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1985-11-27 第103回国会 参議院 科学技術特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十七日(水曜日)    午後一時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         馬場  富君     理 事                 古賀雷四郎君                 志村 哲良君                 稲村 稔夫君                 塩出 啓典君     委 員                 岡部 三郎君                 長田 裕二君                 後藤 正夫君                 成相 善十君                 林  寛子君                 藤井 孝男君                 八百板 正君                 伏見 康治君                 佐藤 昭夫君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       竹内 黎一君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      矢橋 有彦君        科学技術庁計画        局長       長柄喜一郎君        科学技術庁研究        調整局長     内田 勇夫君        科学技術庁振興        局長       藤咲 浩二君        科学技術庁原子        力局長      中村 守孝君        科学技術庁原子        力安全局長    辻  栄一君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        文部省学術国際        局研究機関課長  長谷川善一君        厚生省健康政策        局医事課長    佐野 利昭君        通商産業省生活        産業局窯業建材        課長       新村  明君        気象庁地震火山        部地震火山業務        課長       鈴置 哲朗君        建設大臣官房技        術調査室長    岩井 國臣君        建設省住宅局建        築指導課長    立石  眞君    参考人        日本原子力研究        所副理事長    石川  寛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (鉄筋コンクリート耐久性に関する件)  (放射性廃棄物に関する件)  (日本原子力研究所の在り方に関する件)  (行革審答申科学技術行政に関する件)     —————————————
  2. 馬場富

    委員長馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。     —————————————
  3. 馬場富

    委員長馬場富君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本調査のため、本日、日本原子力研究所理事長石川寛君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 馬場富

    委員長馬場富君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 馬場富

    委員長馬場富君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、きょうは大きく分けて三つの点についてそれぞれ科学技術庁中心にいたしまして関係省庁等にもお伺いをしたいというふうに思っております。  そこで、科学技術庁ばかりではなくて他の省庁の方にもおいでをいただいておりますので、順序といたしまして、おいでの他の省庁の方から先にひとつ質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  最初に、日本気候風土に合った建築材料ということについて研究がどういうふうになっているのであろうか、現状はどうであろうかということについてお伺いをしたいと存じます。  最近、鉄筋コンクリート早期劣化問題などがいろいろとマスコミ等でも伝えられているわけでございますが、このひび割れや腐食の進行など、早期劣化というものは塩害とかアルカリ骨材反応などだということなんでありますが、鉄筋コンクリートといえば永久建築物構造物だというふうに思っていた人々が多いと思いますので、それだけに、こうしたことはかなりショックだったと言えると思うわけであります。  そこで、まず建設省にお伺いしたいと思いますが、鉄筋コンクリート建築に使われ始めてからまだ八十年くらいだというふうに聞いておりますけれども、こうした耐久性研究というものはいつごろから始められたのでございましょうか、その辺のところがおわかりでございましたらお聞かせをいただきたいというふうに思います。  それから、最近の塩害アルカリ骨材反応対策というものが問題になっているわけでありますが、これが研究状況というのはどういうふうになっておりましょうか。この辺のところは、建設省と同時に通産省でもいろいろ研究をしておられるというふうにも聞いておりましたが、それぞれお聞かせをいただきたいと存じます。  ついでに、これは通告をした項目という形にはなっていなかったんでありますけれども、おわかりになればということでお聞きしたいんでありますが、これに関連をいたしまして鋼材の耐久性というのもかなり問題になってくるんじゃないかというふうにも心配をされるわけなんでありますが、あわせてそういう研究というようなものがどんなふうになっているのかということについて、これは科学技術の水準ということで技術庁でもおわかりになっているところがありましたらお知らせをいただきたいというふうに存じます。  さらに、新しい建築材料というものの研究開発並びにその鉄筋コンクリート使用方法、砂がどうであるとかいろいろとあると思うんでありますが、こうした問題の研究というのがどんな現状になっているでありましょうか、この辺はどちらの省庁からお答えいただいたらいいのでありましょうか、おわかりになっているところからお答えをいただきたいというふうに思います。  とりあえず、まずその辺についてお聞かせをいただきたいと存じます。
  7. 岩井國臣

    説明員岩井國臣君) コンクリート関係研究 につきましては、昭和三十年代におきましては主として強度の問題に焦点を絞っていろいろ研究が進められました。四十年代に入りましていろいろ塩害の問題が問題になってまいりましたので、塩害関係につきましては四十年代に入って一部進められておりますけれども、特に海岸部の、海からの潮風その他により飛来する粒子による塩害、これが近年特に沿岸部橋梁等でいろいろ問題になったというふうなことで、研究が五十年代の半ばごろから始められております。  アルカリ骨材反応につきましては、従来、我が国におきましてはそういった反応は起こらないというふうなことが学説になっておりまして、ほとんど建設省といたしましては研究が行われていないということでありますが、先生指摘のとおり、昨今コンクリート耐久性が非常に大きな社会問題にもなってきておりますので、本格的には本年度から建設省総合技術開発プロジェクト重要テーマ緊急テーマといたしまして、三カ年計画塩害あるいはアルカリ骨材反応を含めての耐久性向上についての技術開発を進めておるところでございます。
  8. 新村明

    説明員新村明君) お答えいたします。  コンクリートの劣化問題でございますが、ただいま先生指摘のように、最近いろいろと問題になっておりまして、これらにつきましては原因等がいろいろと言われております。ただいまの建設省からの答弁にもございましたように現在各方面で研究が行われておる現状でございます。  それで、私ども通産省といたしましては、一応現在の知見の範囲で早急に材料面での対応というものが必要であるというふうに考えておりまして、本年七月に、各界の有識者を委員お願いいたしまして、生活産業局長私的諮問機関、生コンクリート品質対策委員会というのを設置しております。  それで、まず当面は、先ほどから話題になっておりますのがアルカリ骨材反応ということでございますので、現在、鋭意これにつきまして御検討お願いしておりまして、早ければ本年中に一応その中間答申を出していただくということに予定しております。それで、この答申が出されましたときには、この答申に沿いまして、その関係機関というものの協力を得ながらいろいろとまた指導もしてまいりたいというふうに現在考えておる次第でございます。
  9. 立石眞

    説明員立石眞君) 新しい建築材料また鉄筋コンクリート造建築物等使用方法等についてお答えいたしたいと思います。  こういうような材料を使います場合には建築基準法規定に基づきまして安全なものとしなければならないわけでございますが、これらの基準に従って現在の建築物がつくられているわけでございますが、最近は新しい建築材料あるいは新しい鉄筋コンクリート造等開発が進んでいるわけでございます。これらは主として大学等での基礎的な研究基礎としまして、民間を中心に新しい技術開発が行われているわけでございます。こういうものにつきましては、実際の建築物にこれらを利用することにつきまして建設省建築基準法規定に基づきまして個別の技術を評価し、適切なものについては特例許可等によりまして使用できるように対応しているところでございます。
  10. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 建築材料研究開発の方は、そうすると今のあれの中に入っちゃうのかな。
  11. 立石眞

    説明員立石眞君) 今ので一応述べたつもりでございますが。
  12. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 鉄筋コンクリートと言えば、先ほども言いましたように、もう永久構造物だというふうに思っていたわけでありますだけに、こうしたことが起こっているということ、特にアルカリ骨材反応というような問題は非常に重大な問題を提起をしているというふうに思うわけであります。今の御答弁でいきますと、それぞれ今最近わかったことだということで無理からぬところもあると思いますけれども、大変対応というものがおくれているというふうに感ぜざるを得ません。例えば今のあれの中でいきましても、新しい建築材料研究開発等についてのものもまだ具体的にこれだという、こういう方法をというようなことが出てきていないわけでありますが、いずれにいたしましても、もう最近は我々の周囲はほとんどが鉄筋コンクリートでつくられているわけであります。交通機関もすべてそうなっていると言っていいわけでありますから、それだけに大変重大な問題だというふうに思うわけであります。しかも、そのつくられた時期がほぼ一定の期間に我が国の場合は集中していると言っていいわけでありますから、それだけに今度はこういう脆弱化が問題になってまいりますと、それが表面に出てくる時期がほとんど同じような時期に出てくるということだってあり得るわけでありまして、それだけにこの対策は早急に進めていただかなければならない問題だというふうに思うわけであります。  そこで、さらにもう一点伺っておきたいと思いますのは、こうしたアルカリ骨材反応というようなことが問題になるばかりではなくて、私はテレビで見たわけでありますけれども、帝国ホテルで有名なライト氏の設計になる鉄筋コンクリートの邸宅が今まさに寿命がきてもうだめになっている、こういうものを最近見たわけであります。そうするとこれは五十年余りということ、建物はその程度だということになるわけでありますが、そういたしますと、先ほど我が国ではアルカリ骨材反応は起こらないという定説になっていたというお話がありまして、確かにそっちの方はそうなのかもしれませんけれども、しかし鉄筋コンクリート寿命ということでいくともう五十年くらいでこんな状況になっているということは、これはやっぱり私は大きなショックだったわけであります。  そこで、建設省にお伺いしたいのでありますけれども、この鉄筋コンクリートというものは、果たして我が国気候風土というものにうまくマッチをしている、そんな建設材料建築材料だったんであろうか、そういう建築材料として信頼していいものなのだろうかどうだろうか、こんなふうに疑いも出てくるわけでありまして、その辺の御見解伺いたいわけであります。といいますのは、世界最古木材建築物である正倉院建物というのは千二百年ももっているということになりますし、私の子供のころから考えていきますと、民家で百年以上というのはまだ結構ざらにあったものでございます。木造建築物が百年も我が国ではもっていて、鉄筋コンクリートが五十年で寿命がきているという、そういう特にライト氏の設計はかなり頑丈につくっているということで有名だったんだそうでありますけれども、それだけに何かこう鉄筋コンクリートということについて根本的に我が国気候風土とのかかわりで考えなければならない問題があるのではないだろうか、あるいはそうした中で木材のよさなどというものを見直していくということを含めて、現代に即応した建築のあり方というようなものが追求をされてもいいんではないだろうか、こんなふうに思うのでありますけれども、その辺のところをひとつ御見解がいただければと思います。
  13. 立石眞

    説明員立石眞君) お答えいたします。  私、ライト設計した建物についての先生と同じテレビを見ていないものですから、どういうような状況で腐朽が、あるいは傷んできているのかということについて存じていないものですから、その点については具体的な御答弁はできないわけでございますが、やはり鉄筋コンクリート造というものは適切な材料を使って適切な施工ができるならば、かなり長期にわたって構造体としては安全なものとしてあるものであるというように考えているわけでございます。ただ、施工等におきまして、例えば鉄筋に対しましてコンクリートの被覆している部分をかぶり厚と言っておりますが、かぶり厚等が非常に薄い場合であるとか、あるいはまた内部にいろいろな適切でない材料等がまじっているような場合には早く傷む可能性もあるわけでございますし、さらに現在研究を進めております塩害等の問題がある場合にはやはり傷みやすいこともあるわけでございます。この点につきま しては、先ほど技術調査室長の方から答弁申し上げたわけでございますが、やはり地域の、例えば塩害のようなものを含んで地域実情に応じてやはり建築をし、さらにあとの維持管理を適切に行うことが必要であろうかというように思っているところでございまして、今後ともこの点については研究開発を含め、実際の建築物構造物維持管理を適切に行うように努めていきたいというように考えているところでございます。  また、先生指摘木材のよさの、あるいはまた正倉院等における木材の非常に長期にわたっての良好な維持保全が保たれることについてでございますが、先生指摘のとおり、木材につきましてもいい条件の中で維持管理がされている場合には、かなり長期寿命を持っているということが歴史的にも証明されているというふうに私たちも思っているところでございます。  今後木造建築を良好なものにしていくためには、やはり適切な維持管理が行われるようにしていくことが今の御指摘にこたえることであろうというふうに考えておりまして、建設省としましても、その点については今後とも施策を充実してまいりたいと考えているところでございます。
  14. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 大体の今の状況というのが私にもわかってきたような気がいたしますが、いずれにいたしましても、今例えば学校建築にいたしましても永久建築という言葉が使われながら、ほとんど鉄筋コンクリートでないと許可をされないような場所が大方であります。それだけに何か画一的に鉄筋コンクリートならばという形で物が進んできているような感じが現在するわけであります。そういう中で、今後ゆゆしき問題になったんでは大変でありますから、それだけに今の御答弁でいろいろな研究もされると思います。そのことに大いに期待をするわけでありますけれども、そうした画一的にあれしないでやっぱり地域に合った対応というものを建築材についてもいろいろと今後の技術的な御指導というものをぜひお願いをしたい、このように思うわけでございます。  これは御答弁は要りませんけれども、建設省あるいは通産省等材料や使い方やいろいろな研究をされるわけでありますけれども、それぞれの分野の御研究とやはりこれは非常に重大な社会的問題にもなる可能性を持った技術の問題でもあるということになりますので、科学技術庁もそうした各分野にわたってのやはり研究というものを取りまとめ、調整をしながら、早急にこうした心配がなくなるような対応策をぜひお考えをいただきたい、御検討をいただきたい、このように思います。建築材料コンクリートについての問題は以上でございます。  次に、私の住んでいるところが雪国ということもございますので、雪対策について科学技術の面からということでいろいろお伺いをしてみたいというふうに思っております。  その一つは雪害対策克雪対策ということについてであります。  雪との闘いという言葉があるわけでありますけれども、雪との闘いの苦痛というんでしょうか、それは雪国に住んだ者でなければわからない、こう言ってもいいと思うわけであります。長官のお国もそうでございますし、私の国もこれからいわゆる白い悪魔との闘いというのが始まるわけでございます。そういうシーズンになってきているわけでありますが、それだけに雪のことがまた改めて今考えられるわけであります。  そこでお伺いしたいと思いますのは、政府昭和五十六年七月に防災に関する研究開発基本計画なるものを策定をいたしまして、この基本計画に基づいて科学技術庁、北海道開発庁、文部省建設省大学等々が協力して研究を進めるというような形になっていると思います。これはこれまでどのような研究というものと取り組んでこられましたでしょうか。そしてその成果というのはどんなふうになっておりましょうか。建設省の方には、克雪対策ということもあるわけでありますが、そのことを含めまして簡単に要点をお聞かせいただきたいと思います。  また、科学技術庁の方にはこのほかに科学技術振興調整費というのがございますので、これらのことも含めましてひとつお答えをいただければありがたいと思います。
  15. 内田勇夫

