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1985-11-21 第103回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十一日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 中島源太郎君    理事 石川 要三君 理事 戸塚 進也君    理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君    理事 小川 仁一君 理事 元信  堯君    理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君       池田 行彦君    石原健太郎君       内海 英男君    鍵田忠三郎君       菊池福治郎君    塩川正十郎君       月原 茂皓君    中村喜四郎君       二階 俊博君    堀内 光雄君       上原 康助君    角屋堅次郎君       沢田  広君    関山 信之君       渡辺 嘉藏君    鈴切 康雄君       日笠 勝之君    田中 慶秋君       柴田 睦夫君    三浦  久君  出席国務大臣         通商産業大臣  村田敬次郎君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         建 設 大 臣 木部 佳昭君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君  出席政府委員         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    鹿兒島重治君         臨時行政改革推         進審議会事務局         次長      山本 貞雄君         総務庁長官官房         審議官     百崎  英君         総務庁長官官房         審議官     米倉  輝君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁行政管理         局長      古橋源六郎君         総務庁行政監察         局長      竹村  晟君         総務庁恩給局長 佐々木晴夫君         総務庁統計局長 北山 直樹君         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         法務省民事局長 枇杷田泰助君         大蔵大臣官房審         議官      亀井 敬之君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       松原 幹夫君         国税庁間税部長 村本 久夫君         厚生省生活衛生         局長      北川 定謙君         林野庁長官   田中 恒寿君         通商産業大臣官         房審議官    松尾 邦彦君         通商産業省通商         政策局長    黒田  真君         通商産業省生活         産業局長    浜岡 平一君         運輸省運輸政策         局長      栗林 貞一君         運輸省国際運          輸・観光局長  仲田豊一郎君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         運輸省貨物流通         局長      武石  章君         運輸省航空局長 西村 康雄君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君         労働省労働基準         局長      小粥 義朗君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設省建設経済         局長      清水 達雄君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 渡辺  尚君         自治大臣官房審         議官      石山  努君         自治省行政局選         挙部長     小笠原臣也君         消防庁次長   井上 孝男君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   阿南 一成君         外務省経済局国         際経済第一課長 小川郷太郎君         大蔵省国際金融         局次長     橋本 貞夫君         農林水産省畜産         局食肉鶏卵課長 鎭西 迪雄君         食糧庁業務部需         給課長     福田 圭助君         運輸省航空局次         長       山田 隆英君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十一日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     沢田  広君   新村 勝雄君     渡辺 嘉藏君   山本 政弘君     関山 信之君 同日  辞任         補欠選任   沢田  広君     嶋崎  譲君   関山 信之君     山本 政弘君   渡辺 嘉臓君     新村 勝雄君     ――――――――――――― 十一月二十日  中小企業専任大臣設置に関する請願井上一成  君紹介)(第三四八号)  国家秘密に係るスパイ行為等防止に関する法  律案反対に関する請願経塚幸夫紹介)(第  三七六号)  同(柴田睦夫紹介)(第三七七号)  同(津川武一紹介)(第三七八号)  同(中川利三郎紹介)(第三七九号)  同外一件(東中光雄紹介)(第三八〇号)  同外二件(松本善明紹介)(第三八一号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第四〇一号)  同(江田五月紹介)(第四一九号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第四二〇号)  同(斉藤節紹介)(第四二一号)  同(柴田睦夫紹介)(第四二二号)  同(藤木洋子紹介)(第四二三号)  同(三浦久紹介)(第四二四号)  同(山原健二郎紹介)(第四二五号)  同(江田五月紹介)(第四五二号)  同(元信堯君紹介)(第四五三号)  同和対策充実強化に関する請願平沼赳夫君  紹介)(第四〇〇号)  スパイ防止法制定に関する請願池田行彦君紹  介)(第四〇二号)  同(加藤六月紹介)(第四〇三号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第四〇四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  許可認可等民間活動に係る規制整理及び合  理化に関する法律案内閣提出第一号)      ――――◇―――――
  2. 中島源太郎

    中島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関山信之君。
  3. 関山信之

    関山委員 まさに世を挙げて規制緩和民間活力シンドロームという感じでございますけれども、私はきょうは、所管運輸委員会におりますので、この一連規制緩和運輸部門についてお尋ねを申し上げたいと思うのです。  本国会、この一括法案の中で運輸関係提出法案は八法案ございますけれども最初後藤田長官にちょっと御感想を伺いたいと思うのでありますが、海事代理士法、これは届け出の期限を一週間以内という制限をなくすという法律であります。道路運送法の一部改正供用開始届け出を廃止をするという法律であります。海上運送法の一部改正、これは標準運送約款制度を取り入れるという法律であります。それからタクシー業務適正化臨時措置法の一部改正、これはタクシー運転手登録事項から本籍を削るという法律であります。そして倉庫業法の一部改正、これも標準約款制度を取り入れるという法律であります。内航海運組合法の一部改正、これは事務所の所在地の変更を認可から届け出にするという法律であります。船舶安全法の一部改正、これは従来もやっておりました船舶検査海事協会に対する委託を大幅に広げるということであります。最後は航空法の一部改正。この八つ法案が出ておるのですけれども、確かに行革審答申を拝見いたしますと、今回の規制緩和の問題についてそれなりのいろいろな意義づけというものが示されておるわけでありますけれども、この法案を見る限りにおきましては、航空法の一部改正アクションプログラムに沿っていますからそれなり意味はわかるのですけれどもあとの七法案につきましては全く手続簡素化法案ですね。  最近、この規制緩和につきましては、規制という問題に関連して経済的規制とか社会的規制とかいろいろあるようですけれども、どうもいろいろ見ておりますとお役所的規制といいますか官僚的規制といいますか、そういうまたもう一つのジャンルがあるんじゃないか、こんな感じもいたしておりまして、この部分については、羊頭を掲げて狗肉を売るというわけじゃないんですけれども、どうでもいいとは言いませんが、いつやったって、やるならやるでもっと早くやっておけばよかった、あるいはこれから先だっていつやってもいいというような仕掛けの法律がぞろぞろと並んできておるのを見ますと、これは一体どういうことなのかなという感じがするのですが、長官いかがでございましょうか、御感想をまず伺いたいのですが。
  4. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今回の運輸関係規制緩和でございますけれども運輸省というのは大変許可認可の多い官庁でございます。ただ、これは、運輸省それ自体が従来から政策官庁というよりはどちらかというと許認可官庁という批判もあったところでございますが、これは運輸省自身がこの前の行政改革で八省庁の改廃のときにも政策官庁への脱皮という現在改革の途中にある役所である、私はこういう基本的な認識は持っておるわけでございます。  今回の行革審答申を受けての改革規制緩和も、政省令を合わせますと運輸省関係で百何本か、大変多いわけでございます。その中に法律関係では今お話しの八本ばかりの法律でございますが、多くはその手続関係であるといったような御意見でございますが、まさに今回の法律改正ではそのとおりでございます。  そこで、規制緩和の問題につきまして私どもの基本的な物の考え方は、やはり世の中の変化に対応していろいろな規制が不合理になっておるもの、こういったものを直し、そして経済活性化に資するんだ、こういうことで、運輸事業についてもそういう観点規制緩和をやり、輸送サービス向上に寄与する、こういう観点で取り上げたい、こう思っておるわけでございますが、一方、運輸関係には中小企業がたくさんあるとかあるいは安全の面に配慮しなければならないとか、いろいろなその業界特有事情がやはりあるわけでございます。  そこで、私どもとしては、安全確保が要請をせられておる特殊性、それからいま言った中小企業が多いといったようなことを考えながらも、同時に、しかし、これだけ運輸関係を取り巻く環境が変わってきた以上は、それに対応してできる限りの規制緩和をし、そして業界全体の活性化も図って運輸サービス向上にも資さなければならぬではないか、こういうことで、率直に言いまして、運輸省関係許認可というのはまだまだこれからがやらなければならぬ大きな課題であろう、こういうよう観点で、まずは運輸省自身でひとつそういう点の見直しを絶えず行っていただきたい。なお、必要とあれば、それを促進するという意味合いからも、今後とも私の役所なりの調査なり監察なりもさせていただきまして、そして必要とあれば一層推進をする、こういう観点で、運輸関係規制緩和というのが実は行政改革の中の規制緩和の一番の大きな課題として今後とも残されておる部門ではないかな、今回はとりあえず行革審答申で、そしてまた私ども運輸省との間の話し合いのついたものを手をつけていっておる、こういう御理解をしておいていただきたい、かように思うわけでございます。
  5. 関山信之

    関山委員 私が冒頭こんなことをお尋ねいたしましたのも、どうも初めに言葉ありきで、行革にいたしましても規制緩和にいたしましても、何か言葉だけがひとり歩きしてしまうという傾向がございまして、行革一般あるいは規制緩和一般というのはないのでありますから、私ども行革一般あるいは規制緩和一般反対をしているわけではない、しかし、それはそれなりに今日まで存在をしてきた行政のありようあるいは規制行政のありようというものは、子細に具体的に検討しながら着実に進めていくということがありようだろうと思うのです。しかし、どうも出てまいります法律だとか問題の取り上げ方を見ておりますと、いささか帳面づらを合わせるといいましょうか、あるいは画一的なやり方というのが目立つようであります。  これはちょっと規制緩和関係ないのですが、せっかく長官がいらっしゃいますので、私、いずれ改めて別に陳情もしなければならないよう事柄なんですけれども、これも同じよう意味で画一的、機械的という感じがするのですが、例えば地方のブロック機関、これが私の選挙区では、今新潟運輸局が廃止される、されないといってまた問題が出始めているのです。これは九つのものを八つにしなければならぬという数合わせですね。私はこの前のときも、日本海側だった一つ新潟運輸局なんというのは行政的にも意味があるんだし、特殊な存在なんだし、これはやはり慎重に対処していただかなければならぬということで残していただいたわけですから、こういったことも今申し上げたようなことと裏腹でやはり画一的に扱ってはいかぬ問題だろうと思っておりますが、この機会にこの問題についても言いかがでございますか。
  6. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 行政改革というのは本来的には余り画一的にやるべき問題ではない、それぞれの特殊性に応じて、そして必要の度合いをよく考えながらやるべきであって、必要でないものはどんどん改廃をすればいいし、必要なものはやはりそれなり充実をさせていく、こういう観点でなければならぬことは関山さんのおっしゃるとおりなんですが、何せ大変やかましい問題でございますから、といってこの行政の機構なり仕事のやり方をそのままというわけにいかぬ、ならばやはり網をかぶせざるを得ないといったようやり方で、ともかく各省なり既存の団体なり、こういうものをその枠の中に押し込めていかなければ改革はできないといったようなことでとられておるのが、今関山さんのおっしゃる御批判の対象になるのではないかなと思いますが、本来的には関山さんがおっしゃるように、それぞれの必要度合い、それらによってやっていくべき筋合いでございますから、私どもとしてはできる限りはそういう線に沿ってやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  7. 関山信之

    関山委員 冒頭長官お尋ねいたしましたのは、先ほども御答弁の中にございましたように、問題は、運輸部門につきましては、今回提出されております法律そのものよりも、今後に残されているさまざまな課題の中に多くの問題を残しておるようでございますから、今の運輸局の問題なども含めまして、どうぞひとつこの規制緩和に盛られている趣旨を生かしながら、なおかつ、運輸部門の特殊な事情というものは十分お考えいただぎたいということをこの際申し上げておいて、運輸大臣が余り時間の余裕がないようでありますので、この際運輸大臣お尋ねをいたしておきたいと思うのです。  これはそれぞれの委員から軒並み御質問があるんだと思うのですけれども、なぜこの手の法律一括法案としたのか、一括法案とすることに大臣として御同意をなされたのかという疑問が残ります。そして同時に、法律的には行革審指摘事項の中で言えばあと法律ぐらいのものではありますけれども運輸省としては今後ともこういう扱いでこの種法律に対処をしていくのかどうか、この際ひとつ伺っておきたいと思います。
  8. 山下徳夫

    山下国務大臣 今回の法律案に盛り込まれております事項は、いずれも行革審答申を受けて閣議決定いたしました行革大綱に盛り込まれておる、公的規制緩和に係る事項の実現という統一的な政策でとらえてあるわけでございます。さらに、改正趣旨、目的が時代変化等に伴って不要ないし過剰あるいはまた不合理となっている規制を是正するという点で共通であると認められる、こういうことから政府の方針としてこれらを取りまとめて提案することといたしたものでございます。
  9. 関山信之

    関山委員 メモを読み上げられればそういう答弁になるのでしょうけれども、後ほど議論さしていただきます。  同じ規制緩和といっても、経済的な規制緩和もありますし、あるいは質的規制というのでしょうか社会的規制というのでしょうか、安全問題にかかわる規制緩和もあるわけですし、その他の大蔵やあるいは通産の所管事項とは全く異なった事情にあるという運輸の持つ独特な分野としての特徴もあるわけでありますから、この辺は今後の一連規制緩和行政を進める運輸立場特徴というものをきちっとお踏まえになっていただいて、この手のものにはそれなり姿勢というものを示しておいていただかなきゃならぬという感じがいたします。ぜひそういう立場をおとりいただきたいと思うのです。  もう一つは省政令関係なんですね。先ほど冒頭長官に申し上げたように、法律そのものを一々見れば、どうでもいいとは言いませんけれども、いわばとっくの昔にやっていなければならぬ、やろうと思えばいつでもやれるよう手続簡素化法律として出てくるのですね。しかし、肝心のものは、この委員会の席でまともに議論ができないとは申しませんけれども法律としては議論のできない省政令改正に持ち込まれてしまっているわけですね。  今度の行革審にかかわるもの、かかわらないもの、いろいろありますけれども、例えばタクシーバストラック事業区域の拡大の問題でありますとかあるいは乗務記録のタコメーターによる代替措置だとかあるいは、これは行革審とは直接関係ありませんけれども、まさに今大臣が一番頭を悩ましていらっしゃる外航海運集約体制見直しの問題だとかあるいは航空憲法の問題だとか、こういうものが、規制緩和という問題が一つ政策選択として今出されてくるならば、ある意味ではこの七つの法案よりもよっぽど大事な問題なんだ。もちろん国会の場で議論をする場所は幾らもあるでしょうけれども、こういうものが横っちょに置かれてどんどん事態が進んでいくというようなことは、こういう法律規制緩和一括法として出てくるだけに、何としてもやり切れない感じがするのですね。  私が今申し上げたよう事柄は、建前からいけば行政分野に属することが多いわけでありますから、法律事項に格上げしろとまでは言いませんけれども、この種のものは、少なくともこれから一連規制緩和という問題がよかれあしかれ進んでいくのだとすれば、国会の中で、委員会の中できちっと議論ができる場所をその都度節目をつけて提起をしていただくということがなければいけないのじゃないか、こんなふうに思うのでございますが、大臣いかがでございますか。
  10. 山下徳夫

    山下国務大臣 少なくとも、各種規制と申しますのは、法律によれ何によれ、これは強弱こそ異なっておりましても国民の自由を束縛するという点には変わりないわけでございますから、規制緩和に当たってはまずこの点を十分頭に入れてやらなければならぬ。しかし、私は運輸大臣でありまして、この規制緩和についていろいろと検討してみたのですが、ただ単にばっさりやるというわけにまいりませんで、ずっと一つ一つ根源をたどってみますと、それが制定された当時の背景からすれば、社会の秩序を維持するためにそれぞれの根拠を持ってつくられているということでございます。そこらあたりを踏まえながら、時代の変遷もございますけれども、十分考えてやらなければならぬということで私は事務当局も指導してまいりました。  ただ、今御指摘ように、しからばそれをどういう種類でやるかということになりますと、その強弱あるいはまたその性格によって、法律によるものあるいは法律に準拠して他の政令等によるものといろいろ分かれてくるわけでございますが、例えば運輸事業の中におきましても、新規参入としての免許あるいは価格規制としての運賃の認可制、これはそれぞれ事業法に準拠しなければならぬということでございまして、法律で定められた枠組みの中で規制の細目や手続等を定めて法律を執行していく、これが事務当局としての誤らざる姿勢ではないかと私は思って、当局の者もそのように指導してきたつもりでございます。
  11. 関山信之

    関山委員 時代変化に即応してとおっしゃるのですけれども、確かに行革審立場は、今日の経済変化の中であるいは産業構造変化の中で各種規制制約になるなら制約は外しなさい、そう言っているのですね。抽象的に言えばそれは当然のことなんですよ。  しかし、例えば経済的規制といいますね。経済的規制には二つの側面があるということもこの行革審指摘の中でも書いています。端的に言えば、いわば産業構造変化の中で衰退産業、こういうものがあればやはりそこから派生をしてくる雇用問題、こういったようなことは社会的な不安を呼び起こすから、したがって一定経済的規制をかけていかなければならぬ、これが一つ立場でしょう、大臣。一方で、これから時代変化に即して成長していかなければならない産業もある、こういうものについては逆な意味で保護をしなければいかぬ、育成もしなければならぬという立場での経済規制もあるでしょう。あるいは貿易摩擦に関連しての物の考え方もあるでしょう。さまざまなものがあるわけですね。だから、単に時代変化という言葉一つでくくれるようなものじゃないと思うのです。  私は後ほど三光汽船の問題についても伺おうと思っているのですが、運輸の場合は、この海運の問題にいたしましても、あるいはタクシーにいたしましても、トラックにいたしましても、まさに構造不況の中に落ち込んでいる。あるいはトラックタクシーバスといったようなものは、大変な過当競争の中で日々しのぎを削って大変な事態にあることは運輸大臣も十分御承知なわけです。こういう一定客観情勢の中で、その規制というものばそれなりに具体的な状況の中で意味を持つわけですね。  ですから、私の今の最初質問は、省政令事項でも国会の中できちっと節目をつけて議論する場所行政の側からも提起をしなさいよと言っている意味は、単に法律的に、一連規制緩和法律的な措置をとればそれで問題が、当面の一連の流れは終わり、お役所的に言えばそうなるのかもしれないけれども、しかし、現実の行政の具体的な展開あるいはそれに基づく産業変化あるいはそこから及ぼすさまざまな影響というものについて言えば、やはり我々が子細に目を配っていかなければならぬじゃないかという意味で伺っているわけです。  いかがですか。その経済的規制の問題について言えば、運輸産業というのはまさに構造不況の中にある。過当競争の中にある。そんなところに画一的な規制を持ち込んだら、それはまさに社会的淘汰の中にこの業界をたたき込むということになりませんか。
  12. 山下徳夫

    山下国務大臣 これは先生の御質問に対して答弁になるかどうかわかりませんが、たまたま海運問題が出ましたので、そのことに関連して私の思っておることを申し上げてみたいと思うのでございます。  例えば、構造不況と言われるまでに世界的に余剰船舶が非常に多くなりまして、そのために世界じゅうの海運業者が苦しんだ。そのよって来るゆえんというものは、我が国においても古い船を新しい船とかえるという意味において造船も奨励してきた、ところが、当然スクラップにすべき古い船がスクラップにならないで依然として運航される、あるいは世界的に見てスカンジナビアやギリシャというものがその当時予想されなかった、その後において予想の三倍ぐらい建造されたというようないろいろな情勢が入ってまいりまして、今日の不況に陥れたということでございまして、私どもがその時点時点において経済的な立場からいろいろな問題を考慮しながらやってみても、後追い行政みたいになって、これはいけないということで、現状を見ながらそれを規制するという面も多々出てくるという点を私は痛切に感じておるわけでございます。  いずれにいたしましても、運輸というものは必要な輸送サービスを安全かつ良好な状態で提供するということが基本でございますから、まずこの事業の特性というものを十分把握しながら、場合によっては実態と遊離したことも、過去においては私もこれはどうかなあと思うものもございましたけれども、そういうものも十分踏まえて、規制のあり方というものに対して、御指摘のとおりだと思いますので、さらに慎重に配慮してまいりたいと思います。
  13. 関山信之

    関山委員 大臣は参議院の方へ回られるようですから、ちょっと三光汽船のことを。  ここまで来てしまったということなんでしょうが、一つは、今この時点でそういうことをお聞かせいただけるのかどうか、大詰に来ているんだと思いますけれども、更正法の適用の見通しはいかがなんでしょうか。業界紙なんかによりますと、運輸省OBを管財人に送るというようなことも出ておるようです。私も日経の「座礁」を読ませていただきまして、いろんな経過があるものですから、大臣としてお立場は十分わかるのですけれども、この時期どうなるのか。ここまで来れば、やれ政治絡みだ、どうだこうだというよりも、やはり海運業界全体の問題として位置づけてどうするのかというのがやはり問われる時期に来ていると思うのですね。そういう意味でちょっとお聞かせをいただきたいのです。
  14. 山下徳夫

    山下国務大臣 皮肉なものでございまして、私が大臣になりまして間もなくのころから、三光が非常に苦しい状態に追い込まれていった。私も大臣に就任早々、実はこれが一番悩みでございました。  そこで、私は私なりに私の信ずることに従っていろいろ対策を講じてまいったわけでございますが、そのことがむしろ世論からいろいろ抗議も受けました。大臣が一企業に対して何たることかという世論のおしかり、マスコミのおしかりもいただきました。しかしながら、今日におきましては、やはりこれを放置することの方が政治的におかしいではないかというむしろ鞭撻ですとか激励も受けております。ということは、もしもこのまま放置してこれが更正法の適用を受けないようなことになって破産という事態に追い込まれますというと、日本の船舶の二割を持つ最大の会社が破産することによって日本の海運界の醜を天下に、世界にさらすということになりかねない。したがって、日本の今後の海運政策、七つの海に君臨する日本の海運がますます活躍しなければならぬというこれからの見通しに立って、日本の海運界はどうあるかという点からするならば、私は、三光汽船一会社の問題ではなくて、政治として当然取り上げるべきであるという信念に立って、今日この問題に私は取り組んでいるわけでございます。  現在の見通しはどうかということでございますが、最終段階に入っていることは間違いありません。私もそういう立場から努力はいたしておりますが、現段階におきましてまだどちらのものという見通しがつけられない現状であるという点を御理解いただきたいと思います。
  15. 関山信之

    関山委員 きょう三光の問題を主要に議論ようと思わないのですが、規制緩和に触れて言えば、この前運輸委員会で民社党の河村さんと御議論があったようですね。臨時船舶建造調整法ですか、これの扱いが大変問題だったんだろうと思うのですね。これは別に三光汽船の問題だけじゃないんですよ。法律がありながら法律が機能しなかった、つまり規制行政法律的に保障されていながら、その一定規制の役割をきちっと果たしてこなかったことにやはり非常に大きな要因があるのじゃないか。「座礁」を読んでいますと、やれ銀行が悪いの商社が悪いの、その議論もありますが、しかし今日ここまで来ると、この前仲田さんが御答弁だったようですが、運輸省としては、船舶建造を許可したのは見通しに誤りはなかった。百二十五隻のバルクキャリアですね。しかし、その議論のときに落ちているのは、日本の造船所でつくっている船は百二十五隻だけじゃなかったはずですよ。ですから、こういうようなものが一方であるのだから、――私がなぜこのことを規制緩和問題と絡めて言うかといえば、これは法律そのもの規制法そのものである臨時船舶建造調整法なんというのは、当然行革審の対象に真っ先に挙がられなければならない代物だと思うのだけれども、こういうものがやはりきちっと全体をにらみ合わせながら、海運政策と造船政策のいわば調和というものをとり切れなかったところに今日の矛盾があるわけですから、こういう部分の対応というものはこの時期、規制緩和と絡めてどういうふうにお考えになっているのかとつくづく思うのですが、お考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  16. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 お答え申し上げます。  確かに御指摘ように、この法律はいろいろな面で、造船の面、それから国際海運の健全な発展という二つの側面を持っておりまして、こういう両方の観点から、我が国の国益に反するような建造を臨時に調整するということを目的にしてつくられたわけでございます。  しかしながら、その目的が完全に果たされているかどうかという評価になりますと、これは造船、海運とも国際的に極めて自由な部分でございまして、各国が規制を行わない、またそういう国際的な自由主義経済の原則の中に立って今までの造船業なり海運業の発展が支えられ、これによって国際間の貿易にも貢献した、そういう図式になっているわけでございます。  そういうことでございまして、日本の造船業、海運業というものも世界の中でかなりの割合を占めておるという現状から見ますと、完全に一つの国の法律でもって世界の需給関係なり経済関係に対して影響を与え得るという面、律し得ないという面は、これはもちろん今までの経験から認めざるを得ないわけでございますが、また同時に、これだけの影響力を持っている、施設、能力を持っている日本といたしましては、国際的な責務の一つとしてその一端を担うという意味で、適正な海運の発展、造船能力の維持ということについて、一つの国際的な責務もまた負わなければならぬという立場にあるものかと思います。
  17. 関山信之

    関山委員 きょうは仲田さんとそのことで議論はいたしませんが、いずれにいたしましても、私がきょうちょっとこの法律に触れたのは、先ほど議論いたしておりますように、規制緩和というものは一般的にすべて外せばいいというものじゃない。しかし、あなたはそうやって世界じゅうの船腹量にこの法律だけで対応し切れないとおっしゃるのですが、それはそうでしょうけれども、しかし世界じゅうの船の六九%もつくっているのが日本の造船所なんですから、結果的に言えば、この三光汽船の問題一つとっても、せっかく規制行政というものがありながら、それが有効に機能し得なかったということはやはり否定できないことだと思います。きょうはそのことで議論はやめておきます、いずれまた機会をつくりますので。  いずれにせよ、私としては、今申し上げてきたような延長線上でなお少し詰めてお尋ねをいたしておきたいと思うのですけれども、この前の百二国会のときも質問を申し上げているのですが、運輸省としては、規制緩和ということと見直しという言葉を区別して使っていらっしゃるようですし、私はそれなり意味があるのだと思うのですが、その辺は、行革審答申が出て今日具体的な作業に入っておる段階でも、その言葉の区別というものについての運輸省立場というのはお変わりになりませんね。
  18. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 確かに規制緩和という言葉と規制見直しという言い方、両方使われております。  私ども運輸省では、昨年の九月から省内に委員会を設けて、この事業規制のあり方についての検討委員会ということで検討を進めておるわけでございますが、今先生おっしゃいました規制緩和規制見直しというのはどういう違いといいますかどういうふうに理解しているのかということについて申し上げますと、私どもの理解は、規制緩和というのは、文字どおり現行の規制を一番極端な場合は廃止も含めて緩和することを意味するものでありますけれども規制見直しというのはちょっと観点といいますか見方が違いまして、現行の規制の内容が妥当なものかどうかという検討をまず加える、その結果、現行の規制を改める必要がある場合にはどのように改めることが適切かということを検討するというよう意味合いだと思います。そういう意味では、規制見直しというのはすぐ結論がどうだというところまではいっておらない。用語としてはそういう使い方でございます。
  19. 関山信之

    関山委員 そこで、やはり見直しという立場にお立ちになって、今後もこの問題に対応していくというふうに承知をしておいてよろしいですか。  それから、あわせてこの機会に、先ほど社会的規制質的規制という言葉を使っているのですが、改めてこの言葉の概念をはっきりさせておいていただきたいと思うのです。
  20. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 まず見直しということについて申し上げますと、私ども先ほど申し上げましたようなことで検討を始めたわけですが、今まで検討しておりますことは、もちろん時代変化に即し、さらにまた民間の活力を発揮するというよう観点が当然あるわけでございますので、現在のところ、一般的にはやはり規制緩和という傾向が強うございます。  ただ、私どもの検討委員会でも、事業規制その他の規制のあり方ということで、その規制の中には安全の問題も含めていろいろございますので、そういった観点からはそう一義的に方向づけをすることはできないと思いますが、現在のところ、少なくとも経済的な規制といったよう観点から言えば緩和の傾向が強い、それは事実だろうと思います。  それからもう一つは、社会的規制質的規制という言葉でございますが、これにつきましては、私どもは、社会的規制というのは、安全の確保でございますとかあるいは環境の保全などを直接の目的とする規制を指す言葉として使われているものだと思っております。いわゆる経済的規制、これは事業規制、事業の参入規制とか価格規制ということだと思いますが、そういったものに対応する言葉として使われておる場合が多いと思います。  それから、質的規制というのはちょっとニュアンスが違うように思うのでございますが、質的規制は量的規制に対応する言葉で、事業者の事業遂行能力でありますとか事業計画の内容等のチェックを通じて、安全の確保や輸送サービスの質の向上を図るといったよう規制意味するものであろうというふうに理解して対処しております。
  21. 関山信之

    関山委員 おっしゃる言葉のニュアンスはわかるのですけれども、しかしこれはもう一遍はっきりしておきたいのですが、見直しをする、その中には規制緩和すべきものもあるだろうし、緩和しない、むしろ強めなければならぬものもあるだろう、全体としては緩和の傾向が強い。ちょっとベースをはっきりさしておいていただきたいと思うのですね。言葉じりにこだわるわけではありませんが、今後のさまざまな行政の対応の中での基本姿勢にかかわる問題でありますので、大変恐縮ですが、重ねてお尋ねしたいのです。  それから、その質的規制の中には当然、社会的規制、安全あるいは環境の問題などは含まれている。しかし、企業の経営能力でありますとかそういったような多少ニュアンスが違う部分も含まれる。つまり、社会的規制よりも質的規制の方が概念としては広い、こういうふうに受けとめてよろしいのですか。
  22. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 まず考え方でございますけれども、もちろん見直しということでやってはいるわけですが、行革審答申もございまして、それは民間活力の発揮というよう観点を踏まえまして規制緩和、特に経済的な意味での規制だと思いますが規制緩和、それからそのほかの規制についても合理化ということを述べておられるわけでございまして、私どもはそこはそれに沿って考えていくという基本的立場でございます。  ただ、例えば安全の問題でございますとかそういったいろんな問題になってまいりますと、これは実態に即して相当厳しく、制度的にもあるいは厳しくしなければならない問題も出てくるかもしれませんし、それからまた一方、技術の進歩に対応したような格好で規制合理化していくという問題も出てくる可能性がございます。そういったことも全体的に考えながら、できるだけ合理的な規制を検討していこうということでございます。  それから、社会的規制質的規制ということでございますけれども先ほど申し上げましたように、社会的規制、これは一般的に社会的規制という言葉が使われておるということでございますけれども、その社会的規制は安全の確保とか環境の保全などを直接の目的とする規制を指す言葉であろうという理解をしているのに対しまして、質的規制の方は、直接的には例えば免許基準などで事業遂行能力でございますとか事業計画の内容といったようなことを直接チェックしてやっていくということですが、質的規制というのはただ安全ということだけではなくて、それはそういった面でのチェックのほかに経済的な規制といいますか、例えば供給力のチェックというふうなことにも関連してくる内容は持っていると思いまして、そういう意味では、一般に言われております社会的規制、それから質的規制というのはちょっとニュアンスが違うのじゃないかという感じを私は持っております。
  23. 関山信之

    関山委員 先に進みますが、行革審答申規制緩和運輸部門についての総論的な部分で、「したがって、安全確保が強く要請されるなど運輸事業の持つ特性及び中小零細企業や労働集約性の高い事業が少なくないなど各事業の実態に留意しつつ、参入に当たっての規制の重点を量的規制から質的規制に移行させること、」今一連規制緩和法律改正も含めて省政令の準備が進むわけですけれども、いわば特性と実態、「安全確保が強く要請される」特性、「中小零細企業や労働集約性の高い事業が少なくないなど」の実態、これをどう留意されていくつもりですか。今具体的にどういうことが考えられているのでしょうか。
  24. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 運輸事業にとりまして、安全確保というものがいわば基本的な課題であるということ、それから確かに実態として中小零細企業が多い労働集約性の高い事業であるというようなことが一般的に特性として言われるわけでございますけれども、それにつきましては、運輸省といたしましては、運輸関係中小企業対策とか労働条件の改善などの問題について積極的に取り組んでおりまして、まず中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業の推進など、いろいろの中小企業対策を推進しております。あるいはまた、輸送の安全の確保の観点からは、運行管理に関する諸制度の実施や、例えば運輸事業振興助成交付金といったものによる長距離トラック運転者の休憩施設の整備でございますとか、あるいはまた中小企業庁とか労働省などの関係機関とも連絡をとりながら所要の施策を推進しているところでございまして、そういった安全面の施策、それから中小企業対策というものを鋭意進めると局時に、この答申にございますように、規制の今後の緩和問題検討に当たりましては、そういう実態を十分配慮しつつ検討をしていく、こういう姿勢でございます。
  25. 関山信之

    関山委員 時間もなくなってきましたので先に進ませていただきますが、今御答弁がございましたように、量的規制が進めば、一面、従来以上に質的な規制の面というものをきちっとした格好でやっていかなければならぬということは、前回の委員会でこの問題を扱いましたときにも、総務庁の方からの御答弁にありました。  そこで、問題は、質的規制の強化の中でたくさんあるのですが、今の安全の問題などについて言いますと、過積みの問題ですね。これはいろいろな場面で取り上げられてきているのですが、この過積みの問題などどうでしょうか。警察、建設、運輸それぞれあらかじめ申し上げてあるわけですが、五十九年に限ってで結構ですから、警察、建設、運輸それぞれ過積みの取り締まり器材の保有状況、それから取り締まりの状況、処分の状況、この三つについて、時間もございませんので、数字だけちょっとお聞かせいただけませんか。
  26. 武石章

