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1985-11-01 第103回国会 参議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月一日(金曜日)    午前十時開会     —————————————   委員氏名     委員長         安田 隆明君     理 事         遠藤 政夫君     理 事         志村 哲良君     理 事         桧垣徳太郎君     理 事         降矢 敬義君     理 事         水谷  力君     理 事         竹田 四郎君     理 事         太田 淳夫君     理 事         内藤  功君     理 事         伊藤 郁男君                 安孫子藤吉君                 岩動 道行君                大河原太一郎君                 長田 裕二君                 海江田鶴造君                 梶木 又三君                 梶原  清君                 古賀雷四郎君                 沢田 一精君                 山東 昭子君                 杉山 令肇君                 関口 恵造君                 田中 正巳君                 土屋 義彦君                 成相 善十君                 秦野  章君                 鳩山威一郎君                 林 健太郎君                 宮澤  弘君                 宮島  滉君                 久保田真苗君                 野田  哲君                 福間 知之君                 村沢  牧君                 矢田部 理君                 安恒 良一君                 和田 静夫君                 桑名 義治君                 鈴木 一弘君                 高桑 栄松君                 中野 鉄造君                 上田耕一郎君                 柄谷 道一君                 青木  茂君                 野末 陳平君     —————————————    委員の異動  十月十四日     辞任         補欠選任      沢田 一精君     岩本 政光君      成相 善十君     金丸 三郎君      青木  茂君     秦   豊君  十月十八日     辞任         補欠選任      山東 昭子君     竹山  裕君  十月二十一日     辞任         補欠選任      上田耕一郎君     安武 洋子君  十月二十二日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     上田耕一郎君  十月二十三日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     田  英夫君  十月二十八日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     本岡 昭次君  十月三十日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     上野 雄文君      鈴木 一弘君     大川 清幸君      高桑 栄松君     和田 教美君  十月三十一日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     中西 一郎君      上田耕一郎君     佐藤 昭夫君      柄谷 道一君     関  嘉彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安田 隆明君     理 事                 遠藤 政夫君                 志村 哲良君                 桧垣徳太郎君                 降矢 敬義君                 水谷  力君                 竹田 四郎君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 伊藤 郁男君     委 員                 岩動 道行君                 岩本 政光君                大河原太一郎君                 長田 裕二君                 海江田鶴造君                 梶木 又三君                 梶原  清君                 金丸 三郎君                 古賀雷四郎君                 杉山 令肇君                 関口 恵造君                 竹山  裕君                 中西 一郎君                 秦野  章君                 鳩山威一郎君                 林 健太郎君                 宮澤  弘君                 宮島  滉君                 上野 雄文君                 久保田真苗君                 野田  哲君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 安恒 良一君                 和田 静夫君                 大川 清幸君                 桑名 義治君                 中野 鉄造君                 和田 教美君                 佐藤 昭夫君                 関  嘉彦君                 秦   豊君                 田  英夫君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        法 務 大 臣  嶋崎  均君        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  松永  光君        厚 生 大 臣  増岡 博之君        農林水産大臣   佐藤 守良君        通商産業大臣   村田敬次郎君        運 輸 大 臣  山下 徳夫君        郵 政 大 臣  左藤  恵君        労 働 大 臣  山口 敏夫君        建 設 大 臣  木部 佳昭君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    古屋  亨君        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  河本嘉久蔵君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       金子 一平君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       竹内 黎一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石本  茂君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       藤本 孝雄君    政府委員        内閣法制局長官  茂串  俊君        内閣法制局第四        部長       工藤 敦夫君        国防会議事務局        長        塩田  章君        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     林  淳司君        総務庁長官官房        審議官      米倉  輝君        総務庁人事局次        長        兼内閣審議官   吉田 忠明君        防衛庁参事官   古川  清君        防衛庁長官官房        長        宍倉 宗夫君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       大高 時男君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛庁装備局長  山田 勝久君        防衛施設庁長官  佐々 淳行君        防衛施設庁施設        部長       宇都 信義君        経済企画庁調整        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁総合        計画局長     及川 昭伍君        国土庁長官官房        長        吉居 時哉君        外務省アジア局        長        後藤 利雄君        外務省北米局長  栗山 尚一君        外務省中近東ア        フリカ局長    三宅 和助君        外務省経済局長  国広 道彦君        財務省経済局次        長        池田 廸彦君        外務省経済協力        局長       藤田 公郎君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        外務省情報調査        局長       渡辺 幸治君        大蔵大臣官房総        務審議官     北村 恭二君        大蔵省主計局長  吉野 良彦君        大蔵省国際金融        局長       行天 豊雄君        農林水産大臣官        房長       田中 宏尚君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君        水産庁次長    斉藤 達夫君        通商産業大臣官        房審議官     松尾 邦彦君        中小企業庁長官  木下 博生君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      棚橋  泰君        建設大臣官房長  高橋  進君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    参考人        日本銀行総裁   澄田  智君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査     —————————————
  2. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。  国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、予算執行状況に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 次に、予算執行状況に関する調査を議題といたします。  本調査につきましては、理事会におきまして、本日、明二日及び五日の三日間にわたり委員会を開催することとし、質疑時間は三百八十分、各会派への割り当ては、自由民主党・自由国民会議及び。日本社会党それぞれ百十三分、公明党・国民会議七十分、日本共産党及び民社党。国民連合それぞれ二十八分、参議院の会及び新政クラブそれぞれ十四分とし、質疑順位はお手元に配付いたしました質疑通告表のとおりとすることに協議決定いたしました。  そのように取り計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本調査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君、日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君の両名を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 安田隆明

