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1985-11-20 第103回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査特別委員会生活条件整備検討小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十日(水曜日)    午後一時二分開会     ————————————— 昭和六十年十月十四日国民生活経済に関する調 査特別委員長において本小委員を左のとおり指名 した。                 岡部 三郎君                 海江田鶴造君                 亀長 友義君                 佐々木 満君                 杉山 令肇君                 最上  進言                 竹田 四郎君                 山田  譲君                 刈田 貞子君 同日国民生活経済に関する調査特別委員長は左 の者を小委員長に指名した。                 海江田鶴造君     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        海江田鶴造君     小委員                 岡部 三郎君                 亀長 友義君                 杉山 令肇君                 最上  進君                 竹田 四郎君                 山田  譲君                 刈田 貞子君    政府委員        文部省社会教育        局長       齊藤 尚夫君        自治省行政局長  大林 勝臣君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        文部省体育局体        育課長      岡  行輔君    参考人        東京都立大学人        文学部教授    倉沢  進君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○生活条件整備に関する件  (地域コミュニティ施設及び施策現状展望  について)     —————————————
  2. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) ただいまから国民生活経済に関する調査特別委員会生活条件整備検討小委員会開会をいたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  生活条件整備に関する件の調査のため、必要に応じ参考人から意見を聴取してまいりたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等は、これを小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  5. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) 本日は、生活条件整備に関する件を議題とし、地域コミュニティ施設及び施策現状展望について、まず文部、自治両省からそれぞれ説明を聴取し、質疑を行った後、参考人から意見を聴取し、質疑を行うということにいたしたいと存じます。よろしくお願いをいたします。  まず、文部省から説明を聴取いたします。齊藤社会教育局長
  6. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) お手元の資料をごらんいただきたいと思います。文部省所管の事項で、「コミュニティ関連施策の概要」について簡単に御説明させていただきます。  まず、一ページでございますが、地域におきます社会教育の充実のための施策でございますが、大まかに申し上げまして、社会教育施設整備、それから関係指導者養成確保、それに各種事業の奨励という三本の柱で施策推進しているところでございます。  まず、社会教育施設整備でございますが、地域の人々の学習活動の拠点といたしまして、都道府県市町村公民館図書館博物館等設置し、その整備に関する経費の一部について補助いたしております。昭和六十年度予算額は百十一億でございますが、行革審の答申等の趣旨を尊重いたしまして年々減少いたしておるわけでございます。  資料ページをちょっとごらんいただきたいと思います。  整備状況でございますが、公民館は全体で一万七千五百二十でございます。いずれも市町村立が中心でございます。一応整備の目安といたしまして、郡部におきましては中学校区に一つ、それから市部におきましては小学校区に一つ程度整備するという目安で進めておるわけでございます。そういう面からしますと、いま少し整備を進めていかなければならないと考えておるわけでございます。  それから、図書館でございますが、都道府県立市町村立都道府県はすべて設置しておりますが、市町村立は全体で千五百四十一館でございます。これは市部と町村部と分けますと、市部では八六・一%が既に設置をいたしております。町村部では一五・一%という整備状況でございます。  博物館等施設は省略させていただきます。  それから、施設の数の推移でございますが、公民館図書館を一応資料としてお手元にございます。公民館の数でございますが、昭和四十六年に比較しまして昭和五十九年までの五回の調査の結果を整理してございます。年々整備されておりまして、最近では毎年度の新設は全体として見ますと減少傾向でございますが、各地から毎年大体二百五十館程度の新設の要求が今でもございます。  それから、図書館でございますが、これは急テンポで増加いたしておりまして、毎年五十館程度の要求が出ておるわけでございます。昭和四十六年と比較しましても相当数の伸びとなっておるところでございます。  一枚めくっていただきまして、利用者数の推移でございますが、公民館をまずごらんいただきますと、昭和四十九年から五十五年までの調査の結果、七年間の調査の推移でございますが、四十九年度八千四百万人、年間の利用者数でございます。五十五年度では一億五千万人という数字になっておりまして、利用者は八割方の増加ということでございます。  それから、図書館の貸し出しを受けた人の数の推移でございますが、四十九年度が二千三百万人、それが五十五年度では四千七百万人という数で、これはこの七年間に倍増をいたしておるわけでございます。図書館利用は、この帯出者数以外にも利用者が多いわけでございまして、その数はほぼこの数の倍くらいになるわけでございます。  それから、利用形態でございますが、これは公 民館だけを例として掲げてございます。団体個人別利用者数の割合でございますが、これは五十八年度の調査結果でございます。個人で利用するというのが一五%強。個人で利用すると申しますのは、公民館図書室というのがございまして、図書、それからスポーツ施設も用意してございますので、スポーツを行う、さらには視聴覚室などもございますので、そういうのを個人的に利用するものでございます。それから団体利用が約八五%ということでございます。  その団体利用の割合が右の表でございまして、青少年が主として利用する青少年団体、それから婦人団体高齢者団体、それに男女ともの成人団体利用、このような状況になっております。その他の団体とございますのは、職域を中心とするグループ、あるいは母親と子供が主に利用するといいますか、そういうグループのものなどでございます。  それから、公民館では主催事業というのを実施しておりますが、この主催事業は年々数の上では減少傾向でございます。むしろ、自主的なグループによります活用が急増いたしておるというのが状況でございます。  また一ページへちょっとお戻りいただきたいと思います。  二番目の柱が社会教育指導者の充実でございます。教育は人が非常に大事でございまして、社会教育の面でもやはり指導者が大変重要な役割を果たすわけでございます。その中核が教育委員会に置かれる専門職員としての社会教育主事でございまして、現在、県、市町村を通じまして約六千六百人程度の数になっておるわけでございます。市町村におきます社会教育指導体制を充実するために、都道府県市町村の求めに応じまして社会教育主事を派遣する、そういう制度に対しまして交付金を交付しているわけでございます。同様に、都道府県指定都市の行います社会教育関係指導者の研修につきましても交付金を交付いたしております。  それから、各市町村社会教育指導者の層を厚くしていこうという目的を持ちまして、非常勤の社会教育指導員設置がございますが、その経費の一部を補助いたしておるわけでございます。  それから、社会教育の関係の諸事業でございますが、大きく分けまして生涯教育推進地域における各種活動の奨励と分けてみたわけでございます。これらの事業は、地域でいろんな工夫をいたしておりまして、国のやっておりますのはそのほんの一部になるわけでございます。この事業費に対する補助は年々減少しておりますが、予算の枠内で予算の立て方に工夫を凝らしまして、その波及効果をねらうということで国としての役割を果たさせていただいているものでございます。ごらんいただきますように、生涯教育推進事業あるいは郷土学習教材制作事業等を行っているわけでございます。  さらに、市町村地域住民対象といたしまして各種の学級講座を実施しておりますが、また資料に戻って恐縮でございますが、六ページをごらんいただきたいと思います。  市町村を中心に行っております学級講座の開設の状況でございますが、全体で約十万学級講座という数字でございまして、受講者の総数は五百二十万人ということでございます。ほとんどが市町村で実施するものでございます。対象は少年から高齢者まで各層にわたっているわけでございます。この中で、成人一般対象とするものがやはり一番多いわけでございます。その次が婦人対象、次に高齢者という順になっております。全体を通じまして、男女別に見ますと婦人の参加者が七割になっております。  それから、学習内容別学級講座数でございますが、やはり一番多いのは教養の向上、情操の陶冶という分野でございまして、四割強という数字でございます。次いで家庭教育の振興、その次が体育、レクリエーションということになっております。  国庫補助事業は、これらの事業の一割強に対して補助している状況でございまして、現在では家庭教育の充実あるいは高齢者教室の充実というところに力点を置いておりまして、またその他各地でいろいろな工夫をしております先導的、モデル的な事業について補助をするということにいたしておるわけでございます。  また一ページにお戻りをいただきたいと思います。  地域におきます各種活動の奨励でございますが、地域の活力を高めていくということも大変重要なことでございますし、青少年や婦人の人間形成能力開発という観点からも大切と考えまして、ボランティア活動推進をいたしております。またさらに、青少年対象青少年地域活動、あるいはPTAの活動高齢者のための生きがい促進総合事業などを実施いたしておるわけでございます。  それから、大学や高等学校公開講座でございますが、これも資料ページをちょっとごらんいただきたいと思います。  七ページの上の表は、大学、これは四年制の大学でございまして二年制は含まれておりません。その状況でございますが、五十八年度現在で、国立で見ますと九十五校中八十校が、公立ては三十四校中二十二校が、私立ては三百二十八校中百八十九校が実施をいたしておりまして、その受講者の総数も二十万を超えるというような状況になっておるわけでございます。  受講者の数でございますが、男女別に分けましてやはりやや女性の方が多いという数字になっております、五十三年度調査、ここには出ておりませんが、それと比較しますと、受講者の数は倍増いたしておるという状況でございます。  公開講座の中身でございますが、下欄にございますように、教養等というのがやはり一番高く、その次が専門職業に関する学習、次いでスポーツということになっております。  また一枚めくっていただきまして、高等学校開放講座状況の一部でございますが、これは昭和五十五年、ちょっと古い数字でございますが、都道府県指定都市が委嘱して行っているものの調査をいたしまして、全体で三十八都府県が実施しておりまして、講座開設学校数は三百十四校、まだまだ少ない数でございます。一講座当たりの日数でございますが、十日以上二十日未満というのが一番多いわけでございます。  それから、文部省補助事業としてやっております生涯教育推進事業の中でも広域学級講座としてやっておりますが、その開設場所を見ましても、これは高等学校が圧倒的に多い数字になっておりまして、全体の六二・八%が高等学校を使っておる。高等学校について特徴的なことは、普通高校もやっておりますけれども、どちらかといいますと職業高校の方がより一層利用されておるわけでございまして、とりわけ農業が一番高いわけでございます。農業の栽培技術等を中心の学習が多い。それから、商業と工業につきましては、コンピューターの利用の関係が多いということでございます。  またもとに戻っていただきまして、次は地域スポーツ普及推進でございます。  社会教育と同様に施設整備がまず第一の問題でございます。  これも九ページをまたごらんいただきたいと思います。  体育スポーツ施設設置状況でございますが、全体でやはり学校体育施設施設全体の六五%を占めているわけでございます。設置者別の表をごらんいただきますと、学校体育施設小学校から大学等までございますが六四・八%、公共スポーツ施設、国または地方公共団体設置しているものでございますが、これが一三・五%、それとほぼ同水準で職場のスポーツ施設、そして民間の非営利、営利施設ということになってございます。  我が国の体育スポーツ施設のうち、施設数の多いのは運動広場、それから体育館水泳プール庭球場などでございまして、運動広場は約六万、 水泳プールも三万、体育館が四万というような数字になっておるわけでございます。  次のページをお開きいただきたいと思います。  体育スポーツ施設設置数の推移でございますが、四十四年と五十五年とを比較してみますと、やはり全体として見れば体育施設ウエートが高いわけでございますが、率から申しますと、四十四年では七二・五%であったものが六四・八%、ウエートは減少をいたしておるわけでございます。それから、職場スポーツ施設でございますが、これも絶対数は増加しておりますが、ウエートとしては下がっておる。これに比べまして公共スポーツ施設は、昭和四十四年では六・九%でございましたものが五十五年度では一三・五%と、これは随分充実をしてきているわけでございます。それから、民間のスポーツ施設もかなりふえてきておりまして、非営利、営利ともにかなり増加をいたしておるという状況でございます。  それから、次のページでございますが、その利用状況でございます。  これは公共体育館利用状況、全体の数がございませんので全国の五県から七十施設を抽出して調査した結果のものでございまして、年間の開館の状況利用者の数、平均で申しまして計の欄、三百六十五日中三百二十六日が開館をしているという状況でございます。それから、平均して五万人、年間に利用しているということでございます。  それから、体育館利用の形態ですが、そこに掲げてございますように、スポーツ教室とか、あるいは六番目にございます各種スポーツ大会等ウエートが高いわけでございますが、ごらんいただきますような事業を実施いたしておるわけでございます。  またもとへ戻っていただきまして、三ページでございますが、二番目の柱は社会体育指導者派遣事業でございます。これは社会教育主事と同様の措置でございます。  三番目が生涯スポーツ活動推進でございまして、そのために括弧でくくってございますように、都道府県が行う体育スポーツ活動指導者の養成、それから学校体育施設開放事業、それと各市町村で行います生涯スポーツ推進事業に対しまして、その経費の一部を補助いたしておるわけでございます。  それから、学校施設開放でございますが、各地でスポーツ活動を実施する人々が年々ふえておるわけでございまして、学校教育に支障のない限り学校体育施設の効果的な使用を推進する必要があるということで、学校体育施設整備の一環として夜間照明等施設整備を行っておりますし、また管理指導員設置するという場合には、その経費の一部を補助するということをやっているわけでございます。  十二ページをちょっとごらんいただきたいと思います。  これが公立学校体育施設開放状況でございますが、一番右の欄、これがその状況でございます。屋外運動場につきましては、小学校が七八%、中学校が七二%、高等学校が四九%という状況でございます。また、屋内運動場につきましても小中学校が八〇%を超えておるわけでございます。高等学校は四〇%台という状況でございます。プールにつきましては、小学校で四〇%、中学校で三〇%台というような状況でございます。  それから、職場スポーツ施設地域社会への開放状況でございますが、真ん中辺に開放率というのがございます。それで見ますと、全体で調査した主要な施設の計で見ますと三二・八%という開放率になっておりまして、その開放しておりますところの年間の開放の日数でございますが、平均で五十八・三日と、これもかなり高い数字ではないかと考えておるわけでございます。  数字ばかりでございますが、以上御説明を終わらしていただきます。
  7. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) どうもありがとうございました。  それでは、次に自治省から説明を聴取いたします。大林行政局長
  8. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 「コミュニティ施策現状」という資料をお配り申し上げております。この順によって御説明申し上げます。  自治省といたしましてコミュニティ施策を取り上げましたのが、御案内の国民生活審議会の報告でございますとか、あるいは地方制度調査会の数次にわたる答申に基づきまして、昭和四十六年度以来、地域的連帯自治意識向上という観点からやってまいったわけであります。  具体的には、昭和四十六年度から四十八年度の三年間全国八十三地区を選定いたしまして、モデルコミュニティ地区として位置づけて特別交付税上の措置をしてきたこと。それから、学識経験者の方々にお願いをしまして、研究会設置いたしましていろいろな御提言をいただいておること。さらには、自治省外郭団体としての自治総合センターというところからコミュニティ助成事業実施をいたしております。施設については一カ所二千万円、備品等につきまして二百万円という単位で助成を行っておるところであります。  さらには、民間のデベロッパーその他の団体が行いますコミュニティ施設の建設につきましては、日本開発銀行と協議をいたしまして、低利の融資をしてまいった。これが大体自治省としての施策の主なものでありました。  ただ、今後ともさらに引き続き施策継続をしていく必要があるということから、下の方に昭和五十八年度から、都市化の進展が特に著しいと考えられる地区におけるコミュニティ活動活発化ということをねらいとしまして、従来のモデルコミュニティ地区にかわりますコミュニティ推進地区というものを新しく設定して、特別交付税上の措置を講じようといたしております。このコミュニティ推進地区は、昭和五十八年から六十年度の三年度全国百四十七地区を指定いたしております。その指定地区については、一番最後の方に地区の名称を載せております。  一枚めくっていただきまして、その財政措置内容でありますが、特別交付税の面におきましては、推進地区のある市町村に対しまして、一地区当たり二百万円ということで、五年間にわたって交付することといたしております。過去の実績は、五十八年に五土地区を指定いたしましたので、五土地区掛ける二百万円ということで一億円、五十九年度は四十六地区でございましたので一億九千二百万円の特別交付税交付をいたしております。  二番目の自治総合センター助成事業でありますが、昭和五十三年から今日まで継続して行っておりまして、対象箇所数助成額はその表に載っておるとおりでありまして、ちなみに一番最近の昭和五十九年度におきましては、一番右の欄に七百四十一地区十四億一千六百万円、こういう規模になっております。一件当たりの金額は、先ほど申し上げましたようにおおむね一施設当たり二千万円、備品につきましては二百万円ということであります。  それから、コミュニティセンターの機能の整備事業といたしまして、五十五年度から、その表に載っておりますように、おおむね一カ所当たり千五百万円程度になりましょうか、の助成が行われております。  さらには、緑化推進という時流に乗りまして、五十八年度、五十九年度の両年度にわたりまして緑化推進のための補助事業を行っております。  それから、開銀の融資につきましては、昭和四十九年度から今日まで、その表に載っておりますような融資額になっております。ただ、この施設融資につきましては、継続事業という点から、箇所数としましてはこの件数よりも少なくておおむね十カ所程度という実績であります。  もう一枚めくっていただきまして、それでは地方団体におきますコミュニティ施策がどうなっておるかということの概略を記してございます。  都道府県段階において見ますと、昭和六十年の四月現在で四十六都道府県コミュニティ施策が講ぜられておりますが、県単のモデルコミュニテ ィ地区を指定しているものが二十三道県五百二十一地区、ちなみに昭和五十二年当時は十七道県二百八十八地区でございました。  また、施設に対して財政措置を行っているものが四十一都道府県、五十二年当時は三十一道府県であったわけでありまして、漸次増加してまいっております。  さらに、市町村職員コミュニティリーダー等に対する研修あるいは地区指導、助言、こういったものを行っておりますのが三十六都道府県。その他コミュニティPR紙、あるいはいろんな都道府県が主体となって行いますコミュニティ行事、こういったものを開催しているのが十五道府県、いろいろ多様化しておるようであります。  市町村におきましても、昭和五十二年末で千九百市町村コミュニティ対策を何らかの形で行っておりましたが、昭和五十八年には二千五百五十市町村増加をしておるわけであります。  その内容が次のページに、都道府県分といたしまして四十七都道府県で行っております内容丸印でそれぞれの項目に掲げてございます。施設整備にかかる財政措置が四十一県、その他コミュニティ活動実施に対する援助といたしまして、施設整備以外の財政措置、これはお祭りでありますとかいろんなコミュニティ計画計画づくり、こういったものに対する事務費的な補助、こういったものをやっておりますのが二十二県、職員に対する研修会、これが三十一県、コミュニティ団体等活動、これは運営費補助でありますが二十三県、その他コミュニティリーダー養成PR紙行事の催し、研究会等設置、こういったものをそれぞれの県でやっておるところであります。  それでは、市町村コミュニティ施策がどうなっておるかというのが次のページでありまして、全国市区町村数が三千二百七十八団体ございますが、その中でコミュニティ施策をやっておりますところが、先ほど申し上げました二千五百五十団体、約七八%の市区町村実施をしておるということになっております。その沿革が、昭和四十五年度以前のものと以後のものに分けて記してございます。  市町村におきますこのコミュニティ施策の位置づけといたしまして、二千五百五十団体で行っております中で、市町村基本計画というものをつくるわけでありますが、との全体の基本計画の中でコミュニティ施策というものが位置づけられているものがおおむね全体の七割。さらには、コミュニティ施策推進の方策を盛り込んだ条例でありますとか、あるいは補助の要綱でありますとか、そういったものを設けておりますのが三五%程度。さらに、コミュニティ施策実施に対する具体的な計画まで市町村が策定しておりますのが二二、三%に上っておるところであります。  それから、市町村におけるコミュニティ地区の設定状況であります。市区町村の全域にわたってコミュニティ地区を設定しておりますのが五百七十団体、その市町村の区域の一部をとらまえてコミュニティ地区を設定しておりますのが四百六十七団体、こういう状況であります。現在、コミュニティ地区を設定しております市町村の中で設定されたコミュニティ地区ということになりますと、一万二千四百十三地区ということになっております。  次のページには、コミュニティ組織のおおむね主体をなしておるものにどんなものがあるかという表であります。これは御案内のように、一番主なものとしましては町内会、自治会、これが中心をなすものでありますが、そのほか老人クラブ、婦人会、青年団、子供会、いろんな社会集団があるわけでありまして、こういった団体がそれぞれに相協力をしてやっておるという形になっております。そこで問題は、こういった各種の従来の社会的な団体の横の連絡、これが一番のポイントでありますので、こういった横断的なコミュニティ協議会というものを設けてやっておるところもございます。  それから次が、大都市のコミュニティ施策の概要であります。  どうしてもやはり大都市になりますと、新しい住民というのが非常に多い、しかも規模も大きいということでありますので、従来のように中小都市のコミュニティ活動ほど活発な状況にはまだないわけでありますけれども、しかしながら大都市特有の従来の公害問題でありますとか、放置自転車の問題でありますとか、いろんな住民が非常に困った状況を経験いたしますと、大都市におきましてもコミュニティづくりの機運が盛り上がっておるようでありまして、例えば名古屋市におきましては、名古屋市自体としてコミュニティ施策を体系づけまして、まず活動の促進、つまりソフトの面と、活動の場の整備というハードの面と、両面にわたって施策を体系づけております。  何らかそれぞれの大都市におきましても財政措置は行っておるようでありまして、おおむね一市当たり十億ないし三十億程度の財政規模でコミュニティ活動助成を行っておる実情にございます。  もう一枚めくっていただきますと、コミュニティ推進地区の概要であります。  冒頭に申し上げましたように、昭和五十八年、五十九年、六十年、この三カ年で百四十七地区推進地区を指定したわけでありますが、その規模は平均いたしますとおおむね十一平方キロ、平均人口が八千人程度ということになっております。コミュニティ施設は、公民館を含めまして、一地区当たり集会施設が十三カ所程度スポーツ施設が四カ所程度、公園・広場が七カ所程度、これがおおむね平均的な態様でございます。  コミュニティの関連経費でありますが、施設整備費としましては、この指定地区地区当たり平均を見てみますと、約四千七百万円程度。そのうち市町村が約二千九百万円程度を負担しておりまして、残余を国なり県なり、あるいは自治総合センター補助なり、あるいは住民の寄附、負担、こういったもので賄っております。施設の維持管理費、活動経費についても、そこに掲げておりますような負担割合、これが平均的な姿でございます。  次のページには、コミュニティ施設設置状況を表にいたしております。  施設箇所数を集会施設について見ますと、全部で十三万七千カ所、そのうちでコミュニティセンター公民館地区集会所、老人福祉センター、いろいろございますが、一番ウエートの大きいのは地区あるいは地域の集会所、比較的小規模な集会所、これが約七割を占めております。こういった集会施設の管理状況市町村で管理しておる場合、それから住民の管理に任せておる場合、両方に分けられるわけでありますが、住民の設置管理、住民に管理を任せておりますのが全体の約三分の二程度になろうかと思います。費用の徴収につきましても、使用料、実費等を徴収しておりますのが約三分の一、全く取っていないというのが残りの三分の二という姿であります。その維持管理と関連をするわけでありますが、かぎの保管形態、住民等で保管をしておりますのがほとんど、十三万七千カ所のうち十一万カ所ということになっております。  それから、いつごろできたものかというのが一番右の欄に設置年度として掲げておりますが、昭和四十五年度以前と昭和四十六年度以降を比較しまして、おおむね合計欄で見ますと同じような数字になっております。昭和四十六年度以降相当こういった施設に各地域で力を入れておるということがうかがえると思います。  それから、コミュニティ推進地区として地区指定をしておりますところのコミュニティ施設設置状況をその下の欄に掲げております。  設置している地区数、集会施設スポーツ施設、公園・広場、こういったものを合計いたしまして、昭和六十年度に五十一地区を指定いたしておりますけれども、この五十一地区指定地区設置施設数が千二百六十八カ所、おおむね一地区二十五カ所ぐらいの施設が存在するということになります。便宜、施設の規模として大規模、小規模と分 けておりますが、これは下の備考欄に書いてございますように、それぞれの施設の面積に応じて、まあ大体の感じとしまして大、小に分けておるわけであります。設置時期につきましても、先ほどの全般的な傾向と大した変わりはございません。  一番右の欄に住民管理の施設数とございます。全体の千二百六十八カ所の施設の中で七百十三カ所、やはりこれも約三分の二ぐらいの施設が住民管理の形態をとっておるようであります。  それから次に、コミュニティ推進地区としまして五十八年度から三年にわたって百四十七カ所を指定しておると申しましたけれども、その指定地区のそれぞれの県、市ごとのあるいは地区名ごとの分類であります。おおむね全国的に均衡がとれるような地区指定をいたしております。  次が、五十九年度指定地区の名称、それから六十年度指定地区の名称であります。  一番最後のページに、これはモデルコミュニティ地区、つまり昭和四十年代にモデルコミュニティというのを八十カ所ほど指定いたしましたけれども、そのときの指定の状況がどうであったかというのを各地区の人口、面積であらわしております。モデルコミュニティ地区の人口欄をごらんになりましても、各地域におきまして大小さまざまな状態でございまして、必ずしもコミュニティ地区というもの、各地域の実情に応じて一律には設定方式を決めておらない状況であります。  大変簡単でございますけれども、施策現状について御報告を申し上げました。
  9. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) どうもありがとうございました。  以上で関係省庁からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は、小委員長の許可を得て順次御発言を願います。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 ちょっと文部省にお伺いしたいんですが、「社会教育指導者充実」というのでは、社会教育主事が六千六百名全県で配置をされているというお話でしたが、この三ページの「社会体育指導者派遣事業」では、そういう専門的なスポーツ担当職員というのは何名ぐらいいるんですか。これはこの社会教育主事の中に入っているんですか、それとも別個なんでですか。
  11. 岡行輔

