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1985-12-10 第103回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 岡田 正勝君       伊藤 公介君    大村 襄治君       工藤  巖君    中川 昭一君       細田 吉藏君    松田 九郎君       五十嵐広三君    小川 省吾君       佐藤 敬治君    細谷 治嘉君       山下洲夫君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     古屋  亨君  出席政府委員         警察庁長官   山田 英雄君         警察庁長官官房         長       鈴木 良一君         警察庁警務局長 大堀太千男君         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         警察庁交通局長 八島 幸彦君         警察庁警備局長 三島健二郎君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省財政局長 花岡 圭三君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計企画官    岡田 康彦君         大蔵省主計局主         計官      中島 義雄君         厚生大臣官房政         策課長     岸本 正裕君         厚生省保険局国         民健康保険課長 近藤純五郎君         運輸大臣官房国         有鉄道部国有鉄         道再建実施対策         室長      戸矢 博道君         運輸大臣官房国         有鉄道部労政室         長       渡辺要一郎君         建設省河川局水         政課長     二橋 正弘君         自治省行政局公         務員部公務員第         一課長     紀内 隆宏君         日本国有鉄道総         裁室法務課長  本間 達三君         日本国有鉄道職         員局管理課長  南谷昌二郎君         日本国有鉄道電         気局管理課長  榎本 龍幸君         日本国有鉄道公         安本部次長   土田  洋君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   伊吹 文明君     山岡 謙蔵君   尾身 幸次君     中川 昭一君   仲村 正治君     江崎 真澄君     ――――――――――――― 十二月二日  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法 律案反対等に関する請願佐藤誼紹介)(第六  三二号)  同(山中末治紹介)(第六三三号)  同(中林佳子紹介)(第六六四号)  同(中村重光紹介)(第六六五号)  同(上田卓三紹介)(第六八三号)  同(野口幸一紹介)(第六八四号)  同(藤田高敏紹介)(第六八五号)  同(矢山有作紹介)(第六八六号)  同(山下洲夫君紹介)(第六八七号)  同(吉原米治紹介)(第六八八号)  同(伊藤茂紹介)(第七三〇号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第七三一号)  同(小川省吾紹介)(第七三二号)  同(小川仁一紹介)(第七三三号)  同(矢山有作紹介)(第七三四号)  同(山中末治紹介)(第七三五号)  同(横江金夫紹介)(第七三六号)  同(渡部行雄紹介)(第七三七号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案廃案等に関する請願田中美智子紹介)  (第六三四号)  地方自治民主的充実に関する請願矢山有作  君紹介)(第七二九号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願天野等紹介)(  第七三八号)  同(岡田利春紹介)(第七三九号) 同月四日  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願(阿部未喜男君紹介)  (第七九二号)  同(井上一成紹介)(第七九三号)  同(加藤万吉紹介)(第七九四号)  同(角屋堅次郎紹介)(第七九五号)  同(上西和郎紹介)(第七九六号)  同(後藤茂紹介)(第七九七号)  同(島田琢郎紹介)(第七九八号)  同(竹内猛紹介)(第七九九号)  同(石橋政嗣君紹介)(第八二三号)  同(上原康助紹介)(第八二四号)  同(岡田春夫紹介)(第八二五号)  同(松前仰君紹介)(第八二六号)  同(安田修三紹介)(第八二七号)  同(上野建一紹介)(第八六七号)  同(小澤克介紹介)(第八六八号)  同(経塚幸夫紹介)(第八六九号)  同(新村源雄紹介)(第八七〇号)  同(簑輪幸代紹介)(第八七一号)  同(村山喜一紹介)(第八七二号)  地方公務員共済年金改革に関する請願経塚  幸夫紹介)(第八六六号)  地方自治民主的充実に関する請願岡崎万寿  秀君紹介)(第八七三号) 同月五日  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願井上一成紹介)(  第九八七号)  同(小川仁一紹介)(第九八八号)  同(小澤克介紹介)(第九八九号)  同(左近正男紹介)(第九九〇号)  同(佐藤敬治紹介)(第九九一号)  同(中村正男紹介)(第九九二号)  同(野口幸一紹介)(第九九三号)  同(細谷昭雄紹介)(第九九四号)  同(山下洲夫君紹介)(第九九五号)  同(山中末治紹介)(第九九六号)  同(山本政弘紹介)(第九九七号)  同(伊藤茂紹介)(第一〇四八号)  同(加藤万吉紹介)(第一〇四九号)  同(嶋崎譲紹介)(第一〇五〇号)  同(辻一彦紹介)(第一〇五一号)  同(元信堯君紹介)(第一〇五二号)  同(森中守義紹介)(第一〇五三号)  同(矢山有作紹介)(第一〇五四号)  同(山花貞夫紹介)(第一〇五五号)  同(渡部行雄紹介)(第一〇五六号)  同(井上一成紹介)(第一〇七六号)  同(池端清一紹介)(第一〇七七号)  同(上田卓三紹介)(第一〇七八号)  同外一件(小川国彦紹介)(第一〇七九号)  同(金子みつ紹介)(第一〇八〇号)  同(河上民雄紹介)(第一〇八一号)  同(佐藤観樹紹介)(第一〇八二号)  同(田並胤明君紹介)(第一〇八三号)  同(村山富市紹介)(第一〇八四号)  同(山下洲夫君紹介)(第一〇八五号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対に関する請願藤木洋子紹介)(第  一〇七五号) 同月六日  地方税法人均等税額軽減に関する請願(加  藤万吉紹介)(第一二三九号)  同(小林恒人紹介)(第一二四〇号) 同月九日  地方税法人均等税額軽減に関する請願(細  谷治嘉紹介)(第一三二六号)  同(渡辺嘉藏紹介)(第一三二七号)  同(上田卓三紹介)(第一四五二号)  同(河上民雄紹介)(第一四五三号)  同(浜西鉄雄紹介)(第一四五四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月六日  地方財政充実強化に関する陳情書外五件  (第一六号)  国庫補助負担率の一律削減反対に関する陳情書  外五十三件  (第一七号)  農地等固定資産税に関する陳情書  (第一八号)  地方税財政制度に関する陳情書  (第一九号)  暴力団取り締まり対策強化に関する陳情書外  一件(第二〇  号)  地方議会議会運営委員会制度法制化に関する  陳情書  (第二一号)  警察官の増員に関する陳情書外一件  (第二二号)  警察ヘリコプターの配備に関する陳情書  (第二三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松田九郎君。
  3. 松田九郎

    松田委員 当面する国政上の諸問題について一括質問いたしますが、わけて国鉄ゲリラ成田闘争、こういう問題に絡んで特に集中的に質問いたします。したがって、当事者においては的確に、簡明にひとつやってください。これは一問一答式でやりますから、質問が非常に多岐にわたりますから、長たらしく答弁してもらうと時間をその方に空費しますから、よろしくお願いします。  まず最初に今回の国鉄ゲリラ事件でありますが、ここに「赤旗」があります。「赤旗」というのは共産党の旗か何か知らぬけれども、機関紙であろうと思う。このいわゆる共産党機関紙に、政府の泳がせ国会徹底的追及、見出しがこのように書いてある。金子書記局長と称する者がとにかく談話を発表している、そして写真まで載っている。その内容の要点を抜粋してみるに、今回の国鉄ゲリラ事件政府警察中核派を泳がせてやらせているものであるかのごとく言っておる。これは政府を侮辱するものであるが、同時に責任政党である我が自民党をも誹謗するものである。国会を侮辱しておる。いやしくも公党である自由民主党を侮辱され、政府が泳がしておる、唆しておる、そういう談話を、いかに党の機関紙であろうとも、大々的に国民の間にあたかもそれが真相であるかのごとく伝えておることに私はふんまんやる方ないし、国民に大変な疑惑を今持たせていることは否めない。断じてこれは許すべきでない。  そこで、まず警察庁にお伺いしたい。「赤旗」の記事によると、このように警察の不可解な警備状況云々というものが書いてある。何か警察が不可解な警備状況をやっておったのか。そして、数々の疑問点について今後国会で徹底して追及する、こう言っておるんだな。何を主客転倒したことを言っておるのかね。我々常識からいうと判断しかねる。共産党が言いたいことを言ったってそれは構わぬだろうけれども、しかし、国会で追及するなんてことになってくると我々に関係があるんだ。我々はそんなところじゃないんだ。この後ろで、だれが意図をして、どの政党が糸を引いてやっておるかということを逆に我々は考えているんだ。そうでしょう。こういう言いたい放題されては政府自民党権威にもかかわるし、第一、第一線で昼夜を分かたず国家民族のために、社会秩序安寧保持のために黙々と動いている警察官を侮辱しその誇りを傷つける。警察庁長官ないしは当事者はこのことについて一体どう考えているのか。何を追及されようとしているのか、そういうことについて思い当たる節があるのか、この際明確にしておかぬと第一線で働いておる警察官士気に影響する。我々政府自民党にとっても、こんな言いがかりは、それこそ盗人だけだけしいような話をされては困るんだ。その点について明確に当事者お答えをまず冒頭にお願いしたい。
  4. 山田英雄

    山田(英)政府委員 極左暴力集団を泳がせているというようなことにつきましては、私どもそういう事実は全くないし、そのように言われることについては日夜違法と対決している警察官のためにも大変遺憾に思うわけでございます。違法を取り締まるのが警察の責務でございますから、極左につきましても、多くは申し上げませんが、浅間山荘事件警察幹部二人がとうとい殉職をいたしております。そのほか成田問題では火炎瓶で焼き殺されたとうとい殉職警察官も出ているわけでして、極左違法取り締まりの場でただいままでに十一人の殉職を出しております。昭和四十三年以来重傷者負傷者一万九千七百五十九人の犠牲者を出して極左取り締まりに当たっておるわけでございまして、この一事をもってしても警察極左を泳がせているというようなことは断じてない、そのことを強く申し上げ、御理解いただきたいと思います。
  5. 松田九郎

    松田委員 長官、あなたの今のここの表明というか答えはそれでいいと思うけれども、ではあなたは具体的に全国の第一線で動いておる警察職員その他の関係者に対して今のような毅然たる態度というかそういう考え方を何らかの方法において徹底をさせる必要はありはしないのか。ただここで私が質問をしたから、いやそんなことはありませんと言うだけのことで、このいいかげんなことを言っておる者に対抗して社会秩序及び警察官の身分、権威、信頼そして士気を鼓舞することができるかどうか、私はかなり疑問を持つ。その点についてもう一回長官お答えを願いたい。
  6. 山田英雄

    山田(英)政府委員 殉職あるいは負傷者が出ておることを申し上げて御理解をいただきたいと思ったわけでございますが、多くを申し上げるまでもなく、国民の大方の方々は日常の警察官活動を見て泳がせているというようなことのないことを信じていただいていると思います。改めて個々の警察官に言う必要というものを私自身平生の執務において全く感じておりません。
  7. 松田九郎

    松田委員 ちょっと今ここに資料を失念しておるのだけれども、このごろ参議院の地行委員会で、浅草橋事件等については、この新聞にも載っておるように、三十分前に関係地域住民がこういう不穏な動きがあるぞということを警察当局に知らせたのに対して、それを承知しておりながらとにかく何らの手を打ってなかった、それが言うならば今の泳がせだという式のことを発言をしておる向きがある。それについて何か局長が、どの局長か知らぬけれども警察庁局長クラスが暗にそれにも幾らか類するような、そういうにおいがあったようなことを答弁したかに伝えられている一部新聞を私は見ておるが、そういうことはあったの。そんないいかげんなことを言ってもらっては困るぞ。何で三十分前にそんなことがあったの。もしそんなことがあったとすれば、これはまたゆゆしい大事だ。私はそんなことは絶対あり得るはずがないと思う。だからそこら辺は明確にしてもらわにゃ困る。
  8. 三島健二郎

    三島政府委員 お答えいたします。  ただいまの浅草橋付近状況でございますが、この状況を少しく詳しく申し上げますと、二十九日の午前六時三十五分に一一〇番が入ったわけであります。内容といたしましては、左衛門橋付近に三、四人の不審者がいる、こういう話でございました。したがいまして、直ちにこの一一〇番を聞きつけました警察官が自動車であるいは自転車で現場に到達いたしております。三十五分の入電に対しまして四十分には現場に到達した、こういう状況であります。  到達いたしてみますと、そこに白いワゴン車がありました。直ちにそのワゴン車に対して警察官職務質問を開始したわけであります。中に人が三人乗っておりましたけれども、全く応じません。それでワゴン車でありますので後ろの方の横に扉がございまして、その扉をあけて中を見せてもらうということでもって見ましたところが、中に段ボール箱が入っておりました。そのちょうど破れ目から見ますると鉄パイプ等が入っているということがわかりました。直ちに、これはゲリラだということで無線でもって応援を要請するとともに、その者の職質をさらに続行したわけでありますが、そのとき既に約七十名前後の者が、これは全部背広を着ておりましたけれども、そのワゴン車周辺をずっと取り囲むような形になりまして、警察官に対して、何だ何だと言いながら体当たりをしてくる、突っかかってくるといったふうな事態がありました。警察官はこれに対応したわけでありますが、その間にワゴン車の中から彼らは鉄パイプをとり、ヘルメットをとってかぶり、レーンコートを着、覆面をしということで、その大勢の者が逐次武装をいたしまして警察官に襲いかかってきたわけであります。警察官は、ゲリラだということでありますので何としてもこれを封じ込めようということで、自分の乗ってまいりました車を相手の車の前に移動して相手の車が動けないようにいたしますと同時に、彼らの移動を抑えるべく、警察官はそのとき大体十名前後おりましたが、これに対応したわけであります。しかし、何分にも多勢にも無勢でありますので、警察官といたしましてはけん銃を抜きまして、武器を捨てろ、この場から動けば撃つぞということで、けん銃を擬してまで彼らの行動を制圧したということであります。  これに対しまして彼らは逡巡をいたしました。その間、彼らが接近する、こちらはけん銃をさらに構えて威嚇をする、いろいろな形でもって何回かやりとりがありましたが、向こうは大勢でありますから、彼らの大勢の勢いに任せて、警察官の制止を振り切って浅草橋方向に向かったわけであります。しかし、その前後におきまして逐次警察官応援に駆けつけておりましたので、八名の者を検挙いたしております。さらに、彼らが浅草橋へ向かうということで警察官はこれを追尾いたしました。同時に後尾にいる者を逐次検挙いたしまして、浅草橋に行くまでの間に五名の検挙を出しております。そして、浅草橋駅に着きました段階では、これが時間的に申し上げますと五十二分でありますから、四十分から五十二分までの大体十二分間ということでありまして、三十分間放置していたというようなことは全くないわけでありますが、浅草橋駅までの間に今のような検挙活動も行っていた……(松田委員「その距離は幾らなんですか」と呼ぶ)距離は二百メートル、三百メートルぐらいかと思いますが、現在ちょっとはっきりいたしておりません。  いずれにいたしましても、その間、検挙するべく警察官検挙活動に移りますと彼らは立ちどまって警察官に対して襲いかかってくる、こういう事態を繰り返しながら行っているものですから時間がかかっている、こういう状況であります。  それで、駅の前におきましては既に十数名の警察官が構えておりまして、駅に侵入するのを防ぐべく制圧を試みたわけであります。しかし、とにかく相手が六十名前後おりますので、数においてこちらが劣勢であるということでこれまたけん銃を構えまして、そして、とにかく駅に入るな、武器を捨てろということで対峙をいたしました。しかしその間に、わずかにあいていたシャッターの中から彼らが駅の中に入って駅に放火をした、こういう事態であります。  その前後におきまして三十三名の者を検挙いたしましたので、全体として四十六名の検挙者をこの周辺に出したわけであります。全体で七十名前後のゲリラでありましたので、四十六名の検挙というのは三分の二は検挙した、こういうことであります。  その間に、最初に発見いたしました白いワゴン車がさらに警察官に突っかかってくるという事態がございましたので、これに対してけん銃を発砲いたしまして、タイヤを撃ってその車を動かないようにしてこれを制圧したという事態も起きているわけであります。したがいまして、この間警察といたしましては、最大限の努力を払ってゲリラ活動を制圧すべく尽力をいたしておりますし、同時にまた最大限検挙活動を行って四十六名の者を検挙いたした、こういうことであります。この検挙いたしました中に、中核系全学連委員長あるいは副委員長が入っていたということでございます。
  9. 松田九郎

    松田委員 そこら辺もう少し詳しく聞きたいのだけれども、陽動的に模擬的にそういう作戦をとりながら本部隊をカムフラージュするというような状態のものですか。浅草橋本部隊だと初めから彼らは想定をしておったでしょうか。そういう基本的な作戦計画を隠ぺいするために、こちらでそういう陽動的なことをやったというふうに警察庁は見ておるのですか、それが発展をして浅草橋事件になったのですか、そういう見方ですか、それはどうなんですか。
  10. 三島健二郎

    三島政府委員 最初に白いワゴン車周辺におった者たち、これは明らかにゲリラ活動をするために集まったものと考えられます。と申しますのは、背広を着ておって一見普通人のように装っておりましたが、それがただいま申し上げたワゴン車の中にある武器とドッキングをいたしまして、そして武装をしたということであります。そして彼らのねらいが結果的には浅草橋駅にあったということは、彼らの行動から見て判断できるということであります。
  11. 松田九郎

    松田委員 いろいろ質問したいのですが、あなたはさっきからゲリラゲリラと言っているのですが、ゲリラという言葉意味、受けとめ方は法的にどういうことなのか。私の常識で判断すれば、ゲリラというのはスペイン語語源で、これは戦争意味するという式に解釈されるのだが、そういうことなの。あなたたち専門家としての受けとめ方はどうなんですか。ゲリラという言葉戦争意味するのじゃないの。これはスペイン語だろう。
  12. 三島健二郎

    三島政府委員 ゲリラと称しますのは根源的にはそれであると思いますけれども、我々がゲリラ活動と申しておりますのは、極左暴力集団等が突発的な形でもって攻撃をしかけ、それによって彼らの目的を達しようといったふうな場合に使っている言葉でございます。
  13. 松田九郎

    松田委員 ちょっと今の答弁は私は満足せぬな。なぜ私がこういうことまで言っているかというと、一挙に一千二百万人の足を奪うようなそういう不測の事態、まさに内乱でしょう。そして一挙に何百万、何百億という有形無形の大損害を国家社会に与え、善良な国民に与えておる。これは内乱ないし戦争と言わずして何と言いますか。そうじゃないの。だから私はその語源なども聞いておるわけですよ。ゲリラといえば、簡単に普通の者からいえば、そこで何かちょこちょこと二、三人がやっててこん棒で食らったとかなんとかいう式のものを我々はゲリラと考えておるのだよ。一千二百万人というそれこそ国民の一割が瞬時にして途方に暮れ、足を奪われ、職場にも行けない、公務は妨害をされるわ、まさに内乱戦争ですよ。だから、後でいろいろお尋ねしますが、私はそういう意味においてこれは内乱的な、言うなれば一部の不心得者戦争政府にしかけておる、国民にしかけておるという意味に解釈しておる。あなたたちはそれをどう考えておる。
  14. 三島健二郎

    三島政府委員 従来から、極左暴力集団火炎瓶を使うあるいは爆発物等を使う、その他凶器を使いまして奇襲的にあちこちの場所を攻撃をしているわけでありまして、そういうものに対しまして我々は一応ゲリラ事件という形の呼称をしておるわけであります。そして今回も、一連事件はそれぞれ今申し上げたような極左暴力集団一連の行為の一環でございますので、そのためにゲリラ活動というふうに申し上げているわけであります。
  15. 松田九郎

    松田委員 そのことは一応おいて、また別の角度からこの問題を掘り下げていきます。  十二月五日の天下の朝日新聞にこういうことが書いてある。「若返る新左翼活動家」ということで、   成田闘争にからむ逮捕者の中に公務員国鉄など公共企業体職員が目立つことが話題となっているが、この活動家層多様化に加え、以前に比べ、若い年齢の活動家が増えた。新左翼組織へ「新しい血」の流入がひそかに進んでいるとして注目されている。中核派の約二千九百人をはじめ、活動家数が一万五千人台へ向かっているといわれる新左翼総勢力の微増傾向の原因として見逃せない。  さる十月二十日、成田空港反対同盟北原派の集会のデモで二百四十一人が逮捕された。氏名、身元が分かった百四十八人についてみると、学生三十六人に対し、国家公務員(五人)、教員など地方公務員(十九人)、国鉄職員(四人)など公務員公共企業体職員が計二十八人いた。ほかは、民間企業従事者の二十一人をはじめとする労働者で、一部が活動専従者だった。学生に対する労働者など非学生活動家の比率は、二四対七六になる。 以下、いろいろと書いてありますね。  その中で、この事件後一カ月を経てもなお四割、九十三人の氏名、身元がわかっていない。その後、身元が判明したのかどうか。それと、今言ったように公務員が現在二十八人、これはその後ふえておるのかこれでとまっておるのか、そこら辺の事情を聞きたい。
  16. 三島健二郎

    三島政府委員 一〇・二〇、十二月二十日の成田におきます事件検挙した数は二百四十一名であります。その中の百五十五名の者が身元がわかっているわけであります。したがいまして、身元のわからない者が八十六名ということになります。その中に国家公務員が五名、地方公務員が二十二名、国鉄職員が四名というのが判明いたしております。
  17. 松田九郎

    松田委員 大臣が時間がないということだから、この際、大臣に、退席をされる前に基本的なことについてお伺いをしておきたいと思います。  それは、自治大臣であるということだけでなくて国家公安委員長という立場において、今私が質問申し上げておる問題に関連をして、今回の成田及び浅草橋事件等に見られる不穏の、言うなれば内乱とも称すべき大事件についてどのように所管大臣、最高の責任者として、公安委員長としてお考えになっておるか。  私がお伺いしたいのは、こういう不逞のやからどもがはびこるという現在の風潮、社会ムードは、要するに余りにもすべてのことについて甘やかし過ぎておる、厳罰主義でやらぬからこんなことをしばしば繰り返す。黙否さえしておれば、とにかく検事勾留の二十日間を過ぎれば釈放されるんだという、そういうことだから身元も判明しない。だから、この際こそ法改正をやって、こういう国民戦争をしかけるような者についてはびしびし騒乱罪を適用してでもやるということについてどういうお考えを持っておられるか、ひとつ大臣の御意見を伺いたい。
  18. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 十月二十日ないし今度の十一月二十九日の事件は、民主主義に対するはっきりした挑戦であります。そうして、都市の交通、その他の一般の秩序を根本から破壊するような行為であると私は考えております。  今先生のお話はこれに対する対策としていろいろの立法あるいは警備力の強化を考えてはどうかという御意見でございますが、こういうものが継続され、例えばこの前の十月二十日の事件に関与して逮捕され釈放された人が今度また十一月二十九日の事件に数名でありますが入っておるというようなことから考えますと、こういう事件に対する措置について今後新たな検討も必要であると考えております。それがどういう形になりますか、立法上の問題は私どもいろいろ検討してまいりますが、とにかく、公安事件につきましては大体の法制的立場が個人を規制するような昔のような形でありまして、集団的なものに対する措置というのは例の破防法等の一部にありますけれども、これも実際の運用がはなはだ困難なような法律のように私どもは見ております。したがいまして、何としてもこういうゲリラあるいは極左勢力のはびこりは警察としては徹底的に取り締まりをしなければなりませんし、また、こういうものの続発を防止するためにあらゆる科学的方法、例えば今やっておりますディジタルの強化あるいは盗難自動車に対するすぐわかるような措置——大体一日百台の盗難自動車があるなんということを私ども考えまして、国民に申しわけないことでございます。こういうものが使われて相当事件になっておるというのが現在の実情であります。特に来年はサミットもございます。日本の治安は非常にいいと言われておりますが、私はそういう点を考えますと、この治安の強化ということにつきましては私ども十分努力してまいるつもりでありますし、また先生にも治安対策の面において十分そういう御協力もお願いしたいと思っております。
  19. 松田九郎

    松田委員 大臣は時間がないのですね。ならば、大臣には差し控えますが、まだ質問したいことがあるから局長かだれかかわってください。それでは、大臣、いいです。  先ほど警察庁からの答弁で、六十人前後襲いかかってきた、そのうちの四十何人かをそこで検挙した、こういうふうに言われたと思いますが、そうだったですか。(三島政府委員「はい、そうです」と呼ぶ)そこで、いやしくも警察官に襲いかかってくるなんというようなそういうふらち千万な暴徒をこちら側が、警察取り締まり側の人数が劣勢であったということで全部検挙できなかったのですか。それはどういうことでしょうか。そういうのは直ちに公務執行妨害でひっくくればいいじゃないですか。それは直接すり寄ってきたとかたたきかかってきたという者だけを検挙したという意味ですか。取り巻きは全然しなかったという意味ですか。こっちが劣勢でそこまで手が出なかったという意味ですか。六十人襲いかかってきたら六十人ひっくくればよかったんじゃないですか。その後の始末はどうなっているのですか。検挙した四十何人というのは今どうなっているのですか。
  20. 三島健二郎

    三島政府委員 当時最初の段階で一一〇番が入りまして、現場へ行きました警察官は十名前後であります。したがいまして、これは絶対的な数において劣勢でありますけれども、これに対して鉄パイプ等武装した者がたたきに来るといった事態が起きたわけであります。その間、逐次警察官応援に駆けつけております。そういう警察官らがその現場で八名の検挙をいたしておるわけであります。同時に、彼らの行動を制圧するためにけん銃まで抜いて抑えたという事態であります。したがいまして、検挙できる者については現場検挙する。しかし、彼らは多数でありますから、どどっと浅草橋方向へ向かったということでありますが、その向かっている最中でも、逐次増員されました警察官等も加えながら検挙を繰り返していったということであります。そして、最終的には四十六名の検挙をいたしたわけであります。その意味では、警察官としてはできる限りの数の検挙をいたしました。その間に警察官二十四名が負傷をいたしております。そういうことで、彼らが襲いかかってくる、あるいは検挙する際にも格闘しながら、あるいは相手鉄パイプを受けながらもなおかつ検挙活動を繰り返したということでございます。そして、検挙いたしました四十六名は全員検察庁に送検をいたしました。その後検察庁で勾留の手続をとって、現在勾留されているところであります。
  21. 松田九郎

    松田委員 今ここの数字に出ておる四十六名の検挙され勾留されておるという者は、その時点における検挙者だな。浅草橋事件の焼き打ち後に身元がわかったり、あるいは事件に介入しておったということがはっきりして捕まえた者はいないという意味ですか。そこはどうなっておりますか。
  22. 三島健二郎

    三島政府委員 四十六名の検挙者は、浅草橋の駅に関連いたしまして現場検挙いたした者でございます。
  23. 松田九郎

    松田委員 私も少しおかしいと思うのだけれども、浅草橋とそういう事件が継続的に行われた距離というのは二百メートルぐらいしかないとあなたはおっしゃった。それを警察検挙をしながらずっと並行して行ったわけでしょう、浅草橋まで。浅草橋で彼らが放火事件を起こしたときに、なぜ未然にそれが防止できなかったのですか。
  24. 三島健二郎

    三島政府委員 あのような事件を未然に防止するべく、警察官といたしましては、現に浅草橋駅前に構えまして彼らの侵入を防いだわけであります。そのため、先ほど申し上げましたようにけん銃まで抜いて彼らの行為を防止しようということで努力をいたしました。ところが、結果的にはシャッターの一部があいていた。そこから彼らが強引に中へ入り込んでいったという結果になったわけでありまして、現場におります警察官としては、数において彼らに劣るものがございましたけれども、全力を挙げて駅に対する侵入を防いで、けん銃まで抜いたということであります。
  25. 松田九郎

    松田委員 そのことは一応おくとしまして、国鉄関係者、だれか来ておるかな。  まず国鉄当局に、あるいは運輸省でもいいのだけれどもお聞きしたいのだが、このはねっ返りの連中の中に国鉄職員——国鉄再建の問題で今国民の注視、及び国会でも、非常にいろいろの角度はあろうけれども再建については熱意を持って取り組んでおるさなかに、事もあろうにこの中に国鉄職員が四人含まれておるというのだが、その後ふえておるかどうか知らぬけれども、この連中については、どういう処分というか対応というか、国鉄でやっておるのか。そして、これは聞くところ、新潟あたりのような遠いところから暇つぶしに来ておる。これはどういうことか。それで、これは有給中で来ているのか。そんなものに有給をやるのか。
  26. 南谷昌二郎

