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1985-11-28 第103回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十八日(木曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  十一月二十七日     辞任         補欠選任      福田 宏一君     秦野  章君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小山 一平君     理 事                 工藤万砂美君                 堀内 俊夫君                 増田  盛君                 青木 薪次君     委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 古賀雷四郎君                 志村 哲良君                 秦野  章君                 服部 安司君                 松本 英一君                 大川 清幸君                 上田耕一郎君                 安武 洋子君                 山田  勇君    国務大臣        建 設 大 臣  木部 佳昭君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  河本嘉久蔵君    政府委員        国土庁長官官        房長       吉居 時哉君        国土庁土地局長  末吉 興一君        国土庁防災局長  杉岡  浩君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房総        務審議官     佐藤 和男君        建設省建設経済        局長       清水 達雄君        建設省都市局長  牧野  徹君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省道路局長  萩原  浩君        建設省住宅局長  渡辺  尚君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        内閣審議官    松山 雅昭君        大蔵省理財局国        有財産第一課長  川嶋  烈君        大蔵省理財局国        有財産審査課長  藤村 英樹君        自治省行政局行        政課長      柳  克樹君        自治省税務局固        定資産税課長   佐野 徹治君    参考人        東京都立大学教        授        渡部  丹君        住宅都市整備        公団理事     京須  實君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (地震対策に関する件)  (国有地有効活用推進の在り方に関する件)  (大京観光土地建物取引に関する件)  (住宅減税に関する件)  (地価評価に関する件)  (地代家賃統制令の廃止問題に関する件)  (火山の爆発対策に関する件)     —————————————
  2. 小山一平

    委員長小山一平君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、福田宏一君が委員を辞任され、その補欠として秦野章君が選任されました。     —————————————
  3. 小山一平

    委員長小山一平君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業及び建設計画等に関する調査のため、本日、東京都立大学教授渡部母君及び住宅都市整備公団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小山一平

    委員長小山一平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 小山一平

    委員長小山一平君) 建設事業及び建設計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 秦野章

    秦野章君 きょうは渡部教授にお越しをいただいて、地震学というよりも地震工学の方の権威でいらっしゃる方ですけれども、この間のメキシコ地震においでになっていろいろ調査をしてこられたんですが、その結果の概要をまずちょっと。日本、特に南関東なんかそうですけれども地震というものが最近またいつ起きるかというようなことで専門家がいろいろ意見を出されておりますけれども地震というのはいつ起こっても、起こり方によっては大変な災害をもたらすし、そういう意味では絶えずそれに備えるということは大変大事なことだと思うんですけれども地震そのものよりも地震工学立場ごらんになって、日本行政なり政治なりの上でいろいろ検討を要するといったような問題があるいはあるかもしらぬ、そういうようなことを前提にしてその概要をまずちょっと先生に御説明を願いたい、こういうわけでございます。
  7. 渡部丹

    参考人渡部丹君) 渡部でございます。  私メキシコに参りましたのは、地震が発生して三日後でございます。だから、九月の十九日に発生しまして九月の二十二日に行っております。  地震規模を示しますのはマグニチュードでございますが、八・一という値でございまして、いわゆる関東大震災の七・九に比べますと〇・二大きいんですが、エネルギーにしますとちょうど倍ぐらいの大きさ、メキシコの方が倍ぐらいのエネルギーの大きさになります。  震源は、ラザロカルデナスという人口約十一万ぐらいの臨海工業地区真下あたりの、三十三キロぐらい下のところであったわけですけれども、その震源真上あたり地区では地盤がよかったためにほとんど被害はありません。もちろん、全然ないというわけではございませんでした。それから震源にもいろいろとパターンがあると思いますけれども、それは予想される関東大震災と同じような潜り込み型といいますか、そういうものだと聞いております。  地震震源から出ました大きな揺れ、それが実際にメキシコ市に着くまでには一分半かかっております。約九十秒から百秒ぐらいかかっている。四百キロメートル離れておりますので一分半かかっているんですが、この時間差を有効に使えば人命の損傷というのはもう少し防げたのではないかと思われます。また、逆にこれを考えてみますと、東京都でも、直下型というのはすぐですから別ですけれども直下型を除きますと十数秒の時間差がございますので、この時間を利用していろんな地震防災には役に立つと思います。事実、もう役に立てているものもあると思います。  それからメキシコ地震は、今世紀に入りまして地球上で第二ランクといいますか、二番目ぐらいに大きな巨大地震だったんですが、この巨大地震地面揺れ方というのは普通の予測したものよりも約二倍から三倍ぐらい上回っております。特に、ゆっくり揺れる、行って返ってくるのに二秒から三秒ぐらいかかるような、そういうゆっくりと揺れます地面揺れ方に関しましては、メキシコ市というのは特殊な地盤事情がございますが、それによるものと考えられるんですが、過去に経験しましたこういうようなゆっくりな揺れ方の中では最も強いものでした。こういうゆっくりとした地面揺れ方については、今後の研究課題だと思います。  メキシコ市内で倒壊しました建物の特徴を要約いたしますと、まずは、英語ではパンケーキコラプスと申しておりますが、ホットケーキを重ねたように、ほとんどすき間のないように一階と二階、二階と三階がもろく崩れた格好になっているものが多いということです。それから階数にしますと、八階から十四階、いわゆる中高層建物が多かったこと、それから施工技術に相当問題があったかもしれないということ、それから地盤沈下の激しいメキシコ市内でもごく限られた、面積にしますと一%以内の地域に災害が集中していたということです。それからかたい地盤上の建物は全く無被害でしたし、それからいわゆる超高層、二十階建て以上の建物損傷は受けておりません。そういう意味で、地盤とか地形などによって被害に大きな差が生じております。  火災は三件とも四件とも言われておりますが、類焼はありません。これは可燃物が少なかったからだと思われまして、ぼや程度火災は相当多く発生したのだと思います。それがただ大事に至らなかったと思います。そういう意味で、可燃物が少ないということが火災による二次災害がなかった最大の原因になっております。  災害を統計的に見ますと、メキシコ市の人口は約千七百万人と言われておりますが、死者、行方不明を合わせて七千から八千人でございます。そうしますと、メキシコ市の中では二千五百人に一人の割合ぐらい、負傷者が意外に少なくて八千人から統計によりますと二万人とも出ていますが、一般には死者割合に対しては少ないです。メキシコ市内での倒壊しました建物が五百棟ぐらいでございまして、メキシコ市内の全戸数が二百五十万戸ございますから、そう考えますと、五千戸に二月の割合で倒壊したということになります。被害総額は二兆ないしは三兆円と言われております。  前にも述べましたように、ごく限られた部分被害が集中しておりましたので、救助とか救援活動も非常に円滑なようでした。新聞とか報道ごらんになったと思いますが、犬によります瓦れきの中の生存者の発見など諸外国からの救援活動も非常に敏速に行われて、毎日、報道をにぎわしておりました。特に、レーガン大統領夫人の電撃的な見舞い訪問というのは極めて印象的でございました。  以上でございます。
  8. 小山一平

    委員長小山一平君) 秦野君にお願いいたしますが、建設委員会では起立して発言をするという慣例になっておりますので、そのようにお願いをいたします。
  9. 秦野章

    秦野章君 大変恐縮ですが、私がここでお尋ねするのは、日本に、あるいは東京に、南関東に、あるいはそのほかに地震が来る。ゆっくり型のメキシコ地震というお話だったけれども、リアルにそういったような地震が起こったときの日本におけるそういう地震の影響ということをポイントに絞ってお話しいただけばありがたい。  メキシコ地震の態様は大体新聞やなんかでわかってますし、それはそれとして、お見舞いの問題とかなんかいろいろあるんですけれども、それは別にしまして、きょうは地震工学のその立場で、日本で例えばああいうスタイルの地震は絶対起きないということは言えないでしょう。起きることもあり得るわけでしょう。あるいはまた、それに似たようなものが起きるということもあり得るわけだ。そのときに、例えば建築基準法だとか、そういうもので建物建て都市開発をこれからもやっていくでしょうけれども、かつての過密都市の中でいろいろつくられてきた建物とか、そういうものに対する被害可能性というか、今のような日本行政の中で是正するものがあるのじゃないか、そういう観点の話がぜひ専門家立場で聞きたいんですよ。ひとつ、お願いします。
  10. 渡部丹

    参考人渡部丹君) はい、わかりました。  非常に難しい御質問なんですが、まずメキシコと同じ地震が起こるか。その大きさは起こると思いますけれども、いわゆるメキシコというのは湖底平野と言われまして、湖の底が固まってできたところでございます。日本にあれほどの大きな規模のものはございませんから、同じような揺れ方が来るとは思いません。それですけれども、それに近いものは考えられると思います。  日本に、振り返ってみますと、耐震関連建築基準法というのは昭和五十六年に、四年ほど前でございますが、五十年ぶりと言われる大改定が行われまして施行されておりますが、これは合理的で、かなり明快で、実用的であるということも含めまして、国際的にも誇れる内容だと思っております。  御指摘のあった地盤とかそういうので一体どうなるだろうかというようなことなんですが、メキシコ特殊事情と盛んに言っておりますが、先ほど言いましたように、メキシコ市でも被害を受けた地区というのは一%でございます。そういう意味で非常に細かく地盤を分けていく、それで地震に対してどうかというのをマイクロゾーニング微小区分化と称していますが、これをもう少し考えなきゃいけないかなという気はいたしますが、もちろん現行法においてもこのマイクロゾーニングというのは三種類の地盤区分によって一応あらわされているわけですけれども、この部分に関しましてはいろいろな意味で今後種々の発展が期待されると思います。  例えば、かたい岩盤とか礫層、礫というのは砂利みたいなものですね、礫層の上の建物とか、それから軟弱地盤上の中高層建物の大きな地震に対する耐震安全性、それを合理的にどのように確保していくかというのはやはり技術的に大きな問題として今後考えられると思います。  また、同じ地盤に建ちましても、変な話ですが、豚小屋だったらばつぶれてもいい。それですけれども、例えば、別の言い方をしますと、防災拠点とか、病院とか、放送局、それから大集会場など、社会的に重要な建物などは巨大地震が来ても余り壊れないようにすることが大切だと思うんですが、これを用途係数と申しております。このマイクロゾーニングとか用途係数についてに、今後詳細かつ積極的な研究開発が行われた方がいいと思いますし、現行基準当該部分が多様化できることになると思います。  それでよろしゅうございますでしょうか。
  11. 秦野章

    秦野章君 なかなか抽象化しているのだけれども、今メキシコ地震から学ぶ具体的な行政上の観点というものは余りありませんか。格別ありませんか。
  12. 渡部丹

    参考人渡部丹君) 先ほどちょっと申し上げていますように、いろいろ細かいところは先ほど言いましたようにありますけれども、やはりマイクロゾーニングというよりもう少し学問的に進めていずれ行政に、すぐには無理だと思います。今でもかなり先取りをされた基準だと考えられておりますし、世界的にもそう考えられておりますが、それをさらに先の先をとるというのはすぐでは無理かもしれません。  それかり、もう一つ用途係数。それはある程度今でもありますけれども、それを取り入れるのはそれほど大変ではないにしても、今直ちにということではないかもしれません。
  13. 秦野章

    秦野章君 そういうことなら、さしあたって例えば何か法令を改正するとか、そういうことは余り要らぬわけですな。  問題は、地震工学にしても地震学にしても、やっぱりもっと十分な投資をしていろんな調査をするとか研究するとかということが必要であることはこれは私どももわかるわけですけれども、その程度の理解でいいようなお話でございますが、国際的に見て耐震工学のレベルというのは日本はどの程度ですか。
  14. 渡部丹

    参考人渡部丹君) 私から言うのはちょっと幅ったいようなんですが、日本耐震工学というのは国際的に先導的でございます、それは日本地震国でございますから。  それで、過去にも国際地震工学研修とか第三国研修というのが外務省にございますが、それでいろいろな研修をやったり、それから日本とアメリカの共同の大型耐震実験なんというのもいろいろとやっております。そういう意味で、国際技術協力はこれは行われてはおりますけれども、この分野国際技術協力に対してもっと積極的に推進する必要があるのではないかと思います。災害時の困難なとき、そういうときこそ人の情けが通じるという気がいたしますので、血の通った地震防災技術協力、そういうものを通じまして日本国際的信用をぜひ高めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  15. 秦野章

    秦野章君 今の例えば国際協力でも、具体的にはどういう協力ですか。一般論としてはわかるんですよ。すべてこれ、これから国際協力をやらなきゃ技術でも何でも進歩しませんから。具体的に今、先生がお気づきになった、例えばこういうことをこうやったらという、そういうのはありませんか。
  16. 渡部丹

    参考人渡部丹君) 今三つほど例を挙げましたけれども、例えば現在がなり大勢の海外の学生、学者を日本に呼んで、それでこういう分野地震工学分野研修しております。それからいろいろな意味会議をやっております。やはりそういうものを大いに今後発展させる、今ないわけではございませんけれども、まずはそういうものをもっと活発化させるといいますか、そういうことは大切だと思います。  それからもう一つ、言いにくい話になるかもしれませんけれども、今回のメキシコ地震などは非常に対応は早かったと思います。日本にしてはというと怒られますけれども、非常に早かったと思うんですけれども、諸外国に比べるとやはり対応が遅いこともあります。そういう意味で、今回随分早いと思いながらも、諸外国援助援助というよりもむしろ調査、そういうものの出方を見ますと、かなり早くさっと出ている。そういうのを今後ますます、例えば起こった翌日ぐらいにさっと政府方たちが行けるとか、そういうことは金の額ではなくて血の通った技術協力なり人情に通じるというところがあるような気がいたします。
  17. 秦野章

    秦野章君 そういう協力なり、いろいろ国際間の交流の観点から早急にやるということは当然必要だと思いますけれども、その辺にして、どうもありがとうございました。  委員長渡部先生は結構でございます。
  18. 小山一平

    委員長小山一平君) 渡部参考人、どうもありがとうございました。
  19. 秦野章

    秦野章君 建設省民活法案を準備しておられますけれども、この民活に関連して国有地調査総務庁がやりましたですな。国有地調査をやって、その調査総務庁に集まっているということなのだけれども、その辺の経過をちょっと。各省庁から上がってきたものはどのぐらいあるのか。
  20. 佐藤和男

    政府委員佐藤和男君) 後ほど包括的な御報告があると思いますが、十月十五日の経済対策閣僚会議で決めました内需拡大に関する対策のペーパーの中で報告されておりますものでは「民間活力活用可能土地選定」といたしまして国有地一つ掲げられてございまして、まとめまして計二百七十八件、百六十二・二ヘクタールとございます。それから国鉄用地に関しまして、五十九年二月、梅田南初め十件、三十ヘクタールについて選定を行った旨の報告がしてございます。
  21. 秦野章

    秦野章君 これは各省庁があなたの方に報告した分ですね、報告というのか選定というのか。国有地はたくさんあるわけだけれども、その国有地の中で民活に妥当するであろうということで選定した分ですね。
  22. 佐藤和男

    政府委員佐藤和男君) 私ども建設省と申しますよ力は、内閣総理大臣本部長とする国有地等有効活用推進本部報告されたものでございます。
  23. 秦野章

    秦野章君 報告されたということは、要するに各省庁がこの分については民活対象として選定をして出した、こういう意味でしょう。
  24. 川嶋烈

    説明員川嶋烈君) 私、大蔵省でその担当をしておりますが、ちょっと経緯を申し上げますと、行革新国有地の総点検をしていただきました。その行革新、これは総務庁も関係されているわけですが、そこで答申をいただきまして、その中で、民活可能土地大蔵省がその答申の考え方に基づいて総点検を行い、国有地等有効活用推進本部報告する必要があるという答申をいただきました。この答申が七月二十二日に出て。おりまして、その後、大蔵省では引き続き作業をさしていただきまして、その結果、九月になりますけれども、百二件、八十五・七ヘクタールの民活可能土地選定いたしておるという経緯でございます。
  25. 秦野章

    秦野章君 その選定した部分の中には、大蔵省が管理している国有財産も入るわけだ。
  26. 川嶋烈

    説明員川嶋烈君) 大蔵省の管理しているのも入りますし、それぞれの省庁が管理しております特別会計のものもあります。
  27. 秦野章

    秦野章君 これは卑近な例なんだけれども週刊誌か何かに大分前に出たのだけれども、九段の竹平住宅というのがあるのだよ、引揚者が入っておって。高速道路の下のところに古いアパートのようなものがあって、あれは半分以上入っていないのじゃない、がらがらじゃないのかな。あれは大蔵省が管理しているのだよ。ああいうものは入っていないのだよ、この中に。そういうことで、私は選定された部分が、民活をやればそれが有効に都市開発に貢献するといったような、そういう角度で果たして十分にやれたのだろうかというちょっと疑問があるのだけれども、そのための参考として九段の竹平住宅四千平米ぐらいあるのだけれども、あれがずっと戦後、大都会東京のど真ん中にバラックみたいなものがあるわけだ。国有地なんだよね。その経過はわかっていますか。
  28. 藤村英樹

    説明員藤村英樹君) 先生ただいまお尋ねの竹平住宅でございますが、これは戦前の昭和九年に憲兵隊の官舎として建設されたものでございます。戦後、この住宅進駐車に接収されまして、在日米軍施設日本人従業員住宅ということで使用されてまいりましたが。三十年四月に返還された後も引き続きそのままの状態従業員住宅として貸し付けを行ってきているところでございます。また同時に、千代田区の要請もございまして、海外からの引揚者入居させるといったような経緯もございました。  この住宅についてでございますが、御案内のとおり、三階建て建物が現在四棟ございます。全部で百二十戸ほどの規模でございますが、三十五年の三月を最後に新規の入居は打ち切っておりまして、その後、建物老朽化等に伴いまして逐次退居者があったということの結果、現在では、ただいま先生お話のあったとおり、これはちょうど半分ぐらいでございますが、六十世帯を対象といたしまして貸し付けを行っている状況でございます。
  29. 秦野章

