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1985-12-11 第103回国会 参議院 環境特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十一日(水曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         矢田部 理君     理 事                 山東 昭子君                 吉川  博君                 菅野 久光君                 飯田 忠雄君     委 員                 石井 道子君                 上田  稔君                 梶木 又三君                 藤田  栄君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 片山 甚市君                 高桑 栄松君                 近藤 忠孝君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石本  茂君    政府委員        環境庁長官官房        長        古賀 章介君        環境庁企画調整        局環境保健部長  目黒 克己君        環境庁自然保護        局長       加藤 陸美君        環境庁大気保全        局長       林部  弘君        環境庁水質保全        局長       谷野  陽君        通商産業大臣官        房審議官     高木 俊毅君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   伊藤 一実君        文化庁文化財保        護部記念物課長  田村  誠君        厚生省生活衛生        局水道環境部水        道整備課長    小林 康彦君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    加藤 三郎君        林野庁林政部企        画課長      赤木  壮君        林野庁業務部経        営企画課長    塚本 隆久君        通商産業省生活        産業局繊維製品        課長       渡辺 光夫君        気象庁地震火山        部地震火山業務        課長       鈴置 哲朗君        労働省労働基準        局安全衛生部計        画課長      角野 敬明君        建設省都市局都        市防災対策室長  中沢 守正君        建設省河川局水        政課長      二橋 正弘君        建設省住宅局建        築指導課長    立石  眞君        自治大臣官房地        域政策課長    今泉 浩紀君        自治省行政局公        務員部公務員第        一課長      紀内 隆宏君        消防庁救急救助        室長       篠田 伸夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (公害及び環境保全対策樹立に関する件)     —————————————
  2. 矢田部理

    委員長矢田部理君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 片山甚市

    片山甚市君 長官は、経団連環境安全委員会講演をされましたが、環境問題についての認識を深めさせるための講演であれば問題はございませんが、現在公健法見直し作業が大詰めに来ておりますとき、この作業財界圧力後退的見直しであると言われております。その時期に、あたかも経団連との連携強化が推測される動きとも受け取られておるところです。窒素酸化物環境基準財界通産省圧力で三倍に緩和された上、昭和六十年までに達成するとの約束も結局果たさないのに、この上公健法見直しで骨抜きを求める経団連にこびを売る必要があるのか。どのような意図で講演をなされたのですか。
  4. 石本茂

    国務大臣石本茂君) お答えをいたします。  八月の三十日でございましたか、これは経団連安全委員会におきまして講演をしたわけでございますが、その内容は、六月のOECD環境大臣会議の模様を中心にいたしましての話でございまして、経済と環境とは裏と表ではなくて、同時に歩みを進めていかなければならない問題ですということを強調し、また、国際的な環境問題等についてお話しをいたしました。決してただいま先生申されますように経団連側に目を向けているわけではございません。私は公平に見てきたつもりでございます。  公害健康被害補償制度公害に係る健康被害の迅速かつ公正な救済を行うものでございまして、この制度の適切な運用を図ること性重要な問題であるというように当初から考えてまいりました。このような見地から、環境庁といたしましては、我が国大気汚染態様変化を踏まえまして、今後の第一種地域あり方に関して中央公害対策審議会諮問をしているところでございまして、現在同審議会におきまして検討が進められているところでございます。  御指摘のありました私の発言は、単に中公審における以上のような検討状況説明したものでございまして、この点を御理解いただきたいと思います。そういう意味で、中公審目下検討中でございますというふうに申し上げたわけで、余分なことは何も申しておりませんことを申し上げて、御理解いただきたいと思います。
  5. 片山甚市

    片山甚市君 長官のお話はわかりましたが、講演後の懇談会の席上で、経団連から公害健康被害補償制度見直し質問が出たとき、鋭意検討中だということでお答えだったようですが、なぜ、これまでの環境基準達成現状を厳しく御指摘され、環境行政への介入とも言える後退的見直しはできませんと言われなかったんでしょうか。
  6. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 先生の今申されましたことでございますが、これは級地あるいは紋別と申しますか、そういうことを今日まで真剣に取り組んできたわけでございますけれども、これは私が就任いたします前々大臣のころに諮問をされたわけでございまして、その諮問の結果が専門分野の方々の英知を集めて目下検討が進められているところでございまして、結論がいつ出るのだろうかというふうに考えてまいったわけでございますが、現在、ただいままだ出ておりません。  以上でございます。
  7. 片山甚市

    片山甚市君 私は、環境行政への介入とも言える後退的見直しなどはあり得ないという態度で、後刻申しますけれども、やはり環境基準達成の方が環境庁仕事である、その後追いの補償の問題について、環境基準達成されておらないの に、直すとか直さないとか、もう少し金出してくれと言われることについては納得できないという立場で、今長官からお言葉がありましたからこれ以上追及しませんけれども態度としては、やはり環境基準達成ということに環境庁は力を注いでもらいたい。  そこで、公健法見直しなどということは、加害者の側に立つ可能性の多い財界から言われる筋合いのものではありません。言うとすれば、被害者立場に立って、公害規制強化が問われるべきでないか。特に地域指定も、法施行当時から指定地域はふえているのではありませんか。例えばNOx基準達成も当面無理のようでありますし、問題の大型ディーゼル車は増加しているようではありませんか。さらに大気は、SOx測定値が低くなったからといって、他の有害物質が減る傾向もないのに、その基準をさらに緩めようと言われるような動きがあるのは断じて納得できませんが、それについて答えてください。
  8. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答え申し上げます。  先生指摘は、公健法見直し環境基準達成された後にというふうな御趣旨と思われますが、この環境基準達成につきましては最大限の努力をもって行うことは当然でございますが、一方では、公害健康被害補償制度は、既に発生した健康被害に対して救済を行うものでありまして、この制度の適正な運用を図っていくのもまた大変重要な問題であるというふうに私ども考えている次第でございます。  公害健康被害補償法の第一種地域あり方につきましては、これまで硫黄酸化物による汚染大気汚染の代表的な指標として取り扱ってきました。しかしながら、近年我が国大気汚染状況を見ますと、硫黄酸化物による汚染は著しく改善される一方、窒素酸化物による汚染横ばいで推移するといったような、その態様変化が見られるわけでございます。このため、環境庁といたしましては、昭和五十八年十一月に、このような大気汚染態様変化を踏まえまして、公害健康被害補償法の適正な運用を図る観点から、今後における第一種地域あり方に関しまして中央公害対策審議会意見を求めることとしたわけでございます。現在、同審議会に設けられました、疫学、臨床医学等専門分野専門家から成る専門委員会におきまして、鋭意検討をいたしているというふうな状況でございます。
  9. 片山甚市

    片山甚市君 質問に答えておりませんから、言います。  地域指定も、法施行当時から比べると、指定地域はふえているのではないですか。
  10. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 指定地域につきましては、旧法の、いわゆる公害健康被害補償法の制定される以前の特別措置法の時代には、四日市等十二の地域が指定されておりまして、昭和四十九年に本法が施行されて以来、指定地域追加拡大が行われまして、五十三年六月までには合計四十一地域が指定されて今日に至っているわけでございます。
  11. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、SOx測定値が低くなったということでありますが、その他の有害物質が減っておりますか。
  12. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 先ほどお答え申し上げましたように、いわゆるSOxにつきましては、汚染はおおむね横ばいでございます。——失礼しました。訂正いたします。NOxについてはおおむね横ばいでございます。
  13. 片山甚市

    片山甚市君 そういうふうな答えは、いいかげんに聞いておるということですよ。SOxNOxがわからぬで答えている、その程度のものだということです。訂正せぬでよろしんです。これ、黙ってほっといて、そのままおいといてやろうと思ったんだが、あわてて後ろから黒子が来て、訂正している。その程度の話に聞いている。レクチャーしたんですよ、問題は。  公健法見直しは、少なくとも環境基準達成まで作業を中止すべきである。というのは、環境基準をきちんと達成させるのが環境庁仕事である。救済措置をしなきゃならぬのは、企業防衛上です。そうしなけりゃ工場が立ち退きしなきゃならなくなるから金を出しておるんです。その金を出したくないから見直ししたいと言っているんですよ。見直し本音は金です。金、金、金。豊田商事みたいなものです。ですから、見直しはやめてもええから、むしろ環境基準達成を早くしてください、指定地域が早く解除されるような状態にしてください、こう言っているんです。——長官答えなさい。官僚じゃだめだ。
  14. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 先生申されますように、環境基準達成につきましては、大気汚染あるいはまた新幹線等の問題につきましても、基準達成することができませんでございました。そういうことを含めまして、目下鋭意担当事務当局を含めまして関係省庁に対しましてもこの達成に向かって努力を、今後も含めまして、現在ただいまも必死で頑張って努力している最中でございますことを御理解いただきたいと思います。
  15. 片山甚市

    片山甚市君 理解できません。NOxについては、御承知大型ディーゼル車が増加し、それの解決がまだ見込みがないんです。そういうことを先にやるべきです。幾ら言っても、人殺しとか病気をつくる環境庁とか厚生省ということならやむを得ないけれども、我々は、環境庁厚生省は、人の命を守る、環境をよくするところだと思っている。ところが、大型ディーゼル車が走る。大量の貨物が走るために輸送コストは安くなるでしょうけれども、人の命はちりあくたのごとくやられるんです。そういう意味で、馬の耳に念仏の環境庁に幾ら言っても仕方がないけれども、もう一度、環境基準達成こそ使命にしてもらいたい。財界が金を出すのが嫌だから、早く見直せ見直せとやかましくやっておる。そんなことじゃ絶対直らないですよ。本音は、金が余計要るじゃないか、たかられておるじゃないか、こんなのはやめてしまえ、そういうことが先に出ておる。被害を起こしたことについて何ら反省していない。十二月八日の大東亜戦争を起こした責任を感じずに、原爆を落とされたのは、それはソビエトが攻めてきたからとわいわい言って軍備を増強するやからと同じ考えじゃないですか。私は、自分の意見を述べて、答弁は求めません。どうせ答弁を求めたらろくなことを言われない。これは終わります。  次に、水源税構想について林野庁に、及び流水占用料構想について建設省に聞きます。  水源税構想及び流水占用料構想について、その概要をそれぞれの省庁から説明を願いたい。
  16. 赤木壮

    説明員赤木壮君) 水源税構想概要について申し上げます。  現下森林荒廃状況に対処し、森林の持っております水源涵養等公益的機能維持確保を図るためには、その積極的な整備を図っていくことが緊急な課題となっております。しかしながら、現在の厳しい財政事情のもとにおきましては、一般財源にこれ以上期待することはできない実情にあるということで、このままでは森林整備が十分に行われず、その果たすべき水源涵養機能の低下を来すなど、今後の水利用にとって手おくれとなる事態が予想されることと同時に、ここで、将来にわたる森林水源涵養機能を確保するためには、その受益者にも必要最小限費用負担をしていただくよう、目的税として水源税を創設したいと考えたわけでございまして、その概要は、河川から取水されます水道水工業用水発電用水等水使用者に対し水の使用量に応じて課税するということでございますし、税率は使用水量立方メーター当たり一円とする、ただし発電用水につきましてはその十分の一ということでございまして、これで税収見込み額として約五百五十億円程度を見込むということでございます。  さらに、水源税財源として重要な水源林整備を行うということで、重要な水源林水源涵養保安林、あるいは土砂流出防備保安林及び土砂崩壊防備保安林というような地域における荒廃林地等復旧、あるいは森林整備造林造成あるいは間伐等事業を行うということに考えてございまして、これらの実施期間は、今緊急を要することでございますので、その期間ということで十年間 というふうに考えてございます。  以上でございます。
  17. 二橋正弘

    説明員二橋正弘君) 建設省から来年度の予算編成に向けて流水占用料制度の改正を御提案いたしておるわけでございますが、この流水占用料制度は既に現在の河川法に設けられておるものでございまして、河川の水を取水する者から徴収することができるということにされております。  ただ、現在、いろいろの減免措置が講ぜられておるわけでございます。一方で、近年河川の水が非常に大量にいろいろな用途に取水されておりまして、それに伴いまして、河川水水量の不足、水質の悪化といったような問題が生じておりまして、河川環境対策の推進が強く求められている状況にあるわけでございます。  こういう現状にかんがみまして、現在設けられております流水占用料制度減免措置見直しをいたしまして、河川水利用者に対して適正な負担を求めるということによりまして財源を確保いたしまして、水量の安定あるいは水質の改善といった河川環境対策を推進したいということで御提案しておるものでございます。
  18. 片山甚市

    片山甚市君 こんな構想が出てくること自体が不思議でならないのであります。中曽根内閣は、行革審の言うとおり増税なき財政再建をごり押ししてきたのではありませんか。水質源利用者は全国民である。特に、上水道を含めれば国民の全体がこの税金対象になることになります。水源から家庭までの間には、電力、水道事業工業用水利国産業がそれぞれ課税対象になり、製品に転嫁されることは、結局国民に二重三重の負担をツケ回しすることになるのではありませんか。増税なき財政再建とは、営利企業は免責し、国民からの収奪でさえあればよいというのでありましょうか。  特に、治山治水こそが古来綿々と続いた政治の要請であるのに、水に課税するとは、もはや政治そのものが存在していないと同じであると思うが、まず、環境庁長官はどう思いますか。
  19. 谷野陽

    政府委員谷野陽君) ただいま御質問に対しまして両省からお話しがございましたが、流水占用料水源税構想につきましては、現在関係省庁間で調整が行われておるというふうに承知をいたしております。今後さらに関係省庁中心として検討が進められると考えておりますが、環境庁といたしましては、環境保全観点から、必要に応じ慎重に検討し対処してまいりたいというふうに考えております。
  20. 片山甚市

    片山甚市君 厚生省はどう思っておりますか。
  21. 小林康彦

    説明員小林康彦君) 流水占用料を実施したいと説明を受けております内容は、広範にわたります河川環境対策事業でありまして、その受益国民一般であり、水道事業者に直接の利益をもたらすものとは言えないものと考えております。また、水源税により実施しようとしております森林整備によります水源涵養効果についても受益程度は不明確でありまして、受益者負担にはなじまないものであります。したがって、水道から流水占用料水源税徴収するのは適当でないと考えています。  なお、流水占用料については、水道公共性公益性にかんがみ、従来よりその徴収をしないこととされており、単に国の財政事情の逼迫を理由にいたしましてその徴収を行おうとするのは問題があると考えております。  これらの構想によります水道用水水道利用者からの流水占用料あるいは水源税徴収は、国民生活に直結いたしました水道料金値上げなどにつながるほか、水道水を利用して生産されます消費物資生活関連料金にも少なからぬ影響を生ずるものと考えております。  厚生省といたしましては、水道料金の高騰を抑制しますため、水道整備について補助を行っているところでもあり、水道に対する国庫補助効果を減少させ、水道にかかわります国民負担の増加をもたらすこれらの構想には反対しておるところでございます。
  22. 片山甚市

    片山甚市君 通産省はどういうお考えですか。
  23. 高木俊毅

    政府委員高木俊毅君) 通産省立場でございますけれども厚生省同様、この両構想につきましては反対しているところでございます。  御案内のとおり、私ども省庁におきましては、工業用水道を従来から整備いたしてきておりまして、これに対しましては、補助金等も適用しながら、また、地盤沈下防止等目的からも、工業用水道安定的供給を図ってきているわけでございます。したがいまして、そういう中におきまして、今回の構想につきましては、これらの私ども政策行政に相矛盾するものでございますし、それぞれいろんな観点から問題があろうかと思っております。  大きく申し上げますと、両構想内容の中には、いわゆる工業用水政策矛盾等だけではなくて、産業界に対する過重の負担も強いられてくることになってまいりますので、私どもといたしましては、増税なき財政再建という政府の基本的な方針にも反するということでいろんな問題点を内包しているものと考えております。したがいまして、私どもといたしましては、今後ともこの両構想につきましては反対立場であることは言をまたないことでございます。
  24. 片山甚市

    片山甚市君 私の住んでおる大阪府箕面市の農業委員会から次のような手紙が来ておるんです。「農業生産にとって「水」は生命である。加えて農業用水利用は、治水および地下水のかん義ならびに地域用水などとして極めて重要な公益的役割を担っているのみならず、その維持・開発については永年にわたる農業者物心両面努力が積み重ねられてきており、これら事情から占用料徴収されることなく今日に至っている。」。にもかかわらずこの構想が出ることに非常に反対だということでお便りをいただきました。それと、私の出身の地域の北摂の水道事業者から、水道料金値上げに直結し、税金の上に税金をかけることになるので、何としてもやめてもらいたいという陳情がありました。それを踏まえて私としては質問をしておる立場です。  そこで、水源税構想は、荒廃林地等復旧奥地水源林整備などはこれまでの林野庁行政の骨格ではありませんか。各省庁とも新規事業財源は新しく目的税として徴税できるということになったのかどうか。政府としてそういうことをすることになったかどうか。まず、提案しておる方から構想について、目的税を認められた世の中だというふうに考えているかどうかお答え願います。できますか。
  25. 赤木壮

    説明員赤木壮君) 我が国は地形が急峻でございまして、降水の流出も速い。特に国土の七割を占める森林水源涵養上果たしている役割は極めて大きいわけでございまして、ただ現下森林保安状況から見ますと、国土を守り、水をはぐくむ森林整備することは緊急の課題となっているという実態があるわけでございまして、そのためには必要な、不可欠な事業も実施していかなきゃいけないということでございますが、現下増税なき財政再建下国家財政はまことに厳しいものもあるわけでございまして、そこで今回、森林機能受益者にも必要最小限負担をお願いするということで、必要な事業をやろうということでございまして、目的税としてそういうような形で御提案申し上げているわけでございます。
  26. 片山甚市

    片山甚市君 一般財源が足りなくなったので、新規事業を起こすに当たって目的税を設置したいということであります。  さて、環境庁に聞きますが、環境庁環境保護のための目的税というものを考えておられますか。
  27. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 先生の御提案は一つの考え方であろうかと思いますけれども環境保護でありますとか環境保全といいますのは、公害防止や自然の保護などを含んでおりますので、将来はともかく現在のところはそのような目的税を導入するというようなことは考えておりません。
  28. 片山甚市

