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1985-12-17 第103回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十七日(火曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動  十二月十三日     辞任         補欠選任      水谷  力君     桧垣徳太郎君  十二月十四日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     水谷  力君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成相 善十君     理 事                 浦田  勝君                 北  修二君                 星  長治君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 大域 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 小林 国司君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 谷川 寛三君                 初村滝一郎君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 菅野 久光君                 山田  譲君                 刈田 貞子君                 塩出 啓典君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        厚 生 大 臣  増岡 博之君        農林水産大臣   佐藤 守良君    政府委員        内閣法制局第四        部長       関   守君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   山内 豊徳君        農林水産大臣官        房審議官     吉國  隆君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君        農林水産省構造        改善局長     佐竹 五六君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        総務庁恩給局恩        給問題審議室長  鳥山 郁男君        厚生省年金局年        金基金指導室長  和田  勝君        厚生省年金局年        金課長      谷口 正作君        厚生省年金局資        金課長      丸山 晴男君        厚生省年金局数        理課長      坪野 剛司君        労働相労政局労        働法規課長    廣見 和夫君        労働省職業安定        局高齢者対策部        職業対策課長   長勢 甚遠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する  法律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会  衆議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 山田譲

    山田譲君 大臣、おはようございます。ちゃんとしかるべきあいさつはしてから質問さしていただきます。年金制度農林年金も含めてでありますけれども、これを一元化するというふうなことがよく言われるし、大臣もそういうことを言っておられますけれども、まず一元化とはどういうことであるか、それについて大臣のお考えを聞きたいと思うんです。
  4. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 山田先生お答えいたします。  先生御存じのことですが、年金制度改革につきましては、まず最初に、国民年金厚生年金保険につき全国民共通基礎年金を導入する等の改正を行い、共済年金につきましても、昭和六十一年四月の同時実施を大前提として同趣旨の改正をお願いしているところでございます。また、昭和六十一年度以降におきましては、政府としては、以上の措置を踏まえまして引き続き制度間の調整を進め、昭和七十年度を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させることとしております。  農林年金につきましても、このような全体の方向を踏まえつつ、農林年金制度沿革等にも配慮して、農林漁業団体職員人材確保を図るというねらいが損なわれることのないよう、万全を期してまいりたいと考えております。
  5. 山田譲

    山田譲君 一元化というのですけれども一元化というのは一体どういう内容考えておられるか。当然、方向を目指すからには、ある程度方向というものがあって、それでその方向へ向けて進めていくというのが本当だろうと思う。あるいはまた、法律改正するというからには、やっぱり緊急性があって、どうしてもこれを変えなきゃだめだ、こういう理由があって変えるとか、いろいろな理由があると思うんですけれども農林年金だけを見ますと、この収支見通しを見てみましても、かなり先までは一応もつであろう。この試算をちょっと見てみましても、農林年金についていえば、九十年ころに完全に積立金がゼロになるというふうな状態試算されているようでありますけれども、そういう状態の中で、今これをやらなきゃいけないという理由はどこにあるかと、こういうことなんです。
  6. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 年金制度と申しますのは、個人にとりましては、十代、二十代の年齢組合員になりまして、長期にわたって掛金を支払いながら、高齢に達しましたときに退職をして、生涯にわたって年金を受給するという非常に長期にわたるシステムでございます。また、その負担考え方基礎は、現役世代受給者世代を支える世代間扶養考え方を入れたシステムでございます。  したがいまして、今回の改正のように、年金受給者現役組合員との給付負担均衡を図って給付水準適正化を図るという場合にも、今、先生がおっしゃいましたように、例えば積立金が全くなくなるというところまで今のシステム、そして今の掛金でじっといって、積立金が全然なくなりましたときに、にわかにやろうというふうにいたしますと、そこで非常に急激な変動を生ずることに相なります。掛金にいたしましても、にわかに二倍以上に上げなきゃいかぬとか、それからまた、当委員会でもいろいろ御議論のございますような、例えば既得権でございますとか、組合員が持っております制度に対する期待というようなものがございますから、制度改正をいたしますときには、いろいろな長期間にわたる経過措置も設けなければいけない。  そういうことを考えますと、やはり将来を見通して、将来あるべき姿を頭に置きながら十分な経過措置も設けて制度改正をやってまいる必要があるわけでございまして、そういう意味におきまして、もちろん農林年金はまだ一兆円ぐらいの積立金を持ち、財政的には窮迫しているという状態には当面ないわけでございますが、今後を見通しまして、今回他の共済制度改正とあわせまして制度改正の御審議をお願いしている、こういうことでございます。
  7. 山田譲

    山田譲君 それはもう、こういう制度のことですから、積立金が全然なくなったところで改正しろというふうなことは私も考えているわけではないんだけれども、いずれにしても九十年に積立金がなくなる。かなり先の話ですね。今、局長が将来あるべき姿を考えてと言われたけれども、その将来あるべき姿は何かということがまず聞きたいわけであります。
  8. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この点につきましては、年金一元化というのはどういうことなんだと、今回この法案提出をしている限りは、七十年に向けてのいろいろな道筋もめどが立っているのではないか、また、当然立てているべきではないか、こういうお尋ねだと思いますけれども先ほどもちょっと大臣からもお答え申し上げましたように、厚生年金国民年金改正を先般やっていただきました。今回、共済年金制度改正が行われますと、一応給付面におきましてかなり大きな一元化が行われるというふうに私ども考えております。  昨年の閣議決定にもございますように、昭和六十一年度以降、今回の改正を踏まえまして、昭和七十年に向けて年金制度一元化のための制度間の調整をやっていく、こういうことになっておるわけでございますが、その具体的な内容は、先ほども申しましたような給付面での一元化はかなり大きな一歩が踏み出されたということでございますので、負担面についての制度間調整を中心にいたしまして、給付負担の両面にわたって整合性を図っていくという検討が進められることになると思います。これは検討が進んでいない前にこういう法案改正を出すのはおかしいじゃないかという御意見も私ども承るわけでございますが、反面、御案内のとおり、それぞれの年金制度、それぞれの沿革、それからそれぞれの今財政状況というものを持ち、また関係者方々もいろいろな意見を持っておられます。  したがいまして、やはり来年四月以降こういった関係者の御意見も十分承りながら、政府内部で将来の年金制度のあり方ということを検討を進めていかなければいけないというふうに考えておるわけでございますが、私ども基本的に一元化と申しますのは、全部統合して一本にしてしまうということを意味しているというふうには必ずしも考えておらないわけでございます。
  9. 山田譲

    山田譲君 大臣返事にも、それから今の局長返事を聞いてみましても、一元化一元化と盛んに言う。何か一元化前提になっているような感じですけれども一元化とは何かということを私は聞いているわけです。だから、給付一元化ということは例えばこういうことなんだ、給付はみんな同じにべたにしちゃうことを給付一元化と言うのだとか、そこまで言わないにしても、ある程度方向というものはあっていいと思うんです。一元化というものは、最初一元化ありきで、もう一元化一元化ということを前提にして物を言っておられるようだけれども、私はその一元化というものは何だということを聞いているわけです。
  10. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この一元化という言葉でございますが、これは単純に各制度を統合一本化するということよりも広い概念だというふうに私ども考えておりまして、じゃ、どういうことを意味しているのかということにつきましてはこれから詰められる問題でございますが、私どもが今理解しておりますところでは、現行の各制度間の給付負担均衡なりバランス、そして公平性が確保されるような姿にするということが一元化内容ではないか。  それがどこまでどういう形で進められるべきかという点につきまして、来年四月以降、政府内部関係者の御意見も承りながら、また鋭意かつ慎重に検討していかなければいけない問題だというふうに考えております。
  11. 山田譲

    山田譲君 そうすると、今は給付掛金の方のバランスが余りよくないというふうに考えておられるかどうかですね。
  12. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 給付につきましては、先ほど申し上げましたように、共通基礎年金を導入する、そしてまた、その上乗せ年金としての共済年金制度につきましても、厚生年金との間の整合性の問題も含めまして今回いろいろな見直しが行われまして整合化を図ったところでございます。  負担の面あるいは各年金制度財政状況なり成熟率というようなものにつきましては、かなりまちまちでございます。それからまた、いろいろな資金の運用その他も必ずしも一様ではございません。そういうものを各制度沿革なり性格、あるいは本来それが担っている役割ということを頭に置きながら、どこまで整合性のとれたものにしていけるか、こういうことが検討されることになろうかと思っております。
  13. 山田譲

    山田譲君 一元化の姿がどういう姿か必ずしも明らかでありませんけれども、その中においていわゆる共済組合があるわけですけれども、その共済組合の姿として今こういう形でかなり違うものがあるんだけれども、将来一元化になれば共済組合はどうなっていくだろうか、またどうなった方がいいというふうに考えておられるかどうか、そこのところを伺いたいと思います。
  14. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 繰り返すようで恐縮でございますが、この問題につきましては、明年四月以降、鋭意かつ慎重に検討を進めるということになっておりますので、具体的なお答えはしにくいわけでございますが、私ども所管をいたしております農林年金につきましては昭和三十四年に、町村で役場と例えば農協というようなものは軒を並べて仕事をしている場合が多いわけでございます。やっぱり町村職員方々と同じような年金とか老後保障あるいは福利厚生というものを確保して優秀な人材を確保したい、こういうねらいから発足をした制度でございますので、そういったねらいが損なわれないように、私どもとしてはこの公的年金制度一元化検討の中で、そのことを念頭に置きながら対処をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  15. 山田譲

    山田譲君 そうすると、やっぱり一元化にはなっても、共済独自性というか、意味というふうなものはきちんと、重要なので、ある程度そのまま考えていきたい、単純にこれをなくして全くもうほかのものと一緒にしてしまうというふうなことではない、こういうことに理解してよろしいですか。
  16. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今後の検討課題でございますが、私ども農林年金制度についてこの検討に当たっての心構えとしては、先ほど申し上げたようなことを十分念頭に置きながら対処していくつもりでございます。
  17. 山田譲

    山田譲君 そこで、これは共済だけではなくて年金制度全般に関係する問題ですから、ひとつ厚生省にお伺いしたいことがあるんだけれども厚生省は来ていますか。——  これから年金制度考える上に、やっぱり日本雇用はどうなっていくか、つまり人口がどうふえて雇用がどうなっていくかというふうな問題が非常に大きな問題だと思うけれども、将来の方向として、年金制度改革に当たって雇用量がどうふえていくかというような問題についてどういう検討をなさったか、お伺いしたいと思うんです。
  18. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) お答えいたします。  今、先生の御質問内容は、厚生年金の、あるいは国民年金制度を仕組むに当たって将来の被保険者をどう見込んだかという御質問だというふうに理解しているわけでございますけれども先生よく御案内のとおり、国民年金厚生年金は被保険者が非常に大きくて、全制度の八割から九割近い被保険者を抱えているわけでございます。したがいまして、被保険者数をどう見込むかということは非常に大きな問題でございまして、まず人口から被保険者数推計するという方法をとっているわけでございます。雇用者数をどう見込んだかというよりも、人口から被保険者数がどういうふうに推計できるだろうか、その推計された被保険者数の中で厚生年金国民年金とでどういうふうに仕分けができるだろうかというようなことを考えながら推計しているわけでございまして、直接雇用者がこうなるというような推計の仕方はしてないわけでございます。  具体的に申し上げますとどういうことかといいますと、今回の財政計算におきましては、被保険者数推計厚生省人口問題研究所昭和五十六年十一月に推計しておりますけれども、これの中位推計を基本にしております。再計算といいますのは、過去の実績、特に三年ないし五年というサイクルで再計算しておりますので、その三年ないし五年の傾向を見ながら、将来をある一定の仮定を立てながら推計しているということでございまして、もっと具体的に申し上げますと、人口に対する被保険者の割合を、過去の実績年齢別に見ているわけでございます。何歳から何歳までの人のうち何割が厚生年金に入って何割が国民年金に入っているというようなことを過去数年間にわたってチェックいたしまして、それをある一定、ずうっと延ばしますと人口を上回ってしまいますので途中でとめなきゃいけないわけです。非常にその辺が難しいわけでございますけれども、その辺を考慮しながら、将来にわたっても年齢別にどれだけの人が被保険者になるだろうかというようなことを推計して、被保険者数推計しているわけでございまして、雇用者数がどのくらいだとか自営業者数がどのくらいだということから被保険者数推計しているわけではないわけでございますので、この辺を御理解していただけたらというふうに思っております。
  19. 山田譲

    山田譲君 それじゃ次に労働省にお聞きしたい。  今、厚生省の方から将来の被保険者数計算についての考え方を聞いたんですけれども労働省の方としては恐らくそういう考え方ではなくて、逆に将来の日本労働人口というか、そういう雇用の絶対量がどういうふうにふえていくというふうな、それが第一次産業、第二次産業、第三次産業に分けてどう将来変わっていくであろう、また、そう変わらしていきたいんだというふうな考えがあると思うんだけれども、その点どうですか。
  20. 長勢甚遠

    説明員長勢甚遠君) お答え申し上げます。  雇用労働者数推計については、経済状況その他いろんな状況を反映して考えなければならない問題だと思いますので非常に推計が困難なわけでございますが、私ども考えますと、いずれにいたしましても労働力人口はここ十年の間にはふえるわけでございますので、そこの間での雇用者比率がどうなっていくかという観点から仮に試算をいたしております。  現在、昭和五十九年で雇用者数は四千二百六十五万人ということでございますが、あと十年後には四千九百万人程度になるんではないか、そういう意味では六百万人程度雇用者数増加をするんではないかという、これは非常に仮の推計でございますが、内々そんなふうに考えております。
  21. 山田譲

    山田譲君 それは六百万人というのは、あれですか、全部、第二次産業か第三次産業というふうに考えてよろしいですか。
  22. 長勢甚遠

    説明員長勢甚遠君) すべてを合計したということでございまして、第一次、第二次という細分化した推計まではいたしておりません。
  23. 山田譲

    山田譲君 そうすると、将来の方向として、少なくとも労働省政策として、やっぱり将来の第一次産業はこのくらい、第二次産業はこのくらい、第三次産業はこのくらいになるであろうし、なることが望ましいというふうな、そういうことは考えておられないわけですか。
  24. 長勢甚遠

    説明員長勢甚遠君) 今申し上げました数字も、従来のトレンドを延ばしたらこんな感じになるんじゃないかというものでございまして、政策方向として、こちらへ誘導していくとかというところまでの観点を含めた形での推計ではないということでございます。
  25. 山田譲

    山田譲君 雇用者数が六百万人ぐらいふえるであろうということは、同時に失業者数について言えば今の比率はふえるのか減るのか、それはどうですか。
  26. 長勢甚遠

    説明員長勢甚遠君) 経済状況にもよると思いますが、政府としては当然現行よりも失業状況が改善されるように施策を進めていくべきであろうと思っております。
  27. 山田譲

    山田譲君 いや、施策を進めていくんじゃなくて、六百万人ぐらいふえたという数になった場合に失業者数はどうなるかということです。
  28. 長勢甚遠

    説明員長勢甚遠君) しっかりした推計がなかなかできないものですから、しっかりしたお答えができなくて恐縮でございますが、先ほど申し上げました数字は、労働力人口伸びというものはある程度はっきり推計はできるわけでございます。その中で雇用者比率がどの程度に変わっていくか、従来若干ずつ雇用者比率は上がっておりますので、そのトレンド労働力人口に対する雇用者比率を延ばしていきますとこんな形の雇用者数になるんではないかという、いわば単純な推計でございますので、その間で失業者数がどうなるかということまで含めて六百万人程度増加するという形での推計計算上していないわけでございます。  ちょっと正確なお答えができませんので申しわけございません。
  29. 山田譲

    山田譲君 そこで、厚生省にお伺いしたいんですが、今の六百万人、これはもちろん推計でしかないわけだけれども労働力が将来ふえるであろう、それはさっきあなたが言ったような計算で言っても大体そんな数字になるんですか。
  30. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) 私たちの被保険者数見込みというのは先ほど御説明したとおりでございまして、人口がふえますと当然被保険者数というのはふえるわけでございます。被保険者数を、そのうち国民年金にどのくらいか、あるいは厚生年金の方にどのくらいかというような仕分けをしなきゃならないわけでございますけれども、その辺は過去の数年間の実績を見ながら、例えば国民年金の被保険者は現実には減ってきておるわけでございますので、そういう意味では人口伸び、あるいは国民年金実績等を勘案して雇用者数増加というのは私は見込んであるというふうに考えております。
  31. 山田譲

    山田譲君 いや、そんな話じゃなくて、見込んだ数字が、今労働省が言われた六百万人という数字と大体合いますかということを聞いているんですよ。
  32. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) 直接的なお答えになるかどうかちょっとわかりませんけれども、私たち財政計算ではそのような傾向は反映しているだろうというふうに私は考えております。
  33. 山田譲

    山田譲君 私、これ以上言わないけれども、いずれにしても労働者の数がどのくらいになるかという将来の見通しというものは、今あなたが言ったような逆から、人口からずうっと考えていって出すとしても、その数はやはり労働省が言っている六百万人と大体合わなきゃ、僕はどうしたっておかしいと思うんですよね。だから、そういう連絡は全然してないんじゃないですか。
  34. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) 正直申しまして、先ほど労働省の方からのお答えございましたように、将来の雇用者数を見込むということも非常に難しいというお話もございましたし、私たちも将来の被保険者をどう見込むかというのは再計算で最も重要な要因の一つというふうに思っておりますし、非常に難しいわけでございます。景気、不景気によってこのくらいは伸びるだろうと思った雇用者数が意外に伸びなかったりすることもございますので、将来にわたって雇用者数をどう見込むかというのは一番頭の痛いところでございます。  ただ、あえて申し上げますと、四年ないし五年に財政計算を行っております。そういう意味は、そういう経済的な要因が四年ないし五年の間にどう変わったか、人口推計があるいはどう変わった、人口推計といいますのは出生率がどう変わるとか、平均余命がどう変わるかという意味でございますけれども、国勢調査が五年に一回あるとか、そういうようなことをいろいろ考えまして、四年ないし五年のサイクル財政の再計算をしているわけでございまして、そういうときに過去の実績推計値と乖離するようなことがあったときは再計算ごとに修正しているということが実態でございまして、将来にわたって何十年の間の一応の見込みは立てるわけでございますけれども、その推計が異なったときには再計算ごとに修正しているというのが実態でございますので、ひとつ御理解願いたいと思います。
  35. 山田譲