    委員長安田隆明君) それでは、これより質疑を行います。矢田部理君。
  9. 矢田部理

    矢田部理君 総理にお尋ねをしたいと思いますが、総理は先般の国連総会演説をされ、次のように述べておられます。米ソ両国指導者の責任の重さを指摘した上で、両国核兵器を思い切って大幅に減らし、核廃絶の進路を明示せよと。その点、多とするわけでありますし、一部のマスコミでは、近来にない出色のできだという評価もなされているわけでありますが、他方また、美しい言葉を飾り立て過ぎた、言われていることとやっていることは大分乖離があるではないかという厳しい指摘もあるわけでありますが、総理自己採点はいかがでしょうか。
  10. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 地球上に米ソを中心にしましてこれだけ核兵器が蓄積されますと、これはもう全人類の運命に関する大事な問題になっておりまして、特に広島、長崎の惨劇を受けた日本国総理大臣としては、アメリカソ連に向かって大きく叫ばざるを得ない事態になってきていると思います。特に国際連合のような世界各国の集まる大事な場所でございますから、日本国民が考えておる悲願をその代表として訴え、そして米ソおのおの両国に対して善処を強く要望したということであります。たまたまレーガン・ゴルバ チョフ会談が十一月に行われるというやさきで、いろいろなそういう潮も満ちてきておる時期でございますから、それが着実に実行され、推進されるようにと思いまして、特にその点は大きく訴えたのでございます。
  11. 矢田部理

    矢田部理君 きょうは総理国連演説に沿って幾つかの課題を問題として提起していきたいと思いますが、その核軍縮につきまして総理は、グローバルにとらえてほしい、アジアも考えてほしいということを言われておられますが、それはどういう意味でしょうか。
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) アメリカソ連ヨーロッパの諸国でいろいろ核軍縮をやるという場合に、ヨーロッパ側で減らした分をアジアに持ってこられたんでは、アジアの犠牲においてそれが処理されるということで、これはアジア人として忍ぶべからざることでありますし、日本としても黙って見ておれないことでありますから、それは世界的規模において減らしていくように、ヨーロッパで減らすときにはもちろんアジアでも減らしていくように、そういう強い要望を訴えておいたのであります。
  13. 矢田部理

    矢田部理君 ところで、最近、三沢に配備されつつある米空軍のF16というのはどういう性能、諸元を持った飛行機でしょうか。
  14. 古川清

    政府委員古川清君) F16は、アメリカのいわば第三世代と言っておりますけれども、一九七五年までに開発された飛行機でございまして、その諸元を簡単に申し上げますと、全備重量が十六トン、戦闘機の中ではむしろ小型でございます、F15が三十トンぐらいいたしますので。エンジンは、十一トンの推力のエンジン一つついておりまして、高高度ではマッハ二以上のスピードが出ることになっております。さらに航続距離につきましては、フェリーと言いまして、タンクを増槽いたしますと約三千八百キロメートルぐらいの航続距離があるというふうに言われております。大体そんなところでございます。
  15. 矢田部理

    矢田部理君 核搭載能力はあるでしょうか。
  16. 古川清

    政府委員古川清君) この飛行機は、一般的に言いまして、核の搭載能力を持っておるというふうに了解をしております。
  17. 矢田部理

    矢田部理君 核搭載能力があるということになりますと、核戦力一つというふうに位置づけてよろしゅうございますね。
  18. 古川清

    政府委員古川清君) 核の搭載能力を持っているというのは、その飛行機の諸元から判断して一般論としてはそうでございますけれども、現実にこの航空機がそういう機能を持っているかどうかは私は承知しておりません。
  19. 矢田部理

    矢田部理君 核戦力核弾頭運搬手段から成っておりますが、運搬手段としての位置づけがあることは認められますね。
  20. 古川清

    政府委員古川清君) ごく一般論でございますけれども、この飛行機はそういう能力を持ち得る能力があるということは言われております。
  21. 矢田部理

    矢田部理君 三沢に配備されたF16は、具体的に核関係装備などはどうなっているでしょうか。
  22. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 核関係装備という御質問、必ずしもよく理解いたしませんが、従来から御答弁申し上げておりますように、核を持ち込む際には事前協議の対象になるということでございますので、現在、三沢に配備されておるF16が核装備をしておるということはあり得ないことであろうと思います。
  23. 矢田部理

    矢田部理君 まず、核弾頭はともかくとして、核関係装置が設備されているかどうか、その点はいかがですか。
  24. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 具体的な装置については承知しておりません。
  25. 矢田部理

    矢田部理君 、パイロットは、核関係核処理訓練を受けているでしょうか。
  26. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) ごく一般論として申し上げれば、核、非核両用戦力、部隊というものに所属しておる者が核兵器処理についての訓練を受けておるということはあろうかと思いますが、現在三沢に配置されておりまするF16の要員については具体的に承知しておりません。
  27. 矢田部理

    矢田部理君 外務省として、あるいは政府として、核関係について一切調べないというのは怠慢ではありませんか。
  28. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 我が国といたしましては、御案内のとおり非核原則というものを厳守しておりまして、安保条約のもとで事前協議ということで、核の持ち込みは認めないということになっておりますので、それ以上のことについては我が国として一々関知するところではないと思います。
  29. 矢田部理

    矢田部理君 私ども社会党は、先般、三沢にこの飛行機調査に参りました。操縦席にも乗ったわけでありますが、パイロット席の右手に核発射スイッチがつけられています、ニュークリアコンセント。それからその同じ場所にアーム・リリースという核発射核投下装置が同じようにつけられておりますが、確認できませんか。
  30. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) ボタンにつきましては、先国会において矢田部委員から今のようなお話の御提起がありましたので、私どもの方も一応アメリカ側に聞いて調べてみたところでございますが、赤いボタンにつきましては、これは核爆弾リリースというものに使えるけれども、同時に通常F16に積んでおります通常爆弾リリースのためのボタンでもあるという説明を受けております。
  31. 矢田部理

