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1985-12-19 第103回国会 参議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十九日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動 十二月十九日     辞任         補欠選任      高木健太郎君     服部 信吾君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林  寛子君     理 事                 杉山 令肇君                 柳川 覺治君                 粕谷 照美君                 吉川 春子君     委 員                 井上  裕君                 山東 昭子君                 世耕 政隆君                 田沢 智治君                 仲川 幸男君                 林 健太郎君                 林  ゆう君                 真鍋 賢二君                 久保  亘君                 中村  哲君                 本岡 昭次君                 中西 珠子君                 服部 信吾君                 関  嘉彦君    衆議院議員        内閣委員長    中島源太郎君    国務大臣        文 部 大 臣  松永  光君    政府委員        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部大臣官房総        務審議官     五十嵐耕一君        文部省教育助成        局長       阿部 充夫君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        厚生省年金局年        金基金指導室長  和田  勝君        厚生年金局数        理課長      坪野 剛司君        自治省財政局調        整室長      鶴岡 啓一君    参考人        私立学校教職員        共済組合理事長  保坂 榮一君        私立学校教職員        共済組合常務理        事        平間  巖君        私立学校教職員        共済組合常任監        事        宮園 三善君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会 衆議院送付) ○国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律  案(衆議院提出) ○租税教育の推進に関する請願(第二〇号外二件  ) ○学校事務職員等に係る義務教育費国庫負担制度 の堅持に関する請願(第七七号) ○公立学校に勤務する女子事務職員育児休業制  度適用に関する請願(第七八号) ○国民の休日に関する請願(第九七号) ○私学助成大幅増額に関する請願(第九八号外  三件) ○てんかんに悩む児童・生徒の教育充実に関する  請願(第三〇七号) ○義務教育学校学校事務職員に対する義務教  育費国庫負担制度の維持に関する請願(第五〇  五号外一〇六件) ○学生寮充実・発展に関する請願(第五二六号  外九件) ○信州大学大学院総合科学研究科博士課程)の  設  置に関する話題(第七一六号外三件) ○私学共済年金法改悪友対に関する請願(第八  一七号) ○継続審査要求に関する件     —————————————
  2. 林寛子

    委員長林寛子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  ただ、その前に一言委員長から申し上げたいと思いますけれども、過日、当委員会において、本岡議員中西珠子議員から、共済基礎年金拠出金一覧表を、大ざっぱでもいいから出していただかないと質疑ができないという御要望がございまして、厚生省文部省とすり合わせて、おおむねでもいいから資料を提出いただきたいという委員長のお願いをいたしましたところ、資料が出てまいりましたので、本日、全員の皆さんにこの表をお配りいたしたいと思います。  事務局からお配りください。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 本岡昭次

    本岡昭次君 今、委員長の方の計らいで配ってもらいました「私学共済基礎年金拠出金額の推移」、これについて御質問をいたします。  この資料は、これしか出ないということでもらいました。しかし、私たちは、拠出額に見合うものとして、私学共済組合員が何人基礎年金をその年度にもらうのか、その年金額総額は幾らになるのかということがわからなければ、この拠出額だけ示されても何の意味も持たない。こういう資料をもらってもどうしようもないんです。これは中西委員も一緒だと、こう思うんですがね。私はやはり、二日間でこれだけのことしかできなかったと。しかし、これだけのことをしていただいたその御苦労は多とし、ありがとうございましたととにかく言わしていただきますが、しかし、これではまことに不備で、私学共済そのものの論議はできません。しかし、だからといって私は質問をやめるわけにいきません、それはほかにたくさんしなきゃならぬことがありますから。  それで、せっかくいただいた資料でございますから、一、二問質問をしておきます。  それでは、昭和六十一年、これは一番最近の問題であります。昭和六十一年度、来年の問題。四百億円の拠出金というものが予想される、推計として。それでは、それに対して昭和六十一年、私学共済で何人の方が基礎年金をもらうのか、その基礎年金の全体としてどれだけの給付額になるのか。そのこともわからぬと言われたら、私はどうももう質問を続ける気にならぬです。来年のことなんですよ。それも推計として出せるんじゃないですか。昭和百年のことを私はあえて今は問いません。昭和六十一年度の分については言えるんじゃないんですか。
  4. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 実は、私ども基礎年金でどういうふうになるかということにつきましては、私どもだけではちょっと把握できない点がございまして、それからもう一つは、基礎年金全体がかつて私学共済でもらっていた人等、入っておられた方等がおられまして、先ごろ全体の異 動がありまして、私どもだけではなかなか把握ができないという点がありますことを御了解いただきたいと思います。
  5. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、私はその私学共済理事者でも何でもないですが、私学共済法律審議している者として、昭和六十一年度に四百億のお金をその基礎年金に拠出するということはわかって、あとはもう全然わからぬと。とにかく、私学共済組合員の中で一体何人の人がその中の基礎年金をもらうのか、人数も金額もわからぬと。そういう先、何もわからぬような状態でこの法律審議しておること自体が、これおかしいじゃないですか、委員長。僕は、こんな形ではそれこそ審議できません。せめてスタートの段階で、一体どうなるのかということもわからぬまま突っ込んでいくんですか、この私学共済というのは。そんなあやふやな、国共済をこうするとか厚生年金をそうするとかというだけで、我々は何にも知らされないままこれやらすんですか。
  6. 林寛子

    委員長林寛子君) 厚生省でわかっているんですか。
  7. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) 基礎年金受給者数、六十一年の数字をという御質問でございますので、私たち推計におきましては、基礎年金法律が提出されているときに推計した数字でございますので、その各共済ごと数字は持ち合わせておりませんけれども共済全体といたしましては、基礎年金受給者数昭和六十一年におきまして約百六十万人というふうに推計しております。
  8. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、私たち共済を、年金審議しているんじゃないんですよ。私学共済審議しておるんですよ。だから、私学共済がこれからどうなるのかという行き先の問題を逐一わからずしてこれ審議できない。第一、一階の土台もわからぬまま前に行かせようとしておるんですから、僕は絶対、これ、一体どうなるのか、基礎年金との新しく導入した部分私学共済がどうかかわるのかということを抜きにして審議しておること自体がおかしいと思っておるんですよ、初めから。だから、それをぜひ言ってくださいよ、その百六十万というその全体じゃなしに。全体がわかるんなら私学共済もわかるでしょう。
  9. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 私ども今申しました国民年金自体数字は持っておりませんですが、退職年金受給者数としましては六十一年度は一万七千人という数でございまして、このうちの相当数基礎年金のものも入っているというふうに推計しておるわけでございます。
  10. 林寛子

  11. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) その場合の拠出金額は四百億円ということでございます。
  12. 本岡昭次

    本岡昭次君 これ私の方でたくさんあと質問したいことがあるのにこんなんで時間食われたらかなわぬですよ。だから、これはちょっと後回しにさせてください、保留して。でなかったら時間のむだになってしまいますから。だから、とにかく一万七千人ぐらいだろうと。こっちも大ざっぱな四百億というやつですから、一万七千人でよろしいじゃないか。そこに十人や二十人、百人前後したって。  そうすると、一万七千人という人がどれだけのそれではおよそ基礎年金という部分の一階部分を今私学共済に入っている人がもらうことになるのかということを、私の質問の終わるまでにちゃんと概数出して説明してください。  委員長、よろしいですか。それは保留させていただいて。
  13. 林寛子

    委員長林寛子君) 結構です。文部省でそれを本岡委員質問の終わるまでに概略提出してください。
  14. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは次に、標準報酬算定基礎について文部大臣に伺います。  これは粕谷理事の方から繰り返し長時間にわたって質問がなされておりますので、文部大臣にひとつその問題はこういうふうにして考えていこうじゃないかというひとつまとまった考え方を示していただいて、この質問は終わりにしたいと、こう思うんです。私も本会議質問の中でこの標準報酬額算定基礎については、改正法では国家公務員共済に準拠する方式と、現に採用している厚生年金方式の全期間平均のいずれか有利な方を選択させる以外に問題の解決はないのではないかという立場質問をいたしました。結論として言えることは、今回の共済年金のこの改正給付の面では従来の共済年金方式厚生年金方式に統一していくということがこの基礎にあるわけなんですね。その立場に立ってくると、私学共済年金厚生年金方式計算できるというその全期間というものの試算ができる人たちが大部分で、ごく一部の人にそれができない人がいるというこの状態から考えれば、国家公務員共済に絶えず準拠してきたからという理由だけをもって、その全期間標準報酬額を保有していない国家公務員補正率をもってそれにより近づけていくというこの暫定的な措置をとった。それにまた準拠していくということは適切ではないと、こう考えるんです。だから、私学共済そのもの厚生年金方式でもって計算できる人たちが大部分であるというこの実態であり、また損得の実利の問題からしても、質問の中で明らかになったように、全期間厚生年金方式計算した方が有利になるという人が六万人近くもいるという実態をこの改正の中でみすみす損失を与えるということは見過ごすことができない、こう私たち判断をしています。したがって、やはりこの問題の解決は、法律には附則の中に各共済年金制度共通の五カ年補正方式というものが出ているんですから、それは一つのそれに準拠していくことを基本としながらも、一方、全期間方式によって計算をできる人たちが一方たくさんいるんですから、その特殊性というものを考慮して何らかの調整を行っていくということが最もこの私学共済における妥当なこの問題の解決の方法ではないかというふうに私は思うんですね。そういう意味でひとつ文部大臣の御見解を伺っておきたい、こう思います。
  15. 松永光

    国務大臣松永光君) 本法施行前の平均標準給与算定方式の問題でありますが、これも何回も申し上げたところでございまして、今先生仰せのとおり、官民格差の是正、それから世代間の給付の公正というふうな点を考えますと、厚生年金方式、すなわち全期間平均給与と、これでいくのが純粋に理論的に言えば筋が通っているような感じがいたします。いたしますが、まあ、前から申し上げているように、私学の場合にはかっては非常に月給安かったと、一般的に言えば。それが私学に対する公費助成が始まってからだんだん高くなってきて、そうして国立学校教職員水準に達してきておるということを考えると、国共済がとっている方式に準拠した方が実利から言って得をするといいますか、そういう人が多いであろうというようなことも考えて今提案しているようなことにいたしたわけでありますけれども、これは二方式あるわけですね、通算方式と五年補正方式と。これどちらにするかという問題があるわけでありますが、同時にまたどちらにするにいたしましても、通年方式の方で実利が出る人と五年補正方式実利が出る人と両方あるものですから、これをどう調整していくかという問題であるわけですけれども、これにつきましては、理論的には通年方式が正しいとするならば、それよりも低い方式計算をされるという人の立場がなかなか御理解がしにくいであろうという点は確かにあろうかと思います。したがいまして、それについて何らかの措置を講ずべきではないかということが先生を中心にしてたくさんの先生方から御指摘がなされているところでありますが、その問題につきましては、いろいろ与野党間での協議もなされておるというふうに漏れ承っております。したがいまして、私どもといたしましては、御提案しているのが最善と考えて御提案をしたわけでありますけれども審議をする権限は委員会にあるわけでありますから、与野党間での協議がなされておると漏れ承っておりますので、各党間で合意が成立するならばその結果を私ども十分尊重をしていかなきゃならぬ、尊重してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  16. 本岡昭次

    本岡昭次君 それではもう一つ賃金スライドの問題について文部大臣に伺います。  私もこれ随分時間をかけ、大きな声を出して文部大臣にお伺いをしてきたのでありますが、既裁定者スライド問題をやりますとまた大変な平行線になりますので、それで既裁定者スライドだけじゃなくて、要するに年金額全体を改定していく方式の問題であります。これはすでにこの改正された国民年金法の一部を改正する法律案審議した際に、この本参議院段階において幾つかの修正をしましたが、その中の一つ年金額改定というものがあります。その項目はこういうことであったと思います。年金額改定は、「国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合」というこの現行法に対して、「賃金」という字句を加えて年金額改定は「国民生活水準賃金その他の諸事情に」云々と、こうなったのであります。このことによって、年金額改定賃金スライドということも含むというふうになり、多くの皆さんが非常に喜んだのでありますが、この私学共済の場合も同様に「国民生活水準」という言葉の後に賃金スライドを含め、賃金スライドという問題を含める意味において同様に、「賃金」という言葉を、これを入れる必要があるのではないか、こう思うんですね。基礎年金の問題もやれと言われたから言いましたら、それは基礎年金全般の問題だから私学共済としてやる必要はない、こういう答弁でありました。しかし、この年金額改定に当たって何を基礎とするかという問題について、横並びに「賃金」という話句を入れることはこれは当然のことであるように思うんですが、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  17. 松永光