    山田譲君 少なくとも一元化方向を目指すと言って、それなりのいろいろ計算もしておられると思いますけれども、そこで一番大事な基礎になる被保険者数というか、雇用労働者の数というか、そういうものはやっぱり労働省も相当やっているわけですから、ひとつ今後労働省とよく連絡をとりながら、なるべく正確にやっていただきたいというふうに思うわけです。  続けて労働省にお伺いしたいけれども定年というものがありますね、定年制実態はどうなっているか、まず、そこをちょっとお伺いしたいと思います。
  36. 長勢甚遠

    説明員長勢甚遠君) 先生案内のとおり、労働省では現在六十歳定年の一般化ということを最大の政策目標としてやってきておるわけでございますが、本年の一月一日の調査によりますと、六十歳定年になっておるもの、あるいは近々予定をしておるものを含めますと六八・七%の企業がそういう状況になっております。したがいまして、ようやく六十歳定年が主流となった、定着しつつあるというふうに考えております。
  37. 山田譲

    山田譲君 今度の法律改正によって六十五歳というふうなことになると、六十歳定年でもってそこでやめて、六十五歳までの間が穴があいてしまう。そういうことのないように、労働省としては、今後年金の支給開始年齢に合わせて六十五歳定年にするような方向で、今までは六十歳と言ってきたんだけれども、今度はこの法律改正を機として、なるべく六十五歳くらいまで定年にしなさいというふうな指導をなさるつもりがあるかどうか、そこはどうですか。
  38. 長勢甚遠

    説明員長勢甚遠君) これから問題になりますのは、高齢化の波が六十歳前半層に移っていくというのが、私ども雇用対策を進めていく上で一番大きな問題でございます。  そういう観点から、今年度雇用審議会あるいは中央職業安定審議会で今後の高年齢者の雇用、就業対策のあり方について御議論をいただいておったわけでございますが、その結論として、将来の方向として、六十五歳程度までは雇用あるいは就業の場が確保されるように努力をしていかなければいけないという方向が出されております。  ただ、六十歳を超えますと、現状では労働者方々の健康の状況あるいは生活の状況、労働に対する考え方等が多種多様でございますので、一律に定年という形で進めていくのにはまだ無理があるんではないかという観点から、雇用審の答申では、当面、六十歳定年について法制化をし、それを基盤として六十五歳程度までは多様な形での継続雇用を図っていくのがいいのではないか、こういう御答申をいただいております。  労働省といたしましては、この御答申の趣旨を踏まえて、明年、通常国会高齢者の雇用、就業対策に関する総合的な法律案を提案させていただきたい、こういう方針で今準備をいたしておりますが、そういう方向で今後六十五歳までを目指して、六十歳前半層の雇用、就業の場の確保に全力を挙げていきたい、こういう方針で考えております。
  39. 山田譲

    山田譲君 もう一つ、そういうことで、なるべく六十五歳に持っていくような努力を今後していきたいと。そうしますと、その間、そういうことになれば一番理想的でしょうけれども、六十歳でやめて六十五歳まで五年間あるという、その五年間について労働省としてはどういう職場を、働かせ方を考えていらっしゃるか。遊んでいればいいんだというふうに思うか、それとも、できるだけ働かせるようにしたいとすればどんな方法を考えておられるかどうか、そこのところはどうですか。
  40. 長勢甚遠

    説明員長勢甚遠君) 労働省の使命といたしましては、当然、雇用、就業の御希望のある方にはその場を確保していくというのが使命でございますので、その一つの方向として、企業内で今申し上げましたような形での継続雇用を進めていただきたい、こういう指導あるいは援助というものをしていきたい、また、あわせて再就職の促進という形で、継続雇用でなくても、離職をされた方々が円滑に就職できるような方策を講じていかなければならないと思っております。  また、六十歳を超えますと、臨時短期的な就業希望という方々もおいでになりますので、そういう方々にはそれにふさわしい就業の機会を確保するために、例えばシルバー人材センターのような施策も確保していきたいと思っております。  いずれにいたしましても、高齢者の方々は大変元気で、日本の場合は就業意欲も高こうございますので、そういう方々には雇用、就業の場が確保されるように一層の施策を進めていきたい、こういう方針でございます。
  41. 山田譲

    山田譲君 そこで、厚生省に伺いたいのだけれども収支見通しを立てる場合に、そういった今労働省のお考えのように、つまり今後は六十五歳までみんな何らかの形で働くようになっていく、あるいは場合によっては定年制も六十五歳になるかもしれない、そういう指導もこれからしていくという積極的な考えですし、これまた当然だと思うのだけれども、そうなると厚生省でやっておられる収支見通しというふうなものは、そういう労働省考え方にマッチするようなことでもって計算しておられるかどうか。つまり、定年制が極端な話全部六十五歳になったとすれば、収支見通しはがらっと変わってくると思うんですよ。掛ける人は多くなるし、もらう人は少なくなる。多少それは金額的にはふえるものはあるにしても、全体として全然違ってくると思うのだけれども、そこら辺はどういうふうに考慮をされているかどうか。
  42. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) 定年延長による雇用の変化というのは、正直言いまして年金財政見込みの場合、先生の今御質問にありましたとおりでございまして、六十歳が例えば六十五歳に大幅に定年が延長されたということになりますと、雇用期間、いわゆる年金で言いますと被保険者期間が長くなるということが一つございます。これは年金額をふやす要素になってくるわけでございます。一方では、六十歳でやめていた人が、今度は六十から六十五になることによって保険料収入がふえるという要素にもなるわけでございます。  それから、現在支給開始年齢が六十歳かつ退職というのが条件でございますけれども、もらう時期が若干遅くなるというようなこと、そういういろいろな要素がございまして、年金財政にどう影響するかというのは、一概にこうなりますということは即答しにくいわけでございますけれども財政見通しとしてどういうふうに定年の延長を考慮しているかということをお話しいたしますと、人口高齢化に見合った雇用、いわゆる被保険者が六十歳以後も長く被保険者になっていくだろうというようなことはある程度見込んでおります。  ただ、一、二年の間に六十が、目を覚ましてみたら六十五になっていたというようなことは恐らくないだろうというようなことでございますので、先ほどちょっとお話しいたしましたけれども、四年ないし五年のサイクル財政計算をしておりますので、その数年間において雇用がどう変わったか、どう延長されたかというようなこともある程度横に見ながら、被保険者数、これは年金財政ではどう言っているかといいますと、厚生年金の被保険者からの脱退ということを言っておるわけです。いわゆる六十歳で定年ならば六十歳でやめる人が多い、六十五歳が定年ならば六十五歳でやめる人が多い、六十三歳ならば六十三歳で脱退する人が多いという脱退率の変化ということで財政計算のときに織り込んでいるというのが現実でございまして、今後とも今労働省の方でお話しになりましたように、定年延長がだんだん進みますと、そういう面での脱退率の変化という意味財政見通しの中に織り込んでいきたい。また、過去においても織り込んでいるというふうに思っております。
  43. 山田譲

    山田譲君 この収支見通しというふうなものを一応立ててあるわけで、各年金ごとにそれぞれある。国鉄はこれは別で、別格みたいになっているけれども、その他これで見る限りは、先ほど言いましたように、かなり将来まだそう今ピンチという状態ではないと思うんです。そこへもっていって、つまり被保険者数が将来ふえるとか、あるいはまた、定年延長がずっと進んでいくというふうなことになると、この点はさらに大きく変わっていかなきゃならないというふうに思うわけです。  私が言いたいのは、そういうかなり不確定な要素、しかもそれはどっちかというと、定年延長だとか被保険者数がふえるというふうなことは、年金財政の方から見ればこれはプラスの要因になると思うんですけれども、そういう要因がある。そういうときに今ここで一元化方向というわけで一生懸命こうやって法律改正しようとしているわけですけれども、どうもその必然性が、今改正しなければならないという、それがやはり何といっても、もとをただせば例の臨調答申というふうなものから出発しているんじゃないかというふうに思われてならない。そうすると、臨調答申はやっぱりその中身は財政再建というか、そういうことが一番の中心になっているのじゃないかと思うんですよ。  ですから、何だかんだと言うけれども、やっぱり当面の国の財政危機を救うための方法としてこの年金改正考えられたと言われてもしようがないと思うんだけれども、その点は厚生省どうですか。
  44. 丸山晴男

    説明員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  財政再建のために年金改革考えられているのではないかというふうな御質問、御指摘でございますが、年金改革につきましては、先ほど農水省担当局長から御答弁いただきましたように、五十九年二月に年金制度改革についての閣議決定がございまして、年金制度一元化につきまして当両国民年金厚生年金につきまして基礎年金を導入する、次ぎまして共済年金につきまして基礎年金の導入を図る改正を行うということで、今回御審議願っておる法案もその一環でございます。それを踏まえまして、六十一年度以降、給付負担の両面において制度間調整を進めるということによりまして、七十年度を目途に年金制度全体の一元化を完了させるといったような目標のもとにいたしておるわけでございまして、特に年金制度の場合、先生案内のように、大変経過期間一つをとりましても二十年といったような長期でございます。  年金財政、特に農林年金の場合におきましても、現在の財政状況は必ずしも厳しくないといいましても、非常に長期で見た場合に、日本高齢化社会への対応ということを考えますと、やはり年金制度全体としての長期的な見通しのもとに制度の安定あるいは給付負担適正化ということが必要でございます。  例えば、厚生年金の例をとりますと、制度改革の前でございますと、当時の給付の水準あるいは負担の水準を前提といたしまして三・八倍近い保険料の負担増をお願いしなくてはいけない、こういったようなことがございまして、あわせまして給付につきましても一人一年金というふうな考え方が各制度分立を前提といたしまして必ずしも徹底をされておらなかったために、場合によりましては現役サラリーマンの方の手取りを上回るような年金給付すら生じるといったような、給付面での言ってみれば計算上の過剰給付負担の面での過大な負担ということで大変な問題がございまして、そういったことにつきまして一元化前提にしながら給付負担適正化を進めて年金財政長期安定を図っていくということが、今回を含めましての年金制度一元化の流れでございまして、一元化の今後の見通しにつきましては今後の政府部内での調整が大きな課題でございますけれども、いずれにいたしましても財政再建の一環といったような考え方ではございません。あくまで高齢化社会に対応して安定した年金制度長期にわたってつくっていく、こういったような考え方に基づくものでございますので、よろしく御理解のほどをお願いします。
  45. 山田譲

    山田譲君 よろしくお願いといったって、なかなかそう簡単によろしくお願いされたくないんだけれどもね。だって現にそれは、何だかんだときれいごとを言うけれども、例えば農林漁業団体の共済組合の方を見ても、これは後藤局長の方になるわけだけれども、国庫補助金の将来の推計を見ましても、それはぐっと補助金が減っていってしまうわけですね。六十一年には、現行が三百十六億ですけれども改正後もこの点は同じ。七十年になりますと、現行でいけば五百三十億というやつが四百四十億に減らされる、八十年になれば七百四十億現行でいけば当然補助金が出るものが、五百二十億に減ってしまう、こういうことになりますから、それはもう何だかんだと言うけれども、何といっても労働者の福祉そのものよりも財政というものを中心に考えてやられているんだと言われてもこれはしようがないと思うんですけれども、その点どうですか、後藤局長
  46. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 給付負担バランスのとれたものにするということが、今回の改正の一つの大きなねらいでございます。それに伴いまして、制度改正を行わない場合に比べまして将来の掛金負担も軽減をされますし国の財政負担も軽減をされる、こういうことになるというふうに考えております。
  47. 山田譲

    山田譲君 負担給付バランスをとるということが目的であるならば、国の補助金まで減らすということは関係ないでしょう。今の負担とおっしゃったのは、だれの負担のこと、やっぱり被保険者負担のことですか。
  48. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 給付を支えている負担ということでございます。したがいまして、負担制度改正によりまして軽減をされますと、組合員の方の負担も、それから今折半負担でございますから事業主の方の負担も、またこれに対しまして国が補助をしております国の補助、国の負担といいますか、それぞれ抑制をされるということになるわけでございます。
  49. 山田譲

    山田譲君 そんなだれの負担もみんな少なくなるから一番いいんだということじゃなくて、やっぱりこれは何といっても、国の財政を再建するためになるべく国の金を少なくさせようということからこの改正がなされてきているというふうに我我考えざるを得ないんですよ。  その問題に関連がありますから次に進みたいと思いますけれども、まず最初に、内閣法制局来ておられますか。——  今までいろいろ聞いていますと、大臣もおっしゃっているし局長もときどきおっしゃるんだけれども、この法律改正について既得権あるいは期待権というものを尊重したということをよく言われる。こちらの方もそういう言い方をよくしますけれども考えてみますと、非常に何か無神経にこの言葉を使っているんじゃないかというふうに思うんです。  ここで、まずはっきりしておきたいことは、期待権というものは一体どういう法律上の根拠があり、あるいは法律上の効果がそれによって生ずるのかということ。もう一つの既得権というのも、これは法律的にはどういう意味を持つものか、これはどういうふうに保護されなきゃならないか、その効果はどういうところにあるかということについて、一般論としてまず政府の解釈というか、法制局の解釈がそれになるんだろうと思うけれども、そこを伺っておきたいんです。
  50. 関守

    政府委員(関守君) 今お話しの期待権あるいは既得権という言葉でございますけれども、これはいずれも法令で用いられている用語ではございませんで、したがいましていろいろ日常的に使われたり、あるいは学問上使われたりすることがあるわけでございますけれども、時に応じていろいろな意味合いで用いられることが多いんではないかと思います。  そういう意味で、私ども、今お話しのように、有権的にと申しますか、法制局としてこれはどうだということはなかなか申し上げにくいわけでございますけれども法律学の辞典などによりますと、既得権ということにつきましては、人が既に獲得した権利であるとか、あるいは法令上既に獲得、保有している権利だというようなことが言われておりますし、それから期待権につきましては、将来一定の事実が発生いたしましたときに一定法律的な利益を受けることができるという期待あるいは希望というものを内容とする権利である、例えば相続権でありますとか、あるいは条件つき権利であるとかというのがこれに当たるというように言われておるわけでございます。
  51. 山田譲

    山田譲君 私は、何も法律学の辞典を読んでくれと言ったわけではないんで、法制局としてどういう解釈をされるか、それが当然政府の解釈ということになるわけだから、そんなものは法律的に意味がないというならはっきりないと言ってもらいたいし、やっぱ守られるべきものであるとかという何か解釈を政府としてどう考えておられるか、それを聞いているわけですよ。
  52. 関守

    政府委員(関守君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、法令上の一つの用語として、既得権とか、あるいは期待権という言葉を用いてそれの解釈を何かするということでございますれば、私どもでこれをどういうふうに考えるかということになるわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、いずれも法令で用いている言葉ということではなくて、日常的に、あるいは学問的に使われるというようなことでございますので、先ほど申し上げましたような意味合いで、法律学辞典等で述べられているように用いられているということを申し上げたわけでございます。
  53. 山田譲

    山田譲君 何を言っているかよくわからない。だって、現に法律審議をしている最中に、局長なり大臣は、ちゃんと期待権を尊重してこういう経過規定を設けましたとはっきり言うところを見ると、これは法律上の用語じゃないとは言い切れない。法律審議をするときに使うからには、しかもそれを尊重してこういうふうな経過規定もつくったと言うからには、それはやっぱり何らかの意味がある言葉なんでしょう、法律的に。単なる常識的な意味で言うのじゃなくて、あるいはまた学問上の言葉として言うんじゃなくて、やっぱり法律的に何かの意味があるからこそ、局長なり大臣がおっしゃると思うんですね。
  54. 関守

    政府委員(関守君) 一般論として申しますと、確かにそういうことはいろいろのところで使われるわけでございますけれども法律とのかかわり合いで申しますと、私どもとして立法の一般的な指針といたしまして、社会秩序の安定性の確保というような点からいたしましても、既存の法令に基づいて既に人が具体的に取得しているような権利あるいは利益、そういうものは、法令の変更なり改正をいたします場合に、それによってみだりに理由なく侵害するというようなことにはならないように配慮すべきであるという考え方を持っておりまして、特にその既存の利益が権利というようなものまで具体的に高められているような場合には、特に立法に当たって慎重でなければならないという一般的な立法上の指針と申しますか、我我審査に当たりまして考えるときにはそういうようなことを考えておりまして、それがいわば期待権とか、あるいは既得権というようなことで言われるのだろうというふうに考えております。
  55. 山田譲

    山田譲君 法制局としても、何か法律をつくるということで相談してくれば、これは既得権と言わないまでも、既得権的な考え方で、やっぱりこの法律はまずいとか、この法律はいいとかということになるわけでしょう。  じゃ、既得権と期待権の違いはどこにあると思いますか。
  56. 関守

    政府委員(関守君) 先ほど申し上げましたように、期待権につきましては、将来一定の事実が発生すれば法律的な利益を受けることができるという期待または希望を内容とする権利である、例えば条件つき権利でありますとか、あるいは相続権のようなものでございます。  既得権と申しますのは、若干意味合いが違っているようにも思いますけれども、物の本によりますと、場合によっては例えば旧法上既に認められている権利というようなものを既得権の一つの側面として述べているものもございますけれども、何と申しましょうか、既にその権利が取得されていると申しますか、権利として具体化されているという場合に、既得権というような言葉が用いられることが多いのじゃないかと思います。
  57. 山田譲

    山田譲君 私たちが役人をやっているときには、法律をつくるなんという場合には当然法制局へ相談に行くわけです。法制局というのは、ものすごく立派な人はかりそろっているというので常常非常に敬服していたんだけれども、今の言うことを聞いていると、何かそれこそ期待を裏切るようなことになっているんだけれども、もうちょっとはっきり言ってもらいたい。  しかし、余り抽象論ばかり言ってもしようがないから、例えばの話として、例えば私が公務員になるときに、おまえは二十年たってやめるときにはこれだけの年金がもらえるんだと。そういうふうなことがそのときはもう制度上決まっているわけだから、当然そういうことを考えて私なら私が公務員になる。そういうふうな場合に、二十年後にもらえるというのは、それは既得権、期待権、どっちですか。
  58. 関守

    政府委員(関守君) 今の御説明の場合でございますと、それは一つの制度がそういうふうになっているということを事実上期待しているということだろうと思いますので、何というんでしょうか、その制度が永久にと申しますか、二十年後にも変わらないということを保障されているようなものとしての期待権とか、そういうものではないと思います。
  59. 山田譲