    ○武石政府委員 トラックの過積載の実態でございますが、運輸省におきましては、トラック運送事業者に対しまして計画的な監査をやったりあるいは特別保安監査ということをやりまして、過積載防止違反についてのチェックを行っておるところでございます。これは包括的な各種の監査事項についての監査と同時にやっておるわけでございますが、これらの違反に対しまして車両の使用停止を含む厳しい処分を行っているところでございます。  最近三カ年の過積載防止違反の処分件数でございますが、五十七年度は七百九十四件、五十八年度九百七件、五十九年度千三百四件と増加の傾向を示しております。これは最近過積載防止違反を重点的に取り締まっておりますので、その結果であるというふうに解釈しております。  いずれにしましても、こういう違反があるのは極めて遺憾なことだと考えております。
  27. 萩原浩

    ○萩原政府委員 道路管理者といたしましては、沿道その他の適切な場所に重量計等を設けておりまして、随時それを検査いたしておりますが、先生御指摘の昭和五十九年度のデータはちょっとまだ取りまとめてございません。五十八年度現在で、一般国道で設置箇所は約百十カ所、それから都道府県道で約三十カ所、それから日本道路公団その他の公団管理の道路で約八百九十カ所となっております。  それで、その結果、道路管理者による指導取り締まり回数は約一万八千回ございまして、そのうちに指導警告が約六万件ございました。それから措置命令が九万六千件となってございます。
  28. 阿南一成

    ○阿南説明員 お答えいたします。  過積載の五十九年度の取り締まり件数でありますが、十万三千二百三十三件でございます。  なお、追及状況の内訳でございますが、下今、容認が千七百四十五件、それから教唆、幇助が九十五件、それから両罰規定の適用が三千八百七十九件、それから自動車の使用制限処分が百十一件の百八十台となっております。  なお、重量測定器でございますが、若干アバウトな数字でございますが、固定式で三百、それから可搬式で約七百、合わせて千基を持っております。
  29. 関山信之

    関山委員 今の数字を見ましても、警察が十万三千、運輸省は千三百四件、建設省の方が六万件ぐらいあるのですか。私、首都高速道路公団の資料をちょっと取り寄せて聞いてみましたら、これの軸重計による違反は十二トン以上で七十六万件もあるのですね。この数字のばらつきというのは非常に大き過ぎるのですね。一方で経済的な規制との絡みで質的規制を強化をしていくといいましょうか、つまりこの行革審の文書に沿って言えば、まさに参入に当たっての規制の重点を量的規制から質的規制に移していくと言うのなら、その移していく質的規制の受け皿の方がこんな状態では、いたずらに量的規制緩和をすれば今以上に交通事故やらあるいは交通公害やらが大変な事態になっていくのじゃないかという意味お尋ねをしているわけです。  一つは、各省ばらばらでありますし、それから処分の基準がこれもばらばらだし、あるいは通報制度というものもあるようですけれども、これも十分に機能しているのかどうかはっきりしないというようなことがあるのですが、この問題に関しては、やはり規制緩和ということに関していえば道路運送法ですね。この法律について、この質的規制という問題についてしっかりした対応がなければだめなんじゃないか。  一つは、第一条の目的の中にそういう部分についての規定がございませんし、あるいはこの種の安全問題については三十条一条があって、あとは全部運輸規則に落としているということですね。こういう問題について、量的規制の部分が進むのであれば、これはきちっとやはり法制的にも整備をしていく必要があるのではないかと思いますので、これについての考えをお聞かせいただきたいと思います。
  30. 武石章

    ○武石政府委員 道路運送法三十条一条だけでは不十分ではないかという御指摘でございます。それから、通報制度とか処分基準がどのような状況であるかということについて御説明申し上げます。  まず第一に、道路運送法三十条でございますが、同条は、輸送の安全確保等に関しまして、事業者あるいは運転者等が遵守すべき事項について運輸省令で定めることを規定しておるわけでございます。道路運送法の本来の目的に沿うものとして規定をしておるものでございます。運輸省といたしましては、これに基づきまして自動車運送事業等運輸規則を制定いたしまして、過労防止等に関する規定を整備するとともに、過積載の防止とかあるいは休憩施設の整備とかいうものを義務づけるとか、あるいは乗務基準を作成しそれを遵守させる、あるいは運行管理者の規定を設けまして、事業者として車の運行管理について十分な体制をとるように、あるいは車内における指導が行われるようにというための諸規定を整備充実をしておりまして、これも次第に当初よりはかなり増加させてきた経緯がございます。こういたしまして、道路運送法三十条というのはトラック事業等の輸送の安全を図る観点から極めて重要かつ有効な規定であると考えておりまして、これに基づきまして、これに対する違反に対しましては厳しい処分をしておるところでございます。  次に、相互通報制度でございますが、この制度は、トラック運転者の労働時間等の改善基準を示したいわゆる二七通達の遵守徹底というものをめぐりまして、労働省と運輸省との間で五十五年の十月から実施しております。現在までの実績としまして、労働基準監督署への通報件数、これが約百五十件、労働基準監督署からの通報件数が約三百件となっております。運輸省といたしましては、トラック運転者の労働条件の改善につきまして、安全確保という観点からこれを重視しておるところでございます。今後とも、二七通達の遵守につきまして、相互通報制度等によりまして、労働省と緊密な連携をとりつつ、さらに徹底を図ってまいりたいということを考えております。  処分に関しましては、その前提となります事業の監査方針につきまして、昭和五十八年に通達を発しております。過積載の実態把握、過労運転の防止等に特に重点を置いた監査を実施するよう地方局を指導しておりますし、指示をいたしたところでございます。この結果の監査に基づく処分実績は、先ほど御説明申し上げましたように毎年増加しておるところでございます。また、悪質な法令違反につきましては処分をしておるわけでございますが、処分基準というものにつきましては公開するのはいかがかと思いますので省略させていただきたいと思います。
  31. 関山信之

    関山委員 ちょっと警察の方からお伺いしたいのですが、五十三年、五十四年過積みの取り締まりの数字が、十一万八千八百五から五十四年には六万八千四十に落ちているのです。これは数字の上では大変極端な落ち方をしているのですが、原因は何ですか。
  32. 阿南一成

    ○阿南説明員 お答えいたします。  五十三年の道路交通法の一部改正がございまして、このときに自動車の使用者等の義務強化の規定が入りました。したがいまして、自動車の使用者等が過積載にかかわる違反をした場合には、公安委員会が自動車の使用制限処分を行うことができることになったわけでございますが、これの規定の運用もありまして、さらにまた関係業界の自主的な過積載抑制の措置が講ぜられたために、このときに違反が少なくなったものと考えております。
  33. 関山信之

    関山委員 武石さん、今お話がありましたように十一万八千、十二万から六万に落ちたというのは、トラック使用者に対する処分規定が公安委員会の権限でできるようになったからですよ。これは一義的に言えば、道路運送法で本来運輸省所管でやるべき事柄なんですね。これは体制の問題もありますからそう一概に運輸省だけを責めるわけにいかないでしょうけれども、しかし、いずれにしても警察が十万三千、首都高速道路公団の軸重計は十二トン以上では七十六万件ですよ。こういう事態がどういうことを起こしているかを考えれば、トラックですから運輸省としてはもう少し、これに比べて運輸省の過積みの把握状況は一千三百四件でしかないわけで、私は今の処分の問題も数字についてとやかく申し上げませんが、いずれにしても対応がおくれている。こういう状況の中で規制緩和が進むということは、何とかしてもらわなければならぬと思います。  時間がありませんのでもう一つの問題、過労運転の方に問題を移したいと思うのです。  きょう労働省からも来ていただいてわりますけれども、二七通達の遵守状況、これも私どもいただいておる資料によりますと、五年間やってまだ半分もいかないのです。この前参議院で我が党の安恒委員がこの問題を取り上げたものですから、最近運輸省との間に連絡会議などを持つようになったようですけれども、きょうわざわざ基準局長においでいただいておりますのは、労働省は何で規制緩和関係あるかと質問を取りにきた人が言っておりましたが、つまりそういう認識しかないのですよ。この量的規制が及ぼす影響というのはどこへどうなっていくのかということについての関心もないのだな、言ってみれば。この二七通達なんかもう少し真剣に考えていただいて、少なくとも法制化を含めてこの連絡会議が問題を検討するという事態に入っていかなければならないのじゃないでしょうか。この問題についてお聞かせをいただきたい。
  34. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 二七通達の遵守状況につきましては、今先生御指摘ように、五十五年から五十九年までの実績を見ますと、何らかの違背事項のあった事業所の数はこの五年間で一〇%減少はしておりますが、なお五十九年現在半数近いものが何らかの違背事項を持っている、こういうことでございます。  特に最近バスや何かの大きな事故も出ておりますので、私どもとしては従来対象にしておりませんでした観光バスや貸し切りバス、これもこの二七通達の重点対象業種としてことしの春に指定をいたしまして、さらにこの徹底を期していきたいと思っております。  今先生御指摘の法制問題についてどうするかという問題でございますが、これは御承知のようにILOの関係する条約もあるわけでございますが、今の労働基準法の体系にそっくりそのまま取り込むことは難しいような条項がいろいろ含まれております。そこで、労働基準法自体のあり方を今研究会で検討いただいておりますけれども、その中でこの自動車運転者の労働時間についての規制をどうするかということもあわせ御検討いただいておりますが、今申し上げた基準法の中で全部を処理するというのが難しいとすればどういう形が考えられるのかといったことは、今後私ども関係の省庁とよく話を詰めていきたいというふうに考えております。
  35. 関山信之

    関山委員 時間がなくなりましたので、その問題につきましては、せっかく連絡会議をおつくりになりまして、年に二回程度開くんだそうですけれども、そんなことではなしに具体的に、格好つけるだけじゃなくて、ぜひ過去のこの実態を踏まえながら積極的に取り組んでいただきたいと思うのですね。私も、この問題を扱うので最近の交通事故の実態などを大きなものだけ拾ってみてくれや、こう言ってちょっと新聞の切り抜きを集めさせてもらっただけでも、もうこの秋口からだけでも、この種の過積み、過労でもって大変な重大事故があっちでもこっちでも起きているということは御承知のとおりだと思うのですけれどもトラックの問題について言えば、これは申し上げている規制緩和の問題と不可分の関係にあるのですね。ですから、どうぞひとつ、この一連の流れと無関係ではないということを御認識をいただきまして御対応いただきたいと思います。  質問時間がなくなりましたが、最後に、これも質的規制のもう一つの側面としての公害の問題。この十八日に環境庁が公害対策審議会に諮問をいたしておるわけですけれども、ディーゼル車のNOxの規制の問題が取り上げられております。ことしの春までに実現をしておかなければならない環境基準の達成が事実上無理になったということがあるわけですし、昨年の七月には東京都がこの問題を取り上げて、運輸省に対して、一つは「使用過程においても排出ガスの許容限度を遵守できるような信頼性、耐久性のある排出ガス減少装置を装着するよう製造会社を指導すること」、そしてもう一つは「使用過程車について、適正な整備が励行されるよう関係業界を一層強く指導すること」、つまり今は新車時点でしかこのNOxの抑制機構というんでしょうか、減少装置をチェックすることがやられていないという実態があるわけですね。これなどもやはり今後この業界規制緩和に即して受け皿としてきちっとしてもらわなければならない部分ではないかと思いますので、最後にそのことに御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  36. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  NOxの問題は非常に大きな問題でございまして、我々も重大な関心を持って見詰めているところでございます。中公審の答申を受けましてNOxの規制を始めたわけでございますけれども、私どもこれまで三度にわたり規制を強化してまいりましたし、また、特に最近ディーゼル乗用車が非常にふえたということで、乗用車に関しても六十一年、六十二年規制ということで保安基準を改正したところでございます。そういう面で、今後とも環境庁と密接な関係を持って規制に当たってまいりたいと思っております。  ただ、最後に先生が、新車のときに非常に規制をし使用過程においては云々というお話がございましたけれども、NOxの場合をとりますと、非常にエンジンの負荷をかけた状態で窒素酸化物の排出量が多いという現象がございます。そういう意味で、負荷をかけて、非常なロードをかけて測定するという装置が今のところまだ開発されておりませんで、短時間に測定できる装置の開発というものに対しましても我々としても指導してまいり、そういうものができたときは採用してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  37. 関山信之

    関山委員 どうもありがとうございました。
  38. 中島源太郎

    中島委員長 関連して、沢田広君。
  39. 沢田広

    沢田委員 建設大臣、所用があって忙しいようでありますから二、三先にお伺いをさせていただぎます。通告等について余り明細でなかった点はひとつお許しいただきたいと思います。  大臣、地震が今大きな問題となって提起をされております。我が国の地震の経過においてもそのとおりでありますが、今の建物の方が、仙台地震その他を考えてみても非常に壊れやすい。明治のときにつくった建物の方が、近代的でなかったにしてみても、いわゆる存置する割合というものは非常に高い。この面はやはり日本の土質、あるいは高層建築が今日のような状態になって、いろいろなパイルの長さであるとかそういうものの基準の甘さが結果的には地震についてその抵抗力をかえって弱くしている、昔の工法の方がより安定度が高いという、素人の目でありますが、そういうことが考えられるわけであります。その点は大臣として、これを見ながら、地震国と言われているこの国の建築基準あるいは建物の建て方、そういうものについてどういうふうに考えておられるのか、お伺いいたしたい。  続いてもう一つですが、道路位置指定は永久的な権利が存続するわけであります。民法で決められているものから言えば、これは今度の法律にも関係してくるようでありますが、建物の命数二十年なり三十年なりを限度としていく。しかし、五軒あれば、それぞれの建物が三十年ということになると、遅い早いがありますから、実質上は七十年にもなってしまう。やはり道路位置指定に対してある一定の公的利用を図る場合など、その点についてひとつお答えをいただきたい。  それからもう一つは、今石油が非常に安く、円高で利益を上げているわけですね。この間二十幾つかの市に地中ケーブル化を考えるようにされたようでありますが、一円で百二十億ずつ浮いてくるわけでありますから、これがしばらく続けば全国の地中ケーブル化は可能になるのではないか、こういう点考えられますが、大臣としてどういう方向で臨もうとされているのか、お答えをいただいて、退場していただきたいと思います。
  40. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 ただいま御質問のありました三点につきまして申し上げさせていただきまして、あと技術的な問題や詳細につきましては政府委員から答弁させたい、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。  第一番の地震の問題でございますが、先生御承知のとおり、地震対策には予知と防災とこの二つの大きな柱があるわけでありまして、特に、防災の問題についての建築基準その他についての高層ビルや何かの御質問でございます。  私どもは、今、地震に対応するために、静岡外六県でございますが、東京ももちろん、全体的にはそういう直接的な補助率云々を言わなくても、そういう技術的な指導は思い切ってやっているわけでございます。近年御承知のとおり、私ども、なるべく東京なんかの場合には、高層ビルによってそれだけのまた空間や緑地帯や、また快適で安全な、災害に強い都市をつくるために今いろいろ事業を進めておるわけであります。  そういう中にありまして、今調査団が行っておりますが、メキシコなんかの地震の話を断片的に伺ってみますと、何か新しい建物が崩壊して古いのが残っているというようなことを伺っておるわけでございます。日本の場合には、今申し上げますように、地震を想定して、建築基準その他については、一面ではやはり緩和をしていかなければならぬでしょうが、そういう耐震上の問題であるとか防災上の問題につきましては、かなり建設省の方も関係省庁と調整を図りながらそうした問題に耐えられるような位置づけをするために努力をしておる、そういうふうに実は私は受けとめておるわけでございます。  それから、第二点の道路位置指定の問題につきましても、これもやはり何といっても防災や交通の問題に非常にかかわりのある問題でございまして、そういう観点から最低限必要であるということで、今日に及んでおるわけでございます。私は、例えば地震なんかの場合でもそうでございましょうが、いざというときに避難するという場合になるべく広い幅があった方が避難しいいわけですね、緊急の問題ですから。そんなことを考えてみましても、また河川のはんらんその他によって避難しなければならぬとか、豪雨によって避難しなければならぬとかいうような場合にも、やはりそうした基準というものが指定されておって、最低限そういう問題の場合に稼働していくというためにも非常に必要な問題じゃないか、こういうふうに実は考えておるわけでございます。  それから、第三点目の地中化の問題でございますが、これは私ども建設省といたしましては、学者や関係省庁、そういう有識者によってキャブシステムの研究委員会をつくりまして、そして地中化に対してどういうふうに対応するかというような検討を進めていただきました。たしか十月の月末にこの研究会としての結論をいただいたわけでございます。  それで、これはもう申し上げるまでもありませんで、私ども建設行政の柱というものは、快適で安全で、そして通行区間というものを確保するということが都市防災上非常に大事な問題でございます。それからまた、雪の方の地域を考えれば、雪を除雪したりなんかする場合に電柱が非常に邪魔になるという問題等もございますので、都市の景観や美観というものを考えてみても、電線類その他についての地中化ということは、都市の景観上からいっても防災上からいっても非常に大事な問題である。したがいまして、建設省といたしましては、当面昭和六十年度から全国の主要都市、そういうようなものといろいろ協議しまして、大体十年ぐらい先までの間に約千キロぐらいの地中化を進めていこうというような計画で、今いろいろ利害関係者であります例えば電力会社であるとか、それから電信電話株式会社であるとか、また有線テレビの関係であるとかいうようなところとの調整をしながら、事業を進めておるわけです。  これは東京で第一号でございましょうが、問屋街の馬喰町でつい最近あそこのところが地中化をされました。私は、工事が半ばのときに、ちょうどことしの春だったでしょうか、現地を見てまいりまして、この間地中化の落成式がありまして、現地を見さしていただいて、落成式にも出席させていただきましたが、これはもう見違えるように都市の景観、今の電柱がなくなりまして、電柱にかわって樹木を植えるとか、それからカラー舗道にするとか、非常にきれいな景観になりまして、私は、キャブシステム研究委員会、また役所の方でも進めてまいりました地中化の問題というのは、こんなにすばらしい景観を出して、こんなに防災にも大きく役に立つのかなというふうな非常な印象でした。しかし、これを進めるためには、やはり何といっても地域のそういう利害関係の、馬喰町なんかの場合には商店街の連合会長さんを中心にして、地元と建設省との関係を非常にうまく調整していただきまして、おかげで立派に目的を果たすことができた、私は実はそういうふうに考えておるわけであります。  詳細にわたりましては政府委員から答弁さしていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  41. 沢田広

    沢田委員 大臣、御苦労さまです。もう結構です。  あと総務長官最初にやってまた最後になりますが、若干伺います。  今度の許認可緩和措置、全体をいろいろ見直して何回もやって出てきた法案だろうと思うのであります。ただ、私たちから見ると、またこれはある意味において不十分さがあり、ある面においては弱い者いじめであるといった印象はぬぐい切れない。長官は今度の法案が、自分で採点してみて、この答申から見て何点ぐらいつけられるかなと、こういうふうにひとつ自己判断してみていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  42. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 これは自己採点すべきことではないので、国会の皆さん方の採点をちょうだいするなり、また世論が決めるべきことだろうと思います。  ただ、しばしばお答えいたしておりますように、私どもとして、今回のこの法案に盛ってある事項は、行革審答申、二百五十八事項ございます。そのうち、当面法律改正しなければならぬ事項だけを御審議を願っておる。しかし、それ以外に政省令事項の中に非常に重要な事項が入っておる。これは年限を決めましてきちんと政府としては処理をしていこう、こういう考え方でございます。
  43. 沢田広

    沢田委員 点数はほかの方にお任せをする、こういうことですが、ひとつ例を出しますけれども一つは医師のカルテでございますね。お医者さんの病気のカルテです。あえてわかりやすく言えば診断書であります。これは今三年で消却ですか、こういう形になっている。しかし、これは私は年来の主張なんですが、その人にとってみて、将来障害年金をもらうとかあるいはそのことをある程度証明しなければならない場合があるとか、例えば今軍人恩給の方でもいまだにそういうものが続いていることも事実なんです。ところが証明するものがなくなってしまっておる。ああいう状況ですから、なくなった理由もほかにもあるでしょう。しかし、イギリスなどは永久保存なんですね。ですから、そういうことから見ると、こういうカルテは本人に渡すという方法も一つある。それから市町村段階で保存をするという方法もある。あるいは、各医院がやめたりしたらなくなってしまいますから、どこかできちんと保管する義務を負わせる方法もある。これは行革から見れば逆行だということになるかもわかりません。しかしそういう必要性のあるものもある。この点は、後で基準監督署なども労災とかその他に関連してお答えをいただこう、実はこう思っています。  それからもう一つ、免許証なんかは三年で再確認の判こを押せば、何ももう一回写真を撮ってまた紙を発行しなくたって、三年で特別三角になってしまったとかということでない限り、これも写真など必要ないのじゃないか、再発行するという必要性はないのじゃないか、再確認の判こを押せばそのまま有効で使えるのじゃなかろうか。そういうことも、これは事務的にも非常に簡素化されるわけですし、こういうことで見直していく分野は、これは一例でありますけれども、極めて多いだろうと思うのです。  大臣に、これは政治哲学みたいなものかもしれませんが、こういう分野における行革というものは大臣としてはどういう位置づけで考えておられるのか。抽象論ではいけませんでしたので、お医者さんのカルテの保存、それから免許証の再確認の判こであとは発行は省略、三回くらい使えるのじゃないかという気はしますけれども、例えば二回くらいの延長はいいのじゃないかなという気はしないでもないのでありますが、大臣、この点はいかがでしょう。
  44. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 大変専門的な事項でございますから、それぞれの所管官庁から答弁をさせます。
  45. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 労災保険に関係してのカルテの保存につきましては、今先生お話がございましたが、医師法に基づいての一般的な保存期間が決められておりまして、五年ということになっておるわけでございますが、労災病院の場合は院長が必要がある場合はさらに五年という取り扱いをいたしておるわけでございます。そうした取り扱いで今までのところ特に支障はないのですが、といいますのは、実は療養が長引いた場合は、長引いている間は治っておりませんので当然カルテが必要なわけですが、その療養給付が終わって疾病が治った、治った後障害年金に移行するわけでありますが、その治った後五年保存という形になっておりますので、障害年金の支給の面からしますと一応五年の保存期間があれば足りる。一方で時効の関係も五年ということになっておりますので一応その限りではいいのですが、ただ、後になって前の病気から再発をした場合にどうなるかといったような問題が、今のところ余り聞いていないわけでございますけれどもあり得るかとも思います。したがって、その辺はまたそういう場合の取り扱いをどうすればいいか、これは厚生省の方が一般的に取り扱っておられますから、そちらの方との関係も連絡、相談をさしていただいて検討してみたいと思います。
  46. 沢田広

    沢田委員 あと答えはあるかな。黙して語らずですか。これもいい方法かとも思いますが、大臣、そういうことで専門家に任せるとしても、そういう意味における窓口業務の改革とかそういう書類保存の適正化であるとか、これは企業で言えば減価償却の見直しであるとか、そういうものもやはり一つだと思うのですね。新しい今日のような近代産業がどんどんできてきた場合に、やはり減価償却などもひとつ見直していく段階に来ているのだろうと思うのですね。ですから、そういう行政改革というものは新しい時代を展望しつつ、さっき言った地震もそのとおりなんですね、そういうことを予測をしながら対応をしていくということが必要だというふうに思います。ですからそういう大事なところが、これは建設省、なるべく安くしてちゃちなものをつくってきたというのが、だからウサギ小屋なんと言われる汚名を受けなければならないのでありまして、やはりその辺はどこか政治が歯車がちょっと狂っている、こういうことがこういう今日の問題を提起しているのだろうと思うのです。  今のカルテの方で言うと、基準監督署の方はそう言っておりますが、やはり軍人なりなんかの問題の場合はとにかく証明をもらうのに大変な苦労なんですね。昔の中隊長はどこにいるか、昔の師団長はどこにいるかというのを捜して歩いて、いたことを証明するためにえらい苦労されておる、そういう方々も我々の身近にたくさんいて、泣く泣く我慢しているというか、泣いている人もたくさんいるわけですり制度である以上、それがいい悪いの問題は別としてやはりその制度を最高に利用したいという人たちはいるわけですから、今申し上げたような地震の問題、カルテの問題、免許証のような問題、こういうところにもやはり行革の目は注いでいただきたい、こういうふうに思いますが、検討していただけますか。
  47. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 規制緩和とかいわゆる行政改革というのは、今の行政は国民へのサービスでございますから、サービスという観点を基本にしながら、そして同時に行政の事務負担、こういったようなものとの兼ね合わせの中で見直すべきものは見直していく、こういう観点でやるべきであろう、私はかように考えます。
  48. 沢田広

    沢田委員 なかなか言明は避けているようでありますが、私はそれはそのとおりやれなんて今大臣に言っているんじゃないんですよ。ただ、そういうものも検討の課題としてほしい、検討してみてくれませんかということでお願いしているわけなんで、何か抽象論でぼけちゃった話にならないように、もう一回ちょっと検討してみていただけませんか、カルテの問題あるいは地震の問題。  それからもう一つ、念のためですが、今、地震に関する法律によっての積立金は幾らぐらいあるか。これは建設大臣が行っちゃってだめになっちゃったのですが、だれかその関係の者は残っているかな、ついでに答えてもらいたいと思っているんですが、その前に大臣の今言った問題、抽象論じゃなくてちょっと具体的にチェックしてみてもらうこと、ちょっと言って検討させてみてくださいよ。ぜひお答えください。
  49. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今、係がおらぬようでございますから、私も素人ですから答弁できませんので、御趣旨をそれぞれの官庁に連絡をして、それで沢田委員に御返答させます。
  50. 沢田広

    沢田委員 大変苦労の御答弁でありますから、敬意を表して終わります。  私は大蔵委員会の方から来たわけでありますから、その意味でその分野について若干お伺いをいたします。  今貿易摩擦、円高というようなことで日本の国内の経済条件というものも大変変わってきて、さっきのケーブルも同じでありますが、輸入品が非常に安くなって輸出が非常に困難になっておる、こういうようなことで、それぞれ関係する法律もまた今後生まれてくるだろうと思います。今回、外国為替公認銀行が営業所の名称、位置を変更する場合には許可制から届け出制に改める、こういうことであります。これに関連して銀行の店舗の許可条件、これはどういうふうに考えておるのか。金融機関がたくさん種類別にあるわけでありますけれども、今は全部会員だけというところはもうほとんどなくなりまして、それぞれ地域住民を含めた金融機関という形になってきていると思うのです。  以上についてひとつその内容をお答えいただきたい、こういうふうに思います。
  51. 亀井敬之

    ○亀井政府委員 ただいま委員お尋ねの銀行の営業店舗の考え方でございますけれども、銀行法八条で営業店舗の設置に当たりまして認可が要るというところは既に御承知のとおりでございますが、それに基づきます具体的な考え方といたしましては、金融機関の自主性をできるだけ尊重する、こういう考え方のもとに、また金融自由化の進展等にできるだけ適切に対応できるようにというような方針のもとに、規制につきまして緩和の方向で進めてまいったわけでございます。  ただ、緩和と申しましても、ただいま委員お尋ねように、この自由化の中でいろいろ環境の変化というような問題がございます。例えば金融機関経営ができるだけ効率的に進んでいく必要がある、こういった点もございますので、こういう観点から、普通の大きなといいますかそういう店舗のみでなく、機動的に対応できるような一般の店舗よりもやや小さな店舗を設置するとか、あるいは機械化の店舗に重点を置くとか、そういった方向で現在の金融環境の変化に対応する方向で店舗の設置を考えている、こういう現状でございます。
  52. 沢田広

    沢田委員 第一の質問はお答えがなかったのですが、今度の法律で変わってきた外国為替公認銀行がいわゆる届け出制に改める、その趣旨といいますか、どういう利点があってこれをやろうとしているのか、お答えいただきたい。
  53. 橋本貞夫

    ○橋本説明員 今般、外国為替公認銀行及び両替商がその営業所の名称を変えたり位置を変更したりする場合に、許可制から届け出制に改めるようにさせていただきたい、こういうふうにお願いしておるわけでございますが、この趣旨につきましては、外為法が制定されました昭和二十五年当時でございますが、我が国を取り巻く国際環境は極めて厳しく、また我が国の銀行における外国為替業務の経験も乏しい事情にございましたので、名称、位置の変更についても慎重に審査するということから許可制としておりました。  しかしながら、最近の我が国の経済の国際化に伴いまして、外為銀行が外国為替業務を十分行うように定着してきつつあります。営業所の名称、位置変更については実態を把握しておればよろしいのではないかというよう観点から、許可制を届け出制に改めまして行政簡素化を図ることとした次第でございます。  なお、両替商においても同じよう考え方をとっております。
  54. 沢田広

    沢田委員 これは銀行通達集ですが、これだけの厚さがあるんですよね。随分古いものから新しいのもあるのですが、これを見ていたら恐らく一カ月くらいかかってしまうのじゃないかと思う。大臣も恐らく、行革大臣だけれども、見たこともないだろう、見たこともないと言っては失礼でありますが、必要なところは見ただろうと思うのでありますが、そういうくらいなものなのであります。  さっきも若干触れておりましたが、我が国の行政というのは、法律で大枠を決める、そしてその法律の中から政令ができる、政令からさらに通達が生まれる、さらにその通達から今度はいろいろな行政指導が加わる、こういうシステムなんですね。ですから、このシステムを今急に変えることはできないだろうと思うのです。ですけれども、やはり一つのものを考えるためには、極端に言いますときょうの質問なんかやるためには、ここへ十冊くらいのものを持ってこなければ本来できる条件にないのが現状なんです。だから、その辺の簡素化大臣、もっと考えてもらわなくてはならぬのじゃないか。弁護士に頼めばいいやというのじゃなくて、国民もこのことを知りたいと思ったならば、それ以上のものはなく、これだけ見ればいいですよといったような親切さが行革の中にはにじみ出なくちゃならない、こういうふうに思うのであります。これは抽象論でありますが、大臣のこれからの仕事のやり方としてどう考えておられるか、お答えいただきたい。
  55. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 政府が今取り組んでおる規制緩和という大きな概念の中には、今おっしゃったような方向で、余りにも今までがんじがらめでだれもわからないといったような細かないろいろな政省令もあれば通達もあるし、通達に基づいた行政指導もある、こういうものはできる限り簡素化して、そして国民の立場に立って、わかりやすい、しかも利便なものにしていくという方向で、おっしゃるようにすべき筋合いのものであろう、かように考えております。
  56. 沢田広

    沢田委員 続いて、食糧庁においでいただいておりますが、これも大臣にお答えいただきたいのですが、大臣、標準米というのは食べたことはございますか。――まあちょっとあいまいだと思いますが、もっといい米を食っているんじゃないかというような気がするのでありますが、いわゆる米の販売に当たって市民から聞く言葉というのは、昔の酒屋ではないけれども水とまぜて売っていたと同じように、ササニシキだと言いながら標準米をある程度混合して、言うならにせものなんでありますが、売っておるという非難を受けるし、我々も、これはいい米なんだなんて女房が買ってきて、食べてみるとそれほどじゃない、食えたものじゃないじゃないかということにぶつかる場合もある。ということなんで、もう少し食料の品質に責任を持ってもらいたいと思うのでありますが、この点で食糧庁は、米が余っている余ってないは別問題として、とにかく総体的に品質に責任を持つ、こういうことをどういうふうに理解をし指導をされているのか、その点お答えいただきたいと思うのです。
  57. 福田圭助

    ○福田説明員 ただいまの先生の特にお米の供給における品質問題、どのような指導監督をしているかという点についてお答えいたしたいと思います。  御存じのとおり、食糧管理法に基づきまして米の販売業者につきましては許可制度をとらせていただいておりますけれども、三年ごとの更新という仕組みをとっておりまして、その過程で、その三年間の販売業者の営業の実績につきまして、例えば量的なものあるいは品質上の問題がないか等々、日常的ないわば調査あるいは報告等で見守った結果で三年の更新時にチェックをして、余り不適格な者はその段階で許可を御遠慮いただくというような形をとっております。それから、非常に目に余るような者につきましては、日ごろの調査段階で明らかになった時点で、いわゆる行政指導と申しますか御忠告、御助言を申し上げるという形で運用を図っておるところでございます。
  58. 沢田広

    沢田委員 僕が言葉がやさしいからといって、そういうなまぬるい返事をすることが答弁というのじゃないのですよ。私は丁寧に物を言っているつもりですが、これは目に余る状態なんですよ。それに対してどういう保証を与えてくれるのかというのが私の質問なんです。だからその点は、今実態がどうであるかというのはあなたは御存じなんですか。一時はお米屋さんは非常な窮乏に陥った。これはお米が売れなくなったし、余剰米五、六百万トンもたまった、こういうこともあるし、米食をなるべく避けてパン食に切りかえたということもあるし、いまだに一千万トン内外でも間に合ってしまうような状況にあるわけです。だから、米の需要というものは、農林関係の議員が一生懸命、一握りの米を食べてくれ、こう言っているけれども、もしその中にごまかしがあったのでは、それは全体的にそういう需要を減退させるだけになってしまう。言うなら、ごまかして金を取っていくのですから詐欺みたいなものだ。だから、やはり品質に対して責任を持つということは農林行政の中できちんとやる、さもなかったら自由販売にしてもらった方がずっといいということになる。どちらを選択されるかは米穀店の問題だろうと思うのですが、もしこれ以上にせものといいますか、ほかの米が入っているものを売るというなら、これは、当時の苦しかった部分をこの時期に取り戻そうというような意図がもしもあったとすれば、石油みたいなものですね。そういうような意図があったとすればこれは許しがたいことです。だからこれはもっと簡素化した方がいい、もっと広げた方がいい。どこかの酒屋さんが直接持ってきたら袋たたきに遭って、とうとうどうにもならなくなったという例もあるわけですね。ですから、酒屋の問題は後でやっていきますが、そういう意味においては、業者を保護するという意味許可制、認可制なんだと思うのですが、そのことが国民に犠牲を与えるとするならば、それはやはり自由競争の原理の中に入れていくことの方がより筋が立つ。いいものを安く庶民に与える、こういうことが正しい方針にならなければならぬと思うのですね。その点に対する何らの担保もない、保証もない。もう少ししっかりした回答をしてほしい、こういうふうに思います。
  59. 福田圭助

