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1985-12-06 第103回国会 参議院 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月六日(金曜日)    午前十時開会     ――――――――――――― 昭和六十年十月十八日外交総合安全保障に関す る調査特別委員長において本小委員を左のとおり 指名した。                 安孫子藤吉君                 源田  実君                 佐藤栄佐久君                 杉元 恒雄君                 中西 一郎君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 黒柳  明君                 上田耕一郎君                 関  嘉彦君 同日外交総合安全保障に関する調査特別委員長 は左の者を小委員長に指名した。                 安孫子藤吉君     ―――――――――――――    小委員の異動  十一月十九日     辞任          上田耕一郎君  十二月六日     補欠選任        上田耕一郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     小委員長        安孫子藤吉君     小委員                 佐藤栄佐久君                 杉元 恒雄君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 黒柳  明君                 上田耕一郎君                 関  嘉彦君        外交総合安全        保障に関する調        査特別委員長   植木 光教君     小委員外委員                 岩動 道行君                 大鷹 淑子君                 高平 公友君    政府委員        防衛庁参事官   古川  清君        防衛庁参事官   古川 武温君        防衛庁参事官   千秋  健君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁長官官房        長        宍倉 宗夫君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       大高 時男君        防衛庁人事局長  友藤 一隆君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛施設庁長官  佐々 淳行君        防衛施設庁施設        部長       宇都 信義君        防衛施設庁建設        部長       大原 舜世君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        外務省北米局安        全保障課長    岡本 行夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○安全保障問題に関する調査  (中期防衛力整備計画等に関する件)     ―――――――――――――    〔堀江正夫小委員長席に着く〕
  2. 堀江正夫

    ○小委員長代理堀江正夫君) ただいまから外交総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会を開会いたします。  安全保障問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 過日十一月五日に当委員会で視察に北海道の方に行ってまいりました。旭川の陸上自衛隊第二師団等も見学してまいりましたが、堂内居住環境は大変改善されつつあるというお話でございましたが、陸曹が二段ベッド使用しているというような状況をつぶさに拝見してまいりました。  自衛隊宿舎現状整備方針についてひとつお伺いいたしたいと思います。
  4. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 自衛隊宿舎現状整備の方向でございますが、現在自衛隊宿舎でございますが、昭和六十年度末現在の見込みで、宿舎所要数を約五万五千六百戸と見込んでおります。これに対しまして現在私どもで持っております宿舎の数でございますがこれが四万七千戸ございます。したがいまして宿舎不足数が約八千七百戸ということで、充足率が八四・五%ということになっておりまして、所要に対して相当低い水準でございます。  さらに、現在持っております宿舎の四万七千戸のうちには、自衛隊創設当時建設をいたしましたものが相当ございまして、それらは建設後二十年以上も経過しておるということで、木造のものにつきましては相当老朽化が進んでおりまして、約三千二百戸が二十年以上経過いたしました老朽木造宿舎という現状でございます。  そこで私どもといたしましては、まず充足率が低うございますので、この充足向上ということでできるだけたくさん建てていきたいということで、年々戸数の増加について配意をいたしておりますほか、先ほど申し上げましたように、だんだん老朽化をして建てかえをしなくてはいけないものが出てまいりましたので、宿舎の建てかえも重点事項といたしまして現在老朽の特に九・五坪の非常に狭隘なものの建てかえに重点を置いて進めておるところでございます。
  5. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 自衛隊隊舎宮内居住隊員生活の基盤でありますが、一部に老朽、狭隘なものがあると聞いております。また、隊員とその家族のための宿舎には、いわゆる九・五坪型宿舎という自衛隊創設期建設した木造宿舎老朽化が著しく、狭いものが多くあると聞いておりますが、隊員生活環境整備し、その士気の高揚を図る上でこれらの劣悪な隊舎及び宿舎については早急に改善すべきであると考えます。この点について防衛庁の見解をお伺いしたい。
  6. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 確かにただいま御指摘のように、宿舎にございましては大変狭隘でかつ老朽化しておる九・五坪の宿舎がございますし、隊舎におきましては、堂内居住をしております曹士クラスのうち上級の者でございます曹クラスでさえ二段ベッドでおるというような状況にあるわけでございます。相当程度改善は進んでおりますけれども、私どもといたしましては、隊員処遇改善施策というものについては、やはり質の高い防衛力整備してまいります上で隊員士気を高く保っていくということがどうしても必要でございます。したがいまして隊舎宿舎等生活関連施設充実には今後力を入れてまいる所存でございますが、ただ、現在までは大変厳しい財政事情にございまして、これらの隊舎宿舎等整備がぎりぎり抑制されておるという実情でございます。  ただ、私どもとしましては、先ほど御指摘のありました老朽、狭隘ないわゆる九・五坪型の宿舎 につきましては、この六十年からその中の二十年以上経過いたしました木造の古いものについて、約五百戸ばかりでございますが、これを五年間で建てかえてまいるという計画を立てまして既に六十年度から着手をいたしておりまして、来年度の概算要求でも引き続いてこの計画を推進すべく要求を現在行っておるところでございます。  また、曹クラスの二段ベッド解消につきましても、六十年から六十一年度にかけまして約三十二カ所について曹クラスの二段ベッド解消計画いたしておりまして、六十年度から取りかかっておりますので、引き続き私どもといたしましては隊員士気維持を図りますためにもこれらの整備に今後格段の努力を払う所存でございます。
  7. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 自衛隊においては、任務特殊性から特に宿舎整備する必要があるにもかかわらず宿舎が不足している地域が多いと聞いております。それを解消するためどのような施策を講じているかお伺いしたいと思います。
  8. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 先ほど来申し上げておりますように、宿舎隊舎につきましては、大変厳しい財政事情がございましてなかなか進捗しない部分があるわけでございますが、特に離島でございますとか山間僻地等土地の取得の非常に難しい場所でございますとか、土地事情等宿舎を取得することが難しい場所もあるわけでございますが、むしろそういった場所につきましては非常に隊員にとりましてはできるだけ早く宿舎整備していかなければいけないという実情にもありますので、今まで予算上の制約等はございましたが、今後につきましては、これらについて充足向上に当たってはできるだけ早期に整備を図ってまいるよう努力をしてまいる所存でございます。
  9. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 自衛隊は精強でなければならないので、若年定年制であることもやむを得ないと思いますが、若年定年制であるがゆえに不利益を受けるのはおかしいと思います。大部分自衛官は五十三歳の定年で強制的に退職させられるわけでありまして、これはある意味では選択の余地のある一般職勧奨退職より厳しい制度であるので、若年定年自衛官に対しては一般職勧奨退職者よりも有利な処置を講ずるべきと考えます。  若年定年制のもとにおける退職手当の問題について防衛庁はどう考えているのかお伺いしたいと思います。
  10. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 御案内のとおり、自衛官に対します退職手当につきましては、原則として一般公務員と同様に国家公務員等退職手当法適用されておりまして、退職事由勤続期間に応じまして支給されておるということでございます。ただ私ども自衛隊隊員のうち若年定年制をとっております自衛官につきましては、任用形態特殊性を考慮いたしまして退職手当法上の適用特例等が従来から設けられておるわけでございますが、そのうち退職手当法四条の二十年以上二十五年未満勤続した者についての適用緩和措置については、ほとんど現在適用者がございませんが、これらについては従来、相当条件緩和をされておったわけでございます。そのほか、幹部自衛官配置等の都合によりまして定年前一年内に退職する場合には、最高六カ月をその勤務期間に加えて退職手当法の各条項を適用するといった特例措置もあったわけでございますが、御指摘のとおり本年四月に退職手当法が一部改正になりまして、一般職におきまして定年制がしかれますと同時に、定年前に早期勧奨する者に対しての特例措置が実は設けられたわけでございまして、この制度そのものは、定年前に退職するという条件であれば自衛官にも等しく適用されるということにはなっておるわけでございます。  ただ、自衛官は御指摘のように定年年齢一般職と異なりまして低いわけでございまして、年齢という点をとりますと、同じ年齢勧奨でおやめになる場合、定年の差だけ退職金割り増し率というものが低くなるということは制度としては事実でございます。したがいまして私どもとしましては、一般職勧奨、五十三歳で、あるいは五十歳程度でおやめになる方がどの程度いらっしゃるか、相当程度出てくるという状況になりますと、若年定年自衛官定年でおやめになった際はこの特例適用がないわけでございますので、相当格差を生ずる事態になるのではないかということで、現在一般職勧奨適用状況等について調査を行っておりまして、この調査結果いかんによりましてはやはり相当程度若年定年自衛官退職金について検討をしてまいらなければならないと考えております。  私どもとしましては、御指摘のように、五十三歳で大部分が強制的にいわば退職させられるというような若年定年制のもとにございます自衛官ということでございますので、一般職勧奨退職よりも条件としては厳しい制度であるということで、今後一般職勧奨退職特例措置運用状況を踏まえて改善努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  11. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 次に、隊員大学院への入学についてお伺いしたいと思います。  かつて、自衛隊員であるという理由で隊員大学院から締め出されていたことがございますが、最近の大学院への入学状況はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
  12. 大高時男

    政府委員大高時男君) 先生指摘のように、防衛庁におきましては職務遂行上の必要によりまして隊員国内大学院に派遣いたしております。最近五カ年間の入学状況でございますけれども、大体年間十八名から二十二名の間入っております。修士課程につきましては大体十名から十四名、博士課程につきましては六名から十一名という形になっておりまして、六十年度につきましては修士課程が十名、博士課程が八名、全体で十八名というような状況になってございます。
  13. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 最近も希望する大学院入学できないと訴える者がいると聞きますが、これは事実かどうかお伺いしたいと思います。もし事実であるとすれば、このような制限教育機会均等原則を定めた憲法及び教育基本法の精神に反することとなり、許されないことであると思います。防衛庁はこの撤廃についてどのような努力をしているのかお伺いしたいと思います。
  14. 大高時男

    政府委員大高時男君) 先ほどもお答え申し上げましたように、防衛庁におきましては隊員大学院に派遣いたしております。これは昭和三十二年度から始まっておりまして、昭和三十八年度におきましては入学者七十名という数になっておったわけでございますが、いわゆる大学紛争影響によりまして昭和四十五年度には入学者が皆無という状況になったわけでございます。その後昭和四十七年以降におきましては、隊員の受け入れに協力的な大学院入学しておりますので表立った入学拒否というものは起こっておりません。しかしながら、一部の国立の大学院でございますけれども、ここにおきましては官公庁あるいは会社などに在職の者は入学試験に合格しても退職しなければ入学することができないといった制限を設けておりまして、隊員入学が事実上認められないというところもあるわけでございます。  防衛庁としましては、大学紛争が激化いたしまして受験が拒否されるようになりました昭和四十年ごろから、文部省当局に対しまして再三にわたり善処方を申し入れてきたところでございますが、文部省としてもこの事実を憂慮されまして、昭和四十四年には大学学術局長から各国公私立大学学長あてに、自衛官入学選抜を公正に行うよう注意文書が発せられたわけでございます。またさらに防衛庁といたしましては、先般、今年六月の臨教審第一次答申に伴いまして政府部内に設置されました教育改革推進閣僚会議幹事会におきまして本問題を取り上げますとともに、文部省に対しましても再度善処方を申し入れておるといったところでございます。防衛庁としましては、今後とも教育機会均等を確保する、こういった観点から入学制限撤廃について努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  15. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 次に、訓練の問題についてお伺いいたしたいと思います。  自衛隊が有事に際して我が国防衛任務を有効 に遂行するためには、装備品等整備充実を図るだけでなく、部隊として高い練度を有していることが重要であると考えます。このためにはたゆみない訓練の積み重ねが必要不可欠であり、その訓練実施に当たっては安定した訓練施設の存在がぜひとも必要であると思われます。陸上自衛隊の場合、演習場射場の広さが十分でないと聞いておりますが、大部隊使用する演習や長射程火砲等射撃訓練などはどのように実施しているのかお伺いいたしたいと思います。
  16. 大高時男

    政府委員大高時男君) 陸上自衛隊使用しております演習場あるいは射場でございますが、先生指摘のとおりその数も少ない、また所在地につきましても地域的に偏在しておるというような状況でございます。また広さにつきましても十分でない。こういったような事情から、大部隊使用します演習あるいは長射程火砲ミサイルといったようなものの射撃訓練については十分に行えないという状況にございます。さらにまた、最近の演習場地域都市化現象によりまして演習場使用あるいは実弾射撃実施各種制約を受けておるという実情でございます。こういったいろいろの制約につきましては、自衛隊練度向上に支障をもたらすというわけでございます。したがいまして、限られた国内演習場を最大限に活用いたしますために、大部隊使用します演習あるいは長射程火砲射撃訓練といったものにつきましては、他の方面区の演習場に移動して行うといったようなこと、あるいはミサイル部隊、これは陸上自衛隊ホーク部隊でございますが、こういったものにつきましては実射訓練を米国の射場実施する、あるいはまた、実弾射撃に際しまして装薬量を減らしまして砲弾の飛しょう距離を少なくする、あるいは縮小演習を活用するといった効率的な訓練実施するという創意工夫を凝らしまして、訓練に遺漏のないように努力をいたしておるというところでございます。
  17. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 海上自衛隊訓練海面は、漁業などの関係からその使用時期や場所などに制約を受けており、特に掃海訓練潜水艦救難訓練などに必要な比較的水深の浅い海面については制約があると聞いておりますが、訓練海域現状はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
  18. 大高時男

    政府委員大高時男君) 先生指摘のとおり、我が国周辺海域におきまして一般船舶あるいは漁船、こういったものの往来ふくそうというのは非常に激しいわけでございまして、また、各種の漁期の問題がありましてこれとの調整も行わなければいけないということで、海上自衛隊訓練につきましては、訓練場所、時期等の面で少なからぬ制約を受けておるわけでございます。特に掃海訓練あるいは潜水艦救難訓練といったようなものにつきましては比較的水深の浅い海面を必要とするわけでございますが、こういった条件を満たしつつ、一般船舶の航行とか、あるいは漁船操業等と競合しない水域というものは必然的に限定されてくるわけでございまして、また、そういった水域使用できる期間、時期等も制約されておるわけでございます。  こういった状況下でございますが、掃海部隊等につきましては、計画的、効率的に訓練実施しているところでございまして、今後とも関係漁業協同組合等の協力を得まして、限られた期間内に訓練目的を達成するように工夫を凝らしてまいりたいというふうに考えております。
  19. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 訓練実施に当たっては安定した訓練施設が不可欠でありますが、自衛隊機飛行訓練空域にも制約があり、十分な訓練ができないと聞いております。現在の自衛隊訓練空域は何カ所で、どれくらいの広さが確保されているのかお伺いしたいと思います。  また、訓練実施に当たってどのような問題があり、これにどのように対処しようとしているのか、お答え願いたいと思います。
  20. 大高時男

    政府委員大高時男君) 自衛隊訓練空域でございますが、昭和四十六年の雫石事故以後、航空交通安全緊急対策要綱に基づきまして設定されておりまして、現在、高高度訓練空域が十三カ所、約十三万平方ノーチカルマイル、それから低高度訓練空域でございますが、これが九カ所、約一万平方ノーチカルマイル、それから超音速飛行空域でございますが、これが一カ所、約一万平方ノーチカルマイルという状況になってございます。  飛行訓練実施に当たっての問題点でございますが、まず第一には、訓練空域が発進帰投いたします基地から遠距離にありますため、実際に訓練に使い得る飛行時間というものが大幅に少ないということが一点でございます。さらにいま一つは、やはり離発着の時間というものが制限されておりますので、夜間飛行訓練を十分実施できないという状況がございます。このために防衛庁といたしましては、訓練空域を新たに硫黄島に設定すべく現在運輸省と鋭意調整を行っておるというところでございます。  なお、ただいま申し上げましたような各種制約の中でも、シミュレーター等訓練機材等を活用いたしますなど実践的かつ効果的な訓練のために創意工夫に努めまして、練度向上努力をいたしておるという状況でございます。
  21. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 各自衛隊は、制約された飛行訓練環境下練度維持向上のため不断の訓練実施しているとのことでありますが、一たん航空事故発生すればそれも無に帰するばかりか、貴重な人命、財産が失われ、場合によっては部外者に被害を与える等その影響は深刻であります。防衛庁ではどのような航空事故防止対策を講じているのかお伺いいたしたいと思います。
  22. 大高時男

    政府委員大高時男君) 防衛庁におきましては、航空事故防止につきまして従来から防衛庁交通安企業務計画というものをつくりまして、これに基づいて航空管制施設あるいは滑走路等航空交通環境整備、あるいはまた航空従事者教育充実等各種安全対策を推進いたしておるところでございます。また、事故原因の究明を通じまして、その都度、教育訓練方法あるいは機材改善等再発防止を図っておりますほか、特に必要があります場合におきましては、長官指示等によりまして注意を喚起するなど特段の努力を払っておるところでございます。  自衛隊機民間機との衝突防止を中心とします航空交通安全対策につきましては、先ほどお答え申し上げました航空交通安全緊急対策要綱によりまして、自衛隊機によります曲技飛行等訓練飛行については、航空路ジェットルート等と完全に分離されました空域で行うこととされておりますので、現在自衛隊機訓練は、運輸省と協議して設定されました訓練空域及び従前から設定されております空対空射撃場で行っております。  なお、昭和二十九年度から昭和五十年度までの約二十年間の死亡または航空機の破壊を伴う事故防衛庁では通常大事故というふうに申しておりますが、これの発生件数は三百八十件、年平均約十七件でございますが、五十一年度から現在までの約十年間の同件数、これは六十九件でございまして、年平均約七件ということで、事故発生は長期的には減少の傾向にあると考えております。
  23. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 年金の問題について人事局長にお伺いしたいと思いますが、今回の共済年金制度改革に伴い、国家公務員等共済組合審議会答申において、「自衛官若年定年制に係る支給開始年齢特例維持することとしているが、将来制度が成熟した段階においては掛金負担の限界を超えることが予想されるので、適切な対応措置を検討する必要がある。」となっているが、防衛庁はどのような対応措置を検討しているのかお伺いしたいと思います。
  24. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 御指摘のとおり、私ども隊員の中で自衛官若年定年制がとられておりまして、大体五十三歳で大半の者が退職をされるわけでございます。それで、ちょうどその年齢はライフサイクル上大変子弟教育等支出の多い時期になります。一方、再就職ということになりますと、御案内のとおり中高年での再就職は大変困難でございまして、条件としては非常に厳しいものになるわけでございます。したがいまして、 私どもも再就職等につきましては就職援護施策を講じまして大変努力を続けておるわけでございますが、給与水準についてはやはり相当低いものにならざるを得ないという現実でございまして、自衛官定年退職後の生活につきましては共済年金というものが大変大きな支えになっておるわけでございます。したがいまして、従前から退職年金につきましては支給開始年齢を五十五歳ということで、一般職に比べて特例を設けていただいておりますほか、今回の改正案におきましても繰り上げ支給制度等も取り入れていただいておるわけでございます。  しかしながら、こういった特例措置をとりますと、当然のことながら掛金を掛ける期間若年定年のために短くなります。一方、給付期間は、支給開始年齢が早うございますのでどうしても長くなる。したがいまして、公的年金制度からいきますとどうしても一般の方よりも掛金率は上がらざるを得ないというのが現実でございまして、現在の状況といたしましては、一般の職員が千分の七十六・五に対しまして定年制自衛官掛金率は千分の八十八・七ということで、大変高いものになってきておるということでございます。したがいまして、今後自衛官共済年金制度が成熟化してまいりますと、この掛金負担がだんだん高くなってまいりまして、先ほどの審議会の答申にございますように、その限界を超えることが予想されるというような事態になることが考えられるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、このような事態が招来した場合におきましても、若年定年制下の自衛官定年退職後の生活に支障を来しませんような施策をやはり今から検討して、間に合うように講じていくことが大変必要ではないかということで、現在そのための対応策について幅広く部内で検討実施をいたしておりまして、若年定年制自衛官定年退職後、生活維持安定に困ることがないように、私どもとしてはぜひ網羅的な対策を立ててまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  25. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 訓練の方に戻りまして、陸海空自衛隊はそれぞれ米軍との間で共同訓練実施しており、着実な成果を積み重ねてきているとのことでありますが、現状はどうなっておりますか。また、日米共同訓練は有事の際の日米共同対処行動を円滑に行うために不可欠であるとともに、日米安保体制の信頼性及び抑止効果の維持向上に資するものであり、今後とも積極的に実施していくべきものと考えますが、防衛庁の見解をお伺いいたしたいと思います。
  26. 大高時男

    政府委員大高時男君) 日米共同訓練の問題でございますが、今年度におきましては従来から陸海空自衛隊が行っております米軍との各種の共同訓練実施するということにしておりますほか、来年の二月でございますが、陸海空各幕僚監部、それと統合幕僚会議の事務局が参加をいたしまして、在日米軍等との間で初の統合レベルの共同指揮所演習実施いたしたいというふうに考えております。なお、こういった進展を踏まえまして、来年の秋ごろ、初の日米共同実動演習実施いたしたいというふうに考えております。  ただいま先生指摘のとおり、自衛隊が米軍と共同で訓練を行いますことはそれぞれの戦術技量の向上にまことに有益でございますし、また日米共同訓練を通じまして、平素から自衛隊と米軍との戦術面等におきます相互理解と意思疎通を促進いたしましてインターオペラビリティーの向上を図っておきますことは、有事におきます日米共同対処行動を円滑に行いますために不可欠でございます。また、日米安全保障体制の信頼性及び抑止効果を維持向上させるために役立つというふうに考えております。  このような日米共同訓練が現在充実を見ておりますことにつきましては、私どもは非常に喜ばしいというふうに考えておりますが、今後とも積極的な実施に努めてまいりたいと考えております。
  27. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 次に、隊員の健康管理等の問題についてお伺いしたいと思います。  自衛隊の精強性を維持するためには装備面だけではなく、人の面についても留意すべきであると思います。すなわち、自衛隊員はいついかなる状況下においても任務を遂行し得るよう常に高度の健康水準、体力水準維持することが必要であり、自衛隊における健康管理は実力集団たる自衛隊の行動能力と直接連動している点において、通常の組織体におけるいわゆる福利厚生的な感覚で行われている健康管理とは性格も基本的に異なり、特に重要であると思われます。現在自衛隊における健康管理はどのように行われているか、特にパイロットのような特殊任務に従事する者に対してはどうでありますかお伺いしたいと思います。
  28. 古川武温