    国務大臣松永光君) 厚生年金法改正の際に、先生今御指摘のような経過で年金額改定の仕方といたしまして、国民生活水準それから賃金その他の事情というふうに、「賃金」という言葉が挿入されたことは、先生指摘のとおりであります。  私どものこの条文の読み方としては、「生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合」というふうに御提案申し上げている法案にはなっているわけでありまして、その中の、「国民生活水準その他の諸事情」の中には政策改定の指標としての賃金上昇の要素も解釈上読み取ることは可能であるというふうに考えまして、それで御提案を申し上げたわけでありますけれども、この点につきましてもいろいろな議論をしていただいたところでありますし、またその取り扱い方につきましては種々協議がなされておるというふうに漏れ承っておりますので、この協議の結果を尊重してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  18. 本岡昭次

    本岡昭次君 次に、職域年金について伺います。  私学共済年金職域年金という三階部分を新設した理由は何ですか。
  19. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 職域年金でございます共済年金グループは、公務員共済年金と、公務員に準ずることを建前としております私学教職員共済年金等から成っておりますが、これらの共済年金はいずれも公的年金としての性格職域年金としての性格をあわせ有しているものでございます。  それで、公務員共済年金におきましては公務の能率的運営に資するというようなこと等にかんがみ、また民間におきます企業年金普及状況などを考慮いたしまして厚生年金相当部分職域年金相当部分を加えまして公務員職域年金としての設計を行っているところでございます。私学共済年金におきましても、私学教育の振興に資するという目的及び教育基本法の第六条の趣旨にのっとりまして、従来から公務員共済年金に準ずることを建前としてきた経緯があること、あるいは他の共済年金グループとの整合性を図るという観点から、国家公務員等共済組合と同様の厚生年金相当部分の二〇%という水準設定を行ったものでございます。
  20. 本岡昭次

    本岡昭次君 今の答弁の中にありましたその水準を、報酬比例部分の二〇%相当としたということですが、それではその根拠をどのようにして決められましたか、その根拠を明確にしていただきたいと思います。
  21. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) この根拠でございますが、これにつきましては一つは先ほど申しましたような職域年金としての性格、それから過去におきます私ども共済年金グループ給付経緯、それから民間におきます。そういう年金普及状況等を見まして、千分の一・五といいますものの設計を行ったわけでございます。
  22. 本岡昭次

    本岡昭次君 今の答弁ではもう何かはっきり全然しないんですがね。民間企業年金参考にしたという言葉もありますし、私も民間企業年金というものがかなり意識されてこれが取り入れられたと考えています。民間の場合に今までは定額部分報酬比例部分と上に企業年金部分ということが実態としてあった、しかし企業年金部分はまだ半数程度しかそれは普及してないということもあって、必ずしも全体とは言えませんけれども、そういう形態があった。そして今度新しく改定するについて、全体の水準を今の方式のままでやると下がり過ぎるし、そしてまた厚生年金とのいわゆるバランスの問題ということで企業年金相当するものとして職域年金を持ってきた、それによって全体の厚生年金とのバランスなりあるいは今までの共済年金水準が大幅に下がらないようにそれによって対応した、こういうふうに私は理解をしております。  しかし、民間における企業年金実態水準、あるいは費用負担の割合、そうしたものはまさに千差万別でありまして、衆議院における質疑段階でも、大蔵省も具体的にこれが民間企業年金であるというようなこともはっきり言えないという現に実態があるんです。だから果たして千分の一・五というのが本当にそうした問題を解決するにふさわしい比率であるかどうかということについては極めてあいまいな状態であるというふうに私は判断をいたします。  それで、それでは私学共済としてただその横並びで、国家公務員共済が一・五にしたから私学も一・五にしたんだという、僕はやっぱりそういう考え方だけでこうした問題を論議したくないんですよ。私学共済としてやはり一・五というものが妥当であっただろうというそういうものを一本持ち合わせていなければ、我々が何もここで審議する必要が全くないわけで、国公共済の方をじっと見ておって、それを済ましたらはいオーケーと言えばいいんですよ。だから、そういう意味でここで論議すべきことは、そうしたら私学の中にも厚年グループに入っている私学があるんですからね。そうすると私学の中の厚生グループに入っているところはどういうそれでは一体企業年金というものをそこに積み上げているのか、その実態はどうなのか、あるいはまた私立学校というのはこれは民間でありますから、公務員のように退職金がこうとかいうことを別に全国一律に決めているわけじゃないから、そこに企業年金というものを共済年金があっても、それに似たようなものを持ち込むことは僕は可能だと思うんですよ。つくってはいけないという法律も何もないわけですから。だから共済年金グループのところにも詳細に調べれば恐らく年金プラス上積みのようなものがあってもおかしくない、私はこう考えます。独自の上積みみたいなものですが、あってもおかしくないわけなんです。そういう意味で一体私学共済としてそれでは私学共済グループ、あるいはまた厚年グループの中でそういう企業年金的なものが実態としてどういうふうなものがあるのかということをやっぱりつかんで、そして一・五というものが相当であるというふうな一つ判断もやっぱりしてもらわなければいけないんじゃないかと考えるんです。  それで、今言いましたような実態を恐らく把握されておると思うんですが、その実態についてここで教えていただきたい。
  23. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 私学は非常に幼稚園 から大学までさまざまございまして、そこにおきます、先生の今お話しの企業年金的なものがどれだけ設けられているかということの全体は把握しておらないわけでございますが、私ども一部の学校法人からいろいろお聞きして、そういう調査をしたことがありますので、それにつきまして若干御報告をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  これは、いわゆる先生のお話にございました適用除外校の例が一つと、それから私学共済加入校でも設けておりますので、その例を一つずつ申し上げさせていただきたいと思います。  その一つの、これは適用除外校の例でございますが、加入者が全専任教職員で構成をする。で、費用負担学校法人教職員両者負担をします。退職金との関係は一応別枠である。それで、モデル年金額退職前三年間の平均俸給月額の四カ月ということでございまして、これの支給要件は、在職が二十年以上というようなことでございます。  それから、私学共済加入校の例でございますが、これは加入者がやはり全専任教職員費用負担学校法人教職員両者負担をします。で、退職金との関係では退職金年金化というふうにとらえておるというようなことでございまして、モデル年金額加入期間十五年で四十八万ということでございまして、支給要件加入期間十五年以上というようなことでございまして、この申し上げました例はいずれも大学を持っている大きな、ものであるということでございます。
  24. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、厚生省の方にお伺いしますが、企業年金実態について教えていただきたいのであります。  私たち基本的な部分として承知しているのは、この報酬比例部分企業年金相当部分のいわゆるプラスアルファというんですか、それは報酬比例部分の三〇%以上にしなければならないというふうにされているように私は理解をしておりますが、実際には平均して五四%程度のプラスアルファがなされているやにも聞いております。この企業年金実態はどのようになっておりますか。
  25. 和田勝

    説明員(和田勝君) お尋ねの企業年金の状況でございますが、企業年金には、御承知のとおりでありますけれども厚生年金給付の一部を代行いたしますとともに、それに企業といいますか、基金独自の上乗せの給付を行うもの、これが厚生年金基金でございますが、それ以外に税制適格年金あるいは任意の自社年金といったようなものがございますけれども、そのうちの厚生年金基金について申し上げますと、厚生年金基金の認可の私どもの基準といたしましては、厚生年金給付の代行部分、これは報酬比例部分のうちからスライド再評価の部分を抜いた部分でございますが、その代行部分の三〇%以上をプラスアルファすることということを条件にいたしております。それで、このプラスアルファの平均でありますけれども、これは代行部分の額に対する割合で見てみますと五四%になってございます。現状では五四%でございます。  さらに、これをもう少し正確に申し上げますと、丁寧に詳しく申し上げますと、報酬比例部分全体で見てみた場合は、その方が正確かと思いますが、報酬比例部分全体で見てみた場合には、物価のスライド再評価の部分を抜いておりますので、それを入れて計算しなければいけない、こういうことになります。これは将来の賃金なり物価スライドをどう織り込んでいくかという点でなかなか難しい問題もございますけれども、現状の報酬比例部分に対する代行部分の割合というものを、すなわち基金が発足しまして昭和四十一年以来、ずっと十九年間加入していた者の割合であると仮定をした場合でございますけれども、それで計算いたしますと三一%になる。報酬比例部分に対して三一%のプラスアルファの平均値になっているということでございます。
  26. 本岡昭次

    本岡昭次君 ちょっと私の今から申し上げることは、算術的で、ちょっと年金の論議にはふさわしくないかもしれませんが、私なりの一つ理解できる数字として出してみたいと思いますので、間違いなら間違いだというふうに指摘をしていただきたいんであります。  要するに、一階というところに基礎年金という部分があって、その上に二階、三階と積んでいくことになるんですが、二階の報酬比例部分というのは、二十年かけてこの基礎額から、千分の十から千分の七・五、そこへ下げていくようになるんですね。そして、その職域年金部分も、これは千分の〇・五から始まって、二十年かけて千分の一・五にまでこれは漸次内容を高めていく。そうすると二十年たった段階では千分の七・五と千分の一・五で、合わせますと千分の九ということになってくるんです、乗率というものが。  そして、それと同時に、この厚生年金の方も同じように二十年かけて千分の七・五にしていくんですが、今度はその上に積む二階、三階部分というのは、今お聞きしましたように三〇%あるいは三一%というふうに言われておりますが、二階と三階と合わせた部分が、それでは共済のグループと厚生年金のグループとの全体の二十年以後の水準の問題として企業年金部分の方が内容的に不明確であるということと、やろうと思えばかなり上積みされる可能性もある。一方はもう千分の一・五というところで二十年上限が決められて縛られるということから、二階、三階部分のトータルとしての水準厚生年金共済年金を上回るということにはならないのかどうか。もちろん、それは厚生年金のすべての事業所に企業年金がこういう形で導入されたという前提に立たなければいけないと思いますが、しかし、現にその企業年金を導入している厚生年金グループと、共済年金のグループの二階、三階を比べた場合、私が考えているような、素人が考えているようなことになるのかならないのか。ちょっと何やややこしいこと言うたんで、おわかりにくかったかもしれませんが、その二十年たった時点において二階、三階段階における水準というものはいかがなものになるのかという点、どうでしょうか。
  27. 和田勝

    説明員(和田勝君) お尋ねの件でございますが、二階部分といいますか、そこまでは共済、厚年、基本的には同じ設計になるわけでありますから同じで、三階部分だけを取り出しての比較ということになろうかと思いますが、先ほど申し上げました中で、厚生年金基金の職域年金部分といいますか、そこの部分スライド再評価を含んでいない本体部分だけを行っているということで、それに対する比率で基本的に取り出しておる。将来その数字が変わらなければ、先ほども申し上げたんでありますが、三〇%程度、三一%程度になるであろうということを申し上げたわけでありますが、そこの、将来どれだけのものを見込むかというのはなかなかこれ技術的には難しいわけでございまして、そういう意味ではなかなか一概には比較しにくい面があろうかと思っております。そういうことでございます。
  28. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、報酬比例部分に対してスライド部分を加えたら三一%程度になるんじゃないかとおっしゃいましたが、それで共済のように職域年金部分をやると二%以上になりますね、二%で一・五ですから。
  29. 和田勝

