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1985-12-10 第103回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十日(火曜日)    午後一時三十一分開会     ―――――――――――――    委員異動  十二月七日     辞任         補欠選任      志村 哲良君     川原新次郎君      福間 知之君     矢田部 理君  十二月十日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     和田 静夫君      小野  明君     村沢  牧君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 大島 友治君                 曽根田郁夫君                 野田  哲君                 原田  立君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 川原新次郎君                 源田  実君                 沢田 一精君                 堀江 正夫君                 森山 眞弓君                 村沢  牧君                 矢田部 理君                 和田 静夫君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        厚 生 大 臣  増岡 博之君        農林水産大臣   佐藤 守良君        通商産業大臣   村田敬次郎君        運 輸 大 臣  山下 徳夫君        郵 政 大 臣  左藤  恵君        労 働 大 臣  山口 敏夫君        建 設 大 臣  木部 佳昭君        自 治 大 臣  古屋  亨君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       金子 一平君    政府委員        内閣審議官    海野 恒男君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       山本 貞雄君        総務庁長官官房        長        藤江 弘一君        総務庁長官官房        審議官      百崎  英君        総務庁長官官房        審議官      米倉  輝君        総務庁行政監察        局長       竹村  晟君        経済企画庁調整        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁国民        生活局長     横溝 雅夫君        経済企画庁調査        局長       丸茂 明則君        科学技術庁原子        力安全局長    辻  栄一君        大蔵大臣官房総        務審議官     北村 恭二君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵省主計局次        長        小粥 正巳君        大蔵省理財局次        長        中田 一男君        大蔵省銀行局長  吉田 正輝君        大蔵省国際金融        局長       行天 豊雄君        厚生大臣官房審        議官       内藤  洌君        厚生省生活衛生        局長       北川 定謙君        林野庁長官    田中 恒寿君        通商産業大臣官        房審議官     松尾 邦彦君        通商産業省通商        政策局次長    鈴木 直道君        通商産業省貿易        局長       村岡 茂生君        通商産業省生活        産業局長     浜岡 平一君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        逢坂 国一君        中小企業庁長官  木下 博生君        運輸政務次官   小里 貞利君        運輸省航空局        技術部長     大島 士郎君        郵政省電気通信        局長       澤田 茂生君        労働大臣官房長  岡部 晃三君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房総        務審議官     佐藤 和男君        建設省都市局長  牧野  徹君        建設省住宅局長  渡辺  尚君        消防庁次長    井上 孝男君    事務局側        常任委員会        専門員      林  利雄君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      原田 明夫君        大蔵省主計局主        計官       竹内 克伸君        中小企業庁計画        部計画課長    長田 英機君        労働省職業安定        局雇用政策課長  井上 文彦君        建設省住宅局建        築指導課長    立石  眞君    参考人        日本銀行総裁  三重野 康君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○許可認可等民間活動に係る規制整理及び合  理化に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十二月七日、福間知之君及び志村哲良君が委員辞任され、その補欠として矢田部理君及び川原新次郎君が選任されました。  また、本日、小野明君及び穐山篤君が委員辞任され、その補欠として村沢牧君及び和田静夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案の審査のため、本日の委員会日本銀行総裁三重野康君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 村沢牧

    村沢牧君 私は、合板木材関係関税引き下げに関連して国内法規制緩和等について質問いたします。  本年四月に決定した対外経済対策では、合板等関税引き下げについて、財政金融その他所要の措置を講じ、その進捗状況を見つつ、おおむね三年目から関税引き下げを行うべく前向きに取り組むという方針決定したわけであります。その後、国会答弁でも総理以下関係大臣はこのことを繰り返してまいりました。ところが、森林林業木材産業活性化対策を何ら講ずることなく、七月末策定した行動計画では、六十二年四月から合板等関税引き下げ決定をしました。このことは対外経済対策やその後の国会答弁を無視したものではありませんか。
  7. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。  先生御存じのことでございますが、七月三十日のアクションプログラムの骨格の決定の際、森林林業及び木材産業活力を回復させるための対策を本年度から五カ年にわたり、総額千五百億円、国費五百億円、融資枠一千億円で講ずるとされたことに関連しまして、合板等関税引き下げ時期を明示したものでございます。国内対策につきましては、その後、具体的な内容につき検討を進め、先般その全体計画決定したところであり、現在、事業実施に係る計画策定等に着手しているところでございます。関税引き下げに当たっては、これらの対策実施するとともに、その他の森林林業に係る諸施策を推進し、これらの進捗状況を見つつ対処していく考えでございます。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 七月のアクションプログラムの際に決定した、六十二年四月から関税引き下げをする、この決定当時においては活性化対策というのは何ら示されておらない。今大臣から答弁があったような活性化対策を何ら講ずることなく関税引き下げの時期だけを先に決定した。このことは間違いないですね。
  9. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今申し上げたことでございますが、本年度から五カ年にわたりまして総額千五百億円、国費五百億円、融資枠一千億円で講ずることにされたことに関しまして、合板等関税引き下げ時期を明示したわけでございます。そんなことで、国内対策については先ほど言ったようなことでございますが、具体的内容につき検討を進め、先般その全体計画決定したところでございまして、現在、事業実施に係る計画作成等に着手しているところでございます。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 その一千億あるいは五百億という活性化対策決定したのはいつですか。
  11. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 七月三十日に決定いたしました。大枠が七月三十日に決定いたしました。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁長官に聞きますけれども、一千億融資、五百億の国費決定したのは七九三十日でいいですか。
  13. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) そのとおりでございます。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 それが決定したのは十一月じゃないですか。一千億の融資と五百億の国費を七月三十日に決定したんですか。
  15. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) そのとおりでございます。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 ここに私は、「森林林業木材産業活力回復五カ年計画昭和六十年十一月 農林水産省)」、こういう印刷物を持っている。これは七月決定したんですか。
  17. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 七月三十日に決定いたしましたのは大枠、千五百の枠でございます。その具体的な中身につきましては、その後の検討によりまして徐々に具体化しておりますが、大枠決定が七月三十日でございます。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 大枠決定をしたのは千五百億じゃない。融資枠千百六十億円、国費八百五十億、二千億じゃないですか。
  19. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) いや、千五百億でございますが……。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 七月に決めたこの活性化五カ年計画では、これも林野庁の資料にあるが、今申し上げましたように融資枠千百六十億、国費八百五十億になっているんですよ。
  21. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 七月三十日に先立ちます林野庁要求額として折衝しておりましたのは、その合計二千十億となる、先生御指摘の金額でございますが、決定をいたしたものが五百億と千億の千五百億でございます。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 そのことについては後ほど追及してまいりましょう。  そこで大臣活性化対策の成果が上がらない段階においても六十二年四月から関税引き下げを行う、こういうことですか。
  23. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 私ども、今後五カ年計画の推進に鋭意努力してまいる所存でございますが、合板引き下げにつきましては六十二年四月から引き下げる、こういう具体的な目標を設定いたしまして、これに関連する諸施策を効果あらしめるべく最大限努力をいたしまして、引き下げ得るように取り組んでまいりたいと思っております。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 努力することはわかっているけれども関税引き下げの時期は六十二年四月、もうこの時期は決定しておる、これを動かすことはできない、そういうことですね。
  25. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) そのとおりでございます。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 総理は、十二月一日の政府与党首脳会議で、木材関税引き下げ前倒し実施について千五百億円支出しておるので、十二月中に具体案をまとめ、来年一月の安倍外相シュルツ国務長官の会談に提出ができるようにせよ、こう指示したことが報道されていますが、これは六十二年四月を待たずして、すなわち明年から関税引き下げをするということなんですか。
  27. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今の点については私は全く知らないわけでして、翌日の新聞等の記事で拝見したわけで、だれからも聞いておりません。実施時期は六十二年四月ということで間違いございません。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 ですから私は、この質問に先立って、こういうことが新聞に報道されておるので、総理からそういう指示があったのかどうかしっかり確かめてこいということを通告したんです。農水大臣は、こういう総理から指示があっても知らないんですか。
  29. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えしますが、私は聞いておりません。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 大臣は聞いておらないようですけれども林野庁長官なり官房長もそういうことを知りませんか。
  31. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 私どももそういう指示はいただいておりません。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 指示をいただいておらないとするならば、総理が仮にこのような指示をされたとしても、農水大臣としてはこの六十二年四月、関税引き下げ前倒しをしない、つまり六十一年度からやるということは絶対しないとはっきりお約束できますか。
  33. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えしますが、実は先ほどの関税率引き下げ、率につきましては国内対策実施状況を見ながら考慮することを考えておりますが、実施につきましては六十二年四月で間違いございませんということでございます。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 くどいようですけれども総理からそういう指示があってもあなたはやらない、そういうことですね。
  35. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 中曽根総理というのは、いつもお答えしていますが、農林施策に非常に理解ある方でございまして、そういうことは万万ない、私との約束におきましても、六十二年四月を必ず待って実行するものと確信しておるわけでございます。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、大臣から今話がありました関税率引き下げの率についてはどういうように考えていますか。
  37. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 関税の時期につきましては六十二年四月一日ということで進んでまいるわけでございますが、率につきましては、林業関係の諸対策ぐあい、その他関連業界景況業況と申しますか、そういうものの今後のぐあい等を十分見て最終的に判断してまいりたい、国内対策ぐあいとそういう業界景況業況等を総合勘案いたしまして、率につきましては決定をしていきたいと考えております。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 関税引き下げの率については、今申しました五カ年計画進捗状況を見て決めると、そういうふうに理解してよろしいですか。
  39. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 国内対策状況並びに関連業界業況等の諸事情等々を見て決めてまいりたいと思っております。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 農林水産省は、先ほど申しましたように十一月八日、正式に発表したわけですけれども、「森林林業木材産業活力回復五カ年計画」の資金枠内容を発表した。しかし、その資金枠内容とも極めて不十分なものであり、この程度のもので林業の川上から川下に至るまでの活性化ができるとは到底思わないけれども、これをもって関税引き下げ輸入拡大をしても大丈夫だと、そういう自信をお持ちですか。
  41. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) ただいまお話を申し上げております千五百億円の活性化五カ年計画でございますが、これは特別に講ぜられる措置でございまして、これらの措置と関連いたしまして、その他にも森林林業にかかわる従来からの諸施策があるわけでございます。これを推進することはもちろん当然といたしまして、さらに業界自主努力も大いに期待するところでございますが、そういうものが相まちまして相当の効果を上げ得るものと考え期待をしておるところでございます。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 合板関税引き下げについては財政措置を特に講ずる、そのための政府財政支出を行うんだということが当初から約束されており、与党金丸幹事長佐藤農林水産大臣の話し合いの中では、当初五千億だとか三千億だとか非常に気前のいい話が出た。しかし結局決まったのは、何回も言われているように、融資が千億で、これに対する利子補給を中心として五百億の国費、しかもこれを五年間に分割してやるということなんです。そこで、六十二年四月から関税引き下げを行うとするならば、この少ない資金枠であっても、あるいは五カ年計画といっても、財政的に、は六十年度、六十一年度の二年間に傾斜配分して積極的な対策をしなければ、この活性化対策はできないが、それは予算的にはどういう計画になっていますか。
  43. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) この五カ年計画は、六十二年四月からの関税引き下げを予定いたしまして、それへの諸施策を講ずるものでございますので、六十年度補正並びに六十一年度追加予算要求においては、そういう趣旨を踏まえまして適切に対応してまいりたい、現在大変厳しい財政事情ではありますけれども、適切に対処してまいりたいと考えております。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 極めて抽象的な答弁ですけれども、私の言うことはわかりますね。六十二年四月から関税引き下げをする、それに間に合うように活性化対策をする。そうするとするならば、五カ年計画の全体枠としても六十年度補正予算、六十一年度予算に勝負をしなければならない。そのことはわかりますね。
  45. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 先生の御指摘なさいます内容につきましては十分わかっておる次第でございます。そういう趣旨を踏まえまして、今後の補正あるいは追加要求に対応してまいりたいということでございます。
  46. 村沢牧

    村沢牧君 六十年度補正決定するのは来年二月ごろになろうと思うけれども、六十一年度予算は既に林野庁概算要求を出しておる。十二月末には予算決定するだろうというふうに思いますけれども、それに対してどういうふうに要求したんですか。補正幾ら、それから六十一年度予算幾ら、どういう形になっているんですか、具体的に言ってください。
  47. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 物の考え方といいますか、どういう事業をするか等々の内容についての相当な意思疎通と申しますか、打ち合わせをいたしておりますけれども、まだはっきりした具体的な金額への要求まではいたしてございません。それに先立つ折衝を鋭意続けておる段階でございます。
  48. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁長官、六十一年度予算はいつ決まるというふうに思いますか。まだそんな予算の話もしてなくて一体どういうふうにするんですか。
  49. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) そのような折衝を重ねておりますので、決まるときは一挙動で決め得るべく今打ち合わせをしておるところでございます。
  50. 村沢牧

    村沢牧君 大蔵省主計官がいらっしゃると思いますけれども、今お聞きのように国会でも総理がこういう約束をして林野庁計画を立てた。この計画は五カ年間であるけれども毎年同じように割っていけばいいというものじゃない。六十年度から林野庁はやっているというふうに言っていますから、六十年度補正、六十一年度政府原案予算、これにうんと傾斜配分しなければならないけれども大蔵省としてはどういう考え方を持っていますか。
  51. 竹内克伸

    説明員竹内克伸君) ただいま林野庁の方からお話がございましたように、私ども常日ごろこの問題につきましていろいろ一緒に勉強いたしてきておりますが、具体的な六十年度及び六十一年度の問題につきましては、御案内のような厳しい財源事情ではございますが、なるべく早く、よく林野庁と相談してまいりたいというふうに考えております。
  52. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁からそういう予算要求があれば、今私が申しましたような趣旨を踏まえて大蔵省としては対処していく、そういう気持ちは持っているわけですね。
  53. 竹内克伸

    説明員竹内克伸君) ただいま申し上げましたように、財源事情が大変きつい状況にございますけれども、よくよく林野庁と相談してまいりたいと思っております。
  54. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、また農林水産省に伺うけれども、六十年度からこの事業実施する、したがって六十年度補正予算でも対処すると言っていますが、六十年度補正予算国会で承認をされるのは恐らく二月過ぎになろう。そうすると六十年度で何が仕事できるんですか。
  55. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今回の対策の主要な部門であります合板製材等業界対策におきましては、どのような対策が講ぜられるかということがわかりました後に、業界は自主的に事業を転換するのか、あるいは廃棄するのか、どのような体制でもってこれからの関税引き下げに対応していくか、経営改善をしていくか、体質強化をしていくか、業界にそういうことのしっかりした計画をつくってもらわなければなりません。そういうしっかりした計画に立って整斉と年次的にそういう再編事業を進めなきゃならないと思いますが、したがいまして予算的にはそう大きくなくとも計画づくりというのは大変でございまして、既にこれは計画づくり指示どもいたしておるところでございます。  その他、間伐計画を繰り上げる、森林整備計画を繰り上げる等につきましても、いろいろ事前の十分な調査研究等が必要でありますので、それらが本年度中に相当行われるように今指導をしておるところでございます。
  56. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁、一体何をもたもたしているんですか。本年四月に対外経済対策を決めて、しかも七月決まった内容はみんな書いてあるんだ、細かく。それをまたこれから検討してなんて言っている。そんなことで一体林業活性化はできるんですか。もう内容をこういうふうにして皆予算を割り振りしてあるじゃないですか。六十年度補正予算予算を計上してもらったって六十年度の三月までには使えないじゃないですか、できないじゃないですか。そんなゆっくりしていていいんですか、六十二年の四月から関税引き下げをするという方針がはっきり決まっている中において。
  57. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 業界再編は個々の経営者が自主的に判断する、それを基礎に計画をつくらなきゃなりませんし、またそういう判断も、国からどういう施策が行われるかという具体像が相当明確になりませんと、業界としてもなかなか踏ん切りがつかないという事情もあろうかと思います。そういう点につきましては、お話ございましたように、ことしは年初からそういういろいろなやりとりがなされております。その間では非常に過大な期待を持つ業界人もおりましたけれども、現下の事情でそういうことの到底不可能なことなどの説明も私どもしてまいりましたし、そういういろいろな行きつ戻りつの業界対私どもとの折衝もございまして、だんだんと考えも固まる、計画も固まってくるというふうな過程をたどっております。したがいまして、これからそういうものを踏まえまして私ども補正要求いたしますので、つきました暁に予算が使えないとか、困るというようなことは決して私どもはないつもりでおります。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 私は予算が使えないと言っているんじゃないけれども、四月からこういうことをやろうと言って、一生懸命いろいろのことを総理要求したり、あるいは国会でも答弁しておったり、業界からも強く要請があるんですよ。四月にやろうと言ったことが今日もってまだ具体的な計画も立たないなんてそんなのんびりした姿勢でいいんですか。大臣どうでしょう。  大臣にひとつお聞きしますが、大臣は、これまた新聞報道ですが、かつて林野庁は金があるからゆっくりやっているんだというようなことを言われたことが新聞に出ていましたけれども、そういうことですか。
  59. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えしますが、ちょっと私はそういうふうに言った記憶がないんでございますが、林野庁は非常によくまじめにやっておると御理解願いたいと思います。  そんなことで、実は千五百億というのは総枠が決まったわけでして、それがどのような形で川下、川上対策がされるか、特に合板、製材関係、あるいは川上対策は間伐、補植その他いろいろ含めての話、林道をつくったりとか。そんなことで、実は大体千五百億の金額が決まったときにはそのほかどんな事業をやるかという大まかな予定は合意に達した。  そんなことで、六十年度から緊急どうやっていくかというようなことでいろいろ打ち合わせをしておるということです。率直に言いますと、六十年度実施につきましては、大体大蔵省当局と総枠の話し合いはどうやら合意に達しつつある。こんな感じがしておるわけでございまして、先ほど合板事業等を含めていろんなことがございますが、十分御期待に沿い得るような案ができてくる、このように考えておるわけでございます。
  60. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、そういう答弁ですけれども、この計画にはもう内容が決まっているんです、どういう事業には幾ら使うということが。だから、そんな答弁しておったってだめなんです。時間がないからまたいずれ追及してまいりますけれども……。  そこで、合板、製材業が弱小企業で、御承知のとおり不況業種であります。多くの企業が赤字に苦しんでおるわけです。ただでさえ苦境に立たされている木材産業でありますけれども、これが関税引き下げによって外国製品の輸入が増加すればますます経営が苦しくなってくる。この計画の中で合板、製材事業に関する緊急対策事業は五年間で融資が六百億円、国費百億円にすぎない。国費百億円といっても、そのほとんどは融資に対する利子補給なんです。この融資対策を講じて利息を若干安くする、そんな程度でもってこの不況業種が関税引き下げに伴う輸入の増加に耐えていけるような体質改善や業種転換ができる、そのように思っているんですか。
  61. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今回の対策の中には木材全体の需要拡大への対策、それから過剰設備の廃棄もございますけれども、新分野への転換等も含まれておりまして、どういう方向を選ぶか、これは個々の業界人の相当真剣に検討していただくことになっておるわけでございますが、いろいろなそういう選択をした方向に対しましてお手伝いと申しますか、それを促進する、協力する、それらにつきましてはこの千五百億円の範囲内におきまして相当なことができるのではないか。あるいはまた、これらを補完するものといたしまして中小企業事業団方式の活用もございますし、いろいろ各般のその他の施策もございますので、総合して活用いたしまして十分対応できるものと考えております。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁長官農林水産省はお手伝いをするということじゃないんです。あなたたちが政策的に関税引き下げを行うからこういうことになるんでこういう枠もつくったんでしょう。業界内のお手伝いをしてやればいいんだという、そんな気持ちじゃ期待に報いることはできない。  そこで、先ほど私が聞いたことは、融資で対応するといっても融資でいいのか。例えば五十九年度林業関係融資の貸付実績を見れば、計画に対して多額の資金枠が残っておる。特に国産材加工流通の整備資金は計画に対して二割ぐらいしか使われておらないんです。このことでは、融資制度によって林業木材産業活性化を図るということは困難である。またそのような意欲を持てないのがこの産業の実態ではないですか。融資対策でもってこの関税引き下げに対応するだけの体質改善ができるというふうに思っていますか。
  63. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今回の五カ年計画合板製造業等の体質強化対策が主要な柱でございますが、過去にも経験を実は持っておりまして、合板製造業の再編整備を融資措置で行ったことがあるわけでございます。これが非常な効果を上げて合板工場でも約四十工場、製材工場でも約六百工場ばかりの再編整備が五十七年、五十八年に行われたことが実はございます。そういうふうなことで、経験も積んでいると申しますか、非常に有効に作用をした前例もございますし、今回はその前回の措置よりも融資内容等を前進させると申しますか、相当有利な条件を予定いたしておりますので、この効果については十分期待してよろしいんではないかと考えております。
  64. 村沢牧

