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1986-03-27 第104回国会 衆議院 科学技術委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十七日(木曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長代理 理事 矢追 秀彦君   理事 小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君    理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君    理事 関  晴正君       有馬 元治君    伊東 正義君       櫻内 義雄君    村上 茂利君       森山 欽司君    若林 正俊君       五十嵐広三君    八木  昇君       安井 吉典君    遠藤 和良君       小川  泰君    山原健二郎出席国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)      河野 洋平君 出席政府委員        科学技術庁長官        官房長     矢橋 有彦君        科学技術庁計画        局長      長柄喜一郎君        科学技術庁研究        調整局長    内田 勇夫君        科学技術庁原子        力局長     中村 守孝君        科学技術庁原子        力安全局長   辻  栄一君 委員外出席者        警察庁警備局番        議官      安達 真五君        水産庁漁政部協        同組合課長   上野 博史君        資源エネルギー        庁長官官房原子        力産業課長   荒井 寿光君        参  考  人        (動力炉核燃        料開発事業団理        事長)     林  政義君        参  考  人        (動力炉核燃        料開発事業団理        事)      植松 邦彦君        参  考  人        (動力炉核燃        料開発事業団理        燃料部長)   渡辺 昌介君        科学技術委員会        調査室長    工藤 成一君     ————————————— 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   佐々木義武君     村上 茂利君   村山 喜一君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   村上 茂利君     佐々木義武君   五十嵐広三君     村山 喜一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長林政義君、同理事植松邦彦君及び同核燃料部長渡辺昌介君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 質疑申し出がありますので、順次これを許します。村上茂利君。
  5. 村上茂利

    村上委員 幌延貯蔵工学センターの建設のための立地環境調査を実施することに関連いたしまして、北海道ではいろいろな論議がなされておるのでありますが、たまたま一昨日のこの委員会である議員が質問されまして、核廃棄物最終処分地として幌延がどうなるのかというようないろいろな質問があったようでございますが、きのうの北海道新聞の朝刊に「幌延候補」という見出しで報道されております。この新聞記事内容を読んでみますと、原子力局長白紙であるというふうに答弁されておるようでございますが、あえてこれが「幌延候補」というように、北海道民に対しまして、そうか、かねて言われているように核廃棄物ごみ捨て場になるのだという印象殊さら強くするような見出しがついておるわけであります。果たしてこういう理解で正しいかどうか、私は、答弁されました原子力局長質疑応答内容をただして、事の正否を明らかにしたいと思うわけでございます。
  6. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  私も先生指摘新聞記事を見まして、非常に私の申し上げた趣旨と異なる形で、関係者の誤解を招くのではないかということで残念に存じておるわけでございます。私が申し上げましたのは、御質問が非常に貯蔵工学センター用地についての具体的な御指摘でございまして、私ども立場はあくまでもこの処分地については全くの白紙でございます、そういう意味で、どこが処分地になる可能性があるとか、どこが処分地にならないのかとか、そういうことは一切申し上げ得る段階にないわけでございますので、話の中では東京もそういう形であれば候補地になるのだなというようなお話もあったということも引用しながら私ども立場を御説明したわけでございまして、幌延の予定されている貯蔵工学センター用地処分地になる、そういう可能性を積極的な意味で申し上げたわけでは毛頭ないわけでございます。立場上全くの白紙でございますので、理論的にいってあるとかないとか申し上げられない。そういう意味幌延用地も、可能性がないとかあるとか、そういうことは申し上げられない、そういうぐあいにお答えしたつもりでございまして、あのような記事になったことを非常に残念に存じておる次第でございます。
  7. 村上茂利

    村上委員 この点に関連しまして、私どもは一応こんなふうに理解しているのですよ。  まず、高レベル放射性廃棄物につきましては、今までのところ、ガラスに融合いたしまして固化体をつくる、そのための固化プラントを建設する、これがまず施設としてはスタートだと理解しておるわけであります。それで私ども今まで聞いておるのは、一九九〇年の運転開始目途にする。そして、これに接続するものが貯蔵工学センターというものである、それが一九九二年操業開始目途にしている。それから、最終処分地層処分については二〇〇〇年を目途に云々、こういうふうな順序になっておる。ですから、今固化プラントもできていない、貯蔵工学センターもできていない、すぐさま最終処分地がどこだという議論をするのはちょっと早計である。この年代順の進め方を考えますと、いきなり今最終処分地がどうだなんというのは、全く早計だ。したがって、局長白紙であるというふうに答弁したのは私は当然のことだと思うのですよ。それがあえて「幌延候補」というふうな見出しをつけて新聞報道したというところに、私は何か極めてイデオロギー的な、核反対勢力が非常に強いわけでございますから、そういうものを意識した見出しつけ方をしたなという感じを持つわけであります。  そこで、私はきょういろいろな質問をしたいのですけれども、そういう問題の原点に立ち返りまして、順序を追いまして質問をしたいと思うのであります。  それに先立ちまして、実は私もこの関係の知識は不十分でございますが、昭和五十一年の九月に、衆参両院から各党一名ずつ、ソ連国会派遣で参りました。その折モスクワでいろいろな施設の見学を申し出たのでありますが、原子力関係施設を見せてもらいたいという申し出に対しまして、ソ連側は快く応じてくれまして、約三、四十分車に乗りましたところに参りまして施設を見たわけであります。お医者さんが着るような白衣をまといまして案内をされまして、足元に鬼火のような青い火が飛び交っておるのを見ました。これは、熱を持った燃料が水の膜を通る際にああいう色を出すのだというような話も聞きましたが、印象としまして、かなりオープンな態度でいろいろな話をしてくれました。ソ連としては、あの北極海を航行するために、ベーリング海に抜け出るために、原子力船というのは絶対必要なんだ、我々はその完成に向けてこういう研究をしている、いろいろな話がございました。  私はそのときに、我が方では「むつ」の問題をめぐりまして危ないとかどうとか大変な議論が展開されてきたわけでありますけれどもソ連側におきましては、北極海、べーリング海に抜けるにはもう原子力船でなければだめだ、そういう認識のもとにこういう船を我々は今つくっております、こういう説明を受けたわけであります。我が国原子力問題、原子力船に対する態度、今貯蔵工学センターに対するアプローチの仕方は、私はソ連のそういうのを若干でございますが目撃してきたという点から見ますと、非常に何か異様な感じを持たしていただいておるようなわけでございます。  私は、かような問題につきましては、事柄が極めて科学的な問題でございますから、できるだけ平明に国民理解してもらうということが絶対必要である。ところが、私ども動燃科学技術庁からちょうだいしました文書を読みますと、ちょっと二日酔いのときなんかわからない。よほど冷静なときに、自分の頭で区切りながら読まないとわからぬというような文書もかなりあるわけでございます。そこで私は、幌延貯蔵工学センターの問題をめぐりまして、科学技術庁考え方、私はここに印刷物を持っているのですよ、持っていますけれども、この言葉遣いじゃなくて、国民にわかるように、国民一般にこういう考え方でこう進めたいと思っておりますということを御答弁願いたい。お願いします。
  8. 河野洋平

    河野国務大臣 村上先生指摘のとおり、それぞれの国にはそれぞれの国に与えられている前提条件、つまり自然的条件でございますとかさまざまな条件があるだろうと思います。そうした厳しい条件を克服してその国その国が生きていくためには、例えば科学技術をその方面に駆使して、そうしたハードルを越えていこうというような努力が行われているというふうに考えておるわけでございます。我が国におきましては、十分な天然資源があるわけではございません。エネルギー源が豊富に我が国土にあるわけではない。こういう前提条件といいますか、与えられた条件があるわけでございまして、こうした条件を克服して我が国が安定した発展を遂げていくために英知を集めていかなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。  そこで、そうした問題の解決の一つとして、原子力開発利用というテーマが我々の前にあるわけでございます。先生案内のとおり、現在では既に原子力発電は三十二基、二千五百万キロワットの発電がなされているわけでございまして、現在我々が生活をしておりますこの時期、総発電量の約四分の一を原子力によって供給されている。こういう条件の中で、私たちがこの原子力開発利用に伴って不可避的に発生するものが放射性廃棄物でございます。この放射性廃棄物処理処分を適切に、かつ確実に行うことが、今や原子力開発利用、言ってみれば原子力政策上最も重要な課題でございます。この課題を放置して、ただ単にその成果ともいうべき電力を使用しているというだけでは我々はいけないわけでございまして、どうしてもこうした放射性廃棄物処理処分についてさらに一段と研究を進め、そうした処分を行うための諸準備を整えていかなければならないわけでございます。  貯蔵工学センターは、御承知のとおり東海再処理工場で発生する高レベル放射性廃棄物TRU廃棄物などを貯蔵するとともに、深地層試験など我が国が高レベル放射性廃棄物処分技術を確立するために全く必要不可欠な試験研究を行うものでございまして、今後の放射性廃棄物対策を進めていく上で極めて重要なプロジェクトでございます。政府といたしましては、地元の御理解を得つつ貯蔵工学センター計画を推進してまいりたい、かように考えているところでございます。
  9. 村上茂利

    村上委員 大体の筋道は今長官お話のとおりだと思います。  そこで、こういう廃棄物処理施設が必要かどうかという点につきまして、おとといの本委員会原子力局長との質疑応答の中に、その委員質問されまして、こういう廃棄物貯蔵施設を設けるケース国外にあるかどうかということをただしたのに対し、中村原子力局長は、イギリスフランス、西ドイツなど国外では例がない、こう述べたと書いてありますけれども、これは事実でございますか。
  10. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  再処理工場から出てまいります非常に高い放射線強度を有しますいわゆる高レベル廃棄物、これは最初液体の形で出てまいりまして、これをガラス状に固めて貯蔵するということが計画されておるわけでございます。現在までは、液体状態でタンクの中にためているところ、それからフランスのようにガラス固化するところまで発展しているところ、いろいろございますが、出てきた高レベル廃棄物につきましては、現在までのところその再処理工場の構内にそういった貯蔵施設をつくっているということでございまして、別なところに独立してつくっているという例はございません。ただ、フランスの再処理工場にいたしましてもイギリスの再処理工場にいたしましても、日本とかその他海外から受託して再処理を行ったものにつきまして生ずる廃棄物については、それぞれの国に送り返すということを事業体のオプションの一つとしておりますので、そういった廃棄物につきましては貯蔵施設はそれぞれの国に持つ、こういうことになろうかと考えております。
  11. 村上茂利

    村上委員 それじゃ、日本でそういう廃棄物処理施設をつくるということについては、独自の考え方がなければいかぬはずでございます。各国の状況はそうだが日本はつくるのだ、その点については、印刷物で私どもも承知しておりますよ。その中で「高レベル放射性廃棄物は、発生量自体は少ないものの、極めて高い放射能を有し、また長半減期核種も含まれることから、その放射能が減衰して環境汚染あるいは放射線影響のおそれが十分軽減されるまで、長期間にわたり人間環境から隔離する必要がある。」こういうことを言っているわけであります。そこで、そんなに安全なものなら東京周辺でもいいじゃないかとか、それは暴論なんでありまして、安全性の問題と心理的な影響、いろいろな状況がありますから、やはり人間環境からできるだけ隔離するというのは、これは常識的な判断だと思います。それにいたしましても、「極めて高い放射能を有し、」こう言っているのですが、これはどれくらい高いレベルのものであるか。これは後で低レベルアスファルト固化体の問題もありますが、どのくらいの放射能を発散するものなんでございますか、ちょっとお教え願いたいと思います。
  12. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  高レベル放射性廃棄物ガラス固化体に固めたものはおよそ百リッターの容積がございますが、ステンレス容器に入ったガラス固化体に入っております放射能の量は、最大四十万キュリーと見積もっております。もちろん実際につくる場合にはそれだけ高いものになるかどうかわかりませんが、設計能力としては最大四十万キュリーと見積もっております。  以上でございます。
  13. 村上茂利

  14. 渡辺昌介

    渡辺参考人 アスファルト固化体の方はもっと低い量でございまして、今ちょっと手元に数字がございませんので、後ほどまた確認してお答えさせていただきます。
  15. 村上茂利

    村上委員 そこで問題は、今のお話を聞きますとこれは危険だ、こういうふうに思うのは無理からぬことであります。そして非常に熱が高いじゃないか、そういうものを固化プラントで製造して仮に幌延まで運んでくるとして、果たしてそういう高熱で、かつ高度の放射能を持ったものを一体どのように運搬してくるのか。特殊なトラックを使うのか特殊な船を使うのか、貯蔵する過程における運搬についても心配するというのは私は無理からぬことだと思うのですが、その点お答えいただきたいと思います。
  16. 植松邦彦

    植松参考人 お答え申し上げます。  確かに高レベル固化体というのは、先ほど渡辺核燃料部長からお答えしましたように、四十万キュリーという非常に大量の放射能を含んだ固化体でございます。したがって、非常に御心配になるのも当然でございますが、このような大量の放射能を含んだ核燃料物質の例には使用済み燃料というのがございまして、日本ではもう既にこの使用済み燃料国内輸送及び海外向け輸送を非常に長年にわたって実施してまいっておりまして、特に大きな問題を起こしたことはございません。  また、こういった非常に強い放射能を持った物質を運ぶための容器というのが非常に大切でございますが、こういった容器についての基準は、国際的な基準としてIAEAの基準というのがございます。また、それに準じたような日本基準というものもございまして、これらの基準に従った輸送容器設計すれば、輸送上の安全については余り問題がないというふうに私は思っております。このようなガラス固化体は、先ほど申し上げました使用済み燃料といろいろな面で非常によく似た性質を持っておりますので、使用済み燃料輸送経験を十分活用すれば、安全に輸送ができるというふうに思っております。それは陸上及び海上を通じて、両方のケースでございます。
  17. 村上茂利

    村上委員 その点に関連いたしまして、昭和三十年ごろでございましたが、横須賀の方から所沢の方に弾薬輸送する、たしかそういうケースがありまして、そんな危険物運搬反対だと川崎で大騒ぎした記憶があるのでございます。私はそのときこう中したのです。弾薬なんというのは信管をつけてないと爆発しないよ。大体私も戦時中歩兵小隊長でございましたが、匍匐で弾薬を前にぶん投げて前に逓送するのでございまして、信管をつけなければぶん投げようが何しようが絶対爆発しないのです。それをトラックから落ちたら爆発するだろうなんて、これは無知も甚だしいと私は笑ったのであります。その後その騒ぎはストップいたしましたけれども。  こういう危険なものを輸送するについて、これは絶対安全なんだということについて本当に心から納得さす。今私は信管をつけなければ弾薬は爆発しないんだ、そういうことを申し上げたのですが、今までの段階では経験律から見てそういう事故も起こらぬし、安全だという主張のようでございますけれども、一応ステンレス容器に入れて、こうした場合には絶対外部放射能は発散しないし、完全にこれは安全だということを、もう一回ひとつ国民に言うつもりで答弁してくれませんか。
  18. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  技術専門家というか、もう少し平易に説明する方かと思いますので、私から御説明させていただきます。  これらのガラス固化体につきましては、中に含まれておりますのは、核分裂の際に生じました非常に多くの分裂物質が入っておるわけでございます。使用済み燃料の中にはプルトニウムとかウランというのが再利用できるほどたくさんあるわけでございますが、そういうものは再処理過程においてすっかり取り除かれるわけでございます。ごく微量は入っておりますけれども、そういったいわゆる核爆発を起こすというような種類のものが中に入っているわけではございませんので、そういうものがあるからといって、爆発するとかそういう性格のものではもちろんないわけでございます。  それから、ガラス固化体について、放射能が非常に多く、周辺に出す放射線が非常に高いから、すぐ近くに人が立っていると、わずかな時間の間にその放射線を浴びて死んでしまうということも一部宣伝されているわけでございます。そういうことは、物理的にはそのとおりな点もありますけれども、それは逆に、そういうものであればこそ十分な安全対策を講じておるわけでございまして、放射線に対してはコンクリート等による遮へい技術というものが進んでおるわけでございますので、そういう遮へいによりまして、もちろんそこで働いている人にも何らの放射線影響も与えないようになっておりますし、いわんや周辺の方々まで届くような放射線が出ていくということはございません。十分な厚みのあるコンクリート遮へいし、堅牢な建物の中に入れるということでございまして、放射線そのものについて直接的な心配はないわけでございます。  さらに、この周辺酪農民の方からも一部懸念が持たれておりますが、こういうガラス固化体が行くと周辺牧草が汚れて牛乳が汚染され、売れなくなってしまうのではないか、こういうことをいろいろ御心配されている向きもあるわけでございます。これはかつてイギリスのある研究炉でそういう放射性ガスプラントの外に出まして、牧草を汚染した例があるというようなことから、その後原子力施設については、発電所にしろ再処理工場にしろ、周辺に対してそういうおそれがあるのじゃないかということが常に言われるわけでございますが、この場合はあくまでも放射性ガスが漏れて周辺を汚染したということでございます。  今考えております貯蔵工学センターに持ち込みますものは、ガラス固化体という形に固めたものでございます。しかも、その製造過程におきましては、千二百度という高温ガラスをどろどろに溶かして、その中に放射性廃液と一緒にまぜるわけでございます。そういう千二百度という高温の中でガス状のものは当然出てまいりますが、そういうガスガスとして別途処理しておるわけでございます。ですから、そういう高温で出るようなガスはもうガラス固化体の中にないわけでございます。しかも、一たん固めてしまった後は、温度はそんなに高い温度にしないようにしてあるわけでございますので、気体が漏れて周辺牧草を汚染するということは、むしろ原子力発電所なんかに比較すれば、その可能性はないと言えると思います。  それからまた原子力発電所なんかで、例えば敦賀発電所の例というのはちょっと例としてあれかもしれませんが、放射能が海水中に漏れたということで大騒ぎになったことはございますが、このガラス固化体につきましては、ガラスといえども水の中で全く溶けないわけではございませんで、極めて微量溶け出すことはございますけれども本件ガラス固化体キャニスターというものの中に入れられた状態で、しかも全く水と縁のない乾燥した部屋の中で空気で冷やす、水で冷やすわけじゃございません、空気で冷やすという形で貯蔵されるわけでありますので、水との接触もございません。そういう意味で、水を通じてこのガラス固化体からの放射能外部に漏れ出るということもないわけでございます。  こういったような状況でございまして、これまでも既に入れ物自身キャニスター健全性試験とか貯蔵ピット機械的強度とか耐震性だとか、そういったものについても試験をしておりますし、冷却系システム等についても試験をしております。そういったいろいろな試験の結果も踏まえて設計をするわけでもございますし、しかも、外国では既にフランスにおきまして一九七八年以降安全に貯蔵されているという実績もあるわけでございまして、先ほど申したようなことからいって、このガラス固化体周辺の皆様に御迷惑をかけるような危険なものであるとは私ども考えておりませんし、安全対策についてはその上なおかつ念には念を入れた対策をとるというぐあいに考えておる次第でございます。
  19. 村上茂利

    村上委員 そういう点、PRがちょっと不足だなという感じがしますね。牛乳が汚染される。牛乳が汚染される前に人間様がまずやられちゃうので、こんな物騒なものを我々は動燃が考えるとは全く思わないと言っておるのですが、そういう科学的な説山がありませんと、だろう話では通りませんので、今詳しく御調則がありましたような点をもっと正しくPRしていただきたいと思うわけであります。  ところで、そういうものを貯蔵する貯蔵工学センターでありますが、一体どういうものがつくられるか。現在、七種類プラントが予想されておる、そして広さも大体四百ヘクタールの土地が必要であるとか、そういうことは大体私ども承知しておりますけれども、念のため、貯蔵工学センターというのはどういう施設があって、どれくらいの広さであるかという点について御説明をいただきたいと思います。
  20. 渡辺昌介

    渡辺参考人 貯蔵工学センター内容の御説明をする前に、先ほど御質問がございましたアスファルト固化体の中の放射能濃度についてちょっと御報告させていただきます。  アスファルト固化体は、大きさとしてはドラム缶程度の大きさ、約二百リットルでございますが、その中に入っている放射能量は最大でおよそ二百キュリーくらいでございます。少ない方では一キュリー以下になりますが、中に含まれている放射能量はいろいろございます。  以上でございます。  それから貯蔵工学センター内容でございますが、貯蔵工学センターはおよそ四百ヘクタールぐらいの土地を使わせていただきたいと考えております。  その中にございます施設を御紹介いたしますが、貯蔵工学センターでは、放射性廃棄物の安全な貯蔵管理というのが第一の目的でございます。それから二番目の目的として、高レベル固化体の有効な利用を図りたいということで、この熱の利用、それから放射線の利用、このための技術開発をやりたいと考えております。それから三番目の目的といたしまして、将来処分地を選んでいくわけでございますが、そのための処分技術開発をしたいと考えております。  このために、施設としては、一番最初に高レベルガラス固化体の貯蔵プラント貯蔵施設を考えております。それから二番目に、低レベルアスファルト固化体貯蔵庫と言っておりますが、アスファルト固化体貯蔵施設、それから低レベル固化体貯蔵施設を考えております。それから二番目の目的でございます熱利用あるいは放射線利用でございますが、熱利用のためあるいは放射線利用のための研究開発棟を幾つか目的別に建てさせていただきたいと思っております。それから三番目の目的でございます処分技術開発に対しましては、環境工学試験棟、これは地上で処分環境を模擬したいろいろな実験をやりたいということであります。それから、今話題になっております深地層試験場、ある程度深い地層で実際のいろいろな実験をやりたいと考えております深地層試験場をつくりたいと考えております。それから、当然放射性物質を扱いますので、放射線管理のための施設あるいは水、電気を供給するための供給施設、ユーティリティー施設と私たちは呼んでおりますが、このユーティリティー施設、さらに事務室も当然必要でございますし、厚生施設も必要でございますし、もちろん展示館も建てさせていただきたいと思っております。そのほか、住宅施設も用意したいと考えております。——以上でございます。
  21. 村上茂利

    村上委員 今の御説明の中に、深地層試験場ということがございました。これは、ややもすると再処分のための施設じゃないかという想像を呼び起こしやすいのですが、その計画を見ますと地下試験部というのは約二百平米で、えらい小ぢんまりしたものなんですね。ですから、地下深層に埋めるんだといっても、そんな小さなものでは貯蔵場になり得ないのだ、私はそう思うのでございますが、その点ちょっと説明してください。
  22. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  深地層試験場は、先生説山のとおり地下の部分は試験をする場所ということでございまして、立て坑、横坑ございますが、放射性廃棄物をそこに入れるということは全く考えておりません。計画はございません。地下の構造を利用して、将来処分場にする場合のいろいろな情報を得るというために実験をするところでございます。  以上でございます。
  23. 村上茂利