    山田譲君 それはおかしいんじゃないですか。おまえがやめればこれだけの共済がもらえるんだということはそのときにちゃんと法律で保障されているんじゃないですか、法律がそうなっているんだから。じゃ例えば、公務員は安月給だから入りたくないけれども、二十年たてばこれだけもらえるからおれは公務員を選ぶといった人はどうするの。保障された権利でないとそれでもなおかつ言い切れますか。
  60. 関守

    政府委員(関守君) 先ほど申しましたような期待権の意味合いからいたしますと、それは法律に基づきまして、一つの法律上の保護といったものとして構成される権利であろうと思います。今のお話のようなケースにつきましては、我々が公務員になるときもそうでございますけれども、それは一つの制度がそういうふうにしてあるということで、その適用を受けるときにそれがそのままであるのかどうかということまでは保障はしてないというふうに考えるわけでございます。
  61. 山田譲

    山田譲君 それはどうしても納得できないね、あなた考えるというけれども。あなただって公務員になったときに、やっぱり二十年後やめればおれはこういう年金がもらえるんだなということを考えて公務員になったんでしょう。それともおたくが非常に金持ちで、そんなものはどうでも構わないといって入ったわけじゃないと思う。やっぱり当然採用されるときに、公務員は余り月給は高くないけれども、二十年後はこういう年金がもらえるということが保障されているから公務員を選びましょうということで公務員を選んだに違いないんですよ。だって、法律にそう書いてあるんだもの。それはそのとおりだと思うのは当たり前の話でしょう。じゃ、法律にちゃんと書いてくださいよ。二十年後どうなるかわからないけれども、今のところ漠然とそうなるかもしれない、場合によっては破れることがあるから覚悟して入れという、そういう法律に直してもらいたい。
  62. 関守

    政府委員(関守君) 私も役所に入りますときに、決して年金がどうなるかということについて構わないとか何とかということではなかったわけではございますけれども、これはそういう意味では、私どもとしてもそういう今の制度というものについて、それが存続してそういうものが年金としてもらえるであろうということは事実上は期待をしているということは事実でございます。  ただ、それが法律上の権利であるかどうかという点になりますと、ちょっとそこまではどうであるかなというふうに申し上げざるを得ない。しかし、事実上期待をしているということについては、おっしゃるとおりでございます。
  63. 山田譲

    山田譲君 事実上期待じゃなくて、法律にちゃんと書いてあるわけですよ。だから、法律上当然二十年後にやめればこれだけのものがもらえるということは、事実上の問題じゃなくて法律上の問題じゃないですか。法律に書いてあるからこそ、我々はそれを信用するんですよ。
  64. 関守

    政府委員(関守君) おっしゃるとおり、法律に従ってその給付がされるわけでございますけれども、あるいはそのための負担もするわけでございますけれども、その制度が全く変わらないということが保障されているかというか、そういう意味での権利であるかというお話ですと、必ずしもそうとは言えないんじゃないかということを申し上げたわけでございます。
  65. 山田譲

    山田譲君 それは法律ですから、全然変わらないとは言い切れない。だから、例えば私が採用になったときの法律がその後ずっといって変わるということは当然あるでしょう。だけれども、変わる場合に、私がこれだけはもらえるだろうと思っておったやつが、それよりぐっと低くなっていってしまったというふうな、例えば極端な話、それがやめになったという場合にどうなるんですか。やっぱりそれは許されないことでしょう。法律だから何でもできるということにはいかないでしょう。そこまで考えて採用になった人のそういうものを、全部裏切るようなことができるかどうかですよ。
  66. 関守

    政府委員(関守君) 先ほどから申し上げておりますように、これはそれぞれの人について具体的に発生した権利ではございませんから、それについて何と申しますか、それを保障するとかというような話ではないと思いますけれども、それが具体的な財産権になりますれば、無論、憲法二十九条の規定によりまして保護されるということになるわけでございます。  それから、そういう現に仕組まれている制度につきましては、私ども先ほど申し上げましたように、非常に慎重に、その変更につきましては、みだりに具体的に取得しているような利益というものを侵害するような形では立法はすべきではないという建前に立って法案の審査をいたしておるわけでございますけれども、それが今申し上げましたように具体的な権利というまでには至っていないということからいたしまして、それを全く変更することはできないというものではない。無論その変更につきましては、公共の利益になりますような法目的のもとに、合理的な範囲で行われなければならないということは当然だろうと思います。
  67. 山田譲

    山田譲君 何か法律をつくるときに、そんな何というか自信のないことで法律をつくられちゃ、たまったものじゃないですよね。法律をつくるのは立法機関たる国会だから、それは余りあなた方に文句を言っちゃいかぬかもしれないけれども、少なくとも政府案を出すからには、そのときには政府としての自信を持って、これは個人の権限を侵すものじゃないということをはっきりしてから出してもらいたいんですよ。  例えば今の話にしても、農林漁業団体の法律改正する場合には、当然農水省としては法制局に相談に行っているわけでしょう。そのときに法制局としては、この農林漁業団体の改正法案はそういった今までの人の期待を裏切るものじゃないという慎重な配慮をされたかされないか、そこのところを聞かしてください。
  68. 関守

    政府委員(関守君) 当然、そういう配慮をした上でこの法案提出されているというふうに考えております。
  69. 山田譲

    山田譲君 それはそう言うだろうけれども、どういうふうに配慮したかということです。具体的に、例えば給付が極端に下がって掛金がぐっと上がるなんということは、慎重に配慮した結果とはどうしても思われないんだけれども、どうですか。
  70. 関守

    政府委員(関守君) 先ほども申し上げましたように、私どもとしてはそういう慎重な配慮をしたわけでございますけれども、例えば従前額の保障でございますとか、あるいは施行日の前日の額の保障でございますとか、そういうような仕組みを考えたわけでございますし、それから、先ほどから申し上げておりますように、我々といたしましては一つの社会的と申しますか、社会の利益、公の利益になるようなことについては、いわゆる既得権でございますとか、あるいはそういう事実上の期待されるようなことという場合であっても、それと違った制度に仕組んでいくということは当然認められてしかるべきだというふうに考えておりまして、先ほどからお話がございますように、負担給付の公平というような、そういう社会公共の利益という観点に立って今度の制度改正もなされたもので、したがって、いわゆる今回の法案既得権なり期待権の侵害というのには当たらないというふうに考えているわけでございます。
  71. 山田譲

    山田譲君 具体的にちょっと言いますと、これはどちらの方がお答えになるかは別として、この法律改正は、共済組合法関係は三回大きくやられている。三回目なんだけれども、一つは、恩給が共済組合方式に変わったというところ、その次にいわゆるそれをまたさらに変えた、二回やっているわけです。今度三回目になるわけですね。  ところが、一回目にしろ二回目にしろ、期待権というか既得権というか、とにかくそれをそのままにちゃんと尊重するような法律改正が行われている。つまり恩給前の期間については恩給前の計算方式でやる。そして、その後の分については新しい法律のやり方でやって、両方足して一つの年金額を決めるというふうなやり方、これは恩給法が改正されたときも、それから年金法の大きな改正があったときも同じやり方をやったわけですね。ところが、今回のやつは全然そうなってないわけですよ。だから、当然一回目のやり方、二回目のやり方、これでもってやれるであろうそういう改正を、もし改正するとしても考えるのが当たり前だと思うんだけれども、全然そうなってない。  そうなってないばかりか、金額的にも、例えば今度の改正について見ますと、いわゆる現行の人と新しい法律に変わるという場合の人、これは昭和六十一年に三十九歳の人で過去十七年あって新法が二十一年あるという人が六十歳でやめるという計算をしてみますと、現行のままでいきますと三百十三万円の年金になる。しかし、改正するということになれば、せめて恩給から、過去二回の改正のときの計算方式でもって当然やられるであろうという、その計算方式でやりますと二百五十二万円になるんですよ、それでも法改正によって五十万減るわけだけれども。ところが、今度の改正は全然そうじゃなくて、一回目、二回目とまるきり違ったやり方でもって非常に不利な計算方式を使っておりますから、その結果が百六十四万円になる。  そうすると、現行で全然改正しないでいった場合には三百十三万円になるし、今まで一回、二回でやったと同じような計算方式でやれば、減るけれども二百五十万円にはなる。ところが、今度の場合は全然違った、今まで全然やったことのないようなやり方、非常に不利な計算方式を用いてやるものですから百六十四万円になる。大体半分近くなってしまうというわけですよ。こういうものは私はもう期待権なんというものじゃなくて、既得権あるいは財産権そのものだと思うんです。それを侵害したことになるというふうに思うんだけれども、その点はちゃんと話したんですか。
  72. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 確かに、累次の改正に比べまして、農林年金制度を含めまして今回の共済年金制度改正は、高齢化社会の到来等に備えまして受給者と現役との間の給付負担均衡を図るということで、そのことを通じまして制度長期的な安定なり円滑な運営を目指し組合員等の年金制度に対する信頼にこたえようというものでありますので、若干これまでと性格を異にした改正であるということは御指摘のとおりでございます。  それから、ただいま恩給のお話がちょっとございましたが、恩給は今回御審議願っております法案とは直接の関係のない事項ではないかというふうに思っております。  一体、いわゆる既得権なり、あるいは組合員の将来の期待というのについて考慮してないではないかというお話でございますが、いわゆる既裁定年金等の既得権、特に既裁定年金につきましては給付の額というものも決まっておりまして、これは確かに一つの受給権の具体的な内容ということで権利として発生をしているというものでございます。それからまた、現役組合員等の将来の期待というものにつきまして最大限尊重すべきであるということは私どもも十分この制度改正に当たりまして考えたわけでございまして、その観点から従前額の保障でありますとか、あるいは長期在職組合員に対する施行日の前日における現行制度による年金額保障の特例措置というようなものも講じたわけでございます。  先ほども申しましたような今回の改正の目的から、これ以上の特例措置というものを設けることにつきましては、受給者と現役との間の給付負担均衡、あるいはまた、既裁定の年金受給権を持っております方と今後新たに年金を受ける方、あるいはまた、比較的若い組合員と中高齢組合員との均衡、いろいろそういったバランス考えますと非常に困難であるということで、今回のような内容で御提案申し上げているわけでございまして、このことから既得権なり期待というようなものが侵害されているということではないというふうに私ども考えているわけでございます。
  73. 山田譲

    山田譲君 それじゃ、局長考えるこの法律の上での既得権はどれどれで、期待権はどれどれというふうに分けて説明してくださいよ。
  74. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど既得権あるいは期待権という言葉が問題になっておりまして、私どもも確かにこの委員会でも既得権とか期待権という言葉を使って御答弁も申し上げましたことが、ちょっと混乱を招いたかなということで反省もいたしておりますけれども、この二つの言葉はいずれも法令用語ではございませんし、もちろん農林年金法上、具体的に既得権とか期待権というようなことが書いてあるわけではございません。  従来から既得権というふうに申し上げております場合には、現行制度において発生をいたしました権利、すなわち施行日の前日までに発生をいたしました既裁定年金の受給権なりその給付内容、これのことを指して私ども既得権というふうに申し上げておったわけでございます。  期待権と申します場合には、まだ具体的な内容を持った権利として発生はしておりませんけれども、例えば長期にわたり勤務した組合員が近い将来一定給付を受けられるであろうということを想定しておられる、その給付内容なりその期待につきまして便宜期待権というような表現、これは権という言葉まで使ったのがよかったかどうかということは私、今反省をいたしておりますが、そういう期待につきまして便宜期待権というふうに申し上げたということでございます。
  75. 山田譲

    山田譲君 それでは、既得権についてはさっき言ったように、裁定された金額そのものが既得権である、それを下げられることはない、今度の法律でもそれを下げるようなことはしておりませんから、いわゆる既得権はきちっと守った。それから期待権というやつは、権利という言葉に値するかどうか、今後なるべくなら使いたくないような感じだけれども、そういうものは人情的にやっぱりある程度うなずけるから、それは人間としてそのぐらいのことは少しは考えてやりましょうという程度のものなんですか。  つまり私が言いたいのは、期待権があるかないか知らないけれども、そういうものが極端な話、全部やめになっちゃうというふうな場合、そういう場合でも全然保護されないものだというふうに考えるんですか。
  76. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど法制局第四部長からもお話がございましたように、期待権というふうに申します場合は、法律学の講学上は、一定の事実が発生をすれば一定法律的な利益を受けることができるということが法律に保護された権利としてかなりはっきりしている、相続の場合でございますとか、あるいは停止条件つきの贈与契約でありますとか、そういうふうな例を挙げたわけでございます。  そういう点から申しますと、近い将来退職をした場合に大体こういう給付が受けられるだろうということを期待されておられたというその期待と申しますのは、厳密な意味の期待権よりも、もう少し幅の広い期待そのものというふうにむしろ申し上げた方がいいのではないかというふうに思うわけでございますが、そういったものについてもできるだけ尊重したいということで、したがいまして施行日前日の年金額を保障するというのは、一つのそういった期待というものをやはり無視をしないということで、年金政策上の配慮といいますか、あるいは法律的に言えば立法政策上の配慮ということによりまして、前日に退職をしたならば得られたであろう年金額を保障するという事項を今回の改正に盛り込んだ、こういうことでございます。
  77. 山田譲

    山田譲君 それでは法律にちょっと一条つけ加えてもらいたいのだけれども、以上書いた法律は将来変わることもあるかもしれませんよ、悪くなるかもしれませんから余り当てにしないでくださいというようなことを条文に書いてもらわないと、この法律は信用できないね。今度の法律だって、二、三年後に何だかんだ、期待権なんというものはないのだとかなんとかと言ってまた下げられたらたまったものじゃない。だからそういうことをやたらにやられたのじゃ、私たちは信用して法律というものを見るわけにいかないじゃないですか。  ここでもって、ちょっと労働省出てください。  会社に入る場合に、個人の雇用契約というものがあるでしょう。例えばその会社で年金制度が労使の話し合いで労働協約になっていたとすると、採用になった時点でもってその雇用契約に年金のことが具体的な内容として入るというように考えていいかどうか、そこはどうですか。
  78. 長勢甚遠

    説明員長勢甚遠君) 突然のお尋ねでございますので省の見解という形でお答えはできかねると思いますが、年金も労働条件の一部ということであれば、協約ないし契約の内容の一部であろうと思います。
  79. 山田譲

    山田譲君 私はそのとおりだと思う。だから、労使が話し合いで労働協約の中に企業年金をやりますということを決めて、そしてその協約を見て、これはいいやと思って入ってきた人にとって、雇用契約の中身にそれらが入ったというように考えていいかどうか。つまり具体的に労働条件として個人的な労働契約の中身に入ったというふうに考えていいかどうか、そこはどうですか。
  80. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) お答え申し上げます。  採用される前に示された条件、それに従って採用契約が結ばれるといたしますと、当然その内容が一般的には雇用契約の内容になって当事者が拘束される、原則的にはこういうふうに考えられるかと思います。そこに労働協約が絡みますと、当然労働協約が上位に立ちますから労働契約の内容を規定してくるということになりますので、その具体的な内容いかんによりますが、一般的には、示されたものによって労働契約の内容となってくるというふうに考えてよろしいかと思います。
  81. 山田譲

    山田譲君 そのとおりだ。だから企業年金もそうですね。労使が話し合いして企業年金を決めましたと。それを労働協約に決めれば、その労働協約に決まったことは労働条件として新しく採用になった人に対する個人的な労働契約の中身にそれが入っていくということで、それは完全な既得権とかなんとかというものじゃなくて、契約の中身そのものだというふうに考えていいんじゃないか。
  82. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) 一般的にはそういうことになろうかと思います。  ただ、問題になりますのは、非常に長期的なことを決めている場合、これがその段階においては決められた内容でもって当事者間の契約である。しかし、それがその後変わり得るかどうかと、こういうことになるわけでございます。  先生もよく御案内かと思いますが、例えば一般的に労働条件を切り下げるときに、これは労使当事者間の話ということになってまいりますと、労働協約で切り下げることができるか、あるいは就業規則で切り下げることができるかということが問題になってまいります。この場合、判例等もございますが、一般的に申し上げれば、その切り下げることについて合理的な条件があるかどうか、その合理性にかかってくるであろう。  したがって、例えば今までの議論も勘案してみますと、一般的にあることを期待しているというふうに、その期待を持っていること、その内容とそれを変更する、あるいは切り下げることの必要性、合理性、それとの結局バランスであろうかと思います。そういうことによって将来的にある条件を切り下げざるを得ない、その切り下げることについて合理性があるということになった場合は、労働協約等で内容が変更されることがあり得るということだと思います。
  83. 山田譲

    山田譲君 農林漁業団体というのは民間団体ですね。これは農林漁業団体に採用される人についても、私は今、労働法規課長が言ったような同じことが言えると思うんですよ。だから、農林漁業団体に入った人は、協約じゃないと思うけれども、この法律のとおりになってくるであろうということが個人的な労働条件として中身になっているんじゃないかというふうに考えるわけです。  だから、それを改正するということについては、今言ったように、非常に慎重な考え方が必要になってくるんじゃないか。そうしなければ、勝手に下げられないというのが大原則だと思うので、その点を共済組合法、公務員の場合はちょっと違うかとも思うんだけれども、少なくとも民間団体である以上、この点は今、法規課長の言った言葉がそのまま通じるんじゃないかと思うんだけれども局長どうですか。
  84. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私どもも現在農林漁業団体に勤務されておられる方々がその職場につかれますときに、その時点での農林漁業団体職員共済組合法の中身を、具体的には個々人によって差があろうかと思いますけれども、ある程度頭に置いておられたということは十分あり得ることだというふうに思っておりますし、そういう意味におきましても、この改正案を作成いたします際に、そういった組合員の期待なり、あるいはまた、現に発生をしている既得権ということにつきましてはできるだけ配慮しながら、そしてまた、いろいろ先ほど私が申し上げましたような制度の中の給付負担、あるいは現役と受給者との間のバランスというようなことを考えながら、合理的に御理解をいただける、あるいはいただきたいと思っている事柄を勘案いたしまして、このような案として御審議をお願いしているわけでございます。
  85. 山田譲

