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1985-12-06 第103回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月六日(金曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         夏目 忠雄君     理 事                 板垣  正君                 大浜 方栄君                 鈴木 和美君                 中野  明君                 市川 正一君     委 員                 伊江 朝雄君                 大鷹 淑子君                 岡田  広君                 北  修二君                 志村 愛子君                 松尾 官平君                 安永 英雄君                 藤原 房雄君                 井上  計君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       藤本 孝雄君    政府委員        沖縄開発政務次        官        大城 眞順君        沖縄開発庁総務        局長       小谷 宏三君        沖縄開発庁振興        局長       小林 悦夫君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    法制局側        第 五 部 長  播磨 益夫君    説明員        防衛庁防衛局防        衛課長      宝珠山 昇君        防衛庁教育訓練        局訓練課長    藤島 正之君        防衛庁装備局航        空機課長     関   肇君        防衛施設庁施設        部施設取得第一        課長       加賀山一郎君        環境庁自然保護        局企画調整課長  加藤 栄一君        環境庁大気保全        局交通公害対策        室長       浜田 康敬君        大蔵省主税局調        査課長      薄井 信明君        大蔵省関税局輸        出課長      中島 達夫君        文化庁文化財保        護部記念物課長  田村  誠君        運輸省航空局監        理部航空事業課        長        黒野 匡彦君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  堀井 修身君        運輸省航空事故        調査委員会事務        局長       藤冨 久司君        建設省道路局市        町村道室長    田尻 文宏君        自治省財政局調        整室長      鶴岡 啓一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖縄県民意識に関する世論調査に関する件  )  (石垣空港建設問題に関する件)  (米軍基地内未契約地使用権原取得に関す  る件)  (万国津梁の鐘の鐘銘に関する件)  (沖縄航空行政に関する件)  (自由貿易地域に関する件)  (つぶれ地問題に関する件)  (那覇空港の民間と自衛隊共同使用に関する  件)  (F4移駐シーレーン防衛との関係に関する  件)  (第二次振計後期プロジェクトに関する件)  (円高ドル安沖縄への影響に関する件)  (米軍基地内日本人労働者身分保障に関する  件)     —————————————
  2. 夏目忠雄

    委員長夏目忠雄君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 鈴木和美

    鈴木和美君 きょうは藤本長官になって初めての特別委員会でございますが、先般長官沖縄を訪ねられたと思うのです。細かいことは後ほどまたお尋ねしますが、まず最初に、長官になられて沖縄に行って一番最初の感想といいますか、ちょっとそれを聞かしていただけませんか。
  4. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 私は就任以来、四回にわたりまして沖縄視察いたしました。本島、久米島、粟国島それから宮古、伊良部、下地島、石垣島、竹富島、西表それから与那国、計十島の島に視察に参りました。各地におきまして関係者皆様方がそれぞれの地域振興開発活性化のために非常に努力をされておられる様子を拝見いたしまして、非常にまず感銘をいたしました。  沖縄は、総体といたしまして、戦後四十年たっておるわけでございますが、復帰いたしましてから十三年、その間約二兆円の国費と県民皆さん方のたゆまざる努力によりまして港湾空港道路、学校など、社会資本整備に関しましては大幅に本土との格差が解消されつつあるという印象を持ちました。しかし、一方におきまして、水であるとか農業の基盤整備など、生活と産業基盤整備につきましてはなお解決する課題がたくさんあるように感じております。また、例えて言えば低い県民所得、高い失業率など、今までの社会資本整備が必ずしも地域産業経済活性化に直接結びついていないというような問題もございまして、今後、沖縄経済自立化を緊急の課題として、そういう課題に積極的に取り組んでまいらなきゃならぬというふうに感じております。また、今後の問題としては、沖縄特性を生かして、亜熱帯性であるとか海洋性であるとか国際性、こういう特性を生かして沖縄振興開発に当たることが極めて大切であるというふうに感じました。
  5. 鈴木和美

    鈴木和美君 長官沖縄に出かけられた日にちのそのちょっと前だと思いますが、内閣総理大臣官房広報室から出されております「沖縄県民意識に関する世論調査」というのがあると思うのです。開発庁にちょっと事務的に確かめますが、私のこの資料は間違っていないと思うのですが、この中の特徴的なことを事実であるかどうか、数字だけですから確認をさしていただきます。  一つは、「本土復帰の評価」の点でございますが、これについては大方の人は非常によかったというように答えていると思いますが、今でも二〇%の方は本土復帰について余りよくなかったというように答えている結果が出ていると思います。これが一つです。  それからその次は、「今後力を入れるべき産業」というのがございますが、十三ページですが、これを見ますと、これからの沖縄産業にどうやって力を入れたらいいかということでは「観光サービス業」というのがトップで二七・四%ですね。それから「農林業」が二二・四%。以下数字がずっと小さくなっています。この事実がどうか。  それからその次は、沖縄国体を通じて何をみんなに知ってもらいたいかということの問いに対しまして、「基地存在」というものが二三・三%、これは最も多いと思うのですね。その次は「自然の景観」が一七・九%。つまり、基地存在というものを国体を通じて一番よく知ってもらいたいというように沖縄県民が答えていると思うのです。この事実。  それからその次は三十七ページ、「米軍基地自衛隊」という問題を見ますと、ここでは「日本の安全にとって必要である」というのが六・二%、「日本の安全のためにやむをえない」というものが二七・八%。それに比較して、「日本の安全に必要でない」というものが二一・五%、「日本の安全にとってかえって危険である」と答えた人が三二・四%。つまり、五三%以上の人がこの基地の問題については危険であるというように答えていると思うのですが、いかがですか。  最後にもう一つ、ここが最後です。その次の三十九ページに「望ましい社会像」、つまり沖縄社会像というものをどういうふうなものを一番期待しているのかという問いに対して、「犯罪や事故のない安全な社会」と答えた人が五七・二%、以下、「自然が美しい社会」と答えた人が四三%、「安心して働ける社会」、四一・九%、「子供や老人を大切にする社会」、三五・六%などなどとなっておりますが、この調査、私が申し上げた数字に間違いないかどうかお聞かせください。
  6. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) ただいま先生おっしゃいましたとおりでございます。
  7. 鈴木和美

    鈴木和美君 そこで、長官にもう一度お尋ねを申し上げます。  今、私が申し上げました政府機関内閣総理大臣官房広報室という政府世論調査の結果においても、沖縄県民皆さん基地のない安心して暮らせる南国景観と情緒を持った沖縄でありたいということを願っていると思うのでありますが、この事実に対して長官はどのような認識をお持ちですか。
  8. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今回の調査結果は今鈴木先生が言われたとおりでございまして、私どもといたしましては、これらの調査結果を十分に頭に入れまして、今後いろいろな施策の展開におきましては十分に配慮してまいりたいというふうに考えております。
  9. 鈴木和美

    鈴木和美君 長官の決意ですからどうぞ——後ほどまた御質問しますが、今この世論調査をもって示したとおり、沖縄県民皆さんとして一番大きい問題として認識しているのは、やはり私は基地存在だと思うのです。基地存在というものが沖縄県民に対して大変不安と動揺を与えているという事実は、もう調査それから私どもが出かけていっても現に耳にするところだと思うのです。同時に、観光というところに力を入れてほしいということは、やはり亜熱帯地帯南国景勝というものを何としても沖縄産業つまり目玉にしたいということだと思うのですね。  ところが、そういう県民の願い事、希望というものと逆に、最近の行政を見てみますと、その県民気持ちを逆なでするような政策があらわれたり、場合によってはその気持ちと全く行政が逆であるようなやり方が現在起きているのじゃないかと思うのです。たくさんあるかもしれませんけれども、私はその特徴二つとしておったのですが、その一つは、石垣島の新空港建設の問題だと思うのです。もう一つは、後ほど質問しますが、二十年の土地使用の問題だと思うのですね。これが沖縄県民の私は気持ちを本当に逆なでしているのじゃないかとつくづく思うのです。  そこで開発庁お尋ねしますが、今、島内においても石垣の島においても、またこの本土の中においても開発自然保護かというようなことで大変問題になっております石垣島の新空港建設に関しては、現状が一体どういうふうになっているのか、簡単で結構ですからお聞かせいただきたいと思います。
  10. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) ただいま御質問のありました新石垣空港でございますが、簡単に申し上げまして現在環境アセスメントに必要な諸資料準備中でございまして、その結果が出次第所定の手続を踏みたいと考えておるところでございます。
  11. 鈴木和美

    鈴木和美君 それではもう一つ具体的にお尋ねしますが、石垣の新空港をなぜ建設しなきゃならぬのかということにつきましては、一昨日板垣理事の方から、私ども視察報告の際に県当局その他関係者から述べられたことは一応報告として述べてあります。また、反対人たち意見も述べています。  そこで、もう一度ここで改めて石垣島新空港建設しなきゃならぬという主なる理由は一体どこにあるのかということをお尋ねしたいのです。
  12. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) まず第一点、一番大きな理由として言えることは、航空輸送需要が将来とも増大するであろうということでございます。この点につきましては利用客、貨物両方ふえると思いますが、具体的な数字につきましてはあと必要であればお答えをさしていただきたいと存じます。  そのようなことで、このような将来需要が増大することに対応するためには、どうしても機材大型化、また便数の増を図るという必要がございます。しかしながら、現在の空港は御承知のように暫定ジェット空港ということでございまして、滑走路の長さは千五百メートルでございます。現在飛んでおりますボーイング737というものの標準滑走路延長は二千メートルは必要だということにされておるわけでございます。  ところで、現在の石垣空港周辺地域でございますが、既に騒音がいろいろ問題になっておりますし、また暫定空港であるという空港の諸制約、こういうことを考えますとこれ以上の増便は難しく、当面の需要増にもなかなか対応できないという状況にございます。  また、もう一つ機材大型化ということでございますが、そのためにはどうしても滑走路延長、また空港施設の大幅な整備、こういうものが必要であるわけでございますが、現在の空港では種々の制約からその拡張ができない、こういう事情がございまして新空港をつくる必要があると、このように考えられているわけでございます。
  13. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一つ開発庁お尋ねしておきますが、新空港建設を行う理由、また後ほど触れますが、他方、先ほど申し上げました沖縄県民のこれからの社会像として、南国特有景勝を中心にしたそういういわば観光というような事業に力を入れてほしいという県民の願いがございますね。つまり、それは裏を返せば沖縄特有景勝というか景色というか、そこに大きな特徴があると思うのですね。サンゴにしてもそうだし、亜熱帯のつまり自然に対する問題だと思うのんです。そういうことから見たときに、開発庁としては、この自然保護ということに関しての基本的なスタンスというか、考え方というのはどういうふうにお持ちになっているのですか。
  14. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) 新空港建設は、先生もおっしゃいますように、観光を伸ばす、また八重山にいろいろのインパクトを与える、こういう意味では非常に必要な事業であると考えます。この場合に、新空港候補地についていろいろ検討をいたしたわけでございますが、空港機能の確保とその将来性、また環境保全あと他土地利用計画との整合性、また特に航空機離発着安全性であるとか空域条件及び将来の航空機騒音というものに留意をいたしまして、石垣白保地区が一番適当である、このように判断をいたしたわけでございますが、先生おっしゃいますように、環境保全に対する危惧というものから一部の住民の間に反対がございまして、開発環境保全の問題として全国的に注目されていることも事実でございます。  そこで、開発自然保護の問題でございますが、こういうものにつきましては両方を調和させる、どちらか一方ということではなしに調和させるということが私は必要であると考えております。沖縄県といたしましても、このような観点から現在自然保護の問題も含めまして環境アセスメントに必要な諸資料準備しておると聞いておりますので、その成果に期待をいたしておるところでございます。
  15. 鈴木和美

    鈴木和美君 それでは、この石垣島空港建設にかかわりある各省庁からそれぞれ見解を承りたいのですが、環境庁に先にお尋ね申し上げます。  環境庁には、この石垣白保海岸埋め立てに関して、自然保護という立場から環境庁としてはどういう立場に立たれているのか、見解を聞かしていただきたいと思うのです。  二つ目の問題は、今開発庁の方からも申し述べられたようですが、騒音ということがどうもこの空港建設に当たって大変問題になっているようでございますが、飛行機による騒音というものについて、環境庁としては規制の基準というものをどのようにお考えになっているのか。それで同時に、現在石垣では四候補、五候補ぐらい候補地が設定されているようでございますが、それがどうも騒音が非常に問題だということで白保が一番いいというようになっているみたいなのですが、白保住民であっても騒音というのは同じことなわけですね。そういうことから考えてみますと、環境庁としては、この石垣空港建設に関する、つまり自然保護並びに騒音というような立場から、どういう基準で対応してどのような基本的な見解を持っているのか、お尋ねしたいと思います。
  16. 加藤栄一

    説明員加藤栄一君) まず自然保護関係につきまして御説明を申し上げます。  環境庁といたしましては、まず新石垣空港建設につきましては、事業者であります県が現在アセスメント準備をしておられるというふうに伺っております。アセスメントの実施に当たりまして、事業者として十分な調査を行われまして、地元においてさらに自然保護の面からも専門家あるいは学識経験者意見を聞いて十分な調整が図られることが肝要であるというふうに考えております。また、公有水面埋め立てという見地からのアセスメントでございますが、埋め立て計画が具体化いたしますと、公有水面埋立法手続の中で、主務大臣であります建設大臣の認可に際しまして、環境保全上の観点から環境庁長官意見を求められるということになりますので、その際に、慎重に審査いたしまして、自然環境保全上遺漏のないように適切に対処してまいりたいと考えております。
  17. 浜田康敬

    説明員浜田康敬君) 次に、先生お尋ね航空機騒音関係につきましてお答えいたします。  まず、航空機騒音に関します基準はというお尋ねでございますけれども航空機騒音に関しましては、公害対策基本法第九条に基づきます航空機騒音に係る環境基準というものが四十八年環境庁告示という形で定められております。その内容の詳細は省略させていただきますが、うるささ指数という、WECPNLと言っておりますが、そういうものを使いまして、地域類型ごとにその単位でもって七十あるいは七十五、それから告示の中にはその基準をいつまでに達成すべきかというふうなことも盛り込まれております。ただ、今問題になっております石垣空港に関しましては、実は告示の中におきまして離島にある飛行場についてはこの環境基準適用しないということになっておりまして、したがいまして石垣空港につきましては環境基準適用はないということになっておる状況でございます。  それから今後建設される空港につきましての騒音問題をどう考えるかということでございますけれども、それにつきましては、先ほど自然保護局の方からも御答弁をいたしましたように、まだ環境庁として協議を受けている段階ではございません。したがいまして、協議を受けた段階におきましては、環境基準適用はございませんけれどもそれが一つ判断基準となろうかと思いますので、そういったものに照らしながら慎重な審査をさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  18. 鈴木和美

    鈴木和美君 時間がございませんので後ほど総括的に述べます。  次に、文化庁お尋ねしますが、私が先般現地を視察したときに話が出たのですが、現空港をどうしても延ばすことはできないのかというような話のときに、何か文化財としての遺跡とか貝塚とかがあって、どうもそこのところがひっかかるのでだめなんだというようなお話をちょっと聞いたのですが、一体これはどういうことになっているのか、文化庁からも見解を聞いておきたいと思います。  それからもう一つは、現在予定されている白保海岸付近にも新しい貝塚が発見されたということを私どもは承知しているわけです。早大の金子エリカさんとか国分直一さんが所見を発表しておられますが、こういうような遺跡等関係から見た場合に、現在、現空港のある先の遺跡白保海岸等にあるような遺跡というものは同価値として見ていいのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  19. 田村誠

    説明員田村誠君) お答え申し上げます。  第一点の御質問でございますが、石垣空港付近史跡フルスト遺跡というのがございます。このフルスト遺跡石垣島南部海岸台地上にあるぐすく状の遺跡でございまして、くるわ状の区画、城門遺構、石積みの牆壁、墓、祭祀遺構等が残されておりまして、十五世紀ごろの石垣島の豪族遠弥計赤蜂の居城とも考えられております。沖縄本島のぐすく跡と比較しまして共通性独自性を兼ね備え、沖縄の歴史を理解する上で重要な価値を有する遺跡として、昭和五十三年三月に文化財保護法によって遺構の所在する約十三ヘクタールに及ぶ地域史跡指定しているわけでございます。  この史跡フルスト遺跡保存につきましては、石垣市が史跡指定と同時に昭和五十二年、五十三年度で指定地域内の民有地の大部分に当たる約九・五六ヘクタールを国庫補助により買い上げて公有化しておりまして、現在石垣市においてこの史跡整備と活用のあり方につきまして専門家等による委員会を設けて検討しているところでございます。極めて大事な遺跡でございまして、文化庁としては、今後ともその保存整備について石垣市、沖縄県と連絡を密にして必要な指導等を行ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それからもう一方の新空港建設地の方の遺跡の問題でございますが、こちらの方の問題は文化財保護法で言いますとまだ指定になっておりませんで、周知の埋蔵文化財包蔵地ということになるわけでございます。このことにつきましては、昭和五十七年の七月に沖縄県の土木建築部から同県の教育委員会の方へ空港建設計画埋蔵文化財関係について協議がありまして、同年の八月二十日に、教育委員会から土木建築部に対しまして、工事用道路予定地付近賀良嶽貝塚があるので、これについての調査工事に先立ち必要である旨回答したということでございますが、工事計画がまだ具体化しないため、現在調査段階には至っていないということでございます。空港建設工事に伴って埋蔵文化財の取り扱いについて調整を必要とする場合には、通常の開発事業の場合と同様、適切に対処するよう関係地方公共団体を指導してまいりたいというふうに考えております。
  20. 鈴木和美