    説明員(岡行輔君) いわゆる派遣社会教育主事の中にスポーツ担当の主事がいるわけでございますけれども、これにつきましては六百名につきまして国の方で交付金を用意しております。
  12. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) ちょっと補足させていただきますが、六千六百人というのは、県市町村でいわば単独事業でと申しますか、当然のことでございますが、そういう形で設置しております社会教育主事の数でございます。この中には、スポーツ担当の社会教育主事も含まれておる数字でございます。  それから、派遣社会教育主事は、これは一応別個の制度でございますので、今スポーツ関係では六百人と申し上げましたが、社会教育関係では千人でございまして、全体で千六百人の派遣社会教育主事がおるわけでございます。それについて交付金交付しているわけでございます。実数はそれを多少上回る数字になっておるはずでございます。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 それで、今のことに関連して、それは市町村なり地域のそうした社会教育なりあるいはスポーツ指導員を養成する目的を持った人たちだと思いますけれども、その人たちによって養成されて、その人たちでなくてもいいんですけれども、具体的に地域でそうした指導をしている人というのは実数ではどのぐらいいるものですか。それはスポーツもあるでしょうし、あるいは公民館活動とかいろいろあるだろうと思いますが、いずれにしてもそういう地域での指導的な役割を果たしている人たち、子供のスポーツをある意味では教えるとか指導するとか、あるいは場合によればそうした施設の使い方、そういうことも教えるというような、そういう人たちというのは全体ではどのぐらいいるものですか。
  14. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 社会教育主事は、いわば教育委員会の事務局の職員としての専門職員でございます。そのもとにいわばボランティアとして非常勤で各専門的な分野について指導しておられる方々がたくさんいるわけでございます。  これは昭和五十六年度社会教育調査でございますが、社会教育指導員という形で設置されておりますのが合計で五千三百二十二人、それから体育指導員、指導委員という形で設置しておりますのが五万一千三百十一人、それから各種の例えば青少年教育関係婦人関係家庭教育関係等で各種の指導員がおるわけでございますが、その数字が六万四千百二十五人、そういう数字になっております。これは昭和五十六年度の指定統計の資料でございます。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 問題は、そういう人々が、今体育指導員なんというのは五万人もいらっしゃるということなんですが、その方々と一般市民との連絡ですね、そういうものはどういうふうにして一般の市民の人に知らせているんですか。この人がそういう仕事をやっているから何らかのときにはお手伝いしますと、こういうような、一般市民に知らせるのはどういう形、どういうことをすればわかるわけですか、一般の市民の人は。
  16. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 対処の仕方は地域によってさまざまではないかと思います。例えば市町村が主催して行いますスポーツ行事等がございますが、そのときには体育指導員の方々も一緒になって参加して指導していただくということでございますし、また地域グループ的にスポーツ活動を行う場合に、市町村教育委員会の窓口に連絡をとって、だれだれを紹介してほしいというような連絡の体制をとっているところもあると思います。  それから、広報活動としては、各市町村でいろんな形での各区便りだとか、いろんなごとがございますので、そういうところに新たに何といいますか、設置されました非常勤の担当者の紹介などもいたしておるのではないかというふうに推察をいたしております。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 確かにそういう形をとるんでしょうけれども、しかしなかなか実際問題は、自分たちが必要なときにぽっと出てきてくれればいいんだけれども、実際はなかなかその辺が合わない場合もあるんじゃないか。特に学校開放などの場合に、やっぱり一番問題は、そういう人たちがいるかいないかによって恐らく学校開放問題というのも関連してくると思うんですね。  そういう人たちがだれかいてずっと面倒見てくれれば、学校の方でも比較的積極的にひとつ学校開放しようということになると思うんですけれども、そういう人がいないと、いろんな後始末が悪かったり、ガラスを割っても黙って帰っちゃったり、こうなってくるとだれがガラスを割ったのかわけがわからぬというので、後で学校のガラスあるいはいろんな器具やなんかの修繕に金がかかるというようなことで、つい学校開放しない方がそういう面倒くさいことがないということになってしまって、学校開放の意欲が少なくなるんじゃないだろうか、こう思うんですが、そういう人をきちんとつけてやれば、かなり私は学校開放しても、その辺は責任も問題もはっきりするだろうと思うんです。  ただ、一番困るのは事故を起こしたときの責任ですね、何かあったときの責任というような問題。この辺は、学校で事故を起こした場合には学校の何かありますね、学校としてやるんですけれども、開放した場合の事故の問題なんかも一つ開放についての阻害要因になっているんじゃないかと思うんですが、その辺がどうも余り整理されて私ども市民にわかっていないような感じもするんですけれども、どうでしょうか。
  18. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 学校開放等の事故の対策の問題でございますが、これを法的に申し上げれば、学校施設の瑕疵によって損害を受けたという場合には、これは公の方で補償していくというのは当然のことになるわけでございますが、その中での団体的な活動でいろいろ事故が起こった 場合に、これに対して損害賠償等をする措置というのは、公的にはもちろん講じられておらないわけでございます。  ただ最近、いろんなグループ活動グループ自身が保険等の契約を行って事故の対策を講ずるとか、あるいは特に熱心な市町村におきましては、市町村みずからが市町村の主催します諸事業につきましては保険を掛けるとか、そういう手当てがここ近年大変進んでおりまして、そういうことにつきましては、文部省としてもこういう方法があるんだということをいろんな機会にPRをいたしておるところでございます。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 さっきの学校開放、大きなものはぼくは体育指導員の問題だろうと思いますけれども、その辺との関連というのはどんなふうになっているんですか。結局、そういう人たちが指導をするということになれば、私は子供たちの余暇にしてもかなり学校開放してもいいんじゃないかと思うんですが、そういう人がいないとその学校の責任者もやっぱりちょっと二の足を踏むということで、田舎では、郡部ではどうか知りませんけれども、市部ですとどうも学校開放を余り喜ばないというあれがありますね。したがって、いろいろのものをやるにしても、今度は道路へ子供が出てしまって、道路でやるということで交通問題、交通事故なんかも起こしやすいし、いろいろな付近との摩擦も起きてくると思うんですがね。何かその辺が、何もこれは文部省とか市町村補助をしろということが前提ではなしに、何かそういう人たちの指導を受けながら余暇のスポーツができるということが望ましいんじゃないかと私は思うんですがね。
  20. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 指導者の問題でございますが、これは地域的にはあるいは格差があるかもしれません。やはりできるだけ多くの方々を、そして専門的な技能を有する方々を指導者にするように今後も進めていかなきゃならぬと思うわけでございます。  それから、学校開放のために文部省補助として、先ほど御説明いたしましたように、施設の管理要員につきましては国庫補助も行っているわけでございます。そういう管理要員を置いた場合には開放しやすいと校長等も判断するわけでございますので、そういう施策は今後も進めてまいりたい。そのことによって、学校開放がもっともっと促進されるように努めていきたいと考えております。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 今の学校の管理の問題ですが、この前もちょっと話が出たんですが、実は警備会社へ任してしまうのが今都市では非常に多いということが、この間も雑談の中で、我々の間で話が出ているわけですよね。そうすると、警備会社だとやはりそういう学校開放がしにくいのじゃないか、なるべく少ない人間でということになるわけですからね。そういう問題も開放を阻害している問題の一つじゃないか。  ですから、そういう人たちがいればもうそれでいいということじゃなくて、そういう人はそういう人でまた学校警備の関係もあるでしょうからね。それはそれですけれども、もう一つは、幾らそういうのがあっても、体育指導員的な人たちというのをさらに多くしていただいて、さっきは五万と、五万でも私は全体では十分じゃないだろうと思うんですね。その人たちだって、毎日出られるわけではありませんし、一週間に一回出られればいい方で、たくさんいなければやっぱりどうしても足をしげく運ぶことにならないと思うのですね。  その辺の問題も、ひとつもう少し要請していかないと、せっかく市民の出した施設、特に大都市では公園もほとんどないし、そのほかでも遊ぶところがないということですから、やっぱり学校開放というところに行くんですが、いつもその辺で割り切れないところがあると思うんですが、その込もう少し推進していただかなくちゃいけないだろうという気がするんですがね。
  22. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 先生御指摘のとおり、やはり今後とも推進していかなければならない大変大切な課題であると考えておるわけでございますが、学校の管理、一般的な施設設備の管理形態は、かつては教職員が宿日直等を行ってやっておったわけでございますが、それを外に出しまして、外の方々にいわば外注して、警備会社等に委託をして管理をするという形態になっているわけでございます。  ただ、学校開放のための先ほど管理要員というふうに申し上げましたが、それは警備会社に一般的に施設を委託するということとは別個に、学校開放施設開放するというところに対しまして別途の手当てとして必要な補助を行っているわけでございますので、その意味では、条件として見れば、以前から見ますと学校施設開放というのはしやすい条件が徐々にできてきているというふうに思っておりまして、今後ともこの面を推進してまいりたいと考えております。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 それから、この前もこれは話題になったんですが、高等学校開放、これが割合ぐんと落ちるわけですね。プールなんか二〇%を割っているということなんですが、これは一つは、高等学校の場合には高等学校の学生自体が使うという問題が恐らくかなりあるんだろうと、そういうことによって、ほかの人が入ることによって高等学校としては困るということで非開放があると思うんですがね。ただ、何もない休みの日あるいは夏休みとか、そういうふうなかなり使わない時期があるようなときはもう少し何とかならぬかなという感じを受けるんですがね。
  24. 岡行輔