    政府委員内田勇夫君) 科学技術庁が実施しております雪害対策研究開発現状につきまして御説明申し上げます。  科学技術庁は、防災に関する研究開発基本計画、ただいまお話のございましたこの計画に基づきまして国立防災科学技術センターを中核といたしまして、関係国立試験研究機関あるいは大学連携協力を図りつつ雪害防止研究を総合的に推進をいたしておるわけでございます。  国立防災科学技術センター雪害実験研究所、これは新潟県の長岡市にございます。それから山形県の新庄市にございます新庄支所、この二カ所におきまして太陽熱利用による屋根雪処理技術屋根雪による家屋の倒壊防止技術雪処理として利用可能な地下水量推定技術等同常生活関連の深い雪害防止技術開発を推進しておるところでございます。  さらに最近の豪雪による被害の状況にかんがみまして、六十年度からは新たに雪崩発生機構及び衝撃力に関する研究機械による屋根雪処理技術開発研究に着手をいたしました。また六十一年度からは地吹雪の発生機構の解明と災害防止技術開発に関する研究に着手すべき予算概算要求を行っておるところでございます。  それから、ただいまお話のございました振興調整費による研究でございますが、今後の雪害防止技術の確立に資するために、国立防災科学技術センター、農林水産省の農業土木試験場気象庁等関係機関協力のもとに五十七年度から五カ年計画振興調整費を活用いたしまして豪雪地帯における雪害対策技術開発に関する研究を実施しております。  その内容は大きく分けて三つでございまして、まず第一に都市域における地下水利用融雪技術開発。第二に雪崩予知技術開発。第三に雪氷情報の収集、予測技術及び利用技術開発から成っておりまして、これは五十七年度から五十九年度までのいわゆる第一期と呼んでおりますが、この基礎研究段階を完了いたしまして、本年度から二年間にわたりまして第二期として第一期の成果を踏まえて実用化を目指した研究を進めることといたしております。  今後とも私ども雪害対策研究は一層の充実を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  16. 岩井國臣

    説明員岩井國臣君) 積雪地域におきましては、積雪あるいは凍結などによる道路交通の阻害でありますとか、雪崩による事故等地域の活動に対しまして非常に大きな障害になっておるわけでございますが、そればかりでなく屋根の雪おろしや除雪にも非常に多くの労力をとられるというようなことで、人々生活にも直接大きな支障を与えているということでございます。  建設省におきましては、これらの問題につきまして従来から道路凍結あるいは圧雪状態における交通安全確保のための研究あるいは雪崩予知に関する研究など建設省土木研究所中心調査研究を進めておりますほか、地域実情に即した除雪機械開発などにつきまして地方建設局技術事務所等で実施しておるわけでございます。また、建設省総合技術開発プロジェクトといたしまして、雪に強い都市づくりに関する総合的技術開発という名の技術開発昭和五十七年度から五カ年計画で実施しておりまして、効率的な除排雪を行うための雪の連続輸送技術でありますとか、気象情報利用技術開発あるいは冬季交通体系を考慮いたしました防雪街区の整備手法等研究開発を現在行っておるわけでございます。  これらの雪対策に関する研究につきましては、今後ともなお一層推進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ただいま、それぞれお答えをいただいたわけでありますが、ちょっと科学技術庁の方もう一つお知らせいただきたいんであります が、それは今の御説明の中で、振興調整費、五十七年から五十九年まで第一期、それから後第二期ということでしたが、これたしか五カ年計画ですね。そうすると、この五カ年が終わったらどういうふうに考えておられるんでしょうか。
  18. 内田勇夫

    政府委員内田勇夫君) 一応振興調整費によります研究は五カ年ということでございまして、ただいま申し上げましたような基礎的研究、さらには実証的な研究というような二段階に分けて実施をしておるわけでございまして、これは研究内容ないしは研究成果によるわけでございますが、五カ年の研究が終わりました後は実際の研究、実際に雪害防止のために関係の箇所においてこれを具体的な利用をしていただくということを期待をしておるわけでございます。私ども、雪害防止につきましてその後も必要な課題があればさらに別途計画を考えていきたいというふうに考えております。
  19. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、これも要望になりますけれども、いずれにいたしましてもそれぞれ今のお答えをいただいたあれは、言ってみれば現に雪があることによっていろいろと起こってくる我々に高ずる圧迫、住民に対する圧迫、そういうものに対する守りの、受け身の方の対応ということになるわけであります。それの受け身対応と言っても、自然の力というのは物すごいものがあるわけでありますから、なかなか大変なんでありますけれども、それぞれお答えをいただいて御努力をいただいていることは感謝いたしますけれども、しかし、何分ともそれぞれにみんな予算がつきまとうことであり、財政的な問題がありと、こういうことにもなるわけでありますが、こうした雪対策ということでの予算については、私はかねがね大変不足をしておるという不満を持っております。  そこで、今のわずかのと言ったら言葉が大変悪うございますけれども、振興調整費というものも大体五カ年が終わったらそれで一区切り、それはわかります。一区切りですが、その後はもしもっとほかに必要があればというようなお答えではどうもちょっと——そんなふうに受け取れたものですから、やはりむしろそれを今度は実施段階で実施ということ、実際に有効に生かしていくためにさらに多くの努力をしていただくという御決意がいただけないとどうも私の方も納得し切れないんでありますけれども、その辺いかがでございましょうか。
  20. 内田勇夫

    政府委員内田勇夫君) お答え申し上げます。  私ちょっと言葉が足らなかったかと思いますが、振興調整費で一応研究としての結末がついたものについてはそれぞれの現場でお使いいただくように努力をしていきたいということでございまして、一応そこで研究としては一区切りできるんではないか、それでその一部ではございますが、既に調整費の成果を生かしまして現場でそれをお使いいただいている、そういうものもございますが、五カ年後にはかなりのものがそういうふうなところまで研究が進むのではないかというふうに私ども期待をし、また進めておるところである、こういうことでございます。  それからその後の問題につきましては、雪害の問題というのは非常にいろいろな課題がございますので、その時点で新しい技術、新しい研究課題というものがあればさらにそういうものを取り上げていきたい、こういう意味でございまして、雪の研究につきましてこれで終わりとか、そういうことを考えておるということではございません。
  21. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 それはわかりました。しかし要は、私は現在のこの研究というものは、やはり基礎的な研究としてもまだほんのとば口のことにしかならないんじゃないだろうかというふうに思います。雪崩の発生のメカニズム一つにいたしましても、さらに研究が進めば進むほど課題がいろいろとふえてくるんではなかろうかというふうに思っておりますので、そうすると、その辺のところはむしろさらに大きな研究課題がふえて、もっと大きな対応策をしなきゃならぬというふうになるのではないだろうか、そんなふうにも思っております。この辺少し言葉が過ぎるかもしれませんけれども、私は、金額的にいきましても自然というものを相手にした研究の経費としては極めて微々たるものにしかなっていないということ、今改めてまた強調したいわけでありまして、この辺はぜひ今後、一応五カ年計画は決まったんでありますから、この五カ年計画はその計画に従ってということであるとしても、五カ年を過ぎたらさらに大きな拡大をした取り組み方をされるということをひとつ切望いたしまして、ということで言ってみれば受け身の方のことの質問は終わりたいと思います。  そこで、その受け身の方でさえこのていたらくなんと言うと言葉がまたこれ過ぎるんでありますけれども、なのに、これを今度は積極的に活用していこう、利用していこう、こういうことに相なりますと、何か大変心細いという感じがするわけであります。私はこの雪の持っている巨大な力、エネルギーというものが活用できるということは、その一部でも活用できるということになりますと、今雪国の住民が持っているいろいろな桎梏といいましょうか、そういったものも解決をされていく、快適な生活というものが生まれてくるんではなかろうか、そんなふうにも思うわけであります。  そこで、そうした雪の利用ということについて、若干の研究がいろいろと今成果も出てきているようでありますけれども、文部省さんにお伺いをいたしますが、雪国大学で、例えば秋田大学では雪発電というのが成功したそうでありますし、富山大学では熱サイフォン発電システムなどという研究が今何かうまくいったようでありますけれども、これらの研究成果というものと、それからそれをどう評価をしておられて、今後どういうふうに利用という方向でも希望が持てるものなのかどうなのか、あるいは大きな課題があるとすればそんな課題がどんなものなのかというようなこと、それから他の国立大学でまだ研究をされているものがあればどんなものがされているんであろうか、こんなふうなことについてお伺いをしたいと思います。
  22. 長谷川善一

    説明員長谷川善一君) 雪そのものの基礎的な研究というのは、特に北海道大学の低温科学研究所というところで雪そのものに対する基礎的な研究をいたしておるわけでございます。特に先生指摘の雪の利用といいますか、そういう方面に関する研究につきましては、近年科学研究費の補助金の中にエネルギーの特別研究というのを設けておりまして、今御指摘の秋田大学なども、そういうところで経費を申請いたしまして補助金を得てやっておるわけでございます。  例えば長岡技術科学大学におきましては、積雪の冷熱利用に関する研究、それから金沢の金沢工業大学におきまして、積雪期における発電用ダムの水循環過程の研究、そういったようなものも行われておりますし、弘前大学におきましては、雲あるいは地熱、太陽も含む自然エネルギーを利用した温度差発電に関する研究、こういうようなものが逐次なされておるわけでございます。  大学が担当しておりますのは、これは各省庁のいろいろな試験研究機関と連携をとりながらやっておるわけでございますけれども、主として基礎的な研究でございまして、その研究成果につきましては、学会での発表その他を通じましてさらに新たな研究の推進、それから地域社会への還元等、そういった方に向けられるべきものであると考えております。  文部省といたしましても、今後とも研究条件の整備充実、そういった方面にもさらに努めてまいりたい、かように考えております。
  23. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 非常に雪の利用ということについての研究というのは本当に数が少ない、全体のいろんな我が国の今の科学技術水準からいえば極めて少ないという、しかもそれは緒についたばかりというような感じがいたしまして、それこそこうした研究がさらに大いに前進をいたしますように、今の文部省さんの御答弁を聞いておりましても、いろいろと今後も一層の御努力をされるということでありますが、御努力には必ずもう一つ財 政の裏づけというものがついて回りますので、どうぞその辺のところも十分に御配慮をいただきまして、ひとつ対応お願いをしたいと存じます。  雪のことについていろいろと申し上げていきますと、最後にはいろいろと恨みつらみみたいなことが多くなってしまうわけでありますが、いずれにいたしましても、こうした雪の研究というのは、受け身のものですらまだ極めて不十分であるということが言えると思うわけであります。  これはここで長官にひとつ御見解を、お気持ちをお聞きをしたいと思うんでありますけれども、こうした雪国日本のかなりの面積を占めるわけでありますが、この雪国に住む人々のためにも、それこそ雪の問題の解決、受け身の部分も、それからこれから積極的に雪を利用していくという面でもかなり重点的に努力を、政策的に努力をされてしかるべきものではないだろうか、特にそれは技術開発の面では重要な意味を持っているんではなかろうか、それぞれ各省庁の、関係省庁の御努力ということを、科技庁としても働きかけをしていただくと同時に、やはり財政的な裏づけなどというものも一緒にやっぱり御努力をいただかなきゃならない、そういう問題だと思うわけでありまして、こうした雪の科学的解明と利用、こういうことについて長官のお気持ちをお聞かせをいただければありがたいと思います。
  24. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) お答え申し上げます。  ただいま先生お示しになったところは防雪から克雪、さらには一歩前進しての利雪と、こういうぐあいに前進を図るべきじゃないかという御趣旨のように承りましたが、私も全く同感でございます。  例えば利雪という面で考えますと、雪というのは非常に大きなまた水資源と、こういうぐあいに理解できるわけでございます。と申しましても水資源という立場から雪を眺めましても、先生御案内のように雪というのは非常に季節的な変動が多い、なかなか定量的な把握が困難であるとか、それから果たして経済的に間に合うコストというものでの利用ができるか等、等々を考えますとなかなか困難な問題も前面にあるかのように私も感じます。  また、私のところには例の雪ダムというものをもっと積極的に考えるべきではないかという、こういう御提言をお寄せになる方もあるわけでございますが、いずれにいたしましてもやっぱり雪の利用という研究につきましては、これは相当息長く私ども考えてまいらなきゃならぬ、こう思うのであります。  先ほど文部省から御紹介ありましたそういう各大学における基礎的なあるいは重要な研究、こういったものについても私たちも大いに注目をいたしながら、私どもはその第一歩として来年度概算要求におきましては、雪害対策関係につきましては、財政厳しい折でありますけれども、かなりのパーセンテージを伸ばした今研究費を要求しているような状況でございまして、今後も一生懸命に努めてまいりたいと思います。
  25. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 長官の御決意をいただきましたが、ありがとうございました、ぜひ最大の御努力をひとつお願いをいたします。雪国長官の間にできるだけレールはたくさん敷いておいた方がいい、こう思いますので、ひとつよろしくお願いをいたします。  以上で雪のことにつきましては終わらせていただきまして、次に生命工学にかかわる倫理規定の問題というのについて若干お伺いをしたいというふうに思っております。  去る六月二十一日に本委員会でも越谷病院での体外受精問題で私は質問を申し上げましたけれども、そのときの厚生省の御答弁では、こうした技術利用については、大学の倫理委員会や学会の倫理基準というものによる、こういうことで、統一的なそういうものは行政の場からつくるという形にはなっていない、こんなことであったと思います。これらの自主的なものの網の目から漏れるというものもこれは技術や学問の進歩というものがどんどん進んでいく中で必ず起こってくるんではないだろうか。例えばこの間の越谷病院の事件というのも、言ってみればそうしたことの一つのあらわれでしかすぎない、こんなふうにも思うわけであります。  そこで、まず厚生省にお伺いしたいんでありますけれども、これらの大学とか学会の自主的な委員会や基準というものは、簡単なものからかなり細かく配慮したものまでいろいろとあると思うわけであります。そうした何かやはり学会や大学によってのアンバラみたいなものがあると思うわけでありますけれども、その辺のところは何か調整をされるというおつもりはあるんでしょうか。
  26. 佐野利昭