    村沢牧君 長官は先ほど私が申しましたこの林業資金がどの程度使われているか承知していますね。随分計画に対して枠が残っている。融資計画はっくったけれども使えないのが実態なんですよ。承知していますね。
  65. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 七〇から八〇%ということを承知しております。
  66. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、過剰設備の廃棄について林野庁は当初国費による買い上げを予定して、国費三百二十億、融資枠五百六十億の計画をしたが、発表された計画では国費八十五億、融資枠四百七十二億になってしまった。つまり全額融資利子補給に先ほどから申しているように変えてしまった。融資をするから設備を廃棄しなさいと言っても不況業種の合板や製材業がこれを歓迎するというふうに思うんですか。先ほど計画はいろいろなことを言っているけれども、当初林野庁が示したこの計画国費によって買い上げましょう、その計画じゃなかったですか。どうして変更しちゃったんですか。
  67. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 業界体質強化策を確定するまでの過程におきましていろいろな案、先生お話のございましたそういう買い上げも含めましていろいろな検討折衝を重ねてまいったわけでございますが、諸般の事情と申しますか、現下のいろいろ財政事情あるいはこれまでとった施策 との整合性その他総合的な判断を最終的に林野庁はいたしまして、この際、買い上げ的なやり方につきましては今回とり得る方策ではないという判断に立ちまして、現在の融資方式に決定をいたしたわけでございます。
  68. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁は当初合板企業の設備廃棄を国費で買い上げよう、補助金を出そう、そういう計画を持ったことは事実だ。ここに書類があります。ところが、大蔵省との折衝でそれはだめだということになって全額融資をした、こういうことじゃないですか。そうだと思います。  そこで通産省側に聞くけれども、農水省はこの設備廃棄について、通産省所管の中小企業設備共同廃棄事業に乗っかって国費による買い上げあるいは補助金に期待している。さっきも長官からちょっと答弁あったんですが、そのような用意を通産省はお持ちですか。
  69. 長田英機

    説明員(長田英機君) 林野庁の方からはこの林業関係活力回復計画内容につきまして私ども伺っておりますが、その一環としまして、中小企業事業団の高度化資金の融資、これは無利子の設備資金、買い上げる組合に対する無利子の融資でございますが、これの制度を利用することもあり得るというふうに林野庁の方から聞いています。  なお、先ほども議論いろいろございましたが、私どもその設備買い上げの融資をやります場合には、例えばどれぐらい業界にその設備の過剰があるんだろうか、どれぐらい廃棄するんだろうか、あるいは対象設備はどういうものだろうか、あるいはいつそもそもやるんだろうか、こういうような点が明確にならなきゃならないと思うわけです。また、一体どれぐらい金がかかるんだろうかということが明確になる必要があるわけでございますが、今までの計画の詰まり方では、まだそこまで詳細にはどうも詰まっていないように聞いておるわけであります。したがいまして、こういう内容がだんだん詰まってまいります。その段階に合わせまして私どもとしては検討していくわけでございますが、いずれにせよ林野庁の方と十分連絡をとりながら対処していきたい、こう考えているわけでございます。
  70. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁は、当初林野庁みずからがこの設備廃棄に伴う買い上げなり補助金をしようと計画したけれども、できなかった。そこで通産省の中小企業事業団の方へ乗っかろうと一生懸命言っているわけですね。ところが、今お話を聞いていると、そんな簡単に乗っかれるようなものでもないような気がするんですけれども、そういう要請があればあなたの方で引き受けましたとやってくれますか。
  71. 長田英機

    説明員(長田英機君) 林業状況が非常に大変であるということは、私ども中小企業を所管しております中小企業庁として非常によく理解できるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、具的体な計画を、いろいろとこの設備廃棄に関する計画を伺った上で、その上で判断をさせていただきたい、こういうことでございまして、林野庁ともよく連絡をとっていきたい、そういうことでございます。
  72. 村沢牧

    村沢牧君 そこで林野庁長官に重ねて言っておきます。あなたの方では設備廃棄をするときには買い上げようと思ったけれども林野庁はできなかったから、中小企業庁にやってもらうなんて言っているけれども、そんな甘く考えていたんでは、そんなことに期待を持たれちゃいけませんから、よくその点は心得ておいてください。  そこで、合板工場はこの十年間に約半減したわけです。そして労働者が三分の二も失業した。今度関税引き下げが行われれば、合板では三割、製材では二割の企業が倒産、閉鎖に追い込まれ、そして約四万人の労働者の雇用が奪われると一部では言われているんです。ところが、林業活性化対策ではこのような雇用対策について一言も触れておらない。ただでさえ劣悪な労働条件に置かれている企業が政府施策によってさらに窮地に追い込まれる。雇用安定確保のためにどういう施策を講じようとするんですか、林野庁と労働省の両省からお伺いしたい。
  73. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今回の過剰設備の廃棄につきましては、工場経営者の判断により行われるわけでございますが、これが円滑に進められますように、本計画におきましては、この廃棄に必要な資金繰り資金に対する利子助成を行うこととしておるわけでございます。この資金繰り資金の中に従業員の退職金相当分を含めて対象としておるなど、このような点で雇用対策に配慮しておるところでございます。また五カ年計画に関連いたしました雇用対策につきましては、労働省との連携を密にしながら不況業種指定による諸対策などが適切に講ぜられるように努めてまいりたいと考えております。
  74. 井上文彦

    説明員井上文彦君) 労働省といたしましては、一般製材業、合板製造業につきまして、昭和五十八年から特定不況業種・特定不況地域の特別措置法の特定不況業種に指定しまして、本年六月の指定期間満了に際しましても引き続き対象業種に指定し、事業主が行う休業、教育訓練、出向等に対する雇用調整助成金制度を活用し、労働者の失業の予防に努めてきたところでございます。また離職者の発生が余儀なくされる場合には、離職者に対しまして三年間有効の手帳を発給し、就職指導、職業紹介の実施、四十歳以上の者に対する雇用保険基本手当の延長給付、四十五歳以上の者を雇い入れる事業主に対する助成金の支給等の処置を講じてきたところでございます。今後とも関係省庁と十分連絡をとりながら、雇用の安定を図るための処置を講じてまいる考えでございます。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 こうした政府措置によって職がなくなる労働者が出てくることも、これは事実なんですよ。ですから、林野庁もこの活性化対策を講ずるならばそのことも十分念頭に置いて、ただ退職金の利子補給をしてやる程度のことでなくて、十分この対策を講じなければいけない、そのことを強く指摘しておきますが、答弁いただけますか。
  76. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) お話ございましたような気持ちでもってすべて対応してまいりたいと思います。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 次は建設省に聞くが、国産材の需要の拡大と地場産業あるいは関連中小企業育成のため、農林水産省はこの五カ年計西の中で国費による規模の大きいモデル木造施設を建設することを予定している、あるいは文部省においても学校建築等に木材を使うべく補助金のかさ上げ等も予算要求するというふうに聞いておる。このような大規模の建物をつくるとするならば建築基準法に抵触するものも出てくるわけです。したがって、木材使用に対する規制の緩和、見直し、これを行うために建築基準法の改正をすべきだというふうに思いますが、どうですか。
  78. 立石眞

    説明員(立石眞君) お答えいたします。  建築基準法におきましては、木造建築物について木材という材質に応じまして構造安全上とかあるいは防火上の必要な措置を講じておるところでございます。大規模な木造建築物につきましては、構造上あるいは防火上の安全性を確保するために、高さとかあるいは規模等に応じまして必要最小限の制限を規定しているところでございます。しかしながら、木造建築物でありましても、特殊な建築材料とかあるいは構造方法を用いて性能の向上を図ったものにつきましては、例えば大断面の集成材等を使ったような構造につきましては、建築基準法の中に第三十八条という規定がございますが、これらの規定等を使いまして制限の緩和を図る道が開かれております。既に集成材を用いた木造建築物について高さ制限の緩和を行う等の措置を今までも講じているところでございます。今後とも木造建築物の構造、防火上の性能の向上を図るための技術開発を推進いたしまして、また先ほどのような措置を講じながら的確に対応していきたいと考えておるところでございます。
  79. 村沢牧

    村沢牧君 この五カ年計画の中で、モデル木造施設の建造促進に対して国費二十四億円を補助するということになっておりますが、これはかなり大きな木造建築物をつくろうという計画だという ふうに思いますけれども、それと建築基準法との関係はどうなんですか。
  80. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今回全国各地にこれぞ木造と言えるような木造のよさを象徴するような建物を何十カ所かぜひ建ててまいりたい。それが、建築基準法のいろいろな条項をクリアしていき、その中でまたどういう経験を蓄積していくのか、それらが一般の方が木造建築を進めるときに解決すべき手順のマニュアル作成に役立つようなこともあろうと思いますし、いろいろな問題点の発掘となることもあろうかと思います。いろいろなそういう経験を積み重ねながら現在での可能な限りの木造建築を各地につくってまいりたい。いろいろな規制が、一般的に漠然とした言われ方では木が排除されているように言われておりますけれども、具体的に事例をもって合理性のあるものである場合もあるわけでございますので、それらについてのたくさんの知見を集積いたしまして必要な折衝を主管する建設省とも進めてまいりたい、そういう材料をぜひ今回のこの中に求めてまいりたいと思っておるわけであります。
  81. 村沢牧

    村沢牧君 建設省と建築基準法との関係で折衝することは当然のことなんですけれども林野庁がこういう計画を立て、予算をとってこういうことをやります、普及するためには建築基準法との関係を十分検討してやらなきゃいけないと思います。もう一回お伺いいたしますが、今林野庁考えているこの構想で建築基準法との関係は大丈夫か、もう一回答弁してください。
  82. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 木材需要の拡大を図っていくことは極めて大事なことでありますし、このためには建設省等関係省庁と協力いたしまして、木造住宅の建築促進あるいは内装材への木材利用等、さらには公共施設補助事業等の木造化の推進を努めているところでございます。本年に入りましてもいろいろそういう点での幾多の具体的な前進が行われたところでございますけれども、なお林野庁が直接みずからこのようなモデル的な木造住宅を手がけることによりまして、さらに密接な協議、連絡を建設省とも行いまして、将来必要な措置をとるための重要な材料としてまいりたいというように考えております。
  83. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 村沢君、時間が大分過ぎておりますので御留意願います。
  84. 村沢牧

    村沢牧君 はい。  最後にお伺いいたしますが、農林水産大臣、市場開放の政治決定で打撃を受ける業種に対しての救済対策は各省庁に関係している。今お聞きのとおりであります。農林水産省は林政審議会の意見を聞いて対応しようと考えているようであるが、林政審は一定の方向を示すことはあるけれども、私が質問したような具体的な問題については対応策は林政審にはできない。したがって、関係省庁なり団体なりあるいは学識経験者などによるこの市場開放に伴っての調査会というか検討会、これをつくって総合的な対策検討すべきだというふうに思いますが、その点についてどうなんですか。
  85. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  その前に先ほど村沢先生がおっしゃった今の建築基準法との関係でございますが、一番問題は安全性の問題だと思います。例えば火に対して、水に対して安全性をどうするか、この辺を含めて今木のよさの理解を求めながら建築基準法の改正をお願いしておるという現状でございます。  それから林野行政のいわゆる川上から川下を通じた充実につきましては、今先生御指摘のとおり林政審議会の場を通じて広く意見を徴しているところでございますが、この林政審議会は学識経験者を初め各界の代表者から構成されており、林野行政の基本となる問題はもとより幅広い論議が行われているところでございます。また今回の国内対策及び関税問題などについてはこれまでも関係各省庁と十分話し合いを行ってきたところであります。したがって、今後とも機会をとらえまして、林政審議会の場での議論はもちろん各省庁関係者あるいは学識経験者等の意見を聞くことにしたいと考えております。
  86. 村沢牧

    村沢牧君 最後に。林政審議会のあることは承知しているけれども、林政審議会で私が質問したようなことができないじゃないですか。やらないじゃないですか。ですから適切な対策を講ずるための対応策を講じなさいということなんです。どうなんですか。
  87. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今お答えしたとおり林政審議会の場を通じましてかなりいろいろ議論がされており、それとともに各省庁の意見を聞いたり、あるいは学識経験者の意見を聞きまして、先生の御指摘のようなことで御期待にこたえるように努力したいと、こう思っております。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣、十分ぐらい休んでもらう予定で運輸大臣を先に呼んでおったが、運輸大臣が来なくて大蔵大臣が見えたから大蔵大臣から入ります。  今回の法律が鳴り物入りで提出された割には具体的な内容に乏しいということをまず指摘しなきゃなりません。何でこれが行政改革なのか、あるいは何でこれが市場開放、内需拡大政策なのかというのかさっぱりわからない。法律を読めば読むほど納得ができない。こういう状態だと思うんですよ。  それで冒頭、総務庁長官、この法律及び付随する省令、規則の改正によってどういうような効果が期待できるんですか。
  89. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この法律案は、経済、社会の活性化あるいは対外経済摩擦の克服、こういうことが現在の政策課題でございますので、その一環として公的規制の緩和を図る、こういうことでやっている。ところが和田さん御指摘のように、これの効果はさっぱりあかぬやないかと、こういう御指摘は時々耳にするわけでございます。しかし、考えてみれば、今日まで日本の社会は、御承知のように、民間の方も何かといえばお上に頼るといった傾向があった。それなりに私は大変な成果があったと思います。しかし、今日のように民間の資本、技術、あるいは人材、情報、こういったような力を蓄えできますと、時代が変化しておるのに伴ってかえってそれが足かせになっておりますから、それを解き放すということによって民間のエネルギーをできるだけ引っ張り出そう、そういう環境づくりをやろう、こういうことでございます。  行革審もそういう観点に立って、二百五十八事項の規制緩和をやれと、こういう御答申をちょうだいしたんですが、この法律案の中身は、その中で当面法律改正を要する事項だけを取りまとめた。しかも同時に、これは一括法でございますから、重要な将来に向かっての政策変更を伴うといったようなのは単独立法ということでお願いをしております。したがって、ここでは一括法になじむものだけを取りまとめてある、こういう評価をしていただきたい。それと同時に、それ以外のものについては、これは御承知だろうと思いますが、金融関係での預金金利の自由化であるとか、運輸関係でトラック運送事業の参入規制の緩和、航空三社の事業分野の見直し、あるいは石油関係では例のガソリンの輸入自由化、あるいは基準・認証、輸入プロセス、こういったようなことで八十八事項、こういうことが今回取り上げられて、政府としてはこの法律の改正と並んでそれらに合わせて取り組んでいきますから、そこらをぜひひとつ総合的に評価を賜ることができりゃありがたい。もちろん世の中変わりますからこれで終わりとは考えておりません。これは必要となればまたやっぱり絶えず各省庁中心に見直しをやっていく、こういうことが一番肝心なのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、まず大蔵大臣。各大臣に具体的なことを聞きますが、大蔵省、無額面株式の発行ができる金融機関を拡大していく、こういうことですね。現在担信法の適用のない銀行というのは無額面株式の発行が可能ですか。
  91. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 現在のところ無額面株式を発行している銀行はございません。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 とにかくないんですよ。ないやつをこういうふうに言うんだ。これを機会に無額面株式を発行したいとする金融機関が出てくると考えたわけですか。
  93. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 先ほども後藤田長官から申し上げたかと思いますけれども、ただいま金融の自由化が進行しているわけでございます。そして銀行につきましてもいろいろと業務規制を緩和していく、あるいは自己資本の充実ということで、資本調達の多様化などにつきましては私どもせっかく意を向かせているところでございます。そういう意味で新しい資本の調達方法が導入できるということは資本調達の多様化につながるものというふうに評価しているわけでございます。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 私はどうも意味がないと思う、ほとんど意味がない。  同じことは信託業法そのものでも言えるんだと思っているんですよ。この法律に基づいて免許を受けた信託会社というのは幾つあるんですか。
  95. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) この法律に基づきました免許を受けているものはございませんけれども、実は信託業務は、普通銀行ノ信託業務ノ兼営等二関スル法律で兼営許可を得た普通銀行により行われているわけでございます。兼営法におきましてこの信託業法の主要な部分を準用しておりまして、これら信託銀行の信託業務はこの信託業法に根拠を有しているというところで信託業務の基礎をなしているということでございます。この兼営二関スル法律の中で信託業法の業務内容を多数準用いたしまして、それに基づいて普通銀行が信託業務を兼営していくという形になっているわけでございます。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 信託業法の存在の意義というのをどういうふうにお考えになっているか、きょう時間がありませんから、久しく大蔵委員会にも出てないからあれなんですが、本当は少し時間をかけてやりたいんです。  無尽業法も私は同じだと思っているんですよ。無尽業法の適用会社は幾つありますか。
  97. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 一つでございます。
  98. 和田静夫

    和田静夫君 そうですね。それだからゼロであったり一つであったりというようなところなんですよ、大蔵大臣。要するに、あなた方は民活、民活とおっしゃるけれども、内需の拡大とか経済摩擦の解消に役立つとはとても考えられない。考えられません。おやりになるのまで否定しませんけれども、実効性はほとんど期待できない。この法律案の総括責任者はそうお思いになりませんか。
  99. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いや、せっかくの御質問でございますけれども、さっきお答えしたように、私は民間活力を引っ張り出すということの環境づくりに大変役立つんじゃないか、将来ともこういう方向で。今まで余り規制が多過ぎます。それはこの際解除して、そして民間の力、技術なり資本なり情報なり人材なり、これの活用する場面を広げていくということは、これは日本経済にとっての大きな刺激になる、かように実は考えているわけでございます。
  100. 和田静夫

    和田静夫君 金子長官に答弁求めたつもりだったんだけれども総務庁長官がお立ちになったわけです。  それじゃ今の答弁を受けて厚生大臣。きょう午前中いっぱいかけて随分いろいろお話し合いしました、医療法についてですね、きょうも論議をしました。これだけのことで行政事務が簡素化されるのかどうか、何人分の事務が軽減されますか。
  101. 内藤洌

    政府委員内藤洌君) 医療法の関係につきましては、病院の病床数を減少する場合に、従来許可を必要としておりましたものを届け出に改めるという改正が盛り込まれてございます。これにつきましては、数件のサンプル調査をもと国全国的に事務量を推計いたしますと、年間百ないし二百件程度であろうかと思います。したがいましてその分の行政事務が簡素化されるというふうに考えております。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 何人分に該当するのだろうというふうに考えてみると、これも余り効き目がない。  それじゃ旅館、興行場、公衆浴場の営業承継の際に許可を必要としない、こうなるわけですが、民間活力にどういうふうにこのことで資するんですか。
  103. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 旅館、興行場等の営業の相続の場合においては、施設、設備に全く変更が生じないにもかかわらず改めて許可を必要とすることは業者の負担になっているという考えから、負担軽減を図る趣旨で今回の改正を行ったわけでございます。このような規制緩和によりまして申請者側の申請手続に要する労力などを省くということができるわけでございまして、営業承継に伴う営業の開始がより円滑になるものと考えられるわけでございます。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 私はそれ自体余り否定しませんけども、ちなみに公衆浴場の営業承継というのは年間幾らあるんですか。
  105. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 公衆浴場だけで見ますと、年間に新規の許可が約千五百件程度と、こう見ておるわけでございますが、その中で実際に承継のケースがどのくらいかというのはなかなか的確な数字を持っているわけではございませんが、約二百七十件くらい、こう考えておるところでございます。
  106. 和田静夫

