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1985-11-22 第103回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十二日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 柴田  弘君       伊吹 文明君    尾身 幸次君       大村 襄治君    工藤  巖君       細田 吉藏君    松田 九郎君       細谷 治嘉君    小谷 輝二君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席政府委員         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君  委員外出席者         参  考  人         (地方公務員共         済組合協議会理         事)      佐野 政一君         参  考  人         (日本教職員組         合副委員長)  橋口 和子君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八四号)      ————◇—————
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人から意見を聴取することといたしております。  御出席参考人は、地方公務員共済組合協議会理事佐野政一君及び日本教職員組合委員長橋口和子君のお二人でございます。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  両参考人には、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序は、初め参考人の方々からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただきまして、次に、委員からの質疑に対して御説明、御答弁をお願いいたしたいと存じます。  それでは、佐野参考人にお願いいたします。
  3. 佐野政一

    佐野参考人 ただいま御指名にあずかりました佐野でございます。  本日は、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の御審議参考人といたしましてお呼び出しにあずかったわけでありますが、元来まことに不勉強でありまして、御満足のいくような意見を持ち合わせていないことを恐縮に存しておる次第でございます。  この法律案は、高齢化社会到来等社会経済情勢変化に対応し、公的年金制度の長期的安定と整合性のある発展を図るため、公的年金制度一元化等の改革の一環として、地方公務員及びその被扶養配偶者にも基礎年金制度適用するとともに、厚生年金給付水準を考慮して共済年金給付水準適正化を図る措置を講ずるため提出されたものであり、公的年金制度の現状から見て適切な内容であると理解しております。  この法律案に対する若干の私の意見を申し述べようと思いますが、何分こういう席はふなれであり時間の制約もありますので、どういう点を主題にしてどの程度申し述べればよいのかということもよくわかりませんが、幾つかの点につきまして大まかな所感を申し述べたいと存じます。  第一の点は、地方公務員及びその被扶養配偶者に対して基礎年金制度適用することであります。現在、我が国の公的年金制度はその沿革や目的の違いから七つの制度に分立しておりますが、制度によってはその財政基盤が急速に脆弱化しているものがあるほか、各制度間でその給付内容等に差違があり、官民格差等制度間の格差是正必要性が指摘されております。また、本格的な高齢化社会到来に備え、年金財政見直して長期的に安定させ、安心して信頼のできる年金制度を実現する必要のあることが指摘されております。  このような観点から、さきの国会国民年金法等の一部を改正する法律が成立し、昭和六十一年四月一日から施行されることとなったのでありますが、この法律による国民年金及び厚生年金制度改正は、基礎年金制度を設けるとともに婦人年金権を確立し、あわせて厚生年金給付水準見直しを行い、これら二つの年金財政を長期的に安定化するためのものであると理解しております。地方公務員共済年金制度につきましても、その長期的な安定と整合性のある発展を図るとともに、制度間における給付水準格差是正を図るため、この基礎年金制度導入するとともに、これに関連して給付水準見直しを行うことは妥当な措置考えております。また、これにより地方公務員の被扶養配偶者年金権を確立するとともに、世帯間の年金水準適正化することになりますので、地方公務員共済組合年金財政の長期的安定に資するものと考えております。  この基礎年金制度適用に関連して若干危惧しておりますことは、改正後の国民年金制度においても保険料免除制度が残されており、保険料の段階的な引き上げに伴って現在一七・四%に達するという保険料免除者割合がさらに高くなり、将来これに伴う負担共済組合に転嫁されるおそれがあることでありまして、なるべく早期にその是正の対策をとられるよう希望しております。  