    鈴木和美君 次は運輸省に尋ねますが、私は、個人的にはまだ沖縄のこれからの開発されるつまり生産物、それを運ぶ過程などなどの数字上の整合性について必ずしもきちっとマスターしているわけではないのですが、運輸省に尋ねたいのは、現空港暫定空港で737という飛行機発着でどうしても将来のことを賄い切れないのかということがどうも疑問に残るのですが、その点の数字上の問題、つまり現空港ではどうしてもだめだということに関する運輸省見解を承っておきたいのです。  それからもう一つは、空の交通検討と同時に、現在、港の方の建設の方も三百二十億円のお金を投資して石垣港湾計画が設定されているわけですね。そうしますと、空で運ぶ部分と港で運ぶ部分との量的な関係というものは非常に膨大な数字になって、それほどの必要があるのかなということを直感的に思うのですけれども、そういうことについて運輸省見解を尋ねておきたいと思うのでございます。
  21. 堀井修身

    説明員堀井修身君) お答えいたします。  まず、一点目の御質問でございますが、現石垣空港の五十九年度の乗降客数は現在で約七十万人に達しておるわけでございます。この乗降客数七十万人と申しますのは、第三種空港で第一位の数字でございます。また、その利用率を見てまいりましても、通年で七四・二%というような非常に高い数字でございます。また、本年八月、ダイヤによります一日の離発着回数約三十八回強でございますが、これを一年間に直しますと一万二千回強というような回数でございます。一方、将来の旅客需要を現在第五次の長期計画の策定のために試算をしておるところでありますが、昭和六十五年度には百万人強に達するというふうに私ども予測をしておるところでございます。このようなことから、現発着回数の規模で将来のこのような大きな需要を賄うことは極めて困難だというふうに実は考えておるところでございます。  それから二点目の石垣港の計画と今回の新石垣空港計画との関係ということでございますが、石垣港につきましては、ことしの八月に港湾計画が改定をされまして、おおむね七十年を目標年次として計画をされてございます。その計画の目的といいますか趣旨でございますが、取扱貨物量の増大に対処するということから、係留施設を整備する、さらには台風時における船舶の避泊ということに対応するために外郭施設及び水域施設を整備する、こういうことで計画が定められておるというふうなことでございます。一方、新石垣空港につきましては、現空港の施設の制約から就航機材が小型ジェット機というのがもう限度でございまして、既に貨客、特に夏場でございますけれども、航空旅客需要に対応できないような状態というようなことから、これを解消するために大型ジェット機の就航が可能な空港建設しよう、こういうものでございます。  この二つ計画は、旅客並びに貨物の輸送基盤の充実を目的としておる点では共通しておるわけでございますけれども石垣港の計画は主に貨物を対象に港湾機能の充実を図ろうというものでございますし、新石垣空港は主に旅客を対象に輸送力の向上を図ろうというものでございまして、いわば機能分担を図ろうという形になってございます。ただ、新石垣空港におきましても、旅客輸送力が拡充する、つまり大きな機材を就航させるということになりますと、貨物の搭載能力も当然増加をしてまいります。したがいまして、一部の貨物、例えば高速性が求められるような貨物というような航空輸送に適合するような貨物につきましては、輸送量が増大をして航空機で運ばれるというようなことも期待できるということでございます。
  22. 鈴木和美

    鈴木和美君 長官、今ずっと各省庁のやつを一般論として聞いたわけですが、私も時間がございませんので、各省庁の問題点というものを一つ一つこの委員会で詰める時間がないわけですね。そこで、私は総論的にきょうは申し上げておきたいと思うのですが、沖縄全体、とりわけ離島というか石垣というか、そこの島の将来の経済的な発展、そういうことを考えた場合に、私も決してほかの人には落ちないぐらいの、つまり発展のための寄与というものを国がやらなきゃならぬというように思っています。けれども、現状、私が調査をしたり、この前現地を見たり、また関係者の方々、また省庁の皆さんからいろいろなことを伺っている限りにおいては、どうも数字上の整合性というものは必ずしもぴしっと押さえ切れていないというように私は思うのです。そして先に出てくることは、第二次振興計画との関係どもあって、できれば新空港建設ということになると補助事業の対象にもなるものですから、何となく運ぶ機能とか港の機能だけは早く早くやった方がいいのじゃないかというようなみたいな、そういう感じが私はするのです。  そこで、この問題が非常に混乱に及んでいるということはまず何かというと、やはり住民や漁民や関係どころとの間に対話の活動が非常に不足しているのじゃないかと思うのですね。これは、恐らく沖特の各党の先生方、白保に行かれた先生のところには文書が行っていると思いますが、私はこの中を読んでびっくりしたのですが、こういうことが書いてあるのです。「私たち白保住民は、七年余にわたり、新石垣空港建設反対を叫んで参りましたが、この間、最も身近かな市長や市議会、そして県知事や県議は私達の真意を汲みとってはくださいませんでした。」と書いてありますね。その次に、「この様な状況下で、参議院沖縄特別委員会の諸先生方が親身になって賛成、反対意見を公平にしかも熱心にお聴きとりいただきましたことに対し、民主々義下の政治の温かさと公正さに初めて接した思いで喜びにたえません」と、こう書いてある。そしてさらに、「良識の府である参議院の存在の有難さを感ずる」と、こう書いてあるんですな。つまり、このことを通して言えることは、どうも対話が十分でないということ、私はこれだけではございませんけれども、いろいろなところから聞いてもそう思うのです。だから、これからもう少し対話活動を徹底的にやるべきじゃないかということが一つ言いたいのです。  もう一つは、今環境庁からもお話がございましたように、知事さんのところでアセスの問題がいろいろな今検討が行われていると思うのですね。それで、学術経験者などの世界的に有名な人がそういう調査をしてくれないかということの現地住民からは大変強い要望があるわけですね。こういうものをやはり国は指導をしたらいいと思うのですね。現在、県と市の中では、県議会が決めてあるとか、市議会が決議してあるとかいうことになっているものですから、いわゆる俗称賛成とか反対とかという人が感情的なもつれになっているようなんですね。私はそういうときにやはり国が適切な指導を行うということが必要だと思うのです。  とりわけ、騒音の問題などにつきましては、この前行ったときにも、四候補の中ではそれぞれ気象の条件や騒音関係でどうもいかぬので白保に持ってきたと、こういうお話を承りました。現空港のところの騒音の問題がお話がございました。しかし、騒音という問題は、その騒音の起きないような対策というのが必要かもしれませんけれども、どこを選ぶかということについては沖縄石垣の島ではそれほど私は変わりないと思うのですね、騒音という問題は。問題は、その選択をするときに、住民の生活とか、もう破壊したら返ってこない自然というものですね、こういうものをつまりつぶしてまでそこを空港基地にするのか、ちょっとぐらいみんな騒音は我慢してくれぬかというようなことで納得がいくものなのか、そういう私は調整というものが絶対必要だと思うのですね。だから、現に反対している人たちが感情的に反対しているのだとか、うそをついているのじゃないかというような、そういうものと私は質的に違うような気がするのですね。  それからもう一つ私は思うのですが、これだけの近代的な建設技術が発達しているのですから、現空港の中で何メーターかくぼんでいるところがあって、それで拡張できないのだというお話があったのですが、それは私にしてみれば技術論であって、本質論ではないように思うのですね。だから私は、また私の党と言っても結構ですが、この白保海岸に、あそこにつくることは反対なんですよ。何としても現空港のところで延ばせないのかというような、そういう調整、調和をとってほしいというのが私どもの党の意見なんです。  そこで、私は長官にひとつお願いしたいのです。国の予算を物欲しさに焦って、せっかく沖縄県民がつまり南国特有景勝を立派に受け継ぐ産業として観光開発しようというようなことを言っているわけですから、そこに重点を置いて私は産業開発をするというように考える。焦っちゃいかぬと思うのですね、ここの空港建設に対しては。もちろん、その次に大切なのは農林業というのがあります。農林業がありますけれども、これは今開発庁がいろいろな指導をやっていますよ。今運輸省のお話によれば、そういうものは港から運ぶような計画でしょう。空港はお客さんの方の関係を主にしている答弁ですね。だから、私は各省庁においてもまだ問題があると思うのですよ。  承るところによると七日、あしたですか、運輸省に尋ねてもいいのですが、大臣が何か現地に行かれるそうじゃないですか。何のために行くのか私はわからないのですが、今漁業補償の問題でも大変もめています。そして五メートルの、予定地の外にあるところのやつも今大変もめているのですが、これは行政上の失敗だといって一昨々日の衆議院の環境委員会でも取り上げたのですが、我が党としてそういうような問題を取り上げて問題にしようというときに、今大臣が行かれる。何のために行かれるのかなと思うものですから、今開発庁長官のお言葉をいただく前に、運輸省から、大臣が何のために行かれるのか、そこだけちょっと聞かしてください。
  23. 堀井修身

    説明員堀井修身君) お答えいたします。  先生御指摘のように、運輸大臣が沖縄の方に参る予定というふうに伺っておりますけれども、その目的は、海上保安行政等につきまして業務を視察するというふうに聞いております。
  24. 鈴木和美

    鈴木和美君 私の聞いている限りにおいては、いろいろ空港の問題、運輸省のかかわりの問題もこの機会に、極秘でと言っては恐縮ですけれども、調べてみたい、聞いてみたいというふうなことで行かれるように私は聞いているのですが、せっかくの答弁ですからそれはそれで結構です。  そこで長官、私が今まで時間を費やして述べてきたことに対して、長官気持ちを率直に聞かしていただきたいのです。やはり私はもう少し時間をかけてやるべきだということのお答えをいただきたいのですが、いかがですか。
  25. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 先ほどから鈴木先生の新石垣空港建設に対するいろいろな角度からの御意見を拝聴いたしました。確かに一つの問題として、どのような事業を行うにつきましてもそのコンセンサスづくりというのはもう大変大事なことだと思います。ですから、それは今後、県また市、町、関係者が丁寧に、慎重に今までも進めてきたと思うのですけれども、これから特にそういうことを十分に配慮してやっていただくように私どもも十分に申し上げてみたいというふうに考えております。  それから沖縄は御承知のように離島県でございまして、東西千キロ、南北四百キロ、この広範な海域の中に四十二の人が住んでいる島が点在している県でございまして、特にこういうような地理的な状態の離島県におきましては、空港整備という問題は、単にその地域住民の利便のためだけではなくて、その地域産業経済振興開発に大きな影響を持っておるということも事実だと思うのです。今後、そういう認識からいたしますと、沖縄経済が発展していくためには、船経済から飛行機経済に移行していくということも大きなかぎを持っておると私は思っております。  それから同時に、沖縄の問題を考えますときに、本土との格差というものはもちろん基本にある問題ですが、同時に沖縄本島とその他の離島との格差という問題もこれまた大きな問題でございます。そういうふうに考えますと、先島地域、宮古、石垣から西表、与那国まで含めまして、あの地域は今後発展していく可能性を非常に持っている地域だと思うのです。その発展をしていくための一つの方法としては、本島経由で本土へ回っていくという流れ方から、本土へ直接流れていくという経済の流れ、人の流れ、そういうことも私は非常に大事なかぎを持っておるように思うのです。  ですから、今、宮古の方でも本土との直行便を非常に強く要請されているし、新石垣空港ができますと本土との直行便ということの開設も可能になってくる。そういうことになりますと、観光客ももちろんふえますけれども、同時に石垣を中心として与那国まで含めた農水産物の本土への輸送ということも可能になってくる。そういうふうに思いますと、これは先生御承知のようないろいろな内容からいたしますと、新石垣空港の開港というのはやはり非常に大事な問題だと私は思います。  しかし一方において、御心配のような環境問題との関係もこれまた非常に大事な問題でございますので、これは開発をとるか環境をとるかというそういう二者択一の問題ではなくて、何とか両方をうまく調整、調和していくようにできないだろうかというふうに私は考えておるわけでございまして、先生御承知のように、環境事前評価という手法が今非常に進んでおりまして、開発する前に、開発した後の環境に対する影響を事前にシミュレーションする、こういう手法が進んでおりますから、これを十分にやれば御心配の点は解消できるのではないかなと。しかし、そのためにもやはり地元の方々のコンセンサス、いろいろな御意見を十分に聞いてコンセンサスをつくっていくということは非常に大事なことであるというふうに考えております。
  26. 鈴木和美

    鈴木和美君 本件については、とにかく人が大事かサンゴが大事かという二者択一みたいなことで宣伝されているようなことでは感情ばかり出てくるわけですから、もう少し大所高所に立った検討を急ぐように十分注意してやってほしいと思うのですね。それで、やはり環境面では、はっきり申し述べておきますが、白保のところの埋め立て空港建設には我が党としては反対です。私たちは今後もまたそのためのお話をしていきたいと思います。  さて次の問題は、先般私ども沖縄を訪ねたときに、防衛施設庁から現在の状況についてお話を承りました。そのときに、軍用地の問題について沖縄の土地収用委員会に裁決を仰いだということが書かれておる報告書をいただきました。しかし残念ながら、防衛施設庁はそのときに二十年というのはどこにも書いてないのですよ。ただ、申請したとか、裁決を仰いだというだけのことであって、今二十年のところが一番問題になっているわけですね。そういうところは伏せておいて、とりあえずの説明は行われたわけでございますが、この委員会において改めて私は防衛施設庁に聞きたいのです。  従来、土地の収用に関して、五年というのも紆余曲折、大変な混乱があって五年になっているわけですね。ところが今回、六十二年の五月十何日だったでしょうか、切れることを目途として二十年の強制使用を出したということが新聞報道で出ているのですが、一体これはどういう理由で、どういう経過で、現状はどうなっているのか、防衛施設庁にお尋ねいたしたいと思います。
  27. 加賀山一郎

    説明員加賀山一郎君) お答えいたします。  日米安全保障体制は我が国の防衛の基本であるだけでなく、極東の平和と安全に寄与しているところでございます。このことは、日米両国においてその意義は高く評価されておりまして、その地位は揺るぎないものとなっております。米軍の駐留は日米安全保障体制の核心をなすものであり、その核心の基盤である米軍基地は今後ともできる限り長期間、安定的に使用できるようにしなければならないものでございます。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  沖縄県内にある米軍施設、区域の民公有地のうち未契約地につきましては、公用地暫定使用法及び駐留軍用地特措法を適用いたしまして十五年間の使用権原を得て使用中でございますが、その間鋭意契約の説得に努力いたしましたにもかかわりませず、一部の土地所有者の同意がどうしても得られないのみならず、最近一坪運動等によりましてますます未契約地の所有者の合意による使用が困難となっております。一方、沖縄県における施設、区域は、日米間で十分討議、検討の上返還可能なものにつきましては返還済みか、あるいは現在返還のための作業を実施中でありますが、その他の施設、区域につきましては、見通し得る将来返還の見込みはないと判断されております。  以上のことから、沖縄県における施設、区域の長期間の安定的使用を図るため、安保条約の目的達成と契約不同意の事情、経緯等をあわせ考えまして、また民法六百四条の賃借権の存続期間を参考の一つといたしまして使用期間を二十年として裁決申請したものでございます。  なお、前回五年として裁決申請したわけでございますが、沖縄県において初めて駐留軍用地特措法を適用することでもございましたし、また神経の復帰後の公用地暫定使用法による使用の経緯、整理統合計画等諸般の事情を総合的に検討いたしまして、またさらに契約による使用権を得るための努力を継続するためもありまして、当面最長五年間を使用期間といたしたものであります。
  28. 鈴木和美

    鈴木和美君 開発庁お尋ねしますが、開発庁が出している第二次沖縄振興開発計画というのがございます。これは、開発計画をするときに、その土地の問題について、米軍の使用する施設とか区域に対してどういうふうにこれからしていきたいということを第二次振興計画の中では位置づけておるのですか、それをちょっと聞かしてください。
  29. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 第二次振興開発計画の中には基地の縮小を図るという文言がございます。
  30. 鈴木和美

    鈴木和美君 長官にちょっとお尋ねしますが、今回、沖縄の土地収用に関して、五年間を二十年間にするということに関して防衛庁長官からあなたのところに相談が事前にありましたか、ありませんでしたか。
  31. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 私の就任以前の問題でございますので、加藤防衛庁長官から本件につきましては御相談はございませんでした。
  32. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 御相談と申せるかどうかはわかりませんが、お知らせはいただいておりました。
  33. 鈴木和美

    鈴木和美君 もしも事前にそういう話があったとすれば、この委員会に対しても——沖縄の第二次振興計画でも基地の縮小を図ると、そしてなおかつ、十年間の計画の中で、六十六年に振興計画は切れることになっているのです。ちょうど五年というものを節々に考えてこの計画は立てられているはずなのです。ところが、今度その振興計画とまるっきり違う二十年というものを出されたとすると、二次計画というものはめちゃくちゃになるのですよ。そういうことになりましょう。ということだとすれば、新しく藤本長官がなられた場合に、そのいきさつに対して我が委員会に、こういうことであるからこういうふうにしたいということがあってしかるべきじゃないですか、所信表明のときに。これも何にもないということはどういうことですか。
  34. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) ことしの八月に今お話しのその使用期間を二十年とする裁決の申請が出ましたことは承知をいたしておりますが、これは所管外のことでもございますので、私から意見は差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。  しかし、第二次沖縄振興開発計画の中にも、お話しのように施設、区域の縮小という問題は明記しておるわけでございますし、確かに土地利用の点におきまして非常に大きな支障になっておることは事実でございます。本島面積の約二〇%施設、区域があるわけでございますから、これは非常に沖縄振興開発を進めていく上で土地利用上大きな制約になっておることは事実でありますので、その点につきましては、二次振計に明記しておりますように今後とも、施設、区域の縮小につきましては努力してまいりたいと思っております。  復帰後、御承知と思いますけれども、施設、区域につきましては八十七中四十返還になっておりますし、また面積につきましては約十数%縮小されておる……
  35. 鈴木和美