    説明員(佐野利昭君) お答え申し上げます。  先般先生の御質問に対しましてお答え申し上げたと同じでございますけれども、先生御承知のとおり、体外受精に関しましては各大学の倫理委員会とともに、日本産科婦人科学会の倫理基準がございます。これはいずれも医師がすべての操作及び処理に責任を持てる状態で行うこととされております。医学の関連に関しましてはやはりこれが一番基礎的な基準になるのではなかろうかという意識を持っております。  ただ、今先生が御指摘のような形で生命の取り扱い一般に関しましていわゆる行政的にあるいは法律的に国が一定の基準をつくるべきではないかという御意見に対しましては、こういう非常に先端的なあるいは先覚的な技術開発分野につきましては、やはり研究、学問の自由というような問題もございますし、また本来行政的な立場からそういうものをある意味で言えば規制するような形のものになってしまうというおそれもありますので、やはり行政の方で先に何かの基準を設けるというのは余り適切ではないのではなかろうかというふうに判断をいたしております。したがいまして、やはり今後ともおのおのの研究機関等で一定の基準がつくられ、関係者の間で話し合いかなされまして、それがいわゆる全体としての統一的なものとしての合意が得られるような、社会的なコンセンサスが得られるようなものになっていくことが望ましいというふうに判断をいたしております。
  27. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 お聞きのように、厚生省さんの御答弁は前回と変わらないわけでありますけれども、しかし私が懸念をいたしますのは、法律とかそういうもので一々細かいところまできちんと規定をしろということではないのであります。しかし、例えばこの間七つ子の中絶問題などというのがマスコミをにぎわしておりましたけれども、言ってみれば技術とか科学とかというものの進歩に対して社会的に対応がいろいろとついていけない、おくれているというところにいろんなことが起こってくる、そういう可能性というのが非常にたくさん出てきているというふうに思うんです。先ほどの越谷病院の例じゃありませんけれども、それじゃ人間の命という、そういう尊厳を扱っていくときに、例えば畜産技師が介入すること、そのことがいいか悪いかということの前に、例えば関係者の一部から報道された範囲で言えば、体内から卵子を取り出すまでは医者の仕事だし、受精卵を体内に戻すのも医者の仕事だと。しかし、受精のその操作、体外での操作そのものは物として考えていいんじゃないかなどという発言が載ったりしていたものも一部にありました。そうすると、その辺のところやっぱり社会的問題として一定の倫理としての基準というものが要るんではないだろうか。総合的にこの種のことについての倫理問題について、言ってみれば統一的なひとつ政府指導方向というようなものが必要な時期が来ているのではないかと、こんなふうに思うんですけれども、その辺のところは、今度は調整役としての技術庁の方でどういうふうにお考えになっておりますでしょうか。
  28. 長柄喜一郎

    政府委員長柄喜一郎君) 先生が今御指摘のとおり、近年のライフサイエンスの進展は、体外受精の例でも見られますように、人間の尊厳、倫理の問題、こういう問題に対して大きな課題を投げかけているかと思います。  そこで、我々といたしましては、今後国民の多様な価値観、こういうものも十分踏まえながら、多方面からこの問題について検討していく必要があると、こう考えております。  本件につきましては、一昨年のウィリアムズバーグ・サミットにおきまして、中曽根総理からこの問題が提起され、その結果、昨年箱根におきまして七カ国二十一名の専門家が集まりまして、「生命科学と人間」の会議というのを開いております。ここでいろいろ自然科学の専門の方、宗教の方、哲学の方、こういう方が集まって会議をやったわけでございますけれども、いろんな個人の価値観というものを尊重してこの問題を取り扱うべきであり、今直ちに規範的なルールをつくるのは今はまだ困難であると、こんなような結論が出ております。この会議につきましては、引き続き本年四月にフランスのランブイエでも会議がございまして、遺伝子操作、出生前診断、人工授精等について幅広い意見が交わされております。  科学技術会議の第十一号答申におきましても、科学技術と人間及び社会との調和を図ることが非常に重要であるということが指摘されておりまして、研究の場あるいは応用の場、または政策立案の場でこの問題を検討していく必要があるということは指摘されております。これを受けまして、現在科学技術会議の政策委員会及びライフサイエンス部会におきましてこの問題が検討されているところでございます。当庁といたしましても、ライフサイエンスの進展と人間及び社会との調和を図るという観点から、各所で行われます広範な議論を十分踏まえて総合的な視野に立ってライフサイエンスの振興を図っていきたいと、こう考えているところでございます。
  29. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 その辺ももう少し伺いたい面もあるわけでありますけれども、実はまだ私も聞きたい問題がほかにございますのできょうはそこでとどめておきますが、私は、私自身も例えば政治が事細かにいろいろと介入することについては反対であります。しかし、人間の尊厳というものについての基本的な考え方というものは、これはひとつきちっと統一的なものをとらえて、そしてそれがそれぞれの倫理規定で、委員会で扱うとき、規定をつくるときというときには常に一つの太い柱として整えられるように、こういうことが今必要なんではないだろうか、こういう観点で物を申し上げておりますので、ひとつ、細かい規定をつくれという意味で申し上げておりませんので、そこのところは御理解をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いをしたいと存じます。  では、以上で生命工学にかかわる問題というのは終わらせていただきまして、次に、原発の核燃料の再処理に伴います高レベル廃棄物の処理処分問題について少しお伺いをしたいというふうに思っております。  そこで、いろいろとお聞きをする前に、ちょっと確認をしておきたいんでありますけれども、我が国の原子力開発というのは平和利用に限っているということであります。そのもとで公開の原則が守られているはずであります。ということと、それからまた、その施設等の立地等については、長官が国会でも再三確認をしておられますけれども、地元関係者との理解が得られるように、慎重の上にも慎重に対処をすると、こういう御発言をいただいているわけでありますけれども、そういう点、こうしたそれぞれの基本点についてはその後何ら変更はありませんねということをひとつ、大変念押しみたいで恐縮でありますけれども確認をさせていただきたいと思います。
  30. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) まず、地元の理解と協力という点からお答えを申し上げたいと思いますが、私どもは、原子力関係施設の立地、あるいはその立地に先立つ調査段階におきましても、関係の地元の方々の理解と協力を得て進める、それが基本であると考えておりまして、今日においてもその考え方に変更はございません。  なお、それから、原子力の研究開発利用に関するいわゆる三原則のうちの公開の分についてのお尋ねもございましたが、これもしばしば国会でも御答弁申し上げているわけでありますが、財産権の保護あるいは核不拡散等の観点から慎重に配慮する必要があるものを除きましては、私どもは原子力利用成果の公開につきましては、これまでも極力努めてまいりましたし、これからもその方針でやってまいります。
  31. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ありがとうございました。その長官のお言葉を聞いて、今後も原子力にかかわってはいろいろな観点からのやはり心配やあるいは地元とのいろいろな問題というのが常について回るということにもなりますので、その基本方針をぜひ堅持を続けていただきたい、こんなふうに思うわけであります。  そこで、高レベル廃棄物については何か略してHLWと言っているようでありますから、HLWと、こう言わせていただきます。その固化処理技術といたしまして棚珪酸ガラス固化処理技術というものを今動燃では採用をしております。これを採用したのはどういう理由によるのでありましょうか。
  32. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) お答えいたします。  ガラスというものは、いろいろな種類の元素を均一に溶かし込みまして自分の体の中に閉じ込めるという、そういう性格を有しております。それからもう一つ、過去のいろんな遺跡の中からも何千年という昔のガラスがきれいな形で出てくることでもおわかりのように、長期間にわたって安定した物質であるという点がございます。それから、昔からこのガラスの製造技術については、人類がいろいろな形で活用しておりまして、その製造プロセス技術というものの完熟度が高い、こういうことでございまして、国際的にもこのガラスの固化技術というのが高レベル廃液の固化技術に適しているという一般的な見解でございます。動燃事業団におきましても、こういう見解のもとにこのガラスによる固化技術というものの技術開発に努めてまいっておるわけでございます。
  33. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 その御見解はわからぬわけではありませんが、しかし、我が国におけるHLWの固化処理技術というのが硼珪酸ガラスによる固化処理ということに重点を置いてその開発が進められているというところに若干疑問がないわけではありません。動燃事業団ではこの高レベル放射性物質の研究、動燃の研究施設では実廃液を用いたガラス固化体の特性試験、また原研では廃棄物安全試験施設で放射性同位元素を用いた多様な試験がいろいろと行われていると、こういうことであります。  昨年八月七日の原子力委員放射性廃棄物対策専門部会の中間報告によれば、  ホウケイ酸ガラス固化は固化処理技術の主流としての地位を確立したものと評価される。従って、固化処理については今後ともガラス固化の実用化に最重点を置いて研究開発を継続することとし、その成果を集約して動燃において一九九〇年の運転開始を目途に技術実証のための固化プラントを建設することとする。 こんなふうにして述べられているわけであります。ということを見ていきますと、ガラス固化ということに集中をしていると、こんなふうに思うわけであります。私は特に安全性ということ等を考えていきますと、例えば硼珪酸ガラス固化技術というものは、我が国での試験というのは昭和五十七年の十二月に開始をされたばかりということになるわけであります。また、主要国におきましてもフランスだけが実施をしているようでありますけれども、そのほかのところはいろいろと準備中、検討中というようなものがほとんどであります。  それからもう一方では、豪州の発案でありますシンロック固化法というものが今提起をされておりまして、これはまた日豪の間で協力の体制をつくられているようでありますけれども、このシンロック固化法というものは、安全性とか耐浸出性等の面では、ガラス固化よりもすぐれているのではないかなどというようなこともいろいろと評価をしておられる学者の方もおられるようであります。そういたしますと、私はやはりシンロック固 化法というものも積極的に我が国は取り上げまして、そしてそのガラス固化と両方比較をしながら、実施手前の大型な試験というものの前に、そういう比較をするようないろいろな研究試験というようなのが積み重ねられてしかるべきなのではないだろうかというふうに考えているわけでありますが、そういう観点からいたしますと、どうも科学技術庁がガラス固化プラントの建設だけを何か動燃事業団にどんどんと促進をさせているのではないだろうかと、そんなちょっと疑問が出てまいりますのでもう一度そこのところをお答えをいただきたいと思います。
  34. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) ガラス固化技術につきましては諸外国でも早い段階から有望な固化技術ということで研究を始めておりまして、先ほど先生指摘のように、フランスでは既に一九七八年から実用規模のガラス固化プラントが稼働し、これまで約千二百本のガラス固化体を製造したという実績も有しておるわけでございまして、現在の段階でこの高レベル廃棄物をガラス固化する技術としては最も進んでおり、また最も実用性の高い技術と世界的に評価されておるものでございます。  我が国におきます研究開発につきまして先ほど先生から五十七年十二月から始めたばかりではないかという御指摘がございましたが、五十七年十二月という時点は、高レベル放射性のいわゆる東海村の再処理工場から出ます実廃液、実際の放射性廃液を使いましたものを初めてガラス固化してみたという時点でございまして、実際このガラス固化の研究につきましてはそれよりも相当前から、放射能こそ使いませんが、成分、元素の種類、そういったものは全く高レベルの廃棄物と同種のものを入れましたガラス固化体を製作するということで、その製作の技術とか取扱技術、そういったものに長い時間かけて研究をし、その成果をもとに実廃液を用いたガラス固化体を初めてつくったのが五十七年十二月ということでございまして、我が国としてもこのガラス固化の技術の歴史は古いわけでございます。これに原子力研究所も相協力いたしまして、安全性の評価という観点から原子力研究所におきましても各種の評価試験を行ってきておるところでございます。  先生指摘のシンロック法につきまして、私どももガラス固化体が今最も実用的なものである、しかしそれだけでいいということではございませんで、常によりよい技術を求めて我々としてはこの研究開発に取り組んでおるわけでございます。そういう意味で、いいアイデアがあり、実用性の可能性があるものがあればそれに積極的に取り組んでいくという態度をもって臨んでおります。  シンロック法につきましても先生指摘のような利点があるわけでございまして、これは現在、オーストラリアの大学先生がアイデアを出しまして研究をしている一ものでございまして、チタン、ジルコニウム等の酸化粉末をいわば高レベル廃液に一緒にして焼結し、人工的に……
  35. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 内容はわかって聞いているんです。
  36. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) それでは、そういうものでございますが、利点だけでなくて、ガラスと違いましていろんな核種を取り込むということについては弾力性に欠ける点もございます。そういった問題点もございますので、これは今そういう意味でいろんな研究をしているわけでございますが、この研究はまだまだ基礎的研究段階でございます。  しかしながら、先ほど申しましたように、我々としては可能性のある技術には取り組むという態度で臨んでおりますので、原子力研究所にこの豪州のシンロック法の研究を共同研究という形で日豪間でお互いの協定を結びまして協力をしておるということでございます。我々は決してガラス固化一つにだけ一辺倒ということじゃなくて、そういう新しい技術にも取り組んでおるということでございます。
  37. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 要するに、技術としてある程度実用段階にまでいっているのはガラス固化しかない、シンロック法というのはまだ基礎的研究であって、これからいろいろと具体的なものに発展をさせるという、そういう方向で今研究もしておる、言ってみれば、取りまとめて言えばそういうことなんだと思うんです。細かい技術的なことのお話をいただかなくてもその辺はそういうふうにわかりやすく言っていただけばよろしいと思うんであります。  そこで、ただ私が気になりますのは、今のガラス固化についても、実用にしているフランスでもいろいろな議論がやっぱり出てきているというのは事実だと思うんですよね。そのフランスが今度は政府の旗振りで、これは何と言うのでしょうか、積極派もあるいは消極派もそれぞれの立場の学者も含まれてカスタン委員会というのができているのは御承知のとおりなんですけれども、そのカスタン委員会の報告というものを見せていただきますと、やはり随所に技術の不確実さというものを気にしているというところがあるわけなんであります。要するに、カスタン報告といいますのは、それは言って見れば実はフランスの内部にもさまざまな問題を抱えていて、それらの今後に残された問題を含めて今検討がいろいろと始まっているということを明らかにしたものだというふうに思うわけなんであります。それだけにガラス固化の技術というものも、私は我が国独自の研究検討というそういう体制をやはり細かく積み上げていただくことが必要なんではないかというふうに思うんであります。  そこで、我が国独自のそういう研究というものはどの程度されているのでありましょうか。そのこともひとつお伺いしたいと思います。
  38. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 我が国のガラス固化技術現状でございますが、先ほど申し上げましたように、放射能のない条件の中で、成分が全く同じ形の廃液をつくりましてこれをガラス固化するという長年にわたる技術、これの成果をもとにいたしまして五十七年十二月に実際の廃液を使いましたガラス固化体をつくっておるわけでございます。こういったものをもとに、各種の評価試験の成果を原子力研究所等におきましても長い間にわたる放射能の影響というものをいわゆる加速試験という形でいろんな劣化試験というのを行う、あるいはガラス固化体の中から各種のものが水の中に溶け出して出てこないか、そういうようなことの研究も進めておるわけでございまして、既に私どもの方ではこのガラス固化体の技術は実用に伏せるということで、この固化のための実証プラントを、できれば六十二年度ぐらいから建設に入りたい、そこまで技術が既に十分な見通しを持っておるという状況にございます。
  39. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そこのところが私にはまだちょっとすとんと落ちないのでありまして——十分時間があると思っていたら、たちまち時間というのは過ぎていきまして、議論を十分に闘わせる余裕がないのは大変残念でありますけれども、ガラス固化体の今テストをやったというのも、言ってみれば実際のキャニスターよりはずっと小さいものを使ってやられたということになるわけなんですよね。それから、あれも加速試験ということでやっておられるわけで、実際の年月がかかったというわけではないということになるわけであります。そして、ある面ではフランスのいろいろなデータ等も参考にしながら判断をするというあれもあるでしょうが、そのフランスでもいろいろと今議論が起こっているという状況である。こんなふうになってまいりますと、私はやはりもっといろいろな面での実験、テストというものを繰り返して、そういう小さいテストをいろいろと繰り返して、その都度安全性、安全度というものを確かめながら、この実施レベルの今度は実験にというふうに展開をしていくべきものだというふうに思うんであります。それにしてはちょっと私は拙速に過ぎるのではないかというふうに思います。例えば今のキャニスターよりもずっと小さいものでやったってそれは推定である程度はやれるんだわいと、こういうふうに言われるかもしれませんけれども、我々の頭の中ではそういう実験だけではな かなかあれできなかったことなどがいろいろと後で出てきたりすることもあるということでありますから、そこのところは慎重に慎重を重ねていただかなければならないというふうに思うわけです。  例えば中心温度一つにいたしましても、去年の本院のエネルギー対策特別委員会で対馬委員の質問に答えて、動燃の理事さんですね、植松参考人が答えられているのは、中心温度二百五十度Cぐらいにおさめるようにすることとしておりますというふうに言っておられます。しかし物の本等によりますと、その固化体の中心部の温度は四百度あるいはそれを超すというような記述のあるものも幾つもございます。こういうことに相なるわけでありますから、そうするとその辺のところをどうしても二百五十度Cにおさめることが可能なのか、こういうことをやはりテストのいろいろなあれを繰り返されたもので、私どももある程度納得できる御説明がいただけるようなものがやはり欲しいと思うんですよ。そういう実験というものがやはり繰り返されていかなければいけない、安全というものが確認をされていかなければならないんではないかと思うんです。  そういうことを申し上げましたのは、実は今度の北海道の幌延に貯蔵工学センターをつくられるということで、そのことについての調査をされるということで、何か地元というのは当事者との了解ということのように理解をされたようでありまして、動燃さんの方でこの二十三日に実行をされたということで、私はそのときの新聞の切り抜きたけ持ってまいりましたけれども、これは大変なんですね、地元は大騒ぎしているわけですよ。それで、私はこういうあれをなぜ急いでやられなければならないのかと、こういうことも大いに疑問になります。  同時にもう一つは、今年の四月、衆議院の科学技術委員会におきまして我が党の五十嵐委員が質問をいたしました中で、北海道北部の群発地震の心配等について、これは文部省調査報告が出ておると、これを動燃の方はそのとき知らなかったと、こうお答えになっているのでありますけれども、こうした現在あるいろいろなデータというものをどういうふうに評価をされたんであろうか、その事前のデータチェック、評価というものをどういうふうにされていたんだろうか、こんなこともひとつ疑問になるわけであります。あえてここで実地調査ということをこれほどまでにして強行しなければならなかったという理由が私にはよくわからない。科学技術庁といたしましては、そうするとあのときは動燃さんも御存じなかったと言われるんでありますから、それを検討をさせるように御指導なさったんでありましょうか、あるいは検討の結果というのはどうだったのかお聞きになっているんでしょうか。
  40. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 豊富群発地震の調査についての件でございますが、理事長がそのようにお答えしたことは事実でございますが、その後中身につきまして動燃におきましてもこの報告書そのものの存在というのを知らなかったというよりか細部の細かい点が理事長としてわからなかったのかその点あれでございますが、御指摘の報告書についての見解を述べさせていただきますと、一九七五年十月から七六年一月までの間に発生したものでございまして、震度四を含みまして有感地震が八回という記録があったものでございます。同報告書は、この有感地震のうち最も規模の大きいものでもマグニチュードは三程度ということでございまして、この調査につきましてはこういう記述もあるわけでございます。「今回調査を行った豊富群発地震は、近年では比較的規模の大きいものと言えるが、北海道からサハリンにかけての全般的な地震活動からみれば、このような活動は約十年間に一度は発生しているものであり、特に異常とは言えない」という記述がございます。動燃では、この豊富群発地震のみならず、一九二八年から一九七五年まで、遠別町以北、この幌延町の近くでございますが、そういったところに発生した有感地震も分析しておりまして、これらの地震、過去における地震の分析した結果では、いずれも局所的に有感となっている微小地震であるということでございまして、この貯蔵工学センターを、もしここにつくらしていただけるというようになった場合には、十分地震に耐え得るものの設計が可能であり、一般のそのほかの、日本のほかの地点に比べて特にここが問題であるというような認識は持たないということでございます。
  41. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 今のお答えの中で、私二つ問題として感ずるんですけれども、一つは、地震といいますのをそう軽く見ていってはいけないのではないかというふうに思うわけでありまして、自然の現象というものに対して甘く見ているととんでもないことになる。というのは、アルメロの事件一つを見ても我々は大きな教訓にしていかなきゃならないんじゃないかというふうにも思うんですよ、その自然の恐ろしさというものは。ですから、地震のあるところということは、やはり一つ大きな問題点であるというふうに私は理解しなければいけないのではないかというふうに思うんです。  それからもう一つ、日本国内、ほかのところに比べて特にひどいというわけではないという理解は、これは私はちょっとおかしいと思うんですよ。そういうところがどこもなかったら日本には逆に言えば適地がないということなんでありまして、日本の中で特にここはそういう心配がない、そういう方向であれば、それはそれなりに理解の仕方もありますけれども、日本のどこでもある、そういう程度の地震だから大丈夫だという理解というのは、私はどうしても理解し切れない。にもかかわらず、そういうものがあるにもかかわらず、なぜあえて調査ということに踏み切られたのか、このことはどうしてもわかりませんのでもう一度お答えいただきたいと思います。
  42. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 原子力施設のサイトの選定、立地ということにつきましては、非常に地元の方々の理解を得るという立場から時間がかかるものでございます。で、この貯蔵工学センターには東海村の再処理工場で出ました高レベル廃棄物を貯蔵する、それを使った研究をするということとあわせまして、最終的な地下処分をするためのいろんな研究データをとる深層試験場もつくろうというようなことも持っておるわけでございまして、いずれにしろ我が国の原子力を進める上での重要な施設でございます。できるだけ早くこういった施設を建設したいということでそういうサイトをいろいろ探しておりまして、幌延町からは非常に熱心な誘致が前々からあります。で、既存の資料による限りかなり有望な地点でもあるということで、可能であるかどうかということの調査は一刻も早くしたいという考えが一つございまして、ただ、地元の方々の理解を得ていく過程におきまして、この土地については、先ほど先生指摘のようなことも含めまして、活断層があるのではないか、水がそのサイトから牛乳工場の方へ流れるんじゃないか等々のいろいろないわば不安の材料になるような問題があるよということを地元の方々からもいろいろ言われるわけでございます。そういうことはやはり早い段階調査をして明らかにしていきませんと、理解を進めていく上に差しさわりになるわけでございますので、そういうことでできるだけ早い機会に調査をしたい、こういうことで進めてまいったものでございます。
  43. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 もう時間がありませんから私は長官伺いたいんであります。  とにかく今幌延町では要請があったということを言われますけれども、周辺のところはみんなまだ慎重であったりいろいろしているわけですよね。で、調査のことも含めての慎重な扱いが必要だったはずなんでありまして、あえてこういうことをやられるということになると、そこのところへ落下傘ででもおりていかなければあとは何もできないということにもなるんじゃないかと思うんです。慎重の上にも慎重にということだったんでありますけれども、こういうことが起こったということは大変残念なことなんであります。  そこで、今後の対応として、このような見切り発車のようなことは絶対にやってほしくない、こう思うんでありますけれども、その辺はいかがでございますか。
  44. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) 簡単にお答えを申し上げますと、私どもとしては、できることなら穏やかな形での調査をしたい項目も実はまだあるわけでございますが、先ほど調査に対する各方面等の反応も考えますと、次のステップについては私は慎重に考えたいと思っています。
  45. 伏見康治