    説明員(和田勝君) 御指摘のように、その数字が変わらないとすればそういう数字になるかと思います。
  30. 本岡昭次

    本岡昭次君 今も文部大臣お聞きのように、給付の内容、水準について各年金間のバランスをとると。その中に官民格差と——私は官民格差と言いたくないんですが、掛金たくさん掛けて長期にいる者とこれからの者と、それは経過的にいろんな差が出てくるのはやむを得ないわけで、公務員年金官民格差で高過ぎるという一方的な形だけでのダウンということについては賛成できないんですが、しかし全体の水準を同じようにしていくということについては賛成を私はするんですね。賛成するんです。やはり高齢化社会に向かったときはそういう手法でなければいけないと思います。そういう意味職域年金というものを設けていくということは、それはそれなりに意味があ りますが、今言いましたように、職域年金を一・五に抑えてしまう、厚生年金は三〇%とすれば二・一か二、三、そのあたりのところにくるんじゃないかと思うんですが、それがそのままずっと移行していった場合に、企業年金というものが全産業に広がって、そしてそれが厚生年金全体のものになってきたときの状態を見ると、私は職域年金の千分の一・五という内容はやはりまずいと思うし、これを固定的に二十年という長期にわたって、厚生年金はどうなるかわからぬと言いながら、共済年金だけは二十年にわたってそこへ近づけていくという手法はどうしても賛成できないのであります。もしするんならば、するならば千分の二・〇、千分の二・〇としてやっていくことが厚生年金とのバランスというものがとれるのではないか、こう判断をするんですね。そういうひとつ職域年金水準設定の問題ですね、乗率、これは今回のこの改正時に、私が言うように二・〇とすべきではないかということを直ちに受けられないとしても、やはり近い将来厚生年金との関係も含めながら検討を十分してみなければならない部分ではないかと、こう思うんですが、文部大臣いかがですか。
  31. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) ちょっとその前に私の方から御説明的に申し上げさしていただきたいと思いますが、先生御案内のように、私立学校共済の対象といいますのは幼稚園から大学までさまざまな規模の学校を対象としておりまして、これらの学校教職員につきましてひとしく国公立学校教職員と同等の年金を保障するという今回の措置はまあ妥当でありまして、それ以上一律の水準を設定することというのはなかなか、やっぱり今の全体の私学の状況からいってなかなか困難ではないかというふうに考える次第でございます。それで、先ほど御説明申しましたように、各学校法人におきましては別途いわゆる企業年金的なものを設けることは可能であるというふうな実態にあるということを申し上げさしていただきました。
  32. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると何ですか、今の五十嵐さんの話では、三階の上にさらに四階を積むということも可能だという話をされているんですか。その一・五というものが少なければ、それぞれの幼稚園から大学までいろいろ格差があるんだから、力のあるところはさらにその上に企業年金みたいなものを積んだらいいじゃないかという話ですか。
  33. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 私の説明申し上げている主な点は、いろいろな経営状態にあります、あるいは規模が違います。そういう私立学校につきましては、国公立学校教職員と同等なものを一つの基準として設定するということがやはり必要ではないかと。私立学校につきましては、国家公務員共済あるいは地方公務員共済と違いまして、各学校法人において別途独自の年金を設けるということは、それは個々の学校法人としてやることは可能であるということでございまして、それまでこの私立学校共済組合法がどうこうするというようなことではございませんということを申し上げているわけでございます。
  34. 本岡昭次

    本岡昭次君 またそれは別のときに議論できると思いますので、再度大臣にお聞きしておきますが、私学共済は極めて国公共済横並び、準拠という性格が強いということを考えたときに、今後この職域年金問題については人事院というものが、これは公務員全体の待遇とかいうことにかかわって、職域年金の問題についてこれからひとつかかわっていくという可能性もあるやに聞いているんですよね、人事院の勧告というふうなものの中で。そうすると、公務員というものの特殊性というか、公務員という職域の中における年金ということを一番端的にあらわす職域年金ということについて人事院がこういうふうにひとつ考えてみたらどうかと言って、乗率の問題を、私が言っているように千分の一・五を千分の二にすることがふさわしいのではないかというような論議が近い将来出てきたと仮定しますよね。そのときに、私立学校共済はやっぱりそのときは国家公務員に準拠するんだという強烈なるその関係を重視して、私立学校は別に公務員でも人事院の影響下でもないけれども、それは準拠というところに深くかかわって、国家公務員の方の職域年金の乗率が変わればそこに横並びしていく、こういうふうにこの問題は考えていってもいいですか、どうですか。——これはもう大臣の答弁じゃないか、大臣の。大臣の判断で……。
  35. 松永光

    国務大臣松永光君) これは先生御承知のとおり、私立学校共済の設立された趣旨から言いましても、要するに教育基本法六条に基づきまして、私立学校教職員も国公立の学校教職員と同じではないけれども、同じ教育をしているという点等で、やはり国公立の学校に準ずる、言うなれば全体の奉仕者という考え方教育基本法の六条に定められておる。そこで、私立学校を振興さしていくためには、その教職員の福利厚生の面ではやはり国公立学校に準じた待遇をすることが適当であるということからこの私学共済が設けられてきたわけでありまして、今日まで私学共済のもろもろの重要事項については国公立学校教職員の処遇改善に準じて、特に共済関係では処理されてきたという経過もございますし、教育基本法そのものはずっと尊重しなければならぬ法律になっておるわけでありますから、したがいまして今先生のおっしゃったように、国共済についてのいろいろな改善措置等がなされる場合には、私は私学共済もそれに準じて改正措置がなされるべきものであろうというふうに考えるわけであります。
  36. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのお考えをお聞きしておけば結構でございます。  それでは、もう一つの問題点は、二十五年という年数を置いて、二十五年以上は千分の一・五出すが、それ未満は千分の〇・七五、つまり二分の一に抑えるんだというのがあるんですね。何かみみっちい細かい話をやっているなと思います。それで、要するに職域年金というものがなぜできたかというその経緯なりを先ほどからいろいろお聞かせをいただいたんですが、そういう経緯、趣旨、こういうことから踏まえれば、何もわざわざ年金の受給資格が二十五年だからといって二十五年にして、それ以下は二分の一だというふうにする必要がないではないか。そうしたら二十四年ではどうか、二十三年ではどうかという問題がかなり出てきますし、基本的には一律にすればいいと思いますけれども、我々としてやっぱり今まで二十年ということの中でやってきたということですから、私学なんかを見ると、短い期間に採用されたという人もかなり多いし、長期の方がむしろ少ないんではないかと、こう考えます。だからできるだけ組合員期間を二十五年以上とせずに、それは二十年以上とか十五年以上とか、それを下へ下げていくことが望ましいのではないか、こういうふうに考えるんですね。そして今となって、それを全部一律にすべきではないかという議論をやってもうまくないと思いますので、二十五年を二十年にせめて短縮するというくらいの内容の修正というふうなものでもして、私学組合員の置かれている状況を、精いっぱい文部省としても勘案したんだというふうなことはできないものですか、文部大臣。お伺いしておきます。
  37. 松永光

    国務大臣松永光君) 先ほどから政府委員がお答えを申し上げておりますように、共済年金というのは公的年金性格と、それから職域年金性格をあわせ有しておる。そこで一定期間以上長期にわたり勤務して退職した職員には退職年金を支給するという形になっておるわけでありまして、職域年金相当部分設計に当たりまして二十五年以上と、それから二十五年未満とに差をつけておるのは、これは現在の制度でも組合員期間が二十年以上の者には、二十年未満の者に支給される退職年金よりも手厚い退職年金が支給されておるということと基本的には同じ考え方に実は立っておるわけであります。問題は、その区切りを二十五年じゃなくて、もう少し下げたらどうだという御所論であろうと思うのでありますが、この点につきましても先生を中心にしていろいろ御議論をいただきました。それで、この問題につきましても いろいろ与野党間で協議がなされておるというふうに漏れ承っておるわけでありますが、私といたしましては、その協議がまとまり、そしてお決めいただきましたならば、その結果を尊重してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  38. 本岡昭次

    本岡昭次君 二十五年ということで区切る場合は、二十五年以上は職域年金年金だから出します、しかし二十五年以下は資格がないんですからゼロとしますと、こう言うんならそれはそれでいいですが、その下、二分の一をずっと出すというんですから、ちょっとそこのところの考え方というものは別の要素を、やはり職域年金という一つの特殊的な色合いというんですか、そういうようなものがそこに出ていると思うんです。とすれば、そこの年齢の問題も二十年、十五年、私はむしろ全員にしても何ら差しつかえがない、こう思うんですが、今の時点で法律の原案をさわるとすれば、二十五年を二十年にするというふうなことぐらいはできるんではないか、こう考えますので、そこの点はひとつ十分配慮をしていただきたいと思います。  最後に、やはり一番気になるのは、私学共済年金全体として、今度の改正案によってそれでは全体の水準がどれだけ低下をするんかという問題なんですよね、それを移行したときに。私たちの知っているのは、厚生年金がモデルとして厚生省が出しております、いわゆる現時点の価格でもって三十二年組合員期間を有し、平均標準報酬月額二十五万四千円の人であれば、妻の加給金を加えて十七万六千三百円が二十年の経過をしたら、今度は四十年たって同じ二十五万四千円の標準報酬月額の男子であれば、それが十七万六千円になる、こういう一つのモデルがあるんですよね。そして、全労働者の平均給与の中の六八%を六九%にする、こういうモデルがあるものですから、比較的厚生年金皆さんは、私たち年金が二十年たったらどういうところへ移行するんかというモデル年金によって実態をかなりつかむことができるんですよ。ところがこの私学共済の場合は、そういうモデルというのが示されないままずっと論議をしているんで、最後に一体現行年金水準改正によったらどういう状態になるんか、どれほどの一体水準がダウンするんかという全体像をひとつモデル的にやはり最後は示していただいておかないと締めくくりがつかぬと、私はこう思います。その点と、それからちょっと保留になりました質問部分をお伺いして終わりたいと思います。
  39. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) それでは、まずモデルの方から御説明をさしていただきます。  私学共済の場合には、今までもいろいろ御議論のございましたように、組合員期間がまだ比較的短い人が多いというふうなことがございますので、これは私どもの五十九年度価格でやって、それで五十九年度の裁定者の平均について出しているものでございますんですか、これにつきましては組合員期間が二十八年ということでつくりまして、退職前一年間の平均標準給与が三十二万と、それを全期間平均標準給与に直しますと二十三万一千二百円ということで、完成時は夫婦ともに六十五歳以上になるというようなことで申し上げさしていただきますと、退職年金額が現行では十六万六千三百円でございますが、これが完成時におきましては十四万三千三百円ということで、現行水準の八六・二%に相なるというようなことでございます。  それからもう一つ先生に冒頭にお答えすべきところを遅くなりまして大変申しわけないわけでございますが、今お答えさしていただきますですが、私学共済既裁定者が受ける基礎年金給付額ということでございますが、これにつきましては現実にすぐ受ける給付額といいますよりも、先生御承知のとおり、今度の基礎年金を導入いたします場合には、今度、既に私学共済に入っていた期間基礎年金相当期間としてみなすということがございますので、それが昭和三十六年から昭和六十年までということでございまして、現在基礎年金の対象者が二十歳から六十歳がおりますので、それの期間基礎年金の単価を、これが現在二千四百円ということで厚生省いただいておりますが、それを算出しますと、五十九年度価格で約三百五十億円程度と見込まれるというようなことでございます。  それで、先ほどの対象者が具体的に六十一年度とういうふうに想定しているかということのお話でございますが、これにつきましては、私どもといたしましてはすぐに直接結びつく正確な資料は私どもとしては持っておりませんですが、一応私どもが考えておりますのは、一つ退職年金をもらう人、これが先ほど申しましたように一万七千人でございまして、これが減額退職年金も含めましたものが一万七千人ということでございます。それから、他の制度をいろいろ動かれて、それで通年になるというような方もありますので、そういう通年の三万人を含み、それからそのほか遺族、障害も入れまして約四万九千人というのがございまして、そのうちのかなりの部分の方がやはり基礎年金をお受けになるということが考えられるということでございます。
  40. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう時間がありませんので、時間の中で質問しますが、今言われました基礎年金をもらう総額が三百五十億と言われましたが、その三百五十億というのは昭和六十一年度に支出される額ですか。それとも私学共済全体の中の将来受けるべき金額含めての分ですか、三百五十億というのは。
  41. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) これは六十一年度に受けるべき額ということでございます。
  42. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、拠出額は四百億でそのうちの三百五十億は私学共済組合員が六十一年度に受ける。それで細かい話したら、五十億というものは賦課方式でいくというんですから、五十億というのは私学共済に直接関係ないところにどっかに、どういうんですか、財政調整という意味でいっているというふうに単純に理解をしていいのですか。
  43. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 先生の御指摘のとおり、五十億の分はこれは私ども申し上げておりますように世代間の互助というようなこともございますので、これは将来またほかのところから返していただく可能性があるというようなことでございます。
  44. 本岡昭次