    ○南谷説明員 今般の二十九日の事件で逮捕されました者の中に、国鉄職員が二名ございます。一名は新潟からでございまして、もう一名は水戸局管内の勝田というところからでございます。  それから、先ほど四名というお話がございましたが、この四名は十月二十日の成田闘争の際、逮捕されたものでございまして、これも三鷹、郡山、長野、新潟と全国的に入っておりまして、これらにつきましては、事実を確認次第厳正に処分したいと考えておりますが、とりわけ、先般十月二十日逮捕されました四名のうち一名が起訴されましたものですから、これに対しましては昨日、懲戒免職の処分を通告いたしました。残る三名につきましては、逮捕された状況等について引き続き調べまして、早急に厳正な処分をしてまいりたいと考えております。  それから、今般の二十九日に逮捕されました二名につきましては、現在御当局の方で取り調べ中でございまして、その取り調べの結果によりましてこれも厳正に処分をしてまいりたいと考えております。  それから、これらの者の勤務でございますが、いずれもこの当日は本人の所定の公休日であったり、あるいは前から計画的にとっておった年休、年次有給休暇であったりしておりまして、そういう意味事件当日は本人の自分の時間で、欠務しておりますが、その後逮捕されまして、欠務が長くなる過程で無断欠勤という事態が発生いたしまして、おかしいということで初めてわかったものでございます。  今回逮捕された者につきましても、常日ごろの勤務状態からまた休暇の取得状況から見て、特にとりたてておかしいことはなかった者でございますので、未然にこれを発見するわけにはまいりませんで、こういう事態になりましたことを私どもとしてはまことに遺憾に思っておりますし、国民の皆様に大変御迷惑をおかけしたことを、深くおわびしたいと思います。
  27. 松田九郎

    松田委員 同様の質問で、地方公務員を含めて十九人おるけれども、自治省関係、地方公共団体はどうなっておるか。
  28. 紀内隆宏

    ○紀内説明員 お話しのように、十月二十日の成田闘争に関連しまして、地方公務員逮捕者を出しております。また、先般の同時ゲリラ多発事件につきましても、地方公務員が二名含まれております。大変遺憾に存じております。  私どもといたしましては、全体の奉仕者として率先して法を遵守すべき立場にある人間がそういう違法行為を起こすということにつきましては、断じて許すべきではないと考えておりまして、事情を察知次第、直ちに公務員部長あるいは行政局長名をもちまして、再びこのようなことを繰り返すことのないよう通達を発しております。個別の団体につきましては、それぞれ事情を確認の上、厳正に対応すべく指導しているところでございます。
  29. 松田九郎

    松田委員 公務員部長、見えているか。来ていないならすぐ呼んでくれ。  公務員部長に聞きたいのだが、これは今さら釈迦に説法みたいな話だけれども、今の話を聞いてもわかるように、とにかく公務員でも、要するに起訴されなければ懲戒免職にはできない式の話が今出ておるわけでしょう。してないという意味も言っておる。  これはいろいろ意見があるところだが、労働者にいわゆる団結権、ストライキ権が与えられている根本的理念というものは、飽くなき利益を追求する資本家に対抗する手段として弱い労働者に与えられておるものなんだ。そうでしょう。しかりとすれば、一体国民に対して公務員がストライキを仕掛けることが適当であるかどうか。国鉄職員しかりだよ、あるいはまた国家公務員しかりなんだ。こういう役所は金もうけをするところではないのだ。国民のための事務をやるところだ。そこに働いておる公務員国民に向かってストライキを仕掛けるというのはもってのほかなんだよ。学校といえども役所といえども、あるいは市町村役場といえども、利益を追求する資本家ではないのだ。これは国鉄しかりだよ。そうでしょう。  休暇がまた問題だよ。有給休暇というのは二十日間与えてある。あたかもこれは何に使ってもいいという考え方がまた、従来の公務員の指導理念としても私は問題があると思う。休暇中だからおれはストライキだ。休暇というのは、公務員のいわゆる激務を幾らかでも和らげるために、あるいはどうしてものっぴきならない冠婚葬祭のために、休養のために、そういう意味で有給休暇というのはあえて二十日間も認められておるのじゃないか。それが、公務員のいわゆるモラルを逸脱して、国家国民に弓引くようなそういう暴力的なストライキに参加した者を検挙してみたが、自白せぬから、あるいは検察庁が起訴しなかったからまたもとに帰すのだというやり方を今までやってきておるから問題があるのだ。こんなものはつかまえたが最後、たとえ裁判になろうとも、十年闘争であろうとも、こういうことに金をかけてでも政府はいつまでもやるべきだ。何の解決も、何の事件の真相もつかまぬで、黙秘しておりさえすれば二十日間過ぎれば帰すなんということをやるからまたやるのだ。こんなものは直ちに起訴して、法廷でいつまでも争えばいいんだよ。そんな見え透いたことをやるから相手になめられて、思い上がってはね上がっておるのだ、こやつどもは。公務員部長来たかな。かわってだれか、あなただっていい、ひとつ答えてください。  ちょっと答弁の前にお聞きしたいのだが、後でほかの関係者にも聞くよ。国鉄もそうだ。とにかく起訴されなければあなたたちは懲戒免職にしないんじゃないか。それが決め手になっておるのか今の懲戒免職というのは、不逞のやからどもを取り締まるのに。どこが基準になっておるのだ。現場におって鉄かぶとをかぶって鉄棒を振り回しておる者をひっつかまえておいて、つかまえたけれども、それが起訴にならなかったからそのままもとのもくあみで帰すなどというやり方をやるからこんなことになったのだ。だから、そこら辺を含めて課長、あなたじゃ役不足だろうが、その当事者がおらぬのだから。
  30. 高鳥修

    高鳥委員長 松田委員に申し上げますが、公務員部長は、きょう参議院の委員会で共済法を審議しておりますのでちょっと出席が困難でございます。
  31. 紀内隆宏

    ○紀内説明員 お答えいたします。  起訴されるかされないかということと懲戒権を行使するかしないかということは一応は無関係とお考えいただいて結構でございます。ただし、今のような事案の場合には、結局そういう事件に際してどういう行動をとったかということが懲戒に当たっての大事な要素でございますので、その辺の確認は必要とするというふうに考えております。  なお、おしかりを受けましたけれども、公務員がそのような振る舞いをすることは断じて許されないことは当然でございます。御趣旨を体しまして今後しっかり指導してまいりたい、このように考えております。
  32. 松田九郎

    松田委員 今回の逮捕者公務員、そして全般的な逮捕者の年齢水準が新聞等にもしばしば見受けられるように非常に若年化して若い層になってきているというようなこと等を考え合わせて、特に公務員のこの種のいわゆる不法なゲリラ事件に参画をする仲間というものの層が今ここにも指摘してあるように非常に数が多くなってきている。何で公務員が多くなってきておるか。要するに日ごろの管理、当事者の管理、そこらにあいまいさがあるんじゃないか、親方日の丸で。民間事業などというのは、おい、どの社員がどこに行っておるか、何できょうは休んでおるか、上司のもとでチェックして能率を上げておるからそういうことは起こらない。しかし、公務員がこんなにどんどんこういう横着な方向に参画してこういう者が多くなってきているというのは管理体制に問題がありはせぬの。チェックをしない、親方日の丸で、だれが何をしようと、どこで何をしようが構わない。しかもじっと見てみると、直接上司の目の届くようなところにおる者は余り参画していない、内容を調べてみると。現場から遠い、配達をしておるとか外線の架設工事をやっておるとかどこで何をしておるかわからぬような公務員、学校で言うならば日教組みたいなものがやっておるのだよ。どこに行っておるか、有給なのか無給なのか、そういう管理体制のずさんとこれらをまず採用するときのチェック、身上調査に抜かりがあるんじゃないの。民間の企業は一生懸命だから、大学時代にどういうことをやっておるのかその本人の故事来歴をよく調べて、身上調査を厳密にして採用するけれども、公務員というのは頭がよければ、試験ができたらばといってすぐ雇うから不心得者がどんどん入ってくるのだよ。身上調査をもっと厳密、入ったならば現場における勤務の態度、そういうものを厳密にしていかぬからこういう事件が起きておる、そしてどんどん増加傾向にある。これはだれが答えるのかな。警察庁長官に言っても始まらぬし、偉方のおらぬとやな、今ここには。課長はそんなことを答え切れるのか。君では役不足てしょうがない。
  33. 紀内隆宏

    ○紀内説明員 地方公務員がこのような事件に参加したということにつきましては、おっしゃるように日常の人事管理に問題があろうかと存じます。一たび事件が起こった後にどのように事後に対応するかということもさることながら、事前の日常の人事管理において厳格なものが施されておるということが肝心であろうと考えます。その点は御指摘のとおりであろうかと存じます。  ただいま採用等のお話がございました。採用等に当たりまして地方公務員法はあるいは選考あるいは試験ということによりまして能力の実証ということを第一に考えております。もちろん他の要因がどうでもいいということじゃございません。しかしながら御理解いただきたいのは、地方公務員法におきましては「平等取扱の原則」というのがございまして、これは採用の場合にも適用されるわけでございますけれども、国民につきましてすべて信条であるとか門地であるとか社会的身分であるとか、そういうもので差別を施してはいけないという大原則がございます。したがいまして民間の場合とはその辺におきまして違った趣があるということは御理解賜りたい、かように存じます。
  34. 松田九郎

    松田委員 国鉄でもいいし運輸省でもいいんだけれども、お聞きしたい。  今度のいわゆる一連ゲリラ闘争事件国鉄の民営・分割を表題にして動いてはおるけれども、それは単なる表題であって、本質的には国家転覆だという感じを私は持っておる。そういう受けとめ方の中で国鉄のいわゆる職員というものがこれを紛らわすかのごとく一緒になって行動を起こしておるということについては、これは重大なる責任と、ある意味では罪の重さが大きいのだ。だからそれについては、さっき国鉄関係者が答弁をしておるような、一人懲戒処分にしましたということじゃこれはどうにもならぬな。六人おるのだろう。あと五人はどうなったの。懲戒処分は一人しかしてないじゃないの。あとの五人もやりなさい。どうするつもりか。
  35. 南谷昌二郎

    ○南谷説明員 先ほどもお答え申し上げましたが、二十九日の浅草橋の炎工事件、襲撃事件に関連しまして逮捕されましたのは二名でございます。これにつきましては、みずからの職場を焼き打ちにするということはまことに言語道断でございまして、私どもとしましてもまことに断腸の思いをいたしております。この二名につきましては現在身柄勾留中でございますが、これらにつきましては御指摘のように早急に厳正かつ厳重な処分をしてまいりたいと考えております。  なお、ほかの十月二十日の事件、これらにつきましては基本的にはその背景となるものは共通するものがあろうかと思いますが、その場所におきましては成田闘争ということで逮捕されたものでございまして、不起訴処分ということになっておる三名がまだ私どもとしては現在事実関係調査中でございます。これらにつきましては先ほど先生、起訴されたかどうかが懲戒免職するかどうかということの境目なのかという御指摘がございましたが、私どもといたしましても起訴かどうかがいわゆる免職の基準ではございませんで、あくまでも事実に基づいて処分をしたいと考えておりまして、これらの事実関係につきましてなお現在調査しておりますので、事実を把握次第これも厳しくやりたいと考えております。
  36. 松田九郎

    松田委員 事実とは一体何の事実なんだよ。本当にそこにおって鉄棒を振りかざして一緒に行動しておったから検挙されたんだろうが。別に銀座をうろうろしておった者を連れてきたわけじゃなかろう、警察庁も。事実ははっきりしておるじゃないの。何でそれが懲戒免職に相当しないの。そんなことを言っておるから、こやつどもがのぼせ上がるのだよ。それと問題は別にして、また洗いざらい今後やるから……。  九月一日、茨城県下大洗海岸で約二百人の暴走族に警察官が襲われ、木刀で殴られ、警察官が重傷を負い、パトカーなどが壊されるという事件が発生しておる。このような悪質な事犯の取り締まり方については警察はどういうふうにしておるのか。これもまた不可思議というか、この横着者になめられたようなものだと思うのだな。これも甘やかしておることが原因なんだよ。びしびし取り締まりを厳正、公正に厳罰主義でやらぬから、至るところにこういう常識で判断されない暴走族を取り締まらなければいかぬ警察官が木刀で殴られて、悪うございましたというような図を漫画でもかいてみろ。これはとんでもない話だよ。この始末はどうなっているのですか、警察当局
  37. 八島幸彦

    ○八島政府委員 お答えいたします。  本件は大変悪質かつ重大な事件でございまして、茨城県警察におきましては、事件発生後直ちに所轄署に捜査本部を設けまして、警察本部の応援等も得まして七十八名の専従の捜査態勢をしきました。鋭意捜査を続けました結果、これまで四千人を超える捜査員を投入いたしまして、兇器準備集合罪、傷害罪、公務執行妨害罪等により少年百三十六人を含む百五十八名を検挙いたしましたほかに、少年五十六名を補導し、計二百十四名を検挙、補導したところであります。これによりまして、この事件に参加した者のほとんど根こそぎ検挙、補導いたしまして、捜査を終了いたしたところでございます。
  38. 松田九郎

    松田委員 本員が質問しておる趣旨は、「赤旗」などでいいかげんなことを言っておるように、自民の泳がせであるとか、あるいは自民と政府が一体となって、警察と一体となってこういうことを唆しておるようなことを言っておることに対してふんまんやる方ない。これは基本的な考え方だ。同時に、警察官はこういうことに惑わされぬで、びしびし自信を持ってやってもらいたいのだ、遠慮せぬで。こういう不心得者は、暴走族なんというものは、あるいはゲリラなんというものに、とにかく警察当局はあんまり遠慮しておるのじゃないか。前線のいわゆる士気の影響のためにも今後びしびしやってもらわなければ困る。国民の声としてもうちまたにあふれておる。もっとしっかりやってもらいたいということ。前線の警察官は泣いておるよ。あなたたちトップクラスの者はもうちょっと前線の各部隊の士気がとにかく低下しないように、責任は我々が持つからやれ。むちゃくちゃにやれというのではない。厳正にやればこれはみんな起訴なんだよ。さっきの国鉄の話のように、二人だけしましたけれども、あとまだ四人は事件関係しておったかせぬかわかりませんなんて、冗談言うな。事件関係しておったからあなた、ひっつかまったのじゃないか。どこのものがむやみに連れてくるか。直ちにその段階で処分しなければいかぬのだよ。そういうことを警察庁は、今後非常に勇気を持って厳正に士気高揚のためにも、国民の信頼をさらに高めるためにもひとつ頑張っていただきたい。そうせぬとこういう「赤旗」などいかがわしいものが出てくるのだから。何で我々がこのことについて、自民党が誹謗されなければいかぬのか、もってのほかである。このことについて、最後に長官の御意見を聞いておきたい。
  39. 山田英雄

    山田(英)政府委員 泳がせ論が全くナンセンスであることについては先ほどお答えしたとおりでございます。二十一万五千人の警察官がそういうことに影響を受けるなどということは毛頭ないと思っております。  それから、極左暴力集団について徹底した取り締まりをしていることは、昭和四十三年以来、一万二千名に及ぶ検挙をやっております。構成員三万五千人ですが、延べ一万二千人は警察検挙してきているわけです。体を張って二十一万五千人が一体となって検挙してきている。それからただいまの暴走族につきましても、大変悪質な行為については、少年グループが多いわけですが、交通局長からお答えしたとおり、徹底した検挙、補導をしております。  ただ、警察の努力だけでこうした違法行為が終息していくかどうか、私はそれは甚だ疑問に思っております。暴力団について言いましても、毎年十万人の構成員のうち五万人近くを検挙しておるのですが、これは刑務所に行っても矯正機能はなく、拡大再生産されて暴力団に復帰しておる、箔をつけて復帰しておる。極左につきましても、構成員三万五千人ですが、公務員の中に我々の推定では九千人いるのではないかと思います。国鉄にも二千人の者が入っておるのではないか。これの管理措置の強化も必要だろうと思います。事件がありましたときには、閣議においても関係省庁に管理措置の強化をお願いしておりますが、平常時においても我々の気づく範囲においては関係省庁にもいろいろな注意喚起をしておりますけれども、そういった管理者の努力がなければ、ひとり警察検挙のみでは終息はしない。  それから同時に、暴力団の例も挙げるとあれかもしれませんが、社会の中において擁護する動き、提携する動きがある。これは極左についても同じだと思います。そうした風潮自体を改めなければ、御指摘のような壊滅ということはしにくいのではないか。しかし、我々としては警察のフィールドで最善を尽くして、全警察官が同じような目標、使命感を持って日夜努力しているということを御理解賜りたいと思います。
  40. 松田九郎

    松田委員 時間がなくて大変残念ですけれども、私は、あと消防の問題、あるいは新左翼というように言われておるが、新右翼のいわゆる政治団体登録の問題等についても質問をしたかったし、地方財政の問題についても質問をする用意をしておったわけですが、この問題について時間がありません。  最後に一つ、これは自治大臣に直接質問すればよかったけれども、おられないが、今いろいろこの一連の問題をずっと掘り下げてきてみますと、結局警察官の人員不足というか機動力不足というかそういうものと、さらに関連すれば待遇、身分というものについてのいわゆる対応がまだまだ十分じゃない。どうして不心得者が何百人とおるところに警察官が十人や三人行ってみたって、命がけでやったってかなうものじゃない。だから、結局そうなってくれば警察の機動力あるいは待遇というものも十分予算編成時の中において自治当局は考えて対応していかなければ、こういう四千にも膨れ上がっておる単に中核、革マル派だけでも今後陰に陽に取り締まることは私は困難であろうと思う。ならば大乱につながっていく、こういう気がしてなりませんから、あえてひとつ自治省関係者は——これはだれがおったかな、自治省のこの次のお偉方は。あなたがやってくれろ。
  41. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 警察官の人員の問題につきましては、明年度の財政計画を策定する際に警察当局と十分相談をしてまいります。  なお、警察の機動力の増強の問題につきましては、これは国の責任でございますので、警察当局から適切なる要求がなされるものと考えております。
  42. 松田九郎

    松田委員 先刻申し上げたとおり時間がなくて、もうあと一分しかありませんが、ちょっと時間がありますから急いでお尋ねします。  消防団の身分については、このように社会不安が助長されてくると、もう広域消防だけでは十分じゃない。やはり従来どおり地域消防強化していく以外にないと思うが、その地域消防の身分あるいは待遇は全く話にならない。今や地域消防といえども老齢化していっておる。若い者が入団をしない。そこには全くこの待遇にそれほどの魅力がないということであるが、消防庁から来ておれば——長官見えておるな。長官、ひとつ消防団のいわゆる地域における貢献度及び今後の育成策について簡単にひとつお答えをお願いします。
  43. 関根則之

    ○関根政府委員 消防団は地域におきます火災その他の災害に対しましてこれを防除するいわゆる防災体制の中核であるというふうに私どもは高く評価をいたしておるところでございます。残念ながら消防団員の高齢化が進んでまいっておりますが、農山村等におきましては依然として若い人たちも積極的に参加をいただいておるようなところもあるわけでございます。しかし、私どもとしては、これから大災害等を予想いたしますときに、消防団を再び活性化を図っていくということが極めて重要であるというようなことを考えておりますので、ことしの春に消防団活性化検討委員会というものをお願いをいたしまして検討を続けていただきましたが、その答申をいただきまして、消防審議会もその答申どおり積極的に活性化を進めていくべきではないかという答申をいただいておりますので、これらの答申に基づきまして来年度以降積極的に消防団活性化の対策に取り組んでいきたいというように考えておるところでございます。
  44. 松田九郎

    松田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  45. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、山下洲夫君
  46. 山下八洲夫

    山下(八)委員 大臣が見えないものですから、冒頭大臣にお尋ねしたいことがあったものですから今きょとんとしておるのですが、それはそれでいいとしまして、きょうは特に私は、今国鉄の再建監理委員会、私はこれは再建という言葉はきれいだけれども、解体監理委員会と言った方がいいと思うわけですが、この再建監理委員会の答申に基づいて今運輸省が中心になりまして大変な法案作成の準備をなさっていると思うわけです。そういう中で特に地方行政といいますかあるいは自治体といいますか、そこにかかわる問題について何点かお尋ねさしていただきたいというふうに考えています。  そういう中で今いろいろと考えてみたのですけれども、一つはやはり余剰人員の問題あるいは鉄道公安職員の問題、また時間があればローカル線やら第三セクターの問題等にちょっと触れさしていただきたいと思うわけでございますが、今松田委員の方からゲリラ事件の問題がかなり熱を込めて議論されておりましたので、このことについて私なりに一言だけ触れさしていただきたいというふうに思うわけです。  これは迷惑千万ということは私も全く同感でございますし、何とかしていただきたいということも率直な気持ちでございます。特に今回は、何か表題か看板か知りませんが、やはり国鉄分割・民営反対ということを引き金にあのような暴挙を行っているということには大変遺憾に感じるわけでございます。そういう意味で私は特にこの問題につきまして今考えますことは、やはり少なくとも国鉄をあのような暴挙で破壊をした、そのことによって大変な国民の迷惑もあるわけでございますが、そういう中で、一つはやはり分割・民営を行っていこうということが引き金になっている、そのことも全く否定はできないと思うわけです。  そういう中で私は、まず警察庁といたしましてはぜひこの問題だけではなくて、やはり新左翼、あるいは右翼にいたしましても全く同じでありますが、今日までも最大限の努力はなさっていると思うわけです。だが、いろいろとやはり事件は次から次へと出てくる。先ほどの答弁の中にもございました、警察だけではどうすることもできない、そのことも十分理解します。そういう中で、私は何とか、やはり起きた後検挙をすることだけではなくて、その以前にいかに未然に防止していくか、予防していくか、このことがまず一番大切であろうと思うわけです。そういう意味でまた、たとえ右翼であろうと新左翼であろうと国民の協力もやはり要請をしていく、このような態度でぜひ今後もどんどん進めていただきたいということを思いますし、その辺についてまたお考えをお聞かせいただきたいと思うわけです。  また同時に、国鉄と運輸省にこの問題で一言だけまず冒頭お尋ねしたいと思うわけですが、今回少なからず分割・民営反対でやっていた。これは分割・民営化されるとああいう事件は起きなくなるのか、民営化されることによってああいう事件はなくなってくるのか、新左翼のああいう破壊行為はなくなってくるのか、その辺について一点だけまずお尋ねしたいと思います。その後本論に入らしていただきたいと思います。
  47. 山田英雄

    山田(英)政府委員 御指摘のとおり、ゲリラ事件に限らず犯罪の予防といいますのは警察の責務でございます。そういう意味では、人員、装備に限りはございますけれども、最大限の努力をしていきたいと思っております。  その対策の柱としては、まず、我々自体の力をつける、警察のいろいろな装備資器材につきましても、ハイテクノロジーの導入といいますか、科学化というものをコンピューター関係を初めとして導入して、科学的な力で人員の足らざるところを補っていきたい。そういう意味で、ただいま予算編成シーズンでございますが、厳しい財政事情の中で警察の科学化のための予算を獲得することに努力しておるわけでございます。また、その点についての御理解もいただきたいと思っております。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕  それからもう一つは、御指摘にもありましたように、関係機関への協力依頼といいますか、ゲリラの対象になる、いろいろ社会公共施設、重要設備がございます。これの防護がどうなっておるか、自主警備体制がどうなっておるか。これはやはりそうした管理者の方の御措置にまって、それと警察と相まって予防に努めるということが重要であろうと思いますので、関係機関へのそうした面の要望は、従来行っておりますが、今後ともきめ細かくお願いして、提携して予防の万全を期してまいりたい、かように存じております。
  48. 渡辺要一郎

    ○渡辺説明員 今回の事件のようなことが起こりましたのを運輸省としても極めて遺憾というふうに思っております。国鉄の改革をこれから進めていかなければならない大変重要な時期でございまして、国鉄の職員の一部にこういう国鉄の業務ということに対する責任意識に欠けた者がいる、それからさらには、今国鉄が置かれている非常に厳しい事態というものに対する認識が欠けている、こういうことを大変遺憾に思っております。  これから国鉄民営・分割という作業が進められていくわけでございますけれども、今の国鉄のうちにもあるいは新しい形になった後も、職場規律を厳正にする、それから職員の個人把握なり個人指導なり、そういった点に厳しい目を向けていく、こういうことが必要であろうと思っております。民営化されるということにつきましては、今の公社制度より企業に対する責任意識というものはさらに強くあらわれるのではないか、かように思っている次第でございます。
  49. 山下八洲夫

    山下(八)委員 この問題はもうそれ以上追及いたしませんが、いずれにいたしましても、このような事件が二度と再び起きないようにぜひ御要望しておきたいと思います。  冒頭申し上げましたとおり、特に私は自治体、地方行政にかかわる問題について、国鉄の分割・民営に伴う関係について質問をさしていただきたいと思います。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕  まず、そういう中で最初に鉄道公安制度の問題で若干お尋ねさしていただきたいと思います。  今度の国鉄再建監理委員会が出しましたこの答申の中に、「国鉄改革に関する意見」が出たわけでございますが、民営化後の株式会社職員が公権の発動として捜査業務を行うことは適切でないので、その主体は政府で検討すること、現にいる公安職員の引き継ぎも考慮することを指摘しているわけでございます。同時に、十月十一日の閣議決定で「国鉄改革のための基本的方針について」は鉄道の公安維持のための事務は都道府県警察が行うこと、鉄道公安職員の引き継ぎは「意見」に沿い適切に対処することを決定していることは御存じのとおりでございます。  そういう中で、私は簡潔に二点ばかりお尋ねしたいと思うわけでございますが、この閣議では「都道府県警察が行うこと」というふうになっているわけでございますが、自治省といたしましてはあるいは警察庁といたしましては国鉄から鉄道公安職員を受け入れるのかどうか、そのことをまず一点聞きたいと思いますし、同時に、受け入れた場合は身分はどうなってくるのか。例えば現行でいいますと、警視正以上は国家公務員でございますし、それ以下は自治体警察になっているわけです。その辺のことにつきましてお尋ねしたいと思います。
  50. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 国鉄の民営化の問題につきましては、先生御指摘のとおり、本年七月二十六日に国鉄再建監理委員会が「国鉄改革に関する意見」を出しました。また、これを受けまして、十月十一日の閣議におきまして国鉄改革のための基本的な方針が決定をされておるところでございます。  この中で、国鉄公安制度については国鉄民営化後は廃止をすることとし、鉄道公安制度廃止後の鉄道にかかわる公安維持の事務は都道府県警察が行うということとされております。したがいまして、警察庁では都道府県警察が鉄道にかかわる警察業務を行う場合に必要な警察力の確保について関係省庁と鋭意検討を進めておるところでございますが、現実の鉄道公安職員の業務の引き継ぎとそれに伴う警察体制の整備ということにつきましては関係方面と今鋭意検討を進めておりまして、現行の定員の枠内ではやや厳しいと考えておりますので、定員の枠の変更、増大をお願いしておるところでございます。  なお、それに伴いまして、鉄道公安職員の引き継ぎにつきましては、地方の警察官ということでございますので、都道府県警察官ということでございますので、地方公務員として引き受けるということを検討しておるところでございます。
  51. 山下八洲夫

    山下(八)委員 お聞きしてない分まで先に答えられたようですけれども、今地方公務員としてという御答弁をいただいたわけでございますが、これにつきましては後ほど触れていきたいと思うわけです。  そういう中で、国鉄の新経営形態での鉄道施設内での犯罪捜査等でございますが、鉄道にかかわる公安維持について警察に担当することとした場合、現在の鉄道公安職員の権限との間で、例えば鉄道公安職員の権限が警察の権限よりも広いのではないか、そのような気がするわけです。今申し上げたいと思いますけれども、鉄道公安職員はいわゆる特別司法警察職員として鉄道犯罪にかかわる捜査権限を有しておりますし、その限りでは警察と同様の権限を持っておると思うわけです。それ以外にも国鉄職員としての輸送の安全確保あるいは旅客、荷主の保護等、警備業務をも担当しているわけです。これらの業務を新経営主体の職員でない一般の警察官に執行してもらうことはどうも理解できないわけですが、国鉄としては新経営形態になったらそれでいいんだ、あるいは運輸省としては新経営形態になったらそれでいいんだという考えなのか、あるいはそれともまた警察の方としてはこれらの業務をできるようにするんだ、あるいは極端な言い方をすれば警察法を改正するんだというような考え方に立つのか、その辺につきましてそれぞれちょっとお答えいただきたいと思うわけです。
  52. 戸矢博道