    村上委員 ですから、深地層試験場といった場合に、いや研究室は二百平米の小さなもので、貯蔵機能はほとんどありませんよと言えばそれで安心すると思うのです。そういう点の説明が足らぬように思うのでございます。  さて、一口に貯蔵工学センターと言いますけれども、いろいろな施設がある。また、施設ごとに安全基準というのは非常に違うだろうと思います。今度原子炉等規制法の一部改正をいたしまして、廃棄物理事業を新たに追加いたしまして、建設から運転その他いろいろな点につきまして安全基準を設置する、こういうふうに承っておるのでありますが、この種のものについての安全基準というのは、つくること自体が非常に難しいだろうと思うのであります。まずどんなふうに作業が進んでおりますか、お答えを願いたいと思います。
  24. 辻栄一

    ○辻政府委員 御指摘施設にかかわります安全基準といたしましては、これまでに原子力安全委員会によりまして、核燃料施設全般を対象といたしました核燃料施設安全審査基本指針というものができておりまして、これがまず基本の指針と相なるわけでございます。それに加えまして、本年二月に再処理施設安全審査指針というのが定められたわけでございます。御承知のように、再処理施設の中には、その附属施設といたしまして高レベル固化体貯蔵施設も含まれるわけでございまして、この再処理審査指針にはこの分についての基準も書いてあるわけでございます。これらの中で、核燃料施設が満たすべき立地条件でありますとかあるいは放射線管理の基準でありますとか、そういったような安全基準が示されておるわけでございまして、高レベル廃棄物貯蔵施設につきましては、これらの指針を準用してやることができるというふうに考えております。  さらに、現在高レベル廃棄物の貯蔵についての安全性につきましてその指針基準をもう一遍総体的に検討してみようということで、安全委員会放射性廃棄物安全規制専門部会というのがございますが、そこで鋭意検討が進められているところでございまして、この検討結果は動燃事業団の貯蔵工学センターにかかわります規制法上の安全規制に際して適用することができるということでございます。この作業の時期といたしましては、大体この夏前に報告書をまとめるというような計画で作業を進めているところでございます。
  25. 村上茂利

    村上委員 仮に調査等が協力を得られまして進行した、このセンターをつくるという段階になりましたら、建築基準法の関係の知事の認可をとるとか、いろいろな問題が出てくる可能性があるわけであります。そのときに、同じ建築物にいたしましても先ほども申しましたように六つのプラントがありまして、その安全度合いにかなりの違いがあるわけであります。そこで、知事の段階で審査するといたしましても、原子力関係のこういう問題につきましてしからば知事が審査能力があるかということになると、これはあるとは必ずしも言えない。むしろ、今度の原子炉等規制法によりまして、こっちの方で科学技術庁長官基準をつくって、これでやるからこれでいいのだということになります場合には、こっちの法律によるところの基準が先行するのか、建築基準法によるところの制限が優先するのか、そこら辺ある程度見通しをつけておかなければいかぬ問題だ、こう思うわけであります。まだ時期尚早でそんなことを言う段階でないというのであればそれで結構ですけれども安全性保持に関連して、建築基準法の関係もありますから、どんなかかわり合いを持つのかお答えを願いたいと思います。
  26. 辻栄一

    ○辻政府委員 御指摘のように、今回私ども御審議をお願いしたいと思って提案しております改正法案におきましては、この貯蔵工学センターの事業計画は廃棄物管理の事業ということで規制をしようといたしておるわけでございまして、これは事業許可の際に工学センター諸施設についての安全審査をやる、しかもその安全審査においては、科学技術庁がいたしますけれども、さらに原子力安全委員会においてダブルチェックをしてもらう、こういう制度をとることにいたしておりますし、さらに、設計及び工事方法の認可であるとか使用前検査あるいは定期検査、こういったような各種の規定、原子炉施設に適用されるとほぼ同じ法体系の規制をやっていくつもりでございます。したがいまして、建築関係の構造基準についても、この安全審査のときに十分審査することになっております。法律上の形といたしましては、もちろん建築基準法もこの施設にかかるわけでございますけれども、原子炉施設につきましては基準そのものが建築基準法の基準に適合することはもちろん、特に耐震性等につきましては、原子炉特有の条件といたしましてさらにこれを上回る厳しい基準をもってやっているということでございまして、この辺につきましても行政庁あるいは原子力安全委員会において十分審査をしてまいるわけでございます。
  27. 村上茂利

    村上委員 要は、そういう基準が確立しつつありますから、現実の問題として処理するときには、これは調整することについてはある程度見通しがあると申しますか、調整についてはそういう基準でさらに努力をしたいというふうに理解してよろしゅうございますか。
  28. 辻栄一

    ○辻政府委員 建築基準法との調整問題につきましては、既に科学技術庁、通産省あるいは建設省との間で意見調整ができておりまして、先ほど申し上げましたように法律上は建築基準法がかかっておりますけれども、安全審査においてこの基準を上回る基準によって審査が行われておりますので、建設省におけるこの面の審査は通産省あるいは科学技術庁の行います審査を尊重してやるということで、その辺の調整ははっきりついております。
  29. 村上茂利

    村上委員 この施設ができた場合一体どれくらいの人が働くかということは、特に過疎地でございますから、雇用問題に関連しまして非常に大きな関心が持たれておるわけであります。従来私ども承知しておりますのは、研究及び施設の運転に必要な人員は約二百五十人というふうに言われておりますけれども、これは研究及び施設の運転に必要な人員でありまして、一般庶務的な事項とかあるいはメンテナンスとか、いろいろな面で、これに限定されない、もっとふえるだろう、私はこういうふうに想像するわけであります。過疎地域でございますから、二十人、三十人ふえましてもこれは大変な問題なんです。それで極めて限定的に二百五十人と言っておりますけれども、私はもっとふえるのじゃないかというふうな推測をしておるわけであります。人数は言えないかもしれませんが、これよりふえるかという点について考えをお聞かせいただきたい。
  30. 植松邦彦

    植松参考人 お答え申し上げます。  いろいろの場で数字が出ておりますが、我々が御説明しております「貯蔵工学センター計画の概要」にはっきり書いてございますけれども研究及び施設の運転に必要な人員は約二百五十名というものを見込んでおります。もちろん、これは定常運転に達したときの職員数でございまして、一般的には、原子力施設を立地いたします場合、建設中はそれぞれ必要な建設従事者の雇用というのが地元で必ず発生してまいると思います。また、運転を開始いたしましてからでも直接的、間接的ないろいろな業務が附帯してまいりますので、地元の方に非常に多くの御支援をいただく必要があるというふうに考えております。貯蔵工学センターの場合も、運転に至りましても、私たちが各地で運転をしております事業所の例から判断いたしまして、相当数の地元雇用というのが発生するというふうに考えております。もちろん、地元雇用ということは地元との協力関係の上で非常に大切なことだというふうに我々も判断しておりますので、これについては前向きに対処していくという考え方でおります。
  31. 村上茂利

    村上委員 この施設ができましたら、職員住宅とか厚生施設等もできるものと常識的に考えられるわけでございますが、そういった附属施設についてはどういう見込みでございますか。
  32. 植松邦彦

    植松参考人 先生指摘のように、二百五十名の職員が貯蔵工学センター周辺で何らかの形で生活を行う必要が出てまいるわけでございますから、御指摘のような職員の住宅、厚生施設、こういったものを周辺に立地が決まりました場合には整備をする必要があると考えております。また、相当数の動燃事業団の職員が赴任をしてまいるわけでございますので、これは家族住宅、単身寮その他含めて次第に、段階的に整備を行っていくことになるというふうに考えております。
  33. 村上茂利

    村上委員 次に、安全性に関連をいたしまして、万が一に災害が発生したという場合に、一応原子炉等規制法におきまして災害補償という条項があって、それがいわゆる無過失責任に立脚した制度であるというふうに承っておるのでございますが、これは現実にまだ適用された例はないと聞いておりますが、まずその点とその補償の内容。これは物的補償、人的補償、精神的補償、いろいろあるのですが、例えば労災なんかの場合には精神的な慰謝料は含んでおりませんが、災害補償と申しますけれども、その範囲はどうであるかということについにお尋ねいたします。
  34. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  原子力施設の万々一の事故による周辺への損害を与えた場合、その賠償がきちっとできるようにということで原子力損害賠償法という法律が制定されておるわけでございまして、原子力のそういった事故につきましては一元的に無過失責任を原子力事業者が負うという厳密な制度が確立されておるわけでございます。事業者はその原子力施設を使って運転する等に先立ちまして、まず原子力損害賠償保険に入って一定額の補償ができるようにしておくわけでございます。それがないとその施設の運転は認められないという制度になっております。さらに、実際に生じました被害に対する賠償額がこの保険による額を超えたような場合におきましては、一義的には当然その事業者が支払うという義務は残っておるわけでございまして、その賠償保険にかかった金額だけで終わりということじゃございませんで、その上は青天井になっておるわけでございます。ただ、事業者の状況その他におきまして必要な場合には、国会の議決を経て政府原子力事業者へその賠償に対する資金的な援助を行うことができるということが法律で明定されておる、そういうような形で原子力の損害賠償の制度が確立されておるわけでございます。  それから、いわゆる労働者の災害に対しましては労災法の適用があるわけでございます。この労災法と原賠法の適用につきましては、まず一義的には労災法の適用がなされて、その範囲内と申しますか、原子力損害賠償制度による補償額と労災による補償額、それが労災法による補償額の限度までは一応原子力損害賠償制度による支払いは猶予されるという制度になっております。ただ、労災が支払われる限度まで時期的に猶予されておりまして、労災が払われなくなった後においてなおかつ原子力損害賠償の額と労災の方の今まで支払われた額との差がある場合には、その差については原子力損害賠償制度の方から支払う、こういうような仕組みになっておるわけでございます。
  35. 村上茂利

    村上委員 従業員が被災した場合は労災が先行しますから、これは問題ないのですよ。そうでなくて、住民だとか第三者の被害があった場合にどうするか、これは簡単じゃないのですよ。過失責任論から無過失責任論に転換するということは、立証責任の転換が伴うわけですよ、無過失賠償責任といった場合に。だから、住民や第三者が補償請求したときに、それはおかしいじゃないかと反駁するのは動燃側で立証しなければいけないのです。ですから、これは非常に厄介なんですよ。そして被害が作物に及んだとか、仮に風評被害で言っているような牛乳汚染があったとしたら、その額を算定する。労災の場合は医療費だとか休業補償だとか障害補償だとか決まっていますからいいですけれども、この損害額の算定は請求人の方でなくて請求を受ける動燃の方で算定するということになると、これは非常に難しい。そういう問題があるわけです。ですから、一応普通の損害賠償の理論に立脚しまして、よほど研究しておく必要があると私は思うのです。  それからまた、請求があった場合に補償責任のある動燃が判断するということについて、客観性がないじゃないかというような議論は当然起こり得るわけです。そうすると、今度は第三者機関的な審査会のようなものをつくるかどうかというような準備もする必要があると思います。これは早急にどうこうするというわけじゃございませんが、私は労災補償の専門家でございますものですから、これは一応念のために御指摘を申し上げておくわけでございます。
  36. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  今の原子力損害額の算定、非常に難しいものでございますし、無過失責任ということでございまして、被害を受けられた住民の方々に対して当然保護する制度でございますので、住民の方々に立証責任があるというよりか、むしろ今回の場合は動燃事業団の方にあるわけでございますが、そういったことに関しまして実際に補償額が幾らだというようなことで紛争が生ずるという事態が当然予想されるわけでございます。それに対しましては現在既に制度がございまして、原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する政令というものも定めてございまして、原子力損害の賠償に関して紛争が生じた場合において、この審査会でいろいろ御審査いただくという形になっております。  この審査会は「委員十人以内で組織する。」ということで、委員につきましては「人格が高潔であって、法律、医療又は原子力工学その他の原子力関連技術に関する学識経験を有する者のうちから、科学技術庁長官が任命する。」こういうような制度になっておりまして、そういう事態が生じたときには即応できるような体制を整えておる次第でございます。
  37. 村上茂利

    村上委員 問題をちょっと転換をいたします。  私は地元でございますので、何回となく関係市町村を回っております。隣接市町村におきまして一様に聞かれますのは、あれができたって何のメリットがあるのさ、ちっともいいことないじゃないか、幌延町は特別交付税をもらったりいろいろいいかもしらぬけれども、わしのところはさっぱり何もないんだ、どうしてくれるんだ、こういう話になりますと、率直に言って私も非常に困る。下手すると選挙に非常に影響しまして、大変なことなんですよ。それで私は、実は電源三法というものがある、これはこの施設ができれば当然政令指定か何かで措置はなされるだろうということを申し上げておるのですけれども、それは果たしてそういうふうになるのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  38. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、電源三法によって電源立地促進対策交付金を初め、あと予算制度でいろいろな交付金が立地市町村とそれからその隣接市町村、場合によってはその隣々接市町村というようなところに交付されるような制度ができておるわけでございまして、それで原子力発電に関連します施設の立地の円滑化が図られるような制度ができておるわけでございます。この対象になります施設は、一定規模以上の発電施設及び政令で定めることができることになっている原子力発電と密接な関連を有する施設ということでございまして、この原子力発電と密接な関連を有する施設というものにつきましては、既に政令において、再処理施設とか実験用ウラン濃縮施設あるいは原子力研究所におきます研究炉の一部などが定められておるわけでございます。  貯蔵工学センターにつきましては、当然、現在まだ立地の適否についての調査をするという段階でもございますので、まだその具体化はしていないわけでございまして、現在の政令の対象にはなっておらないわけでございますけれども我が国原子力開発利用を推進していく上では必要不可欠な施設でございます。そういう意味から、この施設の役割と、そもそも電源三法が制定されたという趣旨、こういったものを勘案いたしますれば、この施設が実際に立地するようになれば十分この交付対象とすることが可能な施設であると私どもは考えておりまして、そういった線で対処していきたいと考えておるわけでございます。しかし、何分にもまだまだ調査段階でございますので、今後そういった事態になりましたときに政令等の改正を行うということでございまして、特段、法律とかそういったものの新たな制定の必要はないわけでございます。
  39. 村上茂利

    村上委員 それは決定しなければ政令指定できないこと、これはもう当然でございます。そこで、仮に政令指定が行われましても、幌延町はいいかもしらぬが、隣接市町村は何もいいことはない。いや、そうではないのだ、例えば「その地点の周辺の地域において住民の福祉の向上に必要な公共用の施設を整備することがその地点における発電施設の設置の円滑化に資するため必要であると認められる」というときには周辺の地域指定というのが可能なようですが、それはどの程度の範囲になるわけですか。
  40. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  いろいろな交付金によって若干差異はありますが、今中心になります立地交付金について申しますれば、当該立地市町村、そこに行く金額と同額のものが周辺の市町村に行くわけでございます。その周辺市町村と申しますのは、原則的には隣接市町村でございますが、その立地の状況に応じては隣々接、隣の自治体のまた隣というようなところまで交付されている例がございます。これは地元の相互の関係等によって決められるものでございまして、その配分類、それじゃ隣接市町村の中のどこにどれだけ行くのかというような配分、そういったものにつきましては県が調整をしていただいて、県が配分計画を立てていただいてお分けする、そういうような制度になっております。
  41. 村上茂利

    村上委員 今お答えのとおり、我々も内々知っておりますから、こういう措置がなされる可能性があるということは申すのでありますが、しかしそれは表づらで、実際損得を計算してみますと、立地交付金が交付されましても今度は地方交付税の方で減らされるから、そう大したプラスにはならないのですよ、そう大きなメリットじゃありませんよという意見も聞くのですが、今日までの適用例から見ましてどうであるか、その点ひとつお答えをいただきたいと思います。
  42. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  立地交付金につきましては、いわゆるその自治体の基準財政収入額というものの中に算定しないわけでございまして、これは別枠でございますので、まさに交付額の一〇〇%が地域の方々の福祉の向上に利用される、こういうぐあいに理解していただきたいと思います。ただ、よく誤解といいますか、そういう意味で問題にされますのはむしろ固定資産税の方でございまして、固定資産税につきましては、確かにその四分の三はいわゆる市町村の基準財政収入額として計算の中に入るわけでございます。しかし、この場合でも残り四分の一、これも本件のような場合相当な額になるわけでございますが、その四分の一は当該市町村の純増の形で収入となるということでございます。
  43. 村上茂利

    村上委員 過去におきまして、電源開発をするというときに地元とのいろいろなトラブルがあった。本問題についても、既に調査段階からトラブルが発生しているわけであります。私は今順次いろいろな点について御質問いたしましたが、私自身はある程度承知しておることでございましても、国民は知らない、北海道民は知らない、地元の有力な方々でも知らないという問題が非常に多うございまして、だろう話、想像の領域におきまして、ああでもない、こうでもないといろいろな議論が展開されておるということを、私は不幸な事実だというふうに感じておるわけであります。私ども、政党の立場がございますから、党の立場に従いまして本問題を強力に推進したいと思っておりますけれども、以上私がいろいろ御指摘を申し上げました点について、ひとつ的確にわかりやすく対応していただきたいと思う次第であります。  特に、いわゆる風評被害と申しますか、さっき申しましたように、いや牛乳が汚染されるだとか、いや酪農家にこういう危険な施設がある近所の部落などじゃとても嫁さんを世話するわけにはいかぬだとか、俗耳に入りやすいが、しかしもっともだ。これはこうこうこうだという対応、説得の方法を考えなければならぬと私は思うのであります。先ほど原子力局長からもお話がありましたけれども、こういう問題にどう対応していくかということにつきまして、これは局長よりも長官、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  44. 河野洋平

    河野国務大臣 先生指摘のとおり、風評によっていろいろと疑心暗鬼が生まれるということが間々あるわけでございます。そうしたものにできるだけ懇切丁寧な、正確な情報をお届けするということにもっと努力をしなければならないというふうに考えております。現在、御案内のとおり動燃幌延に連絡事務所を設置をいたしておりまして、この連絡事務所を通して地元の方々にも動燃側は正しい情報をお伝えすべく努力をしているようでございますし、さらにまた、その連絡事務所を通して地元が感じておられるさまざまな疑問点なども収集をいたしまして、その疑問に的確にお答えするような段階になっております。  私も長官就任以来、この問題に無関心ではおられませんので、いろいろと聞き耳を立てておりますが、地元にお届けをいたします説明書、パンフレットのたぐいがまだまだ不十分ではないか、少しお役所的で味気ないんじゃないか、もう少しわかりやすい親切なものをつくってはどうかというような御注意もいただいておりまして、そのことも動燃に伝えまして、動燃はせっかくそうした地元からの声にこたえるような正しい情報をお伝えするすべを準備いたしているようでございますが、さらにもっと努力をいたしたい、こう考えております。
  45. 村上茂利

    村上委員 この問題につきまして、実際目で見て確かめたいという人力が東海村の原子力発電所に相当来ております。北海道の一番北の稚内の建設業協会で、会長以下大挙いたしまして現地視察をいたしました。結論としましては、固化体になる前の液状のものが今構内に貯蔵されておる、もっと危険なはずだ。しかし、それによっていろいろな災害をこうむるというような風評被害のようなことが現実にあり得るかということについても、いろいろ見たり聞いたりして帰っておるわけであります。あの原子力発電所周辺に生活しておる農民の方々、いろいろなそういう方々の話を聞いても、今危険性を感じている、いやそんなことはありませんよ、みんなそう言う。それで帰りまして、建設業協会で調査賛成の決議をしたそうであります。もちろん地区労は抗議を申し入れたそうでございますけれども。いろいろな過程がまだまだ展開すると思いますけれども、私はやはりそういう施設を現実に見て、目で確かめ、いろいろな耳で聞いて確信を持ってもらうということが一番大事だというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、今長官もわかりやすいパンフレットというお話がございました。どうかこういうかたいものじゃなくて、漫画でも入りましたような、心配なさるようなことは漫画で心配しているとかいて、いやそうではないというふうに、こっちの言いたいことだけではなくて心配なさる方の方々の意見も、こういう心配があるよ、しかしこれはこうなんだ、漫画入りでも結構です、そういうものをつくっていただきたい、私はこういうふうに思うわけであります。ですから、私は立地環境調査はいつから始めるのだというようなことを今聞きません。そういうことは当然必要ですけれども、その前にもっと地区の住民の人々、いろいろな方面の人々に正しい理解を持ってもらうということが大事だ、かように私は考えるからであります。  まだ持ち時間が若干ございますけれども、私は、以上大体私の考えております質問を終了いたしましたので、ここで質問を終わらしていただきたいと思いますが、どうか私の質問の趣旨を十分お酌み取りいただきまして、まず理解に努める、正しい認識を持ってもらうということに全力を尽くしていただきたいということを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります。
  46. 河野洋平

    河野国務大臣 村上先生からいろいろ御注意をいただきまして、まことにありがとうございます。そうした御注意を十分生かして、これから先努力をいたしてまいりたいと思っております。  先生案内のとおり、我が国原子力開発利用に係る事業はもう三十年という歴史を刻んでおるわけでございます。それだけの三十年間の経験、知見を我々は既に持っておりますが、まだまだこの問題での新しい技術を開発するためにも十分努力をいたしまして、そうした不安、心配、そういったものにはきちっとおこたえをしてまいりたい、こう考えております。
  47. 林政義

    ○林参考人 先生の御指摘、まことにごもっともでございまして、私も技術者の端くれとして申し上げますと、日常我々が使っておりますことは相手の方々も十分理解しておもというふうに往々にして誤解をいたしまして、非常に難しい単語を使って説明をする癖がございます。例えばピコキュリーと言いましても一般の方々はほとんどわからないのじゃないかと思うのでありまして、一兆分の一という、そういう単位を十分に説明を加えるようにして、わかりやすいように、御理解を得るように今後努力を重ねていきたい、こういうふうに思っております。どうもありがとうございました。
  48. 矢追秀彦