    本岡昭次君 それを言うたらだめなんよね。賦課方式でいきますというのに将来というのは、積立方式じゃないんだから、これは。基礎年金は賦課方式だから単年度、単年度必要なものをそれぞれ拠出していこうとするんですからね。そういうその言い逃れ的なことを言わずに、やっぱり私学共済としては三百五十億でいいものを四百億出すようになるんですということを仕組みとして言わなければだめですよ。賦課方式なんだから単年度、単年度決裁していくんでしょう。ちょっと今の答弁は撤回しておいてください。
  45. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 単年度に見ますと先生のおっしゃるとおりでございますが、私が申し上げましたのは、将来逆にまたそういうふうにほかの制度からもらうこともあり得るかもしれない。それは返していただくということではございませんが、別の例えば何年度かのときにそういう状態も逆に生じるかもしれないということを申し上げたわけでございます。
  46. 本岡昭次

    本岡昭次君 これでやっぱり私学共済と他の共済とのここに財政調整というものを基礎年金においてやっている、やろうとしているんだと、約二十年近くということが明らかになったんです。明らかになったからどうせいということを私は今ここで言える中身を持っておりませんが、やはり基礎年金というのはなぜつくったんかという問題の一つの長所として、私ども基本年金と言っておりますが、やはり一階建ての共通部分、社会保障的なものを国民全体が共有することは必要だというその部分のプラス面と、もう一方、そこに巧みに財政調整を持ち込んだということ、やっぱり賢いなと思うんですよね、これを考えられた人は。  だから、そこのところはそういう財政調整機能があるんならあるということを正直に言った上で、そしてこの問題の全体の理解を求めるべきで あったと思うんですよ。ここまで話しなければわからぬじゃね、基礎年金のことが全然明らかにならぬまま入ってしまうわけですよね。だから、私学共済組合員にはやっぱりこういう事柄が具体的中にあるんだということを明らかにした上でやっていかなければ、私学共済のあなた五十億なんてかなりな金ではないかと思うんですね。それがあなた、十年間続いたら五百億ということになるわけでありまして、そういう私は大きな問題をはらんだままスタートするということについてやはり大きな疑義を持つし、そうしたことを具体的に明らかにしないままやろうとすることについて、趣旨には、基礎年金という問題についての考え方には賛成しても具体的なやり方については賛成できないんであります。  まだたくさん質問し残したことがあるんですが、一応時間が来ましたのでこれで終わります。
  47. 中西珠子

    中西珠子君 まず第一に、短時間で「私学共済基礎年金拠出金額の推移」という資料をお出しくださったことを歩といたしますことを申し上げます。  今、これまでの本岡委員とそれから政府側委員のやりとりの中で、やはり私学共済のような加入者に比べて年金受給者が少ないところが、他の加入者に比べて年金受給者の多い年金制度に対して相当援助をしているというか潤すということを行っているのだと、それからまた基礎年金拠出額を通じてそして財政調整というものを少なくとも二十年間ぐらいはやるのだということがわかったわけでございます。しかし、それが必ずしもいけないと言っているわけではなくて、これから高齢化社会に向かいましては基礎年金というふうなものを導入してすべての人が最低の老後の保障は得られるということをすると同時に、年金間の財政調整も必要ということはわかるのですけれども、これを急激にやられてそしてこれまでの組合員の期待権、既得権というものが損われるという点だけはやはり避けていただきたいし、そういう期待権、既得権を尊重するという態度であくまでやっていただきたいと思うのでございますが、文部大臣いかがでございますか。
  48. 松永光

    国務大臣松永光君) しばしばお答え申し上げているところでありますし、また先生もただいまお話しがありましたように、高齢化社会を展望いたしますというと、国民連帯的な考え方でいかぬというと公的年金制度は成り立たない。そしてまた、世代間の給付負担の均衡、これも非常に重要な事柄であります。そしてさらには、国民連帯的な考え方に立ちますというと、当然のことながら官民格差の是正というものもやらなきゃなりません。そういうことでありますので、既得権ないし期待権については一指も触れてはいかぬということであっては世代間の給付の均衡あるいは公正というものは実は図られません、あるいはまた官民格差の是正というのも図られません。したがいまして、基本的には、例えば既裁定年金の額そのものは保障するけれども多少のことは理解をしていただいて、そして世代間の均衡あるいは制度間の均衡、これを図っていくことが私は国民連帯的な考え方に立つ公的年金のあり方ではなかろうか、こういうふうに思います。そういうことで今回の改正もお願いをしておるわけでありまして、その意味では給付の適正化措置につきましては御理解を願いたいわけであります。
  49. 中西珠子

    中西珠子君 給付の適正化それから世代間、世代内の公平ということを今強調なさいましたけれども、法案の二十三条それと附則の第四条では、これはもう長い間私も何回も申し上げましたし、衆議院段階からも非常に論議の的になっているわけでございますが、こういう現在議題となっている法案の二十三条と附則第四条によって不利になる人が少なくとも六万人は出てくるだろうということがが言われております。不利になる者が多数出ないように年金算定の基礎というものをどのようにするかということを考えて、そして法案の修正というものをやるべきだと思うのでございますが、そういった場合、文部大臣は心を広くして修正の要求をお入れになりますでしょうか。
  50. 松永光

    国務大臣松永光君) 今御指摘の附則四条関係のことでございますが、しばしば申し上げましたように官民格差が起こっておる大変大きな要因はそこにあるわけですよね。国家公務員共済等いわゆる官の方は退職前一年の給与で、それを基準にして年金を算定しておるわけでありますから、今まで。ところが、厚生年金の方は全期間でございますから。日本の給与体系は、職場に入ったときは月給は安くて退職前が一番高いということでありまして、官の方は一番高いところを基本にして年金を算定する、一般国民の側は、民間の側は安いところと高いところとずっととりましてそれでその平均でやる、こうなっておりますから、それが民の方と官の方の年金の格差を生んでおる一番大きな要因だろうと思います。  今回はそういう点を是正しようと、官民格差是正ということで、本法施行後につきましては厚生年金と同じ方式で全期間で見るわけでありますが、問題は本法施行の前と後にまたがって在職する方の平均標準給与をどう算出するかという問題でございまして、先ほども申し上げましたように純粋に官民格差を是正するという理論を貫き通すならば、また私学に働く人たち厚生年金と同じ通年方式でやるわけでありますから、その子や孫の連中には安くなる金額をお額いすることになるわけでありますから、世代間の給付の均衡という点も考え合わせるならば、純粋理論的に言えば厚生年金方式にやるのが筋は通るのかもしれません。しかし、まあ私学人たちに対して温かい配慮をするならば、国家公務員の方が五年補正方式だから、そっちをとった方がより多くの人が実質上利益になるであろうということで現在御提案申し上げておることを決めまして、そして審議をお願いしているところなんでございます。ただ、この方式でやれば厚生年金の全期間方式よりも低下。するものは出てくるという点が御指摘になりまして、それに対して何らかの措置を講ずべきじゃないかという先生の御所論であるわけでありますが、先生のおっしゃっているお気持ちはわからぬわけじゃありません。そしてまた、この問題につきましては与野党間で御協議がなされておるというふうに漏れ承っておりますから、私としては現在御提案申し上げているのが最善のものと考えてはおりますけれども、しかし審議権があるのはこの委員会でございますので、この問題について各党間で合意がなされればその結果を十分尊重してまいりたいというふうに考えているわけであります。
  51. 中西珠子

    中西珠子君 私は、年金給付の額の改定につきまして一条の二の解釈をお伺いいたしまして、そしてこれは賃金変動も含むのだと、そういう解釈ができるのだからという確認の御答弁をいただいたわけでございますけれども、やはりこれは法律の中に明記するべきだと考えますので、この点はどうしても賃金変動を含むということを何らかの形で法律の中に明記していただきたいと思うわけでございますが、文部大臣はいかがでございますか。
  52. 松永光

    国務大臣松永光君) これも先刻お答えをいたしたところでありますけれども法律の解釈としては、先生指摘のように国民生活水準その他の諸事情の中には当然賃金の上昇も解釈上あるいは文理解釈からいっても読み取るべき字句だというふうに考えております。ただ、厚生年金法改正のときに賃金という言葉を念のために入れていただいたという経過もございますし、さらにこの点につきましてもこの委員会でいろいろ御指摘もいただき、その取り扱いにつきましていろいろ御協議がなされておるというふうに漏れ承っておりますので、その間の合意が成立いたしましたならば、その結果を尊重してまいる所存でございます。
  53. 中西珠子

    中西珠子君 職域年金相当分の引き上げということが望ましいし、またこれは私学共済の独自性というものを勘案して自由に設計をさせるようにするべきではないかということを私はこの前の質問においても申しましたけれども、社会保障制度審議会の文部大臣あての昭和六十年四月十日付の 答申の中にも、職域年金部分について画一的に扱うことには問題があると。そしてその給付水準と財源負担スライドのあり方についてもさらに慎重な検討が必要であるというふうに指摘されているわけでございますが、この職域年金相当部分というものについて、これはもう今の法案のままでどうしてもいくべきだとお考えになっているのかどうか。また、職域年金相当部分をとにかく加入期間二十五年以上でないと払わないと、二十五年未満というものは二分の一支給であるというふうになっておりますが、二十五年というところで切ってしまって、二十四年のときは二分の一支給というのはどうもこれは過酷ではないか。職域年金であるという性格から考えましても、これはもう少し融通性を持たせてやるべきではないか。少なくとも二十年未満は二分の一支給として、二十年以上であれば職域年金相当部分は支給するというふうにするべきではないかと考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
  54. 松永光

    国務大臣松永光君) この点も、先ほど私並びに政府委員から御答弁も申し上げたところでございますが、私学共済は、先生御承知のとおり幼稚園から大学までさまざまな規模の学校を対象としておる制度でございまして、組合員は種々さまざまでございます。したがいまして、この費用負担の限度がどうであろうかということ等もございますので、いろいろ難しい問題がありますが、いずれにいたしましても、幼稚園から大学までのすべての学校の教職について国立学校教職員と同等の年金を保障しようとするために今回の職域年金部分、そしてそれの支給条件そして支給の率等を定めたわけでありますが、これはまあ私立学校の現状からして、御提案申し上げておる内容が適正ではなかろうかというふうに考えておるわけでありまして、ぜひ御理解を願いたいところであります。  ただ、後段で御指摘職域年金相当部分の支給条件の一つである二十五年以上が千分の一・五、二十五年未満はその半分になるというようなことでございますが、これは現行制度でも組合期間二十年以上の者には二十年未満の者に支給される通年退職年金よりも手厚い退職年金給付がなされておるわけでありまして、それと基本的には同じ考え方であります。ただ、二十五年とするか、あるいは二十年とするかという点につきましてはこの委員会でいろいろ御議論をいただいたところでありますし、またその取り扱いにつきましては種々御協議がなされておるというふうに漏れ承っておりますので、その合意が成立をいたしました。ならばその結果を尊重して対処してまいりたいというふうに考えているわけであります。
  55. 中西珠子

    中西珠子君 先ほども引きました社会保障制度審議会の六十年四月十日付の文部大臣あての答申の中に、既裁定者スライド停止について言っているわけですが、「老後の生活設計に組み込まれている既裁定年金スライドを停止する等年金制度に対する信頼を裏切りかねない内容をもつものである。」と、こういう指摘をしているわけでございますが、この前私は何度も取り上げて、文部大臣からも御答弁いただいたんですけれども、裁定がえをしても従前の額は保障されるのだからいいのではないかと、こう言われましたけれども、やはり六年も八年もスライド停止になる人にとっては年金の実質的な価値が非常に下がるということにもなりますし、老後の生活が脅かされるということにもなりますので、従前の額が保障されているからいいではないかというのは非常に形式主義的な考え方だと思うんでございますけれどもね。ですから、こういう既裁定者スライドストップについてはこれはもう行わないということにお考えいただきたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。
  56. 松永光