    政府委員古川武温君) 委員指摘のような集団でございます。そのような基本的な考え方でこれを進めなければいけないと考えております。各自衛隊部隊あるいは機関、そうしたところにそれぞれ健康管理について担当する健康管理者、こうしたものを置いて実施しております。  隊員に対しては、衛生教育により保健思想の普及を図るとともに、健康の確認と疾病の早期発見、早期治療のため年一回の定期健康診断を初めとして必要に応じて臨時並びに特別の健康診断を行っております。    〔小委員長代理堀江正夫君退席、小委員長着席〕 この定期の健康診断と申しますのは、自衛官についてはさらに性病検診、歯牙検診等を追加してこれを行っております。また、臨時の健康診断につきましては、災害の派遣の際に、あるいは当然のことながら防衛出動あるいは治安出動、海上警備行動、こうしたものの際に行うものでございます。また、三日以上の演習に際しても臨時に健康診断を行うということを行っております。また、申し上げました特別の健康診断につきましては、人事院の定める基準以上に、あるいは水道管理、炊事従事者、クリーニング、そうしたものについても特に定めて健康診断を行っているわけでございます。  また、このほかに予防接種、保健指導、体力向上のための体力検査を行う等隊員の健康管理の徹底を期しております。特にパイロット等については定期の健康診断に加え毎年一回以上航空身体検査を行っております。この航空身体検査は航空法による基準以上に厳しくしております。医学適性審査委員会を置き、また特別の専門の技能を持つ航空医官の任命を行ってこれを実施いたします。この航空業務の特殊性を踏まえた検査は、視覚、聴覚、循環、呼吸の諸機能を検査するとともに、全身各臓器に疾病の存在しないことを確認する等業務遂行に支障を来さないよう厳しい内容のものでございます。そして、その合格証明を有する者でなければ航空業務に従事できないというふうに定めております。このほか、飛行前には各パイロットの健康状態を飛行指揮官がチェックし、仮に軽度の異常を感じた場合でも、必ず先ほど申し上げました航空医官に通報し航空医官が飛行の適否を判定することにするなど、パイロット等の健康管理にはさらに万全を期して運営しているところであります。
  29. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 防衛庁においては、その任務特殊性から隊員の健康管理を重要視し、数多くの部内医療施設を保有するとともに、その中核となるべき医師いわゆる自衛隊医官についても部内養成を行っているとのことでありますが、この医官の充足状況は従来から余り高くないと聞いております。現在の医官の充足状況はどのようになっているのか、また、今後の見通しはどうかお伺いいたします。
  30. 古川武温

    政府委員古川武温君) 自衛隊医官の充足状況について申し上げますと、昭和六十年十月三十日現在でございますが、定員九百八十二名に対して現員五百十六名、その充足率は五二%になっております。なお、初任実務研修等を行っておりますので、こうした長期の教育研修中の者がございますので、そうした医官を除いて考えてみましても充足率は三〇%ということでございます。  医官の恒常的な充足対策として防衛医科大学を設けたわけでございます。四十八年に開設以来学 年進行しておりまして、その第一期生は五十五年三月に卒業し、この春で六期生の卒業まで迎えておるわけでございますが、合計しますと四百十九名が卒業しております。今後とも同校卒業生が毎年計画的に自衛隊医官として補充されることが見込まれますし、また、そのほか選抜で医官を希望される方もございます。こうしたことで、従来の充足向上のための諸施策と相まって、医官の充足については逐次向上するものと見通されております。
  31. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 以上で私の用意した質問を終わりますけれども隊員の仕事の特殊性等をかんがみながら、どうぞ隊員の処遇の改善等に当たっては十分留意して、鋭意努力するよう希望いたしまして質問を終わります。
  32. 安孫子藤吉

    ○小委員長安孫子藤吉君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  33. 安孫子藤吉

    ○小委員長安孫子藤吉君) 速記を起こして。  暫時休憩いたしまして、再開は午前十一時といたします。    午前十時四十五分休憩      ―――――・―――――    午前十一時開会
  34. 安孫子藤吉

    ○小委員長安孫子藤吉君) ただいまから外交総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、安全保障に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  35. 堀江正夫

    堀江正夫君 去る十一月二十日の外交・安保委員会で、私は、中期防衛力整備計画につきまして若干の質問をしたわけでございます。きょうはその続編としてさらに具体的に、まず計画実施による能力について、ここにも持ってきておりますが、「防衛アンテナ」の臨時増刊号の解説に基づいてお尋ねをいたしたいと思います。  私が特にこの問題を取り上げておりますのは、国民の中には、少なくも現体制からする限定的、小規模侵攻に対しては、今回の防衛力整備を行えば日本の防衛は万全で心配ないのだという認識の人もおりますし、いやこれでは足らない、これでは原則として独力対処というのにはほど遠いのではないかという人もおるわけであります。さらに、もちろん防衛費も防衛力も多過ぎるという人もいないわけではありません、このような中で防衛庁が今回、計画実施による能力を明示したということは大変よかったと私は高く評価をしておる一人でありますが、私自身実は読んでみてもよくわからないところが多いわけでございます。したがって、国民の皆様にも何のことか結局はわからないのじゃないか。確かに、わかるようにはっきり書けないということもあるわけでしょうが、せっかくこうして理解を求めるために書かれたわけですから、できるだけこれを正しく国民に理解をしてもらうことが必要ではないか。そうすれば、防衛費の一%枠などという問題は少なくも良識ある国民の考え方の中からは吹き消えてしまうのじゃないか、このような思いでお聞きしようと思うわけであります。したがいまして、当然具体的に答えられない点もあるでしょうし、それはそのとおりですけれども、できるだけ私の存念を御理解いただいて具体的にお答えいただきたいと、まず冒頭にそのことを申しておきます。  まず第一は、千差万別で一概には言えないという侵攻事態の問題であります。極めて常識的に考えてみますと三つのケースがあるのじゃないか、私はこう思います。別に可能性からする優先順序で言うわけじゃありませんが、思いつくままで申しますと、第一は、主として潜水艦によるシーレーン攻撃から侵攻が始まって、あるいはこれに終始するという場合もあるかもしれない。第二番目は、本土及びシーレーンに対する航空攻撃に終始する場合もあるが、この場合ミサイル攻撃がこれに先行し、または併用の場合もあるだろう。また、当然シーレーンに対するところの潜水艦の攻撃もこの場合は行われるだろう。第三番目の場合が、航空及びミサイル攻撃と同時、あるいはその成果を見て本土に対する上着陸侵攻が行われる、もちろん同時にシーレーンに対する攻撃も行われる。この場合の当初の上陸侵攻というのはショア・ツー・ショアの場合を主として考えられるのじゃないだろうか。大ざっぱに言ってこのようなことを考えるわけであります。  このほかにもいろいろなケースの組み合わせがあるかもしれません。これらそれぞれの場合の侵攻兵力というものは別としまして、ここでは基本的には、今三つのケースを申し述べましたが、第三の場合を主としてこの中期防衛力整備計画では考えておられるのかな、こう思うわけでありますが、その点いかがですか。
  36. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今の御質問は、中期防衛力整備計画でどのような事態、様相を想定しておるかという点が主たるお尋ねであろうと思いますが、まず最初にお断り申しておきたいのは、防衛力整備というのは、あるシナリオに基づいてそれに対してどう対処するかといういわゆるウォープランといいますか、作戦計画とは私は違うものであろうというふうに考えております。というよりも、いかなる防衛力を持ち、それと日米安保というものがあった場合には日本に対する侵略が抑止できるかといういわゆる抑止論といいますか、そういう物の考え方に立ってつくられておるものだというふうに私はまず考えております。したがいまして、かねがね申し上げておりますように防衛力整備というのは限定的な小規模事態、つまり日米安保というものがあるけれども、それに基づくアメリカの支援その他が十分に間に合わない、そういったいとまもないような事態に対しては少なくとも自分自身で対応できる力を持つ必要がある、そういうことができれば日米安保体制と相まってすき間のない体制ができるという考え方でありますから、そこで考えておる対応というのはあくまで限定的、小規模であって、そういう事態が起きる起きないという蓋然性とはまた別途の問題であろうと思います。  それはさておいて、今の御質問に対してお答えしたいと思いますが、我々が考えておりますのは、現在日本の周辺に幾つかの国があってそれぞれ軍備を持っておるわけであります。その軍備についてはいろいろな種類もあればいろいろな数もある。しかも、その配備状況は現在一つの配備をとっておって必ずしもそれは全部日本向けの軍備ではないと思われるものがあるわけです。その国固有の防空なら防空のためのものもあるし、あるいは日本以外の国に備えたものであろうと思われるような配置をとっておるものがあるわけであります。したがって、そういった現在の兵力の質、量及び配置そのものから見て短時日に日本にかかってこれるというものについてはおのずから想像がつくといいますか、想定される重なり質というものがあるわけです。それに対してどの程度防衛力を持つかということが、我々申し上げている限定的、小規模対処能力ということになるわけであります。  そこで、御質問の趣旨が必ずしも理解できたかどうかわかりませんが、日本にまず航空攻撃があり、引き続き着上陸侵攻があった場合の能力ということだろうと思うのですが、航空攻撃については今申し上げたように航空機という機動力のあるものでございますから、かなりのものが短時日に日本に侵攻することができるわけでありますけれども、それにしても極東にあるある国の航空兵力であるからといって全部が全部来れるわけじゃありませんで、やはりそれぞれの航空機の機能なり配置に応じて日本に来れる数というものは、数量そのものは具体的に申し上げませんが、限定されたものがあろうと思うわけです。  それに対する我が方の能力ということになると、まず一つは日本の場所によります。例えば、正直申し上げて北海道のように非常によその国と近いところ、あるいは東京なり九州といったように少し離れておるところ、そういうところで相手がかかってこれる数も違ってくれば、相手が日本土空に滞空できるといいますか、とどまって戦い得る時間というものも非常に違ってくるわけであり ます。しかも、こちら側の集中できる兵力というものもおのずから差が出てくるわけであります。したがって、それぞれの地域によって我が方の防衛能力というものにはおのずから差が出てまいりまして、一概に日本のどこに来ても同じ力を持ち得るということにはなりませんが、今回の計画では、例えば日本にとって最も防空が困難であろうと考えられる北部日本、そういった地域においても我が方の防空勢力の集中配備、事前にある程度の兆候を察知してできるだけの兵力集中を行う、そういったことが可能ならば、ほぼ互角の相手方が来るであろうと思われる侵攻兵力に対して互角の防空作戦ができる。  互角というのはどういうことかと申しますと、相手の第一波が攻撃してくる、それに対してこちらが防空戦闘を行いまして、そこで相互にそれぞれ傷つくといいますか被害を受けるわけでありますが、被害を受けてお互いに弱った状況で今度は第二波が来る。そうすると、第二波に対してまた防空作戦をやる。そこでまたお互いに被害を受けるという繰り返しになってくるわけですが、ほかのことに例をとって申しますと、例えばボクシングをやって、一回戦をやってお互いにダメージを受ける、第二ラウンドになってお互いにやってまた五分に戦えるという状況が私は互角と考えております。それが第一撃でこちらの被害が大きくて相手の被害が少なければ、第二浪、第三波といくに従って急激に彼我の力というものの差が出てくるわけであります。それを私どもはコンピューターでいろいろ計算をいたしまして、ほぼ互角の態勢を維持し得る能力を今回の防衛力整備計画が完全に実施されれば可能になるのではないかというように考えておるわけでございます。
  37. 堀江正夫

    堀江正夫君 どうも私の質問の趣旨に必ずしも答えていただいたとは思いませんけれども、大体はわかったような気もいたします。  今の航空の侵攻能力の問題は、また後でもう少し具体的に聞こうと思っていますが、その前に、この中で三つの防衛能力を解説する前に、「いくつかの前提を置いて考えればこというような言葉がございます。その「前提」の問題なのです。本土防空その他の能力の解説を見ますと、全く無準備、現体制のままでの奇襲攻撃事態というものは余り考えておらないかなという気もするわけでありますが、そうなりますと、前々から問題となっておりますところの必要な有事法制もできておるのかな、陸上自衛隊で言えば、北海道はもちろんでありますが、本土からのある程度部隊の必要な集中展開というものはできておるという前提になっておるのかな、相当堅固な陣地も岩上陸予想地域ではできていると考えていいのかなと、こういうような疑問が第一であります。それからもう一つ、そういうような「前提」というものが、これによって計画され整備される情報能力で果たして正しいのかな、また、日本の政治情勢から見てそのような準備ができるようなリスクというものをどう考えていいのかなと、このような気もするわけです。したがいまして、ここにあります「いくつかの前提を置いて考えれば、」という「前提」というのは何を言っておられるのか、それをひとつ御説明願います。
  38. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ここで言っております「前提」というのは、先ほど来申し上げている限定的、小規模事態というものについての話でありまして、今先生お尋ねのような有事法制がどうなっておるかとかということとはまたちょっと別のものだと考えております。相手方の来る態様というものについては、それは相手の意思なり作戦でございますからこれはわかりません。しかし、我々が相手が持っておる兵種なりその重なり配置から見て、こういうことならやるであろうという一つの侵攻形態というものに前提を置いておるという意味であります。
  39. 堀江正夫

    堀江正夫君 そもそもが、この中期防衛力整備計画それ自体が限定的な小規模の侵攻に対処するものですから、それをここで特に前提として取り上げた、どうもちょっと私には理解できません。またここには、「いくつかの前提」と書いてあるのですね。仮にそれを是認したとしても、一つの前提からと。そうしますと、それ以外にも私の言ったようなことがなければ対処できないのじゃないか、それ自体そういう前提がいいのかなと、重ねてお聞きしておきます。
  40. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私の申し上げたことについてさらにちょっと補足しますと、相手の侵攻兵力そのものについて論議すればもうそれだけで水かけ論になるぐらいで、例えばある国が仮に日本を攻撃しようと思えば、何機の航空機が、例えば一週間の準備で来るとすれば来るかということを論議するだけで、これは永遠に答えが出てこないぐらい論議が分かれるわけであります。そういう意味で各兵種、各航空機なり陸上兵力も含めてすべてについていろいろな検討はしますが、あくまでそれは一つの前提、想定ということにならざるを得ないということを御理解いただきたいと思います。  それから、先生の御指摘の有事法制なり陣地がどうであるかということ、それは我が方にあろうと思いますが、私ども法制面につきましてはこれは別途私の所掌ではございませんけれども、従来から申し上げているように自衛隊の構造に関する法制については基本的な枠組みができておるという前提に立って私どもは考えております。例えば防衛出動命令というのは、何も相手が既に攻撃が始まってからでなければ防衛出動命令が出せないわけじゃない。おそれのある場合に出せるように法制はなっておる。したがって、そのときの政府の総理を初めとする判断で、これはおそれがあるという判断をされればその権限で防衛出動命令を発動する、あるいは議会にも御相談して発動するということは可能であるわけでございまして、決して相手の弾が炸裂してから初めて防衛出動命令が発動されるというものではないというふうに理解をされております。したがってそれと同様に、準備というものはあくまで相手方の攻撃との間合いとの関連でその範囲のものしかできないということでありまして、ある程度堅固な陣地ができる場合もあれば、まさに数日間でつくらなくちゃいけない応急的な陣地をつくらざるを得ない場合もあるというように御理解をいただきたいと思います。
  41. 堀江正夫

    堀江正夫君 必ずしもそれでは国民は理解できないと思いますが、また次の機会にこの問題はいろいろと研究したいと思います。  次に、先般もお聞きしました本土防空能力の問題に移りたいと思います。  その第一は侵攻能力でございます。これについては計画大綱作成時、この前の委員会でも私申し上げましたが、六百六十機という数字も出ていたように記憶するわけであります。そしてその後の質的、量的な強化の状況についても先日も幾つかの具体例を挙げて私は指摘をしたわけでございます。ある本には、侵攻可能地域が当時よりは本土においても洋上においてもはるかに拡大をした、これは先ほどもちょっと局長の方から御説明ございました。そしてその機数も八百機から千機くらいと考えるのが妥当ではないかというふうにも書いてあったわけですが、なかなか数字は言えないかもしれません。言えないかもしれませんが、この点はどのように理解したらいいのかお聞きしたいと思います。
  42. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 航空侵攻が行われた場合にどの程度の重なり質のものが来るであろうかということでございますが、まず最初にお断り申しておきたいのは、日本というのは特定の仮想敵国を持っておるわけではございませんので、どこの国がどれだけ飛行機を持っておるからどれだけの侵攻があるということはなかなか申し上げられないことが一つあります。それからもう一点、我が方の仮に防衛力整備としてこの程度のものを前提として考えているということをあからさまに言いますことは、もう先生重々御承知のとおり、それじゃそれよりもう百機ほど多く持っておけば勝てるなというふうに相手方にわからせることになりますので、それも御勘弁をいただきたいわけでありますが、今先生が言われた六百数十機というの は私どもの理解では、大綱の小規模、限定侵攻の侵攻兵力というようなことで申し上げたことはないというふうに理解をしております。  六百機という数字、私の記憶に残っておりますのは久保防衛局長だと思いますが、久保防衛局長は次官をおやりになっておやめになった後大綱というのができておりますので、大分古い時代の話でございます。平和時の防衛力というのが当時国会でちょっと提出され、後取り下げられたということがありますが、その前後の御議論で一回そういった数字が出たことがあるやに私も記憶をいたしております。しかしながら、私どもは必ずしも限定、小規模侵攻として六百機ぐらいのものが来るというようなことを現実に申し上げたこともないし、そういう数字で必ずしも当たっているとは思っておりません。問題は大綱策定時にある小規模、限定航空侵攻というものに想定された侵攻してくる兵力量なり、あるいはどういう質のものが来るかということと現在とどうかということもあろうかと思うのです。それは御承知のとおり、前々から申し上げているとおり、各国の軍備はどんどん動いております。量がふえておるところもあれば減っておるところもある。あるいは質的にも、かつては日本まで足がなかなか届かなかったような航空機が足が伸びだとか、そういった状況で客観的に逐年変わっていることは事実であります。  そこで、私どもとしても小規模、限定侵攻というものは決して固定的なものではない、そういった周辺の国の軍備の変化に応じて変化をしているということは申し上げておりますし、それが特に航空侵攻の場合には質的に脅威としての絶対値は増大をしているということは事実であります。ただ、たまたま先生が六百機が千二百機になったとか千機になったとかいうお話がありましたけれども、決してそんなに大きなものではないし、それほど急激に脅威が増大しているものではないということだけは御理解いただきたいと思います。
  43. 堀江正夫

    堀江正夫君 この前の委員会のときにも私が質問しましたら、第二撃までは互角で何とかやれる、今もそのようなお話でございましたが、そして互角という意味についても御説明があったわけです。ただ、私は常識的に考えますと、二撃までの侵攻兵力の損害、それからこちらの損害を考えますと、こちらの方の勢力が急激に減ってしまうのじゃないだろうかということを懸念するわけです。今までは二撃までは互角だと言われておるわけですが、それじゃ三撃以降はどのように考えたらいいのかなという疑問が一つ出てくるだろうと思います。  それからもう一つの疑問は、一撃、二撃というけれども期間的にいうと時間で言える程度のことなのか、日にちで言える程度のことなのかなというような疑問もみんなから出てくるだろうと思うわけなのです。その辺いかがですか。
  44. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まず、私が申し上げていますのは、互角に戦えるというのは二撃までというふうに申し上げたことは一度もないのでありまして、一撃に対して二撃も互角に戦えるということは三撃、四撃と引き続き互角に戦えるというふうに御理解いただきたいと思います。
  45. 堀江正夫

    堀江正夫君 何ですか。
  46. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 第一波の攻撃があって、それ以後今度はお互い被害を受けた状況で第二波の攻撃を受ける。そのときに互角に戦えるということは、第三波に対しても第四波に対しても引き続き同じレベルで下がっていくということでありますので、引き続き互角に戦えるというふうにまず御理解いただきたいと思います。要するに二撃までしか互角に戦えない、三撃はだめですということを私は一度も申し上げたことはないわけであります。ほぼ互角に戦えるというのは引き続きという意味でございます。  そこで、被害についていろいろおっしゃいましたけれども、私どもの方は何もこちらの方の戦闘機と相手方の爆撃機なり戦闘機の被害だけを見ておるわけじゃございませんで、航空基地が破壊される、レーダーサイトが破壊される、あるいは防空ミサイルが破壊される、そういうものも含めて全体として防空能力が第一撃に対してどう変化し、相手方がどう被害を受け、それが二撃目、三撃目にどう推移しているかということを申し上げているわけでありまして、これはシミュレーションで前々から申し上げているように、ローが一ということは彼我の被害が一対一ということでありますから、いつまでたっても同じ状況で衰微していく、お互いに弱っていくというのがまさに互角という状況のことを言うわけであります。  なお、時間的要素を言えば、一撃、二撃というのはかなり短い時間に起きます。第一波が終わり、次は第二波という格好になりますから、そう何日も置いて改めて来るというような悠長な状況を想定しているわけではございません。
  47. 堀江正夫