    片山甚市君 私は、目的税をつくってくれと言っているんじゃないんです。林野庁がつくるとい うことならまねしてやるかと言っているんです。好きでしょう、何でもよそがやると横並び式で。前例があれば何でもやるんだから。だから、環境庁はこれをまねて、金がないない言いよるんだから、いつも。目的税をつくるような気持ちになるかと言っているんだ。なったらばかだと言おうと思ったけれども。もう一遍答えてください。
  29. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 率直に答弁申し上げますけれども、現在は、そのようなことは考えておらないのでございます。
  30. 片山甚市

    片山甚市君 それは環境庁の良識ということです。環境庁の基本的な仕事をするためには、やはり一般財源できちんとやれるようにしなければなりませんし、特殊財源を求めるというのは、本当に特殊であって臨時的なことでなければならぬ。今まで国家財政編成をするときに、そういうふうに説明を大蔵省を初め政府がしてきたんですから、ここに至ってお金が足りなければ何でも目的税をつくってもよろしいと言わんばかりの厚かましいことはやめてほしいという気持ちがあります。環境庁に尋ねたのではありません。環境庁をだしにして、頂門の一針として、建設省林野庁に、お隣の環境庁はそんなことを言ってませんよ、金がなくても辛抱していますよ、しっかり頑張りなさいということを言っておるところです。  水源税構想によれば、個々の水道利用者課税対象としており、しかも、河川から取水している場合に限られております。そこで、当委員会で視察いたしました東京都府中市の水道の場合、地下水利用の井戸水を水源としておりましたが、トリクロロエチレン等の汚染で他の水源に切りかえて給水しました。これで明らかになったように、大都市での水利用はその水源が何であるかの選択の余地はないのです。どこかから水を取らなければなりませんから、地下水がだめであればおのずから河川の水を取らざるを得ない。そこで、府中市の場合だと、ある日突然税金がかかるということがこの構想が成立すればできる。隣同士の家でも、行政区が違うだけで税金がかかる家とそうでない家が出てくるということになり、不公平、不平等きわまりない。  こんな課税が果たして妥当かどうかについて、水に対してかかる税金について、環境庁お答え願いたいと思います。
  31. 谷野陽

    政府委員谷野陽君) 水の問題につきましては、今御指摘のように、すべての国民がこれを利用しておるというものでございまして、その安価な安定的かつ良質な供給というものは大変重要であるというふうに私ども考えております。  私ども水質の方を担当しておるわけでございますが、そういう中で、それぞれの地域の実態に即しまして工夫をしつつ、皆さんが水道用水その他の用水の安定供給を図られておるわけでございますが、そういう場合に、やはり水質の確保にいたしましてもそれなりの対策事業等を要するということがあるわけでございます。  過去におきましても、例えば下水道事業水源地域につきましては特別の措置が湖沼その他につきましてとられておるわけでございまして、そういう中で一部下流負担が導入されたものもございますが、お話し合いの中で進められておるわけでございまして、そういうような従来の路線を、さらに十分なお話し合いの中で進められていくということが適当なのではないかというふうに考えております。
  32. 片山甚市

    片山甚市君 水源税構想は、水源林保護目的としていることは御承知のとおりですが、琵琶湖は水源林に該当するものはないにもかかわらず徴税の対象になっておりますが、いかがなものでしょう。琵琶湖の水利用について近畿圏の住民は琵琶湖総合開発計画に基づきこれまでも多額の負担をしてきておりますし、さらに今後琵琶湖に降る雨にも税金がかかっていくのだということであっては、たまったものじゃありません。  淀川水系のうち、琵琶湖への降雨量を幾らと林野庁なり関係者は推計していますか、このように天水とも言うべき自然条件に直接課税する根拠があるのかどうか。琵琶湖の話ですよ、琵琶湖に水源税をかける根拠とするものがあるのか。それを答えてください。
  33. 赤木壮

    説明員赤木壮君) 琵琶湖は、河川法河川ということになってございます。そこからの水の使用者は、水源税対象とする考えでございます。  御承知のとおり、琵琶湖は、周りに集水区域内の森林が十九万ヘクタールぐらいあるわけでございまして、このうち水源涵養保安林だとか、土砂流出防備保安林土砂崩壊防備保安林というものが琵琶湖の周りにあるわけで、これが五万ヘクタールぐらいあるということでございまして、この山からまた琵琶湖へ水が出ていきます。琵琶湖からさらに淀川へ水が出ていくというような実態にあるものと考えております。
  34. 片山甚市

    片山甚市君 林野庁がそういう御説明をしていただいておることは聞いておきますが、納得できません。  琵琶湖の真ん中に降る雨はどうなるんですか。山に落ちた水を幾らと、山に降るのを計算をしたらどうなるんですか。保安林以外に降った雨はどうなるんですか。
  35. 赤木壮

    説明員赤木壮君) 琵琶湖への水の問題でございますが、琵琶湖の周辺の河川から流入してくるものが八割程度はあるというふうには推定をいたしておりまして、通常の川の面に降るものもあるわけでございますが、大部分周囲の山等に降ったものがずっと、それが直接あるいは地下浸透しながら川へ出てくるという形で流れていくというふうになっておるものと考えております。
  36. 片山甚市

    片山甚市君 それじゃ、保安林から流れてくる雨の量は幾らですか、水の量。——計算できましたか。
  37. 赤木壮

    説明員赤木壮君) 約四十五億立方メーターぐらい、周囲の河川から流入しているものがあるというふうに考えております。
  38. 片山甚市

    片山甚市君 河川でなくて保安林から流れてくる水の量であります。あなたは保安林と言ったでしょう。あなたが管理しておるところについてこれだけあるから一般の宅地に降った水まで取るんですか。屋根の上に降った雨まで税金取るんですか。平地に降ったやつもだめだということですか。利用者反対言っておる水まで税金かけるんですか。琵琶湖には農業から入っていった水が入るんですよ。わかってないでしょう。だから林野庁はおかしくなるんだよ。木を切るばっかりで。答えてください。
  39. 赤木壮

    説明員赤木壮君) 琵琶湖の水は、その周囲の森林からそれぞれの琵琶湖へ流れる河川、一級河川だけで百二十五本もあるわけでございますけれども、これに入ってくるものが琵琶湖の水となって出てくるわけでございますが、その周囲の保安林、先ほどちょっと申し上げたわけでございますが、琵琶湖の周辺、森林十九万ヘクタールございますが、このうち保安林、水源涵養保安林等というものが約五万ヘクタールということで、これらを合わせながら水が出てくるということだと考えております。
  40. 片山甚市

    片山甚市君 この程度のものだと、この程度のものでこういう乱暴な法律をつくって金を召し上げられると思っておる。そうかどうか国民が判断します。私はきょう聞いておるんですからね、これ以上やりません。  そこで次に、水源税地下水課税対象にできないことは明白でありますが、地下水までするそうだな。そうなると、地盤沈下など環境破壊の大きな理由の一つだった地下水くみ上げを課税対象工業用水から再転換させるような結果を生まぬとも限らない。これまで工業用水地下水からの転換を通産省はどのように取り組んできたのか。水源税ができたらどのような影響が想定されるか。特に水利用に価格差が生じた場合、どのような補償措置を通産省考えておるか。あなた方は反対だから考えられぬけれども、もしやられたらどんなことが起こるかについて、通産省から説明を求めたいと思います。
  41. 高木俊毅

    政府委員高木俊毅君) 先ほどもお答え申し上げましたように、当省といたしましては両構想につきましては反対をしていることはただいま御説 明申し上げたとおりでございます。  それで、通産省としてはどういう地盤沈下対策を行っておったかということでございますが、今日まで行っておりますのは、工業用水法を運用いたしまして地下水にかわる代替水源としての工業用水道の建設、あるいは地下水利用者の自主的な規制のそういう指導等を行うことによりまして問題の解決に努めてきているわけでございます。  それで、この結果でございますけれども工業用水地下水への依存度と申しますか、地下水からくみ上げて工業用水に使っている状況は、昭和四十年度では大体四〇%ぐらいであったものが、最近におきましては、これは五十八年度の数字でございますけれども、三一%まで低下してきているということでございまして、そういう状況を反映いたしまして地盤沈下防止に努めてきたところでございます。  それで、最近におきましては、この状況を反映いたしまして地盤沈下も鎮静化の傾向にあるということが言えるかと思います。ただし、また地盤沈下被害が著しい地域もあるわけでございまして、これらにつきましては、地盤沈下防止と同時に地下水保全を図る目的から各省庁間の総合的な政策を実施していただくことに協力いたしておりまして、地域別に地盤沈下防止等対策要綱が関係閣僚会議において決定されておるところでございます。通産省といたしましては、これらの総合的な実施に今後とも努めてまいりたいということでございます。  それで、両構想が実施されますとどういうことになるかという仮定の論法でございますけれども、私どもといたしましては、こういう構想が出されてまいりますと工業用水道の料金の上昇につながるということでございます。したがいまして、工業用水道に比べて非常に安価な地下水への依存が高まるんじゃないか。せっかくこういう行政指導等を行ってきておる、そういうものがあるいは逆行するんじゃないかというふうなおそれを持っておるような次第でございます。  それから、何か対応を考えておるのかということでございますけれども、私どもとしましては、現在におきましてはこういう両構想が実現するとは考えておりませんので、何らそういう対応は考えておりません。  以上でございます。
  42. 片山甚市

    片山甚市君 通産省がこの構想が実ることがないだろうと期待をしながら所見を述べられましたから、それでほっとしておるんですが、実は、公害基本法に定める典型七公害のうち、地盤沈下について規制の一般法はまだできておりません。これは農水、通産、建設、国土等、水利用を所管する各省庁の縄張り争いの結果、環境庁としての対策が日の目を見ないまま推移しているのではないかと私は思います。  環境庁は、地下水利用についての規制の法制化をどのように具体化するつもりか。水源税などによって水利用変化をもたらすことも考えられるとき、後手にならぬよう環境保護の施策を速やかに示すべきではないか。環境庁にこれについての考え方を述べていただいてこの問題についての質問を終わりますから、答えてください。
  43. 谷野陽

    政府委員谷野陽君) ただいま御指摘がございましたように、地盤沈下は典型七公害の一つということになっていることは御指摘のとおりでございます。  このような地盤沈下地下水の過剰採取ということは大変密接な関係があるケースが多いわけでございまして、環境庁といたしましては、地下水利用地盤沈下に関します総合的な法制につきましてかねてから検討を進めてきたわけでございますが、ただいま御指摘もございましたことと関連いたしまして、この問題につきましては、水自体の問題その他それぞれのお立場から、各種の御意見、案というようなものが提起をされまして、今日に至るまでその成案を得ていないということは御指摘のとおりでございます。  環境庁といたしましては、最近は地下水水質の問題というものも提起をされておりまして、地下水問題につきましては大変重要な事項であるということで考えておりまして、地盤沈下地下水の問題につきまして、今後ともその制度問題を含めまして鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  44. 片山甚市

    片山甚市君 環境保護の施策を具体的に進めてもらわないといかぬ。うまい水とかそういうことで相当考えていただいておるようですが、今のままでいけば、河川の水にお金がかかるということになれば、どうしても井戸を掘るというか地下水を利用せざるを得なくなってくる。こういうことになってきたときに、おっ取り刀でもう一遍また規制措置をするといってもやはり一般国民は大変でありますから、そういう意味で特に注意を喚起しておきたいと思います。  そこで、毎度のことでありますが、使用済み乾電池のことに移ります。  去る七月二十四日、生活環境審議会廃棄物処理部会適正処理専門委員会は、処理困難な廃棄物処理対策の検討結果として、「使用済み乾電池対策に関する基本的考え方」ということで報告しておりますが、要するに、一般のごみ処理でも環境保全上特に問題になる状況にはない、したがって、特別の措置を講ずる必要性もないとのことでありますが、マスコミは事実上の安全宣言だと大きく取り上げていました。そのとおりと環境庁考えておるか。また、厚生省はこれに対してどのような措置を講じたのか。まず、環境庁厚生省からそれぞれ簡単に述べてください。
  45. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 厚生省におきましては、この問題が起こって以来、焼却施設から出ます焼却灰あるいは集じん灰、それから最終処分場、埋立地の放流水、それから埋立地の表土、そういった中におきます水銀濃度につきまして、その実態調査を私どもみずから実施をいたしております。また、これに合わせまして環境庁も、廃棄物処理施設周辺を含めました環境におきます水銀の実態につきましていろいろな調査を行ったわけでございます。そういった結果を見ますと、現時点におきましては環境汚染等の問題はないというふうに判断をいたしているわけでございます。  それからまた、先生お触れになりました本年七月に取りまとめられました生活環境審議会適正処理専門委員会の報告におきましては、これらの環境におきます水銀の実態等を踏まえまして、「使用済み乾電池対策に関する基本的な考え方」といたしましては、今先生お触れになりましたように、「生活環境保全観点からは、現行法制度の遵守が図られれば、特段の措置を講ずる必要性は認められない」と、そういうふうに結論を出しているわけでございます。私どもがそういったことを外部に向かって御説明いたしましたときに、一部のマスコミにおきまして安全宣言という、そういう活字で表現をされているわけでございますが、厚生省といたしては特に安全宣言、そういった表現は今まで使ったことはないわけでございます。  それから、厚生省がこれについてどういう対策を講じようとしているかということでございますが、この報告書の御提言を受けまして鋭意いろんな対策をとって今日までに至っているわけでございますが、まず、製造段階で乾電池に含まれます水銀の含有量を低減させることが基本だという観点から、製造メーカーに対しまして大幅な低減化を求めてまいっております。先生御案内かと思いますけれども、六十年、ことしの六月時点では、従前に比べまして三分の一のレベルまで下がったものがマーケットに出ておりますし、それから、二年ぐらい後の六十二年の九月を一応の目途といたしましてそれをさらに下げる、従前のレベルから比べますと六分の一レベルになるものをマーケットに乗せたいということを業界は言っておりまして、そういったものを鋭意やるように通産省ともども強力に指導しているのが第一点でございます。  第二点は、これまでかなりの市町村が、この問題が五十八年夏から起こりまして以来分別収集を実施いたしているわけでございます。七割を少し 超す自治体が何らかの形で分別収集をいたしておりまして、そこに保管されているものにつきましてはこれは広域的な回収処理を推進すべきだというお考えがレポートで表明されておりますので、これを実際に実現するために、社団法人全国都市清掃会議、略称全都清というのがございますが、そこに働きかけましてこの全都清の中に廃棄物処理技術開発センターというものを設置をお願いをいたしましたところ、十月三十一日にそのための臨時総会を開いていただきまして、全都清として正式にそういうものをつくるということになりまして、所要の手続を経た後、私ども十一月二十二日に厚生大臣がこのセンターを認可をいたしまして正式に発足をいたしたということでございます。  したがいまして、私どもといたしましては乾電池の中に含まれます水銀の量を引き続き低減させるということをするとともに、一方で、たまってしまったものにつきましては安全に処理するためにこの全国都市清掃会議、全都清に設けられました廃棄物処理技術開発センターで安全に処理する仕組みを至急とらせたいというふうに思っている次第でございます。
  46. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、マスコミの言う安全宣言という表現については問題があるとしても、消費者、一般市民や自治体など関係団体にはさまざまな安全宣言によって波紋が投げかけられたと思います。  今回、科学的論拠をただす時間はございませんけれども、報告書にも述べておるように、今お話しがあるように、含有水銀量の低減化、回収の強化、モニタリングの強化、適正処理の推進のための組織整備等、これまでに指摘されてきた乾電池対策の課題が列挙され、今も説明されたということです。そういうことは、環境保全上これ以上乾電池問題を放置してはならないという必然性があるからでないでしょうか。にもかかわらず、他のごみと合わせて処理しても問題となる状況にはないとか、特段の措置を講ずる必要性は認められないとか、わざわざ強調するのはどういう意図でありますか。常識で考えて、これまでの水銀汚染が一定の基準以下なら安全と言うが、たとえ微量であっても長期間にわたる蓄積で自然環境有害物質を排出している事実は変わらないのではないですか。それについてはどうですか。
  47. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 先ほど御説明させていただきましたように、厚生省といたしましては、いろんな数多くのデータに基づきまして、それから環境庁御自身が御調査になられたものも見させていただきまして、そういったもので先ほど申しましたような判断をいたしているわけでございますが、しかし、水銀が有害物質であることには違いないわけでございます。  そこで、私どもとしてはより高次な、何といいますか、安全といいましてもいろんなレベルがございますので、より高次の快適性あるいは安全性を求めるといったような社会的ニーズもございます。これに対応するためにいろいろ、先ほど先生お触れになりましたように、また私も御説明させていただきましたような、水銀の低減化でありますとか、あるいは水銀乾電池の回収強化あるいはモニタリングの強化等を行っているわけでございます。いわば二重、三重の安全を図ったという趣旨でございます。そういう意味で、私どもとしてはできる限り安全にこの問題に対処していきたいというふうに考えている次第でございます。
  48. 片山甚市