    秦野章君 外観から見ても、確かに三階建てだけれども、実に古色蒼然とした都会真ん中にふさわしくないものであるし、半分は入っていない、がらがらなんだよね。もちろん、そこに入っている人はそれ相応の処遇をして出さなきゃいかぬことは当然だけれども、ああいうところの四千平米もある土地というものがそういう状態で長年、これはずっと百二十軒出るまで待っているのかね。私は、そこに非常に疑問を持つのだ。こういうものを民活対象にして、大蔵省が例えば公正な払い下げをして民間にやらせれば——やっぱり役人が、大蔵省が、今六十戸あるけれども、この六十戸を移転させられるという腕は私はないと思うのだ、ただけんかみたいな騒ぎになるばっかりで。  大体、家賃はどのくらい取っているのだ、それを教えてくれよ。
  30. 藤村英樹

    説明員藤村英樹君) 入居者の入っております部屋の面積に応じてまちまちでございますが、今は月額で大体一戸当たり一万数千円から二万円ぐらいの幅でございます。したがいまして、平均的に申し上げますと、一戸当たり年間で約二十万円という貸付料になっております。
  31. 秦野章

    秦野章君 世間相場からいえば、都市の中央でそういう状態を放置することは社会的にもロスだと思うのだよ。だから、やっぱりそういう人たちが入っていくようなところももちろん用意しなきゃいかぬけれども、私はこの一つの例を見ても、国有財産都市開発ということに焦点を当ててインパクトを与えるようなそういうプロジェクトというものをつくって、そしていろいろつくらして募集して、そして競争入札でもって公平な再開発に臨んでいくというような、そういう姿勢があの一つの例をとってもほとんどないのじゃないのか。おざなりに、ここがあいていますよということで出した土地が、今お話しのように八十五ヘクタールか何かあるわけだけれども、この一つの例をとっても大変消極的に見えるのだけれども、これは私だけの意見じゃなくて、だれでもそう思えるのじゃなかろうか。だから、大蔵省が管轄している今のところも、何かいま少し積極的な手がないものだろうか。  この間の予算委員会でも私が言ったわけだけれども国有地払い下げという問題についていろいろ疑惑を招くようなことがないようにするためには、都市開発インパクトを与えるようなしっかりしたプランをセットして、それと土地とをセットして、そしてそれを幾つも並べてやって、やり手は幾らもあるだろうから、そういうものを黄色入札にする。そういうやり方というものを仮につくるとしたら所管というものはどこになるのだろうか。これは総理大臣が民活本部長で、それから建設大臣と大蔵大臣が副本部長、これは看板だけだという感じがするんだよ。それは関係する役所には間違いない。建設大臣と大蔵大臣、総理大臣が本部長でやるといったって、これは看板をかけただけで、具体的に推進するということになるとどこがやるのだか、少なくとも外からはよくわからない。  それで、総理大臣が本部長になっているから総務庁か総理府に何か部屋ができているというようなことだけれども、ここはしかし連絡調整のような立場をやるので、具体的な推進力になるのは一体どこなのだろう。これは建設大臣、どこになるのだろう。これはやっぱり具体的に、総理が本部長になったら、どこがやるのかいうったって、三人副本部長がおられて、大変失礼な言い方だけれども、推進力になってやっていくというところが少なくとも我々から見ていると余り明確じゃないんですよね。やっぱり民活というのは、世の中もだんだん不景気になっていくような感じもせぬでもない。経企庁の見通しを見ても、若干輸出産業の後退を中心にして余り景気というものは明るくないと思うのだけれども民活、民需の拡大、そういう方向に努力しないと国際経済にまで響いてくるから、どうしたってこれはやらなきゃいかぬと思うのだけれども、手っ取り早いのはそういう遊休の、そして再開発というか、やっぱり活用できるのだというところを積極的に推進していくような、そういうことをどうしたらいいのか、ちょっとどこか答弁してくれないかな。
  32. 佐藤和男

    政府委員佐藤和男君) 現在の国有地等有効活用推進本部の機能について御批判のある御質問でございますが、私どもといたしましては、この中に置かれております企画小委員会でほぼ月に一回以上のペースで、大蔵省の方から今ほどの民間活力活用化の土地選定などのいろんな御報告がなされ、また一方の国鉄用地をいわば監督されています運輸省の方からの御報告もあり、私ども建設省といたしましては、そういうことで出てまいりましたような土地に関して、例えば六十年度から始めております新都市拠点整備事業とか特定住宅市街地総合整備事業などによって国公有地の利活用に関してのいわば公共投資の集中的な活用ということを進めておりますし、一方、手続的にも住宅都市整備公団を活用して、この土地についていわば社会資本の整備を行った上で利活用の方向を固めていくという方向づけが建設省の事業として行えるものと思っております。その意味では、利活用面においては私ども建設省が中心的な役割を担っているものと思っております。
  33. 秦野章

    秦野章君 確かに住都公団の活用というのは大変有力な手段だと思うのだけれども、あそこに資金を用意し、場所を選定し、しかし今の国有地なんかの問題についてはいきなり住都公団が飛び出してくるわけにいかないでしょう。だから、やっぱり推進するといっても、住都公団にやってもらうのが一番いいと思うけれども、今の何かやるやるといっても入り口のところでちょっとつっかえちゃっているようなそういう感じがするのだよ。例えば住都公団、今の私が言った竹平、あそこは大蔵省が持っているからできないけれども、仮にあれを大蔵省がやっぱり再開発に焦点を当ててやっていこうと決断したら住都公団はやりますか。
  34. 松山雅昭

    説明員(松山雅昭君) お答え申し上げます。  私どもの方は今、内閣総理大臣本部長をいたしております国有地等有効活用推進本部の事務局を担当させていただいておるわけでございますけれども、現在の国有地等有効活用推進本部の成り立ちでございますけれども、若干御説明させていただきたいと思います。  本部ができましたのは五十八年十月でございます。これは何のためにできたかと申し上げますと、国有地等の有効活用というのは都市開発その他の面において非常に有効な措置であるという観点に立ちまして、しかしながら関係各省がばらばらにやるのではこれはよろしくない、何かうまい方式がないものだろうかということから関係各省が集まりまして一つ国有地等有効活用推進本部というのが一昨年の十月二十一日、閣議決定に基づきまして設置されたものでございます。  その本部の仕事を若干御説明させていただきますと、まず先生御指摘ございましたように、いわば非効率的土地利用と申しますか、こういうものにつきましては民間活力活用可能土地としての選定をやっていただく。これがまずそれぞれ、国有地につきましては大蔵省が、それから国鉄用地につきましては運輸省及び国鉄が選定をし、本部に上げてくる。本部に上がってまいりますと、私どもの方の本部といたしましては、関係各省が集まりまして、具体的に上がってまいりました個々の財産ごとにこれをどのように利用、処分したらいいかということを相談してまいるわけでございます。そういう場におきまして十分関係各省うまく話し合いまして、いい知恵をお互いに出し合いまして協議しながら一つの方策を見つけていくということに相なっておるわけでございます。
  35. 秦野章

    秦野章君 そんなわかり切ったことを何ぼ聞いてもしようがないのだけれども、これはもっと高度な判断を要する問題かもしれませんが、ひとつ建設大臣、今のような調子で選定を各省がやって総理府の方へ集めたということだけで、そこから私余り前進しないと思うのだけれども、各省が選定すること自体にも問題がある。選定を積極的にやるであろうか。私、今竹平の例を挙げたのだ。あえて例を挙げたのだ、九段の住宅の例を。これはだれが考えてもやっぱり再開発をやっていいところなんですよね。そういうのが都会にもいろいろあると思うのだけれども、これをもっと具体的に次元の高いところで、下が判断をしたり、下が計画したりするのはいいのだけれども、前向きになるような具体的な方法をぜひひとつ政府の中で相談してもらわぬと絵にかいたもちみたいな感じがしてならぬのであります。  これは幾ら言ってもしょうがないけれども、前進をするような工夫をちょっと建設大臣にしてもらえぬかな。そうでないと、大変難しい問題だけれども、少なくとも私は選定について各省が必ずしも積極的ではないということと、それから選定されたものを民活に活用するに当たっての要綱というのか、法律が要れば法律をつくらにゃいかぬけれども都市開発に要するに貢献するようなセットにして土地払い下げる。土地だけ売るというのじゃなくてやっぱりセットにした方が、そしてそれを競争にした方が公平感もあるし、世間の目もいいのじゃないか。これは国鉄についても同じだと思うのだけれども、国鉄については政府はあれが会社になっちまうものだからできないということではないのだろうと思うのだよ、国の財産ですから。そういう方向でやってもらうような方向にいきますかな。どうでしょう。
  36. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 今、秦野先生からお話がございましたように、秦野先生は恐らく民間活力でいろいろ都市の再開発を進める場合には今のような調整機能だけでは有機的な機能が発揮できない、そういう点についてどう考えるかという御質問だろうと思います。  私は、政治家として考えてみますと、いろんな手法がいろんなふうにあると思いますが、私は率直に申し上げて、今、秦野先生の御指摘になったようなそういう考え方に賛成でございます。といいますのは、例えば土地の問題なんかにつきましても、国鉄の用地跡の問題なんかは、もちろん売る方の立場から言わせれば、個人でも役所でもそうですが、高い方がよろしい、買う方は安い方がよろしい、こういう原則は原則としてあるわけでございましょうけれども、いやしくも例えば民有地につきましては国土法で国土庁の方が一応法律の枠ではめてある、ところが国公有地の方につきましてはこれが青天井で幾ら高くてもよろしいというような点の矛盾というものは率直に言って私は認めざるを得ません。  そういう点で、秦野先生のおっしゃるように、基盤整備その他につきましては公団がやるとか、その他の例えば建物建てるとか、いろんな都市の再開発の具体的な推進に当たってはワンパッケージで、公開で、そしてそれに応募できる資格というものを持っている皆さん方を、そういう選定委員会のようなものをつくって、そこでチェックをして、公にして競争でやるということの方が私は一番効果的なものじゃないか、それがまた民活の精神だろう、そういうふうに今実は考えておる次第でございます。  したがって、これから私どもが今民活の法案を国会へ提出すべくいろいろ準備を党と一体になって進めておりますが、そういう中にあって、今申し上げたような問題につきましても、もう少しスピードが速く、そして国民からも疑惑を持たれないように公正にそういうものを実施すべきであるという考え方は基本的には一致しておる、私はそう思っております。でありますから、そういう問題等につきましても私どもといたしましてもこれは具体的に検討する考え方を持っておる次第でございます。
  37. 秦野章

    秦野章君 総理も私の考えに大体賛成だと予算委員会ではおっしゃったけれども、それをやっぱり具体化して実現ができる方向にひとつ御努力を願いたいと思います。  それからその次は東京湾の横断道路なんですけれども、けさの毎日に、第三セクターへの財投資金の直接活用という記事が出ていましたけれども、今の財政事情からいけば建設国債だとか、一般財源でできるわけはないので、何かやっぱり財源の工夫というものは、この新聞に出たような方向でもいいし、免税債でもいいかもわからぬが、いずれにしてもそういう方向でいかざるを得ぬだろうと思うのだけれども、けさの記事の方向というのは大体間違いないですか。
  38. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 東京湾横断道路の財源につきましては、先生御指摘のとおり多額の建設費を必要といたしますので、どうしても有料道路事業として建設せざるを得ないということになっておりまして、昭和六十一年度の概算要求はとりあえず日本道路公団で要求をいたしております。  それで、けさほどは、財政投融資、これを、通常は公団であるとか特殊会社でないと出さないというのが現在のルールであるのに、通常の一般の会社にも出せるような施策をとるということが報道されておりますけれども、この点につきましては私ども全然連絡も受けてございませんし、どこから出た情報かということについてもまだ確認がとれていない状況でございます。
  39. 秦野章

    秦野章君 要するに、もっと上の方の話し合いがあるのかもわからぬと思うのだけれども建設大臣は聞いておられますか。やっぱり資金の問題というのは普通の方法では無理だろう。そうかといって次から次に似たようなことをやることもできないという意味もわからぬではない。わからぬではないけれども、その間に立って、やっぱりこの際民活という観点から、民需拡大という観点からやらなければしょうがないという立場もあるわけだから、党の方でも今まだ決着ついていませんけれども、方向としてはこれは工夫せざるを得ないと思うんですよね。どうでしょう。——だめだよ。大臣でなきゃわからぬじゃないか。
  40. 佐藤和男

    政府委員佐藤和男君) 私のわかっている範囲でお答えいたします。  東京湾の横断道路のようないわゆる公共事業分野への民間の参入というのは、当然のことながら採算に乗りにくいものでございます。それへの民間投資を促進するためには、採算性の確保なりリスクの軽減のために財政なり税制上の措置がどうしても必要だというふうに考えます。私ども建設省といたしましては、こういうプロジェクトへの民間資金の導入方策として、企業体が発行する社債等についてその利子を非課税とするような税制改正措置を要望しているところでございます。これが認められれば、こういう呼び水的な財政負担と申しましょうか、そういうことによって長期低利の資金の導入が図られて、いわば東京湾横断道路についてもこういう制度のもとで実施が可能となり、民間活力の趣旨に沿った方向がとり得るものというふうに考えております。
  41. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 自民党の党の方にも民間活力の調査会もございますし、秦野先生も自民党政調の東京湾湾岸道路の委員会の委員長でいろいろ御指導をいただいているわけでございます。  そこで、今、新聞の記事を実は初めて読ましていただきましたが、「財投資金を面接活用」ということの見出しになっておりますが、総務審議官からもお答えいたしましたように、私ども民間活力ということになりますと、第一番に民間の皆さん方の経済的支援、それから民間の持てる技術革新の時代に対する技術を広く求める、それから一番法案の大事な免税債を通称言っておりますが、私どもは特定公共事業債と言っておりますが、そこの社債を発行した者に対して税制上の免税措置をしていただく。これによれば、恐らく私は建設国債とは違いますから、これが将来例えば三十年なら三十年後にペイした場合にはこれは国の財産になりますから、そういうふうに民間の皆さん方の資金的な援助協力、これを求めると同時に、今申し上げますように、第三セクターなりが発行する事業債について免税的な措置をお願いしたい。こういうふうなことで、今そういう方向で実は法案の取りまとめをさしていただいているところでございます。
  42. 秦野章

