。十五年たっているのに十五回検査をしているか、こうなりますと、検査の件数はことしの四月現在で十一回となっている。十五回もしなければならないものが、十一回にしかなっていない。それから同じように二号機に至っても、四十九年七月ですから十二年たっていますね。十二年たっていますから少なくとも十二回はやられていなければならないというのに、八回であります。同じように福島の三号機、これは五十一年三月にできたものですけれども運転して十回はやっていなければならない。にかかわらず、おやりになっている回数は七回であります。  こう見ますと、年に一遍検査をしているということ、あるいは十二カ月後、一年前後にやっているということが規則の中に定められていながら、ちっとも現実的には行われていない。こういうことについて、今のソビエトの事態というものを見ますときに、厳重にこれはさせなければならないのじゃないだろうか。我が党の原発の総点検をしなさいということについて、科技庁長官はきちんと行われているからその要はないと言っていますけれども、何もきちんと行われていない。こうなりますと、言葉を信じるのじゃどうにもならない現状が今原子力行政の中にあるのじゃないだろうか、こう思うわけであります。  この事実、これは何も今申し上げたところだけじゃない。全部です。一番いいところをとってみますと川内原子力、ここだけは、五十九年七月にできてことしの六十一年四月までの間、二年足らずですが、二回やっています。ここだけは合格。それからもう一つ、玄海原子力の二号機、これは五十六年三月にできて五年たっているのですが、四回やっておる。まずまずというところです。あとは全部、検査期間というものが決められた規則どおりに行われていない。私どもの主張しているところの現時点において、やはりこの際ソビエトの事故にかんがみて当然やるべきものではないだろうか。そういうようなことについて先般の我々の決議としても、国内における安全にかかわる規制をやれという表明をしておるわけなんで、どちらからでもよろしゅうございます、通産の方で考えられている考え方があるならばそれなりに、科技庁においても、今の話を聞いて、そういうことになっているとすれば科技庁の所管の中はいいかもしれないけれども、通産の所管の中においては今までのような状態であることに照らしても再検討、そして一斉に点検、こういうことを要請すべきではないだろうか、こう思うのでありまして、その点から科技庁長官あるいは通産の代表、いずれでもよろしゅうございます、お答えがいただければと思います。
  48. 辻栄一

    ○辻政府委員 私ども直ちに日本原発をとめて総点検する必要は現在のところ認めていないというところは、特段変わった意見を今持っているわけではございません。先般の私どもの御説明も、単に定期検査期間だけではなく、安全審査、設工認、定期検査その他を含めました総合的な安全管理がきちんと行われている、そういう前提で申し上げたものでございます。と同時に、現段階ではソ連原子炉事故の様相がわかっていないというところから、具体的に日本原子炉をとめてやらなければならないという理由が見当たらないというところが、現状は特段の手当てをする必要はないという判断のベースになっているわけでございます。  定期検査期間につきまして一年以上、以内という問題がございましたが、これは通産省の所管でございますからしてそちらの御答弁にお任せをいたしたいと思いますが、私どもとしては、先般来の通産省の答弁を見ておりましても、電気事業法あるいはそれに基づく通産省令の運用が適正に行われているというふうに聞かしていただいておりまして、適切な対応ではなかろうかというふうに考えております。
  49. 神田淳

    ○神田説明員 通産省における定期検査のやり方でございますが、法といたしましては、省令で決められた期間定期検査を受けなければならない。省令でそれを定めておりまして、その時期を、一年を経過した日の前後一カ月を超えない時期にというふうに定められております。この解釈でございますが、炉を立ち上げまして総合負荷試験を完了した後一年プラス・マイナス一カ月、最大限延ばして十三カ月まで連続運転できる。その辺の解釈につきまして昭和五十三年に、その解釈がそれまでまちまちでございまして、十二カ月程度連続運転したり九カ月であったり、比較約九カ月程度の方が多かったのですが、五十三年に解釈を統一いたしまして、十三カ月まで連続運転できる、こういうふうな解釈で進めております。
  50. 関晴正

    ○関委員 今省令の中身においての運用をそのようにしたとおっしゃいますけれども、一年に一遍というのを、例えば十三カ月までは許容できるからというので十三カ月運転して、その後また点検する、こういう意味ですか。
  51. 神田淳

    ○神田説明員 その意味でございます。
  52. 関晴正

    ○関委員 科技庁もそういうことの考えに立っていますか。
  53. 辻栄一

    ○辻政府委員 私どもは私どもの所管する原子炉施設等についての検査をやっているわけでございますが、これの基本法律原子炉等規制法でございまして、この法律の規定の定め方は電気事業法とやや違っておるわけでございます。私どもの所管する法律には、定期検査は毎年一回定期に行うというふうにされているわけでございまして、この法律の定める範囲内におきまして運用を行っている次第でございます。  それで、実際は、今までのところはどういうふうにやっておるかと申しますと、実際に運転されている期間が十二カ月程度になるように定期検査を実施しているところでございます。実績につきましては、実際は平均値はもっと少なくなっておるのでございますが、その理由は、私どもの所管する原子炉研究用の炉であったり、あるいは研究開発段階のものである、こういうことから、いろいろ研究のために施設を改造するとか、そういったような新しい研究開発の段階のものについては、途中少しでもふぐあいがあればとめて点検をするというような扱いをしておりますために、結果として統計的にはほかより運転期間が短くなっておるという状況でございます。
  54. 関晴正

    ○関委員 局長、つまらないことを言うものですね。言うなれば、原子力発電所運転について安全第一、そして事故防止第一、そういうことにおいて年に一遍定期検査を行う。研究上、随時検査を行うというのはわかりますよ。しかし、定期検査を行うというのは、そういう意味においてはきちんと一年に一遍やるのですよ、こうなっている。何も商業ベースにあなたが加担して、研究用だから一年に一遍だ、商業ベースの方はそれを超えたって構わないんだ、こういう態度というのはないでしょう、あなた。  そういう意味で、通産省令の中身というものと今の科技庁の出している法律との間に差があるわけですよ。その差が、今申し上げたように許容限度内ということでそれぞれおやりになっていることだろうと思うのです。これだって、十二カ月働いてそして点検だということじゃなくて、相当の月数働いて点検というのがたくさんあるわけです。そういうようなものを、年に一遍というこの原則に立ては、これはいかがなものかとかいうことで当然チェックすべきものじゃないだろうか。あるいは、この点検の期間というもののあり方において、通産省の規則はこうでございます、科技庁の規則はこうでございますと言って一致していない。随時検査研究用の検査は別ですよ。あなたは今、研究用だから一年に一遍でいいんだ、そんな話はないでしょう。原子力発電所危険性にかんがみ、この安全性を確保する、その見地に立って一年に一遍と決めているのでしょう。電力会社がやっていることは、あなた方に倣ったらいいでしょうし、倣わせるようにしたらいいでしょう。  ところが、そういう考え方ているものだから、甚だしきは、こっちの方は四百何日も稼働して、そうして点検に入っている。そういうようなことを見るときに、私どもはやはりここに危険性があるのじゃないだろうか、こう思っているわけです。念には念を入れよとか、忘れたころに災害がやってくるとか、本当に大事なこの点検の活動について、通産と科技庁の点検期間というものが統一されていない、これはまずいと思うのでありまして、ぜひこれは一致すべきじゃないだろうか。  あわせて私は、一年というものに理由があるのでしょうから、もし一年に理由がないならば、何も定期検査一年と言わなくてもいいわけなんです。科技庁で所管する原子力発電所は一年、電力会社のものは一年でなくてもいいということでは大変に不安を感ずるわけでありまして、こういう点についてはやはり統一して当たるべきものじゃないか、そうして指導すべきものじゃないだろうか、こう思いますので、この点は科技庁長官、お考えがあったらいただきたいと思います。
  55. 辻栄一

    ○辻政府委員 私は、法律の規定の違いをただいま御説明したわけでございます。それに従ってあといろいろつけ加えましたのは、実際に私どもの所管している原子炉等の施設の特徴から、結果的にこの法律で定める一年以内よりもやや短いのが実際の実績であるということを申しているわけでございます。  しかしながら、原子炉規制と一概に言いましても、それはやはり炉の目的いかんによって多少の違いがあるということは極めて普通の考え方であろうかと思います。必ずしも研究用の炉と実用の発電炉との検査期間がぴったり一致していなければならないという性質のものではなかろうと思います。通産省の実用炉の運転につきましては、やはり実用炉という観点から、しかるべき期間運転をやった方が適当であるという問題もございましょうし、それから最近の技術的な全体の問題から考えて、一年を基本としつつ、その前後につきまして適当な余裕期間を置くというのも、最近の技術の進歩の状況あるいは運転の実績等から見て、余りにその期間が開くとかなんとかいう問題であれば、先生のおっしゃるような問題があるいは出てくるかとも思いますけれども、それはやはり炉の実用目的等との関連からいいまして、通産省でもいろいろ御検討になってやっているわけでございますし、私は、今の運用が特段悪いというふうには少しも思っていないわけでございます。  ちなみに、定期検査期間につきましては、それぞれ国によっていろいろ様子が違います。日本のように毎年一回やるというふうには必ずしもなっておりません。アメリカなどの場合はどちらかといえば、原子炉というものの運転は非常に長期間安定したロードでやっていくことが適当だということで、特に法律で定期的な検査期間を定めておらないという国もございまして、しかるべきときに、トラブルが発生した、あるいは修理を要する時期が出てきた、そういうときにとめて、そのときに定期検査をやろうというような考え方の国もあるわけでございまして、私は、現状の運用については特段問題があるというふうには思っておりません。
  56. 河野洋平

    河野国務大臣 今局長が御答弁申し上げましたように、法律の立て方が炉規制法と電気事業法ではいささか違うということでございますから、それぞれの法の定めるところによってきちんと運用されるということがいいのだと思います。思いますが、私といたしましては、やはり安全第一ということを考えますれば、一年なら一年ということを原則として、いわゆる商業炉におきましてもその十二カ月ということを原則として、先ほど課長からもお話がございましたけれども、プラス・マイナス一カ月ということの意味は、本来十二カ月だよ、しかし仕事の態様でございますとか何らかの事情によってその十二カ月が約一カ月ぐらい延びることもある、しかし原則はあくまでも十二カ月だよ、プラス・マイナス一カ月、こう言ったからといって、十三カ月がベースであるということでない方がいい、望ましい。あくまでも十二カ月ということが本来の基礎的な考え方であって、それをプラス・マイナス十一カ月目にチェックすることもあれば、仕事の態様その他によって十二・何カ月目にチェックをすることがあるということもあろうかと思いますけれども、あくまでもプラス・マイナス一カ月と言ったから十三カ月ずつやっていけばいいんだよというものではない。そうでないことが望ましいということは、私は科学技術庁長官として申し上げたいと思っております。
  57. 関晴正

    ○関委員 通産省の方にお聞きしたいのですが、十三カ月を限度として、点検活動がその後にきちんと行われる、こう見ていますか。それとも、実際上は十三カ月じゃなくてもっと稼働して、その後で点検しているという例があるのじゃないですか。その際、一番長いのでどのぐらいになっていますか。ありませんか。
  58. 神田淳

    ○神田説明員 いわゆる総合負荷試験から次の解列に至るまでは十二カ月プラス・マイナス一カ月ということで、過去完全に全部十三カ月以内におさまっております。しかし、いわゆる連続運転という観点から見ますと、総合負荷試験をする前に併入して試験運転をして、既に併入して炉を立ち上げていきます。その期間を加えますと十三カ月を超えているのもございます。
  59. 関晴正

    ○関委員 その例はどのくらいですか。
  60. 神田淳

    ○神田説明員 試験期間が大体二週間、多いもので一カ月ちょっと超えるのもございますが、それくらい超えるのもございます、
  61. 関晴正

    ○関委員 大体科技庁長官の一つの考え方が出てまいりましたので、こういう一年に一遍と言っている方針、もし直すならば別です。そうでなくて、規則があるし、定めていることであれば、これは統一してきちんと守らせていかなければならないものだと思いますので、長官のお話しになった、十三カ月が限度だからといってそれを当たり前にするのじゃなくて、余計に念には念を入れて当たるのが正しいじゃないか、必要じゃないか、こうお話しになっておりますから、ぜひひとつそれについては同じように当たらせるようにすべきだと思いますので、この点を申し上げておきたいと思います。  次は、きょうはせっかく電事連の代表の方においでいただきまして、御苦労をかけておりますので、私の方から電事連の方にまずお尋ねをしたいと思います。  一番先に、最終処理の責任は当然電気事業者に負わせられるべきものだし、今日もまた負わせているわけです。それを今度の法律によりますと、末端の廃棄物処理業者にその法的責任を負わせて、そうして発生者である電力会社がその責任を法的に負わない、安全確保の問題にしても損害賠償の問題にしても法的には免除される、こういうことで電力会社はお喜びになっておられるものか、やはりこれはおれが発生者で責任者なんだから法律的にも負わなければならないんだ、負わせるべきではないだろうかと思っておられるものか、ひとつ先に伺っておきたいと思います。
  62. 野澤清志

    ○野澤参考人 お答え申し上げます。  私どもは各電力の廃棄物を集中して処理処分する方針でございますので、この場合、技術的能力、経理的基礎のしっかりした専門の廃棄事業者が認められるときは、この事業者が安全管理の責任を一貫して担うことがより適切であると考えております。電気事業者といたしましては、この専門の廃棄事業者に適正な費用を支払うことはもちろん、当該事業の実施期間中健全に事業を実施できるよう、資金面を初め全面的な支援を行ってまいる所存でございます。
  63. 関晴正

    ○関委員 私の聞いているのは、発生の責任者である電力会社が最終処理の問題について、廃棄物業者に仕事がゆだねられることによって法的に責任がなくなるということについてどう考えるかと聞いているのです。さっぱりしたと思っているのか、やはりこれは望ましいならば我々はみずから法的にも責任を負うていいんだと考えているのか、そこが聞きたいところなんです。やれやれさっぱりしたと思っているのか、意に合わぬことをされたと思っているものか、荷物がよそへ移ってよかったというお気持ちなのか、この辺がわからぬものですから。あなたの方から要請して、こういうふうにした方がいいとお話し申し上げておったとすればこれは別であります。その点でもう一遍お答えしてくれませんか。
  64. 野澤清志

    ○野澤参考人 お答え申し上げます。  法律上の責任ということになりますと、法律の定めたところに従うということでございます。専門の廃棄事業者が法改正により認められましたときは、廃棄事業者が法律上の責任を含め安全管理の責任を一貫して担うことが適切だと私どもは考えております。
  65. 関晴正

    ○関委員 きょうは、ここは事業団体と論議する場所じゃありませんので、御意見を聞くだけで終わらなければなりませんが、少なくとも、法的に責任を負わせてもらった方が電力会社としてはありがたいんだ、我が意思はそこにあるんだ、こうお考えになっているものだと思ったら、定まった法に従う、こういうお話で、まことに積極的ならざるPPPの原則の態度ではないかと思います。  二つ目、お尋ねいたします。  あなた方は、青森県の六ケ所村に土地を求めて今取り組んでおられるのですが、あの場所が適地であるという条件が、お調べの結果何か出てまいりましたでしょうか。また、ボーリングをして、あるいはあの地域における陸上の調査、陸域の調査をそれぞれおやりになったのでしょうが、現在までにおやりになったところで出ているデータに基づいての状況がありましたら、中間報告でよろしゅうございますけれども、お聞きしたいと思います。
  66. 野澤清志

    ○野澤参考人 お答え申し上げます。  六ケ所村の立地予定地及びその周辺につきましては、既にむつ小川原開発第二次基本計画にかかわる環境調査などが実施されており、立地の可能性を検討するのに必要な基本的資料は得られております。すなわち、安全確保に必要な広い敷地が存在すること、補給水や冷却水としての淡水が確保できること、資機材、使用済み燃料等の輸送に必要な港が確保できることなど、六ケ所村は自然的、社会的条件を満たしており、これらの諸条件を含め総合的に勘案した結果、当地は原子燃料サイクル三施設立地に適しているものと考えた次第でございます。  もう一つの御質問で、調査状態でございますが、現在事業二社が調査を実施中でございまして、これらの調査結果は施設の設計を行う上での資料とするほか、廃棄事業の認可の際の国の安全上の審査や再処理施設にかかわる国の安全審査で活用されることになります。したがいまして、この審査に提出したデータの取り扱いはこの段階で明らかになるものと考えております。
  67. 関晴正