    矢田部理君 私はニュークリアコンセントと二つ指摘しておるわけです。
  32. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 大変恐縮でございますが、今の御質問ちょっと聞き取れませんでしたので……。
  33. 矢田部理

    矢田部理君 核のコンセントがついておる。
  34. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) その点については承知しておりません。
  35. 矢田部理

    矢田部理君 私が前にも指摘した問題を、一方だけ、ない方だけ調べて、あるいは二重に使える方だけ調べまして、他は調べていない、承知していないというのは、これは怠慢もひど過ぎるじゃありませんか。
  36. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 一般的にF16が核、非核両用戦力であるということは、これは公知の事実でございます。私どもといたしましては、安保条約それから非核原則から申しまして、核兵器持ち込み自体をどうするかという問題でございまして、仮に三沢に配備されておりますF16に、ただいま御指摘のような核兵器を使用する際にも使うことができる装置が一部飛行機についておるということ自体は、核の持ち込みに当たるということにはなりませんので、そのこと自体を問題にするということにはならないのではなかろうかというふうに考えます。
  37. 矢田部理

    矢田部理君 事実の確認を求めている。
  38. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 今御答弁申し上げましたような次第でございますので、それ以上個々装置につきまして、政府といたしましてアメリカ側に一々調査する必要はなかろうというふうに考える次第でございます。
  39. 矢田部理

    矢田部理君 二つの指摘をしたのに一つだけ調べてきて、他は調べる必要がないというのはおかしいじゃありませんか。
  40. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 先ほど申し上げたことの繰り返してございますが、核兵器を持ち込むか持ち込まないかということが問題でございますので、個々の細かい装置につきましては、我が方として一々アメリカ調査するという必要はないというふうに判断しておる次第でございます。
  41. 矢田部理

    矢田部理君 だめだよそんな答弁。全然答弁になっていませんよ。
  42. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 速記をとめて。    〔速記中止
  43. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 速記を起こして。
  44. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 先ほどの私の御答弁はちょっとあるいは言葉が足りなかったかもしれませんが、矢田部委員から先国会指摘がありました点につきましては、私どもといたしまして、正式にアメリカ側に照会して調査をしたということではございません。また正式の御調査要求があ ったというふうにも私どもは理解をいたしておりません。  私が御答弁申し上げました赤ボタンの話は、たまたま現地に出張に参った者がおりまして、そのときに矢田部委員国会での問題御提起のことを記憶しておりましたので、たまたまその機会に現地におりましたアメリカ側の者に聞いたという結果を私が先ほど申し上げた次第でございます。したがいまして、今まで調査をいたしておりません。調査をい。たさなかった理由につきましては、先ほど私から御答弁申し上げたとおりでございます。
  45. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 速記をとめて。    〔速記中止
  46. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 速記を起こして。
  47. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 政府の基本的な立場は先ほど私から御答弁申し上げたとおりでございまして、問題は核兵器を持ち込むか持ち込まないかということでございます。したがいまして、F16にくっついておりますいろんな細かい装置等につきまして、政府としては一々これをアメリカ側に照会する立場にないというふうに基本的に考えておる次第でございますが、先ほど委員の御質問ニュークリアコンセントでございますか、そういうものにつきましていま一度アメリカ側に照会しろということでございますれば、それは照会してみるということはいたしても差し支えないというふうに思います。
  48. 矢田部理

    矢田部理君 もう当然調べるべきことでありますから厳しく要求しておきます。そんなに逃げ回ったり時間をかける問題じゃありませんので、端的に言ってください。  防衛庁長官三沢基地を視察されたそうですが、この点は見てこられたでしょうか。
  49. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 三沢基地を視察したときもございますし、それからF16のコックピットというんですか、操縦席にほんの一分ほど乗ってみたことがございます。ただ、非常に視察時間が限られておりましたので、それぞれの装置につきましてどういうものを持っているか、そこまで専門的に技術的に私見る能力はございませんでした。  ただ、先ほどからの点で申しますと、私たち我が国の防衛を担当する立場からいいますと、F16は非常に有力な地上支援機でございます。そういう意味で、私たちは日米安保条約の有効性を確保する上でこの地上支援能力というのは非常に高く評価しております。
  50. 矢田部理

    矢田部理君 コックピットまで入っておりながら肝心なところを見ないんじゃ、何も視察したことにならないじゃありませんか。これはもう私が確認したんですから間違いありませんから、調査だけは求めておきます。  同時に、ここのパイロットは核問題の処理訓練を受けてきているわけです。現に横田の基地副司令でありますトーナー准将が、当然三沢基地のF16搭乗員は核取り扱いの訓練を受けている、そしてソ連もまたそうした事情を熟知しているので抑止力となるのだと、こう言っているんですが、こんなことも外務省は知りませんか。
  51. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 先ほども答弁申し上げましたように、この種の部隊の要員というものが核兵器処理をする訓練を受けておるであろうということは一般的に推察されるところでございます。現実に三沢に今配属されております要員が現にそういう訓練を受けておるかどうかについては承知しておらないということは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
  52. 矢田部理

    矢田部理君 そのことも調査を求めますが、いかがですか。
  53. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) そのような照会をアメリカ側にする立場政府はないというふうに考える次第でございます。
  54. 矢田部理

    矢田部理君 もう繰り返して申し上げるまでもありませんが、核問題がこれだけ大変な問題になっており、核搭載能力指摘をされている中で、かかわる問題を全然調べる立場にない、聞く立場にないというのはおかしいじゃありませんか。
  55. 栗山尚一