    和田静夫君 運輸大臣が見えない。一番先に始める運輸大臣が来ない。労働大臣は今見えた。労働大臣の時間に合わせてすべての大臣に並んでもらって十分間で全部上げるということになっているんですよ。せっかく気配りして全部の大臣がそろう時間まで決めてあるんだ。
  107. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  108. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 速記を起こしてください。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ運輸大臣に伺いますが、タクシーの運転者登録原簿の登録事項から本籍に関する部分を削除する、結構なことです。しかし、それは民間活力とどうつながるんですか。
  110. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 運輸省といたしましては、この改正によりまして民間活力が大いに発揮されるという直接的な効果が期待されるものではございませんけれども、登録申請を行う者の負担は軽減されるものと考えておる次第でございます。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 そういう程度なんです。各省みんなそんな程度なんですね。  大型ジェット機に航空機関士を乗り組ませなくてもよいようにする。最近の日航機の事故から考えてみて、これは大変危惧されるんです。飛行機そのものがコンピューター化されていても、最近の事故事例を見ますと、むしろ人間のうっかり、ミス、ケアレスミス、そういうものも発生しているわけでしょう。それが事故につながる。フェールセーフという言葉が無力になっている。いかに機械が発達しても最後は人間であると私は思う。最近のたび重なる事故の教訓からするなら、これは極めて軽率な対応だと言わなきゃならぬと思っているんですが、いかがでしょう。
  112. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) この問題につきましては、今国会において議論の一つの焦点となってまいりまして、私も再三にわたって御答弁申し上げているところでございますけれども、この法律ができましたのは昭和二十七年でございますから、既にそれから三十数年たっております。航空業界は日進月歩でございますし、当時民間機として常用されておった機種というのはほとんどない現状でございます。したがいまして、日進月歩でそれぞれ改良され、合理化されてきているということから、ただ単に発動機の数であるとか重量だけでもって三人乗らなきゃならぬとか、二人乗らなきゃならぬということはいかがなものであるか。場合によっては、四発でなくても三発であっても三人乗る場合があり得る。性能その他によって決めるべきであって、ただ外形的な問題で決めるのはいかがなものかと思うのでございます。  実は、私もこの週末沖縄に行ってまいりまして、例えばYS11であるとか、あるいは大型のヘリコプターなんかに乗りました。それぞれ一人でございます。一人でございました。そういうことでございますから――YS11は二人でございましたかな。いずれにいたしましても、飛行機によっては一人しか乗ってない飛行機もいろいろございます。ですから、そういう一つの大小だけで簡単にやるべき時代ではないという見地に立って、今回はより合理化するという意味においてこの法律の改正をお願いしているわけでございます。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 私はここだけはどうも納得できないんですよ。幸か不幸か私も参議院の教育・文化視察団で行きまして、最後サンフランシスコから飛んで、日本ではニュースになりませんでしたけれども、サンフランシスコ空港が始まって以来、日航機がいわゆる大型ジャンボ機になって初めて第四エンジンがとまって引き返した。したがって、林健太郎博士を団長とする我々一行は一日おくれて帰ってきた。そういう経験をこの間したばっかり。そうすると、ジャンボ機一回落ちれば五百人以上でしょう。こういう状態のことがあるのに乗員を一人減らす。五百人の生命と考えてみる。ここの部分というのは今のようなお話と次元が違うわけでありまして、これは十分に考えながら撤回をすべきことだと思うんですが、いかがでしょう。
  114. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 技術部長も来ておりますが、私から答弁申し上げますか。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 技術部長で結構です。
  116. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) お答えいたします。  ただいま御指摘の五百人乗りのジャンボから航空機関士をおろしてもいいのかという趣旨がと思いますが、私ども現在飛んでおりますジャンボジェットあるいはその他の飛行機は、既に航空機関士が安全運航上必要と認定された航空機でございますので、このような現在のタイプから機関士をおろすということは考えておりません。ただ、技術の進展が、現在の状況におきましては、電子技術あるいはコンピューター技術を航空機に導入し、大型機であっても操縦士二人のみで操縦できる、これを安全に運航できることが証明される、そのような飛行機の出現が見つつある。こういうような状況を踏まえまして、現在の外形的な要素で定めております航空機関士乗り組みの要件を合理化、したがいまして削除いたしました。今後各機種ごとに航空機関士の乗り組みの是非を審査していこう、こういう趣旨のものでございます。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 約束で、運輸大臣はさっき日程の狂いがありましたからお待ち願って、ほかの大臣を済ましてしまいます。この法律の関係各大臣すべてにお尋ねをいたします。  この法律は民間活力にほとんど、幾つかの事例を挙げながら、役に立たないということを私は立証したつもりなんですが、経済摩擦の解消にほとんど効果がないんだと思うんですけれども総務庁長官答弁と私の認識とはそこでは違いがありますね。逆に幾つかの問題ある措置が盛り込まれていると実は思うんです。自己認証制度を幾つかの点で導入しようとしているわけですね。これは中には国民生活の安全を脅かしかねないものがあるわけでありまして、各大臣、担当の個々についてその安全性をいかに担保されるのか、それぞれお答え願いたいんです。
  118. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 無線機器の関係の日米電気通信、MOSS協議につきまして、ことしの六月からずっと会合を開いてまいりました。今後、専門家のレベルの中で協議をさらに継続することにいたしておりますが、米国は無線設備の技術基準適合証明の審査手続において外国メーカー作成のデータを受け入れるということを提案してきておりますけれども、我が国としては現行制度の趣旨を踏まえながら申請者の負担軽減、それから行政事務の簡素合理化を拡充するとともに、電波の利用秩序の維持、電波の一層の利用促進を図る、こういう関係でアメリカとの間の調整を図ってまいりたい、このように考えております。  今回の法律改正におきます問題につきましては、三十七条の型式検定の対象の機器、これは国際条約によりまして性能基準が定められておりまして、外国もその基準に従って検定を行っております。また外国の主管庁の型式検定の受け入れは、郵政大臣が行います型式検定と同等またはそれ以上ということにして、それに合格した機器について行うものでありますので、私はそういうことについて問題がないと思いますし、さらに個別に落成検査によってその性能が我が国の技術基準に合致しているかどうかチェックする、こういうこともするわけでありますので、御心配の点はない、このように考えております。
  119. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 通産省関係でお願いしておりますのは、消費生活用製品安全法の関係、これは御承知のように家庭用の圧力なべ、圧力がまでございますとか、乗車用ヘルメット、野球用ヘルメット、炭酸飲料瓶詰、乳幼児用ベッド等々の八品目のうち第一種と第二種を区別いたしまして、第二種について自己認証制を導入しようというものでございます。  それからもう一つのガス事業法の改正につきましては、ガス瞬間湯沸かし器、ガスストーブあるいはガスバーナーつきふろがま等々の大政令指定品目のうち、第二種にされたものは自己認証にしてやっていこう、こういうことでございますが、この法律改正において、従来政府認証、検定とか登録、型式承認が義務づけられていた製品の一部について、国による検定等の事前チェックを不要といたしまして、一定事項の届け出を行うことによってみずからの責任で安全性の認証を行うことができるシステムを導入するわけでございます。  こういうことによって可能な限り消費者の選択と責任にゆだねて、かつ生産者の義務と責任についての自覚が促されるということを考えておるわけでございます。これによって民間活力の一層の発揮に期待できるほか、市場アクセスの改善を通じて対外経済摩擦緩和に資するものと考えておりますが、その安全性につきましては、安全基準あるいは安全性の確保に万遺漏なきを期するということで、所要のチェックをいたしまして安全性を確保するというシステムでございまして、これによって市場アクセスの改善、そしてまた基準・認証にかわって自己認証に切りかえるということの効用を発揮したい、こういう意図でございます。よろしくお願いいたします。
  120. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 輸入自動車の自己認証制度につきましては、まだ運輸省としては決定したわけじゃございません。ございませんけれども、私どもは外国人と打ち合わせをする、協議することとしているが、まず現在の日本の国情というものを十分踏まえて、そして安全公害防止の観点から解決しなきゃならぬ、このように理解しております。
  121. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) 私の自治省関係は、自己認証にいたしましたのは消防ポンプと消防用の吸管を考えております。いずれも消防機関が使用するものでありまして、事前検査がなくても安全の確保上差しつかえないと考えまして自己認証にしたものでございます。
  122. 和田静夫

    和田静夫君 それではまだありますけれども、他の問題を少し続けます。  労働大臣、労働保険徴収機械業務室がリッカーの子会社、日比谷コンピュータシステムとの間で何かあったような報道等がありますが、ここで労働省が把握している実態を簡単にちょっと。
  123. 山口敏夫

    国務大臣(山口敏夫君) 過般の報道につきましては、大変御心配をおかけいたしまして深く反省しておるところでございますが、労働保険徴収機械業務室が株式会社日比谷コンピュータシステムとの架空の契約を結び、その一部を払い戻しさせていたという新聞報道がございましたが、調査いたしました結果、そのような事実は存在しないということが判明いたしました。ただ、年二回から三回にわたりまして一回につき二十万円から三十万円の金銭の提供を受けていた事実、それが個人の着服ということでなく、職員の夜食代等に使われていたものということでございまして、したがって東京地方検察庁では刑事事件として取り扱わないということでございますが、どんな名目であれ職員が取引先の業者から金銭を受領することは服務規律の観点から絶対にあってはならないということでございまして、この点まことに遺憾であり、今後一層の綱紀の粛正に努めますととに、労働省といたしましては、一つに事務次官を中心 といたしまして、契約事務の総点検の実施、二つ目といたしまして官房会計課会計監査室の設置を要求する等、監査体制の大幅な強化等により今後再びこのような事故の発生することのないように努めてまいりたい、かように考えておりますのでよろしくお願いいたします。
  124. 和田静夫

    和田静夫君 特定企業との関係というのは公務員の場合公正でなければなりませんから、起こったこの事件につきまして労働大臣が厳正に対応されると思うのですが、何かお考えありますか。今の処理はわかりましたけれども、問題の当事者たちに対しては今以外のことで何かお考えになるわけですか。
  125. 山口敏夫

    国務大臣(山口敏夫君) 先ほど申しましたように、事務次官のところで総点検の作業の過程におきまして、それぞれ責任者等につきましては厳正な措置をも含めて考えなければならないということでございます。
  126. 和田静夫

    和田静夫君 総務庁長官、今回の事態のことを聞こうと思いませんが、どうも企業と省庁とのこのような関係が他省庁において皆無であろうかということも考えるのですね。そこでこれを契機として他山の石としながら総務庁としては省庁全般に特別に何か対応されるお考えがあるわけでしょうが。
  127. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今の労働省の事柄についての関連の御質問だと思います。ああいうことはあってはならぬと思いますが、ただ各省庁とも、今実際私どものような長い経験のある者から見ればみんなそれぞれに注意しているのですよ。注意しているのですけれども、だんだんとそれになれがきてしまって、絶えずそれをチェックしていくということがややともすればおろそかになる。そういうところからいろんな事故が起きる。したがって、これを防ごうと思えば相互牽制、これの仕組みを各省庁で見直していただくということが実際的な効果があるのじゃないか。しかし相互牽制の仕組みをしてもなれがくると事故が起きるということですから、そこはそれぞれの幹部が時々留意して、あれはどうなっておるといったような注意喚起が必要であろう、これが実際的な解決の方法ではないか、かように考えるわけでございます。
  128. 和田静夫

    和田静夫君 それでは運輸大臣、八月のあの日航ジャンボ機墜落事故で尾翼のおもしに劣化ウランが使われていたということが明るみに出ましたね。その後この情報がちょっとストップしておるわけです。世間で忘れられたんではないかというふうになっているんですが、私はこれは無視できない重要な問題を含んでいると思うんです。  第一に、運輸省、ジャンボ機のどの部位に幾つ劣化ウランがついているんでしょうか。大臣でなくて結構ですがね。そのうち回収されたものはどの部分で幾つだったのか。それから未回収の部分はどうなったと推定するのか。
  129. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ただいま御質問の劣化ウランの取り扱いに関しましては、これは科学技術庁の原子炉規制法に基づいて管理されているものでございます。  ただいま御質問の、当該事故機のどういう部分に劣化ウランのバランスウエート、おもしでございますが、がついていたか、これにつきましては、垂直尾翼、方向舵の関係で十二個、それから水平尾翼、これは昇降舵の部分でございますが、これが左右に合計八個でございます。四個ずつの八個でございます。  回収の状況につきましては、垂直尾翼の関係は、相模湾に垂直尾翼が落ちているらしいということでございますので、これは回収に至ってございません。水平尾翼の関係につきましては、八個のうち三個が未回収であるというように科学技術庁から報告を受けているということでございます。
  130. 和田静夫

    和田静夫君 あとは科技庁ですかな、未回収の部分の推定というのは。
  131. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 回収されていない劣化ウランのうち垂直尾翼の部分に装着されておりました十二個、約百二十三キログラムにつきましては、運輸省事故調査委員会の経過報告によりますと、垂直尾翼の一部は相模湾あたりに落下した可能性があるとされておりますので、劣化ウランもこれについて相模湾に墜落しているのではないかと推定いたしております。また左水平尾翼部分に装着されておりました三個、約四十五キログラムは、墜落現場付近の密集した山林中に墜落しているのではないかと推定いたしております。  未回収劣化ウランの状況につきまして、墜落現場付近で散乱し回収された劣化ウランのバランスウエートが健全な形状であったところから見まして、装着時と同様な形状で存在しているのではないかというふうに考えております。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 僕は、劣化ウランは極めて毒性が高い危険な物質でありますから、未回収部分についてもこれは早急に捜査すべきだと思うんですよ。両方ともですが、土壌汚染の関係で山林中の部分は御巣鷹山周辺を広く調査しなきゃいかぬのじゃないですか。燃えて周辺に飛散したということも考えられることは考えられますが、今言われたとおり、墜落地点だけではなくて周辺地域を広く調査することによって、原形をとどめているかもしらぬわけでしょう、今言われるように。
  133. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 劣化ウランのうち、水平尾翼の昇降舵の落下地点の土壌の上から回収されたものにつきまして回収後の土壌の放射線レベルを測定したのでございますが、土壌の汚染は検出されておりません。との測定結果と当該劣化ウランが金属のインゴット状になって括りますという点を考慮いたしますと、未回収のものにつきましても、これによって土壌汚染が生じているというようなことは考えにくいんではないかというふうに考えております。  調査の範囲でございますが、遺体及び機体の破片の捜索の一環といたしまして、単に墜落地点ばかりではございませんで、落下の可能性のある区域を含めまして広範にわたってかなり徹底した捜査が関係省庁により実施されたと記憶しておりますし、私どもといたしましても、これらの捜索にできる限り協力してきたところでございます。  具体的には、尾翼が最初に地面に接触した地点から尾翼の破片が発見された地域を包絡するような扇状形の区域につきまして重点的な捜査が行われましたほか、それ以外の胴体部分が落下した区域やその周辺も含めて捜査が行われているわけでございます。  劣化ウランそのものについては放射線レベルの非常に低いものでございますし、これ以上範囲を広げてやるのはいかがなものかというふうに私ども考えております。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 そこのところは大変疑問です、私ももちろんアマチュアでありますが。こういう危険の度合いは別といたしましても、とにかく危険な状態の物質が飛行機の部品として使用されている。ほかにかわるべきものがないんなら話は別ですよ。これは安いからというだけのことでここのところ使っているわけですが、日本の空を飛んでいる航空機のうち劣化ウランを部品として積んでいるのはどういう飛行機ですか。
  135. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) お答えいたします。  劣化ウランを使用しております航空機は、ボーイング747、DC10、これはダグラスでございます。それからロッキードのトライスター、現在日本では三機種でございます。
  136. 和田静夫

    和田静夫君 それで全体何機ですか。
  137. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 747が四十八機中三十五機、ダグラスのDC10は二十機全機でございます。ただいまのは日本航空の分でございます。全日空の分としましては、747が九機、それからトライスターが十一機、さらにアジア航空の747が二機というような状況になってございます。
  138. 和田静夫

    和田静夫君 そうですね、そういう状態であります。  これは整備士の被曝のおそれというのはないんですか。
  139. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 日本航空の整備士の劣化ウランによる被曝につきましては、日本航空においてポケット線量計を装備させましてこれによって被曝管理が行われているわけでございます。私どももその結果については報告を受けているところでございます。  この報告によりますと、日本航空の整備工場におきまする整備士の被曝線量は、許容被曝線量としては法定で三カ月三レム以内ということになっているんですが、これを大幅に下回っておりまして、昨年度の実績ですと、整備士一人当たりの年間平均被曝線量は数ミリレムという低いものでございます。
  140. 和田静夫

    和田静夫君 万全の注意を払っても日航機のような事故が発生するわけですから、私は、危険性が若干でも存在する以上、他の金属にかえる、そういう指導をすべきだと思う、代替金属が先ほども言ったようにないわけではないわけですから。したがって、技術的に不可能なことではないわけですから、そういうような指導というのを強められることを、運輸省、運輸大臣、お考えになりませんか。
  141. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) このそれぞれの機種の部品と申しますのはメーカーから供給されるものでございまして、メーカーによっては劣化ウランからタングステンにかえつつあるメーカーもございます。特にボーイングの747では今後タングステンのウエートがふえていくものと思っております。
  142. 和田静夫

    和田静夫君 運輸大臣、結構です。  さて、本題に戻りますが、内需拡大という点からアクションプログラム等がほとんど意味をなさないんじゃないかということを私は指摘したんですが、    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕 そこで為替レートですね、景気政策の議論をしておかなきゃならないと思うんです。  まず、円レートです。政策的には頑張って円高に持っていっているわけですが、押さえどころといいますか、おさめどころといいますか、円安相場になるのではないかと考えますが、これは大蔵大臣と日銀の見解をまず承ります。
  143. 行天豊雄

    政府委員行天豊雄君) 九月二十二日に五カ国蔵相会議が行われます直前の為替相場は、一ドルが二百三十八円五十銭でございましたが、御承知のとおり、現在約二百三円台になっております。  御指摘のとおり、五カ国蔵相会議の直後は、各国と共同いたしまして我が国におきましてもかなりの介入を行ったわけでございますけれども、その後、私ども見るところでは、マーケットが次第にだんだんと自律的かつ合理的な判断でもって相場を形成するような状態ができかかっておるんじゃないかなという感じがしております。現に、最近では通貨当局によります介入ということも行っておらないわけでございます。したがいまして、現在の相場がどの程度安定したものかというのは、なかなかこれは確信を持って申し上げられませんけれども、少なくとも五カ国蔵相会議以前の状態に比べますと、かなり市場の判断というものは合理的になり、その限りにおきましては、現在の相場水準というのはそれだけ安定性を増しておるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。したがって、現在の相場水準が通貨当局の介入その他の措置によって人為的に形成されておるということは言えないのではないかというのが私ども考え方でございます。
  144. 三重野康

    参考人三重野康君) 私ども考えも、今国際金融局長がお答えしたと同じことでございますが、申すまでもございませんが、為替相場というのは為替の需給プラス相場観というもので決まるというふうに思っております。その相場観自身がごく最近大分落ちついてまいりました。もちろん、まだいろんな情報に過剰に反応するところもありますので、すっかり落ちついたというふうには申せませんが、大分落ちついてまいりました。また、その相場観が落ちついていることが相場自身もまた安定するというふうに考えまして、そういう状態に今一歩ずつ近づきつつあるのではないか、こういうふうに考えております。
  145. 和田静夫

    和田静夫君 行天さんもあるいは大蔵大臣もニューヨーク入りされたときにちょうど私もいました。大蔵大臣は実に巧みに隠していましたからわかりませんでしたがね、行天さんが来られることは。そこで私いろいろ勉強させてもらったんです。そのときにも言ったんですけれども、問題は、為替レートの予想にあるんじゃないんだと思うんですよ。経常収支がどういうふうに改善されるかという点にあるんだろうと思うんです。仮に二百円に近い相場であっても、来年度の経常収支は五百億ドル近い黒字を抱え込むことになるでしょう。    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕 そういう観測というのは、これはもう民間調査機関の幾つかは予測していますから、どれを読んでみても私の言っている方向だと思うんですが、経常収支の膨大な黒字が続くだろうということ、ここのところは大蔵、日銀はどういうふうに展望されるんですか。
  146. 行天豊雄

    政府委員行天豊雄君) 経常収支は、今年度につきましては、年初に政府見通しをつくりました際には三百四十億ドル程度というふうに考えておったわけでございます。その後、御承知のとおり、一つにはドル高によって我が国からの輸出が出やすい状態にあった。それを反映いたしまして、対米、対中国等の輸出が好調であったこと、あるいはまた我が国が非常に大量に輸入しております原油等の一次産品価格が非常に低調であったために輸入が伸びなかったというようなことで、御指摘のとおりかなり黒字幅が広がっております。  ちなみに、本年度に入りまして、四月から十月までの七カ月間に経常収支の累積は三百十億ドルということになっておりますので、今年度が最終的にどのくらいの黒字になるか、また明年度の黒字がどのくらいか、実は目下作業中でございますのでちょっと数字を申し上げる段階に至っておりませんですが、当初見通しに比べますと相当大幅な黒字になるであろうということは予想しております。
  147. 三重野康

    参考人三重野康君) 先生のおっしゃったとおり、今ぐらいの円レートで直ちに貿易の黒が縮小するというふうには考えられません。と申しますのは、ドル建ての価格を引き上げたり、あるいは輸出のうち約四割が円建てでございますが、それを換算するレートが高くなりますから、すぐには改善するとは思いませんが、時間がたつに従いまして輸出数量の減少、輸入数量の増加、それが輸出金額の減少、輸入金額の増加となってあらわれまして、長い日で見れば、必ず貿易収支の黒というのは改善の方向、少なくなる、そちらの方向に向かうというふうに思っております。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 各機関の予測というのは、大体五十億ドルぐらいの程度のばらつきがありますけれども、総じて、為替相場が円高であっても経常収支黒字は大きいと、そういうふうに出てくるということですねでとすると来年度も再び貿易摩擦が再燃してくるんじゃないだろうか、そういうふうに思うんです。東京サミットが中曽根総理の花道になるのかどうかはしりませんが、もし花道になるとしても、その花道は貿易摩擦をめぐる非難の合唱の場となると言っていいぐらいに私は思っているんですが、大蔵大臣どうです。
  149. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今、行天局長それから三重野総裁からお答えがありましたように、今、円建ての分は換算レートが上がりますし、ドル建ての競争力のあるものは値上げをしますし、よく言われるJカーブというのが効きますから、短期的には私はまさに縮小するとは思っておりません。あくまでも中長期的な課題だ。  そこで、恐らく和田さんのおっしゃるのは、そうすると、よく外国は暦年で物を判断しがちですから、二月ごろになれば暦年のものがおおむね出てくる、そうなると、そこでもう一遍大きな批判が出てくるじゃないか、こんな懸念もお持ちじゃないかというふうに思います。そうして今度はサミットごろになりますと年度の分が出てまいりますが、そのときもJカーブ効果がまだ効いておる段階じゃないかな。こういうふうに考えますと絶えず、今御審議いただいておる規制緩和法、あるいは、きょう本院で委員会で議了していただきました関税引き下げとか、そういうものを態度で示すことによって理解を得ていかなきゃならぬではなかろうかというふうに考えます。今度は品目を単品ごとに仮に見ますと、もう一つの懸念といいますか、我が国にとって経済全体からして悪いことは必ずしも言えないにしても、仮に油が一ドル下がればまた十四億ドルぐらいこちらからの輸入がそれだけ少なくなるわけですから、それも数字の上での改善という面から見れば我が方から見ていい要素ではありません、経済全体の問題は別といたしまして。  そういうことになると、確かにサミットの際にもこの問題は大きな関心を呼ぶ課題ではあろう。しかし、それまでに例えば、余り役に立たぬじゃないかと言われましょうとも、この一括法を議了していただいたり、また関税の一括引き下げの問題がきちんとしたり、そして内需拡大の効果が、まあ経済企画庁の試算で二十億ドルとはいうものの、それが、十月発表いたしまして、一年間の効果とはいえ、そういうことに対する理解が深まったりすることによって、私はいわゆるみじめなサミットになるというふうには考えておりません。またそうならしてはならぬというふうに思っております。
  150. 和田静夫