    秦野章君 大蔵省の山口次官の談話で「第二の予算といわれる財投の活用や民活で工夫したい」という、これだけじゃわからぬけれども、こういう言葉も出ているのだけれども、トップの記事だからそう全然根も葉もない記事が出るわけはないので、私も実は開発委員長を党の政調でやっているものだから、そうかといって簡単に結論を出せないものだからあれなんだけれども、免税債というのは大正十二年の震災と日露戦争のとき出しただけだ、とても例外中の例外だから東京湾に橋をかけるようなことに免税債は無理だというふうに言われてもきたし、私もあるいはそうかなとこう思ってきたのだけれども、とにかく大正十二年の地震のときや日露戦争、日露戦争は例外として、あの当時と日本の経済、社会の実態が変わってきた。  あえて言うたらば、国民が中産階級化して、しかも自由社会なものだから、アングラマネーとは言わぬが、アングラマネーに準ずるような金が相当世の中にあることも事実なのだよ。だから、金はあるのだ。ある金をどういうふうに吸収するかといったら、これは税金だ。それは税制改革をやっていくのだ。だけれども、税制という権力手段だけでもって世の中の金を全部うまく公平に吸収できるかいったら、これまた必ずしもうまいこといくとも限らない。  だから、国民の持っている金を、そして明確な税の対象になるようなものだといっても、つかみょうのないようなものがあることも自由社会のこれはしようがない特質だと思うんですよね。それでも何でも権力でお金というものを規制し統制する、あるいは税金で取るというようなことよりも、何だかちょっとわからないけれども銭はいっぱいあるようだという社会が私は自由社会だという感じがするんですよね。この特質が自由社会なのだから、そういう意味においては免税債もいいのじゃないかというふうに私も考えが変わってきたわけだよ。  変わってきたけれども、私も開発委員長で、そういう案を言い出してもいいのだけれども政府もいろいろ悩んでいるし、大蔵省も悩んでいるからあえて今まで言わずにいるのだけれども、少し世の中が変わって、自由社会におけるお金というものが今、日本でどうなっているかといえば、金は結構あってアメリカにもどんどん流れているということだから、それをうまく民活で活用するには免税債のようなものだっていいのじゃなかろうかというような感じがしてきたのだけれども、いずれにしても東京湾横断道路というのは確かに大きな日本的プロジェクトだから、どうしたってこれをやれば、やることは大体政府も与党も決めているので、ぜひひとつこれは積極的に必ず来年度着工という方向でやってもらいたい、これは要望しておきます。  それから、あと最後に一つ。この前も予算委員会で申し上げたのだけれども、時間がないものだから、あのときに建設大臣の答弁の中で河川というものを多目的に使うという問題について、全国の河川調査もやって、できるだけ積極的に検討してみょうというような御答弁をいただいたわけでございますけれども、私は特に都市でもってモータリゼーションでとにかく車がたくさん動いて、そして交差点でブーブーとガスを吹かして、とにかく道路道路言うけれども、やっぱり公害の問題というものを考えると、東京あるいは京浜工業地帯なんかではどうしても環状型の道路をつくらないといろんな意味で交通渋滞があってうまくいかないんですよ。  特に、窒素酸化物ですね、道路の関係では。これはどうしたって、環境庁でも六十年までに基準を達成すると言ったってこれもなかなかできそうもないという状況だから、そういう側面も考えてみて、自動車が交差点ごとにとまるのはしようがないのだけれども、とまって、何回も回転するまでずっととまって、それでスタートするときにはブーブーとガスを次かさなきゃいかぬ。何遍も次かさなきゃいかぬ。あれで空気が汚れるという事態は、やっぱり建設行政の方でも当然高く認識していなきゃいけない。そういうことだと、どうしても通過交通を減らしていく、そしてスピーディーに走るということによってガスというものは少ないですから。そういう意味で、環状道路の建設ということにうんとひとつ力を入れてもらいたいと思うんですよ。  モータリゼーションをチェックする、減らすわけにいかないんですから、物と人間を運ぶということによって初めて経済の維持ができると思いますので、そういう観点で、田舎は田舎なりに重要な問題あると思うけれども都市部における交通路の問題でぜひひとつ、河川の中で多摩川とか、私の県なら相模川もそうなんだけれども、片っ方の堤防なんかは使えるんですよね。  私、ゆうべも通ったのだけれども、箱崎から六号線でしょう。箱崎から向島の方へ行く道路は堤防を使っているわけですよね。河川局はなかなか強いから堤防を使わせないという感覚も強いのだけれども、場所によるので、堤防のところを、堤防にもいろいろあるから無限というわけにはいかぬと思いますけれども、堤防というものをうまく使って、土地買収というものは非常に困難でもあるし、六号線箱崎から向島の方へ行く道路が、決してあそこに高速道路ができたから非常にぐあいが悪いというそういう声もないし、それも全然ないわけですわな。  そういう意味において、都市の道路、特に過密の道路の中で多摩川とか、ああいう道路は一方の堤防の外側を使えば、そしてそれを使うことによって、もっと技術をうまく使って流線型というか、やっぱり新道路、都市だから一種の景観として見た目にもいいという、ただ道路をつくりゃいいということじゃなくて、多少金がかってもいい道路をつくって、そこをスムーズに車が走る、そして環状型道路を、そういう方式で河川を使うということはぜひ必要だと思うんですけれどもね。  工事費の問題もありますから、今、都市土地がどんどん上がっちゃって、これを買収して道路をつくるといったって実際問題としてなかなかできないだろうと思うんですよ。都市の方は場合によったら地下道を開発していくということも一つの方法ですけれども、河川の問題は全国全体の問題というような考え方じゃなくて都市部において重点を置いて考えてもらう、そういうふうにぜひひとつ前向きにやってもらいたい、こう思うんですよ。  荒川なんか河川敷の上に道路を最近つくっているようなところもあるから、私は堤防の外側のところだったら一向に支障がなかろう、もし堤防の基盤が弱くなりゃ基盤を強化するだけの技術は今や日本にないはずはない、土木技術にないはずはない、こう思いますので、河川と道路の関係については、新しいひとつ調整というものを首脳部の方で考えてもらいたいということをいま一遍念を押してお願いをしたいと思いますが、ひとつよろしく。
  43. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 先般の予算委員会の際にも秦野先生から御質問をいただき、私その際に総点検をさしていただくということを答弁さしていただいたわけでございます。  まさに国土の有効活用というものは非常に大事な問題でございますので、今御提案いただきましたように、都市部に限って私どもは道路局と河川局の方で、どの程度の地域について、河川についてそういう問題が適用できるかということを前向きで実は調整中でございます。  先ほどの東京湾横断道路の、例えば一つの例として川崎縦貫道路というものにつきましても、今地元と調整、協議中でございます。そういう意味で、大変貴重な御提案をいただきましたので私ども前向きで検討さしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  44. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、マンション業界でトップと言われる、ライオンズマンションで有名な大京観光の悪徳商法、この問題を取り上げたいと思います。  八月八日の例の司法研修所跡地の入札で大分有名になりましたが、あれは都心の超一等地として国有地払い下げ第一号だったわけですね。六千七百平米、約二千坪、総額五百七十五億円で、坪当たり二千八百万円という一番札で大京観光が落札しました。地元の千代田区などは周辺の価格がまた上がると言って迷惑顔だったし、公示価格の三倍という値段だったので地価高騰の引き金となるのじゃないかと一方では非常に懸念された。他方では、あそこら辺は、いや、三千万から四千万だ、それを二千八百万円で落としたのだから大京観光さん安値でとったという声もあったんですね。  ところが問題は、国土庁は大蔵省などと一緒に事前に高値自粛の通達、行政指導をやったというんですね。大手は幾つかおりたので結局大京観光を助ける結果になったのじゃないかということが新聞紙上などで指摘されておりますけれども、国土庁、この経過を見て、どういう反省をされておられますか。
  45. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 千代田区の紀尾井町にあります旧司法研修所の跡地が入札にかかるということだけではございませんで、私どもとしましては、御存じのように最近大都市の都心部の商業地等で価格が上昇しておりますので、そういうことにかんがみまして、不動産業界に対しまして土地局長から適正な地価の形成への協力の依頼を行ったところであります。先生、今御質問がありましたとおりでございます。その内容は、地価の高騰する地域での著しく適正を欠く価格による土地取引は厳に抑えなきゃならぬということでありますので、そういう趣旨で業界に協力の要請をしたものでございます。  その価格がどういうふうに決まってどういう判断するかというのは、物の値段につきましての判断はそれぞれ評価の立場が異なろうかと思いますが、私ども国土利用計画法を所管している立場から申し上げますと、近隣の土地の値段、公示価格を基礎としまして、周辺の道路状況あるいは沿道の条件あるいは環境あるいは面積の広さなどを考えてみましても、そういう比較をしましても高額であるというふうな印象を持った次第でございます。
  46. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 国土利用計画法の発動などは、都心部の地価の急激な値上がり、去年と比べて五五%上がったということなども言われているんですけれども、全く検討の対象にはしておりませんか。
  47. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 現在のところ、規制区域の発動につきましては検討していないと言えばうそになりますが、当地域は公共団体である東京都の意向を十分参酌しなければいけませんので、東京都等とは連絡を密にして協議を進めたいというふうには考えておりますが、いずれにしましても、あの都心三区の地価の上昇については、まず実情を把握いたしまして、それが今までの私ども調査によりますと実需による、強いビル需要に基づく値上がりというふうに理解されておりますので、東京都とよく連絡をしながら事実関係を把握したり、あるいは監視体制を強めていったり、そういうふうにしてまいりたいと思っております。
  48. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題は大問題ですけれども、また別の機会にさせていただいて、大京観光問題を取り上げたいと思います。  大京観光の横山修二社長は国有地払い下げ民間活力導入の中心人物の一人で、国会でも何回も問題になった西戸山開発株式会社、あれに役員を二人出しています。それから公務員宿舎研究会のメンバーにも社長が入っている。しかし、非常に問題が多い。今はマンション供給戸数が年間一万戸を超えて、販売実績は七年間業界トップという大手に成長したんですね。ところが、これは一九六四年に設立されていて、最初は本当に小さな会社だった。それがここまで急成長した。非常に問題がやっぱり多いんですね。きょうは私、二つ問題を取り上げたい。  六四年に設立された小さな会社が急成長するに至ったルーツ、このルーツはどうも豊田商事ばりの悪徳商法だった、そう考えます。  私どもの機関紙の赤旗の十一月二十六日付でも報道をいたしましたけれども、その前に読売もこの問題を取り上げています。これは二十年前の那須なんです。読売は「夏草生い茂る那須地区」という記事で、八月十三日付ですけれども、「別荘地投機去りツケ重く」「九割が放置のまま 税滞納一億円に」という大きな記事を載せています。  皆さんよく御存じのとおりなので詳しく申し上げませんけれども、六〇年代から七〇年代前半に、那須を舞台に別荘業者が別荘地販売を物すごくやったわけです。人口二万六千人の那須町で登記している町外居住者は七万六千人に上るというような状況になっているんですね。大京観光もそれをやって、当時の新聞広告は、情緒豊かな温泉郷、広々とした高原、那須の御用邸などと広告を出して、畳一畳よりも安い、絶好のチャンスだという広告でテレビなどにもやったわけです。  我々のところにも訴えがありまして、最近、私ども現地へ行って調査をして赤旗で記事を載せたんですが、私どもに来た訴えの具体的なケースで言いますと、調べに行ってみたら、栃木県の那須じゃなくて福島県の西郷村だったんですね。地図がここにありますけれども、那須につながっているということで、これは大京観光の当時の宣伝の地図、(資料を示す)ここが県境で栃木県側だ、ここが西郷村で。一人の方は、六五年十二月に三百坪、坪千円で三十万円で買われた。もう一人の方は、二百五十坪をやはり坪千円で二十五万円で買われた。実際二千円なんだけれども半値にまけるといってやられたらしいんですけれども、大体農民から買ったのは百円以下だろうというんですね。坪百円以下で買って、それで坪千円で売りつけた。今度行って村役場で聞いてみましたら、固定資産評価額で今坪六十七円だと言うんです。二十年たって六十七円の土地であります。だから、余り安いので課税から除外されているというようなとんでもない原野なんですね。  やり方を被害者から詳しく聞きますと、本当に悪徳商法です。まず、土地そのものを見せない。東北本線の黒磯まで連れていって自動車で行くわけですな。休憩所があって区画図を渡す。私ども、この西郷村の土地区の区画図を全部集めました。今度行っても、その方が買った土地というのは近づけないんですよ、斜面で道もありませんし。本人も、もちろん行ったことがない、今地元の人はただでも要らない、あんなところはと言っているような大変な土地であります。  二番目に、手口は、大京ホテルにただで泊めて、それで図を見せる。すると、区画図に「済」「済」といっぱい書いてあるわけです。みんな買っているというので、大変これはお持ちになっていてももうかりますよということでやる。お一人は御婦人なんですけれども、男の人にえらい囲まれて、まだ決めませんかというので怖くなって判をついたというようなやり方なんです。実測図も非常にいいかげんなんですね。後ではかったら二坪多かったというので、また二千円追加の金まで取られるという状況です。  二十年の間、管理もされないで西郷村も非常に困っています。道路だけはつくってある、六メートル道路で。両側の二メートルずつは買った人に私道として分けちゃって、真ん中の二メートルは大京観光がいまだに持っているので管理責任はあると思うんですけれども、何もやっていない。非常に荒れ放題なんですね。それで、私も、これは建設大臣の免許業者なんですけれども、非常に悪徳のやり方だ。二十年前三十万円払った。今の金だと大変なんですけれども、しかしやっぱりみんな泣き寝入りをしている。被害者の数は非常に多いと思うんですね。  特に問題は、その人の買った土地なんか、これは実測図ですけれども、「済」「済」と書いてあるけれども、こんな土地で鉛筆みたいな土地なんですよ。大体、別荘なんか建てられるわけはないんですね。これはそれだけじゃなくていっぱいありますけれども、あっちこっちに鉛筆みたいな土地がいっぱいあって、とにかく買った値段の十倍ぐらいで売りつけてしまうというやり方でやったことは明白だと思います。新聞などでも取り上げられているんですけれども建設省としてこういう非常に無責任なやり方についてどういう見解をお持ちで、どういうふうに指導されようと思っておられるか、まずお聞きしたいと思います。
  49. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 先生御指摘のように、特に昭和四十年代におきまして、那須とかあるいは北海道とかいうところで土地も見ないで山林、原野の売買が行われたというふうな事例が非常に多かったことは事実でございます。こういうものは買う方が十分土地の状況とかなんとかわかった上で買っていれば問題ないと思うんですけれども、幻想といいますか、そういうふうな状況で買う、しかも売るに当たりまして温泉旅館に招待して売るとか、いろいろなことが行われていた。それにつきましては、建設省といたしましてもいろいろ指導をしたり、また実は四十年の初めのころは重要事項説明とか誇大広告の禁止とかいう規定は宅建業法になかったような状況でございましたので四十二年にこういう法改正をやりましたし、それから五十五年にはクーリングオフという一定の期間なら解約できる、そんなふうな措置も講じながらそういった適正でない取引が行われないように注意をしてきたわけでございますけれども、御指摘の大京観光の具体的な事件の中身については、私どももつい先だっての赤旗で見ただけで詳細はわかりませんけれども、今後本当に別荘を建てたいという気持ちでお買いになったのなら、そういうものが建てられるように、これは要するに民事上の取引としては完結していると思いますが、できるだけ会社側においてそういう対応がなされるように指導してまいりたいというように思います。
  50. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 黒森地区を調べに行ったところ、二、三軒建っているだけです。そこに入っている人もいて、これは会社関係の人で、水はポリボックスに入れて持ってくるのだ、たまに使っているけれども一般の人は電気もないし水道もないし無理でしょうなというので、本当にほとんど原野のままなんですね。確かに買った方の方も別荘建てるつもりじゃなくて、当時、ある利得の対象として買った人も多いだろう。読売新聞も、当時は四方四得だった、地主は高値で売る、開発業者もぬれ手でアワ、買い手は値上がりをもくろみ、地方自治体は財源の確保を考えたかもしれぬということを言っている。当時は四万四得のつもりで進んだのだけれども、結局石油ショックでああいう状況になったでしょう。結局、被害者が一番泣いて、大京観光、業者が一番もうけたわけです。  大京観光にこの問題で赤旗の記者が取材に行ったのだけれども、政党の機関紙にはお会いしないというのでコメントをもらえなかったので私ども試算してみた。この西郷村では十地区あります。全部で七百三十ヘクタール、六千四百区画。それから栃木県の那須の方は五土地区あります、この宣伝文書を見ますと。栃木県の五土地区は別として、この西郷村の方を調べてみると、全部分譲済みだとすると数千人の購入者がいる。千円、二千円、三千円なんていろいろあるのだけれども、最低の千円、私どもに訴えられてきた千円で計算しても二十二億円になるんですよ。土地区で二十二億円。そうすると、那須の方の五土地区がもし完売していだとすれば、我々もそこまでまだ調査は及んでいないけれども、数十億、多少道路をつくったりなんかしたから経費もかかったでしょうけれども、やっぱり大京観光のルーツがあの山野を別荘と称して売りつけて、そのときの大もうけで今の業界最大手と言われる成長のスタートになったのじゃないかと思うんですね。  今、局長は別荘を建てられるように指導すると言われたけれども建てられる場所じゃないんです、現地へ行ってみたら。そうしますと、支払い能力あるんですよね、大京観光というのはあれだけの最大手なんだから。三井、三菱に並び称せられると言われるところまで来ているのだから、希望者に対しては例えば大京が買い戻しするとか、そういう措置を講ずるような指導、これは考えられませんか。
  51. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) これは民事上の取引の問題でございますので、行政立場からそういう民事取引について介入するということはなかなかできがたいのではないかというふうに思っております。
  52. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いずれにせよ、私ども取り上げた問題、これは赤旗だけでなくて、さっき言った八月の読売にも出てますし、それで被害者につけ込んで何とかしてやると言って第三の会社が乗り込んで高値で転売してやるという、そういう詐欺まで生まれていますから、これはひとつ調べていただきたいと思います。
  53. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 調査をしてみたいと思います。
  54. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは、ひとつしっかり調べていただきたい。  そういうルーツで成長した大京観光が今何をやっているかということで、現在の問題点を取り上げたいと思うんです。  マンション建設は、日照権問題等々、付近の住民といろんなトラブルが起きやすくて、これまでもそれぞれの自治体、また東京都、建設省もこの問題の解決のためにいろいろ御努力もなさってきたわけですね。ところが、大京観光のトラブルは建てて日照権問題でどうこう、それで住民と話し合ってある妥結点でというようなケースでない悪徳商法ぶりがいろいろあるんです。例えば一つは、これは名古屋ですけれども、名古屋の東区徳川で建築予定だったライオンズマンショシ。これは国土利用計画法二十三条、これの届け出義務を免れるために、あれは二千平米以上は届け出にゃいかぬですが、千九百九十九平米で届け出た、一平米だけ減らして。実際には二千平米を超えていたんですよ。これがわかりまして、住民の強い抗議があった。これは建築を十月九日ついに断念という事態になったんですね。やっぱりこういうごまかしをやるわけですな。この事例はつかんでいますか。
  55. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 名古屋市東区にあります大京観光が持っておる土地の取引について、そういう事例があったということは伺っております。
  56. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは名古屋の例ですけれども、今度は東京の文京区の例。これは文京区干石二丁目にライオンズマンション干石第二という計画がありまして、これが今大変住民との間で問題になっております。話し合いを打ち切って強行着工の危険もあるというので住民は連日監視態勢をしいておるという状況になっているんですが、これで私、名古屋風のやっぱり大問題だと思う問題が一つある。  それは建築基準法の四十三条の2で、延べ面積千平米を超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅、これは条例で制限をつけることができるというのがありますね。この建築基準法四十二条の2を使って、東京都の建築安全条例では延べ面積千平米、高さ十五メートル以上の建築物は消防活動のため幅員六メートル以上の道路に接しなければならない、そういうように決めてある。六メートルなければ二車線にならぬ、対面通行できない、はしご車が通れないというので、十五メートル以上の高い建物、マンションははしご車が行けなければ火事があると大変なので六メートル以上の道路に接しなきゃならぬと決めたわけです。ところが、このライオンズマンションがやったやり方は、これがまたインチキなんですね。  ここに私、地図を持ってまいりました。(資料を示す)大きいから見えるでしょう。不忍通り、ここが予定地なんですよ。ここの前の土地を、これは行きどまりで、向こうは十メートルのがけなんです。ここの土地が狭いので二・四メートル下げることにして、この前面の道路だけは一応六メートルという形にしたんです。ところが、この不忍通りから入ってくる取りつけ道路は四・八メートルから五・八メートルで、これは六メートルないんです。これが問題になりまして、それで私は、これは東京都の条例の問題なんだけれども建設省としてもこういう場合、建築基準法の四十二条の2で幅員六メートル以上と、千平米以上、十五メートル以上の建物東京都が決めた場合六メートルの道路に接しなければならぬというのは、この前だけ六メートルあっても、実際に道路からはしご車なんか入ってくる取りつけ道路が六メートルなきゃならぬだろうと思うんです。小石川消防署の署長も、ここははしご車は通れないとはっきり言っている。東京都の当時条例をつくった指導部長だった大河原さん、今は東京理科大の教授ですけれども、大河原さんも、とにかくこの条例をつくるのにかかわった人だが、前面道路だけじゃだめだ、取りつけ道路も当然六メートルなきゃならぬというふうに言われているんです。  建設省、どうですか。こういうことが争われているのだけれども、当然、前面道路だけというのじゃなくて、実際にはしご車が通れる大きな道路からの取りつけ道路も含めて六メートル以上なきゃならぬというのがまことに当たり前のはしご車が通るための条件だと思いますけれども、いかがでしょう。
  57. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 基準法の四十三条で条例に征しているわけでございまして、確かにおっしゃるように、その辺の条理的な考え方というのがあるかと思いますが、やはり具体の例としては、その条例なり、この場合には文京区だと思いますが、文京区の考え方をはっきりただしてみないと何とも申し上げられないと思います。
  58. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 区側は何とかかんとか建築確認をおろしちゃったのでいろいろ言っているらしいんですけれども、そこが一つ住民との間の争点になっている、大京観光と区側と。これはひとつ局長も、具体的なケース、四十三条の2をどう考えているか。これはここだけの問題じゃないですよ。もし、これでいいということになると、東京全部で実際にはしご車が通れなくてもマンションの前だけ六メートルでそれでよろしいのだということになりかねないんですよ。そうしますと、文京区のこの具体的なケースだけじゃなくて、東京、また大都市建築基準法四十三条の2の解釈、それに基づく条例の解釈で大問題になると思うので、ひとつ具体的なケースとして調査していただきたいと思います。
  59. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) やはり現地現地の状況に応じてということもあって条例でやっていただくということになっておると思いますが、今お示しのありました点については調べてみたいと思います。
  60. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ぜひ調べていただきたい。  これが住民の千石二、三丁目を環境破壊から守る会、近藤釧三さんが代表なんですけれども東京地裁に六月二十六日に訴訟を起こされて、建築工事禁止の仮処分、建築確認の無効確認ということで、その訴訟の一つの大事な争点なんですね。これは東京地裁の方も判例がないと非常に慎重になっていると言われるんですけれども、やはりこれは裁判だけの問題じゃなくて、国の建築行政としても、こういう高層のマンションあるいはビルがどんどん建っていくんですから、そこにはしご車が行けるかどうか、これは大きな問題なので、ぜひ厳密に調査していただきたいと思います。  文京区で今三つ大京観光が紛争を起こしています。世田谷区では松原三丁目、ライオンズマンション松原第二、ここでも住民との紛争が起きています。ここでは、もう一つ新しい問題は——資料を配らせていただきたいんです。(資料配付)この四つのケースを調べますと、これも非常に調べると大変大問題だと思うんですが、大京観光が最初から出てこないんです。ダミーを使うんですよ。別の会社が計画を出して住民との話し合いをやり、建築確認申請を出す。建築確認がその会社におりてから数カ月後、早い場合はその日のうち、あるいは翌日に大京観光がダミーから土地を買い取り、それから建築確認の名義変更をやるんです。建築確認が済んだ途端に本人があらわれてくるというやり方がこの四つのケースで全部一緒なんです。  お配りした資料を見ていただきたい。世田谷の松原第二、塚本建設、これが五十九年十月八日に建築確認をとると翌年の四月二十二日名義変更、大京観光が建築主になっている。ライオンズマンション千石第二、これは岩崎住宅、これが二月二十七日に建築確認がおりると、その日、二月二十七日に共同名義になっている。千石第一、大崎建設が最初やっていて、やはり同じようにこれは三カ月足らずのうちに共同名義になっている。それから白山の場合には、十二月二十一日、エス・ディー・シー、これは四カ月足らず後に大京観光が共同名義になっているというケースですね。  こういうことになると、住民は最初、大京観光と知らぬわけですよ。その会社とやるわけです。松原の場合には、五十八年ごろからどうもかなり好ましからざる人物が出てきて、暴力行為、脅迫行為があった、底買いだとか、それから賛成しろというので、そういう会社の人が来たので、私今一人だからといって奥さんの方が言ったら、ぱっと片足を出してドアを閉めさせなかった、名のった人物がいるというんですが、本当に暴力団まがいの人物も出たり入ったりして、それでまとめていくという例がある。  松原第二の場合には、区役所の助役さんも入ってあっせん案を出して、三階のうち一階だけとろうというような案が出て進んでおりましたのに、ゆうべ大京観光から一方的に話し合い打ち切りという通告があって、けさ五時からくい打ち機その他機械の強行搬入が始まっているという状況になっています。  私が問題にしたいのは、こういうつまりダミー、別会社を立ててずっとやっていくというやり方が本当に法の精神からいってどうなのかということなんです。まず、大京観光が自分で建築確認をとっていないわけなんです。別会社が建築確認をとる、それを引き継いで建築主となり販売するというわけでしょう。確認がおりると、早い場合にはその日のうちに名義変更をする。それで、千石第二の場合には、確認書が岩崎住宅におりたその日のうちに名義をかえて、ここに日にちが書いてありますが、翌日大きなライオンズマンションの大看板を立てて販売を始めたというんです。いきなり始めるわけだ。本当に地元の人はびっくりしたと思うんです。それで、いわゆる青田売りで売っちゃうわけですよ。建築確認がおりた、まだ着工もしていないのに看板を立てて売っていくということになるんですね。このやり方をもし認めると、建築紛争予防条例などに基づいて建築主との間で話し合いや協議を行って合意が幾らできても、その建築主がかわっちゃうんですから、これは一体どうなるかということになって、本当に地域の人たちとの話し合いで建設というやり方が全くうまくいかない。だから、条例だとか要綱だとかに幾ら決めてあっても、それを公然と免れようという脱法行為、極めて悪質な脱法行為だと断ぜざるを得ないと思うんですね。  それから第二に、まだ物件が完成していないのに確認書がおりた翌日いきなり売り出すわけですから、それでその後いろいろ話し合いをしようとしても、大京観光としては第三者に売っちゃったのだ、その人たちのものなのだということで一センチたりとも譲歩はできません、建築変更は全くできませんという態度を貫き通すんですよ。だから、それまで幾ら話し合いをやっていても、大京観光にかわったと言ったら、そのときから話し合いが意味をなさなくなる。世田谷のように区の助役さんまで出てあっせん案を出してまとめようとしていても、一方的に話し合いを打ち切って機械の強行搬入ということになるんですね。私は、こういうやり方はやはり非常に問題だ。業界最大手の企業が自分の名前を出さないで、ダミーを使って、しかも暴力団まで絡んでくる、それで確認書をとった途端に本人があらわれてくるというやり方は、全く脱法行為で許せないというふうに思うんですね。しかも、青田売りをどんどんやってしまう。建設省のこういう問題についての態度、どうお考えになるか、お聞きしたいと思います。
  61. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) まず、私から建築基準法関係の点について申し上げたいと思いますが、建築基準法の六条の問題でございます。建築確認は、建築計画がその建築物の敷地でありますとか、それから構造でありますとか、建築施設に関する法令の規定に適合しているか否か、これについて行う処分でございまして、いわゆる申請者でありますところの建築主というものに着目して行うものではないわけでございます。したがいまして、建築確認後に建築主の変更があっても建築確認の効力には影響がない、これは建築基準法の解釈上そうならざるを得ないと思います。じゃ一体チェックはどうするのかという問題になってくると思いますが、建築工事が完了した時点で、今度は基準法に基づきまして建築主事等が当該建築物が法令の規定に適合するかどうかという検査を行うことになっております。したがって、具体的な案件はわかりませんけれども一般論として申し上げれば、仮に建築主の変更があったといたしましても、確認どおりの建築物が建築されたかどうかという点が担保されるようになっておるところでございます。
  62. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 御指摘の具体的な事例がダミーを使った行為であるのかどうかというのはちょっとよくわかりませんが、不動産業界におきまして、持ち込み物件といいますか、そういうような呼ばれ方をしているようですけれども土地を大きな企業なんかに持ち込んで、そういうところに引き縫いで、結局建物建てて売るのは大きな企業というふうなやり方がかなり行われているようでございますが、こういった建築計画からその販売に至るまでの間におきましてその事業主体がかわるということにつきましては、これは特に宅地建物取引業法その他の法律の規定からいいますと違法ということにはなりません。  これは、したがいまして一応自由な経済活動の範囲内の行為だというふうに考えるわけでございますが、ただ先生御指摘のような、建築確認に至るまでの間に地元といろんな約束をする、そういうものが後の事業主体に引き継がれないということにつきましてはこれは大変なトラブルの原因になると思いますし、そういうことは好ましくないわけでございますから、私どもといたしましてはその適切な引き継ぎが行われるように指導をしてまいりたいというように思います。
  63. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 建設経済局長、持ち込みだったのじゃないかということ、その前の建築基準法についてのそれは住宅局長の言われるとおりだと思うのだけれども、業界を指導する建設経済局としてこのケース四つとも持ち込みだということでは僕は本当に業界指導の上からやっぱり問題がある。四つともみんな同じですよ。それで、しかも広さはみんな大きなものです。千石第二マンションは、敷地面積が七百八十平米でしょう。建築の延べ面積は千八百八十三平米、地上七階ですよ。千石第一、これは延べ面積二千五百三十二平米、地上五階です。文京区白山、これは地上十二階、三千四百三平米という大きなマンションなんですな。しかも、同じやり方なんだから、四つとも。これはたまには持ち込みも、ライオンズマンション、大京観光さんにということ、それはあるかもしれませんよ。しかし、考えてごらんなさい。  私、ここに業界誌を一つ持ってきましたが、「ランオンズマンション 供給戸数七年連続日本一」「常勝 大京観光に死角あり」「土地なし、金なし、人材不足をどう乗り切るか」というのが経済界という雑誌に載っているんですけれども、それだけ注目されているんですよ、やっぱり東京都心で土地がないと。私は、冒頭、司法研修所跡地の問題を取り上げましたけれども、その土地を一体どうするのか、土地を見つけても本当に住民との間をどうするのかというので、大京観光としてもマンション業界のトップに立ちながらなかなか難しい問題があるというふうに業界誌で書かれるようなときなんですよ。そうすると、そこを突破するのに、何かいろいろ書いてありますが、こういうケースを考えたという疑惑が僕は非常に大きい。  私どもも、これを調べ始めたとき、最初気がつかなかったですよ。ところが、四つそろったら、全部ダミーじゃないですか。全部同じやり方なんだ。確認書の出た日に名義変更をやるんですよ。出た直後に変更してくるんですよ。それで、千石第二マンションの場合には二月二十七日に名義変更しているのだが、やっぱり話し合いは前の年から始まっていたらしいということです。これはそういう計画でやっていくとすると、これじゃ住民の方は一体どうなるのかというんですよ。だから、こういうような持ち込みで法律的に何ら問題ありませんということで私は済まないと思うんですね。  それで、この会社は、東証二部上場を五十七年にやって、五十九年に一部上場ですよ。一部上場になって昇格したばっかりなんですね。  それで、この建築主の変更届とか名義変更届は極めて簡単らしいですね。それは一枚紙を出せばそれでいいのだ、そういうところに目をつけて、これはマンション問題という非常に大きな近隣の住民には大問題の問題をこういうやり方でぬけぬけとやらすということは私は許されないと思うんですね、業界のモラルとして。だから、局長としても、また建設大臣としても、こういう問題について業者のモラルとして、住民との、地域との話し合いを、また納得のいくことを、筋を通させるという指導をやっていただかなければならぬと思うんですね。局長と大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  64. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) ダミーにしろ持ち込みにじる、そういうものを行政指導でやめさせるということはできないと思いますが、そういう事業主体の変更に伴っていろんなトラブルが生ずるということは好ましくございませんので、そういうことがないように指導したいというように思います。
  65. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 最後に、大臣にこの問題で見解をお伺いしたい。  大京観光は、八四年度の政治資金収支報告書には、それまで五年間国民政治協会に献金がなかったのに突然二千五十万円政治献金が行われているんですね。これは業界の大手の三菱地所の二倍、三井不動産の十倍の政治献金なんですね。だから、いきなりこういう二千五十万円という、国民政治協会といったら自民党の資金の組織でありますが、そこに二千万円という業界大手で珍しい政治献金が出てくるというのは、こういうことが始まっているので何とかということではないかと疑惑を持たれて当然だと思うんですね。やっぱり建設大臣に、私はきょう、この大京観光の二つの問題、ルーツとしての那須の別荘地の悪徳商法の問題、それからこのマンションの問題、二つ取り上げた。私は、こういうケースの場合には建築基準の確認書を、住宅局長言われたように建築の基準そのものとしてはそのままだとしても、これはこれだけダミーの疑いが多いやり方だとすれば、これはもう一度やり直しが必要なのじゃないかとさえ思うんですが、木部大臣のこの問題についての厳正な見解を承っておきたいと思います。
  66. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 二つの御質問でございますが、今、局長からもお答えしましたように、いかに法律がどうであろうとも、今具体的な事例を上田先生の方から御指摘いただいたんですが、私ども建設省といたしましても、実例を把握して、そして業界を指導できるものは指導しなきゃならぬ、そういう考え方でございます。  それから二番目の問題につきましては、私も恐らく、政治資金規正法問題はよくわかりませんが、法で定められた自由社会を維持するために協力をされているのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  67. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 調査と適切な行政指導を期待して、質問を終わります。
  68. 大川清幸