    ○伏見康治君 稲村君と同様に原子力の後始末いわゆるダウンストリーム関係の幾つかの点について御質問申し上げたいと思います。  四月にも同じようなことで幾つかの御質問を申し上げましたが、あるいは重複して質問するようなことになるかとも思いますけれども御了承ください。  この十月の八日に、原子力委員会の中にございます放射性廃棄物対策専門部会というのが「放射性廃棄物処理処分方策について」という報告書をお出しになりまして、その後原子力委員会は正式にそれをお取り上げになったように伺っておりますが、この報告書はどういう趣旨でどういう経緯ででき上がったものか、何を目的としているかといったような点についてまず御説明伺いたいと思います。
  46. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) お答えいたします。  原子力委員会の放射性廃棄物対策専門部会は、昭和五十七年の六月に原子力委員会が策定いたしました原子力開発利用長期計画、ここにおきまして放射性廃棄物の処理処分対策の基本方針が示されておるわけでございますが、この基本方針の中で今後検討しなければならない問題として、低レベル放射性廃棄物の陸地処分方策及び極低レベルの放射性廃棄物の合理的な処分方策、それから第三に高レベル放射性廃棄物の処理処分方策、この三つの事項に関して調査、審議を続けるということにしたわけでございまして、この専門部会では、昨年八月、これら三つ検討事項に関しまして「放射性廃棄物処理処分方策について」という中間報告を取りまとめました。ここでは主に技術的な諸問題について取りまとめたわけでございます。それでなお残された問題がございまして、これは昨年八月の中間報告において書いてございますが、いわゆる低レベル放射性廃棄物の最終貯蔵及び処分に際しましての実施主体の責任のあり方、それから高レベル放射性廃棄物の処理処分に関します国及び民間の役割分担、こういった主に体制的な問題が残されましたので、これをその後審議いたしまして、本年十月八月に報告書として取りまとめ原子力委員会に報告したものでございます。
  47. 伏見康治

    ○伏見康治君 ありがとうございました。  その中で制度的に一番問題になりますのは、放射能物質を発生したその発生者の責任の問題と、それから大きなところからそれを見ております国の責任というものの関係をちゃんと明確にするということであると思いますが、この中に「廃棄事業者」という言葉が出てまいりますのですが、これはどういうものであるのか、それは現在の法律の中に、例えば原子炉等規制法の中にそういう言葉があるのか、そういうようなことについてまずお伺いしたいと思います。
  48. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 廃棄物の廃棄の事業者というものにつきましては、報告において想定しておりますのは、青森県の六ケ所村において低レベル廃棄物の最終貯蔵を今計画しておるわけでございますが、このようにここには各地の発電所からの廃棄物を持ってきまして集中的に貯蔵管理して最終的に処分するということでございますが、このように事業所外に廃棄をするということになりました場合に、その廃棄されたものを貯蔵管理し、さらにその処分に持っていく過程の責任者と、それからその廃棄物をそこに持っていく、例えば発電所の施設者が同じでない場合があるわけでございまして、そういう場合の責任体制というものを明確にする必要があるじゃないかということで、むしろそういう場合には幾つかの電気事業者が合同して管理するというようなことよりも、実際直接管理に当たるものが安全上の責任に対応する方がよろしいのではないか、そういう場合にはそれを廃棄の事業者として規制した方がよろしいのではないか、こういう考えが示されておるわけでございまして、現在の原子炉規制法においてはこの廃棄の事業というものは特別に規制されておりません。
  49. 伏見康治

    ○伏見康治君 廃棄事業者というのがどういうものになるかということは極めて大事だと思いますので、どうも例えが余りよくないんですけれども申し上げてみたいことがあるんですが、私は阪大の教授を長らくしておりまして、大阪湾を空の上から見たことがあるんです。大分前の話ですよ、二十年ぐらい前の話。大阪湾を上から見ると真ん中が黄色くなっているんですよ。それはし尿を処理なさる業者が、本当は太平洋の方まで行って処理すべきものをごまかして途中で放てきなさるものですからそういう結果になって、大阪湾の汚染はひときわひどいことになっていたと思います。その後もちろん事態は改善されたと思いますが。それぞれ発生源——私自身も含めて発生源であったと思うんですが、何か廃棄してくださる方があると、それに渡すことだけで自分の責任が果たされてしまったような感じになって、そして受け取った方は、要するに自分の廃棄することによる対価の範囲内で自分が妥当と思うことをやるというだけのことになってしまうおそれが私はしばしば起こると思うんです。それで廃棄事業者というものの責任を、ちゃんとやってもらうような責任をどういうふうに帯びさせるかということが大変大事な点であろうと思うんですが、そういう点についての考察が少し欠けているのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  50. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 御指摘のような問題もあろうという観点からだと理解しておりますが、原子力委員会におきましても、そのような趣旨の考察のもとに答申がなされているというふうに理解しております。  放射性廃棄物の処理処分の安全規制の問題につきましては、実際に法令違反をするかどうかというような問題につきましては、現行法でも原子炉等規制法の中で事業所外廃棄という規定がございまして、それによって電気事業者を規制するという考え方でやっておりますので、その辺はいずれにしろ法令違反をしたら処分をするようなことをチェックするということはできるかと思うわけでございます。この辺につきましては、現行法令でも総理府令を整備することにより対処することができるということはこの報告書にも書いてあるわけでございますけれども、やはり全体集中的に事業廃棄をやる、それを反復継続してやるというような観点から原子力委員会の報告書としてはよりよい規制を求めると、言うなれば事業所をつくったらいいんではないかというような報告が出ているところでございます。私どもこの趣旨を十分尊重いたしまして、よりよい規制を求める法令整備についてただいま検討を進めているところでございます。
  51. 伏見康治

    ○伏見康治君 日本の原子力をやっているのが民間であるのか国であるのかという点はいささかあいまいなところがあって、いわゆる電力業者というのは民間であるのか公的な存在であるのか、中途なところがあると思うんです。電力業者自身がとにかく原子力発電所をやって、それによって電力料金を稼いでいる限りにおきましては、その稼ぎをしているという意味においての責任というものがやっぱり一番大きいと思うんです。それで電力業者の責任がこういう第三者的な廃棄業者をつくることによって軽くなったように考えるおそれが多分にあると思いますので、そういうことのないように今後の議論を進めていただきたいと思います。  次に、低レベル廃棄物についての項目について、これは低レベルに限らないお話でございますが、一般に廃棄物というものを廃棄物として考えるだけなのはもったいないという感じがいたします。その中にはいろんな役に立つものがいっぱい 入っているはずである、そういう役に立つものを——全部が全部役に立つとは申しませんけれども、その中に役に立つものがあるに違いないと思うんですが、そういうものを取り出すことによって廃棄処理の費用の相当の分というものが軽減できるのではないかという感じもするわけでございますが、この廃棄物の利用に関する研究というものは相当まじめに行われているんでしょうかどうか、その辺のところを伺わさしていただきたいと思います。
  52. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 現在までのところ放射性の廃棄物につきましては、とにかく管理区域の中で使ってそれが廃棄されたというものは、すべて放射性廃棄物の扱いになっておりまして、これを再生利用するということがなかなか許される状況にございません。これにつきましては、外国では、例えば発電所に使われた鉄材などを廃棄したものを再生して、放射能が十分少ないということを確認した上でではあるわけですが、そういったものを再生利用するというようなこともあるという情報も聞いておりますけれども、現在まで我が国ではそういった積極的に廃棄物を再利用するという考えのもとに研究をしているということではございませんが、ただ例えば高レベルの放射性廃棄物につきましては、非常に集中的に貯蔵され、かつ高い熱を出すというようなことから熱源として利用できるんじゃないか、あるいは放射線源として利用できるのではないか、そういうことで今後研究をしていったらいかがかという構想が一つあるわけでございます。  先ほど来ちょっと問題になりました、幌延にできたらと考えております貯蔵工学センターでは、そういった研究もしたいということが一つあるわけでございます。  それから、高レベル廃棄物の場合は中に非常に希金属がいっぱい入っているということが現実にございますので、こういったものが分離できないかと、これは非常に長い先の話でございますが、ある意味で夢のような話でございますが、そういったことも考えておりまして、これはいわゆる群分離技術と申しますか、そういったものの発展上にあるんだと思いまして、現在群分離の技術につきましては、原子力研究所を中心基礎的な研究を進めている、そういう段階にございます。
  53. 伏見康治