  49. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 先日来、東海地震の前兆の問題で新聞その他を通じてかなりいろいろ報道がございまして、住民の皆さんも非常に強い関心を持っているのではないかと思うのであります。それは東海地震が起こると予想されている震源域の北側で、中規模地震の震源が約十年前から次第に深くなってきていて、これは昭和十九年、二十一年の地震の経験等からいうと巨大地震が数年以内に発生する前兆かもしれないということを、東大の地震研究所の茂木教授が今月の二十五日に研究所の談話会で発表しているわけであります。この教授は御承知のように地震予知連絡会の副会長でもございまして、四月二日から東大教養学部で開かれる地震学会でこの研究成果を発表するということなようであります。  そこで、内容等についてそう詳しい御説明は要りませんが、しかし重大な関心を持たざるを得ない問題でありますので、これについて地震予知の問題をまとめておられる科学技術庁としてどういう見解をお持ちになっておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  50. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの茂木先生研究発表のお話でございますが、私どもも大変関心を持っておりまして、早速担当官から直接茂木先生にこの内容について確認をさせたところでございます。  内容は、ただいま先生お話にございましたように、東海地震の想定震源地域及びその西側周辺に、マグニチュード四以上の中規模地震の震源の深さが昭和五十五年ごろ以降二十キロメートル以上の深さに移りつつある。これは、昭和十九年の東南海地震あるいは昭和二十一年の南海地震の発生の前にもこういった震源が深まる傾向があった。したがって、この震源が深まる傾向は東海地震の前兆である可能性がある、こういう内容でございます。私ども、今後この先生研究関係の学会あるいは地震予知連絡会等におきまして専門家によりまして十分検討されるということだと理解しておりますので、それを注目してまいりたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、東海地域につきましては、安政の地震から既に百三十年もたっておるということでございまして、いろいろな現象からかなりのエネルギーが駿河トラフには蓄積されつつあるということでございます。このため、五十四年の八月に東海地域を大規模地震対策特別措置法に基づきます地震防災強化対策地域に指定しておりまして、気象庁を中心といたしまして施設あるいは体制の整備を図り、同地域の地震に関する観測、測量の実施の強化を図っておるわけでございまして、今後とも十分注意をしていきたいというふうに思っております。
  51. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 五月の十九日に予定されておるようですが、地震予知連絡会が開かれるようですね。これは年四回定期的に開かれているようでありますが、恐らくここでも論議になるのではないかというふうに思います。二日の学会でも相当な論議にはなろうと思いますが、重大な関心をおたくの方は持っているのではないかというふうに思いますが、この種のことは本当に緊張した態度で対応していってほしいと思いますが、いかがですか。
  52. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 地震予知連絡会、茂木先生も副会長をやっておられますが、地震のこういった問題につきまして専門家の間で検討する場でございまして、私どもそこでの御検討というものを十分注目していきたいというふうに思っております。
  53. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 この問題についてこの後長官から一応御意見をいただきたいと思いますが、同時に、このこともあって私もちょっと調べたのですが、どうも地震予知関連の予算額の推移がこのごろちょっと減ってきていますね。これは五カ年計画でこの種の対策といいますか、予知に関するそれぞれの事業を進めているようでありますが、第四次地震予知計画が昭和五十四年度から五十八年度までである。この五カ年間の総額を点検しますと、合わせて三百十一億五千万円。そうしますと、一年度平均で六十二億三千万円になります。年度をずっと見ましても六十億前後ということになる。この第四次の一年次平均六十二億三千万円というのが、五十九年度からの第五次に入りまして、五十九年度は五十六億一千七百万円、六十年度が五十七億二千九百万円、六十一年度予算案が五十二億三千九百万円、この三年度合計で百六十六億八千五百万円、一年度平均で五十五億六千万円。そうすると、第四次の年次計画の一年度平均六十二億三千万円というのが五十五億六千万円にこの三年間、第五次ではダウンしている。大体一割減ですよ。  これは、のど元過ぎれば何とやらというが、地震予知なんというのは、第四次の五カ年間が過ぎた、第五次に入れば大地震が五年間近づいたと思わなければならないのではないですか。この予知についてもっと年々強化をしてくるということでなければいけないわけであって、大体五十億、六十億なんという金額は僕はかなり少ない額ではないかという感じがするのですよ。それは一朝事があったときのことを考えましたら、その被害というものを想定したら、とても話にならないものだ。それは金があれば何でもできるというものではないだろうが、しかし、五カ年計画等ではそれらの測量の装置等を含めて十分な体制をとって強化していくということでなければ住民は安心できないですよ。僕は非常に残念に思う。科学技術庁全体の予算で見ても、災害の対策の経費なんかありますね。これは、ほかの経費から見たら本当に二けたくらい少ないなという感じですね。どうなんですか、長官
  54. 河野洋平

    河野国務大臣 地震予知推進本部というものがございまして、科学技術庁長官がその本部長になるわけでございます。この地震予知推進本部を通じまして、政府関係機関及び国立大学などと緊密な連絡をとってこれに当たるということになっておるわけでございます。私どもとしてはその中心として連絡調整の役割を担っているわけでございまして、そうした問題、先生指摘でございますが、できる限り現在の状況下でやり得る最善を尽くしたいと考えて対応しているところでございます。  詳細については、局長から御答弁申し上げたいと思います。
  55. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 先生指摘のように、六十一年度の予算を見ましても、六十年度に比べますと七%ほど減っておるということは事実でございますが、これは六十年度に気象庁が房総沖に海底地震計を設置いたしまして、それが完了したということで若干減になっておるわけでございます。  私ども、従来、設備の設置ということに非常に重点を置いてまいりましたが、これからはそういう観測を強化いたしますシステム、ソフトウエアの面での充実ということを重点に図っていかなければいけないと考えておりまして、六十一年度におきましても、地震前兆解析システムの充実であるとか、地震活動総合監視システムの整備といったソフトウエア面を特に重視をして整備を図っておるということでございまして、決して地震関係を軽視しておるということではございません。今後とも大いに充実をするように努力をしていきたいと考えております。
  56. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 内田局長さんのところでやはり頑張ってもらわなければいかぬわけでありますし、殊に河野長官に指揮いただいてもっと強化するように、この機会に特にお願いを申し上げたいと思います。  さて、きょうは余り時間をいただいておりませんから十分な議論はできないと思いますが、幌延問題に入りたいと思います。  一昨日の委員会でも一定の議論をしたのですが、どうもすかっとしない部分が幾つか出てきておるわけであります。きょうは動燃の石塚さんは来ていますね。詳しいお話は要らない。これから私ちょっと読みますから、そういうことがあったかなかったか、そう言ったか言わなかったかという返事だけで結構です。  これは五十九年十月二十九日の道議会のエネルギー問題調査特別委員会協議会の議事録でありまして、道議会の渋谷委員質問しているところであります。  六十年度にこの貯蔵工学センターにかかわる予算を要求しているという報道もあったわけでありますけれども、この件については事実ですか。  ○植松理事 御質問のとおりでございます。先ほど来御説明いたしておりますように、動燃といたしまして、この地区の環境調査費を計上させていただいておるわけでございます。  ○渋谷委員 吉田理事長が八月十日に道を訪れた際、道や地元の理解が得られなければ進められないということの趣旨から言えば、この予算要求等は矛盾をするんではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、その点はいかがでしょうか。  ○石塚総務部長 われわれは、予算要求は、いまのような前提において予算要求してはいけないということはないんじゃないかというふうに考えております。  ○渋谷委員 理事長が言った地元の理解という、その地元の範囲についてはいかがでしょうか。  ○石塚総務部長 地元というのは、当然、道の皆様、道議会の皆様、それから直接の幌延町、その周辺の皆様、こういうことが含まれると思います。 この議事録における発言に相違ございませんか。
  57. 植松邦彦

    植松参考人 先生指摘の総務部長は参考人ではございませんので、私からかわっての御答弁をさせていただきます。  先生今お読み上げいただいた議事録に書いてありますような発言ぶりであったかというふうに記憶いたしております。
  58. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 植松さんにこの機会にもう一つ聞きたいと思うのですが、同じ道議会の協議会の質疑応答です。大橋議員からの質問渡辺核燃料部長、石塚総務部長が答えられているのですが、ちょっと読みます。  ★大橋議員 地質、地盤、気象等の環境調査をするということですから、当然、東海村の研究所の中でやるわけではないだろうと思いますし、また東京でやるものでもないだろう。当然、どこかの場所で実際に調査をするということになると思いますが、これは幌延を前提としていると考えてよろしいですか。  ★渡辺核燃料部長 はい。貯蔵工学センター立地環境調査ということでございますので、地元の御理解と御協力が得られたら実施したいと思っております。  ★大橋議員 地元というのは、この場合、幌延以外には私は考えられないんですけれども、そういうふうに考えてよろしいですか。  ★渡辺核燃料部長 現在のところ、そういうことでございます。  ★大橋議員 また、繰り返しけさも言われましたけれども、いま渡辺さんもおっしゃったように、道を含め、地元と相談して進めたいというふうになっておりますけれども、先日の本会議で私が横路知事にこのことを質問しましたら、少なくとも、このことについて動燃から道は一切連絡協議を受けていないというふうに答弁しているのですが、動燃としては、この概算要求をするに当たって、道に対して連絡協議はいたしましたか。  ★渡辺核燃料部長 いたしておりません。  ★宇野委員長 大橋議員、あと一問でございます。  ★大橋議員 それでは、先ほどの渡辺さんの言葉をそのとおり解釈しますと、概算要求したわけですね。そうしますと、大蔵がうんと言えば、これは来年度は予算になるわけです。しかも、場所は幌延だと。そうすると、予算を計上して予算が通ってしまってから道や関係市町村と協議をすると。御存じのように、横路知事は、いまのところ誘致を進める考えはないと言っていますから、それがそのとおり来年も続くとすれば、結局、これはできないということになるわけですね。そうすると、予算を計上しても、それは地元の理解が得られなかったから執行できなかったということになるんでしょうか。  ★宇野委員長 総務部長石塚彰君。  ★石塚総務部長 最初にお答えしましたように、あくまでも予算は予算であり、かつ予算概算要求というやつは予算概算要求でありますから、それだけのことだと思います。 いかがですか。そのとおりですか。
  59. 植松邦彦

    植松参考人 先生お読み上げいただいた議事録のような内容の発言であったかというふうに思います。しかしながら、石塚総務部長の真意は必ずしもそういったことではなかったというふうに思います。私、本人でございませんので、詳細にお答えはできません。
  60. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これは、道議会における公式の発言ですよ。ここで、知事の理解を得られるというようなことでなければ予算というのは執行できるものではない、あなた方、こう言っているわけでしょう。ちょっとおかしいのではないですか。これは、道民に対する非常な背信行為ですよ。  理事長、こういうような事実経過は御存じですか。
  61. 林政義

    ○林参考人 調査でございますけれども、立地の場合と同様、極力広範囲な関係者の方々の御理解を求める努力をしていかなければならないというふうに考えております。しかし……(五十嵐委員「今のようなことは御存じかということだ」と呼ぶ)この事実ですか。聞いております。
  62. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 聞いているとすれば、動燃としてこういう政治責任——動燃ですから政治責任という言葉が適当かどうかわからないけれども、こういう責任をあなたは理事長としてどう考えているのですか。
  63. 林政義

    ○林参考人 しかし、知事や周辺町村の理解や同意が得られなければ何の調査もできないということは私は理解できないわけでございまして、むしろ積極的に理解を得るためには調査が必要ではないか。したがいまして、御理解を得られた範囲内において、その影響、対象範囲等ケース・バイ・ケースで判断させていただきたい、こういうふうに考えております。
  64. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 何の調査もというのではないのですよ。立地環境調査というのは具体的に予算にかかわる、これを議論しているのですから。これについては知事の御理解をいただいてやらなければできるものでないでしょう、こういう方向の話をしているわけです。そう言いながら一方的に強行する、こういう責任は一体どういうぐあいにとるのですか。理事長、どうですか。
  65. 植松邦彦

    植松参考人 先ほど来理事長から申し上げておりますように、地元の御理解をいただくためにも必要な調査ということでございまして、これは理事長の判断で実施させていただいたわけでございます。その成果につきましては、このデータを公表することによって皆さんから十分な御判断をいただきたいというふうに考えております。そうすることが、調査を行ったことに対する大きな責任のとり方ではないかと私は考えております。
  66. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そんないいかげんなことを言ってはうまくないですよ。  これはこの前言いましたから理事長もよく御存じだと思いますが、吉田前理事長ですね、こういうことなんです。  これは、去年の三月八日予算委員会で私は指摘をして、ここでも吉田理事長の答弁をいただいていることなんですが、それは、吉田理事長が北海道庁に知事を訪ねた、それで知事と会った後記者会見をしている。知事にも同じような話をしているようですが、終わった後記者会見をしている。こう言っているのです。「立地に当たっては知事の理解周辺市町村の理解が前提である、今後予定している事前調査も知事の理解が前提だ」。いいですか、「調査も知事の理解が前提だ」、こう言っているのですよ。これについて、私は予算委員会で、こういうお話をしているのではないかというぐあいに指摘しましたら、吉田前理事長は「今御指摘ありましたように、私も昨年北海道に行きましたときにそういうことをお答えしておりますが、我々としましても地元の御理解を得ながら、たとえこの調査でありましても進めていきたいというふうに考えております」、こう答弁しているわけですよ。これは前理事長の答弁といえども、現理事長、これはきちっと責任を持って考えてもらわなきゃいけないのですが、こういう答弁をしていることに間違いありませんね。
  67. 植松邦彦

    植松参考人 ただいま五十嵐先生お読み上げいただきました議事録にあるような吉田前理事長からの発言があったことには間違いございません。
  68. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これは林理事長さん、こういうような経過の上にありますものを、知事やあるいは周辺の町村を無視して調査を強行するということは、それはあなたが機会あるごとに言っているように、地元の信頼を得ながらいかなきゃいかぬということに大きく矛盾するんじゃないですか。理事長もかわったことだし、やはりここはそういう意味では信頼を回復するということを、一遍、あなた、具体的な対応を必要とすることになるんじゃないですか、進め方について。いかがですか。
  69. 林政義

    ○林参考人 貯蔵工学センターの立地につきましては、他の原子力施設と同様に、地元の理解と協力を得て進めることが基本でございます。こういう考え方に立ちまして、調査の実施についても地元の理解を得るように努力をしてまいりました。調査の実施に至る前までに、残念ながら知事の御了解も得られておりません。また、周辺町村の積極的な賛成を得られるというところまでには至っておらないのは事実でございます。  しかしながら、他方、道議会は調査促進を決議しております。幌延町は町を挙げて調査の早期着手を望んでおるなど、地元には調査の促進を求める動きも存在しておることも事実でございます。また、地元から地盤、活断層、地下水等に関連した種々の疑問、不安が提訴されておりまして、地元の理解を深めるためにもむしろ調査を実施して、得られる正確なデータに基づいてこういう疑問、不安にお答えすることが必要ではないかというふうに思ったわけであります。こういう状況を総合的に勘案をいたしまして、今後地元の理解を一層深めてもらうようにするためには何をなすべきかということを熟慮いたしました結果、調査に直接関係する地元関係者理解の得られた範囲内において地元の不安あるいは疑問にお答えすることは必要であると判断いたしまして、そういう調査から実施をしたのだというふうに私は聞いておるわけでございます。
  70. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ちゃんと答えてくれなきゃだめですよ、あなた。責任を感じてないということですか、つまり簡単に言えば。どんなことを約束していようと、それはもうそのときだけの話だ、後はどうでもいいんだ、新理事長はそういう見解ですか。どうなんですか。長いこと要らないです。はっきりしてください。
  71. 林政義

    ○林参考人 地元の理解と協力を得て立地を進めていくという基本姿勢には変わりございません。貯蔵工学センターの立地について、知事及び周辺町村の理解が得られるように今後とも努力をしてまいりますが、先ほども申し上げましたように、そのためには、調査を実施して得られる具体的な正確なデータに基づいて、地元にございます不安、疑問にお答えしていくことが必要ではないかというふうに考えておるわけであります。
  72. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それはまあいい。聞いたことにきちっと答えてくださいよ。今までのそういう経過について、いわゆる動燃のトップとして責任を感じているのか感じてないのか、どうなんですか。返事をしてください。余分なことは要らないですよ。
  73. 林政義

    ○林参考人 今までと変わったわけじゃございませんから、今までの、前理事長のやられたことをそのまま私は理解をしておりますので、それを踏襲していきたいと思っております。
  74. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 だから、そういう今までの約束したことと違うことをあなた方はしているわけですよ。それについて責任を感じているのか感じてないのか、このことだけ聞いているのですよ。もう余分なことは要らないですわ。返事がなければ、責任を感じてないということですか。
  75. 植松邦彦

    植松参考人 吉田前理事長が国会で御答弁されております内容は、「地元の御理解を得ながら、たとえこの調査でありましても進めていきたいというふうに考えておりますのでこと申し上げておるわけでございまして、何も地元の理解がなければできないというふうにお約束している文章ではないのではないかと私は理解しておりますし、さらにその文章の続きがございまして、「今後も理解が得られるように努力したいというふうに思っております。」というふうに申し上げたわけでございまして、その後も動燃といたしましては、御理解を得られるような努力を大変続けてまいったというふうに思っております。
  76. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 考えているということは、つまり、それはそういう約束をしたというか、住民の人たちにそういう責任あるお話をしたということではないのか、自分だけで考えているのでございます、こういう意味で言ったということですか、この言葉は。どうなんですか。
  77. 植松邦彦

    植松参考人 何度も同じように読み上げさしていただきますが……(発言する者あり)
  78. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 静粛にお願いします。
  79. 植松邦彦

    植松参考人 「たとえこの調査でありましても進めていきたいというふうに考えておりますので、今後も理解が得られるように努力したいというふうに思っております。」そしてさらに、動燃理事長といたしましては理解が得られるような努力を続けてまいったというふうに私は思っております。
  80. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 だめだよ。冗談じゃないよ。委員長、答えさせてください。責任を感じているのか感じてないのかということですよ。だめですよ。それだけの質問だよ。(発言する者あり)
  81. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 静粛に願います。  林理事長。
  82. 林政義

    ○林参考人 それではお答え申し上げます。  約束をしたことではなしに、基本的な考え方を前理事長は述べた、こういうふうに私は理解しております。
  83. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 基本的な考え方を道民に述べているわけだ、知事を通じたり記者会見を通じたり、あるいはこの委員会を通じて。ところが、そういうことになってないわけでしょう。そのことの責任をどう思うかと言っているのですよ。責任を感じているのか感じていないのか、これに答えてくれればいいのですよ。どうなんですか。
  84. 林政義

    ○林参考人 前理事長は努力をしてきたわけでございますので、基本的姿勢に私は変わりはない、変更はないというふうに言ったわけです。
  85. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これはだめだよ。こんなことでは、わずかな時間をもらって質問していてもどうにもならないですよ。質問を続けるわけにいかないでしょう。これは委員長、やっぱり配慮してもらわなければだめですよ。これに関してぜひひとつ後ほど、委員長理事の皆さんもおられるわけだから、御協議いただきたいと思います。こんなことでは納得がいかないから。いいですね。よろしゅうございますか、委員長
  86. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 ただいまの五十嵐委員の御提案につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
  87. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 まことに時間をむだに空費して残念きわまりない気がするのでありますが、電源開発促進法というのがあるわけですが、いわゆる地域住民を代表して、原子力施設等を設置するというような場合に、出席を求めて意見を聞かなければならない、こういうぐあいに法の上で定められているのは、これは住民を代表しているという立場ではだれになっているわけですか。科学技術庁の方。
  88. 中村守孝

    中村(守)政府委員 電源開発調整審議会というのがございまして、そこでの議を経て電源開発の基本計画というのを定めるわけでございますが、それに先立って都道府県の知事の御意見を聞く、こういうことになっていると承知しております。
  89. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これは、やはりこの種の場合の住民の意向というものを代表した立場で知事から意見を聞くということでありますが、もちろんこの場合の知事の立場というものは、県内なり何なりの住民全体を代表する立場で意見を述べる、それで同時にこれを尊重するということであろうと思うのです。長官、いかがですか。
  90. 河野洋平

    河野国務大臣 今先生指摘のとおり、知事の立場周辺の町村の考え方を集約した形で述べられると考えております。
  91. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 長官、ちょっとおかしいのですよ。これは自治法でもそうですが、あるいは今言うこの法の立場でも、知事というのは一部の住民を代表するというものではないわけですよ。やっぱりそれは全道民を代表する立場です。そして意見を述べるわけですね。そういう立場で意見を問うわけだし、知事は述べるわけですね。違いますか。
  92. 中村守孝

    中村(守)政府委員 電源開発促進法で知事の意見を聞かなければならないということにつきましては、その都道府県におきましてもいろいろな開発計画をお持ち合わせであるわけでございまして、発電所とそういう開発計画との調整、そういうような問題もあるわけでありまして、そういうことで県政あるいは道政、そういったものを進めていく上で発電所の建設というものがどういうかかわりを持ってくるかという観点から知事が行政の長としての御意見をお述べになるものだ、そういうぐあいに理解しております。
  93. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それはもちろん道の場合もそうでしょうね。県あるいは都道府県、いずれもそうでしょうが、その全区域の開発計画というのを持っている。知事としては、北海道なりどこどこをこういうビジョンでやっていこうという構想をお持ちでやっていくわけですから、これはそういう立場から意見を述べることになるわけですね。長官、いかがですか。
  94. 河野洋平

    河野国務大臣 当該自治体の意見が最も直接的な意見として知事の耳に入るであろうと思います。続いて、周辺市町村の考え方に知事は耳を傾けられるだろうと思います。そういったことをよくお聞きになりながら知事は知事としてのお考えをまとめられると思いますが、先ほど私が申し上げましたのは、あくまでこうした問題については当該もしくはかかわり合いのある方々の意見というものがより多く配慮された御意見になるに違いないというふうに考えたわけでございます。
  95. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そういうぐあいにお考えになってさっきお話しになったのかもしれぬが、要するに知事というものは、例えば北海道知事であれば全道民の立場を考え、北海道の将来を考えて意見を述べる。こういうことに間違いないわけでありますから、それはそういうことですね。
  96. 河野洋平

    河野国務大臣 北海道道民の方々の声は知事によって集約される場合もありますし、道議会の方々の御意見によって表現される場合もあるであろうと思います。
  97. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 つまり、知事が意見を述べる立場というのは、やはり北海道の全道民の上に立って北海道のビジョンを考えて述べるわけですね。そこのところを聞いているのです、知事の場合の話を。
  98. 河野洋平

    河野国務大臣 大変こだわるようでございますけれども、知事の立場というものももちろん私は理解をいたしておりますが、しかし道議会という議会制度というものもあるわけでございまして、こうした考え方を、道民の方々の考えというものを受けとめる場合には、我々はそうしたことも考えなければならぬと思います。
  99. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 道議会があり、知事があるということは当たり前の話です。道議会は道議会の見解を持つというのも結構、それをも否定しているわけじゃない。それは尊重すべきは当然です。同時に、知事というものも直接選挙されているものでありますから、したがって知事は知事の立場でもって、全道民を代表した立場北海道の将来を考えながら意見を述べることなわけですね。当然そういう立場であろうというふうに私は思う。今度の場合も、意見を求める場合あるいは意見を言う場合にはそうだろうと思うのです。そのことだけ聞いているのです。当たり前の話でしょうが。よろしいですね。
  100. 河野洋平