    片山甚市君 この報告を読みますと、「使用済み乾電池対策に関する基本的な考え方」の中のアに、「一般廃棄物中に含有される使用済み乾電池は、他のごみと合わせて処理しても、生活環境保全上特に問題となる状況にはないこと。また、アルカリ乾電池中の水銀含有量の低減、ボタン形水銀電池の回収・処理等により、生活環境保全の確保が一層図られる見通しであること。したがって、生活環境保全観点からは、現行法制度の遵守が図られれば、特段の措置を講ずる必要性は認められないこと。」、こう言っておるんですが、そこで質問です。  東京都公害研究所、現東京都の環境科学研究所ですが、昨年調査した資料によれば、都内の調査地点における土壌中の水銀濃度は、自然環境を六、七倍上回り、人為的に大気中に拡散した水銀が地表におり、地表の濃度を高めていると分析されております。大気中水銀の分布についても、田園地域と比較して都心地域は高濃度の結果が出ており、風向きから推測するとごみ焼却施設が寄与しているとあります。これらの調査結果は今後の対策に十分参考になるものと考えるかどうか。  一般には、この調査結果と適正処理専門委員会の報告とでは、現状認識が百八十度違うことに多くの疑問と不安を持っておるところです。環境庁及び厚生省は、専門委員会報告に従い、現状は何ら問題ないし、このままの状態で将来も問題はないと断定しているように受け取れるが、そのとおりかどうか。そうであれば、各自治体での分別処理などはいたずらに危機感をあおっている誤った措置だということになるのじゃありませんか。
  49. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 先生が今お触れになりました東京都環境科学研究所のレポートにつきまして、新聞を通じまして私も見させていただきました。そして、早速そのレポートそのものを取り寄せて私自身も検討させていただきましたし、また、専門家意見もお伺いいたしました。  新聞によりますと、非常に乾電池の影響というふうに書いてあるわけでございますが、先生御自身もあるいはレポートをお読みになられたと思いますけれども、レポートには乾電池のことは全く触れておりませんで、レポート自体には、「都市活動の影響を受けていることを示している。」というふうに実は書いてあるわけでございます。それでまた私ども、その研究に携わりました研究者から伺ったわけでございますが、東京都を通じまして伺ったわけでございますけれども、特に乾電池からの水銀が原因というふうには特定できないということで、先ほど申しましたように、「都市活動の影響を受けている」という、そういう表現になっているわけでございます。と申しますのも、先生御存じのとおり、水銀を使うのは何も乾電池だけではございませんで、いろんな薬品にも使われておりますし、あるいは電気器具とか、そういったいろんなものに水銀はかなり広範に使われておりますので、そういうことになったんだろうと思います。いずれにいたしましても、先生お触れになりましたレポート自体を詳しく見てみますと、そういうことになってございます。  ただ、私どもといたしまして、だから別に乾電池のことはどうでもいいんだというわけでは決してございませんで、先ほど来るる御説明さしていただいておりますように、今できることを、できる限りのことをやるということで、乾電池に含まれております水銀含有量の低減化なり、そういったこと等をさせ、さらに発生源でのモニタリングを強化し、水銀の環境への排出、放出、そういったものを検討する。さらに、環境部局におかれまして、環境中での水銀がどういうふうな推移をしているかというのを見ていただく、こういったことによりましてできる限り不安を取り除いてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  50. 片山甚市

    片山甚市君 私の質問に答えていないんですね。こういうことを言ったんですよ。  田園地域と比較して都市地域は高濃度の結果が出ておる。そこで、風向きから推測するとごみ焼却施設が寄与しているとありましたと言っているんです。水銀と言っていませんよ、私は。——答えなくていいですよ。私は言ってないんです。分別収集をすれば減るに違いないと考えるから、分別収集しておることについてもっと推進をする、それについて補助をする、政策的に補助というか協力をするという態度を引き出したいと思いましたから聞いておるんですが、そのあたりはどうですか。
  51. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 厚生省のレポート自体におきましても、分別を否定しているわけではございません。ただ、先生御存じのとおり、分別をしていない都市もまだ三割近くあるわけでございま す。特に、大都市の多くにおきましても実は分別をしていないわけでございます。そうすると、分別していないところで環境汚染なり何なりの問題があるかということでございますが、先ほど来繰り返しておりますように、現時点で調査したところによりますと、環境汚染の兆候はないというふうに申し上げた次第でございます。ただ、レポートにおきましては、引き続き、より安全を高めるといいますか、より快適な環境を求めるという観点から、分別収集を引き続きやる自治体におきましては、それは自主的な御判断でおやりくださいと、こういう趣旨のことが書いてございまして、分別自体を否定をいたしているわけではございません。  先生の御質問で、厚生省として、分別なり何なりすることに補助を出すという気持ちがあるかということだと思いますが、私どもとしては現在そういうことは考えておりません。
  52. 片山甚市

    片山甚市君 分別処理は指導するけれどもその助成はやらないということだということは、分別もしなくていいということになるということを恐れます。意見です。答弁を求めたら、金のない厚生省は、またそのことについてはやめた、こう言うから。国民のためになることは舌も出したくない。アメリカかどこかの人がもうかることは舌も出す、口も出す、手も出す。心まで売るというようなあり得ないことが起こりかねない、こういうのが今の情勢ですから、ほどほどに信用しておきます。  私は、本問題について委員会審議を通じ問題点指摘し、対策を求めてきました。去る百一国会の本委員会(昭和五十九年四月十三日)及び百一回国会閉会後審査(五十九年十一月七日)で、全国各自治体での乾電池処理状況をただしました。その後、現状はどうなっていますか。
  53. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 昭和五十九年九月現在で使用済み乾電池につきまして全国的な状況調査をいたしたわけでございますが、全体の約七割、正確に申し上げますと六七・二%に当たる市町村におきまして分別が実施をされている、そういう状況でございます。
  54. 片山甚市

    片山甚市君 報告書を見てみると、マンガン乾電池は水銀含有量が極めて少ないとわざわざ記述しておりますが、そんなのは、使用量がふえれば影響は同じように大きくなるのではありませんか。この一、二年のデータによる水銀を含有する乾電池、マンガン乾電池を含む総体の生産、販売量から見て、大気への水銀排出量は激減したと言えるのかどうか。将来の需要傾向はどういう形になっておりますか。
  55. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 先生指摘のように、乾電池の使用量は確かに一般的な傾向としてふえております。したがいまして、使用量がふえれば環境中に放出される水銀の量はふえるのではないかという御懸念が当然あるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、アルカリ乾電池に含まれます水銀の量を三分の一にまでこれまで低減させたということでございますので、これはかなり大幅な低減でございますし、それと、あと二年ぐらいをめどでございますが、さらにその半分、つまり当初の時点からしますと六分の一のレベルまで下げるということでございますので、乾電池の使用量が現在程度の割合で仮にふえたとしても、今よりはかなり下がるものというふうに一応試算、検討をいたしているわけでございます。
  56. 片山甚市

    片山甚市君 土壌中にある微生物等の作用で、水に溶けにくい硫化水銀といえどもメチル水銀とかエチル水銀等に変わり得る可能性があると指摘されておりますが、全くあり得ないかどうか。少しでも要因が考えられるとすれば、これまでの廃棄乾電池についても十分留意しておくことが妥当だと思いますが、どうでしょうか。
  57. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 環境中に放出されました水銀が無機水銀になりましても、微生物作用、いろんな光の作用、化学作用、そういったことによりまして有機化する、特にメチル化するというレポートがあることもよく存じております。逆に、有機化した水銀が環境の中で無機化する、そういうレポートもまたあるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましてはこういう機序につきまして十分に注意を払っていかなくちゃいかぬということで、先ほど申しましたモニタリングの実施、あるいはいろんな環境に関する調査、そういったものを推進して、注視していきたい、非常に慎重に見ていきたいというふうに思っているわけでございます。
  58. 片山甚市

    片山甚市君 ぜひそういうようにしていただいて、事前に予防してもらって解決を図ってもらいたい。目に見えないけれども、やっぱりこれから十年、二十年、三十年たったときに、今日そういう手当てをしてあったから大きな害が起こらなくてよかったという日本列島にしてみたいと思います。今は大丈夫ですということですが、大丈夫の上に大丈夫を重ねるのが環境庁で、通産省とかそういうところから言えば少しむだ遣いをしておるんじゃないかとか、活動を制約するんじゃないかと御心配でありましょうが、しかし、それは役所柄あなたたちの本来の仕事でありますから、厚生省環境庁も力を合わせて、水の問題、土壌の問題、大気の問題、音の問題等、あらゆる人間生活の上についての配慮を賜りたいと思います。  さて、経団連は、「一般廃棄物の処理は、国民の租税負担の見返りとして不可欠の行政サービスであり」、「行政の責任において行われることが基本」であり、国も自治体を支援する必要があると、こう経団連の月報一九八四年三月号に書いてありますが、製造者の側は、何ら関知しない態度であります。  一方では、廃棄物処理及び清掃法が規定するものが抽象的、訓示的なものでありますから、企業側の責任が的確に果たされていないといった法律専門家からの意見もあります。環境庁立場からいえば、関係法の整備を求められるとすれば当然後者の立場に立つと考えられるが、それはどう考えますか。
  59. 谷野陽

    政府委員谷野陽君) ただいま御指摘がございましたように、現在の事業者の責任を規定をいたしております条文が法律にあるわけでございます。その内容につきましては、ただいま御指摘のように、一般的な制度の方向を定めておる、こういう内容でございまして、これの実施に関する条項というものは具体的に定めていないということも御指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、製造者の責任の問題についてこれを一般的な法制にするということにつきましては、大変広範な問題にわたることでございますし、早急に対策を講ずるということは難しい問題もあろうかと思いますが、ただいま御議論がございましたような諸問題の処理に当たっては、その趣旨を十分生かすように努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  60. 片山甚市

    片山甚市君 乾電池に限りませんが、デポジット方式導入では、我が国でも空き缶公害で問題視されつつありますが、改めて本問題について厳しく取り上げるつもりでありますが、今手元にある「暮しの手帖」九十九号によると、アメリカのニューヨーク州における空き缶対策の実態が報告されておりますが、そのことについてどういうふうに把握しておられますか。
  61. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 厚生省といたしましては、廃棄物処理行政を所管する立場から、今先生がお触れになりました空き缶の問題、あるいはそういったデポジットを含む問題につきましても関心を持って見ておるわけでございます。  まず、私どもがやっておりますことといたしまして、集められました空き缶の収集、運搬、処分に万全を期しますよう市町村を指導するほか、これは環境庁と御一緒に環境美化行動の日というのを設定をいたしまして、散乱防止のためのそういった各種啓発活動と申しますか、そういったことをもやっているわけでございます。  それから、デポジット方式が、地方公共団体におきましていろいろと実験的に小規模な地域におきましてなされておるということもよく存じておりまして、私どもとしても関心を持っているわけでございます。ただ、デポジット制について申し 上げますと、導入に際しまして小売店における負担が増大する等各種の問題があるということもまた事実でございますので、私どもといたしましては、環境庁に設置されております空カン問題連絡協議会の場等を通じましてこの問題に引き続き対処をいたしたいというふうに思っております。
  62. 片山甚市

    片山甚市君 アメリカのニューヨーク州で空き缶対策をやっておることについてお知りになっていますか。
  63. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 正直申しまして詳しくは存じておりませんが、そういうことがあるという事実については存じております。
  64. 片山甚市

    片山甚市君 デポジット方式をとりますと確かに手数がかかる、大変お金がかかるということはありますけれども、雇用の拡大にもなるし再資源化にもなるんです。環境庁長官、日本の国は資源がないんですよ。資源を捨てるほど余裕がある国ではないんです。たまたま日本の国が輸出ができて資源を買うことができておるから、厚かましく石油でもアルミでも何でも使い捨てにしていますが、罰当たりです。こんなことをしておったら間もなく目がつぶれますよ。お互いに、金のことじゃなくて、おてんとうさまにいただいた資源をいついつまでも使うようにする。外国を見てください。おじいさん、おばあさんの着ておった洋服だのコートだの、また家具でもたんすだの、全部使っておるじゃないですか。日本みたいに使い捨てしませんよ。その根性が人間の命を捨てる根性になるんです。かつての満州国に子供を捨ててきて、遺棄してきた子供を残留したと言う。だれがあなた残りたいと思いますか。自分らが命からがら帰るために子供をほうって帰って、売ったり買ったりして、それで今ごろになってお涙ちょうだい、何というざまですか。これが人間の本性ですか。大東亜戦争を経験した日本人の心でしょうか。私は、再資源化だけでありません、物を大事にする、人を大事にする、人の心を大事にするということがなければ、金、金、物、物、そういうような欲望だけの世の中に愛想が尽きるほどです。  ですから、デポジットをやれば金がかかるし手数がかかる。しかしそのときに失業者が減るんです、金が入るんですから。キャバレーなくすのと同じです。何ぼ風営法をつくっても、金と手数をかけなきゃだめなんです。ですから、私はそれと一緒にしておるのではありませんけれども、こういうようなことになると売るのについて手数がかかるじゃないかと言っておるけれども、それは金もうけをする側の立場であって、日本国民全体の資源や環境保全から言えば、まず空き缶のないようにすることです。  かつて、今から十年ぐらい前ニューヨークの町はごみだらけの町だったことは御承知のとおり。今行くと空き缶がないようになっておることも御承知のとおり。行かれた人はそれを見て、息をのんで、はあ変わったなあと思われるはずです。私は去年の五月に行きましたが、その前に行ったときと比べて雲泥の差があった。ベトナム戦争で荒れたアメリカ国民気持ちがおさまったのかどうかわかりませんけれども、戦争の傷跡がおさまったのかどうかわかりませんけれども、そう思います。  そこで、返却可能飲料容器法というものが一九八三年に制定され、これによって投げ捨てられた空き缶が八〇%も減少したということであります。これには企業側も積極的に役割を果たしているということであります。これはアメリカのことですよ。アメリカではニューヨーク州での法制化が既に九番目で、現在も増加の傾向にあり、連邦としての法制化実現の可能性も出てきていると言われております。環境庁はこれら国際的な動向を前向きに受けとめ、対策をしてもいいのじゃないか。一遍調査に行ってみて、アメリカの実態と日本の実態を見て、よくアメリカのまねするけれども、こんなことこそまねしたらどうですか、戦争ごっこばかりまねせぬと。ミサイルじゃ何じゃとつまらぬもの買うことばかりまねせぬと。  日本列島、富士山の山の上へ行ったら空き缶だらけですよ。富士山は下から望遠鏡で見ればきれいだけれども、行ったらきれいでないんですよ。空き缶ばかりじゃないですか。ごみの山じゃないですか。富士山に上がった人おりますか。上がった人はわかるでしょう。あれもそうなんです。捨てればいいと思っているんです。我々のいわゆる環境というか共同社会というか、そういうものの意識がないんです。ですから、そういう意味で対策をすべきでないかと思います。  私は、空き缶処理の問題についても乾電池問題と同じく特に企業責任について今後徹底的に追及していきたいのですが、私の意見について御意見ございましたら述べてください。
  65. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 今先生はニューヨーク州の例をお挙げになったわけでございますけれども、私ども検討の経過等を述べさせていただきたいと思うのでございます。  全国的なデポジット制の導入につきましては、昭和五十六年の一月に設置されました十一省庁から成る空カン問題連絡協議会、これは先ほども話に出ておりましたけれども、この協議会におきまして検討をされたのでございます。デポジット制は、先生も御指摘になりましたように、散乱防止でありますとか再資源化の促進にかなりの効果があるというふうに言われております。他方、我が国におきます実態を考えますと、流通の効率化に大きな影響を与えるということ、それから末端の小売店や消費者の負担が増大することなどから問題が相当あるのではないか。したがって慎重を期す必要があるということの論議がなされたのでございます。  また、散乱の実態とか原因等も地域によって異なる状況にございます。したがいまして、空き缶の散乱防止につきましては、現段階では全国画一的な対策はなじみにくいのではないか。やはり地域の実情に適した対策の推進が望ましいと現時点では考えております。  いずれにいたしましても、この問題は地域住民の合意の形成でありますとか国民的なコンセンサスが必要であろうと思いますので、やはり今後の検討課題であろうというふうに考えております。
  66. 片山甚市