    ○伏見康治君 今言われたようないろいろな可能性が考えられながらそれが必ずしも進行していないのは、その群分離の技術というものが口で言うほど簡単でない、そのことのために非常に困難な研究になっているということの反映だとは思うんですけれども、困難を排して進めるべき研究の価値が十分あると思いますので、なおそれを推進していただきたいと思います。  次に、この報告書の十二ページの下段に「なお、時間の経過に伴う放射能の減衰に対応して、段階的に管理が軽減され、例えば、処分場の使用目的を制限するなどの土地管理を行うことによって十分に安全が確保される段階以降においては、廃棄事業者から第三者に土地管理の責任等を移転する途を開くことも検討する必要がある。」云々と書いてございますが、一生懸命書いておられると思うんですが、一体どのくらいの年数といったようなものを念頭に置いて、もう少し具体的なイメージを描いてみるとどういうことになるのかということをちょっとお聞きしたいわけです。
  54. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 低レベルの放射性廃棄物の陸地処分の安全確保の考え方は、放射性廃棄物に含まれまする放射能が時間とともに低減をしていく、最終的には放射能レベルが安全上支障のない水準以下に下がるまでの間に幾つかの段階があろう、その下がっていく段階に応じて適宜安全規制を緩和していくというような考え方で対応しようということでございます。したがいまして、陸地処分をした後放射能レベルが相当に低減いたしまして、処分場の使用目的を制限するといった程度の土地管理を行うことによって十分に安全が確保される段階以降になりました場合には、必ずしも従来の廃棄業者が管理をしていなくても第三者の管理に任せるということも可能ではないか、こういう考え方でございます。  その期間についての御質問は、これはどういう段階になれば、どういう放射線のレベルにまで減衰すればそういう第三者へ移管できるかというようなレベルの問題によって、それと最初に廃棄しました放射性物質の放射能レベルとの関係でこれはおのずから決まってくるわけでございます。まさにそこのところが、どのくらいのレベルでやるかということが問題になるわけでございまして、まだただいまのところはそのレベルにつきましては原子力安全委員会で検討を進めているところでございまして、今の段階でどの程度の期間を想定しているかということを申し上げられる段階ではないわけでございます。もう少し時間をおかしいただきたいということでございます。
  55. 伏見康治

    ○伏見康治君 くどいようですが、まさに安全委員会で御検討中の数字だとは思いますが、大体予定表としてはどの辺のところで結論をお出しになるか伺いたいわけです。つまりこの種の問題は先の話だと思っていると何年でも先にいってしまうおそれがありますので、審議の予定表というものもちゃんとつくってやっていくべきだと思うんで、大体のめどを教えていただきたい。
  56. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 事務局としては来年じゅうに報告をいただけたらということを期待をいたしまして作業をお願いしているところでございます。
  57. 伏見康治

    ○伏見康治君 それから、先ほど読み上げた文書の中に、最後の段階で第三者に譲り渡すという意味のことが書いてあったと思うんですが、この第三者というのはだれのことですか。
  58. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 第三者の問題につきましては、現在具体的な第三者を考えているというわけではございません。実際に具体的にどういう利用の仕方がなされるかによって変わってまいることであろうかと思います。
  59. 伏見康治

    ○伏見康治君 ということは、別にもうその辺では管理責任というものは全然考えない、つまり第三者がその土地をどういうふうに利用するかという見通しだけで、いわば管理をそこで、その時点でもうやらないということを意味するわけですね。
  60. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 廃棄物そのものについての管理は第三者に期待しているわけではございませんけれども、例えば公園に使うというような場合にめったやたらにその辺ほじくり返して、またせっかく埋めた廃棄物を掘り出されるというようなことは困りますので、そういったようなものを義務として管理させるという程度の管理は第三者にも期待するということであろうかと思います。
  61. 伏見康治

    ○伏見康治君 次に、高レベル廃棄物の方に移りたいと思いますが、十四ページ上段の方に「高レベル放射性廃棄物は、本来的には原子炉の運転に伴って発生し、使用済燃料を再処理することにより分離されるものである。」というふうに、つまり原子炉の中で発生して、そして再処理の操作によって分離されてくるものであるというふうに規定してあると思うのですが、他方動燃事業団の「貯蔵工学センター計画の概要」という書物がございまして、その中には「東海再処理工場から発生する」というふうに書いてある。何か言葉の不統一が非常に目立つんですが、いかがでしょうか。
  62. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) この放射性廃棄物処理処分方策についての検討過程におきましては、やはり発生者責任ということが非常に強く意識されたわけでございます。そういう意味で発生者というものをある意味で厳密に考えていく必要があるのじゃないか。使用済み燃料の再処理工場から出てくる廃棄物につきましてもそれがすべて再処理工場からだけじゃなくて、その根源は発電所にあるんだからそこはもう少し厳密に書き分けるべきじゃないかということで書き分けられましたのがこちらの報告書でございまして、動燃事業団で出しましたパンフレットの方は時系列的に言いましてもこれよりももっと前だということもございますし、問題意識として東海村の工場から出たものについてはいろいろな後始末を自分でやっぱり考えなきゃならないというそういう意識もございま して発生者という言葉を使っておりますので、こちらのものに置きかえていけば、今後のそういうパンフレット等での記載につきましても厳密な使い分け的なことをしていかなければいけないのかなというぐあいに、先生の御指摘のとおりに考えておる次第でございます。
  63. 伏見康治

    ○伏見康治君 その辺の概念の整理をよくやっていただきたいと思います。  また、同じ十四ページの下段の方に、「また、その処分が適切かつ確実に行われることに関しては、実施までに長期間の研究開発を必要とすること、長期にわたる安全の確保が必要であることなどから、国が責任を負う必要がある。この一環として、国は、処分の実施を担当する主体を決める必要がある。」こう書いてあるんですが、どういうふうに決めるのか、一体この主体というのはいつ決まってどういうふうに決まるのか。
  64. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) ここに書いてございます国の責任ということにつきましては、民間のいわゆる活力を利用するという意味で民間の自主的な研究開発に依存していって問題がなかなか解決することでもないので、そういう意味で国が積極的にこういう研究開発に対しても取り組んでいくという意味でございますし、それから、これが安全に処分されるということについては非常に長期にわたるものでございますので、民間の事業者にそう長い先のことまで責任を持たせるということが実態的になかなか難しいということもございます。いずれにしましても、この原子力の安全の問題については、最終的には国が責任を負うわけでもございますし、そういう意味で処分の実施主体というものをいずれの時期かに決めてきちっとしなければいけないわけでございます。これはある意味で早く決めれば早く決める方がいいではないかという御意見もあるわけでございまして、この専門部会でもいろいろその点を議論したわけでございます。ただ現実に実際の処分をするのはまだ二十一世紀ごろになるということから言いますと、どんな事業形態を想定して考えたらいいのだろうかということについての議論もございますし、その事業を遂行していく効率性、そういったものにも着目しますと、今からあわてて特定の事業体をもってこの事業体が処分に当たるということを決めるというには時期が早過ぎるではないかという意見も委員の中にございまして、そこら辺で現段階におきましては特定の事業体をもってその実施主体とは決めておりませんので、今後その処分地を選定するという作業の進展に応じまして適切な時期に実施主体を決めていこうと、こういう考え方でございます。
  65. 伏見康治

    ○伏見康治君 それに関連するお話ですが、十七ページの上段を見ますと、処分予定地の選定について言ってあって、それは動燃が中心になって行うと書いてございます。今御説明を伺ったように、処分実施主体というものはいまだに非常にぼやけた形になっているわけですが、それに先行して処分予定地を勝手に決めるということに結局なっているようなのでございますが、普通の物の考え方とどうも順序が逆になっているように私には思われるわけです。つまり、責任の主体というものがあって、その方がいろんなものを処分するところのことを決めていくべきであって、いろいろなことが決まってしまってから後から責任主体がそのおぜん立ての中に乗っかっていくという形では、私は本当の責任感というものは持っていただけないと思うのですね。自分がちゃんと下から下ごしらえをしていったということで初めて本当の責任が持てるのではなかろうかと思います。また、その受け入れる地方の方にいたしましても、本当の責任者が決まらないで物事が進展していくというのは非常に不安の材料になるのではないかと私は思うのでございますが、その点いかがでしょうか。
  66. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 先生の御指摘はまさに一つの御見識でございまして、でき得れば今から実施主体を決めて、そこで最後までやり通すということが非常に望ましい問題であろうかと思います。ただ、この最終処分に至る過程というものが非常に長い間の、いわゆる処分地の選定という期間が非常に長うございまして、そういう意味で今特定の機関にそこらの長い期間の調査を、不安定な状況、事業体としては不安定な状況にあるといいますか、ということもございまして、サイトの選定はいわば国が中心になってやっていく。そういう意味では、国の機関として現在まさにこの問題をみずからも再処理工場を持ってその廃棄物を処分しなければならないという立場からいっても、動燃事業団というものがございますから、国としてはこの動燃事業団にまさにこの仕事をやっていただこうということで考えておりまして、ただ、先々それでは将来ずっと動燃事業団がその処分事業までやるかどうかにつきましてはまだコンセンサスが得られていないという点があるわけでございます。いずれにいたしましても、この地点の選定というものには相当長い期間かかるわけでございまして、その選定に当たりましては国が所要の評価等を行って妥当性を確認すると、こういうことにもしてございますので、この処分予定地の選定の態勢というものに支障のない時期にその実施主体を決めていったらいかがかということでございます。ここの報告書の中でもそういう意味で今の先生のまさに御指摘の懸念を表明いたしましたのが、十七ページの中ほどに書いてございますように、「国の責任の下に処分の実施を担当していく主体については、開発プロジェクトとの連続性の確保にも配慮しつつ」決めろと、こういうことでございまして、途中のサイト選定の過程における事業との連続性に十分注意して決めていけと、こういう御指摘をいただいておるわけでございます。
  67. 伏見康治

    ○伏見康治君 その前のページのところにも、動燃が「この開発プロジェクトの中核推進機関として、体制を整備するとともに、電気事業者、民間研究機関等との間の有機的連携を確保する」といったように、当分の間は動燃に責任を持たせて、しかし最終的には何か仕事を取り上げるといったような感じなんですが、動燃を実施機関的にお使いになるのはいいとしても、国の責任というものをもう少し前面に押し出された方がいいのではないかという感じがいたしますですね。  次に、処分地の選定という問題を伺いたいのですが、この前も申し上げたことでございますけれども、日本はとにかく地震国であり火山国であり、非常に地層が複雑であって地質学的に安定した地域というものを求めるということは非常に困難な国柄だと思いますですね。ですからこそ私はこの最終的に処分すべき場所を組織的に非常に早目から探索しておかないといけないと思うのでございますが、実際上のその処理の技術研究をするということももちろん大事ですが、それに適当した場所の候補地としてどういうところがあり得るのかということの調査は早くからやっておかないといけないと思うのです。それをやっておかないと、はた目から見まして、幌延のようなところが誘致運動をするというとそこが本当にいいところかどうかの判断もないままにそこに行ってしまうといったようなことになって、甚だ順序の逆転した、論理の逆転したお話になりかねないと私は思うのですが、そういう最終的処分をすべき適当な場所というものを早目に研究するということはいかがなんですか。
  68. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 最終処分地の選定につきましては、この昨年八月の報告書にもございますように、今後十年間にわたりまして複数の地点について調査して絞っていこう、こういうことを計画しておりまして、具体的にその全国複数地点をどういうところに選んでいくかということの作業を今動燃事業団において行ってもらっておるところでございます。  それと同時に、私どもでは、まさにこの処分地の選定、それから実際に地元の御理解を得ていくためには今後どういう施策をとっていったらいいのか、並みの施策ではなかなか普通の工場を建設するというようなわけにはいかない、そこら辺のことも含めまして具体的な方策を検討するために、今局内に外部の専門家の方にも御参加をいた だきまして高レベル放射性廃棄物地層処分推進検討会という勉強会を持っておりまして、私ども直接そういった方策を勉強し、動燃事業団にして実行上のいろいろな方策を指示し、あるいは相談していきたい、このように考えておる次第でございます。
  69. 伏見康治

    ○伏見康治君 この高レベルの廃棄物を処分し、それからそれを管理するということについてはとにかく長い時間かかるもので、したがってその長い時間の間そういうことをするための費用というものが、一体どこがその費用を出すのかというそういう意味での責任ですね、それがなかなか大事だと思うのですが、直接実施の責任のほかに、どこからそのお金が出していただけるのかというその辺のところはどういう考え方なんでしょうか。
  70. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 処分の費用についてはこれは発生者の責任の原則に立ち戻りましてその発生した者からいただく、すなわち高レベルのものにつきましては原子力発電のところから出てくるわけでございますのでそういったところからいただく。それにはどういう方法があるか、外国では税金のような形で取るとか、あるいは電気料金の中に入れてそれを積み立てておくとか、いろんな方法が考えられると思うわけでございますが、そのような方法について私どもと通産省でいろいろ検討しておりまして、両者協力しながらその方策を勉強しておるというところでございます。
  71. 伏見康治

    ○伏見康治君 返還廃棄物、つまりよそに始末を頼んだものが返されてまいりましたときのことについて伺いますが、この「返還廃棄物の貯蔵の安全確保に関する法律上の責任は、貯蔵の実施主体が再処理事業者として負うことも可能と考えられるが、当該貯蔵を再処理事業から独立した業務とすることができる場合には、実施主体が廃棄事業者としてこれを負うことがより適当である。」という表現がございます。これは六ケ所村で具体的に考えると、その実施主体というのは例えば原燃サービスかとも思うんですけれども、具体的にはどういうことになるんでしょうか。
  72. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) おっしゃるとおり、下北の場合には原燃サービスがこの再処理事業者であり、かつ実施主体になるということが想定されております。
  73. 伏見康治

    ○伏見康治君 それはそれとして。  今度伺いたいのは、TRU——超ウラン元素に関する廃棄物というものは特別な扱い方をいつも受けるわけですが、これについての研究とか、それの処置とかいうことについての考え方がどう進展しているか教えていただきたいと思います。
  74. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) TRUにつきましてのもろもろの、いわば基礎的な研究でございますが、これらについては原子力研究所で実施をいたしております。それで、このTRU自身を何かに利用するというようなことにつきましての研究ということになりますと、ちょっとまだそこまで手が届いてないという状況にございます。
  75. 伏見康治