    政府委員栗山尚一君) 累次御答弁申し上げておりますとおりに、問題は核兵器我が国の中に持ち込むか持ち込まないかということでございます。核兵器を持ち込ませないということにつきましては、政府が従来からその立場を堅持しておりまして、そのことにつきましては、幾たびか国会におきまして政府から御答弁申し上げておることでございます。  要員が核兵器処理について訓練を受けているか受けていないかという問題は、今申し上げました政府の基本的な立場とは無関係なことでございます。したがいまして、そういうことについて調査をする立場にないということを申し上げた次第でございます。
  56. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先ほどから局長が何回も答弁しましたように、我が国非核原則を持っております。そういう立場に立ってアメリカ政府に対しましても政府立場を繰り返し強調しております。安保条約がその大前提でございますし、安保条約をお互いに守るということも確約しておるわけで、私も、三沢基地にF16が配備されるということについていろいろと国会で御論議があった、そういうことも踏まえまして、実はマンスフィールド大使ともお目にかかりまして、日本政府非核原則についての立場をはっきりと申し上げ、両国安保条約そしてその関連規定を遵守するということをお互いに話し合った次第でありまして、したがって日本としましては、艦船の入港についてもそうですが、飛行機のそうした配備につきましても、その性能につきましていろいろと調査すると、こういう立場にはないわけでございますし、その艦船であるとか、あるいは飛行機、あるいはその要員がどういう訓練を受けておるかということについても、これまたアメリカの問題として、我々これに対していろいろと調査する立場にはないわけで、それは恐らくF16の要員であるとか、あるいはその整備であるとか、そういう内容については、あるいはまた核搭載能力あるいはまた核の戦闘訓練、そういうものは、それはアメリカですからやっておるかもしれませんけれども、しかしこれは核搭載能力を持っておるということと、実際に核を配備するとか核を持ち込むとかいうこととは別でございまして、日本政府としてはあくまでも非核原則というものを遵守していく、こういう立場アメリカ側にもそれは周知徹底しておると、こういうふうに確信をいたしております。
  57. 矢田部理

    矢田部理君 この問題で余り長くつつきたくないのですが、現に基地の副司令が語っているのですね、新聞社に。その事実ぐらい確かめられないんでは困るじゃありませんか。  そこで私が申し上げたいのは、核兵器問題というのを単に核弾頭だけに限定して考えるべきではない。運搬手段を含めて、トータルとしての核システムを問題にすべきだということを実は指摘したいのであります。この三沢に配備されたF16は、搭載能力がある、核発射ボタンもついている、搭乗員も核の取り扱い訓練を受けている。そして核軍縮の対象は核弾頭をどう減らすかということとあわせて運搬手段の削減を求めているわけですね。その点の理解はどうですか。
  58. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は、核能力を持っておるかどうかということが、いわゆる非核原則といいますか、そういう問題ではなくて、核弾頭を持ち込む、核を持ち込むそのものが、いわゆる非核原則立場から日本としてこれは事前協議の対象になる。その場合は日本はこれを拒否するという立場を明快にしておりますし、これは日米間の信頼関係に基づく条約の基盤でございますから、この点について我々は全く確信もしておりますし心配もいたしておらない。ただ、艦船とかあるいはまた航空機がそういう能力を持ち、あるいはまたそのためのいろいろの訓練をした兵員等がこれに配備されておるということと非核原則というのは全く別問題といいますか、事前協議という問題からすれば別の角度からこれは考えなきゃならぬ問題であろう、こういうふうに思っております。
  59. 矢田部理

    矢田部理君 私は非核原則を伺っているんじゃない、核軍縮の対象は何かと、こう言っている。
  60. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 核軍縮の対象としては、もちろん日本としましては、全面的な核廃絶というのが日本の大きな理想でありますし、米ソ間におきましても核の軍縮につきまして今ジュネーブで協議が行われております。ゴルバチョフの提案に対して今回レーガン大統領からも新しい提案が出たということでございますし、そういう中では包括的にそういう問題も含まれておる、こういうふうに考えております。
  61. 矢田部理

    矢田部理君 核軍縮というのはいろいろ対象はありますが、中心になっておりますのは弾頭数をどう滅らすかということと、運搬手段をどう削減するか、二つの課題があるということは認められるでしょう。
  62. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはジュネーブの交渉、これまでの核軍縮に伴ういろいろの協定等において今の運搬の手段、あるいはまた核弾頭そのものについて討議されておることは、これはそのとおりであります。
  63. 矢田部理

    矢田部理君 そこで私はこの問題を提起しているわけですね。核弾頭があるかどうかじゃなくて、運搬手段として核戦力の重要な構成要素だと、そこをやっぱり認めなきゃならぬでしょう。総理、いかがでしょうか。
  64. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) おっしゃるように核弾頭及び運搬手段、両方が軍縮の対象として論議されておると心得ております。
  65. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、ゴルバチョフ書記長が核軍縮の提案を行いました。運搬手段、ランチャーを半分に減らそうという提案を行ったわけでありまして、その対象の中には、これはゴルバチョフ書記長自身ではありませんが、スポークスマンのザミャーチンが三沢のF16もその対象だと言うのはそのことを指しているんじゃありませんか。いかがでしょうか。
  66. 山田中正

    政府委員(山田中正君) 先生御指摘ございました十月三日のゴルバチョフ書記長の提案、これは戦略核につきまして従来の定義と変わった立場を述べております。すなわちそれぞれの本国に届く核戦力運搬手段、したがいましてソ連立場からいたしますと、従来言われておりました戦略核に加えて米国側の中距離核戦力ソ連に届くもの、これも含めておると思います。  なお、先生今御指摘ございましたザミャーチンの発言の中に三沢のF16についての発言があるのは事実でございますが、これは先ほど来御答弁申し上げておりますように、我が国核戦力がないわけでございますので、これが米ソ交渉の中に含まれておるのはソ連の一方的な立場である、このように理解いたしております。
  67. 矢田部理

