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1985-12-10 第103回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十日(火曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員の異動  十一月二十二日     辞任         補欠選任      伏見 康治君     矢原 秀男君  十二月二日     辞任         補欠選任      安恒 良一君     矢田部 理君  十二月七日     辞任         補欠選任      矢田部 理君     安恒 良一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴岡  洋君     理 事                 梶原  清君                 吉村 真事君                 瀬谷 英行君                 矢原 秀男君     委 員                 江島  淳君                 高平 公友君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君        発  議  者  小柳  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  山下 徳夫君    政府委員        内閣審議官    平井  清君        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     林  淳司君        運輸大臣官房審        議官       熊代  健君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      棚橋  泰君        運輸省運輸政策        局長       栗林 貞一君        運輸省地域交通        局長       服部 経治君        運輸省貨物流通        局長       武石  章君        運輸省航空局長  西村 康雄君        運輸省航空局技        術部長      大島 士郎君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君    説明員        臨時行政改革推        進審議会事務局        参事官      加藤 武久君        大蔵省主計局主        計官       涌井 洋治君        運輸省航空事故        調査委員会事務        局長       藤冨 久司君        建設省道路局日        本道路公団・本        州四国連絡橋公        団監理官     青木 保之君        会計検査院事務        総局第五局鉄道        検査第一課長   田村 真造君        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事      岡田 昌久君    参考人        日本国有鉄道再        建監理委員会委        員長代理     加藤  寛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○連合審査会に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (貨物鉄道会社に関する件)  (国鉄の余剰人員問題に関する件)  (タクシーの運賃制度に関する件)  (車検代行業に関する件)  (埼京線開通に伴う影響に関する件)  (国鉄再建問題に関する件)  (航空業界自由競争に関する件)  (明石架橋に関する件)  (国鉄所有地の売却問題に関する件)  (国鉄鉄道施設に対する破壊活動に関する件  )  (総合交通体系に関する件)  (日航機墜落事故に関する件) ○日本国有鉄道経営再建促進特別措置法の一部を  改正する法律案小柳勇君外三名発議)     —————————————
  2. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  矢原秀男君が一たん委員辞任されたため、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事矢原秀男君を指名いたします。     —————————————
  4. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  許可、認可等民間活動に係る規制の整理及び合理化に関する法律案について、内閣委員会に対し連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のうち、国鉄問題に関する件について、日本国有鉄道再建監理委員会委員長代理加藤寛君を本日の委員会参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) それでは、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は、最初国鉄総裁にお伺いしたいと思うのでありますが、実はきのう国電に乗っておりまして国電の中の宙づり広告を見たわけです。それによりますと、こういったような広告が出ているわけですな。(資料を示す)大きい方はこれですよ。「国鉄です。民営分割で、元気になります。」と、こう書いてある。「国鉄」と書いてあるんです。  こういうのを電車の車内広告に出しているんですが、「民営分割で、元気になります。」というと、もう国鉄民営分割されれば国鉄なくなっちゃうでしょう。言ってみればセミ抜け殻になっちゃうわけです。何でセミ抜け殻が元気になるかというんですよね。元気になるというのは、いろいろと問題を解決をして新たに生まれ変わりますから元気になります、それならわかる。分割民営で解体されてしまってなくなってしまうんですからね。そうすると、なくなったものがどうして元気になるのか。解体をされて、そして国鉄というのはセミ抜け殻みたいなものになります。しかし、セミ抜け殻が元気で生き返りますという話はちょっと開いたことがないんですね。これは論理的にもおかしいという気がするし、一体どういうつもりでこういうものを車内広告にお出しになったのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  11. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 国鉄改革につきましては、既に監理委員会の御意見が出されまして、それに対応しまして、先般政府の方におきましても国鉄改革に関する基本的な方針につきまして閣議決定がなされたわけでございます。  その当事者でございます国鉄としましても、現在、法案を将来まとめていくわけでございますが、その前段階としてのいろいろな準備を行っているという段階でございまして、なかなか大変なお仕事でもございますので、国鉄考えておる一端をあらかじめ国民皆様方に御理解をいただくということが必要であろう。いずれ法案作成をされ、国会におきまして十分な御検討をいただくということに相なるわけでございますので、このポスターの趣旨も、国会の御承認をいただいた後にスタートいたしますというようなことをお断りしながら、PRの方法につきまして専門家意見等も参酌してそうした案文を作成をし、目下掲載をしているところでございます。
  12. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これでも専門家意見を参酌したんだそうですけれども、随分お粗末な話だと思うんですよ。「国会のご承認をいただいた後、私達はスタートします。」と書いてある。国会承認どころか法案だって出ていないでしょう。法案も出ていない段階国会承認がもう当然得られるという前提に立ってこんなような広告を出しております。しかも、国民は具体的な内容はさっぱりわからないです、これじゃ。第一、「分割民営で、元気になります。」と書いてあるんじゃ、今は元気になれませんというのと同じです、これは。当分はしょぼくれておりますけれども御勘弁願いますと、裏返せばそういうことになってしまう。  大臣どう思いますか、こういう広告大臣自体は承知しているんですか。こういう相談をお受けになったんですか。
  13. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) あれが相談という形であったかどうか私もはっきり認識いたしておりませんが、拝見しました。  そこで、今おっしゃるように、抜け殿とおっしゃいますけれども、文法上正確に言えば、国鉄が生まれ変わって元気になりますの生まれ変わってが落ちたと言えば落ちたんでしょうけれども、要約すればそれで通じるのではなかろうかと、私はそんな感じで見たのでございますが、いずれにいたしましても、再建監理委員会意見基本方針としてこれを実行していくんだという国鉄の姿勢を国民に理解してもらい協力してもらうということですから、私はそれを拝見して、それは事前に国鉄の取り組み方を国民に知らせるという意味においてはいいんじゃなかろうかなというふうに私は感じた次第でございます。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 「民営分割で、元気になります。」という車内広告を出しておりますけれども、この車内広告だってまともに金を払えば相当な掛かりだろうと思うんですが、こういう場合は国鉄はただで車内広告を出すようになっているのか、やはり決まりでもって広告料を払って出すようになっているのか、その点も念のためにお伺いしたいと思います。
  15. 須田寛

    説明員須田寛君) ただいま先生の御指摘をいただきましたポスターは、国鉄車内業務用の枠というのがございます。大体端の方の表面のところと中づりと、それからドアの上に業務用の枠をとってあるわけでございますが、その業務用の枠をとって、普通なら業務宣伝に使いますスペースを使っておりますので、一般の有料広告スペースを使ってやっておりません。したがいまして、業務用広告として掲出しているものでございます。
  16. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それじゃ、今後、分割民営についていろいろ問題が出てくる、問題点はこうだといったようなことをだれかが本に書いて車内広告を出すといったような問題が出てきた場合には、これはどういうふうに処理されるんでしょうか、その点。
  17. 須田寛

    説明員須田寛君) 意見広告的なものは普通有料広告には余りなじみませんので、余りこれまでに掲出の例がございませんが、仮に有料広告としてお申し出がございました場合には、内容を見せていただきましてその上で判断をいたすことになろうかと存じます。
  18. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ここで具体的なことはさっぱりわからないけれども、「地域皆様密着した真のサービスが行えるよう、全力を傾けます。」こういうふうに書いてある。じゃ、「地域皆様密着した真のサービス」というのはどういうことなのかなというふうに思いますが、きょうは時間の関係でたくさんのことは質問いたしません。  貨物の問題についてまずお伺いしたいと思うんですが、鉄道貨物会社構想というのは、各新聞の社説を拝見をいたしましてもかなり厳しいものがあります。つまり、鉄道貨物会社というものが一体成り立っていけるのかどうかというようなことについて各紙いずれも極めて厳しい見方をいたしております。毎日新聞は「貨物会社に将来はあるのか」ということを書いてありますし、読売新聞でも、「「貨物鉄道会社」の険しい前途」、こういうことが書いてあります。朝日新聞でも、難しい問題がたくさんある、まごまごするとつぶれてしまうんじゃないかというような意味のことが書いてあるんですが、これは監理委員会答申の枠の中で鉄道貨物会社というものが生み出されたと思うんです。ところが、答申は七月に本来ならば出すべきものが出されなかったんですね。十一月になってやっと鉄道貨物会社輪郭が発表された。その輪郭に対して各紙社説ともいずれも極めて懐疑的であるということが言えると思うのであります。  監理委員会からきょうは加藤さんに出てもらっておりますから、監理委員会の率直な見解を承りたいと思うのでありますが、監理委員会としては、七月に結論が出せなかった、結論の出せなかった理由は一つとしては何なのか。それから、十一月になって運輸省から一つプランが出てきたけれども、このプラン監理委員会としてもこれは納得をしたものである、こういうふうに考えでいいのかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
  19. 加藤寛

    参考人加藤寛君) お答えいたします。  最初に、七月に我々が意見書を出しますときに、その意見書の中に貨物については具体的に論じませんでした。それは、基本的な方針といたしましては、分離独立してやはり経営の責任を明らかにするという考えを持ちましたが、専門的な問題がこの貨物についてはいろいろございます。そこでその専門的な問題について具体的に国鉄側と煮詰めるということが必要であったわけであります。そこで七月には具体的には出しませんでしたけれども、方針としてはそのような方向でいけるという私たちは見込みを持っておりました。  それから第二番目の点でございますけれども、国鉄が今回出されました案につきましては、監理委員会としてはそれを基本的にこのフレームワークについては了承した、こういうことでこれから進めていってもらいたいということになっております。
  20. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 監理委員会が七月までに出せなかったということは、それだけこの鉄道貨物会社というものを分離をするということについての難しさがあったからではないかというふうに推察をされるわけです。  そこで、さっきの広告に移りますが、地域密着をしたサービス云々、こう書いてありますが、貨物会社構想によって、一言で言えば、たくさんの貨物駅を廃止する、要員も縮小するということが黒字を生むための必要条件になっているわけです。そうすると、貨物駅を廃止されることによって貨物駅がまるっきりなくなってしまうという県も出てくるんじゃないかと思うのでありますが、それはどういうところですか。それとも、そんなことはない、各県に貨物駅はやはり存続をするんだということになるのか。その辺一体貨物構想としてはどうなっているのか、まず国鉄側からお伺いしたい。
  21. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 今回の貨物の案につきましては、私ども基本的に、まずこれは基本的な骨格貨物会社としての基本的な骨格をお示し申し上げたというふうに考えております。その基本的骨格にのっとりまして具体的に採算が成り立つかどうかということにつきましては、一応の試算は行っております。ただ、具体的にどの列車、どの駅という先生の御指摘につきましては、この骨格に基づきまして明年の十一月に大ダイヤ改正を予定をいたしております、これは旅客も同様でございますけれども。その大ダイヤ改正のまま民営会社旅客貨物も移行したいということでございますが、その十一月のダイヤ改正に目指しまして、この基本的な骨格の上にのっとりまして、具体的にどの駅、どの列車というものをこれから国鉄荷主さんとか通運会社トラック会社というような関係のところと一つ一つ詰めていきたい。十一月のダイヤでございますから二月ごろにはその中身をはっきりしなければいけないというふうに考えております。  したがいまして、今御指摘のございました、具体的にどこの県に貨物がどうなるかというような点につきましては、その具体的な検討の結果細目が決まるわけでございますので、もうしばらく御猶予をいただきたいというふうに考えております。
  22. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今詰めておりますとは一体何ですか。答申は七月に出すことになっているんですよ。七月が十一月に延びて、今十二月ですよ、年の暮れになっちゃっているんです。でもまだ詰めておりますと。じゃ国鉄検討していないんですか。今度国鉄にお聞きします、今のことについて。
  23. 岡田昌久

    説明員岡田昌久君) お答えいたします。  ダイヤ改正作業は来年の十一月を目途に今詰めておりまして、その一番のポイントはやはり列車をどういうふうにつくるかということだと思います。貨物は今大変な競争場裏にありまして、国鉄がもちろん独占ではございません。トラック、船舶合わせまして大変な競争をいたしておりますので、今その中で競争に勝ち得みようなダイヤを設定しなきゃならぬ。そのためにはできるだけコストの安い——コストの安いということは、安く提供できる列車を設定しなきゃならぬ。したがって、また一方で、そういう列車を設定するためには、ヤードあるいは輸送基地を持ちますと大変にコストがかかって競争に負けますものですから、そこを圧縮して、いい列車直行型の列車をつくろうと思っております。その作業が今かなり進んでおりまして、その中でどういう駅がその直行列車の中に組み込まれるかというのを決定いたしてまいりたい、そういうように考えております。
  24. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は具体的に聞いているんですよ。この車内広告には、「地域皆様密着した真のサービスが行えるよう、全力を傾けます。」と書いてあるんですよ。それならば、県によっては貨物駅がなくなってしまうというところがあったら密着もへったくれもないじゃないですか。だからその点を聞いているんですよ。まさかそんなことがわからぬということはないでしょうね、この期に及んで。
  25. 岡田昌久

    説明員岡田昌久君) 密着したサービスというのは、やはりその発送する荷主さんがいいサービスを受けられるかどうかということだと思います。そのためにはやはり運賃の問題、到着時間の問題、総合的に勘案しないと、例えば駅に近いからといって必ずしもいいサービスとは限らないと思います。そこで私どもは、国鉄の特性を生かせるような列車網をつくり、そして駅を整備し、そして輸送の全部の体系を整えましてサービスを強化してまいりたい、そういうように考えております。
  26. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 極めて答えが抽象的なんですが、私は具体的に聞いているんですよ。これだけ駅を減らす、要員を減らす。もっともそうしないというと黒字を出せないんじゃないですか。結局この考え方というのは、鉄道貨物会社が新しい仕事をやるというふうになっていない。レールの上だけ貨物列車を走らして何とか収益を上げよう、そのためにどうしたらいいか。新しい収益を上げられないから、だから人件費物件費を切り詰めていく、設備を切り詰めていくということが一言で言えばこの内容なんですよ。そうすると、人件費物件費施設、すべてを切り詰めていくということになると、地域によっては貨物駅なんてのは全然ないというところが出てくるんじゃないかというふうに思うからそのことを聞いているんですよ。  そのことを具体的に言うならば、例えば何県と何県と何県は貨物駅は一切なくなりますと、こういうことは明らかになっているんじゃないかと思うから私は聞いているんです。抽象的じゃなくて具体的に答えてください。
  27. 岡田昌久

    説明員岡田昌久君) 駅を、今四百二十二駅ございますが、三百駅にするということでございますので、大体百二十駅ぐらいこれから駅をなくそうと思っております。ただ、そのことにつきましては、先ほど申しましたように、全体の体系考えながら、しかもそれが有効に働くように考える必要がございますので、今具体的な案は国鉄としては事務的な案をつくっておりまして、それを地元と折衝したりあるいは荷主と折衝したり通運業者の人と折衝して、大体三回ぐらいやりとりを行いまして、先ほど申しましたように二月ごろには国鉄の案を固めていきたい。今その作業中でございます。したがって、百二十駅ぐらいの圧縮は考えております。
  28. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 二月ぐらいにならないとわからないということですね。
  29. 岡田昌久

    説明員岡田昌久君) 体的に国鉄の案として出せるのは二月ごろだと思っております。
  30. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 加藤さんにもちょっとお聞きしたいんですが、今お聞きのとおり、鉄道貨物会社構想というのはまださっぱりわかってないですね。国民に対してこんな社内広告まで出しながら、一体おれのところの県は国鉄貨物駅は残るのだか残らないんだか明らかにされないんですよね。おたくの方の監理委員会答申では、結びでもって、これ以外の案はないんだというふうに自画自賛しているんですけれども、これ以外のいい案はないというなら、ちゃんと結論が出てから言わなきゃいけないんです。結論が出ないのに、これ以外の案はないなんて、これはちょっとおかしいんじゃないかと思うんです。  だから、やはり貨物会社構想について、黒字でもってやっていけるというのは非常に困難な問題があるというふうに考えざるを得ないのですけれども、今のような縮小均衡という形でもってやる以外にないというふうにお考えになっていたんですか、監理委員会としては。
  31. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 第一に申し上げなきゃいけないことは、密着という問題でございますけれども、企業というものが民営化をいたしますと、これは御存じのとおり、その民営化の努力によりましてそれぞれの新しい事情に対応していくということが必要でございます。それがまたできるのが民営企業一つの特色でございます。したがって、民営化ということによってそのようなことが可能であるということを私たち考えております。  第二番目に申し上げなきゃならぬことは、マクロミクロという問題がございます。つまり、マクロ的に、こういうふうにすれば採算がとれるという一つ方向がございますと、これは国の経済でも御承知のとおり同じでございますけれども、例えば来年の成長率は何%かというようなマクロ計算をいたします。そのマクロ計算に立って今度はそれをミクロで具体的に詰めていくというのがこれが普通の考え方だと私は思っております。したがって、マクロ的に、国鉄再建監理委員会といたしましては、こういう方向でいけばこういうふうにして黒字になるであろう、こういう予想を立てます。この予想に従って今国鉄が専門的な立場から検討を加えていただいた、こういうふうに私は考えておりますので、このような方向から私は今の考え方に対して納得がいっているわけでございます。
  32. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 納得がいくというのは、内容がよくわかってからでないと納得がいくという言葉は普通使われないんです。これじゃ全然納得いかないんですよ、さっぱりわけがわからないから。  それじゃお伺いいたしますけれども、こういう縮小均衡で、要するに人件費物件費全部切り詰めていくんだ、レールの上を走らせるだけだ、こういうやり方でいくと、例えば通運トラック業者と緊密な連絡を図って、往復列車で販売をする卸売方式ということを進めることにする。往復列車というんですけれども、お客の場合は往復ということはあるんですよ。片道ということは余りない。もっとも汽車で行って飛行機で帰る、こういうケースもあります。しかし、お客の場合は大概利用する乗り物はどうあろうと往復するんです。ところが貨物なんというのは往復というのは余りないんです。タンク車に石油を積んでいったものがまた石油を積んで帰ってくるということはないんですよ。そんなくらいなら何も運ばなくてもいいんだから。タンク車が向こうへ行って帰りにかわりにピールを積んでくるというようなことはないですね、普通は。そういうことできないかといってセメントを積んでくるということもこれもできない。貨物というのは大体において片道なんですよ、その性格が。その片道を、片道じゃもったいないから往復にしよう、そううまいことはいくわけはないんですよ、理屈からいったって。それを何とかやろう、これはまさに窮余の一策なんです、こういうことは。  そうすると、あと国鉄の中でやれることは全く限定をされてしまう。つまり、加藤さん自身の考え方でもって言うならば、民営によっていろいろと自立の方策が出てくるだろうという期待を持って言われておる。ところが実際にはそうじゃない、これは。まるっきり今までの貨物輸送、膨大な赤字を出してきたやり方から一歩も出てないんです。一歩も出てないでどうして黒字になるか。これは黒字になりっこないんです。黒字にしようと思ったならば今までと違った方式をとらなきゃいかぬ。この新しい会社がレールの上を走るだけじゃなくて、あるいは船も使う、あるいは飛行機も使う、あるいはヘリコプターも使う、トラックもたんまり用意する、通運業者の分野、トラック業者の分野、内航海運の分野にも割り込ましてもらうということでもやらなければそう簡単に黒字というわけにいかないだろう。だれが考えたってそうじゃないかと思うんですが、その点とういうふうにお考えになりますか。
  33. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 先ほども申し上げたマクロということの言葉の意味を私が十分に御説明しなかったのでいけなかったかもしれませんが、納得をするかどうかという問題につきましては、マクロというものはこれは基本的な枠でございます。その枠の中でどのように発展するかということはそれは各企業に任されます。したがって、経済の場合でも、何%成長ということが言われますと、その中でもってどの企業が発展しどの企業がだめになるかというようなことは、それぞれのミクロ的努力によってなされるわけです。これと同じように、マクロ的な一つの枠が決まりますと、その中でもってどういうふうにすれば最も能率が高いかということを考えなきゃなりません。  第二番目に、そのようなことで考えてまいりますと、今往復ということをおっしゃったわけでございますが、その往復ということが、これはもしどうしても必要な貨物であるならば、例えば専貨とかあるいはコンテナのような、そういうようなものにつきましては、これは片道がたとえ空っぽになるといたしましても、どうしても必要なものであるならば当然それは往復料金ということになって、それでもやってほしい、こういうことになってまいります。このようなことは、しかし競争でございますから、そのような競争の中でもって、通運業者からどういうふうに仕事を引き受けて、それをここで国鉄に頼むということになります。その場合、国鉄の場合は御承知のとおり今ここで考えております貨物はこれはアボイダブルコスト計算してまいりますから、その計算によって収入を得ますので、これは計算的には成り立つ、こういうことになるわけです。しかし、それを本当に実行できるかどうかはこれは民営企業の努力ということになるわけでございます。
  34. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今のようなお話は、大学で学生相手にしゃべっている場合にはそれでもいいんですよ。国鉄の問題は現実の問題ですからね。今、企業の努力によって何とかなるんじゃないかという、結論的にはそういうことなんですが、では貨物を分離をしてどういうことになるかということなんですね。今まで旅客貨物は同じ部屋の中にいた夫婦のようなものです。旅客の方がだんなだとすれば貨物の方は奥さんです。共稼ぎをやっていたけれども、奥さんの方の稼ぎの方が少ない、だんなの稼ぎも大して多くない、奥さんの稼ぎに足引っ張られる、だから、ここのところは協議離婚をしようじゃないか、離婚をして別居をして、そうすると世帯も別になってしまう。世帯が別になれば家賃も奥さんの方は払わなきゃならない、つまり、離婚をされた奥さんに自前でもって黒字を出してやっていきなさいよというのとこれは貨物会社同じですよ。  今度は六つに分けた旅客会社の間をこの貨物会社は渡り歩かなきゃいけない。渡り歩くのには、今までは自分の屋敷だったけれども、今度は人様の屋敷内だから勝手に走るわけにいかない。通過料を払って、関所じゃないけれども、一々今度は伺いを立てて通らなきゃいけないようになるわけですね。それだけだって大変な金がかかるようになる。設備から要員まで全部これは別枠になっちゃうわけです。今まで同じ屋根の下にいて暮らしていたってなかなか赤字で容易じゃなかったものが、別居して家賃を払って一切合財別にしてなおかつ黒字になるというような計算は、これは普通だれがやったってできないわけなんですよ。これは当然そうだというふうにお考えにならないですか。その点どうですか。
  35. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 私の申し上げることが大学でしか通用しない、現実に役に立たないというようなお話でございましたが、私は一つの理論というものは決して世の中に役に立たないとは思っておりません。  そこで、このことについてはこれ以上申しませんが、私が申し上げたいことは、今おっしゃったように、もし貨物が本当に独立してできないのであるとすれば、それは今の国鉄の中にそういうものが入ることによって国鉄自体の経営を悪化していることになります。そうすると、そのような内部依存といいますか、貨物旅客部門に依存していくというこういうことを、私どもは果たして効率化するためにどうすればいいかということを考えなきゃなりません。そこで効率化のためには分離独立して一体どの程度のことができるかということを明確にすべきである、こういう考え方で分離独立を主張したのでございます。
  36. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それは今あなたは、赤字でもって負担をかけていたんだから、だから分離独立させるんだ、こういうふうに言われた。それはそれでいいですよ。それならば分離独立をしてもやっていけるようにしなきゃいけない、今度は。そうでしょう。今までどおりの仕事しかしちゃいけないよ、今までどおりの収入しか上げちゃいけないよ、こういうふうに規制して、ただあとは節約だけでやっていきなさい、これじゃとてもやっていけるものじゃないと思うんですよね。  今の鉄道貨物会社構想というのは、今までどおりの仕事以外のことはやっちゃいけない、極力仕事は切り詰めなさい、こういうことになっている。要員の算出の基礎は一体どういうところにとっているのか。そういうふうに多くの仕事を切り捨てて、そして縮小均衡を図るという考え方に立っているんじゃないのかどうかということが一つ疑問としてあるんですが、その点はどうでしょうか。
  37. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 縮小均衡になるかどうかということは、これは需要がどう変わるか、あるいはコストをどのように変えられるかということによって決まります。したがって、縮小均衡になるかどうかということについて私今ここでは断言できません。わかりません。しかし、そのような専門的なことについて煮詰めて、それを実行する形に持っていくことを考えているのが今の私は国鉄だと思いますので、その意味では、その国鉄当局の検討に私どもは期待をしている、こういうことでございます。
  38. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄当局が監理委員会答申の前にいろいろ考えていなかったわけはないと思うんですよ、これは。考えたけれどもいい知恵が出てこないということだったんじゃないかと思うんです。監理委員会国鉄との間で一番意見の食い違っていたのは、この貨物をどうするかという問題であるというふうなことも一部の新聞の社説には書いてあります。つまり、やれと言われてもそうはできないということで、監理委員会の気に入るような答えを出さなかったということのために恐らく仁杉総裁以下前の幹部は更迭をされたんじゃないかというふうに私は思うんですがね。その点は裏話だからあえてここで答えると言っても無理な話なので言いませんけれども、じゃ一万人という要員の基礎数字、これは一体どこから出てきたのか、それに対して二割掛けをしたという根拠は一体何なのか、その点もお伺いしたいと思うんですが、これは運輸省に。
  39. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先生指摘のように、従来旅客貨物と一緒にやっておりました国鉄貨物部門、これを分離して採算の成り立つ会社にするというのはこれは大変な作業でございます。御指摘のとおりでございます。現在ざっと計算いたしましても収入の倍コストがかかっておる部門でございますので、そのためにはかなり思い切ったことをやらないと成り立っていかないということで、運輸省国鉄との間でかなり長い時間をかけましていろいろな作業を行いました。その中の一つの大きな問題がこの要員の問題でございます。  そこで、要員というものをいかにあるべきかということを考えますとぎには、まず、民営会社でございますから、基本的に、民営会社として人件費というものが収入に対してどのくらいならば大体通常の民営会社、これと似たような形として成り立っていくかということを一つ考えなければならないと思います。そういう意味で、人件費というもののめどというものを一応収入の四〇%をできる限り下回るというようなところに置いたわけでございます。そういう意味で、一応三五%というところにめどを置きますとこの要員が一万人程度になる、こういうふうな考え方が出たわけでございます。ただ、御指摘のように、これは民営会社になりますけれども、やはりすぐにその会社が他の民営会社並みに効率的にできるかどうかということは、なかなかこれは現実的には問題がございます。それから、要員と申しますものはやはりこれは一つ一つ作業の積み上げでございます。  そういう意味で、旅客会社の場合でも、監理委員会の御意見では二割程度当初はゆとりを持ってスタートするようにということでございますので、そういう意味もございますが、また、要員につきましては一つ一つの積み上げをいたしまして、思い切った合理的なやり方でやって当面一体どの程度の人間が必要かということを積み上げましたのが一万二千五百人というものでございます。それが先ほど申し上げました一万人の大体二割増し程度ということでございます。そういう意味で、当初スタートといたしましては一万二千五百人というのでスタートをする、それで採算が成り立つかどうかということを一応試算をしてみた、こういうことでございます。  ただ、御指摘のように、民営会社は将来ともこれは健全にやっていかなければなりませんから、そういう意味では今後できる限り貨物も多く集める、また合理化の方もできる限り効率的な経営を行うということで、要員の手間を省くというようなことをいろいろ考えまして、将来的には、貨物の方がふえて収入の三五%程度の人件費。になるか、逆にまた効率化がさらに進んで一万人程度の要員でやれるような体制にするか、そのいずれかを将来的に目指していくべきであるという意味で一万人という数字を試算の中にお示しをした、こういうことでございます。
  40. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 結局、今お聞きすると、計画を先に立てて、その計画のためにどういう人間がどれだけ要るかという計算の上に立った数字じゃないんですね、まるっきり。基礎的な数字というものはどんぶり勘定である。しかも、それに対して何割ぐらい掛けたらいいのか、こっちの方の話はアバウトである。どんぶり勘定掛けるアバウトでもってこの数字ができておるわけですな。でき上がった数字をもとにして仕事の方を割り出した。こういうことで実際に現実に対応できるような仕事ができるかどうか極めてこれは疑問ですよ。これは各新聞の社説、必ずしも交通問題の権威者ばかりが書いたものじゃないと思うけれども、それでもこれだけみんな危惧の念を表明しているんですよ。こんなことで一体分離をして貨物会社がやっていけるのかどうか。私は、分離をした以上は、分離をしてもなおかつやっていけるような手かせ足かせを外さないと、これは実際問題としてやっていけないという気がするんです。  ここは今度は大臣にお聞きいたしますが、今の答えでは、今までのこの貨物会社構想では、仕事を切り詰めて切り詰めて要員を初めからある程度圧縮して、その要員の中で、今までの鉄道仕事の中の割合ともうけられそうなことだけに限定をしてやりなさいということになっている。一体これでいいのかどうかという問題が、今度は政治の問題として交通政策として考えなきゃならぬ。その場合に政府としては一体どうするのか。これで一体やっていけなくなった場合には、この方針を変えて、例えば鉄道だけではなくて他の分野、通運なり内航海運の分野にまで割り込ますということが考えられるのかどうか。それは重要な問題だと思うんですね。今のままでいけばだれが見たってじり貧ですよ。じり貧というよりも、日ならずして倒産をするという危機にこの貨物会社は見舞われるような感じがだれが見てもするんですが、大臣としてはどのようにお考えになっておりますか。
  41. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 具体的には先ほど政府委員からもいろいろ御説明申し上げたとおりでございますが、基本方針としましては、貨物会社といえどもやっぱりレールでもって採算ベースに乗るような計画を立てていく。そのためにはやはり効率的な一つの運用と申しますか、輸送を行う。その結果、先ほどから申し上げておりますように、コストの思い切った低減——コストの思い切った低減ということが先になるんじゃなくて、いわゆる徹底した輸送の効率化の結果コストの低減ということに結びついていくということではなかろうかと思うのでございます。  そういうことでございまして、何といっても、これは安定した一つの収入を図り、一つ経営を目指していくということで、もしもそうならなかったらどうするかということまで私ども考えておりませんで、まず、必ず安定した経営をやり抜く、そのためには企業努力も一。生懸命やっていく、こういう前提に立って、しかも、その結果効率的な運営、その効率的な運営からコストの低減ということが来るんだと、このように私どもは理解をいたしておる次第でございます。
  42. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 コストの低減といいますけれども、トラック競争をするということになると、トラックよりも割高な運賃ではこれはだれも荷物を頼まないと思うんです。トラックよりも有利だ、こう思えば国鉄鉄道貨物会社に頼むけれども、そうでなかったらこれは競争にならないですね。その場合に、トラックよりもなお割安な運賃がどうやって設定できるか。日本国じゅうをこの鉄道貨物会社は走るようになっている。六つの旅客会社を通らしてもらうようにしないとどこにも行けないようになっている。そうすると、運賃を決める場合に、旅客会社に支払うべき通行料といいますか運賃といいますか、経費といいますか、そういうものをある程度見ないと旅客会社はうんと言わないでしょう。ダイヤだってそうです。ダイヤだって貨物列車本位にダイヤ組めませんね。これは旅客会社の旅客列車が優先します。その合間を縫ってダイヤを編成をしなければならない。運賃も大変だ。  これは容易ならぬことだと私は思いますよ。それでもなおかつやっていけるのかどうか。これ以外にこの貨物会社の生きる道というものはないというふうに考えているのか。これではやがてはこれは廃止をするという以外に方法がなくなってしまうんじゃないかという危惧が残るのでありますが、その点どうですか。
  43. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) おっしゃるように、これは民間会社になりますから、他の交通機関との間で激しい競争を展開しなければいけないというふうに考えます。ただ、監理委員会の御意見にもございますように、私ども、鉄道貨物というのは、鉄道貨物なりの特性のある分野、すなわち競争力の非常に強い分野があるというふうに理解をいたしております。通運会社とかトラック会社とかいう方々の御意見を伺いましても、レールがきちんとした形で運んでくれるのであるならば、長距離のものについては、何も好んで長距離トラックを夜通し走らせるということでなくて、その部分はできる限り競争力の強いレールに任せたい、そういう営業体制があれば貨物をそちらの方に任せたいというようなお話をよく承っております。  そういう意味で、私ども、今回の貨物会社というのは、トラックというような、ないしは内航というようなものとの関係において、鉄道が強い分野、すなわち特性を持っている分野というところで大いに商売をする、そういう形のものを中心に考えたい。そういう意味考えまして、いろいろ通運業界等からも御意見を伺いました結果、先ほど来申し上げておりますように、一応ある程度の収入というものを得るような形というものが可能ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、運賃旅客会社との関係でございますけれども、運賃は、今回は貨物会社が従来の貨物運賃というような形で荷主からいただくわけでございまして、旅客会社の線路の上を走ります際には、旅客会社に対してレールの使用料というものを払って、それは列車の運行コストの中に算入して、それで採算の成り立つようなものとして運賃荷主からいただいていく、こういう形で考えております。
  44. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 時間の関係で、最後に余剰人員の問題についてお伺いいたしますが、貨物をこうやって切って切って切りまくって、そしてその結果余剰人員が出てくる。余剰人員の調整が進まないということがきのうの朝日新聞の記事にも載っておりました。余剰人員の調整が進まない、貨物会社構想がわからない、こういう状態でもって一体どうすればいいんだということになるのでありますが、まず余剰人員対策、どういう目安があるのかお伺いしたいと思います。
  45. 平井清

