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1985-12-10 第103回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十日(火曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  十二月六日     辞任         補欠選任      福間 知之君     片山 甚市君  十二月七日     辞任         補欠選任      片山 甚市君     福間 知之君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         下条進一郎君     理 事                 前田 勲男君                 松岡満寿男君                 福間 知之君                 市川 正一君     委 員                 岩本 政光君                 佐藤栄佐久君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 降矢 敬義君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣   村田敬次郎君    政府委員        公正取引委員会        事務局経済部長  厚谷 襄児君        公正取引委員会        事務局審査部長  樋口 嘉重君        通商産業大臣官        房総務審議官   鎌田 吉郎君        資源エネルギー        庁長官      野々内 隆君        資源エネルギー        庁石油部長    畠山  襄君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○特定石油製品輸入暫定措置法案内閣提出、衆  議院送付)     ―――――――――――――
  2. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいはから商工委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名」御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事福間知之君を指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 特定石油製品輸入暫定措置法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 梶原敬義

    梶原敬義君 最初に、石油需給中長期見通しについてお尋ねいたします。  石油需給は、このところ緩和基調で推移して、少々浮かれている感がありますが、振り返ってみますと、ここ十年ちょっとの間で二度の厳しい石油ショック石油危機に見舞われております。省エネ石油代替エネルギーにより世界石油消費量が減ってきているとはいえ、今後は、人口の多い開発途上国石油消費量は、その国の近代化とともに拡大していくことになることは容易に推察されることであります。  一方、我が国においても、省エネ効果が上がったといっても、ガソリン消費量は年間約三千六百万キロリットルと聞いております。毎日十万トンのタンカー一隻分をたいていることになるわけでありまして、大変な量を我が国内だけでも消費しているわけであります。有限である石油資源中長期見通しについて一体どう考えておられるのか、その点をお聞きいたします。
  6. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 二つの点から考えてみる必要があろうかと思っております。  一つは、石油需給そのものが現在のような緩んだ状態で続き得るのかどうかという観点からでございますが、これにつきましては、IEA中長期の、中期といった方がよろしいでしょうか、見通しを持っておりまして、これによりますと、一九九〇年代にはまた石油需給というものが均衡状態に達し、逼迫化するであろうというのが見通してございます。  先生指摘のように、発展途上国におきます石油需要というものが今後増大をいたしてまいりまして、一九九〇年代には、九〇年初めの方ではプラス・マイナス百万バレル・パーデー超過需要が発生をし、紀元二〇〇〇年には四百万から八百万バレル・パーデー超過需要が発生するであろうという見通しを持っておりまして、また、石油需給が今の緩んだ状態から均衡あるいは若干詰まった状態に来るんではないかというのがIEA見通してございます。その後の需給緩みもございますんで、この時期が九〇年とか紀元二〇〇〇年とかいうのが正確かどうか若干疑問はございますけれども、いずれにしましても九〇年代には詰まってくるであろうということが言えると思います。  それから、御指摘の、もっと長期にどうなるかという点でございますが、一九八三年に世界石油会議で発表されました資料によりますと、全世界のこれまでの累積生産量が四千四百五十億バレルである、残存の可採埋蔵量が七千二百三十億バレルである、今後発見可能な埋蔵量が三千二百億バレルから一兆七千億バレルということで、非常に差がある数字でございます。今の原油の生産量というのは全世界で大体二百億バレルと言われておりますので、既に発見されました可採埋蔵量によりますと、三十五、六年ぐらいということになろうかと思いますが、今申し上げました今後発見されるであろうというものを入れますと、五十年から百年ぐらいはもつであろうということが言えるかと思っております。こういうことを考えますと、今後の石油需要の伸びあるいは石油以外のエネルギーというようなものの状態にもよりますけれども、物理的には五十年から百年ぐらいは石油供給が可能かというふうに考えられます。  さらに、この石油埋蔵量以外に、石油を含んでおりますオイルサンドとかオイルシェール、こういうものが一兆五千億バレルというふうに言われておりまして、これは今後技術開発が必要になってまいります。したがいまして、今後の技術開発にもよりますが、供給量そのものとしては百年とか、かなりのオーダーで供給可能と思います。た だ、それが今のような緩んだ状態供給が可能であるかどうかという点になりますと、かなり価格の上昇あるいは需給堅調化ということは、当然一九九〇年代の終わりから予想されるんではないかというように考えております。
  7. 梶原敬義

    梶原敬義君 いわば中期見通しと申しますか、あと五年先ぐらいには石油需給がタイトしてくるんではないか、需給が非常に逆転してくるんではないかと、こういうお話であったと思います。  この暫定措置法の期限との関係で、この問題については後に残したいと思いますが、長期見通しにつきまして今長官から説明がありました。私が持っている資料によりましても、大体九十年ぐらいは石油資源というのはあるんではないか。これはアメリカオイルコンサルタント、ジョン・D・ムーディさん、あるいはミッチェル・D・ハルブーティさんという人がいろいろ推計をしている数字で、そういうような数字が出ておるわけです。  ただ、今長官から話がありました数字によりますと、まあ大体感じで今言われたような数字が出たわけでありますが、しかしこれはもう地球ができて今日に至るまでの長い間に埋蔵された石油でありまして、仮によしんば今長官が言われましたような、まあ百年ぐらい大丈夫じゃないかというような数字というのは、これは歴史の長い地球の年限から言いますと非常に短い一時期なんですね。その非常に短い一時期にもう石油をある程度掘り尽くしてしまうんではないか、こういうことですから、人類歴史から言いますと非常に短い間にこれはなくなる。しかし。値段が上がればオイルサンドや何かであるんではないかということですが、私は非常に将来の石油資源というのは、何といいますか、さみしい感じを今持っておるわけです。  この点につきまして、百年くらいしかない、一応こういう観点に立って、一体この貴重な世界石油資源をどう使うのか。今、石油がだぶついておりますから、稼働率も落ちていますから、どんどん売るとか、そうしなきゃ食えませんから、何かそういうような浮わついた気分が全世界に、特に我が国には漂っているんではないか、そういう気を強く持っておるわけですが、この点についていかがでしょうか。
  8. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 石油ショックのころは、省エネルギーという言葉が非常に盛んになりまして、国民全体に資源は有限であるという雰囲気があったわけですが、どうも最近は、そういう点においては確かに若干緩みがきているというような感じがいたします。  私どもとしても、省エネルギー運動というものを今後とも進めまして、この化石燃料というようなものは、百年であろうと二百年であろうと結局はなくなるわけでございまして、一体人類がどのくらい生存するのか、多分数千万年とか億年という単位で今後人類が存在すると思いますが、その時代エネルギーというのは核融合というようなものが中心になろうかと思います。そういうものが開発をされますのはまだ今後百年近い、まあ紀元二一〇〇年になってできますかどうかというような問題であろうかと思います。  したがいまして、私どもとしてはそういう化石燃料に依存をしない新しいエネルギーができ上がるまでの間、現在の技術で利用可能な化石燃料というものを何とかできるだけ長く使っていくということでやるべきであろうというふうに考えております。そういう意味で、省エネルギー推進、あるいは化石燃料でない非枯渇代替エネルギー石油代替エネルギーというものの開発、こういうものについて今後とも推進をしていきたい、かように考えております。
  9. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産大臣、いずれにいたしましても、本当にもう地球ができて長い間埋蔵された貴重な資源を、これはもうあとたかだか五十年もたったら、石油資源もなくなるという大変なことに恐らくなるだろう、私はもっと前に危機が来るんではないかと思っておりますが、そういう心理状況というのは異常なことになるだろうと思いますがね。  我が国は、先ほど言いましたように、非常に石油の多量の消費国ですね。さっき言いましたガソリンでも、一日十万トンのタンカー一つ燃やしてしまうような、これは世界の貴重な資源をどんどん消費しているわけでありますが、私は、浮かれたような状況じゃなくて、世界にも呼びかけて、もっとこの貴重な石油資源をいかに世界の子孫に残していくか、こういう観点から、やっぱり本来的なら基本はそこに置いた運動といいますか、世界への呼びかけといいますか、これはやらなきゃいけないと思うんです。どうもその辺の焦点がぼけてしまっておるような気がしておりますが、いかがでしょうか。  かつて、昔の通産大臣「あれは自民党のどなたですか、省エネ服着たりね、ああいうことを言うわけではないけれども、一国内だけの消費云々の問題ではなくて、世界の問題としてこれはやっぱり通産大臣考えなきゃならないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  10. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 梶原委員の御指摘は、非常に長期的な雄大なビジョンというものを前提にしておっしゃっておられると思います。まさにそのとおりでございまして、エネルギーの問題というのは、人類の生存とともに永遠にある問題であると思っておるわけでございます。そういった意味石油に絞りて考えますと、先ほど来野々内長官からもお答え申し上げたように、石油資源というものが有限であるということを考えざるを得ない非常に大きな問題であると思います。  したがって、通産省では二十一世紀エネルギービジョン策定ということを今いろいろと各方面から検討をいたしておりますし、今後二十一世紀産業社会、そしてさらにそれに続く中長期的なビジョンについて、代替エネルギーその他を含めて、本当に人類永遠に生存することができるような、そういったビジョンが必要である、この点は委員指摘のとおりであると存じております。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと観点が変わって、本法案とそれますが、先般の商工委員会での一般質問のときに、国鉄問題との絡みで、見通しをひっくるめまして質問を申し上げましたが、旅客一人当たりエネルギー消費単位というものをちょっと見てみますと、国鉄の場合、線路を敷いて、国鉄で行く場合に人一人一キロ当たり百六・七キロカロリーなんです。これが自家用車になりますと六百七十七・九キロカロリー、それから航空の場合が五百六十三・九キロカロリー、こういうようになってまいります。これは運輸省の統計資料ですけれどもね。また、貨物を運ぶ場合に、トン当たり国鉄の場合は百五十一キロカロリー、それから貨物自動車の平均が千百三十八・九キロカロリー、こうなっているわけですよね。  今、非常に浮かれて、地方線も何も廃止しようという動きがありますし、国鉄分割民営化あたりがどんどん進んでいきますと、九州で言いますと、たくさんの路線が恐らく将来採算が合わない、値段を上げれば当面量が減るし、まあいろんなことから採算に合わないということから、恐らくどんどん切り捨てていくようなことになるでしょう。  しかし、五十年から百年、もう五十年ぐらい先になりますと、あと百年もないということになりますと、私は大変な事態になると思うんですが、そういう時期に来て世界が大騒動しているときに、鉄道をあっちこっちぶった切ってなくしていく状態を想定した場合に、一体今日、日本のそういう施策をやった政治責任を、そのころの時代になってどうとれるのか、このような問題については、非常に私は行き当たりばったりの今の政策あり方についてどうも理解ができない、将来の見通しに立っても。この点についてもう一度通産大臣のお考えをお聞きしておきたい。
  12. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 非常に難しい課題だと思います。国鉄分割民営の問題というのは、確かに現在の時点としてはこれが一番いいのであるという考え方に基づいて政府が決定と申しますか、その方向推進しておる問題だと思いますが、 今後、中長期的なエネルギービジョンとか、世界の変わり方との間において、一体鉄道あり方はどうなるのかということでございます。  ただ私は、今までの鉄道歴史というものを見てみますと、確かに各国において開発時期における鉄道の大きな効用というのは、これはもう画期的なものであったと思います。日本でも明治以降そうでありますし、例えばアメリカなどで言えば、西部劇に出てくるような、例えばスタインベックの「怒りの葡萄」ですか、ああいった小説を読んでみますと、鉄道が敷かれていくあの時代アメリカにおける大きな役割というのはよくわかるんですが、ただ私は、大きな輸送パターンから言うと、鉄道が非常に主体を占めていた時代から、今、梶原先生が御指摘になった自家用車であるとか、航空による輸送であるとか、いろいろそういうものに移行していくというのが一つ世界的な趨勢であろうと、こういうふうに考えます。  その中で、今後の国鉄あり方というのをどういうふうに見ていくのかということだと思いますし、梶原委員の御指摘になられた、そういう中長期的な見方の中で国鉄あり方を定めていくというのがまさに正しい方向だと思いますが、その意味で、かつて国鉄の果たしていた、何と申しますか、社会政策的な役割というものが、厳密な採算の上で地方線廃止という方向が打ち出されつつあるのも、ある意味では、これは時代趨勢ではないかというふうな全体としての感じを持っております。  その中で、言うなれば、民主主義というのは最大多数の最大幸福というものを考えていくことでございましょうから、そういうことの中で国鉄あり方ども考えなきゃならぬ、また通産大臣としては、そういうことと産業政策とのあり方関連を常に追求していかなければならないと思っておるわけでございまして、その意味ではエネルギー対策輸送という問題は非常に密接な関連があるという御指摘には全く同感でございます。
  13. 梶原敬義