    矢田部理君 立場の評価は別として、ゴルバチョフ書記長関連の軍縮提案というのは運搬手段の半減を求めているんですね、五〇%にしようと。そのまさに運搬手段にこれは当たるというふうにするのは一つ立場ではないか。日本にとってその是非はまたいろいろあるかもしれません。
  68. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) その辺、ソ連がどういう判断でこれを提案しておるものかわかりません。また今度レーガン大統領の提案にも運搬手段の問題は出ておるわけでありますが、しかし三沢基地、そういうふうに指摘された三沢のF16の問題は、これについては日本立場からいけば、三沢に核の持ち込みということはあり得ないわけですから、こういう具体的に三沢基地のF16の配備について問題を提起されると、これは核軍縮の問題ですから、そういう点からすれば、これは我我としては納得できない問題である、日本立場からすれば、この点は十分実態というか、そういう日本立場というものを踏まえた形のものではない、こういうふうに思っております。
  69. 矢田部理

    矢田部理君 核弾頭のあるなしの議論はまた別途やりたいとは思いますが、有力な運搬手段としてF16は三沢に配備された。それはソビエト領土との関係、距離からいえば戦略核と同じ役割を持つ、運搬手段としては。そういう中身を持った提案であるということは、まず提案そのものはそう受けとめなきゃならぬだろうと思います。  問題は、私が申し上げたいのは、ソ連の側はF16を問題にし沖縄の核を指摘しトマホークの脅威を訴えているわけですね。日本アメリカはまたSS20の極東配備がどうか、バックファイアがいかがかということで問題にしているわけです。そういう問題をお互いにしているだけでは軍縮は進まないのではないか。  そこで、総理にお聞きをしたいのでありますが、グローバルにとらえるべしということで米ソ中心の軍縮、核軍縮が非常にポイントではありますが、しかしヨーロッパ中心であるだけではならずにアジアもまた核軍縮をしなければならない。そういう双方の問題点を、立場、土俵は必ずしもまだ一致をしないかもしれませんが、総理みずからがイニシアをとってアジアでも核軍縮のテーブルをつくるべきではないかというのが私の提案なのでありますが、総理、いかがでしょうか。
  70. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 我が国核兵器はもちろん持ってもおらず、また配置もしていない、そういう国柄でありまして、我々はこれを貫徹しているつもりでございますが、御提議の内容について社会党の皆さんがそういうお考えをお持ちであるということは新聞等を通じても私知っておりますが、もう少し詳細に勉強してみたいと思います。しかし現自民党政府としては、我々の方からそういうことを提議するという考えは今のところございません。
  71. 矢田部理

    矢田部理君 私どもは、三沢の脅威をソビエト・プラウダが論評し、日本がSS20やSU24戦闘爆撃機の点を問題にしたりするということだけでは軍縮は進まない。アジアからできるだけそういう核の運搬手段を含めた集中を防ぐためにもっと真剣な努力をすべきだし、シェワルナゼ外相も来年一月には見えるわけですから、そういうことも問題に供すべきではないかというふうに思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  72. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今おっしゃったように、ソ連が現在の日本の防衛のあり方あるいはまた日本における米軍基地の態様、その内容等についていろいろとソ連ソ連なりの立場を我々にもしばしば表明してまいりました。例えば沖縄に核があるとか、あるいは三沢基地の問題等も私は具体的にグロムイコ外相から指摘をされたわけですが、これに対して日本は、日本の基本的な防衛政策、そして日本には核がない、非核原則という立場を明快に反論いたしております。しかし、こういう問題につきましては、おっしゃるように、せっかくの日ソの定期外相会談が久しぶりに再開されるわけでございますから、シェワルナゼ外相を迎えて私も徹底的にこうした点について議論をし両国立場を明らかにして、そしてこの日ソ関係の信頼関係が少しでも進むように努力をしてみたい、こういうふうに思っております。
  73. 矢田部理

    矢田部理君 軍縮もみずから汗を流さないことには、演説だけではだめだということを指摘したかったのであります。  次に、話題を変えます。円高・ドル安について五カ国蔵相会議が開かれて共同介入を約し、その結果、一時的には功を奏したかに見えますが、長期にわたって、大蔵大臣、定着させることは可能なんでしょうか。
  74. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いわゆる当時の認識から申しますと、要するに各国の経済のファンダメンタルズを正当に反映していないじゃないかということから話し合いを行いまして、そして協調介入等の行為によってより円高、あるいはドル以外の通貨がと、こう言ったらいいかもしれませんが、高い方向で定着することを期待しておるというのが今の原則でございます。  そこで、恐らく矢田部さんおっしゃるのは、協調介入だけではやっぱり限界があるじゃないかと、こういう意味だと思います。確かに基本的には各国がみんな非常に整合性のとれた政策をやれば一番いいわけでございます。しかしながら、それがまだいろいろなアンバランスがある、そこでお互いが協調をとっていくためにはこのようなこ とをしようという自分の国の役割をそれぞれ附属声明として出したわけです。これを逐次実行していくということによって本格的な定着というものがあり得るという、その原理原則矢田部さんおっしゃるとおりじゃないか。したがって、その方を精いっぱいそれぞれの国が努力すると同時に、絶えず市場に対する、乱高下等いろんな問題がございますから、協調介入というものも有用なときにはこれを行う。こういう二つの姿勢でこれからも進めていかなければならぬ、こういうことではなかろうかというふうに認識をいたしております。
  75. 矢田部理