    ○大川清幸君 私は、昭和六十一年度の予算編成にも重大な関係がありますし、内需拡大政府の基本政策の中でも重大なかかわりのある住宅建設関係について何点かお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  去る十月十五日の経済対策閣僚会議、ここで内需拡大に関する対策というのを決定なさっておりますが、住宅減税等については歳出入に伴うものであるからということでこのときは保留になったようでございますが、予算編成時期も近づいておりますし、各省庁の折衝もこれから山場を迎える段階だろうと思いますが、建設省で考えておりますところの住宅対策推進のための税制、ないしは住宅、持ち家取得推進のための税制等、幾つか具体案があるようでございますが、これらの概要と、それから実現の見通しについてお答え願いたいと思います。    〔委員長退席、理事増田盛君着席〕
  69. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 申し上げるまでもないかと思いますが、最近の我が国の住宅事情というのは量的には一応の充足を見た、問題は質であるということでございます。かつ、新設の住宅建設戸数もここのところ百十万戸から百二十万戸の台で推移しておりまして、そういう意味で居住水準の向上のためにも住宅建設の促進が急務となっておるわけでございます。それから一方、今先生からもございましたが、内需の拡大を通じた安定的な経済成長を図っていくということが非常に強く求められておりまして、このためには景気への波及効果も大きく、あるいは関連業種も多岐にわたります住宅投資の拡大が望まれているところでございます。  こういった状況を背景といたしまして、建設省といたしましては、これからの居住水準の向上と内需の拡大の要請にこたえるものということで、既に六十一年度の税制改正要望を行っております。細かいものまで入れますと十八項目ぐらいございますが、特に三点について申し上げたいと思います。  第一は、住宅投資の全般的な活性化を図るために、新築住宅につきまして持ち家、貸し家を問わず、毎年当該家屋の取得費もしくは建築費の一%を五年間にわたって税額から控除するという住宅投資促進税制の創設でございます。  それから第二点は、既に前からございますが、いわゆる民間住宅ローン、この負担を軽減して持ち家取得の促進を図るという観点から住宅取得控除制度というのがございますが、控除率でありますとか、適用年限でありますとか、足切り率、そういったもの、さらには収入制限、こういったものについて大幅な改善を行うというものでございます。  それから最後、第三点は、若年層の手持ち資金の確保に資するいわゆる住宅資金贈与制度。これは五十九年につくっていただいたものでございますが、その活用の一層の促進を図るために、中古住宅の取得を新たに適用対象に加える、あるいは所得制限を上げるといったような拡充でございます。  それから実現の見通しということでございますが、私が今申し上げられるのは精いっぱい努力してその実現に邁進したいということでございます。    〔理事増田盛君退席、委員長着席〕
  70. 大川清幸