    政府委員(平井清君) 国鉄の余剰人員対策でございますが、これにつきましては、国鉄の職員の再就職の問題でございますので、まずは国鉄自身が最大限の努力をする。しかしながら、問題の重要性にかんがみまして、国が強力な支援体制を組むというのが基本姿勢でございます。まず国が強力な支援体制を組みますからには、国を初めとする公的部門が率先して余剰人員の受け入れを行うということが必要でございます。  このために、去る十月十一日の閣議決定、「国鉄改革のための基本的方針」におきましても、国は昭和六十一年度からその採用数の一定割合を雇用の場として提供することといたしまして、また地方公共団体に対しましても、国が講じる措置に準じ積極的に採用を進めるように要請することとしたところでございます。これを受けまして、現在、国、地方公共団体、特殊法人等の公的部門におきます具体的な受け入れ内容を早急に策定すべく現在作業中でございます。また、国等の公的部門のみにおける雇用吸収では不十分でございますので、一般産業界からも協力を得ることが必要でございます。一般産業界に対しても、全国的規模での雇用の場の確保に協力することを要望する旨、先ほど触れました閣議決定において定められておりますので、これを受けまして、経済団体等に対する働きかけを政府としては事務レベルにおいて行っております。  またさらに、余剰人員問題の解決に当たりましては、当事者である国鉄が最大限の努力を行うことが必要ではございますけれども、その努力の一環として、国鉄が、国鉄とともにその経営が成り立ってきました関連事業に対しまして、余剰人員二万一千人の雇用の場を確保すべく折衝中というふうに聞いております。  予定されております約六万人の余剰人員の雇用の場につきましては、以上のように諸般の措置によりまして強力な支援措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  46. 安恒良一

    安恒良一君 ちょっと最初にお断りをしておかなければなりませんが、私きのう質問通告するときに監理委員長もお願いしたいと言ったんですが、外国に行っておられると聞いて、加藤さんが出ておいでになるということを聞きませんでしたから質問通告しておりませんが、貨物のことでございますので、運輸省国鉄とやりとりする中で加藤参考人の御意見も承りたいと思いますので、お許しを願いたいと思います。  まず、今瀬谷先生から国鉄貨物のあり方について質問があったんですが、これは本当にこれで貨物が立ち直ると思ってお書きになったのかどうかというのが非常に私は疑問であります。なぜかというと、まず鉄道貨物輸送システムは、オンレールとオフレール、この両部門の要素から私は成り立っていると思いますが、どうも今回の答申というのはオンレール部門のみに限定をした意見になっています。しかし、オフレールのことを考えないで私は成り立つはずがないと思いますから、このオフレールのところについてはどういうお考えをお持ちなのか、まずそれをお聞かせください。
  47. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先生指摘のように、貨物会社はこれは荷物というものはドア・ツー・ドアで参りますから、レールのところだけ考えて物事を判断するということは誤りであるというのは私もそのとおりだと存じます。  その際に、オンレールでない部分という先生の御指摘に私二つの意味があるというふうに考えております。一つは、ある荷物が鉄道貨物としてドアからドアへ行く際にレール以外の部分を通過いたしますから、その部分についてのことを十分判断に入れないで判断をしてはならないという点が一つあると思います。それからもう一つは、鉄道貨物をやりますとそれに附帯しましていろいろな問題が出てくる。例えば荷物を保管をするというような意味で倉庫業とか、さらには鉄道以外でも一部便利ならこれで運ぶというような意味でのトラック業とか、そういうような意味で、いわゆる関連する物流業という意味と二つあると思います。  まず、前者につきましては御指摘のとおりでございまして、今回の案の検討に際しましては、いわゆる鉄道部分というものの荷物を確保するために、その両端でございます通運業、トラック業というところとの関係というものにつきましては、それなりに十分な検討をしてその上で判断をしたつもりでございます。それから第二点である倉庫業とか、将来的にトラック業とか、そういうものとの関連につきましては、今回の検討では将来的にはそういうふうな部分に拡大していく、いわゆる物流業者としてこのレール会社がやっていくということは検討すべきでございますが、少なくとも現在の検討では、オンレールにおいて一応成り立つかどうかというものを検討し、その会社が将来的にはいろいろな意味での関連の物流業に進出をしていくということを考えるべきだというふうな判断をいたしております。
  48. 安恒良一

    安恒良一君 私はまだわかりかねるんですが、鉄道貨物の特性を発揮するためには、必然的には、少量の貨物を大量化する、あるいは大量化された貨物を少量化するための貨物の積みかえ、積みおろし、オンロード、戸口から駅、駅から戸口へと集配輸送を行わなければなりません。いわゆる通運という経済行為がこれは附帯するわけですね。一緒にやらなければこれは成功するはずがないんです。そこで、本当に今あなたたち構想された新貨物会社が、貨物輸送市場の中で激しい競争に耐え得る事業体というふうに見られるかどうかということ、それがためには、なぜ今日の国鉄貨物が行き詰まったかということをまず検証しなければならぬ。  時間がありませんから私から言わしてもらいますと、今になって反省しても仕方がないことですが、貨物は、国鉄が解決しなければならなかった最大の問題は、競争力を失ったということなんです。それはすなわち、国鉄運賃通運運賃との合算額がトラック運賃に比較して高過ぎる、これが国鉄貨物競争力を決定的に広くしたことでしょう。ここのところにメスを入れないでおやりになっても無理があるんですよ。私は、本当にあなたたちが、いわゆる国鉄運賃通運料金の合算額がトラックに比較して高過ぎるということにメスを入れて今回生き残ろうとされているのかどうかということが大変この案では疑問なんです。  御承知のように、競争力がない国鉄が今まで何をやったかというと、昭和四十九年十一月以降、五十二年度を除き毎年貨物運賃を上げてきているんですよ、赤字になったら。上げたが、コストが高いものですから、荷主がないから今度は逆に割り引いている。こういうことの繰り返しでどんどんお客を逃がしていったんじゃありませんか。毎年のように貨物運賃を上げる、上げるけれどもコストが高いから荷が集まってくるはずがないんです。だから運賃を上げたが割り引き。割り引いてもまだトラック運賃に、ですからトラックにシェアをどんどんとられて今日に至ってしまったというのが今までの私は反省ではないだろうかと思うんですが、その点間違いないですか、どうですか。
  49. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先生の御指摘のとおりだと思っております。特に、そういう関係の中で、運賃を逆に割り引いて集めれば集めるほどコスト割れの貨物を集めるというような悪循環を繰り返してきたということであるというふうな理解をいたしております。
  50. 安恒良一

    安恒良一君 ですから、そこをお認めになるならば、私はやはり本来的に国鉄がどう生き残るかということについては国鉄運輸省全体でお考えにならなければならぬ。なぜかというと、例えば今回おやりになろうとしているのは拠点間の直行、専貨、これでやろうということなんですね、これが二つの大骨ですから。あといわゆる列車買いをやってもらおう、今までの貨物買いじゃないで往復列車買いをやってもらおうということですが、時間がありませんから細かく言いませんが、いろいろ問題がありますね。果たして拠点間直行、専貨ということで今行き詰まっている国鉄が生き残れるかどうかということについて私は大変な疑問がある。  それはなぜかというと、運輸大臣、まず一つやらなければならぬことは、今の民営化自由競争、これは資本主義の原則で結構なことですね。しかし、事貨物分野について、今国鉄の持つシェア、飛行機の持つシェア、トラックの持つシェア、船の持つシェア、これを全く自由競争のままにしておって、何らの規制も加えないままにしてこのまま拠点直行と専貨だけで生き残れるはずがない。瀬谷先生がおっしゃったように、これでやったら、ものの二、三年たったらまた赤字ですよ。私は、今言った少なくともオンレール、オフレールを含めた構想を持ってきちっとして生き残るということ、それと同時にある程度のシェアを考える。  例えば一つの例を挙げると、東京−福岡は、トラック輸送でいくならば二七通達を守るのには四泊五日かかるわけですね。ひどいところになるとむちゃくちゃで三泊四日で走っていますね。これは法律違反です。それから大阪−東京はトラックで運ぶと二泊三日かかるわけです。ですから、今後拠点間直行ということで東京−福岡とか大阪−東京で貨物が生き残るという道はあるんです。あるんですが、それは今言った列車に積んでからおろすまでのことだけではだめなんですよ。荷物をどう集めて、おろしたやつをどこに、それらの総合的な体系をきちっと立てて、列車の方が便利ですよ、二泊三日もかかりませんよと。しかも、これはさっき先生がおっしゃったように、分割したときにダイヤを優先的に通してもらわなければいけませんね。なかなかこれは分割会社がうんと言うのかどうかわかりません。そういうことでやって初めて私は生き残れると思うんですね。  ところがどうもあなたたちのお考えは、とりあえずつじつま合わせで、オンレールの部面だけを計算で合わせて、大体この会社が成り立つためにはいわゆる人件費はどのくらいで抑えればいいかということであって、本当に拠点間直行、専貨、私はそれだけでは不十分だと思う。もう一遍戸口混載荷物の制度の復活等、本当に長距離をある程度のレールの上で運ぶので非常に便利がいい、しかもそれは戸口から戸口へ、すべて総合的に考えて便利がいいという方法を考えつかない限り私は生き残れない。これはもう物流の基本原則なんですから。この案は、オンレール部面だけの輸送コストの低減について言及されていますね。しかし、オフレール部門の輸送コストは果たして高いのか安いのか。現状では国鉄運賃を半分に値引きしても競争条件に勝てないんですよ、トラックには。その場合に、おやりになるならば全体をやっぱりきちっとしてそれで生き残る道をお考えにならなければいけないと思うんですが、どうも私はこの発表された構想を見る限りにおいて、こんなことで立ち直れるんだろうか。特に今申し上げた一貫輸送といいますか、これはもう通運業の常識なんですよ。  ですから、私はどうも今回の答申に、加藤さんはこれでとおっしゃっていますが、本当に監理委員会がそういうオフレール部門を含めてお考えくださったのかどうか。恐らく、それはちょっと難しい、専門的だからこっちでやれというふうに振られたんじゃないかと思いますけれども、しかし、民営企業の独立採算制ということになるならば、本来的な貨物輸送のあり方というところをきちっとした上で独立採算民営という御指導をされなければ、私はこのオンレール部面だけの輸送コストの低減を中心にこの会社が立ち直るとは思いません。それはどうしてもトラックとの競争力を失うんですよ。  こういう点について、加藤さん、今の私の議論を聞かれてどういう御感想をお持ちですか。
  51. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 今安恒先生がおっしゃったとおりでございまして、私もいかに素人とは申しましても、素人というのは、荷物につきまして素人といいましても、貨物というものがドア・ツー・ドアである、したがってレールだけでもって成り立つものでないということについては私も認識しております。したがって、その立場から、現在の国鉄貨物が成り立つためには。まずどこまで競争力を強めるための合理化ができるか。これは人を減らすだけではございません。物件費を減らすだけでもありません。ダイヤを流通業者あるいは物流業者にとっても利用しやすい形にしなければならないわけでございますが、そういう高品質のダイヤを編成する、こういうことでもって競争力を極力強める、これによってマクロ的には成り立つはずなんです。しかしながら、ミクロ的にはこれはまだまだほかに努力すべきことがいろいろあると思います。そこでそういったことを含めて、私どもとしましても微力を尽くして運輸省国鉄と一体となってそのことについての具体策をつくっていきたい、こういうふうに考えたわけでございます。  このような考え方でございますので、私どもといたしまして、この国鉄貨物につきましては、これからの方向としては、まずオンレールでもって努力をし、さらにその上に今度は多角的な経営についても考えていくことになっていくだろう、こういうふうに思っております。
  52. 安恒良一

    安恒良一君 加藤さん、多角的経営とかそんなこと言っているんじゃなくて、貨物輸送の原理というのは、オンレールとオフレールというのは表裏一体で切り離せないんですよ。これをオンレールだけで考えていると間違いを起こすんです。国鉄が赤字になった原因の一つはそこにあったわけですね、オンレールだけ考える。ところが貨物というのはオンレールとオフレールが表裏一体でありまして、これを全然切り離して考えても立ち直ることができないんです。  私が心配していますのは、今回の輸送システムのエレメントの一つであるこのオンレール部分の輸送コストの低減についてはいろいろ言及されているんですよね。ところが、もう一つの重要な部面であるところの、新貨物会社が存立てきるかどうかというのは、オフレール部門が欠かせないんですよ。ところがそのオフレール部門のことについては何にも書いていないんです。そしてそのオフレールというのは二つの部面があるんです。いわゆる貨物会社通運業者との協力関係のあれですね。それと同時に、貨物会社自身がやらなきゃならぬオフレール部門があるんです。そういうものを総合的に組み立てないと会社は成っていかないんです。例えば往復列車買いをしてもらいたいと思っても、私が聞きますと、国鉄から言われたからまあ何とかと言うけれども、どうも通運業者は簡単に往復列車買いについてはうんと言っていないんです。それから、通運業者とタイアップして集めてきた荷物が本当に有効な時間に有効に運ばれるというダイヤがきちっとしない限りはとても買えない、ダイヤを見せてもらってからだと、こういうことが一つありますね。  しかしながら、今申し上げたように、その場合は、通運運賃国鉄運賃をくるめてトラックに比較して安いか高いかというところが議論になってくるわけですね。ところがその部面は残念ながら、今回のこのあれは主としてオンレール部門だけをいろんな計算をされまして、そしてこれで、私から言うと、専門屋がやったにしてはちょっとお粗末なと思うんですが、単純に数年たつと年十六億の黒字が見込めるなんて、こんな計算をよくしたなと。私は私鉄の出身ですから主として旅客の方が専門なんです。私は余り貨物は専門でない。私のような素人が考えましても、こんなことで、私のところで扱っている貨物量は少ないものですから、こんなことで果たしてこの厳しいトラックとの競争の中にこれが生き残っていけるだろうか。どうもいわは数字のつじつま合わせにすぎないんです。  基本的にこの点運輸省国鉄の皆さんは、私が今議論したことについてあなたたちはどうお考えになっているんですか。そう簡単にこの部面で、それこそ数年たってここで私お目にかかったら、それ見てみると私から言われるでしょう。あなたたちのあのときのことどないなったと。私は今のこんな仕組みではできないと思うんですが、そこのところをどういうふうにお考えですか。  私は、国鉄国鉄として生き残れる道がある。それは長距離で一貫輸送をやって生き残れる道はあると思います。ありますが、それはそれなりの考え方を持たない限り、このように簡単に拠点間直行、いわゆる専貨荷物を中心、そして相手が買うか買わぬかわからないのに往復列車買いをしてもらう。そういうことで、人員さえ減らせばこれでこの会社がこれだけの黒字になるなどということを本気であなたたちはお考えなんですか。前後のことを考えないで、国鉄がやるべきオフレールのこと、それから通運業者とのタイアップのオフレールのことの中で、少なくともトラックよりも速い時間で運べて、運賃についても採算性が合うということがないと私はこれは生き残れないと思うんですが、その点、この立案者である運輸省、それから実行者である国鉄、どういうふうにお考えですか。
  53. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 私、今先生のお話を承っておりまして、大変私どもも実は先生の今おっしゃったようなお考え、その考えに基づいて検討を進めたというふうに思っております。問題点はまさに先生の御指摘になっておるとおりでございます。  そこで、お話しのように、オンレールの部分だけで物を考えていた従来の国鉄貨物から、オンレールの外側の部分、通運業界、トラック業界、そういうものとの関係において検討をしなければいけないということで検討を進めたつもりでございます。そういう意味で、通運業界との間ではかなりいろいろ議論もいたしましたし、いろいろ密接な検討をいたしました。そういう意味で、荷物というのはレールの上だけで成り立つと考えていてはだめなので、それを判断するのはむしろ通運業界でありトラック業界、荷主さんと直接接触しているそちらの方にある。したがって、そちらの方の業界の御意向に合って列車を買っていただく、往復列車を買っていただく、そういう販売方式で、貨物会社輸送に専念する、そういう形が一番望ましいということで検討を進めたわけでございます。  その結果、まあいろいろな考え方というのはございますけれども、一応通運業界との間では、コンテナ列車につきましてはおおよそこの程度の列車なら往復で買ってもいいというような内々の御感触を得ておるわけです。ただ、それには先生指摘のようにダイヤの問題とかいろいろな問題がございます。そういう問題について通運業界から注文がついております。したがいまして、今後はダイヤ改正作業の中でそういう通運業界の、こういう条件なら運べる、往復で買えるというような条件に合ったような列車設定を極力行うというようなことで販売をしていくということでいったらどうだろうかというふうに考えておるわけです。  もちろん、旅客会社との間にダイヤの問題についていろいろ難しい問題があることは御指摘のとおりでございます。これにつきましても、円滑にいくようなシステムというものをまず貨物会社旅客会社の間においてルールをつくる。そしてそれがうまくいかない場合には、場合によっては行政というようなものでの調停と申しますか、そういうような形も考えるというようなことで、極力いいダイヤが設定できるようにというようなことも検討をしておるわけでございます。  そういうような観点に立ちまして、お話しのような、通運業界との関係においてこの程度の売り上げが予想されるという列車設定を想定をいたしまして一応の試算をいたしましたのが、お手元にこの前来お示しをしておる問題でございます。もちろん、そのとおりにいくかどうかということにつきましては、これは商売でございますから、今後十一月のダイヤ設定、さらには民営会社になってからの経営努力ということにまつべきでございますけれども、一応私どもとしては、ミニマムと申しますか、ある程度手がたく見積もって、何とか六十二年度のスタートにおいてはオンレール採算が一応合うんじゃないかという試算をした、こういう状況でございます。
  54. 岡田昌久

    説明員岡田昌久君) 補足的に説明申し上げます。  私も、先生指摘のように、レール輸送だけで完結する輸送はほとんどございませんで、よく貨物の先輩から聞くのでございますが、貨物輸送というのは、トラックも船もすべてそうなんで、集めて送るというのが貨物輸送の原点であるというふうに常々教わってきておるところでございますので、先生の御指摘のとおりだと思います。  現在国鉄貨物はコンテナに重点を置いて営業いたしておりますが、コンテナは対前年、現在の上期で一〇八%。それでも対前年ではかなり物流自体が鎮静化している中で伸びております。そういうものを踏まえ、かつトラック業界の方々のお話をお伺いいたしますと、やはり五、六百キロを超えるとかなり苦しいというお話もございます。そういうことを踏まえますと、我々が今後一生懸命頑張っていいダイヤを引き、コストを下げていけば十分競争ができるというふうに思っております。
  55. 安恒良一