    ○戸矢説明員 ただいまも警察庁の方から御答弁ございましたように、鉄道施設内におきます治安維持に関する鉄道公安職員がやっております仕事につきましては、都道府県警察に移管するということを閣議決定したわけでございます。そういうことでございまして、今後国鉄の鉄道施設内におきます治安維持につきましては、都道府県警察の業務ということで従来の治安水準の確保は十分できるというふうに私どもは考えておりまして、基本的には警察にいろいろ業務をやっていただくということで十分ではないかというふうに考えております。
  53. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、鉄道公安職員の職務は国鉄の施設内における公安維持の業務でございまして、付随的に幾つかの業務があろうかと思いますけれども、国鉄公安職員が現在行っております国鉄施設内における公安維持の業務ということにつきましては、民営化後は都道府県警察で行う、かように考えております。
  54. 山下八洲夫

    山下(八)委員 警察庁昭和六十一年度の概算要求におきまして——国鉄再建監理委員会「意見」で鉄道公安制度の廃止が打ち出されたわけでございますが、鉄道施設内では年間約一万五千件の刑法犯と約四十万件の諸法令違反が認められている。鉄道公安制度の廃止によって鉄道施設内の治安維持機能に空白が生じてはいけませんし、また場合によれば生じる可能性もあるわけです。これらに的確に対応して治安維持に万全を期すため、都道府県警察に鉄道警察隊を設置する必要がある。このような警察力の確保がひいては極左暴力集団に対する警備あるいは調査、対策や広域特殊事件の捜査対策についても寄与するものとして、鉄道警察隊の要員として地方警察官二千八百八十二名の増員を要求しているんではないかというふうに私は思います。  なお、この二千八百八十二名は、現在の鉄道公安職員の定員とちょうど見合っているわけです。このように理解をしてよろしいんでしょうか。
  55. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 現在、鉄道公安職員が鉄道にかかわる公安維持の任務を担当しておるわけでありますけれども、それに従事をしておる人員二千八百八十二名、先生の御指摘のとおりでございます。
  56. 山下八洲夫

    山下(八)委員 先ほど地方公務員ということであったわけでございますが、鉄道警察隊として地方公務員に所属した場合、特に電車に乗る機会が大変多いと思うわけです。そうしますと、特に最近は新幹線ひかり号ではございませんが、地方公務員の身分として所属した場合、例えば東京駅から名古屋までとまらない新幹線に乗りますと、東京、神奈川県、静岡県、愛知県、このように広範に行動するわけです。そうしますと、身分というのは地方公務員の場合どのように位置づけるというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
  57. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 身分はあくまでも地方公務員でございますし、それぞれ当該都道府県警察警察官、したがって、当該都道府県の地方公務員ということでございます。
  58. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、例えば四十七都道府県あるのですけれども、二千八百八十二名を四十七都道府県にばらまくということですか。それとも、私は少なくとも、どういう名称になるかは別にしまして、鉄道は鉄道を中心に、やはり鉄道公安官のように鉄道警察隊としてだと思うのですが、安全確保のために業務、捜査をなされると思うわけです。そのことを考えますと、地方公務員、特に警察の場合は自治体警察になっているわけでございますし、当然横の連絡ということがあって入り組んだりすることはあると思うのですが、全体的に今鉄道公安官を、職員を警察に移行するということは、鉄道の安全輸送その他を含めてきちっと守っていただくという制度でなければならないと私は思うわけです。そうしますと、少なくとも地方公務員であればあったでそれなりの処置が必要だと思うわけですが、今ちょっと御答弁が理解できないのですけれども、もう一度お願いしたいと思います。
  59. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 地方公務員でございますので、当然仕事の範囲がその地方ごとではないかという御質問かと思います。  当然、都道府県警察の管轄区域は原則としてその当該都道府県警察の範囲内でございます。しかし、警察法におきましては、例えば六十六条という条文には「二以上の都道府県警察の管轄区域にわたる交通機関における移動警察については、関係都道府県警察の協議して定めたところにより、当該関係都道府県警察の管轄区域内において、職権を行うことができる。」と規定してございますし、またそのほか当該都道府県警察の管轄区域外に権限を及ぼすことができる場合が詳細に規定してございます。したがいまして、広域的な業務が含まれる鉄道にかかわる警察業務もこれらの規定によりまして十分対処ができる、かように考えております。
  60. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そのことはわかっているわけですが、ただ私が申し上げたいことは、仮に東京なら東京あるいは愛知県なら愛知県、そのように二千八百八十二名を拠点をつくって地方公務員にするのか、あるいは先ほど申し上げましたように、沖縄は鉄道がないわけですけれども、沖縄を除いた全国にその鉄道に見合って増員をしていくのか、その考え方は、今わかる範囲でどのようにお考えになっているのですか。
  61. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 現在、鉄道公安官は、沖縄を除きまして全国に配置をされておるわけでございます。一応それを基準としてそれぞれの都道府県警察に拠点を置いて鉄道施設にかかわる公安維持の任務を果たしてまいりたい、かように考えております。
  62. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、鉄道警察隊のような組織は特につくらない、そうでなく、警察官としてその都道府県でそれぞれ配置をされた方が電車へ乗られて安全確保のための行動を起こすというふうに理解すればいいのですか。そうでなくて、鉄道警察隊は当然つくりまして、そして専門職として特に鉄道の安全確保のための業務につかれるようにする、そのように理解すればいいのですか。
  63. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 鉄道施設にかかわる公安維持の任務を国鉄民営化後都道府県警察が担当することになるわけでございますが、その担当する警察官、あくまで警察官でございまして、しかも県によって規模は違いますけれども、一応仮称ではありますけれども鉄道警察隊的な組織を設置して担当させたい、かように考えております。
  64. 山下八洲夫

    山下(八)委員 時間が過ぎますので次へ移りたいと思いますが、そうしますと、現在います鉄道公安職員を大体警察で引き継いで受け入れる、そのように理解してよろしいですね。同時に、その場合には適格者の基準とかあるいは再訓練のあり方とかそういう問題もあろうかと思うわけですが、その辺はいかがでしょうか。
  65. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 地方警察官の定員の政令基準がございますので、それの鉄道施設にかかわる、公安維持にかかわる体制整備のための必要な定員枠の拡大を今お願いしてございますが、その枠内で現行の鉄道公安職員の引き継ぎを考えておるわけでございます。これはまた関係省庁ともいろいろ御協議をしながら検討を進めておるところでございまして、私どもといたしましては当然、当該引き継ぎを受けた鉄道公安職員は警察官として業務ができるような教育訓練をしたい、かように考えております。
  66. 山下八洲夫

    山下(八)委員 先ほどもちょっと話が出たわけですが、警察庁の六十一年度の概算要求では、二千八百八十二名の増員に伴い各都道府県警察で必要となる経費のうち全額国庫支出とされるものとして、警察法の三十七条の三項ですか、二千万円を計上しております。同時に、なお増員分の給与費は地方警察官の給与としてすべて地方警察の負担でありますし、その金額は、昭和六十年度地方財政計画の新規採用の警察官の単価で推定しますと約七十七億円ぐらいになるわけです。仮に全員六十一年四月一日に採用すると仮定して二千八百八十二名を掛けていくと、六十年度ベースでそのようになるわけですが、これら給与や被服費のほか国庫補助は地方交付税で算入されることになると思うわけです。そういう中で、今でも地方交付税というのは大変窮屈なわけでございますけれども、自治省としては、これからまだ大蔵省の方へ折衝して来年度は交付税をもっと余分にたくさんもらえるのだという状況なのか。また、特に警察の場合は六十年度は採用ゼロで、この数年だんだん人数を減らしてきていたわけです。また今日、地方行革大綱が出まして、地方自治体はいかに地方公務員を減らすかという努力をして、どの自治体の首長さんも一生懸命血の出るような思いをしているわけです。  そのようなこととのかかわりでいきますと、二千八百八十二名、この人員は大変大きな数ではないか。そうしますと、場合によれば、やりようによれば今の警察職員の中でやれるのではないか、そのようなことも思うわけです。特に交付税が際限なくふえていくなら、その分だけ交付税全体の枠をふやしますよということであればいいわけですが、何かが切られるわけですから、その辺についてのお考えはいかがでしょうか。
  67. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 国鉄公安職員について、どの程度の人員を受け入れるかという問題がまず一つあると思います。現在二千八百八十二名でございますけれども、その方が全部警察に移行することを希望されるのかどうかという問題もございますし、また、現在の制度とそれから今後の、例えば仮称であるようでございますが、鉄道警備隊と申しますか、そのようなものの業務とが今までとの仕事の範囲の変化があるのではないか。今までですと、国鉄の営業にかかわる問題もタッチされておったようでございますから、そういった業務の変更ということもございますので、これをどの程度受け入れるかということは、関係省庁ともこれから十分詰めてまいらなければならない問題であると考えております。  そこで、これについて地方団体におきましても、やはり人員の削減ということで非常に努力されておるわけでございますので、そう全部が全部受け入れられるという問題もそこは難しい点もあるかと思います。ただ、国鉄の余剰人員対策としてはできるだけこういった措置を講じまして、適切な措置を講じていく必要があるのではないかということも基本的に考えておるところでございます。  なお、この人員につきましての給与費、関係経費につきましては、当然に基準財政需要額に算入いたさなければならないことになります。明年度の地方財政問題につきましては、全体がどのような姿になるか、まだ税収の見通しその他もわかっておりませんのではっきり申し上げることはできませんけれども、少なくともこれはまず地方財政計画に的確に算入をする、それに応じて所要の財源措置を講ずるということになろうと存じます。
  68. 山下八洲夫

    山下(八)委員 このことでちょっと一言だけ国鉄へお尋ねしておきたいと思います。  国鉄は余剰人員対策として、警察でそれこそ鉄道公安職員を受け入れていただけるといえば本当に大変うれしいのではないかと思うわけです。これは後ほど余剰人員問題で触れたいと思っていたわけですが、やはり今日、国鉄職員として長年勤めていましたから、その場合に、共済年金のときにもこの委員会でも附帯決議になったりしているわけでございますが、退職金その他についてはどのように扱うのか、その辺だけ先に一言だけお聞かせいただきたいと思います。
  69. 渡辺要一郎

    ○渡辺説明員 制度の問題でございますから、私の方からお答えしたいと思います。  国鉄の職員が国あるいは地方公共団体の職員として移られるという場合に、退職金につきましては二通りの方法が考えられるわけでございます。今まで国鉄におりました在職期間について一たん国鉄で払って、それから再就職された後の期間の分についてはその再就職された先で払う、こういう方法と、それから、二つの期間を通算いたしまして最終的に退職されるときに全体について退職金を払う、こういう二つの方法があるわけでございます。  運輸省といたしましても、採用の時期であるとかあるいは形であるとか財源の問題であるとかいろいろな点がございまして、関係省庁といろいろ協議をしているところでございますが、私どもといたしましては、地方公共団体へ移るという場合には地方に負担をおかけしないという意味から、一たん国鉄で今までの在職期間については退職金を払って地方公共団体へ移る、こういう方式を原則にするといいますか、一般的にはそういう方式でやる方がいいのではないか、こういう方向で関係者との間で協議をしているところでございます。
  70. 山下八洲夫

    山下(八)委員 山田長官、お急きですね。もうよろしいです。  それでは、今の問題も後ほどまた関連してお尋ねしていきたいと思いますが、特に余剰人員問題に絞って何点か確認をとっていきたいと思います。  同じように国鉄再建監理委員会の答申によりますと、昭和六十二年四月の新事業体への移行、分割・民営化に伴って九万三千人もの余剰人員が発生すると言われているわけです。仮に答申どおりの分割・民営化がなされたとして、六つの旅客会社が抱える三万二千人の要員を差し引いてもなお六万一千人の国鉄職員国鉄の職場を離れなければならないという状態が起こるのは御案内のとおりです。恐らく一企業の雇用問題としては最大の雇用問題を引き起こすことになりますし、特に運輸省がどれだけ採用するのか、まず運輸省が率先して模範を示さないとこれから先の質問にもつっかえるわけでございますけれども、政府といたしましては、こうした国鉄職員の雇用の確保について具体的にどのような対策、手だてを講じようとして考えていますのか、その点についてお尋ねしたいと思います。特に、新聞その他にいろいろな問題が出ておりますけれども、ぜひ一度きちっと明らかにしていただきたいと思います。
  71. 渡辺要一郎

    ○渡辺説明員 国鉄の余剰人員対策は国鉄改革を実現する上で最大の問題、こういうふうに考えておりまして、一運輸省、一国鉄、こういうもので処理できる問題ではございませんので、政府を挙げまして取り組むということで、内閣に国鉄余剰人員雇用対策本部、こういうものを設けまして、今鋭意検討しているところでございます。  先ほど先生お触れになりましたところでございますが、十月十一日、国鉄改革の基本方針という閣議決定をいたしまして、国鉄最大限の努力を前提としまして、雇用の場の確保については、例えば国は採用数の一定割合を雇用の場として提供する、あるいは地方公共団体につきましても、国が講じる措置に準じて積極的に採用を進めるように要請する、こういうふうなことを決めておりまして、その具体的な内容につきましては、ただいま雇用対策本部の方で検討を進めているところでございます。  それから、もう一点お尋ねの運輸省においては何をやったかというお話でございますが、運輸省もこういった十月に決められるより前に、やはり率先して運輸省自身が国鉄職員の受け入れをする必要があるのではないかということで、七月から運輸省の職員についても、年度途中でございましたが、欠員の補充については国鉄職員を受け入れよう、こういうことで受け入れをやってまいりました。年度初めに若干採用した分も含めまして、十一月初めまででもう既に四十数名の方を国鉄職員から採用いたしまして、これからも政府の方針が決まりますればその方針にのっとって運輸省としては国鉄の職員を受け入れていく、こういうことになるかと考えております。
  72. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今日までに運輸省は率先して四十数名努力をされたということでございますが、このことにつきましてもまた後ほど触れていきたいと思うわけですが、聞きたいことを先に進めさせていただきます。  私は、どう考えてもこの問題につきましては政府の責任だと思うわけです。そういう意味でまたお尋ねしたいと思うわけです。特に、国鉄に勤められました国鉄職員は、公共サービスの提供あるいは職務の特性を考慮しまして雇用保障がなされていると思うわけです。そういう状況だから民間に適用されております雇用保険制度も適用除外となっておりますし、こうした事情によって今日まで国鉄職員も一生懸命勤めてみえた、そのように私は思うわけです。そういう中で、国鉄職員はこれを信じて働いてきたのだけれども、言葉は悪いかもわかりませんが、経営の失敗で人が要らない、そういうことではあそこで働いている職員は余りにもかわいそうではないか。最終雇用者として当然政府、国全体としての責任もありますけれども、特に私は運輸省の責任は大変重要だと思うわけです。そういう意味では、例えば一人も路頭に迷うことのないような最終責任をやはり持ってもらいたい、また持つのが私は本当だというふうに思うわけです。そういう立場から政府は、特に運輸省はこの責任についてどのように考えていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思うわけです。
  73. 渡辺要一郎

    ○渡辺説明員 国鉄の改革を進める理由としては、公社という制度に問題があったということ、それから全国一元の巨大組織ということにも問題があったということもございますし、あるいは交通に対するいろいろな輸送の需要が変わってきたということに対して適切な対応がなされなかった、こういうことが非常に大きな原因でございます。運輸省といたしましても、今まで何回も再建計画、再建対策というものをつくってまいりましたが、なかなかうまくいかなかったわけでございます。  今般、国鉄再建監理委員会という専門の組織をつくっていただきまして、二年間にわたりまして御審議をいただいた「意見」というものをいただきました。それに沿ってこれから改革を進める、こういうことでございます。その中で、国鉄の余剰人員問題、これはもう大変深刻な問題でございまして、先ほども申し上げましたように、運輸省、国鉄だけというだけでは力が及びません。政府を挙げて応援していただく。その前提といたしましては、もちろん国鉄は全力を挙げてみずからいろいろな対策を講じる、こういう前提がございますが、政府を挙げてということで、先ほど申し上げましたような閣議決定であるとか、あるいは今後におきましても政府全体としてのいろいろな取り組みをしていただける、運輸省といたしましては国鉄の改革をきちんとなし遂げる、あるいは余剰人員の問題につきましてきちんとした後の処理ができる、こういうことでこれから責任を果たしていきたい、かように考えている次第でございます。
  74. 山下八洲夫

    山下(八)委員 時間がありませんので飛びたいと思います。  実は、余剰人員の中で、六万一千人の中で二万人は希望退職、あるいはその四万一千人のうち民間と国、地方でどれだけ採用するか、マスコミに出たりいろいろなところでいろいろな話が出ているわけです。全体的に今だんだん定着しそうにありますのは、国、地方でおおよそ三万人ぐらいは受け入れろ、特に再建監理委員会の答申ではとにかく国は努力しろということは書いてございますけれども、数字までは、何人受け入れるということは書いてないわけでございますが、そういう中で、国、地方ではおおよそまずどれぐらい受け入れようと考えていらっしゃるのか。あるいはまた、特に自治省あるいは運輸省とそのような話し合いをなされたのか。あるいはまた、労働省あるいは総理府、人事院、そのようなところともある程度具体的な話をされているのか、全くまだされていないのか、されていればどのような状況なのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  75. 渡辺要一郎

    ○渡辺説明員 監理委員会の「意見」では、方向は示されておりますが、具体的な数は書いてあるわけではございません。亀井委員長国会の場その他で、公的部門で三万人、民間で一万人、こういうような数字を挙げて言われたことは事実でございます。  政府の取り組みでございますが、現在運輸省あるいは自治省、総理府、いろいろな関係のところが入りました国鉄余剰人員雇用対策本部というのは内閣に設けられておりまして、そこで、いろいろな採用についての具体的内容というものがただいま申し上げました閣議決定の中にも書いてありますが、具体的内容と手順を詰めている最中でございます。そういうことでございますので、御了解いただきたいと思います。
  76. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、まだ詰めている段階だから数としては全く白紙であるということに理解していいのですね。そういう中で私は、いずれにしてもこの三万人というのはだんだん定着しつつある、またそれぐらいがやはり最終的には要求されるのではないか、そのように思うわけです。そういう中で考えていきますと、やはり今度は国と地方がどれだけ受け入れられるのか、特に自治省は全体的にどれくらい受け入れられるのか、そのような相談をなされたことがあるのかどうか、その辺について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  77. 大林勝臣

    ○大林政府委員 御指摘のように大変な事態になっておるわけであります。新聞紙上、三万人を公的部門というようなことが言われておりますけれども、現在国あるいは地方のそれぞれの採用状況、そういったものを基礎に置きながらどの程度の限度で受け入れることができるかという数字の詰めをしておるわけでありまして、現在のところまだ数字をお答えできる段階にないことを御了解願いたいと思います。
  78. 山下八洲夫

    山下(八)委員 いずれにしましても空論で話をしていてもなかなか前へ進みませんから難しいわけですが、例えば新聞に出ていたわけですけれども、国家公務員を来年度は四千人純減をするという状況でもあるわけです。同時に、地方自治体といたしましても地方行革大綱で職員をなるべく減らしていく、この方向でずっとこの間努力をしているわけです。私はそういう中でまず自治省の方にお尋ねしたいわけでございますが、この余剰人員を見てまいりますと特に北海道と九州が一番多いわけです。北海道は一万三千人、そして九州は一万四千人、このような状況であるわけです。少なくとも私は、最終的には相当部分が地方自治体あるいは地方公共団体、このようなところで受け入れろ、こういう状況に一方ではなってくるのではないか、そのように思うわけです。だが、一方では自治省の指導のもとで一生懸命職員を減らしなさいよ、そう言っているわけです。そうすれば、極端な言い方をすれば国鉄職員を一人も採用する余地はない、それぐらいの環境に今日どんどんなりつつあると思うわけです。そういうことを考えていきますと、現実には採用すら難しいのではないか。また、毎年新規採用で地方自治体の公務員なども大変な競争率で試験を受けて、わずかな方が自治体の公務員として勤める環境が今日の状況でもあると思うわけです。そういう実態を見ながら考えていきますと、最終的には不可能であるというふうに私は理解するのですが、それでも特に国の方針で決まれば採用するということでございますか、自治省の方へお願いしたいと思います。
  79. 大林勝臣

    ○大林政府委員 まさに御指摘のとおり地方団体、現在行革の一環として定員の適正化の努力をしておる最中でございます。ただ、国鉄の余剰人員問題というのが大変な国挙げての緊急事態である、と同時に、やはり国鉄改革というものがうまくいかなければ今後の地方交通問題、そういったものにも支障が生ずるという面もございます。したがいまして、地方団体、定員の適正化の努力をしながらも、もちろんなお新陳代謝の枠というものは考えられるわけでありまして、そういった努力の中の新陳代謝の中でできるだけ積極的に対応してまいる必要があろう、こう考えております。
  80. 山下八洲夫

    山下(八)委員 これは率直に国鉄にお尋ねしたいと思うわけですが、国鉄は特に余剰人員を抱えると大変だと思いますので、いろいろな機関で最大限努力をして余剰人員対策として受け入れてもらいたいというのが本音であろうと思うわけです、そういう意味で、もしそういう受け入れ先が少なくなればなるほどやはり路頭に迷う国鉄職員も一方ではふえるわけですから、その辺の対策についてどのようにお考えになっているのか、また同時に、国やら地方も厳しい環境だけれども、ぜひどんどん受け入れてもらいたいというお考えなのか、その辺について、また、もし受け入れが思ったほどできなかったということになったら、その余剰人員を今後どうなさろうとするのか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  81. 南谷昌二郎

    ○南谷説明員 先生御指摘のように、私どもの国鉄改革を進めるに当たりまして余剰人員対策、特にその雇用の場の確保ということは何よりも重要だと考えております。私どもとしましては、この雇用の場の確保に対しまして国鉄としてみずからまず最大限の努力をしなければいけないということで、国鉄の関連企業におきまして約二万一千人の雇用の場を確保すべく現在関連企業と具体的な詰めを行っておるところでございまして、最低限この数字は何とか確保したいと考えております。と同時に、国鉄国家機関の一員でございまして職員の公的機関への関心も極めて高うございますので、地方自治体を含む公的部門においてどの程度受け入れていただくかということが非常に大きな、むしろ最大のポイントになろうかと考えているわけでおります。そういうことでありまして、国家公務員あるいは地方公務員、こういったところで、先ほど先生御指摘になりましたように、亀井委員長も答弁なされましたように、約三万人という数字を何とかお願いをしたいということで、日夜幹部がお願いに回っておるところでございます。地方局におきましても、それぞれ局幹部挙げまして各自治体に対しまして現在協力をお願いしているところであります。  先生のお話の中に、もしうまくいかなかったらどうするのかというお話もございましたけれども、現在のところ、まず三万人という受け入れ先の確保について、私どもとしては何とかそれを実現していただくべく最大限のお願いをしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  82. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ちょっと具体的にお尋ねしたいと思うわけですが、私は岐阜県の中津川市というところに住んでおります。人口は五万三千人ぐらいです。国鉄職員がまだ五百名弱現実に見えると思うわけです。古屋自治大臣のところは人口が三万五千人くらいだと思うのですが、そこでも国鉄職員が現職で少なくとも三百人くらいは見えると思うわけです。特に地方都市といいますのは、長男坊はどちらかといいますと、国鉄に勤めたり郵便局に勤めたり市役所に勤めたりして、一方では農業の仕事をしたりあるいは代々続いた家を守る、このような宿今も一つあるわけです。そういう中で五百人ぐらい名古屋の方まで長距離を通勤して国鉄に勤めたりしてみえるわけです。国鉄職員の余剰人員が九州とか北海道で多いのは、そういう環境の方も随分見えると思うわけです。そういうところはまた一方ではなかなか就職するところがない。特に北海道に余剰人員が多くて、じゃあその余剰人員を雇用対策のため東京へ転勤させればいいじゃないか、このような環境ではないと思うわけです。そういうことを考えますと、全国的に見ればある程度余剰人員対策として国、地方で受け入れることが可能だな、仮にそういう数字が出たとしても、現実に国鉄職員が勤める環境にあるかといえばないのが相当な部分ではないかと私は思うわけです。そのような環境が一方にあると思うわけです。特に北海道やら九州というのは、直接的には知りませんけれども、九州に一万四千人もの余剰人員があるあるいは北海道に一万三千人もの余剰人員がある、私は大変なことだと思うわけです。これは地方自治体が最大限の努力をして国鉄へ協力しても、国の機関やあるいは自治体の機関で吸収できるとは私は思えないわけです。そういうことを考えますと、この余剰人員対策というのは本当に机上のプランになってくるのではないか。現実的にそれがスタートするときに泣くのは国鉄職員であり、路頭に迷うのは国鉄職員ではないかと私は思うわけです。そのことを絶対させてはならないと思いますし、そういう意味では国全体に大きな責任がありますけれども、同時に直属の役所であります運輸省というのはやはり大変な責任があろうと思うわけです。その責任がありますから、さしあたって現在もう四十数名雇用された、率先して取り組んでいるんだということであろうと思うわけです。  そういう中で、私は「札幌管区気象台職員の採用について」、このようなものをちょうだいしたわけでございますが、採用数、十名、勤務箇所、本局、旭局とか青局とかいろいろと書いてあります。勤務形態それから給与、運輸省ですらこの気象台職員の採用についてかなり厳しい条件がついているわけですね。採用条件といたしまして「高等学校卒業者で健康な三十歳以下」、このように年齢制限までついているわけです。広い北海道の中で、また北海道の場合は余剰人員が大勢見えるからこの十名は場合によれば確保できると思うわけです。だけれども現実的にはこのように生易しいものではないと私は思うわけですが、もし運輸省がそれほど率先して努力なさるというのであれば、健康な三十歳以下、健康はいいですが、三十歳以下とかこのような制限をつけるのは、ある一方ではまた、一生懸命やっておるよ、だけれども余り来てくれるなよ、そのような感じすらするわけです。もっと具体的に言えば本当にもっと広範に採用してあげる、そのような努力がこれからは一つも見えないわけです。そういう意味では、もし余剰人員をそれぞれの国、地方団体あるいは民間企業にお願いするのであれば、まず運輸省が広範な範囲から採用できるような条件づくりをして、そういう中から皆さん方にもお願いをしていく。運輸省みずから年齢制限をして一番若いところで集めよう、これでは今後国にいたしましても地方自治体にいたしましても協力が得られないのではないか、そして最後は職員が泣くのではないか、そのように思うわけでございます。その辺についてぜひお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  83. 渡辺要一郎

    ○渡辺説明員 国鉄の余剰人員の受け入れにつきまして国の各機関ばかりでなく地方公共団体に大変御協力いただくということ、大変ありがたいことだと思っております。  運輸省としてはことしの七月からそういう対策を進めたわけでございますが、年度途中からということで欠員補充が主体になっております。それから、これからも定員がそうふえるというわけではございませんので、退職者の後補充あるいは欠員の補充、こういうことが主体になってくるかと思います。  ただいま言われました札幌管区の気象台の場合、高卒については国鉄の方は大体高卒の方が多いと思いますので問題ないと思いますし、年齢につきましては、詳細は存じませんが、多分仕事の内容であるとかあいたポストであるとかあるいはこれから配属しようとするところとか、そういったいろいろな条件があってそういうことになったのではないかと思いますし、現に運輸省でこれまで採用した中には例えば船員とかいろいろな例がございまして、ある程度年齢に達した方も採用しておる、こういう例もございます。札幌の場合は多分気象台の方が要員需給事情あるいは欠員の補充の事情、そういったようなことでこういう人が望ましいということで募集されたのではないかと思います。運輸省としてはできるだけ広い範囲で受け入れるということをこれからもやっていきたいとは思っております。各省にもあるいは地方公共団体にもいろいろお願いするわけでございますから、当然運輸省としては率先してそういった点には気を配っていかなければならない、かように考えておるところでございます。
  84. 山下八洲夫