    矢田部理君 総理、中曽根・レーガン会談で、この態勢を実質的に裏打ちしていくために財政や内需問題が出たようでありますが、この状況はいかがだったんでしょうか。
  76. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私とレーガン大統領の会談におきましては、まずこの間の五カ国蔵相会議の決定及びその成果を支持する、そしてこの傾向を強めていくという点において合意がなされました。このような五カ国蔵相会議が持たれましたということは、アメリカの今までの政策からしますと大きな画期的なことでありまして、アメリカ自体も高いドルを何とか是正して非ドル通貨の価値を上げるように積極的に乗り出してきたことであります。つまり、そういう政治的意思というものを明確に実は出してきたと私は解釈している。それは今までのリーガン財務長官と今度のベーカー財務長官と少し考え方が違うようですから、前の人のこともおもんぱかって大っぴらには言っていないけれども、やっていること自体はそういう方向に変わってきたと思うんです。そういう強い意思があり、またそれを保証するだけのことをやろうと五カ国蔵相会議が約束しましたから、これだけの実態が今出てきておる。そういう意味においてこの実態を続けていく。それと同時に、各国の国内経済のいわゆるファンダメンタルズと言われるもの自体をそれに合うようにソフトランディングで調整していこう。そういう意味で我々は内需の振興以下さまざまな政策を今お願いしておるわけでございまして、各国ともそういう方向で調整していくように進んでいくだろうと思いますし、進めたいと思っております。
  77. 矢田部理

    矢田部理君 日銀総裁においでをいただいておりますから伺いたいと思いますが、この協調介入の結果、二百四十円前後のものが二百十円台に上がりました。そこで幾らぐらいを日銀としては期待されておるのか。まあ二百円から二百十円ぐらいだという説もあるし、アメリカはもっと二百円以下というような厳しい要求も持っているということでもありますが、この点、日銀としていかがですか。
  78. 澄田智

    参考人澄田智君) お答え申し上げます。  日本銀行としてはと申し上げるよりは、五カ国の会議におきましても、特定の水準というものを定めましてそれをターゲットとしてそこへ持っていく、そういうような合意ではなかったわけであります。先ほど大蔵大臣も仰せられましたように、各国のファンダメンタルズ、いわゆる基礎的な経済条件、物価とか国際収支、そういうような条件をよく反映して、そういう為替相場になることによって対外の不均衡の是正に資する、こういうことが目的であったわけでありまして、したがってどのようなレート、そこを目途にするということではないわけであります。仰せのように、二百四十円前後から今は二百十円、ほぼ二百十円のところにまでなってまいりました。しかしファンダメンタルズの状況をよくあらわすようになお一段円高になっていくということが望ましい、こういうふうに私は考えております。
  79. 矢田部理

    矢田部理君 二百円から二百十円前後で五カ国蔵相会議では暗黙の了解があった、あるいはある種の密約があったというような指摘も一部にあるんですが、その点、大蔵大臣いかがですか。
  80. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 通貨当局者が集まりますと、それはお互い頭の中でいろいろな数値がないわけじゃございませんけれども原則的には市場が決めるものですから、そこへ作為的なターゲットを置くということはタブーだ。特に今、日本の場合大きな力がついておりますから、仮にもし私なり澄田総裁なりがこの辺が好ましいというようなことを言ったといたしますと、それは世界じゅうの投機の対象にこれはなるわけでございます。したがって、今は、いろいろな国の経済の研究機関等でいろいろな数字の議論がございますけれども、当局者がターゲットを申し上げる、こういうことはこれは避けるべきことじゃないか。だから十分おわかりの上でのお尋ねでございますが、より一層今の状態が定着することを期待する。何ぼかと仮に聞かれれば、神のみぞ知る、こういうようなことが限界じゃないかなというふうに思います。
  81. 矢田部理

    矢田部理君 どうも両者でニュアンスが違いますが、この介入の度合いはアメリカ日本が中心で、五カ国とはいっても他はおつき合い程度じゃないかと思いますが、これはどんなふうになっておりますか。
  82. 澄田智

    参考人澄田智君) 各国それぞれ毎日連絡し合いまして、そうしてそれぞれのマーケットあるいはよそのマーケットまで出て、そうして介入をいたしております。金額は、これまた金額をはっきりするということは相場の材料にされるということもございますし、これは発表いたさないことになっておりますが、アメリカは既に相当量の介入をいたしておりますし、日本もいろいろと報道されておりますように思い切って介入をいたしております。ヨーロッパ諸国もそれなりに十分介入をいたしております。これは五カ国のみならず、ヨーロッパのその他の国々、イタリー以下そういった国々も介入をいたしておりまして、その結果が今日のような状態として市場に正当に評価されてレートが是正されつつある、こういうふうに考えております。
  83. 矢田部理

    矢田部理君 通産、経企などに伺っていきたいと思いますが、この円高は確かに摩擦解消策の一つの方法ではありますけれども、これが過ぎますと輸出が抑制されて、とりわけ輸出関連の中小企業などには深刻な影響が出る、既に出始めているという話もあるわけでありますが、その点、対策、状況についてはいかがでしょう。
  84. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 中小企業等に対する影響について申し上げたいと思います。  現在の円高の基調というものは、全体としては当然非常に望ましいものだと、こういうふうに考えておるわけでございますが、ただ円高の進展によりましては、中小企業を中心に一部の業界等への影響が出てくるということも懸念されるために、いろいろな状況を見守り、そして検討しておるというのが現在の状況でございますが、円高が始まりましてからまだ四十日間足らずでございまして、そういった現在の状況で今後の円相場の動向、それから中小企業への影響などを十分に注意し、さらに情勢の推移によりましては所要の措置を講ずみということも検討していく所存でございます。
  85. 矢田部理

