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1985-12-13 第103回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十三日(金曜日)    午前十一時十分開会     —————————————    委員異動  十二月十三日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     水谷  力君      久保田真苗君     矢田部 理君      内藤  功君     近藤 忠孝君      柳澤 錬造君     井上  計君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 大島 友治君                 曽根田郁夫君                 野田  哲君                 原田  立君     委 員                 岡田  広君                 川原新次郎君                 源田  実君                 沢田 一精君                 志村 哲良君                 堀江 正夫君                 水谷  力君                 森山 眞弓君                 穐山  篤君                 小野  明君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 近藤 忠孝君                 内藤  功君                 井上  計君                 柳澤 錬造君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  松永  光君        厚 生 大 臣  増岡 博之君        農林水産大臣   佐藤 守良君        運 輸 大 臣  山下 徳夫君        自 治 大 臣  古屋  亨君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   的場 順三君        内閣審議官    平井  清君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        管理局長     網谷 重男君        人事院事務総局        任用局長     仙田 明雄君        人事院事務総局        給与局長     鹿兒島重治君        人事院事務総局        職員局長     叶野 七郎君        総務庁長官官房        長        藤江 弘一君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        防衛庁長官官房        長        宍倉 宗夫君        防衛庁人事局長  友藤 一隆君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛施設庁建設        部長       大原 舜世君        大蔵政務次官   江島  淳君        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   門田  實君        大蔵省主計局次        長        保田  博君        大蔵省理財局次        長        足立 和基君        文部大臣官房総        務審議官     五十嵐耕一君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   山内 豊徳君        社会保険庁年金        保険部長        兼内閣審議官   長尾 立子君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    中島 眞二君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        厚生省年金局企        画課長      鏑木 伸一君        厚生省年金局数        理課長      坪野 剛司君        会計検査院事務        総局第四局上席        調査官      小川 光吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律及び国際科学  技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会衆  議院送付)     —————————————
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、久保田真苗君及び桧垣徳太郎君が委員を辞任され、その補欠として矢田部理君及び水谷力君が選任されました。     —————————————
  3. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 野田哲

    野田哲君 まず、本年度人事院勧告取り扱いについて政府部内で非常に長い期間が経過したわけでありますけれども、その決定に至るまでには総務庁長官も、私もそばから見ておりますと、非常に努力をされ、公務員関係労働組合諸君とも何回も会われて、公務員組合の意向などについても十分検討されて、結果として、ここ二、三年来とられたような凍結とか、あるいは率を切り下げて別の俸給表をつくる、こういう措置をとられないで、五・七四%の勧告を実施されることになった、そのことについての総務庁長官の御努力については私ども評価をするにやぶさかではないわけであります。せっかく努力をされたわけでありますけれども、残念ながら結果としては完全実施に至っていない、この点は私どもも非常に残念に思うわけであります。  そこで、昨年の経過、そしてことしの経過等を振り返ってみると、昭和六十一年度については、完全実施ということについて政府としても考えておられることだろうと思うわけでありますけれども、その点についての総務庁長官考え方をまずお聞かせいただきたいと思うんです。
  5. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 申し上げるまでもなく、人事院勧告というのは憲法上の評価の与えられている制度であり、しばしば政府公務員給与改革に当たっては人事院勧告完全実施する、こういう基本方針で、そして国政全般との絡みの中で適切な改善を図っていくと、こういう基本方針を持っておるわけでございますが、残念ながら厳しい客観情勢のもとでございましたので従来のような抑制措置をとらざるを得なかったわけでございます。昨年の給与改善の際に、御承知官房長官の談話を出しまして、職員皆さんにある程度の安心感を与える必要があるということで、いわゆる積み残しの問題については五十九、六十、六十一、三カ年間で少なくとも積み残しの解消を図ると、こういう政府見解を表明いたしております。そういうお約束がございますので、御質問の点につきましては、政府としては六十一年度人事院勧告の際には完全実施という方針でやっていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  6. 野田哲

    野田哲君 これは公務員諸君の期待を裏切らないように、そしてまたILOなど国際機関の場でも議論になっておりますので国際的に恥をさらさないように、ぜひ今長官の御発言のような形で処理されることを心から期待しております。  次に、防衛庁長官にお伺いいたしたいと思うんですが、旅先で防衛庁職員給与取り扱いについてかなりゆゆしい問題を発言されているようであります。これは来年度予算にかかわることでありますけれども、今度の給与の引き上げに伴ってこれが昭和六十一年度予算にはね返ってくる、その八百億円については既に概算要求を出している金額とは別扱いで取り扱ってもらう、こういう意味発言をされているようでありますけれども、改めて具体的にこの発言趣旨についてお聞かせをいただきたいと思います。
  7. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 御指摘の私の発言は、去る十二月五日、私が佐世保海上自衛隊総監部を視察いたしましたときに記者会見した内容でございます。  今回のベースアップが実施されますと、そのはね返りとして防衛庁としては約八百億円の人件費アップになるわけでございまして、これはことしの夏概算要求段階では含まれていなかった部分でありますので、それは別枠として要求することといたしたい。ただその後、円高効果、特に調達品に対する効果もあるでしょうし、油の値段も下がっている傾向にございますので、そういった部分も考慮しなければならないし、それから国の財政事情等から考えると、八百億丸々全部別枠でいただけるほど私たちも甘く考えてはおりませんというような趣旨佐世保で言ったのでございまして、現在でもそのように考えております。
  8. 野田哲

    野田哲君 そうすると、八百億丸々とは考えていないという説明もつけ加えられたわけでありますけれども、八百億そのまま別枠でということになると、防衛庁の六十一年度概算要求は三兆三千五百六十八億だったと思うんで、そうすると、八百億は別枠だということになると、多少そこに丸々いかなかった場合が結果としてあったとしても、さらに八百億ということになると三兆四千三百六十八億、こういうことでいきたいということなんですか。これは数字のことですから政府委員の方で答えてもらってもいいんです。
  9. 池田久克

    政府委員池田久克君) 先ほど大臣から御説明申し上げましたとおり、八百億というベースアップを六十一年度措置しなきゃいかぬということは事実でございます。しかし、来年度防衛費がどういう格好でおさまるか、これを考えていく過程で、大臣から詳しく御説明ございましたけれども円高の問題がどういうふうに数字が動いていくか、油なんかもかなり値下がりを見込まれますので、そういうものを配慮してどういう数字になるか、これはちょっとまだ具体的な数字がつかめない状況なのでございます。したがいまして、先生指摘のように、八百億が丸々上に乗った数字になるというふうには我々まだ申し上げられない状況でございます。いずれにしましても、むしろ丸々乗らないという感じの方が近いのではないか。現在詳しい精査をいたしておる状況でございます。
  10. 野田哲

    野田哲君 結果的に油の値下がり等コストダウン幾つかあったとして、それはまた別として、方程式としては、私が言った今出している三兆三千五百六十八億に人件費分はね返り八百億、不確定要素があってこれが金額的には移動する場合があるとしても、方程式としては今出している概算要求ベースアップ分はね返り別枠で積むんだと、こういうことなんですか。そうだとすれば、不確定要素は今後あるとしても、三兆三千五百六十八億にプラス八百億、三兆四千三百六十八億と、こういうことになるんですか。値下がり等による不確定要素は別にして、今出されている数字としてはそうなるわけですかということをもう一遍お聞きしたいんです。
  11. 池田久克

    政府委員池田久克君) 我々は、来年度概算要求で七%を要求いたしておりますが、それは例えば装備品を購入するときにどれどれの物をどれだけ確保したい、また歳出化等でこういう経費が確保されるという物量が伴った要求をしております。また油につきましても、いろいろ飛行時間だとか船の航海時間とか、そういうことを計算いたしまして所要の量を確保したいと、こういう要求をしております。円高とか油の値段というものがそういうものにかかってまいりますから、必然的にそういうものは当初予想したよりも少ない金額要求の姿が貫けると、こういうことを申し上げておるわけであります。  そういうことを現在精査しておるわけでありますけれども、これに八百億が加わると、こういうことでございまして、まだその具体的な数字がどうなるかという点については定かには申し上げられない状況にあるわけであります。
  12. 野田哲

    野田哲君 だから、端的にあなた答えにくいんだったら、政治的な要素が加わるので経理局長が答えにくいんだったら、防衛庁長官佐世保の方でしゃべっているんですから答えてください。要するに、長官が述べられた趣旨というのは、今出している概算要求三兆三千五百六十八億とは別に人件費はね返り分上積みをしてもらいたいと、こういう意味でしょう、わかりやすく言えば。
  13. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 現在の要求は三兆三千五百六十八億になりますけれども、これに上乗せすることで人件費八百億で要求したい。しかし、その二つ足した金額丸々認めてもらえるほど現在情勢は甘くないと思うというふうに今でも思っております。
  14. 野田哲

    野田哲君 ですから、この長官の方で要求する金額は、何回も繰り返しているように三兆四千三百六十八億ということになるわけですね。  そこで問題は、六十年度GNP試算値が三百二十一兆四千億、そしてこれに中期経済計画「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、ここに示されている成長率六%ないし七%、この成長率のちょうど中間値をとって六・五%、こうした場合には三百二十一兆四千億掛ける成長率六・五、そうなりますと三百四十二兆三千億、こういうことになると思うわけです。そうすると、この一%というのは一兆四千二百三十億、こういう数字が出てくると思うのです。私の今述べた数字が間違いなければ、長官希望どおり要求が認められたとすると、これはGNPに対する防衛費比率というのは一・〇〇四%になるわけです。数字の上では間違いないと思うんですが、計算方式はいかがでしょうか。
  15. 池田久克

    政府委員池田久克君) 今先生の御指摘GNP見通しに立ちまして、そして我々が現在要求しております七%の要求に八百億を足せば先生のおっしゃるようになると思います。
  16. 野田哲

    野田哲君 ですから問題は、最終的に長官自身も述べておられるように、要求どおり認められるかどうかはともかくとして、長官自身発想といいますか、八百億は別枠だよという、この発想はとりもなおさず人件費口実にして踏み越えてはいけない一%を既に踏み越える要求をしようと、こういうことになっているんですよ。その点、長官としてはどうお考えになっているわけですか。
  17. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 人件費の問題がほかの省庁に比べて防衛庁予算の場合には比較的大きな要素を占めております。四五、六%を常に占めておるものですから、そこで五%台のベースアップがありますと、それは大変大きな変動要因になっておるということは御理解いただきたいと思っております。  したがって、私たちは常に概算要求のときの数字とその後のベースアップ政府決定というものに関心を持たざるを得ませんので、ほかの省庁にない別枠要求するかしないかというような発言になってしまいます。しかし、いずれにいたしましても、私たち明年度GNP見通しが今月末どういうふうに政府において決定されるのかまだ不確定であると思っております。それから私たち概算要求が六十一年度当初予算決定に際しどの程度大蔵省で認められるかも不確定であります。分母分子ともに不確定なわけでありますが、いずれにいたしましても、このGNP一%との関係について言いますならば、十一月二日に参議院予算委員会において総理大臣が述べておりますように、昭和六十一年度予算に係る編成においても一%枠を守ってまいりたい、こう考えております。
  18. 野田哲

    野田哲君 問題は、この一%を守るということについて防衛庁としてよく考えてもらわなきゃならないと思うのは、人件費というのは、人事院勧告制度というのがいつも八月ごろに勧告が行われるわけでありますから、年度の後半に具体化してくるわけであります。しかし、春の段階経済見通しとかあるいは労働界情勢などを見れば、およそどのぐらいの人件費の伸びがあるかということは想定できるわけでありますから、防衛庁姿勢としては、少なくともそのぐらいのすき間をちゃんとつくった当初予算ということにしておかなければ、結局人件費口実にして超えてしまう。こういうことになるんじゃないでしょうか。今の長官のような発想に立つと、この中期防衛力整備計画、これはまた機会を改めて報告を受け議論いたしますが、十八兆四千億の計画をつくっておられ、そして毎年のペースアップ分年度の途中で上積みをされるんだからこれは別枠だよと、こういう形で上積みをしていけば、五千億ぐらいは十八兆四千億に上積みされてしまう。結果的にはそういうことにはなりませんか。どうでしょうか。
  19. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 中期計画で十八兆四千億という限度を決めていただきましたけれども、これは御承知のように六十年価格で述べているものでありますので、ベースアップがそのときどきの物価上昇率デフレーター等といかなる関係になるかというのはかなり不確定要素になろうかと思っております。  また、委員指摘の前段の部分で、防衛関係費というものを人件費との関係で一%枠突破させようとしているのではないかという御指摘でありましたけれども防衛関係費の中で一番多いのが実は人件費、四五ないし六%でありまして、人件費そのものが実は防衛力の大きな要素になっているということはぜひ御理解いただきたいと思います。
  20. 野田哲

    野田哲君 それは私もよく知っているんです。防衛予算の約半分は糧食費だということは承知しているわけだし、あなたの方で幾ら飛行機や軍艦や戦車を用意したって、これは動かす人が伴うということは私もわかっているわけなんであります、是非は別にして。問題は予算の立て方、心構え、根性の問題だと思うんですよ。本当に一%を守るという心構えがあれば、初めから予測される人件費値上がり分は、人件費の占める比率が高かろうと低かろうと、それは問題ではない。高ければ高いようにちゃんと値上がり分すき間を持って予算を組んでおかなければ、これでは人件費口実にして一%を超えさせてしまう、こういうことになるでしょう。だから初めに一%を守る姿勢があるんならば、こういう八百億は別枠だよということではなくて、これは一%の枠内で既定の予算を節約しておさめるという姿勢に立たなければならないんじゃないですか。私はそのことを指摘しているんです。見解を伺いたいと思います。
  21. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私たちとしては、いずれにいたしましても、十一月二日総理大臣が述べられました昭和六十一年度予算に係る編成においては一%枠を守っていきたいと、こう考えております。
  22. 野田哲

    野田哲君 別の問題で総務庁長官考え方を伺いたいと思います。  国鉄余剰人員対策がいろいろ政府部内でも検討されていると報道されています。けさ閣議決定されたというふうに伺っているんですが、まず、けさ閣議決定された国鉄余剰人員対策について概略御説明いただきたいと思います。
  23. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) お答えの前に基本的な考え方を述べてみたいと思います。  今回の国鉄改革の中で一番肝心な問題は、一つ余剰人員処理の問題、いま一つは過去債務の処理の問題、この二つであろうと思いますが、特にその中でも余剰人員の問題は生きた人間の処遇の問題である、しかも多くの家族を抱えておる、こういうことでございますから、政府としてはこの解決には政府全体が真剣に協力しながら取り組んでいかなければならぬ。その際に、国鉄職員の身になって、温かい親身な配慮のもとに計画を推進する必要がある。この政府基本姿勢のもとに、地方団体についてもあるいはまた民間皆さん方に対してもぜひひとつ温かい御協力を願わなければならぬ。こういう基本考え方のもとに政府部内でいろいろ検討した結果、雇用対策本部の議を経て本日の閣議基本方針を決めたと、こういうことでございます。  そこで、その中身でございますが、公的部門等の各分野における余剰人員の「雇用の場の確保」、希望退職促進を図るための退職時の給付の特例措置、「再就職促進のための措置」など、新経営形態移行前と移行後を通じての雇用対策に関する取り組みの大枠を決めたわけでございます。中でも、国を初めとする公的部門においては、率先垂範して雇用の場の確保の推進に努めることが必要である。各省庁などは昭和六十一年度は特別の資格を必要とする職種を除く採用数の一〇%に相当する数以上、昭和六十二年度以降は一〇%以上の別途定める率に相当する数以上について、国鉄等職員から採用を行うことなどの措置をとること、特殊法人に対しては国と同様の措置をとるよう指導または要請を行うということ、地方公共団体に対し国に準じた措置をとるよう要請すること、こういったことを決定いたしたわけでございます。
  24. 野田哲

    野田哲君 そのことに関連をして人事院に伺いたいと思うわけであります。  公務員職場国鉄職員受け入れるということについて、国鉄職場業務形態公務員職場における業務形態、必ずしも同一ということにはなっていないと思うんだし、それから国鉄職員給与体系公務員給与体系にはかなりの差異があると思うんです。そういう点から、国家公務員としての受け入れ地方公務員としての受け入れに当たっては、いろいろ制度的に環境整備をしなければならない分野があるのではないかというふうに思うわけであります。かつて沖縄復帰のときに、沖縄政府職員国家公務員地方公務員職場によって区分してそれぞれ受け入れ態勢をつくったときに、私もいろいろそのことにかかわって人事院も相当汗をかかれたことも承知しているわけですが、これとケースは違うけれども、相当の量のものを受け入れるということになれば、いろいろ国鉄職場形態について、どういうふうに前歴を見るのか、あるいは現在の地位を国家公務員に当てはめたときにはどういうふうに見るのか、いろいろ条件整備があるんじゃないかと思うんですけれども、そういう点については人事院としてはどういうふうに考えておられますか、
  25. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) 受け入れた場合の処遇の問題についてお答えいたしたいと思います。  国家公務員として新たに採用されましてその給与をどのように格付けるかということにつきましては、原則としましては、現行の人事院規則の九−八、これによって処遇するということになりますが、その場合基本となりますのは、御承知のように、新しくつく職務の内容、それによって給与が決まるという形になるわけでございます。ただ、今回の場合のように特例的な場合、従来も幾つケースがございまして、特殊法人から受け入れた場合あるいはその他民間から受け入れた場合もございます。そのような場合には学歴の評価の仕方あるいは過去の経歴の評価の仕方、御承知の細かい話になりますが、いわゆる初号制限取り扱い等につきまして若干の特例を設けたこともございます。したがいまして、今回の場合にもそういう前例を十分勘案いたしながら処遇を決めていくということになろうかと思います。その場合、部内の均衡という問題がございますので、その辺、両方の立場から適切な処遇を決めていくということになろうかと思います。
  26. 野田哲

    野田哲君 今のお話は極めて抽象的で、まだ具体的な検討ということには至っていないと思うんですが、これは総務庁長官国鉄の人たち公務員受け入れるということにつきましては、長官も先ほども述べられたわけでありますけれども職員の方々本人の自己都合ではなくて、自分が希望した形ではなくて、言うならば国の政策の変更、使用者責任で中途で転職ということになるわけでありますから、したがって国家公務員あるいは地方公務員として受け入れるに当たってはその処遇についても、ただ機械的に今の人事院規則で当てはめていく、こういうことになった場合にはかなり私はダウンをされる懸念を持っているんです。ですから、人事院規則の運用に当たっても、国鉄職場を、前歴をどう評価するのか、あるいはまた学歴についても、国鉄の教習所で勉強した人のそれをどう評価するのか等々の問題について、条件整備をされて本人たちに余り不安を起こさないような対応策というものが、具体的な受け入れ方について必要になってくるんじゃないかと思うんです。これはぜひそういう措置をとられるべきではないかと思うんです。長官のお考えをこの問題で伺って次の問題に入りたいと思います。
  27. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この問題については私は基本的には、本人に不当な不利益とならないようにするということは当然であろうと思います。しかし同時に、受け入れ側における平等、同等取り扱い、同等の処遇といいますかね、これを考えていただかなければならないと、かように考えているわけでございます。いずれにいたしましても、そういうような考え方のもとに今後、人事院御当局なりそれぞれで具体的な検討を始めていただかなきゃならぬと思いますが、御質問のような環境整備とでもいいますかね、それはおっしゃるように、送り出す職員の学歴あるいは職場教育の評価あるいは実務経験、勤務成績、こういうようなものについては受け入れの職種に応じて適切に配慮していく必要があるであろうと、かように考えているわけでございます。地方団体にも同じような考え方で臨んでいただくようにしなきゃならぬと思いますが、御案内のように、今日の国家公務員法あるいは地方公務員法のもとでそれぞれの規則ができておりますが、その中には能力の実証による選考任用という制度が開かれておりますので、私は基本的には、この制度を適切に運用することによって最初に申しましたような基本考え方処理していくべきものであろうと、かように考えているわけでございます。
  28. 野田哲

    野田哲君 もう一つ、地方自治体に対する受け入れ方について政府の方に要望しておきたいと思うんです。  私の郷里の広島でも、国鉄の広島地方鉄道管理局の規模が国鉄の場合でも広島は大きい方でありますから、鉄道管理局長の方から県当局や広島市当局にかなりの受け入れ方の要請が来ております。同様のことはずっと各県にそれぞれいっているわけです。このことについて行政改革を担当しておる総務庁長官としてもよく考えていただきたいと思うのは、それぞれの自治体は今行革の方針にのっとって地方行革大綱に基づいてそれぞれ県、市町村で地方行革の計画をつくれと、こういうことで自治省からぎりぎり締められているわけです。その中には大きな要素として人員の削減ということが示されているわけです。地方自治体はそういう形で人員の削減に非常に汗をかいているところへ今度は国鉄のを受け入れなさいと、こうなっているわけです。そのことについて自治労の委員長丸山君がそう簡単にいかないんだということを言うと、労働大臣は、世間へ向けて同じ仲間の国鉄職員を自治労の委員長は冷たく扱っている、こういう発言をされたりなんかしていろいろごたごたした経過があるんですが、自治体は自治体なりに行革の努力をしているところへ受け入れ態勢をつくれということですから、これはなかなかそう簡単にいかないんで、そこのところは受け入れがスムーズにいくような環境づくりというものを自治体に対しても指導してもらわなければうまくいかないんじゃないかと、こういうふうに私は思いますので、この点はひとつ念頭に置いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  29. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) もちろん地方団体は言うまでもなくそれぞれ独立の機関でございますから、政府側から強制にわたるといったようなことは、これはあってはならないことだし、またできる筋合いのものじゃありません。ただ、国鉄改革という大変重要な仕事でございますから、しかも生きた人間の処理の問題でございますから、地方団体もできる限り協力していただきたいという政府としては御要請を申し上げる立場でございます。地方団体も今日厳しい定員管理の中にあるということは十分わかっております。しかし、そのことは国の中央各省も同じ立場でございますから、そこらもぜひ地方団体側にも協力方をお願いを申し上げなきゃならぬ、こう考えているわけでございます。  それと同時に、組合皆さん方にも、同じ働く者の立場において、余りつれないことでなしに、これはぜひひとつ協力するようにお互いに組合にもお願いしなきゃならない、かように考えているわけでございます。
  30. 野田哲