    堀江正夫君 どうも言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、この前は二撃までは互角に戦えると、きょうも先ほどそういうお話がありました。二撃まで互角にやれるということは、三撃も四撃も互角にやれることだということにはならぬのじゃないですか。航空作戦の推移を考えますと、常識的にはやはり数の多いのと少ないのと対決した場合の減り方というものを考えますと、やはり三撃以下になると相当今の状況じゃ苦しいよというのが実態じゃないかと私は思います。三撃、四撃も互角だということになると、また互角とは何だということになるわけでして、その込もう一度お伺いしておきます。
  48. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 繰り返して申し上げるようでありますが、私は二撃までということは一度も申したことはございません。一撃が終わって彼我それぞれ被害を受けて第二撃があった場合にどういう状況にあるかというシミュレーションをやり、お互いに下がった状況でまた互角に戦えるということが、仮にこのシミュレーションがローが一、互角ということになれば、一対一であれば、これは機械的に言えば、いつまでたってもお互いに下がっていっていつまでも互角の状況が続くということであります。ほぼ互角というお答えを従来しておりますが、それはローが一であるのか、〇・九八であるのか、〇・九九であるのかという点でほぼということであって、完全に一であるかどうかということについては私どもは明確に申し上げていないということでありまして、決して二撃は大丈夫だけれども三撃はだめというように、急激に状況が変化するというようには考えておらないわけであります。
  49. 堀江正夫

    堀江正夫君 これはこのくらいにしておきましょう、それ以上はなかなか難しくなりますから。  次は、海上交通の安全確保の能力について伺いたいと思います。  この説明では、対潜水艦能力については相当程度の能力が発揮できるとされています。この相当程度の能力というものがもちろんよくわからないわけです。哨戒、これに基づくところの攻撃、それに海峡等における機雷敷設等の総合的な成果としての能力だと思うわけですが、例えばどの程度の攻撃に対して、どれだけの期間にわたって、輸送船舶の損害がどの程度で、どの程度の海上輸送量が確保できるかなという疑問を恐らくみんな持つだろうと思います。ただ、これについてはお答えできないでしょうね。  そこで、それであるならば、ここで言っているのは、対潜能力という観点からすると海上交通の安全確保はまず心配ないということなのか、いや心配ないとは言い切れないよということなのか、その辺のニュアンスはいかがですか。
  50. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 海上交通保護能力につきましては、航空侵攻に対する能力等と違って非常に息の長いものだというふうにお考えいただきたいと思います。例えば潜水艦攻撃が想定されるわけですが、戦闘が始まった当初というのは、相手方の潜水艦というのはそれぞれもう外洋に出てしまっておる、そしてそれぞれの哨務についておるという状況から戦闘が始まると思います。したがって、広い太平洋なら太平洋で潜水艦を一隻一隻見つけ出してそれを撃沈するということは非常に至難のことであります。  要は、相手が攻撃したときにそれを迎え撃つというか、そこで発見してやる場合もあるし、こちらが哨戒をしてある程度見つけて撃沈するということも可能でありますけれども、やはり潜水艦というのは二カ月なら二カ月行動いたしますと港に帰らなくてはいけない。その際に、例えば狭い海峡を通って帰らなくてはいけない、あるいは次に出てくる際にはまたその狭い海峡を通って出てくるといったような、相手がどうしても通らなくてはならないような場所がございます。そういったところにおける例えば海峡において相手を捕捉してこれを撃沈する、相手が攻撃したときに撃沈をする、あるいはこちらが捜して撃沈をするという、そういう累積効果で対潜能力というものははかるわけでありますから、相手方の潜水艦の行動サイクルというのは我々通常二カ月というふうに考えております。それは哨務に出るまでの期間、それから帰る期間を除けば恐らく一カ月かそこらになると思います。したがって最初の一カ月ないし二カ月というものは相手はもう海洋に出ておりますから存分に相手は暴れ回ると思うのです。  その間はそれほどまだこちらの対潜効果というものは上がっておりませんから、やはり作戦開始早々の一カ月ぐらいというものは商船というものは余り外洋に出られない、出ない方がいい、それくらいのものはやはり日本に備蓄があってそれで食いつないでおるべきなのですね。その間、できるだけ海上自衛隊が中心になって対潜作戦をやって、今申し上げたように、海峡であるいは港湾の近くで、あるいは哨戒によって、いろいろな作戦によって相手方をできるだけ消耗させる。そういうことをしますと、次に第二回、一カ月後ぐらいに出てくる際にはずっと力が落ちているわけです。これは仮にも三〇%なら三〇%力が落ちておるようでありますと、出撃するたびに三〇%もやられるような状況では、もう相手方はそういう作戦は続行不可能になるわけであります。  そういうことが相当の対潜能力を持つという意味でありまして、決して作戦当初から日本の商船が自由自在に海洋を走り回ることができるとかそういうことではない。要するに、相手方の潜水艦が自由勝手に跳梁ばっこして思う存分働かさないような力を、一カ月なり二カ月間いろいろな作戦行動を通じて制圧することができるというように御理解をいただきたいと思います、
  51. 堀江正夫

    堀江正夫君 今の説明なら国民にも割合よくわかると思いますね。  そこで、次は防空の問題なのです。今言ったのは対潜水艦能力ということでしたね。  それで防空の問題ですが、これについては、この解説の中では遠距離に対するいわゆる洋上防空能力しか触れられておらないわけですね。周辺数百海里の海域は本土防空能力圏内にあってその傘のもとにある、そしてそのもとで艦艇装備の防空能力で対処できる、あるいは一部はペトリオットの援護も受けられるということじゃないかとも思うわけでありますが、どうも航空作戦の帰趨というものをずっと大局的に眺めてみますと、周辺の海域における海上防空それ自体が大変なことじゃないかなと思うわけなのです。その辺は本当にどうなのか、また、この問題に対して今後どのような措置が必要となってくるのだろうか、その点についてお伺いします。
  52. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今お尋ねの件は洋上防空に限っての話だというふうに……
  53. 堀江正夫

    堀江正夫君 周辺海域における防空。
  54. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 周辺海域における防空という考え方は、海域そのものを、べたに周辺海域といえども防空をするという考え方は現在の兵力整備では考えていないわけであります。そういうふうに、地域、面として守るというのは国土を守るというのが中心であります。したがって、周辺海域といえどもどもは必要な、例えば船舶がそこにおるという場合にそれが守れるようにするというのが基本的な考え方であります。  例えば、当然我が国周辺、特に沿岸海域では内航船が相当行き来をしておる、それを守る。それは本土防空の覆域内でできるだけ自由に動かしたい。しかしながら、仮にそれが北海道に着上陸侵攻が既に行われておるという状況であれば、北海道に対して陸上自衛隊その他の部隊を増援しなくちゃいけない、あるいは弾薬、食糧その他の物資を補給しなくてはいけない、場合によっては北海道の方から避難民を連れて帰ってこなくてはいけないといったようなときに、当然のことながら北部日本に対する船団護衛といいますか、ある船団をどうしても出さなくちゃいけないというようなことがあります。ところが、現に着上陸侵攻が行われているような地域の周辺の海域ということになりますと、相手方は相当な航空優勢を持っておると考えざるを得ませんので、従来、一般的な本土防空といいますか、防空覆域の傘の中で行動するといったような、いわば悠長な状況ではない場合も当然あると思います。そういうところでもなおかつエアカバーを何とかして確保して、最小限の補給なりそういうことをしなくてはいけないという事態も当然あるわけでありまして、その際にどうするかという問題があるわけです。  そこで、現在我々が非常に問題にしておりますのは、例えば対艦船ミサイル、これは航空機からのミサイルもありますし、潜水艦や船舶から発射するミサイルもありますが、それらが二百マイル、三百マイルという射程を持ち出した。つまり五百キロぐらいの射程のあるものが出てきた。ということになると、従来は相手の航空機が頭上まで来るであろうという想定で防空ミサイルなり高射砲といったようなものを装備しておったけれども、そういったものには届かない。ミサイルを落とさなくてはいけないという事態が考えられる。それに対して我々としては今後どう対応するかということを研究しなくてはいけないなというのが一つの考え方であります。  それからもう一点、周辺海域であるとおっしゃったので、あるいはそれに入るか入らないかわかりませんが、洋上における防空の必要性というのは、従来、太平洋といいますか、国土からかなり離れた海域にある艦船が航空機に襲撃されるというようなことは非常に少ないだろうと我々は考えておったわけです。それはなぜかと言えば、そのような足の長い航空機というものは、非常に鈍重なプロペラの爆撃機ぐらいしか当時はなかったわけでありますが、今や相当なスピードを持った、高速の遠距離まで足の届く航空機が出現をしてきたということで、こちらに全くの対応策がなければ、洋上といえども相手の航空機が好き勝手に行動するおそれが出てきたという問題が現在生じてきておるわけです。それに対してどう対応するかということについて、かねがね申し上げておりますように、まず相手の動静をキャッチする手段、例えばOTHレーダーというものが有効であれば、そういったものを持つことが何らかの対応策をとる際のまず最初に必要な機能であるということを申し上げ、かつそういったことについて研究をし、しかるべきものについては整備に着手したいというように申し上げているわけであります。
  55. 堀江正夫

    堀江正夫君 洋上防空のいわゆるOTH、空中給油機、エイジス艦の問題もお聞きしようと思いましたが、大体それをお答えいただきましたから、その程度にして次へ進みます。  次の問題は、着上陸侵攻対処能力の問題でございます。  幾つか準備してきましたが、時間がだんだんと迫ってきましたので、はしよりながらお聞きしますが、この際に、洋上撃破が望ましいことはもう言うまでもないし、少なくとも海上でその侵攻兵力をできるだけ減殺する努力が必要であることも申すまでもありませんね。そこで、その機能の問題なのですが、三沢にはF1、それから米軍のF16も、これは当初の航空作戦、要撃作戦にも使うこともあるのだろうと思います。先ほどは互角でもって一定期間やっていけるのだというお話でしたが、だんだんと北の方は特に航空優勢というのを相手にとられる可能性が強い。そういう中で、これらの対艦攻撃戦力というものが生き残れる可能性自体どのように考えたらいいのだろうか。また、特にF1の場合は足が短いというようなこと もありますし、スピードからいってもパワーからいってもその攻撃力に疑問を持つ向きもないではございません。実際に侵攻事態が起きた場合に、このF1なんかがどの程度効果を発揮するのか、相手に被害を与えることができるのか、これらについてお聞きします。
  56. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 洋上ないし水際で着上陸しようとする敵を撃破するのは、先生指摘のように、航空機による阻止あるいは潜水艦、場合によっては魚雷艇みたいなことも考えられるかもしれませんし、それとミサイルを使う、あるいは水際等で機雷を設置するといったような各種の方法があろうと思います。  まず、お尋ねの対艦航空機といいますか、支援戦闘機を使った阻止が可能であろうかという御質問でありますが、御指摘のように逐次相手方の戦術戦闘機の足が伸びてきている。したがって、戦術戦闘機の制圧下に入る基地がどんどん広がってきておるということになりますと、我が方のそういったF1のような対艦攻撃ができる航空機を温存するためには相当下げておかなくちゃいけない。ということになりますと、現在のF1では非常に足が足らないというのが実情であります。そこで、今回の五カ年計画でも、FSXというものについて決定をして整備に着手しなくちゃいかぬというふうに考えておりますけれども、その際我々としては、やはり相当足の長いものでないと、例えば北海道が仮に攻撃正面でありますと、東北地方ぐらいまでは相手の戦術戦闘機の攻撃範囲に入りますので、防空戦闘機はそういうところに置いておいてもよろしゅうございますが、そういった対艦攻撃をするための戦闘機というものは、より後ろに下げて温存をしておかなくてはいけないということになると、かなり足の長いものが要るということは事実であります。したがって、我々としてもF1で今後ともいけるというふうには考えておらないし、それらについては、より航続距離の長いものにかえることによって対応していきたいというふうに思っております。
  57. 堀江正夫

    堀江正夫君 今のF1の今後の代替機の問題についてはお話ございましたが、現実的にF1で今後まだしばらく対応しなければならない期間があるのだろうと思います。ところが、F1は三沢におってスクランブル任務にもついておりますね。そういうようなことになりますと、次は大高教育局長に聞くのですが、現実的にこのF1対置訓練あるいは対地支援訓練をどの程度やっているのかなとちょっと心配なのです、本当にできているのかなと。これは海上との協力ということになりますと、その場の設定ということも必要になってくるでしょう。また、訓練時間が百四十三時間ぐらいで一般的には規定されておる。その中でスクランブルをやりながら、要撃訓練もやりながらこういうことをやるということになると、果たしてできるのかな、そのための訓練資材というようなものも予算的にはどうかなと思うのですが、いかがでございますか。
  58. 大高時男

    政府委員大高時男君) F1についての訓練でございますが、ただいま先生指摘のとおり、訓練の時間につきましては、他の戦闘機と同様でございまして、年間百四十三時間ということになってございます。  この飛行時間につきましては、今回の中期防衛力整備計画によりまして今後毎年三・五時間ずつ、計画終了の暁には百六十時間余というふうにアップをしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  訓練でございますけれども、第三航空団と第八航空団、それぞれ三沢及び築城におりますけれども、三沢の対地射爆場あるいはまた空域B、C、N、Pといったようなところ、またR129、134等を使用して訓練を行っておるわけでございます。訓練内容につきましても、対地あるいは対置射爆撃を重点にいたしまして、あわせて要撃あるいは対戦闘機戦闘訓練を行っておる。いろいろ先生指摘のように、訓練時間の問題等がございますが、その中におきまして任務を達成すべく全力を尽くしておるということでございます。
  59. 堀江正夫

    堀江正夫君 海上自衛隊の人に聞きますと、よく、対艦訓練というものを本当に我々が満足できるような状況でなかなかやってもらえないということを大変心配しております。今後の五カ年間さらにその点については改善されると思うのですけれども、重要な一つの機能で新しい装備をどうするかということと同時に、この対艦、対地支援訓練というものについてもやはり一段といろいろと努力をしてもらう必要があるかな、こういう感じでございます。  あといろいろあるのですが、はしょりまして、今度新たに陸にSSM1が配置されるという計画があるわけですね。これはもう今まで全く持っておらなかった機能、欠落していた機能を持つことになるので、洋上撃破、水際撃破という意味からは大変大きな意味があると思っておりますが、これにはやはり脆弱性もあるのじゃないか、また、ソ連のミサイルの攻撃力を見た場合に、信頼性、期待性をどの程度持っていいのかなというような感じもないじゃないのですが、その点いかがですか。
  60. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先生指摘のように、このSSMというのは、少なくとも陸上部隊であって、かなり離れた地域の洋上撃破、水際撃破が可能であるという新しい兵器体系でありますので、そういう点では画期的なものであるし、かつ今後我々としては重視しなくてはいけない機能であるというように考えておりますけれども、何せまだSSMというのは一種類、今度初めて開発が終わり、整備をしようというものであります。  御承知のように、そういったミサイルというものはそれぞれがそれぞれの特性を持って、一定の誘導方式に従って誘導されることになりますから、相手方にとってもその誘導方式に合った妨害措置ということもとれるわけであります。したがって、相手がそういうことを妨害できるような手段を仮に開発する、あるいは見つけ出すことができれば、そのSSMは無能力になってしまうというようなことでございますので、一つの兵器ができたからといってこれに余りに期待をし過ぎてもいけないというように考えております。また、こういったSSMのような部隊というものは、相手が上陸作戦を行うまで生き残っておるということが非常に重要であります。幸いにして今回のSSMというのは、海岸線に配置をしなくても山合いにそれを設置をして、山合いを縫って発射をすることができるというようなことで、かなり生き残りの能力というものは高いというように我々考えておりますが、やはりそういった点も十分考慮しなくてはいけない。  さらにつけ加えますれば、そういったSSMを有効に使うためには偵察能力といいますか、センサー、相手を的確に把握する能力というものが別途に備わっていなくてはいけない、そのための偵察機なりあるいは何らかの方法による偵察機能というものがあわせ持たれていないと有効に働かないということもございますので、我々としては、今後とも重視すべき事項ではありますけれども、これがあるからといってすぐほかのものが要らないとか、そういったものではないというように考えておりますので、十分御理解をいただきたいと思います。
  61. 堀江正夫

    堀江正夫君 次に、この中には、「一定期間、相手に占領の既成事実を作らせることなくこというふうに言っておりますが、ここで言っている「一定期間」というのはどのくらいかなということを推測するわけであります。  この中の十九ページですが、これに備蓄弾薬の経緯が載っておりまして、その注に「一か月の整備目標達成」といったようなことを書いてございます。また、この説明には、「三十年代に保有していた水準にまで回復するよう計画しています。」こういうことになっております。これで言う「一定期間」というのはそうなると一カ月ぐらいを考えておるのか、そうすると、このときにはもう恐らく陸上自衛隊の主力は侵攻正面に集中しておるでしょうね。攻撃兵力として米軍を期待しなければいけない。ところが、とりあえず来てくれるだ ろう二十五師団は軽師団になってしまった。そうすると、すぐ攻勢兵力というようなものが期待できるのだろうか、その辺の関係はどうなっておるかなということが一つであります。  それからもう一つは、ここで言っている「占領の既成事実」をつくらせないという意味がなかなかよくわからないのじゃないか。これを素直に考えますと、水際でみんな追い落としてしまうというような意味にもとれますし、その辺どのように読んだらいいのか御説明を願います。
  62. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 「占領の既成事実」をつくらせないという意味を上陸もさせないというようにとられるようでしたら、それは大変私どもとしては困ったことでありまして、北海道というのは何せ広い地域でありましてスイスの二倍ぐらいある。そこを十万そこそこ、四個師団ぐらいで守っておるわけでありますから、上がろうと思えばいつでも上がれる。あるいは空挺部隊またはヘリボーンといったような空からおりようと思えばいつでもおりられるという状況でありまして、問題は、そこで完全に占領されてしまって占領行政をしけるような状況をきちっと持たれてしまったという状況をつくらせない、常に戦線が流動的な状況維持できるというところまでは私どもはまだ「占領の既成事実」をつくらせないというような考え方に立っております。  したがって、相手方が上陸しあるいは着陸侵攻してきておっても、常に彼我の戦線というものが流動的で、戦闘状況にあって占領されてしまった、こちらが負けてしまったという状況にならない状況をまだまだ維持し得るというように考えておるものであります。
  63. 堀江正夫

    堀江正夫君 「一定期間」の問題は。
  64. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 「一定期間」という点については、具体的な期間を申し上げるのは遠慮さしていただきたいわけですが、実は前々から申し上げているように、日米安保条約というものがありまして、アメリカから各種の支援があるわけであります。それには早いものもあれば遅いものもございます。例えば、機動部隊のようなものは比較的早く到着し得るであろうし、あるいは二部の弾薬その他の物資も補給可能な場合もありますけれども、アメリカの陸上部隊、陸軍部隊が何個師団か来援に駆けつけるということになればそれなりに相当期間がかかります。したがって、それぞれについて我々としてはアメリカとのいろいろの共同作戦その他の研究によりまして、こういった支援はこの時期にならなければ期待できないなということを十分踏まえながら、計画という、我が方の整備すべき防衛力というものを考えておりますけれども、そういったことを含めまして、少なくとも米側が本格的来援をするまでの間、既成事実をつくられてしまわない状況維持したい、また、この防衛力整備が完全に達成されればそういう状況は可能になるのではないかなというように考えておるわけであります。
  65. 堀江正夫

    堀江正夫君 私が一時間時間をいただくなんて珍しいので、きょうゆっくりいろいろなことが聞けるなと思いましたが、ほんのまだ一部しか聞けない間にもう時間がそろそろ終わろうとしております。したがいまして対処能力の問題につきましても、もう少し国民の前にはっきりさしていただく方がいいのじゃないかなということがございます。また次の機会に譲りたいと思いますが、一番初めに申し上げましたような趣旨で、なかなか書きにくいのだろうと思いますけれども、国民にわかりやすくできるだけ書いていただくという配慮、努力をこの際ひとつお願いをしておきたいと思います。  そこで、経理局長にもせっかくおいでいただきまして、今までじっと我慢をしていただきました。一括してお聞きしたいと思います。  それは、最近の円とドルのレートの問題に関連をする問題でありまして、三つ質問がございます。一つは、中業を算定した、もちろん総額では十八兆四千億ですが、このときのドル価格というのは幾らで算定をされたのか、これが第一であります。それから第二番目は、中業の計画の中でドル払いをする総額は幾らになっているのか、これが二番目の質問になります。そうして三番目は、現在執行中の六十年度の予算及び八月末に実施しました六十一年度の概算要求の中でドル払いの総額はどうなっておるか、この三点についてお聞きいたします。
  66. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 中期計画の方だけ私の方からお答えさしていただきますが、中期防衛力整備計画の中でドル払いがどのくらいあるかということにつきましては、実はある装備品なり部品なり修理用部品なり、そういったものを購入する際に、それが円払いのもの、国内調達をするか、ドル払いで輸入をするかということについてはその年度の予算、あるいは場合によっては年度の予算が決まった後の実際の契約の段階で、この部分は輸入をしよう、この部分は国産をしようというように決めるわけでありまして、長期計画全体としてあらかじめこれは輸入をしてしまおうとか、国産でいこうとかというように決めておりませんので、現段階で中期五カ年計画の中でどれだけがドル払いになるかということはわかりません。  それともう一点ただ申し上げられるのは、今回の五カ年計画はあくまで六十年度の価格、六十年度予算までで取得をした装備品の価格等を前提にしておりますから、それらの価格の中に仮にドル払いするものがあるとすれば、それは二百三十七円という六十年度の支出官レートを前提として組まれておることは間違いございません。
  67. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 六十年度は二千百六十億円、それから六十一年度は、これは概算要求中のものでありますが二千三百四十二億円でございます。
  68. 堀江正夫

