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1985-12-10 第103回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十一月五日     辞任         補欠選任      片山 甚市君     安恒 良一君  十二月七日     辞任         補欠選任      安恒 良一君     片山 甚市君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大森  昭君     理 事                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 竹山  裕君                 片山 甚市君     委 員                 志村 愛子君                 添田増太郎君                 中西 一郎君                 西村 尚治君                 長谷川 信君                 宮田  輝君                 守住 有信君                 山内 一郎君                 八百板 正君                 服部 信吾君                 三木 忠雄君                 山中 郁子君                 中村 鋭一君                 田  英夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  左藤  恵君    政府委員        郵政省通信政策        局長       奥山 雄材君        郵政省放送行政        局長       森島 展一君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        文部省高等教育        局企画課長    遠山 敦子君        会計検査院事務        総局第五局長   秋本 勝彦君    参考人        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会技        師長       矢橋 幸一君        日本放送協会専        務理事      川口 幹夫君        日本放送協会専        務理事      林  乙也君        日本放送協会理        事        松本 幸夫君        日本放送協会理        事        植田  豊君        日本放送協会理        事        井上  豊君        宇宙開発事業団        副理事長     園山 重道君        宇宙開発事業団        理事       船川 謙司君        通信放送衛星        機構理事長    廣瀬  弘君        通信放送衛星        機構理事     大竹 利男君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (第百二回国会内閣提出)     —————————————
  2. 大森昭

    委員長大森昭君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事片山甚市君を指名いたします。     —————————————
  4. 大森昭

    委員長大森昭君) 次に、参考人出席要求に関する件につきましてお諮りいたします。  日本放送協会関係付託案件審査郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、放送に関する事項調査のため、日本放送協会役職員参考人として今期国会中、必要に応じ、随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書審査のため、本日の委員会宇宙開発事業団理事長園山重道君、同事業団理事船川謙司君、通信放送衛星機構理事長廣瀬弘君及び同機構理事大竹利男君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 大森昭

    委員長大森昭君) 次に、日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。左藤郵政大臣
  8. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和五十八年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十九年三月三十一日現在における資産総額は二千六百五十五億六千四百万円で、前年度に比し百三十一億四千九百万円の増加となっております。  これに対しまして、負債総額は一千二百五十四億七千七百万円で、前年度に比し二百六億六千百万円の増加となっております。  資本総額は一千四百億八千七百万円で、前年度に比し七十五億一千二百万円の減少となっております。  資産内容を見ますと、流動資産五百八十八億八千九百万円、固定資産一千九百十六億八千四百万円、特定資産百四十五億六千六百万円、繰り延べ勘定四億二千五百万円であり、固定資産内容は、建物六百六億八千八百万円、機械五百四億七千八百万円、土地二百九億八千八百万円。その他 の固定資産五百九十五億三千万円となっております。  また、負債内容は、流動負債四百三十二億八千七百万円、固定負債八百二十一億九千万円であり、固定負債内容は、放送債券四百八十六億二千万円、長期借入金百八十七億二千万円、退職手当引当金百四十八億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金七百二十五億九千九百万円、当期欠損金七十五億一千二百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は二千九百二十六億二千三百万円で、前年度に比し四十八億七千七百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は三千億四千百万円で、前年度に比し百九十四億一千三百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支は七十四億一千八百万の欠損となっております。これに特別収入四億七千九百万円及び特別支出五億七千三百万円を含めまして、事業収入は二千九百三十一億二百万円、事業支出は三千六億一千四百万円で、事業収支は七十五億一千二百万円の欠損となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  9. 大森昭

    委員長大森昭君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川原日本放送協会会長
  10. 川原正人

    参考人川原正人君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表当年度末現在の資産総額は二千六百五十五億六千四百万円で、この内訳は、流動資産五百八十八億八千九百万円、固定資産一千九百十六億八千四百万円、特定資産百四十五億六千六百万円、繰り延べ勘定四億二千五百万円で、このうち固定資産内容は、建物六百六億八千八百万円、土地二百九億八千八百万円、機械五百四億七千八百万円、出資十一億六千八百万円、その他の固定資産五百八十三億六千二百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと百三十一億四千九百万円の増加となっておりますが、これは主として、当年度建設計画に基づくテレビジョン放送網建設放送設備整備等の実施、及び通信放送衛星機構等に対する出資により固定資産が二百九億七千四百万円増加し、一方、前年度からの繰越金当年度において債務償還及び事業収支財源不足に充てて使用したことなどにより、流動資産が百十三億四千九百万円減少したためでございます。  一方、これに対する負債総額は一千二百五十四億七千七百万円で、この内訳は、流動負債四百三十二億八千七百万円、固定負債八百二十一億九千万円で、このうち固定負債内容は、放送債券四百八十六億二千万円寸長期借入金百八十七億二千万円、退職手当引当金百四十八億五千万円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと二百六億六千百万円の増加となっておりますが、これは長期借入金増加等により固定負債が百八十四億三千七百万円増加し、また、受信料前受け金の増加等により流動負債が二十二億二千四百万円増加したためでございます。  また、資本総額は一千四百億八千七百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金七百二十五億九千九百万円及び当期欠損金七十五億一千二百万円でございます。この当期欠損金により、資本総額は前年度末と比較し七十五億一千二百万円の減少となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は二千九百二十六億二千三百万円で、前年度と比較し四十八億七千七百万円の増加となりました。  これは主として受信料増加によるもので、極力受信契約維持増加に努めた結果でございます。  なお、有料受信契約件数は三十九万件増加し、当年度末には二千九百九十四万件となりました。  次に、経常事業支出は三千億四千百万円で、この内訳は、給与一千二十五億九千五百万円、国内放送費八百十九億三千八百万円、国際放送費十八億八千万円、営業費四百四十五億九百万円、調査研究費三十四億七千九百万円、管理費四百二十七億三千百万円、減価償却費百八十七億九千六百万円、財務費四十一億一千三百万円となっております。  これは前年度と比較し百九十四億一千三百万円の増加となりましたが、主として放送番組内容充実刷新受信契約維持増加対策の推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等増加によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支は七十四億一千八百万円の欠損となり、これに特別収入四億七千九百万円を加え、特別支出五億七千三百万円を差し引いた事業収支全体では七十五億一千二百万円の欠損となりました。  なお、この欠損金については前年度からの繰越金をもって補てんすることといたしました。  これをもちまして、協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書につきましての概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  11. 大森昭

    委員長大森昭君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。秋本会計検査院第五局長
  12. 秋本勝彦

    説明員秋本勝彦君) 日本放送協会昭和五十八年度決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。  日本放送協会昭和五十八年度の財産目録貸借対照表及び損益計書並びにこれに関する説明書は、昭和五十九年七月三十一日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、同年十二月四日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上簡単でございますが説明を終わります。
  13. 大森昭

    委員長大森昭君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 片山甚市

    片山甚市君 昭和五十八年度決算についての概要をお聞きした上で説明を求めたいと思います。  放送法第二十六条による監査報告事業執行面にどのように反映させていくか、会長より概況について御説明願いたいと思います。
  15. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども監査報告あるいは国会の御決議、その他予算執行に当たりましての各方面の御意向は十分にその執行に反映させるように努力をしてまいりました。この結果、昭和五十八年度におきましても受信料額を据え置き、予算では百七十億円の収支不足を一応予定したわけでございますけれども、これに対しましては五十五年から五十七年度にかけましての繰越金百四十四億円をもって充当しまして、それでもなお不足いたしました二十五億円につきましては、予算執行の過程におきまして極力収入増加を一方で図るとともに、支出を節約いたしまして最終的にはこの決算書にありますとおり、事業収支において二十五億円を改善いたしまして四億円の剰余を繰り越すことができました。さらに資金の繰越金を加えまして繰越金としては最終的に五億円となったわけでございます。
  16. 片山甚市

    片山甚市君 ただいま会計検査院から違法なことはなかったということでありますが、そこで検査院に聞くのですが、NHKの五十八年度決算に対する実地検査執行状況概要と、特に重点的に検査をした点があれば御説明を願いたいと思います。
  17. 秋本勝彦

    説明員秋本勝彦君) お答えいたします。  五十八年度についての実地検査は二十名の人員 をもちまして、日本放送協会本部ほか二十五放送局及び二研究所につきまして三百七十二人日で実地検査を実施いたしました。  なお、ここで人日数が五十七年度に比べまして四十一人日程度増加しておりますが、これは辺地におきますところの受信契約状況について調査を行ったこと、並びに検査人員一名の増員があったことなどによるものでございます。  また、検査に当たってどのような重点項目を持ったかということでございますが、まず収入につきましては受信契約及び受信料収納が的確に行われているか、それから支出につきましては契約収納経費放送設備整備、更新、そのような各種の経費が合理的かつ効率的に使用されているかという点に重点を置いて検査を実施いたしました次第でございます。
  18. 片山甚市

    片山甚市君 会長から事業についての説明がありましたが、そこで内訳として質問をいたします。  事業支出を見ると予算に比較して約十五億円の減となっております、その内容予備費使用残十億円及び節約効果五億円ということでありますが、このことは五十八年度予算編成において支出見積もりを切り詰めた上での計画を立て、なお五億円の節減を図ったということになります。  私は、その努力を多としながらも、NHKが我が国の放送文化事業に果たす役割と将来の課題を考えるとき、この効率化施策は慎重でなければならないと考えるんですが、具体的にどのような措置を講じられましたか。
  19. 井上豊

    参考人井上豊君) お答え申し上げます。  協会にとりまして効率的な事業運営は当然なことでございます。私ども不断努力をしてまいっているところでございますけれども、今先生指摘の十五億円につきましてはこれから申し上げます内容でございまして、決して効率化を優先させたということではございません。先生のお話にもございましたように十五億円の内容といたしましては、財務費の残ということで私ども三億円を節減したわけでございます。この内容放送債券の発行時期あるいは長期借入金の借り入れの時期を繰り下げることによりまして実現をいたしたものでございます。それから当初、私ども五十八年度の消費者物価指数は三・三%程度を予定しておったわけでありますけれども、幸いなるかな五十八年度の実績といたしましては二%を切りまして一・九%ということに相なったわけでございます。この結果によりましておよそ二億円の節減が図られたわけでございます。その上予備費二十五億円につきましては、十五億円を支出いたしましたけれども、十億円の残を実現いたしまして合計十五億円の残ということを実現したわけでございます。  以上でございます。
  20. 片山甚市

    片山甚市君 努力をした内容についての説明を聞いたんですが、そこで五十九年の一月に打ち上げられた放送衛星号aは、難視聴四十二万世帯一挙解消に大きな期待が寄せられながら故障のため所期目的を達成されず、契約上十分な補償措置も得られず、結果的には視聴者国民に将来への負担と不安の増大というツケが回されたことになっております。この点について六十年度収支予算及び事業計画承認に当たり、附帯決議第三項で「衛星放送について、その正常な運用確保できるよう万全を期する」ことを求めているところでございます。  私は、四十二万世帯の難視聴解消が即受信料増に結びつくと短絡的に受けとめてはおりませんが、五十五年度から五十八年度の間、放送衛星打ち上げに要したNHK分担金は二百二十七億九千万円です。衛星放送普及状況については、昭和六十年六月現在で私が見ておると、個別については五千二百、共同では四万九千二百、再送信では千五百、計五万五千九百世帯というのを考え合わせてみますと、決して効率的な投資ということは言えない、運用と思いません。  そこで内訳を見ると、共同受信が四万九千二百といっても施設数ではマンションなど四百五土地設であり、全国的にも都市中心であります。個別受信世帯五千二百のうち難視聴地域の分は二千三百世帯、さらに再受信の大東、小笠原島千五百を除くと実質難視聴世帯は八百世帯解消されたということにしかなっておりません。現に去る十月二日から三日間、本委員会の私が参加いたしました委員派遣について中国地方逓信関係の業務の実情調査を行った際、テレビ難視聴対策については、衛星放送受信世帯千九百世帯のうち難視聴地域受信世帯数は七十世帯で、残存する難視聴世帯六万二千世帯のうち〇・〇〇一%にすぎないという状態であります。  五億の節減を生む努力衛星放送事業の現状を、難視聴解消という所期目的から見てどのようにNHKは受け取られていますか。非常にクイズのような話なんですが、お答えを願いたいと思います。
  21. 林乙也

    参考人林乙也君) 衛星放送は、全国を一挙にカバーでき、また地上放送では期待できない高品質の音声及び画像の放送が可能となるなどの特質を有します新しい放送媒体というように考えておりまして、これは宇宙開発計画の一環としていわば国家的なプロジェクトとして推進されておるところでございます。  ただいま御指摘の難視聴解消施策についてでございますけれども、現在残存いたします難視聴世帯難視解消対策地上設備によって行いますといたしますならば、期間的にも相当の期間が必要でありますし、また経費的にも高額の経費が必要となるというようなことにかんがみまして、放送衛星を打ち上げ、運用することによりまして、一挙にかつ効率的に解消すべく計画いたしたところでございます。  御指摘のように、五十九年打ち上げ後、進行波管に異常が生ずるなどの事故が発生いたしまして、現在試験放送によります一チャンネルの放送によらざるを得ないということでございまして、御指摘のように難視聴世帯への普及も必ずしも所期目的を達成していないことにつきましては、まことに遺憾と考えるところでございますけれどもBS2bの打ち上げによりまして、信頼できる放送衛星によりまして本格的な放送を展開することによりまして、開発に要しました経費につきまして視聴者に早急に還元し、また難視聴対策施策というものを進めていくことが適当というように考えておる次第であります。
  22. 片山甚市

    片山甚市君 二百二十億円程度のお金を使って八百世帯が難視聴世帯解消になっておるということでありましたが、数字で言うんでありませんけれども放送衛星を打ち上げるときには難視聴解消を一番大きな公共的な表題として取り上げたのでありますから、いわゆる次の新しい放送の波をどうするかでなかった。それは、NHKとしては公共的な役割を果たすために研究開発されることは自由でありますけれども、やはり私たちとしては、今おっしゃったように、このことが成功しておればどれほどうれしいだろう、成功してないからこういう話をしなきゃならない、残念だという立場で、心を引き締めて頑張ってもらいたいと思うんです。  そこで、決算を聞くと、要員減効率化施策の柱となっているのではないか。一方では、文化的香りの高い番組を求める視聴者NHKに対する期待は非常に大きい。民放がああいうような放送をしますから、NHKが少しよくなれば、品がいいし、内容はいいし、国民が安心するんでありますから、どうしてもNHKに対して、日本文化を代表する放送としてもらいたいと思います。  その期待が大きいだけに、特集物や大河ドラマのテーマ選択企画運営にも大きなウエートを占めるノーハウ、人材確保は必須の条件であります。また、ローカル放送地域放送の拡充についても、私はこれまで毎年その重要性指摘してきているとおりでありますが、必要な要員と機材が効率化によって犠牲になっておるのではないかと心配するんです。労働条件とともに有為な要員人材確保放送事業基本であるということに変わりはないのではないか。そういう意味で、人材確保、育成、そういうことについてNHKは 今後どういうふうになっていきますか。
  23. 川原正人

    参考人川原正人君) 御指摘のとおり、私ども仕事は、やはり人間が自分の創意工夫によってつくり出す番組というのがすべての基本でございますので、その意味では人材確保については十分の努力を進めてまいりたいというふうに考えております。  幸いにして今のところ、協会の現在の職員もそれなりに鋭意努力を重ねておりますし、私どももその教育についてはできるだけの万全の手配をいたしております。また、新しく新人を募集する等に際しましても、外部からはなお協会仕事に対しまして若い諸君が非常な熱意を持って応募してくだすっております。その中からすぐれた人材確保して遺憾のないようにしたいと思っております。
  24. 片山甚市

    片山甚市君 私も今申しましたように、労働条件もさることながら、NHKの公共的な放送に対して、胸を張って、生きがいを感じて仕事ができるような条件をつくってもらい、国民期待にこたえることにしてもらいたいということであります。それについて今お答えがあったと思います。  昭和六十年度収支予算及び事業計画承認に当たり、本委員会における附帯決議第五項に、地域放送充実強化のための体制整備を図ることとありますが、それに十分に対応策がとられておるかどうか、説明を賜りたいと思います。
  25. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 当委員会附帯決議として地域放送充実を要請されましたけれども、私どももそのことは現在のような社会情勢の中では欠くべからざるNHK仕事の一つであるというふうに認識をしております。したがいまして、今から四年前でございますか、新ローカル放送構想というのを立てまして、それの実現年度を五十九年から六十一年にかけて三年間でやろうというような計画を立てました。その計画を六十年度におきましては一気に実現しようということで、まず時間でございますが、テレビ、ラジオそれぞれの時間を一気に増加いたしまして、大体三年分を六十年度でもって実施することができました。  それから内容でございますけれども、この内容につきましては、地域が求めておる細かい情報、それから生活に関係のある情報、そういうものをきめ細かく伝えると同時に、いろんなフロックをつくりまして、多広域にわたる情報の提供とか、あるいは東京と地方地域とを結ぶ放送等でいろんな工夫をしてまいりました。特に各局におきましては、地域スペシャルという番組をつくりまして、このことが地元の方々に対して大きな影響を与えているというふうに思っております。このために、もちろん要員とかそれから機材の充実等が必要でありますけれども、これにつきましても、五十九年、六十年と二年かけて大体所期目的を達してきたというふうに思っております。
  26. 片山甚市

    片山甚市君 NHK放送がこのごろ身近になったということの中に、地域放送役割が非常に大きいと選挙区に帰ってそう思いますから、国民とともに歩む放送としての役割を十分認識してもらいたいと思います。  特にNHK学園は、これまで果たしてきた役割から見ても、生涯教育の重要な部分としてこれからその充実強化が図られるべきであると思いますが、臨教審では放送大学の全国ネット化を提言しておりますし、NHK学園の現状と、教育放送重視の立場から今後の方針を説明してください。
  27. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) まず、NHK学園の現状から申し上げます。  NHK学園というのは昭和三十七年に設立をされまして、通信制高校ということでございまして、NHK放送番組テレビとラジオを利用いたしまして勉学をするという非常にユニークな学園の形をとっております。現在は約六千三百人という方々が在学をしておりまして、教職員が百人この仕事に当たっております。現在までの設立以来の卒業生が二万八千人を超えまして、通信教育の分野ということでは大変大きな役割を果たしてきたというふうに自負をしております。その後、社会の進展に伴いまして、高校の通信教育だけではなくて、社会教育通信分野というふうなところにも学園としてはその範囲を広げております。一般市民の中で学習意欲が非常に高まってまいりました。それにこたえて学園の通信教育の実情、ノウハウが生かされまして、毎年この社会教育通信分野では確実に受講生が伸びております。五十九年度の例で言いますと、この社会教育通信講座を受けている人たちは十六万人を超えております。  今後のNHK学園でございますけれども、現在は、今申し上げました社会通信教育の受講生の伸びによりまして収入増加しております。したがいまして、NHKが出しております助成金も年々減額をすることができるというふうなことで、今後の運営につきましても、学園がこうした方向で努力を重ねて協会受信料負担を軽減できるということを期待しておりまして、NHKと学園と十分話し合って効果を上げるような運営をしたいというふうに思っております。
  28. 片山甚市

    片山甚市君 公共の電波を使って、国民教育のためにも、NHK文化創造をする立場からも、さらに一層の精進を賜りたいと思います。  そこで難しいことを質問したいんです。放送衛星の故障と今後の計画についてですが、本問題については、昭和五十八年度事業計画に当たっての重要な部分でもあり、今後の計画策定に大きな影響を与える課題であったと思います。少し細かい質問になりますが答弁をお願いしたいと思います。時間がいろいろな都合で制約されておりまして、できたら早く終わりたいので、簡潔な答弁をしてわかりやすくやってください。質問者は余分なことを言わないつもりでおりますから。  放送衛星をめぐる最近の動きをお聞きしたい。BS2aの故障の影響によりBS2bの打ち上げが延期になった経緯は本年の六月の本委員会において聞いております。これまでにBS2bは本年二月打ち上げに向けて準備が進められているものと承知していますが、十一月に入って一系統の中継器に異常が生じていることが明らかになり、川原会長は、宇宙開発事業団から納得のいく説明がなければ来年二月の打ち上げは了承できないとの慎重な態度をとられましたとのことであります。その中継器の異常とはどんなようなものであるか、事業団から説明願いたいと思います。
  29. 船川謙司

    参考人船川謙司君) お答えいたします。  BS2bのB系統の中継器の異常ということで今御質問ございましたが、これは出力が仕様値であります百ワットのところが九十ワットであるということが最終的に発見されたということを御質問になったのだと思います。この現象につきましての経緯を御説明させていただきます。  このB系統の進行波管につきましては、本年の一−二月期に進行波管単体の熱真空試験を行いまして、その後四月から五月にかけまして中継器に組み込みまして、さらに熱真空試験を行ったわけでございます。その後、本年五月末から衛星全体としてのシステムの受け入れ試験を行いまして本年の十一月には終了しまして、今衛星は日本に輸送されまして現在射場でのチェックを行っているところでございます。  この間、放送用中継器の動作状態につきましては、2aでああいうふうな問題を起こしましたので特に注意を払ってモニターしてまいったわけでございますが、B系統中継器の出力が製造メーカーであるトムソンCSFの出荷時、これは五十九年の十月でございますが、そのデータより若干下がっているのではないかという思わぬ状況が最終的なシステム試験のときに発見されまして、これは六十年九月でございますが、直ちに詳細を調査しましたところ、百ワット以上と規定されている進行波管の出力におきまして、約九十ワットという測定結果が得られています。このことにつきまして、過去のデータにさかのぼりまして詳細に調査しましたところ、本年一月ないし二月に行いました単体の熱真空試験の初期に低めに安定したという現象がわかりました。  この進行波管は、ただいま御説明しましたように、単体とサブシステムとしての二回の約八十サイクルに及ぶ宇宙環境を模擬しました熱真空試験 で非常に安定した動作を示しまして、その後の衛星全体としてのシステム試験におきましても現在に至るまで非常に安定に動作しておりますので、今後も十分に安定して動作し得るものと判断しておりまして、また放送電波の発射にかかわる総合的な性能につきましては、幸いそのアンテナの利得といいますか、性能が若干余裕もございますので、総合的な性能としては十分要求は満足しているということでございますので、事業団としましてはBS2bの冬季打ち上げに向けて現在準備を進めているところでございます。  なお、これにつきましては、ユーザーさんであるNHKさんあるいは機構さんにつきましても既に御報告いたしまして、御了解をいただいているところでございます。
  30. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、結果的に事業団の説明NHK側も納得し、来年二月の打ち上げを了承したということになろうと思います。事業団の説明を信用して後で苦汁をなめさせられた昭和五十九年の四月のBS2aの引き取りのときの諸問題を十分に念頭に入れて、今回はNHK事業団の間でしかるべき措置をとることとしているとのことでありますが、そのしかるべき措置というものについて説明会長から願います。
  31. 林乙也