    野田哲君 別の問題で、時間が迫ってきましたので、伺っておきたいと思います。  今回の人事院勧告、そして給与法の改正の中で調整手当について大都市の一%の引き上げが行われているわけです。八月の内閣委員会でも私ちょっと指摘したわけですけれども、調整手当の問題につきましては、大都市の九%のところを是正しただけではなかなか根本的な解決にはなっていかない。しかし、さればといって、なかなか今のものを、既成事実をスクラップ・アンド・ビルドという形にしていくのも大変なことだと思うんですが、しかしこの制度ができて今の支給地域の区分が決まった以降の都市構造の変化、地域構造の変化、産業構造の変化によって、どう見てもこれは矛盾が大き過ぎる。地域は言いませんよ。地域を言うとまたいろいろハレーションが起きますから、地域は言いませんが、かなりこれはおかしいなという状況が出ています、あっちこっち、全国に。こういう点については今後人事院としてはどういう措置をとろうと考えておられるのか、この点を飼っておきたいと思うんです。
  31. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) 現在の調整手当が昭和四十二年にできましたときに、それぞれ国会でも附帯決議がございまして、さしあたり現在の地域をそのまま維持するということになっておりましたために、そのまま原則としてその地域が維持されて今日に至っているわけでございますが、何分四十二年と申しますと非常に昔のことでもございます。いまして、お話しのようにその後の社会経済情勢の変化が非常に大きなものでございまして、その結果、各地域ごとにいろいろと矛盾が出ておりますことは我々も十分承知いたしております。  したがいまして、この矛盾につきましては、従来官署指定という方法で若干の補正を行って今日に至っているわけでございますが、いずれは機会を見まして、地域の区分につきましても変更さしていただきたいというぐあいに、率直にそのように考えております。  ただ、これもお話にございましたように、この地域区分の変更ということは、ひとり国家公務員のみならず地方公務員にとりましても大変大きな問題でございます。したがいまして、かなり慎重にかついろいろな方面のことを配慮しながら検討する必要がございますので、いましばらく若干の時間をいただきたい、かように考えております。
  32. 野田哲

    野田哲君 最後にもう一つ、女子の公務員の扱いですね。この前の男女の機会均等法が成立したことを背景にして、いろいろ女子の休暇の取り扱い等について人事院でも作業を進めておられるようですが、状況を私が仄聞するところでは、労働省よりも少し人事院の方が先走ってやっておられるんじゃないか、こういう印象を受けるんですが、いかがですか。
  33. 叶野七郎

    政府委員叶野七郎君) 国公法の立場からは、労働基準法の適用が外されておるということで、従前から民間とは違った取り扱いになっている部分もかなりございます。  それはさておきまして、これからの我々の検討が三月三十一日までの間にやられるわけでございますけれども、それにつきましては、労働基準法の内容の改正、もちろん差別撤廃条約の精神に従ってやるという方向を堅持しなきゃいけませんけれども、労働基準法というものもありますから、そういう点も勘案しながら検討を進めていきたいと、かように考えております。
  34. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは給与法につきまして、今までもこの委員会でいろいろと論議されておりまして、その中で、総務庁長官からも、あるいは人事院総裁の方からも、よくお話がございましたけれども人事院勧告というのは、憲法で保障された労働基本権の制約に対する代償措置として存在しているんだ、したがって完全実施するのが筋だということは、前々からもここで論議をされておるところでございますけれども、いよいよ今回この改正法案が間もなく採決されようとしておるわけでございます。  先ほど同僚委員からもお話ありましたが、人事院勧告が八月に提出されましてから今日まで、総務庁長官としての御苦労がいろいろあったということ、先ほどもお話を聞いているわけでございます。またその反面、公務員皆さん方の生活に関するこういうような法案というものが、国会対策の一つの道具になっているんじゃないかというようなこともいろいろとうわさもされておったわけでございますが、こういうことがあってはならないと、こう思います。そういうことを含めまして、人勧に対する基本的な認識を再度、総務庁長官からお伺いしたいと思います。
  35. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 人事院勧告は、これは政府として最大限尊重して、そして完全実施に向けて努力をすると、これは政府基本的態度でございますが、何と申しましても、今日厳しい財政事情もございますし、また厳しい行政改革を進めておる。したがって、公務員の勤務ぶりに対する国民の物の考え方、これらも考えなきゃなりません。したがって、政府としては国政全般とのにらみ合わせの中でどうしても、政府の責任でございますから、考えざるを得ない、この点はぜひ御理解をしていただきたいと思います。  政争の具云々というお話は、これは国会の中の話でございますから、これは国会の中でそういうことのないようにひとつお願いを申し上げたいと、かように思うわけでございます。
  36. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 きのう提案理由の説明をお聞きしたわけでございますけれども、この中にございますが、「勧告内容を検討した結果、一般職職員給与については、本年七月一日から人事院勧告どおり実施することが適当」ということで御判断されているわけです。先ほど話しましたように、完全実施ということがこれは筋でございまして、人事院勧告は四月から五・七四%実施しろということで来ているわけでございますけれども、今回七月実施となっているんです。これはどういうようなことなんですか。
  37. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今回の措置は、去年の官房長官談話の趣旨を一歩進めるという形で解決したわけでございます。そういったことで遺憾ながら七月実施にならざるを得なかった。  ただ、一歩進めるという意味合いで、従来異例の措置をしておりました率の削減ということは避けて、内容人事院勧告どおりやったんだということは御理解をしていただきたいと思いますが、これでそれでは職員が満足しているのかと言えば、四月から六月の分は抑制しておるわけですから、その点は職員皆さん方に御不満ももちろんあると思います。政府雇用主の立場でございますから、そういう点については職員皆さん方にもぜひひとつ今日置かれておる厳しい客観情勢について十分な御理解もしていただいて、いささかも公務のサービスがそれによって低下するといったようなことのないようにぜひお願いを申し上げたい。政府政府なりの最大限の努力をした結果でございますが、これで決して十分な措置をしたといったようなことは考えておりません。
  38. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今長官のお気持ちはお聞きしましたが、人事院総裁はこの点についてどのようにお考えになりますか。
  39. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 勧告を行います総裁の立場としましては、いつの場合でもこの勧告完全実施されるということが最大の願いであるとともに、また唯一の願いであります。しかしながら、過去におきましても、凍結あるいは抑制ということもやむなく続けられてまいりました。その裏には政府の非常に厳しい財政事情あるいはその他の諸般の政策上の問題があった結果でございまして、我々はこれを不十分であるけれども受け入れざるを得なかった。今回におきましては政府はむしろ、財政事情からいえば極めて厳しい状況であるということでありましたけれども、何としてもこの際人事院勧告を最大限に尊重しなければならない、その方策として人事院勧告した内容は全面的にこれを受け入れる、ただしやむを得ず財政上その他の事情を考慮して七月からの実施にする、ここの点だけは何としてもぎりぎりやむを得なかったことだ、当然来年における完全実施というものを目指して進むことに変わりはないというふうなお話も承りました。私もたびたび閣僚会議あるいは総務庁長官等にいろいろな機会にお願いを申し上げてきましただけに、今回の措置を満足と申すわけにはまいりませんが、在来に比べてかなり大きく進歩して来年への完全実施というものをぜひ実現していただきたい、こういうふうに思っております。
  40. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 来年への完全実施ということで人事院総裁は希望されておりますが、後藤田長官も従来から、いわゆる人勧の積み残しの問題につきましては、完全実施努力してもなおそれが実施できないときでも三カ年で解消したいと、当委員会でもお話をされております。ことしの人勧も結局七月実施ということになっておるわけでございますから、六月の期末あるいは勤勉手当のはね返りが除かれた構想になっていますね。しかし今おっしゃっておりますように、来年は長官の言われる三年目に当たる。ですから、来年は間違いなく完全実施へ向けてというよりも完全実施するんだ、こういうことで確認しておきたいと思いますが、よろしいですか。
  41. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは先ほど野田さんにお答えいたしましたように、六十一年度は当然国政全般とのにらみ合わせをしなきゃなりません。なりませんが、私としては完全実施方針で臨んでいきたい、かように考えておるわけでございます。
  42. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほどから財政上その他の事情ということでいろいろとお話があるわけでございますけれども、財政がどうあろうと、こういうような義務的な経費に関する問題につきましては、この委員会でも前からも論議されておりますけれども、既に予算編成のときから、しっかりとした財源というのを確保しておくという方向で進んでいかなきゃならないのじゃないか。それでなければ完全実施をしたいと言っても、またそのときの、来年になってどのような状況になるかわかりませんけれども、必ずしもことし以上の財政的な余裕というのは考えられませんですから、人事院勧告が出される前の例えば今度の六十一年度予算において、もう当然ベースアップということを予定していかなきゃならないのです。今までいろいろな財政事情によって予算編成のときに絞られてきた。今一%ですか、それよりももっと二倍三倍の予算というものを最初から確保していくということで進まないと、またまた来年になりますと完全実施が同じような理由で認められないというふうなことになりかねないのじゃないかと思うのですが、その点どうでしょう。
  43. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) その点は、今の制度が四月の春闘等の結果民間賃金が決まりまして、それを調査して人事院勧告が大体八月ごろになるわけでございますね。予算編成はその前年の十二月にやるわけでございますから、これはもう極めて不確定要素があるわけでございます。従来の実績を見ましても、五%が二・五%になったり一になったりいろいろしております。これは予算編成の技術上の問題である、こういうふうに考えております。これは技術上の問題でございますから、八月に人事院勧告が出て、そしてそれを関係閣僚で協議しながら大体十月あるいは十二月に政府としてこれに対応する処置を決めるわけですから、その際に金が足りないということであれば、これは補正予算ということになるのでございますから、四月の段階の前年十二月に決める予算は単なる予算編成の技術上の問題である、私はかような理解でございます。
  44. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、俸給表のことについてお尋ねしますけれども、この行政職俸給表第(一)表につきましては、今回八等級制から十一級制に改められるわけでございますけれども、この等級構成がだんだん多段階的になるほど職務給的な色彩が強くなってくると思うのであります。職員皆さん方にとりましては、こういう等級構成が多段階になりますと、上位等級への昇格というものの調子が変わってくるし、なかなか昇級が難しくなってくるんじゃないか、こういう懸念をされている向きもあるわけでございますけれども、今後人事院はこの俸給表をどのように運用されていくのか。またそういった懸念に対してどのようにこたえていく所存でございますか。
  45. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) お話しのように、今回現行の俸給表に比べますと、行政職(一)表の場合八等級を十一級にするということで、現行の二等級の上に新しい等級を、四等級及び五等級の上にそれぞれ新しい等級をという形にいたしておるわけでございますが、その趣旨は、今お話の中にもございましたとおり、現在の職制あるいは職務の内容というものが非常に複雑多岐にわたりましたために、職務級の原則をできるだけ確立しようということで等級区分を編成し直すということにいたしたわけでございます。  これに伴いまして、今昇給スピードのお話がございましたけれども制度的には昇級スピードは、人事院規則に基づきます必要在級年数によってそれぞれ基本的な昇級スピードというものが決まっているわけでございます。例えば一番下位の等級でございます五等級、これが現在四等級に上がりますためには最低四年の在級年数が必要だということに現行ではなっております。その中間に新四等級が加わりますと四年、四年にいたしますと、確かにおっしゃるとおり制度的にはスピードがおくれるということになりますので、これから法律が通りました段階で定めます規則におきましては、現在の四年間という在級年数をそれぞれ二年・二年ということで現行の制度の値自体は変更するということはございません。
  46. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この等級の再編成につきまして今御説明ありましたけれども、同一等級に課長も課長補佐も、場合によっては係長も混在するということがある、ですからそのために分離するんだということを言われておりますけれども、しかし今回のこの等級編成によってもやはり課長補佐と係長が混在するところもありますし、必ずしも等級と職名が一致しないということもあり得ると思うんですが、その点、職務の複雑化と申しますか、今後そういうものをどのように解消する方針ですか。
  47. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) 御指摘のように、今回できる限り職務給の原則に基づきましていわゆる職名と等級というものを整理いたしましたけれども、何分にも国の本省以外の出先機関等非常に組織が複雑でございまして、新しい等級制度を適用いたしましても職名が混在するものも出てまいります。ただ、これは単純に混在しているわけではございませんで、私どもが等級別定数の査定をするわけでございますが、その査定に当たりましては、それぞれの職務の内容の困難度とか複雑度とかいうものを十分拝見した上でこれを整理いたしますので、職務の内容が単純に混在するということは今後もあり得ないというように考えております。
  48. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間もありませんので防衛庁にお聞きします。  防衛庁の俸給体系につきまして今回いろいろと変更がありますけれども、変更する基本的な考え方をどのように考えていますか。
  49. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 私どもの方の自衛官につきまして大幅な給与区分の変更を今回行っておりますけれども、御案内のとおり、自衛官の俸給表は階級を基礎といたしております階級俸をとっておりますが、給与体系そのものは一般職給与体系に準拠いたしておりますために、階級が一般職給与体系の基準となっております等級に対応するという仕組みになっております。  現在の階級と等級との対応関係でございますが、約三十年前の三十二年に現在の基準の大枠が決められまして、若干の手直しはございましたが、基本的な仕組みはそのまま継続してきておるという状況でございます。したがいまして、この間、行政も複雑化、専門化いたしましたし、高度化もしてまいる、それぞれの官職の職責も増す、こういうことで、一般職におきましては、この官職を一段高い等級に格上げされるという事態もございました。私どももこれとの均衡をとってまいるということでございますが、階級俸制をとっておりますために、自衛官にありましては個々の官職を、部隊編成上の観点をも考慮しながら、可能なものについて一段高い階級へ格上げしていく、こういった措置をとったわけでございます。ただ一方では、組織編成上の観点から階級の格上げというものをできないところもございます。したがいまして、この間上位階級が年々少しずつふえるという事態とともに、一方ではその間のアンバランスも出てきておるという状況でございました。  したがいまして、階級の持つ本来的な意義と個個の官職との間にずれが出てまいりましたので、例えば将の中に将(二)が多数存在して、これが指定職ではございませんので、将の相対的な格付といったものが一般職との関係で低下するとか、あるいは中央機関の部長等に準ずるべき幕僚監部の部長等が将補という階級でございまして指定職として扱われないということでございますとか、課長クラスにおきましても一等級というような格付に階級の面からなかなかいかない、こういった状況が生じたわけでございまして、今回一般職におきまして俸給表の体系を全面的に再編成されました機会に、私どももこの自衛官の俸給表におきまして、この趣旨に準じまして俸給表を改定して、本来の階級と官職とのずれが生じませんように自衛官の階級と一般職の職務の等級等との対応関係の均衡をとらしていただいた、こういうことでございます。
  50. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 防衛庁では前々からこの委員会でも答弁されていましたように、五十三年四月に発足しました防衛庁職員給与制度等研究会で検討を加えているということでございましたけれども、その検討の結果というのは今回のこの改正にどのようにそれがあらわされているのか。  また、この防衛庁職員給与制度については、この委員会でも指摘されていましたように複雑でわかりにくいという点で、六十年度公務員制度全体の見直しのときに改善するという答弁もされているわけですけれども、今回のこの改正の概略を見ましても、そういった給与体系の簡素化あるいはわかりやすさというものが一向に改善されてないように思うわけでございます。その点どのように検討され、そしてどのように今回の制度全体の見直しのときにその改善のあれがあらわれているのか、こういうことをお聞きしたいと思います。
  51. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 五十三年四月に発足いたしました御指摘防衛庁職員給与制度等研究会でございますが、これまでに七回審議をやっておりまして、自衛官の階級と職務の等級等との対応関係あるいは年金等の問題についてこれまで御意見を承っております。  今回の自衛官俸給表の改定につきましては、昨年の十月、それから本年九月の二回にわたりまして御審議をいただきまして、おおむね現在御審議をいただいております改定案のそれぞれのプリンシプルにつきまして御理解をいただいたところでございます。ただ、この研究会は従前の調査会と違いまして、御意見を伺うということでございまして、答申等は以前のように出していただくという形にはなっておりません。おおむねその方針にのっとった改定であるというふうに御理解を賜りたいと思います。  それから給与体系が非常に複雑であるという御指摘の点につきましては、私どもも今まで御指摘をいただきまして検討してまいったわけでございますが、御案内のとおり、自衛官の給与と申しますのは、特別職ではございますけれども国家公務員でございますし、一般職国家公務員給与との均衡をとるということも必要でございますし、また他方で自衛官の任務あるいは勤務の特殊性といったものも踏まえなければいけない、こういう二つの要請を踏まえてうまく調和をとっていく給与俸給制度でなくてはいけないということで検討しておったわけでございますけれども、なかなか一般職との均衡をとりながら独自のものにするということが難しゅうございまして、自衛官の任務の特殊性を加味いたしますためには、いろいろ加算、控除していくというような形にどうしてもなりがちでございます。現在のところ、若干複雑という御指摘がございますけれども、従前の方式にかわる適切なものが今回見出せませんで、今回の改正におきましては、まず先ほど申し上げました階級と職務の等級等との均衡を図るということで処置をしてまいったわけでございますが、俸給表の点につきましては、御指摘の点につきまして今後とも勉強なり研究を続けてまいりたいというふうに考えております。
  52. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に長官にお尋ねしますが、長官も衆議院の内閣委員会におきまして、公務員皆さん方の生活状況人事院勧告の抑制によりましていろいろとマイナスをこうむっているということは、いろいろとデータのもとにお話をお聞きになっていらっしゃると思うんです。そのときの答弁の中で長官は、私は実際上、公務員の生活そのものは悪くなっているというふうに考えておりません、こういうふうにお答えになっていますが、しかしこれだけマイナスがありますと決して悪くなっていないというような感じは私はしないわけですね、悪くなっていないということはよくなってもいないということですから。長官はその点をお考えになって、来年度完全実施に向けてということをおっしゃっているんじゃないかと思いますが、最後に、公務員皆さん方、今回の場合でも不満は残っているわけですから、そのことも含めまして、来年は四月からの実施にさらに努力するんだということを御答弁いただけますでしょうか。
  53. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これはもう人事院勧告を最大限尊重して完全実施に向けて最大限の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  54. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  55. 内藤功

    内藤功君 最初に総務庁長官並びに人事院総裁にお伺いしたいと思います。  人事院勧告は労働基本権の代償である、政府はそういう立場をとられてきている。最高裁判所も昭和四十八年四月二十五日の最高裁大法廷での岸、天野両裁判官の補足意見、もう一つ昭和五十一年五月二十一日の団藤裁判官の補足意見、こういうものでこれを理論化してきたわけですね。そして最近は十一月二十日に東京高裁が判決を出しました。この判決は、私はその主文においても理由においてもとても容認できない判決なんですが、ただ、東京高裁の判決がこの天野、岸補足意見、団藤補足意見を高裁の段階でそのまま承認したということは、今度これが最高裁に行きますと、大法廷であれ小法廷であれ今度はこれが多数意見になる、だから今までの追加意見が多数意見になる可能性が出てきた、こういうふうに私は今見ているわけなんです。それは今答弁を求めません。  五・七四%の勧告率をそのまま認めた、しかし七月実施だということになったのは甚だ遺憾であります。考えれば一九八二年の鈴木内閣のときの人勧凍結ということ以来これで四年続きの人事院勧告の不実施、無視ということが続いておる状況は非常に遺憾であって、厳しくこれについて抗議の意思を表明しなければならぬ、私はこういうふうに思うわけであります。    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕 もっとも全国の職員とその家族、それから関係者の努力、世論と運動というものの反映があったのでありましょう。八三年、八四年度のような人事院のつくった俸給表政府の機関の手でつくり変えるという、こういう極めて遺憾な、また人事院にとっては非常に屈辱的という言葉は強いかもしれませんが、そういう状況に至らなかったということだけはこれはよかったと思います。  そこで、御両氏にお伺いしたいのは、次の問題は今後であります。十一月八日の長官の談話では、来年度以降においては人事院勧告の率と時期の完全実施へ向けて誠意を持って対処する、私はこの一字一句は非常に重みがあると思うんですね。問題は具体的な問題であります。後藤田大臣にはその具体的な見通し、方策と御決意を改めて明確にお伺いしたい。また内海人事院総裁には、人事院としての存在の権威をかけて努力するという状況は今も今後も引き続き変わらないと思うんですが、その状況における御決意と御方策をそれぞれお伺いしたいと思います。
  56. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御質問の点につきましては先般の私の談話の線に沿って努力してまいりたい、かように考えております。
  57. 内海倫

    政府委員(内海倫君) たびたび申し上げておりますとおり、私どもの決意は変わっておりません。
  58. 内藤功

    内藤功君 次に人事院総裁に具体的な問題でお伺いをしたいと思います。    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕  人事院では現在女子職員の生理日における就業制限、いわゆる人事院規則一〇−七の七条の問題、それから深夜労働や残業の規制など女子職員の健康、母性保護等の切実な問題について検討をされているように聞いております。その内容や手順などはどのように考えておられるのか、基本的なことを明らかにしていただきたい。  もう一点関連しますが、私はこの問題を考える場合には国際的な諸条約、それから日本国憲法の諸条文、そして労働基準法の精神、こういうものに基づいて男女の本質的平等と母性保護、こういうものの精神に立って国が、労働基準法の適用があるなしにかかわらず、民間の模範になるというくらいの精神が必要だと私は思っておるんです。それから今より低下後退させない、労働条件を低下させないということが基本精神であります。そういう問題を前提としてあとは、関係職員団体、労働組合、そういうところには婦人部とか婦人協議会とかというのがあるでありましょうから、そういう方々と十二分に協議してその意向を取り入れていくという基本姿勢がまず絶対に必要だと思うんです。わかり切ったことだと思います。この点まずお答えを願いたいと思うんです。
  59. 叶野七郎