    和田静夫君 私は、円レートだけではこの貿易摩擦は解決できない、それからアクションプログラムでも大して期待は持てない。円レートだけで解決しようとするのであれば、恐らく百五十円台の超円高が必要となるだろう、しかしそれは日本経済を文字どおりの円高デフレに陥れることになる。したがって、こういう問題を解決するには、アメリカの財政赤字の解消あるいは削減、積極的な財政・経済政策、そして適切な市場開放が必要、こういうことになろうと思うんですね。大蔵大臣そして経企庁長官、そういう認識でいいですかな。
  151. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) このG5におきまして、一応、附属声明の中で、今おっしゃいましたように、アメリカの果たす役割というのは、財政赤字の削減と、それに伴うところの高金利是正である。我が方といたしましては、一層の市場開放、金融の国際化、自由化、そして内需の振興であるというのを国際的にアナウンスメントしたわけでございますから、それに沿った施策を着実に行うことが最終的には一番大事なことだという問題意識はおおむねひとしくしております。ただ、円・ドルレートあるいはドル以外の通貨が高くなってきておるわけでございますが、これが先ほど来のお答にもありますように、不安要素はございますものの、自律的に今日各国のファンダメンタルズを適正に反映した姿が定着しつつあるというふうに見ますので、このことが危険要素ではなく、プラスの要因の大きな要素の一つではある。しかし、基本的には今おっしゃったように、中長期的なそれぞれ附属文書で発表いたしましたことをそれぞれの国が着実にやっていかなきゃならぬという問題意識はひとしくしております。
  152. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 今大蔵大臣からお答えになりましたのと全く同様でございまして、アメリカ自身が、財政赤字による高金利が今日の日本の貿易黒字の主たる原因であるということをベーカー財務長官になりましてからはっきり認めて、ああいうG5における結論を出したわけでございまして、先ほど来いろいろ議論ありましたけれども、円・ドルレートの是正というものがこれから長い目で見て日本の貿易収支の是正に大いに役立つ。ただ、当座の問題としては、Jカープの問題がございますので、ここ一年ぐらいこの数字は続くと思いますけれども、我々のあらゆる努力の総合によって漸次この問題を片づけていかなきゃいかぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  153. 和田静夫

    和田静夫君 今大蔵大臣言われましたように、このG5でアリメカの財政赤字の削減が約束されたことになっているわけですから、ここのところの実行の担保をどうするかということですね。両大臣のお言葉がありましたが、もっと強く日本の側は要求し続けるといいますか、そういうことをやったっていいんじゃないですか。いかがですか。
  154. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これはG5といいますのは、いつの間にか何か通貨マフィアが集まってこそこそ相談しているというようなことをよく言われる。事ほどさようにお互いの持っておる課題を相互監視みたいなことをやることに対して余り抵抗を感じないような雰囲気でございます。率直に言って、余り内政干渉になるじゃないかというような雰気でなしに議論される会合でございますので、事あるごとにそのことを主張しているわけであります。相手方もそれに対していろいろ苦労しておるお話もございます。  私自身最近こう考えております。米国の動きを見ましても、八月の議会での予算決議において八六年度に五百五十五億ドル、今後三年間で二千七百六十二億ドルの赤字削減を決議して、その決議を踏まえて八六年度の歳出法案の審議を行っておるというように、そういう努力というものが出てきておるということは、私は米国でも議会、政府ともにこれに対して非常に真剣に取り組んでおるということは理解してあけてもいいんではないかなというふうに感じております。
  155. 和田静夫

    和田静夫君 なかなか目に見えてこないというところが難点でして、十月十五日に政府は「内需拡大に関する対策」を決定されました。この対策幾ら黒字が減るんですか。
  156. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 十月十五日に経済対策閣僚会議決定をいただきました内需拡大策の効果でございますけれども、輸入に対する増加効果というのは二十億ドルと推計しております。
  157. 和田静夫

    和田静夫君 五百億ドルのうちの二十億ドルですから焼け石に水なんですね。しかも日経NEEDSがやった試算では九億ドルにすぎないんです。円高も限界、内需拡大策も十億ドルに満たない、頭数はそろえたけれども内容は空疎である、わずか九億ドルではこれはもう砂漠に、バケツで水まくようなものですよね。この辺、経済企画庁長官はどういうふうにお考えなんでしょうか。
  158. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) ただいま日経NEEDSのシミュレーションの結果を引用なさいましたけれども、それぞれの持ちます計量モデルを使って推計をするわけでございますが、計量モデルによっていろいろ違った数字が出てくるということは事実でございます。ただ、私ども日経新聞の記事を見ました上で日経NEEDSの結果を検討さしていただきました。そうしましたところが、出てきておりますシミュレーションの結果というのはいろいろつじつまの合わない点があるのではないか、こういうふうに思っております。例えば乗数効果なども一がそれ以下である。そういうようなことでかなり内需の拡大策という面におきましても効果が小さく出てくるモデルを使っておられる、こういうことだろうと思います。もちろん私どもが推計しました推計結果のみが正しいということではございません。そういうことでございますけれども、一つの別の非常に小さい効果の出るモデルだけで迫力不足とかあるいは効果が期待できない、こういうふうに言われましても若干異論がある、こういうふうなことではないかと思います。大臣からお答えいただく前にちょっと補足して答弁さしていただきました。
  159. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 今計数的な説明は赤羽局長がやったとおりでございますが、今度の内需拡大策、アクションプログラムの策定によって日本の経常黒字ないし貿易黒字がそう簡単に減らないじゃないかという御指摘、まさにそのとおりだと思います。これは相手国の売り込みの努力が必要でございますし、同時にまた我が方の受け入れ体制も必要でございます。  初めこのアクションプログラムを取り上げました当時は、アメリカのホワイトハウス筋は、アメリカ市場において日本品が扱われると同じような状況にアメリカの商品を日本市場で置いてくれ、その平等の原則、互恵の原則を貫いてもらえば恐らく大部分の不満は吹っ飛ぶんじゃないか、アンフェアな扱いをするという批判に対して日本政府は十分こたえてくれないかという要請であったわけでございます。しかしその後アクションプログラムによって関税、非関税障壁を片づけることにしました。関税は世界一水準が低いところまで来たと思いますし、アクションプログラムによる非関税障壁もアメリカ市場並みになったと思うんですが、だからといってすぐ黒字が減るわけじゃないものですから、今度はアメリカの議会筋、業界筋ではなぜ黒字を減らさないんだ、黒字が減らない以上は日本の対応は手ぬるいと言わざるを得ない。こういう批判を加えているわけでございますけれども、ホワイトハウス筋は大体我々の努力を多としてくれておる。先般EC各国参りましたけれども、EC委員会でもそのことは、私どもが相当思い切った説得をいたしましたし、ある程度了解してくれておるように考えております。
  160. 和田静夫

    和田静夫君 時間がなくなってまいりましたので、少し主張を言いながら御見解を承りますが、結局、本格的な内需拡大策が必要なんでしょうと思っているんですよ。アクションプログラムといっても本当のアクションにはなっていないと私は感ずるものですからね。一つは財政金融政策の支えがなければ内需拡大は無理だ、この認識なんです。金融政策について考えれば協調利下げが必要だろう。アメリカは恐らく来年にはリセッションに入るでしょう。そういう点から考えてみますと協調利下げの条件は整いつつあると思うんですね。内外金利差を拡大せずに利下げを行う環境がつくられつつある。ここのところを大蔵大臣にしても日銀総裁にしても、国際会議で大胆に積極的に協調利下げを提唱すべきだろう、こういうふうに私は思います。  それからもう一つは、来年度の経済見通しを経企庁四%に乗せたいということであれば、そろそろ財政の出番を考えてもいいんじゃないだろうか。この財政の出番をどういうふうに考えるのか。  そこで建設大臣、積極的に財政によって内需拡大を図るということについて、ちょっとお風邪をお召しのようですから、ここだけ答弁もらってお帰り願いますが、建設大臣はここのところをどういうふうに考えるか簡単に答えてください。
  161. 木部佳昭

    国務大臣(木部佳昭君) 私どもといたしますと、今御指摘いただきましたように、社会資本を計画的に整備するということが非常に大事な当面の課題である、そういうふうに受けとめさしていただいておるわけであります。したがって内需の拡大を図るためには公共事業の積極的な推進というものが非常に大事である。それを私どもといたしましても非常に強く望んでこの予算編成その他に対しましていろいろお願いをいたしておるところでございます。  また、当面の対策といたしましては、国庫債務負担行為の活用であるとか財政融資の追加とか、また災害復旧の速やかな実施であるとか、公共投資の拡大のための住宅金融政策、そうしたものの拡充や追加によりまして、民間投資の意欲を大いに一緒になってお願いできるようなそういう道をみんなでつくっていかなきゃならぬ、そういうふうに実は考え、またそれぞれお願いを申し上げているわけでございます。  六十一年度予算編成に当たりましても、厳しい財政状況の認識は私ども持っておるわけでございますが、国債の有効活用であるとか、また財投の活用を図っていただくとかというようなそういうものを考え、また同時に民間活力の導入にいたしましても、できる限りそうした内需の拡大の振興のために大きな一つの道標が生まれるように努力してまいりたいと、かように考えておる次第であります。
  162. 和田静夫

    和田静夫君 もう結構です。  今の金融政策、財政政策について私が述べたことに対する見解があれば、後で総括的に大蔵、経済企画庁、両大臣からもらいますがね。  もう一つ、日銀の現在の短期金利高日誘導策ですね、これは内需拡大政策、内需拡大にとって足かせになるんじゃないだろうかと私は考えているんですが、そういう危険があるんじゃないだろうか。三菱銀行の試算をこの間見てみましたら、高目誘導のデフレ効果は公定歩合の一%近い引き上げに相当する、それで来年度の実質GNPを〇・四%低下させるというのが出ていましたね。これは経企庁でしょうが、金利の高目誘導がそういうデフレ効果を持っていること、これは否定されないんだろうと思うんですね、これが一つ。  それから、そうしますとますます協調利下げが必要になってくるわけでして、日銀に伺いたいんですが、金利高目誘導をやめる、そのために協調利下げを提唱するというようなことについてはどうでしょう。
  163. 三重野康

    参考人三重野康君) 短期金利の高目誘導と新聞などに書いておりますが、より正確に申しますと、最近の金融市場の非常にきつ目の自律的な引き締まりをそのまま出しているということが実情でございます。と申しますのは、本年度に入りまして約八カ月たったわけでありますけれども、資金需給のしりは昨年度の同期に比べて約四兆きつ目、これは主として財政資金の揚げ超によるものでありまして、それをそのまま出しているというのが実情でございます。  なぜそういうことを始めたかと申しますと、一つは、これは先々月、先月の債券市況の非常な過熱ぶりに対処したものであります。例えばでございますけれども、債券市場の指標銘柄といわれます六十八回債、これは九月は二日に一遍、十月は一日に一遍ぐるぐる回転する、そういうふうな非常な過熱ぶりでございました。そういう過熱ぶりは私どもにとりまして二つ大きな問題がある。  一つは、それだけ過熱したものは必ず反動が出ます。反動が出ると、それは銀行並びに証券会社の経営の健全性を害するということが一つ。  もう一つは、せっかくアメリカの金利がやや下がりぎみになって内外の金利差が縮小しつつあるのにもかかわらず、長期金利だけがそういうふうに不当に値段が上がり、利率が下がりますと五%ぐらいまで拡大します。これは円高に持っていこうとするのに非常に都合の悪い状況。  そういったことを見てさっき申し上げたような短期金融市場をきつ目に運営しているわけでございますが、これはただいま申し上げましたように、金融引き締めをやっているわけではございません。したがって、これをずっと無限に続けるというわけにはいかないわけでございまして、現在は内外の金利動向、それから円レートの推移、それを注意深く見守っているということでございます。  それに関連しまして、先生が協調利下げのことを言われました。確かに先生のおっしゃるとおり、アメリカの金利が下がってくれますと、それは内外金利差の縮小を通じて円レートにも非常に好影響を与えます。そしてまた我が国の金融政策の選択の幅を広げることにもなりますので、私どもはそれを非常に歓迎するわけでございますけれども、ただ金融政策というのはそれぞれの国の固有の金融・経済情勢に従って行うものでございまして、協調利下げというのはややそういった点からはなじまない、実行不可能なことではないかと思いますが、いずれにしろ、先生のおっしゃるとおり、向こうの金利の下がることを大いに期待しているわけでございます。
  164. 和田静夫

    和田静夫君 もう時間なくなりましたから、ほかの通告してあることはまた機会があれば論議をさせてもらうことにいたします。  最後に、金融政策に入りましたので、こういう観点から平和相互の問題を若干論議しておきたいんです。  市場開放と並行して金融の自由化が進行しているわけです。金融の自由化、とりわけ金利の自由化の進行は中小金融機関の経営、それに大きな影響を与えると思われます。中小金融機関の問題について長らくずっと続いて私は論議をしてきましたので、特に今度の事件、事件というのか、事態を見ながらそのことを思う。信用組合などの小規模金融機関などでは円高の影響があってかなり苦しい経営を強いられている。そういう状態に今なってきている。そこで、大蔵省金融業界の構造をどういうように再編成されようとしているのか、そういう問題意識から具体的な問題として平和相互の問題を少し振り返ってみたいんです。  まず第一に、八月から検査に入っているわけですが、大体どのくらい不良債権を抱えているのかさっぱりわからぬ、各紙まちまちであります。ここのところ、個別の問題だからという返答なんでしょうけれども、どの程度お答えができるんだろう。  それから日銀に尋ねておきたいのは、ダウトフル以下が非常に多いということですが、そういうふうに受けとめておいてよろしいのだろうか。  それから第三分類が千四百億円から二千億円、それから第四分類が百四十億円という数字が挙がっているわけですが、おおよそそんなものだなというふうに受けとめておいてよいのだろうか。  それから総預金量が一兆二千億円といわれていますが、これはちょっと後で論議しますけれども、いろいろの操作があるんだと思うんですが、どうも少なく見積もってもその一割以上の焦げつき債権を抱えている。これは私、銀行問題に随分長く携わってきたある意味では感覚から言ってもそうじゃないだろうか。大光相銀のときを考えてみれば、大蔵の言われておったことと私の言っていることでは私の方が結果的には正しかったわけですからね。見通しは間違いなかった。そのときに、もう幾つかありますよということを既に一十年前ぐらいに言っている、そのうちの一つにここもあったわけですからね。今明るみに出てきたわけですね。  で、不良債権はあるのですね。ここまで一応一遍答えてください。
  165. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 平和相銀につきましては、現在検査継続中でありまして、その実態把握に努めているわけでございます。いずれにいたしましても、この検査の内容でございますが、これは個人や企業の秘密に属する事項が大部分でございますので、これをここで申し上げることは差し控えさせていただきたい。いずれにいたしましても、大蔵省日本銀行と協力いたしつつ、預金者保護の観点から万全の態勢をとってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  166. 三重野康

    参考人三重野康君) 今銀行局長から申し上げたのと同じ趣旨で、まことに恐縮でございますが、個々の企業の秘密についてはこの席で申し上げられないのは残念でございますが、ただ、言うまでもなく、これは中央銀行にとりましては物価の安定と金融組織の安定、この二つが目的でございますので、自由化の波のささ波に当たっていろんなことが起きると思いますが、金融組織の安定ということについては万全を尽くしたい、こういうふうに考えております。
  167. 和田静夫

    和田静夫君 預金量は、六十年三月まで一兆二千億円あるわけですが、その後急激に落ち込むわけですから、急速に減少しているということなんです。これは答弁できないと思いますが、私はここのところを一方的に申し上げておきます。  それから幾つか投書がこれに絡んで来ているんですが、資金量をどうも操作されているんではないのか、粉飾の預金を行っているのではないかと言われています。反論があれば承りたいところですが、私は小切手率の操作、あるいは外貨建て預金による操作があると思って大蔵省に資料要求しました。一定の資料は出てきました。それから類推して、きょうはじいていますけれども、ちょっと時間の配分がうまくいかなくて、時間がなくなってきましたからそれを言いませんが、大蔵から出していただいた数字をもとにしてはじきました。一般論で端的に答えてもらいたいんですが、小切手率が高いということは粉飾預金の可能性が高い。これは一般論としてはそう考えておいていいですか。
  168. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 小切手の種類におよると思いますけれども、例えば落ち落ち小切手とか、そういうような粉飾に操作するような小切手が多い場合にはそういうこともあり得る、先生御指摘のような点もあり得ると思いますが、一般論として、小切手が多いからこれが粉飾型であるというふうに断定することは困難であるというふうに存じております。
  169. 和田静夫

    和田静夫君 そこは論議を残しておきます。当行における論議は残しておきます。一般論のところの答弁が私ちょっと気に食いませんが、ちょっと時間がありませんから。  検査にこれだけ長い時間がかかっているということは極めて異例なことだと思う。通常であれば、どこに幾ら貸し付けたか、担保は幾らかということはわかるはずです。ところが長引いている。簿外保証、浮き貸しなんという事実、あるいは帳簿がでたらめというような四つあるとか五つあるとかという話まで出ているわけでありまして、どの報道が正しいかはよくわかりませんが、大量の不良債権が発生している。その大半がファミリー会社へのものであってみたり、ファミリー会社への融資はまた追い貸しで雪だるま式に膨れ上がっているとか、考えられる多くのことをやっていらっしゃるわけですが、事実関係のディテールがいま一つはっきりしませんからあれですが、私は、乱脈経営は必ずしも小宮山さん一族だけのものではなくて、現経営陣全体の問題としてとらえるべきであると考えているんです。そうだから小手先でもって会長をおかえになった。しかしその会長は大蔵省からいらっしゃった。その会長は代表権を持っていなかったのなら話は別ですけれども、代表権をちゃんとお持ちになっておった。そういうようなものをかえただけでもって、これはこれで済んだんだということにはどうもならぬと思うんです。少なく見積もっても総預金量の四割を超える不良融資を抱え込む、回収不能にもかかわらず追い貸しをする、こういうようなのは一種の背任行為ですよ。  私は、そういうことで、経営陣全体の責任問題というのをどういうふうにお考えになっているのかということをちょっとお聞きしたいですね。
  170. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 時間を余りあれいたしませんけれども、このたび平和相銀は中間決算を発表しました。そのときに、銀行の健全性確保のため、検査継続中であって不確定要因もあるので社外流出を見合わせる。それからこのような事態に立ち至った責任を痛感して、社長が辞任し、会長が社長を兼務し、事態の収拾に当たることとした。それから顧問を迎えて銀行の運営全般及び今後の経営計画の策定等につき指導を受ける。こういう態勢をとったわけでございます。  経営責任でございますが、これは公共的役割の強いものではございますけれども、本来は私企業でございますので、経営者が自主的に判断すべきものであるというふうに考えられますけれども、私どもが受けました今回の平和相銀の措置、受けましたというのは報告でございますが、平和棚銀から受けました措置は、中間決算に際し経営者としての責任を明らかにしたものであるというふうに理解しているわけでございます。
  171. 和田静夫

    和田静夫君 法務省おいで願ったんですが、この平和相銀の現況というのはどういうふうに認識されているわけでしょうか。
  172. 原田明夫

    説明員原田明夫君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問にもございましたように、事実関係がまだつまびらかでございませんので、これに関しまして刑事責任の面からどうこうと言うことはできない状況であるというふうに承知しております。  なお、この平和相互銀行をめぐって国会におかれましても種々の論議がなされていること、また各種報道機関で報ぜられることにつきましては、検察当局におきましても承知しておるものと考えております。
  173. 和田静夫