    ○関委員 港があるとか広い土地があるとか淡水があるとかというのは、何もこの六ケ所でなくても、日本国じゅう幾らでも探せばあると思います。しかし、あの地域における地質調査、特に活断層の問題あるいはまた軟弱地盤の問題あるいはまた透水性の問題、地下水の問題、そういう調査等をされて適地だと御判断されているのでしょうか。岩盤なんかもきちんと堅固なものがある、こうなっているのでしょうか。せいぜいその程度だけは聞いておきたいと思いますが……。
  68. 野澤清志

    ○野澤参考人 ただいま申し上げました第二次基本計画にかかわる環境調査、それにまた五万分の一の沿岸の海の基本図、海底地形地質調査報告がむつ小川原で海上保安庁の水路部に出ているものなどを我々参考にいたしました結果でございます。
  69. 関晴正

    ○関委員 何のお答えにもなっておりませんし、そういうことであれば、そこのところから話を進めても、また時間もありませんので、この点はそこでとどめておきます。いずれにしても、お答えの中に岩盤があるということも出てこないし、そうした地質についてのお話も出てこない。一年以上調査の上でもなお出てこないということは、大変残念であります。  三つ目は、昨年の七月十四日、泊の漁業協同組合があなた方の要請を受けて海域の調査を受け入れる、そういうような総会になる予定でありました。ところが、この総会において書面議決書が非常に買い集められた。書面議決書の集め方というのが、金によって買い集められた。そしてその金というのは、大分電事連の方から流れたのではないだろうかと言われているわけであります。私は見たわけじゃありませんから、言われております。その金も相当な金でありまして、言われているところの金は大変な金であります。  大体、漁業協同組合が意思決定をするときに、その意思決定の仕方において大事な書面議決書というものを金で買収してまで集めてやろうなんというような諸君に期待をしてこの施設を持っていこうなんということは、私は適当なことだとは思えません。まして電事連は、公正な立場に立って漁民の声をひとつ聞いていく。ここはむやみやたらに必要以上の宣伝に至らないで、宣伝というよりも工作に至らないで物を見ておかなければならぬのじゃないだろうか。とにかく七月十四日の総会というものが、電事連の皆様方の大変な工作、それがあって余計に書面議決書が問われて、理事者が答えることができなかった。それが紛争の一番の理由にもまたなっているわけで、そういう責任を電事連は負うていると思うのですが、この点についてはどう考えていますか。
  70. 野澤清志

    ○野澤参考人 野澤でございます。お答えいたします。  そのような事実は聞いておりません。
  71. 関晴正

    ○関委員 聞いておらないということは、よほど耳が遠方になっているのではないだろうか、こう思うのですが、聞いていないというなら聞いていないということでいいでありましょう。  では、そういうお考えの中に、漁協がおやりになるお仕事の、そういう書面議決書を集めたり、書面議決書をとにかくふやしていくということについて関与することは今後ともありませんか。
  72. 野澤清志

    ○野澤参考人 もちろん、そういうようなことは考えてございません。
  73. 関晴正

    ○関委員 今年の三月二十三日、わずか二分足らずの総会でありました。このわずか二分足らずの総会で、書面議決書が四百二通あったことにして議決が行われております。ところが、この四百二通の書面議決書がどこに行っているかわからない。当日の朝五時ごろ組合長が受け付けたと言っているのですが、言葉だけであります。何らの受け付けの業務がなされないで、この三月二十三日の泊の漁業協同組合の議決というものは通ったことになっております。この点については、先般参考人としておいでになった青森県の知事も、一月十日に五時間もかけて、そうして正規の過半数を超える組合員が集まって討議をした一つの結論、これは流会後やったものだから何らの効力がないという言葉で知事は終わりました。ところが、三月二十三日の件はわずか一分半ないし二分であったけれども、四百二通の書面議決書もありまして、これは有効に成立した、こう言われました。  そこで、そのことに関連して、あなた方の方はよかったということで今海域の調査を手続をして進めようとなされておりますけれども、私は、こういうような不正常な状態、適正を欠くような状態で議決があったんだから、もうこの際海域の調査は進めて結構だ、どんなことがあっても進めるばかりだ、こうやってしゃにむにお進めになるつもりですか、それとも、そうは言うものの、ここで科技庁長官から丁寧に扱えというお言葉もありまして、事を進めるのにはなお慎重に対処する、こういうお考えでおられましょうか。どちらでございましょうか。
  74. 野澤清志

    ○野澤参考人 野澤でございます。  三月二十三日の臨時総会におきまして調査受け入れを決定した旨、板垣組合長より承りましたので、今後は所定の手続を経た上で調査に着手したいと考えております。
  75. 関晴正

    ○関委員 板垣組合長が三月十日に高梨監事に対して暴力行為をして、相手に六週間のけがをさせたことは御存じですか。
  76. 野澤清志

    ○野澤参考人 そのようなことは聞いておりません。
  77. 関晴正

    ○関委員 聞いていなければ、これもまた耳の遠いことになってしまいました。  もう一つ聞いておきたいと思いますけれども、三月二十三日に板垣組合長、暴力組合長と言っていいでしょう、監事を殴りつけて、そして六週間の小指の骨折ですよ。今検察庁の取り調べに入っております。そこで、板垣組合長はそういうように三月二十三日に決めたと言っておるけれども、この決めたという内容についての議事録ですね、この議事録は出席した理事が署名捺印しなければならないのですけれども、その議事録は署名捺印のないまま議事録としてつくられております。あなたのところにも行っているんじゃないだろうか、こう思いますが、それをごらんの上でもなおこれが正しかったと認識していますか。
  78. 野澤清志

    ○野澤参考人 野澤でございます。お答えいたします。  そのようなことは私どもの手元に届いておりませんけれども、私どもとしましては、適法に行われたものと理解しております。
  79. 関晴正

    ○関委員 あと時間もありませんので、参考人に対する質問はこれ以上続けるということもできませんから、大変御苦労さまでありましたし、またこの後も我々が必要に応じてぜひ電事連の代表者に出てもらいたいと言えば、ひとついつでも心安くおいでいただきたい、こう思うのです。このことだけにお答えをいただいて、参考人に対する私の質問を終わりたいと思いますが、いかがですか。
  80. 野澤清志

    ○野澤参考人 これは、また相談した上でお答えさせていただきたいと思います。
  81. 関晴正

    ○関委員 それじゃ、どうぞ。  関連してでありますので、なおこれについて関係することだけ申し上げてみたいと思います。お聞きしたいと思います。  海上保安庁長官をお願いしておるのですが、おいでですか。——海上保安庁に聞いておきたいことは、実は今の参考人のお話を聞いてもおわかりになったかと思うのですが、とにかくしゃにむにそういうような議決を盾にして海域の調査をしようということでの申請を八戸の海上保安部にしているわけです。そういうことで事が運ばれますと法の乱れが非常に出てくる、こう私は思っているわけです。  法の乱れが出てくるということの第一の理由は、この原燃サービスといい、あるいは原燃産業といい、この会社は会社としてはあるかもしれませんけれども原子炉等規制法に定めているところのいわゆるごみ処理業者というような格好での、簡単に言えば廃棄物処理業者というものにはなっていないわけてあります。また、この二つの会社が生まれましても、二つの会社は原子炉等規制法の法律の及ばない会社であります。言うなれば敷地外の、サイト外のそういう廃棄物処理業者というものは別個に定める、あるいは別に総理府令による、その総理府令が何もない。別にとあるだけで、総理府令によるといってあるだけであって、どうよるのかという根拠法がありません。したがって、この二つの会社というものは会社としてあるけれども、そういうような廃棄物処理業者ということになると、法的にちっとも認められていません。法的に認められていないものが自治体と契約は結んでおります、青森県の知事、六ケ所の村長と。そうして安全の確保の問題、損害賠償にかかわる問題、そういう契約をしている。しかし、この二つの会社は法的にそういうような契約をする根拠がありません。そういう根拠のない会社が合しゃにむに泊の漁業協同組合で、そうしたよしとするもの、あしとするもの、議決の内容においても書面議決書が何にも出されない。出されないままで決まったものありき、すべての議決は板垣組合長の胸三寸で決まるんだ、こういうような非民主的な進め方で取り組まれているのが現状であります。  私は、これは四月二十四日のときにも申し上げました。マルコス大統領みたいなことが六カ所においては行われておる、これではいかぬじゃないかということで、注意もまた喚起したわけであります。そこで、幾ら権力といい、いかに味方しようとしても、その三月二十三日の議決書というものは、県庁に出しているもの、水産庁に出しているものを見ますと、出席しておるところの理事の署名捺印がないものである。そういうものを出してにわかに信頼させて、もう決まったんだからやれ、こうなっております。いずれにしてもあなた方の方は、そういう海のことを調べるのに支障がなければ直ちにでも許可しよう、こうお思いになっているかもしれませんが、このことを認めたときには異常な事態が発生する。言うなれば非合法的なものあるいは非民主的なもの、それにかかわるところの要請を安易に海上保安庁も認めるということになると、私は大変なトラブルがそこに発生する、それを恐れるわけであります。  きょうにわかに海上保安庁の長官にということでの要請をしたわけですが、これは確かに八戸の海上保安部からもあなたの方にお話が来ているだろうと思っておりますので、そういう点からもひとつこの際、軽々に事が運ばれるようなこと、非合法的なことで運ばれるようなことだけは断じてないようにしていただかなければならぬ、こうも思いますので、その点からひとつ先にお答えをいただければと思います。
  82. 岡田專治

    ○岡田政府委員 御案内のことと存じますけれども、私どもの所管しております港則法という法律がございまして、これは特定の港域内におきましていわゆる交通安全とか港内の整とんとか、こういうものを確保するという法の目的から照らして、工事あるいは作業というものをやるときには港長、これは大体私どもの海上保安官の中から長官が指名された者でございますが、これの許可を受けなければならない、こんな仕組みになっておるわけでございます。  今お話のございましたのは、むつ小川原港を中心とする調査のお話だと理解しておりますけれども、当然のようにむつ小川原港はこの港則法の準用のある港でございますので、内々相談に来ているようでございます。私どもとしましては、今申し上げましたような法律の目的からいたしますと、いわゆる交通安全、港内整とんという見地からの判断が必要かつ十分な判断の物差してございまして、そういう見地からまだ実は正式な申請は出てきでおりません。内々の相談があったということだけしか耳に聞いておりません。したがって、正式の相談がありましたら、その上で許可するか否かを決定しようと考えております。  ただ、今先生の御指摘にございましたいろいろな特別法上の廃棄物理事業者としての資格であるとか、そういうようなことがあるとかないとかいうことは、この港則法に基づく許可申請の判断の場合には実は参考になりません。申し上げましたような交通安全とか港内整とんという法の立法目的でございますので、自然人、法人いずれにいたしましても、人格を持っている者から、その工事もしくは作業の責任を持っている者の名において、ある海域においてこういうことをやってよいかどうかという相談があれば、先ほどの見地から私どもとしてはその判断をするというのが法の建前でございます。
  83. 関晴正

    ○関委員 私の言っているのは、安全上の問題、それぞれの管理上の問題で支障がなければそれは認める、そういうことについては別に異存を持っていません。異議はありません。ただしかし、海域調査についての同意を漁業協同組合がするに当たって、していないものをしたと称して申請が出ているわけです。その点をしようがしまいが、したと言うならばしたんだということで、それには何も目もくれないでオーケーを出してもいいのだ、こうあったのではまずいと思うのです。  言うなれば、今の団体が漁業協同組合から同意を得たという内容が、先ほど申し上げたように泊の漁業協同組合としては一月の十日に五時間以上もかけて議論をした結論というものがあるわけです。ところがこの結論を、板垣組合長が勝手に流会だと宣言していなくなったばかりに、正規の人数がおって正規の理事会をして決めて出された続いて行われた総会というものを認めようともしないで、一顧だにしないで片づけようとしているわけです。そうして三月二十三日には、四百二通という書面議決を集めて二分足らずで総会を議決して、言うなれば解任される本人が議長になり、議長が議長のまま自分の解任は否決されたと言ってわめき、そうして四百二通の書面議決書はどこに行ったかわからない。受け付け業務もなされていない。そういうような格好で議決したのだと言って、全く法も何もない姿で事が運んできているものですから、これではいけませんよというのが我々の主張です。  ところが、青森県の知事はここに来て、二分足らずの方が正しいのだと言ったわけです。だから、それをよいことにされて事を進めるということになれば私どもは困ります。そういうインチキ総会というようなもので、目にふたをして、耳に覆いをしてがむしゃらに進めるようなことはさせてはならぬじゃないか。幸い私はきょう海上保安庁の長官に来てもらいましたが、先ほどの電事連の副会長のごとく、上になればなるほど耳が遠くなって聞こえなくて、知らない、わからないと言ってお帰りになりました。しかし長官は耳も目もちゃんとしているわけですから、よく聞き、よく見、そして先ほどの形式的な論理で事をよしとするということよりも、この事実、実態についての把握をされて、その上で臨むべきものではないだろうかと思います。その点について、十二分に御注意されて当たっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  84. 岡田專治

    ○岡田政府委員 港則法上の許可のことにつきましては、先ほどいろいろと法律上の建前、立場というものを申し上げたわけでございますけれども先生の御指摘になりましたいわゆる漁業協同組合の内部における意思決定の問題については私どももつまびらかではございませんが、ごく一般論的に申し上げまして、海上におきましてなるべく平穏な状態が保たれるということ、これは当然望ましい状況でございますので、私どもとしましても、今後許可申請が出てくる段階におきまして、法の建前を堅持しながらもなお十分な配慮を考えていきたい、かように思っております。
  85. 関晴正

    ○関委員 この問題については、現地の漁協においては総会無効の申し立てをしております。また、水産庁においてもいろいろとこの問題についての指導をすべきだということでお話しになっているわけでありますから、海上保安庁においてはよろしくこの問題についての把握をされて、不測の事態に至ることを防がなければならない。安全交通ていいだろうと思って認めた結果大変な事態が発生したということになったとすれば、これはやはり長官の方の判断がまずいと指摘されるであろう、こう私は思います。そういう意味で、十二分にこの実態等についても把握された上で臨んでいただきたいということを強く申し上げておきます。  あわせまして、水産庁はとにかくこの三月二十三日のインチキ総会、こんなものを総会として立派な総会だと思っておられるのかどうか、また、四百二通の書面議決書が何ら受け付けがされない、そして決められたことが正当な決定と見ているのかどうか、これについてのお答えをいただきたいと思います。
  86. 上野博史

    ○上野説明員 お答え申し上げます。  三月二十三日の泊漁協の総会の取り消し請求はただいま青森県の方に上がっておりまして、総会が有効に成立をしたのかどうかということにつきまして青森県の方が現在検討中でございますので、その結果を待つ以外にない、かように考えております。  四百二通の書面議決書につきましては、これもその取り消し請求の案件の主要な内容になっているわけでございますけれども、書面議決の仕方につきましては定款で要件が定められているわけでございまして、その手続に従って行われたかどうかということについて青森県が慎重に判断をするだろう、かように考えている次第でございます。
  87. 関晴正

    ○関委員 青森県が適当な判断をするであろうと言ってみたところで、この間青森県の知事はここへ来て、二分足らずといえども決められたことは有効だと言っているわけですよ。それについて今異議の申し立てがある。しかし、県に異議の申し立てがあっても、県は有効だと言っているわけですから、恐らくその考えで進むでありましょう。  問題は、水産庁が公正な判断をして指導できるのかできないのか。それから、あなたのところに漁業協同組合から送られてきたところの議事録は正当な議事録ですか。出席理事の署名捺印もなくて出されている議事録、あれは正当なものですか。これほど明々白々なインチキ総会、それをなお支持しなければならないのでしょうか。こんなばかなことはよせと一喝して指導する、それが必要ではないかと思うのですが、どうですか。
  88. 上野博史