    政府委員叶野七郎君) 我々の方としても、三月三十一日を一応の目安にいたしまして現在の一〇−七の規則の改正を検討しているわけでございます。基本的な考えといたしましては、差別撤廃条約の精神に沿いましてその方向で検討する、やや具体的に申しますれば、母性保護というものはなるべく手厚く残す、ただし女子なるがゆえの保護というようなことは、職域拡大であるとかあるいは日常の仕事に対しての差別というようなことがございますので、この方はできる限りこれを廃止したいというのが基本的方向でございます。  さらに具体的に申しますれば、例えば産休の期間、こういうようなものは、これは母性保護のそのものずばりでございますのでそういう意味で延長したい。それから生理休暇につきましては、これは従前の取り扱いというものについては若干の見直しを必要とするんではないか、そのほか深夜勤務であるとか超勤の方は原則的には撤廃したい、このように私は考えております。ただ、その面でも、現在の日本と申しましょうか、我々周辺におきます社会生活の中でのいわゆる家庭責任というものが母性に傾いている、これは否定できない事実と思います。そういう面を考えまして、深夜勤務の制限なり超勤の制限というものをどの程度にするか、今後の検討材料にしていきたいと思います。  これらにつきましては、今までも再三再四にわたりまして職員団体なりあるいは婦人代表の方々の意見というものを十分に聴取してございます。今後ともその手だては続けまして、しかるべき妥当な結論に持っていきたいと思います。
  60. 内藤功

    内藤功君 今言われた内容については関係団体の中に強い反対をしている部分があります。私自身も納得できない部分が多々ありますので、今あなたが最後に言われた引き続き、これは一方的に実行することのできない問題ですから、関係団体との協議、交渉というものを尽くしていただきたい。きょうは時間がありませんので、細部はまたいずれ次の機会に質問したいと思います。  三点目の質問ですが、人事院総裁にこれもお伺いしたいと思います。  十月の十三日に人事院国家公務員の単身赴任等の実態調査結果を発表いたしました。私もさっと拝見いたしましたが、その概要、特に年代別に今国家公務員の単身赴任の実情はどうなっておるか、それから民間でのこれに対する配慮、措置というものと比べまして、みずから省みて、単身赴任等についての国家公務員への取り扱いはどういう点がおくれているか、あるいはどう違っているかというような点についてのお考えを伺いたい。  もう一つは、私どもの目に触れた職員団体のアンケートによりますと、単身赴任で一番困るものは何かというアンケートですが、一番多いのは経済的負担、二番が健康問題、三番目が家族とのコミュニケーション、四番目が子供のしつけ、五番目が教育、進学、等々という順序になっております。これは当然だと思うんですね。何を今ずばり希望するかということについては、単身赴任手当支給の制度化、それから月に一回とかいうふうに帰宅できるような帰宅旅費の支給ということが圧倒的な九割以上の多数を占めている。私の言っているのは、全運輸という労働組合のアンケートで国公労の「調査時報」という雑誌に載っておるものであります。これもバロメーターの一つになろうかと私は思うのですね。こういう何らかの対策を、民間の方が進んでいると僕は思うんですが、速やかに樹立される必要があると思うので、基本的なお考えをきょう伺っておきたい。非常に急がされているものですから、基本的な問題しかきょう聞けないのは残念ですが、明確なお答えを賜りたいと思います。
  61. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) まず、お尋ねの数値のごく基本的なことだけ申し上げたいと思います。  給与法適用職員五十万五千七百五十七人のうち、現在単身赴任をいたしておりますのが一万六千九百二十七人ということで、パーセンテージにいたしますと三・三%、これは全体の中での三・三%でございます。そこで、年齢別に見てまいりますと、断然多いのが四十歳から四十九歳及び五十歳以上でございまして、四十歳から四十九歳が四・八%、それから五十歳以上が七・二%と比較的役付の管理職層に多いという結果になっております。  そこで、これと民間との比較ということでございますが、民間におきます状況も、私どもがごく概略調査いたしました結果によりますと、民間の場合、いろいろな措置をしているところ、してないところございますが、まず基本的には、民間におきまして転居を伴う異動をしております企業というものが、民調規模で申しますと四五・四%ということでございます。したがいまして、残りの五四・六%はまず転居を伴う異動がないということでございます。転居を伴う異動がございます企業のうち単身赴任について何らかの措置をとっているというところが全体の七〇・五%ございます。ただ、措置内容は極めてまちまちでございまして、今お話がございました賃金を出しているところ、あるいは帰宅旅費を出しているところ、あるいは留守家族に対して援助しているところ、さまざまな実はまだ方法がございます。  そういうことで、一応そういう概略は私ども把握いたしておりますけれども、あくまでもまだ現在つかんでおりますのは数字だけでございまして、今、三番目に御指摘がございました、どういう点が困っているか、どういう点に配慮が必要かということ等につきましては、これからも引き続き調査いたしまして、今後の対策というものを検討してまいりたい、かように考えております。
  62. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 人事院総裁、おいでをいただきまして御苦労さまでございます。総裁の方だけに二、三の点お聞きをしていきたいのですり  一つ人事院のあり方というか人事院の権威というものはどうなのか。先ほどからも同僚議員から出されておりますように、勧告を出しても毎年毎年政府が守ってくれない。総裁のお気持ちはどうなんですか。私は大変情けないと思うのだけれども、何とかならないんですか。その辺の総裁のお考えはどうなんですか。
  63. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 私の心境を言えとおっしゃれば、大変難しいことなんですけれども、今の政府の機構の中において国家公務員給与を定めていく方式としての仕方、そのための組織という面は、人事院を置き、また人事院の行動によって定めていくということが一番合理的なもの、これは三十数年にわたるいろんな試行錯誤の一つの答えであり、また諸外国の例をいろいろ検討した上でなお妥当なものであると認識されるものであります。たまたまある時期、そしてまたここ数年は、それらの勧告が凍結されたりあるいは抑制されるという事態に直面しましたけれども、その場合といえども政府としてもこれを無視するというのではなく、とにかくこれに何とか全力を挙げて実現を期したいという努力だけはされてきたわけでございますが、私どもの力も足りず、あるいは財政事情が非常に厳しかったということでしょうか、意のごとくなりませんでしたが、今後は私ども政府においても十分に人事院制度というものを認識していただいて尊重してもらい、またとりわけ一番重要な関係をお持ちの国会のお力を大きく発揮していただいて、合理的な存在であるこの人事院制度そして人勧制度というものを維持していただくことが一番いいことではないのか。これが私の所見でございます。
  64. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 ありがとうございました。  これは局長さんの方で結構です。今人事院はどのくらいの職員を抱えて、年間予算というのはどのくらいお使いになっているんですか。
  65. 網谷重男

    政府委員(網谷重男君) 人事院昭和六十年度予算額でございますが、五十五億八千七百七万四千円、定員は、人数は七百十名でございます。
  66. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 総裁のおっしゃるお気持ち、隣に総務庁長官がいらっしゃるから余りきついことも言えないでかなり政府を立てたような答弁をなさっていたと思うんですよ。しかし、私が言いたいのは、それだけの今お聞きした七百十人からの職員を抱えて、それで五十五億からのお金を使って今日までおやりになっている。それで一生懸命そういうデータを集めて一つの結論を出したものを持っていってもちっとも受け入れてくれない。仏の顔も三度という言葉があるんだけれども、三度どころじゃなくて、またことしも踏みにじられるわけでしょう。先ほど総裁の御答弁というのを私はお聞きしておりまして、精いっぱいの御心境を申されたと思いますし、それ以上責める気持ちはないですから申しませんが、自分たちが出して守らなかったら、何事だと言って総務庁長官の前にでも行って総裁以下みんなで座り込むぐらいのことをやらぬと聞かぬですよ。せっかく人事院があって、五十五億からのお金を使っておやりになっているんだから、そういうものが実を結ぶようでなければ——私が一番言いたいのは、これだけの七百十人の人が働いて、五十五億もの税金を使うわけですから、それがむだになるんじゃないですか。単なる民間産業のことしのベアが幾らだというのを出してやるぐらいのことだったら、そんなもの十人か何人か、コンピューターがあるんですから、ただそれだけのことだったらそんなに難しくない。だから人事院の権威というものをお守りいただきたい、その御努力をしていただきたい、それだけお願いしておきます。  次は、これはお答えいただかなきゃいけないんですけれども、四年前になるんですが、国家公務員の年次休暇について別な場でもって私が聞いたことがあるんです。一日もしくは半日または一時間という年次休暇のとり方。前総裁のときですけれども、時の人事院総裁は、お互いに都合がいいからやっているんですという答弁だった。私は労働大臣にちょっと出てきてもらいたかったのですけれども、今人事院総裁が答えたことを認めるんですか、ILOの年次休暇の条約にも今のような考えはないんですよ、もし認めるならば労働基準法を改正して全部がそういう休暇のとり方をするようにしたらいいし、それがいかぬというならば、あの人事院のあれはたしか大正十三年閣令第四号かなんかをよりどころにした規則ですから、それを変えろということをやらせにゃいかぬですけれども、労働大臣どうですかと言ったら、時の労働大臣は、今人事院総裁が答えたことは国際趨勢上からいっても間違っています、直ちに改正していただきますというから、労働大臣がそれだけ明確な答弁をしてくれればそれで結構ですと。あれから四年たったんですから、その改正はなさったのかどうですか。
  67. 叶野七郎

    政府委員叶野七郎君) 確かに年次休暇の使用の方法、労働省の方では昭和二十二年の通達で一日単位以外は使ってならぬというふうに言っております。それに対しまして、公務員の場合には一日、半日、一時間でも可というやり方をやってきてまいったわけでございます。その点につきましては、五十六年に先生から御指摘のあったことにつきましては私も十分承知しております。  今回の改正に当たりましても、その点いろいろ検討いたしたわけでございますけれども職員全体として一、二時間の早退なり遅滞した場合にもこれを全部一日と換算するというのが果たして職員に対する一つの保障として認めたものの行使として妥当なものかどうかという点も十分に検討したわけでございます。そういうようなことで、今回の整備に当たりましても意に添わない点ではございますけれども、一日、半日を原則とする、ただし各省庁がやむを得ないと認めた場合には時間単位でもよろしいということにいたしたわけでございます。そういう意味で前のことを直さないということには間違いございません。その点につきましては今後の検討課題にさせてもらいたいと思います。
  68. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 今度は総裁、今のような四年たっても直さぬようなことをしているから、勧告を出しても政府になめられて踏みつぶされるんですよ。ILOにはちゃんとそういう年次休暇の条約があって日本もきちんと批准しているんだけれども、その中にはそういう考え方はないんですよ。だからそういう点でこれはぜひ改正していただくことを要望申し上げて、それだけはやりますという御返事をいただきたい。それで終わります。
  69. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 十分承っておきます。
  70. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  それでは、これより三法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  71. 内藤功

    内藤功君 私は、日本共産党を代表して、給与関係三法案いずれも反対の討論を行います。  まず、一般職職員給与法改正案についてであります。  政府は、人事院勧告制度は労働基本権の代償であるとし、最高裁判所もこれを判示しているにかかわらず、四年連続の凍結あるいは抑制の上にさらに今年度も実施時期を三カ月おくらせようとするものです。このため、公務員労働者の損害は、期末・勤勉手当を含めて四・九カ月、平均一人七万円に上ると試算されます。これは人勧制度を設けた経緯からしても、また公務員労働者の人勧完全実施という切実な願いを踏みにじるという点でも、断じて容認できないのであります。  また、八等級制から十一級制への移行など、職務給強化を内容とする俸給制度の再編成は、特権的官僚制度を温存する一方、能力主義管理によって公務員労働者への新たな差別と分断を強めるおそれあるものであります。  人事院は、特別休暇から生理休暇を除外して病体扱いにするとしていますが、これは母性保護の立場からも賛成できません。  次に、特別職職員給与法改正案についてであります。  本案は、現状でも国民一般の生活水準や生活実感からして高過ぎると見られている内閣総理大臣国務大臣給与水準をさらに引き上げようとする点で、到底国民の理解を得られるものではありません。  次に、防衛庁職員給与法改正についてであります。  我が党は、本来、自衛隊の保有自体憲法違反との基本的立場をとっているのであります。しかし勤労者でもある隊員、特に曹士、下級幹部及びその家族の給与と生活は、一般職職員と同様、保障されなければなりません。したがって本法案に反対であります。  なお、今回の改定によって、軍事費は三木内閣以来の政府みずからの公約であるGNP一%枠を一時的にせよ超えることになります。私は、自衛隊の新規正面装備費、米軍に対する思いやり予算など軍事費の大幅削減を改めて強く要求するものであります。  最後に、政府の四年連続の人事院勧告凍結、抑制による実損分の回復措置を可及的速やかに講ずることを重ねて要望し、反対討論を終わります。
  72. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  73. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  74. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、本案は多係数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  75. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  77. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、柳澤錬造君及び内藤功君が委員を辞任され、その補欠として井上計君及び近藤忠孝君が選任されました。     —————————————
  78. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  79. 穐山篤

    ○穐山篤君 四共済担当大臣にまず伺います。  今回のそれぞれの共済組合制度を改正いたしました後はその改正をされたものでしばらく運用がされるわけです。当然のことでありますが、閣議決定に基づいて公的年金制度の一元化を推進する、逆に言えば、一元化の推進を目指して当面四共済の改正を行う、こうなっているわけですが、この一元化というイメージといいますか、構想といいますか、内容といいますか、それについてどういうふうにそれぞれの大臣は理解をしているのか、まずそこから御意見をいただきたいと思います。
  80. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 一元化の持つイメージということにつきまして、昨日、年金担当大臣でございます厚生大臣からお答えがありましたので、私の方から順次発言をさしていただきます。  確かに穐山さんもおっしゃっておりましたように、統合あるいは一体化、こう言うと私のような素人にも何だかイメージとしてわかるような気がいたします。しかし統合と言わないで一元化と言っておりますだけに、すとんと胸にこたえるようなイメージがなかなかわかないというのは私も思いをひとしくいたしたこともございます。だが今回、私なりに過去を振り返ってみますと、まずは、これは一元化というものが主体であったのか、あるいは国鉄共済の問題が主体であったのか、これは別といたしまして、国鉄、光電電、元専売、そして国家公務員等、これは統合法案というものをいろいろな議論の来通していただいたことが、私なりに見れば、第一段階と言えるのかな、あるいは紀元前一段階と言えるのかは別といたしまして、手始めであったな。それから次が、議了していただきました国年、厚年、そして基礎年金というものができたということが第二段階ではなかったか。そして今回、国家公務員等共済組合法に関する共済年金制度の中へ基礎年金制度が入れられて、少なくとも基礎年金部分については負担と給付というのがある程度一元化された方向になり、全体で見ますと、そのことで給付の一元化がほぼ終わった、こんな感じがいたしております。  そうすると、次の段階というのは結局、負担の一元化ということになるんではなかろうか。しかし、そのようにして将来に向かって安定した年金制度が確立されるその七十年の姿の一元化というのは、これは自由民主党のプロ集団で一遍議論されました統合的なものも私の念頭に皆無ではございませんが、それぞれの年金の持つ特殊性、それぞれ生まれ在所も違いますし、生い立ちも違いますので、その中で制度間調整というようなものが負担の一元化という方向に進むとすれば、そういうものが一元化というもののイメージの中身ではなかろうか。素人なりにこんな印象を持っておりますことを申し上げます。
  81. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) 自治省の立場として申し上げますが、公的年金の一元化の目標に向かいまして、今大蔵大臣からお話がありましたように、共通の基礎年金を導入する、あるいはまた給付水準の適正化等、こういう問題は今度の法律を通していただければ相当徹底して行えるかと私は考えております。ただ、昭和六十年度以降の問題につきましては、恐らく昭和六十一年度までに措置を踏まえまして検討されていくこととなると思うのでございますが、いずれにいたしましても、公的年金制度の長期的な安定ということと整合性ある発展を図るということは、各制度を通じまして調整措置が進められていくと考えております。  自治省として例えばどんなものが残っておるかというようなお話になりますと、例えば今の地共済の連合会の中では公立学校共済組合とか警察共済組合というものも今別個でございますが、将来においてはこういうものも一緒になるべきものである。時期についてはまだわかりませんが、そういう問題等が残っておるところでございます。
  82. 松永光

    国務大臣(松永光君) お答えいたします。  高齢化社会の到来を考えますと、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るためには、いわゆる公的年金制度の一元化がどうしても必要であるということで一元化へ向けての施策が進められておるというふうに理解いたしております。そういう立場に立ちまして、私学共済につきましても今審議をお願いしているような改革を実施すべくお願いをしているところであります。  今回の改正で、先ほど大蔵大臣の話にもありましたが、給付面での一元化はほぼ達成されると考えておりますが、昭和六十一年度以降につきましては、私学共済の関係につきましても、全体の方向を踏まえながら私学共済制度の沿革等にも配慮して私立学校教育の振興に資するという私学共済の制度のねらいが損なわれることのないように配慮しながら対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 佐藤守良

    国務大臣(佐藤守良君) 穐山先生にお答えいたします。  今度の改正は、先生も御存じのことでございますが、急激な人口の高齢化に対応するため、その社会情勢に対応するために制度の整合性、あるいは給付と負担の均衡を図ること、あるいは世代間の公平、あるいは財政的に長期的な安定を図る、こんなねらいで一元化ができた。わけでございます。そんなことで今のような措置を踏まえまして、引き続き制度間の調整を進め、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させることとしております。そういうことで、我が農林年金につきましても、このような全体の方向を踏まえつつ、制度間の給付と負担の均衡の問題に対処しつつ、農林年金制度の沿革等にも配慮して、農林漁業団体職員の人材確保を図るというねらいが損なわれることのないよう万全を期してまいりたいと考えておるわけでございます。
  84. 穐山篤

    ○穐山篤君 そこで自治大臣にお伺いしますが、前回の法律改正で財政調整が行われた。しかし制度としては九十一に分立をしているわけですね。したがって地共済としての次の段階の一元化というものは、先ほどお話のありました負担と給付の見直しといいますか一元化、この二つに集約されますか。その点いかがでしょう。
  85. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) この問題は、次の段階におきましては、負担の点がまだまだ大蔵大臣が言いましたように調整が問題になっておりますので、給付の方はある程度まで進められることになると思いますが、負担の問題は今後の問題になってくると思います。
  86. 穐山篤

    ○穐山篤君 次に文部大臣に伺いますが、現在、私立学校数ありますが、私学共済に加入しているものあり、厚生年金保険に加入しているものもあるわけですね。これは経緯が経緯ですから、私はその現実は直視いたしますが、大臣として、同じ私立学校でありながらそれぞれを選択しているということについてどういうふうに理解されて、将来どういうふうな一元化の構想をお持ちですか。負担の問題はまた別にお伺いしますが、その点を伺います。
  87. 松永光

    国務大臣(松永光君) 先生よく御承知のとおり、昭和二十八年に私学共済法ができたわけでありますが、そのとき本来ならばすべての私立学校がこの共済に入るということを前提にして法律案はできておったわけでありますけれども、既に一部の学校で厚生年金に入っておる学校等があり、それをその学校の意向を無視して私学共済の中に全部入れてしまうというのはいかがなことであろうかということがございまして、そこで国会における修正の形で選択が認められたわけでありますが、その後にできた学校は全部私学共済に入るという法律の仕組みになっております。先生承知のとおり、私学共済というのは退職年金を支給する長期給付の方と、それから医療の方の短期給付と一体としてやっているわけでございまして、これに入っていない学校の方は、年金の方は厚生年金、そして医療の方は恐らく大部分が国民健康保険じゃなかろうかと思うのでありますが、途中でもう一回入る機会を与えるということをしたこともありますので、入らないということを選択した学校は厚生年金の方で対応していただく、入ることを選択した学校及び新しくできる学校はすべて私学共済ということで対応していくのが現実的な対応であるというふうに考えているところでございます。
  88. 穐山篤

    ○穐山篤君 七つの公的年金制度の一元化というのは、きのうの質疑によってもぴたっと呼吸が合うところまではいっていません。くどくなりますが、一本化ということも肯定しているわけでもありません。財政調整を全部やるのかといえば、それもイエスとも言っていない。そこで強調されているのは、負担と給付の公平ないしは整合性ということを厚生大臣は言われた。給付の水準の問題についてはある程度今回の法律改正をもってこなしができる、こういう御答弁がありました。そうしますと、次の段階は負担問題が中心になるであろう。  そこで、大蔵大臣、厚生大臣に伺いますが、負担というのは、一言で言いますと、成熟度というものを基礎に置きながら収支の策定計算をやって、組合員の負担は幾らにしましょう、あるいは使用者である事業主は幾らにしましょう、こういうふうに組み立てができているわけです。現にきのうも指摘しましたように、事業主負担についても、あるいは共済組合員の負担につきましても、非常にアンバランスがあるわけです。給付は、個々人は違いますけれども、水準としてならしが出ましても、そっちの負担の方につきましては非常な格差、あるいはばらつきがある、そういう中で負担の整合性、公平化というのは具体的にどういうイメージを持っているんですか刀大蔵大臣と厚生大臣に伺います。
  89. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) イメージとしてどう持っておるかという御質問でございますが、職歴、勤務年数、あるいは年齢等々勘案して、それぞれ分立しております年金制度の中で、客観的に見て大体整合性がとれたなと、こういうふうになる姿ではないかと思っております。
  90. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、それぞれの年金制度の成熟度によって負担というものは差異があるものと思います。したがって、この際負担の方の公平、整合性という場合に、その問題は全く無視して全く均一のものにするわけにもまいらないと思いますけれども、その問題こそがこれから各当事者間でいろいろ意見調整をしながら議論を煮詰めていかなければならない問題であろうかと思っております。
  91. 穐山篤