    ○伏見康治君 以上でこの報告書に関しての質問を終わりたいと思います。ただ、この報告書を受けて原子力委員会はその趣旨を了とされたと思いますが、その中には先ほどから御質問申し上げているようにいろいろな宿題部分がいっぱい残されていると思うんですね。したがって、原子力委員会としては、この報告書に基づいてその宿題を、いわばクエスチョンマークになっているところに答えを入れていかなければ実行できないのだろうと思うんですけれども、この先の原子力委員会としての何かプログラムのようなものは考えられているんでしょうか。
  76. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) この報告書に基づきまして細部を詰めていく必要がもちろんあるわけでございまして、そこら辺も私どもも先ほど申しましたような検討会等で今勉強しておりまして、そこら辺で、ある程度まとまった段階でまた原子力委員会にお諮りをする、そういうふうなことを考えております。
  77. 伏見康治

    ○伏見康治君 次に、十月の十一日に原子力安全委員会の中の放射性廃棄物安全規制専門部会がお出しになりました「低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基本的考え方について」という報告書についてお伺いしたいと思いますが、まずこの報告書がつくられるに至った経緯、その目的といったようなものを伺います。
  78. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 低レベル廃棄物の陸地処分につきましては、低レベル放射性固体廃棄物を原子力発電所等の敷地の外におきまして集中的に最終貯蔵をするということで原子力委員会の報告書もまとめられているわけでございます。  この報告書を受けた、まあこれとほぼ並行した作業であったわけでございますが、原子力安全委員会の方は、昨年の三月、放射性廃棄物安全規制専門部会をつくりまして陸地処分等にかかわる安全規制のあり方について検討を行いまして、本年の十月、これら安全規制の基本的考え方についての報告をしたということでございます。  この報告書は、低レベル固体廃棄物の陸地処分につきまして、放射能が時間とともに減衰し、最終的には放射性物質として考慮しなくてもよいような低いレベルにまで下がるということを前提に考えまして、四つのことでございますが、まず第一番目は、放射能レベルに応じました段階的管理を行っていくという考え方を打ち出したと、それから第二点といたしましては、安全規制に当たっての必要な安全評価をどういうやり方でやっていくかということについてのクライテリアを出したと、第三番目は、各段階におきます安全確認の手順とその内容、どういうぐあいに国でチェックしていくかということについての検討、それから第四番目には、最終的に放射性物質として拘束することを考慮しなくてもよいような低いレベルの値、これを無拘束限界値と、こう言っているわけでございますが、そういったものの放射能濃度の基準値を決めておくという考え方についての取りまとめを行ったということでございます。
  79. 伏見康治

    ○伏見康治君 今御説明の中に出てまいりました浅い地層処分をするときの濃度の上限値であるとか、あるいは無拘束限界値、そこから先は放射性物質と認めないというレベルを決めるという、つまりそういう概念を採用されたということは一歩前進だと思うんですが、それの具体的数値ということになると、量的な面には全然触れておられないわけですが、それを決めない限り実際上動けないと思うんですけれども、それは一体いつごろ、どういう手順で決まるんですか。
  80. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在安全委員会は国内的な状況も見ながらこの無拘束限界値を検討しているところでございます。  国際的には、最近でございますが、国際原子力機関のIAEAにおきまして安全規制を免除できる線量ということで、これをイグゼンプションレベルと言っておるわけでございますが、これを被曝線量に直しまして年間一〇マイクロシーベルト以下という基準値を定めたところでございまして、このIAEAにおきましてはこれに対応してどういった放射能濃度を考えたらいいかということも国際的に検討が進められておるわけでございまして、これらの検討も横に見ながらいろいろ情報を収集しながら委員会で検討を進めているということでございます。  最終的にいつまでというのがはっきり申し上げられる段階ではございませんが、先ほど申し上げましたとおり、事務局といたしましては来年度じゅうにも報告がいただけるものということを期待していろいろ作業の準備を進めているところでございます。
  81. 伏見康治

    ○伏見康治君 無拘束限界値を決めた上で、それ以下のものは固体廃棄物として我々の環境の中に自由にほうり出したらよろしいということになると思うんですが、そのほかにいろんな原子力事業所からはあるレベル以下の放射性物質を放出しているわけですね。煙突とか、あるいは冷却水とかいうものが汚れたままある限界内で放出されているんだと思いますが、こういう環境を汚染する口がたくさんあるわけなんですけれども、それを環境側に立って総合的に環境汚染がどう進行しているかといったようなことを見張っておることが必 要だと思うんですが、そういう方の体制は今どういうふうになっているんでしょうか。
  82. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) 原子力施設から排出されます気体あるいは液体の廃棄物のモニタリング体制でございますが、これについては、第一義的には原子力事業者がモニタリングをする、そしてこれを各当該官庁に報告をするということが義務づけられておるのが第一でございますが、そのほか国の補助金等を使いまして地方自治体におきましてこれは地方自治体独自のモニタリングを行っておるというようなところが現状でございます。
  83. 伏見康治

    ○伏見康治君 それに関連して伺いますが、前に大気中での核兵器の実験がしきりに行われていたころに始まったフォールアウトの測定ということがございました。それは科技庁が引き受けていいかどうか大問題であったと思いますが、とにかく制度的にそれを組織的に測定するという事業が行われるようになったと思うんですが、それは現在でも多分引き続いていると思うんですが、それがどういう状況になっているか、またその出てきたデータをどういうふうにいわば処置しておられるのかということを伺いたいと思います。
  84. 辻栄一

    政府委員(辻栄一君) フォールアウトにつきましての我が国の環境放射能調査は、御承知のように、昭和二十九年のビキニ環礁における米国の核実験を契機といたしまして、関係行政機関が協力して実施しているという状況でございます。その後昭和三十六年には、内閣放射能対策本部が設けられまして、放射能調査研究等の強化が図られておるということでございます。この二十九年以来フォールアウトに関します環境放射能調査は継続して実施されておりまして、現在は同本部の方針に基づきまして、科学技術庁中心に、防衛庁、これは主として空中のじんあいの捕集を行っておるわけでございますが、こういった航空機による空中のじんあいの調査、あるいは気象庁が、これは雨水あるいは空気中の空間線量といったようなことをやっておりますし、あるいは水につきましては水産庁その他の機関が適宜海水を採取して分析をしておるといったような形でやっておられます。また、フォールアウトの雨その他につきましては三十二の都道府県等におきまして調査が進められておりまして、毎年この調査研究の結果をまとめまして報告会等を行っておるわけでございます。  この調査の結果によりますと、三十九年以降、雨水、ちりの中に含まれまするストロンチウム90、セシウム137の年間降下量の経年変化はずっと減少傾向にあることが判明しておるわけでございまして、これは昭和三十八年八月からの大規模な核爆発実験が停止されたということが主な原因であろうかと存じます。  具体的な数字を申し上げますと、例えば昭和四十年には一平方キロ当たりセシウムにおきまして〇・六ミリキュリー・パー平方キロといった数字が、昭和四十五、六年になりますと、これが〇・一七ミリキュリーに減ってきております。その後ずっと減少しておりまして、五十四、五年ですと〇・〇四ミリキュリー・パー平方キロというようなことで、五十八年ではまたさらにそれが低くなっているというのが現状でございます。
  85. 伏見康治

    ○伏見康治君 安全委員会の報告書についてはそのくらいにいたしまして、次に幌延関係の質問を少ししたいと思います。  竹内長官は北海道知事にお会いになって調査を要請されたんだと思うんですが、そのときのいきさつみたいなことを伺えますかしら。
  86. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) 簡単にいきさつを申し上げますと、私が横路知事にお目にかかる前に、まず動燃の吉田理事長調査に対する理解、協力を求めるための知事さんに対する申し入れを行いました。それに対しまして、知事さんがしかるべく調査の上回答するということで、横路知事さんはそのため外遊をなすったように伺っておりますが、その後お帰りになりまして、動燃の理事長並びに私に対して、いわば今の状況から見ると調査を受け入れられる状況ではないという、こういうお断りの返事がありました。しかし、私どもはやはりこの貯蔵工学センターが我が国の原子力の開発利用にとって必要かつ不可欠な施設でもあり、やはりこの種の施設の立地の際はもとより、調査段階でも地元の皆さんの理解と協力が望ましいと、こういうことで、私の方からまた再度知事さんにお願いを申し上げに行ったわけでございますが、残念ながら御同意を得られなかったという経過でございます。
  87. 伏見康治

    ○伏見康治君 まあこの種の問題につきましては代々の科学技術庁長官は大変御苦労なすっておりますので、竹内さんも大変御苦労だとは思いますが、ひとつ相手の心理状態をよくお考えくださいまして、適宜上手にやっていただくようにお願いいたしたいと思います。  それから、十一月の二十三日に環境調査の一部を終了したというか、何かそういうような記事が新聞に書いてあったのでございますが、稲村君も伺ったかと思いますが、もう一遍どういうことをやったのかということを伺いたいと思います。
  88. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 動燃事業団が北海道の幌延に調査を行いたいと言っておりましたのは、立地環境調査というものでございましたか、まあ地元の理解と協力を得るためのいろいろな段階におきましてなかなか御理解、知事さん、先ほど大臣からございましたように、知事さんからもこの調査の実施については御了解が得られないというような状況の中で、しかし、一方においてその調査の促進の要請もあるし、また地元の方々の中にはまあいろんな不安や疑問も提起されておりまして、それらを解明するということが地元の理解を深めていく上でも必要である。そういうことでの調査を実施していくことがこの理解と協力を進めていく上でも必要ではないか。もちろん、その調査はその調査関係する地元の方々の御理解というか、御了解も得なければいけない。これは当然のことでございまして、地元関係者の理解の得られた範囲において、そういう地元の理解のために必要な調査を実施しようと、こういうことで、まあいろんな紆余曲折がございましたが、十一月の十五日に動燃事業団ではそういった観点から近く調査に入りたい、またいろいろな混乱を起こさないように、具体的な日時については御連絡するわけにはいかないということで、近く実施するという旨の連絡は十五日にいたしたわけでございまして、十一月二十三日の調査の実施に当たりましては、前日に当然その調査に直接関係いたします幌延町の町長さん、それからその土地の所有者等に御連絡いたしまして、事前の了解を得た上で調査に入ったというぐあいに聞いております。  調査内容はまあ短時間でございまして、地表踏査によります予定されておるサイトの地形、地質を確認する。それから、地盤が軟弱だという御批判がございますので、ボーリングをしなければいけないということもございますので、そのボーリングの地点の確認をする。それから、あとはできれば地震の問題もこれまた大きな問題でございますので、地震の大きさをはかるというよりか、周辺の、地震の起こったときの地震の伝わり方、それがそこに起こると工作物にどういう影響を与えるかということで地震波の波形等もできればとっておきたい、そういうことで、地震測定器の設置地点の確認とか、そういった種類の調査をやっておるわけでございます。これはいわば立地環境調査という意味からすれば極めて限られた範囲の調査でございまして、あと活断層の調査とか、そういったことが、地元の方々から活断層があるんじゃないかというような御批判あるわけでございますが、それらにつきましてはやや広範囲に調査しなければできないものでもございますので、今、直ちにそこに入るということはできない状況にございます。
  89. 伏見康治

    ○伏見康治君 なお廃炉関係について二、三御質問申し上げたいと思ったんですが、残念ながら時間がなくなりました。  原研から石川理事長にわざわざ来ていただいておりますので、原研の今後についてのお話を承りたいと思います。  原研ができてからもう三十何年かたったんだと 思いますが、随分原研は年齢的に年をとったようであるし、実際も年をとっているのではないかと思うんですが、例えば研究者の平均年齢というものは今どんなことになっておりますか。
  90. 石川寛

    参考人石川寛君) 原研の研究員の平均年齢は、ここ数年大体四十歳近くということで推移しております。
  91. 伏見康治

    ○伏見康治君 科学技術会議でもあるいは科学技術庁のいろいろな文書を拝見いたしましても、日本はこれから創造性を発揮しなければやっていけないということが繰り返し言われておりまして、創造性というものは今の政府のまるでスローガンのようになっていると思うんですが、研究というものの創造性というものを保つためには研究者の年齢が若いということが非常に本質的に大事なことだと思うんですね。年寄りというものは既存の経験の積み重ねの上で安穏に暮らしてしまう癖がございまして、本当の新しいことを生み出すのには若い人でないとできない面があると思うんで、私は平均年齢が四十歳というのは高過ぎると思うんですが、原研としては何か研究者の若返りといったようなことについての何かポリシーをお持ちでしょうか、どうでしょうか。
  92. 石川寛

    参考人石川寛君) 原研としましては、若手研究員の確保については研究所としてかねてより努力してきておるところであります。近年厳しい定員事情の中におきましても、原子力研究所の事業を推し進めていく上で最小必要限度の若手研究員、大学を新しく卒業した研究員を確保はできております。  幸い原研は大学研究開発の面でいろいろ密接に協力関係にございまして、大学側の理解も得られまして新しい若手の研究員の確保をやっております。今後もこの関係を維持しまして、原研の研究水準の維持向上、研究開発の推進のために優秀な研究者の確保に努めていきたいと思っている次第でございます。
  93. 伏見康治

    ○伏見康治君 日本の大蔵省の久しくとってきたポリシーでは、人件費というものをふやすことを極度に恐れられた結果、実験の装置の方については相当大きな予算をお出しになるんですね。それに見合うだけの研究員というものの確保ができないようなお金の出し方をされている。非常にアンバランスになっていると思います。  私は常識的に、年間の研究者としてこなせる予算の額というものは一千万円か二千万円ぐらいだろうと思うんですが、恐らく原研ではお一人当たりのお金の量が何億かになっているんじゃないかと思うんですが、つまり装置に関する予算はたくさん取れても、人間という一番大事な研究の主体であるものに対する措置が非常に悪いと私は思います。ひとつ竹内長官にもその方の改善を努力されるようにお願いいたしたいと思います。  原研についてさらに伺いたいのは、若い方に来ていただくということのためには、若い方にぜひ原研に行って仕事をしたいという魅力を感じさせるということが極めて大事だと思うんですが、国家予算の赤字のせいでしょうか、いろんなプロジェクトが、進行中のプロジェクトは辛うじて維持しているというだけであって、新しいプロジェクトを打ち出すといったような余裕がなくなっているように思うんですが、原研としては、将来計画という意味合いではどんなことを考えられているか伺いたいと思います。
  94. 石川寛