    鈴木和美君 いや、そんなことを聞いておるのじゃないんです。  とにかく、先ほど前段で私は沖縄県民意識実態調査というものをそのために申し上げているのです。先ほどの自然保護の方は結構だと思うのです。しかし、沖縄県民のとにかく半数以上の人、大方の人は基地存在に対して大変心配しているわけでしょう。そして金はいっとき、土地は万年ということが沖縄の新聞にも書かれてあったようですが、二十年収用するということは、復帰のときから見ると三十何年でしょう。これはもう永久強制収用でしょう。施設庁は民法の問題を一つのよりどころにしているようですけれども、これは合意を前提にした民法の賃貸借の契約の問題でしょう。ところが今度の場合には、未契約のそういう地主を相手にするための措置なのです。全然これは話が逆でしょう。三十五年も強制収用するということは、憲法二十九条による財産権の侵害でもあるわけです。そのくらい私は重要な問題をこれは含んでいると思うのです。  それが新聞記者もそれから地主の方も大方の人も、五年、五年、五年で来たから、五年は反対なのだけれども、百歩譲ってまた五年ぐらいになるのかなと思っていたら、途端に二十年だというのでしょう。これはいわゆる中曽根さんの靖国神社の参拝の問題や一%の問題や、すべて今回の日米会談のしわ寄せとして出てきているのじゃないですか、全く一挙じゃないですか。こういうようなことが認められるということであれば、一体沖縄開発庁というのは何のためにあるのかということになりませんですか。私はそのために藤本庁官は事前に聞いたか聞かないかということを聞いているのです。  少なくともこの軍用地というものが、沖縄経済に与える影響としては大変マイナスになっているわけでしょう。そのためにこそ縮小をやろう。その縮小をやるというときに、二次振興計画が六十二年の五月十四日に切れるからそのときにもう一回話をすることを前提にしながら十年の計画をしているわけです。それが二十年になったというのは、これは二次計画は全くやり直しでしょう。そういうことから、県民が安心して沖縄開発庁の仕事に対して信頼できるかといったら私はできないと思うのです。  これに対して、これから県収用委員会がいろんな裁決を出すわけでしょうけれども開発庁としてもそういうことに対しては積極的に県民の福祉、生活を守るためにも努力していただきたいと思いますが、長官最後にそのことについての答弁をお願い申し上げます。
  36. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 私どもといたしましては、今後とも施設、区域の縮小につきましては努力をしていきたいと考えております。
  37. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 久しぶりに六十分という長い時間をちょうだいいたしましたことにつきまして、委員長並びに理事の皆さん方にお礼を申し上げます。  長官、御就任になって八月十四日から今日まで毎月一回沖縄を御訪問なさって、計四回現地をつぶさに御視察いただいているという御努力に対しまして衷心より厚く敬意を表しますとともに、大いにこれからの沖縄の取り組み方についての期待を長官に寄せるものであります。内閣改造の風聞がありますけれども、ぜひ御留任いただきまして、そして歴代長官視察訪問の記録ホルダーになっていただきたい、そういうふうにお願いしておきます。  たびたびの御訪問によって沖縄の風俗、習慣あるいは歴史についても大変に御造詣の深い御認識をいただいたものと思うのでありますけれども、もう既にお配りしております「万国津梁の鐘の鐘銘」、これは本当に鐘銘のごく一部分であります。全文が漢字で言いますと二百字に及ぶものでございますけれども、まず最初のさわりのところだけ、長官ごらんいただいていると思うんです。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕 これをごらんになりましてどういう御感想をお持ちになりましたか、まず長官に承りたい。
  38. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 伊江先生の足元にも寄らない沖縄に対する知識でございまして、大変じくじたるものがございますが、この鐘銘文を拝見いたしまして率直に感じましたことは、歴史的、地理的、文化的な沖縄特性を見事に言いあらわしているというふうに感じました。最近、四月でございましたけれども、国際センターが沖縄に設立されました。この事業に見られるように、沖縄に東南アジアに向けて日本の玄関口として役割を果たそうとしているわけでございますが、こういうことは、船をかけ橋として世界じゅうと交易をした先人の偉大な足跡や歴史の教訓に由来しておるというようなことを感じておりまして、非常に感慨深く拝見いたしました。また、この万国津梁の鐘に海邦国体、これの起源といいますか、そういうものも見たような感じでございます。
  39. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 まことにそのとおりであろうと思います。  ところで沖縄出身の政務次官、どうですか、御感想は。
  40. 大城眞順

    政府委員(大城眞順君) ただいま大臣からお答えいただいたとおりでございますけれども、異口同音ではございましょうけれども、私なりの感じ方を申し述べてみたいと思います。  この「万国津梁の鐘の鐘銘、」これは県民の中でたくさんの方々が座右の銘として受けとめているのではないか、このように考えておるところでございます。この津梁の鐘の銘文の意義につきましては、過去、現在、将来にわたって一貫した私は理念があると思います。そういうことで、沖縄県民の精神的な面で県民の胸に脈々と打つものがあるのではないか、このように考えておるわけでございます。したがいまして、この銘文は沖縄県民の子々孫々にわたっての未来永劫にわたる先人からの偉大なる遺産ではなかろうかと考えておるところでございます。  これには海洋民族としての魂があり、そして現時点で言われております地方の時代、国際化の時代、そして環太平洋の時代という時代背景を考えた場合に、五百三十年以前におきまして、沖縄の位置づけというものを未来永劫にわたっての一つ県民の哲学として先人が生み出したこの銘文は、私は沖縄の哲学であり、そして沖縄の未来のビジョンであると言っても決して過言ではないと思うわけであります。我が日本の南の玄関口、先ほど大臣からもお話がございましたように、やはり日本、中国そして韓国、こういった中にありまして、沖縄自体が国際化時代におけるアジアへのかけ橋となって、既にこのかけ橋の橋げたが国際センターという形であらわれてきておりますし、未来に向けての県民への大きな一つの、先ほど申し上げましたように理念であり、二十一世紀へのビジョンであると、私なりにこのように受けとめておる次第でございます。
  41. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 さすがに御両者それぞれの立場を踏まえての明快なる御答弁であり、また私どももまことに今御感想をお述べになったとおりのように思っているわけであります。  この鐘は、今も政務次官が申されましたけれども、大体今から五百年余の昔でございますけれども、尚泰久という王様、これは日本の歴史で言うならば応仁の乱の十年ぐらい前に当たる古い時代でありますけれども、私がこの文章の解釈をくどくど言う必要はございませんけれども、要するに琉球国というのは南海の勝地なんだと、勝地というのは景色のいいところだという意味ですね。天然に恵まれた自然景観というのが今でもみんなにあこがれを持って見られて、年間二百万人を超すような観光客の吸収ができるというほどの景観地、これは勝地ですね。そして「三韓の秀を鍾め」というのは、当時の三韓といいますのは恐らく文化の先達でありますから、その文化を集めようと、その文化に倣って自分の文化もつくっていこうと、そして大明つまり中国、それから日域つまり日本、この両者と深いつき合いをしていかなきゃならぬ、そしてこの二つとちゃんと密接な連絡をとりながら沖縄というところが育っていくのだと、こういう意味だと思いますし、そしてその間に生まれたところの蓬莱島というのは、平和にして豊かに、そして不老長寿の桃源郷なんだと、こういうことを言っているわけですね。  そして今大臣がおっしゃったように、舟をもって万国とのかけ橋にして沖縄という小さい陸地の面積を広大な海によって補っていこう、あちこちの国と中継貿易もやっていこうと、こういう遠大なる夢とそしてまた覇気を感じさせるこの文章でございます。そして政治、哲学も入っているし、小さな王国ながら堂々と国際社会と交流していこう、しかもそれによって経済立国をしていこうという遠大なる私は理想と抱負が述べられていると思うのですね。敬愛する祖先の歩んだ道を実際に振り返ってみますと、この鐘銘のとおりに歴史が刻まれているわけです。政務次官が言われましたように、今後も鐘銘の示すように歩いていく道を示唆している、こういうふうに思っているわけです。これからいろいろ質問をさしていただきますが、そういったことでお答えやら質問の中からこの鐘銘の姿というものを、ひとつ長官、じっくりとお酌み取りいただきたいと思います。  そこで、運輸省は来ていますか。——運輸省が九月の十日に、運輸政策審議会に我が国航空企業の運営体制のあり方に関する基本方針について諮問をいたしましたね。その内容を簡単に言ってみてください。
  42. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 今先生御指摘のとおり、九月十日付をもちまして運輸政策審議会に対しまして、いわゆる現在の航空憲法と言われております四十五年の閣議了解、それから四十七年の運輸大臣通達によります事業分野の枠組み、これの見直しを諮問してございます。諮問の方向といたしましては、競争を促進することによりまして利用者の利便の向上と企業基盤の強化を図る、こういう方向で御議論いただくということで諮問してございます。
  43. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 これに対して運輸政策審議会は中間答申を出したと聞いていますが、それについてもちょっと。
  44. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 正確に申し上げますと、来週の月曜日、十二月九日になりますが、中間答申をいただく運びになっております。おおむねの内容は、今の段階では申し上げてよろしいかと思いますが、まず国際線につきましては、現在の日本航空一社体制を改めまして複数社制にする。日本航空につきましては、現在の特殊法人という経営形態を改めまして完全な民間企業に移行する。さらに、国内線につきましては、現在の事業分野の壁をなるべく取り払って相互に自由な競争ができるようにする、これが基本的な方向でございます。
  45. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 中間答申はまだ出ていないわけですね、十二月の九日。そうすると、これは今も御答弁があったように、航空憲法の見直し、四五、四七体制の見直しということになるわけですね。もう一遍、そこのところをはっきり。
  46. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 今先生御指摘のとおり四五、四七の見直しでございまして、この答申をいただきますと、私どもといたしましては四十五年の閣議了解、それから四十七年の運輸大臣通達を廃止する手続に早速入りたいと思っております。
  47. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 わかりました。  そうすると、今の御答弁をちょっと整理いたしますと、国際線も国内線も競争場裏に任せようじゃないかと、適格者があるならば。日本航空は、これは完全な民営化の方向へ歩みなさい、大体こういうことなんですね。  そうしますと、運航面、技術面で適格な企業があるならば、幹線、ローカル線の区別はなく、また国際線、国内線の区別もなく参入できる道を開いた、こういうふうに理解していいですか。
  48. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) それぞれの企業にその意欲と、それから新しい路線をしくということはそれなりのリスクがございますから、そのリスクに対応するだけの企業体力がありますれば、基本的には企業の意思をなるべく我々として尊重いたしたい。もちろん、空港事情の制約、あるいは路線によりましては過当競争になる場合にはある程度の規制が必要かと思いますが、できる限り各企業の意欲を尊重して行政に当たりたい、かように思っております。
  49. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 本答申はいつ出るんですか。
  50. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 本答申につきましては、これからの審議会の推移によりますものですから、今余りはっきりしたことを申し上げることはできないわけでございますが、一応来春もしくは夏の初めぐらいというのを事務局としての目標にいたしております。
  51. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そこでお尋ねするわけですけれども、四五、四七体制という、その四七体制の大臣通達ですね、これは四十七年の何月に出たのですか。
  52. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 四十七年の七月一日でございます。
  53. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 課長沖縄日本に復帰した年はわかりますか。言ってごらんなさい。
  54. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) よく存じ上げておりまして、同じ年でございます。
  55. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 ということは、このとき南西航空という沖縄の航空企業があるけれども、四五、四七体制の枠外に置かれている、そういうことですね。
  56. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 現在の四七あるいは四五の中には南西航空という指摘がないことは御指摘のとおりでございます。
  57. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そこで、沖縄の南西航空というものは昭和四十二年から発足いたしておるのでありますけれども、御承知のとおり、沖縄の離島航路をネットするいわゆる県内の航空企業、したがって離島航路というのは足が短い、お客も少ないということでどうしても赤字路線になってしまう。赤字路線ではあってもこれは生活路線だ。そこで、復帰後から絶えず、赤字路線であっても生活路線を維持しなければならない経済的な理由から、本土への路線参入についての悲願を持ち続けていたわけですね。と同時に、これはいわゆる経済原則で言うもうかるところでもってもうからぬところを埋めていくというクロサブシステム、それをとって本土路線への参入を大変に悲願としていたわけです。この間の事情はよく御承知のことだと思うのですけれども。  ここに降ってわいたように航空憲法の見直しという、これは運輸省みずからの発想に基づくところの政策転換をやろうということで諮問をなされた。これに対して、非常に勇気ある決断だし、また勇気ある今後の航空業界に対処する運輸省の政策だと思って、非常に敬意を表するのですよ。我が沖縄にとってみれば、いや、いい時期が来たなと。一つの南西航空という企業に対するいい時期が来たということじゃなくて、沖縄に往来する航空機、足が非常に密になってくるということで喜びにたえないわけなのです。  そこで、運輸省はこの南西航空の今日までの実績をごらんになり、そして運航面、技術面から見て、沖縄の南西航空という企業は日本航空、全日空、東亜国内航空に次いで第四の航空企業という認識を持っておられるのかどうか、それを伺いたい。
  58. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 現在でも、輸送量で見る限りは今御指摘の日本航空、全日空、東亜国内に続く第四の航空企業であることは間違いはございません。これからの方向といたしまして、南西航空は少なくとも技術的能力におきましては既にジェット機の運航にかなりの経験を積まれておりまして、我々といたしましては特に問題があるとは思っておりません。あと、南西航空が本土に路線を延ばすに際しましては、先ほどもお話し申し上げたとおり、新しい路線をしくだけのリスクに耐えるだけの企業体力があるかどうか、あるいは経営陣としてその辺の決断をされるかどうか、その点にかかっているかと思っております。無論、例えばいきなり東京ということになりますと、羽田空港の枠の問題とか物理的な問題がございますが、徐々に本土の方に路線を延ばしていかれるということにつきましては私どもも歓迎するところでございます。
  59. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、リスクに耐えられるかどうかというのは企業経営の面であるから、これは一応第二次の判断の材料になるわけですね。第一次の判断の材料というのは、何といっても安全に運航できるかという、運航面のノーハウを持っているかどうかの問題とそれから技術の問題ですね。それについては先ほどおっしゃったように適格性があると、こういう意味ですね。確認しておきますけれども
  60. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 新しい路線をしくに際しましては、無論個別に安全面のチェックは改めてやりますが、現在までの南西航空の運航状況から申し上げれば、今技術的能力等から見て問題があるということは全くないと申し上げていいと思います。
  61. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうしますと、今諮問されているこの四五、四七体制の見直しの枠内に入る企業という位置づけをされる可能性があるというふうに見ていいわけですか。
  62. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 今回の見直しは枠そのものをなくしてしまう、各企業が希望するということをまず第一に考えるという方向に行っておりまして、従来の四五、四七のように、ある会社はどこをやりなさい、別の会社はここをやりなさいというような壁をなくすことでございますから、今先生の御趣旨は、枠という言葉はちょっと当たりませんが、先生の御趣旨のとおり南西航空もこれから第四の航空企業として羽ばたく環境ができたと申し上げていいと思います。
  63. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それでいいのですよ。だから、あとは経営陣がリスクも覚悟の上だと、堂々とあとの三社と勝負していこうじゃないかと申請すればいいわけだな。それでいいね。  それで、沖縄経済圏というのは、やはり東京に直結し、東京以西と結んでいるのが沖縄経済圏なんですよ。ですから、これから経営陣が勇気を持ってリスクを負いながら運輸省に申請をしていくわけでありますけれども、那覇が東京と直結されあるいは大阪と直結されるだけではなくて、先ほどの同僚議員からのいろいろな御質問もございましたように、離島中のまた離島ですから、その中で大きなものはやはり宮古島と石垣島ですね。宮古の飛行場で空港拡張の反対もありますけれども、これは私は聞かないことにしておりますからそれは別に置いておいて、そこと東京あるいは大阪と結ぶという、国内線への参入ということが念願になってくるわけなんです。  同時にまた、逆に言えばそういう離島にはほかの会社も入ってくる。言うならば二社あるいは三社が競合する、ダブルトラッキングといいますかあるいはトリプルトラッキングといいますか、そういうことも必要じゃないかと思うのです。こういった整理はもちろん運輸省航空行政としておやりになるだろうと思うのですが、こういうことは望ましいと思われますか。それとも、ああいう狭いところにそんなにたくさんのお客は行かないんだから余り競合すると国内航空が非採算路線になってしまう、そういう立場でチェックなさるのか。その辺のところをどうお考えになりますか。
  64. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) その辺が極めて難しい問題でございまして、まず東京、大阪に現時点において直行便を設けるかということにつきましては、先生もよく御承知かと思いますが、両空港の能力から見て物理的になかなか難しいというのが正直なところでございます。さらに、那覇と宮古あるいは石垣等につきましてダブルトラックあるいは三社が入るトリプルトラックということも、私どもは原則的には競争によってよりよい状態を求めるという理念としてはそういう方向で持っていきたいと思いますが、ただ、南西航空という立場からとりますと、当該路線の収益でもって離島航路を維持しているという状態から申し上げますと、いわば一番おいしい路線に他の企業が入ることによって南西自体の企業体力を弱めてしまうという問題も出てくるわけでございます。その辺を逆に南西が本土に出ることによってそれを補うという形で、拡大の方向で両者が競争してよりよい状態を求めるというのが理想でございます。その辺は状況を見ながら取り扱ってまいりたい、かように思っております。
  65. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それはそうでしょうと思います。しかしながら特筆すべきことは、南西航空もやっと国内路線、本土への直行便についての参入の機会を得られる可能性が出てきたし、またその可能性は我々としても非常にうれしいことだと思うので、ぜひその節は十分に御検討願いたいと思います。  次の質問に移りますが、今日本に乗り入れを希望する国際線がたくさんあるというふうに聞いておるけれども、それはどういう格好になっておりますか。
  66. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) まず、原則的なことを申し上げますと、我が国に外国の企業が乗り入れるに際しましては政府間の航空協定が要るわけでございますが、この航空協定を結びたい、こう申し出ている国が現在三十数カ国ございまして、我が国の空港事情等からなかなかこれに直ちには応じられないという状況にございます。
  67. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 三十何カ国があるというお話で、なるほどそれは成田も空港容量の問題があるでしょう。それからまた、大阪にしても夜間空港の乗り入れの制限時間があるからなかなか難しい、こういう事情はわかるわけですが、これは航空協定の締結といったら相手のあることなんで、相談によっては沖縄に乗り入れたらどうだ、沖縄から中継でもって本土へ行ったらどうだ、こういうふうなことも考えられるのですね。それについてはどう思いますか。
  68. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 極めて意義の深い長期的な展望に立った御提案と思っておりまして、基本的には当該相手国あるいは航空企業がどこに乗り入れたいというのがまず最初のスタートになるわけでございます。正直に申し上げまして、今各国とも第一希望、第二希望は成田、大阪にしております。ただ、それ以後、例えば第三希望で沖縄だという話が出れば、私どもといたしましてはこれにつきまして積極的に対応していく用意がございます。
  69. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それは相手のあることですから当然ですが、できるだけそっちの方へ誘導するように努力してください。誘導する努力をすれば、そうすれば今度はまたお互いに対等の立場だから、こっちからも向こうへ行きますよと、沖縄の南西航空だって国際線に参加できるような機会があるのだから、そうすればいよいよ沖縄の那覇空港というのは実質的な私は国際空港になると思うし、そういうことでぜひこの問題は真剣な課題としてお取り組み願いたいと願っておきます。  長官、お聞きになりましたですか、これが「万国津梁の鐘」の言う舟楫をもってかけ橋となす、これなんです。私は、長官も過日の衆議院の沖特の委員会でおっしゃったように、この航空問題、足の問題について大変に御見識を御披露なさっている議事録を読みましたけれども、これについては運輸省だけの問題じゃなくて開発庁もひとつぜひ御推進の力を注いでいただきたい、こういうふうに要望をしておきたいと思います。  次に、沖縄自由貿易地域の問題について私は御質問申し上げたいと思うのでありますけれども、まず沖縄自由貿易地域の設置につきまして、地域指定なりあるいは事業認定など沖縄振興開発法にはどう書かれているのか。自由貿易地域というものをせっかく沖縄に与える、そういった特別な措置について、これはこのままほうっておくなんということはないので、もう復帰後十何年たってもさっぱりこの動きが出ないというのは私はある意味じゃ怠慢だと思うんです、沖縄県も開発庁も。ですから、これに対してどういうふうな今取り組みをやっているのか、それをちょっと伺いたいと思います。
  70. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 沖振法に自由貿易地域の根拠規定があって、復帰後一度もそれが発動されてないのはまさに御指摘のとおりでございます。実はアメリカの占領中に沖縄自由貿易地域がございました。ただ、それは昭和四十年ごろが最盛期でございまして、その後衰退しておりました。この衰退した原因はいろいろ言われておりますが、台湾などに同種の自由貿易地域ができまして労働力の点で競争に負けたからではないかというようなことが言われております。  当時の沖縄自由貿易地域はいわば加工輸出型であると言われております。それで、沖振法にございます自由貿易地域も、それを活用して加工輸出型の自由貿易地域をつくったとしても、占領中の自由貿易地域の二の舞を踏むのではないかというような御心配があったのだろうと思います。しかし、最近に至りまして、加工輸出型ではなく、中継物流加工型と申しますか、別のタイプの自由貿易地域として出発しようではないかという動きが出てまいりまして、沖縄開発庁もこれに賛意を表しましてただいま沖縄県と沖縄開発庁との間で知恵の出し合いをしておるところでございまして、また沖縄開発庁としましては関係官庁の方々とも懇談会をつくりまして検討しているところでございます。
  71. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 知恵の出し合いも結構なことなんだけれども、大体やろうとすることはわかっているのだから、要するに早く具体的に手順を踏んで具体化することだと私は思うのんですよ。そういう意味でそういう努力を願いたいと思うんですが、今ちょっと触れられた、どういう性格、機能を持つ自由貿易地域だ、そういう構想は沖縄県としてあるいは開発庁としてどういうふうにお考えになるんですか。その性格、機能ですね、今ちょっとおっしゃった中継加工型であるとか、物流型だというふうにおっしゃったけれども、具体的に言うとどういうふうな機能ですか。項目だけ並べてもらえば結構です。
  72. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) お答え申します。  これは、ちょっと項目ですと抽象的に過ぎますので具体例を申しますと、例えばお菓子であるならば外国製のお菓子というものを大きな荷物としてまず沖縄自由貿易地域内に運んでまいります。このときは関税がまだかからないわけでございます。そこで、その自由貿易地域の中でそれを各仕向け地向きに小さくこん包をするというような作業をいたします。そして、それを例えば東京なり大阪なりに送るわけでございます。このときの利益は、関税の点と、それからその原料を小さくこん包し、あるいは若干の加工をする際にロスが出ますが、その点についても、関税上、内国消費税上の利益が上がるというふうに考えております。
  73. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その場合、原料を輸入して加工してまた輸出するなら問題ないけれども、原料を輸入して加工して国内に出す場合、それは原料税でかかるの、それとも製品税でかかるの。
  74. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 原料課税でございます。
  75. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、安い製品が実質的には我が国に入ってくる、こういうことに相なるわけですね。
  76. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) はい、おっしゃるとおりでございます。
  77. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それで、こういう自由貿易地域というのは、これは沖縄がつくらなければよそでつくるぞといって希望県が多いのですよ。もたもたしていたら本当にそれはやられちゃうよ。やられちゃうという言葉はおかしいけれども、せっかくの恩典を生かすノーハウがとれないというのではこれは情けない話なんで、長官、また後ほど御質問しますけれども、ぜひひとつ御推進を督励なさっていただきたいと思います。  それで、この効果を十分に発揮させるための優遇措置というのはたくさんあるわけですが、沖振法では優遇措置の典型的なものは何ですか。それともう一つは、それは税制上の問題もあるだろうし、金融上の問題もあるだろうと思うけれども、それを簡単におっしゃってください。
  78. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) まず沖振法上の優遇措置でございますが、一つは、中心は、自由貿易地域開発庁長官指定しまして、そうしますと関税法に規定する保税地域の機能を有するということが一つでございます。  それから税制上の優遇措置、三つございます。  まず自由貿易地域投資損失準備金制度でございます。これは、自由貿易地域内で事業を行うことの認定を受けた法人で、その同地域内に本店もしくは主たる事業所を有するものの株式を当該認定後五年以内に取得した場合においては、その取得価格の一部の金額を損金経理の方法によりまして自由貿易地域投資損失準備金として積み立てたときは、当該積み立てた金額は所得金額の計算上損金の額に算入することができるというものでございます。  二番目は、工業用機械等の減価償却の特例でございます。これは、製造の事業の用に供する設備を新設しまたは増設したものがある場合に、当該新設または増設に係る機械等について特別償却、つまり機械等であれば百分の三十四、建物等であれば百分の二十を行うことができるというものでございます。  三番目は、地方税の課税免除または不均一課税に伴う措置でございますが、これは製造の事業の用に供する設備を新設しまたは増設した者につきまして、地方公共団体が、事業税、不動産取得税、固定資産税を課さなかった場合または不均一の課税をした場合において、その減収額を基準財政収入額となるべき額から控除して計算し、地方交付税上措置しようとするものでございます。
  79. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 簡単でいい、簡単で。
  80. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 最後に、特別土地保有税の非課税ということがございます。  なお、今申しました四つのうち、工業用機械等の特別償却及び特別土地保有税の非課税の期限は六十二年三月三十一日までとなっております。  また、金融上の措置でございますが、現在、沖縄振興開発金融公庫におきまして自由貿易地域内に立地する企業等への金融を検討中でございます。
  81. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 一般的に、この自由貿易地域の利用形態というのは、一つが先ほどお話があった輸出加工型、それから輸入加工型あるいは中継貿易型、常設展示場型、あるいは外国貨物をそのまま展示即売できるショッピング型、これがあるのですけれども、これ全部満足できるんですか、今の沖振法で。
  82. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 先生御承知のとおり、すべてを満足するわけにはまいらないかと思います。
  83. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 どういう点があるんですか。
  84. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) ショッピングができないことになっております。
  85. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 大蔵省、何でショッピングができないの。
  86. 中島達夫