    安恒良一君 そんなことを言われても、オンレール部面の合理化という意味で人は大幅に減らす、扱い駅も減らす。じゃ今あなたがおっしゃったように、トラック運送業というのは荷物を集めて送るんだということが本当にできるのか。私は今ここで、もう瀬谷先生が言われたこととダブってそこのところを議論しようと思っていませんが、オフレールの問題について、輸送コストが果たして高いのか安いのか、国鉄を使う場合、そこのところをどうするのかということをあわせて御検討なさらないと、これ答申いただきましたけれども、全然書いてないんですね。若干、「販売方式」のところで、「貨物鉄道会社と物流事業者との連携の一層の緊密化を図る。」と書いてあるだけですね。あと何も書いてない。  私は、私なりに業界に聞いたんですが、こう言っているんですね。往復列車の販売については、同方式が導入されるのであれば、基本的にその購入に努力をしていくが、種々問題点があり今後さらに詰めたい、こう言っているんですよ、業者は。まあ安売りするなら買う人あると思いますよ。ところが、今申し上げたオンレール、オフレールを通じての輸送コストのところがきちっとしない限り売ろうと思っても売りようがないと、こう言っているんです、通運業者は。こういうところについてあなたたちは本当にどうされようとしているのかということですね。  私は、この行き方でいくと、国鉄貨物というのは安楽死をさせるつもりなのかどうかということを心配する。私はそうあってはいけない。というのは、今申し上げましたように、トラックで運ぶと四泊五日かかる。大阪−東京間二泊三日かかる。こういうところを、ダイヤさえきちっとし、集荷さえうまくやれば、そしてコストトラックに負けないようにすれば、本来そこを使うべきだと思うんです、大きい荷物は。せっかくレールがあるんですから使うべきだ。それが国民経済の観点からも正しいことだと思う。  ところが、今のところはオンレール、オフレール両部面のコストから比べると全然太刀打ちならないんですから、だからそれを太刀打ちできるように、しかも鉄道の特性を生かしてやるように考えるためにはどうすればいいのかという観点から考えて、例えばその場合に、瀬谷先生がおっしゃったように、いわゆる鉄道会社を分離する方がいいのかどうかという基本論もあるんですよ、これは。それから、貨物鉄道会社としてやる場合においても、片方は六つに分割されている中で本当に売れるようなダイヤが引けるんだろうかどうかという問題がありますね。  いろいろな問題を考えてみると、あなたたちは口頭では、売れるようなダイヤを引きます、今検討していますと言うけれども、なかなかそう、片方では旅客走っているんですからね、旅客走っている間に貨物を走らせるんですから。旅客とめてなら別ですよ。それだったら物すごいダイヤが引けるでしょう。昼間なら昼間でもばあんとか、夜間なら夜間でも引けるでしょうが、そうはいかないですね。まず旅客会社は旅客中心ですからね。片方は旅客会社で、片方は鉄道貨物会社ですからね。そうなると私は簡単にどうも、まず人を減らしてそしてやってみる、やってみるけれども結果的にはどうにもならなかったということで、いわゆる安楽死の方向貨物が行くんではないか。  ですから、私はもうこれ以上論争しませんが、大臣、もう一遍、今申し上げた貨物というものはどういうものなのかと基本論に戻って少し検討していただきたいと思う。ですから、拠点間直行、専貨、そういうことも大切。しかし、本当に生き残るなら小口混載制度の復活についても私は鉄道の有利性を考えてやる方法があると思う。ところが小口混載制度は一切やらないということですから、コストが高くつくからやらないということですから、それらを含めて真剣に、レールの持っているよさ、そういうこと。それからいま一つ大臣、どうしても今の百鬼夜行の運送業界のあり方、これは総枠を僕はやっぱり検討せざるを得ないと思うんです。  とにかく法律では四泊五日のところを三泊四日で突っ走ったり、ひどいのになると二泊三日で突っ走るんです。それでコストを片方は下げているんです、トラックの方は。これはめちゃくちゃなことをして下げているわけです。本来、二七通達で言うと東京−福岡は四泊五日で走るようになっているんです。三泊四日になったらもう基準法違反です。ところがそれでやって片方はコストを下げているわけですからね。それと競争しなきゃならぬことは事実でしょう。ですから、そういうところを大臣の方野放しにして、トラックの方のめちゃくちゃなことを野放しにして、国鉄だけをこういう会社でやったって競争、太刀打ちできないですよ。だから、日本の物流の秩序をどうするのか、全体でどうするのか。長距離輸送国鉄が持つならある程度持つ、こういうロング的な計画を立てた中でやはり国鉄貨物の再建をお考えにならないと、これだけでやったら、またぞろ何年か後には国鉄貨物は行き詰まっちゃった、いわゆる専貨、拠点直行ということをやっても行き詰まった、こういうことになると思うんです。これは私の意見として申し上げておきます。  そこでいま一つちょっとお聞きしておかなきゃならぬのは、これは国鉄貨物のあり方だけが答申されていますが、例えば福島臨海等の、国鉄から枝線となって今まで貨物を集めてきてやっている会社が全国で十幾つありますね。これはどうしようとされているんですか。その会社は労使とも、こんなことになっちゃったらもう全部うちもなくなっちゃうんじゃないだろうかということで大変な、十幾つの、例えば一つの例を挙げますと福島臨海というのがございます。これは国鉄も出資をされておるんですが、そういうところがこの答申では全然触れていないんですね。どうしようとあなたたちはされているんですか。それを聞かしてください。
  56. 岡田昌久

    説明員岡田昌久君) 私どもと地域とが主になって出資した会社でございます臨海鉄道、これにつきましては貨物の発着にとって大変重要なポイントになっております。そこで今回のダイヤ改正の中でも特にその点につきましてはよく考えてやりたいと思いますが、ただ、分散型の貨物を非常に扱っているところについてはかなり経営が苦しくなろうかと思います。会社によってかなり異なっておりますが、その辺については個別的によく御相談して、会社として成り立っていくように一緒になって考えていきたい、かように考えております。
  57. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先生指摘のように十三ばかり臨海鉄道ございます。それはそれぞれ若干輸送形態が違うと思います。非常に専貨的なものを、石油とかそういう固まった貨物を扱っておりますものについては今回の専貨輸送の中にうまく乗ってこられるというふうに考えておりますが、今国鉄の常務理事から話のございましたように、分散型の貨物を扱っている部分についてはいろいろ問題があろうと思います。  それにつきましては、ただ今回の考え方では、臨海鉄道の株は一応貨物会社が親会社になるという形で持たせるということを考えておりますので、親会社と子会社という関係になりますので、その間においてそういう分散型の貨物が立っていくにはどういうふうにやったらいいかといういろいろな知恵を出して、そういう会社が成り立っていけるようにそれなりの、もちろん臨海の方にもいろいろ御努力をいただかなきゃなりませんが、貨物会社の方もいろいろ知恵を出してそういう形を、例えばコンテナにまとめて輸送し、先をまたトラック等で行うとか、いろいろな知恵があると思いますから、そういう中で臨海鉄道が極力やっていけるようにということを今後国鉄と臨海鉄道との間で具体的に詰めさせていきたい、かように思っております。
  58. 安恒良一

    安恒良一君 私はたまたま例で福島臨海鉄道株式会社を挙げただけで、今御指摘のように十三あるわけですね。そして扱っている荷物が必ずしも専貨だけ扱っていないところもたくさんあるわけです。それが今までは荷物を扱って最寄りの国鉄に持っていって国鉄との一貫輸送でやっておったわけですから、私はやっぱりそこのところが、十三の会社には従業員もたくさんいることなんですから、そういう人たちが成っていくようにしてもらわないと、駅は廃止するわ、人は廃止するわ、主として拠点間直行だ、専貨だけやるんだということですから、執拗に専貨で生き残ろうということですが、そうなってくると、いろんな荷物を集めているところはこれはぱったりですわ。  ですから、それらを含めてきめ細かくやっぱり大臣検討願わないと、全然このあれには何にも触れていない。ですから十三の会社は労使とも物すごい心配している、おれたちはどうなるだろうかということを心配していますから、大臣、こっちの方は既に民間ですから、民営しているんですから、これがやっぱり生き残るようにしてもらわないとたまったものじゃないですが、大臣そこのところちゃんといいですか。
  59. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 十分検討させていただきたいと思います。
  60. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃもうこれ以上、私またほかに一つ質問がありますから、貨物問題は申し上げませんが、どうぞ加藤さん、今私が申し上げましたことを含めてもう一遍よくどうしたら本当に貨物会社が生き残るのかということについて御検討いただきたい。どうもオンレール部門だけが先行している。もちろんオンレール部門のいろんなことも必要ですが、いわゆるオフレール部門を含めて本当に貨物会社が生き残れるということについて考えないと、何年かたったらまたぞろこれはどうにもならなかったなということに私はなりそうな気がしてなりませんので、このことは最後に申し上げておきます。  それじゃ、あとこれは地域交通局長さんにちょっとお聞きをしたいんですが、運輸委員会それから内閣委員会の中でも私この前質問をしたんですが、自家用バスの違反の実態について具体的な調査例を挙げて実態調査について報告してもらいたいということで、前回の内閣委員会で全然御返事がないということで、きのう具体的な返事をいただきました。この中で、この表を一々読み上げていただく必要はないのでありますが、まず行政処分を行ったというのが七件ありますが、その行政処分の中身はどういうことになっていますか。
  61. 服部経治

    政府委員(服部経治君) ただいま御指摘の七件のうち、まず一件は、自家用車の所有者がみずからその自動車を運転しまして有償で旅客運送を行うというような違法行為を行ったものでありまして、これにつきましては四十日間の車両使用禁止処分を科したところでございます。それからまた一件は、レンタカーの事業者が運転者つきで自動車を貸し渡ししたものでございまして、これも明らかな違法行為であるということで五十日間の車両使用禁止処分を科したところでございます。それから残る五件のうちまず四件でございますが……
  62. 安恒良一

    安恒良一君 中身はいいですから、どういう処分を行ったかを言ってください。
  63. 服部経治

    政府委員(服部経治君) 残る五件につきましては文書警告処分を行っております。
  64. 安恒良一

    安恒良一君 時間がありませんから最後にお聞きしますが、調査できなかったものというのが三十二件あるんです。  その中で、もう時間がありませんから私から読み上げますと、原簿登録に当該番号がなかったのが十一件、保有者が転々としているため連絡がつかなかったものが八件、再三呼び出しに応ぜずヒアリングできなかったものが八件、警察で捜査中のために調査を差し控えているものが五件とありますが、この最後のところはこれはやむを得ないと思いますね。警察の方にも私はお願いしていますから、捜査が進んでいるからできないというんですが、再三呼び出しにも応ぜずヒアリングができないものが八件なんてこんなばかなことないと思うんですね。よく交通違反なんかやったときも、ある一定呼び出してもだめなときにはとうとう司法処分を警察庁がやっていますね。皆さんが呼び出したけれども、全然出てこないからしようがないとか、保有者が転々としているために連絡がつかないなんていうのも、これも転々としておったって保有者がちゃんと登録されてあるはずですからね。この両方合わしても十六件もあるんですが、こういうところについては厳しく再度調査をする考えをお持ちですか、それともありませんか。
  65. 服部経治

    政府委員(服部経治君) ただいまの先生の御指摘まことにごもっともでございまして、私どもさらに関係の運輸局を督励いたしまして、引き続き調査を続けるように指示をいたしたいというふうに考えております。
  66. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、今お聞きのとおりで、私がこの前具体的な車両ナンバー等を明確にして調査してもらいたいという七十三件を申し上げたのが四月だったと思います。今十二月ですが、この前催促をしてやっと出てきた。出てきたら、その中で、再三呼び出しにも応ぜずヒアリングができないとか、保有者が転々としているために連絡がつかないとか、こんななまぬるい行政ではいわゆる自家用の白バスがはびこることになるんです。やはりこういうところは厳しく調査をし、行政指導するものはするということをしていただかないと、百鬼夜行の実情が、いわゆる輸送秩序が乱れると思いますから、この点については大臣としてはひとつ監督を厳しくして、しかも問題が提起されたらできるだけ早い機会にきちっとするということをしないと、せっかく国会委員会の中で論議をし、そのときには、先生の趣旨を体しまして極力やると言って、後はなかなか極力やらないということになったんでは、何のために国会で貴重な時間をかけてお互いが議論をしているかわからなくなりますので、その点、大臣、こういう点については厳しくひとつ監督指導をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  67. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) この種の違反行為は、ちょっと取り締まりの手を緩めますというと非常にはびこる、いわゆる秩序が乱れるということは私も十分承知いたしております。したがいまして、今後は法の権威にかけてももっときちっとやらなきゃならぬ、このように心得ております。
  68. 安恒良一

    安恒良一君 それから次は、地域交通局長に聞きますが、私が提起した七十三件の処理についてはこういう方向でされた、もしくは未処理のものはしていただきますが、このことを通じて、いわゆる白バスですね、これを今後禁止をしていくために、ふえないようにしていくためにどういうことを、その後行政指導として通達を出したりもしくは行政指導されましたか、そのことを聞かしてください。どういうことをされましたか、具体的に。この七十三件を洗った結果、何と何を今やればいいのか、どうすればいいのかということをお考えになりますか聞かしてください。
  69. 服部経治

    政府委員(服部経治君) 事改めてその後に通達を出したということはございませんけれども、私ども、地方の運輸局の担当部長なり担当課長なりを年何回か中央に呼ぶ機会もございますし、いろいろな機会にこの白バスの防止対策の必要性を強調してまいっておるところでございまして、いろいろと難しい面もございますけれども、私ども今後とも警察当局との連携をより以上に密にいたしまして取り締まりを強化してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  70. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、余り論争きょうは発展をしませんから、宿題にしておきます。  私は、当然あれだけ問題を指摘した以上、現在の運輸行政なり警察行政なりの間にやはりどうしても十分でないところがありはしないか。ですから、この七十三件の中身をよく調査されたら、その反省の上に立って改めてこういうものを追加したいとか、改めてこういうところを強化したいというものが出てきてしかるべきだったと思います。思いますが、今お聞きをすると、ないということですから、ないのにこれより以上論争しても時間がありませんので宿題にいたしておきますから、こういうものをいろいろ実態を調査された上の中で、どういうふうにすれば白バスをなくしていけるかということで、ひとつ方法について次の委員会のときにはお聞きをしたいと思いますので、きょうはこれで終わりたいと思います。どうぞ宿題にしておきます。  以上です。
  71. 梶原清

    ○梶原清君 行革審の加藤参事官お越しいただいておりますので、去る七月二十二日に答申を出されました内容を中心にしまして御質問をしたいと思います。  この答申をめぐりまして業界の中に若干の戸惑いとか混乱とかがあるように見受けられますので、二、三の点について御質問をいたしたいと思います。どちらかといいますと意見を交えての御質問でございますので、そのようにお聞き取りをいただきたいと思います。  余りトラブっておるというわけでございませんが、このような取り組み方、このような考え方をしていただきたいという趣旨で、タクシー事業につきましての当面の措置として乗り合いタクシーの導入ということが挙げられております。深夜における駅と団地との輸送力を確保するという意味からこのような提案になっておろうと思います。  私は、数少ない経験でございますし、たまたまそういう場面にぶつかったかもしれません。と申しますのは、九時以降でございますので、お客さんの中にはお酒の入ったお客さんがおられます。女の方もいらっしゃる。そうした方々が乗用車タイプの車に乗り合わせるということでございますので、やはりこれは避けた方がいい、乗り合いタクシーというものは余り推奨できないんじゃないだろうか、このように私は個人的に思っております。乗り合い旅客はやはり乗り合い型の車でなければいけない。夜のことでございますので、お客さんがそう多いわけではございませんのでマイクロバスで十分だし、また深夜町を走行しますので走行騒音の小さい車でなければいけない。したがってマイクロバスでなければいけない。結論的に言いますと、団地と駅との間はマイクロバスで手当てをするというのがオーソドックスな考え方ではないだろうか、このように思うわけです。そうしたら昼間その車は遊びますね。そこでその事業者としては、採算の点から考えれば、貸し切りバスをやるとかあるいは特定輸送をやるとか、こういうことをしなければ経営が成り立たない。したがって、一つの車で貸し切りもやれば特定もやれば乗り合いもやるという、そのような規制の仕方、現在よりも規制緩和をしていくという取り組み方の方が適切であるように思いますが、御感想はいかがでございましょうか。簡単で結構であります。
  72. 加藤武久

    説明員加藤武久君) 非常に難しい御質問でございますけれども、去る七月二十二日に行革審が乗り合いタクシーの問題につきまして、地域の実情に応じまして乗り合いタクシーを導入するように指摘したわけでございますが、先生指摘のように、タクシーは本来一個の契約で旅客輸送するものでございます。したがいまして、乗り合い的な使用は例外でございますけれども、あくまでも乗り合いタクシーの導入につきましては、行革審で指摘いたしましたのは、大都市近郊の小団地等で乗り合いバスの導入が困難な場合、また、先生指摘のように、大都市近郊における深夜輸送対策として、乗り合いバスの最終便後における乗り合いタクシーの導入を提言しているわけでございます。したがいまして、他の例えば乗り合いバスによって輸送が提供できるといった地域においてはそういったような形の輸送の提供が行われてしかるべきではないか、このように考えております。
  73. 梶原清

    ○梶原清君 おっしゃることはよくわかるんですけれども、今の私の提案しておりますような取り組み方というのが実情に沿う、また弊害もない、このように思うわけでございますので、よくこうした乗り合いタクシー、私は二度ほどの経験しかありませんけれども、そうした実態を踏まえた取り組み方をぜひお願いを申し上げたい、このように思います。  次は、業界で若干の戸惑いなり混乱があるということのテーマでございますが、タクシー運賃のことでございます。  行革審では、当面措置すべき事項といたしまして、「タクシー運賃については、利用者ニーズの多様化に応じ、多数の旅客を運送するタクシーの運賃の設定、」を図る。それから中期的に措置すべき事項といたしまして、「タクシーの運賃適用区域を地域の実情に応じて見直す。」こういう事項が挙げられておるわけでございます。  そこで、行革審での御審議をいただきます際の、どういうことであっただろうかということを若干漏らしていただきたいと思うんですが、タクシー運賃の適用区域を見直すということは、現在タクシー運賃ブロックが七十七ございますが、これを統合していけという趣旨であったのか。それから、当面措置すべき事項として、タクシー運賃の弾力化を図っていけ、このことにつきましてはこれは非常に微妙なことでございますのでいささかはばかるわけでございますが、割引回数乗車券の導入ということを御提言なさっておるのかどうかということにつきまして、簡単で結構でございますが、お答えをいただきたいと思います。
  74. 加藤武久

    説明員加藤武久君) タクシー運賃につきましては、先生指摘のように、利用者ニーズの多様化等に応じまして、多数の旅客輸送するタクシーの運賃の設定、観光地におけるルート別運賃の採用など適切な対応を図る必要があると指摘をいたしているわけでございます。この指摘の趣旨でございますけれども、利用者ニーズの多様化に応じましてサービスに対応した運賃の設定、またわかりやすいルート別運賃の採用といったような適切な対応が必要ではないか、こういったような趣旨で提言をしたと理解をいたしております。
  75. 梶原清

    ○梶原清君 ブロックの見直しについての御趣旨はどうでございますですか。
  76. 加藤武久

    説明員加藤武久君) 利用者ニーズの多様化等に応じて適時適切な対応が運輸省において検討されるのではないか、このように理解しております。
  77. 梶原清

    ○梶原清君 私タクシーに毎日三度か四度は必ず乗るわけでございますが、タクシーというものにつきましての考え方、また国民の、利用者の期待しておりますのは、何といいましてもタクシーは個別輸送機関である。バスその他の大量公共機関と違いまして個別輸送機関である。車一台に必ず運転者の方が一人いる。したがいましてコストが高くなることは当然でございます。タクシーでございますので、車が小ぎれいで、そして運転者の方が親切な応対をしていただく、行き場所が不案内でも運転者の方が確実に安全に届けていただく、ここに僕はタクシーの生命があるように思うんです。そして運賃もとのタクシーに乗りましても同一運賃だ。女の方が、あるいは年寄りの方が、子供が利用しようと安心して支払える運賃である、高い低いかない、こういうことが私は必要であると思うんです。  運輸省の年来の方針といたしまして同一地域同一運賃という原則を守ってきておる、私はこれは絶対に正しい、このように思っておるわけであります。御案内のとおり、京都のMKタクシーの関係で大阪地裁の判決がありまして、同一地域同一運賃の原則はこれは違法である、こういう判決が出ておりますけれども、私はそれは適当でない。判決を批判してはいけませんけれども、やはり同一地域同一運賃という原則は絶対に堅持していかなければならない、このように思っておるわけであります。  そこで、これからその議論になるわけでございますが、運賃ブロックを仮に七十七ありますものを統合していくということになりますと、これは私ごく最近に経験したことでございますが、静岡県の伊豆半島と三重県とが同一の運賃ブロックであります。同一地域同一運賃という原則から同時に処理しなければいけない。ところが、伊豆地区の方は申請がまとまったけれども、三重県の方は申請がまとまらない。したがって伊豆半島の方の事業者の方としてはもう大変な状況になっている。役所の方が取り組みが非常に難しくなってくる、こういう事態になるわけでございます。  したがいまして、私は、タクシー運賃ブロックを統合するということは、表面的に見ますと、形式的に見ますと非常に行政簡素化になるようですけれども、実は複雑な要素を背負い込んでしまうことになる。したがって、無理にあっちの地区とこっちの地区とを統合するというようなやり方は選ぶべきでない、このように思っておるわけです。この行革審の答申の文言からすれば、実情に即して考えていくということでございますから、そのとおりでよいというふうに私どもは理解してよろしいでしょうか。いかがでございましょうか、その点。
  78. 加藤武久

    説明員加藤武久君) タクシーの運賃適用区域につきましては、地域の実情に応じて見直す必要があると指摘しているわけでございますけれども、これは現在のタクシーの運賃適用区域を見ますと、過去の種々の経緯から形成されているわけでございまして、必ずしも合理的なもののみではない。先生指摘のようないろんな事情も踏まえて、地域の実情に応じて見直す必要があるのではないか。交通経済圏との整合性等を考慮するなど、いろいろの地域の実情に応じ、先生指摘のようなことをも踏まえまして見直しを行っていくべきものではないか、このような趣旨でございます。
  79. 梶原清

    ○梶原清君 加藤さんがおっしゃることを私は全面的に否定しようというわけではございません。タクシー運賃の制度につきましては全国相当区々になっております。それをできるだけ合理的に統一をしていくという作業をしなきゃいけませんでしょうし、また運賃認可申請の審査手続、審査事務というのを合理的にやっていくという努力もしなければならない。また、おっしゃるように、地域の実情に合うように運賃ブロックの見直しをするということ、私はそれを否定しないわけでございます。無理に何個に統合しなきゃいかぬということになりますと弊害が出てくる、かえって複雑になるということの御指摘をしたわけであります。  それからもう一つ、タクシー運賃の問題として割引回数乗車券の問題でございますが、私は、冒頭に申しましたように、タクシーというものの性格から同一地域同一運賃というものをぜひ堅持をする方向考えていただきたい。業界の意見を十分に酌んでいただいて、役所と業界とが意を尽くした円満なやり方をしていただきたい、こういうことを希望しておるわけでございます、期待しておるわけでございますが、こうした問題につきまして、服部局長お見えいただいておりますので、そういうことをどういうふうに取り組んでいただくか、御答弁いただければ結構でございます。簡単で結構でございます。
  80. 服部経治

    政府委員(服部経治君) ただいまの先生の御指摘の趣旨を十分踏まえまして、私ども同一地域同一運賃の原則を堅持するという基本方針に立ちましてこの問題に対応してまいりたいというふうに考えております。
  81. 梶原清

    ○梶原清君 次に、大変心配をしておりますことで、昨今の自動車の定期点検整備の実施率が落ち込んでいる。その他いろいろございまして、自動車の安全確保、公害の防止という観点から見まして最近の傾向を非常に心配をしておるわけでございます。  御案内のように、先般車両法の改正が行われまして、自家用乗用車の車検期間を二年から三年にした、新車初回の六カ月の点検を廃止した。これによりまして整備業界の、整備産業のいわゆる仕事量というのが去年に比べてことしは一四%落ち込んでおります。八万工場ございますこの整備業界ほとんどが中小零細の方でございます。私のお会いする方々はほかへ転業しようにも転業できないような方々ばかりでございまして、これの将来というのを非常に心配をしておる一人でございます。この仕事量が落ち込んだというだけでなくて、国民全体が自動車の安全確保なり公害の防止につきましての認識というのが非常に薄らいできた。これがいろいろの形になってあらわれておると思います。  一つは定期点検整備の実施率の低下でございます。五十五年までは相当努力をして五七%ぐらいまで上げてきた。ところがあの車検制度の見直し問題が起きまして以来落ち込んできております。いわゆる車検代行業というものがばっこをいたしまして、今では全国で百六十、それの受検台数が月五千二、三百台を超えるようになっております。こうした車検代行業というのは、何もしないで単に車を洗うだけくらいで検査受けをするとか、検査受けをしてそのまま道路上を走っていく、こういう事態になっておるわけでございます。いかに車の性能がよくなりましても、制動装置の部分、例えばブレーキシューなどは定期交換部品として交換しなきゃいけないにもかかわらず、それがそのまま走っていくという事態になっておることは御承知のとおりでございます。定期点検につきましてのユーザーの認識というものも非常に落ちてきておる。こうしたことによりまして、将来交通安全の問題、公害防止の問題が非常に大きくなってくるということは、確実にそういう時期が来るだろう、私はそう思うわけでございます。  先般の自賠責の保険料の見直し問題のときに、政府の方は五〇%上げたいというのを、私どもはこの低成長の時代に五〇%も上げるということは非常に無理がありますから二九%に抑えなさい、そのかわり、一方において医療費の適正化対策、交通事故防止対策、交通安全対策の拡充強化を図りなさい、こういうことで取り組んできたわけでございます。ところが、最近の警察庁の発表によりましても事故は依然としてふえておる。したがいまして、車の面につきましても定期点検整備を確実に実行して整備不良車なり不正改造車がないようにすることが私は大切ではなかろうか、このように思っておるわけでございますが、運輸省におきまして街頭検査等を実行されて、その結果今のような数字がどのようにあらわれておるのか、整備不良車がどのような傾向をたどっておるのかということについて、概略だけ御披露いただきたいと思います。
  82. 服部経治

    政府委員(服部経治君) 整備業界の実態、それから整備不良車が目につくというような業界の実態、先生の御指摘は一々ごもっともでございます。  直接のお尋ねは、最近における街頭検査の際に発見した整備不良車の数はどうなのか、あるいはその推移はどうなのかという点であろうかと思いますので、その点についてお答えいたしますが、五十九年度中におきます街頭検査の実績でございますが、対象車両数約八万九千台のうちで整備不良車両はその一九・四%に当たります約一万七千台を数えております。そしてこの一九・四%という率でございますが、ここ数年ほぼ横ばいだというふうに理解しております。
  83. 梶原清

    ○梶原清君 先般の車両法の改正のときに、私は点検等の指示制度、整備不良車に対しまして点検等の指示をする、それに応じていただけない方については十万円以下の過料を科せる、こういうことを持ち出しまして、天下の悪法の仕掛け人のように攻撃を受けたわけでございますが、しかし、私は事故防止、公害防止ということを軽視してはいけない。被害者の立場を考えますと、やはりあくまでも整備不良車、不正改造車を撲滅していくという方向で勇気を持って取り組んでいただきたい、このように期待をいたしておりますので、そのことだけを申し上げておきたいと思います。  次に移らしていただきたいと思いますが、ごく最近に埼京線が開通したわけでございますが、それによって、会社名を挙げて恐縮でございますが、国際興業のバスが非常に大きな影響を受けた。開通する直前までバスを運行しなければいけない、もちろん運転手の方もその前日まで張りつかなければいけない、車もそのまま通っている。埼京線が開通しますとこれを別のところへ配置転換をするとか、そういうことをせざるを得ない状況になっておると思うんですが、大体どのくらいの影響を受けたか、収入の面でどういう影響を受けたか御存じでございますでしょうか。
  84. 服部経治

    政府委員(服部経治君) ただいまお尋ねの国際興業の件でございますが、収入にいたしまして約一割、十五億円程度の収入の減少があったというふうに聞いております。
  85. 梶原清

    ○梶原清君 そこで私が考えますのに、埼京線はあの地域における総合交通体系の整備といいましょうか、足をつけるために当然必要であるために建設をされた。それによって、今まで営々としてその地域輸送を担当してきたバス会社が甚大な影響を受ける、こういう事態になっておるわけでございます。そこで埼京線の経営者、したがって国鉄が国際興業に補償をできればよろしゅうございますけれども、なかなかその制度もございませんし、またなかなか難しい話だと思うわけでございます。そこでいろんな方法でこうした問題を解決をしてあげなければいけないのではないだろうか。国際興業はやはり従業員を抱えておられる、そしてこれだけの損失を受ける、打撃を受けるというわけでございますから、何とかしてあげなければいけない。  そこで私の一つの提案でございますけれども、埼京線というのはあの地域における足を整備するために建設をした。そうするならば、東京都なり埼玉県が、そうした地方公共団体が会社に対して長期低利の融資をするということによってその損失を幾らかでもカバーしてあげるということが必要になってくるのではなかろうか。またそのほかの手段もありましょう。直接的な補償ができなければいろんな手段でもってこれをカバーしてあげるという血の通った措置というものが必要になってこようと思うんですが、その辺についてはいかがでございましょうか。どちらが御答弁いただけるんでしょうか。
  86. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 埼京線に限らず、新しい鉄道が開設いたしますと、そこの交通体系が変わりましてそのためにいろいろ影響を受けるという場合が出てくる、これは御指摘のとおりだと思います。もちろん従業員も抱えておられますし、バス事業だけではなく、その他の交通機関でも同じことが起こると思いますけれども、それによります影響というものは時には大きい場合もあるかというふうに思います。  ただ、埼京線について考えますと、あそこに新しい、今までなかったところにいわゆる国電ができるということで、あの周辺一帯はまた新しい交通需要が発生をしてくるわけでございます。そういう意味で、長い目でこれを見ました場合には、その新しい交通体系というもので需要増というものも期待されますし、そういう意味で、埼京線の開通によって影響を受けます一時期はございますけれども、全体の交通体系として新しい交通体系の中にバス会社も適応をしていっていただけるというふうに私どもは考えております。  その間につきましてどのような措置を講ずるかということにつきましては、地域交通局の方からお答えをいただきたい、かように思います。
  87. 梶原清