    和田静夫君 今の答弁で強い関心をお持ちになっているというふうに理解しておきます。ともあれ、もう時間がありません。総括的に本来、このことよりも、もっとこれからの自由化に伴うところのものでの対策をお聞きしたかったんですが、時間がなくなりました。そこのところちょっと主張だけ申し上げておきます。  その前に、大蔵省も現経営陣と同様に私は責任が問われなきゃならぬと実は思っているんですよ。これは大蔵大臣、一昨年田代現社長を会長として送り込まれた。その会長職は代表権を持っていた。その前にも実は大蔵省から天下っているんですよね。これはいろいろのことがあった結果天下っているわけです、それで送り込んでいるわけです。にもかかわらず、平和相互の体質というのは一向に変わらなかったわけです。問題銀行に対する天下りといいますか、そういう手配をしたことの効用が出なかった。私は長いこと東京信用金庫だとかその他幾つかのことをやってきましたけれども、天下りというばかりで、ほとんどそこのところが役に立たなかった。どれを考えて、みても、東京信金を考えてみても、あるいは大光相互を考えてみても、そういう措置というのは全然だめだったんですよ。それにもかかわらず、それと同じことをやってきて、じんせん日をというような感じがしますけれども、余り非難をして言っているわけじゃありませんが、今後を考える場合に、ちょっと振り返り見て少し教訓にしなきゃいかぬのじゃないかという意味で言ってるんですが、十年前からここは問題があらわれていたわけですし、私も指摘をしていたわけです。  で、同行に大蔵から役員が行かれた後も実は不良な貸し付けが行われたり融資が行われている。ここのところを私は非常に重要だと思っているんですよ。大蔵の検査が何度もその間に行われているわけですね。ところが、検査対象として二重帳簿、三重帳簿をつくったと言われているんですが、そのことは置いておいても、とにかく大蔵出身者が行かれたけれども、その役員を通じて事実関係を大蔵省は知り得る立場にあった、あるいは知ることができなかったのかもしれない、こういうふうに思うんですね。これはたしか決算銀行なんでしょう。そこで事実関係の追及はこれからもう少し調査された後で機会を見て論議をさせていただきますが、この世間をにぎわした問題銀行に対して適切な指導、指揮というか、そういうものを行ってこられなかったんじゃないかということを大蔵大臣、私は痛切に思うんです。金融自由化の進行で金融再編成が必至の情勢にある。平和相互銀行が皮切りになる可能性がある。大蔵当局としては、不相問題と金融再編成問題を関係づけてどう展望をお持ちになるのかというような形で教訓を導き出さなかったならば、これはいけないのではないだろうか。可能性として都銀の吸収合併ということがある。そういう事態も今後の検討にはなるんだろうと思うのでありますが、当然そういうことも含むとして、救済方式は、関連なんですが、第一に日銀が低利融資を行われる、第二に相銀協の協調融資がある、第三に都銀その他の支援という方法。そこで、こういうような救済方式というのは今後中小金融機関の救済方式にこのスタイルが一般的なものとなっていくのだろうか、ここのところだけはきょう大蔵大臣に確認しておきたいんですよ。例えば第二の相銀相互の協調融資ということになれば、これは実害がすぐ他相銀に及ぶということでもあるわけでありますから、そういうようなことで、これからずっと将来のことを展望して、金利の自由化などとの中で起きてくる問題についてのあれはこの中で優先的に、例えば日銀が、相手によって、組合になるか金庫によって違いますが、日銀がまず低利融資をやるということが常道化をしていくのだろうか、その辺のところがはっきりできるのならばはっきりさせていただきたい、そういうふうに思っています。  それからもう一つお答えいただきたいのは、救済態勢が発動されるに当たっては、これまでの乱脈経営の全責任を大蔵出身者を含めて問うこと、そして実効ある再建のプランを立てることが必要だと思うんですが、大臣、今後そういう指導がされると期待しておいてよいのだろうか。経営責任と預金者保護を混同してはならぬわけでありますから、そこのところです。  それから相互銀行が、平和相互に限りませんが、都銀と信金などのはざまに置かれている、これはよく今盛んに報道されているところです。そうすると今後も平和相互的経営危機を迎えるところが出てくるのではないだろうか。私は非公式にはここのところは大丈夫ですかと言っているところもありますが、それは出てくるのじゃないか。ここのところは、きょうは大光相銀のときに幾つかのことを私言っていますから具体的なことは申しませんが、どうもそういうことが危惧される状態にある。そこで、そういうものの見取り図をどういうふうにお書きになりながら銀行行政全体を今後おやりになっていくのだろうかということが大変気になります。  もう一つは、これで最後にいたしますが、中小の預金が大手にどんどん食われていっていますね。融資についてのスケールメリットを生かしてどんどんといっておるわけですが、こういうような状況は極めて問題でありまして、これは何らかの制度的歯どめといいますか、大中のすみ分けが必要だというふうに、大臣考えるんですね。これはどうにもならぬものなんだろうか。金融緩和の方向が……
  174. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 和田委員に申し上げますが、大分時間が超過しておりますから御留意を願います。
  175. 和田静夫

    和田静夫君 今もうこれで終わります。  中小金融分野を見ますと局地的に金融タイトの状態が起こり得ると思われるんですよ。私は何も信用不安をかき立てようなんて思ってこんなことを言っているつもりは一つもありませんが、金利自由化によって大手間取引では金利が下がるが中小零細では金利が下がらないという事態が想定されますね。あるいは、預金は都銀、地銀に集中するが中小融資は中小金融機関に集中する。そういうような資金偏在という事態も予想されるわけです。ここのところはまとめて、大蔵、日銀としてこういう点を中期的にどういうふうにお考えになるのか、答弁を求めます。
  176. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 幾つかの大きい御質問でございますので、全部答え切れるかどうかわかりませんがお答えに努めてみたいと思います。  まず第一に経営危機の銀行のケースでございますが、それにつきましては、大蔵省日本銀行もまずは信用秩序維持、預金者保護という観点からこれに対処することになると思います。かつ金融業界も、金融システムの安定、あるいは業界のイメージの確保、あるいは業界の自己防衛というような観点からその経営危機にある銀行に対して当然関心を持ち救済する意向を持つことがあろうかと存ずるわけでございます。  このたびの平和相銀につきましても、日本銀行、相互銀行協会あるいは関係主力金融機関がこの救済、救済といいますか、ただいま申しました信用秩序維持、預金者保護ということでセーフティーネットをしいたということでございます。  したがいまして、趣旨といたしましては、あくまでも信用秩序維持、預金者保護で大蔵省日本銀行業界が対応する問題でございますけれども、それぞれの経営危機のケースといいますのは、原因、道順、その結果等につきましては千差万別であろうかというふうに思うわけでございます。でございますので、これにより生ずる経営困難の状態はいろいろあると思われますので、これに対処する方法もケース・バイ・ケースで考えるので、先生御指摘のようなただいまの方式が必ずしも一般的になるとは考えないわけでございます。  それから経営責任の問題について言及されましたけれども、ただいま申し上げましたような信用秩序維持、預金者保護ということで対応しておりますので、経営責任というのはあくまでも自主判断に属すべきものでありますけれども、救済されたからといってこれが一つの、言葉として適切かどうかわかりませんが、免罪符ということになるわけではございませんで、経営責任については厳しい自覚が必要であるというふうに考えているわけでございます。  今後出てくるのではないかということについては全く予想できませんけれども金融の自由化、金利の自由化ということで金融環境がますます厳しくなってきていることも事実でございますし、競争も激化いたします。経営格差も開いてくることになることが予想されるわけでございまして、今後の銀行行政といたしましては、信用秩序維持、預金者保護ということから、金融の自由化を進めながら、一方におきまして銀行の健全性の確保、それから検査の充実、それから今検討中でございますけれども、いずれ近く国会にもお願いしたいと思っておりますが、預金保険機構の機能の拡充を検討しておるところでございます。このような形で金融自由化に伴います金融環境の厳しさに対応して信用秩序維持及び預金者保護の対応策をただいま鋭意準備中であるということでございます。  それから最後の御質問のところでございますけれども、金利の自由化に伴いまして中小金融につきまして資金の偏在が起こるのではないかということでございますけれども金融機関は貸出先である企業につきまして、そのときどきの金融情勢、資金需給、信用度等を勘案いたしまして相対交渉により自主的に決めているわけでございます。したがいまして、今後金利自由化が進めば貸し出しをめぐる金融環境に変化が生じることも考えられますけれども、いずれにしても個々の企業国対する貸出金利は個々の金融機関みずからの経営判断に基づいて相対交渉で決めていく。そういたしますと、相対交渉ということでございますから、取引の経緯もございましょうが、基本的には信用度によって決定していくことになろうかと考えられるわけでございまして、信用度と申しますのは、担保とかあるいは資金の使途とかあるいはその企業の経営の内容等でございますけれども、堅実な中小企業に対してはいずれにしても良質な資金が供給されるものと思っているわけでございます。  現在金利自由化が進行中でございますけれども、かなりこの競争が自由化されていることによりまして大企業向け融資と中小企業向け融資とで金利差が拡大しているというようなことは、ただいまのところ聞いてはいないわけでございます。
  177. 三重野康

    参考人三重野康君) 今銀行局長が申し上げたことで尽きると思いますが、一言つけ加えますならば、金融制度調査会においてこういう国際化、自由化後のいろいろな制度の見直しをいたしておりますが、私どもも積極的にそういった検討に参加して立派な金融システムをつくり上げたい、こういうふうに思っております。
  178. 原田立

    原田立君 経企庁長官、恐縮ですがちょっとお残りいただきたい。  去る三日の日に当委員会で今後の実質経済成長率のことをお伺いいたしましたらば、四%台には乗せたいと努力しておる、こういうお話でございました。ところが十一月末におたくの方で出した数値によっては何か三%台後半に落ちつくのではないかというようなことが報道されているのですけれども、そこら辺多少ギャップがあるので、どうなのか、その点をお伺いしたい。
  179. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 大臣が御答弁なさる前にちょっと申し上げたいと思います。  今先生が引用されました新聞報道でございますけれども、これは全く推測記事でございまして、私ども、来年度の経済見通し、その前提としての今年度の実績見込み、これの作業を今始めたばかりでございます。十一月の段階では全くの推測数字と、こういうことでございます。したがいまして、企画庁にそういう数字があるわけではございません。ちょっと前提として申し上げました。
  180. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) お尋ねの問題は、六十一年度の実質成長率をどこら辺まで持っていけそうかといすことでございましたので、「展望と指針」にうたっております四%台はぜひ達成したいということを申し上げたわけでございまして、その気持ちは今もって変わっておりません。  ただ、最近の経済情勢からいって、それはそう簡単にいくとは私ども考えておりませんので、今度お願いしております内需拡大策を初め、財政政策その他につきましても全力を傾注して、何とか経済を伸ばすような方向で持っていきたいということで今努力している最中でございますが、まだ来年度の経済見通し、正式に議題にする内部作業が済んでいる段階でございませんので、それはひとつ御了承いただきたいと思います。
  181. 原田立

    原田立君 そういうのなら結構なんです。何かこの資料を読んでいて、三%台後半ということを月末現在で考えているやの報道でありますし、私の質問に対しては四%台という大臣の話なので、何かちょろまかされたような感じがしたものだからお伺いしたんだが、そういうことじゃないですね。
  182. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) そうじゃないです。
  183. 原田立

    原田立君 どうぞお帰りになっても結構です。  通産大臣、あなたは四時までという約束なんで早速お伺いするのであります。  先ほども質問がありましたけれども、何と言っても、円高によって、また年末を控えて中小企業の人たちが大変苦しんでいるわけですね、これはもう御承知のとおり。中小企業庁で何か円高の輸出型産地中小企業への影響について調査をなさっているということでありますが、またその報告書によりますと、今後の見通しについて、円高が二百十円から二百円ぐらいになると大変困るというような報告がなされているわけです。これについての救済措置等はいかがなものか、この点をお伺いしたい。
  184. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 原田委員にお答え申し上げます。  同島による輸出型産地中小企業への影響ということで、実は十月下旬から十一月上旬について、輸出依存度の高い産地、四十産地に対して調査を実施したわけでございます。  その結果、新規成約がほとんど全面的にストップした産地が出ているとか、受注残が適正水準を下回っている産地が多数あるとか、既に資金繰りに影響が出ている産地があるといったような円高の影響がこの時点で既に相当程度出てきたわけでございますが、さらに数日前、十一月下旬に、各地方通産局長からの産地中小企業の円高による影響について報告を受けましたところ、前回調査の対象となった四十産地について比較いたしましたところ、受注残が適正水準を大幅に下回っている産地が急増しております。それから既に資金繰りが苦しくなった企業が出ている産地が大幅に増加しているというようなことで、円高の輸出型産地中小企業への影響がさらに進行しつつあると判断されるわけでございまして、これにつきましては今委員御指摘の、例えば二百円ならどうか、二百十円ならどうかというようないろいろなアンケートもとっておるわけでございますが、二百円よりもさらに円高が進行すれば、それはもう非常に多くの産地において大変な打撃を受けるということになる。  それならば、どのくらいなら適当であるかということでは、大体二百二十円から二百三十円ぐらいというところが多かったわけでございますが、いずれにしても現実には円高が進行しておりますので、十二月二日から既に緊急融資対策として一千億円を融資する、その他の措置決定していただきまして既に実施しておりますし、六十一年度予算では、大蔵大臣に特に要請をいたしまして、金利も十二月二日の金利よりももっと安い金利で大幅に緊急輸出その他の対策をとるということで、今諸般の対策は立案または進行中でございます。
  185. 原田立

    原田立君 年末までの資金繰りが厳しい二十一産地、それから担保がいっぱいで増額借り入れが困難なところが九産地、低利の融資を希望する二十一産地、それから赤字補てん資金を必要とする産地が四産地と、こんなふうな報告書をいただいているわけでありますけれども、一千億の手当てをしたからいいじゃないかというふうな御答弁のようですけれども、それで本当に大丈夫ですか。
  186. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 非常に御心配をいただいて感謝申し上げるところでございますが、十二月二日から実施したのは、先ほども申し上げました特別融資制度の一千億円程度の創設、それから中小企業信用補完制度の弾力的運用とか政府系中小企業金融機関の貸付枠の確保とか諸般の措置をとったところでございますが、これで大丈夫とは少しも思ってないわけでございまして、今後例えば下請取引適正化のための指導の徹底ということで、さきの特別融資制度の金利の一層の引き下け及びその早急適用、信用保険の特別措置の創設などを図るための所要の財政措置を講じる。それから中小企業者の経営を安定させ事業転換の円滑化を図るための所要の法案を年明け後可及的速やかに提出する準備をするとか、いろいろな準備をしておりまして、実はけさも早朝から大蔵大臣あるいは経企庁長官、官房長官等と与党である自民党三役と、この中小企業対策について真剣な検討を行い、またそういったことを要請しておるところでございます。
  187. 原田立

    原田立君 今も大臣言われたように、何か来年から事業転換や内需開拓を促すための新法案を提出するということでありますが、即効性において多少疑問があります。今現に円高で眼前に困っている問題があるわけです。来年の手当ではまた手当てとしてきちっとやってもらいたいと思うんですけれども、即効性の面で実は疑問があるわけであります。  現行の中小企業事業転換対策臨時措置法、これは五十一年に制定されておりますけれども、これに基づいての事業転換に取り組んだのはわずかに二百九十件である。少ないわけですね。こういうようなことですと、まだ手だて、手段としてはもっと手厚い手段を講じなければいけないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  188. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 制度の詳細につきましては、また御質問がありますれば木下中小企業庁長官出席しておりますからお答えを申し上げますが、中小企業の円高による救済対策というものはまさに緊急を要すると思います。したがいまして、私どもは、九月二十二日のG5以降、十月、十一月に産地の実態調査あるいはアンケート調査、それから先般十二月六日でございましたか、全国の地方通産局長に集合してもらいまして、この問題について真剣な討議を行ったところでございます。そして即効性というものが非常に必要であるということはもう原田委員御指摘のとおりでございますので、緊急融資その他の措置も講じておりますし、それと並行して新年度予算要求あるいは税制その他諸般の検討等を進めておると、こういうふうにやっておるわけでございます。
  189. 原田立

    原田立君 そういうふうな日本の通産省の動きに対して、アメリカの方からは過度な産業政策だという批判が出始めているということをちょっと見たんでありますけれども、通産省としては輸出力維持に国が手をかすのではなく、むしろ円高定着をねらった政策だと、こういうふうな答弁考え方をしているということでございます。これからの交渉ともなりますが、この新法案によって財源を新たに必要とするときに大蔵大臣は、大蔵省は、はい、そうですか、じゃ出しましょうというようなことで簡単にいくだろうか。今でもシブチンで予算を切り詰めようとしている真っ最中ですから、通産省が考えるようにそんな簡単にいかないんじゃないかという心配、懸念をするんですが、いかがですか。
  190. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 今原田委員が御指摘になったアメリカの意見というのは、実は私どもの仄聞いたしておりますところでは、円高になった、そして輸出に頼っていた中小企業に政府等が予算を支出して貿易を振興することを考えるのは、今までの貿易政策に相反するものではないかという指摘であると、こういうふうに聞いております。しかし、これは日本の中小企業対策なり中小企業の実情をよく理解していただいてない面があると思いまして、そういう点については極力関係方面の理解を求めるような努力をいたします。  それから財政当局が中小企業救済について理解が行き届かないのではないかという御心配につきましては、実は私どもはこの問題については、既に十月の段階から大蔵大臣あるいは政府与党その他といろいろ非常に真剣な折衝をしておりまして、極力中小企業の予算確保、そして緊急対策の推進、このことはもう全力を挙げる決意であります。
  191. 原田立

    原田立君 大臣、結構です。本当はもっと自己認証制度で聞きたいんですけれども、四時までということだったから、行かれて結構です。  アクションプログラムの中から本法案に組み込まれている消費生活用製品安全法の改正についてでありますが、改正では特定製品の中から一部のものに自己認証制を導入するということです。現在、特定品目は八品目ありますが、このうちどの品目を検討対象としているか。
  192. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 現行の八品目の特定製品の中でどの品目を自己認証制が適用される第二種特定製品として指定するかにつきましては、今後法律の規定に基づきまして製品安全及び家庭用品品質表示審議会に諮った上で決定してまいることとなっております。    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕  どのようにして決めるかということにつきまして、やや具体的に申し上げますと、現行の特定製品につきまして、次のような三つの観点から総合的に勘案して第一種、第二種の区分がなされることになると考えております。その第一は、その品物につきまして安全性確保を図るために必要な製造技術の手順及びその普及度などでございます。第二には、その品物につきまして安全性を確認するために必要な検査技術の水準及びその技術の普及度。第三には、その品物に係ります事故の発生状況の推移と現状。以上のようなことを目印にいたしまして、具体的な品物を今後審議会に諮って決めてまいる所存でございます。
  193. 原田立

    原田立君 一種、二種はいいですよ。炭酸飲料瓶詰類のことです。例えば今も出回っているコカコーラとかペプシコーラとか、そういうものはこれに当たるんでしょうか。
  194. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 具体的に申しますと、その特定製品八品目の中で炭酸飲料瓶詰は農水省が所管しておるわけでございますが、通産省の立場では、したがいまして農水省の意見を正確に申し上げるわけにまいりませんが、私どもの承知している限りでは、アクションプログラムの中に炭酸飲料瓶詰につきましては自己認証制の導入の方向で検討する旨規定されておりますので、今後自己認証品目を考える際にはこの炭酸飲料瓶詰はその有力な候補として検討対象になるものと考えております。
  195. 原田立

    原田立君 農水省を呼んでおけばよかったね。  だから、どういうものを指しているのかと聞いているんですよ。
  196. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほど申し上げましたように、現在ございます特定品日八品目の中でどれを具体的に自己認証制に移行せしめるかということにつきましては、先ほどの繰り返しになって恐縮でございますけれども、法律の規定に基づきまして審議会にお諮りして、その上で決定してまいるわけでございまして、現段階でこの品物が移行する、この品物は移行しないということを具体的に申し上げられる段階にないわけでございます。しかし具体的な判断の物差しは、先ほど申し上げましたように、製造技術の問題あるいは検査技術の問題あるいは事故の発生状況、これらを総合的に勘案して審議会にお諮りして決めていくことになるということになっております。
  197. 原田立

    原田立君 まだ品名ははっきりしてないんですね。僕は、炭酸飲料瓶詰関係といえばコカコーラかペプシコーラか、そのぐらいのものだろうと思っているんですよ。間違いなんですか。それとも審議会から答申が出なければ返事はここで公にできないんですか。違うんですか。
  198. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほど申し上げましたとおり、審議会にお諮りした上で品目が決まるわけでございます。
  199. 原田立

    原田立君 だから大臣がいないと困るんですよ。あなた方はそんな程度しか返事ができないんです。責任が持てるような発言じゃないからね。非常に困る、そんなあいまいな返事では。  じゃ自己認証制と政府認証の区分はどういうことですか。
  200. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 自己認証制の品目につきましては、企業みずからの自己責任において安全性の確保についてチェックするということになるわけでございますけれども、もとより自己認証制に移行いたします品目につきましても、私どもといたしましては、現在と同様の安全のレベルが確保されることが必要であり、それによりまして消費者保護上遺漏のないようにしてまいらなければならないと考えておりますので、第一にはその自己認証制に移行した品物につきましても一定事項の届け出義務、基準適合義務などを課しますとともに、改善命令、回収命令、罰則等によりまして義務の履行を担保するような法制にいたしておりますし、第二に、また自己の製造する製品が基準に合致しているかどうかは企業の一義的な判断でございますけれども、その製品が満たすべき安全基準につきましては、今後とも政府認証品目と同様、安全性の確保に遺漏なきを国がみずからこれを定めることにいたしておるわけでございます。  さらに自己認証品目の具体的選定は、先ほど申し上げたようなことで審議会に諮り決定することになっているのが実情でございまして、百で申せば、政府みずからが責任を持って安全基準に合致するかどうかを認定するのか、それとも企業がみずから基準に合致しているかどうかをまず判断するか、そこに差があるわけでございます。
  201. 原田立

    原田立君 自己認証制に移行して事故が起きた場合の対応はどうするんですか。
  202. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほどの言葉と若干ダブリまして恐縮でございますけれども、自己認証制に移行した品目につきましても、製造業者、輸入業者に対しましては、一定事項の届け出義務、基準適合義務あるいは損害が生じた場合の損害賠償義務等を課されております。また国におきましては、必要とあらば改善命令、回収命令、罰則等によりまして企業のこうした義務の履行を担保する規定があるわけでございます。したがいまして、事故が起こった場合につきましての対応についても、政府認証品目と同様の対応を図っていくように法規定上考えているわけでございます。
  203. 原田立