    説明員(中島達夫君) お答え申し上げます。  ショッピングセンター型のにつきましては、関税率の設定、それから貿易関税の趣旨をこれは否定することになっておりまして、かつ国内販売業者に対する影響等を考慮すると認めることができないわけでございます。
  87. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 自由貿易地域というのはやはり自由貿易地域なんだから、外国貨物の管理あるいはその取り扱いの規制ができるだけ緩和されるということを目的にしてつくられるわけですね。それで、この地域については制限あるいは規制というものをできるだけ緩和すべきだと思うんですけれども、現行関税法上あるいは為替取引の立場からそういうのができるんですか。
  88. 中島達夫

    説明員(中島達夫君) お答えをいたします。  自由貿易地域における貨物の搬出、それから蔵置、管理、改装、仕分け等、こういうような手続につきましては当該企業の自主的な管理に任せるよう十分配慮していきたいと思います。ただし、関税債権の確保とかそれから輸出入秩序の維持のための手続、こういうのには蔵入れ承認とか移し入れ承認とか、こういう手続がございますが、これについては緩和は困難でございます。
  89. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 今おっしゃった保税地域の例えば外国貨物の蔵置き期間と言うんですか、蔵置期間と言うのか知らぬけれども、その蔵置き期間というのは、例えば積みおろしの荷さばき、あるいは加工製造などの保税上屋だとか倉庫あるいは工場ですね、そういったものは地域ごとに期間が制限されているように思うのですけれども、大体ここは原料を入れてそれを備蓄して、そして加工して出すというふうな機能を持つところであるならば、こういった蔵置き期間の制限というのはうんと緩和されるべきじゃないだろうか、物によってそうなるのじゃないだろうか、それについてはどう考えますか。
  90. 中島達夫

    説明員(中島達夫君) お答え申し上げます。  関税の確保それから保税地域の有効利用、こういうような観点から蔵置期限を無制限にすることということは困難でございます。しかしながら、蔵置期間の延長、こういう問題につきましては十分弾力的に考慮したい、このように考えております。
  91. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それはケース・バイ・ケースで弾力的に措置する、こういうことなんですか。
  92. 中島達夫

    説明員(中島達夫君) そのとおりでございます。
  93. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 先ほども質問しましてお答えをいただいたのでそれでいいのでありますけれども、やはり輸入加工型ということになると、原料を安く無関税で入れて、それに加工して付加価値をつけて本土の国内へ国内商品として送り込むということに対しては商品課税じゃなくて原料課税だという、これは大蔵省、確認してよろしいですね。さっきの開発庁の答弁だけれども、よろしいですね。
  94. 中島達夫

    説明員(中島達夫君) 原料課税ということで結構でございます。
  95. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そういうやはり非常に大きな恩典があるわけで、ぜひこれは活用しなきゃならない。だから、今までの議論で伺っている限り、沖振法でつくられる枠内で十分に機能することができる。また今、現行関税法上のいろいろな問題につきましても、事柄によっては弾力的に運用できる余地を残しておこうと、現行法上ですね、そういう大蔵の御答弁があったし開発庁の御答弁もあったので、この大蔵省の答弁やらを含めますと、どうしても早く自由貿易地域を設定してもらいたい。これは沖縄経済発展につながる重要な施策であり、そしてまた雇用効果を拡大していくわけでありますが、いつを目途にして今作業を進めているかということをまずお聞きしておかなきゃならない。これについてはどうですか。
  96. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) まだ沖縄県ではいつまでにつくりたいという正式なお申し出はございません。ただ、私どもは一月でも早くというふうには考えております。
  97. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 今まで何にもしていないのに、一月早くといったってできやしない、そんなの。  それで私は思うんですけれども昭和六十二年というのが一つの節目なんです。それはなぜかというと、復帰特別措置法、税法上の、これの措置期限の切れる年なんですね。その措置期限が切れてしまったのではこれまたびっこになってしまう。先ほどもお話がございましたように、税制上も金融上もいろいろなこの立地についての促進の材料になるやつが並んでいるけれども、そのうちの一つが復帰特別措置法だと思う。その措置法の措置期限が六十二年に切れるということになったら、延長する材料としても何もやれるものはないじゃないかというふうなことじゃ迫力がない。  したがって、私はこれは大蔵省に聞きたいんだけれども、今から二年先の話を質問するのは非常に恐縮だけれども、感じからいってこれはやはり延長しなきゃならない性質のものだと思うの、復帰特別措置法は。これについてはどうですか。簡単にお答えいただきたい、先の話だけれども
  98. 薄井信明

    説明員(薄井信明君) お答えいたします。  御指摘のように沖縄関係各種の特例措置が講じられておるわけでございまして、その期限が六十二年五月に来るという特別措置がかなり数多くございます。ただ、税制の改正作業と申しますのは、先生ただいま御指摘いただきましたように、毎年毎年税の観点から見ていくものでございまして、今の時点で六十二年に期限が到来する特別措置をどうするということはなかなか申し上げることはできないわけでございますが、その利用状況とか効果等を勘案いたしまして、そのときに検討をさせていただきたいと思っております。
  99. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そういう御答弁だと私は思いますが、それをなぜ言わしたかというと、その時点を踏まえて、開発庁、考えてほしいよということを言ってもらうために言っているんです。わかりましたね、小谷さん。
  100. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) そのことを十分念頭に置きつつ、沖縄県も私ども検討会を持っております。
  101. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 できるだけ早くやっていただきたいと思います。  その場合に、立地業種、これはどういうものを考えているか。あるいは国内企業だけなのか、外国企業もそれに参入させるのかということについての御意見があったら聞きたい。
  102. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 現在のところ、立地企業の業種としましては農水産物、機械機具等を扱う卸売業が主体になっておるようでございます。また、外国企業につきましては、現行の保税地域内に立地することは可能でございますので、沖縄自由貿易地域内にも立地できるものと考えております。また、希望する外国企業もあるというふうに伺っております。
  103. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 長官、今のやりとりをずっとお聞きいただきましたように、早くこれを立地させませんと、いろいろな障害またクリアしなきゃならぬ問題もあろうかと思いますけれども、そこはやはり沖縄経済の発展、雇用拡大につながる非常に大きなこれはインパクトになるテーマだと思うんですね。ぜひこれを督励なさいまして、それこそがまた「万国津梁の鐘の鐘銘」に戻るけれども、中継貿易基地としての現代版なんです。そこをひとつよろしく御督励を願いたい、かように思います。  だんだん時間がなくなってまいりましたので、最後質問に移らせてもらいたいと思うのでありますが、参議院の法制局にお願いをします。  これは非常に古くて新しい、非常にまた重要な懸案問題でありますが、沖縄につぶれ地という問題がありますね。つぶれ地というのは法制局、これはどういう性格のものと認識しておられますか。
  104. 播磨益夫

    ○法制局参事(播磨益夫君) つぶれ地というのは、沖縄におきましては主として戦時中あるいは戦後の特殊事情によりまして行政主体による土地の買収が行われないまま道路の用に供されている私有地がございますが、これが沖縄におきましていわゆるつぶれ地と呼ばれているように理解いたしております。
  105. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、行政主体が正当な権原でなく使用した特殊事情があったためにそうなったと、そうすれば、法律上つぶれ地についてはどういう問題が起こってくるんですか。
  106. 播磨益夫

    ○法制局参事(播磨益夫君) 一般に、他人の土地を道路の用に供するためには道路管理者がその土地の上に何らかの正当な権原を有することが必要だとされております、これは当然のことでございますが。そこで、沖縄のつぶれ地についてでございますが、これには現実に賃貸借契約により使用権が設定されているものとそうでないものとがあるようでございます。このうち、賃貸借契約が結ばれているものにつきましては道路管理者が権原を有することはこれはもう明らかでございますが、賃貸借契約が結ばれていないものにつきましては、道路管理者が果たして他人の土地の上に権原を有しているのかどうか問題が生じるのではないか、こういうふうに思っております。しかし、その場合に権原があるかどうかという点につきましては、個々具体的なケースごとに事実認定を要する問題でございまして、沖縄のつぶれ地発生の複雑な経緯から言いましても、今ここで判断いたしますことは困難かと存じております。
  107. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 純粋法律的なお立場からのみの御答弁を求めておりますから、その点御心配なくひとつ御答弁を願いたいと思います。  それで、法律上の問題として、仮に道路管理者が無権原だとすればどういう問題が起こりますか。
  108. 播磨益夫