    山下(八)委員 細かいことをお話しすればまだまだ今の答弁にもたくさんあるわけですけれども、時間がありませんので、最後に一言申し上げて質問を終わりたいと思います。  先ほど触れました北海道にいたしましても一万三千名からの余剰人員が出る。そして、九州にいたしましても一万四千名からの余剰人員が出る。仮に地方自治体が最大限の努力をして一定の雇用をしてあげる、これは国鉄職員の環境を見れば当然ではないか、またそのような努力は必要ではないかと一方では考えるわけです。だが、同時に、先ほども申し上げましたとおり、地方は地方行革大綱でとにかく職員の数を減らしなさい、これが一方にあるわけでございますから、口で言っているより大変厳しい環境にあることも事実でございます。そのようなことを考えますと同時に、もう一つは、中途で採用されてくる、職種がかわるわけですから、身分の問題等いろいろな問題があります。また、年金のときの附帯決議ではございませんが、年金あるいは退職金などにも大きな問題があります。同時に、職種も広範に分かれておりますし、悪い言い方をしますと、幾ら国鉄の機関士の免許証を持っていたって、地方自治体では汽車を走らすという——最近第三セクターではあるといたしましても、必要でないわけでございます。そういう意味では本当の職種転換ということも、その職員にとっても大変な苦労が出てくると思うわけです。いろいろな問題点を抱えておりますが、そういう中で特に地方自治の立場、自治体の立場から見ましてもまだまだたくさんの問題を抱えております。きょうは時間がなくなりましたから、ローカル線の問題あるいは第三セクターの問題、特に大臣のいらっしゃるときに、この第三セクターに明知線もなりましたから、ぜひ一度議論をしたいというふうには考えているわけでございますが、少なくとも私は、この今日的な国鉄の危機的な状態は分割・民営の方針を出したからなったというふうに思います。  私は、経済は全く素人でございますからわかりませんけれども、よく国鉄は累積債務が二十二兆円になった、あるいは六十二年四月一日には三十七兆円であるとかいろいろと言われておりますが、私は国鉄は赤字であるとは一つも思ってないわけです。黒字だというふうに理解しておるわけです。一方、資産は少なく見積もっても七十兆円はあるとも言われておりますし、あるいは多く言われる方は二百兆円くらいあるじゃないか、そのような言葉も聞きます。どれが正しいかわかりません。だけれども、累積債務が仮にあの国鉄再建監理委員会の言いました三十七兆円であっても、資産がそれ以上あれば私は決して赤字とは理解できないわけです。民間企業が倒産、株券は紙切れになって、同時にそういう中から考えていきますと、資産は全部売り尽くして最後に借金が残るのが民間会社の倒産じゃないかと私は思います。そうでなければ黒字倒産という言葉がよく使われます。ですから、そういう意味ではまず国鉄を分割・民営にしていく、特に運輸省はこういうものの法案を出す、そのようなことは一切考えないで、もっと今の経営形態を守ってやっていけば立派にやれるんだという方策を考えた方が地方自治体にとりましても大きなプラスになりますし、国民の足を守るためにも大きなプラスになると私は思うわけです。  もう時間が過ぎましたから、答弁は要らないといたしまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  85. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  86. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  87. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 最初に、行政局長にお尋ねいたしたいのであります。  五十九年六月七日の「新しい都制度のあり方巨大都市東京の実態にふさわしい自治制度を確立するために」という報告がございます。この報告をお読みになったと思いますが、どういうふうに評価されておるのか、行政局長の高邁な御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  88. 大林勝臣

    ○大林政府委員 都制度調査会が数年かけて勉強されました結果の報告書は私も拝見いたしました。大都市制度の中でも首府という東京都のあり方、さらには特別区の性格の明確化、自治権の拡充、そういった昔からの宿題についての研究結果でありますけれども、都と区の関係は、片方で自治権の強化という要請があると同時に、都としますと広域性なり一体性なりそういった要請が同じようなウエートであるものでありますから、その間の調整をした結果の報告ということで、非常に苦労された報告書になっておるという感じを受けました。ただ、全体を通じての感触としますれば、都制度の改正について今までの長い間の沿革がございます。あるときには特別区の自治権の強化を図り、あるときには効率化ということでむしろ都の一体性の要請というものが前面に押し出される、その後さらに特別区の自治権の強化、今日までこういう歴史になっておるわけでありますけれども、おおむねそういった歴史を踏まえて、さらに区の自律性の強化という方向にまとめられておる、こういう感じがいたします。
  89. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 この評価はなかなか難しい問題だと思います。  現在の都というのは、新しい広域自治体、新しい都、こういうものにすべきであるということであります。現在の二十三区を、普通地方公共団体でありますけれども、現在の指定市のようなものではなく、市町村のようなものではなく、特例市にすべきだ、特例市というのは仮の名前ですが、こう報告にあります。そうしますと、その新しい広域的な自治体、新しい都、今の区を土台とした新しい狭域的な自治体、これは今の府県と市町村とどういうかかわりがありますか。これを読みますと、間違いなく違ったものが構想されておると思うのですが、これはどう思いますか。そういうことを許されるのですか。つくるつもりですか。
  90. 大林勝臣

    ○大林政府委員 今の東京都と特別区との関係というのは一般の道府県と市町村の関係とはかなり違ったものになっております。したがいまして、二十三区というのは、いわゆる普通地方公共団体という位置づけでなしに特別地方公共団体という名前で位置づけられておる。その内容としましても、一般の市町村が行っておるような仕事の中でも、広域的なものは都が行うんだということで都に留保されておるという位置づけ、さらには財源配分等でも一般の市とは異なった位置づけを受けておるわけであります。そういうものを前提として、今後都制度調査会の方でどういうふうに持っていこうかというのが今おっしゃる新しい広域自治体と新しい狭域自治体の関係であろうと思います。  その場合に問題は、今後できるだけ区の地位を強化するという方向にありながらも、なおかつ最後まで一定の大都市の一体性を保つために必要な事務は東京都に保留をしておくべきであろうし、さらに財源調整も、今後見直していかなければならないけれども全くなくするわけにもいかない。現在、垂直調整とか水平調整とか言われておりますけれども、少なくとも水平調整というものは今後も残していかざるを得ない。そういった中で二十三区をどう位置づけるかという問題が一番大きな問題になっておることは御指摘のとおりであります。
  91. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 私の質問の前に水平調整とか垂直調整の話まで出てしまった、これは財政局長にちょっと厳しく聞こうと思っていたのでありますけれども。  余り回りくどい質問をしておっても時間がありませんから、私は端的にお伺いしたいのですが、都制度調査会の答申は、方向としては現在の二十三区を普通地方公共団体、それは三多摩の方にある東京都内の市とは違った、指定市でもない特別市でもない特例市、こういうものを描いておることは間違いないのでありますけれども、東京都は他の府県とは違った制度であることは間違いないのでありますけれども、そういう特例市を法律でおつくりになるつもりがございますかどうか。
  92. 大林勝臣

    ○大林政府委員 二十三区を法的にどう位置づけるかについての調査会報告を今後どういうふうに制度化をしていくかということは、地方自治体のあり方に対する一つの基本的な問題であろうと思います。そういう基本的な問題については、都制度調査会あるいはその後部と区との間の協議が行われておりますけれども、そういったものが煮詰まるにつれて適当な時期に地方制度調査会で十分に御審議をいただく、あるいはその間におきまして当委員会からもいろいろ御意見をいただくこともございましょう、そういう慎重な手続を経て必要なものは制度化するということになろうと思います。
  93. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 地方制度の根本に触れている問題でありますから、局長おっしゃるように地方制度調査会の答申を待ってということにならざるを得ないと思うのですけれども、今度は逆の方から、東京都の二十三区を普通公共団体とするという、その普通公共団体になるためにはこれこれの事業が現在の都から移されなければならぬという主張がなされております。これこれの事業というのは、局長どうお考えですか。消防ですか、あるいは下水道ですか、あるいは清掃ですか。財政上の問題は後で聞きますけれども、普通地方公共団体の固有の仕事としてそういうものが挙げられますね。それがなければ普通公共団体になれないのですかなれるのですか、お答えいただきます。
  94. 大林勝臣

    ○大林政府委員 普通地方公共団体というものと特別地方公共団体というものの二種類があるわけでありますが、どこからどこまでになると普通になり、どこからどこまでが特別だという別に定義があるわけではありません。一般的に言いますと、現在の一般の市がやっておるような仕事、その内容あるいは財源配分、そういったことを頭に置きながら二十三区の仕事あるいは財源問題というのが今後どうなっていくかという総合的な問題として、まあまあこのくらいならば普通地方団体として、そういう名称でおかしくない、ふさわしいというところまでいくかどうかの問題でありまして、個々の一つ一つの具体の事務が都に留保されるかあるいは二十三区の方に移譲されるかという一つ一つの問題で決めるべき問題じゃない。すべて事務配分、財源配分、その他事務調整の問題、そういったものを総合した全体の判断であろうと思います。
  95. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 局長、今私の聞いた真意がわからなかったと思うのです。二十三を、あるいは合併もあるでしょうから二十になるか知りませんが、一日も早く一つの普通地方公共団体にしてほしい、そのためにはどうしても例えば清掃事業がなければならぬ、これが区が普通地方公共団体、完全自治体になる必須の条件である、こういうことを言っておる区長がおります。本当ですか。
  96. 大林勝臣

    ○大林政府委員 私自身としてはそういう限定的な御意見を伺ったことはございません。
  97. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 新聞なりいろいろな速報等情報を集めますと、現実にそういうことを言っておる。だから、普通地方公共団体になるためには清掃事業を都の方から区に移してもらわなければならぬ、こういうことを強く主張いたしております。ところがその清掃事業というのは半分ですよ。収集と運搬だけですよ。それを処理するということ、これは都でいいんだ、こういうことを言っております。これは御存じですか。普通地方公共団体になるためにはどうしてもそれだけはやらなければいかぬのだ、そう言っております。いかがですか。
  98. 大林勝臣

    ○大林政府委員 区制調査会あるいは都制調査会の報告書の中に収集、運搬の事務は区の方におろしてしかるべきだということが書いてあることは承知しておりますが、それがなければ普通地方公共団体と言えないのだとか、言うことをやめるんだとかいう話は聞いておりません。
  99. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 聞いておらぬかもしらぬけれども、現実には、普通地方公共団体になるためには清掃事業のこれだけはやらなければいかぬ、必須の条件だ——必須という言葉は使っておりませんけれども、絶対必要な事業として都から区に移してもらわなければいかぬ、こういう言葉があります。ところが、戦後、消防というのはこれはもう間違いなく市町村の消防というのが原則ですよ。これについては挙げてこれは区でやってもらいたい、こう言っております。それが特例区の性格だ、こう言っております。下水道もそうですね。そうなってくるとこれはつまみ食いですね。そうしますと、新しい都とできるであろう新しい狭域自治体との間には、アトランダムです、原則がないですよ。これはどういうふうに整理なさいますか。地方制度調査会に審議してもらって、こういうことですか。
  100. 大林勝臣

    ○大林政府委員 現在都が留保しているどういう事務を今後二十三区におろすのが適当であるか、全体として地方制度調査会で御審議いただくことになろうと思います。ただ、今お述べになっておりますように、ごみの収集問題を都に留保しておくのがいいのかあるいは二十三区におろした方がいいのか、ほかに建築確認とか都市計画とかいろいろな町づくりの仕事もあるわけであります。やはり大都市の一体性、片方、区の自主性、この両方の要請から見てそういった一つ一つの事務についておろした方がいいのかどうかを御判断をいだたくということでございましょう。
  101. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 清掃事業の半分でも一部分でもこれを都の方から区におろすということになると、法律の改正を必要とするわけですね。三十九年の改正でございます。その際に、この改正、法律で定めるといたしました趣旨、私はちょっとそのときの議事録を読ませていただきます。これは政府が出した法律に対して奥野さんが修正提案をした内容であります。  本修正案は、特別区の行なう清掃事務を、汚物の収集及び運搬に関する事務等と法文上具体的に規定して、その内容を明らかにしようとするものであります。 そして  本修正案は、かかる実情を十分勘案するとともに、他方、大都市清掃事業の近代化ないしその進捗状況ともにらみ合わせて事務の移譲を決すべきものと考え、特別区に移譲する清掃事務のうち、現在、都が行なっている部分につきましては、本則の規定にかかわらず、別に法律で定める日から施行することとする旨を附則で定めようとするものであります。  そこで行政局長にお尋ねしたいのは、自治省行政局長の目から見て、三十九年でありますからあれから大体二十一年たっております、奥野さんが言っているような趣旨の状況の変化は確認されますか。ある区の区長は、正月の三日に掃除にも来てない、こういうありもしないことを言って、だから収集と運搬は区に持ってこにゃいかぬのだ、こう言っておりますけれども、これはうそですよ。正月三日、現にやっていますよ。そういううそまで言いながら、条件は基本的に一つも変わらないのじゃないかと私は見ております。どういう認識ですか。
  102. 大林勝臣

    ○大林政府委員 現在の都内二十三区内のごみの収集状況についてまで承知はいたしておりませんけれども、要するにそのごみの収集事務をどうするかの問題、これは三十九年以来の一つの問題であることは御指摘のとおりであります。問題は、その時点から今日まで、ごみの収集の事務というものを都側あるいは区側で十分に協議をしてどうするか、その仕事の実態から見てどうするかというようなお話を一つの決まったものとして私ども今まで承知をしていない、御意見も伺っていないような状態でございます。そういった問題を今後どうするかというのが報告書でいろいろ御議論をされた内容であろうと思いますけれども、同時に、先ほど来申し上げておりますように、個々の事務をおろすかおろさないかということは、一体性、自主性、この相反する二つの要請をどう調和するかという非常に難しい判断でございますから、地方制度調査会で十分そのあたりの議論はしていただかなければいけないな、こう思っておるところであります。
  103. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 時間が十分ありませんから、これは大臣ひとつ……。  この都制度調査会の答申はそのものとしてまじめに検討した結果だと思っておりますけれども、極めてでこぼこであって、境界に原則性がないのですよ。出たり入ったりしているんだ。例えば清掃については、収集、運搬は区の問題だ、それから先の処理の問題は都の問題だ。消防については、市町村消防なんですから市町村が原則でありますけれども、依然として都だ。これは恐らく二十三区一体だ。消防というのは区ごとに分けたら大変だ。これは広域的な観点からだと思うのですね。下水道も同じだろうと思うのです。そうだとしますと、清掃事業のうちの一部を区に移すことが普通地方公共団体になる前提条件だとか必須の条件だというのは誤りであって、原則は、日本の制度というのは府県と大都市、市、町村でありますから、新しい特例市なんていう制度はつくらなくても、それを状況に応じてどう広域的にやっていくかということは今の自治法でもやってまいったわけですね。広域市町村圏あるいは連合体といったことはやってきたわけですから、それはそれに応じたらいいのですよ。ところがこれを見ますと、経過を見ておりますと、ロンドンで失敗しているから清掃は分けなければいかぬ、これはうそですよ。サッチャーは、確かに大ロンドン構想というのは変わりつつありますけれども、清掃については下水道と同じようにもっと広域的に処理しようというあれが出てきているわけですよ。ですから、確かに地方制度調査会で検討しなければいけませんけれども、普通地方公共団体になる資格は、前提が清掃の一部を都からこっちへ移すんだ、それは法律だけれども、それは国会にお願いする、こういうことではないと私は思うのですが、自治大臣はひとつ高度の政治判断で実態を見ながら、これはどうなんですか。私は、広域行政を進める必要があるということを是認しながら言っているわけですよ。わざわざ小さく小さく固まる必要はないわけですよ。いかがでしょうか。
  104. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今お話を聞いておりまして、区を地方団体にする、普通地方団体にするということ、そうすると都がどういうふうになるか、都制の問題にございますが、たしか昭和十八年ごろですか都制の問題が出たことを私も記憶しております。やはりこれはいろいろの利害得失というものはありますが、区をすぐ地方団体、普通地方団体にすべきで、そのために清掃の一部を持ってくるというようなことは一つの部門だけを見た考え方ではなかろうか。それから、都というのはやはり二十三区もあるし、三多摩の市、町というのもあるわけです。ですから、これはもう簡単に私どもがこうするとか率直には言えない難しい問題でございますが、地方制度調査会の専門の方に御審議をいただいて、その意見のもとに研究、措置すべき問題ではなかろうか。私の率直な考え方は、先生のようなもうほとんどその一生を地方制度にささげてこられた専門家の方あるいは学者等に、地方制度調査会という制度がありますからそこで十分検討してもらうことが先決の問題であり、そうしないと、一部の意見だけでガイドラインが出ると大変危険なことだと思いますので、私としては地方制度調査会でそういうことのあり方その他について十分検討していただくことが賢明かと思っておる次第です。
  105. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 地方制度調査会でやるのが賢明だとおっしゃいますけれども、行政局長も難しい問題になると地方制度調査会に逃げ込むんですよ。確かに地方制度調査会には六団体の代表等が来ておりますから、専門、経験のある人がおりますけれども、今、第二十次の地方制度調査会ですね。過去に極めて重要な地方制度の根幹を変えるような答申がなされました。昭和三十三年ですか、第何次の答申か知りませんけれども、いわゆる道州制を提案しているわけです。これは中身を調べると、十六対十五とかになって一票差か何かで今の府県制度を廃して道州制にしろという答申が行われている。これは実行に移されておらないのです。随分研究して出したのですけれども、そして激論の末十六対十五かで決まっておりますけれども、これは全然取り上げられておりません。その後に第何次か知りませんけれども、東海三県の合併、愛知、三重、岐阜の三県合併というのが制度調査会でも議論されて、この制度調査会の議論に基づいてこの委員会に、府県合併法、特例法ができたけれども、これも成立しないで今日に至っておるのですよ。ですから、地方制度調査会は万能じゃないのですよ。万能じゃありませんけれども、政治の方向はこうだ、地方行政についての責任を持っている局長地方自治に責任を持っている大臣が基本的なものについてはガイドラインを示していかなければいかぬ。ですから、私はこれを伺っておるわけであって、お聞きしますと、今の制度のほかに、府県と市町村があります、市町村には大都市という指定都市というのがありますけれども、どうも特例市という法律で規定しよう、また市町村の数をふやそうという考えはなくて、この基本だけで後は臨機応変、その状況に応じて、広域、狭域、対応していけばやれるのじゃないかという考えをお持ちじゃないかと思っているのですけれども、大臣、どうなんですか。ですから、清掃が一部いかなければ自治体になれない、普通団体になれないというのは全く子供だましの議論だと言わざるを得ないのですが、いかがですか。
  106. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 地方自治体というのは終局的には福祉の問題が一番大切でございますが、そのほんの一部の清掃だけが要素であるということはあり得ないと思うのでありまして、そういう意味で今直ちにこういうような制度を考えることは冒険過ぎるのではなかろうか。やはり地方制度調査会その他において十分御議論をいただかぬと、一層私は心配なような気がしてならぬわけでございます。
  107. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 そこで、時間が余りありませんから、財政局長いらっしゃるので、今私は行政局長に行政制度の面として言ったのです。この答申によりますと、財政局長は素直に読んでどういう感想を持たれたか知りませんけれども、大まかに言いますと——先ほど言いましたように縦の財政調整、横の財政調整、現在は都区調整という形で一定の税源に対して都がとって、それでその半分近く、四四%くらいを区に分けてやる、こういう形になっております。今度のこの答申によりますと、とにかく税制については新しい都に帰属する説と、新しい狭域自治体に、いわゆる特例市に帰属する税とは現行制度を主体としながら分け直し、見直していく。そして、縦の都区財政調整をやらぬで区区財政調整、水平調整をやる。そしてもう一つ重要な点は、地方交付税法の都の特例、いわゆる都と二十三区の収支を見て、トータルで財源が足りるか足らぬかということを見て交付税を配ればいいのであって、一つ一つやらぬわけです。ですから、今都と二十三区は一本でありますけれども、今度は二十三プラス新しい都一というふうに分けてやってくれ、こういうことが出ております。地方制度ばかりじゃなくて交付税制の問題、ここに大きな改革あるいは手直しを求めておるわけでありますが、財政局長、これをお読みになってどういう印象ですか。これはなかなかいい案だ、これをやろうとお考えになったのかならぬのか、問題があると思ったのか、印象だけでいいです。
  108. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 大都市制度をどのような方向に持っていくかということは各国ともそれぞれ大変な問題でございます。東京都につきましても、いろいろな経緯を経て現行の制度になっておりますけれども、先ほどの行政局長からの答弁のように、都と区との一体性をどう考えるのか、そしてまた自治体としての自主性をどう考えるのか、この調整の問題は非常に難しいということでございます。私どももこの問題を考えますときに、現在の制度で一体どういう欠陥があるのか、またそれが住民にとってどういう不便があるのか、結局そういうことから議論を詰めていかなければならぬかと思います。  したがいまして、この答申といいますか提言を読みました限りにおきまして、これをどういう点で処理していくのかというのは、問題点をやはり一つ一つ洗ってみなければならぬのじゃないか、そういった制度の基本がこういう方向だというふうになってから、この財政調整問題といいますか財源問題を考えなければならぬ。現在におきましても、都政の問題といいましても東京都だけの問題ではございませんで、日本全国に関連する問題でもございます。現行の税制におきましても、税源の偏在の問題等々、言われておるような問題もいろいろございます。そういったこともあわせましてこの税源の配分をどう考えるか、その上で財政調整をどう考えるかというふうなことを議論しなければならないということで、現在、その前段階の問題をどう考えるかの方が先決であろう。現行の都の制度につきましても、私どももなお勉強する余地はあると思いますけれども、今提言されておる問題につきましては、よほど検討した上でなければはっきりした結論は申し上げられないという考えでございます。
  109. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 確かに大きな問題ですから、財政局長あるいは行政局長がおっしゃるとおりだろうと思う。  参考までに、都の方は進んでいるのです。この間の都議会で知事はどう言っているかと言いますと、「大都市東京の社会経済的な実態に適合した都区制度を確立することであります。」それは去年の六月に答申されたものに基づいて「すなわち、現行特別区を名実ともに大都市における基礎的自治体として位置づけ、」答申に書いてあるいわゆる特例市と位置づけ、「住民に身近かな事務を一層拡充し、」あるいはこれが知事は清掃のことを言っているのかもしれません。住民に身近なものは何でもすればいいということじゃなくて、総合性、全体性、有機的統一性ということがなければならぬわけです。「新しい都は、広域的な大都市事務を分担することによって、巨大都市の円滑な経営の道を開き、住民サービスの向上を図ろうとするものであります。」おっしゃるとおりだと思うのです。  そこで端的に大臣に、この辺の検討については都の方が進んでいるのではないですか。どうも自治省は何をしているのだ。ある意味ではちょっとやっただけでも、これは法律の改正によって政省令でいくわけじゃないのです。そういうことでありますから十分検討して、そして決め手が正月の三日にごみ取りに来なかったから清掃は都から区に移せ、事実そのことをやり玉に挙げて宣伝するようでは政治の方向を誤ると私は思うのです。どの区長が言ったかというのは証拠がありますけれども、きょうは言いませんが、これは困るのです。ですから、自治省もきちっと検討して、誤りのない正確な情報が将来あるべきものを展望しつつ流れていくように特段の配慮をお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  110. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 相当重要な問題でありまして、これは自治省自体で研究すべき問題でもありますが、同時に自治省の重大なる施策の変更その他に関しては地方制度調査会の御意見を承っておりますので、私は内部で研究いたしますと同時に、地方制度調査会にもそういうような問題について御意見を適時伺い、長い見地においての誤りがないようにしていかなければならないということを考えております。
  111. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 この都制度というのは、財政局長おっしゃるように三百万の指定都市もあるのです。二百万の指定都市もあるわけですから、東京都ばかりで法律をかき回されてもたまったものじゃない。十分に国と打ち合わせながら法律をつくっていくことが重要だと思うので、特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。  次に、最近の新聞を見ますと、政府税調あるいは自民党税調等で来年度の税制問題が検討されておるようであります。けさの新聞を見る限りにおいては、今までペンディングでありました水源税は意見がまとまらないで来年度実現はもう無理というふうにほぼ結論的に報道されております。それから、流水占用料があるのです。私は大分前どこかで流水占用料というのを聞いたし実現しているのではないかと思っておりましたら、確かにあるのです。それは、府県のあれは三十九年の河川法に基づいて——三十九年の河川法というのは、亡くなった河野さんがちょうど建設大臣のとき、道路法、河川法というのを中央に引き上げた、権限を中央に持っていった、それで中央集権だと世間から言われた問題の法律なんです。そのときいろいろ問題があって、府県に流水占用料というものを取っていいということになりました。  そこで、お尋ねしたいのであります。流水占用料というのは例えば五十八年度ではどのくらい都道府県の収入になっておるのか、いつごろ始めてどういうところに主としてこれが使われてきておるのか、まず自治省の方からお尋ねしたいと思います。
  112. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十八年度の流水占用料収入は二百十二億円でございます。これは旧河川法の時代から都道府県が徴収しておったものでございまして、主なるものは発電の水利関係でございます。これは先生のおっしゃいましたように三十八年の四月でございましたか、新しい河川法を制定いたします際に一級河川に関する管理権を国の方に吸い上げる、そのとき管理権のあるところに流水占用料も管理費なるものだから当然吸い上げるべきだという考え方を建設省の方が出された、そういったいきさつにつきまして、結局三十八年の四月に内閣総理大臣の裁定によりまして、流水占用料については従前どおり都道府県の収入とするという裁定をいただいたわけでございまして、それが現在まで来ておるということでございますので、この新しい流水占用料構想といいますものは従前の都道府県の収入はそのまま保障して、そして現在免除しております農業用水、そういった新しい構想を出されておりますが、私どもとしましてはそのようないきさつもございますものですから、これは当然に都道府県に徴収権があるものであると考えておるものでございます。
  113. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 花岡さん、新河川法は三十九年でそうなった。旧河川法はたしか明治、片仮名の法律の時代じゃないでしょうか。明治二十九年とかなんとか聞いているのだけれども、その中で流水占用料というのは何年から取っているのですか。
  114. 二橋正弘

    ○二橋説明員 御指摘のように旧河川法は明治二十九年に制定されまして、そのときに現在の流水占用料に相当する制度が既に制度化されておりますので、明確にいつからということははっきりいたしませんが、おおむねそのころから現在の流水占用料に相当するものは徴収されておるわけでございます。
  115. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 少なくとも明治時代から戦争の時期を通り越して今日までずっと、そして五十八年度では約二百二十億円、流水占用料が府県の収入になってきた。今度の流水占用料の構想は、今財政局長言いましたようにその長い間の歴史、府県から見ますと既得権、その既得権であるものが、法律が変わったなら別ですよ、ただ新しい税を創設するというわけで府県の収入だった二百二十億円ばかりを、流水占用料といって国の方の収入にしてしまって、そして五十八年、今の収入だけは府県の分に還元してあげますよ、これは世間の言葉で言うと少し横暴な態度じゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  116. 二橋正弘

    ○二橋説明員 今回私どもから来年度の予算要求に関連いたしまして流水占用料制度の改正を御提案申し上げておるわけでございますが、先ほど来御指摘のように現在は一級河川、二級河川ともすべて都道府県知事が徴収することになっております。一方で、近年河川の水が非常に大量に、しかもいろいろな用途に取水をされておりまして、それに伴いまして河川の水の不足でございますとか水質の悪化といったいろいろな問題が生じております。一級河川、二級河川とも河川環境対策を進める必要があるわけでございます。そこで、そういう状況にかんがみまして、私どもといたしましては一級河川の占用料につきましては現行いろいろ行われております減免措置を見直すとともに、その収入を国に帰属することに改めさせていただきたい、二級河川については従来どおり都道府県の収入にするということで、その財源をもって水質の改変でございますとか水量の安定の事業を行いたいということで御提案をしておるものでございます。その際に、一級河川につきましては従来の経緯もございまして現在都道府県に収入されているものについて引き続き都道府県の収入にいたしたいということでお願いをいたしておるものでございます。
  117. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 建設省河川局のグリーンの表紙のパンフレットがあります。  それによりますと、この流水占用料の経理の仕方というのが、現在都道府県知事の収入となっている流水占用料を、都道府県の既得収入を据え置いた上で、五十八年度二百二十億円ばかり、今まで都道府県に入っておったものをそのまま据え置いて、それも国の収入にしてしまいますよ、そして得た収入を治水特別会計の収入として直入する。そして、出し方はどうするのですか。この辺の、三行ばかりで解説しておる中身を説明していただきたいと思うのです。
  118. 二橋正弘