    ○穐山篤君 抽象的にはそうだろうと思うんですが、負担の面で、同一の共済組合制度にありながら大変な格差を持っている。それからお隣の共済間を見ても格差がある。官官並びに官宮内であるわけですね。それから官民という意味で非常に負担のアンバランスがあるわけです。少なくとも去年からことしにかけて審議されました厚生年金、国民年金の改正の提案の主要な目標の一つに負担と給付の公平、整合性ということが言われたわけです。ですから、もうその当時からこういう考え方で将来負担問題について事に当たりたいという構想がなければ、国民年金、厚生年金の議論としては私は不足しておったと思うんです。議事録を読みましたけれども、得心のいく答弁は何にもなかった。これ以上無理だとは思いますけれども、将来官民の負担の違いはどのくらいになるだろうか、官官あるいは官宮内でどのくらいになるだろうかというのはみんなが注目している話です。それだけに余りにも抽象的な話に過ぎはしないか。先行き皆目よくわからないけれども、とりあえず今回相談に乗ってくれというその政治論はわかります。わかりますけれども、少なくともこれは国民全体にかかわる、あるいは老後の保障にかかわる問題ですから、もう少し専門的な立場で御答弁を厚生省できませんか、お伺いします。
  92. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、抽象的なことで恐縮でございますけれども、しかし、そのことは実は関係当事者にとって最も大切な問題でもあろうかというふうに思うわけでございます。利害関係がそれによって生ずるわけでございますので、したがいまして、ただいままでのところは厚生年金と国民年金との調整をやってまいりましたけれども、これから先は政府内部で各省協議をしながら関係者の理解を深めていくという以外には方法がないように思うわけでございます。
  93. 穐山篤

    ○穐山篤君 厚生大臣には申しわけないけれどもしばらく残っていただきまして、ほかの大臣御都合があるようですから、ちょっと先を急がしていただきましょう。  それは、国鉄共済年金財政の安定、あるいは国鉄共済年金制度の安定的な維持、こういう立場でお伺いするわけです。  昨日、私は大蔵大臣に、国鉄共済年金についての統一見解に何か加えることはないでしょうかとお伺いをいたしました。その際に、大蔵大臣から、「国鉄の自助努力」の意味について説明がありました。それから「諸般の検討を加え」ということについても説明がございました。それから「昭和六十五年以降分につきましては、その後速やかに対策を講じ、支払いの維持ができるよう」という部分につきましても注釈が加えられたわけです。  そこでお伺いをしますが、この「諸般の検討」という中には、農林漁業、私学あるいは地共済のお手伝いが、例えば財政調整というふうな意味で含まれていないんだというふうに所管の大臣は理解をされているかどうか、その点をまずお伺いをします。「諸般の検討」という中には、いろいろな検討はしますが、例えば農林漁業団体から精神的な応援はあったとしてみても、財政調整であるとかその他使用者、組合員の負担を伴うものは入っていない、あるいは入っているんだ——きのうの答弁の中では入っていない、私はこういうふうに理解したわけですが、もしそごがあってはならぬと思いますから、三つの共済の主管大臣から明確にしておいてもらいたい。
  94. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) ほかの大臣各位はきのういらっしゃいませんでしたので、私がお答えしたことをいま一度申し上げておく方が答弁にも好都合だと思いますので、私からまずいま一度申し上げます。  「諸般の検討を加え」という中に他制度からの財政調整は含むのか、この議論をいたしました。「国鉄の自助努力」と申しましても、現時点でそれを定量的に幾らとは言えません。また「国の負担」につきましても、理屈のあるものはだれしもできるであろうと思いますが、現時点でまだこれまた定量的なお答えはできません。そして理論的には他制度からの連帯はあり得るが強いて言えば現時点では考えておりません、こういうことを統一見解をつくる段階でいろいろすり合わせしたというお答えを申し上げたわけでございます。  理論的にはあり得るがということにつきまして若干の注釈を加えますならば、国鉄、光電電、元専売、国家公務員の統合法案の際、いわゆる審議会等に参加していただく経営者側の皆さん方、労働側の皆さん方と種々懇談いたしました際、いろいろな議論はございましたものの、最終的に成案を得ることができたのは、まさに労働者連帯というものだという感じを受けまして、大変感銘を深くしたことがありました。したがって、それがさらに広がり、そして国民連帯というような物の考え方というものにおいては理論的にはあり得るであろうという意味で申し上げてきたわけでございます。
  95. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) ただいま大蔵大臣から、政府の統一解釈といたしまして、国鉄共済救済につきましては他の制度に参加を求めることは理論的にはあり得るが現時点では念頭にないということを答弁しておられるところでございます。したがいまして、地方共済の立場といたしましては、六十四年までは大蔵大臣の答弁を文字どおりに受けとめまして、現時点では国鉄共済救済に参加を求められるということは念頭にはありません。六十五年以降については今後検討すべきことでございます。
  96. 松永光

    国務大臣(松永光君) 先ほど大蔵大臣がお答えになりましたことと理論的には同じ考え方なんでありますが、私学共済を所管する文部大臣の立場から申し上げますと、国鉄共済問題については、従来の経緯等からしても、国あるいは国鉄自身がどう対処していくかという問題の方が先ではなかろうかという考え方が大部分であろうと思います。しかし一方、高齢化社会を控えて国民連帯ということで全公的年金制度で対処していかなきゃならぬという考え方、そういう考え方が理論的にはあり得ることかと思いますけれども、しかし私学共済を所管する立場の私としては、現時点ではそういう考え方は持っていないわけでございます。  いずれにせよ、私学共済という制度発足の趣旨にかんがみ、また私学共済が我が国の学校教育の中での私学の振興に非常に大きく貢献してきたという、またそういう目的を持っているということを念頭に置いて誤りなきよう対応していかなければならぬというのが私の立場であるというふうに受けとめておるわけでございます。
  97. 佐藤守良

    国務大臣(佐藤守良君) 穐山先生にお答えいたします。  実は、大蔵大臣の答弁と同じようになるかと思うのでございますが、「諸般の検討」ということにつきましては、今後速やかに検討することとしておりますので、現時点では明確でないようでありますが、国鉄の自助努力や国の負担の問題のほか、例えば積立金の処理等の諸般の検討を行うものと理解しております。  農林年金からの財政調整なり支援を行うことにつきましては、理論としては大蔵大臣のおっしゃったようなことで、他制度からの連帯もあり得るということでありますが、現時点では考えていないということでございます。
  98. 穐山篤

    ○穐山篤君 運輸大臣にお伺いをしますが、衆議院の議事録を読んでおります範囲で言いますと、「国鉄の自助努力」というのには、昨日も大蔵大臣解釈がつけ加えられたわけですが、資産の処分などを指していると、こう言われたわけです。そうしますと、組合員の負担を引き上げるとか、あるいは給付の引き下げをこの際改めて考えるとか、そういうふうな犠牲を負うといいますか、そういうことは直接的な犠牲を負わない、こういうふうに私は今までの議事録、答弁を要約して理解をしているわけですが、その考え方は間違いないでしょうか。
  99. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) ただいま御指摘の点につきましては、これからの検討課題だと私は存じております。いずれにいたしましても、私は国鉄の所管大臣でございますから、現職やOBに不安なからしめるような給付の確保につきましては、関係大臣とよく連絡をとりながら努力してまいりたいと思っております。
  100. 穐山篤

    ○穐山篤君 その点少しニュアンスが違いますね。運輸大臣は検討していくというふうに検討課題に残されました。しかし、今までの衆議院の審議と昨晩の大蔵大臣の追加説明では、そういうことはもはや検討にも値しないと言えば語弊がありますが、検討したとしてみても負担を組合員にさせるようなことはない、こういうふうに我々は審議を通して理解しているわけですが、運輸大臣、その点どうですか。
  101. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) この問題につきましては既に統一見解が示されております。私はその線に沿って御答弁申し上げた次第でございます。繰り返し申し上げるならば、御指摘の点につきましては、この問題を解決する上で重要な点であるので十分検討したいと、このように申し上げる以外にはないと思います。
  102. 穐山篤

    ○穐山篤君 大蔵大臣、今までの各大臣の答弁を聞かれたと思うんです。  さてそこで、「国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにいたします。」、こう書いてある。申し上げては申しわけないとは思いますけれども、かなり周りの壁を押さえられた上で「国鉄の自助努力と国の負担を含め」というところに大部分の力が入ったわけですね。私は、来年から六十四年までの発生するであろう赤字の予想額を具体的に申し上げませんが、七、八百億ずつふえるでありましょう。膨大なお金です。そのことを考えてみると「国の負担を含め」というふうな他人ごとでなくて、「国の負担」が基本であって、周りからいろいろ御協力を賜る、こういうふうに統一見解は読みかえていかなければ適切でないというふうに考えますが、大蔵大臣、その点はどうでしょうか。
  103. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 「国の負担」ということを私どもも統一見解で申し上げておるわけでありますが、「国の負担」とは何かと、こういうことになりますと、これもいずれ国民の皆さん方の負担に基づく収入財源をもって充てるわけでございますから、言ってみれば国民連帯の中、極端に幅を縮めていくと税収の中からこれを求めるということにつきましては、国の制度全体の中で、言葉は悪うございますが、それぞれどういう理屈がついていくかということについて十分な配慮を持った検討が必要でございますので、読んで字のごとき統一見解としてこれをまとめた次第であります。
  104. 穐山篤

    ○穐山篤君 各大臣お忙しいようですから、今の問題はもう一度後で改めて確認しますが、農水大臣、それから文部大臣、どうぞお帰りいただいて結構です。  せっかくの機会ですから、運輸大臣と自治大臣けさ閣議決定に関連して取り扱いを伺います。  希望退職については来年から始めましょう、こういうようでありますね。その際、退職の割り増しも出しましょう。もちろんこれは立法化の必要性があるでしょうが、どの程度の特別給付金を考えておられるのか。  それから、これは大蔵大臣、自治大臣に係るわけですが、来年希望退職すると公的機関に、どういう方法になるかわかりませんが、中途採用で入る、地方公務員に中途採用で入る、こんな場面が想定されるわけです。それからもう一つは、やめて民間に行きましょう、あるいはせっかくだから割り増しの退職金をもらっておやじの商売を継ごう、百姓をやろう、こういうことがあり得るわけです。  さてそこで、この割り増しの退職金の適用のグループですね、私が今申し上げた、これはどういう適用の方法を考えられているんですか。わかりやすく言えば、国鉄希望退職でやめて運輸省に中途採用で入った人には退職金を出すんですか出さないんですか、割り増しの退職金をつけるんですかつけないんですかというふうな、それぞれのグループを考えてみますと、いろいろな問題点があると思うんです。そのことについて運輸大臣からまずお話を承って、大蔵大臣、自治大臣がそれぞれ衝に当たっているものについてそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  105. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 今事務的に詰めている段階でございますので、現時点における状況を、むしろ事務当局の方が適当かと思いますので、政府委員から答弁させます。
  106. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) ただいま御指摘希望退職の場合におきますところの退職時の給付の臨時の特例措置でございます。  最初例質問のございましたその具体的な金額といいますか、そういうものにつきましては現在検討を進めているところでございますが、考え方としては実効性のあるものでなければいけません。先例といたしまして、電話の自動化に伴いまして希望退職を募集して、これに対する上積み給付を行った事例がございます。このときは、勤続五年以上の職員につきましては基準内賃金の十カ月、それから五年未満の職員につきましては基準内賃金の八カ月ということの前例がございます。この前例やそれから民間におきます最近の事例などを参考にいたしまして、現在その具体的な内容について詰めを行っているところでございます。いずれにいたしましても、六十一年度予算に計上しなければいけませんので、この予算編成に合わせるということにいたしまして作業を進めているところでございます。そしてまた、これについては法的な措置が必要でございますので、次期通常国会におきまして予算関係法案として提出さしていただきたい、かように考えておるところでございます。  さらに、御質問のございました退職時の給付の臨時の特例につきましての具体的な適用の問題でございます。これにつきましては、今のところ私どもが考えておりますのは、給付の対象者は国鉄の総裁の認定を受けた者ということにいたしますが、ただし自己都合によって退職する者とか、国、地方公共団体または特殊法人採用されることが予定されている者、昭和六十一年度末におきまして満五十五歳以上の者、それから退職前提休職者というような者につきましてはこの認定は行わないということを方針といたしております。  国なり地方公共団体または特殊法人採用されることが予定されている者ということを除きました理由といたしましては、こういう公的な機関につきましては、国鉄は今公社でございますけれども、公社である従来の職場と同様な地位が確保できる、こういう観点から臨時の特例の給付は必要がないというふうに考えているところでございます。
  107. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) 国鉄余剰人員対策基本方針につきまして、地方共済との関係あるいは国鉄から地方団体に移った者、こういう者に対する年金の措置の問題でございますが、今運輸省から話しましたように、地方団体採用する者については、さっきの認定は行わないということでございますので、地方団体において採用いたしまして、地方団体においてその後継続して勤められてやめられるときにそういう問題が起こってくると思います。  したがいまして、きょうの閣議の話では、国鉄及び旧国鉄を含むのでありますが、在職期間に係る退職手当、共済年金については、地方公共団体地方公務員等共済組合に負担をもたらすことのないようにするということになっておりますので、そういうものをそのときに移換を受けるとか、その時期についてはまだ決まっておりませんが、そういう問題が今後残ってまいります。要するに私どもは、こういう国鉄退職者で希望のある方はぜひ地方でも受け入れるということを決定いたしまして、その共済につきましてはその地方団体をやめられるときにお支払いをする。その資金の一部は、国鉄の方から資金を移換をしてもらう。こういうところでございます。
  108. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) ちょっとお答えをちゅうちょしましたのは、いわば同一共済内になるわけでございますが、中の問題につきましては、今自治大臣のお答えと大体同じ趣旨であるということでございます。
  109. 穐山篤

    ○穐山篤君 今はしなくも退職金と年金財政についていささかも迷惑をかけないようにという閣議決定があったという発表があったわけですね。そうしますと、国鉄からどこの官公庁に入ろうとも、中途採用であろうとも、それはずっと通算して最後に退職金を払う。その場合に、過去国鉄に二十年おった、十年いた分の退職金相当額については、当該人が退職をする際に国鉄から金を持ってくるんだ、こういう意味ですね。  そこで、そういう意味とするならば、当然所管の運輸大臣として、国鉄は財政上そういう措置が可能かどうか。三万人というような数字が出てきますね。その場合の退職金の持参金について、どこから捻出してお手当ができる余裕があるのかどうか。そのことを両方の大臣からもう一遍明確にしてもらいたいと思うんです。共済の方はまた別に伺います。
  110. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) 先ほど私がお答えいたしましたのは、二万人の希望退職についての臨時の特例給付というものについてお答えをした次第でございます。  今先生指摘の点は、地方公共団体国鉄職員が移りました場合の退職手当がどうなるかという御質問でございます。
  111. 穐山篤

    ○穐山篤君 それは公社公団でも同じですよね。
  112. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) はい。それで地方公共団体に再就職しました場合の退職金の支給の方式といたしましては、国鉄退職いたしますときにそれまでの国鉄の在職期間分の退職金を支給いたしまして、再就職先では採用後の期間分を退職時に支給するというやり方と、もう一つ国鉄の在職期間と再就職先での在職期間を通算いたしまして、再就職先での退職時に一括して退職金を支給するという方式が考えられるわけでございますけれども、運輸省といたしましても、一般的には国鉄退職時にそれまでの国鉄在職期間にかかわります退職金を支給するということで考えておるところでございます。と申しますのは、地方公共団体に負担をかけないということが必要でございますし、    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕 それからまた実質的に考えました場合、国鉄退職いたしました場合の年齢によっても違いますけれども国鉄の場合よりも、一般的に申しますれば、地方公務員になった場合には定年の時期も長いというようなこともございまして、トータルで見た場合に地方公共団体に移りました国鉄職員が必ずしも不利にはならないというような点を配慮いたしまして、今のような方向で検討を進めているところでございます。  なお、御指摘退職金の財源につきましては、昭和六十一年度におきましては、これは国鉄予算において措置するわけでございますし、それからまた六十二年度以降につきましては、四万一千人の旧国鉄に所属いたします特別対策対象者につきましては、去る七月二十六日に出されました再建監理委員会の国鉄改革についての意見という中におきましても、この四万一千人の人たちに対する退職金につきましては、この監理委員会が試算いたしました余剰人員対策費の中にも含めて計算されているところでございます。
  113. 穐山篤

    ○穐山篤君 じゃ退職金はその程度にして、年金についても同じように迷惑をかけない。従来どういう措置をしておったか。まず大蔵大臣でしょうね。  例えば国鉄なり電電なり専売をやめて、退職して民間の会社に行ったという場合には、年金制度でいえば厚生年金の適用を受ける。純粋にうちの事業を継承するという場合に、厚生年金もあるでしょうし、国民年金もあるでありましょう。あるいは三公社の諸君が中途でやめて官庁に中途採用あるいは再採用された例もたくさんあるわけですね。それは集団で行くという例は非常に少ないんです。一人とか三人とかというふうに個々に行くわけですね。    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕 そういう例が過去多かったわけですが、そういう場合に、国鉄共済年金から厚生年金保険に過去の分をしょっていったという例はないと思うんですね。厚生年金に加入して厚生年金全体の財源の中で六十歳になれば年金を受給する、こういう例が多いと思います。今回の場合も、今回というか、けさ決定に基づくものによっても、個々に一人一人で行く場面も生ずるでありましょうし、まとめて集団で中途採用ということもあるわけですね。そうなりますと、この持参金の持っていき方というのは、従来の方式と来年三月以降からの方式ではどういうふうに変わるのか、その点を明瞭にしてもらい一たい。
  114. 門田實

    政府委員(門田實君) 年金についてのお尋ねでございますが、従来国鉄をやめまして民間へ行きましたという場合には、国鉄のときは共済年金制度民間へ行きますと厚生年金制度で、制度が違いますから、ここは一つ制度を卒業して別の制度へ入る、こういうことで、もし支給開始年齢に達しておれば共済年金の支給を受けるということでございます。ただし、所得によっての制限というのはございましたが、あくまで一つ制度を終わって別の制度へ入った、こういう仕切りになっておりました。例えば今度は国鉄をやめて国家公務員になったというような場合には、これは共済制度の中での通算という形でもって処理されておった、こういうことでございます。  今度の場合でございますが、今後におきましても、国鉄をやめて国家公務員になったという場合には、同様の通算ということで処理がされるわけでございます。
  115. 穐山篤

    ○穐山篤君 わかりやすく言いますと、電電公社にいた人が、勤続十二年でも十三年でも結構ですよ、やめて三菱電機に入る。そうすると、年金制度でいいますと電電の共済組合から厚生年金に移るわけです。法律の建前から言って、これは渡りでありますから当然通算することになるわけです。ただし、過去電電におった十年なり十二年の積立分はしょっていくのか、それともその方が六十歳なり六十五歳で年金の受給を受けるときになって初めて、電電公社あるいは電電株式会社からそれ相当分の持参金をそのときに渡すのか。過去どういう方法をとっていたのか。現に電電も属人的には幾人か民間の会社に入っているわけです。それをどうするのか。それは属人の場合です。電電公社あるいは国鉄からまとめて三百人も例えば三菱電機に入ったとか、クロネコヤマトに三百人まとめて入ったという場合に、その通算のことは法律上よくわかる。しかし、持参金の持っていき方あるいは持っていかなくていいのか、その点はどうなっているんですか。
  116. 門田實

    政府委員(門田實君) これまでの扱いでございますが、通算しまして、年齢、加入期間を満たしておるという場合には、公共企業体時代の年金と民間へ行きました厚生年金と、いわば二つの年金が出るわけでございます。したがいまして、その財源は、公企体の共済、厚生年金それぞれのところから払われておるということでございまして、したがいまして、その間において何か積立金を移しがえするとか、そういうことは必要とされていないわけでございます。
  117. 穐山篤

    ○穐山篤君 今審議官から言われたようなことでありますが、けさ閣議決定ではこの共済組合の持参金の昭和六十一年四月以降についてはまだ不明瞭です。個々の話は別にして、集団で同一箇所に中途採用になった場合にはそう簡単な話にはならない可能性を持っているんじゃないかな、こういう気がします。きょうは時間ありませんから、国鉄問題はもう一度、六十四年度までと六十五年度以降と今の問題、それから改正法の中に出ておりますみなしの問題、職域年金三階建ての問題などはまとめて一本で国鉄問題で時間をとっていただきますので、あらかじめ御準備をいただきたいと思います。  次に移りたいと思いますが、今回膨大な改正が提案されました。人事院総裁に伺いますが、公務員法百七条あるいは百八条などの条文に照らしまして、この重大な労働条件の変更あるいは制度の改正、あるいは大きく言いますと公務員制度そのものにもかかわっていることでありますので、しかるべき調査をされて、しかるべき意見を持たれていると思うんです。また今回の法律改正に当たってどのような意見をどういう場所で表明されたのか。あるいはそれがどういうふうに受けとめられたのか。少し長くなりましたけれども、四つの分野にわたってお尋ねをしておきたいと思います。
  118. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 今回の年金制度の改正につきましては、今までも大蔵大臣初め、その制度の改正の趣旨の必要性ということがるる述べられておるわけでございまして、この趣旨それ自体に対しては、公務員の立場からも、要するに年金制度というものが長い将来にわたって安定していく、安定した制度であるということが極めて大事でございますから、そういう意味においては私どももこれを了承せざるを得ないという立場をとりました。しかしながら、今回の共済年金法というものを見てみますと、公務員に対する在来のといいますか、現在の制度と比較しますと、かなり厳しい条件も存在することは事実でございます。しかしながら、それにもかかわらず、今申しましたような制度基本的な改正ということの前には、ある程度そういうものは認めざるを得ないのではなかろうか。  ところが、公務員に対する年金というものは単なる社会制度としての、あるいは社会政策的な意味の年金とはその性格を異にしておる部分が一部あるわけでございます。これは御承知のように公務員の職務というものがいろいろな意味で国民全体の奉仕者として働かなければならないということを大きな理由に、国家公務員法によるかなりの制約を受けております。されば、そういうふうなことの上で老後におきましても何らかの保障があるということが現在の勤務をしていく上に大きな張りを持たせるものでございまして、その意味をこの公務員の年金というものはかなり果たしてきておるわけでございます。これは公務員の人事制度の大きな側面をなすものでございます。こういうものが今度の制度の改正でなくなってしまうというふうなことでは、これは事は重大でございますから、私どもはこの制度がいろいろ研究される段階からいろいろ意見を申し出、またこの案が立てられる段階におきましても、主管局長から主計局長あてに意見を申し述べまして、以上申し述べましたような公務員制度という面からこれの果たしておる意味を十分にこの中に取り込んで、そうして新しい制度をつくっていただくように、またそういう運用を図られるようにということを申しまして、職域年金制度、職域年金部分というものが設けられ、これによって私どもが要望しておる部分が相当実現していけるのではないか、こういうふうに理解いたしまして、今回の制度の国会における御審議を見守っておる次第でございます。
  119. 穐山篤