    国務大臣松永光君) この点もしばしば御議論をいただいたところでありますが、既裁定者の持っていらっしゃる権利、それに対する期待的なものも含めまして一指も触れてはならぬのだということになりますというと、この官民格差の是正とか、世代内、世代間の給付負担の公正ということは全く図られない結果になります。既裁定権者の権利も十分尊重しなきゃならぬということで、これから裁定を受ける人は通年方式の低い金額になるわけでありまして、既裁定権者の方も裁定がえをいたしますが、その裁定がえした額の方が低いわけでありますから、しかし、既裁定の年金額は保障しますよと、こういうふうにして既裁定権者の権利を尊重することにしたわけであります。  ただ、それにスライドも当然認めていけとなりますというと既裁定権者の権利には一指も触れてはいかぬと、こうなってくるわけでありまして、しからばそのスライド部分はどなたが負担するかとこういえば、通年方式の低い裁定を受ける人が負担をしていくことになるわけでありますから、そこで世代内、世代間の給付負担の公正ということを考えますというと現在御提案申し上げていることが妥当なところなんでありまして、ぜひひとつそういうことでありますので御理解を願いたいわけであります。
  57. 中西珠子

    中西珠子君 それでは私学共済の理事長にお伺いいたしますが、積立金の運用はどのように行っていらっしゃいますか。
  58. 保坂榮一

    参考人(保坂榮一君) 私学共済におきます積立金は、将来における年金給付の財源として保有しているものでありますので、これは法令の定めるところに従いまして安全かつ効率的な運用を行っております。ちなみに昭和五十九年度の決算における保有資産を申しますと九千九十六億円でございますが、その平均運用利回りは七・三六%でございます。なお、今後の運用につきましても法令の定めに従いまして安全かつ効率的に行ってまいりたいと考えております。
  59. 中西珠子

    中西珠子君 自主的に運用をなすっているわけですね。法令の定めるところに従って自主的に運用をなすっているわけですね。
  60. 保坂榮一

    参考人(保坂榮一君) はい。法令の定めるところに従いまして自主的に運用をいたしております。
  61. 中西珠子

    中西珠子君 今後も自主的な運用を引き続きさせるというおつもりでいらっしゃいますか。文部大臣いかがでございますか。
  62. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 今理事長からお話がございましたように法令の規定がございまして、その中で、預貯金等の一号資産は五五%以上、不動産の取得に対する貸付金等が二〇%以内、それから三号資産、組合員に対する貸付金等でございますが、これが二五%以内の構成割合でやるということが法律で決まっておりまして、また、これらの資産は長期経理の総資産に対する利率が年五分五厘を下らない範囲において運用をするということがございます。また、毎事業年度、その前事業年度の責任準備金の増加額の三分の一に相当する金額を政府保証債または文部大臣が大蔵大臣と協議して定めるもの、具体的には日本私学振興財団への貸し付けに運用するということでございまして、この規定を私どもはやはり大事にしてまいりたいということでございますので、この範囲内におきまして私学共済の組合の方で最大限、大事な資産でございますから、それを有効に御活用いただきたいというふうに思っているわけでございます。
  63. 中西珠子

    中西珠子君 私学共済は、現行の保険料率でも赤字になるのは二十年先、昭和八十一年ということでございますし、積立金の運用も非常にうまくやっていらっしゃると。それで、財政見通しも非常に明るいのではないか、現段階で考えますと明るいのではないかと。積立金がゼロになるのは昭和九十年ということにもなっておりますし、他の公的年金制度に比べますと非常に健全な運営で財政見通しはいいということも言えるのではないかと思うのでございますが、保険料率を上げる前にきちっとアクチェアリーによる財政再計算をやるべきだと考えるのでございますが、保険料率を自動的に五年ごとに一八%上げるというふうなことではなく、やはり料率を上げる前にははっきりとした財政の再計算をやってそれをきちっと組合員にも示すということが必要だと思うんでございますが、いかがでございますか。
  64. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 私学共済組合の長期給付に関します掛金率につきましては、もう従来から私学共済組合における専門家によります財源率再計算の結果を踏まえて決めてまいったところでございまして、最近では昭和四十五年、四十九年、昭和五十五年に財源率の再計算を行っておるわけでございます。現在そういう年金の数理専門家を中心にいたしまして今回の制度改正を前提といたしました財源率再計算の準備を進めているところでございまして、先生の御指摘のように、この掛金率を決めるというのは組合員あるいは学校法人負担ということに非常に大きな影響があるわけでございますので、この点につきましては、十分慎重に、かつ幅の広い検討をしてまいるというふうに考えておる次第でございます。
  65. 中西珠子

    中西珠子君 これはちょっと通告してないかもしれませんけれども、少し時間がございますのでお伺いしたいんですが、昭和六十年の四月一日から施行されている遺族年金の最低保障額ですね、六十二万九千四百円ですか、これは改善する必要があると思うのでございますが、改善なさるおつもりですかどうですか。
  66. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 今の先生の御指摘の点でございますが、これは全共済組合共通の問題でございまして、従来もその最低保障につきましては意を用いているところでございますので、先生の御趣旨を踏まえまして十分検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  67. 中西珠子

    中西珠子君 これはこの前もちょっと申し上げたことなんでございますけれども、併給の一律禁止ということでは、特に女性で年金額が低い人にとってはこれはもう生活できないというふうな状況も出てきますので、併給の限度額というものをつくって一部は支給するというふうにできないものでしょうか。これはこの前できないというお答えをいただいたのにまた繰り返すのは大変しつこいようでございますけれども、この問題は多くの女性の人たちから非常に過酷なやり方であるということを言われているわけでございますので、この点について何とかこれは一部は支給できるように併給限度額というふうなものをつくるということはできないのかどうかということをもう一度お伺いさせていただきたいと思います。
  68. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 先生指摘のとおり、私立学校共済組合におきましては幼稚園の保母さんが相当数加入しておられまして、その方たちは、まあ割合早い時期に御退職になるというようなこともあるわけでございますが、その点につきましては、今度基礎年金としての国民年金を導入したということで、まずその分だけは御退職になりましても一応基礎年金を続けていけばそれがそれで続いていくということと、それから、それで基礎年金としての受給資格をお持ちになれば、働いておられる期間に応じて報酬に対応して報酬比例部分年金をお出しすることができるというようなことがあるわけでございます。  それで、今の先生のお話にございました併給調整の点でございますが、今回の新しい年金制度におきましては各制度におきましてそれぞれ適正な給付水準を定めるようにしておりまして、その制度間あるいは制度内を通じて一人一年金の原則のもとに併給調整を行うこととしておりまして、これは全公的年金制度共通の問題でございます。それで、先生の御指摘のように、この措置の実施に当たりまして一部併給等の経過措置を設けることは、これは先ほどから大臣が御答弁申し上げておりますように、また現役組合員負担の増大ということもございますものでございますから、世代内及び年金受給者間のバランスのとれた公平の制度を目指す今回の制度改正の趣旨にかんがみまして、いろいろの点はあると思うわけでございますが、御理解いただきたいというふうに思う次第でございます。
  69. 中西珠子

    中西珠子君 義務教育学校の女子教育職員は育児体業制がございますね。無給ですけれども、結局年金なんかは続くわけでございますが、私立学校におきましては、やはり出産とか育児とか、また老人介護なんかで退職を余儀なくされる女性というのはあると思うのですね。そういう私立共済組合組合員である女性が、一時、百児のためとか老人介護のために退職して、そして仕事を中断して組合員でなくなるという場合に、これは結局国民年金に加入するということになるのだと思いますけれども、その期間中をただ国民年金の加入だけでは非常に再び雇用されて仕事を始めた場合の退職共済年金が少なくなる、低くなるということがございますので、雇用を中断された期間というものを共済の方の組合期間に加算するということはできないのでしょうか。
  70. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 今の点二つのことを分けなくてはいけないと思いますが、退職になりますとそれは国民年金に御加入いただいて、今国民年金自体は強制加入ということでございますから、それでお続けいただくということで、それの報酬比例部分につきましては在職いただいている期間について私学共済組合からお払いするということでございますが、もう一つは育児休業の場合におきましては、これは組合員期間はつながるということでございます。
  71. 中西珠子

    中西珠子君 育児休業の場合はつながることはわかっているのですね。ところが問題は、私立の学校には育児休業制度がないわけですね。ですから、育児休業がないからやめてしまった場合は、結局国民年金に加入するよりしようがない。それで今、年齢制限などがありまして、再び教員になるということはなかなか中高年においては難しいということでございますが、幸いにしてフルタイムの教員の職を再び育児や老人介護が終わった後で得たといたしますね。そういたしますと、また私学共済に入るということになるわけでございましょうが、在職期間中でない雇用の中断期間中は結局国民年金に入るだけであって、報酬比例部分が全然計算されない、職域年金相当分も計算されないということになりますが、もう少し何か育児とか老人介護という問題は、結局社会サービス、社会環境というものが悪いためにどうしても女性が担わなきゃならないということでございますので、フランスあたりではそういったことで雇用の期間を一時中断した人に対してはプレミアムつきでその期間組合員期間としてプラスしている。それから、イギリスにおいてもプレミアムつきではないけれども組合員期間にプラスしている、加算しているという実情もあるわけでございますので、こういう面で少し御配慮が願えないものかと思ってお聞きしているわけです。
  72. 五十嵐耕一

    政府委員五十嵐耕一君) 育児休暇をどういうふうに扱うかということにつきましては、具体的には各学校法人に任されておりまして、今すぐどうこうということは非常に難しいということでございます。  それで、先生の今の退職した者についても私学共済の方から何らかの格好の考慮をしろということにつきましては、現行制度ではやはり非常に難しいことでございますし、これはやはりほかの制度の全体との問題もございますし、今の先生の外国におきます制度につきましては、非常に貴重な御意見としまして伺わせていただきたいと思っております。
  73. 中西珠子

    中西珠子君 時間がまいりましたので私の質問を終えますが、私立学校教職員の福祉の向上、また私学振興にも寄与するという目的でできました私学共済の目的と趣旨というものを尊重していただいて、今後とも私学共済が安定的に発展するように文部大臣として御配慮を願いたいという要望を申し上げて私の質問を終えますが、文部大臣一言お願いいたします。
  74. 松永光

    国務大臣松永光君) 私立学校が果たしておる役割の重要性にかんがみまして、私立学校の振興を図るという見地から、先生の御意見を参考にさしていただきまして、今後とも十分努力をしていきたいと考えております。     —————————————
  75. 林寛子

    委員長林寛子君) この際委員の異動について御報告いたします。  本日、高木健太郎君が委員を辞任され、その補欠として服部信吾君が選任されました。
  76. 吉川春子

    ○吉川春子君 来年度予算の編成が大詰めを迎えようとしているわけですが、文教関係では四十人学級とか私学助成の拡充とか、マンモス校の解消など教育条件整備のための積極的な予算を組むことを国民は求めています。これとの関係でマスコミによれば義務教育費国庫負担法第二条に定める教職員給与費等の国庫負担にメスを入れて事務職員、学校栄養職員の給与に対する国庫負担あるいは二条四号に定める教職員の長期給付に要する費用の国庫負担等を削るかのごとき報道があるわけです。このような国庫負担を削らないと国民の求める教育条件の整備ができないのか、こういうことは絶対にやるべきではないと思うのですけれども大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  77. 松永光

    国務大臣松永光君) ただいまの御質問は、今議題となっておる私学共済法の議論とは関係ないように思うのでありますけれども、せっかくの御質問でございますからお答えいたします。  義務教育費国庫負担制度につきましては、まだ大蔵省からは正式の意見の申し出はございません。したがいまして、文部省としてその具体の対応ぶりについて申し上げることは現段階では差し控えさしていただきたいと思うのです。いずれにいたしましても厳しい財政事情でございまして、いろいろ難しい問題が出てくると思いますけれども、その難しい問題、議論の中に国庫負担制度にかかわる議論も出てくると思いますけれども、しかし、私としては義務教育費国庫負担制度基本はあくまでも堅持してまいりたいと考えておるところでございます。
  78. 吉川春子

    ○吉川春子君 共済関係がないわけではありませんで、私立学校の教育、義務教育学校教職員について地公共済法によると長期給付に要する費用のうち、地方公共団体の負担金は百分の五七・五、この二分の一が国からくるという計算になると思うのですけれども、この共済に対する国庫補助を切るとなりますと、地方公共団体に対する財政的な圧迫は大変なものになるのではないかと思うのです。これは事務職員、栄養職員の給与の国庫負担を切るということと同じことでございますけれども、こういう問題について自治省はどうお考えでしょうか。
  79. 鶴岡啓一