    堀江正夫君 もう一分あります。そこで質問をして、これで終わります。  参議院の予算委員会で、秦委員が御質問になりました。私もこの前の委員会でも質問をしたわけですが、三年ローリングの際に別表の総枠内での検討を進める、具体的にはペトリオットの問題が出たようであります。それ以外に今防衛庁で何を、どんなものを考えておられるのか、その点をまずお聞きしておいて、きょうは私の質問、中途半端になりましたが終わらしていただきます。
  69. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 別表の総枠内で陸海空の仕切りといいますか、そういったものを取り外して検討しなくてはいけないかもしれないということは、実はたしか衆議院の安保特委で最初に私は申し上げたと思いますが、それは前提がございまして、そのときの委員の御質問が、要するに限定的、小規模事態というものも考え方は固定しておるけれども、絶対量そのものについては変動があるのではないか、それに対して防衛力整備をしていくのであるから、いわゆる別表の枠組みでは対応できない状況が出てくるのではないか、というような御質問がありました。  それに対して私どもは、大綱というものはまず質的には周辺諸国の軍事能力等を十分にらみ合わせながらそれに対応していくというふうになっている、それから別表そのものもそれ自身大綱作成当時の兵器体系に基づいてつくられておるのでこれ自身見直すことも可能であるけれども、我々としては大まかに決まっておる別表の規模というものはできるだけ大事にしていきたい、たまたま今回の五カ年計画ではこの別表の全体的な枠組みもそのままであるし、陸海空の仕切りについても固定したまま何とか小規模、限定事態に対応できる整備が可能であるというように考えておるけれども先生の御質問のようにさらに状況が変わってきた場合にどうかということになれば、直ちにその全体の枠組みを変えるというようなことの前に、陸海空の仕切りというものを取り外して、より効率的なものが追求できるならそちらの勉強から始めたいというように申し上げただけでありまして、現状ではあくまで最初に申し上げたように、大綱別表の全体枠はもちろん陸海空の仕切りもそのまま置いてあるという前提において今回の五カ年計画はできておりますから、それをもってこの五カ年計画を達成していくということに今は集中しておるわけであります。  ただ、何度も申し上げておりますように、防衛力の効率化、合理化というものは常に図っていかなくてはなりませんから、勉強としてはそういう仕切りを取り外した場合の何らか有効なことがあるかというようなことも全く考えないわけではございませんが、現に具体的に何をしようとかそこまで進んでおるものではございません。
  70. 堀江正夫

    堀江正夫君 終わります。
  71. 安孫子藤吉

    ○小委員長安孫子藤吉君) 本件に関する質疑は午前はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  72. 安孫子藤吉

    ○小委員長安孫子藤吉君) ただいまから外交総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、安全保障問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  73. 黒柳明

    黒柳明君 官房長はどなたかな。官房長はどなた。官房長はいないの。これから来る、それじゃしようがないな。
  74. 安孫子藤吉

    ○小委員長安孫子藤吉君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  75. 安孫子藤吉

    ○小委員長安孫子藤吉君) 速記を再開して。
  76. 黒柳明

    黒柳明君 OTHのことでお伺いしますけれども、装備局長がな、この間いらっしゃっていなかったので。それじゃ装備局長はどなたか、私は最近わからなくて。
  77. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 装備局長は、風邪のために高熱を発しておりまして本日欠席でございますが、技術参事官であります私がかわりに御答弁をさせていただきます。筒井と申します。
  78. 黒柳明

    黒柳明君 お風邪、お見舞に行かなくていいですか。公明党のお見舞い拒否します、それじゃ行きません。済みません、わかりました。  OTHというものを、私たちもそれなりにいろいろ勉強してみたのですけれども、わからないことだらけなのです。それで、ここで教えてもらいたいわけなのですけれども、どのくらい情報と申しますか、確かに資料を集めて検討する、こういうことは長官の発言は聞いているのですけれども、どのくらいOTHについての情報をアメリカから入手されているのでしょうか。その情報をわかる限り一回ここでどういうものであるかということを全部言ってください。だめよ、この前、防衛局長はわからないと言ったのですよ、装備局長がいないから。まあ逃げたのだなと思うけれども、知らないからああいうことを言ったのだなと思うけれども、装備局長の番よ。
  79. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 技術的問題に限りまして……
  80. 黒柳明

    黒柳明君 何でも知っていることを全部。
  81. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) お答え申し上げますと、アメリカのリロケータブルOTHに関しまして、技術的の細部につきまして相当程度のフリーフィング等を受けて存じておりますが、もちろんある程度のある問題でございます。
  82. 黒柳明

    黒柳明君 ちょっとわからないな、ある程度のある問題とは。済みません、もうちょっと最後の答え、何ですか、ある程度の……。
  83. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 例えばアメリカの方が知っていることをすべて、私どもに技術上の全部を知らせるということではないと思っております。
  84. 黒柳明

    黒柳明君 それはそのとおりです。それはおっしゃるとおりです。だから知っている範囲。
  85. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 公刊されない分野のものも、どの程度の内容のものかという技術的な話でございますけれども、承知しております。
  86. 黒柳明

    黒柳明君 だからそこを、教えていただけるところだけ教えていただけませんかという質問ですよ。教えてくれないことを教えると言ったってそれは無理ですから。だから知っていらっしゃって教えていただく範囲で結構ですから、教えていただけませんか。
  87. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 技術的細部と申しますのは、ここで御説明を差し控えさせていただきたい範囲が多うございまして、例えば全体のレーダーの届き得る距離であるとか、そういった常識的な範囲は在来御説明したとおりでございます。
  88. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、その技術的な範囲というのは、もうわかっている部分もあるけれども、全く公表できないと。野党ごときに教えられない、こういうことになるのですか。じゃ今まで、常識的といったって二百マイルぐらい届くレーダーであるというようなことだけですよ。あと何にも常識的なことも教えていただいていないのです。どうですか、もうちょっと何か色をつけたらどうですか。そうじゃないとだんだんトーンが上がっていっちゃうよ、一番初めの答弁によってもうちょっとやっぱり前向きに答えないと。何か初めからきようは委員長も御病気で、病院から急いで帰ってきておられる。堀江先生だって委員長職をやもされた。もう皆さんもあれなんですから、私は隠忍自重しているのです。冒頭から皆さん方いろいろ事情があって雰囲気ただならぬのですから。もうちょっと何か教えていただく範囲はないですか、防衛局長でもいいです。もうちょっと何か教えていただかなければ。
  89. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私、先般もお答え申し上げたとおり、技術的に余り詳しくありませんが、私の知っている範囲で若干御答弁させていただきたいと思いますが、OTHレーダーと申しますのは、御承知のように短波が電離層に反射をする、これを利用して非常に離れたところ、水平線見通し外のところまで見えるという性格のレーダーでございますが、我々知悉しているところでは、アメリカでは現在二つのレーダーがある。一つはOTHレーダーのBと申します。これは空軍が開発し、かつもう既に実戦配備をするための予算を獲得したものであります。もう一つはOTHレーダーのRという海軍のタイプのものがございます。  この両者の違いは先般もお聞きになって、私も実は余り詳しいことは存じませんが、一つは空軍用は航空機といわゆるクルージングミサイルを発見するということを主たる目的としている。それに対して海軍の方は航空機と艦艇等、地上にといいますか、水上といいますか、そういったところにある移動物体も発見できることをねらいとしている。ただし、海軍用についてはまだ現在開発中のものでありまして、必ずしも確定したものがあるということではないというように私は理解をいたしております。  なお、私どもが将来これから研究の対象にし、場合によっては整備もしたいと考えておるのはこのOTHレーダーR、海軍用の方であります。つまり航空機及び艦艇等、場合によっては陸上の移動物体を含めたものが監視できるものをできれば整備をしたいというように考えております。  そういったようなことでありまして、さらにこれは受け売りで、余り私も自信がなくて舌足らずのところは筒井参事官から補足してもらいたいと思いますが、従来OTHレーダーというのは、かなり昔には日本の所沢に米軍が設置をしておったことがありました。そのころのOTHレーダーというのは、今申し上げたように航空機等を発見するものではなくてICBM等を発見するためのもので、こちらから照射をして地球の反対側でこれを受信をするといういわゆる前方散乱方式といいますか、そういうたぐいのものであったわけでありますが、今回の航空機なり艦艇を発見する、あるいは監視をするためのものはその反射波を利用するといったもので、要するに入ってきた電波、つまり送信した同じ側に反射してから返ってくる電波をとらえるというもので、かつての米軍が所沢等に置いておったもの、いわゆるICBM探知のためのものとは全然違った方式のものであるというように理解をいたしております。  それじゃどういう点で発見が可能なのかという技術的なことは筒井参事官からまたお話し願いたいと思いますが、私の非常に大まかな文学者的な感じで恐縮でございますが、そのレーダーで探知をする範囲というものが幾つかのブロックに分か れておる、それに対してそれぞれ違う電波といいますか、ものを使って、そのフロックからブロックへ移動したものについて、ドップラー効果といいますか、動いていく効果を探知をして、どちらに向かってある移動体が動いているかというものを発見するたぐいのものであるというように理解をいたしております。  さらに細部については、また御質問によってお答えいたしたいと思います。
  90. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 在来文献等で公刊されているベースで恐縮でございますけれども、海軍用のリロケータブルのOTHの方は技術の細部というものが全部非公開でございますが、空軍用のOTH-B型の方につきまして申し上げますと、同じOTHレーダーでございますので、原則的にはそんなに違わないものであるというぐあいにお聞きいただいてよろしいかと思います。ただし、これは固定式でございます。現在使っておりますアンテナはメーン州のモスコーにございますけれども、アレー式のアンテナを四基使っております。これは送信でございますけれども、送信側はこの場合のバックスクリーンが長さ約六百九十メートル、それから実験システムとして同じく受信アンテナをメーン州のコロンビアホールスというところに置いております。この場合のアンテナが百三十七本でございまして、アンテナ及びバックスクリーンでございますが、長さが約千百九十メートルというようなことになっております。使います。波数でございますが、電離層の反射を使うというためには、やはり短波帯の限られたゾーンになるかと存じまして、空軍の場合には六・七から二十二・三メガヘルツという範囲を使っておりまして、有効送信出力としまして約百メガワットですが、送信力としては百キロワット程度のものというぐあいに了知しております。
  91. 黒柳明

    黒柳明君 今R型の海軍で使用するものを我が国にもという発言がありましたね。これを参事官は全く非公開である、こういうふうに私聞いたのですが、そうだったのですか、R型は。B型だけが……
  92. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 御案内のとおりに。リロケータブルタイプのものは研究開発中のものでございますので、性能の細部についてはまだ秘でございますし、まだ決まっていない部分もあろうかと思います。
  93. 黒柳明

    黒柳明君 今のB型ですけれども、この二基はどこに配置されるようになっていますか、アメリカは。とらえる目的、これは海軍、空軍で違っていますけれども、その配置する箇所、どういう用途、目的で配置されるようになっていますか。
  94. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 先ほど御説明しましたのは、実験システムとして使っているものの性能等を申し上げましたので、配備その他につきましては別途お答え申し上げます。
  95. 黒柳明

    黒柳明君 防衛局長もいろいろ知っているのじゃないですか、この前知らないなんて言って。いいです、いいです、知っている人が答えていい。局長中心に、きょうは一番偉いのだから答えて。
  96. 古川清

    政府委員古川清君) 現在、アメリカがOTH-B型レーダーとしては、アメリカとアラスカを含めまして合計十二基のレーダー網を配置することを検討しておりますけれども、このうち、現在開設が決まっておりますのは二カ所でございます。一つはメーン州に置きまして、もう一つの方はオレゴン州に置く、この二つの送信所が決まっているというふうに理解をしております。
  97. 黒柳明

    黒柳明君 それから、その二つの設置する目的が違うのじゃないですか。OTHレーダーですから、これは捕捉するレーダであることは間違いありませんけれども、目的が違うのじゃないですか。
  98. 古川清

    政府委員古川清君) いずれもOTH-B型のネットワークといいますものは、アメリカの北だけはあいておりますけれども、東西それから南を全部OTH-B型のレーダー網で覆うという形になっております。したがいまして、根源的な目的といいますものは、航空機であれ巡航ミサイルであれ、アトモスフィア、つまりICBMのように非常に高いどころではなく、空気を伝わってくるものの動く物体を探すとということに主力を置かれているものと私どもは理解をしております。
  99. 黒柳明

    黒柳明君 OTHレーダが有効な方位角、それから今くしくもおっしゃった巡航ミサイル、それに対しての有効度、これはアメリカでどう言われておりますか。
  100. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) OTH-Bの方でございますが、探知覆域といたしましては、角度約六十度、覆域のレンジといたしましては五百ないし千八百海里、在来申し上げたとおりでございます。  それから巡航ミサイルにつきましてはまだ確定的な技術的なデータというものはなかなか出ていないのだろうと思いますけれども、基本的な技術的な御説明を申し上げさせていただきますと、通常のレーダー等マイクロ波でとりますものは、そのまま反射して航空機のエコーとしてとらえて、どこに航空機が来ているか、成田の東方百キロに来ていると、そういうことがわかるわけでございますが、こういったシステムでとります場合には、そういった反射と違いまして、飛んでいる航空機あるいは巡航ミサイルでございますが、巡航ミサイルを一つのアンテナのような感じの反射をさして返ってくるという形になります。  その場合にはこちらから送っている電波の、私ども二分の一ラムダ、波長の二分の一以上ないとわかりません。つまり俗に例えますれば、例えば物差しの最小目盛以上のものでないとはかれないということになります。最小目盛の一番小さい目盛に当たる波長の短いのは何かといいますと、例えばさっきの実験システムで言いますれば二十二・三メガヘルツでございますけれども、将来の考え方としては二十八メガヘルツぐらいまでとりますが、最高の二十八メガヘルツぐらいの周波数のものをとった場合に、一番短い波長、それの反射をよくするであろう二分の一波長は約五メートル程度ということになります。つまり五メートル程度が物差しの一番小さいものになる。そうしますと、五メートル程度以上のものは技術的、論理的には測定可能であるということになります。しかし、それがすべて明確に見えるかどうかというのは技術の進歩とかかわる問題でございますけれども、今の巡航ミサイルといいますものが、トマホーク等も五メートル以上の長さを持っているものと思われますので、論理的には測定可能の範囲に入っているものでございます。
  101. 黒柳明

    黒柳明君 まず今のところまでで一回あれしましょう。  今おっしゃった巡航ミサイルについては確かに実験のデータ、有効であるかどうかというものについての確たるものはない。これはもうそういうふうに出ていますね。今論理的にはそうなるであろうと、こういう参事官の話です。私は細かいことは当然知るべくもありません。アメリカがこっちに言わない。その知っている範囲だけで今お聞きしても、私たちは皆さん方が知っているそれ以上のことを知るなどという能力はありません。しかし、今おっしゃったように、巡航ミサイル等の小さい物体についてはまだ実験段階である、そんなに確とした有効的なデータも出てない、こういうふうに私も認識しているのです。  そういうことをひっくるめますと、ここじゃ防衛局長が一番の当面の責任者ですけれども、今からデータを集めてそれから導入するかしないかもまだ決定していないのだと、こういう長官の答弁。それが五年間で三百五十億でしたか、予算がついていたのが。もうちょっと多かったですか。本体まで買う代金も含まっているのかどうかわかりませんけれども、少なくとも空中給油やエイジス艦やなんかとともに研究するということは意思表示しておるわけでしょう。それについての予算を何とかつけようということで提示しているわけですね。ところが、何だかアメリカの現地にまだ残念ながら行っていないので行かなきゃならないか、お正月休みに行こうと思うのですけれども、まだまだ未知数の要素がいっぱいある。  それから、局長がおっしゃったようにRの方、海軍用、これを何とかとおっしゃっているものについては全く開発段階なのですね。これは先んず れば人を制すですから何でも早取りすることは悪いとは言いません。私たちも防衛庁の皆さん方に御指導いただいて日本は何とか自分の手で守らなきゃならないと意欲だけはあるのだけれども、何とかこう中曽根総理に引っ張られる防衛庁というのはどうも見ていてはらはらするわけだ、政権でも変わるともっと仲よくできるかと思うのですけれども。  予算の中で本体まで買う予算があの中についているのか、二百五十億ぐらいかかると言われました。買おうと思えば買えるわけですよ。三年のローリングを含めて一回見直しという時期もあるわけですね、五年のあの新防の計画の中で。だけれども、本体二百五十億ならば買おうと思えば買うこともできる。その予算をつけて導入もしようかという中で余りにも現在がわからな過ぎる、アメリカにおいても実験段階、開発段階。もう私は参事官がおっしゃった巡航ミサイルについていろいろな聞いた範囲があるのですけれども、八三年の十月から十五カ月間全く実験したことはないと書いてあるのです。そういうことも書いてある。  そうなりますと、今のB型をというならば既に実戦配置の段階ですけれども、まだ開発中のR型という御意思を持っている。B型であっても、爆撃機は何とかできるけれども、そういう高度の巡航ミサイルなんというのは非常にまだ実験段階である、確固たるデータは出ていない。こういう段階で私はまだまだいろいろな要素がありますけれども、果たして一基だけ導入するのか、角度は六十度ですからね。ただ長いということだけで今我々は驚いているのですけれども、こんなの驚くに当たらないわけですから、もうその段階で三百五十億の五カ年の中で、もし来れば本体までも導入するのだと、こういう姿勢というものは疑問じゃなかろうか。何でもいいから予算だけとっておけば何とかなるのじゃなかろうか、あるいはもっと極端に言うと、あの六月の防衛庁長官の訪米によって急速に出たから、貿易摩擦の見返りだなんという悪口を言われることも、そういうことも私はもう考えたくないのだけれども、何かそんな考えも浮かんでくるのじゃなかろうかと、こんな感じが今ちょっと論議いただいた中で……。まだこれ続きます、どうですかね、局長
  102. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今先生指摘のように、OTHレーダーというのは、OTH-Bにつきましては一九八六年度のアメリカの予算で大西洋側の二基分について予算化されているということですから、私はもう運用の自信を持って配備しつつあるものだと思いますが、御指摘のように海軍用のRについてはまだあくまで開発中のものであるし、我々としてもそういったものがどういう性能を持ち、本当に我々の使用目的に合致するのかどうかというところを含めて検討しなくてはいけない代物であるというふうに考えております。したがいまして、今回の五カ年計画でもこのOTHレーダーそのものを購入するとかそういったような経費を具体的に計上していることはいたしておりません。  先般来申し上げているように、洋上防空そのものについてのまず研究を行う、そしてその中にはOTHレーダーもございますし各種の対空ミサイルその他もございますが、そういったものを含めてある程度の金を研究の成果が得られたものについて着手できるように留保といいますか、予定はいたしておりますが、その内訳として例えばOTHレーダーを購入する経費があるかといえば、それは入っておりません。ということでこれは五カ年の中で、これから何年かかるかわかりませんが研究をしていった後に決定されるもので、場合によれば三年後見直しがあるやもしれないというふうになっておりますが、その段階で初めて具体的なものとして何らかの措置をする、あるいは五年を超えたさらに先の段階で措置をするということもあろうかと思いますが、いずれにしましてもこの五カ年計画で今のところOTHレーダーそのものについての予算措置等は講じておらないということを御理解いただきたいと思います。
  103. 黒柳明

    黒柳明君 ちょっとまた今のあれ続けていきますけれども、途中で参事官、この前も言ったのですけれども、移動可能型のOTHの技術的な実現可能性とその効果についてはどういうふうに言われていますか。
  104. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 技術的に基本的には同様なものである、ただ固定設置型とある程度移動可能型という差があるかと思いますが、もう一つ大きな差は、やはりエレクトロニクスの分野におきましては非常に進歩が速うございますので、後から開発しているリロケータブルの方が技術的内容としては当然すぐれてくるものと思っております。したがいまして、開発の可能性という見方から見ますと相当あるものと私どもは見ております。
  105. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、固定式じゃなくて移動式が後からという意味ですね。
  106. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) はい。
  107. 黒柳明

    黒柳明君 だからそちらの方が技術的にすぐれているだろうと、こうおっしゃる。
  108. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 使われている電子部品、ディバイス等、そういった面から見まして当然優位な立場に新しいものがあるという意味でございます。
  109. 黒柳明

    黒柳明君 今と同じですけれども、今私言ったのはそのことも含めてです。技術的な開発可能性、これはいいですけれども、効果の面はどういうふうにアメリカで言われていますか。
  110. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) レーダーの効果と申しますといろいろな意味があるわけでございますけれども……
  111. 黒柳明

    黒柳明君 それじゃ一口でいい。
  112. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 原理的な意味におきましては、OTHという電離層を使ってその反射波をとりまして計測をするということにおいては全く同じでございますので、ただそれに使われます部品であるとかデータ処理であるとか、そういった面において時点に伴うところの進歩は当然あり得るだろうという意味でございます。
  113. 黒柳明