    原田立君 政府認証に戻すこともありますか。
  204. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほど申し上げましたように、自己認証制を導入する品目の選定に当たりましては、関係審議会に諮りまして製造技術の水準、検査技術の水準、事故発生の状況等、総合的に勘案して審議会に諮って決定することになっているわけでございます。したがいまして、法の機動的厳正な運用と相まちまして、製品の欠陥に起因する事故が多発して消費者保護上問題となるような事態が生じないよう十分配慮していくことが基本でございますけれども、仮にも先生御指摘のように自己認証制を導入した特定製品につきまして製品の欠陥に起因する事故が発生し、企業の自己責任ではその品物の安全性を確保することができないというふうに判断されるに至った場合には、審議会に諮りまして品日の指定につきまして再検討を行うことはあろうかと存じております。
  205. 原田立

    原田立君 おたくの方からもらった資料によりますと、「炭酸飲料びん詰」、これが実は五十年に二十七件、五十一年に二十三件、五十二年に二十六件、五十三年に十三件、五十四年に二十件、五十五年に、十八件、五十六年に十一件、五十七年に十二件、五十八年に五件、五十九年に、はなして、十年間で百五十五件の事故件数があります。御承知だろうと思いますけれども、これは「炭酸飲料びん詰」というだけの表示なんだけれども、中身はどんなものなんですか。
  206. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 「炭酸飲料びん詰」につきましては、四百ミリリットル以上の容積を有する瓶詰を指しております。
  207. 原田立

    原田立君 どうも答弁が下手くそですね。百五十五件あるわけですよ、十年間でね。これはどういう品名でどういう内容なんですかと今聞いているのです。
  208. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先生御指摘のように、百五十五件の事故が四十九年以降五十九年度までに発生いたしておりますけれども、これは農林水産省の所管でございますので私どものところで的確に把握しているわけではございませんけれども、一応百五十五件の中で特に製品の欠陥による事故というものはなく、他の品物に比べますと事故の内容はむしろそれ以外の事情によるものではないかというふうに私ども承知しておりますが、詳細につきましては農水省からお答えいただくのが筋かと思っております。
  209. 原田立

    原田立君 農水省は呼んでいないんだよ。  じゃ次にいきましょう。この法律ができたときから考えても、自己認証制への安易な移行は考え直すべきではないか。一〇〇%事故発生はないとの保証があるのかどうか。過去にこういう例があるわけだ。だから安易に自己認証制に移すのはいかがなものか、こういうふうに思うんですがどうですか。
  210. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) これは農林水産省が審議会に諮って御判断をされることでございますけれども、百五十五件の十年間にわたる事故が確かに累積してございますけれども、近年の事故の状況はかなり少なくなっている、特に五十九年度は事故は一件もなかったというのが実情でございますので、このような実情を踏まえて、あるいはまた瓶詰のほかに瓶の方も特定製品の中に指定されておりますので、それらの瓶の状況ども判断しながら恐らく農林水産省において今後検討されることになるんではないかと思っております。
  211. 原田立

    原田立君 アクションプログラムの一環として検討されていることからもその効果は非常に疑問であると私は思います。  昭和五十八年に金属製バットを特定製品から外しておりますが、何ら成果は期待できない状況と聞いております。製品移行の前後の実態を実は報告を受けたいところですけれども、時間がないから指摘だけしておきます。今回の場合も同様の結果になるのではないかと心配するんだけれども、いかがですか。金属製バットはおたくの方じゃなかったかな。
  212. 浜岡平一

    政府委員(浜岡平一君) 通関統計には示されておりませんので、公式の統計はないわけでございますけれども、主要の輸入業者から私どもが聴取いたしましたところによりますと、五十六年に二千五百本ばかりの輸入がございましたが、五十七年、五十八年には輸入はございませんでした。五十九年に千六百五十本の輸入がございましたけれども、ことしは現在までのところ輸入はございません。
  213. 原田立

    原田立君 輸入がないんじゃなくて、五十年六月五日に指定して五十八年一月に解除しているわけでしょう。その指定解除するとき、先ほど審議官の話では審議会の答申を得てやると言ったけれども、そういう手順は踏んだんですか。
  214. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 特定製品の指定及び解除につきましては、審議会にお諮りして決めております。
  215. 原田立

    原田立君 安全性、特に人体にかかわる問題であるがゆえに十分な検討が必要であることを強く主張したい。また一般国民、消費者の関心の高さも当然のことと思うんでありますが、法改正に当たって消費者側の意見はどのように反映されているのか、十分なる意見聴取がなされたのかどうかお伺いしたい。
  216. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) この消費生活用製品安全法へ自己認証制を導入するに当たりましては、その検討に当たりましてアクションプログラムの中におきましても、関係審議会に諮り、消費者等の意見を踏まえて導入の可能性を検討するという旨の記載がございます。このため、私どもといたしましては、消費生活用製品安全法の中で自己認証制度の導入の可能性を検討するに当たりましては、産業構造審議会にこれをお諮りしまして消費者代表を含む学識経験者の意見を広く伺ったところでございます。この審議会の消費経済部会では五回にわたりまして審議を行いまして、去る十月十八日に答申の取りまとめをいたしたわけでございますけれども、この改正案はこの答申の提言に沿って作成されたものでございまして、当然のことながら消費者代表委員の意見も十分に踏まえた内容となっている次第でございます。
  217. 原田立

    原田立君 ガス事業においても同様の自己認証制の導入が行われようとしておりますが、ガス用品については特に危険度が高いものであり、メーカーがよほどしっかり自己認証しないと大事故につながりかねない。ガス用品については抜本的に取りやめるべきではないかと、こういうふうに思いますけれども御見解はいかがですか。  また、現在どのような品日を検討の対象にしておるのかお伺いしたい。お伺いしたいというよりか、僕のもらった資料では、ガスの瞬間湯沸かし器、ガスストーブ、ガスバーナー付ふろがま、ガスぶろバーナー、ガスぶろバーナー元栓、ガス圧力なべ及びガス圧力がま、六製品のようでありますけれども、いかがですか。
  218. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) ガス用品につきましても、第二種ガス用品への移行につきましては所定の法的な手続の上決定されることになっております。    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕 ですが、先ほどからお話出ておりますように、この自己認証制度によりまして安全確保を図ることが適当であるという判断をされるものについてのみこの制度に移行するということにしております。
  219. 原田立

    原田立君 都市ガスとプロパンガス、その方の両面から見てどうですか。
  220. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 今回の改正は都市ガス用のガス用品についてでございますが、同じような性質のものにLPガス用の製品もございますので、そちらの方との横並びも十分検討の上慎重に対処したいというふうに考えております。
  221. 原田立

    原田立君 群馬県で焼肉屋の爆発事件があったのはたしか嬬恋でしたね。それから御殿場でも何かありましたね。あれはたしかプロパンガスだったと思う。元栓の締め方が足りなくてガスが噴出してて、点火したらば、ばっと大爆発を起こしたということがあるんで非常に心配しているわけでありますけれども、ガスはもう一遍考え直してはどうですか。
  222. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 先ほどの繰り返しになりますが、この自己認証制度に移行する問題につきましては、安全確保を図ることが適当と判断されるものに限ってその対象とするよう慎重に実施したいと考えております。
  223. 原田立

    原田立君 慎重には慎重を期してもらいたいと、これは要望しておきます。  アクションプログラムに関連して、関税率引き下げだとか、基準・認証、輸入プロセスの緩和によって大きな影響を受けるのは実は国内産業、とりわけ中小企業でありますが、アクションプログラムに伴う中小企業対策に万全の措置がなされているとは存じますが、いかがですか。
  224. 木下博生

    政府委員(木下博生君) アクションプログラムによりまして製品輸入の促進を図る、それによって貿易摩擦の解消を図るという目的でこのような措置をとっておるわけでございますから、当然自己認証制度等の導入によって製品の輸入がしやすくなれば、その分について日本国内における同じような種類の製品の製造業者に影響が出る可能性が十分あるわけでございます。  そういうことで、私どもといたしましては、そのような影響を受ける中小企業者に対しましては、別途の方策によって対応策を講じていくということを考えておりまして、先ほども大臣から御説明いたしました事業転換対策等の充実によって、そのように影響を受ける業者がほかの分野で今後の道を探していくということを手伝うような施策を来年やりたいというふうに考えておるわけでございます。
  225. 原田立

    原田立君 それじゃ通産省は結構です。  運輸省。航空法第六十五条第二項の変更が今度の法案で出ているんですけれども、先ほども問題になりましたが、四基以上の発動機を有し、かつ三万五千キログラム以上の最大離陸重量を有する航空機の削除の理由は何ですか。
  226. 小里貞利

    政府委員(小里貞利君) 航空機の機関士の乗り組みについては、ただいま先生御指摘になりましたように、航空法第六十五条第二項の規定によりまして規定されておるところでございますが、その中身は御承知のとおり二つございまして、第一点が、ただいまお話しのように、外形上発動機を四基以上、そしてまた最大離陸重量が三十五トン以上は機関士を乗せなけりゃならぬと、かようになっておるところは御承知のとおりでございますが、先生も御承知のとおり、この航空法の制定は昭和二十七年に制定されたものでございまして、それからざっと申し上げまして三十三年を経過いたしております。申し上げるまでもなく、この間航空機にかかわる直接的間接的技術の顕著な改善進歩によりまして、今日その第六十五条第二項にございまする第一項は削除しても、なおかつ第二項によりましていわゆる航空機の構造上発動機あるいはその機体の取り扱い上機関士がなければ重大な支障があるのではないかという一項がございまするので、この項によって十分制御できるのではないかと、こういうような判断に基づくものでございます。
  227. 原田立

    原田立君 そうしますと、例えばボーイング747、これは二百九十二人乗り、三百六十人乗り、四百五十五人乗り、五百人乗り、五百五十人乗り、これは操縦士、副操縦士、航空機関士と三人乗っていますわね。これは二百五十八トン、それから三百、それから三百七十七トン、非常に大型なものですよ。これは既に三人乗って運転するような型式になっているわけですね。だから当然これは必要なわけだ。お聞きするんですけれども、これが二人乗りになるような、二人で操縦するようなことになることは今後考えられるんですか。
  228. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ただいま御質問のボーイング747でございますが、現在までのところは、この航空機は操縦士二名と航空機関士の乗務を必要とする機体でございます。しかしながら、最近技術の進歩を受けましてこのボーイングの747を改造し、電子技術あるいはコンピューター制御技術をふんだんに取り入れて操縦士二人のみで安全に運航ができるというような構想をメーカーであるボーイング社が声明いたしたわけでございます。それによって現在ノースウエスト航空がこのような新しい747-400と申しますが、この-400を十機発注いたしました。これは去る十月でございました。これによってボーイング社がこの747-400の開発を決定したと、こういう状況がございます。しかしながら、私どもこの747-400というものの特に操縦室の設計あるいは中のいろいろな機械の系統、電気の系統等がどのようなものであるのか、詳細はまだ承知してないところでございます。いずれにいたしましても、もし開発が進むことにな りますれば、米国政府の安全証明、いわゆる型式証明と申しておりますが、型式証明を得た上で商品化されるということになろうかと思います。
  229. 原田立

    原田立君 今日本の空にはエンジン基数四基で飛行乗組員が二人という飛行機が飛んでいますか。
  230. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 現在我が国の空には先ほどのお答え申しました航空法の規定でエンジン四基・三十五トン以上の飛行機は飛べないわけでございます。現在我が国に飛んでおります四発機はいずれも三十五トン以上の飛行機でございまして、すべて三人乗務でございます。
  231. 原田立

    原田立君 それは今後二人乗りのようなことにボーイング社で研究されているというふうに先ほど言いましたね、本当ですか。
  232. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ただいまお話しいたしましたボーイング747-400、こういうタイプのものが二人乗務の航空機である、これが開発決定をして開発にかかったという情報は得ております。
  233. 原田立

    原田立君 要するにイギリスBAeというのはイギリスのことですね。BAe146、八十二人乗り、九十三人乗り、百人乗り、百十一人乗りというのがあるんだそうだけれども、これは乗組員が二人でしょう。この飛行機を日本の空に飛ばしたいわけだな、運輸省は。ところが、この四基・三十五トン以上のものには三人以上乗せなきゃいけないという法律があって、それを輸入できないから、だから輸入できるように法を変えようと、こういうことですか。
  234. 小里貞利

    政府委員(小里貞利君) 先ほどもちょっと御説明申し上げたんでございますが、航空法の中身からいたしましても、いわゆる航空機にかかわる直接、間接的な技術の顕著な革新等によりまして、本来若干航空機関士を乗せるこの規定については検討の時期にたまたま来ていたやに私どもは承っておるのであります。同時にまた、先生ただいま御指摘になりましたように、折しもたまたまイギリスのBAe…、この輸入にかかわる話題がこの夏前後に出てまいっておることも事実でございます。なおまた英国の方からBAe…についての苦情がしばしば寄せられておることも事実でございまして、同時にまた今日の規制緩和、さらにはまた共通の一つの目的を持つかと思うんでございますが、アクションプログラムの編成前後におきまして少しでもお手伝いできるのではないかという、そのような配慮もあるかな、こういうふうに承っておるところでございます。
  235. 原田立

    原田立君 要するにあんまりよくわからないんだけれども、A300、エンジン基数二基、乗客数二百八十一人、総重量トン百三十七トン、これは乗組員三人ですよね。エンジン二基だけれども、三人乗ってます。二百人、三百人だなんて大勢の人を輸送するときに、幾ら機械が優秀だからといって二人乗りでいいんじゃないかというのは、ちょっと乱暴じゃないか、こう思うんだけれども、どうですか。これは政務次官に聞きましょう。
  236. 小里貞利

    政府委員(小里貞利君) 今先生の質問中に技術部長とも意見調整を申し上げたわけでございますが、端的に申し上げまして、現在航空機関士が乗っておる、それを含めて三名の飛行機まで今回の改正によって必然削減されてくるのではないかという先生お話じゃないかとも思うんでございますが、さようなことには至らない、そういうようなことでございます。
  237. 原田立

    原田立君 だから冒頭に聞いたんです。今後、先ほどのボーイング747、これが三人乗りだけれども二人用に研究しているという話が冒頭にあった。これは五百人、五百五十人乗りという非常に物すごい輸送力を持った飛行機ですよ。これも二人乗りで操縦士、副操縦士でやる考えなんでしょうか。
  238. 小里貞利

    政府委員(小里貞利君) ではついでに私の方からお答え申し上げますが、ただいま先生お話になりました747-400というのはボーイング社において今製造中の飛行機でございまして、我が日本で当面この飛行機を輸入するかどうか、そういう計画は承っておりません。しかしながら、ただいま技術部長が申し上げましたのは、その飛行機についてノースウエスト会社において購入契約を過ぐる十月にいたしたということであり、なおかつその契約の中身においては機関士は必要でない、それは技術の革新がもたらしたものであると、こういうふうに仕様書等によって承っておりますということでございまして、したがって、我が日本がどうこうという具体的行為に至っていないと、こういうふうに御理解いただきたいと思う次第です。
  239. 原田立

    原田立君 ついこの間群馬県に日本航空機が落っこちましたね。それから数日前にはソウルでまたポカを起こしましたね。今三人乗りで実際にやっててそういうポカを起こす。機械が優秀ならばそんなポカはないはずなんです。だから、余り機械が優秀だから大丈夫だ大丈夫だということは、そういう考えをそりゃ技術部長は言いたいだろうけれども、それを余り言うと事故が起きた場合に責任問題が非常に重要な課題になると思うんです。  それで767型機ですね、日航でもボーイング767型機、エンジン基数二基、乗客数二百三十四人、飛行乗員数が二人、百二十七トン以上というそういう大きいやつ、これも何か日本で大分はやらしていこうということであったそうでありますけれども、今度の米国家運輸安全委員会、NTSBですか、が米連邦航空局FAAに、この767型機も安全確保のために厳重に注意しろと、こういう勧告をアメリカでは出していますね。新聞によると、日航の村田技術部長は積極的に対処したいと言っているが、非常にろうばいの色を隠していない記事が載っかっております。いかがですか。
  240. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ただいまの米国の国家運輸安全委員会の勧告と申しますのは米国の連邦航空局FAAに対して出されたものでございます。主としてボーイング747の今回の日本航空の事故に関するNTSB委員会の推測から勧告をしたものでございますが、後部耐圧隔壁が747と設計思想が似ているものであるという点から棚についても747と同様後部耐圧隔壁あるいは後部の胴体の構造等について検討を行う必要があるというような趣旨のものでございまして、私どもはこの事故の教訓として今後の747あるいは767の安全に対する万全の措置を表明したという点で評価しておるところでございます。  我が国におきましては、この後NTSBの勧告を受けまして米国の航空局が技術的な具体的対応を打ち出すことを期待しておるところでございまして、このような対策が出ました段階で、日本の航空会社に対しても速やかに措置をとるよう指導したいと、こういうふうに考えております。
  241. 原田立

    原田立君 じゃ、運輸省結構です。  木部大臣、お風邪のところを大分前から来ていただいていますので、若干質問をしたいと思うんであります。  地代家賃統制令で、昭和二十五年七月十日以前に建築されたもので延べ面積が九十九平米以下の住宅及びその敷地の家賃及び地代が統制の対象とされてきたのでありますが、その後三十五年後の今日統制を廃止することにするんだが、現在もこの地代家賃統制令の統制になっている対象の借家九十万人、借地三十四万件が対象になっておるのでありますが、百二十四万件、三百四十万人の非常に大勢の人がおいでなんですね。いかなる理由、根拠で廃止に踏み切ることにしたのかどうかということを聞きたいんだけれども局長の答えは大体わかっている。こういう困っている人の対策は、ただ法律が昭和十四年の勅令で決まって、 ポツダム宣言以後にちょっと手直しして二十五年にやって、古いから直すんだというそれだけの理由じゃ私は受けとめかねる。いかがですか。
  242. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 申し上げるまでもなく、最初の統制令は昭和十四年でございますけれども、現行の統制令は昭和二十一年に当時の状況を背景にしてできたものである。したがいまして、単に時間がたったということはもちろん事実でございますけれども、そういった背景となった事情が大幅に変わってきている。これは住宅事情ということでございます。これは数字を幾つか申し上げるまでもないと思います。それから先生先ほどお示しになりましたように、この統制対象住宅等が限定されておるということから、統制を受けていないもの、例えば民間の借家で申しますと、統制を受けている九十万戸の借家、これも実際に統制が守られているのは、地域により差がありますが、その一割ないし三割というふうな調査があるわけでございますけれども、九十万戸を対象にして考えた場合にも全体の七%であるということで、残りの九三%の人とのバランスを非常に失しているのではないかということ。さらに家賃がどうしても安いということから、維持修繕が思うように進まないということで、統計によりますと、通常の民間借家に比べまして、いろんな尺度はあると思いますけれども、老朽度が三倍ぐらいという数字もあるわけでございます。こういったことを総合的に判断いたしまして、今回この一括法の中で不合理といいますか、不必要といいますか、そういうものに該当するということでお願いするということになったわけでございます。
  243. 原田立

    原田立君 私も、場所はどこということは明示しませんけれども、あるところに行って見てきましたよ。昔は郊外であったかもしれない。今はもう地下鉄の駅のすぐそばで、中心地ですよ。よだれが垂れそうな非常にいい所ですよ。それで家が大分汚くなっているか、おんぼろになっているかというと、決しておんぼろになっていませんよ。いろいろと補修してあって、まあまあ住めるようになっております。といって実は家の中まで見てきたわけじゃありません、ちょっと外だけ見てきただけなんです。こういうふうなのが私が見てきた感じです。  それで、母子家庭あるいは生活保護家庭のそういうような人たち、あるいはお年寄りの人たち等は、安い家賃で何とか生活しているという人もいると実は思うんですよ、会ってないからわからぬけれども。何か神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、東京と建設省が調査したところによると、生活保護世帯の割合は三・七%となっておるそうでありますが、百二十四万件あるうちの三・七%というと四万五千八百八十という数字が出る、約四万六千の生活保護世帯の人がおるということになるわけです。こういう人たちは、この統制令が撤廃されて家賃が、どんどんとは言わない、どんなふうなコースで上がっていくか知らぬけれども、上がっていったらば、生活に非常に影響してしまう心配があるわけです。ほかに移っていきなさいよ、いやだ、ここにもう三十年も四十年も住んでいるんだから動きたくない、こういう人たちもいるわけです。簡単に古いからといって直すというのはいかがなものか。これは非常に危惧を持つんですよ。
  244. 木部佳昭

    国務大臣(木部佳昭君) 今先生から大変胸の詰まるような御指摘いただきましたが、私は、こういう場合には、ただ数字の面だけで大した影響があるとか、ないとかということだけではいかぬと思っています。特に今先生から御指摘のございましたように、社会的に弱い立場の方々に対していやしくも不安や心配事を与えない、これがやはり行政の一番大事な点であるというふうに私は思っております。  そういう意味で、私どもといたしましては、もしこの法案が御承認いただければ、効力の発生するのは一年後ということになっておりますので、その間にありまして、今先生からも御指摘がありましたように、高齢者の方々であるとか、また母子家庭であるとか、そういう弱い方々の立場に立って一生懸命最善の努力を尽くして、そういう方々に心配や不安を与えないように住宅の相談をしてあげるとか、それからまた公共賃貸住宅への転換、優先入居の問題についての親身になっての御協力を申し上げるとか、また生活保護の関係の皆さん方に対しましては、それぞれの省庁とも最善の連携をとりながら、そして万全の配慮をして、いやしくも先ほど申し上げますように不安や心配事を与えないというようなことに、親身になって力の発揮できる範囲で、すべて我々は努力してそういう皆さん方に不安や心配事を与えないように全力を挙げて努力さしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  245. 原田立