    参考人林乙也君) ただいま御指摘のように、本年の十月に入りましてB系統の進行波管の出力の不足というものが明らかになりまして、NHKといたしましてはこれを非常に重大なことと受けとめ、通信放送衛星機構を通じまして宇宙開発事業団にその状況についての見解を確認いたしてまいったところでございます。その点につきましてはただいま宇宙開発事業団の方からお話のございましたようなことでございます。  若干あれをいたしますと、私、宇宙開発事業団との間に、例えば、再製作、あるいは進行波管の取りかえ等も含む非常に多様な措置というものについていろいろ話もいたしたところでございますけれども、やはり一方におきまして他の部品の保証期間が切れることにもなるというようなこと、あるいはさらにBS3との放送サービスの継続性というようなことなど、諸般の状況の中で宇宙開発事業団から御説明いただきました点につきましても、NHKといたしましてはその判断について了承いたしたところでございます。さらに、万が一、打ち上げ後におきましてこの進行波管の出力不足に起因する故障が発生いたしました場合には、これはNHKといたしましては究極的にその損失を補てんせざるを得ない立場でございますので、その点につきまして宇宙開発事業団におかれまして合理的な方法によるてん補の措置を講じていただくよう宇宙開発事業団のところから確認をいただき、そういった点もあわせて来年の冬季における打ち上げにつきまして了承をいたしたところでございます。
  32. 片山甚市

    片山甚市君 合理的な方法というその内容を言ってください、簡単でいいですから。
  33. 園山重道

    参考人園山重道君) ただいまのお話の合理的な措置ということでございますが、私どもは、まず第一に、保険を掛けるということに最大限の努力をいたしております。ただ、先生御承知のように、保険市場が今大変厳しくなっておりますので、鋭意努力をいたしておりますが、保険が掛かるか掛からないか、あるいは掛かった場合にもどういう条件で掛かるかということを踏まえましてどのような措置をとるべきかということにつきましてNHKさん等と十分御相談をしていきたいと、こう思っておるところでございます。
  34. 片山甚市

    片山甚市君 今回の進行波管の出力低下が生じているのはB系統中継器でありますが、このB系統中継器の進行波管は二月から三月にかけて単体で熱真空試験を実施し、良好な結果を得たとされていたものが、九月になって要求性能の出力に満たないということで先ほど説明がありました。これは重大な欠陥が発見されたということであります。それではこれまで一体何のための試験を長時間かけてやってきたのかということになる。試験結果の信頼性について大きな疑問を持つのですが、今ここで言っておるようなことが来年になってからまた、あのとき言ったけれども手落ちがあったなどと言わないという証明をこの席上でどなたか言明しておいてください。証言として聞きたいんです。
  35. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 先生の御指摘ごもっともでございまして、後になってわかりましたので大変不明を恥じているわけでございますが、実は我々単体の熱真空試験、それからサブシステムの中継器としての熱真空試験、これ八十サイクルでやってございますが、その間には主として放送衛星2aで起きました絶縁不良みたいなものが原因になりまして、それでああいう事態を起こしたわけでございますので、そういう現象が起こるかどうかということを専らモニターで監視しておったわけでございます。そちらの方は幸いにしまして非常に良好な成績で済んだわけでございますが、電力の測定につきましては、これは非常に測定の精度との関係がございまして、熱真空試験の間では正確な値を把握することが非常に難しかったというような状況がございまして、最終的なシステム試験で正確にはかりまして発見されたものでございます。  大変こういうことで御心配かけて恐縮しておりますが、先ほど申し上げましたように九十ワットになっておりますが、非常に安定した状態でございますし、またそれの九十ワットになりました技術的な原因につきましても専門家の意見が大体一致しておりまして、これ以上悪化することはないというふうに我々は判断しておりますので、これで打ち上げに向かっての作業を進めても心配はないというふうに考えております。
  36. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、BS2bはアポジモーターの燃焼ガスが太陽電池パネルの内側を汚染しないように隔壁を設けたため重量が予定より重くなった、そのため姿勢制御に使う燃料を減らさなければならないことになったようです。しかし、燃料を減らしても寿命は目標どおり五年間は維持しなければならないと思いますが、どのような対策と検討をされましたか。
  37. 船川謙司

    参考人船川謙司君) お答えいたします。太陽電池パネルの電力の低下の問題がBS2aで発見されたわけでございますが、このBS2bの対策としまして、アポジモーターからの噴煙が、問題になります太陽電池のパネルに直接かからないような一種のシールドをつけることにいたしました。そのために若干重量が衛星全体に比べますと一%ぐらい増加しているわけでございますが、幸いにしましてロケットの余力の範囲内でございますので、我々としましてはBS2aとほぼ同じ燃料が搭載できる、したがいましてユーザーさんにお約束しました衛星の寿命につきましては現在のところ特に変更はないというふうに考えております。しかし、念には念を入れまして、少しでも衛星の寿命を長くするような軌道投入の方法その他につきまして現在いろいろ検討を進めているところでございます。
  38. 片山甚市

    片山甚市君 それで、姿勢制御に時間をかけて少しずつ調整するとすれば相当長時間を要することになると思います。大体今まで三カ月予定のものが六カ月ぐらいはかかるように我々は見ております。打ち上げ後NHKに引き渡す衛星が定常段階に入るまでの期間が長くなれば、衛星放送の開始時期や保険料率等に大きな影響を及ぼすことになると思います。  BS2b打ち上げ後定常段階に至るまでの期間及びその対策について、事業団、衛星機構及びNHKから、どう考えているか、簡単でいいですから、証言してください。
  39. 船川謙司

    参考人船川謙司君) BS2bの初期段階の作業につきましては、BS2aと若干変わるところがございます。これは既にBS2aが上がっておりまして、BS2bを全く同じ周波数で全く同じ位置に持っていかなくちゃいかぬということがございますので、約一カ月間余分にどうしても要るということがございます。これは同じ位置では電波の試験ができませんので、現在BS2aは百十度にございますが、百十七度のところに一たん静止させまして、そこで性能を全部チェックする。 そうしておいてから、全部それが終了してオーケーになれば百十度の方に持っていく。百十度の方に燃料を最小で持っていくのに約一カ月ぐらいかかるだろうというふうに我々は予想しておりまして、したがいましてBS2aのときは初期段階で大体九十日で済んだわけでございますが、最低百二十日は要るだろうというふうに考えております。そのほか、先ほど申し上げましたように少しでも衛星の寿命を長持ちさせるための軌道投入の方法や何か今検討しておりますが、百二十日からあるいは若干延ばすかもしれませんけれども、これは少しでも衛星の寿命を長くしまして非常に信頼性のある衛星をユーザーさんの方に提供したいということで、そういう方針に従いまして今いろいろ詰めておるところでございます。
  40. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 今事業団の方から御説明がありましたように、BS2aにおきましては約九十日間で一応定常状態に入ったわけですけれども、bにつきましては、2aの例のふぐあいがいろいろ起きまして、私たちはその状況にかんがみまして軌道上での中継器の食の運用、あるいは食明け後の連続運転試験というものを十分にやって、また特に夏至のときの太陽電池、このときに太陽電池の能力というものがよくわかりますために、そういったいろいろな確認を慎重に行いながら入念な軌道確認を行うことが必要だというふうに考えております。したがいまして、事業団の方の御見解もございますけれども、我々は少なくとも五カ月以上は必要ではないかというふうに考えております。
  41. 廣瀬弘

    参考人廣瀬弘君) ただいま事業団、NHKからお話がございましたことと大綱において変わりはございませんが、私ども中継器の二チャンネルの同時連続運転による安定性の確認、あるいは太陽電池の発生電力の確認、あるいは燃料の節約というような総合的なところを眺めまして時間をかけていくのが望ましいということを考えております。ただ、具体的にどのくらいが期間として妥当かということにつきましては、今後いろいろと検討し、かつ関係機関と十分打ち合わせてやってまいりたいと思いますが、私どもは2aのふぐあいの状況にかんがみまして2aのときよりも長い期間を要するのではないかというふうに考えております。
  42. 片山甚市

    片山甚市君 今お話があるように、事業団の方は約四カ月でいける、NHKの方は願わくは六カ月程度見てもらいたいという、そういうことがありますから、大臣もよくその間の話を含んでおいて調整をしてもらわないといかぬ。  金を出すのはNHKです。事業団は人から金もろうていろいろと人を集めて楽しんでやっておるんだけれどもNHKは苦しむ方ですからはっきりしておいてくださいよ。私はきょうはNHKの肩を持っておるのと違う。これがまた失敗したら恥をかくのは逓信委員会、何をしておるんだということになる。ここで念を押してやってもなおできなんだら、それは人事を尽くして天命を得たざるを得ませんけれども、この決算委員会がなぜやるかといったら、そのあたりをきちんと焦点合わせたいと思って委員としてはしつこく聞きますから。  BS2bに保険をかけるため既に関係者との交渉に入っていると聞いていますが、BS2aの故障や外国の衛星の打ち上げ失敗などを理由に、衛星の保険市場では先ほどおっしゃったように極めてリスクの高い商品として保険料その他厳しい条件を要求しており、成立しがたいような状態があるようです。打ち上げ保険の交渉は通常打ち上げ三カ月前から本格交渉に入るというんですから、もう入るとのことでありますが、BS2bの打ち上げ保険の付保の見通しはどうですか、外国でやっておるようですが。
  43. 園山重道

    参考人園山重道君) 衛星の保険の状況は、ただいま先生お話しのとおり、昨年来アメリカ、ヨーロッパの衛星の失敗が続発いたしましたために大変厳しい状況にございます。  私どもは本来、今先生おっしゃいましたように、なるべく早くから保険交渉に入ろうと思ったわけでございますが、たまたま九月にまたアメリカとヨーロッパの衛星の失敗がございまして非常に保険市場が緊張いたしておりましたので、若干様子を見ておりまして、先週から私どもの担当理事、もちろんNHKさん、通信放送衛星機構さん、あるいは国内の幹事保険会社の人たち、一緒になりまして今英国ロンドン、ワシントンに派遣いたしまして鋭意交渉をいたしておる途中でございます。  大変厳しい状況でございますが、私どもは技術的に今回の2bというものが十分成功の見通しが大きいものであるということを鋭意説明をいたしておりまして、まだ交渉中でございますので結論が出ておりませんけれども、交渉団の感触といたしましては、非常に厳しいけれども、保険を掛けることが絶望というような状況ではないように私どもは受け取っておるところでございます。
  44. 片山甚市

    片山甚市君 非常にたくさん打ち上げられた通信衛星ですら失敗をするということです。放送衛星は世界に先駆けた問題であるだけに相当厳しいことがあろうと思っております。  BS2a打ち上げの際の保険契約では、事業団から定常段階に入ったとして引き渡しを受けた直後に故障を生じ、保険の適用は受けられなかった。また、打ち上げ保険は、打ち上げ後正常に作動していることを確認し、事業者に引き渡されるまでの期間をおおむね九十日間を限界としていることから推測すると、BS2bに燃料上の制約があるからといって三カ月以上の制御期間を設けることには無理があるのではないかと思います。さりとて強引に短期間に引き渡しをやれば、前回と同じように引き渡し後のリスクをNHKだけが負うことになる。私はこのような結果になることは納得できないという立場から質問しておるところです。また、保険会社が引き渡しまでの期間が長くなることを理由に保険料を割高に設定した場合、それをNHKの負担に転嫁することも全く筋違いだと思います。納得のいく説明がなければ、BS3打ち上げにも大きな影響を与えることになり、今後の受信料の料金改定の大きな要因ともなると想定すると同時に重大な関心を払わざるを得ないし、本委員会としても放送事業の安定的な遂行に責任を持てなくなるということで、関係者のこれらについての明快な御答弁を賜りたい。  念のために確かめておくんですが、衛星の寿命は、先ほどおっしゃったけれどもBS2bにおいては、これまでよりも長くなりこそすれ、絶対に短くならない保証があって打ち上げられるものと思いますが、それについてお答え願います。
  45. 園山重道

    参考人園山重道君) 先ほどのお話が出ましたけれども、私どもといたしましてはこの打ち上げ保険につきまして、まずできるだけNHKさん初め考えておられます試験期間というものを含む保険を掛けるべく今努力をいたしておるところでございます。この辺の保険期間がどのくらいになったらば料率がどうなるかということは、現在交渉中の問題でございますので私どもも申し上げる段階にございませんけれども、その辺につきましては鋭意努力をいたしまして、かつ非常に高額な料率になるというような場合、これはやはりNHKさん初め関係方面と十分御相談をいたしまして、その保険の問題を考えるということにしたいと思っておるところでございます。
  46. 片山甚市

    片山甚市君 寿命は。
  47. 園山重道

    参考人園山重道君) 寿命につきましては、当初やはり寿命保険と打ち上げ保険を一体的に同時に最初から契約するということが理想でございまして、NHKさんの方でも大変その御希望が強いわけでございますけれども、現在の交渉の過程では、なかなか当初から連続のものとして打ち上げ保険と寿命保険を一体で掛けるということに対しましては、保険市場の方で大変厳しい反応を示しておるようでございます。したがいまして、私どもといたしましては、なお努力をいたしますけれども、もし寿命保険と打ち上げ保険が同時に掛けられなくても、できるだけ連続いたしまして当初から掛けられるような努力をしたいと思っておるところでございます。
  48. 片山甚市

    片山甚市君 私が聞いておるのは、衛星の寿命はBS2bにおいてこれまでいった五年よりも短くならないか。それは保証しておるんですね。
  49. 園山重道

    参考人園山重道君) これは当然私どもの目標といたしましてはできるだけ長くということで、当初のお約束では四年以上、五年目標ということでございますので、これを完全に達成するよう努力をいたすわけでございますけれども、これはやはり先生御高承のように一遍打ち上げますと後で修理がきかないというものでございますので、そのための多くの予備的な機能を付加いたしましたりいたしておりますけれども、必ず一〇〇%五年が確保できるということをお約束できるたぐいのものではないと思っております。また、そういうお約束をすることはかえって間違いではないかと思っております。
  50. 片山甚市

    片山甚市君 約束しないことが間違いがないということを大臣よく聞いておいてほしい。  BS2aの打ち上げ保険料率は約一二%でございました。BS2bでは一八%が予算化されております。しかし、最近の保険市場では、先ほどから説明あるように、リスクが高くなったので二〇%から四〇%の高率とも言われておるのでありますが、これらを反映して、十一月に打ち上げたアメリカのRCAの通信衛星は無保険だったと聞いております。私は、保険料率が高くなるのは打ち上げに対する信頼性に反比例するものであり、信頼性が高ければ本来保険に入る必要はない。にもかかわらず無保険で打ち上げるということはどういうことになるのかであります。事業理事長NHK会長はそれぞれ責任ある立場の者として保険料率が高くてもよいから付保したいということか、それともあるいは無保険でも打ち上げたいというか、それぞれ見解を聞きたいと思うんです。
  51. 園山重道

    参考人園山重道君) 具体的にどの程度の料率になるかということを見ての判断であろうかと思っております。  現在私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、いわゆる信頼性の問題が基本にあることは確かでございますけれども、一たん打ち上げましたものが、地上にありますれば簡単な修理で済むものでも修理に行けないという状況がございますので、できる限り保険を掛けたいと思っておりますけれども、料率が出ました上で当然NHKさん初め監督官庁等とも十分御相談いたしまして、そのときの判断になるかと思っております。
  52. 片山甚市

  53. 川原正人

    参考人川原正人君) この保険の問題は最終的には料率というか保険料の額、これを私どもが経営的な判断の上でどう処理するかということに帰着すると思いますし、今まだその料率等が最終的に固まらない段階で保険を、仮にそれが四〇%や五〇%になっても必ず掛けるとか、あるいはある一定の水準なら無保険で打ち上げるとか今まだ断定するにはちょっと早いかと思います。これはぎりぎりの段階まで努力をいたしまして、最終的には保険の期限のぎりぎりの段階で決心をせざるを得ない問題だろうと思っております。
  54. 片山甚市

    片山甚市君 私は放送衛星に関する限りは保険を掛けないで打ち上げるなどということはやってもらっては困る。万が一、思わしくなかったときには一銭も金が入ってこない。保険を掛けなくても打ち上げるということはないということをまず言ってほしい。保険を掛けられぬようなあやふやなもの、保険料率が高くてそれも払えないようなものであればやめてほしいという意見を述べておきます。答弁要りません、答弁できないといってるんだから。今は保険に入るか料率が幾らでいいかということは言えないと言ってるんですが、私は、高率な保険を掛けてやるといっても、それは経営上の問題で責任追及しますが、保険も掛けずに打ち上げるようなことは絶対反対、事業団はそう答えなかったから、金出す方に、NHKに、保険を掛けぬけれども政府がいうから打ち上げます、国策ですというようなことを絶対言ってもらっては困るという片山委員の発言をして、これで次に移ります。  BS2aでは打ち上げ保険に引き続き寿命保険が実質的に役立たなかったことを考え合わすと、BS2bでは打ち上げ、寿命、両保険の同時付保、すなわち一体付保が検討課題であったが、その検討結果はどういうことか、先ほど事業団から説明がありましたが、もう一度聞きます。また、BS2aの寿命保険の付保の可能性があるのかないのか、もう一度説明してください。
  55. 園山重道

    参考人園山重道君) 私どもといたしましては、NHKさん初め非常に御要望が強い打ち上げ保険と寿命保険を一体として当初から掛けるという方向が理想だと思って交渉をいたしておりますけれども、なかなか先ほども申し上げましたように保険市場の反応は厳しいようでございます。私どもといたしましてはなお交渉を続けておるところでございますが、一般的に国際的にも一体的な付与という例が最近はないようでございまして、万一これができないという場合に、できるだけこの2aのときの経験も踏まえまして当初から交渉をいたしまして、これは一体的に掛からないということは、途中で打ち上げ保険から寿命保険に変わるときにヘルスチェック——健康診断と言っておりますが、衛星の状況がどうであるかということをチェックして、それによって寿命保険の料率その他条件等が決まってくるということでございますが、そうであるにしても、やはり当初からそういったことをきちんといたしまして、できるだけの連続性が保つような方向で努力をしてみたい、こう思っておるところでございます。
  56. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、郵政大臣とNHK会長に御質問します。  BS2bは打ち上げを半年延期しながら、その技術的信頼性や打ち上げ失敗時の担保措置に今なお私は大きな不安を隠すことはできません。これまでの質問でぬぐいさられておらないのです。BS2bは来年二月打ち上げ、種子島からやるそうですが、に向けての準備が既に進められておるとのことですが、万が一BS2bが正常に機能しなければ、我が国の放送衛星開発計画は大きなとんざ、挫折をすることになろうと思います。郵政大臣やNHK会長はこれまで、BS2bに万全の信頼性が確保されるまでは打ち上げを了承しないとの立場をとってきたはずであります。来年二月打ち上げは、あくまでもBS2bに万全の信頼性が確保されたものとして進められているのかどうか。先ほども言ったように、保険も掛からないということになったり、信頼性は一方的にうのみにして後で問題が起こらないようにするのか。大臣の前に川原さんから聞いて、大臣の締めくくりの答弁を賜りたい。
  57. 川原正人

    参考人川原正人君) 御指摘のとおり、2aの事故というものは私どもに対して大変多くの教訓をもたらしたと思います。それに対しましては、NHKはもちろんでございますけれども、私どもがこの衛星の打ち上げを委託しております開発事業団においても慎重に研究をされ、また宇宙開発委員会においても特別の対策委員会を設けられて、今現在この問題についての我が国の最高の権威を持っておられる専門家を動員して、aの事故の経験を生かしまして、bに対しましては最大限の努力を重ね、もうこれ以上手を加える余地はないというところまで検討し、テストも重ねた結果でございます。したがいまして、私どもとしては人事を尽くしたという観点でこの2bを打ち上げてまいりたいというふうに考えております。
  58. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) BS2aが事故を起こしまして国民期待に十分こたえられなかったということはまことに遺憾であって、再びこうした事態を招かないような万全を期すべきだという御指摘関係者すべてが肝に銘じておると、私はこのように思います。そうしたことで、BS2bにつきましてBS2aの中継器の故障対策等を通じて得られました経験を踏まえまして、打ち上げ時期を予定よりも半年延ばして、そして2aで実施していなかった長期間の過酷な熱真空試験をするなど十分な対策をとって2bの製作に当たってきたわけでありますが、その2bの打ち上げの保険の方につきましても、今答弁がありましたように、 決して楽観を許さない状態でありますけれども、何としてでもこれを懸命な努力によって付保し、十分な体制でこの2bの打ち上げに対処しなければならないと、このように考えております。郵政省といたしましても、これまでの経験あるいは国会の御審議でいただいた御叱責なり御助言というものを十分生かしまして、信頼性を第一に関係機関が一致協力して計画を進めるように指導してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  59. 片山甚市

    片山甚市君 大臣が言明されておるのですから成功を祈りますが、BS2bの打ち上げ延期に伴ってBS3も打ち上げ延期となり、結局BS3aは一年半、BS3bは一年それぞれ予定より延期されることになりました。打ち上げ時期の決定に至る経緯については相当紆余曲折があったようでありますが、その経緯についても関係機関から聞きたいです。  一説によると、BS2aの一チャンネル放送も信頼性が薄れる一方で、寿命も長くないとの判断からBS2bの拙速の打ち上げに固執しているのではないかとうわさされています。BS3の打ち上げ延期もBS2bのぐあい次第でどうなるかよくわからないのではないかと心配するので、そんなことはないというような一言があったら言ってください。そうであるのかどうか、一言でもよろしいから。
  60. 園山重道