    片山甚市君 一年間に日本では百二十億個その容器を使っておるそうですね。コーラ、ジュース、ビール、コーヒーなどの容器は缶だけでも年間百二十億個を下らないという統計が出ていますが、私も具体的にこれが確かなものかどうか見ておりませんが、ですから各地域でやることもさることながら、製造元がそういうことをどうしたらいいのかと考えるべきです。いつでも国民のコンセンサス。そして国民がそうしたいと言ったら、政策上それはなじまない。使い分けするのはいいかげんにしたらどうですか。  私たちは、公害の元凶になる、一番元になる人たちがまずどうするのか、自分たちの責任をどうするのかということをひっくるめて国民に協力してほしいという、物を売る、物を受け取る、使うという段階で起こっておるんですから、まず製造した者たちとしてはこの容器によって公害にならないかどうかということに恐れおののかなきゃならない。金さえもうけたら人が死のうと生きようといいという根性が日本資本主義経済の原動力、競争の原理、市場の原理であるからそうなっておる。アメリカのようなえげつないところでも変わってきておるんですから、やり方によれば人も和むんです。いきり立つ人ばかりではありません。  さて、最後の質問をします。  使用済み乾電池について全国の約七割の自治体で現に分別収集を行っているという、また、実施の検討をしていることに対して、今後、安全宣言と言われる報告書の目的の第一が分別収集に水を差したということでないと先ほど言われていますから、そのように受け取ります。  第二に、自治体の判断で処理させ、国やメーカーは関係ないと宣言することになったということについてはどうですか。そういうことはありますか。
  67. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 先ほども説明さしていただきましたように、メーカーに対しましてはま ず乾電池、アルカリでございますけれども、アルカリ乾電池に含まれます水銀の量を大幅に減らさせるということをまずさせたわけでございます。そして、さらにそれに加えまして、先ほど時間の関係でちょっと説明を落としておりますが、例えば識別が容易になるように何がアルカリ乾電池かということを国民にごく簡単にわかるように、今までは英語で書いてあったようなんでありますが、それを日本語できちっと表示させるとか、それから色も同じ系統の色にできるだけ統一してわかりやすくするとか、そういうことをさせているわけでございます。それに加えまして、国といたしましては、先ほど申しましたように、生活環境審議会におきましてこの問題を一年一カ月に十三回検討をお願いをいたしまして、先ほど申しましたような結論をいただきまして、それを鋭意やろうとしているわけでございます。  さらに、乾電池に関連するような問題といたしまして、発生源でのいろいろな製造、加工、あるいは販売等に際しまして、それが廃棄物になったときに処理が困難にならないようにするための一つの方策といたしまして、自己評価制度といいますか、そういったものを専門委員会は提言をいたしておるわけでございまして、私ども、こういった諸提言を受けて鋭意実施をしていきたいというふうに思っているわけでございます。
  68. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、国民の生命や生活環境はどうして守れるのかということで、今のやり方では納得できませんが、今回の厚生省の対策に書かれていない部分にこそ真の問題が隠されているように思います。デポジットの問題に対してもそれは国民の合意を得なきゃならぬということで抜かれておる。これまでの経過から見て、自治体や消費者団体の要求にもっと真剣にこたえるべきではないだろうか。  そこで、まず何よりも公害発生源に対する措置、すなわち製造者、メーカーへの規制や回収についてさらに強めてもらいたい。二つに、環境保全のために分別収集の意義を認識し、協力してきた市民にこたえられる国としての施策、すなわち再資源化を含めた処理施設を国費で完備すること。これはあなたはできないと言うけれども、大体十カ所程度ぐらい全国につくらなければいけないだろうと思います。三つ目に、水質汚濁のみでなく大気、土壌汚染に対する規制措置を法制化することなど、環境行政にとっては大変大切なことですから、速やかに具体的措置をとるように求めるのですが、どうですか。  環境破壊とは、いつの間にか国土国民をむしばみ、気がついたときにはもう取り返しのつかない事態となることは幾多の先例で明らかであります。もう一度環境庁長官及び関係者から、それについての決意のほどを聞いておきたいと思います。
  69. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 厚生省所管の分につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  まず、先生が水銀乾電池の回収をもっと強化するようにという、事業者における回収を強化するようにということでございますが、これは今もさせております。水銀乾電池の回収をさせておりますが、先生も御存じのとおり余りいい成績でございません。一五%程度というふうに私ども聞いておるわけでございます。これにはもちろん消費者、それから販売店の協力がもとより必要でございますけれども、もっとやる余地があるのではないかということで、通産省ともども、水銀乾電池の回収をもっと強化するようにということはかねてから申し入れているところでございます。  それから、自治体における分別の意義というものをよく認めなさいということでございますが、先ほど来繰り返しておりますように、私どもまた専門委員会のレポートが分別そのものを否定しているわけでございませんで、それは自主的な判断ということになっているわけでございます。  分別されたものの再資源化につきましては、先ほど申しました全国都市清掃会議の中に、つい先ほど正式に発足いたしました廃棄物処理技術開発センターというところが、再資源化ということも含めてどういうふうにしたらこの集められた乾電池を安全に処理ができるかということを検討をすることになってございます。その中で、全国数カ所に広域回収・処理センターというのを指定をし、そこで安全に処理をするという構想でございますので、これをできるだけ早く実施させるということで今後ともやってまいりたいというふうに思っております。
  70. 片山甚市

    片山甚市君 長官に答えてもらう前に自治省に聞きたいんですが、使用済み乾電池の分別収集については七割程度やられているようでありますが、私の聞くところによると、その経費について大変御苦労されているようであります。これから分別収集するとしても、地方行政として、地方の財政状態からいって、優先的に順位を決めるとしても大変だろうと思うんですが、御希望はございませんか。今の厚生省のおっしゃるとおりでもう全く賛成ですか。それとも希望がありますか。
  71. 今泉浩紀

    説明員(今泉浩紀君) 使用済みの乾電池の処理につきまして、七割近い市町村におきまして分別収集等を行っているということにつきましては、自治省としても承知をしているところでございます。  先ほども答弁がございましたが、先般も、この七月に生活環境審議会の適正処理専門委員会の報告書が出されまして、一つの方向づけがされたというふうに我々も理解しているわけでございまして、今後自治体がどのような対応をするかということを見ながら、また国としての対策を考えていくことになろうかというふうに考えております。
  72. 石本茂

    国務大臣石本茂君) ただいま先生のお説を聞いておったわけでございますが、乾電池につきましては、環境庁としましては、含有の量が減りましても数が多くなるということも考えられますので、このことは引き続きモニタリングの実施などをいたしまして実態を把握していきたい。そして環境保全には万全を期していきたい。公害の未然防止が我が庁の役割でございますから、これは心してまいりたいというふうに考えております。  それから、空き缶の問題でございますが、先生も申されますように、環境美化はもちろんでございますけれども、やっぱり再資源化と申しますか、資源再開発と申しますか、そうしたことも含めまして、そしてデポジット方式を直ちに取り入れることができるかどうかは抜きにいたしましても、慎重に、真剣に直ちに考えてまいらなければならないというふうに考えます。  ありがとうございました。
  73. 片山甚市

    片山甚市君 終わります。
  74. 菅野久光

    ○菅野久光君 厚生省おいでですので、そのまま引き続いて、今片山委員が乾電池の問題についていろいろ質問がありましたので、私からも若干、今やりとりを聞いておりましてちょっとわからない点があるものですから、御質問を申し上げたいと思います。  先ほど、東京都の環境科学研究所の報告書を見ると乾電池というふうに明確には書いていない、その他もろもろのものがあってあのような数値になったのではないかということを言われておりますが、それでは厚生省としては、どういったものがその原因であったのかというふうにお考えなのか。そのうち乾電池というのはどういったような位置を占めているのか、その辺のお考えをまずお聞きしたいのです。
  75. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 先ほど申しましたように、私、この東京都の環境科学研究所のレポート自体は、報道機関を通じて初めて知ったわけでございます。そしてそのときに、東京都内三カ所、上野動物園、三鷹の東京天文台、それとあと高尾山、この三カ所で水銀を測定した。土の深度に沿って測定した。そうしたら、地表の方が非常に高かったということで、当時の新聞では乾電池が原因というふうになっておったわけでございます。  それで、先ほども申しましたように、実は水銀は乾電池だけが使っているわけじゃございませんで、薬品でありますとかあるいは電気器具類、その他いろんなところで幅広くたくさん使われているわけでございます。農薬にも使われております し、かつて農薬と水銀と非常に関係づけられた。それから、例えば石炭なんかにも水銀は入っているわけでございます。そういうわけでいろんな原因があるわけでございますので、これが乾電池に結びつけられて報道されていることを非常に疑問に思いまして、早速その本文を取り寄せて見たわけでございます。  そうしますと、先ほど申しましたように、実は本文はここに手元にあるわけでございますが、乾電池のことは全然触れていなくて、「都市活動」と、人為的影響という表現もあったかと思いますが、「都市活動」ということになっているわけでございます。それで、実は後で新聞に談話の載っていた研究者に人を通じまして聞いたところ、全然乾電池の話はしていないんだ、火山活動その他都市活動だということを言ったんだけれども、どういうわけか乾電池というふうになっているんだ、そういうようなことを聞いているわけでございます。実はその方が別の雑誌に大体同趣旨のことを、今手元にあるわけでございますが、生活クラブ生活協同組合の「生活と自治」という雑誌で同趣旨のことに触れているわけでございます。  さらに申し上げますと、実はその東京都の環境科学研究所のレポートは水銀だけを散り上げているわけじゃございませんで、それ以外の物質も取り上げているわけでございます。どんな物質かと申しますと、鉛、亜鉛、銅、ニッケル、コバルトを取り上げておるわけでございまして、実は鉛と亜鉛、それから銅は全然逆の今度は傾向を示すわけでございます。地表にいくと逆に今度は下がっているわけでございます。正確に申し上げますと、鉛は……
  76. 菅野久光

    ○菅野久光君 いや、時間がないですからもう……。
  77. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) わかりました。  それで、厚生省といたしましては、それじゃ何が原因がということはやはりまだ今のところ何とも言えないというのが結論でございます。
  78. 菅野久光

    ○菅野久光君 これは東京都だけではなくて、地方の例えば大学の研究所だとかいろんなところで乾電池が原因ではないかというようなことがいろいろ研究されておることは厚生省も御存じだというふうに私は思うのです。それはそれとして、やっぱり一般市民としては、水銀というと乾電池というものを思い出す、これはごく当然のことだろうというふうに思うのです。  それで、二年間で七割の市町村で約四、五千トンの乾電池が収集された、二年間でですよ。七割の市町村でこういうふうになされたというようなことについては、どのような評価をなされていますか。
  79. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 私ども水銀は、特に日本国民は水銀について大変厳しい経験をしておりますので、国民が水銀について非常に不安を持つ、御心配をされるというのはまことにそのとおりだろうというふうに思っておるわけでございます。  それで、乾電池による環境汚染、特に健康への影響を示唆するような報道がされたために、国民が非常に心配されて、それが清掃事業の円滑な推進に支障を来すような実態が現実に起こって、それでできるだけ市民の不安を解消するためにとりあえず分別収集という方法でいったというふうに考えております。  私ども、この社会的な動きというのはそれなりに大変重く受けとめておりまして、したがいまして、この問題につきましては、生活環境審議会の中に特に専門委員会を設けまして、ここで一年一カ月慎重に検討をお願いして、先ほど来御説明していますような一定の方向を出さしていただいておるわけでございます。
  80. 菅野久光

    ○菅野久光君 二年間で七割の市町村が分別収集に入ったなんということは、私は今までのいろんな運動の中ではほとんどないんじゃないか。それだけこの水銀による環境汚染に対する国民の関心というものが非常に高い。先ほどのお答えの中で、現状においては問題がないと思うと。私は、環境の問題というのは現状だけで判断すべきではない。そうでしょう、長い間の蓄積があって、それが徐々に来るわけですよ。急性じゃないんです。慢性なんです。だから、予測されるものについてはあらかじめそういうことをさせない、そういうことが大事じゃないでしょうか。  そういう意味で、今のお答えの中にありましたが、水銀が使われているというのは乾電池だけじゃない、いろんなものに使われている、そうであれば、やっぱりその使われているものを分別収集するとか、何らかのことを厚生省としてはやらなければならないんじゃないですか。そのことに目をふさいで、ただ乾電池だけのことについてやるということは私は片手落ちだというふうに思うんですが、その辺についてはどのようにお考えですか。
  81. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 先ほど来繰り返していますように、水銀は非常に私ども、極めて慎重に対応しなくちゃいかぬわけでございます。  そこで、実は一応現状においては安全というふうな認識を持ちましたのもかなりの数のデータに基づきまして判断をいたしておるわけでございます。詳しく申し上げる時間がないかと思いますけれども大気中の水銀の濃度、これは日本全国で住居地域におきます濃度をはかりましたところ、WHOのガイドラインの値に比べましてまだ約千五百分の一というくらいのレベルである、まだといいますか、そういうレベルであるということでございます。それから水につきましても、約三万検体に近い検体をとりまして、その中で環境基準なり何なり、そういったものを超えたものが一件もないということでございました。さらに埋立地、そういったものの周辺の土壌等も調査いたしましたが、これも要するに不安を示唆するようなデータは何もなかったということでございます。  ただ、申し上げたいことは、だからといって何もしなくていいというわけではなくて、業界に対しては、水銀をもっと減らさせなさい、それから識別できるものはできるだけしなさい、それから発生源に対しましてモニタリングをしなさい、それから環境部局に対しては、環境中でのモニタリングを引き続きお願いするということで、いわば二重三重の構えをとっているというつもりでございます。そういうことで何とか対処してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  82. 菅野久光

    ○菅野久光君 答弁を聞いていると時間がなくなってしまうわけでありますが、いろんなところを調査して、危険なそういうようなものが検体としてあらわれなかった。大変私はいいことだと思うんです。あらわれたら大変なんですよ。だから、あらわれないような手だてというものを今からやらなかったらどうするんですか。出てからじゃもう手おくれなんですよ。そのことをこの環境の問題の場合には常に頭に置いておかなきゃならないんです。環境汚染すると思われるものについてはあらかじめ予測はできるわけですから、そういうものに対する規制というものをしっかりやっていかなければ、そういうものがいろいろ調べた結果出てきたときにはもう既に手おくれなんです。今まで全部そうじゃないですか。  今度の場合にはまさにその規制を緩和するような形、そして、このことによって、先ほどからもお話しがあるように、市町村における分別収集の数というものが私はやっぱり減ってきていると思うんです。まだやはり国の言われることについては全く一〇〇%信用する国民がおられるわけですから、だから、あなた方が何をやるかということについてはよほど慎重に対応しないとこれは大変なことになるんじゃないですか。それは、大都市はまだやっていませんとかなんとかとは言っていますけれども、七〇%もの市町村がこういうことに取り組んだという重みをしっかり国としてはやはり考えてやっていってもらわなければならないと思いますし、こういったような環境の問題について厚生省がいろいろやられた、そのことについて事前に環境庁との話し合いといいますか、そういったようなことについてはなされたのでしょうか。
  83. 谷野陽

    政府委員谷野陽君) ただいま厚生省の方からこの問題についての御検討の経緯が御説明があったわけでございますが、私どもも、この問題につ きましてはかねてから大変真剣な関心を持っているわけでございます。先ほどもちょっと厚生省のお話の中で出てまいりましたが、私どもの方の例えば水質についてのモニタリングのデータでございますとか、あるい廃棄物について最終処分場の関係を所管をいたしております。そういう関係のデータでございますとか、そういうようなものも提供いたしまして、また、厚生省の方の御審議の経過につきましても、逐一お話を承っておるわけでございます。  私どもの判断といたしましても、現在の環境の中における水銀の状態、さらに厚生省が現在よりも一歩進められて、電池の中に含まれる水銀の量を削減される、あるいは分別収集されたものについての処理の具体的な方策を講ぜられるというような施策をおとりになるという御結論でございますので、私どもといたしましては、その推移を真剣に見守り、また一方環境の中における水銀の濃度その他については引き続きこれを十分注視をしていくということで対処したいというふうに考えておるわけでございます。
  84. 菅野久光

    ○菅野久光君 このことだけやっているわけにいきませんが、先ほど私も言いましたように、予測される危険なことを未然に防止することがやっぱり我々に課せられた最大の任務だし、国はその責任があるんだということで、今後の対応をひとつしっかりやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  時間が余りございませんが、中公審の問題についてちょっとお尋ねをいたします。  環境庁は一昨年の十一月に、財界圧力に屈したと言ってもいいと思いますが、公害健康被害補償制度対象地域あり方について、中央公害対策審議会諮問を強行いたしました。中公審における審議の現在までの状況はどうなっているのか、また、今後の審議の段取りはどうなのか、ひとつ簡単にお答えいただきたいと思います。
  85. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 御指摘のように、五十八年の十一月に公害対策審議会諮問をいたしました後、中央公害対策審議会におきましては、環境保健部会のもとに設置されました専門委員会で、専門立場から今鋭意検討が行われているところでございます。これまで三十三回の審議が行われてきたわけでございまして、今後の取り進めでございますが、専門委員会の報告がありました後に、審議の進め方については、報告が出されました段階で環境保健部会としてお決めいただくことになるのではないかというふうに考えているわけでございます。  環境庁といたしましては、中央公害対策審議会の結論を待って適切に対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  86. 菅野久光

    ○菅野久光君 このような患者の医療と生活に重大な影響を及ぼす問題については、もう抜き打ち的に結論を出すなどということは絶対あってはならないことだというふうに思います。もし、この地域指定あり方に変更を加える、そういうような答申を出すのであれば、これはやっぱりそのことをあらかじめ長官の所信表明なり何なりできちっと出して、国会で十分に論議ができるような時間的な余裕を与えてもらいたいというふうに思いますが、この点についていかがでしょう。
  87. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 私ども、あくまでもこの中央公害対策審議会の御意見を待ちまして、今先生指摘の点も踏まえまして、十分今後のあり方について検討をしてまいりたい、このように思っております。
  88. 菅野久光

    ○菅野久光君 このことについては、ぜひひとつそういうふうな計らいをしてもらいたいというふうに強く要望しておきます。  この諮問文に言うところの、「大気汚染態様変化」、これが何を指すのかは知りませんが、経団連が主張するように、汚染が改善されたことをもって即地域指定を解除しようとするものならば、それはまさに片手落ちだというふうに思います。むしろ大気汚染は複合汚染であることを踏まえて、現行のSOxのみならずNOx、それから浮遊粒子状物質等、大気汚染の指標に加えて総合評価をすべきだ。中公審もこの制度の創設時にはこのことを言っていたわけであります。にもかかわらず、環境庁中公審の要請を今日に至ってもいまだに実行していない。私はこれは怠慢のきわみだと言ってもいいと思います。  それのみか、三月の公健法の審議の際には、長谷川環境保健部長は、この中公審の要請を実行するために今回第一種地域あり方について中公審諮問したという意味答弁をしておられるようであります。これは問題をすりかえて責任を逃れようとする全くの詭弁と言うほかはないというふうに思いますが、環境庁は、財界圧力に屈して行った地域指定見直し諮問の本質をカムフラージュするためにこのような詭弁を弄することをやめて、問題を一つ一つ手順を踏んで着実にやはり処理をしていくべきだ。すなわち、十年以上にわたって放置してきた総合評価の問題をまず解決することが先決だ。そうした上で、なお地域指定見直しの必要があれば改めて諮問して検討するという筋道を踏むべきだと思いますが、どのようにお考えですか。
  89. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) やはり大気汚染態様変化を踏まえまして、やはりこの大気汚染健康被害という問題が一番大きな問題でもございますので、この辺につきまして、現在の我が国大気中に存在いたしますいろいろな汚染物質とそれから健康被害との関係というものについて今専門委員会で御検討をいただいておりますので、私どもといたしましては、この専門委員会の御検討を待って先へ進みたいと、このように考えている次第でございます。
  90. 菅野久光

    ○菅野久光君 どうもやっぱり手順が後先じゃないかということを私は強く指摘せざるを得ません。  時間がありませんから、ちょっとお尋ねいたしますが、環境庁大気保全局で複合汚染健康影響調査というのをなさいましたね。これは中公審には資料として出しておりますか。——出しているかいないかだけ答えてください。
  91. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 出しているというふうに聞いております。
  92. 菅野久光

