運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1985-12-05 第103回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月五日(木曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員異動  十一月十九日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     神谷信之助君  十二月五日     辞任         補欠選任      三治 重信君     抜山 映子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         増岡 康治君     理 事                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 佐藤 三吾君     委 員                 井上  孝君                 上田  稔君                大河原太一郎君                 加藤 武徳君                 金丸 三郎君                 上條 勝久君                 出口 廣光君                 上野 雄文君                 志苫  裕君                 中野  明君                 神谷信之助君                 抜山 映子君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    古屋  亨君    政府委員        警察長官官房        長        鈴木 良一君        警察庁警務局長  大堀太千男君        警察庁刑事局長  仁平 圀雄君        警察庁警備局長  三島健二郎君        自治大臣官房長  津田  正君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君        自治省財政局長  花岡 圭三君        消防庁長官    関根 則之君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        人事院給与局給        与第二課長    野村 興児君        運輸省航空局監        理部経理補給課        長        楠木 行雄君        運輸省航空局管        制保安部保安全        画課長      土井 勝二君        日本国有鉄道職        員局労働課長   南谷昌二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会衆  議院送付)     —————————————
  2. 増岡康治

    委員長増岡康治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一月十九日、橋本敦君が委員辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。  また、本日、三治重信君が委員辞任され、その補欠として抜山映子君が選任されました。     —————————————
  3. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 地方行政改革に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 最近、警察関係で言いますと、森永・グリコ事件がいまだに未解決。それから、先日は中核派皆さんが、国鉄のゲリラ事件というんですか、大変な事件を引き起こす。加えて警察官の相次ぐ不祥事、これが連日新聞をにぎわす。まさに今、警察全体への国民信頼が揺らいでおるんじゃないかという危惧を私は持っておるわけです。第一線警察官皆さん、これは山田さんも含めてでしょうが、その意味で本当に今心血を注いで、どうして国民信頼を得るかということで御努力をなさっておると思うんです。  そういう時期に、最近マスコミでいろいろ取りざたされておりますが、最高責任者である警察庁長官、それから警視総監、こういう方々が、元、前ございますけれども辞任後一カ月もしないうちに自民党に入党なさって、そうして次期参議院選挙、総選挙の準備を始めておる。これは、私に言わせれば、第一線で頑張っておる現職警察官にとっても本当に嫌なことでありましょうが、同時にまた、国民から見ましても、一体何をしておるんだと、こういうものを私はぬぐい切れないと思うんです。この点について国家公安委員長はどういう認識、感想を持っておるのか、まずお聞きしたいと思うんです。
  5. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) お許しを得て、まず私の方から警察考えをお答えしたいと思います。  今、先生指摘のように、警察の元最高幹部方々が退官後国政に活躍の場を求められておること、また、これをめぐって種々の立場からいろいろな論評がなされておることは承知をしておるところであります。しかし、警察といたしましては、警察の元最高幹部方々が、警察を辞された後、一個人の立場でその信ずる道を歩まれることにつきましてこれをとやかく論評する立場にはございません。また、これらの方々政治活動は、当然でありますけれども警察組織とは一切無関係でございますし、これによって警察行政不偏不党性及び公平中正性というものがいささかも影響を受けないというふうに私ども考えて運営をしておるところでございます。
  6. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私からお答えいたします。  今のお話で、警察最高幹部をやめてから自分意思国政に参画して、違う意味におきまして国に御奉公いたしたいという気持ちはわかるのでございまして、ただ、率直に言いますと、私も戦争中父が国会議員に出ておりました。私は警保局の事務官でございましたが、自分の地域の警察には自粛いたしましてなるべく近づかないようにしておった。これは私の個人的な考え方でございます。そういうことから言いますと、今のお話のように、法律的には自由でございますが、ただ政治的にどう思うか、これは好ましいことであるとは言えないというふうに私は考えております。
  7. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大豆、警察法二条二項ですか、これは他の高級官僚にはないんですけれども、特に警察に対しては不偏不党、公平中正でなければならないということがきちんと入れられておりますね。そうしたことは一体何を意味するのか。あなたも政治家として長いわけですけれども、戦前の日本の政党における警察選挙への介入を含めて、大変ゆがんだ状態をつくり上げたことに対する反省を込められたと私は思うんですよ。そういう警察の中で警察庁長官といえば警察最高の長でしょう。警視総監といえば首都東京を守るただ一人の長でしょう。わざわざ首相の承認を受けて国家公安委員会が任免する、この手続を見ても他の事務次官とは違うんです。そうでしょう。  そういう立場にあった人が一カ月もしないうちにさっさと、もっと言うと、選挙に間に合わせるために長官をやめたと見られても仕方のないような所業、こういったことが許されていきますと、元の警察庁長官である新井さんが言っておるように、課長クラスでやめていくならいいと言うんですよ。問題はないだろうと。しかし、最高責任者がやると部下、職員である現職警察官影響しないというのはうそだと言っておるんです。そういうことはすべきでないと元警察庁長官新井さんがおっしゃっておる。  そこら辺は、国家公安委員長というのはだてにやっておるわけじゃないんでしょう。おれは自治大臣で、国家公安委員長というのはかすみみたいなものだと思っておるんですか。そうじゃないでしょう。だとすれば、公安委員長としてしかるべくきちっとすべきところはした方がいいんじゃないですか。今しかも私のところに入ってくる情報を見ると、後援会のしおりなどを見ると、例えば、先般この委員会で随分議論がありました風営法関係、こういう業界を全部網羅して後援会組織をつくっておる。また、交通関係業者、こういうところにも手を伸ばしておる。それには財界人がずらり名前を連ねておる。こういうことがあっていいんですか。そこら辺は私は国家公安委員長としてもっときちっとした見解を示してほしい。
  8. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今の先生お話、法律的に今の建前ではやめた人に対しては私は何とも言うわけにはいかない。選挙に出るか出ないかということは個人の考え方でございまして、その方が往年の、前の経歴を生かして社会に違う方面で奉仕しようということでやられるなら、それは私は本人の意思に基づくものであればやむを得ないと思っております。ただ、言いましたように、警察不偏中立性を持っておるわけでございまして、私もそういう点はさっき話したように自分で身を慎んでおりました。ですから、法律的にはどうにもならぬが、いいか悪いか、好ましいことかどうかという意見を述べろとおっしゃいますれば、私は好ましいことではありませんということを申し上げております。
  9. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 確かに委員長が言うように好ましいことではございませんね。今後こういうことがまた一つの前例になって、一つルールになってやっていくという危険性なきにしもあらずですよ、率直に言って。私はきのうの本会議で総理にそれを総裁として聞きたかったんですけれども、まあ共済年金法代表質問ですからと思って、きょうは国家公安委員長に会えるからあなたの見解を心待ちにしておったんですけれども、いずれにしてもそういう姿勢をきちっと公安委員会として表明なさったらいかがですか。そうすることが全国の第一線で働いておる警察官諸君にも大きな指針になる、励みになるんじゃないかと私は思う。その点いかがですか。
  10. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私が今見解を申し述べるということは、選挙をやろうとしておられる方にとりましての影響とかいろいろ考えますと、国家公安委員長として、在職中の問題ならばそれに対して十分いろいろの指示、監督も、警察を管理しておるというので警察庁長官を通じて私も意見を申すのでございますが、ただ、警察の管理をしている私にそういうことがどうかとおっしゃれば、さっき言いましたように好ましくはない、好ましいことであるとはとても私も考えておりません。ただ、警察に対する影響とかいろんなことを考えますと、今の長官がどう考えておるか知りませんけれども、私としてはそういうことは余り好ましいことではない、これが率直な私の感じでございまして、そういう問題については、機会を見まして国家公安委員会におきましても他の委員ともいろいろ話し食って、私の考えが間違っているか、あるいは今のような政治的に不偏、妥当な中立性という点からそういうことは慎むべきものであるというような方がありますか、公安委員会で十分私も話し合ってみたいと思っています。
  11. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで警察庁、さっきあなたのあれではこのことによって毫も支障のないようにということの表明がございましたが、現実に今警察の所管にかかわる風営法業者のところとか、パチンコ協会などの県の連合会事務局長というのは大体元警察官ですよね。署長クラスがなっていますね。そういうところとか遊技機関係を含めてある。また、交通関係業者のところにも後援会の手が伸びてきておる。大阪でございましたように、例えばあの遊技機事件ですね、警察官癒着腐敗というのが起こりましたでしょう。こういうことの一つの温床というか、ルールづくりになるんじゃないかという気がします。それらを含めて、こういうことによって全警察官が業務の正常な処理支障を来さないような指導はきちっとすべきだと思うんです。その点はひとつ明確にしておいてほしい。  それから、公安委員長として公安委員会の中で協議なさっていただくということでございますけれども国務大臣という立場からもきちっとしていただきたいということもあわせて見解を聞いて、この問題を終わりたいと思います。
  12. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 風俗関連各種団体あるいは交通関係団体がいかなる政治活動をしておるかということについては私もつまびらかではございませんが、先生指摘のように、警察行政自体が政治性的な活動をしておるとかあるいは廉潔性を疑われるような、そういった行動は厳に慎まなければならないと思っております。それがまた国民信頼を得る基本でもあろうと考えておりますので、その点につきましては厳に第一線を指導してまいりたいと、かように考えております。
  13. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 申し上げましたように、私は今国家公安委員長という立場でございます。その立場で今申し上げましたような感じを私は持っておりますので、ほかの国家公安委員とも今の点を十分話し合っていきたいということを申しておるのでございまして、国務大臣としましても、それがいいか悪いかということは法律的には大変難しい問題でございます。まあ政務次官というものが警察にはないというようなことを考えますと、やはりそれも政治的中立性を確保するために定められたんじゃないかと思います。
  14. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは次に移りますが、まず大臣、あすは政府はようやく給与法国会に出してくる。この決着の際に、政府差額年内支給を各党にも約束した経緯がございますね。ところが、地方議会は大体来週いっぱいなんですね、状況を調べてみますと。遅いところでも二十日ごろまでには終わってしまう。こういうような状況の中で、大臣として約束なさったように、年内差額支給ができるように給与法処理をすると約束できますか。
  15. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私はそれを閣僚会議でも随分主張したのでございまして、去年のような県の議会に間に合うか間に合わぬような決着は大変困りますよ、やはり給与のアップを待っておる、公務員の能率を確保していくためにも、とにかく間に合うようにやってもらいたい、今度も私総務長官にその点は再三申し上げました。内輪を申しますと、幹事長にもそういうことを申し上げました。できるだけ早くやってもらいたいということで、まあ国会へ出す問題だけはあれでございますが、閣議決定も早くから、新聞で御承知のように幹事長意向に沿いまして、また私どもそういうふうに早くやってもらいたいということで進めてまいった次第でございます。だから、本年中にはどうしても間に合わせるように措置をしたいというように考えております。
  16. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうなりますと、やっぱり来週中の処理が大事であります、国会においては。その点はひとつ大臣、その約束をぜひ守るように私からお願いしておきたいと思います。  ところで、こういう参考資料が出ておるんです。出ておるんだが出所不明なんです、ごらんのように。何にも書いてない。「参考資料昭和六十年九月」と。中身を見ると、給与制度改定問題で地方公務員給与制度研究会考え方説明しておるんですが、自治省が出したんですか。
  17. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 地方公務員制度研究会の方でそのパンフレットをつくるに当たりまして、自治省の方の担当官協力したということでございます。
  18. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 発行はどこが発行したんですか。
  19. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 地方公務員制度研究会が印刷してつくったというふうに記憶しております。
  20. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは、地方公務員給与制度研究会というのはどういうものですか。
  21. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 地方団体だったと思いますが、地方団体が集まっておつくりになっている団体だということでございます。
  22. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それを自治省役人が、給与課職員か知りませんが、役人が書いてつくったわけですか。それで発行はその研究会が出したんですか。
  23. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 地方公務員制度研究会が各地で研修会を行っておりますけれども、その研修会で出席した方たちからことしの給与制度の改定についていろいろ質問があり、また要望がありましたので、地方公務員制度研究会の方でそういうものをつくろうじゃないかということをお考えになりまして、給与課職員の方に協力依頼があったというふうに聞いております。
  24. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、書いたのは自治省役人が書いた、それは研究会から依頼を受けて書いて、そして研究会が出した、こういうふうに受け取っていいんですね。
  25. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 大体そういうことだと思いますけれども、私もその原稿が全部そのまま掲載されたか、それとも一部分修正されているかよく存じませんけれども、恐らくその原稿が大半はそのまま掲載されているというふうに思います。
  26. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは地公研資料というんですか、これは後で一式出してもらいたいと思うんですが、いかがですか。
  27. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 承知いたしました。
  28. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 自治省役人が書いた、書いたけれども、出したのは研究会だと。ところが、この中身を読むと研究会中間報告と全然違う部分がたくさんございますね。例を挙げますと、市町村の標準的な等級、市及び町村改正例、これは研究会中間報告を見ますとこう書いてあるんです。市町村給料表は、当研究会において検討したが、市町村規模態様等は千差万別であり、その行政組織職員構成も一様でなく、実態が余りにも多様で、個々市町村に適用する具体的な内容については示し得ない、と中間報告に書いてある。ところが、この中ではちゃんと示し得ているわけだ。町村は七級制の等級構成が図示されておるわけだ。研究会が出したにしては何でこんなインチキを書くんですか。
  29. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生がおっしゃいますように、研究会報告では「その実態があまりにも多様であるため個々市町村に直ちに適用しうる基準を具体的に示すには至っていない。」というふうに書いてございます。私もこの研究会にはできるだけ出席して傍聴をいたしましたけれども、その研究会研究の過程におきましては、事務局の方からいろいろ資料か御提出申し上げまして、今先生お話しになりましたように、市町村につきまして、市の場合には現在六等級制というのが過半数の市で採用されておりますし、町村の場合には五等級制というのがこれまた七割ぐらいの町村で採用されておりますけれども、その標準的なものを資料として研究会に提出いたしましていろいろ御議論いただいたということでございます。その議論の経過というものを踏まえて、このパンフレットでは「研究会において次のように考えられた。」というふうに解説したと御理解いただければいいんじゃないかと思います。
  30. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは、あなたの説明を聞きますとうそを書いたと、こういうふうにとっていいですか。研究会中間報告はできないと言っている。ところが、市は八級まで、それから町村は七級までとちゃんと等級構成を図表で示していますよね。こんなことは研究会じゃできませんと言っておる。できませんと言ったものがこういうふうになぜか化けて出てくるんです。しかも、これは研究会が出したんですか。自治省が出したんじゃないのですか。同じ研究会が、できませんというのをできましたなんて、こんなことあり得るはずがないじゃないですか。そんなあなたうそを言いなさんなよ。
  31. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 研究会報告では「市町村規模態様等は千差万別であり、その行政組織職員構成も一様ではなく、」ということで、「個々市町村に直ちに適用しうる」というふうに書いてありますので、市町村というのは非常にバラエティーに富んでおる、したがって、「個々市町村に直ちに適用しうる基準」というものは具体的に示すには至っていないけれども事務局の方から提出いたしました資料というものに基づいて議論されまして、その提出いたしました資料というものは研究会でおおむね賛同を得たというふうに事務局では受け取っておると、それに基づいて記述したものでございます。
  32. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そんなふざけたこと言うものじゃないですよ。中間報告でできませんと書いてあるんだ、具体的に。ちゃんと書いてあるじゃないですか。市町村規模態様は千差万別であり、その行政組織職員構成も一様でなく、実態が余りにも多様で、個々市町村に適用する具体的なことは示し得ないと、こう書いてあるんです。それが何でここで示し得たんですかと聞いておるんだ。そんなうそを言っちゃいかぬですよ、この委員会で。いいかげんにしなさいよ。
  33. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 私が申し上げているのは、研究会の方では、個々市町村に直ちに適用し得るものは示し得ない、と。ただ、研究会の方へ事務局の方から提出いたしましたのは、標準的といいますか、大多数の市及び町村で現在適用されております給料表というものをもとにいたしまして資料を提供した。その提供した資料に基づいていろいろ御議論いただいた結果、そのものに関する限りは研究会の方でおおむねの合意があったというふうに事務局では受け取っていますという話でございます。
  34. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 どこの事務局のことを言うのですか。どこの事務局資料を出して、どこの事務局が受け取っているのですか。
  35. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 事務局に携わりましたのは公務員部給与課の方でございます。
  36. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうでしょう。だから、逆に言うなら、研究会はできないと言ったのを給与課が勝手にできると書き直したんでしょう。研究会の名を使って給与課職員自分が主張しておるとおりに入れたんでしょう。こういうのをインチキと言うんですよ。そうでしょう。研究会が対外的に発表しておるのはちゃんと中間報告で出している。給与等級構成の問題とかという内容は一省庁でできるものじゃないんだ。国だって人事院という機関をちゃんとつくって専門的に研究しておるわけだ。ましていわんや、市町村のような千差万別のところを研究会ができぬというのは当たり前のことなんですよ。それをなぜこんなふうに示すんですか。できないならできないでなぜきちっとしないのですか。  大臣、こんなのが今聞いたようにまかり通っておるわけですよ。これが地公法五十九条に言う「協力」または「技術的助言」のそういう意味ですか。これは第一名前もないんだよ。どこが出したかさっぱりわからない。(「怪文書」と呼ぶ者あり)怪文書。(資料を示す)そういうものを出しておって、しかも中身は今聞いてみると研究会意向ですとこう言う。研究会は、できませんと書いてある。それを勝手にできるというふうに事務局が受け取ったと言う。事務局はどこかと聞いてみれば公務員部給与課だと言う。何というか、豊田商事も詐欺行為をやっているけれども、類するようなことが平気自治省の中でまかり通っていくということは僕は断じて許せませんね。どうですか、大臣
  37. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私も今こういうのは初めて見ましたから、ちょっと読ましてもらわぬと全然わかりません。
  38. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣も初めてですか。
  39. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私もこれだけ先生に見してもらって判断はできませんが、恐らくこの研究会研究でこういうことを研究されたんであろうというふうに感じております。申しわけありませんが、それ以上のことはわかりません。
  40. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それなら大臣が答弁できるような質問をしましょう。  大臣、おたくが出す文書はいろいろございますね。次官通達とか何とかございますよね。これは名前を何にも書かぬで出すものもあるんですか。どこが出したか出所不明の文書自治省平気で出すんですか。そういうことが第一。  第二に、「技術的助言」という五十九条の意味はどう理解しておるんですか。専門的な、しかも客観性に富んだこういった調査の上でやる。そうしてそれは特定の政治的立場とか、政策判断とか、主観的、こういうものを入れないように努めていく。これが地公法の言う五十九条の「協力」または「技術的助言」というものの本筋じゃないんですか。研究会でできないと中間報告を出した。しかし、勝手に自治省の解釈で、今聞いてみると給与課職員自分たちの主張をその中に入れて、そしてそれを自治省という名前で出すとばれるから何にも書かぬで自分たちの政策意図を入れようと、こういう類のものまであなたが言う協力、助言の中に入るんですか。いかがですか。これなら答弁できるでしょう。
  41. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 御質問の第一の点、自治省名前を書かないで出しておるものがあるかということでは、自治省なら自治省の局長なり、部長なり、課長名前で出すのが私は至当であると考えております。だから、この五十九条の「協力」とかいろいろの文句がございますが、これは個々地方団体がたくさんありますので、この内容は今見してもらったんですからまだ細かく見ておりませんけれども、やはり協力とか、技術援助の一環として科学的な技術的助言として、あくまでも参考的な意味で知らしたんじゃないだろうかというふうに私は考えております。ですから、まあこういう問題、今後出すについてはやはりきちっとした形で出した方がいいんじゃないだろうかと、私の結論でございます。
  42. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それで大臣、私が今あなたに差し上げましたように、あなたの趣旨から言うと反するような内容ですよね。そうしてしかも、さっきの公務員部長の答弁のように、給与制度研究会依頼を受けて給与課職員がつくった、こう言っているわけです。ところが、その研究会内容は、市町村等級構成についてはこれはできないと書いてある。千差万別で、個々の具体的な指示はできないと、こう書いてある。それをできるというふうにすりかえて出しておる、この内容は。七ページにあるでしょう、そんなふうに職務表をすりかえてつくっている。これはインチキですよ。こんなことが自治省自治大臣の名のもとに天下をまかり通ったらこれは大変なことですよ。  さっきも言ったように、助言というのは、専門性を持つ、客観性を持つ、こういった意味で何人も中立性をきちんと持ったものでなければならぬ。それが事務局の恣意が入ったり、一方的に内容をすりかえたり、そういうものがまかり通ったんでは世の中真っ暗です、あなたのさっきの説から言っても。これは私は撤回してほしい。こんなやみまがいのものがあたかも給与改定の指導書として全国の市町村に流れていくことについては黙過できない。大臣いかがですか。
  43. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) ちょっと大臣から御答弁いただく前に、事務的にもう一度説明させていただきます。  研究会報告では、市町村というのは非常に千差万別だ、非常にたくさんの市町村がございますので、個々市町村すべてに適用し得るような基準研究会としては本文の中で書き得なかったということでございますが、市では六等級制町村では五等級制というのが大半の市町村で適用されておりますので、それをもとにして新しい給料制度のもとではこういう構成になる、その部分に限っては私たち資料研究会に提出させていただきまして研究会の方で御議論をいただく、そして結果におきましては、その限りにおいては研究会の方でおおむねの合意があったというので、今、先生が御指摘になられました七ページの記述になっておるんだというふうに私は理解しておるわけでございます。
  44. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなた、そういうことを言われると逃げ場がなくなりますよ。私は温情的にそこまで言っていないんだけれども、この研究会のメンバーに聞いたんですよ。おおむね了承というのはどういう意味。だれも了承しとらぬよ。そうじゃなくて、給与課が勝手につくったんでしょう。あなただんだん袋小路へ行って逃げ場がなくなるよ。そんなこの場限りの言い方をせぬで、給与課職員が勝手につくったわけだから、私に言わせれば、全体を流れるのは、研究会がつくったんだと言うのは装いをしていますよ、装いはしていますけれども中身は違う、そしてその違う一番具体的な例が、さっき申し上げたように、できないというのをできると書きかえた、こういう内容だから私は撤回してほしい、大臣どうですか。
  45. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今、佐藤委員から御指摘の点でございますが、やはり地方へ出すものはきちっとした形が適当である、私はそういうふうにやるべきではないかと思っております。ただ、研究会報告がばらばらの市町村に対して参考資料となるならば、そういう意味で、正式にそういう形で送った方がいいじゃないだろうか、今お話を聞きながら私はそういうことを感じた次第でございます。
  46. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それなら自治省としてきちっとして出しなさいよ。研究会とか、名前を伏せて怪文書みたいな出し方をしないで。それでしかも、そんなことを自治省がきちっとできると思いますか。そんな体制が自治省にありますか。人事院ですら大変な苦労をしてつくり上げた内容のものを、ましていわんや、研究会ですらこの問題についてはできないと言うものを自治省が出せますか、公式の名称で。出しもこしらえもできぬのですよ。
  47. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今、佐藤先生お話でございます。ですから、なるべく出すものは公的にきちっと出すのが適当だろう、こう思っておりますので、そういう点から今後は十分私も注意してまいります。
  48. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これで今もう自治体の中は大混乱を起こしている。したがって、こういうまやかしの文書は、大臣も今初めて見だしゃ困るんですよ。あなたのところの部下が出したのだから。ですから、やはりここら辺はきちっとしてもらって、そして今回の場合は正式文書で、研究会ではこの問題について結論は出ておりませんと、したがって、その選択については自治体が自主性を持ってやりなさいということをきちっとしてもらいたい。いいですね。
  49. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今の御意見の趣旨に沿って私も考えてまいります。
  50. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、公務員部長に聞きますが、十一月八日付で事務次官通達が正規に事務次官の名前で出ていますね。「紋別職務分類表を条例で定めることが適当である」、こう書いていますね。これはどういう意味ですか。
  51. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 紋別職務分類表というのは、先生御存じのように給料表と一体となりまして給与の運用を形づくっているものでございますから、給与の条例主義ということから言いまして条例で規定していただいた方が適当だろう、このように考えてこの中に記述したわけでございます。
  52. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 「適当である」、そういうことですね。
  53. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 次官通達に書いてあるとおりでございます。
  54. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 人事院にちょっとお伺いしますが、現在、国家公務員の場合は標準職務表は人事院規則ですね。これは国公法二十九条五項、給与法六条に根拠を置いて、その法律の委任に基づくということになると思うのですが、いかがですか。
  55. 野村興児