    ○穐山篤君 今、人事院総裁からは、公務員制度の一環という意味を踏まえて大部分今回の改正の中に含まれた、こういうふうに説明がされたわけですが、それは厚生年金保険でいえば比例報酬部分国家公務員共済組合でいえば比例報酬部分と職域年金部分で、言いかえてみれば三階建てをつくられたことによって十分公務員制度意味が込められた、あるいは果たされたというふうに理解をしているんですか。あるいはまた、もっと別な分野でもこの公務員制度について加味してほしいという点はなかったんですか。
  120. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 今仰せられましたように、先ほども申し上げましたが、この制度によって、在来の制度に比べれば公務員にとってはこれは厳しいものでございますが、厳しいものではありますけれども制度の安定というものがともかく保障されない限りは、しょせん、そういうふうに期待いたしましても無理でございますから、安定する制度の上で我々の公務員制度の側面が満たされるということが大事である。そういう意味からいえば、今申しましたように、三階部分、職域部分というものが設定される、これが運用されるということで、まず我々が要望しておる目的は突現しておると認めていいのではなかろうか、こういうふうに思います。
  121. 穐山篤

    ○穐山篤君 具体論はもっと先に、いってから十分お伺いをしますが、国民年金、厚生年金の前回改正の際の連合審査で私は厚生大臣に次のような質問をしたんです。  確かに二十一世紀に向かって年金制度を安定させなければならぬ、そのことは十分に理解するけれども、それぞれの年金制度のいきさつあるいは実績、いろいろ事情が違うので、必ずしもでき上がりが同じでなくても差し支えないでしょうなという質問を私はしたんです。随分議論がありましたが、結果として厚生大臣から今回の——今回のというのは前回の国民年金、厚生年金の改正の際ですよ。あるいは基礎年金導入に関連して私が質問したわけですが、結果としてそれぞれの共済組合が違った答えが出てもやむを得ません、そういう答弁をいただいているわけです。厚生大臣、そのことは御記憶があると思うんですが、どうでしょうか。
  122. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) そのようなことを申した記憶はございます。
  123. 穐山篤

    ○穐山篤君 それは当然制度の違いもありますけれども、よく官民格差ということを割合にラフに言う人があるわけですが、一般論としてはそれはいいでしょうが、公務員の場合には公務員制度という特別な法律上の規制を受け、あるいは保護を受けている制度があるわけです。そのことを私は意識をしながら、例えば基礎年金の導入に当たっても国民年金と同じような仕掛けにいかぬこともあり得るということを十分に念頭に置いて厚生大臣に詰めたわけです。その結果、変わった答えが出るのはやむを得ません、こういう答弁を前回しているわけです。  そこでもう一遍、人事院の総裁に伺うわけですが、私はある程度先を想定しながら、あるいは公務員制度を考えながら、結果として国家公務員共済組合の基礎部分の導入にいたしましても、計算の方法にいたしましても、三階建てのつくり方にしてみても、公務員らしい方法があってしかるべきだ、こう考えてその当時から主張しておったわけです。同じ意見がどうかはわかりませんけれども、私の意見の三分の一なり半分は総裁も十分気持ちは理解してもらえると思うんです。だとするならば、今回の法律改正に当たって、私が今申し上げましたような経緯を踏まえて、もっと積極的に、公務員制度は確かに共済年金制度の中で生きているな、込められているなというものがなければうそだと思うんですよね。でき上がりと人事院総裁が考えておりました最初の発想とはどのくらい気持ちが合って、どのくらいどういう分野でまだ足りない部分があるのでしょうか。率直にこれは伺っておいた方がいいと思うんです。
  124. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 今までも述べておりますように、これもいろいろ長い間の検討の結果でございますし、また途中私も申し述べましたように、公務員にとっては厳しい点もあるわけでございますから、一応職域部分というふうなものは設けてもらい、あるいはまた公務員制度の側面というものも十分加味してもらって制度がつくられておるわけでございますけれども、なおかつ公務員というものの勤務の態様、あるいはそういう仕事をやめました後のいろいろな問題、あるいは現職の公務員とOBの間のバランスの問題、そういうふうなものもあわせながら今後もなおまだいろいろと考えていき、必要があればいろいろとお願いするようなこともあり得るのではなかろうか、こういうふうな気持ちでおります。
  125. 穐山篤

    ○穐山篤君 おいおい具体的な中でさらに考え方を伺っていきたいと思うんです。  次に厚生大臣にお伺いいたします。  今回の特色というのは、それぞれの共済組合年金も国民年金の老齢基礎年金部分に加入してもらう、そういう意味で特色があると思うんです。そのことはよくわかります。私は先日来厚生省、大蔵省に対して資料の要求をしておいたわけです。国民年金、厚生年金は既に法律として成立しました。残るのは政令の部分。それから審議の際に示されたのは五十九年度価格で金額が示された。したがって六十年度価格で六十一年四月からの改正を明示してください、その数字を示してくれ、二つ注文をしました。大蔵省に対しても、この法律を出す以上、政令案を一緒につけて、こういうものでありますから審議をしてちょうだい、これが普通のやり方ですね。まだ資料が届いていないんです。これはどういうわけですか。まずそこからお伺いします。
  126. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 二点にわたろうかと思いますが、一つは国民年金、厚生年金の改正に伴いまして必要な政令事項が幾つかあることについて、政令案のようなものが示せないかということだと思いますが、この点はかなり細部にわたって現在関係省との間で相談も進めております。といいますか、これは法案の御審議中に申し上げる表現として適切かどうかは別といたしまして、共済法の成立を前提にした政令部分もございますので、なかなか関係省との間ですり合わせに入ることさえできないような部分もございます。そういった意味で、まだ私ども自身が厚生省案という形での政令案を持ち得ないでおりますために、その点の御要請にお答えしてない点じゃないかと思っております。  それから、それにもかかわるわけでございますが、具体的に今お話しのように、今回改正の基礎年金の額にいたしましても、五十九年度価格であるということで、実施の予定されております六十一年度の四月からの額としては、実は五十九年度価格の土台になった五十八年の消費者物価と、それからぎりぎりの六十年いっぱい、ことしの十二月いっぱいまでの消費者物価の伸びを見込んだもので四月から実行さしていただくことが法律上もお約束されておるわけでございます。したがいまして、消費者物価の十二月いっぱいまでの率につきましては、実は私ども実務の準備から言いますと少しでも早く見込みも入れてつかみたいんでございますが、所要のデータがまだ現時点では関係省の方からも発表されておりませんものですから、私ども自身が今十二月いっぱいまでの伸び率をつかみ切れないでおる。  そういったことがその二つについて御要請に応ずることができなかった趣旨でございますので、御理解いただきたいと思います。
  127. 門田實

    政府委員(門田實君) この共済年金改正法案に関連いたします政令案でございますが、御案内のように大変大幅な制度改正でございまして、政令内容の方も非常に広範、複雑多岐にわたります。したがいまして、現在片一方でこうやって法案の御審議をいただいておるわけでございますが、またその政令の方の作業も並行して今進めておる、こういう状況でございます。いずれにいたしましても、政令につきましては、国家公務員等共済組合審議会、そういうところでのまた御議論もいろいろございますし、こういう作業のまだ過程でございますので、申しわけないことながらまだお手元にいっておらない、こういう状況でございます。
  128. 穐山篤

    ○穐山篤君 私は、例えば国共審の審議を煩わすとか、そういう手順については十分実務も知っているつもりです。ですから、そうむちゃくちゃなことを言うつもりはありませんけれども、国民年金、厚生年金は既に法律が成立したわけです。あの当時は五十九年度価格というもの以外に示しようがないから、あるいは物の基準としても、五十九年度、こういう考え方でいきますから五万円になりますよ、年収六十万円になりますよということを明示された。これは妥当だと思うんです。しかし法律が成立していよいよ来年四月一日から国民年金、厚生年金は改正が発足するわけです。その際に、何年勤めた人はどれだけの月給だから何歳から幾らもらえますよ、これを明示するのは当然だと思うんですよ。ですから私は、決定は後で結構ですが、政令をつくる考え方、基準というものを資料で出してください、こういうことを言ったわけです。幾らもらえるかわからぬものを審議してくださいというのは、審議を要請する方が少しむちゃじゃないですか。例えば五十九年度価格で月五万円を示した定額単価の基礎給になっております千二百五十円について言えば、こういう考え方で、こういう基準で変わることになると思います、こういうふうに数字を、考え方を明示するのが一番親切なやり方じゃないですか。  今回の共済組合年金の改正が初めての話であるならば、私は多少無理があるなと思うんです。しかし厚生年金と国民年金は改正になったわけですよ。そして前の政令もあるわけです。皆さん方の今準備しようとしている政令もそれぞれ勉強しているわけです。しかし、一番肝心なことは、細かいことは別ですよ、政令にゆだねる事項がまだたくさんあります。私も全部拾い上げてみましたよ。しかし一番肝心な点です。肝心な点というのは、何といってみても五十九年度価格で五万円と言ったわけです。六十年度価格では幾らになるか、私の掛金は幾らに上がるだろうか、最小限度そういうものさえ示さなければ、これはもう改正して半年以上もたっているわけですから、これは不親切じゃないかと思うんです。その点どうですか。
  129. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 確かに基礎年金の額、これは具体的には今お話ございました千二百五十円という単価で決まる額でございますから、四月に成立を認めていただきまして、今まで金額が、六十一年四月からの実施額がわからないのは非常に遅い、怠慢ではないかという御感触をお持ちのことはごもっともだと思うのでございますが、先ほど私申しましたように、これは法律で五十八年度の消費者物価をベースに、ことしの十二月までの消費者物価の伸びを使った率で六十一年四月から年金額を計算するということが明定されておりますものですから、その点、今申しましたように、十二月いっぱいの消費者物価率を今ある程度見込みでつかむかという問題もあるのでございますが、こういうものをあいまいな見込みでつかむことはできませんものですから、その数字を実は今まだ得ていないためでございます。したがって、そういった数字をもとに立案されました共済法の御審議中にもまだその額が出てないということではあるのでございますが、基本的にこの五万円というものを六十一年四月から今言った消費者物価指数で直すということが約束されておりますだけに、数字としてお示ししてないのが実情でございます。  その他の点で基本的に、モデル的に示せるものもあるじゃないかという点、ちょっと私どもが資料の御要請を誤解した点もあったかと思いますので、確かに厚生年金の場合で、何年入った人は幾らぐらいになるという、今の消費者物価の点は別としましても、そういったモデルのものにつきましては、私どもで試算した資料もございますので、できるだけ早い機会に御説明に上がりたいと思いますが、五万円の額につきましては今の事情をぜひ御理解いただきたいと思います。
  130. 穐山篤

    ○穐山篤君 大蔵大臣国家公務員も定年が六十になりました。それから三公社も株式会社が二つになり、国鉄も御案内のような事情ですよ。そうしますと、五十歳以上の方々、あるいは減額支給のことを考えれば四十五歳以上の方々は、来年三月退職金がどうなるだろう、共済組合年金はどういうふうに変わるだろうか、そういうことをみんな考えながら身の振り方を考えているわけです。ある意味では絶好のチャンスかもしれませんね。その場合に、従来ならば通年方式もあるし一般方式もあるし、制度が改正になったといえども、過去一年間俸給の平均で計算し基礎をつくればいいわけですよ。あるいは共済組合に加入し、掛金を掛けておった加入期間がわかれば自分の年金もわかり、生活設計もよくできたわけです。今度の改正案というのは大変革ですから何にもわからぬですね。まず基礎年金を導入した。比例報酬部分というのはどういうことになるだろう。わかっているのは、ただ自分が勤めてきた期間あるいは掛金を掛けてきた加入期間だけ本人がわかっている。それ以外は全くわからないままに法律を議論してくださいという話になっているわけです。大蔵大臣、少しこれは無理じゃないですかね。もう少し丁寧な説明はないでしょうか。
  131. 門田實

    政府委員(門田實君) かつて国家公務員共済の審議会の会長をしてぶられました今井さんから、年金というものは夜寝ていて天井を見ながら額が計算できるのが理想なんだがな、こう言われたことがございます。今回の改正は、制度の改正もございますし、また経過措置がいろいろございますし、確かに先生おっしゃるようにさっとその数字が出てこない、とても天井を見ながら数字が出てこないということで、まことにその辺は遺憾だと思いますが、いろんなケースケースがございますので、そこはモデル的なものを想定いたしまして、それについての数字を御説明するなりあるいはお示しするなり、そういうことで十分ひとつ御理解を賜りたい、かように思うわけでございます。
  132. 穐山篤

    ○穐山篤君 テレビの文句じゃありませんけれども、許せないという気持ちですよ。大蔵省の方は、今回これの改正を出したわけですから、国民年金、厚生年金の政令改正に準拠しながら、公務員独自のものについてはそれに見合うような政令になるわけです。しかし基本というのは、基礎年金にしろ、あるいは比例報酬の形、あり方、計算の方程式、さらには金額の上で、五万円であるとかあるいは千二百五十円という基礎であろうが、あるいは加給年金についても、大したことはないかもしれませんけれども、一万五千円が一万六千円になるのかどうか、年間十八万円の加給年金は二十万円になるのかもしらぬ。そういう期待を持ちながらも数字は全然わからない。ですから、もっと審議をするに当たって親切に資料の提供をしてほしいと思うんです。それは十二月までですから決定的に三%になるか、三・二になるかわかりませんよ。しかしそれは五十九年度の価格掛ける何%であります、物価水準何%であります、あるいはさきの参議院の修正でいくならば、賃金のスライド何%になるかわからぬけれども方程式の中には賃金スライドという項目が乗じて出てくるような方程式を示すということでなければ、こういう審議というのは余り適当じゃないと思うんですよね。隠された部分が全く多過ぎる。厚生年金の方は、これはなれた部分が多いと思いますけれども、今度国家公務員の共済組合の場合には、全くすべての分野について新しいものばかりですよ。  だから、私どもが今回の改正について、別に政府に成りかわるわけではありませんけれども、それぞれの地域で説明しておっても、決定的な話ができない。なぜかというと、先生、私は何カ月勤めて何カ月加入しているんだけれども私は幾らもらえるんですかということについて、私が答えが言えないんですよ。多分こんな程度になるでありましょうというような話ばかりですよ。しかし、それも二年先、三年先の法律の改正なら、私はそれでもいいと思う。もう既に基本になります国民年金と厚生年金はもう変わっているわけです。仮の話をしますと、いつこれが成立するかわかりませんけれども、結果として年が明けることになるでしょう。そうなりますと、いろんな手続を踏むことになると思いますが、自分が幾らになるかという計算ができるのは四月一日以降、これもおぼろげながらしか計算ができない、こういうことになりそうですよね。  時間がありませんから、私はここの部分については申し上げたくないと思いますけれども、ぜひひとつ、御苦労が多いと思いますが、今まで皆さん方が国会に提示しました五十九年度価格、それはこういう計算方式でいきますよというのを全部明示してください。物の考え方だけでいいですよ、二銭一厘まで出してくれというのは無理がありますから。しかし国家公務員共済組合で、厚生年金、国民年金の方の政令を参考にしながら勉強をしなきゃならない政令があるんですよ。調べていきますと数点あるわけですよ。どういうものが出てくるかよくわからないままに今私も勉強しているわけです。古いものを参考にしながら勉強しておりますが、法律が成立してしまいますと、政令というのはわからないうちにみんなお任せ、省令はお任せになってしまうんです。そんなつもりはなかったと思っても、後の何とかでありまして、説明がつかないことがしばしば出てくると思うんです。  そこで大蔵大臣、細かいことを私は言うつもりはありませんが、一つ一つの条文を読みますと、これは政令による、こういうふうに皆書いてあるんです。その物の考え方だけでいいですむ次回私、引き続いて何時間がわかりませんが質問しますけれども、それまでに全部そろえていただきたい。そうしなかったら親切な審議にならぬと思いますよ。  それから、時間がありませんので基礎年金のことに入るわけですが、私ども、本来、現在のこの共済年金というのは、社会保険方式に相互扶助という原則を加えたものでできていることは承知しています。しかし、私どもは、この種の問題は、我が党が主張しております基本年金という考え方に立ってほしい、立つべきだという主張を年来行っているわけです。そこで、どうしても障害になりますのは無年金者ですよ、国民年金、老齢基礎年金部分の方々一七・何%、何百万人。皆年金制度というならば、あるいは女性の年金権の確立というならば、この無年金者の解消あるいは国民年金制度の管理ということがきちっとしていなければ、これはうまくないというふうに思うんです。全員が少なくとも国民年金に加入した上で、そして厚生年金があるとか、あるいは共済年金がある、その上に立って将来一元化を図っていこう、こういうふうに結びつかなきゃならぬわけでしょう。一番の土台のところに無年金者が毎年毎年何百万人もすき間風になっているというのでは、国民年金あるいは基礎年金制度の導入というのは問題ありというふうに言わざるを得ないと思うんですよね。  そこで、この基礎年金の意義の問題と無年金者の解消あるいは管理といいますか、そのことについてお伺いをしておきたいと思います。
  133. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 私ども先生が今おっしゃった中で、いわゆる税方式を導入した基本年金構想をなぜとらなかったかという点につきましては、何度か申し上げておりますように、我が国の公的年金というものは社会保険方式を土台に今後とも進めざるを得ないという判断をしたことが前提でございますが、それは一つの前提といたしまして、先生今御指摘のように、無年金者と申しますか、滞納なり、言葉は悪うございますが、いわゆる年金業務の中に入ってこない方を残したまま、幾ら基礎年金部分の土台が固められたと言っても実効が上がらないではないかという点につきましては、特に制度面から申し上げますと、今回の改正でも、外国に在住していたために期間にすき間ができるような人について資格期間を算入すり方法とか、それから、これは五年間を限ってでございますが、国民年金の原則は六十歳までの制度なんでございますけれども、六十五歳に達する間、新しい意味での任意加入を認めるといったような制度的な対応も一つ加えさせていただいております。  それからまた、この問題は、実は所得がないために、あるいは所得が低いためにどうも保険料が納められない、それが免除という手続になっていないために滞納扱いになって無年金になるということでは申しわけございませんものですから、免除についての制度そのもののPRといったことも、これはこれまでもやってきたことでございますが、これからの仕事になっております。  それから、やや制度面にもわたるのでございますが、現在、国民年金の保険料は、御案内かと思いますが、三月分を一遍に納めるということでございますので、現行の保険料でも、夫婦三月分をまとめて払うとなるとかなり負担感が高いということもございまして、できれば、スケジュールを決めて毎月納付の道も講じていきたい。  そういうことを含めまして、先生お話しのように、基礎年金の導入を今回改革の大きな主眼とする以上、これを間違いなく運用していくことがこれからの厚生省なり社会保険庁に課せられた大きな任務と考えまして、文字どおり総力を挙げてこの問題に取り組もうということで努力しているつもりでおるわけでございます。
  134. 穐山篤

    ○穐山篤君 時間が来ましたので、きょうはこれでやめておきますが、さっきも言いましたように、政令の基準、考え方ですね。大蔵大臣、今回、比例報酬という点が導入されるわけですね。しかし、それも政令で決めるとなっておって、何が政令の中に入るやら入らぬやら全くわからない。そういう資料を次回全部出してもらう。これをお約束してもらいたい。
  135. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今御要求の資料につきましては、一定の前提を置いて、あるいはモデル計算というようなことになろうかと思いますが、可能な限り御説明ができるような努力をいたします。
  136. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは最初に、きのう十二日に会計検査院が検査報告を出されました。その中に厚生年金及び国民年金のことに関する問題点が指摘されておりましたけれども、その概要について御報告を願えませんか。
  137. 小川光吉