    河野国務大臣 私も私の考えを申し上げておるわけでございまして、一番いいのは、知事の御意見と道議会の御意見が一致していれば一番事は簡単でございますけれども、知事の御意見と道議会の御意見が異なる場合も間々あるわけでございますから、そうしたときには私どもはいろいろな角度から意見を徴していくということも必要であろう、こう申し上げているわけでございます。
  101. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 最初に私は、この間委員会で、この種の論議というのは、情報公開についていろいろお聞きしたり、なるべくお互いに率直に意見の交換をして、聞いたところにまた答えてもらう、見解の差があるときは仕方がないことなんですから、異なった意見でもお答えをいただくのは結構だけれども、しかし聞いたところにまともに答弁をし、それに立ってまた我々の方が聞くということでなければ困るわけですから、きょうのやり方なんか見ていても全くむなしい思いがするのです。今後のお答えのあり方については委員長の方でもぜひひとつ御配慮いただきたいと思うし、率直な実のある論議になりますようにお願いを申し上げたいというふうに思います。  もう時間のようでありますが、今のような経過があったものですから、ちょっと恐縮ですが、もう一問お願いを申し上げたいと思いますが、現地調査再開の問題なんです。  これは今までの事実経過等についてずっと議論してきたわけですが、こういうような議論の経過で明らかなような状況になっているものですから、そこで私はぜひお願いをしたいというふうに思うのは、そしてまた、ある新聞理事長の率直な会見記事がけさ出ていたようですね、私はそれなんかも拝見してその上でお聞き申し上げたいと思うのですが、これは当然再開の以前に知事やあるいは周辺町村の代表者も含めて、該当町村はもとよりでありますが、事前に理解と協力を得るというようなことが不可欠でないか、先決でないかというような感じが僕はするわけであります。これについての見解と、それから、遺憾ながら政争絡みといいますか、ちょっとそんな感じになってきて、これは住民としてもいろいろ困惑している点もないわけではないというふうに思うのでありますが、六月に予定されていると言われる参議院の選挙もあるわけですね。あるいはダブルでないかというような話もある。非常に切迫した政治状況が目の前に出てくるわけであります。けさの新聞を見ると、理事長は、地元の政情等も勘案して再開時期については検討したいというようなことも言っておられるようでありますが、私はこういう非常に選挙が白熱するような時期を目指してまた一石を投ずることはいかがなものかなという感じもするわけであります。その辺の配慮というものがあるのかどうか、こういう点もひとつお伺いしておきたいというふうに思います。
  102. 林政義

    ○林参考人 状況を見ながら慎重に対処していきたいと思いますけれども、地元周辺より調査促進を願う要請等が多々出ておりますので、なるべく早い時期に実施をいたしたい、こういうように考えております。
  103. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いや、今の後段のやつ、政情の問題を……。
  104. 林政義

    ○林参考人 諸般の情勢を見ながらできるだけ混乱を避けて実施をさせていただきたい、このように思っております。
  105. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  106. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安井吉典君。
  107. 安井吉典

    ○安井委員 おとといでしたか、大臣の所信表団に対する質問、それに引き続く形できょうも、この前お聞きする時間がなかった幌延に関する問題、一、二お尋ねをいたしてまいりたいと思います。  この前いろいろな御説明をいただいたわけでありますが、そのうち、これは事務当局でも結構ですから、高レベル核廃棄物、それから低レベル核廃棄物動燃のいろいろな施設から出てくるわけでありますが、それが幌延に持ってこられるということなのですが、あの概要によるといろいろな区分があるわけでよくわかりませんので、どういう施設からどういう廃棄物が出てくるのか、それをひとつ数字的に明らかにしていただきたいということが一つです。  それからもう一つは、この前も処分場の問題について、高レベルも低レベルもまだ決まってないけれども、いろいろと場所の選定等について検討中である、こういうふうなお話がございましたが、高レベル処分場、低レベル処分場、それぞれ大体どれくらいの敷地面積が必要だとお考えになっておられるのか、この二点について伺います。
  108. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  御質問が二つあったかと思いますが、最初の御質問でございますが、動燃事業団には御承知のように東海村に再処理工場、プルトニウム燃料関連施設あるいはウラン濃縮施設、それから大洗工学センター等にいろいろな施設がございます。それぞれのところで放射性廃棄物が発生しております。その中で、高レベル放射性廃棄物というのは再処理工場でしか発生いたしません。それからTRU廃棄物というのが言われておりますが、これはウランよりも大きい元素でございますので、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウムなどの元素でございますけれども、これらは再処理工場、それから東海村のプルトニウム燃料の関連施設、あるいは大洗工学センターの施設から発生いたします。  具体的な量としてでございますけれども、昨年九月現在ですが、現在持っております廃棄物の量を申し上げますと、高レベル廃棄物、これは再処理工場から発生する、今溶液で持っておるわけでございますが、およそ二百立方メートルでございます。それからTRU廃棄物、これは再処理工場あるいは東海村のプルトニウムの燃料製造にかかわる施設がございますけれども、そこと再処理工場と含めて、ドラム缶の大きさにしてですが、合わせておよそ三万三千本ぐらいのものを持っております。  それから二番目の御質問でございますけれども、高レベル及び低レベル処分地の面積がどれくらいかということでございます。  高レベルの方で申し上げますと、面積につきましてはただいまいろいろなところで検討しております。したがいまして、ここではっきりと申し上げるわけにはまいりませんけれども、私個人の見解で申し上げますと、少なくとも四百ヘクタールでは足りないと思っております。低レベルの方の処分場でございますけれども、これは発生量あるいは処分の方法によりますので、ちょっとまだ私にはつかみかねます。
  109. 安井吉典

    ○安井委員 TRUの廃棄物は三万三千本と言われましたが、TRU以外の低レベル廃棄物もあるわけですね。
  110. 渡辺昌介

    渡辺参考人 申しおくれましたが、TRU以外の廃棄物はおよそ三万三千本でございます。合わせて六万六千本ということでございます。
  111. 安井吉典

    ○安井委員 二〇〇〇年ベースですとどれぐらいになりますか。
  112. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  この科学技術委員会でお答えしたと思いますけれども、二〇〇〇年ごろではおよそ二十万本と見積もっております。(安井委員「それぞれ、高レベルと」呼ぶ)高レベル廃棄物につきましては、ガラス固化体としておよそ千本と考えております。溶液としては何立方メートルか残ると思いますけれども
  113. 安井吉典

    ○安井委員 概要の方は、ガラス固化体二千本貯蔵という計画なんですね。そうすると二〇〇〇年、かなりオーバーしたような形で余裕をとった計画なんですか。
  114. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  先生指摘のように、貯蔵工学センターでは、ガラス固化体の貯蔵としては二千本の容量のものを建てたいということを当時計画しておりました。この大きさにつきましては、二〇〇〇年をやや超えたところでは二千本に達するであろうということでございますので、この容量につきましては妥当な線ではないかと私は思っております。
  115. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっともう一度おっしゃってください。二〇〇〇年を超えた段階で……。
  116. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  ガラス固化体は、二〇〇〇年のときにはおよそ千本と予想しております。その後、毎年百四十本ぐらいずつつくる計画でございます。そうすると六、七年で二千本に到達いたします。
  117. 安井吉典

    ○安井委員 次に輸送関係なんですが、今までの計画の中には輸送問題が全然ないわけですね。この概要も工学センターの計画だけなんですが、輸送されなければ使い道がないわけなんです。輸送についてはどういう方法を考えているのか。これは八百億円の外なんでしょう。どれくらいの経費がかかるのか、その辺の考え方をお答えください。
  118. 渡辺昌介

    渡辺参考人 輸送計画でございますけれども貯蔵工学センターへの放射性廃棄物輸送方法についてお答えいたします。  輸送につきましては海上輸送、陸上輸送を組み合わせて行うことになると考えられます。したがいまして、港あるいは道路についていろいろ検討しなければならないということになります。現在、その検討をしております。したがいまして、輸送ルートにつきましては今のところ確定しているわけではございません。貯蔵工学センターの運営に支障がないように検討を順次進めていきたいと考えております。もちろん、貯蔵工学センター八百億円の中には輸送関連の費用は含めておりません。
  119. 安井吉典

    ○安井委員 きょうここで詰めようがないようなお答えですからそのつもりでいるわけでありますけれども核燃料物質輸送の問題では、アメリカでも自治体などで強い拒否反応等もあるわけですね。ほとんどの州とは言わないが、かなりの州が自分の州の中を通過することを拒むような条例をつくったり、特にモンタナ州だとかワシントン州で放射性物質の州内持ち込み禁止案を可決するとか、そういうような報道もあります、中身はよくわかりませんけれども、たしかニューヨークシティーの方でも、輸送を完全禁止する措置を講じたというふうなことも聞くわけであります。立地も立地ですけれども輸送の問題についてかなりいろいろな抵抗が外国でもあるわけです。したがって、そういうことからいって、輸送の方法だとかなんとかを回らかにしてもらわなければいかぬと思いますが、どうですか。これは部長の段階よりもっと上だと思いますが。
  120. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  アメリカの国内の放射性物質輸送に関連いたしましては、アメリカ国内でそれぞれの地方自治体、州の段階でありましょうけれども、実際の障害が出ているという事実は私は存じておりません。実際に輸送禁止を決議している州があるかどうかについては、現在調査をしている段階でございます。  なお、日本国内で輸送する場合でございますけれども、これは相当に実績がございます。新燃料原子力発電所輸送する、あるいは使用済み燃料原子力発電所から再処理工場へ国内、国外を問わず輸送するということが既に過去十年以上にわたって行われております。それも安全に実施されておるわけでございます。したがって、それらよりも放射能が同等か低いものの輸送については、特に心配はしておりません。もちろん、輸送に当たって関連する方々に御迷惑をかけるようなことはないということでございます。
  121. 安井吉典

    ○安井委員 アメリカの例なども私の読んだ文書の中には見かけたことがあるのですが、もっと調べてください。  それから、幌延にもし工学センターを立地させるということになれば、港はどこに来るのかということも大変な関心事のようです。どうなんですか。
  122. 渡辺昌介

    渡辺参考人 先ほど申し上げましたように、海上輸送をする場合には当然港が必要になると思います。ただいま、まだ幌延町に貯蔵工学センターを立地するということを決めたわけではございませんので、港についても検討中でございます。はっきりと申し上げられないのは残念でございますけれども。  以上でございます。
  123. 安井吉典

    ○安井委員 工学センターを決めたって、港が決まらなければどうしようもないでしょう。海上から運ぶのだとすればなどという、そういうおかしな言い方はやめてくださいよ。どうやって持ってくるのですか、東海村から。海を通らなければ北海道へ来られないはずですよ。そういう関連的な物の考え方の提示がないものだから、いよいよもって疑心暗鬼を生じているというようなことにもなるだろうと思います。これもまたさらに別な機会に提起をしていきたいと思います。  先ほど来いろいろ安全性の問題について議論がありました。絶対安全だというふうな言い方もあるわけでありますけれども、私はそうたやすく事故が起きるというようなことにはならないと思います。原子力発電所や再処理工場ども、私も最近ではありませんけれども、ちょっと前に見ております。もちろん事故が起きた場合のいろいろな安全装置、これでもか、これでもかとずっとあるということもよく知っております。それなりに心配がないのじゃないかと私は思いますけれども、しかし、絶対という言葉は科学の世界にはないのですよ。絶対、絶対といつも言うのは政治家ですよ。科学にはあり得ないのですよ、どんどん新しい事態が進展しているわけですから。  だから、先ほど長官が三十年の経験があるからと言われましたけれども、なるほどそれは大事なことだと思いますけれども、しかし、わずか三十年、私はむしろそう言いたいわけですよ。だって、幌延貯蔵施設ができたって、あと三十年から五十年先でしょう。あるいは百年か千年か一万年か、こう言っている。そういう長いスパンでの物の考え方の中で三十年の経験なんというのは、私は軽々しくは考えませんけれども、大事な蓄積だとは思いますが、だから大丈夫だということは言えないわけで、原子力発電所ができてから天変地変が起きてどうなったなんて事故もまたないし、戦争もないのですが、しかし千年先まで戦争がないというようなことを言えるかどうか。長官と私どもは、軍縮の問題で国際軍縮議連で一生懸命やっているのだけれども。ですから、そういうようにいろいろな事態があることの上において、安全性というものの心配は全くありませんと説明者の方は言うだろうけれども、説明を聞く方にはやはり残るわけです。大体、現在の軽水炉原発がそんなに四十年も五十年も百年も続きますかね。今のエネルギーがいつか別なものに変わっていくということも考えられるわけです。     〔矢追委員長代理退席、平沼委員長代理     着席〕  その安全性の問題が一つあります。これは非常に大事な問題ですけれども安全性だけではないと思うのです。核廃棄物というのは世界のどこでも嫌われ者でしょう。現に管理が非常にルーズで通っているフランスあるいは英国の場合においても、再処理したものは送ってくる。低レベル、高レベル廃棄物のドラム缶からキャニスター日本に帰ってくるわけです。日本の何倍も広い面積を持っている外国も、向こうで埋めてくれないわけです。それで日本に持って帰れ、こういうわけですから、このことだけでも明らかではないかと私は思います。  ですから、貯蔵工学センターなどというものは安全だ、安全だと言われたって、では東京のど真ん中へ持っていったらどうですかと言ったら、これはだれもが否定するわけですね。だから北海道へ持っていけ、北海道の端っこに持っていけということになるわけで、したがって、この地域は核のごみ捨て場でしかないのだというレッテル張りをされることが、地域に住んでいる人たちにとってはやりきれないわけですね。それはそうでしょう。きょうここにたくさん皆さんいらっしゃるけれども、皆さんのうちのそばにし尿処理場が新しくできるといったら、それによって人が死ぬわけじゃないが、町内の人みんな反対するのと同じですよ。だから、安全性さえよければそれでいいという考え方だけで処理していれば間違ってくるののではないかと私は思います。それは後で具体的な数字を申しますけれども。  特に風評被害だなどと言われますけれども、風評被害というのはとめようがないわけですよ。こちらで幾らそうじゃない、そうじゃないと言ったって、みんながそう言い出したらこれはとめようがないわけですよ。グリコ・森永のあの毒物を入れたものだって、北海道のスーパーのあれまで売れなくなったのですから、森永の製品は。北海道まで毒を入れに来たとはだれも思わないけれども。きょう実は新しい原料乳の価格が決まるというので、三番町の農林省分室の前には農民がだあっと群がっているわけですけれども、四%下げるという原案ができて今大騒ぎになっています。酪農地帯がもう大変な状態の中にあるわけで、したがって、追い打ちをされるようなこんなものでは困るというのが住民感情の中に強くあるわけであります。こういう事態をやはり私は正確にとらえておいてもらわなければいかぬと思うのですが、どうですか。
  124. 河野洋平

    河野国務大臣 先生おっしゃるように、安全の問題だけではないという御指摘は私にも理解できます。しかし、まず第一に申し上げたいと思いますことは、安全の問題が確認をされなければ事は全く進んでいかないわけでございます。これについても、もちろん人間のわざでございますから、絶対にとか一〇〇%とかということにはならないだろうとおっしゃられれば、それは私も一〇〇%とか絶対にということは言えないかもしれない。だからこそ二重、三重、四重に安全装置をつくるわけでございまして、この二重、三重、四重の安全装置が、絶対にという言葉に近づけていく人間のわざの最大の努力であろうと思うわけでございます。そこで第一義的に安全だということが皆さんに御理解をいただき、御納得をいただけるという努力をまずいたしまして、続いて安全だけではない、やはりその事柄が持つイメージの問題でございますとか、いろいろな問題というものにも我々は配慮をしなければならないと思います。  しかし、例えば茨城県の東海村が原子の火をともして三十年、あの地域は原子の火とともに共存をし、共栄という言葉が果たして適当な言葉であるかどうかわかりませんが、ともに生きて三十年来ておられるわけでございます。そして、東海村の現在の姿というものは、決してそれによって過疎地となっているわけではなくて、むしろ東海村にお邪魔をしてみると、東海村の方々はそれなりのプライドを持ち、それなりの現在の生活というものにさらに未来を見据えて希望を持って生きておられるという姿に接することができるわけでございまして、私どもはまずは安全性というものを第一に考えると同時に、将来の展望というものもあわせて考えていきたいというふうに思っております。
  125. 安井吉典

    ○安井委員 この間反対派の農民の人が上京してまいりまして、大臣にもお会いしましたが、その後ほかの大臣に当たりさわりがあるといけませんから名前は言いませんけれども、お会いいたしました。その大臣は、私のところには二つの原子力発電所があって事故なんか全然ない、全く安全である、それに比べれば廃棄物処理場なんてもっと安全じゃないですか、そういう言い方をしました。すると、その出てきた人たちが、大臣、そんなに安全なら、発電所もあるんだからそのそばにこの廃棄物を持っていってつくっていただいたらどうですかと言ったら、大臣はああそれは困りますと両手を挙げて拒みました。だから、今東海村がそんなに未来に期待していれば、私は東海村につくればいいと思うんだ、茨城県の。どうですか。(「今あるから」と呼ぶ者あり)あるからね。  だから、この廃棄物の問題は大変な問題です。私は原発やめろなんという言い方をするつもりはありませんけれども、やっている以上出てくるのです。だから、これはやはりそのサイトごとにそれぞれがそこで責任を持って処分していく、そういう基本的な原則というのが大事じゃないかと私は思うのですね。だから、今度出てくる法案などを見ても、何か全然考えないで、そういう考え方なしに、どこか青森県の端とか北海道の外れに置いておけばそれでいいだろうなどというので責任をみんな転嫁する考え方じゃなしに、原子力発電所、再処理工場それぞれあるのですから、もしそれをつくるということに地元の納得があったのだとすればその地域につくっていく、それが私は基本であっていいのじゃないかと思うのです。それと、これから出てくる新しい法律、これは根本から考え直してもらわなければいかぬわけですが、どうですか。
  126. 中村守孝

    中村(守)政府委員 廃棄物の貯蔵管理の問題につきましては、今先生から茨城県にあるのだから茨城県でやられたらいいじゃないかというようなお話がございましたが、既に東海村には“原子力研究所で長い間全国のラジオアイソトープの利用の後の廃棄物を一手に引き受けまして、全国に我が国のRIの利用の普及に貢献してきたところでございますし、現に東海村の再処理工場におきましても廃液状態廃棄物を保管しているという状況でございまして、そこにそういうものがあるから全部そこに持っていけという考え方というのは私はいかがかと思いまして、むしろこういう我が国国民全体のエネルギーに寄与している問題でもございますので、できるだけ多くのところでこういう問題に取り組んでいただきたい、そういうぐあいに私ども感じておる次第でございます。  それで、東海村の再処理工場、先ほど来の御質問の中でも、外国では再処理工場の敷地にあるのだから、東海村の再処理工場の敷地の中にこれもつくったらいいじゃないかという説も前々からいろいろあるわけでございますが、何分にも東海村の再処理工場を建設しました後におきまして、我が国の再処理技術の向上のために、例えばそこから出ます放射性廃棄物の大気中への廃棄あるいは海中への廃棄、そういった問題について、できるだけ低減をするということのための技術開発に多くの施設をつくり、研究もしてきた。そういった関連で、核燃料サイクルに必要な研究施設が次々とつくられてまいってきておるわけでございますし、それから今後もその核燃料サイクルの確立のための技術開発、これは東海村全体の実際の再処理工場と直結するような形での研究、あるいはプルトニウムの燃料確保に関する一連の研究、そういったものは集中的に東海村の敷地の中でやる必要のあるものも多々あるわけでございます。そういうことで、残念ながら現在の敷地の中には、この放射性廃棄物の貯蔵は必ずしもその再処理工場にある必要はございませんし、輸送も十分安全な形で輸送できるわけでございますので、別なところに置かしていただきまして、もし土地についてさらにいろいろな施設をつくる余裕があれば、それは今後の核燃料サイクルのための技術開発の敷地に活用していくという方が、我が国原子力研究開発を推進する上からも重要なことではないかと思っておるわけでございます。  それから、再処理工場につくる貯蔵につきましては、外国は確かに再処理工場の構内につくっておりますが、そこも日本から頼んだものは日本に持ち帰るということで、そういう形で考えておるわけでございますので、日本から頼んだものを全部その再処理工場の中に三十年ないし五十年ためておいてくれる、こういうようなことにはなっておらないわけでございます。
  127. 安井吉典

    ○安井委員 東海村のところの将来は明るいというふうなお話があったものだから、今私は論理を発展させていったわけです。そんなによくて、それを受けない方が悪いという言い方じゃ、私は説得力がないと思います。いずれにしても、反対のところもどこもなくて、どこでも私のところでやりますというふうな状況なら、それは中村局長の言うようなことでいいと思いますけれども、結局は、どこかおれのところは困るというところにしゃにむに押しつけることになるのでしょう。それともほかに、どこか反対なしにやれるというところがたくさんあるのですか。どうですか。
  128. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えします。  確かにこの種の施設につきましては、積極的に地元の方から受け入れるという地点はそうあるわけではございません。幌延につきましては、地元の幌延町の行政当局のみならず、議会も挙げまして御誘致をいただいておるという状況がございますので、私どもはまずそこを調査をさせていただきたいということを申し上げておるわけでございまして、しゃにむに押しつけるというような考えは毛頭ございません。
  129. 安井吉典

    ○安井委員 そこで調査の問題なんですが、今の世論の問題は後で触れますけれども調査といえども地元の理解と協力なしにはやりませんというこのお約束、これは国会の議事録にもあるし、道議会の議事録にも載っているし、それから我々はそれだけではないわけですよ。竹内長官なり前の吉田理事長に何度も何度もお会いしています。そのたびに確認している政治的束なんですね。初めて聞かれて、おかしいじゃないかというふうな反論も出るかもしれませんけれども、我々は一年から二年にかけて同じことを何度も何度も繰り返し同じ約束をしていただいたのが、今度は大臣もかわり、理事長もかわったというので、何かそれが軽く見られていくのではないかという心配が起きたのが、まず午前中の五十嵐質問とのかなりエキサイトした状況ではなかったかと私は思います。  ですから、これは理事会でさらにお取り上げをいただくそうですから、私はここで同じ論争を繰り返す気はありませんが、これは委員長、さっきも何かそういうようなお話でしたね、委員長の取りまとめがありますので、ひとつ理事会でも御相談ください。どうですか。
  130. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 次回の理事会の検討事項といたします。
  131. 安井吉典

    ○安井委員 ですから、私はこれにはそれほど触れませんけれども、その理解と協力を得るために調査が必要だと言われるそういう調査立地環境調査とは、調査の中身でどう違うのですか。
  132. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  理解を得るための調査というのは、先生御承知のように、地元では活断層があるとかあるいは地盤が軟弱であるとか、ああいうところには建物は建てられないとか、あるいは地下水が汚れるのじゃないか、そういういろいろな疑問がございます。したがいまして、これにはっきりお答えしなければいけないわけであります。建物を建てるための地盤はありますという確認をした上でお答えをしなければいけないということになりますので、理解を得るための調査に着手させていただいておりますし、現在も続けております。  そこで、では立地環境調査の中身とどう違うのかということでございますけれども立地環境調査の中の一部が理解を得るための調査ということになろうかと思います。  以上でございます。
  133. 安井吉典

    ○安井委員 いかなる調査なんですか。その中身を教えてください。
  134. 渡辺昌介

    渡辺参考人 六十年度の立地環境調査の具体的中身を申し上げますと、地表調査をさせていただきたいと思います。それから、断層の調査をさせていただきたいと思います。それから、ボーリングもやらしていただきたいと思っております。  以上でございます。
  135. 安井吉典