    梶原敬義君 私の言いましたことが舌足らずで、少し理解がされていない点があるのではないかと思いますが、鉄道というのは、石油の少ないときに、ずっと世界のあちこち線路が走ったと思うんですが、これは将来石油がなくなるあるいは非常に高くなるときには、これはまた昔と同じような方向に変わる。ただ石炭をたいて走るという形じゃなくて、恐らく石炭発電をし、あるいは原子力で、あるいは水力、LNG等発電所発電したその電力によって線路の上を走る、そういう形になるわけでしょう。  そういう意味で、油がなくなっても、ほかの代替エネルギー発電、その電線で電力エネルギーを運んでそして運行すると、こういうことになるでしょうから、そういう意味では、線路というものの将来の厳しい状況を想定した場合に、持っている有利さというんですか、ここのところを、今ぼやけた議論国内でされている、当面の今の問題だけに絞ってやっているような気がしますが、その点についてもう一度、質問も余り明確じゃなかったが、答弁の方はひとつ明確にお願いをしたいと思います。
  14. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 梶原委員の御指摘の気持ちは、本当によく私は理解できると思うんです。  確かに機関車が発明されたのは、ジェームズ・ワットのやかんを見て得られたアイデアからだと思いますから、その意味では、蒸気機関車を動かすのは、多分あの当時は石炭主力だったんだと思いますが、最近はガソリンでもあるいは電力でもいろんなもので貨車を動かすことができるわけでございます。しかし、確かに委員指摘のように、ガソリン時代になれば自動車時代車時代というものに変わりつつあるし、また飛行機によっても相当の輸送が取ってかわられるわけでございまして、したがって、鉄道の持つシェアが今までよりはどの国でも減っていっているという趨勢はこれは一般的なものだと思います。  その意味で、日本のように国土の非常に狭い、そして明治以来の確かに開発にとって主力になった鉄道役割というものが、輸送全体に受け持つ役割からいえば比率をだんだん減じているというのは事実だと思いますし、その上で、今のような行財政合理化という観点からいえば厳しい採算性の上に立たざるを得ない。そして、かつては国民の誇りであった国鉄民営に移されるという、それも一つの私は時代趨勢であろうという理解をいたしておるところでございます。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 くどいようですが、だから民営に移るということは議論があるところですが、分割してしまってもう国の手も離れてしまうと、それぞれ地域地域九州なら九州北海道北海道で、やりたいほうだいのことをそこの経営主体に置いてやるわけです。将来のことは余り考えず、そのときの経営を一体どうするか。そうしますと、最後に石油がなくなるそういう状況の中で、じゃまた高い自動車で運べばいいじゃないかといって、そういうような状況が厳しくなったときには、やっぱり将来五十年、百年を見渡して、線路の上で物を運ぶという政策基本に位置づけておかなければならない。それは個々にやらしたら大変なことになるんではないか、これが私が言いたいところであります。もういいです。  それから私は何回も言いますが、ちょっと浮かれ過ぎているのではないかと思うんです。この前石油ショックを経験して、今ちょっとダブついていて、そして何かほとんど石油国民意識からしても、政府も宣伝しないものだから、まあまあ無限にあるだろうと、こんな感じをどうも植えつけてきているような気がしております。しかし基本はしっかりと持っておかないと、将来を見渡しておかないと、そしてまた世界大量消費国である日本世界における責任というものがあるだろうと思うんですが、私はこの点について本当に腹を据えて対処をしていただきたい、そう思う次第であります。  次に、この法律の問題ですが、現行の石油業法でも、法律上では石油製品輸入は届け出をすれば輸入できるというようになっております、石油業法十二条ですか。にもかかわらず、この暫定措置法を必要とする理由は一体何か、背景並びにこの経緯もあわせてお伺いをいたします。
  16. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 第一に、背景及び経緯でございますけれども、昨年の六月でございますが、石油審議会の小委員会消費地精製方式につきましては、これを堅持しつつも漸進的に国際化をすべきであるという答申をいただきまして、そしてやや具体的には、その問題について政府としては各般のコンセンサスを得ながらプログラムをまとめていくようにという御指摘を受けたわけでございます。  そこで、さらにことしの三月ぐらいには、ECがエネルギーに関するレポートをまとめました際に、今後中東で輸出専門製油所がたくさんできてくるんで、そういったものについて各国が公平に引き取るようにしてくれないかという提案もあったわけでございまして、それらを踏まえましてIEA閣僚会議におきまして、これはことしの七月にパリで行われたわけでございますけれども、そこでいろいろな議論の結果、市場メカニズムによって石油製品の貿易が行われるような、流通が行われるような、そういう条件を創出すべきであるという趣旨のコミュニケがまとめられたわけでございます。  それらを踏まえまして、これまで確かに委員指摘のように、石油業法では石油製品一般につきましても届出制ということではございましたけれども、実際上の運用といたしましては、同法の勧告の規定等背景といたしまして、行政指導により全面的に輸入抑制を行ってきたわけでございまして、その抑制をやめた方がいいという判断に立ちましてこの法案を提案さしていただくことになったわけでございます。  そこで、届出制から登録制へということで、確かに形式的には御指摘のように規制強化というふうに見えないでもないわけでございますが、今申し上げましたように、これまでは石油業法規定に基づきまして全面的に輸入抑制という方針を とってきていたわけでございますので、それを今度緩和するわけでございますから、まあ実質的には大幅な規制緩和ということであろうかと考えているわけでございます。  とりあえず以上でございます。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう一度具体的にちょっとお尋ねしますけれども届出制にすることよりも登録制の方が厳しいという感じがしますが、逆に言うと規制緩和になる、こういうことですが、ちょっとそこのところがどうもわかりにくいんです。もう一度石油業法改正によらない理由ですね、そこのところ、もうちょっと説明をしてください。
  18. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 石油業法改正によらない理由という点でございますが、ここは、今回出さしていただいております法案は、暫定措置法ということでお願いをいたしておりまして、これは先ほど来御議論もございますように、今後の石油需給見通しというものが必ずしも透明ではなくて、不透明でございますものですから、とりあえず一定の期間暫定的にこういう措置お願いするということでお願いをしているわけでございます。  そこで、石油業法の方は附則四条に再検討条項こそございますが、一応恒久法でございまして、したがいまして暫定的な措置恒久法の中で位置づけるのはいかがかという観点から、特別法という形で提案さしていただいているわけでございます、
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。  そこで、石油需給が不透明だと、先ほど長官からも説明がありましたが、まあ九〇年代に入りますと状況は変わってくる、こういう状況を想定をしながら、この政府案においては廃止期間が五年で私は出てきたものだろうと考えております。その点についてはそういう理解をしていいものかどうか。
  20. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 五年にさしていただいておりました理由でございますけれども、そもそもガソリン等の、今回対象にしております特定石油製品の貿易という問題が議論になりますゆえんは、そういった特定石油製品が国際的な貿易市場に存在する、そして、豊富に存在をして、その供給を貿易に依存をしても安定供給が保障されるということが大前提でございます。  そこで、こういった特定石油製品が、一体どういう場合に国際的な貿易市場に存在をするかということを考えてみますると、これは、まず第一に、その石油需給が緩和している状況でないとぐあいが悪いということでございまして、そうしますると、一体いつまで石油需給の緩和が続くのかということになるわけでございます。これにつきましては、先般の、先ほどちょっと触れましたIEAの閣僚会議のコミュニケにおきましても、一九九〇年代になるとタイトになるということを閣僚間で合意もしておられるものですから、そこで、五年といたしましたときには、その一九九〇年代になるということであれば、一九八〇年代のうちは少なくとも需給緩和の状況が続いているんであろうというふうに考えて、五年というふうにしたわけでございます。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は、そういう意味では、五年間の措置というのは、やっぱり読みの上に立った立派な提案であると思うんですが、今でも通産省としてはそのお考えは変わりませんか。
  22. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 五年とさしていただいた理由づけは変わりませんのですけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、石油情勢の見通しは不透明でございまして、IEAにおきましても、先ほど申し上げましたように、その逼迫化が生ずるのは一九九〇年代であるということを御指摘なものですから、そして、その一九九〇年代の一体いつであるのか、最初からなのか、半ばであるのか、その終わりであるのかということについてはまだ合意がないということでございますので、衆議院で御修正になりましたように、十年というふうにいたしましても、私どもといたしまして、あえてそれに異を唱えるということではなくてよろしいんじゃないかというふうに考えております。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 なかなか部長のところで答えにくいと思うんですが、通産大臣、閣僚会議でも合意をして、情勢を勘案した上で出してきましたこの暫定措置法の、特に期間というような問題ですが、その修正に対して、大臣としても修正の動きは衆議院で察知しておったと思うんですが、大臣が真剣になって答弁しながら、自信を持ったものを何でやはりこれでやらしてくれ、こういうことで頑張らなかったのか、非常に残念でありますが、ちょっと大臣のその辺の経過なりお考えをお聞きしたいと思います。
  24. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 畠山部長からお答え申し上げましたように、ことしの夏のIEA閣僚理事会コミュニケが決定をされまして、それには私も出席をして、そしてみずから中心になってこのコミュニケの策定にいろいろと意見を申し上げたわけでございます。その結果は、非常に国際的に日本の立場を理解したコミュニケになりました。  したがって、そのとき野々内長官畠山部長も同行しておりましたが、閣僚理事会がコミュニケを決定いたしましたら、すぐに二人に日本に帰っていただいて、石油審議会への諮問を決定をしたわけでございます。そして、先般来申し上げているような経緯によって、この法案が年内に立案をされたわけでございます。  衆議院の商工委員会におきましては、この中長期的な見通しが不透明である、それから、石油製品を円滑かつ安定的に輸入してその供給を確保をしていくには、五年間では短過ぎるということを理由として、時限法としての期限を五年間延長するように三党の共同提案があり、その旨議決されたものでございます。したがいまして、この決定について、政府としては国会の判断に従うという考え方でございます。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 私が聞いているのは、大臣がやっぱり法案審議の中で、いやこれは自信を持って出したんだということで、大臣の努力の度合いをひとつ聞いたわけでありますが、ちょっとその辺が落ちておりますから聞きたいと思います。  もともと、この法案というのは、石油需給が緩和しているときの暫定措置としてあくまで出した法案だという今石油部長の答弁でありました。私はそうだろうと思う。一九九〇年代に入って、もし需給が非常にタイトするような状況、あるいは逆転するような状況になると、なかなかこの法案の存在というのは難しくなってくると思うんですね。だから、そういう情勢を考えてつくった法案なんで、もう一回繰り返しますけれども、大臣の衆議院で努力された点ですね、いやもうあれは議会に任せたという、こういうことなのか、いや努力をしたけれども多数で決まったというのか、その辺についてもう一度お伺いをしたいと思います。
  26. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 立案過程について若干の御説明をさせていただきたいと思うんですが、私どもこの法案を提出いたしますときに、一体どのくらいの期限でお願いをすればいいかというのは、実は大変議論をいたしまして、そのときやはり国際的な需給というものが不透明なものですから、五年、十年、それからもう一つの案として当分の間、需給がこういう状態である当分の間という提案の仕方もあるかということで、いろいろ議論をしたわけでございますが、大体一九九〇年というのが一つの目標となり得るかということで、五年という提案をいたしました。  ただ、私どもとしましても、一九九〇年になれば必ず需給がタイトになるかということについては、必ずしも自信がないわけでございまして、その場合には、やはりもう一度国会に御相談をさしていただいて、延長ということをお願いせぬといかぬかなという感じはもちろん持っていたわけでございます。もちろんこの法律も、期限は廃止法を提案をして初めて期限がなくなるということでございますので、もしこの期限が十年とされた場合でありましても、当然その過程において必要性というのは、常時私どもとしても検討をするという態度が必要かと考えております。  したがいまして、御指摘のようになぜ五年ということで最後まで突っぱねなかったのかと言われますと、私ども実は立案過程におきましてもかなりその辺に迷いがございまして、次善の策として五年をとったという経緯もあったという点につきまして、若干釈明をさせていただきたいというふうに思います。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうもそれはこじつけの釈明だと思うんですね。しかし、IEA需給見通しが根底にあってあなた方はやったと言っている。しかし、それ以外の、いや、もっと需給は九〇年代に入っても緩和するのじゃないかというような、あるいは予測するような資料があるんなら国会に出していただいて、そしてやみくもに、九〇年代ひょっとすると需給がタイトしないのじゃないかということも感じで想定されてということでは、なかなか理解ができない。やはり一定の、一つの積み上げた見通しをもとに五年というのは出してきたわけですから、九〇年代に入ってもそう言われれば不安がなというようなことでは、どうもちょっとあいまい過ぎるんではないでしょうか、いかがですか。
  28. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) おしかりを受けまして、確かに五年で提案をした以上は、五年というものの修正については確たる態度で臨むべきであるとおっしゃられますと、私どもとしても大変つらい立場でございますが、ただ、見通しにつきましては、いろんな見通しがございまして、もっと早くきつくなるとか、価格がもっと緩んで二十ドルになるとか、いろんな見通しもございますので、必ずしもどれをもっていいかというのは言いにくいかと思います。  ただ、私どもとしては、やはり国際的な最も権威のある機関でありますIEA見通し、これが一九九〇年でプラス・マイナス百万バレルという超過需要があるであろうという見通し、これを踏まえて五年という提案をさせていただいたわけでございますが、しかし、絶対に五年かと申しますと、これはやはりすべて人のやることでございますので、なかなかそれでないといかぬということにはまたなりがたいのではないかという感じがいたします。大変頼りない説明で申しわけないのですが、できるだけ私どもとしては現実の動きを見きわめながら今後対処していきたいというふうに考えております。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 この石油資源というのは、ずっと振り返ってみますと、日本で言いますと昭和三十年以降急激に消費が高まったわけでして、世界的に見ましてもここ五十年ぐらいからずっと消費が伸びた。その間に世界の埋蔵資源の半分まではいきませんが、今ある埋蔵量の計算では、三十二年とか三十六年しか見通しが立たない。新しい井戸を掘っていけば、先ほど言いましたように九十年から百年ぐらいはあるんではないか、こういうような状況なんですから、非常に短い間に掘って消費をしているわけですね。そういう観点から見ますと、私は石油の問題というのはやっぱりあと五年あるいは十年先というのは一体どういう時期がどう来るか、なかなか予測がしがたいと思うんですね、本当言いますと。  私の友人で、中国の渤海湾とかあるいは中部、南の方に行って石油を掘っているのもおりますが、なかなかぐあいよう出ない、非常にそう楽観はできないという話も聞いておりますし、世界資源の埋蔵可能量も、推定される星もずっと見てみますと、そうは簡単にいかない。そういうような大きな石油資源需給状況資源の関係から見ても、そう簡単に手放しで楽観できるような中期見通しでもないと思うんです。  そういう意味では、非常に安易に、何か輸入業者の立場に立って皆さんが積み上げて、世界情勢から今日の情勢から十分考えて出したものを、やはり深く検討しないままこの法律をぱっと修正をしてきているというこのやり方に対して私は何かしっくりいかない。これはやっぱり働きかけた石油精製業者にも非常に問題がある、厳しく今後は監視をしていかなければならないと私は思っておるんですが、大臣、そういう状況の上に立って、やはり通産大臣がトップですから、この暫定措置法案の期間の問題を審議するときに、一体大臣は何をどうしたのか、これが私は本当に聞きたいわけでありまして、もう一度お尋ねをいたします。
  30. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 第十回のIEA閣僚理事会のコミュニケの文章をここで申し上げますと、「将来を展望したとき、エネルギー消費、及びすべての主要なエネルギー源について大きな挑戦があることを見出し、現在の石油市場情勢が九〇年代、更には、その先にかけて持続することは期待できないとの結論に達した。事務局の分析は、今後十年以内に(もし代替エネルギー利用やエネルギー利用の効率化が弱まるならば、より早い時点で)世界石油需要は利用可能と見込まれる生産能力に充分近い水準に接近し、」云々とこうなっているんですね。だから、IEAのコミュニケ自体も、まさに十年前後ということを想定しておるわけでございまして、これは人間が推定をするいろいろな可能な要素を動員いたしましても、十年であるかあるいはそれより短いかということはなかなか判断がつきかねる不確定要素が多いわけでございます。  したがいまして、この法律案を衆議院で可決をしていただく過程で、私は業界からの陳情を直接承ったということは実はありません。したがいまして、国会の判断に従うのが正しい民主主義あり方であると、こういうふうな判断をした次第でございます。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 暫定期間の問題につきましては、衆議院の会議録を読んでみますと、確かに質問が出ているんです。それに対する答弁の内容についても、大臣今言われましたが、大臣として責任を持って提案した法案に対する対応の仕方として、私はあの会議録を読んでみまして、どうも責任を果たしていない、こういう感じを強く持ったわけでありますから、そのことを私は本当は言いたかったわけであります。  次に移ります。  この法案の最大のポイントは、石油製品輸入我が国の精製会社にはっきりと限定をしたのが私は最大のポイントになっていると思うんですが、その理由について一体何か、これについてお尋ねをいたします。
  32. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 特定石油製品の貿易を開始いたします際に、一番私ども考えなくてはいけないのは、安定供給の確保ということと良質な品質の確保という二点であろうかというふうに考えたわけでございます。  そこで、安定供給の確保と申し上げますのは、具体的には特定石油製品供給が例えば途絶したときにどうするのかという問題が一つと、それからもう一つは、特定石油製品、例えばガソリンならガソリン輸入がありますると、当然ガソリン国内生産は減るわけでございますが、そうすると、石油は連産品でございますから、ガソリン国内生産が減るのみならず、ほっておけば灯油の生産も減るし軽油の生産も減るということになって、灯油なり軽油の供給不足が起こる。ここのところをどうするかという問題でございます。  それから品質につきましては、ガソリンでございますると、海外では有鉛のガソリンであるかあるいはオクタン価の低いガソリンであるか、そういったものが多くて、我が国のように、無鉛でオクタン価の高いガソリンというのはなかなかアベーラブルではないという問題。それから、灯油なり軽油ですと、海外の場合は硫黄分の多いものが多い。そこをどうするかという問題があったわけでございます。  そこで、以上の特定石油製品の安定供給を確保するという問題と、良質の品質を確保するという二つの問題を解決いたしますために、適格な輸入主体に限って輸入を認めるということにするということにいたしたわけでございまして、その適格な輸入主体が、供給途絶がありました場合には国内での代替生産を行うし、それからガソリン輸入などでガソリン国内生産が減りましても、ほかの灯油なり軽油なりの国内生産が減らないように得率の調整をする設備を有していなくてはいけ ないし、それから品質についても調整をする能力を持っていなくちゃいけないということを要件とさしていただいたわけでございます。  その結果、委員指摘のように、精製会社が該当するということになったわけでございまして、当初からその精製会社だけに輸入を認めたいということから、いわば精製会社の保護のためにこういう措置をとらしていただいたということでは決してございません点を御了解いただきたいと思います。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうも最後のことは、私はやっぱり本音をちょっと言っていただかなければいかぬと思うんです。全く業界は、これまで消費地精製主義で地域に根をおろして、雇用も確保してずっとやってきたわけでありましてね、そういう石油業界のことも非常に頭のどこかに大きなウエートを占めているんではないか。おらなければ、これはちょっとおかしいと思うんですがね。  まあ品質ばかりを言いますと、それなら品質のいいのならばいいのかという議論にもなりますしね、灯油だってこれは輸入できるということになるわけですからね。私は、やっぱり本音は少し出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  34. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 最後の点で申し上げたかったのは、いわば企業としての石油精製業を保護するという考えてこの登録制を御提案申し上げているのではないという点でございまして、むろん石油精製業が存在することによりましてその地域経済にも活況をもたらしておりますし、またそれなりの雇用も確保いたしているわけでございますから、そういった石油精製業の機能に本件が悪影響があってはいけないということを考えなかったかといえば、それは考えさしていただいておると言った方が率直であろうかと思います。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産大臣にお尋ねしますけれども、これはちょっと違った観点でありますが、経団連やあるいは財界の首脳の皆さんは、農畜産物の輸入の自由化あるいは輸入枠拡大の問題については非常に積極的な発言をよくされます。農村の皆さんは非常に神経をその都度とがらせるわけでありますが、私は矛盾をしていると思うんです。  こういう工業出荷物といいますか、財界の一翼を占めます石油精製業あるいは販売業、これはある程度もう商社やなんかが無制限に輸入するんじゃなくて、絞って、秩序ある輸入をする。しかもこれは日本の精製会社の稼働率採算の面である程度保つということが前提になるでしょうが、そういうことも配慮しながら、やはりある意味では業者の保護の立場に立っております。これはもちろん雇用の維持の立場にも立っていると思うんですが、こういうような方向は、やはり財界は認めている。しかし、一方で農畜産物の自由化問題については、やれば、国民は安い農産物がどんどん入るからいいじゃないか、国民は豊かになるじゃないかという論理の展開をよくしている。  私どもはやっぱり過疎地に住んでおりますから、よく回ってわかるんですが、もう田舎では、じいさん、ばあさんの次には、だれが一体その後の家を守り、そして仏様やお墓のお守りをするのか、これは非常に深刻な問題であります。しかし、もうそんなことは無視して切り捨てていけ、輸入せい、それで採算に合わぬものはどんどんつぶしていけという論理が、一方で財界を中心にしてまかり通っておるわけです。通産省は、どっちかというといつも財界の立場に立つわけでありますが、この点についていかがお考えか承りたいと思います。
  36. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 梶原さんの御質問意味は、よく理解できると思います。  この法律案はこれまで輸入が行われないできたガソリン等の石油製品輸入を開始するための条件整備を行うということを目的とするものでございまして、私どもは広義での輸入自由化の一環をなすものだと、こういう認識をいたしております。  この法律案において導入される措置は、輸入開始によって国内への石油の安定供給が損なわれることのないよう、必要最小限の調整を行うものであって、輸入自由化の意義を減殺するものではないと、基本的にはこういう考え方に立っております。この点については欧米諸国からも理解を得られているものでございます。今後、この法律案が成立いたしましたら、輸入自由化の実が上がるように、本法の的確な運用を期していく所存でございます。  農産物問題についての御言及があったわけでございますが、確かに貿易自由化というのは、御指摘のように国民生活には非常に大きな影響を与えるものが各般にわたってあるわけでございますが、これは国際国家日本という立場から言えば、やはりニューラウンドの考え方もそうでございますが、漸次貿易の自由化、輸入の自由化ということを開放していくという方向、それが基本的な方向であると考えておるのでございまして、もちろん農山村を守るという基本的な立場と並立するものであり、それがまた政治の上できめ細かく配慮されることが必要であると、このように考えておるところでございます。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 最近の通産大臣の答弁は、もう非常に一つの枠から出られなくなりまして、優等生答弁で、しかし優等生答弁ということはどうかといいますと、一つの発想なり創造性なり、本当に一体何が正しいのかという未来に対する挑戦が私は欠けることにもなると思いますし、少し不満であります。  次に移ります。  先ほど石油部長から精製会社に限定したということの理由説明がありましたが、それに関連して以下質問いたします。  登録要件については、今わかりました。ただ、ちょっとわからないのは、品質問題と量、一体品質がよければ量はどれだけでもたくさん入るのかという問題が逆にありまして、石油供給計画との絡みもあるでしょうが、少しここのところは、国際的には、皆さんも対外貿易摩擦の関係でなかなか思い切ったことが言えないんではないかと思うんですが、まあそこのところはやっぱり本音は本音でひとつ答えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) まず品質の御指摘でございますけれども、先ほどもちょっと御説明いたしましたように。我が国は無鉛のガソリンというものを世界に先駆けて供給する体制をつくっているわけでございます。これに対しまして、東南アジアを中心とします世界各国の多くは、まだ有鉛のガソリン供給体制でございまして、そうしますと、それを輸入するにはどうするかということになるわけでございますが、それは有鉛の四エチル鉛というものを添加する前のものを輸入してくる、こういうことになるわけでございます。そういたしますと、オクタン価が低いわけでございまして、オクタン価が低いとノッキングを起こしたりいたしますものですから、それを高めるために、ほかの材料とフレンドをしなくちゃいかぬという問題がガソリンの場合はあるわけでございます。  それから灯、軽油の場合は、我が国では特に灯油は、例えば室内で使いますとかいうことから、硫黄に対する基準と申しますか、尺度が厳しくなっておりまして、硫黄分が少なくないといけないわけでございますが、海外にあるものは硫黄分が多い。そこでこれを除去することが必要ということになってくるわけでございます。  それで品質と量の関係という御指摘でございますが、以上のような品質上の調整が要るということが一つと、それから量ということになりますと、我が国が本当に買い付けを開始した場合の先方での供給価格が一体どういうことになるかという問題があるものでございますから、大変恐縮ではありますけれども、本音のところ、今幾らの量が輸入可能であるかということを申し上げられる状況にないわけでございます。  御指摘のように、石油供給計画と確かに関連がございまして、石油供給計画には、いずれにしてもそれを改定することになれば輸入計画として掲上をせざるを得ないわけでございますが、ただ、これは私どもは、その掲上をする前に各社からヒ アリングをいたしまして、極端に申し上げれば、それの単純合計量を輸入量として掲上をしようかというふうにただいまは考えているところでございます。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 供給計画並びに輸入量につきましては、私は、それが海外からそういう数字をいろいろ言われる前に、輸入量等をやはり担当する商工委員会なりに早目に、我々に、国会に先に出してもらう、そういうことをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
  40. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 供給計画は石油審議会にかけて策定をするということになりますので、御関心の議員の方々に対しましては十分前広に御説明を申し上げたいと思っております。  なお、海外からは特に数量的にこういう量じゃなくちゃいかぬとか、そういうことを言われておりませんし、また言われるべき筋合いでもございませんので、先ほどのIEAのコミュニケによりましても、市場メカニズムによって石油製品が流通するような条件を創出すればいいということになってもおりますものですから、私どもとしてこの供給計画に掲上する量を、例えば事前に海外に連絡をするとか相談するとか、そういうことは考えておりません。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうようなことを言っているわけではないんです。窓口はあけたけれども、結局締めてみますと一%かあるいは〇・五%かわかりませんわね。これは精製業者が我が精製設備の稼働率を高めることによってコストがぐんと下がりますから、そこは計算も恐らくあるでしょうね。だから、今言うのはそういうことを言っているわけでして、結果として、一%ぐらいだったら恐らく集中批判を浴びるようになるんではないか。これは、日本はこれまでそんなことをよくずっとやってきておりますから、どうも言われていることは信頼できません。だから、そういう後のことなんですね、先じゃなくて、後の、結果こうなったと、できるだけ早く知らせていただきたいということであります。  次に、だから、量がどのくらい入るかわからぬで、次の質問はなかなかしにくいんですが、一つは、逆に安いものが入ってくるのではないかと、この法案ができるとやっぱり消費者というのはこう考える。そうすると、果たしてガソリンが安くなるのか灯油が安くなるのか。輸入ということは当然安くなるのではないかと思うんですが、その関係が一つ。  それから、消費地精製主義で、連産品の形でいきますと、今灯油は割安になっているというのが、ガソリンなんかの輸入をしますと灯油が逆に高くなる、こういう心配がないのか、この点はいかがでしょうか。
  42. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) まず、ガソリン輸入によってガソリンが安くなるかという御指摘でございますが、確かにガソリン輸入します以上は、今まで、例えば国内から購入をしていたよりも経済性のあるものを輸入するということになるわけでございましょうから、コストとして安くなることは御指摘のとおりであろうかと思います。ただ、具体的な価格は、御案内のとおり、市場の需給条件その他で決まってまいりますものですから、具体的なマーケットでの価格が安くなるのかどうか、さらに、その安くなるかならないかということを判断する際のその時点のとり方といたしまして、いつの時点をとるのかという問題等がありますものですから、一概に、今から安くなるとかならぬとか言うことは申し切れないと思います。  それから、灯油について、ガソリン輸入によってかえって値段が高くなるのではないかという御指摘がございましたが、確かに放置しておきますとそういうことも懸念されるわけでございますけれども、この法案によって提案さしていただいておりますように、適格な輸入主体による輸入ということをお認め願えますれば、先ほどちょっとお触れ申し上げましたように、ガソリン輸入があって、そしてガソリン国内生産が減っても、連産品とは言いながら、灯油の国内生産は減らないように得率調整能力というものを輸入主体の義務として課することにいたしておりますものですから、そういったことにはならないというふうに考えております。  ただ、一般的にこのガソリン輸入を認めていく、開始するということは、我が国石油産業がより一層国際化するということでもございますので、一般的に石油製品の価格体系というものが非常に国際的な形へと近づいていくということは、別途の議論として存在しようかと思っております。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 需給の関係、だから値段というのは一体何は輸入されるのかということを抜きにしては考えられませんから、これは後の議論になると思います。  次に移りますが、通産省が政策誘導によりまして、よりましてというか、私はそうとるんですが、業界の体質強化を目指して再編あるいは集約化をこれまでずっと進めてまいりましたが、大体でいいですから、精製会社と元売会社の関係のこれまでの集約化の進め方と、今後進めていこうとしている方向についてお尋ねをいたします。
  44. 畠山襄

    政府委員畠山蕃君) 御指摘のように、元売の集約化と精製の集約化と、二つをこれまで進めてきているわけでございますが、まず元売につきましては、昨年の十一月にそれまでの十二企業体制から七グループ体制にするということで基本的な大枠の決定を見まして、具体的にはそのグループ化を通じまして、一つは設備の有効活用その他合理化を進める、もう一つには販売提携その他を行って、自律的な販売秩序が形成されるようにするという二つの目的でスタートをしているところでございます。当初、精製部門だけの合併にとどまっておりましたコスモグループも、来年の四月からは販売部門の統合も進めるということで、この元売の再編成、集約化は着々と進化をしているところでございます。  他方、精製の集約化の方でございますが、これは五十八年の時点で約百万バレルの設備廃棄と申しますか、設備量の削減を実施いたしたわけでございますが、その後の石油需給の推移にかんがみまして、削減後の水準である約五百万バレルという設備能力をもってしても設備が過剰であるという状況に立ち至りましたものですから、先般、九月十二日に石油部会の小委員会の報告がございまして、七十万バレルないし百万バレルをこれから三年間計画で削減をしていかなくちゃいかぬという御指摘を受けておりまして、しかるべき支援も政府として行いながら、その集約化を進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは公正取引委員会とも関係をするわけでありますが、元売を七グループ、精製会社五グループですか、そういう方向での集約化が恐らく通産省誘導のもとで進んでくるだろうと考えますが、一九九〇年代に、皆さんの見通しでも石油需給は非常に逼迫してくる、あるいはまた逆転してくる可能性だってあるんではないか、こういう見通しであります。業界の再編成をどんどんしますと、非常に寡占状態で、もう五つの精製会社が話し合えば、要するに供給者側の立場に立って大体価格が決められるような、管理価格といいますか、かつて狂乱インフレのときにこれは前科がありますが、ああいうようにカルテルをやったようなことがもう非常にまかり通りやすくなると、こう疑念の目で見られるわけであります。そういうようなことは、業界の集約化がどんどん進む過程の中で、しかも海外からの輸入は窓口は絞る、しかも暫定期間を五年を十年にすると、こういうようなことで、そういう心配はないのかどうなのか、公取の方からひとつ見通しをひっくるめて、公取はそういう方向を認めてきているんですから、態度を聞かせていただきたい。
  46. 厚谷襄児

    政府委員厚谷襄児君) お答えいたします。  先生の御質問は二点あろうかと思います。  第一点に、石油についての今後の見通しで、供給がタイトになるんではないかということについて、公正取引委員会がどのように考えておるかという点が第一点かと思います。  この点につきましては、先ほど来資源エネルギー庁から御回答ありましたように、今後の見通しというのは非常に不透明であるというようなことでございますが、さらに、石油製品につきましては、石油業法に基づきまして石油供給計画の策定等によりまして安定的な供給の確保を図るということでございますので、この法律の適切な運用にわりまして、需給のタイトといった事態が避けられるように私たちは期待しておるところでございまして、もちろん公正取引委員会といたしましては、輸入業者であります精製業者間において、国内市況の維持のために輸入量や輸入した石油製品の販売価格についてカルテルが行われるようなことがないように注意していくことはもちろんであり、そのような場合には厳正に対処していくという方針でございます。  第二点は、元売業者のグループ化が進むことによって市場が寡占的になり、そこでカルテルが行われやすくなるんじゃないか、こういう御指摘でございますが、私どもは、石油業界における業務提携が、我が国石油産業の構造改善の一環として、合理化、効率化を推進するために行われるものであるというふうに考えております。  したがいまして、業界全体の合理化、効率化は、本来活発な競争のもとで、企業の自主的な判断と責任によりまして合理化、効率化が事業活動によって実現されるべきであり、またその効果は需要者を初め国民経済全体に及ぼされるものでなければならないという、そういう基本的な考え方に立っておるわけでございまして、そのような考え方に立ちますと、これまで行われました業務提携につきましては、私どもは独占禁止法上直ちに問題になるものではないというふうに考えております。しかしながら、そのようなことによりまして、そのような市場の構造が変わることによって企業がカルテルを行うというようなことになりますと、これはもちろんそのようなことに対しましては厳正に対処するという方針でございまして、そのようなことで今後十分注意をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  47. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は、これは大体、そういうように幾つかに集約すれば力がついできますから、そういうような形に往々にして打って出るというのはたやすく想定できるわけですから、公正取引委員会としては、今言われたように、本当に腹を据えて今後の対応をぜひしていただきたいと思います。  通産省、この法律の当初の案では、第一条のところで、消費者利益の確保を図ることを目的とすると、我々へ初め説明したときにあったように記憶しているんですが、今出てきている法案では、これはない。消費者利益の確保は、私はやっぱりこの目的の中にひとつうたうべきではないか、そういう状況が業界を集約していって、しかも輸入業者も窓口を絞ってやるということになりますと、そう思うんですが、この点いかがですか。
  48. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 当初確かに、提案さしていただきましたときに、この第一条が目的というふうになっておりまして、今御指摘のような案もあったわけでございますが、その後、法制局と調整を進めておりますうちに、今度提案さしていただいております特定石油製品輸入暫定措置法案は、石油業法の特例法であるということから、石油業法の「目的」が全体としてかぶってくる。そこで、この石油業法の「目的」の中には、石油の安定的かつ低廉な供給の確保を図って国民生活の向上に資することを目的とするというのが入っておりますので、今御指摘のような消費者の保護というのもそこで読み取れるということから、その具体的な字句は落ちたわけでございます。
  49. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。  次に、若干具体的なところに行きますが、今全国にガソリンスタンドが約六万あると言われておりますが、非常にある意味では過当競争といいますか、大変それぞれが厳しい経営環境に置かれているようであります。  私も、この法案を審議するに当たりまして、私の地元に帰りまして、石油小売業組合の役員の皆さん十名近くに集まっていただきまして。スタンド業界の今置かれている状況等についてつぶさに聞き、話し合いをしましたし、また、この法案に対する皆さんの心配、危惧のこともいろいろ聞いたわけであります。零細な企業が非常に小売業者では多いわけでありまして、なかなか経営が厳しいようであります。こういう小売業界の再編成も通産省主導でやる方向のようでありますが、やはりくれぐれも、この自由化問題が絡んで、あるいは業界の再編が絡んで、そっちの利益のために小売業者がもう泣くようなことのないように、ひとつ十分配慮してほしい。それから、近代化しあるいは転業する場合に、いろんな施策を考えておられるようでありますけれど、これも本当に現場の事情をよく理解して、本当に皆さんが安心して小売業をやっていけるように、あるいは転廃業をやる場合にも、将来困らないようにぜひしていただきたいと思うんですが、この点いかがでしょうか。
  50. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに梶原議員御指摘のように、小売業は現在、過当競争が主因となりまして、非常な苦況に立っておるところでございます。この過当競争がまた単に小売業界だけの過当競争にとどまりませず、元売相互間の拡販意識と申しますか。販売拡張意識がいわば投影をいたしまして、小売業界の過当競争が増幅されておるというような実情にもなろうかと考えておるところでございます。  したがいまして、過当競争による例えば不当廉売というようなことが避けられますように、あるいは非近代的な取引慣行でありますところの仕切り価格の事後調整というようなものが避けられますように、私どもとしまして、先般、昨年でございましたけれども、いわゆる公正競争ルールというものを提示さしていただきまして、今その実施の推進を図っているところでございます。  御指摘のように、小売業界が本件輸入自由化等によりまして影響を受けるというようなことがあってはいけないことでございますので、本措置によりましても、適格な輸入主体ということでございますので、そう直接大混乱ということにはならないとは思いますけれども、そういうことのないよう運用面にわたっても十分配慮させていただきたいと考えております。
  51. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひそういう方向でやっていただきたいと思います。  小売業者が困っております一つは、支払い条件の問題であります。元売業者への支払い条件というのは、月末締めで翌月十日ないし二十日、遅いところで月末、大体たかだかいって四十日ぐらいしか仕入れて売る期間というのはないようです。その間に回収して払わなきゃいけない。ところが、今非常に厳しいものですから、ガソリンや灯油や重油を売って回収というのはなかなか思うままにいきません。特に土建業なんというのは、最近中小の土建業は倒産が非常に多いわけです。ですから、売るのは売ったが、倒産でひっかけられたところがたくさんあると聞きました。  結局資金繰りといいますか、もちろん採算も問題ですが、非常に資金繰りでも困っているようなんです。そこら辺の指導をする場合に、そういう資金の流れ、資金繰りの流れ、それはもう本当に朝早くから晩まで、夜も寝ないで――今地方の石油スタンドというのは労働基準法もへったくれもないです。我々もそれをいろいろ問題にするかといったって、それをすればそこのガソリンスタンドに行かれなくなりますから、そうはいかない。だから見て見ぬふりをしておるんですけれども、大変厳しい状況の中で走り回っている。そういう状況ですから、要するに支払い条件の問題でも少し何とかならないのか。下に行けば行くほど本当に厳しくなっておりますから、そこのところひとつ、今後の行政指導の立場で十分生かしていただくように要望を申し上げておきたいと思います。  次に、円高基調がずっと続いておりますが、この円高基調について、まだ刻々、状況というのは推移しておるんですが、一応どういうような見通しに立っておられるか、通産大臣にお尋ねいたします。
  52. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 現在の円高は、どちらかといえば政策的円高と申しましょうか、二カ月前のG5による各国協調介入というのがポイントになっているかと思います。  したがいまして、今後どうなるかというのはなかなか難しいんですが、やはり基本的にはそれぞれのファンダメンタルズの状況を反映をした為替レートになるというのが望ましいわけでございまして、そのためには単なる為替当局による介入だけではなしに、例えばアメリカの財政赤字の削減とか、あるいは我が国における内需拡大というような基本的な部分の改善がないと、なかなか為替は安定しないんじゃないかというふうに思っております。  今現在、為替の介入は余り行われていないというふうに日銀当局が発表いたしておりますので、一応の落ちつきを示しているかと思いますが、大体二百円から二百三、四円ぐらいのところでここしばらく動いております。これが本当にどこまで安定をするのか、あるいはもっと円高になるのか、あるいは逆の振れがあるのか、この辺につきましてはちょっと私どももわからないのが実情でございます。したがいまして、もうしばらく様子を見ざるを得ないかなというふうに思っております。  ただ、今各国の金融当局に対する市場の信頼というのは、いっときに比べてかなり回復し、厚いものになっている。特にアメリカ政府が、従来介入をしないという態度から介入をするという態度に変えだということは、非常に市場に対して強い影響力を持っているというふうに考えておりますので、どちらかといえば安定的に推移するんじゃないかというふうに考えておりますが、まだ当面はどちらとも言いがたいというのが実情ではないかというふうに思っております。
  53. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと本法案から横にそれますが、通産大臣にぜひ聞いていただきたいと思います。  私は一昨年ですか、帰って新聞を読みましたが、私の大分県でもスピーカーのメーカーの工場閉鎖がもう既に一つ出ております。それから私の友人がやっております会社で、スピーカーのフレームを多量につくっておるんですが、急激に受注が落ち込んだということで、これは過疎地で百人以上人を雇ってやっておるんですが、非常に厳しい状況を電話で訴えられましたが、もう特に下請、孫請、こういうところに非常に厳しい状況が出ております。一つは工賃の切り下げでありますし、そういう注文の落ち込みですね、そういうのがこれからも全国至るところに、次々にこの円高をめぐって出るだろうと思います。  もちろん円高というのは、G5会議以降協調介入によって円高を維持しているような状況です。これはある意味では政策的に国がやっているわけでありまして、そういう意味では責任が国にもやっぱりある。したがって、そういう小さいところはどうなってもいいというんではなくて、政策的に通産省もいろいろ考えておられるようですが、それが本当に困ったところに、本当に息をつくような生きた対策であってほしいと思います。どうも今言うだけでありまして、なかなか皆さんがやっておる円高対策というものは、それが本当に困っておる人のためになっていない、こう思うんです。  大臣、もしそこら辺のお考えがあればお聞きし、そして同時に、本当に早く生きた手を打っていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  54. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 今、大分県の例をお示しになりましたが、大分県は九州各県の中では工業生産額の比率は非常に高い県なんですね。この間、実は私も大分県のことを知る機会があったんですが、テクノポリスあるいは新産業都市というようなことで非常に創意工夫を凝らしてやっておられて、一人当たりの工業生産出荷額は、たしか九州各県のうちでも非常に高い方になっておると思うわけでございます。  ただ、この円高に伴います中小企業への影響というのは、全国的に相当深刻でございまして、特に輸出関連中小企業を中心に相当程度ショックが出ておる。したがって、実はけさも政府・与党連絡会議を開きまして、そしてこの中小企業の特別調整対策をぜひ進めていこうということで、御承知のように、十二月二日から一千億円の緊急融資をいたしまして、そのほかの、例えば中小企業信用補完制度の弾力的な運用であるとか、あるいは貸付枠の確保であるとか、小企業等の経営改善資金の活用であるとか、いろいろな政策を講じ、そしてまた、大蔵省等とも相談をしておるところでございます。  十月末、通産省が調査をいたしました産地の調査、それから十一月末に各通産局でいたしました調査、これを対比してみますと、例えば円高の産地中小企業等への影響は、受注残が十月末では適正水準を大幅に下回っている産地が八産地であったのが、二十六産地へと急増をしておる。また、既に資金繰りが苦しくなった企業が出ている産地が、五産地から二十一産地へ増加するというようなことで、進行しつつあると判断をされるわけでございます。  通産省としては、今、委員指摘のございました、恐らく委員はお地元の企業からそういういろいろなケースを聞いて苦慮しておられることであろうかと思いますが、より一層の対策の拡充強化が必要だと思っておりまして、六十一年度予算の予算要求では、十二月二日の特別融資制度よりももっと安い融資をあるいは総合的な中小企業特別調整対策をということで、大蔵大臣にも特別にお願いをしておるところでございまして、これは、これからの通産省の中小企業対策として非常に重要な中心問題の一つになる、このような認識をいたしております。
  55. 梶原敬義