    参考人園山重道君) 先生の今の御心配のようなことではございませんで、私どもは十分慎重に計画を定め、それに向かって鋭意努力しておるところでございます。
  61. 片山甚市

    片山甚市君 その御証言が、来年の八月、九月、十月のときに、やっぱりそうだったなと言ってもらえるように、日本の科学の粋を集めて成功されることを期待します。私は期待しておるのでありまして、成功することを期待するんですが、危惧があることは常に疑問を持って聞かざるを得ない。少し事業団に対して、通信機構の方々には失礼だと思いますが、やはり国民の金を使ってやるものでありますから、念には念を入れて聞きます。  そこで、NHKに感想を述べます。NHKとしては、打ち上げなくてもこれまでの経費は負担させられるわけだから、多少のリスクは承知の上で打ち上げを同意したのではないかと私は考えます。会長は万全を期したのである、人事を尽くしたんだからと、こうおっしゃるけれども、私は保険の問題を含めても、寿命の保険についても大変心配です。しかし、むしろ私が心配するのは、NHKがニューメディア放送で新しいサービスを開拓し、新しい収入期待しておるのではないかと思いますが、本音でないかと思いますが、願わくはやはり難視聴解消に役に立つように、国民全体から衛星放送受信できるように期待してやまないんですが、会長どうです。少しけちをつけたようで申しわけないんだけれどもお答え願えませんか。
  62. 川原正人

    参考人川原正人君) 何か私どもが一つの制約に縛られてというふうな御懸念もあるようでございますけれども、そのようなことではございません。もともと放送衛星というのはある種のリスクはあるものでございまして、したがいまして、今世界各国でも一つの目的の衛星を上げる場合には原則としまして二つの衛星を上げる、つまり本衛星とどうしても一つ予備の衛星を上げるという形で衛星の事業開発していっているわけでございまして、この放送衛星の二号につきましても、実用衛星としては当初から二つの衛星を打ち上げて万全を期するということでございました。不幸にして最初の衛星が一チャンネルしか働いておりませんので、なおのこと私どもとしては予備衛星を成功させて、予定どおり二チャンネルの電波を確保したいということでございます。  もちろん、しかし、そういうことのために焦って不十分な対策のままに衛星を打ち上げることは許されませんので、打ち上げの期間も延ばし、かつ関係方面にも十分に御検討をお願いして、これでもうすべてやるべき対策は講じたということで、今最後の打ち上げに向かって調整をしておるところでございます。もちろん、この衛星が成功することを十分私ども期待をし、その確信のもとに事業をやるわけでございます。二チャンネルの電波が確保されましたときには、これはもう予定どおり難視聴解消に十分役立てる。と同時に、これは私どもの願望でございますけれども、やはりこれだけの経費をかけ受信料を使わしていただいたわけでございますから、この衛星の持っている機能はもっと多角的なものがあるはずでございまして、それは十分に生かせるようなことを将来考えてまいりたい。もし願わくばこの衛星によってさらに協会の財政も助けるようなことができるならば、当然経営者としてはそのこともあわせて考えてまいりたいというふうに思っております。
  63. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、2bは成功したとして、次、BS3には民放が絡むことになりますが、BS2の受益者とは異なり、商業放送としての契約条件、すなわち損害補償など問題が複雑化してくると思います。BS3の開発は六十年度からでありますが、既にユーザー、機構、事業団及びメーカー相互間で協定、契約基本事項が締結されておるようであります。これまでBS2a故障の際に指摘された責任の所在の不明確さ、開発当事者に有利な条項、メーカー、事業団にとって有利な条項について見直しが強く求められていましたはずですが、それを受けてBS3での責任条項の見直しがなされたのかどうか。このことについて説明願います。
  64. 園山重道

    参考人園山重道君) 先生指摘のとおり、BS2aの故障に関連いたしまして責任関係をもう少し明確にきちっとしろという御指摘がごいました。私どもも鋭意これを検討いたしました。その結果といたしまして、従来メーカー責任につきましては瑕疵担保責任、これを打ち上げ後につきましては故意重過失ということにいたしております。ユーザーとの関係では、現在まではメーカーが射場に搬入いたしましたところまでにいたしておりましたけれども、これをロケット点火まで故意過失責任を問うということにいたしました。ロケット点火後、つまり発射後につきましては故意重過失責任ということにいたしたわけでございます。  それから、なおメーカーとの関係につきましては、いわゆるインセンティブ・ペナルティー条項というものを入れまして、衛星が完全に成功いたしましたときには若干のボーナスが出る、衛星が当初から失敗いたしましたときにはペナルティーを課するというようなことも導入いたしたわけでございます。  それからユーザーさんとの関係につきましては、従来打ち上げ後につきまして故意責任ということだけにしてございましたが、これにつきましても故意重過失責任を負うというように整理をいたしたわけでございます。
  65. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、インセンティブ条項の適用については、メーカー側の抵抗もさることながら、予算制度上、政府NHKにも問題ありとされることについてどのように事業団は考えていますか。
  66. 園山重道

    参考人園山重道君) これは、いわゆるインセンティブ条項というのは、外国におきましては例がございましたけれども日本におきましては初めての例でございますので、私どもは鋭意その内容、その額の大きさ等につきましても、もちろん関係機関、ユーザーさんを初め監督官庁等とも相談をいたしまして、この線を御了解を得て決めたわけでございます。ペナルティーといたしましては最高七%、ボーナスといたしましては〇・四五%という率を決めてございます。その間にいろいろな段階がございます。
  67. 片山甚市

    片山甚市君 BS3に対して、新聞報道によると、発注メーカーが日本電気に決定されたとありますが、BS2の主契約者は東芝であり、BS3が日電に変更されたことで我が国の衛星開発三社体制が崩壊したと言われていますが、日電に変わった理由はどういうことでしょう。
  68. 園山重道

    参考人園山重道君) 御指摘のように、BS3の担当メーカーといたしまして日本電気を指名したところでございます。この理由といたしまして は、やはりただいま御指摘もございましたように、BS3というのは2の段階よりさらに実用的な要素が非常に強くなると申しますか、完全な実用衛星ということでございますので、やはり第一に信頼性というものを重視したわけでございます。2aにおきまして故障を生じました進行波管を含む中継器、これにつきましては日本電気がいわゆる通信衛星の搭載中継器というもので非常に実績を持っております。また、この高出力の放送衛星用の中継器につきましてもNHKさんとの契約でいろいろ調査研究が一歩進んでおるということでございまして、十分に自主開発する能力、基盤があるということで日本電気に中継器全体の完全な自主開発、国産という形で出しております。  一方、バスと称します衛星の外側でございますけれども、これにつきましては、日本電気はこの中継器を製造する立場から、外国のRCAのやはり通信衛星で非常に実績のあるものを使いまして、これと中継器の整合をうまくとりまして開発するということでございまして、これは私どももこれまでやってまいりました、ただいま問題になっております2の東芝のバス、これはGEの技術をかりたものでございますけれども、これでいろいろなトラブルがあったということも踏まえまして、特にユーザーさんの方の御要望もこういった実績のあるものを使ってほしいという御要望でございました。これとも一致いたしますので、私どもは中継器、外側、全部含めまして日本電気を担当メー力一として指定したわけでございます。
  69. 片山甚市

    片山甚市君 今説明を聞くと、BS2では結果的に技術力の劣っているメーカーを採用したことになっておる。特に衛星の心臓部である中継器の開発には日電が先行していたと言われ、技術提携先のアメリカのメーカーも日電の方が衛星に実績のある事実を見れば歴然としているので、今の説明はその失敗を改めたということですか。
  70. 園山重道

    参考人園山重道君) 現在問題になっておりますBS2の開発を始めましたのは昭和五十五年でございますけれども、この時点では、このBS2の前に五十二年に打ち上げられました実験用中型放送衛星、いわゆるBSと言っておりますが、これと同規模のものを打ち上げるという計画でございました。その時点におきましては、こういったことをできますのは、私どものこのBSあるいはBS2計画というのがやはり世界じゅうでも先駆けて行っておりましたので、その時点におきましてはBSの実績を踏まえました東芝、GEのコンビというのが最善の選択であるという判断をいたしたところでございます。  その後、国内におきましても、先ほど申し上げましたような進行波管、中継器に関する基礎的な研究開発というのが進んでまいりまして、現時点では中継器につきまして完全な国産自主開発ができる、それから外国メーカーの中でRCAがやはり通信衛星につきまして非常に多くの実績を積み上げたということで、今日の選択におきましては、当時と異なりまして日電、RCAというコンビを選んだということでございます。
  71. 片山甚市

    片山甚市君 BS2aは、NHKによる一チャンネルの試験放送が続けられておりますが、昨年の電波センサーと中継器の故障のほか、ことし六月と八月にそれぞれ別個の故障が生じたとのことでありますが、どういうものですか。
  72. 船川謙司

    参考人船川謙司君) お答えいたします。  まず六月でございますが、六月十二日の、これはちょうど夏至の時期でございますけれども、太陽電池の電力測定を行いましたところ、太陽電池パネルの発生電力が予定の規格よりも若干低下しているということが認められまして、これも宇宙開発委員会の第四部会でいろいろ御審議していただいたわけでございますが、この原因はアポジモーターの噴煙によりまして太陽電池パネルが汚染している、先ほどちょっと申し上げましたけれども、そういう原因で起こっているということがわかりました。しかし、低下の量は一系統の放送には全く支障がない程度でございます。  それから、先ほどもちょっと申し上げましたけれどもBS2bに対しましてはこういうことが起こらないような遮へいをつけて、これも対策として大丈夫だというふうな御審議をいただいております。  それから八月の事故でございますが、これは八月一日にテレメトリー、これは衛星の状態を下に送ってくる信号でございますが、それに若干異常が発生しまして冗長系に切りかえております。したがいまして、冗長系が完全に働いておりますので、BS2aの衛星の動作状況には全然問題ございませんが、この異常の原因は、どうもテレメーターのエンコーダーの中の部品の偶発故障であろうというふうに、これも宇宙開発委員会の方で御判断いただいております。これにつきましても、BS2bにつきましては、いろんな試験におきまして作動状況が正常であることを確認しております。  こういう二つの事故が起こりましたけれども、BS2aの動作そのものにつきましては、一チャンネル放送の現状につきましては全く問題なく運用されております。
  73. 片山甚市

    片山甚市君 時間が来たようですから、締めくくりで御質問させていただきます。  放送衛星故障問題について時間を割いたのは、BSシリーズの放送衛星が余りにも信頼性を欠く問題点が多く、衛星放送に対する視聴者の負担と将来性に危惧を持つからでございます。欧米諸国でも、技術的問題などにより放送衛星打ち上げが延期されたり衛星放送の開始予定がおくれたりする状況にあると聞いております。衛星放送実用化への道を急ぐ余り、放送事業そのものを危うくするようなことがあっては、関係者間の責任問題では済まされない。放送衛星開発はより慎重に、より着実に進めるべきであると考えます。このことについて、非常に御苦労願っていますが、宇宙開発事業団に対して尊敬をしながらも、郵政大臣、NHK会長に決意を述べていただき、私の質問は終わらせてもらいたいと思います。
  74. 川原正人

    参考人川原正人君) 御指摘のとおりかと思います。  私ども、やはり日本の将来の衛星放送の発展のためにも、また多額の受信料を使ってこれだけの仕事をする上におきましても、慎重の上にも慎重を期しまして、必ずこの2bは成功させなければいけないという決意のもとに作業を進めております。我々としては、先ほど申しましたように、あらゆる手だては既に尽くしておりますが、なおこの上最終的な点検、チェックの際には全く遺漏がないかどうか、あるいは保険等の問題につきましてもさらに慎重な検討をいたしまして、遺漏のないようにしたいと思っております。
  75. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 我が国は既に八年前から実験用の中型放送衛星BSを打ち上げて、それから順次BS2a、b、そしてまたBS3の計画もさらにこれから進めていかなければならないわけであります。放送衛星開発には、先端技術を結集する必要上、その実用化に多くの困難が伴うわけでありますが、それを克服し、国民期待にこたえていかなければならないと考えておりますので、今後とも放送衛星計画の推進に当たっては、これまでの経験を十分生かして、一層慎重を期して取り組んでいかなければならないと、このように考えておるところでございます。
  76. 片山甚市

    片山甚市君 終わります。
  77. 服部信吾

    ○服部信吾君 最初に放送衛星についてお伺いしますけれども、若干片山先生とも重複する点があるかと思いますけれども、その点は御了承願いたいと思いまます。  私も何回となくこの問題については御質問さしていただいておるわけでありますけれども、世界に先駆けてと、こういうことで、諸外国においてもかなり失敗をしておる、そんなに私はこの放送衛星、急いで打ち上げる必要はないんじゃないかというようなことも前にもお伺いしたわけでありますけれども、そういう中で、まず初めにお伺いしたいことは、NHK放送法目的の「公共の」、「あまねく」という観点からいって、まず基本的にこの点について会長並びに郵政大臣にお伺いしておきます。
  78. 川原正人

    参考人川原正人君) 放送法の規定は、やはりNHK事業目的を定める上で非常に重要な規定だと思っております。これだけの文化的な手段あるいはマスメディアが日本の全国民に十分に活用されなければならない、そのためにNHKは存在すると言ってももちろん過言ではないわけでございます。ただ、物理的にそれでは文字どおり一〇〇%日本の全土どこでもラジオ、テレビが完全に見えるようにどうやったらできるかということは大変難しい問題でございまして、少なくとも今までの地上施設をもってしては、これはある程度の限界がある。仮にその限界まで持っていくにしましても、非常に膨大な経費がかかるという観点もございまして、この目的は十分承知しておりますけれども、それに対する手段につきましては、いろいろな新しい技術を駆使しながらこの目的を達していきたい、そのように考えておるわけでございます。
  79. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) NHKの場合は、放送法の定めるところによりまして、全国あまねく受信できるようにという規定がございます。民間放送もそうしたところは目標にはしていただきたいと思うわけでありますが、民間放送の場合いろいろな経営の問題とか、なかなかそこまで全部徹底しないわけでありますけれどもNHKはそういう意味ではやはりNHKというものが設けられました趣旨からも、それを全国あまねく受信できるようにするということが最大の使命であるということは申し上げるまでもございません。  そのためにあるいは地域におきます共聴の設備も含めましてのサテライトをつくったりいろいろする問題もありますが、さらにそういった点について放送衛星というようなものを利用することも考えて、私はやはり難視聴解消のためには全力を尽くしていただかなければならない。NHKの本来の趣旨から見てそういうものでないか、このように考えるところでございます。
  80. 服部信吾

    ○服部信吾君 それで、若干BS2aについてお伺いしたいんですけれども、現在一チャンネル、片肺飛行ということでいろいろと問題があるわけでありますけれども、このBS2aが八月ごろテレメトリー信号について異常があった、こういうことでありますけれどもNHKとしてはこれはどのようにお考えですか。
  81. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 2aにつきましては、今先生指摘のテレメトリー以外に太陽電池の故障とか最初から中継器の故障といろいろございまして、そういうことで我々としてはこの故障は2bにおいては絶対にないように、先ほどから説明しておりますようなことで関係各機関と協力して2bにおいては絶対それがないように、信頼性のある衛星を打ち上げて、早く二チャンネル放送に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  82. 服部信吾

    ○服部信吾君 今打ち上げているこの2aについて何かちょっと問題があったわけじゃないんですか。
  83. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 先生指摘のように、今現在打ち上げております2aにテレメトリーの故障あるいは太陽電池の故障がございました。
  84. 服部信吾

    ○服部信吾君 そこで、当初NHKとしてはこのBS2bは来年の一、二月に打ち上げることは消極的であった、こういうようなお考えがあったようでありますけれども、この点についてはどうですか。
  85. 川原正人

    参考人川原正人君) 私どもが時期的に来年一月あるいは二月に打ち上げることに消極的であったという、その時期の問題を議論したわけてはございません。私どもとしてはいずれにしましてもこの2bというのは十分な対策を講じて2aにおいて起きましたような事故を決して繰り返さない。そのためには時間をかけてでも十分なテストあもいは対策を講ずるべきだ、そういう主張をしていたわけでございます。  その結果としまして打ち上げの時期がずれることがあってもそれはやむを得ないのではないか、こういうふうな主張を繰り返していたわけでございます。
  86. 服部信吾

    ○服部信吾君 BS2aの打ち上げの、ある面からいえば失敗というか、そういうことによって今後のBS3等についての計画等に何か変化があるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  87. 川原正人

    参考人川原正人君) このBS3というのは当然のことながら2a、2b、これの実績を踏まえて当然開発あるいは設計されるべきものと思いますが、ただ基本的にはBS3はこの2号とは大分技術的には設計の考えを異にしているところがありますので、一〇〇%2号と連結するものではないと思います。  しかしながら、やはり2号がaのこういう事故が起きた経験にかんがみまして、またこれに対する社会的な非常に厳しい御批判も受けたことでございますので、やはりBS3号を打ち上げるに当たりましては、今問題になっております2bが確実に成功するということが当然前提条件になるだろうと思います。もし万が一、2bに何かの異常が生じた場合は、やはりもう一度このBS3号につきましては、その段階で再検討する必要が私はあると思っております。
  88. 服部信吾

    ○服部信吾君 BS2bが成功する、そうなりますと、ある面からいうと、四十二万の難視聴解消はクリアできる、こういう形になろうかと思うんですね。そうなった場合に、BS3を例えば今後打ち上げる、そうなりますとBS3というのは何かまた難視聴解消以外に違った目的放送衛星になるのか、この点についてちょっと違いがあればお伺いしておきます。
  89. 川原正人

    参考人川原正人君) 確かに2bを打ち上げれば、その段階では日本のすべての離島も含めましてテレビジョンは二チャンネルでごらんになれるはずでございます。ただし、技術的に見ましてこの衛星というのはやっぱり寿命がございまして、四年なり五年たてばこれ以上は作動しなくなりますので、これは物理的に言ってもそれに続く衛星を一定の期間ごとに打ち上げていきませんとまたそこで電波が途絶えてしまう。これは物理的に見ましてもどうしてもそれに続くものは打ち上げていかなければなりません。  ただし、そうはいいましてもやはり質的な変化は当然先々伴ってくると思います。少なくとも今予定されておりましても、三号の段階では民間放送も参加してまいりますので、そういう意味では全く日本放送界に新しいページを開くことになると思います。また私どもも、この放送衛星二号が確実に成功いたしましたときには、難視聴解消はもちろん主たる目的ではございますけれども、この二号からして既にこの放送衛星は非常に多角的な能力を持っております。その意味ではこの衛星の持つ能力を十分に引き出してその成果というものを視聴者の方々に還元していきたい、それは当然私どもの努めでもあるんではないかと考えているわけです。  ただし、その段階におきましては、やはり今までの日本におきます放送政策といいますか、放送行政との関連もございますので、これは私どもだけが勝手にやるわけにもまいらないと思います。その段階においては十分関係の方面と御相談申し上げながら、かつまた特にBS三号になりましたら民間放送の出現ということともあわせまして、さらにこの衛星の多面的な活用を図り、できれば難視聴解消にとどまらない、より大きな新しいサービスを加えまして視聴者期待にこたえていきたいというのが私どもの願いでございます。
  90. 服部信吾

    ○服部信吾君 昨年の十二月に民間初の衛星放送会社ということで日本衛星放送株式会社、こういう会社ができております。この会社についてちょっと御説明願いたいんです。
  91. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 昨年の暮れに設立されました日本衛星放送株式会社でございますが、これは昭和六十五年度に打ち上げが予定されておりますBS3を利用して放送を行います我が国初の民間放送事業体でございます。同社は資本金が七十三億円、出資者数が百九十一ということで、我が国の各界を代表する企業が参加しておりますが、六十五年末の開業を目指して準備を進めているところでございます。
  92. 服部信吾

    ○服部信吾君 もう既にこれは設立しているわけですね、先に。NHKさんとのかかわり合いというのはどういう関係ですか。
  93. 森島展一

    政府委員(森島展一君) BS3につきましては三つのチャンネルが使用可能でございますので、NHKが二チャンネル、それから日本衛星放送株式会社が一チャンネル、こういうことで三チャンネルを放送する、こういうことで計画されております。
  94. 服部信吾

    ○服部信吾君 それで、BS3の打ち上げが、当初六機としては六十四年、予備機が六十五年、こうなっているわけでありますけれども、これが大幅におくれているということですね。特に予備機の場合が六十六年七月か八月、こういうことになって、設立はしても六十五年に本業開始する、この辺のところの関係はどのようになっておりますか。
  95. 森島展一

    政府委員(森島展一君) BS3は六機が六十五年の夏、それから一年おくれまして予備機、こういうことになっておりますが、BS2bの寿命との関係でBS3とギャップが生じないように計画がされております。
  96. 服部信吾

    ○服部信吾君 これは、例えばその中で一番心配するのは、今でさえこのようなおくれがあるわけですから、向こうは昨年設立してBS3のあれを待っている、こういうことですので、もしこれがおくれたり何かしたときにかなり向こうの会社に損害を与えるんじゃないか、そういう心配も懸念もあるわけでありまして、その辺、例えばおくれがあったときに、NHK側としては何かペナルティーがあるのか、こういうことを聞いているわけです。
  97. 森島展一

    政府委員(森島展一君) BS3の打ち上げが万一おくれたりいたしますと、六十五年を目途に日本衛星放送株式会社が事業開始を予定しておりますのが狂ってきますと、会社として大変この事業計画にダメージがあって、それをどうするかというようなことが、そういうリスクはございますが、現在のところ六十五年の夏に打ち上げということが予想どおり実現されるだろうということで準備を進めておるところでございまして、万一それがどうなったというようなことにつきましては、企業のリスクと言えばリスクでございますが、そこまでのことを現段階で詳しく聞いておりません。
  98. 服部信吾