    ○法制局参事(播磨益夫君) 仮に道路管理者が無権原であるといたしますならば、つぶれ地が道路に供用された結果生じまする所有権の制限につきましては、特段の事情がない限り、不法行為に基づく損害賠償の問題が生じるものと存じております。
  109. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 つぶれ地といいましても、今言いましたように必ずしも無権原で使用、道路の公共の用に供しているものばかりではないことは私も承知しております。しかし、そうでないとするならば、これは大変な問題になるんですよ。長官、今お聞きになったとおりですよ。したがいまして、これはやはりどうしても早く片づけなきゃならない、そういう性格を持っているつぶれ地なんです。  そこで開発庁に伺いたいんだけれども、つぶれ地というものは復帰時点の昭和四十七年度から国県道の買収に入り、市町村道については昭和四十七年度から五十七年度までの間に実態調査が行われたというふうに聞いていますが、これはどうですか。イエス、ノーでいいです、そのとおりだとか、そのとおりでないとかということで。
  110. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) そのとおりでございます。
  111. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、昭和五十四年度から市町村道路の買収が行われたということですね。
  112. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) そのとおりでございます。
  113. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、つぶれ地の市町村逆の面積はどのぐらいになるんですか。その価格はどのぐらいになるんですか。
  114. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) 当時調査いたしました面積は全体で、市町村道すべてでございますが、三百九十九万平方メートル、五十一年価格で七百九十三億円でございます。  内訳を申し上げますか。
  115. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いや、結構。  この市町村道路の今日までの処理経過を簡単に言ってもらいたい。例えば市町村道路から県道へ格上げしたとか、あるいは一、二級幹線道路に格上げしたとか、そういったその経過を簡単にちょっと言ってみてください。
  116. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) この市町村道は幹線市町村道とその他の市町村道に分かれるわけでございますが、幹線市町村道につきましては、市町村道の改築事業に倣いまして国庫補助十分の八を行うことにいたしております。また、その他の市町村道路のうち、県道昇格可能な路線については県道に格上げして十分の十の補助をする。また、幹線市町村道の見直しを行いまして、補助対象路線、これの拡大を図る、こういう措置をいたしてございます。
  117. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、買い上げの対象にならないものが残るということになるわけですね。それはどのくらいの面積が残るんですか。
  118. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) ただいまのような措置を行いました結果、買い上げの対象とならない面積は百十三万平方メートル、五十一年度価格で二百五十九億円ということになってございます。
  119. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 国県道の買い上げ状況はどうなっていますか。進捗率でいいから。
  120. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) 国県道につきましては、昭和五十九年度までに、面積比でございますが、約八九%程度が取得済みとなってございます。
  121. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 幹線市町村道も含めると、一体こういう買い上げ状況で進めていくと何年度で大体終了する予定なんですか。
  122. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) 現在残っておりますのは非常に解決が困難なものが残っておるわけでございますが、財政面だけで申し上げますならばもう二、三年で済むという状況であろうと存じます。
  123. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 あと二、三年でそういう大どころが片づくということは、やはりこれは開発庁建設省あるいは自治省、大変な御努力だったと私は思うんですよ。この点は私は敬意を表する。しかし問題は、この残された土地をどうするかという問題なんです。これが進行しなければ今までの功は九仭の功を一簣に欠いてしまうということにもなりかねないし、また先ほども私が申しましたように、この残された百十三万平方メートルというのはすべてが無権原に基づくところの公共用の道路ではないこともわかる。しかし、その中に私権を侵害したままの状態で異常な状態が続いているとするならば、先ほど法制局に御答弁願ったように、大変な問題が起きかねないんです。それはそうだと思う。その点を早く私はクリアしなきゃならぬじゃないかということを申し上げているわけなんです。  だから沖縄人たちは、国県道、つまり国県道あるいは一、二級という幹線道路、これは地方公共団体の所有のものは優先的に買い上げていって、そうでない個人所有のその他道路というものは私権の侵害された状態で置かれているではないか、同じ特殊事情という原因で発生したにかかわらず、なぜそういう差異、差別がつくんだろうか。財政的な理由ということでこの問題をクリアするわけにいかないじゃないか。市町村がこれはやるべき、現在の道路法上の責務は市町村が持っているんだというならば、じゃなぜ一、二級幹線道路に対して国の補助があるんだ、買い上げの。非常に矛盾することだ。  ですから私は、ここではもう単に事務的な問題というよりも、大きな戦後処理という問題も含めての政治決断が必要じゃないか。そうした百十三万残ったつぶれ地の市町村道路について、それが発生した態様に種々の問題がある、原因があるとするならば、それはそれこそ実態調査によって明らかになることなんで、実態調査によって無権原であるということがわかったならば、やはりこれを解決してやるのが政府の責任ではないだろうか。何でもかんでもおんぶにだっこだというふうなことを言っているんじゃない、現実に私権が侵害されている状態に公共用の道路があるとするならば、大変な問題だということを私は言っているわけなんです。  したがいまして私は、今申し上げたように、単なるこれは事務の問題としてではないので、かつて田県道の買い上げ補償の措置を決める際に、昭和五十四年度から逐次買い上げしていくということが決められた際に、その他道路というのは国県道の買い上げ措置というものを進めながら、歩きながら考えようじゃないかと言ったことを覚えておられるかね、小谷さん。
  124. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) よく承知しております。覚えております。
  125. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 もう随分歩いたんじゃないか。もう八十何%も買い上げていただいた御努力がある。五十四年からだからもう六年も歩いている。相当考えて知恵がたまっていると思うんだ。ここでひとつ私は、今までのいきさつを全部大臣にお聞き取りいただいているので、それでなおかつ小林さんが、衆議院の我が沖縄県出身の國場議員の質問に対してあなたが答弁しておられる、まさにそのとおりの時期に来ていると思う。いいですか、読んでみますよ。今の問題について、「今後開発庁として真剣に検討しなければならない問題であると考えております。ただ、この問題につきましては建設省、自治省といろいろ相談をしなければ解決しない問題でございまして、開発庁でいろいろ考えまして今後建設省、自治省と具体的な案についていろいろ御相談をさせていただきたい、このように考えております。」と。もう歩きながら考えるところも、もうそこまで来ている、もう準備しなきゃならぬ時期に来ていると私は思う。  そこで、私はそこに一つ二つ提言をしておきましょう。  その一つは、幹線道路への採択基準でもって一、二級道路に上げましたね。その採択基準をうんと緩和して格上げしてもらいたい。そして今までと同じような買い上げの措置を講じていただきたい。これが一つ。  それでもなお漏れて残るものが出てくる。その漏れて残るものについては使用料を払いなさいよ、私権を侵害しておるのならば。その使用料を払った後の埋めは、沖縄は財政依存度が非常に強くて、また市町村は財政指数が非常に小さい、本土の二分の一だ、それは金がないから。これは自治省にお願いしたい。特別交付税で補っていただきたい。これ今十分の二やっているのと同じだ。そういう措置を講じてこれはもう一日も早く私は片づけていただかなきゃならない、そういう問題にもう迫ってきている問題だと思うんですよ。  したがって、今申し上げたのは事務処理でありますけれども、その事務処理を進めるについての判断というのはやはり政治判断。今までのいきさつをお聞きになりまして、長官、ひとつ決意を承りたい。
  126. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) その他の市町村道、いわゆるつぶれ地の問題でございますけれども、これは沖縄の戦後処理の大きな問題の一つだと私も理解しております。今まで歩きながら、考えながら結論が出なかったということは、それほど難しい問題であったと思います。しかし、解決方法を決める時期ももう来ておるわけでございますので、今、伊江先生のおっしゃられたような御提案も十分に参考にしながら、建設、自治省と協議をいたしまして、六十二年度の概算要求に間に合うように方針を決めていきたいというふうに考えております。
  127. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そういうふうに具体的におっしゃっていただいて非常にうれしいですよ。  そこで事務方はどうですか、事務方は。今、長官はそう言って責任を持っておっしゃった。事務方はどうですか。
  128. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) ただいま大臣がおっしゃいましたように努力をさしていただきます。  ただ、前々から私申し上げておりますとおり、市町村の応分の負担というものも当然やっていただく沖縄県でのコンセンサスも必要であると存じますので、その点は一言言わさしていただきたいと存じます。
  129. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 もう一問。よく一言でおさまったと思う、二言も言う人が。  そこで、その二言目の建設省、自治省のこれに対する御答弁を聞いて私の質問を終わります。
  130. 田尻文宏

    説明員(田尻文宏君) お答えいたします。  具体的に開発庁の方からいろいろ御協議がありましたら、それに対応してまいりたいと思います。
  131. 鶴岡啓一

    説明員(鶴岡啓一君) 自治省としましても、開発庁から具体的な提案がありましたら、十分検討していきたいと思っております。
  132. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 終わります。
  133. 夏目忠雄

    委員長夏目忠雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  134. 夏目忠雄

    委員長夏目忠雄君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を再開いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  135. 中野明

    ○中野明君 藤本大臣は、沖縄開発庁長官として初めての沖縄専任大臣だと思います。その意味では沖縄県民の期待というものは非常に大きいんじゃないか。今までは総理府総務長官が大臣であって、他に総理府の所管がありました。河本大臣も専任大臣だったんですが、対外経済の担当もなさっておったというそういう経緯がありまして、今回は沖縄専任大臣ということで初めてのことじゃないかと私は思います。それだけに、長官も熱を入れていただいて、毎月のように沖縄に行かれております。  そういうことから考えまして、長官沖縄に対する姿勢といいますか施策といいますか、これは非常に今後私どもも大きな期待を持っているわけですが、まず第一点は、答弁者の都合もあるようですので、那覇空港の問題でお聞きしたいと思います。  那覇空港はいわゆる国際空港でありますけれども、残念ながら軍民共用の空港になっております。そのためにたびたび事故が起こっております。県民からも大変な不安と不満が出ているわけでありますが、この五月に那覇空港で起きました全日空機と自衛隊機の接触事故について、当委員会で私も何回か申し上げましたが、航空事故調査委員会報告が出ております。この概要を要点だけ説明を願いたいと思います。
  136. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) お答え申し上げます。  ただいま御質問事故にかかわります航空事故調査報告書は去る十月二十五日に公表したものでありますが、この事故は、本年の五月二十八日、全日本空輸株式会社所属ボーイング式747型機が那覇空港へ着陸誘導管制により着陸進入し、着陸後の滑走中に、同滑走路左側の誘導路から地上滑走により滑走路へ進入してきた航空自衛隊所属MU2型機と滑走路上で接触し、両機とも機体の一部を損傷したという事故でございます。  この事故の原因につきましては、自衛隊機の操縦士と副操縦士が既に離陸の許可等を得たものとお互いに錯誤いたしまして同機を滑走路に進入させたことによるものでありまして、これは離陸の許可を受領していないことについて二人の操縦士の認識が十分でなかったことによるものと推定されているものでございます。
  137. 中野明

    ○中野明君 これ、人間のやることですからミスはあると思うんですけれども、二人も乗っておられて、二人とも勘違いをしたというんですか、聞き違いをした、そういうところから起こった事故ということに今お聞きしましたんですが、那覇空港の管制業務というものをいろいろ聞いてみますと、民間機と自衛隊機の周波数も違うようですし、そういうことで年間の離発着回数も八万五千回に及ぶという、こういう頻繁な空港自衛隊機と民間機が共用しているということは、もうこれは絶対に事故が起こるもとであるということで、何とかこれ、民間専用の空港自衛隊と分離をすべきだということでたびたび意見が出され、前の河本大臣もそういう方向で検討というようなこともおっしゃっておるんですが、長官、御就任になって沖縄状況をつぶさに視察もされているわけですが、長官は、民間と自衛隊との共用の那覇空港の現状をどう認識をされて、そして前長官と同様にやはり民間専用にすべきだというお考えであるのかどうか、その辺お答えいただきたいと思います。
  138. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 那覇空港の民間専用化の問題でございますが、私といたしましても、自衛隊機と民間機とを分離するという方向は基本的に望ましいと考えております。しかし、現空港の利用状況、また厳しい財政の状況などを考えますと、直ちに分離するということは極めて困難である、そういうふうにも理解しておるわけでございます。したがいまして、民間専用化の問題につきましては今後長期的な課題だと、さように考えております。
  139. 中野明

    ○中野明君 航空機事故というのは、長官ももう既に御承知のように、先日の日航機事故では五百二十名というとうとい人命が一瞬のうちに失われてしまうというように、一たび事故が発生したらもうこれは大量な人命にかかわる問題ですから、そういうことを考えていきますと、確かにそれは財政は厳しいことはわかりますけれども、財政上の都合で人命にかかわるようなことを放置しておっていいという理由にはならない、私はこのように思います。  ですから、自衛隊自衛隊としてこういう不自由な中で——これ民間機はかなり回数を飛んで訓練はできるかもしれませんが、自衛隊の訓練だって十二分にできないというような不利な面も出てくるわけでして、やはり防衛庁の方でも単独の空港を持ちたいというのが当然の希望だろうと、私はこう思います。そして、那覇空港の現状を見ても、沖縄県民もそのことを非常に心配しているわけですから、自衛隊も単独で滑走路を持った方がいいと、両方がいいんですからこれできないわけはない、このように私は認識をしているんですけれども、もう少し長官積極的に、沖縄担当の長官ですから、その点で精力的に防衛庁の方とも折衝され、そしてまた予算当局ともお話し合いもなさって、一日も早く民間専用空港にする、こういう基本的な開発庁としても方針を決めて折衝をなさるということが大切じゃないんだろうか。開発庁の方が、これはなかなか長引く問題でして、ちょっと問題が大きゅうございましてというような、そういう及び腰では絶対にこれはできないんじゃないか、このような気がいたします。  ですから、防衛庁の方はどうお考えになっていますか。自分のところも不自由するんです。訓練も十二分に思うとおりできない、やはり制約はあるわけです。そうかといって、余りにも防衛庁優先というそういうこともできないでしょうし、ですから防衛庁としても分離した方でいいと私は思うんですけれども、防衛庁のお考えはどうでしょうか。
  140. 藤島正之

    説明員(藤島正之君) 確かに那覇におきましては自衛隊と民間と両方やっておるものでございますから、自衛隊といたしましても、訓練で離発着する際には民間機のなるべく離発着の少ない時間を選ぶとか、いろいろ工夫をしたりしておるわけでございまして、一般的に申し上げればそれぞれ別々な飛行場でやるのが望ましいと、これは先生おっしゃるとおりでございます。しかし、では現在どうかと申しますと、やはりあの地域におきまして直ちにこれにかわる飛行場というものを自衛隊だけのために求めるというのはなかなか難しいという現状にあることも事実でございますので、その辺も勘案しながら長期的に十分考えていかなければならない、こういう問題であろうというふうに考えております。
  141. 中野明

    ○中野明君 けさほどからの議論にありますように、ますますこれから民間の飛行機の離発着というのはふえることがあっても減ることはありません。後ほど触れたいと思いますが、石垣空港の問題にしましても、やはりそのことが一つの、八重山の発展のためには石垣空港が必要だと、こういう結論になってくるのもうなずけるんです。私も八重山を発展させるためには石垣空港をつくらなきゃならぬということは賛成であります。そういうことを、いろいろこれからの沖縄状況を考えていきましたときには、ますます民間の航空機が頻繁に今よりも数多く離発着するようになる、将来は外国だって参入するかもしれないというようなそういう状況に今来ているわけですから、そういうことを考えますと、これはどうしようもありません、長期のというようなことを言っていると、今よりもますますますます危険の状態が高まってきて、そして一たび事故が起こったら、これは一体だれの責任なんだ、こういうことになってくるわけです。  しかも、今回のようにもう一〇〇%自衛隊のミス、自衛隊のそれこそ初歩的な、考えられないようなミスが——こんな軽微で済んだからよかったようなものの、ジャンボというのはもう五百二十何人というお客さんが乗っているわけですから、だから、そういうことを考えますと、長官ね、これは長期やとかなんとかと言うたら余計だめになっていきます。ですから、やはり事故が起こってからでは遅いわけですから、何とか開発庁としても重点施策の一つとして、この空港は民間専用空港にするという基本方針を立ててやられることが大事なことでして、初めから、これは難しい、長期の問題になりますと言って、それで時間をかけているうちに大惨事が起こったら一体だれの責任だと、こういうことになります。その点について再度長官の考え方をお聞きしておきたいと思います。
  142. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) お話しの点はよく私もわかるんです。しかし、国内の一種空港の現状なんかも考えますと、財政当局等がなかなか私どものこの専用空港化に対して厳しい判断をしておるということも、これまた現実の問題としては認識せざるを得ない。私は、正直に申し上げておるわけでございまして、二十四時間体制の空港として第三の沖縄が国際空港化になるという将来の目標は一つあると思うんです。ですから、そういう目標を頭の中へ十分に置きながら、今後、今のいろいろな諸条件のもとでどうやって専用空港に持っていくか、こういうことだと思っておりまして、その点につきましては全く意見は同じでございます。
  143. 中野明

