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委員長(
植木光教君) 本日の
質疑はこの
程度にとどめ、次に、先般当
委員会が行いました
外交・
総合安全保障に関する実情
調査のための
委員派遣につきまして、便宜私から御報告申し上げます。
去る十一月五日から七日までの三日間、私、
佐藤理事、
杉元理事、
堀江理事、上田理事、関理事、久保田
委員の七名は、北海道及び青森県において、
外交・
総合安全保障に関する実情を
調査してまいりました。
第一日の午前中は、北海道旭川市の陸上自衛隊第二師団を訪れました。
本師団は、北海道方面の防衛を担当する北部方面隊の隷下にあり、編成は師団司令部、四個の普通科連隊、一個の特科連隊のほか、戦車、施設、通信の各大隊などから成り、定員は約九千人であります。
日本の最北部の防衛上最重要地域を警備地区としているところから、定員充足率は約八五%と他師団よりは比較的高く、
装備も七四式戦車、七五式自走百五十五ミリりゅう弾砲等逐次新式のものに更改が進んでおり、夏期に
練度を最高度に保持すべく訓練に励んでいるとのことであります。しかし、宮内居住の環境は悪く依然として陸曹を含み二段ベッドでありました。なお、山林火災等への災害派遣、部外土木工事等の民生協力も実施しております。
午後は、北海道立上川農業試験場を訪れました。
本試験場は、北海道における稲作研究の中核的な存在として、冷害に強い、多収穫の水稲を追求して米づくりの北限に挑み、品種改良と栽培技術
改善に努めてきた結果、面積当たりの収量は全国平均を上回るに至りました。また、北海道の稲作は、経営面積が大きいためコストは低いのですが、味がよくないということでありましたので、近年は菊栽培技術による食味向上に
努力しております。
続いて、東神楽温室園芸組合を視察いたしました。
本組合は、パイロットファーム的な役割を担い、
昭和四十九年に町当局、農協のバックアップのもとにスタートしたもので、温室を利用して野菜や花卉を年間を通じて栽培し、安定的に出荷することを目指しております。野菜のかなりの部分は水耕栽培であり、温室の天窓開閉、室温・水温調節、かん水寺は自動制御されております。
なお、施設建設に多額の資金を要するため、新規参入者が出現しにくいとのことであります。
第二日は、午前中、水産庁さけ・ますふ化場千歳支場を視察いたしました。
ふ化事業は、その中心を占めるサケの場合、九月から十二月にかけて産卵のため遡上する親サケを捕獲し、採卵、受精させて仔魚をふ化させ、これを体長四、五センチ、約一グラムの稚魚に育て、
三月から五月にかけて各地の河川に放流するものであります。これが三ないし五年後に約四キログラムに成長し、生まれた川に帰ってまいります。ふ化技術の向上により、回帰率は二、三%、場所によってはさらに高率となっており、全国で年間約三千万尾が回帰し、うち二千尾以上が北海道となっております。
次に青森県に飛び、
日本鉄道建設公団竜飛鉄道建設所を訪れ、青函トンネルを視察いたしました。
本トンネルの地質
調査が開始されたのは
昭和二十一年でありますが、二十九年の洞爺丸事故により、天候に左右されない安全な鉄道輸送の
必要性が痛感され、三十九年には斜坑掘削に、四十六年に本工事に着手しております。そして五十八年に先進導坑が、本年三月に本坑が貫通し、六十二年度に世紀の国家的プロジェクトが完成の予定となっております。
トンネルは、新幹線の運行もできるように設計されております。工事を成功させるために、水平ボーリング技術、地盤注入技術が開発されました。
総工費は約七千億円を要し、四十年償還の場合毎年約八百億円と言われる建設費償還問題が今後の大きな課題であります。また、利用方法につきましては、在来線のみの運行案やカートレーン運行案などが検討されておりますが、結論を得るに至っておりません。
第三日の午前中は、むつ小川原国家石油備蓄
基地を視察いたしました。
石油備蓄法に基づく民間備蓄
目標九十日分は既に
達成されておりますが、国家備蓄は
目標三千万キロリットルの六割
程度しか
達成しておりません。本備蓄
基地はこうした国家備蓄を
目的とする第三セクターであり、出資比率の七〇%を石油公団が占めております。
貯蔵施設は原油タンク五十一基から成り、建設に着手した国家備蓄七プロジェクト中、去る九月最初に完成いたしました。
次に、六ケ所村の原子燃料サイクル三施設用地及びPR館を視察いたしました。
三施設、つまり再処理施設、ウラン濃縮施設、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設は、九電力会社と
日本原子力発電を主要株主とする二つの会社が建設、運営に当たりますが、総建設費は約一兆円と言われ、六ないし十年後に操業開始の予定であります。なお、用地取得は近く完了する見込みでありますが、立地
調査が遅滞しているため、施設本体の建設には着手しておらず、PR館のみがこの十月にオープンしております。
午後は、航空自衛隊三沢
基地を訪れました。
本
基地には、北部航空方面隊司令部、同方面隊隷下のF1支援戦闘機部隊である第三航空団、E2C早期警戒機部隊の臨時警戒航空隊のほか、北部航空警戒管制団、第六高射群など合わせて十一個部隊、約三千人が配置されております。
飛行場は三千五十メートルの
滑走路を備え、米軍の管理下にあるものを自衛隊が共同使用しておりますが、管制業務は自衛隊が実施しております。
最後に、三沢
基地の米軍を視察いたしました。
本
基地の米空軍については、去る四月からF16戦闘機の配備が始まり、これに伴い七月に第四三二戦術戦闘航空団第一三戦術戦闘飛行隊が編成されております。現在はF16A型ないしB型が二十七機配備されており、
昭和六十二年には改良型のC型ないしD型一個飛行隊二十七機が追加配備され、総数五十四機となります。また、F16配備により、軍人及びその家族三千人以上がふえるとのことであります。
海軍は、第七艦隊款下の第一哨戒航空団が、P3C対潜哨戒機部隊である
日本航空哨戒群を置いております。
以上、先般の
委員派遣における実情
調査の概要につき簡単に御報告申し上げましたが、なお別途詳細な報告書を提出いたしておりますので、これを本日の
会議録の末尾に掲載することといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十分散会
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