    説明員(鶴岡啓一君) 現在昭和六十一年度以降の補助率等のあり方につきましては、補助金問題検討会において各般にわたって検討を進めているところでありまして、今先生が御指摘のありました問題を含めまして義務教育費国庫負担制度のあり方についても検討がされているところであります。  自治省としましては、その結論も踏まえまして予算編成時までに慎重に対処して結論を出していきたいというふうに考えております。
  80. 吉川春子

    ○吉川春子君 もし地方公務員、特に学校先生などに対する共済の国庫負担が削られるということになると地方自治体の財政的な圧迫はどういうふうになるというふうにお考えですか。
  81. 鶴岡啓一

    説明員(鶴岡啓一君) 先生御案内のように、それらに関係する費用について現在二分の一の国庫負担制度があるわけでして、それが何らかの形で削減されるということは、当然に地方団体の負担がふえるということになります。
  82. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、自治省としてはそういうようなことはやっぱり好ましくない、やられたら困るのだというお立場なんでしょうか。
  83. 鶴岡啓一

    説明員(鶴岡啓一君) 先ほど文部大臣からも御答弁がありましたように、私どもも非公式には大蔵省等からのいろんな話も来ておりますが、まだ最終的にどういうふうにするというところまで詰まっておりません。基本論から言いますれば、私どもは現行の義務教育費国庫負担制度を維持していただきたいという立場で折衝に臨んでいるところでございます。
  84. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃ共済法とのかかわりで大臣にお伺いしますけれども学校教職員に対して共済の掛金の二分の一は使用者負担で、その二分の一のさらに半分が国から負担するという制度になっているわけですけれども、こういうことを決めてある法律に反してこういう共済の国庫負担を切るということは、やはり文部省としてもやってはならないというふうにお考えなんじゃありませんか。
  85. 松永光

    国務大臣松永光君) 先ほどもお答えいたしましたように、この問題につきまして、義務教育費国庫負担制度にかかわる問題につきまして大蔵省の方から正式には何の申し出もまだなされていないわけでありますから、したがって具体的な対応ぶりにつきまして申し上げることは差し控えさせていただきたい。ただ、先ほども申し上げましたように、財政事情は極めて厳しい、昨年度予算編成における経緯等から見まして国庫負担制度にかかわる議論も出てくるということは予想はいたしておりますけれども文部省としては、その場合にはこの義務教育費国庫負担制度基本は堅持してまいる所存でございます。
  86. 吉川春子

    ○吉川春子君 今回の共済年金制度の大改革で給付は四割も減らされ、保険料は政府の説明でも地方公務員は二・五倍になるというふうにされているわけです。もし共済掛金に対する国庫負担の適用除外、もしくは削減を行うようなことにでもなれば地方財政の逼迫の状態から見て労使折半の原則さえ維持できずに、教職員の保険料の負担率の引き上げということも当然起こってくるのではないかというふうに思いますけれども、この点は自治省どうですか。
  87. 鶴岡啓一

    説明員(鶴岡啓一君) 直接の所管でありませんのであれでございますが、私どもはいずれにしましても公費で負担すべきと決まったものにつきましては支障のないように財政措置を講ずるのが自治省の責務でありまして、結論に従いまして毎年度それぞれいろんな意味で財政措置を講じてきておりますので、それは六十一年度につきましてもきちっとした形で処置していく責任がありますので、その方向でことしも対処していくつもりでございます。
  88. 吉川春子

    ○吉川春子君 いずれにいたしましても大変な問題が起こりつつあるわけで、こういうことについてはさっき大臣が基本的なお考えをお述べになりましたけれども、その線で絶対に守っていただきたい。適用除外とか削減とかどちらも絶対にやってほしくないということを私は指摘しておきたいと思います。こういうことがもし行われますと、ことし教材費の国庫負担が削られたわけですけれども、それによって大変実質的には教材費も地方自治体のレベルでかなり減っているわけで、憲法二十六条の義務教育の無償、教育基本法の教育の機会均等、こういう理念にも抵触するということを私は主張しておきたいと思います。  次に、総理が六月十八日の第百二国会の本会議で各種共済法の趣旨説明の際に質問に答えて改正理由の中で、このままいけば、国鉄の年金の支払いが難しくなる。電電やたばこ産業の皆さん方によって支えられているが、これを支える枠をもっと広げなくてはならない。そういういろんな点を勘案して、今回、年全体系の根本的な改革を図ろうとして行ったものだと述べておられますが、当然文部大臣も総理と同じお考えであるわけですね。
  89. 松永光

    国務大臣松永光君) 今回の改正案を提案申し上げまして御審議お願いしておるその趣旨とするところは、高齢化社会を展望して長期的に安定した公的年金制度を樹立するためにお願いをしておるところであります。  そして、これはだれしもが認めていただいていると思いますけれども、やはり公的年金制度というものは、官民の格差があることは捨ててはおけない。それから世代間の給付負担の均衡が保たれていなければならない、そういった点等の改善措置をするためにお願いをしているところでありまして、公的年金制度の基本的な考え方にはやはり国民連帯的な考え方が当然なければならぬし、また自分の世代だけ保ち切ればいいんだと、子や孫の時代は知らぬぞなどということでは公的年金制度そのものが実は成り立たないわけであります。したがって世代間、世代内の負担給付の均衡を図る、官民格差の是正を図る、こういったこ とで公的年金制度の長期的な安定を考えて御提案を申し上げているところなんでございます。
  90. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、総理が端的に国鉄共済を支えるために今度の共済年金の改革も行っているんだと、国鉄の共済を支える枠を広げるための共済年金制度の改革なんだというお考えについては、大臣としてはどういうふうに受けとめでおられますか。
  91. 松永光

    国務大臣松永光君) この点につきましては十一月二十八日の衆議院の連合審査会で藤波官房長官からお答えをきちっとしておるわけでありまして、「国鉄共済年金については、財政調整五カ年計画の終わる昭和六十四年度までは、政府として、国鉄の経営形態等の動向を踏まえつつ国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにいたします。以上につきましては、昭和六十一年度中に結論を得、その後できるだけ速やかに具体的立法措置に入ることといたします。なお、昭和六十五年度以降分につきましては、その後速やかに対策を講じ、支払いの維持ができるよう措置いたします。」というふうに答弁をいたしております。そしてまた大蔵大臣からは、国鉄の自助努力も幾らかということも現時点では言えおいし、国の負担についても理屈のあるものしか出せませんので、現時点ではお答えできませんが、六十四年度までは理論的には他制度からの連帯はあり得るが、強いて言えば現時点では考えておりません。さらにまた「諸般の検討」の内容について、現時点では明確に申し上げられないが、例えば積立金の処理等の諸般の検討を行うとしか申し上げられません、というような答弁がなされておりますが、これらの答弁の趣旨に沿って国鉄問題は対処されるものと考えております。  したがって、私学共済が国鉄救済のための財政調整に参加するのかどうかというようなことにつきましては、現時点では国鉄の財政調整に参加するというふうに私は考えていないところであります。ただ理論的には国民連帯という考え方を突き詰めていけばあり得ないことではないわけでありますけれども、現時点では私はそういう考え方を今持っているわけではございません。
  92. 吉川春子

    ○吉川春子君 当委員会にげさ配られた資料によりますと、昭和六十一年度における私学共済基礎年金拠出金額は四百億、全共済拠出金額は八千億です。また答弁によると、退職者数は私学共済で一万七千人、全体の数は百六十万人ということであります。それをもとに考えますと、私学共済退職者数は全体のおよそ百分の一、拠出金は全体の二十分の一というふうになって、拠出金と受け取る人数とは大変アンバランスであるわけです。さらに先ほどの論議で拠出金を四百億、実際に受け取るのは三百五十億ということですから、年金を統合しただけでも私学共済のこうむる損失は大変大きいわけです。この上国鉄に協力させられるということは私学共済を守る上では大変な事態になるというふうに思うわけです。さっきの政府の統一見解は統一見解として詳しく今大臣から御答弁いただきましたけれども私学共済のサイドから考えると、今指摘したようなことも含めて大変な事態であるという御認識は大臣もお持ちでしょうか。
  93. 松永光

    国務大臣松永光君) 基本的な物の考え方として、自分たち共済は財政が安定しておる、だからおれたちはこれだけで改革はしないんだというふうなことでは、これはまかり通らぬわけでありまして、また、現在は安定しておるといたしましてもいずれは他の共済と同じように財政が厳しい状況になるわけでありまして、厳しい状況になってから改定をするということになりますというと、その時点における組合員負担は大変厳しいものになるということから、長期的に展望して今回の改正はお願いをしておるわけなんであります。  ただ、具体的に言って国鉄共済との関係でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、私学共済を所管する私の立場としては、先ほど来御答弁申し上げておるような全体の方向をも踏まえつつ、私学共済年金制度のそもそもの設立その後の沿革等にも配慮をいたしまして、私立学校教育の振興に資するというねらいが損なわれることのないよう十分に検討して、誤りなく対処してまいったいというふうに考えておるところでございます。
  94. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は持ち時間がもうなくなりましたのでこれで終わりますけれども、健全な収支状態にある私学共済を破綻に瀕している国鉄共済と一緒にする、そういう目的を持って改革されるということは全く納得のいかないことなんですね。国鉄共済というのは、やっぱり戦争責任とか国鉄の分割民営、人減らし合理化、そういうような政府の施策によって破綻に瀕しているわけで、国鉄の関係者にも物すごい苦痛を与えているということも事実なわけなんです。  だから私は、この問題については政府が本当にみずからの政策の責任をとるという意味で、国鉄関係者にも国民にもしわ寄せをやらないように解決をすべきなんだ、そういうことを指摘してこの質問を終わりたいと思います。
  95. 松永光

    国務大臣松永光君) 今回の改正は、国鉄共済を救済するという目的で提案されたというのはあなたの独断なんです。偏見なんです。先ほどから、他の委員からも御指摘がありましたように、やはり国民共通の基礎年金をまず構築しよう、その上に報酬比例部分があり、その上に職域年金部分があるという新たなそしてまた長期にわたって安定した年金制度を構築しようというのが今回の改正のねらいであるということをぜひ御理解願いたいということを申し上げたいと思います。
  96. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと、独断と言われたらこれで終われないので一言最後に言いますけれども、国鉄との問題で、私はそれに絞って今回質問したんで、今回の共済年金改正、括弧つきの改正ですけれども、これがどれだけ国民に大きな負担を及ぼすものかということはさきの質問で私も大分触れてきたので、国鉄との関係でいって総理が国鉄を救うために今度の改革案を出してきたのだという答弁もなさっていますので、それとの関係で聞いたわけで、本当に国鉄共済私学が協力させられないように、そういう意味で政府の責任をとってほしい、そういうことを再び指摘して終わりたいと思います。
  97. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 本議案につきましては既に質問いたしましたので、新しく質問することはございません。また、修正してもらいたい点、民社党として修正すべきであると考えている点についての質問は既に社会党及び公明党の同僚議員から質問がございましたので、これまた繰り返して時間の浪費を避けたいと思います。  私がお伺いしたいと思いますのは、将来の公的年金制度の一元化あるいは合理化について国務大臣としてどういうふうな考え方をお持ちであるかということについて一つだけ質問したいと思っております。  今度の改正によりまして、ばらばらであった共済年金給付なんかが一元化されたし、それからまた、厚生年金との間の格差の是正という点についてもかなりの進捗を見たというふうに考えております。給付に関しましては一元化されてきたというふうに考えておりますが、しかし、まだまだ年金の一元化あるいは合理化については今後いろんな問題が残っているんではないかというふうに思われますし、いろいろ再検討すべき問題があるのじゃないかと思うんですが、その場合に年金を主管する主務官庁と申しますか、これがばらばらなんですね。基礎年金厚生年金厚生省がやって、それから私学の方は文部省国家公務員は大蔵省、農林団体の共済は農水省というふうにばらばらでやっているわけですね。主務官庁がばらばらであるということは、やはり一元化をする場合において一つの支障になるのではないか。特に、共済年金につきましては国家公務員に右へ倣えする面なんかもかなり多いんですけれども国家公務員年金は大蔵省が主管しているわけなんですね。ただでさえ大蔵省、非常に権限が強いんですけれども、大蔵省にそういったふうな強い権限を 残しておいたまま果たして今後の年金行政をうまくやっていくことができるかどうか。イギリスなんかでは特別に年金省というのがつくられております。恐らく現在もあるんではないかと思いますが、かつて私が調べたときは年金省という、年金担当大臣というのがいましたけれども、日本では非常にばらばらなんです。私は、これはやはり厚生省に一元化するなりあるいは一歩進めて年金担当大臣、年金省というふうなものをつくるべきじゃないかというふうに考えているんですけれども、恐らく文部省のお役人は反対だろうと思う。大蔵省のお役人も反対だろうと思う、自分の権限が少なくなることに対しては、お役人は本能的に抵抗いたしますから。しかし、文部大臣としてではなしに、国務大臣として今後の年金行政を一元化していく上についてどういうふうなお考えをお持ちであるか、そのことをお伺いしたいと思います。
  98. 松永光