    ○中野明君 とりあえず事故が起こってからではもう手おくれであるということを強く指摘して、強力に方針は固めておられるんでしょうから、一日も早くそうなるような方向に努力をしてもらいたい、このように思います。何か心配でしょうがないです。  それで、関連して石垣空港の問題でお尋ねをしますが、先日も板垣理事の方から、私たちが沖縄の現地に行った派遣報告をしていただきました。その中にも出ておったわけですが、けさほど来の議論でも、何かしら反対派の人たちが、行政当局はおまえらの意見は聞かぬと、問答無用ということで頭ごなしに、頭越しにすべて事を運ぼうとしているというような不信感と、そしてそばまで来ても、海上から見てくれと言っても、車で陸上から見てもうそれで視察終わりやと言って帰ってしまう。そういうようなことで非常に感情的になっているようなところもありました。ちょうど委員長も現場まで行って、そしていろいろ反対派の意見も聞いていただいたし、ぜひ海上から見てくれと言うので私どもも乗って行きました。これは賛成、反対は別にして、海上からも見せてもらった。そうしたら、ある程度、そういう面では非常に地元の反対派の人たちも、船にまで乗って見てくれたということで心証的に喜んでおったような気はいたします。  しかしながら、私たちが船に乗っていろいろ話を聞いてみますと、反対派の人は、石垣の中でここのサンゴが一番いいんだという話をなさるわけです。それで私は、それは違うのじゃありませんかと。もっと北の方の川平とかあっちの方へ行くとものすごいサンゴがあるんですということを話しますと、いや、あれはもう海水汚染で死滅しましたというようなことを我々に説得しようとされているわけですね。だから、間違った認識を現場に行った人に与えるような、そういう反対のための反対というのは私は好ましくないなと、そういう印象を受けて帰ってきました。  しかし、私が一番心配しましたのは、現場へ行ったら、もう小学生からもっと下の人まで、子供さんまで全部動員されて、そして我々の意見を聞けと反対の運動をなさっているわけですね。これは、今までの行政当局の姿勢といいますか説得といいますか、その態度に問題があったのかどうか知りませんけれども、私は、この問題は慎重にするのは当然ですけれども、余り長引かすと、かえって、そういう感情的な憎しみといいますか憎悪といいますか、そういうことをいたいけな子供たちに植えつけている。この人たちはかわいそうだと思うんです。ですから、なるたけ早く反対派を説得するなり何なりして、いずれかの結論を早く出してあげる方が地域住民のためではないかという気がしてなりません。何もわからぬ子供に行政に対する不信感と憎しみを長年にわたって植えつけていったとしたら、この子供たちが大きくなったらどうなるんだろうかという心配を私はそのときいたしました。  ですから、大臣は担当大臣、専任であるわけですから、これは県に対しても相当の不信を持っているようですから、反対派の人と大臣が積極的にしっかり対話をしていただいて、そしてこの状況を何とか打開する方策というものをお考えになったらどうなんだろう、こういうふうに私は思うんですが、大臣、どうでしょうか。
  144. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 新石垣空港をつくるという問題、これはもうたびたび議論がございましたからよくおわかりのとおり、石垣島だけの問題ではなくて、西表、与那国までを含めまして、あの地域振興開発には非常に大きなてこになる事業だと思っておるんです。特に、沖縄本土との格差を言われますけれども、同時に沖縄本島と先島との格差もまた大きいわけで、むしろ沖縄の問題はずばり申し上げますと離島の問題だと思うんです、今の問題としては。そういう状況を考えますと、この先島と本土との流れをよくしていく、飛行機だけではございませんけれども、そういう本土直行という道を開くことは非常に石垣を中心としたあの地域の発展のために私は大事な問題だと思っておるんです。  事実、宮古の方も本土直行便を多年熱望されておられますし、私は先般与那国へ行きましたときに、あそこは御承知のように十七人ぐらいしか乗れない小さい飛行機で今運航しておるわけですが、あれをYS化してくれということで、来年の十二月末を目標に今整備を進めておりますが、あれによりまして、直接関係者から私は話を聞いたんですが、漁業組合の幹部が、大きなカジキをとりましても今の飛行機では運べない、YSになれば運べる、それを石垣へ送って、新鮮なということが魚の値段を高くするために必要なんで、これはぜひ与那国としてはYS化大賛成だと。これは当然、石垣へ送りましても、今の暫定ジェット化のあの飛行場ではこれまた受け入れる方の条件としては不十分だと思うんです。ですから、新石垣島空港整備されて、大型化されて、しかも本島へ人だけじゃなくていろいろなそういう農産物が運べる、そういうことになりますと、これは非常に大きな発展のために大事だと思うんです。  ところが、今お話がございましたような環境問題が中心となりまして、地元または地元外を含めていろいろ反対があることは私も聞いております。そこで、県が中心になりまして、その反対の一番大きな問題はサンゴ礁の問題、それから環境問題でございますから、いろいろな権威のある機関に、サンゴ礁の今の分布の模様であるとか、それから飛行場をつくった場合に環境にどういう影響を及ぼすか、その事前の影響評価を今してもらっておりますので、それができますと——やはり反対のための反対ではないと思います、地元の方も自分たちの島がよくなってもらいたいということはこれはもう皆さん同じ認識だと思いますので、きちっとした第三者の機関がつくったそういう調査結果を見て、それで十分に県が中心となって話し合っていただければ一歩も二歩も前進するし、またそうあってほしいと、私は心からそう思っておるわけでございます。
  145. 中野明

    ○中野明君 長官反対派の人と話し合ったことがありますか。
  146. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 賛成、反対の陳情は受けましたですけれども反対の方からの直接の御意見をお聞きする機会はございませんでした。内原市長からはよく内容につきましては聞いております。
  147. 中野明

    ○中野明君 私の感じでは、市長を初め関係の町、二町ですか、竹富と与那国ね、議会も賛成だし、商工会も賛成、農協も漁協も賛成というんですから、反対されているのは白保住民の一部の方が反対ということです。ですから、今まで我々が行って受けた感触では、県のやり方に対して非常に不信と不満があるみたいな感じを受けまして、もう問答無用式で上からどんどん押しつけてくるというような感じを受けたものですから、そうするともう県ではなかなか話がつかぬだろう、それで国の立場といいますか、開発庁立場から反対住民意見を聞いてあげて、そしてどこにネックがあるのか、反対のための反対では困りますけれども、今長官がおっしゃったように、地域にはこれぜひ必要だと私は思います。荷物にしても那覇で乗り継ぎをしておったのではこれは話になりません。ですから、本土から直行で入るということは、これはもう絶対必要だと思います、地元も望んでいることですから。  ただ、私がさっきから申し上げているように、心配しているのは、全員が賛成というところまで持っていくにはかなり時間がかかります。部落では地域の運動会まで別にしているんですからね。これをいつまでもいつまでも対立のままでほうっておいたら、大人はある程度自分の意見を持ってやっているかしれませんけれども、子供さんたちにはそういう詳しいことはわからぬわけですから、しょっちゅうそれで大人の行動を見、教え込まれて、そして変な考え方、そういうことになってきたらこれは取り返しのつかぬことになります。もう地域としてはこれは悲劇という以外ないでしょう。ですから、結果がどうなるにしても、早く結論を出してあげるということが一つ。  それから、話し合いをして、環境として全体が望んでいるということになれば、反対派の人にだれかが調停役に乗り出してあげなければ、県から話し合いに行っても恐らく今の感情的な状態では受けつけないと思います。ですから、長官として、いわゆる開発庁立場から反対派に十分意見を聞いてあげて、一体どうなんだと、調停に乗り出された方が早いんじゃないか、そういう気がするものですから申し上げているので、長官、どうでしょうね。
  148. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 第一義的には、中野先生御承知のように、第三種空港でございますから県が設置者。ですから、今そういうことで県が非常に努力をしておられるわけでございます。その努力を私どもは期待をしながらその結果を見ておるわけでございますが、段々お話しのようなことも十分理解できますので、県が努力をいたしましてどうしても無理だというようなことが仮に出てきた場合には、その時点で考えてみたいと思っております。
  149. 中野明

    ○中野明君 きょうは時間が限られておりますので、この問題ばかりに触れているわけにいきませんけれども、私の言わんとしていることは長官も御理解いただいたようでございます。非常にこれは現地の人たちにとっては気の毒です。余りぐずぐずしていると気の毒ですから、説得をするのならする、そして結論を早く出してこういってとは解決をしてあげた方が現地のためにもなるんじゃないか、私はこのように思って申し上げておるわけです。どうぞひとつその点気にとめて努力をしていただきたいと思います。  それから次の問題に移りたいと思います。  長官沖縄世論調査を御承知になっていると思いますが、その中ではやはり基地の問題が一番大きな問題になっております。県民の関心もそこにあることは前々からわかっていることですが、明確に数字の上でも基地の問題というのが出てまいっております。ところが最近、嘉手納の米軍基地の中を観光コースに設定して沖縄観光の目玉の一つにしようという計画がされている、こういうようなことが伝えられているんですが、どのような目的でやられる計画なんでしょうか、ちょっと私は理解に苦しむんですが、そういうことを承知しておられますか。
  150. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 実は私もこの席で伺いましたのが初耳でございます。沖縄の新聞も私ども丹念に読んでおりますが、そういう記事は載ってなかったと思います。
  151. 中野明

    ○中野明君 読んでおられませんかね、こんな大きな記事なんですがね。
  152. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 実は嘉手納基地の中ではなくて、フェンスに金網がございますが、そこに俗称サンパウロ公園と称しているところがございます。そこへ行きますと、やや小高くて基地の中が見えるわけでございます。それで、そこから基地の中の米軍の飛行機などを見る観光客あるいは地元の人たちが案外多うございます。それでそこに売店が出てジュースなどを売っているという状況はございます。
  153. 中野明

    ○中野明君 そうすると、この新聞記事というのは誤りですかね。嘉手納米軍基地内を観光コースに設定する、米軍もそれは一応結構ですとある程度前向きの感触を示している、ただし緊急な事態とかそういうときには断ることもある、こう言っているというんですが、今のお話と違うんですが、認識どうでしょうか。
  154. 大城眞順

    政府委員(大城眞順君) ただいまの件につきましては確かに新聞に出ておりまして、新聞の中でも地方版と申しましょうか、そういった紙面に出ていると思いますけれども、あの一地方の、たしか市当局の考え方であるようでございまして、内容は先生おわかりのとおりでございます。一応人数も決めて、そして一定の地域を一定の人が案内をしてというような節の話があるようでございますけれども、別に、公式に県に対してとかあるいは国に対してとか、そんな話までは進んでおりませんし、私たちも直接には聞いておりません。
  155. 中野明

    ○中野明君 長官、こういうことをどうお考えになりますか。沖縄県民の大半の人たちは、基地はもうない方がいいのだ、撤去してもらいたいというような県民感情ですね。それを基地の中を観光コースにしていって、報じられるところによりますと、沖縄市もある程度、観光に力を入れる余りかもしれませんけれども、何か乗り気になっている。こういうことであるのですが、こういう発想、沖縄県民にとって、本当に私は県民感情を逆なでするような発想じゃないだろうかという気がしてならぬのですけれども長官はどういう感想をお持ちになりますか。
  156. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 実は私もきょう初めてお話を承ったのでございまして、事実関係それからまたその考え方等もよく調べましてから私の考えを申し上げたいと思いますけれども、そういうことがもし事実とすれば非常に理解に苦しむことだと思います。
  157. 中野明

    ○中野明君 先ほど余り知らぬような話を当局はおっしゃっていましたけれども、こんなに大きく書いているのですからね、丹念に目を通して、余り大きいから見過ごしたのじゃないかと思うのですが、そんな不用意なことでは私は困ると思うのです。やはり沖縄県民にとりましては、米軍基地というのは、開発庁の方針でも縮小していく、国の方針でも縮小していく、こういう中で、いかに観光で人を集めようとしても、基地の中を見せて、そしてそれを観光の目玉にしようというようなことになっては、本当に県民の感情を逆なでしているのじゃないかなという感じを私は受けたのですが、その点十分長官気持ちもわかりましたので、一遍調べてみてください。
  158. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) お答えいたします。  大変失礼いたしました。早速調べてみますが、長官が答弁されましたとおり、私も初耳でございますが、いかがなものかなという感じがする次第でございまして、早速詳しく調査いたしたいと思います。
  159. 中野明

    ○中野明君 きょうは時間が限られましたのでこれでやめますけれども、どうかひとつ長官最初に私が申し上げましたように、沖縄にとりましては願ってもないチャンスで、長官沖縄開発庁長官として、専任の大臣として初めてなられたわけですから、それだけに私は沖縄藤本大臣にかける期待は大きいと思います。ですから、今後もたびたびお行きになることと思いますが、これからの長官に対する期待の大きさを私は力説しておるわけでございまして、ぜひ沖縄の調和のある発展のために御尽力を願いたいことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。一言、長官
  160. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 沖縄県民皆様方の御期待は十分過ぎるほどわかっておりますので、微力でございますけれども今後全力を挙げて頑張ってまいりたいと思っておりますので、ひとつ御指導、御鞭撻もよろしくお願い申し上げます。
  161. 市川正一

    ○市川正一君 おとといの本委員会で聴取いたしました去る九月の沖縄派遣報告はこう述べております。沖縄における駐留軍施設、区域の全国に占める面積の割合は一時使用を含み全体で約三〇%、専用で約七五%に達し、狭隘な沖縄県全面積の約一一%を占めておりますと、こう指摘しております。また夏目委員長は、視察の終わった後の記者会見でも、沖縄の抱えている荷物は重いということを述べて、この問題にも触れられました。午前中、与党の伊江委員から「万国津梁の鐘の鐘銘」の紹介がございました、今御不在でございますが。しかし、第二次大戦とその後の米軍占領を経て、今日の沖縄はもはやそういう平和な、和やかな島ではなくなっております。それはまさに極東における米軍の核基地化に今なっていると私は言わざるを得ぬのであります。  そこで、そういう実態に即しながらまずお伺いいたしたいのは、ことしから自衛隊那覇基地に北海道の千歳からF4Eファントムが移駐することになってこれまでのF104Jと交代するわけでありますが、その交代理由をまずお聞かせ願いたい。
  162. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 御説明いたします。  現在那覇基地には防空任務などに従事するためにF104を配置してきておりますが、逐次耐用年数に達しておりまして、現在半数ぐらいに減っている状況でございます。そのために、千歳に配置しておりましたF4を十二月から持っていきつつあるところでございます。十二月中旬には従来F104が果たしておりました領空侵犯対処任務などをF4の部隊に移したいと考えているものでございます。
  163. 市川正一

    ○市川正一君 ところで、沖縄の航空自衛隊の任務は何なんですか。
  164. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) これは本土といいますか、日本全国におけると同じでございますけれども、防空並びに対領空侵犯措置、それからそれらに伴います救難などの任務を負っております。
  165. 市川正一

    ○市川正一君 やや不明確なんですが、少なくとも久保・カーチス協定ですね、御存じだと思いますが、それによれば、沖縄直接防衛のための沖縄における自衛隊配備の日本計画ということで、沖縄を守るという久保・カーチス協定に基づいてその任務に当たっているというふうに私は理解するのでありますが、その際に、今F4ファントムに交代するということは耐用年数というふうにおっしゃいました。単に旧式の戦闘機を新しいものにかえるということに果たしてとどまるのかどうか。言いかえれば、私は沖縄の航空自衛隊の持つ任務の質的変化をもたらすことを意味しないかどうかということを危惧するんです。  確かめておきたいのでありますが、F104Jの航続距離は千七百六十キロメートル、F4Eファントムは二千九百キロメートル、約一千キロメートルF4Eの方が長い。速度もマッハ二と二・四で後者の方が速い。攻撃能力もF4Eファントムは要撃能力を持っており、そして空中給油能力を持つことが検討されている、こういうふうに伝えられておりますが、間違いございませんか。
  166. 関肇

    説明員(関肇君) お答えいたします。  ただいまのF104とF4EJの能力についてでございますが、最大速度はおっしゃるとおりです。また、最大航続距離でございますけれども、これは飛行機に何もつけずに増槽タンクだけをつけていった場合の航続距離でございますが、それはそのとおりでございます。
  167. 市川正一

    ○市川正一君 空中給油能力を持つこともその検討の対象になっていますか。
  168. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) F4EJの空中給油装置については、現在取り外してございまして持っておりません。
  169. 市川正一

    ○市川正一君 今は取り外しているけれども、そういう能力を持たすようにするという検討が伝わっておりますが、その点はどうですか。
  170. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 航空機の航続距離あるいはミサイルの攻撃能力などの延伸などに伴いまして、空中給油装置を持つことの効率性というものについては逐次高まっていると認識しておりますが、現在F4EJに空中給油装置を取りつけるという計画を持っていることはございません。
  171. 市川正一

    ○市川正一君 それを持っていると言われたらもう大ごとになるんですが、いずれにしても今おっしゃった能力の対比ですね、それは質的な飛躍的強化というふうに言わざるを得ぬのです。ということは、このように強化されるF4Eファントムというのが、アメリカの求めている一千海里シーレーン防衛、特に南西航路帯の防衛にも動員されることにはなりませんか。
  172. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 沖縄に配備しております防空部隊は、F104であれF4にかわりましたとしましても、那覇基地を中心にいたしまして行動半径内で防空任務に当たるわけでございます。この周辺を南西航路帯が通っていることは御指摘のとおりでございまして、こういう防空行動をする結果が航路帯の防衛にも役立つであろうということは当然でございます。  それから先ほど御指摘のございましたいわゆる久保・カーチス協定云々につきましては、これは当時沖縄の復帰に伴いまして、その当時米軍が持っておりました防空あるいは陸上防衛あるいは海上哨戒といった任務を自衛隊法に基づいて陸海空自衛隊が引き継ぐに際しまして取り決めたものでございまして、本件のF104をF4と取りかえることと何ら矛盾するという性格のものではないと理解しております。
  173. 市川正一