    ○上野説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの件につきましては、ともかく漁協の指導監督の任に当たります都道府県知事の権限の問題でございまして、取り消し請求について、それについての判断が出まして、仮に申し立てをされた方々がその内容に問題がある、不満であるということであれば、その次に私どもの方にお尋ねがある、あるいは審査請求という形で上げてこられるということになる、そういう順序になっておるわけでございまして、目下のところは青森県の方で御審議をいただいておるという段階でございます。
  89. 関晴正

    ○関委員 時間もなくなりましたからこれ以上質問をすることはおきたいと思いますが、願わくは公正な判断、公正な指導、海上保安庁においても、きょうのここでの論議を踏まえて一層慎重に対処する、そういう方向で臨んでいただきますことを重ねて希望して、法案そのものについての質問に入りたいと思います。  まず、発生者負担の原則、汚染者負担の原則、いわゆるPPPの原則というものを今度の法案の中で打ち消してしまった、薄めてしまったというよりもなくしてしまったと言っていいのではないだろうかと思うのです。その点からいきますと、この法案は電力会社の肩を持ったところの欠陥法案ではないだろうか、こう思いますし、共同で廃棄物の事業者が出てきたのだからそうせざるを得ないというような態度は私は詭弁にすぎないと思うのですが、御見解はどうですか。
  90. 辻栄一

    ○辻政府委員 発生者責任の問題は、今回の法案におきましてもきちっと守るという考え方のもとに条文の整備をしているつもりでございます。しかしながら、この場合において廃棄物事業者と発生者の安全確保責任等の議論につきましては、先般来御説明申し上げております原子力委員会の十月の報告書におきまして、専門の廃棄事業者が集中的に放射性廃棄物処理処分する場合には、その処理処分を行う者を廃棄事業者として安全確保に関する法律上の責任を負わせることが、安全確保の責任を集中し、確実な処分を行うなどの観点からはより適当であるという御提言をいただいているわけでございまして、その線に沿って私ども法案を準備した次第でございます。  すなわち、この法案におきましては、発生者の責任につきましては、原子炉設置者につきましては、三十五条におきましてみずから処理処分する場合及びこれを他人すなわち廃棄事業者に引き渡します場合には、それぞれ所定の国の定める基準に従って行わなければならないということを規定しておるわけでございまして、廃棄事業者につきましては、廃棄事業者として守るべき事項を今回の法律改正において規定した、こういう考え方でございます。  安全確保の責任につきましては、そういう整理をいたしておるわけでございますが、私ども考えの根底には、発生者責任というものを決してないがしろにしているわけではないわけでございまして、この点につきましては、この法案の審議決定をいたしました原子力委員会報告書においても、発生責任者といたしまして電気事業者がこの新しい廃棄事業者に対して十分な支援を行うべきであるということを述べておるわけでございまして、そのような形で発生者責任を整理しておるということでございます。
  91. 関晴正

    ○関委員 これは何度もとの委員からも実は言われたことなんです。それで、そういうふうに言われて、そうして電力会社の責任というものを法的に位置づけることがやはり大事なことだ。大事なことは、電力会社の法的責任を免除することじゃない。諸悪の根源と言えば悪いけれども、言うなれば放射性廃棄物の諸悪の根源は電力会社でしょう。その発生する電力会社処理処分に当たっては一廃棄事業者に移しちゃう。これほど軽くてありがたい法はないだろうと私は思うのです。電事連の方は法様々だと思っておられると私は思うのですよ。  でもしかし、国民からいくと、電力会社が自分で発生した放射性廃棄物の後始末は電力会社がやるんだ、これが国民感情だと思うのですよ。こういう国民感情に沿って法律を出すべきである。集団で、共同でそれらの処理をしていく業者ができたから電力会社が責任を法的に免れる、これはどういったって私は不合理だと思うのです。法の立て方において能力がなくてそうしたものなのか、法の立て方においては能力があるのだがあえてそっちの道をとったというのか、この点私の理解できないところなんです。終始電力会社に負担を法的に負わせる、こういう構えがなかったのですか。いつからそう崩れたのですか。この点については、新長官はどこまでわかっているかわかりませんが、お考えの中にどう長官の意思というものがこれに反映されたものか、あったらお答えいただきたいと思う。
  92. 辻栄一

    ○辻政府委員 私ども、この点については関先生の御意見と原子力委員会決定の意見との基本的食い違いであろうかと思います。原子力委員会決定におきましても決して発生者責任のことを否定しているわけでも何でもありませんで、原子力委員会としても電力会社発生者責任というものは全うすべきだということは言っているのですけれども、今度のような集中して一カ所に廃棄物を引き渡す、引き受けてこれを集中的に処分する、こういうような場合には、原子力委員会の中で種々議論が行われました結果、安全確保の責任につきましては、引き渡すところまでと引き渡した後、事業者との間で引き渡された後には廃棄事業者に責任を負わせるという形をとった方が、安全規制の責任の観点からいっても、また、地元住民に対する損害賠償の責任の問題からいってもその方が望ましい、より適当であるという議論をなされた結果でございまして、この点については私どももその方が適当であると思いますし、その趣旨に沿って法律改正をしたという次第でございます。
  93. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど来先生指摘のとおり、PPPの原則につきましても十分承知をしているつもりでございます。しかし、この問題で一番大事なことは、どうやることが一番適切に、確実に処理処分ができるかということが何よりも優先されるべきものだ。一番確実に、一番適切に処理処分が行われる方法を考えればというテーマで原子力委員会もいろいろ御議論があったというふうに私は承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、原子力委員会のさまざまな御議論を踏まえて、科学技術庁としては、廃棄の事業を一本立ててそこが責任を持って行うということにした方が、今局長も申し上げましたように、周辺の方々あるいは関係のある方々の立場に立って考えても一番安心だろうということでこの法律案を策定したわけでございます。  しかし、私といたしましては、なお発生者の責任というものもあいまいにしてはいけないし、ないがしろにするということはいかがなものかというふうに考えまして、原子力委員会の方々にもそうした点もよくお考えをいただいているのかというふうに申しましたところ、原子力委員会の方々も当然それは考えておるということで、原子力委員会の申し出の中にもそのことがはっきりと書き加えられておるということを私確認をいたしまして、ああ、それはよかったなと。ということになれば、その原子力委員会からの御指摘を踏まえて、電事連といいますか、原発の事業者の方々がきちんとその責任をはっきりととってほしい。その責任というのはどういうことかといえば、きちんとした廃棄の事業者に渡すという責任であり、渡すときにきちっと規則どおりの対応で渡すという責任であり、また渡し方については、当然のことながら資金の援助と申しますか、きちんと金も払う、あるいは技術も提供するということだな、そうですというやりとりがあったことを申し上げたいと思います。
  94. 関晴正

    ○関委員 私は、この原子炉等規制法の整備に当たって、そういうように電力会社が法的に責任を免れるということについて、これからでも遅くないと思う、法的にそれを一項入れる、そういうような技術的な挿入の方法がないものかどうか。あるならばその道を選んだ方が、わざわざ今長官も、原子力委員会が法的にないとしても資金の援助はする、させる、あるいは損害賠償については応ずる、当たる、こう言っているわけですから、それをきちっと法的に確立させてやるのが完備した法の実体であるべきだ、私はこう思うのですが、その点についてはいかがですか。できないのですか、法律整備の技術上。
  95. 辻栄一

    ○辻政府委員 これはいわゆる立法技術上の問題でできないということではございませんで、安全確保の責任の問題につきましては、廃棄事業者に安全確保の責任を集中して規制する方が廃棄事業者が責任感を持ってやる。廃棄事業者は電気事業者の下請で実際にハンドリングするのでは、法律による罰則規定を伴う強制規定が働かないわけでございますから、それよりは直接的に廃棄事業者を規制する、いいかげんな処理処分をやった場合にはこれは罰則をもって規制するということの方が適切であると私ども考えておるわけでございます。廃棄事業というのは非常に長期の事業期間を要するものでございますからして、そういう長期にわたっていわゆる下請ということで何ら法的責任を負わないというよりは、法律上の責任をきちっと負ってやっていくというふうな法体制をつくった方が、やはりどうしてもこれは安全規制上は適切にいくんじゃないかと考えているわけでございます。  先ほど関先生、PPPの原則を忘れたかとおっしゃったわけでございますが、ポリューター・ヘイズ・プリンシプルというわけでございますから、これは発生者が発生物の経費を自分で負担する、こういう原則でございます。これは廃棄事業者に対して委託をする場合、廃棄事業者は最終的な処分をするまでの経費を受け取るわけでございますからして、これは法律規制するまでもなく発生者のPPPの原則は守られる経済原則であろうか、かように考えておりまして、この法律でそういう点はきちっと守られておるというふうになるわけでございます。  また、損害賠償の点につきましても、現在のような段階では一つの箇所にもつの電力会社、十になりますか、これからふえてくるかと思いますけれども、そういう電力会社が雑居している。もしここでもって何か損害賠償を起こすような事故が起こった場合には、発生者、どの電力会社が悪かったのかということを判定することは非常に難しいわけでございます。今回の改正では、そういう地元住民の損害賠償に関する請求は集中的に廃棄事業者のところに持っていく。廃棄事業者がこれで住民に対して損害賠償は一切払います。途中に介在するものは何もなくて責任がそこへ集中しますから、そこへ集中されます。それで、そのお金は一体どうするか、こういうことになりますと、それは原賠法による強制保険によって保険料として発生者が払うわけでございますから、先ほどのPPPの原則は守られていると思うわけでございます。
  96. 関晴正

    ○関委員 私どもの考えでいることと相当に距離があります。何も、電力会社から責任をとってあげればそちらの方に責任を上げていいんだなんというふうには、あなた方だって考えていないでしょう。じゃ、両方に法的責任を預けてやったらいいでしょう。さらに、今あなたは重大なお話が一つありました。それは、個々の電力会社発生物を管理するのに大変なことがある。でも、これは昨年の小澤委員の質問の際に、それぞれの電力会社に責任を負わせて納入させるのだからそれは可能であります、やれますとあなたは言っているでしょう。言っていながら、今、何です、それは困難であるとかと言って。そんなに早く方向転換しなくたっていいじゃありませんか。あなただってあなたの所信に従って、電力会社個々に責任を持たせますよ、納入したら後は野となれ山となれじゃないんだ、それぞれ最後まで、納入した先、発生者の責任というものは負わせて歩かせますよ、これでいいのですよ。そういうことであなた方も進んできたし、そして我々に答えてきているわけだ。今にわかにこんな法律を出すというとそんな説明の仕方で変わっていきますけれども、大変残念です。局長が変わっていっても制度はあくまでもついて回るわけですから、所信に従って、信念に従って、ここで答えたことを貫いて法案を出すべきであった、私はこう思います。  でも、この論をさらに続けても、私、時間がありませんので、なおこの点については極めて同意しがたいという旨だけは申し上げておいて、さらにこれは検討してもらわなければならないということを要望しておいて、再処理の問題について、せっかくおいでいただいたのに質問ないままに終わってもいけませんのでお尋ねしたい、こう思います。  今、東海にある再処理工場の稼働率状態、大体二百十トンの処理だと言っているのですが、ことしは七十トンの処理目標、そういうことでよちよち歩いているのです。私は、この再処理工場というものは何を目的としていなければならぬのだろうか。これは今あなたの方では、「もんじゅ」に、あるいは新型転換炉に、あるいはまたプルトニウムを使う炉に供するためだ、こうお考えになっているだろうと思う。だがしかし、実際上、青森県にも八百トンの再処理工場をつくるというのが今度の計画の中にもある。その状態を見ますと、こういう八百トンの再処理工場から出てくるプルトニウムを供給して使用していくような体制というのはいつになったらできるとお考えになっていますか。私どもは、我が国における「もんじゅ」の姿、そうしてやがてFBRの時代が来るなんというのはいつのことだろうかと思ってみますと、なかなか十年や二十年で来るようなものではない。ある人に言わせると、永久に来ないかもしれない。まあ五十年以内は来ないだろう、こうもまた言っております。  そこで、再処理工場で何を目的にするのか、その目的はいつの時点で果たされると思っているのか、そして、現在東海で動いているものの動き方というものはどれだけの経費がかかって、どれだけの迷惑をとにかく国民負担においてしているものなのかということもあわせてお答えできたら、ひとつ短い時間ですけれどもお願いしたいと思います。
  97. 大町朴

    ○大町参考人 青森の第二再処理工場については直接担当しておりませんのでお答えいたしかねますけれども、東海工場でございますが、東海工場の現在の状況は、昨年度について申し上げますと、七十トンの処理計画を立てまして、七十三・五トンの処理を実施したところでございます。当面、定期検査を実施しておりまして、八月ごろから再び再処理を開始する予定でございます。今年度も昨年同様七十トンの処理計画を立てております。  それから、再処理工場は御承知のとおり借入金で工場を建設し、運転いたしております。現在までに、借入金というのは、工場が必ずしも予定どおりにスムーズに運転をしなかったこともございまして、相当量の借入残高がございます。ただ昨年の運転の実績等から見ますと、今後、地道に開発努力を続け、かつ安定運転を実施して処理量をふやしてまいれば、漸次減少させていくことができると考えております。  以上、簡単でございますけれども、十分お答えしたかどうかわかりませんが、お答えといたします。
  98. 中村守孝

    中村(守)政府委員 先生から、東海再処理工場の今日的意義といいますか、一体何をやっているのか、こういう御質問がございましたので、この点について御説明させていただきます。  東海再処理工場はそもそも、我が国の再処理技術の開発、再処理技術についての経験の蓄積、そういうことで、我が国の中に将来本格的な再処理工場の建設までに技術的基盤を高めるということが、一つ、大きな問題としてございました。もう一つは、プルトニウムの再利用ということで技術開発を進めなければいけませんし、そういった需要にこたえるという意味で、国内の再処理事業の一部を賄うために建設されたものでございまして、今日その意義というものはいささかも変わっておらないわけでございます。  再処理されたプルトニウムが高速増殖炉の開発時期等が先に延びたから要らないのじゃないだろうかという御質問につきましては、プルトニウムにつきましては高速増殖炉が実用化されるまでの間におきましても、軽水炉あるいはATR等でのいわゆるプルサーマルという形でプルトニウムの再利用を図っていこうということが私ども考え方でございまして、プルトニウムの軽水炉におきます利用につきましては、一九九〇年代の中ごろをめどに実証的な規模の実証試験を実施して本格的な利用に移っていこう、こういう計画をいたしております。そういう意味で、第二再処理工場の建設が順調にいきますれば、そこから出てくるプルトニウムも含めまして紀元二〇〇〇年ごろには軽水炉での本格的プルトニウム利用に対する需要が貯えていくもの、そのように考えておる次第でございます。
  99. 関晴正

    ○関委員 実は今のような局長の答弁、プルサーマルの方へ使うんだというようなお話を安易にしておりますけれども、そういうようなことを簡単に言って済ませる問題じゃないだろうと私は思っているのです。再処理工場の持つ意義というものを、プルトニウムをつくり出してそのプルトニウムをいかに役立てるか、こう言っておるのですけれども、今しきりに、燃焼度を上げて原発はとにかく動いた方がいいだろう、こう言っていますね。燃焼度を上げれば上げるほどプルトニウムをつくり出す困難性、また、質もいいものでなくて生まれるしかない、こうもまた知っているわけです。  ですから、再処理工場に力を入れますなんて言って本当に具体化するかとなると、私どもはそれは難しいだろうと思う。したがって、青森県に再処理工場をつくると言っていながら、最初につくるのは使用済み核燃料のプールでしょう。しかもこのプール、今三千トンの計画でやる、こう言っておるのですけれども、三千トンでおさまらない。じゃ、別な方に三千トンつくって北と南にそういうような再処理工場をつくっていくのだ、こういう当初の計画もあるわけだけれども、それが今も生きていますか。結局のところ低レベルの廃棄場になり、そうして今の使用済み燃料のプールになり、やがてはヨーロッパから返ってくるところの高レベル放射性物質廃棄物の管理所になる。何の意味もない。しかも、それがすべて適地条件というものがない。こう考えますと、それを前提にして今出されている法案というものは、やはりこれは撤回してもらうしかない、欠陥法案だ、こう思いますので、その点についてのお答えをいただいて、一応私の質問は時間ですので、終わらざるを得ません。
  100. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  軽水炉の燃焼度を上げていくということで、国内のウランの必要量といいますか、そういったものを少しでも少なくし、かつ軽水炉の経済性を高めようという努力は、国民に安いエネルギーを供給するという意味でやれることはやっていくということで必要なことだろうと思います。しかし、その燃焼度を上げることによってせっかくできたプルトニウムをそのまま使い捨てにしていいということは全然ないのでございまして、資源小国の我が国としては、プルトニウムを利用する、それから軽水炉の燃焼度を高めるといいましても、行く行く高速増殖炉でプルトニウムを生産し、それを回収するということのためには、そのときの燃焼度は軽水炉の燃焼度よりはるかに高いわけでございまして、そういうところに向かっての再処理技術の開発というのは今後も続けていかなければならないわけでございます。  下北の使用済み燃料の再処理工場のプールについて増設するのではないかというお話がございましたが、私どもの需要の見通しからいいまして発電所のサイトのプールの余裕も十分ございますし、一方でプルトニウムの軽水炉での本格的利用ということで二〇〇〇年というような時点でのバランスを考えていきますと、そのようなプールの増設ということなく発電所で十分な貯蔵の余力があるわけでございまして、下北の再処理工場をいわゆる使用済み燃料の掃きだめにする、そのようなことはさらさら考えておらない、我々は積極的にプルトニウムを利用するという方向で今後とも原子力事業者を指導してまいる所存でございます。
  101. 河野洋平