    原田立君 今大臣からそういう御答弁いただければ、もう何をかいわんやということでございますが、実際収入が百万円ぐらいの人は約二十万戸、二三%もいるんですね。百万円を単純に十二で割りますと月収八万三千円ですよ。二百万までの収入の人は四十六万戸、ざっとこれで全体の約五〇%ですね。それから六十歳以上の方は二十六万戸、約三〇%、これは総務庁統計局による調査の報告書で私申し上げているわけなんですが、そういう実態があるわけなんです。  だから、古いから切るというだけでは私はどうしても納得しないんです。廃止に伴うトラブルがあった場合には一体どういうふうに対処するのか、あるいは家賃の大幅引き上げなどは廃止後にはないようにすべきであるとか、いろいろまだ質問事項を持ってきたんだけれども大臣の決意表明があったからそれを子として、この法を廃止したからどうだ、こうだというようなことがないようにせっかく御努力願いたい。  以上で終わります。
  246. 内藤功

    内藤功君 通産省に消費生活用製品安全法の問題についてお伺いしたいと思うんです。  まず最初に、この消安法の目的と立法趣旨はどういうところにあったのかということを伺いたいと思います。
  247. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) お尋ねの消費生活用製品安全法は、四十年代の後半、所得水準の向上と技術革新の進展に伴いまして新たな製品が次々と開発される反面で、製品欠陥による事故、それから製品安全に関する苦情相談が増大いたしまして、国民の安全な消費生活を確保することが強く要請されていたことを背景といたしまして、昭和四十八年産構審の答申を踏まえて制定されたものでございますが、この法律の目的は第一条にございますように、「消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生の防止を図るため、特定製品の製造及び販売を規制するとともに、消費生活用製品の安全性の確保につき民間の自主的な活動を促進するための措置を講じ、もって一般消費者の利益を保護することを目的」といたしているものでございます。
  248. 内藤功

    内藤功君 一般消費者の生命、身体を守る法律というふうに理解しておるわけであります。この法律が国会にかかったときに、衆議院の商工委員会で附帯決議がつけられて、その第一番目にうたわれたのは、消費生活用製品についてできる限り多く特定製品として指定するということであったんです。ところが、実際は通産省は特定製品の指定をふやさない、逆に五十八年一月、先ほど話題になりましたが、例えば金属バットの指定を解除するということが起きております。一例ですが、この金属バットを特定製品から当時外したのはどういう理由に基づきますか。
  249. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 金属製バットは、五十年六月に特定製品として指定したわけでございますけれども、ただいま先生お話しのとおり、五十八年一月に指定の解除を行いましたが、この背景は、五十三年度以降製品欠陥によります人身事故が皆無であったことなどによりまして、その安全性に見きわめがついたために解除を行ったわけでございます。
  250. 内藤功

    内藤功君 事故が皆無であった。ところが、解除をした後事故が起きてきたんですね。昨年、いわゆる飛ぶバット、よく球がこれで打つとふっ飛ぶ、ふっ飛ぶということでホームランが余計出るということで出回ったんだけれども、実際はいろんな事故が起きましたね。欠陥がある商品がつくられておったことが明らかになって大問題になりました。私、当時の新聞をいっぱいここへ持ってきております。検査したところが大半が安全基準を満たしていないということがわかったわけなんですよ。こういう安全基準を満たしていない、いわば欠陥の商品、そういうバットが大量に出回ったということについて、その原因はどういうふうに判定をされておりますか。
  251. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 金属製バットの欠陥による事故につきましてでございますけれども、特に本年七月、金属製バットについての折損事故が相次いで起こったわけでございまして、これにつきましては、特定ブランドの金属製バットについて、球が当たる部分とバットの握りの部分との中間部分でございますいわゆるテーパー部というところが折れる事故が相次いだわけでございます。私どもといたしましては、その後直ちに関係者から事情を聞きましたり、当該企業に早期回収等の指導を行い、あるいは製品安全協会に立入検査、テストの実施等を行って原因究明を行うように指示したわけでございます。  その結果、いろいろ技術的な基準の点において検討すべき点があることもその原因との関連において出てまいっているわけでございますけれども、このような折損事故を起こした品物が出荷当時果たして安全基準に適合していたかどうかを事後的に検証することはなかなか難しかったわけでございます。そこで今年七月のこの折損事故と同系品である品物につきましては、その後事後的な検査を行った限りでは、そのものに基準不適合の結果は得ませんでしたけれども、私どもといたしましては、事故原因をいろいろ調査したところでは、先ほど申し上げたテーパー部というところの強度がやわかった、腐食があった、それからバットの伸び率が低下していたというような三つの複合要因で生じたものという結論が得られておるわけでございまして、そのような背景を考えてみますと、基準を策定したときには予想し得なかった新製品の開発といったような動きもあろうかと考えているわけでございます。
  252. 内藤功

    内藤功君 なかなか苦しい答弁ですが、これはもう指定している間は起きなくて、指定解除してから続出しているんですから、もう私は大体はっきりしていると思うんですね。いろいろメーカー側の問題も言われましたけれども、結局これは金属バットの安全性についての通産省の認識あるいは検査というものに手落ちがあったということになるんじゃないでしょうか。指定を解除しないで引き続き政府の検査をきちんとやっていればこういうことは発見できたはずだし、起きなかったはずだと私は思うんですよ。この責任をどう考えていらっしゃるかということと、ついでにもう一点聞いておきますと、この金属バットについて指定を解除して後もいわゆる安全試買テストはやっていたのかどうか。この二点をまとめてお伺いしたい。
  253. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほど申し上げましたように、今回の折損事故に関して見ますと、基準策定時には予想し得なかった新製品の開発といった動きも背景にあるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような原因の分析も踏まえまして、早速企業に対しまして、このような事故原因につながる点については十分メーカーにおいて今後の対応をきちんと行うよう指導いたしたこととあわせまして、このような状況を踏まえまして製品安全協会におきまして、安全基準の見直しのための補足調査が鋭意進められているところでございますが、できるだけ早い時期にこの安全基準の改定を行うよう審議を進めてまいるようにいたしたいと考えている次第でございます。  それが第一の点でございますが、第二の点につきましては、指定解除後におきましても、結局、指定解除後は認定製品、いわゆるSGマークということになるわけでございますが、製品安全協会によりまして安全試買テストは引き続き実施されてまいっております。
  254. 内藤功

    内藤功君 特定製品に指定していたときは通産省の通商産業検査所ですか、いわゆる通産検査所がずっと安全試買テストをやっていたわけですね。ところが、指定解除されると今度は製品安全協会。製品安全協会は自分でやるわけじゃないんですよ、民間に委託してやるわけです。これは国の手から外れちゃうわけですよ。そうして、そういう切りかえの中で、さっき言ったような相次ぐ事故、高校野球大会の前にすったもんだしたああいう動きというものが起きたわけでしょう。スポーツ愛好人口が多いですから、これは非常に大関心事であります。そうして、この問題が起こってから、また今度は通商産業検査所が緊急の試買テストをやったんでしょう。そういうふうな経過を見ると、やっぱりこれは特定製品の指定を解除すべきではなかったと、ここのところが一番の中心の問題になると私は思うんですがね。いかがですか。
  255. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほども申し上げましたように、今回の折損事故の背景ということになりますと、安全基準はSマークのときとSGマークに移行した後とでは同様なわけでございますけれども、今回の事故の背景には、基準策定のときに予想し得なかった新製品開発といった技術的な動向の変化が背景にあるわけでございましたので、その結果このような事態になったということだろうと思います。したがいまして私どもといたしましては、SマークからSGマークヘの移行に伴って制度的な理由によって生じたというよりも、技術開発的な進展の結果安全基準が実情に適合しなくなったことにあるのではないかというふうに考えたわけでございまして、そのために早急な手としては、メーカーに対する指導も急いで行いましたが、安全基準の見直しも早急に進めてまいることにいたしたいと、かように考えている次第でございます。
  256. 内藤功

    内藤功君 新製品が開発された、それが当時予測すべからざることであった、だからそういう新製品の開発に対してそれを検査し、それに対する必要な措置をとるためにも政府認証制度で特定製品の指定をずっと続けておればよかったんじゃないんでしょうかね。いかがなんですか。そういう点なんです、私の聞いているのは。
  257. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 今回の事件に関しましては、確かに認定製品ということでSGマーク製品でございますから、国みずからの基準適合性についてのチェックを行うのではなくして、民間の自主的な形で行われているわけでございますから、基準そのものにつきまして私どもとしては、技術の進歩に伴う改善が図られるべき実態にあったということを原因究明の結果判断いたしたわけでございまして、何度も繰り返して恐縮でございますけれども、技術の進展に合わせた基準の見直しということが行われている限りにおきましては、認定製品たるSGマーク制度のもとにおいても十分その目的を達し得る実態にあると判断しているわけでございますし、今後ともそのような目でできるだけ早急に基準の見直しを行うとともに、関係企業に対しましても十分な指導を行ってまいるようにと考えております。
  258. 内藤功

    内藤功君 なかなか責任をお認めになりませんが、新製品の開発云々ということも、指定を解除しているからこういうことが発見できないと、私はそう断定せざるを得ないですね。  そこで次に、さきの商工委員会の附帯決議でありますけれども、特定製品を拡大していくというのがこの附帯決議の立場だと思うんですが、消費生活用品の事故は依然として年々減っていない。そういう経緯からも特定製品の範囲をむしろ今は拡大していくべきだ。ところが実際は逆行しておると私は思うんですね。通産省はこの特定製品の範囲の拡大については具体的に検討しておられるかどうか。例えば金属製の脚立だとか乳母車だとか、ああいうものは統計工事故が非常に多いんですね。こういうふうな拡大を考えているかどうか。あなたの方からもらった資料によると、年間二百件を超えてますよ。減ってません。死亡事故も起こっている、物によっては。乳幼児用ベッドなんかでは死亡事故が起きている。こういう特定製品の拡大についてなぜ検討しないか、それとも通産省としてはもう今後はこれは拡大しないという方針でもおありになるのか、その点をお伺いいたします。
  259. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 御案内のことでございますけれども、特定製品といたしましては、構造、材質、使用状況等から見まして、一般消費者の生命、身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品を選んで、審議会に諮った上、政令指定することにいたしておりますけれども、御指摘のとおり特定製品としては、従来九品目、そして金属バットを外して現在八品目ということになっているわけでございます。  私ども現時点におきましては、特定製品の指定状況は、現行の八品目におきまして消費者保護上必要十分なものと考えており、範囲拡大について今考えておるわけではございません。しかし、もとより今後技術の開発、商品の開発というのは時時刻々進んでまいるわけでございますし、それに応じまして特定製品に指定すべき要件を満たしていると考えられるものが将来生ずることは当然考えられるわけでございますので、私どもといたしましては、新しい技術の開発の動向、商品開発の動向等につきまして十分これからも目を光らせまして適切な対応を図るようにいたしてまいりたいと考えているわけでございまして、特定製品について今後ふやすことを考えていないということを方針として決めているわけではございません。
  260. 内藤功

    内藤功君 それじゃ具体的にそういう体制があるかどうかをお伺いしたいんですが、まず輸入製品の安全検査についてお聞きしたいんです。  現在我が国に輸入される特定製品は国が個別に安全検査を行っていますけれども、今回の本法案がもし仮に通るとしますと、いわゆる第二種の特定製品というのが今度新しくできるわけですね。その輸入については国の検査というものはもうなくなるはず、法律工事実上なくなる。そして業者の自己認証ということになるわけですね。そうすると、この輸入製品についてまさか外国の製造業者のところに行って立入検査をやるわけにはいきませんし、結局、国内の輸入業者任せということになりませんか。これでは安全性の確保はこの面では完全にすぽっと穴があいてしまうということになると思います。大臣がちょうど今お見えになりましたので、どちらからでも結構です。
  261. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 海外から輸入される第二種特定製品につきましては、その安全性の確保、消費者保護の遺漏なきを期するという意味で、第一に、輸入事業者に対する改善命令、回収命令等の厳正かつ機動的運用に努める。第二に、輸入事業者及び販売事業者に対する立入検査、輸入品に関する試買テストについては、今後必要に応じて自己認証品目に重点を置いて実施するなどその充実に努める。こうした措置を講ずるに当たりましては、内外製品の無差別な取り扱いについて十分配慮していくということでございまして、今回の改正によって第二種特定製品、第二種ガス用品等については自己認証に移したいと、こういう考え方でございます。
  262. 内藤功

    内藤功君 そこで、今御答弁があったんですが、外国の製造業者には立入検査ができない、今、立入検査と大臣がおっしゃいましたのは国内の商社等であります。そういうことで一体消費者の不安がぬぐい切れるかということなんですよ、私のずっと言っているのは。事故が起こってからじゃ遅いんです。通産省はほかの委員会などでの御答弁で、輸入品が販売される前の段階でも所要の対応が図られる、こういうふうに述べておられます。  そこで、今言葉に出ました安全試買テストの問題にちょっと今度は絞って聞きたいんですよ。通産省はこれが万能薬であるかのように言うものですから、果たして実態はどうかという意味で私はお聞きしたいんです。第二種特定製品というものが、今度のこの法案がもし仮に通ってそういう概念がつくられると、この第二種特定製品全部について安全試買テストをやるということなんでございましょうか。
  263. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 私どもかねがね特定製品に係ります安全基準の遵守状況の把握等を目的といたしまして、毎年御指摘の安全試買テストを実施しているわけでございますけれども、今回の法改正によりまして導入されます第二種特定製品につきましても、当然のことながら従来同様この安全試買テストを行うわけでございますけれども、特に自己認証制度の導入に際しまして、御指摘がございましたように、安全性の確保、消費者安全のための保護に遺漏なきを期していくという観点から、安全試買テストにつきましては今後この第二種特定製品に重点を置いて実施するようにいたしてまいりたいと考えています。
  264. 内藤功

    内藤功君 私の質問は、第二種特定製品の全部について実施するのか、わかりやすい質問じゃないですか。
  265. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 第二種について重点的に行うという趣旨で申し上げましたが、第二種になります品物につきましては全部行うつもりでございます。
  266. 内藤功

    内藤功君 それはだれが行いますか、主体は。
  267. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 特定製品の試買テストにつきましては、第一種も第二種も従来同様通商産業検査所において行うことといたしております。
  268. 内藤功

    内藤功君 今度は、この安全試買テストの従来の実施状況のデータを出してもらいたい。まず、通商産業検査所が実施している安全試買テストの品目ですね、これはこの十年間、大体どんな数字ですか、簡単でいいです。ふえているのか減っているのか、どんなふうにふえているのか減っているのか。
  269. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 最近の十年間の動向を見ますと、おおむね十品目前後で推移いたしてまいっております。
  270. 内藤功

    内藤功君 これはずっと減っているんですね、あなたの方の資料を見ますと。昭和五十年度が十五品目でしたが、昭和五十九年度は八品目ですね。ですから、あなたの言ったのは事実と違いますよ。減っているんですよ。そうでしょう。
  271. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 当初から見ますと、ふえた時期もありますけれども、大勢観察いたしますと、五十四年から五十七年までは十一品目で横ばいでございますけれども、五十八、五十九と前年比減少いたしております。
  272. 内藤功

    内藤功君 残念ながら減っているわけです。  人員はどうですか、通商産業検査所の人員は五十年度から五十九年度までどうですか。
  273. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 検査所の定員につきましては、五十年度末では六百四十四名でございましたけれども、五十五年度末で六百六人となり、六十年度末では五百五十五人となることになっております。なお、この人数は、昭和五十五年度及び昭和五十年度末の人員は、繊維製品検査所が工業品検査所と合併いたしましたので、その両者の数字を足し合わしたものでございます。
  274. 内藤功

    内藤功君 わかりました。  今度、お金の方はどうですか、予算の面は。昭和五十一年度から六十年度、これを比べて減っているんですか、ふえているんですか。
  275. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 安全試買テストの予算の額で見てまいりますと、中間年次におきましてふえている時期もございますけれども、最近三年間で見ますれば前年に比べて少しずつ減っており ます。
  276. 内藤功

    内藤功君 もう一つ、製品安全性確保向上対策費、こういう費目の予算は減っていますか、ふえていますか。
  277. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) この予算につきましても、先ほどと同様に長い期間で見ますと、ふえたり減ったりいたしておりますけれども、例えば最近三年間で見ますと、少しずつ減っております。
  278. 内藤功

    内藤功君 みんな減っておるんですよ。人間も減っておる、品目も減っておる、予算も減っておる、安全対策も減っておるんですよ。甚だこれは遺憾な状況です。それで安全試買テストをこれからやるから、第二種特定製品に指定されても大丈夫だとかということを言われても、この体制じゃちょっとね。もちろん言葉は、いい言葉を言うのはいいんですよ。しっかりやりますということを言うのはいいんです、悪いとは言わない。しかし、実際の体制は、この十年間もう軒並み下がっているわけであります。  そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、通産省の産業構造審議会は、八〇年代通産政策ビジョンというのを既に昭和五十五年三月に発表されたが、「製品に対する安全性のニーズは、従来に比べより一層強まるが、これに応えるため、企業、行政の両レベルにおいて、厳格な事前、事後の安全チェックシステムの充実」をやれという答申をしておる。それから、大臣がお見えになる前に私はここでやったんですが、商工委員会での重要なる附帯決議がありますね。これは当然お守りいただく立場だろうと思うんですが、そういう面からいって、この安全試買テストを中心とする安全確保の体制というのは、人と予算をもっとふやさなければこれはだめですよ。こんな減っている中においてのこのような法改正では、これはますます安全性の面では大きな抜け道、穴をあけるものであります。私は、その点、大臣がこの人と予算の面について、どういうふうなお考えで臨まれるか、ここのところをお聞きしないといかぬと思うんですね。いかがでしょうか。
  279. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 消費生活用製品に対する自己認証制度の導入ということは、消費者保護上遺漏のないような配慮をしなきゃなりません。これは先生御指摘のとおりでございます。  具体的には、事業者に対して一定事項の届け出義務だとか基準適合義務を課するとともに、改善命令、回収命令、罰則等によってこうした義務の履行を担保すること。第二に、製品が満たすべき安全基準については、今後とも安全性の確保に遺漏なきよう国がこれを定めること。第三に、自己認証品目の具体的選定に関しましては、当該品目に係る技術水準等を十分勘案した上で審議会に図り、これを足することとしております。  通産省としては、今委員御指摘になられたように、予算、人員その他減少しているがどうかということでございますが、安全性確保は最も大事な問題でございますので、予算の確保等にも努めましょうと、消費者の安全が十分に確保されるような万全の努力をいたしたいと思っております。
  280. 内藤功

    内藤功君 大臣概算要求じゃどんなふうな御努力をなさっているんですか。
  281. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほどの御指摘の予算の点につきましては、御案内のような最近の厳しい財政事情でございますので、若干の減額をせざるを得ないかと思います。  しかしながら、一言ちょっと申し上げさせていただきますと、人員の点についても、先ほどのお話のように若干の減少が行われておりますけれども、厳しい定員事情のもとではございますけれども、限られた人間の中で十分業務の合理化を進める等によりまして適正な配置を行いまして引き続き万全を期してまいりたいと思っております。予算につきましても限られてはおりますけれども、自己認証品目に移行する品目に重点を置いて試買検査等を行うことによりまして、消費者の安全の確保に十分効果を上げられるよう努力いたしてまいりたいと思っている次第でございます。
  282. 内藤功