    国務大臣松永光君) 先生指摘のように、今回提案申し上げておる法律案が成立をさしていただきましたならば、給付面につきましてはほぼ一元化が終わるということになろうかと思いますが、これから全体としての公的年金制度の一元化ということを考えますというと、負担面等の制度間調整等進めていかなきゃならぬ課題が実はあるわけであります。それをスムーズに進めていくために年金省あるいは年金担当大臣というものを置いて、そのもとで一元的にそうした制度改正、調整等の方策を進めていくことが最も好ましいのではないかという先生の御見解は、私は一つの見解でありまして、十分参考になる御見識であろうというふうに考えます。  今回の実はこの改正措置につきましては、先生御承知のとおり年金担当大臣、これは増岡厚生大臣が年金担当大臣ということで、その増岡大臣のもとで関係各省調整の結果御提案を申し上げるように法案をまとめ上げて、そして御提案を申し上げたということなんでございますが、さらに今後の一元化へ向けての主として負担面等を中心にした改正措置をさらにスムーズに進めていくという上におきましては、先生の御見解、私はすぐれた御見識と受けとめて勉強していかねばならぬ課題であろうというふうに思っておる次第でございます。
  99. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これは、行政改革の問題とも関連するんですけれども、今の大臣の御答弁、高く評価いたします。いずれ、将来、総理大臣にもなられる方でございますから、今の考え方をお持ち続けになっていただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  100. 林寛子

    委員長林寛子君) 午前の質疑はこの程度とし、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後四時三十分開会
  101. 林寛子

    委員長林寛子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  午前までの質疑をもちまして質疑は終局したものと認め、御異議ございませんか。    〔「異議あります。反対です。終局には反対    します、私たちは」「異議なし」と呼ぶ者あ    り〕
  102. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議があるようでございますので、採決を行いたいと思います。  質疑終局に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  103. 林寛子

    委員長林寛子君) 多数と認めます。よって、質疑は終局いたしました。  本案の修正について柳川君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。柳川君。
  104. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 私は、ただいま議題となっております私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合を代表して修正の動議を提出し、修正案の趣旨及びその概要を御説明いたします。  修正案の内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  これより、その趣旨及び概要について御説明申し上げます。  修正の内容は、第一に、年金額政策改定の要素に賃金を加えることであります。政府原案では、この法律による年金である給付の額は、国民生活水準その他諸事情に著しい変動が生じた場合には、速やかに改定措置が講ぜられなければならないものとしておりますが、改定の要素として国民生活水準等のほか「賃金」という文言を加え各こととしております。  第二は、職域年金相当部分支給要件を緩和することであります。職域年金相当部分年金額については、政府原案では組合員期間二十五年以上で厚生年金相当部分の二割相当としておりますが、これを二十年以上とすることとし、これに伴い所要の修正を行うこととしております。  第三は、本法律施行日前の平均標準給与月額の計算について調整措置を講ずることであります。すなわち、本法の施行日前の期間を有する組合員平均標準給与月額の計算については、政府原案どおり各共済年金制度共通の五年間補正方式によることを基本といたしますが、私学共済組合員の標準給与の傾向が多様であることを配慮いたしまして、全期間方式による額を参酌した調整を行うこととするものであります。  なお、この修正により必要となる経費は、昭和六十五年度に約三百万円を見込まれております。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  105. 林寛子

    委員長林寛子君) ただいまの柳川君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。松永文部大臣
  106. 松永光

    国務大臣松永光君) ただいまの修正案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えます。御可決いただいた暁には、その趣旨を体し、適切な運用に一層努力してまいる所存であります。
  107. 林寛子

    委員長林寛子君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  108. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、日本社会党を代表して、政府原案及び自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合共同提出の修正案に対しまして反対の討論を行うものであります。  政府案は、我が国の年金制度が高齢化社会の到来に耐え得るものとして長期的に安定し、かつ整合性ある発展を続けるため、公的年金制度を一元化することとし、その一環として私学共済制度に抜本的な改革を加えることがその目的であるとしております。しかしながら、その美辞麗句とは裏腹に、内容はまさに抜本的な改悪であると言わざるを得ない多くの要素を含んでいるのであります。  まず、すべての国民に対して共通する一つ年金を保障するという基礎年金の導入に関してでありますが、最高が四十年加入してやっと五万円という内容では、最低生活を保障する水準にはほど遠いと言わざるを得ず、また本当の意味で婦人の年金権を確立するという課題も解決されておりません。我が党が提唱してきた税方式の導入による基本年金構想とはそもそも相入れないものであり、結局、新制度がもたらすものは国の財政支出の軽減であり、財政的に行き詰まっている国鉄共済国民年金の救済について、その負担公的年金制度全体に求めることによって国民に転嫁しようということにほかならないのであります。  さらに、共済年金給付水準全体を大幅に引き下げることは言うまでもなく、支給開始年齢をおくらせ、受給資格の要件を二十年から二十五年へと強化すること、年金改定の基準を賃金に基づく政策スライドから自動物価スライドへと転換すること、一律の併給調整を行うこと等々はもはや官民格差の是正、給付の適正化などという大義名分 の域を超えるものであり、共済組合員はもとより、国民全体の目から見ても妥当な内容であるとは言えません。所得制限の強化などに至っては、厚生年金との整合性さえ失いかねないものであり、わずかに共済年金制度の特殊性を確保するものとして設けられた職域年金も、その水準は極めて不十分なものであります。  とりわけ強調したいのは、政府案が共済制度のもとでより高い給付を求めてより大きい負担をしてきた組合や年金受給者の既得権、期待権を容赦なく踏みにじっている点であります。すなわち、既に年金を受給している者の年金額についても裁定がえを行い、極端な場合は十年近くもスライドを停止して、年金改定しないということは既得権の保障どころか、年金の実質的価値をどんどん切り下げるということであります。毎年の年金のささやかなアップを唯一の楽しみにしておるお年寄りに対して、これほど残酷な仕打ちがあるでしょうか。  私学共済が他の共済制度と比較して成熟度も抜群に低く、現行制度のままでも四十年以上は健全な運営が見通されているということと、以上のような政府案の内容をあわせて考えるとき、三十五万人の組合員を初め、年金受給者など私学共済を育ててきた人たちにとっては一体何のための努力であったか、何のための共済であったのかという嘆きは、他の共済関係者よりも一層大きいということは容易に想像されます。  その上、今回の審議を通じて、政府案がこのまま成立すれば、私学共済に固有の幾つかの問題が生ずることが明らかになりました。すなわち、施行日前の期間平均標準給与月額の計算について国共済の方法に準ずることとした結果、六万人もの組合員厚生年金方式による計算を下回るという不利益をこうむること、六十五歳以上の者が四・五%を占める私学共済においては、在職中の年金支給がないことの影響が大きく、特に適用除外校との間で均衡を失し、私学の人材確保に支障を生ずるおそれさえあること等であります。これらの問題点は、結局、政府案が私学共済の歴史や実態を十分検討した結果として提出されたものではないという証明であります。  以上述べました理由から、本法律案には反対せざるを得ないのでありますが、特に、政府が今回の制度改革について、昭和七十年を目途とする公的年金制度の一元化のステップであるとしながら、審議を通じて依然としてその具体的スケジュールを明らかにしないという矛盾した姿勢に終始したことに対し、強い不満の意を表明しておきます。  また、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合共同提出の修正案につきましては、政府原案の欠点を改善するという意味においては評価いたしますが、その内容が十分なものであるとは言えないこと、あるいは法律案提出に至る過程において瑕疵があったという責任はぬぐい去りがたいことを理由として、同じく反対するものであります。  以上で私の反対討論を終わります。(拍手)
  109. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案及び我が党提出の修正案に賛成の討論を行います。  これまで我が自由民主党は、すべての国民に豊かで安定した生活を保障するため、福利厚生制度の拡充整備に努めてまいりました。その中でも特に国民の安定した老後生活を保障するための公的年金制度の充実に力を入れてまいったところであります。  しかしながら、近年の著しい社会変化、なかんずく人口の急速な高齢化及び産業構造、就業構造の変化によりまして、現行の公的年金制度の抜本的見直しが緊急に必要になってきたことは、皆様御存じのとおりであります。  目下進められております公的年金制度の改革は、かような要請にこたえるためのものであります。すなわち年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化を展望しつつ、給付水準の適正化等によって給付負担の均衡を確保しようとするものであります。  本改正法案は、国家公務員共済等値の三共済改正案とともに、このような年金制度改革の一環であり、まことに時宜にかなったものであると言わなければなりません。  昭和二十九年に設置された私立学校教職員共済組合は、その後における私学の目覚ましい発展とその自助努力によりまして着実に成長し、今日に至っております。しかし、二十一世紀を迎えるころになりますと、年金受給者の増大による財政の逼迫が心配されております。したがいまして、今日の時点で他共済と同じように基礎年金制度を導入するとともに、それに報酬比例分を上乗せすることとし、将来に備えるとともに、他共済はもちろん、厚生年金等と均衡ある発展を図ることは極めて重要であると考えるところであります。  なお、我が党提出の修正案は、今回の改正措置のより適切な運用と、私学共済組合の実態を配慮した措置を行おうとするものでありまして、適切な修正と考えるものであります。  最後に、我が自由民主党は、我が国の教育の発展に果たしてきた私立学校の重要性にかんがみ、戦後一貫して私学振興のために尽力してまいりましたが、今回の改正案も、私学への人材の誘致と財政基盤の確立に貢献するものであることを申し述べ、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  110. 中西珠子