    河野国務大臣 先生いろいろ御注意、御指摘いただきましたが、原子力の利用計画等の現状を考えますと、廃棄物をいかに適切に確実に処理処分していくかということは、私どもに与えられた極めて重要な問題でございます。したがいまして、この法律についていろいろ御意見をお伺いいたしておりますが、何とぞこの法律案について御理解をいただきますように、撤回をせい、こういう御主張でございましたが、私どもといたしましては撤回をするということではなくて、ぜひ先生方の御理解をいただきたい、こう考えております。ひとつよろしくお願い申し上げます。
  102. 関晴正

    ○関委員 終わります。
  103. 大久保直彦

    ○大久保委員長 参考人の皆様、きょうは大変ありがとうございました。  八木昇君。
  104. 八木昇

    ○八木委員 三十分しか時間がございませんので、質問の前に改めて若干意見を申し上げたいと思います。     〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕  この法律案は、本委員会の審議の冒頭に私が強硬に主張しましたように、法律の体をなしていないと私どもは考えます。放射性廃棄物の埋設や管理について一番肝心なところはすべて検討中あるいは今後決める、そういうことでこの法律だけは通せ、こういうことでございます。  私の要求によりまして科技庁が配付されましたところの政令、府令等に今後盛り込むことを検討中の事項についてという印刷物を見ましても、ほとんど抽象的なものであります。私が改めて申し上げるまでもありませんけれども廃棄物について、昨年十月の原子力委員会あるいは原子力安全委員会のそれぞれ廃棄物処理処分についての専門部会の報告書も私は丹念に読んでみたのですけれども、例えば原子力安全委員会の専門部会の報告書の十九ページ、無拘束限界値は、本専門部会において鋭意検討中というのであります。また二十ページには、低レベル廃棄物の濃度上限値、極低レベル廃棄物の濃度上限値、無拘束限界値等の各種基準値は具体的に検討し、今後適宜定めていく、肝心かなめなことはこういうありさまでございます。あるいは原子力委員会の方の報告も、幾つも申し上げる時間がございませんが、ベータ、ガンマ核種の濃度がかなり高い低レベル放射性廃棄物の処分については「今後更に調査検討を進めていく必要がある。」二十九ページ。  これは要するに、ともかく政府並びに科技庁並びに原子力安全委員会あるいは原子力委員会にこういう重要な放射性廃棄物処理処分について今後やることを白紙委任しろ、そういう法案じゃありませんか。しかも、いろいろな疑義が短時間の質疑の中でも提起をされておる。短時日の審議で、多数決で押し切る、そして成立させるということは許されないと私は考えるのであります。  そこで質問でありますけれども、濃度上限値と陸地処分の規制基準値は、これが一番肝心なところですけれども、まだ決まっていないというのですから、この肝心なところを聞いても仕方がないのですね、決まっていないというのですから。したがって、私は、この際、放射性廃棄物の中で最もやっかいなTRU廃棄物を中心に、残りわずか二十数分ですけれども、質問をいたします。  その前にまず、この法律によって放射性廃棄物の低レベルのものについて埋設をするという業者ができるわけですが、その業者が埋設をするのは今後発電所等で新たに発生する低レベル廃棄物についてであるかどうか、そうしてまた、この廃棄物埋設業者、原燃産業と予定をされておりますが、その原燃産業が埋設をするところの廃棄物電力会社から発生したところの廃棄物についてだけか、この二点をまずお伺いいたします。
  105. 辻栄一

    ○辻政府委員 低レベル廃棄物の埋設につきましては、埋設できる低レベル廃棄物について政令その他で基準を設けてまいりますから、この基準に適合したものだけが埋設を認められるという形になります。したがいまして、主たるものはやはりこれからできてくる低レベル廃棄物が中心になると思いますが、既にストックされている廃棄物につきましても、諸般の資料等が整備されていて低レベル廃棄物として埋設に適すると認定できるようなものにつきましては埋設の対象にすることができるというふうに考えております。  第二の点につきましては、原子力局長から御答弁させていただきます。
  106. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  現在原燃産業で計画している範囲内におきましては、電気事業者の原子力発電所から出るごみを処理処分するというぐあいに聞いております。
  107. 八木昇

    ○八木委員 そこで、第二の点も重要です。電力会社に十分責任を持ってやらせる、その証拠には九つの電力会社日本原電がこの原燃産業の主たる出資者になっているということを再三説明されたのです。ほかからの廃棄物も将来は原燃産業が埋設事業としてやることもあり得るかのような答弁というものは、非常に問題だと思う。  しかし、それはさておくといたしまして、第一の質問点でありますが、これは重大な食言だと私は思いますが、この点を否定なさるのですか。市民団体と社会党との間で、適当な時期に土曜協議会といって会談をやっておりますね。三月二十二日にその席上において、防災環境対策室長、それから原子炉規制課長が出席をしておる席で、この低レベル廃棄物の埋設は今後発生するところの低レベル廃棄物について行うと答弁しておりますね。どうして違うのですか、今の答弁と。
  108. 辻栄一

    ○辻政府委員 私も先ほどの答弁で、今後発生する廃棄物が中心になると申し上げたわけでございます。しかし、現在ためておりますものにつきましても調査をいたしまして、これからは、先ほども指摘ございました今度安全委員会が定める基準に沿って政令あるいは府令で定めますところの廃棄物の技術基準に適合するということが確認できるものについては、埋設を認めていっても差し支えないというふうに私は考えておるところでございます。     〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
  109. 八木昇

    ○八木委員 そんなことを言っておらぬじゃないですか。あなたが今ここで答弁することについて私は聞いておるのじゃないですよ。三月二十二日に千々谷室長と岡崎課長が私が言ったように答弁をしております。証人は出しますよ。我が党の昔野参議院議員も出席しておるし、市民団体の代表者から私は直接に聞いておる、原燃産業に埋設をさせるものは今後発生するところの低レベル廃棄物についてでございますと。どうですか。
  110. 辻栄一

    ○辻政府委員 ただいま聞きますと、当庁の御説明は、基準に合致するものであることがはっきり確認できたものに限るという趣旨の御説明をしたというふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、もちろん中心になるものは、私も申し上げましたように、それから課長、室長も申し上げましたように、これからできる廃棄物であるということでございますけれども、既存のものにつきましても、そういったものがこれからつくられます基準に合致するものであることがはっきり確認できれば、これは当然埋設の対象にしても差し支えないというふうに私は考えておるわけでございます。
  111. 八木昇

    ○八木委員 押し問答する時間がないのですよ。わずかの時間で。これは証人を出して対決をします。こういう重大な食言をしておる。これはもう当然我が党の理事理事会でも問題にいたします。審議は進められません。そう言っておるでしょう、千々谷さん。
  112. 辻栄一

    ○辻政府委員 ただいまも確認をいたしましたが、私がただいま御説明したような説明をしたというふうに言っております。
  113. 八木昇

    ○八木委員 菅野さんを出しますから、これは対決の場を設けてください。委員長、菅野さんを出しますから。私がうそを言っておるという答弁をあなたはしておるわけだ。あなたのその答弁はそうですよ。そうじゃないと言っておるでしょう。
  114. 辻栄一

    ○辻政府委員 決して先生がうそをついているということを申し上げたわけではございません。ディスカッションの中ではいろいろなやりとりがあったのではないかと私想像いたします。彼らが主張しました趣旨は、基準に適合したものだけ埋設を認めるよという話をしたのだというふうに言っておりますし、それの受け取りようによりましては、場合によれば新しいものだけだというふうにお受け取りになった方もあるかもしれませんが、彼らが説明した趣旨は、基準に合っているものということで御説明をしたということでございます。
  115. 八木昇

    ○八木委員 これは改めて問題にいたしますが、そんなわかり切ったことを私は聞いているのじゃないのですよ。  それでは、各発電所に保管中の、現在既にドラム缶の中に収容をされておりますところの廃棄物がたくさんございますね、五十九年の末で四十万本ですか、それの核種別放射線の濃度、全国の発電所別に一覧表を出してください。  私はこの質問に先立って、こういう資料はないのかということを私の政策審議会の者を通して科技庁に要求したら、何も出さないのですよ。どうですか。「コンクリート固化体またはアスファルト固化体」「原子力発電所の施設において出たものの核種」として、「内蔵放射能セシウム約4かける10マイナス三乗 ストロンチウム約2かける10マイナス4乗 コバルト約3かける10マイナス2乗」この三つ。たったこれだけ書いたものだけでしょう。大体、各ドラム缶別にこのドラム缶にはどういう核種がどれだけの濃度で入っているというのを全部調査してありますね。あるならすぐにでもその表を提出できるはずです。
  116. 辻栄一

    ○辻政府委員 私の先ほどの答弁でも、全部が全部既にできているものを埋設を認めるということなど申しているわけではございません。あくまでも基準に適合することが確認できるものに限るということで申しているわけでございまして、既存のものの中でも記録が整備されているものがあって、そういうものが内容的に間違いないことが確認されればできますよ、こういうお話を申したわけでございまして、決して前回の御説明の趣旨と変わったものではなかろうと思います。今後、実際具体的に既存のものについてどういうものができるかどうかは、個々の各発電所における記録の程度、それがどの程度きちっと整理されているかによって具体的に確認をしてまいるということを考えているわけでございます。
  117. 八木昇

    ○八木委員 私は言葉が悪いかもわからぬけれども、そんな人をばかにしたような答弁はしないでくださいよ。あなた、核種や濃度が確認できないものが処分できないことばわかり切った話なんで、現在ドラム缶にもう詰めてしまってある、発電所にあるものはそれが確認できぬじゃないかという根底の上から僕らは言っているわけですよ。わかり切っていることでしょう。そこで科技庁に一覧表を出せと要求したところが、持ってこぬじゃないですか。どうしてですか。それを見ないでどうしてこの法案の審議ができますか。しかし、そう押し問答をしておっても時間の空費ですから。  大体、科技庁は海洋投棄ということを前から考えていて、それで核種や濃度等は何も正確に測定しないものをどんどんドラム缶に詰めたわけでしょう。そういうものを測定していないということは私は仄聞しておりますよ。私は原子力発電所があるところの出身者ですから。そして、私はその原子力発電をやっておる電力会社に勤めておった者ですから。どういうふうにやっておるかはわかっていますよ。ただいたずらにここで質問をしているわけじゃないのです。特に、TRU廃棄物の区分けなんというものはドラム缶の外からはできないでしょう。できないとこの原子力安全委員会報告書に書いてあるでしょう。今後一層の研究開発が必要である、こう書いてあるでしょう。ページ数まで言いますか、そこの部分を。言う必要ないと思いますよ。  そこで、十年ぐらい前に、美浜一号炉で燃料棒が大きく破損した事故がありましたね。それを我が党の石野委員が追及した。私は記憶がある。その実際をつかんでいたので追及した結果、科技庁も逃れられなくて、そして実際、実態調査に科技庁が入らざるを得なかった。入った結果、随所に破損が出ておることが科技庁によって報告されましたね。当然、TRUの廃棄物というのが出ておるわけです。そのときの廃棄物状態、それはどのように保管をされており、そうしてその内容がどのように測定されて今日所在しておるのか、それを明らかにしてください。そして、それをあしたにでも出してください。
  118. 辻栄一

    ○辻政府委員 大分古い話でございますので、私、今直ちにここで具体的な御答弁はできません。至急電力会社に問い合わせて、どのようになっているか調べてみたいと思います。
  119. 八木昇

    ○八木委員 大分古いとかなんとか言うけれども、私どもですら、持っておるいろいろな資料をひっくり返したのですよ。このときの報告書を私はここへ持ってきておるのです。あなたが局長なんかになるずっと前、十年前のことです。これは昭和五十二年一月二十五日「関西電力(株)美浜発電所第一号機の使用済燃料折損について」という資源エネルギー庁が我々にくれたものです。内容を全部読み上げる必要はありません。燃料体C34のごときは約百七十センチ程度燃料棒が欠落しておる等々、詳細に書いてございます。図面も入っております。このときの廃棄物資料、当然ありますね。当然TRUが含まれておる。出してください。
  120. 辻栄一

    ○辻政府委員 発電所を通じまして調べてみたいと思います。
  121. 八木昇

    ○八木委員 調べますと言うが、これも審議の時間がないのですよ。  そこで、もう当然常識的にわかることですが、そのときの発電所から出るいわゆる廃棄物、これは相当高濃度かもしれません。レベル程度はわかりませんが、少なくともTRUが含まれておるということは明らかですね。その点は、そうでございますと答えるしかないと思うのですよ。ところが、そのドラム缶に詰めてしまったものについてTRUは測定できないでしょう。どうですか。
  122. 辻栄一

    ○辻政府委員 御指摘のように、TRU廃棄物は主たるものがアルファ核種でございますので、外から放射線によって測定することはできません。したがいまして、こういったものはもちろん埋設の対象にはならないものでございまして、これは管理ということで、埋設にはしないで、しっかりした放射線の防護設備を持った管理施設内に保管しておくということに相なるわけでございます。  しかし、いずれにしても廃棄体の中にどういうものが入っているかということはきちっとしておかなければならないと思います。それらにつきましては、基本的な問題は、原子力施設者の方での記録がまず第一番目になろうかと思います。残余のそういったものの確定の方法といたしましては、TRU廃棄物の処分方法については原子力委員会安全委員会で今後検討する課題になっておるわけでございまして、どういうやり方で確認をしていくかというような方法についても検討が行われることになるわけでございます。具体的には、例えば抜き取りによって内部を調べるとか、いろいろな方法が考えられるものと思っております。
  123. 八木昇

    ○八木委員 いや、そういう答弁では到底納得できませんね。放射性廃棄物というものは、今の燃料棒等の破損等があったというような大きな事故がなくとも、常時、燃料棒を包んでおる被覆管に小さなひび割れが出たり穴があいたりしているわけでしょう。そうでしょう、ずっと運転しておる間には。そして一方においては、二次側にだってそれが移るということはあり得るわけですね、蒸気発生器細管のピンホールとかひび割れとかがしょっちゅうあるわけですから。ですから、全体としての四十万本のドラム缶の、相当数のドラム缶にTRUが入っておるということは、素人でも常識的にわかることなんですよ。そうでしょう。  それじゃ、どれとどれに入っておるかということを今から調べたって、調べることができないということはあなたはお認めになった。それはそのとおりですよ。ごく微量でも、もうこれは問題にする枠外である、そういう規制をする必要がない量しか入っていないという場合は別として、それをちょっとでも超したものは、半減期はものすごく長いのですから、これは埋設できないわけでしょう。それならば結局、もう既にドラム缶に入ってしまっておる発電所の廃棄物というものは埋設できない、そういうことになりませんか。論理上そうでしょう。そうでなく全部を把握できておると言うなら、その表を出してもらうと同時に、今からでもTRU物質、アルファ線についても測定できますということを立証してもらわなければならない。時間がありませんからその点まで言いますよ。それを私ども要求しましたよ。こんなものしか出してないでしょう。  なるほど、ドラム缶に既に詰められてあるところのアルファ廃棄物の核種の量及び組成を測定する方法というのは、まだ研究開発過程である。しかし、次のような方法が考えられる。パッシブガンマ法、パッシブニュートロン法、アクティブニュートロン法という、非常に簡単なものが書いてある。それで数値を聞きました。そうしたら、パッシブガンマ法では検出限界は十マイクロキュリーグラム当たり、その程度以上のものでないと検出できない。パッシブニュートロン法ではもっと、十のマイナス一乗マイクロキュリー・グラム。アクティブニュートロン法では十のマイナス二乗。それならば科技庁はアルファ放射体についての規制免除濃度範囲をどのように考えておるかということも資料を出せと要求しました。出しましたね、あなた方は。それによると、十のマイナス六乗ないし十のマイナス五乗というのでしょう。到底こういう数値は検出できない、今研究中のものですら検出できない。私が言っていることに違いがありますか。
  124. 辻栄一