    説明員(野村興児君) お答えいたします。  標準職務表は、現在給与法第六条三項に「その分類の基準となるべき標準的な職務の内容は、人事院が定める。」と、こういうふうにございます。この委任規定に従いまして人事院規則九−八、第三条におきまして定めているものでございます。  今お話がございました国家公務員法二十九条につきましては、これは「職階制の確立」を規定しているものでございますが、諸般の事情によりまして職階制が現在まだ実施されていない状況でございますが、その第五項におきまして、実施されるまでの間は給与法六条の定める職務の分類が効力を持つ、こういう規定でございます。
  56. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、標準職務表の意味についてちょっとお聞きしておきたいのですが、公務員給与がその官職を職務と責任に応じてなすいわゆる職務給の原則ですが、職階制が実施されず職務の分類、職務の分析ができない、こういうことで国公法二十九条五項の規定で、給与法六条に基づく規則九−八の三、これが等級別職務表になっておると私は思うのですね。これに代行する形で用いられておる、こういうふうにお話を聞いたんですが、標準職務表は具体的に分類基準あるいはすべての職務を分類したものでなく、給料表の各等級に官職を格付するに当たり、標準的な尺度としてのいわば代表官職例を示した、こういうふうに理解していいんですか。
  57. 野村興児

    説明員(野村興児君) 御指摘のとおり、等級別標準職務表といいますのは等級についてのすべての職務を定めているものではございません。国家公務員の職務というのは非常に複雑多岐にわたっているわけでございまして、まさに標準職務の名前の示すとおり当該等級の標準的な尺度、言うなればスタンダードというものを定めているものでございます。したがいまして、一種の代表官職例と言われてもそのとおりでございます。
  58. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 さらに標準職務表の設定が法律でなく人事院規則にゆだねられている。その趣旨は国公法に基づく科学的人事行政の遂行と労働基本権の制約にかかわって、人事院の権限にはその代償機能性、中立、独立性、専門性の要請から来る権限が与えられておる。これが一般行政権限の形態と違って勧告権が付与されて、任命権者が行うところの人事行政の行為の基準となる規則の制定権、いわゆる準立法的権限が与えられておる、これは国公法の三条ですか、標準職務表も人事院の設置に関する根本的考えに基礎を置き、第一に給与法の運用と所掌とのかかわり、第二に職員の人事管理に関する専門的事項の作成であり、第三に、そうした意味で科学的な人事行政機関である人事院が評価し作成するのが適当である、こういう趣旨で人事院規則にゆだねられておると理解しておるんですが、いかがですか。
  59. 野村興児