    黒柳明君 今盛んに耳打ちしていますから、あなたの方がよく知っていると思う。私の言っているのは、アメリカでどう言われていますか、こういうふうに言っている。もうアメリカではそういう論議がされているわけです。皆さん方がアメリカからもらう情報は限られている、それはさもあらん、今までもそうですからね。ソフト部分なんか教えてくれませんからね。これはもう当然でしょう。知らない部分を私たちが知っているわけはありません。ただ、アメリカ議会、アメリカ国防総省あたりの情報というものは当然皆さん方カウンターパートですからつかめる状態にあるし、またつかめなきゃならないわけでしょう。それを踏まえて資料を集めています、研究します、こういう発言があるわけでしょう。だから、私は何も秘密会で議事録削除のものを何が書いてあるか教えろなんて言っているのじゃないのです。効果を、アメリカでは、国防総省ではどう言っていますかと聞いているわけです。それじゃ、私お正月に行くから一緒に来て、教えてくれるから。暇があったら一緒に。  もうこれは私は各方面からいろいろなデータを集めた。ここにびっしり書いてある、今の移動可能型だとどういう効果があるか、これは私が書いたものじゃありません、向こうの国会での議事録、秘密公聴会。だからこの前言った削除の分がいつぱいある、ディリートというのはいっぱいある、こう申し上げましたね。わからない面は聞いた。だれが発言したか、国防総省。それも含めましてアメリカでは既にこういう点も論議されているわけです。そういうものも情報としてつかんでいなければ、これから研究するのですなんと言ったって何ができるのかしらという感じがします。  B型じゃなくてR型、固定型じゃなくて移動型、方位だって今くしくも北があいているから、六十度云々と言っていましたから、私たちは硫黄島に一つ設置をすればそれこそはるか向こうの北の方から来ても、四百キロですからどこから来ても捕捉できるなんという、そんなものじゃないわけです、よくあれしますと。一基二百五十億で買った だけで、それで今までにかわって物すごい捕捉力があるなんという簡単なものじゃないわけです。それを何だか国会では、四百キロ届くからこれは大変なことである、そうなるとこれは専守防衛じゃなくて、もうシベリアあたりから、ソ連から物すごく日本はおしかりを受けるのじゃなかろうか、そんなものじゃないわけです、よく調べてみますと。  確かに足が長いことは長いのですけれどもね。局長、私が今ここで言いたいのは、私なんかが何か知ったかぶったようなことを言っていますけれども、今言った技術的な開発、今おっしゃったとおり。ところが、その効果というものについても、固定式と移動式についてもアメリカでも言われているのです、議会で秘密会ですけれども。国防総省ではオープンです、どういう効果があるかということは。だから、こういうことが皆さんの情報網の中に来なきゃならないことは当たり前。だけれども、それが何だか国会の答弁ではわからないのだかわかっているのだかはっきりしない。そうなるとまた逆算しまして、こんなすべて開発途中のものであって、有効効果もわからない、ただ足が長いということだけわかっている、二百五十億ぐらいする。これはもう予算を組んでいます。この予算だって本体だけであるかどうかといったって疑問です。だけれども、二百五十億ぐらいかかるとおっしゃったから、私もそのぐらいであろう、大同小異であろうと認識していますけれどもね。  それにしては余りにも予算づけが早過ぎるのじゃなかろうか。いろいろなものも含めて、何も買う買わないということじゃないのだ、研究なのだ、情報集めなのだ。だけれども、やっぱり皆さん方が予算に組み込むということは、これはもう言うまでもないです、やがてはその予算、調査費が実施に移されるという大前提がなければそんなむだな予算なんか使うわけがないじゃないですか。それともむだな予算を使う前提で組まれるのですか、資料を集めるのですか、研究されるのですか。日本の防衛庁がそんな漠としたもので予算を組むわけはないと思います。予算というものは確固たる信念と確固たる裏づけを持って組まなければいけないのじゃないですか。そんなアバウトなつかみ取りじゃいけないのじゃないでしょうか。どうですか、まずこの辺は。
  114. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) おっしゃるとおり、私どもは予算要求をするという段階になれば、当然のことながらすべての点を研究した結果、これは必要であるということが十分御説明のできる段階で予算要求をいたしたいと考えております。そういう意味で現在、何度も申し上げているようですが、OTHレーダーにつきましてはこれを採用するとかしないとかというにははるかに早い段階で、まだ基礎的な勉強を始めている段階でございます。  なお、それじゃ五カ年の中期防衛力整備計画でそういったことに付言しているのはどういうことかということでございますが、やはり今後五年間に防衛庁としてこういったものについてもやはり研究する必要がある、場合によってはそういったものが非常に有効なものであれば、それに着手できる枠組みといいますか方向だけははっきりさしておかないと、五カ年計画に全く計上されない、言及されていないものについて年度予算でそれを急にやるということはいかがなものであろうかということで、この問題について特に書かれておるわけでございます。  なお、若干御質問の点と外れるかもしれませんが、洋上防空というのは何度も申し上げておりますように非常に広い海域であって、それについて個々の対応措置をとってこれに対抗していくということになると非常に膨大な兵力なりお金がかかる問題です。そういう点、仮にOTHのようなものが非常に有効であって、相手の動静というものが事前に早くキャッチができるとすれば、これは最も安上がりなといいますか、対応策が可能ではなかろうかということで、我々としては現在においてはどうしてもそういうことのできない一つの着眼点であるというように考えておるわけでございますので、その点のところはよく十分御理解をいただきたいと思います。
  115. 黒柳明

    黒柳明君 私は個人的に理解したいという気持ちはあるのです。我が国我が国で守らなければだめだ、だれも守ってくれない。だけれども、今までいろいろな長い間の兵器の購入にしたって研究開発にしたって、全く漠然としたものについて、研究したい意欲はあったって予算をつけるなどというケースがありましたか。アメリカにせよどこの国にせよ、開発され、実験され、効果が示され、それをこちらが何回もテストして調べて、それでなおかつ英知を絞ってそれじゃ導入しよう、どうかしよう、予算がつく、こういう経緯をたどっているのはこれは当たり前ですね。  今みたいな全く漠然とした、いかにエレクトロニクス時代とはいえ、ウサギの耳時代とはいえ、洋上防空の時代とはいえ、全く漠然として、当事者の国においても二基購入の予算は八三年につけたけれども、またこれは設置されているのかどうかも、まあされている方向に行っていると思います、そんな答弁。しかもB型じゃなくて海軍のR型を意図している、これは全く研究開発途上でございます、しかも設置されているものだってどういう効果があるか全く実験データは出ていない、向こうに置いてある、出ていてもこれは教えてくれないのか。しかも、一基購入したら日本が本当に守られるかどうか、これはいろいろなことを含めての研究の課題だと思うのですけれども、そんなこともわからない。まだできる初めから固定型より移動型の方が技術は進歩しているだろう、効果はあるだろう、そういう全く漠然としたものについて少なくとも予算はついているわけです。研究開発あるいは調査、資料集め、こういうケースなんかあったでしょうか。  F104にしたって、15にしたって4にしたって、あれこそいやというほど何回も何回も向こうでもテストし、あるいはエンジンがどうだこうだ、それについてまた皆さん方もテストし、現場に行ってそれでオーケーになる。開発だってそうです、研究だってそうです。こんな漠然としたものに予算がついている、そういうケースがあったでしょうか。今言ったように先取りにこしたことはないのだ、これは言えないことないと思います。だけれども、余りにもこれは時期的に早過ぎる。もうちょっと、向こうで少なくともB型を設置しました、それについてあらゆる角度から実験データが出ました、本当にR型が欲しいのだったらR型についても開発予算がつきました、できれば実験データまで。実験というのは向こうで言っているからですよ。実戦じゃないのです、実験なのです。まだそれからだって遅くないのじゃないでしょうか。予算をつけて研究といったって、本体を買う買わないなんて関係ありません。資料を集める、研究開発ですという段階でも、それからでも間に合うのじゃないでしょうか。  SDIにしたってそうじゃないですか。あれが当たっているかどうかわかりませんけれども、あんなものは空想だなんて新聞に出ていました。SDIだって全く雲をつかむみたいですよ。それだって相当の準備がされているわけです。それについてだって日本はコミットするかしないか、こんな距離を置いているでしょう、そうでしょう。それをこんなに漠然としたものに予算をつけて研究あるいは資料集め、こういうことはどうなのでしょう、局長さん。
  116. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 繰り返すようになって恐縮でございますが、私どもはこの五カ年計画にこのような記述をし、かつそれが執行される場合、必要となる限度額はこれだけのお金であるということは、先生がおっしゃるような予算をつけたというような考えではおらないわけでございます。これは今回の中期防衛力整備計画について経費の項でも述べておりますように、この経費というものは限度を示すものでありまして、これがすべて中身があって、それを使ってしまうというものではないということはたびたび申し上げておるところでありまして、通常の予算のごとくこの予算がもう既に計上される、あるいは先取りをしておる というものではないという点は十分御理解をいただきたいと思っておるわけであります。
  117. 黒柳明

    黒柳明君 と同時に、OTHレーダーについて資料を集めて研究したいということをたびたび発言していることも事実であり、理解しております。私はそちらの面を言っているのです、
  118. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御指摘の件、我々にとっても大変参考になりますし、おっしゃるとおりでありまして、いずれにしましてもまだ五カ年計画の初年度にも入っていないわけでございます。我々としては、これから鋭意OTHレーダーについてまだまだ現在ではどんなものかなという最も基礎的な部分にさわったばかりでありますけれども、今後二年、三年かけまして十分検討し、しかる後にこれの採否を決め、必要があれば予算計上していくということになると思いますが、その間、先生指摘のようにあらゆる点においてそごのないような研究をいたしたいと思っております。
  119. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、新計画の中のOTHレーダーに関する研究開発、資料集めというのは単年度でまた別に予算を組んでやっていこうということですか。
  120. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 現在のところ、このために特段の予算要求もいたしておりませんし、従来の得られる資料の範囲で勉強いたしておりますが、必要に応じて例えば調査費というようなものをいただいて、現地に即して調べることもございましょうし、逐次調査のための費用を場合によっては予算要求していただいて研究するということも出てまいると思っております。
  121. 黒柳明

    黒柳明君 五カ年計画というのはいつから始まるのですか、何年から。
  122. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 少なくとも来年度につきましてはこのための特段の予算というものはお願いをいたしておりませんので、得られるペーパーの資料とかそういったものを通じてまず基礎勉強をいたしたいというふうに考えております。
  123. 黒柳明

    黒柳明君 来年だけはこれについてというのはOTHのことね、これは予算をいただかない、基礎勉強いたします、それで、その基礎勉強がよかろうとなったら、また再来年から予算をいただいて、それで何とか研究開発、資料集めできればその延長線上でやっていきたい、こういうことなのですか。来年一年はブランクにする。そうすると、今まで国会でまあここまで聞いた人がいるかどうかわかりませんね、私もちょっと議事録を読んだわけじゃないから記憶はありませんけれども、そういうような質疑はなされなかったと思うのです。来年一年間はOTHについては新五カ年計画の枠の外に置いて、それで一応その資料を集めるなり研究してみて、それが軌道に乗っかって、こちらがおうと思ったとき再来年からこの予算をつけてやっていきたいと、こういう方針に変更。
  124. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) いや、方針を変更するとかということじゃございませんで、来年の段階ではまだOTHレーダーならOTHレーダーのための調査費なりあるいはそのための特別経費を計上して行わなくてはならないというような事業は具体的には持ち合わせていない。したがって、一般的な通常経費の中で必要な資料を送っていただき、あるいは場合によっては人の往来等の中でそういったものに問い合わせをする、あるいは相手方が来た場合にいろいろ聞いてみるとか、そういったことでまず基礎的な勉強をする必要があるというふうに考えております。そういったものが済み、かなりそういった机上の研究が進んだ段階で実際に現物を見てみる必要があるとか、あるいは設置場所等についてより具体的な基礎調査をする必要があるということで特別な経費が必要になるような状況になれば、それに応じて予算要求をしてそのためのお金を予算に計上していただくということになるわけでございまして、いずれにしましても、そういった机上の基礎研究も含めて五カ年間の中でじっくりやっていきたいということであります。
  125. 黒柳明

    黒柳明君 今までの国会での答弁は、局長さんが洋上防空に対するそういう経費はたしか三百五十億だったのですか、こうお答えになっている。それから、長官初め何回も何回も、その中にはエイジス艦なり空中給油機なり、当然OTHの開発も含めてと、もう何回もこれはおっしゃっているわけです。ですから、それを今さら来年はそうじゃないのです、再来年からもしそれが軌道に乗ったら新しく予算をつけてと、こうなると今までの答弁なんていうのは全部違ってきますよ、今までおっしゃっていることが。それは五カ年計画の中でやるということですよ。そうでしょう。OTHだけそこから外れるなんて考えは今まで示したことはありません。だから、研究開発に対して資料がおくれている、いろいろな認識にまだ不足がある、私はこういう感じがします。  だけれども、これは新五カ年計画の中での三百五十億の予算の一環として進めることはもう間違いないことです、国会で答弁しているのですから。当然そうじゃないですか。それがどう進むか、あるいは本体まで行くか行かないか、これは別ですよ、これは何回も長官答弁していますから。ですけれどもこれは別なのです。一年間研究は別にやりますなんていうことは全く今までの答弁、考え方の定義とは違います。だから、そういうことじゃない。今現在いろいろな情報がまだ不足です、ですから、これからもう一回白紙に戻してというならいい。白紙に戻してというのはどういうことか。五カ年計画は白紙じゃないです。OTHについての考え方をもう一回白紙に戻してということです。白紙に戻して、洋上防空の一環として五カ年計画の中で三百五十億の金を使うであろう、そういう中で提示してそれで研究開発、資料集めをするのだという考えを、もう一回OTHについてはそうじゃないのです、またこれは資料が不足ですからその中には入れてないのですと、こういうふうに少なくとも最低譲ったってそうは言うべきです、現在においては。
  126. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) どうも御理解いただいていないようで残念なのですが、私どもはこの洋上防空に関連するもろもろのシステムを研究する際に、OTHレーダーというものはその中の非常に重要部分であるし、最も先行して研究していかなくてはならない部分だと考えておりますので、これを切り離してこの部分を白紙にするとかいう考えは全くございません。したがって、現在といいますか来年度も引き続き行う基礎的な研究も、先ほど来申し上げております洋上防空に関するもろもろの研究なり将来の考え方を、構想を固める上での重要な一環であるというふうに考えておるわけであります。しかしながら、それでは来年からすぐ特段のお金が要るかというと、そういうことではございませんで、それはこの五カ年の計画の中でもっと後段において出てくるであろうと私どもは考えておるわけでありまして、決してOTHレーダーについて従来の考え方より一たん後退をして別の考えになったということではないので、その点は十分御理解をいただきたいと思うわけであります。
  127. 黒柳明

    黒柳明君 なるほど、理解した。来年はお金を使わないというわけだ、OTHについては。ただで資料をもらってその範囲でやるということ。来年はOTHについては予算は使わないで、要するに空手でやれるだけやってみよう、そこで感触をつかんでから再来年から予算をつけてみようと、こういうことかね。
  128. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) おっしゃるようなことでありまして、例えばOTHについて現地に行って調べる場合もあるかもしれませんけれども、これは通常の外国旅費なり一般経費の中で行うということであって、具体的にOTHのためにこれだけのお金が要るという積み上げて使うべきほどまだ具体的な計画がありませんということを申し上げておるわけであります。
  129. 黒柳明

    黒柳明君 局長、来年はOTHの研究開発をやります、資料収集はやります、五カ年計画の中の三百五十億についてはそれも含んでやります、これはさんざん答弁している、そうでしょう。それを来年一年間は予算を使わないところだけやっていきますと、そんなみみっちいことやることはな いですよ、そのために予算をつけているのですから。やがてよければその本体も導入しようというのですから。何だか来年は予算を使わない、そうしたらOTHの何か資料を集めるところで予算が使われたか使われないか、これ一々検討していけますか。そんなばかなことはこの国会で論議するようなことじゃないじゃないですか。いかに小委員会とはいえ余りにも答弁はでたらめ過ぎませんか。隣の佐々さんも聞いているのがいやになって半身になっちゃっている。おれはこんなこともういやだ、今の態度そういう態度ですよ。あの答弁何たる答弁が、口には出さずとも、形はそういう形で。  それは局長おかしい、余りにも。私ごときにそんなことを言われて、何だかわからないような、予算を、金を使わない範囲でOTHの資料集め、研究開発やります、そんなばかなことが国会の答弁、発言で通用しますか。現にそんなことは今まで言った人はいません。予算、お金を使わないように資料を集めて研究します、一年間だけは、こんなばかなことを言ったら笑われますよ。だから言っていることに矛盾があるわけ。全く矛盾です。これは議事録に残ります。ここだけで終わる問題じゃありません。皆さん方もこれから研究するでしょう。私たちもこれから勉強しなきゃならない。だから今の発言はこれだけで終わる問題じゃありません。来年一年間だけは予算をつけないでOTHの研究と資料集めなんて。それがよかったら再来年から予算つけます、そんな発言、答弁なんか今までしていないじゃないですか。理解していただかないで困ります、困りますというのは、私の方が困りますよ、そんなでたらめ答弁をして。  きのう長官が佐世保で記者会見して、忙しくてしようがないので長官はきょうお出にならない。公務員の人勧で五・七四の大体八百億、これを来年度につける、これは別枠にしたい。七月の六十一年度の概算要求が三兆三千五百六十八億ですか、それに八百億足すと幾らになりますか。
  130. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 四兆一千億強でございます。
  131. 黒柳明

    黒柳明君 何言っているのですか。三兆三千五百六十八億足す八百億で四兆になるわけないじゃない。
  132. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) おっしゃるとおり間違いでございました。三兆四千三百億くらい。
  133. 黒柳明

    黒柳明君 そうです。もう計算していなきゃおかしいですよ、きのうの発言があったのですから。  それで、これはもう言うまでもありません、活字になっていますからね、GNPを判断する政府の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の中では六、七%の成長率だと。そうしますと、三百四十二兆三千億ですか、これは政府の概算が出ていますね。そうすると、今おっしゃったのが三兆四千三百六十八億、一%突破するわけだ、はっきりこれは。そうすると、長官のきのうの発言は、もう完全に一%を突破しますよという発言です。まだこれから予算の折衝をしていくわけですからコンクリートで決まったわけじゃありませんけれども、突破してもいいという発言、要求をきのうしているわけなのです。
  134. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 長官がきのう申し上げましたのは、おっしゃいましたように六十一年度の今予算要求いたしております七%増、二千百九十六億前年度より大きい三兆三千五百何がしの数字を要求しているわけでございまして、その要求の中には、ベースアップを六十年度にいたしまして、その平年度化として六十一年度にはね返ってくる八百億というものの要素が入っていないことを申し上げているわけでありまして、八百億円というものはそうした意味で三兆三千五百何がしというただいま要求しているものとは別のものだ、こういうことを申し上げているわけです。そういう物の筋合いであるけれども、現在の厳しい財政状況のことであるから、それがそのまま八百億加算された形で要求どおりというような形に結果的になるかどうかということについては大変難しい話であろうから、今後いろいろ相談をしていくということを申し上げているわけであります。  今黒柳先生おっしゃいました来年度のGNPとの関係で一%を超えることになるのか、こういうことでございますが、来年度のGNPにつきましては、今後経済企画庁がこの十二月には御発表になるかと思いますが、既に御発表のありましたGNPの五十八年度価格の基準改定による増という部分がございまして、その後のはね返りが一体どういうふうになるのか、私どもこれはうかがい知る立場にございません。いずれにいたしましてもその数字はその数字として企画庁から御発表になると思いますけれども、その数字との兼ね合いにおいて一%を超える額に必然的になるのかならないのか、そこのところはいろいろな不確定要素、つまり分母の分も不確定ならば、分子につきましても先ほど申し上げましたようにこれから大蔵省の方といろいろ御相談をして決めていく話でございますから、直ちに今黒柳先生おっしゃったようなことにはならないかと存じます。
  135. 黒柳明