    ○市川正一君 それではっきりしたいんですけれども沖縄の航空自衛隊シーレーン防衛の任務は持たないと、今役立つと、こうおっしゃったけれども、非常にそこの接点のところをはっきりしてほしいんですが、そういうシーレーン防衛の任務は持たないと、こういうふうに断言なさったと、こう理解していいんですね。
  174. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) シーレーン防衛と申しますのは、潜水艦それから航空機、艦艇などによって海上交通が脅かされる場合において、重要港湾それから艦艇の通ります航路帯などを含めて、いろいろの手段をもって防衛行動を行い、その累積効果によって海上交通の安全を確保しようとするものでございます。  御指摘といいますか、今御議論いただいております防空との関係について見ますと、これはシーレーン防衛であるかどうかという、分けることは難しいくらいに関連する場合があろうかと思いますが、役立つ場合は十分あるわけでございます。だからといって、それがシーレーン防衛のためであるかといいますと、沖縄の那覇に配備しておりますものは、那覇を中心にいたしましてその周辺の防空行動を主要な任務とするものであります。
  175. 市川正一

    ○市川正一君 これは大事なところなんですよ。沖縄県民に向かっては、今まで沖縄の航空自衛隊の任務は沖縄防衛だというふうに言っているわけですよ。それを、シーレーン防衛にも役立つというような言い方で、シーレーン防衛というのは単なる航路帯だけではなしに、それこそレーガン自身が言っているように、フィリピン沖グアム以西のこの水域を全体として防衛することじゃないのですか。  そうすると、先ほど伺ったF104Jの行動範囲が今は与那国島近海までです、今の能力からいえば。しかし、今度のF4Eファントムになることによって、その往復の燃料消費量を計算してもバシー海峡付近まではカバーできることになるのですよ、その能力から見て。そうすると、これは先ほど私は質的に重大な変化だというふうに申しましたけれども沖縄の航空自衛隊シーレーン防衛の任務は持たないのだということをはっきり確認しておきたいのです。
  176. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 先ほど先生がF4とF104Jの能力を比較されましたときに、F104につきましては千七百六十と、それから二千九百というF4の能力も言われましたけれども、これは通常フェリーレンジと言っているものでございまして、爆弾であるとかミサイルであるとかというものを積まないで、それを積むかわりに燃料を積みましてなるべく遠くまで飛ぶ行動の場合でございます。しかし、防空任務という観点から行動いたします場合にはミサイルを中心に装備するわけでございまして、こういうものを装備いたしますと、その行動半径というのは二百キロメートルというところでございまして、バシー海峡まで届くというようなものではございません。
  177. 市川正一

    ○市川正一君 その戦闘機の能力を今聞いているんじゃないのです。それはバシーがパシーぐらいでもいいけれども、それはシーレーン防衛の任務は持たないのですねということを聞いているのであって、そんな航続距離の話にごまかしたらいかぬ。それははっきりしておきたい。
  178. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) シーレーン防衛に全く役立たないかといいますと……
  179. 市川正一

    ○市川正一君 役立つとかじゃなくて、任務の話だ。シーレーン防衛の任務を付与されるのですか、この沖縄の航空自衛隊は。
  180. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 任務といたしましては、那覇を中心にいたしまして、行動半径内において防空行動をやるものでございます。したがって、その攻撃機がもし洋上における目標をねらうとするならば、それは当然役立つということになるわけでございますが、主たる任務といいますか、今与えております任務というのはやはり防空任務でございます。
  181. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、主たる任務はシーレーン防衛ではないという逆説的言い方もできるわけですね。
  182. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 自衛隊全体がシーレーン防衛であるとか、あるいは防空とか、あるいは陸上防衛などの任務を負っているわけでございまして、シーレーン防衛といいますのは、その特定の場所におけるものを取り出しているわけであります。したがいまして、航空自衛隊シーレーン防衛について全く任務を持ってないかと言われますと、そういう意味でシーレーン防衛の任務を持ってないとおっしゃるのであれば、それはやはりそうは申し上げられないわけでございまして、主たる任務は防空でございますけれども、全くないかと言われれば、やはりそれに果たす役割があると考えなければならないと思います。
  183. 市川正一

    ○市川正一君 私は時間が限定されているので、これ以上やるとそれでもう終わってしまうので、ただ大事な問題は、あなた方が今度そういういわば耐用年数が来たということで変えたこの機種が、極めて今までの沖縄における航空自衛隊の持っていた任務をオーバーする危険性があるということを私は指摘したのだけれども、その点については非常にあいまいな答弁だということだけは指摘しておきます。  というのは、このほかにも海上自衛隊が現在P2Jで行っている対潜哨戒ですね、これも今度その七倍の能力を持つP3Cを約二十機、二個航空隊を配備するというふうに聞いております。さらにまたOTHレーダー、これが沖縄周辺にも設置されるとも聞いております。というふうになりますと、極東最大の米軍基地である嘉手納基地、それからアメリカの海兵隊の普天間基地、それに自衛隊の那覇基地というふうに、沖縄本島の中南部のわずか数十キロの間に三つの航空基地がひしめき合うという全く異常な状態が現出しているこの沖縄の状態について、私は今やりとりをいたしました答弁がどういうふうにこれから進むのかということを非常な関心を持って引き続き追及したいと思いますので、きょうはこれぐらいにとどめさしていただきます。  それで基地問題に、私ちょっと防衛施設庁に連絡が私の方からおくれましたので、その問題に戻りたいのですが——何か言うことがあったら後で聞きますから。  それで、先ほども同僚の鈴木理事の方からございましたが、新たに二十年間という強制使用の申請をしておるわけでありますが、一九七七年に当時の公用地暫定使用法の再延長で五年間の強制使用を強行いたしました。そのときに四日間国会が空白になったことは記憶に生々しいところであります。そして、八二年の五月にも再度五年間の強制使用が行われました。そして今日に至っておるのでありますが、その経過の中で、政府側も五年間ということ自体長過ぎるという見解を示していらっしゃったことを防衛施設庁は御承知でしょうか、記憶なさっているでしょうか。
  184. 加賀山一郎

    説明員加賀山一郎君) お答えします。  一九七一年十二月に公用地暫定使用法を制定するに当たりまして、その時点での経過的期間について、五年間については長いといえば長いというふうな御答弁が高辻法制局長官からございました。
  185. 市川正一

    ○市川正一君 今お答えがありましたように、例えば七一年の当時の高辻法制局長官は、五年というものは長いといえば確かに長い、できる限り五年ということに画一的にしない、さらに西村防衛庁長官は、長いと言うが、そういう面があるかもしれないというふうに肯定的におっしゃっています。江崎防衛庁長官も、最悪五年というふうにおっしゃって、五年というのは最悪の事態というふうに見解を表明されております。ところが、今度は二十年です。二十年というと、これはもう西暦二〇〇七年までです。もう二十一世紀に入っておるんですよ。しかも、米軍から強奪されてから計算しますと、もう六十年たつわけです、その時点では。だから、所有権者も三世代にまたがる長期間強制使用をされるというような事態を今強行しようとしているのであります。  そこで、もう結論的に藤本長官にお伺いいたします。午前中もございましたけれども、二次振計でも基地の整理縮小を図るという問題が出されて、長官もその立場には変わりない、こういうふうにお答えになりました。そこで、今回のこの那覇防衛施設局の申請は、こういう立場からするならば、いわば二次振計と逆行するものだと、少なくともそれは矛盾するものだという見解長官としては当然お持ちだと思われますが、いかがでしょうか。
  186. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 使用期間を二十年とする裁決の問題につきましては、所管外のことでございますのでコメントは差し控えさしていただきたいと思います。しかし私としては、たびたび申し上げておりますように、事沖縄の米軍施設、区域というものが本島面積の約二〇%、沖縄振興開発、特に土地利用の点で大きな障害になっておるということもよく承知をいたしておりますし、また二次振計の中で整理縮小することとされておりますので、その点につきましては今後努力をいたしていきたいということは変わりはございません。
  187. 市川正一

    ○市川正一君 先ほどもそうでしたし、また議事録を見ましても、「本件につきましては、所管外のことでもございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、」ということばかり言っているんです。それは僕はやはりぐあいが悪いと思うのです。沖縄に対して、県民に対しても大きな責任をお持ちの長官としては、こういう二十年というふうなやり方については少なくとも二次振計を進めていくことと矛盾すると、ここはやはり調整すべきだとかという勇気ある発言をぜひお願いしたい。先ほど政府の答弁を聞くと、民法六百四条だとか、地主が言うことを聞かぬから問答無用でやってしまうのだとかというようなことをぬけぬけと言っておりますけれども、これは私は国民的立場県民立場から言えば許せぬ、これを撤回すべきであるということを重ねて要求いたします。  それで、もう時間が参りまして、同僚の井上委員の御好意で若干食い込んでいくことをお許し願いたいのでありますが、最後質問であります。  先ほど来、新石垣空港建設問題で賛否の立場からいろいろ御質問がございました。私は、外海離島である石垣島の島民の生活や経済などを考える場合に、整備された空港の必要性はもう当然のこととして認める。しかし今のこの計画に重大な疑点を残しているのです。それは二つある。その一つは、沖縄県が空港の適地調査をやっておりますけれども白保地区が最適ということだけは公表しておりますけれども調査の具体的内容は秘密にして発表しないのです。それから二つ目は、新空港白保地区建設することについて島民のコンセンサスがまだ得られていない。先ほど同僚議員も申しましたが、そういう点でもっと努力をし、機動隊導入などの強圧的な措置をとらずによく話し合っていく、この二つを私は現地に参りましても痛感いたしました。  そこで開発庁にお聞きしたいのは、白保地域が最適であるとした適地調査を県に公表すべきだということを指導なさるべきだと思うんですが、この点がいかがかということと、それから今、県が白保地区の海を埋め立てる場合のアセスメント調査をしておりますけれども、サンゴ礁への影響を調査している委託会社はどこなのか、その調査メンバーはだれなのかということを県に明らかにさせるべきだと思うのですが、この点開発庁としてつかんでいらっしゃるならば教えてほしいし、またそのように指導していただきたいと思うのですが、以上二点をお伺いいたします。
  188. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) まず最初の適地調査関係でございますが、県の方でいろいろ候補地を選定いたしまして、拡張案それから全体で五地区の調査をしたと聞いてございます。それで、その調査結果の概要につきましては、沖縄県議会において既に公表されていると聞いておるところでございます。
  189. 市川正一

    ○市川正一君 公表されてないのですよ。最適だという結果だけしか公表されていない。
  190. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) 概要が公表されていると聞いております。  それから第二点の環境アセスメントはどんな会社でやっているかということでございますが、第一回は五十五年七月から五十六年三月にかけましてパシフィックコンサルタント株式会社が行っております。中身は省略をさせていただきます。第二回は昭和五十八年十二月から五十九年三月にかけ新日本気象海洋株式会社が行っております。それから第三回は昭和五十九年八月から五十九年十二月にかけまして新日本気象海洋株式会社、前と同じでございますが、それが行ったということを聞いております。  なお、調査メンバーにつきましては私承知いたしておりませんけれども、これらの会社はそれぞれ環境アセスメントを数多く手がけているコンサルタントであると聞いておるところでございます。
  191. 市川正一

    ○市川正一君 私が伺ったことを殊さらにすりかえておっしゃっているのだけれども、私が聞いたのは、例えば第二問について言えば、サンゴ礁への影響を調査している委託会社はどこなのかということを聞いたのであって、それをわざと知らぬ顔してパシフィックや新日本やとか、そんなのはわかっておるじゃないですか。私が聞いたのは、そのサンゴ礁を調べたのはどこなのか、委託したのは、調査メンバーはだれなのかということを聞いたのであって、そういうすりかえは通用しない。だから、殊さらにそういうことをお隠しになるとすれば、ますます疑惑が生じ、信頼性、信憑性を失うのであって、この点ではやはり引き続き問題を明らかにしたいということを申し述べて、質問を終わらさせていただきます。どうもありがとうございました。
  192. 井上計

    ○井上計君 藤本長官は御就任されてまだ日が浅いわけでありますが、御就任以来、大変精力的に沖縄問題に取り組んでいただいておりますことについては承知をしておりますし、また敬服をしております。また、開発庁初めそれぞれ関係の方々が沖縄振興開発、発展のために努力をされていることも十分承知をいたしておりますが、ただ、すべて一〇〇%の人がなかなかいいと賛成をするというふうな事業は少ないのが当たり前であります。絶対にあり得ないわけであります。要は最大公約数を求めてどうするかということで、今後とも御努力をいただかなくちゃいけない、これはもう当然でありますが、そういう意味ではなかなか物によっては忠ならんと欲すれば孝ならずというふうな難しい問題もありますから御苦労が多いと思いますけれども、今後とも一層ひとつ沖縄県民のために、また沖縄振興開発のために御努力をいただきたい、こう思います。  そこで、きょうは実は石垣空港の問題を私は重点にお伺いするつもりでおりましたが、午前ちょっと当委員会に欠席しておりましたから、鈴木理事や伊江委員の御質問を伺っておりませんのでわかりませんが、先ほど中野理事の御質問を伺っておりまして、大体私が聞きたいこと、言わんとするところはほとんどもう盛られております。だから、重複いたしますので余り伺うことをやめますけれども、ただ中野理事がお話しになりましたように、私ども先般石垣島視察いたしましたときに、反対派の人たちの要請を受けまして、鈴木理事と中野理事と市川理事と私の四人が、文字どおり呉越同舟でありますが、小舟に乗ってずっとあの地区を海から見ました。その見た感じは、先ほど中野理事もお話しになりましたけれども、私も若干石垣周辺のことは知っております。川平湾あるいは竹富島の対岸の方ですか、あそこあたりから比べると沖縄にしては大したサンゴ礁ではないなと、こんなふうな感じが多分にしたわけでありまして、そこで私は反対派の代表の人たちに率直に質問いたしました。  あなたたちは、ここがもう大変な石垣周辺で一番いいサンゴ礁である、こう言っておられるけれども、本当にそう思っておるのかと言ったら、実は何かあいまいな返事でありました。これが第一点。それから次に、もしあなたたちがどうしてもここが反対だと言われるならほかの地域、あなたたちが見てほかの地域はどうだと言ったら、それは自分たちが言うべきでないと、こう言われました。では、もしほかの地域に変わった場合にあなたたちは依然として反対運動を続けますかと言ったら、それはノーコメントだと、こう言われました。  それではどういう方法を一番あなたたちは期待しますかと言ったら、現在の空港の拡張だと、こう言われました。しかし、現在の空港の拡張については、もういろいろな事情で限界がある、これは承知していますかと言ったら、承知していると、ではどうしますかと言ったら、今の空港のままでいいと思います。しかし、今の空港のままでは石垣の振興発展、開発にそこを来す、障害となるということは知っていますかと言ったら、知っています。ではどうするんですかと言ったら、それは仕方がありません。こういうふうな答えでありました。船の上で断片的な話でありますが、要約するとそういうふうな話でありましたが、実は反対人たちの考え方に、やはり私は必ずしも純粋でないといいますか、あるいは矛盾しているといいますか、そういうふうなことがあるのではなかろうかなという強い印象を受けてきたわけであります。  そこで、私は率直に申し上げまして、今後とも沖縄、特に離島振興のためには絶対に必要であるという観点から申し上げるのですけれども、いろいろな反対派の方々に説得あるいは納得してもらうための努力を最大限ひとつ至急していただく、そうしてこれから早く着工できるように、そのようなひとつ努力をしていただかなくちゃいかぬ、こう思うわけであります。  反対派の陳情を受けまして、この理由一つに、自然保護、漁業権等々の問題がありましたが、もう一つは、やはり話してみますと、何か補償の問題が、漁業組合はこの補償の問題等について合意しておるけれども、自分たちが合意をしていないというのは、何か地元の全然ほかの人、私も実は友人が石垣島におりますが、聞きますと、従来漁業権として認められていなかったあの白保地区の何か海藻ですか、それの補償の問題ではないかというふうなことも聞きましたが、その辺よくわかりませんけれども、しかし、それにしてもやはり補償はある程度必要であろうと思いますから、そういうことについても十分話し合いをする必要がある、こう思います。  それから反対の大きな理由一つには、あそこに大型ジェットが離着陸できる空港をつくると、これは米軍基地に転用されていく、そしてアメリカのアジア戦略に利用される、だから反対だということが出ておりました。これはどういうふうな考え方の人がそういう反対理由を言ったか知りませんけれども、全くそれは我々としては聞く耳を持たぬといいますか、通らぬことであると思いますけれども、しかし、そういうことを考えている人がいることもまた事実でありましょうから、そういう面についてのひとつ十分説得と理解を求めるために一層の御努力が必要であると、こう思います。  そこで、以上私の意見を申し上げて、お聞きしたいことは、現在どこまで具体的に進めておられるのか、そうして今の状況からいくと今後の推移についてはどのようにお考えになっておられるのか、この二点を開発庁、それから運輸省も来ていただきましたが、両方の立場でひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  193. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) 先生、御調査してこられていろいろ御承知でございますが、先ほど言われておりましたような漁業補償等は既に済んでおるわけでございまして、現在、環境アセスメント資料、これもその部分だけじゃなしに、最近問題になっておりますサンゴ等の問題を含めまして諸資料準備中でございまして、これらが整い次第、地元住民とも話し合いの上所定の手続をとりたいと、こういうことでございまして、ちょっと時期まではなかなか明示できないわけでございますが、そういう手続を踏んだ上でできるだけ早く申請に持ち込みたいと、このような県の意向であると聞いておるところでございます。
  194. 堀井修身