    説明員(野村興児君) 標準職務表は、先ほど申しましたように、給与法六条の委任を受けて人事院規則で定めているわけでございますが、その趣旨は、国家公務員の職務というのは非常に複雑多岐にわたっておりまして、例えばその設置根拠を見ましても、法律である場合もあるいは政省令あるいはさらにそれ以下の訓令である場合もあるわけでございます。こういったものを法律事項とすることが適切であるかどうかについては法制技術上の一つ判断も問題もあるわけでございまして、そういったことから規則にゆだねている、こういう面もあるわけでございます。  それでは、なぜ人事院が作成するのか、こういう点につきましては、ただいま御指摘もございましたように、一般職の給与法の実際の運用に携わっている中立、公正な専門機関でございます人事院がこれを作成する、こういう判断によるものと考えられます。
  60. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで自治省にお伺いしますが、今、人事院の方から説明がございましたが、ところが、地方公務員の場合も、国公法二十九条、給与法六条に関する規定、これは地公法では二十三条、二十五条、こういうことになっておるわけですから、この規定の趣旨は国公法と同じ趣旨、こういう理解で悪いんですか、違うんですか。
  61. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) ちょっと、国公法の規定というのを私も今突然聞きましたのでよく存じませんけれども、いずれにいたしましても、地方公務員の場合には標準職務表ないしは紋別職務分類表を人事委員会規則で決めるのかあるいは条例で決めるのかということは、地方公務員法の規定上は明らかでないというふうに理解しております。
  62. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、明らかでないという根拠はどこか、まあいいでしょう、次に行きましょう。  自治体の長も人事委員会も同様だと思うんですが、地方も人事委員会が設置されておりますね、県段階。人事院同様に役割を持っておるわけで、地方においては一般的には標準職務表は国と同様に当然規則にゆだねているのが普通ですね、一般的です。人事委員会にその作成権限があると考えられて、私もそう思っておったんです、実態もそうでありますから。ところが、自治省次官通達で見ると、「条例で定めることが適当である」、こう書いてある。今、人事院意見を聞きましても、任命権者を定めて公正なものでなきゃならぬ、こういう立場から人事院にゆだねられておるんだということは明らかになったんですが、給与制度における標準職務表の意味、そして定着した経緯、こういうものが現状にある中で、なぜ今回それをひっくり返して「条例で定めることが適当である」、こういう通達になったのか。国とのバランス、国も規則、地方も人事委員会規則、こういうのがなぜいけないのか、適当でないのか、ここら辺はどういう理解なんですか。
  63. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 紋別職務分類表というものが給料表と一体となって給料が運用されておるということはもう先生がよく御存じのとおりでございます。  そこで、紋別職務分類表というものをきちっと議会の方で審議していただく、給料表と同じように審議していただく、そうすることによって給与条例主義というものがより適正に貫かれていくんじゃないかというふうに考えたわけでございます。そういうふうに考えました背景というのは、現在の地方団体で採用されております標準職務表というものを先生もごらんいただきますと、それぞれの人事委員会あるいは規則で決められておるものにつきまして議会の議員さんが御存じないようなことが間々あるわけでございます。最近、地方給与問題につきましては、地方議会の議員さんが私らのところによく尋ねてこられますけれども、その議員さんの方からの質疑もそういうところにときどき集まるという状況でございますので、給与の制度、運用上の重要なものであるならば、この際条例で議決していただいた方がトータルで議員さんに把握していただけるんじゃないかというふうに考えたわけでございます。
  64. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすると議員だけの要望で、今まで人事委員会制度ができて、そしてそれが定着して、国の場合もちゃんと人事院規則でやっておる、こういう制度をひっくり返すわけですか。
  65. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生よく御存じのように、現在の地方公務員法というのは、地方公務員給与に関して条例を制定する場合には……
  66. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いや、違法性の問題を議論しようというんじゃないんですよ。
  67. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 人事委員会意見議会が聞くことになっておりますし、人事委員会自身が給与につきまして研究した成果を議会長に提出することができることになっておりますので、条例で定めるようにいたしましても、紋別職務分類表につきましては人事委員会がそれなりの機能を果たすことが十分できるんじゃないかというふうに考えております。
  68. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは公にした方がいい、こう言うんでしょう、公開を。それは地方自治法十六条ですか、規則を公開できるじゃありませんか。また現実に公開しておるじゃないですか。それをあなた、知らないのは議員の不勉強であって、不勉強のために今まで定着した制度を変えるんですか。そんなことじゃないんじゃないですか、本音は。  なぜ私がそう思うかと言いますと、「解釈通覧 地方公務員関係法」地方公務員関係研究会発行しておるこの本は自治省の大林行政局長が序文を書いておりますね。この本の中を見ますと、公務員二課を中心に自治省の人が手分けして書いたらしいんですが、いわゆる人事委員会の権限一覧に、「標準職務表、等級別昇格基準等級別定数に関する規則の制定」、こういうのがきちんと書かれておるんですね。地公法八条一の十一に根拠をきちんと示しておる。それから、自治省出身の鹿児島さん、今人事院給与局長ですか、この「逐条地方公務員法」の中でも、「標準職務表は、通常は給与条例に基づいて規則で定められる。」、こうなっている。原則をきちんと書いてある。ただ、その後に「なお、わたりを是正する方法の一つとして、標準職務表を条例中に明記することはどうかということであるが、条例で規定することは法律的には問題はない。」と書いてありますが、原則はきちんと書いてある。それが何で今になってひっくり返るんですか。あなたたちがこれを指し示して、そしてこれで自治体は全部やってきたこと、しかもそれが定着しておること、それが何で適当でないなんて書くんですか。先輩の方々がやってきたことが全部おれの性に合わぬ、今の中曽根さんみたいにタブーに挑戦するんだ、そうすれば中島公務員部長の名が永遠に残る、こういうあなた少し思い上がりがあるんじゃないですか。今まで、こういうちゃんと関係法から逐条解釈から全部に出てきた、そしてそれを見習って自治体が全部やってきておるルール、しかも国も規則でやっておる、同じ人事院に類する人事委員会の規則でやる、それが不勉強な議員のために今度は適当でない、こんな解釈をやるんですか、あなたはいかがですか。
  69. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) いろいろ先生からお話がありましたけれども、私としては、やはり現在の地方公務員給与というものが条例主義あるいは職務給の原則に従って立案され、運用される、そのためには、現在の時点に立ってどういうような方法をとればより法の趣旨に適した指導ができるだろうかということで考えて今度の次官通達の文章になったわけでございまして、先ほど先生からお話がございましたように、いみじくも「適当であること。」、こういうふうに書いてあるわけでございますが、それは現在の地方公務員法の建前から言いますと、条例でなければならないとか、規則でなければならないというふうにいずれにもはっきり解釈はできませんので、現在の状態というものを前提に考えた場合にはこの際条例で規定していただく方が適当だろう、このように考え次官通達を立案したわけでございます。そこらを正直に申し上げますからひとつ御理解いただきたいと思います。
  70. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だからわからないと言っておるんですよ。  もう一つ言いましょうか。自治省給与課がつくった「地方公務員給与とその適正化」というものがありますね。この中にはちゃんと書いてある。「標準職務表は、」「その制定形式については、給与条例で規定すべき事項を定めた地公法第二十五条第三項の規定からは必らずしも明らかでなく、従って条例事項かどうかの問題が生ずるところである。」、こう書いてある。「問題が生ずる」のが「適当である」にどうして化けるんですか。あなた方が書いたんでしょう。「条例事項かどうかの問題が生ずる」と書いてある。その「生ずる」と書いたのが今度は「適当である」というふうに変わる。こういう何というんですか、自分で手慰みでおもしろ半分で、それで地方が混乱するだろうということでひそかにほくそ笑んでいるなら別だけれど、こういうやり方をやると行政は混乱しますよ。  あなたは不服かもしれぬけれども、先輩がつくってきたルールは——中曽根さんみたいなまねはしなさんなよ。ここでやっぱり守って、そして「問題が生ずる」わけだから、それはそれでいいじゃないですか。「適当である」なんて何で表現を変えるんですか。あなた正直に言ったと言うけれども正直じゃないじゃないですか。次官通達の中に「適当である」という文言が四つか五つありますね。これ全部それに類すること、こんな表現をやられたんじゃ困るんですよ。これでもって指導を出されたんじゃね。はっきり間違ったこういう変な挑戦はやめて、そして、一遍次官通達を出したものを書き直すというのはなかなか大変だろうけれど、こだわった指導をしないように、適当であるから適当であるなんて何か漫才みたいなことを言わぬで、やっぱり悪かったと、そこら辺はひとつ明確にしなさったらいかがですか。
  71. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 現在の地方団体の標準職務表というものの実態を私もよく見ましたけれども、その実態を見たところが、この際条例でそういうものを規定していただく方が適当であるというふうに考えておりますので、そのように次官通達に書いたわけでございます。そういう考え方に従って地方団体を指導してまいりたいというふうに考えております。
  72. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣、この人は一遍何か自分で思い込んだら、ちょうど中曽根さんによく似ておる、そこが。何か間違いでも進んでいくというところがあるんですよ。  これは大臣にお聞きしますが、こういう変説するような、そしてそのことが地方に混乱を起こしているわけだから、時間があれば私はまだやりたいけれども、時間がないから。納得できません、この問題については。したがって、自治体の人事機関はやはり自治省じゃない、任命権者と人事委員会ですよ、国の制度としては。そうでしょう。この上に何かもう一つ天の声みたいな、公務員部長の今までのルールも何もひん曲げていこうというこういう人事行政は私は納得するわけにいきません。したがって、今の標準職務表の議論自治省でもこれまで条例化は問題があると言ってきたわけですから、これを一片の通知で、官僚の作文でひっくり返すようなことは許すわけにはいきませんので、条例化がいろいろ問題があれば真摯に研究して合理的な根拠を示した指導をすべきだと私は思いますね。したがって、地公法五十九条のいわゆる「助言」、これはあくまで地公法によって確立される地方公務員制度の原則ですから、これに沿うようにきちっと正してもらわなきゃ困る。したがって、こういう逸脱した文書をはんらんされたんでは地方はますます混乱を増すわけでございますから、大臣にここら辺の問題についてきちっとした指導をしてもらいたい。自治大臣としていかがですか。
  73. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今いろいろ先生の御意見もございまして、また事務当局からもお答えいたしました。こういう問題につきましては、地方に混乱を来されるというようなことは、もしそういうことがあればまずいわけでございまして、ひとつ十分検討をして御趣旨に沿うように努力をいたします。
  74. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこでちょっと人事院にお聞きしますが、今回の改定でその趣旨、特に行(一)俸給表を十一級にした背景、理由、いかがですか。
  75. 野村興児

    説明員(野村興児君) お答えいたします。  現在の等級制度と申しますのは昭和三十二年にそれまでのいわゆる十五級制度から移行したものでございまして、それからもう三十年近くたってきているわけでございます。この間御承知のとおり社会情勢は非常に大きな変貌を遂げてきておりまして、こういった状況の変化というものを行政需要、行政サイドから見ましても相当の変貌があるわけでございます。各組織を通じまして職務段階が非常に分化してきたとか、あるいは非常に専門職化の現象がある、こういったことが出てきているわけでございます。もちろんこの間にいろいろ改正は行ってきているわけでございますが、部分的な手直しにすぎず、職責上も明らかに差異があると考えられますところの官職が同一等級に、あるいはごく限られた等級の中に圧縮された形で格付けされている。こういった問題が起こっているわけでございます。このような現象は職務と責任に応ずる給与の原則といった観点からいたしますと適当でございませんで、職員の勤務意欲にも影響が出かねない。あるいは組織の能率的な運営、こういった観点から言いましても問題なしとしないところでございます。こういった現状を改善すべく現行の八等級構成をさらに三等級加えまして、名称も等級と紛らわしいという観点から名前を変えて十一級の制度にしているわけでございます。今申しましたのは行政職俸給表(一)の点でございますが、他の特別俸給表についてもこれに準じて改定を行っているわけでございます。
  76. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今度のものには新二等級、新四等級、新五等級という新設もなされておるわけですが、この新設以外にも格付に若干の改定があったように思うのですが、いかがですか。
  77. 野村興児

    説明員(野村興児君) 今回の標準職務の改定は大きな二つの点があるわけでございます。一つは、今御指摘ございましたように、新設等級がありますのでそれに伴いますところの標準職務を当然ながら改定をしなくちゃいけない、と同時に、先ほど申しましたように、長年いろんな問題を抱えてきておるわけでございます。このたび、既設等級につきましても標準職務表上の格付と実際の格付に相当の差があるものがある、こういったものについても特に必要が認められる、どういったものについては現状を認知するというような形で改正を行っております。  例示をいたしますと、例えば二等級につきましては管区の課長、これが今までは明確に位置づけられていなかったわけでございますが、特に困難な業務を担当する管区の課長については二等級に、すなわち九級に格付をする、こういうこととか、あるいは府県の係長については現在までのところ四等級の標準職務表の格付はなかったわけでございますが、特に困難な業務に従事する係長については四等級の格付を行う、こういうことで措置しているわけでございます。
  78. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、このことによって現行の等級の格付が下がるとか、それから十一級制になったために昇格スピードが落ちるとか、こういう点はいかがですか。
  79. 野村興児

    説明員(野村興児君) 今回の標準職務の改定についての考え方はただいま申したとおりでございますが、現行の等級の格付を引き下げるとか、あるいは機械的に全体の等級を一等級上げるとか、こういったことはしておりませんで、いわば同一等級内におきましてより上位の職責として評価が可能な官職について新設等級に格付をしていく、こういう方針のもとにやっているわけでございます。  また、後段お尋ねのございました昇格のスピードがどうなるか、こういったことにつきましても従前の昇格スピードが変わることのないように、例えば、今まで必要在級年数というものを一定に定めておるわけでございますが、そういったものについても昇格スピードが変わらないように所要の措置を講じているところでございます。
  80. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 国の場合は本省庁、管区、府県、地方出先機関、こういうようにありますが、その等級格付それぞれ違いがあるんですけれども、一般職と主任は差はありませんね。垂れで、係長は、さっきお話がありましたように、六級格付は本省庁に限られておったんですけれども、今回は特に困難な係長については府県機関も六級までなっておる。府県機関規模というのは大体どの程度を置いておるんですか。それから、府県の場合の長は八−十級、課長は七、八級、こうなっておりますが、それでよろしいんですか。
  81. 野村興児