    ○梶原清君 私は埼京線問題というのを、最近の事例でございましたのでたまたまそれを取り上げただけでございまして、先般福岡で地下鉄ができてバス会社二社が甚大な影響を受けられた。恐らく二十億円ぐらいの年収が減っておるわけでございましょうが、タクシー会社も影響を受けたというので、地方公共団体でございます福岡市にお願いをいたしまして、そして十億円を四%で長期低利の金利で融資をしていただくということで救済をしていただくようなことをやってきたわけでございます。そうしたことを、今埼京線を例に挙げましたけれども、その他の地域におきましてもそういう配慮、きめ細かな心の通った措置をしていただきたい、こういうことを希望しますために御質問をしたわけでございます。ひとつよろしくお願い申し上げる次第でございます。  以上で終わります。
  88. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  89. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  90. 小柳勇

    小柳勇君 まず国鉄総裁に質問いたします。  これは我が党の運輸部会で問題になったのでありますが、去る十二月の六日に衆議院の運輸委員会で関山議員が質問いたしました。それは国鉄広告汚職ということであります。これでありますが、国鉄本社の首脳がかかわっておるという事実について国鉄総裁にその責任を明らかにすべきであると我々主張するのでありますが、質問に対しまして総裁は、その会社と国鉄首脳部との酒席に同席したような事実はわずか二回だけでございまして、これは社会的な常識の範囲でありますと答弁されたそうであります。  ちなみに、広告会社というのは日本交通文化協会あるいは文宣社という二社でありますが、広告の取り扱い量は国鉄内でも横綱格と言われて、文化協会が年間約七十億、うち五十億円を国鉄が出しておる。文宣社は国鉄に約十億円の契約をしておるというようなことでありまして、これに国鉄の幹部が特に癒着をして、言うなら独占的に広告を出しておった。余りにも目に余るので問題になった。ところが総裁はこれは社会的常識の範囲ですとお答えになったそうです。事実は衆議院の議員の方で詳しく調べております。したがいまして、その事実と総裁の答弁は違いますので、直ちに総裁は事実を調査されて、まず、管理体制が業者と癒着しないように、貴重な国の財産でありますから、有効適切に、しかも癒着のない物の購入。なりあるいは今後の仕事をしてもらいたい。そのために総裁に厳重なる事実の調査をお願い申し上げたいが、いかがですか。
  91. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 衆議院の運輸委員会におきまして御指摘の問題が論議されました。私からは、もしそういうことがあるとするならば大変重大な問題でありますので、本人にじかに確かめまして、そこで、今先生おっしゃいましたような事柄が私どもの調査の事実でございますので、これは社会的に常識の範囲内であるというふうにお話を申し上げたのでございます。しかしながら、本件のような類似的な問題が社会、国民の疑惑の目で見られるというようなことであっては決していけない。まして、現在非常に大変な国鉄改革の時期でございますので、こうした綱紀の粛正の問題はまずもって我々肝に銘じて厳正にこれは対処しなきゃならぬというふうに考えておるところでございます。  何遍でも私は本人に確かめましてこれから対処するつもりでございますが、今後とも厳正な態度で本問題あるいはまた全般的な綱紀の粛正に対しましては対応をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  92. 小柳勇

    小柳勇君 新聞報道では、東京北管理局の事業部長となっておりまして、この人一人罪をかぶっておるようでありますけれども、調査によりますと本社の幹部にもそういう疑いがあるということであります。厳重に調査してもらいたいんです。  それから、午前中の瀬谷質問及び安恒質問に関連して一、二質問いたします。  午前中に列車内の広告の話が出ました。加藤先生お見えですけれども、これは監理委員会の宣伝ポスターですね。これはこの間衆議院でも問題になったようでありますから、このことはもう追及しません。こういうことを監理委員会がPRしなきゃならぬほど皆さんの答申が権威がないであろうかと残念に思っておるところであります。  答申は内閣にお出しになったのでありますから、内閣がこれを閣議で決めて国会法案を出しまして、国会がこのよしあしを決めてこれから発足するわけです。どうも皆さんは、既にもう六十二年四月一日分割民営実施される、鉄道会社が発足すると書いてある。これは越権ですね。国鉄にいたしましても監理委員会にいたしましても、自信がないのではないかと私は思うのですよ。本当に今国鉄地域的に六分割、また組織的には二十四分割、こんなにばらばらにしなければなぜ鉄道が運営できないのか。しかも、一番残念なのは、けさ瀬谷君も言いましたけれども、今責任を持って国鉄を運営している総裁以下の皆さんが、民営分割したら鉄道が強くなりますなどということをよくも広告出せるものだと思う。そんなに現在の仕事に自信がないのか。鉄道OBの諸君、今三十万人近くおりますけれども、本当に心で泣いている。自分たちが何十年間守ってきた全国ネットワークの鉄道をばらばらにして、しかも遊休土地なんかをいいところの土地をどんどん財閥に売り払う。そういうことがここ一年か二年の間に実現する。耐えられぬと言っている。鉄道は全国ネットワークで国の経済を支えてきた。将来もそうでなきゃならぬ。  したがって、私は、この広告をお出しになってこうやってPRしなきゃならぬほどの監理委員会を——またこれは越権であります、こういうことは。もう答申お出しになったら、後は政府がどうこれをさばくか。また、けさの電車の広告もすぐ撤去をされるかどうか。まあ小さい問題ですけれども、しかし大きく考えて私は総裁に質問しておきたい。
  93. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 午前中もお答え申し上げましたが、政府答申は、十月の十一日に国鉄改革に関する骨格につきまして閣議決定が行われております。私どもも実務の当事者といたしまして、これからの法案作成という準備作業に向けて携わっておるわけでございますが、それにいたしましても大変難しい重要な課題でございますので、あらかじめ事前に国民国鉄の気持ちをお知らせしてよく御理解をいただきたい、こういう趣旨で今回PRの広告を掲載させていただいたわけでございます。  しかしながら、申し上げるまでもなく、本国鉄改革案というものは、これから法案に煮詰め、それが国会の御審議を得まして成案を見た後に日の目を見ることはもう当然のことでございます。念のため、国会の御承認をいただいた後にスタートをいたしますというようなことも付記をさしていただいておるわけでございまして、これらの真意をひとつお酌みいただきたいというふうに思う次第でございます。
  94. 小柳勇

    小柳勇君 新総裁の苦心はわかりますが、国鉄分割して民営化することが強くなりますとか生き生きとなりますとかということはまだ早いじゃないか。  私は加藤先生に御質問したいが、先生は、四月一日答申だと、こうここに書いておられる委員の一人ですけれども、例えば鉄道貨物会社をつくりますと、もうことしからずっとダイヤ考えまして、さっき答弁がありましたように、二月でないとまだお答えできませんと。来年の十一月のダイヤ改正をもうことしの八月からやっているんでしょう。ダイヤ改正というのは一年あるいは一年半、各局から専門屋が出ましてかかるんですよ。それを六十二年の四月一日、もうその年の四月でしょう、まだ普通の旅客会社のダイヤも決まっておらぬ。後でまた鉄道貨物会社は聞きますけれども、その中で貨物列車が走っていかなきゃならぬのです。機関車の運用あります、貨車の運用もあります。そういうふうに簡単に、この六十二年四月一日までに簡単にできないと私ども考えています。したがいまして、加藤先生方が六分割されたが、あの中では二分割でいいではないかという話もあったようだ、委員の中では。  先生、この六十二年四月一日ということでもう宣伝はやっておられますが、あの貨物会社一つの例でそうですが、これを先生今質問してもそれは無理ですとおっしゃるかもわかりませんが、これを五年間ぐらいかけてやる、そういうお考えになりませんか。
  95. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 今のパンフレットの件をちょっと申し上げておきますが、委員会といたしましては、そのような考え方に自信がないからパンフレットをつくったのではございません。むしろこれでいけば大丈夫だということを知ってもらいたかったということがつくった理由でございますが、しかし、ここはいろいろ考えの相違もございますので、私は今ここではそれ以上申し上げません。  同時に、私が申し上げたいことは、その委員会のパンフレットにつきましては確かに早過ぎたということがあるかもしれません。そこでその一番後ろには今度は、この法案を審議した上でこういう方向になりますということをつけ加えてやっております。そういうことでひとつそれは御了承いただきたいと思うんです。  さらに、御質問の問題でございますけれども、私は確かにこの問題は大変な問題ということはわかっております。しかしながら、実は国鉄の改革は早くやらなきゃもうだんだんひどくなるというのが私どもの認識でございます。したがって、そのだんだんひどくなるということから考えますと、もうこの改革は実は三十九年からなさるべき改革であった。いや、人によっては、すぐれた経営者の中には、既に二十六年からやるべきであったという提案もあるくらいでございます。したがって、早くやる方が望ましいということでございますから、全力を挙げてやれば大丈夫間に合う、こういう認識のもとに私どもは出発しております。
  96. 小柳勇

    小柳勇君 鉄道貨物会社を十一月までに国鉄は計画を出せと言われた。計画ははっきり出ていません、まだ。その責任はどこでしょうか、運輸大臣に聞きます。
  97. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 私どもは、再建管理委員会の御意見貨物会社については基本的な方針をお示しいただいたというふうに考えております。それに基づきまして具体的な作業というものをいろい方行いまして、先ほど来御説明申し上げましたように、先生も今おっしゃいましたように、これなかなか大変な作業でございます。そういう意味で、一応私どもはある意味でこういう形で貨物会社をスタートさせ得るという具体案というものは十一月までに得た、かように考えております。あとはこれを具体化するための作業というものを国鉄において行う、こういうふうに考えております。
  98. 小柳勇

    小柳勇君 それでは少し聞きますけれども、年間の輸送量はどのくらいの予定ですか。
  99. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先ほども申し上げましたように、今回の案は、まず骨格でございまして、基本的考え方を明らかにいたしまして、一応その中で想定し得る、現段階で想定し得る数値というもので六十二年度を考えております。したがいまして、私どもは一応の試算であるというふうに考えておりますが、その中におきましては六十二年度の輸送量を五千五百万トンというふうに想定しております。
  100. 小柳勇

    小柳勇君 それから、五ケ年間の進捗度状態、延伸状態はどうですか。
  101. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先ほども申し上げましたように、一応の試算でございまして、ただいまのところは一応六十二年度でのスタート時点の計算しかいたしておりません。それで今後具体的に二月までの間にダイヤを詰め、さらに法案を提出いたしますまでの間に長期的見通しその他についてもいろいろな検討を加えて御審議をいただきたい、かように思っております。
  102. 小柳勇

    小柳勇君 じゃ、来年の十一月の改正で貨物列車動いていきますが、六十二年だけ計算しておって、どういうふうな将来、それからその次の年のどういうふうな計画いたしますか。
  103. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) ただいま申し上げましたように、一応現在のところは六十二年度の数値だけを計算をいたしております。ただ、私どもはこれで一応貨物会社骨格というものを考え、一応の試算としてのスタートということを考えたわけでございまして、ただ、かなりいろいろな意味でいろいろな見積もりをいたしておりますので、それを具体化する段階におきましては、先生おっしゃるように六十三年度、六十四年度というものについての数値のようなものは得ていきたいと思いますが、一応私どもはこういうことでスタートしても、後ある程度経営努力を行えば貨物会社としてやっていけるというふうに考えております。
  104. 小柳勇

    小柳勇君 これは監理委員会及びあなた方の分割の案ですけれども、こちらの会社、ここの会社、ここの会社及び三つの島、まだ旅客列車の動きなどというのは全然計画なりデッサンもない。にもかかわらずどうして貨物列車がそれだけ数量的にはっきり計算できますか。
  105. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 今回の試算をいたしますに際しましては、六十二年度の民営分割の際に、貨物会社旅客会社の間の関係は極力現在の両者の間、貨物列車旅客列車の間というものを基本にして物を考えていきたいというふうに考えております。それで具体的には、先ほど十一月のダイヤ改正ということを申し上げましたが、十一月のダイヤ改正旅客も同様のダイヤ改正をいたします。したがいまして、二月までの間に詰めますのは、単に貨物の問題だけではございませんで、旅客との関連も含めまして具体的な案を考えていきたい。  ただ、基本的には、現在の貨物列車、それから荷物専用列車を廃止いたしますのでその分も若干あきますが、そういうようなものを基本に考えまして国鉄の方で六十二年度で一応想定できるであろうという列車設定を行いまして、その上に基づいた貨物量等の試算を行ったということでございます。
  106. 小柳勇

    小柳勇君 鉄道貨物だけについて問題ありますけれども、また法案でも出たら詳しく一つ一つ厳密にやりますけれども、きょうは概論的なことです。  午前中に安恒君が一貫輸送体制など言いましたけれども、全般的に、例えば海運なりあるいは自動車なりあるいは航空なりの貨物輸送量、移動など全部の数字も上がっていますか。ちょっとそれ言ってください。
  107. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 全体の貨物数量のはちょっとただいま手持ちがございませんので、後刻調べましてまた御返事申し上げます。
  108. 小柳勇

    小柳勇君 きょう通告していなかったから今数字はないかもしれませんけれども、一番今問題にあるのは、これも加藤先生も御存じのとおりですけれども、例えば午前中の話で安恒君は、トラック通運事業が持ってきて、これで運びますと、こう言っている。その通運事業の通運事業法というのがございます。これは国鉄は十数年前から私のところにも来ていました、先生通運事業法を何とか見直しできないかと。それすらできない。その通運事業法の見直しすらも運輸省ができない。通運業者がいろいろ権益あります。そして今総合交通体系もまだない。これは私は表を持っていますが、今責めません、棚橋さんも予告がないんだから。  しかも、今動いているトラック、八百三十万台ぐらい動いているけれども、本当に青ナンバーつけているのは五十四万台しかいない。あとは全部白トラ。それが自由に走っている。けさも言ったように、二七通達を守れば九州から東京まで四泊五日かかるのに二泊三日ぐらいで来て、もう三年ぐらいで体がもたないからやめちゃう。運輸省はこれを十数年、もう私も二十年ばかりこれ言い続けているんだけれども、全然そういうものはやる気力もない、やらない。そしてただ鉄道貨物の赤字ばかり言う。そういうような感触。  私は、けさ彼が言ったように、この鉄道貨物会社というのは本当に五年したらもうだめじゃないか。今例えば国鉄の本社の中で貨物局なんかにおられる諸君は暗い気持ちじゃないかと思うよ。それは命令だからやっておられるけれども。そういうものを考えて、恐らく加藤先生なんか、鉄道貨物というのは本当にこれはゼロでいいというようなことで答申を出しておられるんじゃないかという気もしてならぬのですが、私は、エネルギーの問題でもあるいは将来の運転者の労働条件などを考えますと、鉄道貨物というのは今よりももう少し充実をして、もっと輸送量をふやしていかなきゃならぬと思うんです。  いろいろ幾つかの問題今一緒に言いましたけれども、まず基本的に、監理委員会として、鉄道貨物はもう四、五年したらこれはしようがない、もうゼロ論。例えば角本さんなんかこれはゼロ論ですからね。もう貨物なんかゼロでいいというような理屈だったですから。加藤先生いかがですか。
  109. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 私はよく人に誤解されるたちなんでありまして大変残念なんですけれども、例えば旅客につきましても、私は国鉄を解体しろとか、あるいは国鉄について将来なくなってしまえとか、そんなことを言った覚えは全くございません。私は、むしろ鉄道事業というものを何とかして確保して生かしていかなきゃいかぬ、こう考えております。その一環といたしまして、貨物につきましても私は将来なくなっていいとは全く考えておりません。逆にむしろここで競争力を強化して、貨物というものは十分に競争力においてやっていける可能性はある、またその方法をつくらなきゃならぬ。今先生のおっしゃった通運の問題につきましても、私ども意見書の中でもってそれを考慮いたしまして、このようなオフレールにつきましては大いにこれから政府において検討しなきゃいけません、こういうふうに申し上げております。
  110. 小柳勇

    小柳勇君 それでは運輸大臣、これは非常に重要な問題ですからね。一口で言えば総合交通体系の確立ですけれども、そういう抽象論を言っても始まりません。貨物について申し上げますならば、一つの規制緩和の方向に今ありますけれども、規制緩和をやりましても、自由競争、この競争を野放しにしますと、本当に運転手、労働者が体をすり減らしながら運搬して、低運賃で運ぶ、これと鉄道貨物競争はもう絶対できません。それが今の鉄道貨物一つの大きな没落しつつある原因だと思うが、例えば白トラの取り締まりなり、規制緩和という名の自由放任なり、それをもう少し今の貨物輸送体系を整理する、一貫輸送をやるという立場から整理される決意を聞いておきたい。
  111. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 午前中も御答弁申し上げましたし、今先生の御指摘もございました。  やはり一つの流れ、方向としましては、今の内閣挙げて規制の緩和ということを一つの合い言葉にしていろいろやっておるわけでございますから、ひとり鉄道だけが規制を強化しながら今後の貨物会社を保護するということはまずできないことであろうと思います。したがいまして、先生がおっしゃいました、現在の法規の中でややルーズになっている点はきちんとして取り締まっていく。例えば白トラの問題そのとおりでございます。あるいは一貫性を持てということでございまして、これもそのとおりで、これもまたその一貫性いろいろございますが、午前中安恒先生の話の中にはオンレール、オフレールの話もございましたし、そんなことも考慮してまいらなきゃなりません。  いずれにいたしましても、やはり鉄道の持つ特性というものを今後生かしていく、さらに有効にこれを利用していく。それは大量輸送であり、あるいは旅客ほどじゃございませんけれども、やっぱり定時性ということも国民の信頼を厚くすることでございましょう。あるいはまた迅速性とか利便性、今やもうドア・ツー・ドアの時代でございますから、大型の貨物にしても小さな貨物にしても他の部門にとられておることは、この点において国鉄は欠けている。例のクロネコにいたしましても、そういったもの、やっぱり利便性、迅速にサービスもよくてやるというところに私は今後やっぱり鉄道は学んでいかなきゃならぬと思う次第でございますし、さらにまた運賃の面においてももっとコストダウンしながらひとつこれらに太刀打っていくというようなことで、打って一丸となり、寄ってたかってみんなでひとつ知恵を絞りながら、しかも今申し上げました合理性というものを追求して、そしてこれからの新しい貨物会社に対してみんなが協力をし合っていくということでなければ容易な問題じゃないということは私も十分承知しておりますが、方向づけはもう決まったのでございますから、私ども政府としてもその方向でひとつ協力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  112. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃ、一つの具体的な問題を約束をしておいていただきたい。    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 それは、国鉄からは運輸省に言うことができないかもしれぬが、通運事業法を次の通常国会までに見直す、それはどう見直すかは私今ここで具体的には言いませんが、見直して次の通常国会ぐらいにこの委員会で私が質問した場合に答えるということを返事してください。
  113. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 今回の貨物の改革案の中には、先生指摘のように、通運との関係を明確にしなければならない点が多々ございます。そういうような関係で、この貨物の改正に関連いたしまして通運事業法につきましては所要の見直しを現在検討しておるところでございます。
  114. 小柳勇

    小柳勇君 ちょっとはっきりわからなかった。語尾をはっきりしておいてくださいよ。
  115. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 通運事業法につきまして所要の見直しの検討を現在行っておるところでございます。
  116. 小柳勇

    小柳勇君 これからの鉄道貨物輸送の一番基礎ではないかと思いますから、約束を——私はこの次の国会にまた質問しますからね。  もう一つは、いま少し白ナンバーのトラックを青ナンバーにかえて運行を規制するような処置をとってもらいたい。まあ今規制緩和の方で逆の方向に行っていますけれども、私は反対です。この輸送体系というのはずっと今の規制緩和の方向に行くのは反対です。したがって、もう少し青ナンバーをふやして、そして責任ある、国の物量を、大体今六十億トンのものが動かなければ一億二千万の生活できないんだから、それは政府の責任ですよ。ただトラック業者が金もうけで自由競争をやらせることは私は反対です。もしものことがあった場合それはもう間に合いません。したがって、もう少しこの白ナンバーを青ナンバーにして、そして政府がちゃんと秩序を守るという約束をしてください。これは運輸大臣に答弁してもらいましょう。
  117. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 先般来、今御指摘の問題につきましてはいろんな業態から私直接陳情書もちょうだいし、またいろいろ御指摘もちょうだいいたしておりますので、その都度厳しく取り締まり、こんなものはちょっと油断しておりますというとだんだん秩序が乱れていくということでございますから、法的にも、法の権威にかけてもきちんとしていかなければならないというふうに強く私も信念的に従来から思ってまいりましたし、今後ともその線でひとつ取り締まり当局等とも十分連絡をとりながら厳しく対処してまいりたいと思っております。
  118. 小柳勇

    小柳勇君 それから、言うまでもありませんが、今道路予算を使って第八次の五カ年計画をやっておりますけれども、道路の延伸というのはなかなか間に合いません。自動車産業の方はどんどん、少なくとも三百万台ないし四百万台にふえる。現在動いている車の数は大体四千七百万台ある。だから交通渋滞で将来私は本当にもう困ると思う。同時に、いま一つはエネルギーの問題ですね。今余り心配ありませんけれども、エネルギーが近くまた心配になるようなときも来ると思うが、とにかく鉄道貨物をもう少し一貫輸送、総合輸送などいろいろ考えながら、今よりも鉄道輸送を伸ばすという方向鉄道会社が発展するように計画し指導するということを答弁してもらいたいが、いかがですか。
  119. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 私ども、試算におきましては現在で想定されるものを手がたく想定をしてやっておりますけれども、基本的には、先生おっしゃいますように、もっと鉄道貨物にさらに荷物が移ってくるようにというふうな貨物鉄道でなければならないというふうに考えております。そういう意味で、先ほど来御議論のございましたように、オンレールばかりではなくオフレールの面も広く考えまして、鉄道貨物が少しでも多くなるように、また監理委員会からは、御説明申し上げましたときに、この将来が明るい会社で職員が明るい気持ちで行けるような貨物会社というものになるようにもう一段と努力をするようにという御指摘もいただいております。そういう意味で将来性のある貨物会社になるようにさらに具体的に検討したい、かように思っております。
  120. 小柳勇

    小柳勇君 もう貨物会社と同時に旅客会社も分割せぬで一緒にひとつ同じ線路を走るように考え直してもらいたい。それはまた後でやりましょう。  先般四国の鉄道を三日ばかりかけて調査してまいりました。それは新線建設及び第三次ローカル線廃止に入りました中村線、新線建設は宿毛線と阿佐線でありますけれども、そのときに地域住民及び副知事さんなどからお聞きいたしました。四国の鉄道が分離される、あるいは分割され民営化されて鉄道がもう廃止されると一体四国の経済はどうなるかという心配であります。そういうことでありました。  それはまた別の機会にいろいろ具体的に質問しますけれども、きょうは、四国、九州、北海道、私どもは三島の分離はこれはもう絶対反対しなきゃならぬと言っておるんですが、九州の鉄道を例にとって杉浦総裁も加藤先生も、九州鉄道はもう五年ぐらいしたら黒字ですよ、こういうことを一日懇談会でも言っておられるんです。杉浦総裁のこの間の記者会見はここに大きく新聞に出ております。その中で、私どもの計算では、ずっと過去五カ年間運輸収入というのをとってみますと、三%ぐらいずつずっと落ちているわけです、収入が。運賃値上げしたにかかわりませず落ちている。先生方の答申内容は、六十二年からずっと三%ないし五%収入がふえるような、それで五年先には何億もうかりますよというようなことも言っておられますね。その計算についてはまだ別にやりますけれども、きょうは、車両が三島の車両は本州の車両よりも古い。だから総裁も車両をやっぱり半分ぐらい新しくかえておきませんと後大変ですねとおっしゃっています。この点、総裁が記者会見しておられますから、その真意をまず総裁からお聞きしておきたいんです。
  121. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 九州を初めといたしまして、九州、四国でございますが、車両の問題としましては、車両の老朽度合いが全国平均よりも悪いという問題がございます。したがいまして、今後の新しい経営形態を論ずる前にやはり老朽車両につきましては、今の非常に切り詰めた予算ではございますけれども、何とか新しい車両を九州、四国に入れていきたいというようなことで現在具体的な中身を詰めておるところでございます。  耐用年数は超えたものでありましても、現在の民鉄等におきましてはかなりそれを超えた時期におきましても使用しているという実態がございますけれども、そうしたことも踏まえまして、特別な改修繕等も含め車両の改良あるいは新車の導入というようなことをできるだけやっていきたい。しかしながら、なおそれでは足らないということもございますので、新しい会社になった場合におきましても、減価償却費等の枠内におきまして車両の取りかえなどを行っていくようにしたいというのが当面の私どもの考えでございます。
  122. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、新会社に移行する前に三島の車両は半数以上新車にかえてやる、かえておく、こういうことですか。
  123. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) まだ数量的に半分以上と先生おっしゃいましたような数量を確定しておりませんけれども、できるだけ予算の範囲内で多くの車両を新車にかえたいというつもりでおります。
  124. 小柳勇

    小柳勇君 私はここに三島の旅客車及び車種別の製作年度別の表を持っているんですけれども、もう耐久年度を超えたようなものが半数以上ある。例えば総裁の発言の中で、九州は車両が現在千七百九十六両あります、そのうち六五%ぐらいはこれはちょっとかえなきゃなるまいと。そうしますと六五%の千百六十七両、これを十年で百十八両、これは一両一億円といたしましても年間百十八億円。これは九州だけですが、四国も北海道もそうですが、車両だけをとりましても、監理委員会答申しておられる基礎の数字の中にはこんな車両の取りかえ費などは将来のやつも入っていないと思うが、これはどうですか。
  125. 加藤寛

    参考人加藤寛君) これは老朽車両の取りかえも含めまして、改造も含めまして維持更新費の中に入っております。したがって、九州の場合も百五十億から百六十億円ぐらいを想定しております。
  126. 小柳勇