    説明員堀井修身君) お答えをいたします。  運輸省立場でございますけれども先生御存じのように、この新石垣空港沖縄県が設置、管理をする第三種空港でございまして、したがいまして一義的には沖縄県知事が御判断をされることだろうというふうには思っておるわけでございますが、現在の空港状況からいたしますと非常に需要に対処し切れない、十分に対処し切れない部分があるということ、さらには将来の需要を勘案をいたしましてもやはり新しい空港が必要だというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、御指摘のように地元の方でいろいろな御意見があるわけでございますが、一方で県なりあるいは地元の市町村で建設決議あるいは同趣旨の建設促進の決議等が行われておるわけでございまして、そんなことから、私どもといたしましては、早く幅広いコンセンサスをとっていただいて新空港が早期に実現されるように望んでおるということでございますし、県の方にもそのように申し上げておるところでございます。
  195. 井上計

    ○井上計君 大臣、何かお答えがいただければお願いします。
  196. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 私も井上先生の先ほどの御意見に全く賛成でございます。一日も早く石垣島を中心としたあの地域のために新空港が開設されることを期待しておるわけでございますが、問題は、党の内外からのいろいろな御批判といいますか、反対意見もあるわけでございまして、それを知事としては、やはり石垣島の発展のためにつくる空港ですから、だから反対があるということはこれは知事としては十分慎重にやらなきゃならぬということで、時間をかけて、例えば環境の事前評価なんかも力を入れてやっておられるようでございますし、私はそれは結構なことだと思うのです。ただ、先ほどからいろいろ中野先生の御意見もありましたように、やはりこの空港は羽田の六十八年完成、これを一つのタイムリミットに置かなければ余り意味がなくなると思うわけでございまして、そういうところから見るとおのずからタイムリミットがあると思うのです。ですから、それを十分に頭の中に県当局は入れておられると思いますけれども、これから頑張っていただきたいと、かように思っております。
  197. 井上計

    ○井上計君 長官の御所見を承りまして、ぜひ大いに期待をしております。  そこで、これはお答えは要りません。報道によりますと、間もなく内閣改造が行われると、こう聞いております。長官、まだ沖縄開発庁長官に就任されて日が浅いわけであります。やはりたびたび沖縄開発庁長官がかわられるということは、沖縄県民にとっては沖縄問題軽視というふうな印象を与えるでありましょうから、ぜひひとつ御留任をされて大いにひとつ頑張っていただきたい、これはお答えをいただくわけにまいりませんが、私は要望して終わります。
  198. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 戦前、戦中、戦後、沖縄で暮らしておる喜屋武からしますと、現在の沖縄の現状は地獄と極楽の抱き合わせだと私は思う。その地獄を払拭しない限り我々が願っておる平和で明るい豊かな活力のある沖縄づくりは困難であると、こう私はいつも自分にも言い聞かしております。そこで、私の質問は前の委員会とのつながりがございますので、そのつながりの確認をしながら二、三お尋ねいたしたいと思います。  まず第一点は、第二次振計の後期の展望が開発審議会総合部会で検討されておるということなんですが、そこで問題は、六十年度予算までの目玉は大体六十一年度でピークになる、こういうことは見通されるわけですが、六十年度予算の中では南神道路とあるいは石川火力発電の問題がピーク、山場であったと思うんですね。ところが六十一年度予算は概算要求で百億近く削減されておる。予算の中で百億近く削減されておる。そうしますと、六十二年度であの前期で大きなプロジェクトでありました海邦国体、いわゆる六十二年の沖縄国体の大体基盤づくりも終わるわけでありますが、ところが六十一年度予算の中に百億削減された中に一二・五%を占めておる、これが六十二年ダウンする、一年で大体めどがつくわけですから。そうするとそこに大きな欠落が予算上からもくるわけですが、どうしても第二次振計の後期の大きなプロジェクトを持ってこないというと、またかつての海洋博の後に大変な経済混乱が出てきたわけなんですね、その二の舞がもう目の前に来ることが予想されるんです。それで、後期のプロジェクトをどのように考えておられるか、進めておられるか、まずそのことをお聞きしたい。
  199. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、喜屋武先生お話しのように、六十二年の海邦国体、まさに当面の最大の問題でございまして、予算も六十一年度で約二百七十億ということで、それに大きな柱として努力しておるところであります。約五年間で千三百億ほどの投資もいたしておるわけでございますから、それが六十二年でなくなれば六十三年以降二次振計後期に大きな穴があいて非常に心配だ、私どももそういう考えを持っております。今審議会の専門委員会で既に四回目の会合を終わっていただいておりますけれども、二次振計後期の戦略と展望につきまして熱心に御議論いただいておる状況でございまして、来年の概算要求の前、大体七月ごろになろうかと思いますけれども、最終の結論を出すというそういうスケジュールでいろいろと御議論いただいておる状況でございまして、その結論をいただきまして私どもも二次振計後期の戦略と展望につきましては方針を決定したいというふうに思っております。  今考えられますことは、抽象的なことでございますけれども、やはり当面の一番大きな課題は、沖縄県の経済自立化ということが最も緊急な課題だと思っております。そのためには、社会資本整備は相当進んでおる面が多いわけでありますけれども、やはりおくれているところもあるわけでございますから、そういうおくれている社会資本整備を進める。それから生活産業基盤整備は非常に課題が多いわけでございますから、これも進めていく。この社会資本整備を進めて、その整備されたいろいろな港湾とか空港とか道路とか、そういう整備をうまく活用して、そして地域活性化を図るような事業を進めてもらうようにこれから指導していかなければならないというふうに考えております。また、御承知のような国営公園の問題もありますし、国道五十八号の問題もありますし、農業の基盤整備の問題もあるわけでございまして、それらの点については今の現時点でも二次振計後期の重点の事業であるということは間違いないところでございます。
  200. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 沖縄が今抱えておる問題、御承知かと思うんですが、私からも重ねて申し上げたいことは、一つには地域産業の振興、二つには交通ネットワークの整備、三つには米軍施設、地域の整理縮小、四つには県土を担う人材の育成、五つには自由貿易地域構想、こういったことが大きな柱になると思うんですね。それもひとつ含めて早くその柱を打ち立てていただきたい。要望いたします。  次にお尋ねしたいことは、経済問題になると思うんですが、円高・ドル安の問題が日本経済界にも大きなネックになっておるわけですが、沖縄におきましてもさらにこういう観点から問題にされなければいかぬと思うんですが、その円高・ドル安はいわゆるメリットとデメリットが考えられるわけなんですね。特にこの両面があると思われるけれども沖縄の場合、好むと好まざるとにかかわらず、基地経済への依存の大きい沖縄経済体質というのは、これはもう逃れることのできない宿命を持っておるわけですね、現状においては。そこで、その現状を踏まえて、問題が沖縄経済に及ぼす効果についてどのように分析しておられるか、このこと。  そのことと関連して特に気になりますことは、沖縄の基幹作目でありますパイナップルのいわゆる基幹作目としての問題ですね。自由化されるところの冷凍パインの問題がありますね。この輸入環境がいわゆる円高・ドル安に関連してよくなるわけでありますから、そうしますと沖縄のパイン産業に与える影響がこれまた重大になってくるわけでありますね。そういうことも含めてひとつどのように分析しておられるか、見解を賜りたい。
  201. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) パインのことを後回しにしまして、総論的なものから申し上げます。  地元紙に地元銀行の調査部の分析が出ておりました。これは確かにそのとおりだと思いますが、要するに円高・ドル安がよい影響を及ぼす面と悪い影響を及ぼす面とある。元来、円高・ドル安というのは輸出業者にとっては不利であるが、輸入業者にとっては有利ということが一般的に言える。そこで沖縄県という県の産業を見ますと、輸出よりは輸入が多い。それで形式的、図式的に言えば、円高・ドル安は沖縄経済によい影響をもたらすというのが理論的には言えるのだがと、これが地元銀行の分析でございます。ただし、その銀行の調査部自身、実際の現象面を見ると、沖縄経済には悪い影響の方が多く出ているようであると、こういう分析が地元の新聞に出ております。  これは、一つには先生おっしゃいますように、沖縄における米軍の存在、その存在が非常に大きいものでございますから、典型的には特免業者の方たちでございますが、大変円高・ドル安によって打撃を受けているということが言えると思います。まだ県の御当局から詳細な数字などいただいておりませんのでその点はお答えできないわけでございますが、当面私どもがとった措置と申しますと、金融面の措置をとっております。これは、沖縄振興開発金融公庫におきまして新しく中小企業国際経済調整対策特別融資制度を設けまして、新規受注の減少などによりまして影響を受ける中小企業者等に対しまして特別な融資を行うこととしております。また、その他の対策につきましては、今後とも十分成り行きを見守っておりまして、関係先と連絡を密にしつつ適切な対応をしてまいりたいと存じます。
  202. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) ただいま御指摘のありましたパイン産業に与える影響についてお答えいたします。  先生御承知のように、パイナップルは沖縄で生産される主要な果実でございまして、特に本島北部それから八重山地域においては基幹的作目であるわけでございます。沖縄で生産されるパイナップルのほとんどはまず缶詰用に向けられておるわけでございますが、その製造量は五十九年度において五十二万ケース、こういうことで国内需要の三分の一を満たしておる、こういう状況になっております。一方、今問題になっていますのが冷凍パインのことがあると思いますけれども、これを原料といたします缶詰製造業は同年度で六十三万ケース、こういうことになっておりまして、ここ数年五十万、六十万ケース、こういうものが冷凍パインであるわけでございまして、残りが輸入割り当ての輸入してくるパイナップル、こういうことになるわけでございます。  ところで、このところの円高によりまして冷凍パインの円換算の輸入価格、これが若干低下しているものと推定されるわけでございますが、国内の缶詰の供給につきましては、農林水産省の指導のもとに各関係団体によるパイナップル缶詰需給安定懇談会、こういうものの開催を通じましてその安定に努めているところでございまして、円高により冷凍パインその他の輸入物の急増を来すおそれはないという考えでございます。なお、今後とも沖縄のパイン産業へ悪影響を与えることのないように、農水省等関係機関と連絡を密にしていきたいと考えておるところでございます。
  203. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 基地業者に関連して、もう既にそのとばっちりがあらわれつつあるのは、いわゆる外人が店に寄りつかなくなっておる。その面からも、そうなると今度は社会問題に発展するのは、外人いわゆる米兵が基地内で飲み食いをする、外に出ない、出ると金がないから今度は窃盗、強盗と、外人犯罪、米兵犯罪につながるのですね。ここに沖縄ならでは見られない社会問題があるわけなんです。こういうことをまず念頭に置いてください。そしてまた、外人相手にする業者の、どうしてもそれで生活をして営んできておるわけですから、それが成り立つように保護対策も見通しとしては心得ておいてもらいたいということが、これは県の立場もあるでしょうが、また国の立場としても、そして地場産業の育成という面から、どう貿易状態が変化するにしても守ってもらわなきゃいかぬということを、もうこれはわかり切ったことでありますから、その点から沖縄のパイン産業についても重大な関心と保護育成をひとつ念頭に置いていただきたい、要望いたします。  次に、去る六月二十一日の参議院の沖特で私と前の長官の河本長官とのこういうやりとりがあるんです。実は昨年の二月二十三日に発生した沖縄における基地労働者、基地内に働く労働者の床屋さん、理容師の労働者が五名不当解雇された。いわゆる通行証を取り上げられて不当解雇された事件があるのです。これには紆余曲折いろいろとありますが、結論としてこの被害者から国に要請が来たんです。その要請は、労働問題だから労働省、あるいは基地の中だから防衛施設庁、あるいはまた外人との関係、アメリカとの関係もあるから外務省、あっちこっち渡りをつけてもみんな排除されたのです、それは我々じゃない、我々じゃないと。そこで、そういういきさつを経て、六月の二十一日にこの問題を河本長官の出席のもとに尋ねたら、この問題はこう答えておるんです。「一回正確な経過を調査してみたいと思います。それによってどう処理すべきかということについて判断をしたいと思います。」と、こういう御答弁をくださったんですね。  そこで私が聞きたいことは、その調査の結果、私がまず聞きたい一つは、一体その処理の窓口がどこであるかということなんですね。重大な人権問題ですよ、これは基地労働者の。それの請願の自由、そして正式のルールを経てやったけれども、国がみんな排除。それは我々じゃない、我々じゃないという形で排除されたいきさつがあるんですね。それではいかぬじゃないかと。そこで第一点、調査の結果どうなったか。そしてどのように対処してもらったか。その所管事項はどこが窓口であるか、この三点を答えてください。
  204. 小谷宏三

    政府委員小谷宏三君) 本年六月の委員会の経緯はただいま喜屋武先生おっしゃいましたとおりで、当時の河本大臣は「一回正確な経過を調査してみたいと思います。それによってどう処理すべきかということについて判断をしたいと思います。」と答弁されております。  そこで、私どもこの実態の調査をいたしました。その結果、非常に長いのでございますが、当庁としては可能な限りこの問題の経過の把握に努めたところでございます。一口に申しますと、この問題のポイントは米軍と理容業者、これが先生おっしゃったビューカルバーバーでございますが、との間の契約条項、特にレジ取扱規則違反を理由としました米軍によるパス取り上げが正当か否かというところにポイントがあると思われます。  そして、この事件に関係しました従業員五名のうち三名につきましては、六十年一月二十五日までに退職願を出しまして、自己都合による退職という形で解決が図られております。残りの二名の従業員につきましては、先月二十一日、この両名から会社及び国を被告とした民事訴訟、この中身は会社を被告として解雇無効確認の訴え、それから国と会社を被告として損害賠償というものが那覇地裁に提起され、訴状が送られたと聞いております。そこで、現在私どもこの裁判においてしかるべき判断が示され、解決されることになるものと考えております。
  205. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 では、今の結果に基づいて、今後の推移を待つ以外にないということになりますね。  それでは、次に沖縄におけるバスの合併問題。これももう経過を申し上げる必要はありません。結局十一月の三十日をめどに合併するという紳士的な協約、そして組合も合併を条件にして三百五十名の整理はやむを得ぬと、こういう決意をしてくれた。ところが、それが三十日になってももたもた。ところが、その責任者はそのつもりだったが、もう仕切り直しする以外にはないという、実を結ばなかったということになっておりますが、そのことについては、常識的に言えばこれはもう事業体の問題である、あるいは労使の関係であると、これは申し上げるまでもありません。けれども沖縄交通事情から——国鉄も私鉄もない、バス以外には交通機関がない。これが大きな社会問題になって、県民、市民そして学業にいそしむ児童生徒、学生たちがもろにこの被害を浴びておるという重大な問題なんです。  それで、七月にこの問題はもう業者と組合とそして県、しかもその過程には国も、私も開発庁にもお百度を踏んだいきさつがあるんです。そういう経過を経てこの結論が出たんです。ところが予定どおりいかなかったと。まさかそれはもう御破算、白紙還元ということではないと私は理解しておりますが、そうでしょうなと念を押したいということと、それから今の時点でも現地待ちだというお気持ちなのかということを私は問いたい。もしそうであるとするならば、これはいけない。私は積極的に国は指導に乗り出すべきであると、そういう経過を踏まえて合意を得たんだから。積極的に国も、見ておるという傍観的な態度でなく、乗り出して指導してもらいたい。そのことについてひとつ最後長官見解を求めたい。
  206. 小林悦夫

    政府委員小林悦夫君) 簡単に申し上げます。  ただいま先生がおっしゃられたような経緯でございますが、国や県、また金融機関も、連絡協議会、これを六回も開きまして、この合併に対し協力する、支援する態勢を持ってまいりましたが、十一月三十日までに新会社を発足させるに至らなかったことはまことに遺憾でございます。両社長はバス交通の持つ社会的使命を自覚していただきまして、また昨年十二月十七日の協定、また去る七月三十日の合併に関する基本的合意の社会的公約に対する責任について認識を新たにしていただきますとともに、何よりもみずからの問題として最大限の努力をする必要があると存じます。  沖縄開発庁といたしましては、合併に対する両社社長の努力を現在見守っておるわけでございますが、バス企業の健全化は必要であるという認識の上に立ちまして、運輸省、労働省、沖縄県、また金融機関と協議の上、今後の対処方針を考えてまいりたいと存じております。
  207. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) このバス問題につきましては私も重大な関心を持っておりまして、どうもいろいろ話を聞いてみますとなかなかうまくいってない、関係者意見がなかなかまとまらない、そういうことでございまして、事務次官にも十二月の初めに現地へ行ってもらいまして、知事を初め関係者皆さん方とも会っていただきました。いろいろそのお話は私も報告を聞きましたからよく承知をいたしておりますが、一言で言えばなかなか同じレベルといいますか、話し合いがつくようなところまでまだいっていないというような感じを私も受けました。そういうことから事務次官がこれは仕切り直しだなあと言ったことだと思うんです。しかし、この問題は今までの経緯もありますし、バス運送事業の持つ公共的なそういう大きな使命もあるわけでありますから、私どもも従来以上にこの問題につきましては、連絡、指導またその他必要なことがあればぜひやっていかなければならないと、かように考えております。
  208. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 積極的に乗り出してください。
  209. 夏目忠雄

    委員長夏目忠雄君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十六分散会