    ○二橋説明員 私どもの方で御提案をいたしておりますのは、一級河川についての占用料につきましては一たんすべて国の収入として治水特別会計に収入いたしまして、それから現在都道府県が徴収している額について、それをその会計から都道府県に還元という形で、ここに書いてございます既得分の保障ということを行いたいと考えております。
  119. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 そういうことですね。  そこでもう一つ、私はあなたの方の解説を読んで、「流水占用料等の収入は基本的に各都道府県に帰属するとされているが、これは新河川法制定当時の経緯により決定された」、三十九年になった、河川の管理主体と流水占用料等の収入の帰属主体が国と県で、異なるのはおかしい、だから一級は国の方に、二級は府県の方に分けた、変則的な形を改めた、こうなっているのです。三十九年のときの、おたくの方から出たこの河川法は、一級河川を国で吸い上げる、こういうことになっていないですね。すべて一級、二級とも都道府県の収入にしているのです。そのときの頭と今のあなたの方の頭とちょっと違うのですか。管理主体と取るのが一緒だ、使用料も一緒だというのは常識的ですよ。それを分けたところに何かおったのでしょう、わかりませんけれども。「当時の経緯により決定された」、これはどうなんですか、政治的なものなんですか。私は、恐らく当時は地方と国との間でこの河川の問題については厳しい意見の相違があった、その調停とじてこういうふうに流水占用料が都道府県に帰属したものだと思うのですよ。それを財政が苦しい、おれの方より地方の方が裕福だという議論で取り上げる、これはおかしいんじゃないですか。  新聞等の報道では流水占用料というのはみんな反対です。この間水道協会の大会がありましたが、態度悪いから、私は財政局長に自治省どうお考えですかと聞きたいのですけれども、事は自明でありますから、全国のどこを見ても、水道の関係や通産省の工業用水等を見ても、これは全部反対ですよ。賛成だ、推進しているというのは、過去のいきさつをほうり投げた建設省だけですよ。おかしいじゃないですか。もうそろそろバンザイしたらいかがですか、どうですか。
  120. 二橋正弘

    ○二橋説明員 今回の流水占用料制度の改正につきましては、先ほど申し上げましたような趣旨で私どもから御提案申し上げておるわけでございまして、御指摘のように、現在の河川法ができます際にいろいろな経緯で現状の姿になっておることは私どもとしても十分承知をいたしております。しかし先ほど申しましたように、河川の現況にかんがみて、こういう改正はぜひともお願いをしたいということで御提案申し上げておるわけでございまして、なお引き続き関係省庁の御理解が得られるように私どもとしては努力してまいりたいと考えております。
  121. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 自治大臣、これはどうなるかわかりませんけれども、恐らく閣議の前に消えてなくなっていくのではないかと思いますけれども、とにかく全国的な要望はみんなそういうことで動いておりますから、それにあえて反抗して物にもならないような、しかも大人が中学生の懐まで手を突っ込んで二百二十二億円を取るというようなことは余りよろしくないです。したがって、特に大臣の管轄の地方公営企業あるいは通産省の工業用水、その他関係が密接なものがありますから、空気と水というのは人間が生きていく上で絶対必要なものですから、その辺までは税金をかけないでもやっていくようにすべきだと思うのですが、大臣、この辺についてどうお考えですか。
  122. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 この問題は省によっていろいろな議論がありますところで、承れば建設省や農林省はこれをやりたい、それから工業用水あるいは水道を担当している厚生省や通産省はこれに反対していることは国会の答弁で私も知っております。こういうことについては農林省、建設省の構想でございます。先ほど財政局長がちょっと述べましたように、私どもは流水占用料、これの過去のいきさつをいろいろ考えてみますと、これを国で徴収するような改正は行うべきではない。また、治水事業や森林整備事業の受益は広範なものでありまして、その財源を特定の利水者のみに求めるということは適当ではないということで、その他ございますが、自治省としてはやりたくないという気持ちでございます。
  123. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 大臣、結構です。  今の大臣の言葉の中に水源税——水源税というのがこれまた新しく設けられようとしておる。けさの新聞によりますと、水源税については自民党税調の中でも賛否両論、激論の末これは採用しないことになったと報道されております。当然なことだと思うのですね。私もそういう結論に対しては敬意を表したいと思うのです。ところが、林野庁等を中心にして、水源涵養という意味において年間五百五十億円、六十一年度はその半分二百三十億円程度の収入を得ようということでこの水源税という構想が発表されております。きょうは時間の関係もありますから林野庁の方には来ていただいておりませんけれども、自治省はこれについて流水占用料と同じような考えですか、いかがですか。
  124. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回似たような構想が二つ出たわけでございます。私どもとしましては、流水占用料につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、森林整備の財源というものを水源税といいますか水の利用者から取ろうという構想でございまして、森林整備の受益というものは、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、国土保全という問題もございますし、また自然環境の保全というものもございます。何も森林整備だけのものではございませんで、その財源を特定の利水者にかぶせるというのは極めて問題があるのではないか。また、水道につきましては、生活に不可欠のものでございます、これに新たな負担を設けるということにつきましては、御承知のように電気税とかガス税とかいうようなものもございますが、それぞれ免税点もあって、生活に不可欠な部分については免税をしているというふうなことも考えますと、こういったものはもう少し十分練ってから出すべきじゃなかろうか。自治省としましては、水道あるいは工業用水という公営企業も経営している立場でもございますので、こちらに及ぼす影響もございます。そういった点からこの水源税につきましても同様に反対の態度をとっているものでございます。
  125. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 今言葉に出ましたが、例えば水道用水、工業用水といろいろありますよ。年間わずか二百三十億、全体をとりますと大体五百五十億と言われておる水源税それから占用料、こういうことによりまして一体水道料金だけでもどのくらいのはね返りがあると見込まれますか。
  126. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 水源税の場合には一世帯当たり年間二百四十円のアップになる、それから占用料の場合には四百八十円程度というように考えております。
  127. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 これ、一トン当たりの有取水量等からいいまして、大体においてトン当たり二円ぐらい税金が上に加算されるだろう、こう言われております。そうしますと、水道の場合には大体十トンというのを基準にいたしますと、自動的に大きくなっていきますね。二十倍、こういうことになるわけですから、個々の世帯にとっては大変なものでしょう。あるいは事業経営等もあるわけです。私はやはり、国民生活を圧迫する、しかも必需品なんだ、こういう観点でいち早く自治省がこれについてきちんと態度を表明していくことは結構な話だと思うのですよ。そこで、ぜひこれを貫いていただきたい、こう思います。大臣おりませんけれども、いかがでしょうか。
  128. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 先ほど御答弁申し上げましたような考え方で貫いてまいりたいと存じます。
  129. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 私はきょうは二問に限ってと言っておったのですが、ちょっと四、五分時間があるから財政局長に伺います。  去年、一律補助金カット、一年限りの措置、行われましたね。そして、あなたの言葉によりますと一年限り、六十一年度からどうするかということは専門家によって懇談会を設けて結論を出すんだと言っておりますけれども、まだ結論が出てないはずであります。出てないはずでありますけれども、新聞によりますと、例えば生活保護費については大蔵省と厚生省とが六十年度の七〇%という負担率を三分の二の負担率にさらに引き下げる、こういうことが具体的にずっと各省間で話が進んでいっております。自治省は蚊帳の外じゃないですか。蚊帳の外で、そうして結果が出てくると、最後にはありもしない交付税を無理やりしてちょっとぐらい裏づけしました、財政措置をいたしましたということでいくのが六十年だった。そして今も蚊帳の外に自治省は置かれているんじゃないかと思いますけれども、私の見方が誤りでしょうか。自治省がどうも去年よりもさらに角を抜かれた牛のような格好になっているのじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  130. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 社会保障関係に係る補助率の問題につきましては先般新聞に出たことがございますけれども、厚生省の方からも私の方に今そのような考え方を提示してまいったわけでございます。補助金問題検討会は現在も継続いたしておりまして、この厚生省の提案も含めて検討をいたしております。その意味におきまして私どもはこの改正、考え方としましては、基本的には二分の一の補助率にするあるいは三分の二に高いものは統一するということにつきましては、事務事業の移譲を伴っていない、制度の改正の根本に触れていないではないかというふうなことで、厚生省と今激論を交わしておりまして、現在その内容にわたって厚生当局とも話を進めておるところでございます。いずれこの問題につきましては補助金問題検討会において結論が出されるというふうに考えております。
  131. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 激論を闘わしてくる、結構であります。激論を闘わしたあげくの果てはゼロだった、こういうようなことにならないように、地方財政あるいは行政を守っていくという形でひとつ努力していただきたい、これを要望して、私の質問を終わります。
  132. 高鳥修

    高鳥委員長 宮崎角治君。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  133. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今回、国政全般に通じます諸問題につきまして質疑をいたしたいと思います。  まず第一に、救急医療体制について消防庁長官の方へ、それから今まで御論議がありました一一・二九の国鉄ゲリラ問題、第三点に補助金問題について、第四点は退職者医療制度発足に伴う国保の赤字問題について、与えられた時間で自治大臣、長官並びに警察、大蔵、厚生、関係所管にお尋ねをしたいと思っておるわけであります。明快にして誠意ある答弁を求めたいのでございます。  初めに第一点でございますが、救急医療体制でございます。これは今日まで各国会委員会でそれぞれ論陣を張ってまいりましたし、また、私百一、百二国会通しましてこの問題について触れてきたわけでありますが、昭和六十年版の「救急・救助の現況」、これは消防庁から出ているものでございますが、これでいきますと、今日は、出動とは言わないで出場という形になる。現場に動いて出るじゃなくて、その場所へ出る出場ということでしょうかね。この十五ページの「事故種別救急出場件数及び搬送人員」の表でございますが、これでいきますと、救急出場件数の四八・二%が急病によるものである、こうなっているわけであります。そうすると、急病なんですからいろいろと疾患の種別はございましょうが、これは一体どういう病気の種類なのか、その辺につきましてひとつ定かに答弁を求めたいのでございます。
  134. 関根則之

    ○関根政府委員 私どもの方の救急並びに救助業務に関します調査統計は必ずしも正確な病名といいますかそういうもので分析、統計をとっておりませんので、病名ごとの件数等が申し上げられないわけでございますが、特に最近は心臓疾患系統の病人が比較的ふえておる。それから脳溢血等、脳卒中その他の血管系の患者も増加している、そういうふうに見ております。
  135. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ありがとうございました。それからいきますと、今度は十九ページで、ここに、私ども成人者に対して非常に関心と恐怖と不安といろいろな憂いを持たされるわけでございますが、その中で「年齢区分別事故種別搬送人員の状況」でございますが、これは成人が、まあ成人といったら十八歳から六十五歳までとしましょうか、その急病のうちに五七・二%という非常に多い件数であります。今長官が、余り定かな調査をしていないので明確なデータとしては云々という話がありましたが、これもそう大したデータではないと考えていいのか、今のこの十九ページの数字についてはどうなんでしょう。
  136. 関根則之

    ○関根政府委員 先ほど申し上げましたのは、いわば疾患の病名別の分類というものを、私どもの方は直接医療を担当するというものではございませんので病名ごとの分類が正確にできていないという趣旨でお答えを申し上げたつもりでございます。成人のウエートについてのデータは年齢別には私どもの方で統計をとっておるわけでございます。今御指摘をいただきました数値そのものの持っている意味が、格別何か特別な意味を持っているというふうには私ども実は受けとめておりません。
  137. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 午前中からの長官の答弁の中に、消防行政については地域のいろいろな救急問題あるいはまた事故の救出の問題等々について、そういった治安維持とあわせまして、人命尊重の立場から日夜お働きになっていらっしゃるわけでありますが、さて、これは消防の実際の本務と思うわけでございますけれども、実は救急医療体制の一番ポイントとなるのは救急車、その救急車も、今日国内の四十七都道府県の中で極めて優秀な、極めてアイデアを持ってユニークな、そしてまた効率を示しておるところがございます。長野県の松本市、栃木県の宇都宮、諸外国ではかなり多くのデータがございますが、こういうところでは緊急医師搭乗車、いわばドクターカーというのですけれども、このいわゆるドクターカーいうものが、今申し上げました松本市を初めとして国内に何カ所かあるようでございます。この松本市以外に、今宇都宮と言いましたけれども、ほかにないのか。今、私の調査では松本市のようであります。幸い、十二月四日の日に長野県の県会議員の宮崎明さんという人と会いまして、前々から資料を持っていたのですけれども、幸い本日、ちょうど午前中にこの資料が長野県の松本市の宮崎明さんという人から送られてまいりまして、今取り上げておりますこのドクターカーという、まことにすばらしい緊急医師搭乗車というのが出ているわけでございます。今申し上げました松本市、宇都宮市に導入されているのですけれども、ほかに導入されているところをキャッチされているのかどうなのか、長官にひとつお尋ねしたいと思います。
  138. 関根則之

    ○関根政府委員 私どもの方の消防が責任を持ってドクターカーを運営をいたしておりますところは、御指摘いただきました松本市、宇都宮市のほかに、茨城県でございますけれども筑前消防本部というところが昭和五十五年の四月からドクターカーの運用を行っております。これは万博会場の近くの谷田部町を中心とした広域消防でございます。実はこの筑前消防本部が日本におけるドクターカーの消防による運営といたしては最初でございまして、むしろ宇都宮、松本はその後、二年後に開始されておる、こういうことでございます。私どもの方で聞いているのは以上の三都市といいますか、三消防本部だけでございます。
  139. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そうすると、松本市がこれでいきますと五十七年の六月ということでございますが、それ以前ということでございましょう。非常に早くからこういった問題についての新しい技術、そしてまた人命を救う立場のこういったけなげな姿を大変うれしく思うわけであります。ドクターカーというのは、その性質上必要な医療器材あるいは装置、医薬品を常備しまして、ドクターが事故現場や搬送途中において重篤な負傷者、患者に対しまして必要な処置を講じながらこれらの傷病者の救済、延命を図っていくという、一般救急自動車によっては対応できないすばらしい諸機能を持ってそして出場していくということであろうかと思うわけでありますが、そのほか消防庁としてどういう有効性というものを持っているのか、ひとつその見解を定かにお尋ねしたいと思うわけでございます。
  140. 関根則之

    ○関根政府委員 先ほど申し上げましたように、最近の救急患者の病気の中で心疾患でありますとかあるいは循環器系の病気の方が多くなってきております。こういう方々は軽症の場合ももちろんありますけれども、重症になりますと緊急に専門家の医師による手当てを必要とする、手当てを早く加えることによって救命率を向上させることができるというふうに承っております。そういう意味におきまして、救急車を呼びました患者のお宅なり事業所なりへ、お医者さんに救急車の中に乗り込んでもらって現場へ行くというのが一番早くお医者さんの手当てが加えられる体制ができるということでございますので、ドクターカーはまさにそういう体制でございますから、ドクターカーの出動によりましていわば救命率というものが非常に高まっておるというふうに考えておりまして、ドクターカーそのものは救急体制としては非常に望ましいことであるというふうに私どもは考えております。  ただ、問題はお医者さんの確保です。これはドクターカーというものを設置、運営をいたしまして一般の住民にもそれを知らせておく必要があるわけですから、知らせておく以上、時間によって今おりませんというわけにいかぬわけです。始めた以上は二十四時間必ずいつでも出動できるような体制をとらなければいかぬという制約があるものですから、二十四時間お医者さんを確保していくということは非常に難しい、そのためにどこでも直ちにドクターカーを配置するということができない状況にあるということでございます。
  141. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 これは重大な答弁があったわけでありますが、確かにいろいろなファクターがあって導入に非常に難しさというものもあろうと思います。しかし、外国ではこの点について早くから導入をし、早くから有効性についてキャッチをし、そういう人命の延命について功を奏しているという事例があろうかと思うわけであります。それについてはどのようにキャッチされておりますか。
  142. 関根則之

    ○関根政府委員 ドクターを救急車に乗せるか乗せないかという考え方といいますか、ドクターカーに対する対応の仕方にアメリカ系と大陸系とで何かちょっと立場が違う、二つの系統に分かれるように私どもは受けとめております。  アメリカの場合には、お医者さんを直接救急車に乗せるというのじゃなくて、乗せましてもせいぜいパラメディカルと申しまして看護婦さんにちょっと毛の生えた程度といいますか、相当専門的な知識をお持ちのようでございます、二千時間ぐらいの医学教育を受けている方と承っておりますけれども、そういう方を乗せることによって、また実際出場段階でお医者さんの指示を無線等で受けながらパラメディカルが対応する、そういう感じの仕組みがアメリカには多いようでございます。  それで一方、ヨーロッパの方の特にドイツでございますけれども、ここではお医者さんを直接乗せてしまう、まさにドクターカー方式が多いというふうに承っているところでございます。例えばドクターカーを現実に採用いたしておりますのは西ベルリンでありますとかハンブルク市、それからブレーメン市等がドクターカーを採用しておるという調査結果がございます。アメリカのニューヨークでありますとかシアトルでありますとかその辺のところはパラメディカルを乗せている、お医者さんそのものは、正規のお医者さんは乗っていないということのようでございます。  実情を聞いてまいりますと、確かに効果はありますけれども、それに対するお医者さんの確保の問題でありますとか経費の問題でありますとか、その辺との兼ね合いの問題が各地に起きまして、それら先進都市におきましてもいろいろと検討対象となっておるというようなことを聞いております。
  143. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 本日、この宮崎という県会議員さんからいただいた資料によりますと、松本市では出場の要請者は救急隊員が八%で、ドクターからが八六%、処置をしたけれども、それが非常に急変したためにドクターカーの出動を要請する、通信員が六%という。ドクターカーが必要である、このように認めて導入している市の実例があるし、今長官が言われました各国また国内等々の問題あるいはメリットの問題等々もありますが、消防庁長官、率直な気持ちとしてこういったものの導入について、長官の鋭敏な頭脳、英知で、それぞれの必要な各県といいますか、あるいは特に心筋梗塞、特に成人病、大変な延命に功を奏しているわけですが、これからの対応といいますかあるいは助言、御指導といいますか、その辺についてはどのようにお考えなのか、推進の方向であってほしいと私は切に思うわけでありますが、ひとつ所信を伺っておきたいと思うわけであります。
  144. 関根則之

    ○関根政府委員 救急医療体制を整備していかなければならない、整備をする必要性というものは私どもも十分認識をいたしております。特にただいま御指摘がありましたような心筋梗塞でありますとか脳卒中でありますとか緊急に手当てを、しかも専門的な医療を加える必要がある、それを加えれば救命率が高まっていく、そういうケースがふえてきているわけでございますから、そういう場合に的確に医療行為が加えられるような体制をつくっていくように、消防のサイドとしても努力をしていかないといけないということは当然のことだと思います。そういう方向に向かって私どもも努力をしていきたいと考えておりますが、今先生が御指摘いただきましたようなお医者さんからの要請に基づきましてドクターカーが出ていくということになりますと、これはその分野につきましては通常の医療行為との接点なんだと思うのですよ。消防の受け持っております緊急の場合にいわば搬送するあるいは人を助け出していく、そういう行為が今までの消防の中心的な行政の対象であったわけでございますが、一たん病院に収容する、あるいは一たん診療所等で医師の手が加わってさらに高度な医療を必要とする、そのために専門病院の専門のお医者さんに来ていただく必要があるという場合、そこの分野になりますと、もちろん医療サイドだけの問題というふうに私ども考えているわけではありません。当然そこに消防が介在をいたしましてお手伝いをするというのは当然のことではございますけれども、消防プロパーの分野といいますよりはむしろ医療行政全般の、病院であるとか診療所であるとかそういったものの活動の中に入ってくる分野というのが非常に多いわけです。  したがいまして、その医療行為というものと消防活動というものとのいわば接点といいますか、分界点みたいなところでございますので、医療行為プロパーの話になりますとこれは厚生省所管の医療行政の中の問題でございますので、そちらでも十分御努力をいただきたいと思いますし、また消防との関連においては厚生省と我が方で十分必要な連絡はとっていきながら、全体として救急医療体制の整備に努めていきたいと考えておるところでございます。
  145. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そこに医療法に限定された日本と諸外国との大変な違いがあるわけであって、消防隊のいわゆる救急隊員が注射を打てない。医療法でそうなっている。  さて、現在、救急隊員になるためにはどうなんですか。私の調べでは百三十五時間ですか、百三十六時間か、それくらいの講習を受けることになっているのでございますけれども、この内容でございます。消防の救急隊員になるための必須講習時間というのは、百三十五時間ぐらいで救急隊員になるんだ、一体これはどういう内容の講習を受けて隊員としての資格を有するのか、その辺についての内容をひとつ定かにしたいのでございます。
  146. 関根則之

    ○関根政府委員 御指摘をいただいておりますように、消防の救急隊は単に患者を搬送するというだけではございませんで、必要な応急処置ができるだけの基礎的、医学的な知識でありますとか、実際の対処方策等について十分ふだんから勉強していなければいけない、それだけの勉強を経た隊員でありませんと資格を与えるべきではないという考え方に基づいて教育を施しているわけでございます。  教育の内容につきましては、消防法の施行規則の五十条に規定をいたしておりまして、これは昭和五十六年に入った規定だと思いますが、まず救急業務の総論といたしまして四時間程度、それから応急処置に必要な解剖・生理関係が八時間、それほど多くはございませんが、次が応急処置の基礎及び実技につきまして四十二時間、それから傷病別応急処置につきまして四十三時間、その他細かいのが少しございますが、省略させていただきまして、特に実地関係が必要でございますので、実地研修、教育効果測定及びその他の行事で二十一時間、総計百三十五時間、これが基準になっておりまして、これだけの課程を終了いたしますとほぼ応急処置については十分可能な教育は施せるものというふうに考えているところでございます。もちろん、これはいわば最低基準といいますか、そういう考え方でございまして、例えば東京消防庁等におきましてはこれ以上の、これに少し足しました必要な課目を加えて教育を実施いたしておるというところもあるわけでございます。
  147. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 百三十五時間ですから、一日八時間労働として大体三週間余り、一カ月そこそこで非常にこういった応急処置、応急操作、いわゆる応急手法、操法、いろいろ大変な問題が救急隊員にも課せられているようでございますね。  例えばそういった講習内容で、では心肺の蘇生、こういった処置ができるのでしょうかね。応急的なことはひとまずそれでキャッチできた。習得できる。それで心肺処置については完全としていいのか。その辺の救急隊員としての責務。私は何回か事例を知っております。大変な心筋あるいは脳障害のためにたらい回しをされまして、ついに途中で何人も亡くなったというケースを知っておりますが、これくらいの講習で果たして完全なのかということですね。  私は、最近「最新医学の現場」という柳田邦男著の新潮社刊の新しい本を読ませてもらっている中で非常に感銘をしたわけであります。   救急隊が患者のところへ到達した時点で、直ちに抗不整脈剤の注射を開始することができれば、それだけでも生存率はぐんと高くなる。救急隊が心筋梗塞にともなう悪性不整脈を治療したという世界で最初の報告は、一九六九年(昭和四十四年)イギリス北アイルランドのベルファストで実践されたものであった。専門病院と救急隊が一体となったやり方は、その後欧米で急速に普及したが、日本では、医療法によって救急隊が診療行為をすることは禁じられている。  そこで日本では、当面は、専門病院の数を増やすとともに内容を充実させ、そこへいかに速やかに患者を救急入院させるかという取り組みに、力を入れなければならなくなる。 こういったくだりもあります。そしてその後段に阿部ドクターの抱いている最大の課題はこうなのだといって結んであります。   日本でも、救急隊員が少なくとも抗不整脈剤の注射をしてよいようになれば、心筋梗塞の生存率は、さらに大きく前進すると思うのです。  それは初歩的な訓練でできることなのです。 という結びがあるわけでございます。  その百三十五時間のいわゆる救急隊の資格を有するための講習というのは、応急的なことはできるけれども、それにまして今この処置というものができるようになれば、私は人命尊重の立場から非常にすばらしいホットな行政ではなかろうかと思うわけでありますが、ちょっとこれは無理ですかね、長官
  148. 関根則之

    ○関根政府委員 先ほどの百三十五時間の教育の中で、心肺蘇生のやり方、蘇生器を使いましての実際の訓練等も一応できるように、そういう教育はしているわけでございます。  ただ、御指摘をいただきました抗不整脈剤の投与なりあるいは注射ということになりますと、これは今まで私どもが承知をいたしておりますところではまさにお医者さんの分野に属する行為でございますので、なかなか消防隊で直ちに隊員がそういう処置を施すということにつきましてはちょっと難しいのではなかろうかというふうに考えます。
  149. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今後この辺について、病院関係、ドクターの——いろいろな越権行為じゃありませんけれども、救急隊員が今申し上げましたような処置ができるような方策をとればなお一層すばらしく連動してできるのではないかと思いますので、一層の御検討とお知恵をいただきたいと思いますし、私もまた今後研究していきたいと思っておりますが、その辺についてよろしくお願いいたします。  消防庁の方はありがとうございました。  それでは山田警察庁長官の方にお願いをいたします。  一一・二九ゲリラ事件でございますが、十一月二十九日の中核派による同時多発ゲリラ事件で、浅草橋駅を襲撃しまして放火して逮捕された四十七人ですか、国鉄職員、郵便局員、公立学校用務員、市役所職員、こういった数が、先ほど午前中も非常に早口に言われたようでありますが、今拘置している状況の中でその他の身元の割り出しというのは果たしてどうなっているのか、その辺をひとつ定かに答弁を求めたいのでございます。
  150. 三島健二郎

    三島政府委員 十一月二十九日の事件で四十六名の犯人を検挙いたしておりますが、その中で氏名等が判明しております者は三十二名でございます。
  151. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今後公務員がさらにまたふえるというような見通しはどうなんでしょうか。
  152. 三島健二郎

    三島政府委員 まだ氏名、身分等が判明していない者があるわけでありますが、将来、公務員がその中に含まれているかどうかということについては現在まだ見通しがついておりません。
  153. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 千葉勤労のストにつきまして中核派は早くから支援を打ち出していたし、集会等でゲリラ活動に出ることを公言していたのに、今回のようなケーブル切断などの同時多発ゲリラ、駅の襲撃などの事件をやすやすと許したということじゃないのでしょうけれども、警備当局にも少し認識の甘さがあったのではないか。警備態勢にも困難があったようなことを仄聞するたびに、今こういったことについて経過を追いながら真相をお尋ねするわけでございます。  それから、今回逮捕された中核派の鎌田委員長がある雑誌の本年五月号のインタビューで、直撃インタビューという題でございますが、御存じなのかどうかわかりませんが、その中で、破壊活動防止法の適用に対して、武装闘争で返礼するとか、ゲリラ戦を敢行するので成田空港は使うな、さらに、航空機の飛行を完全に阻止するなど物騒なことを記事として載せてあります。  今後、来年の東京サミットなどの重要な行事に向けてゲリラ戦をしかけてくるという可能性を持っているのか、あるいは今回でひとまず逮捕し、検挙し、拘置しておるために一切、二度とこういったことがないような態勢になっていくのか、これに対して警備当局はどのような対策を組まれるのか、定かに答弁を求めたいのでございます。
  154. 山田英雄