    梶原敬義君 工業出荷額の割合が高いというのは、これは物の見方でありまして、逆に言いますと、やっぱり農山村が非常に厳しい、あるいはサービス業も非常に厳しい状況なんです。まあそれはそれだけにいたします。  円高差益の問題というのは、今資源エネルギー庁長官が言いましたように、これはまさに介入によってもたらされたものでありまして、その結果非常に電力会社あるいは石油会社もそうなんでしょうが、これはもうかっているわけですね。皆さんの計算でも、一円違いますと電力会社では百二十億、こう言われておりますが、OPECは、最近ではさらに石油の値下げをするんではないかということもちょっと言われておりますが、ますますそういう状況になると思います。  これは国が介入してそういうような状況になっている不自然な問題でありますから、私は、円高差益の問題で出たところは、これは国民に一人ずつ返すといったって計算がなかなかしにくい。五千億電力会社でもうかるなら、その半分ぐらいはやはり政府なら政府の基金みたいな形で拠出してもらって、そして今非常に中小零細で、円高差益でもうばたばたいくような困っているところに、何らかの形で長期低利の資金を融資するとか、何かそういう手かなんかを具体的に打ってもらいたい。  どうもこの円高差益の問題については、もうちょっと事態を見なきゃいかぬ。事態を見るも見ないも、要するに六カ月なら六カ月間円高差益があったら、それはそれで計算できるわけですからね。この点についてどうなんでしょうか、もうちょっとこの円高差益の問題については、具体的に少し突っ込んで検討する段階に来ていると思うんですが、いかがでしょうか。
  56. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 最近、六十年度の上期の決算が各産業発表されておりますが、どうも上期が円安であったものですから、むしろ円安差損というような状態、例えば電力ですと、四、五百億出ておりますが、そういう状態にあるものですから、かつこれからの見通しということになりますと、必ずしもはっきりしないという点がありますので、ちょっと今の段階でどうするかということを決めるのは早過ぎるという感じがしております。ただ私どもとしましては、円高差益というのは国民経済的に有効に使われなければならないという基本的な考え方を持っておりますので、そう いう方向で今後考えてまいりたいというふうに考えております。  ただ、価格が公定されております電力、ガスのような場合と、それから価格が自由になっております石油のような場合と、おのずから対応には差があるだろうという感じはいたしております。したがいまして、電力、ガス等につきましては、六十年度下期がはっきりいたします、ということは、年度間の見通しがはっきりいたします段階で、その差益がどの程度になるかというのを見きわめ、それを国民経済的にはどういうふうに使うのが最も好ましいかという判断をする必要があると考えております。  石油につきましては、実は市場価格でございますので、ことし上半期で既に千七百億という赤字を出しておりまして、むしろ自己資本比率七%というような非常に脆弱な企業体質の強化ということが急がれるべきではないかということを逆に今考えるぐらいの状態になっております。したがいまして、政府としてこれに介入をするのはいかがかというふうに考えておりますが、今後の動向の推移を見ながら、もし国民経済的に好ましくないような事態というのであれば、当然私どもとしても何らかの指導ということが必要になってくるんじゃないかというように考えております。
  57. 梶原敬義

    梶原敬義君 電力、ガス会社と石油会社とは、ちょっと区別して考えるべきだということは、私は理解します。  特に、石油精製業やあるいは元売業というのは、非常にここのところ赤字を出しておりますから、それは今のところはそう急に物を言うつもりはありません。しかし電力やガス、これは逆に円安の問題で、決算厳しいと言うかもわかりませんが、決算書類を見てみましても、他産業に比べまして、鉄鋼なんかでも一生懸命やっていますが、要するに他産業と比べて電力、ガスの経営内容というのは、円安傾向があったとしても比較的いいんですね。いいんです。  それから特に減価償却あたり見ますと、あれは定率でやっているんですよね。この定率というのは、今設備投資をどんどん電力会社やっておりますから、これが定率でやりますと、先に早く損金に落とせまして、要するに黒字が余り出ないような形になる。これは先にいくとまた設備投資なんかを次々にやって、そういうような形でやるんでしょうが、決算内容を私も見てみましたが、比較してやっぱり想像以上に悪くない、円安あったとしてもそう見ております。  問題は、円高差益というのは、皆さんが言うように、百二十億か、ある程度はっきり出るわけですからね。これまでも何も自分のところに抱え込まなくてもいいんじゃないですか、その分については。先は先で、だから全部は無理にしても、百二十億の半分なら半分は、それこそまさに国民経済的な立場に立ってこれは何かやる、それで何も悪くない。  私も過去何回も石油が上がったことによって電力料金の値上げの場面に遭遇をしました。私も昔――昔というか、第二次オイルショックのときに、電力料金の値上げの公聴会にも行ったことがありますがね。それはいつも言いますが、どこの電力会社もそうですが、いいところに土地を持っていますよ。事務所を持っています。いい山を持っています。山の伐期の来た水源涵養林とかなんとかいって、いい杉やヒノキの山をたくさん持っていますよ。大変資産を持っておるんです。しかし苦しいからといって、石油が上がったからといって、そういう資産はまさに温存しながら、やはり電力の安定供給という観点から値上げします、そして皆さんがその値上げを認め、通産省の指導のもとで公聴会をやる、そしてずっと値上げを次々にやってきている。私は、電力の安定供給という名をかりて、次々にやってきている電力会社の性格というものはどうも疑問を持たざるを得ない。  だから今度の場合なんかも、円高差益というのははっきりしているんだから、何もそれを全部抱え込まなくてもいい、石油が上がったら、それに合ったようにまた値上げを国民に言ってくるわけですからね。私はやっぱりぜひそういう対応を電力、ガスともすべきである、こう思うのですけれども、もう一度お願いします。
  58. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 円高差益をどう使うかという問題でございまして、できるだけ国民経済的に有効な方法で使いたいというふうに考えておりまして、先生の御指摘も多分そういうことではないかというふうに思います。  それで、過去の例から、コストが上がれば値上げをし、コストが下がれば値下げをするということを余り繰り返したくないということを考えているのもまた事実でございまして、できるだけ長期安定がいいだろうとは考えております。ただ、しかしながら、電気事業審議会でも議論がございますが、ウインドフォールプロフィットと申しましょうか、予想せざる利益があった場合には、それをまとめて何らかの形で国民経済的に使った方がいいという議論も当然あるわけでございまして、そこのところは、私どもとしても今後どういう形でそれを考えたらいいのかという点を詰めていきたいと思っております。  ただ、まだ何分総合コストから考えますと、為替による益から別のコストアップの部分を引いて、一体総合収支としてどのくらいの黒字になるのか、その黒字をもってすれば何年ぐらい電気料金を変えなくてもいいのかというような一応のめどを考えませんと、やはりエネルギーを担当する者としては無責任ではないかという感じがいたしておりますので、もうしばらく時間をいただきたいと思っております。ただ、基本的にはそういうものは国民経済的に有意義に使いたいということにつきましては、そんな方向で考えていきたいと思っております。
  59. 梶原敬義

    梶原敬義君 円高差益の問題というのは、自然に円高がもたらされたわけではない、要するに今言われますように、政策的に、国の政策で介入をしてもたらされておるわけでありますから、その点についてはそういう観点から、この円高差益の問題の還元について、一体どこにどうすれば一番いいのかというのは検討する余地があると思うんですが、ぜひそういう政策介入だと、こういうところからもたらされているという観点から、私はもっと真剣に考えていただきたいと思います。要望を申し上げます。  最後に、石油業法、揮発油販売業法の見直しと本法との関係についてお伺いをいたします。  臨時行政改革推進審議会の答申を受けて、去る九月の二十四日に当面の行政改革の具体的方策が閣議で決定されております。この中で「中期的課題」として、石油産業の元売の集約化、設備構造の高度化、ガソリンスタンドの構造改善対策の推進、公正競争ルールの定着等を含めた石油業法、揮発油販売業法の抜本的見直しを行うこととする、こうなっておるようでありますが、通産省はこれをいつごろまでにやろうとしているのか、この点についてお伺いをいたします。
  60. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 行政改革推進審議会におきまして今御指摘のような答申が七月二十二日に出されまして、それを受けて今御指摘のような閣議決定もあったことは事実でございます。  そこで、その答申及び閣議決定では、あれは「中期的課題」というふうにされておりますので、そういった言葉の範囲内で、その間に合う範囲内で見直しを実施するということで考えさしていただいております。
  61. 梶原敬義

    梶原敬義君 そのまた「中期的」というのがちょっとわからぬのですけれどもね。五年か十年か、限りなく五年に近いのか、その辺はいかがでしょう。
  62. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 正式にその「中期的課題」が何年であるかということにつきましては、公式の文書はございませんけれども、私ども行革審との議論の過程で受け取りましたニュアンスは、十年というのは長い期間ではないというふうに受け取っております。
  63. 梶原敬義

    梶原敬義君 これまたもとの期間の問題に返りますが、私は需給見通しからいっても、どうしても暫定措置法の期間を五年を十年というのは、 これは問題がある。予測が外れたとしても、そのときにまた国会で相談をすれがいいことでありますから、それを十年にしたということ、これが一つ。  それから、今石油業法あるいは揮発油販売業法の本法の見直しを、部長ではないが、どっちかと言うと十年では長い。これは中期といえばあなた、行革審で出たやつも、五年も十年もなんというようなそんな気の長い話じゃないでしょう、大臣。大臣が入って閣僚会議でこの具体的な方策というのは決めているんですからね。それがどうして五年が十年になったのか。しかも大臣がこの暫定法をつくるとき五年として、しかも行革審の本法見直しもやはり中期、それも五年に近い。これは閣議の中であなたが入って決めたやつを、どうしてこれが十年に修正されるのを、あなたがそこにおって、見て見ぬ振りといいますか、本当に獅子奮迅の努力を法案趣旨に立ってしなかったのか、私は今になっても、繰り返して何回も申し上げますが、頭に来ておるんです。いかがですか。
  64. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) この法律案を起こして御提案申し上げるまでは、本当に通産省または資源エネルギー庁を通じての大変な努力の結集が実はございまして、法律案の立案の過程、それからまた法律案の閣議による確定の過程、その後衆議院の審議等に私はすべて積極的にタッチをいたしておりますし、まあ表現は獅子奮迅という表現が当たるか当たらないかわかりませんが、一生懸命やってきたつもりでございます。  そして資源エネルギー庁を通じて、この五年が十年に修正になった過程についても、大変な苦労を実はかけておりまして、私はこのことについてはぜひ御理解をいただいて、民主主義の決定手続として国会の御意思に従うということで、ぜひ御納得をいただきたい、このように考えております。
  65. 梶原敬義

    梶原敬義君 民主主義のルールで決まったからしようがないといっても、私はやっぱり業界の皆さんも相当根回しされたと思うんですがね。それは業界にとりましたら、長ければ長いほどいいでしょうけれども、そういうものではない。私はやっぱりこれから石油業界のあり方については厳しく監視をしていかなきゃいけない、こういう気で今いっぱいであります。やりたい放題のことをさせるわけにはいかないと思っておるんです。  皆さんが出してきたのが、多数決で五年が十年に延びたのだから、これはもうやむを得ないというようなことだけではなくて、やはり参議院における本委員会での審議もありますから、政府としては、出した五年がやっぱり正しいんだというのなら、衆議院の議決は議決として尊重する、しかし正しいんだということだけは言い切ってもらわないと、どうも何が何だかさっぱりわからぬわけでありまして、もう一度その点大臣にお伺いいたします。
  66. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 要は、五年を十年にしたことについて、非常に不確定要因が多いものですから、したがってそこについて十年が絶対ですという言い方ができなかったかと思うのでございますが、しかしやはりIEAの閣僚理事会のコミュニケ、先ほど御紹介申し上げましたように、このコミュニケでも十年を一つの期間としてマークをしておる。私どもも「十年以内」ということから言えば、今後の国際エネルギー情勢、石油情勢、きょうもOPECの決定が伝わっておるわけでございますが、非常に刻々に変わる要因というものを踏まえていく場合には、ひとつぜひ五年を十年ということに修正をしていただいた過程を御了解をいただいて、御賛同がいただきたいと、このように考えております。
  67. 梶原敬義

    梶原敬義君 了解するかしないかはもう後の判断ですが、大臣として、本法律案を作成して提案する過程で、閣議決定もあるし、あるいは臨時行政改革推進審議会の答申を受けて、閣議の方針で、とにかく非常に中長期、十年もたたぬうちにできるだけ早く見直したいと、こういう閣議決定に大臣も参画をしておるわけでありますから、私はこれは五年を十年という、そういう政治的な判断は別として、行政府として一応この五年については正しかったかどうか、これは正しかったと思うと、一言大臣、言ってもらわないと、それなら何でその法律案をつくったのかわからないんですよ。もう一度お願いします。
  68. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 非常にこれデリケートで言いにくいんですがね。  私はIEA閣僚理事会にも出ており、終始一貫この協議に参画をしておりますから、IEAにおいても十年を一つのめど、「九〇年代」あるいは「今後十年以内」という表現を使っておりますとおり、国際エネルギー情勢には各国石油事情やそしてまたいろいろな問題があるわけでございます。  一九九〇年代には石油需給が逼迫をして国際石油製品貿易市場の状況が変化する可能性が強いと判断されることを踏まえて、その期間としては、国際石油製品貿易市場の動向と内外の石油情勢が見定まるであろう一九九〇年代初頭までの五年間とすることが適当と判断をしたのでございますが、それが十年という修正をいただいたわけでございます。  これは、やはり一つの考え方として、今後の石油情勢、需給関係その他をよく見てまいりまして、仮に十年たたないうちにでも、この法律改正ということが必要とされるような状況が来れば、またそれは御協議を申すということでございましょうが、現在の段階では、私はこの修正案というものに従うべきであると、このように考えております。
  69. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは、どなたがお答えになってもいいですが、この法案は五年を限度として廃止するという、これについては自信を持って法案を国会に出したのかどうか、それだけ聞いて終わります。
  70. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 私ども、当然御提案申し上げる段階におきましては、いろいろな期限というものを考えたわけでございまして、五年以外にも、十年あるいは当分の間、いろいろなことを考えました。その中で、私どもとして選ぶのに一番いいのは何かというところで、五年というものを選んだわけでございます。
  71. 梶原敬義

    梶原敬義君 もうやめるつもりだったけれども、自信を持って出したかどうかということを聞いておるんであります。
  72. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 私どもとして、いろいろな案の中から選ぶとすれば、どれを選ぶかといえば、当然五年という案が政府として出すのに適当であろうというふうに考えたとお答えさせていただきたいと思います。
  73. 梶原敬義