    説明員(野村興児君) まず、主任の点でございますが、標準職務表上の格付は中央それから管区あるいは府県、これらについて何ら変わるものではございません。なお、係長につきましては、先ほど私の方から御説明いたしましたように、四等級については新たに特に困難な職務に従事する係長という形で府県単位の係長を新たに標準職務表上格付をしております。  同時に、お尋ねのございました府県単位機関規模でございますけれども、これは業務の内容がそれぞれ違いまして一概に申すことは非常に困難でございますが、例えば例示といたしまして、代表的な府県単位機関でございます地方法務局あたりを見ますれば、大は四百人を超えるようなところから小は百人程度のものまで種々でございます。また、地方出先機関規模でございますけれども、これはまたいわゆる公共事業所とか税関の出張所のように非常に大きいものもあるし、また数名の規模の小さいものもございます。それぞれでございます。  それから、府県単位機関の長でございますけれども、今お尋ねがございました新しい級で申し上げますと八から十ということで位置づけをされております。
  82. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、自治省にお聞ききしますが、自治省のさっきの資料を見ますと、国の場合には六級まで格上げをしておる係長、今聞きますと規模は四百から百程度の府県機関、こういうお話でございますが、都道府県の場合を見ると五千から一方、こういう規模のところですが、なぜこれが県の場合は四級、五級でとまっておるんですか。これは何か憎しみかなんかあってこの際ひとつ地方役人は国の下と、こういうあなたの哲学ですか。
  83. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 国の職務区分表というものを見てみますと、府県単位機関のところでおっしゃるように係長、特に困難な業務を担当する係長だと思いますが、府県単位機関につきまして六級というのが予定されておるようでございます。ただ、この表を見て気がつきますことは、一つは府県単位機関にも課長補佐というのが設置されているんでしょうが、これが出てきていないということでございますので、この課長補佐というのはこの表から考えますと、推察でございますけれども、今おっしゃった六級に該当するのかなというふうに思います。  もう一つは、府県単位機関の同じく課長というのが、七級のところには相当困難な業務を行う課長、そして八級のところの課長はそれよりも難しい仕事を行う課長、ところが、標準課長というのがこれには出てきていませんので、この標準課長がもしかしたら六級に該当するのかなというふうに想像されますが、いずれにいたしましても、この六級の位置づけというのが国の職務区分表から見ますと若干解釈が難しいかなという気がいたします。  それともう一つは、今先生お話しになります現在の四等級、新しい給料表で申し上げますと六級でございますけれども、実は現在の地方実態、都道府県の実態でございますけれども、この四等級、新しい給料表で言う六級ですが、そこに在職している職員のパーセントというのが実は非常に高くなっておる、もう既に三〇%にもなっておるということでございます。これは国と比べましても大変高いわけでございまして、そういうことから考えますと、先生お話しになりますように、その御主張というものを一概にそうですかというのは私たちの方も少し慎重にならざるを得ないという感じがいたします。
  84. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間がないんですけれども、あなたは課長補佐がないということを言っていましたが、さっき人事院の野村さんの話では、ここで言う府県規模というのは四百から百の単位だ。ところが、県庁というのはどこだって最低五千はありますね。そして、言いかえれば一万の県庁だってある。そういうところの係長、府県段階の係長、本省と一緒にしても私はいいんじゃないかと思うのですよ。現実に国の場合は一級から十一級、一級は係員で十一級は部長ですか、都道府県も十一級まで使うわけですから。その中だけ何でそんなにここまでしかという限度をつくるのか。この辺まであなたの方は、ちゃんとした実態をつかんで、そして研究をして、科学的に客観的に責任問題を検討しようといったってできもしないでしょう。できっこないでしょう。それを何であなたの方がくちばしを突っ込んでこういうふうな指導のあれをつくるんですか。代表官職例みたいなものをつくって、そしてこれに従えというやり方をするんですか。ここがわからない。いかがですか。
  85. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先ほども申し上げましたけれども、府県の場合には先生のおっしゃる六級、現在の給料表で申し上げます四等級というところですが、実は、そこに在職している職員の構成割合が非常に高くなっておる。結局、それは現在の給料表の運用というのが一般の職員でも係長相当とか、課長補佐相当ということで上にシフトしていくような運用がなされておる結果だと思いますけれども、そういう実態というものを考えますと、今の先生の御主張というものを私たちがかみこなすときにはなかなか難しい問題が背景にあるなどいう感じがしておるわけでございます。  それともう一つは、先ほども申し上げましたけれども、現在の国の職務区分表というもの、その府県単位機関の場合で見ますと、六級というものの位置づけが非常に難しい解釈を要するんじゃないかという感じがいたしたわけでございますが、そこらもございまして、先生が今お話しになるような御主張というものに私たちは直ちに同意できないという感じがいたします。
  86. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなた、さっきから私も言っておるように、都道府県段階の人事機関というのは任命権者と人事委員会ですよ。それに勝る、あなたたちが各県をつぶさにきちっと、職務分析が客観的に科学的に評価ができるんですか。やったならここへ出してくださいよ。都道府県の知事よりも、都道府県の人事委員会よりも、自治省はこれだけ科学的に客観的にきちんと分析していますという資料があるなら出してくださいよ。できもこしらえもせぬでしょう。そのできもこしらえもせぬのが何でこんなことまで一々分類表の中に書かなきゃならぬのですか。それはそこの人事委員会に任せればいいじゃないですか。何かあなたたちは人事委員会という任命権者の上に立って、おれたち最高指導だというような思い上がったものがあるんじゃないですか。そんなものがないならこんなことをすべきじゃないじゃないですか。  今、人事院の方に聞いてみれば、今度は格付を下に下げたりもしくはスピードを落としたり、そういうことは一切しません、むしろ、改善の方向でやっておるというのならそれに素直に従ったらどうなんですか。なぜそんなふうにあなたは逆向けな方向に固執するのですか。
  87. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 私たちも別段逆向けというか、地方団体の方、地方公務員にとって不利なことを指導しているわけじゃございませんで、多くの地方団体の中には職務級の原則に従って給与を運用しておられるところがある。そういうところにつきましては、今先生が御指摘なさいますように、私たちもこの給与制度の改定を機にいたしまして、特段格下げをしたり不利益な扱いを指導するということは考えていないわけでございます。
  88. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 考えていないなら、この職務分類表を条例化しなさいとか、その中には一級格落ちをつくって、係長は国の府県機関よりも格落ちをして、これでやりなさいという指導をするのですかと聞いておるのだよ。そこまですることはないじゃないですか、ちゃんと上下は一緒なんだから。十一級と一級は同じなんだから、国と。あとはその県の人事委員会実態を一番よく知っているわけだから人事委員会にゆだねたらいかがなんですか。知らぬ者が知ったようなふりして、研究会中間報告をまた書きかえたりして、あたかもこれでやらなきゃいけないというふうな「適当である」とかいう表現に変えてみたり、こんなことは私はいけないと言っているわけです。  もう二つ時間がありませんから聞きますが、町村の場合はどうなんですか。町村の場合にここでは総括課長最高が七級でとまっていますね。府県の段階を見ると十級までいっておるわけだよ。国の機関ですね、十級までいっておるんです。私は十級までとは言いませんけれども、なぜ町村の場合は七級ですか。町村の場合、三十年四十年勤めてどうして七級が最高ですか。いかがですか。
  89. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 現在、先ほども少し申し上げましたけれども町村の七割は現在の給料表で申し上げますと五等級制というものをとっております。それを新しい給料表で申し上げますと、今お話しになりますように七級制になるわけですが、現在五等級制が七〇%の町村でとられておるというのは、町村の職制といいますか、課長課長補佐、係長そして一般職員というこの職制からいいましてほとんどの町村で五等級制給料表が採用されておる。そのことについて私たちの方も特段町村の人事当局から異なった意見というものを聞いておりませんので、私たちも今までの延長線上の指導でいいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  90. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その延長指導線という答えですけれども、しかし延長線のその前の指導に問題もあったかもしれません。しかし、人事院がせっかく改善措置をとったわけだ、今度の十一級制というのは。その際に、あなたは何か衆議院の安田さんの質問の中で、国の課長はこういう国会に来て、そしてまた帰って政策立案をしなきゃならぬという重要なポストですから、同じ課長でも課長中身が違いますみたいなことを議事録で言っていますが、町村だって議会はあるんですよ。そこでやっぱりいろいろ説明聞いたり質されたりして町村の町政、政策をとってきておる。また町村職員の質もどんどん今変わってきていますよ。そういうときに町村に勤めたら、いいですか、国は十一級、府県の機関が十級、都道府県は十一級までいけるというのに町村だけ七級どまりというのはどういうことですか。こういう指導というのは勤労意欲もわかなきゃ頑張っていくという意欲がなかなか出てきませんよ。ここら辺はせめて八級まで延ばしてやるべきだ。それがあなたが言う自治体に対する自治省の指導の大事な点じゃないかと思うんですが、どうですか。
  91. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) それぞれの団体給料表というものをどういうふうに考えるかという問題になるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、町村の場合には課長課長補佐、係長、一般職員という構成から見まして、現在の五等級制、新しい給料表でいいますと七級制ということで、町村の組織の実態といいますか、それに適合しているんじゃないかという感じを私たちは持っております。その新しい給料表でいう七級制というものをとりましても、今度の国の給与制度の改正に準じまして、それ相当の改善がなされるという実態がございますので、私たちは今度の給与制度の改正を機にして、特段町村職員に不利益があるとか、あるいはまた現状維持にとどまっておるとか、そういうことではないんじゃないかと。今度の給与制度の改正を機にいたしまして、その限りにおいて少し改善されるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  92. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう時間がありませんから、大臣、あなたにひとつ。この人とやっておったらもう果てしないんだ、鉄道の線路みたいなものだ。だから、私はあなたに良識を持って、大臣として見識を出していただきたいと思うんです。  今、私と随分やりとりをしました。国の府県の機関人事院お話によりますと、法務局を代表例にとりましたが、百から四百程度の規模のそこの所長さん、課長さん、係長さんですね、それが今言うように、係長さんの場合には六級まで上れるように今度規模を開いた、今まで本省だけしか認めなかったのを開いた。ところが、県の五千、一万という規模を持つ係長は四、五等級どまり。これはどうしても地方べっ視ですよ。また、町村は六十歳の定年まで勤めても七級どまり、最高課長がね。それでよしという答弁ですからね。これは僕はあきれて物が言えないんです。  大臣は見識を持っておられると思うから、これは今からでも遅くないんですね、そこら辺の指導について是正をするなり、そしてやっぱり自治体に働く意欲を、せっかく人事院が今度の勧告の中に入れた意思地方にも生かされるようにこれはぜひお願いしたいと思うんですが、いかがでしょう。
  93. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) いろいろ先生の御意見をお伺いいたしました。また、事務当局も答弁をいたしましたが、今後私どもも十分勉強をいたしまして、私自身も勉強いたしまして、町村の指導、また不公平にならぬようにひとつ十分努力をしてまいりたいと思います。
  94. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 消防庁にも予定しておったんですけれども、せっかく待機してもらいましたが、予定されている時間が来ましたので次の機会に。  大臣、今、自治体は給与改定の指導中ですから、せっかく大臣が十分勉強して、地方にそういうべっ視の状態をつくってはならぬというお気持ちをいただいたんですが、それが現実にやられておる改定期に間に合わないと何の意味がわからぬわけですから、空鉄砲になりますから、ぜひ直ちにその精神を地方に徹底させるように御指導をお願いして私の質問を終わります。
  95. 中野明

    ○中野明君 先ほども警察のことについて苦情がありましたが、私も冒頭ちょっと不満を申し述べたいんです。  先日、青森県で起こった詐欺事件の犯人篠原某とかいう人を護送するに当たりまして、あのときのテレビを見て驚いたんですが、護送中に記者会見のような形になって、悪いことをした人があたかも英雄気取りでおるかの印象を与えるような、ああいう犯人の護送ということについて警察はあれでよかったと思っておられるのかどうか。もしそれがよくなかったとするのならば、今後犯人護送についてどういう注意を払われるのか、その辺最初にお答えいただきたい。
  96. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 御指摘の件につきましては、護送の前に県本部の広報官から各報道機関に対しまして取材等を自粛するように要請いたしました。さらに、実際の護送に当たりました捜査員におきましては、最初の列車中、また引き継ぎまして飛行機の護送中におきまして、再三にわたり報道関係者に対しましてインタビュー等を行わないように協力を要請したわけでありますが、例えば、飛行機につきましては数十人という報道関係者が乗り込みまして、一般乗客の過半数を占めるというような状況でありまして、何分多勢に無勢ということで、事実上押し切られた形でインタビューが行われたということであります。  しかし、被疑者の人権、捜査上の都合等を考えますと大変遺憾なことでありまして、今後こういうことのないように警察としても十分対応してまいりたい、また報道関係に対しましても協力を要請していきたいということで、早速関係の向きにはその旨お願いしておるところでございます。
  97. 中野明

    ○中野明君 とにかく、ああいう全国的にも注目を受けた犯罪ですし、地元の警察が逮捕したということを大々的に、自分の手柄だというのでマスコミに発表したのじゃないだろうか、そういう気がします。そうでなければあそこまで大騒ぎにならない。新幹線で博多まで行ったんですか、それから飛行機でこっちに来るわけですから、犯人を逮捕して護送するわけですから、ああいう状態になればそこからまた事故が起こる可能性はなきにしもあらずですし、犯人を逆にまた取り逃がしてしまうというようなことにもなりかねない。いろいろ反省があったろうと思いますが、いずれにしてもああいう形というものは、国民の大多数はありゃと思うわけですね。警察がわざわざインタビューさせているのじゃないか、一体警察というのは犯人を捕まえてどう考えているのだろうか、それはまた先ほどの話じゃないですけれども警察に対する信頼感を失っていくことにもなりかねないので、今後そういうことは二度とないようにぜひお願いをしたいものだと思います。  それで次の問題なんですが、昨日からけさにかけて各報道機関で大々的に報道されて、全国の新聞、テレビを見た人は唖然としたわけであります。今回の十一月二十九日の国電のゲリラ多発事件、東京だけでも約四百人ぐらいが行動したのじゃないかと言われておるんですが、この犯人を四十六人ほど捕まえたということになっております。その中に国鉄の職員が二人入っておったということなんですが、この四十六人の中で身元のわかったのは何人ぐらいおって、国鉄職員以外に国家公務員地方公務員も入っているやに聞いておるんですが、その辺は一体どうなっておりますか。
  98. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 御指摘の点は、二十九日の未明に起きました勤労千葉のストライキをめぐります支援という形でのゲリラ闘争に関連しての御質問だと思いますが、これにつきましては全体で三十四件に及ぶゲリラ活動が全国で起きております。その間に、都内では国鉄のケーブル線が切断されるとか、あるいは浅草橋の駅が火炎瓶によって攻撃されるといったふうな事態が起きております。その中で、全体で当日四十八名の検挙を出したわけであります。その四十八名の検挙者は現在捜査中でございますが、まだその身元等につきましてはすべて完全黙秘の状態でございますのでなかなか割れない状況にございますが、現在まで判明いたしました中で申し上げますと、ただいま御指摘のように国鉄の職員が二名おりました。それからまた国家公務員が二名、地方公務員が二名という点が現在まで判明いたしているところでございます。
  99. 中野明