    参考人石川寛君) 原子力は石油代替エネルギーの定着によりまして、先端技術としての、実用技術としての領域になってきたために、原子力の研究開発活動が地味に見られていると思います。しかし原研では、原子炉工学とかあるいは燃料、材料とか、物理とか、化学とか、基礎研究部門を中心としまして幅広い研究を行ってきまして、それらの結果としまして、例えば核融合の臨界プラズマ試験装置大型トカマクJT60、あるいは高温ガス炉の開発とかいうプロジェクト的な研究を現在まで進めてきましたし、今後も進めてまいりたいと思っております。核融合その他、国際的にも高いレベルの成果が出ております。  今後につきましては、基礎研究部門におきましても長期的な観点から創造性を生かした研究を進めておりまして、新しい技術につながる芽が育っております。  例えば、現在脚光を浴びておりますレーザーウラン濃縮のようなものも、これまで地道に進めてきたレーザーと原子の相互作用の研究に支えられたものでありますし、それから現在計画中のイオン加速器による新機能材料あるいは宇宙用の耐放射線材料等開発を目指した放射線ハイテクノロジーの研究というようなものもこれまでの放射線利用研究を発展させるものであります。  原研といたしましては、さらに所内において、原研の将来における研究活動をいかに発展、展開させるかということで、これまでも適時検討を行ってきたところでありますけれども、今後も我が国の原子力研究開発利用における原研の使命を十分認識いたしまして、有識者の意見も踏まえつつ、真剣な検討を今後進めていきたいと思っておる次第でございます。
  95. 伏見康治

    ○伏見康治君 終わります。
  96. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まず第一に、今後の我が国科学技術行政のあり方に関する六月二十四日の行革審科学技術分科会報告及び七月二十二日の審議会答申についてでありますが、既に我が党は、その内容が非常に重大であり、その撤回を要求をしてきているところでありますが、なぜならばこの報告、答申が、日本のいわゆる追いつき型研究体制の反省から、創造的な基礎的研究の重視を打ち出している。この点では私も当科学技術委員会に八年来属してまいりまして、基礎研究の重視ということはたびたび発言をしてきて、いわば当然の問題ではありますけれども、しかし子細に内容を見できますと、いろいろ問題を感ぜざるを得ません。  何よりもこの報告、答申が、国会はもちろん学者の代表機関とも言うべき日本学術会議などの意見を徴することなく、専ら行革審に集まっている財界代表の意見をもとにしてつくられたものだ。「創造的な基礎的研究」という表現は使っていますけれども、それは今日財界が大わらわで進めている先端産業育成のためにネックになっている、その限りにおいてでの基礎的研究を重視をする、こういう立場と言わざるを得ない。本当に視野広く地道な積み上げを要する基礎研究全般を重視をしていこうというものにはなっていない。だから、答申、報告の文章を注意深く見ますと、基礎研究とは書かないで「基礎的研究」、「的」という字を周到に入れているというのも、そういったところの背景があるのかというふうに言わざるを得ないわけであります。  さらに問題は、先端技術ということになれば、今日扱うのは特定の大企業が中心でありますし、したがってこの答申がこれら特定大企業のための下請研究を国の資金や人材、施設を総動員して構築をせよというものだと言わざるを得ないわけです。そして、これを具体化するために、科学技術庁は本年度中に科学技術政策大綱を作成をするとしておりますけれども、ところがこれも答申をよく見ますと、答申の二十五ページ末尾三行、  なお、政策大綱は、必ずしも科学技術のすべての分野を包含する必要はなく、その時代時代における科学技術振興上の重要課題についての考え方と対策の基本を明確にし、科学技術政策を推進する際の指針としての役割を果たすべきものである。 こういうふうに書いているわけですけれども、この政策大綱の考え方について私今読み上げたんですが、間違いありませんね。あんまり演説ばっかり続いてもあれですから、ちょっと聞いておきたい。
  97. 矢橋有彦

    政府委員(矢橋有彦君) 行革審の答申で述べておりますところの科学技術政策大綱の考え方でございますけれども、ただいま先生がお述べになりましたような記述がございます。で、その考え方は、重点にめり張りをつけた内容にしろと、こういう趣旨であると考えております。
  98. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今私引用しましたように、必ずしも科学技術のすべての分野を包含する必要はない と、この大綱の方針は。こうなりますと、いわば科学技術全般をよく見詰めて、全体を、どういうふうに日本科学技術の豊かな発展をつくり出すかということはどうでもいいと。というよりも、当面の重点と決めた、ここに政策大綱の基本を置けと。こういうことでいきますと、これは私は今後の科学技術行政に重大なゆがみをもたらすんじゃないか。日本科学技術の将来の発展に大きな困難をもたらすんじゃないかということをどうしても言わざるを得ないわけです。  こうした点で、この答申の考え方をもとにしてこれから科学技術庁は政策大綱をつくり、閣議にかけていくという作業をやっている模様でありますけれども、こういう立場での政策大綱の作成、これは中止をして、根本的に考え直すべきであるというふうに私は思うんですが、どうでしょうか。
  99. 矢橋有彦

    政府委員(矢橋有彦君) 科学技術政策大綱では、我が国科学技術振興策を全体として総合的なものにする、そしてまた効率的なものにするということを旨としているわけでございまして、そのためには全般を見渡しまして、全般についての計画を考えているわけでございます。そして、その中で特に重点になるべき点についてめり張りをつけようと、こういうふうに考えておりまして、今そういう考えのもとに検討中でございます。
  100. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 全般を見渡して政策大綱をつくっていく、その中で一定のめり張りをつけていく。これはこの答申で言っているこの言い方と違うじゃないですか。というのは、この答申の表現の仕方が余りに無理があるから、したがってこういう国会の席上なんかではそういう答弁をせざるを得ないということを私は露呈をしておると思うんですよ。  もう少し問題を先に進めましょう。この行革審答申の具体化と思われるのでありますが、基礎研究強化ということで、六十一年度概算要求に向けて、国際フロンティア研究システム、こういうものをつくっていくのだと。六十一年度十三・七億円要求する、人間約五十人、こういう方向になっているわけでありますけれども、これについてきのうもいろいろ当局の方来ていただいて聞きましたが、このテーマの設定についても、科学技術会議の関係の一部の専門家の意見を聞いただけだ。さっきも言いました学者の代表機関とも言うべき学術会議やあるいは関係学会、こういうところの意見を徴したということもない。こういうことで本当に言われるような総合的視野に立った、そしてめり張りをきかしたということが仮に含まれるにしても、本当に日本の未来にとって誤りなき科学技術の政策、方針、これを打ち立てることができるだろうかというふうに私は思うんです。  当然のこと、研究のあり方あるいは重要テーマの設定については、もっと広範な学者、専門家の意見を徴するということに意を注いでもらう必要があるというふうに思うが、どうでしょうか。
  101. 藤咲浩二

    政府委員藤咲浩二君) 今先生お話しありましたように、私ども六十一年度概算要求で国際フロンティア研究システムという新しい研究システムの予算要求をいたしておりますが、これは今後長期的に見まして、新しい技術革新の根幹になるような科学的知見を発掘しようという趣旨で多分野研究者を結集いたしまして、先端的な基礎研究に取り組もうという制度でございます。したがいまして、これから各分野研究者の方々に、この予算が実現した暁には御参画いただきまして、これらの研究者のいろいろな御意見なども聞きながら研究を進めていきたいというふうにまず考えております。  それからまた、このシステムの中では、私どもフロンティアフォーラムという組織をつくることを考えておりまして、これは外部の、直接研究に参加する研究者以外の研究者の方にもそのフォーラムに来ていただいて、これらの外部の研究者との交流を密にしながら外部の方の御意見も十分反映させながら研究を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、当面六十一年度、三分野を取り上げましたけれども、これは科学技術会議の昨年の十一号答申で、将来新たな科学技術の発展が非常に期待される基礎的、先導的分野ということで掲げられております「物質・材料科学技術」あるいは「情報・電子系科学技術」さらには「ライフサイエンス」、こういった分野の中で第一線の研究者が最も関心を持っておるんではないかと思われる分野を取り上げた次第でございます。  いずれにいたしましても、今後この研究を進めていくに当たりましては、研究者の方々のいろいろな御意見を参酌しながら進めていきたいと考えておる次第でございます。
  102. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 さらに問題は、日本科学技術の推進にとって今重要なのはまさに基礎研究の強化、厚い基礎研究の層を広げるということであります。この課題は民間に期待は困難であって、国の責任でこそ行うべき問題だということは自明の問題だと思いますけれども、ところがそうした点で六十一年度概算要求を見ましたときに、国立研究機関あるいは国立大学、そういうところにおけるいわゆる経常研究費というか人当積算研究費、この増額が六十一年度概算要求で全くないんです。少なくとも去年——去年といいますか、六十年度まではわずかとはいえ前年よりも伸ばそうという概算要求をずっと続けてきた。で、結果は大蔵省に抑えられてきたんですよ。しかし、概算要求、少なくともそういうことになっていた。それが六十一年度はもう責任を負うべきそこの省庁概算要求、これ自身伸びはゼロということは、ほかでもない物価上昇等を勘案すればマイナスというか、こういうことで一体基礎研究強化ということを論ずる資格があるんだろうかと。よそ事じゃない、科技庁はですよ。ということで、これは既に概算要求はああいう形で出されているわけですけれども、この年末の予算確定へ向けてのここの取り組みの中では、片やフロンティア研究ということで基礎的研究強化を図ろうというんだったら、全体の基礎研究をどういうふうに強化するかという、この点についてはぜひ特別の努力をしてもらう必要がある。大臣、ひとつこの決意のほどを聞きたいと思います。
  103. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) ただいま人当研究費についてのお尋ねでございます。が、先生も御承知かと思いますけれども、昭和六十年度におきましては私たちは一つの新しい工夫をいたしまして、科学技術振興調整費の活用により、端的に申し上げますと、こちらからのお金を回すことによって実質的なプラスを図ったという措置をとったわけでございます。六十一年度概算要求におきましても、先生指摘のような事情でございますが、私どもは引き続きこの科学技術振興調整費の活用ということで対応いたしたいと考えまして、この振興調整費概算要求につきましては前年度よりも大きな伸びを今大蔵省に要求しております。
  104. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 しかし、そのようにおっしゃっても、振興調整費によってカバーできる範囲というのは限られているんじゃないですか。すべての研究者、すべての研究グループにこの研究調整費をもってして経常研究費の足らざる部分をカバーできるというだけの潤沢な予算がそうあるものではない。やっぱり根っこといいますか、基礎になっている、まさに基礎研究費、ここの分野で前進を図らないことには全体の発展は出てこないということは明瞭でありますから、ぜひひとつその点で力を注いでもらいたいというふうに重ねてお願いをしておきます。
  105. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) 私が今御説明申し上げたことは、それでもって私たちは十分だと考えているわけでは決してございません。先生指摘のとおり、人当研究費の充実というのは確かにこれは重要なことでございますので、微力ではございますけれども、これからもまた一生懸命な努力をいたしたいと思います。
  106. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それともう一つ、このフロンティア研究機構、新しいこの研究機関が設置をされます理化学研究所では、昨年防衛庁の職員の見学が行われています。このフロンティア研究の開始を機会に軍事研究が導入されるのではないかという 危惧が職員の間で強まっている模様であります。  きのう科技庁から資料をいただきましたが、今科技庁傘下の各研究所並びに特殊法人、その過半数のところにこの一年間やっぱり防衛庁職員の出入りがあるわけですね、人数はさまざまですけれども。こういう点でこうした危惧というのは決して根拠のないことじゃないんだ。したがって、この機会に大臣にしかとお尋ねをしたいんでありますけれども、今回の行革審答申にもあります「産学官等の研究交流の促進」ということをうたい文句にして軍事研究の導入を図ろうというようなことは断じてないというふうに約束してもらえますでしょうか。
  107. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) 防衛庁の職員が十八名でございましたか、昨年十月に理研を研修ということで視察をしたという話は聞いております。しかし、これをもって直ちに私どもが今新しく進めようとしておるフロンティア研究が軍事研究というものになるんじゃないかという先生の御懸念でございますけれども、私どもは断じて軍事利用を目的とした研究を考えているものではないということをこの機会に御承知を願いたいと思います。
  108. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 フロンティア研究はそういうものじゃない、それと同時に行革審答申が産学官の、この官の中には防衛庁も入るといえば入るんですからね。だから、「産学官等の研究交流の促進」というこのスローガン、うたい文句のもとで軍事研究の導入を図ろうと、こういうこともないと確認していいですね。
  109. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) 産学官というそのスローガンの隠れみので軍事研究を云々という先生の御注意であろうかと思いますが、私たちも産学官の実際の連携の進め方にありましては、いやしくも軍事研究にわたるものがないように、十分な注意はしてまいりたいと思います。
  110. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは次の問題、火山噴火対策の問題でありますが、この十一月十三日のコロンビア、ネバドデルルイス火山噴火による大災害は、全世界に衝撃を与えました。果たして日本の火山対策は万全だろうかと国民の強い不安を呼んでいるところでありますが、そこで気象庁おいでですね、お尋ねをしますけれども、火山噴火予知体制の現状、特にこのコロンビア噴火の教訓から何か新たな方策を講じつつあるのか、こうした点で概略御説明ください。
  111. 鈴置哲朗

    説明員(鈴置哲朗君) お答えいたします。  現在の観測体制の現状を申し上げますと、我が国にはおよそ七十の活火山がございまして、気象庁はこれらのうち特に活動の盛んな十七火山、これにつきましては常時観測を実施しております。その他の火山につきましては、火山機動観測班によりまして観測を行っておるのが現状でございます。また、大学等関係機関におきましてもこれらの火山のうち幾つかにつきまして観測を実施しております。これらの観測、監視によりまして火山活動に何らかの異常があった場合は、直ちに気象庁は火山情報を発表してこれに対処、対応しているのが現状でございます。  それから火山噴火予知の問題でございますが、気象庁等関係機関では火山噴火予知連絡会を定期に開催しておりまして、それぞれの火山についての活動の状況を判断いたしております。そして問題が生じた場合には、連絡会の統一見解という形で発表いたしまして対応をしているのが現状でございます。  以上でございます。
  112. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私、重ねて聞きますけれども、コロンビア噴火を、これを教訓に何か新たな方策を考えつつあるんでしょうか。
  113. 鈴置哲朗

    説明員(鈴置哲朗君) 観測体制、それから予知の問題に関しましては、コロンビアの火山の噴火というものを十分踏まえまして、そして現状を、我々が実施している体制をさらに今後継続して慎重に対応していきたいということでございます。
  114. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今後継続して、新たにこういう点をひとつ強めようということがあるんですか。ないんじゃないですか。まだそこまで検討及んでないんじゃないですか。
  115. 鈴置哲朗

    説明員(鈴置哲朗君) それに対しましては、気象庁といたしましては、これらの観測体制あるいは予知の現状につきましては、測地学審議会の第三次火山噴火予知計画の建議の中に三つの柱がございまして、その三つと申しますのは、一つは火山観測研究体制の拡充、強化ということでございます。
  116. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いえ、もうちょっと時間ないので、あるのかないのか。あるんだったらこういうことありますと……
  117. 鈴置哲朗