    小柳勇君 百六十億ですか。
  127. 加藤寛

    参考人加藤寛君) はい、百五十から百六十億。
  128. 小柳勇

    小柳勇君 それは車両だけですね。あとの物件の取りかえなどについては、今申し上げましたように、千七百九十六両九州は車両ありまして、その半分をかえましても、あと今度はまた五年しますとかえていかなきゃなりませんね。そういう取りかえの費用はどうなりますか、将来のやつは。
  129. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま百五十ないし百六十億円というふうに申し上げましたのは、車両だけではございませんで地上設備も含めたいわゆる取りかえ投資、これの額でございます。私どもとしましては、過去の実績というものを参考にいたしまして、今後必要となるいわゆる取りかえ、維持更新というものについての経費というものを計算いたしまして、それを今後の収支試算の中に全部織り込んでおるということでございます。この維持更新は、今申し上げましたように、老朽車両の改造等を含めた維持更新投資、さらに地上設備の取りかえというものも含めたものが百五、六十億ということでございます。
  130. 小柳勇

    小柳勇君 林さんの答弁はっきりわからぬけれども、少なくとも発足の前に六五%ぐらいの車両は新車にかえてやりますと。それじゃ線路の腐朽に対する維持費とか修繕費とか、あるいは駅舎あるいは橋梁その他物件費などについては、年度によって腐朽してまいりますので、現状の改良とそれから改善費、そういうものについてはどういうふうにして入ってますか。
  131. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今申し上げましたように、年間百五、六十億、これは年間でございますから、今後毎年百五、六十億程度のいわゆる取りかえ投資というものの費用を見込んでおるわけでございますが、これは車両について改造等を現在行っておりますので、その改造等に要する費用、あるいは地上設備について、レールの取りかえとかあるいはトンネル等の老朽化した設備の取りかえ、維持更新というふうなものがございますので、そういうものを過去において、例えば九州を例にとりますと、九州において投資をされてきた程度のものは今後も引き続き投資が行えるように収支計算上見込んでおる、こういう意味でございます。
  132. 小柳勇

    小柳勇君 まだずっと具体的に数字を追っていきますと、いろいろ疑問点がございます。したがって、きょうまだ一般質問でありますが、概括的な質問ですけれども、鉄道貨物会社にいたしましても、ダイヤ改正をするにしても旅客会社のダイヤもやっぱりできなければ本格的にできないだろう。来年の十一月の貨物列車の改正、これで貨物駅を半分ぐらい減して、人間を減して、とにかくこの余剰人員を出してくるというような非常に概括的なというのか、推計によってどんどん実績がたまっていっています。このように急いで何でもかんでも六十二年の四月一日にやっていかなきゃならぬ、やらなきゃならぬ、恐ろしいぐらいのものを感じます、日本の将来に対して。ローカル線の問題もあとたくさんございます。  これからの産業構造の変化、今大都市中心でずっとやってきましたけれども、これから地域の方にいろいろ情報産業など発展してまいりましょうが、その将来の日本の産業構造の発展などを考えますと、せっかくある二次線、三次線をこれでバス転換してレールを取っ払って一体どうなるであろうか。またこれを十年先、二十年先に鉄道を敷設するなんということは恐らくもうできないであろう。そういうことを考えますと、本当に私どももずっと今まで長い間鉄道を見てき、携わってきました者としては本当に驚くばかりです。加藤先生なんか学問的立場で客観的に見ておられるから結果もわかるでしょうけれども、実質はもっと深刻ですね、本当に深刻です。だから、先生方が一日懇談会とか説明会などで発言されたのがぴんぴん我々に返ってきます。はあこんなことを考えておられるかなと本当に驚くこともございます。  したがいまして、今もう監理委員会答申は出たのでありますから、これから政府に我々もいろいろ対案を出しながら論議してまいりますけれども、こういうふうにして何でもかんでもこの再建監理委員会答申そのままでやっていかなければもうけしからぬというようなことではなくて、運輸大臣国鉄総裁も、国鉄の幹部の諸君の中にも運輸省の中にもいろいろ違った考えの人もあるだろう。そういう意見については大胆にやっぱり取り入れながら、不可能は不可能として処理してもらわぬと、日本の将来に対して非常に心配であります。  きょうは時間がないものですから、また改めて具体的にずっと質問していきたいと思うんですけれども、以上取りとめのない意見も申し述べながら、運輸省並びに国鉄の今後の具体案づくりの中で慎重にやってもらいたいことをつけ加えて質問を終わります。ありがとうございました。
  133. 矢原秀男

    矢原秀男君 運輸大臣途中で退席されますので、大臣関係の御質問の分を先に質問しておきたいと思います。  一つは、航空政策の抜本的な見直しを進めておりました運輸政策審議会の航空部会、これが報道によりますと、九日、昨日、事業分野に対する規制の撤廃を骨子とした中間答申山下運輸大臣に提出をされた、こういうふうに出ているわけでございます。こういう紙面を拝見させていただいておりますと、具体的には、日本航空が独占している国際線に他社の参入を認める。二番目には、日本航空を完全に民営化する。三番目には、国内線でも競争を促進するため一路線に二、三社の乗り入れを認める。こういうふうな中で航空行政の転換というものに大きく中間答申では触れているわけでございます。これを受けた政府、これはもちろん航空各社の業務範囲を縛ってきた航空憲法——四十五年の閣議了解、四十七年の運輸大臣通達、こういうことを今月十七日の閣議を経て廃止をするやにも聞いているわけでございます。  私も懸念をいたしておりますことは、航空業界自由競争時代、大量輸送というこういう時代に突入をして、利益の面、そうしていろいろの問題が浮き上がってくるわけでございますけれども、やはり国際線の複数社、こういうふうなことのルールもつくらなくてはいけないし、日本航空に与えられている既得権の扱いをどうするのか。そして日本航空と他社の企業格差の調整、対等な競争条件の確保、また国内線の路線の配分の再構成、自由化に伴う採算の立たない路線の維持、こういうふうなことが大きな今後の課題になろうと思います。  来年の三月が最終答申の予定となっておりますので、関係では非常に鋭意進めていかれるのではないかと思うわけでございますが、先ほど申し上げたように、この航空大量輸送時代のサービス向上、また企業体質の改善、国際競争力、こういうことと兼ね合って、先般も事故が起きましたように、安全性の確立というものがこの審議会で本当にどれだけ真剣に討議をされたのか、こういう懸念を持ちながら、この中間答申、こういうことが出てきたわけですけれども、安全性の確立、これは国民も非常に自由競争になればなるほど不安感を持っていると思うんです。これらを兼ね備えた中で、運輸大臣とされましては、こういう中間答申に対して今後の御所感、対応、それと、国民の皆さんが、利用者が非常に不安感を持っていらっしゃる、我々が文句を言っても手の届かない、このように国民が感じている安全性の確立との兼ね合い、こういうことに運輸大臣はどういうふうに対処されようとしていらっしゃるのか、まずお願いしたいと思います。
  134. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) ただいまの御質問でございますが、基本的には、御案内のとおり四五、四七憲法と言われるように、昭和四十五年の閣議了解と四十七年の運輸大臣の通達によってそれぞれ三社の分野が示されておったわけでございます。それから既にもう十五年ないし十三年たっております。航空業界は全く一変していると申し上げても差し支えないかと思いますが、あわせて、国際的な立場からこれを見た場合には、デレギュレーションという一つのはやり言葉みたいに、アメリカが前大統領のときからこれを積極果敢に実施をいたしておりますし、ヨーロッパ諸国等についてもこれに追随するようにだんだん規制の緩和が行われているという現状からいたしまして、さらにまた日米の現在の置かれておる航空協定の内容からしても、やはりあくまでこれは一つの互恵条約でございますから、そういう立場からすると、さらにアメリカから入ってくるのに対して日本はこれに指をくわえておるわけにはまいりませんし、現実問題として日航以外にも力のついた航空会社が次々に出てきている。そういった日米間の不平等の是正等もあわせ考えて、この際当然これらの問題について是正すべきであるという見地から、私どもは運政審にお願いをして御審議をいただいたわけでございます。  そこで、今お話がございました安全性の問題は、かねがね私はもうこれは土台である、あらゆる交通機関において安全性がまず土台となるのはもちろんでございますが、一たん事故を起こした場合のその事故の重大性にかんがみて、とりわけ航空機についてはそういう考え方から常々申し上げてまいりましたし、今度の答申の中にも安全性についてはその確保を基本としつつ、これが基本であるよということは触れてあるわけでございますが、ただ、細かな条件等からしますと、ほかの問題が非常に多岐にわたっておりますので、やや字数において少ないようでございますけれども、あくまで安全性は言うに及ばずだよというそういう観点に立ってこの運政審の答申も書かれておる、こういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  135. 矢原秀男

    矢原秀男君 この点もよく留意をしていただきたいと思います。  それから、運輸省の航空事故調査委員会、きょう現在までどの程度の進展を見ているのか、簡単にお願いいたします。
  136. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) お答えいたします。  航空事故調査委員会といたしましては、今回の日航機事故にかかわる航空事故調査につきまして、八月十三日に現場調査を開始して以来、三回にわたり経過報告を公表し、飛行記録装置等の情報あるいは後部圧力隔壁の破損状況を明らかにしてきたところでございます。その後、十月の初旬には事故調査にかかる主要な機体残骸の収客を終えまして、現在機体残骸の詳細な調査あるいは音響分析資料の収集等、本格的な調査を開始したところでございます。また、現場調査の結果知り得た事実につきまして、現在整理中でございますが、これがをとまり次第これを中心といたしました経過報告を行いたいと考えているところでございます。
  137. 矢原秀男

    矢原秀男君 西村局長に伺いますが、そういう中で、この十二月の六日、米国の国家運輸安全委員会が米国連邦航空局に対して五項目に上る安全勧告書を出した、こういうふうに伺っているわけでございますが、運輸省としては、航空局としてはどこまでこの問題に対して事実をつかんでいるのか、お願いしたいと思います。
  138. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 米国の国家運輸安全委員会からFAAに出されました、米国連邦航空局に出されました勧告につきましては、その内容運輸省連絡が入っております。この勧告を私ども、これは事故の再発を、非常に注意深く万全を期した体制で事故を防止していこうという姿勢のあらわれと見ておりまして、その点でこの勧告を評価しているものでございます。
  139. 矢原秀男

    矢原秀男君 彼らのまとめた段階というのは私も共感を得るわけですけれども、一つは、七千二百メーターを洋上飛行中、機内で減圧、垂直尾翼の大半がなくなり、四つの油圧系統が機能しなくなったという事実から、後部の圧力隔壁、これが飛行中に破裂し、与圧された客室内の空気が胴体後部に噴出、結果として垂直尾翼の大半や補助動力装置が吹っ飛んだ。こういうふうに、アメリカで製造されているわけですから、向こうでも非常にきちっとけじめをつけながら非常に早く手を打っている。事故調の方に、日本としては非常に真剣に詳しく時間をかけてやっていただきたい。そしてまた、対応する対策が出ればそれを完全実施を守らしていく、こういうことも大事だと思うわけでございます。これどうか今後慎重によく詳しく検討していただいてすばらしい対応を出していただきたいと思うわけでございます。これは大臣、ちょっと時間がございませんので私要望だけをいたしておきます。  そこで大臣、五項目の再発防止として米国の国家運輸安全委員会では、今も申し上げておりますが、一つは、通常、与圧されていない尾翼部に圧力がかかっても破壊に至らないようにジャンボの改修をする。二番目には、四系統ある油圧システムがすべてだめになることがないように設計変更する。三番目には、後部圧力隔壁は、一部壊れても全体の破壊につながらない設計になっていると言われていたが、ジャンボとボーイング術については隔壁の設計を再考する。四番目には、これまでの隔壁の修理のされ方を再考する。五番目には、隔壁の定期チェックの際、目で見るだけでなく、もっと科学的な手法を使うように整備方式を改める。この五項目となっているわけですが、我我が見ても非常に納得のいくきちっとしたものを出しているわけなんですね。日本では運輸省の事故調はまだ今検討段階でございますけれども、こういう五項目が明確になっている。  こういう中で、運輸省として、勧告の該当機種が日本航空と全日空には多数あると思うんですけれども、これに対して、日本の方で調査結果のあるいはまとめが出ておらないから、その面もありますけれども、ここまで向こうでは明確に出している。これの接点、それをどうするのかという問題もあるんですけれども、この五項目は非常に明確、しかも事故に対してこれは的確、そういうふうに私感じているんですけれども、運輸大臣としては、この五項目に対して、事故調の調査が出てくるまで待っていらっしゃるのか、それとも、この五項目がこういう的確にできた段階の中で日航や関係会社に対してどのような指示を与えていくのか、そういうような点をまず運輸大臣に伺いたいと思います。
  140. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 今御指摘のとおり、五項目につきまして運輸省がアメリカのFAAにこの点を指示をしたと申しますか、通告をしたわけでございまして、この運輸省の指示に基づいてFAAはメーカーであるボーイングにさらに指示することに相なるかと思っております。  私は、この問題一つとらえてみても、今回の事故にかんがみ、私ども当局がこの事故の原因究明、特に事故調を中心としていかに徹底的にやっていくかということをまず御判断いただきたいと思うわけでございまして、世界で七百機近くのボーイングが飛んでいると思います。今の五項目には一部767も入っておりますが、大部分がジャンボでございますから、我が国にはたしか六十九機がそこら、約七十機だと思っておりますが、世界の十分の一程度ありますけれども、しかし、今回の事故にかんがみて徹底調査をしたからこそそういうことをFAAに通告し、またメーカーの……今私が答弁申し上げましたこと、若干私の認識の間違いがありまして、米国のNTSBというところから五項目の改善はなされたということでございます。しかし、いずれにいたしましても、こういう改善をやるということは、我が方の事故調の今日までの調査に基づいてこれをやったわけでございますから、もともと基本となるものは私どもの事故調の調査であると私は認識をいたしております。  したがいまして、全体的な調査は完了いたしておりませんが、とにかく大量輸送時代に一つ間違えばあのような大事故につながるのですから、逐次私どもとして解明できたことは、メーカーの勧告を促しながら、より乗客の安全を期するために私ども今後ともそういう態度をとって、今日まで神話と言われておったあのジャンボでございますけれども、私どもは神話であろうと何であろうと私どもの調査の結果に基づいて不安全なことをどしどしこれから追求し、またメーカーにも通告をしていくという方針はとってまいりたいと思っております。
  141. 矢原秀男

    矢原秀男君 確かに、大臣おっしゃいましたように、この五項目の基調になるのは事故調の調査の成果というものを踏まえたものであると私も思っております。そういう意味では事故調の皆さんは物すごくすばらしい結果を一つ一つ出していらっしゃるので、それは私は非常に喜んでいるわけでございます。  きょうの新聞報道によりますと、ボーイング社に日航も二月には査察のために行きたい、こういうようになっております。私もボーイングの会社は、製作のあれは前に視察をしたことがございますけれども、それはぜひ行って、悪いところは悪い、こういうふうにきちっと言わなければいけない、こういうように思います。    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕  それで西村局長、該当の日航と全日空、東亜航空とあるんですけれども、747型と767型、これは今何機くらい就航しているんでしょうか。
  142. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 我が国に747型機は七十機、767型機は二十四機ございます。
  143. 矢原秀男

    矢原秀男君 会社別は。
  144. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 会社別に申し上げますと、川型機は日本航空が四十八機でございます。それから日本アジア航空が二機、全日空が十七機、日本貨物航空が三機、以上で747は七十機でございます。それから767型機は、日本航空が三機、全日空が二十一機でございます。
  145. 矢原秀男

    矢原秀男君 ひとつ、これも先ほどと一緒でございますけれども、安全性ということを基調にしながら航空行政を進めていただきたいと思っております。これは要望だけにいたしておきます。  それから、大臣が次の委員会に行かれますので、ちょっと飛び飛びになりますが質問させていただきます。  先般運輸委員会で視察をさせていただきました。私と御一緒の委員の皆さんは、兵庫県、岡山県、四国、こう一巡をしてまいったわけでございます。御当地でもいろいろな要望や御意見も伺っておりますので、該当委員会で一応いろいろと質疑を重ねてまいりますと約束をいたしておりますので、そういう観点から大臣がいらっしゃる間に質問させていただきたいと思います。  それは、神戸市、兵庫県と明石海峡大橋の建設についてでございます。これは大臣、問題は、結論から申し上げますと、財源の問題が、報道等によりますと来年から建設着工だとかいろいろ出てくるんですけれども、確かに調査費とかいろいろなものは、着工準備金が三十八億、六十一年度概算要求ですね、調査費が十二億、こういうふうに建設省からの要求が出されるようになっております。これは運輸省との連携もありますから御承知だと思うんですね。ところが本体の建設については、ちょっとお話を聞いている段階では、大蔵省は本体の建設についての財源は一切考えていないということのお話を伺っているのでございますが、大蔵省の方てきよう現在の段階で、明石大橋、こういうふうに調査費とかいろいろなものがどんどん出ておりますけれども、本体についての折衝とかそういうことは一切現時点ではないというふうに伺っているんですが、いかがでございましょうか。
  146. 涌井洋治

    説明員(涌井洋治君) 明石大橋につきましては、先生御承知のとおり、臨調の答申におきまして一ルート四橋に限定するということになっておりましたが、行革審の今回の答申におきまして、いわゆる大型プロジェクトについては、国の負担を軽減し民間活力の活用を図るための方策を今後十分検討するという答申をいただいておりまして、この答申を踏まえて、六十一年度予算編成の過程でどうするか今関係省庁と議論をしている最中でございます。
  147. 矢原秀男

    矢原秀男君 そこで運輸大臣、明石大橋建設の資金調達の方法の将来構想としての財源対策、これはきょうも新聞では、東京湾横断道路については免税債にするという案と、無利子で融資の案というのが出ております。御承知だと思うんですね。この二点は、中曽根総理関係の方では免税債の方がいいのではないかというような声が出ている。大蔵省では、そういうふうなことをすれば利子の不公平になるではないか、いわゆるそういうふうなことでは税体系や債券市場が混乱するおそれがある、こういうようなことで非常に反対をしている。こういうことで、東京湾については特別法を制定するとの基本方針というものが、今後時間がかかるけれども、第三セクターの中でそういう二点が非常に懸案になっているやに伺うわけでございます。  だからそういう点から見ますと、明石大橋という将来構想も、第三セクター、事業主体というのが日本道路公団、民間企業、そして地方公共団体、こういう第三セクター、これは関西新空港と同じような形態だろうとは思いますけれども、財源の確保について免税債のことが中心になるのか、それとも無利子融資、そういうふうなものの枠内で進めていくのか、これは大臣どんな構想でございますか。
  148. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) ことしの八月二十七日、国土庁長官、それに建設大臣、私、三者の合意によって次の二項目が確認されたわけでございまして、それ一つだけ申し上げますと、「明石海峡大橋は、道路単独橋とする方針とする。」ということに三者でもって合意を見ておるわけでございます。したがいまして、今後は、道路の単独橋でございますから建設省で予算を組んでいただくと同時に、今いろいろお話がございました税の問題についても、建設省と大蔵省の間においてこの問題は詰めていただくのが至当ではないかと存ずる次第でございます。
  149. 矢原秀男

    矢原秀男君 現地でも各閣僚等がおいでになって、関西新空港のときもそうでございました。当時私運輸委員長をさせていただいておりましたが、委員会が終了するまでは人事の関係はやらない、こういうふうになっていたのが、総理を初め各閣僚が現地に行ったり、中央で社長はだれにするとか、そういうふうな問題があって、委員会では、そういうことを先にやられて混乱するのであれば審議はやらない、こういうようなことで中曽根総理に忠告も委員会としてしたようなこともあったわけでございますが、この明石大橋の問題も、やってほしいという問題、そうして神戸の町中を走るために先祖伝来のこの町中を横断されても非常に困るとか、いわゆる明石架橋から高速道路につないでいく道順とか、そういうあれで非常に混乱の形態を来しております。しかし、閣僚や中枢の方が地元に来て記者会見をされるときには、今すぐやるんだというふうな話でいろんなことがアドバルーンが上がってくる。そういうことで非常に混乱をしている。  私たち委員会で視察に行っても、主要閣僚の皆さんの発言を主体にしながらやはり大切にしていきたい、こういうふうなことで現地で非常に困るわけでございますが、今大臣がおっしゃったように、単独橋にする、ここまでは了としますけれども、東京湾がにわかに持ち上がってきて既にどんどん進んでいく話し合いになっている。今大臣は建設省と大蔵省というふうに言われておりますけれども、やらないんだったらやらない、私は地元ですから、それを地元にはっきり言って、やらないんだったらやらないような方策で我々は——地元が協力しますと言ってやっている。しかし、今大蔵省もお話があるように、大臣は建設と大蔵省だ、大蔵省は行革審の問題だというようなことで、中途半端であるのならば、現地へ行って明確に、やはり被害を受けるところもあるわけなんです、大きなああいうプロジェクトになりますと。しかし、国が非常にこういう民間活力の中で国民に大きな恩恵を与えるのであればということで一生懸命協力もしてという意見もある。しかし、こんなに中途半端なものであるならば、現地へ行って、何年間はできないとはっきり言ってほしいんです。そうしないと我々該当委員会のメンバーは迷惑します。関西新国際空港だってしかりでございます。国策であるから私たちも応援したんです。大蔵省を何回も呼んで財源方法を聞いても本当に不安定である。  ですから、運輸大臣、建設省と大蔵省の関係というだけでなしに、やはり運輸省としても大きなあすこには関係が全部あるんですから、この三橋は。そういう点でもう少し前向きの明確な、やらないならやらない、何年までは、やるんなら、こういう段階で私はこういうふうな財源方式については持っておりますと。どういうんですか、蛇の生殺しというのか、そういうふうなことは私は地元の立場として許されませんので、はっきりきょうはしていただきたいと思います。
  150. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 今御指摘のように、政府高官が過去においてしばしば現地でリップサービス的なことを言ったということを私も決して耳にしないでもございませんが、そういうこともあれば地域住民に大変御迷惑をかけるということはそのとおりでございます。したがいまして、私はこの問題につきましては、現地に行きましても決してやるというようなことは言っておりません。むしろ、鉄道としての二重層的なものはやりませんよということは、私は二回行きまして二回ともはっきり記者会見でも言っているわけでございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、六十年八月二十七日の三大臣の合意というものは、運輸省としてはやりませんということを言って、それが確認されてこの合意書ができ上がっているわけでございます。そして、今読みましたように、これは道路の単独橋とするということにこれはもうちゃんと書いてあるわけでございますから、それ以降につきましては建設省と大蔵省の間でお話し合いをされるのがしかるべきであるということを申し上げたわけでございます。
  151. 矢原秀男

    矢原秀男君 それ大臣よくわかりますが、しかし、今申し上げている財源の捻出の形ですね、それは運輸大臣もやっぱりいろんなお考えを持っていらっしゃるでしょう。
  152. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 所管が全く関係ないところになるわけでございますから、私からこれは答弁するのは妥当でないと思います。
  153. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ運輸省は全然関係ないんですね、明石架橋については。
  154. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 明石架橋につきましては運輸省関係ございません。
  155. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ大臣、言いますけれども、四国から淡路島に新幹線の橋をつけていらっしゃる、下に。上は道路ですね。行きどまりは淡路になっているんです、淡路は兵庫県の土地でございますけれども。そういうふうにして今度は明石−淡路間は道路橋だけにする。  しかし、この大橋というものは、四国から神戸につながるにしても、下に新幹線の通過するだけの設計をきちっとつけていらっしゃる。これはやっぱり運輸省としては、淡路から明石は道路橋だけですからそれは建設省と大蔵省だけの関係というわけには、たとえ鉄道が通らなくても、通るためにわざわざ巨大な金額をかけて新幹線が通るように四国から淡路島まで持ってきた。架橋が四国から神戸につながっている、途中に淡路があるけれども。これはやっぱり運輸省としても、さあ知りませんよと、これはこういうわけにはいきません。それはあなたが運輸大臣になられて、明石−淡路間は道路にしていこう、これは名言であろうと思います、こういう経済不況の中で。しかし、やはり公団の中には——じゃ大臣の発言から運輸省関係ないといえば、公団には運輸省からは一切技術屋は出向しないんですね。
  156. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先生指摘のように、大鳴門橋には新幹線の通り得るような設計で、そういう余地が残っております。ただ、あれにつきましては、御承知と思いますけれども、中途におきまして、今後とも鉄道橋として完成させるということはなかなか困難な情勢であるということから、一応通り得る強度、構造だけは備えるということでございますが、具体的に鉄道の通る施設をつくることについては凍結をしております。そういう意味で、大鳴門橋には、そういう余地は残してございますが、現在のところ鉄道を通すような工事は一切やっていないということでございます。  それから明石大橋につきましては、いろいろございましたけれども、最終的には、先ほど大臣が読み上げましたように三大臣の合意がございまして、当面道路単独橋で建設する。しからば、先生おっしゃるように、将来的に大鳴門橋をもう一遍工事をして鉄道を通すというような場合にどうするかという問題につきましては、先ほど大臣二項目と申し上げました二番目の項目の方で、淡路島と本州との間の鉄道につきましては別途検討するということになっております。具体的には、紀淡海峡のトンネルとか明石海峡のトンネルとかいろいろ調査等をやっておるわけでございます。  それから、先生指摘のございました技術者の問題につきましては、御承知のように、坂出ルート、これにつきましては鉄道、在来線と新幹線と両方通り得る構造で、当面在来線を通すということで現在工事を進めておりますので、その関係では国鉄関係からかなりの技術者が出向しておる、こういう状況でございます。  なお、明石大橋につきましては、建設省の方もおいでのようでございますので、必要でございましたらそちらからさらに答弁をしていただきたいと思います。
  157. 矢原秀男

    矢原秀男君 建設省お見えですか。——今運輸大臣が、この明石架橋の財源の問題は建設省と大蔵省の所管である、そちらで検討されるのが当然であるというふうに言われておりますが、建設省としては大蔵省に対してどういうような相談とかそういうことをされるんですか。
  158. 青木保之

    説明員(青木保之君) 明石大橋の資金構成につきましては、現在、先ほど大蔵省の主計官の方からお答えがございましたように、行革審の意見がございますので、それに沿いまして大蔵省あるいは地元県と、国の資金をできるだけ節約し、また民間の資金を活用するような方策についていろいろ御相談をしているところでございます。
  159. 矢原秀男

    矢原秀男君 きょうの新聞報道にある東京湾横断道路の建設計画、これの財源対策の報道がされていますけれども、これ相大蔵省では、来年度予算編成の焦点として、事案主体は日本道路公団や民間企業が出資する第三セクター、免税債の発行というのは認めないかわりに無利子の一千億円か二千億円の貸し付けをする、こういうふうな報道がされておりますけれども、こういうことは論議の焦点になったのかどうか。
  160. 涌井洋治

    説明員(涌井洋治君) 東京湾横断道路の件でございますけれども、これの事業主体をどのような形にするか、あるいはその資金調達等どうするか、全く現在のところ決まっておりません。
  161. 矢原秀男

    矢原秀男君 建設省は明石海峡大橋の財源問題については大体いつごろ大蔵省と折衝するのか、そういう点はいかがでございますか。
  162. 青木保之

    説明員(青木保之君) これからだんだん予算編成の時期になってまいりますので、その中においていろいろ交渉を進めていくという状況でございます。
  163. 矢原秀男