    黒柳明君 だけれども、数字だけをそろばんはじきますともう一%は超えているのだということだ。――時間が超過して申しわけありません。
  136. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 十一月十九日から米ソの首脳会談が行われて共同声明が発表されました。レーガン、ゴルバチョフ両首脳が、核戦争に勝利者はない、核戦争は絶対に戦ってはならないということをお互いに確認し、核兵器の五〇%削減を目指そうということを述べ、また、米ソの首脳会談を来年、再来年続けていこうということになって、これは言うまでもなく積極的なことだった。同時に、我々の重視しておりますのは、皆さん御承知のように一月八日のグロムイコ、シュルツの米ソ共同声明でジュネーブ交渉の最終交渉の目標としてあらゆる分野における核兵器の廃絶という、米ソの共同の文書でかつて入ったことのない文言が入っていたことです。ところが、これが今度の共同声明には一切触れられていない。そうしますと、お互いの戦略的安定なるものを目指す交渉では、これはこれまでの抑止と均衡に基づく不毛の交渉にならないという保証がないわけです。この点私どもは非常に重視して、核兵器廃絶、核戦争阻止の世論、運動を大いに強化しなきゃと思っているわけです。  しかし、そういう問題が大きくありながらも、八〇年代前半の状況を考えてみると、八〇年代初頭にあったパーシングⅡ巡航ミサイルのヨーロッパ配備等々、またアフガニスタン問題等々、非常に危険な情勢をみんなは心配したのですけれども、それが核軍縮の方向に、とにかく国際政治の空気がまた米ソの話し合いという方向に変わってきたこと、これは非常に重要な変化だと思うのです。ところが、日本は極めて残念なことに唯一の被爆国としてこういう核軍縮、平和共存の方向に努力するというのではなく、むしろ日本の核基地化はますます重大な進行を見せているという事態にあるわけです。これは私は、今の日本の中曽根内閣の世界の世論に対する危険な挑戦で許すことができないと思っております。  きょうは幾つかの問題について質問をしたいのですけれども、核基地化の重大なあらわれの一つとして青森県三沢の米軍基地のF16問題があります。私どもこの参議院の外交総合安全保障に関する調査特別委員会委員派遣で青森の三沢に十一月七日に行ってまいりました。ソ連側は、ゴルバチョフ政権のスポークスマンのザミャーチンが、五〇%削減という核兵器の中にはソ連に届くものとして青森の三沢のF16が入っているということを述べているのです。そうしますと、この間行って、ライアン司令官にも迎えていただいて、スライドまで映写し、質問もしたのですけれども、そのときの説明だと、九月までにもう既にF16、これは核攻撃機、その能力を持っていることは防衛庁も認めているのですけれども、二十七機あるのですね。もし米ソが五〇%削減ということになれば、単純計算したってその半分に本来しなきゃならぬものなのです。ところが、そのときの説明では昭和六十二年、二年後にはこれは五十四機になる、二番目の飛行隊が来るということです。これはだから、F16という物すごい核攻撃機が現在 二十七機だけれども二年後には五十四機に、二倍になる。ソ連側がソ連に届く核攻撃基地として重視しているF16の二倍になるという状況が進んでいるわけですね。  西廣防衛局長にお伺いしたいのだが、防衛局長というのは何も軍拡ばかりやっているのが仕事じゃないので、日本の安全ということを考えるのだったら軍縮問題にも当然関心を持つべきだと思うのですが、米ソ首脳会談での例えば五〇%削減を目指すというような合意に対して、青森の三沢の、ソ連のサハリンの南部、千島の南、それから沿海州に届くという、そういう答弁を新井参事官がもうされているわけですけれども、そういう三沢のF16部隊がこのまま今度増強されつつあるという事態に対してあなた自身はどうお考えになるのか、まずお聞きします。
  137. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 三沢にありますF16が、ソ連側が指摘するように純粋に戦略核兵器の中に数え入れるものであるかどうかということについて私は大きな疑問を持っておりますが、いずれにしましても三沢に配備されておるF16に匹敵するような航空機、それをソ連についていえば、一九七〇年代以降過去十年間にでもソ連の航空機というものはどんどんそういったたぐいのものがふえてきておるという事実もやはり着目しなくてはいけない。仮に今先生の御指摘になった戦略核兵器の五〇%削減というものがあるとすれば、それの中に三沢のF16も含むべきだというお話であれば、我々としては沿海州その他極東にあるF16と同様に核運搬手段となり得る航空機がやはり半減される、二分の一に減ぜられるというような事態になれば同じような形でF16は半減する、あるいはそういったことも可能であろうかと思いますが、現状においては我が国周辺のその種航空機の勢力推移を見ますと、アメリカは決してそうふえていない、それに対してソ連は非常にふえる、あるいは能力向上が著しかったというように考えざるを得ないのではないかというように考えております。
  138. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 相互削減なら必ずしも反対でないという趣旨のように受け取っておきます。  F16がソ連の言うように核基地に数え入れることには必ずしも賛成でないと言われました。この問題は、参議院でも十一月一日に矢田部議員がF16の核爆弾投下のボタン、スイッチについて質問して問題になりました。私どももライアン大佐に案内されてF16を見たのですけれども、我々は操縦席に座るというのじゃなくて、操縦席の風防の外から中を見た程度だったのですが、私、ライアン大佐が質問をどうぞと言うので一つ質問をしたのです。矢田部議員も質問しているのだけれども、横田の第五空軍司令部の副司令官のトーナー准将という人が、F16の乗組員は核兵器取り扱い訓練を受けているということを記者会見で述べて、河北新報にインタビューが載っているのです。  それで私、ライアン大佐にそのことを聞きました、どうだと。そうしたらライアン大佐は、本当にその新聞に載ったかと、載ったと言いましたら困ったような顔をして、現地司令官としてはお答えできません、どうぞ横田の第五空軍司令部に直接聞いてくださいという返事でして、つまり否定しなかったです。だからトーナー准将が述べたように、これは当然のことです。三沢のF16というのは、韓国のあれは群山と読むのですか、あそこのF16と同じ部隊ですから、当然そこの乗組員が核兵器取り扱い訓練を受けている、日本に来ても行っているというのは余りにも当然のことだと思います。  なお、もう一つ私が質問したのは、これもいろいろ問題になりましたけれども、アメリカの議会でも議論されたことで、三沢の基地にF16用の大型弾薬庫等々の建設が進んでいるというのでこの問題も聞きました。もう既にできているというのがライアン大佐の返事でした。天ケ森射爆場に対して模擬核爆弾の投下訓練をやっていることはこれも我々国会で取り上げて、政府は当初これを中止させるかのような態度をちょっとほのめかしながら、実際上はこれを認めるという態度にその後変更が進んだことも明らかで、あそこのF16は核爆弾が本当に持ち込まれているかどうかは別として、核兵器の取り扱い訓練を行い、核模擬爆弾の投下訓練も行い、着々と核攻撃能力を持つ米軍基地として強化されつつあるのです。そのことはもう極めて明白です。非常に重大問題だと思う。  こういうことを西廣さんに聞いても、いや核兵器はございません、非核三原則を守っております、事前協議はまだありませんというようなことをおっしゃるのだろうと思いますので、私はもうその問題は聞きませんが、ただ一つ聞いておきたいのは、ライアン大佐に私もう一つ最後に聞いたのは、第七艦隊のマッカーシーという司令官が十月十九日に三沢に来て記者会見して、この三沢基地というのは太平洋地域防衛の拠点だと述べた。そのことを挙げて、あなたはこの三沢基地を戦略的にどう思うかと質問をしました。彼は答えました。もっとも通訳で、私は聞いてメモをとったのでどれだけ通訳が正確に通訳してくれたか、これは保証の限りではありませんけれども、大体言ったことは、まず十四年ぶりのアメリカの戦闘機部隊の本土常駐であると、これは確かですね。七一年にF4ファントム部隊が本土から撤退して十四年ぶりに米空軍の戦闘機部隊が、沖縄は別として日本本土に常駐したということですね。それから海峡に近い、それからソ連に近い、ソ連軍は増強されているという点で戦略的にも非常に重要な拠点だと思うと、そう彼は述べたわけです。  新聞を見ますと、十月十九日に第七艦隊のマッカーシー司令官が三沢に来たときに、海峡封鎖問題がやはり質問で出たのです。米海軍海上自衛隊の役割分担などの質問に対しては返答を避けたいとかわしたということが新聞にも載っております。返答をかわしたにしろ海峡封鎖との関係があることをマッカーシー司令官も認めている。それからライアン大佐も海峡に近いということを述べたのですね。津軽海峡、宗谷海峡の例の三海峡封鎖とこのF16基地並びに自衛隊との関係、これはどういう構想なのか、この点なら局長もお答えしてくださるだろうと思いますので、この一点質問しておきます。
  139. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 宗谷海峡なり津軽海峡あるいは対馬海峡もそうかもしれませんが、その占める戦略的な価値というものについては、私は日本が好むと好まざるとにかかわらず非常に重要なものがあろうと思います。それは大陸にある壁、例えばソ連の海軍力なりが大洋に進出しようとすればそれは必ず通らなくてはならない狭い海域であるということで非常に戦略的な重要性を持っているということは事実であります。したがって、この地域に対してソ連が強い関心を持っていることも我々は十分承知をしております。  それは例えば、二次大戦の終わり際にスターリンから当時のトルーマンに対して書簡が行って、占領したいという地域に北海道の東北部が入っておったり、あるいは朝鮮半島すべてを占領したいというようなソ連側の希望があったことにもあらわれておりますし、あるいはまた、日本との講和条約に際してソ連側の提案しておった反対提案の中に、この三海峡に面した地域及び根室海峡等の地域の非武装化等が提案されておったということで、ソ連にとって非常に関心の高い戦略的要域であるということは十分認識をしております。しかしながら、いずれもその海峡、津軽海峡についてはその両側とも、宗谷海峡については北海道側、対馬等についてもそうでございますが、日本の固有の国土でありますのでそれについての防衛というものは我々にとって非常に重要なものであるし、さらに言えば、今申し上げたように歴史的に見てソ連が非常に関心を持っておる地域であるということで、これについての防衛というものについて我々は常々心しておかなくてはならないというようには考えております。
  140. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 海峡封鎖とF16基地との関係はどうですか。
  141. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) F16の配備については、先生指摘のように、F4が撤収して以来十数年ぶりにこれは配備されたわけでございます が、私は三沢に配備されておる二十数機のF16あるいは今後配備される五、六十機のF16というものが北方領土あるいは樺太、沿海州に対して攻撃的な意味で何ほどの意味があるかということになれば、それに十倍する兵力というものを保有しておるソ連に対してさほどの脅威にはなり得まいかというように考えております。しかしながら、我々は常に米ソというものは最もお互いにやはり警戒し合い、しかも相手の力というものを十分承知しておるので、米ソはなかなか戦わないという前提に立って我が国の防衛戦略というものを考えておりますけれども、その際に日本にとって一番ある意味では危険である区域、北日本に近いところに米軍の現実の兵力が存在をしておるということは、米ソがそういう意味でなかなか戦わないのだという前提に立ちますとソ連にとってかなりの抑止力になる、アメリカとの直接的な戦闘に入らないようにするためには相当用心しなくてはならないという意味で抑止効果は非常に高いものであるというように考えております。
  142. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ライアン大佐はもう一つ私の質問に対して、自衛隊の千歳の北部航空方面隊とこのF16とがたしか十一月、もう十一月は終わっているのだけれども、共同訓練をやる予定だということも答えられた。我々は今度北部方面隊の三沢基地をも見学しましたが、千歳のF15とF16の共同訓練というふうに私は理解したのです。よく言われることですけれども、F16は核攻撃機能を持っているのだけれども、その援護に日本の自衛隊のF15が使われるのではないかと、これは国会でも問題になったことがあります。そのF16と自衛隊のF15の共同訓練が始まったのかと思うのですが、もう既にそれは行ったのですが、それとも近く行う計画があるのですか。ライアン大佐の指摘した問題、お伺いしておきます。
  143. 大高時男

    政府委員大高時男君) ただいま御質問の三沢のF16と千歳のF15の共同訓練計画でございますが、従来から航空自衛隊におきましては米軍との共同訓練を機会をとらえて積極的に行ってきたわけでございますが、三沢のF16が共同訓練に参加できる体制となりましたので近々訓練実施いたしたいというふうに考えております。  現在考えております計画といたしましては、十二月十二日から十二月十七日までの間におきまして、場所は千歳、三沢両基地、それから訓練空域につきましてはG、C、航空自衛隊は第二航空団のF15八機程度、それからまた第三航空団のF1八機程度等、それからさらに米軍の方につきましては嘉手納に駐在いたします第一八戦術戦闘航空団のF15十機程度、このほかただいまお話しのありました第四三二戦術戦闘航空団F16八機、そのほかE2CあるいはAWACS、こういうものをもって訓練を行おうというふうに考えておりまして、訓練の内容といたしましては戦闘機戦闘訓練、異機種もございますし、それからまた援護戦闘訓練、要撃訓練といったものを現在考えております。
  144. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 自衛隊にE2Cも入るのですか、今の中に。
  145. 大高時男

    政府委員大高時男君) そのとおりでございます。
  146. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やはり私らの予想した以上の規模で日米共同訓練、共同演習が進んでいるということが今の答弁からもよくわかります。F16とF15だけでなくE2C、それからアメリカのAWACS、こういうものも参加をしてかなり大規模で立体的な訓練にいよいよ進みつつある。やはり空の日米共同演習の危険な進展がそこまで来ているのかということで私は非常に重大視したい。  十一月二十九日にオランダ政府は、オランダがNATO軍の一翼として持っている六つの核戦力任務のうちF16戦闘機とオライオン対潜哨戒機の二つの核任務を放棄することを決めだということが新聞で大きく報道されたわけです。F16についてはこの戦闘機二個中隊の核爆弾投下装置を取り除くというのです、オランダ政府が。それを決めたのです。NATO参加国ですよ。三沢のF16は核爆弾投下装置も持っています。ボタンもあります。我々は確認をしてきたのです。オランダ政府が核爆弾投下装置は取り除くというのです。日本は非核三原則を持っているのですから、当然少なくともF16の核爆弾投下装置を非核三原則の見地から取り除くべきだと思うのです。局長とうですか、非核三原則に照らしてせめてオランダ政府くらいのことをやることは、検討もできないというのが日本政府の態度ですか。
  147. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) オランダとの比較についての御質問でございましたので、外務省の方から答弁をさせていただきます。  オランダがINF核ミサイル四十八基を自国に配備することと引きかえに、F16について核任務の放棄を行ったということは我々も聞いております。しかし、従来から御説明しておりますとおり、F16が核搭載能力を有することと実際に核弾頭が、核兵器が搭載をされることは別でございまして、我が国への核の持ち込みにつきましては事前協議の対象であり、米側から事前協議を申し入れられればこれは既に我が方として拒否するという方針でございますので、我々としては十分それで立場が確保されているわけで、私どもは米側にF16の核関連装置を取り外すといったようなことを申し入れることは全く考えておりません。
  148. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そういう呪文みたいな話を国会でもうやらないでほしいと思うのです。あなたも信じていないようなことを委員会に出てきてしゃべる必要はないです。  もう時間がありませんので思いやり予算問題なんか余り聞けないのだけれども、この三沢基地の増強ぶりというのは恐るべきものであります。一々質問しませんが、例えば「世界」の十一月号の記事によると、これもデータはきちんとしていると思うのですけれども、何と米軍用に最終的には九階建ての高層住宅を含めて九百五十戸の住宅をつくるというのです。これだけは一つ聞いておきたいのですが、ライアン大佐の説明だと、来年までF16の乗組員は四十五名だというのですがそれが全部来るのだ。F16が五十四機で乗組員四十五名か、それで新しく新規住宅の建設がどんどん進んでいますけれども、何で九百五十戸も必要なのですか、この理由だけは一つ聞いておきたいと思うのです。
  149. 宇都信義

    政府委員(宇都信義君) お答えいたします。  三沢飛行場に配置されますF16は、米軍からの説明によりますと、六十年度から四年間程度の間に四十機ないし五十機ということでございまして、その関係で三沢に配備されます米軍人、軍属、家族数等は総数で約三千五百人と承知しております。その三千五百人の隊員あるいは家族等のために建設します住宅が先生おっしゃられますように九百五十戸ということでございます。
  150. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、五十四機来るのに家族を含めて三千五百人、大増強が進んでいるわけですね。飛行シミュレーター訓練施設、地上式や半地下式の武器、器材などの貯蔵庫増、新設、核、恐らく配備でしょう、弾薬庫の新設等々、住宅、学校、消防署、道路、F16のエンジンテスト装置等々が米軍の費用並びに日本国民の税金で今つくられているのです。アメリカの側は、F16支援のための施設建設費として、八四会計年度千八百七十万ドル、在日米軍基地全体の予算請求額の半分弱だ。八五年度は三分の一。だから物すごい意味を持っているのです、このF16の基地建設というのは。八四年度は在日米軍の基地予算の半分というものをあそこへつぎ込んでいる。日本側も物すごい金をつぎ込んでいるわけだ。私はこういう危険な基地のF16の撤去を断固として要求します。あなた方には答弁を要求しません。これは今後の闘いによって決まると思います。  日本の核基地化の非常に重大化しているもう一つの問題、これは横須賀の核トマホーク積載と思われる攻撃型原潜の入港の頻度が非常に多くなっているということです。私は資料を請求して、いただきました。外務省からいただいた資料を見ても大変な状況なのですが、アメリカ海軍が核トマホークをどういう船に積むかということを昨年ある程度公表したのです。その中の攻撃型原潜についてアメリカ海軍が公表した中身をまず外務省に 答弁していただきたいと思います。
  151. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 御指摘のとおり、八四年三月一日米下院歳出委員会のもとの国防小委員会におきまして、公聴会の記録の中に、国防総省の見解として、米海軍が核弾頭搭載のトマホークの積載能力の付与を予定している艦船の船級と隻数を年度別に示す表がついております。この表については御承知かと思いますが、御説明いたしますか。
  152. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いいです。  やはり外務省のつかんでいるのも、朝日の去年の七月九日付で報道された表ですね、この表を見ますと、ロサンゼルス級攻撃型原潜、これは一九九〇年までに四十四隻核トマホークが装備される。スタージョン級攻撃型原潜が、これは九二年までに三十九隻なのですね。ことし、今八五年十二月ですから、この八五年の数字を見ますと、ロサンゼルス級攻撃型原潜はVLS搭載というものを含めて十七隻核トマホークが積載され終わることになります。スタージョン級は一隻です。  外務省にお伺いしますが、今年度このロサンゼルス級攻撃型原潜の横須賀入港状況、それからスタージョン級攻撃型原潜の横須賀寄港状況、それが米国防総省が公表した数字その他と照らし合わして核つきトマホーク装備艦だと思われるものがあるのかどうか、こういう点について答弁いただきたいと思います。
  153. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 私どもの方でつかんでおります数字では、今年度に入りましてロサンゼルス級の攻撃型原潜の我が方への寄港回数は十三回、スタージョン級については九回でございます。それが核弾頭を持ったトマホークを積載している可能性があるかどうかということでございますけれども、米海軍の艦艇の具体的な装備につきましては、それが軍事情報にかかわるものでございますし、個々の艦船について核弾頭を積載したトマホークが果たして搭載されているのかどうかということはもちろん一般的にもわからないわけでございます。  ただ、私どもの立場としては、先ほど申し上げましたように米側から事前協議がない。したがいまして、一隻も核をつけたトマホークを積載していることはないと存じます。
  154. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 極めて子供だましみたいな話だと思うのです。つまり、八五年はロサンゼルス級は十七隻核トマホーク積載済みになるわけです。九〇年に四十四隻ですから、確率でいえばほぼもう半分核トマホークを積み込んでいるわけです、アメリカの攻撃型原潜は。それがことし横須賀に十三回、隻数でいうと七隻でしょう。七隻、十三回もう横須賀に入っているわけだ。すると、確率からいってもこれは半分以上です。恐らく太平洋の重要な第七艦隊が横須賀に来るのだから、核つきトマホークであろうと思われるわけだ。  それで、ヒューストンという攻撃型原潜、これは十月、十一月に、私のいただいた資料では二回横須賀に入っている。このヒューストンについては、イギリスの最も権威あると言われているジェーン年鑑が、核トマホーク配備済みだと公表しているのです。これが十月、十一月、二回入っている。  それから、アメリカのこの核トマホーク問題を取り上げている市民団体が、もう核トマホークを搭載済みだといって公表している攻撃型原潜は、ラホヤとサンフランシスコとバッファローです。サンフランシスコが二回入っている。バッファローは十月に入港。ですから、市民団体がもう核トマホーク積み込み済みだと天下に公表したラホヤが一回入っている。アメリカの市民団体が、恐らく確実な根拠を持って核トマホーク搭載済みだと確認した攻撃型原潜が三隻含まれているわけです。  それで、この入港回数は恐るべきもので、私のいただいた資料では、横須賀は今年度もう既に二十八回です。これまでベトナム戦争のとき、七二年二十一回が最高です。去年とおととし二十三回、これは史上最高と言われたのだが、ことしは十一月までで既に二十八回。五十年代には一年間六回などという数字があったぐらいですからね。恐るべき頻度で核トマホーク配備を、昨年アメリカ国防総省が発表して以後、横須賀に攻撃型原潜の頻繁な入港、これはもう完全な母港化だと思うのです。非常に危険な事態になっている。  外務省にひとつお伺いしておきますが、大体攻撃型原潜は、一九九〇年には四十四隻が全部核トマホーク積み込み済みになるわけです。すると、一九九〇年になっても攻撃型原潜が横須賀に入ってくるとすると、これは事前協議の申し込みがないから日本に来るのだけはありませんというふうにはならぬと思うのです、アメリカの攻撃型原潜全部に核トマホーク配備が終わるのだから、一九九〇年には。そのときこれは断わりますか。
  155. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 先生よく御承知のように、トマホークには核、非核両用のものがあることに加えまして、今米国が進めておりますのは、それぞれの攻撃型原潜にトマホークの積載能力を付与するということでございまして、現実にそれに基づいてトマホークミサイルが積載されるかどうか、これは全く別問題というのが我々の了解でございます。
  156. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 また呪文を聞かされました。ロサンゼルス級、スタージョン級、あるだけの金を使って核トマホークをつくって、国防報告がどんなにトマホークを重視しているか。八六年度米国防報告でも、このトマホークが攻撃型原潜でソ連の地上目標を撃てるのですよ。そういう能力を持っているということを随所で言っている。そういう能力を持たせただけで、積み込むか積み込まないかはまた別問題と、こんな話が通用する世界はどこにもありません。そういうことを公然と国会で答弁して通しているということには、極めて本当に国民に対する私は挑戦だと思って抗議するものであります。  この核トマホークの横須賀寄港、これは佐世保にも寄港が進んでおりますけれども、先ほど取り上げたF16問題とあわせて、日本がアメリカの第一線の核基地として恐るべき規模と速度で強化されつつある。唯一の被爆国であるにもかかわらず、また国是非核三原則と言われながら、実際に核基地として強化されている事態を示している。トマホーク積載の攻撃型原潜というのは、一隻でこの核攻撃能力は、ブルッキングズ研究所の論文によりますと空母機動部隊に匹敵するというのです、海の中からわからぬところから撃てるから。空母機動部隊に匹敵する核攻撃能力を一隻で持つのです、トマホーク積載攻撃型原潜というのは。たった一隻といったって大変なもので、それが横須賀にこんなに頻繁に入り出したら、核積載の空母機動部隊がうようよ日本の周りにいて、日本の横須賀、佐世保を母港にしているという本当に危険な状況。もし米ソ戦が始まったら、日本はそれこそ核戦場になる。日本が核戦場になるだけじゃなくて、これはアメリカの国防総省でさえ認めている核の冬で人類が絶滅するという事態が確実に引き起こされるわけです。そういう事態の促進に手をかしている政府の姿勢に私は怒りを持つものであります。  私は、この二つのF16と核トマホーク積載攻撃型原潜の寄港の頻繁化は去年から進行している非常に危険な事態だと思いますけれども、きょうの委員会でも質問になりましたシーレーン防衛だとか洋上防空、実はこれも防衛、防衛と言いながら、アメリカの危険な核戦略を補完部隊として支えるというものでしかないという問題に進みたいと思います。  洋上防空の問題ですが、これは先ほどOTHレーダーの問題も含めて黒柳議員も質問しましたし、それから堀江議員も午前中質問したのでもう中身には余り詳しく立ち入りません。しかし、ひとつお伺いして確認しておきたいのは、総合的な洋上防空システムとして防衛庁が考えているシステムがカバーする空域は一千海里シーレーンの上空よりもかなり広くなるようですけれども、沿海州の上空まで届くのだ、かなり広いものだとそうお考えになっていますか。それは確認できますか。
  157. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 洋上防空として考えて おります私どもの考え方は、前々から申し上げておりますように海域そのものあるいは海上そのものを守るということではなくて、我々が必要としておる海上交通を保護するための防空でございますので、我が方の船舶が有事といえども、どうしても航行しなくてはいけない部分というように考えておりますので、今先生の御指摘のような一千マイル、我々通常実際の行動範囲というものは一千マイルを必ずやるとか、あるいはそれを絶対超えないとかいうものじゃないというふうに申し上げましたから必ずしも明快に申し上げることはできるわけではございませんけれども、それほど広い海域になるとは考えませんし、それができるというふうにも考えておりません。また、たまたま今御質問の中に沿海州云々というようなお話がありましたけれども、有事、我が方の航空優勢の状況その他から考えますと、日本海、沿海州に近いところ、あるいはオホーツク海とかというようなところに我が船舶が入り得るというようにはなかなか考えられませんので、その種の洋上防空というものはほとんど考える余地がないというように考えております。
  158. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、防衛区域という言葉を皆さん使っているかどうか、防衛能力の整備目標の範囲とかいろいろ言われているようですけれども、シーレーン問題が起きる前の領土、領空、領海を防衛するという時代、それからその他の作戦行動の範囲とか、あるいは防衛力整備の目標ということで周辺数百海里、それから一千海里の航路帯というふうに言われていた時代と比べますと、シーレーン防衛ということで非常に広がったことは明白です。  アメリカの議会調査局が八二年の一月にアメリカの議会に提出した文書によると、シーレーンの海域とはグアム以西フィリピン以北の三角形の海域だとはっきり書いています。だからアメリカはそういう解釈だと。シーレーン防衛ということでかなり日本防衛の区域の飛躍が行われた。領土、領海、領空の防衛だったのが今度は一千カイリの、アメリカ側の解釈によればグアム以西フィリピン以北の三角形の海域の防衛を日本が受け持つことになったと国防報告にもあり、公然と言われていることだけれども、一九九〇年までにこのシーレーン防衛の能力を日本が持てというのがアメリカの強い要求であることは明らかです。  今度は洋上防空で第三段階として、今防衛局長は沿海州までは入らない、オホーツク海も入らない、日本海全部も入らないと言われたけれども、この三角形の海域よりももっと広いところに、アメリカ側のあの法律によるとエアレーンとかエアスペースとかいう言葉まで使われている。そういうところにまで広がってきたという非常に重大な日米安保条約のいわゆる範囲の条約そのものさえ無視した、また、専守防衛という政府が今まで言っていた概念をも無視した拡大が進行していると私は思う。  そのことは議論にしないで、客観的事実がそのことを証明しているということを私は指摘して、次にお伺いしたいのは、こういう洋上防空のシステムなるものがアメリカの国防報告に言う縦深防御構想というものと一致しているのじゃないかという問題です。ここに私はアメリカの国防総省の国防報告の八三年度からの該当部分のコピーを持ってきておりますが、この縦深防御構想なるものがあらわれ始めたのは八三年度の国防報告からです。八三年、八四年、八五年までずっと書かれております。八六年度、一番最新のアメリカの国防報告でも、対空戦計画、AAW計画として同じ構想が述べられている。この中身について簡潔に説明してほしいと思います。
  159. 古川清