    説明員(岡行輔君) ただいま先生御指摘のとおりでありまして、高等学校では大体生徒がクラブ活動等で休みの日でもかなり使うというような実態がありまして、なかなか地域への開放が実際問題としてできにくいという要素があるわけです。しかし、文部省としましては、できる限り高等学校地域社会にその施設開放してくれるように依頼はしておる、要請しておるところでございます。
  25. 刈田貞子

    刈田貞子君 お伺いいたします。  いわゆるコミュニティ施設というふうに位置づける施設のある領域でございますけれども、先ほど公民館については小学校区に一とか中学校区に一というようなことをおっしゃっておりましたけれども、このコミュニティモデル地区の大きさというか広さでは、三小学校区とかあるいは四小学校区というふうな地域でとらえられているわけですね。これは考え方として、コミュニティ地域の理想的な大きさ及びそこで考えられる一つ施設というような単位は、どのくらいの単位で物を考えればよろしいのかということがかねがね考えていたテーマなので、ひとつお教えいただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、数字の確認でございますけれども、図書館数は、これは分館数も入っているのでしょうか、どうなのでしょうか。これをお伺いいたします。  それから、今のコミュニティ施設に関連して、自治省からいただいた十ページのところの施設状況では、コミュニティセンター公民館、そして地域集会所あるいは老人福祉センター、児童館というふうに載っておりますね。これは所管が文部省自治省、厚生省というふうな形でまたがってきているわけですけれども、この利用するときの、何というのかな、有料か無料が、コミュニティ施設というのは基本的に有料であっていいのか悪いのかという非常に単純な話がいつも出ますので、そしてそれが、例えば福祉会館あたりでは有料でずっと通ってきている。だけれども、公民館はもう絶対に無料であることに法律上なっておりますね。  そういうふうなところを踏まえて、コミュニティ施設というのは有料であるべきなのか無料であるべきなのか。あるいはその辺の調整はどういうところでだれがしていくものなのか。つまり、末端の地域では大変に困るわけです。後からできてくる体育館、総合体育館なんというのは大変にコストをかけてつくるものですから、ぜひ有料でということで発足するわけですね。そうすると、そ れまで使っていた公的施設というのは無料で使ってきたということになると、じゃ公民館もこれから有料で発足し直そうというような話が各地域でテーマに出てきているわけですね。そういうふうな場合にどういう御指導をしていかれるのかということはいつも現場に行って非常に考えさせられることなので、このことをお伺いしたいと思います。  それから、先ほどの指導主事の問題にかかわって、これも確認なんでございますけれども、かつて派遣主事の制度についていろいろ論議があった時期がございますが、現在は派遣主事制度というのは比較的陰に回って、研修を経た、地域で自主的に生まれてきた社会指導主事というような方たちが現場で一番活動しているのかどうなのか。さっきの数字でいくと、何かかなりそういうふうな感じを受けるわけですが、派遣主事制度というのは、現状はかってと比べてどういう状況になっているかをひとつ伺いたいと思います。  それと、プールにかかわって、文部省からいただいた九ページ施設開放状況を見せていただきますと、プールが八四・六%で、学校体育施設施設としてかなり大幅に開放されていることになっておるわけでございますけれども、私、学校現場におりまして一番苦労したのがプール開放なんですね。これはもう校庭開放あるいはまた体育館開放以上に一番問題があった形の施設開放であるはずなんですが、これが八四・六というかなり大きな幅の数字開放されているわけですので、これは今どんな形のいいパターンが生まれてきたんだろうかということを私は大変期待する形で御質問するわけですが、現状プール開放について伺いたい。  大分重ねましたけれども、あわせてお伺いいたします。
  26. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 文部省関係につきまして御説明させていただきます。  まず、図書館数字のお話でございますが、これは公民館図書館もいずれも分館を含めての数字でございます。分室とか言っておりまして公民館等に置いてありますのは、あれは除いております。  それから、有料、無料の問題でございますが、公民館につきましては無料でなければならないという法律の規定はございません。それで、地域によっていろいろでございますが、一般的に申し上げますと有料の方が多い、公民館の場合は多いというのが現状でございます。もちろん、主催事業として行っておりますものに参加する場合には無料であることが通常でございますが、それ以外に自主的にいろんなグループ公民館施設を使うという場合には、有料の方が多いというふうに御理解いただければと思います。
  27. 刈田貞子

    刈田貞子君 それは事業に対して有料なのか、施設利用料としての有料ですか。
  28. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) これは、公民館地域人々のいろんな活動開放するわけでございますから、公民館の本来の活動というふうにとらえていいと思います。その活動についても有料である場合が多いわけでございます。  図書館につきましては、これは法律の規定によりまして入館料を取らないということになっておるわけでございます。  それから、派遣社会教育主事制度でございますが、これは昭和四十九年から実施している制度でございまして、補助金自体の推移で多少減少していることはございますが、いまだに大変重要な役割を果たしておるわけでございます。全体の社会教育主事設置状況は、徐々にではございますが数はふえておる状況にあるわけでございます。  プールにつきましては体育課長から御答弁いたします。
  29. 岡行輔

    説明員(岡行輔君) ただいまお尋ねのプール開放状況でありますが、お手元にお届けしております「コミュニティ関連施策の概要」、文部省資料の十二ページ、先ほどの資料でございますけれども、これで見ますと、水泳プール開放状況というのは、例えば屋外運動場に比べますとかなり低いというような状況がございます。これは、やはりプールというのは夏の期間に利用するわけでありますけれども、その夏休み期間中でも自分の学校の児童生徒に使わせるというようなケースが実際には多いんじゃないかということで、地域社会への開放率というものがやや下がっておるというように見るべきかなというように考えております。
  30. 刈田貞子

    刈田貞子君 いわゆる公立学校プール開放というのは物すごいテーマがありますよね。それでどこの地域もみんな悩んでいるわけですね。その開放する場合の責任は、もちろん教育委員会が責任を持って主催してやる事業になるわけでしょう、形としては。
  31. 岡行輔

    説明員(岡行輔君) はい、そうです。
  32. 刈田貞子

    刈田貞子君 そうすると、それが比較的理想的にはいっていないということですか。
  33. 岡行輔

    説明員(岡行輔君) まあ開放率が低いということは、実際に地域社会へ一般に開放する余裕が少ないということが言えるんじゃないかと思います。
  34. 刈田貞子

    刈田貞子君 余裕ということは、それだけプール学校側でフルに使われているからということですか。
  35. 岡行輔

    説明員(岡行輔君) はい。
  36. 刈田貞子

    刈田貞子君 そんなことはないな。そうですか。夏でも水が青くなっていますよ、そんなことはないですね。要するにプールが一番難しいんです。それでいて期待をしてつくった施設なんですよね、みんな。だけれど、一番利用されてないのが私はこの公立学校の夏のプールじゃないかと思う。もう教師は夏出てきませんからね。
  37. 岡行輔

    説明員(岡行輔君) なお御指摘の点、もう一度私もさらに検討してみたいというふうに思います。
  38. 刈田貞子

    刈田貞子君 お願いしておきます。
  39. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) コミュニティの規模の問題についての御質問がございました。  当初は、一つ市町村の一部の区域という、一部というのをどのくらいの広さでとらえるべきかということをいろいろ学識経験者の間で議論をしていただいたこともございます。したがって、結論的には、当初は小学校区単位ぐらいが適当なんではないかということで出発はいたしました。ただ実際問題として、地区の指定という段階になりまして、やっぱりそれぞれの市なり可なり村なりで小学校区単位では少し狭いとか、もううちの村は村全体でコミュニティをやるんだからというようなこともございまして、同時にまた、地方制度調査会などからの御意見も、コミュニティというのは要するに法人格も何もない、一つの行政組織じゃないんだから、行政組織の中の一つの住民の組織の広がりなんだから、余り上から特定の基準というものは決めない方がいいじゃないかということもございました。  したがいまして、実際の指定の段階になりますと、小学校単位というのはちょっと引っ込めまして、それぞれの地域の実情に応じて選択をしていただいたというのが実情でございます。
  40. 刈田貞子