    梶原敬義君 終わります。
  74. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ―――――・―――――    午後一時三分開会
  75. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 近年、エネルギー源の多様化の動きの中で、石油エネルギー供給に占める率は低下傾向にあるわけでありまして、ピーク時の昭和四十八年度の七七・六%から約一八ポイント減少しまして、昨年度は六割台を切り、五九・六%となっておるわけです。しかし、我が国エネルギー供給の大宗を占めていることは厳然たる事実であるわけであります。  二度にわたる石油危機の厳しい経験から考えてみまして、石油の安定供給の確保は、我が国の経済安全保障と民生の安定向上のために真剣に取り組んでいかなければいけない政策課題であるというふうに考えておるわけであります。しかし、我が国の場合は、この石油製品につきましては一貫して消費地精製方式、すなわち原油を輸入して国内で精製する方法を基本としてまいっておるわけであります。  そういう中で、近時国際石油需給が緩和してお る中にありまして、石油製品貿易は世界的には拡大の基調を示しておるわけでありまして、特に中東産油国における輸出用製油所の完成、それに稼働開始、こういうものが欧米各国から我が国に対しガソリン等の輸入開始の要請が寄せられる一つのきっかけになっておるわけであります。一方で、国内に目を転じますと、石油精製業における設備の高度化、備蓄の増加あるいは市場メカニズムの重視などの情勢変化から石油製品輸入に対する考え方が変わり得る素地をつくり出してきておるわけであります。  今回の特定石油製品輸入暫定措置法案、これは経済大国であり石油の一大消費国である我が国が、国際エネルギー経済に占める地位にかんがみ、最近の石油製品貿易をめぐる内外の動向に即応してこれまで輸入が行われないできたガソリン等の輸入を開始して、円滑に進めていくための条件づくりを趣旨とするものであり、エネルギー政策上の大きな一大決定を行おうとするものだと言えると思います。  今回政府が本法案を臨時国会に提出したことは、国際協調と石油安定供給確保の双方を満足させるための絶好の機会をとらえたものでありまして、本法案の早急な成立を望む立場から、趣旨、内容等につきまして見解をただしておきたいと思います。  まず最初に、本法案を立案するに至りました背景と、そしてその背景を踏まえて本法案が何を目的としているのか、こういうことを伺いたいと思います。
  77. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) まず、本法案を立案するのに至りました背景でございますが、第一に、昨年の六月に石油審議会石油部会の小委員会で、消費地精製方式につきましては、これを堅持しながらも漸進的に国際化を進めていくべきであるという御指摘をいただいたのがきっかけになっております。  その後、ことしの三月でございましたか、EC委員会が自分のエネルギー問題に関する答申、なかんずく石油製品貿易問題に関する報告を提出いたしまして、そこで今後陸続と完成してくる中東の輸出専門製油所の製品を各国が均等に引き取っていくよう提案をいたしたのでございます。このECの提案その他を背景といたしまして、本年七月にIEA閣僚理事会で石油製品貿易問題につきましてコミュニケが策定されまして、その中で、市場機能を基本として石油製品が流通する条件を創出すべきであるということに相なったわけでございます。  これらのECの動きあるいはその前の石油審議会石油部会の答申、そういったものをバックにいたしまして、石油審議会はことしの三月に小委員会を拡大いたしまして、国際化問題を検討する体制を整えました。それが、このIEAの閣僚理事会が終わりまして、その結論を踏まえました上で、九月十二日に報告を提出をいたしまして、そこで本法案の概要となる骨子の提案があったわけでございます。以上が本法案を立案するに至りました背景でございます。  次に、本法案の目的でございますけれども、これはただいま御説明いたしましたように、石油情勢が、石油需給緩和基調になります中で、国際石油製品貿易市場に特定石油製品というものが豊富に存在し始めまして、そうした中で、我が国に対するそれらの輸入の開始の要請も国際的に高まってきておるということを背景に、石油業法の特例法として提出したものでございまして、その目的は、ただいま御質問の中にも御指摘いただきましたように、これまで輸入を行っていなかったガソリン等の特定石油製品につきまして、その輸入が円滑に行われることを確保するために、輸入主体を登録に係らしめる等の条件整備を行うということでございます。
  78. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 この法案が目的としている石油の安定供給、これは短期的な課題でなくて、我が国にとりましては長期的な課題であろうというように思うんですけれども、今回のこの法案は、暫定措置法となっておるわけですけれども、なぜこれを暫定措置法としたのか、その理由を伺っておきたいと思います。
  79. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 本法案は特定石油製品輸入を目的としているものでございますけれども、そもそも、特定石油製品輸入が可能となりますのは、国際的な貿易市場に特定石油製品が豊富に存在するということが前提になるわけでございます。そして、国際的な貿易市場に特定石油製品が豊富に存在するためには、石油需給の緩和状況がそのまた前提になるわけでございまして、したがって、本法案石油需給が緩和している状況でないとワークしないわけでございます。  ところが、石油需給は未来永劫緩和しているのではなくて、一九九〇年代になりまするとタイト化するかもしらぬということをIEAのコミュニケその他で言われておるものでございますから、とりあえず石油需給の緩和している暫定期間、この法案を機能さしていただいたらどうかということで、暫定措置法として提出さしていただいているわけでございます。
  80. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 今御説明がありましたように、この期間の問題については、政府提案では、提案理由のところに「本法は、内外の石油情勢の見通しが不透明であることを踏まえ、恒久的措置としてではなく、五年間の暫定措置法としております。」という形で提案をなされておるわけですね。  このように、当初案で五年間というふうに言っておられるわけでありまして、その理由も明快に書いてあるわけですけれども、この文章以外に、なぜ五年間としたかということについて、まず御答弁をいただいておきたいというふうに思うんです。
  81. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 先ほども若干触れさしていただきましたように、特定石油製品輸入供給を一部依存するというためには、特定石油製品が豊富に国際的な貿易市場に存在することが前提条件になるわけでございます。  そこで、そのような条件が満たされるためには、石油需給が緩和していないといけないわけでございまして、その石油需給が緩和している期間の見通しにつきましては、IEAの閣僚理事会のコミュニケが、一九九〇年代になるとタイトになり得るということ童言っているものですから、少なくとも一九八〇年代はタイトではない、緩和の状況が確実であるということで、五年間という提案をさしていただいたわけでございます。
  82. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 そのように明確な立場に立って政府の提案がなされたわけですね。それが衆議院で修正をされたわけですけれども、この提案をされた時点で新聞あたりの取り扱いを見ましても、法律は五年間の時限立法とし、それ以降は全面自由化に踏み切る構えだという取り上げ方が一般にはなされておるんじゃないかというふうに実は思うんですね。そういう中においてこの五年を十年に延長したということになりますと、これはどのように受け取ったらいいだろうか、やはり自由化というものがおくれるんだというとり方が一つあるだろうと思うんですね。  まず、この五年延長されて十年間とされた点について、通産省としてはどのように考えておられるのか。法律論としては問題はないというふうに考えておられるのかどうか。当然、法制局なんかと事前に詰めておられるだろうと思うんですけれども、そういう問題について、まず通産省の考えをただしていきたいと思うんです。
  83. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) この法案で五年間とさしていただきました理由は、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、その際に申し上げましたように、一九九〇年代になると石油需給はタイト化するというのが判断の根拠になっておりますものですから、逆に申し上げまして、一九九〇年代のそれじゃいつからタイトになるのかということについては、特段IEAのコミュニケも言っておりませんし、その他の見通しでも必ずしも明確でございませんので、この衆議院の修正のように十年間に直されましても、一九九〇年代のどこからタイトになるかということは必ずしもはっきりいたしませんから、あえてそれに政府・通産省 として異を唱えるという必要も、あるいは説得力もややないかなというふうに考えているところでございます。
  84. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 衆議院の商工委員会において、田原委員、渡辺委員からこの期間につきましての質疑がなされまして、それに対して長官の御答弁もあるわけですね。  確かに余り積極的な御答弁はされてはおられないわけですけれども、そのように石油情勢というものが不透明であり、なおかつ、一九九〇年代についてはタイトであるかもわからぬけれども、その後どうなっていくかわからない。しかも、ガソリン一つ取り上げてみましても、代替商品というものが出てくる可能性もあるだろう。バイオテクノロジーなんかの進歩によりましてある程度アルコール、そういうものも進んでいくだろう。そういう段階においてこれを五年を十年にしたと。エネルギー改革もあるだろうし、世界全体のそういうエネルギーに対する取り組みの姿勢とか需給バランスとか変わっていくだろうというふうに思うんですね。そのほかにも、観法である石油業法自身をやはり見直さなければいけないという問題もこれは背景にあるわけです。  そういう非常に不安定な要素を含みながら、こういう今回のような修正になったわけですけれども、そういうことを通産当局がしっかりと認識しておられるならば、もう少し衆議院の質疑段階で突っ込んだ御答弁もあってよかったんじゃないかなという感じがいたすわけですけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
  85. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 立案段階で何年かというのは私どもとしてもかなり議論した問題でございまして、午前のときにも御説明申し上げましたとおり、五年、十年、それから当分の間というようないろんな案を並べまして、いずれをとった場合においても、そのどれが正しくてどれが正しくないかというような判断ではなしに、現状において我々としてとるのはどれが最も適当であろうかという議論をしたわけでございまして、その段階で私どもとしては五年というのが適当であろうというふうに考えたわけでございます。  ただ、非常に不透明な石油情勢でございますので、もし五年以内にこの法律の必要がなくなれば、当然廃止あるいは改正ということをお願いすることになると思いますし、五年たった段階で、もし本法の存続が必要であれば当然延長をお願いするということになろうかというふうに考えております。  もし万一、この私ども提案いたしました法律の期限を恒久化するというような修正でございますと、私どもとしては、法律自体の性格が根本的に変わってくるという観点から御意見を申し上げたと思いますが、五年と十年というものであれば、私ども法案の立案段階においても討議をした程度の差異ではないかという程度の判断をしたわけでございます。  ただ、今後の情勢の推移というものを十分慎重に見きわめまして、常に私ども石油行政について反省をし、この法律の運用についても検討をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  86. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 長官はそういうようにお答えいただくだろうというふうに思っておったわけですけれども、確かにそういう御答弁しかないだろうというふうに思うんです。  片方で、やはり業界が自由化については大体反対をしておったというバックグラウンドもこれはあります。同時に、余り過激な形での自由化というものは、当然やはり石油製品の安定供給という面から見ましても大きな問題があるであろうということは、私どもも十分に理解をいたしておるところであります。  また同時に、こういう状況の中で、石油産業の構造改革、こういうものについてもしっかりした対応をしていかなきゃいけない時期だというふうにも認識をいたしておるわけでありますが、どうも私ども、全く唐突の変更ということでありますので、御提案の趣旨が私どもに十分に理解できるような、内外の石油情勢の見通しが不透明であることを踏まえて五年間の暫定措置法ということを出しておられるわけですから、そういうものに対して、十年間ですよという説得をするには、余りにも確固たる説明資料というものが欠けておるんじゃないかという感じがいたすわけであります。  この問題につきましては、私も、もちろん与党の立場でありまするし、この法案には全面的な賛成の立場でありますので、このぐらいにしておきたいというふうに思いますけれども、五年が十年に延びちゃうということになりますと、その間に行われるべき石油産業の構造改善やあるいは石油政策全般の見直しというものが、やはり遅くなっていくんじゃないかという危惧も今度は逆にいたすわけですね。その点についての御見解を賜りたいと思います。
  87. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 今回の衆議院段階におきます期限の延長というものが、国際的な石油情勢の見通しの不安定性ということを踏まえて行われたものでございますが、国内におきます石油の構造改善、あるいは石油政策というものについての必要性、見直しについての必要性というものは、それとは無関係に存在をすると考えております。したがいまして、石油産業の構造改善、特に過剰設備の処理というふうなものにつきましては、今後三年をめどに行いたいというふうに考えておりますし、石油業法を含む石油行政の見直しというものにつきましても常時反省をし、取り進めていきたいというふうに考えております。
  88. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 それでは、法律の内容についてちょっと伺ってみたいんですけれども、まず本法の骨格は、輸入業者の登録制を導入するということが一つであろうと思うんですけれどもガソリン等の輸入を始めるためになぜ法律による登録が必要なのか。これまで行政指導によって輸入を抑えてきたわけですから、その行政指導の方法を変えることによって輸入を始めることが、逆に言うとできたんじゃないかという素朴な疑問があるんですけれども、まずその点についてお答えいただきたいと思います。
  89. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) まず第一に、なぜ法律による登録が必要なのかという点でございますが、これはとりもなおさず、なぜ適格な輸入主体に限定をする必要があるのか、こういうことであろうかと思いますけれども、特定石油製品の貿易に一部石油供給を依存するというためには、その安定供給の確保と、それから品質の確保が完全でなければならないということが大前提でございます。この安定供給の確保のためと、それから良質な品質の確保をするという目的のために、一つは代替供給能力、もう一つは得率調整能力、さらには貯油能力、そして最後に品質調整能力という、それぞれの設備を保有している輸入主体に限定をして、安定供給及び品質の確保を図る必要があると考えたわけでございます。  そこで、御質問の第二点は、それを行政指導でやればそれでもできたんではないかということでございますが、行政指導で確かに今まで全面的に輸入抑制を行ってきたわけでございますけれども、これはだれかれを問わず、一律にもう特定石油製品輸入は望ましくないということで指導をいたしましたものですから、それとして効果があったわけでございますが、先ほどのように、適格な輸入主体による輸入は認めるけれども、適格な輸入主体でないものの輸入は認めないというふうに区別をすることを導入することになりますると、やはり行政指導でやるにはそれなりの限界がございますし、また他方、法律論から申し上げましても、透明性を確保し、あるいは公平性を確保するという観点からも、やはり法律によって措置をさしていただくことがフェアなのではないかということで法律を提案さしていただいているわけでございます。
  90. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 政策論としては、適格な輸入主体を選ぶ必要があるわけですし、そのために法律が必要ということは理解できるわけですけれども法律論としては、これまで届け出制であった ものを登録制にするのは規制強化じゃないかという見方もこれあろうと思うんですが、政府規制緩和の方針とこの点が矛盾しないのかどうなのか。  また、今回の措置にとりましては、米国側もレーガン政権への大きな贈り物だという形で非常に評価をしてくれている、そういうことのようですけれども、市場開放を求める諸外国から見て、慎重に検討してみたらこれはやはり規制ということになるんじゃないかという受け取り方をされる可能性がないとも言えない。この辺はどうなんでしょう。
  91. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに、御指摘のように、今まで石油業法のもとでは形式的には届け出制であったものが、この特例法のもとで登録制になりますので、見かけ上規制強化であるというふうに見えないこともまあないわけでございますけれども、他方、今までの石油業法に基づきます指導というものは、特定石油製品について全面的に輸入抑制をしてきておったという、そういう実態があるわけでございまして、そういった実質をごらんいただきますると、今回初めて適格な輸入主体による特定石油製品輸入を認めることに変更をするわけでございますので、これは大幅な実質的な規制緩和であるというふうに考えておりまして、行革審におきましても、そういう条件整備を行って国際化を進めるという答申をいただいているところでございます。  また、海外との関係で御懸念も御表明いただきましたけれども、海外も確かに、今御質問でございましたように、アメリカは、これは自由貿易のために努力をしている、米国大統領に日本が贈った非常な贈り物であるという評価をとりあえずいたしておりまして、やはり今までの実態的な全面的な輸入抑制、これを何としてもやめてくれということが非常な海外の要請になっているわけでございまして、その要請にこたえるわけでございますので、IEA理事会その他で非常な歓迎を受けているところでございます。
  92. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 市場開放、貿易自由化という場合には、制度、手続もさることながら、やはり結果が大事だというように思うんですね。一つの貿易摩擦解消対策という形でこの問題も取り上げられてきて、とりあえず法案提出時点に、諸外国の一定の我が国の姿勢に対する評価も出ておるわけですね。  しかし、先ほど来議論をいたしておりますように、業界自体は、この自由化ワンステップについての反対の空気が強かった。それを通産御当局が随分指導された結果こういう運びになったんだろうと思うんです。逆に国民の立場からすれば、安いガソリンが入ってくるということは、これは歓迎すべきことだろうと思うんですけれども、この動きをずうっと見てみると、五年で提案されて十年になったということを業界が恐らくこれは歓迎をしておるだろう。この問題について外国はどのように評価するんだろうかなと、五年が十年になったということを。その辺についてのお考えがあれば承っておきたいんですが。  それと、結果が大切だというように思うんですねもこれを実施することによって、実際に輸入が行われるんだろうかどうだろうかという危惧がやはり私どもから見ましてもあるんですね。この法律を施行することによりまして、通産省としては一体どのくらいの輸入量を見込んでおるのか、これはまあ現時点においての推定というのはなかなか難しい問題は私はあろうと思うんですけれども、伺いたいと思います。
  93. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) まず第一に、五年が十年になったことに対する海外の評価でございますが、そもそも五年自体についての海外の評価ということも、別に五年だからいいとか悪いとか、そういうこともございませんで、適格な輸入主体によって初めてガソリン等の特定石油製品輸入を認めることにしたということを海外が高く評価しているわけでございますので、十年にしてどうですかというようなことを聞いてはおりませんが、その点について特段の意見はないものというふうに考えております。  それから、この適格な輸入主体による輸入が本当に実現するのかどうか、量的見通しはどうであろうかという御指摘でございますが、まず、結果的に石油精製会社の輸入ということに相なりましても、御案内のとおり、石油精製会社には販売能力と精製能力との間にギャップがあるところもありますものですから、その販売能力と精製能力のギャップを埋めるための輸入でございますとか、それから季節的な需要変動に対応する輸入でございますとか、あるいはこれは余りばかにできない期間でございますけれども、定期修理のときの輸入でございますとか、そういった実需がございますものですから、結果的に精製会社に限定することになりましても、輸入は十分に行われるというふうに私ども考えております。  ただ、量的な見通しはどうかということでございますが、これはまあ恐縮でございますけれども日本が実際に買い付けに行きました場合の市場価格が一体どういうことになるかという点が非常に不明確でもございますし、品質上の問題もございますので、今の段階でどれくらいの量ということをあらかじめ予想をすることはまことに困難な状況でございます。
  94. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 前段の点は余りしつこく申し上げるのもなんですけれども、結局五年から十年になったということは、国内石油業界から見れば、これは歓迎すべきことだというとり方じゃないかなという感じがするんですね。そうすると、国内ではむしろそういう業界に対して、当然そういう業界をある面では構造改善を進めていかなきゃいけない、そういう点は経済が安定するように指導もしていかなきゃいけない、そういう立場は立場でひとつ必要でありますね。  しかし、じゃ外国の方から見た場合は、日本が積極的に自由化に踏み出したんだという理解をしておる。そうすると、それが五年が十年に延びたというのは、外国としては歓迎すべき話なのかどうなのか。その辺についてまだ突っ込んだ話は今の段階ではないかとも思うんですけれども、どうも内側から見る施策と外側から見る同じ法律につきましても、とり方がこれは違う可能性もあるわけですから、その辺がちょっと私自身も気になるわけですね。  ですから、政府が提案されている法案ですから、質疑の段階で、大変お立場もよく理解はできるわけですけれども、結局最後の段階では、「エネルギー庁長官の御回答の中では、五年というのは極めて適当な、最適な期間というふうに答えられない要素があると私は受けとめました。」という衆議院の委員会の中での発言があるわけですね。私は、やはりそれぞれの省庁で責任を持って、いろいろ過去の経過を踏まえて議論を積み上げられてこられた法案につきましては、やはりもっと自信を持ってきちっと対応していただきたいということを、衆議院の商工委員会の議事録を読みながら痛感を実はいたしておるわけです。特にこの点は十分にひとつ今後の問題として受けとめていただきたい、このようにお願いを申し上げるわけです。  それで、後段の問題ですけれども、実際に輸入自由化をいたしましても、我が国のJISに合うガソリンを生産できるのは、サウジアラビア、シンガポール、韓国ぐらいということですから、当然よそのものを、それ以外の国のものを買ってもまた精製し直すとか、こういう問題も出てくるんじゃないかと思うんですね。  だから、今の段階で具体的に、ということは、それは確かに数字としては挙げられないだろうと思うんですけれども、例えばアメリカが外国から輸入しているガソリンパーセンテージが四%ぐらいですか、それよりちょっと下だとかどうだとかいう程度のめどぐらいは、当然優秀な通産省の皆さん方が計画されたことですから、あるだろうと私は思うんですがね、大ざっぱなところでいいですから、実際にこれは入るのか入らないのか。入らなければこれは大変なことに私はなるだろうと思うんです。その辺をひとつお答えいただきたいと思います。
  95. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 実際にこの輸入主体による輸入が行われるかという点でございますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、海外の石油製品が割安であるということでありますれば、生産構成と雷雲構成の差を埋める必要性でございますとか、それから季節的需要変化への対応でございますとか、それから定期点検等に対しての補完の需要でございますとか、そういったものがございますので、実際にガソリン等の輸入が行われることはほぼ確実であるというふうに私どもは考えているところでございます。  また、現に、無論正式な報告はいただいておりませんけれども、数社から具体的な輸入計画があるということを連絡を受けておるところでございます。
  96. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 まあ規格の問題もありますが、やはり外国のガソリン製品が非常に低廉であるという条件もこれは前提としてあるわけですから、ある程度のものは入ってくるだろうと、今のお答えのとおりだろうと思うんですけれども、ただ、先ほどもちょっと触れましたけれども、業界自身がやはりこの問題に前向きでない。それをまあ皆さん方非常に御努力されておられるということは私もよくわかっておるわけですが、そもそもが輸入に反対であったそういう業界を通してしか輸入できないという一つの前提があるわけですね。そういう状況の中で、相当強力な指導をされないと、輸入計画等きちっと立てられて、場合によっては勧告もされるということのようですけれども、その辺はどうなんでしょうかね。
  97. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、そもそもは業界が、全社ではございませんけれども、今回の輸入自由化措置に対して反対であったというのは事実でございます。  また、適格な輸入主体と私どもが申し上げております。その主体が、結局精製会社ということになりますので、今の御質問のような御懸念が出るわけでございますけれども、ただ制度をこういうふうにきちっと法律で変えるということに相なりますれば、恐らくこの適格な輸入業者の数というのは二十社を超えるような数になると思いますので、そういった一つの制度的変革の前提の中では、おのずから競争原理が働きまして、海外の特定石油製品が割安であれば、それを入れなければ競争条件が悪くなってくるわけでございますので、一たんこういうかっちりした制度ができますれば、その競争機能を通じて輸入が行われていくものというふうに考えております。  他面、この法律は何も割高なものを強制的に輸入するという趣旨ではございませんので、海外の市場が仮に高いということでありますれば、輸入がなくても特段国際的な問題も起こらないであろうというふうに考えておるわけでございます。
  98. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 それでは、今度は視点を変えまして、ドライバーや一般のユーザー、そういう方々は、ガソリン等の輸入開始によって安い外国製品が輸入されて、ガソリン等の価格が下がることを期待しておると思うんですね。  ガソリンの価格についてはいろいろな見方もあるようでありますけれども、外国製品というのは一体どのくらい安いものなのか。また、それが輸入されれば、国内価格は従来とどういう形で変わっていく見通しになるのか、この辺の見通しを伺いたいと思います。
  99. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 非常にごもっともな御指摘でございまするんですが、御案内のとおり、海外の石油製品我が国と品質が異なりますとか、それから為替レートが絶えず変化するとかいうことがございますものですから、海外の輸出価格が一体どれぐらいなのかということについてはなかなか一概に申し上げられない状況でございます。  ただ、あえてどれぐらいかということを、非常に恐縮でございますが、アバウトに申し上げさしていただけば、ガソリンにつきましては、リッター当たり四十円から五十円ぐらいのFOB価格がというふうにとりあえず考えさしていただいているところでございます。
  100. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 そうすると、現在の価格から見るとかなり安いわけですね、国内ガソリン価格に比べると。
  101. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) ちょっと御説明を落として恐縮でございましたけれども、これは先方でのFOBのリッター当たりの価格でございますので、その後に運賃とか、それから関税とか、石油税とか、そういうものがかかります上に、ガソリンでございますると、例の揮発油税が五十三円八十銭もかかるわけでございます。したがいまして、それらを全部足し上げてまいりますと、例えば仮にリッター五十円といたしまして、それがFOBだといたしますと、そこに関税なり運賃なりがかかり、それから揮発油税がかかる、それだけで百円を超すようなことになるわけでございまして、その上に、当然流通業の方々のマージンというものも必要でございますので、そういう意味であるいはおっしゃっているのかもしれませんけれども、四十円、五十円と、現在の小売価格との比較ではございませんで、今申し上げたような積み上げた数字との比較ということになろうかと思います。
  102. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 専門家の試算によると、日本ガソリン小売価格は、英、仏、西独の三カ国平均と比べると、税金抜きでも一キロリットル当たり二万円強も高いという記事が出ておるんですけれども、こういうことですと、やはり石油製品の競争力が確かに日本は非常に厳しい状況にあるわけでありまして、逆にこれはもう大変なことだなという感じがいたすわけですよ。それで、今の御説明とこの資料と、少し価格の差があるんでしょうかね、ちょっとよくわからないんですが。
  103. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 今御指摘のお話は、各国の小売価格の比較であろうかと思いますけれども、確かに西独の場合、そこはロッテルダムというスポット市場が非常に近うございますせいもありまして、非常に安くなっておることは事実でございます。ただ、ロッテルダムから日本に持ってくるということになりますと、またおのずからそれなりのコストもかかってまいりますので、一概に西独と御比較いただくのがいいかどうか、そこのところは議論の余地があると思われます。  例えばフランスでございますと、私どものたまたま手元にあります資料ですと、これレート等もありますので一概にとっていただくとあれなんですが、とりあえず申し上げますと、百三十九円九十銭というようなことでもございますし、それから英国ですと百二十円というような数字がございます。私ども国内の価格はどうかといいますと、百四十円台とかいうことでございますので、フランスあたりとは似たり寄ったりかなというようなことでもございますし、また話がややそれて恐縮でございますが、市況が多少乱れますると、日本でも英国に近い水準の価格になることも、そういうものが出ることも間々ございまして、それほど猛烈に違うということではないのではないかというふうに見ております。
  104. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 十条の特定石油製品輸入業者の努力義務ですね、これは余り例を見ない新しい種類の規定に思われるんですけれども、これを設けられた理由を伺いたいと思うんですね。  額面どおり受け取ると、高い製品でも、品質の改良のしようのない製品でも、とにかく損をしてでもいいから輸入しろというふうに読めないでもないわけですけれども、これの読み方をちょっと伺いたいと思います。
  105. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、第十条のような立法例はそうたくさんあるケースではあるいはないかもしれないと思いますけれども、十条で言っておりますのは、二つのことがございまして、一つは「国際的な石油製品市場の動向に応じて」という点でございます。これがすなわち国際的なプライスメカニズムのもとでというふうに私ども考えておりまして、ですから、今御懸念を表明されましたように、割高であっても輸入を強制するというような趣旨のものではないというふうに考えているわけでございます。  他方、「特定石油製品の円滑な輸入に努めなければならない」ということもこの条項に書いてあ るわけでございまして、これはむろんスムーズに外国の製品が入った方がいいという側面もございますが、一方、国内的に、雇用でございますとか、地域経済ですとか、そういったところへの甚大な影響を回避しながらという意味合いもあるわけでございまして、以上二点を基本としてこの条項が定められているわけでございます。  いずれにいたしましても、この条項は罰則のないいわゆる訓示規定でございますので、この規定に基づきまして強制をするというようなことはないわけでございます。
  106. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 この条文を離れまして、輸入の当事者となる石油精製業界に関してお聞きをいたしたいんです。  輸入が何%かされるということになると、当然国内の生産がその分だけ縮小せざるを得ないということが考えられるわけですけれども石油精製業界にとりましては、それは当然のことやはり反対もしておった。それはまた当然だろうと思うんです。しかし、今回こういう形で自由化が行われていくことになると、それに対する対応はやはり当面迫られるわけですね。しかも、ただでさえ大量な過剰設備を抱えておる業界でありますから、今回の輸入措置によりまして過剰設備がますます増大していくんじゃないか、業界にとりましては大変な問題だというふうに考えるわけですけれども、この点についての問題意識はどのようにお持ちでございましょうか。
  107. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、製品輸入がございまするとその分だけ国内生産が減るというのは事実でございます。  ただ、設備との関連の御指摘でございましたけれども、提案さしていただきますこの法案によりますると、代替供給能力を持たなくてはいけないということになっておりまして、当該特定石油製品輸入が途絶えました場合に、急いで原油を購入いたしてまいりまして、それを国内で精製する能力は持っていなくちゃいけない、こういうことになっておりますものですから、国内生産が減ることが直ちに設備の過剰に結びつくということには、この法案上はたまたまなっておらないということであろうかと思います。  もとより、この輸入の問題を離れまして、我が国の常圧蒸留設備、普通の原油を精製する一次設備でございますけれども、これは石油需要の減退によりまして過剰な状況が続いておりまして、このために五十八年に九十七万バレルの設備処理を実施したわけでございますが、それでもなお設備の過剰という状況が続いておるのでございます。このために先般この国際化問題を御答申いただきました石油審議会の同じ小委員会で、三年計画で今後七十万バレルないし百万バレルの設備処理を行わなくちゃいけないということに提案がなされたわけでございまして、その提案を受けまして、今所要の支援措置その他具体的に進めるべく準備を進めているところでございます。
  108. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 これはひとつ大臣にもお伺いをいたしたいと思うんです。  石油の安定供給のために、石油産業の体質改善、今言われるような設備関係の縮小とか必要であるわけですけれども、そういう形での過剰精製設備の処理を進めざるを得ない、そういう政策的な立場というものは理解をいたすわけですが、製油所の立地しております地元でございますね、それぞれ地域に分散して、私どものところも非常に瀬戸内海は石油が多いわけでございますけれども、そういう地元から見ますると、石油製油所の立地のために、今まで基盤整備を初めいろいろな努力を地元なりにしながら、ともに経済また地域の発展のために努力をしてまいった歴史があるわけです。そうして、製油所自身がそれぞれの地域の中での地域経済の大きな核になって存在をしておった、その存廃は、雇用や景気を通じて地元住民に非常に大きな影響をもたらしていくわけですね。こういう一つの自由化を進めることによって、さらにそういう問題に拍車がかかってくる。  通産省として設備処理を進めるに当たって、そういう歴史的な積み上げが地域の中であるわけですから、地域への配慮をやはりしていただきたいということを考えるわけでありますけれども、この点についての御所見があれば承っておきたいと思います。
  109. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 松岡委員にお答え申し上げたいと思います。  この石油製品輸入の問題は、御指摘になられたように非常に多方面の問題点を含んでおるわけでございますが、特に今松岡委員が御指摘になった製油所長期にわたってその地域の経済の発展でございますとか、雇用の確保でございますとか、諸般の面で貢献をしてきたものが非常に多いわけでございます。こうした製油所が、例えば閉鎖をするということになれば、地域の経済、雇用に大きな影響を及ぼす可能性があるのは事実でございます。  したがって、製油所の閉鎖を行うに当たりましては、各企業、各企業グループが、こうした影響について十分配慮をした上で実施することが必要でございますし、また国といたしましても、こうした影響ができるだけ少ないように、影響を緩和して、設備処理の円滑な実施が図られるような支援をすることが必要であると考えております。  このために、これらに対する既存制度の活用を図るのはもちろんでございますが、新たに所要の助成措置を要求をしておるところでございます。例えば、具体的に申しますと、特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法でございますとか、特定業種関連地域中小企業対策臨時措置法、いわゆる企業城下町法という法律の活用を初め、製油所跡地の他事業の用途への転換を促すための措置であるとか、あるいは退職金資金に対する低利融資制度であるとか、そういった諸般の措置も講ずるようにいろいろと要求をしておるところでございまして、松岡委員指摘の点は十分通産省としてできるだけの対応はしてまいらなければならない、このように考えております。
  110. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 適切なる対応を図られるという御決意を承りまして大変心強く思っております。ぜひそのようにお願いをいたしたい、地域に対する配慮を十分に賜るようにお願いいたしたいと思います。  次に、輸入主体となります。そういう石油精製業界と一緒に石油産業を構成しております石油の流通業界の問題です。  全国に五万九千軒ある揮発油販売業者、その大半が中小零細業者から成っておりまして、経営が非常に圧迫をされておるというふうに聞いております。業種転換やら、あるいはマンション経営とか、いろいろな努力を模索いたしておるようですけれども、そういう石油流通業界の経営実態をお伺いいたしたいと思います。
  111. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、石油流通業すなわち揮発油販売業は、近年の需要の伸び悩みの中で過当競争等が進行いたしておりまして、深刻な経営状況となっているわけでございます。  具体的に申し上げますと、五十九年度の給油所経営実態報告の集計結果でございますが、全給油所平均の営業利益がマイナス〇・七%ということになりまして、これは五十八年度がマイナス〇・六%でございましたから、〇・一%悪化しておるわけでございます。他方、この調査でございますと、赤字給油所の割合が五十八年の四九・六%から四八・八%へと若干改善をいたしておる面もありまして、第二次石油危機以来一貫して経営悪化傾向があったわけですけれども、それにこれで多少ブレーキがかかったんだといいという期待も出ているわけでございます。  いずれにいたしましても、経営状況が厳しいということには変わりないわけでございますので、通産省といたしましても、今後、今御指摘の構造改善の推進等に全力を挙げてまいるつもりでございます。
  112. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 そういう流通業界に対して、ガソリン等の今回の輸入開始、これがどのような影響を与えるんだろうかという危惧があるんですけ れども、その点はどうでしょうか。
  113. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 本法案におきましては、ガソリン等の輸入を適格な輸入主体による輸入ということに限定をさしていただいておりますので、例えば価格の面につきましても、そう急激な下落というようなことが起こらないのではないかというふうに考えられまして、その急激な価格変動等が起こった場合に予想されます流通業界の混乱というようなことも、この法案によりますればとりあえず避けられるのではないかというふうに考えておりますし、いずれにいたしましても、この輸入という事態を通じまして流通業界に一大混乱が起こるというようなことのないよう、十分運用に心がけてまいりたいと考えております。
  114. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 ぜひそのような指導をお願いしたいと思うんです。  輸入自体が流通業界に直接のショックは与えないにいたしましても、先ほど御説明のように、経営自体が非常に厳しい状況にあることは事実でありますから、抜本的なやはり構造改善対策が必要じゃないかと思うんですけれども、通産省はどのような施策を考えておられるんですか。
  115. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、抜本的な構造改善政策石油流通業界に対して必要だという認識を持っておりまして、このため五十八年の十一月でございますが、近促法、中小企業近代化促進法の特定業種というものに石油製品販売業を指定をいたしまして、五カ年計画で六十四年度末を目標に近代化計画を策定するということにしたわけでございまして、これがことしの五月に一応その近代化計画の通産省側の方針をつくったわけでございます。それを受けまして現在、業界の方で設備の合理化、近代化、それから共同事業、それから設備だけじゃなくて、経営管理の近代化というようなものも含めました構造改善計画を今おつくりいただいているところでございます。
  116. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 いろいろな角度から質疑をさしていただいたわけですけれども、この法案は、まず実績を上げていくということが一つ大切でありましょうし、同時に石油の安定供給と国際協調の目的というものをやはり十分に達していくということが肝要であろうと思います。  さらに、大臣からも御答弁いただきましたように、それぞれの地域に立地しているそういう石油精製業者あるいは流通段階のガソリンスタンドの問題、それぞれ地域に根差しておる大きな問題を含んでおりますので、適切なる対応をお願いしたいと思います。  本法案につきましては、私どももちろん賛成であるわけでありますから、これの運用が速やかに行われることを期待いたすわけでありますけれども、五年、十年の問題につきまして若干しつこい質疑をいたしまして、大変御無礼を申し上げました。  以上で質問を終わりたいと思います。(拍手)
  117. 伏見康治