    ○服部信吾君 そういうことを非常に心配するわけでありまして、どうかひとつ、大変国民が注視をしておりますし、ある面から言えば、一番最初に聞きましたように、NHK放送法目的から外れるというわけじゃありませんけれども、違った方の分野にこれから新しく出ていく、そういうことにそれだけ国民も心配しているところなんで、ちょっと聞いてみたわけであります。  そこで少しお伺いしておきますけれども、現在NHKとしては四十二万難視聴世帯を一挙に解消する、こういう大義名分のもとにBS2aを打ち上げたわけでありますけれども、現在受信機の普及状況、これはどのようになっておるか、その中で難視聴世帯受信者はどのくらいあるのか、この点についてお伺いしておきます。
  99. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 現在一チャンネルで衛星放送をやっておりますけれどもNHKが、ことしの九月ですけれども、九月末に把握している衛星放送受信世帯の数は約五万七千五百でございます。今御指摘のございましたいわゆる地上難視地域の中の世帯数につきましては、五万七千五百所帯のうちの二千四百世帯が難視地域の中の世帯数でございます。なお、その二千四百世帯の中には離島の大東、小笠原島の千五百世帯も含まれた数でございます。
  100. 服部信吾

    ○服部信吾君 本当の意味での難視聴解消としては一千五百世帯ということで、もうほんのわずかなわけでありますね。ある面から言えば、BS2a、2b等を打ち上げればかなりいろんなテレビも見られるということで期待をされておった人たちもいたと思うんですけれども、そういう人たちに対しては何かいろいろと御説明しているわけですか。
  101. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 今御指摘の難視地域に対する衛星放送普及につきましては、いろいろ関係団体、例えば衛星放送普及推進会議というようなものもございます。そういったメーカーその他一体となって普及に、あるいは難視地域の方々に衛星放送というものをよく知っていただくというような機会を持ちまして、いろいろ普及促進には努力しておるところでございます。
  102. 服部信吾

    ○服部信吾君 難視聴世帯受信機が普及しないのは、みずからの措置によりNHKテレビ受信している世帯がかなりあると、こういうことだと思いますけれども、これについては郵政省としては五十九年度に辺地難視聴の実態調査をやられたようでありますけれども、その調査結果についてお伺いしたいと思います。
  103. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 辺地の難視聴世帯につきましては、NHK視聴できない、難視聴ということで四十二万世帯ございますが、そのうち五十九年度の調査によりますと、この十六万五千世帯はこれは普通の電波の強さからしますと良好な視聴ができないところでございますが、自主的な努力によって共聴施設等をつくりまして放送を見ておる、こういうことが調査結果でわかっております。
  104. 服部信吾

    ○服部信吾君 ただいまの説明によりますと、四十二万世帯のうち十六万五千世帯は自己負担による共聴施設で視聴しておると。残余の二十六万世帯の中にも、高いアンテナの設置により受信している世帯もあるというようなことであると思いますけれども、郵政省として、二十数万の難視聴世帯について、アンテナやCATV装置設置による受信のための技術的指導を行っているという。先ほども言ったように、これでは何のための放送衛星を打ち上げたのかと、こういうことだと思うんですけれども、郵政省及びNHKの御見解をお伺いしておきます。
  105. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 難視聴解消につきましては、最終的にやはり放送をこの衛星による必要があるということで放送衛星計画を進めてまいってきておるわけでございますが、そのうち、ただいま申し上げましたように非常に高いアンテナを立てるとか、それから高性能のアンテナを使用するとか、こういったことで、本来ですと受信が非常に難しいようなところでも、この地上においてもそういう努力がされておりますので、郵政省としましてもそういった努力につきましても実態を調べましてそういうことが進めば結構であるということで指導してまいっておるわけでございます。  それと申しますのは、この衛星放送による受信が、受信機の価格が、まだ受信機が普及に至っていないために相当高いので、なかなか一遍に衛星による難視聴解消ということにいくには時間がかかるだろうというふうに思って、地上におけるそういう難視解消の方法につきましてもいろいろ調査し、指導を続けておるところでございます。
  106. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 今郵政省の方からお話がございましたけれども協会といたしましては、確かに四十二万の難視の中で高い自己負担の金を出して放送を見ていただいているという世帯ももちろんございます。しかし、これはやはりある意味から申しますと、受信技術といいますか、受信のアンテナの感度が上がるとか、受信機の感度が上がってくるとか、そういう受信技術の進歩というものも当然あろうと思うんです。そういった総合的な今後いろいろ調査によりまして、もう少し実態がはっきりしてくるだろうと思いますけれども、いずれにしましても、NHKといたしましては放送衛星によって難視解消をさらに探っていくということと同時に、国民期待にこたえまして衛星放送普及促進ということにももっと努力していきたいというふうに思っております。  また「ハイビジョン」あるいはPCMの音声放送など、将来の衛星放送の多角的利用に向けましてさらに技術開発ということを進めていきたいというふうに思っております。
  107. 服部信吾

    ○服部信吾君 やはり、この受信機が三十万というのは非常に高いと思うんですね。ですから、これをもう少し量産化等によって安くするとか、こ ういうような問題についてはどのようにお考えですか。
  108. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) NHKも、衛星の受信機につきましては、量産型のしかもなるべくコストが安いような受信機につきましては、もう十年も前から研究しておるところでございます。その成果もいろいろ生かしておるわけでございますけれども、何しろやはり衛星放送普及には、受信機のコスト低下と同時にソフトの番組をおもしろくする、魅力あるものにしなければやはり普及はしないというふうに考えております。そういう意味受信機のコストダウンに対するNHKの技術研究ももっと進めますし、同時にもっと普及を図るような番組上の工夫というものを今後していきたいと思っております。
  109. 服部信吾

    ○服部信吾君 BS3が打ち上げ成功になればかなりいろいろの面で普及が進むんじゃないかと思いますけれども、特にこれから二チャンネルの問題がいろいろ問題になってくると思いますけれども会長からこの二チャンネルの番組編成の基本的方針を伺っておきます。
  110. 川原正人

    参考人川原正人君) 二チャンネル、私どもが難視解消を主としてということで今この衛星の利用を考えておりますので、この観点から言えば、やはりこの二チャンネルの中で地上の電波が見られない方々に対して十分なサービスをまずすべきであろうということと同時に、私としましては、やはりこの衛星の機能を十分に生かす、あるいはまた、今技師長が申しましたように、普及の促進を図る。いずれの角度から申しましても、やはり地上と同じ放送を全く進めているというのではいささか私どもとしての使命といいますか、任務からいいましても、それでは不十分ではないか、できるだけ視聴者の方に喜ばれるような新しいサービスをつけ加えていき、少なくともBS3の段階で民間放送が始まるときには、当然民間放送というのは地上とは違った新しい番組を出すはずでございますし、それに必要な料金というものも何らかの形でこれは収益を上げることを目指すはずでございます。そういう民間放送の動きに対して私どもが逆におくれをとるようなことだけはしたくないというふうに考えております。
  111. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、文字多重放送について若干お伺いしたいと思うんです。  文字多重放送目的についてお伺いしたいと思います。
  112. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 文字多重放送テレビジョンの時間的なすき間を利用して文字による情報放送できる、こういう方式でございますので、こういうテレビジョン文字多重放送と言っておりますが、これの普及によりまして国民にいわゆるニューメディアと申しますか、新しい多様化した情報を提供する、こういうことができるものと思っております。
  113. 服部信吾

    ○服部信吾君 それの目的はわかりますけれども、例えば、この文字多重放送ができますと、聴力障害者用向けだとかあるいは独立放送、こういうことを聞きたかったわけですけれども、その点についていかがですか。
  114. 森島展一

    政府委員(森島展一君) おっしゃいますように、この文字多重放送によりまして聴力障害者向けのデフサービスと言われているようなものとか、また地域に密着した生活情報とか、多種多様な目的にこの文字多重放送というのは使われるのではないかと思っております。
  115. 服部信吾

    ○服部信吾君 今回実験をされていよいよこれが実施段階、こういうことでございますけれども、その実験結果についてお伺いしたいと思います。
  116. 森島展一

    政府委員(森島展一君) この文字多重放送につきましては、既に五十八年からパターン方式という方式でNHKが実用化試験をやってきておりますけれども、それと並行いたしましていわゆる符号を取り入れたコード方式を取り入れ、しかもパターンの特徴も取り入れたハイブリッド方式という方式の実験調査を進めてまいりまして、これがことしの春、電波技術審議会で答申を得まして、それに基づきまして省令等の整備を行い、このハイブリッド方式による文字多重放送ということが可能になりまして、つい先月の末からNHK及び民間放送でハイブリッド方式による文字多重放送が始まったところでございます。
  117. 服部信吾

    ○服部信吾君 その中で、東京及び大阪でやってきたわけですね。それで、特にやはり聴力障害者に対する対策ということが非常に大きな当初眼目であった、こう思うわけでありますけれども、その実験の結果の中において聴力障害者が約十三万から十四万いる、このように聞いておりますけれども、その実験結果として受信機はどのくらいあれしたんですか。
  118. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 最近まではそのパターン方式の放送しか行われていなかったわけでございまして、このパターン方式のアダプターはメーカーから出荷された台数は約三千三百台というふうに聞いておりますが、そのうち一般消費者に販売されたものは約千九百台というふうに聞いております。
  119. 服部信吾

    ○服部信吾君 じゃ、その中で例えば聴力者用とかそういうものはわからないわけですか。
  120. 森島展一

    政府委員(森島展一君) ちょっとその内訳で聴力障害の方にどの程度行き渡っておるかということは正確にはわかりませんが。
  121. 大森昭

    委員長大森昭君) いや、矢橋さんわかっているでしょう。
  122. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 全体を把握はしておりませんけれども、少なくとも耳の不自由な聴力障害者の方々の施設へ寄贈したものがございます。その数を申し上げますと、全部で百二十三台を寄贈しております。百二十三台を例えば日本電子工業会あるいはNHKのサービスセンター、NHKの厚生文化事業団から寄贈しております。
  123. 服部信吾

    ○服部信吾君 どうも当初では、この聴力障害者用ということで大変その解消のためにやるというようなことが大きな大義名分もあったし、あるいは独立放送ということもあったわけでありますけれども受信機が少し高いんじゃないかということもあるわけですね。  そういうことで、この二年間やってまだ千五百台ですか、そういう中で今回これからさらにNHKが——NHKだけじゃありませんけれども、こういうことをやろうという面で大変心配する向きもあるわけであります。そういうところで、このテレビ文字多重放送に対する要望ということで、民放連の方から五項目にわたって要望書が出ておりますけれども、この点についてはどのようにお考えですか。これは大臣に質問します。
  124. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 民放連の方から文字多重放送普及について物品税等についての軽減について考慮願いたいというような、そういうような要望を出されてはおりますが、ちょっと五項目というのを今全部覚えてはおりません。
  125. 服部信吾

    ○服部信吾君 いや、七月の二十四日に左藤郵政大臣あてに提出されておりますよ。
  126. 森島展一

    政府委員(森島展一君) たしか七月の時点では、この文字放送の免許方針につきまして、民放連の方から御意見が出ておったというふうに記憶しております。ちょっと今、手元に資料がございませんが、たしか文字多重放送の免許方針についての御意見だったと思います。
  127. 服部信吾

    ○服部信吾君 それらはかなりいろいろ要望があったようでありますけれども、いろいろお話を聞いてみますと、これらに対していろいろな意味で不満等もまだ残っている、こういうふうにも聞いているわけであります。  そこで、ちょっとお伺いしておきますけれども、今度の第三者法人について、最も関心のあるところはその経営見通しである、こういうことでありますけれどもNHKの設備を利用することから、大変コマーシャルに制約があり、広告収入に楽観的見通しを持てない、こういうことでありますけれども、最大の出資者であるNHKから、東京、大阪それぞれの第三者法人について、それらの経営見通しはどのようになっておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  128. 林乙也

    参考人林乙也君) 御案内のように、文字多重放送は現在のテレビ放送の電波に多重して放送されるものでございまして、NHKNHKの第三 者法人との関係を申しますと、これは放送施設を賃貸して第三者法人に貸すということでございます。  その関係につきましては、NHKの業務に支障を来さない範囲でテレビジョン文字多重放送事業の法人に貸すということにいたしておりますと同時に、そのことに伴いまして第三者法人が事業を行うに当たりましてNHK公共放送としての事業に支障をもたらすことのないよう、事業運営に特段の配慮をするということが第三者法人とNHKとの間に基本的な協定として締結されておるところでございます。したがいまして、第三者法人はあくまでもNHKと別個の法人といたしまして電波料収入番組制作収入によりまして自主的に業務を営むものでございます。  この経営の見通しにつきましては、第三者法人の方でいろいろ計画を立てておるところでございますけれども、そこらからのお話によりますと、この両三年の間はやはり収支相償うということは非常に難しいという厳しい状況をお話として承っておるところでございますけれども、しかし、できるだけ近い将来に収支相償うように経営の成果を上げていきたい。一つには番組充実でございますし、また一つには受信機の普及等の利用の推進ということにもなろうかというように考えられるわけでありますが、両々相まって収支相償うような見通しを得るように努力してまいりたいというように承っておるところでございます。
  129. 服部信吾

    ○服部信吾君 今までNHKが要するに広告をとっていなかったというところで、NHKの電波を貸すという、そのような形で広告料を取ってやるというようなことで大変国民の間からも心配している面もあろうかと思いますので、ひとつ慎重に進めていただきたいと思います。  次に、ポケットテレビについて若干お伺いしたいんですけれども、特にことしはカラー化、価格の低廉化により急速に普及しつつある、このようにいわれておりますけれども、まずNHKにこうしたポケットテレビに対する受信料についての見解をお伺いしておきます。
  130. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) お答えいたします。  ポケットテレビの今の普及状況というものにつきましては、必ずしも私どもとしても的確にその状況は把握できていないというのが実情でございます。ただ、私ども、ポケットテレビ受信規約で規定してございます携帯用受信機の一種であるという考え方を持っておりますので、当然のこととしてこの受信規約に基づきまして、聴視料をお支払いいただく対象になるというふうには考えております。しかし、契約の対象ということになりますと、一つの世帯の中で既に受信機を設置しておられる方がポケットテレビをお買いになった場合には、この契約の対象にならないというのが規約の規定でございます。  そういった点から考えますと、テレビ受信機の種別といいますか、どういう形で何台持っておられるのかというところまでは調査が行き届いておりません。したがいまして、受信契約の対象になる数が幾つかということが必ずしも明確ではないというのが実情でございます。確かに生産台数はかなりふえているようでございますけれども、かなり輸出も多いという状況でございますので、今後の状況を見ながら契約すべきものにつきましてはできる限り契約をいただくという努力は傾けてまいりたいと思っております。
  131. 服部信吾

    ○服部信吾君 なかなか受信料徴収に対していろいろと把握ができない、こういうことだと思いますけれども日本電子機械工業会のポケットテレビ需要見通しによりますと、昭和六十五年度には国内だけで二百万台近い需要が見込まれておる、こういうふうに出ておりますけれども、このテレビはアンテナも内蔵されており、また受信料徴収の対象となることについての無理解も多いと見られます。NHKはその実態把握に苦慮していると思いますけれども、どのような受信料徴収対策を講じるつもりなのか、この点についてお伺いしておきたい。
  132. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 今先生も御指摘いただきましたように、大変その実態の把握が難しい問題でございますので、具体的に今の時点でこうすれば確実に契約としてお話し合いに応じていただけるという具体的なイメージというものが必ずしもないわけでございますけれども、最近のこのポケットテレビ製造の状況あるいは国内の普及状況をもうしばらく見せていただきまして、その上に立って具体的な対策、どういうものが立ち得るのかということを検討いたしたいというふうに申し上げるのが実情がというふうに思います。
  133. 服部信吾

    ○服部信吾君 現在、単身世帯テレビ普及率が五〇%強、こういうことで、若者を中心とした単身世帯にはまだテレビ普及する余地が残っておる。ポケットテレビはこうした若者を中心に普及していく、こう見られますけれども、これらに対する対応はどのように考えておられますか。
  134. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 単身世帯の方々がどの程度受信機を持っておられるのか、この状況につきましても、私どもとしては経済企画庁の勤労者動態調査というようなものを参考にいたしながら、一応の推定をいたすわけでございますけれども、今私どもが推定しておりますおよそ八百万の単身世帯の方々の中で、どれだけ持っておられるのかという点で言いますと、先生今御指摘のように五〇%をやや上回る程度の所有率ではないかというのが実情でございます。  私どもとしては、やはりできるだけお目にかかってどれだけの方々が持っておられるのかということを確かめるのがまず第一でございまして。できるだけそういった対策関係の職員の勤務時間をずらしまして、そういった単身世帯の方々の自宅にお帰りになる時間が遅いというような状況もございますので、そういった職員の努力によりまして訪問時間をおくらせるような形で、まず第一にお目にかかるということに努力を傾けているわけでございます。そういった努力をしているわけでございますけれども、なかなかお目にかかれずに、なかなか契約にまで至らないという状況がかなりあろうかというふうに思っております。  私どもとしまして、全体の布陣と申しますか、態勢をできるだけ多層に組みまして、お目にかかる機会をできるだけふやす努力をこれから傾けていくということが、大変ささやかではございますけれども努力の一つの形であろうかというふうに思っております。
  135. 服部信吾

    ○服部信吾君 なかなか把握しがたいということだと思いますけれども、それではタクシー、ハイヤー等営業車に設置されているテレビがありますけれども、この普及の実態及び受信料の徴収はどのようになっておりますか。
  136. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) お答えいたします。  タクシーのテレビジョンにつきましては、これは先ほど申しました受信規約でも、営業用の移動体につきましてはこれは受信契約の対象になるという規定が明確でございます。私どもとして、今どの程度営業用のタクシーに普及しているかということを推定いたしたのでございますけれども、およそ四千台強ではなかろうかというふうに考えております。  これはタクシー会社に交渉いたしますと同時に、上部団体と申しますか、タクシー会社の構成団体でございます業界の団体等にも御協力をお願いするというような形で努力してまいっているわけでございますが、今までのところ、およそ千二百台程度契約されているというのが実情がというふうに思います。  ただし、タクシーの最近の状況を聞いてみますと、利用率が余りよくないということで、ひところタクシー用の受像機がかなり普及していくんじゃなかろうかというふうに想像もしておったんでございますけれども、実情は必ずしもそういう状態ではない、むしろ撤去せざるを得ないというような声もちらちら聞かれるというような状況でございます。  しかしながら、今申しましたように、今推定しております設置台数が四千台強でございますので、その三〇%程度しかまだ契約ができていないという事実もございますので、できる限りこれか らも業界団体あるいはタクシー会社等々と交渉いたしまして、契約の増に努力してまいりたいというふうに考えております。
  137. 服部信吾

    ○服部信吾君 特にポケットテレビにおいては、これからますます普及が予想されますので、そのような対策を進めていただきたいと思います。  それから、最後に一つNHKの大河ドラマの「春の波濤」ですか、この原作について著作権侵害等いろいろと出ているようでありますけれども、この実態はどのようになっておりますか。
  138. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 大河ドラマの「春の波濤」というのは、杉本苑子さんがお書きになりました「冥府回廊」というのを原作として、中島丈博さん、この方の脚色でもって実施をしようということでスタートいたしました。その間に、いろんな貞奴ないしは音二郎に関する参考書類を調べたのです。そうしましたら、女流作家の方のお書きになった「女優貞奴」という本があります。これも参考として拝借をしたいということでその作家の方にお願いしまして、そして、あなたの著書にお書きになっている部分をいろいろ参考にさしていただいて脚色をしたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。そうしたら、その方は原作として使用するのでなければだめですということでお断りになりまして、それで私どもはその「女優貞奴」という本は一切参考にしないというふうなことで脚色を開始いたしまして番組をつくり上げたわけでございます。  そして、その間に二つありまして、一つは日本放送出版協会が出しております「大河ドラマのストーリー」というのがあります。これが発行されたときに、その記述が私の著書からの著作権無断使用であるというふうなことを言ってこられた。それが終わった後、今度は放送が始まりましてから放送の中にも私の著書の中の無断盗用というんですか、著作権侵害があるというふうなことで抗議をしてこられたわけです。  私どもは、これに対しては誠実に対応しようということで双方弁護士を立てまして、これまでは話し合いを続けてまいりました。結果的には先方の弁護士さんも、これはいわゆる著作権侵害に当たらないということで円満解決案といいますか、調停案といいますか、そういうものを出してこられて、それによりますと、またもとに返して参考にしたということでお名前をテロップに出すというふうなことが調停案ですけれども、そういう中身でもって解決しようというふうな話し合いがあったんです。ところが、その作者の方はやはり著作権侵害をやっているんだということを主張されまして、そして、私どもの方に放送中止の抗議文を送ってこられた。NHKとしてはそういう事実はありませんということで、今話し合いの最中でございます。
  139. 服部信吾

    ○服部信吾君 この問題について会長と大臣のお考えをお伺いいたしまして、質問を終わります。
  140. 川原正人

    参考人川原正人君) 文芸作品につきましては、私ども常に慎重な配慮をしなければならないというふうに考えているところでございます。  ただ、全くの創作にかかわる問題と、ある程度歴史的な事実といいますか、史料がいろいろ存在している場合の文芸作品の取り扱い、これは大変微妙な問題がございまして、どこまでがもとの史料、歴史的な事実としての、史料としての存在なのか、あるいはどこからがいわゆるその作家の創造活動に基づく問題であるのか、その境目が時として非常にデリケートになる場合がありますので、この問題につきましては誠意を持って対応しているつもりでございますけれども、時として見解が食い違うこともございますので、今後とも十分に気をつけますとともに、今現実の問題については誠実に対応してまいりたいというふうに思っております。
  141. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) これは番組の中身の問題でございますので放送事業者の自主的な責任において善処していただきたい、このように期待いたしているところでございます。
  142. 大森昭

    委員長大森昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分より再開することとし、休憩いたします。    午後零時十三分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  143. 大森昭

    委員長大森昭君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  144. 山中郁子

    ○山中郁子君 五十八年度のNHK決算審議の機会に、私は二つのことについて郵政省並びにNHK関係者の方にお尋ねをしたいと思っております。  一つは、臨時行政改革推進審議会の中での特殊法人問題等小委員会、ここで新聞報道によりますと、NHKを対象に必要な調査検討を行うという中身の行革審の考え方が伝えられております。この点についてなのでありますけれども、私どもはもともと行革審は行政の効率的運用を進めるためのものという前提に立って、行革審そのものについての政治的な我々の立場は既にあらゆる場所で明らかにしてきているところでありますけれどもNHKの活動とはなじまないものであるというふうに考えております。つまり、NHKの活動というのは、公共放送機関として法で設立され、国民の代表たる国会の議決に従って、行政から独立してその設立の趣旨に沿って自主的に運営されるべきものであるということは明確になっているところであります。したがいまして、いわゆる行革審が言うところの行政の効率的運用という考え方の範疇に入るべきものではないと考えておりますけれども、このことについて初めに郵政省のお考えと、このことをめぐる経過についてお尋ねをすると同時に、NHKのお考えもお伺いをしておきたいと思っております。  初めに、具体的にNHKにお尋ねをしたいのですけれどもNHKに対して行革審から何らかの調査説明ということが求められたのかどうか。これは郵政省にもお尋ねをするものでありますけれども、まずNHKに事実の問題としてお尋ねをいたします。
  145. 林乙也