    刈田貞子君 それから、施設の有料、無料については。
  41. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 施設は、ほとんどコミュニティ施設、私どもの方で直接総合センターの方から補助をするとか、あるいは起債の措置をするというのがいわゆるコミュニティセンターと言われる施設でございます。あと図書館とか公民館というのは、それぞれの省庁で一つの基準をおつくりになっておると思いますけれども、コミュニティセンターというのは市町村がやっぱりつくるものですから、市町村のいわゆる公の施設、公共物ということになろうかと思います。したがいまして、基本的には住民の利用と負担という面からいいまして、できるだけそれだけの利用に応ずる対価というものは住民にも負担をしていただくのが望ましいと、こう考えております。  ただ、実際問題として、そういった施設をつくった動機とかあるいはその地域の特別な実情とか というものがありまして、いきなりなかなか料金が取れないというところもございます。その辺はちぐはぐではございますけれども、私どもとしては、適当な対価は取っていただいた方がかえって住民の方々にも責任を持っていただけるんじゃないかと考えております。
  42. 刈田貞子

    刈田貞子君 コミュニティ施設の有料、無料という問題は、また利用率の問題ともやっぱりかかわってくるんじゃないかなというふうに私は思うので、大変に微妙なものであろうというふうに思います。  それからもう一つは、いわゆる入館料とか使用料を取って、それで運営の一部に充てられるほどは実は取れないわけですよね。例えば総合体育館の使用料なんていったって、これもう本当に、一遍温水プールを使うのに二百円なんというのを取りますと入場料を集める手間、人件費の方が大変だというくらい、取るということ自体が実は負担になるというような現実があるわけですね。それにもかかわらず、やっぱり使用料というのは取るのがまあ筋であるというふうな考え方が定着していくんでしょうかね。  それで、関連してこれも文部省の方にまたお伺いするわけですが、そういう例えば先ほどの総合体育館、あるいはまたその他の施設にしても、建てるときには一定の補助金をちょうだいするわけですね。例えば温水プールで例をとりますと、温水プールについてはかなりの補助をいただいてやって、通産省の方からソーラーなんかの補助もいただいて、つくることはつくるわけなんです。  問題は、維持管理になるとこれが大変なことになるわけです。事実上、十二カ月の間で何カ月この温水プールが稼働しているかというのをちょっと実態調査していただくとわかるんですけれども、これ大変な眠っている施設になっているんですね。ぜひこんなのも、通産省一生懸命ソーラー施設というものを補助を出して温水プールつくらせるんですが、だけれど温水プールというのは稼働率低いんですね。これはやっぱり維持管理なんです。  そういう意味での御指導、施設を建てるときの指導みたいなものも、ぜひこれもう一度実態を調査した上でなさるべきじゃないかなというふうに、何カ所か私見てきて思いました。長野県の岡谷のたしか総合体育館でしたかな、の中の温水プール、あんな寒いところ、多気温が下がるところの温水プールがどのくらい稼働しているかということになると、大変にね。ただ、寒い国で、そしてなかなか屋外体育ができないということで、屋内体育奨励するというのが岡谷市の一つの言い分でできているものなんですけれども、事実上この稼働率なんというのは本当に低いわけですね。  そういうふうなことも含めて、施設補助してつくっていただくのはいいんだけれども、私ども大変欲張りな言い方からいえば、その後の維持管理についても補助がさらにいただけないかというふうな、こんなふうな話を地域から聞いてくるわけですね。  御答弁結構です、要望ですから。
  43. 岡部三郎

    岡部三郎君 自治省にお伺いをしたいんですが、先ほど社会教育施設の御説明の際に、文部省から、臨調等の指摘もこれありこういう施設整備に要する予算というのは年々減少しているというふうな御説明があったわけですが、確かにこういういわゆる箱物と称するようなものについては非常に風当たりが強いわけですね。ただ、私ども考えると、都市、農村を問わず、必ずしも現状こういう施設がそれほど充足されておるかといいますと、どうもそうも考えられないわけなんですが、自治省としてこれをどういうふうにごらんになっておるか。まだまだ不足しておる、こういうふうなお考えか、いい線までいっているじゃないかというふうに見ておられるのか、その辺をちょっとお伺いしたい。
  44. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 箱物に対する風当たりが最近大変きつくなっておることはおっしゃるとおり事実でございます。この背景というのは、国の財政と地方の財政との問題でいろいろな議論が出ておる、その中で、国の方が財政難ということからだんだん地方に対する補助金の見直しを行っておる、その見直しを行う際に、いわゆる社会福祉でございますとか公共事業でございますとか、そういうものの補助の一割カットというようなことで、非常に地方団体としては困っておることもまた事実でございます。  そこで、しかし国の財政というのが非常にきついことは事実そのものなんだから、実際問題としてそういう傾向になってきたのが最近の趨勢であるということを前提としながら、しかしながらそんな無差別な一割カットというよりも、もっともうそろそろ我慢をしてもいい補助金というものがほかにあるではないか。要するに、そういう大切なものに手をつける前に、今の御時世から比べると相対的にウエートが低くなりつつあるものに先に手をつけるべきではないかという哲学から、その箱物に対する風当たりが特に強くなったということでございます。したがって、まあ地域地域におきますと、またそれは施設が足らないんだというところは恐らくたくさんあると思います。ただ、全体の国の財政対地方の財政の話になりますとどうしても風当たりが強くなってくるという、結果論ということになりましょうか。  そこで、実際問題として自治省といたしましても、御案内のようにかなり以前からリージョンプラザというのを、これは箱物の一つの典型でございますが、これも昨年までやってまいりました。今後ともかなり補助要求というのも過去の分が続いてまいると思いますけれども、ただ御案内のように、一方では非常に予算のシーリングというのもございます。そこで、こういったコミュニティセンターというものは、私どもはまだ各地域地域に必要なところはたくさんあるとは思いながら、国の予算としてこれを改めて要求するとかいうことをするというよりも、まあたまたま現在宝くじの益金の使用方法として自治総合センターというところでこういうシステムがございますから、そういうところで適切な財政措置を今後とも続けていっていただくのが一番よろしいのではないだろうかと思っております。  したがいまして、各地域、個別の地域地域をとらまえますと、先生のおっしゃるように、まだ施設が不足しているところはかなりあると思います。
  45. 岡部三郎

    岡部三郎君 まあこういう箱物に対する批判の一つの理由として、せっかくつくっても非常に利用率が余り高くない。先ほど文部省のお話で七年間に倍増したという例もございましたけれども、同じような民間施設に比べるとやはり公的施設というものの利用というのはいまひとつ振るわない。その原因の一つに、やはり使用目的によって非常に規制が多いということがよく指摘されるんですが、今規制緩和ということをいろんな面で進めようとしているわけですけれども、こういった公共施設の使用に関する規制を、これは各省それぞれつくられているわけですから、なかなかそれを統一するとか調整するというのも難しいのかもわかりませんけれども、これは自治省がやられるのがいいのか、あるいはもっとほかのところでやられるのがいいのかわかりませんけれども、そういう規制緩和ということ、そして利用率を上げるというふうなことのお考えはございませんでしょうか。
  46. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) その問題、まさにおっしゃるとおりでございます。つくるのはつくったけれども、最初の一、二年は物珍しさでかなりいろんな催しが行われるけれども、もうある程度月日がたちますと非常に忘れられたような存在になってしまう。ここを私ども一番頭を悩ませておるところでありまして、先ほど例に挙げましたリージョンプラザにつきましても、一応四十七都道府県に行き渡りましたので、今後はそういった批判がございますので、別途研究会をつくって、そのいわゆる利用率を上げるにはどうしたらいいか、いわゆるこのソフトの面を今後真剣に考えてまいりたいと思います。もちろん、御指摘のような規制の問題も、一つの大きな原因をなしていると存 じます。
  47. 岡部三郎

    岡部三郎君 文部省の方ではそういう点をどういうふうに、文部省のつくられている施設もいろいろあるんでしょうが、学校からこういう社会施設までいろいろあるんでしょうけれども。
  48. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 公民館図書館、博物館につきましては、特に法的に規制をしていることに伴って利用率が落ちているという側面は乏しいのではないかと考えております。先ほどの数字もございましたように、利用率は、施設をつくる、新しく更新をするということになりますと、非常な勢いでふえるという実態にあるわけでございます。  ただ、一部の施設、例えば青年の家等、立地条件が変化したりいたしまして部分的には利用率の減っている館も公立の青少年施設等ではあるわけでございまして、そういうところでは、むしろ教育指導面を強化することなどによって、利用率を高める工夫をやっておるのが状況でございます。図書館、博物館につきましては、ある意味では専門職員がおりましてかえって利用しにくいというような声もございますので、その面につきましては、むしろ研修等を強化いたしまして、地域人々との交流あるいはボランティアの活用その他によりまして、もっともっと利用率を高めるような工夫が必要なのではないかと考えております。
  49. 岡部三郎

    岡部三郎君 ありがとうございました。
  50. 竹田四郎

    竹田四郎君 今のことに関連して、市や県でいろんな会館をつくるときに、それぞれあっちからこっちから補助金を集めてつくるわけでしょう。そうすると、そっちは何の入口だ、こっちは何の入口だ、こっちは何の入口だというので、一つの建物の中に入口がいろいろあったりするようなことがあるんですね。名前つけるのにしても、文化庁の方お見えになっていますが、何々文化会館と、文化という字を入れなけりゃだめだとかいうようなことがありますけれども、この辺はどうなんですかね。もう少しひとつ何かお考えをいただいて、それぞれ役所の方じゃ厚生省関係だとか文部省関係だとが文化庁関係だとかおありだろうけれども、もっとそういう枠を超えて、それだけのいろいろのものをつくるならもっといいものをつくっていくということの方が、その利用率の問題からも私は上がってくるんじゃないだろうかと思うんです。最近はそういうことが少なくなったかどうか知りませんけれども、一つの建物に入口があっちからこっちからたくさんあるというようなあり方があるんですがね。ああいうのは、どこでまたおまとめになるか、おまとめいただいて、やっぱりもう少し内容的にいいものをつくって、ぜひひとつ役所の縦割り的なものというのをもう少しなくしてもらいたいと思うんですがね。  昔は、役所の建物でも、私も苦労したことがあるんですけれども、労働省の建物と厚生省の建物とを一緒にしちゃいけないと、必ず別個につくらないといけないということで、小さな建物がちょこちょこっと建ってしまう。特に、都市なんかの場合には、土地を取得するというのが非常に大きな問題でありますから、したがってそれが全然だめになったというのが、このごろはあれはかなり進んで、合同庁舎方式というのが最近はできまして、あれはいいんですけれども、まだいろいろ公民館の中にそういう問題があると思うんですがね。ああいうのも何か解消する、もう解消しつつあるのかもしれませんけれども、ひとつ解消していただきたいという、これはお願いです。  それからもう一つ高等学校開放講座の問題ですが、これ先ほどもお話の中で、農業はいわゆるバイオテクの関係講座が開かれるし、商業とか工業の方はコンピューターで開かれると、その講座利用率が高い、こう言っているんですが、どうも一般の高等学校開放率というのは非常に低いわけですね。それで、講座数を見ましても、また開設日数を見ましても少ないわけですが、まあ大学の方はかなり多いし、しかも一般の講座ということになると、先ほど言ったように講座数十万もあると、こういうふうにおっしゃられているんですが、どうも高等学校開放というのはもう少し多くされたらどうかなという気がするんですね。  それは、何もそこの高等学校だけでなくても、高等学校の先生の中にだって優秀な方がいるわけですね。教養、文化などについては非常に優秀な先生がいるわけですから、もう少し高等学校の一般教養分野等では開いていただいたらどうかなという気がするんですがね。大学というとなかなか場所的な問題がありまして、そこへ通うというのはなかなか大変なわけですから、最近は電車賃も高くなってきているような状況でありますから、もう少し高等学校のそういう開放によって、余暇をそうした教養を勉強するなり、あるいは最近は絵をかいたり写真を写したり、あるいは書道をやる人も非常に多くなってきているわけですから、そういう面でもう少し何か力を入れていただけたら、もっと高等学校が市民に近いものになるし、高等学校のある場所というのがやっぱり文化の中心になっていくという感じがするんですが、その辺をひとつお伺いをしたいと思います。  それから、自治省資料を見せていただいて、私も神奈川県ですから、自治省資料の四ページでしたかな、「都道府県コミュニティ施策」という(2)のところを見まして、やっぱり一番の問題は大都市だと思うんですね。先ほども施設の問題とかいろいろの問題で、足りないんじゃないかというところ、あるいは学校開放要求の多いところもやっぱりそういう大都市だろうと思うんですよね。また、少年野球なんか見ていましても、最近はサッカーも入ってきたんですけれども、子供たちがやる場所がないということで、余計学校開放とか河川敷の開放とかいろんなことを言われているわけですが、やっぱり問題は都市だろうと思うんですね、土地がないということもあるんでしょうけれども。  この辺は、何かやっぱりコミュニティがない、社会性がなくて、非常に物の考え方も孤立化してしまっている。都市の孤独といいますか、そういうようなことも、私は大都市の方がむしろ多いんじゃないか。犯罪なんかもやっぱりそういうことと無関係ではないだろうと思いますし、そういう意味では、どうももう少し都市に対してコミュニティをどうするかという課題を欲しいんですがね。これで見ますと、いろいろな、後にコミュニティの地域の表もいただいておりますけれども、やっぱり都市は非常に少ないという感じですが、この辺は何とかならぬか。これがやっぱり一つの都市の憂うつですか、そんなことになっているんじゃなかろうかと思うんですけれども。  以上三つぐらいになりましょうか。
  51. 岡部三郎