    ○伏見康治君 大臣に最後の締めくくりの質問を申し上げるつもりでおりましたところ、大臣はしばらくしてよその委員会の方へ御出席なさるそうでございますので、冒頭に大臣のお考えを承っておきたいと思うわけでございますが、細かい点はゆっくり後からお役人の方々にお伺いすることにいたしまして、大臣には非常に大きなところをひとつお伺いしておきたいと思っております。つまり、日本エネルギー政策全般の中での石油関係の位置づけのようなお話、そういう大きいところをひとつお願いいたしたいと思うんです。  私は、御承知のように、終戦直後ぐらいから、日本で原子力を導入すべきであるという考え方を持っておりましたんですが、それの主要な理由はどこにあったかと申しますと、太平洋戦争というまことに無謀な戦争を始めてしまった原因の一つに、ABCDラインといったようなもので石油輸入を禁止されたといったようなことが一つの大きな要因であったと私は考えておりますので、エネルギー源をちゃんと確保するということが今後の平和を守るために非常に大事だと、そういうところから発想をいたしまして原子力のことを言ってきたわけです。  その原子力の話が少し進行いたしまして、石油が禁輸されて戦争が始まったんだから、戦後も負けたんだからますます石油は来ないだろうと思っておりましたのが、全く私の予想に反しまして、だぶだぶ石油が入ってまいりました。エネルギーに対する考え方が非常に変わってしまいました。この調子では、私は日本では原子力は育たないのかと思っておったんですが、そのうちに、奇跡のように石油ショック、オイルショックというものが起こりまして、それで原子力が息を吹き返したといったようなことがございましたんですが、石油一つを眺めましても、大幅にいろんな世界情勢の変化を受けていろいろと変化するわけでございます。そういう大きなうねりの中で、中期的、長期的なビジョンを持って石油政策を立てるというのは随分御心労の多いことだろうと思いますですね。  私先日、青森県の方へ行きまして石油備蓄の基地を拝見してまいりまして、その壮大なのに驚嘆してきたわけですけれども石油備蓄というのも、今のように石油がだぶつきますというといささか時代錯誤的な感じを受けるわけですね。つまり石油が逼迫しているときにとったそういう政策というものが、潤沢になると何か厄介者になるといったようなことがございまして、実際に政策をつくるということは非常に難しいことだと思うんですが、そういうものを通して、大臣はどういう御方針で今後を迎えられるかというようなところを伺わさしていただきたいと思います。
  118. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 非常に大きな御構想のもとの御質問だろうと思います。  今御指摘になった原子力、それから石油あるいは石炭、天然ガス、水力、地熱等々いろいろエネルギー源があるわけでございますが、国際エネルギー需給というものは現在緩和基調が続いておりまして、今後の発展途上国を中心とするエネルギー需要の増大に伴いまして、国際石油需給中長期的には再び逼迫の可能性が強いという見方が一般的であると思います。これはIEAなどの指摘もそうでございますし、私自身もそう思っております。  我が国は依然としてエネルギー供給の相当部分を輸入に頼るという脆弱なエネルギー供給構造を持っておりまして、今後とも我が国が経済の持続的成長と国民生活の向上を実現をしていきますためには、エネルギーの安定供給基盤をより一層強固なものとする必要があるかと思います。このために、エネルギーコスト低減への要請にも配慮をしながら、セキュリティー、保安の確保を基本として、着実かつ計画的に石油安定供給の確保あるいは石油代替エネルギー開発、導入、省エネルギー推進を柱とする総合エネルギー政策を進めていくことが必要であり、そういった立場に立って今後やっていきたいと思います。
  119. 伏見康治

    ○伏見康治君 相手がいろいろ変化する中での政策の立て方というものは極めて難しいと思うんでございますが、まさにセキュリティーという観点でいろいろな手を打っていただくということにお願いいたしたいと思います。  もう一つ大臣の御意見をちょっと伺わさしていただきたいんですが、私はよく知らないんですけれども、雑誌なんかを拝見いたしますと、日本石油業界というのは、商工委員会の「商工」という意味で申しますと、専ら「商」の方であって、「工」の方は余りやっておらない。つまり、石油製品技術開発という点について、余り日本石油業界は御熱心でないというふうに伺っているんです。そういうものを盛んにするのもまた通産省の一つのお役目ではないかと思うんですが、その点についての御所見を伺いたいと思います。
  120. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 御指摘のように、石油業界というのは、石油精製というものはクリーニング業と言われるように、一たん精製設備に原油を流し込みますと自動的に出てくると言われるんですが、最近ではもうだんだんそういう時代から離れてまいりまして、非常に安い原油からいかに高級なガソリンをつくるかというような技術というものが基本的に必要になってまいりまして、特 に工場設備の自動運転あるいは自動制御というような方向とか、工場の運転、操業に関する技術というものは、たしか世界的な水準に達していると思います。  それと同時に、今後行わなきゃならないのは、石油の精製以外のいろんな技術、例えば灯油というものについて新しく技術開発するとか、それから燃料電池というものに対して進出をする、あるいはコジェネレーションというものについて進出をしていく、あるいは最近では炭素繊維という方向に行っているとか、いろんな石油を取り巻く環境への技術的な進出というものが参っておりまして、私どもも今後石油精製業の構造改善といいますときに、設備の廃棄あるいは集約化ということだけではなしに、技術開発、これは精製設備における技術開発、それから周辺の分野における技術開発、こういうものを同時に推進していく必要があるというふうに考えております。
  121. 伏見康治

    ○伏見康治君 おっしゃるとおりだと思います。  石油の精製技術そのものは比較的簡単なものですから、それで済ましてこられてしまったというところがあると思うんでございますけれども、それのやり方についても、例えばガソリンの高オクタン価といったようなことについてもいろいろと研究すべきことがいっぱい実はあるわけでございます。  それから、今言われたように石油の新しい使い道を発見するということも非常に大事なことであろうと思うんですね。通産省は、ほかの場面では、例えば半導体のようなところでは非常にいい指導役を果たされてきたんでありますから、石油のそういう方面の技術指導もよろしくおやりになるべきではないかと私は思いますので、大臣よろしく。  大臣、御用がありましたら……後は細かいことを質問いたしますので。  この法案そのものの方に入りまして、まずお伺いいたしたいんですが、前に同僚議員の方の質問にもございましたけれども、この法案にはいわゆる目的という条項がないわけです。ですが、この法案を審議する限りにおいては、この法案をつくった目的をまず伺わないと話になりませんので。ちょっと改めておっしゃっていただきたいと思います。
  122. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) この法案には。御指摘のように目的という規定がございませんが、これは石油業法といういわば母法の特例法という関係になっておりますので、石油業法の目的がこの法律にもかぶるということで、目的という規定がないわけでございますが、より具体的にこの法案の目的といいますか、趣旨というものを申し上げますと、最近におきます石油製品貿易をめぐります国際環境の著しい変化というものに対応いたしまして、ガソリン等の特定石油製品輸入を円滑に進めるために必要な暫定措置を定めるというのがこの法案の目的でございます。
  123. 伏見康治

    ○伏見康治君 国際情勢の中での貿易の自由化の圧力といったようなものに対応するというのが一つの目的であったろうと思うんでございますが、この法案を私のような素人が拝見いたしまして、一番戸惑いいたしますのは、その自由化という目的の中で何か余計なことが規制されているような感じがする、何か逆な方向に動いているような感じを受けるわけなんですが、この法案をつくるようになった原因と、新聞なんかが称しておりますライオンズ石油やサワラビ石油なんというのがどこからかガソリン輸入するということに対して、お役所の方がそれをとめるのに大変御苦心をなすったというようなお話を新聞で拝見しているわけですが、それはどういうことであったのか。また、それがうまくいったとすると、将来もそういうやり方でいいのではないかという感じもするわけですが、その辺のところを教えていただきたい。
  124. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 今御指摘のような企業がガソリン輸入を企画いたしまして、そのときに石油業法の十二条に基づきます通産大臣の勧告権、輸入計画の変更勧告権限を行使いたしましたり、あるいはそれを背景といたしまする行政指導によりましてそれを抑制したことは事実でございます。  これを抑制いたしましたのは、そういう無秩序な輸入が行われますると、例えばその特定石油製品供給が途絶えましたときの安定供給をどうするのか、あるいはそういった無秩序な輸入が重なってまいりますると、それに伴って国内ガソリンならガソリンの生産が減るわけでございますが、それと同時に、連産品でございますから、灯油や軽油の生産も減ってしまう。そこのところの灯油なり軽油なりの安定供給の問題をどうするのかという問題もございましたし、あるいは品質の面でございますけれども、品質につきましても、単にだれでも輸入していいということになりますると、いろんな、例えば有鉛のガソリンも入ってきてしまうというようなことになることから、今までは石油業法の十二条ないしそれを背景とする行政指導によって抑制をしてまいったわけでございます。  そこで、第二の御質問は、それじゃそれを緩和するというか、そういうことによってもこの法案の目的が達成できるのではないかというところであろうかと思いますけれども、まず政策的に、この法案で御提案申し上げておりますように、輸入主体を適格な輸入主体に限定をしないと、先ほどの安定供給と品質確保が図れないわけでございますので、まずその限定が必要なわけでございますが、仮にそうだといたしますると、特定の者は行政指導により輸入を認められるけれども、特定の者は認められないということを行政指導で行ってまいりますのには、行政指導としての限界がございますので、やはり法律という形できっちりしていただいてやっていただいた方が、透明性という観点から申しましても、あるいは公平性という観点から申しましても妥当なのではないかということで、こういう法案の形で提案をさせていただいているわけでございます。
  125. 伏見康治

    ○伏見康治君 今までとにかく行政指導的なことで、アラビア石油のようなところが建前としては輸入してもよかったわけですね。それを行政指導的な意味で抑えられてきたと思うんですが、それと同じように、今後も、この石油は質が悪いから、鉛を含んでいるから輸入してはいけないというような言い方で、禁ずべきものは禁じ、通すものは通すということでいいような感じがするんですが、その辺のところを何かもう少し詳しく説明していただけませんか。
  126. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 今までの行政指導は、一律にどの企業も入れてはいけないという単純な指導でございましたので、辛うじてそれで聞き届けていただいたわけでございまするけれども、今度適格な輸入主体は入れてもいいけれども、そうでない者は入れてはいけないんだという特段の判断をいたしますとなりますると、やはり法律できっちりしていただいた方が公正でもありまた妥当であるということで、こういう提案をさしていただいているわけでございます。  今まで抑えておりましたのは、一つには、安定供給の確保ということについて、無秩序な輸入だと確保され得ない懸念があるということと、品質の点であったわけでございまして、そういった点から、適格な輸入主体に限定をした方が、またしないとうまくいかないわけでございますのでそれらの確保が行われませんので、この適格な輸入主体に限定をするわけでございまして、そうであれば、やはりそうしてよろしいかどうか法律できっちり御審議をいただいた上でそうさしていただきたいというのが私どもの意見でございます。
  127. 伏見康治

    ○伏見康治君 実はまだ納得がいかないんですが、つまり安定確保という意味は、自由な交易の中での安定確保というのは、Aという業者なら業者が輸入しなくなっても、B、Cという第三者、第四者の業者がかわりに輸入してくる、入れかわり立ちかわりやって全体としては一種の平衡状態を保っているというのが自由主義じゃないかと私は思うんですけれどもね。  ですから、会社を特定してしまうということが、もちろん一つの安定化の方法ではありますでしょ うけれども、自由主義的な意味での安定化というのとは思想的に違うように思うのですけれども、どうでしょうか。
  128. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 安定と申しますのは、今おっしゃいましたニュアンスとはやや異なりまして、私どもが申し上げているのは、石油製品の安定供給消費者のために確保するかどうかという意味合いにおける安定でございます。  そういう観点に立ちますると、やはり特定石油製品輸入が行われますると、それに見合う分だけの国内の生産が減るわけでございますが、石油の場合は、他の商品と著しく異なりまして連産品だものでございますから、その際にほうっておきますると、ほかの灯油なりあるいは軽油なり当該特定石油製品以外の生産が減ってしまうわけでございます。減ると、その当該軽油なり灯油なりの安定供給が損なわれるわけでございまして、そういうことのないように適格な輸入主体による輸入、すなわちそういう得率調整能力を、例えばこの場合持っている企業による輸入を認めていけば、そうすれば輸入の方がペイするときには輸入を行い、国内精製の方がペイするときは国内精製を行うということで、おのずから適切な輸入が確保できるのではないかというふうに考えているわけでございます。  また、自由貿易、あるいは自由経済主義と申しますか、との関連での御指摘がございましたけれども、諸外国におきましても、石油の場合には長年の歴史もありまして、大体石油企業が輸入を行うBPとかシェルとか、そういったメジャーズが中心になりまして、国内の精製もやっているけれども輸入も行っておるという実態もありまして、我が国の場合歴史の違いもございまして、単に法律なしにそういう経済実態にはならないものですから、この法律によってそういう経済実態を目指していこうというふうに考えているわけでございます。
  129. 伏見康治

    ○伏見康治君 大分思想的な話になりそうですから、その辺でおしまいにしておきます。  次に、この法律をおつくりになる主たる目的は、貿易摩擦の解消にあると理解しているのですが、これをつくって、そして日本ガソリンを輸出してくださる国が幾つか想定されていると思うのですが、そういう国々はどういう国で、そういうところからどのくらい入ってくるというような見通しといったようなものがおありになるはずだと思うのですが、それを聞かしていただきたいと思います。
  130. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) まず、ガソリン等の輸入が考えられる相手国はどこかという点でございますけれども、輸出用の製油所のございますサウジアラビアのほか、シンガポール、それから米国、これは一部でございますが、米国というあたりから輸入される可能性があると考えております。次に、どれくらいの量なのかという点でございますけれども、これは我が国が現実に買い出動をいたしました場合に、一体これらの国々でガソリンの価格が具体的に幾らになるのかというところについて特に不明確な点があるものですから、どうも恐縮でございますけれども、現時点で量的な見通しを申し上げる状況に相なっておりません。
  131. 伏見康治

    ○伏見康治君 輸入せいという外国からの圧力というものがあるのは事実だと思うのですが、製品としてのガソリン輸入すれば原油の輸入はそれだけ減るというのが常識なわけですが、全体としては必ずしも輸入が増加したということにならないでおしまいになってしまう。そういう点はどういうふうにお考えになっているのでしょう。
  132. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに、製品の輸入が行われまするとその分だけ国内の生産が減るわけでございまして、国内の生産が減れば、それに使うはずであった原油の輸入が減るわけでございます。減るわけでございますが、そこのところは、こういった適格な輸入主体による自主的な判断で製品輸入が行われていく、それに伴って原油の輸入が結果的に減るということであれば、ほかの商品についても同様なことは常々起こる問題でございまして、原油供給国としてあるいは不満を持つところがあるかもしれないけれども、そこのところは納得をしていただく以外に方法がないというふうに考えております。
  133. 伏見康治

    ○伏見康治君 政府が毎年石油供給計画というものを立てておられるということですが、それと今度のこの法案のお話とはどう関係するのでしょうか。
  134. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、石油業法に基づきまして毎年政府石油供給計画を立てております。  それで、その石油供給計画に製品輸入の欄もございますものですから、基本的には、この法案が通りまして特定石油製品輸入が行われますことになりますれば、この石油供給計画を変更するということが基本的な立場ということになるわけでございます。  ただ、当初、初年度の段階におきましては、先ほど来申し上げておりますように量的な見通しも必ずしもはっきりしないということでもございますので、初年度にいきなり石油供給計画で例えば五年分の製品輸入見通しを掲げるのが適当かどうか、何か暫定的な措置が講ぜられるのかどうか、初年度につきましてはその石油供給計画の改定の問題も含めましていろいろ何か暫定的な方法があるかどうか、今後検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  135. 伏見康治

    ○伏見康治君 初年度はいたし方がないのですが、次年度からは的確なる予想ができるように勉強していただきたいと思います。  さて、この法律は、当初は五年間の暫定法であったのが、衆議院で何か十年間に延びてしまって、先ほど来たびたび御議論があったところでございますが、私も十分納得できませんのですが、大臣が言われるように、IEAの閣僚会議で一九九〇年代云々というお話がございましたのですが、それももちろん一つの根拠なんでしょうけれども、もっと一般的にこういう法律というものは大体このくらいの期間で暫定的にやってみるといったような一種の常識みたいなものがあるのじゃないかと思うんですが、そういうことは別にないですか。
  136. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 一般的に暫定法の期間が何年なのかという点でございますが、これは私ども調べさしていただいております限りでは、確かに御提案申し上げましたように五年というものも多数ございますし、あるいは昔の機械工業振興臨時措置法のように七年というものもございますし、あるいは石炭鉱害賠償等臨時措置法でございますとか、いわゆる事業転換法、中小企業事業転換対策臨時措置法でございますか、あるいは城下町法でございますとか、そういった期間十年という法律もございまして、一概に法制面から常識的に何年だということは必ずしも言えないのかもしれないというふうに私どもは考えております。
  137. 伏見康治

    ○伏見康治君 私はよく知らないので、ただお聞きするだけのことなんですが、しかし非常に多くのものが五年間ぐらいであろうという判断は、あるいは正しいんではないかと思っているんです。それぞれ長いのは三十年なんという大変長いのもあるようでございますが、それにはそれだけの非常に的確な判断の資料があったと思うんです。  今度の場合にはとにかく見通しが悪くて先が見えないというお話がもっぱらなんで、そういうときにこそ五年間ぐらいになさるべきではないかと思うんですね。たびたび御説明を伺っていても何かとんと納得できないんですが、もう一度言っていただけますか、十年でよろしいんだという御説明を。
  138. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) やや繰り返しで恐縮でございますけれども、この法案を五年間といたしておりましたのは、その間は少なくとも石油需給緩和の状況が続くであろうというふうにIEAのコミュニケその他から判断したからでございます。  他方、衆議院の御修正のように十年となった場合にどうかという点について申し上げれば、IEA見通しでも、一九九〇年代になると石油需給が逼迫をするということを言うにとどまっており まして、一九九〇年代の当初からなるとは必ずしも言っておりませんので、半ばかもしれないあるいはその後半かもしらぬというふうに考えますと、十年となったからといって、あえて私どもとしてそれに異を唱える非常に決定的な材料があるということではなかろうというふうに考えております。
  139. 伏見康治

    ○伏見康治君 そういうふうなお話でも、非常に不透明なお話なものですからだめ押しを伺うんですが、つまり実際客観情勢がいわば急変したようなとき、そういうようなときには、十年以内でも、もちろん国会でその法律をやめてしまうとか、ほかのものに変えるとかということは十分あり得るわけなんですね。
  140. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) これは、十年以内にこの法案を廃止する法案を提出しなくちゃいかぬということになっておりまして、十年たつまでは提出しちゃいかぬということになっているわけではございませんので、御指摘のような事態の急変というようなことがございますれば、十分そのときにその情勢に応じまして対処さしていただきたいと考えております。
  141. 伏見康治

    ○伏見康治君 五年を十年に延ばしたことは余り納得できないんですけれども、しかし十年たたなくても情勢の変化に応じて直せるということを確認して、先へ進みたいと思います。  法案の内容に入って、少し細か過ぎるお話なんですが、提案理由説明の中では、石油製品について「ガソリン、灯油、軽油」という言葉が並んでおりますが、法案の「定義」では、「揮発油、灯油及び軽油」という表現をされていて、何か用語が不統一なんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  142. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに御指摘のように、提案理由におきましては、石油製品について「ガソリン」と言っているわけでございますが、法案の中では、石油業法でも法令用語としまして「揮発油」という言葉が使われておるわけでございます。ただ、一般用語として、揮発油という言葉が定着しているかどうか若干不安でもあったものですから、提案理由の方におきましてはガソリンという通称を使わしていただいたわけでございまして、実体的には同一のものでございます。
  143. 伏見康治

    ○伏見康治君 それはそれで了承いたしますんですが、ただ、ガソリン、灯油、軽油といったような、そういう言葉が並びまして、しかもいずれもこれが案外ぼやっとした概念であって、その正確な定義はあるいはないんじゃないかと思うんですが、例えば、沸点とかいろいろな物理的な性質で分けてあるんですか、何で分けてあるんですか。
  144. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに石油業法上の取り扱いにおきましては、揮発油の定義について、例えば揮発油税法にあるような厳密な定義をいたしておりません。  ただ、一応私ども解釈として考えておりますのは、揮発油というのは、原油を精製をいたしまして得られる軽質留分のうち、自動車用でございますれば内燃機関用に用いられる炭化水素油であるというふうに考えておりますし、それから灯油につきましては、原油を精製して得られる中質留分のうち軽質な留分で、主として暖房とか厨房というものに使われる炭化水素油というふうに考えておりますし、それから軽油につきましては、原油を精製して得られます中質留分のうち、灯油よりは重質な留分でございまして、主としてディーゼル機関用燃料となる炭化水素油というふうに考えさしていただいております。
  145. 伏見康治

    ○伏見康治君 これから輸入を許可なさるようなときに、入ってくるガソリンが、通産省がお考えになっているそのガソリンと合致しているかどうか、そういう質の問題がありますですね。  そういうものはしかし、あらかじめ規定しておいてあげなければ輸入なさる方も困ってしまうと思うんですが、つまり輸入業者の観点ではガソリンだと思うものが、通産省ではガソリンと認めないというようなことになりますと極めてぐあいが悪いと思うんですが、そういう基準はちゃんとできているんですか。
  146. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに御指摘のように、ガソリンの範囲が不明確であるといけませんので、この法案が公布、施行されますまでの間に、その辺の大枠の解釈につきましては、解釈通牒その他ではっきりさせていきたいと思っております。
  147. 伏見康治

    ○伏見康治君 今の点、お忘れなく、ひとつちゃんとしたものをつくっていただきたいと思うんです。  この法案をつくるまでの間で、何か検討している段階で入ってきた項目が、その後削られたというのが幾つかあるようでございますが、例えば輸入業者に対する輸入計画の提出という項目があったと思うんでございますが、これが途中で削除された理由はどういうわけでしょうか。
  148. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、一次の案に、輸入計画の届け出というような条文が入っていたわけでございますけれども、これは法制局との調整の過程で、本法は石油業法の特例法であるので、石油業法規定してあって、そちらでいけるものはそちらで全部読もうということに相なりましたものですから、重複を避ける意味から本法からは削除したわけでございます。
  149. 伏見康治

    ○伏見康治君 石油需給事情が大変大きく変化したというような場合には、計画の変更の勧告及び指示といったようなことが書いてあったと思うんですが、これは具体的にはどういうことをするんでしょうか。
  150. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かにあのとき、指示というのが書いてあったときもあったわけでございますが、それは法制局との調整の過程で落ちることになりましたので、残りますのは勧告の問題でございます。  そこで、勧告は、石油業法規定もございますので、石油需給事情に大きな変化があって、そして要するに石油業法の勧告の要件に該当する場合でございますけれども、例えば輸入量を増量してもらわなければいかぬというようなときには、勧告があり得るわけでございます。勧告のやり方ということでございますれば、これは事前に石油審議会に諮問をして行うことになっておりますので、そういう手続で個別に勧告を行っていくということになろうかと思います。
  151. 伏見康治

    ○伏見康治君 輸入業者の登録の条件がございまして、一、二、三と、三つあるわけですね。この要件については、この法案に書いてある程度のことだけでおしまいなんですか。それとも、それをさらに敷衍するようなものを、新たに省令がなにかでもってつくるんでしょうか。
  152. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) この法律に書いてあることだけで終わりか、さらに省令もつくるのかという御指摘でございますが、この法律の中に、例えば五条の一号でございますが、「特定石油製品生産量を変更するために必要な設備として通商産業省令で定める設備」ということになっておりますし、また二号にも「通商産業省令で定める要件に適合する措置」というふうにございますし、三号にも同様なものがございますので、それぞれの通産省令については定めさせていただこうと思っておるところでございます。
  153. 伏見康治