    ○菅野久光君 それから、この種審議会には、当然のこととして加害者側、被害者側というものが入らなければ公正な審議というものは私はできないというふうに思いますが、被害者の代表を入れてほしいという要求が前からあったわけでありますが、いまだにそれが実現していない。その理由は何でしょうか。
  93. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 私どもの方といたしましては、この中公審の委員の先生方はいずれも学識経験という範囲から私ども御審議をいただいているわけでございまして、やはり専門の学識あるいは学識経験といったようなことから委員になることをお願いしているところでございます。
  94. 菅野久光

    ○菅野久光君 学識経験、それはつながっているものですか。それとも、学識それから経験と、別々のものですか。
  95. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) つながっている場合もございますし、別々の学識という場合もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、学識経験ということでございます。
  96. 菅野久光

    ○菅野久光君 それじゃ患者の人たちは、被害者の人たちは、最大の経験者じゃないですか。なぜ入れられないんですか。そのことがここで審議されることについて不信感を持つということは、これは当然じゃないですか。そう思いませんか。ここは長官いかがですか。
  97. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 私がただいま申し上げました……
  98. 菅野久光

    ○菅野久光君 長官に聞いている。判断です。
  99. 石本茂

    国務大臣石本茂君) 先ほど来担当の部長も申しておりますが、私考えますのに、なぜ公害疾病が起きたのか、やはりその原因究明のできる能力、識見を持つ人をまず中心にして、そして検討するということではないかというふうに、現状を見て考えております。
  100. 菅野久光

    ○菅野久光君 時間が来ましたので言いませんが、これはやっぱり片手落ちですよ。どう考えて みても片手落ちだ。それから、先ほどのように、総合評価をきちっとやらないうちに地域指定の関係をやるということも、これも手順が間違っている。そういう間違った形でやるところにやはり国民の不信というものが起きるのでありますから、そういうことを十分踏まえて、また別な機会にこの問題についてはやらせていただきたいと思います。  時間が来ましたので、林野庁の関係やれませんでしたが、以上で私の質問を終わります。
  101. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  102. 矢田部理

    委員長矢田部理君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  103. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 本日は、前回に引き続きまして人間環境の問題で少しくお伺いをし、それから自然環境の問題に入ろうと思います。  まず最初に、これは労働者間における差別、法規の不備からくる差別の問題をお伺いをいたしたいと思いますが、ここに「単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員の範囲を定める政令」というのがございまして、これは昭和二十六年に出されたんですけれども、その後、地方公営企業労働関係法という、これが昭和二十七年に出まして、これで地方公務員法の附則の二十一項が削除をされてしまいました。したがって、それに伴ってこの政令は失効したんですね。効力がなくなった。ところが、効力がなくなったのにこれにかわる政令が出ていない、こういう状況がございまして、この政令の中に、単純労務者として「機械操作手及び火夫」、火夫というのは火をたく、石炭をくべる人ですね、こういうのが掲げてあるわけです。ところがその後、これは失効いたしましたからないようになったんですけれども、これに関連しまして、この火夫というところにつきまして、その解釈としてボイラー技士もこれに入るという解釈がとられていたわけでございます。  国家公務員とか地方公務員の場合は人事院の方の御処置で待遇が大変よくなりまして、現在は待遇は悪くはございませんが、問題になりますのは、国家公務員じゃない一般の企業に勤務しておりますところのボイラー技士でございます。これの待遇が非常に、悪くて改善されない。そのわけは、民間企業の場合は基準がございませんので、したがって政府がお出しになった基準、例えばこの無効になった政令、この無効になった政令ですが、これがまだ民間企業では準拠すべき根拠として生きておるというおかしなことになっておるわけです。そのために、十年来民間のボイラー技士は運動を続けておりまして、こういうあいまいな規定をそのまま放置されておるために不利益をこうむっておるので、何とか、これを廃止するなら廃止するでいいが、かわる政令を出してボイラー技士というものの地位を明確にしていただきたいと、こういう運動をいたしてきておるわけでございます。ところが、それにつきましてなかなか思うような処置がとられないというために、現在、民間のボイラー技士は大変な不遇な状況にあるようでございます。  御承知のように、こういったビルなどの暖房設備のボイラーですね、ああいうボイラーというものはボイラー技士がこれを管理し、運営をしておるという状況であるわけです。ボイラー技士の労働組合は、ボイラー技士そのものが少ないために勢力が弱くてその主張が通らない、大きな労働組合は主張が通るが小さな労働組合は通らないという状況が出ておりますので、こういう点につきまして、これは国民生活を不安に陥れておる一つの特殊な環境状態ではないか。こういう環境状態の改善につきまして、実はどの省も面倒は見てくださらない、こういうことになっておるわけです。  それで、環境なんだから環境委員会で一度質問をして、何とか解決を図ってくれないかという、そういう文書を私のところへよこしまして、それできょうお願いしているわけですが、こういう問題につきまして、今まで政府御当局では承知されておるかどうかお伺いをいたします。
  104. 角野敬明

    説明員(角野敬明君) お答え申し上げます。  先生指摘いただきましたような問題につきまして、かつて衆議院の予算委員会で取り上げられ、議論がされたということにつきましては、私ども承知いたしております。
  105. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題につきまして労働省の方のお考え方。それから、この政令を出された所管官庁は、これは自治省でしょうかね。
  106. 紀内隆宏

    説明員(紀内隆宏君) 民間に主として焦点を合わせてのお話でございましたけれども、私、地方公務員法を所管しておりますので、地方公務員の関係について御説明申し上げます。  地方公務員法五十七条に言うところの「単純な労務に雇用される者」というものの範囲につきましては、今先生のお話にございました、既に失効はしておりますが、その昭和二十六年の政令というものの規定に基づいて現在も判断して差し支えないという旨と、それから、国の場合に技能労務職員という範疇がございますけれども、これを参考としてその範囲を定めるように、地方団体を従前から指導してまいったところでございます。  具体的にお話しのボイラー技士につきましては、今申し上げました地方が参考とすべき国の取り扱いにおきましても、あるいは自動車運転手、あるいは建設機械の操作手というふうなものと同様に、行政職俸給表(二)というものが適用されているわけでございます。また、先ほどの失効した政令との関係で申し上げますならば、職務の内容は主として機械的労務に属するということで、その政令に列挙されている職種に該当するというふうに考えられます。したがって、これらのことから、現在それぞれの地方公共団体におきましては、基本的にはボイラー技士につきましては単純労務に雇用される者という扱いをとっているものと考えております。  私ども、国の技能労務職の範囲を考えるべきこと、あるいは従前の、失効してはいるがその政令の考え方によっても差し支えないことという指導方針につきましては、今後も変える考えはございません。
  107. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまのお話ですと、ボイラー技士については単純労務者として扱ってよろしいというふうに言っておると、こういうわけでございましたね。ところが、これは実は私が衆議院議員のときに予算委員会で問題にした点で、ここに議事録がございますが、昭和五十四年三月一日の議事録ですが、そこで御答弁になっておるのを見ますと、必ずしも今おっしゃったような答弁じゃないわけです。国家公務員とか地方公務員については事実上待遇改善をしておるので問題はないといったような御答弁なんですね、簡単に言えば。  もちろんきょうは私は国家公務員の問題を取り上げているわけじゃございませんので、一般のボイラー技士の場合ですが、ボイラー技士というのはどういうことでその資格を獲得するかということにつきましても、これも昭和五十四年三月一日の議事録にはっきり載っております。これは高度の技能を要するもので、試験を受けなきゃならぬですね。その試験の内容は、例えば大気汚染防止法だとか水質汚濁防止法だとか電気事業法、消防法、水道法、下水道法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、そのほかたくさんの法律がございますわな。こういうものを勉強して、それで試験を受けまして、その上で獲得する資格ですね、ボイラー技士というのは。だから、普通の何にもしない、例えばただ石炭をかまにくべるといった程度の、それは単純労務ですが、そういう単純労務とは内容が違うのではないか。もし単純労務なら、ボイラー技士に国家試験を課するのは少し行き過ぎではないかということになるでしょう。これは 試験を課しておるわけです。  しかも、この試験は、どこでやっておりましたかな。人事院でやっているんじゃないですかな。どこでやっていますか。
  108. 角野敬明

    説明員(角野敬明君) 今御指摘ございましたボイラー技士に関する試験でございますが、これは私どもが所管しております安全衛生法で規定しております一つの免許資格に関する試験でございます。  ボイラーにつきましては、その構造が適切でない、あるいは取り扱いが不完全である、こういうふうな事態がありました場合には、労働者に非常に大きな危害をもたらすという危険性を持っておるものでございますので、私どもといたしましては、ボイラーの構造なりあるいは取り扱いに関し適正を期すために、安全衛生法に基づきましてボイラーについては一定の構造規格を定め、それを取り扱う作業者につきましては免許資格制度を設けまして、その試験に合格した者でなければボイラーの取扱作業に従事してはならない、こういう就業制限をかけておるところでございます。申し上げましたような制度を設けております趣旨は、危険性を内在いたしますボイラーの取り扱いに関し、いささかでも間違いが生ずることがないよう、したがって、そういう間違いを防止することによって労働災害の防止を図っていこう、こういう趣旨で設けておる制度でございます。  私どもとしては、そういう点を考え制度の適正な運用に努めてまいっておると、こういうことでございます。
  109. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまの御答弁、どうも要領を得ませんがね。といいますのは、試験を課するということだけをお話しになりましたが、試験を課するようなのは単純労務ではないじゃないかということを私は聞いているんですよ。ですから、単純労務でない職種について単純労務扱いをするような御指導になっておるということは、何か特別の意味がございますか。
  110. 紀内隆宏