    ○安井委員 去年七千二百万円の予算がありましたが、これは余り使ってないはずなんですが、そのことを言うのですか。  それから、ことしの新しい予算も今参議院を通過するかどうかという段階にあるわけです。ですから、それぞれの中身について、六十年度はあとわずかしかありませんね、どういうふうな御処理をなさるおつもりか。
  136. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  昭和六十年度の調査につきましては、先ほど申し上げましたように、地表の調査あるいはボーリング調査その他をいたしますし、現地の調査をいたしますし、それ以外に文献調査も進行中と先ほど申し上げました。そういうもろもろの調査を含めて、七千二百万円の予算を使わしていただいております。したがって、多少年度を越えてもこの契約は——契約をしておりますが、この契約あるいは我々がやる事業につきましては、なるべく早く終わらせたいと考えております。  以上です。
  137. 安井吉典

    ○安井委員 いや、その新しい年度のものも含めて……。
  138. 渡辺昌介

    渡辺参考人 昭和六十一年度も、昭和六十年度に引き続きまして調査をさしていただくことになります。  以上です。
  139. 安井吉典

    ○安井委員 その内容は、ことしと同じことをやるわけですか。
  140. 渡辺昌介

    渡辺参考人 ことしと全く同じでございませんで、ことしの継続の分及び新規にかかわる分でございます。  以上です。
  141. 安井吉典

    ○安井委員 もうそんなに時間をとらせないで。何で問題を隠さなければいけないの。だから私は最初に聞いたでしょう。ことしと来年度の予算の中身は一体何と何と何をおやりになるのかと聞いておるのですよ。小出しにしないで、ひとつ全部言ってください。
  142. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  非常に長くなりますので簡単にお答えしたわけでございますけれども、それでは六十年度にやりたいという調査を御紹介いたしますと、地表調査、現地調査及び文献調査であります。それから試錐調査、これは現地調査であります。それから地震の調査、これは文献調査であります。それから断層調査、これは現地調査と文献調査があります。それからそのほかに気象の調査、水理、水文の調査、社会環境調査でございます。これも現地調査と文献調査でございます。  それから六十一年度の調査の中身でございますけれども、地表調査は六十年度に続きましてさらに広くやらしていただきたいと思っております。それから試錐調査、ボーリング調査でありますけれども、これも六十年度分に引き続きましてさらに広くやらしていただきたいと思っております。それから環境調査に関連して、大気の調査、あるいは騒音の調査、あるいは陸生生物の調査、あるいは土壌汚染の調査、その他ということであります。  以上です。
  143. 安井吉典

    ○安井委員 ここで機械設備などが必要なのは、ボーリング調査というとこれはかなり大きな機械を入れるわけでしょう。そのほかどういうものがあるのですか、施設的なものは。
  144. 渡辺昌介

    渡辺参考人 先生指摘のように、ボーリング調査でありますとボーリングの機械を使わなければなりません。それ以外に装置、機器というと、例えば気象観測をやらしていただきたいと思っておりますけれども、そのための道具が必要だと思っております。  以上です。
  145. 安井吉典

    ○安井委員 地震観測はいいのですか。
  146. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えします。  地震観測もやらしていただきたいと思っております。これはボーリング調査をやった後、地震計を取りつけるつもりでございます。
  147. 安井吉典

    ○安井委員 一番問題なのは、大きな機械を入れてのボーリング調査等だと思います。しかし、今のように気象観測でもやはり機械器具は要るのでしょう。それは建物のような施設まで要るのじゃないですか。
  148. 渡辺昌介

    渡辺参考人 気象観測をやる場合には、気象の温度をはかったり降水量をはかったりということで、道具が必要でございます。
  149. 安井吉典

    ○安井委員 質問に答えてくださいよ。建物は要らないのかと聞いているのです。
  150. 渡辺昌介

    渡辺参考人 いわゆる人が住むような建物ではなくて、通常の気象観測をやるための道具ということで、百葉箱あるいはそれにもうちょっともが生えた程度のものは要ると思っております。
  151. 安井吉典

    ○安井委員 時間がだんだんなくなりますからはしょりますけれども、とにかくこっちが聞いたので何だか隠さないと都合が悪いような、そういう説明の仕方だから地元の人たちは疑心暗鬼になるわけですよ。その辺はっきりしてくださいよ、これから。  いつから調査をするかということでありますが、地元の町村の要求もあるし、最近のいろんな動きもあるしということを言われたわけでありますが、その前に理解と協力を求めるための調査をやる、こう言われているけれども立地環境調査と何も変わりないのですね、お聞きしていますと。全く変わりないんだよね。だとすれば、私はさっきの政治発言というものが生きてくるように思うのです。これはそちらの方に一定のお預けをしておりますので触れませんけれども、いつごろからやるつもりなのかということなんですね。その辺、もう少し時期的な考え方があったら教えてください。
  152. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  六十年度の調査につきましては、昨年の十一月に着手をいたしました。現地調査を着手いたしております。その後文献調査を予定どおり進行させておりますので、再開というわけじゃなくて次の調査、次の段取りの調査という御質問だと思いますけれども、これは試錐調査をお指しになっていらっしゃる、あるいは気象観測の道具を置くということになるかと思いますが、この辺につきましては今慎重に検討しておるところでございます。
  153. 安井吉典

    ○安井委員 調査に先立って国や自治体の許認可を受けなければならないという事項は、どういうふうに御検討になっておられますか。
  154. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  この調査も先ほど申し上げたボーリング調査だと思いますけれども、当面の調査は許認可の手続の必要がないものと考えております。
  155. 安井吉典

    ○安井委員 先ほども地元の意向等を五十嵐委員から話がありましたが、今北海道の中では、道議会では推進の決議があったが知事は反対ということであるのは御承知のとおりでありますけれども、国と違って自治体は大統領制ですから、地方自治法でもはっきり決めてありますように、知事の意見と道議会の決議が食い違うことはあり得るわけですよ。そのために、知事の不信任案を出すことによって一致させたり、あるいは住民投票という仕組みもありますね。そういうような地方自治法のオーソドックスなあり方で両方の違いを一致させるという道はありますけれども、それはどちらもとられていないわけですよ。道議会の中で知事の不信任を出すだけの力が野党自民党の方にはありませんから、それもやらないというままで、両方の意見が対立したままに今あるわけですよ。そういうことで、地元では幌延町だけが町議会の決議があり。町長さんも一生懸命で走り回っているわけでありますけれども、そういうような状況。  しかし地元の町村とは裏腹に、周辺町村は農業協同組合や漁業協同組合はもう全部反対をしています。ただ幌延の漁業者が入っている天塩町の漁業協同組合だけは、幌延町の漁民が提案をして賛成決議をしたようでありますけれども、それだけですね。各市町村でもいろいろな協力組織が生まれるようにも聞いておりますけれども、よく聞いてみたらほとんど建設業者なんですね。建設業者は何か仕事があればおこぼれが来るという、そういうことで全道的な動きをつくっています。大体、幌延町でも十六人の町会議員がいますけれども、そのうちの五人までは建設業者なんですよ。だから、酪農民までがみんな先頭に立ってやっているなどと思ったら、もう大きな間違いであります。  北海道新聞が十二月一日にやった世論調査の結果も、既に御承知のように、これは知事の反対の姿勢をどう思うかという調べですから、ダイレクトに幌延問題というふうに絞ったものではありませんけれども、知事の姿勢は非常によい、まあよいという、幌延問題に対する知事の姿勢に肯定的な評価は六七・八%ですね。約七〇%に近いわけであります。どうも党利党略だというふうな言い方を新聞などでとられている向きもあるようでありますけれども、そんなのじゃなくて、社会党の支持者が八六・一%、共産党の支持者が八〇・九%、公明党の支持者は七二・七%、自民党の支持者でも五二・二%は知事の姿勢の方が正しい、こう言っているわけですね。だから、党利党略じゃないのですよね。何か先ほどもそんなような言い方をするけれども、それはそんなのじゃないわけです。その辺は明確にしておかなければならないわけで、もちろん政党は政党で、社会党の態度もはっきりしているし、共産党もはっきりしているし、自民党もはっきりしているし、公明党もこの間の北海道本部の定期大会で野村本部長が、一たん動燃白紙に戻して、新たな設置箇所も含めて再検討すべきということを発言されているようであります。ですから、こういう事態を踏まえた対応というのがなければ、政府動燃も間違ってしまうのじゃないかと思います。どうでしょうか。
  156. 林政義

    ○林参考人 立地に先立つ調査につきましては、調査内容あるいは調査対象範囲によりまして、ケース・バイ・ケース理解を得る範囲を決めていく必要があるんじゃないかと思います。したがいまして、今回の貯蔵工学センター調査につきましても直接対象となる地元関係者理解を得て実施をいたしたい、こういうふうに考えております。  御案内のように、幌延町では町を挙げて調査推進を望んでおりまして、周辺の皆様方からもいろいろな疑問が出ておりますので、その疑問にお答えする意味からも早く調査を実施いたしまして、不安を取り除くのが我々の責務であるというふうに考えておりますので、御理解をお願いしたいと思います。
  157. 河野洋平

    河野国務大臣 調査の実施に当たる動燃理事長の御答弁を、私は支持したいと思います。
  158. 安井吉典

    ○安井委員 最後に一言だけ言って終わりますが、それは動燃なり科学技術庁のお気持ちとしてはお聞きいたしておきますけれども、何か幌延町を挙げてなんというお言葉は、これは間違っていますから。幌延町にも反対者はたくさんいるのです。町議会と町長は賛成ということ、これは明らかですけれども、挙げてという格好ではありません。反対者が全くいないみたいに聞こえるものですから、そうではないということだけをひとつつけ加えておきます。やはり何といいましても、アメリカの政策立法でも明らかなように、自治体なり地元住民の理解と協力なしにはやらないという基本原則をもっと高らかに掲げながら問題に対応していかなければ、これは大きな間違いを生じますということを重ねて指摘して、きょうは終わります。
  159. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 関階正君。
  160. 関晴正

    ○関委員 六十一年の二月二十日、原子力安全委員会がお出しなさった「再処理施設安全審査指針」、このことについてお尋ねをしておきたいと思うのですが、この中の十二ページ「指針十二、地震に対する考慮」、ここで「再処理施設は、想定されるいかなる地震力に対してもこれが大きな事故の誘因とならないよう十分な耐震性を有していること。また、建物・構築物は十分な強度・剛性及び耐力を有する構造とするとともに、重要な建物・構築物は安定な地盤に支持させること。」こうあります。これまでは重要な建物・構築物は岩盤に支持させること、こうあったのですが、どうして「岩盤」と書かないで「安定な地盤」というふうに表現されたのか。これは私どもから見ますと大変な後退ではないだろうか、こう思いますので、この点についてのお考えをいただきたいと思います。
  161. 辻栄一

    ○辻政府委員 御指摘のように、再処理施設の安全指針におきましては、「重要な建物・構築物は安定な地盤に支持させる」という表現になっております。この「安定な地盤」と申しますのは、「建物・構築物の設計荷重に応じ、その地盤の支持力、すべり安定度、変形特性及び当該建物・構築物と地盤との地震時相互作用などを総合的に評価し、十分に安定と判断される地盤をいう。」ということが解説の方で述べられているわけでございます。一方、御指摘のように発電用原子炉の耐震設計審査指針におきましては、岩盤に支持させるという表現が出ておるわけでございますが、その点がこの指針の表現と異なっているという御指摘であろうかと思います。  これは、先生おっしゃるように非常な後退であるというつもりは全くないのでございまして、次のような理由でなったわけでございます。一口に岩盤といいましてもいろいろなものがある。再処理施設を支持する地盤に要求される強度特性であるとか変形特性とか、いろいろ岩の性質が異なっているわけでございます。このようなことから、原子炉施設の基礎地盤の審査に当たりましても、単に岩盤であれば妥当なものであるということはしておらないわけでございまして、種々の要因を総合的に評価して妥当性を判断しているというのが原子炉施設の指針の運用の仕方でございます。  このような実態を踏まえまして、この指針策定の過程におきまして、これは指針策定にかかわった専門委員の方々は学者の方が非常に多うございまして、学問的に適当だと思うような言葉をとりたいという趣旨が働いていたと存じます。単に「岩盤」とするのは不十分であって、その他の要因を総合的に評価する表現に変更した方がいいんじゃないかという意見でそういうことになったわけでございます。しかしながら、例えば安定な岩盤といたしますと、今度は原子炉施設と再処理施設の表現の差から、逆に再処理施設の方の審査条件の方が厳しいのじゃないかと誤解を与えるおそれもあるんじゃないかというような点も考慮し、別の言葉として「安定な地盤」という表現が採用された経緯でございます。  こういうふうな策定経緯でもわかりますように、この指針の「安定な地盤」という表現の要求する内容は、原子炉施設の基礎地盤の審査における岩盤の運用と全く同じものでございまして、私ども同義語と考えておりますし、他意はございません。規制当局といたしましては、青森県に立地が計画されております民間再処理工場は、安定な地盤でありますところの岩盤に支持されなければならないというふうに考えております。
  162. 関晴正

    ○関委員 ただいまのお答えのとおりであれば別に文句はないのですが、じゃ確認しますけれども、ここにある「安定な地盤」というものは、青森県における再処理工場の計画推進の際においては強固な岩盤に支えられなければならないという意味だ、こう確認してよろしゅうございますか。
  163. 辻栄一

    ○辻政府委員 結構でございます。
  164. 関晴正

    ○関委員 せっかくそういう考えでおられるならば、この指針の内容も近いうちにその意を受けるようなものにした方がいいんじゃないだろうか。一般的に見ますと、今度は岩盤でなくてもいいんだ、お話によると、岩盤でもよくない岩盤がある、しかし、よくない岩盤でも岩盤でない地盤よりはいいんじゃないだろうか、こうもまた考えられるわけで、これはまた無用の論を巻き起こすことにもなるんじゃないだろうかと思いますので、私はその点について考え直す考え、あるいはこれを是正するというお考えがあっていいんじゃないだろうかと思いますが、その点はどうですか。
  165. 辻栄一

    ○辻政府委員 専門部会の方の御意見では「安定な地盤」とした方がより適切な用語であるということでやっておりますので、今国会において先生の御意見があったようなことは、またいずれ適当な機会に専門委員先生方にも申し述べますけれども、多分私はこの「安定な地盤」という方向がいいのではないかという結論になるのではないかと思います。
  166. 関晴正

    ○関委員 現実に今青森県の六ケ所においての陸域調査がなされているわけですが、この陸域調査過程において、今の地盤は相当な岩盤がそれぞれにあっての状況になっていますか。
  167. 中村守孝

    中村(守)政府委員 現在陸域調査につきましては原燃産業、原燃サービスの両社で進めておるところでございまして、まだその調査の報告とか途中の状況とかいうことを聞いたりする段階にございませんので、私どもそこまでのことを承知いたしておりません。
  168. 関晴正

    ○関委員 いつの時点で承知するのですか。
  169. 中村守孝

    中村(守)政府委員 いずれ今おっしゃったような岩盤の上に施設をつくるというようなことで安全審査が行われるわけでございますが、設置許可申請という形、設置許可というとちょっと語弊がございますが、事業を始めるについては施設を設置することについての許可の申請が出てまいるわけでございますので、その段階までに事業者としてのデータの取りまとめが行われ、そういうデータが添付されて審査が行われる、そういう段取りになろうかと思っております。
  170. 関晴正

    ○関委員 とにかく、この仕事に踏み込んで一年近くになるわけです。一年近くになりながらも、海域の調査には入れないでいるわけです。それならば、調査に入っている陸域はどの程度進んでいるだろうか。少なくともこの地域における土地の強さと申しましょうか、地盤の強さ、そういうものだけでも測定されているデータなんかはもう出ているんじゃないでしょうか。
  171. 中村守孝

    中村(守)政府委員 調査の結果の内容等については聞いておりませんが、調査が今どんな進行状況かということについては聞いておりまして、現在までのところ空中写真の測量、いわゆる地形調査の一部を終えまして、現在地質調査、気象調査、陸生生物調査、社会環境調査等を実施中でございまして、六十一年度中にはこれらの調査が完了するのではないか、そのように聞いております。
  172. 関晴正

    ○関委員 それぞれの地上におけるボーリング箇所は、現在までどのくらいなされているのでしょうか。
  173. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  ボーリング調査につきましては、五十一本のボーリング調査を完了いたしております。
  174. 関晴正

    ○関委員 五十一本というのは、どこどこの地域になっていますか。
  175. 中村守孝

    中村(守)政府委員 そこまでの詳しいことは私ども承知しておりません。
  176. 関晴正

    ○関委員 せっかく仕事をしておる状態がどの辺までいっているかもわからないでは、やがて出てきたものを一刀両断に断ち切るなんということも難しくなってしまうであろう。そういう意味では、今の内容をこちらの方としてもある程度把握しておく必要があるのじゃないか。全然見込みのないようなところに時間と金をかけても、私は無意味だと思うのです。そういうむだ遣いはさせない方がいい。そういう立場から一昨日は河野長官に、アメリカ側の訓練空域の下にこういうものをつくっていいかどうかよく当たってみなさい、それは困りますよと言ったらさっさと退却したらいいだろう、今日の行政の合理化からいけばこういうのが合理化なんだ、私はそう思うわけです。  同じように、ここの地質、地層、活断層、それぞれ調べてみても直ちにわかるのが、地下水位が高いということ、それから透水性が強いところだ、その上活断層もある。なお、この地盤の強度、N値が幾らあるかということもすぐわかることです。この問題については、既にあそこに備蓄タンクをつくるときにN値が四十、五十あるだろうということで掘らせた。だれもわからないものだから、そのくらいあったのだろうということで終わった。しかし内部に入って調べてみると、N値が十にも五にも達しない場所がある。場所によっては一もないところがある。驚くべき状態でありました。それでも調査をした、大丈夫だと言ったことがまかり通っているわけです。ですから、転ばぬ先のつえじゃありませんが、この辺のN値はどのくらいになっているのだろうか。地盤の強度なんというものは、調べればすぐわかることです。そういうものを見れば、余り時が進まないうちに、ここは無理だな、もうここから退却しよう、そういう指導をしなければならないときが来るんじゃないだろうか、こうも私は思うのですが、そういうようなことは少しも考えていないのでしょうか。
  177. 中村守孝

    中村(守)政府委員 現在事業者が調査をしておるわけでございまして、事業者も当然ながら専門的知識を持った人力を集めましてこの調査をしておりますし、事業としても当然この経営をしていくということでございますので、可能性のないような調査結果が出てくれば、あるいは問題となるようなものが出てくれば、当然事前に私どもの方にもあるいは御相談があるかと思いますが、現在までのところ、そういったようなことで問題があるというようなことは聞いておりません。事業者の方では現在そういった調査を自主的に進めておるわけでございまして、我々の方がいわば安全審査の先取りのような形をするというわけにはまいりませんで、ここは事業者の自主的判断によって進めていただくという段階かと思います。
  178. 関晴正

    ○関委員 同じくこの問題について、資源エネルギー庁の原子力産業課長さんがおいでになっていると思いますが、お考えをいただきたいと思います。
  179. 荒井寿光

    ○荒井説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ございました点につきましては、事業者が判断していく問題だと理解しております。
  180. 関晴正

    ○関委員 あなた方、一年もたって、あなた方の所管する電力会社が今どんな調査をして、どのくらいまで進んでいるかなんということも何もわからないでいるのですか。
  181. 荒井寿光

    ○荒井説明員 現在、青森県において調査が行われておりまして、先ほど中村局長からもお話がありましたが、全体の調査の動向につきましては、理時点までに空中写真測量等の地形調査の一部を経て、現在地質調査や気象調査、陸生生物調査、社会環境調査等を実施中だというふうに聞いておりまして、全体の流れは私どもも伺っております。
  182. 関晴正

    ○関委員 五十一本のボーリング調査のデータはお見せいただけますか。
  183. 荒井寿光

    ○荒井説明員 お答えいたします。  現在のところ、私どもの方では五十一本のボーリングの内容というものについては伺っておりません。
  184. 関晴正

    ○関委員 あなた、ボーリングしたというだけじゃ意味がないのですよね。した結果の中身がどういう内容であるかということが問題なんです。掘ったらいいということじゃないのです。掘ってみたら大変なものだ。花咲じじいの方のここ掘れワンワンなら、掘ったら宝物が出てきたっていい。意地悪じいさんの方からはとんでもないものが出てきたけれども、だから掘ればいいというものじゃないのですよ。掘ったらどうであったのだということを見てくれなきゃ困るわけです。そういう意味では、五十一本のボーリングの結果の内容調査資料をぜひ提出していただけないだろうか、私はこう思いますが、いかがですか。
  185. 中村守孝

    中村(守)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在事業者が調査をしておるところでございまして、これらは事業者自身としていろいろ分析をし、解析をし、そしてどういう施設をそこにつくったらいいかというようなことも含めまして検討した上で、いわば安全審査の段階に入っていくわけでございます。その途中段階におきまして事業者が自主的にいろいろ調査をし、判断をしている段階にまで行政が立ち入って細かく指導するというような余力は行政にもございませんし、むしろここは自主的に事業者自身の判断において現在のところは進められるべき性格のものであると存じております。
  186. 関晴正

    ○関委員 いずれその資料は科技庁としても見なきゃならないものですよね。投げておいていいというわけじゃない。しかし、そういうものが出ているなら出ているなりに早くそれを調べておく、調べてみる、そういう機会があったらそれほどいいことはないのじゃないですか。ましてや、あなた方がゆっくりやりたいならゆっくりやってもいいんだが、私どもから見れば、さて、ここを掘ったデータはどうなっているんだ、これが欲しいな、こう思うわけですよ。それは行政の範囲を超えることだからそうはいかないとか言って、いつも逃げるのです。これはあなた方の癖なんですよ。でも、これは何も行政のらち外にある問題じゃない。全く行政そのものの中の監督、対処のことですは。これはやがて安全局長の辻さんのところで調べる内容の資料ですよね。だから、そこへ渡る前に見せるのはどうとかこうとかということになると形式論になるかもしれぬが、我々としては、今調べている内容はどうなんだということについて、少なくとも出ている資料があるならば見せてくれ、企業が見せられないと言うならば別です。そういう意味では、見せていいですよ、結構ですよ、何の秘密もありませんよ、うそをつくつもりもありませんし、こしらえる考えもないしというならば、見せて結構だ、こう言えるんじゃないだろうかと思うのです。  そこで、委員長、これは私がきょう、それから前の二十五日にも要請したように、大体こういう話をすると、こちらの能力からいってこういう答弁しか出てこない。だから、当該者の電事連の代表を呼んで、そうしてよく聞く機会をぜひ与えてほしいと思うのですが、いかがですか。
  187. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 これも次回の理事会の検討事項にさせていただきます。
  188. 関晴正

    ○関委員 余り検討、検討と検討しないで、はいわかりましたと言って、これはぜひ次に呼びたいと思います、こう言っていただけませんか。
  189. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 やはり先ほどの理事会での話のとおり、次回の理事会の検討事項とさせていただきまして、前向きに検討をさせていただきたいと思います。
  190. 関晴正