    ○伏見康治君 その省令で定めるというのは、例えばどういうこと、内容についてのヒントを与えてくだされば結構ですが。
  154. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 例えば五条の一号の「通商産業省令で定める設備」といいますのは、「申請に係る特定石油製品輸入量が変動した場合にその他の石油製品生産量に影響を及ぼすことなく当該特定石油製品生産量を変更するために必要な設備」でございますので、具体的には代替生産設備とそれから得率調整設備ということになるわけでございまして、例えば揮発油について申し上げますと、得率を調整できる機能を備えている常圧蒸留設備、あるいは揮発油等を脱硫ができて、分留装置が取りつけられている脱硫設備、それから石油の改質設備、あるいは石油の分解設備というようなものを考えておりますし、それから灯油につきましても、特に海外の灯油は硫黄分が高いという問題もあるものでございますから、脱硫装置というところに主眼を置いてこの省令をつくら していただこうかというふうに考えております。
  155. 伏見康治

    ○伏見康治君 わかりました。  次に、そういういろいろな細かい技術能力を持った石油精製業者というものに話を限定しようとなさっているわけですが、余り条件を整え過ぎるというと、もう初めから、それに合格するのは具体的にはだれとだれと決まってしまっているようなものであって、余りに特定し過ぎるではないかという批判があり得ると思うんですが、いかがでしょうか。
  156. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、余りに限定をいたしまするとそのような懸念が生じますものですから、私ども、これは登録の基準でございまして、これを通じて意図的に限定をしようという立場でなくて、これにさえ該当すればすべて登録をするという立場で臨んでいきたいと考えておるところでございます。  それで、具体的にどれくらいの数になるのかという点でございますが、精製会社は現在二十九社ぐらいありますけれども、この基準に該当するのは二十社は超えるんじゃないかなというふうに考えております。
  157. 伏見康治

    ○伏見康治君 現状ではその基準に合致するのが十社ぐらいであるとしても……そのほかのところがその基準を眺めた上でもって、さらに設備を整えて条件を満足するようになれば、新たに加わることもできるという条件はいいんでしょうね。
  158. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 現状では二十社を超えるところぐらいかと思いますが、御指摘のように設備を整えて新たに基準を満たすことになりますれば、もちろんその段階でさらに新たな登録をしたいというふうに考えております。
  159. 伏見康治

    ○伏見康治君 また、この法案検討段階では、精製業者ばかりでなくて、輸入業者として商社も考えるというふうに言われていたらしいんですが、それが途中で落ちた理由はどこにあるんでしょうか。
  160. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 検討段階で、一部の案にそういう案が緊急時の場合の想定としてあったことは事実でございますけれども、やはり適格な輸入主体に限定をして登録基準をつくるということとの関連上、説明が難しいものですから、削除させていただいたわけでございます。
  161. 伏見康治

    ○伏見康治君 現在の精製業者というのとそれから元売というものとの体制を考えてみますと、精製業者というのは余り商売の方はなさらないで、専ら工場を運営することの方をおやりになっているように見えるんですが、元売業者が行ってきた安定的な輸入とか販売とかといったようなものと、精製業者というものとの関係はどういうことになるんでしょうか。
  162. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 元売業者が確かに安定的な輸入その他をやってきていたわけでございますが、元売と精製とは重なっている部分もございますし、また資本関係がある部分もございますので、今回は結果的にこれは精製業者というようなことに基準を満たすものはなるわけでございますけれども、十分その元売の安定供給に果たしてきたノーハウ等は実態的に同一であったり、あるいは親会社、子会社との関係であったりして、そういったことに伴うノーハウ等は十分に伝わるというふうに考えております。
  163. 伏見康治

    ○伏見康治君 そこで伺いますが、元売とそれから精製業者とが、非常に緊密な関係にあるような会社が幾つもあるというのは確かだと思うんですが、そこで通産省が今度新たに認可なさるのは、別々の会社が一体化したようなものに何か新しく業者という資格を与えるんですか。離れていたらばその要件を満たさないことになりますですね。
  164. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 一応私ども登録主体と考えておりますのは、五条の要件を満たした企業ということになりますので、そういうことでありますると、今のような設備を持っている人ということになりますので、結果的に精製会社ということになろうかと思うのでございます。  そこで、元売と重なっているなら別だけれども、重なっていない場合には、今御指摘のようなノーハウがその精製会社に欠けているというようなことがあろうかという御懸念でございますが、その点につきましては、密接な関係を持っている場合がほとんどでございますので、そういった面で十分元売等から指導を受け、あるいは連絡をとりながらやっていけば、御指摘の問題は一応避けられるのではないかというふうに考えています。
  165. 伏見康治

    ○伏見康治君 お話を承っていると、だんだん怪しくなってくるような感じもするのですが、通産省がどこかで品質検査をなすって輸入されたものが、確かに立派なガソリンだということが証明されれば何も精製業者を通さなくてもいいようにも思うのですが、どうしてそれがいけないのか、もう一遍説明してください。
  166. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かにそういうふうな制度を採用しますことも一つの考え方であろうかとは思うのでございますけれども、その場合には、特定石油製品という品目について一応輸入制限をいたしまして、そうしてその基準に該当したものは通すという輸入制限的なことをやらなければいけないということになりますものですから、それはそれとして新たな非関税障壁であるというような海外からの批判を招くおそれがあるわけでございます。  そこで、本法ではそういう道をとらずに、輸入をする主体を適格な輸入主体ということにいたしまして、そうしてむしろ品質の悪いものでも輸入をいたしまして、その主体を通ることによって品質のいいものに直すということも考えているわけでございまして、本法による措置の方がやや貿易拡大的に機能し得るのではないかというふうに考えております。
  167. 伏見康治

    ○伏見康治君 その品質問題について、さらにいろいろなことを伺いたいと思いますのですが、ガソリンのことばかり申していたんですが、今度は灯油の方の品質についてお伺いしたいと思うんです。  日本国内で使っている灯油というのは、欧米が使っている使い方と違うせいでしょうか、大分日本国有の質のものだという話を聞かされたのですが、その品質がどういうふうに違っていて、そして今度の貿易の自由化で入ってくる灯油と実際使う灯油との関係はどうなるのかといったような点を説明してください。
  168. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、海外で使っております灯油と日本で使っております灯油とは、使用形態が異なりますために品質が異なっております。  具体的には、一番顕著にあらわれますのが硫黄分の含有率でございまして、日本では非常に含有率を少なく厳しいものにしているわけでございます。これに対して、海外で流通している製品は硫黄分が多いわけでございまして、したがいまして灯油を海外から輸入いたします場合には、その脱硫を行うという手続が必要になるだろうというふうに考えておるところでございます。
  169. 伏見康治

    ○伏見康治君 日本で灯油と言うと、私の経験では普通の室内の暖房に使うというのが多いんだろうと思うのですが、しかし日本石油がだぶついて入ってきたころに、つまり室内で灯油を使うといったようなイメージがまだ十分できていないときに、あれはイギリス製でしょうかね、ブルーフレームとかアラジンとかいう商標名を持った外国製の暖房器がたくさん入ってきたと思うんですね、私もそういうのを買って暖房に使った記憶があるんですが。  してみると、そういうもののイミテーションは、今日本は盛んにつくっているんだと思うんですが、したがって欧米ではああいうものを使いませんというのも、何か大昔の話で、時間的に変わったということはもちろんあるでしょうけれども、二十年前ぐらいの経験から言うと、欧米でもああいうものを使っていたんじゃないかという感じがするんですが、いかがですか。
  170. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに、イギリス製でブルーフレームという、非常にすぐれた灯油機器があったことは事実でございますが、その後欧米でセントラルヒーティング等が普及いたしまして、ああいった形よりも、全体的にまあ暖房を灯油な ら灯油で行って、そしてその煙等は外へ出してしまうという形態が一般的になったというふうに承知をいたしております。
  171. 伏見康治

    ○伏見康治君 灯油の話が出たものですから、灯油の値段とそれからガソリン値段との関係を、ちょっと前後がかわりますけれども伺っておきたいと思うんです。  つまり日本では灯油というのは、まあ家庭生活の基本的なものですから、それは非常に値段は安く抑えなければいけないというようなお考えがあったんでしょうが、灯油の方の値段を抑えて、ガソリンの方はぜいたく品、自動車なんかはぜいたく階級の使うものだということで、ガソリンの方の値段を上げたというふうに言われているんですが、もともと同じ原油をただ分留するだけですから、どこの分留分をどう値段をつけるかは、供給側からは決まらない、むしろ需要側から決まるお話だと思うんですけれども、そうだったんでしょうか。
  172. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 灯油の価格につきましては、伏見委員御案内のとおり、若干の歴史がございまして、第一次石油危機のときに非常に灯油が品不足になったというために、これを例えば標準価格的なものを定めまして灯油の価格を抑制をしたということがございました。したがって、そのときは今と違って、灯油は政府介入価格とでも言うべき性格のものであったわけでございます。  そしてやがてこの標準価格は撤廃されるわけでございますが、その後も灯油の安定供給確保というのが非常に行政上の重要な課題として続いておりまして、今日でも灯油につきましては、ほかの品目と違って非常に大量の在庫を九月末までに確保しなくちゃいけないという義務を課しておりまして、具体的には六百七十万キロリットルという数字でございますが、これは一日の平均消費量で見ますと六十九日分という非常に多い量でございます。  それを確保してもらうということをやっておりますものですから、むろん安定供給上懸念のないようにもなっておりますし、他方、この確保していることがやや、何と申しますんでしょうか、荷もたれ感と申しますか、そういうものをもたらしまして、灯油の価格の安定にもまた寄与しているということであろうかと思うのでございます。そういうことが行政の一方であるものでございますから、そのコストを何で回収したらいいのかということから、結局今御指摘のようにガソリンで回収をしておったということでございます。  今回の輸入を認める措置は、しかしながら輸入主体を適格な輸入主体ということで限定をいたしておりますので、今度このガソリン輸入がありましてもおのずからのレベルになると思われますから、そうどっとフラッドのように入ってくるということもないでございましょうから、したがいまして、そうじゃない場合に予想されますガソリンの値下げ、灯油への転嫁というようなことは一応避けられるのではないかというふうに今回の措置関連しては考えております。  ただ一般的に、伏見委員指摘のように、日本だけがガソリン高の灯油安と申しますか、そういう価格体系であっていいのかどうかという御指摘は各方面からありまして、これは一般的な製品価格体系の問題として今後検討してまいりたいと考えております。
  173. 伏見康治

    ○伏見康治君 部長の方からお誘いがありましたので、少し灯油とガソリン値段のバランスについてお伺いしたいんですけれども、灯油というのは家庭内の暖房で最低の必需品である、ガソリンというのは車に乗り回るのでこれはぜいたく品であるという、そういう考え方で、ぜいたく品の方を高くして必需品の方を安くするというのは、それはそのときの行政の措置としては極めて適当なものであったと思うんですが、しかし、こう御時世が変わってまいりますと、車ももはやぜいたく階級の持っているものではなくて、ほとんどあらゆる家庭が持つような状態になっております。一方、灯油の方も過去の家庭で使っているような使い方ではだんだんなくなるはずであると私は思うわけです。  大臣が帰ってこられたから、昔話を一ついたしますと、二十年ぐらい前、二十五年ぐらい前でしたか、旭川に親戚がありまして、そこへ遊びに行ったことがあるんです。冬の真っ最中に行ったんですが、内地と全く同じ家をつくっているわけです。内地と同じ家をつくって、それで寒さを防ごうとするものですから、大変な燃料を使って暖めているわけなんですが、そうしますと、水蒸気が全部壁に結露いたしまして、壁がべたべたになって、押し入れの奥がべたべたになるものですから、布団が押し入れの中に入れられないというような状況で、ばかげた建物をつくったもんだと思っていたんです。  つまり、昔流の日本の住宅というものは、暖房には極めて不適当にできておりまして、壁は薄いし、通気はよろしいし、それはそれで別の面ではいいところがあったんでしょうけれども、とにかく北海道のようなところで使うのには全然不適当である。私自身も寒いところで家をつくった記憶がありまして、壁を絶縁壁にするかしないかでもって灯油の消費量がまるで変わってしまうということを発見して、灯油の値段というよりは、むしろ建物の構造の方が問題だなということをつくづく感じたわけですが、日本人はウサギ小屋にいまだに住んでいると言われる面があると思うので、通産省あたりでひとつ建設省を督励していただいて、日本の家庭がもっとちゃんとした暖房設備が使えるようなふうにしていただけないものかということをつくづくと感ずるわけです。  今の灯油のたきっ放しというのは、殊にアパートのような気密な部屋になりますというと、極めて危険なわけですね。一酸化炭素が出ないまでも、酸素が不足いたしまして、酸欠状態で時々変なことが起こる。時々換気せいと書いてあることは書いてあるんですけれども、それを実行する人は極めて少ないものですから、しばしば事故を起こしていると私は思います。それで、ぜひともそういう旧態依然たるストーブでなくして、換気がくっついているような、つまり排気ガスを外へ出すようなシステムがどんどん開発されているわけですから、そういうものを普及なすって、気密の建物の中に皆さんがお住まいになるように行政指導なさるべきではないかと私は思うわけです。そうなれば、灯油というものに対して、今日本が課しているような、硫黄分が特に少なければならないといったような条件は緩和されるのではないかと思うんですね、部屋の中でにおいをかぐわけではないわけですから。したがって、もっと話が自由になって、そういう意味値段を安くし得る。別にガソリンを犠牲にしなくてもよくなるのではないかといったようなことを考えるのですが、どうでしょうか。
  174. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 省エネルギーという観点から、私ども国民運動を今いろいろお願いをいたしておるのですが、この冬の省エネルギーのテーマといたしまして、一つは適当な暖房を適当に使うというのを一つ持っております。それは部屋の大きさに応じたり、部屋の状態に応じた暖房器具を使うこと、それが一つでございます。もう一つは、断熱の家屋構造を推進をするということを進めております。  それで、通産省に住宅産業課というのがございますが、これが建設省と協力いたしまして、そういう断熱効果のある建築あるいはそのための材料、こういうものの推進ということを現在進めております。  ただ、断熱のために投下された資本の回収の期間と、それから灯油に頼る期間というものを比べますと、まだ今のところなかなか投資の回収期間が長うございますので普及がおくれておりますが、今後何とかそういう方向でキャンペーンなり一般的な指導をしていきたいと思っております。
  175. 伏見康治

    ○伏見康治君 それでは、ガソリンの品質についてお伺いいたしたいと思うんです。  先ほどもお話があったと思うんですが、要するに高オクタン価のために外国のガソリンは大体鉛が入っていると聞かされておるんです。そういう ものは日本では使えないはずだと思っておりますが、その辺のところはどういうふうにお考えになるのかをお伺いしたい。
  176. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 外国では、日本よりも無鉛化というのがおくれておりまして、日本は十年ほど前に、柳町で、四エチル鉛が入ったガソリンによる中毒現象と申しますか、そういうものが起こりまして、いち早く無鉛化に乗り出したわけでございます。ただ、この無鉛化も、実は行政指導石油精製会社を指導しながら製品を無鉛化してきたということでございます。  外国でも次第にそういう方向になってまいりまして、アメリカども今無鉛化を推進しておりますし、ドイツでもそうでございますが、ただ東南アジアでございますとか、そういったところはまだそういう段階になっておりませんので、一般的に彼らが供給しておりますのは、無鉛でない、有鉛のガソリンでございます。  そこで、それを輸入して鉛を除くというのは大変でございますので、輸入するといたしますると、四エチル鉛を添加する前のそういうガソリンが入ってくるわけでございます。そういたしますと、今度はオクタン価が低いわけでございまして、放置するとノッキングを起こしたりいたしますので、別途そういうガソリンを入れました場合には、オクタン価の高くなる機材と申しますか、そういうものとフレンドして供給をしていくと、そういうことが必要であろうと考えられます。
  177. 伏見康治

    ○伏見康治君 この問題は、いわゆる環境問題と非常に密接な関係がありまして、よその国が環境を守るというセンスにおいてまだ十分成長していない。日本は環境問題ではあるいは先進国なのかもしれないんですが、その先進国であるということは大変誇りに思ってよろしいことだと思いますので、よその国に負けて、日本でも鉛を入れようといったようなお考えにならないようにお願いしておきたいと思うんです。  地質学者のお話によりますと、グリーンランドの氷の厚さは何キロという深いものなんですが、長い年代の間にだんだんだんだん氷が重なっていってだんだん沈んでいくわけですが、したがってそれをドリルいたしますというと、地質学的に年代を通して空気中にどんなものが入っていたかが全部わかるんだそうです。人類ガソリンを使い始めて、鉛を入れ始めてから、グリーンランドの氷の中にはちゃんと鉛がふえているそうでございます。世界的な汚染が進行しているわけでございますが、そういうことが少しでも少なくなる方にひとつ大臣も御努力を願いたいと思います。  それで、それは極端な例を申しましたのですが、一般的に申しまして、輸入ガソリンというのは日本ガソリンと必ずしも規格が合わないといったような問題があって、一番心配されるのは環境を汚染するようなことになるのではなかろうかということがあるわけですが、その点については特にどんな考慮をされているんでしょうか。
  178. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のとおり、我が国におきましてはガソリンの無鉛化、それから灯、軽油の低硫黄化ということで環境保全を図っているところでございます。  輸入品につきましては、これらの品質をチェックいたしまして、輸入した後も必要に応じて品質調整を行うというようなことを通じまして、我が国需要に適合したものとして供給をしていくということを考えております。したがってそういうことができる能力を有する者を輸入主体とするという制度として提案をさしていただいているところでございます。  御指摘のように、製品輸入をしたいがために環境の方を緩めるようなことは決してしないつもりでございます。
  179. 伏見康治

    ○伏見康治君 どうぞその線でひとつやっていただきたいと思います。  次に、この法律の中に、どこかに立入検査という言葉があるんですが、「通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、特定石油製品輸入業者の事務所又は事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。」という立入検査があるようなんですが、これはもとになる法律石油業法の中にもそれに似た項目はないと思うんです。これは非常に厳しいものであるように思うんですが、その方の関係を説明していただけますか。
  180. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに、石油業法にはそういう立入検査というのはないんでございますけれども、この特例法におきましては、先ほどの第五条の「登録の基準」におきまして、一定の設備を有していることというのが要件になっておりますものですから、その実態の把握のために立入検査という規定を設けさしていただいているわけでございます。
  181. 伏見康治

    ○伏見康治君 法案そのものから離れて、周辺の事柄でお話を承りたいと思いますが、ガソリン輸入をすると、精製業者が手を加えるという意味の仕事はあるんでしょうけれども、本質的には仕事がなくなる、仕事が減る、そのためにいろいろ雇用不安といったようなものがまた惹起されるというおそれもある、余計な心配かもしれませんけれども。そういうことはどういうふうに考えておられるのか。
  182. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) この法律は、ガソリンの無秩序な輸入による混乱というものを防止をいたしまして、そして石油の安定供給を図り、同時に関係者の雇用の不安を除くというようなことも考えているわけでございます。  ガソリンが無秩序に輸入をされますと、当然国内ガソリンの生産を減少させますし、またその連産品である他の石油製品の生産も減少し、国内需給が全体としてバランスを失するというおそれがあるわけですが、同時に国内の価格体系に急激な影響を及ぼすというような問題も起こりまして、国内の精製業の存立基盤を揺るがすという問題も起こるわけでございます。  そういうような問題が起こりますと、精製業自体の、極端に言えば倒産とか、雇用不安というような問題、あるいはその地域の経済問題というものもあるわけでございまして、長期的にはこれは逆に消費者の利益にもならないんではないかという判断をいたしております。したがいまして、私どもとしては、この法律を的確に運用をすることによりまして石油製品の安定供給を図り、同時に国内精製業あるいは関連企業の雇用、地域問題というものにも配慮してまいりたいというふうに考えております。
  183. 伏見康治

    ○伏見康治君 次に、この措置によってガソリンが入ってまいるということのためにどういう市場の変化が起こるか、価格がどう変わるかといったようなことの見通し、難しいでしょうが伺いたいんです。  伺うところによりますと、昭和三十七年に石油業法が成立したときには、大変大きな市場の変化が起こったと伺っているわけなんですが、それにかんがみて、今度の場合には何が起こるかという予想は。
  184. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 昭和三十七年に石油業法が成立いたします前に起こりました需給上の変化と申しますのは、伏見委員がこれを御指摘なのかどうかでございますが、一つ起こりましたのは、石油業法は設備規制をすることになったものでございますから、石油業法が施行される前に設備をつくろうということで設備がいっぱいつくられまして、その結果供給過剰になったということがございました。今回はそういう思惑的な動きはないと思っております。  お尋ねのガソリン輸入を認めることによって国内の価格にどういう影響があるかということでございますが、これはもとより経済性のあるものを輸入するわけでございますから、コストは低下要因になろうかと思います。したがいまして、そういう意味では長期的には石油の価格の低廉化、安定化の要因ということになると思いますが、ただ目先、今から例えば安くなるのかどうかということでございますると、現状の価格がまたこれ相当過当競争で低落して、市況が低迷しているというふうなこともございますし、いろいろ為替レー トの問題ですとか、そういったこともございますし、他方、基本的に具体的な価格は市場の需給条件で決まってくるということもございますので、一概に今から安くなるかどうかということは断定はできないと思っております。
  185. 伏見康治

    ○伏見康治君 先ほども大臣のおられるときだったか、石油備蓄のことをちょっと申し上げたんですが、それからお話の途中には灯油の備蓄のお話も承ったんですが、一般的にこの石油の備蓄ということは今どういう状況になっていて、それの費用はどういうところが負担して、どういうことになっているのか。ほかの国と比較して日本の備蓄事情というのはどういうことになっているのか。  さらに現在のような石油がダブついている状態においても、この備蓄のことをちゃんとするということはなかなか困難な面が出てくると思うんですが、それをどう対処なさるかといったような点についてお伺いいたしたいと思います。
  186. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 現在の備蓄の状況でございますが、十月末現在の備蓄水準で申し上げますと、民間備蓄が九十三日分でございます。それから国備と称しております国家備蓄が三十二日分ということでございまして、両方足しますると百二十五日分ということになるわけでございます。  これが外国と比べてどうかということでございますが、IEA加盟国の平均備蓄水準は百六十日分でございまして、これはIEA方式という特殊な方式で、デッドストックを控除したりなんかして計算する方式でございますので、先ほどの百二十五日分をIEA方式で計算し直しますと、百六日分ということになりますので、日本は百六日、それからIEA平均は百六十日ということになるわけでございます。  それから、第二点でお尋ねの、備蓄の費用がどういう額が出ておって、どういうところが負担しておるのかという点でございますが、まず国家備蓄関係につきましては、政府が支出いたしております数字は、六十年度予算で申し上げまして二千億円弱でございます。それから民間備蓄の助成のために政府が支出しております額は五百億円をちょっと超える程度ということでございまして、政府が支出しております数字、年合計で申し上げますと、備蓄関係は二千五百億円程度ということでございます。
  187. 伏見康治

    ○伏見康治君 最後に伺ったのは、だぶついている段階でこの備蓄問題を何か考え直すといったようなことはないのかどうかという点をお伺いしているわけです。
  188. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 伏見委員指摘のような御指摘は、かねてから石油需給の緩和に伴いまして各方面で指摘を受けたところでございまして、そういうことも踏まえまして、五十八年の八月でございますが、総合エネルギー調査会でそういう問題意識で検討をいたしたわけでございます。  やはり我が国としては、全エネルギーの、今六割を切りましたけれども、六割程度を石油供給に依存しておるということで、しかも輸入がほぼ一〇〇%という非常に脆弱なエネルギー構造を持っておりますので、我が国の経済安全保障の確保という観点一つと、それから他方、石油の大消費国として、一たん緩急あるときはやはりそれだけの石油需要するわけでございますから、国際的な責務としても一定量の備蓄を確保しなくちゃいけないという、そういう二つの観点で現行の備蓄目標を達成すべきであるという答申をいただきまして、自来その方針に従って備蓄の推進をしているところでございます。
  189. 伏見康治

    ○伏見康治君 情勢の変化に応じて余りふらふらしない方がいいということだけは確かだと思います。  次に、前に聞いてよかったんですが、ガソリンそのものでなくて、ガソリン基材というものを輸入して、そして日本ガソリンをつくるということなんだと思うんですが、そうなんですか。
  190. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) この法案におきます揮発油の定義は、石油業法上の揮発油の定義と同様だというふうに考えておりまして、したがいまして完成ガソリンのほか、今御指摘のオクタン価が高くてガソリン製造の重要基材である分解ガソリン、いわゆるFCCから出てくるFCCガソリンというもの、それからリフォーメートというようなものも含まれるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、本法に基づきます灯油等輸入業者は分解ガソリンとか、リフォーメートといったガソリン基材で輸入を行うことも可能であろうと考えます。
  191. 伏見康治

    ○伏見康治君 そうすると、非常に上等なものだと思うんですが、質のいいものだと思うんですが、それもどんどん輸入されてくると考えてよろしいわけなんですか。
  192. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) それが非常にたくさん供給可能かどうかという点については、なかなか明確でないわけでございまして、これはこのガソリン基材だけが明確でないだけでございませんで、そのガソリン全体として、先ほど申し上げましたように、日本が本当に買いに出ました際の現実の先方の供給価格が幾らになるのかというあたりが不分明なものですから、ちょっと量的な見通しは恐縮でございますが申し上げられない状況でございます。
  193. 伏見康治