    ○福田説明員 言葉足らずの御答弁で申しわけないと思っておりますが、先生の例示されました、特に不当表示、品質を偽るような形での商売をやっているお米屋さんが一部見られるということは、私たちも存じておるところでございます。  問題は、お米につきまして販売業者に許可制度を設けている趣旨は、やはり品質、それから量ともに、お米が主食という、一日に大体三食のうちの二食はお米を食べていただけるというようなことで、毎日の主食を安定的に供給していく、そういうことで、しっかりした流通組織を行政としてきちっと押さえておかなくてはならない、そういう意味許可制度を導入させていただいておりますので、むしろその許可制度の上にあぐらをかいて、先生がおっしゃったような目に余るような活動をしている小売さんやあるいは卸さんがあるとすれば、やはり競争的な要素も運用面で導入してそれに対処していく、それから直接行政が指導することもあり得るということで、私どもとしては精いっぱい、非常にたくさんの流通経路なりあるいはお米屋さんがおる状態でございますので、不十分な点はあろうかと思いますけれども、努力をしていく所存でございます。
  60. 沢田広

    沢田委員 とにかくここで回答してよくなってもらわなければ困るので、この点はひとつぜひ品質に偽りなし、こういうことを十分、これこそ通達で出しておいてください。いいですか、お願いしておきます。  それと関連しまして、牛肉の販売、これも私も三回くらいやってきたのですが、さっぱり効果が上がらない。今円高でさらに牛肉は安くなってきているはずなんですね。それが畜産事業団一つだけでこれはやっていて調節している、これは国内の畜産業者との関係もある、こういうことなんでありますが、これは大臣にも言いたいのですが、二元化をしたらどうか。一つだけではない、二つである程度、別に事業団をつくるなら事業団をつくってもいいが、東西につくるのもよし、あるいは別な形でつくるのもよし。これは前には、大変円高で牛肉が安くなった、そのときに特に安くするべきじゃないかと言ったら、安くします、それで安売りデーというので、いつつくったと言ったら、肉の日というのだから二十九日だ、じゃ二月はないじゃないかという話も出まして、ニクらしいじゃないか、こういう話になって、それではもう一日つくりましょうということを当時言った。ところが全然それを実行していない。ちょうど肉の二十九日が一日しかないからかもわかりませんけれども、しかもそれは特定の指定店だけである。こういうことで、レストランとかホテルとかそういうところでは特殊な牛肉輸入はやっておられるようでありますが、問題は、円高差益が庶民に行き渡ってもらうということも当然のこれは、権利と言っては悪いが、受益されなければならぬものだと思うのですよね。だからこれは業界だけのものではない。ですから、こういう円高差益は円高差益としてやはり国民に還元してもらわなくてはならない。そのために肉の安売りデーをもう一日ふやす。こう前には言ったのですが、実行されない。極めてこれは不満なんで、この円高の時期にはさらに三日ぐらい、週一日ぐらいにしても、今の円高でいったら十分採算は成り立つと思うんですね。ですから、そういう意味において一日増加は完全に実現してほしい、こういうふうに思うのでありますが、これは大臣及び農林省から。農林省は来ていますか。畜産事業団をたたけば幾らでも言えるんですけれども、安くしてもらおうと思っていますからあえてたたきませんけれども、ひとつ大臣関係者から答弁をお願いします。
  61. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 畜産振興事業団は、牛肉の価格安定を図るために現在畜産物の価格安定法という法律がございまして、国内の牛肉の価格安定制度と整合性を保ちつつ、輸入牛肉の大宗につきまして買い入れまして、国内で放出しているという制度につきましては、先生御承知のとおりでございます。  牛肉でございますけれども、五十年に価格安定制度の対象にされたわけでございますが、それ以降、私どもとしては、卸価格、小売価格とも他の一般諸物価に比べて極めて安定的に推移していると考えております。例えば日本の牛肉でございますが、去勢和牛でございますけれども、五十年度卸価格を一〇〇といたしますと五十九年度で一一三、卸売物価指数はその間に一三三ということで二〇ポイントぐらい下回っております。さらに小売物価も牛肉、中でございますが、これは総務庁の御調査でございますけれども、五十年度を一〇○といたしまして五十九年度が一三一、消費者物価指数はその間に一五六ということでございますので、これも二五ポイントぐらい下回っている。さらに今お話のございました輸入牛肉でございますが、これにつきましては、かなり量も拡大してきた、それから事業団によります指定席、これにおきましてかなりの値引き販売というものをやっている、それから、先生今お話のございました肉の日等を含みます。そういう特販日というものを設けて相当のことをやっておるということもございまして、五十六年度の価格水準を一〇〇といたしますと、これも総務庁の御調査でございますが、五十九年度は七五というように、少なくとも牛肉に関しましては価格安定制度が始まって以来消費者に対しても十分還元されている、かように考えております。
  62. 沢田広

    沢田委員 では、畜産事業団の予算の配賦の中身を言ってみてくださいよ。畜産事業団のもうけた金額がどういうふうに使われているかということを言ってみてください。
  63. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 畜産振興事業団が海外から現地の相場で牛肉を買い入れまして、国内の価格安定帯の中の時価で原則として売り渡すということにしておりますので、毎年変動はございますが、その結果事業団に差益というものが生ずる。これにつきましては、畜産物価格安定法に基づきまして使途、目的というものが明定されていまして、一つは、長期的に消費者のためになるような、国内の生産を足腰の強い、生産性を向上していく、こういうことに息長く使っていくということが一つ考え方でございます。それからもう一つは、いろいろな形での消費拡大あるいは普及啓蒙といったような形で、消費者に比較的直接に還元されるようなそういう使い方、こういう使い方をやっているわけでございますが、私どもは、どちらかというと、一過性のある直接の消費者還元というよりも、五年後、十年後を目指して国内の牛肉生産というのを、生産性を向上させまして足腰の強いそういう生産対策、構造対策ということをやっていくときに重点的に使うのがいいのではないか、かように考えているわけでございます。
  64. 沢田広

    沢田委員 そういう答弁を、上あごと下あごの技術だ、こういう言葉になるんだよ。数字を言ってくださいと私は言った。たとえちょっぴりでも、片っ方は一億ぐらいで片っ方は三千億であっても、今の言葉で言ったならば同じになってしまう。今の言葉で言えば、いかにも消費者にも同じフィフティー・フィフティーぐらいの金が出ているような印象を与える。そういうのを詐欺的な言葉、詐術なんだ。だから数字を言ってくださいと私は言ったんだ。言ってください。
  65. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 畜産振興事業団の差益を使いました指定助成事業、こう言っているわけでございますが、六十年度の当初予算におきましては、直接消費者対策のための経費といたしまして四十億円、約二割弱でございますが、使っております。
  66. 沢田広

    沢田委員 片方も言いなさいよ。
  67. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 全体で二百二十億円程度でございます。
  68. 沢田広

    沢田委員 全体の利益を言いなさい。
  69. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 これは利益を見込んでおりまして、二百四、五十億円の利益というものを予算に計上しております。
  70. 沢田広

    沢田委員 前年度の決算で言ってみてくださいよ。――まあこの程度で勘弁しておきますか。そういうごまかしみたいな形で言うが、私も持っているのだ、ちゃんとあなたのところからもらって持っているのだ。だから、そういう数字からいったら同じように消費者のためにやっているなんて言えるようなものでない。だからといって片方を減らせという意味ではないけれども、やはりもう少し消費者還元、これだけ円高にもなってきているのだから消費者還元に努力すべきではないか。その点を素直に答えてもらえばいいのだ。何とかここだけ言いくるめて事を過ぎればいいやといったような発想があなたの態度には歴然としてあるのだな。これはよくない。国会をごまかしてまかり通ろうなんという発想はよくない。だから、少なくとも牛肉販売についてもう少し消費者に還元できるようにさらに努力をする、また前の約束であったもう一日の設定は必ず守ってもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  71. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 ただいまお答えいたしましたように、畜産振興事業団から輸入牛肉を放出するルートというのは、先生御承知のように、基本的には市場における競り売り、それから食肉流通関係団体に対する競争入札ということでやっているわけでございますが、直接消費者に対しまして身近に輸入牛肉を消費してもらいまして、将来の需要の定着につなげようということで指定店制度というのをとっておりまして、これが現在三千店舗に拡大してきております。それが一つでございます。  それから、先ほどのお話のように食肉の小売店、これは専門店、それから量販店がございますが、これが参加いたしまして、これは豚肉も含めてでございますけれども、大体月に四回肉の特販日というのをやっておりまして、その中の一回を象徴的にただいま肉の日ということに称しまして、それに対しまして事業団からも輸入牛肉を流しまして一定の目安価格、市価の大体一五%から二割引きでございますけれども、安売りをやっていただこう。そのほかに、現在つくっておりますけれども、既に名古屋と東京にあるわけでございますが、輸入牛肉のモデル店、これをつくりまして、同じ目安価格でございますが、常時必要な部位を必ずそろえて市価の一五%から二割引きぐらいで売っている。  こういうそれぞれの施策の一環として肉の日というのが位置づけられておるわけでございますので、私ども、今後十分ただいまの御趣旨を体しまして、消費者に対する値引き販売あるいは将来の需要拡大ということにつなげるように努力いたしたいと思います。
  72. 沢田広

    沢田委員 前の人が五分ばかり延びて、十二時から理事会の予定があるそうでありますから、その分だけ時間が減りましたから、その分まとめて若干質問して、お答えいただいて終わりたいと思います。  一つは通産省で、これは後で大蔵にかかってくるのだろうと思うのでございますが、関税品の貿易摩擦を幾らかでも緩和をするための、四十一でありますか、それぞれの品目を挙げてこれの関税を引き下げよう、こういうことであります。その中で特に皮革製品は長い日本の歴史があって、それぞれ生活条件も非常に厳しい。ただ、これも甘えだけの構造であっていいと私も思っておりません。だから、それにはやはり機械の導入なりあるいは技術の革新なりそういうものがともどもに進められていく、そして世界の皮革産業と肩を並べていく力を持たせる、そういう処方が必要だというふうに思うわけです。だから、何でもかんでも守らなければならぬからこれは断れということで事が済むものでもないと思います。これは米とかなんか農産物も同じですね。日本は今そういう状況に追い込まれているわけです。ですから、やはりそれに太刀打ちできる力、地方をつくっていく、そういうことがこれからの一つの大きな課題だ。言うなら、保護貿易みたいな形になっておる状況にあるものについては、どう近代化をし、どうそれを近代産業に肩を並べさせるか、そういう処方を考えていく必要性がある、こういうふうに思います。  これは、特にまた輸入品のマージンがよく新聞に出て、七百円のウイスキーが一万円だ、これも詐欺みたいなもので、泥棒よりひどいですね。泥棒は罪になるけれども、これは罪にならない、こういうことになるのですから、そういう意味においてはやはりこれは行政管理庁なり公取などが適正に取り締まっていただくということが必要だと思います。これは要望事項でありますが、今五十六分で、あと四分残っておりますから、もう一問質問させていただきますけれども、以上二点について大臣からお答えいただきたい。あるいは通産からでもいいです。
  73. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 御指摘のとおり、日本の皮革産業あるいは製靴産業、非常に難しい状況にあるわけでございます。中小零細性が高いわけでございますし、また、国際競争力にも今のところまだ問題がございます。しかし、ガット等で現在の輸入制限措置見直しは強く要求されておるところでございまして、私どもといたしましては、関税上の措置へ移行するという方向で最善の努力を尽くしてまいりたいと思っております。  同時に、先生御指摘ように、産業自身の体力をつけていくことが基本的な対応であろかというぐあいに思っております。現在までも、製造技術の改善、新技術の導入あるいは新商品の開発、新市場の開拓、そういった面で補助金等を投入いたしまして努力をいたしてきておるつもりでございますけれども、現在のような状況をにらみながら、さらに適切な対応を図ってまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  74. 沢田広

    沢田委員 ウイスキーの方は。
  75. 村本久夫

    ○村本政府委員 ウイスキーのことにつきましてお尋ねがございましたので、国税庁の方からお答えをさせていただきたいと思います。  今お話がございましたように、いわゆる一万円クラスのウイスキーが、それが七百円とか九百円とかいうものが一万円になっている、それが全部もうけであるということではないわけでございます。若干細かくなりまして恐縮でございますが、税金がそういうようなものでございますと関税と酒税と合わせまして千八百円から千九百円ぐらいかかる、こういう問題がございます。それから第二番目といたしまして、卸マージン、小売マージン、この辺はほぼ国産酒並みとなっております。残っておりますいわゆる輸入業者のマージン、これが三五%から四五%、こういうような形になっておりまして、これがいかにも高いではないかというようなことが言われているわけでございますが、先生御承知のとおり、この中にはいわゆる販売促進費ですとか広告宣伝費ですとか、そういうような、国産酒でございますればメーカーの出荷段階で価格の中に入っている、そういうようなものもあるわけでございます。そのほか、いわゆる為替リスクの問題とかそういうようなものを輸入業者が飲み込んでいるとか、あるいは物によりましてはブランドイメージを維持向上するというようなところからやや高価格政策をとっているというようなもの、あるいはロットが小さいから回転率が悪く、金利がかかるというようないろいろな要因もあるようでございます。  いずれにいたしましても非常に関心の強い物資でございます。今回の調査結果につきましては、今後、物価安定政策会議政策部会に設置されました輸入品の流通等に関する専門委員会において検討が行われまして、本年度内を目途に政策部会の意見または報告が出されるということになっておりますので、それを踏まえまして必要に応じ、国税庁といたしましても適切な指導をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  76. 沢田広

    沢田委員 答弁は不満ですが、時間の関係で最後に大臣、給与法の提出を故意におくらかして年金を通そうとか、もちろんそれはそれなりで我々も審議に応じているわけでありますが、何か馬の先のニンジンみたいに、給与法をなかなか提出しない姿勢というのは少し意地が悪過ぎるんじゃないかというふうに思えてならない。閣議決定して、なぜそれを早く出さないのか、その辺は何に手間がかかっているのか、ちょっと明らかにしていただいて、もう時間がありませんから、大臣の英断によって速やかに審議ができる条件をつくることを期待して、一言お答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  77. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 本年度の給与改善の措置につきましては、十一月の八日に政府としての方針を決めまして、自来できるだけ早く、国会御審議を受けなければならぬ事項でございますからそこらも頭に置きながら、できるだけ早く立法作業を進めて国会に御提案をさしていただこうということで鋭意作業をしておるわけでございますが、決して故意におくらせているわけではございません。  何といいましても、ことしの給与勧告が俸給制度改革が入っているということ、それからもう一つは休暇制度についての法的整備を図る、これに関連したいろんな関連法規がたくさんあるというようなことで、立法作業が従来よりはおくれざるを得ないということが基本の原因にございます。  しかし、政府としては、何といったってこれは国会審議を頭に置きながら、同時に年内支給はどうしてもやらなければならないということをデッドラインとして今鋭意作業をいたしておりますから、できるだけ早く、印刷にも相当時間がかかりますので、御提案をさしていただくような運びにいたしたい、かように考えております。
  78. 沢田広

    沢田委員 答弁者でお呼びをいたしまして質問ができずに終わること、残念でありますが、大変お忙しい中おいでをいただいた方々に敬意を表します。  以上をもって質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  79. 中島源太郎

    中島委員長 関連して、渡辺嘉藏君。
  80. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 許可認可一括法案について逐次質問をいたします。  まず第一に、市場アクセス改善のためのアクションプログラム政府は決定をされました。日米を初めとする貿易摩擦解消を図ると同時に、輸入制限の撤廃拡大、自己認証制度の拡大、あるいはまた基準・認証の緩和と関税の引き下げ、撤廃等、この法改正の目的の一端もここにあると見られるわけですが、その中で合板、木材の輸入拡大と関税の切り下げが近く実行されようとしておるわけです。今深刻な不況、長期にわたる需要の停滞と倒産というような深刻な中におけるこれらの業界の中で、関税等の切り下げその他が行われるわけです。あわせて皮革、革靴等についても輸入制限措置を撤廃して関税割り当て制度へ移行しようとしておられるわけですが、先ほど申し上げたように、両業界ともほんの一部を除きましては大部分が中小零細企業であることは言をまたないわけです。それだけに受ける打撃も深刻だと考えられます。  そこで、木材につきましては後ほど聞くといたしまして、皮革、革靴について従来のIQ制度からTQ制度に移行を図ろうと考えておられるわけですが、これの具体策とこれに対するアメリカの反応をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  81. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 御指摘のとおり、現在の輸入制限制度につきましてはガットの場で既にガットのルールに適合しないという判断を下されているものもございますし、いずれ遠からずそういう判断が下されるというように見通さざるを得ないものもあるわけでございます。そんな観点から関税上の措置へ移行する。具体的には、御指摘のとおり関税割り当て制度へ移行するというような方向でガットでの交渉に臨んでおるところでございます。  ガットでの交渉の細目につきましては、いわゆる守秘義務というのがございますので、なかなか細かく御説明できないのが遺憾でございますが、ただ御承知のとおり、米国は本件につきまして自国の通商法三百一条を別途適用するという考え方をとっておりまして、問題の合理的な解決ができない場合、十二月一日までに解決できない場合には制裁措置をとるというような方針を示しております。具体的には原皮の輸出を制限するとかあるいは四十一品目、その後二品目ばかりカットしておりますけれども、四十品目ばかりにつきまして関税引き上げあるいは輸入制限措置をとることを考える。もちろん、その中から具体的に最終的には選択が行われるということだろうと思っておりますが、非常に厳しい状況にあるわけでございます。  私どもといたしましては、ガットでのコンタクトももちろんでございますが、米国との二国間のコンタクトもあわせ行いまして、何とか最善の解決を見出したいということで全力を尽くしておるところでございます。
  82. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 大臣に直接承りたいと思いますが、今もお話があったようにガットの交渉等については守秘義務がある、だから十分お答えできないのは残念だ、こういうお話ですが、大臣初め献身の努力をしていただいておるということは私も仄聞しておるわけですが、しかし新聞にはどんどん出ておるんですね。ところが守秘義務だと言いながらこちらには出てこない。これはおかしいと思うのですね。こういうよう意味で、これは明らかに中身についてもきちっと国会に報告し、そして国会の意向も反映しながら、日本の政治家の動きも反映しながらやっていただきたい。  なぜかというと、今度のこの動きの中には、アメリカの動きの中には、多分に選挙民目当であるいはまたその地域の住民目当ての動きがかなり私どもの目や耳につく次第なんですね。そういうのに対して、国益の立場から考えましても、そういう動きに守秘義務だとかなんとかで国会がもしつんぼ桟敷にあるとするならば、これはアメリカのそういう政治の進め方にこっちが一本やられる、こういうような結果を招かないとも限らないわけですね。そういうよう意味で、これの解決のためにはやっぱり日本の国内の皮革、革靴業者、そういう人々の立場を十分守って、これ以上この業界が深刻な不況、倒産に陥らないように、それによって多くの失業者が出て路頭に迷う、こういうような雇用不安を与えないように、ひとつ大臣のこれに対する所信を明らかに聞かせていただきたい。
  83. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 渡辺委員にお答えいたします。  今、皮革、革靴の問題は非常に重要な問題としてクローズアップされておりまして、実は若杉審議官、これはもう私の代理する最高の交渉責任者でございますが、アメリカに派遣をしてヤイター通商代表との交渉を行わせるということで、もう出発の予定をしておるわけでございます。  先ほど渡辺委員が御指摘になりましたように、大筋としてはIQからTQに変えていくということでございまして、やむを得ずガットの場で協議をして今後の対応を考えるということでありますが、委員指摘ようにこの業界は零細業者の方々が非常に多いわけでございまして、国際競争力の問題であるとか、今いろいろ苦しんでおられることはよく承知いたしております。それからまた現在も不況に見舞われておる、そういう状況でございます。  そして、アメリカのことを例としてお挙げになりましたから申し上げますと、例えばドール院内総務が来たりヤイター通商代表が先般参りました際も、この皮革問題を非常に取り上げておりました。しかしこれは、確かに来年はアメリカ国内の中間選挙を控えておるという事情もありましょうが、主として考えなければならないのは皮革、革靴製品に対する国際的な世論というものがここに来ておるということもよく認識をしていただきたいところでございます。当然通産大臣といたしましては、そういった業界をできるだけ守り、そしてまた国際的な問題にも対応していくという考え方で懸命の努力を続けておるところでございます。
  84. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 ひとつ大臣、これからもこれは続くわけですが、そういう業界の企業と雇用を守るためにぜひ全力を挙げていただきたい。とともに、十一月一日に通産省の方からこの業界に対しまして、日本皮革産業連合会に対して、今後の業界活性化も含めて委員会をつくったらどうか、こういうお話があったということなのですが、十一月二十四日までに三十八名ないし四十名の人選をして出す、こういうことを承知をしておるわけなのです。こういう委員会をつくって、通産省がそれらの声を吸い上げてやるというのは私はいいことだと思うのです。ですから、これをつくられることは私は前向きでいいと思うのです。ただし、やっていただくなら、企業と雇用を両者一体として考えるときには、この企業の実態から見て、この中には解放同盟の団体並びに労働組合の団体、これらもぜひ入れて、内容的に車の両輪のごとく充実した委員会構成で運営されることを望みたいのですが、この点はどうでしょうか。
  85. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 ちょっと事実関係を御説明させていただきたいと思います。  御指摘のとおり十二月一日に私どもの担当の方から、今後非常にいろいろな面での勉強が必要ではないかということで、関係業界団体内に今後の皮革産業の方向づけに関する委員会といいますか、コミッティーといいますかフォーラムといいますか、そういった率直な検討、研究の場というようなものをつくをというアイデアもあり得るのではないかということを示唆した事実はございます。  ただ、今申し上げましたように、関係業界あるいは関係者の間の盛り上がりというようなものが基本がというぐあいに考えております。今後、こういうアイデアにつきまして、関係業界あるいは関係者の間でのいい意思疎通が行われまして、盛り上がりが出てくることを期待いたしたいと思っております。どういう範囲の方に御参加いただくかということにつきましても、関係業界あるいは関係者の間での十分な意思疎通あるいはコンセンサスというものができ上がってくることを期待をいたしておる次第でございます。
  86. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 今十二月一日とおっしゃったのですが、十二月一日なのか。私は十一月一日と承知したのですが、先のことなのか。私どもはもうあった、こう聞いておる。  それから、関係業界がそれぞれでやってくれというようなことではなくて、通産省はかなり積極的な中身だったのですよ。そんな程度のものじゃない。とするなら、そういうものの中に今申し上げたような団体も入れるように、ひとつ適当な指導をお願いをしておきます。  今答弁をいただいておりますとあとの時間がありませんのでなんですけれども、ひとつ大臣もぜひこの点お酌みいただいて、そういう委員会の設置、運営をお願いをしておきたいと思います。
  87. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 言い間違えたかもしれませんが、十一月一日でございます。
  88. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 次に、この一括法案の中に地代家賃統制令の廃止があるわけですが、現在この地代家賃統制令の対象戸数、それから、これが制定をされましてから昭和二十五年七月と昭和三十一年にそれぞれ二回の改正が行われたわけですが、当初の対象と、それからこれらによって除外された数と、現在の数、数字で結構ですからまず簡単にお答えいただきたい。
  89. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 まず経緯的な数でございますけれども、昭和二十三年は借地と借家を合わせまして七百三十万戸でございます。これに対して昭和五十八年の統計でございますが、借地三十四万件、借家が九十万件で百二十四万件ということになっております。  それから、昭和二十五年と三十一年の改正で適用除外がどのくらいあったかという御質問だったかと思いますが、昭和二十五年の改正で適用除外とされた住宅は二つございまして、一つは一時使用のもの、それから二つ目は昭和二十五年七月十一日以降新築に着手のものということでありますので、これにつきましては、大変申しわけありませんけれども戸数として把握しておりません。  それで、昭和三十一年の改正でございますけれども、これはいわゆる一般庶民の生活に影響を来さないものということで、延べ面積が九十九平方メートル、ほぼ三十坪でございますが、これを超える住宅を適用除外としたわけでございます。その件数は約二十七万戸ということで、三十一年当時の統制対象借家が約三百四十万戸ということでございましたので、その八%になると思います。
  90. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 現在百二十四万戸というと、仮に一月当たり四人家族とすると四百八十万人がこれの影響を受けておるわけですね。また、影響を受けるべき立場にあるわけです。これは愛知県一つ以上の人口なんです。現在この統制令はこれらの人々に有効に作用していたかどうか、承りたいと思います。
  91. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 もう先生御存じだと思いますが、地代家賃統制令は、戦後の著しい住宅難を背景として、地代家賃の高騰を防止し、国民生活の安定を図るために制定されたものでございます。昭和二十二年ごろの家賃の上昇率を見てみますと、いわゆる終戦直後は八〇%でございました。昭和三十年代に至りますと一〇%程度、四十年代になりますと一〇%以下、これは対前年の上昇率でございます。さらに、ここ数年は数%程度の推移となっておるわけでございます。したがいまして、過去においてはそれなりの効用はあったと思いますが、現在におきましては、住宅事情も大幅に改善されておりますし、立法当時の効用は既に失われていると考えております。  例えば、昭和四十六年に告示改定を行ったわけでございます。そのときに統制額を改定したわけでございまして、地代は二・七倍、家賃は二・八倍という形で引き上げが行われたわけでございますけれども、一般の家賃にはほとんど影響はなかったということからも明らかではないかと考えております。
  92. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 この件につきましては所管が建設大臣ですが、大臣は続編といいますか、後の時間帯でないとおいでにならぬそうですから、まずこれだけを聞いておきまして、今度これにつながる借地借家の方を承りたいと思います。  今度の一括法案の中に直接は入っておりませんが、個別事項規制緩和の中には借地・借家法の見直しという項目がありまして、昭和六十年にはこれを行うと書いてあるわけですね。ここに法務省の民事局参事官室の出されました「借地・借家法改正に関する問題点」、これは何回お願いしても出てこなかったのですが、新聞に出てから小一月たってやっと私どもの手元に来たのです。この中身はもう新聞に一月以上前に漏れておるのですが、しかしそれにしてもこれが出てきたわけです。これと今の地代家賃統制令との関係はありや否や。  それから、これが今法制審議会の民法部会にかかっておるわけですが、これについての法案を六十年に出されることになっておるのかどうなのか、この点承りたいと思います。
  93. 枇杷田泰助

    ○枇杷田政府委員 まず第一点の地代家賃統制令の問題と借地・借家法の改正の問題の関係でございますが、これは全く関係ございません。私どもの方は、借地・借家法につきまして見直すということは独自に考えておるわけでございまして、地代家賃統制令の廃止の問題とは関係がないというふうに考えております。  それから、借地・借家法の改正問題につきましては、ただいまお話がございましたように、法制審議会の民法部会におきましてこれを審議の対象にしようということが決まりまして、いろいろな問題点につきまして各方面に御意見を伺うということを現在やっておる次第でございますが、事柄が非常に重要な内容を含んでおりますので、審議には相当の期間を要するであろうと考えております。とても昭和六十年に改正という案がまとまるような性質のものではないと思います。
  94. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 借地・借家法は、今さら私が多くは申し上げませんが、弱い立場の借地借家人の方々を擁護するために大正十年に制定され、当時の地主、家主等は猛烈な反対をいたしました。だから、完全な施行は私の覚えではたしか大正十五年ごろしか施行ができなかった、こう記憶しておるわけですが、それほどの大問題だったわけです。しかし、これが特別立法として出たわけですが、従来の民法上の賃貸借ではこの種の問題が当時の借地借家の紛争を解決することができない、こういうことからこの特別立法になったと承知をしておるわけです。  そこで、その後改正があり、昭和四十一年の改正を経まして今日に至ったわけですが、借地借家の現在対象になっておる戸数はしからばどれだけあるか、それぞれ承りたいと思います。
  95. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 住宅についてでございますが、昭和五十八年の在宅統計調査によりますと、二戸建て、長屋建ての持ち家が二千二十万戸あるわけですが、そのうち倍地上に建てられているものが二百三十五万戸ございます。
  96. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 借家につきましては、五十八年の数字で千二百九十五万一千戸でございます。
  97. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 これを見ますと、借地が二百三十五万、借家が千二百九十五万というふうでしたね。そうすると、合わせまして千五百万戸ですね。ということは、仮に三人ないし四人家族、こういうふうに見たら五千万人に影響を与えるのです。国民生活に大変な影響を与えるこの問題について、これから二、三承っておきたいのです。  まず、この問題点を提起された中に、存続期間を言っていらっしゃる、三十年一律がどうであろうか、それから更新のときに今まで以上に拒絶することができることを示唆した中身が出てきた。それから、立ち退きの請求の中の正当事由に土地の有効利用ということが入っている。また、買い取り請求権のかわりに地主側から売り渡し請求権というものが出てきた。借家関係も同じです。そして地代家賃の決め方についても、先ほど統制令の廃止とは全く関係がないとおっしゃったけれども、これはまた逐次申し上げていきますが、現実の居任地域における現場においてはそれは切り離しては考えられないところから、この地代家賃の決め方がこれからはどういうふうに決まってくるだろうか。この中身を見てみますと、すべてが地主、大家の立場に立った大改正と言わざるを得ないのです。  今までの改正を見ておりますと、弱い立場の借地借家人の立場から改正をしてこられたのがすべてなんです。こういうふうな意味では、私はこれを見た瞬間に、こういうのを反動立法と言うんだ、こう考えたのですが、そのように認識していいですか。
  98. 枇杷田泰助

    ○枇杷田政府委員 この民事局参事官室名でまとめました「問題点」は、現在いろんな方面から提起されている問題、それから昭和三十五年に法制審議会におきまして借地・借家法の全面改正につきまして検討した要綱案というものがございます。その中に盛られている問題点というものを整理いたしまして、それについて各界の御意見を伺いたいということで照会を申し上げているものであります。  したがいまして、法制審議会としてあるいは法務省として、この「問題点」に書いてあるような方向で改正がなさるべきだという立場に立つものではないわけであります。各界の御意見を十分伺った上で、慎重に審議を進めたいという考え方でございます。  したがいまして、これからどういうふうな御意見が出てくるかわかりませんけれども、それらを踏まえた上での審議が来年の春過ぎごろから始まるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  99. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 言葉からいくとそういうことになるわけなんです。私も審議会の権威を尊重したいと思うのです。ところが、こういう一つの素案が出て、これでどうですか、これでどうですかということになりますと、今までの審議会をずっと見ておりますと、いろいろな審議会があるわけですが、かなりこういうものが素材になりたたき台になり、これに多少の潤色なり手直しがあるだけにすぎない。こういう意味から、法務省の民事局並びに建設省が一体となってこういうものが出てき、そして、こういうことに基づいて一定の目的意識を持った審議が行われる危険が多分にある、私はこう考えておるわけです。  なぜそういうことを言うかというと、先ほど申し上げましたように、これが借地借家関係の方々五千万人に影響を与える大問題なんだということですね。だから、これを単にこの審議会だけでああだこうだとやって、ずっと拝見しておりますと、そういうものが固まって国会に出てまいりますと、大体余り修正もできずに通ってしまうことが多いのですね、私どもも非常に残念に思っているわけなんですが。そういうふうに考えますと、こういったたき台から答申を受けて立法化されて国会へ出てくると、それが九九%の可能性を持って通ってきたらこれは大変なことになる。  こういうよう意味で、それならばむしろ審議会だけでなくて、国会そのものに事前にこういうことについてはどう思うかというふうに出すべきだと思うのです。そして、該当の法務委員会なりあるいはまた何かが事前にこういうことについて、事前審議ということはもちろん拒否されることなんですけれども、少なくともこういうことをやるにはそういう慎重さで行わなければいけないということと、先ほど申し上げたように、この改正趣旨はどう考えたって土地利用のための大資本、大企業あるいはまた特定の悪質なデベロッパーなり宅建業者のために利便を図り、弱い立場の借地借家人は嫌でも立ち退きをさせられる危険が多分にある。その点についてはそういうことの心配はないと言い切れてこれを出されたかどうか。先ほど申し上げたように反動立法ということは皆さん方の立場からは言えないとするならば、今のそういう本質的な流れをお答えいただきたい。
  100. 枇杷田泰助

    ○枇杷田政府委員 繰り返しになりますけれども、この「問題点」と申しますのは、現在提起されている問題点あるいはかねがね法曹界の中で考えられている問題点を整理をして各界の御意見を伺うということでございまして、一つ改正の方向をここで示したというものではございません。この「問題点」の書いてある記述によりましても、こういう考え方があるが、どうかという形でお伺いしているのはそういう趣旨でございます。  なお、借地借家の関係につきましては、ただいま御指摘ように非常に多くの方々の生活にかかっている問題でございますし、もともと長期的に安定された法律関係がなければいけないということは当然のことでございますので、これからの審議に当たりましてはそういう観点を十分に踏まえた上で検討されることになるであろうと考えております。
  101. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 では午前中はこれで終わらせていただきますが、答弁は私の方から質問したらそのポイントだけをきちっと答えていただければいいわけなんですから、そういう意味でひとつ時間の節約に御協力いただきまして、午前中は終わります。
  102. 中島源太郎