    参考人林乙也君) 行政改革推進審議会からNHKに対しまして直接事業内容等についてのヒヤリングについてのお話をいただいた事実はございません。
  146. 山中郁子

    ○山中郁子君 直接ないというお答えですので間接的にあったと聞こえますので、初めにそれでは郵政省から御答弁をいただきましょう。今の問題に対しての郵政省のお答えを伺いたい。それから経過についての御説明をいただきたい。
  147. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 行革審の方からNHKの問題につきまして、特殊法人問題等小委員会でヒヤリングを十二月五日に行いたいということがございましたので、そのヒヤリングに先立ちましてNHKから経営の現状等に関する説明の聴取を行いました。
  148. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、順番と促してNHKに再度お尋ねをいたしますが、NHKが郵政省を介して行革審に何らかの求められた調査に対して報告をされているということであるというふうに考えます。その報告された内容の柱というようなものはどういうものであるかお尋ねをいたします。
  149. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 行革審の特殊法人問題等小委員会におきまして、NHKに関するヒヤリングが十二月五日に行われまして、その中で私からNHK基本的な性格、それから業務、経営の現状、こういったことにつきまして概略の説明を行いました。
  150. 山中郁子

    ○山中郁子君 その説明については、報告書の中身、内容を後ほどいただけますか。どの程度のものであって、例えば活字でパンフレットか何かになさっているのか、どういうものであるのか。——じゃ、そのことについては今でなくて結構ですけれども、後ほど報告書のコピーなり何なりをちょうだいいたしたいと思っておりますけれど も、いかがでしょうか。
  151. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 説明いたしました資料につきましては、また後ほど御説明に上がりたいと思っております、御提出いたしたいと思っております。
  152. 山中郁子

    ○山中郁子君 説明は欲しいんですけれども、先ほど簡単に何項目がおっしゃいましたね。そういうことで報告しましたというふうにおっしゃったので、その内容をもうちょっとちゃんと欲しいので、文書を今お持ちでなければ、後ほど報告書等をいただきたいということのお願いをしております。
  153. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 概要説明を行ったわけでございますが、その資料全般につきまして、ちょっと行革審の方とも打ち合わせませんと、行革審に提出したものをそのままお出しできるかどうかちょっと調べさせていただきます。
  154. 山中郁子

    ○山中郁子君 私が、今このことを申し上げておりますのは、先ほど申しましたように、NHK事業が経営が行革審の見直しの対象とされるべきものではないのではないかというふうに考えているということに関係いたします。  そこで、この基本的な問題について郵政大臣にお尋ねをいたしましょう。  私は先ほどから申し上げていますように、行革審が特殊法人問題等小委員会の中で、NHKを対象とし、NHKのいろいろな実情を調査したり、ヒヤリングをしたりして見直しの対象としているということは、本来の行革審のあり方自体は全般的に問題があるのですけれども、特別にNHKが持つ事業の性格、放送法によって立つところのNHKの持つ事業との関係で、特別に考えられないことではないかと思っているんですけれども、郵政大臣はその点はどういうふうにお考えでしょうか。
  155. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今お話しのような、NHKは設立の根拠を法律に置いておるわけでありまして、また経営の財源を法律で徴収が認められております受信料によって、そういう受信料という特殊な負担金によって賄われておる。そういう意味で一般の民間の会社とは異なった公的な性格を持っておる、こういう組織であることは、これは否定できないだろうと思います。  そうしたことからNHKも特殊法人の一つということで取り扱われたのじゃないかと思います。NHKの経営をどのようになされるかということにつきましては、国民の皆さんに対しても大きな影響を与える、そういった性格のものでもあるわけでありますので、そのために行革審としては何か審議の対象にされたのではないか、私はそのように考えておるところでございます。
  156. 山中郁子

    ○山中郁子君 今も大臣もおっしゃいましたように、それから午前中の服部委員の御質問に対する御答弁の中でもたしか触れられたと思いますけれども、郵政省としては、例えば番組内容については物を言う立場ではありませんというふうにおっしゃってましたね。放送法のいろいろなところはありますけれども、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」私はこの「自律」に着目をすべきだと思います、その行革審がNHKを対象としているということとの関連で。  先ほど大臣は、行革審はそういうことで特殊法人の一つであるから、そういうふうにしたのであろうというふうに、何かちょっと第三者的なお答えのなさり方をしたなと私も思ったんですが、郵政大臣としてそういうことはこの放送法に照らしても、NHK事業のあり方に照らしても、行革審が見直しの対象とすべきではないとお考えですか、どうですかということをお尋ねをしていますので、ひとつフランクに政治家としての見識を披瀝していただきたいというのが私の希望でございます。
  157. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今お話しのように特殊法人の一つであって、今申し上げましたように国民の皆さんに非常に関係があるという点では、私はやはりそういう行革審のお考えというものも一つの考え方だと思います。ただ、言論、報道機関であるという立場から申しますと、これはほかの特殊法人とは異なった性格を持つものであるという、そういったことは、これは厳然たる事実であろうと、このように考えるところでございます。
  158. 山中郁子

    ○山中郁子君 もっとわかりやすく言えば、行革審が言っていることは結局、暗調の指示に基づく、彼らの言う行政改革、私どもはこれに対して政治的に既に何回も立場を明らかにしてきておりますけれども、そういうことがもし必要ならば、NHKはみずから当事者能力を持っているわけですから、そこにNHKの一つの本質があるわけですから、私は、そういうことが必要であるならば、NHKの自主性と番組の自由を堅持すべき責任を持っている、当事者能力を持っている事業体なんですから、NHK自身が問題があれば自己主張をすべきものであって、何ら行革審のお世話になる必要はない問題だというふうに考えておりますし、それで今何回かお尋ねをいたしまして、その性格があるということは、その部分があるということは郵政大臣は今お認めになったわけですけれども、私は行革審が本当に国民の立場から、国民との関係でもって問題にしなきゃならないし、対象にしなければいけないし、指摘もしなければいけないというふうなことが、もし本当に国民の立場から百歩譲ってあったとしても、そういう趣旨であったとしても、NHKは自分の力で、まさに自律ということがここに出てくるわけですけれども、それを行うべきであるし、それを行えばいいのであって、行革審がとやかく言う筋合の仕事ではないというのが、私が今まず明らかにしたいと思っておりますところですので、会長のこの点についてのお考えをお伺いいたします。  だから、行革審が何か言ってくることに対してどうこう、できるとかできないとかということは別。放送法の理念の問題から言っても、それから行革審が与えられている任務という面から言っても、私はNHKが対象となるのはおかしいと思っているわけですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  159. 川原正人

    参考人川原正人君) 字句の問題をいろいろあれしてもこれは余り意味がないかもしれませんが、今大臣がおっしゃいましたように、NHKが特別な法律に基づいて設立されている特殊法人であるということはそのとおりでございます。  ただし、行政改革という観点から物を考えた場合に、NHKは行政機関ではございませんし、あるいは行政を代行しているところでもございませんし、政府からの出資等いただいてもおりませんし、助成金、交付金等も、国際放送等若干ございますけれども、本質的にはそれはごく一部でございまして、みずからの徴収をさせていただいている受信料をもって賄っているという意味では、普通の行政機関とは違うのはもちろん、いわゆる特殊法人としても非常に特別な存在であろうと思っておりますし、特に放送法という法律によりまして経営の自主性というものが保障されているわけでございます。本質的には、これは大臣も言われましたとおり、報道、言論機関でございます。その種の報道、言論機関の業務のありようについて行政改革推進審議会という場で御議論いただくのは、率直に申しまして、こういう報道、言論機関の責任者である私としては釈然としないものを感じております。
  160. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は当然だと思います。しかしだけど、郵政省から聞かれたからお出しになったかあるいはヒヤリングに応じられたかであるということですよね、まあざっくばらんな話が。それ以外ないと思うんですけれども。  だから私は、そこで郵政省が何をNHKからお聞きになって、何を行革審に報告したのかというのが問題になってくるというふうに思っているんです。だから先ほど、どういうことを報告したかということはちょっと行革審と相談してみないとわからないみたいな、報告できるかどうかわからないというようなふうに受け取れるお話があったんですけれども、今私が申し上げた立場というのは、今会長お答えになりましたように、NHKがそういうことを行革審に求められて、行革審か ら何らかの指摘をされるということでは本来ないものなんだから、だからそこでどういうことを報告なすって、どういうことを調査なすったのかということが、かなり政治的な中身になるわけで、政治の問題としてかかわってくるものなので、今それが細かいのがないならば御報告をいただきたいと申し上げたわけです。そこについてもう一度——会長まだ何か御答弁の漏れがあるんでしたらおっしゃってください。
  161. 川原正人

    参考人川原正人君) 蛇足のようなことですけれども若干つけ加えさせていただきますと、先ほど言いましたようなNHKは趣旨の組織でありますし、すぐれて報道、言論機関でありますけれども、しかし同時にやはりNHK国民の方々の受信料というものによって支えられている機関でございますので、これはやはり企業としては当然自己改革と申しますか、自分で常に業務を反省し、改革を進めていかなければいけない、あるいは効率化を進めていかなければいけない、これは当然だと思っております。その努力もまたしているつもりでおります。国会等からもたびたび御指摘もいただいておりますし、できる限りのことをしているわけでございますが、現実に行政改革推進審議会が行政当局から何かを聞きたいという事態が起きました段階におきまして、私どもとしてはやはり、NHKのそういう立場は、これはいろんな方法をもって行政改革推進審議会にも理解していただきたいということを考えております。そのような意味におきまして、行政当局とはNHKのそういうよって立つ立場、特殊性を十分に行政改革推進審議会にも反映していただきたいと考えまして、いろいろな基本的なことを含めて御相談に応じているわけでございます。
  162. 山中郁子

    ○山中郁子君 それはよく存じておりますし、私ども逓信委員会で何回となく予算案や決算審議の際にお願いもしたり、強調もしてきているところだと思います。ですから、それがだから自律であって、自分の当事者能力をお持ちになっているそのNHKが、しかも言論、表現の自由の本質にかかわるNHKに対して行革審がその対象にするということについて、私はこれは誤りであるし、当然こういう考え方に立つべきではないというふうに思っておりますので、会長さんのお考えはわかりましたので、改めて私は郵政大臣にそのことをはっきりさせていただきたいというふうに思うんです。  というのは、結局行革審の調査と検討次第によってはNHKの自主性や番組、経営に対する不当な介入——不当でないと考える方があればそれは不当でなくてもいいですよ。いずれにしても介入が行われることが十分考えられるわけですよね。そこに問題があるので、NHK自体が毅然とした態度をとっていただかなければいけないし、またそのためにも、国民との関係というふうに郵政大臣おっしゃったけれども国民との関係があるから、重要なそうした放送だから国民の代表たる国会予算審議し、決算承認するかしないか皆さんが一生懸命審議しているわけでしょう。そういうところに国民を代表しての声と、それから放送法NHK関係というのがあるんで、行革審は何にも関係ないんですよね、考え方からすれば。だから、そこのところは郵政省としても明確にしておいていただかないと、今後の問題として私は重要な突破口にされかねないということは決して杞憂ではないと思います。  それで、私はあわせてここで行革審の問題について若干私どもの見解も申し上げておきますけれども、私どもNHKが対象になっているからけしからぬと、こう言っているわけではなくて、臨調路線に基づく行革、いわゆる行革ですね、これが軍拡と財界奉仕の、犠牲を挙げて国民と自治体に押しつける、そして社会保障や文教などの国民生活の全分野にわたる制度的な抜本改悪ですね。それから引き続きそういうものを強行し、憲法をじゅうりんし、そういうことを公に何回ももう言っておられる中曽根総理大臣のもとでの戦後政治の総決算路線の推進に拍車をかけるものである。これはもう必然的に国民との間の矛盾を大きくしていくものであるというふうに私どもは考えておりますけれども、そういう観点からいっても行革審なんていうのは直ちに解体すべきものであるというふうに考えております。しかし、今その大きな議論をする場所でもありませんので、この行革審がNHKを対象にしたという問題について絞って今私どもは意見も申し上げ、またNHKとしての、あるいは郵政省としての毅然とした態度を表明いただきたいというお願いをしておりますので、この問題の最後になりますが、郵政大臣にもうひとつきちんとしたあれを伺うと同時に、先ほどからお願いをしている行革審に報告なすった中身について何らかの形で御報告をいただきたいということです。
  163. 森島展一

    政府委員(森島展一君) このNHKが言論、報道機関として他の特殊法人とは大変異なっておるという、こういうNHK基本的な性格を行革審に対しましても十分私も説明いたしましたし、そのために関連した資料というふうなこともお出ししておりますが、そういった点で行革審の方にも十分御理解をいただくようにいたしましたので、その資料につきましては行革審に出しましたものをそのままというのはあれですが、説明の都合上いろんな関連の資料をやっておりますが、ちょっとそのままお出しできるかどうか、やはり行革審と調べてみませんとならないと思います。ただ私どもとしては、NHK基本的な性格ということは十分理解していただくために、いろいろ行革審に説明したところでございます。
  164. 山中郁子

    ○山中郁子君 では、ちょっと大臣の御答弁いただく前に具体的に私申し上げますから、それはそれとしてそれでは御努力なすって報告をいただきたい。もし中身の本質的な問題について隠すようなことが必要だという趣旨で何らかのためらいがあるとすれば、私が先ほど申し上げましたような危険の突破口というものはその中にはらまれているんじゃないかというふうに考えざるを得ないという問題になってくる性格のものだということは御理解いただいていらっしゃると思います。  それで、ですから私はやっぱり少なくとも行革審の問題については先ほど基本的見地は申し上げました。しかし、この問題に関して言うならば、少なくともNHKは直ちにその対象から外すべきであるという見解を郵政大臣としてはおとりになって行革審に対してそういう姿勢で臨まれるべきではないかと私は考えておりますが、お約束がいただけますでしょうか。
  165. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) これは行革審が御判断になることでありまして、私の方でということではありませんけれども、ただ私が先ほど申しました言論報道機関とかいろいろそういったNHKの特別の立場というものを十分理解していただかないとこういったことについての正しい判断がしていただけないだろうということで、まず基本的な性格というものを十分御理解いただくためにそういった説明を事務当局からさせたと、こういうことでございます。
  166. 山中郁子

    ○山中郁子君 行革審が決めることであるということの御答弁を私は伺っているのではなくて、郵政大臣としてやはりNHKは行革審の対象になるべきではないというふうなお考えに立つべきではないでしょうか、そういう立場で当たるべきではないでしょうかというふうに申し上げているわけなのです。結果的にそれをだれが決めるかということはちょっとまた別な議論になってきますので、今ここでそれに突っ込むつもりはありませんけれども、そういう趣旨で申し上げておりますが、いかがでしょうか。
  167. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 私からその行革審がどうあるべきかといったことを申し上げておるんではなくて、NHKの性格というものを十分御理解していただくことが郵政省の仕事であると、このように考えております。
  168. 山中郁子

    ○山中郁子君 繰り返しませんが、先ほど申し上げました放送の不偏不党、自律、そうしたことに対して行革審の持っているその危険な全体の中での姿と同時にねらい、そしてそれがNHKと結びついた場合の、どういう事態の糸口になるかとい う点について、私は強く郵政当局にも、またNHK関係者の方にもお考えいただいておきたいというふうに思っております。  その次に、けさから片山、服部両委員からも、かなりの時間が使われて放送衛星の問題が論議をされました。私どももちょっとこの放送衛星の問題は心配をしているわけですね。その点について時間もたくさんあるわけじゃありませんので、なるべく重複しないように伺いたいのですが、午前中は事業団の方がお見えになってるいろんな故障の原因だとか今後の見通しだとかお話しになりました。私もそれなりにそれは承っていたわけですけれども、一応私がここではっきりさせたいと思うのは、いわゆるBS2bが、進行波管というのですか、予定の出力が出ないで、九〇%しか出ないで一〇%が足りなかったということが理由で予定どおり打ち上がらないできているわけですね、それが来年の一、二月にかけて打ち上げるということになったということなのですが、私もこういうことについて全然素人なんで、余り詳しいことはわからないんですけれども、つまり予想した出力の一〇%が出ないという予想外の結果になって、その問題の原因と解決が図られないままに、またこの打ち上げが行われるということなのですか。先ほど午前中からの議論を伺っていると、会長も郵政省の方も万全の措置をとってやるべきことは全部やったと、それで万全の措置をとってやっているというふうにおっしゃっていたように承ったんですけれども、その一〇%出力が足りなかったということについての原因が何であって、そのことについては解決できたんだということなのですか、そういうふうには承れなかったんだけれども
  169. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) BS2bの出力低下という問題がこの秋になって発覚いたしまして、その事実関係を私ども承知いたしまして、直ちにこれは非常に重要な問題であるということで関係機関が真剣にこの問題の今後の扱いについて検討に着手したわけでございます。今、山中先生指摘の原因が究明できたのかどうかにつきましては、百ワットの規格値のところを九十ワットしか得られなかったことにつきまして、宇宙開発事業団が中心になりましてその原因の究明を行ったところでございます。  技術的には難しいいろいろ表現やら問題点があるんですが、簡単に申し上げますと、進行波管、いわゆるTWTですが、これを熱真空試験を始めましたその最初の時点で、それまで大気中でやっておりました動作とは若干違った環境に投げ込まれたことによりまして、その温度の差が生じたということで、そこで微量の気体の分子の変化が生じたということに帰着するということがわかったわけでございます。そういった微量の気体の分子が放出されることはもちろん予見されていたわけですけれども、その予見された数値とそれが引き起こした結果との間に若干のずれを生じたということでございますで  ごく素人っぽく申し上げればそういうことになるわけでございますが、しかしながら、もしこれが衛星の機能そのものに支障を及ぼすようなことであると大変重大な結果を招くものでございますので、宇宙開発事業団がその点につきましては十分慎重な検査と検証を行いました結果、その気体分子の放出につきましても初期の段階を通り過ぎました後安定いたしまして、正常な状態になりまして、いわゆる平衡状態と称しておりますけれども、平衡状態に達した結果九十ワットの出力というところで、出力についても安定的な値が維持できるということが立証されたわけでございます。その後今日に至るまで九十ワットをさらに下回るというような現象は出ておりませんので、その点については事業団の分析どおり、そこで安定をしたというふうに言っていいかと思います。  これに対してそれでは措置ができたのかということでございますが、けさほど事業団の方からも申し上げましたように、九十ワットで出力としては安定的な状態になったものと引きかえに——引きかえにといいますか、それと他方、アンテナの出力が予定値を上回ってその衛星全体の総合性能としては所期放送衛星としての機能を十分満たし得るという結論に達しましたので、関係者間でそのようなNASDAを中心とした検討結果について合意をしたところでございます。
  170. 山中郁子

    ○山中郁子君 やっぱりもうひとつ歯切れが悪いんですよね。それじゃ最初の予測というのが間違っていたということなのですか。素人向きにおっしゃっていただいたことを私が素人の水準でお尋ねをするんですけれども、最初の予測がじゃやっぱり間違っていたということなんですか。
  171. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 私の説明が舌足らずで、最初の予測値より下回ったかというふうにお受けとめになったかもしれませんが、そうでございませんで、NASDAとしてもこのBS2aの故障にかんがみまして、中継器の動作状況については特に注意を払って、その部分に注視を払って、いわゆるフォーカシングをして、そこのところを特に分析してきたわけでございますけれども、中継器の製造メーカーであるトムソン社でございますが、トムソン社の出荷データより実験の途中において出力が若干低下しているんではないかというような状態が実験の途中において生じたということでございます。したがって、それからさかのぼって特にその部分に集中的に分析を行った結果、今申し上げましたような原因が判明したということでございます。
  172. 山中郁子