    説明員(紀内隆宏君) 先生お話しのように、ひとしく単純労務職と呼びましても、その中には非常に単純な仕事から、お話しのような試験なり免許なりというものを持つに至るものまで、やや幅広いと思います。具体的に、例えば国家公務員の場合でございますと、同じ行政職給料表(二)の適用がある者でございましても、例えば初任給の問題であるとか、あるいは経験年数の評価であるとか、そういう面におきまして、例えばボイラー技士のたぐいにつきましては優遇をされている、さように存じております。
  111. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ここで議論をしておってもしようがありませんので、労働省にお願いいたしますが、普通の一般の大企業なり中小企業、どこでもよろしいが、ボイラーを使っているところのボイラー技士がどういう待遇を受けておるかという点を調べていただきたいわけです。そして、その待遇が普通の事務員よりもよくないということであれば、調整をとるような御指導を願いたい。これは労働基準局の方の社事かもしれませんが、そういう配慮をしていただかないと、力の弱いところはいつまでも不利な状況に置かれて嘆いておるという状況がとれませんからね。  これは一つの環境ですよ。国民の精神環境、経済環境生活環境の問題です。これはぜひ環境庁でも、環境行政の総合調整もなさる環境庁ですからね、こういう問題はよく措置をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。きょうはこの問題ばかりやっておるわけにいきませんので、そのお願いをしておきまして、そしてもし変なことがあるようだったら直していただきたい、修正していただきたい。つまり、今までの行政あり方について幾分か訂正をしていただく必要があればしていただきたいということであります。この問題については、結果を見てからこの次にまた質問をやりますから、きょうはこれで結構です。またいずれかのときに、地行の方でお伺いするかもしれませんので、ひとつよろしく。  それじゃ、次の問題に移ります。これはかすみ網の使用による野鳥捕獲問題についてお尋ねをいたします。  かすみ網につきまして、鳥獣保護法の第三条に基づく猟具というのが昭和五十三年七月二十日の環境庁告示四十四号で出されておりまして、この第二号におきまして、「はり網」の下に括弧して、「かすみ網を除く。」、こう書いてあるんですよ。ところがもう一つ、同じ日に出された告示がございまして、それにはかすみ網を除くということが書いてない。そのために、環境庁のお方は法律に詳しいから正確に御理解なさっておると思いますが、一般庶民はどうも法律が難しくてわからないという状況を来しておるんです。一つの法律の中で二つの告示がなされた。しかもその告示の内容は、はり網という同じ言葉を使っておる。一方は括弧して「かすみ網を除く」、こう書いてある場合に、もう一方もかすみ網を除くという意味ではないかと取り違えるおそれが多分にあるわけですね。素人の場合はですよ。書いてなければそういうものは入ってないじゃないかというのはこれは法律に詳しい皆さん方のお考えであって、国民はそうはいかぬ。  そこで、そういう問題を根拠において考えてみますというと、今日かすみ網が製造されまして販売をされておるわけでございます。かすみ網の使用は禁止しておるのに製造、販売は認める、こういうことになるのはどういう根拠に基づいてこういうことになったのか、お伺いをいたします。
  112. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) まず、先生のおっしゃいました前段の法律の規定と、国民の皆様の理解ないしは理解のしやすいようにという問題点の方についてお答え申し上げますが、先生指摘問題点は、私ども先生のお話も承りましてよく認識をいたしております。  ちょっと趣旨だけ申し上げさしていただきたいと思います。先生はもう十分御理解の上でお尋ねでございますので簡単にいたしますが、法律の規定の仕組みの上から、狩猟、鳥をとる方法の規制とそのときに使う道具の規制、こうなっておる関係で、方法の方でより広い方で押さえたものですから、今度は道具のところで、またそれをいかにも認められているかのごとき印象を与えるといかぬということでわざわざ除いたのが、逆に、道具では使えるということから誤解が逆に出てしまう。非常に砕いた形で言うとそういうことになる点を、国民の皆さんか甘わかりやすいようにという御注意かと存じますので、私どもも常日ごろそういうことを注意しなきゃならぬと思っておるわけでございますが、これからはいやが上にもそういう点に留意をして、かつ表現の仕方についても、例えば少し文章は長くなっても正確に理解できるような方法を工夫するとか、少なくとも御説明、PRのときに、まず第一にそこのポイントがはっきりわかるようにということに努めたいと思いますので、ひとつ御理解賜りたいと存じます。  それから第二番目のかすみ網の製造販売の問題でございますが、これは私どもも、先生おっしゃったような問題意識は注意せにゃならぬと思っておるわけでございますが、網はいろんな種類があるそうでございますので、いろいろな使い方、これは担当省庁の方からきちんと申し上げていただくべき筋合いのことかとは存じますけれども、私どもといたしましてはそういう猟の仕方は禁止をいたしておりますので、そういう趣旨に合うようにひとつ関係方面でも関係の皆様方に御指導なり規制なりをお願いいたしておるところでございますが、なお詳しくは関係の省庁の方からの御説明をさらにしていただきたいと存じます。
  113. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 かすみ網の製造販売はこれは違法でないというふうにお考えでしょうか。それとも、かすみ網は使用禁止になっているんだから、いかなる場合にも使用禁止でしょう。そういう使用禁止になっているものを製造販売することは違法とお考えなのか、違法でないとお考えなのか、その点はいかがですか。
  114. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) かすみ網の使用を禁止いたしておることはお説のとおりでございます。ただ、これは製造の話になりますとなかなか幅の広い話になってまいりまして、一義的には申し上げにくいわけでございます。  と申しますのは、これは学術研究、それから私どもの方の調査ないしリングをつけるための捕獲というときにはかすみ網を使うケースが、非常にまれではございますけれども、ございます。だからイコールかすみ網をつくっていいんだということに、なかなか試験研究用の話というのはまた特殊な部分でございますので、そういう意味で申し上げるわけではございませんが、製造が違法かどうかと聞かれますと、これはかすみ網の定義、それからどういうものかということの規定からかからなければなりませんので、一概にはなかなか言いにくいことではございますが、少なくともかすみ網で禁止された猟法に使うようなことをねらった製造というのが限定できるかどうかちょっと難しゅうございますけれども、それは差し控えていただきたいということは言えるわけでございますが、網を製造することが違法かという御質問に対しては、一義的にはちょっとお答えが難しゅうございます。
  115. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それではちょっと問題を変えますがね。学術団体が学術的に鳥をとる場合に、かすみ網を使用してとるということは合法的ですか、それとも間違いでありますか。
  116. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 合法的なとり方になります。そういう手続をとってのことでございます。
  117. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 かすみ網を用いるということを検査するためにやるんでしょうか、それは。つまり、鳥をとるのは、かすみ網を用いなくともとれるのですよ、研究用に一羽や二羽はね。大量にとるためのかすみ網でしょう。学術的にかすみ網を使い方を検査するといったような、そういうことの研究が必要でしょうかね。必要でなければ、かすみ網でとることは当然禁止されておるべきじゃありませんか。
  118. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) お説でございますが、もちろんいろんな方法でとり得るケースはあると思いますけれども、鳥の種類にもよりますけれども、やはり、かすみ網でとらないと全くとれないとは言い切れませんけれども、それは不可能に近いような鳥の場合はございます。したがいまして、かすみ網の性能検査のためのかすみ網使用という意味では決してございません。渡り鳥のケースが多うございますが、その鳥を捕獲して足輪をつけるなりあるいはその他の調査をするというための捕獲でございます。  それから、かすみ網でなくてとれる方法がある場合には、そちらの方法を使った方がいいではないかという点はおっしゃるとおりだと思いますが、かすみ網でないととれない、ないしは非常に難しいというものについてかすみ網を使うということは認められる場合がございます。ただし、これはいわゆる狩猟の方法として、狩猟としてやるというものではございませんので、ちょっと言葉があやふやになりますが、その辺は御理解を賜りたいと思います。
  119. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ちょっと例を挙げますと、かすみ網じゃありませんが、麻薬でいきましょうね。麻薬は禁止でしょう。禁止だが、医学用に必要だからつくらせるという場合には、特別に監視のもとにおいて製造しますわね。一般的につくらしているわけじゃございませんでしょう。かすみ網の場合も学問的に研究が必要だということであるならば、研究者に特別につくらせる、かすみ網をつくらせるということで、これで事が足りるわけですね。  つまり、一般の業者にかすみ網をつくらせる必要はないのではないか。つまり、かすみ網というものは使ってはいけないものだというふうに法律で決めた以上は、使っていけないものをつくったり販売することはやはり違法だというのが法解釈としては正しいのではないでしょうかね。どうしても要る場合は特別の例としてかすみ網の学者にだけ与えるものをどこか特別のところでつくるという措置を講ずべきじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  120. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 事かすみ網という限定された製造物で考えますと、そういう規制という道もあり得るかと存じます。ただ、現在はその製造を違法とは、現在の法制上は言えないと存じますけれども、趣旨からして、先生おっしゃるような運用といいますか、方法を考えるべきではないか。つまり、現行法上違法という言い方ではありませんが、違法と同じ、つまり使う目的がそれに限定されているものであれば違法と同じではないかという、おっしゃる趣旨はよく理解できるわけでございますが、ただ、研究者にだけつくらせるというのもちょっとこれは実態上なかなか難しい話だと存じますので、もちろんだれかに依頼してつくるというようなことになるのではないかと存じますけれども、いずれにしましても数の少ない話でございますので、いわゆる禁止されている猟法、鳥のとり方であるかすみ網というものは、製造段階、販売段階でもそういうものが製造され、売られることのないようにということは関係当局に私どもの方からかねがねお願いしておるところでございます。
  121. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 実はこの問題は、野鳥保護の問題としてかすみ網を使ってはならないというふうにせっかくおつくりになった法律であるわけですが、ところが現実にはかすみ網を使って野鳥の大量密猟が行われておるということが新聞に載っているわけですね。私どもは実態を知りませんのでわかりませんが、新聞というのはこれは国民の目から見た一つの世論のようなものだということで、その国民の世論を受けて私どもは皆様方に御質問を申し上げる、こういう立場でございますので。  そこで、かすみ網使用による野鳥の大量密猟というものが本当にあるのかないのか。新聞記事だけではあるように私どもは思わされておるんだが、それは違うのか違わないかという問題もあると思います。その実態はどうなんでしょうね。
  122. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 詳しくは、関係の御当局の方がおられればそちらの方が御存じかもしれませんが、私どもの方で禁止のもとの規定を持っておりますので、その点から承知している状況をちょっと実態について申し上げたいと思います。  かすみ網によるツグミ、ツグミが多うございますが、アトリとかメジロとかいろいろほかにもございますけれども、これらの野鳥の違法捕獲は、残念ながら実態として、例えば中部、北陸地方などを中心といたしましていまだ発生しておると承っております。各関係都道府県において、これは一種の密猟になるわけでございますが、密猟防止のための啓発、取り締まり等一生懸命にやっているところでございますけれども、残念ながらいまだそういう状況にあるというふうに承っております。  環境庁としましても、当然のことでございますが、かすみ網による密猟の根絶を図るために毎年度、特にそういうことが多いと言われておる都道府県を対象といたしまして、かすみ細密猟防止対策会議というものを開催するなど、都道府県を中心でございますけれども、関係御当局の御協力も得まして密猟防止対策の推進を督励し、かつ、これは一般の国民の皆様方にも普及、啓発、御理解を深めていただくということに努めております。  関係機関と申しますのは、警察庁、林野庁、それから先ほどの先生のお話の関係にもかかわりますが、通商産業省など関係御当局に対しても密猟防止のための取り締まりであるとか、あるいはかすみ網の製造、販売問題であるとかについてのしかるべき規制をお願い申し上げておるというのが現状でございます。
  123. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは十月三日の毎日新聞でございますが、それによりますと、環境庁では十八日にかすみ網密猟対策会議というのをお開きになった、こう書いてありますが、そこではどういうようなことを御検討になったかお聞きしたいのです。  実は、この新聞によりますと、年間四百万羽の野鳥が乱獲されておる、そして、その乱獲した野鳥は暴力団の資金源になっている、こう書いてあるんですよ。それで、この新聞によると、環境庁はかすみ網を追放したい方針だ、こう書いてあり ますが、今まで承りました御答弁では何かなまぬるいので、新聞に書いてあることはどうもうそみたいに思えるので、どういうことを会議でお決めになったのか、どういう会議をおやりになったか、ちょっと報告していただけませんか。
  124. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 先ほど申し上げたような基本方針を申し上げたわけでございますが、関係省庁のお名前も、警察庁であるとか林野庁であるとか申し上げましたが、対策会議ではそれらの関係省庁の方々、それからもちろんまず関係都道府県の方々と集まって、これは実はことしだけの問題ではございませんで、そういう努力は前から続けてきておるわけでございます。  会議の中身でどういうことというのは今つまびらかに細かいところまでは手元に持っておりませんけれども、いつもやっていただいておりますことは、例えて申し上げますと、直近の、つまり昨年あたりの実際行われたないしは後で通報をいただいたような情報に基づく実情の把握といいますか、そういう情報の交換、特に二都道府県にまたがるような——鳥でございますので、飛んで行くコース等からいって幾つかの都道府県にまたがる情報も必要でございますし、それから先生おっしゃいましたような特殊な人たちだけの問題でなしにいろいろな密猟形態はあるようでございますのでその辺の情報連絡、これはその地域、県市町村によって状況が違っておるようでございますので、具体的な対策のとり方、関係市町村への周知徹底と申しますか、協力依頼等の打ち合わせをしたように承っております。
  125. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 御答弁どうも要領を得ないんだが、まあそういうこととして……。  この新聞によりますと、「通産省ともカスミ網の法規制などについて話し合う。さらに警察庁に対し、密猟の取り締まり強化を要請していく。」こう書いてありますが、これはそのときの会議でこういうことは問題になったんでしょうか。それともならなかったんでしょうか。
  126. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 現場といいますか、都道府県の関係者もおります場ですので、当然そういうことは話題にはなっておると思いますが、むしろ話題というよりも、それは大前提の問題でございまして、私先ほど申し上げましたのは、環境庁レベルといいますか、中央省庁レベルでの御依頼を申し上げておるということを先ほど言ったわけでございます。それで、もちろん末端機関まであるわけでございますから、そこも含めた対策をさらに強力に推進していただきたいという打ち合わせがさらに行われておる、こういうふうに御理解いただきたいと存じます。
  127. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 通産省の方おいでになりましたらお尋ねいたしますが、かすみ網の製造販売の実態につきましてお尋ねいたしたいんです。また、法規制についてどういう法規制をするかという点、環境庁と御相談になったと思いますが、どのようになっておりましょうか。
  128. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) ただいま先生の御指摘のございますかすみ網の製造ないしは販売、あるいはそれをめぐります法律の規制の考え方の問題でございます。  まず、製造販売の段階のところで申し上げますと、関係する分野といたしまして、網の生地をつくっている業者と、それからいわゆる網の生地を用いましてかすみ網に仕立てをする段階、それからそれを販売に回る段階と、幾つかの段階があるわけでございますが、現在日本の網類の生産規模は、最近大体年間で二万六千トンとか七千トンぐらいの生産規模になっておりますが、ほとんど大部分は漁網用でございます。陸上用として、農業用でございますとかスポーツ用に使われているのが十数%ぐらいの割合でございますが、ただ、この網の生地の段階では、最終的にどういう用途に使われるかというのは全くわからないような状況にございます。もちろん網生地をつくります糸の太さでございますとか、あるいは網目の大きさでございますとか、そういったようなところから主要な分野というのはおよそ見当はつくわけでございますが、これが最終的にいわゆるかすみ網になるのかどうか、狩猟用の用具に用いられるかどうかというのは全くわからない。いろんな多用途の生地として製造されているという面がございますので、この段階での把握は実際上不可能でございます。  したがいまして、問題となりますのは、この網生地を用いましていわゆるかすみ網に仕立てるという、そういう仕立ての段階が厳密な意味でのかすみ網の製造工程ということになるかと思いますが、私ども承知しておりますところでは、どの段階でかすみ網に仕立てられるかというのはいろいろな場合があるようでございまして、一番小規模では個人的な使用のために仕立てられているというようなことから、もう少し事業者的な意味でやられているのもあるいはあるかもしらぬ。しかし、それは極めて零細な方々がやっておる。設備的な面で見ましても、あるいは技術的な面で見ましても、ほかの製造工程と比較しますと極めて簡易な形で仕立てができるというようなことがございまして、かすみ鋼そのものの製造業者なりあるいは製造数量なりというものを今現在詳細に把握できておらないわけでございます。  ただ、先ほど環境庁の方からのお話にございましたように、不正目的でかすみ網がつくられ、あるいはそれが使用目的で販売されるというふうなことを解消する必要があるというふうなことから、関係の団体に対しましては、あるいは関係の都道府県の方々に対しましては、そういう不正使用者向けの生産ないしは販売ということを行わないようにということにつきましては指導をいたしておるわけでございます。  最後に、法律で規制できるかどうかという問題でございますが、先ほど申しましたように、業態がかなり把握しにくい、実際の製造工程というものが把握しにくいというような法律上の問題もございまして、製造販売そのものを法律で規制するということはかなり難しいのではないかというふうに思っておりますが、環境庁さんの方から、何かいい工夫はないかというふうなことは従来から御相談をいただいているわけでございます。
  129. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは農水省の方からお伺いしなきゃならぬかと思いますが、網、魚をとる漁網ですね。漁網というものは、小さな小魚をとる場合でも別にかすみ網を用いる必要はないわけです。小魚をとるに当たって、目が細かければいいのであって、かすみ網は必要でない。これは必要だというふうに言われても、それは強弁だと私は思います。実際に漁業者のやり方を見てきたところではかすみ網は必要でないので、かすみ網はやはり鳥をとるための道具だと言わざるを得ないと私は判断するわけです。つまり、かすみ網を用いても魚はとれるけれども、かすみ網などはなくたって魚はとれる、小さな魚もとれる、こういうことなんです。  そこで、かすみ網を禁止なさったということであれば、その政策はやはり確実に実行していただかないと、法の運用の段階で穴をあけられたんではこれは大変困るわけですね。殊に使用禁止をしたものを所持禁止をしないというのは本来おかしいのです。使用禁止物は禁制品ですからね。使用禁止物はこれはもう所持禁止、当然のことなんですが、それが特に所持禁止もしなければ製造販売の禁止もしないという、そこには何か裏に根拠があるような気がいたしますが、その根拠なるものは、この席で答弁できないような根拠なんでしょうか。それとも御答弁いただける根拠でしょうか、御答弁願います。——これはどこの省ですかね。通産か環境か、どちらでもいい。農水でもいい。
  130. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 私どもの方のお答えで足りるかどうかはいささか自信はございませんけれども、まず私の方から申し上げますが、使用の禁止は明らかにいたしております。それはどういう状況で使用されているかというのが明確に確認できるわけでございますので、これは明確に法規制ができるケースと考えられまして、したがって禁止しておるわけでございます。    〔委員長退席、理事菅野久光君着席〕  実は、物によりますけれども、危険物のようなケースが典型的な例かと思いますが、所持、さらに製造というところまでさかのぼって規制するのが妥当だという物品はいろいろとあると存じます。ただ、今おっしゃいます、問題になっておりますかすみ網の場合、いろんな種類のものがあるということから、なかなかその分別が難しいというようなことから、所持の禁止というところまでできるかといいますと、これはなかなか難しい問題だと思います。つまり、そこで実際上認めようというような根性でないことだけは明確に申し上げるわけでございますが、使用禁止、さらに所持禁止、製造禁止というような、物の製造には各段階があるわけでございますが、そのどの段階までを法規制をもって対処するか。あるいはほかの方法で、行政指導なり何なり、ある段階からはそういう対処でいくのが、まあ生ぬるいという御批判はあり得ると存じますが、その規制の方法としてどういう方法が妥当であるかということをいろいろ検討し、相談した上の現在の法規制体系であると思っております。  なお、いろんな方法を考えられないかということは、先ほど通産省御当局の方からもお話しがございましたように、工夫を加えていこうということでいろいろな相談はいたしておりますが、現段階で所持規制が直ちにできるかと言われますと、これはなかなか難しい。難しい段階の規制であるという点はひとつ御理解を賜りたいと存じます。  御趣旨はよく体して今後さらに対応策を検討したいと存じます。
  131. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、警察庁の方おいででしょうか。——お尋ねをいたしますが、これも新聞によりますと、大規模な密猟を暴力団が行って、それを資金源にしておる、こういうことが書いてあるわけです。そして、野鳥の会でその問題を取り上げると、暴力団風の男の声で脅かしの電話がしばしばかかる、こういう記事もあるわけです。それから、かすみ網で密猟をやりましても、これは実際に科せられる刑罰が非常に軽くて、三万円前後の罰金で済むので、密猟をやらなければ損だということで、共済組合をつくりまして密猟をやる。そこで、引っかかったら共済組合で罰金を払う、こういう組織になっているということが毎日新聞に書いてあるわけですが、こういう点について、警察御当局は御理解になっているでしょうか。
  132. 伊藤一実

    説明員(伊藤一実君) お答えいたします。  暴力団関係者によりますいわゆるかすみ網使用事案につきましては、最近何件かの検挙がされております。こうした実態から見まして、暴力団員でかすみ網を使用して密猟を行っている者もいるのではないか、それが実態ではないかというふうに私ども理解しております。
  133. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それで警察庁の方、そういう実態についてどういう対策をお立てになっていくつもりですか。
  134. 伊藤一実

    説明員(伊藤一実君) 先ほど来先生指摘のとおり、かすみ網の取り締まりにつきましては、犯行地が大変山間部に多いのと、それから相手側が警察の取り締まりを警戒しているというようなことで、手口も次第に巧妙化しているという実態がございます。そういうことで取り締まりには大変困難を伴うわけでございますけれども環境庁等の要請を受けまして、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律を根拠に、今後とも積極的に対処してまいりたいと考えております。
  135. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 先ほど環境庁では、網の使用は全面的に禁止をした、しかし、全面的禁止をしたんだけれども、所持禁止まで持っていくのは難しい。製造販売の禁止も難しい。こういうお話であったわけですが、なぜ難しいか、難しい理由が全然示されないわけです。これは暴力団の便宜を図るということの道が絶えるので難しいと、こういうことではないかというふうにとれるんですが、そういう点につきまして警察庁はどうお考えになっていますか。
  136. 伊藤一実

    説明員(伊藤一実君) お答えいたします。  ただいまもお答え申し上げましたとおり、この種の取り締まりには大変困難を伴うのが通例でございます。したがいまして、かすみ網の製造及び販売を禁止する規定が整備されれば、私ども取り締まり側としてはより効果的な取り締まりができるのではないかというふうに理解しております。
  137. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題は、環境庁の御善処を要望いたしまして、次の問題に移ります。  今度はニホンカモシカの保護対策についてでございますが、ニホンカモシカは、現在国の特別天然記念物に指定されておるわけでございます。その指定した理由、これはもう言わぬでもわかっていると言われるかもしれませんが、次の問題があるからお尋ねするわけです。  新聞によれば、特別天然記念物のニホンカモシカの皮を売ったり肉を売ったりすることが認められるということが報道されております。そこで、ニホンカモシカは特別天然記念物に指定されておるのに、それが皮を売ったり、肉を売ったりすることが認められるということになりますと、特別天然記念物に指定した理由がどうも明確でなくなるので、それでその理由と経緯をお尋ねするわけですが、いかがですか。
  138. 田村誠

    説明員(田村誠君) カモシカが特別天然記念物に指定されている理由ということでございますが、カモシカは、史蹟名勝天然記念物保存法によりまして、我が国に固有な、著名な動物として昭和九年五月一日付で天然記念物に指定されたわけでございます。さらに、昭和二十五年に制定されました文化財保護法によりまして、世界的に、また国家的に価値の特に高いものとして、昭和三十年の二月十五日付で特別天然記念物に指定され、今日に至っているわけでございます。
  139. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 今の御答弁ですが、どうも簡単過ぎて明確じゃないんですが、新聞によりますと、これは十一月十二日の朝日新聞ですが、これによりますと、こういうことが書いてありますね。天然記念物であっても、それが死ねば、その瞬間に天然記念物ではなくなる。だから林産資源の活用という点からいえば邪魔になるカモシカは要らぬのだから、毛皮の焼却処分をするよりも売った方がいいのではないか。こういうような意味が書いてあるんですね。天然記念物を所管するところの文化庁の記念物課の御意見ですよ。  これはどうも、どう理解したらいいかわからないんですがね。死んだカモシカは天然記念物でなくなる、そのことは当然でしょうけれども、死なせることがいけないのでしょう。死なせることがいけないんなら、死ぬ前の段階の天然記念物というものに重点を置いて物を考えるべきだと思いますが、その点について文化庁では、このニホンカモシカというものは多過ぎたのでもう殺してもいいという、天然記念物から外したいという御意向なのか。その点はいかがですか。
  140. 田村誠