    ○大川清幸君 大臣、今概要説明があったんですが、減税のいろいろな制度改正ですから、なかなか大蔵省との折衝は困難だと思いますし、実際に住宅投資促進税制の創設あるいは住宅取得控除制度の適用期限の延長及び制度の改善の中で見てみますと、控除限度額を十五万から五十万にするとか、あるいは所得要件の中で八百万を二千万円まで拡大するとかいろいろありまして、特に控除限度額の五十万なんというのは大変大きなインパクトになると思うんです。  こういう問題は極めて難しいというのは私実情でよくわかるんですけれども、来年度の住宅建設の促進をやる場合に、特に最近の傾向を見ると、ここ三、四年、持ち家住宅なんというのはずっと実績が落っこっていますから、そういう点から考えても借家の方と合計すれば目標は達するということにはなるのだろうと思うんですが、この辺の税制改革をやってもらうとかなり効果は大きいと思うんですよ。これから折衝の段階ですからなかなかお答えは難しいと思うんですが、実現の見通しについて、念のため、もう一回、大臣の御意見を伺います。
  71. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 居住水準の向上を図るということが私ども内需の拡大の非常に大きな柱であることは、今、局長の答弁のとおりであります。したがいまして、住宅の取得費の一%を免税していただくとか、これを柱にいたしまして昭和六十一年度の予算編成に向けて、特に住宅の税制改正につきましては全力を挙げて私は建設大臣として努力をしたい、かように考えておる次第でございます。
  72. 大川清幸

    ○大川清幸君 十月十五日にいろいろ閣僚の間で御論議があったときに、竹下大蔵大臣から税制にかかわる問題は税調に諮問している段階ではなかなか予見しにくいというような御意見があったそうですが、この状況は今も実は変わっていないわけですけれども、そうした背景の絡みがあっても実現には努力するということですが、こういうような大蔵大臣側の発言があると、これだけ大分いい項目をそろえていただいているのだけれども困難じゃないかなと心配をするんですが、その点は大丈夫ですか。
  73. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) これから予算編成の最盛期に入っていくわけでございますので、私は何としても内需の拡大や現下の住宅の水準を向上するためにも今申し上げましたような税制の制度の仕組みにつきましては全力を挙げて努力をさせていただきたい、かように考えております。
  74. 大川清幸

    ○大川清幸君 ところで、この減税の中身についても御論議があったのだろうと思うんですが、住宅減税について十月十五日に決定できなかった。公庫枠の二万戸の追加等も当委員会でも審議をして既に可決をしておりますが、あれはあれなりに効果がこれから出てくるだろうというふうに思いますが、この住宅減税の中身についてはどうもタイミングがおくれるというようなことを考えますと、内需拡大の効果から考えて、この制度について、もし実現するとすれば、この減税幾つ通るかわかりませんが、十月ごろまで遡及をさせて実施をするような方法をとらないと余り効果が期待できないのではないかというような御意見があって、このことについては中曽根総理も藤波官房長官もほぼそのような理解ある見解だったというような報道がなされておりますが、これは事実ですか、どうですか。
  75. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 私も新聞で読んだ程度でございますので、その程度しか申し上げられません。
  76. 大川清幸

    ○大川清幸君 大臣、経済閣僚会議にはもちろん御出席だったと思うんですが、そういう論議はあったんですか。
  77. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 私の記憶では余り大きな論議はなかったのじゃないかという感じはいたしております、よくわかりませんけれども
  78. 大川清幸

    ○大川清幸君 今の段階で余り詰めても詰まらないと思うんですが、予算編成の中でどうこれがあらわれてくるか、期待をいたしたいと思うわけでございます。  それで、住宅資金贈与制度の適用期限、これはもうそろそろ切れるところへ来ていますが、これの延長はなさるのかどうかということと、それから五百万円までの贈与の場合、五分五乗方式で現行で実施をされておりますが、この辺の手直しはなさるのかどうか、この辺はどうですか。
  79. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 住宅資金贈与制度の適用期限はことしの十二月三十一日で切れます。したがいまして、延長を要望しておるところでございます。  それから改善内容につきましては先ほど申しましたように二つでございまして、一つは既存住宅を新たに追加するということと、所得制限を引き上げるということでございます。
  80. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、これらのことについては住宅建設にかなりインパクトを与えることになりますので、今後の建設省側の努力を期待いたしたいと思います。  次に、公営住宅に関連してひとつ悟っておきたいんですが、公営住宅入居基準、これは現行で明らかなんですが、これは三年に一遍ぐらいの物価上昇等に関連した見直しは行っているんでしょう。行っていませんか。
  81. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 公営住宅入居収入基準につきましては、これは住宅に困窮する低額所得者に対して住宅を供給するという公営住宅法の趣旨に基づきまして定められておるところでございますが、全国の世帯収入の増加の動向などを勘案いたしまして、必要がある場合には従来から適宜改正を行ってきております。
  82. 大川清幸

    ○大川清幸君 現行の住宅入居基準ですが、これで言いますと、例えば明け渡し収入基準は二十二万六千円超ですね。標準家族ですと五百九万九千九百九十九円、こういうふうに現行ではなっているわけです。公営住宅に入っている方々は貯蓄動向の三三%あたりのところを大体対象に見ておられるようですから、私も収入基準はこの程度でいいのかなという認識で実はおったんですが、各地方公共団体の実施している実情を見ますと、例えば東京都の場合なんかはこの基準二十二万六千円に対しまして実は三十万四千円で実際には実施をしているようでございます。こうしますと、三十万四千円ですと標準家族では六百二十三万六千六百六十七円、こういうことで百二十万円近くの差が標準家族世帯の収入で言うとあるわけでございます。これは、その地域の実情等によって内規なりあるいは東京都のように条例で決めて実施をしているケースがあるようですが、これは全国一律なので技術的にはなかなか難しいのかなという感じもいたすんですが、実情にもう少し合うような基準というようなことにこれは改められないのかどうか、その点はどうですか。
  83. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 先ほど申し上げましたように、必要に応じて上げてきたという経過はございます。ただ、現在の基準昭和五十七年の八月に改定したものでございまして、改定後約三年たっておるわけでございますが、その間の所得の伸びがなかなか低水準であるというようなこともございまして、引き上げがなかなか困難な状況にあるわけでございます。ただ、各方面からそういう御要望がございますので、現在改正についての検討を行っているところでございます。
  84. 大川清幸

    ○大川清幸君 これは、ここ三、四年余り所得が伸びないというのは、人勧を値切ったり、いろいろなことがあって一般の所得は伸びていないんですよ。そういうような影響はあるんですが、実際には高所得化の傾向というのは最近の社会ではあるわけで、特に都市部なんかでは絶対に高いかというと、実情を調べるとそうでもないんですけれども、やっぱり高収入型みたいなのが都市に集中しているような感じがいたします。東京都の住宅局で実態を聞いてみましたら、この数年の間、公営住宅の申し込み全体に対して四七%ぐらいが不適格者である、その不適格者の中の八〇%はこの収入基準に抵触する者が多い、もちろん下の方でひっかからないのもあるけれども、やっぱりオーバーの方がどうしてもケースとしては多いのだと。  こういうことで言うと、一応のこの基準ではやっているし、明け渡しなんて深刻な厳しい問題になれば、この基準は設けてあるけれども、これからもっと上の段階といいますか、もっと高収入にいなければ悪い言葉ではいわゆる追い出しはやらないのだけれども、実際に実情を見ていると、東京都あるいは大都市の場合なんかはもう少しこの水準は手直しをしていただいて、郡あるいは各府県等で実施をしている上乗せ分ですね、ある程度幅を持ったやり方、東京都ではさっき言ったように二十二万六千円に対して三十万四千円で実は基準値を定めてやっておるという実情から考えると、もう少しこれは各地方公共団体の担当局等で実施をするについて、この枠が窮屈でないように、あるいは入居者にこういうことで余り迷惑をかけないような方法はないものかと思うのは、実は年齢にもよるんですが、収入の状態を見ますと、共稼ぎだったり、あるいは臨時収入がその年度にたまたまぶつかったりすると、前後の年度はそいつは超えないのだけれども、そこでひっかかっちゃってだめだというような特殊なケースも出てきますので、この辺はちょっと幅を考えておいていただいた方がいいように私は認識しておるんですが、その辺の考え方はいかがでしょう。
  85. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 先ほどの明け渡し基準の方につきましては、これは明け渡しを請求することができるという規定がございまして、したがってそういう運用というのがあり得るのかと思います。ただ、いわゆる入るときの収入基準を各地域別にいろいろ考慮するという点になりますと、例えば現在大都市地域ではやはり倍率が高いという問題がございます。それからさらに全国統一性を欠くというような問題もあるわけでございまして、その点はなかなか難しい問題ではないかというふうに考えております。
  86. 大川清幸

    ○大川清幸君 いや、明け渡しの方が最高限度額のことで私たまたま手元に数字があったので申し上げたんですが、収入基準入居時のやっぱり最低限のところで言うと、扶養家族一人から六人までいろいろありまして、例えば扶養家族一人ですと三百六万七千九百九十九円なんというのはこれ一応のめどになっておりますけれども、こうした状況から考えても、入居基準そのものについてもう少し緩めていただくというか、計算し直していただいてもよろしいのではないかというふうに思っていますが、それはどうでしょう。
  87. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) その点は先ほど申しましたように、各方面からの要望もございますので、現在検討中ということでございます。
  88. 大川清幸

    ○大川清幸君 わかりました。  これは入居年度になるその人の収入が問題ですから、さっき言ったように。そうすると、退職金その他の臨時収入とか、それから医療費がかかった場合等の所得の計算についての方法でもやっぱりひっかかればだめだ、こういうことでしょう。
  89. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 一時的な所得については、これは除外して計算しているということでございます。
  90. 大川清幸

    ○大川清幸君 わかりました。  それでは、その辺は検討中だそうですから、改定の時期を待ちたいと思います。  ところで、持ち家住宅については、これが実現するかしないかまだ未知数でございますが、幾つかの住宅減税、これで持ち家の方々やあるいは借家を建てるにしてもそれらに対する控除が、実際に建築費の一%向こう五年間控除されるというようなことがあればそれなりの効果があるわけですが、実は住宅事情を見ますと、公営住宅にたまたま収入が適合して、しかも抽せんで入れる方、それから収入オーバーで入れないから公団等をねらう方、公団住宅あるいは公庫住宅に入れる方はそれでもまだいろいろな条件があって、家賃負担等から見ればかなりこれは恵まれております。ところが、それらにひっかからない対象者というのはかなり多くて、やっぱり民間アパートに入っている方が多いわけで、持ち家を持つ方等から比べれば民間の借家に入っている方々というのはどちらかというと全般的に言って収入の比較的低い方々が多いのだろうというふうに思うわけです。  東京都の生計調査でちょっと状況を見てみましたところ、住宅費についての負担ですが、これは東京都の五十九年度の年報ですが、一世帯当たり年平均一カ月の住宅所有形態別生計支出なんですが、これで見ますと、住居費が平均で二万五百二十七円で、持ち家の方々が一万四百四十二円、ところが民営借家の方々は五万三十四円の負担をなさっておりますし、公営住宅の方々は一万八千七百七十五円、公団公社は三万一千百十七円、こういうようなデータが出ているわけです。平均の数値ですから実態と多少違うところはあるのだろうと思いますが、大体、全国の生計調査でもこの辺が適当なところかなというふうに思うわけで、民間借家の生活をしている方々の中で、住宅政策全体から見るとやっぱり不公平というものは免れないのではなかろうかという感じがするわけでございます。  そこで、こうした中間的な方々を対象として何かお考えになっているのかどうかということをお伺いいたしたいわけです。
  91. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 実は、昭和六十一年度の予算要求の中で地域特別賃貸住宅制度というものを要求しております。まさに今、先生がおっしゃった、一方で公営住宅建設なり建てかえを促進し、また公団公社住宅建設建てかえはこれからでございますけれども、それを供給していく、その中が多少やっぱりあいているという感じがございます。そのために今申しました地域特別賃貸住宅というものを要求しておるわけでございます。  それで、これは人口定着てありますとか、あるいは企業誘致でありますとか、そういった地域振興の受け皿というような役割もあるわけでございますが、住生活の安定あるいは向上を求めて幅広い賃貸住宅需要層というのがあるわけでございます。そういったものを背景に、大体中間所得層の下の方を対象といたしまして、国と地方公共団体が連携して実施する新しい形の公共賃貸住宅制度ということで要求をしております。  供給方式といたしましては、公共団体が直接供給する方法と、それから良質な民間賃貸住宅を公的管理を通じて活用する方式というのを二つ考えております。  それから助成につきましては、公共団体がやるものにつきましては建設費について三分の一の助成をやる。それから民間につきましては金融公庫の融資で援助をする、これは具体的には土地担保賃貸住宅制度の活用でございますけれども。それから両方式に共通しまして一定期間家賃の減額のための家賃補助、これは補助率二分の一と考えておりますが、を行うということで、今申しましたような制度が認められまして制度化されますと、先生まさに御指摘のようないわゆる中間所得階層といいますか、そういうところを対象とした制度ができるわけで、現在の公営住宅階層よりも幅広い階層への公共賃貸住宅需要により的確に応ずることができるというふうに考えております。
  92. 大川清幸

    ○大川清幸君 具体的な中身についてもう少し伺っておきたいのは、ねらいとしては大変いいし、また効果も出てくるのではなかろうかというふうに私も思っておりますが、実は今御説明がありましたように、地方公共団体が建設する賃貸住宅、これの建設費の補助を三分の一行うということであると、現行法のもとにおける二種住宅と同じ形になるような感じがあるんですが、その辺の関連はどうなるんですか。
  93. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 補助率で申しますと、二種は三分の二でございまして、二種というのは一番低いものでございます。それから一種が二分の一。今度は三分の一という形になるわけでございます。
  94. 大川清幸

    ○大川清幸君 ちょっと待って、もう一回言ってください。
  95. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 二種公営住宅が三分の二でございます。これは一番低い階層ですから手厚くしているということでございます。
  96. 大川清幸

    ○大川清幸君 そうですね。僕もちょっと今錯覚を起こしていましたが、二種住宅の方が三分の二だね。それから一種住宅の方が二分の一ですね。今度は三分の一の補助をするんですが、そうすると、今度は公営住宅法とは全く別建ての考え方でやるからこれは従来の公営住宅法には縛られない住宅という解釈でいいですね。
  97. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 予算補助制度でやりたいというふうに考えております。
  98. 大川清幸

    ○大川清幸君 それで、そうした制度で建てていただくのは私、結構、大賛成。ところで、この住宅に限って家賃の抑制を行った場合に二分の一の補助をする、これはいいんですが、従来公営住宅に入っている人たち、いろいろな家賃が安くなっていますね、この人たちの方で何か不満が起こりませんか。その辺のバランスは大丈夫ですか。
  99. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 先ほど申しましたように、補助体系がありますし、家賃補助体系もございますので、その辺のバランスは十分考えて構築しておる制度でございます。
  100. 大川清幸

    ○大川清幸君 これは大事な制度なので実現すると大分よろしいのじゃないかと思うので、余りそごが起こらないように、国民にも喜んでいただける制度になればよろしいと私は期待をしているわけですが、民間の場合の家賃補助、この辺についてはきちんと申請を受けた上で確認をして補助をするということにするんでしょうが、貸し主の方が懐に入れるなんというような不合理なことが起こらないようにはしていただくんでしょうね。
  101. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) そういう問題まさに問題点になるというところでございますが、現実のやり方としましては、建設の段階から、つまり企画、設計の段階から管理まで含めまして地方住宅供給公社に受託してもらってやろうということを考えております。だから、土台は民賃でございますけれども、かなりそういった面のしっかりしたコントロールをするということを考えております。
  102. 大川清幸

    ○大川清幸君 そうすると、建った後の管理は、持ち主が民間ですから、管理運営は民間でやるんですね。その辺は制度というか仕組みでどうなんでしょう。
  103. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) おっしゃるとおり民営ですから、何といいますか、法律上といいますか、主体は民間ですが、それを全部受託して公社が実際にやっていくということによってそごを来さないようにしたいということを考えております。
  104. 大川清幸

    ○大川清幸君 ところで、先ほどから取り上げてまいりました住宅投資促進税制の創設と住宅取得及び住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の税率等の特例の適用期限の延長、それから住宅取得控除制度の適用期限の延長及び制度の改善、この中にはなかなか魅力のあるものが幾つもありますけれども、それから住宅資金贈与制度の適用期限の延長及び制度の改善等、それから今私がお伺いをいたしましたいわゆる地域特別賃貸住宅制度、これらのものが押しなべて実現をすると建設省としてはどの程度住宅建設に対する効果が出ると試算をなさっておりますか。
  105. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) まず、地域特別賃貸住宅につきましては、これは予算要求で四千戸という要求をしておりますので、その決着いかんによるわけでございます。それから税金でございますが、細かいものは別としまして、住宅投資促進税制の創設、それと住宅取得控除制度の大幅改善、この二つを中心にしていろいろ効果を検討しておるわけでございますが、実は経済事情がいろいろ変化する情勢もございますし、なかなか一概には言えないわけでございますけれども、片や金融公庫の融資制度の充実、またこの改善を要求しておるわけでございます。そういったものと相まって、今本当に問題になっておりますのは所得と住宅価格との乖離でございますから、その乖離を縮小して住宅取得能力を向上させる。それによって、現在我々が考えておりますのは大体百三十万戸ぐらいの潜在需要があるだろう。それに対して現実のフローが百二十万ぐらい、あるいは百十万から百二十万ぐらいでございますから、そのギャップを埋めるのに相当の効果があるというふうに考えておるわけでございます。計数的にはなかなか、いろんな前提を置いておりますので、申し上げるのは難しいんですが、我々その二つの税制でもって年間分として八万戸の増分は見込めるというふうに考えております。
  106. 大川清幸