    山田譲君 何だかよくわからないけれどもね。だけれど、考えてみますと、私も公務員の端くれだったけれども、公務員になったころは公務員の月給がもう一番悪いころだったですね。極端に言うと、学校を一緒に出たやつの半分ぐらいの感じもあった。その悲哀を同級会のときに一番感じたわけですね。それで、同級会に行くと友達が、おまえは役人で安月給だから一次会の会費だけは納めろ、二次会、三次会はおれが出してやると言って、私はうれしいような悲しいような非常に複雑な気持ちで、二次会、三次会にのこのこついていったものです。死ぬまでに一遍でいいからおれもそういうことを言ってみたいと思ったけれども、言えないでだめになっちゃった。  そうすると、そのとき必ず言ったことは、おまえたちは安月給だけれど年金があるからいいやというふうなことを必ず言われたし、僕も、そう言えばそうかな、じゃ、今はだめだけれど、将来はちょっとはよくなるかというふうなことを、そういうことを期待というか、それは本当にそうだったと思うんですね。どこの親戚に行っても、役人の月給って安いそうですね、気の毒ですねと言われて、僕は非常にプライドを傷つけられながらも、しかも、いや、おれには年金がちゃんとあるんだというふうな気持ちが支えで望みがあった。それを全然断ち切るようなことが果たして許されるかどうか、法律といえども。  例えば、そういう私に対して、年金をやらないというふうなことを言った場合にどうなるか。それをしも単なるそれは期待権であって、法律上の権利はないなんて言い切れるかどうかの問題ですよ。それだけ隠忍自重してきた僕に対して、それはやりませんともし言ったとしたら、それは法律だから何でもできるというものの、そういう法律が大体妥当と言えるかどうか、そこら辺どうですか、局長
  86. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) ある意味では私どもの先輩でもあられます山田先生から、大変身につまされる御質問をいただいて大変お答えに窮するわけでございますが、もちろん組合員方々年金を全く給付しないというふうな、そういうふうなことは、やはりこれは立法政策あるいは年金政策の上でできないと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、やはり年金制度というのは、特に二十前後から加入をしまして六十歳とか、六十五歳とか、非常に長期にわたるものでございます。しかも、今、人口構成の非常に激動の時期をちょうど迎えているところでございまして、やはり年金制度長期的に安定させるために、どうしても今回の改正を行わなければいけない。そういった前提の中で既得権なり、あるいはまた、この制度に対して組合員方々が持っておられる期待というようなものをできるだけ配慮をし、またいろいろな経過措置もつけながら、何とかやはり改正をしていかなければいけないということで、私どももいろいろ悩みながらこういう改正案をつくって御提出を申し上げているということにつきまして、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  87. 山田譲

    山田譲君 悩みを感じながら法律案をつくったというところあたりは、まだ一片の良心が感じられるわけであって、やっぱりそういうふうなことを感じながら書かれたなら、まだある程度その面では許されるところもあるけれども、しかし、それにしても、やはり非常に重要な問題で、しかも具体的に法律的に決まっているものを、それを当然その人がそう考えても当たり前だと思いますよね、法律にあるんだから。  それでもって、私がやめればこれだけもらえるなと思っていた人に対して、それは今度は合理的な理由があるから、これを半分に減らすとか、三分の二に減らすとかということを一方的にやっちゃうというふうなやり方は、やはりそれはちょっと法律的な権利でないとか、あるとかという問題以前に、当然そういう法律はよくないというふうに私は考えるんですよね。  だから、少なくも非常に悩みを感じながら局長もやられたというところを見ると、やっぱりこれはちょっとおかしな法律だなと思いながら法律をつくられたと思うんですね。そこら辺のところはやっぱり役人としてつらい立場は十分わかるけれども、ちょっとそこら辺おかしいんじゃないか。私は、法制局だって、もうちょっと期待権あるいは既得権というものは、こんなものは法律にないんだなんていうことでなくて、普通の常識的なものがやっぱり法律だと思うんですよね。だから、法律にこう書いてあれば、それを信用して、自分はそれに基づいて老後の生活設計をするという人だって当然私はいると思うんですね。そういう人たちが文字どおり期待が崩れるようなそういう法律はやはり私はよくないと思うんだ。  しかも、さっき言ったように、二回の改正、これは農林漁業団体の法律改正に関係ないとはいうものの、同じようなことが言えると思うけれども、二回の法律改正によってはちゃんとその法律改正のときに、前のときのやつはそのままのその計算でやり、そっちからこっちのものはこっちの新しい法律計算でやるという、そういう計算方式を用いて二回の改正ともそれでやっているわけですよ。全然違うやり方を今度とって、しかも全然不利なやり方をやったということは、やはりこれは非常に大きな問題だと思うんですけれども大臣聞いておられてどうですか、大体私の言うことはもっともだと思うと思うんだけれども、もっともでなかったら、ここがもっともでないということを教えてくださいよ。
  88. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 山田先生から大変御貴重なお話を聞いておるわけですが、やはり私は、これから人口が急激に高齢化する社会経済に対処するために三つの点に配慮してせざるを得なかった。  その一つは、やっぱり整合性の問題、それからもう一つは、給付負担の公平をどう確保するか、そういう形の中に世代間の公平を保つかどうか、それとともに財政長期的な安定を図るというようなことで、いろいろ御意見はありますが、やむを得ない処置ではないか、このように考えておるわけでございます。
  89. 山田譲

    山田譲君 大臣、言葉じりで悪いけれども整合性という問題ですが、何も整合性というのは下の方に合わして整合する必要はないと思うんですよね。悪い方をよくすれば立派な整合になるんであって、下げて一緒にすることは、こういう整合は私はどうも余り感心しないわけですけれども、どうですか、そこは。
  90. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) それは先ほどちょっと申し上げましたけれども、やっぱり財政長期的安定という立場からやむを得ずそういうことになった、そのように理解しておるわけでございますから、よろしくお願いいたします。
  91. 山田譲

    山田譲君 結局、整合性の問題にしても、財政的な見地、財政再建というふうな大目標があってそれに基づいてやられたという、そういう結論になりそうなんだけれども先ほどのお話ではそうでなかったんですが、どうですか、そこら辺は、大臣はそうはっきりおっしゃるんだけれども
  92. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の改正に当たりまして私も悩みながらということを先ほど申し上げたんですが、既に年金を受給されている方、間もなく退職して受給されようとしている方、またこれから長い間組合員として掛金を払っていかれる方々の御意見、またこの年金制度に対する期待感というのもいろいろ違うわけでございます。  その中で私どもいろいろ悩みながら、それをどうやって調和させるかということで検討いたしましてこの法案を御提出申し上げているわけでございますが、今受給者なり組合員にとりまして不利な方に合わせている、こういうお尋ねがございましたけれども、必ずしもそうではございません。それは、障害年金でございますとか遺族年金につきましてはいろいろな改善も行われておりますし、また農林年金独自の問題としては、従来この場でもいろいろ御議論のございました新旧格差の解消というようなこともやっておりますし、やはりこの改正案全体としてひとつ御評価を願いたいと思っているわけでございます。
  93. 山田譲

    山田譲君 それはちょっぴりあるでしょう、いい方に合わせたというところがね。だけれど、全体としては、やっぱりだれが考えたって一番大きな問題は、年金額が下がって掛金が上がるということは、これはどう考えたって低い方に合わせたというふうにしか考えられない。  それじゃ、この問題は一応やめまして、全然角度は変わりますけれども、例の懲戒処分になったり、あるいはこっちの場合は禁錮刑に処せられた場合にカットすることができるような条文があるけれども、これはどうも私は年金の性格からいっておかしいと思うんです。  そこでちょっとお伺いしたいのは、恩給局いますか。——  もう時間がありませんから早く言いますけれども、恩給の場合、やはり禁錮刑に処せられたとかという場合には減らされるということになっていますね。それはどうですか。
  94. 鳥山郁男

    説明員(鳥山郁男君) 恩給制度におきましては、在職中禁錮以上の刑に処せられたという場合には恩給を受ける資格を失う、さらに退職後におきましても三年を超える懲役、禁錮の刑に処せられる、あるいは在職中の職務犯によって刑に処せられるという場合には恩給を受ける権利を失う、このようになっています。
  95. 山田譲

    山田譲君 試みに教えてもらいたいのは、旧軍人の大将の恩給、今もらっていらっしゃる方がいると思うけれども、これと一般の兵の一番低い恩給、この額を教えてください。
  96. 鳥山郁男

    説明員(鳥山郁男君) 現在、普通恩給で見ました場合に、大将であった方は一人もおられません。したがいまして、現在軍人恩給の最高の階級は中将でございます。中将の方、個人個人で見ますといろいろございますが、現在六十三人受けておられまして、その平均額が約三百四十万円でございます。一番低い金額と申しますと、兵隊の、例えば、南方に三年実役で行っておったというような方々年金が出ますが、こういう方々年齢によって若干違いますが、六十歳から六十四歳までの場合で見ますと三十二万円ぐらいでございまして、六十五歳になりますと最低保障が働きまして四十一万七千五百円になります。
  97. 山田譲

    山田譲君 戦犯というのがありますね、戦犯に対しては恩給はどうなっておりますか。
  98. 鳥山郁男

    説明員(鳥山郁男君) 戦犯者に対する処遇は二とおりございますが、一つは、刑死あるいは獄死された方に対する処遇でございます。これは恩給法上の公務扶助料と同額の扶助料、つまり遺族年金を出すことになっております。それからもう一つは期間通算でございますが、これは戦犯者として刑に処せられた期間、これは恩給年額計算基礎といたしまして通算をいたしております。
  99. 山田譲

    山田譲君 そうすると、戦犯として死刑になった人に対しても扶助料は一般の人が死んだ場合の扶助料と全く同じということ、あるいはまた、獄中に五年いて出てきたというふうな場合は、その五年間というものは一般の公務員をやっていたと同じことに扱っておるわけですか。
  100. 鳥山郁男

    説明員(鳥山郁男君) そのとおりでございます。
  101. 山田譲

    山田譲君 そこらは我々割り切れないわけですね。そういう人にはちゃんと出しておきながら、そちらの方でもって、悪いことをやったから懲役になったんだろうけれども、懲役を食った人に対しては年金をカットするというのは、そのバランスからいってもおかしくないか。つまり、戦犯で絞首刑になった人、あるいは戦犯で獄中にいた、監房に入れられた人については国としては全然罪のない人と同じに考えているということですか。
  102. 鳥山郁男

    説明員(鳥山郁男君) 経緯を申し上げますと、公務扶助料と同額の年金を出すという措置は、これは戦傷病者戦没者遺族等援護法という厚生省所管の法律がございますが、ここでも既に先行いたしておりまして、二十九年の改正法の際に議院修正で入った条文でございます。  さらに、拘禁期間の通算という問題は三十年の議員立法で入った措置でございまして、これは連合国占領地域、ここは有罪の判決を受けますとすべて軍人も含めて公務員の身分を失うことにいたしておりましたけれども、ソ連であるとか、あるいは中共地区、こういう地域におきましてはそういうことがなされておりませんでしたので、そういうところのアンバランス調整というような意味合いがあったんではなかろうかと思います。  しかしながら、基本的には、二十七年の法務総裁の通達であるとか、あるいはその他恩給に関しましていろいろ審議会がつくられておりますが、その審議会等で言われておりますのは、戦犯というのは一般の刑事犯と異なりまして、一個人の責めに帰すべき性質のものではない、いわば公務員としての勤務の延長ともみなすべき特殊な期間であるというようなことが言われておりまして、そのような考え方が基本にあるのではなかろうかと、このように考えております。
  103. 山田譲

    山田譲君 これで終わりにします。  非常にその考え方に我々は釈然としないものがあるけれども、私は何もそういう人たちにやめろとかいうことを言っているんじゃなくて、こっちの方でもって、今の農林年金法案審議に当たって、禁錮の刑に処せられたらカットしますというような考え方自体がやはりその人たちとのバランスからいってもおかしいと思うし、何か年金というものの性質からいっても変じゃないかということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  104. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは最初に、今回の農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、社会保障制度審議会がいろいろほかの改正も含めて意見を述べておるわけですが、今、山田委員からいろいろ質問もありましたように、今回は掛金は上がる、給付は下がると、そういう意味既得権、期待権というものは裏切られる。民間の保険会社等の例で考えれば、一種の詐欺ではないかという、そういう感じもするわけであります。  その論議は別としまして、そういうことで、この社会保障制度審議会の答申の中で、「公的年金制度一元化を進めみ道筋に沿う限りにおいて一つの選択であろう。」、「既裁定年金のスライドを停止する等年金制度に対する信頼を裏切りかねない内容をもつものである。関係者の理解を得ることがとりわけ必要となる。」、このような改正が必要であるとしても、やはり関係者の方の、特に共済組合員あるいは既に年金を受けている人たち、そういう人たちの理解を得ることが私は必要であると思うんですが、これはどのように理解を得ているのか、理解が得られたと思っておるのか、その点はどうでしょうか。
  105. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この既裁定年金の額の保障をいたします際に一定期間スライドを停止するという問題につきましては、率直に申しまして、既に年金を受給されている方々の間から、全部とは言わないまでも一部でもスライドをしてほしいというような御要望があることは私どもも承知をいたしております。  いろいろ検討をいたしたわけでございますけれども、やはり大きく申せば給付負担、そしてまた、既に年金を受けておられる方と現役組合員の方、おるいはまた、法施行時において受給者である方とその後受給者になられる方、いろんなそういうもののバランス考えますと、やはりこれはスライドの停止というような措置をとらざるを得ないということで、いろいろな機会に御理解を得るように努力をしてまいりました。まだそういう御要望のお気持ちを持っておられる方はもういないというふうには私申し上げることはできないと思いますけれども、今後ともこの点につきましては、年金制度全体のいろいろなバランスの中で御理解をいただくように、今後とも努力をしてまいりたいと思います。
  106. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、もらっている人にとってはややこしい論議よりも一体金額がどれぐらいになるのか、もちろん金額は減るわけではなしに一応いただけるわけですが、結局スライド停止ですね、それが何年続くのかという、そういう点が私は問題になると思うんです。  現在、この農林年金においても四十八万八千人の組合員と、受給者がいろいろ含めて十二万八千人ですか、いらっしゃるわけですが、実際にダウンするのは何%の人がダウンするのか。また、現在いただいている金額に比べてどの程度ダウンするのか。今までのお話では大変たくさんもらっている人が大幅に減るようなお話ですが、具体的にはどうなんですか、どの程度減るものなのか、それは何かデータはあるんですか。例えば二〇%ダウンする人が大体何人ぐらいで、これぐらいは何人ぐらいと、そういうような資料はあるんでしょうか。
  107. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の制度改正によりまして、従来は共済年金方式とそれから通算年金方式と両方で計算をいたしまして、いずれか高い方の年金額を適用するということになっておったわけでございますが、今回は従来の通年方式に類似いたしました方式に全部裁定がえになるわけでございます。その際に、下がる方については、従前の額を保障するという仕組みにいたしております。その際、現在の農林年金の退職年金受給者方々のうち八二%は通年方式によって年金額が算定をされておりますので、共済方式から通年方式に裁定がえになる方と申しますのは一七・六%でございます。
  108. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、いわゆるスライド停止になる人は既裁定年金者では一七・六%である、こう理解していいわけですね。
  109. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 大体そういうふうに御理解いただいて結構でございます。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この一七・六%のそういう人たちが、もちろん今は金額が下がるわけじゃありませんけれども、いわゆる計算上これを通年方式に改めたためにどの程度ダウンするのか。というのは、そのダウンの幅が大きければ追いつくまで停止期間が長いんじゃないかと思うんですけれども、それはどの程度なんでしょうか。
  111. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) これはモデル計算になるわけでございますが、例えば標準給与月額三十万で組合員期間四十年というような方を仮定いたしますと、共済方式で申しますと、年額で二百五十二万円の年金額になります。通年方式で申しますと二百四十四万八千円ということになります。比率で申しますと一・〇三%ということでございます。このような方でございますと、一度五%というスライドを休むということで、二回目からはスライドの対象になるということになります。  ただ、四十五万円というようなことで、組合員期間も四十年ということで、所得の高い方について申しますと、共済方式で三百七十八万円、通年方式で三百十六万八千円ということになりますので、この差は比率で申しますと一・一九というふうなことになりますので、五%ということでございますと四回、毎年もし五%スライドというようなことをやるといたしますと四年間休んでいただく、こういうふうなことになるわけでございます。
  112. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、いろいろ条件があると思うんですが、現実に現在一七・六%の人の中で、仮定計算ではなしに、実態がどうなっているかということをちょっとお聞きしたかったわけですけれどもね。
  113. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) どちらかと申しますと、共済方式の方が高い方と申しますのは、共済方式の方が所得比例、報酬比例の要素が強いわけでございますから、給与の高い方が共済方式の方が高く、既裁定年金の保障がありスライド停止になるということになるわけでございますが、現実問題として、標準給与月額四十五万円の方というのはほとんどおられない、ごく少数でございます。したがいまして、最初に申し上げましたような、あるいはまた、標準給与月額が二十五万円で四十年というようなことでございますと、もうこの方の場合には通年方式の方が高くなりますので、そういった三十万円前後の方ということで考えますと、長くて二、三年と申しますか、短い場合は一回お休みをいただく、その程度の影響かなというふうに思っております。
  114. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 社会労働委員会で退職者医療制度ですか、こういうような制度が発足したわけですが、やっぱり国会審議実態は大分違うわけですからね。そういう意味で私たちも、一人一人の人たちがこの法案改正になっていろいろ通知が来てみると、こんなに長い間スライド停止かと、そういうことに驚くようじゃ困るわけで、私は本当に一七・六%であれば、そういう人たち一人一人に今度の法案改正になればあなたの年金はこうなりますよ、したがって何年ぐらいは停止ですよという、そういうようなことを一人一人にやっぱりせめて徹底をするぐらいの親切さがあってもいいんじゃないか。  というのは、我々国会ももちろん責任があるわけですけれども、それは法律で決めてそれぞれ期待を持っている、あるいは既得権を持っている、そういうものを侵害するということは、これは国会法律をつくれば法的には問題ないにしても、道義的責任というのは私は非常に大変なものがあると思うんです。そういう意味で、そういう一人一人に対して、こういうわけだからひとつ協力してもらいたいという、そういう配慮がもうちょっとあっていいんじゃないか、そういう意見をここで申し述べておきたいと思うんですけれども、一人一人の既裁定年金者の方たちが自分の場合どうなるかということはみんな知っていますか。
  115. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) すべての方一人一人というところまではまだ参っておらないと思いますけれども、御関心の深い方は、農林年金の組合の方にいろいろそういう相談を受け付けるような窓口もございますので、そういうところへお問い合わせがあればお教えをしているということでございます。  スライド停止が何年間ぐらい続くかということを個人ごとにということにつきましては、今後の物価の動向がどうなるか、それにも関係がございます。ですけれども、いずれにしましても、制度の切りかえに伴いまして既裁定年金の額の保障に該当する方かどうかというようなことは受給者ごとに計算をいたすわけでございますので、それを御本人にお知らせをして御理解をいただくような努力は、私ども共済組合の方と相談しながらやってまいりたいと思っております。
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回、国家公務員を初め四つの年金制度が同じように変わるわけですが、私たちも地元へ帰ってそういう年金の連合会の関係者の方にいろいろお会いをしても、必ずしもやはりどの程度になるかということが十分徹底されていない。私は案外この法律が通っていざ通知が来たときになって、こんなはずではなかったと、そういうようなことになってはいけないんじゃないか。  そういう意味で、私はこの社会保障制度審議会がやはり関係者の理解を得ることが必要である、この点については、法律がいよいよ参議院で大詰めが来ているわけですけれども、もっともっとよく徹底をして、物事というのは決まってから決まりましたよといっていくのと、こういうふうになっていいですかというのとは大分受け方も違うわけですから、そういう点、最後の努力をしていただきたい。  この点についての大臣のお考えを聞きまして、ちょうど十二時で、次へ入りますとまた長くなりますので、一応これで午前中は終わりたいと思います。
  117. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 塩出先生お答えします。  今、局長が答弁したことでもございますが、先生おっしゃるように、まさしくスライド停止になると本人が不利益になる、これは間違いない。そんなことで、できるだけ一人ずつ早く事前によく理解を得るように最善の努力をいたしたい、こう思っておりますので、よろしくお願いします。
  118. 成相善十