    説明員(小川光吉君) 老齢化社会を迎えまして年金受給者が増大しているというような現下の状況にかんがみまして、厚生年金及び国民年金のうちの社会保険庁から直接払われている部分、この部分についてことし検査したものでございます。  その結果でございますが、態様二つございまして、一つの態様といたしましては、死亡届の届け出義務者が、所定の期限があるわけですけれども、その期限内に提出しない、認識が乏しい、あるいは届け出書の届けが多少繁雑であったりしていること、あるいは市町村なり社会保険事務所で届け出書を受理しました後、進達が迅速に行われていないとか、それから死亡の情報を庁で入手しました後支払いを留保するような措置がとられていない、そういうようなことがございました。そういうことのために今年度七千万円ほどが過大に支払われていたというものでございます。  それから、もう一つの態様でございますけれども、年金の受給権者が年一回誕生月に自分の現況を届けるわけでございますが、届けない場合は支給が差しとめられております。この支給が差しとめられた者の中にはかなり死亡している者が多いということでございますが、その差しとめについての調査が十分行われていない面もあるということでございました。このために、このことにおきまして一億一千四百万円ほどが過払い等になっていたままあったというものでございます。  したがいまして、このような今申し上げましたような期限内届け出の励行でありますとか、それから届け出に当たっての負担の軽減でありますとか、支払い留保措置をとっていただくとか、あるいは差しとめ者についての調査の徹底を図っていただくとか、そういうことをとっていただきまして、受給権が消滅した者に対して年金が支払われることがないようにということで、院法に基づきまして処置を要求いたしましたものでございます。
  138. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 調査は厚生年金及び国民年金に関する点でございますけれども、いずれにしましても、いろいろと報道されますと年金の信頼性というのを損なうことになりますので、厚生省としても、この報告に対しましていろいろと検討され、対応を進められると思いますが、その点について大臣から所見をいただきたいと思います。
  139. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 今回、年金受給者につきまして、死亡した者に対しても支払っていたということは、検査院の御指摘を受けて大変遺憾に思っておるわけでございまして、従来からこのような事態が生じないように努力いたしておるわけでございますけれども、今後さらにその努力を積み重ねなければならないと存じます。  詳細につきましては政府委員から説明いたします。
  140. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) お答えを申し上げます。  現在、私どもの厚生年金、国民年金の支払いは、コンピューターシステムでやっておるわけでございますが、受給者の方の預金口座に振り込むわけでございます。これが大体一月前ぐらいに、今お話がありました死亡届け等の状況を全部整理いたしまして、それから振り込むわけでございますが、どうしても一月ぐらいの差が出てしまうということがございます。  死亡届けの現状でございますが、現実には私どもは、十日または十四日、厚生年金と国民年金と違うのでございますが、届けを出していただくようにお願いをしておりますけれども、現実問題といたしましては相当におくれるケースが多うございまして、それからまたお届けをいただけないケースも二割程度実はございます。したがいまして、年に一回、これは誕生日の月に現況届けというのを出していただきまして、受給者がお元気でいらっしゃるかどうかということを確認させていただくわけでございますが、例えば死亡の届け出がなかった方が十月の誕生日で、十一月にお亡くなりになったというケースがございますと、実は私の方ではほぼ一年ぐらいその事実が確認できないということになるわけでございます。それが今御指摘があったいわゆる過払いということが起こる原因でございます。  私どもといたしましては、まず届け出の励行をお願いいたしたいということでございまして、お亡くなりになったときに届け出をお願いするのは大変難しい点もあるのでございますが、受給者の方また遺族の方にその点はお願いをいたしたいと思っております。  それからもちろん、私どもの方での内部の事務処理がおくれた、この点は大変申しわけないことでございまして、迅速に処理するようにいたしたいと思います。  それから、いろいろなほかの情報を総合的に勘案いたしまして、ただいま申し上げました現況届け以外の方法を勘案いたしまして、そういった死亡の事実がつかめ得るのではないかということも検討させていただきたいと思いますが、これは六十歳以上の方に限定いたしましても、亡くなられますのが年間六十万人ぐらいおありになると思います。私どもの受給者は、厚生年金、国民年金を合わしまして全受給者で大体千数百万という人数になっておりますので、こういった膨大な数になりますので、突合をどういうふうにやっていくかということはなかなか難しい面がございます。効率的にかつ費用が相当かからないような形でやらざるを得ないわけでございますので、この点は重重工夫をさせていただきたいと思います。  また、こういった過払いができました場合には、例えば遺族の方が遺族年金をお受けになるという場合は、年金の中で調整をさせていただくということで過払いを収納するという方の努力もいたしておりますし、また遺族年金をお受けにならない方については、普通の債権という形で収納するようにできる限り努めさしていただきたいというふうに思っております。
  141. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしましても、対応を研究していただきたいと思います。  さて、この共済組合法の一部を改正する法律案に入りますけれども、今穐山委員の方からいろいろと御指摘がありましたけれども、今回の改正は、いろんな点から見ましても共済年金制度の今まで例を見ないような抜本的な改正ということになりますので、これからいろんな問題点も出てこようと思います。いろんな点で国民の皆さん方の、あるいは公務員皆さん方の理解と納得を得られるように進めていただきたいと思うわけです。  この共済年金に今度基礎年金を導入しようということでございますけれども、この基礎年金のことにつきましては、私たちの党も、かねてから二階建て年金ということで主張いたしておりました。この基礎年金は国民年金の基礎年金と全く同じものでございますので、国民年金法の審議のときにも、我が党としましても、この基礎年金につきましては、例えば四十年加入で五万円では低過ぎるじゃないかとか、いろんなそういう問題点も指摘してきたところでございますけれども、今回、これら私たち指摘してきました諸問題につきまして、まだ年金法が成立して間もないこともあると思いますけれども、これにほとんどこたえることなくて、国民年金法の基礎年金をそのまま共済年金法に導入しているということでございます。そのときの国会で指摘しました諸問題にはどのように対処される所存でございますか。
  142. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 国会で御指摘をいただきました事項につきましては、基礎年金の水準とその費用の負担のあり方であると考えております。  水準につきましては、老後生活の基本的な部分を保障するものとして設定したものでありまして、保険料負担のバランスを考慮すると妥当な水準ではないかと考えておるわけでございます。  また、その費用負担の方法につきましては、既に我が国に定着しております社会保険方式を引き続き維持することが妥当であると考えます。  この基礎年金の問題について、前国会における国民年金法の附則修正あるいは国会における基礎年金についての種々の議論の趣旨を踏まえ、今後も十分検討を行ってまいりたいと考えております。
  143. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回のこの改正案につきましては、国家公務員等共済組合審議会からは「基礎年金制度の実施に当っては、非被用者グループの管理を厳格に行なう等、将来的に見て被用者グループに負担が転嫁されることのないよう、特に留意すべきである。」、こういう意見も出されておりますけれども、一方では新聞報道等あるいは調査の結果等見ますと、国民年金加入者の一七・四%に当たる三百十八万人が保険料の納付を免除されている、こういうことでございますが、この基礎年金の今後の運用について、これらの指摘とか、あるいは国民年金の免除などについて留意していくことが必要じゃないかと思うんです。その点についてどのようにお考えですか。
  144. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 基礎年金の運用と申しますか、特に保険料を拠出して、今後適切にこれをいただいていくための措置につきましては、先ほども申し上げましたように、今後の私どもの直接の年金行政の大きな課題と考えておるわけでございます。  実は、基礎年金運用につきましては、もちろん前国会でそれ自体もいろんな御議論をいただいたと同時に、例えば今回の国家公務員共済法案の関係審議会の審議過程でも、非被用者と申しますか、国民年金の加入者あるいはその家族の方の管理と申しますか、年金行政上の把握をしっかりしないと何か結果的に被用者グループ、サラリーマングループの方に負担が移ってしまうんじゃないかという御懸念から、この問題は今後とも厳格な行政をぜひ期待するという強い御指摘があったことを理解しております。  私ども、基礎年金制度そのものが、全国民と申しますか、新しく広げられました国民年金加入者に、サラリーマンも含めまして、全年金加入者に公平に負担していただくという制度でございますから、いろんな意味でこれを的確にやっていくことが今回の改革の現実の一番大切な土台づくりであるということは十分認識しておるつもりでございます。  それからこの問題は、また実は単に自営業あるいはそれに類するグループの方の負担とサラリーマングループの負担の問題だけでなくて、そういう管理がしっかりできないためにその大御自身の老後の年金が保障されないという大問題でもあるわけでございますので、先ほど来申しておりますように、厚生省、社会保険庁挙げての課題ということで取り組んでおるつもりでございます。  特に、その中でも国民年金に免除という制度があることは、私ども非常に適切な制度だと思うのでございますが、どうもその免除名が、今お示ししたような数字、全国平均でもそういう数字になってくる、あるいは先生の御指摘のように、さらに滞納のようなケースがふえた場合に、どうしても全体の運営がおかしくなってくるんじゃないかということでございまして、この点は、今申しました御本人の老後保障という観点からも私どもいろんな手を加えて、あるいは一部今回の改正でお認めいただいた制度上の無年金者対策も含めて、全被保険者に保険料を的確に負担していただけるように努力していきたいと考えております。  免除者の動向そのものは、私どもの見方では、絶対数においてはそれほど今後急激にふえるとは見てないのでございますが、問題は、地域の都市化その他に応じて的確に該当者に年金行政のアンテナと申しますか、つながりが届いているかどうかということに十分気をつけて、それによって基礎年金自体の信頼が確保されるように努力していきたいと思っておるところでございます。
  145. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回の共済組合法の改正も公的年金制度の改革についての閣議決定に基づいてされておるわけでございますけれども、同僚委員のいろんな議論を聞いておりましても、七十年を目途にした公的年金制度の一元化ということは結論として出ておりますが、その間のそこに至るプロセスというものがいまだに明確にされていないということを感ずるわけです。その点について再度御答弁いただけますか。
  146. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 一元化のプロセスにつきまして申し上げますと、今回の年金改革におきましても、年金の長期的安定の基盤づくりをするという趣旨から、基礎年金を導入するとともに給付と負担の適正化を図っておるわけでございまして、これも一つの一元化に至るプロセスであろうかと思います。その結果、将来にわたって給付と負担の見通しはある程度方向が示されたものと考えるわけでございまして、今後の一元化の具体的な構想を明らかにすべきであるという御意見もございますけれども、今回の年金改革におきましては、基礎年金部分においては公的年金が一元化されたと考えてよろしいのではないかと思います。さらに基礎年金の上のいわゆる二階部分につきましても、被用者年金間においては、将来に向けて給付面での整合性はほぼとれることとなるものと考えておるわけでございまして、そのような方向づけのもとに、今後はどういう調整を図る必要があるかについても、各制度関係者の意見も踏まえながら政府部内で議論を尽くさなければならないと考えておるわけでございます。そうした議論を尽くした上で、関係者の理解と国民的な合意を得た上でなければ具体的な構想を示すことは今後の問題としてはできないという点、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今いろいろとお話がございました。この制度間調整を進めるということですが、これからのお話し合いということになるということでございますけれども、現状で、この負担についてどういうようなところにどのような格差があるのか、これを今後どのように調整を図ろうとしているのか、その点厚生省と大蔵省のお考えはどうですか。
  148. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) この点、ただいま厚生大臣が御答弁申しましたように、私ども、二階部分を含めまして、将来に向かって給付面での基盤はその整合性がほぼとれたという理解はしております。ただ、もちろんこれは事務的なレベルも含めてでございますが、しかし各制度間にはなお給付面を含めまして支給の要件その他に細かい点では違いがございます。職域年金の扱いそのものは、これは私も何度か申し上げたつもりでございますが、それ自身が違い、だから解消しなければならないという議論ではないかと思いますが、実はそういった問題とはややレベルは低いかもしれませんが、給付の要件についての違いのあることは事実でございます、そのすべてを調整し尽くすかどうかは別問題でございますが。  それから負担の面という意味だけを取り上げましては、これはまた、先ほど議論もございましたように、いろいろな制度の沿革なり成熟度の問題もございますが、制度ごとに掛金が違うという点があるわけでございます。そういった意味で、今後負担が中心になるかと思いますが、給付の面もあわせて制度間調整を進めなければならないのではないかというのが現時点での私どもの態度なんでございます。しかし具体的にどういう点を調整の対象とし、またどういう点はこれは違いがあってもいいんだということについては、実は関係者間にもいろいろな御議論といいますか、受け取り方があるわけでございます。  共済各制度につきましても、後ほど御答弁があろうかと思いますが、それぞれの役割なり沿革がありまして、それをできるだけ生かすべきではないかということが関係者の御要請であろうと思いますので、そういった御意見もよく私ども踏まえながら、まず政府部内で議論を尽くす、ある程度議論を尽くした上で、ある段階では国民の皆さんに御提起といいますか、投げかけるというような形でのお示しをする、そういう手順になるんではないかと一応考えている次第でございます。
  149. 門田實

    政府委員(門田實君) 数字を含めてお尋ねがございました点お答えいたしますと、制度が違うわけでございますが、今保険料はどうなっておるかと申しますと、厚生年金の場合には対標準報酬で六・二%というものでございます。共済の方は本俸ベースでございますから、これを標準報酬ベースに換算し直しますと、国家公務員共済一般の場合でございますが、五・七〇になります。地方公務員共済は五・五二ど、こういう換算数値になります。こういった負担の水準の相違は成熟度等が違うということから生ずるわけでございますが、これを今後どういうふうにしていくのかというのが今後七十年にかけましての大きな課題でありまして、そこは今後具体的に詰めていかざるを得ない、こういうふうに考えております。
  150. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 さらにこの閣議決定を見ますと、「これらの進展に対応して年金現薬業務の一元化等の整備を推進するもの」ということが書いてございますけれども、現在年金現業業務は、国民年金や厚生年金については社会保険庁でやっておりますし、国家公務員につきましては国家公務員等共済組合連合会、NTTとかたばこ産業、国鉄につきましては、それぞれの共済組合が独内で現業業務をしているわけでございますから、この閣議決定趣旨から見ると、これらの現業業務の一元化をしようというのは、これもしていこうということでございますけれども、どういう手順で実施するというのか、そういうようなプログラムはあるんですか。
  151. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) お答えを申し上げます。  年金の業務でございますが、これは、その前提となります各年金制度の改革がどういうような方向になっていくのかということが前提になっていくのではないかと思います。年金の業務と申しますと、被保険者の把握、それから保険料の徴収、それから被保険者の方の記録の管理がございます。それから年金をお受けになる場合の裁定請求、支払い、こういった一連の仕事があるわけでございますが、現在社会保険庁では、厚生年金と国民年金の方々につきまして今の仕事を一括やっておるわけでございます。  今回、基礎年金が各共済組合も共通いたしまして導入された場合におきましては、基礎年金は国民年金の給付でございますので、社会保険庁はその部分はある意味で統一的にやらさしていただくということになるかと思います。しかし、今申し上げました被保険者の記録の管理、それから裁定の場合の記録の確認といったようなものを考えますと、これは受給者の方、被保険者の方の利便からいいますと、各共済組合にいろいろな意味で御協力をいただくということが現実的であり、かつ便利であるという面もございます。そういう意味では、ある部分の一部を共済組合にお願いするということを前提として考えておるわけでございます。  長期的に見ましては、今申し上げましたように、次の年金改革というものがどういうような形になっていくのかということを踏まえまして、その被保険者の方、受給者の方の便利というものを十分考えました上で、今先生お話しの一元化ということを検討していきたいと思っております。
  152. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほどから、改正の一つのねらいとしましては、給付と負担の適正化ということが挙げられているわけでございますけれども、給付水準の現状はどうなっているか、あるいは現行制度がそのまま継続すれば将来の給付水準がどのように推移していくのか、あるいは改正案によればどう変化するのか、またそれに伴って負担の方はどう変わっていくのか。その点の大蔵省の考えはどうですか。
  153. 門田實

    政府委員(門田實君) ただいまのお尋ねは具体的な給付水準と負担水準でございましたが、まず給付水準について申し上げますと、現行の場合ですが、五十八年度の新規裁定の退職年金の平均では月額は十九万二千円となっておりますが、この場合の平均組合員期間は三十五年でございます。今後、勤務期間が延長等いたしましておおむね四十年程度になると想定されるわけでございますが、その場合にはこの額は、現行のままいきますと二十一万六千円という額になります。これに対しまして改正案では、制度完成時に、妻の基礎年金も含めまして世帯としての年金が月額十九万四千円程度になると、こういうことでございまして、現行に比較しておおむね一〇%程度のレベルダウンということでございます。ただし、その間激変緩和のための経過措置が講ぜられておるところでございます。  一方、負担水準の方でございますが、現在は本人の掛金率が対本俸で七・一二%でございます。月収ベースで申しますと約五・七%でございますが、現在のままずっと将来にいきますと約一九・五%という大変な本人負担になるというふうに予測されておるわけでございます。これに対しまして、改正案ではこの水準を抑えまして、ピーク時の負担が月収の約一四・八%程度、六十歳支給開始年齢ということを前提にいたしましてその程度の水準になると、こういうことが想定されております。
  154. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、国家公務員の方は現在本俸の七・一二%、それに国鉄共済救済分として〇・五三%、合わせて七・六五%の掛金を払っておりますけれども、この標準報酬制というものを導入することになりますと、本俸だけでなくて、諸手当込みを基準にして掛金を支払うことになるわけでございますけれども、この法律が成立してスタートする六十一年四月時点では掛金率はどのようになり、将来どのように変化していくと考えてみえるのか。またNTTあるいは日本たばこ産業株式会社の職員についての掛金率及び国鉄職員についてはどうなっていくと予測されていますか。
  155. 門田實

    政府委員(門田實君) お話しのように、一般国家公務員の掛金率でございますが、これは現在本俸に対しまして千分の七十一・二、このほかに国鉄共済への援助分として千分の五・三、こういう負担があるわけでございます。これが、現行制度を前提にいたしますと、対本俸で申し上げますと、昭和七十年度千分の百九、それから昭和八十年度千分の百四十七、昭和九十年度千分の二百四十二と、こういう大きな数字になるわけでございます。  それからNTT、たばこ産業、国鉄の掛金率でございますが、これは現在それぞれ違っておりまして、対本俸でNTTは千分の六十六、たばこ産業は千分の八十一・五、国鉄は千分の百二と、こういうことになっております。  将来の収支見通しについては現在作業中でございます。
  156. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国鉄共済につきましては、ことしの四月から国家公務員あるいはNTT、たばこ産業の職員で財政調整を実施しているわけでございますが、これが六十四年度までとなっていますね。その財政調整計画による交付金の額というのは一年間五百四十億円程度だと思うんですけれども、この財政調整計画の現状はどうか。あるいは六十五年度以降の国鉄の不足類はどの程度と推定されていますか。
  157. 門田實

    政府委員(門田實君) お尋ねの国鉄共済の状況でございますが、現在、財政調整五カ年計画というものを六十年度から六十四年度までの五カ年間についていたしておるわけでございまして、その間は毎年平均約四百五十億円というものを国家公務員、電信電話、たばこ産業の三共済から援助していく、こういうことにいたしております。ただ、今回の国鉄再建監理委員会「意見」による再建計画、こういうことがございまして、これが具体化され、仮にそこで言われておるようなペースで進むといたしますと、この財調計画の間におきましても、さらに一年につき七百億円ないし八百億円の不足が生ずる、こういうことが見込まれております。  六十五年度以降につきましてどうかということでございますが、これについてはまだきちんとした数字が出ておりません。財調計画を策定した際に六十五年度以降は一年平均三千億円ぐらいの不足になるであろうと、こういう見込みをしたということはございます。
  158. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 既に、五カ年計画というのは国鉄再建の要員問題と絡んで手直しが必要になってきているんじゃないかと思うんですけれども政府の衆議院段階における統一見解を見ましても、六十四年度までは国鉄の自助努力、それから国の負担を含めて支払いに支障のないようにする、こういうことで言っております。また六十五年度以降分につきましてはその後速やかに対策を講じ、支払いの維持ができるように措置すると、こうなっておりますけれども、「国鉄の自助努力」とはどういうものかということはきのう大蔵大臣もお話をされておりましたけれども、六十五年度以降分についてはどういう対策をどこが中心になって検討を進めようとされているんでしょうか。
  159. 門田實

    政府委員(門田實君) 六十五年度以降についてのお尋ねでございますが、これをどうするかという点につきましては、先ほどの統一見解におきましても、国鉄共済年金の支払いの維持ができるよう措置していくということがうたわれておるわけでございます。政府といたしましては、国鉄共済問題につきまして責任を持って検討できる場を設けて、そこできちんとした検討、対応をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  160. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 なかなかはっきりしない答弁ですが、国鉄の救済につきましては同僚の委員からもいろいろとお話がございましたし、私たちもこれは真剣に考えていかなければならないと思っておりますけれども、厚生年金やあるいは地方公務員の方から援助ということも、これはなかなか抵抗があって難しいという面もあるんじゃないかと思うんです。しかも国鉄職員皆さん方も、掛金率につきましてはもうそろそろ限界に達しているんじゃないかという思いもするわけです。これからいろいろと検討も加えられてくると思いますけれども国鉄共済年金救済については幾つかの選択すべき道があるんじゃないかと思うんですが、現時点で考えられるものとしてはどのようなものがあると、大蔵省としては考えているんでしょうか。
  161. 門田實

    政府委員(門田實君) 国鉄共済年金の救済のあり方、その対応ということになりますと、なかなか事柄が微妙になってまいりますが、今までの議論を集約いたしますと、大ざっぱに言って三つぐらいの考え方になるのではないか。  これは全く理論的な面からの考えでございますが、第一は国鉄共済を単独で運営していく、その不足分は国鉄共済の自助努力等で処理していく。これは従来の共済制度制度がそれぞれ独立に存在しているんだというような考え方を徹底しますとこういう考え方になるんだろうと思います。  第二は、国鉄共済が単独で運営することは不可能であるから保険集団の拡大を図るべきだと、こういう考え方があろうかと思います。この中には国共済との統合あるいは共済全体の統合、厚生年金との統合、全被用者年金の統合等そこはいろんな考え方があるんだろうと思います。  第三は、国鉄共済は単独運営のままで存在しますけれども、その年金財政上の不足分につきましては国鉄共済の自助努力と他制度からの財政調整で円滑にやっていこう、こういう考え方。この中にも財政調整の範囲でありますとかやり方でありますとか、また個別にはいろんな問題、どこまで広げるのかという問題が同様にあるわけでございますが、今までの議論をまとめますと、大体以上のような三つになるんではないか。  いずれにしましても、こういった考え方が今後いろんな角度から検討されていくんであろうと、こういうふうに思っております。
  162. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 年金制度の改革に当たりましては国民の理解と協力を得なければならないが、最初に申し上げましたように、何よりも公的年金に対する信頼性を確保しなければならないんじゃないかと思うんですが、政府はせっかく国鉄共済年金について統一見解を発表してきているわけですし、六十一年末までに国鉄共済組合の年金給付が将来にわたって安定的に行えるような方途を明らかにする旨条文をもって定めて、国鉄共済年金受給者に安心してもらえるような措置をとることが必要じゃないかと思うんですが、その点、大蔵大臣どのようにお考えですか。
  163. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 国鉄共済年金に対します今後の対策につきましては、おっしゃるように統一見解を取りまとめて、この方針のもとに今後検討の場を設けて、政府として責任を持って検討を進めることとしておるところでありますので、そのための法的措置までは必要はないではないかというふうに考えております。
  164. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それから、いろいろと先ほどから国鉄のことについて話がありましたけれども、この改正案によって国鉄職員についても基礎年金を導入して、この基礎年金につきましては国鉄自体も三分の一負担すると、このようになっておりますけれども国鉄財政の現状あるいは国鉄共済年金の財政の現状に至ったいろんな経緯、これは前前からもこの委員会でも議論されておりますけれども、そういう点から配慮いたしますと、当面この基礎年金に対する国鉄の負担する部分については、これは国が当然肩がわりして負担する措置を考慮すべきだと、このように考えますけれども、この点大蔵省どうですか。
  165. 門田實