    ○大川清幸君 しつこいようですが、大臣、予算編成、これからいろいろ折衝されるので実現はこれからで、最大の努力をするとおっしゃったからそれ以上の答弁は要らないようなものですが、閣僚会議の後今日までにこれらの話し合いというか、折衝みたいなことは今までにあったんですか、ないんですか、全くこれからですか、どうでしょう。——大臣じゃなくてもいいですよ。
  107. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 当然これは要求の段階から党の方にもいろいろクリアして要求を正式に出していくわけですから、その間、私も本当にあちこちに御説明をし、御理解をいただき、走り回っておるわけでございます。そういうことで鋭意実現に努力してまいりたいと思っております。
  108. 大川清幸

    ○大川清幸君 どころで、中間の感触はいかがなんですか。
  109. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) なかなか難しい御質問でございます。大体どなたも住宅減税を何かやらなきゃいかぬということを強く感じられているという感触は私は得ております。ただ問題は、大型の減税をやりますと財源が問題になるということではないかと思います。しかし、その辺はやはり国全体としてどこに重点を置くべきかということを考えながら対処していただきたいと私は願っているものでございます。
  110. 大川清幸

    ○大川清幸君 次に、住宅建設では何といっても土地問題というか、地価対策が基本的な問題なんですが、きょうはこの問題で論議をしていると時間がなくなるし、また名答弁はなかなかこれは出てこない問題で難しいと思うんですが、いろいろな効果がやはり考えられる問題として幾つかありますので、その点でお伺いをしておきたいと思いますが、国土庁で行っておる地価公示制度、これは制度とねらいはどういうことでしょう。
  111. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 地価公示、これは毎年一月に行って四月に発表を国土庁が行っております。それから都道府県が七月に行って十月一日に発表しております。これは地価調査といっていますが、現実には一年のうち二回に分けて全国的な地価の状況を把握しておるわけでございます。一つは、御存じのように国土利用計画法ができまして、それと並行しまして土地の取引がスムーズにいくようにするためには、地価が国民の皆さんが見てもわかりやすいようにというところで毎年それぞれの地点で、二万点ないし一万点の代表的なものをつくって行っておるわけでございます。地価の安定と、その地価の安定に資するために国民の皆さんが知り得る、そういうために努力をしている制度でございます。
  112. 大川清幸

    ○大川清幸君 そこで、最近の動向を見ていますと、ただいま御説明のあった国土庁で行っている毎年一月一日の時点の一万数千カ所のあの基準地点での評価、それからそれとは全く別に都道府県で行っていると月一日の時点の基準価格、こういう二つの制度がある。最近は、もともとは出発が違うし、性格が違うが、性格が違うとまで言っていいのかどうかわかりませんが、実勢価格にこのごろは両方とも近づいてきている傾向があるというのは、これは間違いないですか。
  113. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 国土庁としては、発足以来、おおむね十年近くそういう制度ができまして以来やっておりますが、私どもの建前としては常に実勢に合っていると信じておりますが、私どもが近年、新聞あるいは業界の方々から聞く話によりますと、今、先生御指摘のように、地価の実勢には合っておる、合っておるというか昔のように外れていないという率直な意見を聞くことが多々ございます。
  114. 大川清幸

    ○大川清幸君 これは実施主体が違うんですから、違う公示価格と基準地価みたいなものが出てくるのはある意味ではしようがないと思うんですけれどもね、時間的にも違うから。ただ、学説的に言うと、もう一つ、固定資産税のことについても後でもお伺いをしたいんですが、両者が発表するのに時間的な経過の違いはわかるけれども、ほぼこれらの価格がこのごろは一致しているから、大体一緒の制度と言っちゃまずいので、時間的な経過を含めて同じような傾向がわかるというか、価格の発表はほほ軌を一にするような感じの発表になった方が制度としてよろしいのではないかという感じを持っていますが、その辺はどうでしょうね。これは自治省との話し合いをしなきゃだめかな。
  115. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 公的な機関で土地の評価をする場合に、御存じのように地価公示と、それから固定資産の評価と、相続に当たっての路線価とございます。これはその一方にしたらどうだという議論が昔からございます。また、それぞれの目的で三つとも違うことも事実でございます。そういうところで、問題意識としては抱えながらそれぞれ検討ということだろうと思いますが、それぞれ目的が違うし、現在また運用している実績の積み重ねもあるわけですから、そういうままで来ておると私の方は理解をしております。
  116. 大川清幸

    ○大川清幸君 ところで、それでは固定資産税について一、二お伺いをしておきますが、固定資産税は私どももよく実情はわかっておりまして、例えば標準税率なるものがあって、それで算出をして課税もしておりますし、最大二・一%という上限も決められておりますし、二百平米以上ですと二分の一、二百平米以下ですと四分の一というようなことがありまして、それぞれ税額が抑制をされているのはよくわかっておるんですが、先般の自民党さんの税調特別部会では、特に固定資産税等については評価額が実勢と非常に違っておるから、これはその辺を課税強化というとまた抵抗があるかもしれませんが、課税する方からいうと、地方公共団体の安定した一般財源であることは実情を私もよく理解しておりますから、これはこれなりに自治体のためには確保した方がいい、そう思っているんですけれども、課税強化の方向で今まで行われている緩和措置なんかは吹っ飛んでしまいますと、大きな企業なんかはいいですけれども、経済的に収入する力を持っていない一般住民の方々というか、平均的なサラリーマンの方々や小規模企業の方々なんかはとても土地なんか持っていられないということになるわけなので、課税強化した上で地方交付税なんかは減らそうかというような話も出たそうですけれども、これらのことについては新聞報道ですからわかりませんが、まさか固定資産税等についてこうした課税強化の方向でいくというような心配は万々ないでしょうな。どうなんですか。
  117. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) お話政府の税制調査会での議論ではなかろうかと思いますが、政府の税制調査会で出ました議論は、固定資産の特に土地の評価の問題でございます。今、地価公示と固定資産の評価の問題が出ましたが、現実に固定資産の評価というのは地価公示価格と比べましても大体平均をいたしますと三割を切っておる、こういう状況でございまして、ここいらの実勢の価格と固定資産の土地の評価額に非常に乖離があるのではなかろうか、こういう議論が出たということでございまして、その後固定資産税につきまして課税を強化するとかしないとか、そういう議論は出ておらないというように承知をいたしております。
  118. 大川清幸

    ○大川清幸君 ところで、この固定資産税は三年に一度評価がえをして自動的に税額が上がって課税をされるという、税制の中では極めて珍しい税金だと私は思っているんですよ。というのは、普通の税金ですと、商取引なりあるいは所得の移転があって果実が生じた場合に税金が取られるということだと思うんです。これは地方税法という法律のもとで自動的に三年に一遍評価がえを適当にというか、まさに適当ですな、地価公示その他が行われたりいろいろな材料があるんでしょうが、それはそれで制度として現行の状況を考えるとやむを得ないという感じも私はしているんですけれども、実は大都市部分で実情を見てみますと、特に東京、大阪なんかはそうですが、個人住宅それから小売店、こういうようなところは、状況を見てみると、次第に追い出し税的な性格になっているのじゃないかという心配を私はしています。  例えば先般の都議会選挙でも、中央、千代田区は居住人口が少ないために定数一に減らされたというような深刻な問題まで出ておるわけですが、新宿あるいは渋谷、港、こういうところで生活をしていた方々が世田谷の奥の方へ引っ越してくるとか、あるいは練馬でも余り都市化したところじゃなくて端の方へ越してこられるというような傾向が東京都内だけに限ってみてもかなりそうした傾向は顕著です。ですから、固定資産税をやめてしまえというような乱暴なことは私は言いません。  しかし、年金生活者で、収入がなくて細々と自分の生活をしているだけの居住に要する土地ないしは家屋、あるいは平均的なサラリーマンの家庭が居住専用に持っている住宅、あるいは中小企業の八百屋さんとかお菓子屋さんとか文房具屋さんで土地の評価がえのたびに高い固定資産税は次第に取られていくが経営効果の上ではそれだけ業績が追いついていかないような業種、こういうものについては適当な時期を見て三年に一度の評価がえについても考慮をするなり、あるいは中小零細資産世帯については何か特別省措置を講ずるようなことをしませんと、都心の中の過疎推進税というか追い出し税、こういう感じになってきつつある。したがって、こて五年、十年のところを考えたら固定資産税の扱い、制度についての考慮を今からお願いをしたい、こう思うんですが、どうでしょう。
  119. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 特に、固定資産税の評価がえのときに、ただいま御議論のございましたようなことがよく主張されるということにつきまして私ども十分承知をいたしております。ただ、固定資産税は、これは市町村の住民税と並びます最も大きな基幹税目でございまして、市町村の財政運営にとって欠かせない存在であるということにつきまして御理解をいただきたいと思いますし、また固定資産税自体の性格が資産価値に比例して課税をしていく、こういった性格を持っておるものでございます。  先ほどお話ございましたように、この中の特に居住用資産につきましては固定資産税の基本的な性格を損なわない範囲でできる限りの軽減措置を既に講じておるところでございますけれども、今申されましたいろいろな問題につきましては、それぞれが固定資産税の基本的な性格をどう考えるか、こういった基本問題にも絡んでまいりますので、私どもといたしましては、いろいろな御事情等も念頭には置かないといけないと思っておりますけれども、やはりこの税の性格ということにつきましての御理解もいただきながら評価がえ等を実施していきたいと考えておる次第でございます。
  120. 大川清幸

    ○大川清幸君 それじゃ、ごく基本的なことを伺っておきますが、この固定資産税の評価はどんな手法で、どこが責任者で行うんですか。
  121. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 評価を行う主体は市町村でございます。  なお、これは地方税法によりまして、市町村長が評価を行います際には、中央固定資産審議会と申します、これは固定資産関係の専門家の方々が集まられました審議会でございますけれども、自治大臣がこの固定資産審議会の議を経まして決定をいたして告示をいたします固定資産評価基準、これによって評価をするというような仕組みになっております。
  122. 大川清幸

    ○大川清幸君 税法で考えて、土地を売買した場合に、そのとき果実が生ずるからそれを払うことについては当然のことだというふうに考えますが、ただいま申し上げたように、この税金は果実が生じない、生活の中でも直接所得増にはつながらない、貸している土地とかその他は別ですが、個人の生活の用に供している分についてはそうした経済効果が出てこないのに取られるということでは、これからだんだん三年に一遍評価がえで生活に響いてくる段階に来るまでのんびりほうっておくのが私は行政のあり方ではないだろうというふうに思うわけできょうは聞いているわけですから、どうか自治省の方でも全国に影響のあることですし、当面の行政の所管の当事者は地方公共団体ですけれども、やはり自治省の方針によっていろんなことが決まるだろうと思いますから、その辺の配慮をマクロ的な立場から今から配慮をしていただいた方がいいのじゃないかというふうに私は思っております。  この固定資産税については各市町村で行う分ですが、標準価格についてはいろいろ調査をした上で出てきて、課税額については今言ったいろんな緩和措置がありますが、下限が決まっていて、上の方も幅については各市町村にその範囲内で任せるということのようですが、一部の地域では下限が決まっていてそれ以下にできないというようなことで困っているような状況もちょっと聞いたことがあるんですが、その辺はどうですか。
  123. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 今のお話は、標準税率と制限税率の問題ではなかろうかと思います。  私ども承知をいたしております限りでは、先ほど来申しましたように、国定資産税というのが市町村の基幹的な税目である、こういう立場からそれぞれの市町村の財源収入を確保する上において非常に重要なものでございますので、大体の市町村におきまして標準税率が採用されておるというように承知をいたしております。
  124. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、住宅に関する問題はその程度にしておきまして、次に、民間活力の問題でさっき秦野先生から国有地の問題でお話があったんですが、最近の経済動向を見ておりますと、民間において土地信託制度を活用したいろいろな仕事あるいは都市開発が行われているようでございますが、この実情についてはある程度の把握をなさっておるでしょうか、どうでしょうか。これは国土庁関係になるかな。どっちでしょう。
  125. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 土地信託の実施状況につきましては、信託協会の調査によりますと、五十九年三月に第一号が出て以来、本年の九月末までの間で委託件数百六十五件ということでございまして、投資額は約九百三十億円というふうに推計されておりまして、かなり実績が上がっているというふうに判断いたしております。  土地信託につきましては、御承知のように土地所有者が自主的に土地を手放すことなく事業の実施が可能である、それから信託銀行の事業実施能力とか資金調達能力の活用が可能だというふうなことで、非常に土地保有志向が強い中で民間活力を活用して土地の有効利用を促進するという点で重要な手段というようなことで、これを大いに推進していきたいというふうに思っております。
  126. 大川清幸

    ○大川清幸君 民間ではそういうふうにだんだん拡大されておるようですが、その実情については今概要の御報告があったんですが、どちらかの省庁でこの制度的なことについて今研究なさっているというようなことはあるんですか、ないんですか。
  127. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 建設省におきましても、この問題の研究会などを設けましていろいろ勉強してまいったわけですが、今後これを推進していくに当たりましては、問題といたしまして税制の問題がございます。土地を信託した場合に、いわゆる所有権は信託会社に移行しますが、潜在的な地主みたいなものですから、信託してその対価として受け取った受益権の譲渡などに当たってどういう税制が適用されるのかというふうな問題いろいろございまして、そこで信託の推進のためにはこういった税制面の整備が必要であるというふうなことで六十一年度の税制改正で税制の整備を要望しているところでございます。
  128. 大川清幸

    ○大川清幸君 六十一年度の税制改正要求の中で行っているという、それは具体的にはどういう中身ですか。
  129. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 税目が非常にたくさんあるんですけれども、基本的には、土地を信託した場合に先ほど申し上げましたような受益権の譲渡だとか、あるいは信託会社がその受託した土地の上に賃貸住宅をつくるときには、通常の場合ですと新築貸し家住宅の割り増し償却制度とかいろいろあるわけでございますが、そういった租税特別措置が信託された土地、それから土地所有者について同じように適用されるようにというのが概略の趣旨でございまして、税目はたくさんありますが、そういうことでございます。
  130. 大川清幸

    ○大川清幸君 ところで、公有地、地方公共団体等が持っている土地は、国有地と全く同じように公共の用に供するものはなるべく売らないで活用した方がいいのは当たり前のことです。ただし、面積その他周囲の環境で公共の用に供するにはとても無理だ、あるいは不適格であるというような土地についてはこの活用を図った方がいいと思うわけです。したがいまして、各都道府県なり市町村で、公有地の遊休地と言ったらちょっと語弊があるんですけれども、そんな怠けて使っていないという意味じゃなくて、条件から考えて活用できないからそのままになっているようないわゆるそういう意味での遊休地みたいなもの、これは実態はおわかりになっているでしょうか。どうでしょう。どこかで把握していますか。むしろ、これは自治省さんあたりかな。
  131. 柳克樹

    説明員(柳克樹君) 私どもの方で行政財産とか普通財産という区分までは承知いたしておりますが、それがさらに遊休地がどうかというところまでは捕捉していないと存じます。
  132. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、実態はなかなかこの席では無理だと思います。  ところで、地方自治法や地財法の関係で言いますと、ただいま民間で活用されている土地信託みたいな制度で土地を処分することは現行法ではできませんね。要するに、今の制度ですと、公有地については売却するか貸与するか、この二つしかありませんが、今後のやはり都市の再開発あるいは地域の環境整備というような配慮をいたしますと、たまたまそこに公共の用には供するのに適当でないような土地を含めてそうした事業をやらざるを得ないというようなことがあった場合にはこの方法もやっぱり考えておいてよろしいのではなかろうか。もし、考えるとすると、この点は公有財産の有効活用等について改めて法律、特に自治法を改めないとこれできないわけですが、その辺の将来の考え方についてはいかがでしょう。
  133. 柳克樹

    説明員(柳克樹君) ただいま先生御指摘のとおり、現在の地方自治法上では土地信託という処分の方式というものは予定しておりません。  そこで、土地信託を導入するに当たりましては、現在の自治法で考えております財務会計制度と申しますか、財産制度との調整といいますか、位置づけをきちんとしなければいけない、これが前提でございます。ただ、ただいま先生もおっしゃいますように、地方公共団体におきましても公有地の信託制度についてはかなり研究、検討を進めておりまして、自治省といたしましても公有財産の有効活用に関する研究会で学識経験者にお集まりいただきまして御検討をいただいております。そういうことでございますので、土地信託制度については検討を進めまして、遅くとも年度内には結論を得たいというふうなことで作業を進めておる状況でございます。
  134. 大川清幸

    ○大川清幸君 そうですか。遅くても年度内に研究会の結論を得たいということのようですが、それは研究会の進捗状況にもよるんでしょうけれども、年内に結論が出れば来国会あたりでは具体化をするというような推測をしてよろしいんですか、どうなんですか。
  135. 柳克樹

    説明員(柳克樹君) ただいま申し上げましたように、研究会で現在検討中でございますので定かにはまだ申し上げる段階ではございませんが、導入の方向で検討を進めておるというふうに御理解いただいて結構だと思います。
  136. 大川清幸

    ○大川清幸君 自治省側でそうした検討をしていて実際に効果の上がることであれば実施していただいた方がいいというふうに考えますが、地方公共団体との意見交換なんかも必要で、各知事会の方でも要望が出ているから余りひっかかる問題はないのかなと思いますが、今まで知事会等から上がってきた意見等では前向きな意見の方が多いんでしょう。どうなんでしょう、実態は。
  137. 柳克樹