    矢原秀男君 地元は、いろんな打ち上げがどんどん続くので、もう来年ぐらいにはできるんではないかとかいろいろ期待しているようですけれども、それは私が今言いましたように、関係閣僚やいろんな人たちが来て、関係の者が、そうしていろいろなことを打ち上げていくから地元は非常に動揺している。そういうことですので、やはり今後私も新聞の報道は注意しますけれども、よく見て、どなたが来てどういう甘い言葉をするのか、事実なのか、もしこれは間違えればきょうから徹底的な追及をしたいと思いますけれども、本当に無責任なやり方では承知できないと思います。今後やらないのならやらない、やるんならやるとして、やはりこういうルールでやっていくんだということをはっきりしていかないと、これは大蔵省も建設省も私はやはり問題を残すと思います。それだけ要望しておきます。  運輸省に聞きますけれども、今運輸大臣は一切関係はないと言われましたが、建設省関係の公団には運輸省の技術屋さんというのは出ているはずですよ、出向していらっしゃるはずです。そうして大きくその経験というものは、すばらしい技術は生かされていると思うんです。それを大臣は平気で、運輸は関係はない、だからあれは大蔵と建設だというような言い回しをされていらっしゃいましたけれども、しかし運輸省の技術は大きく提供するために公団にはすばらしい人が出向されているんでしょう。どうなんですか。
  164. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先生指摘のように、本四公団には主として国鉄関係から鉄道の技術の関係が何人か出向しております。御調のとおり鉄道関係の技術がそれに生かされております。ただ、先ほど申し上げましたように、それは主として現在は坂出ルートの鉄道建設、鉄道と併用橋でございますので、その関係の方の仕事に従事をしておるというのが実情でございます。
  165. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ別な問題に入りますけれども、四国における国鉄運営の状況について、去る十一月の一日から三日間かけまして運輸事情調査委員会で参らせていただきました。その際、派遣報告を委員会でやらせていただいたわけでございますが、それに関連をして若干質問してみたいと思います。  現地の関係者の説明によりますと、国鉄再建監理委員会意見書が発表されたことに対しまして、具体的な国鉄再建案の検討に当たっては、近代化のおくれ等により経営基盤の脆弱な四国の鉄道を取り巻く特殊事情を認識し、地方への負担を強要したり地域住民の足を奪うことのないようにされたい、こういうふうなことが委員会視察の中で陳情としてあったわけでございます。  ここで加藤先生にちょっとお伺いをしたいわけでございますが、四国における国鉄の現状は、本年四月現在、幹線、地方交通線系合わせて九線区でございまして、約八百五十八キロメートル、要員の規模が六千二百人でございます。そういう中で複線化率が三%、電化の率が〇%というふうに線区の近代化が著しくおくれておるわけでございます。この問題について、非常に現地で近代化との問題で御指摘を各階層からいただきました。これは監理委員会の方々もよく御承知だと思うわけでございますが、そういう中で、鉄道以外の交通の分野に目を転じてみましても、自動車保有台数中に占める軽自動車の比率は全国平均の約五〇%増を示しており、さらにマイカーの増加等の影響によって、例えば乗り合いバスは、五十年の輸送量指数一〇〇とした場合、五十九年五八に落ち込んでおり、五十七年度以降は全事業者が赤字経営を余儀なくされるなど、民鉄等々を含めて陸上公共交通機関はすべて危機に瀕しております。  そういうところへ六十四年の一月から新高松空港開港、ジェット化、六十三年春完成の本四架橋、児島−坂出ルート建設、国鉄の幹線系線区と全く並行して建設される四国横断、縦貫自動車道の開通が見込まれております。そのほか高速艇の就航、国鉄をめぐる陸海空の他の輸送機関の包囲網が完成をし、これら機関相互間の過当競争予想されるわけでございます。私は、政府としてこれらの実態をどのように認識しているのか、四国における国鉄を含めた地域交通のあり方、こういうことを非常に懸念をしているわけでございます。  こういう中で、加藤先生にちょっとお伺いをしたいわけでございますが、四国では国鉄の近代化がしきりに言われるわけでございますが、先ほど申し上げた複線化率が三%、電化はもうゼロである。これが分割民営になったときにもうこれで相手にしてくれないのではないかと、こういうあれで非常に懸念をしているんですが、監理委員会では、この電化率ゼロに対して、民営分割になったときはどういう計画があるんだ、複線化率の三%の問題はどういうふうな計画をしているんだと、もし御討議をされたことがありましたらその内容を伺いたいと思います。
  166. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 四国につきましては、今おっしゃいましたように、非常に私も大変な状況だと思っておりますが、しかし、今のままの国鉄でまいりました場合、つまり全国一本で民営化をしないでやってまいりました場合には、四国の国鉄はもっとひどいことになると私は思っております。つまり、現在までのところでもこのような状況でございますから、今後このまま続けていけばこの赤字を回復する可能性はほとんどございません。しかしながら、ここでもし四国を独立させましてその四国の中でもって効率化を図るということをやった場合には、私どもの計算のとおり、これはもちろん基金からの補助金が出る、助成金があるわけでございますが、それを含めまして若干の黒字を出すことはできる、こういうふうに思っております。  そこで、今御質問にございました電化の問題でございますが、これにつきまして私どもとしては、新会社になる前に何とか早く少してもこの電化についての希望を四国の方々に考えたい、こういうふうな気持ちでございます。このような気持ちから、例えば今度本四架橋ができました場合には、高松までは少なくとも電化ができる可能性はあるんじゃないだろうか。そういうような希望を我々としても、運輸省及び国鉄にもそれを地元の希望として伝えていきたい、こういうふうに思っております。  それからまた複線につきましては、これは現在のところ三%でございますけれども、この複線につきましては新会社がこれから考えるべきことでございます。もちろん私どもも、こうすればいいんじゃないか、ああすればいいんじゃないかといろいろ案はございますけれども、それは我々の案でございまして、むしろ、新会社になって経営者がこういうふうにやるんだということに対して我我も何らかの意味で御助言できるようなことができればそれはもちろんしたいと思いますけれども、しかしそれはまた別といたしまして、新会社の経営者の判断で考えると私たちは思っております。  それから、私どもが特に四国の事情で申し上げますけれども、例えば現在高松から御承知のとおり松山に参りますには三時間かかります。そして高松から徳島、この場合でございますと一時間ぐらいでございますが、これは一々高松で乗りかえないといけないわけでございますね。これがもし四国が独立をいたしますと、今度はその辺のダイヤの編成というものが非常に容易になってまいりますので、これによってさらに落ち込んできている鉄道旅客輸送は何とかして頑張れるんじゃないか。こういうような企業経営努力の新しい見込みあるいは努力というものがあらわれることを私どもは大いに期待をしております。
  167. 矢原秀男

    矢原秀男君 今加藤先生に伺ったわけでございますが、特に電化の問題、これは運輸省としては、今まで恐らく四国からトンネルとかいろんな関係が多いというふうな状況もあっていろいろの問題点あったと思うんですけれども、電化が今までゼロというのは本州関係ではちょっと理解ができないんですけれども、なぜ電化がゼロという形で現在まで来たのか。そして今後は、今加藤先生おっしゃった希望的なお話もございましたけれども、そういう点の見通しというものはどうなのか伺いたいと思います。
  168. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 現在までなぜ電化がなかったかという点につきましては、国鉄の方から技術的な意味でお答えを申し上げるというのが適当かと存工ますが、いずれにいたしましても、本四架橋が完成いたしまして鉄道が通りますと、これは当然電化で入っていくということで工事が進んでおります。したがいまして、その先の四国が何らかの形で電化をされませんと本四架橋の意味もなくなるわけでございます。ただその際にどの程度の電化を行うか、それをどういう計画で行うかということは今国鉄において検討中でございますが、いずれにいたしましても、四国におきます新しい鉄道会社というものが、先ほど加藤先生のお話のように、創意工夫を凝らして、いろいろな意味鉄道が再びお客を呼び戻せるような形になるような形でのいろいろな配慮ができるような基礎というものは、ある程度考えなければならないというふうに考えております。
  169. 岡田宏

    説明員岡田宏君) 現在まで四国に電化が入っていないわけでございますが、それがなぜであるかということにつきましては、輸送量の点から見まして、四国の輸送量が今までの段階でございますと電化をジャスティファイする輸送量にやや足りないと申しますか、かつかつの線であるというところだった事情があるわけでございます。しかしながら、今回備讃線ができるということでございまして、それに伴いまして瀬戸大橋が電化をされますので、四国の中の区間につきましてもその電化を延ばしていくということで、電化の範囲あるいはこれの工事の手のつけ方、今いろいろ検討しているところでございますが、いずれにいたしましても、なるべく早くこの計画を取りまとめまして早急に着工するように、またこれは運輸大臣の認可申請を要する事項でございますので、なるべく早いうちに大臣の認可申請を得たい、かように考えているところでございます。
  170. 矢原秀男

    矢原秀男君 この問題でもう一つ国鉄に伺いたいんです、専門的に。  四国の場合は、輸送体系としてまあいろんな問題がございますが、電化だけ考えますと、電化は民営分割になっても、これは利用者の立場から見て、いわゆるこれを専門家から考えていただいて、利用者のために将来電化は四国の場合は何十%までいくべきであるか、そういう目途というのか、そういう将来構想の区切りですね、もしありましたら技術的に伺いたいと思います。
  171. 岡田宏

    説明員岡田宏君) 四国の将来におきます電化につきましては、やはり輸送量の観点からいたしまして慎重に検討する必要があるというふうに考えておりまして、現在の時点で何%まで電化をすべきであるかということにつきましては、はっきりしたお答えを申し上げられないわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、電化によらずとも、例えば気動車についてもうちょっと性能の向上を図るとか、あるいはお客様に御利用しやすいようなダイヤを組むというようなことをいろいろ工夫をいたしまして、利用客のお客様の増加を図り、そういった中で将来の問題としてまた電化の範囲を広げていくというステップになるというふうに考えております。
  172. 矢原秀男

    矢原秀男君 まあその程度に伺っておきましょう、余り詰めても大変でございましょうから。  もう一つは、高松から出ております宇高航路の連絡船でございます。あれに私たちも視察で乗らせていただきましたけれども、今連絡橋ができておりますから、学校の生徒さんを見学に乗せて観光船、また建築の勉強、非常に努力をされておりまして、この宇高船舶のこの連絡船の架橋ができた段階での非常にこれは価値的な問題も、教育的な見地からも、また輸送や観光の見地からも私は航路を少し変更すればこれはそのままでもいけるのではないかな、非常にこれは幅広い立場で残せるのかなというような感覚を得たのですが、これは一応廃止というふうな格好の発表になっているわけなんですが、これに対する将来構想というのはどういうふうになっているんでしょうか。
  173. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今ちょっと先生がおっしゃいましたように、監理委員会意見におきましても、本四連絡橋完成のときに、その利用の実態から見て競合することとなる場合には連絡船事業を廃止するというような基本方向が出されておるわけでございます。その後検討いたしておるわけでございますが、先般十月十一日の閣議決定におきましても、本四架橋完成によりまして宇高航路の鉄道連絡船としての使命は基本的に終了をするというふうに判断をされておるわけでございます。宇高連絡船の将来にわたりましては、原則としてこれを廃止するということでございます。なおまた今後の具体的な問題につきましては今後も詰めていきたいというふうに考えております。
  174. 矢原秀男

    矢原秀男君 最後に、加藤先生連絡船でございますね、我々も行って現地でびっくりしましたのですけれども、そのときは小学校の生徒さんが五百人ぐらいが今建設中の架橋の見学、そのようなことで乗船をされて、非常に国鉄としても幅広いそういう運用の面というものを努力をされておりました、現地で。私は、将来瀬戸内の観光的な立場を兼ねながら往復の問題、そして利用者としましてもそういう教育的な問題、そしてまた文化面というのか、これは単なる輸送船舶でなくして、四国と本州を結ぶその瀬戸内を通過するための、文化や教育や輸送を兼ね備えた非常に味のある、国民の郷愁を誘っていくのか、非常にこれはすばらしいものになるなと思っているんですけれども、答申の中では、やはり利益に対して、非常にプラス・マイナスの損益の中で、今も総裁が言われているように打ち切られようとしているわけなんです。  そういう点、決まった方針だろうと思いますけれども、私もこちらで御報告を受けたときには、赤字のものは切らなくちゃいけないなと思ったけれども、現地へ行ってみて非常に努力をされている国鉄の姿、そして非常に利用される方々と余りにも密着をされている、そういうことの中で非常に驚いた一人でございます。もし先生向こうへ最近視察がそういうことで行かれたことがございましたら、先生一つのお考えとして最後に伺ってみたいと思います。
  175. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 大変広いお立場からの有意義な御意見だと思いますが、今も国鉄側からお答えになりましたように、競合する場合においてはこれはやめるということでございますから、その競合ということについて私どもとしては、どういう意味で競合するか、あるいはどういう意味国鉄の、あるいは将来の鉄道の会社の足を引っ張るかということについて考えるべきだと思っておりますが、しかし、全般的に申し上げました場合に、これは瀬戸内海だけではございません。瀬戸内海でも現在既に民営会社がフェリーを走らせております。そしてまた、私もよく利用することがございますけれども、大阪から関西汽船でもって高松に行くこともできます。こういったいろんなことがございまして、私どもから見ておりますと、あの瀬戸内海は船でもって、民営会社でもつて成り立つ場合が十分にあり得るわけでございますから、その意味で、国鉄がやめるといたしましても決してフェリーがなくなるわけではございません。  また、青函トンネルの場合でも同じでございますけれども、青函連絡船の場合も、私も何度か調査に参りましたけれども、その青函トンネルを国鉄がたとえ廃止されたといたしましても、民間のフェリーがございまして、むしろ民間フェリーとしては、ここでもって国鉄がやめるならば自分たちとしてはもっと積極的にこれをやっていきたい、こういうふうに考えているようです。私は、民間会社というものは、そういう状況のときに非常に努力をいたしましてお客さんを集めることに熱心でございますから、その意味からまいりますと、私は、瀬戸内海でも恐らくこの子供たちの、あるいは地元の人との密着した関係があるとすれば、そういうことに民営会社はより一層の努力をするだろう、こういうふうに考えておりますので、決して私は悲観的には考えていないのでございます。  以上でございます。
  176. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 午後三時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後二時五十七分休憩      —————・—————    午後三時三十四分開会
  177. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  178. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 具体的に国鉄用地の問題についてお伺いしたいと思います。  方々で自治体に国鉄の土地が売られているということを耳にし、目でも見ることができるわけでございますけれども、国鉄の用地などを自治体に優先的に売るという場合は、当然公共施設等の、例えば公園とか公共住宅だとか、そういうような公共のためという使用目的が明らかにされた場合に優先的に売られるというふうになっていると認識いたしますが、そういう考えでよろしゅうございましょうか。
  179. 岡田宏

    説明員岡田宏君) 国鉄用地の売却につきましては、原則といたしまして公開競争入札によることといたしております。ただし、国、地方公共団体等に対しましては、国鉄法施行令の定めにより、随意契約をすることができるとされております。しかし、最近の事例におきまして、第三者への転売等必ずしも公共、公益目的、あるいは行政目的を達成するためということに利用されていないというケースもございましたので、地方公共団体等に売却する場合があっても使用目的を明確にするような指導を強めているところでございます。
  180. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは具体的にお伺いいたしますが、北海道の北見市に五十五年、六年、七年の各年度に国鉄用地を自治体、北見市にお売りになっております。その場所と年月日と面積と、そして売却価格を御説明ください。
  181. 岡田宏

    説明員岡田宏君) 先生今おっしゃいましたのは何年でございますか。
  182. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 五十五、六、七年。
  183. 岡田宏

    説明員岡田宏君) 五十五、六、七年ですか。  五十六年の三月でございますが、これは五十五年度に相当するわけでございますが、北見市に一・八ヘクタール、約一億九百万で売却をいたしております。それから五十七年の三月、これは五十六年度末に近いところでございますが、同じく北見市に面積約千百平方メートル、これを六千三百万円で売却をいたしております。なお五十八年の三月、同じく北見市に二千二百平方メートル、七千八百万円で売却をいたしております。
  184. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今お示しになりました。地がその後どのように処分されて、どのように現在使われているか御存じでいらっしゃいましょうか。
  185. 岡田宏

    説明員岡田宏君) 今の三件につきましてどのように使われているかということについて詳細に今現在承知をいたしておりませんが、当時の、売却をした時点での市の方の御計画として承っておりましたものは、五十六年の三月の売却物件につきましては駅広、道路等というようにお伺いをいたしておりました。五十七年の三月の物件に関しましては道路その他ということでお伺いをいたしておりまして、五十八年の三月の売却物件につきましては駐車場ということでお伺いをいたしておりました。
  186. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今おっしゃったとおり市は言ったかもしれません。それ以後どうなったが全く御存じない、現在どうなっているかというのも御存じない。  私きょう国鉄の用地の問題取り上げましたのは、いろいろ今大きな、再建監理委員会の中でも言われておりますように、これは売られていく土地がまだたくさんある。しかもこれらの土地というのは私たち共有の国民の財産でございますね。その国民の共有の財産がどういう売られ方をしているかということはやっぱり私は大きな関心を持って見ざるを得ないと思うんです。全く売ってしまったら知らないよとか、そしてまた、売るときにこう言ったからそうなっているんだろうなんということでは、ちょっと私は責任を感じていらっしゃらないのではないか、そう思うわけでございます。  今三つの場所が示されたわけでございます。私も地元でございます。北見もしょっちゅう参ります。具体的に調べてまいりました。  初めに持つしゃいました五十六年の三月に売った千八百十二平米という土地でございますが、これは国鉄が三月十日に北見市に売っているわけです。その利用は、今おっしゃったように道路その他に使われるというようなことに認識をしていらっしゃるわけでございますが、十日に売りまして二十日後に転売されているわけなんでございます。もう二年でなくて二十日、たった二十日の後でございます。その売り渡した先は北見バスでございます。つまり、いろいろ言ったけれども、たった二十日で北見バスへ売ったというようなことは、まさに市、自治体がトンネルの役割を果たしていると言わざるを得ないわけでございます。  そのときの値段というのがまた大きな問題でございます。この価格、国鉄が北見市に売った価格は、一平米にいたしますと六万円ということになるわけでございます。その北見市が今度北見バスに売りました。北見バスに売るときには、その上に建物などが建っていたから、これを整理して、更地にして土地として売るというためのそのお金が当然要ったわけでございますが、その更地にするための費用も含めまして、北見市が北見バスに売りました価格は一平方メートル当たり十八万八千円ということになるわけです。この場所といいますのは、北見駅がありまして、そして隣りが東急の建物があって、ターミナルがあって、そしてその裏には北見バスのコンコースがありまして、そこからみんなお客さんがお乗りになる。もう駅に隣接しておりますから大変便利なところで、駅の隣で最高の場所としてはいいところ。そこで、まあいろいろ撤去の費用も加えまして、十八万八千円でお売りになった。  そこは一体公示価格としてはどれくらいと言われているところか、そこの公示価格というのも全部調べました。その場所というのは全部出ているわけじゃございません。それと条件の同じような、だけど駅の隣だということは最高に私はいいところだと思うんですけれども、その公示価格が幾らだというふうに調べてみますと、三十九万円でございます。五十六年の公示価格三十九万円、売ったときですね。そうしますとこれはどういうことかどいいますと、問題は非常に簡単なんです。国鉄の土地を買って、そして北見市に二十日間置いて、そしてトンネルにして、そして公示価格の半分以下で北見バスが買っているということでございます。御承知のように、公示価格というのはもう最低と見ていいくらいの価格でございますから、だから実際には大変な利益がここでもたらされているということは明らかでございます。これが第一番目の土地のおっしゃいました問題でございます。  その次の年に国鉄がまた売りました千百四十九平方メートルでございます。これは国鉄が市の土地開発公社へ売りました。ここは二十日じゃないんですけれども、七カ月後でございます、七ケ月後に北見バスに転売をしている。全く同じケースでございます。この売った価格は、国鉄は北見市に一平方メートル当たり五万五千円で売っております。北見市は、またこれも整地の関係や何かがあったろうと思われますが、北見バスに七万六千五百八十円で売っているわけでございます。  これをまたここの価格で見ますと、これは五十七年ですね、さっき言いましたのは五十六年。五十七年の公示価格で見ますと、四千円上がりまして三十九万四千円という価格になっているわけでございます。そうしますと、ここも公示価格に比べますと実に五分の一ですよね、五分の一の安さ。しかも、前の年に同じ国鉄が市に売ったときよりも、一年後だから高くなっていていいはずなのに逆に安く売っている。まさに国鉄の土地が公示価格の五分の一で売られていた。前の年に売った、その国鉄が売ったところは十八万八千円で売られていた。ここは七万六千五百八十円で売られたということになりますと、一年たって上がるのではなくて、一年たって一平方メートルについて十一万一千円も安くして売っているということになるわけでございます。  今この土地がどういうふうに使われているかといいますと、これは北見バスが払い受けたんだけれども、北見バスが使っているのではないということなんです。北見バスと申しますのは、東急の資本が四八%入っているところでございます。市の土地開発公社へ国鉄が売って、そしてそれが北見バスへ行って、そしてその北見バスが使っているのではなくて、ここは東急が、東急デパートやホテルなんかがある際なんですけれども、そこの東急の駐車場になっているんですね。これは写真もございます。東急観光だとか有料駐車場になっているわけです。まさに、こうなりますと、国鉄の財産、我々の財産がそういう一企業の——一企業といっても小さいんじゃない、東急、大企業に使われていっているということですね。  こういうふうに処分されてきているということから考えまして、私はこういう感覚でどんどん今までもやられていて、これからもやられるなんといったら、まじめな国民は本当に腹立たしい思いするわけですね。こういう問題について総裁どういうふうにお考えでございましょうか。
  187. 岡田宏

    説明員岡田宏君) ちょっと総裁がお答え申し上げます前に二、三お話を申し上げたいと思いますけれども、今先生から御指摘がございました事例、ちょっと私詳細を承知いたしてございませんので、的確にお答えができないわけでございます。いろいろかえってお教えをいただきましてというふうに存じておりますけれども、一つには土地の価格、今公示価格との対比において先生からお話がございましたけれども、土地の価格につきましては、現実にその土地が存在する場所が道路に接面をしているとか、していないとか、あるいは、特にここは積雪地でございますので、しょっちゅう除雪が行われているような道路に接面をしているとか、していないとか、あるいはその区画の大きさがどうであるとか、あるいは区画の形がどんなふうであるかということによって土地の評価は変わってくるわけでございます。  国鉄といたしましては、土地の売却をいたします場合に、公開競争入札におきましても、あるいは随意契約におきましても予定価格を作成するわけでございますけれども、その予定価格の作成におきましては、権威ある部外の鑑識を、原則として複数以上から鑑定をとりまして、それらを評価いたしまして、参酌をいたしまして予定価格を決めているということでございます。  それから、国鉄が売却いたしました価格とそれから市が転売いたしました価格の間に差があるという御指摘でございますけれども、こういった問題につきましても、この土地の造成でございますとか、あるいは道路をつけなきゃいけないとか、そういうことによる経費が若干あるのではないかというふうに考えられますが、いずれにいたしましても、ちょっと事情についてつまびらかでございませんので、厳密に調査をいたしたいというふうに考えております。  なお、今先生指摘ございました時点は、五十六年から五十八年の三月までにまたがっているわけでございますが、私ども、こういう事態が起こることは決して好ましくないというふうに考えておりまして、先ほども申し上げましたけれども、五十九年の九月、さらに六十年の七月、その二回にわたりまして現地局に通達を出しまして、地方公共団体に売却する際におきましてその利用目的についてよりはっきりするようにということで、契約書のひな形等も示しまして指導をしておるところでございます。
  188. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今の問題は問題点が二つあると思いますが、一つは、公共団体に対しまして売る場合に、公共目的ということを主眼として、安く随意契約でやってきたわけでございます。そうした点が、直ちに転売されてそれが公共目的に外れた使用状態になるということは大変好ましくございません。今後は厳重にその点チェックをしてまいりたいと思います。もう一つは、今岡田常務が申しましたが、価格の点でございます。これはもう少し実態を調べさせていただきたいと思いますが、不当に安い価格で取引が行われたということでありますれば、これもまた非常に遺憾なことだと思います。  両面にわたりましてもう少し実情を調べさせていただきたいと思いますが、そういう方向はよくないということで是正したいと思います。
  189. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 実態を岡田さん調べてくださいね。市が道路に使うなんといったって、前が道路でその裏なんですよね。道路に使えるというような土地でないのに道路に使うなんて、はいはいと言っているところがまず大体間抜けていますよね。その辺のこと国鉄しっかりやってもらいたいと思う。  ここは表通りに東急インだのレストランだのデパートなどがあって、そしてこの建物の裏に続いている土地なんです。だからここへ一軒の商店をつくるといった場合には価値はないかもしれませんね。だけれども、この東急の大きな建物に続いているからこそ価値があるわけですわ、駐車場にもなるし。そしてバスも、駅に近いからここのところでずっとターミナルになるという、そういう価値があるという具体的な事実を調べて。私は、今総裁もおっしゃったけれども、こんなこと勝手にどんどんやられたらたまったもんじゃないですよ。幾ら土地を売るなんていったって、大きいところにみんなやられていってしまいますから、だからこの辺のところは非常に疑惑が持たれてもしようがないところですから、十分に御調査をしていただきたいと思います。  それから、これだけじゃないんですね。さっき三番目におっしゃいました、五十八年、私の方で全部調べました、登記簿から。三月十七日に売られた二千二百四十平方メートルの土地です。この土地もまた北見市の土地開発公社に売っているんです。今度これは一年後です、一年後の五十九年五月二十一日にこれもまた北見バスに転売されております。その後二カ月たちましたときに、一億三千八百万円の根抵当権が設定され、ある病院経営者がマンションを建て営利事業に供されている。利用目的が、まさに先ほどおっしゃいましたように、公共ではない民間マンションに使われているということは利用目的からしても私はおかしいと思うんです。現実にそういうふうにマンションが建っております。  この土地はどれくらい離れているかというと、北見駅から歩いて五、六分なんです。ここは大変便利なところ。調べてみましたら、向かいには東急の温水プールができたばかりです。これの価格は、国鉄が北見市に売ったときには一平米三万五千二百円で売りました。そして北見バスに市が売ったときには四万一千五百円でございました。ここも国土庁の地価公示で見ますと、幸町五丁目、北見駅から約一キロの価格が五十八年、この当時の公示価格で一平方メートル六万一千円なんです。五十九年が六万三千円です。ですから、この土地とほぼ条件が同じところですから、これから考えてみても約二分の一の価格だと言わざるを得ないわけです。だから、根抵当権が一平方メートル六万一千六百円の一億三千八百万円で設定しているという価格と大体合っているわけですよね。こういうことから考えても、これも国鉄が市の土地開発公社に売って、そして北見バスに転売して、そしてある経営者が民間のマンションを建てているということになりますよね。これは価格の面からいっても利用目的からしても、これは好ましいどころか、これも大変残念なことだし、何とかこういうものを考えていただきたいと思うんです。これも全部調べました。事実でございました。これについてもお調べを願いたい。  また、こういうことがあるということも大臣今おわかりになったと思います。どうお考えになりますか、伺いたいと思います。
  190. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) おっしゃるとおり、国鉄の財産は国民共有の財産であることはそのとおりだと思います。したがって、やはり適正な価格で処分されるべきであることもまた当然であろうと思います。  ただ、北見バスというのは、一企業といえ、やはりバスというものは一つの公共事業、公益事業でございますから、これが優先的に払い下げること自体は私は問題ないかと思いますが、問題は価格でございますね。その価格が妥当であるかどうかということは、先ほど岡田務理事が、その土地の形であるとかいろんなものを総合的に判断しなければ、ただ平米当たりの割った答えだけじゃわからないということでもございますし、これは調査の結果を待つ以外にはないと思いますが、一般論として言えば私は若干安いのかなという感じがいたします。
  191. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 会計検査院いらしていますか——。会計検査院にもお伺いしたいんですけれども、国鉄の用地が自治体をトンネルにしてこういうふうに公示価格より非常に安く売られている。そして、バスとおっしゃったけれども、確かにバスも公共の輸送というふうに考えられるかもしれないけれども、今言ったように東急資本の会社の駐車場になったり、それからまた民間マンションになったりというような使われ方がしているというのは、私はきょう時間がありませんのでここだけ取り上げましたけれども、全国にいっぱい目をつけますと方々出てくるわけですね。そういう意味で会計検査院としても私は厳重な御調査をお願いしたいと思うんでございますけれども、いかがでございましょうか。
  192. 田村真造