    委員長成相善十君) 本案に対する質疑は午前はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時三分開会
  119. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  120. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは次にお尋ねをいたしますが、今回の改定について、現行制度を維持すると、昭和百年ですか、百年というと大分先ではありますが、掛金率が四倍を超える、こういうことなんですが、なぜ四倍になるのか、これはいろいろ私は条件があると思うのですよね。  例えば、この法律では、年金の支給は将来は六十五歳という、法律は六十五歳になっているわけです。すぐには六十五歳になるわけではないと思うのですけれども高齢化社会を迎えて定年も延び、したがって共済年金の支給開始年齢が当然六十五歳の方向に行くのは、これはある程度やむを得ないのじゃないかと私は思うんです。もちろん定年との関係もあると思うのですが、そういうような条件がどう入っておるのか、これをお尋ねしたいと思います。
  121. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 現行制度給付の水準なり仕組みというものを維持いたしますと、将来、昭和百年ごろには現在の一千分の百九の約四倍の掛金率になるということを私ども試算をいたしておりますが、これは今申し上げましたように、現行制度をそのまま維持するという前提でございます。したがいまして、今回の改正に予定されておりますような基礎年金の導入というようなことはいたしませんで、かつ支給開始年齢も現在の五十六歳が昭和七十五年にかけて六十歳に引き上がるということを前提にいたしまして、それから給与改定なり年金改定を年五%、運用利回り七%、こういったことで、あとは基礎数値につきまして前回の財政計算時のものを使いまして試算をいたしておるわけでございます。  なぜ四倍になるのかということでございますが、まず、平均余命年数の延びによりまして年金受給者が増大をいたしますのと同時に、年金受給期間が長期化をいたします。それから組合員期間の延びが見込まれますので、それによりまして年金額が高額になってくるということで、年金給付費が大幅に増大をいたします反面、組合員数の増加はなかなか見込みにくいということによるものでございます。
  122. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは厚生大臣にお尋ねしますが、この法律の本則では、いわゆる年金の支給開始は六十五歳。当然そのときになればこれは定年制も延長しているのじゃないかと思うんですけれども下そういう時代になればやっぱり掛金を掛ける期間も当然長くなるわけでありまして、そういう意味で、何か非常に最悪の条件で掛金は上がるんだ、給付は減るんだ、そういうような危機意識ばかりが先行しているように思うわけですが、その点厚生省としては、将来定年もこういうように延長する、そして支給開始年齢も六十五歳にする、そうなれば老後はこうなるんだという、こういう点をもうちょっと明らかにすべきじゃないかと思うんですが、そのあたりはどうなっているんでしょうか。これは大臣じゃなくても、ほかの方でも結構ですよ。
  123. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 支給開始年齢を今後どのように取り組んでいくか、御案内のように、非常に万般をよく配慮して考えなきゃいかぬ難しい問題でございますが、確かに先生御指摘のように、いつまでも厚生年金の場合でございますと、六十歳支給のままで計算しておりますと、今お話しもございましたように、非常に将来負担が高くなる。そういうことで私ども厚生年金だけの試算でございますが、実は今回の改正法をお認めいただいたことで、一番負担の高いときでも労使折半で二八・九%になりますと。今度の新しい法律で二八・九%になるわけでございますが、もし一定の仮定を置きまして、例えば昭和七十年代から六十五歳支給をもし仮に仮定さしていただきますと、実は一番高い時期でも労使折半で二三・九%で済みますということを一応私ども試算としてはお示しして、その限りでは御認識をいただこうかということをやっているところが現状でございます。
  124. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、人間の寿命が延びるということは、これはそんなに急に延びるわけじゃないわけで、大体ある程度予測も立つのじゃないかと思うんです。そういう中で実際掛金が四倍になるということは非常に理解に苦しむわけですけれども、いろいろ資料をいただきましたけれども、これは正直言ってよくわかりません。  ちょっと立場を変えまして、現在のいわゆる掛金率は百九になっていますね。これは現在また五年ごとの見直しで新しい掛金率を計算しておるようでありますが、五十五年に決めましたこの百九という損金率というのはどういう意味があるのか。というのは、普通、現在の平均というのは、賦課方式ではなしに積立方式的な考え方が生きておるわけで、一人の人が会社に勤務をして、定年の何歳まで掛金を納める、そして会社をやめてから年金をもらう、平均何歳まで生きるかによって何年もらうかということで、それにもちろん国の補助が出るわけですね。  そういうように、一人一人は長生きする人もおれば短命の人もおるわけですが、おおよそ平均的に考えれば、物価の変動、賃金の変動、いろいろあるでしょうけれども、平均的に言えばこれだけの掛金を掛ければバランスがとれるというものがあると思うんです。それはもちろん運用利回りをどうするかとかそういう問題はあると思うんですが、そういう点を考えれば、大体これだけの平均を納めればいいという、そういうものに対してこの百九というのはどの程度の位置にあるのか、これはどうなんでしょうか。
  125. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金の前回の財政計算におきましては、これは従来からそういう方式でやってまいってきておりますが、いわゆる数理的な保険料というものを計算いたしまして、それから過去五年間の既裁定年金額の改定とか、組合員のベースアップでありますとか、それから方式につきましては修正積立方式というものをとっておりますので、そこで過去カバーされていない部分がございますので、そういうものを足し上げまして総財源率というものを計算をいたします。それから国庫補助一八%なり、財源調整費補助というものを合わせました国庫補助でどれだけカバーをできるかというものを差し引きまして、所要財源率というものを出しました。これに修正財源率ということで七七・五%の修正率を掛けまして、それにその他系統団体の方から振興会の助成でございますとか、あるいは予定をしておりましたよりも運用利回りが若干上回ったという、そういうような要素を織り込みまして、百九という掛金率を計算いたしておるわけでございます。
  126. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、これはいわゆる国庫補助も計算に入れ、そうしていわゆる完全な積立方式ですね、積立方式の原理でいくと、大体百五十・四七というのが現在納めるべき掛金だ。しかし、それでは高過ぎるから百九、いわゆる七七・五という修正を加えて百九になっておる。だから、この百五十と百九の差というものは、これは後世、いわゆる後代の人が負担をしなければならない、このように理解していいわけですね。
  127. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、所要財源率に修正率を掛けておりますけれども、その後、利益差充当分でございますとか、振興会の助成分ということ、運用益が予定より上回った、あるいはまた、関係団体からの助成があったという分を掛金負担の軽減に使うという要素も織り込んで、百九という数字にいたしておるわけでございます。
  128. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、この七七・五という修正率は、これはどういう意味があるんですか。どこが決めたんですか。どういう理由で七七・五になったんでしょうか。
  129. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) これは掛金率そのものは、財政計算の数値に基づきまして共済組合におきます組合会で決定をするわけでございますが、この修正率につきましては、今ちょっとお話もございましたように、組合員負担が急激に一挙にふえるということを避けるという考え方で、他の各種の共済年金制度の修正財源率というものをにらみまして、七七・五という修正率を掛けているわけでございます。
  130. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、これは厚生省にお尋ねいたしますけれども、七七・五という修正率をずっと続けてまいりますと、結局、やはり保険財政としての収入と支出のバランスは常に狂うわけで、これはいつの日か一〇〇%にしていかないと年金財政というものは長期的に安定をしないと思うんです。今回の改定がそういう給付掛金とのバランス考えるということでありますと、当然この七七・五というものは将来ともに変わっていかなきゃいかぬと思うんです。そのあたりの見通しはどうなっているんですか。
  131. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) これは直接御所管の農水省の方でどういうふうな見方を持っておられるかにもよりますが、今お話を承っている限りでは、七七%のすべてが後代負担の分であるかどうかは別としまして、何かそれ以外の助成要素がおありのようでございますが、考え方の基本は、そういう分はいずれはどこかでつじつまを合わせなきゃいかぬという点は、先生御指摘のとおりじゃないかというふうに今お話を伺って感じておるところでございます。
  132. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私たちもなかなか年金制度は非常に複雑でよく細かい点までわからない点もあるんですけれども、ただ私は、非常に行き当たりぱったりで来たというか、やっぱり掛金をふやす方は余りふやさない方がいいし、もらう方は多いにこしたことはないわけですけれども、そういうことに流されていくと、結局、だんだんだんだんしわ寄せは後世に残っていくわけでありまして、そういう意味で、私は年金制度というものはもっともっと五十年、百年の単位で考えて、それでやっぱり安定をしていかなくちゃいけませんし、安易な時代の声に迎合するというか、そういうことでは私は非常にいけないのじゃないかと思うんです。そういう意味で、厚生大臣年金担当大臣であるわけですが、もっと長期的なやはりビジョンに立った方向を私はもうはっきり示すべきじゃないかと思うんです。  例えば、一元化の問題にしても、まだ何となくはっきりしていない。それから、六十五歳開始年齢をどうするかということもはっきりしていない。さらには、補正率にしても幾らになるのか、こういうのもはっきりしていない。そういう意味で、我々はもちろんのこと、この給付を受ける人たち、あるいは組合員の人たちにしても、将来こうなるのだからどうしてもこれは必要なんだという、そういう説得力に非常に欠けるのじゃないかと思うんです。どさくさに紛れて何か強引に押されているという、私はそんな感じがして仕方がないんですが、そういう点については厚生大臣はどのようにお考えですか。
  133. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 各制度の細かい数字は別といたしましても、先生御指摘のように、やはり年金でございますから、長年いただくことを前提にして若い間に掛金を掛けられるわけでございますから、長期的に安定をするということをまず基本的に考えるべきことであるという点につきましては同感でございます。
  134. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはぜひ長期的な一つの方向を、私ははっきり示していただきたいと思うんですけれどもね。  そこで、これは非常に基本的な問題ですが、この五万円の根拠ですね。これは先国会厚生年金国民年金法の改正がなされたときに十分論議はあったと思うんですが、この基礎年金基礎であるというこういう五万円はいかなる根拠にあるのか、この点をお尋ねいたします。
  135. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 基礎年金の五万円という数字は、老後の生活の基礎的な部分、それを保障するものとしようという考え方でありまして、高齢者の現実の生計費等を総合的に勘案するとともに、また何年で五万円かということで四十年ということでございますけれども、この四十年というのは、これから将来は二十歳から六十歳まで四十年間加入されることが普通の状態になろうかということでございまして、その結果、四十年加入で五万円ということに決めたわけでございます。
  136. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、今私が申しました通年方式の計算をする場合に、過去の五年間の給与の平均をとってそれに補正率を掛けるという、この補正率については、これは勤続年数ごとに補正値を変えるという、このようにお聞きしているわけですが、この補正率は何ぼになるのか、これは今示せないんでしょうか。私は当然そういう補正値もこの審議の場に出すべきじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  137. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この補正率につきましては、組合員期間の年数によって区分をして定めるということで考えておりますが、その際、施行日前五年間の標準給与の平均額に対します施行日前全期間の標準給与の平均額の比率ということで年数ごとに区分をして定めたいと思っております。その際、もちろん過去の給与水準を現時点における給与水準に再評価し直したもので五年間と全期間の比率をあらわすようにしたいというふうに思っているわけでございます。  この補正率は、具体的には政令で定めることになるわけでございますが、農林年金につきましては私どもが関係各省とも協議をいたしまして、いろいろなデータに基づきまして算定をした上で政令で定めたいということでございまして、まだ具体的な数値を残念ながらお示しできる状態にはないわけでございます。
  138. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 厚生大臣は三十分まででございますので、最後にちょっと大臣にお尋ねします。  きょう午前中質問したわけですが、農林年金の場合は既裁定年金者のうち一七・六%の方が今度の計算方式を変えるためにダウンするわけですね。これは私は、先般広島の広島県市町村職員共済組合でお聞きしますと、半分以上の人がダウンをする。今回の四つの法案改正によってダウンする人はかなり多いし、そのダウンの金額も人によって大分違うと思うんですね。  しかし、それに対して社会保障制度審議会は、十分やっぱり理解を得なくちゃいかぬ、こういうことを言っておるわけですが、必ずしも一人一人に聞いてみると、自分の年金がどれぐらいダウンするのか、実際はダウンしなくて、今までの額は保障されるにしても、スライド停止になってダウンしていく、相対的にはダウンするわけです。これがどれぐらいダウンするかということがよく一人一人わかっていないわけですけれども厚生省年金担当省として、四つの年金制度改革によって最大ダウンする人が全体の何%ぐらいで、その幅がどの程度であるかということははっきりわかっているのかどうか。  これはもう私は先般の退職医療制度のときにも、これだけの退職者がいるんだということで厚生省の言うことを信じてあの法案に賛成したら、実際は大分違いまして、補正予算を組む方向のようではありますけれども、これはやはり一種の詐欺ですよ。だから私は、この法案が通って実際に一人一人に通知が行って、ああこんなに下がるのか、これは大変だということになってはいけませんし、そういうレベルダウンの実態がどうなのか、それが一点。  それと、一人一人に対してそういう事前の了解は得ているのかどうか、この点が二点。年金担当大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  139. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) このスライド停止になります部分に当たる方々は、厚生年金と同じ通年方式の計算よりか高い、超過した部分の方々であるわけでございます。そのスライドが何年間ずつ停止するのかということは、実は各省所管のそれぞれの年金制度の中でおやりになっておられることでございまして、それを個人にお知らせしてあるかどうかということにつきましても各関係各省にお任せしてある状態でございまして、こちらの方では正確な数字はつかんでおらないところでございます。
  140. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 年金担当大臣というのは何のためにあるのか非常にわからない、いささか無責任な発言ということにもなるわけで、私は特にその点を、連合審査もございますが、担当大臣として各省にひとつ改めてよく、今さら遅いかもしれませんけれども、最後の努力をしていただきたい、このことを要望いたしておきます。  それから、先ほどの補正率の問題ですけれども、これはやっぱりこういう審議の場合に、当然僕は計算をしてこの程度になりますということを出すべきだと思うんですがね。それがなぜ補正率が出せないんでしょうか。
  141. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林漁業団体職員共済制度に加入しております団体の数が非常にさまざまで、非常に多うございます。こういった団体のそれぞれの職員につきまして、これから全体的な資料の洗い直しをやります。それともう一つは、やはりその過程でいろいろテクニカルな問題も出てこようかと思うわけでございますが、こういうことについて、やはり四つの共済制度の中で調整をとりながらやっていかなきゃいけないという問題が具体的にはあるわけでございます。そういった事情がございますので、考え方としては、現時点に再評価をした水準で全期間平均の賃金の水準を適正に反映させるような考え方ということで作業を進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  142. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この補正率は、これは農林年金農林年金、あるいは私学共済は私学共済と、こういうようにそれぞれの年金制度で、また年金制度の独自の判断で出すものなのか。これは政令ということになりますと四つばらばらなのか、統一なのか、どちらなのでしょうか。
  143. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金につきましては、今御審議をいただいておりますこの法案に基づく政令ということでございますので、最終的にはそれぞれの共済制度ごとに数字を定めるということになるわけでございますが、今申しましたように、考え方なり、あるいはまた、その途中でのいろいろな数字の処理の仕方につきまして、共済制度間でやはり余りでこぼこがあって整合性に欠けるというようなことがあってはいけませんので、その辺は関係省庁の間で協議をしながら作業を進めていきたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
  144. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もちろん時間はかかる問題かもしれませんけれども、私は農林水産大臣に要望しておきたいわけですが、やっぱり一つの法案審議する場合、これが成立したらどうなるかという結果は非常に大事だと思うんですね。それを政令に任せられて、法案が通って、そして政令が出てみると、こうじゃないか、こういう不公平があるじゃないかと、そういうことが後でわかるようでは困ると思うんですね。  例えば、過去の給与の上昇にしても、どんどん急速に給与の上がっていった人と、余り給与の上がらない人といる。過去五年間の平均をそこから補正率を掛けて計算した場合に、急速に給料の上がった人たちは大変得するけれども、給料の上昇の低い人は非常に得をしない、損をしちゃう、そういうような不公平も出てくるんじゃないかなと。そういう意味で、私はできるだけそういう政令で予定されている問題についてもあらかじめやはり計算をして、一つの案として補正率はこういうふうになりますよと、それを国会審議に私は提出すべきではないか、そう思うんですけれども、その点どうですか。今回間に合わないにしても、今後その姿勢を貫いてもらいたいと思うんですけれどもね。
  145. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 塩出先生お答えします。  先生の御指摘の点は、お話聞いていてもっともな気もするんですが、実際問題として作業も大変になりますし、また各制度間の調整その他の問題もございますから、なかなか難しいんではないかと思っていますが、御貴重な御意見として十分その方向に努力していきたいと、こう思っているわけでございます。
  146. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、いずれにしても、計算は長くかかるにしても、いずれはやらなくちゃいけない問題だし、年金制度改革というのはそんなに急いでやるものじゃない、もう何十年単位の仕事なんですから、余りにもそういうような何か行き当たりばったり的なことでは私はいけないんじゃないかと、そういう感じがいたしますので、その点、御意見を申し上げておきたいと思います。  それから、そもそも農林年金厚生年金から独立したゆえんは、いわゆる農業の将来にとって非常に大事な農協あるいは漁協あるいは林業組合、そういうところに働く人たちの待遇をよくするためにこういう制度が設けられたわけでありますが、今日農林団体職員の給与というものは市町村職員に比べてどうなのか。ほぼ同じであるという、そういうお話は聞いているわけですけれども、もうちょっと我々としては数字的に市町村と比較してどうなのか、こういう資料がございますでしょうか。
  147. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林漁業団体の平均標準給与について申しますと、単位団体で十八万一千円、それから都道府県連で二十二万一千円、全国連で二十七万五千円、合計平均で十九万一千円というような水準に相なっておるわけでございます。  おおむね同様の条件にございます町村の職員と農林漁業団体の郡部単位団体の平均賃金と給与とを比較いたしてみますと、平均給与月額では農林漁業団体の職員の給与が、賞与も含めての水準でございますが、約五%、月額で一万三千円程度高い水準になっております。賞与も含めました平均給与月額で申しますと、郡部単位団体平均が二十六万五千円、町村役場が二十五万二千円ということでございます。時点は、昭和五十八年度の数字を地方公共団体についてはとっております。農林漁業団体につきましては五十九年一月現在の数字でございます。
  148. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今のお話では、農林団体の方が給与が高いということなんですか。
  149. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 町村の職員と比べましてということでございます。市部なども含めた場合はまた別になってまいります。
  150. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いろいろ市になりますと、また大分違ってくると思うんですけれどもね。しかし私は、これは農協単位で決める問題ではありますが、やっぱり農水省としても時々はその地域の市の職員ですね、農協だって町村だけじゃない、市にもあるわけですから、そういう点の給与の状況がどうであるのか、そういう点にも常に配慮をして、やはり農協に、より優秀な人材が集まるということはますます大事になってきておりますし、そういう点はひとつ農林水産大臣も目を光らして、やっぱり農協職員の働きがいが出るようにひとつ頑張っていただきたい、このことを要望いたしておきます。  それから、いわゆる減額退職年金ですかね、これを廃止するということですが、私の理解では、この減額退職年金を受け取ろうが、あるいはちゃんと正規の退職年金を受け取ろうが、保険財政から見れば一緒である。であるならば、これはやっぱり個人の自由ですから、長生きする人は減額でない方がいいでしょうし、ちょっと将来自信がない方は減額の方がいいという、そういうことになるのじゃないかと思うんです。それは個人の自由に任せて、そういう制度をなぜ廃止しなければならないのか、このあたりがよくわからないのですが、その意図はどこにあるんでしょうか。
  151. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 減額退職年金につきましては、今回の制度改正一定経過措置を設けながら廃止をするということにいたしておりますが、その考え方は、減額退職年金と申しますのは、言うまでもなく、本来の受給開始年齢よりも早く年金が受給できるというメリットがあるわけでございますが、同時に、生涯にわたって減額された年金を受け取るということになるわけでございまして、老後に完全に稼得能力といいますか、所得を得る能力を失った段階で十分な保障が受けられないという問題がございます。今後はやはり高齢化社会、長寿社会の到来ということを考えますと、年金を早期に支給するよりも、むしろ老齢に達したときに手厚い生活保障を行うことが重要ではないかという考え方でこのような措置をとったわけでございます。  減額退職年金の選択を残したらいいではないかというお話でございますが、この選択はまだ比較的、当然のことながら支給開始年齢の前で、まだ働いて稼ごうとすれば稼ぐ能力がある段階で選択をされるわけでございますが、一回選択をされますと、後でかなり御高齢になってから再度選択をし直せるという性格のものでございませんで、一切について四%ずつ減額をするという、それは一生ついて回るわけでございます。  そういうことから、受給者の選択の自由に完全に任せておくのが妥当であるということは、今回の制度改正の中で高齢化社会の到来に対して制度を整備していくという観点からいって、この際、むしろ一定経過措置を設けながら廃止をしていくべきではないかという考え方をとったわけでございます。
  152. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、今回いわゆる国民年金基礎年金になるわけで、したがって御主人の払う年金の中に奥さんの基礎年金掛金も入っておる。じゃ奥さんのいない独身者はどうかというと、独身者は掛金も一緒である。そういう点は不合理じゃないか。結局、奥さんがいてもいなくても掛金は一緒というのは、そういうものはやっぱり年金財政の合理性から見てどうなのかという、この点はどうなんでしょうかね。
  153. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この点は、既に御退席になられました厚生省の方がお答えになるべき問題だろうと思っておりますが、厚生省からも繰り返しこの問題の御答弁があっておりますように、やはり報酬を得る仕事についておられない配偶者の方々を、男女を問わず仕事を持って所得を得ておられる方々全体で支えるという、年金制度の相互扶助の考え方から出てきているものというふうに私ども理解をいたしておるところでございます。
  154. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先般、男女雇用平等法というそういう法律を制定したわけですが、例えば家庭によっては奥さんが働いて御主人が留守番をする、あるいは御主人は仕事ができなくて奥さんが仕事をしているという、そういう逆の場合もあると思うんですがね。そういう点は、御主人が仕事をして奥さんが家庭にいる場合と、奥さんが働いて御主人が仕事を持っていない場合と、そういう場合は完全に同じであるのかどうか。これは一緒にしなくちゃおかしいと思うんですけれども、その点はどうなんですか。
  155. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) その場合、全く同じでございます。そうでなければ、理屈として先生おっしゃるようにおかしいことに相なろうかと思います。
  156. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 遺族基礎年金の場合、これが私は、主人が亡くなった場合奥さんには出るけれども、働いている奥さんが亡くなった場合主人には出ない、このように理解をしますが、その点はどうなんでしょうか。
  157. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほどお答えを申し上げました基礎年金の拠出金なり掛金考え方は、先ほど申し上げたとおりでございますが、先生今お尋ねになりました点は、現実の何と申しますか、社会の一般的な実態というものに着目してそのようになっておるということでございます。
  158. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから、先ほどは男女は差はないということですが、その点についてはやはり必ずしも男女平等ではない、そういうことですね。
  159. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) その点はそのとおりでございます。
  160. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは農林年金だけの問題ではないと思うんですけれども、ただ私は、本来の男女の差をなくするというその精神から見れば、これは将来是正すべきではないか。この点はどうですか、農林水産大臣は担当大臣じゃないかもしれませんが。
  161. 和田勝