    中島委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  103. 中島源太郎

    中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡辺嘉藏君。
  104. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 午前中の答弁で数点明らかになってきたわけですが、地代家賃統制令の対象戸数は百二十四万戸、約四百八十万入と想定される。二番目には、当初の対象者は七百三十万人であったが現在では二割弱に低下した。戦後直後にはこれは効用があった。なぜなれば、地代家賃を含め七〇%、八〇%というような物価騰貴の大変な時期であったから効果はあった。現在はもう対象者も少なくなったのと、それから値上がりそのものも数%にすぎない、だから効果は失われた。それから、地代家賃統制令の廃止と借地・借家法の改正とは全く無関係である。それから、借地借家の対象は両者合わせて千五百三十万戸、三、四人家族でも五千万人程度だ、こういうことが明らかになってきたわけです。それでも百二十四万戸、四百八十万人という地代家賃統制令の対象者があるということは、大変な数であるということです。  そこで、ここに一つの例を申し上げてお伺いいたしますが、これはお寺の所有地、寺領ですが、そこは織田信長が岐阜に来たときに楽市、楽座をつくるための多くの寺社を尾張から移転させたのです。そのときに広大な寺領をそれぞれのお寺に与えた。これが今日に続いているお寺がたくさんございます。これはもう繁華街から離れておりまして、商店街にもならない。お寺の裏地で、全くの住宅専用で、地価が大体二十五万から三十五、六万までのものでございます。そこに借地借家があるわけです。付近の地料は、これは平米数でなしに簡便な意味で坪数で申し上げますが、大体二百円から二百五十円というのが付近の相場でございます。しかるに、このお寺は五百円から八百円を徴収をしておる。  そこで、仮にそこで借地をしていらっしゃる方が、現在六百十七円の坪数の単価で払っていらっしゃるところが地代家賃統制令で計算をすると二百十五円、八百十五円の方が二百九十九円となるわけです。そうすると、地代家賃統制令に準拠して計算をいたしました金額は、付近の標準地料と等しいのであります。この寺領の借地借家人は約三十五、六戸あるわけなんです。その中で地代家賃統制令の対象になる方が十八戸あるわけでございます。ところが、いろいろ地料に文句を言いますると、改築のとき、相続のときあるいはまた嫌がらせを受けて立ち退きをほのめかされる等々で、地域的にも保守的な地域でございますだけに、今日まで泣き寝入りをしていたのでございます。今回、この人々に、こういう地代家賃統制令がありますよ、あなた方はこれの対象になりますよ、こういう説明をいたしましたら、彼らは欣喜として寺にそれを要求したが寺はそれを承知しない、そこで現在、法的な手続を講じておるというのでございます。  言うなら、封建遺制のこういう借地が私の岐阜市だけでもかなりの数量に上り、全国をいろいろ当たってみますと大変な数があることが明らかになったわけです。こういう人々に、この地代家賃統制令はいわゆる妥当な地料、家賃を支えてくれる大きな柱になっているのです。またなったのでございます。ところが、この十数年、地主あるいはまた大家等の横暴なやり方は目に余るものがあるのでございます。  そこで私はお伺いしますが、こういうように地代家賃統制令の適用を受けるべき人で受けていない人はかなりの数量があるのです。これらはどの程度あるというふうに把握していらっしゃるのか、まずこれを承りたい。
  105. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 建設省が五十九年度に実施いたしました地代家賃実態調査というのがございます。これは予算等の関係もございまして全数調査はできませんで、東京、大阪、京都を調査地域としているものでございますけれども、統制対象の賃料で統制額以下となるものの比率は、借地で大体二割程度、借家につきましては地域により差がありますけれども、一割ないし三割程度ということになっております。
  106. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 今私が申し上げました一つの例もあるし、今御答弁があったように、二割から三割程度しか適用を受けておらない。もしもこれ以上の地料、家賃を強要的に取り、今の寺社の例でもそれでも一割の値上げを今要求してきたわけですね。こういう場合には、地代家賃統制令、現在の法律で何か規制なり取り締まりなり罰則の適用はありますか。
  107. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 法律的にはやはり現在の地代家賃統制令に基づいて告発ということになるかと思いますが、実際の状況を申し上げますと、昭和三十七年以降はいわゆる検察庁の処理した件数はゼロという状態でございます。
  108. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 法律には、これを超えて地代家賃を取った場合には罰則において第十八条、いわゆる第三条の規定に違反した者に対しては五年以下の懲役または五万円以下の罰金と書いてあるのです。いいですか。これは明らかに法律になったのです。法律があり規定を定め、そして時代時代に合わせて建設省の告示によって手直しをしながら地代家賃を修正していく、こういうふうな手順を経て、それでも守らぬ者には十八条で罰則の適用をすると言いながら、なぜその罰則の適用がないのか。そうして、先ほど効果が薄れたとおっしゃるけれども、効果が薄れたのではない。おたくどもがこの法律がありながらサボっておると言わざるを得ないのですね。だから二割か三割しか適用を受けないのです。もっと多くの人が適用を受けてごらんなさい、正しい地代、家賃が――これは居住地ですから、生活の根拠ですから、いいかげんなものじゃないのです、おわかりのとおりです。これをわざわざ法律で決めておきながら野放しにしておいて、今になって、効果はありませんと言う。守らなければどんな法律だって効果はないのだ。刑法だろうが民法だろうがこんなことは一緒なのだ。その意味からお考えいただいて、なぜこのように放任してあるか。怠慢じゃないか、なぜPRをしないのか、各都道府県にどんどんとPRして、こういうのがありますよということをなぜやらないのか、これをひとつ承りたい。
  109. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 まず第一点でございますけれども、るる御説明申し上げておりますように、社会情勢変化というのがございます。統制令自体が実態と乖離したものとなっておりまして、貸し主あるいは借り主双方に、統制令を守るという意識が薄れてきているというのが実情じゃないかと思います。例えば、家賃台帳の作成がほとんど行われていないといったようなこともこういった事情を反映したものではないかというふうに考えられるわけでございまして、建設省としてもなかなか指導し切れないというのが実情でございます。  PRについてでございますけれども、過去に何回か告示を改正してございますが、その告示の都度に、各都道府県にいろいろな点で通達を出しておるところでございます。
  110. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 守る意思がなかったから建設省としてもどうしようもなかったんだ、PRはしておったと言うが、そんなことなら、交通規則にしてもだれだって守りたくない事項が幾つもあるのですよ。守る意思がなかったから放任しておきますなんて、そんなことできますか、できぬじゃないですか。わざわざ法律をつくって、これで守りなさい、違反したら罰則を適用しますよと、大変な罰則を決めてあるのです。第三条だけでなくて、第六条にも第十二条にも決めてある。全くこういうことを守らずにおいて、そして、守る意思がないからしようがないというよう答弁が法治国家の国会の中で出てきたのでは、あなた方はこれから法律をどうやって守らせるつもりですか。とんでもない話だと思うのです。効果がなくなったから廃止だと言うが、四百八十万人という愛知県の人口以上の対象者があるじゃないですか。なぜこういう人たちに恩典を与えてやらないのか。家賃台帳をつくるよう決めなさいというような規正的、規範的な条項じゃないのです。守りなさい、守らなければ罰則の適用だという強制規定なんです。この点を踏まえられたら、今ごろになって、効果がないから廃止しますということは絶対に言えないはずなんだが、前言との関係はどうなんですか。
  111. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 制定当時と比べまして住宅事情が非常に改善されているということ、それから、民営借家といいますか借家に対して統制対象の数は七%でございます。そうしますと、九三%の方とのバランスというのも考えなければいけない。それから、統制対象の家が非常に老朽度が高いということもデータであるわけでございます。そういったものを総合的に判断いたしますと、まさに現時点においてこの統制が必要かどうかという判断をする必要があるということになると思います。そういうものを総合的に判断した上で、今回こういう形で一年後に廃止したいということでございます。
  112. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 これは答弁にならぬですね。時代が変わったと言うけれども時代が変わったから建設省の告示も変えていらっしゃるじゃないですか。その都度上げておるじゃないですか。  それから、それ以外の多くの人は適用になっておらない、それはそのとおりです。ところがそれも九十九平米で絞ったからなんですよ。皆さん方は外していたのですよ。外していけば対象が少なくなるに決まっている。だから同じところにおって、この人は九十九平米、適用になる、この人は百二十平米、適用にならない、片一方は八百円、片一方は二百九十円でいいのですか。そんなばかな矛盾なことはないじゃないですか。それならむしろ適用を拡大すべきなんです。  そして、私は何回も言いたいのですけれども、今ここに具体的にこういうふうに明らかに誤った違反事実があった場合に、罰則の適用をどうされますか。守る意思がないからしようがないのだということなら、これから法律はあってなきがごとし。この点はひとつ大臣からきちっと御答弁いただきたい。
  113. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 その規範そのものが、社会のそのときの実情実情とどういう関係にあるかということも一つ考慮に入れるべき点ではないかというふうに考えます。
  114. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 確かに戦前戦後の混乱の時代と違いますから、私ども、こういうふうに社会情勢が大変大きな変化をいたしておるという点で、行政上多少把握し切れなかった点も率直に言ってあると思うのです。考えてみれば、現在米の統制もあるわけでございますが、これは理屈をつけて物を考えれば、社会保障制度的な意味もあるわけでございます。しかし、私ども建設省としても、住宅問題は非常に大きな問題である以上、実態ぐらいは十二分に把握していかなければならぬ、私は社会通念から考えてみてそう思っておるわけでございます。  で、局長からもたびたび答弁申し上げていると思いますが、今回の統制令の廃止につきましては国会で今御議論願っているところでありますが、もし仮に撤廃をさせていただく場合でも、何といっても高齢者とか比較的低い水準にある弱い方々に対して不安や心配を与えないように、行政上どう努力をするかという立場に立って、できる限りの工夫をし、最大限の努力をすべきである、そういうように私は考えております。
  115. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 それぞれ御丁寧な答弁をいただいておるわけですが、食管の話も出ましたけれども時代が変わったからその法律は守れない、また守らなくてもいい、こういうふうに今僕は承ったのです。そうすると、私どもから見たら悪法も法なりで、やむなく従っておる法律がたくさんある。これからは悪法だからといって守らなくてもいいかということになるわけです。この点は大事なことです。地代家賃統制令だけの問題だということでなくて、法律が厳然とあって罰則がありながらそれを放任しておいて、適用を受けておる人は二割か三割しかありません、あとは放任してありますというようなこの一言は、私ども許せません。どんなことがあっても法が廃止されるまでは守らせますという答弁をもらわなければおさまらぬです。こんなことは当たり前のことなんですね。それと同時に、今のようにこういう誤ったところがあれば直ちに直させるように適切な指導をしてもらえるかどうか、このことが一つ。  しからば、地代家賃統制令で高いか安いかということなんです。私は方々でやっておりますもので、参考までに私なりに計算してみたのです。たまたま東京でどうだろうかと、銀座の三越のところで、あそこにはそういうものはありませんけれども、あったと仮定して計算をしてみますと、地代家賃統制令の地料が坪に対して月四万百二十二円になるのです。それから五反田の駅前で九千二百五十円になるのです。この国会の周辺は幾らだろう、ここらは三千九百六十円になるのです。仮に三十坪、百坪借りておってごらんなさい、大変な金額でしょう。決してそんな安いものじゃない。今地代家賃統制令の建設省の告示で計算してみるとこういうのが出てくるのです。とすると、この地代家賃統制令は一つの標準、基準として、今日かなり大きなウエートを持って生きておる、また生かすべきなんだ、今廃止することはないんだ、私はこういうことを痛切に感じておるわけです。これは最高額を決めておるのです。それ以下は構わぬのです。ところが、実際問題としてはそんなものは最高額に来てしまうのです。それ以上安くやろうと思ったって力関係で不可能なんです。こういうよう意味から見て、法を守らなくてもいいのかどうか。それとも、おたくらの考え方で、廃止するまでは一年間は絶対守らせるという姿勢なのか。そして、今申し上げたようにこれが高いのか安いのか。そして、もしそれを廃止したらどういう措置を講じて地代家賃を決めさせるのか。野放しで、力関係で好きなように決めなさい、こういうふうにやるのか。タクシー料金だって何だってみんな認可料金でやっておりながら、生活の拠点であるところの地代家賃を、言うならば商品原理的に決めさせるというようなことはこれは私は大変な誤った考え方だ、こう思うのです。  ちょっと多く申し上げましたけれども一つ一つ答弁いただきたいと思います。
  116. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 法律を守らなければならないことは当然でございます。ただ、やはり実態的な問題というのも考えていく必要があるだろう、そういうことも含めて、今回まさに統制令を撤廃するということになったのではないかというふうに思います。  それから、恐縮でございますけれども、あるいは飛ぶかもしれませんが、対策でございますけれども、まずその前提条件といたしまして、統制令の対象の住宅であって実際に払われている家賃、それと統制令による額、この実態を見てみますと、五割ぐらいということに統制額の方が安くなっておるわけでございます。そういう実態があるわけでございますけれども、非常に数が少ないということ、あるいはこれは先ほどからも申し上げておりますが、老朽度が高いということ、あるいは非常にそこに長く住んでおられるというようなことから、基本的な考え方といたしまして、これは直ちに相当の影響があるというふうには考えておりません。しかしながら、先ほど大臣が申し上げましたように、やはり万全を期すという意味もございまして、いろいろな対策を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。  その第一は、何といいましても、統制令について正確な情報を提供するということでございまして、国、地方公共団体いろいろ協力しまして、広報等によりこれを提供いたしたいというふうに考えております。  それから便乗値上げ、これはあってはならないことでありますけれども、やはりそういうものがあると困るということで、その防止をするために、国あるいは公共団体によりまして借家の経営者団体、借地も同様でございますけれども、あるいは仲介業者団体等に対しまして、そういった趣旨の指導を行いたいというふうに考えております。  それから現実問題として、個々の住民の方々が、やはり法律問題でありますとか生活問題でありますとかいろいろな相談が必要になるということが考えられますので、地方公共団体の住宅相談体制といったものの充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  そういたしましても、なおこの統制令の撤廃に関連いたしまして他への転居を希望される方、そしてそれがやむを得ない場合もあると思いますが、かつ、公営住宅への入居資格というものに該当する場合には、公営住宅の制度の中に特定目的公営住宅制度というのがございますが、その制度を活用いたしまして優先入居を図るよう措置したいというふうに考えております。  それから、必要によりましてはその募集枠の拡大、あるいはこれはちょっと時間がかかりますけれども、そういった種類の公営住宅の建設の促進を図るように公共団体を指導してまいりたい。  それから、公営住宅には入れない、つまり収入超過という場合もあると思います。そういう場合には、公団や公社の優先入居制度というのがございます。こういったものを活用いたしまして、優先的に入居させるようにいたしたいと思っております。  それからさらに、不良住宅ということになりまして対象住宅が撤去されるという場合もあるかと思います、これはもちろん両者の話し合いの結果でございますけれども。そういう場合には、公営住宅の特定入居制度というものを活用するように指導いたしたい。  さらに、廃止に伴い賃料が例えば多少上がる、それでも支払いが非常に困難だというような世帯がある、かつ、動けないというような場合があると思います。こういったものにつきましては、生活保護担当部局との連携を強化することによって、的確な住宅扶助措置がとられるように配慮してまいりたいというふうに考えております。
  117. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 貴重な時間がどんどん減っていくのでやきもきしておるわけですが、今おたくのおっしゃることは、もう地代家賃統制令は安いのだ。私は何回も言っておるように安くない。あなたは五〇%で安いのだと言うが、具体的な事例を出してくださいよ。今はもう時間がないからそんなことをやっておれませんけれども、私が計算しておる各地方都市、そしてこれの適用は、西高東低で西の方が多いのですが、東京から北、東の方は非常に少ないんですよ。そういう地域アンバランスもありまするけれども、私がずっと当たっておる限りにおいては決して安くない。まして五〇%、二分の一なんということは断じてない。そういう誤った計算の上に立って上で行政をやられるから、空回りの行政ができて現場は混乱するんですよ。泣きを見るんですよ。借地借家人は泣くんですよ。  そこへ今度出てきたのが借地・借家法の改正でしょう。この借地・借家法の改正は、いわゆる有効利用ということを正当事由として立ち退きが容易にできるんですよ。そうすると、おたくが今おっしゃった公団公社で引き受けましょうというのは、冗談じゃないですよ、立ち退くことを前提に公社公団住宅をつくって引き受けようというよう行政で、これは断じてやってもらってはいけない。これは当たり前のことなんですね。だから、私は今聞いておりまして、本当はがっかりして答弁を聞いた。そうでなしに、この際、建設大臣からも、地代家賃統制令をもう一遍よく正確に調査をして、その上で廃止するかどうかを決めるべきであるということが一つ。  それから、これは今回出ましたこの行革の一環として、六十年九月二十四日に閣議決定されたこの中に、第五項の第二の中に一項目入ってきたのです。これはその個別の指摘の中の一つにすぎないのです。ところが、先ほどから申し上げるように、ちょっとした規制緩和するという問題じゃないのです。借地・借家法を改正する、地代家賃統制令を廃止する、こういうようなことはもう法律そのものの抜本的な改正になるのです。これはこの中に入れてやることではない。これはあくまで抜き出して、そして討議し、国会の審議によって決めるべきだ、こういうふうに考えまするが、この点については大臣。  それから総務庁長官には、こういう中で、私は今申し上げたように、地代家賃統制令を廃止したり、借地・借家法の改正をこうやって六十年にやりますよと書いて出すべきものではない。あくまで明らかに分離すべきである。こういうふうに一括して出すやり方でなくてやるべきだと強く求めるのですが、この点についての御答弁をいただきたい。
  118. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私の基本的な考え方については先ほど申し上げたとおりでございまして、借りる方と貸す方の立場というものはなかなか一致しがたい、率直に言って、感情というものがこれはまあ何の立場にあってもあると思うのです。  しかし、考えてみますと、先ほど局長からも答弁しましたように、かなり老朽化している点もあるでしょうし、私どもは、良好な住宅環境というようなもの、また潤いのある住居環境というようなものをいかにして築き上げていくか、それにはやはりそれ相応の、お互いがそれを築くために多少の御理解をいただきながらだんだんに築き上げていくものである、そういうふうに私は思うのです。  先ほど私が申し上げましたように、そうした庶民の非常に大事な住まい、そういうふうな問題について把握してなかった点、つかみ切れない点というようなことは、率直に言っておわびしなければいけないと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、もし御理解いただければ、我々といたしましても、残された一年の間に、過去のいろいろな足らない点をまた十分研究し、またあすへ向かって全力を挙げて努力させていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  119. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 地代家賃、それから借地・借家法の場合、これは行革審答申の中に出てきておりますね。その答申を受けて、政府としては最大限尊重する、こういう閣議決定をして、それに沿って措置をしているわけでございますが、地代家賃の方は御承知のとおりに廃止をすべきである、こういうことになっておりますし、借地・借家法の方は検討に着手すべきである、こういうことでそこの区分けがはっきりしてございます。したがって、私どもとしては、当面措置すべき事項として地代家賃について廃止をするという法律案の御審議を願う、こういうことになったわけでございます。  それはなぜなったかということは、建設省当局からるる御答弁しておりますように、ポツダム政令を制定した当時、しかも適用の対象は昭和二十五年以前のものである。その当時は御案内のとおり非常な住宅不足、したがって何といっても地代家賃をきちんと抑えなければどうにもならぬではないかということであれはやったわけでございますが、今日、御意見は本当によくわかりますけれども客観情勢は相当に変わっておるのではないか。そうしますと、余りに変わってしまって、社会の実態、そして国民の社会通念、こういうものと法律の内容がかけ違ったときには、もちろんその法律が生きている間は御意見のよう法律をきちんとしなければなりませんけれども、そこまでかけ離れたときには、国会の御審議を仰いで改廃すべきものは改廃するというのがとるべき政府立場ではなかろうか、かように考えているわけでございますので、そこはひとつぜひ御理解を賜りたい、かように思います。
  120. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 もう時間がありませんので、一言だけ申し上げておきます。  先ほどからお話がありましたように老朽化しておる。老朽化には修繕改築の道が借地・借家法には残されておりますから、これは永続できるということですね。  と同時に、今の時代が変わったという長官のお話もわかるのですが、むしろ逆に、この十年来は借地借家がふえる方向にまた変わってきておることも事実なんです。だから信託制度なんていうのが出てきたんですから、そういう変わった流れがまたこの十年来出ておるということも十分踏んまえていただいて、私の質問の意のあるところをお酌みいただきたい。  最後になって、林野庁長官を呼んでおいて何もせぬと申しわけないので、まことに申しわけないのですが一分です。  かねてから私は申し上げておりますが、さっきのアクションプログラムに基づいて関税その他が撤廃されて、木材産業は合板その他が大変なことになります。これについてはこの際、官房長官も農林水産大臣もおっしゃったように、各業界並びに労働団体その他、働く者も含めた調査会をつくって対応を考えたらどうか。こういうことには前向きな御答弁を前にはいただいたわけなんですが、労働者諸団体を含めてそういう調査会をつくられるかどうかについてだけ御答弁をいただきまして、質問を終わります。
  121. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 お答えいたします。  このような重要な問題につきましては、林野行政の重要事項につきまして林政審議会の場を通じまして広く意見を徴しているところであります。この林政審議会には労働界の代表も入っているわけでございます。さらに、今回の国内対策及び関税問題などについてもこれまでも労働団体とも折衝を続け、あるいは話し合いも行ってきたところでございます。  今後ともいろいろな機会に労働団体の意見も聞くことといたしておりますし、当面は調査会等の特別の機関を設けることは考えてはおりません。
  122. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 林政審議会は川上を主体といたしております。私が申し上げるのは川下、平野のことでございますので、その点はお間違いになって林政審議会で結構だというよう考え方では隔靴掻痒になりますので、一言付言をいたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
  123. 中島源太郎

    中島委員長 鈴切康雄諮。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今問題になっております衆議院の定数是正に関連いたしまして、総務庁の所管である国勢調査についてお伺いを申し上げます。  国勢調査は、総務庁の統計局で企画から調査結果の公表まで一連の指導監督に当たっておられます。ことしは五年ごとの国勢調査の年で、関係者もいろいろ御苦労されていると思います。速報値は統計局が各都道府県から要計表を受理した後、内容審査、市区町村要計表の合算、結果審査、分析、公表資料作成の手順を経て公表されることになっておりますけれども、要計表による人口の速報値が公表されるのはいつの予定でございましょうか。
  125. 北山直樹

    ○北山政府委員 お答えいたします。  昭和六十年の国勢調査の速報値の公表は、本年の十二月の下旬を予定しております。
  126. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 新聞報道によりますと、閣議に報告するという手順も必要であるというので十二月二十四日と言われておりますけれども、こういうのは統計局長よりもむしろ総務庁長官の方がいいですから、総務庁長官、その点はどうですか。
  127. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御案内のように、これはやはり重要な事項でございますから、要計表も閣議に報告することにいたしております。閣議報告の日取りは、新聞等で二十四日ということが出ておりますけれども、まだそこまで決めたことはございません。いずれにいたしましても、十二月の下旬には閣議に報告をして決めたい、かように考えております。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、これは統計局長なんですけれども、統計局は各都道府県から要計表を受理した後、公表資料作成に向けて作業に入られると思いますが、ではいつまでをめどとして作業計画を練っておられるのでしょうか。
  129. 北山直樹

    ○北山政府委員 作業計画のめどでございますが、これは都道府県からいつ最終的な調査書類が出るかということに依存いたしますけれども、最終的な調査書類が出ましてから一、二週間のうちに出すというふうなことで、作業計画を練っております。
  130. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、都道府県から提出される要計表の締め切りは今回はいつになっていましょうか。
  131. 北山直樹

    ○北山政府委員 これはことしの四月に各都道府県に対しまして示達をいたしまして、十二月の十日というのを要計表の締め切りというふうにしております。
  132. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の要計表の提出の締め切りは今言われたように十二月十日というふうになっておりますけれども、過去五回、昭和三十五年から五年ごとにずっと来ておりますけれども、過去五回の締め切り日はそれぞれいつになっていましょうか。
  133. 北山直樹

    ○北山政府委員 調べましたところ、昭和三十五年につきましては同年の十一月の十九日になっております。それから四十年は同じく同年の十一月の三十日になっております。それから四十五年は同じく同年の十一月の三十日、それから五十年は同年の十二月五日、それから前回の五十五年は同年の十二月五日、こういうことになっております。
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今三十五年から五十五年の五年ごとの要計表の締め切り日、これは今局長の方から御報告があったとおりだと私ども調査をしております。つい最近の五十年、五十五年は十二月五日というふうになっているのに、どうして今回はいつもよりも五日も遅い十二月十日というふうにお決めになったのでしょうか。
  135. 北山直樹

    ○北山政府委員 これは二つの原因がありまして、要計表の提出等につきまして日をおくらせたわけでございます。  一つは、調査員が調査票を集めます期間でございますが、これは従来は十月の一日から五日までの五日間でございました。今回はそれを十月の一日から七日までと二日間延ばしたわけでございます。なぜ延ばしたかと申しますと、現在共働きの世帯が非常に多うございますので、日曜日を入れませんと調査票の回収が非常に難しいということで、二日延ばしたわけでございます。  そのほか、今回は御承知のとおり調査票を一緒に配られました書類に密封をして出してもいい、こういうような指示をいたしましたので、したがいまして、それに伴いまして市町村等の事務がふくそういたしますので、さらに三日延ばしまして、そうしまして計五日最終的な要計表の提出期日を延ばしたわけでございます。
  136. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今、あなたは、二つの問題で言うならば五日間延ばしたというふうに言っております。一つはいわゆる作業量の増加ということが延ばした原因だというふうにおっしゃっておりますけれども、確かに封筒に入れた調査票を開封するということについて作業がふえたということについては、私は決して認めるにやぶさかではございません。しかし、調査項目の数による調査書類の検査が一番問題なのです。これが非常に時間がかかる問題なのです。  それでは、過去五回の国勢調査の項目はどれくらいふえているのでしょうか。
  137. 北山直樹

    ○北山政府委員 調査項目の数え方というのは毎回同じではありませんので、最終的な、つまり今回の調査事項の数え方に従いまして各回の調査項目の数を申し上げますと、過去五回でございますが、昭和三十五年が二十三項目、それから四十年が十六項目、四十五年が二十三項目、それから五十年が十六項目、それから五十五年が二十二項目でございます。ちなみに今回は十七項目、こういうことになっております。
  138. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 項目としてはふえていないじゃないですか。昭和三十五年、それから昭和四十五年、昭和五十五年は言うならば本調査といいますか、そういうことから言いますと、昭和三十五年が二十三項目、四十五年が二十三項目、そして五十五年が二十二項目ですね。ところが今回は、いわゆる本調査でないわけでございますから、そういうことになりまして十七項目、いわゆる本調査の間にある調査になっているわけですね。となると、決して項目がふえてはいないわけです。前回よりも減っておりますね。だから、こういう大事な作業量は減っているんじゃないですか。
  139. 北山直樹

    ○北山政府委員 国勢調査全体の集計は統計センターでやりますので、そういうようなことにつきましては作業量がある程度ふえると思います。今回は減りますが、前回から比べればそういう意味では若干減るという面もあろうかとは思います。  ただ、要計表につきましては、これは調査項目のうちに「世帯人員」というのがございますが、この一項目のみを取り出して、そしてそれを先に数える、こういうようなものでございますので、全体の調査項目が多いとか少ないとか、こういうことには直接今の要計表に関連することにつきましては関係ない、こういうことになるわけでございます。  ちなみに、調査書類につきましてはこれは十二月の十七日に提出する、こういうことになっておりますので、そういうふうな意味で、これは調査票の調査項目全体を審査するというふうな作業と必ずしも並行しないで要計表につきましては先に出させている、こういうようなことになっております。したがいまして、今おっしゃったよう調査事項とそれから今回の人口速報値、こういうようなものとの関連は直接にはない、こういうふうにお考えいただいて結構だと思います。
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 開封による事務の作業量が幾らふえたからといっても、調査項目は前回よりも少なくなっているわけですね。だから、前回どおり要計表の提出締め切りを十二月五日と決めれば、各都道府県はその日に間に合わすべく努力して提出をしてくるわけですよ。これは私も各そういうところに電話をして、幾つかの自治体に問い合わせをしてみましたら、締め切りというものが決まれば逆算して作業に入るから、十二月五日ということであれば十分に間に合うのです、こう言っているんですよ。こうはっきり言っているんです。だから、作業量の増加ということで、あなたが先ほど言ったように、密封の問題あるいはまた日曜日を二回入れなくちゃならないというようなことによって五日間延ばすなんということは考えられない。言うならば、統計技術とか統計業務が実際には今はもう物すごく進んでいるんですよ。格段に進んでいる。やる気であれば、あなたが言うような形で時間を設定しなくても十分にできる。だから、十二月十日に要計表を延ばしたということは常識では考えられない。何か意図的なものがあったんじゃないですか。  そして、調査票回収から都道府県が統計局へ要計表の提出をするまでの期間は約二カ月ですよね。過去五回とも二カ月以内の締め切りに全部間に合っているんですよ。だから、今回、言うならば要計表の締め切りを十二月十日にしたなんということは、ちょっと常識では考えられない。何かあったのではないか。おかしいじゃないかということなんですよ。
  141. 北山直樹

    ○北山政府委員 御説明するために要計表の仕組みを若干申し上げますと、要計表というのは、調査員が要するに調査区内の世帯員数の合計を取りまとめまして、これを各調査区ごとに市町村に報告をしたものを市町村で取りまとめたものが要計表でございます。したがいまして、その調査員が受け持ちの世帯の世帯員の合計がわかりませんと要計表が埋められない、こういうことになるわけでございますが、今回、プライバシー保護に関連いたしまして調査票を密封してもいいというふうな措置をとりましたので、密封された調査票は調査員の段階では世帯員の数を知ることができません。したがいまして、そういうものにつきましては調査員の段階ではわからないもので、指導員もしくは市町村の段階でこれをさらに補正いたしましてそして出す、こういうようなことをやっておるわけでございます。したがいまして、従来と違いまして今申し上げましたような作業が新たに加わる、こういうようなことがありますので、物理的に申しましても従来より早くやることは非常に難しい。特にそういうふうな作業は非常に大きな都道府県でそういうふうなことが行われるものですから、特に大都道府県につきましては今のように三日間を見まして、そして先ほど申し上げましたように都道府県から統計局に提出される要計表の期限を五日延ばした、こういうような次第でございまして、私どもは全く作業上のことと考えております。  ちなみに、先ほど申しましたように、今のような期限につきましては、本年四月の全国都道府県統計主管部課長会議というところで指示をしたものでございます。したがいまして、現在その指示に基づいて各都道府県からその調査書類ないし要計表が出てくる、こういうふうなことを期待しておる、こういうふうに考えております。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに要計表をつくるために調査票を集めるわけですけれども調査票を集めるときに密封をするということで二日間延ばした。二日間延ばしたことによって、言うならば内容的においてもかなり確率が高くなってくるわけですね。確率が高くなってくるということになれば、調査票自体が集まってくれば作業はしやすいわけです。ですから、そういうことから考えますと、別段そういうこと自体がさらに締め切りを大きく延ばすなんという理由には実際にはならぬわけです。  過去五回の要計表提出の締め切りは、昭和三十五年からいつになっているのですか。
  143. 北山直樹

    ○北山政府委員 要計表提出の締め切りは、先ほどちょっとお答えをしたとおりであります。ですから、今回は十二月十日というふうにお答えいたしました。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それじゃ、それに基づいて速報値が発表されたのはそれぞれ何日でしょうか。また、その要計表受理から速報値発表まで何日かかっているのでしょうか。
  145. 北山直樹

    ○北山政府委員 要計表を受理しまして速報値を発表いたしましたのは、昭和三十五年が同年の十二月五日でございます。その提出が十一月十九日でございます。それから四十年につきましては、その公表期日が十二月一日でございまして、提出が十一月三十日、これは非常に短かったわけでございます。それから四十五年につきましても、公表期日が十二月二日、提出が十一月三十日、こういうことでございまして、五十年は公表が十二月十日、その提出が十二月五日、五十五年になりまして公表が十二月十九日、提出が十二月五日、こういうことになっております。したがいまして二週間、こういうことになっております。  以上でございます。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の国勢調査の公表時期の設定はおかしい。十二月十日を締め切りにしたこと自体が本当におかしい。新聞にも書いてあるし、実際には意図的じゃないだろうかということまで言われている。だから、過去の速報値が発表された記録から見ても、新聞や巷間に伝えられているように今回の十二月二十四日ということになると、これは本当に何か意図的なものがあるんじゃないか。  要計表の締め切りは、五十五年は十二月五日だったわけですね。今回は調査票の回収を二日間おくらせたので、要計表の締め切りを二日間おくらせたというならば話がわからないわけでもないけれども、それを十二月十日にしたということになると、どうしても理解できない。しかも調査項目は五十五年に比べると少なくなっているのですよ。  だから、考えてみると、やはり臨時国会の定数審議中に速報値を発表するのは審議に影響を与えるから、あえて意図的に締め切りをおくらせ、発表をおくらすようにしたといっても弁解の余地はないと思うのです。そうでないというならば、統計局の作業をもっと早めて速報値を早く公表すべきじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  147. 北山直樹