    岡部三郎君 ちょっと私も、その竹田先生の第二点に関連しまして、今コンピューターの講座が商工業関係の高校では多いというふうなお話がありましたが、農業高校でもやはりコンピューター教育というのをもっとやらなければだんだん時代についていけないということで、この前文部省お願いをして、全国農業高校でコンピューター、特にソフト関係講座といいますか授業のある高校がどのくらいあるかということをお聞きしたら、全国で二校しかないというんですね。  それは、一つ施設が十分に整備されない。施設といっても、ソフト関係教育のための施設というものは、そんなに大した大容量のコンピューターが要るわけでもないわけですから、そんなにお金のかかる話じゃないと思うんですが。それからもう一つは、教える教師がやはりいないというお話だったんですが、これは例えば公開講座というもの自体、これからどんどん進めていく場合に、なかなか適当な講師というのはそれほどふんだんにはないだろうと思うんですね。  したがって、例えば今のビデオだとかそういうもので、中央の相当一流の人たちの講義を、やはりそういうところで聞かしたり見させたりするというふうなやり方を採用していく必要があるんではないかというような感じを持ったんですが、その点もできましたらひとつ加えて御返事いただきたいと思いますが。
  52. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 高等学校開放講座の ことでございますが、先生御指摘ございますように、大学等増加に比べまして高等学校段階はまだまだという状況にあることは確かだと思います。お手元にございます調査昭和五十五年度でございますから、現在ではこれよりも多くなっていることは確かだと思いますが、それでもまだ少ないのではないかという感じを持っているわけでございます。  それから、先ほど特徴として職業高校の方にウエートがかかっているというふうに御説明申し上げましたけれども、絶対数として言えばそれは普通高校の方が数は多い状況です。その内容は、歴史に関する一般教養といいますか、そういうことでありますとか、あるいはスポーツ関係、これは普通高校でもかなり学校開放講座として実施をいたしておるわけでございます。職業高校は、それぞれの教科の特色を生かしまして、地域人々に全体として見れば、学校の数等から比較しますると普通高校よりもはるかに地域のための開放を行っているというのが実態でございます。  それから、農業高校とコンピューターのお話でございますが、職業教育として工業では情報技術学科、それから商業では情報処理学科という専門教育実施しておりまして、そういう意味ではかねてからコンピューター教育はかなり進んでおるわけでございますが、農業高校その他の職業高校あるいは普通高校を含めまして、一般的な教養としてのコンピューターの教育というのは、諸外国から比べますと高中等教育の段階で日本はおくれているのではないかという指摘もございます。そういう意味で、ニューメディア、特にマイコン等の利用につきまして、今後学校教育の中でどのように取り上げていくかというのは大きな課題でございますが、その課題の一環として今後研究させていただきたいと考えております。
  53. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 大都市のコミュニティが一番頭の痛いところでありまして、モデルコミュニティにしましても、今般やっております推進地区の指定にしましても、相当大都市所在の都道府県に手を挙げるように推進策をお願いしてまいったのでありますけれども、それぞれの県で担当の課あるいは係をつくってやってはいただいておるんでありますけれども、現実問題として地元からの手が挙がってこないというのがまた実態であります。  確かに、仰せのように非常に規模が大きい人口集団、しかもよそから来た、いわゆるその地域にとってはよそ者の方々の集まり、そういう意味から非常になかなか横の結束がつきにくい。しかも、私ども感ずるんでありますけれども、建物自体が非常に高層のマンション、そういったものが林立する中に住んでおられる。これがもう住まい自身が、つまり生活自身が縦割りになってしまっておって、いわゆる中小都市のような横の、お庭のあるような、あいさつができるような家並みになっていないということもありましょう。  そういう意味で、非常に住民同士の横の連帯というものがつくりにくい客観情勢になっておるので、なかなか手が挙がってこないんだろうとは思っておりますけれども、いろんな調査会の研究結果をいただきましても、コミュニティの推進というのはどこが一番大切なのかと言えば、大都市が一番大切なんだからということが強調されております。何とか大都市のコミュニティ対策について、さらに都道府県に今後ともお願いしてまいるつもりでございます。
  54. 刈田貞子

    刈田貞子君 大学施設というよりは、オープンスペースとしての大学の敷地の問題でちょっとお伺いしたいのですが、国立大学の敷地というのは一般市民が入っていいことになっているのかいないのかということですけれども、大体の大学の敷地が、私何カ所か知っているんですが、その地域の災害のときの広域避難所になっているんですね、その指定を受けているわけ。そういう話は市当局とできているらしいんですね。ところが、入り口がないんですね、一つも。正門と裏門しかないわけですね。だから、広域避難所としての機能というのは非常に低いわけ。そういうので、市民の中で話が出たときに、もっと入り口が幾つかあかないものなのかという話が出たら、大学の敷地というのは本来市民に開放するはずのものではないのだということに話が詰まったということなんですが、私不勉強なものですからわかりませんのですが、これは各市においてあるいは区において皆そうなっていますね。広域避難的な意味でのオープンスペースはどういうあれになるんでしょうか。
  55. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 直接の所管でないので正確なお答えができかねると思いますが、大学等は、法的に申しますれば、公共物といいますか公共用物といって一般の利用に供するものではなくて、特定の学生等の利用に供するという建前になっておりますから、一般的に申し上げれば一般市民のための施設ではないと思うわけです。ただ、管理者の判断によりまして、いろんな形で地域人々に、特定の場合にその地域開放するというようなことは、管理者、これは大学の学長になるわけでございますが、学長の判断によってそのことは行い得る事柄だと思います。  実態につきましては、大変申しわけありません、所管でございませんので御説明ができません。
  56. 刈田貞子

    刈田貞子君 私は一橋大学の前に住んでいるんですね。一橋大学は最近塀を二重になさいました。網を乗り越える者が出てきたとみえて、その上にまた外側にもっと高い網の塀を全域にめぐらして中に入れないようにしているという実態があって、一方で四カ所に広域避難所という、市とも多分話し合いができているとみえて、そういう看板を立てているわけなんです。だけれども、事実上は広域避難所としての機能をあれでは果たせないなというふうに私なんかはいつも思います。正門からしか入れないんです。これは地元の話でございますから大変恐縮ですけれども、小金井の東京学芸大学あたりもやっぱりそうなんですね。
  57. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 国有財産関係措置といたしまして、災害その他緊急やむを得ない事態の発生により応急施設として短期間その用に供する場合には利用に供することができるという法律的な建前になっておりますので、そういう意味から申しますと、そういう避難の場合、特にその地域開放するというのが制度的な建前になっておるわけでございます。地域によっていろいろ地域の方々の便宜のために工夫をすることは必要ではないかと考えております。
  58. 岡部三郎

    岡部三郎君 個別の問題で恐縮なんですが、スポーツ施設についてちょっとお伺いしたいんです。  私、実は横浜の三ツ沢運動公園というところのすぐそばにおりまして、朝晩暇があるとその中を走ったり散歩したりしているんですが、見ますと、我々が行くのが余り日中行かないせいもあるのかもしれないんですが、そこにはテニス場もありバレーコートもあり、それから大きなサッカー場もありますし、陸上競技場等いろいろな目的の施設があるんですけれども、やっぱり実質一番利用されているのは、もういつ行っても利用されているのは、いわば多目的広場みたいなだれでも入って何でもできるというところなんですね。  ところが、どうしてもサッカー場とか陸上競技場とか、名前のついたのが大きく陣取って、多目的広場的なものは非常に小さく押しやられてしまっている。しかも、そこでも余りたくさんいろいろな人が来ていろいろなことをやるものですから、例えば野球をやってはいかぬとかいろいろな掲示がかかっているわけです。これからもスポーツ施設整備する場合に、多目的広場というと余り応援団もないし実効が上がらないというふうなことがあるのかもわからないのですが、そういう広場をつくると。だんだんこれだけ自動車社会になってくると、子供なんかは道で遊べないような状況になってきて、ああいうところが唯一の子供の遊び場だと、自由な遊び場だということになってきているんではないかという感じがするんですが、その辺どうでしょうか。
  59. 岡行輔

    説明員(岡行輔君) 今の多目的運動広場という のも国庫補助対象にしておりまして、実際には国庫補助の要請も多いわけですけれども、多目的広場でありますから一部の人がボール遊びなんかをして別の人にけがをさせてはいかぬというようなことで、やっぱり大勢の人ができるだけ遊べるようにという配慮で必要な規制はしているんだろうと思います。しかし、なるべく多くの人がなるべく自由に使えるように、そこは設置者の方で十分配慮していただきたいというふうに考えております。
  60. 刈田貞子

    刈田貞子君 大変あちこち話が飛んで申しわけないんですが、文部省の方で考えておられる学校施設一つのモデルみたいな形のものがあるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、土地が高いために小さな面積の中にコンパクトな学校をつくろうというようなことで、私は最近非常にこれでいいのかなと思ったのが屋上のスペースの使い方で、運動場は規模としては非常に少ないんだと、だけれども屋上のスペースとプラスをすれば、収容する子供が運動するに値する面積になるという考え方があるそうなんですが、そういう屋上のスペースについての考え方みたいなものを今後どういうふうに考えていくのかということが一つあろうかと思うんです。これは屋上につくるプールの話も、実は現地を見ましたし、知っております。この屋上の利用方についてひとつ伺いたいというふうに思うんです。これの場合は、恐らく今度は学校開放とかというような形のものになりますと、これは全然考えられないものになっていくわけです、こういう施設の場合は。  片や、市民に開放する地域の公共的施設の性格を持った地域の公的な学校というふうなものをメーンに考えた場合には、これからどういうことに留意していくと、そういう学校の建設に当たって機能的に考えられていくのかというテーマがあるんじゃないかと思うんです。例えば、体育館なんかは門のわきにつくるというのは普通常識的にはなっているようだけれども、もっと門を入らないで外からも利用できるような形の体育館の設定の仕方とかいうふうなことも含めて、これから地域学校開放をしていくための何かモデル的な建物のあり方みたいなものをお考えになっておられますかどうですか、お伺いしたいと思います。
  61. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) これも所管でないものですから正確なお答えができないのでございますが、学校設置の基準につきましては、現在小学校中学校については基準は設けておらないわけでございます。高等学校あるいは大学につきましては、私立学校等も多いわけでございますので、それについては基準がございますし、生徒の数、学科の構成その他によりまして必要な建物の面積、それに対応する土地の面積、運動場の面積等は基準が設けられておりまして、その範囲で適切なものが認可されるという仕組みになっているわけでございます。運動場について屋上をカウントできるのかどうかというのは、その実態に応じて判断されているんじゃないかと思うわけでございますが、詳しいことは御説明申し上げられないわけでございます。  それから、今後の都市部は、土地の利用というのは非常に大事なことでございますから、御指摘のようなことも今後考えていかなければならない課題なのではないか。つい最近、ある県のある県庁所在地の市に行きましたら、小学校中学校とが併設してございまして、体育館は両方で共有できるような仕組みになっておりまして、その下の部分に公民館設置されておりまして、同じ建物でございまして、公民館につきましては地域の人たちは学校を経ないで入れる仕組みになっている。そのようなことは大変おもしろい試みではないか、そういうことでございますので、今後もそういう形で効率的な運営ができますように必要な指導をしていかなければならぬと思っております。
  62. 竹田四郎

    竹田四郎君 一つ要望ですが、これは文部省がいいのか自治省がいいのか、両方で聞いていただきたいのですが、都市がどんどん開発して、さっきもお話があったような大きな団地になりますね。そうしますと、そこの何というのですか、歴史とか環境とかいうもの、そういうものに対して非常にむとんちゃくにされちゃうんですね。  例えば、私が関連していたところで田園都市線というのが東急によってずっと開発をされたわけですね。あの地域というのは、かなり古い時代の古墳があったりなんかいたしまして、それぞれ昔の歴史があったと思うんですね。そういう昔の歴史があったにもかかわらず、そういうようなものが非常に薄められるというのですか、その上へ大きな近代的な都市ができてしまう。そうなりますと、何というのですか、私は人間には自分たちが住んでいたところが昔はどうあったかという歴史、そういうものをやっぱり知りたいという意欲があると思うんですよ。またそれを知ることによってコミュニティの問題も出てくるでしょうし、その地域への愛着というような問題も出てくると思うんですね。  しかし、東急は、私は話したことあるけれども、なかなか余分なことですから、昔の歴史を改めてまとめてそこの住民、特に新住民にそれを知らしめようとしないんですよね。ああいうところが大都市のコミュニティづくりにも、もう少し古い歴史をそこに住んでいる人に教えることによって、あるいはそういう何というのですか、歴史漫歩といいますか、そういうようなものをつくることがやっぱりコミュニティづくりにかなり私は影響があるだろうと思う。  ですから、例えば、これは何も国でやれというわけじゃありませんけれども、東急なら東急が何年史とかよくつくるわけですね。そういうときにやっぱりそういうようなものを積極的につくって、地域住民にその地域の歴史なり今までの変遷なり環境なり、そういうものを知らせるという仕事がもっとあっていいんじゃないだろうか、私はこう思うんですが、それでないと古いものはどんどんどんどんつぶされていってしまって、新しい人は何も知らないということで、そこでコミュニティとかその地域の郷土の愛着心とか、そういうものは生まれてこないような気がするんですね。  ですから、むしろそういうものは国が金を出してやらせるんじゃなくて、その地域を開発した人たちあるいはその地域の人たちが一緒になって、そういう歴史を残していくというようなことはできないものでしょうか。私はそれによってかなり違ってくるんじゃないかという気がするんですが、どうなんでしょうか、そういう仕事をひとつ国の方で御指導になったら。
  63. 齊藤尚夫