    説明員(和田勝君) ただいま御質問の件でございますが、今回の改正におきましては、遺族年金につきまして生活保障の必要性に着目して、夫死亡時において子のある妻及び一定以上の年齢に到達していた妻に対しまして給付を手厚くするなどという重点化ということを行っているわけでございます。  夫につきましても遺族厚生年金を支給すべきではないかという先ほどのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、一般的に夫は稼得能力を有しているということに対しまして、その年齢が若い時期に年金保障を行う必要性は薄いという基本的判断のもとに、妻の死亡時五十五歳以上の夫に六十歳から遺族厚生年金を支給するというシステムをとったということでございます。  なお、妻分の保険料が掛け捨てになるということにつきましては、公的年金制度は実際の所得保障の必要性ということに着目して年金給付を行うものであるということでございますので、ぜひともその点は御理解を願いたい、そういう意味でございます。
  162. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、最後に定年の問題ですね。これはこの委員会でも論議になりましたが、最近定年制の延長が農林男子等の場合は余り進んでいないというんです。今後、農林年金の支給年齢が繰り上げ的に遅くなるわけで、農林年金の支給と定年の間にはすき間ができないように、こういう点にもひとつ農林水産大臣としてもよく指導をして、そのすき間ができないようになるように努力をしてもらいたい。そういう努力をすることが、私は農林漁業の関係団体で働く人のやっぱり意欲にもつながっていくと思いますので、その点、どういう御決意で臨まれるのか、これを承って質問を終わりたいと思います。
  163. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 塩出委員お答えいたします。  御指摘の点はもっともでございまして、定年年齢引き上げにつきましては今後とも努力をしてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
  164. 下田京子

    ○下田京子君 まず私は、第一番目にお尋ねしたい点は、支給開始年齢引き上げと定年延長の問題です。  政府は、定年制年金支給開始年齢の関係で言えば、その間に空白期間が生じないようにすると、これはもう繰り返し総理以下大臣が御説明されているところなんです。しかし、現実は一体どうなんでしょうか。まず明らかなことは、年金支給開始年齢は段階的に引き上げられていく。  具体的に申し上げますと、五十五年法改正で、農林年金の支給開始年齢を二十年間の経過措置で、昭和七十五年までに当時の五十五歳支給を六十まで引き上げるんだというふうに決定しましたね。今回は、支給開始年齢は原則として六十五歳として、当分の間、六十歳からつなぎ年金を特別支給する。この六十歳からの特別支給についても、現在の五十六歳支給を段階的に引き上げていって昭和七十年までに六十歳とするんだ、こう言っております。ところが、定年延長の方はどうなんでしょうかということなんです。  全中の五十七年八月時点の調査によりますと、男子で五十五歳以下の定年制をとっている団体がいまだに三〇・二%残っていますね。しかも、五十四年当時の調査と比較いたしましてどのぐらいの改善がなされたか、わずか四・八ポイントなんですね。つまり、現在ですら五十六歳、年金支給との関係で見ますと、空白期間が一年以上生じているというのが実態なんです。この点をどう改善されるのか。
  165. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私どもかねてから、先ほど労働省からも午前中にお話がございましたように、政府全体として六十歳定年の定着へ向けて努力をするということで、従来から定年年齢の引き上げについて指導をいたしてまいったところでございます。  御指摘ございますように、現在も五十五歳以下の定年年齢の団体がまだ残っておるわけでございますが、特に、今回年金法の制度改正によりまして支給開始年齢の引き上げのテンポが若干速くなるということがございますので、これを踏まえまして、今後一層その努力を強化してまいりたいというふうに思っております。
  166. 下田京子

    ○下田京子君 かねてから指導してきたけれども改善されていない、さらに強化をする、これは当然なんですけれども、どういう観点から指導するかということが問題なんですね。  その点を申し上げたいんですけれども、私は大事なことは、定年延長というのは社会的要請だと思うんです。ここが大事だと思うんですよ。そうでないと現実にはなかなか改善されません。  なぜなら、これは全中の資料で見ますと、幾つかの問題点がもう明らかになっています。なぜ定年延長にならないかという点で現実に示している数字が第一に物語っております。平均定年年齢が五十四年八月時点で五十七・六歳でした。それが三年後の五十七年八月時点で五十七・七歳、三年間かかってわずかに〇・一歳改善されたということです。ですから、このテンポで言うと笑い話にもなりませんで、六十歳定年までに何と約七十年もかかるということになってしまうんですよ。これが現実なんです。  それから第二番目に、じゃ、なぜこういうふうに改善されないのかということなんですけれども、その点で、今後定年延長する考えがあるかという質問に対して、調査結果、定年延長は考えていないと答えた団体が八二・二%なんです。  その理由は何かというと、これは問題の三点目になりますが、定年延長ができない理由として「経営収支を圧迫する」と答えた人が五二・一%なんです。つまり、経営収支がよくならなかったら定年延長できませんという理論になってしまうんですよね。これでは、いつになっても定年延長できなくなるんです。今、農協等の団体がどういう状況かといったら、決して経営収支がいいなんというものじゃありません。それは承知しているんです。  だから、問題は、定年延長というのはもう社会的要請。ですから、平均寿命が延びているなどということはもちろんなんですけれども、むしろ豊かな経験を持った人材を確保して、より積極的に対応していただく、そういう考え方が大事なんです。そうお思いになりませんか。
  167. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 定年延長が社会的な要請であるということは、私どももそう考えております。  それから、やはり定年延長は、今もちょっとお話ございましたように、単に定年の問題だけではございませんで、その団体あるいは経営の人事管理、あるいはまた、賃金の制度というようなものとも絡んでまいる問題でございます。そして、定年延長を可能ならしめる一つの条件というのは、その団体なり経営体の経営基盤がしっかりしているということがやはり必要であろう、そういう面も含めて私どもこれから努力をしていく必要があるなというふうに思っております。
  168. 下田京子

    ○下田京子君 今のお答えでは不十分です。それじゃ改善できないです。  私は、もう大前提定年延長すべきだ。そうするとおっしゃったじゃないですか。経営収支がよくなってなんと言ったら、もう本当に来年度の予算も十分に確保して、農村の情勢がよくなる、農業政策もいい、予算も確保される、それで農協の経営も成る、そんなことが見えればわかりますよ。それはそれとして追求しなきゃならない課題なんです。でも、定年延長は社会的要請、そういう立場に立って基本的に御指導くださいますか。
  169. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この定年延長の問題は、ある意味ではそれぞれの農林漁業団体の労使間の問題でもございます。私ども、いろいろ団体によって事情はあろうと思いますけれども先ほどお答えしましたように、六十歳定年制というのが社会の一つの要請であり流れであるということを踏まえて指導に当たってまいりたいというふうに思います。
  170. 下田京子

    ○下田京子君 労使間のことだけにゆだねたら改善できません。今まで総理並びに大臣が答弁してきたことと食い違いますよ。定年延長と支給開始年齢の間に空白をつくらないと言っているのです。そこのところを踏まえた指導が必要だという点なんです。よろしいですね。
  171. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 労使間の問題でございますけれども、労使間に任せないで社会の流れにのっとった定年の延長を指導いたす、こういうことでございます。
  172. 下田京子

    ○下田京子君 私は、ここまで来るのに、もう三回も時間を食ったのです。私、一回で終わろうと思ったのですよ。姿勢がしっかりしていなかったら改善なんてできませんよ。  それで、具体的な点で御質問します。  これは全国連——全中、全農、全共連の全国三連の問題なんです。これは御承知のことと思うんですけれども、五十七年四月十二日に、既に六十年一月一日より段階的に六十歳定年を実施するということでもって労使で確認はしているんです。ところが、現在なおこの定年延長が実施されていないで五十七歳でとどまっているのですね。  理由は何かというと、ここが非常に大事なポイントなんです。問題は、定年延長と賃金体系の改悪がセットで団体側から出されたということなんです。その賃金体系の改悪の中身、いろいろありますけれども、言うとポイントは二つなんです。  一つは、定年延長後、五十七歳以降なお勤める方の賃金は総賃金の三五%カットするという内容。これにとどまらないで、第二番目に大きな問題は、賃金体系全体の改悪、特に若い現職労働者に大きな影響を与える内容を持って出してきて、これをのまなければ定年延長できないと、こうやってきた。それで一歩も進まない。  ですから、百歩譲って、こういう賃金体系条件問題は、定年延長と切り離して、そして速やかに定年延長を実施するという方向で対応をしていただきたい。
  173. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私、先ほど申し上げましたように、この雇用条件の問題というのは基本的に労使間における交渉で決定される事項でございますけれども定年の延長につきましては年金制度の問題あるいはまた、社会の流れということで指導をしてまいるというふうに申し上げたわけでございます。  一方、賃金等の問題に関しましては、特に今お話しのございましたような、それぞれの団体の賃金の制度の中身というようなことにつきましては、なかなか関与しがたい問題であるというふうに考えております。  しかし、これにつきましては、経営者側と申しますか、事業主の方のいろんな考え方も聞いてみたいとは思っておりますが、こういった賃金との関連で、定年延長につきまして非常に著しい支障が生ずるというような場合には、私どもも指導を行う必要が生じることもあり得るかなということは考えております。  今お話しのありましたこと、私も最近若干の情報を得ておりますけれども、双方の立場ももう一度私もよく伺ってみたいというふうに思っております。
  174. 下田京子

    ○下田京子君 こういう私が質問した方向で御指導される御答弁をいただいたと思うんですが、重ねて確認したいんです。  賃金体系の改悪問題と定年延長は切り離すという点で御指導されますね。
  175. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、定年の問題と申しますのは、当該団体なり経営の人事管理なり、あるいは給与カーブというようなものにも必然的に結びついている問題でございます。ですから、私は問題としては、その両者は全く別の問題だというふうには考えておりません。  ただ、今お答えをしましたように、賃金問題を原因といたしまして、定年延長について非常に著しい支障が出るというような場合には、私ども指導を行う必要が生ずることもあり得るというふうに考えているということを申し上げたわけでございまして、また両当事者の考え方も聞いてみたいというふうに思っております。
  176. 下田京子

    ○下田京子君 両当事者の意見を聞くのは当然です、指導ですから。そんなことを聞いているんじゃないんです。いいですか。定年延長は、年金の支給開始年齢との関係でもって速やかにしなきゃならない、空白期間はつくらないと総理並びに農水大臣は答弁されているんです。ですから、定年延長は社会的趨勢だ、それもお認めになっているんです。だから、そこをまずやるんです。賃金体系の問題は別途なんです。切り離しなさい。ここを明確にしてくれる答弁さえいただければ結構です。くだくだ言わないですよ。
  177. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 雇用条件の問題は労使間の問題でございますけれども定年延長につきましては社会の要請ということで、私どもできるだけの指導をしてまいりたいということでございます。
  178. 下田京子

    ○下田京子君 できるだけは最大限ということで期待をしたいと思います。そうでなければ、大臣がかねがね言っていた年金支給開始年齢定年延長との間に絶対空白をつくらぬということが空約束になるんです。現実にそうなっているということを、よく踏まえなきゃならないと思うんです。  この問題で大臣に一言お聞きします。いいですか。大臣、給与水準と労働条件の問題というのは、それは基本的には労使間の問題であるという点はわかります。ただ、定年延長が生きがいと働きがいのある内容であるべきだということが重要なんですね。ましてや、五十七歳で退職してもらうべきところを、六十歳まで恩義をもって働かしてやるんだという発想ではいけないということなんです。ここが大事なんですが、大臣、農協法に定められておりますように、改めて申し上げませんけれども、第八条に言っておりますように、農協というのはこれは営利を目的とする団体じゃないんですよね。ですから、もうこれは準公的機関の性格を持っているんですね。一般民間企業の模範となるべき性格でもあるんですね。  そういう点をよく考えて、資本の論理からのみ、経営はどうでもいいなんて私は申し上げませんけれども定年延長問題というのは、この年金支給開始年齢との関係からいっても、本当に待ったなしなんだという御認識の上で御指導されますね。
  179. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 下田先生お答えいたします。  農林漁業団体の定年年齢の延長については、これは推進する必要があると思います。  その理由は二つございます。その一つは、高齢化社会の移行に対処するため。それからもう一つは、農林年金の支給開始年齢が逐次引き上げられるということで推進する必要があると考えております。  このため、従来より各農林漁業団体に対しいろいろ指導を行ってきたところでありますが、今後とも定年年齢の一層の延長が図られることが必要であると考えております。
  180. 下田京子