    矢田部理君 これは日銀等々にも伺いたいと思いますが、円高が定着してきた場合に今後経常収支などに具体的にはどんな影響が出てくるのか、五百億ドルにも上る黒字が一体どうなるのか、その辺の予測はどう考えておりますか、経済全体の影響を含めて伺っていきたいと思います。  一つは、成長が相当程度落ちて三%台に日本の成長は落ち込みやせぬか、つまりデフレ効果の議論も既に出始めているわけでありますが、この点も含めて政府なり日銀の方から伺っていきたいと思います。
  86. 澄田智

    参考人澄田智君) 円高になってまいりますと、当然のことながら輸出は影響を受けてまいります。また輸入もふえるという方向であります。これが逆にドル安のアメリカ経済に及ぼす影響もそのちょうど裏返し、こういうことになるわけでございまして、その影響がどのくらい、いつ出るかというのは、これはいろいろ条件がございますので、数字の上で想定することはなかなか難しい点がございますが、しかし一定の期間かけないと効果というものは出てこない、本年度どれだけ出 るかというのはまだ効果の一部ということにとどまるのじゃないか、かように思う次第でございます。  それから景気に及ぼす影響につきましては、既に本年に入って輸出が増勢を鈍化いたしております。さらにこれに円高が加わるということになりますと、どうしても輸出面においては影響を受ける、そうしてそれが生産にも及ぶ、こういうことにはなりますが、しかし当面のところは内需面がなり底がたい状態で推移をいたしております。具体的には設備投資及び個人消費等でございますが、いずれもしっかりをしておる、こういう状況でございますので、当面これが景気に深刻な影響を及ぼすというふうには考えておりません。
  87. 矢田部理

    矢田部理君 政府は。
  88. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今の答えに尽きるわけでございますが、円高の企業収益に及ぼします当面の影響、こういうことになりますと、大体ドル建ては年内いっぱいはもう予約済み、こういうことでございますので、それは直接影響がない。それから数量制限をしておりますものは、これは数量制限を外せば出過ぎるほど出るわけですから、たとえどういうことがあろうとも、数量制限をしております端的には乗用車などでございますが、こういう国際競争力の強いものはそれによって数量が落ちてくるということはないということになりますと、よくJカーブ議論とかいうことでやられておりますように、半年から、あるいはそのときどきの経済情勢で違いますけれども、一年半ぐらい先でないと本当の効果は出てこないんではないかというふうに思います。  それから中小企業等を含め今日の我が国の産業のそれぞれの競争力は、私どものサイドで言えば、これに十分耐え得る、あるというような判断をいたしております。個別になりますと別の問題ございましょうけれども、総じて十分競争力はあるというふうに判断をいたしております。
  89. 矢田部理

    矢田部理君 円高・ドル安を追求する余り、国内経済等々に及ぼす影響について見失いがちでありますが、その点は十分に留意して、先ほどから指摘しておるような対策について万全を期していただきたいと思うわけでありますが、この円高・ドル安態勢を実質的に裏打ちしている日本の内需とアメリカの財政赤字をいかがするかということが指摘をされておるわけであります。  日本の内需につきましては今、日銀総裁からもお話もありましたが、減税を欠く内需振興策は目玉を欠くということを指摘せざるを得ません。これらの点につきましては、後刻同僚の福間委員が全般的に財政経済問題を展開しますので、その指摘程度にとどめますが、私がもう一つ申し上げたいのはアメリカの財政赤字、これが同時に問題に供されているわけであります。  この財政赤字解消策について日本はどの程度指摘しているのか、アメリカはそのために具体的にどんな対策を立てようとしているのか、原因は一体何なのかというようなことについて政府はいかが把握しているんでしょうか。
  90. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは先ほどのG5におきましても、各国がそれぞれ披瀝したステートメントやアナウンスの中におきまして、アメリカみずからも財政赤字の縮小を図ることによっていわゆる高金利を是正するという、みずからに課した責任というものを表明しておるわけであります。財政赤字削減のためには上下両院でもそれぞれ決議がなされてそういう方向が摸索されておるということは、私どもとしても大変好ましいことであるというふうに思っております。しかしながら、ただあなたの国のどこのところが出過ぎておるとか、どこのところが引っ込み過ぎておるとかということになりますと、お互い通貨マフィアなんて我を言われるんですから、集まったときに話はいたしますものの、いわば表面化した場合、内政干渉になるようなところまではお互いそれは差し控えておるわけであります。  したがって、今上下両院の国会、そしてアメリカの大統領府そのもののそういう削減努力に対して大変な期待を持っておる。我が方といたしましては、もとよりお約束をしておりますことについて、より一層の市場開放を図ったり内需拡大をするということにつきましても、先般経済企画庁でまとめられ、閣議決定いたしました内需振興対策というものを積極的に進めていくという実を示していかなければならぬというふうに考えております。
  91. 矢田部理

    矢田部理君 お話ではありますが、アメリカ側日本に随分ずけずけと物を言ってきているんじゃないでしょうか、市場開放だとか内需拡大だとかということで。日本は一応財政赤字を指摘はするが、どうもアメリカに対すると遠慮がちになって物を言わない。アメリカも、それは指摘はされたが、それを受けて立って真剣にそれを追求するプランも時期的な見通しも言わない。これでは少し片手落ちなのではないかと思うんですが、いかがですか。
  92. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) G5のアナウンスメントに各国のそれぞれ果たさなきゃならぬ役割というのをきちんとお互いが確認し合って発表したわけでございますから、弱いか強いかという点につきまして、それは言葉の上では、大体英語というのは非常に端的でありますし、日本語というのは時によっては何にもまさる非関税障壁と言うくらい大変ニュアンスのあり過ぎるような言葉を使い過ぎる、そういう点はありますけれども、そういう印象を与えないように私どもも絶えず主張いたしております。  恐らく国民感情の中でずけずけアメリカが言ってくるというのは、むしろ一つ一つの品目別の問題等が非常にトラスチックに新聞紙上に出ますとそういう印象を受けますけれども、相対的なお互いの反省すべき点、要求すべき点については、これは十分意思の疎通が図られるような仕組みで、また態度で臨んでおるというふうに私は思っております。
  93. 矢田部理