    ○中野明君 それで、この犯人逮捕の問題なんですけれども、報道された写真なんかを見ておりまして、浅草橋駅の襲撃の後、過激派というんですか、中核派というんですか、その人たちが引き揚げていくのを警察官が知らぬ顔をして眺めているような写真が至るところに出ているんですが、あれは一体どういう感覚で見ておられるのか。警察当局としてあの場合をどう説明されるのか。私ども見まして、あれだけの大事件を起こして粛々と引き揚げているのを警察も静かに見守っているというような感じにとれるんですが、その辺はどういうふうに見ておられるんですか。
  100. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) ただいまの浅草橋付近におきます事象といたしましては、御説明申し上げますといささか時間がかかるわけでありますが、実はあの周辺では幾つかの事態が起きているわけであります。  まず最初の段階で申し上げますと、六時三十五分ごろでありますが、あの浅草橋駅の近くの左衛門橋という近くの小公園の付近に一台の不審な車があるということで一一〇番を受けたわけであります。そして、それに対しまして警察官が直ちに現場へ行きましてその不審な車を職務質問いたしますと、その中に段ボール箱があって、いわゆる鉄パイプあるいはヘルメット等がございました。そこで直ちに警察官がこれに対応いたしましたところ、周辺から約七十名ぐらいの背広を着た者が突如わいてまいりました。そして警察官を取り囲み、これに対してこづくなどの攻撃を加えてきたわけであります。と同時に、彼らはその車の中からヘルメットあるいは鉄パイプあるいはレーンコート、覆面等を持ちまして、あるいは火炎瓶を持って警察官に対して襲いかかるという事態が発生いたしました。  これに対しまして警察官は、乗ってまいりました車両等をその場で展張いたしまして車の行動を阻止する。約七十名近いゲリラに対しまして警察官は数十名前後でありましたけれども、これが果敢にもその行動を阻止するために全力を挙げて制圧に努力をしたわけであります。しかし、何分にも数が多いということで、警察官は最終的にはけん銃まで抜いて、とにかくその場でもって彼らの行動を封鎖しようということで努力をいたしたわけであります。その前後におきましてこのゲリラの中で八名を検挙いたしておるわけであります。と同時に、そのゲリラは多数を頼みまして警察官の制圧を突破いたしまして浅草橋の方へ行ったわけでありますが、警察官はその後もこのゲリラを追跡いたしまして、そのゲリラの後方にいた者を逐次検挙をしていったという状況であります。  そして、浅草橋の駅の前に到達いたしました段階で、さらに十数名の警察官が浅草橋の駅前でゲリラ隊の駅内への侵入を阻止したわけであります。しばらくの間両者対峙をしたわけでありまして、激しい攻防戦が展開したという状況でありました。その後、たまたま一部あいておりましたシャッターをくぐりましてゲリラの者が駅の中へ入っていって、あのような火炎瓶を投げ入れる、駅の事務室等を焼くという事態が発生したわけであります。これに対しまして、逐次応援部隊をどんどんとこの周辺につき込みまして、最終的には実行いたしました者のうちの四十六名を現場及びその周辺で検挙いたしたわけであります。全体で約七十名前後のゲリラでありましたが、その四十六名を検挙したということはほぼ三分の二を検挙したという事態でございまして、警察といたしましてはできる限りの手を打って駅への侵入を阻止し、同時にまた彼らの検挙を図った、こういうことでございます。
  101. 中野明

    ○中野明君 巷間伝えられるところによりますと、前もって情報はあったように聞いておりますが、その前もっての情報というのは、新幹線の指令室といいますか、指令センターというんですか、そこをねらってくるんじゃないかということで、その辺を重点的に警備をしておって、その裏をかかれたんじゃないか、こういうことが言われているんですが、その辺の事情はどうなんでしょうか。
  102. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 情報につきましては、いわゆる一般的な情報としては、例えば、中核派自体がこの勤労千葉の十一月ストライキを全党、全人民の力で守り抜くというふうなことを言っておりまして、そして電車をとめても支援をするんだといったふうな言い方をしておりました。しかし、具体的な戦術という点になりますと、具体的な情報は入手しておらなかったということでございます。
  103. 中野明

    ○中野明君 いずれにしても、あれは勤労から分裂して千葉勤労というんですか、そこがストをする、それに対して中核派が支援するということはもう前もって承知しておられたはずですし、何らかの形で情報は入っておったんじゃないかという気がしないでもありません。しかし、今何もなかったとおっしゃるんですから、それほど日本警察はのんきじゃないと思っておりますが、この程度にしておきます。  そこで、国鉄の職員がこの中に入っておつたということを国鉄は恐らく逮捕された時点でもう承知されておったんじゃないかというような気もいたします。しかし、いずれにしても、国鉄の職員自分の職場でこういう焼き討ち事件を起こすということは、この報道を聞いた国民は一様に唖然としたし、もう神経がわかりません。憤りも通り過ぎて、一体何だろうと思いますが、国鉄としては部内からそういう不心得者が出たということについてどのように受け取っておられるのか、そして今後の対応をどうされようとしているのか、その辺をお答えいただきたい。
  104. 南谷昌二郎

    説明員南谷昌二郎君) ただいま先生から御指摘がありましたように、私ども職員が逮捕者の中に二名いたということがわかりました。私どもとしましては、先般の事件後、万一にもそういうことがあってはいけないということで、二十九日以降の職員の勤務状況について各地方管理局での調査を命じておりましたけれども、昨日、弁護士を通じて二人の者の休暇届が出てきたということで明らかになったわけであります。休暇届の内容から見てほぼ間違いないということで私ども判断したわけであります。  先生指摘のように、職員でありながらみずからの職場を破壊する、そしてお客様に多大な御迷惑をおかけしたということはまことに言語道断でありまして、私どもとしても痛恨のきわみでございます。今後とも、これらの再発の防止はもとよりでありますが、この職員に対しましても、御当局の方の調べを待ちまして速やかに厳正な処分をしてまいりたいというふうに考えております。国民の皆様方に大変御迷惑をおかけいたしましたことにつきまして深くおわびをする次第でございます。
  105. 中野明

    ○中野明君 警察に改めてお聞きしますけれども、このゲリラ事件に先立ちまして、十月の二十日でしたか、成田闘争で百四十八人逮捕されて、その中にも国家公務員地方公務員、国鉄職員等も入っておったというように伝えられておりますが、これはどのようになっていますか。
  106. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 十月二十日に、成田の現地におきまして機動隊に鉄パイプあるいは火炎瓶を投てきする、鉄パイプで殴りかかるといったふうな事態が起きまして、その間二百四十一名を検挙いたしたわけでありますが、その中に国家公務員五、地方公務員二十二、国鉄職員四というものが含まれていたのでございます。
  107. 中野明

    ○中野明君 ですから、国鉄職員が既にもう十月二十日で逮捕された人の中にも四人おるわけですね。今回も、まだ逃げている人の中にも国鉄職員がおる可能性が高いとも言われているんです。そういうことになりますと、国鉄自体は割合にのんきではなかったのかなと。そして勤労千葉がストをする、それに対して中核派は声明を出してこれを支援する、こう言っているんですから、国鉄としてはまず自衛のためにも、また、部内者がその過激派の中におるということはもうはっきりしているわけですから、それに対して事前にもっと手が打てなかったのかということ、それが一つ気になります。  それから、今後二度とこういう不心得者が出ないようにしなきゃなりませんし、また出たのではもう国鉄に対する信用も大変でしょうし、国鉄の再建というのは国家的な課題としてもう労使を挙げての大問題になっているわけです。このときに国民から信頼も失い支持も失うということになると、国鉄再建にも大きな影響が出てくるということを私どもも心配をするわけです。ですから今後の、未然に防ぐといいますか、この事件をもとにしてどのような方策で再発を防止しようとされるか、もう一度当局の確たる方針をお聞きしたいと思います。
  108. 南谷昌二郎

    説明員南谷昌二郎君) 先生の御質問で、事前に手が打てなかったがということでございますが、これにつきましては、私ども職員がこういった行動を起こすことが予知される状態になかなかない、しかも、どのような者がこういう行動に参加してい奏かということは、実は私ども事前に把握することは極めて難しい状態にございます。職員自分の公休日であるとか、あるいは年次有給休暇を使って行くというような場合に、それらを事前に拒否するということもできませんし、そういう意味で私どもとしても極めて困難性を感じている次第でございまして、どうしても結果がわかってからの後手の対策になっております。私どもとしましては、極力日常の職員の指導監督というものをさらに厳しくいたしまして、職員管理を徹底するということが大切かと思っております。御指摘のように、国鉄の今後の経営改革へ向けまして、国民の皆様方の御支持をいただかなきゃならないときでございますので、なお一層努力してまいりたいと存じます。
  109. 中野明

    ○中野明君 この際今回のゲリラ多発事件で国鉄が受けた損害、これを正確に明示してもらいたいです。
  110. 南谷昌二郎

    説明員南谷昌二郎君) 損害額につきましては現在調査中でございます。旅客関係の収入の減ということに関しましては、当目予定されておりました収入見込みに対します実際の収入との関係で推測いたしますと、約十四億円という数字が現在把握されております。なお、現実のゲリラ事件による被害状況、浅草橋の駅舎の損害、あるいは三十三カ所に及ぶケーブルの切断、それに伴う補修ということに関ましてはまだ現在精査中でございますので、わかり次第また御説明申し上げたいと思います。
  111. 中野明

    ○中野明君 浅草橋の駅はあれほどやられたんですから、浅草橋のいわゆる放火事件によって概算どれぐらい損害があるかということはつかんでいませんか。
  112. 南谷昌二郎

    説明員南谷昌二郎君) 現在、応急復旧をいたしまして、なお最終的な、本格的な復旧の工事を行っているところでございますが、これはまだ精査中ということでございます。全くの推測でございますが、約三億円程度というふうに言われております。
  113. 中野明

    ○中野明君 それで、浅草橋の火災を消すのにかなり時間がかかったやに伝えられておりますが、消防の方でどういう連絡を受けて、そして消火までに万遺漏がなかったのかどうか、その辺お答えできますか。
  114. 関根則之

    政府委員(関根則之君) その辺の現場の詳細につきまして、私ちょっと承知をいたしておりませんので、後ほどまた必要がありますれば調べた上で御答弁申し上げます。
  115. 中野明

    ○中野明君 わかりました。通告していませんでしたから、後ほど調べて教えてください。  それで、自治大臣も見えておりますが、十月二十日、そしてまた十一月二十九日、この両方にやはり地方公務員、学校の教員も入っておるやに聞いておりますが、まことに公務員として情ないことでございますし、国民の側から見てもやりきれない気持ちでいっぱいなんですが、これらの人の処分といいますか、処置というのはどういうふうになさるつもりなんですか。
  116. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 実は、公務員が相当な数参画しておったということを知りまして私どもも大変びっくりしたんでございますけれども、閣議で報告いたしました。そのときに、福島県の学校の教員の方については、文部省はすぐ懲戒免職にしたということを言っておりました。その他についても厳重に処置をいたしますということを言っております。私は今度の問題につきましては、実はあしたまた閣議で報告しようと思っております。  特に私が不思議に思ったのは、この前の十月二十日の事件で釈放された人が、今度の中に同じ人が入っておるということでございました。こういう点は今の制度の上でやむを得ないことにしても、十月二十日のときと今度と同じ人が五人もおるということは、これは大変私もびっくりいたしました。そういう問題もあわせて、あした閣議で関係大臣報告しようと思っておりますが、ただ、既に国家公務員等につきましては総務庁の方へ非公式に連絡はいたしております。とにかく、任免権者の方へそういう事態をこちらからも早く連絡いたしまして、公務の適正な管理というものを図ってまいらなきゃならぬと思っております。
  117. 中野明

    ○中野明君 ちょうどインドのガンジー首相も来ておったことですし、このニュースはアメリカとかヨーロッパへもすぐ流れて、日本としても国家的にかなり大変な恥ずかしい事件でありました。こういうことは二度と起こらぬように、警察の方も警備当局大変御苦労ではあると思いますけれども、そういう動きがあり、また活発に、今回は彼らの側から見たら成功したと思っているんじゃないかと思われるような節もあります。そうなりますと、高度情報化時代になってきての盲点がさらけ出されたというような事件でもあるんですが、事前の調査といいますか、そういうことを厳重にやっていただいて、この種の事故が起こらないような万全の体制をとっていただきたいと強く要望をしておきます。  それで、次の問題に移ります。これまた航空機事故の問題ですが、航空機事故の恐ろしさというものをまざまざと見せてくれましたあの日航ジャンボ機の墜落、五百二十人からの人がお亡くなりになり、奇跡的に生還者も出ましたが、まことに痛ましい何とも申し上げようのない事故でありました。ようやく現地もそれぞれの形で落ちつきを取り戻し、日航側も補償交渉にも入っておるようになってきておりますけれども、きょう問題にしたいのは、いわゆるこのことによって地方公共団体が受けた精神的、肉体的、経済的な負担、これは大変なものだろうと思います。  そこで、まず最初にお聞きしたいのは、羽田の方でこの事故が起こってからのとられた処置といいますか、対策に当たって運輸省としてどういう処置をとってこられたか、最初にそれを教えてください。
  118. 土井勝二

    説明員(土井勝二君) お答え申し上げます。  今回の日航一二三便の事故に際しましては、事故の発生に際しまして羽田にございます東京空港事務所の救難調整本部におきまして、所定の手続に従いまして自衛隊、警察庁、それから海上保安庁との間で捜索救難活動にかかわりまする連絡調整を行いまして、その連絡調整を踏まえましてそれぞれ自衛隊、警察庁等の関係省庁におきまして捜索救難活動に当たったということでございます。
  119. 中野明