    説明員(田村誠君) カモシカの捕獲についてでございますけれども、カモシカが貴重な動物であるということは、特別天然記念物に指定されているということからもそのとおりであるわけでございますが、昭和三十年代、四十年代ころ、相当カモシカが少なくなったわけでございますが、昭和四十年代の終わりごろから五十年代にかけて、カモシカが今度は植林木に対しまして、あるいは農産物に対しまして食害問題を起こしてきたわけでございます。それで五十二年、三年ごろに文化庁、環境庁林野庁、三庁が関係するわけでございますが、それぞれ必要な調査等を行ったわけでございますが、それによりましてこの三庁でカモシカの保護被害対策についてどうしていくべきかということの一つの合意を見たわけでございますが、その中で、カモシカの今後の保護の進め方として、将来は地域を限って天然記念物に指定して保護を図っていこうということでございます。  一方、そのために保護地域というものをつくりまして、保護地域の中のカモシカについてはそれはしっかり守っていくけれども地域外のカモシカにつきましては、それが特別被害を多く出しているというような状況であれば、麻酔銃その他を使いまして捕獲も認めていこうという方針をとったわけでございます。五十四年度からそういうこ とで保護さくであるとか、あるいは忌避剤であるとか、ポリネットであるとかいうような、カモシカに食べられないような措置も一方で行うとともに、地域によってどうしてもこれは捕獲しなければいけないというようなものについては捕獲を認めていこうということで、文化財保護法あるいは鳥獣保護法で捕獲を認めてきているわけでございます。  この数が五十九年度、昨年度までで四千頭を超える数になっているというような状況でございまして、保護とそれから被害対策、御承知かと思いますが、ことしの一月に岐阜の方からカモシカの被害に対して訴訟も起こっているわけでございますが、そういったことで、保護被害対策の調和というようなことでこのような措置をとっているわけでございます。
  141. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 食害が生じますのは、結局食べ物がないからでしょう。カモシカの食べ物がないから木を荒らすのでありまして、食べ物さえあればカモシカというものは木を荒らさなかったのじゃありませんか、以前は。ですから天然記念物に指定しても大丈夫だった、こう思いますが、結局カモシカが食べるものを人間が奪い取ってしまっておるという現状、それをどういう方法で救済するかという問題は別途に考えなければならぬ問題でしょう。こういう点につきましてどうお考えでしょうかね。  年間約一千頭射殺して、今おっしゃったあれでいくと四千頭も殺した、こういうわけなんですがね。現在どのくらいカモシカは残っているかという調査はなされておるかどうか。まず、どういう調査をして、どれだけ残っておるという確認をしたという点の御報告をお願いいたします。
  142. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) ただいま先生の御質問、いろんな調査をいたしております。政府全体ではいろんな調査をいたしておりますが、まず環境庁の方で調査をし、承知をしておる状況を申し上げておくべきかと存じますのでお答えいたします。  分布状況等につきましては、簡単に申し上げますと全国三十都道府県に及んでおります。東日本で広く西日本では比較的狭くなっておりますし、中国地方では現在生息が認められず、四国、九州においても分布は限定されておるという状況承知いたしております。その分布地域の植生の状況はブナ帯を中心として、杉、ヒノキ等の人工林にも分布しているという状況でございます。その総分布面積は三百四十五万ヘクタール、約全国土の一割に分布しているというようなことが現在までの調査で判明いたしております。今申し上げました調査は五、六年前のものでございますが、さらに五十八年度から三カ年で、これ、現在も継続中でございますが、その後の生息分布等の変動を調査しておるところでございます。  なお、どのくらいの数かと先生おっしゃいましたので、まあかつて、昭和三十年代のお話は先ほど文化庁の方からもちょっとございましたので重ねることをやめますが、昭和五十二、三年度のころからの調査でございますが、これは悉皆といいますより主要地点での生息密度を調査したものからの推計になりますけれども、おおむね七万五千頭。もちろん推計でございますので誤差があり得ますが、一応その調査ではプラス・マイナス一万一千八百頭、約一万頭のプラス・マイナスがあり得るというような報告をいただいております。
  143. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 その次の問題がありましょう。——そのほかに先ほどお尋ねしましたのは、特別天然記念物の指定を外す御予定、そういうつもりがあるのでしょうかということをお尋ねしたんですが。
  144. 田村誠

    説明員(田村誠君) ただいまの御質問でございますが、先ほどお話し申し上げましたように、五十四年の八月に三庁で今後の保護被害対策について合意を見た方針があるわけでございますが、その方針は、先ほど申し上げましたように、地域を限って天然記念物に指定していこうという方向でございます。
  145. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 特別天然記念物になっているニホンカモシカを、今、ある一定の頭数を殺してもいいということで射殺をする。その場合に、地域を限ってやるんでしょう。どこでとったかということは区別がつくでしょうかね。これは指定したところでとったのか、あるいはそうでないところでとったのかということがわからないのじゃないかと思うわけですが、今のように販売を認めるということになると、必要以上に密猟が行われて、カモシカの射殺が行われるのではないかという心配があるわけなんですがね。こういう点はどうなんでしょうね。  鳥獣保護法の十三条の二によりますと、ヤマドリの販売は禁止しておるんですよ。ところが、ニホンカモシカについては、販売禁止どころか売ってもよろしいと奨励しておるんですが、その辺のところの差異が生じた根拠はどこにあるのでしょうか。
  146. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) カモシカそのものについての扱いの点につきましてはまたしかるべき御答弁をせにゃならぬと思いますけれども、私どもの方で、特別天然記念物の話でなしに、ヤマドリのお話がございましたので、その点についてまずお答え申し上げなきゃならぬと思います。  まずヤマドリは、カモシカとかほかの鳥などと違いまして、狩猟鳥獣、つまり狩猟の対象にする鳥でございます。一般的禁止がなされていない鳥でございます。とる時期の問題等はもちろんございますけれども。ところが、ヤマドリがなかなかきれいな鳥であると同時に、猟の対象として非常に好適ないい鳥である。それと、肉も食べられるといいますか、美味であるというようなこともありまして、非常に数多く、つまり狩猟鳥獣ではありますけれども、とられ過ぎるという問題がございまして、そのために販売を禁止しまして、つまり狩猟を楽しむという点では認められておりますけれども、それを大量に捕獲をしてしまうということのないようにという意味で販売を禁止いたしております。  ニホンカモシカを初めといたしまして、これは特別天然記念物でもございますので、別な問題がさらにあるわけではございますが、いわゆる非狩猟鳥獣につきましては、とることが禁止されております。したがいまして、法制的に言えば、捕獲されたものはその限りで違法捕獲となるわけでございますので、違法捕獲されたものが流通するというのはこれまた違法でございますので、いわゆる販売流通規制という特別規定は設けていないわけでございます。
  147. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 特別規定を設けないのはもともと捕獲することが禁止されておるからだ、カモシカは捕獲することの禁止を解除したので、したがって販売してもいいんだと、こういうふうに聞こえましたがね。余りこの問題ばかりやっていると次の問題に行けませんので、このぐらいにしておきますが、どうもきょうの御答弁はなかなか要領がよくて、肝心のものがちっとも言葉にないので困りますけれども、次の問題に行きます。  現在、国民にとって一番不安な環境が生じております問題として、地震とかそれから火山の噴火によるところの生活破壊に関する不安がございます。こういう問題につきまして、最近メキシコの地震だとかコロンビアにおける火山噴火がございました。こういうものからいろいろの御教訓を受けられたと思いますが、それを受けとめてどういう対策を講じられておるのか。それによって国民の不安な環境をどのようにして解消しようとなさっておるのか。こういう点の質問を申し上げます。こういう点につきまして、時間をそれぞれ適当に割り振って御答弁願いたいんですが、消防庁とか国土庁とか建設省ですね。あるいは気象庁、科学技術庁、いろいろ御担当もあると思います。  そこで、建設省にお尋ねするんですが、耐震設計基準というのが出されましたね。これは従来の耐震設計基準を改めておられたのか、それとも新しく決められたのかという点。どうしてそういう基準を最近お決めになったか、その経緯。それから、昭和二十五年につくられた基準で建てられた建物、それからその後に改正基準でつくられた建物、それから昭和五十六年の六月の基準で建てら れた建物、それぞれ建物の強度において違いがありはしないか。そうしますと、基準の違った建物が今混在しておるわけですが、こういう状態で地震が生じた場合にどのような現象が生ずると把握しておられるのか。それに対する対策はどのようにしておられるか。こういう点について、まず建設省お答えを願います。  それから、建設省の答えが済んだ後で、現在の東京だとか大都市、こういうところの建築物がございます。道路、高速道路とかあるいは建物が建っていますが、これと地震との関係について、倒れる可能性というものをどの程度考えておられるか。また、倒れた場合の対策はどうしておられるかということについて御答弁を願います。火山の問題はまた後で聞きます。まず地震の問題から。
  148. 立石眞

    説明員(立石眞君) お答えいたします。  初めに耐震設計基準の件についてお答えしたいと思います。  先生指摘昭和五十六年の耐震設計基準の改正についてでございますが、まず、改正前の旧基準によりましては、古く関東大震災直後の大正十三年に改正されました市街地建築物法時代に盛り込まれた技術基準考え方を基本としているわけでございます。その後、構造計画技術が非常に進歩いたしておりますので、例えば鉄筋コンクリート造の柱の鉄筋の間隔を強化するとか、そういうふうな幾つかの所要の改正を行ってきておりまして、関東大震災程度のいわゆる震度階七と言っておりますが、その程度の大きな地震が起こっても倒壊しないような構造とするように基準整備されてきたわけでございます。  昭和五十六年の耐震設計基準の改正といいますのは、近来コンピューターが発達し、あるいはまたその普及も著しい。それからまた、地震記録も、非常に強震計等の設置が進みましたので記録がとれてきたこと等によりまして、構造計算理論の進歩が最近著しいわけでございます。そこで、地震力が建築物に及ぼす影響をより正確に計算することが可能になりましたので、こういうような方法を導入することによって建築物の安全性を確認できるようにするというのが基準の改正でございます。こういうように考えてみますと、今御説明いたしましたように、昭和五十六年の改正前の基準によりましても、関東大震災のような震度階七程度の地震では倒壊することがないというように現在の基準は定めているところでございます。  また、今回のメキシコ地震についての教訓等についてでございますが、今回のメキシコ地震の建物の壊れ方といいますのは、中規模のビルが共震現象を起こしまして、倒壊したものが多いと指摘されているわけでございます。今回のメキシコ地震の原因といいますか、大きな被害になりました原因といたしましては、メキシコ市の特異な地質、地盤、そういうものに基づくところが多いわけでございまして、日本では一般には起きないというように考えているところでございますが、日本の耐震基準による建築物は非常に粘りの大きい構造となっておりますので、メキシコシティーに起こりましたような長周期の地震動があったといたしましても大きな損傷は生じないというように考えているところでございます。
  149. 中沢守正

    政府委員(中沢守正君) 避難路のことについてお答え申し上げます。  避難路は最後のとりでになりますものでございますので、沿道の状況、それから安全な避難行動を考慮しまして、原則として十五メーター以上、できるならば二十メーター以上の広い幅員の道路を選定するように指導しておりますが、この幅員に満たない避難路も現在ございますが、これらにつきましては防災対策緊急事業計画というのを十年計画で定めておりまして、これに基づきまして積極的に整備に努めておるところでございます。  さらに、倒壊等、予期せぬ不測の事態が起こった場合においても、一つの避難路で避難が不能になるということも考えられますので、二方向避難ができるように今後とも避難路網の整備に努めていきたいというふうにしております。
  150. 篠田伸夫

    説明員(篠田伸夫君) 御質問のうち、大地震によりまして建築物や道路が壊れた場合の人命の救出の問題につきましてお答えいたしたいと思います。  地震時におきます人命救助につきましては、災害対策基本法に基づきます都道府県あるいは市町村の地域防災計画によってその対策が立てられているところでございます。  メキシコ地震におきましては、倒壊したビルの下敷きになった人が大変多かったと聞いているわけですけれども、このような場合の対策としましては、我が国の大都市の消防機関では重量物を排除する資機材等、各種救助資機材を専用の救助車に積載するほか、消防署にも配備して事前の備えをしているところでございます。また、大規模な救助活動に必要なクレーンだとかパワーショベル等の重機につきましては、例えば東京都での例では、地域防災計画に基づく民間協力計画の一環といたしまして、日本道路建設業協会、あるいは東京建設業協会、プレハブ建築協会との間で協定を取り交わしておりまして、建設資機材の調達に万全を期しているところでございます。  さらに、地震による被害を最小限度にとどめるためには、単に常勤の消防職員のみに頼ることでは不十分でございまして、消防団あるいは市民防災組織による迅速な救助活動が不可欠でございます。消防庁といたしましては、今後一層消防団の活性化、自主防災体制の育成強化を進めていこうと、このように考えているところでございます。
  151. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 具体的な例を挙げますと、東京の十メーター以下の道路、たくさんございますね。高層建築の間にあるところの道ですが、こういうものに対する安全性というものはどの程度に認識されておられるでしょうか。——消防庁どうですか。これは国土庁の問題ですか。  どうも答弁が難しいようだから延ばしまして、ちょっと時間があるから火山の問題。火山の噴火予知とか、あるいは火山噴火からくる二次災害、この前のコロンビアにおけるような泥流が流れるような、ああいう二次災害、こういうものについて、日本の火山について御研究になっておるかどうか、いかがでしょうか。これは気象庁ですか、科学技術庁ですかな。
  152. 鈴置哲朗

    説明員(鈴置哲朗君) お答え申し上げます。  まず監視体制でございますが、我が国では約七十の活火山がございまして、気象庁はこれらのうち活動が最も盛んな十七の火山については常時観測をいたしております。また、そのほかの火山につきましては、火山機動観測班による観測を実施しております。また、大学等関係機関におきましても、これらの火山のうち幾つかのものについて監視、観測を行っております。これらの監視、観測により火山活動に異常がありました場合には、直ちに気象庁は火山情報を発表することにしております。  また、火山噴火予知に関してでございますが、気象庁等関係機関は定期的に火山噴火予知連絡会を開催しておりまして、火山の活動状況を判断いたします。そして、必要な場合には活動状況等に関する統一見解を発表して対応しております。    〔理事菅野久光君退席、委員長着席〕  それから、泥流にかかわる問題でございますが、我が国でも一九二六年、すなわち大正十五年の五月、北海道の十勝岳の噴火で山頂付近の氷雪の融解に伴う泥流の発生がございました。このほか、歴史的に見ますと我が国では多くの火山で泥流等の二次災害が発生しておるわけでございます。気象庁といたしましては、積雪地帯等の火山泥流発生の可能性の極めて高い火山につきましては、こういった状況を十分考慮に入れまして火山の監視及び火山情報の発表、そういった点に遺漏のないよう心がけてまいってきておるわけでございます。  以上です。
  153. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 もう時間が来てしまいましたので、あとのことはこの次にいたしますが、ところで、きょういろいろ問題点がございました。人間環境に関する問題、自然環境に関する問題両者ございましたが、こういう問題につきまして環境庁長官の御意見なり御感想なり今後の御抱負なり、 お聞かせを願いたいと思います。
  154. 石本茂