    ○伏見康治君 ガソリン輸入するということになったときに、果たしてそれが有利な商売になるかどうかということがあるんじゃないかと思うんですが、これは新聞記事ですか、日本鉱業、三菱石油がハワイからガソリン輸入する計画を立てたところが、余り有利な条件でなかったというような記事を見たんですが、これは何がコストを上げる要因であるか、それはどうしたら対応できるかといったようなことを伺います。
  194. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) ガソリンを運びます際には、原油と違いまして、原油はいわゆる俗称汚れたタンカーでもよろしいわけでございますけれども、クリーンタンカーで運ばなくちゃいけないということがございまして、しかも原油のように大量に輸入するというわけでございませんので、ややロットが小さくなりますから、その点で運賃上、御指摘のように原油に比べてコスト高になるのは事実でございます。  ただ、一応輸入ロットが小さい場合でございましても、ほかの製品ですとか、帰り船を利用いたしますとか、いろんな工夫の余地もあるようでございますので、そういった工夫をしながら、できるだけ運賃コスト高になるのをコスト減を図っていってもらいたいというふうに考えております。
  195. 伏見康治

    ○伏見康治君 今もお話の中にありました特別な、非常にきれいなタンカー等をつくらなくちゃならない、そういうものの用意あるいは港湾における陸揚げのときの特別な設備といったようなものはあるんですか、ないんですか。
  196. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かにガソリン等の輸入の開始に伴いまして、受け入れ面の設備について若干手当てをしなくちゃいけない企業はあるようでございます。そういう工事なんかをしなくちゃいけない企業はあるようでございますが一ただタンカーの点につきましては、既にナフサについては相当量の輸入を行っておりますものですから、そのナフサ船を活用するというようなことによって大体各社対応ができるのではないかというふうに考えております。
  197. 伏見康治

    ○伏見康治君 今まで専ら輸入のお話だったんですが、輸出についてはどういうことになっているのかを伺いたいと思うんですが、日本で、よその国ではつくれないような立派なガソリンをつくったものといたしますと、そういうのはもちろん輸出してしかるべきだと思うんですけれども、輸出についてはこの法律は何も言っていないんでしょうか、それから政策としてはどういうことになっているんでしょうか。
  198. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) この法案自体では輸出について何も言っておりませんけれども、この法案提出の前提になりました本年九月十二日の石油審議会の小委員会報告におきましては、ガソリン等の石油製品の輸出につきましても、基本的には「現行の輸出管理制度の運用の弾力化」を図るべきであるという御指摘をいただいておりまして、 したがいまして、本法案によります輸入の定着状況を見きわめながら、輸出につきましても円滑化、弾力化を図っていきたいと考えております。
  199. 伏見康治

    ○伏見康治君 御趣旨はわかりましたんですが、具体的にどういうことをなさるのかという点。それから石油生言えないものですね、石油製品ではあるけれども石油とは言えないもの、例えば石油コークス、そういったようなものがあると思うんですが、そういうものの輸出も大いに奨励なさるということかどうか。
  200. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 具体的に石油製品の輸出についてどうするのかという点でございますが、現在、御案内のとおり、石油製品の輸出は輸出貿易管理令の要承認品目になっているわけでございます。これは、石油製品の安定供給の確保のためにはどんどんどんどん日本国内石油製品が海外に輸出されてしまって、ショーテージを起こすというようなことがあってはならないという観点から要承認品目になっているわけでございまして、しかもその運用といたしまして、原則輸出禁止みたいな扱いになっているわけでございます。そこを、今度この答申も受けまして、製品輸入の定着状況も見きわめながら緩和をしていくということでございまして、まあケース・バイ・ケースにその承認を弾力的に認めていくということが手始めであろうかと思っております。  それから第二点で御指摘の、石油以外の、石油と言えないような石油関連製品の輸出についてという点でございますけれども、御指摘のコークス等につきましては、石油コークスでございますが、これは余りエネルギーというようなことでもございませんものですから、一応現在電極用の材料などといたしまして相当量の輸出が行われている状況でございます。
  201. 伏見康治

    ○伏見康治君 原油そのものの開発ということがどうなっているかということを伺いたいんですが、開発について国の持っているポリシー、それからよその国で開発して原油を掘り当てたのは、輸出、輸入といったようなこととはどういう関係になるのかということを伺いたい。
  202. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 我が国、現在石油の自主開発事業ということを石油公団を中心といたしました体制で進めているところでございまして、海外で生産中のプロジェクトが十八プロジェクトということになっておりまして、生産量にいたしまして約四十万バレル程度が我が国供給されているわけでございます。四十万バレルと申しますと、全体の我が国石油消費量が今三百三十万バレルとか、そういうオーダーでございますので、一割を超えるウエートでございます。  今後の方針という御指摘がございましたけれども、私ども石油開発基本問題懇談会というのがございまして、昭和五十八年に中間報告を出しましたんですが、そこでは、昭和七十年、今から十年後に百二十万バレルの自主開発原油を供給することにしてはどうかということを言っておられまして、これはまあ今の三倍の水準でございますけれども、とりあえずこの目標に向かって探鉱開発を進めているところでございます。  それから輸出入との関係という御指摘がございましたが、とりあえず現在私どもが持っております政策は、この石油の自主開発といいますのは当然我が国のための石油開発でございますので、海外で開発して、海外の値段がよければどんどん海外に売っちゃうというのでございますると、石油の安定供給にプラスしないという観点から、俗に申し上げて持ち帰り義務というような感じで運用をさしていただいているわけでございます。  ただ、昨今石油需給が非常に緩和をいたしてまいったものすから、無論一たん緩急ある場合に持ち帰ってもらわなくちゃいけないのは当然でございますけれども、そうじゃない平時の場合におきましては、必ずしもこれを厳密に運用するということがなくてもいいのかなということがございまして、石油公団の融資等の際に、そういったことも考えながら運用していったらどうかと今考えているところでございます。
  203. 伏見康治

    ○伏見康治君 石油開発技術について伺いたいと思いますが、土の中に穴をあけて、探鉱して油を取るというその技術が国際的水準にはまだ達していないのではないかといううわさを聞くんでございますが、そういう方面の何か考え方を教えていただきたい。
  204. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 石油の探鉱技術でございますが、その一国の技術水準をどういうふうに評価するかというのは非常に難しい問題でございますので、必ずしも一概に申し上げられませんけれども、例えば電気検層と申しまして、石油の層があるかどうかというのは、御案内のとおり土をまず上げてくるわけでございますが、その泥状のものの中に油兆があるかどうかというのを電気計器で計測をいたすわけでございます。  そういった電気検層技術などにつきましては、やはり技術的な面で欧米の企業におくれをとっておるということがございますし、また掘る先のビットでございますが、あれもまた我が国は若干見劣りがあるということも聞いておりまして、総じてそうほかの技術分野、ハイテク分野等で我が国が格段の技術格差をもって他国にすぐれておるのに比較いたしますると、この石油探鉱開発という分野では、そういう状況ではないということでございます。
  205. 伏見康治

    ○伏見康治君 私はいつも技術観点を大事にするものですから申し上げたいんですが、そういう方面の技術も大いに進めていただきたいと思うんですが、何かその技術を高めるための政策といったようなものをお持ちですか。
  206. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 石油の探鉱技術を充実させますことは、大きく申し上げますと我が国の経済安全保障の要請でございますので、常々私ども心がけていることでございまして、具体的には石油公団に技術センターというものを置いておりますが、これを飛躍的に拡充をしたいということを考えておりますし、また技術研究のテーマといたしまして、いろいろこれから開発を進めます油田の質が難しい油田になってくるわけでございますので、そういった条件の厳しい油田の開発にも耐えられるような、そういう技術の研究を進めるということで具体的なテーマを設定して要求をいたしているところでございます。
  207. 伏見康治

    ○伏見康治君 そういう探鉱開発といったようなところで、外国との技術的な協力といったようなものはあるんでございましょうか。
  208. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 外国との技術的な協力がございまして、例えば渤海、中国でございますが、あそこの油田開発当たりましては、たしか英国のシェル、英国というかオランダというか、との提携を行いまして、その技術的な知識の吸収にも努めているところでございますし、また国内の油田の開発におきましても、これは技術の面も多分あるんだろうと思いますけれども、例えば磐城沖でエッソが一緒にやっておるというようなこともございまして、海外との交流も大いに進めているところでございます。
  209. 伏見康治

    ○伏見康治君 そろそろ終わりにしたいと思っているんですが、非常に大きな観点で、エネルギー源としての石油の位置づけみたいなものをお伺いしたいと思うんですが、LNGとか石炭とか原子力とか、石油と肩を並べるいろいろなエネルギー源があるわけですが、それ全体を眺めて、石油をどういう考え方でやっていくのかという点についてお願いいたします。
  210. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 従来、エネルギー政策基本と申しますのは、安全保障という点が最も多く出たわけでございまして、石油ショックのときに六〇%以上の石油への依存度があったわけで、これを何とかして減らしたいというのが政策基本でございました。  現在私ども政策の柱は、一つ省エネルギーという、全体を何とか消費を減らすこと、二番目に、石油の安定供給を図ること、三番目に、石油以外の石油代替エネルギー開発供給をふやすこと、このあたりがエネルギー政策のポイントになっているわけでございます。  石油につきましては、現在約六割が石油になっておりますが、今後十年間にこれを五割くらいま で落としたいと考えております。石油は、やはり依然として日本エネルギーの最も中心的な地位を占めるわけでございまして、特に扱いが非常にやりやすいということで、移動熱源というようなところに中心を置くことになるんじゃないか。  現在、固定熱源としましては、大きいものは発電所が大きいわけですが、これは既に原子力が二四%になっておりまして、石油が現在三割でございますが、欧米諸国では石油のウエートが一けた、一〇%以下になっております。日本の場合も今後石油のウエートを減らして、原子力、石炭、LNGというものが発電におけるウエートをふやしてくると思います。  そうしまして、移動熱源としまして、発電におきますと、例えば離島における発電とか、小規模な発電というようなところで用いられるでしょうし、それから輸送機関におきましては、やはり何といっても今現在は石油に頼らざるを得ないということで、自動車あたりはやはり石油が中心だろうかと思っております。  家庭用でございますと、現在厨房はガス、プロパンが多うございますが、暖房は灯油が非常に多いということで、家庭用暖房においてはまだ当分灯油が中心かと思います。家庭用のエネルギーとしての値段を見ますと、灯油が一番安くて、それからガス、電気というふうな状態になります。ヨーロッパあたりですと、高層建築では暖房もかなり電気を使うという状態でございますので、将来我が国も家庭用の熱源としては電力がふえてくると思いますが、まだ当分は暖房というところでは石油が多いと思います。  したがいまして、今後とも石油というのはポータブルであるというような点、扱いやすいという、そういう点を中心としてエネルギーの中で非常に大きなウエートを占めるのではないかというふうに考えております。
  211. 伏見康治

    ○伏見康治君 石油は、移動というか、簡単に持って歩けるという非常にいい点があります。ですが、それでほかの燃料もそれと同じような形態にしようという、例えば石炭の液化といったような話が一時あったわけですね。  何かアメリカと一緒にやるはずだったのが、アメリカさんの御都合で途中で御破算になったというようなことを伺っているわけですが、オイルショック時代に新エネルギーを模索していろんなことを、新エネルギーを本当に開発なさろうという御努力をなさいまして、その中には太陽熱発電のように、まあ失敗したとしか言えないようなもくろみもあったのですが、石炭石油化、液化というようなのは私は見込みがあるはずだと思っているんですが、そういう意味の新しいエネルギー開発についてどういうポリシィをお持ちか。
  212. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 石炭の液化、ガス化について実験を行っておりますが、これは石炭値段及び石油値段によりまして実は経済性が分かれるものですから、石油値段が下がってまいりますと実用化の期間が遠のかざるを得ないと思っております。  それで、技術的には、水素を添加して石炭を流動化するというのが技術基本でございまして、この技術自体はもう既に開発されております。それで、現在アメリカとのものにつきましては、これは初期の実験段階で、あとはもう実用化の中止をいたしました。現在、最も中心になっておりますのは、豪州で行っております褐炭液化でございまして、これは水素添加装置も非常にうまく動いております。ただ、残念ながら現地でストライキがございまして、期間が一年ほど延びてはおりますが、ここは順調にいっていると思います。大体ことしから来年にかけて山を越しまして、その後最終の完成段階に入ると思います。  石炭液化につきましては、実は四つ、五つのプロジェクトがございましたが、現在それを取りまとめて整理をいたしておりまして、最終的には歴青炭液化を国内で行い、それから褐炭液化を豪州で行い、一部中国との間で液化の協力をいたしておりますが、石油の価格が幾らになるかということで、ちょっと経済性は難しゅうございますが、まあ三十ドル近い、二十七、八ドルの石油の価格であれば、軽油的な用途としては競合可能ではないかというふうに思っております。  いずれにしましても、こういうものは、経済性がついた段階で商業化が可能なように技術を完成をするというところまで、少なくとも官民一体で推進をいたしまして、ある時点で経済性を判断をして、とめて実用化の時期を持つという方向に行かざるを得ないと思っております。
  213. 伏見康治

    ○伏見康治君 まだ時間が余っておりますが、この辺でおしまいにします。
  214. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 暫時休憩いたします。    午後三時四十七分休憩      ―――――・―――――    午後四時五分開会
  215. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は御発言願います。
  216. 市川正一

    ○市川正一君 内閣委員会の日程とも関連しておりますので、若干質問の順序を変更して、まず、大臣にお伺いいたします。  前回、十一月二十六日の本委員会で、私、電力業界の政治献金問題についてお尋ねいたしました。そのときに、村田通産大臣は、真偽のほどがわからないと、こうお答えになったので、その真偽を、山本公益事業部長に調査して報告していただくように求めましたが、その結果いかがでしたでしょうか。
  217. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 前回御提示のございました資料を、私どもの方で、自治省から公表されております資料と比較検討させていただきました。多少数字の違いはございましたが、先生の御提出の資料は、ほぼ正確であるというふうに考えます。
  218. 市川正一

    ○市川正一君 私は、公表された資料に基づいて質問いたしたのでありまして、微細な数字の誤差は確かにありました。しかもそれは、むしろ少な目の誤差でありました。そういう意味で、私は、改めて本委員会の権威においても、提出した資料が正確なものであったということを、大臣の御確認をお願いいたしたいと思います。
  219. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) あの折の答弁、私は日本語の使い方が適切でなかったと思います。真偽のほどが確かでないと言ったのではなくて、私の認識が確かでないという意味でございますから、慎んで御訂正を申し上げます。
  220. 市川正一

    ○市川正一君 了解いたしました。  そこで、私、電力業界の幹部役員が個人の名において、組織的かつ系統的に政治献金がなされているという実態を示したわけであります。電力業界は、その公益性にかんがみて政治献金を自粛するとしたその声明が、実はかくのごとく欺瞞であったということが明らかになったのでありますが、一方で高利潤を上げ、さらに、今円高差益で莫大なもうけを上げておりながら、こういう政治献金を行っているということについて、改めて村田大臣の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
  221. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 電力会社役員の政治献金は、個人の資格で行っているものについては特に問題はないと思っております。
  222. 市川正一

    ○市川正一君 個人じゃなくて、かくのごとく系統的に、また意識的にやっているというデータを差し上げたのであって、もう一度あのデータを見ていただきまして、今の認識を新たにしていただきたいということを、私この機会に重ねて要望いたしたいと存じますので、その正確さが確認されました資料に基づいて、次の機会にまたお伺いしますので、ぜひ御研究をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  223. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 研究をさせていただきます。
  224. 市川正一

    ○市川正一君 政治献金の問題は、何もこの電力業界に限ったことではなしに、今回の本法案によって特別の利益を享受するところの石油業界も例外ではございません。  石油連盟は、第二次オイルショック後の一九八 〇年以降をとっても、毎年、自民党の政治献金の窓口である国民政治協会あるいは新自由クラブないしは新自由主義協会、政和協会に合計一億円の政治献金をしております。ここに一覧表を持ってまいりました。資料でお配りすると、またこれ真偽のということになりますので、きょうは控えさせていただきますけれども、精製元売の企業が個別に献金しているものを加えると、毎年一億五千万から一億八千万、これ以外の石油鉱業など石油関連の企業献金を加えると、実に二億円を優に超える金額に相なります。こういう事実が今日この法案背景にあるんだということを私は指摘せざるを得ぬのです。  恐らくことしの石油業界の政治献金はもっと膨らむであろうということを、今までの経緯から見て私は予測することができるのでありますが、石油産業というのは、国民生活に密着した石油製品供給しておりまして、公益事業である電力やガスなどと並んで公益性が求められている企業であろうと思います。こうした企業が行う政治献金をどう見られるのか、村田大臣の御所見を重ねて承りたいと思います。
  225. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 政治資金規正法にのっとった寄附は、さまざまな業界の多数の企業等が行っておるところでございまして、あくまで個々の企業等の問題であると考えます。
  226. 市川正一

    ○市川正一君 私は、その企業の持つ公益性ないしは公共性というものからしても、これはぜひ改めて検討を賜りたいと思うのでありますが、今までの経緯を見てみますと、石油業界の政治献金の跡づけをずっと調べてみました。そうすると、例えば揮発油販売業法が成立した昭和五十一年、またその改正に相至りました昭和五十四年から五十五年、それぞれ全国石油政治連盟の政治献金がはね上がっておるのであります。  私は、たまたま四年前の第九十四国会のことでありますが、登録の取り消しを含む厳しい罰則を手にしてガソリンスタンドの日曜休業強制法が、御記憶がと思いますが、突如として延長国会の会期末に衆議院で議員立法によって提出されました。当時の同僚議員もここにいらっしゃいますけれども、そのとき私は、この改正案が休日休業の指導を理由として揮発油の販売業者の石油元売各社への系列化を促進するものだということを明らかにするとともに、その背景として、石油政治連盟が多額の政治献金を行っていること、そして、当時提案者として本委員会説明に出席をなさいました衆議院商工委員長代理の渡部恒三君に対しても、恒三会あるいは新時代の会、渡部恒三を育てる会が、昭和五十四年度だけでも、二月二十三日に五十万円、六月二十七日に二十万円、八月二十三日に五十万円というように、油政連からの政治献金を受けていることを指摘いたしました。  そこで、私、この機会にお伺いしたいんですが、あのガソリンスタンドの日曜休業は、今どういう結末を見たんでしょうか、通産省。
  227. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 給油所の日曜休業でございますが、第一次石油危機以来、不要不急のマイカー使用の自粛ということで、揮発油の消費節減を図るため実施されてきたわけでございまして、それで、五十七年十月からは、今御指摘の揮発油販売業法に基づく告示に従って実施をされてきたわけでございます。    〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕  しかしながら、本年の三月に、関係の識者で構成されます石油流通ビジョン研究会におきまして、最近のエネルギー需給の安定状況、それから省エネルギーマインドの定着状況というものを勘案して、本制度の弾力化について検討することも必要であるという旨の御指摘をいただきました。本制度が事業者間で相当程度定着をいたしまして、消費者の省エネルギーマインドの醸成の上で相当の効果を上げてきたということも考えられますものですから、石油情勢も需給が緩和して価格も弱含みということの状況も勘案しまして、本年の八月に告示は廃止をいたしました。このため、給油所の日曜休業は、現在は揮発油販売業において自主的な判断で行われておるわけでございまして、通産省としましては、その円滑な実施が行われますように、むしろ消費者利便の確保という観点から引き続き指導は行っておるところでございます。
  228. 市川正一

    ○市川正一君 結局、いわば日曜休業強制法というのはことしまで続きましたけれども石油情勢を無視し、あるいはまた中小ガソリンスタンドと消費者にしわ寄せをしたこの措置は破綻の結果を招いた。あえて言うならば、石油情勢のいわば意図的な見通しの誤算と相まってそういう結末を見たと私はあえて言いたいのであります。  くしくも、今回、本法案が、五年という期間を十年という修正を衆議院で行って送付されてきたことと、四年前のあの議員立法で、突如として延長国会の会期末に出されてきた日曜休業の問題とは、性質は違いますけれども、私はオーバーラップして考えざるを得ぬのです。  ということは、以下質問を通じて明らかにいたしたいのでありますが、本法案の本質が、結局石油製品輸入の利益を石油会社にのみ独占させようとするそういう措置を、五年どころか十年にもわたって保証するものであるということを私は冒頭指摘して、以下質問に入りたいのであります。  そこで、本法案を提出した理由関連する問題でありますが、暫定措置法までつくって、ガソリン、灯油、軽油の石油製品輸入しなければならない日本石油産業固有の理由と、その緊急性というのが果たしてあるのかという問題であります。これは、衆議院のやりとりや、きょうのやりとりをお聞きしましても、あえてそれはないと。産油国が原油で販売するよりも、石油製品にして付加価値を高めて販売する方が経済的に有利であり、自国の経済建設にも役立つという立場から、産油国が日本に自国の製油所から出る石油製品輸入するように要求するんだったら、それはそれとして私は理解できるんです。しかし、実際はそうではないんです。  これは去る大手石油会社の幹部の座談会での発言でありますが、私ここに持ってまいりました。この幹部は、産油国から日本輸入の要請があったのかという質問に答えて、こう言っております。「それがないんですね。さっきECやIEAから言ってきたとか、アメリカの強い要請があったとかということを申し上げましたけれども、肝心の産油国から日本に対して、わが方で作る石油製品を引き取ってくれという要請は、いまだかつて一度もきたことがないんです。当事者からの要請はなくて、外部の人たちが騒いでいるというのが現状なわけなんで、そういった意味では、ちょっと変な感じがしますね。」、こう話っております。  ところで、大臣は、先日の提案理由の御説明の中で、「中東産油国からの輸出は今後増大するものと予測されております。」と、こう述べられております。しかし、実際に輸入されるとすれば、運輸コストなどを考慮いたしますと、シンガポール、韓国、アメリカなどになってくると思うんです。  そこで、お聞きしたいのは、中東及びこれらの地域、すなわちシンガポールや韓国です、アメリカは言うまでもありませんので除きますが、そういうところの製油所の運営主体はどうなっているのかということをまず伺いたいんです。
  229. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 中東の製油所の運営主体ということでございますが、例えばサウジアラビアで申し上げますと、今度できてまいります運営主体は、一つは、ペトロミンとモービルとの五〇対五〇の合弁でございます。それからもう一つは、ペトロミンとシェルの五〇対五〇の合弁の企業でございます。それからもう一つは、ペトロミンとギリシャの国営会社の五〇対五〇の合弁の会社というようなことに相なっております。
  230. 市川正一

    ○市川正一君 基本的には合致するんですが、私の方で調べたものを御紹介しますと、例えば、中東で日本に輸出したいと言っているサウジアラビアですね。そこには三つの製油所がありますが、いずれも外国資本との折半です。そして、そのうち二カ所はモービルとシェルというメジャーとの合弁ですね。それからシンガポールを見てみますと、ここには五カ所の製油所があります。そのう
  231. 市川正一

    ○市川正一君 申し上げてないよ。取り上げているか……
  232. 樋口嘉重

    政府委員(樋口嘉重君) 十一月十八日に要請書を私ども受け取りまして、審査を行っているところでございます。
  233. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、この際に、もう時間が参りましたのでまとめて言っておきますけれども、その後の調査によりますと、生協が六十五円の値上げを受け入れなければ出荷しないということで、先ほど言いました三社のほかに、日石、出光、丸善、共石を含む元売七社が談合していたことがわかってきたんですね。さらに十一月十四日の宮城、十一月十五日の岩手、十一月十八日の山形、十一月二十日の福島、十一月二十一日の青森という順番で出荷停止が行われていることもわかったんです。そして実際に、岩手が十一月十八日、山形が十九日、福島が二十五日と、確実に実施されていっておるんですよ。こういう事態は、私は元売七社が東北地域全体を対象にして共同行為を実施していることの証明であろうとも思うんであります。  私は、この点についても公取委員会が厳正な調査をなさるべきだというふうに考えますが、また既にそれはよう知っておると、幸いそういうお顔つぎのようなので、御承知のことであって既に始めていらっしゃるならば、そのように承りたいんでございますが、最後にお伺いして質問を終わらせていただきます。
  234. 樋口嘉重

    政府委員(樋口嘉重君) 岩手県の三生協のほかにも、生活協同組合、先生がおっしゃった県の幾つかの中から要請書が参ってきていることは事実でございます。また新聞等でいろいろ情報がございますけれども、現在調査しているところでございますので、内容については、ここで申し上げるのはちょっと御容赦さしていただきたいと思います。
  235. 市川正一

    ○市川正一君 頑張ってください。  ありがとうございました。
  236. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時七分散会      ―――――・――――― 益に合致するのかどうかということを私はどうしても論ぜざるを得ぬのであります。  そこで、各論的に入っていくんですが、石油製品輸入見通しについてでありますが、日本に影響を与える製油所の輸出可能量はどのぐらいになると見ていらっしゃるんですか。
  237. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 具体的な輸出可能量というのは、国内で精製される分と輸出の分と截然と分かれているものもありますし、分かれていないものもあるものでございますから、実はなかなか難しゅうございますが、一応言われておりますのは、先ほどの中東の五つの製油所、これは石油製品全体でございますけれども、ここは百二十万バレルぐらいの供給能力を持っておるということでございます。
  238. 市川正一

    ○市川正一君 非常にあいまいなんですけれども、私は石油製品輸入見通しは、石油業法に基づく供給計画をつくる際の重要なファクターだと思うんですね。  最近の国際市場では、日本石油製品輸入を自由化するということで、先行きの需要増を見込んでガソリンが値上がりしているとも聞いております。仮に価格の高騰などで石油製品日本輸入されないことになったりいたしますと、日本は自由化のポーズばっかりで実際は輸入をしておらぬじゃないかと、こういう欧米からの批判を受けて、新しい経済摩擦の原因をつくり出すことにもなりかねぬと思うんですが、この点はどうでしょうか。    〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
  239. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに、御指摘の点は非常に重要なポイントでございまして、私どももそういうことが起こるかという懸念を持つわけでございますけれども、ただ、先般の先ほどの話が出ましたIEAの閣僚理事会のコミュニケにおきましても、市場の力により決定される需給関係を基本としつつ、石油製品が流通する条件を創出すべしということが閣僚間の合意になっているわけでございまして、したがいまして、今御指摘の設例のような、海外で割高になってしまったがゆえに日本に入ってこないというケースでございますれば、それは市場の力で入ってこないだけでございますので、人為的に入ってこないということでございませんので、国際的な批判は受けないと思っておりますし、またそうする人がいても、それは断固反駁をすべきだというふうに考えております。
  240. 市川正一