    ○北山政府委員 要計表を受け取りましてから速報値を公表するまでに、私どもいろいろな形でチェックをいたします。御承知のように日本の人口は非常に多うございます。また調査区の数も、現在八十万というふうに非常にふえております。そういうものにつきまして厳格にその審査をして、その結果私どもが自信を持って公表する、こういうことができるためには、やはり要計表を受け取ってから二週間の期間が必要となります。  ちなみに、先ほど申し上げませんでしたけれども、三十五年、四十年、昔は要計表を受け取ってから公表するまでの時間が非常に早かった。これはなぜかと申しますと、昔のいわゆる概数人口でございますね、要計表に基づく人口というのは官報公示を行っておらなかったわけでございます。要計表に基づく人口について官報公示を行いましたのは昭和五十五年からでございます。昭和五十年につきましては、名簿に基づく人口というのを公示をしておりまして、これを今の要計表に基づく人口よりもう少し正確なものとして使っていたわけでございます。したがいまして、要計表に基づく人口を官報公示をいたしましたのは昭和五十五年からでございます。そういうことがありますので、私どもといたしましては、できるだけ厳密を期して審査を尽くして公表する、こういうことになっておるわけでございます。  したがいまして、前回は要計表が統計局に来ましたのが十二月五日でございました。それから公表までに十四日かかっております。今回は十二月十日に来ましてから少なくとも十四日はかかるのではないかというので、その中でもできるだけ作業的に早くするよう努力はいたしますが、今申しましたよう調査自体がなかなか難しくなっておりますし、市町村等の事務もふくそうしておりますので、それより早くなるかどうか、これは非常に疑問でございます。そういうことで先ほどから十二月下旬というふうに申し上げているわけでございます。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、昭和四十年、四十五年、五十年、いずれにしても要計表受理から速報値発表までは一日、二日、五日、こういうことで発表されていますね。この内容というのはそれじゃでたらめだったのでしょうか。そうじゃないでしょう。だから、要するに発表するということについて努力をすればもっと早く発表できるのじゃないかと私は言うのですよ。
  149. 北山直樹

    ○北山政府委員 これは前と作業のやり方が違っておるわけでございまして、昭和三十五年、四十年、四十五年のころの都道府県から受け取ったものにつきまして、多少のチェックはいたしましたが、それをそのまま国の結果として公表していた、こういう次第でございます。ただ、その後利用の形態等が変わりましたので、昭和五十年、五十五年、次第に審査等を厳しくいたしました。そして、端的に申しますと、現在総務庁の統計センターでそういうふうなことについて集計をやっておるわけでございますが、統計センターでは、都道府県から提出されました、市町村要計表、都道府県要計表と実は要計表は二種類ございますが、そういうものにつきまして全部初めからチェックし直して出す、こういうことにしております。これはちなみに、前回もそういうようなことをやっておるわけでございまして、そのために日数がかかるというので、私どもといたしましては、そういうふうな統計を発表いたします以上、しかも非常に各方面で広く使われている統計を発表いたします以上、できる限り厳格に審査をして発表する、こういうような態勢でおりますので、今先生が御指摘ように若干作業的日数がかかり過ぎるのじゃないか、こういうようなこともあるかもしれませんが、私ども姿勢といたしましては、そういうふうな形でやっておるわけでございます。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それじゃお聞きしますけれども、要計表受理から速報値については、私が今申し上げましたように、昭和四十年、四十五年、五十年、これは早く出ているわけですね。ですから、そのときに出された速報値というものが、確定人口あるいはまた純誤差、総誤差、それぞれ幾つになっているのですか。
  151. 北山直樹

    ○北山政府委員 昭和五十年につきましては、純誤差が五千八百二十五人、それから総誤差、これは市町村別の誤差をプラス・マイナス関係なく合計した、こういうふうな意味でございますが、これが一万百十人、そういう数値になっております。五十五年につきましては、純誤差が二千九百十一人、それから総誤差が八千九百四十五人、こういうことになっております。  以上でございます。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 統計局に各都道府県から要計表が出されれば、各都道府県は、この要計表に基づく人口の調査結果を自分のところで発表日を決めて使用することができるということになっているのですね。その結果、国に先駆けて明らかになるということについては総務庁としては何らの規制を加えるものではない、そのように判断していいですか。
  153. 北山直樹

    ○北山政府委員 各都道府県で出しております結果といいますのは、統計法第十五条二項に基づきまして、いわば統計目的外、統計目的外といいますと語弊がありますが、当該統計調査、つまりこの場合は国勢調査の目的以外のことに調査票を使うということにつきまして総務庁長官あてに申請が出ておりまして、本年五月にこれを許可しております。したがいまして、それに基づきまして各都道府県が結果を出しておるわけでございまして、そういうようなことから見ますと、各都道府県で出しております結果は、いわゆる統計法に基づきます指定統計第一号である国勢調査の結果、こういうことには法的にはならないわけでございます。  そういうふうな形で、これは従来からも、昭和二十二年から各都道府県等でその結果をそういうふうな地方集計という形でまとめるということを許しておりまして、今回も従来と同様そういうようなことをやることを許している、こういう次第でございます。
  154. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 自治省来ておられると思うのですけれども、自治省は、十一月十七日にことしの九月二日現在の全国選挙人名簿登録者数を発表されました。それによりますと、昨年よりもさらに一票の格差が拡大し四・六四倍になって、三倍以上の選挙区は十九選挙区になっているということが判明した。国勢調査の速報値を見るまでもなく、六・六案では是正しても三倍以上の選挙区が依然残るようになります。そうなってきますと、小手先だけの是正案というよりも、国勢調査の速報値による合憲是正が行われなければならないと私どもは思っております。その意味からいっても国勢調査の速報値を一日も早く公表すべきではないかと私は思うのですが、総務庁長官、その点についてどうお考えでしょう。
  155. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 速報値の公表をめぐっていろいろ御質疑がございますけれども、これは間違えないように理解しておいていただきたいのは、この日程はことしの四月に事務的に都道府県の当局と協議の結果指示をしている問題です。今に始まった問題、最近の問題じゃございませんから、この点はひとつはっきりと御理解をしておいていただきたい。  それともう一つは、期日が前回より五日間ぐらいおくれたのは理由は何だ、理由はないじゃないか、こうおっしゃるのだけれども、これは鈴切さん、最近の国勢調査というのはだんだん難しくなってきている、御案内のとおりだと思います。調査員は非常な御苦労を重ねております。それと、これは国民がプライバシーというものに余りさわられたくない、こういう空気が強くなってきているということが大きな原因だろうと思います。  そこでもう一点は、先ほどお答えあったんですが、共稼ぎが多くなりまして、調査員が行っても留守なんですよ。そうすると、どうしても日曜日を入れないとぐあいが悪いということで、調査の期限をたしか二日くらい延ばしたと思います。  それからもう一つは、プライバシーがやかましいものだから、調査員には見せたくないという人は御案内のように封をしますね。そうすると調査員は中がわからないわけです。これがふえてきているのです。そうすると市町村の段階でこれを調べなければならない。こういったような作業に日数がかかるであろう、これを三日くらい余裕を持って五日間延ばした。これは全く最近の国勢調査をめぐる諸般の情勢を考慮しての統計収集の技術上の観点から扱ったものである、これをひとつ率直に理解をしておいていただきたい、こう思います。  それから速報値の利用をどうするか、こういうことでございますが、速報値と確定値がどれくらい違うかといえば、調査区の誤差というのは五十五年で私の承知している範囲では約二万です、それから総誤差が約九千、それから純誤差が約三千、こういうことの精密度に限界がある。したがって、この統計を何に使うかというのは使う人の立場でございます。  そこで、例えば交付税交付金をはじくときに、確定値はこれは来年の暮れになりますから、そうするとことしのやつでやるということ、これは考えられますね。しかし、それは仕事の中身から見て大した問題じゃなかろう。ところが、今問題になっている選挙の定員ということになりますと、これは調査区の誤差というのは余り問題にならない。それから純誤差というのはプラス・マイナス差し引きしますから、AとBを比較するときにはそれはだめだ。Aがプラス百の誤差がある、Bがマイナス百の誤差がある、差し引きして純誤差にしたらゼロになりますね、それで差し支えないということになるが、それはだめなんだ。そのときはやはり総誤差、つまりプラスの誤差が百あってマイナスの誤差が百あるということになれば、それは誤差は二百として計算しなければならない、こういう厄介な問題があるのです。したがって、物によって非常にデリケートな、争いを残す余地のあるようなものについてはやはり確定値でないと途中でいろいろ問題が起きますよということを申し上げている。しかし、それでも構わぬとおっしゃればそれは構わない。なぜかならば、五十五年からですか、官報告示ということをやり出した。これは従来と変わったわけです。官報告示ということをやりますと、官報に政府が載せるわけですから、ただ新聞に発表するのとは違う。やはりそれはそれだけの権威があるわけですから、したがっていろいろな使い方の中で万やむを得ないというようなときにはそれを使って、違法か適法かということになるとそれは適法であると言わざるを得ません。しかしながら、争いの余地のあるものについては人口統計の要計表、中間速報値の使い方というものについては、いろいろな観点から、問題があるものについては確定値でないと争いの余地を残すおそれがある。だから、どれが適当か、どれが基本であるかということになれば、私はやはりそういう場合には確定値でやるのが基本であろう、かように考えるわけでございます。違法、適法の問題は、これは私はどちらを使っても差し支えない、かように考えております。
  156. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今総務庁長官が、統計局の事務は四月以前から入ったということですけれども、衆議院にしても参議院にしても、定数是正、一票の格差の拡大については国民的な大変な関心になっておりますね。しかも、例えば広島高裁あるいは東京高裁等においても既に違憲のおそれありと出された、そういう経過もあります。ですから、今回の最高裁の問題についても、この夏には恐らく違憲というのが出るだろうということは、政治家であるならばもうかなり前からある程度推測できる問題なんです。ですから、四月に作業に入ったからといっても、恐らくこの定数の問題は臨時国会等においてもかなり問題になってくるだろうということになって、結局は今言ったような形で締め切りが五日間延びたというふうに疑われてもしようがない。公表を早くするというなら話はわかるのですけれども、今マイクロコンピューターもあるし、いろいろな統計技術が進んでいる中にあっておくれるということ自体、ちょっと問題だと私ども思うのです。  ですから総務庁長官、速報値をできるだけ早く出します、こうおっしゃれば何にも問題ないわけでしょう。全力を挙げて速報値を早く出します、こうおっしゃれば何にも問題ないわけであって、そういう点について一向に――大変に問題が難しくなってきたし、統計の事務も複雑になってきましたと言うが、それじゃ実際に調査の項目といえば、本調査と違って今回は調査の項目も大分減っているじゃないですか。そういうことを考えれば、速報値については極力早く出しますというのが少なくとも政府姿勢ではないかと私は思うのですが、その点いかがですか。
  157. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 お話を承っておりますと、電子計算機とかそういうものも発達して早くなっているはずだとおっしゃるのだけれども、それは入ってからの話でして、入れるものの事前の調査は同じなんですよ。そこはひとつ御認識を深めていただきたい、こう思います。  それから、先ほど言ったように、四月の段階で決めているのですね。私もそこまでは気が回りません。第一臨時国会がいつから始まっていつ終わるのか、それに六・六案をいつどういうように扱うのか、鈴切さん、四月の段階でわかろうはずはないじゃないですか。少しあなたも気が回り過ぎている。私はそれほど賢くない。だから、そこらはひとつすらっとお考えを願いたいと思う。  この統計の話は全く事実上の話なんですよ。それをどう使うかというのは、これは使う方の立場なんです。先ほどから言うように、選挙ということになるとやかましい問題だから、基本は確定値でなければいろいろ問題が残りますよ。しかし、それをしも構わぬとおっしゃるなら、それは違法の問題はありません、こういうことを申し上げておるのであって、それだけに統計の事務だけは正確でなければなりません。これだけは政策的にいじってはいけません。したがって、私は、幾らどなたがおっしゃっても、統計の純粋の技術上の作業日数に要する日取りを繰り上げろとか繰り下げろなんというようなことを言うだけの勇気はございません。これはやはり専門家に任すべき筋合いのものであろう、かように思います。
  158. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私もそれなりに反論はあるのですけれども、とにかく十二月十日に延ばした。十二月五日で今までずっときた、あるいはその前にきたのを十二月十日に延ばしたという、その作業自体問題があるだろう。今純然たる統計の作業をやっておられるというわけですけれども、私はそういうところに何かすっきりしない点がある。総務庁長官、だから、少なくともこの速報値についてはできるだけ早く、作業にのっとって督励をするということぐらいはあなた言えないの。
  159. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は、統計の作業そのものに政策的配慮を入れる考え方はございません。
  160. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公選法別表第一の末尾で、定数是正は国勢調査に基づいて行われることになっているけれども、九月二日に発表された全国選挙人名簿登録者数と国勢調査関係については、昭和五十五年のときにおいては一票の格差が、選挙人名簿から言うと四・〇一対一、国勢調査から言うと四・五四対一という結果になっております。  そこで、今回発表された選挙人名簿は、一票の格差が四・六四対一となっていることから、六十年の国勢調査の一票の格差も五十五年のときよりもさらに開く傾向になると推測いたしておりますけれども、自治省は過去の実績を踏まえるとどういうふうに判断をしておりますか。
  161. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 お答えを申し上げます。     〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕  選挙区別の議員一人当たり人口及び有権者数の格差を、最大の選挙区であります千葉四区と最小の選挙区でございます兵庫五区について比較をいたしますならば、ただいまお挙げになりましたような数字になっておるわけでございますが、六十年の国勢調査の人口が果たしてどうなるかということについては、私どもの方からはちょっとお答えしかねるので、御勘弁をいただきたいと思います。
  162. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 厳密なことは確かに国勢調査の速報値が公表されなければわからないとしても、選挙人名簿も国勢調査も、いずれも人の数を調査しているものでありますから、概して今回の国勢調査も選挙人名簿の数に比例する傾向にあることは間違いないんではないかと思うのです。  そういうことから考えて、私は、先ほど申し上げた六十年の国勢調査の一票の格差も、五十五年のときよりもさらに開く傾向になると推測するかどうか。過去の実績を踏まえてどう判断をしているかというふうに申し上げたわけですけれども、その点について。
  163. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  概して人口と有権者数が比例をしておるかどうかということでございますけれども、極めてマクロ的に言いましたらそういう見方もあるいはして差し支えないと思われるわけでございます。ただ、国勢調査人口と有権者数では、その調査対象や調査の時点が異なりますし、また地域の産業構造とか年齢構成というものが違いますので、選挙区別に見た場合には人口に対する有権者の比率にはかなり大きな差があるのも事実でございます。  ちなみに申し上げますと、全国平均で人口に対する有権者の比率は六九・六%ということになっております。これは五十五年国勢調査と五十五年における有権者の割合でございます。それに対して、最低は沖縄県でございまして、六三・二%ということになっております。また、最高は東京第八区の七六・五%というふうになっておるわけでございまして、かなりの差があるわけでございます。  今お尋ねの点は、衆議院議員の選挙区の定数配分に関することでございますので、一般的な比例をしておるというような観念で先のことを予測するのはいかがかということでございます。
  164. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 自治省の選挙部長さん、大変御苦労さまでした。お帰りになって結構です。  それでは法案の方に若干入らしていただき、ます。  中曽根総理は、就任以来三年間、行政改革を国政上の重要な課題一つとして位置づけてきたものの、ことし三月十六日の参議院予算委員会でこういうふうに言っておりますね。「現在の政治力をもっていたしましてはこの程度がいっぱいであると考えざるを得ない」という発言をされておりまして、行革に対する姿勢が実は弱くなってきた感じがいたしております。  今、政府の推し進めている行財政改革は、ごらんのとおり国鉄改革を初め六十五年度の赤字国債脱却等、いわば中曽根行革の胸突き八丁に来ておるわけでございますけれども政府の行財政改革に取り組む姿勢は従来どおり変わらないものであるかどうか、それについて総務庁長官に確認しておきます。
  165. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 鈴切さんがおっしゃったよう答弁をたしか参議院で総理がなさったことは私も承知をしております。これはやはり行政改革というものが大変難しい課題であるということをお述べになったのであって、政府がそれで後退するというような印象を与えたとすれば、これはまことに申しわけない次第ですが、私は、そうじゃない、厳しい課題であるけれども、国政の最重要課題として政府としてはこれから全力を挙げて取り組んでいって国民の期待に沿いたい、こういう御趣旨でお述べになったもの、かように考えております。  私どももそういうつもりで、まだまだ行政改革というのは今鈴切さん御指摘ようにこれから多くの課題を抱えておりますし、第二臨調からせっかくああいう答申も出ておりますから、あの答申の実現に向けて政府としては最大限の取り組みをしていきたい、こういうことでございますので、行政改革に対する取り組みに政府がここで力を緩めるとかそういうことは全くございませんので、そこはぜひ御理解をしていただきたい、かように思います。
  166. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 後藤田長官は、中曽根総理をカバーされて、行政改革は難しいという認識を示したのだろうとおっしゃるわけですけれども行政改革の難しさは、歴代の内閣総理大臣がやろうと思ってもできない問題なわけであって、今さら中曽根総理がこういうふうなことをお話しになること自体において、ああ、もう行政改革はこれで大きく後退したなというふうにとられるのは当たり前の問題ですからね。行政改革に取り組む姿勢の中にあっては、こんな弱音を吐いてしまったら問題が残るということだけ私は申し上げておきたいと思います。  そこで、政府は、六十年七月二十二日に臨時行政改革推進審議会から「行政改革の推進方策に関する答申」を受け、公的規制緩和にかかわる指摘事項についての是正を図るために、今度の許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案を出してきたわけであります。そこで、政府規制緩和に対する考え方でありますが、日本が今日のように国際社会の仲間入りができたということ、また発展をしてきたということは、確かに保護とか育成という役割を果たした規制、統制による点は否定できない点もありますけれども、今度は逆に、その規制、統制が制約条件になって非効率性を生み出し、ひいては海外から批判を受けるようになってきたわけでございます。政府は、規制緩和に対する基本的な考え方というものについてはどうお考えでしょうか。
  167. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いわゆる各種規制というものについての鈴切さんの御意見は、まさにそのとおりであろうと私どもも考えております。  そこで、私どもとしては、やはり経済社会活性化を図るということ、そして同時に経済摩擦の克服ということは何としてでも政府としての政策の重要課題としてやらなければならない、こういう立場で、いわゆる公的規制緩和もその一環として取り組んでいるわけでございます。  そこで、考え方としましては、経済的な規制というものについては必要最小限のものにとどめる、社会的規制というものにつきましてはやはり公共性というものに配慮しながら不合理なものは是正をしていく、こういう基本的な観念で取り組んでいきたいと思います。  ただ、実際問題で、現在の規制の中身を見ますと、社会規制経済規制のグレーゾーンが大変多いわけですね。ここらの扱いをめぐってなかなか厄介な問題があるのですが、その際にも、いかにも日本は今御指摘の中にありましたように追いつけ追い越せという時代までの物の考え方が色濃く残っておりますから、やはりここまで来れば、そうではない、もう少し日本は各国に先駆けて思い切った規制緩和をやっていくという方向でグレーゾーンのものについても対処していくべきであろう、こういう取り組み方の基本の考え方でやらしていただきたい、私どもはかように考えております。
  168. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 民間活力を発揮させていくために今後もいろいろな規制緩和されてくると思われますけれども、今後の規制緩和の方向性としてはどのように考えておられるか。また、規制緩和に伴って既得権との間の争いが当然起こってくるわけでございますが、それに対してはどのように対処して調整を図っていかれるおつもりなんでしょうか。
  169. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御質問は、規制緩和に伴っていろいろな既得権とでもいいますか、それとの調整措置が要るのではないか、こういうような御質問かと思うのですけれども公的規制の中でも経済関係のものにつきましては、一つは、市場原理に任せておいたのでは供給量、価格の安定等が図られないというために、参入者の数、生産量等を制限するための規制一つございます。いま一つは、幼稚産業を保護するための規制がございます。これらについては、必要性が乏しくなっておるにもかかわらず存置されており、これが既得権化されておる、こういうものもあろうかと思います。  しかし、こういったものを存続することはやはり経済社会活性化を阻害をして、国全体としては結局はそれが不経済になる、あるいは非効率になるというものでございまするので、私はやはり思い切った是正をすべきであろう、かような基本的な考え方を持っております。  ただ、しかしその場合、現実には既得権を持つ方々に痛みを伴うものでありますから、それらについてはやはり関係者を初め国民の理解を求めなければならない。殊にそれが弱者であるといったときには、私はやはりそれなりの配慮というものを加えた上でやらないとこれは逆の意味での社会的混乱の種になる、こういうようなことも配慮して取り組んでいかなければならない、かように考えているわけでございます。それだけにやはりそういった弱者の立場、例えば中小企業の方であるとか、あるいは健康、安全その他の消費者の立場、あるいは場合によれば失業者の問題が出るおそれがある面もございますから、そういうような点については必要な限度においての対応策は政府としては当然講じていかなければならぬ、こういう考え方で取り組ませていただくつもりでございます。
  170. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは通産省でしょうか。消費生活用製品安全法は、一般消費者の生命または身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多い消費生活用製品についてはこれを特定製品とし、国が直接検定または登録、型式承認を行ってその安全性を担保していたところでございますけれども、今回、自己認証制を導入することにした契機についてお伺いしたいと思います。
  171. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生御指摘の消費生活用製品安全法は、昭和四十八年に制定されて以来もう十数年を経過しておりまして、この間、製造技術の進歩あるいは事業者の品質管理能力の向上どもございまして、特定製品の中には、政府が事前にチェックを行わなくとも、事業者の自己責任によりまして従来と同じレベルの安全性を確保し得る品目が出てきていると考えられるわけでございます。  一方、また本年七月三十日、政府・与党対外経済対策推進本部が決定いたしました「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの骨格」におきまして、この法律に基づく特定製品の規制につきましては、関係審議会に諮り、消費者等の意見を踏まえて、自己認証制の導入の可能性を検討するということとされたところでございす。このような状況を踏まえまして、私ども、この自己認証制の導入に関しまして産業構造審議会消費経済部会にお諮りいたしまして、その結果、十月十八日に、政府の関与を可能な限り減らすとの観点も含めながら、企業がみずからの責任において安全性を確保することは可能となってきている品目につきましては、自己認証制を導入する必要がある旨の答申がなされたわけでございます。この答申を受けて今般、自己認証制を導入するための法律改正案を一括法の中において御審議いただいている次第でございます。
  172. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この法案は、消費者保護を大きな目的としているものでありますから、その改正には当然に消費者の意見を十分に反映させなければならないというふうに考えているけれども、今回の改正に当たって消費者の意見は十分に聞いてありますか。
  173. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいまの点につきましては、先ほど申し上げましたように、アクションプログラムの中におきましても、関係審議会に諮り、消費者等の意見を踏まえて自己認証制の導入を検討を進めるということになっておったわけでございます。この趣旨を受けまして、私どもは、消費生活用製品の安全行政のあり方について検討するに当たりまして、産業構造審議会に諮り、消費者代表を含む学識経験者の意見を広く聞きまして、五回にわたる審議を経まして、先般の十月十八日に答申をお取りまとめいただいたわけでございます。今般の改正案はこの答申の提言に沿って作成されたものでございまして、当然のことながら消費者代表委員の意見も十分に踏まえた内容になっていると考えております。
  174. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 産業構造審議会にも諮ってやった、産業構造審議会には消費者の団体も含まれているんだというわけですけれども、消費者の団体からどんな意見が出たのですか。
  175. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 産構審の消費経済部会におきましては、仰せのとおり消費者代表の委員に加わっていただいて御審議願ったわけでございますけれども、消費者代表委員の御意見はいろいろございましたが、大きな項目だけ申し上げさしていただきますと、一つには、自己認証制を導入いたした後におきましても製品の安全性が確保されるよう万全を期さなければならないという基本的な問題が一つ。それから第二には、立入検査の充実、事故情報収集制度の機動的運用などを図るように心がけること。三番目には、自己認証制の対象となる製品につきましても、その製品欠陥による損害に対しまして円滑に被害者の救済が行われるよう配慮すること。さらには、企業が従来以上に製品の安全性の確保について自覚を高める必要があること。  以上のような点が主たる御意見でございました。
  176. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 自己認証制の導入と安全について通商産業省としてはどう考えておられるのか。今消費者団体からは被害者救済制度という問題について強くこれについて言われたというわけですが、これに通産省としてはどういうふうに対処されるのですか。
  177. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 基本的には、この自己認証制度の導入に当たりまして、現在と同じ水準の安全水準を確保して、消費者保護上遺漏なきを期さなければならないという考え方に立って法案を作成さしていただいているわけでございます。  具体的には、第一に、自己認証品目の製造事業者、輸入事業者に対しまして一定事項届け出義務を課し、また、製品の基準適合義務あるいは自主検査義務などを課するとともに、義務の違反が生じました場合には、改善命令、回収命令などを発動する、あるいは所要の罰則を課するというようなことで担保することといたしております。  第二に、製品が満たすべき安全基準につきましては、今後とも国におきまして安全性確保に遺漏なきよう、国みずからがこの基準を定めることといたしております。  さらには、自己認証品目の具体的選定に当たりましても、その品目に関します技術水準等を十分勘案した上で、審議会に諮り広く意見を聞くことといたしているわけでございます。  特に、先ほど先生御指摘のございました被害者の救済の点に関しましては、今後とも製造事業者あるいは輸入事業者に対しまして損害賠償措置を講ずることを義務づけて、従来同様被害者の救済に遺漏のないよう法的な手当てをいたしているわけでございます。  このような点に配慮を行った法案でございますので、この法の適正な運用を図ることによりまして、今後とも消費者の安全の確保に十分努めてまいることによって所期の目的を達し得るものと考えております。
  178. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今後、自由化の流れとともにさまざまな規制緩和され、また、今回の規制緩和が波及して類似品等の規制緩和されていくことが予測されておりますけれども政府として規制緩和の最低の要件をどう考えているのか。  例えば、今回の法案で自己認証制度の導入が図られていく生活関連の特定品目については、もともと安全性の確保が必要だからこそ規制が設けられているのであって、事故の件数がゼロになったから安全性が確保できたということにはならないと思います。だから、金属バットの例もあることだし、これこれこういうことだから安全性の確保はできておりますというような、国民が納得できるような積極的な説明がなされなければ安心できないではないかと私は思うのですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
  179. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 冒頭も申し上げたことになるわけでございますけれども、今般自己認証制度を導入することにいたしました趣旨は、製品安全法制定以来十数年の経過の中で、この間製造技術の進歩もございましたし、それから事業者の品質管理能力の向上もございましたし、あるいはまた企業が消費者窓口の整備を進める等、業界におきます安全マインドと申しますか、品質管理能力の向上等が一方においてあったわけでございます。また、民間の自主的な活動においていろいろな安全対策も進められておりますし、消費者における安全意識の向上も図られているわけでございます。そのような中におきまして、特定製品の中には、政府が事前チェックを行わなくとも事業者の自己責任によりまして従来と同様の安全性の確保をし得るような品目が出てきたと考えたことによりまして、自己認証制の導入を図ることといたしたわけでございます。  先ほども申し上げましたように、政府があらかじめチェックするのではなくして、企業の責任において基本的には第一次的なチェックをいたすわけではございますけれども、具体的に法律の中では、製造業者、輸入業者に対しては、自己認証制の場合にも一定届け出事項を定めまして届け出義務を課し、いろいろな基準適合義務、自主検査義務を課しておりますし、必要とあらば改善命令、回収命令あるいは罰則も適用が可能な体制になっております。また、製品が満たすべき安全基準は引き続き国が定めることにもなっているわけでございますし、さらには、この自己認証品目を具体的にどういう品目に選定していくかということにつきましては、いろいろな各品目の技術水準等を十分勘案して審議会にもお諮りし、慎重に内容を決定してまいるというような手順を踏むことといたしておるわけでございまして、このような手順を踏んで進めることによりまして、私どもといたしましては、民間、消費者、国がそれぞれに課された役割を分担しながら一体となって、安全な国民生活の確保を目指して協調し得るような体制が築かれていくように、万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
  180. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 六十年九月二十四日に閣議決定されました「当面の行政改革の具体化方策について」という中で、今後の規制緩和の推進方策として「許認可等の実態把握については、総務庁において、その具体的手法について所要の見直しを行い、引き続き各省庁の協力を得て、速やかに総数等の統一的把握を行う。」とありますけれども、実態把握の具体的手法についての所要の見通しとは具体的にはどういうことを言っているのでしょうか。
  181. 竹村晟

    ○竹村政府委員 ただいまお尋ねの、九月二十四日の閣議決定におきまして、許認可等の実態把握につきまして、具体的手法について所要の見直しを行うという文言が入っております。これの入っている理由でありますが、従来許認可等の総数につきましては統一的に必ずしも把握されておりません。そういったことで、今後総務庁におきまして各省庁の協力を得ながらその総数を統一的に把握をしたいと考えておりますが、その場合に、例えば許認可等の範囲をどのようにするか、あるいは許認可等の数の数え方をどのようにするか、こういったことについて検討する必要があったからであります。つまり実態把握の仕方を見直す、そういうことでございます。
  182. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それじゃ、実態把握がたとえできたとしても、その次の問題として、その結果を踏まえてどう整理していくかという問題が残ると思います。従来の許認可等の整理の方針とはどう違うのか、また基本的な考え方をどうお考えになっているか、その点については。
  183. 竹村晟

    ○竹村政府委員 現在、私どもの方で許認可の洗い出しの作業を行っております。これに並行いたしまして、実態把握の結果をどのよう整理、活用するかということを検討しております。  現在考えております活用方法としまして、例えば許認可等によります政府規制の実態につきまして、その機能、例えば事業規制でありますとか団体規制、あるいは検査・検定、さらには資格制度、こういった機能に応じてその実態を把握しようということ、それからその活用に関しましては、各省が許認可等の自主的な見直しを行うことになっておりますので、その際の資料とする、あるいは政府として統一的に見直しを行う、その際の資料とする、こういうことを考えております。したがいまして、今後は、許認可の実態を機能的に把握することによりまして、例えば横断的な視点からの許認可整理が推進されるという点で、従来よりはより進んだ対応ができるのだろうと考えております。
  184. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 許認可等の定期的な見直し及び新設の審査についても、当然に整理、廃止、抑制等の厳しい網をかけていくべきものと考えられますけれども、定期的な見直し及び新設の抑制についての政府の既定の方針というのはどういうことなんでしょうか。
  185. 竹村晟

    ○竹村政府委員 今の既定の方針でありますが、これは要するに過去の閣議決定で方針が決まっておるもの、それのことを指しております。  具体的に申し上げますと、まず許認可等の定期的な見直しに関してでありますが、これは五十九年一月の閣議決定方針。これには、臨調答申の基本的考え方に沿って関係省庁でそれぞれ見直しを行い整理合理化を推進する、またその促進のため適宜行政監察を実施する、このことを意味しております。  それからもう一つ、新設の審査に関してでありますが、これは五十八年五月の閣議決定の方針に、内閣法制局、それから当時の行政管理庁、それから大蔵省が、許認可等の制度の適正、合理性の確保に配意しつつ、それぞれの所掌事務に基づく審査に当たる、こういうことを言っております。これを指すものでございます。
  186. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 許認可等の整理については、臨調答申指摘されているものは二百五十三項目ありまして、行革審答申指摘されているものが二百五十八項目ありますが、それぞれの措置状況はどうなっていますか。     〔戸塚委員長代理退席、委員長着席〕
  187. 竹村晟

    ○竹村政府委員 まず臨調答申の方でございますが、臨調答申では第一次、第二次、それから第五次答申におきまして合わせて二百五十事項許認可につきまして具体的な改善方向を指摘しております。政府としてはこれを逐次実施してきておりますけれども、これまでのところ百九十一事項、七割五分が措置されております。  それから、ことしの七月の行革審答申の方でありますが、これにつきましては規制緩和関連として二百五十八事項指摘されております。これは先ほども申し上げました九月の閣議決定におきまして措置時期等を具体的に決めております。それによりますと、大体今回の法案措置するものを含めまして全体で約七割五分、百九十七事項でありますが、これを六十年または六十年度に措置と、この中には一部措置も入りますけれども、こういう方針になっております。
  188. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 臨調答申指摘されて未措置となっているものは六十二項目残っておるのですね。五十九年の十二月二十九日閣議決定は、「未措置のものについては、改善のための必要な条件整備を早急に図ることにより、その整理合理化を実施すること」となっておりますけれども、改善のための必要な条件整備の進行状況はどうなっていますか。
  189. 竹村晟

    ○竹村政府委員 改善のための必要な条件整備でありますが、これは例えば行政事務の民間移譲につきましてその受け皿としての体制を整備する、こういうことにつきましては個別にそれぞれ所管省庁で努力が行われております。それからもう一つ、これは残りの大半になるわけでありますが、保安四法の事項がございます。これにつきましては関係の四省庁におきまして協議会をつくっておりまして、そこで鋭意検討を進めております。
  190. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 結局余り進んでいないということが結論になるわけですけれども、私の持ち時間の中で私の同僚議員である日笠さんが関連ということでお願いしたいということでございますので、譲りますのでよろしく……。
  191. 中島源太郎