    政府委員齊藤尚夫君) 御指摘の点もっともなことで、大変大事なことじゃないかと考えておるわけでございます。文部省でも地域活動というのは非常に大事なものと考えておりまして、現在では、青少年関係でございますが、ふるさと運動だとか、そういう活動予算補助として実施いたしておりますが、そういう補助とかかわりなく、地域におきまして現在一番地域活動としてウエートを持っておりますのが、そういうふるさとを理解するための活動でございまして、各市町村中心になって郷土史の編さんでありますとか、そういうことに大分手がけてまいるようになっておるわけでございます。  御指摘の新しく都市のできた地域あるいは企業とかかわりのある地域の問題でございますが、これから高齢化社会を迎えていくわけでございますし、そういう意味では職域中心の意識から、むしろ地域を見直していかなきゃならぬ大事な時期でもございますので、そういう意味で企業サイドが市町村等と連携をとって、そして地域活動に所属の従業員を参加させるような形のいろんな活動実施していただきたいというふうに考えておりまして、これ予算でございますが、来年度予算要求で、そういう試みをやる地域については一部の経費を呼び水として補助するというふうな仕組みを予算要求中でございます。
  64. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) 大林局長、ないですか。
  65. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) おっしゃるとおりと私どもも思います。  確かに、新しい開発地域、まずそういうものができますと、順番から言いますと、まずそこにどういう名前をつけるかということから始まるわけであります。それで市町村といたしましても、教育委員会中心としまして、そういういろんな由来、歴史のあるところについてはできるだけそういった昔からの地名を何とか残す必要があるだろうということで、地元の新しい住民といろいろ相談をするわけであります。残念ながら当面は、新しい開発地域に入ってこられた新住民の方々は、やっぱり最初は何といいますかハイカラな名前を非常に好むわけでありまして、ひかりが丘とかなんとかわけのわからぬ名前があちこちにつけられます。これはなかなか当初の段階で説得をいたしましても、歴史がわからぬものですから、言うことがよくわからない。  ところが、だんだんそこに住んで年数がたちますと、やっぱり今度はそういった方向に興味を持つようになってくる傾向にあるようであります。やっぱりそれがおっしゃるようにその地域に今後長い間住むための一つの誇りになる。最初は名前にこだわっておったんでありますけれども、だんだん沿革、由来というものを知りたくなる。どうも話を聞いてみるとそういう傾向にあるようでありまして、先ほど文部省からのお答えのように、市町村におきましても、最近はそれぞれの地域地域の地誌と申しますか、沿革、由来というもののパンフレットをかなりつくっておるようであります。今後、機会あるごとに私どもとしましても仰せの点を含んで指導してまいりたいと思います。
  66. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) 以上で両省に対する質疑を終わりますが、ちょっと私から一つ要望ですが、文部省の一番最後の十二ページの表ですね、ここに「公立学校体育施設開放状況」というのがありますが、パーセンテージが出ておるわけですけれども、もうちょっと場合によったらケース・バイ・ケース、ケースごとに細かい数字あるいは実情、例えば水泳プールの公立小学校が四三%といっても、これも例えば夏休み中はどうなのか、あるいは月に一回か二回開放したらそれでも開放に入っているのか、そういう点のやや細かい正確なデータではないような気がするので、これは事務局の方から御要望申し上げますので、またお手持ちの資料がありましたらいただきたい。どちらかというと、非常にやや正確な詳細なデータが一部あれば、全部でなくてもいいんですが、そういうことでお願いをしたい。  それから自治省の方、特に十ページの「コミュニティ施設設置状況」につきましては、私どもの今度の調査研究の目的が、やっぱりこういうコミュニティの場を何とかして少しでも多く、よく利用されやすいようにつくっていくということが大事ではないかと、そういうことからやっておりますので、この資料等についても、また後で事務局の方からあるいは細かいことの要望をいたすかもしれませんので、よろしくお願いをいたします。  以上をもって、両省に対する質疑は終わります。  ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  67. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) 速記を起こしてください。  次に、参考人東京都立大学人文学部教授倉沢進君から意見を聴取いたします。  この際、倉沢参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本小委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。  本日は、地域コミュニティ施設及び施策現状展望につきまして、忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。  また、議事の進め方といたしましては、まず二十分程度意見をお述べいただき、その後四十分程度委員質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いをいたします。  それでは、倉沢参考人に御意見をお述べいただきます。倉沢参考人
  68. 倉沢進

    参考人(倉沢進君) 倉沢でございます。こういう席で意見を述べますのは初めてでございますので、不調法の段はお許しを願います。  御案内のように、コミュニティ形成ということが高度成長以後の日本社会の非常に大きな課題である、こういうふうに考えられるようになりまして、きっかけは、政府部内では国民生活審議会コミュニティ問題小委員会報告というものがつくられました。私はそのときから幾らか関係をさせていただきましたが、その後の経緯につきましては、多分既に自治省その他の皆さんからお聞き及びであろうかと思います。それで、幾らか問題提起にかかわり、そしてその執行にかかわってきた者として、現状を非常に残念な事態になっているというふうに考えておりますので、その点を申し上げたいというふうに思います。  コミュニティにつきましては、いろんな議論があるわけでございますが、最初にごく簡単に私の理解を申し上げさせていただきたいと思います。  それは、日本でもヨーロッパでも同じことでございますが、伝統的な社会では、素人であります住民がお互いに自分たちの時間を出し合い、労力を出し合い、技術を出し合い、知恵を出し合う、こういう仕方で協力して、一人の人間だけでは解決できないそういう問題を共同して解決してきたということが言えると思います。日本の伝統的な村落もそうでございましたし、町内もそうでございました。こういうやり方を、私は相互扶助システムというふうに呼んでおきたいわけでございます。  このようなやり方に対してもう一つのやり方と申しますか、それはすべての問題を専門機関が処理する、これに対して残りの人間はその専門機関にお金を払って物やサービスを手に入れる、こういうやり方、これを専門処理システムというふうに呼んでおきたいと思います。  御案内のように、私ども人類の生活の仕方というのは、基本的には相互扶助システムから専門処理システムの方へ変わってきたわけであります。変わってまいりますと、いいこと悪いこと、両方あろうかと思います。基本的によろしいことは、それによって私たちが大変豊かないい生活ができるということであると思います。  例えば、一軒の家から一の日に一人ずつ出て道普請をする、こういうやり方が以前はどこでも行われておりました。このやり方はなかなか牧歌的でよろしいという感想もありますけれども、しかしそのようなやり方では、今日道を直しても、たちまちダンプの二、三台も通れば穴があいてしまいましてだめであるわけでありますから、いい道路を活用しようといたしますと、私たちはこの専門処理システム——市役所の土木課の専門家が専門の機械と道具と技術を使ってきちっと道をつくる、こういう方がずっといい生活ができる。  一人一人の人間は、自分の得意とすることを一生懸命やって、この場合で言えば税金でありましょうが、自分の必要とするサービスのために、自分の専門としてやった仕事の報酬の中から肉屋さんに払い、パン屋さんに払い、税金を払って、道を歩き、パンを手に入れる、こういう生活をする。これが専門処理システムの原則でありますし、その長所であろうかと思います。一人一人の人間の個性の発揮という目標と、それから社会的にいい水準の生活環境ができる、こういう二つの意味でこのやり方が選ばれてきたというふうに考えてよろしいと思います。  ところで、今日になりますと、この長所と同時に幾つかの問題点が出てきたというふうに思います。  例えば、江戸の昔の町内で三十軒の長屋があって、一軒一軒の家には水道がなくて、共同で井戸を使っていた。こういう状態を考えますと、お互いに毎朝水をくみに出なければならない。大変不便なことでございます。しかしまた、ある意味では、その不便さを共有して一緒に生活をしていたということが言えようかと思います。これからは 各戸に蛇口というものがついて水が飲めるようになる、どうだ、と言われれば、それはもうみんなそれを選ぶわけでありまして、私たちは水道という専門のシステムを利用するようになったわけであります。  しかし反面、私たちが最近になってようやく気がついたことがございます。それは、みんなが水道を使うようになって便利な生活ができるようになったわけでありますが、しかし近所の人の間のコミュニケーションといったようなものは、井戸端会議というような場を失うことによって行われなくなったわけであります。あるいは、きょうはあのおばあさん水くみに出てこないが、だれか行ってちょっと見てこいというようなことは、これまた、かつては自然にと申しますか、いわば相互扶助システムの中に組み込まれて行われておりました。ところが、今日ではみんな自分のうちの台所で仕事をしているわけでありますから、おばあさんが出てこないのに気がつく人はだれもいない、こういうことになるわけであります。  そういう意味で申しますと、水をくむ便利さ、不便さという顕在的な、表に出た機能という点では、専門処理システムに移ることによって非常に便利になった。しかしながら、潜在的な機能、私たちが余り気がつかないで実際上行われていた働きでありますが、これは見失われることになりました。結果として、今日のようなコミュニティ施策をやって集会所をつくらなければ、近隣のコミュニケーションも不十分であるとか、ひとり暮らし老人訪問看護事業といったような制度予算や人員を配置しなければそういうことが行われない、こういう状態になってまいりました。  そういうわけで、これから考えなければいけないことは、もちろんこの専門処理システムの非常な高度な便利さを捨てるわけにはまいりませんが、同時にかつてあった相互扶助システムのよさを見直して、二つを組み合わせた新しい生活の仕方ないしシステムというものを考えていく必要がある、これがコミュニティ形成ということが非常に大きな課題になった理由であると私は考えておるわけであります。  言ってみますと、昔の村や町内のような暮らしに戻るわけにはいかない。しかし、現在のようないわば都会砂漠的な、便利ではあるけれども心の通わない、そしてまた逆に不便なこともかえって出てくる、そういう社会から何とか新しい生活の仕方を見つけるような努力をしようではないか、これがコミュニティ形成という目標であると思います。その意味で、私は社会目標としてのコミュニティ、どこかにあるコミュニティというよりは、これから築いていこうという生活様式としてコミュニティという問題を考えたいというふうに存じております。  この観点から、現在行われておりますコミュニティ行政というものを見ますと、それが私自身の反省点でもございますけれども、非常に矮小なものになってしまったという感じがいたします。つまり、コミュニティ行政というのは、コミュニティセンターをつくり、そして住民の活動奨励するために団体をつくることを奨励し、リーダーの養成事業を行う。現在、コミュニティ行政という名前のもとで行われておりますのは、大体この三点に要約されると思います。  ところが、これでは先ほど申した生活様式をつくっていこうといったような非常に大きな目標に対しては、余りにも狭い理解だということになると思います。実際には、例えば住民が利用できる施設という点で申しますと、今日、社会教育関係施設もございますし、福祉関係施設もございますし、それから普通コミュニティ施設という名前で呼ばれております集会施設もございます。しかし、それらがみんな別々に営まれております。場合によりますと、利用ができない場合が出てまいります。  一例を申し上げますと、ある公民館でいいプログラムをつくりいい先生を呼んでくるけれども、近ごろお客さんが少なくなったと。理由は勤労青少年ホームというものが横にできたと。そっちはきれいな建物で、内容は新米であるから余りよくないんですけれども、そちらへお客が流れてしまうから公民館を建て直さなきゃいけない。こういう形で担当者の方は問題にしていらっしゃる。  私が思いますには、この地域に例えば三人の青年がいたと。同じ高校を出たけれども、一人は大学へ行った、一人は大企業で働いている、一人は中小企業で働いていると。この三人が一緒に何かをしようとしますと、実は、勤労青少年ホームは中小企業で働く勤労青少年のためであるから余分な者は来るなというような運営がなされております。これでは、いわば税金を使って住民の活動を制約していることに結果的になりかねない。私は、コミュニティという視点というのは、具体的に言えば、この三人の青年の目で地域社会をもう一遍見直すということであると思うんであります。  そうだといたしますと、この三人の青年から見れば、施設の名前がどのような省の系列の予算で建てられようと関係ないわけでありまして、比較的近いところに比較的いい施設があって比較的自由に使えればそれは満足なわけであります。こういう視点で見直してまいりますと、現在、住民利用施設というのは、御案内のように少なからずございますけれども、本当の意味で活用されているであろうかということになりますといろいろ問題があるように思います。  それから、施設についてはほかにもございますが、もう一点申し上げますと、現在、こういう施設として、商業施設と私は呼んでおりますが、民間施設がございます。民間施設がほとんど考えられておらない。このことの問題点は二つございます。一つは、限られた財源を使って公共でどれだけ建設できるかという問題がございます。もう一つの問題点は、実はコミュニティセンターという名前でつくられ、あるいは公民館という名前で建設された税金を使った諸施設がどうしてもお役所風と申しますか、そういう運営のために思ったほど活用されていないということがございます。  私は、そういう意味では、近ごろはやりの言葉で言えば民活ということになるのかもしれませんが、例えば東京の場合でございますと、銭湯、公衆浴場のような施設でございます。これをコミュニティ銭湯と私は呼んでおるわけでございますけれども、コミュニティセンターという名前の冷たいお役所風の施設よりは、現在ある公衆浴場をもっと見直して、それに新しい機能をつけ加えていくことを考えてはどうかという提案をいたしまして、東京都では御採用いただきまして既に三つの事例がございますが、思ったように伸びておりません。これもまたお役所風の問題点がいろいろあるわけでございます。  それから、活動内容の点でございます。自治省のモデルコミュニティ施策一つのポイントでございましたのは、どういう施設をどこにつくるかということを住民自身に考えてもらおうじゃないか、これによって住民が地域社会に対する関心を持つようになる、こういう期待をしてその施策は始められたわけでありますけれども、結果としてどういうことになるかと申しますと、公の財産である施設利用、管理等を勝手な人々、特定のサークルとか特定の宗教団体とか、そういう者だけが利用したんでは非常に困るではないか、こういう問題がございます。  そこで、どういうことになったかと申しますと、地域の住民を代表する組織をつくってもらって、それに管理を任せるという形にすれば問題ないだろう、こういうことになったわけであります。趣旨としては大変結構なことでございますけれども、これによりまして中心となる組織、実際には非常に高齢化が進んでおります町内会、自治会等がその管理を引き受けることが事実上できなかったり、しようと思ってもできなかったりするというようなことが起きまして、どうしてもお役所におんぶした運営しかできない、住民主体の運営というのは非常に難しいということでございます。  ついでに申せば、公民館その他の他の施設に比べますと、コミュニティセンターという施設は専門の担当職員がいない施設でございます。公民館であれば社教主事とか公民館主事という者がおります。ところが、コミュニティセンターはそういう専門家がおりませんので、住民のリーダーが相当しっかりした活動をするのでないと、これが活用が非常にしにくいことになってしまうわけであります。いわば、今日的に言えば、演出能力のあるようなリーダーを育てるということが非常に難しい問題でございますけれども、どっちかと申すと、お役所風の何か問題が起きなければいいというような運営がなされますと、どうしてもそういうリーダーがでてきにくいという問題がございます。  先ほど申したコミュニティ銭湯の例でも、私は浴場経営者がそういう演出者になってほしいというふうに期待しておったんでございますが、お役所の方が大変かたくていらして、公の財産をそんな者に任せるわけにいかぬとおっしゃって、そこでお役所の方が管理をするというような形になってしまいまして、当初の趣旨がなかなか生きてこないという面がございます。  それから、もう一点つけ加えたい点は、さまざまな活動の種類がございます。現在、一番盛んに行われておりますのは、皆さん御案内のようなさまざまな趣味とか、スポーツとか、学習とか、そういったような、私は自己充実型の活動というふうに呼んでおりますが、自分に返ってくる、そこに参加して勉強すれば自分が楽しいとか、自分が賢くなるとか、そういう意味の活動にほとんどが注がれておりまして、地域社会でいろんな具体的な問題に市民として賢く取り組んでいくような能力を高める、こういう点は、コミュニティ施設におきましてもあるいはまた社会教育の諸活動におきましても、余りなされておらないということがございます。  一例を挙げれば、ある地区では保育所をつくれという住民の要望がございまして、行政はこの施設をつくりました。ところが、地域の住民から、これができましてから、これは騒音を出すのでこんな保育所はやめてくれという注文が出てまいりました。役所は大変困ってしまいまして、三メートルのコンクリートの塀を立てて音が余り漏れないようにいたしました。  こんな刑務所みたいな保育所があっていいんだろうかということも思いますけれども、もっと基本的に考えれば、住民自身がお互いに話し合って、本当にこの地域に保育所が要るのか、要るとすればどんな保育所であるべきなのか、そして住宅地の生活環境というのはどういうものであるべきかということを考えたり、議論したりすることができるような住民が育ってくるということが日本の社会にとって一番大事なことであると思います。そういう学習機会という展望が実は残念ながらなされておらない。  社会教育の専門の方は、これはお役所の制度としてある意味でやむを得ないのでありますが、そういう学習をしようとプログラムを立てようといたしますと、出席者はほんの数人に限られたりすることがしばしばございます。そうしますと、翌年から予算が減るというようなことが起きますので、割とお客さんが来てくれる源氏物語を勉強しようとか、そういうところに大体なってしまうというようなことがございまして、実際上の運営が、学習活動が本当に大事な活動のところになかなか向いていかない、これが現在の問題点ではないかというふうに私は考えております。  時間を超過いたしまして恐縮でございました。
  69. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) どうもありがとうございました。  以上で倉沢参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は、小委員長の許可を得て、順次御発言願います。
  70. 刈田貞子