    説明員(鈴置哲朗君) お答えいたします。  気象庁といたしましては、測地学審議会の第三次火山噴火予知計画の建議、三つの柱がございますが、その火山観測研究体制の拡充強化、それから予知手法等の開発及び基礎的研究の推進、それから三つ目が火山噴火予知体制の強化等でございまして、これらの建議の趣旨に沿いまして、大学等関係機関と今後協力をますます強めて努力していく所存でございます。
  118. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いろいろ測地学審議会云々と、こうおっしゃいましたけれども、それは何もコロンビアの噴火が起こって新たに始めた対応じゃないでしょう。前からあるものじゃないですか。ということで、率直にお認めになった方がいいと思うんですけれども、とにかくコロンビアのああいう噴火が起こったということで新たなこういう対応検討しているということはないということだと思うんですよ。  そういうことも含めまして、私、火山関係者の方からいろいろお聞きをしました。そして、日本の場合万全だ、コロンビアではあんなもう何万という死者になったけれども日本は大丈夫というふうには決して言えないということで、例えばさっきもありました常時観測といいながら十三の火山については地震計が一つなんですね。せめてこれを三点観測、地震計三つぐらい設置をして、もっと精密な観測がやれるようになりたいものだということを言われている。あるいは、すわというときの今の機動班、これが専任者は日本じゅうで——日本じゅうといいますか、各管区気象台でいきますと専任者は三人しかいないんです。だからこれも複数の体制にしてもらいたい。あるいは火山観測の実際の経験に基づいて経験を交流し合って、どうやって充実した対応をするかということについての業務研究会の旅費、これも二年に一回しかそういう会合がやれないというんです。それから、いよいよ噴火が起こった、また始まってずっとガスが出だしておる、こういう時期の空中撮影用の飛行機、ヘリコプター、こういうものも全然ない。新聞社の写真でそういうものを間に合わせなくてはならぬと、こういう姿になっておる。何しろ火山対策予算が六十年度は一億六千五百十四万円、六十一年度概算要求、いろいろ理由はあるでしょうけれども、七千八百三十五万円、半分以下と、こういうことになっているということでありますから、これで一体日本の火山大丈夫かという不安が起こるというのは私は当然だと思うんですよ。だから、こういった点でぜひひとつ日本の火山対策の万全を期するために、個々の問題はともかく、全体としてこの火山対策の方策の充実を、強化を図っていくと。このことのためにぜひ気象庁努力をしてもらいたいと思うんですが、決意のほどどうでしょう。
  119. 鈴置哲朗

    説明員(鈴置哲朗君) 我々としては精いっぱい努力をしていきたいと思います。
  120. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 味気ない答弁ですけれども、本当にひとつ気象庁頑張ってください。  そこで科学技術庁長官、火山対策の問題は決して他人事じゃないといいますか、噴火予知連絡会というのもありまして、ここに科学技術庁もその一環として入っているということで、決して他人事じゃない。そこでひとつ、今たまたま、きょうは噴火対策、そのための防災予算ということで申し上げているわけですけれども、こういう防災対策予算増額のためにひとつ国務大臣の一人としてぜひ努力をしてもらいたい。  まあ端的に言えばあれでしょう、今の中期防衛力整備計画、一%枠を突破するかどうかというこ とで問題になっているあれでいきますと、F15というのは一機百九億円、これを六十三機新たに購入しようというわけですね。P3C百十八億、これを五十機入れよう。さっきの十三火山にせめて三点観測ができるように地震計あと二つずつふやして、これ全部トータルでも十億円ぐらいのものなんですよ。まあいわばこういう軍用機の尾翼の片割れぐらいの予算だと思うんですね。だから、本当に国民の命を守るために重要だというこういう観点に立ってひねり出せないそんな予算じゃないと思うんです。ぜひ国務大臣の一人として大いに閣内で頑張ってもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。
  121. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) 先生指摘どおり、私どもの科学技術庁も火山噴火予知連絡会の一構成員でございまして、私どもは国立防災科学技術センターにおきまして硫黄島を初め数カ所の観測を担当し、一方において火山噴火予知の研究も進めております。  また、先生今、気象庁に先般のコロンビアの事例にかんがみて何か対応を考えているかということでございますが、私どもとしては、昭和六十一年度には今申し上げた防災センターに新たに火山防災研究室を新設したい、こういうぐあいに考えているわけでございます。  もちろん、火山噴火予知予算全体の充実が望ましいことは先生の御指摘のとおりでございまして、それを防衛費の予算関連するかどうかにつきましては先生と私ちょっと所見を異にしますけれども、予算増額について一生懸命やれということは十分に承ります。
  122. 山田勇

    ○山田勇君 限られた時間でございますので、端的な御答弁で結構でございます。  高レベル放射性廃棄物と貯蔵工学センターに関連して若干質問を行います。  高レベル放射性廃棄物というのがありまして、それを低レベルにするために外国へこれを出して、低レベルにして持って帰ってくるということをしているわけですが、その低レベルになって戻ってくる廃棄物等というのはどのぐらいのものが今度日本へ逆に戻ってくるのか、数字がわかっておれば教えていただきたいと思います。
  123. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 今先生指摘の件は、現在我が国の原子力発電所で使用済みになりました燃料を、フランス、イギリス等に持っていきまして、ここで再処理をいたしまして、その結果廃棄物が向こうで再処理したら出るわけでございますが、その廃棄物を日本に返還をする、こういう形になっておる。その返還廃棄物の量がどのくらいかと、こういう趣旨かと思いますが、まだ具体的に現地におきます再処理のスケジュール等が、今日本からどんどん持っていっておりますけれども、向こうで再処理する計画がはっきりしておりませんので、そういう意味で明確な数字を申し上げるわけではございません。一つの試算といたしまして申し上げますと、二〇〇〇年ごろに約四千本ほどが日本に返ってくると、こういうように承知しております。
  124. 山田勇

    ○山田勇君 高レベルから低レベルへした場合は、絶対に安全であるということは科学技術庁としては申し上げられますか。
  125. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) ちょっと今の先生の御質問の趣旨が、高レベルから低レベルにしたという趣旨がちょっとわかりかねますが、この趣旨、まあ私として推察するにいたしまして、高レベル放射性廃棄物をガラスに固めたらそれで安全かどうかと、こういう御趣旨かと思いますが、そういう御趣旨でございますと、ガラスの固化技術というものについての評価であろうかと思うわけでございます。  ガラスの固化にしましたものにつきましては、フランスでは一九七八年から既に工学規模での操業が行われておりまして、これまでキャニスターの数にして千二百本の製造実績を持っております。こういった外国ではそういうものができておるから、日本技術で研修してないんじゃないかということにつきましては、我が国におきましてもこのガラス固化の技術開発を進めておりまして、動燃で既に実際に東海村の再処理工場から出ます廃液を使いましてガラス固化体をつくっており、それにつきましてのいろいろな実験もございますし、それから原子力研究所で安全性評価をするということで、そちらの方で例えば一万年相当のような、放射線が当たったときに一万年たったらどうなるかということに相当するような加速試験をいたしまして、放射線に対する変化等も調べておりますし、長期にわたる熱的影響、あるいは水の中にガラス固化体の中から放射能が漏れてこないかというようなこと等につきましても研究をいたしておりまして、これらのデータ並びに外国でのもろもろのデータ等から私どもはガラス固化体についての安全性というものを確信しておるわけでございます。
  126. 山田勇

    ○山田勇君 資源小国の我が国にとっては、核燃料サイクルの確立を図っていくということは極めて重要な問題であると思います。そのためにいろんな、今局長お答えになりましたとおり、処分技術の確立を図っているというふうに理解しておきたいと思います。  そこで、高レベル廃棄物の貯蔵あるいは処分のための研究を行う貯蔵工学センターの、まあこれは原子力政策上の位置づけをどのようにお考えになっておられますか。
  127. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) 放射性廃棄物の処理処分、これがまあ我が国の今の原子力発電システムを構成するいろいろな要素の中で一番おくれておるものでございまして、これを確立しないで原子力開発利用政策というものは完結しないわけでございます。そういう意味で、この廃棄物の処理処分対策というものを極めて重要な我々の課題と考えておるわけでございます。今計画をしております貯蔵工学センターは、東海村にございます再処理工場で発生する高レベルの廃棄物を貯蔵いたしますとともに、その貯蔵した結果出てくる熱とか放射線、そういったものがもう少し有効に利用できないかという研究も行いますけれども、それらとともに最終的にこれらの高レベル廃棄物を数百メーターの深地層の中に処分をするということがこの最終の技術として必要になるわけでございまして、そのためのもろもろのデータをあらかじめとって研究をしておく必要がありますが、そのための深地層試験、これをできればあわせて行いたいというものでございまして、この工学センターの役割というものは、将来におきます我が国の高レベル廃棄物対策を進めていく上で極めて重要なプロジェクトであるという認識をいたしておる次第でございます。
  128. 山田勇

    ○山田勇君 御承知のように、北海道幌延町に高レベル放射性廃棄物等の関連施設として貯蔵工学センターを立地する計画についての問題でありますが、これについては地元のコンセンサスがなかなか得られないということで、科学技術庁長官も困っているというふうにお聞きするんですが、本年の十月三日横路知事を訪問、立地環境調査に対する理解を求めたと聞いておりますが、科学技術庁としては、今後この調査を促進するため、どのような対策を講じる方針がどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  129. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) この施設に限りませんで、原子力施設を立地するにつきましては地元の理解と協力を得て進めるというのが、これが立地についての我々の基本的な考え方でございます。  そういう考え方に立ちまして、この幌延に貯蔵工学センターを立地することができるかどうか、その可能性について調査をするに当たりましても、できるだけ多くの地元の方々の合意を得て事を進めたいということで、説明会とかあるいは自治体とのお話し合い、そういうことを進めてまいったわけでございます。その過程におきまして、遺憾ながら知事さんの御了解を得るまでには至らず、直接の地元の幌延町は大いに誘致しておりますが、周辺では慎重に進めるべきだという声もございますし、一方、道の議会では立地環境調査の促進を決議されるというような状況が出てまいったわけでございまして、私どもとして、そのような中で今後どうしたら地元の理解が進められるか ということを苦慮いたしました結果、地元の方々の中でも、やはり立地する幌延周辺のことについて、活断層がある、あるいは水の流れが行って周辺の酪農に影響があるんではないか、あるいは地盤が軟弱で危ないんじゃないか、こういったサイト周辺の問題にかかわるいろいろな御疑念や御不安もございますので、やっぱりこういったものを実際のデータで納得していただくということも理解を進めていただくために必要ではないか、そういう判断のもとにこの調査を進めていきたい。ただ、その調査をするにおきましても、もちろん地元の御了解を得ていく必要がございますが、ただ、この調査自身、周辺に影響を与えるという性格のものでもございませんので、直接に関係する地元の自治体並びに関係者の御了解を得られる範囲内でそういう地元の方々の理解を深めるための調査を実施していきたいということを考えまして、今それに着手したところでございますが、今後地元の御理解を一層深めていくためには、もとより地元の方々が一番心配されております安全性の問題につきまして積極的な広報活動を展開していく必要があるだろうと思います。  これはやはり、もう少し今までよりも地元に根づいた形での広報活動、こういったものが一つは大きな点ではないか。さらに、この施設と地域とが共存できるということについて、共存共栄していけるということについての御理解を得るための方策というものも検討し、地元の方々の御理解を得ていく必要があるんではないかと、かように考えておる次第でございます。
  130. 山田勇

    ○山田勇君 随分と調査に気も使っておられましょうし、いろんな形で地元住民との話し合いを行っておるように思います。ただ、局長、こういう調査内容というのはなかなか技術庁としても出しにくい部分もあるし、出せばいいというものではないので、どうしてもタブー視したような形で隠してしまうものですからね。地域住民がかえって不安がりますので、かえって調査したものはオープンにしてこうだと——これは科学ですから、危険性というのは必ずつくんですよ。それを一〇〇%絶対安全ですと言い切ってしまって、事故が起きると、もう信頼を回復することはできませんので、こういう点も確かに危険性はあります。ありますが、それを科学の力でこういうふうに安全性を高めているんだということを、率直に調査結果というのを、地元議会なり、また反対をなさっております横路知事などにそのデータを送って理解を求めていくということも大変必要ではないかと思います。  本年十月の一日に北海道議会は貯蔵工学センターの立地環境調査の促進に関する決議案を採択している。ということは地域住民を代表する議員団がこれを決議しているんだけれども、その頂点に立っております知事がそれを反対をするという形になりますと、作業は前へ進まないという苦慮がございましょう。しかし、この点は根気よく、今言ったように調査内容は明らかに公表しながら、こういう点を反省してあるんだというコンセンサスを十分と地元の人、また、御理解をいただく知事にも十分と納得のいく調査内容を発表しながら、どうぞコンセンサスを得ながらこういう工学センターをつくっていっていただきたいと思います。  これは大きな問題として南洋投棄等ありましたが、南洋ではだめだということでございます。きょうはたまたまインドネシア大使館へ所用がありまして参りまして、向こうの大使とお話をする中に、インドネシアではどうかという話が出ているやにも聞いております。その点、仮に南洋投棄がだめでインドネシア周辺にこれを逆に持っていくにしても、十分調査したものを私は出していかなければ、当然こういうセンターをつくるのにもいろんな御苦労があるのではないかと思います。最後に長官のこの廃棄物等についての御決意をいただきまして、私の質問を終わります。
  131. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) ただいま先生から調査の結果をすべて公表して大いに議論をいただいてはどうかという御質問は、実は我が意を得たりという感じがいたします。私どもそういう立場でもって今回調査の第一歩をやらせていただいたということでございまして、知事さん初め道民の皆さんにデータをお見せするためにはもうちょっとの調査も必要かと思っておりますが、そういう調査が終わりました次第にはこれを包み隠さず出しまして十分な御論議を皆さんに賜りたいと、こう考えております。  また、先生北海道道議会の決議のことにもお触れになりましたが、御案内のように道民から選出されました議員で構成されている北海道道議会でございますので、私はその議会の決議というのも大変重要な意味を持っている、こう理解をいたしているわけでございます。  いずれにいたしましても、こういう低レベルあるいは高レベルに限らず、放射性廃棄物につきましては、何といいましても関係の皆さんの理解と協力を得る、これが私どもの基本の姿勢であり、また私どもはその道を進まなきゃならぬということでこれまでもさまざまやってきたつもりでございますけれども、さらにまた工夫も重ねて、ぜひ地元民の理解と協力を得るためさらに一段と私も努力いたしたいと思います。また、先生からのアドバイスがあれば喜んで承りたいと思います。ありがとうございました。
  132. 馬場富

    委員長馬場富君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  133. 馬場富

    委員長馬場富君) 次に、次回の委員会への参考人出席要求についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のうち海洋開発に関する件について参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 馬場富

    委員長馬場富君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会      —————・—————