    ○関委員 それでは、今現実に陸域調査をした諸内容等は後刻また伺う機会に譲ることにいたします。  そこで、今青森県の六ケ所村で一番の問題になっているものは何かというと、海域調査です。この海域調査については、ことしの一月十日に漁民が総会を開きまして、海域調査の受け入れを決定しております。ただし、ただ受け入れるわけにはいかない、少なくとも一千億円以上のお金はいただかなければならない、補償してもらわなければならない、こう言っております。そういうことで、一月十日の漁民の総会でこのことは決定しているわけなんですが、そういうお話について原子力局長は御存じですか。
  191. 中村守孝

    中村(守)政府委員 そういう事実と申しますか、一月十日に板垣組合長が臨時総会を開催いたしましたところ、運営上の混乱が懸念されましたので流会を宣言され、その流会後滝口理事を中心といたしまして会合が持たれて、そのときに漁業補償一千億円というようなことがそこにおられる方々の間で一致して可決されたというぐあいに聞いております。
  192. 関晴正

    ○関委員 そこにおられる方々の意思じゃなくて、漁業協同組合の総会の意思として打ち出されているのであって、そこにおる漁民の意思というのではちょっと弊害が出てくると思いますから、その点は一月十日における漁業協同組合の総会でそういう決定をしたんだ、こういう認識でいてほしいと思うのですが……。
  193. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘の一月十日に可決されたものが組合の正式決定であるかどうかということにつきましては、私どもは直接組合を指導監督する立場にございませんのでそのことをどうだこうだと言うわけにまいりません状況で、これを指導監督しておられます青森県の当局の御見解はこれが組合の正式決定というふうには受けとめておられないようでございますので、私どもはこれを直接指導監督されておられる青森県の御意見を受けていきたい、そういうぐあいに考えております。     〔平沼委員長代理退席、矢追委員長代理     着席〕
  194. 関晴正

    ○関委員 これは一月十日の泊漁業協同組合の議事録なんです。この議事録を後でひとつ科技庁の方にも読んでもらいたいと思います。  それで、この一月十日の日は、始まらないうちに板垣組合長が、どうも自分の思うように事が進められないようだということを感じて流会宣言をしました。そこで、あとの理事の皆さん方が何だこれはということで、残った理事六名で、七名の理事のうち六名で相談をして、これは進めようじゃないか、前から決められて、理事会での総会の招集ということになって、順序を立てているのだから、これは組合長個人で勝手に流会だと宣してもそうさせるわけにはいかないということで、残った理事がそうだそうだと言って理事会を開き、そうして総会を進めて結論を今のようなことに出しているわけです。  実にこれは午前から午後の三時半までかかっています。二十三日にわずか二分で事を決めたなどというインチキ総会とは全然違います。その間に展開している論理も、それぞれに漁民の将来を思っての論戦が実によく展開されております。ですから、これは、組合を構成する組合員総数七百九名ですから、その七百九名を超す過半数で成立して決定した意思です。そういう意思を尊重して事を進めさせるのがまた行政の側の仕事ではないだろうか、こう思いますが、あくまでも知事の一言によって事が進められるのであって、漁民が集まって何を言おうと構わないのだ、そんなことには耳を傾けないのだ、これが科技庁の姿勢ですか。
  195. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  地元関係者のいろいろな御意見について耳を傾けるというのは当然のことでございますが、本件が組合の正式な決議事項であるかどうか、こういうことにつきましては私どもが判断する立場にございませんで、これはあくまでも、直接その指導監督に当たる青森県の見解というものを私どもとしては受けていかなければならない、そのように思っております。
  196. 関晴正

    ○関委員 残念ながら青森県の知事は御承知のような格好の知事ですから、自分の気に合わないことはすべて違法呼ばわりする悪い癖がありまして、これを合法と認めようとはしないのです。しかし、これほど白昼公然と合法的に総会が持たれて意思決定されたものはないのですから、これを無効であるとか不法であるとか違法であるとかと見ることは私は間違いだと思うのです。そういう点についてはあなた方の方でも、せっかく漁民が集まって決めたそういう内容——内容のよしあしは別ですよ。あなた方にしてみればとんでもないことだと思っているでしょう。でも、それは別です。それは別だが、少なくとも集まって決定された意思表示としてそれは出ているわけです。  そこで、きょうは水産庁の方、協同組合課長さんもおいでになっていると思うのですが、水産庁としてとの一月十日の決定をどう見ておられますか。
  197. 上野博史

    ○上野説明員 お答えを申し上げます。  先生おっしゃいます一月十日の総会につきまして、私どもも青森県の方から一応の報告はいただいておりますが、やはり総会の冒頭におきましていろいろ混乱をした事態があったようでございまして、その結果、組合長が流会を宣したというような事象があった上で、先生おっしゃられるような取り運びが行われたというようでございまして、青森県の考え方といたしましては、総会の成立につきまして疑念があるというふうに我々聞いております。近く青森県当局から私どももう少し詳しい話は聞いてみたいと思っておりますが、我々の知っていることはさような状況でございます。
  198. 関晴正

    ○関委員 十二月の末にいろいろなことがあった、けれども、とにかく総会を開いて一月十日で決着させようじゃないか、そういうことで一つの決着を見ようとしたときに、組合長がどうも自分たちの思うような方向に行けないからといって勝手に流会宣言をする。それも始まってからの流会宣言なら別ですが、まだ始まっていない。ですからその後に、何だ組合長勝手に帰ってと、残った理事たちが「これでは困ったことだ、満場一致で決めた理事会のことを組合長みずから捨てていくようでは困る、こう言って改めて議題に供し、この総会をきちんとやろう、こうやって議長を立て、議事を進め、結論を出しているわけですよ。  こういうような事実については、水産庁の方に県の方から何の報告もなかったようであります。私はもうとうに報告があったものだろうと思っていたら、私から聞いてわかったような状態で、その点については、県の方は都合の悪いことはこれまた水産庁の方に問い合わせもしておらない。そうして問い合わせていることは、前の年、六十年の七月十四日、この夏に開かれた漁民の総会で暴力行為があったこと、テレビにじゃんじゃん映ったこと、やたらに非民主的に事を運んでいったのじゃないだろうかという恥を天下にさらしたこと、このことだけは相当に伝わっております。そうしてこのことで、何の暴力行為もないのにもかかわらず、警察に五名とめられました。三週間以上警察にとめられてやっと出てきた。ひどい目に遭っているわけです。  こういうように、警察までこの組合に干渉してきてしゃにむに海域の調査に同意させよう、こう躍起になってやっていても、漁民の心は頑としているのです。未来の海を、子供たちの海を、子々孫々にわたる海を核の放射能に汚させてはならない、子々孫々の我々の生存のためにはこの海は渡せない、こういうことで実はお母さん方も一生懸命に反対運動をして、漁民の意思というものを何とか民主的にまとめて決めよう、こうやって進めているわけです。  そういうときに、今度の一月十日に、実はさっき申し上げたように、組合長が勝手に総会が成立しないうちから流会だと言っていなくなってしまう。おまけに今度は監事の方から、こんな組合長理事は解任する、解任するための総会を開け。そうしたら、理事会はこれを拒否しました。それでは監事会の議を経て総会招集をお願いしよう、この組合長の理事は解任しよう。ところが、監事会でもこれは否決、そこで、監事には監事独自の招集権限というのがあるので、監事独自の招集権を行使して招集を通知しました。三月十日にそれを決めて、三月十九日に会議を招集し、この会議はまた成立しているわけであります。ここで板垣組合長は、満場一致、理事を解任されました。このことは有効だと思うのだけれども、水産庁の方は、このことは無効だと思いますか、無法だと思いますか。
  199. 上野博史

    ○上野説明員 お答え申し上げます。  総会の開催につきましては、開催に至るまでのそれなりの手続というのがあるわけでございまして、通常でございますれば、総会の開催請求がございますと、理事会がこれを受けまして開催を決定する、一定期間内にそれについての結論を出すという定めがございまして、その期間内に理事が総会の開催を組合員に知らせるというような手続がとられれば、それに従って総会が行われるということになるわけでございます。こういう正規のプロセスをたどった総会の開催というものが行われないような場合におきまして、監事が、非常に異例的な話だろうと思うのでありますが、総会の開催を決定をするということはあるわけでございます。  今回のケースにつきましては、総会の開催請求がありましてから、法律で決められております一定の日数の中におきまして理事会が開催を決めたわけでございますので、監事が総会を開催するという事態ではなかったのではないか、青森県からの話によりますと、さように我々としては考えております。
  200. 関晴正

    ○関委員 大変重要な問題で把握が違っているのじゃないかと思います。もう一遍申し上げますよ。  三月初めに理事会は否決です。そうして、三月五日に監事会もまた否決です。それでやむなく、監事の独自権ということで三月十日に招集の通知を出すことにした、期日は三月十九日で。ですから、三月十日にそのことを決めて打ち出しているわけですから、総会通知を皆さん受けて三月十九日に集まることになっていた。それを今度は三月十四日に理事が集まったときに、四対三だよと言って、何の協議もないままに下総会をやりますよということをやみくもに打ち出した。何で二十三日に総会をやるのだと言ったら、海域調査の承認方、それから板垣組合長が解任要求されているからそれを議題にする。改めて、総会の通知がされた後、今度は自分たちが十四日に、四対三だよ、そう決めたよ、ろくに協議もしないで、ひどいやり方でやっているわけです。  ですから、この十四日に打ち出した二十三日の総会の招集の告知は無効だ。違法だ。しかも、会議が始まる前に二十三日の文書がつくられて発送寸前でいるわけです。まことに意図的であります。十四日の午後に理事会を開いて、四対三でやったよ、やったよと言って逃げちゃった。そうして、速達を出しているから十五日に着いています。その内容は、今申し上げたように、三月二十三日に総会をやるという通知です。だけれども、三月十九日というのは監事招集権にかかわる総会の通知で、議案も組合長の解任という一点にかかっての議案なんです。ですから、それを妨げるような効力を三月十四日に決まった議というものが持つものと思っておるのか思っていないのか。これはまさに妨害行為でしょう。そっちが優先するという何の根拠がありますか。虐げられ虐げられ、断られ断られして、やむなくとらざるを得なかった許されている権限を行使してやって、それがやられて成功したら大変だというので、悪人どもが考えた知恵に乗っていっているわけですよ。  ですから、三月十九日に開かれた総会も、時間はかかりましたけれども成立しました。そうして、解任を満場一致で可決した。この可決は有効だと私は思っておるのですけれども、水産庁はどう見ますか。
  201. 上野博史

    ○上野説明員 お答え申し上げます。  私ども考え方は、青森県から聴取いたしておるところに従いまして判断といいますか、検討をしているわけでございまして、その辺についてどういうことが別途あるのであるかという点については私どもも了知していないわけでございますが、私どもが県から聞いております事情、日程的な問題で考えてみますと、三月三日に総会の開催請求が漁協の方に出されたと聞いておりまして、法律の規定に従いますと、三月二十三日までに開催することが通常のルールとしては要求をされているわけでございます。したがいまして、その間に漁協の理事が所定の手続を経て総会の開催をするということになりますれば、それは当然理事者のやるべき事柄でございまして、そういう理事者側の行為と別個に監事が開催をするという段階に至るものではないと私は理解をいたしております。
  202. 関晴正

    ○関委員 三月三日に予定しておったかもしれませんけれども、三月三日にはそのことを何も決めていないのですよ。いいですか、あなた。三月三日に決めて二十日後の二十三日に開くことにしたというなら別ですよ。三月三日には何も決めていないで、理事会で決めてくれと理事会にお願いしても否決されているのです。それで、仕方がないから監事会に話をして監事会の議を経て招集しようと言ったら、監事会も二対一で否決しました。  そこで、監事に願ってもだめ、理事に願ってもだめ、組合長の解任議案なんて組合長がよしとするわけがないということになると、開かれないままで終わらせるわけにいかないから、監事としては招集権を行使しよう、こうしてやったのです。そうして十日に決めて、十九日に招集することにしたわけです。そして総会を開いたのです。それを今度は向こうさんが、否決した理事の諸君どもが十四日の午後にわかに集まって、そして四対三で決めた。これも何も論なく、多数がすべて。今の組合長も、さきの組合長から多数がすべてだということで奪い取った組合長です。言葉は悪いけれども、泥棒みたいなものです。休んで病院に入院している間に、推進派の御機嫌取りのための組合長になった方がいいというのでやってしまったわけです。だけれども、これはどう言ったって筋道が通りません。  それを青森県知事が、三月十九日の総会は違法と決めつけました。私は、この知事に対する責任追及はこの復します。自分の気に入らない者の招集したものが違法だなんて言える筋はどこにもないと思う。そういうことを勝手に言わせておいて、今度はどっちの判断が正しゅうございますかなんて原子力局長あたりが青森県に問えば、泥棒の方の判断がいいという結論にならざるを得ないでしょう。(「泥棒というのは穏当を欠くぞ」と呼ぶ者あり)泥棒じゃないから、泥棒みたいなやつだな。どっちにしてもよくない者どもだから、何と表現していいかわからぬ。本当にけしからぬことが起こっているわけです。  こうなれば、正義の味方に少なくとも水産庁ぐらいはなってもらえないものだろうか。網に入った魚も捕まえないで逃がしてしまうようじゃ、もう水産庁はやめた方がいいだろうと時々思うことがあります。網に入らない魚をいかに入れるかというので水産行政があるわけだが、今は網に入ったような魚でも、すべて悪事、それをしも料理できないというのであれば、これは何をか言わんやです。そういう点で、あなたがさっき話した認識の間違いが一つあります。大体、そういうことでみんなだまされているのです。何もあなたがだまされているのを知ってだましているとは思いません。役人の悪いやつは、大体だまされた方がいいと思う場合はだまされて都合いいことにして答弁しているのが多いのです。今あなたもそういうつもりでお答えしているとは思っていません、お顔を見たところまじめにお答えしているようですから。そういう点ではまともに判断して、悪いやり方についてはこれを是正するということできちんとやってください。どうですか。
  203. 上野博史

    ○上野説明員 泊の漁協の問題につきましては、私どもも組合内部に非常に深刻な対立関係があると聞いておるわけでございまして、組合の円滑な運営という点から見まして問題があるというふうに考えております。これを何とか正常な状態に戻していただくということを我々としては青森県知事にお願いし、期待しておるわけでございまして、我々といたしましては、現地の状況をよくわかっておられる青森県御当局の御指導にまつ以外に、この問題の適切な解決を図ることは難しいのではないかという感じがいたしております。私どもといたしましても、私どもの所轄でございます漁協の運営等に関する制度の適切な運用を図る観点から、必要に応じていろいろ申し上げるべきことは申し上げることにいたしてまいりたいともちろん考えておりますけれども、ともかく青森県の一地域の問題でございますので、知事さんの御指導よろしきをぜひとも得たいと考える次第でございます。
  204. 関晴正

    ○関委員 最後に、三月二十三日のわずか一分半で終わった総会、議長も決めないで、議決書の受け付けもしないで、海域調査を認め、自分の解任を否決するという二議案を打ち出したあの総会は無効だと我々は思っておるのですが、あなた方はどう見ておりますか。
  205. 上野博史

    ○上野説明員 その件につきましては、青森県御当局の方から、漁協の総会が二十三日に開会をされまして決議が行われたという御報告をいただいているわけでございます。私どもとすれば、それ以上のことを申し上げられる状況にないわけでございます。ただ、やはり非常に短時間のうちに事が決められたというようなことは、通常の漁協の総会から見ますとやはり異例なものであるという気がいたすわけでございまして、この辺の実態なり青森県御当局の考え方も一遍ただしてみたいというふうに考えておるところでございます。
  206. 関晴正

    ○関委員 あなた、異例なことだなんて、異例なことだと言って認められることならこれは別だよ。私の言っているのは、こういうふうに、言うなれば書面議決書も受け付けられることもなく、書面議決書が四百二十枚あったとかなんとかという言葉だけで、総会は成立しておりますからという、これもまた言葉だけで、そうして自分が議長になることをお認めいただきますということで一方的にしゃべって、二議案とも賛成でございますのでさよう決定いたしますと言ってやっちゃったわけです、何の論議もなく、何の調べもなく。そういう総会というのがありますか。異例というのは、あっても許される異例に入ればまだいいけれども、こんなもの何例、失礼もいいところ、欠礼もいいところでしょう。異例なんというものではない。著しく欠陥の総会でしょう。こんなものを認めるわけにはいきませんよ。こんなものはやり直せ、その前に一月十日に決定しているじゃないか、何で三月十日に暴力事件なんかやっているのだ、こう教えてやりなさいよ。それが東京におる人の地方にある人を指導する任務だと私は思う。たまには地方の者があなた方を指導しなければならないということもあるけれども、とにかく責任の地位からいけばあなた方が位が高いのだから、責任を持って当たっていただきたいと私は思うのです。どうです。
  207. 上野博史

    ○上野説明員 先ほど申し上げましたように、この漁協の問題、やはり第一は漁協の内部で、漁協の執行者あるいは組合員の方々がよくお話し合いをしていただきまして、正常な漁協の運営ができるように御努力を願い、お話し合いを願うということがまず第一に必要なことかというふうに考えるわけでございます。いろいろ見解の相違はあるにしましても、漁協の運営の場でそういう意見を闘わせながら解決をしていくという道はいろいろあるわけでございまして、漁協の内部におかれましてもそういう面からの特段の御努力を待たなければならないのではないか。それからまた、私どももできるだけのことはしなければならぬというふうに考えますけれども、先ほど来申し上げておりますように、漁協の問題につきましては、やはり単純な機械的な法律の運用ということだけで片づけられるものでもない面があるわけでございまして、青森県御当局の御努力をぜひともお願いをしたい、その過程におきまして我々としてできますことがあればやってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  208. 関晴正

    ○関委員 青森県に任せてそれでもなおやることがあればおれたちがやるなんて、そんな引っ込み思案の話をしないで、この次の科学技術委員会でまた聞くから、答える準備をしておきなさい。そうでなければいけませんよ。  それから警察。三月十日にその組合長が、監事招集権をもって招集したところの監事である高梨氏を六週間もけがをさせた。ぶん殴って急所をたたくなんということは、相手の方がたたかれたといった話で、これはとんでもない話でありました。とにかく、たたいた者が十日間のけがを受けたと言って警察に申し出た。たたかれた者は、申し出る暇もなくて病院に打っちゃった。これは刑事事件ですよ。白昼公然とした傷害事件です。こういう傷害事件に警察は何で身柄も拘束しないでにこにこして、捕まえもしないで一体何をやっているのですか。こんな警察は日本の警察ですか。早速逮捕して、しかるべき捜査をして、送るべきところへ送ったらいいんじゃないでしょうか。どうなんです、警察は。警察はあるのですか。
  209. 安達真五

    ○安達説明員 お答えいたします。  警察は、今さら申し上げるまでもなく、あらゆる事案について厳正、公平、適正な職務執行を行うという方針のもとに現在もやっておるわけであります。お尋ねのこの三月十日の事件につきましては、一一〇番通報がありまして警察官が現場に駆けつけたときには既に事案は終わっておった。いろいろ現場で聞きますと、お互いに殴り合ったけんかである、こういうことでございますので、双方の事情をよく聞いて厳正な処置をするということで、現在捜査を続行中でございます。
  210. 関晴正

    ○関委員 相互に殴り合うなんというものじゃないのです、あなた。相互に殴り合うならば、何で片一方十日で片一方六週間になります。六対一で殴り合ったのでしょう。十日間の治療というものを出しているけれども、全然次の日からぴんぴんして歩いていますよ、ぴんぴんして。なぜこういう者を歩かせているかというのが私の話なんです。これは刑事事件になりませんか。親告をしなければ警察は黙っているのですか。当然刑事事件でしょう。どうなんです。
  211. 安達真五

    ○安達説明員 お説のとおり、外観的には立派な刑事事件でございます。
  212. 関晴正

    ○関委員 そういう意味で、刑事事件は厳正に対処してこうした悪人をきちんと戒めるようにしていただきたい。今、書類も検察庁に送られていますか。
  213. 安達真五

    ○安達説明員 先ほど申し上げましたとおり、現在厳正な捜査中でございます。  それから、一方の方が事件後入院いたしまして、つい最近退院してこられたわけでございまして、そういう意味で捜査手続がおくれておるわけでありますが、早晩厳正な捜査を遂げれば当然検察庁に送る、こういうことになろうかと思います。
  214. 関晴正

    ○関委員 まだまだ申し上げたいと思うのだけれども、ここで長官に締めくくりになるわけです。  長官、ただいまお聞きになったように、およそ科学とは相当かけ離れた次元の問題で、事態が青森県においては起きているわけです。ですから、私どもは科学の本質的な論議をしたいのだけれども、何せ担当にかかわるところの今の電車連のやっていることが、ある意味からいけば諸悪の根源なんです。電事連が莫大に金があるものだから、書面の議決書というものをもらうのに全部買収させています、後ろから。そういう買収によって集めた書面議決書が問題になりまして、夏の七月十四日というのは、こんなに書面議決があるというのはどうして集めたんだ、だれがどうやって集めたんだ。そうすると、一人で五十枚ずつもらって、おまえは十枚持ってこいとか、おまえは二十枚持ってこいとかいうやり方で相当に金が配られた。それが夏の総会の事件として、机をたたき、腰かけを上げ、そうして騒いだ。だれも体にさわってけがをさせたのはありません。それでも、逃げる連中が足を踏み外してしりもちでというのが二週間ずつのけがだというので、このけがが警察に届けられて五人の者が逮捕されています。何のけがもないようなもので、しかもさわりもしないのに五人の者が逮捕、身の拘束二週間近い。  それなのに一方、正義の味方と言えばなんだけれども、漁民の味方として働いている諸君たちが今こうした事件でたたかれても、警察は捕らえようともしない。そして県知事はくだらない方にばかり味方して、言葉が悪いかもしれぬけれども、インチキな総会が総会で、妥当な総会が違法だなんというものだから、もう人心はすっかり知事から去っています、漁民の心は去っています。そういうところであるだけに、海域調査に踏み込みたいと言ったって踏み込めないでしょう。無効な決定に従ってあなた方踏み込むと言ったって、それは許さぬ。また直ちに訴訟が起きるでしょう。訴訟に次ぐ訴訟の連続がこの地域において見られるのではないだろうか、こう思います。それはまた私の望むところではありません。我々日本社会党もそれを望むものではありません。  そういう点からいけば、こうしたことに問題を持ってきたのはさきの科学技術庁長官、これは青森県出身なんです。自分の県出身の長官の悪口を言いたくはないけれども、ここでもっとまともに漁民と話し合って事を進めるような行政に立っておればこんなことにもならなかったろう、こうもまた思います。でも、今その話をしても始まりませんから、願わくは私の期待する新長官河野洋平大臣は、この問題についてもひとつ身も心もぶつけて当たる、できないときには断念する、そういうような身の乗り出し方なりおさめ方に全力を挙げるべきじゃないだろうか。円満解決の道があるのならばそれを探って当たるという決意がないものだろうか、こう思いますので、そのことを伺って終わります。
  215. 河野洋平