    政府委員古川清君) 御指摘いただきました縦深防御、これは英語でディフェンス・イン・デプスと言っておりますけれども、これが発展的に最新の国防報告におきましては多層防御、レイヤードディフェンス、つまり何層にも分けて防御をするという構想でございます。  この構想の発端になりましたのは、ソ連のミサイルというものが非常に発達いたしまして、昔は五キロとか十キロでございましたけれども、今は百キロあるいは二百キロ、三百キロ、全然船から見えないところから発射をされまして、これがマッハ二とか二・五とか非常に早いスピードでやってくる。なかなか撃ち落とせるものではない。それから逆に今度は、亜音速の巡航ミサイルになりますと、海上数メートル、十メートルというふうなところを飛びますと、これはレーダーには全然入ってこない。そういった点から、武器の進歩からどうやって守るかという構想でございまして、この構想のポイントは、一番外、真ん中、それから艦隊のそばと三つに分けまして、まず、一番外の方はアウター・ゾーン・プロテクション、外郭区域防御、それから、二番目には、エリアディフェンス、エリアを守る、最後に、どうやっても来たところはポイントディフェンス、要するに船なり基地を守る、こういったことで、基地を守ろうという構想でございます。  その方法といたしまして、一番外の方は、ともかくミサイルや何かを撃たれる前に発見をしてしかるべき措置をとろうということで、外郭区域防御につきましては、早期警戒機あるいは戦闘要撃機あるいは電子機器等を使いましてこのミサイルを撃てないようにしてしまう。それから、その間をくぐり抜けてきたものについてのエリアディフェンスにつきましては対空戦闘艦艇、つまり船に載せておりますミサイルに対するミサイル、例えばSM1とかSM2とかターターとかいろいろございますが、爆撃機ないしは発射されたミサイルを撃ち落とす。そこでも船まで来てしまったミサイルに対しましてはポイントディフェンスということになりますが、これは短距離の要撃ミサイルあるいはCIWSと言われておりまして、一分間に数千発も出る機関銃でこれを撃ち落とす。あるいはデコイ、おとりを使いましてミサイルが別のところに当たってしまうというふうな電子戦システムを使おう、こういう構想を全体を総合いたしまして縦深防御構想あるいは多層防御構想というものと理解をいたしております。
  160. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 OTHレーダーもこの構想、特に今言われた外側防御と密接な関連があると国防報告に書かれていると思いますが、いかがでしょう。
  161. 古川清

    政府委員古川清君) 必ずしも私どもとしましては、これは直接関連があるかどうかわかりませんですけれども、OTHレーダーの性能という点からいたしますれば、外郭の、一番外側の防御のためにデータを収集するという観点から利用価値があるものと考えております。
  162. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 八五年度の国防報告の当該部分を持ってきておりますけれども、今の御説明のあった縦深防御構想の対空戦、AAW計画、四十四ページにあります。四十五ページには図が出ています。四十六ページには「広域監視と指揮・統制」として、「我々の外側区域防御の有効性を最大限にするため」、「早期の攻撃警報を得る必要がある。そのためには広域監視の改善が必要である。このため、我々は、千八百マイルまでの探知距離をもつOTHレーダー・システムの開発を続けている。」とはっきり書かれている。  つまり、縦深防御構想、アメリカの国防報告に八三年度から毎年書かれてきて、今年度の国防報告では多層防御アプローチ、多層防御と書かれたものはまさに文字どおりOTHレーダー、エイジス艦も含めて、もう防衛庁の言う洋上防空そのものなのです。つまり、アメリカも八三年度からこういう縦深防御構想なるものを考え、推し進めてきて、その一端、OTHレーダーをあっちこっちに置きますけれども、あくところができますから、ここはひとつ日本にやってもらうというので、この洋上防空システムを頼んだと思うのです。いかがですか、この洋上防空システムとアメリカの縦深防御構想、本質は全く同じでしょう。
  163. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今御指摘の縦深防御構想というのは、私の理解するところでは、最近の軍事技術の進歩に応じた一つの戦術的な構想であろうというふうに思います。したがって、我々としてそういう最新の戦術的な構想、新しい考え方 というものについて無関心ではもちろんないわけであります。しかしながら、この構想というのは、あくまで例えば大規模な機動部隊といったものを守る、そういうときに今の攻撃側の兵備から考えると、この種の縦深的な防空構想というものが、戦術というものが要るのだという考え方だろうと思いますが、それじゃそれがそのまま我々の持っておる防衛力適用されるかというと、私は必ずしもそうではないというふうに考えております。  比較的それに近い対応として考えられますのは、例えば北海道なら北海道に既に侵攻が行われておる、そういうところに我が方の増援部隊をどうしても輸送しなくてはいけない、あるいは最小限必要な戦略物資、弾薬とかそういった補給物資を送らなくてはいけない。そういうときに船団を組んでそれを仮に相手方が相当な航空優勢を確保していようが、その中を冒してでも持っていかなくてはいけないという場合があろうかと思います。そういうときには、当然のことながら我々としてはできる限りのエアカバーをつけて損害の少ない状況で北海道までの輸送を確保しなくてはいけない。  その際に、できる限り広域にわたり、かつ縦深的な防空の傘をかぶせて、そういうことを実行するというときにはやや似たことも考えられますが、それにしてもその場合の広がりというものは、決して今先生が御指摘になったような広がりよりははるかに小さな傘で済むのではないかというふうに考えております。  我が方が洋上防空構想として考えておるものはそういったものと、もう一つは太平洋上におります我が方の商船なり、そういったものの防空をどうするかということでございますので、こういった商船をねらうために相手方の航空機がどの程度までの力をそれに注ぐかということになりますと、それは仮にも商船等でございますから、相手としてもそう全力を投じて大部隊が空からかかってくる、あるいはクルージングミサイル等が対応されるというふうには考えられないわけでございまして、そういったものに対応するためには我々としては最も資源配分が少ない形でこの防空を全うしようと思えば、まず広域の哨戒といいますか、警戒監視を行って敵の動静を知る。しかる後にできればその攻撃を回避するような航路をとるとか、そういったのが一番望ましいわけであります。  仮に回避が不可能な場合には、早期に探知した目標に対してこちらがある程度要撃できる態勢をとっておれば、相手方としてもそれほど自由勝手な行動はとれませんので、その種攻撃そのものが自制するのではなかろうかというようなことを考えておるわけでありまして、今先生の御指摘のような最新の、しかも非常に重要なものを防衛する縦深防衛構想といいますか、防御構想といいますか、そういったものがすなわち我々の洋上防空構想とイコールであるとか、それにその一環として考えておるということではないということを御理解いただきたいと思います。
  164. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全く同じですよ。もうきょうは時間がありませんから繰り返しませんけれども、今までの説明でもバックファイアが来るとOTHでざっとつかまえて、早期警戒機を飛ばして要撃して、それで撃ち落としたのは、今度はエイジス艦でと、全く同じことが書いてあるのです、八三年度のアメリカの国防報告に。  今、局長は、日本の商船をそんなに物すごいもので攻撃しないでもいいみたいな話をされましたけれども、大体先ほどの説明にありましたように、アメリカの縦深防御構想というのはアメリカの空母戦闘群に対してソ連のバックファイア、あるいは船からミサイルを撃ってくる、特に低く飛ぶ巡航ミサイルを撃ってくる、そういうのに対してどうするかというので発達してきたのです。特に巡航ミサイル局長、バックファイアや巡航ミサイルを日本の商船に対して発射するなんということを考えられますか。バックファイア、巡航ミサイルはアメリカの空母部隊ですよ。ことしの八六年度国防報告にも「われわれの空母戦闘群が採用している防空システムは、この多層防御アプローチの例証となる。」とはっきり書いてある。空母戦闘群。OTHレーダー、エイジス艦、全部国防報告に書いてあるとおりです。  それで、エイジス艦というのは一体何だ。局長、エイジス艦というのは一体対象は何なのですか。何を守るのですか。
  165. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほど申しましたように、スタンドオフ攻撃といいますから、離れたところからクルージングミサイル等を用いて攻撃する、そういったミサイル、対ミサイルミサイルを搭載した艦だというふうに考えております。
  166. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これも八五年度アメリカの国防報告にエイジスシステムについて、「海上の高速巡航ミサイルを探知、要撃するのに利用可能な、もっとも高度な技術」を持つと、これはそうでしょうな。巡航ミサイルを撃たれて、これをばっと捕まえて撃ち返してミサイルそのものを撃ち落とす、このためにこういう最高度の二千億円もするエイジス艦が要るのです。それをなぜ日本が持たにゃいかぬか、なぜOTHレーダーを持たにゃいかぬのか。これはアメリカの空母機動部隊が対象なのですから、バックファイアも巡航ミサイルも主なものは。それを守るのにアメリカが開発したのがこの構想でしょう。それと同じものを日本が持とうと。そうすると、シーレーン防衛で日本の商船を守るとかなんとかかんとかおっしゃっているけれども、そうじゃないじゃないですか。日米共同作戦で第七艦隊、アメリカの空母機動部隊を日本の自衛隊が守ろう、その一端を担うためにOTHレーダー、エイジス艦等々まで備えて空中給油機も入れてということになる以外にないじゃありませんか。アメリカの空母機動部隊をいざ有事の場合に、日米共同作戦している場合に、これは公海ですよ、公海なのだが、一千海里シーレーンの範囲でアメリカの空母機動部隊をも海上自衛隊は、あるいはこの洋上防空システムは守ることもあるのだとお認めになりますね。
  167. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これはたびたびお答え申し上げておることでありますし、先ほども私は二つに分けて申し上げたと思いますが、何度も申し上げますように、我が方の商船が洋上はるか離れたようなところにおる、そういうところでまさに先生のおっしゃるとおり、クルージングミサイルで商船そのものが攻撃されるというようなことはまず考えにくいというふうには思っております。したがって、そのような重要な相手がクルージングミサイルを使うかもしれないというような状況で一番私が想定できると申せますのは、先ほど申したように、仮に北海道等にもう既に侵攻が行われており、そこに陸上部隊の増援部隊を送るとか、あるいは弾薬等の物資を送る、そういったものについては船団護衛をしてきっちりと守って送るわけでありますが、これは何も我が方の陸からの本土防空の傘の中だけでは、場所が既に相手が侵攻しているような地域でありますから、当然ながら敵の航空優勢ということも考えておかなくてはいけない、そういうところでもなおかつ輸送は果たさなきゃいかぬ。そういうときにミサイル攻撃ということも当然考えられるので、それの対応策も研究の対象になるということを一つの分野として私はお答え申し上げております。  もう一つ、洋上を遠く離れた地域に対して非常に足の長い航空機が出てきた、あるいは優速な航空機が出現した、それに対してどう対応するかということについては、そういったものに対して個々に対応するというようなことは労多くして功少なしといいますか、非常にこちらの兵力がたくさん要りなかなか対応が難しいものであるので、それに対しては、まず非常に広域の早期の警戒監視の目というものが何らかの形で得られるならば、それによって攻撃そのものを事前に回避をするとか、そういう方法が最もコスト・エフェクティブであろうということで、そういった面を研究いたしたいというふうにお話ししておるわけであります。
  168. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと逃げないでください。だから、北海道が攻められたときでもいいですよ。有事の場合、公海上で日米共同作戦、今シーレー ン防衛共同作戦計画を研究していますね、行われるわけだ。そのときにこの洋上防空システムはアメリカの空母機動部隊をも守ることがあり得るのか、それとも全くないのか、どうですか、対処されていないというのですか。
  169. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) この件については、前々から申し上げているように、我が国防衛という目的の中で日米が共同作戦行動をとっておる場合に米艦を護衛する場合が全くないかといえば、そういうことはございませんで、護衛することも任務分担ということで十分可能であるというふうに考えております。ただ、実際問題として申し上げれば、アメリカのとらの子部隊である機動部隊が日本の自衛隊に護衛されなければ来れないような状況で果たして来てくれるかどうかというようなことになると非常に問題がありますので、これはあくまで理論上の問題として私はお答え申し上げておるわけであります。
  170. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、国防報告は、ソ連の巡航ミサイルの発達と配備が極めて危険になった、だからこの縦深防御構想をやらなきゃならぬのだということで八三年度書いているのです。だから、その状態を脱却するために日本の自衛隊の力もかりたい、OTHレーダーも備えてくれ、エイジス艦もひとつ買ってくれということになっているのです。あなたはやっぱり公海上で米機動部隊を守ることがあり得ることも認められたけれども、それはあり得るというのじゃなくて、実はこれが本質なのです。米海軍の空母機動部隊を日本の自衛隊が守らされる。ソ連のバックファイアあるいはソ連の軍艦から発射されるクルージングミサイルに対して、こういうことのためにその一翼を担わされているのがシーレーン防衛並びに洋上防空なのです。私はたから全体として本当にアメリカの核戦略体制、日本を核基地として、第一線として強化することにもろ手を挙げて、日本を守る守ると言いながら、日本の自衛隊はアメリカ軍の一部隊として一生懸命やっているという事態は余りにも明白だと思う。  私はもう一つ準備していたのだけれども、時間がなくなったので一言だけ聞いておきます。  私はもう一つ、このシーレーン防衛に関連して一つ持っているのは、アメリカの戦略原潜SSBN、最新型のトライデント、国防報告を見ても既に四隻が実戦配備についているのですね。それはどこに来ているか発表はもちろんないけれども、硫黄島を中心にあるロランC、あるいはオメガシステム、あるいは愛知の依佐美通信基地等々から考えて北西太平洋が拠点の一つになっていることは明らかです。ハワイにポラリス、ポセイドンの母港がありますしね。ロランCの地図を見ますと、ちゃんと硫黄島を中心に北西太平洋チェーンというのがあります。主局硫黄島、従局はマーカス島、北海道十勝太、沖縄の慶佐次それからカロリン群島のヤップ、ここにある。ここでしか太平洋ではポラリス、ポセイドンは行動できないわけだ。だから、大体グアムから硫黄島の深海にポラリス、ポセイドンは深く潜んで時々浮上してくるであろうと軍事専門家は見ているわけだ。トライデントもここに配備されることになると思う。  それで、国防報告を見ますとおもしろいところがあります。やはり潜水艦に対する通信施設としてTACAMOというシステムがあります。このTACAMOシステムというのはここに、「海軍は、配備された弾道ミサイル潜水艦」、SSBNですよ、「と交信するため、TACAMO通信中継機を大西洋上と太平洋上に常時飛行させている。」と書いてある。常時飛んでいるのです。太平洋にSSBNがいることもそれは極めて明らかです。国防報告、もう時間がないけれども、この戦略原潜を守るためにいかなる苦労をしておるか、アメリカが健闘しているか、対潜水艦作戦、これも大いに健闘していると書いてある。  そうすると、新中期防衛計画でP3C百機体制になりますけれども、恐らくこのシーレーンあるいは洋上防空、さらにP3Cの百機体制などは、オホーツク海にソ連のデルタ級その他の戦略原潜、あそこが拠点になってアメリカ本土をねらっているということだが、それに対抗するということで北西太平洋にトライデント、トライデントというのは今トライデシトーのミサイルを積んでいるけれども、八九年からトライデシトーになる。トライデシトーというのは、国防報告を見ても、命中精度が非常に高いのでソ連の固定基地を撃てるミサイルなのです。そういうものが太平洋に配備されて、それを守るのに日本がP3Cとかシーレーン防衛とか、あるいは洋上防空だとかいうことも恐らく役目を果たすのだろう、そう私は思いますが、最後に、このトライデント問題についてどう見ておられるかお聞きしておきたいと思います。
  171. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 私ども、米戦略原潜の運用については全く承知する立場にございませんけれども、太平洋におきましてはワシントン州のバンゴール海軍基地だけを本拠としていると思います。  それから、ロランC局についての御言及がございましたけれども、仮にこれが我が国にあります米軍の通信施設と米国の核戦略部隊との通信に使用されるのがおかしいという御設問でございましたら、これはまた私どもとしては非核三原則と核を含む米国の抑止力によって我が国の安全を保障しておりますので、その点についても問題はないと存じます。
  172. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  173. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 体調を崩しておりますので座ってやりますが、御了承いただきたいと思います。  日本の国民の中には、防衛費がGNPの一%を超すと心配だという人がありますけれども、私は果たして現状のままで日本の防衛は安全だろうか、そういう点を心配している。その点から質問申し上げたいと思っております。  今度、今までの中期業務計画が格上げされまして中期防衛力整備計画になった。国防会議で承認され、閣議決定して政府の方針として決定されたということを私は歓迎しておりますが、防衛力整備していく上において何よりも必要なことは、国民の支持、理解を得ることだろうと思うのであります。厳しい財政状況のもとで防衛力整備していくためには、やはり何といっても国民の支持を得なくてはいけない。  きょうは主としてこの中期防衛力整備計画重点を置いて質問申し上げますけれども、その格上げされた整備計画を国民に知らせることは非常に重要だと思います。それを知らせるためのパンフレットとして「防衛アンテナ」の臨時増刊号で拝見したのですけれども、これ以外に何か国民の理解を得るために資料を発行しておられますか。
  174. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) それ以外にパンフレットをつくりまして、お手元にはないかと思いますけれども、「「安心」は国民の財産」という題でございます。十ページそこそこでございますが、わかりやすくということで絵といいますか漫画なども入れまして、防衛庁としてはそういったかたくないやわらかいものとしては随分力を入れたつもりでございますが、好評で迎えられておりますのでよかったなと思っております。そういうものをつくっております。
  175. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私はそのパンフレットを見ておりませんけれども、十ページそこそこというのであるならば、内容はこの「防衛アンテナ」に書かれていることよりもっと簡単なものじゃないかと思いますが、そうですね。
  176. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 内容としてはかなり簡単なものでございます。
  177. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 午前中堀江委員の方からも質問が出ておりましたけれども、これは非常に抽象的でわかりにくい。もちろん、防衛の問題ですから何もかもざっくばらんに書くということはできない面があることは理解しているのですけれども、どうもこれは国民の側に立って書かれているのではなしに、防衛庁の中の考え方をそのままぶつければ一般の国民は理解できるはずだ、そういう前提で書かれているのじゃないかと思う。その例として、人事局長は用事があって先に帰られるそうですから、隊舎宿舎の問題、これはけさほど佐藤委員 からも質問が出た点ですけれども、できるだけ重複した点は避けまして、補足的にお聞きしたいと思います。  例えば「隊員生活環境施設の整備」という項目の中で、「今回の計画では、このような点を少しでも改善し、隊員生活環境改善を図るため、老朽化した木造宿舎隊舎等の建替等により、いわゆる九・五坪宿舎解消隊舎の一段ベッド化の推進を図ることを計画しています。」。例えば「いわゆる九・五坪宿舎」というふうなことは、防衛庁の中では「いわゆる九・五坪」と書けば当然自明なことかと思います、これをよく知っている人は。しかし、一般の国民の中では「いわゆる九・五坪」、今余り若い人は坪という言葉を使わないで平米という言葉を使っています。例えば幹部自衛官宿舎の中で子供同士がクリスマスならクリスマスのパーティーに呼び合いたいのだけれども、余りにみすぼらしいので自分のうちには呼べない、だから子供もよそのうちに呼ばれても行かないというふうな話を聞いたことがあるのです。そういう具体的な事例を挙げて、いかに宿舎が貧弱であるかということを書けば国民もなるほどと思うのじゃないかと思うのですけれども、ただ「いわゆる九・五坪宿舎」と書いただけではこれは国民は全然わからないのじゃないかと思う。  それから、「老朽化した木造宿舎隊舎等の建替等により、」、この「老朽化した」というのは、けさの佐藤委員の質問で建設後二十年以上経過したものだというお答えがあったように思うのです。それが三千五百戸ぐらいあるという話を聞いたのですけれども、これを何年間で、どういう順序で建てかえていくのか、そういうのはこの「防衛アンテナ」の臨時増刊号を見ただけではわからないわけであります。先ほどちょっとお答えになりましたけれども、もう一度はっきり、何年計画ぐらいで、どういう順序で建てかえていくか、そのことをまず最初にお伺いしたいと思います。
  178. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) お尋ねのございました九・五坪型ということでございますが、これは六畳、四畳半の二間、二畳程度の台所、ふろ、トイレ、こういった規模の非常に狭隘なる宿舎を私どもでこういう言い方をしておったわけでございますが、なかなかぴったりした表現がございませんのでこういった表現をとったわけでございます。ただ、外部の方には確かにおわかりにくい点もあったかと思いますけれども、いずれにせよ非常に規模としては小さいという趣旨で使ったわけでございます。  それから計画でございますが、この狭隘なる宿舎が約千九百戸あるわけでございます。そのうち木造のものが八百戸ございまして、この八百戸のうち建設いたしまして二十年以上経過をしまして老朽化しているものが約五百三十戸あるということでございます。この建築後二十年以上と申しますのは、非常に良質なる建築材料等を使用したものでございますと長持ちするものもあるわけでございますが、ちょうどこれを建設いたしましたころの住宅事情等から老朽化相当進行しておるというものでございまして、この五百三十戸について五カ年で解消していく、建てかえをやっていくということでございます。六十年度が百戸、六十一年度は百十六戸程度を現在概算要求いたしておりまして、大体この程度の規模で六十四年度までの五カ年間をかけまして五百三十三戸の建てかえを実施する予定でございます。本年は計画どおり百戸の建てかえを実施しておる最中でございます。
  179. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 新しく建てかえられる宿舎は何平米ぐらい、大小は多少あると思いますけれども、どういったものに建てかえられますか。
  180. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) これは入居します者の階級等によっていろいろ規模は変わってくるわけでございますが、現在考えておりますのは三Kと申しまして三部屋と台所がついておるもの、これが大体十五坪程度のものでございます。そういった規模から三LK、三部屋とリビングと台所がついておる約二十坪程度、六十五平方メートル程度のものでございます。こういったものを中心に建設する予定で考えております。  なお、この基準は他の一般職公務員と全く同一の基準で考えております。
  181. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これも先ほど佐藤委員の方から質問があったのですけれども、二段ベッドの問題、六十年から六十一年にかけて、ちょっと聞き漏らしたのですけれども、何カ所改善されるということになっておりますか。
  182. 千秋健