    説明員(柳克樹君) 私どもの方でも地方公共団体に対しまして照会をするなり、あるいはただいま御指摘のような知事会からの要望等もございまして、いずれも信託制度については導入する方向で検討してほしいという御意見であろうかと存じます。
  138. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは時間が迫ってきましたので、最後に、ダムの堆砂量についてお伺いをしておきたいと思います。  ダムの目的は、治水とか電力とか、あるいは上水道あるいは工業用水等いろいろ多目的な役目を持ったダムが多いわけですが、本日は建設省所管分に限ってちょっとお伺いをしておきますが、長野県の天竜川美和ダム、三十四年完成、総貯水量がこれは三千七百四十七万八千トンということですかね。これは三十四年に建設をされて今日までで三一・八%の堆砂量があるように報告を受けております。佐久間ダムは二五・三%、秋葉ダムが四一・七%、平岡ダムは大変ひどくて八七・九%の堆砂量だというふうに聞いておるんですが、このデータについては誤りありませんか。
  139. 井上章平

    政府委員井上章平君) ただいま先生お話ございましたうち、美和ダム、横山ダムは当建設省所管ダムでございますので、これについては誤りございません。
  140. 大川清幸

    ○大川清幸君 こうした堆砂量、全体の貯水量の三一・八%、あるいは先ほど最後に申し上げた平岡ダムなんかは八七・九%ですが、ダムの決壊はしないし、特に大きな影響は出ていませんが、ダムの機能からいったらこれを余り長い間放置しておいてはまずいのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  141. 井上章平

    政府委員井上章平君) 先生御指摘のように、特に中部地方のダムの堆砂が多い傾向にございますが、日本全国全般を眺めますと、例えば建設省所管のダムにつきましては堆砂率は四・四%でございまして、これは建設省所管二百十のダムについて昭和五十八年度の調査結果でございますが、総貯水容量六十四二一億立方メーターに対して堆砂量が二・八億立方メーター、堆砂率が四・四%でございます。また、全国の発電等含めたすべてのダムについて見ますと、これも同じく昭和五十八年度でございますが、五百十二のダムを対象にいたしまして総貯水容量は百四十四・三億立方メーターに対しまして堆砂量は九・八億立方メーター、堆砂率は六・八%でございまして、このように全体としてはそれほどダムの機能を脅かすような状況にはなっていないわけでございます。
  142. 大川清幸

    ○大川清幸君 では、時間が来ましたから、これを最後の質問にいたしますが、全体から見ると確かに今おっしゃったように極めて低いので堆砂量は四・四%、全体で言うと数字というのはそういうことなんですよ。だから心配ないだろう、こういう御答弁かもしれませんが、ダム個々に見ますと、例えば八七・九%や三一・八%、こういうふうになっている個々のダムの状況を見ると、もう放置しておけない、やはり対処しなきゃならないのじゃないか。地震でも起こったらどうするか、いろいろなことを考えますと、これは何か今から考えておかなきゃならない。いろいろ聞いてみたんですが、なかなかこの堆砂を除去するというか、しゅんせつするうまい機械や技術もないし、困っているようなんですけれども、放置はできないので、個々のダムの状況を考えたらこれは今から対応する、あるいはしゅんせつをするというようなことは急達研究をしてもらいたいと思うんですが、どうですか。
  143. 井上章平

    政府委員井上章平君) 先生御指摘のように、一部のダムにつきましてはかなり堆砂が進行いたしておりまして、機能上も憂慮をすべき点がございます。そういうことでございますので、建設省といたしましては、特に堆砂の進んでいるダムについて貯水池の上流末端部にいわゆる貯砂ダムをつくりまして、新たに流下してきます砂をそこへためまして、それを積極的に排除することによって貯水池内の堆砂を防ぐというようなことも行っておるわけでございまして、これは先ほど先生御指摘のありましたダムを含めまして相当数に上がっております。現在、昭和六十年度までに既に九ダムがそういう貯砂ダムがつくられておりまして、新たに十三ダムについてただいま実施中という状況でございます。  それともう一点は、既にたまった土砂の排除につきましてもやはり必要でございますので、私どももいろんな角度から検討を進めておりますが、ただいまのところ、山中奥深いところにダムがございますのでその搬出方法について非常難しい問題があるということで、鋭意検討を進めておるところでございます。今後とも、一層研究いたしたいと存じております。
  144. 大川清幸

    ○大川清幸君 建設省関係で二百十、それから全国で言うと五百十二もダムがあるわけで、今のところは堆砂量全体で言うと数字の上ではほとんど問題にならないわけですが、個々のダムは今指摘したとおりでございますし、日本国土全体の安全というような点から考えますとこれはないがしろにできない問題ですので、建設省あるいは農水省あるいは国土庁所管のそれぞれの責任がいろいろ重複している多目的ダムもあると思うんですが、この堆砂の解消についての今後の対策は必ずひとつしっかり対応していただくように要望いたしておきます。  以上で終わります。
  145. 山田勇

    ○山田勇君 住宅建設の促進策というのは内需拡大観点から見ましても再三論議をされておりますが、これは住宅の居住水準の向上を図る観点からも進めていくべきことであると思います。我が国の居住水準は経済力から見て欧米先進諸国から比べると大きくおくれたものとなっておりますが、また今後高齢化社会を迎えますが、この住宅の質の向上も急ぐ必要があります。  そこで、昭和五十一年から昭和五十五年までの第三期住宅建設五カ年計画において昭和六十年を目途にすべての国民に確保すべき水準として最低居住水準を設定しております。また、現在の第四期五カ年計画においても引き続き居住水準目標の達成を図るとしていますが、ところが、昭和五十八年の住宅統計調査では、最低居住水準未満世帯が三百九十五万、約四百万世帯もあり、目標達成が不可能の状態になっていると思いますが、この不可能の理由はどこにあるとお考えになっておられますか。
  146. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 御指摘のように、第三期のときに設定しました居住水準があるわけでございますが、第四期住宅建設五カ年計画におきまして六十年度を目途にすべての世帯が確保すべき目標ということで最低居住水準があって、それを目標としたわけでございます。ところが、今お示しのように、五十八年の住宅統計調査で三百九十五万世帯、一一・四%まだ残っておる。特に、大都市の借家階層を中心に相当数存在しているというのはまことに残念なことだと思っております。  今お尋ねの、なぜ残ったのだろうかということでございます。これは社会現象ということもございましてなかなか難しい点だと思いますが、非常に粗っぽく整理をしてみますと、この五カ年で見ますと住宅建設が非常に低水準で推移している。つまり、新しい住宅ができますと必ずそこに住む人は居住水準が上がっていくということが考えられますので、やはり居住水準の上昇のためには新しい住宅建設が必要であるということからいいますと、逆にここ数カ年住宅建設が低水準で推移したということがそういう結果になったのではないか。一つでございます。  それから二つ目に、これは所得や何かの関係ございますけれども、住みかえでありますとか増改築、こういったものが伸び悩んでいるというのが二つ目の理由がと思います。  それから三つ目には、これは現象的といいますか、理由でございますけれども、どうしても最低居住水準あたりの階層になりますと賃貸住宅が主体になるかと思いますが、賃貸住宅につきまして大都市を中心に四、五人世帯向き以上の住宅が依然として不足しているということでございます。  そういうことで、今度六十一年からの新しい五カ年計画におきましては、またこれは建設省の案でございますけれども、できるだけ早い時期にこれを解消するという目標を設定しているところでございます。
  147. 山田勇

    ○山田勇君 この最低居住水準未満世帯の所有関係別を見ますと、民営借家が百八十二万世帯となっています。これは最低水準未満世帯の四六・一%を占めておりますが、これら民営借家の居住水準の向上という問題について建設省は今後どのような施策を講じようとしているのか、お伺いしておきたいと思います。
  148. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 今お示しのように、我が国におきます民営借家の住宅事情を見ますと、規模の狭小なものあるいは設備水準の低いものが多いわけでございまして、最低居住水準に達しない世帯がなお多数残っているという状況なわけでございます。したがいまして、申すまでもなく、これら世帯の居住水準の向上を図ることが住宅政策上の非常に重要な課題であると考えておるわけでございます。このために、従来から例えば住宅金融公庫の土地担保賃貸住宅貸し付け等、いわゆる施策民賃と言っておりますが、施策をやることによって民間の賃貸住宅建設していくという制度でございますが、こういった制度の充実でありますとか、それから木造賃貸住宅地区総合整備事業という事業がございますが、これを推進する、あるいは税制上の措置などを行っているところでございます。  六十一年度概算要求あるいは税制改正において具体的にはどうかという点でございますけれども一つは、先ほど申しました住宅金融公庫の土地担保賃貸住宅貸し付けの敷地要件を緩和しようということを考えております。それによって小さなものでもできるようにしようということでございます。  それから二番目は、特定賃貸住宅の敷地要件の緩和と国の利子補給限度率の引き上げ、これも同じような趣旨からこれを要求しております。  それから三番目に、これは多少特殊でございますけれども、農地所有者等賃貸住宅対象地域の拡大あるいは利子補給対象の拡大、さらに利子補給期間の延長、こういったものを要求することによって良質な賃貸住宅がさらに促進されるようにしたい。  それから四番目には、先ほどもちょっと申しましたが、木造賃貸住宅地区総合整備事業というのがございますが、この補助対象を拡大するということ。  それからさらに五番目といたしまして、これは先ほどもちょっと議論が出ておりましたが、住宅投資促進税制を創設することによって、貸し家も対象にすることを考えておりますので、いい貸し家をたくさんつくっていただきたい。  それから六つ目には、貸し家住宅の法定耐用年数を短縮するという、これは要求でございますが、要求等を行っているところでございます。  こういったような制度等を総合的に展開しまして、今後とも民営借家の居住水準の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
  149. 山田勇

    ○山田勇君 公共賃貸住宅建てかえ、それから増改築を推進していくべきでありますが、最低居住水準未満世帯のうち公共借家の割合が二二・二%を占めています。これらの建てかえ、増改築について公団はどのように臨んでいくのか、お伺いしたいと思います。
  150. 京須實

    参考人京須實君) 公団賃貸住宅は現在約六十五万戸に上っておるわけでございますが、その約八〇%が二DKあるいは三K以下でございますいわゆる小規模なものでございます。したがいまして、これらのものにつきましては、増築あるいは建てかえ等によりまして居住水準の向上を図り、社会的資産である賃貸住宅ストックの充実改善を進める必要がある、このように考えております。  それで、具体に申しますと、昭和三十年代に管理を開始しました住宅につきまして、特に立地条件がよく、住宅需要が高いにもかかわらず土地の高度利用がまだ十分に図られておらない、それに加えまして、またそういうものは小規模なものが多く、設備水準も劣っている、そういう状況がございますので、これらにつきまして建てかえを行う必要があると認識しております。具体に申しますと、当面、昭和六十年度におきまして建てかえのための調査を実施いたしまして、明年から建てかえにどうしても必要な居住者の移転のお願いの交渉に入りたい、このように考えているわけでございます。
  151. 山田勇

    ○山田勇君 丸山公団総裁は、これは朝日の十月二十二日の記事ですが、新聞紙上のインタビューに答えて、毎年一万戸の建てかえを進めると言っていますが、実際にはいつから、どのような方法で、またどの程度規模を目途に建てかえを進めていくつもりなんですか。
  152. 京須實

    参考人京須實君) ただいま申し上げましたように、具体の事業と申しますと、本年度はまだ調査の段階でございまして明年度から入るわけでございますので、総裁の申しました一万戸という数字でございますが、これは我々は将来の努力目標と考えておるわけでございます。しかしながら、いずれにしましても着実にかつ積極的に事業の推進を図りたい、このように思っております。
  153. 山田勇

    ○山田勇君 内需拡大一つの大きな柱としての住宅建設は重要でありますが、住宅産業不況の中にあって、住都公団の役割と申しますか、位置づけも微妙なものがあります。民間活力の活用という形の中で住都公団不要論が強まっておると聞いておりますが、国会でも未利用地、未入居住宅など放漫経営が追及されたりして公団の前途は決して楽観できないと思いますが、公団の使命を十分認識して、安い、住みやすい住宅の提供に一層の努力を惜しまないようお願いをしておきたいと思います。  そこで、第五期五カ年計画の期間の中に最低居住水準を確保することにしていますが、達成し得るとお考えになっておられますか。
  154. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、六十年度で最低居住水準未満世帯をなくそうという目標でやってきたわけですが、遺憾ながら一一・四%残ったわけでございます。五十八年の統計が一一・四%でございますが、その十年前の四十八年は、統計上の問題は多少ありますが、大ざっぱに申しまして三〇・四%ございました。これが五十三年までの五年間で一四・八というふうにかなり急激に減ったわけでございますが、五十三年から五十八年にかけて一四・八%から一一・四%と減り方が非常に少なかったということがございます。  そこで、第五期五カ年計画、まだ建設省の案でございますけれども、におきましてはできるだけ早い時期にこの解消を図るというふうにしておるわけでございまして、鋭意先ほど申しましたようないろんな施策を展開して努力してまいりたいと思いますが、なかなかそう簡単な問題ではないと率直に申し上げたいと思います。
  155. 山田勇

    ○山田勇君 この住宅の質向上とともに、住環境水準の目標も設定しています。今後、町並みを整備していく際にも、住宅の質の向上ばかりではなく、住環境の整備を求める声も強いものとなっております。  そこで、第四期住宅建設五カ年計画においても住環境水準の目標を設定しておりますが、これについて、最終年度を迎えている現在、現状をどう評価しておられますか。また、社会資本の整備を促進し、住宅、住環境一体としての質の向上を図っていく必要があると考えておりますが、建設省の方針をお伺いしたいと思います。
  156. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 御指摘のように、住宅の質の向上といった場合に住環境の問題というのは非常に大きな要素を占めると思います。そういう意味で非常に重要な点だと思います。第四期住宅建設五カ年計画におきましては、低水準の住環境の解消と、それから良好な住環境の確保を図るということを目標といたしまして、住環境の水準の向上に努める際の指針として住環境水準を設定したわけでございます。  ところが、住環境の現状につきましては、御指摘にもございますように、既に第四期の計画は終わろうとしておるわけでございますけれども、例えば住宅の日照状況でありますとか接道状況、これを見ますと、やはり五十八年の住宅統計調査でございますけれども、全国で日照時間が三時間未満の住宅というのがまだ全体の一一・七%ございます。また、四メートル以上の道路に接していない住宅というのが全体の四四・〇%、非常に大きい数字でございますが、そういったような状況にございまして、全体としてはまだ低い水準にあると考えております。また、大都市の既成市街地を中心といたしまして、住環境の水準の低い住宅がまとまって存在している地区もなお相当数存在しているというのが実情でございます。  このような現状にかんがみまして、このほど取りまとめました、何遍も繰り返すようで恐縮ですが、まだ案の段階でございますが、第五期住宅建設五カ年計画におきましても前に決めた住環境水準をそのまま引き続き維持する、これを指針として住環境の向上に努めていきたいというふうに考えております。特に、いろいろな面的事業をやる場合には、住環境の水準向上ということが非常に大きな要素になります。そういったような手法も通じながら住環境の水準向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
  157. 山田勇

    ○山田勇君 住環境の整備とこれは関連すると思いますが、都市の美観を害し、防災活動や交通の障害にもなっております電柱を町から追放するため、建設省はモデル都市十五を選び、今年度内に事業に取りかかることに決めたと聞いておりますが、これは内需拡大にも一役買うものと思いますが、これまでの共同溝方式で、電線、それから電話線、ガス、下水道などをまとめて収容するのでは建設費が高くつくため、建設省は五十八年度に建設費が共同溝方式の一割で済むキャブシステムを開発したと聞いておりますが、このシステムの概要はどうなっておるんですか。そのほかに、これについての問題点があったら、お聞かせを願いたいと思います。
  158. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 先生御指摘のキャブシステムでございますけれども、これは歩道等にふたかけ式あるいはU字溝等の簡易な構造物を設置いたしまして、その中に電線類を集約的に収容することによりまして道路上空を非常にクリアにする、こういうシステムでございます。  先生の御指摘もございましたように、従来の共同溝方式と比べますとかなりの経費の節減になります。例えば共同溝方式では一メーター当たり大体二百八十万円ぐらいかかるというものでございますけれども、このキャブそのものは一メーター当たり十七万円程度でございます。ただ、このキャブだけでなくて、歩道の整備であるとか、植栽帯の整備とか、そういう附帯事業を入れますと一メーター当たり三十万ぐらいでできるというものでございまして、御指摘のとおり約十分の一で十分立派な道路が完成するというものでございます。このものにつきましては、今御指摘がございましたように、モデル都市を設定いたしまして現在整備を進めておりますけれども、既に完成をいたしましたのは、去る十月に日本橋の馬喰町で八百メーターほどが完成をいたしております。非常にきれいな町並みができました。  このキャブシステムのこれからの築造に対しましては、キャブシステム研究委員会という学識経験者から成る委員会を設けまして、どのような形で設置したらよいかというのを研究していただいておりまして、去る十月二十一日に御答申を受けております、それによりますと、大きな問題点はございませんけれども、やはり歩道の幅が四・五メーター以上ございませんとなかなか設置幅がない、それから三階ないしは五階のビルがおおむね連檐しておりませんとしょっちゅうまた掘り返しが起こってしまう、そのようないろいろな問題がございますので、町並みの整備と並行してこの整備を進めていく必要があろう、こういうふうに考えております。私どもといたしましては、大体十年間で千キロほどの整備を何とか図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  159. 山田勇