    ○下田京子君 具体的なところまでお聞きしたいんですが、それこそ時間がなくて、全体で二十四分なんて残念です。  次に、男女差別の問題なんですけれども、特に男女別定年制についてお尋ねします。  これは来年四月一日になりますと、雇用機会均等法が施行されます。これが施行されますと、男女の定年差別が存在していること自体が法違反になるんです。御存じだと思うんです。その点を明確にしたいわけなんです。  このことを具体的に申し上げる前に、私は一点指摘しておきたいことがあるんですよ。それは何かといいますと、無業の妻に年金を保障した、つまり基礎年金導入、そのことによってあたかも婦人の年金権が確立したように政府は言っておりますけれども、私はこれは余りにお粗末だ、真に婦人の年金権の確立、こうおっしゃるなら、まず婦人が自立して老後生活できるだけの年金額が保障されているということなんです。それからさらに大事なことは、夫の添え物という発想じゃなくて、婦人が性による一切の差別を受けないということなんです。  そういう観点からして、この定年制の男女差別問題というものは捨ておけない。これは全中の資料じゃなくて、おたくがお調べになったやつで農協の場合だけの資料をとってみます。五十八年時点で定年制を採用している組合が、全国で四千二百六組合ございますね。うち、男女別の定年制をとっている組合が五百二十七団体、全体の一二・五%です。その内訳を見ますと、男性五十五歳以上で、女性の場合に五十四歳以下というところが四百五団体あるんです。現にですよ。  ですから、これはまさに雇用機会均等法第十条、第十一条の規定違反は明確なんです。これはもう既に労働省では通達等も出しております。通達の中身等については今触れませんけれども、承知のはずなので、労働省から改めて相談があってから、あるいは相談してからなんということではなくて、これは農水省の責任において、農協ですから、施行前にきちっと法違反の事実がないような是正をすべきだと思うんですが、どうでしょう。
  181. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 御指摘のとおり、この定年制の男女差別の問題は、かねて何回かごの場でも取り上げられている問題でもございますが、そしてまた私ども調べたところでは、毎年少しずつ定年差別が、男女差別が減ってきておりますけれども、まだ五十八年度で五百二十七農協あることは事実でございます。  同規模の民間企業に比較をいたしまうと、その比率は若干低いというふうなデータもございますけれども、いずれにいたしましても男女雇用機会均等法、明年の春の施行を控えております。罰則はございませんけれども法律上明らかに禁止をされておりますので、この問題につきましては、雇用の分野におきます男女の均等な機会及び待遇の確保のための措置といたしまして、法律も施行されるということを踏まえまして、この法律の趣旨の徹底について、労働省とも連絡を私どもの方からとりまして、十分指導をしてまいりたいというふうに思います。
  182. 下田京子

    ○下田京子君 答弁予想されることは、私みんな指摘しているんじゃないですか。何聞いているんです、局長労働省と今から協議なんか必要ないんです。来年四月一日、その施行前に法違反の事実がないようにあなた方がちゃんとやりますかと聞いているんです。民間企業と比較してなんてこと、今さら言う必要ないじゃないですか。準公的機関であることはお認めになったんじゃないですか。範たるべき皆さんのところが一体どういうことなんです、その答弁は。
  183. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私のお答えの仕方がまずくておしかりをこうむったようでございますけれども雇用平等法の趣旨に即しまして、来年に向けまして私どもできるだけ努力をいたしてまいります。
  184. 下田京子

    ○下田京子君 できるだけではだめなんです。何遍言ったらわかるんですか。やりますか、やらないんですか。
  185. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 指導をしてまいります。
  186. 下田京子

    ○下田京子君 当然なんですよ。どういう考えのもとに指導されているのかと、私は情けなくなる。本当に怒りでいっぱいですよ。  次に、これは結婚退職の勧奨、強要の問題についてであります。  同じように、雇用機会均等法によれば、結婚退職等についても法で今度は違反があれば罰則になります。問題なのは、私がこれを今なぜ出すかといいますと、これは就業規則等に明確にうたってなくとも、慣行だという格好でもって、現実には女性であるがゆえに、結婚したそのことによって退職しているというのが実態なんですよ。そこのところをどうするかということであります。  具体的には、愛媛県連の場合を例にいたします。これは昨年の四月時点なんですけれども、愛媛県経済連、県中央会、県共済連、県信連とも結婚退職が慣例になっておりまして、約百五十人の女性の中で、結婚してもなおかつ働いているというのはたった一人なんです。いいですか。  なぜこうかといいますと、具体的な事例ですけれども、昨年の三月、結婚しても働きたいと願っていたSさんという方ですが、結婚のために休暇届を出しました。ところが、その上司から仕事中もう連日呼び出しを食いまして、生計が目的なら他の職場をあっせんするよとか、いろんな形で退職勧奨を受けた。それから自営業の両親のところには毎日町の有力者が出かけていって、あなたのところのお嬢さんは何で勤めているんだ、勤めるときに結婚したらやめるということの口約束になっていたじゃないか、やめさせなさいと。連日ですよ。さらに、その婚約者であるSさんの相手の方にも連日出向いて、彼女をやめさせる、さもなければ東京工場にもう配転させるぞと。この婚約者というのは、県青果連にお勤めだそうですが、そういう格好でもうあらゆるところに勧奨のみならず大変な圧力をかけたんですね。Sさんは、もう泣く泣くおやめになったというのが実態なんです。  ところが、周りの女性がもう本当に怒りまして立ち上がったわけです。それでもって団体と交渉をして、ついに就業規則の中に結婚退職等に勧奨、強要しないという、そういう協定書をつくらした。だから、問題は、結婚退職で云々させないというだけじゃなくて、そういうことで、慣行云々ということで勧奨、強要をさせないというようなところにまできちっと置いてやりませんと、事態は改善されないんだと。局長、よろしいですか。
  187. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 結婚を理由とする退職につきましても、雇用均等法の中で明らかにそういう定めをしてはいけないということがございますので、その趣旨の徹底はもちろんでございますが、今お話のございましたように、定めはないけれども慣行的に、あるいはまた、いろいろな形で圧力をかけるというようなことがあるとすれば、それも遺憾でございますので、その是正について指導していきたいと思います。
  188. 下田京子

    ○下田京子君 まだまだ具体的なことでお聞きしたかったんですが、最後に大臣、私は、婦人の今の年金がいかに低いのか、その低い婦人の年金水準がさらに今回の法改悪によって低くなるんだということを指摘して御答弁を求めたいんです。いいですか。現在ですら、農林年金組合員の男女別の標準給与の平均の推移がどうなのかというのを見ますと、昭和四十五年、男子五万二千十八円の給与に対して女子の平均賃金は三万五百二十七円で、女子の賃金は男子に比べて五八・七%水準です。五十年になりまして若干改正されたといえ、それでも男子の六五%水準なんです。そして現在はどうかというと六六・七%、ほとんど格差が是正されてないんです。  女性の賃金が低いということは、男性にもそれは関係して、賃金全体が低いということにもなりますが、とにかく女性の給与が低い。その結果、今回の法改正でどうなるかといいますと、今回、給付水準適正化という名のもとに、給付水準が下げられますね。どういうふうに下げられるか。定額部分は、一律に給与に関係なく単価で二千四百円が順次二十年かけて千二百五十円にするんだということ、約四八%の削減です。給与に比例する部分というのは千分の十から千分の九にするわけですから、約一〇%削減なんです。つまり、このことは低額所得者ほど打撃が大きいということを示すものです。  こういうことをやっぱり今回の法改正でもうやっている、これは大変問題なんだという御認識をいただき、私は大事なことは、申し上げますが、第一に、働く婦人の労働条件を改善して、真に自立した人権を保障して真の男女平等を実現することなんです。二つ目には、年金面では給与水準の低い人も含めて、老後自立して安心して暮らせるような最低保障水準に引き上げるんだということなんです。現在の最低保障水準は年額七十七万四千円ですから、月六万四千五百円ですよ。こういうことをしっかりと踏まえて対応をされてしかるべきだと思います。
  189. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生お答えします。  二つ質問があると思うんです。その一つの、男女の雇用条件の指摘につきましては、先生の御指摘のとおりでございまして、これからも努力いたしたい、こう思っております。  それからまた、実は年金につきましては、これは先生御存じのことでございますが、基礎年金は国民皆年金と婦人の年金権の確立を意図してできたものでございまして、しかもこれは老後生活の基礎的な部分を保障するということで、実は給与に関係なくして高齢者の現実の生活費を出すというようなことで、月額五万円の水準に設定したものでございます。そんなことで、農林年金組合員の場合は、この基礎年金のほかに農林年金の退職共済年金が支給されることになっておりますということでございます。
  190. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まず、厚生省にお伺いをしたいと思います。  今回の年金改正を行っても、将来は年金の保険料率、掛金が三倍にはなると想定されておるわけであります。租税、それから医療費、年金、そういうものを含めての国民負担率というのが、現在昭和六十年度当初予算で三六%というふうに見られております。これは税が二五・二%、医療費が四・八%、年金が六・〇%に相当する。これの将来については、最近、政府税調が五〇%を下回る水準に抑えるべきだというふうなことを発表されておりますし、また第二臨調は、ヨーロッパ諸国の水準をかなり下回る線に抑えなければ、やはり日本の社会の活性化は失われると。  こういう点から考えますと、この年金掛金が現在の三倍になり、これがそのまま国民負担率にはね返るとしますと、もうそれだけで税並びに医療は、現状の率で据え置いたとしてもほぼ五〇%になってしまうわけですね。こういり点から見て、この年金負担率のあり方というものをどう見るか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  191. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) 今の先生の御質問は、年金の将来の負担率をどう見ておるかという御質問だと思いますけれども厚生年金は、たびたびお答えしておりますけれども、現在、男子で千分の百二十四でございます。将来にわたっては、これは成熟段階においては二百八十九ということで、二・数倍ぐらいになるわけでございます。一方、国民年金につきましては、五十九年度価格で六十一年が六千八百円でございまして、これが成熟時点におきますと約一万三千円ぐらいで推移するであろう、約二倍ぐらいになるだろうということを予測しておるわけでございます。  一方、まだそのほかに今御審議していただいております共済年金がございますけれども、こういうのを全部含めまして、昭和百年でどのくらいかという大ざっぱな試算をしてみたわけでございますけれども、大体現在の、先生がおっしゃいました約六%ぐらいの数字が、その約二倍の対国民所得比で一二%程度になるんではないだろうかというふうに予測しております。
  192. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 一つは、国民負担率を余り上げないようにという配慮が必要だと思うんですね。それからもう一つは、例えばピークになる昭和百年、その時代における負担率というものが、払う人がある程度やっぱり納得できるものでないといけない。  この間も私の質問で触れましたけれども、やはり将来の負担率というのは、掛けただけ自分が年金がもらえないほどの高さになる。これはなぜかというと、積立方式というものが破綻をして修正積立方式、ある程度賦課方式的なものを導入せざるを得ないからこういう結果になるわけであります。厚生年金も、もともとは積立方式で出発したと思うんですけれども、これが破綻した理由はどこにあるか、お伺いをしたいと思います。
  193. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) 年金財政方式には、大きく分けまして二つあることはもう先生よく御案内のとおりでございまして、一方は賦課方式、一方は完全積立方式ということでございます。  同じ完全積み立てといいましても、程度がございまして、完全に積み立てているという制度というのは、今までにも余りないんではないだろうかというようなことでございまして、厚生年金におきましても、当初はそういうことで完全積み立てに近い状態で確かに財政を立てておりました。ただし、四十八年に物価によるスライド制の導入とか、そういうようなこととか、あるいは給付水準が当時よりも随分高度成長時代におきましては引き上げられたというようなこと、それに合ったような保険料率を、正直言いまして、そういう給付率のアップほどは保険料率をとっていなかったというような、いろいろな要素が確かにあったのだろうと思うんです。そういうようなこともございまして、完全積み立ては確かに当初からも完全にはやっていませんし、今は完全積み立てたとは申し上げられませんけれども厚生年金に関しましては今でも一応積立方式は堅持されておりまして、先生よく御案内のとおり、段階的に保険料を引き上げるという方法で厚生年金財政を維持しているというのが現状でございます。
  194. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この間質問したときに、完全積立方式をした場合に必要な保険料率というのは、例えば厚生年金の場合をとってみますと、将来予想される二八・九%ですか、それと現在は一二%ぐらいですか、それの中間ぐらい、あるいはそれをやや上回る程度という御答弁を聞いたわけです。としますと、大体二〇%ちょっと出たぐらい。だから、二〇%ちょっと出たぐらいの負担をすれば大体積み立てで行われるわけですけれども、将来はそれが二八・九%になる。現在はそれよりはるかに少ない保険料率である。  つまり、現在の世代の人は、自分がもらう保険に対して非常に少ない保険料しか掛けていない。そのかわりに昭和九十年から百年ぐらいの人は、自分がもらう以上の保険料を掛けなくてはならない。これは世代間の一つの先送りだと思うんですね。私は、こういうことが許されるべきかどうか、疑問に思うわけです。この点についてはどう考えられますか。
  195. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) 非常に難しい御質問でございますけれども、民間が行っております個人年金と申しますのは、先生よく御案内のように、年齢別とか、あるいは性別によって保険料が変わっているということでございまして、年をとっている方々が個人年金に入られると保険料が物すごく高い、若い方が入ると保険料が非常に安いというような仕組みになっているわけでございます。  年金になりますと、どこの制度でも同じでございますけれども年齢によって保険料に差をつけるというようなことは今までほとんどやっていない。いわゆる年をとっておられる方あるいは若い方々あるいは将来入る方々についても、保険集団としては同じ保険料を取っている。女性は若干経過的に今差がついておりますけれども国民年金は全く一緒でございます。そういうように集団として、いわゆる若い人たちが年寄りを、高齢者を扶養する。そして数十年にわたってその年金額の実質価値を維持するということが、一つの公的年金の使命だと思うわけであります。  そういう意味で、将来のスライド、物価がどのように上がろうともそれに合ったようなスライドを行っていくということを考えますと、ある程度先生がおっしゃった点はやむを得ないんじゃないだろうか。あるいは現在若い人がまた年金をもらうころになったときに、今の高齢者と同じような事態が来ないとも限らないわけでございまして、やはり世代間の順送りの扶養だということで、ひとつ御理解願いたいというふうに思っております。
  196. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 順送りなら私はいいと思うんですよ。ところが、その世代によってやっぱり人口構成も変わってくるし、それから高齢化が進む時代と、ある程度とまる時代とがあるわけです。世代間の少しのでこぼこは世代の順送りでならすというのは構わないと思いますけれども、そうじゃなくて、現在厚生年金を初め年金制度給付が充実されてきたとか、あるいは物価スライド制が導入されたことによって、現在掛けておる掛金をオーバーする給付を受けるように、そういう制度を決めておるわけです。  だから、将来の人は、同じ給付を受ける場合でも、現在の三倍もの掛金を掛けなくてはならない。これは将来払う人がこの制度を決めておるわけじゃないわけで、我々が決めておるわけです。我々がそういう制度を決めるというのは、我々の次の世代に対して非常に無責任ではないかという気がするわけです。順送りになっていくといいましても、先ほども指摘しましたように、昭和百年ぐらいの掛金が現在の三倍ぐらいになって、それで国民負担も大体五〇%に近くなる。順送りでどんどんどんどん将来へツケを送っていくなんていうことは、できない相談だと思うんですね。この点はいかがですか。
  197. 坪野剛司