    ○辻政府委員 先ほど私も申し上げましたように、TRU廃棄物のようなアルファ核種につきまして、これを外側から検出するということについては、現状では技術的には困難であろうかと思っております。これはまさに八木先生指摘のとおりで、私法して否定するものではございません。しかし、だからといって内容物が何もわからないということではなかろうと思います。これはやはり申請に基づきましてそういうことが実際に証明できるような試料なりなんなりが整備されていること、物によっては、これは検査のやり方については具体的にはこれから決めていくべき話ではございますが、そういった試料の整備を無作為抽出による抽出検査のようなもので抜き取り検査をすることによって確認をしておくという方法も、一つの方法ではないかというふうに考えるわけでございます。私ども先ほどから申し上げておりますように、前提としてはそういったような試料なり廃棄物にする前の分析結果なりがきちっとしているものでなければ、これは基準に合格しているかどうか判定できませんので、そんなものは埋設に持っていく、あるいは管理に持っていくということはできないと思いますので、そういうことについてきちっとわかるということが前提でございます。     〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕  そういうことからいうと、新設のものと既存のものについての区別といいますか、新設のものについては基準をつくってあれしていきますから大丈夫だと思いますけれども、古いものについても一部はそういう確認ができるような整理が行われていれば、これは埋設に持っていくことはできるということを先ほどから申しているわけでございます。
  125. 八木昇

    ○八木委員 もう時間がありません。  そこで、現在調べてないと私は確信しております。ドラム缶の中に入れられておる四十万本は、その中身の核種や濃度というようなものは調べてありませんよ。だけれども、調べてあると言うならあした出せるはずです。四十万本、私のところへ出してください。セシウムならセシウムの内蔵放射能キュリー以下のものがどこ発電所で何万本、どこ発電所で何万本、ストロンチウムがこれ以下のものはどこ発電所で何万本、どこ発電所で何万本、あした持ってきますね。
  126. 辻栄一

    ○辻政府委員 これは実際にその廃棄物確認をやる際に、そういったようなものがそろっているかどうかということを確認した上で、それがそろっておれば残余の検査とあわせて認めるという考え方でございまして、私何も今既存の四十八万本がそろっているなどということを申し上げているわけではございませんで、恐らくかなりの部分は試料がそろっていないものが多いと思います。したがいまして、四十八万本耳をそろえて持ってこいと言われましても、これは実際問題は無理だと思います。(八木委員「それじゃ法は通せない」と呼ぶ)いや、その点につきましては、既存のものについてもそういう試料がそろったものがあればそういうものは認められるということを申し上げているわけでございます。
  127. 八木昇

    ○八木委員 最後に委員長、これで終わりますが、アルファ線はガンマ線の数値から類推するとかいうようなごまかしをあなたたちが言った時代もありますよ。だけれども、ガンマ線を全く出さないアルファ線のTRUもありますし、ベータ線についても同様ですよ。ですから、一体TRUがこの四十万本のドラム缶の中にどれとどれにどれだけ入っているかなどということは、あなた自身が白状されたように、これは検出できない。である以上は、四十万本全部埋設はできない。そうでしょう。その点は、今後理事会等において私どもさらに問題にしてもらいます。留保しておきます。  それできょうの質問は終わりますが、今のその点だけは、今わかっておる程度についてあしたじゅうに出してくださいよ。ドラム缶四十万本の内容、それから美浜一号炉の事故があった当時のいわゆる低レベル廃棄物内容、それが現在ドラム缶にどのようにされておるか、この二つだけはあした出してください。     〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
  128. 辻栄一

    ○辻政府委員 美浜の問題につきましては、原子力発電所の方に調査をいたしまして、内容がわかれば提出いたしたいと思います。  残余の四十八万本の問題につきましては、これは今の段階で提出するとかなんとかいう話ではなくて、先ほどから私が申し上げておりますように、実際に確認を行うという際にどの程度のものが整備されておるかということの結果によって判断すべきものであろうと思います。現在の段階でそれを提出させていただくのは実行不可能でございます。
  129. 八木昇

    ○八木委員 そんなことでは法案審議はできないということだけを最後に申し上げておきます。しかも、発電所にあるドラム缶のうち埋設することもあり得るという答弁をしているのだから、審議はできませんよ。
  130. 大久保直彦

    ○大久保委員長 遠藤和良君。
  131. 遠藤和良

    ○遠藤委員 私、最初に通告外の質問で恐縮でございますけれどもソ連原発事故に関連しまして若干質問をさせていただきます。  きょう六日付のソ連共産党機関紙プラウダでは、チェルノブイル原発事故が起きたときの状況について初めて伝えまして、炉心部の火災があったことを公式に認めておるわけでございます。また、チェルノブイルには二万五千人が住んでいたわけでございますが、現在は全くのゴーストタウンになっておる、こういうことを明らかにしております。また、これはアメリカ情報筋の話でございますけれども、この原発事故ソ連は住民の避難範囲を拡大いたしまして、事故現場から十六キロ離れた町ゴルノストポルで町民全員をバス五百台、トラック二百から三百台を使って先週末までに避難をさせた。また同筋によると、ソ連当局は事故現場から三十二キロ以内の家畜を処分する作業を続けておる。あるいはまた、これもアメリカ筋の報告でございますが、ソ連は今回の原発事故によりまして穀物生産が一〇%減少するだろうという見通しを明らかにしておる。あるいはまた、アメリカの西海岸の上空で航空機により採取された大気の中から少量の放射能が検出された、そして大気中に放射された放射性物質というのは約一万メートル上空を流れているジェット気流に乗って移動してきたものであろう、こういうような各地の報告が相次いでいるわけでございます。  心配なのは、日本の国内における被害がどういうふうなものになるのかということでございますが、昨日でございますか、科学技術庁ではキエフから帰りました旅行者に対して放射能検査を行いまして、四十五人から放射能が検出されたというふうに報告がされているわけでございますが、この昨日の旅行者に対する汚染調査の詳しい内容並びに全く人体に影響がないものかどうか、この辺の御報告をお願いしたいと思います。
  132. 河野洋平

    河野国務大臣 昨日、成田空港へ帰ってきたキエフ地方を旅行した百人前後の旅行者について、科学技術庁といたしましては放医研の専門家を空港に派遣いたしまして、帰ってきた人たちの任意によります検査をいたしました。詳細については局長から御答弁を申し上げますが、実は私も大変気になったものですから、昨日飛行場まで参ったのでございます。参りまして拝見をしておりましたけれども、頭髪あるいは衣服の上、肩、その他の検査あるいは甲状腺などにも検査をさせていただいておりましたし、それから持ち帰られたかばん等に付着をしているかどうかということについても検査をさせていただいておりました。その内容につきましては、詳細御報告局長からさせていただくことにいたします。
  133. 辻栄一

    ○辻政府委員 ソ連からの帰国者は、昨日三便にわたって成田に到着をいたしております。第一便が四十四名、第二便二十五名、第三便は五十四名でございます。中には希望しないということで検査を受けずに帰られた方も何人かおったわけでございますが、大部分の方は検査を受けられたわけでございます。  第一便四十四名中四十三名が受診をいたしまして、身体汚染のあった者、頭髪とか甲状腺あるいは鼻の穴、これらにつきましては十四名、このうちカウントが大きかったので、採尿、採血をして健康診断を行った者が十一名、さらに、カウントが大きいということで放射線医学総合研究所の方に送りましてそちらでホール・ボディー・カウンターにかけて検査を行った者が七名でございました。手荷物類につきましては、先ほど長官が御説明したとおりでございまして、汚染の多いものにつきましてはこれを保管しております。計測値でございますが、頭髪で一番多かったのが千七百CPM、一分間当たり千七百カウントということでございまして、上着については二千二百CPM。荷物類で多いものがございまして、バッグ類で一万カウント、それからスーツケースで千七百カウントというのが出ております。これは直ちにキュリー数に換算するにはちょっと時間がかかるわけでございますけれども、バックグラウンド、つまり自然放射線が七十カウントでございますから、それの倍数でとらえるということが今の段階ではよろしかろうと思うわけでございます。  第二便につきましては、受診者数二十五名でございまして、身体汚染のあった者が四名、採尿、採血して診断を行った者が十人でございます。精密検査を行う者がございませんでした。手荷物九個、スーツケース二十五個は調べられましたが、四個に汚染が認められました。計測値は、最高値でございますが、頭髪千八百カウント、上着、肩の部分に三千カウント、荷物、バッグ類で二千五百カウント、スーツケース二千二百カウント、バックグラウンドは同じく七十カウントでございます。  それから第三便でございますが、五十名受診をいたしまして、身体汚染二十七名、このうち採尿、採血して診断する者が十八名、精密検査を行った者が八名。手荷物、バッグ類二十五個に汚染あり、スーツケース五十四個中二十六個に汚染あり。計測値は、頭髪二千五百カウント、上着が二千二百カウント、荷物、バッグ類四千二百カウント、スーツケース四千五百カウント、同じくバックグラウンドは七十カウントでございました。  こういったようなものがただいままでわかっているところの状況でございます。
  134. 遠藤和良

    ○遠藤委員 今御報告をいただいたわけでございますけれども、今のところ直接人体に影響はないというふうな話でございますが、将来ともに全く安全であるのかというのはいかがでございますか。
  135. 辻栄一

    ○辻政府委員 ホール・ボディー・カウンターの結果がまだはっきりわかっておりません。一名だけわかっておりまして、二・五ナノキユリーの沃素が検出された、第一便の七名のうちの一名につきましてそういう数字が検出されたということでございます。これは、二・五ナノキュリー放射能は約十八ミリレムの被曝が予想されるという線量でございますので、直接人体に影響があるというほどのものではございませんでした。残余のものについては、放医研から検査の結果の報告がまだ来ておりませんので、ちょっと御報告はできません。
  136. 遠藤和良

    ○遠藤委員 お一人、お一人にとっては大変心配なことでございますので、責任を持って、全員の将来にわたる心配はないという検査の通知というものはされると思うのですけれども、大体めどはいつごろになる予定ですか。それは各個人にされるわけですか。
  137. 辻栄一

    ○辻政府委員 きょういっぱい検査にかかると放医研は申しております。非常にプライバシーの問題がございますので、発表には注意いたしたいと思いますが、プライバシーの侵害されない範囲で御説明をさせていただきたいと思います。
  138. 遠藤和良

    ○遠藤委員 それでは公表という形ではなくて、個人には正確に通知をする、あすにでも通知ができる、こういうことですか。
  139. 辻栄一

    ○辻政府委員 いつになるかはっきり申し上げられませんが、とにかく通知できる時期になりましたらできるだけ早急に通知させたいと思います。
  140. 遠藤和良

    ○遠藤委員 それから日本の国土における汚染状況でございますけれども政府放射能対策本部をおつくりになりましたですね。各自治体がきのうまでにまとめたところでは一都二府十七県に汚染が広がっておる、こういう状況でございますけれども、当初は日本汚染はないのではないかというような観測もあったわけでございますが、こうして具体的にかなり早い段階で汚染が浸透してきているわけでございます。こういった状況について長官はどういう印象をお持ちであるか。あるいはまた、今後もこの調査を続けていくわけでございますけれども、さらに汚染が広がる可能性が多いのかどうか、その見通しをあわせてお伺いしたいと思います。
  141. 河野洋平

    河野国務大臣 当初気象庁その他から説明を聞いておりました段階では、まず日本にそうした影響が出ることはないのではないかというふうに私は理解をいたしておりました。しかし、数字が現実に出てきてみますと、それから逆に類推をすると、やはり幾つかのポイントがあるように思います。当初考えておりましたのは、例えばジェット気流の流れ方でございますとか、あるいはその事故の様相が、一体ジェット気流が流れるほど高度までちりを吹き上げるような事故であったのかどうなのかとか、不確定要素が大変多うございました。私どもにとりまして一番不確定な要素は、事故の態様といいますか様相が、一体どういう事故であったのか、あるいはいつ幾日何時ごろそういうことになったのかということが本当に十分把握できないという、非常に残念な状況がございました。それと、ジェット気流に乗ってくるのでなければ恐らくこんなに早く影響が出るというふうには思えない。これは最初から最後までジェット気流ということではなくて、けさほども気象庁から御報告ございましたが、途中までジェット気流影響で引っ張られて途中から偏西風に乗りかえたといいますか、今度は偏西風影響でこちらへ来たのではないかとか、今あくまでも想像の域を脱しないわけでございますが、事実として私どもが思っていたよりも早くといいますか、あるいは私どもが思ってもいなかったような影響が出てきたという事実がございまして、極めて残念なことでございます。  ただ、今把握をしております数値は非常に限定された地域、これが限定された地域ということ自体がまた私どもにとってはまだよく理解できないのでございますが、幾つかの特定のポイントで高い数値が出ている。しかし、これがまだ一日のことでございますから、今後どういうことになっていくかということも十分注意して見なければなりませんし、少なくとも現状では、高い数値とは申しましたけれども、その数値で健康に影響が出るという数値ではないということを専門家の方々が判断をしておられるということで、対策本部といたしましては、自然界にない沃素131なんというものが出たということにかんがみて、ソ連事故に起因する影響があらわれたということは、これはもうそのとおりだというふうに私どもも思っておりますけれども国民の皆さんの健康に影響のある数値ではないということもまた申し上げた次第でございます。しかしいずれにしても、これから先の推移を少しずつデータを集めながら見守っていかなければならないだろうというふうに思っているところでございます。
  142. 遠藤和良

    ○遠藤委員 当初の予想とは少し違っているわけでございまして、私が心配するのは、個々の汚染状況とともに、複合汚染と申しますか、牛乳を飲むあるいは野菜を食べる、そういったものが人体にかなり影響があるのではないかということなんです。この辺まで考えて、ある程度国民の皆さんに安心をいただけるような正確な警戒・注意警報と申しますか、そういうものをやはり示していく必要があるのではないかな、こういうふうな感じを持つわけでございますが、その辺の対応はどのようになっておるのでしょうか。
  143. 河野洋平

    河野国務大臣 もし国民の健康に影響が出るというような状況になりますれば、対策本部としては、適切に速やかにそうしたことをお知らせをすると同時に、どう対応すればいいかということについても当然判断をし、お知らせをすることになろうかと思っております。対策本部は、対策本部会合と同時に、機敏に対応するために幹事会というものもございまして、安全局長が幹事会の幹事をいたしておりますので、安全局長からも残余少し御説明をさせていただきたいと思います。
  144. 辻栄一

    ○辻政府委員 今大臣からるる御説明ございましたが、放射能対策本部におきましては、毎日各地のデータを集計いたしまして、定時にこれを発表するということによって、できるだけ国民の皆様に対する速報に努めているところでございます。あわせまして、発表の際には、そこに出た数字がどの程度のものであるかということも発表しておりまして、この点については各マスコミ適当に、表現の方法は違いますけれども、我々の御説明の趣旨を報告していただいているというふうに考えております。
  145. 遠藤和良

    ○遠藤委員 数字というのはかなり専門的でございますので、国民の方から見ますとわかりにくいわけでございます。もう少し具体的に、例えば今雨が降っているわけでございますけれども、できるだけ雨にはぬれないようにしようとか、あるいは生水は飲まないようにしようとか、具体的な生活に即した国民の皆さんへのガイドといいますか、そういうものを出す必要があるのではないか、このように思いますが、この辺の項目というものは考えていらっしゃらないでしょうか。
  146. 河野洋平