    ○中野明君 それで私お聞きしたいのは、日本の国は地震国だと言われていますし、東海大地震が起こるかもしれないとか、あるいは火山の爆発その他台風のときの災害とかいろいろ大きな事件が過去にも起こっております。今後も起こらないことを願いますけれども、皆無とは言い切れない。こういう状況の中で今回救難調整本部ですか、そして事故対策本部というものが設置されて救援あるいは事故対策に当たってこられたわけなんですが、いわゆる救援活動、そして事後処理の対策をやられ、運輸大臣が本部長として実行されてきたわけなんですが、そのことによって今後この点とこの点は気をつけてやっていかないとうまくいかない、今回の反省といいますか、うまくいかなかった点、あるいはこういうことはさらに進めていった方がよろしかった、そういう点についての今回の救援活動から得た教訓と今後の対応、それをひとつまとまっておるならば発表をしていただきたい、こう思います。
  120. 土井勝二

    説明員(土井勝二君) 今回の捜索救難活動におきましては、先ほど申しましたように、自衛隊、警察庁、海上保安庁、それから航空局という四つの機関で結んでおります捜索救難に関する協定に基づきまして、いわば所定の手順に従って捜索救難活動を行ったわけでございます。  それで今回の捜索救難活動につきまして、先生ただいま御指摘のように、どういう点がいわば万全でなかったかという点については私どもも事故後直ちに検討を開始しておりまして、関係省庁とも現在御相談中のところでございますが、ただいまのところ、例えば初期活動、初期段階における迅速な関係省庁間の情報交換が若干十分でなかった面があるのではないか、あるいはこの日航機が緊急事態であるという通報を受けてからかなりの時間飛行をしていたわけでございますが、こういう場合におきまして、例えば、自衛隊のエスコート機の発進を要請してそれによって援助をすることができたのではないかとか、あるいは関係省庁が保有しておりまする装備あるいは能力の情報の把握等についてより一層適切なものにする、それからさらには、先ほど申しました羽田の救難調整本部の要員の配置、その強化といった面について反省をしまして、関係省庁とも御相談の上、いわばソフト面あるいはハード面両面から所要の整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  121. 中野明

    ○中野明君 今のお答えにも出ておりましたように、最初私が申し上げました大きな事故が将来ないことを願っているんですけれども、起こったときに、今回のこういうことについての教訓というものが生かされて少しでも役立つということが望まれるわけでして、聞くところによりますと、東京消防庁では最新鋭の救難ヘリを持っておられるということを聞いておりますけれども、そういうことがお互いの間で情報交換ができておれば、早期にそれを要請して、墜落現場はもっと早くわかったんじゃないだろうか。何か当初は、自衛隊のへりが見たけれども、それが長野県だというような報告で、そして最終的には群馬県ということになりました。ですから、消防庁の夜間照明もついているような相当優秀なヘリコプターのようですね、フランスから購入したとかなんとか聞いておりますが、そういうものがあるということがわかっておればそれを要請して、墜落現場がもっと早くわかったら生存者もまだおったんじゃないだろうかというふうに私ども後からですけれども思うのでありまして——それはわかりません、現場がわかっても生存者はあれだけだったかもしれません。何とも言えませんけれども。  そういう点について当時のことを思い起こしてみますと、長野県ということで長野県から総力を挙げて現場へ近づこうとしておったのが、明くる日になって結局群馬県だったというようなことですから、そこら辺を考えますと、救難といいますか、救助作業といいますか、これの一番大事なのはやはり現場を早く見つけるということでしょう。そういう点について対策本部では運輸大臣のもとに各省庁が集まっておられるようですね、これは消防も入っておりますし警察も全部入っております。そういうことで恐らく対策本部での打ち合わせのときにお話が出たんじゃないかと思います。  今後そういう点について、自治大臣、閣議でも結構でございますが、何か大きな災害、地震があるとかいうことで予知とかそんなことは一生懸命やっておりますけれども、起こったときにそれに緊急に対応するためには、どこにどういうものがあってという情報がある程度それぞれの機関でつかまれておるということが要請をするときに適切な要請ができるんじゃないだろうか。せっかくヘリコプターを要請しても夜は役に立たぬ、それでは幾ら頼んでも意味がないわけですので、そういう点をひとつ今後の課題として、どこにどういう性能のものがあるということを日ごろから関係当局は把握しておる、そういうふうな提案をしていただきたい、こう思うんですが、いかがでしょう。
  122. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私も今の話は先生と全く同感でございますし、やはり各省ばらばらになっておりまして、今度はすぐ総理府に運輸大臣を長として本部ができたんでございますが、やはりそういうときにヘリが、どういうものがどこにあるということがあらかじめわかっておるということは救援活動あるいは災害の処理を敏速にする上では極めて必要だと思います。先生の御意見というものを私ども早速適切に措置してまいりたいと思っております。
  123. 中野明

    ○中野明君 それで最初に戻りますが、群馬県並びに藤岡と上野村ですか、地方公共団体の精神的な問題とか肉体的な問題というのはこれはちょっとお金には計算できませんが、受けた実害といいますか、経費、これに対して日航側にも請求をしておられたようでございますが、日本航空も自分のところに対する補償といいますか、それはそれなりに子として支払うというようになったやにも伝えられております。そこで、全体の被害の状態、いわゆる地方公共団体の受けた実害、それに対して日航がどれだけ補償して、残りはどう処置されようとしているのか。これは自治省がつかんでいるんでしょうか。
  124. 花岡圭三

    政府委員(花岡圭三君) 日航機事故関係の経費でございますが、県当局で取りまとめましたところによりますと、県及び市町村で支出されました事故対策本部経費あるいは捜索関係経費、遺族対策関係経費、また捜査の経費等いろいろあるわけでございますが、県のまとめたところではこの総額が八億三千六百万円に上っております。これらの経費のうち原因者の責めに帰せられるべきものは原因者であります日本航空に負担を求めました。その結果、先日、日本航空から県の方へ請求金額全額を負担する、この金額が五億一千五百万円でございます、そのような報告があったわけでございます。  なお、この日本航空の負担部分を除きましたものにつきましては、例えば、捜査関係経費等につきましては警察庁による措置を講ずる必要がございますし、関係各省庁におきます国としての適切な措置が講じられなければならないというふうに考えております。自治省といたしましても関係地方団体の財政運営に支障がないように適切に対処してまいりたいと考えております。
  125. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、日本航空は五億一千五百万は持つ、こういうふうになったようですが、行政側の三億二千百万円ですか、これは地元の県並びに市町村に一切御迷惑をかけないようにすると、このように受け取ってよろしいですか。
  126. 花岡圭三

    政府委員(花岡圭三君) 各省庁とも十分お話をいたしまして、地元に迷惑のかからないようにいたしたいと存じております。
  127. 中野明

    ○中野明君 それからもう一点は、藤岡市から日本航空に体育館を建てかえてもらいたい、もうこれではかなわぬということで、遺体安置所になったところでしょうか。それで、この際建てかえたいんで日本航空に五億円を公式文書で請求しているということが伝えられているんですが、運輸省はどう承知をして、日航にどのような指導をされようとしているのか。その辺ちょっと。
  128. 楠木行雄

    説明員(楠木行雄君) お答えいたします。  藤岡市から先月の十八日にそのような要請書が日本航空に参っておりますことは運輸省といたしましても承知しております。しかし、現在のところ日航と藤岡市の双方で話し合いを始めたばかりの段階でありますので、当面この推移を見守ることが適当であるというふうに考えております。私どもといたしましては、いずれにいたしましても十分な話し合いの結果、関係者の納得できる結論に達することを期待しておる、こういう次第でございます。
  129. 中野明

    ○中野明君 ぜひ円満な話し合いをしていただきたいと思います。やはりそれだけの迷惑をかけていることは事実です。ですから、円満な話し合いをして解決をするように運輸省の方としても努力してもらいたいと思います。それで、時間が限られておりますので、次の問題に入りたいと思います。  大臣ですね、いよいよもう十二月に入りまして来年の予算編成ということに相なってくるわけですが、本年の補助金の一律カット、この問題のときに大変な議論になりまして、大臣も御記憶のとおり本年限りと、そうしてそのときの答弁では、これは当初から手続の順序が逆であったということを大臣はお答えになっておったわけですが、その後補助金問題検討会が発足をして今鋭意検討中だということなんですが、時間的に私非常に心配もしておりますし、またこのままでいったら去年と同じようなことになって、同じことを二度繰り返したらもう来年はとてもじゃないが通らないだろうと私も心配をします。そしてこの予算編成のときに、どさくさに紛れてまた前回みたいに予算が組めないから押し切られましたというような大臣の答弁でもこれ納得できません。  伝えられるところによりますと、予算編成を今の大臣でやっておいて、これが終わったらもうすぐ交代だというんですが、まさか一番影響の多い自治大臣はかえるつもりがないからそう言っているんだと思うんですがね。大臣がせっかく苦労して予算を組んで、ぱっとかわってしまって、わけのわからぬ大臣が、あれは古屋さんがやったから私は知りませんよというような答弁ではこれまた困るのです。  もう一つは、毎日の新聞に、いや生活保護費を三分の二にせいとか、ほかのも切ってしまうんだと、厚生省と話がついたと。懇談会が何も結論を出していないのにどんどん大蔵が勝手にひとり歩きしている、そういうような状態の中で予算編成が間近になってきたんですが、そういうことを含めて大臣としてのこの問題に対する態度といいますか、考え方をはっきり教えておいてもらいたいと思います。
  130. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 地方財政が大変厳しい中におきまして、この暮れの予算編成ないし補助金の問題をどうするか、どういうふうに進めておるかということでございます。事務的には後で財政局長からつけ加えさしていただきますが、私の知っておりますところでは、閣僚懇談会のもとに有識者懇談会というものを、つまり大蔵関係、厚生関係あるいは自治省関係、自治省では公営企業の総裁とそれから市長代表、知事代表、町村長代表等を入れておるわけであります。大体八回以上会議をいたしまして、今締めくくりの段階にあるのではなかろうかということが私の聞いている段階でございます。  ただ、お話しのように、国が、新聞紙上で見ておりますように、大蔵省と関係省がいろいろ話し合って進めて、それが既定事実になってしまっては私ども大変不本意でございまして、この間も地方制度調査会の答申をいただきまして、この前の火曜日の閣議で御報告いたしました。そのときにも、補助金の性格については十分検討して、地方に負担を転嫁するようなカットにならぬように十分注意してもらいたいということは各省にも地方制度調査会の御意見とあわせて申し上げておったところでございます。非常に財政状態が厳しいということで、補助金を削られることはしようがない。ただ、一律カットとかそういうやり方についてはもう去年ああいうことで、このための閣僚懇談会もできたわけでございますから、そういう点は困りますよということは再三大蔵大臣にもあるいは党の方にも申し上げておるところでございます。  ただ、事実が進んでしまっては私どもも大変申しわけないことでございますので、そういう点これから党と連絡しながら進めてまいりまして、とにかく、国は厳しいといって地方団体に負担のツケを全部回す、自治省が交付税で負担してといっても交付税というのも一定の限界がありますし、限度もございます。だから、そういう場合にはそれにプラスアルファのものでもなければとてもできない、これは私の今の考えでございます。いずれにしろ、もうあと一月以内の問題でございまして、私どもはこの問題につきましてはやはり地方立場を十分考えながら適切な処理をしていかなけりゃならぬ。それから、一生懸命にやって、暮れにかわってしまって後の人が、あれは古屋が言ったことだから知らない。国の閣僚の任免は総理の腹の問題でございますから、私どもはやっております限り一生懸命に、後に悔いを残さないように最善の努力をさしていただきたい、そういう気持ちでございます。  なお、補助金カットの問題の事務的経過につきまして財政局長から御報告さしていただきます。
  131. 花岡圭三

    政府委員(花岡圭三君) 補助金問題検討会は五月三十一日以降精力的に検討を続けておるところでございます。その主たる対象は社会保障関係経費でございますけれども、そのほか文教あるいは公共事業等についても検討を重ねております。検討会におきましてこれまで検討されておりましたのは、例えば社会保障の分野におきましては、制度の創設時におきます状況と近年におきます社会経済の状況がどのような変化をしたか、そういうことを踏まえまして事務についての国の関与のあり方あるいは実施主体、国と地方との役割分担と申しますか市町村への事務移譲を考えるかどうか、あるいは国の責任の度合いと費用負担の問題、また関連施設間のバランス、例えば、老人福祉におきます施設入所と在宅福祉の関係、こういった議論を重ねておったわけでございます。  また、補助金の一般的論議といたしましては、補助率の設定の経緯とかあるいは補助金のあり方、低率補助金の問題、また補助体系をどうするか、そういった全般的な問題についてもいろいろ議論を重ねておる状況でございまして、現在までかなり詳細な議論が行われておりますけれども、問題が問題でございますからいまだ結論は出ておりません。なお引き続き議論を重ねていっておる状況でございます。いずれにいたしましても、六十一年度予算に間に合うように結論を出すことは当然でございますので、ぎりぎりまで突っ込んだ議論をお願いしたいということで現在進めておる状況でございます。
  132. 中野明

    ○中野明君 大臣、去年と同じ轍だけは踏まないようにお願いをしたいわけです。予算は組めぬと言われたからしようがないから泣く泣くのみました、これだけは繰り返さないようにしてほしいということと、国家財政も厳しいことは我々も承知しておりますが、地方だって大変です。そのときに、もしこの補助金の配分を変えるというのならば、民主主義のルールに従って正々堂々と法案を先に出してきて、その法案を通してから予算を組むという正々堂々とした論議にしてほしいわけです。そうしないと、去年はそれでお互いに非常に悩みまして、地方公共団体にも大分ハッパをかけたんですけれども、泣く子と地頭には勝てませんというようなことを言う参考人が出てきたり、そんなことで、ここまで来たら早く通してもらわなければかなわぬというようなことで渋々通したわけですけれども、同じことをことしも繰り返したらこれは国会の権威にもかかわりますし、地方公共団体も今回は黙っていないだろう、私はそういうふうに思いますので、どうか去年と同じような予算編成のやり方をしないようにお願いをしたいと思うんですが、大臣の所見を聞いて終わりたいと思います。
  133. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私も昨年の例は身にしみて感じておりますし、地方団体にも大変大きな影響を与えております。二度とこういうことがないようにねっちり頑張ってまいるつもりでございます。
  134. 神谷信之助