    中島委員長 関連して、日笠勝之君。
  192. 日笠勝之

    ○日笠委員 規制緩和一括法案の中の消防法と航空法につきまして、若干お尋ねをしたいと思います。  今回、消防機械器具の規制をいわゆる自己認証制度導入ということで、動力消防ポンプとそれから消防用吸管につきましての緩和をする、こういうことでございます。これは消防職員の皆さんに聞きましても、非常に器具の性能が向上しておる、これは皆さん認めておるところでございます。  問題は、第一線の消防力といいますか消火能力が問題でございます。人間がやるわけでございます。そういうことにつきまして若干お尋ねをしたいと思うわけでございます。  特に中小の消防組合、その消防職員、消防吏員と申しますか、こういう人たちの年齢構成が年々高くなっておるのは御承知のとおりだと思います。過疎地域であるわけでございますが、人はふえない、そのまま年々当然年齢が上がってくる、そういうことで、今後五年、十年、――二十年というと二十一世紀になってしまいますけれども、そういう規模で考えた場合、第一線の消防職員の方々の消防能力といいますか消防力といいますか、消防というのは生命と財産を守るものでございますから、こういうものが非常に心配をされるわけでございますが、その辺の対策を消防庁はどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  193. 井上孝男

    井上(孝)政府委員 ただいま御指摘ように、地方の中小消防組合は年々年齢構成が高くなってきております。特に昭和四十五年から四十九年ぐらいにかけまして発足いたしました組合消防が非常にたくさんございますけれども、これらの組合消防に所属いたしております職員の年齢構成が今後どうなってまいるかということは、私どもといたしまして非常に関心を持っておるところでございます。さらにまた、六十歳定年例の定着によりましてこの消防職員の年齢構成が漸次高まってまいります。消防庁といたしましては、今後これに適切に対処していくということが消防の能力を維持するために大変重要なことであると受けとめております。  そこで、これに対する対応策でございますけれども、消防職員の年齢構成が高くなりますことは、一方では知識あるいは経験を有する職員が増加いたしまして、御承知のように消防防災行政が極めて高度化あるいは複雑化いたします傾向にありますとき、これに対応する能力が高まるという意味では利点もございます。しかし、人件費の割合が上昇する等の財政的な面でのまた問題点もございます。さらにまた、消防職員の体力低下に伴いまして警防能力の低下につながる懸念もございます。したがいまして、特に中小の消防組合におきましては、その職員の年齢構成ができる限りなだらかになりますように、市町村長部局あるいは他の消防本部との人事交流を促進していく必要があると考えております。なおまた、中高年齢者も警防活動を十分行えますように、警防諸戦術のあり方の見直しとかあるいは職員の年齢、体力等に応じました職場配置などにも努めてまいる必要があると思っております。  これらの課題につきましては、現在、全国の消防長の組織であります全国消防長会におきまして重要な問題として検討が行われておりますが、消防庁におきましても、これらの検討に協力しながら適切な指導に努めてまいりたいと考えております。
  194. 日笠勝之

    ○日笠委員 そこで、ひとつ御提案申し上げたいわけでございます。  円滑な人事交流ということも兼ねまして、現在消防大学校というのがございます。この消防大学校における一般行政に関するカリキュラムが若干ございますけれども、これをもう少し充実をするとか、または単独消防本部の方では自治大学校へ行けるよう制度もあるようでございますが、組合の方の消防職員、吏員の方々も自治大学校へ入校を認めるとか、そういうことがもしできれば、いわゆる市町村長部局への人事異動もスムーズにできるのではないか、このようにも考えますが、この点はどうでございましょうか。
  195. 井上孝男

    井上(孝)政府委員 御指摘ように、消防職員を市町村長部局へ配置転換いたしますためには、事前に十分な文書、会計、財政その他、地方行政の各部門に関しましての知識や実務につきまして教育を行うことが必要であると考えております。しかしながら、ただいま御指摘がございました自治大学校あるいは消防大学校はそれぞれ幹部職員の教育を目的とする教育の場でございまして、これらの大学校に派遣いたしますことは、教育の水準あるいは派遣に要する経費負担等の面から見まして必ずしも適当であるとは言えないと存じております。したがいまして、市町村段階あるいは広域市町村圏単位あるいは各府県での研修に参加させていくということが適切であると考えております。
  196. 日笠勝之

    ○日笠委員 その点、ひとつまたいろいろと御配慮をいただかなければ、せっかくの先ほどおっしゃったような施策がスムーズにいかない点もあるかと思いますので、この点御一考をお願いしたいと思います。  と同時に、もう一つ、今中小の消防組合の皆さんが大変心配をしておりますのは、人件費の高騰、それから経常経費がそれなりにかかるということで、予算の大半がこの二つにとられてしまう。地方の過疎地域といえども最近は工場誘致ということでいろいろな工場が来るわけでございます。過疎対策ということで来るわけでございますが、そうなってくると、御存じのように、いろいろな化学薬品だとかこういうものも扱うような工場も来るわけでございます。そうすると、いわゆる化学消防車といいますかこういうものも必要になってくる。また、地方といえどもその地方の中の中心の一部の地域においては三階建て以上の高層のビルも漸次できておる。こういうことで、中小の消防組合の弱体な本部につきましては、いわゆる消防力を向上させるという意味におきましても、いわゆる補助金の問題でございますけれども、やはり何回も申し上げますように、生命と財産を守る部署でございますので、今後そういう化学消防車であるとか高層ビル用の消防車であるとか、こういうものも漸次配置をしていかなければいけないと思うわけでございますが、その点についてのお考えはどうでしょうか。
  197. 井上孝男

    井上(孝)政府委員 消防庁におきまして、消防施設整備費補助金を配分いたします際には、国の方から示しております消防力の基準あるいは消防水利の基準を指針といたしまして、地域の実情に即した計画的な整備が行われるようにとの観点から補助金を交付しておるところでございます。  ただいま御指摘ように、地方の都市におきましても、企業の進出とか市街地形成が進んだとか、いろいろ地域の実態が異なってきておりますけれども、このよう変化先ほど申し上げました消防力の基準に反映をいたします。したがいまして、消防力の基準に従った補助金の配分をしておれば、先生御指摘の実情に即した配分が行われるわけでございます。  私どもといたしましては、このような補助金配分方針を今後とも維持してまいりますとともに、特に中小の消防組合の施設整備には補助金配分に当たりまして十分考慮してまいりたいと考えております。
  198. 日笠勝之

    ○日笠委員 ちょっと話が変わりますが、今回自己認証制度を取り入れます動力消防ポンプ、消防用の吸管、これは今まで国の検定ということでございました。ここで問題になりますのは、消防施設強化促進法というのがございまして、この対象の機械器具は国の検定を受けている、こういうふうになっております。そうしますと、今度のように自己認証制度になりますと、いわゆる補助金カットの一つの対象になるのではないかというふうに心配する向きもあるわけでございます。いわゆる国の検定じゃなくなった、自己認証制度だ、ですから動力消防ポンプであるとか吸管については補助金の対象にならない、こういうふうな考えもあるかのようにお聞きしておりますけれども、その辺のカバー、アフターフォローといいましょうか、これはどのようにお考えでしょうか。
  199. 井上孝男

    井上(孝)政府委員 今回御審議をお願いいたしております一括法が成立いたしますと、消防施設につきましても自己認証制度が導入されます。従来、補助金の交付に当たりましては検定を受けたものという条件をつけておりましたが、今回の法改正によりまして自己認証制度が導入されることになりますと、自己認証を経たものにつきましても従来の検定を経たものと同じ扱いをさせていただく予定でございます。
  200. 日笠勝之

    ○日笠委員 消防庁さんありがとうございました。続いて航空法の方に参りたいと思います。  御存じのとおり、航空事故というものはちょっとしたミスでも大惨事につながるわけでございます。二重にも三重にも安全装置が施されて当然なわけでございます。しかし、やはり最後は人間がやるわけでございます。そういうことで、今回二人乗りのジェット機も可能であるというふうにアクションプログラムの一環として緩和をされるわけでございます。  そこで、お聞きをしたいわけでございますけれども、外国の型式証明であるとか耐空証明であるとか、こういうものを導入していくということでございますが、一説によりますとアメリカの連邦航空局、FAAでございますか、このFAAの発給のものをもうほとんど自動的に追認をしておるというのが現状である、このようにも聞いておるわけでございます。御存じの日航の墜落事故におきましても、ジャンボ機の欠陥修理には検査官が二人運輸省から立ち会ったわけでございますけれども、事故が未然に防げなかったということもあるわけでございます。外国データをそのまま導入をするということでございますが、運輸省の航空局におきましては、技術的レベル、その権威といいましょうか、こういうものをどのように維持をしてこの外国データを正当と認めるか。その辺の安全性の担保、こういうようなものについてどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。
  201. 山田隆英

    ○山田説明員 ただいま先生お話がございましたように、このたびの航空法改正によりまして、今まで航空機関士を乗せなければならない場合といたしまして、発動機が四基以上で三十五トン以上の航空機に乗せるということにしておりましたが、その後の航空技術の発展等によりまして、航空機の構造上、操縦士だけでは完全に機体の操縦ができないという航空機のみ機関士を乗せるということにいたしたわけでございます。  そこで、その安全の問題でございますけれども、航空機関士を乗せる必要があるかどうかということにつきましては、製造国政府の航空機の機種ごとの技術審査を受けまして、その安全性が証明されておるところでございまして、アメリカ製の航空機につきましてはアメリカのFAAがその安全性を証明いたしますし、またイギリス製の航空機でございますとイギリスの政府が安全性を証明するところでございます。私ども航空局といたしましては、それらの製造国の政府の安全性証明の内容を踏まえまして、我が国として航空法に基づく耐空証明を行っておる次第でございます。
  202. 日笠勝之

    ○日笠委員 二人乗りのジェット機でございますが、これは既にもう御承知と思いますが、B767、B737というような、これは双発でございますけれども、事故は過去外国におきまして起きておるわけでございますね。今度日本でも二人乗りということでございますが、オーストラリアのカンタス航空というのがございます。奇跡のエアラインと言われているそうでございまして、これはどんな近距離ルートでも、ジャンボの場合は機長が一名、副操縦士が一名、航空機関士とセカンドオフィサーまでいわゆる四名なんですね。全然事故がない。奇跡のエアラインと言われております。  そういうことから見ますと、やはりこういう大きな事故があった後でございます。今後の動き、世界の潮流二人乗りという流れがあると聞いておりますけれども、何といいましても飛行機の場合は安全性が第一でございます。安全性の確認、そしてまた国民感情というものも考慮しながら、今後慎重に導入については検討を加えていかなければいけない。この十三年間で七百二十五名という、世界の航空史上一社だけでこんなに死者が出たような航空会社はないわけでございます。そういう意味におきましても、今後導入についてはまず慎重な検討をお願いをしておきたいと思うわけでございます。  それから、ちょっとまた話が変わるかもしれませんけれども、最近の新聞報道によりますと、この三年間に五件の航路逸脱があったということになっております。オーストラリアの方でも先月八日コース逸脱があった、こういうふうに聞いておりますが、これは新聞報道がされて、過去にさかのぼって初めて国民はわかるわけでございます。この点について運輸省への報告義務はないとは聞いておりますけれども、何らか行政指導等々で、そういう航路逸脱の場合でも報告してもらう、それを国民に今度は何らかの方法で、これまた情報公開といいましょうか、こういうふうに皆さんにしていただく、これも航空会社がそれぞれ競って安全性第一にやっているという一つの大きな歯どめになるのじゃないかと思うのです。内部処理だけで事を済ますということが、いわゆる国民の目の前にさらされないということがなれ合いということにもなりかねませんが、法的にはそういう報告義務のないような事件、事故とは言いませんけれども、そういうものについて、今後、例えば航路逸脱であるとかこういうものについても、運輸省としては行政指導等々で掌握をし、それを国民に何らかの形で公開していく、こういうことのお考えはないのでしょうか。
  203. 山田隆英

    ○山田説明員 航空局といたしましては、航空機の運航にとって安全が第一であるという点については全く先生の御意見と同じでございます。航空機の事故につながるおそれのある航路逸脱問題について、私どもとして非常に重視しておるところでございます。  先ほど指摘のございましたオーストラリアの空港における航路逸脱につきましては、ただいま豪州の航空当局から、こういう事実があったようだが、これについて調査して回答してくれという申し入れが、私どもの事故調査委員会を通じて航空局の方に行われております。現在のところ、私どもといたしましては、日本航空を通じてその事実関係調査し、必要に応じて公表さしていただきたい、かように考えております。
  204. 日笠勝之

    ○日笠委員 ですから、豪州から言われて初めてわかるようなことではいかぬと思うのです。ですから、先ほど言いましたように、報告義務はないのかもしれませんけれども、何らかの処置を講じてそういうものを全部報告を受ける、それを国民の皆さんに何らかの形で公開していく、こういうことは考えておられますかどうかということを、もう一度お聞きいたします。
  205. 山田隆英

    ○山田説明員 今後の航空機の事故の再発防止のため、必要な限りにおいて必要な資料というものは公開することを考えております。
  206. 日笠勝之

    ○日笠委員 いわゆる情報収集するということでは、日航の方からきちっと報告を受けるということでしょうか。
  207. 山田隆英

    ○山田説明員 必要なことについて日本航空から航空局への報告をさせるよう指導していきたいと考えております。
  208. 日笠勝之

    ○日笠委員 それは航路逸脱も入りますか。
  209. 山田隆英

    ○山田説明員 航路逸脱についても同様に考えていきたいと思っております。
  210. 日笠勝之

    ○日笠委員 最後に、日本地区における航空保険料が大幅に上がるのではないか、このように言われておるわけでございますが、航空保険料が大幅に上がった、それが即運賃に影響を与える、こういうことも考えられないわけではございませんけれども、その点、たとえ航空保険料が上がっても運賃の値上げということについてはどうしていこうかというふうに今のところお考えでしょうか。
  211. 山田隆英

    ○山田説明員 最近、世界各地におきますところの航空機事故の頻発にかんがみまして、保険業界といたしましても航空保険料の引き上げを検討しているというふうに私ども承知しております。  ただ、現在の航空会社の営業費用中に占める保険料の割合というのは極めて小そうございまして、日本の三社の場合をとりましても〇・数%というような現状にございます。したがいまして、この保険料のかなりの引き上げがございましても、それによって営業費用の引き上げが運賃改定を必要とするほどになろうかどうかということについては、必ずしもそうは考えておりません。したがいまして、現在のところ保険料の引き上げを理由として運賃の引き上げということは考えていない次第でございます。
  212. 日笠勝之

    ○日笠委員 終わります。
  213. 中島源太郎

    中島委員長 和田一仁君。
  214. 和田一仁

    ○和田(一)委員 お尋ねをいたします。  今回の規制緩和につきまして、政府は、九月二十四日の閣議決定の際に、「規制緩和の推進方策」といたしまして「速やかに総数等の統一的把握を行う。」、一体許認可事項というのはどういうのか、実態を把握してそしてそのすべてを把握したい、こういうことで始まったのだと思います。私は、許認可総数約一万件、こう言われている中で、まずこの一万件という件数のカウントも、これは件数も多いですからなかなか大変だとは思うのですが、これのカウントの仕方についても、果たしてその程度のものなのか、あるいはカウントの仕方によってはもっとはるかに多いものではないかな、そんな気も一つはしております。  例えば口紅一つとりましても、いろいろな規制がある中で、何か色ごとに認可が必要であるというようなことを考えますと、これは大変な件数なんじゃないかな、こう思うのですが、これだけ膨大な許認可事項の総数を把握して、実態をきちっとつかんで、そして今回のこの規制緩和法が出てきた、こういうふうに理解してよろしいのか。実際に出てきたのは二百五十八という数字が挙げられて、そしてその中からきょう審議の対象になっている法案としてさらにまた絞られて出てきた、こういうことなので、その辺長官としては、この総数と現実に議題に上がっているあるいは閣議で決められたこの二百五十八という数字との開きについて、どんな御見解をお持ちなのかお聞かせをいただきたいと思います。
  215. 竹村晟

    ○竹村政府委員 従来一万件と言われておりますけれども、これは各省が国会に提出した件数を集計したものでございます。ことしの二月に国会に提出したものを全部集計いたしますと、一万二百九件ということになっております。今度の行革審答申を受けて、二百五十八項目規制緩和措置答申を受けたわけでありますが、これにつきましては、時期の関係もあったと思うのですが、分野を特定いたしまして、例えば金融の分野あるいは運輸分野あるいはエネルギーとか都市整備、主要な分野を選びまして、その中から選んだものでございます。したがいまして、数として一万と二百五十八という比較は、その中から選んだのではなくて、重点を集めて選んだということになっておるわけであります。
  216. 和田一仁

    ○和田(一)委員 よくわからないですね。分野ごとに重点を集めてやったということですか。閣議決定では「許認可等の実態把握については、総務庁において、その具体的手法について所要の見直しを行い、」「各省庁の協力を得て、速やかに総数等の統一的把握を行う。」とあって、今おっしゃった一万二百九件、これを総務庁で掌握したわけでしょう。そしてその中から分野ごとに分けて、今のお話ですと金融だとかエネルギーだとか、そういう分野に分けて重要なものだけ、こういうことですか。あとは重要でないわけですか。
  217. 竹村晟

    ○竹村政府委員 今度の行革審答申は、個別指摘事項のほかに、ただいまお話がありましたように総数の把握もあわせて必要だ、こういった答申になっております。先ほど私が申しました一万余りの件数でございますが、これは必ずしも計算の方法が正確でないというようなことで、改めてこういう御答申をいただいたわけであります。したがいまして、その答申を受けまして、さきの九月二十四日の行政改革に関する閣議決定の規制緩和の中で、「規制緩和の推進方策」として総数の統一的な把握をするということを決めておるわけであります。  これにつきましては、例えば総数を把握するにつきまして、どういう方法で、どういう数え方をしたらいいか、そういったようなことも検討しながら、あるいはその許認可の範囲をどの分野でとらえるかということもあわせながら、現在作業を進めておるところでございます。
  218. 和田一仁

    ○和田(一)委員 非常にたくさんの許認可あるいは規制があるために阻害されている民間活力、あるいはその他の民間の負担、こういうものを緩和ようという目的でおやりになるのだったらば、やはり今ある総数を洗って漏れなくやらないと、かえって跛行的なものになっていったのではいけないなという感じもするわけです。  それで、例えばそういう中で、これから具体的にもお聞きいたしますけれども、今の答弁の中にも、どこまでがそういう対象になるかという線引きも難しいのでしょうけれども、例えば行政指導というのも非常に大きな規制ではないか、私はこう思うのです。そういうものも含めてやはり見直しをしていくということにしないとなかなか難しいな、こう思っております。そういうことを前提にして、順次お尋ねしていきたいと思います。  例えば、今度の中にはないのですが、民間の金融機関、こういうところが新しい商品を開発して出す、それを宣伝するときに広告をしたりあるいは内容をわかるように印刷して出したり、そういうときに何か大蔵省は、そういった広告やら発表の仕方等についても事前に連絡をしてほしいというような雰囲気があるやに聞いているのですが、そういった実態はありますか。  これはもう形の上に出てくる規制なんていうものじゃありません。全く無形のものですが、そういうようなものが、これはいろいろな一万件以上あるような中のほかにもこういうものすらあるというふうにも聞いているわけなので、まずこういうものがあるのかどうか。これはもう行政指導でも何でもないですね。そういうものがあるのかどうか。それをもししないと大変御機嫌が悪くなって、後がやりにくいというような圧力がもしかかっているとすれば、これはやはり無形の規制じゃないか、私はそんなふうにも思うのですが、こういったものはチェックの対象にしているかどうかも含めてちょっとお聞きしたいと思います。
  219. 亀井敬之

    ○亀井政府委員 ただいまお尋ねの、銀行等が新しい商品をつくりましてそれを外へPRをいたしますときの実質的な規制が何かあるのではないか、こういう問題でございます。  私どもは、業界が商品をいろいろ考えましてそれをPRをする、こういう宣伝広告について私どもへ何か事前に届けを出すとか、そういった広告面の規制をいたしてはおりません。ですから、そういうもので今御指摘の事前に何か届けろとかあるいは届けなければいけないとかあるいは届けなかったからけしからぬとか、そういったことはございません。  広告につきましては一つ想像できますのは、大蔵省との関係では何もないわけでございますが、それぞれ業態の中に多くの金融機関があるものでございますので、例えば全銀協で金融機関の広告をこういうふうにお互いに自主規制をしようというようなそういう自主規制的なものがありまして、これに従って広告をしていくという問題があるわけでございます。  今先生お尋ねのもう一つ、商品をつくりますという場合があります。これはもともと金融機関がいろいろ自主的に発想されまして商品をつくります、こういうことでございますので、私どもはできるだけ金融自由化の過程の中で金融機関の自主的な創意工夫を尊重してまいっておるわけでございます。  ただ、何分いろいろな業態の金融機関に関係するような商品開発といったようなこともございまして、そういうような場合にも法律上どうだろうかというような具体的な御相談が金融機関からあることがございます。もちろんそういう場合は法律上どうだとかそういったよう意味での御相談に応じるということはございます。ただ、それを広告する際に当たりまして何か言ってこなければいけないとかいうことじゃなくて、広告は業界の自主的な申し合わせの中でやっておる、こういうのが実情でございます。
  220. 和田一仁

    ○和田(一)委員 恐らくそういうことはないという御答弁だと思っておりましたが、いろいろ巷間伝わるところによると、そういうよう規制に近いいろいろな干渉があるというふうにも聞いております。私は、そういうものも含めて民間の自由な、金融全体についても自由化が進行していこうというときですから、そういう意味では規制緩和の方向とは逆行しているなどいう感じがしておるわけでございます。  もう少し別のことで具体的にお聞きいたしますけれども、この法案の提案理由の説明の中に、経済的な目的による規制社会的目的による規制、こういうふうに分けまして、経済的目的による規制については必要最小限にそれをとどめ、また社会的目的による規制には公共性を配慮しながらできるだけ合理的なものにしていこう、こういうことなので、これが政府のスタンスだな、こう思うのですが、何か具体的に見ておりますと、もう一つまだはっきりしないなと思うところがあるので、お尋ねしてまいります。  まず、この法案の中に、これはアクションプログラムとも関係があるようですが、消費生活用製品安全法に基づく特定製品、これに対してかかっておりました規制ですが、これを今度自己認証制にしていこう、こういう具体的な中身がございます。このいわゆる消安法ですか、この中で特定製品と言われるものは何でしょうか。
  221. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいまお尋ねの消費生活用製品安全法におきます特定製品は、以下に申し上げます八品目でございます。  家庭用の圧力なべ及び圧力がま、乗車用ヘルメット、野球用ヘルメット、炭酸飲料瓶詰、炭酸飲料を充てんするためのガラス瓶、乳幼児用ベッド、ローラースケート、登山用ロープ、以上でございます。
  222. 和田一仁

    ○和田(一)委員 この中で、これは特定製品の今八つ挙げられたこれを全部自己認証制にしていこうというのでしょうか。
  223. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 現行特定製品につきまして、今般第一種と第二種という二つの定義に分類をすることにいたしまして、従来同様政府認証による品物を第一種、それから自己認証を導入するものを第二種ということにいたしておりますけれども、ただいま申し上げました八品目の特定製品のうちどの品目を自己認証制にいたしてまいりますか、つまり第二種特定製品とするかにつきましては、今後法の規定に基づきまして製品安全及び家庭用品品質表示審議会に諮った上で決めていくことになるわけでございます。  つまり、この法律の上では、第一種特定製品の方は安全性の確保を企業の自己責任にゆだねることができないと判断される製品でございますのに対しまして、第二種特定製品と申しますのはこれを企業の自己責任にゆだね得ると判断される製品と申し上げてよいかと存じますけれども、これを具体的にどのように個別に第二種特定製品を選定するかということにつきましては、次のよう事情を総合的に勘案して区分けがなされなければならないと考えております。  その第一は、その当該製品につきまして安全性確保を図るために必要な製造技術の水準、またその普及度、普及の度合いでございます。第二には、当該製品につきまして安全性を確認するために必要な検査技術がどういうレベルになっておるか、またそれがどの程度普及しておるかという点。第三には、当該製品に係ります事故率がどのように推移してきたか、またその現状はどうなっているか。  以上のような点を総合的に勘案いたしまして、第一種、第二種の区分をいたしてまいることにしたいと考えておるわけでございます。
  224. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今の御答弁の中では、そうするとこの八つの品目全部について一種、二種に分けてそして自己認証制を導入していこう、場合によっては八つ全部自己認証制度導入ということにもなり得るわけですね。具体的には、これ全部を対象にしながら、今出してきた中ではどれをまず導入しようとしているのかを聞いているのですがね。
  225. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 自己認証制度を導入いたします第二種特定製品の選定につきましては、先ほど申し上げましたような基準にのっとりまして、今後関係審議会におきまして具体的に指定されることになるわけでございまして、現段階でどの品目、また何品目ということはまだ申し上げられる段階にございません。
  226. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうすると、これは導入という名前だけで現実には何も――今度のこの自己認証制度を導入しようというのは、アクションプログラムから入ってきたのでしょう。今の答弁を聞いていると、対象の品目はわかりましたが、現実にはこれから審議会の議を経て、どれをやるか今は言えない、これはアクションでも何でもないですね。プログラムとして何か羅列しているだけで、これで自己認証制度の導入になるのですか。長官これはどうです、答弁をお聞きになっていて。
  227. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいまお答え申し上げましたのは、現段階でどの品目を具体的に第二種特定製品にするかにつきましてあらかじめ申し上げるわけにまいらないということを申し上げたわけでございます。先ほど申し上げましたように、手順を踏みまして関係審議会に図り、政令で指定していくわけでございまして、現在のところ必ずこれが指定になるだろうということを申し上げるわけにはまいらないということをお答えしたわけでございますけれども、現実には私どもといたしましては、この法律が成立いたしました暁には早急に審議会に諮問をいたしまして第二種特定製品を具体的に定めることといたしたいと思っておりますし、この法律改正につきましてお諮りいたしました産業構造審議会の消費経済部会の答申におきましても、「逐次第二種特定製品の比重を高めていくことを期待する。」という御意見もいただいているわけでございます。  したがいまして、八品目の中で具体的に今申し上げるわけにはまいりませんけれども法律の成立を待ちまして早急に手順を進めてまいりたいと考えておりますが、実は七月に決まりました市場開放のアクションプログラムの中におきまして、炭酸飲料瓶詰につきましては自己認証制度の導入を検討する旨明記されているところでございまして、これにつきましては、私どもといたしまして。現段階におきまして第二種特定製品の候補として極めて有力なものであるというふうに考えておりますが、私どもとしてはこの一品目にとどまらず、審議会にお諮りして先ほど申し上げましたような視点からできるだけ第二種特定製品についてさらに品目を選定していただくようにしたいと考えております。
  228. 和田一仁

    ○和田(一)委員 どうも私は、政府のスタンスがよくわからないというのはそこにあるのですけれども、例えば今八つ挙げられた特定製品の中で乗車用ヘルメット、野球用ヘルメット、炭酸飲料瓶詰、炭酸飲料を充てんするためのガラス瓶、この四つの製品については、もう現実には製品安全協会の検査にゆだねているんでしょう。そして、そこで代行したその検査に政府の安全マークというんですか、Sマーク、セーフティーマークを張っている、これはこういうことなんでしょう。
  229. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 仰せのとおり、現行特定八品目の中で、おっしゃいました四品目につきましては、消費生活用製品安全法に基づきまして設立されました製品安全協会が国の業務の代行をいたしているわけでございますけれども、これはあくまで国の業務の代行ということでございまして、法の仕組みすべて、他の四品目と同様、国の責任においてチェックを行う体制で臨んでいるわけでございます。
  230. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それではもう少し聞きますけれども、この消安法で言っている政府のSマーク、これと今度業界が独自に安全基準をつくって出しているSGマーク、これの違いはどういうところが違うのですか、基準に関して違うところ。
  231. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 現行の特定製品につきましてはSマークというのを付しておりますけれども、Sマークは、この製品安全法に基づきまして国が特定製品として指定いたしました製品について安全基準を国が定める、また国自身が検定または製造業者の登録、型式承認を行いまして、そのパスした品物にSマークを貼付しているわけでございます。そして、このマークの貼付がない製品につきましては販売あるいは販売を目的とした陳列は禁止されているわけでございます。  他方、お話にございましたSGマークの方は、この法律に基づいて特別に認可された法人でございます製品安全協会が自主的に選定した製品につきまして、安全性に関する認定基準を自主的に定めまして、その協会がその基準に適合していると認めたものにつきましてマークを貼付しているわけでございます。  そういう意味で、一方では、Sマークの方は国が基準の策定から始まりましてその基準の適合性のチェック、さらにそれを担保するための諸規定をすべて国の責任において行っておりますのに対して、SGマークの方は民間の自主的な措置として行われているものでございます。
  232. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私はそういうことを聞いているのではないのです。基準がどう違うかと聞いているのです。それでは、例えばこの家庭用の圧力なべ及び圧力がま、これの政府の基準とSGの基準はどっちが厳しいのですか。
  233. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 Sマークの基準とSGマークの基準との関係でございますけれども、圧力なべの場合もそうでございますし、他の品目も同様でございますけれども、SGマークにおける基準は国の安全基準、Sマークの基準をそのまま適用して運用いたしております。
  234. 和田一仁

    ○和田(一)委員 基準は全く同じなんですよ。検査方法も同じなら検査する場所も同じ、それくらい同じことを業界としては現実にやっているわけですね。政府一つのことをやっているつもりだけれども業界としては同じことをやっている。そのやっている検査の主体が安全協会というところで大体やるわけですけれども、それが実際にSとSGとの違いというのはないにもかかわらず、Sの方は、これがなければ販売はもちろん、並べてもいけないという厳しい規制になっている。ですからこれは取らないわけにいかない。SGの方はメーカーが自主的にやった基準ですが、これ以外の物もとにかくクリアすればメーカーとしても責任を持って消費者に提供できる、こういうことでやっているわけです。  四つの品目については安全協会がやって、あとは直接国の検査が必要だ、今のところそういうことでやっているわけですけれども、それでは国が直接やっているSの方の製品はSGより安全かどうか、こういうことになると、必ずしもそうではない。先般もSマークがついていた赤ん坊のベッドで生後六カ月の赤ちゃんが事故死をした、こういうことがありました。業界は、こういうSマークが張ってあればこれをクリアさえすれば安全なんだ、こういうことに逆になりはしないか。これは大変大事ですよ。これは消費者にとってとにかく生命または身体に対する危害発生を防止するという目的で決められている安全法ですから、その基準というものは厳しいはずなんです。そういう中でSとSGマークと全く同じ基準でやって、それでSGの方は自主的である、Sの方は国の基準であるということで、ではSならば安全でSGではどうかというとそんなことは全く関係ない。そして現にSのマークで事故も起きている。それではその事故に対して政府は責任をとるかといえば、そうではない。業界においては、SGマークの方は、これを打ったからには、もしこれで事故が起きたときには被害者への救済制度というものを自主的につくっているわけです。そして自分らで、安全です、どうぞお使いください、こういった製品に対しては責任を持って補償制度までやって、さらに安全なものへの開発努力を促している。ところがSマークは、うるさく言ってSマークを張ったところで現に事故が起きているわけです。そっちの方は補償は何もない。Sマークには補償はないのだ。業者にしてみればそれは二重手間なんです。SGの方で自分たちが責任を持っているのに、さらにSを張らなければいけない。あるいはSだけ張っておけばいいというところは、Sがクリアさえすれば、これは安全については国が責任を持った基準の中でクリアしたのだから、消費者に対しても私どもはやるべきことはやっております、こういう格好についなりはしないか。私は、そういう消費者にとって生命や危害に関係のあるような製品をつくるところは逆にSマークに頼ってはいけないと思うぐらいなんですね。私はそういう点は全然考慮されてないんじゃないかなという感じがしてならないのですね。とにかく厳しい規制があるのだからそれをクリアすればいいというだけのことで、Sマークというものが業界自体の安全に対しての向上の努力を阻害していきはしないかという心配すらあるわけなんですが、そういう点はどうでしょうか。
  235. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 繰り返しになる部分もあって失礼かと思いますけれども、Sマークの方は、特に身体、生命に危害を及ぼすおそれの大きいものにつきまして、国がみずから責任を持って安全基準を定め、その基準に合致しているかどうかを国の責任においてチェックをし、事後的にもそれが担保されるような法的規制を伴う制度として運用されているわけでございますが、SGマークの方は、民間の自主的な基準として、基準も民間がつくり、この制度に乗るか乗らないかも民間の自主的な判断で行われるものであり、損害賠償措置につきましては手当てがなされておりますけれども、その他の法的な強制力は伴っていない制度でございます。  たまたま先生の仰せになられました品目の例示の中で、特定製品は確かにSGマークを併用していることをおっしゃいましたけれども、私どもの特定製品につきましては、製造事業者の登録、型式承認を適用いたしまして、製品が安全基準に合致しているかどうかをチェックする手続をとるに際しまして、損害賠償措置もあわせ講ずべき旨を登録、型式承認の要件といたしていることがございますので、運用上、Sマークの対象品目についてSGマークをあわせ貼付いたしているのが実情でございます。  なお、私どもといたしましては、製品安全審議会におきまして、安全技術の向上あるいは検査技術の向上、事故率の推移等いろいろ勘案して、実態に応じて特定製品をSGマークの製品に切りかえる、あるいはそのような対象から外していくというような基準も設けて、技術の実情に即して遺憾のない運用を図るようにいたしてまいっているところでございまして、今後もそのような配慮のもとにこの制度を運用してまいりたいと考えております。
  236. 和田一仁