    ○山田勇君 終わります。
  160. 青木薪次

    ○青木薪次君 私は、まず地代家賃統制令の廃止について質問いたしたいと思うのであります。  政府は、今国会に提出している許認可の一括処理法案の中で地代家賃統制令の一部改正を行いまして、六十一年十二月三十一日限りをもって効力を失わせることとしているのでありますけれども、現在なお住宅総数の三%に相当する百二十四万戸もの対象戸数が存在して、その影響するところが大きいのであります。地代家賃統制令の廃止を許認可の整理という政策的判断を伴わない行政手続の簡素化法案の中に繰り込んで一括法として国会に提案することは了承することができないのであります。何ゆえ許認可整理法案の中に入れて提出したのか、その間の経緯説明すると同時に、地代家賃統制令の改正部分を削除して提出し直すべきではないかと思うのでありますが、建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
  161. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 今回の一括法案につきましては、行革審の答申をいただきまして、公的規制にかかわる事項でございますので、時代の変化等に伴いまして、私どもは一括で処理をしていただくというようなことで実は法案を提出さしていただいておるわけでございます。  そこで、今、青木先生から御指摘いただきましたように、一番問題になりますのは弱い立場の方々、例えば高齢者であるとか、母子福祉家庭であるとか、そうした方々に対して心配や不安を与えないように、法案を通過さしていただくならば、一年間の猶予期間もございますから、これは親身になってそうした方々に対して、いろいろ地方自治体にも御協力いただいたり、また公団などにも御協力いただいて、そうした心配や不安を与えないようなそういう最善の努力を尽くさしていただきたい。これはやはり行政を行う上で一番大事な私は問題である、そういう認識の上に立っておる次第でございます。
  162. 青木薪次

    ○青木薪次君 地代家賃統制令の適用の現状は、現実と一部かけ離れている面もありますけれども、一面で今日なお家賃や地代の不当な値上がりの歯どめの役割を果たしていることは事実だと思うのであります。この問題は、住宅政策上の問題として建設委員会で各党がそれぞれの立場から論議すべき性質のものだと思うんです。これは改めて提出し直すべきであるという考え方を持っているのでありますが、これは重要な問題でありますので、建設大臣の御所見を再度お伺いしたいと思います。
  163. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 先ほども大臣から申し上げましたように、一括法案の中身として不要ないし不合理となっている規制を是正しようという点において趣旨、目的が同一であると認められる各法案を取りまとめて提案されたものと理解しておるわけでございます。  地代家賃統制令の現状につきましては、先ほど先生からお示しございまして、確かに百二十四万戸、全総数では三%でございます。ただ、実際に地代家賃統制令に服している実態というのは、地域によって違いますけれども、一割から三割であるという実態もございます。それから、これは対象昭和二十五年七月十日以前に建築された建築物ということからいいまして、既に一番新しいものでも三十五年たっているということから非常に老朽化しているという実態もございます。それで、家賃がなかなか安いものですから、その修理修繕といいますか、維持管理がなかなか進まないというような弊害も出てきておるわけでございます。  片や、民間のいわゆる民間借家と比較をいたしますと、老朽度においては三倍ぐらいいわゆる危険とか大修理を要するというようなものがありますし、また比率を見ますと、民間借家に対して、全体総数に対して七%が対象戸数になっている、その中でさらにその一割から三割が実際の統制に服しているというようなことで全体としてのバランスの問題もあるということで、そういうことを総合的に勘案いたしますと、やはりこういった統制というのは本来最小必要限にとどめるべきものでありますから、必要性がなくなればこれを直ちに撤廃するのが妥当であると考えられるわけでございます。  そういうような観点から見まして一括法になじむということと、それからいわゆる住宅政策の基本にかかわるものでないというふうに判断いたしまして一括法ということにした次第でございます。
  164. 青木薪次

    ○青木薪次君 地代家賃統制令の廃止の問題については、三十五年の三十四国会、三十六年の三十八国会、三十八年の四十三国会と三回にわたって提案されまして、いずれも野党の反対で審査未了、廃案となっているいわゆるいわく因縁つきの法案であることは間違いないわけであります。これを一括法案の中に含めること自体、私どもは国会軽視と言わざるを得ないというように思うのでありますけれども、この点については大臣どうですか、撤回する意思ございますか。
  165. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 先ほど御答弁申し上げましたように、行革審の答申を受けて私どもは公的規制にかかわる事項である、そうした認識に立ってこの一括法で法案を通過さしていただく、こういうことでございますので、その辺をどうぞ御理解の上よろしくお願い申し上げたい、かように考えております。
  166. 青木薪次

    ○青木薪次君 了解できませんが、ほかの問題がありますから、一応きょうはこの程度にいたしまして法案審査の段階でまた議論をいたしたい、このように考えております。  大臣、健康の状態悪いようですから、どうぞ。  私はコロンビアのネバドデルルイス火山の爆発について質問いたしたいと思うのでありますが、九月のメキシコ地震に続きまして十一月十三日に今度は南米コロンビアでネバドデルルイス火山が噴火いたしまして、その犠牲者は二万人、この間の新聞では二万五千人と書いてありましたけれども、に達するものと言われているわけでありまして、今世紀で最大級の惨事となって、一面泥の世界と変わったのであります。これは一つの町が全くの全滅、あるところはビルがそのまま泥海の下になってしまったというようなことを言われているわけでありまするけれども、これは政府としてできる限りの援助の手を差し伸べるべきだと思うのでありますが、この点、国土庁長官いかがでございますか。
  167. 杉岡浩

    政府委員(杉岡浩君) まず、私の方から今までとった救済措置につきまして事務的に報告さしていただきたいと思います。  外務省からの連絡での御報告でありますけれども、まずコロンビアの火山噴火があって直ちに医薬品を携行いたしました国際救急医療チーム、八名から成るそのチームをまず派遣をいたしております。それからその次は青年海外協力隊のOB、これを四人現地に派遣いたしておるわけでございます。また、コロンビア政府に対しまして百二十五万ドルの供与、それからさらにコロンビアの災害の救済を扱っております国連の災害救済調整官事務所、ここに五万ドル、計百三十万ドルの供与をいたしておるわけでございます。  これからさらに、コロンビア政府の方では復興に当たっての技術的な援助、こういったものの要望もあるやと聞いておりますが、国土庁といたしましても、外務省あるいは関係省庁とも十分連絡をとり、具体的にどんな援助をするかについて関係省庁と詰めていきたいというように考えております。
  168. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) ただいま局長が答えたとおりでございますが、閣議におきましても百二十五万ドルの供与及び五万ドルの供与など最大の関心を持って閣議決定をしたところでございます。国土庁といたしましても、この噴火によりまして相当大きな人命の被害があったわけでありますが、こういうことに対して真剣に全力を挙げてでき得る限りの援助を続けていきたいという国土庁としても決意でおります。また、この噴火災害を我が国の一つの教訓として生かしていきたいと考えております。
  169. 青木薪次

    ○青木薪次君 コロンビアのネバドデルルイス火山の噴火というやつは、これは初めは一万人以上、そのうち二万人程度、その後に二万五千人という今世紀最大の火山爆発の惨事となったのでありますが、現地の被災状況を見てきた人の話によりますと、まず過去に噴火記録のない火山でもこれは油断は禁物だということが言われているわけでございます。  したがって、こういうことを考えてまいりますと、雪や氷や地下水の多い火山で特に危険が高いというところについては特に警戒を要するのでありますが、この場合に爆発いたしますと流出のスピードが時速二百キロとか三百キロに達するということでありますから、想像を超える速さで二万五千人の死者ができていったというように考えられるわけでありまして、加速による破壊力も想像を絶するような大きな被害だと思うのであります。  この点で、私は静岡県でありますから、静岡県の富士山はどうかということが私どもの県でもいろいろ言われているわけでありまするけれども、富士山は休火山で今火を噴いておりませんけれども、これは地質学上は活火山、これは周期説からの判断した結果でありますけれども、これにマグマがちょっと動きますと地震が起こり爆発するんです。したがって、そういうことから考えてまいりますと、火山の性質によって火山灰と火山弾を噴き上げるところのいわゆる火山の性質と、それから粘着性の溶岩が流れ出る三宅島のようなもの、あるいはまた爆裂するような火山という三つに分けられると思うのでありますが、今回の場合においては火山灰と火山弾、ネバドデルルイスタイプは我が国の十勝岳等において過去に大きな人畜の被害があったわけでありますが、これらの関係と同時に、今火を噴いていないから大丈夫だということを言っているのじゃなくて、やっぱり周期が非常に長いというようなことでありますので、この点についてどういうように政府として考えているのか、お伺いいたしたいと思うのであります。
  170. 杉岡浩

    政府委員(杉岡浩君) ただいま青木先生から御指摘ございましたように、雪をかぶった山で噴火が発生するという場合に今回のような泥流が起こるわけでございます。過去に十勝岳あるいは有珠山、こういったような火山噴火に伴う泥流が古い昔ございました。現在は、こういった火山につきましては、気象庁においてあるいは大学におきまして常時観測をいたしておるわけでございます。そして、前兆現象、例えば火山が爆発する前に火山性の地震が発生する尊前兆現象を的確にとらえる、そして必要な避難体制に入るということがまず必要だろうというふうに考えております。そういった観点から、現在活動している火山につきましては観測を怠らない状態になっております。  そして、こういった災害が発生する場合は、的確な避難ということが必要になってくるわけでございます。そのためには、火山の噴火によってそういったおそれのある市町村等におきましては地域防災計画に避難体制等を明記する、それから必要によりましては、例えば桜島とかそういったところにおきましては訓練を行うといったような対策を講じておるわけでございます。また、必要な防災行政無線、これの整備を通じまして、的確な情報の伝達ということが必要であろうかと思っております。  富士山のお話が出ましたけれども、富士山の周囲におきましては、気象庁、国立科学技術防災センター、それから東京大学、こういったところが各地区地震計あるいは傾斜計を置きまして常時観測を行っておるわけでございます。こういった観測によりまして的確な前兆現象をとらえるということが必要であろうか、こう思っております。
  171. 青木薪次

    ○青木薪次君 富士山の場合だけ言うわけじゃありませんけれども、しかし富士山が爆発いたしますと、富士宮市と富士市と沼津市と三島市と裾野市と御殿場市、静岡県側は全滅する。それから、ここに志村先生が見えますけれども、山梨県の方もそういうことになるのであります。  私は、先日、小山委員長と王滝川の視察とともに木曽の御岳山の視察もいたしてまいったわけでありますが、これは爆発じゃありません。これは局部的に直下型の地震が来て、恐らくここは震度六ぐらいの地震になったと思うのでありますが、いわゆる崩落した土砂が下で王滝川を埋めて自然のダムをつくってしまったとか、木曽ヒノキを倒してしまったとか、いろいろな物すごい被害が、第二次被害も起きて、これからもまた王滝川の現状は私は予断を許さないと思うのであります。あの天然湖と言われるものも相当対策をやりませんと、水抜きぐらいでは私はなかなか解決しないというように思うのであります。  この関係については、ネバドデルルイス火山については米国の学者とコロンビアの地質学者がこれはマグマが動き始めたというようなことで噴火が近いことを予知いたしまして、そして被害の予想図までつくったんですよね。そして、政府も危ないぞ危ないぞということは言っておったんです。だから、今、防災局長の言われるように、問題はやっぱり観測体制がなっていなかったということですね。一たんは溶岩が流れたんですから、これはすぐにも来るということを自然が教えてくれたんです。それに対して対応しなかったために、いわば観測体制の貧困といいますか、その意味で二万五千人が死んでしまったということなのであります。  この点で、富士山の場合には今常時観測体制と言われますけれども、私もこの辺では皆さんからいろいろ意見を聞いてまいりましたけれども対策とか対応は皆無だ、こう私は思っているわけであります。事実、政府機関の皆さんに聞きましても、今の、土砂が流れ落ちてくる、例えば富士山の源頭部の補強工事、下のいわゆる堰堤とか潤井川の堰堤、こういうものはよくできています。非常によくできています。これは昭和四十七年の災害からこれをやったわけでありますけれども、直轄の河川としてやっているわけであります。しかしながら、火山の爆発に対する、今度のコロンビアのネバドデルルイス火山のようなことに対する対策というものについては観測体制を含めて皆無だと言わざるを得ないのでありますけれども、富士山は絶対安全ですか、防災局長
  172. 杉岡浩

    政府委員(杉岡浩君) 私も専門家じゃございませんが、過去に見ますと、富士山は大きな爆発が、近い方からさかのぼりますと、一七〇七年、宝永山ができた爆発がございます。それから八六四年でございますが、これは青木ガ原がこのときの噴火ででき上がっております。そのほか、小さな噴火を含めますと十数回というような噴火があるわけでございます。  先ほど申しましたように、こういった宝永山ができるような大規模な爆発、これにつきましては的確な観測によりまして事前にその前兆現象をとらえて、そして的確な避難体制に入るということは今の火山に対する技術から見れば十分可能であろうというふうに考えておるわけでございます。  幸い、この地区におきましては、東海地震を想定いたしまして防災無線網が完備をいたしてきております。そういった情報の連絡、そういった体制ができておりますので、的確な観測を打って、そして的確な避難を行うことが必要だというふうに考えております。
  173. 青木薪次

    ○青木薪次君 日本には七十の火山があるんですよね。そのうちの観測対象となっているのは五十七火山ということになっております。それから地震計の設置されておりますのは、これは常時観測体制をやっておるわけでもありますけれども、これは十七しかありません。それから、このうちの十三火山については一地点だけしか地震計は設置していないんです。そういうような状態であるわけでありますので、この点についてはネバドデルルイス火山の経験にかんがみて、さらにひとつ特に観測体制を強化すべきであるということがとうとい犠牲の中で言われているわけでありますから、これは大臣にひとつ質問いたしたいわけであります。  今、防災局長の言ったように、各地でもって、十勝岳とか有珠山とか、あるいはまた近くでは三宅島の火山の爆発とか、それから鹿児島の桜島とか、熊本の阿蘇山とか、浅間山とか、それから非常に危ないと言われる私どものところの富士山とか、そういうようなもの等についてさらに地震計を設置した観測体制というものをとるように努力しませんと、過去に日本だって千何百人やられているんですから、そんなに歴史は長くないですよ。そういうことをお考えになりまして、積極的に従来より増した対策をとるべきであるということを政府の内部において強力に発言をされて、とかく財布のひもを締めることに唯々諾々としている大蔵省に対しても警告を発して、そうしてこの火山の防災対策に処すべきである、このように考えているわけでありますが、決意表明をひとつここでしていただきたいと思います。
  174. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 先生御指摘の、私はコロンビアの予知体制も十分あって住民に知らされたが、住民はコーヒーの収穫期であって避難しなかったというふうに聞いておりますが、やはりこの防災、予知ということにつきましては重点的に関心を払って、万全を期していきたいという決意でございます。
  175. 青木薪次

    ○青木薪次君 私は、この問題については、私も災害対策委員にもなっておりますからそちらの方でも質問いたしますけれども、いずれにいたしましても、きょうは特に気象庁の皆さんには、日本には六十七の火山があって、このうち気象庁が地震計を置いている常時観測箇所は十七で、しかもその観測体制を見ると、噴火予知の大きな武器となる地震計は浅間山、伊豆大島、阿蘇山、桜島の四火山に各五個が置かれているだけで、残る十三の火山には地震計が一つしかないのであります。今申し上げたとおりであります。地震計が一つでは震源の特定はできません。観測体制として不十分であるわけでございます。  一方、消防庁が三次計画の対象となった三十五の火山に関係する二十都道府県百二十二市町村の防災計画を調べたところ、昨年三月末現在で火山対策計画を定めてあるのは十三都道府県四十四市町村だけだったのでありまして、いざという場合の情報を伝えるのに有効な防災無線は七十五市町村にあるだけでありまして、四割近くは未整備となっているというこの現状は、計画の策定などについて全くもってまだまだ初期の段階だと言わざるを得ないというように考えます。現在、積もった灰が流れ出るのを防ぐ防護壁がつくられているのは桜島と有珠山だけてあります。そして、現状ではいち早く火山活動の異常を見つけて避難するのが最大の防災対策と言えるのでありますが、この逃げるものについても観測体制の貧困さというのは今私が申し上げただけだということになるわけでありますから、防災局長、ひとつ政府も、やっぱりこじきのおかゆじゃないけれども、言う(湯)だけだということでは何にもならないわけでありますから、今、国土庁長官が言われましたように、国土庁長官は今国民に向かって言ったのだ、委員会だけじゃなく、というように考えて、その点を強力に要請いたしまして、きょうの私の質問を終わります。
  176. 小山一平

    委員長小山一平君) 本日、衆議院で許可、認可等民活に係る規制の整理及び合理化法案が議了して、あすの参議院本会議で趣旨説明が行われ、質疑が行われることになっております。そして、これが内閣委員会に付託になって審議されると思いますけれども、先刻も青木委員発言したように、この一括法案の中に地代家賃統制令の廃止の重要法案が紛れ込んでおります。これは、先ほども発言があったように、既に三回提案されて、そしていずれも建設委員会で審議をし、これが廃案になった、大変政策的な重要法案と言わなければなりません。これを今度は建設委員会で審議することができず、内閣委員会で一括法の中で審議をされるという扱い方は、大変これは問題でございます。  どうも、最近、政府は、いろんな内容を持った、各委員会に深くかかわる内容の法案を一束にして一括法案と称して提出するという、大変これは適当でない扱い方が横行をしているように思います。今回のこの地代家賃統制令の法案も、いろいろ今理屈を並べてもっともらしく言われましたけれども、これは適当でない。こういう重要な政策的な案件は当然所管の委員会で審議ができるように法案の提出をすべきである。もう既に衆議院でこれを一括法案として扱って議了しておりますから、今ここでこれを分離をしろと言ったってこれは無理かもしれませんけれども、こういうようなことを今後重ねて行われるようなことがあることは建設委員会としては断じて承服することができません。今後こういうことのないように、厳重に指摘をしておきます。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十九分散会      —————・—————