    山田(英)政府委員 極左暴力集団の幹部、いわば犯罪者グループの代表のプロパガンダを雑誌が載せるのもいかがかと思うのでございますが、そういうこととは別に、既に十月二十日には成田で数千人の中核派のグループが空港侵入を企図しまして、警察部隊に突き当たってきて二百四十一人の検挙をいたしたことは御承知のとおりでございますが、火炎瓶鉄パイプによる集団武装闘争、いわば七〇年闘争の時期に大変多くそういう違法行動が展開されたわけでございますが、そういう闘争が現に再燃してきておる。それから十一月二十九日の信号ケーブルの同時多発の切断のゲリラ活動もございます。さらにはことしに入ってから数多く見られるのでございますが、一キロメートルくらい飛びます爆発物発射装置、ロケット弾とでもいうべきものの凶悪な手段も開発しております。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕  そういうことで、我々としては東京サミットにつきまして、彼らも絶対爆砕というようなスローガンを打ち出しておりますし、先ほどのサミットを上回る反対闘争、違法な闘争というものが展開されるだろうと見込んでおります。したがいまして、警視庁はもとより全国警察挙げて数多くの従来の事件を通じて得られました教訓をもとにして、万全の警備態勢をとろうと考えております。  その際に、従来からも関係機関にはお願いしてまいったわけでございますが、今後強くお願いして、社会生活機能維持に重要な影響のある国鉄あるいは航空管制、電力、ガスいろいろな重要機関、企業がございます、そうした企業の管理態勢の強化、自主防護態勢の強化、そういうことの徹底と相まちまして、関係機関との連携のもとにいろいろな事前の準備を詰めまして、必要な警戒をしてまいりたいと思います。そしてまた、現実には国民の方々にも交通規制等で御迷惑をかけることになると思います。多くの国民の方の御理解、御協力を得て、サミットにつきましては主要国首脳の身辺の絶対安全、それと会議の平穏な開催、この二つの事柄を目標にして万全を期してまいりたいと考えております。
  155. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 重大な決意のほどをお聞かせいただいたわけでありますが、きょうあたりもまたニュースが相当飛び交っておりますけれども、今月の五日でしたか、我が九州の福岡県でも山陽新幹線においてICを利用した、ATCですか、自動列車制御装置——こういったところから考えると、一連の行為であったのかあるいは全国ネットワークでの犯罪であったのか、その辺からすると、国民は大変な心配というものを持っているのじゃないか。そこで、情報社会の弱点といいますか、あるいは通信回線の多重化というのが急務じゃないか。先般駅長さんに聞きましたら、これくらいの大きいパイプの中にまた小さいパイプがあって、しかもカッターではなかなか切れない、一部が損傷すると全面的に波及をしてくる。一部の破壊で全面的にマヒするということからしますと、情報化社会の大きい弱点をついたことではないか。昨年の十一月でございましたか、世田谷の問題がありまして、あそこは七十八万人が住んでいるんですね。国会議員が六十数名居住しているんですよ。そういう世田谷のことから考えますと、何かこの辺で、後でまた大臣の御見解を伺いたいのですが、やはりこの辺は全国的に総点検をする時期に来ているのじゃないかと私は思っているのですが、それについての決意のほどをひとつ御両名からお聞きしたいと思っています。
  156. 山田英雄

    山田(英)政府委員 御指摘の点につきましては私ども全く同感でございます。  世田谷の電話局のケーブル火災事件も御指摘になりましたが、かねてからああいった社会生活機能に重要な関連を持つ部分が実は非常に脆弱であるわけです。災害にも弱いしゲリラにも弱い。これを防護するために必要な手当てというのは、予算をかければできるわけでございましょうが、国鉄の信号ケーブルを埋設するというだけでも途方もない予算がかかるということで実現はしておりませんが、できる限りの手当てを、そういうものを持つ企業においてはそれを尽くすことが社会的にいわば重要な義務とも言えるのではないか、そういう気持ちを持って関係機関に繰り返し繰り返し要望しているところでございます。  警察自体につきましても、警察無線の妨害事案が多うございました。これに対抗するためにディジタル化ということで予算もお願いいたしまして実現しつつございます。  それから、御指摘の情報化社会の情報通信回線の弱さというのがございます。これを、一つがやられても一つが動くという、多重化でございますか、そういうことも実現しております。これは一般の民間においても手当てを尽くせばできることでございますので、私どもの立場からも強く要望し続けてまいりたいと思いますが、これもまた各方面の御理解と御支援がなければできないことだと思います。そういう意味においては警察としてできる限り手は尽くしてまいりたいと思っております。
  157. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 やはり今後の警備行政というのは、どういう新たなものが出てくるかわからないというようなことも考えられますので、十分科学的な技術をできるだけ警察には研究またそういう施設の導入ということによりまして、こういう事態をとにかく繰り返さないように、またこういう都市の形態を破壊するような行為というものは徹底的に取り締まるように、一層警察に対して公安委員会としても強く指示してまいるつもりでございます。
  158. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 長官にはどうもありがとうございました。  それでは、補助金問題について。昭和六十年度の国の予算編成におきまして、財源不足から国は、二分の一を超える補助金については一律補助金を一ランク下げる措置をとりました。そしてその結果、地方財政計画において経常費経費の系統が二千六百億円、投資的経費系統が三千二百億円、合計五千八百億円の財源不足が生じることになったのでありますが、これについては地方交付税の増額と地方債の増発によって穴埋めをすることとされたのですけれども、これは単なる地方への負担転嫁であると地方団体も非常に猛反対をいたしてまいりました。そして予算編成に際しまして、大蔵、厚生、自治の三大臣の覚書がつくられまして、補助率引き下げは一年間の暫定措置だ、六十一年度以降については検討会を設置して検討するんだとされてきたのです。しかし、本委員会においても、また一括法案審議の場においても補助率の引き下げの六十一年度への継続が危惧されている。この検討会の結論というのは、これはいつ出るんでしょうか。予算編成時までに具体的に補助率まで明示できるような見通しがあるのでしょうか。大蔵省にこれはお尋ねしたいと思うわけであります。
  159. 岡田康彦

    岡田説明員 お答えいたします。  補助金問題検討会につきましては、これまで十一回開催されております。きのうが十一回目でございましたが、現在補助金問題関係閣僚会議に対する報告をまとめるべく、さらに検討を重ねているところでございます。  お尋ねの件に関連してでございますが、検討会におきましては極めて広い範囲にわたり熱心に議論をいたしておりまして、まだ具体的にいつ、例えば具体的な何日ごろ検討結果がまとまるということが申し上げられる状況には至っておりません。またそんなわけでございますので、具体的な中身がどうなるのだという御質問につきましても、結論あるいはその報告内容につきましてまだ申し上げ得る段階にはございません。
  160. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 先ほど細谷先生の方からも出たようでございますが、六十一年度の地方団体に対する補助率につきまして、大蔵省は関係各省に対して六十年度限りとされている暫定補助率をさらに一段引き下げる案を提示しました。厚生省とは既に合意までしている、こう報道されているのですけれども、その点については再度お尋ねいたしますが、事実なのかどうなのか、厚生省並びに大蔵省にお尋ねしたいわけでございます。
  161. 岸本正裕

    ○岸本説明員 厚生省といたしましては、高率補助金のあり方につきましては補助金問題検討会の結論を待って具体案を決定するということとしておりますので、現段階で厚生省案というものはございません。
  162. 中島義雄

    中島説明員 ただいま厚生省の方からの答弁にもありましたように、現在それぞれ検討はいたしておりますけれども、両省の間で合意したとかそんなような事実は全くございません。あくまで検討会の結論を踏まえて予算セットまでに適切に対処していきたいと考えております。
  163. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 また、ちょこちょこニュースが出たらこれは大変なことですから、ひとつ今の言質はしっかりと受けとめておきたいと思っております。  自治省の方の大臣にお尋ねしたいのですが、最近の地方税の収入の伸び悩みなどから見まして、六十一年度の地方財政に不安要素が多々あるから、自治省は六十年度の暫定補助率の延長やその一段の引き下げには反対であると思うのでありますが、この点についての大臣の所感はどうなのかが一つ。  仮に昨年のように、補助率の引き下げがなければ国の予算編成ができないということになった場合に自治省はじゃどうするのか。  もう一つは、これは大蔵省と自治省に聞きたいのですが、仮にそうなった場合に、その補助率は恒久的なものにならざるを得ないのじゃないかと大変な心配をするのです。この点についてひとつ定かにそれぞれの自治大臣並びに大蔵省の方に明確に答弁を求めたいのでございます。
  164. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 明年度の補助金の問題につきましては、現在補助金問題検討会で議論されておりまして、その結論を待って、地方団体の納得する方向で措置をいたしたいと考えておるわけでございます。  予算編成が大蔵省の方で非常に困難になるというときにどうするかというお尋ねでございますけれども、大蔵省の方ではそれぞれ財源の問題につきまして検討されておりまして、また各省に対していろいろと御提案なさっておると思います。補助率問題につきましては先ほど申しましたように、要するに検討会によってどのような結論が出るか、またこの中におきましても、また制度の改正にわたる議論もやっておりますので、そういったことである程度補助率の変わるものが出てくるかもしれません。とにかく予算全体の問題としましてその検討会の場で補助率問題は検討されるということでございます。  補助率の恒久化になるのではないかということでございますが、地方団体の合意が得られるものについてはそのようなものが出るかもしれませんけれども、これも結局は検討会の結果待ちであるということでございます。
  165. 岡田康彦

    岡田説明員 お答えいたします。  昭和六十一年度予算の編成につきましては、現在鋭意編成途中にあるわけでございまして、まだ具体的なことを申し上げる状況にありませんが、非常に厳しい状況にあることは事実でございます。したがいまして、私どもといたしましては、こういう厳しい状況を受けましてあらゆる経費につきまして、もちろん補助金も入るわけでございますが、厳しい態度で見直し、圧縮に努めなければならないと厳しく受けとめております。  一般論としてはそういうことでございますが、先ほど御質問の補助率のあり方等につきましては、現在検討会で検討がされておるわけでございますので、検討結果を踏まえて適切に対処するというふうに考えております。
  166. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 より堅実な、そしてまた納得できるような検討会の結果を待つわけであります。  それでは、最後の問題で、退職者医療制度の発足に伴う国保の赤字問題について厚生省にお尋ねいたします。  退職者医療制度発足に伴う市町村国保の五十九年度と六十年度のマイナス類を厚生省はひとまず二千八十億円として、さきにこのうちの六五・七%に当たる千三百六十七億円を国の補正予算で補てんすることになったのですが、国の見込み違いで出たマイナスなのでありますから、これはあくまでも全額補てんするのでしょうね。補てんすべきじゃないかと思うが、その点についての明確な答弁を求めるのが一つ。  それから、市町村の主張するマイナス類というのは厚生省の言う二千八十億円を上回るものであった。この一千三百六十七億円だけで国保運営に支障が出ないのかどうなのか。例えば二千八十億円だって市町村の場合四千百億でしたか、ほぼ倍近い数値でありましたけれども、厚生省の数値を市町村はのまざるを得なかったのじゃないか、こういった危惧さえしてならないのでありますが、この辺についての厚生省の明確な答弁を求めておきます。
  167. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 退職者医療の実施に伴います市町村国保への影響の問題でございますけれども、先生御指摘ございましたように、本年度の補正予算で千三百六十七億二千五百万円を措置するということで一応の結論が得られたところでございます。この措置は、六十年度の極めて厳しい補正財源の枠というものの中で政府としてぎりぎりの努力をいたしまして出た結果でございまして、現在の段階でこれ以上の額の確保というのは困難だと考えているわけでございます。厚生省といたしましては、市町村国保の財政状況でございますとか、あるいは退職者医療に伴います影響のこれからの推移を見守りながら、市町村国保の財政運営の安定が図られますように、制度改革を含めまして今後とも誠意を持って適切に対応してまいりたいと考えているわけでございます。  それから、第二点の問題でございますが、私ども見込み違いの原因によります市町村国保への影響額につきましては、全国の市町村を対象にいたしました実態調査を行いまして、退職者の数でございますとか、一人当たりの医療費、それから一人当たりの保険料の推計値、こういったものを出しまして推計したものでございまして、見込み違いのものとしてはかなり精度が高いものではないかと考えているわけでございます。先生御指摘のもろもろの影響というもので、医療費の伸びでございますとか、被保険者の高齢化の度合い、こういったもろもろのものを入れますといろいろな影響というのは若干大きいかもわかりませんけれども、そういった見込み違いの影響というのは私どもの発表した影響額の数値ということで正しいのではないかと考えているわけでございます。  それで、市町村国保の全体としての財政の状況でございますけれども、まだ本年度は年度途中でございまして明確な見通しを得ることは困難であるというふうに考えているわけでございますが、今回の特別交付金、さらに財政調整交付金の有効な活用でございますとか各保険者の経営努力、こういったものもお願いいたしまして、市町村国保の安定が図られるように私どもといたしましても精いっぱい努力してまいりたいというように考えております。
  168. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今の厚生省のあれは、先般の記者発表の三者間で内容合意という項目の中でございますが、「今回の措置は、」「最大限の努力をした結果であり、市町村国保の安定化に大きく資するものと考えている。」また今の答弁でも、見込み違いというのは精度が高いんだ、こういった自信満々の答弁でございますが、私は、昭和六十年十一月十三日現在の「昭和六十年度・国民健康保険における保険料(税)の決定状況等保険料(税)の決定状況」という表を持っておりますけれども、これからいきますと、九一%を超す市町村がアップしておる、市町村国保のマイナス補てんのために全市町村の九割以上が国保税を引き上げているのですけれども、今回の補正額が低くとどまりますと六十一年度も国保税を引き上げる市町村が続出してくるのではないかという危惧さえするのであります。全く国の地方団体や国民に対する負担転嫁ではないか、このように私は断じたいのであります。  今回の補正額による配分だけでは国保の運営が困難であるという市町村が生じた場合にどのような措置を講じるのか、厚生省、自治省、大蔵省にお尋ねしておきたいと思うのであります。
  169. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 市町村における保険料の引き上げ状況でございますが、二〇%以上引き上げております市町村が一六%程度ございます。一〇%から二〇%引き上げております市町村が三五%程度ございまして、その残りの四九%は一〇%未満あるいは据え置き、こういった状況になっているわけでございまして、全体で一〇%強というふうに私どもとらえているわけでございます。  六十一年度以降の問題でございますが、私どもといたしましては、現在老人保健制度の見直しを進めているわけでございます。この老人保健制度の本来の趣旨に沿いまして抜本的な負担の公平化が講じられますれば、その結果といたしまして国保財政の安定というものも強化が図られるというふうに考えているわけでございますし、これに加えまして私どもといたしましては、国保の緊急対策ということで特別交付金、これはまだ要求段階でございますが、三百五十億円要求しているわけそございます。これにいろいろな国保の適正化努力といったものをお願いいたしまして、市町村の国保事業の安定というものに私ども、市町村ともども努力いたす所存でございます。  なお、医療費の自然増というような要素もございますので、こういったものにつきましては国保財政の健全化という意味では当然引き上げていただく必要があるわけでございますけれども、運営ともども私ども工夫いたしまして、大幅な引き上げという事態が生じないように努力してまいりたいと考えております。
  170. 中島義雄

    中島説明員 大蔵省といたしましても、市町村国保の今後の運営の安定化が図られますように、老人保健制度を初めとする制度改革の検討、それから六十一年度に要求をいただいております特別交付金の取り扱い等を含め、今後とも誠意を持って適切に対処してまいりたいと考えております。
  171. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 退職者医療制度の適用者数等の見込み違いによります市町村の国保財政の影響額につきましては千三百六十七億二千五百万円で一応の決着を見たところでございますが、この補正予算で措置を講ずるという決着に当たりまして、地方団体側といたしましては、厚生大臣に対しまして、この財政の影響は国の責任で解決すること、また昭和六十年度の国保の収支状況により、今回の補正措置によってもなお所要の財源措置を講ずる必要が生じた場合は、国は誠意を持って措置することなどを申し入れたわけでございます。これに対しまして、厚生大臣といたしましては、国保財政の運営の安定化を図るため、今後とも誠意を持って最大限の努力を払うという答弁をなさっております。  六十一年度以降の問題といたしましては、先ほど厚生省からの話がありましたように、老人保健制度の改正によって対処したいという考え方がございます。  自治省といたしましては、退職者医療制度の創設に伴います影響額、これに対応する措置を含めまして、国保財政の安定化のための措置が今後とも必要であると考えておりますので、所要の措置が講ぜられますよう、引き続き所管省に対して要請をしてまいりたいと考えております。
  172. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 地方自治体への不安を解消するために鋭意ひとつ努力することを期待いたしまして、私の質問を終わります。
  173. 高鳥修

  174. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 十一月二十九日未明のいわゆる中核派ゲリラ事件というのは、首都圏では約六百万人、京阪神圏で約五十万人の足を奪われ、市民生活や経済活動にはかり知れない影響を与えたということは事実であります。そして、その行動がまさに破壊的な行動を行ったわけでありまして、関係者はもちろんのこと、国民ひとしくまさに民主主義政治、民主主義への挑戦である、こういうようなことで、自治大臣をしてもそのような明快な答えが出ておるところでございますが、やはり法秩序を守り、そして平穏な社会秩序を維持するという責務は警察にございます。  したがいまして、今回の中核派ゲリラ行動というものはまさに言語道断であると思っておるのでありまするけれども、警察は、この問題について徹底的な捜査を行うべきであると考えておりますが、現在の捜査の現況につきましてこの機会に御報告をいただきとう存じます。
  175. 三島健二郎

    三島政府委員 本件につきましては、警視庁が特別捜査本部を設置したのを初めといたしまして、関係の七府県におきましてもそれぞれ捜査本部を設置いたしまして、全体で千五百人余の態勢でもって現在捜査を鋭意推進しているところでございます。  特に、逮捕いたしました被疑者の取り調べ、それから犯行現場周辺の聞き込み捜査、さらには遺留品等の捜査ということで強力な捜査を現在推進いたしております。  浅草橋駅で放火をいたしまして逮捕いたしました四十六人の被疑者につきましては、その後の捜査で、その中に全学連の幹部あるいは公務員国鉄職員等が含まれていることが解明いたしましたし、また軽犯罪法で現行犯逮捕いたしました非公然活動家二名につきましては、その後電波法違反で再逮捕いたしたということでありまして、この二名とゲリラ事件との関連についても現在追及中でございます。  なお、関係都府県警察におきましては、七十数カ所の捜索を実施いたしておりまして、中には前進社あるいは同支社それから活動家の居宅等が含まれているところでございます。
  176. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 この二十九日の朝の状態のことですが、中核派によります国鉄通信ケーブルの切断等のいわゆる全国的ゲリラ攻撃というものは、千葉勤労によりまするところの前日正午からの国鉄の民営・分割反対の二十四時間ストを支援すると言われておる、この事実につきましては既に過激派自体から予告がされてきておったところでありまして、警察当局としては十分予想されたのにもかかわらずこのような状態になったということは、やはり事前の警備態勢に手抜かりがあったのではないかというように思われるのですが、この点はどう解明しておられますか、御答弁をいただきたいと思います。
  177. 三島健二郎

    三島政府委員 警察といたしましては、今回の勤労千葉のストライキに関連いたしまして、中核派等が支援活動を行うということについては承知いたしておりました。  情報等によりますと、電車の運行をとめる、そして上尾騒動のような事態を現出させるといったふうな言動もございまして、それに対応するための十分な態勢をとったところであります。特にそのような事態に至る前のゲリラ事件の発生に備えての態勢ということも十分考えてとったわけであります。  特にまず第一の、駅頭におきます騒動に対します態勢といたしましては、必要なそれぞれの駅に対しまして、そのような騒動が発生したときに対応するだけの警備態勢をとったわけでありますが、例えば二十八日の午後から夕方にかけましては、津田沼駅周辺に約八百名の中核派等が蝟集をし、集会あるいはデモを行ったわけであります。それに対する警備等も的確に行い、一名の検挙者を出したわけであります。  また、その後、駅頭騒動等に備えまして、それぞれの各駅で警備をいたしましたところ、結果的に駅頭騒動等の大きな問題を発生せずに終わったという状況になっております。  また、その後ゲリラ対策ということでの処置も、それぞれ警備部隊を配置したわけでありますが、これにつきましては警察の総合力を挙げてゲリラ対策をするという姿勢をとっております。特に御承知のように、国鉄の沿線というのは大変長い距離でありまして、その沿線全体に対しましてすべて警察官を配置するといったふうな警備措置がとれないことは御理解いただけると思いますが、そういう点からいたしまして、とにかく全体としての警備態勢というものを打ち立てたわけであります。例えば署の段階、それからまた自ら隊等のいわゆるパトカーでありますが、ああいう自ら隊等の執行隊、そして機動隊、それぞれにつきまして、その立場立場に応じまして地域的なあるいはその署の管内の重要な点等につきましての警備配置を行ったわけであります。そして周辺全体といたしまして、重点箇所に対しまするところの警戒それから遊動警戒、さらには検問態勢等、幅広くしいておった状態でございます。その中で、例えば、先ほどもちょっと申し上げました、非公然の者が二人検挙できましたが、これはそのような検問態勢の中で検挙できたものであります。  また、三十三件のケーブル線切断事件がございましたが、日暮里駅周辺では、警戒に当たっていた警察官が彼らの犯行現場に参りまして、彼らが慌てて持っていた剪定ばさみ等を捨てて逃走したという事案も起きております。その後確認いたしましたところ、そこでゲリラが一件行われるはずであったという場所でございましたが、警察官の警戒活動によってそれを防ぐことができた、こういう事態も起きておるわけでありまして、それぞれ全体として総合的に警備態勢をしいた、こういうことでございます。
  178. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいまは警備局長さんから、全体の警備態勢をしいたということでございますけれども、当日の逮捕者四十八名中、いわゆる浅草橋の放火事件で逮捕した者は四十六名、二名は不審尋問によっての逮捕者ということになっておるわけであります。都内の十六カ所、今三十三件とか言いましたが、ケーブルの切断にもかかわらず、その実行者の逮捕がゼロとされておるのであります。この辺のところにもやはり事前の警備態勢に甘さがあったのではないかというように想定されるわけであります。  また、なぜこういうようなことになったかというのを私ども素人なりに推測をいたしますと、今お話もございましたように、二十九日の朝、津田沼で合法集会が持たれておる。一つのところで合法集会を持って、そこへ引きつけるような陽動作戦が彼らの巧妙な手段によって行われた。警察は二十八日の夜、それほど格別の事件も起きないということで、私の仄聞するところによれば、いわゆる治安警備から交通警備に切りかえた直後にこのような事件が起きたと言われておるのでございまするけれども、この点確認をしておきたいと思います。  また、私も東京にかかわり合いのある者といたしまして、これは東京の警視庁で起こった事柄でございまするので関心を持っておるのでありまするが、一つの警察で例えば緊急事態が起きたときに出動できる人員というのは、新宿とか渋谷とかという大きな警察なら三十人や四十人動員できるかもしれませんけれども、大体蔵前署であるとか久松署というのは小そうございまするから、こういうところで精いっぱい動員しても、先ほど来松田委員の御質問のように、当初出られたのは十名程度か、署からの派遣は実際できないのじゃないですか。そういうことになると、六十名とか七十名という多数な人間に対して逮捕なりあるいは適切な行動がとられるということ自体、これは無理な話だというように私は思います。したがって、その段階で徐々に機動隊や何か、あるいはよそからの応援がふえてきて逮捕にだんだんと踏み切っている。一人の人を逮捕するのにだって少なくとも一対一では逮捕できないわけで、一人を逮捕するのには二人がかりぐらいで逮捕するというような形になってくると思うので、警備局長、やはり我々素人にもわかるような説明をしていただいて、そしてなぜああいう事件が起きて——実際はみんなが見ておって、こんなに人間がいたのにかかわらず逮捕に至らなかったということは、そういう警備態勢が、そのときに十分彼らをして逮捕できるような態勢づくりがなされていなかったところに一つの問題点が内包しておる。これは、率直にそういう点があると私は思うのですね。緊急事態ができたときに、事前にわからなければそういう事態というのは生まれてくると思うのですよ。だから、そういうものを私は否定しようと思っていない。そういう事態も起こるだろうと思っていますよ。だから、そういう意味で、こういうような状態になったことについて、今度は各署の関係の、例えば久松署で行動できる人が二十人あったとしても、久松署には五人なり七人なり残す、あとの人が出ていくという形になるのじゃございませんか。やはりそういう本当のことを我々は知り尽くした上でこれからの対応を警察当局にお願いしたいというように私は思うのでありまするが、この辺のことについて、ひとつ正直にありのままをお答えをいただきたいというふうに思うわけであります。
  179. 三島健二郎

    三島政府委員 御質問の中で、陽動作戦にかかったのではないかという点がまず最初にございましたが、警察といたしましては、もちろん駅頭におきます、あるいは駅周辺におきますところの極左暴力集団の集会、デモ等に対する対策も立てたわけでありますし、同時にまた、それとは別個に行われるゲリラ活動に対応するための態勢というものも両方の面でもって立てていたということでございまして、先ほど御説明申し上げました全体的な態勢も、今のような観点から申し上げたところでございます。したがいまして、治安警備から交通警備に移したといったふうな事態ではなくして、それぞれその段階における極左暴力集団の動きに合わせた形での警備態勢をとったということであります。同時にまた、ゲリラにつきましては、終始ゲリラ対策という意味での態勢をとっておったという状況でございます。  そしてまた、署の段階におきましてはどのくらいの警備態勢がすぐにできるのかという話でありますが、これは確かに署の規模によりましてまちまちであろうかと思います。そのためにこそ全体としての総合的な警備態勢というものが必要であるということで、例えば本部の執行隊につきましても、その周辺を支援する形でもって警戒をする、あるいはまた機動隊につきましても、それぞれ地域を分けて担当させて、その中で何か起きた段階では直ちにそれに対応する、いわゆる有事即応的な態勢をとるという形で、それに対応させるような警備態勢をとっているということでございます。  特に二十八日から二十九日にかけましては、当然ストライキその他ゲリラということが予想されましたので、警察署の段階でも最大限の人員というものを動員しておりまして、そして、例えば駅頭で人が集まって騒動が起きそうな段階では、それを中心に警察官を配置し、そしてその後においては、周辺等の遊動警戒なりあるいは重要箇所に対するところの警戒なりということをやらせておるという状態でありまして、したがって、何か起きたときに直ちに対応できるような形をとったわけであります。  そして、浅草橋の件も御指摘がございましたが、確かに最初の段階で十名内外でございましたが、これは、二、三名の不審者がいる、こういう一一〇番でございましたので、したがいまして、その現場に直ちに赴いた者が十名前後であります。しかし、ふだんでありましたら、御存じのように、不審者がいるという場合にはパトカーが一台行くといったふうな状態でありましょうけれども、当日は、いずれにいたしましてもそのようなゲリラというものに対して大変緊張して警備をいたしておりましたので、不審者が二、三名おるというだけでも、車が二台、自転車で駆けつけた者も一名おりますけれども、そういうことで十名前後の者が直ちに現場へ駆けつけ、そして、それが極左暴力集団によるゲリラ部隊であるという現認をいたしました段階で、直ちに応援部隊を呼んでそれに対応するような手を打った、まさにそういう有事即応的な態勢というものをとっておったということであります。
  180. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 先ほど来も議論がありましたけれども、最近の過激派の各組織の勢力の動向についてでありますけれども、この動向についての御報告をまず願いたいと思います。  引き続きまして、昨年の秋の十月五日の地方行政委員会では、この過激派というものの組織の実態というのは、やや若年層からいま少し年寄りの三十代から四十代ぐらいの年齢に入ってきておる、そういうようなことで、相当筋金入りの人たちによって構成されておる、こういうような認識の発表があっておったわけでございますけれども、最近のいろいろのデータその他によりますると、いわゆる若年層側の増加傾向があるということが言われておるわけでございますけれども、この若年層の増加理由というものは警察としてどのような分析をされておるのか、全体の勢力の動向とともに御報告を願いたいと思います。
  181. 三島健二郎