    政府委員(門田實君) ただいま先生おっしゃいましたのは、いわゆる公経済負担の部分の議論だと思います。旧電電、それから専売に係ります公経済負担、いわゆる国庫負担当分というものにつきましては、これまでは旧公社が公経済の主体でありますから負担をしてまいったわけでございますが、経営形態が民営化され、新事業体に公経済性がなくなったということに伴いまして、公経済負担につきましては、昭和六十年度以降この旧二分社につきましては国が負担する、こういうことに変わってきておるわけでございます。  お尋ねの国鉄の公経済負担についてでございますが、これも今後民営化していくということでございますれば、今申し上げました二つの先例もあるわけでございまして、そういう形でお尋ねの件は処理されていくことになるだろう、こういうふうに思います。つまり公共企業体として公経済の主体である間はこれは公経済負担はやむを得ないと思いますが、これが民営化した暁にはこれは国の方で負担する、こういうことになりましょうと思うわけでございます。
  166. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次は公務員制度との関連について質問します。  この共済組合法の第一条を見ますと、公務員等の共済年金は公的年金としての性格を持つと同時に公務員制度の一環としての性格を持っている、このようになっているわけです。今回の改正案ではこの点にも配慮して職域年金部分も設計しておりますけれども公務員制度の一環でもあるし、しかも共済年金制度の抜本的な改正なのですから、先ほどから申しておりますように、国民のあるいは公務員皆さん方の理解と協力を得るようにしなければスムーズな運用というのは難しいんじゃないかと思うんですが、今回の改正案作成に当たりましてこの点についてどのような配慮をされましたか。
  167. 門田實

    政府委員(門田實君) 今回の改正案の提出に当たりましては、国家公務員共済組合法の規定するところに基づきまして、組合員の代表者も参加いたしております国家公務員等共済組合審議会というのがございますが、そこにおきましてかなり詳細に議論をいたしました。改正案につきましてフリートーキング形式による議論も含めて十一回御審議をいただいております。またその間ほかの議題を諮りました際にも、この基本改正につきましていろんな御審議をいただいたということがございました。そして本年の四月八日に答申をいただいたわけでございます。  それからもう一つ社会保障制度審議会というのがございまして、そこにも諮問を行いまして、これも四回にわたる御熱心な御審議をいただきまして、四月の十日に答申をいただいたわけでございます。  その後また、御指摘ございますように、今回の改正は共済年金の制度として抜本的な改正でございますので、私どもが直接、あるいは国家公務員等の連合会というのがございますが、あるいはそこを通じて共済組合員を初めとする関係者に対していろんな広報手段を通じまして周知に努めているところでございますが、お話しのように、いずれにしましても、これは国民全体の理解と御納得をいただく必要があるということで、今後ともそういう心構えで対処いたしたいと思います。
  168. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国家公務員法の百七条及び万八条には公務員退職年金制度が規定されておりまして、人事院公務員の年金制度について意見の申し出権を持っているということでございますが、今回の共済年金改正に当たりましてはどのような措置をとられたのか。  それからこの改正案によりますと、職域年金部分は報酬比例部分の二〇%の水準と、こうなっていますけれども、この二〇%の水準については民間の企業年金やあるいは組合員の負担の限界などを考慮して決められたんじゃないかと思うんです。この水準に関しては、今後とも人事院が調査して意見を具申するとか勧告するなり、そういうしかるべき措置をとるべきじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  169. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) 国家公務員法百七条あるいは百八条との関係につきましては、先ほども総裁から御答弁を申し上げておるわけでございますが、国家公務員法に規定がございます。ように、共済組合法は公務員制度の一環であるという見方を持っておるわけでございまして、今回の改正が非常に抜本的な改正でございますために、我我も従来から折に触れて意見を申し上げてまいったわけでございます。  特に、ことしの一月でございますけれども給与局長名をもちまして主計局長あてに意見を申し上げでございます。その意見の概要は、まず今回の改正につきましては、公的年金の水準の調整の問題でございますとか、あるいは高齢化社会を迎えましての年金財政の均衡を保つというようなことから改正自体はやむを得ない、しかしながら公務員制度の一環としての機能を維持いたしますために、特に職域年金部分を中心にいたしまして配慮をお願いしたいと、こういう意見を申し上げてきたわけであります。  今後のこの職域年金部分についての我々の勉強の仕方でありますけれども、今申し上げましたように、公務員制度としての一環を持っておりますので、私どももこの部分につきましては、これからの民間企業におきますいわゆる企業年金の動向でございますとか、あるいは退職した公務員の生活実態、こういうものを踏まえながら研究を進めてまいりたい、かように考えております。
  170. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次は既裁定者に対する措置についてお尋ねいたします。  今回の法案によりますと、年金の増額につきましては物価の上昇による自動改定が第七十二条の二で規定されておりますし、第一条の二では年金額改定の基本を規定しているわけです。第一条の二の年金の改定の基本を見ますと、「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講じられなければならない。」、このようにしておりますけれども、厚生年金の場合と同じように、賃金に著しい変動が生じた場合にも速やかに年金額改定の措置をとられるように規定すべきじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  171. 門田實

    政府委員(門田實君) 御指摘のように、年金額の改正につきましては、改正案では、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合に改定措置を講すべき旨を規定しておるわけでございます。  私どもは、これは幅広い意味合いの規定でございまして、賃金に著しい変動が生じた場合にもこの規定に該当するものと、こういうふうに考えておりまして、実際の対応上は支障がないというふうに考えておりますが、ただいまの御意見あるいは衆議院で附帯決議等ございましたそういった趣旨も踏まえまして対処していきたいと考えております。
  172. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また、今回のこの案に。よりますと、公務員の共済年金にも加給年金という厚生年金と同じような給付が導入されるわけですけれども、しかし既に年金の支給を受けている既裁定者についてはこの加給年金が及ばないことになっています。通年方式によって計算されている退職年金やあるいは今後通年方式に裁定がえする者についてはこの加給年金を支給することはできないでしょうか。その点どうでしょうか。
  173. 門田實

    政府委員(門田實君) 加給年金のお話でございますが、既裁定年金の年金額につきまして今回の改正で、従前額は保障いたしますが、通年方式に裁定がえを行うこととしております。これは現役の組合員とそれから既に退職した人とのバランスを考慮しながら年金財政を維持し、給付水準の適正化を図ろうという趣旨によるものでございまして、今回のこういった制度改正の趣旨からいたしますと、既裁定年金につきましてそれぞれの公的年金制度間の部分的相違、つまり厚生年金と共済年金がこれまでの歴史、沿革がございまして制度の仕組みも違いまして、そこにある程度の相違があるわけでございますが、有利、不利が生じておるその中で、不利な部分だけを調整するということはどうもそういったバランス上適当でないのではないかと、こういうふうに考えております。したがいまして、御意見のございました既裁定年金についても厚生年金に合わせて加給年金を支給してはどうかと、こういうお話でございますが、そこのところは制度上の相違が若干残るということで、それは困難であるということを御理解願いたいと存じます。
  174. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この加給年金を支給しないことによりまして厚生年金の水準を下回る共済年金受給者が出てこないかという心配を私はしているわけですが、今回共済年金を厚生年金に準ずる方式に改めることによりまして、従前の受給要件または給付水準が厚生年金より不利になっていた者については少なくとも厚生年金並みに引き上げる必要があると思うんですが、その点はどうでしょうか。
  175. 門田實

    政府委員(門田實君) お話のございました共済年金と厚生年金との年金額の比較でございますが、制度が違いましてなかなか一概に比較することは難しいのでございますが、おおむね勤続三十二、三年くらいまでは厚生年金が有利で、それ以上の期間を有する場合には共済年金が有利である、こういうふうに考えられております。共済年金の平均的な組合員期間は三十五年程度ということでございまして、厚生年金を下回るケースは少ないものというふうに私ども考えております。  お尋ねのこういった厚生年金に比して不利な年金者がいる場合にこれを見直すべきではないかと、こういうことでございますが、先ほども申し上げましたように、両制度の経緯、沿革等の違いもございまして、その算定の中で、例えば基礎給与のとり方でございますとか、年金額計算方式でございますとか、あるいは支給開始年齢でありますとか、さまざまに相違があったわけでございますので、今回こういう改正の機会にそういった人をむしろ引き上げてはどうかと、こういうせっかくの御意見なんでございますけれども、今回の改正の趣旨、給付水準の適正化という趣旨、あるいは既裁定者の通年方式という形で、厚生年金と全く同じではない制度になるわけでございまして、そういった部分的な相違はやむを得ざるところであると、こういうふうに考えております。
  176. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回、既裁定年金についての従前額は保障することになっていますけれども、六十一年四月から通年方式に裁定がえとなって、その裁定がえにされた通年方式の額というのは物価等によって増額されるとなっていますけれども、いずれにしても、従前額に達しなければ六十一年度の支給はないわけです。一定期間は従前額についても物価指数分は引き上げるべきだと、こう考えますけれども、その点どうでしょうか。
  177. 門田實

    政府委員(門田實君) 既裁定年金につきまして、通年方式に裁定がえいたしましたその場合に、従前額は保障するのでありますが、新しい方式で計算した額がその額に達するまではスライドを停止すると、こういうことをいたしておるわけでございます。  これはどうしてかということなんでございますが、今後の高齢化社会の到来ということを考えますと、退職した世代と若い世代、現役の世代とのバランスを図ることがどうしても必要でございまして、今の若い世代は今後どうしても掛金がどんどん上がらざるを得ないと、こういう状況にあるわけでございます。そういう中で、そういった若い世代がどうしても手に入れることのできない部分、それがいわば今申し上げました新方式の算定額を超える部分でございまして、年金制度が何十年という長い期間にわたる制度であり、安定して年金支給が行われなくてはならないということ、また若い世代の今後の負担ということを考えました場合に、従前額は保障いたしますが、そこのところはしばらくスライド停止ということで退職した世代にも御辛抱いただく、こういう方法を御理解いただきたいと、かように思うわけでございます。
  178. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 例えば来年三月三十一日で退職年金の受給資格を得ている人は、その時点で現行方式で年金額を計算して、そして最終退職時に今回の新制度で計算して、どちらか高い方を支給すると、こういうことになっておりますけれども、三月時点のいわゆる従前額保障というのは、最終退職時までは少なくとも数年あるわけですから、これを物価スライドさして最終退職時点でどちらが高いか、それを見るべきじゃないかと私たちは主張しているわけですが、この従前額保障の物価スライド、この点についてもう一度御答弁願いたいと思います。
  179. 門田實

    政府委員(門田實君) 今お話のありましたのは、既裁定者の話と同時に、現役の人につきまして来年、再来年、今後数年後に退職するという人につきましてみなし従前額ということをやっておりまして、来年の三月末でもって一たんその人の年金額を計算していく、そうしてその年金額はその人が来年、再来年やめます場合に新方式による計算がその額を下回りましても来年の三月三十一日の額は保障していく、この部分の話も含めてのお話かなということも今感じたわけでございますが、いずれにいたしましても、公的年金制度が世代間の、何といいますか、相互負担、相互支え合い、こういう制度でございますだけに、長い年月にわたっての世代間のバランスということを考えなくてはならないと思いますので、そこのところはそういった世代間バランスという観点から今回の改正案を設計したということでございまして、受給世代だけを見ますともう少し何とかという気持ちがいたさないわけでもないわけでございますが、今二十歳あるいは今後勤労生活に入る世代、そういう人たちのことも考えますと、こういった方式をとらざるを得ないのではないかと、こういうふうに考える次第でございます。
  180. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後になりますけれども、この従前額保障について物価スライドをさせないことになりますと、最終退職時に今回の改正で計算した方が高い諸君については、六十一年の四月から退職時までの掛金というのは掛け捨てになってしまうようなことになるんじゃないかと思うんですが、これを救済することは考えないんですか。
  181. 門田實

    政府委員(門田實君) それは実は掛け捨てではございませんで、来年の四月以降、勤続年数がある分だけ新方式による計算額というものがその分ふえるわけでございますから、その人が老後になって年金を受給されるときには、その後の年数を掛けてまいりました掛け金額というのが年金支給額の上に反映してまいると、こういうふうに考えております。
  182. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この法案が年金制度改悪の総仕上げであります。さきに成立した国民年金、厚生年金改悪のときもそうだったんですが、この改悪の正当化の根拠として年金財政破綻論というのがあります。これは現行の年金給付水準をこのまま続けると、高齢人口の増大と制度の成熟化のために年金給付総額が急増し、年金財政が破綻してしまうという宣伝なんです。その一つとして、これは既に厚生省がつくった「年金制度のあらまし」、これによりますと、年金給付費の総額が昭和五十五年七兆八千六十九億円、国民所得に対する比率で三・九%、これが八十五年になりますと三十七兆五千七百七十億円、国民所得の比率で一六・一%だと、こういう誇大宣伝なんですね。しかし、これは衆議院段階で我が党の小沢議員あるいは正森議員が指摘をいたしましたし、そのやりとりの中でも別らかになりましたけれども、厚生大臣は誤解を招くからこの点は削除、除くということで、その後の「年金制度のあらまし」(厚生省年金局監修)のパンフレットによりますと、今言った部分が抜けておるわけなんです。だから誇大宣伝だったことを厚生省自身が認めたことになるんですが、実際どの程度の国民所得に対する比率になるのかということは正確に見なきゃいかぬと思うんです。科学的に正確に見るとなりますと、厚生省が一番最初つくったような経済成長率ゼロということじゃなくて、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の中で成長率は六・五%計算ということになっておりますから、その数字を使うべきだと思います。  そこで厚生省に伺いますが、一つケースとして賃上げが年五%、それから運用金利七%ということで、今の国民総生産の伸び率は六・五%、こういうことでこの年金給付費が、現行ですよ、今のものでどの程度の比率になるか、こういうものを計算したものはありましょうか。
  183. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 私どもでは実は、経済成長率先生の御指摘の六・五%で計算したのは手元でつくっておりません。
  184. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 つくっていないということで、私の方で計算した数式をお示ししたいと思うんです。  この基礎数字は、先ほど厚生省の方から見えた方の数字を見てみまして、基本的にほぼ違わないということでの計算であります。今申し上げた前提で申し上げますと、現在六十一年度段階で国民所得に対する年金給付費の割合が三・九六、これが昭和六十五年には四・七三、七十年には六・〇九、七十五年には七・三六、八十年には八・五〇、八十五年に九・四四、九十年に九・八九。以下九十五年以降は九・七〇でずっと下がっていくわけですね。ですから、ピークは昭和九十年の九・八九、要するに一〇%よりやや低いというところぐらいだと思うんです。これはおよその計算でも大体そういうことではないかと思いますが、どうでしょう。
  185. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 先生のお示しの前提を置きますと実はそうなると思うんでございますが、率直に申し上げますと、実はその前提に私どもの問題意識としては大きなずれがございまして、私どもは実は、将来の年金の給付費の展望を賃金上昇率五%と同じ改定率で考えた数字をお示ししておるわけでございます。先生の御計算は、国民所得にむしろ経済成長率六・五%を使う前提で今のお示しの数字を出されたわけで、これは計算として私そのとおりだと思いますが、率直に申し上げまして、今後の年金改定率を長年にわたって経済成長率より低いというか、賃金上昇率以上の経済成長を見込む中で国民所得比を議論していいものかどうかという点は、率直なところ疑問を持っておるところでございます。
  186. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 成長率を五%とする根拠は何ですか。賃上げの五%は一応の前提でこれはよろしいけれども、それと全く同じだという根拠は何なんですか。
  187. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) これは私ども実は経済官庁と違いまして、年金の将来見通しをする場合に経済政策に及ぶような判断をするという前提ではございませんで、どちらかといいますと、国民に年金が将来どのような負担になるかを示すための、ある程度あり得る数字ということで示しているわけでございまして、確かに先生がおっしゃるように、私どもは経済政策理論として今後の経済成長率昭和九十年まで五%であると断定したつもりはございませんが、過去大体賃金上昇率に見合うものであったということから、計算する上では国民所得の方も五%伸ばして比率をお示ししたという、ある意味ではそれにとどまることでございます。
  188. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 科学的に見ていく場合、政府の使う数字が共通であるべきだと思うんですね。これは大臣政府の方の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」ということで、これが基礎になって、それが六・五%となっておれば、将来展望もそれでいくべきだと思うんですよ。  今度は逆に聞きますけれども、せっかく政府にそういう「展望と指針」がありながら、それを使わずに五%とする根拠は何ですか。まず、せっかくある政府のこの数字を使わない理由を言ってください。
  189. 坪野剛司

    説明員(坪野剛司君) 先生の御質問でございますけれども、年金の財政計画を立てるときに、たびたび申し上げておるわけですけれども、人口学的要素というのと経済的要素と二つございまして、先生の今御質問の件につきましては経済的要素ということだと思います。そういう経済的要素といいますのは、非常に変動といいますか、影響が大きくて、単年度の状態を長期に延ばすということは非常に無理もありますし、なかなか難しいということかと思うわけなんでございます。私たちはそういう意味もあって、賃金といいますか、過去の賃金の大体の、数年間といいますか、七、八年間の伸びを大体五%、それから最近の物価の上昇率三%というようなことを参考にしていろいろな種類の試算をやったわけでございます。例えば賃金を五%、物価は三%、運用利回り七%というような、いろんな組み合わせをつくって試算をし、そして一つの標準的なケースとして運用利回り七%、賃金上昇率五%、物価上昇率三%ということで、それを一つの試算としてお示ししたわけでございます。  それで、経済成長率をどう見込むかということになりますと、なかなか今度問題なんですけれども、例えば過去五年間、五十四年から五十九年におきましては、一人当たり国民所得は大体平均四・八%伸びております。一方、雇用者一人当たりの雇用者所得も四・八%伸びております。そういう意味で国民所得の伸びと雇用者所得の一人当たりの伸びとがほぼ一致している。十年間とったらどうかといいますと、一人当たり国民所得が六・七%伸びていますし、雇用者所得が七・〇%。それで四十五年からの十四年間を見ますと、八・九%の国民所得の伸びに対して、雇用者一人当たりの伸びは一〇・二%というようなことになっておりをして、これは一人当たりでございますけれども、そういうことを見ますと、国民所得の一人当たりの伸びというのと雇用者一人当たりの伸びというのとが大体平衡しているんじゃないだろうか。    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕 そういう観点からしますと、対国民所得比で比較する場合につきましては、年金改定率の五%というのと国民所得の伸び率六・五%というように差をつけることについては問題があるんじゃないかというふうに私たちは考えております。
  190. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 今あなたが言われたのは、厚生省からもらった資料、「国民所得、雇用者所得等の年平均伸率」、この表だと思うんですね。先ほどあなたは国民総生産の伸び率八・幾つと言ったけれども、これは一〇・六というのが正確でしょう。そして雇用者一人当たり雇用者所得も一〇・七、ほぼ同じと。それは一〇・六でしょう。
  191. 坪野剛司