    河野国務大臣 詳細は局長から御答弁申し上げますが、確かに先生指摘のとおり、洗濯しても大丈夫かとか野球を見に行っても大丈夫かとかという問い合わせはかなりの件数があるようでございまして、雨の中をぬれて歩いても大丈夫かというような、子供が帰ってくるまで心配だというお母さんの心情というのもあるわけでございまして、先生指摘のとおり、できるだけ具体的に、水道の水はどうかとかあるいは牛乳はどうかとか、そういったようなことを具体的に申し上げた方がよかろうというふうに考えておりまして、先日の対策本部でも幾つか具体的なことを申し上げたところでございます。  詳細は局長から御答弁申し上げます。
  147. 辻栄一

    ○辻政府委員 御説明が不足で申しわけございませんでした。現在のところの数字につきましては、ただいま長官が御説明申し上げましたように、今後どのくらい続くか、あるいは今後どういうふうに推移するかということによって大きく変わってくるわけでございますけれども、現在の段階の数字でございまして、これがそう長く続かないという前提でございますが、水道水、井戸水、牛乳については具体的な心配はない、当面天水、雨水を天水おけにためてこれを飲む場合、主として離島などでございますけれども、それの摂取は差し支えないが、直接雨水を摂取するというような場合にはできるだけ木炭等でこして使用することが望ましいということを申し上げ、そのほか日常生活については、先ほど申し上げましたように、洗濯及び洗濯物を干すあるいは雨にぬれるというようなことについては何ら問題はないといったようなこと、さらにもう一つ、葉菜類につきましても、問題はないけれども、念のため十分に洗浄して摂取することが望ましい、こういったような具体的な御注意を対策本部において申し上げておるところでございます。  それから、昨日までの汚染状況については既に新聞等に詳細に報道されておりますけれども、その後本日また夕刻、本日までにわかりました結果を発表いたしますが、これまでのところでは、昨日に比べれば放射能量はややおさまってきているということのようでございます。
  148. 遠藤和良

    ○遠藤委員 見通しはなかなか難しいものであると私も思いますが、ちょっと当初の予想よりも、やはり検出されないのではないかと思っておったのが検出されたわけでございまして、今御注意がいろいろあったわけでございますが、それは一番最初おつくりになった御注意じゃないのですか。検出された後からつくられた注意ですか。
  149. 辻栄一

    ○辻政府委員 放射能の検出がございましたので、一昨日早朝に放射能対策本部で決定いたしました通知事項でございます。
  150. 遠藤和良

    ○遠藤委員 特に私は、妊産婦の方であるとかあるいは子供さんの健康、これがやはり一番心配されるわけでございまして、そうした細かい情報のようなものを学校だとか幼稚園だとかあるいは産婦人科であるとか、そういったところにきめ細かく伝達していくということが大事なのではないかな、こういうふうに思うわけでございますが、特にそういった方面に限っていろいろお考えになっていることはございますか。
  151. 河野洋平

    河野国務大臣 今のところは、一昨日の朝の会合で御出席をいただきました専門家の方々のお話を伺いましても、一昨日までに検出された一番高い汚染濃度の数値の例えば雨水を毎日二・二リットルずつ使って、つまり摂取して、六カ月間続いてなおかつ許容限度にちょうど達するかどうかというところだというようなお話でございまして、先生御承知のとおり沃素半減期が八日間ということでもございまして、今の段階でそうあちこちに指示をするという必要はなかろうという専門家の御判断でございましたので、本部長といたしましては皆さん方に一般的な一昨日現在の認識を申し上げるにとどめたわけでございます。  ただ、その後の推移も慎重に見守る必要があるというふうに心得ておりますが、今局長から御答弁を申し上げましたが、きょう、あした、数字がおさまっていくのか、あるいはどういう変化を示していくのか、よく見守りたいと考えております。  なお、少しつけ加えさせていただけば、当初対策本部で三十二都道府県にございます検査機関で検査をしてもらっておったわけでございますが、もっとその検査体制を強化したい、こう考えまして、例えば国立大学の研究機関などにもお願いをして、できるだけ全国をカバーするような検査体制をつくりたい、こんなふうにも考えて関係先にお願いを申し上げております。これはけさほどもちょっと申し上げましたが、外国とも情報交換ができれば、例えば韓国とか中国とか、こういった地域ともデータの交換ができればなお見通しが立てやすいのではないか、こんなふうにも考えて研究をし、それぞれの関係先に既にお願いをいたしておるところでございます。
  152. 遠藤和良

    ○遠藤委員 放射能は目に見えないものでございまして、国民の皆さんから見れば大変に恐怖であるわけでございまして、科学技術庁は慎重な中にも迅速な、国民の皆さんの不安を解消できる処置を早急に、また継続的におとりになっていただくように強く要望させていただきまして、本論に入りたいと思います。  この法律案につきましては大変ずっと議論がありまして、私は特に発生者責任の原則、これをちょっと整理しながらお聞きをしたいわけでございます。  この法律が出された背景というものは、これまでにも何回か説明がございましたが、昭和六十年十月八日原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会の報告並びに昭和六十年十月十一日の原子力安全委員会放射性廃棄物安全規制専門部会の報告、これを受けてこの法律が出ているわけでございますが、この十月八日の原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会の報告では、発生者の責任が明示されているわけですね。「原則的には、発生者たる原子力事業者の責任と考えられる。」はっきり明言がされているわけでございます。こういった答申を受けて法案をおつくりになったのですが、この法案の中には発生者責任というものが明文化されておらぬわけでございまして、これは何で明文化できなかったのか、どういう理由によるものなのか、これは素朴な質問でございますけれども、明確にお答え願いたいと思います。
  153. 辻栄一

    ○辻政府委員 先ほどからの御質問にもいろいろございました、先生が今御指摘原子力委員会報告書を踏まえて、私どもこの法律の改正を立案したつもりでございます。今回の法律の改正におきまして、廃棄物発生者たる原子炉設置者、すなわち電気事業者でございますが、これは第一には、みずからの発電所内においで行う廃棄については、三十五条第一項の基準に従って保安のために必要な措置を講ずるべきことということを規定することでございまして、また第二は、内閣総理大臣の許可を受けた廃棄事業者へ放射性廃棄物を引き渡します場合には、同じく三十五条第二項の規定に基づきまして、コンクリート固化等安全確保上十分な事前処理を行った後に引き渡す義務を有することになるわけでございます。  さらに、発生者責任につきまして原子力委員会は、放射性廃棄物を廃棄事業者に引き渡しました後においても、発生者責任の一環として、その処理処分が長期にわたり確実に実施されるよう電気事業者は廃棄事業者に適切な支援を与えていく責任を有している、こういうことにいたしておりまして、これを原子力政策の基本に置きまして今後の政策を進めていくという考えでございます。ただいまのこの法律で定めます発生者たる原子炉設置者の責任は、これを内閣総理大臣の許可を受けた廃棄事業者に引き渡しました場合には、安全確保の問題について及び損害賠償責任の問題につきましては、それぞれ廃棄事業者の方に一元化するということにいたしております。この点が御指摘の点であろうかと思いますけれども、この点につきましては、先ほどの原子力委員会におきまして十分検討の上、そのように明確にした方が望ましいという御結論をいただいておりますので、その線に沿ってやっているところでございます。  なお、こういった場合につきましても、それに要しますところの経費等につきましては当然発生者たる電気事業者が負うことに相なりますし、損害賠償につきましても、先ほども申し上げました保険料等の形で廃棄物の保管料あるいは埋設料の中に含まれるというような形で、PPPの原則が守られていくというふうに考えておるわけでございます。
  154. 遠藤和良

    ○遠藤委員 私は、なぜ法案に明示できなかったのかという理由を聞いているわけでございまして、この法律が国会に提出されましたのは三月七日ですね。それにさかのぼること三日でございますが、三月四日に原子力委員会の決定があるわけでございます。その決定の中にも、この法案提出に際して発生者の責任を明確にしているわけですね。「放射性廃棄物発生者の責任であると考える。」あるいは、今おっしゃいました適切な支援を行うということも、この原子力委員会の決定の中にあるわけでございます。法律にないから、法律の附帯決議と言ってはおかしいわけでございますが、提出に当たって原子力委員会心配だからこれを決定をした、こういうふうに感じ取れるわけでございますが、何でこれを法案に書けなかったのでしょうか。
  155. 辻栄一

    ○辻政府委員 まず第一に、先ほどの安全確保の責任においては、明確に、廃棄物を廃棄事業者に引き渡した場合に、これは廃棄事業者の方に移した方がいいというのが原子力委員会の結論でございますし、このところをまた別の規定によりまして発生者責任というような規定を置きますと、かえってどちらに責任があるのかよくわからなくなるということで、私どもといたしましては、この法案においてそういうことを書く必要はないというふうに考えておるわけでございます。     〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕  なお、法律関係でどのように規定してあるかという点から申し上げますれば、公害対策基本法の三条が原子力についても適用されるわけでありますからして、こういった原則論については既に公害対策基本法の方で書かれている。本法は個々具体的に原子力事業者を規制する法律でありますからして、私ども提案したラインで規定を定めるのが最も適当であるというふうに思料しているわけでございます。
  156. 遠藤和良

    ○遠藤委員 それはおかしい。公害対策基本法については後から詳しく申し上げますが、発生者責任の明示は法案にあるのか、原子力委員会の決定の中にあるのかでは、大変な違いがあります。政府原子力委員会の決定を尊重しなければいけない、これは当然でございますけれども、法案に明示されますと、これは当然罰則規定があることになりますね。原子力委員会の決定に背いた場合は、これは罰則規定はありませんね。だから、罰則規定を免責するために法案にない、こういうことじゃないのですか。
  157. 河野洋平

    河野国務大臣 ちょっと私から申し上げたいと思いますが、三月四日の原子力委員会の決定のメモは先生お持ちだと思いますが、この原子力委員会が出しましたメモは、まず最初に「放射性廃棄物の廃棄の事業に関する規制を創設し、放射性廃棄物処理処分の安全確保に関する法律上の責任の明確化」云々、それを目的に一部改正を行うことは適当である、今回の法改正を行う考え方を適当だ、こう原子力委員会はまず認めておるわけでございます。御承知のとおり、その上で、しかし原則は原則としてあるぞ、こういうのが原子力委員会考え方だということを御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  158. 遠藤和良

    ○遠藤委員 私は、やはり原則というものは法案に明記すべきであって、委員会決定に原則を書かれているというのは、どうも法案では心配だから、附帯決議のような形で原子力委員会心配であるからということで決定をした、こういうような印象を持たざるを得ないわけですね。  それから、科技庁さんが、今ちょっとお話がございましたが、「原子炉等規制法と廃棄物処理法との比較」という資料をおつくりになりまして皆様に説明をしているわけでございますが、ここで「発生者責任の規定」という項目がありますが、廃棄物処理法の三条を「いわゆる精神規定として次の規定がある。」というふうに格付をしているわけでございますが、科技庁さんはこれを精神規定だと理解するわけですか。
  159. 辻栄一

    ○辻政府委員 言葉遣いは、精神規定であるとか訓示規定とか、いろいろ使い方はあろうかと思います。私ども、その資料においてはこの規定がそういった旨を宣言しているというだけでありまして、それ以上の罰則を付したりするような規定ではないという趣旨で精神規定と書かせていただいたわけでございます。
  160. 遠藤和良

    ○遠藤委員 きょうは厚生省にも来ていただいておりますので、厚生省さんは、この資料というものをおつくりになったときに事前に科技庁の方から説明を受けましたか。あるいは、今お話のありました第三条は精神規定である、こういうお考えに対してどういう見解をお持ちですか。
  161. 横田勇

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の横紙のペーパーにつきましては、特段御説明を聞いてはおりません。私ども、この精神規定という意味につきましては必ずしも明らかでないわけでございますけれども、この第三条の規定といいますのは、廃棄物処理法におきましては極めて重要な規定だというふうに考えております。すなわち、もう少し御説明いたしますと、第三条には、事業活動に伴う廃棄物処理につきまして、廃棄物処理法上は事業者責任の原則がとられているということを明らかにしたものでございます。     〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕 この第三条及び第十条の規定に基づきまして、事業者はその事業活動に伴って生じた産業廃棄物についてはみずからの責任において処理しなければならないということになっておるわけでございます。
  162. 遠藤和良

    ○遠藤委員 私の理解では、この廃棄物処理法の第三条ができた基本というのは、公害基本法第三条にあると理解をするわけです。公害対策基本法でございますが、第三条「事業者の責務」「事業者は、その事業活動に伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理等公害を防止するために必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する公害の防止に関する施策に協力する責務を有する。」いわゆるPPPの原則をここでは明文化しているわけですね。これが昭和四十二年八月三日施行されたわけでございます。これは精神規定じゃありませんよ。まさに公害対策の基本的考え方であり、骨格の規定なんです。これを受けて廃棄物処理法第三条ができているわけでございまして、廃棄物処理法第三条は「事業者の責務」「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」昭和四十六年九月二十四日施行されておる。こういうふうに理解をするわけでございますが、厚生省さん、この考え方でよろしいでしょう。
  163. 横田勇

    ○横田説明員 先生指摘のとおり、この廃棄物処理法の第三条といいますのは、違反した場合罰則がないということにつきましては確かに御指摘のとおりでございますが、この三条の規定といいますのは事業者責任の原則を規定したということでは極めて重要なものでありまして、しかも産業廃棄物につきまして、この第三条を受けて第十条第一項、それからそれをさらに具体化いたしましたものが十二条に出てくるわけでございます。事業者の守るべき処理基準、それから委託基準といったものに具体化されるわけでございまして、これらと相まって事業者の処理責任が貫かれるというふうに理解しております。
  164. 遠藤和良

    ○遠藤委員 廃棄物処理法の関連でこの法律の中で話をしましたら、この第三条がまずある。これは骨格規定としてあるわけです。「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」それがあって第十条に敷衍される。第十条「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」そして第十二条とくる。十二条は「事業者は、自らその産業廃棄物の処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の処分に関する基準に従わなければならない。」これは、科学技術庁さんのおっしゃるように精神規定どころじゃありませんよ。全く骨格の規定です。そうでしょう。その骨格が具体化されて十条、十二条があるわけでしょう。  皆さん方おつくりになった資料は、十二条だけぼんとある。そして「この他に」とある。「この他にいわゆる精神規定として次の規定がある。」第三条となっている。これは、恣意的に第三条を矮小化すうといいますか、この原子炉等規制法には第三条がないものだから、余り重要な規定じゃないのですよということを意図的に書こうとした資料に私は思えてならないわけでございます。いかがですか。
  165. 辻栄一

    ○辻政府委員 私ども、精神規定と書いたことによって軽い規定だというつもりは少しもないわけでありまして、当然その考え方に従ってやらなければならないということであろうかと思います。しかしながら、ただいま先生廃掃法の十二条第一項を引用されたわけでございますけれども、第十二条は、事業者みずから捨てる場合には国の定めた基準に従えという規定でございまして、この規定に全く同様の規定は私ども法律の三十五条に規定するところでございます。
  166. 遠藤和良

    ○遠藤委員 そういうことを言っているのじゃないのですよ。十条、十二条というのは第三条を母体にしてできているのだということですよ。その第三条を後でつけ足しでつくったのじゃないのです。法律というのは一条から二条、三条とできるわけでしょう。十条から十二条を先につくって、三条が後にできるわけじゃないのですから。だから、皆さん方の理解というのは、第三条をわざわざ卑小化する、そのためにつくった資料としかこれは思えないのです。どうですか。
  167. 辻栄一