    ○和田(一)委員 どうも二重手間なことをやっているような気がしてならないのですよ。SGマークを張るべく自社の製品の検査をやるのを見てみますと、例えば二輪車用のヘルメットの検査なんか見ますと、決められている基準より厳しい検査をやっているんですね。乗車用ヘルメットの中で、耐貫通性試験の鋼製ストライカーを落とす高さなんというのは規制では一メートル、百センチということになっていますけれども、実際に行ってみると、もっと高いところから落としてパスしなければSGは張らないという努力をしておるわけなので、私はそういうことを見ても、今答弁の中にあった炭酸飲料瓶詰を自己認証にしていこうという、その程度のことなのかなという感じがいたします。これは具体的に言って、一体アクションプログラムに関連があるのかなという気がしますよ。例えばコカコーラだとかペプシコーラ、こういうものはこれに該当するのじゃないかなと思いますがね。そういう意味で、どうも規制緩和全体についてのあり方が、何か最初申し上げたように偏っているというかスタンスがきちっとしていない、こういう感じがしてならないのであります。  それではもう一回聞きます。ほかの品目はどうしますか。このほかの特定製品の安全性について、これからこれを自己規制にするというふうに、自己認証の方に移していくという見通しについてお聞きしたいのです。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  237. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほど申し上げましたように、今後の手順といたしましては、審議会にお諮りいたしまして具体的に品目を選定してまいることになるわけでございますけれども、この点につきましては、判断の基準につきまして先ほど三点申し上げたと思います。  安全確保に必要な製造技術の水準及びその普及度、それから安全性を確認するために必要な検査技術の水準及び普及度、それから製品の事故率の推移及びその現状、このような視点から審議会におきまして御審議をいただくことになるわけでございまして、あらかじめどの品目ということは申し上げかねるわけではございますが、先ほども申し上げましたように、この産業構造審議会の答申の中にも、この法律の運用に当たりましては、自己認証制度導入の趣旨にもかんがみまして「逐次第二種特定製品の比重を高めていくことを期待する。」という文言を明記されているわけでございますので、そのよう趣旨を十分踏まえまして、法制定の暁には、趣旨を十分酌み取りました運用を図れるよう努めてまいりたいと考えております。
  238. 和田一仁

    ○和田(一)委員 このアクションプログラム、これは企画庁の印刷物ですけれども、「市場アクセス改善のためのアクション・プログラム」の中で、自己認証制度の拡充ということがうたわれております。ここで「国際基準への整合化」という項目がございまして、国際的に通用する基準と我が国独自の基準との整合化を図っていくことがこの際必要だ、こういう趣旨だと思うのです。そういう意味合いからだと思うのですが、今度欧州とアメリカの方に我が国独自の検査と国内基準の国際化に向かって調査団を派遣されたというのですが、これは帰ってきたのですか。そして、どんな結果になったのですか。
  239. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 今お話のございました点は、ことしの九月から十月にかけまして、欧米各国の消費生活用製品に対します規制の現状に関しまして調査を行うために、欧米四カ国に調査団を派遣いたしまして、先ほど申し上げました産構審の答申の作成に当たりましてこれを参考とさせていただいたわけでございます。  この海外調査におきましては、各国の製品安全に係る法制度、具体的な安全確保、被害者救済の状況についての調査を主に行ってまいっておりまして、欧米諸国におきます仰せのような安全基準そのものにつきましては、今回特に詳細な調査を行ったわけではございませんけれども、この点につきましては従来からその実態把握に努めているところでございます。  なお、乗車用のヘルメットにつきまして特に申し上げておきますと、五十八年に安全基準の改定が行われまして、国際標準化機構規格の基準原案というのが作成されましたので、その基準原案との整合性を図ったところでございますが、これ以外の品目につきましては、現在のところ、各国の合意を見ました国際規格は存在しておりません。しかし、私どもといたしましては、今後とも、我が国の実情も十分踏まえながら特定製品の安全基準の国際規格との整合性の確保には配慮してまいりたいと考えております。
  240. 和田一仁

    ○和田(一)委員 この中に、ガス事業法に基づくガス用品の規制、消防法に基づく消防用機械器具等の規制、これの自己認証への移行を図るという項目がございますね。今まで申し上げていたような特定品目以外のこういったものについて自己認証制度を導入するという、このガスや消防器具はどういうふうにして自己認証制度に持っていこうというのか、これをひとつお聞かせいただきたいんです。特に消防法の中でどういうものを自己認証へ持っていこうとしているか、ガス事業法に基づくガス用品の中身についてもどういうものを自己認証に持っていこうとしているか、お聞かせをいただきたいのです。――消防法やガス事業法、こういったものの中でもたくさんの項目がある中で、非常に特定の物だけを自己認証制に持っていこうとしている。そのうちガス事業についてはどうもまだどれをどうするかというようなことも余りはっきりしてない、こんな感じもしたものですからお聞きしたのですが、こういう項目が挙がってはいるんですけれども、実際になかなか規制緩和へのうたい文句と中身が伴わないよう感じがしておるものですから、そういう点についてちょっとお聞きしたわけでございますが、それじゃいいです。     〔石川委員長代理退席、宮下委員長代理     着席〕  このアクションプログラムについて、これはこれからどういう効果が上がっていくか大変大事なことだと思うのですけれども、この規制緩和一括法案の中に五項目ばかりあるわけですが、このアクションプログラムをつくるまでに、海外からは日本の非関税障壁に対して大変な批判やこれをもっと下げるという要望が強いわけで、政府はいろいろなところでそうした声を耳にして、そしてそのたくさんの要請の中、要求の中から、今回はこの五つの事項についてとにかく規制緩和をしていこう、こういうことになったと思うのです。  まず、その政府レベルでいろいろ交渉の中で要求があったという非関税障壁等の問題点、どのぐらいあったかちょっとお聞かせをいただきたい。どれくらいの中からとにかくこの五項目が出てきたのか、それをお聞きしたいわけです。
  241. 小川仁一

    小川説明員 外国からの要求に関しましては、先生御指摘のとおり、アメリカ、ヨーロッパあるいはアジア・太平洋諸国から非常に数多くの関税、非関税障壁に対する要請が出ております。非常に数が多いものでございますので、追って細かい資料をできるだけ早く提出させていただきたいと思いますけれども、しばしば挙げられております幾つかの品目をちょっと例示させていただきます。  アメリカとの関係では、例えば関税に関連しまして木材、紙製品あるいはアルミ、グレープフルーツ、ワイン、クルミ、チョコレート菓子等がございます。それから数量規制に関しましても、御案内のとおり牛肉、かんきつ類その他の十三品目の農産物あるいは皮革、履物等がございます。基準・認証等に関しましても、電気通信機器に関するもの、それから医薬品、医療機器、食品添加物、それから自動車の認証制度等、政府調達に関しましても電気通信単一入札の数が多過ぎるというような、それを減らすようにという要求がございます。その他弁護士に関する活動を認めるようにというような要求等々ございます。  ヨーロッパとの関係でも非常に数多くの要求がございまして、例えばECは、関税に関しまして昨年の要求リストに百二十八品目の関税引き下げあるいは撤廃要求を出しております。その中の主なもの、今回のアクションプログラムでもかなり対応はいたしておりますけれども、まだ十分対応されていないということで言われておりますのが、チョコレートの完成品とかワインあるいはウイスキー、ブランデー、チョコレートの半製品、ナチュラルチーズ、スキー靴等々ございます。それから輸入枠の拡大に関しましても、ニシン、でん粉等数品目要求がございます。
  242. 和田一仁

    ○和田(一)委員 一つ一つ挙げていただいたのではどうしようもないので、それは今度こうした規制緩和の中でアクションプログラムの関連が入ってきて、そして障壁は減った、日本の開放度は非常に高いんだ、こう政府が言うけれども、一体本当に門戸開放というか開放度が進んだのかどうかを知るためには、やはり海外からどういう問題について政府に要求があったか、そういうものとの比較の中でないとなかなかできない、こう思うので、ぜひひとつこれはそういう意味で参考資料としてちょうだいできないか、こう思うわけでございます。     〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕  今度のこの規制緩和の中で一つの大きなねらいとして、私は今の経済摩擦、貿易摩擦緩和というためにいろいろある規制が外される、効果が上がらなければいけない、こう思うわけなんですが、長官にその点について、このアクションプログラムの中で今度の規制緩和はわずか五項目にすぎませんけれども、これはどの程度の貿易摩擦緩和につながるか、どの辺の御認識でおられるのか伺いたい。
  243. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 外国からは、今外務省の方からお答えがございましたように、関税それから非関税障壁、弁護士の問題まで数多くの要求が出ておるわけでございまして、それを政府・与党の対外経済対策推進本部でいろいろ論議をした上で、今回その中からアクションプログラムとしてとりあえずこれをやろう、こういうことを決定したわけでございますから、アクションプログラムで取り上げておる項目をまずは完全に実施をすることだ、これは誠実に履行しなければいけないと考えております。  しかし、それではそれで済むのかと言えば、私はそれでは済まないであろう、こういう考え方で、引き続いていろいろな問題について政府としては対応する必要があるだろう。しかし、いずれにせよ今回決めたことだけは誠実にやらなければならぬ。先ほど通産当局からいろいろSマーク、SGマークについて今後どうするんだということについてるるお答えがありましたが、これらも、通産当局事務当局でございますから、将来いろいろな手続を経なければならぬということで慎重な御答弁をしたと思いますけれども、私はやはり国の関与はできるだけ減らして任せるべきものは任せる、それから基準等についてもあるいは規格等についても国際規格に合わしていく、こういう努力を私は引き続いてやらなければならぬ、かように考えております。
  244. 和田一仁

    ○和田(一)委員 長官の御答弁ように、私はぜひこの規制緩和の実効の上がるような内容にしていただかなければいけないと思うのです。  それで、これはもう一つ長官にお聞きしたいのですけれども、最近、いろいろな官主導、お役所主導の、センターという名称が多いのですが、特殊法人が乱立しているような気がするのですよ。これは現象的に、集中してこういうのが出てきたんで非常におもしろい現象だと思うのですが、民間企業から出資を仰いだりあるいは寄附金を募ったりしてセンターとかの機構が生まれているのですね。これが民間活力の発揮のためにというようなことでどうも設立されているのですが、長官はそう思いますか。
  245. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 これは名称には実はかかわらなくて、特殊法人であるとか認可法人ということになるとスクラップ・アンド・ビルドの原則でやっておりますから、絶対にふやさぬということだけは政府としては守らせておるのです。  ただ、新しいものができるのはどうか、こういう御質問でございますが、例えばエレクトロニクスですか通産と郵政、情報通信の関係ですが、これらについてもいろいろ問題がありましたけれども、名称はああいうような形にしてやっていくということで、やはり行政改革観点を忘れないでどこかは必ずスクラップをするということ、そしてそのときの情勢に応じて必要なものは認めていく、こういうやり方でやっておりますから、余りあちこちたくさんできるからおかしいというのは廃止の方が目に立たないからであろう、かように思うわけであります。
  246. 和田一仁

    ○和田(一)委員 どうもそういう現象じゃないかと思うのですよ。特にこうやって見てますと、同じようなものもできているわけですね。これはやはり縦割行政の中で出てきたものじゃないかと思うのですね。  ちょっと例を挙げますと、自治省の関係で地域活性化センター、仕事の内容というのは、地方の特産品や観光情報の提供、民間からは十億拠出金を仰いでいる、地方自治体からは十億、こういうようなことのようですね。農林水産省の関係でふるさと情報センター、これは仕事の内容は特産品や体験交流の情報提供、非常に似ている機構なんですね。これが民活なのか。逆に民間に何か負担をかけておるのではないか。逆ではないかという気がするのですが、どうでしょうか。
  247. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 これはやはりいろいろ御批判を受けるのも、私も率直に言ってある程度やむを得ぬなあという点があるのです。役所の組織をやかましく言うと、下の段階にだんだん下がっていく、こういうことですが、今の御質問の点は公益法人じゃありませんか。(和田(一)委員「はいそうです」と呼ぶ)公益法人だと思いますので、これはそれぞれの所管省で公益目的に合致しているかどうかということで設置をしているもの、かように考えております。
  248. 和田一仁

    ○和田(一)委員 行財政の簡素化が非常に言われ、同時に財政的にも厳しい中で、いろいろな仕事をする場をこういうところに求めているのではないかという気がしておりますので、片一方の方は非常に厳しく制約をされて簡素合理化が始まっても、別の格好でこういう機構ができて、それがまた民活、民活と言いながら逆に民間の負担になるのでは、スクラップ・アンド・ビルドでもこれはビルドの方がまた大きな負担になってしまうのではないか、その点を心配するわけでございまして、そうならないように、各行政は同じ公益法人をつくるにしても、ダブったり民間の活力を阻害することのないような方向でやっていただかなければならぬ、こう思うわけでございます。  大変時間が過ってしまいまして、お忙しい中、建設大臣おいでいただいておるのに大変恐縮でございます。  この法案の中に大変大事な問題として、地代家賃統制令の廃止が含まれております。このことについて大臣お尋ねしたいのでありますが、どうしてこれを今度のこの規制緩和一括法案として一緒にお出しになられたのでしょうか。今度の法案はたくさんの法律関係しておりますが、一本の独立した法律を廃止するというようなものはございません。それだけに所管大臣としてはこれは非常に大事な点だろうと思うのですが、これを一括として出されてきたという意味合いはどういうところにございますか。
  249. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今回のこの一括法案は、今さら私が申し上げる必要もありませんが、行革審答申を受けまして、そして公的規制緩和にかかわる事項である、そういう認識の上に立って、私ども一括法案でぜひ処理していただく、そういう方向が生まれてくることが望ましいという判断をいたしたわけでございます。
  250. 和田一仁

    ○和田(一)委員 この問題は初めて出てきたものではないんで、かつて何回もこの地代家賃統制令については国会で問題になった法案でございますだけに、こういう中に出てきたところが、どうも今の御答弁だけではちょっと納得しかねるのですが、現にこういうことでやっております。それで、私は、今までの経緯を含めながら今回この統制令の廃止がもたらす影響というものをやはり考えないと、これは審議できないと思うのですが、現実に家でいえば九十万戸からの対象家屋がある、こういうことでございますけれども、そういった廃止による影響をどういうふうにごらんになっているか、その辺をお聞かせいただきます。
  251. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 現行の地代家賃統制令は、終戦後の混乱に対応する物価対策の一環として、異常な住宅難、当時の数字、確かだと思いますが、住宅の不足数が四百二十万戸もあったというようなことを背景として制定されたものでございます。現在におきましては住宅総数もかなりのものになっておるし、一世帯当たり一・一戸ということになっておる。あるいは畳数とかいうことからいっても非常に居住水準は向上してきておりますし、状況は大幅に改善されている。それからさらに、低所得者等に対します公営住宅の供給なども、公営住宅法は昭和二十六年にできておりますし、住宅・都市整備公団の前身であります住宅公団法も昭和三十年ということで、そういったものの充実がかなり図られているわけでございます。  統制対象住宅の実態といいますか、それを見てみますと、高齢者や低所得者の方がやや多いということは傾向にございますが、長期間継続して入居しておられるというような実態、あるいは家屋自体が非常に老朽化している、あるいは統制令が廃止された場合でも当事者の借地・借家法上の地位は変わらない、そういったようなことから、我々といたしましては統制令の廃止による影響は比較的少ないというように考えておるわけでございます。
  252. 和田一仁

    ○和田(一)委員 しかし、これだけ続いてきた中で、少ないというものではないと思います。きょうは大変時間が過ぎてしまいまして十分質問しておれませんので、この点については連合審査の機会にまた別の者がお尋ねいたしますが、何といってもやはり、影響が少ないのではなくて、こういった統制令のある中でずっと供給されてきた家に住んでいた人たちに対して、その影響を十分調査し勘案してきちっとした対応がないとこれは大変なことになると思うので、その点だけはひとつ十分御認識をいただきますようにお願いをして、私の質問を終わります。
  253. 中島源太郎

  254. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 初めに、本法案の前提となっております若干の問題についてお尋ねいたします。  その一つは、行革大綱と民間活力論ということです。去る九月二十四日に閣議決定した「当面の行政改革の具体化方策について」の行革大綱は、政府規制緩和による民間活力の発揮、推進などを求めた行革審の「行政改革の推進方策に関する答申」、これは七月二十二日のものです、その答申の前倒し実施の方針を打ち出しております。本法案はその一環をなすものでありますが、そこで言っております民間活力とは一体何か、政府はこれをどういう意味で使っておられるか、まずお伺いします。
  255. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 民間活力とか民活ということは何か、こういう御質問でございますが、これは使う人によっていろいろな使い方をなさっておるようでございます。ただ、七月二十二日に御提出になりました行革審の中での民間活力、これはどういうことかといいますと、一つは民間の事業部門における市場、競争原理の発揮、もう一つは個人生活部門における自立自助原理の推進、三番目が社会集団内部における相互、連帯原理の助長、これによって民間活力が増大をしていく、こういうお考えのようでございますが、政府としてもそういう認識のもとでいろいろと方策を考えておる、こういうことでございます。  ちなみに民間活動の活性化ということを挙げてみますと、具体的には、一つ公的規制緩和、それからいま一つは過度の保護助成の見直し、それから大きな二番日のくくりとして公的事業の民営化、これは民間活動分野の拡大、こういうことになろうかと思いますが、その中身は特殊法人等の民営化、いま一つは公的事業分野への民間の参入、大体こういうことがいわゆる民間活力とか民活、こういう概念の中でとるえられておる具体的な中身でございます。
  256. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その民間活力の発揮、推進という政策路線、これはアメリカ経済の再生をねらってレーガン政権が推進してきました経済再生計画、あるいはイギリス、西ドイツなどEC諸国で広く進められております国営企業の民営化、政府規制緩和、こういうものと共通する潮流をなしていると思います。  我が国における民間活力論は、結局企業の活力を経済発展の原動力と位置づけ、その発揮と推進のための条件整備を求める財界の要望をもとに、主として臨調や行革審を舞台にして具体化され、打ち出されてまいりました。それは自立自助や地域社会における連帯、そういう名で社会保障や文教など国民生活関連部門における行政の責任領域の見直しを行い、それによって生み出される余力を企業活動の活性化に投入する、こういう政策路線を指していると私は見ておりますが、この点についてどのように思われますか。
  257. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 民活ということは、仰せのように欧米各国でもこういった方向での改革が行われておるわけでございますが、我が国もそういった面では同じパターンであろうと思いますけれども、特に我が国の場合は、何といっても明治以来の追いつけ追い越せですか、こういった時代で、本当に民間の活動分野にまで政府あるいは地方団体が手とり足とり今日までやってきたという傾向は諸外国以上に強いのではないか。これでは今日の実態から見ますとかえってそれが鎖になっておる。これはやはり国民経済全体あるいは社会の発展というような上から見てかえってマイナスの要因になっておりはしないのか、こういう観点で、やはりこの際は民活ということを大きく政府政策として取り上げて、民間にこれだけ資本なり人材なり技術なり情報なりの力がついてきておるわけですから、やはり民間のエネルギーを最大限に発揮をする、そういう環境をつくらなければなるまい、そうすることによって本当の意味での活力ある福祉社会とでもいいますか、それを実現をしよう、こういう観点で私どもは取り組んでいるのです。  しかしながら、その取り組む過程において、いろいろな規制緩和をする際にやはり取り残されておる部面がある、それと同時にその過程で大変な痛みを受ける部面がある、こういったような点については、やはり政府としてはそういったことについての最大限の配慮をして、そしてできる限りスムーズな形で経済活性化社会の発展、こういうものに現在の時勢に応じた形で対応していく必要があるだろう、私どもはそういう観点で取り組まさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  258. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 しかし、現実の民間活力の発揮、推進、このスローガンはこれまで国民にいろいろ犠牲を強いてきた、そして財界奉仕の政策路線を行政の全般にわたって全面的に展開することを内外に宣言したものであるというように私は見ております。  次に、本法案のもう一つの前提とされておりますアクションプログラムに関連した問題についてお尋ねします。  中曽根内閣は、貿易摩擦解消のための市場開放を国際国家日本を前進させるための死活的政策一つと位置づけ、去る七月三十日、政府・与党対外経済対策推進本部において、市場アクセス改善のためのアクションプログラムの骨格、これを決定いたしました。本法案は、アクションプログラム実施の第一弾として、この臨時国会の最重要の目玉法案一つとされているのですが、ここで言います国際国家日本とはどういう日本なのか、その対外政策と国内政策の基本をお示し願いたいと思います。
  259. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 この総理の所信表明演説の中で述べられておりますことは、やはり最近の日本の目覚ましい経済発展、つまりは国民生産全体が世界の一割を占めるようになっておる、そうなればやはり国際社会においてそれなりの責任を果たさなければならぬのではないか、その責任の果たし方は、やはり我が国の憲法を踏まえながら、主としては経済面、しかし同時に政治面、文化面等においても役割りを果たす必要があるだろう、また国際的にもそういう期待が我が国にはかかってきておる、こういったことを踏まえながら我が国は我が国なりに自主的な立場でこれに対応していこう、そうすることによって結局それは国際社会全体の平和と繁栄を維持するということになりはしないか、こういう観点で述べられておるのが総理の所信表明であろう、かように私は理解をしておるわけでございます。  そこで、私どもとしては、対外的には外交、経済協力等諸般の分野で最大限の努力を傾けることはもとよりでございます。そして同時に、経済面では自由貿易体制の維持強化を主眼とした施策を講じていこう、世界的な縮小再生産につながるような保護貿易主義はあらゆる努力を傾注して排除していこう、これが一つでございます。  国内的に見ますと、先ほどお答えしましたように、本当の意味で豊かな社会の実現を目指して、福祉の充実あるいは生活環境の整備、こういった諸施策を着実に実施していかなければならぬ、これがこの内閣の今取り組んでいる基本姿勢でございます。
  260. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 臨調や行革審は、国際国家日本についてその基本的方向やそのために果たすべき任務、課題などを一連答申、意見などで明らかにしております。臨調は、行政が目指すべき基本方向の一つとして国際社会に対する積極的貢献を掲げて、安定した国際的政治経済秩序を形成するため、日米安保体制の強化を前提として、政治、経済、文化の全面にわたって西側一員としての役割を能動的に分担する方向を打ち出し、軍事や外交、経済協力などの行政分野は本来的に行政の責任領域に属するなどと言って、一層拡充せよ、こう迫っております。行革審も、こうした政策方向をグローバルな総合安全保障の見地から一層推進すべきであるなどと要求しております。政府が言われる国際国家日本とは、この臨調や行革審が掲げたものと基本的に同じものであろうと思いますが、その点、違うとすればどこが違うかお尋ねします。
  261. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今柴田さん、臨調とか行革審はこういうことを述べておるがそれは政府の方針とどうなんだ、こういう御質問ようでございますが、私は、基本的認識においては、政府は第二臨調のお考えと同じ認識のもとに立って諸般の施策を進めていこう、こういう立場でございます。
  262. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次は経企庁の方に伺います。  臨調や行革審が打ち出し、中曽根総理がしばしば口にされます国際国家日本、国際社会に対する積極的貢献、これは我が国がアメリカの従属的な同盟者として、政治、経済、軍事の全面にわたって西側一員としての役割をより攻勢的に果たしていこうとするものにほかならないと思います。中曽根総理はこれまでこうした見地から、レーガン政権の対日軍拡要求や市場開放要求を進んで受け入れ、いわば譲歩に次ぐ譲歩を重ねてきました。今回のアクションプログラムの決定も、その実行の第一弾と位置づけられた本法案も、結局はアメリカの対日市場開放要求に沿ったものであると思います。  アメリカ政府は、このアクションプログラム決定を前に数十項目に上る要求を盛り込んだ助言的提言、サゼスチョンを突きつけて、一九八五年から二〇〇〇年にわたる長期的展望に立った輸入戦略の設定や基幹産業の構造転換、ライフスタイルの変更、こうした日本社会の構造改革を迫った。これはことしの六月三十日の朝日新聞で報道されたことであります。日本をいわば属国扱いしたこのアメリカの理不尽な要求に、黙って従うという態度は許されることでないと私は考えます。この助言的提言の内容を明らかにするとともに、アメリカの対日市場開放要求の全容を国民の前に明らかにすべきであると思いますが、いかがですか。
  263. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 現在、日本の貿易収支はアメリカとの関係で大変大きな黒字を計上しております。そうした状況を背景といたしまして、アメリカから我が国に対しましていろいろな要請がなされているということは事実でありますけれども、ただいま委員が御指摘になりました二〇〇〇年に至る日本の輸入構造等の変更の要請というようなものは私は承知をしておりません。  いずれにいたしましても、こうした大幅な黒字という状況は、相互依存関係にございます世界経済のもとにおきましては決して永続的なものとして維持できるものではない、こういうふうに考えます。そうした観点から、日本政府といたしましては、自由貿易体制の維持強化、保護貿易主義の防圧ということで、対外不均衡の是正に自主的かつ積極的に取り組もう、こういう観点から、経済の拡大均衡を通じて経済摩擦の解消を目指すためにとった措置が、まず市場開放のためのアクションプログラム、円高の定着を図るための措置、さらには内需拡大、こういう努力でございます。これは我が国のため、世界経済のためにとっている措置でございますし、さらに自主的かつ積極的にとった措置であるということでございまして、他から要求されてそれに従属して対応している、こういう考え方でない点を御理解いただきたいと思います。
  264. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 六月三十日の朝日新聞にはこんなに大きく出ているわけです。これを知らないということはちょっとおかしい。これはちゃんと調べてもらいたいと思います。  この日米経済摩擦の原因を探ってみますと、アメリカの大軍拡、そしてこれがありますから巨大な財政赤字とこれによりますドル高、国内的には我が国大企業の低賃金、長時間超過密労働、下請中小企業への締めつけなどによる非常に強い国際競争力にあるわけです。大企業の集中豪雨的輸出によって生じました貿易摩擦の解消などと言って、国民の暮らしや生命、健康、安全を脅かすようなことは、こうした国民に犠牲を強いるということは本末転倒も甚だしいものだと考えます。貿易摩擦解消と言うのであれば、その根本原因にメスを入れて、所得減税だとか労働時間の短縮だとか国民生活の立場に立った国内市場の拡大策をとるべきであって、これが政府の責任であると思いますが、いかがですか。
  265. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、この巨大な貿易のインバランス、こういった事実は世界経済の相互依存関係のもとで維持できないものである、もしこうした状態が続くならば自由貿易体制の崩壊といったよう事態を招きかねない、こういう観点から、我が国といたしましては、先ほど申しましたような市場開放策、ドル高・円安の是正、さらには内需拡大策を現在自主的に講じている、こういうことでございます。  もちろん、この市場開放策などが万が一にも我が国の一定分野に対して相当な損害を与えるといったときにおきましては、その時点で、当然それに対応した対策がとられるところであると考えます。この点はアクションプログラムの関税編におきまして明確に述べられているところでございまして、私どもとしては、その事態の推移というものを慎重に見きわめながらこれを着実に実施をしていく、こういうことでございまして、事態の推移いかんにかかわらず推進をするといったよう考え方でないことは当然のことであろうと考えております。
  266. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは経企庁は結構です。  次に各論ですが、航空法の一部改正についてお尋ねいたします。  七月二十二日の臨時行政改革推進審議会答申で、公的規制緩和に関し提言がありました。政府は、これを受けて九月二十四日に、「当面の行政改革の具体化方策について」この閣議決定をして、答申指摘された各分野にわたる規制緩和事項について個別にその措置方針を決定した、こう言っております。行革審答申の中に入っていない航空法第六十五条の改正を、個別法としないでこの法案に一括して入れたこの理由を、大臣お答え願いたいと思います。
  267. 西村康雄

    ○西村政府委員 航空法の一部改正は、技術革新が進みまして現在の航空法の規定が実情に合わないということで、著しく合理性を欠いているために、規制の範囲を緩和し、規制方式を変更するというように、今回の改正の一環として行ったものでございます。
  268. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 航空法の六十五条が合理性を欠いている、その問題を本格的に審議するためには、一括法ではなくて個別法としてちゃんと専門の委員会で審議をしなくちゃならない、それをあえてこんなものに入れるということについて私は抗議しているわけです。本当に重要な問題であると思います。一括してほかの二十五法律改正と一緒に審議ができるという性質のものでは決してないわけです。この点はまた後で触れることにいたします。  今回の航空法改正案そのものに関しましてまずお尋ねしたいことは、昭和二十七年に航空法がつくられたときに、第六十五条第二項の航空機関士を乗り組ませることを義務づける航空機、これを二つに分けまして、一つは四基以上の発動機及び三十五トン以上の重量、もう一つは構造上、操縦者だけでは発動機と機体の完全な取り扱いができない航空機、この二つに区別しております。この二つに区別した理由と、後者の場合はどんな飛行機を当時対象にしていたのか、お伺いします。
  269. 大島士郎

    ○大島政府委員 昭和二十七年と申しますと、ピストンエンジンにプロペラのついた飛行機が全盛でございました。そのようなピストンエンジン、プロペラつきの四発の、しかも三十五トンという大型機と申しますのは、当時の現況において操縦操作系統が大変複雑であったこと、それから燃料系統、電気系統等の系統及び指示計器等の数も多いため、「構造上、操縦者だけでは発動機及び機体の完全な取扱ができない航空機」に明らかに該当するものと考えられたことであります。したがいまして、第二号の技術的な判断を待つまでもなく、外形的な要素のみを示して第一号として定めたものと考えております。
  270. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そういう立法趣旨であったということですが、今度の改正の理由として説明しているところを見ますと、最近は、発動機数が多くかつ大型航空機であっても航空機関士の乗り組みを必要としない機材が出現しているので、「発動機数及び航空機の大きさにより一律に規制する方法は合理的でない」、こう言っております。そのような今日の航空機の技術の飛躍的発展の結果、航空機関士の乗り組みを必要とするか否かを発動機数及び重量によって区別する理由は解消したということになるのか。また構造上の問題の中ですべてとらえられるようになったと考えておられるのか。重量の問題は機関士を乗り組ませるかどうかを定める要件にならなくなったということになるのか。このあたりをお伺いします。
  271. 大島士郎

    ○大島政府委員 航空技術の進歩と申しますのは、過去にさかのぼってみましても大変著しい、進歩の速い方の技術分野であろうかと思います。昭和二十七年と申しますと三十年以上も前になりますが、この三十年以上前から今日までの技術の進展、進歩といいますのは、一般産業界も当然でありますが、航空界にありましては、プロペラ機からジェット機にかわり、またジェット機の中も、電子技術の進歩あるいは最近は特にコンピューター制御システムの導入等によりまして、昭和二十七年当時では想像もつかないような技術変革化がなされているのは事実でございます。  こういった点から、現在、法六十五条第二項第一号に規定しております航空機を外形的な要素から決めるということは技術的合理性を欠くようになった、こういう判断をいたしまして、第二号の、すべての飛行機についてその飛行機の特性を見つつ、機種別に技術審査を行いまして、機種ごとに航空機関士の乗り組みの必要の可否を判断しようということでございます。したがいまして、安全性については一号を削除することによって失われるものではないというように判断しております。
  272. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今の答弁にもいろいろと問題があると思いますが、アクションプログラム関係でいいますと、大型航空機であっても機関士の乗り組みを必要としない機材の製造国から、航空法第六十五条の規定が非関税障壁となっている旨の苦情があった、そこでアクションプログラムの中に入れた、それを法案で具体化した、こういうことになるわけですが、現実にどういう飛行機材が現在障壁の対象になっているのですか。
  273. 大島士郎

    ○大島政府委員 先ほどまでお答え申し上げましたのは航空技術の進歩の背景の現況でございまして、それでは具体的な航空機がどうであるかと申しますと、ごく最近になりまして、三十五トン以上、四発のジェット機でございますが、こういうものが二人の操縦で安全に運航できるという製造国の証明を得て出現いたしました。具体的には英国の航空機メーカーが製造しておりますBAe146型機のタイプのうち、幾つかございますが、例えばBAe146-200型と申しますのは、発動機四基、最大離陸重量三十七トン、乗客数百八人ということでありますが、操縦士二人のみで安全に運航ができる。飛行機の特性といたしましては、滑走路長が短くても離陸でき、低騒音、経済性の点ですぐれておると言われておりまして、既に世界の各国で就航しているところでございます。このBAe146につきまして、本年五月下旬に英国の大使館の方から、航空法六十五条の現在の規定は我が国においての販売に支障を来しているというような苦情が寄せられております。
  274. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 安全であると言われましたが、恐らくカタログを見て安全だと言っているのであって、運輸省として安全を検証したことがありますか。
  275. 大島士郎

    ○大島政府委員 導入前でございますので、これについて具体的に審査したことはございませんが、この航空機は英国政府の耐空性に関する証明を得ているものでございます。
  276. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、この航空機を日本では今購入を予定しているという会社があるのですか。それを……。
  277. 大島士郎

    ○大島政府委員 この航空機につきましては、主として日本で現在使われているターボプロップ機のYS11型機の後継機といたしまして、我が国の航空会社に対して売り込みを図ったようでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、航空法六十五条の制約があるため、導入の検討以前の問題として航空会社との話題に上らない、こういうことをメーカーが申している、我々はそう聞いております。
  278. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、まだ買いたいという考えも日本では出てきていない。  それから、ボーイング747型機で、機関士が乗り込まなくてもよい飛行機の開発が計画されている。これはいろいろな本でも読むし、またその筋の人から話も聞きますが、この開発計画、このことについては運輸省は事実を把握しておりますか。
  279. 大島士郎