    河野国務大臣 地元の議員としていろいろ御心配をいただいておりますこと、感謝を申し上げたいと思います。  こうした問題については、法律に従って正しく事柄が運ばれなければならないと思います。法律に従って事柄が正しく運ばれますように、全力を尽くしたいと思います。
  216. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 小川泰君。
  217. 小川泰

    ○小川(泰)委員 私は、せんだって科学技術庁長官がこの国会における所信表明をなさいましたので、それを中心にしてちょっとお伺い申し上げたいと思います。  いただきました長官の所信表明の冊子をずっと見せていただきまして、歴代の科学技術庁長官の流れの中でもう一つ新しいものを加えてという意欲も示されまして、約十項目にわたって所信が表明されました。目標といいますか、設定、もっともであるし、まことに結構なことだ、こう思っております。ただ、全体を読ませていただき、一体今ここに書かれているような、とりわけ前書きに書かれているように、科学技術庁ができて三十周年をやがて迎えよう、こういう歴史をたどってきました。世の中も大分変わってまいりました。確かに科学技術というものがこれから重要な役割を占める、これは日本のみならず、世界的にも共通の焦点だろうと私は思っておるのです。  そういう大事な時期に当たりまして、科学技術庁という立場で、三十年前とは条件も違っておりますし、世の中の進みぐあいも違っておるしということを踏まえて、もう一回、そういう大事な問題を扱う長官としてどんな態勢で現実を見ていらっしゃるのか、あるいは、過去の三十年前に比べて新しい時代に対応するために再吟味しなければならない点等がありましたならば、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  218. 河野洋平

    河野国務大臣 せんだって申し上げましたように、今日科学技術が果たすべき役割は極めて大きいと思いますし、また、国民科学技術に対する期待も極めて大きいと思います。  一方、行政を眺めてみますと、科学技術にかかわっている行政はほとんど全省庁にわたると思います。とりわけ通産省でございますとか郵政省でございますとか、あるいは厚生省でございますとか、挙げれば切りはございませんけれども、こういった役所では技術開発という面で相当な努力をなさっておられるわけでございます。それぞれの役所が、それぞれの技術開発について現場をお持ちでございます。あるいはまた文部省は文部省で学問的に、科学の目的でございます真理の探求について努力を払っておられるわけでございます。  科学技術庁といたしましては、こうした広範多岐にわたります仕事の調整に当たる。もちろん科学技術庁といたしましても、原子力を初めとして、どういう表現をしていいかわかりませんが、現場を持っておる部分もございますが、科学技術庁の果たすべき役割は、こうした各省庁間の調整の役割を果たせということが行革審答申あるいは科学技術会議からの御提言の中にも出ておるわけでございまして、こうした役割を果たしたいと思っております。しかし、これは言うはやすく、実際に調整能力を発揮して調整をするというのはなかなか難しい役割であることも私自身承知をいたしております。しかし、その難しい仕事をやり遂げなければならない、そう考えまして、科学技術庁内の組織の問題を初めとしていろいろ検討をし、具体的な行動に移そうとしているところでございます。
  219. 小川泰

    ○小川(泰)委員 所信表明の、この冊子でいうと二ページの最後のパラグラフに、「第一は、総合的企画調整機能の強化による」云々ということが強調されております。なるほど、今のお話のようにそうかなと思っておりますが、一方、科学技術庁が設置法によって設置されたときの法律第三条、その目的には、もう御案内のとおり、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ。)に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」こう三十年前に実は規定されております。  そこで、総合的な調整機能というものと、この設置法によって科学技術庁というものはこういう役割を果たすためにつくるんだよと言われたこと、私ちょっとこれを比較してみたのですが、現代を考えたときにどっちにウエートがあるのかな、こういう点がちょっと頭にあったものですから今のようなお伺いをしたのですが、もう一度そこら辺をひとつ。
  220. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいま先生仰せのとおり、設置法の第三条には、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」と書いてございます。そして、具体的に申しますと、四条の「所掌事務」の中に詳しく書いてあるわけでございますが、そのうち一つが、ただいま大臣から申し上げましたような科学技術振興策の総合的企画調整及び推進の任務でございます。と同時に、非常に重要な先導的研究開発をみずから行うという面、あるいは研究交流の促進とか科学技術情報の流通とか、言ってみますならば科学技術振興のために横断的に行うべき事項、それらを合わせて三つの仕事を具体的にやっているわけでございまして、それら三つの仕事は全部この第三条の大きな目的を具現するためのものであると理解をしているところでございます。
  221. 小川泰

    ○小川(泰)委員 そのとおりだろうと思っておりますが、とりわけ、今回の長官の所信表明の一番目にこれを持ってきたものですから、何かここら辺に重点を置いてということになりますと、どうしても、現在の役所の機構を見ましても、それぞれ大蔵は大蔵、厚生は厚生といって、おわかりのような長い慣習の中にあるものですから、それらをまとめて総合調整機能というとこれは容易でないな、こういう気が実はしたものですからあえて伺ったわけでございますので、どうぞひとつ所信のように、これから実効が上がるように具体的に行動をしていただきたいなというふうに思っておるわけでございます。  それで、これは私、毎回長官お話し申し上げるのですが、お役所の今までの流れを見ていますと、ややもすると、大きな仕事を抱え、仕事を進めるために大きな予算をこなす、力で仕事を進めるというところが往々にしてリーダーシップをとっていくというような大方の傾向に実はあるものですから、そうなると、この間いただいた、今参議院でも審議している科学技術庁の予算を見ますと、はてなという気も一面しないでもありませんので、これはよほどひとつ長官、先頭に立たれまして、大事な大事な科学技術がいわば日本の将来を卜するに足るくらいの重要な役割を持っている省庁だと私は思いますので、頑張っていただきたいものだというふうに思っております。  そういう意味では、設置法の中に、これは順番で大きさ、位を言っているわけじゃないですけれども、府、省及び庁、こういうふうな文言が大体ありますね。大体普通の読み方だと、何ですか、都道府県というのと同じようなものなんで、それだったら庁というのは省ぐらいの意味合いを十分持ち得る重要な役割を持っているところだなと思うくらいなんで、そんな気持ちでひとつ頑張っていただきたいなと思います。  そこでお伺いしたいのですが、このいただいた冊子の中の三ページの四行目に「「科学技術政策大綱」を、六十年度中に閣議決定すべく準備中であります。」こう書いてありますね。きょうは三月ももう大分詰まってきちゃったのですが、あえてこれはごたごたして申しわけありませんが、大方この大綱というものはここに示されたような中でそう狂わずに決められるのですか。
  222. 河野洋平

    河野国務大臣 近日中に閣議決定をしていただくように準備をいたしておりまして、所信表明で申し述べました期間の中にできるというふうに考えております。
  223. 小川泰

    ○小川(泰)委員 そういたしますと、それができますといずれこの大綱なるものはこういうものですよということが何らかの方法で説明、指示されるな、こう思いますが、大綱を決める場合に、長官はもう大分かかわっていらっしゃるのでしょう。なられて日が浅いからあれでしょうけれども、こういう立派な基本を決めるのですから、随分論議を実績やら何か踏まえてやられてきたと思うのです。きょうじゃなくてもいいのですが、ちょっとこの大綱の大綱、前段で僕が質問したようにここら辺でよっぽど頑張ってもらわないとおかしくなるなと思うものですから、老婆心ながら、もし何かありましたらちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  224. 河野洋平

    河野国務大臣 局長からちょっと答弁させていただきます。
  225. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 この大綱につきましては、昨年の秋の閣議におきまして、本年度内に科学技術政策大綱を決めるということを閣議決定しておるわけでございます。その閣議決定を受けまして、実は科学技術会議におきましてこの大綱のもとになるものを検討してまいりました。それを昨年十二月に科学技術会議で決定し、科学技術会議議長の内閣総理大臣から行政庁の長たる内閣総理大臣にもう既に答申してございます。この過程でいろいろな省庁なりいろいろな専門家の意見を入れましてまとめているということでございます。近日中に閣議で決定いたします科学技術政策大綱は、昨年十二月に科学技術会議の答申したものとほぼ同じものでございまして、決定し次第外部に公表するという手はずになっております。
  226. 小川泰

    ○小川(泰)委員 わかりました。  そこで、その次に出てくるパラグラフで、恐らく臨調答申やら今の大綱検討の中やら長官のお気持ちやら、こういうものを反映して、その真ん中辺に「科学技術庁の内部部局の再編成を行うこととしております。」こういう文言がございますね。現在、五局ですか、中心になってでき上がっておりますが、これは言ってまずければいいのですけれども、何か構想はこんなものだよというようなことがあったら、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  227. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいま先生指摘くださいましたように、私どもといたしましては、ことしの七月一日からかなり大幅な内部部局の再編成を予定いたしております。  その内容は、今仰せのように現在五つの局があるわけでございますが、そのうち原子力関係の二局を除きました残りの計画局、研究調整局及び振興局の三つの局を再編成いたしまして、新たに科学技術政策局、科学技術振興局及び研究開発局の三つの局に改めようとするものでございます。  これは、昨年七月の行革審答申を踏まえてこのような再編成を行おうとしておる次第でございますけれども、私どもの主たるねらいは三つございます。一つは、先ほど来大臣からも申し上げておりますように、総合的な企画調整機能の拡充、及び、そのためにも必要な科学技術会議の事務局機能の強化という目的が第一の目的でございます。それから二番目の目的は、科学技術振興のための体制あるいは条件整備の推進体制の強化といったことでございます。それから三番目のねらいは、科学技術庁の組織全体を通じまして社会的ニーズの変化に的確に対応できるような体制に持っていきたい。こういった三つのことをねらいとしてこのような再編成を考えているわけでございます。  そこで、いま少し詳しく新しい局のことを申し上げさしていただきたいと存じますが、新しい科学技術振興局と申しますのは、我が国科学技術全体につきまして総合的な観点から政策の企画、調整等を行うということと、科学技術会議の事務局機能を担当するというものでございます。それから二番目の科学技術振興局は、研究開発のための基盤整備、あるいは研究交流の促進、あるいは国際交流の推進といったような科学技術振興のための体制整備、条件整備を分野横断的な観点から推進する機能を担当する局でございます。三つ目の研究開発局は、宇宙科学とか、あるいは海洋、ライフサイエンス、材料科学あるいは防災科学といった重要科学技術分野の研究開発を推進をする機能を担当する局でございます。  なお、原子力に関しましては、原子力関係の二局で今後とも引き続き担当してまいりたいと考えている次第でございます。  ただいま、科学技術政策局と言うべきところを最初に科学技術振興局と発言したようでございまして、おわびを申し上げます。訂正をさしていただきます。
  228. 小川泰

    ○小川(泰)委員 せっかくそういう対応も整えて、陣容も恐らく充実強化されていくだろうと思いますので、しっかりひとつ頑張っていただきたいなというふうに思います。  そこでずっと話の内容を変えまして、これは前回も私お話しがてら前の長官にもお問いをしたのですが、この科学技術の進歩というもの、それと同時に、これがどんどん行ってしまいますと、この前の委員会のときに長官も言っていらっしゃったけれども、倫理といいますか、そういうものが裏づけに出てくる、どっちにも憶病になっているとなかなか前へ進まぬというようなお答えもあったようでございますけれども、ここらあたりが政治の部面では大変重要な一つの大きなポイントではないか。要するに人間が中心でありますから、人間が生きようとした場合の手だて、便益、そういうものが文化を築くために幾つかの手だてを必要としてこういうものが生まれてきておるということは言うまでもないと私は思いますが、ややもするとそういうものがどんどん進んでいってしまいますとひとり歩きしてしまいまして、目的が手段に変わっていくということが往々にしてあるものですから、そこら辺の調和というものが、言葉では単純明快なんですが、これをさばくという段階になりますと大変な難しさを持っていると僕は思いますので、せっかくの機会でありますから、その辺の長官の気持ちをお聞かせいただきたい、こう思います。
  229. 河野洋平

    河野国務大臣 小川先生の御指摘は、私も案は同じような気持ちを持っております。  実は、私、非常に興味を持って見ております世論調査の表がございます。これは筑波の科学万博の折だったと思いますが、ある団体がおつくりになった調査資料なんでございますが、御婦人を相手に科学技術についていろいろ質問をしておられます。  その中で、例えば暮らしの中で科学技術が役に立っていると感じているものは何だ、こういう質問に対して、例えば家庭電化製品が非常に便利になってきた、あるいは家事が省力化できるようになってきた、これは非常に御婦人らしいお答えが大変多うございますが、さらに医療の各種設備がよくなってきたということが大変うれしいというふうにメリットの部分ではお答えになっておられます。一方、科学技術がこれだけ進歩発展してきて不安に思うことは何かという質問に対して、人間性の喪失というものがあるんじゃないか、また現実にそうした不安というものを持っておる、あるいは機械に支配されるという状況が出てきやしないか、あるいは自然環境が著しく破壊されるのじゃないか、さらには核兵器に連想が進む、こうお答えになった方もあるようでございます。これらのお答えは、御婦人の方々に対する質問の答えとして出てきているわけでございますが、私は非常に日常的な感覚がここに出ているように思うわけでございます。  私は、科学技術行政の責任者といたしまして、こうしたことにも十分配慮しなければなるまい、こう考えております。とりわけ、科学技術万能というような安易な気持ちで、科学技術がすべてを支配する、あるいは大通りを突っ走っていってしまうということではなるまいというふうに思います。ただ、先ほど先生もちょっとお触れになりましたが、しかし我々が科学技術の進歩発展によって乗り越えなければならない問題も我々の前にはございます。また、我々の周辺にもあるわけでございまして、その調和を図っていかなきゃならぬ。これは、日本の国一国で判断をし切れないものもあろうかと思います。国際的に相談をしなければならない、そういうものもあるのではないか。あるいはまた、次の世代へ我々が残していくべきものとして、それが人間性を喪失するというようなものが残されていったのではよくない。そこら辺をよく考えていかなきゃならない。そのためには、一つはやはり変化のスピードというものもよく考えていかなければならぬ、一部門だけが大変なスピードで変化していってしまうということであってはならぬと思います。そうしたことの調和をよく考えながらやっていかなければならないのではないか、こんなふうに思っているわけでございます。
  230. 小川泰

    ○小川(泰)委員 これは具体的な例示を取り上げてと申し上げたいところですが、大変多岐にわたる問題ですから、お気持ちはよくわかっておりますので、さらにそれを進めまして、長官の表明の一ページの後段のパラグラフにありますように、とりわけ「創造的な基礎的研究重視の体制へと転換を図ることにより」云々、こういう文言がここにございますね。これは私はっと思ったときに、従前の日本の産業や工業の発展というものは、基礎技術というものよりもでき上がったものを活用するというところに大変な力を入れて高度経済も進んできた。日本全体が基礎技術、基盤技術に導入する経済的なウエートとか、そういうものから見ますと大分お粗末ですよというような論議がここ数年続いてきて、それじゃそっちへ行こうやというふうな意味合いも含めてここに出てきたのだろうというふうに思います。悪口を言わしてもらうと、それにしては予算が随分少ないな、こういう感じも実はするのですが、それはおくといたしまして、こういうところに着目されることは非常に結構なんであります。  と同時にもう一つ。今の趨勢は、材料工学の問題にいたしましても何にいたしましても、基礎技術というものができ上がってからそれが活用されるまでの間の時間というのが、今までは随分いろいろな経過を経て実際のものになっていったというので、そういうものに対するこなす時間、対応時間というのが、最近見ていますと、基礎的なものができ上がるとさっとこれが実用化していくという、期間の短縮というのがどうもこのごろ特徴的に見え出した。なれば、そこら辺も対応する体制、我々の構えというものももう一つこれから必要になってくるのではないかな、こういうふうに思うのですが、その辺どんなふうに御認識になっていらっしゃるか。
  231. 河野洋平

    河野国務大臣 先生指摘のとおりでございます。  一つは、創造的な基礎的研究重視の体制というのは、後ほどお答えを申し上げますけれども、私自身、日本もここまで来たならば、国際的な役割ということを考えても、もっともっと基礎的な部分の研究をやっていく必要があるのじゃないか。今までのように、今までも必ずしもそればかりではございませんけれども、言われますように加工、応用というところに、非常な大きなウエートがかかっていたというふうに御指摘をいただいているようでは、国際的な役割という意味からいうと十分ではない。もちろんそれでも国際的役割を果たしている部分もあろうと思いますけれども、私は、これからはもう一歩踏み込んで、国際的な役割という観点からも基礎研究という役割も日本は大いに担っていくべきであると考えておるわけでございます。  そして、後段先生がおっしゃいましたように、研究開発と商品化の時間差が非常に少ない、速い。というのは、一つは、もう十分御承知のとおり、日本技術開発投資が官民合わせて七兆円をちょっと超える金額でございますが、そのうちの六兆円近くが民による開発技術投資でございます。一般論として申し上げれば、民間の方々の技術開発への投資は比較的商品化へ近いところに投資されるというケースも多かろうと思うわけでございまして、そうしたことが、開発された、新しいものを見つけた、すぐにそれが商品化されて各家庭に出回る、こういうケースが間々あるわけでございます。そういたしますと、そうした商品の中に、例えばそれが教育的な見地から見て果たして適当な商品であろうかとか、あるいは健康の面から見てそれが本当に大丈夫であろうかとか、そういったまた新たな疑問が出てきたりするということも、余りに時間が短過ぎると、競争の結果短くなるということになりますと、そうした問題も出てくるのではないだろうか。そんなこともふっと考えて申し上げているわけでございます。  詳細、もう少し担当から御答弁させていただきたいと思います。
  232. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいま大臣から基本的な考え方について申し上げたわけでございますが、私の方からは、それではそのようなことをどのように具体化しようとしているのかということにつきまして、補足的に申し上げたいと存じます。  やはりその第一は、予算の重点的配分ということではないかと思うわけでございます。まず、創造的な基礎的研究への予算を少しでも多くしようという努力をしているところでございます。先日も御報告申し上げましたように、科学技術庁昭和六十一年度予算は、総合計で申しますと対前年度比一・六%増でございましたが、この創造的な基礎的研究の分野につきましては、ざっと五割アップの予算を重点的に組んだ次第でございます。  特に、新規の事項が二つ入っております。一つは、これも先日御報告申し上げたとおりでございますが、理化学研究所におきましてフロンティア研究を推進するための新たな経費約十一億円、それから新技術開発事業団の事業としてハイテクコンソーシアム制度というものをつくりまして、国費による研究成果たる基本的特許をもとに、それを周辺特許に拡大するための経費約二億円の新規の事項を予定しているわけでございますし、また、従来から行ってまいりました新技術開発事業団の創造科学技術推進制度もある程度の拡充をしております。また、科学技術振興調整費につきましても七十一億円から七十九億円ということで、予算面におきましてはかなりの努力をしているところでございます。  それからもう一つ、体制の問題といたしまして、昨年基盤技術研究円滑化法が成立を見たわけでございますが、このたび私どもから、産学官及び国際的交流をよりやりやすくし、そのことによって、基礎的な研究をさらに深めるための研究交流促進法案を先般衆議院に提出させていただいたわけでございまして、予算面、法律制度面、その他いろいろな面で、私どもただいま先生の仰せのポイントを最大の努力を払って実現をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  233. 小川泰

    ○小川(泰)委員 そういう対応の姿勢、今御説明のとおり私も承知しておるのですが、どうも最近見ていますと、速度が一番心配になるのです。いろいろ対応を、予算をつけられたり体制をつくったりしていくのでずが、十分これで間に合うのかどうかということは、これから試行錯誤でいってみませんとなかなかこの種のものは難しかろうと思いますので、とりわけそういう心組みで重点的に当たっていただきたい、こういう気持ちがあったから御質問申し上げましたので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  そのときに、私、過去を振り返りまして、この前も申し上げたのですが、先ほど来、原子力に関してこの委員会ではたびあるごとの法律案をめぐって、現場の御苦労やら実態やらいろいろ論議をされて、ずっと私も参加をして聞いております。非常にこれも重要なこと、結構なことだと思っておりますが、どうも日本人の奥深くには、あの広島、長崎の原爆というものが理屈を超えて相当な尾を引っ張っておる、これは紛れもない事実だ、こういう経験を我々は持っています。また、世界じゅうで唯一の被爆国民としてもかけがえのない体験を我々はしておる。これをじっと見詰めてみますと、一体原爆というものはどんな環境の中で、どういう条件と要請の中でつくられ、使われたかという忌まわしい戦争の経過なども歴史的に足取りをたどってみますと、相当これは無理をしてあの段階でつくり、また使ったな、こういうことを過去の事実として私ども深く反省をしなければならぬ。私は、こういうものも一つ判断の材料に挙げたいのです。  もう一つは公害。高度経済成長という中で、ばあんと打っちゃった。前へ行け、前へ行け。公害列島などという悪名も帯びるくらい、日本は戦後の中で来てしまった。これも、そうなりはしないか、気をつけましょう、気をつけましょうと言いながらも、そういう体験を二度目にした。さて今は何だというと、そういう物的な影響も大変困ったものだし、大事ではありますけれども、どうやら人間の心の中へ、ひょっとするとすき間風が吹き始まったのではないか、こういうことすらも私感じている一人なんです。  先ほど長官が言われた科学万博のときの世論調査、私も承知しております。そして、かわいい我が子を育てる一番のもとの御婦人方、人間が命を受けて生まれ育ったときに一番接触をし、スタートを切るのはお母さん、そういう人間の避けて通れない道程の中の御婦人方が、片一方では宇宙の話もする、バイオの話もするというふうに進んでいっているのですが、人間のために必要とする科学というものにもう一回思いをいたしますと、私は、ああいうお気持ちが出てぐることに対して大事に大事に耳を傾け、もっと深刻に受けとめて科学技術行政というものは政治の分野からあってしかるべきだということを教えられたような気がするのです。そこら辺が私の頭の中を去来するものですから、設置法第三条まで引き合いに出しまして、長官の今回のこの方針のポイントまでこれにつなげてみて、一体これでいいんだろうか、これはどこで取り上げるべきか。したがって、いわゆる「人文科学のみに係る」、「及び大学における」などというので当初つくったのだけれども、これは科学技術庁で扱うべきものなのかどうかわかりませんが、そういうもの全体を包含しまして、今言ったような問題は国を挙げてしっかりした調査や対応に入っていく、それを今非常に必要としているのじゃないのかなというふうに思います。  したがって、具体的にはこういう体制を組みなさい、こういう委員会でもっと深刻に勉強しましょうや、各省庁あるいはそれこそ国を挙げて全体の知恵を集め合って、二十一世紀に向かってどうするのだというようなこともやってほしいくらいの、私は、過去四十年の経過の中で我々がたどってきた正さなければならないものを深刻に受けとめて今を見詰めておる、こういう意味で申し上げたので、そこの辺は、やがて出てくる、既にその骨子は出されている科学技術政策大綱などというものをさっと散見されましても触れては奉りますが、重点はどうしても従来の延長線上に置かれて、合理性、発展性を追求する方向へ進んでいっているのです。その速度と同じ以上に、今言ったようなもう一面、これは同時並行的に進められていかなければ、さっき申し上げたような速さに対応し切れないというふうな気が私はどうもしてならないのです。  抽象論で大変恐縮なのですが、大体気持ちはおわかりいただけるのだろうと思いますが、そういうものこそ、一つ一つの法案を通じて論議するのも結構だけれども、我々この科学技術委員会の政治の立場からあるべき姿を追求するという場を、ひとつぜひ先々みんなで工夫して僕は持っていいんじゃないか。この種のものはどこかで問題提起いたしませんと全体のものの芽吹きにならないというふうに思いますので、ぜひ長官、その辺は忌憚なく御相談、研究願って、問題の提起をしていただきたいなというふうに思うのです。その辺の気持ちのほどで結構です。別に私はこだわりませんから。
  234. 河野洋平