    ○山中郁子君 だからちょっと端的に教えてほしいの。要するに、最初の見通しが間違っていたという結論になったということですか。それで合意されたということですか。最初の予測ですね、百出るはずだったというその予測自体が間違っていたというふうな結論だということですか。そうでないと、何となくそれはそうで外れたんだけれども、ほかのこういうことでアンテナの方の出力でカバーすればできるんだよとか、そういうことだとちょっと歯切れが悪く感じて私は不安が残るだろうということを考えている。というのは、ちょっと私もそれじゃ素人論議で申し上げますけれど、例えばお金を計算するとき、本来ならば一万円あるはずだと、いっぱい細かいお金をかき集めて、あるはずなの。だけど、分けて数えてみたら一円だけどうしても多いというような、そういうケースがあるとしますね。そうすると、一円ぐらい、しかも余分なんだからこれはまあいいだろうと。それで例えば給与を分けるようなときにも、だけどその一円多いということは、何かしらやっぱり間違いがあるということなんですよね。どこかに間違いがあるからわずかな一円の余分でも、あるいは足りないのでも、その一円だけを考えればどうってことないんだけれど、だけどその全体の中に何か間違いがあるからそういう事態になるわけでしょう。本来なら一万円でぴったりいくはずなのよね。ということを、例えばお金の勘定なんかのときは原則としてしますよね。そういう意味で私は、あなたの方が予測が間違っていたということがはっきりしているのならはっきりしているでいいのかもしれないし、だけどそれも間違っていません、だけど解決はこうつくんですよ、だから打ち上げても大丈夫なんですよというと、やっぱり原因の究明は明確になっていないんじゃないのかなと思わざるを得ないので、この点についてはNHKの方にもちょっと御見解を伺っておきたいというふうに思っているところですけれど。
  173. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 今先生が大変わかりやすい例で述べられたんですけれども、もう少しわかりやすい例で申しますと、この放送衛星用のいわゆる中継器というのは、言うなれば全く新しい開発要素を非常に含んだものですね。したがって、じゃ百ワットをどうして決めたのかということになるんですけれども、これは、最終的には衛星の機能としては最後に出てくる電波の強さが我々が望んでいる規定値以上あれば受信者へのサービスに影響はないわけです。それがまず一つですね。それから、開発する場合に、いろいろなところで電力を上げたり下げたりするわけですね。上げたり下げたりしたら最後のところで電波になるわけです。そういうときに、例えば、我々がオーダー メードの洋服をつくるときに生地を裁断いたします。そのときにぴったりとは切らない。必ず生地を多目に切ります。そして仮縫いのときにきちっと体に合わせる。したがって、開発部門ではいろいろな要素を多少マージンを見ながら価を決めていく。それをやらないと必ずどこか行き詰まってしまうわけです。必ず、結果的に見て、開発ですから、最後にいろいろな要素で変動があるわけです。その変動のときに余りきっちりやるわけにはいかないから、今回はたまたま九十ワットに下がっても、いわゆるアンテナの能力が大変に高いものですから最終的なサービスには影響がない。要するに、開発にはそういう要素が常に伴うということもぜひ御理解願いたいと思います。
  174. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは、新しいものの開発にはリスクが伴うということは先ほどの御議論で何回も伺っています。だから、私が言っているのは、そういう範囲のものとしてなら最初から考えられたわけでしょう、だけれども、現実に一割方出力が思ったよりも少なかったために延ばしてきているわけよね。また失敗するんじゃないかというふうに思って延ばしていらしているわけでしょう。それが、あなたのおっしゃるように、単に一般論から言う開発に伴うリスクだったら、そんなのは最初から織り込まれているはずですよ。だからそこの。ところを私は申し上げている。  何でそういうことを申し上げるかというと、先ほどたしか片山委員もおっしゃいましたけれども、これがまた失敗するとそういう放送衛星というもの自体もそうですし、それから衛星放送という放送事業、そういうものに対する国民の不信感というか、やっぱりだめだなという、こういう感じにどうしても結びついていきますよね。そこのところの出発のところですから、やはり慎重に問題の究明ははっきりなすって、そして納得のいくところでおやりにならないと、やっぱり国民に対する責任は欠けるし、またかえってマイナスになっていく面をつくり出すのではないかというのが私の申し上げたいところなんです。  この点について会長からちょっとお返事をいただきたいのですが、あわせてやはり将来の問題としては、先ほどからも御答弁がありましたけれども、私もたしか五十八年、二年ほど前のこの委員会で新たに放送衛星の時代になったときに、単に、総合チャンネル、それから教育チャンネルを難視解消で出すというのだけではない、新しい国民のニーズにこたえた魅力ある番組づくりということも積極的に考えていくべきではないかというふうに申し上げた記憶がございますので、その点とあわせて会長お答えをいただいておきたいと思います。私の持ち時間ももう大分なくなりましたので、よろしくお願いをしたいと思います。
  175. 川原正人

    参考人川原正人君) 最初の御質問の点なんですけれども、私ども衛星の二号のaが御承知のような故障を起こしまして大変各方面に御迷惑をかけたし、国民期待視聴者期待も正直裏切らざるを得なかったということがありますので、今度予備機である2bが二度とこのような事故を起こしてはいけないということで、むしろ神経質になるぐらいにいろいろなことを慎重に点検してまいったわけでございます、  その最後の段階でやはり私どもがこの2bのいろいろな機械の諸要素につきまして、これの設計、発注、そして打ち上げを行っていただく開発事業団に対していろいろな仕様書といいますか、契約の中身を決めて、これをつくっていただきたいと申し上げたときに、確かに進行波管というのは百ワット以上の出力を出していただきたいと言ったわけです。それは、今技師長が言いましたように、進行波管だけでこの衛星放送のすべてが決まるのじゃなくて、いろいろな機械の要素を寄り集めまして最後は受信者の家庭に届く電波が一定の力がなければいけないということなわけであります。  いずれにしましても、そのお約束した百ワットが出てないということは、私も技術の専門家ではありませんけれども、これは軽々に見過ごすわけにいかないということで、またこのことが原因になって事故が起きては大変だということで、どうしてもこの原因といいますか、この機械を使って大丈夫なのかと。機械のことでございますから、まだ地上にあるんだから、幾つかの例を挙げまして、例えばこの進行波管というのは電力を余計通せば百ワット上がるんだそうです。ですから、その九十ワットしか出ていないものを場合によったら百ワット出るように調整することも不可能ではない、そういう調整することをしたらどうなるのか。それからもう一つ、全然その管を取りかえて、今まで何十本もつくっているわけですから、別のさらに残っていた予備の管と取りかえることはできないのか。それからさらに、思い切って全然新しくもう一回メーカーにつくり直させるということもできないのか。いろんなケースを開発事業団に具体的に質問の形で出しまして、その返事を求めましたところ、少なくともつくり直す等のことをしていたんでは、これまた何年かかるかわからない。それから、予備の管はあるけれども、今まで何十本の中を全部テストをして、一番いいのを選んでこれはきているということが一つ。ですから、予備の管を選んだ場合には、むしろその安定がかえって損なわれる心配もある。それからまた、その機械を一たん組み立てたものをばらばらにしてまた組み立てることによって、それじゃ今以上に確実性が増すかといったらこれも保証はない。それよりも、今の管はなるほど百ワットが九十ワットに下がったけれども、この種のものは何度も電力を通してテストをしているうちに、先ほど通信政策局長からお話ありましたように、ある種の金属の蒸気が出て、いろいろ管の中が変化をして、一定の安定をする場所があるんです。その安定した状態に今なっているんだ、そのなったときに出力が若干下がったけれども、むしろ、出力はともかくとして非常に今安定している状態にあって、これは宇宙に上げても大丈夫だと。むしろ、ここから先、素人っぽいですけれども、なまじっか今ここで手を加えるより、この安定した状態で、しかも最後に出てくる電波の力は十分に確保されているので、このまま上げるのが一番ベストだと。こういう事業団の御判断なので、我々としてはかなり執拗に、その点は実は数週間にわたりまして、時としてお互いに気分を損ねるぐらいまでの激しいやりとりもしましたし、何が何でも文書で返事をちょうだいしたいというふうな、やや形式的な私どもとしては議論もしまして、その上できちんと文書によってそういう開発事業団の責任ある回答をちょうだいしましたので、かつまた先ほど宇宙開発委員会が設けましたそういう専門家の集まりも、一応その判定がもっともであるという御判断でございましたので、もうこれは今の日本の私ども放送事業界あるいはそれを取り巻く専門家集団の最終的に一番これがベストだという御判断なものですから、これ以上は私どもはその判断を信頼し、了承したわけでございます。少し長くなりましたが、そういう経緯でございます。  それから、これから先の……
  176. 山中郁子

    ○山中郁子君 一言でいいですよ、それは。後の方は時間が過ぎていますので、簡単にお答えいただければ結構です。
  177. 川原正人

    参考人川原正人君) 一言申し上げますと、従来ここで私たびたび私どもの願望としても申し上げましたし、またいろいろその後の電波監理審議会等におきまして、新しい衛星の使い方についても一つの方向をお出しいただきまして、やはりその将来の衛星につきましては新たな放送技術の開発あるいは普及促進に役立つようなことも考えるべきであろうということも御判断をいただいておりますし、私どもできるだけそういう方向を目指して物事を進めてまいりたいというふうに今は考えております。
  178. 山中郁子

    ○山中郁子君 さらにお伺いしたいことがありますが、時間が過ぎましたので終わります。
  179. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 まず放送大学についてお尋ねをさしていただきます。  大学開校以来、なかなか評判がいいようでございます。  文部省の方、来ていただいておりますね。——現在の学生数、それから応募状況ですね。さ らに発足以来、今日に至るまでの評判といいますか、国民の皆さんにどの程度御理解を受け、かつ、大学でございますから教育の実が上がらなければいけませんが、その実際の教育効果というものは上がっているかどうか、そういった評価についてお伺いをいたします。
  180. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) 放送大学は、お尋ねのようにテレビとかラジオを中心とします多様なメディアを使いましての高等教育でございまして、開学いたしましたのはことしの四月でございますけれども、おかげさまで大変希望者が多うございまして、現在の状況を申し上げますと、ことしの四月に第一期の学生を受け入れましたけれども、現在第三学期の授業を行っておりますが、その学生数は一万六千六十七人でございます。  内訳を申し上げますと、全科履修生が八千八十九人、選科履修生五千八百三十九人、科目履修生七百九十人、特修生一千三百四十九人となってございます。  それで、このような規模で現在やらしていただいているわけでございますけれども、その効果いかんというお尋ねでございますが、これはなかなか一言で申し上げるのは困難な点ではございますけれども、その授業、教育に携わっておられる先生方の感想などを集約いたしますと、非常に熱心であるということでございます。開設しておりますカリキュラム自体が大変生活に密着していたり、あるいは国民の要望にこたえているという面があるのかもしれませんけれども、大変熱心でありまして、大学での授業の経験よりはむしろ熱心な社会人たちの反応があるということでございます。効果につきましては、したがいまして個人個人がどれだけその授業をとることによって満足したかということではかるべきと思いますので、その点につきまして精細な調査というのは、まだいたしておりません。しかしながらそういう点、あるいは先般授業の結果につきまして試験をいたしましたけれども、その通過率等を見ましてもかなりの好成績でございまして、その意味では効果を上げているものと考えております。
  181. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今一万六千六十七人とおっしゃいましたけれども、何人応募があって、その中からおとりになったか。それとも応募なさった方は全員採用なすったんですか。
  182. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) 出願者が一万九千百八十八人でございまして、書類の不整備等状況でやむなく合格にできなかった方を除きまして、ほとんど全員合格されまして、一万八千六百五十人、ことしの四月には受け入れたわけでございます。現在は一万六千余名でございます。
  183. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 この間、新聞を見ていましたら、その学生さんの年齢に大きなばらつきがあるようですね。大分御年配の方もいらっしゃるようですね。そういった皆さんに、どうなんでしょうか、画一的なカリキュラムの編成で、非常に若い方もいらっしゃるし、もう七十歳以上の方もたしかおいでになると思うんですね。それで十分対応はできるんでしょうかね。
  184. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) おっしゃいますとおりに、年齢層を見ますとかなりばらつきがございます。むしろ、これは当初からそのことを期待していた面があるわけでございまして、国民の興味、関心に広くこたえていくという角度からは授業科目そのものをかなりバラエティーを持った形で進めております。したがいまして、その人の年齢段階なり職業あるいは性別等、いろいろなバラエティーの各層が利用し得る科目をそろえております。したがいまして、一つの授業につきましては一人の講師がお話し申し上げるという形ではございますけれども、いろいろなとり方がございます。また、その興味によりまして、その授業の中での授業内容を深めていく方法もあるわけでございます。したがいまして、放送大学そのものが持ついわば一つの番組としての画一性ではございますけれども、利用の仕方そのものは大変多様になっているというふうに考えております。
  185. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そのカリキュラムですけれども、今多様とおっしゃいましたから、当然カリキュラムをつくる側でもいつも工夫が大切だと思うんですが、大切であると同時に、実際にこの編成をしていく場合にいろいろ御苦心があると、こう思うんですが、どういう授業内容でこのテーマを取り上げるというようなことは、教授会議といいますか、あるいはそれに文部省も加わっておやりになっている。どういう仕組みなんですかね。
  186. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) 教育課程の編成そのものはいわば放送大学の死命を制するような中身でございます。したがいまして、一番いい方法ということで今日とられておりますものが、放送大学の中に放送大学の教授たちによって構成されます教育課程編成会議というのがございますが、これは文部省は参加しておりません。そこで、広く部会等もございまして、専門家たちが審議をいたしまして教科の科目、内容、指導方法等につきまして審議をされて決定しているということでございます。
  187. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうしますと、教育内容そのもの、まあその教科課程の作成も含めて、それには文部省は一切発言も、まあ言葉は悪いですけれども、介入もされていないわけですね。
  188. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) 放送大学、大学でございます。カリキュラム自体は大学の関係者によってつくられているわけでございます。
  189. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 この法律案が審議されておりますときに私は指摘したことを覚えているんですけれども、学生の側からこれを見ますと、やはりその大学に一つのあこがれがありまして、例えば同志社大学だったら、これは新島襄さんがおつくりになった学校で、良心の全身にみなぎる青年よ、集い来れ。慶応なら慶応と、それぞれの校風というものがありますね。そういうものにあこがれて若者がそのキャンパスに行くということは、やっぱり大学教育の非常に大事な面は実際にその大学へ行って、そして常に教授と接触をし、いい友達をつくり、その大学のキャンパス内でいろいろなクラブ活動等もやって、そこで副次的な教育の効果というものが上がっていくし、また人間形成もできるんじゃないかということを私は指摘したことを覚えています。それが放送大学の大きなウイークポイントになるんじゃないか。だから、いわゆるスクーリングというんですか、それが非常に大事なことであると、こう思うんですが、その辺は現在、発足まだ日も浅いですけれども、どのようにしていらっしゃいますか。
  190. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) 授業科目のうちの約三分の一の科目につきましては面接授業でございます。これに関しましてはそれぞれ各地域に学習センターが設けられておりまして、学生はそこに所属いたしております。その所属している学習センターに隔週五回ぐらい出まして一単位をもらえるわけでございますが、そういうことで面接授業を利用するという形でコミュニケーションもあるわけでございます。私もある学習センターでの授業風景を見ましたけれども、これはかなり通常の大学とは違って、いろんな年齢層の方が参加しておられますから、極めてフランクな形での教授との交流を見ることができました。確かに大学教育、特に私学の場合には建学の精神というもので学校が成り立っている面がございますけれども放送大学そのものは今日のメディアを利用したという形で、そういう従来の形態の大学の場合には参加できなかった方々が参加できているという面ではプラスの面があるのではないかというふうに考えております。
  191. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大体において発足以来非常に運営もスムーズにいって、たくさんの皆さんが放送大学を通じて勉強しよう、そういう気持ちに燃えていらっしゃるということがわかって私も安心をいたしましたが、ただ私は大阪なんですけれども放送エリアが今のところ関東に限定されているわけですが、これはNHKにお尋ねいたしますけれども、どうなんでしょうね、ここまで発足してからは放送面での技術的な点で問題はなかったのですか。例えば、放送衛星じゃないですけれども、こういうことで事故が起こってその日の授業が中止になったとか、そういうようなケースはこれまで ございませんでしたか。技術面での問題はなかったでしょうか、これまで。
  192. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 放送大学の放送が中断したりというような、そういう事故はありませんでしたが、ただ放送を開始した当初、ほかの放送受信に対する受信障害というようなことがございまして、これは放送大学側でその対策をとって、すべて対策済みでございます。そういうことがございましたが、大学の放送が技術的な問題で中断したというようなことは聞いておりません。
  193. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今後のこの受講範囲といいますか、放送の言葉で言うとサービスエリアの拡大ですね、この拡充計画はございますでしょうか。
  194. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 放送大学は我が国初めての試みでございますので、しかも大変大きな意義を持つプロジェクトということで、放送の対象地域を全国的な規模に拡大していくということは大変重要な問題と考えますけれども、第一期計画、これは昭和六十年度から六十三年度まででございますが、その第一期計画における実施状況等諸般の事情を考慮しながら、関係機関においてその拡大ということについての検討がなされるものというふうに考えております。
  195. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ほかにもいろいろお尋ねしたいんですが、時間がありませんので、どうも御苦労さんでございました。これからも大いに頑張ってくださいますようお願いを申し上げます。  年の瀬が迫りまして、毎回私同じことを聞いているような気がするんですが、いよいよ「紅白歌合戦」の季節でございます。私は大阪で今自分の番組持っておりますけれども、もう投書が殺到して、その投書の大部分が、なぜこの人が入ったんだ、なぜこの人が落ちたんだ、こればっかりなんですな。それはやっぱり一つの世論でございますから、やっぱり十人のうち七人がこの人が入るのはおかしいと言っている人は、やっぱり私はおかしいと言わなきゃいけないと思うんですね。だから、その点において、「紅白歌合戦」というのは今や国民的大行事でございますから、単にそれはNHKの一番組と言っては過ごせない面があると思いますからお尋ねをするんですけれども、この「紅白歌合戦」の出場メンバーの選考基準をひとつ簡単に明快にお教え願います。
  196. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 「紅白歌合戦」が始まりましたのは昭和二十六年の一月三日でございますから、もう三十五年になります。この間、前半の十数年はNHKの中で年末年始の特集番組という、いわばプロデューサーの企画で人選をしておりました。それが昭和四十年ごろから、それでは今先生のおっしゃるように国民一般が納得しない、NHKが密室の中で選んでいるんじゃないか、こういうことが疑いを持たれて、大変よろしくないということで、選考の方法をきちんとした形にしようというふうにいたしました。  一つは、データを集めることにいたしました。それは、世論調査所が三千六百のデータをもとにして全国にランダムに調査票を出しまして、それで集めるものでございます。それからもう一つは、一万人アンケートといいまして、これは視聴者会議そのほかNHKの主催します会議そのほかで、全国一万人の方々からアンケートをいただく。それから第三の方法は、全国NHK放送部長、営業部長が主になりまして、その地域の人たちの世論動向みたいなものをデータとして集める。それからもう一つありまして、これが視聴者センターというところで集めるデータでございます。そういう幾つかのデータを合わせて一覧表にしまして、それを最終的には視聴者ないしは有識者を入れました外部の方々の諮問委員会にかけまして、それで決定するというふうな仕組みになってお帆ます。
  197. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その中に、よく言われることに、NHKに対する貢献度が非常に大きく左右しているんじゃないかと。これはやっぱりそうなんですか。
  198. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) いわゆる貢献度のようなものをデータに入れたことはございません。おそらく、そういうようなことが言われるのは、最終的な諮問委員会の席上で、NHKに出ている人が有利だみたいなことを言われたことがあります。ですから、そういうことが最後まで残っているんだろうと思いますけれども、現実には貢献度そのほかは全く関係なし、専らその年に歌の部門で活躍した人、実績のある方というようなことを基準にしてやっております。
  199. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 しかし、私は実名を挙げませんけれども、その年度に活躍したって、今度選ばれた人の中にも、ヒット曲も全くないし、何にも活躍してない人が確かにいますよ、それは、名前言いませんけれども。だから、おかしいじゃないかと、こう言われるわけでしてね。どうでしょう、そういった諮問委員会も含めて、その選考経過をひとつ思い切ってNHKがビデオテープにおさめて、このようにして決まりましたということを天下に公表するつもりはないですか。そうしたらそういうことを言われないで済むわけですから、それはいかがでしょう。そういう計画はございませんか。
  200. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) そのようなことも考えてみたこともあります。ただ最後のところは、個々人の歌手のことについていろいろな議論が出ます。それを、いわゆるプライバシーでもないですけれども、余り公にするのはどうだろうかというふうな歌手の側からの意見もございまして、今のところそこまでいっておりません。
  201. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今考えてみたこともありますとおっしゃることは、そういうふうな世論があることをNHKさんも気にしていらっしゃるからそういうことを検討してみたこともあると、こう言われるわけですから、それはやっぱり余りそういう批判が高ければ、そういうこともさらに今後の検討課題とされた方が私はいいんじゃないか、こう思います。  さて、「NHK特集」という番組NHKにはございます。私はNHKのたくさんの番組の中で最も好きなものの一つでございます。ただこのタイトルが「NHK特集」、もうこれは愛宕山時代を一歩も出ないような、実にやぼな生硬なタイトルでございまして、もう少し気のきいたネーミングというものが番組についてあってもいいんじゃないかとも思いますが、しかし「NHK特集」とさえつけておけば、これは何をやってたっていいわけですから、NHKが特集を組むわけですから、そういう点ではこれでもいいのかとも思いますね。  今日、軽薄短小の時代と言われております中で、「NHK特集」の番組内容そのものは実に重厚長大でありまして、非常に取材を深めてすばらしいものが多い。このことは私、大いにほめさしていただくといえば恐縮でございますが、敬服に値する番組である、こう申し上げて、十一月二十五日に放送されました「電波のかなたのニッポン」、これを拝見いたしました。あの中で、例えばアフリカ、インド、インドネシア、アフリカなんか、あの「NHK特集」見ていましたら、四輪駆動の車に乗って長時間走り続けてやっと発見した少年が一生懸命国際放送を聞いているわけですね。本当に私、深い感動を覚えると同時に、さあこれ、例えば大使館の人がアフリカの奥地やインドネシアや、そういうところへ行って、日本に対する理解を深めるよりも、あるいは膨大なパンフレットを発送するよりも、まさに電波というのは瞬間にしてどんなところへも到達するものですから、我が国の理解を深めるためにもすばらしいなということを感じました。ただ、あの番組の最後のところでシミュレーションというんですか、何というんですか、地図を出しまして、例えばソ連、アメリカ、イギリス、こういった国の出力と、その出力に従う電波の到達範囲ですね、サービスエリアといいますか、それの非常によく聞こえるところ、かなりよく聞こえるところ、余り到達しないところというふうに色分けで図示しておられました。それを見て本当に驚いたんですが、我が日本の国はああいったソ連とかアメリカ、ヨーロッパの国に比べて全然だめなんですね。驚きました。我が国の国際放送はこれだけ深い支持を受けながら、実はこの程度のものなのかと、こうびっくりしたんですが、今これ大ざっぱな比較で結構ですけれども、 例えばソ連、アメリカ、イギリス、こう比べて、我が国と国際放送の電波のサービスエリア内の人口構成、この国際放送を何人の人が聞き得るかという、そういうデータがありましたらお教え願いますか。
  202. 林乙也

    参考人林乙也君) 世界各国の人口加重の到達状況と申すような資料を現在のところ私ども持ち合わせておりませんですけれども、若干各国の国際放送の規模等について御説明申し上げますと、現在日本におきましては八俣の放送所から出力二百キロワットの送信機一台、百キロワット六台、五十キロワット一台という形で送信いたしておるわけでございますが、これに対しましてVOA、アメリカにおきましては五百キロワット六台、三百キロから二百五十キロワットが五十三台、百七十五キロから十キロワット程度が四十一台というような規模で短波による交信をいたしております。また、イギリスにおきましては五百キロワット二台、三百から二百五十キロワットが三十五台、百キロから二十キロワットが四十台というような形で国際放送放送いたしておりますので、これだけから見ましてもその状況というのには相当の格差があるということは否定できないところかと思います。
  203. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今伺いましたのは、その送信機、それはトータルいたしますと、大ざっぱに言ったら、どうなんですかね、VOAなんかと比べると十分の一ぐらいですかな。どのぐらいになります、合計いたしますと、送信機。いや、もういいです。——答えられますか。じゃ答えてください。
  204. 林乙也