    刈田貞子君 コミュニティ銭湯の話が出ましたので、もうちょっと詳しくお伺いしたいんですが、あれは恐らく一号かと思いますけれども、私は国立の銀静湯という府中市と国立市の境のところのおふろ屋さんがコミュニティ銭湯の東京都の第一号と聞いておりますけれども、その割に利用されているというふうに思っておらないわけで、当初東京都の生活文化局からその話を聞いたときは、私も大変いいことを考えたものだと、裸のつき合いというのは一番いいんじゃないかということで、私も大変にいいアイデアだと思ったんですが、その割にそれが当初の目的のように利用されてないという事情をもうちょっと詳しく教えていただきたいのが一つ。  それから、先ほど言われましたように、日本の地域住民というのは、やはり自分の利害と相手の利害とを勘案しながらつき合っていくということがなかなかできないのでありまして、そういうものが解決されていくとすごく成熟したコミュニティ社会が出てくるであろうことは、私も大変にいつも考えていることなんですが、何がどういうふうになるとそういう住民が育っていくのかということで、私も国立市でそういうテーマを持ってやっていたことがあるわけですけれども、先ほど文部省の方にも、私は社会指導主事の派遣主事制度の話を実は質問したわけでありますが、私はこういう派遣主事制度というのは前から反対な者の一人なんです。  むしろ、そういう社会主事のような資格を持つ人が、地域の実情に応じた、自分たちの地域社会教育ないしはそういうものを自分たちで育てていくために資格を取るための研修制度みたいなものができて、そして資格を取得したならば、その人が地域地域社会教育のために頑張ってもらいたいというのが、私昔から持っている考え方だったものですから、先ほどその質問いたしましたところ、現在でも派遣主事制度というのは大変に充実いたしておって、これが大変な役割を果たしていただいておりますと、増加の一途でありますという回答を聞いたわけですが、このことについて先生の御意見をひとつ伺いたい。  この二点をお伺いしたいと思います。
  71. 倉沢進

    参考人(倉沢進君) 第一点でございますが、コミュニティ銭湯の東京都の事業でやりました第一号というのは、北区に大黒湯というのがございます。  東京都の制度と申しますのは、簡単に申しますと、おふろ屋さんが土地を持っております。その上におふろ屋さんが自分のおふろと自分の住宅を建てるのが普通でございますが、そこに一部コミュニティセンター的な機能の施設を建てまして、そしてその公共部分はおふろ屋さんの所有でございますが、東京都が五千万円の補助金を出しております。それかも、地元の北区がこれを二十年間借りる契約をしております。  したがって、おふろ屋さんは、自分のおふろへ来る人が、同じ建物へ入る人がふえるということで、お客がふえることを期待しております。それから、おふろ屋さんの施設ということで、割と冷たくない人間味のある施設としてみんなが利用できるのではないか。それから、公共側からしますと、東京都は五千万円別に出しておりますけれども、北区としては一銭のお金も使わないでそういう施設がいわば維持費だけでできる、こういう一石三鳥だということを申しているわけでございます。  現在、東京都の制度で動いておりますのは、北区の大黒湯と練馬区と板橋区にもう一軒ずつございます。毎年二件ずつの予算がついておるんでございますけれども、消化し切れませんのは、周辺の浴場の反対問題と、それからこんなことを先生方に申し上げてはなんかもしれませんが、区の企画あたりに聞きますと、こういうことは大変苦労しなきゃいけない、それにもかかわらずやって得をするのは、東京都が手柄を立てたことになってしまって、区の手柄にならないから余りやりたくないと、こんなようなことが難点です。  先生御指摘の国立の例を私存じませんですが、多分それと関連して市が独自に似たようなことをやっている例がございます。武蔵野市の場合でご ざいますと、おふろを建てかえるのではなくて、今のおふろ屋さんで曜日を決めまして、あそこに体育短大がございます、その短大の老人から見ればお孫さんみたいな先生がやってきて、体操の指導をいたします。不老体操と、おふろと年をとらないということをひっかけたわけでありますが、そういう体操をした後でおふろに入ってもらうというような、これは純粋なソフト的な施策としてやっている例もございますので、多分国立市として独自に何か工夫してらっしゃる例ではないかと思います。  それで、利用は、大黒湯という例に関して申し上げますと、おふろに入るお客さんが三割ないし四割ふえまして、入る年齢が十歳若返りまして、そしておふろやさんとしてはかなり喜んでおります。利用状況もかなり私の見たところではよろしいのでございますが、ただ地域の住民の利用というよりは、ピンポンができるからあそこに行こうというので、北区一帯のあるいは北区を越えた小学生が集まってくるとか、最初のことですので、もう少し時間を置いて見ないと地域施設としてどのくらい生きているかということはわからない面もございます。むしろ、そういう施設が余りにも少ないので遠くから大勢の人がやってくるというのが現状のように思っております。  それからもう一つ、効能書のようで恐縮でございますが、谷中にコミュニティセンターという立派な施設がございまして、そこにもおふろがございます。大変きれいなおふろで障害者も入れるような施設がございますが、実はこれは週に六時間しか使われておりません。これは何のためにそのおふろが使われないかと申しますと、近隣の浴場組合から苦情がございまして、それで余りお客をとってもらっちゃ困るということを言われるものですから、その六時間しか運営できない。  しかも、入浴者に聞いてみますと、コミュニティ銭湯の方が普通のおふろなんで気楽に行ける。コミュニティセンターのおふろの場合には、玄関でお役所の人にあいさつをしてから入らなくちゃいけなくて、ちょっと行きづらいんだということを、お年寄りでございますので、そういうふうなことも申しております。  そんなようなことを考えますと、公共施設におふろをつくるのではなくて、おふる屋さんに公共施設が居候をするという考え方を考えでいいのではないか。先ほど民活というふうに申し上げたのは、私はそういうふうな意味で申し上げたわけでございます。  それから第二点。社教主事の問題と、それからもう一つは、市民の形成と申しますか、本当に自分で物事を地域社会のために考えて行動できるような人間をつくっていくということは大変難しいことであるという御指摘と二点ございました。殊に、後の方はまさに御指摘のとおりであると思っております。多分筋道は二つあって、一つ学習活動、それからもう一つは実際の活動の経験ということであろうと私は思っております。  それで、学習の方でございますけれども、これまでの社会教育における学習というのは比較的一時的なものが多うございます。例えば、ある講座は一年間に四回とか五回とかという講座をやって勉強したということになっておしまいというようなものがほとんどでございます。これでは何か珍しいテーマについて何か珍しい知識を得るということには役に立つわけですが、本当の市民の形成ということはそれではだめではないかというふうに考えまして、今度何かこの委員会で御視察になるそうでございますが、世田谷区で少し珍しい例がございます。  これは、私ども関係いたしまして、世田谷市民大学というものをこれで六年目になりますがやっております。費用は全部区でやっていただいておりますが、区長さんの御理解も私どもと似ておりまして、社会教育部局に任せたんではこれはうまくいかないぞという認識でございまして、企画部局所管でスタートいたしました。そして現在では文化課所管になっております。  どういうやり方であるかと申しますと、私ども十人ほどで運営委員会というのをつくりまして、時間割りとかだれにお願いするとか、そういうことを、そういう意味では区役所はお金はお出しになりますけれども、実際の運営は私どもに一任された形で運営しております。それから年間三十週、最初スタートいたしましたときは、週に三日間、二つ講義を聞きまして一回ゼミナールに出る、大変厳しい、普通の平均大学生よりもちょっと厳しいかもしれないプログラムでスタートいたしました。その後やってみますと、住民として活動している人間が週三日間一日じゅう学校に行っているというのはつらいという話もございまして少し緩くなっておりますけれども、内容的には市民の形成ということを考えるような広い意味での社会科学の、私なんかもまじっておりますが、ほぼ超一流といってよろしい顔ぶれでやっております。  特徴は、ゼミナールをやっていることでございまして、私も数年地域社会ゼミというのを担当いたしましたが、出てこられた方々が自分たちでその後卒業してから調査をいたしまして報告書をつくりました。ここにちょっと持ってきておりますが、「私たちのみたまちづくり 望まれるさわやかな三角関係」、三つ丸が書いてございますが、住民と行政と専門のプランナーがある種の三角関係でお互いに独立性を持ちながら、しかしお互いに協力し合って、どうやって町づくりを進めていくかというようなことについての勉強をいたしまして、こういうささやかでありますが報告もつくっております。こういうこの程度学習活動を積み上げていかないといけないんではないのかということを私どもは感じておるということでございます。  それからもう一点は、やはり耳で学問をするということは、これは私どもが現実がわからないのと同じでございまして、なかなか実際の活動に結びついていかない。実際の活動家はどういうことをしているかといえば、例えば区画整理なら区画整理事業というものが行われる、そして自分の土地が減歩で取られる、それは反対である、反対運動をする。市役所へ出かけていって、あれはけしからぬからやめてくれということを文句言いに行く。市役所の職員に、あんた方減歩は嫌だから区画整理反対だと言うけれども、下水はなくていいのか、道路は曲がったままで消防自動車も入れなくてこれでよろしいのか、こういうふうに言われる、言い負かされる。それで、言い負かされて帰ってきてどうも悔しい、それにしても土地を取られるのは嫌だ、それじゃ我々も勉強しようじゃないかというので、今度は自分たちで苦労しまして都市計画の専門家を探してきて勉強して、そして今度はまた市役所に言いに行く。  ある例でございますけれども、区画整理をすれば銀座のようなすばらしい町にあなたたちの地域はなりますよという説明に対して、私たちは銀座のような町に住みたくないんだ、住宅地というのはもっと道が曲がりくねっていたりした方がかえっていいんじゃないか、そうすればダンプやトラックが余り通らなくてかえっていいんじゃないか、外国にはこういう例もあるじゃないか、こういうような勉強をいたしまして市役所の職員と渡り合うような力を住民が持つようになる。市役所の方でも、言うことはもっともなところもある、それじゃ自分たちの計画も変えようじゃないか。こういうような、実際の事柄を通して学習活動していくということが、多分初めて市民というものをつくり出すと申しますか、人間の物の考え方、行動の仕方を変えていくというきっかけになるように思っております。  そういう意味では、第二点と申しますか、先生御指摘の社会教育主事のあり方ということに関して私申し上げたい点がございますので、お答えを少し超えるのかもしれませんが申し上げたいわけです。  こういうようなことを考えますと、住民がコミュニティについて関心を持ち活動をし立派な人になっていくという過程に貢献しているのは、実は社会教育指導者だけではないわけでございまし て、あなた方は下水がなくていいのかと言って渡り合っている区画整理の職員も、またその人の人間形成に非常に貢献をしているはずでございます。残念なことに、区画整理なら区画整理の担当職員は、結果として市民の向上に貢献しているわけでありますけれども、計画的にそれをやるという発想が全くないわけですね。自分たちは市民に町づくりについて考えてもらうんだという発想なしに、何となく反対運動なんか起こされずに早くさっさと事業をやった方がいい担当職員であるというふうな認識になってしまいますので、できるだけ事なかれでやってしまうということになります。  そういう意味で、私が願っておりましてこういう機会ですから先生方にお考えいただきたいと思っておりますのは、コミュニティ主事あるいは住民活動主事何でもよろしいんでございますが、そういうコミュニティという視点で住民のことを考えるような専門職の養成ということをお考えいただけないかというふうに私は考えております。  実際にいるではないかということがあると思います。御指摘の社教主事もそうでございますし、公民館主事もおりますし、それからケースワーカーとか福祉関係のさまざまな職員もおります。いろんな分野の専門職員がおるわけでございますけれども、この専門職員がいわばそういう総合的な視野に欠けておる。  社教主事の場合でございますと、どうしても社教主事の出身は学校の先生出身の方が多いわけでございます。私どももそうでございますけれども、どうしても人に説教したくなる癖が非常に強過ぎるわけで、最近の住民からはどっちかというと敬遠されているわけですね。これからの学習活動というのは、多分私はテニスが上手だからあなたに教えてあげましょう、そのかわり何か編み物についてあなた教えてくださいといったような、どっちが先生でどっちが生徒なのかしょっちゅう入れかわるような学習活動というのが非常に大事であると私は思いますが、どうも現在の専門職としての社教主事は、全部が全部そうではもちろんございませんが、教えてやる主義が強くて、いわゆる優等生タイプの住民しかついてこない、こういうようなことになっております。多分カルチャーセンターのようなものが盛んになる半分の理由はそこにあろうかと思っております。  それはそれで役割があると思いますけれども、現在の社会教育活動はそういう意味ではどうしてもかたい優等生タイプにしかならない。もう少し広い視野が欲しいということを感じますし、それから福祉関係職員は福祉関係職員で、専ら生活保護であったり何であったりということの手当てにだけ動いておりまして、いわばその人たちの向上心を育てるとか、そういうような関心が比較的弱いというふうに思います。  そういう意味で、現在でございますと、以前は市役所へ行けば五時にはみんな帰ってしまって、五時以後に住民と接触しているのは社教主事ぐらいでございました。最近ではさまざまな分野の職員が住民と接触していろんな仕事をしておりますが、その人たちが総合的にある社会的な技術と申しますか、住民の関心を育てたり、すぐれたリーダーシップを引き出したりするというのにはどうしたらいいのかとか、地域社会というものはどうあるべきなのかといったような視点が残念ながら各専門職員に欠けているように思います。  それから、私が申し上げましたコミュニティ主事か住民活動主事、何でもよろしいというふうに申し上げたのは、いわば小学校の先生が小学校の先生として何でもやれるけれども、同時に自分は専門はといえば算数であるとかいろいろあるわけでありますが、それと同じように、広い意味で住民と接触して住民の考え方を変えたりそれを引き出したりしていく、そういう資質を持った専門職員というのはたくさんいて、その中に自分はたまたまケースワーカーとして福祉の分野を担当しているとか、自分はたまたま社会教育分野のことを主にやっている、こういうような職員制度ができてきたならばすばらしいのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  72. 岡部三郎