    ○市川正一君 そうしたら、何で第十条で「特定石油製品輸入業者の努力」規定が必要なんですか。石油製品がもしコマーシャルベースで輸入した方が有利であれば、こんな訓示規定は置かなくても輸入は進むはずだと思うんです。あえてこういう規定を置いたがために、逆に外国から、法律輸入努力の義務があるのにやっておらぬじゃないか、もっと輸入量ふやせ、価格が高くても輸入せい、こういう要求の根拠にされるおそれがあるんだと思うんですが、その点はどうでしょう。
  241. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 第十条に、「特定石油製品輸入業者の努力」義務をうたいましたのは、これは第五条で、一定の資格のある適格な輸入主体輸入者を限定いたしておりますものですから、その限定された上にいわば安住されてはいけないという問題意識が一つあったことは事実でございます。  同時に、しかしながら、ここに「国際的な石油製品市場の動向に応じて」という言葉を入れさしていただきまして、今御説明申し上げましたような市場メカニズムに従って入れるんですよと、入れることは入れるように努力をしなくちゃいけないけれども、それは市場メカニズムに従って入れるんですよということを言わしていただいているわけでございます。  また、若干違う側面のことを付言させていただいて恐縮でございますが、同時にここは「特定石油製品の円滑な輸入に努めなければならない。」ということも言っておりまして、これは一方において海外からの石油製品がスムーズに入ってこなくちゃいかぬということでもありますが、他方、国内に入ります際に、地域経済とか雇用とか、そういったことへも重大な摩擦を起こしたりしないで、そうして入れていかなくちゃいけない、こういう意味合いも含ましていただいておるわけでございます。
  242. 市川正一

    ○市川正一君 それでは、少し角度を変えて伺いますが、コマーシャルベースで、つまり相対的に安い価格で石油製品が一定量輸入されることを前提にして伺いますが、まず、供給計画のつくり方なんですが、衆議院での議事録を拝見しますと、野々内長官は、石油会社からヒアリングをして、その計画を尊重してつくるんだというふうに述べておられます。その際、石油供給計画には輸入数量を別個に設けて明示することになるんですか。
  243. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) その際に、石油供給計画におきましては、輸入数量を別途明示して掲上することに基本的にはなるわけでございます。
  244. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、そうした場合に供給計画がいわゆるガイドラインであるとしても、実際の輸入数量がそれに満たないときには、外国からもっと輸入せいよという圧力の根拠に利用されるおそれはないとお考えですか、その点はどうですか。
  245. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 非常にごもっともな御指摘でございますが、私どもは、この石油供給計画に掲上いたします輸入見通し数字は、今お話にもありましたように、あくまでもガイドライン的な一応のめどというふうに考えておりまして、そして市場メカニズムに基づきまして各社が輸入見通しを立てて持ってきました数字を、まあ極端に申し上げれば、合計をいたしました数字を掲上していきたいというふうに考えておりまして、そういう性格の数字であるということは何回も今後海外にも御説明をいたしまして、今御指摘のような懸念がないようにしてまいりたいと思っておりますし、また、市場メカニズムに沿ってそうした数量がガイドラインとして掲上される以上、海外から特段あれこれ言われる立場にないと考えております。
  246. 市川正一

    ○市川正一君 私は、余り甘い観測で処することは危険だと思うんですが、その点を指摘しながら前へ進みたいと思うんです。  今通産省は、ガソリンについて生産割り当てと申しますか、あるいは生産計画についての行政指導によって一定の枠を設けておりますが、この枠の見直しは行うのかどうか。もし見直しをするとすれば、各社の輸入計画量をその枠から差し引くことになるのかどうか、この点を伺いたい。
  247. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 石油供給計画の中に、当然国内の生産計画があるわけでございます。  そこで、製品輸入が起きまする場合に、まずマクロの需給といたしまして、内需に見合って供給ソースが今度は二つになるわけでございます、生産と輸入と二つになるわけでございます。したがいまして、供給全体といたしましては、当然内需の量から輸入の量を差し引いた量を生産量というふうにマクロとしては掲上する、そういうことに相なろうかと思うのでございます。  そこで、今度はそれを受けて、個々の企業が生産計画なり輸入計画なりをつくるわけでございますけれども、その段階におきましては、輸入計画につきましては先ほど来申し上げておりますように、できるだけ個々の企業の自主性を尊重いたしまして、その計画をできるだけ認めてというか、そのまま受け取るようにいたしたいというふうに考えているところでございます。
  248. 市川正一

    ○市川正一君 まあ、見直すという基本的態度をおっしゃったんですが、見直さないと、今度はガソリン輸入した分だけ供給過剰になるし、見直すと今度は、枠を減らせば、得率の問題は確かにありますけれども、設備の過剰という方向に動くことにならざるを得ぬと思うんですが、そういう対応はどうなさるおつもりでしょうか。
  249. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 見直します際に、先ほど申し上げましたように、内需から輸入量を差し引いて国内の全体としての生産量というものが出てくるわけでございまして、したがいまして御指摘のように需給のバランスがとれる、こういうこと ち四カ所までがBPとエッソ、モービル、シェルが運営するものであります。それから韓国を見てみますと、主な製油所は五カ所ありますけれども、最大の湖南製油所がカルテックスとの合弁でありまして、また三カ所まではメジャーとの合弁であります。  つまり、日本に対する石油製品輸入要求というのは、基本的にはこういうメジャーの要求であると思うのでありますが、事実の認識はいかがでしょうか。
  250. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 確かに、今御指摘のように、サウジアラビアでございますとか、あるいはシンガポールの製油所の運営主体にメジャーが資本参加していることは事実でございますけれども、ただ、私どももメジャーと大分コンタクトがございますが、例えば、アメリカにおりますメジャー、モービルならモービルの社長、そういった方々から私どもに対して、ぜひあの製品を輸出したいんだというような意向が表明されたということはございません。彼らは非常にあちこちに製油所を持っておりますものですから、あの地域製油所の輸出だけを考える立場にないようでございまして、むしろ、言葉が変で恐縮でございますけれども、こちらがそういう問題意識を持って尋ねてみましても、それほどあの地域の、例えばサウジの製油所からの輸出についてそう関心を持っているようには見受けられませんでした。  ただ、先ほど来御指摘のように、欧米から本件について要請があったことはまたこれ事実でございます。ただ、この要請がありました理由は、やはり日本もこれだけの石油消費大国であって、そして、原油の輸入を行って国際化をしているわけでございますから、その一層の国際化をやはり進めてもらいたい。もらわないと、ヨーロッパの場合は、中東の産油国の製品が自分の市場に不当にフラッドをしてくることになるし、それから、アメリカの場合は、むしろ中国なりベネズエラなりからのガソリン輸入が既に起こっておって、そして、そういうものがどんどん入ってきますために、一部石油業者の方から輸入制限運動が起こっておりまして、そういった輸入制限運動側の言い分といたしまして、日本ガソリン輸入をとめているではないかということを引用したりするものでございますから、そういうことに対抗するために、日本もやはりマーケットをあげてもらいたいという意向を持っているものだと考えております。
  251. 市川正一

    ○市川正一君 そういう推論みたいな話じゃなしに、私は事実と歴史背景に基づいて問題をやっぱり解明する必要があると思うんです。  私なりにそういう面での整理をしてみますと、こうしたメジャーの要求の背景には、二回のオイルショックで原油部門での支配力を失ったメジャーが、経営の多角化を一方で進めながらも、依然として石油部門での支配力を維持するために、精製部門に重点を移して、一部産油国の要求にもこたえる形で大型の輸出用製油所を建設していったという経過が現にあるわけですね、これは今畠山さんもお認めになったわけですが。  そうして、この製油所が本格的に稼働する時期に、産油国の原油価格の値上げに便乗してメジャーも価格つり上げで、そしていわば利益をむさぼりました。そのために、各国石油の節約、省エネルギーが進み、石油需要は大幅にダウンした結果、原油もだぶついたけれども石油製品も販路が狭まって、そして販売先を見つけて押し込む必要性に迫られているわけですね。これを、経済摩擦をてこにしながら、日本石油製品輸入自由化を迫っているという背景が実際にあるわけです。  つまり、私、この機会に申したいのは、戦後の日本エネルギー政策を振り返ってみると、メジャーは一九六〇年代には中東から大量に石油日本に持ち込み、そしてあの六〇年代に日本石炭産業をつぶしてしまいました。七三年のオイルショックなどでは、供給削減と価格つり上げで日本経済に混乱を与えて、そして利益をほしいままにしました。そうして、石油需給が緩和した今日では、日本石油産業に大きな打撃が予想されるにもかかわらず、石油製品輸入を迫るという、こういう経過をたどってきたのが、私は歴史的事実だと思うのです。  ところが、政府はこれを、今も畠山部長はおっしゃいましたけれども国際化ということで是認してこられたんでありますが、私は、今回の措置も、メジャーのこういう石油戦略の失敗のツケを日本に押しつけてくるものにほかならないと言わざるを得ぬのであります。したがって私は、真に国益的な立場に立つならば、政府はこういう不当な要求を拒否すべきであるというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  252. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 私なりの体験をひとつお話ししてみたいと思います。  五月のボン・サミットに行きましたときに、実は西独のバンゲマン経済大臣、それからシュテークIEA事務局長等とお話しをする機会があったわけです。それで、そのときの話は、石油の製品輸入日本も分担をしてくれないと、七月のIEAの閣僚理事会のときには日本は孤立をしますよ、これはもう間違いのない国際的な事実ですよと、こういう話がありました。  実は、それまでにも石油製品国際化ということをいろいろ聞いておりましたので、この警告を私どもはよく聞いて、そして七月のIEA閣僚理事会に臨みました。そのときには、アメリカエネルギー庁長官へリントンさん、それからバンゲマン西独大臣、それからシュテーク事務局長、それからモザールEC委員等と、大勢の方たちと個々に事前に会ったわけでございます。  そのときの空気は、まさに日本が孤立をするという空気でございまして、これは市川委員の御指摘になったメジャーとか民族資本とか、そういう石油の資本とどういう関係があるかということを、私はその場で確認したわけではありませんが、まさにアメリカの世論もヨーロッパの世論も、日本がこのままで製品輸入を拒否するなれば、日本は国際社会でエトランゼになる、そういう私は認識を深く持ったわけでございます。  また事実、そのときに私と一緒に行っておりました野々内長官畠山部長も、全く同じ認識でございまして、これは七月九日の閣僚理事会の結果によっては大変なことになるであろう、日本石油業界、そしてまた日本の世論、そういったものと欧米の製品輸入を拡大せよという世論の中に立って大変な立場に立つであろうという、非常に厳しい認識がございまして、その結果、私どもIEAのコミュニケの中へ日本の案をしっかりと挿入をさせることによって、そのかわり製品輸入を図ろうと、そういう決意を固めて、その話を決定していただいた。これは、国際世論の中で日本が孤立を防いだ一つの成功例だったと私自身は思っております。  そして、野々内長官畠山部長の非常な努力が、すぐに国内へ帰って続けられまして、その結果、この法律案の立案となりました。その過程においては、欧米にも非常に高い評価をいただいておるのでございまして、私は市川委員の認識というものを承っておりまして、それはそれなりに一つの御見識であろうと思いますが、私のこの問題に関する認識とは根本的に出発点が違うなと、こういう感じがいたしておりますことを率直に申し上げます。
  253. 市川正一

    ○市川正一君 私も根本的に違うということを繰り返して言わざるを得ぬのです。  メジャーというのは、御承知のように国際石油資本、いわばそのイニシアチブはアメリカ石油資本が握っているという意味で、まさにインターナショナルであると同時に、極めて欧米主体のものであり、結局、私、今大臣がおっしゃった経緯を伺っても、石油製品輸入自由化というのが、日本の自主的な政策として、いわばそういうものとして選択したんじゃなしに、その動機と意図は別としても、外圧によって踏み切らざるを得なかったというのが、今経緯をおっしゃった限りにおいても重要な問題点の一つだと私は思うんです。そういう意味での選択が、果たして真の意味での国  ということを考えて見ますと、この三条件を適切な形で緩和することは可能だと私は思うんです。その上で、日ごろ石油元売会社のいわばシェア争いの犠牲にされている給油所業者などにも、供給計画の枠内で直接輸入ができるようにすべきであるし、その安い輸入品については、消費者に安く供給するという措置が可能だと思うんですが、この点、大臣、いらっしゃる間によかったらお答えいただいても結構ですけれども、もう時間が迫ってきていますからどうぞ。
  254. 畠山襄

    政府委係員(畠山襄君) 五条の要件についての御議論でございますけれども、やはり品質の調整でございますとか、あるいは得率の調整でございますとかいうのは、適時適切にその場で、その道の専門技術者が判断をしながらやっていく問題でもございますので、やはり今御指摘のような形で条件を緩和していくということでは、安定供給上あるいは品質確保上の責任が持てないというふうに私ども考えているところでございます。
  255. 市川正一

    ○市川正一君 この問題、私ライオンズ石油やいろいろの問題が現実に社会問題になってきているわけですから、しかるべき機会に引き続き問題を取り上げたいと思いますが、大臣のいらっしゃる時間がもう少なくなってまいりましたので、その問題に移りたいんです。  今ガソリンに焦点を当てて伺ってまいりましたが、灯油と軽油についてお伺いします。  業界紙や専門家の話を総合いたしますと、灯油や軽油については価格的にも品質的にもメリットがないという意見もあるんですが、去る九月十二日の石油審議会石油部会小委員会中間報告に先ほども触れましたが、それによりますと、石油製品輸入拡大のための環境づくりのために従来から実施してきた灯油需要期前の灯油在庫量を「引き下げることが望ましい。」と言っておりますが、その理由は一体何なんですか。
  256. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 灯油の在庫につきましては、九月末までに六百七十万キロリットル、日数にいたしまして六十九日分という膨大な在庫を今確保するように、石油業法に基づきまして、安定供給観点から石油企業を指導しているところでございます。  しかしながら、この今御指摘の中間報告にもございますように、最近設備が非常に高度化をしてまいりまして、得率の調整が弾力的にできる要因もできてきなものですから、そういった要因も考慮に入れて、六百七十万キロリットルではなくても安定供給が確保できるんじゃないかという考え方から、この水準を見直す方が望ましいという中間報告をいただいたところでございます。
  257. 市川正一

    ○市川正一君 私はこういう、言いかえれば品薄状態をつくって、そして価格をつり上げて国民からさらに搾り取ろうとする、言うならば、石油会社にとっては望ましい事態であるとしても、国民にとっては全く望ましくない問題であります。  この点で、私、灯油問題に関連して、去る十一月二十一日の本委員会で、我が党の橋本敦議員が質問いたしました。そして、東北方面の生協に対して灯油の出荷停止を行っておるという事態を指摘し、そしてこれに対する調査を求めました。大臣はこの問題についても、誠意を持って当たるように指導するということをお約束をいただいたんでありますが、この調査の結果及び現在の事態はどうなっているのかをひとつお伺いしたいと思います。
  258. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 御指摘のように、橋本委員から調査をしろという御指摘を受けまして、あのときに生協の側からも調査をしろという御指摘でございました。  それで、その後私どもで再調査をいたしたわけでございますが、元売から聴取をいたしますると、元売側は出荷停止といいますか、そういうものに対して全く関与をしていないということを言っておりますし、生協側から調査をいたしますと、逆にこれは元売が関与しているんだということでございました。  まあ、やや両方の言い分が平行になっているわけでございますが、いずれにいたしましても、独禁法に抵触するというようなことがございますれば、私ども厳正に対処してしかるべきだというふうに考えております。
  259. 市川正一

    ○市川正一君 元売会社に灯油の出荷停止をやったのかと言ったら、やりましたと、そんな答えをするやつがおりますか。ましてや石油元売会社の下で商売している特約店に、元売におどかされてやったんかいと言ったら、そうです、そんなことを言うのがいてますか。そういう見え透いたことをわざわざここでまた取り出すというのはふざけていると思うんです。  そこで大臣、ちょうど時間となりまして、五時でございますが……  それで、現状はまだ事実上の出荷停止が続いているんです、私は詳しいことは言いませんけれども。先日大臣は、誠意ある交渉ということをおっしゃいました。だから、私はもう一度十一月十八。日以前の状態に戻して、そして価格の交渉もテーブルに着いてやるというようなことで、フェアなやっぱり交渉をやるべきだということを、大臣として行政指導を行っていただきたいと思うんですが、決意を承りたいと思います。
  260. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) この問題につきましては、市川委員の御指摘のとおり、誠意を持って対応すると申し上げたわけでございます。  私の基本的な立場は、国民サイドから見ていずれが適正か、それにそういった措置をとるべきである、こういう結論でございますが、個々の詳しいことをここで私はまだ存じておりませんので、さらに真剣な対応をするように事務当局に命ずることにいたします。
  261. 市川正一

    ○市川正一君 事態は、この後私、公取委員会に来ていただいておりますので、そのサイドからも取り上げますが、実態的には今まだ事実上のそういう出荷拒否という事態が続いておるんです。ぜひ大臣の方から今の御答弁の立場に立って厳正な指導を賜りますように重ねて要望いたしますが、いかがでしょうか。
  262. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 承りました。調査いたします。
  263. 市川正一

    ○市川正一君 よろしくお願いします。どうも長時間引きとめまして。  そこで。公取来ていらっしゃいますか。  今お聞きの東北、岩手県の三生協に対する出荷停止についてでありますが、調べますと、三菱石油、大協石油、シェル石油、この三社による共同行為、優越的地位の利用などの問題について、さきの本委員会で調査をしていただくことになっておりますが、その調査結果はいかがなっておりますか。また公取委員会としてどういう疑いで調査をなすっているのか。またいつごろその結果が出るのか。まとめてお答えを願いたいと思います。
  264. 樋口嘉重

    政府委員(樋口嘉重君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、岩手県の三生協から調査の要請書が、十一月十八日公正取引委員会に寄せられているところでございます。現在私ども具体的な審査を行っているところでございまして、その内容につきましては、調査中の事件に関することでございますので答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  なお、該当法条がどういうふうになるかというような御質問がと思いますが、具体的な審査を進めて、背景事情あるいは違反被疑行為に関する事実を把握した段階で初めて明らかになるところでございますので、現在においてはちょっと申し上げかねるところでございます。  それから事件の見通し等につきましても、これは相手のあることでもございますし、今どのようになるかということもちょっと申し上げかねるところでございますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
  265. 市川正一

    ○市川正一君 申し上げるとか申し上げない……。何も言ってへんやないか、あなた。調査しているんですか、してないんですかと。取り上げているんですか、取り上げてないんですか、その点について。
  266. 樋口嘉重

    政府委員(樋口嘉重君) 先ほども申し上げましたように…… になるわけでございます。  そこで、輸入が入ってくると設備が過剰になるのじゃないかという点でございますが、確かに輸入が入ってまいりますれば、その分だけ国内生産が減ることは事実でございますが、今ちょっとお触れいただいたんだと思いますけれども、本法案では、その製品輸入が途絶えました場合に、それにかわって原油を輸入してまいりまして、国内で精製するいわゆる代替供給設備というものを輸入主体が具備することが条件になっておりますので、したがいまして、その反射的な効果といたしまして、輸入量が増大したからといって直ちにその分だけ設備が余計になっちゃうということにはなりませんで、その予備の設備として必要な分が存在するということになるわけでございます。  ただ、現状の設備水準が、輸入の問題を一応離れましてどういう状況にあるかという点でございますれば、これは五十八年に約百万バレルの設備処理を行ったわけでございますけれども、それをもってしても、その後の石油需要の減退が著しいがゆえに、まだ一次設備、常圧蒸留設備は過剰の状況がございまして、九月十二日の石油審議会の小委員会の報告でも、今後三年間で七十万バレルないし百万バレルの処理をする必要があるという御指摘を受けておりますので、その方向に向けて施策を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  267. 市川正一

    ○市川正一君 御承知のように、九月十二日の石油審議会石油部会の小委員会の中間報告でも、七十万から百万バレルの過剰設備にさらに過剰設備が加わる可能性があると思うんですが、詳細の説明は時間の関係で私省略いたしますが、そういう事態から精製と元売の淘汰が進んでいく。場合によっては倒産あるいは製油所の閉鎖になることも予想される。  ある大手石油会社の幹部が言っておるんでありますが、自社では従来、業転玉を手当てしていたけれども輸入に切りかえたい。その際、精製シェアの大きい企業が投げ売りをやって市場を混乱させないよう通産省で対策をとってほしいというふうに語っておりますが、これ自体、私が今、結論的に指摘したような事態のおそれをやはり内包していると思うのでありますが、巷間、近々閉鎖される製油所として、例えば日石関係ですね、先ほど質問された松岡理事の御出身地の山口県の下松だとか横浜とか、あるいは沖縄とか、こういうところの名もささやかれております。  そういう点では私、膨大な過剰設備をつくった石油企業の責任をもちろんあいまいにすることはできませんけれども、やはり地域経済やそこに働いている労働者の雇用問題、あるいは関連下請企業対策等々について、政府としても十分な対策をとる責任があると思いますが、その点をお伺いしたいと思います。
  268. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 市川委員指摘のように、石油委員会の報告におきましても、先ほど申し上げましたような量の製油所の閉鎖なり設備処理なりを進めていかなくちゃいかぬということになっておるわけでございます。  そこで、この設備過剰になってまいりました要因というものを考えてみますと、これは石油業法に基づきまして申請された設備計画を、石油供給計画に基づきまして認可をしてまいったわけでございます。その際に、石油業法の「目的」にございますように、石油の安定供給という観点から、決して設備が不足しないようにというところにも重点を置きながら認可をしてまいったわけでございます。そうしたところへ石油危機というようなことが起こりまして、そしてそれに対処いたしますために、石油依存度の低減という運動世界的にも起こり、日本でも当然起こり、その結果、需要が経済的にもまた政策的にも石油は減ってまいったわけでございます。  したがいまして、御指摘のように石油精製企業の責任もむろんございましょうけれども政府としても、この過剰設備という問題については、御指摘のとおり責任が十分あるわけでございまして、そういう観点から地域経済に及ぼす影響、そういうものがまず最小限になるように、企業ないし企業グループとしても努力してもらうよう、十分政府としても監督もしてまいりたいと思いますし、また政府自体といたしましても、必要な支援を行いまして、そうした影響をできるだけ軽減するように施策を進めているところでございます。現に、六十一年度の予算要求におきましても、具体的なそういった関連の要求を行っているところでございます。
  269. 市川正一

    ○市川正一君 先ほど松岡理事は、今回の石油製品輸入自由化に国民が期待するのは、海外から安い石油製品輸入される、したがって日常的に使うガソリンや灯油などの価格が安くなるんじゃないか、こういう問題の御質問でした。  これに対して畠山部長の方は、一概には申せない、アバウトで言えば、リッター当たり四十円から五十円、それにずっと百円、運賃、関税、揮発油税、それからマージンということをいろいろ言われたんですが、私の調べたところでは、無鉛レギュラーで一リットル当たり十円前後の利益を見込んでも、販売価格は百十五円から百二十円ぐらいになり得ると思うんです。  現在ガソリンの卸売価格は百三十五円前後、販売価格は百四十円から百四十五円ぐらいと言われております。としますと、これらの差額に当たる部分は、中小零細な給油所の取り分にふやすとか、あるいは消費者である国民、ドライバーにそのメリットを及ぼすとかという措置をとるべきだと思うんですが、この点どうですか。
  270. 畠山襄

    政府委員畠山襄君) 今の、その輸入による経済性のメリットがどこに帰属すべきかという点でございますが、これは当然競争がございますので、コストがそういう形で下がってまいりますれば、長期的に見まして、この石油価格の安定化要因になるだろうというふうに考えております。  ただ、石油の価格は、先ほど長官も円高問題に関連して御答弁申し上げましたように、公共料金とはやや異なりまして、現在は標準価格制度もとっておりませんので、市場の需給関係で決まっていくということになっておりますものですから、そうしたものを通じて長期的に価格の安定化要因というものになっていくんだろうというふうに考えております。
  271. 市川正一

    ○市川正一君 与党の理事も、この差額メリットをどうするかということをさっき追及されたわけです。あなたの話は、その帰属すべきところはどこなのかということをはっきり言わぬのです。結局言えないんです。それは安い輸入石油製品のメリットというのは、石油企業に結局帰属し、吸収されていくということになるからです。  なぜかならば、本法案に基づく輸入業者の登録について、三項目の厳しい条件があるために石油精製会社しか、結論としては、さっきは何か幅のあるようなことを長官も言っておられたけれども、それは認められないんです。その結果、独占的価格が設定できるからであります。また、それであるがゆえに、従来から消費地精製方式を盾に石油製品輸入自由化に反対してきた石油業界が、にわかに本法の提出に賛成することに相なったわけであります。  したがって、私は製品輸入石油精製会社だけでなしにそれ以外にも認める、そして独占状態をつくらぬようにする必要があると思うんです。しかし、その際でも、もちろんこれは野方図に認めるわけにはいかぬので、当然一定の条件が必要です。そういう立場から、私は政府の提案している三条件について言えば、例えば増産能力というもの、これはみずから保有しなくても、輸入業者と精製会社との契約に基づいて、輸入が不足する場合には増産する仕組みがつくり得るんです。貯油能力については、現在ではタンクが余っているんで、借り上げて確保してもよいわけです。また、品質調整能力についても、現在でも通産省の指導で品質が確保されているわけで、問題ないんです。さらにまた、海外の製油所の運営の大部分がメジャーであって、日本が有望な市場であるとなれば、それに対応した品質の石油製品供給することは、その技術力からいって十分に可能です。