    内藤功君 次の質問に入ります。通産省は結構でございます。  後藤田大臣にお伺いしたい。  今お聞きになったようなこと、自己認証制度の問題一つとっても、これは本来商工委員会で、私などよりずっと専門の経験豊かな常任委員の諸氏によって、十分時間をかけて慎重審議されなきゃならぬ問題だというふうに私は痛感を合いたしておるところです。それからして、航空機関士の問題も各委員から述べられましたね。これなんかも運輸委員会でそれの専門委員の方から徹底的に時間をかけてやらなきゃならぬ。地代家賃統制令は建設委員会の大きな問題でしょう。地代家賃統制令なんかは過去四回ぐらい廃案になっているという法案ですな。そういうものを含めて二十六本の法案がこの委員会に一括の法案として出てきている。  私どもの党は、二十六全部分析しまして、そのうち十一は率直に言って賛成してもいい法案です。ただ十五は賛成できない。しかも十五のうち今言ったようなこの三つはどう考えても短期間にこの内閣委員会で上げるというような性格のものじゃないと私は思っているわけなんです。  前置きはそのぐらいにしまして、私は、議会制民主主義という大きな言葉で言いますと、これはいろんな内容があるけれども国会常任委員会に集まっておられる議員各位の知能、経験というものを集中して、一番いい審議を行って国民の負託にこたえなきゃならぬ、こういうものだと思いますね。私は、そういう意味で、この法案の出し方は、趣旨、目的は共通しているからこれでいいんだと、中曽根総理も言い、官房長官も言いますけれども、私は納得できないんです。例えば、航空機関士がどうして民間活力と関係があるか、航空機関士がどうして貿易摩擦緩和と関係があるかと聞かれたら、即答は恐らく後藤田先生でもできないだろうと思うんですね。  私は、国民的なみんなの合意があって満場一致で決まるような法案なら、それはいいでしょう。しかし、これだけの大きな問題のあるものは、これはすべからく各常任委員会に回して慎重審議をする、こういう原則を確立しないと、これから非常に安易に法案の出し方が流れる。私はこの法案に反対の立場です。しかし、その反対賛成の立場を今離れて、国会の審議権という立場からゆゆしいことではないかと思っておるわけなんです。率直に大臣のお考えを聞きたいのです。これは出して早く通してもらいたいという政府の立場じゃなくて、慎重に審議をして法案の問題点をすべて明らかにして、最後に採決、賛否を問うというのが議会制民主主義の本旨だと私は思うんです。ここらあたりどういうふうに考えておられるのか。この法案の責任ある大臣としての御答弁を求めたいと思います。
  283. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この法律案は、かねがねお答えをいたしておりますように、社会経済の活性化、国際経済摩擦の解消、こういったような統一的な政策のもとで、規制の緩和という趣旨、目的を同じくするものという観点に立って一括できるという限度のもの、これはかねがね法制局でも政府の見解を述べておりますが、そういった基準、これに照らして一括をさしていただいて国会の御審議を仰ぐ、こういうことにしたわけでございます。これは過去に十回ばかり例がございますし、いわんやこの国会常任委員会の機能について政府としてこれをないがしろにするといったような大それた気持ちは毛頭持っていないということは当然のことでございます。  先ほど来、金属バットであるとか、消費生活のいろんな物品について御心配がございました。これは当然のことながら、国民に不安感を与えるといったようなことのない配慮は十分政府としてはしなきゃならぬということはよくわかる、理解のできることでございますが、しかしながら同時に対外経済摩擦の解消という、その点だけをとらえて考えてみましても、外国から見ますと、日本の市場というものはまさに非関税障壁ではないかという厳しい批判があることも事実なんです。私は専門的なことは申しません。飛行機がどうだとか、金属バットがどうだとかという専門的な技術的なことは申しませんが、私は素直に、日本としてもここまで技術水準が上がり、そして品質管理が向上しておるといった中において、日本だけが金属バットにとって言うならば、役人はまじめですから一本一本検査しなきゃ日本の市場に入れないじゃないか、こういう厳しいことが日本の市場の閉鎖性の象徴としてとられておった。昭和五十八年、私は官房長官でした。こういったようなことをいろいろ考えますと、世の中全体の流れの中で、日本の市場の開放性ということを図っていくことはやっぱり重要なことではないのかと、かように実は考える。しかし、さればといって、その中で法律改正をお願いするときには、これは従来からの厳しい基準に照らしまして、当然常任委員会という役割があるわけですから、一括できるものは一括できるという範囲内のものにとどめるということで御審議を仰いでいるのだということを御理解をお願いしたいと、かように思うわけでございます。
  284. 内藤功

    内藤功君 最後に、私は、ベストの体制でやるというのが国権の最高機関の最高機関たる役割を果たすことだと思うんですよ。ベストの役割というのは、この法案については専門のどこの委員会でやるべきか、その委員会で時間をかけ、そして慎重に審議をしていくという原則が破られることは大変なことだと思います。そのことだけを申し上げておきます。
  285. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私はこの自己認証制の導入ということには賛成なんです。しかし、今までずっと聞いておりまして、果たして賛成していいものやらどうかわからぬような気持ちになってきて、私たちが考えていることと政府がお考えになっていることがどういうことなんだろうかという気がするんで、だからまず冒頭にこの自己認証制とはどういうことなんですかということを特命室の方からお答えいただきたいのです。
  286. 海野恒男

    政府委員(海野恒男君) 自己認証制というのは広義にも解釈されますし、狭義にも解釈されますが、一般的に申しまして、商品の生産、輸入あるいは販売に際しまして政府が一応の基準をつくる、あるいは規格をつくる、それをその基準に合っているかどうかということを政府が認証する場合と、製造者みずからが自己の責任において認証する場合と二つのケースがあるかと思いますけれども、自己認証制と申しますのは、その基準に合うかどうかを政府でなくて製造者みずからの責任において認証する、したがって、その制造者は物を供給する際にその規格基準に合っているかどうかをみずから認証するわけでございますので、その規格基準に合うことを義務づけられますし、同時にそれについての責任を持たされるということになるかと思います。これが私どもの解釈でございます。
  287. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 要するにこの程度のことは自分で責任を持ってやりなさいということですよね、わかりやすく言えば。  そこで、初歩的なことをまずお聞きしていくわけだけれども政府は基準・認証制ということでどのくらい今お持ちになっているのか。それから今度のいよいよ自己認証制を採用してこれにしようというのが幾つあるのか。その数字を取り上げていただきたい。
  288. 海野恒男

    政府委員(海野恒男君) 今回のアクションプログラムの策定過程におきまして、私どもは国の法令等にかかわります基準・認証制度すべてを実は総点検したつもりでございます。その中で私どもがこれは当然検討対象にすべきだと考えた法律は基準・認証制度に関しまして三十一ございます。それから輸入手続に関しまして十一ございまして、結局四十二法令について私どもは総点検をいたしたわけでございます。  その中で御指摘の基準・認証制度の中での自己認証制への移行に関しましては、八十八の措置をとることに決めたわけですけれども、そのうちの十四項目が自己認証制にかかわる部分でございます。全部で十四項目のうち新しく導入いたしましたのが八項目、それから拡大いたしましたものが、既に自己認証制度が存在してそれをさらに強化したものが六項目ということでございます。
  289. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そんなに難しく考えないで、私が聞いているのは基準・認証制、政府が持っている法律、政令、省令とあるでしょう、それが全部で幾つあるんですかと聞いている。今度幾つやったということはわかった。
  290. 海野恒男

    政府委員(海野恒男君) 私どもが対象にいたしましたのは四十二でございますけれども、法令となりますと数は八十を超す数字がございます。
  291. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 よく聞いておいてよ。基準・認証制でやっているのが、現在法律もあれば省令もあれば政令もあるでしょうが、その合計全部は幾つですかと聞いている。
  292. 海野恒男

    政府委員(海野恒男君) 一つの法律の中にも幾つかありますので特定の幾つというふうに申し上げられませんけれども、基準・認証制度にかかわる部分は三十一の法律にかかわる部分でございます。
  293. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は、いろいろきょうも前回も意見があったんですが、民間活力をと言うならばどうしてもっと自己認証制の方に移さないんですか。そしてつくっておる者自体が責任を持ちなさいよ、きちんとやるんですよというふうな方向になぜやらないのかと言っている。私から見るならばもっと多くやれるのじゃないのか。なぜそれがやれないのか。どうも私たちの耳に入ってくるのは、お役人さんが反対しているからやれないんだという声も入ってくるわけだけれども、そういうことはないんですか。ふやしたくないのか、やりたくないのか、やれないのか、どうなんですか。
  294. 海野恒男

    政府委員(海野恒男君) 今回の策定過程で措置しました八十八項目の中には、基準・認証制度の中で自己認証制に移行するものは先ほど申しましたように十四項目あるわけでございます。それ以前、この自己認証制にしなくてはいけないというわけではございませんけれども、そのほかでできるものが幾つかあるわけでございます。例えば自動車の安全性を自己認証させるかどうかというようなこともあるわけでございます。しかしこれは日本の制度から見ますと、自動車の安全性を供給者に自己認証させるという段階にまだ至っていないということで、今回はこれを八十八項目の中に入れてその自己認証制を導入するということには至らなかったわけでございますけれども、私どもは現時点で可能な限り自己認証制に移行できるものはすべて移行する方向で措置をとるということに決めておるわけでございます。
  295. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私の聞いたことに答えてくださいね。  今幾つやったかということはわかっているわけなんだ。さっきから言うとおり私は、自己認証制をもっとふやしたらいいじゃないか、なぜふやせないんだ、やれないのか、やりたくないのか、どちらなんだって聞いたんです。だから、そういう点に立って、今の現状は趣旨説明を聞いてわかっているわけだから、今後に向かってさらにそれを拡大していくというそういうスケジュールをお持ちなんですか。そこら辺はどうでしょうか。先ほどの松尾審議官お話を聞けば、これ以上ふやさぬと言っているわけでしょう、ああいう答弁をさっきした。だから、そういうふうなことの答弁をされちゃうから私は全く政府が何を考えているんだかわからない。少なくともこの問題は通産省よりか特命室へ聞いた方がいいと思ったから私わざわざきょう特命室に来ていただいたんだけれども、今のことだけちょっと言ってください。
  296. 海野恒男

    政府委員(海野恒男君) 私どもは今回の作業ではできるものはすべてやった。しかも確かにおっしゃるとおり、自己認証制度を導入したそもそもの考え方は、いつまでも長い間政府に甘えているような状況を脱却しまして供給者に責任を持たせる、あるいは需要者の方も責任を持って選択するということが新しい時代のあり方であるという考え方からこういう制度を導入したわけでございますので、今後可能なものは一層この制度の導入のために進むべきだと思っておりまして、現時点では私どものなし得る最高のことをやったつもりでございます。  それから私は先ほどの答弁を聞いておりませんでしたのでどういう答弁があったかわかりませんけれども、消安法でいえば、一種から二種に移す数を今後考えるということであって、消安法の中に一つ制度を導入した。制度が導入されたわけですので、それを適用される品目については今後考えるということでありますので、それはさらに技術水準が上がり、ふらちなる供給者が出ないような状況であれば、次々と自己認証制に移して、そして供給者に責任と基準を守る義務の感情を植えつけていくという方向は今後とも進めるべきだというふうに思っております。
  297. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう結構です。  あとこの問題で経企庁に伺います。この自己認証制に絡んでお聞きしていくわけだけれども、さっきから言っているように、私はもっと拡充していけという考え方です。拡充していけということの考え方に立つけれども、同時に先ほどからいろいろ出されているように、人間の生命だとか健康だとか、そういうことについてはよほど注意を払わにゃいけないし、それで損害賠償とかなんとか、そういう事故の問題が起きてくると思うんです。そういうときにどう扱うかということはきちんとしておかないといけないと思うし、どちらかというと、そういう場合は従来は被害者の方が立証責任をやらにゃいかぬようなのが日本の一つのあり方だったんです。    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕 アメリカなんかだとそうではなくて、物をつくって事故が起きたら企業の側がそういうことについて立証責任を果たさなきゃいかぬ。そういう点に立つならば、日本もそういう意味においてはそういう場合の立証責任というの世企業側に負わせるというようなことにこの辺でこの機会にきちんとしたらいいと思うんですが、その辺のお考えをお聞きしたいんです。
  298. 横溝雅夫

    政府委員(横溝雅夫君) 先生のお考えあるいは今後のあるべき方向につきましては、基本的な考え方として一つの方向を示されておると存じますが、現実の問題といたしまして、今度のアクションプログラムにおける自己認証への移行に関連いたしましては、御存じのとおり原則自由・例外制限という考えでやっておるわけでございますけれども先生おっしゃいますような人の生命、身体一の安全確保という問題につきましては、例外として制限といいますか、そこは慎重に扱うということで今回のアクションプログラムは行われたのかと思います。しかしそういう中でもう当然認証の責任が政府から事業者に移るわけですから、当然その事業者に対して責任の自覚を強く求めるとともに、それを担保する所要の措置を講じていくことにしているわけでございます。  それで、御指摘の消費者に被害が生じた場合企業側の責任、被害救済、あるいはその立証をどうするかという問題は、広く一般的な言い方で申しますと製造物責任の問題になろうかと思いますけれども、この点につきましては、先生も御存じのとおりかと存じますが、民法の基本にかかわる問題でもございますし、いろいろ議論のあるところでありまして、諸外国の動向を踏まえながら、長期的な課題として関係省庁と連携をとりながら検討してまいりたいと考えております。
  299. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 結構です。あと通産省に輸出検査の問題でお聞きしてまいります。時間がないですから簡潔明瞭に要領よくお答えをいただきたいと思います。  ことしの九月二十四日の閣議決定で、指定貨物の百四十品目を三年間で三十品日減らす、こう出されているわけですけれども、極めて初歩的なことですが、この輸出検査の目的というのは何ですか。
  300. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 輸出検査法第一条に規定されておりますように、輸出検査を実施することによりまして輸出品の声価の維持及び向上を図り、もって輸出貿易の健全な発達に寄与することを目的としております。
  301. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そのとおりだと思うんですが、そこでその輸出検査機関、いろいろそれぞれあるわけだけれども、その性格というものはどうなっているんですか。どなたがおやりになっているか、費用を検査を受ける企業に負担させているようなんだけれども、どうしてそういうことになっているわけですか。
  302. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 輸出検査を実施する主体といたしましては、政府機関または政府の指定を受けた指定検査機関という。ことになっております。前者は御案内のとおり例えば通商産業検査所みたいなものでございます。政府機関そのものでございます。後者はいろいろ要件が法律に定められてございまして、民法第三十四条の規定による公益法人であること、検査施設等の物的設備を十分備えておること、経理的な基礎があること、その他、業務運営規程とか事業計画大臣の認可その他監督に服すると、こういう体系になっております。そのような公正な運営を担保した上で指定をいたすということになっておるわけでございます。  検査費用は民間の負担、受検者の負担ということになっておりますが、一言で申しますと、受益者負担の原則にのっとったものであると理解するわけでございます。    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
  303. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そういうところへも受益者負担という言葉が通じるんですか。これは大臣、聞いておいてください。こんなことが本当にあるのかと思うんですけれどもね。  昭和三十二年輸出検査法ができて、悪い品物が出ていかないようにできたわけだからいいことなんですが、しかしながらそういうふうな形で生まれた法律が、ここに一つの事例としてテープレコーダーの輸出検査のことが出ているんですが、「五十万台を一単位とし、この中から三十二台を抜きとり検査する。検査するのは機械電子検査検定協会と呼ばれる機関から派遣されてくる担当官で、所要時間はおよそ五時間。検査内容は、二メートルほどの高さからサンプル品を落として壊れないかどうか、あるいは二時間ほど振動機の中に放り込んで、それでも正常に作動するかどうか、さらには測定器を使ってのチェックなどだ。」「ところがその検査は有料で、すべて輸出業者の負担。テープレコーダーは一台について二十三円の検査料がとられる。それも抜きとりの三十二台についてではなく五十万台丸ごと対象。金額にして千百五十万円。しかし、これでは取り過ぎとの後ろめたさがあってかどうか、メーカーの試験機器を借方だという名目で、協会は四〇%相当の四百五十二万六千八百五十円を「返戻金」として戻してくれる。で、実質検査料は六百九十七万三千百五十円。一人の検査官が五時間で検査を終えるから、時給百三十九万四千六百三十円という計算になる」。こんなばかげたことがあるのかと思うんですが、どうなんでしょうか。これは事実ですか。
  304. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 事実かという直接の御下問でございますが、やや事実に違うところがたくさんありそうな感じがいたしますが、私はすべての証拠を持っているわけでございませんので明言を避けたいと思います。ただ若干のコメントをつけ加えさせていただきたいと思います。  検査料というのはどのようにして決定されるかということでございますが、先ほど申しましたように、検査を実施する機関は政府機関もしくは公益法人ということでございますから、利益を上げる必要はございません。したがいまして、ある製品について申し上げますと、その業界全体の検査につきまして収入と支出がバランスさえしておればよいわけでございます。それを個々のケースごとに割り振るに際しましての考え方は、具体的なその検査はコストが幾らかかって幾らの検査料を徴収したということではなしに、その物一個ずつ平等に全体の費用を割り振る、こういう考え方になっておるわけでございます。したがいまして、全品検査を必要とする例えば中小企業の製品のような場合は、コストに比べて著しく低い検査料を徴収することになる可能性がありますでしょうし、まだかなり品質のばらつきがない大企業のような製品の場合には、非常に簡単な検査方法で合否を判定するかわりに若干検査料の方は高く取られるというようなことは間々あることでございます。したがいまして、新聞の記事は、やや極端ではありますが、傾向としてはあり得る話でございます。
  305. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは大臣、今じゃなくていいですから、多少はいろいろ新聞も尾ひれをつけるからあれだけれども、しかしそれにしても全く事実無根なんてことだったらこれは大変なことなんで、後でお調べをいただいて御返事をいただきたいと思うんです。  それからその検査対象品目というものは何を基準にしてお決めになるのか。自転車は入っているんだけれども自動車は入ってない。ラジオは入っているけれども最近のVTRは入ってないということになると、何を基準にしてお決めになっているのか。もう簡単で結構ですから要点だけお答えください。
  306. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 検査品目の指定の基準は二つございます。一つは、苦情が輸出先国から相当数発生しておる、あるいは業界の過当競争体質等から品質の低下のおそれが非常に強いというものであって相当額の輸出がなされている、こういう基準で指定をしてまいりました。したがいまして、自転車、ラジオ等はそのような考え方で指定されてきたものであります。  他方、自動車、VTR等につきましては、一つはクレームが自転車みたいに相次いで起こったわけではないということと、同時に輸出先国におきましてアフターサービスの態勢が確立している、あるいは一たび事故が起こったときに損害補償等の責任態勢が確立しておる、そういう意味において、日本の悪かろう安かろうというかつてのようなイメージを残すというおそれが非常に少ない、こう思われるようなものにつきましては、これは指定していなかったということでございます。
  307. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いろいろ事情はあると思うが、時間もないので最後に通産大臣と長官お二人から御返事をお聞きしたいんです。  輸出検査の方も、私から言わせるならば、もう極力おやめになったらいいでしょう。もしもそんな今もお話しのように安かろう悪かろうならば、これだけ貿易摩擦で文句を食うほど出ていくわけないでしょう。日本の企業の方があんまり言われるから少し制限しようとやれば、向こうの方のユーザーがやってきてなんで輸出しないんだと文句を言うくらいな形で、自動車にしたって何でも今どんどん出ていくわけです。貿易摩擦を起こすようなことをしちゃいかぬ。それはそれなりの対策はとらにゃいかぬし、同時にそれだけ今日本の製品というものはよくなった。いろいろ個々のものを見たって、私もそれほど細かくはつかんでいないけれども、不良品の度合いなんかでもアメリカの製品よりかも日本の方がはるかに少ないわけです。だから、できるだけそういう輸出検査なんかやめるようにして、そのかわりおまえら自分で責任持てよといって企業に責任を持たせる。輸出検査をする検査官を政府の機関で持っておったら、今度事故が起きたときは検査官の方に責任があるんですよ、きちんとしなければいけないと思うんです。検査官がやっておきながら、仮に抜き取り検査でも、事故が起きたときに、それはメーカー、おまえらつくってたのが悪いなんてことは言えなくなるんですから、その辺をきちんとしていただかなきゃいけないし、できるだけさっきの自己認証制をなるべくふやしなさいというのと同じく、こっちの方も輸出検査なんということは、これだけもう製品の質が向上したんだから、できるだけやめるようにしていく方向をとっていただきたい。そういうことについて大臣のお考えをお聞きしたいんです。そして長官からは所管大臣としての御見解をお聞かせいただきたい。
  308. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 柳澤委員の御指摘のとおりでございまして、輸入する場合の基準・認証を自己認証に切りかえる、これは行政合理化の大きな方向だろうと思います。  それから輸出検査の問題につきましても、できるだけ、今は検査その他の技術が発達しておるのでございますから、簡略にしていくという方向がいいと思います。従来から輸出検査の問題は、輸出成績、輸出金額等を勘案しながら検査対象品目の大幅な整理など必要な見直し作業を実施してきておるところでございます。通産省としては、ことし九月の行政改革大綱に基づきまして、今後の検査成績動向を勘案しながら品目の削除を実施してまいりますが、輸出検査はなお今後とも続けてまいる、こういう方針でやっていきたいと思います。  また、柳澤委員御指摘になったケースはひとつ調査をしてみたいと思います。
  309. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、柳澤さんの御質疑を拝聴しながら、柳澤さんのお考えは、私のそんたくするところでは、私ども考え方は違ってないと、こういうふうに私は考えております。基準・認証の問題についても、政府委員とすれは、できるだけはすべてやりました、こう言わなきゃなりませんよ。しかしながら私どもは、国民の不安感を起こさせるというようなことは絶対避けなきゃならぬという、この大前提を踏まえながら、自己認証制度は拡充すべき方向で今後行くべきであろうと、かように私は考えます。  それから輸出検査は、たしか昭和三十二年の法律だったと思いますが、これは粗悪品を出しちゃいかぬ、こういうことでやったわけですから、今日事情は全く変わっているんですね。したがって、これらも漸次こういうものは少なくしていくというのが方向であろう。  そして受益者負担の問題で云々という質問がありましたが、これは当時とすれば、粗悪品を出したら、おまえさん方が結局はぐあいが悪くなるんだから検査をするんだから出せと、こう言っているんだから受益者負担ですよ。しかし今日、受益者負担というのは、今第二臨調なり行革がとっておる受益者負担とは趣旨が違うと、私は率直にさように思います。  それからもう一点の御質問で重要なのは過失責任の問題ですね。これは民法が基本法でございますから。それとの関連がございます。したがって、製造物責任の明確化ということは、私はこれは必要なことであろうと考えますけれども、民法との関連ということになりますと、これはやはり相当な時間を必要とするな、しかし時間はかかっても、これは将来の大きな検討課題であろうと、かように考えるわけでございます。  以上でございます。
  310. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  311. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五十五分散会      ―――――・―――――