    岡部三郎君 ちょっととっぴな表現かもわかりませんけれども、現在の日本の少なくとも大都会の住民の意識というものは、先生のお言葉で言いますと、いわゆる専門処理システムに安住をしておる、それで相互扶助システムの必要性というのは、これはいわゆる職域のつながりというものが相当代替をしているものだから、余り感じていないのではないかという感じがするんですね。  例えば、冠婚葬祭やなんかで集まる人たちも、地域の人たちというよりもむしろ職域の人たちが非常に多い。外国なんか、私も余りよく知りませんけれども、私若い時分にしばらくアメリカにおりましたが、その地域なんかではそういう地域と結びつける一つの引力みたいなものは教会というものが非常にその役割を果たしているわけですね。宗教的な行事ばかりじゃなくて、毎週教会に集まるということによって井戸端会議の一つのかわりをなしているというふうなものがあるんですが、今の日本ではそれにかわるようなものが一体何があるんだろうと。  いまさっき、区画整理みたいな問題とか社会的ないろんな話もありましたけれども、そういうことにぶつかれば初めて地域に目覚めるといいますか、ということはあるかもわかりませんが、一般的にはなかなかそういう機会でもないと地域のことを考える機会がない。あるいは広い意味の趣味とかスポーツとか社会教育とかいうふうなものもあるいはそうなのかもしれませんが、これはどっちかというと相当高年齢者には一つのインストラクティブみたいなものがあるのかもわかりませんが、それ以外に一体何が地域に結びつける一つの魅力があるんだろうということを時々考えるんですが、その辺どうでしょう。
  73. 倉沢進

    参考人(倉沢進君) 大変難しい問題でございますけれども、教会のない日本でコミュニティというのがそもそもあり得るのかという根源的な問題もございます。私はかなりの程度相対的な問題であるというふうに理解をしております。  最近の若い人たちのさまざまなサークル形成の動き、これはアメリカあたりでそうでございますが、アメリカ人がネットワーキングという言葉を最近使っておるわけでございますが、今までですと何とか団体という、何とか会というがっちりとした会をつくってそこで何かやるというのが普通であった。最近は、どっちかというと、会則もなければ会の名前もなければリーダーも特定しないようないろんな無数のサークルがあって、そしていろんな関心をそれぞれ別々に持ってやっているんだけれども、何かのときに、あそこではあんなグループがあるぞというようなことを知っていて、声をかけると新しい問題に取り組んでいく、こういったような形の動きがあるということが指摘されておりまして、最近日本でも似たような動きがぼつぼつある、こういうようなデータもございます。  多分欧米とは少し違った形に当然なると思いますけれども、若い人たちが、これまでのどっちかと申しますと町内会、婦人会あたりに組織されてきたような、全員で一斉に何かをやるというようなタイプの活動には非常に関心がないと申しますか、むしろ嫌だというのが強くて、自分の知恵とか、自分がここは工夫しているんだとか、そういうところがある活動でないとほとんど魅力を感じないということがございます。それで、いわば知恵を出すというようなところに主眼を持った活動の引き出し方というのが多分あるだろう。これが一点でございます。  それからもう一点は、先生御指摘のとおりでありまして、コミュニティのイシューと申しますか、話題と申しますか問題と申しますか、これが非常に少ない。したがって、何かやろうと思っても何が問題なのかわからない、こういう点がございます。自治省の方からお話があったかもしれませんが、先ほど申し上げたような、コミュニティセンターをつくるけれども、そのセンターの中には何を入れてもいい。プールをつくればお年寄り がゆっくり遊ぶオアシスなんかをつくれないかもしれない。どっちがいいか。こういう問題になりますと、それだったらばこういう設計にしたら両方満足できるのではないかというような知恵を出してくる若い人たちが出てくる。こういう仕方で何と申しますか、施設を単につくるだけではなくて、その施設をコミュニティのイシューとしてといいますか、論争点として提起する。こういったような形の施策はそれなりに有効性があるのではないか。  先ほど社教主事の幾らか悪口めいたことを申したわけでありますが、非常にすぐれた社教主事にはこういったことを大変工夫して上手に住民の活力を引き出しておる例もございますので、全くだめだというふうには私は思わないわけでございます。その点で、現在のところたくさんの施設が、私は運用がおかしいということで苦情を申しましたけれども、できてまいりましたことによっていろいろな、それはテニスをやるとかなんとかというような程度のことでありますけれども、できてまいりますと、今度はこのテニスコートがどうしてこんなに列をつくって並ばなきゃ借りられないのかと、それじゃ今度はどうしようじゃないかというような動きがぼつぼつ出てくる。そういう仕方から始まってきて、いろいろな集団活動に結びついていくのではないか。  それからもう一つは、最近では、ボランティア活動でございますが、福祉関係の問題に関心を持つ若い人のグループがかなり出てまいりました。そうして、これはどうしてもしなければいけないことがたくさんございます。一緒に運動会に連れていこうというのも一つの大変な大事業活動でございますから、そういうようなことを通して、教会ではないけれども、何か出てくるのかなと。これは今のところ可能性とか模索の段階でございますので、なかなか難しい点だと思います。  それから、先ほど申し上げた銭湯なんということを考えるのも、日本人の肌に合ったものは何だろうかという模索の中で一つ考え出したことでございます。したがって、最近これまた御承知のように、お祭りに対する関心が非常に強くなってきておりますし、それから地域の伝統的な職人芸とかそういったものを見直そうという動きも非常に強くなってきております。お祭りをやるといたしますと、これはいや応なしにお年寄りは昔の経験を教えてやらなくてはいけませんし、若者でないとおみこしは担げないわけでございます。そういう仕方で、若い人を含めて、人間が少しずつ動き出してきているなということは何か感じております。  お答えになったかどうかわかりませんが。
  74. 竹田四郎

    竹田四郎君 先生のお話で、非常に役人のあり方というのを随分考えさせられたわけです。私は横浜に住んでおるんですけれども、役人という体質がなかなか改まらないのじゃないかという気がして私はしようがないんです。例えば、地域での緑をつくる問題にもいろいろつくり方があると思うんです、現実には。ところが、自分たちのレイアウトしたものでないとこれはだめなんだ、自分たちが計画した町のカラー構想でなければ、君たちが途中で物を何言ったってそれはだめなんだという、そういう役人至上主義、自分が一番偉いのだと、おまえら何を言うのだという傾向がどうも最近私は強くなってきたような気がしてしようがないんです。  先生もおっしゃったように、広い目で、進んで住民のいろいろなニーズに対してこれにこたえていく、相手になってやる、自分も一緒になって考えていくという、そういう役人がどうも私は最近少なくなってきたような気がしてしようがないんです。どうしても、一番先に先生がおっしゃったように、間違いのない、余りそれないコミュニティづくりなり町づくりという、そういうことを大変ねらっているように私は思えてならないんです、最近。  そこで、先生ちょっと、先ほど自治省説明した資料がありまして、八ページのところに「コミュニティ推進地区の概要」というのが書いてありまして、それで九ページに関連経費というのが書いてあるんです。どうも私は、先ほどは内容を詳しく聞かなかったのですが、活動経費というのが千百五十万円を支出するということが書いてあるんです。これは、施設整備費などという一番初めのものはやっぱり市なり国なりが金額が大きいですから出してやらなくてはならないですが、あとのものというのは、特に活動経費などというものはむしろ相互に負担していった方がいいんではないだろうか。  例えばアメリカの消費者運動というのは、よく言われておりますけれども、あれは金は出すけれども口は出さないということで、アメリカの消費者活動の中でかなりユニークな活動をしたり活動が活発になったりするということをよく言われておりますけれども、コミュニティなどでも、余り口を、人まで選んで、金を出すからこういう人にしろとかああいう人にしろとか、そこまでやってしまうとやっぱりだめじゃないかなということで、どうもこの予算のあり方というのも、さっきから考えているんですが、コミュニティづくりの予算なのか、統制された、コントロールされたコミュニティなのか、コントロールされたコミュニティづくりの予算ではないだろうかというふうにこの数字を見ながら考えていますけれども、先生どんなふうにこの数字見てお考えになりますか。先ほどの先生の御主張からちょっとその辺を承りたいと思っておるんですが。
  75. 倉沢進

    参考人(倉沢進君) お役人を私は個人的には立派な方ばかりだと思って尊敬しているんですけれども、お立場上どうしてもそうなるというシステムの問題があるというふうに思っています。  先ほど申しました大黒湯の例で、お役所の方が管理していて甚だ私は残念であるということを申したのですが、実は北区では高齢者事業団に委託をしておられます。ただし、実際に高齢者事業団で活躍していらっしゃる方が、前の厚生課長さんかなんかが館長になられてやっておられる。そういう意味ではお役人の方がやっていらっしゃるのと同じなんですが、ただ実は、ここ一年間館長をされまして、大変失礼な言い方ですけれども、随分お変わりになりました。やっぱり住民と接触してそういう活動をしていらっしゃる過程で、お役人であったわけですけれども、だんだんいわゆるお役人ぽくなくなってこられた。そういう意味では、お役所の方のいろいろな運営のルールによって非常に違ってくるのではないかと思います。  私が同情申し上げるのは、お役所の方は大体野球で言えば守備ばかりしていて、エラーをすると大変しかられるわけですけれども、何か打って点を取ったということはほとんど評価されない仕組みになっているように思います。ですから、これは議会の先生方にお願いしたいんですけれども、エラーは余りとがめないで打って点を取ったときに褒めていただければ、もっと変わってくるんではないかというふうに思っております。  それから、この活動経費の点でございますけれども、これは全く御指摘のとおりでございまして、活動経費補助はすべきでないということを私どもずっと言ってきたつもりでございます。それで、日本における住民活動と行政との接点で申しますと、経費補助を出すということ、それから事務局の肩がわりをすること、これは社会教育団体等についてしばしば行われております。これが住民活動の活力を一番そぐ点でございます。  実は、あるコミュニティの指定地区へ参りまして住民と話をしておりましたら、住民が助役さんに、これは自治省のお声がかりでやっている施設だから金に糸目をつけないと言ったではないか、どうして茶わんと土瓶を買わないのかということを言っておりました。私聞いておりまして、茶わんと土瓶を買ったら今度は、どうしてお茶の葉っぱを買わないのか、どうしてお菓子を買わないのかという話に多分なるだろう。こういうことをやっておりますと、お役所から出たお金が続く間は活動をするけれども、なくなったらやめてしまうということになりかねないと思います。  その点では、総理府の関係団体でございます が、以前新生活運動というところで生活学校というのをやっておりましたが、この場合には三年間だけ活動経費補助しておりました。三年たつと打ち切って、そうしますと、多分生活学校の過半数は、もうお金がなくなっちゃったからやめようということになります。しかし、三分の一ぐらいは、今度は自前でやってみよう、あれは楽しかったじゃないかということにだんだんなってくるというのが出てまいりますので、活動経費は原則的に私は出すべきでないと思いますし、出し方の工夫が多分要るだろうというふうに考えております。  それから、念のために申し上げれば、もう一つは、全部お上というところはお金を出してくれるものだという観念が非常に住民に強うございます。それで、社会教育にいたしましても普通はただでございます。先ほど申し上げました世田谷の市民大学は、年間三万円であったかと思いますが授業料をとっております。もちろん経費に見合ったほどの授業料ではございませんけれども、それをちゃんと払って勉強するということが非常に大事ではないかというふうに私は考えております。  それから、よろしゅうございましょうか、ちょっと申し落としましたが、実は非常に残念に思いますのは、そういう分け方をしますと、ソフトとハードという分け方が可能だと思います。ソフトを重視しろということであるから活動経費を出すんだ、こういうことに論理的にはなっております。ソフトの意味の問題点でございますけれども、行政が負担すべきなのは実はソフト活動を引き出すようなところにお金を使うべきであって、活動の直接のお金ですね、住民運動会して商品を出しましょうというようなそういう形で出すべきではないというふうに申し上げたかったわけでございます。  例えば、どうやったならば今の住民の活動が出てくるのかというような経費でございますとか……。ちょっとこの例の方がよろしいでしょうか、大阪で行われている例でございますけれども、地区の町づくりについて地区の住民の意識調査、住民がどう考えているかという調査を住民団体に任せまして、その調査費を役所が出している例がございまして、私はこれはすばらしい発想だというふうに思っております。住民が自分たちで、この地域を自分の周りの人はどうしたらいいと思っているのかということを調査いたしました。これは大変な仕事であったと思うんですが、こういうことまで身銭を切ってやれというわけにはいかない、これは経費を出すべきだと思いますが、これをいわゆる調査会社任せにしないで住民自身にする機会を提供した。そういう意味では、お金がこの場合には生きた活動経費になっているのではないか。  そういう意味で、ちょっと誤解を招くようなことを申し上げたんですが、住民が自分に返ってくる活動経費は決して出すべきではないと私は思いますし、先生御指摘のとおりだと思います。それから、それによって住民が関心や意欲を持つようになり、かつ自分がおまんじゅうを食べるんではなくて、自分がそれを調査して、そしてその調査の費用、印刷費とかなんとかいうものはそちらから出てくる。こういうやり方であればそのお金が生きてくるのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  76. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) 以上で倉沢参考人に対する質疑は終わりました。  倉沢参考人には、お忙しい中を本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。小委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  なお、本日御提出いただきました参考資料等につきましては、その取り扱いを小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 海江田鶴造

    ○小委員長海江田鶴造君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本件に対する調査は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会