    説明員(田村真造君) 先生指摘のことを念頭に置きまして十分検査をしていきたい、このように思っております。
  193. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 国鉄の方もまたきちっと調べてくださいね。
  194. 岡田宏

    説明員岡田宏君) 十分調査をいたします。それから、なお今後こういう転売のような事例が起きないようにさらに指導を強める所存でございます。
  195. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ次に、貨物の問題についてちょっと伺いたいと思うわけでございます。  貨物というのは本当に大変な問題でございまして、「新しい貨物鉄道会社のあり方について」というのを拝見しまして一番感じたことは、旅客の方が六つに分割しているという中の同じレールを全国一本の貨物会社で走らなきゃならない、この辺のところがもう大変な問題が矛盾として出てくるのではないか。経営の見通しというのは非常に大きな不安を持って私は今見ているわけでございますけれども、監理委員会としましては、貨物にも、先ほどの討論聞いていますと、こうあるべきだということから、もっと合理化できないか、もっと締めていかなければならないのではないかというふうな注文をお出しになっていらっしゃるようにいろいろの情報から伺っているんですけれども、どこを削れ、どういうふうにというふうに具体的にいろいろお考えになったと思うんだけれども、何をもっと削れというふうに御指摘なさったのか伺いたいと思います。
  196. 加藤寛

    参考人加藤寛君) 貨物につきましては、御承知のとおり、旅客と違いまして、旅客の場合は中距離において非常に優位性を持っておりますが、貨物の場合につきましてはむしろ長距離において優位性があるということがしばしばございます。そういったことを考えますと、やはり分割をするよりも全国一本で行う方が望ましい、こういう判断をいたしましたが、その場合に、競争が非常に激しくなってまいります場合にはその競争に応じてそれぞれ能率を上げることになります。ところがこれが貨物旅客が一緒になっておりますと、どうしてもそこに甘えが出てまいりまして競争的能率を上げるということができなくなります。そこでそれを分離させることによって競争的効率を上げるということになりますから、したがって、人件費物件費、そしてそのほか荷主の非常に喜ぶような、あるいは非常に期待が持てるようなそういうダイヤの設定などを行うことができるということで、監理委員会といたしましても基本的には今回の国鉄貨物案につきましては了承いたしましたけれども、さらに具体的にはこういうふうに我々は提言をしております。  まず総論としては、職員が安心しかつ喜んで参加できる新会社を魅力的なものとすること。具体的には、コストをより一層縮減する方向検討する。競争力を強化して弾力的経営を行う。あるいはそのほか、もうこれは省略をさせていただきますけれども、そうしたコストの削減につきましては、今後の具体的な検討の過程で一層人件費物件費、資本費、そういったものについての努力をしなければならないので、これについては我々監理委員会としては十分にフォローアップをしながらそれを煮詰めていきたい、こういうふうに考えております。
  197. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 監理委員会っておもしろいですね。もう競争力を持って、そして合理的に、そしてお客様をたくさんとって荷物を集めて一生懸命やれと言えばいいんだから。今おっしゃったようなことというのは文章ですよね。そういう文章をおつくりになって、後は運輸省国鉄しっかり具体的にやれなんていうことで出されたんだから、全く何とも言いようがない、いいお仕事だと皮肉に申し上げなきゃならないと思うんですけれどもね。そういうことが具体的に貨物会社としてどういうふうにやっていけるかといったら、先ほどから言われているように、具体的には何にも決まっていないで、やれということだけが決められていくから、私はこれから大変なことになっていくと思うんですが、そこでそれじゃ具体的に伺います。  旅客会社のレールを含めて施設を借りることになりますよね。そうしますとその使用料は回避可能経費プラスその一%と、こういうことだそうでございます。今までは旅客貨物と分けて経営成績を出して、そして旅客貨物の共通経費を比例配分して分けるというようなやり方だった。しかし、今度は旅客に余計たくさんの共通経費を負担させるという結果になっていくと言わざるを得ないのではないか。貨物経営というのを考えたら大変厳しいという反映だと思いますね。  そうしますと、その借り賃というようなことからでも、旅客の方の民間会社も利潤追求の会社だから、貨物が生き延びるためにこうやりたいと言ったときに、はいわかりましたと、そういうふうに簡単にいくものなんだろうか。まずとにかく出発しなきゃならないということで当初はそれでいくかもしれない。しかし、その辺のところでずれてくるとこの問題というのは具体的に大変な問題が出てくると思うんです。特に北海道だとか九州だとかという会社にとっては、まかり間違ったら数億という赤字に転落するということも考えられるというふうに思うんですけれども、その辺の心配はどうなんでしょうか。  それと、仮に運転士も旅客会社から委託して貸してもらうというような形になりますと、今度人件費というのがどうなるのか。貸す方の運転士さんの方の会社は各社ごとに違ってくるというようなことになりますね、向こうは六つに分かれているんだから。そういうふうなことを考えて収支見通しというものをどういうふうに見ておられるのか。そしてダイヤの調整も、何回も言われているけれども、ダイヤの調整なんかも具体的にどういうふうに見て、基礎的に大丈夫だよ、六十二年度黒字になるんだよというような判断をなすったのか。その辺のところちょっと具体的に聞かせてください。
  198. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 幾つかお尋ねがあったかと存じますが、まず最初の、旅客会社に従来よりもたくさん持たせるんじゃないかというお話でございますが、これは従来の国鉄貨物旅客の経理区分というのは、一応その部内で、貨物がどのくらい赤字で足を引っ張っておるかとか、そういうための一応部内の仕分けとして出しておる計算でございまして、基本的には個別費対応ということで考えておるわけです。  今度は別な会社になりますから、先生おっしゃるように使用料とか委託料という形で払わなければなりません。そこでその原則は何によるべきかということをいろいろ検討いたしまして、監理委員会からも御意見がございました。そういう意味でいわゆる回避可能経費というものに判断を置いたわけでございます。これはもう御承知と思いますけれども、貨物がなければ回避が可能であるという経費、それは貨物会社に払っていただきましょう。したがって、貨物が仮になかったとしても旅客はどうしてもやらなきゃならない部分はこれは旅客が当然持つわけですから、そういう意味では旅客会社にとってそれで負担になるということはない。例えば貨物が全部やめてしまっても、その経費は旅客で持たなきゃならないものは持たなきゃならない。  ただ、それでは、先生指摘のように、旅客会社でございますから、何のあれもなしに、損はないけれども、自分のところを使うんだからそれなりのインセンティブは欲しい、こういう御意見が多分あるだろうというふうに思います。それは将来的にどういうふうにしていくかは両者で決めることでございますけれども、ただ、御承知のように、貨物旅客と分かれたというこういう経緯がございますから、そうたくさんインセンティブのものを当面お払いするという必要はないんじゃないかということから、当面若干のインセンティブという意味でプラス一%、こういうことを考えたわけでございます。  ちなみに、これはアメリカの場合逆でございますけれども、貨物会社の線路を旅客会社が使うという形でやっている。カナダも同様でございます。そういうところにも調査をいたしまして、どういう経費配分をしておるかというようなことも参考にいたしまして、当面こういうことでスタートしたい、かように考えております。  それから二番目に、それぞれの旅客会社は人件費が違うんで、したがってそれぞれのところへの委託費というのは若干違ってくるじゃないか、それは御指摘のとおりだと思います。将来的には人件費が違えば若干の違いは出てくると思います。しかし、それはそれほど大きな違いになるというふうには考えられませんし、そういう意味では、そもそも委託費とか、業務を委託するとかそういう形は必ずそういうことがつきまとうわけでございまして、そういう意味で適正な範囲で処理ができるのではないかというふうに考えます。  それからダイヤの調整等、これも確かにおっしゃるように大問題でございます。そういう意味で、ダイヤの調整については、これもアメリカ、カナダあたりの例も参考にいたしますと、これはなかなか苦労しておるようでございます。したがって、それについてはあらかじめ分離する前に両者の、現国鉄の時代に両者間のルールというものをはっきり決めてやりたい、そしてそのルールに従ってやりたい。それから当面は現行ダイヤを基礎として、その中でそのルールに従ってスタートをさせたい。将来は、そういうことでそれの間の調整の機構と申しますか、そういうものを置いてお互いに調整しながらやっていく。場合によってそこのところがなかなかまとまらない場合には、しかるべき行政がこれに対して若干アドバイスができるというような形も必要ではないかということで現在検討しておるところでございます。
  199. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 次に、この「あり方」では経営見通し六十二年だけが出されているわけですね。この前旅客会社のときにも申し上げましたけれども、やっぱり少なくとも向こう五年間どういうふうな経過になるのかという、その五年間の経営見通しを出すべきだ、出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  200. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先ほど小柳先生の御質問のときにも同様なことでございまして、お答え申し上げましたけれども、当面、私ども現在出しておりますのは試算値でございまして、基本的な骨格を明らかにし、それに従って現在想定できる範囲で六十二年度を一応試算してみたということでございます。現実には、先ほど申し上げましたように、これから荷主さんとか地元とかそういうところと列車ダイヤについて調整をいたしまして、そして二月ごろまでにある程度のめどをつけたい、その上で確たる将来見通しというものをつくりたい、こう思っております。そういう段階におきましては、先生おっしゃるように、単に開始年度だけではなくてその先の見通しということについても確たるものを持って御説明を申し上げるべきだと、かように思っております。
  201. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは時間ですから、最後に監理委員会の方にも一つ伺いたいんですけれども、当初、これにも書いてありますけれども、監理委員会の方で貨物事業の要員はおおむね一応現在のところ一万五千人というふうな人数が言われておりましたね。そして当初運輸省国鉄も一万二千五百人というふうな人数のはじき方を出していらしたというふうに聞いておりますし、見ております。その中で、先ほどおっしゃいましたように、それでも多い、もっと減らせというふうに、監理委員会からそれじゃだめだというふうに言われたということを伺っているんですけれども、監理委員会としては、運輸省国鉄が一万二千五百人と言っていたのを、一万人というふうに減らせと言ったのは、どういう部門をもっと減らせとおっしゃったのか、それとも漠然と全体として減らせというふうなそういうおっしゃり方をなすったのかということですね。その二千五百人の余剰人員の問題が今また具体的に問題になってきていると思うんで、そのことをお伺いしたいと思います。  それからもう一つ続けてお伺いいたしますけれども、貨物駅が減らされて、三百というふうに減らされます。これによって、ちょっと見てみると、四国、九州、東北のある県ではもう全く貨物が走らなくなってしまう。地元住民の納得がそれで得られるのだろうか。私はこれではちょっと納得は得られないんではないかと思います。その点いかがでしょうか。  それから貨物特性、大きな専用貨物、そういう役割を果たさせる。四七と言われるセメント、石油、石炭、石灰石ですか、それは貨物に適しているというふうに言われております。そうしますと、私は北海道で、幌内、歌志内なんというのはあれはもう谷合いの中を走っている石炭の輸送線でございまして、あれを今度トラックでなんといったらもう大変なことになります、道路の問題、交通安全の問題、その経費の問題から。そうしますと、貨物の大きな柱になる専用貨物という立場から考えますと、そういう石炭の運搬、それからもう一つ足尾線というのもありますね、今問題になっております、こういうようなものについて、貨物特性を発揮できる対象だというふうにお考えになっているかどうかという点について伺って質問を終わりたいと思います。
  202. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 最初要員の点でございますけれども、これについては、今回の運輸省の方からの案によりましても最終的には一万人程度でやれる体制をつくりたいということでございます。私ども監理委員会といたしましても、当面一万二千五百人としてもなるべく早い時期に一万人ぐらいで業務が遂行できるという体制に持っていくことが会社の体質を強化する、競争に打ち勝っていくということのためにも必要であろうと考えているわけでございまして、その場合に、それじゃ一万人というのは、あるいはその一万二千五百人との差というのはどういう部分かということについては特に私どもとしては申し上げておりません。これからダイヤ改正作業が行われるわけでありますので、その段階で具体的にどういうダイヤを引き、どういう列車を走らせ、どういう駅でどういう要員配置をしていくかという具体的な検討段階においてその辺が詰められるというふうに考えております。
  203. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 三百駅というのを試算値の中にお示しをいたしておりますけれども、これは三百駅ということは、一応先ほど申し上げましたように、今回のは試算値でございまして、現在は考え方骨格を固めて、この考え方でおおよそ考えてみるとこの程度になるんじゃないか。もちろん具体的にはいろいろ積み上げておりますけれども、ただ、これから現地とは、この列車をどうやって残すか、残すためには往復列車販売とか、いろいろな意味で地元としてこういう形なら地元なり荷主なりが引き受けられるというような形がありますれば、できる限りそういうところは残していくという形でこれから具体的な折衝に入るわけでございます。決して四国とかそういうところが全部なくなるとかそういうことを決めたという段階ではございませんので、今後二月までの間にいろいろ検討してまいりたい。  それから幌内、歌志内、足尾の話でございますけれども、これらの線は、その貨物自体には鉄道特性というもののある性格の貨物であるということは先生指摘のとおりだと思います。ただ、その線自体がそれじゃ貨物だけで成り立つかというとそれはそうではないわけでございまして、貨物旅客含めてそこの線というものが全体として鉄道の特性を持っているかということでございまして、その点は一次線、二次線、三次線ということで、現在特定地方交通線ということでその線についていろいろ御協議を申し上げておる、そういう段階でございまして、この三線とも現在協議中でございますので、その協議結果を見守りながら対応したい、かように思っております。
  204. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 加藤参考人におかれましては、お忙しい中を本委員会に御出席くださいましてありがとうございました。参考人には御退席いただいて結構でございます。御苦労さまでした。
  205. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 まず最初に、私は、十一月の二十九日未明に引き起こされました例の中核派による三十三カ所に上る同時多発ゲリラの問題、これにつきまして国鉄当局並びに大臣の御見解をお伺いをしていきたいと思います。  千葉勤労による違法スト、それに連動いたしました中核派の国鉄破壊ゲリラ、まさにこれは千二百万人のサラリーマンとそして市民の足に影響を及ぼすという極めて大きな問題であったと思いますし、今後の対策として多くの課題を提供したというように思うわけでありますが、専門的な対策につきましては警察当局にお任せするといたしまして、私はこの問題について三点はかりお伺いをしておきたいと思うんです。  これはもともと千葉勤労の違法ストライキによって連動して起こされたものでありまして、ゲリラの行動実行者はもとより、私は千葉勤労の責任というものは決して免れ得ないものであるというように判断をしております。今後こういうようなことが再び起こされないために、この際当局として厳正に対処すべきだと考えますが、この点についてどのような基本的な方針考えを持っておりますか、質問をいたします。
  206. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 今お話しのとおり、帝都の交通を麻痺させ、これは一歩間違えば帝都の社会秩序を大きく混乱に陥れる大変な私は出来事であったと思うのでございます。したがいまして、これは許すべからざることであり、しかもその逮捕者の中に国鉄の職員がいたということはまことにこれはもう遺憾のきわみでございます。この問題につきまして目下警察当局で調査中でございます。が、いずれにいたしましても、これはもうあの行為自体からして弁明する余地はないと思っておりますし、このことにつきましては国鉄もまた同様に厳しい処分をされることだと思っております。  私どもは、この事態を見まするというと、国鉄の職員の中には、今日のこの国鉄の厳しい大改革をやらなきゃならぬゆえんというものがどこにあるかという、この国鉄の厳しい実態というものを十分これらの連中はわかっていない、そういう者がまだ国鉄の中にいるということが私は重大な問題だと思っておるわけでございまして、要するに責任意識の欠如と申しますか、そういう面をさらに徹底されるべき方策をさらに私どもは講じてまいらなきゃならぬというふうに理解をいたしておるところでございます。
  207. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 総裁、この問題どのように今後厳正に対処されるのか、具体的な方針がありましたら御説明をいただきたい。
  208. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今大臣が申し上げましたとおり、今回のストライキ及びその支援団体の行動によりましてこうしたような破壊活動が行われたということにつきましては、まことに言語道断の行為であるというふうに思うわけでございます。このような事態を惹起させました千葉勤労の指導者及び違法ストライキの参加者に対しましては、今事実関係を詰めておるところでございますが、できるだけ早く厳重な処分を行うべく、目下中身の詰めをやっている最中でございます。
  209. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 あのストライキ、そして同時ゲリラによりまして、私もその被害者の一人でございますけれども、損害額はかなり相当の広範囲にわたると思うんですよね。国鉄だけでも、発表されたところによると二十数億の被害を受けた、こういうように新聞報道で承知しているわけでありますが、当局としては千葉勤労に対してこの損害の賠償請求といいますか、そういうことを行う用意があるのかどうか、この点をお伺いします。
  210. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 十一月の二十八日と十一月の二十九日、両方にまたがりまして千葉勤労のストライキ及びそれに引き続きますゲリラ活動ということによる損害が生じたわけでございます。今のところまだ確定はしておりませんが、今先生おっしゃいましたように、損害額の想定は約二十億円というふうに考えられるわけでございまして、この国鉄の損害につきまして、千葉勤労に対し損害賠償請求するかということにつきましては、この千葉勤労の行為と損害額との相当因果関係を詰めまして、損害賠償請求ができるかどうか、これを検討していきたい、こう思っております。
  211. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 先ほど大臣も触れられましたが、これは国鉄職員の中にゲリラ行動に参加した者がいた、逮捕者の中にですね。国労の組合員二名らしいんですが、そのほかに郵政職員が二名、中学校の教職員が一名、市役所職員が一名、判明しただけでこれだけおる、こういうことが十二月五日の新聞によれば報道されているわけでありまして、これらはみんな公務員なんですね。私はこの実態から考えますと、いわゆる公企体や国の機関やあるいは地方自治体、公務員のそういう中がいわゆるゲリラの温床の一つになっておるのではないか、こういうようにも思わざるを得ない状況だと思うわけでありますが、大臣はこれらの実態をどのように認識されまして、これから一体どう対処されていこうとされておるのか、この点をお伺いをしておきます。
  212. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 他省庁にかかわる問題について私がとやかく言うべきじゃないのでございますが、一般論として見た場合に、確かに今度の結果から見れば、おっしゃる点は、指摘される点は私はあると思うんです。したがって、これから、私も一国務大臣として、やはり一つの内閣の姿勢にも影響してくることでございますから、これは厳に受けとめて、ひとつ公務員の綱紀の粛正という面から、やっぱりもっともっとちゃんとした態度をとっていかなきゃならぬと思います。
  213. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この問題は非常に都市機能の破壊ということで、これから情報化時代がさらに進展をしていきますと、一発で都市機能が全部麻痺してしまうという大変多くの重要な、市民生活にかかわりを持つ重大な問題を提供した、こういうように思いますので、その点については抜かりなく対策を立てていただきたい、このことを要望をしてこの問題は終わりたいと思います。  次に、私はきょうは総合交通政策の確立に関しまして基本的な問題を質問をしていきたいというように考えております。  総合交通政策の確立は急がなければならないわけでありますが、そのためには三つの基本条件、すなわち所要の立法措置、総合的な財政制度及び行政機構が必要であると考えます。このうち行政機構は、縦割りから横割りということで改革をされましたけれども、残る立法措置と財政制度についての基本的な考え方をお伺いをしたいわけでありますが、まずその立法措置でございますけれども、これは交通機関別の縦割り法令だけでは総合交通政策の遂行は不可能だと思いますへしたがって、交通機関間の調整、誘導のための調整法的なもの、つまり総合交通政策の根拠法令となるものが必要ではないかと考えているわけでありますが、この点についてまずお伺いをいたします。
  214. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) 総合的な交通政策、私どもできるだけ効率的な交通体系を目指して推進をしつつあるわけでございますが、その要点は、各交通機関をその特性に応じて相互補完的に組み合わせた効率的な交通体系の形成を図るということだと思います。  それで、実際にやっておりますのは、施策といたしましては、基盤施設の整備ですとか、事業規制の問題でございますとか、助成措置など、各般の施策を推進することにしておるわけでございますが、先生ただいまおっしゃられましたように、昨年運輸省はいわゆる縦割りから横割りというようなことで組織の改正を行いました。それで、例えば地域交通局ですとか貨物流通局ですとか運輸政策局、私どもの局もそのときに生まれまして、事業法が仮に違っておりましても、一つの局でそれを見まして、従来はいろいろな幾つかの局にまたがっておりまして、またがってといいますか、別々にそれぞれの局に合いました法律なども一つの観点から一つの局で取り扱うということになりました。そんなことで新機構のメリットも生かしながら交通機関間の所要の調整を行ってきているところでございます。現在のところ、必ずしも何か単一の総合交通の調整法といいますか、そういったものがなければ効率的な交通体系あるいは交通政策の推進上特に何か大きな支障があるとかいうふうには考えておらないのが現状でございます。
  215. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、財政制度も必要ではないかと思うんですが、すなわち、交通政策の目的別に、例えば地域交通特別会計あるいは都市交通特別会計、こういった目的別に財政制度というものを設けるべきではないかというように思うんですが、これについてはどうでしょうか。
  216. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) 財政制度の問題につきましても、例えば必要な各施設の整備につきましては、港湾とか空港などについてはそれぞれ特別会計の制度がございます。そういったことによって施設の整備を進めてきておるところでございますが、今先生おっしゃられました、例えば地域交通とか都市交通とかといったようなことで何か一元的な財政制度なりそれぞれの特別会計なりを設立するということにつきましては、現在の各交通機関の費用負担原則といいますか、というものに変更を及ぼすことになりまして、その財源なり負担をどこに求めるかという問題もございます。これらについては、受益と負担の関係、あるいは制度全般に及ぼすいろんな問題を考えますと、いろんな観点からやはり慎重な検討が必要であろうというふうに現在考えております。
  217. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、交通基本法の検討につきまして考えを聞いておきたいわけですが、我が国の交通政策の体系的な確立は大変おくれていると思います。そこで当面は、今まで私の申し上げました観点から総合交通政策の確立に努めるべきだと思いますが、次のステップとして、交通全般にわたる総合的な理念と原則及び政策基準を網羅的に規定したもの、いわゆる交通の憲法とも言うべき交通基本法の制定を考えるべきではないか、こういうように思うわけです。フランスでは一九八二年に国内交通基本法というものを制定しておるわけでございますが、こういうものと関連をさせまして、運輸省としては交通憲法というんですか、これに相当すべきものを早急に私は確立すべきではないかと思うんですが、考え方をお聞きしておきたいと思います。
  218. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 総合的な交通政策の推進につきましては、従来から各交通機関の特性を考慮しながら、現行の各事業法や各種の助成制度等の運用を通じて施策の充実に努めてまいったところでございます。  今お話のございましたフランスの国内交通基本法でございますが、確かに興味の深い一つの問題だと思っておりますが、ただ、施行後の具体的な問題が明らかにされておらないという点で、私どもまだ知るよしもないのでございますが、今後ともこの問題につきましては、実施状況等を十分また私どもも調査をしながら、長期的な問題としてこれは取り入れるべきだということでいきたい、かように思っている次第でございます。
  219. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、五六答申の補強と見直しについてお伺いいたします。  五六答申から早くも五年がたっているわけですね。そこで次の二つの理由から答申の補強、見直しを行うべきではないかと思うんですが、一つは、五六答申以後の環境の変化、輸送需要の変化、あるいは国鉄民営分割化という課題もあるわけでありますが、さらに情報化の進展、規制緩和による活性化、あるいは四全総との整合性などというものがあります。二つ目は、五六答申は理念を示した段階にとどまっておると思うわけです。具体的な政策基準は引き続いての課題となっていると判断するからでありますけれども、この五六答申の補強と見直しについてどのように考えておられますか。
  220. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) 先生おっしゃられますように、五六答申、五十六年の答申が出ましてからやはり環境の変化はいろいろございました。当時の輸送需要の予測と実績が大分違ってきているということ、そのほか輸送を取り巻く環境は相当変わりつつあります。そうではありますが、我が国経済社会の変化の方向というものは、当時五六答申が展望したものと基本的にはそう変わっていない。確かに数字などの面ではいろいろ変わっている点はありますけれども、基本的な方向としてはそう変わっているものではないというふうに考えられまして、現在のところ、この答申で示されております基本的な交通政策については、その方向については現在もおおむね妥当するのではないかというふうに考えております。  ただ、もちろん私ども、例えば需要の動向などにつきまして予測と実績が大分乖離しているということを踏まえて、今後どうであろうか、これは五年後あるいは十五年後あたりを見通して、そういった見直しといいますか、作業を始めておるところでございます。そういった状況も見ながら、今後そのときどきの社会情勢の変化に照らして所要の検討を行っていかなければならないのではないかと思っております。  それから、もう一つ先生おっしゃられました、具体的な政策基準というものを引き続いて検討する課題になっているのではないかということでございますが、答申で述べられております。そういった理念に基づいて具体的に施策を進めていきなさいということを言っておりますが、特に政策基準というお言葉ではないかとは思いますけれども、今先生おっしゃられました政策基準なり理念からさらに具体化した基準というものを考えてみますと、実際の具体的政策手段の発動に当たりましては、個々の交通機関の性格でございますとかあるいは運営、整備主体がどういうものであるか、整備方式とか今までの沿革とか、いろいろ考慮をすべき事項が多うございまして、投資とか助成とかその他いろいろな問題について統一的、画一的な基準をうまく設けることができるのだろうかどうか。それは必ずしも実情に合わないことになるのではないかとか、いろいろ問題が実はあると思うのでございます。したがいまして、これはこれからの検討課題ということにさせていただきたいというふうに考えております。
  221. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、協調と連携補完の原理について考え方をお聞きしておきたいんですが、五六答申は、総合交通政策の基本理念といたしまして、競争原理に加えて協調と連携補完の原理導入を必要としている。このことは理念としてはわからぬわけではありませんけれども、具体的な政策基準は一体そうなれはどうなのか、どういうことなのか。具体的政策基準を求めるのは抽象的な理念にとどめておいて、その判断や運用をすべて行政の裁量や政治の判断にゆだねてしまうということであるならば、大変重大な問題が内包しておると思うし、このことはかつ総合交通政策の確立を阻害する以外の何物でもない、こういうように思わざるを得ないのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  222. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) 先生おっしゃられました協調と連携補完というようなことでございますけれども、五六答申にも示されておるわけでございますが、今後の我が国の財政事情とかエネルギーとか環境等の制約の強まりを考えますと、あるいはまた利用者の立場からいってもそうだと思いますが、交通体系の形成に当たりましては、各交通機関が適正な競争を行う、これは当然やるわけですけれども、その一方では、その交通機関の特性に応じて組み合わした相互補完的な体系が必要である。そういった観点から、航空や新幹線のフィーダー輸送としての在来線の活用でございますとか、あるいは空港整備と整合性のとれたアクセス交通の整備とか、異なる交通機関がそういった場面では相提携、協調して本来的な利用者の利便に適するような体系をつくり上げるということが必要であると考えております。  これは現実の問題といたしまして、空港と鉄道、あるいは道路も含めてでございますが、そういったものの組み合わせというのは例えば北海道の千歳空港などでも具体的に見られるわけでございますし、まだこれからの問題としては、関西国際空港なんかの場合には、これからの話でございますけれども、アクセス交通というものと同時に考えてやっていくということで、航空と陸上あるいはさらに海上まで含めて全体的な協調関係、提携関係考えつつ進めていくということを現実にも進めておるところでございます。
  223. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、費用負担の構成基準の確立についての問題でありますが、これについては、利用者負担を大原則として、補足的に補助政策と世代間負担の必要性を挙げているわけですね。しかし、これについても原則的な理念と問題点指摘にとどまっている、私はそう思うわけでありますが、受益と負担の公正な理念を体系的に確立するとともに、それに基づいた具体的政策基準を明確にすべきであると考えますが、いかがなものかということが一つです。  なお、これにあわせまして、公共財の負担のあり方あるいは外部経済効果の判断基準についても明確にされたい。この点について御答弁をいただきたい。
  224. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) 各交通機関の整備、維持に要する費用の負担のあり方につきましては、基本的にはその交通機関の利用者による負担を原則とすべきであり、そのことが各交通機関がそれぞれの特性に応じ望ましい交通体系を形成していく上からも適当であるというふうにまず考えております。しかしながら、国民生活、国民経済上重要な交通機関であって、利用者の負担のみでは整備、維持が困難なものにつきましては、それぞれの機関の特性等を勘案の上所要の公的助成を行うということが必要であると思います。  これらの具体的な負担のあり方の問題でございますゆれども、各交通機関あるいはそれぞれの地域にやはり固有の事情がありまして、これらの実情と無関係に直ちに画一的な政策基準でもって対応するということは必ずしも適当でないという場合が多いんじゃないかと思います。  また、外部経済あるいは不経済の問題につきましては、外部経済効果の問題につきましては従来から地元負担などの形で幾つかの分野で実施されてきているものもございますが、この点は今後とも、合理的な根拠がありかつ実施可能なものについて十分検討を加えて進めていきたいと思っております。また、外部不経済の問題については、これは所要の規制等を課することによって内部化させていくというのが一般的なやり方だと思います。
  225. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、インフラ整備の調整基準確立についてでございますが、交通インフラは、個別特別会計による縦割り整備のために競合的投資や複合投資による効率性、整合性に欠ける点は否定できない、こう思うんです。交通行財政の一元化が究極の目標ではありますけれども、当面は総合交通政策上の重要課題と位置づけて、特別会計相互間の整合性や調和を図るための原則と政策基準を確立して対処すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  226. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) 交通投資のあり方につきましては、従来から経済企画庁などを中心といたしまして総合調整が行われております。また港湾、空港、道路などの交通施設の整備につきましては、それぞれ五カ年計画などの長期の計画の閣議決定が今まで行われてきておるわけでございますが、そういった過程で調整が行われるとともに、具体的事案に即して十分調整を図りつつ整備を進めているところでございます。したがいまして、現在におきましても、いわば各施設の整備計画、したがいましてまた特別会計相互間の調和あるいは調整というものは図られているものというふうに理解いたしておりますし、そのほかにまた全国総合開発計画でございますとか、いろいろな計画の中でそういった点も調整をされてきておりますので、当面は、先生おっしゃられましたことも十分頭に置きながら、こういったやり方で政府部内で調整をしていくということにしたいというふうに考えております。
  227. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、シビルミニマムの確立についてでございますが、公共交通のシビルミニマムにつきましては、一定以上の旅客がある場合には何らかの公共交通を維持する、こうしておりますが、これをもってシビルミニマムと睦言いがたいと思うわけです。公共交通の定義を明確にする上に立って交通シビルミニマムの政策理念を確立するとともに、具体的なミニマム基準を明確にすべきであると考えますが、この点はいかがでしょうか。
  228. 服部経治