    説明員坪野剛司君) 先生の御質問に直接お答えになるかどうかちょっとわかりませんけれども厚生年金財政といいますか、収支の見通し、もっとわかりやすく言いますと、保険料をどういうふうに決めているかということを簡単に御説明したいと思うんですけれども、今度の財政計算におきまして保険料をどういう形で決めたかということを申し上げますと、まず世代間の負担先生がおっしゃっておられるように、世代間の負担の大きさに著しい格差を生じないようにしなきゃいかぬのじゃないかというのが第一点でございます。  それから第二点でございますけれども、急激に保険料を引き上げるということは避けなければならないんじゃないだろうか。ことしの十月以前の保険料は千分の百六でございましたけれども、これを例えば二百にするというような急激な負担ということはやはり避けなければならないんじゃないか。そういう意味で、ことしの十月から千分の百二十四になっているわけでございますけれども、そういうことも一つの考えなければならない点ではないだろうか。  それから第三点といたしましては、受給者が急激にふえるといいますか、ふえている段階での積立金の取り崩しということはやはり避けておくべきではないだろうかというようなことも一つの要因だというふうに考えております。  それからもう一つは、経済変動が極端に変わった場合、十年前のオイルショックのことを思い出すわけでございますけれども、そういう事態が生じたと仮定してでも給付が支払えるように、一定積立金を保有しておかなければならないんじゃないか。  そういうようないろいろな要素を考えまして、保険料を当初千分の百二十四から成熟度に応じて大体五年に一度千分の十八ずつ引き上げていって、昭和百年ごろに千分の二百八十九というような段階的保険料を設定したわけでございます。  これは一つの仮定でございますけれども、そういうことを考えているわけでございまして、先ほど先生の御質問に直接お答えしていないかもしれませんけれども、そういう意味で、先生の趣旨はできるだけ考え方の中には取り入れているような気はするわけでございます。
  198. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、保険財政が非常に不健全になってきた理由は、やっぱり石油ショックのような経済変動の理由もあると思うんです。あれで物価スライドをさせていくと、どんどん支払いはふえていく。掛金の方はそう急激にふやせない、なだらかにふやしていく、ギャップが出るわけですね。しかし私は、そういうギャップというものはできるだけ早く埋めないと、結局後代にツケを残すことになる。今の御説明を聞いても、なだらかにといっても徐々に上がっていって、あと三十年ぐらいたったら今の三倍ぐらい若い人は負担せぬといかぬ、その割に給付の方は今と変わらない。そういうようなことは大体不公平だと思うんですね。  だから、やっぱり余り後世にツケを送るような制度というのは問題ではないか。言えば、三十年後の人は、自分たちの知らぬ間に決まった制度で保険料は物すごい保険料を強制的に払わなくてはならないというような気がするわけです。余り時間がありませんから、この問題はこれぐらいにしておきます。  次に、農林年金成熟率というものの見通し、これからどういうふうな見通しになるか。この資料に出ておりますけれども昭和九十年において大体国民年金と同じ成熟率です。厚生年金も一%ぐらいしか変わりませんで四二%。農林年金国民年金が四三・三%というふうな見通しが出ておりますけれども、私は果たしてこういう見通しどおりいくのか疑問に思うわけです。といいますのは、やっぱり農業構造がこれからどんどん変化していくだろう、農村人口はまだまだ減っていくだろうと私は思うんです。そうすると、農林漁業団体の被保険者の数もやっぱり減っていくだろう。国民年金とか一般の年金成熟率の進歩よりもっと速いテンポで成熟度が進んでいくのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  199. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金は、各種の年金制度の中では成熟度という点から見ますと中位の状態にございますけれども、これからかなり急速に成熟度が高まってまいると思います。  国全体の就業構造の変化ということを考えると、農林年金現役組合員というものもむしろかなり減っていって、その部分が成熟度をさらに一層押し上げる要素にならないかというお尋ねかと思います。この点は非常にいろいろな見方ができると思いますけれども、また確たることは非常に申し上げにくいわけでございますけれども、確かに一面におきましては、当然のことながら、国民総生産の伸びに比べまして農林水産業の生産額の伸びが相対的に低いということから、農協等におきまして職員の数がその傾向を反映して減るんではないかということは確かに一面では考えられるわけでございますが、他方におきまして、やはり農産物の流通加工といったような分野が非常に伸びてまいってきているということもございますし、農協のやっております事業というものも信用事業あるいはまた共済事業といったようなものもございまして、近年におきましても信用とか共済あるいはまた、営農指導といったような分野はむしろ人数がふえているというような傾向もございます。  そういったことを考えますと、事業の内容なり形態等についての変化というのは長期的に見て十分予想されるわけでございますけれども、農協の組織の存続そのものについて懸念が持たれるというようなことはないんではないか。農林年金制度の維持につきましても、組合員数の伸びというのはもちろん今後なかなか望みにくいということは私ども考えておりますが、そうしてまた、そのような実情を踏まえて将来推計もやっておりますけれども、これが成熟率推計に非常に大きな影響を及ぼすというようなことではないんではないかというふうに今考えているわけでございます。
  200. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最後に厚生省にお伺いしますが、衆議院の大蔵委員会で附帯決議がつけられております。これは今の共済年金改正によりますと、現在四十歳の者が非常に将来給付が落ち込んで不利になる、したがってこれの見直しを次の時点までに、つまり次の財政計算期までに調整するように努めることという附帯決議がついております。これは衆議院の段階で与野党の折衝の結果、年金計算経過措置のうち、施行時に四十歳を中心に年金水準が非常に不利になる、これを何とか是正する。これは共済年金法の是正じゃだめなので厚生年金のもとの法を改めないといかぬわけですけれども、これについて厚生省の方も再検討してもらえるかどうか、お伺いしたいと思います。
  201. 谷口正作

    説明員(谷口正作君) お答え申し上げます。  先生からただいまお話ございましたように、厚生年金につきましては、これは実は今回の改正に伴いますところの経過措置の関係で生ずることでございますけれども厚生年金につきましては受給年齢に近い方々、比較的高齢方々年金への期待を多く持っておられるということで、それを考慮しながら経過措置を設けまして、徐々に給付水準適正化を図ることとしているわけでございます。  一方、基礎年金につきましては明年の四月から発足するわけですけれども、施行日の年齢が若い奥さんたちほど、施行日後の国民年金と申しますか、基礎年金への加入期間、と申しますと第三号被保険者期間が長くなりまして、したがって、こうした若い奥様方ほど基礎年金年金水準が高くなっていくということになっております。  この結果、これらの措置の組み合わせによりまして、お話ありましたような、あるいは附帯決議で触れられましたような事態が生ずるわけでございますけれども、私どもといたしましては、これらの措置は、今回の年金制度改革の大きな柱でございました給付水準適正化あるいは奥様たち年金保障の確立ということの二つの目的のために講じた措置でございまして、その点ぜひ御理解をいただきたいと思っております。  この点についてさらに検討をするということにつきましては、なかなかいろいろ難しい問題、先ほど申し上げましたように、給付水準適正化あるいは妻の年金保障という点から来た措置でございますので、なかなか難しい問題をはらんでいるというように考えております。
  202. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これはさしあたってすぐ具体化するという問題ではありません、四十歳の人ですからあと二十年ぐらいあるわけですから。だから、次の財政計算期にやっぱりこの不合理を是正するような何らかの措置考えていただかないといけないのじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  203. 谷口正作

    説明員(谷口正作君) 四十歳を中心として給付水準が低くなるという点について解決策についての重ねてのお尋ねでございますけれども、私ども考えは、先ほど申し上げましたように、今回の改正に伴います給付水準適正化あるいは妻の年金権の保障ということで、附帯決議を受けまして、私どもももちろんいろいろ検討させていただきたいと思っておりますけれども先ほど申し上げましたように、なかなか難しい、困難な問題を含んでいるというように考えております。
  204. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  205. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、今度のこの法案に、先日来質疑が交わされておるわけですが、聞けば聞くほど複雑怪奇といいますか、矛盾といいますか、疑問を感ずる点が多々ございます。  ところで、時間が限られておりますので、まず最初に、支給開始年齢の引き上げと農林漁業団体職員定年についてという観点からお尋ねしますが、今回の改正で退職共済年金の支給開始年齢を六十五歳としておる。この六十五歳と現行制度における支給開始年齢との間の給付については、つなぎ年金という形で退職共済年金が特別支給される仕組みになっておりますが、この経過措置が、年金制度一元化の完了目標との関連で、昭和七十年までに六十歳に引き上げるよう短縮することとしておられますね。五十四年改正経過措置が働いているこの段階に経過措置そのものを短縮するということは、公的年金制度の信頼性を失わせることになるのではないか、こう思われてなりません。政府はどのようにそのことについて考え改正を行うことにしたのであられるかどうか、まずその点を伺いたい。
  206. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 御指摘のとおり、現在の五十六歳の支給開始年齢、これも経過措置の途中であるわけでございますが、これを六十歳まで引き上げるテンポを若干速めたわけでございます。このことにつきましては、いろいろ議論もございましたけれども高齢化社会の到来が非常にテンポが速くなってまいってきておるということとあわせまして、昭和七十年を目途にいろいろな制度整合化を図って、    〔委員長退席、理事星長治君着席〕 年金一元化を七十年を目標にして進めていく、七十年にいろいろな検討の一つの目標を置くいうことにいたしまして、それと合わせて、七十年に六十歳まで引き上げるということにいたしたわけでございます。このことにつきましても、関係者方々にいろいろ御理解をいただくべく、これまでもお話を申し上げてきましたし、今後も御理解をいただくべく努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  207. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、公的年金制度長期的安定性という観点から見た場合に、退職共済年金の支給開始年齢が、前回の改正以後五年程度しかたっていないにもかかわらず、五年もさらに引き上げるということは、定年制度の動向に比べていかにもピッチが速過ぎる、こう思われるんですが、その点いかがでしょうか。
  208. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林漁業団体の定年年齢につきましては、男子で見ますと、これは全国中央会が五十七年の八月に調査したものでございますが、全国連が五十八・一歳、都道府県連が五十七・四歳、単位団体五十七・八歳ということで、単純平均で五十七・八歳ということでございます。現在の支給開始年齢でございます五十六歳を基準として見ますと、五十六歳以上の定年年齢を定めております組合が、五十六年度六三・三%でございましたが、五十八年度七一・七%というふうになっておりまして、漸次定年年齢は延長をされてまいってきております。  もちろん私どもも、七十年に向けて六十歳まで定年年齢を引き上げて、支給開始年齢定年のすき間をつくらないようにするということにつきましては、これは決して容易なことではないというふうに思っております。特に農林漁業団体は、さまざまな団体が入っておりますし、経営基盤の小さい団体もございます。したがいまして、私どもも相当これは関係団体に対する指導を強化し、また中央団体でもそういう努力をやっていただくことが必要だと思っておりますけれども、現在までの定年年齢の延長の動きをさらに一層前進させるように、これからも努力をしていかなければいけないというふうに思っております。
  209. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、十五年間に農協職員等の定年年齢が現実の問題としてどの程度引き上げられてきたかを明らかにしてもらいたいわけですが、さらにそれを含めて、まさかと思うんですが、今後退職共済年金の支払い開始年齢を六十五歳以上に引き上げていくようなことは万々ないであろうと思われるのですが、この点しかし気になりますのでお尋ねしたい。そして、経過措置期間をさらに短縮するようなことは考えないかどうかということも含めて、今の問いに答えてもらいたい。
  210. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 十五年間にわたります農林漁業団体の定年の動向の数字のお求め、突然のお尋ねでございますので、今ちょっと手元に資料を持っておりませんので、できるだけ調べてまだ御報告をいたしたいと思います。  それから、農林年金のつなぎ年金ということで今五十六歳の支給開始年齢でございますが、それを七十年にかけて六十歳に持っていく、それをさらに六十五歳まで持っていく、言いかえればつなぎ年金をなくす考えはないか、まさかないだろうなと、こういうお尋ねでございますが、少なくとも私ども、現在このつなぎ年金というものを限時的にいつまででやめるというようなことは考えておりません。    〔理事星長治君退席、委員長着席〕  それからまた、先ほど申し上げました昭和七十年までにというのをさらに短縮をするということにつきましても、先ほど申し上げましたように、七十年を目標にした年金制度一元化の推進ということに平仄を合わせております。こういった枠組みとの関連で決まっておることでございますので、これがさらに前へ繰り上がってくるというようなこともないものと考えております。
  211. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 と申しますのは、情勢の変化によって向上の形での改善ならばともかく、それが後退の形でその時期時期の情勢によって改悪されるということになるとこれは重大な問題でありますので、重ねてそういうことのないように、プラスはあってもマイナスはないように強く念を押しておきます。  次は、農林年金財政問題について二、三お尋ねいたしたいと思います。  農林年金制度財政状況を見ると、この改正案のように大幅な給付水準の引き下げを行わなければ本当に年金財政が破綻するのであるかどうか。それほど不健全な財政であるかどうかということについて疑問を持つものであります。なぜかと申しますと、五十八年度末で見ると、農林年金成熟率は一六・二%で厚生年金の一〇・四%を上回っておる。今度は収支比率、積立倍率はそれぞれ五六・八%、七・八と、ほぼ厚生年金水準と似ておる、まだまだ今回のような大改革の必要はないのではないかと、こう思われてならないんですが、その点いかがですか。
  212. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金成熟率厚生年金よりも高くなっておりまして、財政のいろいろな指標におきましても、厚生年金との比較において成熟率の高さを反映した指標になっておると私ども理解をいたしております。成熟率が高いけれども、収支比率その他が農林年金の方が低いという状況ではないというふうに理解しております。  五十八年の収支比率で申しますと、農林年金の収支比率は九五・九%でございます。すなわち、掛金収入に対しまして給付金の総額が九五・九%でございます。それに対しまして、厚生年金は七九・六%でございまして、掛金収入に対しまして給付金の総額が七九・六%ということでございますので、成熟率を反映しまして収支比率農林年金の方が高い。高いということは、収入に対して給付が多いということでございます。
  213. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今の統計は何年度ですか。
  214. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 五十八年でございます。
  215. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今の点、理解しました。  次に、今までもたびたび論ぜられたが、高齢化社会の二十一世紀に向けての見通しからして組合員増加が予想以上に低いということが十分考えられるわけですが、そこで一つは、農林年金財政の現状に対する政府の認識と今後の圧迫要因は何なのか、この問題。これが第一点。  次に、現行制度においてスライド部分を社会保障部分として全額国庫負担とした場合に、年金財政はどのように変わっていくのであるか。その試算を示してもらいたい。  第三点は、ことしは農林年金財政計算期でありますね。この現行制度のもとでの財政計算結果はどのようになっているのであるか。また、仮に改正案に基づく結果を試算していけば、その結果はどうなっておるのであるか。その中で、共済年金のスライド部分や、つなぎ年金等の独自給付部分と基礎年金への拠出金部分の影響はそれぞれどうなるのであるか。  こういったことを疑問として持っておるわけでありますが、その点いかがですか。
  216. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今後の財政見通しなり財政の特に圧迫要因についてどう認識をしておるかというお尋ねでございますが、今後成熟率が非常に高まる、そしてまた、農林年金組合員の数と申しますのは、今後多くの増加は見込めないというふうに私どもは見ております。そういう慎重な判断でやはりやってまいる必要があると思っておりますし、年金受給者方々平均余命が延びますので、受給者の数はかなりふえる。そして組合員期間もだんだん長くなってまいりますので、給付費の単価もふえるということになりますと、給付費総額がふえてまいるということになるわけでございまして、そのことがやはり年金財政が今後非常に厳しくなる大きな要因であるというふうに考えております。  それから、既裁定年金額の保障を行いました場合に、スライド停止をする、その部分を国庫負担したらどうなるか、こういうお尋ねでございますが、国庫負担によってスライドをこの部分についてやるということにつきましては、今回の制度改正によりまして、すべての公的年金制度共通基礎年金への拠出金の三分の一を助成するという制度に統一をいたしたわけでございまして、農林年金だけ独自の国庫補助を行うということは非常に難しいというふうに私ども考えておるわけでございます。  それから、財政計算につきましては、ことしが五年に一度の財政計算の時期に当たっております。実はこの再計算のもとになります基礎数値につきまして、今、年金理事長の諮問機関でございます年金財政研究会でいろいろ検討を学識経験者の方々にしていただいておりまして、この結果が出るのが明年の一月か二月というふうに承知をいたしております。この検討の中では、現行制度前提にした場合と、それから今回御提案を申し上げております制度改正の場合とも加味をしまして、いろいろな検討をしていただいておりますけれども、今回の改正の個別的な要素の影響につきましては、現時点ではまだ数字的にちょっとお答えがしにくい状態でございますことを御理解をいただきたいと思います。  なお、当面の間はいろいろな経過措置がございますので、現行給付水準改正後の給付水準にもそれほど大きな変化はない、また、さしあたり国庫補助の金額につきましてもそれほど大きな変化がないということでございますので、今後の五年間というようなことを見ますと、今回の制度改正財政に非常に大幅な影響を与えるというようなことはないのではないかというふうに見ておるところでございます。
  217. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 転ばぬさきのつえともありますが、特に既得権という立場から、いつも私が言います、前進はあっても後退はあってはいけない、許さない、こういう見地に立ちまして今後の推移について大事をとってもらいたい。  それじゃ、時間も迫りましたので最後にいたしたいと思います。  先日、私、取っておきという形で沖縄の問題を尋ねましたが、きょうはこれからビッグニュースという、こういうタイトルで特に農水大臣に報告をして、さらに強い要望をいたしたい、こういうことでございますのでお聞き願いたい。  それは何かと言いますと、沖縄の農業振興についてであります。前置きになりますが、我が国の唯一の亜熱帯地域であるということは申し上げるまでもありません。豊富な太陽エネルギー。ところが、沖縄県の農業阻害要因としてまた問題になるのは自然の災害、台風、干ばつの常襲、それから特殊病害虫、ミカンコミバエ、ウリミバエ、それから災害でなく天災でなく政治災害として農業基盤整備の立ちおくれということが阻害要因になるわけですが、その面からひとつ強くこの点で申し上げたいことは、基盤整備がまだ全国水準の三六%に対して沖縄は一八・五%、半分という状況。  そこで、次にビッグニュースの内容でありますが、悪条件を克服して、改善して農業の振興を図っていく必要があるという観点から、今から約八年前、昭和五十二年の十月から八年余にわたって今日まで沖縄におけるミカンコミバエの根絶防除事業をずっと展開してまいった、それが金額にして約二十五億八千万円の経費を要しております。延べ十一万人が作業に携わっております。それが去る十二月十日に、いわゆる根絶宣言といいますか、ミカンコミバエがもう根絶したという宣言がなされております。  このことは、私は沖縄にとってまさにビッグニュースである。農水大臣にも万歳をしていただきたいぐらいなんですが、そこで、この事実を私はこのようにとらえるのです。困難と不可能とは違うということをいつも私は強調いたしますが、やる意思さえあれば、知恵と労力と技術、金さえ施せば沖縄は年がら年じゅう何でもできるという、こういう特性を持っておりますね。そのことを立証しておる一例が、このミカンコミバエの根絶宣言であるわけでありますので、どうかひとつこの事実を大事にしていきたいと思いますので、それを農水大臣も大事に受けとめていただいて、ますますハッスルをして、この沖縄農業開発のために、あるいは改善のために一肌も二肌も脱いでいただきたい。  それに、近くまた大ビッグニュースが生まれるのじゃないかと思いますのは、ウリ、ミバエ等の根絶は、我が国だけでなく世界的にも大きく影響するという考え方に立って、ウリミバエ根絶防除事業にひたすらに取り組んでおるウリミバエ対策事業所、農業試験場内にこれが見事に施設されておりますが、この前、農水委員で調査に行きまして、……
  218. 成相善十

    委員長成相善十君) 喜屋武君にお願いします。  きょうはちょっと特殊な事情もございますので、簡潔にお願いします。
  219. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その施設が日本ではもちろん、アジアにも世界にもこの施設はないということを言っておりましたが、そのことを私は申し上げて、大臣のひとつ決意をお願いします。  終わります。
  220. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 喜屋武先生お答えします。  先生のいつも沖縄に対する深い愛情に、心から敬意を表している次第でございます。  先ほどのミカンコミバエ等大変なすばらしいことでございますが、我が省といたしましても沖縄の特性を生かした農業の振興に最善を尽くしております。今後ともますます努力いたしたい、こう思っております。よろしくお願いします。
  221. 成相善十

    委員長成相善十君) 本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。     —————————————
  222. 成相善十

    委員長成相善十君) この際、連合審査に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について内閣委員会に対し、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について地方行政委員会に対し、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案について文教委員会に対し、それぞれ連合審査会の開会を申し入れることとし、あわせて本委員会において審査中の農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について内閣委員会、地方行政委員会及び文教委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたならば、これを受諾することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 成相善十

    委員長成相善十君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 成相善十

    委員長成相善十君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時九分散会      —————・—————