    ○大島政府委員 ボーイング社が従来から生産しておりますジャンボジェット747型の発展型といたしまして、最新技術、特に電子技術あるいはコンピューター技術、こういうものの導入を図りまして、二人で操縦できるジャンボジェットを開発するということは既に報ぜられておりまして、この十月にはアメリカのノースウェスト航空が当該機を十機発注したことを契機にいたしましてボーイング社が開発することを決定した、こういう報道は得ております。このノースウェスト航空が発注した十機については二人で操縦できるタイプであるということは報ぜられておりますが、この設計の詳細につきましては私どもはまだ把握してないという段階でございます。
  280. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、さっきのBAe146型機の購入も日本では具体化されていない、それから747型二人乗務の飛行機の開発計画、これも今の話を裏から見ればまだ発注というような段階には至っていない。そういう段階でこの法律改正をする。これは結局は政府が、航空会社の要求だとかアメリカの要求がこれから出てくるであろうということを考えて、大型機も二人乗務の飛行機を購入する、このことをむしろこの法律改正によって進める、政府主導でそういう役割を果たそうとするのが今度の航空法の改悪だ、こう言わざるを得ないと思うのです。これは、あの八月十二日の悲惨な航空事故ということから考えたならば、こういうことから本当に教訓を得ようとするものではない。みずから安全を確かめないものを、法律改正することによって購入ができるような、どんどん二人乗りの大型機が入ってくるようにする、そういうことを政府が先導する、こういうことはまさに危険きわまりないものであるというふうに考えます。このことを指摘しておきます。  現在、我が国で就航しております大型航空機B767、これは二人乗務ということになっております。そういう構造になっているわけです。法律上は航空機関士を乗せる義務がない飛行機。これは発動機が二基であるというからです。しかし、乗客数というのは二百三十六人、最大離陸重量は実に百二十七トンという大型機であるわけです。これを操縦士と副操縦士の二名編成で運航する。一体これでよいのか。航空機関士を乗せる必要がある、これは運航に従事する人たちが本当にみんな切に要求している声であるわけです。  三名編成型のB767型機もあるわけですが、このB767を運航するについて三名編成でやっているところが世界じゅうにあるか。三名編成、あるいは先ほどもちょっと出ましたけれども、四名編成というものを世界じゅうではどこがやっているか、お尋ねしたいと思います。  そしてまた、二人で操繰できるというものをなぜ三名、四名でやっているのか、その理由もあわせてお伺いします。
  281. 大島士郎

    ○大島政府委員 ボーイング767型機と申しますのは非常に最近の設計の飛行機でありまして、設計の中にコンピューター制御技術等が多く取り入れられている航空機でございます。双発であることもありまして、二人の操縦で安全性が証明されておるわけでございます。  現在、767型機はボーイングで生産中で、売れ行きも伸びている機体でございますが、昭和六十年十一月二十日現在で私ども調べたところでは、世界で百二十七機就航しております。これを国別にいたしますと十三カ国になりますし、また、航空会社としては十九の航空会社が使用しております。ほとんどの機体が二人乗務の機体でございますが、そのうち一社、オーストラリアのアンセット航空というところだけが三名、航空機関士を乗せる席を特別に設けた仕様で五機購入し、現在就航させております。この理由については、航空会社のそれぞれの方針によるものと私どもは理解しておるところでございます。
  282. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 航空会社がなぜその方針を立てたのか、そこが重点なのです。  このB767の新技術のコンピューターが飛行機のコンディションをモニターしているので、乗員によるモニターは必要がない、すなわち航空機関士は乗務する必要がない、こう言って説明するわけですけれども、実際にB767を二人編成で乗務している機長の人から私は直接話を聞いたのですが、政府や会社などが説明するようなものでは決してないわけです。例えばエンジンの回転に異常が発生し最高限界を超えてしまった場合、ブラウン管の回転映像は赤い警報色に変化し、乗員にオーバースピードであることを知らせるということですが、このようになる前にコンピューターが教えてくれればいいのですけれども、これはコンピューターではできないのです。手おくれになる前に早期に発見し、早期に処置し、故障があっても被害を最小限に食いとめることが必要であります。コンピューターでは航空機関士のやるべきすべての仕事に取ってかわることはできない、これが乗務をしている機長から聞いた話の一部であるわけです。  要するに、コンピューターというのは限界値になって初めて知らせる。継続的にモニターするわけではありません。機関士がチェックできたものを、機関士がいなければチェックができない。要するに早目の発見ができないということになります。運輸省、こういう点はちゃんとつかんでおりますか。
  283. 大島士郎

    ○大島政府委員 ボーイング767型機はもともと双発でありますから、ほかの双発の航空機に航空機関士が乗っていないということを考えますと、767に航空機関士が乗っていないということは特に不思議ではないかと思います。  ただいま御指摘ようなパイロットのコメントでございますが、一般的にパイロットの意見としては、767は今まで操縦してきた飛行機より大変扱いやすい、こういうような評判を私どもは得ているところでございます。
  284. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そういう認識だから、二人乗りの飛行機で一人分の費用を浮かせよう、一機で航空機関士が何人がおりますから、そうしたものを浮かせよう、こういうことを助長することになるわけです。  それでは、航空機関士はどんな仕事をやるのであるか、ひとつ具体的に話していただきたいと思います。
  285. 大島士郎

    ○大島政府委員 航空機関士の主たる業務といたしましては、出発前の機体あるいは電気関係のスイッチ類等の点検がございます。それから飛行機が離陸した後の、一般的に言いますと客室高度のチェックあるいは調整、燃料系統あるいは油圧系統の調整、監視、こういったことが主たる業務であろうかと思います。
  286. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その航空機関士がやる仕事を、全部機械で取ってかわれるものでありますか。
  287. 大島士郎

    ○大島政府委員 まず機体の設計の方を工夫いたしまして、計器のモニター等をコンピューターでやらせて警報を出すというようなことと、いろいろなシステムを簡素化するあるいは計器の量を少なくすることで全体の作業量を減らしまして、これを二人で分担するような技術が可能になった、こういうことかと思います。  個々の航空機について詳しく検討したわけではございませんが、私どもの技術的観測で申しますと、例えばボーイングの新しいジャンボジェットというのは、そのような技術を応用して二人乗りにすることが可能になっている、このように聞いております。
  288. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 コンピューターが間違うことがあるというのはもう常識であるわけです。神戸の元町電話局のコンピューターの故障で八時間半も電話が不通になった事例なんか有名ですが、こういうこと以外にもいろいろな間違いが起きます。その間違いを人間が直す、こういう事例もたくさんありますし、飛行機においてもそれがたくさんあるわけです。  十一月十九日の朝日新聞の夕刊で「日航機 あわや軍用空港着陸」こう報道されたわけです。これを調べてもらいたいと言っておきましたが、これは事実かどうかお伺いいたします。
  289. 大島士郎

    ○大島政府委員 朝日新聞の十一月十九日の夕刊にありました報道について調べましたところ、本年の一月八日に、日本航空七九五便、成田発長崎経由の上海行きDC8型機が、上海空港に進入中起こしたものということがわかっております。  その概要については、多少事実にわたる面でございますが、当該機はナヌイ、これは航行保安施設の標識名でございますけれども、ナヌイVORから機首を西北西にとって飛行し、ILS、計器着陸装置の電波を受信した時点で上海北方へ変針し、空港の滑走路三六へILS進入を行う方式を予定していたところ、当該機は当時、先ほどのナヌイVOR、全方向式電波航法施設でございますけれども、これを通過直後にILSの電波を受けたので、その電波に従って北方に変針を開始したが、この地点は正規のILSコースよりはるか手前であると気がつき、航空無線施設を用いて位置を確認したところ、位置のずれが判明した。これはILSの疑似信号、地上から出た信号でございますが、この疑似信号を受信したものと判断し、たまたま地表が視認でき、空港まで有視界で飛行できることが確実になったため、ILS進入から視認進入方式に変更し、滑走路三六へ着陸した。  着陸後、日本航空上海空港支店より空港当局へ、本事例について報告するとともに、改善方要望を行った。また、日本航空としましては、社内航空路誌にこういう事実があるということを記載し、運航関係者に注意を喚起したということになっております。  また、調べましたところ、当該機の後続便であります中国民航機も同一地点で疑似信号を受信したということでございまして、これは地上からの電波の異常によるものと理解しております。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  290. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、地上の電波も精密な機械であるわけですけれども、それが間違った、それを操縦する人が正したということであるわけです。そういう点で、人間、運航従事者の仕事は非常に重大であるわけです。  日本航空の乗員組合の方に、航空従事者に対して「三名編成であったがゆえに助かったり有効なアドバイスのできた経験がありますか。」というアンケートをとったのをお聞きしました。その中で、回答しない人は一〇・七%、そういうことはないと答えたのはわずかに五・八%、残り八三・五%はあると答えています。管制許可の間違いを指摘されたとかチェックリストの項目で実際は忘れているのを指摘された、こういうことがたくさんあります。事例を異にするものが三十七項目出されております。  うち、航空機関士が関与したものを挙げますと、「積乱雲が飛行場の上空にあり、航法慣性装置により風の変化指摘してもらった。これがないと、日本アジア航空の沖縄事故の二の舞を演ずるところであった。」こういうのがあります。この日本アジア航空の沖縄事故というのはどういうものであったか、お伺いします。
  291. 大島士郎

    ○大島政府委員 ちょっと日にちは忘れましたが、日本アジア航空機が那覇空港に進入中、天候が大変悪い状況で、シャワーと申しますか強い雨の中を進入しておりまして、たしかコーパイロットが操縦桿を握っていたかと思いますけれども、このコーパイロットが進入を続けておる中で、滑走路の視認が大変困難な状況でございました。そこで、進入の最終段階においてキャプテンが操縦桿をとりまして、なおかつ、ゴーアラウンドという着陸復行、着陸をやり直そうかと試みたところが、この時期が多少おくれて進入灯を壊して、たしか機体の一部も壊したと思いますけれども、着陸復行し次の着陸で安全におりた、こういうような事故だったように記憶しております。
  292. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 要するに瞬時の情報を把握することが必要であるわけです。パイロットが感じてからではもう遅いということを示しているわけで、このときに風の変化を航空機関士が指摘しなかったらまたこれと同じような事故になったというおそれがありますし、三人乗りであったからこそ事故が回避できた事例だと思います。  それから、悪天候時に航空機関士が会社との無線連絡を一手に引き受けてくれた事例もあります。悪天候時になりますと、二人の操縦士は操縦を本当に間違いないようにするために全神経を集中しているわけですが、そのときに機関士が会社との無線連絡を一手に引き受けたという事例であるわけです。会社との連絡を操縦士二人ができないような悪天候のときに、会社との連絡をしないまま運航したらどういうことになりますか。
  293. 大島士郎

    ○大島政府委員 双発のジェット機は航空機関士が乗っていない飛行機が多いわけでございます。DC9とかボーイング737の場合には、操縦士二人で会社あるいは管制機関とのコミュニケーションを十分に保ちつつ、安全に着陸しているのが現況かと思います。
  294. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 二人乗りでやっていてまだ事故が起きていないということを盛んに言うわけですけれども、これは飛行機ですから、事故に至らないまでも、極めて危険な状況の中で飛ばされているのが現状でありますし、私が挙げている例は、三人乗りであって航空機関士がやってくれたから本当に助かったのではないかという事例を言っているわけです。  そのほかに、悪天候時、特にその離着陸のときには、航空機関士の存在が非常に重要になります。そのアンケートに出ております機長の経験によると、「油圧系統の故障時の各種操作のために航空機関士に助けてもらった。」と言っておりますし、別の機長は「気象状態が悪く、空中待機から、目的飛行場から他の飛行場に向うとき」こういうのは私たちも経験するわけですけれども、そういうときに「航空機関士の働きがすばらしく頼りになった」、こう言っております。また別な機長は、「緊急事態において操縦に専念できた」、こう言っております。またこんな事例もあります。「フラップ20で離陸するのに、チェックリストの段階で10になっていて、パイロットが二人とも1010グリーンライト・アンド・チェックと答え、20で離陸するのに気付いていないのを航空機関士がアドバイスした」、こういうわけです。こういう場合は航空機関士がいなかったら完全に事故につながっていたんじゃないか。  こんな事例が要するに三十七項目出てきております。計器飛行において、二人よりも三人が安全を保障するためには必要であることは、こういう具体的な事実からはっきりしているではありませんか。  運輸省の方は盛んに、二人乗りでもとこう言いますけれども、二人乗りでやっているジャンボのこの実態をよく調べてもらいたいと思います。三人いることによって救われるということは、こうした事例からたくさん見ることができるわけであります。先ほどのオーストラリアの三人編成の767型は四人乗務しているわけですけれども、この飛行機が一回も事故を起こしたことがない。こういうことから見ますと、この乗務員を減らすということは、本当に事故を防ぐという態度では絶対ないというように考えるわけであります。  それから、科学が発達した、そうすると航空機関士はいわば過剰乗員と考える考え方があります。この法律案がその提案理由において「時代変化等に伴って不要ないし過剰あるいは不合理となっている規制を是正する」、こう言っております。しかし、航空機の安全ということにおいては安全の過剰ということはあり得ないと思うわけであります。B737機を三人乗務で運転していた機長が、二人で運航できるかと問われればイエスと答える、しかしいつもできるかと聞かれたらノーと答える、こういう言葉があるわけですけれども、これはジャンボ機を操縦する機長の偽らざる心境だと思います。二人の乗員にする、航空機関士を乗せないようにする、これは安全を保つ上において、その点で過剰であるというように考えていらっしゃるのですか。
  295. 大島士郎

    ○大島政府委員 ただいまのお答えの前に、先ほど先生御指摘になられましたいろいろな例について一言お答えいたしたいと思うのでございます。  先ほど先生が指摘された例では、いずれもその航空機が航空機関士がいないと完全に取り扱いができないと認定された航空機でございますので、航空機関士がいるということはまさに安全運航に必要なことでございます。  また、パイロットのミス等を航空機関士が発見して未然に防いだというような事例も幾つか私どもも承知しておりますが、これはまず第一に、航空機関士が発見するより前に、そのようなミスをパイロットが犯さないように、コックピットの緊張感でありますとか、あるいは確実に規定を守って忠実な取り扱いをする、こういうことがまず第一ではないかと私ども思いまして、日ごろからそのようなことに腐心しているところでございます。  それから三人乗務を二人にする、これは過剰かどうかということでございますが、二人操縦の航空機が出ます場合には、製造国政府においてまず二人の操縦で安全かどうか厳密に審査いたしまして、安全証明が出されるわけでございます。我が国でもそれをもとにいたしまして、六十五条第二項の審査を行う、こういうことでございまして、決して過剰か過剰でないかというふうな観点から審査するということではございません。
  296. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今まで航空機事故が起きていますけれども、パイロットのミスもあるでしょうが、第二、第三の安全対策を講じるということが何といっても必要であるわけです。事故は絶対に許せないのです。最近の旅客機、これは自動化された操縦や航法システムが特徴となっております。フライト・マネジメント・システム、イナーシャル・ナビゲーション・システム、それから地表接近警報装置などが加わっております。かつての自動化というのはパイロットの手助けが目的でございました。ところが、こうしたシステムが独自の判断をし、操縦操作の代行をするようになりますと、パイロットの方は運転の主体性を失いがちになります。  その事例が一九七二年十二月のフロリダ州マイアミ空港でのトライスター機の墜落事故だと言われております。この事故は、着陸のために主車輪を出しましたが、ロックを示すグリーンライトが点灯しなかった、機長が自動操縦を二千フィート維持にセットした上で故障の原因を調べているうちに、乗員全員が夢中になって自動操縦のスイッチが切れたのに気づかない、そして滑走路の手前で墜落し、八十九人の死者を出したという痛ましい事故であるわけです。だれ一人として機械の監視役に立ち戻ろうとしなかったと言われております。これが問題であるわけです。コンピューターはトータルで危険な指示を出しますし、操作も開始します。コンピューターの指示、操作の適否をパイロットが判断しなければなりません。故障が生じた場合にパイロットはなおさら操縦に熱中しなければならないものであります。航空機関士の仕事はこういう場合にいよいよ必要になってまいります。悪天候やその他飛行条件の悪化が加わる、あるいは具体的な事例がありましたけれども機長の機能喪失、こういうことまで加わってまいりますと、航空機関士の仕事はいよいよ必要になってまいります。  こういうことを想定した場合でも航空機関士を乗せないで運航する、こういう方向にこれから航空界は進んでいいのでしょうか。オーストラリアの四人編成、二人のところを四人でやっている、こういうやり方との比較においてどのように考えますか。
  297. 大島士郎

    ○大島政府委員 私どもは、個々の航空機が開発された場合にそれについて厳密に審査した上で、二人で安全運航ができるという認定ができました場合には、二人で運航することは差し支えないと考えております。
  298. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 B767型機は、今全日空や日本航空で二人編成で運航しております。しているというよりは、させられているというのが実態です。この二人編成乗務の安全性について、安全の検証が行われなければならないと思います。一昨日の質問でも出ましたが、公開緊急脱出についてキャビンクルー六名、乗客二百五十五名で行ったが、一回目は九十秒のオーバーであった。それを、我が航空会社はそのテストに立ち会ってもいないし、みずから公開緊急脱出テストをやる考えもない、こう言っております。こういうことを日本航空の会社がちゃんと言っているわけです。B767につきまして公開脱出テストをみずからやろうとしないし、あのしりもち事故を起こして、その修理でボーイング社が大丈夫だ、安全だと言えばそれで安全だと言う。アメリカ連邦航空局がこの機体に型式証明を与えている、それでいいのだろうか。企業というもの、そしてまた、これを監督する運輸省みずから十分な安全検証を行わず就航させているというのが現実であるわけです。一二三便の事故の反省を幾ら口で言っても、こうしたものについて安全の検証をみずから行わない、十分な検証をやらないということであってはならないと思いますが、どういう考えか。航空会社などが大丈夫だと言っておりますけれども、本来大丈夫だと言う根拠となるのは、安全の検証を十分にやってそれで大丈夫だということでなくてはならない。安全の検証を何もしないで大丈夫だというのは全く筋違いだと思うわけです。所見を伺います。
  299. 大島士郎

    ○大島政府委員 航空機メーカーは安全だというような簡単な言葉で申すわけではございません。航空機の設計基準、安全性基準というのは非常に多岐多項目にわたっているものでありますが、それを立証して安全であることを証明する責任が航空機メーカーにございまして、これを監督官庁である国が審査しまして証明を出す、こういう大変複雑な長い過程を経た上で航空機の安全性が証明されるものでございまして、これまでの航空機の安全性から見ましてこの方式が健全なものだと私どもは判断しておるわけでございます。
  300. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いろいろと答弁を聞いておっても一つも安心できない。これは極めて重大な問題であるわけです。  そこで、この航空法改正につきまして運輸省では関係者の意見をどの程度聞いたのか。こういう改正をしていいだろうか、あるいは一号の方を現在の状況に合わせてどのように変えたらいいだろうか、そういう問題について意見を聞いたのか、それとも政府の判断だけでやったのか、お伺いします。
  301. 大島士郎

    ○大島政府委員 これは先ほどもお答えした中で、一号と二号の規定がございまして、一号の外形的要素と二号の各機種別の技術審査を主体とする項目、この二つのうち外形的要素の方を削除いたしまして、すべての飛行機を機種ごと、その航空機の特性に応じて技術審査をするということでございますので、安全性が低下するということにはならないと私ども判断しております。  なお、これに対していろいろ意見を寄せてきている団体もございますが、そういうところには法改正趣旨について理解を求めているところでございます。
  302. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 意見を聞いたような聞かないようなどっちともわからぬよう答弁でありますが、これは本当にまじめに意見を聞いてはいないと思うのです。  というのは、特に一番聞かなければならないのは、現にB767のように二人で運航に従事している人、あるいはジャンボに運航従事していて三人でやっているのをこれから二人にされようとするもの、そうした人の経験、こうしたものを本当に聞かなければならないと思うのです。会社側の意見あるいはアメリカの意見、これだけじゃ本当に意見を聞いたことになりません。意見が寄せられている、そして理解を求めるようにしている、こういうことだけれども、本当に運航に従事している人が、二人乗りで今より危険にはならないというようなところまで納得する対話をする、そういうことの上で法律改正という問題が出てこなければならないというのがこの航空法の問題だというように考えるわけです。  そういう点から、現に運航しているパイロット、航空機関士、副操縦士、そうした人たちの意見を聞きおくだけで、その人たちの納得、合意、そうしたものを得ないでこのよう法律を出してくる。これはもう日航の事故に対する反省がないということを示している証拠だと思うのです。要するに企業の利益よりも安全、このことを優先しなければなりませんし、投資においてもやはり安全ということに最大の投資をしなければならないと思うわけです。そういう関係者の意見も聞かないでこのよう航空法改正を出してくる。こういう法律は撤回して、意見を聞いた上で法律をつくり直すべきであると思いますが、どうですか。
  303. 大島士郎

    ○大島政府委員 先ほども申し上げましたが、二つの規定のうちの一つ、外形的な要素によって航空機関士の乗り組みを義務づけている規定を外すことによりまして、各航空機は個別の技術審査を受けることになりますので、私ども安全上の低下は起こらないということでございます。技術の進歩によりまして、それに応じた法規の改正が必要だと判断したものでございます。
  304. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ではちょっと別なことを言いますが、私も国会に来まして十年近くになります。しかし、私が航空問題を国会で取り上げたのはきょうが初めてです。その私が見ても、この改正案というのは大変な問題を含んでいるというふうに思います。これは内閣委員会で審議する問題でなくて、運輸委員会、ちゃんと専門の常任委員会があるのですから、ここで十分な質疑と、そしてまた関係者を参考人に呼ぶ、公聴会を開く、もう本当に徹底した審議を尽くしてやらなければならない問題だ。特に今日の状況はそれを要求していると思うわけです。それをこの内閣委員会で、旅館業あるいは公衆浴場営業の承継の事務の簡素化、こんなものと一緒にして審議をする、これは大間違いだと思うのです。少なくとも分離して出し直すべきだと考えますが、大臣、この航空法改正案に関しては、専門委員会でない内閣委員会で、この問題の審議だけから見れば本当に短い時間になるわけですけれども、短時間で審議を終わらせてよいものか、本来の運輸委員会で審議をすべきものじゃないか、出し直すべきだということについて大臣の所見を伺います。
  305. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほどから、相当な時間を割いてのこの安全性その他についての議論を私も傾聴いたしておりまして、そもそも商業機の目標というものは何かというと、まずより安全で、より早く着く、しかもより経済的でなければいかぬということであろうかと思います。したがって、ただいたずらに安全性だけを追求して、ほかのはないがしろにしていいということでもございません。  しかも今日、先ほど話がございましたように日進月歩でございまして、航空法が制定されました昭和二十七年当時の飛行機は、ここに一覧表がございますけれども、現在もう既に国内で全く使われておらない。それぐらい飛行機というものは変遷が激しいのでございます。したがって、その都度安全性を見直していかなければなりません。  それでは、先ほどお話がございましたように、一体どこまで安全性をやるかということになりますと、私先ほど運輸委員会で申し上げてきたのでございますけれども、先般の八月十二日の事故の後におきましても、隔壁部分等については……(発言する者あり)ちょっとお聞きくださいよ。隔壁部分等については、六十数機の同じ型の日本の飛行機は全部運輸省が解体点検をさせたんです。NCA、日本貨物航空がこういう飛行機を入れて間もなくでございました。新しい飛行機なんです。それすらやっぱり分解した。  それをやらなきゃいかぬということになりますと、例えばアメリカあるいはフランスから新しい飛行機を買ってくる。そうしますと、この前みたいなリベットのあれによって事故が起きるから、万が一、新しい飛行機もどこか欠陥があるか、こういうことになると、新しい買ってきたばかりの飛行機を全部ばらして点検しなければならぬ。突き詰めていくとそこまでいくのではないか。そういうことになりますと、一体どこまで安全性というものは点検すべきかという、技術上にいろいろとまた論争も起きてくると私は思いますが、そのためにメーカーがもうこれこれ、これだけやれば十分よというならば、さらにそれからいろいろなテストを重ねた上でやるならば、私はもうそれでいいんじゃないかと思うのです。  話がございましたように、日進月歩で将来は無人飛行機が飛ぶかもしれない。現在、あの神戸で、見てごらんなさい、ポートライナーという、まさに十年前からすれば驚異的な電車があそこに走っている。あるいは何万トンという船でも、もうここ数年で機関士は一人もいない運航時代がやってくるということでございますから、そういうときにおいて、適宜法律見直していくということは私はどこが悪いだろうかと思うのでございます。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕  ただ問題は、一括法でやるかどうかということでございますけれども、それはいろいろ御意見があると思うのでございますが、簡素合理化という面から一括にしておるのでございますから、私が今御説明申し上げたよう立場からするならば、たった一条でしたか、一項目の改正ですかるね。簡素合理化という面から見るならば、これは一括して審議するのが当然だろうというふうに私は理解しておるわけでございます。
  306. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これは一条であっても重大な問題なんです。大臣、そんなこと言っていると、今度二人乗りにして、その飛行機が事故を起こして、あのときあと一人おればよかった、こんな事故が起きたらどうしますか。  そういうことであるならば、今度は少し一般論で原則論に戻ってやりましょう。  この多数の法律の手直しを一本の法律で処理する一括処理方式、これは議会制民主主義を形骸化し、じゅうりんするものだ、こう言ってこれまで国会でもたびたび問題になってまいりました。それにもかかわらず、今回またもや一括処理法案の提出を強行してまいりました。  今回の法案に盛り込まれた事項は四十二事項関係法律は二十六本、所管省庁は八省に及んでおります。しかも、その多くが国民の生命と健康、安全を直接脅かす重大な内容をはらんでおります。国民の血の出るような要求や闘いを反映し、国会関係委員会が審議を尽くして制度化してきた各種公的規制を、所管委員会での審議を省いて一括処理するなどという法案提出のやり方は、日本の議会制民主主義に反するものであって、私は断じて許せないと思います。国会でこれまでたびたび問題になってきたにもかかわらず、今回またあえて一括処理法案を出すというのは一体どういうことか。反省の跡が全く見当たらない。  長官、こうしたやり方は反省する必要はない、今後もこうした方法をとる、こういうお考えでいらっしゃるかどうか、お尋ねします。
  307. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今回のこの規制緩和法律案は、行革審答申を受けて、政府の責任で公的規制緩和という統一的な政策のもとに取りまとめをしたわけでございます。この考え方に従って、趣旨、目的が同じであるということなんです。趣旨、目的が同じであれば、私は一括しても別段国会軽視ということにはならぬ。私ども国会の審議権というのは最大限にこれを尊重しなければならぬ立場なんですから、そんな大それたことを私どもは全く考えておりません。  また、過去の例を見ましても既に十一回、こういった立法形式はあるわけでございますし、同時にまた、この問題については五十六年でしたか、法制局長官からも、こういった扱いをするのはこういう基準であるといった国会での政府の見解も述べておって、その国会での政府が述べた見解に従って、政府としては今回の法律案も十分検討した上で国会に提案をしたものでございますから、ここらはぜひひとつ御理解をしていただきたい、かように思います。
  308. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 長官は今行革審答申の中にあると言われましたが、航空機の問題はありますか。
  309. 竹村晟

    ○竹村政府委員 行革審答申は、対外経済関係に触れております。それを受けまして、今度の行革大綱で「輸入関連」として明らかにそれを入れております。
  310. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 行革審答申航空法六十五条の改正、何て書いてありますか。
  311. 竹村晟

    ○竹村政府委員 先ほど申し上げましたように、行革審答申は、一般的に対外経済関係で入れている。文章を読みますと、「政府は、開かれた日本の実現を目指して、「原則自由・例外制限」という基本原則の下にこういう前書きでありまして、「当面、市場アクセスの改善等の実効ある市場開放施策を策定し、速やかに実行に移す必要がある。」こういう答申をしております。
  312. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 飛行機のことは何も言ってないじゃないですか。中曽根内閣の議会制民主主義じゅうりん、これは政治手法がそうなっていると思います。行政府の一審議機関でしかない臨調や行革審などを事実上の国権の最高機関扱いして、国策の根幹を決定するこの臨調方式。それから、出席者の意見表明だけにとどめるべき私的諮問機関に大量の側近、ブレーンを送り込んで報告をまとめさせる。そして、これをよりどころにして各分野の基本方向を決定する私的諮問機関政治ともいうべきもの、あるいはブレーン政治ともいうべきもの。これは一括処理方式とともに政治手法の主要な構成要素になっております。こうした政治手法というのは、国会を国権の最高機関と明記した現行憲法の趣旨から見て重大な問題があります。私的諮問機関に報告を提出させるという運営は国家行政組織法上も問題がありますし、総務庁の指導方向にも逆行するものであるわけです。長官もこうした政治手法は妥当だというふうに考えていらっしゃるのですか。
  313. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 政府がいろいろ政策決定をしたり、あるいは行政運営上の重要なことについて、役人だけの、役所の窓からだけ見て政策立案とかそういうことは、私はやはり必ずしも全部が適切だとは思わない。やはり広い視野から、各界各層の専門的な知識、経験等のある人の意見を聞きながら、それを受けて政府の責任で案をまとめていくというのが私はむしろいいのじゃないか、こう思っているのです。  ただそのやり方が、柴田さんの御意見であれば、中曽根政治手法けしからぬ、これは議会の軽視である、こういう御意見でございますけれども、これは日本はもちろん議会制民主主義の国でございますから、政府の責任でまとめた上で、これは国会の慎重な御審議を経て、そして立法すべきものは立法するし、予算措置すべきものは予算措置をしておるつもりでございますから、決して私は国会軽視なんという気持ちは全くこれはさらさらありませんから。  そこで、よく問題になるのは、諮問機関の乱用じゃないか、こういうことでございますが、八条機関の方は、これはその意見を尊重して政府としての責任でこれを取りまとめていく、こうなっておりますね。行革審は、これは御案内のように八条機関でございます。もう一つはいわゆる私的懇談会、これはどうだ、こういうことでございますが、この点は、これはしばしばお答えしておりますように、機関意思の決定をして公の権威をもって表明せられるものではなくて、個々それぞれの委員の方が意見をお述べになる、それを政府としては参考にして政府としての方針を決める、こういうことでございますから、その間にはいささかの混同もしないつもりでございます。これは厳しく私の方からも何回も閣議でも発言をしておりますし、各省みんなそれを守ってくれておるもの、かように考えるわけでございます。  いずれにしても、これは政府政策なり行政方針なりを決める前の段階の措置でございまして、それを受けて政府が方針を政府の責任で決めて、これは民主的手続でやっているのですから決して議会軽視ではない、かように考えるわけでございます。
  314. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 中曽根内閣の大黒柱の長官ですから、ちょっと中曽根政治批判はできないと思いますけれども委員長、今度は議会人として委員長にお伺いしたいのですが、国会で審議をして決定すべき国の進路や各分野政策の基本方向を、審議会や私的諮問機関を使って決定する。実際上自民党が多数ですからここで決定するわけですけれども、この問題の多数の法律の手直しを一本の法案で処理して、本来審議すべきところで審議しない。国会審議を事実上一本化して制約する。運輸委員会なんというのは、連合審査をやっても各党何十分しかやれないようなそういうやり方。こうした議会制民主主義をないがしろにする政治手法。これについて委員長、議会人として妥当だと思われますか。
  315. 中島源太郎

    中島委員長 委員長としては、当委員会で質疑を十分尽くしていただきたいと存じます。(「名言です」と呼ぶ者あり)
  316. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 全然名言じゃないです。かつて中曽根総理が通産大臣当時、電力用炭販売株式会社法など石炭関係の三つの法律の手直しを一本の法案で処理しようとした際に、当時の本院の石炭対策特別委員長、これは我が党の田代文久議員でありましたが、この一括処理法案というのは三本の法律ですよ、それを一括処理法案とするのは委員会審議を不当に制約するので、改めるように警告した。四十九年三月二十五日の石炭対策特別委員会です。同趣旨政府に対する警告決議、三月二十五日の石特委員会です。その取りまとめを委員長が先頭に立ってやりました。これが正しい態度だと思うのです。  委員長もこういう例に倣って、今回の一括処理法案に対して、国会を国権の最高機関と明記した憲法の趣旨から見て、また常任委員会制度を明記した国会法の建前から見て、重大問題である旨の警告を発して、提出し直すように申し入れてもらいたいと思いますが、御意見はいかがですか。
  317. 中島源太郎

    中島委員長 重ねて申し上げますが、当委員会に付託されました問題は当委員会で十二分に審議を尽くしていただきたい、これだけ申し上げておきます。
  318. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 二十六法律の中で一本しかやらぬうちに私の持ち時間もなくなって、十分な審議を尽くせというのだったら、もう少し時間をもらうよう理事会でやっていただきたいと思うのです。石炭特別委員会国会決議なんですよ。そういうものを無視したり、国会審議を省いて政策の決定を強行する、国会審議を形骸化して反動立法を進める、こういうやり方というのは、私はそれこそ議会人として許せないと思います。こうしたやり方を常套手段としてきたと言っても言い過ぎじゃないと思うのです。  委員長もどうやら、こうしたやり方を妥当だ、問題はないというように今の御返事では受けとれるのですけれども、そういうことならばあえて申し上げます。  この法案は、自民党政府が今国会の最重要法案一つとしているものであります。それにもかかわらず、自民党の委員さんは三人。――二人。国会法の第四十九条が会議、議決の要件として定めた定足数はないのです。にもかかわらず、委員長は議事を開いておられます。国会軽視をしている、こう言われても仕方がないと思うのです。国会軽視でないというなら、国会法に基づいて委員会をやるべきだと思うのです。これはもう国会を無視しているから、定足数もない中で審議が進められているわけです。いかがいたしますか。
  319. 中島源太郎

    中島委員長 ちょっと速記をとめておいて。     〔速記中止〕
  320. 中島源太郎

    中島委員長 速記を起こしてください。  この際、暫時休憩いたします。     午後六時三十六分休憩      ――――◇―――――