    中西珠子君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となっております私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する修正案と、修正部分を除く改正原案に反対の立場から討論をいたします。  反対の第一の理由は、今回私学共済を含む公的年金に導入される基礎年金額が低過ぎることであります。  私どもは憲法第二十五条で保障されている健康で文化的な最低限度の生活をすべての国民が老後に営むことができるような公平で安定した年金制度の確立を主張してまいりました。基礎年金導入の構想は、既に昭和五十一年に公明党・国民会議が打ち出した国民基本年金構想と大枠において軌を一にするものであります。それゆえ基礎年金導入自体に反対するものではありませんが、四十年間保険料を支払って基礎年金五万円という額は余りにも低過ぎます。これは生活保護二級地の生活扶助基準五万三千円よりも低いものであります。保険料支払い期間が四十年に満たないときは、支払い期間に応じてもっと低くなる。これでは老後の生活保障どころか、憲法第二十五条で保障する生存権すら脅かすものであります。  反対の第二の理由は、公的年金一元化の名のもとに画一的な改革を強いて、私学共済組合員給付水準の切り下げと負担の増加を図っていることであります。  我が国の戦後の経済社会発展と国力の増強並びに国際的地位の向上に私立学校教育が果たしてきた役割は何人も否定することができないほど大きなものであります。昭和二十九年、私立学校教職員やその家族の福利厚生を図り、私学振興に寄与する目的で私学共済が独立した制度として創設され、都道府県からも助成を受けるといった固有の歴史を経て発展してきたことは重要な意義を持つものであったと考えるわけであります。  また、私学共済の運営状況も健全であり、他の共済組合に比べると現在の財政状況も良好で、また財政の将来見通しも暗くはない。それなのに公的年金制度一元化のスローガンで画一的に改革を行い、給付水準の切り下げと負担の増加を強いることは納得できないことであります。  特に職域年金部分につきまして、社会保障制度審議会の文部大臣あての昭和六十年四月十日付の答申も、職域年金部分について画一的に扱うことには問題があるので、その給付水準と財源負担スライドのあり方についてさらに慎重な検討が必要であると指摘しております。私学共済の独自性、特殊な歴史と性格を勘案して、職域年金部分には自由裁量、自由設計を認めるべきだと考えて おります。  反対の第三の理由は、既裁定者の期待権、既得権を無視したスライド停止であります。前述の社会保障制度審議会は、昭和六十年四月一日の文部大臣あて答申の中で、老後の生活設計に組み込まれている既裁定年金スライドを停止するなど、年金制度に対する信頼を裏切りかねない内容を持つものであると指摘しています。年金制度に対する信頼を裏切らないためにも既裁定年金者のスライド停止は行うべきではないと考えております。  以上、原案につきまして反対の理由を簡単に述べましたが、自由民主党と民社党共同提案の修正案につきましては、原案を改善するという意味では評価いたしますが、いまだ十分ではないので反対せざるを得ません。  最後に、私立学校教育の重要性にかんがみて、私立学校教職員の福利厚生、福祉の向上を図り、ひいては私立学校教育の振興に寄与するという私学共済の目的をあくまで尊重しながら、私学共済の安定的な発展を図られることを強く要望して、私の反対討論を終えます。
  111. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、修正案及び修正部分を除く原案に賛成の討論を行うものであります。  我が国は、高齢化社会が進行する中で、人生八十年時代を迎えました。老後はまさに第二の人生であり、これをいかに豊かで生きがいに満ちたものにするかが国民各層の重大な関心事になっております。そのためには、経済的基盤が万全でなければなりませんが、老後生活を支える所得保障の最大の柱は、何といっても公的年金制度であります。しかし、現行の公的年金制度は官民格差給付負担の不均衡など、多くの社会的不公正や矛盾を抱えているとともに、制度が多岐に分立しているがゆえに、国鉄共済のごとく、個別制度ごとに財政が破綻することにもなりかねません。現在、国民の間に多年にわたり保険料を納めて、本当に年金がもらえるのかという不安が増大していることも否めない事実であります。政府は国民の不安を解消し、年金財政の長期安定と公正な制度を確立する責務があります。政府がこの責務を果たすべく、今回の改正に示されたように、基礎年金制度の導入と所得比例年金の二階建て構想によって年金の一元化に踏み切ったことは、遅きに失したとはいえ、高く評価いたします。  今回の改正は、給付算定方式など、さきに成立した厚生年金などと同様なものと改め官民格差を是正するとともに、公務の特殊性を考慮して職域年金を三階建てとして上乗せしております。まさに制度発足以来の抜本改正と言えます。この改正に対して強い不満や不平があることは十分承知しておりますが、この改正を断行しなければ公正な年金制度の確立は大幅におくれ、何よりも年金財政がパンクし老後の経済不安を引き起こすとともに、老後の給付を支える現役で働く人々の保険料負担が耐えがたいまでに上昇することは必至であります。不満や不平があったとしても国家百年の大計を考えれば今回の改正は必要不可欠であり、今実現しなければ本格的な高齢化社会を活力ある社会にすることは不可能になります。  しかし、政府案の内容には幾つかの問題点があるためこれを修正するよう要求いたしました。その結果、第一に、年金額の算定に当たって昭和五十六年以前からの組合員については全期間平均方式と五カ年間だけ遡及し全期間平均に割り落とす方式の選択制とすること。第二、職域年金部分について二十五年未満の者に二分の一支給するという事項を二十年未満とすること。第三に、賃金スライドを明確にすること。以上の修正が合意されたのであります。これらの修正が年金受給者の生活安定に資するものと確信いたしております。  また、政府に対しては附帯決議に盛り込まれた事項についても誠実に履行するよう要求いたします。  修正の合意がなされた以上、本案に賛成することが責任野党たる民社党の姿勢であることを申し上げて討論を終わります。
  112. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して政府提出の私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案及び自民党、民社党提案の修正案に対して反対の討論を行います。  まず、本日の質疑の打ち切りに強く抗議します。本法案について私に認められた質問時間は九十分にすぎません。年金制度全体に関する大改革であり、私学共済にとってもゆゆしい事態であります。私学共済がどんな影響を受けるのか等、論議はまだこれからというところです。このような状況で審議を打ち切ることはまさに立法府の自殺行為と言わなければなりません。  次に、憲法二十五条と豊かな老後を願う国民の願いに背いて老後の暮らしを根底から脅かすこのような年金制度の改悪を持ち込もうとする政府に対して私は強い怒りを禁じ得ません。この法案は国鉄共済年金国民年金の破綻という政府の失策のツケを国民に負わせ国庫負担を大幅に削減することを目的としたものであり、その被害は現在の組合員年金受給者及び将来にわたって私学で働くすべての者に及ぶものとなっています。  すなわち、第一は、給付水準の大幅は切り下げです。  現在の年金受給者の物価スライドは停止され、改悪後は四十年間在職した共働きの人の場合を例にとると、受け取る年金額は実に現行の六割以下に切り下げられます。政府の宣伝するところの無業の妻の基礎年金月五万円を含めたとしても現行の七割程度にしか達しません。これでは年金生活者の暮らしが脅かされることは火を見るより明らかです。  第二は、保険料の大幅は引き上げです。  給与に対して現行は一〇・二%ですが、法改悪に伴ってこれを昭和百十年までに二八・二%にまで引き上げるとしています。こうした保険料の引き上げと年金給付の切り下げによって昭和六十一年度新卒の人が私立高校に四十年間在職した場合、六十二歳から八十五歳まで年金を受けたとしても支払った保険料と実質金利を取り戻すことはできません。それどころか逆に二千七百五十万円も国に寄附することになるのです。これでは銀行に預金をしておいた方が得だという国民の声がありますが当然です。これが国民からの収奪でなくて何でしょうか。公的年金などととても呼べるものではありません。  第三は、国庫負担の大幅削減です。  国会の意思は本委員会で十三回にわたって決議しているように国庫負担を二〇%まで引き上げることにあります。政府はこれを踏みにじり改悪によって共済年金の本体部分の国庫負担をゼロにしてしまうのです。これで社会保障と言えるでしょうか。また、基礎年金部分の三分の一は国庫負担とすると言っていますが、行革関連一括法により五十七年度以降カットした国庫負担分約八十四億さえいまだ返済のめども立てておらずとても信用できるものではありません。  第四は、年金支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き延ばすことです。加えて、減額退職年金制度や勧奨退職者への十年繰り上げ支給の制度が廃止されることによって、年金支給開始年齢は現行より十数年先に延ばされることになります。  これらのことは、私学共済が幼稚園教諭など女性が半数を占めており若年退職者の極めて多い組合であることを考えると、これらの処置は若年退職者にとっては随分手痛い打撃を与えるものだと言わなくてはなりません。  第五は、政府が法案の目玉としている妻の年金権なるものについての問題です。  夫と合わせても従来の年金水準を大幅に切り下げておいて婦人の年金権の確立と言えるでしょうか。しかもその負担は三分の二までを労働者に負わせるというものではありませんか。  最後に、政府はこんなにも国民に不利益をもたらす法案を提出しながら、国民に対してその内容を具体的に知らせようとしません。私ども共産党が国会で明らかにした制度改革の内容が国民のあまねく知るところとなれば、共済年金制度改悪反 対の世論がごうごうと起こる、そのことを恐れているのでしょうか。しかしそれでは余りにも無責任であり、民主主義の原則にも反します。加えて、文部省などが共産党の質問に対してまともに答弁せず、資料の要求さえも拒否したことに強く抗議するものです。  なお、自民党などの修正案は、政府案のこうした重大な制度改悪も何ら抜本的に改善する内容を持たず、そういう点から反対するものです。  やがて来る高齢化社会に向けてすべての国民に生活できる年金を保障するためには安定した年金財政を確立しなくてはなりません。方法としては、年金財政への国庫負担を抜本的にふやすこと、また、ふえ続ける軍事費を削ればその財源は十分あるのです。日本において毎年七%前後の軍事費をふやしているということは、例えばNATO諸国において三%の軍備増強の目標を持ちながらそれを達成できないでいることと比較しても異常な軍備増強であり、そのツケの一つが今回の共済年金の改悪という形であらわれております。  あわせて、保険料の労使負担を適切な割合に改めることもどうしても必要です。老後の生活の大切な保障である年金を情け容赦なく削りお年寄りの暮らしを脅かすようなことに私は絶対賛成できません。弱い者いじめの悪いお手本を政府みずからが示している世の中で、子供の世界からのみいじめをなくしていくことができるでしょうか。  流した汗は、あるいは長年の苦労は報われるそういう年金、そういう世の中を目指して我が党は奮闘する、そのことを述べて、本法案に対する反対討論を終わります。
  113. 林寛子

    委員長林寛子君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認め御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、柳川君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  115. 林寛子

    委員長林寛子君) 多数と認めます。よって、柳川君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  116. 林寛子

    委員長林寛子君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  粕谷君から発言を求められておりますので、これを許します。粕谷君。
  117. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、ただいま可決されました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の事項について検討し、速やかにその実現を図るべきである。  一、今回の改正は、共済年金制度の歴史上例をみない抜本的な改正であるので、共済組合員はもとより、国民全体の理解と納得を得られるよう周知徹底を図ること。  二、公的年金一元化の内容及びスケジュールが依然として明らかにされていないので、今後できるだけ速やかにその内容等について明らかにすること。この場合、私立学校教育の振興に資するという本制度の沿革にも配慮し、現行共済制度の存続及び積立金の自主運 用の推進等を引き続き図ること。  三、基礎年金水準費用負担の在り方等については、国民年金法の附則の規定に基づき、できるだけ速やかに検討に着手すること。  四、職域年金相当部分給付水準については、他の年金制度の動向等を踏まえて引き続き研完を行うこと。  五、既裁定の遺族年金については、最低保障の改善を図ること。  六、懲戒処分等による給付制限措置については、今回の改正後、本人の掛金相当分については行わないこととすること。  七、所得制限の具体的な運用に当たっては、退職者と現役組合員との間の生活の均衡が図られるよう十分考慮すること。  八、現在四十歳の者については、将来給付が最も低い水準になる点について次の見直しの時点までに調整するよう努めること。   右決議する。  以上でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  118. 林寛子

    委員長林寛子君) ただいま粕谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 林寛子

    委員長林寛子君) 多数と認めます。よって、粕谷君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、松永文部大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。松永文部大臣。     —————————————
  120. 松永光

    国務大臣松永光君) ただいま御決議がございました事項につきましては、御趣旨を踏まえまして十分検討いたしたいと存じます。
  121. 林寛子

    委員長林寛子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  123. 林寛子

    委員長林寛子君) 次に、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提出者衆議院内閣委員長中島源太郎君から趣旨説明を聴取いたします。中島君。
  124. 中島源太郎

    衆議院議員中島源太郎君) ただいま議題となりました国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  御承知のとおり、休日をふやし、労働時間を短縮することは、諸外国の例を見るまでもなく、時代の趨勢であり、単に勤労者福祉の観点からだけでなく、今国際的な問題に発展している貿易摩擦の解消といった視点からも、避けて通れない課題となっております。  また、五月のゴールデン・ウィークにおいては、いわゆる谷間出勤の非効率性といった配慮等から、既に、三日と五日の祝日に挟まれた四日を、特別休日の設定または有給休暇の消化等によって休日扱いにし、三連休を実施する企業が年々増加する傾向にあります。  このような実情にかんがみ、本法律案は、国民の祝日に関する法律改正し、前日及び翌日が祝日に当たる場合、その両日に挟まれた日を休日としようとするものであります。  ただし、この日が日曜日または祝日の振りかえ休日であるときは、適用を除外することといたしております。  家族がそろってゆとりある生活を楽しみ、あすへの英気を養うため、連続して休暇をとることは、国民の願望でもあり、本改正を行うことは、まことに意義深いことであると考える次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  125. 林寛子

    委員長林寛子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。——別に御発言もないようですから、討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  126. 林寛子

    委員長林寛子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  128. 林寛子

    委員長林寛子君) これより請願の審査を行います。  第二〇号租税教育の推進に関する請願外百三十二件を議題といたします。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  129. 林寛子

    委員長林寛子君) 速記を起こしてください。  それでは、学校事務職員等に係る義務教育費国庫負担制度の堅持に関する請願外百十二件は採択すべきものにして内閣に送付するものとし、租税教育の推進に関する請願外十九件は保留と決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  132. 林寛子

    委員長林寛子君) 次に、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。  学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案、以上二案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会      —————・—————