    参考人林乙也君) 何分の一かというところまであれでございますけれども……
  205. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いや、数字だけでも結構ですよ。合計。
  206. 林乙也

    参考人林乙也君) NHKにおきましては全体で八台でございますが、これに対しましてVOAは百台、それからイギリスにおきましては七十七台というようなことでございますから、この程度のやはり割合ではなかろうかというふうに思います。
  207. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうすると、大ざっぱな比較でも約十分の一ですね、アメリカと日本と。日本のようにこれだけメディアが発達していて、世界じゅうの人に今や情報先進国として理解をされている国が、他の先進国と比べてこんなに差があるというのは、これはゆゆしい問題だと思いますし、それからこの間の「NHK特集」を拝見しておりましても、例えばインドネシアだったと思うんですが、村じゅうの人が集まりまして、短波受信機を耳に当てて必死になって聞いていらっしゃる。ところが、その日は雑音が入って全く聴取不能だったと、こういうことですね。それだけ期待をされているのに、その期待にこたえ得ないというのは私は大変残念なことだ、こう思うんですが、そこでNHKとしてはたくさんの人に聞いてもらうためにどういう計画を持っているのかというのを端的にお伺いいたします。
  208. 林乙也

    参考人林乙也君) 御指摘のように、国際放送につきましては我が国の文化、産業、その他の事情を広く紹介いたしまして、国際親善の増進あるいは外国との経済交流の発展に資する、あるいは海外同胞に適切な慰安を与えるというようなことで非常に重要な業務と私どもも認識いたしておりまして、特に短波による国際放送受信状況の改善というものが非常に重要な課題というふうに考えております。  NHKといたしましては、先ほどちょっと御説明を漏らしましたが、五十四年にポルトガルのシネスの海外中継局を借用いたしまして欧州、中近東向けに放送を中継いたし、また五十九年四月からはアフリカのガボンから出力五百キロワットの送信機を借用いたしまして、一日六時間、特に欧州、中東、北アフリカ向けに対しまして国際放送放送サービスをいたしておるところでございます。また特に、八俣の送信機の老朽化の中でこれを早急に改善しなければならないということも考えておりまして、既に五十九年から着手をいたしております。六十二年に完成ということで現在鋭意進めておるわけでございますけれども、完成の暁には三百キロの送信機四台、百キロワットの送信機四台という体制が実現するということになりまして、これによりまして東南アジアあるいはアメリカ東部、中近東向け、そこらあたりの受信状況は少なくとも先生ごらんいただきました「NHK特集」のあの状態からいたしますと相当改善されるというふうに考えておるところでございます。
  209. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大臣ね、私その「NHK特集」見ましたときに、NHKが呼びかけまして国際放送受信している皆さんに日本に対するイメージを絵にして送ってくれと、こういうことだったんですね。もう本当に世界じゅうの皆さんから日本についての印象を絵にしたものを送ってこられたんですね。おおむね正しい理解をいただいているようでなかなか頑張っているなと、こう思ったんです。したがいまして、私が考えるのに、まあ中曽根総理大臣が外国へ行かれたり安倍外務大臣が外国へ行かれて外交の実を上げていただくのも大いに結構ですけれども、これはどうしても政府関係者でありますか、いわゆるお偉いさん同士の話し合いになるわけですね。それは国民相互の広範な相互理解というものの増進には端的には役立っていないと、こう思うんですね。まさにそういう場合にこの国際放送を拡充強化していくことが我が日本の国を世界じゅうの人たちに親しみを持っていただく何よりの端的な手段である、こう思うんですね。  したがいまして、予算上の措置についてもこれは大いに郵政省としても御配慮をお願い申し上げたい、こう思うんでございますが、この国際放送につきまして、大臣のその点につきましての御見解をお伺いいたしたいと思います。
  210. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今日ほど我が国の考え方、事情を正しく諸外国に理解していただく必要性が高くなってきたという時期はないと思います。そういった意味からも、今先生指摘のような国際放送重要性というものがますます増大してまいりまして、その充実は重要な課題であると、このように考えます。  予算的にも国際放送の交付金、極めて厳しい財政の中ではございますけれども本年度と同額を六十一年度概算要求いたしておる、こういうようなことでございます。  既に今NHKの方から御説明ありましたように、五十九年から四カ年計画で八俣の送信所の拡大、拡張、三百キロに持っていくという工事が始まっておりますし、そのほかそうしたガボンとかそういったところの中継局もあるわけでありますが、さらにそのほかにアメリカ、米州大陸それからアジア地域、これに対します中継局というものもやらなければならないというので、現在海外中継局の確保に外務省を通じましていろいろ、また調査団を派遣したりして、パナマだとかあるいはタイだとか、そういったところについての今いろいろ話し合いを進めて、こうした点の中継局の面でも万全を期していかなければならない、このように考えているところでございます。
  211. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ありがとうございます。  ただ大臣、今この国際放送の拡充強化は非常に喫緊の課題であって、これは政府としても郵政省としても大いに力を入れなければいけないと、こうおっしゃっていただきましたので、したがいまして、予算の概算要求は六十年度をはるかに上回るものを要求しておりますと言っていただけるかと思いましたら同額と、こうおっしゃいましたね。今年度と同額では前段の大臣の御発言とやや背馳する点があるかと思いますので、またひとつ厳しい財政状況ではございますけれども、この点につきましても格段の御配慮を要望申し上げまして私の質問を終わります。
  212. 田英夫

    ○田英夫君 前回の委員会で、大変しつこいようでございますけれども、以前から主張してまいりました電波法の第四条、十三条ということのかかわりの中で、電波行政、放送行政における民主主義の問題について主張を述べさしていただきました。そういう中で、電波監理審議会というものが郵政大臣の諮問機関として設置をされている。放送の免許、再免許は郵政大臣の所管事項である、権限であるということになっているけれども、電波監理審議会があるので民主主義的に問題はないと思うという意味の御答弁がありました。そこで私は、それならば電波監理審議会の審議内容を公表すべきであるということで議事録を資料として提出していただきたいということを申しましたところが、担当局長から従来それは出したことがないので出せないというお答えがありました。  私は、国会という、あるいは逓信委員会という立場からすれば、国民に選ばれて電波行政、放送行政について国民の立場から、民主主義的な立場から内容審議するというそういう性格からしてどうしても納得ができません。前回は大臣からのはっきりした御答弁がありませんでしたので、この際まず郵政大臣に電波監理審議会の議事録をこの逓信委員会に提出していただくという私の要望についてお答えをいただきたいと思います。
  213. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 電波監理審議会というのはそうした法律に基づきましていろいろ御審議をいただく機関であるわけでありますけれども、電波監理審議会自体でおつくりになっております議事規則というようなものがありまして、そしてフリーな、何といいますか、発言というふうなものを確保するという点から、そうした議事録の公開、議事の公開という問題につきましても非公開という形でやっておるというふうなことじゃないかと、私はそういうふうに想像いたします。その辺のところで、公開いたしますとやはりいろいろなことで自由な発言というものがしにくくなるというふうな問題があるんじゃないかと思いますが、そういう意味におきまして恐らく議事録も公開できないんじゃないかと、このように想像するわけであります。  いずれにいたしましても、そうしたことの電波監理審議会そのものが委員国会で御承認いただいて、任命された方々が御審議をいただくという形をとっておりますので、そうした方々の御意見というものは私はやっぱり尊重しなければいかぬじゃないか、このように思うわけでございます。
  214. 田英夫

    ○田英夫君 確かについ先日も二人の委員国会承認したという直後でありますが、今の大臣の御答弁を伺っているとますます納得ができないんであります。人ごどのような御答弁でありますけれども、きょうは今大臣からそういう御答弁をいただきました上に立って委員長にお願いがありますけれども、このことはこの逓信委員会の名誉にかかわる問題であります。国民にかわって電波行政、放送行政の内容について審議をする、これに対して放送行政の中で最も重要な大臣の免許、それに諮問を受けた電波監理審議会の審議内容が公にできないというようなことであっては、国会の権威、逓信委員会の権威にかかわる問題でありますから、これはぜひ理事会において検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。よろしゅうございますか。
  215. 大森昭

    委員長大森昭君) 田君提案に基づきます理事会預かりにしたいと思いますが、後日また御連絡いたします。
  216. 田英夫

    ○田英夫君 この問題については理事会にお願いをいたしまして、次に既に朝から出ている問題で恐縮ですけれども放送衛星の問題であります。  BS2bが来年の二月ころにも打ち上げられるというふうに聞いておりますが、本来放送衛星は難視聴対策ということで始まったわけですが、故障というような残念な状況がありまして、その後期待どおりの放送ができていないようでありますが、念のため現在の状況を伺っておきたいと思います。
  217. 林乙也

    参考人林乙也君) 五十九年の一月二十三日にBS2aを打ち上げたところでございますけれども、その後進行波管の三本のうち二系統に異常を生じまして、現在一系統によりまして試験放送によって実施いたしておるところでございます。
  218. 田英夫

    ○田英夫君 BS2bということになれば次はBS3と、六十五年ごろというふうに伺っておりますけれども、当然その段階でどのくらいの受信者が出るであろうかというようなことも既に見通しを立てておられると思います。六十五年と言われるBS3の始まる段階で果たしてどのくらいの受信世帯があるというふうに、現在の数とその時点での予想数というのをどのくらいに見ておられるか、現在の数は世帯数で五千幾らと聞いておりますが、比べていただければと思います。
  219. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 放送衛星受信機の普及でございますけれども、今お話のありましたように、現状は六十年の九月末で把握しております受信世帯の数は五万七千五百でございます。それから、将来この普及がどういうふうになっていくかという見通しにつきましては、いろいろな見方がございますけれども、我々としては大体年間に十万ぐらい、五年間で五十万というような普及を一応一つの目安としておりますけれども、そういう意味からいいますと現在五万七千ですから、大体普及状況は十五万であるべきところが五万七千ですから大体三分の一ぐらい、ちょっと普及がおくれているをという感じでございます。
  220. 田英夫

    ○田英夫君 まあ故障というようなことがありましたし、CATVの普及がなかなか進まないというようなことでおくれているということだろうと思いますが、少し先のことを予測し過ぎるかもしれませんが、しかしこのニューメディア時代と言われる中でBS3という状況になりますと、難視聴対策という段階を越えてかなり新しい衛星放送の時代に入るというふうに考えられますけれどもNHKとしてはBS3の段階になったときにどういうふうな構想をお持ちになっていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
  221. 林乙也

    参考人林乙也君) 放送衛星は全国を一挙にカバーでき、また地上放送では期待できない高品質の音声及び画像放送が可能となるなどの特徴を有します新しい放送媒体というふうに今考えておるところでございまして、現在BS2につきましてはテレビジョン放送の難視解消に利用するほか、新しい放送技術の開発実験、その他将来の衛星放送普及に資する利用を図るという目的のもとにその計画を進めておるところでございます。そのBS3の段階におきましては、このBS2の目的を引き継ぐ、放送サービスを引き継ぐと同時に、今後の多様化する放送需要に対処していくということが現在構想されておるところでございますし、また、BS3の段階におきましては民間放送事業者の参入もあるわけでございますので、その点番組充実あるいは普及の促進等々によりまして、衛星放送事業というものが今後とも多様化、情報化の時代に向けて健全に発展してまいるように、私ども、民間放送事業者ともいわばある意味では、何といいますか、競合的な関係もあるかもしれませんが、むしろどちらかといいますと、お互いに衛星放送事業に携わる者として密接な協力を保ちながら進めてまいる必要があるのではなかろうかというふうに考えております。
  222. 田英夫

    ○田英夫君 具体的に番組は、NHK衛星放送のチャンネル二つについては、大体どんなことを考えておられますか。娯楽とか教養とかいう意味でですね。
  223. 林乙也

    参考人林乙也君) 具体的に番組の編成を個別に明らかにできるというような状況ではございませんが、現在BS2におきましても難視解消目的とすることを基本としながらも、編成におきましては、例えばアンコール放送あるいは先行放送というような、番組の編成に工夫を加えることによって普及の促進を図っていく必要が今後あるのではなかろうかというふうに考えておるところでございますし、また、特にBS3の段階になりますと、いよいよ「ハイビジョン」の実用化というのが放送事業における大きな段階に入っていくのではなかろうかというように考えられるわけでございまして、そこらの新しい情報メディアといいますか、新しい放送サービスというものをさらにどのような形で取り入れていくかということが今後の私どもの検討課題ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  224. 田英夫

    ○田英夫君  「ハイビジョン」という話がありましたけれども、もうそろそろかなり具体的に衛星放送らしいといいましょうか、難視聴ということ を乗り越えた後の独自の放送内容というものを当然御検討になっていらっしゃると思うんですが、今のお答えはその点にまで突っ込んでおられないんですが、相当もうお金をかけることですし、また新しい時代にふさわしいものを考えなければならないという意味で、今のようなお答えでいいかなという気がいたしますが、もう少し具体的に言っていただけませんか。
  225. 林乙也

    参考人林乙也君) 先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、BS2aがこのような状況でございます。BS2bを来年の冬季、一、二月期に打ち上げるわけでございますけれども、その打ち上げ後の信頼性、安定性というものを十分確認した段階で、NHKといたしましては本格的な放送サービスの充実に取り組んでいかなければならないというふうに考えておりますし、またそのことによってBS2、BS3へつなぐ衛星放送普及というものが考えられるといいますか、可能になるのではなかろうかというように考えておるところでございます。  当然その段階におきましては、ただいまも申しましたように、編成上の工夫ということを強力に進めなければなりませんし、また、本当に衛星放送受信者が受益感を持ち得るような番組というものを放送することによりましてNHKといたしましては、将来衛星放送受信者からそれにふさわしい料金をいただくというようなことも今後の検討課題としては取り組んでいかなければならないだろう。いずれにいたしましても、衛星放送放送普及と、番組充実と、それからいわば受益感をもたらすようなそういったサービスというものが三位一体的に進められなければならないというふうに考えておりまして、具体的にこの番組をどうということまで御説明できないのは大変申しわけない次第でありますけれども、私ども基本的な考え方を以上のように御説明させていただく次第であります。
  226. 田英夫

    ○田英夫君 今いわば別料金、衛星放送料金というようなことにちょっと触れられましたけれども、BS3を打ち上げるための費用というのは、またこれ、この前もNHKが、三百六十億ですか、負担されたというようなことで、NHKとしても負担がBS2aのときよりもかなりまたふえるだろうと思いますね。そういうことも含めて、その打ち上げのための予想費用とそれから今触れられた別料金という問題については、かなり現実的な問題なのか、具体的にそういう方向に進もうとしておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  227. 林乙也

    参考人林乙也君) 衛星放送のBS3につきましては、総額におきましておよそ七百九十億程度の打ち上げ開発費が必要ではなかろうかというように見込まれておるわけでございますが、このうち利用者といたしましてその六五%を負担し、さらに民間放送事業も一チャンネルを利用するということになりますので、六五%のうちの三分の二というものをNHKが負担することに相なろうかというように考えられるわけであります。およその総額は三百四十億程度ではなかろうかというように現在想定されておるところでございます。  そういうような状況のもとにおきまして放送衛星がその開発の成果を国民にやはり還元しなければならないという大きな責任があると私どもといたしましては考えておる次第でございます。BS2の段階におきましては難視聴解消を主たる目的といたすわけでございますので、その段階におきましてはやはり現在の地上波によるサービスを受信していただいております受信者との総合的な料金によって賄わざるを得ないというふうに考えておるわけでございますけれども、BS3以降程度のそういった段階に至りますならば、あるいはその前の段階におきましても、やはり地上波の放送受信者とそれから衛星波の放送受信者につきましてはある程度の、何といいますか、受益者負担的な考え方も取り入れるべきであるというようなことがやはり受信者の側からの声としても求められるのではなかろうかというように考えておるところでございます。  そういうようなことで、あくまでもNHKといたしましては受信料制度の中における料金体系として考えていかなければならないというふうに考えておりますけれども、その体系のもとにおきましてはいろいろな工夫あるいは措置の必要があるのではなかろうかというように考えておるところでございます。
  228. 田英夫

    ○田英夫君 このBS3の段階になると民間放送に割り当てがある、既に申請が出ていると聞くんですけれども、どのくらいの件数の申請が出ていて——そのたくさんの申請が、十四とか申請が出ていると、それが現在もうかなり絞られてきているという話を聞くんですが、これは郵政省の方の問題になるかと思いますが、このBS3における民間放送の申請の状況というのを教えていただきたいと思います。
  229. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 放送衛星の三号、BS3を利用いたしましてのテレビジョン放送を実施したいと、こういう申請が昭和五十八年の九月三十日までに十二件出されまして、これを一本化ということができまして、五十九年の十二月に日本衛星放送という株式会社が設立されたわけでございます。
  230. 田英夫

    ○田英夫君 この日本衛星放送は朝日とか読売という新聞社が中心的に加わっているというふうに伺いますが、それで間違いありませんか。
  231. 森島展一

    政府委員(森島展一君) この日本衛星放送株式会社には非常に幅広い企業、今おっしゃいますような、マスコミでは朝日とか読売も含めまして非常に企業の各層からの参加があって一本化され、設立されたものでございます。
  232. 田英夫

    ○田英夫君 ちょうど大臣が残念ながらおられないんですけれども、大臣にぜひ聞いていただきたいことなんですね。私が年来主張してきた電波法四条あるいは十三条というかかわりの問題にここで触れてくることになるわけなんです。  どういうことかといいますと、非常にこういう場で率直に申し上げますが、朝日、読売といえば日本における最も大きなマスメディア、ジャーナリズムの、しかも活字媒体のジャーナリズムでありますが、こういうところが今回の衛星放送の申請をしたと。で、一本化ということの中で朝日、読売という最も大きな活字媒体の新聞社が中心になって一つの日本衛星放送という株式会社をつくって、それが放送することになると、こういうことなんで、何でもないようにお思いになるかもしれませんけれども、その日本衛星放送に免許を与える権限はまさに郵政大臣がお持ちになっている。電波監理審議会に諸問するといっても、率直に言ってこれは形式であります。そうなってくると、私が従来から懸念をしておりました放送という、国民に対して真実を知らせるという、そういう仕事をする放送局というものに対して郵政大臣という権力がこれをコントロールすることができると。そう言うと言い過ぎのようにお聞きになるかもしれませんけれども、現にテレビ朝日でああいうやらせの問題が起きました。まことに遺憾なことであります。で、前回の委員会でも申し上げたとおり、それを郵政大臣が電波法四条に基づいて、あるいは十三条の再免許ということを控えてテレビ朝日の社長を呼んでおしかりになった。私は言論の自由という立場からあってはならないことだと前回も申し上げたわけであります。ところが今回は、さらにこの問題は枠が広がってくると。つまり、放送に比べて権力からの介入が建前上なかった活字媒体の側にまで権力が及ぶことになると。しかも、今言いましたテレビ朝日で最近そういうおしかりを受けたからかどうか知りませんけれども、ある国会議員に対して出演の依頼があった。ところがしばらくたってから、実は申しわけないが出演を中止していただきたいと。なぜならば再免許がおりるまでは国会議員を出演させて政治にかかわるような放送をしない方がよろしいという社の幹部の判断があったんだと、こういうことが現にあるんであります。テレビ朝日の再免許については、報道によるどちらほらと再免許を与えないこともあり得るというような、そんなことまで言われただけに、電波法十三条に基づき再免 許ということを控えて、テレビ朝日はそういう態度をとらざるを得なかったという現実が一方である。もう一つは、この日本衛星放送というものに日本の最も大きな活字媒体の朝日、読売というものが加わったために、どうしても免許を受けたいという立場からするならば、郵政大臣に対して、郵政省に対して本来毅然たる態度をとるべき新聞社までがいわば頭を下げなければならないという事態が起こらないとも限らない、いや起こりつつあると私は感ずるんですよ。これは言論の自由という民主主義の本来の姿からして重大なことが起こるかもしれない、起こり得る。そういうことを私は懸念をしていたわけですよ。現にそれがそうなりつつあるということです。だから電波法四条、十三条は考えていただきたい、こういうことを、ちょうど郵政大臣が戻られましたけれども、改めてこのことで日本衛星放送の免許ということをめぐって感じます。  ここに記者の方もおられるかもしれませんけれども国会の場ですから私は自分の発言に責任を持って申し上げますけれども、私も新聞記者の経験がありますからよくわかりますけれども、各新聞社とも——通信社と申し上げた方がいいかもしれませんが、最近では特に郵政省の記者クラブに送る記者については非常に気を使うんですよ。私も社会部長もやったことがあります。経験から申し上げるんですね。今回この日本衛星放送というようなことにかかわりが生じてくると、実は新聞社、通信社もかなり申請を出したと聞いております。そういう中で郵政省の記者クラブに派遣する記者は郵政省の動きを報道をするという目的でキャッチすると同時に、郵政省が電波で放送で免許をするという方向についていろいろと気を使って取材をしなければならない。それだけにその記者は厳選をされるという事実があるんですよ。その根源を探っていくと電波法四条、十三条になる。これは決して私はこじつけの言葉ではないと自負をいたします。こういう問題があるからこそ、民主主義の原理に立って電波法四条、十二条というものを再考していただきたいということ宣言い続けてきたわけであります。決して架空のことで言っているわけではありません。  きょうは時間がなくなってしまいましたから一方的に申し上げて、答弁をいただくことは必要ありませんけれども、これはぜひ郵政大臣、郵政省の皆さんあるいはNHKの幹部の皆さんもこういう問題については十二分にお考えをいただきたい、このことを要望して私の質問を終わります。
  233. 青島幸男