    三島政府委員 極左暴力集団、これは各派ございますが、全体の総数で申し上げますと三万五千人程度というふうに我々見ているところでございます。その中が幾つかのセクトに分かれております。二十二派といったふうな言われ方をされておりますが、幾つかのセクトに分かれているという状況でありまして、その中の最大のグループが中核派でございます。これは約五千人近くの人数を持っている。それから次が革マル派というのがございますが、これが約四千五百人ぐらいの勢力であろうかと思っております。さらにまた革労協というのがございますが、これが約三千人、こういったグループが主なものでございます。  そして、極左暴力集団の中の構成の問題でございますが、若年層がふえているのではないかという御指摘でございます。ちょうど第二次安保当時、四十五年前後でございますが、あのころの極左の構成を見ておりますと、ほぼ学生が七、それから労働者部分が三という割合でございました。まさに学生中心の組織といった印象でございました。その後、時がたつとともに次第にその内容が変遷してまいりまして、現在ではむしろその割合が逆転をしたというふうに見ているわけでありまして、長期に極左暴力集団の組織に属し、むしろ次第に年齢が加わってきておる、年をとってきておる、こういった状況が見えるところでございます。  ただ、なるほど最近の街頭闘争等におきまして若年層がふえているのではないかという御指摘は、恐らく成田闘争あるいはその他の集会等におきまして若い層が比較的動員されているといったふうなところからそのようなイメージをお持ちかと思いますが、全体としての構成で申し上げますとむしろ年齢層は上がってきている、こういう状況にございます。
  182. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 新聞その他いろいろ見てみましても、いわゆる若年層の過激派への参加ということが言われ、また過激派の各種行動に参加をしておる、こういうような現況であるわけですけれども、若い人たちが入ってくるということは過激派活動を助長しておるということにも考えられるわけでありまして、このことは我々真剣に受けとめてまいらなければならないと思うわけであります。したがいまして、こういう兆候について、なかなか警察だけでこれらの問題にどう対処するかは難しい問題でありますけれども、しかし、こういう勢力の増大を防ぐためにいかにあるべきかということはやはり考えるべき事柄ではないかと私は思うのであります。この点についてのお考えがあればお示しをいただきたいと思います。
  183. 三島健二郎

    三島政府委員 警察の立場といたしましては、このような極左暴力集団の増加あるいは若いエネルギーが入っていくといったふうなことにつきましては、何といっても極左暴力集団を徹底検挙することが一番これに対する対応策だと考えておるわけであります。そういう意味で、警察の基本姿勢といたしまして、極左暴力集団の違法行為に対しては徹底した検挙活動をもって臨むという姿勢でもってやっているところでございます。
  184. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 それから、ことしに入りましていわゆる過激派によりますゲリラ事件というのは八十五件ということで急増をいたしておる実情にございます。九月六日の空港公団の幹部や県の土本部長の自宅への放火、あるいは十一月二十一日の国鉄幹部宅の放火等、いわゆる個人テロヘ何か移行してくるような傾向が見られるわけであります。また、四月十二日の羽田と成田両空港へのロケット型火炎弾のような武器の精巧化や、十月二十日の消防車に似せて散りゅう弾発射などの戦術等の高度化が顕著に進んでいると思われるわけでありまするけれども、このようなゲリラ戦術のエスカレートをしておる現状に対して警察当局はどのようにしてこれに対処されようとしておるのか。一面から見れば、何か過激派の実力が増大をしておるような感じさえ受けるのでありますが、警備当局のこれに対する対処の考え方についてこの機会に伺っておきたいと思います。
  185. 三島健二郎

    三島政府委員 極左暴力集団のこのようなゲリラ活動に対しまする対応としては、大きく分ければ二つあると思います。  その一つは攻めの立場ということでありますが、要するに極左暴力集団に対して積極的にこういう違法行為を検挙していくということであります。特にゲリラ活動を行いますのはいわゆる非公然軍事部門といったような組織でございまして、完全にその所在、存在、行動等が秘匿をされている部隊によって敢行されているという状況でありますので、なかなかその捜査は難しいわけでありますが、何としても彼らの行動を把握し、犯罪につきましてその証拠を得て検挙していくということが大切だと思っております。そのために、例えば彼らがゲリラで使う、ゲリラを行う際に当然いろいろな凶器をつくるわけでありますが、例えば火炎放射自動車であるとか発射弾であるとか、そういったふうなものをつくるいわゆる地下工場を何としても発見したいということで大変厳しい努力をしているところであります。また、盗難車等が数多く使われているわけであります。したがって、ゲリラに使われるであろう盗難車の早期発見ということでの活動等もいろいろ行っているわけであります。いずれにいたしましても、このような捜査活動国民の御協力、御支援があってさらに発展するものでございますので、その辺のところの御理解も賜りたいと思っているところでございます。  また、もう一つの面は守りであります。守りにつきましては、これは要するに重要な場所に対しまする警備、警戒ということでありますけれども、これも常時、守るべき場所、守り方等について再検討を加えながら現在鋭意実施しているところでございます。
  186. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 それでは次に進んでいきたいと思います。  過激派は東京とか大阪など各地に拠点ビルを建設するなど、いわゆる資金は何か外から見ておりましても豊かであるなという感じをいたしておるわけでありますが、その実態というものはどうなっておるのか、あるいはどのようにして調達をされておるかということを分析されておるか、この点について伺っておきたいと思います。従来の答弁は、大体構成員からのカンパによってこれらの資金が調達をされているんだというのですけれども、私は、カンパだけでこれだけの資金が調達をされるのだろうかどうかというような疑問をちょっと抱いておる一人でありますが、警察当局としてはこれはどうとらえ、分析をされておるか、伺っておきたいと思います。
  187. 三島健二郎

    三島政府委員 極左暴力集団の資金面と申しますか、これはなかなか実態を解明するのは難しい分野でございますが、内容といたしましては、やはり党費、それから機関紙誌の売り上げ、それからさらには組織内外からのカンパというのが中心であるということでございまして、その総額、これは推定でございますが、中核派では十億にもなっているであろうというふうに言われているところであります。  ただいまのカンパについてでございますが、極左暴力集団としては大変このカンパに力を入れているわけであります。先ほど申し上げましたように、極左暴力集団の構成員も学生部分から次第に労働者部分が多くなったわけであります。したがって、みずから給与を取っている者が構成員である、その大きな部分を占めているということであります。したがいまして、そのカンパをし得る余地、力があるわけであります。例えばごく最近の彼らの機関紙を見ましても、年末一時金カンパと称しまして、いわゆるボーナスからカンパを出せということを非常に強く訴えております。そして、例えば自己の生き方の変革をかけて今までにない額のカンパを集中してほしいといったふうな呼びかけをしているわけであります。そういうことで大体資金カンパが全体の五〇%を占めるのではないかというふうに見られているところでございます。  もちろん、カンパをいたしますと当然のことながら極左暴力集団の構成員の生活そのものが脅かされるわけでありますが、彼らは一種の革命的気概に燃えておりまして、相当生活を切り詰めているという状況も出ておりまして、本当に例えば日常の食事もパンの耳と水だけでもって生活をするといったような非常に厳しい生活にも耐えてカンパしておるといった事態も現に散見されるところでございます。
  188. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 大変資金源が豊かであるということも、彼らがこういったような行動に科学兵器というか、相当金を使った武器をつくっておるという一つの原因にもなると思うので、この問題についてはやはり憂慮せざるを得ないと思うのです。  それから昨年の秋の自民党本部の放火事件を機にして、あの当時もいろいろ話がありましたけれども、先ほど警察庁長官からもお話がありましたが、警察無線のディジタル化の整備が強力に進められておると言われておるわけでございます。しかし、にもかかわらずこの十一月二十九日の豊島区路上で逮捕された者が乗っておった自動車に設備されておりました無線機で浅草橋駅の放火当時の警察無線の交信が妨害をされて機動隊等の行動に支障があったと言われておるわけであります。こういうものが事実だといたしますと、せっかくディジタル化も、無意味だとは申し上げませんけれども、こういったような緊急時に用に立たないということになりますと問題があるのではないか。この辺の対策もやはり真剣に考えておかなければならぬのではないかと思います。  話はちょっと余談になりまするけれども、例えば前の都議会の選挙のときに、あれは中核派じゃないか、いわゆるそういうグループが無線を使いまして杉並じゅうに放送したことがありましたけれども、ああいうことができるということになると大変全体を惑わすことにもなりまするし、これは大変憂慮すべき一つの問題ではなかろうかというように思いまするので、やはり大きな事故を起こして慌ててやっても間に合わないわけでありまするので、どういうような対策を考えておられるか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  189. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 逮捕された者が無線機を所持していたということから、一部で警察の無線が妨害されて警察活動に支障が出たというふうに言われておりますけれども、そういう事実は一切ございません。支障となる妨害は受けておりませんし、お話のように五十九年の予備費からディジタル化を進めまして、本年、来年、再来年という形で逐次進めておるわけでございますけれども、緊急を要する首都圏から、特にまた重要な通信系から整備を始めておりまして、そういうことで今回一切そういう支障となる妨害を受けていないということでございます。したがいまして、今後計画的に全国的にディジタル化を完了すれば、そういう問題は一切生じないというふうに考えておるところでございます。
  190. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 官房長、そういうことがないということなら杞憂にすぎないのでありますが、私はそういうことはあり得ると思いますよ。今度のとき、私は一部のところからそういうこともちょっと聞いたのです。出先でやっておるうちにどっちへ部隊が行くかと非常に迷ったという事実もあるようですし、そういうことはそういう機械がきちっと運用できなかったということにもなるわけでございまするので、そういう状態を起こさないような事前の準備というか対応というかそういうものに常に心がけていかなければ、もう大変彼らもとにかくほかのことを考えないでそればかり専門に考えて皆さんのすきを、どこをねらうかというのでしょう。皆さんは一般的にやっておるのに、彼らは、どこが弱いか。そうでございましょう。例えば浅草橋駅をねらったのも久松署と蔵前署との真ん中で、久松署の警備範疇に入っていてもいわゆる両方の谷間。私も都内で知っておる限りにおいて一つのネックの場所ですよ。そういうものを分析し、警察が強いか弱いか、力があるかないかを彼らは彼らなりに分析してかかっているのですよ。だからその彼らの分析以上のことをこちらがやらなければああいう焼き打ち事件に遭っちゃって、皆さんが一生懸命やっても、皆さんの一生懸命やったことが結果的には、全部がだめだという意味じゃございません、努力したこともわかりますし、いろいろな意味最大限されたということはわかりますけれども、しかし結果論からいえば、そういう事実のことが起き、そうしてそれに対する対応をもっと早くやればよかったなという感じのものがありといたしますれば、その辺のところは直すのにやぶさかでない、警備上失敗したなんてなかなか皆さんも言えないでしょうけれども、しかし事実に照らして真剣に考えていただくということについて一考を要していただきたいというように私は注文をつけておきます。そういう間違いがないようにしてほしいと願いを込めての発言でございまするので、どうぞお聞き取りおきいただきたいと思うのであります。  それから、それともやや関連をするのでございますけれども、今度の逮捕者の車の中に積んであった無線機は今の警察の無線機よりも倍もある大型のもので、電波も半径で二十キロ相当使えるという強力なものだと言われておるわけであります。こういうようなことを考えますると、相手が強くなったからこっちも強くやらなければならぬということになると、競争にはなりますが、しかし国民のとうとい生命、財産を守り、その治安を維持し、国民の平穏な生活を図っていくという警察本来の使命から考えまする場合、やはりこういったような新兵器の動向に十分留意しながらそれに対応するだけのものは警察当局としても備えていく必要があるというように私は思うわけであります。今幾ら予算編成で財政が厳しいからといっても、ひとつこの辺の予算は十分とはいかなくともやはりこれに対応できるだけのものは予算措置をしていただくことを要求するということも必要だと私は思うのですけれども、これはひとつ国家公安委員長、責任者としてぜひこの辺のところを十分御勘案いただきながら予算要求等を含み、このようなものに対応するところの警察力の整備と申しまするかそういったものの整備を、少なくとも彼らに負けない無線機ぐらい持っていなければどうにもならないのじゃないですか。いつも後追いをしているだけでは事が大きくなっちゃってどうにもならないときに、何だ、警察は予算がなかったから彼らの方が強力で彼らにしてやられたでは済まないと思うのですが、どうでございましょうか。
  191. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 警備態勢はやはり人力だけではできないものでありまして、それに伴う科学的施設の整備ということが極めて大事なことは先生御承知のとおりであります。昨年私が参りまして、例の自民党放火事件を契機といたしましてディジタル化ということを聞きまして、大体三カ年で全警察官にディジタル化を渡すようにできる、パトカーの無線、それから一般警察官の持っておる無線、これを全警察官に渡せるように今予算の上でも私ども十分措置しております。ディジタル化のみでなくて、先ほど申し上げましたような三百メートルしか飛ばなかったようなものが千メートルまで飛ぶということになりますと、警備上これは重要な問題でございます。また、盗難車が一日百台ある、これがいろいろに使われておるというようなことは大変でございますので、そういうものに対処するための新たな装備と申しますか科学的な施設というものも、先般予備費を大体七十億いただきまして今鋭意そういう施設の整備の真っ最中でございますので、一層これを促進いたしまして御期待に沿うように努力をしてまいります。
  192. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 国家公安委員長、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  次に、昨年の秋の自民党本部の放火事件でも犯人は一人の逮捕ということになっております。公団幹部宅への放火事件など多くのゲリラ事件の犯人はいまだほとんど逮捕されておらないのが実情であります。もちろん非公然化しておる部分が多く、放火事件では時限放火装置を使ったり、盗難車を悪用する手口など巧妙で、捜査の難航もよくわかるのでありまするけれども、これでは関係者、市民の不安は増大する。世界一安全と言われ、法治国家における日本の警察というものは大変すばらしい警察だ、こう言われてまいりました。したがいまして、警察は輝かしい伝統と威信にかけてこれらの犯人の逮捕に全力を挙げるべきだと思いまするけれども、この決意のほどを長官から伺いたいと存じます。
  193. 山田英雄

    山田(英)政府委員 お尋ねの極左の非公然軍事要員という、やや大げさなネーミングでございますが、潜って活動しておる者の検挙につきましては、自民党本部放火事件でも一人を逮捕し、一人を指名手配いたしております。これについての捜査は、もともと家族とも会わない、親の葬式にも出ないということで潜行した活動をしておりますので技術的に大変困難でございますが、二、三御紹介いたしますと、十一月二十九日にも電波法違反の非公然軍事要員二人を職質検挙しておりますし、五十七年十月十二日には都内の町田市内にありましたアジトを摘発しまして、そこに所在した軍事要員四人を検挙しております。これは機動隊の部隊輸送の車両に対する襲撃計画を立てて調査活動をしておりました。そうした実態も関係書類を押収しております。それから、五十八年十月二十一日には千葉県の松戸市内の中核派の革命軍のアジトを摘発しましてそこにいた二人を逮捕し、レーガン米大統領来日に向けてのゲリラ関係の事前調査活動の実態も関係書類を押収しております。昭和五十九年、昨年の四月十三日には兵庫県相生市のアジトを摘発して軍事要員一人を逮捕しまして、中核派は関東軍、関西軍と分かれておりますが、関西軍団の活動実態を知る資料多数も押収しております。ことしの一月九日には三重県の四日市市内のアジト、これは武器研究の開発アジトと目されることが捜索した結果判明いたしましたが、そこにいました要員二人を逮捕して、製造過程の新しいロケット弾あるいは警察、自衛隊施設の調査記録を押収しております。  以上、かいつまんで申し上げましたように、一人の軍事要員を尾行するのに百人に及ぶ要員を配置して数カ月に及ぶ苦労の後にアジトをつかむという大変な作業をやっておるわけでございますが、現実にこうした幾つかの検挙を通じて彼らの活動に打撃を与え、その企図の多くをくじいてきておるということでございます。こうした努力は今後とも続けてまいりたい、かように思っております。
  194. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ありがとうございました。せっかくの御健闘を祈ります。  ところで、これは消防庁にちょっと伺いますけれども、今回の過激派ゲリラ活動では浅草橋駅が放火されたのでありますけれども、消防庁は今回のようなゲリラによるところの放火を予想して対策を講じてこられたかどうか、今後今回のような大規模な公共施設に対する放火事件の頻発も予想されますけれども、これらは当然のことながら警察当局と連絡を密にして次善の対策を講ずる必要があると思いますけれども、消防庁長官の御答弁を願いたいと思います。
  195. 関根則之

    ○関根政府委員 先ほどから御議論をいただいておりますように、最近におきまして過激派の放火による火災が大変多くなってきておるわけでございます。幸い、これらの火災に対しましては消防隊が的確に対応いたしまして延焼拡大等を防いでおることは非常に幸いだと思っておりますが、ロケットなどというものが出てきたりいたしますと、これから大変な事態が予想されますので、各消防に対しましては厳重な警戒なりふだんからの準備態勢をとるように指導をいたしておるところでございます。  幸い今まで集中的に事犯が起こっておりますのが東京消防庁管内でございます。東京消防庁におきましては常時四千人程度のすぐに対応できる部隊を持っておりますので、これはもうどこか特定のところで火災が起きますと全員をこれに投入することも不可能ではないような態勢をとっているわけでございます。したがって、こういった種類の火災に対しましては相当程度効果的な対応がなし得るものというふうに考えておりますが、なお引き続き警戒態勢その他万全を期するよう指導してまいりたいと考えております。
  196. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 どうもありがとうございました。その点ひとつどうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  国鉄さんをお呼びしておりますのでひとつ国鉄の問題について、時間がなくなってまいりましたので簡潔に質問をいたしたいと思います。まとめて質問をいたしますので、まとめてお答えをいただきたいと思います。  今回のこの事件で相当の被害に及んだというように思うのですけれども、その被害の現況はどうか、これが第一であります。  それから第二は、今度の事件国鉄の中枢神経あるいは神経系統とも言われるところのケーブルが、地下埋設は一部で、結局露出状態にあるわけでございます。国鉄さんは今赤字で大変だといえども、この問題は、人命を預かるわけでございますので、当然緊急対策を行うべきであると思いますけれども、これについてどういうことを考えておるかであります。  それから第三問。国鉄の再建委員会の「国鉄改革に関する意見」の中でも、国鉄は六十年度中でも実質赤字は単年度で二兆三千億、それからこの六十年度末では二十三兆六千億円という膨大な赤字を抱えることになるわけでありますが、今回のこの事件浅草橋の放火事件で大変な損害をこうむっておるわけでございまするけれども、当然これは原因者である中核派に対してこの損害賠償を請求すべきであると思うけれども、このことについての考え方。もしこれがないということならば、結局まだ赤字はふえてまいりまして、そのツケが国民に回ってくるという結果になるのでありまするから、この辺を十分考えて御答弁をいただきたいと思います。  第四点。今日の国鉄がこのような状態になったのは、私は何と申し上げましても国鉄の労使関係の悪さにあったと思います。親方日の丸的な国鉄が今日のこの膨大な赤字を出すに至ったわけでありまして、そういう面から見れば、例えば三木内閣当時スト権ストで八日間ぶち上げたその損害によって国鉄当局が国労に対して二百二億円の損害賠償請求をしているのですけれども、この裁判は一体どうなっているのか。それから、国鉄の中でもまじめに一生懸命で働いている労働組合がございます。そして国鉄マンとして国鉄を愛し、国鉄の再建のために努力しておる労働組合のあることもこれまた事実であるわけであります。そういうことを考えてまいりました場合、やはり国民の足を守るという国鉄の本来の姿、あるいは国民から信頼される国鉄に再生するんだという気持ちが必要だと思うわけでありまして、従来の労使関係の悪弊を除去し、そして勇気ある経営者としての行動こそ、いわゆる国鉄マンとして働いた人があるいはこれから余剰人員対策でよそのところに回るにしても、よくやっているな、あれならば我々も受け入れようじゃないかというような、そういう状態をつくり上げることが必要だと思うのでございます。  以上、四点申し上げました。簡潔で結構でございますので、御答弁をちょうだいいたしたいと存じます。その答弁が終わりまして私の質問は終わりたいと存じます。
  197. 土田洋

    ○土田説明員 お答えいたします。  一番目の関係でございますけれども、ゲリラ事件によりまして首都圏初めケーブル切断、焼損がございまして、これは三十二カ所でございます。それから浅草橋の放火がございました。これによりまして、旅客列車が約三千四百本、貨物列車が百三十本とまってございます。旅客だけでお客様の影響は約六百五十万人ございました。浅草橋も東日本屋等が焼損してございます。  それからこれらによる被害額でございますが、今まだ細かいところまでは調査中でございますが、営業関係で旅客関係、貨物関係含めまして、二十八日のス十分も含めまして十四億三千万、浅草橋の駅の関係で三億三千万、それからその他信号、通信ケーブルの切断とか焼損の関係で二億九千万、合わせまして全国で合計二十億五千万の損害を受けております。これは今のところ推定でございます。  以上でございます。
  198. 榎本龍幸

    ○榎本説明員 二番目の問題につきましてお答えいたしたいと思います。  今回切断されましたケーブルにつきましては、トラフと称しておりますが、線路わきにございますコンクリート製の構造物に入れまして、幅にもよるのでございますけれども軽いものですと十キロ内外でございます。重たいものになりますと幅が広くなりますので約四十キロ弱、そのようなものでもって一応防護を全線にしてございます。したがいまして、露出という感じではなく、確かに地表にははっているのでございますけれども、三十キロ、四十キロであれば持ち上げることはできる、このいう内容のものでございます。  今回ゲリラ事件ということでございまして、意図的にやられてしまったという状況でございますし、なおかつ先ほどからお話ございますように鉄道沿線が距離的に見ますと非常に長いということでございまして、完全にここのケーブル切断を防御するという点は非常に困難であろうと考えでございます。しかしながら、私たち国鉄を守る者といたしまして、いかに正常な列車運行を確保するかということが使命でございまして、現在関係の者が集まりまして具体的な防護策について検討中でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  199. 本間達三

    ○本間説明員 先生御質問のうち中核派に対する損害賠償請求の問題と二百二億の訴訟の問題についてお答えいたします。  最初の問題でございますが、今回の事件によって多大な被害を受けましたので、この被害について加害者に対して賠償請求することは当然と私どもは認識しておりまして、その方向で今後やってまいります。ただ、請求の相手方でございますが、これを中核派という団体とするのか、それとも具体的にこの行為に加わった者あるいはこれを指導した者とかそういう個人に持っていくかということにつきましては、この中核派というものの実態をも踏まえ、団体責任が問い得るのかという法律上の問題がございますので、この検討を経た上で決定してまいりたいと考えております。いずれにしましてもこの被害の回復を放置するわけにまいりませんので、断固回復するという意気込みでまいります。  それから第二点の二百二億訴訟の問題でございますが、五十一年六月十四日に第一回の口頭弁論が開かれまして、以後弁論が今日まで三十七回開かれたわけでございます。それで五十八年五月十八日に、第二十八回弁論でございますが、ここから証人調べに入りまして、現在国鉄がこうむった損害額を立証するために証人尋問が行われているという段階でございまして、この証人尋問が現在全部で六名申請しておりますが、そのうちの三人目ということでございます。したがいまして、私どもの証人尋問も多少時間がかかるだろうということでございます。  先生は、この訴訟が非常に遅いのじゃないかということを恐らくお考えになっての御質問だろうと思いますが、この訴訟は違法ストを敢行した労組に対する責任を明確にするという意味におきまして非常に重要な訴訟だというふうに私ども認識しておりまして、これまでも審理の促進に向けいろいろと努力してまいりました。しかし、五十一年二月に訴訟提起してからもう九年余り経過しているという現状でございますので、今後とも活発な訴訟活動を通じて最大限努力し、早く結審に到達したいというふうに決意しております。よろしくお願いします。
  200. 南谷昌二郎

    ○南谷説明員 先生の御指摘のございますように、このたびの事件で私どもの職員の中からゲリラ事件逮捕者を出しました。私どもとしましてもまことに遺憾きわまりないことでございまして、このような時期に、国鉄として国民の皆様の信頼にこたえて新たな国鉄に再生すべきときに当たりながらこういう事件を引き起こしたことに対しまして、まことに申しわけなく思っている次第でございます。  国鉄の労使関係につきましては、従来からいろいろ御指摘がございました。ただいま先生が御指摘のようにスト権ストということもございましたし、その後もいろいろと御批判をいただいております。私どもといたしましては、五十七年以来八次にわたる職場総点検を行ってまいりまして、それなりに成果は上がっておると思っておりますが、なお今日時点で不十分なところも幾つかございます。引き続き改革に向けまして、労使関係を正し、また職場管理につきましてもさらに改善の努力を進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いしたいと思います。
  201. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  202. 高鳥修

  203. 経塚幸夫

    経塚委員 二十九日のにせ左翼暴力集団の国鉄襲撃事件についてお尋ねをしたいと思います。  この事件につきましては、我が党は二十九日、金子書記局長談話を発表いたしましたが、「理由のいかんを問わず、このような暴力によって公共交通機関を破壊するなどという蛮行は断じて許しえないものである。」同時に、「もともとこれまでにも徹底糾明がされていたならば、今回の事件はおこらなかったはずである。」こういう趣旨の談話を発表しておるところであります。  そこで、最初に大臣にお伺いをしたいわけでありますが、警察法第二条には、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」こううたわれておるわけでありますが、今回の事件につきましても、これを未然に防止する、そして、国鉄それから国民の安全を守る、この最大の責任は当然警察が負うべきである、私はかように考えるのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  204. 山田英雄

    山田(英)政府委員 警察法の規定についてのお尋ねでございますので、私から申し上げます。  およそ犯罪の予防、これは警察の責務でございますので、今回の事件に限らず、予防に努力すべき責任は警察にあると思います。ただ、治安とか犯罪の予防といいますのは、私は警察の専売特許ではないと思います。個人の家庭、企業で戸締まりにいろいろな投資をされる、アラームシステムとかガードマンを雇う、そういうこともございますし、また、防犯協会というような団体が設立されて年月も久しいわけですが、やはり民間のお力でいろいろな防犯活動を推進する、それと警察との連携で泥棒の家屋への侵入の防止が図れるということもございます。  今回の事件の関連では、信号ケーブルの防護、さらにはいろいろな社会生活の維持に重要な役割を果たす電力、ガス、水道、いろいろな企業があるわけでございますが、これらの重要な機能の維持につきましては、警察だけが努力して予防を達成することはなかなか難しい。やはり、それぞれのお立場で自主防護、自主管理ということで危害の防止に努めていただく、それと警察の働きとの連携で犯罪予防というものの実が上げられるのではないか。そういう意味で、安全というのはただではなくて、必要な安全投資が要る。そういう立場から、警察とそれぞれの立場の自主防護との連携、そういう総合治安的な機能といいますか、それが犯罪予防を完全にするものではないか、かようにも存じております。
  205. 経塚幸夫

    経塚委員 公安委員長の見解もお伺いしたいわけであります。  私がお尋ねしたのは、警察法第二条を引用しながらわざわざ断っているでしょう。今回のような国鉄に対する暴力襲撃事件ですよ、これの最大の負うべき責任は警察にあったのじゃないか、こう言っているのです。それは国鉄の側にもあるでしょう、あるいは一般民間人にも、もし目の前でそういう事態が起こった場合にどうするかというようなこと、それはいろいろあるでしょう。しかし、明らかに暴力襲撃事件について、警察法第二条から見れば、最大の負うべき責任は警察じゃないですか。ああだのこうだのと言って一般に解消すべき性格のものじゃないと思うのです。その点、公安委員長とうですか。
  206. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 警察はあらゆる犯罪の防圧ということについて責任を持っておるのでありまして、これが予防についてももちろん警察の使命で、こういうものはできるだけ早期に情報その他をとりまして、早期に解決するということが必要であり、これが起こりました後におきましては、迅速にこれを検挙するということが国民の負託にこたえる一番の大事な点であると考えております。
  207. 経塚幸夫

    経塚委員 当然のことだと思います。  国鉄の方にお伺いしたいのですが、国鉄当局は今回の襲撃事件をどの程度予測をしておったのか。私が直接お聞きしました範囲では、十一月二十六日、千葉鉄道管理局の対策会議の席上、かつて経験したことのない事態が起こることも予測される、これは浅草橋の駅長がこの会議に参加をして聞いてきた話として私に語ったところであります。それから東京の西局の光山総務部長は私の質問に対しまして、ケーブル線も含めてあるべしと考えていた、つまり、ケーブル線も含めて襲撃されることが予想されておった。それから大阪鉄道管理局公安課長補佐山田孝一氏の話によりますと、環状線の駅構内、ロッカー、路線の平面部分に妨害襲撃があるかもしれないと予測した、こういうふうに語っておるわけでありますが、これら一連の事実から振り返ってみますと、国鉄当局は事前にケーブル線や駅が襲撃されることを予測しておったと判断をされるわけでありますが、その点はどうですか。
  208. 土田洋