    説明員(坪野剛司君) 私が申し上げたのは、確かに国民所得の伸びは一〇・一%でございますけれども、一人当たりということで言わしていただいたと思いますので……
  192. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ああそうか。この資料によれば、国民総生産四十五年から五十八年まで一〇・六、雇用者一人当たり雇用者所得の伸びも一〇・七、ほぼ同じというんですが、私は、四十五年から五十八年までの平均をとるこの考えに大変疑問を感ずるんです。これは極めて不正確なもの。実際の伸び率は、一番伸びたのが実は、GNPの伸び率もそれから雇用者一人当たりの所得伸び率も、要するに狂乱物価の時期ですよね。これは日本経済の極めて不正常な時期だと思うんです。その数字をとれば、確かにあなた言われたとおり一〇・六、一〇・七というのが出てきますが、もし本当に正確に見るならば、五十一年以降あるいは五十三年以降で見るべきではないか。何しろ四十七年一六・六、これはGNPの伸びですね、そしてそれに対して雇用者一人当たりの伸び率は一五・六。それから四十八年がGNPは二一、雇用者所得の伸び率は二〇・八。四十九年はGNPが一八・四、雇用者の方は二七・七という、まさにこれは大変異常な数字ですね。逆に例えば五十一年以降で見ますと、この平均は、GNPの方が七・八に対して雇用者所得伸び率の方は六・一、もっと安定してきた五十三年以降で見てみますと、GNP伸び率は六・七、そして雇用者所得の方は五・一。五十三年以降の数字はこれは大体安定しています。となれば、このGNP六・七、それは先ほど私が申し上げた六・五にほぼ匹敵しますし、雇用者所得の方の五・一、これは五%に一致するわけです。となれば、むしろ正常な形の日本経済の状況を反映しているんじゃないか。そしてその状況は明らかにGNP伸び率と雇用者所得の伸び率の間には一・何%かの差がある。これはまさに正しい姿ではないのか。どうしてこれを使わないのか。
  193. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 冒頭申し上げましたように、私ども国民所得の、特に長期にわたる伸びについて責任を持って申し上げる立場の役所じゃございませんので、もし私どもの資料なりモデルの示し方が長期にわたる国民所得のあり方について、何か特定の政策上の見解を持って申し上げたというふうに誤解されたとしますと、それは間違いでございますので、この際、そういう意味では、その限りでは訂正さしていただきたいと思います。  ただ、くどいようでございますけれども、この議論の本質といいますか、私どもが感じておる本質は、長い年月にわたって仮に先生のお話しになるように経済成長率と賃金上昇率に差があったとした場合でも、年金の改定そのものが長い期間を見た場合に、経済成長率を下回るような率で済まされるだろうかという問題意識を持っていることだけは重ねて申し上げさしていただきたいんでございますが、    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕 国民所得の伸びについて私ども一つの計算を示すことが、何かこの問題についての政府としての見解であるという意味でとらえたんであれば、そこは先生のおっしゃるような議論ももちろんあろうかと思いますので、訂正さしていただきたいと思います。
  194. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大臣、この点はどういう数字をとるかによって国民にじかに響くわけでしょう、給付水準の引き下げ、掛金の引き上げと。それが政府の持っている数字じゃなくて、厚生省が勝手に考えた数字、それで国民にこういう負担を強いるというのはおかしいんじゃないですか。  じゃ大臣ね、今の議論をお聞きに、なって、なぜ「八〇年代の展望と指針」使わないのか。その点、大臣おかしいとは思いませんか。しかも、私が今示したとおり、それは昭和五十三年度以降の実際の日本経済のGNP伸び率と雇用者所得伸び率がほぼぴったり合っているんですから。ということは、政府の経済の「展望と指針」もほぼそれに合ったものでしょうねということをお答えいただきたい。もしその数字を使わないというんであれば、再び狂乱物価を予想しているのか。しかも、それに対してはもうそういう引き上げはしようがないと大臣は考えているのか。そのころ竹下さんが大蔵大臣から卒業されて何になっているか、総理になっているか、総理も卒業しているかどうか、それは知りませんけれども大臣、そういう点、せっかくある数字をなぜ使わないのか。ということは、厚生省はこの政府数字を信用しない。そして国民に対しては給付の引き下げの根拠、掛け金引き上げの根拠にしている。これはとんでもないことではないか。
  195. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 大蔵大臣の御答弁があるかどうか、その前にちょっと私、先ほど申し上げたことを重ねて申し上げるのでございますが、長期にわたる、昭和九十年とか百年までの国民所得の伸びが何%であるということを見通すことが一番正しいかという点については、私、先ほど訂正さしていただくと申し上げたのでございまして、私どもは実は、それを我々が年金計算上使っている賃金上昇率五%と同じ率で伸ばすと、当然国民所得も五%、年金も五%でございますから、どうしても対国民所得比は大きく出るわけでございます。  先生の御指摘は、それはむしろおかしいんじゃなかったんだろうか、将来展望で六・五という数字政府が認めているのだから経済成長率を六・五で計算すべきではないかという点で、その点で私もあえて厚生省の計算を弁護しないのでございますが、ただしその場合に、くどいようでございますが、経済成長率は六・五で年金の方は相変わらず私どもの計算したように五%のまま昭和九十年までいっていいかどうかという議論は、厚生省としても問題意識を持たざるを得ないということを申し上げておりますので、私が訂正しましたのは、軽々に昭和九十年までの経済成長率を六・五ではなくて五であろうと言ったことには問題を感じておりますが、それと年金改定率とのギャップを認めるか認めないかについては、なお私どもとしては御意見を申し上げさしていただきたい立場でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  196. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大臣が答える前にもう一言申しますと、要するに実態は、事実は、GNP伸び率と雇用者所得の伸び率の間に一・何%かの差があるというこの事実、厳然たる事実ですね。しかも六・五%という計算は政府の「展望と指針」とも一致するという事実をなぜ直視しないのか。大臣おかしいと思いませんか。そして、そういうことによって国民に負担を——特にこの場合公務員ですよ。負担をふやすのは本当に合理性があるんだろうか、そのことなんです、大臣
  197. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 先生の御指摘は、経済成長率を厚生省が五%というふうに軽々に見通したということの問題点を大蔵大臣に御質問でございますが、この問題は、あくまで問題点は経済成長率というか、国民所得の伸びと年金費の伸びを比べる議論をしているわけでございますから、私は率直に経済成長率を五と軽々に言ったことには問題があると思いますが、同時にその議論をするならば、年金の給付費といいますか、それの基礎になる年金の改定率をどういう率で昭和九十年、百年まで見込むかについては、私どもは同じような率で比べるのが穏当ではないかと考えておるのが私どもの立場でございます。
  198. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 厚生省の弁解はもういいんです、何遍も聞いたから。その議論を聞いてもらって大臣の所感を聞きたいんです。
  199. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) この議論は、衆議院でもおたくの政党の正森さんから話がありまして、確かに「一九八〇年代の経済社会の展望と指針」、七、六、五抜きの四、三、二、一のその七、六の間の六・五というものは名目成長率でございますが、私はその際私なりに感じておりましたのは、年金の計算の場合の年金とそれから所得の名目成長と同じように伸びていくというための五%というのは仮置きされた数字だというふうに私は理解してその際は聞いておりました。
  200. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 衆議院の正森・竹下論争よりはまた事態がちょっと進んでまして、そのときには、厚生省の先ほどの昭和四十五年以降GNP一〇・六、雇用者所得一〇・七という伸びのこの図表もまだ出てなかった。それから私の方が先ほどお示しした、昭和四十五年からじゃなくて、むしろ昭和五十三年からの方が経済の実勢に合っている、その数字がまたびったりする。これはまた新しい資料ですから、衆議院の段階の認識の答弁では困るんですよ。私はこれだけの数字をお示しした。それに対して、財政を握っている大蔵大臣としては、当然これに対して見解があってしかるべきですから、そのことをお聞きしたいんです。
  201. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今の問題につきましては、私も年金数理学はわかりません。したがって、近藤さんの新たなる資料をちょうだいして、その上で私の方で正確に整理して、その問題についてのお答えは改めた機会に、委員長にその機会を御提供いただくようにお願いすると、お願いいたします。
  202. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 じゃ、そういう答弁ありましたんで、この問題に対する質問は一応留保しておきたいと思います。  そこで、今までの議論との関係で申しますと、今申し上げた計算では国民所得比せいぜい一〇%以内、この比率は国際水準から見ましてそんなに高い比率ではないんではないかと、こう思うんですが、どうですか。
  203. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今の御指摘、国際比較の御指摘は、年金給付費の対国民所得の数字であろうかと思います。私どもが知っております比較のできる数字は一九八〇年の数字でございますが、その時点では日本の場合、年金給付費だけで対国民所得比五・四%でございますが、同じ時点でアメリカが八・二、イギリスが九・〇、西ドイツは一四・五、スウェーデンに至りましては一五・五という数字になっております。その後の新しい数字がないのでございますが、我が国につきましては、一九八三年、昭和五十八年の計算もできておりまして、この場合実は八〇年で五・四であったものが六・六というふうに計算されております。
  204. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ですから、国際的に見ましても、そんなに高い数字でないし、資本主義国世界第二位という日本の経済力をもってすれば、当然これは現行制度でいきましても耐え得るものだと、こう思うんですね。  それに加えてもう一つ指摘したいのは、事業主負担比率なんですよ。折半でなくて、我々が言うとおり事業主の方が七、ということは七対三、それにすればこれはさらに安定する。その分をふやせば労働者の掛金は現在のままでもさらに安定したものになっていくと思うわけですね。そこでお聞きしたいのは、その社会保障収入の財源構成の国際比較、これはどうでしょうか。主な国だけで結構です。
  205. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) 御説明いたします。  主要先進諸国の社会保障費の財源に占めます本人負担及び事業主負担の割合でございますが、ILOの方の資料によりますと、まずアメリカにつきまして、一九六〇年には本人負担が二一・八%、事業主負担が三四・九%でございましたが、一九八〇年には本人負担が二一・八%、事業主負担が三七・六%となっております。次にイギリスにつきまして申し上げますと、一九六〇年には本人負担が一九・一%、事業主負担が一七・三%でございましたが、これは一九七九年でございますけれども、本人負担が一五・八%、事業主負担が二六・五%となっております。次に西ドイツでございますが、一九六〇年には本人負担が二五・九%、事業主負担が四四・四%でございましたが、一九八〇年には本人負担三三・八%、事業主負担三四二%でございます。もう一つフランスにつきまして申し上げますと、一九六〇年には本人負担が一五・六%、事業主負担が六二・九%でございました。これが一九八〇年には本人負担が二一・〇%、事業主負担が五三・四%となっております。
  206. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 一部の例外はありますけれども、総じて事業主負担が相当多いということですから、日本の場合はそのことは十分できるし、またそうすることが貿易摩擦などなくす一つの今後の政策目標になると思うのですね。今の数字をお聞きになって大臣見解はどうでしょうか。
  207. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私は、折半負担というのは日本の社会で定着しておるのではないか。特にヨーロッパは大きな反省からして今そういう方向に進みつつありますし、我々の会合でも物すごい反省をして、むしろ日本が地道に積み上げてきた努力に対しての評価、私が高くしておるわけではなく、そういう経験を積んだ諸君から言えばむしろ評価されておる、こういうふうに考えます。
  208. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 今の大臣発言は、各国の竹下さんのような立場にある方の発言でしょう。それが国民的合意ではないし、また学者の見解のまとまったところでもないと思うのですよ。その点だけちょっとお答えいただきたい。
  209. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私が主として出ますのは大蔵大臣会議ですから、それは大蔵大臣と言えば財政赤字をつくっちゃいかぬという頭でばかり相談いたしますから、したがって近藤さんの指摘は、あなたと同じような立場の方を主体とした感じではないか、そのまま肯定をいたします。
  210. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 珍しく肯定されたのでその答弁は評価をしたいと思います。  あと時間も余りありませんが、せっかく人事院総裁が見えていますので若干の質問をしたいと思うのです。  これは支給開始年齢と雇用保障の関係なんですが、要するにともかく下がる、ギャップがあることは事実ですね。ただ、経過措置でそれは支障はないと言うのですが、この経過措置の問題はまた別の機会に聞きたいと思うのです。  問題は、民間労働者については、これは衆議院の方の議論の中でも定年制の延長について、六十五歳までの延長について努力するし、また政府としても指導していきたいというのですね。しかし公務員の場合はどうなんだ。既に地方公務員については公務員の定年は考えていないという答弁が衆議院で出ています。国家公務員についてどうなのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  211. 仙田明雄

    政府委員(仙田明雄君) 国家公務員の定年年齢でございますが、これは公務部内における退職管理の実情でありますとか、民間企業における定年年齢の動向とか、その他諸般の事情を総合的に勘案いたしまして、六十歳を原則とする定年を定めたわけでございます。  この定年制度、実は御存じのように、ことしの三月三十一日にスタートしたばかりでございます。したがって、当面はこの六十歳定年を原則とする定年制度を前提とした、各省庁ごとにこれを前提とした人事管理を定着させていく、こういうことが今は重要な時期であるというふうに考えておりまして、さしあたって現時点で定年年齢の変更を考えるということは予定しておりません。
  212. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 最後に、労働大臣は衆議院で民間が六十五歳になるように大いに努力し、指導すると犬見えを切ったんです。今の人事院の御答弁のように政府民間を見ているというのですから、政府がやる気はない。となれば民間が六十五歳になる保証はないじゃないですか。となれば、当然いつの日か、経過措置があったにしましても、必ず定年と支給時期の間に差が出てくるんですね。その点で人事院についてはそういう民間が六十五歳になる見通しが今の答弁にないじゃないか。それから大臣については、今の議論からおわかりのとおり当然ギャップが出てくるけれども、その間どうやって暮らすのか。それぞれお答えいただきまして質問を終わります。
  213. 仙田明雄

    政府委員(仙田明雄君) 民間の定年の動向の問題でございますが、お話しのように、労働省では六十歳代前半層につきまして定年の延長とか、あるいは再雇用とか、いろんな形で雇用機会を確保していこうという施策の方向をとっておられるように聞いております。私ども公務員の定年を考える場合には、公務部内にはいろいろな職種がございますから、そういった公務部内の特殊事情というものを十分加味していかなければなりませんけれども公務員の定年が民間の定年と著しくかけ離れた状態で決まっていくというようなのは適当ではないんではないか。今お話を伺っておりますと、公務員の定年が民間をリードするような方向で考えたらどうかというような御趣旨かと拝聴いたしたのですが、それも一つの御見識かと思いますけれども、私どもは、公務員の定年は民間状況を見ながら公務の特殊事情を加味して定めていくのが最も妥当ではないかというふうに考えております。
  214. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 基本的には今人事院の御見解と私もそう差異はございません。  公務員定年というのが六十歳になるというのにも十数年のいろんな歴史があってやったわけでございますので、当面は民間との比較を見守っていくという時期ではなかろうかというふうに思います。
  215. 井上計

    井上計君 このたびの各種年金法の、抜本的といいますかどうか、改正によって、将来のいろいろな展望がなされるわけであります。しかし将来への不安が国民の間にはますます増大しつつある。これは当然であろうと思います。ということは、人生八十年時代に入ったわけでありますから、仮に六十歳定年制が完全に実施されたとしても、第二の人生、第二の職場というのは、まだ六十歳では定年で完全に年金生活に入るというのが現状ではもちろん不可能でありますから、当然さらに六十五歳ぐらいまで働いていく、あるいは七十歳まで働く。仮に六十五歳まで働いたとしても、あと約二十年ぐらいというふうなものは老後として自分たちの生活をどうするかということを国民が現在既に考えつつあります。これからますますそういう考え方になるであろう、こう考えるわけです。したがって老後といいますか、老後設計が非常に重要になってくる。その老後設計の基本は何といってもやはり年金にあると、こう考えるのです。そういう意味で、あらゆる面で国民の不安がますます増幅しますけれども、その不安の大きな一つは、この年金制度がこのように改正される、あるいは七十年度に向かって一元化の方向にいく。しかし将来自分たちが年金をもらう時期に果たして財政的な面から見て確実に年金がもらえるのであろうかという不安を現在四十歳あるいは三十歳代の人が感じておるのではなかろうかと、こういう気がするのですね。  そこで、私のいただいた数字で、ざっと見た私の感じでありますから若干の違いはあろうかと思いますけれども、六十年度予算から見まして、年金関係、恩給関係の国の負担、支出を全部トータルすると約四兆六千六百億円ぐらいになっております。そのうち年金関係が二兆九千八百億円程度。したがって一般会計予算に占める率は、トータルでは約九%弱、年金だけで見て約五・八%、六%近くになっておるわけですね。これも厚生省あるいは大蔵省等々からいただいた資料でざっと見てみますと、五年後の六十五年度には厚生年金が、六十年度約九千百三十五億円という国の負担でありますが、これが一挙に二兆二千億円ぐらいに増額していく。国民年金については、六十年度、今年度八千四百億円程度でありますのが一兆三百億円程度に増大する。国家公務員共済についても、現在四百六十億円程度が約七百億円程度に増大する。したがって、この三つ合わせただけでも既に四兆円になる。十年後、昭和七十年度になりますと、この三つの厚生年金、国民年金、国公共済だけで約五兆円を超えるという数字が出てまいります。とすると、恩給は若干ずつ減ってはいきますけれども、恩給その他の各種の年金等々に対する国庫負担をトータルすると十兆円近くなるんではなかろうか。一応大ざっぱな計算でありますが、そういう計算が成り立つんです。したがって財政的な面で国民が負担を今後感じていくであろうということを考えますと、政府としては、今後のあり方として国民に対して、そのようなことについては心配ない、だから安心してというふうなことを示す責任がある、必要がある。きょうすぐということじゃありませんけれども、今後、この年金法改正以降、今後の七十年度に向かっての具体的なスケジュールあるいはそれらのビジョン等等を早急に出してもらう必要があると考えますが、大臣あるいは大蔵省はこれらについてはどういうお考えでおられますか、簡単で結構であります、時間がありませんので。
  216. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 確かに我が国は、現在、諸外国に例を見ない速さで高齢化社会に移行しております。これに伴って年金の給付費も今後高い水準に達して、組合員の掛金負担も大幅に増加していくことが、おっしゃるとおり予測されるわけであります。このためにこそ公的年金制度の一元化を展望しながら、給付と負担の均衡を図りながら、公平でしかも長期に安定した年金制度を確立する必要があるということで第一弾あるいは第二弾、基礎年金を導入したわけでございますから、そういう意味において、今回の改正案もその方向に即していこうとしておるものであります。したがいまして、今おっしゃったように、たびたび質問があるように七十年までのスケジュールが確かにまだ未熟なところがございますが、そうしたスケジュール等も、今度は六十一年度からまた改めて将来展望を勉強していくわけでございまして、その都度国民の皆様方にお示しするような努力はすべきだということは私も同意見でございます。
  217. 井上計

    井上計君 ぜひそれを早く国民に示して、国民が安心するというふうな形のものをつくってほしい。そういう不安を常に国民が持ち続けることは大きな問題であろう、こう考えますので、特に繰り返して要望しておきます。  次に、厚生年金の積立金の運用の問題であります。  現在、共済年金の積立金は、約三分の二程度が自主運用されておりますし、また年金基金におきましても全額が自主運用を認められて、かなりそれについての運用益といいますか、そのようなものを生み出して、それらによってできるだけ負担率を上げないで現在の支給、今後の年金支給等についての努力をしておるわけであります。ところが厚生年金については全くこれが認められていなくて、全額を財投資金の原資としてこれらが使われている。聞くところによりますと、厚生省においては、共済年金等と同じように全額あるいは三分の二とは言わず、せめて半分程度でも自主運用したいというふうな考え方で、厚生省では自主運用についてかなり積極的な研究を進めて、できれば来年度からこのような実施に入りたいということで大蔵省といろいろと折衝があるやに聞いております。さて財投資金の問題、財投原資の問題、いろんな諸般の状況から考えて、この問題についてはどういうふうに大蔵省は考えておられるのか、これをお伺いいたします。
  218. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 従来ともいわゆる自主運用という問題につきましては、国の制度、信用を通じて集められた公的資金は、財政金融政策の整合性を図りながら、しかも公共の利益の増進に寄与するように運用する必要がある、こういう考え方でもって対応しておるわけでございます。したがって、そういう意味においては現在の資金運用部による統合運用の仕組みが最も望ましい。もう一つ、臨調、行革審等におきましても、統合運用の現状は維持されるべきものである、こういう御意見をちょうだいしておるわけでございます。したがって、国の制度、信用によって集められた公的資金という意味において、その統合運用の仕組みは今後とも維持しようというのが一貫した一つ方針でございます。  ただ、厚生省から六十一年度概算要求の際、今おっしゃいましたような趣旨要求が出ておりますので、これは予算編成過程におきまして、政府部内においてこれから十分論議していかなきゃならぬ課題だろう、こういう感じでございます。
  219. 井上計

    井上計君 官房長官に特にお願いしてお越しをいただきましたので、官房長官にお伺いすることにいたします。  我々は年金問題等につきまして論議をしております。年金問題の論議は何といっても国民の福祉の問題、特に老後の福祉の問題等々論議しているわけでありますが、そこで強く感じますことは台湾人の元日本兵の問題であります。  我々は、自分たちのこと、日本の国民のことを考えると同時に道義的に、ぜひ台湾の元日本兵の補償の問題、特に戦死者の問題等については早くこれを解決することが国民感情としても、また国の信用からいっても当然であろう、こう考えております。  きょう十一時に、超党派による各党代表が官房長官をお訪ねをして、この問題の早期の解決について申し入れをいたしました。官房長官は十分に検討するとお答えのようでありました。細かい経過はもう抜きまして、現在またこれは解決していない。特に今年度予算の中に五百万円という検討費を政府予算に計上しておられる。さらにまた八月には東京高裁の判決がありまして、その判決文の中で、主文ではありませんけれども政府、国会の怠慢を責めるような発言がなされておるにかかわらず、なおかつ現在までこれが進展していない理由等々についてお伺いして、そして今後どのように官房長官はお考えであるのか、それを承りたい、こう思います。  私はまだ持ち時間がありますけれども、聞くところによりますといろいろとお急ぎのことがあるようでありますから、官房長官からこのお答えをいただいて、私の質問を終わります。
  220. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) ただいま御質問のございました台湾人元日本兵問題は、長らく国会におきましても党派を超えて強い御主張がございまして、道徳上、国際的に人道上放置し得ない問題であるという強い御指摘をいただいてきておることは、政府としましても強く認識をいたしておるところでございます。  昭和六十年度予算編成の際にも各党から、特に与党自由民主党からも強いお話がございまして、お話しのように五百万円の検討調査のための費用を予算に計上いたしまして検討を重ねてきておるところでございます。また高裁における判決の中にもこの問題に触れられまして、行政として解決するようにという指摘を受けてきておりますことも、強く私どもの頭に残って今日に至っておるところでございます。  いろいろと検討の連絡会議や、また幹事会におきまして協議を進めてきておりますが、日台間の全般的な請求権問題が未解決であること、台湾以外の分離地域との公平、波及、さらに今日の厳しい財政事情など、いろいろとこの問題を解決するに当たってなお乗り越えていかなければならぬハードルが幾つかございまして、きょうも超党派で国会議員の方々がお見えになりまして、政府でいろいろと課題を解決していくに当たって政府としての立場では解決し得ない問題も、国会あるいはそれぞれ党という立場で解決できることもあろうと思うので、そういうようなことについては胸襟を開いて政府と話し合ってひとつこの問題の解決にぜひ当たろうではないかという御要請も受けてきたところでございます。特にきょう議員連盟の方々は、ぜひ来年度予算編成に当たって来年度を初年度として予算を計上するように、こういう強い御要請でございました。検討してきておるのでさらにその検討を深めるようにいたしたい、こういうふうなことだけきょうはお答えをしたところでございます。  事柄の重要なることはよく認識をいたしておりますし、また関係者の御遺族が御年配でもう亡くなっている、そういう意味では日本からの人道上の解決という問題ももういよいよタイムリミットが来ている、こういうふうな御指摘も強くいただいておるところでもあり、さらにひとつ検討を一層進めるようにいたしたい、こう思っております。くどいようでございますけれども、なお越えなければならぬ幾つものハードルがあって、それらについてよく検討しながら進んでいくようにいたしたい、こう思っておりますので、どうか深い御理解を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  221. 井上計

    井上計君 じゃ委員長、もう一問。  官房長官のお立場で、前回ほかの委員会で私がお尋ねしたときよりもきょうはかなり突っ込んだお答えをいただきました。ただ、今いろいろと難しい理由としてお挙げになりました残置財産の未解決あるいは他の分離地域との公平、いろいろとあります。しかし高裁判決では、これまで国が補償しない理由として挙げてきたこれらのものについては、補償をしないことを合理化すべき事由に当たらないというふうにはっきり国の弁解を退けておるわけであります。また今、財政上の問題ということでございましたけれども、きょう大蔵大臣もお聞きでありますから、大蔵大臣も同様のお考えであろう、こう思いますので、ぜひこの点を来年度予算の中で織り込んでいただいて、早く我我がもっと気持ちよくこのような共済問題等々についても審議ができるようにそのようなこともひとつ御配慮をいただきたい、こう考えます。お答えをいただければ結構でありますが、もうお答えを特に必要といたしませんので、これで質問を終わります。
  222. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十四分散会      —————・—————