    政府委員(千秋健君) お答え申し上げますが、ただいま御質問の二段ベッド関係は、これは現在営内に居住しております曹を対象としたものでございます。これは現在二段ベッドを余儀なくされております曹の隊員、人数で申しますと千七百五十人でございます。これを昭和六十年度におきまして約六百五十人分、それから昭和六十一年度は残りの千百人分を現在概算要求しておりまして、この二年で千七百五十人分、約五万五千平米の増設をしたいというふうに考えております。
  183. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 曹については大体わかりましたけれども、士については全然考えておられないわけですか。
  184. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 堂内士クラスの二段ベッドにつきましても、やはり隊員士気高揚という面からはこれを早急に解消いたしたいというふうに考えておりますが、まずとりあえずこれら士隊員の指導に当たります曹の分をやるということで、この曹の分が終わりましてから士の分に着手したいと考えております。  なお、この士クラスの分につきましては約十四万平米ほど増設する必要があるというふうに考えております。
  185. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 自衛隊ですから特にぜいたくな生活になれる必要は少しもないと思いますけれども現状は、これにも書いてありますけれども一般社会の生活環境向上と比較するとかなりの落差がある。余りに落差があるのでは私は優秀な隊員を集めることはできないのではないか、世間の常識から余りに外れたような宿舎とかあるいは厚生施設、そういったものは改善していくことがやはり優秀な隊員を集める上において必要だろうと思います。  それから、厚生福利施設の食堂の問題なのですが、これは南の方の隊舎の問題だと思うのですけれども、食堂に冷房なんかがないので夏なんかもう大変な暑さで、みんな水をかけて飯を食っているという話も聞いたのです。全然厨房なんかに冷房設備のついてない食堂というのはどのくらいまだ残っておりますか。
  186. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 現在、食厨でございますが、全国に施設は三百八十五ございますが、このうち北海道等につきましてはこういう冷房設備は必要ないだろうと思いますので、要整備箇所が三百二十七カ所、そのうち整備済みが百十八カ所、残り約二百九カ所ということでございます。
  187. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今度は逆に寒いところの話なのです。整備工場なんかで、私二、三年前に行ったときに聞いた話なのですけれども整備工場で全然暖房施設がないのでとても凍えてしまってなかなか整備ができないという話を聞いたことがあるのです。その後改善されているかどうか、最近のことは私知りませんですけれども
  188. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 整備工場につきましても、六十一年度もこれらを整備、暖房化すべく概算要求しておるところでございますが、現在これらの整備所要数が約六百三十三カ所ございます。そのうち整備済みが百五カ所で、これは今後整備の必要なものが五百二十八カ所と多くなっておりますが、ただいま申し上げましたように、六十一年度ではこのうち二十四カ所の整備をすることで概算要求をしておるところでございます。
  189. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 宿舎関係はそれで終わります。  通信の問題について次にお伺いしたいと思うのですけれども、これも防衛力整備計画の中では「防衛通信網の近代化を推進する」としか書いてないのですけれども、どの点が近代化されていないのか、それでまたどういうふうにそれを改善していくのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  190. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 現在自衛隊が独自の通信網の骨幹をなすものとしては防衛マイクロ回線というものを使っておりますけれども、当然今後予想されますところのデータ通信であるとかそういったための回線所要数の増大という問題が一つございます。また、抗堪性と秘匿性といろいろございますけれども現状における問題を改善するためにはやはり通信網の近代化を行う必要があるということは私どもの必要性の一つになっております。このため今回の中期計画におきましては、新規地上マイクロ回線による防衛マイクロ回線の複ルート化を行うということ、それから衛星通信を利用するという問題、また電子交換システムの導入を行う、もちろんディジタル化ということでございますけれども、そういった問題を考えているものでございまして、各自衛隊間のみならず三自衛隊間での総合運用性のある通信を行おうとしているものでございます。
  191. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私はその問題でちょっと心配していますのは、八月の日航機の事故のときに、よく事情を知らないジャーナリストなんかが随分自衛隊の悪口を書いておりました。それに対して自衛隊の広報室長なんかが反発しておられました。私は非常に結構なことだと思うのですが、その中で朝日新聞ですか、九月二十六日号ですけれども、日航機事故のときに「通信回線がパンクしてNTTが移動電話機を無料で提供してくれたからやっとしのげた」というふうなことが書かれておりました。私はいざという非常時の場合にそういった現状のままで果たして十分なのかどうか、そのことを心配しておりますし、それからまた、過激派が先般国電なんかをやりましたけれども、過激派の通信施設に対する襲撃ということも考えられるのじゃないかと思いますが、そういった不穏なものに対する対処、どういう対処をしておられるのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  192. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まず、日航機事件の際の通信の問題でございますが、御承知のように、現地に出動する。そしてこれは主として陸上部隊が中心になりますが、我が方が有事作戦する場合の陸上部隊というのは、おおむね自分の中で独立して戦闘する。そうすると、中央との通信回線というものはさほど個々の部隊としては使わないわけでございますけれども、今般のような事件でありますと、やはり状況の報告その他中央との回線の使用量が非常に多いということを御理解いただきたいわけです。その際に、今回は私ども自衛隊としては今のところまだ移動隊が衛星を使って通信をするという方法を持っておりませんので、自分で回線を設置する、移動局を開設するという形で当初は対応したわけであります。そうしますと、せいぜい一回線か二回線しか引けないということでございますので、こういったような事件の場合には、仕事に関連する最低のものが送れるだけで、現場の状況等、例えば報道機関等が必要とされるような状況までなかなか送れないという問題がありました。したがいまして、民間の回線を利用できるようになってある程度やっと通じるようになったというのは事実でございます。そういう点を含めまして、現在警察等も御利用になっておられる衛星利用の回線ということが使えるようになりますと、その点は大幅に改善をされるのじゃないかというふうに考えております。  第二点の、通信施設に対して、例えば過激派等の襲撃があった場合どうだろうかという御質問だと思いますが、当然のことながら、我々自衛隊は自分のところの通信施設を初め、そのほか武器庫だとか弾薬庫だとかいろいろな重要な施設を所有しております。これらについては、基本的には自分でそれを守るという体制でありますし、状況によっては警察等とも協力しながらこういったものの警備を行うわけでありますが、御質問のように、例えばマイクロ回線ということになりますと、当然のことながら無人の中継所等がございます。そういったところにもある程度の警報装置等は備えておりますけれども、警備がすべて万全かということになると、そういう無人のものについてはやはりねらわれることも十分あり得る。そういったときにいかにしてバックアップ機能といいますか、その切断された部分をどうつなげるかといったようなことにつきましても、先ほど筒井参事官からも御答弁申し上げましたけれども、それが複ルート化しておる上が、あるいは衛星等を利用して切断部分を中継させるとか、そういったようなことについて今後も検討していかないと、通信を確保する点にいろいろな問題が出てくるのじゃないかというように考えております。
  193. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 先ほどの答弁の中で抗堪性というような言葉が出てきましたし、この中にも抗堪性という言葉が使ってあったように思うのです。これは防衛庁の人たちは当然わかり切った言葉だろうと思うのですけれども、普通の人たちがこれは何を意味しているのかわかるのかどうか。かつて日本の軍隊はわざとしゃばの人たちのわからないような言葉を使って、発熱と言えばいいところを熱発と逆にして言っていたようなところがあるのですけれども、やはり普通の人たちに十分理解できるような、少なくともこういった広報冊子においては普通の人たちが理解できるような言葉を使っていただきたい、そのことを希望しておきます。  それから、先ほど黒柳委員からOTHレーダーの質問が出まして、質疑応答によって私も思い違いしていた点なんかを是正されたのですけれども、この中期防衛力整備計画の十八兆四千億円の中にOTHレーダーを買うための費用は入っていないのですね。
  194. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 具体的に買うためのもの、このくらいの値段であり、これを買うということでは入っておりません。
  195. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 入ってないわけですね。  そうすると、ここに、「今回の計画では、その有用性に関し別途検討の上、必要な措置を講ずるものとしています。」という言葉が出てきます。それからほかのところでも、例えば「護衛艦の対空ミサイルシステムの性能向上について検討の上、必要な措置を講ずる」、あるいは「F-4EJの能力向上について、試改修の結果を踏まえこれも「別途検討の上、必要な措置を講ずる」と書いてあるのですけれども、これじゃ何を言っているのか、私は全然わからないのじゃないかと思うのです。  OTHの問題は今の質疑応答で大体わかってきたのですけれども、先ほどの議論で出てきたぐらいのことはこの中に書き込んで、一体防衛庁は何を考えているのかということをはっきり示すべきじゃないかというふうに私は考える。  OTHの問題はそれで大体わかりましたけれども、先ほども言いました「要撃戦闘機F-4EJの能力向上について、試改修の結果を踏まえ、別途検討の上、必要な措置を講ずることとしています。」、これはどういう意味ですか、わかりやすく説明していただきたいと思います。
  196. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) F4につきましては、現在試改修といいますか、将来とも引き続きこれを使っていく上では性能向上しなくてはいけない。例えば、もろもろの照準器とかそういったものについて新しいものを据えつけないと将来の装備品としては役立たないということで、今研究中であります。その成果を見て、それが仮に所望のものができたということになれば、これをできた段階で初めて取りつけるという措置をとることになるわけであります。したがって、これはあくまで今の研究開発の結果を見ませんと答えが生み出せないものですからこのような表現になっておるわけでございます。
  197. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 そうすると、その試改修の費用はその十八兆四千億円の中に入っているのですか。
  198. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 試改修は既に今までの、昭和六十年度までの中でもう予算化されておりまして、これができ上がってきて、その結果を見て決断をするということになるわけでございます。
  199. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その次の「洋上防空体制の在り方」でも、「検討結果を踏まえ、護衛艦の対空ミサイルシステムの性能向上について検討の上、必要な措置を講ずる」、これもやはり「検討の上、必要な措置を講ずる」だけでは何のことがわからないの じゃないかと思うのですけれども、これを説明していただきたいと思うのです。
  200. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) この期間に何隻かの護衛艦を建造することになっておりますが、現状ではまだ検討が終わっておりませんので、それらの艦艇というものは従来と同様の装備のものをつくるということで一応艦艇の建造費を計上しておるわけであります。  しかし、それでは今後それが建造され、さらに二十数年間使っていく上では対空能力としては不足するだろうということが現段階で予測されるわけでございます。しからばいかなる装備を付加するか、あるいは現在積むべく予定しておるものとかえるかということについては、必ずしも具体的にこれにかえるという答えが出ておりませんので、そういった研究を済ました上で必要な増加装備なり、あるいは代替装備をするということである程度の金を保留しておるということであります。
  201. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 まだそのほかにも、別途検討の上、必要な措置を講ずるというのがあったように思いますけれども、別の問題で、空中給油機能に関する研究では、「空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する研究を行うことを計画しています。」、ここでは別途研究も何もないのですけれども、これは今までの別途研究とどういうふうに研究の仕方が違うわけですか。
  202. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 他のものについては、いずれも研究の上検討の結果によって必要な措置を講ずるということで、具体的に何らかの答えを得た後ある種の事業に着手する場合があるということを想定しておるわけでございますが、給油機につきましては、この五カ年間については研究を継続するのみでこれの実際の装備等の着手は考えていないということであります。なぜそれじゃ空中給油機についてはそのようにしておるのかと申しますと、空中給油機そのものについては我々もある程度研究もし、これを持った場合どの程度の措置をしなくてはいけないかということもある程度わかっておりますけれども、仰せこの空中給油機能そのものがいわば補助的といいますか、支援的な機能を果たすわけでありまして、支援を受ける方のシステムというものが明確にならない限りその支援的補助的な機能を先決めするというわけにはまいりませんので、これについてはこの五カ年間では具体的な整備にかからないということで、研究のみにとどめておるわけでございます。
  203. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私はやはり要撃戦闘機なんというのは、敵が来てから飛び上がったのでは間に合わないので、ある程度事前に飛び上がっている必要があるだろうと思うので、その耐空時間を延ばすためにやはり空中給油をするということは必要じゃないかと思う。そういう問題について五年間は着手する意図がないという話ですけれども、私はこれも前と同じように別途研究の上やられたらいいのじゃないかというふうに考えております。それは希望として申し上げておきます。  それから、在日アメリカ軍の駐留支援、やはりこの中ですけれども、中期防衛整備計画では「在日米軍の駐留を支援するための各種施策を推進する。」というふうにあるのですけれども、これはアメリカの方で前から要求しています三宅島の発着場の問題なんかも含んでおられるわけですか。
  204. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  正確に申し上げますと、三宅島をアメリカが要求しているということはございません。アメリカが要求しておりますのはミッドウェーの艦載機の厚木にかわる代替基地でございます。念のため申し上げておきます。  防衛施設庁の予算は、特にその中のアメリカ関係、FIP、ファシリティーズ・インプルーブメント・プログラム、思いやり予算と俗に言われておりますが、この予算は毎年毎年アメリカ側の具体的な要望と我が方の財政事情を勘案いたしまして決めていくという性格のものでございまして、五カ年計画とかいうような年次計画になじまない性格を持っております。したがいまして、防衛施設予算は防衛費の大体十分の一、一〇%というシェアをいただいておりまして、毎年毎年その予算の範囲内で、緊急性を判断し、また予算をつけましてもそれを執行できないことでは困りますので、実行可能な施策についてそれをやっていく。こういうことで、今お尋ねの三宅島の問題あるいは池子の問題もあろうかと思いますが、こういう問題は毎年毎年の予算編成の中で検討していくということに相なろうかと思います。
  205. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これは駐留支援のカテゴリーからは離れると思いますけれども、やはり非常時の場合におけるアメリカの支援を容易にするために、米軍の装備、弾薬をあらかじめ事前に日本に置いて備蓄しておくというふうなことは全然検討されたことはございませんですか。
  206. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) いわゆるポンカスにつきましては、我々としてはそういったものが行われればアメリカの支援を受ける上で非常に有意義であるということは前々からよく理解をしておるわけでありますが、実はこの話につきましては、防衛庁長官が先般六月に米国防総省を訪問した際に論議をしたことがございます。ただ、その際に米側の方は、現在のところまだ日本に対してポンカスを行う意思は全くないということで、我々としてもアメリカの方の考えはそういうことかということで十分理解できたわけでありますが、と同時に、我々としてはそういったものが有効であるということは十分心得ておる。しかしながらやるとすればいろいろな準備も要るということで、たまたま聞いてみたわけですが、米側としては現在のところ全くそういう予定がないという返事を受けておるところであります。
  207. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 アメリカの方が積極的でないというのは、日本の方で積極的でないから、それで積極的じゃないのと違うのですか。
  208. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) そうではございませんで、やはりポンカスというのはある部隊の装備を二重に持つ必要があるということで相当な経費のかかることでありますので、現状ではまだ画本に対するポンカス等について予算措置をするとか、そういう計画を持っておることではないということのようでありました。
  209. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これはちょっと中期防衛力整備計画から離れますけれども、新聞の報道では、いわゆる防衛行草といいますか、防衛庁の組織を自主的に改革を進めていくということを新聞で拝見しました。私もこれは非常に大事なことじゃないか、やはり防衛力整備はしなければいけませんけれども、少しでも冗費を省いて、これは防衛庁自身としてそういう姿勢を示す必要があると思うのですけれども、具体的にどういうむだを省く、あるいは重複している点を省くという計画をお持ちか、それをお伺いしたいと思います。
  210. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 去る十月十八日に業務・運営自主監査委員会という名前の機構をつくりまして、私が委員長ということで意見の取りまとめを始めております。目下のところ、いろいろな方から防衛庁の、自衛隊の業務運営を少しでも効率的に、また効果的に、合理的にできるようにして十八兆四千億円という中期防衛力整備計画が決まったわけで、これで五年間やっていかなければならないわけでございますから、いい知恵はないだろうかということで御意見を集めておりまして、数百件といいますか、千件に近い御意見をいろいろいただいておりまして、それを今取りまとめている最中でございます。  内容につきましては、取りまとめている最中でございますので、いましばらく御容赦いただきたいと思うのでありますが、できるだけ早く、当初の予定ではこの十二月上旬から中旬ぐらいの間にそれを取りまとめまして、それから内部的な作業をやりまして、来年の四月ごろまでかかりまして現実にこれができるかどうかという実施計画というのですか、そういったものをつくっていこうという心組みで今作業をやっております。今の段階で申しますと、若干作業に手間取っておりまして、件数も多いこともございますし、またガイダンスと言い条、一遍発表したものができないということでもこれは困るものですから、ある程度できる 見通しがなければ困るということで、少しその辺のところをもんでおりますものですから、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  211. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今、予算折衝の大事なときですから、余りはっきり言えない点もあるかと思うのですけれども、この問題もやはり真剣に取り組んでいただきたいと思います。  それから、これで質問を終わりますけれども、くれぐれも国民に対するPRのためのパンフレットなり冊子の場合は、やはり普通の高等学校の生徒が予備知識なしに読んで理解できるようなものを書いていただきたい。私は啓蒙的な本なんか書くときは必ず自分の子供に読ましておりました。そういう防衛庁の中ではわかり切ったことかもしれませんけれども、普通の社会では必ずしもわかり切ったことじゃございませんので、その点について今後一段の御配慮をお願いしておきたいと思います。  これで質問を終わります。
  212. 安孫子藤吉

    ○小委員長安孫子藤吉君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十一分散会