    ○土田説明員 お答え申し上げます。  今回の千葉勤労のストに対しましては、中核派が支援して過激な行動による鉄道妨害を企てているのじゃないかという一般的な警察からの情報は私どもお聞きしておりました。  先ほど先生からお話があった、千葉、大阪あるいは東京西局の幹部が先生に申し上げたという関係でございますが、かつて私どもも、一回、信号ケーブルが切られたといったような事象もありましたし、あるいは垂れ幕を垂れ下げられたというようなこともございまして、一般的に、そういうような妨害があるならばそういうことが予想されるのじゃないかということを警戒をしたわけでございます。  私どもとしましては、このような情報に基づきまして、各県警に警備要請を行うとともに、私どもみずからも、千葉の管理局、東京の三局、それから大阪の管理局等で駅とか線路、運転関係の場所、重要施設の重点警備、それから沿線の巡回ということにつきまして早期から十分警戒をとってきたということであったわけでございます。  以上でございます。
  209. 経塚幸夫

    経塚委員 国鉄は予測しておったということでありますが、警察はどうですか。ケーブルの切断、駅襲撃、これは予測しておったのですか。
  210. 三島健二郎

    三島政府委員 警察といたしましては、勤労千葉のストを支援するために中核派が電車の運行を阻止するといったような動きに出るという情報は知っておりましたけれども、問題は具体的にどのような事態を起こし列車の運行を阻止するかという情報については知っていなかった、こういう状況でございます。したがいまして、警察といたしましては電車の運行を阻止することのできるいろいろな事態というものを想定いたしまして、全体としての警備をとったということでございます。
  211. 経塚幸夫

    経塚委員 これはおかしいじゃないですか。国鉄当局でさえと言ったらおかしいですけれども、国鉄当局はケーブル線も襲撃されることもあり得ると、ここまで具体に知っていたのでしょう。国鉄よりもはるかに情報収集力を持っている警察がそんなこと知らなかったのですか。おかしいじゃないですか。しかも国鉄も、ことしの三月にケーブル線を襲撃されたという経緯もあり、三年前にもにせ左翼によってケーブル線をやられている、こういう経験則からも今回もあり得べしと判断していた。警察は一体何の情報を集めていたのですか。今の答弁だとますます私は不可思議でならない。この点については、警察が情報を事前にキャッチしておったということをほとんどの一般紙が書いておるじゃないですか。週刊誌にも書いております。この点はどうなんですか。一般的に列車の運行が阻害されるという程度の情報しかつかんでいなかったのですか。駅だとかケーブル線が切断される、こんなことはゆめゆめ考えておられなかったのですか。どうですか。
  212. 三島健二郎

    三島政府委員 先ほど申し上げましたように、電車の運行を阻止するということでありますので、阻止のできるような事態というものはいろいろと想定をしておったわけであります。先ほど国鉄も経験則より判断しているといった御指摘でございますが、要するに具体的な情報はなかったということであります。
  213. 経塚幸夫

    経塚委員 そうするとケーブル線、駅襲撃は予測の中に入っていなかったのですか、入っていたのですか。どうなんですか。
  214. 三島健二郎

    三島政府委員 全体として列車の運行を阻止するような事態というものを想定しての警備でございます。
  215. 経塚幸夫

    経塚委員 これは神奈川新聞でありますが、こう書いてあります。「特捜本部の調べによると、中核派は数カ月前から国鉄千葉勤労の二十四時間ストに呼応、首都圏の国鉄の通信・信号ケーブルを切断して国鉄を全面ストップさせるとともに、主要ターミナルを襲撃、混乱状態の拡大を計画していた。」「警視庁は、これらの情報を事前にキャッチ、」云々、こう書いてあるのです。この報道は間違いですか。
  216. 三島健二郎

    三島政府委員 先ほどから申しておりますように、ケーブル線の切断であるとかそういったようなことについての具体的な情報は入手していなかったということであります。
  217. 経塚幸夫

    経塚委員 これは驚くべきことであります。先ほど申し上げましたように一般新聞警察が事前に情報をキャッチしておったということをいろいろ書き立てておるわけでありますが、警察は全面的にそれをお認めにならない。  続いてお尋ねいたします。それでは、この警備態勢でありますが、東京都内の場合、駅とか沿線あるいは検問等々で直接警備に配置した警官の数は、二十八日何人、それから二十九日午前零時から午前六時何人ですか。
  218. 三島健二郎

    三島政府委員 警備態勢につきましては、極左暴力集団が列車の運行を阻止するというようなことを言っておりますのでそれに対応するための総合的な警備態勢をとったわけであります。その意味ではまず第一に考えなければならないのは、運行が阻止されるという事態がありますと必然的に上尾騒動のような駅頭におきますところの各種の騒動というものが発生する可能性が非常に強い。もう一つは、そのような事態に至るためにはゲリラ活動が行われるであろうということで、この両面に対する警備態勢をしいたわけであります。その意味では、列車の運行の時間中という段階では少なくともそのような駅頭騒動が起こらないための必要な警備態勢をしいたわけであります。その結果、例えば二十八日の午後から夕方にかけまして約八百名の中核等の極左暴力集団が津田沼駅、その周辺で集会を持ちデモを行ったわけでありますが、そのような事態に対応いたしましたし、またそれぞれ午前中電車が動いて午後から電車がとまるという事態でまさに上尾騒動のような事態が起きる客観的な情勢があったわけでありますが、それぞれ必要に応じて警察官等の警備の態勢をとることによってそのような事態を防ぎ得たわけであります。  またもう一つはいわゆるゲリラ対策でありますが、これにつきましては沿線を全部それぞれ警察官が張りつけになって守ることができないのは沿線の長さから見て当然でありますので、したがいまして全体としての警備を行うということでまず一次的には署の段階での必要な警備態勢をとる。それに対しましてその上にさらに本部の執行隊、自ら隊、パトカー等が必要な警戒を行う。さらに沿線地域をそれぞれの地域、区域に分けまして機動隊等を配置する。そして有事即応態勢をとるというような形でもって配備をしたわけでございます。そして、警備の方法といたしましては必要なところについては重点警戒を行いあるいは遊動警戒を行い、さらには検問態勢をしいて全体としての警備をしいたわけであります。したがって、沿線周辺に何名いたかという形での配備ではないということであります。
  219. 経塚幸夫

    経塚委員 それでは全部で何人警備に配置したのですか。
  220. 三島健二郎

    三島政府委員 全国北海道から四国、九州の各県から警察官の動員を得まして千葉そして東京周辺の警戒に当たったわけでありますが、全体といたしましては千葉の段階では九千五百名が二十五日から警戒に当たっていたわけであります。と申しますのは、二十五日から千葉の空港周辺の成田用水の工事が行われまして、極左暴力集団はこれに対しまして徹底的に阻止し破壊するという言動をしておったわけでありまして、これに関連いたしますゲリラ活動というものが十分憂慮されたわけであります。そのために全面的に動員をいたしまして空港周辺の警戒並びに関連施設、関係者等に対してゲリラに対する対策も行っていたわけであります。その部隊の多くを割いて沿線警戒等も行ったわけでありまして、全体としての数字は千葉県下ではそのような状態であります。  そしてまた、警視庁関係におきましてはこの関係でもって約三千五百人の部隊を全体として動かしておりますが、ただしこれはそのほかにも署の段階でいろいろな形でもってこの警備に当たっておりますので、実を言いますと全体の総数というのを完全にはじき出すということは不可能でございます。
  221. 経塚幸夫

    経塚委員 十時十三分に警備本部を解除して千二百人に減らした、こう報道されておりますが、これは事実ですか。
  222. 三島健二郎

    三島政府委員 警備はその必要な対応でもって行うものでありますので、したがって警備を行うべき対象がなくなればその警備はなくなるわけであります。と申しますのは、先ほど申しましたように大きく分けて二つございます。その一つは駅頭騒動に備えるという警備でございますが、これは乗客がいなくなれば駅頭騒動というものの発生はなくなるわけでありまして、その部隊の任務、警察官の任務というものは終わるわけてあります。しかし、その警察官は二十八、二十九の段階におきましてはそれぞれ署なりその他周辺におきまして必要な待機態勢をとって全体として要するに有事即応の態勢に入っている、こういうことであります。
  223. 経塚幸夫

    経塚委員 局長、具体的に私は聞いておるのだから、具体的にあなたも答えなさい、逃げを張るような答弁ばかりせずに。  十時十三分に警備本部を解散してそして千二百人に減らしたというのは事実かと聞いているのだ。具体的に聞いたことに具体的に答えなさい、いたずらに時間を稼ぐような答弁ばかりせずに。
  224. 三島健二郎

    三島政府委員 先ほどから申しておりますように、警備としては全体としてやっておるわけでありますので、この部隊が右へ動いたから部隊が減ったということではございません。したがいまして、全体としての警戒態勢というものはそのまま続いているわけであります。
  225. 経塚幸夫

    経塚委員 それじゃ具体的にもう一つ聞きますが、浅草橋駅の場合でありますが、二十八日夜十時、それまで事務所におった駅長に対しまして、署長と警備課長が警戒態勢を解いて半減をする、こう言って引き揚げた、これは事実かな。
  226. 三島健二郎

    三島政府委員 警備課長がどのような発言をしたかわかりませんが、警備態勢を解くといったふうな事態は当日実施いたしておりません。警備はずっとそのまま続いて翌日までやっているわけであります。したがいまして、先ほど申したように、それぞれ任務があって、任務が解除された段階での警察官の移動というものはあり得ると思いますが、警戒態勢を解いたということではございません。
  227. 経塚幸夫

    経塚委員 半減したのはどういうこと。
  228. 三島健二郎

    三島政府委員 現場におりました警察官の任務がそれぞれ何であったかを見なければわかりませんが、例えば駅頭におった者が乗客等の人数の推移によりまして、例えばラッシュ時には警察官が多く行く、そして乗客等が少なくなれば警察官の態勢というものは少なくなるというのは当然でありますので、そのような形の推移というものはあるわけであります。  また同時に、駅頭の警戒というのはただ単に駅の中にいるというものではございません。駅周辺全体でいろいろな形でもって警戒しているわけでありますので、したがって、人数が減った減らないということにつきましては、それは警備全体の中でもって行っていることであって、特にそのために警戒が落ちたということではありません。
  229. 経塚幸夫

    経塚委員 蔵前、久松署にはそれじゃ夜明けまでに何人待機しておったのですか。
  230. 三島健二郎

    三島政府委員 第一線警察署といたしましては、二十八、二十九日の段階ではできる限りの動員を行いまして、それぞれ対応していた状況でございまして、したがって、それぞれ各署においては遊動警戒あるいは必要な場所に対する重点警戒あるいは検問態勢等で署から出ている者以外の者は署の中におったと思います。
  231. 経塚幸夫

    経塚委員 何人おったのかと聞いておるのです。
  232. 三島健二郎

    三島政府委員 具体的な数字は、そのときそのときでもって移動していると思います。
  233. 経塚幸夫

    経塚委員 それは恐らく答えられぬでしょう。警察最大限の努力を払ったとかいろいろなことは言っておりますけれども、員数を答えたら最大限の態勢をとっていたのかどうかすぐわかるから、あなた、答えられぬのでしょう。  さらに具体的にお聞きしますが、午前中の答弁の中で、局長はこういう答弁をされましたね。六時五十分過ぎに、つまり駅が襲撃されるそのときでありますが、駅前で十数名が構えた、こう言っておりますね。これはどういう意味なんですか。デモを迎え撃つ態勢をとっておったということに解釈していいのですか。
  234. 三島健二郎

    三島政府委員 それは浅草橋駅に対する七十名前後のゲリラ部隊の襲撃の際の話だと思いますが、その際には駅の前において十数名の警察官が駅を守るために警戒しておった、こういうことであります。
  235. 経塚幸夫

    経塚委員 そうすると、デモが着く前に十数人浅草橋駅の東口のシャッターの前におった、こういうことですね。
  236. 三島健二郎

    三島政府委員 デモという相手ではないわけでありまして、彼らは背広を着ておったのを直ちに武器を持ち、あるいは武装して、警察官の阻止の中で逐次駅の方へ向って行った、こういう状態であります。それで、そのときに駅を防護するべく警察官が既におった、こういうことであります。
  237. 経塚幸夫

    経塚委員 あなたはそのときの現場の実情をよく聞いた上で答弁されているのですか。もし、にせ左翼暴力集団が隊列をつくって駅へ向かっておる、それで、その前に十数名警察官浅草橋駅の東口のシャッターの前におったのなら、なぜすぐシャッターを閉めさせなかったのですか。しかも、私が駅長に聞いたところによると、朝六時四十五分駅の構内の事務室に警官がおって無線を傍受しておった、そして、その無線には公園から浅草橋駅に向かって四十ないし五十人不穏な動きが始まっておる、こう駅長に伝えておるわけです。これを聞いた駅長は駅が襲撃されると察知したと言っているのですよ、警察官からその連絡を受けて。しかも、警察官は駅の構内におった。そして、今聞きますと、駅のシャッターの外には十数人の警察官がおったということなんでしょう。何でこれはシャッター閉めぬのですか。
  238. 三島健二郎

    三島政府委員 例の左衛門橋付近で白いワゴン車があって、それに対して職務質問を開始したわけでありますが、その際に、これはゲリラであるというふうに直観いたしました警察官は直ちにその旨を告げて応援の要請をしたわけであります。その無線はそれぞれ関係方面で全部傍受いたしておりますから、そのようなゲリラの部隊がそこにいるということは周辺ではそれぞれわかったわけでありまして、それに対応するべく警察官は直ちに必要な対応をしたわけであります。そして、シャッターにつきましても、これは全体としては閉まっていたようでありますが、ごく一部がたまたまあいていたといったふうな事態でございまして、それがどうしてあいていたのかについては現在のところ承知いたしておりません。
  239. 経塚幸夫

    経塚委員 警察官が十数人配備されておったのでしょう。中にもおったのでしょう。しかも情報は、浅草橋駅に向かっておると言われておるのでしょう。こんなものは普通だったら閉めまんがな。それを背中にして、のうのうとぼやっと立っていたのですか。それで警察は万全の態勢をとったと言いますけれども、これは「フォーカス」の写真でありますが、なるほどこれは警察官がピストル向けている、ヘルメットをかぶっている警察官はおりやしまへんがな。火炎瓶を持っている、鉄棒で武装している、それで四、五十人が向かっている。まあ七十人近くだったということでありますが、それを駅の東口で迎え撃つ態勢をとっておりながらだれ一人ヘルメットもかぶっておらぬ、これはどういうことですか。性根を据えて逮捕するという前提に立っていた姿勢とは考えられぬじゃないですか。盾を持って、ヘルメットをかぶっている。しかも、私は駅前におりました宝くじの販売人に聞きました。朝六時から来たというのです。来たときにはもう警察官が六人おったというのです。パトカーもおったというのです。シャッターがちょっとあいているのなら、シャッターの前に何でパトカーを横断させなかったのですか。素人が考えたってわかりますがな。これで最大限の努力を払ったと言えますか。午前中泳がせというようなことはナンセンスだと長官は言いましたけれども、これは明らかに疑惑の数々がふえるばかりですよ。  ケーブル線、聞きましょう。私は錦糸町駅で駅長に聞いた。昼間は二十八日警察官が四十人おった、ところがそれは零時五分、終電車までの話であって、終電車以降は一人もおらなくなった、駅長はこう言っているのです。これは警察官が引き揚げたんですね。あなたに言わせれば別の警備についた、こういうわけでありますけれども、現に駅から警察官が四十人いたのが終電車と同時におらなくなっということは事実なんでしょう。これは引き揚げたわけですか。
  240. 三島健二郎

    三島政府委員 まず、先ほどの浅草橋駅前の話でありますが、十数名の警察官が七十名近いゲリラ隊と対応したわけであります。警察官としては通常の服装で勤務いたしておりますから、その服装のままにまさに現場に急行した、こういうものであります。そして、何としてもこれを構内に侵入するのを阻止しようということで、けん銃まで抜いて彼らに対応したわけでありますが、何せそれは数に全く逢いがありますから、先ほど申したように、ごく一部あいていたシャッターのところをさらにあけて中へ入っていっという事態が起きたわけでありまして、警察といたしましてはその段階ではまさに最大限の努力を払っているということは紛れもない事実であります。  それからもう一点は、錦糸町の駅の配置は先ほどから申しているとおりであります。駅頭騒動等に関連いたしまして、その任務を与えて警戒についていたわけでありますので、したがいまして終電車が終わったということになりますと、これはもう乗客が存在しないということであります。したがいまして、そういう意味での任務はそこでもはや続ける必要はないわけでありますので、それをさらにほかの任務につける、あるいは休憩させる、いろいろな処置があると思いますけれども、そういう形でその場からいなくなるということでありまして、これは決して警備力を減殺したというものではありません。
  241. 経塚幸夫

    経塚委員 警備力を減らしたということではないと言うけれども、引き揚げたことは間違いないわけです、おらなくなっておるのですから。それでその間に、夜明け前にやられているわけです。  国鉄にお伺いをしますが、これは大鉄局の公安課長補佐山田孝一氏の話でありますが、二十七日から連日公安官五十名が駅、線路のパトロールをやっておった、こういうことでありますが、二十九日は午前四時三十分ごろまでやった、しかし、始発が外回り大阪発四時四十一分、内回り四時四十九分なので切り上げた、こう言われておるわけでありますが、これは事実ですか。
  242. 土田洋

    ○土田説明員 お答え申し上げます。  私ども公安の関係で、線路巡回、三班に分けてやっておりまして、終電から初電が要するに要注意時間帯であるということで六名で回らせておりまして、二十九日につきましても、初電がありますので四時半ごろに巡回を終わりまして、その後事件が発生しまして、捜査とかあるいは主要駅の警備の方に従事させたという事実でございます。
  243. 経塚幸夫

    経塚委員 四時三十分にパトロール隊が切り上げた、これは事実ですね。そしてその後事件が起きたわけでしょう。それは間違いないですね。どうですか、その点は。
  244. 土田洋

    ○土田説明員 お答えいたします。  環状線では三カ所で事件が起こっておりますが、全部が四時半以降でございませんで、これは推定でございますが、天満と桜ノ宮が四時半ごろ、桜ノ宮——京橋が四時二十分ごろ、大正と芦原橋四時四十五分ごろということで、三カ所によりまして時間の発生が必ずしも四時半までじゃなくて、推定でございますがちょっと時間の発生は違います。
  245. 経塚幸夫

    経塚委員 何にしましても、今の発生時間を見ますと、四時二十分、四時三十分、四時四十五分、それでパトロール隊が引き揚げたのがほぼ四時三十分、こう言われておりますから、一カ所は別にして、二カ所はパトロール隊が引き揚げた後にこれはやられているわけですね。これも不思議の一つであります。  時間の関係もございますので、次をお尋ねをしておきたいと思いますが、警察庁の方、この十年間ににせ左翼暴力集団によるいわゆる襲撃事件、これに対する検挙率は何割か。それから六十年中に発生をしましたこういう暴力襲撃事件、これが総数何件か、このうち検挙は何件か。
  246. 三島健二郎

    三島政府委員 この十年間におきますゲリラ事件の発生件数は全体で五百七十七件でありまして、検挙件数は六十六件であります。パーセンテージで一一・六%になろうかと思います。  それから、本年のゲリラ事件の発生は八十五件であります。
  247. 経塚幸夫

    経塚委員 検挙は。
  248. 三島健二郎

    三島政府委員 検挙件数は二件でございます。
  249. 経塚幸夫

    経塚委員 一般の事件の場合の殺人、放火それから凶器準備集合等々の検挙率はどうなっていますか。
  250. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 過去十年間、すなわち昭和五十年から昭和五十九年までの検挙率の平均は、殺人が九七・〇%、放火が八七・八%、凶器準備集合が九九・三%、暴行が九三・六%、傷害が九三・八%となっております。
  251. 経塚幸夫

    経塚委員 おかしいですね、これは。十年間のにせ左翼暴力集団の検挙率が一一・六%、ことしに入ってからはこれは事件件数が急増しているんですね。八十五件に対して検挙率二件。一般の場合はいずれもこれは一〇〇%近いわけでしょう。これはだれだって不審に思いますよ。そんなもの、長官は泳がせなんというのはナンセンスだと言いましたけれども、この事実を見たらおかしいじゃないかとだれだって考えるのは当然じゃないですか。  今回の事件についての各紙、これは要点だけ紹介しておきましょう。サンケイ新聞十一月三十日「スキを突かれた警備当局」、朝日十一月二十九日「裏かかれた警備陣」、読売十一月三十日「厳重警戒線、裏かかれる」、十一月三十日朝日社説「反省と検討を求めておきたい。」。  一般新聞が泳がせではないかと過去において論評を加えた事例も幾らもありますよ。言えと言うならこれだけで二十分ぐらいかかりますからこれは省略しておきますけれども、長官、あなた何と抗弁しようとも、こういう事実を見て不審を抱かない国民はおりませんよ。全く警察の警備の不手際、手落ちなのか、政治的に泳がしておるのか、どっちかとしか考えられぬじゃないですか。
  252. 山田英雄

    山田(英)政府委員 確かに一般事件検挙率は一生懸命やっておりますから世界最高の高率であることは間違いございません。ゲリラ事件についても、前に申し上げましたように警察が十一人の殉職者、約二万名に及ぶ負傷を出して、体を張って、生命の危険を冒して極左と対決しているわけでございまして、ゲリラ事件の捜査も懸命にやっております。  ただ、率が低いのは、それだけの捜査の困難性があるわけでして、極左暴力集団というようなものがまことにマルクス・レーニン主義を奉じて暴力革命の思想を持ってああいう無謀な暴力行為を犯し続けているわけですが、それだけに非公然軍事要員と彼らが名づけているように潜行しておるわけでございます。それだけにそれを摘発することの難しさはございます。先ほど答弁申し上げましたように、にもかかわらず彼らの転々として移しかえるアジトを捕捉して軍事要員の検挙にも至っておるわけでして、一人の者を尾行するのに百名ぐらいの要員がかかるという、それも行き先をつかむのに数カ月もかかるという困難な捜査を続けておるわけでございます。そういう意味では一一%にしても上がっているということの方が、その点に御着目いただきたいわけでして、泳がしているというようなことは一線の警察官の努力の前に私は全く残念に思うわけでして、そういうようなことは全くないことをこの際はっきりと答弁申し上げておきたいと思います。
  253. 経塚幸夫

    経塚委員 あくまでも長官は事実を否定されるわけでありますが、私は、警察はあくまでも厳正、中正、公正でなければならぬというふうに考えております。  そういう立場からもう一点お尋ねをしておきたいわけでありますが、これは最近、元警察庁長官だとかあるいは警視総監だとか、自民党公認で立候補を準備しつつあるということが相次いで報道され、新聞でも批判の対象になっております。  この件についてお伺いしたいわけでありますが、長官、総監が続いて三人も、しかも同じ政権党から、さらに辞任直後、政界出馬をするというようなことは異例のことだ、こういうふうに言われております。鈴木前警察庁長官、下稲葉元警視総監、福田前警視総監。そこで、報道されておるところによりますと、山形県警本部に事務局を置いております県警親会というのですか、親睦会ですね、連合会、これを利用して会員集めをやっておるということで、下稲葉氏後援会山形県支部長が、これは元山形署長、現県警親の常任理事と言われておりますが、県警親の役員会の席上、十月十九日、下稲葉氏が立候補する、地区に諮ってほしい、こう求めたと報道されております。そして、経歴書、後援会申し込み用紙を配ったとも言われております。この席上には事務局担当の現職の県警職員も同席をしておった。これに対して県警の方は三十日までに、現職警官は巻き込まれるな、誤解される行動も慎め、こういう異例の指示を出した、こういうふうに言われておりますが、これは事実ですか。
  254. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 御指摘の事案につきましては、去る十月十九日に山形市内の料亭におきまして、山形県警察の退職警察官の親睦団体であります山形県警親会連合会の役員会が開催されまして、その役員会が終了した後に、下稲葉氏の後援会の役員から、各地区において後援会加入について呼びかけをしてほしいという依頼がなされたものと承知いたしておるわけであります。しかし、後援会会員の獲得行為とか、特定政党への支持、支援の依頼等は政治活動でありまして、比例代表制の選挙におきましては、特定政党への投票依頼行為がない限り、選挙運動とは解されておりませんので、本件につきましては、事前運動には該当しないと私ども解釈しておるところでございます。
  255. 経塚幸夫

    経塚委員 事前運動に該当するかしないかということを私は聞いておるわけじゃないのです。こういう事実があったのが事実かどうかということをお尋ねしておるわけでありますが、今の報告だと事実があったことはこれは間違いないようであります。  そこで、こういうことは好ましいことなんですか、どうなんですか。
  256. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 事実関係につきましては先ほど刑事局長お答えしたとおりでありますが、要は、山形県の警親会連合会の役員会が終了した後に後援会の話が出たということでございまして、したがいまして、あくまでも警察のOBの親睦団体であります県警親会の活動とは別個のものと承知をしておるところでございます。
  257. 経塚幸夫

    経塚委員 私は好ましいことかどうかをお尋ねしたわけでありますが、これは局長だとかでは答弁できない問題だと思う。この点長官はいかがですか。聞くところによると、下稲葉氏の立候補に絡んで、警視総監時代に福田氏が部長、署長に訓示をして、巻き込まれないように、こう言ったと報道されておるのですね。その当人が今度は現職中東京七区からの立候補のうわさが流れた。これに対して鈴木氏が長官時代に言動を慎むようにと注意をした、こういうこと。その本人が今度立候補でしょう。これはどないなっとりまんねん。全く泥沼じゃないですか。警察というのは縦の組織が強いところでっしゃろ。まあやめてから五年も十年もたって立候補というならともかく、ついこの間まで現職でおった人ばかりでしょう。鈴木前警察庁長官は八月辞任でしょう、下稲葉さんは昨年の秋でしょう、福田さんはことしの秋でっしゃろ。それで、それぞれが慎むように慎むようにと言いながら、自分が慎むどころか——全く解せぬですよ。だから、この山形県に起きた事件につきましても私は危惧しているのですよ。これでいったら、警察法では「公平中正」などと言っておるけれども、明らかに政治警察への復活じゃないかというような疑義を抱かざるを得ぬわけですよ。これを警察庁は黙って見ておるのか。山形県警本部では何か注意か指示かしたというのですが、警察庁はこれを好ましいことだということでほっとくのですか、どうなんです。
  258. 山田英雄

    山田(英)政府委員 警察の職務執行の基本は不偏不党、厳正公平であるべきことはもう当然のことでございます。私ども二十一万五千の全警察官にそういう執務態度を求めておりますし、現に現職のだれもがそういう気持ちで、不偏不党、厳正公平な職務を執行していると信じております。今名前の上がった方も、現職当時、不偏不党、厳正公平な職務を執行していたことは私も確信いたしております。  やめてから本人の物の考え方でいろいろな行動もあるわけでございますが、そのことにつきましては個人の信条もあろうかと思います。我々コメントすべき立場にはありませんが、そういう状態において現職の警察官がいかに行動すべきか、対応を律すべきかということについては、私自身も全国の警察官に対して選挙の取り締まりの公正を確保する立場から不偏不党、厳正公平に取り締まりを行うべきであるということで徹底しておるわけでございます。
  259. 経塚幸夫

    経塚委員 選挙違反に対する取り締まりは厳正公正な態度でやるというのは、これは当然のこと。ただ問題は、こういうことが起こっておる事態に対して警察庁はコメントも何もしないのですか、ほっとくのですか、こう言っているのです。危惧されるのは、こういう状況を放置しておけば現職警官が巻き込まれる危険があるから、警察庁は何らか手を打つべきではないか、私はこう考えておるのですよ。時間も来ておりますので、この点再度、長官と公安委員長の方で御答弁をいただきたい。
  260. 山田英雄

    山田(英)政府委員 先ほどお答えしたとおり、巻き込まれることのないように不偏不党、厳正公平に職務を執行することを指示、徹底しておるわけでございます。
  261. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今長官から答弁したとおりであります。
  262. 経塚幸夫

    経塚委員 終わります。
  263. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、来る十三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十九分散会