    ○辻政府委員 私ども法律には、確かに先生指摘のように第三条のような規定は存在しないわけでございますけれども、第三条から十条が生まれてきたという点もそのようなことであろうかと思いますし、先生おっしゃるとおりに骨格規定であることは間違いないと思います。しかし、第三条がないからといって、私どもの規定が発生者責任を、少なくとも廃掃法で規定しているのと同じような規定をやっていないかというと、それは大きな誤りではないかと私は思うのでありまして、先ほど申しましたような具体的な事業者の処理につきましては、第十二条があるわけでございます。  第三条につきましては、事業者は廃棄物をみずから適正に処理しなければならないと書いてあるわけでございます。そして第十条にいきまして、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」と書いてあるわけでございます。そして十二条の表題は、「事業者の処理」でありますからして、第十条のみずから処理するということはどういうことであるかということが十二条に書いてあるのだと私は思うわけでございまして、自分でやる場合には国の基準に従ってやりなさいという規定がまず第一項にございます。それに相当する規定は、私ども三十五条の一項で書いてあるわけでございます。  それから十二条の四項に参りますと、「事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。」という規定があるわけでございます。その規定といたしましては、二つの基準を政令で定めているわけでございまして、「他人の産業廃棄物収集、運搬又は処分を業として行うことができる者であって、委託しようとする産業廃棄物の運搬又は処分がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。」適正な廃棄業者に渡しなさいという基準といもう一つは、「処分を委託しようとする者に対し、処分を委託しようとする産業廃棄物の種類及び数量その他の当該産業廃棄物の処分に必要な事項であって厚生省令で定めるものを記載した文書を交付すること。」というふうに書いてあるわけでございます。したがって、十二条の四項の、他人に委託する場合はどうしたらいいかというと、しっかりした許可を受けた事業者に渡しなさいよ、渡すときには何が入っているかということを教えてあげなさいよ、こういうことを言っているわけであります。  こういうことから見ると、これは私この法律の有権解釈をしようとするつもりではありませんで、一般事業者の立場に立ってみて、では私は事業者の処理としてこの第三条で責任を持ちなさいと書いてあるのは一体何だろうかなと思って見ると、十二条の一項で、自分でやるときにはきちっとやれ、四項で、人に渡すときには今言ったようにきちっとした廃棄業者に内容物を渡せ、こういうことが書いてあるわけでございまして、事業者の責務というのは、ここにおいて事業者の処理ということについて責任を持てということで、その処理が今申し上げたようなことでございます。  そういうことを考えてみますと、私ども法律の規定を見ますと、三十五条第一項で十二条第一項の事業者が自分でやる場合のことを規定し、第二項の方で廃掃法の十二条の事業者が人に渡す場合の基準を書くというような整理をしているわけでございます。この点については、廃掃法の整理の仕方と私どもの整理の仕方がそんなに極端に違っていることではない。ただ三条についての、精神規定と言って大変おしかりを受けているわけでございますが、こういったたぐいの規定が特段書いてないということでございますが、書いてなくても内容的には同じことであるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  168. 遠藤和良

    ○遠藤委員 私は、これは厚生省さんに大変失礼な資料だと思うのですよ。全然御相談もせずに、厚生省さんが公害対策基本法の第三条並びに廃棄物処理法の第三条というものはまさに骨格の規定であると理解をされておるのに、科技庁さんが横から精神規定で「この他にいわゆる……がある。」という感じの書き方をされますと、法律の精神というのは一体どこに行ってしまうのか、こうなるわけでございます。ただ単にこの法律、この条文に罰則規定がないから精神規定だ、こういうことではないわけでございます。(「憲法には罰則はないぞ」と呼ぶ者あり)おっしゃるとおりですね。そういう法案でいけば、憲法は全部精神規定で、ほうっておいてもいいんだということになっちゃうわけでございまして、法律というものは本当に大事に扱っていただきたい、これを特に要望しておきたいわけでございます。  長官、お聞き願いたいのですけれども、何でこの原子炉等規制法の中にいわゆる発生者責任の原則というものが明文化されないのかという理由でございますが、原子力基本法という法律がございますね。これは昭和三十一年一月一日に施行された法律でございますが、いわゆる原子力政策の基本を考える法律です。この原子力基本法の中にも発生者責任ということは明示されていないわけです。当時の背景といたしましては、恐らく、昭和三十一年でございますから、原子力というのは花形産業のようなイメージがございまして、未来の産業だということで余り細かい検討と申しましたら失礼でございますが、PPPの原則ということも余り世上では言われなかったのでそういうふうな扱いになったのかもしれませんけれども、基本法の中にないものを今回の原子炉等規制法の中にも書くわけにはいかないという都合もあったのではないかな、こういうふうに推測するわけでございます。公害対策基本法については公害国会で大変議論が闘わされまして、基本法の中に発生者責任の原則というものがきちっと明示されまして、それをもとにしまして廃棄物処理法の中にも発生者、事業者の責任というものが明示されたわけでございまして、これは法律の生成の過程というものにさかのぼらなければならない、こういうふうなものではないかなと私は理解しておるわけでございます。三十一年当時は私もまだ中学生ぐらいでございまして、国会がどういう議論をされているのかわからなかったわけでございますが、その辺まで考える必要があるのではないか、こういう感じを持っているわけでございますが、長官の所見はどうですか。
  169. 辻栄一

    ○辻政府委員 公害対策基本法の問題、御指摘がございましたけれども、私ども、この宣言規定と言うとまたおしかりを受ける、骨格規定と申すのですか、公害対策基本法の三条は放射性廃棄物処理処分にも当然及ぶということでございまして、これは環境庁のこの法律に対するコメンタールにも明記しているわけでございます。したがいまして、これを原子力基本法に重ねて規定するということは必要でもないし、また適当でもないと考えまして、特に原子力関係法律でこの規定は置かないで、いきなり事業者の処理という実体規定の整備を行ったということでございます。
  170. 河野洋平

    河野国務大臣 先生指摘のとおり、この炉規制法は原子力基本法を受けている部分が幾つかございます。例えば炉規制法の第一条の目的にも原子力基本法に書かれているとおりというふうに、原子力基本法の精神を受けてまず第一条ができ上がっております。こういうふうにこの法律の、先生のせりふで言えば生成過程が確かに公害基本法とか廃掃法とは少し違うものがあるということは、御指摘はある部分は当たっているのじゃないかというふうに私は思います。こういう言い方は少し誤解があるといけませんけれども、他のいわゆるごみ処理の問題とか一般の公害の問題よりもはるかに原子力を扱うものというのはいわゆるビッグプロジェクトであって、当初は国が直接管理をしたというところからスタートをしているということもあって、どこかその辺でどこでも出てくるというものではないわけで、扱う作業に当たっては当初から常に国がその管理をし、あるいは規制をし、許可を与えながら事態がずっと進んでくるということもその原因の一つとしてあろうかというふうに思うわけでございます。
  171. 遠藤和良

    ○遠藤委員 安全局長の御答弁は僕はちょっと理解できかねるわけでございまして、原子力基本法にはないが公害対策基本法にはあるので、それを受けて原子力行政がその中で行われるというのは、これはおかしいわけでして、公害対策基本法よりもっと厳格な意味原子力行政というのは行われていかなければならないわけでございまして、発生者責任の原則というものを根本的に確立していくにはむしろ原子力基本法の改正をしなくてはいけないのではないか、こういう感触を私は持っているわけでございます。これは法律のできた時代背景というものがありまして、明示されていないが各論でフォローしているんだからいいんだ、こういうふうな議論もあるようでございますが、やはりきちっとした原則というものは法律に貫かれるべきでございまして、これが後世のためにもいい法律である、こういうふうに理解をするので、そういった要望をしておきたいわけでございます。  たくさん質問を用意いたしたわけでございますが、ちょっと時間がなくなりましたから、二、三だけ質問をさせていただきます。  廃棄事業者の損害賠償能力を超えた場合、その責任というのは一体どうなるのかということが私は心配なわけでございます。いわゆる電力会社が適切な支援を行うべしということは原子力委員会の決定にもあるわけでございますが、法律の中にはないのですね。果たしてそれがどこまで担保できるのか。あるいは事によっては国が責任を持たなければいけない、こういう状態も起こってくるわけでございますが、廃棄事業者が倒産をしてしまったからそれで責任がなくなってしまうんだ、こういうことではそれこそ廃棄物のすそ切りみたいになってしまって、責任逃れになってしまうわけでございまして、ここのところをしっかりと確認をしておきたいわけでございますが、これはどういうふうに担保されますか。
  172. 中村守孝

    中村(守)政府委員 先生から御質問の最後の方でお触れになりました、廃棄事業者が倒産してしまったらどうなるんだ、こういう感じのお話がございました。私どもはそういう事態にならないように、まず倒産しないように、倒産して一番困るのは、いわば原子力発電所から出る廃棄物の管理をお願いしている電気事業者が実質的にも一番困るという面もございますし、もちろん発生者責任の一環として私どもも廃棄事業者が健全に運営できるように支援をしていくように、これも行政指導していくつもりでございますし、電気事業者も明確にそのことを明言しているわけでございます。  損害賠償の件につきましては、一義的には損害賠償法によって廃棄事業者も保険に入らなければいけないということでございまして、これは法律に定められた額のみならず、いろいろな問題もございますから任意保険を掛けて、かなりな保険も掛けられると思いますが、その保険料などは当然のことながら管理のときに電気事業者から料金という形で徴収することになりますので、結果的には電気事業者が負担することになろうと思います。  万々一句か非常に大きな損害賠償をしなければならないような事態があって、それが廃棄事業者の負担を超えたようなことになったらどうか、それだけ電気事業者が応援していても負担を超えることになったらどうか、こういう場合には、一義的にはまずその発生者であり、そこに廃棄物を預けている電気事業者に支援させる。その支援を超えてなおかつ大きい、私どもそのような事故が本件で起こるとは思っておりませんけれども、今の仮定のお話でございますので、そういう場合には、原子力発電所のケースでもそうでございますが、原賠法にも決められておりますように、政府が国会の議決を経て定められた予算の範囲内で必要な措置を講ずる、こういう段取りになりまして、少なくともこのために損害を受けた方々に御迷惑をかけることはないということでございます。
  173. 遠藤和良

    ○遠藤委員 時間がなくなりましたので最後に大臣に要望したいのですけれども、質疑の中でいろいろ資料を出せ、出さぬということで貴重な時間が浪費されているわけです。これは大変むだなことではないかと私は思います。科学技術関係のものといいますと、資料をたくさんいただいて、公開の原則というのがあるわけでございますから、そこで私どもも十分に勉強いたしまして、かみ合った議論ができるようにするべきである、こういうふうに強く思うわけでございます。何か出さぬというものを出させたら委員会のポイントになるというような、これは愚かなことでございまして、出すべき資料委員会の前に全部出して公正な審議を行う、これが近代の議会制民主主義の原則ではないか。殊に科学技術行政というものは皆さんの前で公開していろいろな意見の開陳を行うのが基本ではないか、このように考えるわけでございますから、次回の委員会から、そういうふうに資料をどんどん委員に提供していただけるように長官のお取り計らいを心から切望するものでございます。
  174. 河野洋平

    河野国務大臣 法案の御審議をいただくに当たってできるだけ参考となるべき資料を御提示申し上げることは、審議の促進の意味からも我々にとっても必要なことでございます。したがいまして、プレスの方々にもできるだけ資料を提示した方がいいということを私どもも言っておるわけでございますが、民間企業の企業秘密にかかわるような問題等も若干ございまして、そうした点について企業の了承が得られるかどうかということはぜひ御考慮いただきたいと思います。  そして、マスコミ等の説明用に配付いたしました資料が多少誤解されておしかりをいただくことなどがあるものですから、多少びびって、余り出すとしかられる種になるのじゃないかということがあろうかと思いますが、率直な御注意をいただくことにして、お出しできる資料は遅滞なくお出ししたい。ただ、先ほど申しましたような若干企業秘密等に触れるような問題についての御請求もございますので、その点は企業等の了解がとれるまでの時間、あるいはとれないということであればこれは御勘弁いただかなければならぬと思いますが、私どもにとりまして審議の御参考になるような資料は、できるだけお出しするように努力をしたいと思っております。
  175. 遠藤和良

    ○遠藤委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  176. 大久保直彦

    ○大久保委員長 山原健二郎君。
  177. 山原健二郎

    ○山原委員 今回のサミットにおきまして、一つはリビアを指名しての声明、それからソ連原発事故に対する声明が出ておりますね。このことについて最初に伺いたいのです。  これはけさほどもちょっと質問がありましたけれども、このソ連原発事故に対する声明については、科学技術庁としてはどういう参画をしているのでしょうか。
  178. 堀田俊彦

    ○堀田政府委員 けさほど大臣からもお話がございましたように、大臣自身が総理との関係で御意見を申し上げたりしておるわけでございますが、事務的にもサミット会議の運営自体を担当しております外務省の方から折に触れ相談を受けて、私どももできるだけの御意見を伝えられるようにしております。
  179. 山原健二郎

    ○山原委員 この前の質問のとき、私はソ連の実相報告についての態度について批判をしました。それから、ソ連もまた原子力発電所について一定のおごった考え方があったのではないかということを申し上げたわけですが、今度の声明の中に「我々のいずれの国も、厳格な基準を満たしている。」という言葉があるわけです。したがって先進七カ国においては、アメリカもイギリスもフランスも西ドイツも、日本を含めて厳正な基準を満たしている、こういうふうに言っているわけですけれども、果たしてそうかという疑問があります。これについて最初に質問をしたいと思います。  今度のソ連事故発生しましたその直後の四月三十日に、アメリカの民主党のグレン上院議員が米議会の会計検査院、GA〇の秘密報告書「原子力発電炉の安全問題の国際動向」というものの一部を発表しております。これは昨年九月に作成されたものでありますが、そこでは、社会主義国を除く十四カ国で一九七一年から八四年までに百五十一件もの重大な事故発生していることを明らかにしておりまして、これらの重大な事故は、一、放射性物質の重大な漏えい、二、安全装置の重大な欠陥、三、設計、建造、運転、安全評価の欠陥、四、冷却系の重大な故障、五、放射能被曝等の重大な事態など多岐にわたっていることが報告されていますが、これらの点については科学技術庁としては御承知でしょうか。
  180. 辻栄一

    ○辻政府委員 直接の報告は見ておりません。
  181. 山原健二郎

    ○山原委員 この報告書は秘密報告とはされておりますけれども、IAEAには提出されていると伝えられておりまして、グレン上院議員もこのIAEAの資料に基づいて公表したと伝えられております。我が国もIAEAの理事国でございます。こうした情報を握っているのではないかと思います。握っておるとするならばこれは当然公表すべきだと思いますが、その辺はおわかりにならないというふうに現在のところ把握してよろしいですか。
  182. 辻栄一

    ○辻政府委員 私は、ただいまの時点では承知しておりません。したがいまして、御指摘の点については調査いたしてみたいと思います。しかし、お話ですとコンフィデンシャルということになっておりますと、これはIAEAの文書でありますと簡単に公開するというわけにいくかいかないか、とにかく文書をチェックしてみたいと思っております。
  183. 山原健二郎

    ○山原委員 これは、調査をして把握していただきたいと思います。  米国のNRC、原子力規制委員会がこのほどまとめた報告書によりますと、米国では昨年、八五年、原子力発電所緊急事態が十二回発生し、そのうちオハイオ州トレドにある原子炉では冷却システムが十二分間にわたって故障したため、炉心溶融寸前に陥ったことが明らかにされていると伝えられております。これはマーキー米下院議員が五月三日に明らかにしたものでありますが、その上にまたNRC報告書によりますと、昨年は安全面で見る限り、米原子力発電産業にとって七九年のスリーマイル島原発事故以来最悪の年だったと述べているとともに、近く重大な事故発生する可能性もあると示唆しているという報告でございます。このNRC報告科学技術庁として御承知でしょうか。
  184. 辻栄一

    ○辻政府委員 私は、ただいま御説明いただいたような重大な事故が起こっているという報告は、最近スリーマイルアイランド以降接したことがございませんし、御指摘資料についてはただいま承知しておりませんけれども、文書番号等がわかりますれば調査の方法もあろうかと思います。今のところでは、私は存じておりません。
  185. 山原健二郎