    国務大臣石本茂君) いろいろと御質問をいただきまして、ニホンカモシカのこととかかすみ網のこととか、直接に関係するものもお伺いをいたしました。それぞれ関係省庁がございますので、今後十分に対応しながら、早急に、よい意味の結論に向かっていきたいというふうに考えております。努力をさせていただきます。  ありがとうございました。
  155. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 終わります。
  156. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 前回に続いて、まず、水俣病問題について質問をしたいと思います。  八月十六日の熊本水俣病第二次訴訟控訴審判決の中身につきましては、その認識は、私と環境庁とは一致をしたと思います。問題は、この判決で指摘されているような現在の水俣病対策の抜本的見直し、これが求められているんですが、これは前回も指摘したとおり期待されるような対応になっていない。これは大変残念であります。しかし、判決の重みとそれからその指摘に対して何らかのことをしなきゃいかぬということはありまして、若干の変化が見られた。きょうはその問題に関してまず質問をしたいと思うんです。  これは十月十八日の環境庁見解「後天性水俣病の判断条件について」、この中で、「水俣病対策について幅広い角度から今後とも引続き検討を進めていく」とされています。このことに関して、十一月二十六日の衆議院の環境委員会で福島委員の質問に対する答弁ではこうなっています。「医学的に判断困難な事例というものに対し」六十一年四月からとる特別措置などを含め「現在幅広い角度から検討を行っている」というんですが、この「幅広い角度から」ということは、この医学的に判断困難な事例に対する特別医療事業を含めという、そのほかにも何か別のものがあるのか、あるいはこの特別医療事業だけなのか。何しろ「含め」とあるんでね。一体何なのか。ここをお聞きしたいと思うんです。
  157. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答え申し上げます。  水俣病の対策につきましては、これまでも環境庁といたしましては認定業務の促進等ということを中心に国と県が一体になってその推進に努めてまいったということでございます。先生が御指摘のように、環境庁としましては、医学専門家会議の御意見を踏まえまして、水俣病と診断するには至らないが医学的に判断困難な例に対して特別な措置等を含め幅広い角度から検討を行うこととしているところでございます。  御指摘の点につきましては、現時点におきましては、仮称ではございますけれども、特別医療事業考えているわけでございます。
  158. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それだけなんでしょう。端的に答えてください。私全部言ったんだし時間ないんだからね。
  159. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 現時点ではそういうことでございます。
  160. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 一秒で済む答弁、大分時間かかっちゃったですね。  問題は、特別事業だけだというんですが、これについては、患者切り捨てじゃないか、判決で本来患者と認められるべきものをこの対象にして、医療費給付だけに押し込めてしまおうとする、そういうことになってしまうんではないかという、こういう大変な患者の側からの不安があります。私もそれはかなり根拠のあるものだと思うし、また、断じてそうなってはならない、こう思うわけであります。  そういう角度から次の質問をいたしますが、これも衆議院の環境委員会で、十一月二十六日の馬場委員の質問に対する答弁で、行政認定患者と司法認定患者の二つのカテゴリーの患者が出てくることは望ましくない、できるだけ一つのものとして解決が図れるよう行政として努力したい、こういう答弁になっております。これは具体的にどういう方法を考えているんでしょうか。
  161. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答えいたします。  今の二次訴訟の控訴審判決によりまして、水俣病の認定基準に司法認定と行政認定、この二つの判断基準ができているけれどもということでございますけれども、この件につきましては、前回馬場先生の方へお答え申し上げたとおり、やはり私どもとしても先生指摘の司法認定とそれから行政認定の二つのカテゴリーができてしまうということは望ましい形であるとは考えておりません。しかしながら、環境庁といたしましては、公健法に基づいた現行の制度が円滑に運用されてできるだけ一つのものとして解決が図られるよう行政として努力をしてまいりたい、そのように考えているわけでございます。  しかしながら、また環境庁としては、水俣病であるかどうかということにつきましては再々申し上げておりますように医学に属する問題でございまして、公健法運用に際してはあくまでも医学を基礎としてまいるべきであると考えております。したがいまして、水俣病であるか否かということにつきましては判断条件によって判断するのが妥当であろう、こういうふうに考えているところでございます。
  162. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そのことに関して、これも同じ日の衆議院の環境委員会で、これは福島委員の指摘ですね。判決で損害賠償の支払いがあった方々は判断基準外だから当然水俣病患者ではないと判断する、県の処分も却下が適当だと思うかどうか、こういう趣旨の質問をいたされました。それに対して目黒環境保健部長は、「先生の御意見は貴重な御見解として承ってまいりたい」と、こういう答弁なんですね。  福島さんの質問は、要するに司法判断と行政判断の違いも指摘し、そして行政判断で医学的に判断困難とされて今回の特別医療事業対象になる人々は、これは判決で見ればほとんどすべてが患者なんですね。そこを近づけたらどうかということに対して、やっぱり一本化は望ましいという答弁がある中で、しかし同時に福島さんの指摘では、まさにこれは判決で認定した人は行政判断から見れば患者じゃないんだからそんなのは棄却しちゃいなさいと。それに対してあなたは、「貴重な御見解」と。私は、環境庁のそういうあなたのような立場にある人がこういう暴論を——まさに暴論でしょう、これ。棄却しちゃえというんだからね。そうするとこれは、判決の認定した患者は患者と認めるなということを、これを「貴重な御見解」などと言うのは、あなたの答弁もこれは大変な暴論だと思うんですが、その「貴重な御見解」という部分、これ取り消しますか。
  163. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答え申し上げます。  先生の今の御指摘ですが、この二次訴訟判決を受けました四人の原告の扱いについて、十一月二十六日の福島議員の質問に対しまして私がお答え申し上げましたのは、公健法は、本来両当事者間で解決されるべき公害健康被害に関します損害補償の問題について、行政上一つのバイパスをつくって一定の手続によりまして一定の水準の補償給付を行うというものでございます。したがいまして、裁判によって損害賠償の支払いを得られた方々については、公健法上は水俣病であるかどうかを云々するまでもなく、もはや公健法による救済は必要なく、県の処分は却下が適当であるとの考え方もあるわけでございまして、このような意味におきまして、貴重な御見解として承ってまいりたいと申し上げたものでございます。
  164. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうしますと、これは環境庁としてはそういうものは患者とは認めない。となると、その前に司法判断、行政判断二つがあったんじゃ好ましくない。環境庁がそういう判断であれば、そういう態度であれば、もう行政判断は期待できないからじゃあ司法判断でと、どんどんと行きますよね。むしろ逆行して、ますます司法判断を求める人が多くなって二つの系列ができちゃう、そういうことになりはしないのか。その点では私は前の馬場さんに対する答弁とは明らかに矛盾する前回の答弁でもあるし、また今の答弁だと思うんですよ。こんなことだったら、ますますそれは水俣行政混乱するばかりじゃありませんか。
  165. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) まあ先ほどから御説明申し上げているとおりでございますけれども、強いて申し上げるならば、やはりこの熊本の二次訴 訟判決の原告の四人の方々、これは裁判による損害賠償の支払いを受けているわけですね。したがってこれらの方々に対しては水俣病であるかないかということを云々するまでもなく、県知事の処分は却下が適当であるというこの福島先生考え方に対して、貴重な御見解の趣旨であると、こう私どもは申し上げた。したがいまして、私の方としましては、この四人の処分につきましては関係県の方で適切な処置がとられることとなるものと、こういうふうに考えているわけでございます。  したがいまして、先ほど来先生の御指摘でございますけれども、私どもの方の考え方に矛盾はないものというふうに考えておるところでございます。
  166. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうすると、環境庁並びに県としては、裁判の判断は判断としてまた県独自に判断をし直すと。そういう点では、従来から見ますと、裁判所が患者と認めたものは追認的にもうほとんど患者になっていますからね。私はそうあるべきだと思うんですが、ただ、あなたの中に福島先生の御意見が貴重だというそういうことがいささかでもありますと、これは先ほど来言っている司法判断、行政判断、ますますこれは広がっていっちゃう、そうでないむしろ統一の方向に、やっぱりもう両方が一致をして、そんな二つのカテゴリーが存在しない方向にどう努力していくのか。私はそれこそ今ここで部長として明快に答えるべき点だと思うんですが、その点に対する答弁はありませんか。
  167. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、やはり私どもの方としては、この裁判の判決と、いわゆる司法の判断とそれから行政の判断と二つあるということは望ましいということではないけれども、別々にあるということ世望ましいということでないけれども、一本化ということについては努力していくという、こういうことについては私ども先ほど来申し上げているとおりのことではございますけれども、しかし、やはり先生の御見解とはちょっと私ども違っているんじゃないかと思いますのは、やはり私どもは私どもの方の考え方ということで、ここは私どもの方の医学を基礎として行っていくという考え方については、先ほど来から変わっていないところでございます。
  168. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ちょっと違うんじゃなくて大分違うんですよ。もうある意味じゃ根本的に違うくらいですが、これはもう前回も議論しているので、こういうことだと最初から最後までそういう答弁で終わってしまうから、時間のむだになりますので次に入りますが、しかし、実際判決の指摘しているところもそうですし、被害者はこう言っているんですね。ボーダーライン層などというあいまいなやり方はやっぱり疑問だ、症状に重症、軽症の差があってもボーダーライン層なんてないはずだ、これは結局患者の要求をそらし、最も切実な医療費だけでごまかそうとするものだ、こういう批判が出ていること、これはもう御承知だと思います。私は、そうあってはならない。判決があって、環境庁としてはこのボーダーライン層というものを認めざるを得なくなって、何らかの措置をしなきゃいかぬということになったんだから、私は、それがこういう切り捨ての方向になってはならないと思うわけです。  そういうことを前提にして、今回の特別医療事業の中身について聞きたいと思うんです。私としては、これに対してまだ特段の見解を述べる段階にありません、どういう中身がまだはっきりわからないわけだから。そういうものを来年度からやるということだけなんで、これはやっぱりこういう委員会の質疑を通じて中身をより明確にし、より掘り下げ、大いに議論をして、そして患者切り捨てにならないような方向に行くべきだと、こういう立場から、中身を明らかにするという、そういう点で質問をしたいと思うんです。  まず、特別医療事業対象となる患者の範囲、あるいは選定基準はどういうものなのか。これは高度の疫学条件プラス四肢抹消の知覚障害だけのものも含まれるのかどうか。この点はどうでしょう。
  169. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 特別医療事業につきましては、その対象をどのように定めるか、あるいはその範囲をどうするかということも含めて、やはり現在検討中という段階でございます。
  170. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大分検討中の時間が長いんですね。これは判決は八月十六日です。その後のいろいろ環境庁内の処理もあるんでしょうが、検討の中身は何ですか。財政問題なんですか。
  171. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) それも含めて検討中でございます。
  172. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうすると、そういう選定基準が、まあ県ともいろいろ協議をする、こういう段階として伺っていいでしょうか、これは大体県の方の意見具申に基づいて環境庁の方でそれに対する対応をするのか、あるいは環境庁自身ももう十分に検討しているのか、その点どうですか。
  173. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 県のみならず、関係省と検討中でございます。
  174. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 基準などについて、あるいは対象範囲について答弁ないのは残念ですが、じゃ、ほかの角度から聞いていきます。  この特別医療事業考え方ですと、いろいろ審査をしていく、そういう中で幾つかの問題が出てくると思うんです。それは、現在棄却されている者がいますよね。そういった人々は再申請しない限りは対象にならなくなるんですが、私はこれは、職権をもって特別医療事業対象とすべきではないか。その理由は、大体認定審査会にある資料でもう十分判断が可能ですよね、もう資料は十分あるんだから。それを今まで新通知という基準で却下しちゃったんだけれども、まあしかしそいつをも対応しようということであれば、今の資料で十分判断可能ですからというのが第一点。それから、大体今度判決があってこういうことになったけれども、その前に、こういう判断困難者に対してこれを放置すべきでなかった。やはりもっと行政としては医療救済をすべきだったと、こういう角度から、私は職権をもって積極的に対象者にしていくべきだと、こう思いますが、どうですか。
  175. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 御指摘のような、既に棄却した者についてこれを職権で特別医療事業対象とするというふうなことについては、現在のところは考えておりません。
  176. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 しかし、それは決して無理な注文ではないでしょう。一定の合理性はあるんじゃないでしょうか。というのは、やればできることですね。なぜやらないんですか。今のところ考えていないと言うけれども、今の今まで考えていなかったけれども、私に指摘されて、それでなるほどと、そういう立場もあり得るなということは、それはあったってしかるべきではないんでしょうか。全くこれは行政としてやるべきでない、そういうものなのか。それとも、ともかくたくさんの数いるこういった人々に対して、やはり行政として温かく手を差し伸べていこうという立場から見れば、職権でやっても決してこれはおかしくはない。この意見、どうですか。
  177. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) やはり私どもの方の立場から申しますと、現在の時点ではそのようなことは考えていないというふうに申し上げる以外はないわけでございます。
  178. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 考えていなかったかもしれぬけれども、しかし、私が今申し上げたようなことは、行政としてやっちゃいかぬことじゃないでしょう。そういうことにも十分配慮していくことが私は水俣病患者を救済していく道だと思うんだけれども、私の言った意見は一顧だに値しませんか。
  179. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 御見解の一つとして承っておきます。
  180. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これこそ、先ほどの福島さんの話じゃないけれども、貴重なる意見ですよ、だと思うんですがね。こういうものを貴重な意見と受けとめて対応してほしいと思うんですね。  それからもう一つの問題は、棄却後再申請した者がいますね。この人々についてもう一度検診をし、また、大変長い時間かかって、そしてまた審 査委員会に諮って、その上でこの特別医療事業対象者とするのかどうかなんといったらまた大変な話ですよ。この方々は棄却された際の資料十分ありますから、本来の、新しい認定とはまた別に対象者とすべきかどうか。このことについてはこれは独自の、しかも早期な判断が可能だと思いますが、どうですか。これ、やっぱり貴重なる意見ではないんでしょうか。
  181. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答え申し上げます。  再申請の者について、検診を行うことなく以前の検診資料によって特別医療事業対象とするということにつきましては、今後慎重に取り扱ってまいりたいと思います。
  182. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 では、この点はかなり環境庁としてもなし得る可能なことだと思うんですよね。可能性については、この可能性というのはあなた方の技術的可能性ね、これは十分ある、こう伺ってよろしいわけでしょうか。しつこいようだけれども
  183. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 御見解の一つとして、慎重に検討をさせていただきます。
  184. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうするともう一言言わざるを得ないのですけれどもね。  私の言っているのは、可能性は十分あるのじゃないか。いやむしろ逆に、新しく検査したりそんなことをやっていくよりはよほど今までの資料で判断した方が、救済——私はこれが果たして完全な救済がどうか大変疑問がありますよ。患者も不満がある。しかし、ほんの一部、環境庁がほんのちょっとばかりいわゆる足を踏み出した、このことに関して、それを本当に中身に命を入れていくという、そういうために、やっぱり患者の実情に応じた、また希望に応じたところをやってあげることが大変望ましいし、そういうお気持ちはあるでしょう。そういうお気持ちがなくてただ単に検討なんて言われたってこれは私は引き下がれません。
  185. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答え申し上げます。  やはり先ほど申し上げましたとおり、御意見の一つとして承って、今後慎重に取り扱ってまいりたい、このように思っています。
  186. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そういう答弁で時間をとってもこれはむだなことですから、次に進みます。  その場合の今度の医療救済の水準は、私は国保などの自己負担分の全額支給とすべきだと思うんですよね。患者に一部の負担もあってもならないと思うんですが、この点はどうでしょう。
  187. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答え申し上げます。  御指摘の点につきましては、原則として医療費の自己負担分に対する補助考えてはおりますけれども、細部については現在検討中でございます。
  188. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大体予算がどれくらいになる見込みなのか。詳細決まるのは大蔵省との交渉もなかなかうまくいかぬでしょうけれども、大体概算である程度これは出るんじゃないでしょうか。
  189. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答え申し上げます。  やはりこの事業対象範囲とか数とか予算等につきましては、現在関係方面と協議中でございます。
  190. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そこで大臣、予算の問題になりまして、これは概算要求決まっちゃった後の問題ですから、大蔵省との交渉は大変困難を来すんだろうと、大蔵省側から見れば、だと思うんです。しかし、先ほど来お聞きのとおり、本来なすべきうちのほんのちょっぴりのものにすぎないんですね。それさえ大蔵省に切られておったら、私は環境庁の存在意義がなくなってしまうと思うんですが、年末の予算折衝、また組閣の問題もありますけれども、しかし私はこれは、医療関係出身の大臣としては、まさに大臣生命をかけてやるべきことだと思うんですが、この御決意はいかがでしょうか。
  191. 石本茂

    国務大臣石本茂君) このことにつきましては、部長の申しておりますように、目下関係方面と調整を図っている最中でございますが、私といたしましては、この事業はぜひとも実現できるようにということで、全力を尽くしたいと思っております。
  192. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 あと二、三の問題があるんですが、一つは、熊本県知事が検診拒否者に対しては対象としないというような見解が述べられておるんです。私自身、検診拒否については一定の見解を持っています。全面的にこれを支持するものではありませんが、ただこれは、室長ども現場でちゃんと患者に接しておれば、なぜ拒否するのかと。これ、もしずっといたらほとんど棄却されてしまう。棄却された場合には、すぐ再申請をしても後一年間だけ医療費をもらえないのです。そのことが大変な生活上の苦痛になるという話を私現地で聞きまして、本当に今被害者の置かれている経済的条件、まさに貧困そのものですよね。ここまでもひどい目に遭っているのかという思いがしたんですが、こういうまさに人間の知恵として、しかも本当に目先のほんのわずかの生きるための知恵として、こういうところに追い込まれている、こんな人々に対して、県知事の言うように検診拒否者に対しては対象者にしないなんということはとんでもないことだと思うんですが、その辺についての見解はいかがですか。
  193. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答え申し上げます。  先生承知のとおり、申請治療研究事業といいますのは、水俣病の認定に関する処分について申請から処分まで長期間にわたる場合もあることから、申請者の病状の変化を把握するために治療等に要した経費の一部を助成すると、こういうことを内容とする事業でございます。したがいまして、検診拒否のように長期間にわたる未処分の状態の原因が申請者の側にあって、やむを得ない事由が認められないようなこういう場合にも、医療費を支給することは、本事業目的、趣旨からいっても適当ではない。今後検討すべき課題の一つと、このように私ども考えているところでございます。  なお、寝たきり等の特別な事情のある方につきましては、往診を行うなどのきめ細かな対応をしていくことといたしておるわけでございます。
  194. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 室長が現場におられて、やむを得ない事情の中に私が指摘したようなことが入ると思うのは、私は人間としての実感だと思うんですよ。今の部長の答弁ではその辺がどうもはっきりしないのですが、その点どうですか。もう時間がないので端的にお答えいただきたい。
  195. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) やはりただいまお答え申し上げましたような基本的な方針というのは変わりないわけでございます。
  196. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、そういう点では今の答弁、本当に被害者が聞いたらどんな怒りを持つかということを代弁して申し上げたいと思います。そういう実情を本当に直視することが国民の信頼にこたえる環境行政だと思いますし、私はそういう指摘したような人々に対して万が一にも対象者から外すというようなことがあったらばこれは一大事だということを今から申し上げておきたいと思うんです。  それから水俣病の最後の問題は、今の研究治療費の性格と関係して、今度の特別医療事業とは別のものだと思うんですね。ということになりますと、棄却の者が再申請して、今まで例えば一年以上研究治療費は支給されておった、今度この特別医療制度ができた場合、今までのあり方が変わるのか。私は決して支給は打ち切ることはあり得ないと思いますが、その点どうですか。
  197. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) お答え申し上げます。  現在の治療研究事業の取り扱いについて、変更を行うということは、今のところ、現時点では考えておりません。
  198. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、再申請後一年たてば今までどおりこの研究の医療費は支給される、こう聞いてよろしいですな。
  199. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 現時点ではそのように考えているところでございます。
  200. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃ、あと、もう一言で言ってしまいますが、知床ですね、これは御承知の百平方メートル運動がありますが、そのすぐ上部に隣接している土地に今林野庁が伐採計画をしているというんですね。これは私は余りにも無神経過ぎるんじゃないかということ、これについての見解をお聞きしたい。  それから、これについては一度計画が中止になった経過があります。今度新しくヘリコプターとかいろんな、択伐とか言っていますけれども、しかし、この場所の性格から見ればこれはやっぱり妥当ではない。百平方メートル運動参加者の意思を無視した行為というぐあいに考えております。そこで、これは再検討が必要ではないか。そして再検討を求めると同時に、地元の斜里町、それから自然保護団体の十分な理解と納得なしにはこの伐採計画は決めたり実施してはならない、こう思いますが、いかがですか。  最後に指摘したいことは、択伐すればいいんだとか言っていますが、しかしこれは、やっぱり天然更新でこそ原生林が守れるんです。このことを指摘し、答弁を求めて私の質問を終わりたいと思います。
  201. 塚本隆久

    説明員(塚本隆久君) お話にございました地域の施業計画につきましては、現在第五次網走地域施業計画といたしまして準備を進めておるところでございます。  現時点の計画では、知床国立公園内につきましてはもちろん多くの禁伐林等が残されるわけでございますが、一部伐採されるところにつきましても、森林の景観とか林地保全に十分配慮した施業を行うということにいたしております。  更新方法等につきましては、今お話しございましたように、天然下種というものを中心といたしまして、できるだけ自然の姿を残すような形で森林をつくってまいりたいと思っております。  なお、この地域施業計画の樹立に当たりましては、これまでも関係の都道府県知事や関係市町村長と、あるいは関係林業団体等の御意見等を聞いてまいったところでありますが、今後とも関係者の理解を得るように努めながら適切な計画を樹立してまいりたい、このように考えております。
  202. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) ただいま林野庁の方から御答弁がございましたが、この施業計画といいますか、何分にも場所がこういう場所でございますし、いろいろな配慮をしながらいろいろな方策をお考えになっておるというふうに今承ったわけでございますけれども、その際、もちろんこれは通常のケースでもそうでございましょうが、地元の市町村あるいは関係の方々との打ち合わせも再々なさっておるように推察しておるわけでございまして、そういう積み上げの上で最後は自然公園法に基づく協議という段階があるわけでございますので、この地域の風致維持が図られるような計画となりますよう期待し、かつ、御相談に乗っていこうと思っておるわけでございます。
  203. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。
  204. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十四分散会