    河野国務大臣 私も、心配しておることはその辺でございます。倫理観とかあるいは哲学とかいうものがもっと科学の領域の中に入ってこなければいけないのではないか。日本でも非常に高名な物理学者であり、なおかつ神学の先生がいらっしゃいますけれども、こうした方々の書かれたもの、お話などを伺ってみましても、もっと日本の科学というものは歴史観を持つ必要があるということを指摘をしておられるところでございまして、私どもは我々の先輩が歩んできた道もよく踏まえながら、あるいは日本が持つ文化的な背景というものを十分踏まえながら、日本科学技術を育てていかなくてはならない。調和こそ最も重要なものだ、平衡感覚をしっかりと身につけながら、しかし一方で国際的にも目配りをしながら、この科学技術の育成に当たってまいりたい、こう考えております。
  235. 小川泰

    ○小川(泰)委員 ちょっと一分だけ。気持ちはわかるのですが、私はもう一歩踏み出してもらいたいというふうに思うのです。生意気なようでありますが、いわば欧米の文化の歴史、科学技術に対応する今日までの足取り、東洋的な日本の歴史や哲学や今までの足取り、こういったようなものをじっと見詰めてみまして、出てきておる現象を戦後四十年間見てみると、こういう問題こそ僕は世界の中に役立つ日本らしさではないか。とりわけ科学と人間、情操というようなものを、なかなかこれは欧米文化の中ではいかがかなというような気がするもので、そういう特徴を持っている我々日本民族こそがそういうものをうんと強調し、芽吹いていっていいのじゃないか、こういう気持ちがありますので、あえて私は強調しておきます。ひとつぜひ何か研究なすって、芽を出すようにしようじゃありませんか。
  236. 河野洋平

    河野国務大臣 おっしゃるように、西欧文川に対抗して東洋には立派な東洋文明というものがございます。この東洋文明の持つ、例えば輪廻なんという考え方一つのライフサイクルにもつながる考え方でございまして、これこそ生命とか地球とかというものを中心にして一つのサイクルを描いていく、一定のサイクルも我々も頭に入れながら考えなければならぬというふうに思うわけでございます。  今先生から御指摘をいただきました問題点は、私ども十分重要に受けとめたいと思っておりまして、例えば科学技術会議のライフサイエンス部会の中にライフサイエンスと人間に関する懇談会ができまして、先日一回目の会合を開きまして、岡本先生が主査になっていただいて、今先生が御指摘になったような議論をこの中でしていただけるというふうに承知をいたしております。また、この懇談会、少し進みましたらば私も報告を聞いてみようかと思っておりますので、何か御報告を申し上げるようなものが出てまいりましたら、機会をとらえて御報告さしていただきたいと思います。
  237. 小川泰

    ○小川(泰)委員 ありがとうございました。終わります。
  238. 矢追秀彦

  239. 山原健二郎

    ○山原委員 核燃料処理問題について幾つかお伺いいたします。  イギリスのセラフィールド再処理工場で、ことしに入りまして五回にわたって放射能漏れの事故が続発をいたしております。しかも、周辺海域の放射能汚染は深刻であって、同工場の廃棄物による魚の汚染はスウェーデン付近まで広がっていると指摘をされています。  イギリスの下院環境問題委員会は、委員長はロッシー氏でありますが、ここの再処理工場は世界最大放射能廃棄物排出源であり、その結果、アイリッシュ海、アイルランド海域ですね、アイリッシュ海は最も汚染された海域となっていると厳しく批判をいたしまして、再処理の必要性そのものを再検討することを求めた報告書を発表しております。また、欧州評議会におきましても、同工場の閉鎖を要求しておりまして、アイルランド首相はサッチャー・イギリス首相に懸念を表山をしたというふうに伝えられておりますが、これらの一連の事実関係につきましては、科学技術庁として当然把握をしておられると思いますので、まず最初に簡潔にこの経過について御報告をいただきたいのです。
  240. 辻栄一

    ○辻政府委員 英国のセラフィールド工場の事故の概要でございます。本年に入りまして、英国のセラフイールド再処理工場におきましては四件のトラブルが発生いたしております。その概要は、次のとおりでございます。  まず第一は、一月の二十三日、ウラン蒸発桁の故障によりまして四百四十キログラムのウランを含む溶液が海洋放出用の廃液タンクに流入した。この工場を所有しておりますBNFL社は環境に影響がないと判断いたしまして、これをそのまま海に放出したということが新聞に報じられております。  二月の五日、プルトニウムの精製分離工程で、ポンプを修理いたしております最中に過って圧縮空気、これはポンプを作動するための圧縮空気のようでございますが、それが廃液に吹きつけられて、プルトニウムを含みます廃液が室内に風の力で飛び散った。そのために、初期的な検査では十五人の従業員が被曝をした可能性があるということで、調査を実施中であるというふうな報告がございました。このBNFL社では、屋外に五十マイクロキュリーの放射能が放出されたと推定しておりますけれども、これは屋外のモニターでは検出されてはいないということでございます。しかしながら、この工場の操業は同じ日の夜再開されておるということでございます。  第三は、二月の十八日、使用済み燃料の貯蔵プールの水約千百リットルが施設内の溝に漏えいをいたしまして、漏えい水はすぐ処理をされまして、施設は復旧いたしました。  第四は、三月一日、プルトニウム・ウラン混合酸化物取り扱い建屋内におきまして空気中の放射性物質濃度が上昇いたしまして、数名の従業員に体外汚染が検知されたけれども、これについては直ちに除染を行った。内部被曝につきましては現在調査中であるということでございまして、環境の影響はなかった模様でございます。  先ほど先生五件と指摘されましたが、セラフィールド工場については四件でございまして、もう一件は、この近くにありますドリッグ低レベル廃棄物処分場、ここで何かぼやがあったということでございます。二月の十三日に小さな火事があったという報道がございました。現在これにつきましては、セラフィールド工場がこのように事故が続いたということで、英国政府によりまして安全性の総点検が行われているところでございまして、その結果所要の改善措置がとられるものではないかと考えております。  全体といたしまして、セラフィールドの再処理工場放射性物質の放出基準量というものが日本なんかと比べますと非常に量が大きいということでございまして、これらの事故、特に海洋放出のようなものにつきましては、許容量的にはその許容量の範囲内であるというふうにBNFLは言っております。  なお、その他、先ほど先生指摘イギリスの下院環境問題委員会、これが放射性廃棄物問題についての検討をやりまして報告を行っております。報告書の中には、先生指摘のあったようなことも述べられてはおりますけれども、海洋汚染の問題につきましては、あわせてこの放出によりまするところの放射能汚染による人体への影響は特にとりたてるほどのものはないということも同報告書では言っております。  ざっとそういったような状況が最近まであったわけでございます。
  241. 山原健二郎

    ○山原委員 このセラフィールドは三年前、一九八三年十一月にも問題が起こりまして海岸が立入禁止になっておりますし、また責任者が告発されるという事件も起こっているわけですね。しかも、イギリスは再処理のいわば先進国であるわけですが、こういう事故がことしに入って、今四件とおっしゃいましたが、四件といたしましてもそういう事故、トラブルが発生するということになりますと、きょうも問題になっております青森県六ケ所村に建設計画されている民間の再処理工場も、結局同じような放射能汚染問題を引き起こすのではないかという危惧の念が地元関係者に起こるのは当然だと私は思います。一体どうしてこういうひどい汚染事故が生じたのか。イギリスでも恐らく安全対策は万全を期しているはずでありますけれども、結局大型の再処理工場の宿命としてこういうことが発生するのかどうか、その辺はどうお考えでしょうか。余り時間がありませんから、簡単に答えてください。
  242. 辻栄一

    ○辻政府委員 一つには、放射能の海洋放出等に対する規制についての考え方が、日本における場合とヨーロッパ諸国とではかなり大きな差があるということは一つ申し上げられるのではなかろうかと思います。例えば、先ほどもちょっと触れましたが、イギリスのセラフィールドの再処理工場の海洋に対する許容放射能量でございますが、これは年間二十万キュリーという量が法令上許容されておるわけでございますし、フランスの再処理工場につきましても数万キュリーの許容放射能量が認められております。  日本の場合はその点についてはずっと神経質でございまして、これは規模が違いますので直ちに比較はできませんけれども、例えば東海村の再処理工場での海洋の許容量は二十六キュリーということで、けたがまるっきり違うわけでございます。そういったようなことから、別途の環境問題を考える側とすればいろいろ御意見が出てくるというような事情もあるのかとは思いますけれども日本の再処理工場につきましての海洋汚染問題についての諸般の安全規制は、ヨーロッパに比べましては格段の規制のやり方をもって臨んでいるところでございます。
  243. 山原健二郎

    ○山原委員 今まで原子力発電所の問題でも、例えばアメリカとは我が国は違うんだということを科学技術庁としては盛んに強調されるわけですね。イギリスで問題があったとしても日本の場合は安全だ、こういう見地ですけれども日本の電力会社はイギリスに再処理を委託しているわけでして、この海外処理委託政策そのものもまた私は問題があるのではないかというふうに思うわけでございますが、この点は科学技術庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
  244. 中村守孝

    中村(守)政府委員 我が国ではウラン資源にも乏しい、その他エネルギー資源も乏しいということから、できるだけエネルギー資源の有効活用ということから使用済み燃料を再処理するという方針で臨んでおるわけでございますが、フランス及びイギリスに現在のところこの再処理を委託し、行く行く民間再処理工場を国内に建設しようということでございます。  この点につきましては、先生今御指摘のように、海外の再処理工場においてトラブルがある、そういったところに再処理日本も委託している、そういうような不安定なことでいいのか、こういうことかと思いますが、これまでフランスあるいはイギリスの工場でいろいろなトラブルが発生しているとは申しますが、フランスにつきましては、例えば現在天然ウラン八百トン・パー年、または濃縮ウラン四百トン・パー年の処理能力を持つUP2の工場が運転中でございまして、これも近年は順調な稼働を続けておりまして、一九八五年には四百トンの能力に対して三百五十一トンという好成績も上げていると聞いておりますし、それからフランスでは、これからこういった過去の経験を生かして新しいUP3という工場を現在建設中でございまして、日本の再処理は大半がこの新しい工場で処理されるということになろうかと思います。イギリスにおきましても、現在いろいろトラブルを起こしております施設は一九六四年に操業を開始した非常に設計思想の古いものでございまして、現在、過去の経験とそれからイギリス経験のみならず諸外国の知見も含めて、イギリスでは新しいTHORPという工場を建設中でございます。日本から委託する再処理使用済み燃料はほとんどこの新しい工場で操業されるというふうに聞いております。  したがいまして、このそれぞれのフランスイギリスにおける今後の新しい施設等におきまして日本から委託しました使用済み燃料は十分計画どおり再処理していただけるものと思っておりまして、当面そういった考え方を改めるというつもりはございません。
  245. 山原健二郎

    ○山原委員 イギリスは先進国だ、日本は委託しているわけですからね。そういうところでもこういう事態が起こっておりまして、公の機関から閉鎖や必要性そのものの再検討が出されるに至っているということは、まさにこれは学ぶべきことだと思うのですね。世界的に見ましても、再処理技術はそういう意味ではまだ未確立ではないか。まして商業ベースに乗せた大型工場の建設などということになりますと、これは論外ではないかというふうな感じがするわけです。イギリスの場合は今お話ししたとおりですが、日本の場合も、東海工場もトラブル続きで満足な実績が上がっているとは言えません。これは、この前私が指摘したところです。  フランスの場合も、最近は今おっしゃったように順調だというお話でございますけれども、一九八〇年から一九八二年にかけましてトラブルがありまして、一時ストップをしたりしてきておると言われております。ごく最近の稼働率は上がっていると今おっしゃったとおりですけれども、その再処理の最先進国と見られているフランスでも、今の再処理路線に対して疑問が出ていないわけではありません。例えば、ここへ資料を持ってきておりますが、原子力安全最高会議、CSSNでございますけれども委員長の名をとっていわゆるキャスタン委員会、その委員会が報告書を出しているわけです。一九八二年十一月から一九八四年十月にかけて再処理問題や放射性廃棄物問題で三回にわたって報告書を、これは勧告を含めてまとめておりますが、御承知のことと思います。再処理に関する報告内容で注目すべきことは、再処理から派生する高レベル放射性廃棄物処理処分の問題ともかかわりまして、現在とっている即時再処理という方針にこだわらず、一時貯蔵後の遅延再処理あるいは非再処理を含めた三つのオプションを提唱しているという状態でございます。  結局重要なことは、再処理のいわばトップランナーと言われるフランスにおいてさえ現在の再処理路線について疑念が提示されていることは間違いありません。こういう点をよく見ないで、フランスイギリスも大型再処理工場の建設を進めているから日本も推進するという態度は、私は危険だと思うのです。その意味で六ケ所村の民間再処理施設設計画を拙速でなくて、やはりそれを促進する政策を見直すべきだというふうに思いますが、返事はわかっておりますけれども、あえてお伺いしておきたいのです。
  246. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  フランスにおけるキャスタン報告等については私どもも承知しておりますが、使用済み燃料の再処理、すぐにするか時間をかけてするか、ここら辺はプルトニウムの需要等との関係からいきましていろいろな考え方もあろうかと思いますし、それから廃棄物の問題につきましても一層の技術的な改善を進めていくということで、キャスタン報告では、高度化再処理技術というようなもの、それから使用済み燃料を直接貯蔵してしまうような貯蔵技術研究、こういったものも進めていく必要があるという見解を出しているものでございまして、我々におきましても、今後の長期的な展望といたしましてこういった問題を検討していくべき問題だと考えております。  しかし、我が国といたしましては何分にも資源が少ないということでございまして、いずれにいたしましても使用済み燃料のプルトニウムの再利用というものは、時間的な問題はあるにいたしましても確立していかなければならない問題であるわけでございまして、当面進めております下北の再処理工場は、我が国におきますこういう使用済み燃料の再処理の基盤を形成するという意味においても重要な施設でございますので、そういった考え方で計画を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  247. 河野洋平

    河野国務大臣 いろいろと御心配をおかけをいたしておりますが、私どもといたしましては、従来の我々が積み重ねてきた研究、そしてまた再処理先進国と言われる国々の経験あるいは研究、そういったものを十分に取り入れまして、その安全性において世界に誇れるような再処理施設をつくるということが私の念願でございます。
  248. 山原健二郎

    ○山原委員 六ケ所村の民間再処理工場がやはりフランス技術を導入する、そういう形で進められておるとお聞きするわけですが、東海もそうでして、東海再処理工場フランス技術導入によるものでございますけれども、こういう点から見まして、しかも、その東海再処理工場は率直に言ってトラブル続きでしょう。だから、このまま拙速に走れば東海工場の二の舞を踏みかねないという心配をするのは当然だと思うのですよ。その上に、今度の六ケ所村の規模は東海の四倍、しかも経済性が厳しく問われるいわゆる商業ベースに乗せるということを考えますと、二の舞どころか、より深刻な事態が起こらないという保証はない、それくらいの危惧の念を持って科学的な立場で対処するのが当然ではないかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
  249. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  日本におきます東海村の再処理工場につきましては、我が国の再処理技術についての最初の経験といたしましてこれまで何回かトラブルも生じましたが、これらにつきましては我が国技術力をもってその都度徹底してその原因を究明し、所要の対策を講じ、問題点を克服してきておりまして、これまでの間の経験とそれから技術開発によりまして、この再処理技術について国内でも十分その技術を評価し得る能力が確立されておるわけでございます。  今後の民間再処理工場の建設に当たりましては、この動燃事業団において築き上げられました我が国技術的能力をもとに、世界の最新の技術、それにつきまして十分な吟味を加えて、最も確実かつ経済的な技術を採用して工場を建設しようとしておるわけでございまして、先生指摘の安全の問題につきましては、当然安全審査の段階におきまして政府として厳重なチェックをするわけでございます。それのチェックにつきましても、かつての東海村の再処理工場を建設したころに比べまして格段に豊富なデータ、経験を持っておりますので、そういったものに基づいて厳重な安全審査が行われるものと考えております。
  250. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、十五、六年前の当委員会原子力船「むつ」が論議されたことを思い出すのです。当時森山長官でございましたが、実は原子力安全性を危惧するような者は火を恐れる野獣だという言葉まで出てきまして、この場所で激論を闘わせた。そして「むつ」は出航を強行して、その直後にあのような事件が起こったわけですね。これは本当に科学技術の問題で、私は科学技術は全く素人でありますけれども、しかし、これを論議する科学的な立場というのは我々もしっかり根に持ってやっているわけですが、それが安全だ、安全だとおっしゃる中でああいう事故が起こったことを考えますと、もう随分局長もおわかりだと思います、長官もおわかりだと思いますけれども、これは本当に万全の体制をとってやらないと、しかも、ことしに入って四回も再処理先進国における事故が発生するということになりますと、確かに新しい工場がつくられつつあるとは言いますけれども、率直に言って世界に学ぶべきものはまだないわけですからね。そうしますと、六ケ所村の問題は本当に深刻な問題であって、住民の方々のそういう気持ちというのは痛いほどよくわかるわけです。  きょうは時間がもうありませんから、少し問題を変えまして、さきに原子力安全委員会が決定いたしました再処理施設安全審査指針についてお聞きをしたいのですが、ここでは原発で採用されている周辺一般人の放射線被曝線量目標値の年五ミリレムがないわけですね。結局、原発並みの放射線管理は現実には期待できないということからこれが消えたのでしょうか。
  251. 辻栄一

    ○辻政府委員 原子力施設周辺住民の被曝線量につきましては、先生御承知のように年間五百ミリレム以下に抑えることが法令によって義務づけられておりまして、これによって十分な安全確保が図られるということになるわけでございます。この点につきましては、再処理工場につきましても原子力発電所と何ら変わるところはないわけでございます。この法令に基づく規制値に加えまして、すべての放射線被曝は合理的に達成できる限り低くするという考え方が国際放射線防護委員会、ICRPで出ておりまして、ALARAの原則、こう言っておるわけでございますけれども、この原則に基づきまして、従来から、再処理施設を含む原子力施設周辺住民の被曝線量の低減化、合理的に達成できる限り低くする、そういうための努力が行われてきているわけでございます。  原子力施設のうち軽水型原子力発電所につきましては、被曝低減化のための共通の努力目標値として年間全身五ミリレムという、線量目標値と言っておりますけれども、これが原子力委員会によって既に定められているところでございますが、これは昭和五十年当時数多く内外で建設、運転されておりました軽水型原子力発電所、その建設及び運転の経験から得られました知見に基づきまして、実現可能性の評価を行った上で定められたものでございます。先ほど申し上げましたALARAの精神から言えば、むしろ画一的に決めるというのは本来の姿ではないのでありますけれども原子力発電所の場合には、先ほど申し上げましたように、設計が標準化されているということからこういうことを決めることもできるという考え方で定められたものでございます。  ところが、再処理施設につきましては数多く建設されるものではございませんので、線量目標値を定めるための建設、運転経験がまだ蓄積されているということは言いにくい、再処理施設について軽水型原子力発電所と同様の考え方に基づく線量目標値を定めるのは適当ではないという考え方で決めなかったわけでございまして、むしろ現状におきましては、個々の施設に即しましてどの程度まで被曝低減を図ることが可能かということを安全審査の際にぎりぎりと検討する、そしてそのときに決定するということがICRPの言いますところのALARAの原則にのっとったやり方である、こういう考え方で再処理基準をつくりました専門部会で定めなかったわけでございまして、決して周辺住民の被曝線量を野放しにするという考え方ではないのでございます。この指針におきまして周辺住民の被曝線量が合理的に達成できる限り低いことを評価するというふうに書いてあるわけでございまして、青森県に計画されております民間再処理工場につきましても、安全審査の段階周辺住民の被曝低減化のための十分な努力が設計上なされているかどうかということについて慎重に判断するということになるわけでございまして、また、それによって運転段階におきましてもその低い被曝放射線量が確保されますように安全規制が行われる、こういう手続になるわけでございます。
  252. 山原健二郎

    ○山原委員 あと一問で終わります。  今おっしゃったのですが、実は六ケ所村の再処理工場は、先ほど言いましたように東海の四倍の規模であり、しかも東海で処理する燃料よりはるかに高い燃焼度のものを予定しているのでございまして、放射線量の低減が難しいということではないか。そのために五ミリレム・パー年が目標値として明記できなかったのではないかというふうな感じもするわけですが、これについてお答えいただきたいということ。  もう一つは、科学技術庁はこの年間五ミリレムが明記されなかった点について、今まで技術的な知識、経験が不十分な現時点では決められないと説明してこられましたね。これは新聞も持ってきておりますが、理由はそういうことをおっしゃっておられた。そういう理由なら、全くこれは科学技術庁自身が矛盾を起こしておると言わざるを得ません。民間再処理工場建設推進の理由として、既に世界的にも再処理を商業ベースに乗せるだけの十分な実績がある、そういう経験があるからと説明をしてこれを推進してこられたわけでしょう。そうしますと、安全基準になるとそれが逆になって、百八十度話が変わりまして技術的知識、経験が不十分だ、こういう言い方はまさに矛盾に満ちた、いわば御都合主義的な考え方ではないかというふうに考えられますが、最後にこの点についての説明を伺っておきまして、私の質問をきょうは終わりたいと思います。
  253. 辻栄一

    ○辻政府委員 線量目標値を決めるために必要な運転経験の蓄積という問題と、それから日本で商業用再処理工場の建設を行うに必要な技術の現状ができているかどうかということは、全く別問題であるというふうに考えておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、線量目標値というのはALARAの精神のところからいけば、どちらかといえば画一的に決めるものではなくて、それぞれ個々の施設種類に応じましてこれに適切な量を具体的な安全審査を進めながら決めていくというのが本来のものでございますが、原子力発電所につきましては先ほど申し上げましたように、もう既に設計が標準化されておる。一々ケース・バイ・ケースで検討する必要もないほど設計が標準化されておるということで五ミリレムというものを決めたのだ、こういうのが基本精神でございまして、技術が商業用にできているかどうかという問題とは全く別の問題であるというふうに考えております。
  254. 山原健二郎

    ○山原委員 きょうは終わります。
  255. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 次回は、来る四月一日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十分散会