    ○山原委員 きょうはこれを通告してなかったかもしれませんが、こういう点はやはり調べていただかないと、厳格な規制のもとに置かれておるなんと言ったって、スリーマイル島だって大事故なんですから、この辺はもう少し検討していただきたいと思います。  私は四年前にこの委員会で、いわゆるニュージャージー州のセーラム原発事故について取り上げたことがございますが、この事故原子炉の緊急自動停止装置がバックアップ用のものも含めて全く作動しなかった、二重、三重の安全システムが作動しなかったというものでございました。幸いにも係員が異常に気づいて、手動で炉の運転をとめたために重大事態には至らなかったわけですが、仮にスリーマイル島事故のときのように係員のミスが重なったら、炉の暴走などさらに重大な事態に立ち至るおそれがあった事故でございます。NRCはこの事故を重視して同型炉の一斉点検を指示したが、その後緊急自動停止装置の故障が次々と発見をされました。  さらに八三年七月に、NRCはマサチューセッツ州ビルグリム原発など米国各地の原発五基に対し、一時的な閉鎖命令を出しております。これらの原発では冷却用パイプにひび割れが入っている疑いがあり、放置しておくと炉心溶融など最悪の事態を招きかねないとの判断から出されたものでございます。こういう過去の事実についても御承知ないというふうに考えてよろしいでしょうか。
  186. 辻栄一

    ○辻政府委員 セーラムのトラブルにつきましては、これは有名な事故でございますので承知いたしておりますし、その他いろいろな事故あるいはトラブルというのは、あることはあるわけでございます。しかし、御指摘のような炉心溶融に近いような事故があったという話は、スリーマイルアイランド以降では私ども聞いてはおりません。いろいろ部分的に、発電所によりましてはそういったことのために保修のための原発の一時停止、保修というようなものは幾つかあるわけでございますが、それは時宜に応じて所要の対応がNRCによってとられたものというふうに考えております。  これらの事故の主要なものにつきましては、安全委員会としてもいろいろ調査検討を加えているところでございまして、一部につきましては既に安全審査指針その他にその教訓を取り入れている部分もあるわけでございます。
  187. 山原健二郎

    ○山原委員 日本原発アメリカの技術の導入によって推進されてきた経過から見まして、私はアメリカにおけるこうした重要な経験というものは、当然重要視して学ぶべきだと思うのです。ソ連の場合と同様に、アメリカの場合も、これらの重大事故の全容についてはやはり正確に見ておく必要がある。科学技術庁として、また通産省などもそうだと思いますけれども、こういう事態を正確に把握することが本当に大事なことだと思うのです。今度のソ連事故はそういう意味で一つの教訓を我々に与えておると思いますから、あえてきょうはそのことを申し上げたわけです。  サミットで、最初に申しましたように「我々のいずれの国も、厳格な基準を満たしている。」こういうふうにうたっているわけですけれども、これは果たして正しいのかということを考えざるを得ませんね。スリーマイルの問題だけとらえましても、満たしているというふうには言えないと思うのです。  また、スリーマイルが今どういう状態に置かれておるか御承知のとおりでありますが、ことしに入ってからもアメリカで、原発ではありませんが、オクラホマの核燃料工場での放射性ガス漏れ事故で死者一名、住民を含めた負傷者は多数出たという事件が発生をしたわけですね。これは百名とも言われておりますけれども、数字は不正確かもしれませんが、そういう大事故発生したことは事実です。これはシリンダーに六弗化ウランを詰め過ぎたため、シリンダーごと加熱して過剰分を出そうとしたところ、シリンダーが破裂して六弗化ウランが大気中に放出されたというものでございます。  アメリカの取り扱い基準によりますと、もし過充てんされたシリンダーを加熱すればシリンダーは破裂するであろうというふうに指摘しておりまして、厳しく禁止しているわけですね。これを無視した結果大事故発生をしたわけでございまして、事故後工場所有者であるカーマギー社は、この事故は作業員のミスであり、シリンダーを加熱したことも今までにないと言っておったわけですね。ところがNRCなどの調査が進むと、こういう事故の前にも何度となく基準違反の加熱をしていたことが次々と判明をしたという状態でございまして、全く悪らつとしか言いようがないことを平然として行い、そして事故が起こるとその真実を伝えようとしないということがアメリカでもあるわけです。もともとこのカーマギー社というのは事故隠しなどで悪名が高い会社でございまして、いわゆる「シルクウッド」という映画にまで登場している会社であるわけですが、今米国ではこうした事態が現実にあるわけですね。そしてそれを公的にも認められているわけでございまして、こういう状態。  さらに、アメリカだけでなくイギリスにおきましても、ことしの三月三十一日にケント州のダンジネスにある原発で爆発事故がありまして、少量の放射能ガスが漏れたことを五月四日付のイギリスのオブザーバー紙は一面トップの記事で報道しております。そこでは、イギリスの中央電力公社は、この事故を同紙からの問い合わせで初めて認めたと指摘をされておるわけですが、こういうことは科学技術庁、御承知でしょうか。
  188. 辻栄一

    ○辻政府委員 セコイアの事故の問題については私どもよく承知しておりますし、既にこれの事故についての第一次調査報告書というものがNRCから出されております。私どもその内容を承知しておるところでございます。セコイアの事故は、先生おっしゃるとおりに非常なミズハンドリンクが行われたわけでございますが、もう一つ、死者一名が出たわけでございますけれども、これもその施設の外におきましてこういったものを取り扱うというような、日本ではそういう取り扱いはしておりませんが、そういったようなことが行われておりまして、これは先生指摘のようにアメリカにおきましても余り行われていない。セコイア工場はかなり古い工場でございまして、例外的な工場のようでございます。  日本における関連施設につきまして、六つばかり六弗化ウランを加熱する施設があるわけでございますけれども、そういった施設について全部調査をいたしましたところ、いずれもしかるべきチャンバーの中に入れる、あるいはしっかりした部屋の中において操作いたしまして、仮にそういった何らかの事故によりまして放射性物質の漏えい等が起こりました場合にも、それはチャンバーの中あるいはその部屋の中にとどめ置かれるか、外に出す場合にもしかるべきスクラバー等の放射性物質の除去装置を通した後に出されるというような形になっておりまして、セコイアのような事故は起こりにくいのじゃないかなというふうに思っております。なお、念のためこれにつきましては、各社に対しまして運転管理について厳重に注意するようにという指導をしてきておるところでございます。  もう一つの後者の方の事故につきましては、私はまだ聞いておりません。
  189. 山原健二郎

    ○山原委員 事故とこういう危険性というものは、本当に背中合わせにいるというふうな状態もあると思うのですね。今まで安全という神話、神話と言っていいかどうかわかりませんが、それは少なくともかなり不正確な表現であるということは、今度の事故だけでなくて、今までの事故の経験からも言えると思います。そういう意味で、今度先進七カ国が集まりまして、我々の方は厳格な基準を満たしているというこの思い上がりがまた事故発生きす源になりかねない、私はこう考えますので、あえて申し上げたわけです。  そこで、やはりこの委員会にも資料の問題が出ましたけれども、米国のNRCの八五年の報告書及びIAEAに報告されている「原子力発電炉の安全問題の国際動向」昨年の九月作成ですが、こういう報告書、こういったものについても十分分析をし検討する必要があると思いますし、こういうものはこの委員会提出することが可能だと思いますが、この点はどうでしょうか。
  190. 辻栄一

    ○辻政府委員 後ほど先生から具体的なドキュメントはこれだということの御指摘をいただきたいと思います。私どもそれを調べまして、それがNRCとしてこの委員会提出してもよろしいような資料でございますれば、提出するにやぶさかではございません。
  191. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が少しなくなりましたが、法案について一部質問をしたいと思います。  放射性廃棄物の廃棄業者の法的責任に関する問題でございますけれども、これも国際的に見まして、例えばアメリカやフランス、西ドイツの場合、放射性廃棄物の事業主体は大体どういう状態になっておるか、御報告をいただきたいのです。
  192. 中村守孝

    中村(守)政府委員 放射性廃棄物の処分の事業を行う主体につきましては、各国々の国情に応じていろいろでございます。  米国について見ますと、低レベル放射性廃棄物につきましては、いわゆる州が単独あるいは幾つかの州がまとまりまして、その域内で発生した低レベル放射性廃棄物の処分場を確保するという責任を有しておりまして、州は実際の処分関連業務の全部または一部を民間企業に委託できるというふうに承知しております。一方、高レベル放射性廃棄物を処分する責任につきましては連邦政府、これはエネルギー省でございますが、その連邦政府が有しておりまして、処分のための研究開発、処分場の選定作業などはエネルギー省自身が実施していると聞いております。  それからイギリスでございますが、イギリスでは低レベルの放射性廃棄物の処分の実施主体としましては、放射性廃棄物の主な発生者でございます原子力公社、略称UKAEAでございますが、それから核燃料公社、BNFL、それから中央電力庁、CEGB、南スコットランド電力庁、SSEBと略しておりますが、これらのものと国が一緒になりまして原子力産業放射性廃棄物機関、略称してNIREXというものが一九八三年に設立されております。ただし、現在低レベル放射性廃棄物の陸地処分として行われているドリッグ処分場につきましては、英国燃料公社が管理を行っていると承知しております。なお、高レベル放射性廃棄物の処分主体については、まだ具体的に決定されていないようでございます。  それからフランスにつきましては原子力庁、CEAの附属機関でございます放射性廃棄物管理機関、ANDRAが高レベル及び低レベルの放射性廃棄物の処分施設の設置運営を行っていると承知しております。  それから西ドイツにつきましては、連邦政府がこの廃棄物につきましては責任を持って、連邦政府の機関でございます連邦物理技術院、略称してPTBと言っておりますが、この連邦物理技術院が放射性廃棄物の処分施設の設置運営を行うというふうに承知しております。
  193. 山原健二郎

    ○山原委員 今詳細に局長から御報告をいただきましたが、それをお聞きしましても、国またはこれに準じた公社あるいは国有の企業形態というものだと思いますが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  194. 中村守孝

    中村(守)政府委員 今お話し申し上げましたように、各国とも国あるいは国に準ずる機関あるいは自治体に相当する州、そういうようなところであります。
  195. 山原健二郎

    ○山原委員 いわゆる電力会社のまたその下請会社と言ってはどうかと思いますが、そういう呼び名は正しくないかもしれませんけれども、そういうものに責任をかぶせているところは今お聞きした限りではありませんね。
  196. 中村守孝

    中村(守)政府委員 今ちょっと御説明申し上げませんでしたが、スウェーデンでは電力会社の共同体がこの廃棄物処理処分に当たっているというぐあいに承知しております。
  197. 山原健二郎

    ○山原委員 スウェーデンの場合はそういう状態かもしれませんが、今幾つかの例を挙げましたのは、そういう公社形態とかいうことになっているわけですね。  昨年出ました原子力委員会報告書によりますと、低レベルは原則的には発生者の責任で、六ケ所のように集中的に行う場合は廃棄事業者が責任を持つことができる、こういうことですね。高レベルは、処分の場合は国が責任を負う。同じ放射性廃棄物で、高レベルと低レベルとこういうふうな取り扱いの違いというのがどうして出てきたのかということを伺いたいのです。
  198. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  放射性廃棄物処理処分が適切かつ確実に行われることに関しましては、それが原子力事業者の事業活動に伴って発生する問題でございますので、先ほど来いろいろ御議論がございますように、原則的にはそれを発生させた原子力事業者の責任というぐあいに考えておるわけでございます。  低レベル放射性廃棄物につきましては、その処理の技術は既に確立し、見通しを得ておるわけでございまして、原子力事業所において処理が安全かつ確実に行われておる現状でございますし、今後の処分につきましても技術的な見通しが得られている、民間事業として実施し得るめどが立っているということから、さきに述べた発生者の責任の考え方に立って、低レベル放射性廃棄物処理及び処分は民間の事業所において行わせるということでございます。当然のことでございますが、この場合も国は、安全性に関する試験研究等についてはいろいろ国自身もやってまいりますし、厳格な安全規制を実施していくということは当然のことでございます。  高レベル廃棄物処理は、いわゆるガラス固化をいたしまして、その後三十年ないし五十年間貯蔵した後に地層深く埋設しようというのが現在のこの高レベル廃棄物処理処分の考え方でございます。諸外国におきますいろいろな実績やら我が国におきます研究開発の成果から見まして、その最初のガラス固化にする処理技術あるいは三十年ないし五十年間の貯蔵、これにつきましては技術的な見通しも得られておりますので、これはやはり発生者の責任の考え方に立ちまして、それぞれの事業者あるいはこれの共同事業的なものとして行わせる方針であるわけでございますが、最終の処分、いわゆる深地層処分ということになりますと、まだ今後処分地も探していかなければなりませんし、また、そのための研究開発も必要でございます。埋設するための研究開発も、再び人間界に戻ってこないようにいろいろな研究をし、詳細なデータも集める必要がございます。  まだまだ高レベル廃棄物についてはそういう段階でもございますし、しかもこの高レベル廃棄物の深地層処分につきましては、相当長期間の問題でもございます。そういったことを総合的に勘案しますと、これから解決していかなければならない問題が高レベル廃棄物については多々あるわけでございまして、それに必要な対策を国が主導的に進めていかなければならない状況にあると考えておりますので、この問題については国の責任において積極的に進めていくということにしておるものでございます。  なお、この発生者責任の原則ということからいって、その処分にかかわります費用については、発生者たる事業者が負担をするということにおいては変わりございません。
  199. 山原健二郎

    ○山原委員 今、長期という問題が高レベルの場合出ましたけれども、低レベルの場合に、これは安全管理が時間がたてば必要なくなるだろう、それは逆に言えば、いわゆる安全管理が必要な期間というのがあるわけですね。それは大体どれくらいの長さですか。
  200. 辻栄一

    ○辻政府委員 その点は、まさに先般来議論のありました埋設可能な放射性廃棄物の濃度上限値あるいは無拘束限界値、こういうものを決定する段階で定めていくわけで、ただいま原子力安全委員会で検討中でございます。これは埋設するものの放射能の量によりまして変わってくるので、ごく大ざっぱなところとしてお受け取りいただきたいのでございますけれども、管理の方法は四段階に分けてやるのだということでやっております。  第一段階は、コンクリートピットの中にこれをおさめて、コンクリートピットによる放射性核種の拡散防止を期待する時期、これはコンクリートピットについてのメンテナンスを義務づけるわけでございます。第二段階におきましては、コンクリートピットはもう放射能レベルが低いですから壊れてもいい、そのかわり周辺のモニタリングをやるというようなことで、同時に周辺の土壌等による放射性物質の保持能力、そういったものを評価いたしまして総合的な安全管理をやっていく期間でございます。大体この期間が数十年のオーダーというふうに考えておるわけでございます。これで基本的な管理は終わりますが、それから後はしばらくの間、さらに無拘束限界値まで放射能レベルが減衰するまでの期間につきましては特段の管理は行わない。ただし、その廃棄物をまた掘り出したりなんかしたら困りますので、そういうことだけ禁止しよう、こういった極めて管理としては軽度の管理が行われるであろう。それが終了するまでの期間については、現在二百年ないし四百年の間でどの辺にしたらよかろうかという議論が行われているところでございます。
  201. 山原健二郎

    ○山原委員 二百ないし四百年という、これも短い期間じゃないですね。いわば我々から見ればほぼ永久と言ってもいいわけで、そういう間の管理を本当に利潤を追求するという株式会社、また、いわば電力会社の下請と言ったら悪いですけれども、そういう機関で管理することが合理的なのかどうかということですね。これはどう考えても合理的な——だからスウェーデンの場合は別ですけれども、よその国においてはいわゆる公社とか、そういう国と関係のある機関ということになっているわけでしょう。それを今度の場合、いきなりこういう企業体に長期間にわたって管理をゆだねるということが果たしていいのかという疑問がやはり出てくるわけですね。きょうはこの点の指摘だけでおきたいと思いますが、これは三百年、四百年という期間を考えた場合にどんな事態になるかわからぬわけですから、その辺のことを営利がとにかく何といっても目的であるこの株式会社にゆだねていいのかという点については、どういうお答えになるのでしょうか。
  202. 辻栄一

    ○辻政府委員 私ども安全規制をやるということで規制法を考えておるわけでございまして、会社がどれだけ継続するかという問題はなかなか法律にはなじみがたい問題であろうかと思いまして、むしろ基本的な政策の問題に属するのではないかというふうに考えました。日本の現状から考えまして、この程度期間についての廃棄物埋設事業というものは十分に民間企業としても成り立ち得るという基本的考えのもとに、これらの政策が進められておるという理解でございます。
  203. 山原健二郎

    ○山原委員 きょうはこれでおきます。
  204. 大久保直彦

    ○大久保委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後五時十八分休憩      ————◇—————     午後五時三十四分開議
  205. 大久保直彦

    ○大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  次回は、明後八日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十五分散会