    神谷信之助君 先般の、十一月二十九日の国鉄襲撃事件についてお伺いしたいと思います。  時間がありませんからできるだけ簡潔にお願いしたいんですが、あの中核派の蛮行を我々断じて許すわけにはいかぬし、この問題は一貫して我が党が警察当局にも率直に批判してきたところであります。彼らはことしになってからでももう既に報道されただけでも三十件近くこのような暴行、暴挙を繰り返してきています。  そこで、今回の千葉勤労のストライキに合わせてそれの支援という名目、口実で逆に国鉄の分割・民営化に反対する運動に水をかけるようなふらちなことをやったんですが、その点について、事前の情報について、先ほど同僚議員の質問に対しては、彼らの機関紙等で言っている程度の情報しかとっていないということで私は非常に驚いているんです。例の昔の背販社事件なんかでは、公判廷でもはっきりしているように、公金まで使って買収をして情報をとろうとしているような、そういうことをずっとやっておられるんです。それが事前の情報をさっぱりつかめていなかったというのはどうも信用できないんだけれども警察当局としては事前に彼らがどういう挑発をやろうとしているか、それをどういうふうに想定をして態勢をとっておられたのか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  135. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 情報の問題でありますが、一般的な情報という点でございますと、例えば、勤労千葉の支援のためにいろいろな行動をするという意味で、総武線のみならず首都圏あるいは全国の列車を人民の力でぶっとめようといったふうな姿勢で臨んでいたということは了解しているわけであります。その意味では、一般的な情報という点ではあるわけでありますが、御存じのように、具体的なゲリラ情報というのは入手が大変難しいわけであります。特に中核派等の極左暴力集団につきましては、その非公然組織というものが特殊な状況にございまして、互いに顔も知らない何も知らないというような状態の組織でございますから、そこに対して情報のメスを入れるということは大変困難な状況であることは御理解いただけるというふうに思うところでございます。  特にまた、ゲリラ情報というのは、具体的にその情報が入れば彼らにしてみればその場で検挙されるということであります。その意味では、まさに彼らにしてみると最も情報としてはとられたくない情報であるという点から見ましても、その情報をとることはなかなか難しいということを御理解いただけると思います。そういう意味で、今回におきましてもいろいろな形での一般的な情報というものは我々入手をしているわけでありますが、個々具体的なゲリラにつきましての情報というものはこれはなかなか入手し得ないというのが現状でございます。  それから、今回のゲリラ等に対する態勢はどうであるかということであります。大体考えられますいろいろな事態というものがあるわけでありますけれども、まず一つは、彼らが力でもって車をストップするということを盛んに言っております。それからまた同時に、それによって駅頭騒動等の、いわゆる上尾のような事態も起こるであろうといったふうなことも言っているわけであります。そういう意味では、一般的に駅頭におきますいろんな事態が想定されたことは事実でございます。その意味では、いわゆる警戒態勢の一つといたしまして、それぞれの必要な場所におきまして駅頭騒動に対する対策というものを立てておったわけでございます。  例えば、津田沼におきまして、中核派等の極左暴力集団は約八百人を集めまして、その周辺で集会あるいはデモを行うといったふうな事態もございました。そういうものに対しまして、極力これに対応して彼らのいわゆる違法行為を許さないという態度で臨んだわけでありますが、その間に一名の公務執行妨害罪の検挙も出しているわけであります。また同時に、ちょうど午前中は足がございましたが、午後はとまるという二十八日の段階におきましては、まさに上尾型の騒動というものも危惧されたわけでありますけれども、これも的確な措置によって特別な事態も起きず、これを防止することができたという状態であります。  それからもう一つは、ゲリラ対策の問題であります。御存じのように、国電路線というものは、東京及びこの周辺を見てみますと大変な長い距離であります。その距離全体に対しまして完全に守るということができないことはどなたもおわかりいただけるものと思います。そういう点で、ゲリラ対策といたしましてはそれぞれ地域別に部隊配置等をいたしまして、何かあった場合には直ちに有事即応態勢をとれるというような状態で構えておったわけであります。  これに対しまして、二十九日の朝未明にあのような事態が起きたわけでありますが、これに対応いたしまして直ちに警察部隊等を出動させまして、四十八名という検挙者を出したわけであります。また同時に、いわゆるゲリラ活動等に対応するために、東京その他周辺におきましてもそうですが、全体的に検問態勢等を広くしいておりまして、彼らの蠢動を許さないという態度でおりましたけれども、その結果、これは警視庁巣鴨署の管内でありますが、たまたま検問に引っかかって、これを振り切って急発進をして逃走した車を追跡いたしまして押さえ込みました。その結果、その車に乗っておった中核派の非公然活動家と見られる二名を検挙していると、こういう結果も出ているわけ、でございます。
  136. 神谷信之助

    神谷信之助君 四十八名は、浅草橋のことで逮捕され、それから検問態勢の中で非公然部隊の二名の幹部を逮捕したということですが、ケーブルの切断では何名か逮捕されているんですか。
  137. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 直接ケーブルを切断したという犯行につきまして、現在まで検挙者はございません。
  138. 神谷信之助

    神谷信之助君 ケーブルの切断箇所は何カ所になっていますか。
  139. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) ケーブル等の切断箇所等につきましては約三十三カ所でございます。
  140. 神谷信之助

    神谷信之助君 三十三カ所やられて一名も逮捕されていない。浅草橋の方は公然と集団行動でやっていますから、これも一名も逮捕せぬというようなことになったら大変なことです。  そこで聞くんですけれども、二十八日の午後十時以降、警備態勢を半減したという話を聞いていますが、それは事実かどうか。もし事実ならばなぜそうしたのか。この点、いかがですか。
  141. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 警備態勢を夜の段階で半減したかどうかということでありますが、警備態勢というのは、先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、一つは駅頭の対策、例えば駅頭に人があふれて、それによって大きな事態に至るということを避ける目的の部隊もあるわけであります。あるいはまた、さらにゲリラ活動等、幅広くいろんな箇所に配置をしてこれを防止し、あるいはこれに対応する部隊というものがあるわけでありまして、その意味ではそれぞれ部隊の任務というものがございます。夜間になりますと、御存じのように列車の運行が終わるわけでございまして、列車の運行が終わりますと当然のことながら駅頭における騒動の発生の危険性はなくなるわけであります。そういたしますと、それに対応しております部隊はまた翌朝から直ちにその任務につかなければならぬわけでありますから、その部隊については必然的に翌日に備えて退去をするという形になるわけであります。
  142. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、ゲリラ部隊に対する対策というのは、ゲリラというのは夜しかやらぬでしょう。昼公然とはやらぬです。夜はどういうゲリラ対策を考えてやったんですか。
  143. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) ゲリラ対策につきましては、警察部隊等を全部の沿線に配置するということができないことはこれはおわかりいただけると思います。その沿線につきまして幾つかの地域別に分けまして、その地域別にそれぞれ担当の部隊というものを定めまして、何かがありました場合に直ちにそれに対応できるような有事即応態勢をしくというのが警備の形でございます。
  144. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体、想定の中の一つに、通信なり信号のケーブルに対する攻撃というんですか、これは入っていたのか入っていなかったのか、どうですか。
  145. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 具体的なゲリラの攻撃の内容等につきましては入手いたしておりません。
  146. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは新宿駅で聞いたんですが、事前に原宿署、それから鉄道公安官、そして信号・通信関係の担当の管理職、これらの打合会議をなさっているでしょう。だからケーブルを含めて、地下のケーブルも彼らの攻撃対象になっているであろうという情報を得、握っていたんではないかと我々は思うんですが、その点はいかがですか。
  147. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 警備対策と申しますのは、あらゆる事態を想定いたしまして、いろいろな場合に備えてそれぞれ対応できるような形をつくるというのが警備態勢の確立でございます。その意味では、いろいろな事態をそれぞれ想定しながら、その場に起こり得るであろういろいろなことを考えながら、起きた場合にどう対応するかということを事前に詰め、その必要な態勢等について議論をするというのがまさに警備態勢の確立ということでございます。
  148. 神谷信之助