なお、基礎年金給付に関する業務、すなわち基礎年金支給、被扶養配偶者に関する諸手続等については、共済組合員の利便を考え共済組合が一括してこれを取り扱うことができるよう御配慮願いたいのであります。  また、事務担当者立場からすれば、来年四月一日にこの制度を実施するまでの期間が限られておりますので、この法律案についてはなるべく早期に成立されるよう希望いたすものであります。  第二の点は、新しい共済年金設計及びその水準についてであります。  新しい共済年金給付制度は、従来の恩給方式を脱し、厚生年金と同様に基礎年金に上積みする方式設計されております。共済年金公的年金制度一環でありますので、その給付設計及びその給付水準についても公的年金制度間の均衡に配意する必要があり、この法律案による考え方は妥当なものと思うのであります。  また、この制度改正に伴う経過措置につきましても、おおむね妥当なものと考えております。  しかし、給付額算定基礎となる給料額につきましては、これまでの退職前一年間の平均給料から全期間平均給料補正率を乗じたものとしております。厚生年金との均衡を考慮する場合その趣旨は理解できますが、地方公務員給与民間給与制度との相違、公務員年金制度であること等を考慮すれば、でき得るならば退職前数年間の給料平均額基礎とするようにできないかと思うのであります。この点について、国家公務員共済年金が今回の改正案では全期間平均標準報酬基礎として算定することとしておりますが、公務員給与制度から見た場合、この標準報酬制度導入することは、給付算定を複雑にするばかりでなく、公務員間の給付均衡上妥当なものとは言えないと思うのであります。したがって、この法律案により地方公務員共済組合がとろうとしている給料により算定する方式が最も適したものでありまして、このことは年金関係の識者が指摘しているところでもあります。  また、年金額算定基礎となる給料比例部分支給率でありますが、千分の七・五の支給率及びその経過措置等につきましては、厚生年金との給付均衡上妥当なものと考えますが、いわゆる職域部分に関する支給率につきましては、厚生省厚生年金基金についていわゆる二階建て部分とされる給与比例部分の三割以上の給付をするよう指導していること等から見て、この法律案で規定している千分の一・五の支給率をもっと引き上げてほしいという意見共済関係者の間で強く聞かれるところでありまして、何分の御配慮をお願いしたいところであります。  第三の点は、退職共済年金支給についてであります。  この法律案によれば、退職共済年金は、厚生年金との取り扱い均衡を図るため、公務員退職後も他の公的年金の被保険者となった場合には、その年金給付については新たに支給制限をする措置をとることとしております。しかし、改正後の厚生年金は、六十五歳に達すれば在職中といえども、他に相当な所得がある場合でも老齢厚生年金支給されることとされておりまして、公務員としての在職中は退職共済年金支給しないという共済年金とはその取り扱いを異にしております。公務員としての在職中に退職共済年金給付を受けることは公務員制度として適当でなく、この点、改正法案退職前提として給付することとした取り扱いは適切な措置であると思うのでありますが、でき得ればこの退職共済年金特殊性に配意し、公務員退職後の生活を考慮して、他の制度の被保険者としての在職中その支給を制限する取り扱いをでき得る限り緩和するようにお願いいたしたいと存じます。  最後に、国鉄共済年金に関する救済問題であります。  地方公務員共済組合国家公務員共済組合とは同じような制度適用していることから、地方公務員共済組合国鉄共済組合救済に参加してもらいたいという国家公務員共済組合の希望がありますが、このことについては次のような問題があります。  その一は、国鉄共済地方公務員共済とは制度沿革から見ても別個の制度として発足したものであり、その関係地方公務員共済私学共済農林共済と同レベルの関係であって、国家公務員共済が実施している財政調整措置はなじまないものであります。  その二は、国鉄共済年金財政については、その悪化した原因を明確にし、これに対する国の責任分担を明確にすることが先決であって、それらの処理を完了した後において社会保険としての取り扱いを論議すべきであり、国鉄共済国共法適用を受けていることのみで財政調整を求めても、地方公共団体及び組合員を説得することは困難であることであります。  その三は、地方公務員共済組合においては、早くから財政調整制度を設け、財政事情の悪化した組合に対する救済措置を講じており、他の共済組合に対してまでその措置を拡大することについては極めて強い反対の声があることであります。  したがって、国鉄共済年金問題については、民営化に伴う組合員規模前提として、将来の収支見込み額を明確にするとともに、国の責任分担を明確にされた後において、全公的年金でどのようにこれを取り扱うかを検討すべきものと考えております。  以上でございますが、ふなれなことで的を外していることがあろうかと存じます。それらの点につきましてはお示しをいただきまして、幸い私のお答えし得る事柄でありましたならば補足して申し上げることにして、私の意見の開陳を終わることといたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 ありがとうございました。  次に、橋口参考人にお願いいたします。