    矢田部理君 財政赤字の原因でありますが、高金利、ドル高は財政赤字だと。しかしその財政赤字の原因をもう少し詰める必要がある。私が調べたところではやっぱり軍拡経済だ。巨額の軍事費を計上して大変な支出をしている。その軍事経済あるいは巨額な軍事支出にあると見るんですが、いかがですか。
  94. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いわば世界の世論となり、そして、あるいはサミットにおいて、また行われることになっておる米ソ首脳会談等で軍縮ということが真剣に叫ばれておるということは、軍事支出というものについての負担の大きさというものをお互いが十分認識しておるからこそそういう環境ができつつあるではないかというふうに思います。
  95. 矢田部理

    矢田部理君 レーガンも中曽根総理の政治と同じように、あるいはそれ以上に福祉と教育費をずっと圧縮している、マイナスにずらしている。ところが軍事費だけは史上空前の大型の軍事予算を組んでいるわけですね。戦争もないのにこんな予算を組んだためしがないわけで、それが全部アメリカ財政の赤字にかぶってきている。その点でいえば、これは数字を一々挙げるのも時間がない、煩わしいから出しませんが、やっぱりアメリカの軍拡政策を突かなきゃならぬ。もともとレーガンが巨大な軍事力と強いドルで輝かしいアメリカの復活をねらったことに、その政策に根本的な原因があると私は思うのでありますが、その点を厳しく突き、日本だけがいろいろ引き受けてくるのではなくて、アメリカの財政赤字解決策にもっと物申す態度をとらないと円高・ドル安態勢も本物になりはせぬというふうに思うのですが、これは総理答弁を聞いておきたいと思います。
  96. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は首脳会談におきましても、あるいはABCのニュース、朝のモーニングショーにも出ましたし、あるいは新聞記者との会見等におきましても、常にお互いにやるべきことをやろうということを言ってきておりまして、我が国がやることは、内需振興とか、あるいは市場アクセス、アクションプログラムであるとか、あるいは輸入の増大であるとか、これをやる、あなた方は赤字の削減をやりなさい、そうい うことを強く言って、特に赤字の削減、それから高金利、強いドル、こういうことは常にまた指摘しておるところで、これはやっぱり相互主義でやらなければ国際経済の調和というのはとれるものじゃありませんから、それは当然のこととして言っているわけであります。
  97. 矢田部理

    矢田部理君 軍縮は平和の課題としてだけでなくて、経済も非常に重荷になってきているということを銘じて対処していただきたいと思います。  GNP一%防衛費問題に移りますが、総理は、衆議院の最終段階で、「六十一年度予算編成においても、一%枠を守ります。」ということを衆議院の予算委員会で約束をされたようでありますが、この「六十一年度予算編成においても」の意味でありますが、これについて、当初予算だけを意味しておって補正予算は入らないんだというような自民党流の解釈があるそうでありますが、この点いかがですか。
  98. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 六十一年度予算編成という点、矢田部さんもお気づきでしょうが、「予算編成」と書いてあるのは、十二月いつもやっているのでありまして、そういう意味で十二月に予算編成するときには一%以内に置きますと、そういうことを我々は考えております。
  99. 矢田部理

    矢田部理君 それは大分違いますね。最初自民党が野党各党に示されたのは十二月予算編成のときにはと、こういう十二月が冠してあったが、それでは当初予算だけではないか、十二月を取るべしということになって取った結果、この「六十一年度予算編成においても」というのは、当初予算だけではなくて補正予算も含んで六十一年度中は一%を守りますという約束であるというふうに受けとめておるんですが、違いますか。
  100. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 野党はどういうふうにおとりになっているかよく知りませんが、私たちが理解している点は、今申し上げたように予算編成と、六十一年度予算編成というのは十二月に行われることであると、こういうふうに解釈しております。
  101. 矢田部理

    矢田部理君 話し合いの経過と内容が全く違いますので、今の答弁では納得できません。
  102. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 速記をとめて。    〔午前十一時十五分速記中止〕    〔午前十一時三十九分速記開始〕
  103. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 速記を起こして。
  104. 矢田部理

    矢田部理君 総理、先ほどの答弁に変更がないかどうか、もう一度答弁をいただきたいと思います。
  105. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 六十一年度予算編成というのは、文字どおりそのままおとりいただきたいと思っております。
  106. 矢田部理

    矢田部理君 先ほどと変わったのですか、変わってないのでしょうか。
  107. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 文字どおり、そのままのとおりおとりいただきたいと思っております。
  108. 矢田部理

    矢田部理君 六十一年度当初予算だけではなくて、補正も含め六十一年度中は一%を突破しない、させないと、約束を守るという意味に受けとめているのですが、それと違うのですか、そうですか。
  109. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは衆議院段階におきまして与野党で合意した文章でございまして、やはりその文字どおり、文章どおりおとりいただきたいと思っております。
  110. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 速記をとめて。    〔速記中止
  111. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 速記を起こして。  矢田部君から指摘のありました昭和六十一年度予算編成における一%問題につきましては、その取り扱いを理事会で協議いたします。  零時五十分まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————