    政府委員(服部経治君) ただいま先生がお取り上げになりましたシビルミニマムという概念は、本来大変幅の広い概念でございますけれども、そういう問題が現実具体の場で問題になるのは、やはり地域における旅客交通の面であることが多いということもございますので、あえて私から御答弁させていただきます。  確かに、先生指摘のとおり、地域社会の実情に応じた交通におけるシビルミニマムの確保という問題は、現在におきましても、またさらに将来に向けましても最も重要な政策課題の一つだというふうに基本的に認識いたしております。その中でも、いわゆる過疎地域におけるシビルミニマムの確保ということのための公共交通手段としてのバス輸送の確保の問題につきましては、それぞれの地域社会において最低限必要とされるバス路線の維持を図るということのために、私どもとしてはいわゆる地方バス補助制度の充実ということに向けてこれまでも最大限の努力を払ってまいってきているところでございます。  ところで、御提案の具体的なシビルミニマム基準の確立を図るべきであるということにつきましては、その御趣旨はよく理解できますものの、それぞれの地域地域事情が大きく異なることもございまして、統一的なミニマム基準というものを確立するということは極めて困難なことであろうというふうに考えるものでございますけれども、仮にこれを現在私どもが行っております地方バス補助制度に即して申し上げますと、事業として採算性の確保が困難と考えられます平均乗車密度十五人以下の路線を対象にしまして、関係自治体と共同して所要の補助を行っているところでございまして、それが現実の行政の場に移しました格好でのシビルミニマムの考え方であるというふうに申し上げてよろしいんではないかというふうに思っております。
  229. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最後ですけれども、今局長も若干触れられましたけれども、公共交通の補助制度の問題について原則的なものについて考え方をお聞きをしておきたいんですが、利用者負担の原則によりがたい地域交通では、現実に国や地方の公共団体による外的補助措置がとられている。しかし、補助措置が体系的に整備されていないのに加えて、裏づけとなる財政制度も確立をされていない。このために絶えず政治に左右されるなどで事業経営が不安定きわまりない状況にある。したがって、シビルミニマムや費用負担の構成基準と連動した体系的な補助制度を確立すべきではないか。このことは極めて重要な今後の課題ではないかと私は思うのでありますが、この点についてのお考えをお聞きをして私の質問を終わります。
  230. 服部経治

    政府委員(服部経治君) この問題につきましては、先ほど栗林局長の御答弁の中でも若干触れておられましたけれども、私ども、利用者負担の原則によりがたい地域交通手段の整備あるいはその維持ということに関しまして、例えば大都市部におきましては地下鉄整備のための補助制度を持っておりますし、また過疎地域につきましては地方バス補助あるいは離島航路補助、さらには中小私鉄に対する欠損補助なり近代化補助なりといった諸制度をもって現在その運用に当たっているところでございます。これらの補助制度はいずれも一般会計支出の補助制度でございまして、その意味では裏づけになる財政制度が確立していない補助制度であるということはまさに先生指摘のとおりでございます。また、今私が申し上げましたうちで、地下鉄の補助、それから地方バスの補助というのは法律に根拠を持たないいわゆる予算補助制度になっております。このこともまた先生の御指摘のとおりでございます。  こうした点も踏まえましての先生の御提案でございますが、その御提案は確かに一つの貴重な御見識であるとは思いますし、我々としてもその問題につきましての検討はなお今後に向けて行っていくべきであるというふうに考えておりますが、なお一言申し上げれば、現状においては、現行の補助制度の維持、それからその一層の充実ということに向けて現実的な対応を図っていくことが肝要ではないかというふうに考えておるものでございます。
  231. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 私の通告済みの質問事項についても既に他の議員の皆さん方からたびたび質問が出ております。観点を変えまして簡潔に若干の点をお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず第一点は、世界の航空会社が六百機以上も現に飛ばしている米ボーイング社のジャンボ旅客機747型機について、米国家運輸安全委員会、いわゆるNTSBは、設計の変更と改修を求める安全勧告を連邦航空局に提出をした旨の報道がございました。これは世界の航空業界にとっても、また我々利用者にとっても全く衝撃的な勧告でありまして、さきの日航機墜落事故に関する断片的な報道しか聞いていない私たち素人にとっても不吉な予感が的中をしたような気がいたしました。さらに同委員会は、現在既に就航いたしております新しい767型機の改修も要求しており、さらに大きな衝撃でございます。この勧告は、さきの日航機事故の際、墜落機の製造国であります米国はその原因調査に関与しているが、そのときの独自調査と日本側の協力で入手した資料に基づいての結論でありますだけに説得力がございます。  すなわち、その内容は、後部隔壁の破裂で客室から胴体尾部に噴出した与圧空気が、尾翼と四つある操縦系統の油圧管の全部を破壊したとの結論を出しております。さらに勧告は、設計上、胴体尾部に噴出した空気を逃がす調整口が大きさが不十分だったことから、油圧管を含め設計変更が必要であるとしており、隔壁の安全性も解析試験を行うよう求めております。ボーイング社は既に隔壁の修理ミスを認めており、我が国の事故調査委員会におかれましても、米国国家運輸安全委員会、すなわちNTSBと同じ仮説を持っておられると聞いております。  事故機は国際航空の主力機であり、機体に原因のあることが明らかになった世界で最初の事故だと思います。したがって、事故調査委員会の出されます結論は国際的な関心が集中しておりますこともまた明らかだと思います。したがって、識者の中では、実物を使って隔壁破裂を原因とする日航機墜落のメカニズムを徹底的に究明する必要があるとの意見さえございます。しかし、調査に当たっては、まず第一点として、脱落しました垂直尾翼の大部分が回収ができておりません。もう一つの点は、調査委員会に配当されている予算も極めて少額であること等々、十分な調査を行うための阻害要因もまた多いように聞いておりますが、御遺族の納得を得ることは当然のこととして、国際的な関心にもたえられ、しかも再発防止にも役立ちます結論が得られますのかどうか若干の危惧をいたしておりますものでありますけれども、その辺の点について調査委員会の所信を承りたいと存じます。
  232. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) お答えいたします。  今回の米国国家運輸安全委員会、いわゆるNTSBの連邦航空局、FAAに対する安全勧告は、NTSBが、事故機の製造国の委員会としての立場から、既に公表されております事実をもとに一つの可能性として考えられる状況を推定し、万全を期するために行われたものであると承知いたしております。  一方、我が国の航空事故調査委員会は、今回の日航機事故につきましては、事故発生国の事故調査機関として調査実施の責任を持っているものでありまして、鋭意原因の究明に努めているところでございます。現在、墜落現場等から主要な機体残骸の収容を終えまして、その詳細な調査を行うなど本格的な調査を開始したところではありますが、今後さらに事実認定の試験研究、解析等、科学的かつ公正な調査によりまして国際的な関心にもたえられるような真の原因を究明してまいりたいと考えているところでございます。
  233. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 NTSBは隔壁の安全性も解析試験を行うよう求めておりますが、ジャンボ機は隔壁の安全性の試験が行われておらなかったのかとの疑問を私は持ちます。だから、ジャンボ機は開発段階で隔壁破裂のテストを行い安全を確認していると信じられていた。それが行われていなかったとすれば、ジャンボ機の安全神話がまた一つ崩れたとの指摘もあります。  そうだといたしますと、けさほどからの質疑にもありましたように、我が国では日航だけでなしに全日空にも早急な対応が必要になってまいります。乗客の不安を解消するどころか、生命の安全を守るためボーイング社に改修を急がせるべきはもちろんですが、勧告がそのまま実施されると機体のやりくりにも支障が見られるとのことですが、ジャンボ機の運航停止が不可能でありますとすれば、未改修の機体でも飛ばさざるを得ないということになるかと思いますが、もちろん既に実施された施策もありますようですが、航空会社に対してさらに慎重な整備と運航体制を踏む御指導が必要と考えておりますのでございますが、担当運輸省といたしましてもこういった問題に対する対応はいかようになさいますのか、お尋ねをいたします。
  234. 大島士郎

    政府委員(大島士郎君) ただいま、ジャンボ747について未改修の機体を飛ばしていることに問題ないのかという趣旨の御質問でございましたが、本件の事故、日本においてまだ原因を公式に確定したという段階ではございませんが、アメリカのNTSBが一つの推測というものを先般発表しました勧告の中でも述べておりまして、これを仮に認めるという形でお話し申し上げるといたしますと、この勧告の中にも述べておりますが、今回は極めてまれな事態から後部耐圧隔壁の破壊が始まったというような、すなわち、ボーイングによる修理ミスということから、設計上予想されないような傷が存在したという趣旨のことを述べておるわけでございます。  そういった点から考えますと、私ども、この事故後にいろいろな点で現在飛んでおりますジャンボのすべての耐圧隔壁の検査をし、あるいはただいま日本航空に対して改善命令を出しておりますところのジャンボの総点検、こういった結果を踏まえまして、現在飛んでいるジャンボについては、このような点検を強化することによって、構造破壊に至るという心配はまずないと考えでございます。ただ、NTSBの勧告にもございますように、仮に何らかの理由で後部耐圧隔圧が一部でも破損した場合にはあのような垂直尾翼が飛ぶおそれもなしとしないということで、その場合の万全の措置として後部胴体全般の設計について検討をする必要がある、こういうふうに言っております。  それで、NTSBのこの勧告の内容そのものは、一つのNTSBの考え方あるいは今後の安全対策の方向を指示したものでございまして、技術的な意味での具体的な対策は、勧告を受けましたFAA、連邦航空局がこれから立てるものでございまして、私どもは、こういう連邦航空局の具体的な技術対策が立った段階で速やかに日本の航空会社に対してもこのような改善を施すよう命令したい、指導していきたい、こう考えているところでございます。
  235. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 ただいまの答弁はよくわかります。けれども、航空機の安全は、その心配がまずないということで済ますことはやっぱり危険だと思います。その辺のところを将来の施策の上で十分御配慮をいただきたいと思います。  次は、運輸省についてでございますが、運輸省は今月の二日、国鉄貨物部門の改革案として、「新しい貨物鉄道会社のあり方について」をおまとめになり、発表されました。これは、国鉄再建監理委員会がことしの七月にまとめた「国鉄改革に関する意見」の中にある求めを受けられたものでありまして、その改革の骨子は、コンテナ輸送、大量定型貨物直行輸送を守っていくしかないということで、思い切った合理化策を打ち出しておられるところにありますと思います。しかし、本件については既に午前中の質疑で論議されておりますので、これらは重複を避け、さらに論議を深める意味において次の点だけをお尋ねをいたします。  局長の御答弁で、このまとめは貨物会社の一応の骨格を示したものと答えられております。その次に行われました安恒議員の質問、これに対する運輸省及び監理委員会の答弁を大きな関心を持って聞かしていただいておりました。安恒議員の質問のオンレール部門とオフレール部門とは表裏一体の関係にありのくだりは、私としては説得力があったと感じました。だからこそ、その次の局長答弁におかれても、オンレール部門だけで考えてきた従来の国鉄考え方ではだめなどの立場からこの考え方をまとめた旨お答えになっておられます。確かに、まとめには、「従来の運行形態にとらわれず」とか、あるいは積極的にとかの文言はございますが、ただ、これだけの文章にまとめる中では大変困難であったことかとは思いますが、斬新な抜本的な施策としてなかなか説得力のあるものがあらわれておりませんように思います。  従来のオンレール発想だけでなく、オフレール部門も総合的に組み入れた経営方針がどのように表現をされているのか探しあぐねておりますのでございますけれども、この点について簡潔にお答えをいただけたらと思います。
  236. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先ほど安恒先生の御質問にもございましたように、従来の国鉄貨物がどうしてこういう大きな赤字を生んだかという原因というものの上に立って新しい貨物会社のあり方というものを考えていかなければいけない、私どもも全くそういうふうに考えまして、その上で考えてみたわけでございます。  その際に、先ほど時間の関係もございまして余り詳しく御説明を申し上げませんでしたけれども、大きく言いまして、今回の改革の考え方というものの一つは、オンレールでは特性ある部分に限っていって、そしてコストを思い切って下げて荷主さんに提供できる体制、まずこれをとらなければいけないということが第一点でございます。  そのために考えましたことが、従来の国鉄は三種類の貨物輸送をやっております。一つは専用貨物でございます。それからもう一つはコンテナ輸送でございます。それから第三番目に車扱いというものをやっております。これは随分大幅に切りましたけれども、依然として配送列車という非常に不経済な列車で集めて、輸送基地から一本の列車に仕立てて次の輸送基地へ行って、またそこから配送列車に渡しておる。この三つの形態がございますが、この三つの形態のうちの三番目の形態というのが非常にコストがかかるということから、これについて思い切った改革を加える。ただ、これはすべて切り捨てるという考えではございませんで、それを何とかコンテナ輸送とか専貨輸送というような形の方に転換できないかというような形での検討を行ったわけでございます。そういうふうな意味での点が一つ。  もう一つは、そのオンレールにかかりますコストというものを、極力民間的、効率的な経営形態にしてコストを落とす、そういうことでオンレール部門のコストを落とす。  それから次に、オフレールを含めました部分といたしましては、従来国鉄自体がオンレールの商品を販売しておるという形では、やはりこれは非常にコスト高になるし、限界がある、やはりそういう部分は専門家である通運会社とかトラック会社とか、そういう荷主さんと非常に密接な関係がある方たちというものにひとつお任せをしてやってみてはどうだろうか。もちろん、専用貨物はこれは大きなものですから、荷主と直接貨物会社がやっても構いませんけれども、いわゆるコンテナ輸送というものにつきましては、そういう意味でオフレール専門家である通運とかトラックというような事業者にお任せをして、そしてその方たちが荷物を集めて、これだけまとまってコンテナ輸送列車の一本になるという見通しの立つ荷物を集めていただいて、そして往復の単位でそのコンテナ列車を売る。後はたくさん荷物を集めれば通運会社の方がそれだけ利益が上がる。そういう形のいわゆる卸売の販売方式に転換する。こういうことでオンレールとオフレール関係において特性をさらに発揮できるようにしたらどうか。そういうような観点で今回の案をまとめたわけでございます。  したがいまして、そういう関係で、配送列車等を切りましたから、駅の数とか荷物とか、若干手がたく見積もりますと輸送量の減少とか駅等の縮小というものを招かざるを得ない部分もあると思いますけれども、基本的には、そういう面に立ってさらに多くの貨物を集める、従来よりも積極的な販売方式をとるということの方を目指していきたいということを考えておるわけでございます。それが先ほど来御説明を申し上げておる今回の考え方骨格でございます。
  237. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 次に、このまとめには多角的、積極的、弾力的等の文言が散見をされるのでありますが、これはやっぱり事業経営では最も必要な言葉だと思います。その割に、具体的施策の中で国鉄貨物事業の再建に対する悲願が見当たらないように思えてなりませんことを残念に思っております。ただし、隔日運転列車の拡充とか、さらには往復列車単位の販売方式等の新しい輸送形態は提言をされておりますが、これらの方式には私自身としては、ただいま説明を聞きましたけれども、余り賛意を表することはできません。  なぜなれば、それはむしろ物流構造の変化への対応や経済原則に見合ったきめの細かいサービスにはむしろ逆行をするような気がいたさないでもございませんし、何か硬直化した経営方針ではないのだろうかという疑問さえ持ちます。これでは国鉄貨物はいつまでたっても落ち穂拾いに甘んじなければならないのではないか、こういう思いもいたします。結局は縮小均衡の道を歩いて、最後には国鉄貨物から撤退さえ余儀なくされるのではないか、こういうことを案じております。やっぱりできれば生き残らなければなりませんし、それどころかさらには再建をされなければなりませんが、その再建へのプロセスだけでも結構です。一般的国民に理解ができるようにひとつ当局の御所信の御表明を願いたいと思います。
  238. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先生のお話の中で、隔日運転とか往復列車というのは縮小均衡とかそういう道へつながるんではないか、こういう危惧の念をお持ちでございます。  私どもの考え方は若干違っておりまして、隔日運転というようなことはむしろ積極的に列車を残す。従来その列車は一日一本で成り立たなければやめていくというような考え方考えておりましたけれども、例えて言えば、隔日運転をするというようなことでその列車が成り立つというのであれば、むしろそれを維持していくべきではないか。そういうことでできるだけきめの細かいサービスというもので貨物を集めていくべきではないか。  それから往復販売というのも、先ほど申し上げましたように、やはり荷物を集めるのはこれは通運でありトラックであり、そういう専門のところにお任せをするということが一番望ましい。そうであれば、恐らくそういう方たちというのは、先ほど申し上げておりますように、鉄道というのは長距離の特性を持っておりますから、トラック会社とかそういう方のお話を聞きましても、好んで長距離のトラックを動かしているわけじゃない、レールが特性のある部分でうまく受けてくれるなら、自分たちはそれに任せて末端の輸送に徹して荷物を集めたい、そういうような御意向もかなりございます。  そんなようなことで、積極的に貨物を展開していくためには、むしろそういう専門のところに荷物を大いに集めていただいて、そして特性のある部分の輸送でオンレールの部分を引き受けて特性を発揮してやっていく、そういうふうな考えでございまして、先ほど申し上げましたように、決して縮小均衡ということではなくて、ただ、積算の場合には一応現在で想定できますものを六十二年度計算をしておりますから、若干の縮小はございますけれども、将来的には貨物が拡大していけるという希望のある会社というものにしたいということでいろいろ検討しておるところでございます。
  239. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 終わります。
  240. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 本日の質疑はこの程度といたします。     —————————————
  241. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 次に、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  発議者小柳勇君から趣旨説明を聴取いたします。小柳勇君。
  242. 小柳勇

    小柳勇君 ただいま議題となりました日本国有鉄道経営再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  現在、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づいて進められている特定地方交通線対策については、当該地域における交通の確保、住民の利便等が十分反映されないまま廃止が強いられているため、地域住民の強い反発を招いており、まことに遺憾と言わざるを得ません。  申すまでもなく、特定地方交通線は、当該地域において地域住民の生活に欠くことのできない足として定着しており、特に、交通弱者と言われる通学生、高齢者を初め、モータリーゼーションの流れに乗れない人々にとっては、特定地方交通線は唯一の輸送機関となっております。  また、特定地方交通線は、単に、地域交通の中核としての役割のみならず、営業キロが百キロメートルを超える長大路線を抱えているほか、地方中小都市間輸送、大都市への優等列車による直行輸送が現に行われているなど、全国交通ネットワークとしての重要な役割も担っており、その公共性は極めて大きいものがあります。  このように、特定地方交通線が重要な役割、使命を果たしているにもかかわらず、現行では、単に効率性の観点から、乗り合いバス事業に転換することを前提に特定地方交通線を廃止する措置がとられております。  しかし、効率性優先による特定地方交通線の廃止は、当該地域における交通の確保や住民の利便が十分考慮されないばかりか、先輩の努力で築き上げられた鉄道網を寸断することになります。一たん鉄道が廃止されてしまうと、再び鉄道敷設の必要が生じた場合・その実現は至難のわざとなり、後世に大きな禍根を残すことになりかねません。鉄道が敷かれて駅ができ、駅を中心に町や村ができました。鉄道、とりわけ駅は、その町や村の玄関であり、集会所であり、地域住民にとっては心のふるさととも言えましょう。長年鉄道とともに生きてきた地域から、安易に鉄道を奪い去ることは、町や村の存立に大きな打撃を与えることになり、ひいては、過疎、過密現象を一層促進させ、政府の標榜する国土の均衡ある発展に逆行する措置と断じても過言ではありません。  一方、バス転換につきましても、最近の道路交通の渋滞混雑は、都市部、農村部を問わず全国的な現象となっており、また、鉄道の持つ大量、定時、無公害、省エネルギー輸送の特性、機能をそのままバスに代替させることは到底不可能であります。その上、バス転換に伴う地方公共団体初め地域住民の経済的負担の高まりについては既に多く指摘されているところであります。  果たして、特定地方交通線は真に不必要と言えるでしょうか。その廃止は唯一無二の政策選択の道でありましょうか。  特定地方交通線は、効率性が悪いと言われますが、昭和五十九年度決算における特定地方交通線全線の赤字額は七百五十億円と少なく、国鉄全体の損失一兆六千五百五億円のわずか四・五%にすぎません。東北新幹線の赤字額の半分でしかないのであります。また、特定地方交通線に地域住民の要望に沿って駅を配置したり、使いよい列車ダイヤの編成、レールバスの配置などの工夫を講ずれば、その利用度は格段に高まり、収益も改善されるはずであります。  以上申し述べましたように、特定地方交通線の安易な廃止については、多くの問題があり、むしろ利用の仕方を工夫し、再活性化することが国土発展の将来に向けて必要であります。  したがいまして、特定地方交通線対策として、まず、特定地方交通線の選定、承認を厳正に見直すほか、現行の特定地方交通線対策協議会に二年間の期限をつけ、協議が調わない場合は当該特定地方交通線を廃止するという、見切り発車、強制廃止の仕組みを改め、協議会の期限を二年から五年に延ばすとともに、協議会の会議の構成員を行政当局のみに限定せず、利用者代表などを加え、地域交通のあり方を踏まえた検討の場に改変する必要があります。  このようにすることにより、国鉄の営業線として存続維持する道も残した上で、特定地方交通線の存廃を決めることが可能となり、地域の意思を尊重しつつ、可能な限り、鉄道として存続できる方向結論を導くことができるようになります。  本法律案は、以上の考え方にのっとり提案するものであります。  次に、本法律案の概要について御説明申し上げます。  第一は、特定地方交通線対策の目標を、昭和六十年度から六十五年度に延長するとともに、特定地方交通線対策を効率性に重点を置くことをやめ、地域交通の確保を重視して進めることに改めております。  第二は、特定地方交通線の選定及び承認に当たっては、その対策を乗り合いバス事業への転換が適当である営業線としておりますが、これを削除し、輸送効率が著しく低い営業線に限定することとしております。  第三は、特定地方交通線対策協議会は、学識経験者の意見を聞くことができることとしておりますが、地域交通の確保に十分留意して協議を行うために、新たに、利用者代表、学識経験者などを協議会の会議の構成員に加えることとしております。  第四は、協議会において、一定期間内に協議が調わない場合には、国鉄は、当該特定地方交通線の廃止の申請ができることになっておりますが、その規定を削除することとしております。  このほか、協議会が特定地方交通線の廃止を前提とするものではなく、当該地域における交通のあり方を踏まえて鉄道の存廃を協議する機関とすることに伴い、国鉄経営改善計画に明示が義務づけられている廃止予定時期を削除するなど所要の措置を講じております。  以上が、本法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  243. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会      —————・—————