    神谷信之助君 その必要な態勢というのは、信号なり、それから通信のケーブル、あるいはその機器のある場所ですね。上へ上がっておるもの。信号所があります。そういうところは一つの警備対象になろうと思うんだけれども、これらはどういう対応をされておったんですか。
  149. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 東京及びその周辺の県におきます国鉄線のキロ数を見てみますと大変なキロ数であります。それからまた、駅の数にいたしましても五百を超えるという数でありまして、全体といたしましてはそれぞれ相当多くの場所を守らなきゃならぬわけでありますので、したがって、一つ一つのところにすべて全部配置をするとかあるいは部隊をつけるということはできないことは御理解いただけると思います。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、全体として、それぞれの地域についてそれぞれ必要な警備態勢をしくというのが我々の姿勢でございます。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 それがごまかしたというんですよ。言いわけにしかすぎない。  錦糸町駅の駅長の話を聞きました。それからケーブルの切断の場所も見ました。高架ですから、その高架の部分のケーブル線は線路を歩いていかなきゃ行けぬわけです。だから、どこを切断しておるかといったら、その高架の中で土手がそれに接着している場所、そこですよ。そこには金網があるんだけれども、ちゃんと以前から穴をあけたままのところがありますよ。だから、大通りからちょっと車で入って、もうすぐその穴があるのでそこから入って、その近くの場所でケーブルを折損しているんですよ。  それから目黒駅と恵比寿駅の中間、これは国鉄の職員がパトロールして、大体あの辺が怪しいというので行って現場を見つけているんですよ。それはどういうところかというと踏切のところですよ。そこにかつて中核派の連中が横断幕を立てようとした。だから、この近所ではあの辺がやられそうだというので、見つけて、こらっと言ってやったら、びっくりして一派は逃げてしまった。だからこれは折損できていない。切れていないんですよ。  それから、高田馬場のところはやられました。これも国鉄の職員が巡視して、現場を見つけて、懐中電灯でわあっといったら、逆に鉄ばさみを振りかざしてかかってきたので、これは多勢に無勢、それこそ危険ですから逃げてしまった。これは切断されています。だからおまえら線路全部を見ておれというのじゃない。危険箇所というのはわかるんだよ。だからあなた方は、そのときにはそういう態勢を明らかにとっていない、こう言わざるを得ないんですが、いかがですか。
  151. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 当然のことながら部隊数には限りがあるわけであります。その意味では、国鉄当局ともよく連携をしながら必要な態勢をしき、もしも不審人物等があれば直ちに通報をいただく。同時に、我々の方も警戒態勢をしくということでもって処置をしていくというのが大前提であります。今回も結果的にはなるほど検挙に至る者はなかったわけでありますが、ゲリラ現場周辺等で現認される、あるいは警察官に追っかけられる、いろんな事態がありまして、結果的にそのゲリラ現場には彼らは幾つかの遺留品を残しているわけであります。その遺留品に基づいて現在鋭意捜査をしているわけでありますが、これなんかも態勢に基づいてそれぞれの場所等に対する警戒処置をとってきたという一つの証拠だと思います。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 やっぱり言い抜けですよ。錦糸町のところでは大体夜は三回回っているんですよね。両国、錦糸町、新小岩、それから浅草橋と。これは一回巡回するのに二時間かかるんだ。九時半からの一回と、次は夜の十二時から二時にかけての二回目やって、三回目は回れなかった。回れなかったのでやられたんですよ。そう駅長は言っていますがね。何でかと言ったら、三回目のちょうどそのころに新小岩の構内信号機の球切れという事故が起こって、それの修理に行ってしまったために三回目が巡回できなくて、その間にやられた。だからこの事故自身も単なる偶発的な事件ではないんではないか、極めて関連を持つんではないか、そういう話もありますけれども、そういう問題があちこちで起こっているでしょう。  我々はあなた方みたいに捜査権もなければ何もないんで、後から現場でいろいろ話を聞いただけにすぎないんだけれども、そういうことでしょう。だから深夜にわたって、特にゲリラ行動は真っ昼間やるわけはないんで、深夜を重視してそういう態勢をとるということをやっていれば、ケーブルの切断で一人も捕まえることができぬというようなことはないでしょう。優秀な日本警察といっているところが一人も逮捕できないし、あるいは全部逃がしているというか、逆に警備態勢を半減する。報道によれば全体で二千五百ということですけれども、実際にはもっと動員能力もあっただろうし、夜に力点を置く必要もあるだろう、私はこういうように思います。  この辺は、国民の側から見たら、夜はもう警備態勢は半分にしますよ、二千五百人を千二、三百人に減らしますよ、すきをつくりましたから夜はどうぞ自由にやってくださいよと。どうです、見事に一人も捕まえなかったでしょうと。客観的に見たらそうなっているでしょう。こう言われても仕方がない結果になっていると私は思うんだけれども、その辺はどうですか。
  153. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 警備態勢を半減した、あるいは落としたということは、これは先ほども申し上げましたように、それぞれ任務が違うわけでありますから警備態勢を落としたということにはならないわけであります。また同時に、ゲリラ対策といたしましては、それぞれ地域別に担当を決めると同時に、その中で必要な警らを行い、そしてまた検問態勢をしくというような努力をしているわけでありまして、その意味で、先ほども申し上げましたが、巣鴨管内での不審車両の発見、そしてそれの検挙ということにつながったのもその一例であるというふうに考えております。
  154. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、やっぱり尽くすべき手を全部尽くして、そしてどうにもなりませんでしたということじゃないんだ。この点は私ははっきり指摘をしておきたいと思います。  それからその次に、例の浅草橋の問題ですけれども、これは浅草橋駅あたりを襲撃するんではないかという情報を得ておられたんじゃないですか。
  155. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 浅草橋を襲撃するといったふうな具体的な情報を事前には入手いたしておりません。
  156. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが、浅草橋駅だけわざわざ蔵前の署長も、それから警備課長も、二十八日の夜になって、あるいは駅長さんはよくわからぬのだけれども、とにかく本部の大分偉い高官の人ですと言っていたけれども、その人らが来て、ずっと相当時間おってと、そういう話をしています。それから最後に、警備課長が十時半ごろになって、半減態勢になりましたからもう我々は一部を残して引き揚げますと、こういうことになって、そして職員皆さんのいろんな話を聞いてみますと、そのまま無線の連絡をとる人、それを含めて三、四人の人が構内を出入りしている、深夜にかけても。そういう話ですが、各駅ともそういう態勢を深夜はとっていたんですか。
  157. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) ただいま何か半減態勢というお話がございましたが、それは先ほど申したように、それぞれの任務について任務解除があるということであります。  それからまたこれは各警察署のやり方等によってそれぞれ違っておりますので、直接幹部が駅長に会う場合もありましょうし、あるいは周辺等の警察官に対して個々に幹部が回って指示をするということもございます。そういう意味でそれぞれ個々の署の段階でそれぞれのやり方で警戒態勢をしいているということであります。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 浅草橋駅は深夜から早朝にかけてパトカーも一台とまっておったらしいですけれども、何人かの警官が出入りをしていた。こういうようにほかの駅も、深夜もずっとそういう態勢をとっていたわけですか。
  159. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) これは各署ともそれぞれその態勢をフルに活用いたしまして、パトカーの警らあるいは停留によるところの警戒その他を全部いたしております。
  160. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが、隣りの駅を見ると違うんですよ。秋葉原の駅長とそれからホーム助役、両方に聞きましたけれども、ホーム助役は、とにかく終電車まではいらしたけれども、終電車が済んだら皆引き揚げましたと。駅長もそういうように言っています。それから両国駅ですが、これも終電が済んだらお帰りになって、別に朝の始発前後から以降警官が来ておられるという状況はなかった。浅草橋駅だけそういう状況がある。明らかに隣の駅とは違うんだ、両隣。これは私どもが昨日調査をして明らかなんです。そうすると、どうやら浅草橋には襲撃をするという、そういう情報を得ていたんではないのかというのが一つですよ。  そして、あの左衛門公園ですか、そこへ向こうは集結をしました。そのときに御近所の人から、いろいろ数人からの目撃者に聞きましたけれども、彼らが集まってくると同時にもう警官は一人見えていますと。そしてどうも不審な車が来たというので一一〇番をしましたという話も聞きました。それ以前に警官が来ていたのを見たという人は別にいます。そして彼らは三々五々ずっと集まってくる。集まってくる中にワゴン車が入ってきて、そして武器を取り出す。あなたの先ほどの報告ですと、その車を見つけてそしてなにしたら、突如としてどこかから、地面の中から暴れ出たみたいにわあっとやられたと言うんだけれども、現に先に来ておるんだよ。ここで皆服装を着かえ、武器を持つ。そのときにそこへ警察のほろつきの車が突入する、そしてピストルの発射もやったと。しかし、その車の横をどんどん部隊は出ていく。そのときにはもう既に警官は十数人いるんだけれども、ほかの警官はじっと見ておるだけで、そこへ乗っておった三人は逃亡してしまったと。近所の人は、十数人おるのにたった三人を何でよう捕まえぬのやと。こっちから出ていくやつは、出ていくやつですよ、部隊つくって出ていく、こういう状況ですよ。  それで、先ほどの報告では、部隊がデモを始めた、その中で後ろの方からどんどん逮捕していったということですね。そして駅前へ来て対峙をした、彼らは一メートルほどあいているやつをこじあけて、中へ入っていって、そして火炎瓶を出して放火をやったと、こういうふうなんですね。それで今度暴れるだけ暴れさして、出てきたやつを今度また捕まえたということになるんですか、四十八人というのは。どういうことになるんですか、どこでどうなっているんだ。逆に逮捕を逃れて二十人ぐらいはまた公園へ戻って、服を着かえて消えて、みんなそれぞれ散ってしまった。こういう状況ですね。現場のあの近所の商店の人々、それから駅前の商店の人々、目撃者十人近くの人人からそれぞれの時間帯で聞いているわけですからね。そういう状況ですから、あなたのさっきの報告と大分違うんだね、現場の見ている人の話とは。この点はどうですか。
  161. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) 先ほど駅長の話がございましたが、これは駅長さんがどこまで御存じであるかは私はよく存じませんが、いずれにいたしましても、我が方としては、それぞれの駅に対しましてそれぞれの署の管内の実情に応じた的確な警備を行っていたということであります。  それから、この状況でありますが、最初に六時三十五分ごろに一一〇番の連絡がございました。その際ありましたのは、左衛門橋付近に三、四人の不審者がいる、こういう一一〇番の通報であります。直ちに警察官が、これはまあ五分後くらいに警備車両あるいはパトカー、それから自転車でも現場に駆けつけているわけであります。そうしますと、確かに、私も実はその同じ時間帯に行ってみたんですが、ほとんどあの辺は人がおりません。にもかかわらず、その当日は朝あちこちに背広を着た人たちがいっぱい何か立ちどまったり、向こうに何人かおったり、こういう状態であったわけであります。そこへ警察官が行きましたので、確かに異様な雰囲気であるということは感じました。  それで、白色のワゴン車がとまっておりましたので直ちに職質をしたわけでありますが、中からロックをして全然反応がない。それで、後ろ側は御存じのように横に開く扉がございますから、その扉を開いて、見せてもらうよと言って、中に積んであったダンボールがちょうど破れておったからその中を見ますると鉄パイプがある、さらに次の別のダンボールの中には白ヘルがあって中核と書いてある、あるいは火炎瓶らしきものが置いてあると、こういうふうな事態でありましたので、これはゲリラだとすぐに感じたわけです。そのときに先ほど申したように、既に周辺に大勢おりましたから、全部が背広を着てまさにサラリーマンスタイルでありましたが、それがどどっと取り囲む形でもって警察官を取り囲んだ、こういう事態が発生したわけであります。  そこで、これはもう完全に彼らがここからゲリラ活動をするために集まったんだということがわかりましたので、直ちに警察の車をその道の前へとめまして、その車が発進できないようにしたというのが一つあります。それからまた同時に、彼らに対峙して、そこは小路でありますから、ちょっと細い道でありますから、彼らをそこから出させまいということでもって、これに対して十名前後でありましたが、とにかく果敢にこれを制圧する行動をとったわけであります。しかし、残念ながら彼らは七十人近い多数であります。そしてまた鉄パイプを持って殴りかかってくるというふうな事態がありましたので、そこでけん銃を抜いて、とにかく鉄パイプを捨てるということを盛んに彼らに申し向けて彼らの行動を制圧しようとした、こういう状態であります。  しかし、仰せこちらは人数が少ない、向こうは多いわけでありますから、どどっとその一団が浅草橋の方向へ抜けていく。こちらもそれに対して襲いかかる形で後ろから検挙活動を始めたわけであります。それに対しまして彼らは当然のことながら抵抗いたしまして、路上でもって格闘が行われて、その間に二十四名の警察官が負傷いたしております。これは鉄パイプで殴られて頭にけがをするといったふうな事態も起きているわけでありますが、それにもひるまずに駅頭に行くまでの間に八名の者を全体としては検挙しているわけであります。  そして、駅頭に至った段階で、先ほど御説明申し上げましたように、駅の前で彼らがシャッターの一部あいている部分から入ろうとするのを阻止いたしました。この際も彼らが大勢でこちらが十数名でありましたからどうしてもこれを防止しにくい。そこでもやはりけん銃を抜きまして、とにかく入れば撃つぞというようなことを言って、なおかつそこでもって彼らの制圧を図ったわけであります。そして、この駅の周辺前後に至るまでの間に約五名の者を検挙しているわけであります。しかし、こちらがまだ人数は少ないわけでありましたので、彼らはそれにもかかわらず、警官に対して鉄パイプで殴る等の行為を繰り返しながらシャッターの一部から入っていったという状態でありまして、これに対しまして、逐次到着をいたしておりました警察官が周辺を囲んで、彼らが出てくる段階でそれぞれ検挙をしていったという状況でございます。
  162. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 神谷君、もう時間がないですよ。
  163. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間がないんで困っているんですが、今おっしゃったけれども、とにかくそのワゴン車からかっぱを取り出し、ヘルメットを取り出し、それを着用し、鉄パイプを持っていくわけでしょう。それから、ビール瓶二十本入りのケースに火炎瓶をほうり込んで、そのほか入れてましたね。それが三箱ですかね、出したのを前と中と後に囲んでいく。それがそのままとにかく急いでぴゅうっと駅前まで走ってきたのと違うんでしょう。彼ら流のスピード、普通に歩く時間よりも倍以上かけてワッショイ、ワッショイ言いながら行くわけだ。普通に歩けば五分余りで歩けるわけですよ。それが約十分前後かかって現場へ到着して壊した。  それで、駅長の方はそこにおった無線を傍受した警官から、この公園あるいは左衛門橋の付近に集結しているという情報を聞いています。だから、すぐシャッターをおろせという指示をしたんだけれどももう遅かったわけだね。駅長は下へおりてみたら、もう前からワッショイ、ワッショイ来たと。電動式だからなかなかおりなかったんだと言っていますけれども、何でそんなもの一メートルほどあけておかなければならぬのかと、大分その点は疑問ですけれども、あけておく必要があったのか。あれがぴしっと閉まっておったらあんなことはできやせぬですわね、鉄パイプで壊さなければ入れないんだから。そういう点では国鉄側の対応にも一応の問題はあるにしても、そうやってわざわざゆっくり行くのだと、これからやりますよと言って行くのだ。それで、あんたの方は応援を頼んで警官を動員しているんだろうけれども、結局間に合わずに蛮行をやったと。  最後に、黒焦げになった現場に二人の国鉄職員が取り残されたんだけれども、これはもう必死で窓からやっと逃げて、結局死者を出さずに済んだわけだ。もし逃げ切れなかったら焼け死ぬという状況ですわね。大変ひどいことをやっています。それで、凱旋将軍みたいに戻ってきたやつを、まあ残りを捕まえた。相当数はまた逃げていますね、七十人ほどのうち四十八人だから。そういう事態なんですね。客観的に見るとこれは非常に意識的な泳がせ政策であった、それから、非公然の中心の部隊はもう一つもよう捕まえない。幸い、指揮したかどうか検問所で二人捕まえていますが、それは偶然かどうか捕まったにすぎないんで、本隊はやってない。それで公然部隊の方は堂堂と見てくれと、捕まえてくれとやっておるんだから……。
  164. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 神谷先生、もう時間がございません。
  165. 神谷信之助

    神谷信之助君 やれるわけ、そういう状況でやっているんですね。  これは浜田幸一代議士が、自民党の本部が襲撃された後のテレビで彼自身が言っています。これは今まで泳がせ政策をとってきた我々に責任があるということをテレビで堂々と言っていますし、中曽根さんも六九年五月三日付の朝日新聞では、「彼らの暴走が、反射的に市民層を反対にまわし、自民党の支持につながる作用を果たしている」と言っていますから、まさに分割・民営を進める上では便利がいい。それだけでなしに、大宮の市会議選挙では早速あれは共産党がやったんだという宣伝をやっていますからね。こういうことですから、泳がせの政策をとらないで、徹底的に断固逮捕してはっきりさせるということと、これを利用し、宣伝をするというような行為は絶対に許さぬということをやらなければ根絶はできない。だから、そういう点をおとりにならないし、政府自身もそういう態度をとっていないところにこの問題がいつまでたっても根絶できない根本問題があるということを申し上げて、もう時間が過ぎましたから、残念ながら終わります。
  166. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  167. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 次に、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。古屋自治大臣
  168. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元比等の改革の一環として、地方公務員等共済組合法に基づく長期給付についても、基礎年金制度を適用するとともに、給付水準の適正化を図る等の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一は、給付の通則に関する事項についてであります。長期給付の種類は、退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金等とすることとしております。また、その給付額は、平均給料月額を基準として算定することとしております。  第二は、共済年金の給付の内容についてであります。  年金額につきましては、厚生年金相当部分の額と職域年金相当部分の額を合算して年金額といたしております。  次に、退職共済年金については、組合員期間等が二十五年以上である者が、退職した後に六十五歳に達したとき等に支給することとしております。なお、受給資格期間等については、必要な経過措置を講ずることとしております。  また、当分の間、退職共済年金の受給資格期間を満たしている者が、六十歳に達した後に退職したとき等には、退職共済年金の特別支給を行うこととしております。  さらに、支給開始年齢につきましては、現行の経過措置を短縮することといたしております。  障害共済年金については、組合員である間に初診日のある傷病により、障害等級に該当する程度の障害の状態になったときに支給することとしております。  遺族共済年金については、組合員、退職共済年金の受給権者等が死亡したときに、その遺族に支給することとしております。  このほか、地方公共団体の長について、従前の取り扱い等を勘案した特例措置を講ずることとしております。  第三は、給付に関するその他の事項についてであります。一退職共済年金等の年金額の改定につきましては、消費者物価指数による自動改定とすることとしております。  また、退職共済年金等の受給権者が厚生年金保険の被保険者等となったときは、その間、その者の給与所得に応じ、年金額の一部の支給を停止することとしております。  さらに、受給権者が複数の共済年金の給付または他の法律に基づく年金である給付を受けることができる場合には、原則として、その選択する一つの年金を支給することとしております。  第四は、既裁定年金に関する事項についてであります。  既裁定年金につきましては、その額をいわゆる通年方式による年金額に改定することとしております。この場合において、改定後の年金額が従前の年金額より少ないときは、従前の年金額をもって改定後の年金額とすることとしております。  第五は、費用負担に関する事項についてであります。  長期給付に要する費用は、組合員と地方公共団体等が折半して負担することとし、公的負担の額は基礎年金拠出金の三分の一に相当する額とすることとしております。  第六は、団体組合員に関する事項についてであります。  団体組合員につきましては、新たに、地方公務員等と通算措置を講ずることとするほか、地方公務員に対する措置と同様の改正を行うこととしております。  第七は、地方議会議員の年金に関する事項についてであります。  地方議会議員の年金につきましては、国会議員の互助年金の取り扱いに準じ、高額所得停止制度の導入及び支給開始年齢の引き上げを図る等の措置を講ずることとしております。  最後に、組合員等についても基礎年金制度を適用することとし、この法律により国民年金法等を改正する等所要の措置を講ずることとしております。  以上が、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。  なお、本法律案は、第百二回国会で成立いたしました国民年金法等の一部を改正する法律の参議院における修正等に伴い、原案の附則の規定について衆議院におきまして所要の修正がなされておりますので御報告いたします。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  169. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 本案に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会      —————・—————