    ○青島幸男君 ただいまの田さんのお話にもありましたけれども、民主主義というのは大変に合理的な制度でありまして、多くの人間の集合体として国が成り立ち、社会が成り立っているところからすると、その一人一人の人間の人間的な尊厳を尊重するというところに基本原則を置いて、しかも言論の自由、表現の自由、思想、信条の自由というようなものを基礎にして、その上にお互いの権益を尊重し合う、考え方を尊重し合うということででき上がっている制度でありまして、その意味では大変に人間的だし、多くの人間を幸せに導く制度だと思って私も心からこれを大事にしたいと念願しておる一人でございますけれどもNHK会長は、先ほどからもNHKは言論、報道を専らとする法律に基づく特殊な企業、まあ経営体であるというお話でございました。その線からしますと報道、言論機関であるとすれば、言論、表現の自由が大前提として確保されるということがなければ成り立たない仕事だと思いますけれども、その点はどのようにお考えになっておられますか。
  234. 川原正人

    参考人川原正人君) 私どもとしては放送法にもそのような規定がございますけれども、あくまで表現の自由を確保し、その中で健全な民主主義に貢献をしていくということが私どもの使命でございますけれども、前提としまして表現の自由あるいは報道、言論の自由、あるいはまたその中に包含されると思いますけれども取材の自由というものは最大限に保障されなければならないというふうに考えております。
  235. 青島幸男

    ○青島幸男君 大変頼もしいお言葉でございまして、私はその精神にのっとって御活躍いただきたいと本当に心から祈念するんでございます。  つきましては、今衆議院に提出されております俗にいうスパイ法案ですか国家秘密法ですけれども、これが今や日本国じゅうで議論の的になっておるということもよく御承知だと思います。この法案のよしあしについてここで論じようと思いませんが、この法案の持つ意味合いが言論、表現の自由を侵害するおそれがあるということで議論になっておることも御承知のことだと思います。つきましては同じように放送、言論を行っております新聞社あるいは民放連などがこぞってこの法案の成立あるいは法案のあり方に反対をしております。この場でNHK代表として会長がこの法案についてどうかというお尋ねをしても、お立場上、明確にこの法案について特定の言葉をお発しになることは避けられるに違いないと私思いますけれども、しかし今大前提として、一般論としてお話しになったことからすれば、もしこの法案、このスパイ法案、国家機密法に言論の自由を制約するような要素があれば、それは成立することは危険であるというお考えに基づかれると私は承知をいたします。  出先機関とか現場の方々たちも、制作現場におかれましても、監督協会とかあるいはシナリオ作家協会とかあるいは種々の団体あるいは地方の議会などで、最近ではこの法案の危険性に着目しまして、成立に反対をするという動きが方々で活発になっております。こういう問題が少しでも言論の自由を侵害するというようなことがあれば民主主義が損なわれるんだという危惧を皆さんお持ちだからこそ、真剣に考えられているからこそ議論の的になっていると思います。ですから、今会長にこの問題についてお尋ねしません。先ほど心情としてお述べになられた大前提を私も尊重しまして、もしこの法案にそういう危惧があるならば反対の立場をとられるに違いないという認識を持って、これ以上はお尋ねいたしませんが、どういう事態になりましても先ほど述べられた心情はお守りいただきたいというふうに念願をしておきます。  つきましては、放送番組審議会の問題もそうなんですけれどもNHKにおきまして経営委員会というのはNHKの意思決定の最高機関と伺っておりますが、この経営委員会の中でこの国家秘密法について論じられたことがあるかなしか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
  236. 川原正人

    参考人川原正人君) 経営委員会におきましては、この国会の場で、たしか六月であったと思います、この法案の問題が逓信委員会で取り上げられまして、私に対しても若干の質問がございました。その段階で法案の資料等を経営委員会にお出ししまして説明申し上げてあります。
  237. 青島幸男

    ○青島幸男君 毎回お尋ねしても拒否されるんですけれども、経営委員会の議事録あるいはどういうことが論じられたかという程度の骨子ぐらいはお示しいただいてもいいんではないかということで、他の同僚委員からもそういう要求が出ますと、各委員の自由な発言を妨げるおそれがあるので、それは御免をこうむりたいというお話でございましたが、どの程度議論されたかということについても御承知おきでしたらお話しいただきたいと思います。
  238. 川原正人

    参考人川原正人君) 青島委員に先回りされてしまった感じがあるんですけれども、経営委員会、これは私は正直言うと執行部から参加をしておりまして、私自身、経営委員会の構成メンバーではございませんので、経営委員会内容を子細に申し上げることはどうしても差し控えさしていただかなければなりませんけれども、率直に申しまして、この六月ごろの段階では、まだ内容について具体的に詳細に審議するという状況では私はなかった、そのときは、ということなので、主として私からの説明を申し上げたということでございますけれども、正式の委員会でないという場では、いろいろ各委員も御意見をお持ちのようではございます。
  239. 青島幸男

    ○青島幸男君 経営委員会の方々がこの問題につ いて真剣に調査なさる、あるいは、認識を深めていただきまして、お一人お一人が率直に経営委員会の場で十分に御議論いただいて、どう対処すべきかということを、何も外部に即座に発表せいとは申しません、経営委員会の性質上から。しかし、こういう問題が、あるいはこの格好の法案が、もし法律として成立したらばどうなるだろう、どう対処するだろうぐらいのことはきちんと考え、議論をしなければならない。それこそまさに私は経営委員会の主たる任務ではなかろうかと思っております。受信料体系をどうするかとか、放送内容をどうしようかと。近ごろ急速に進歩するメカニズムに対してどう対応しようかということも大変大事なことには違いありませんが、この放送国民にとってどれほど重大な影響を持つものか。しかも、言論、表現の自由というものをどう確保することが、NHK国民に信頼を得るか得ないか、NHK放送言論の機関として存立し得るかどうか、国民の信頼をつなぎ得るかどうか、それこそまさに危急存亡と申しますか、一番重大な根本的な問題だと思いますので、あだやないがしろにされるとは思いませんが、今私は会長にここで経営委員会でそのように論じてくれと、頼んでくれという筋合い、そういう話も筋違いかと思いますから、私の希望としてはそうお願いしたいと思いますし、そうあるべきだと思います。  私は、今提出されているようなこの国家秘密法というようなものが、もし現実日の目を見るようなことになれば大変重大な事態を招くと思いまして、私個人の意見としましては、絶対にこれは排除せにゃならぬもんだと私は私の立場で考えておりまして、これは質問の形をかりて私の見解と立場を明らかにするということで申し上げておるわけでございますので、お聞き流しいただいて結構でございます。立場を異にする方もおいでになりますから、それはそれでいいんですが、私はその意味で申し上げているわけです。この問題はこの辺にしておきます。  さて、先ほども放送衛星のお話がるる出まして、その中で、放送衛星による放送分は何か別の編成あるいは編集で、従来地上で行われている教育放送、総合放送とは別途のものが、より魅力的なものが放送されなきゃならぬというようなお考えをもしNHKがお持ちだったら、それはちょっと勇み足ではなかろうかと私、前回も申し上げました。もともと、この衛星による放送を開始することの主眼、当初の目的は、地上の手段によってはあかない切れない難視聴、経済的にも機械的にもなかなかなし得ない難視聴対策のために衛星を利用することが一番効率的であろうということで発足したのが衛星放送ですね、最初の目的は。それが、目的はそうだったんだけれども、実際でき上がってみるとかなり大きな可能性を持っておると。しかも、この可能性を追求して新たな工夫を加えていくことが、今後も電波を活用し、その活用することによって国民に利益を与えることができるとすれば、新しい工夫と技術をつぎ込んで、新しい分野として目覚めさせ、はぐくんでいかなきゃならないんじゃないかというお考えがあることもわかりました。しかし、それを現今できるからといって、同時に全くの別の一波と考えて別の放送をなさることは早計ではなかろうか。それまでに至るまでには国民の間のコンセンサスをもっと深めて、ああ、そういうこともできるのか、それならこうしてもらいたい、ああしてもらいたいという議論を積み重ねた上で、了解を得て行うなら結構でございますけれども、難視聴解消することを目的として始めたものなんだから、当初はそれにとどめるべきであって、それから先のことはまた別途お考えになったらいかがですかということを申し上げております。  しかし、今お伺いしますと、放送衛星というものを別途どんどん推し進めていって、果ては別料金を徴収してというようなお話まで進みましたので、おやおや、そこまでお考えになっているのはちょっと早計ではなかろうか。そこまでお考えになりますと、今までの電波体系というものを根本的に考え直さなきゃならないような新たな問題提起になりますから、それはちょっと勇み足ではなかろうかという気がしますが、いかがでございますか。
  240. 林乙也

    参考人林乙也君) 現在の衛星放送放送衛星2号におきまして、先生が御指摘のように、難視聴に対する対策を主たる目的とするということについては御指摘のとおりでございますけれども、それと同時に新しい放送技術の開発実験その他将来の衛星放送普及に資する利用を図ることが適当であるというような形で郵政省の方からいただいております免許方針の中にも示されておるところでございまして、私どもといたしましては、現在の点においては、その免許方針に沿って事業計画というものを考えてまいる必要があろうというように考えておるわけでございます。  ただ、BS3の将来の課題ということになりますと、これはあくまでも郵政省の方からいただきます免許に係る事項でございまして、その上で初めて実現されるものではございますけれども、同時に、NHKといたしましても取り組んでいかなければならない検討課題であるというような趣旨から御説明を申し上げた次第でございます。
  241. 青島幸男

    ○青島幸男君 研究開発とか実験は一向に構いませんと申し上げているわけですよね。しかし、それを放送の一波と考えて新たに衛星を使って受信料を別途取るぐらいの規模にまで考えて発展さしていくというのは行き過ぎだろうと私は考えますが、この点は大臣はいかがお考えになっておられますか。
  242. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 一面で例えば放送衛星に対します受信機を普及させるというふうな意味からいえば、魅力ある番組といいますか、そのようなことも当然考えられるわけであります。しかし、一面大変な大きな経費がかかる、こういうふうな問題もあります。そういうふうなこともありますので、そしてまた、NHK基本的な性格というところまで受信料制度の問題から考えますと発展する問題もありますので、郵政省といたしまして、現在御審議を願っておるんですが、ニューメディア時代における放送に関する懇談会というものを設けまして、そこでいろいろ御意見をちょうだいいたしております。こういったこともニューメディアの導入に当たってどのような料金体系とするかというふうなことについての御意見をちょうだいいたしておりますので、そういうものも十分伺って、慎重にこれは私は検討していくべき性格のものである、このように考えます。
  243. 青島幸男

    ○青島幸男君 技術的にできるからといって、できるのなら何でもやっちまおうというのは私は割合反対なんですよ。技術的にどの程度できるものか、その可能性を広げて追求して工夫を重ねていくという学術的な問題は大賛成です。しかし、できることは何でもやらなきゃいかぬという問題じゃないと思いますね。我が国だって、原子爆弾といいますか、核エネルギーによる兵器をつくろうと思えば技術的には可能だと思います。しかし、つくらない、持たない、持ち込ませないというのは我が国の良識だと思いますね。これは全世界に誇るべき私は良識だと思っております。それと同じように、できるから何でもつくってしまえばいいというようなことではないと思いますね。できるんだから何波でもできるんだ、だから新しい魅力ある放送をどんどんやれば受信機も普及して安くなるだろう、それを享受する一般の視聴者たちは大喜びだ、そう短絡に結びつくものではないと思いますよ。それだけおもしろい魅力的な番組をおつくりになる余裕があるんだったら、地上放送でなぜ文句の出ないような放送をおやりにならないのかということになりますね。今だって皆さん方、一生懸命魅力ある放送を享受していただくように誠心誠意取り組んでいらっしゃるわけでしょう。新しい一波ができてそれが使えるからといって、それ以上魅力的なものをって、それじゃ今サボっているのかという話になりますね。そんなに私は急いで先回りすることはないんじゃないかという気がしますね、実験を重ねられることは結構でございますが。  大臣の今の御答弁にもありましたように、今の 放送電波の電波行政を混乱をさせるようなところまで一挙に突っ走る、それはできるのは可能でしょう。幾つも衛星を上げれば何波でもとれるかもしれませんし、ますますこれは技術開発が進みますから、高品位テレビでも何でも普及させようと思えばできるかもしれませんね。しかし、ますます人間が嗜好も多様化し、趣味も多様化しなんて言いますけれども、実はつくっている方が多様化さしているというのが現実ではなかろうかと思いますね。そんなに一人一人の視聴者があすあさって取りかえなきゃならないような、確かに日進月歩ですけれども、そういう欲求がほうはいとわき起こっているからそれに従って新しい技術開発をするんではなくて、それは各社が自分の興味と良心に基づいてどんどん新しい研究を重ねておいででしょうけれども、それをあすすぐにというふうに、国民のニーズが多様化したからといって、実は多様化させているのはメーカーであり研究者であり、それによって利益を享受しようとする企業ですよね。ですから、常に趣味を多様化、好みを多様化させられてうろうろ経済的な負担を抱えながらさまよっているのは視聴者であり民衆であろうというふうに私は考えますけれども、しかし、これはやっぱり資本主義の発展原則からすれば一つの発展段階における避けられない動きなのかもしれませんけれども。私はニューメディアというものがどれだけの可能性を持ち、どういうふうに我々人間生活にかかわってくるのか想像もできませんけれども、テレトピア構想にしても何にしても、今、大体朝から晩まで何チャンネルもで放送されているものを、あるいはビデオをお持ちの方もおいでになるでしょうけれども、今はビデオデッキというビデオの機械が三世帯に二台ぐらいの割合で普及しているというふうに聞いていますけれども、実際にあの番組が見たいからといって録画はなさるけれども、果たしてそれをごらんになっている可能性がどのぐらいあるかというと、これは全く本を買ってきて積んでおくのと同じようですね。いつでも見られると思うとなかなか見ない、録画はするんだけれども見ないというような状況でして、それぞれやっぱり自分の家庭を支え仕事を支え、一日二十四時間しかありませんから、健康を維持するために寝たりふろ入ったりもしなきゃなりませんし、そうそう幾らメディアが発達したからといって、四六時中テレビにかじりついたりワイヤで送られてくる情報にかじりついているわけにいかぬのですよね。ですから、もうこの辺が限度なんじゃないかという気がしまして、これから先はごく限られた方々が限られた格好でお使いになるということにいくんじゃなかろうかと思いますね。  そこで、次なるお話に移るわけですけれども、文字放送がついに現実のものになったですね。すると、文字放送は文字放送を送る会社が別途できて、NHKさんは電波を貸すだけというふうに伺っておりますが、私の認識はそれで正しいんでしょうか、いかがでしょう。
  244. 川原正人

    参考人川原正人君) その会社に対しましては、電波を貸すというのか機械を貸すというのか、同じことになるかと思いますけれども貸す、そして、私どもとしてはそういう貸す借りるという関係になる。あくまでその会社は独立した法人、独立した組織でございますし、特に先ほどの御指摘もありましたけれども、やはりこれ一つのマスメディア、ジャーナリズムの一つでございまして、また当然自主的なお立場はあるだろうというふうに思います。ただし、物理的に機械を貸す借りるだけかといえば、やはり同時に、NHKの電波のすき間に入るし、もっと物理的に言えば、選択するときに一度一チャンネルというボタンを今の機械は押さなければならない。これが将来押さなくて済むような機械はできそうでございますけれども、今は押さなければならぬとすれば、そこにやはり私ども貸与する側の企業のイメージというものはあるわけでございます。また率直に申しまして、こちらは出資者としての参加もしておりますから、そこにはまた別の若干の協力関係というものは当然あるだろうと思います。
  245. 青島幸男

    ○青島幸男君 どうも具体的なイメージがわかないんで、下世話な話をして恐縮ですけれども、例えば航空会社とかあるいは運送会社ですね、トランスポーテーションをやっている会社、航空便がどういうふうにあってどのぐらいおくれているとか、あるいは空席がどのぐらいあるとかというのを情報として流すとしますね、パターンで。それを流して、例えばA航空会社の空席の状況をお送りしますと言って送ったら、A航空会社がスポンサーとなってその第三者機関、静止画を送る会社へ広告料として払うわけですか。
  246. 林乙也

    参考人林乙也君) 御指摘のように、第三者法人はNHK放送施設の一部を借りまして文字放送を行うわけでございまして、NHKとは別個のいわゆる一般放送事業者でございます。したがいまして、その経営に当たりましては電波料収入番組制作料の収入によって経営を行っていくということになるわけでございますし、また番組の編集等につきましても、その会社独自の編成方針に基づきまして番組をサービスしていくということになるわけでございます。  ただいまの御指摘のように、いわゆる電波料という形で番組を提供する、例えば日本航空なら日本航空というところの提供番組に対して電波料を、収入を得るという形になる点では御指摘のとおりでございます。
  247. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、一チャンネル押して総合テレビを見ておる人が、コンバーターですか、それも持っている。そのまま文字放送を見ますと、画面は文字放送になって日本航空の空席待ちのパターンが出ますわね。そうすると一般視聴者は、これはNHK放送しているんだという認識を得ると思うんですよ。そうすると、そこで、日本航空のツルのマークですか何ですか、そのマークが出たりあるいは社名が出るでしょうね。そうすると、NHKもコマーシャルを始めたのかという認識を持つ人が出てもこれ不思議じゃないという感じになりますな、その辺はいかがですか。
  248. 林乙也

    参考人林乙也君) まず、基本的に現在の位置づけでございますけれども、これはNHKの免許方式の中にも明らかにされてあるわけでございますけれどもNHK自体の行う文字放送につきましては、現在のテレビ番組に対する補完的な内容番組を主とし、第三者法人につきましては独立的な利用の分野についてそれを行うということというふうなことで大きく位置づけが分けられておりますし、また確かにNHK放送施設を賃借いたしまして、また電波に重畳して乗せる第三者法人の文字放送ではございますけれどもNHKの行う文字放送と第三者法人の行う文字放送については画面表示の上でも明確にそれが識別できるようにいたしておるわけでございますし、そういった措置の中で、これはNHKの文字放送ではないということが視聴者の方々にも十分認識していただけるような措置を講じてまいっておるところでございます。
  249. 青島幸男

    ○青島幸男君 しかし、それはだめなんじゃないですか。明確に区別がつけばつくほど、同じチャンネルを押しておるわけですから、NHKがコマーシャルを始めたという認識を、見ている方が得ますよ。
  250. 林乙也

    参考人林乙也君) 確かに現在のアダプターの状況からいたしますと、まずNHKの第一あるいは第三チャンネルを呼び出した上で文字放送に切りかえていくという形になっておるわけでございますけれども、私は、これからの将来の見込みでございますけれども、やはり文字放送が今後とも発展していくためにはアクセスの方法というのができるだけ簡便にストレートに行われるということが文字放送の発展の一つのキーではなかろうかというふうに見ておりますし、その点についてはメーカーも同様に考えておるようでございます。  そうしたことからいたしますと、将来のアダプターにつきましては、特にNHKを呼び出した上で文字放送を選ばなくても、ストレートに第三者法人の文字放送というものを呼び出せるというような形に恐らくはなるのではなかろうかというふうにも思われるわけでございまして、そういった 状況のもとにおきましてはあくまでも、確かに物理的にはNHKの電波に乗っておることではございますけれども、利用の形としてははっきり違った形で視聴者の方も認識していただくという状況が出てくるというふうに考えておるところでございます。
  251. 青島幸男

    ○青島幸男君 そんなに便利にできているとは私も思いませんでしたから、違ったチャンネルを押して、使うのはNHKの電波のすき間だけれども、何も一を押さなくてもいいということになれば明確に区別がつくかもしれませんね。それはそうです。そうなりますと、その第三者機関は何もNHKのすき間だけ使わなくてもいいわけじゃないですか。民放のすき間を使ったってどこ使ったっていいわけでしょう。そうなると、民放で今度そのすき間をまた別途ほかへ貸してNHKの第三者機関みたいなものが幾つかできて煩雑に組み合ってくるかもしれませんね。そうなりますと大変な混乱を招いてくるんではないかという気もするんですよね。その混乱も予測せずに、法律の建前がそういうふうになっているからといってこれをやってしまわれたのは大臣ちょっと早計だったんじゃないかという気がしますけれども、いかがなものですか。
  252. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 文字放送につきましては、放送事業者が補完的に自分で行います文字放送、それから第三者法人で行う文字放送とございまして、NHKのほかに民間放送でも第三者法人を設立する予定で今準備が進んでおるわけでございますが、その場合いろいろな文字放送会社が入り乱れてどうなるんだというような御心配かと思いますけれども視聴者の側から見ますと、確かに今のところは、先ほどNHKの方から説明がありましたように、まずチャンネルを選んでそれから文字放送の必要な番組を選ぶ、こういうふうになっておりますが、いずれはこれはその番組を直接選ぶというダイレクトアクセス方式もできるようになりますと、そうした場合にいろいろな文字放送会社が入りまじって、その中で欲しい番組を選ぶというようなことがどういう方法がいいかというようなことは、やはり文字放送会社が共同してそういう点は研究すれば混乱を防ぐ方法があるかと思いますので、この辺は郵政省の方も民間放送、文字放送会社同士でそういういろいろの研究が進むように指導していきたいと思っております。
  253. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは泥縄みたいなもので、私は甘いと思いますよ。我々の常識は少しずつしか進みませんけれども、もう飛躍的に進歩するんですよね、こういうメカは。ですから、我々の常識の進む範囲にとめておかないと、可能性ばかり先走りまして、ああもできるこうもできると、一回できるものは突っ走っちゃって、後でかき集めて整理統合しようといってもなかなか難しいことになる。その間、間隙を縫って不正行為があったり信頼を失うような何か事件が起こったり、そうなると郵政省さんとしても非常に立場がなくなるような事態にまで陥る、ひいては国民の信頼を失うということになると、これはゆゆしき問題なので、もう時間がありませんのでこの程度にとどめますけれども、このことだけは御承知おきいただきたいのは、我々の一般あるいは相当先走ったことを御勉強になっている方でも往々にしてメカニズムの技術開発のスピードにはなかなか追いついていけない部分もあるんだ、よってもって軽々に許認可を与えるというような格好をしたり今の常識の範囲で恐らくこうなるだろうというようなことで想定されることは大きな誤りを招くおそれもあるのではなかろうかと私は思いますので、皆さんどう思われるかわかりませんが、そのぐらいのことを私披瀝しまして、きょうは終わりたいと思います。
  254. 大森昭

    委員長大森昭君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  257. 大森昭

    委員長大森昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十七分散会      —————・—————