  5. 橋口和子

    橋口参考人 御紹介いただきました日教組の副委員長をしております橋口でございます。  本日、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について意見を述べるようにとのことでしたので、私が審議会委員をいたしております地方公務員共済組合運営審議会で申し上げてまいりました意見と重複いたしますけれども、私の考えも含めまして発言させていただきます。諸先生方の御審議に当たりまして、何らかの御検討課題にしていただければ大変幸せだと思います。また、この審議会審議をいたしましたのが四月でございまして、それ以来他の課題に没頭いたしておりましたために、若干失念しているところがあるかもわかりませんので、その点はお許しをいただきたいと思います。  まず、今回の改正案の問題として、第一には、この改正基本となっております基礎年金導入にかかわる問題でございます。  私ども共済年金制度は官吏の恩給から始まりまして、現在は社会保険方式による年金制度でありますが、公務員たる職員が国民に対して公務を民主的に能率的に専念できるように、さらには公務員相互間の扶助を基本として成立しているものでありまして、公務員制度の重要な部分を占めていると私は考えております。したがって、その制度内容につきましては、当該共済グループの構成の実態やそこに働く者たちになじむように長い年月をかけながら、さまざまの工夫や努力が積み重ねられました結果、若干問題はあるにしましても、現在の制度として公務員になじんできた制度であるというふうに思います。  その制度へ、今回国民年金基盤を置いて考えておりました基礎年金方式導入するのですから、性格的に極めて複雑な年金制度となってきて、問題が多種多様に出てくるのではないかと考えております。公務員制度としての恩給的要素、さらには厚生年金共通部分をつくる、等しい考え方に立つ職域保険制度、そして社会保障的要素などの性格が混在する結果となって、制度自体論理的一貫性を欠くことになったのではないかと見ております。  基礎年金は、個人それぞれが一年金制度として確立したものとして考えられておりますが、一方でその年金水準考える場合には世帯生計費基礎として考え加給年金としても考えていくという考え方に立っておりまして、これは明らかな矛盾と言わざるを得ません。また、従来の国民年金は二十五年間保険料を支払って月額五万円という方針で国民保険への加入約束をしてきたものでありますが、今後はそれが四十年間保険料を支払って六十五歳より五万円の支給とすることは、明らかにその加入した時点の約束とは違いまして、切り下げも甚だしいと言わざるを得ません。  また、公務員の被扶養者の場合は、従来は遺族年金制度がありましたために国民年金への任意加入をしていない場合が多いのではないかと想像されます。その場合は、今回の法改正後仮に二十五年を経過したとしましても五万円の基礎年金ではなく、三万一千二百五十円という額にしか私ども試算ではならないというふうに思います。これでは基礎年金相互間にも大きな格差が生じるとともに、生計維持にはほど遠い額と言わざるを得ません。また、生活保護の方がよりましな結果となるのではないでしょうか、現在の保護基準からまいりまして。このような結果になりますと、これでは将来一万三千円とまで見込まれております国民年金保険料を支払ってまで五万円の基礎年金を受けるよりは、滞納や未納で生活保護者となって無年金者を生み出すという要因を制度自体の中に含んでいると言わざるを得ません。  このことは、昨年既に国民年金厚生年金法改正決定済みなのですけれども、この基礎年金制度は私ども審議検討すればするほど、国民年金制度の見通しの誤りと申しますか、任意加入を促進して国民年金成熟度を高めた結果発生した年金原資計算の破綻を、厚生年金また共済年金の被保険者である、またはその集団である勤労者の被扶養者強制加入によってその失政を糊塗しようとしたと思わざるを得ません。さらに年金にかかわる国庫負担考えてみましたときに、基礎年金の三分の一に限定するのですから、地方共済のみ考えましても、昭和七十年度では既に二百億円の国庫負担の減少、八十年には一千億、九十年には半額に近い千八百億円の減額となることが試算されております。このことから明らかなように、国庫負担金減額のための制度改正ではないかと考えさせられます。  また、私は特に婦人立場から基礎年金制度導入によって起こる問題についても意見を申し述べたいと思います。  厚生省が前年の法改正のときのキャンペーンで婦人年金権の確立ということを行ったことは明らかでございます。確かに専業主婦基礎年金支給するという形のできたことは一定前進面であったとは言えます。しかし、これは扶養している夫に従属している年金という性格年金であることも明らかです。みずからの年金として保険負担をするのでもなく、国の社会保障としての基礎年金でもなく、扶養者加入する年金制度から掛金としての保険料負担してもらうというのですから、従属と考えざるを得ません。また、社会保険制度の今までの考え方によりますと、本人保険料を支払わない社会保険年金制度というのはございませんし、他の制度と大きく矛盾することにもなると考えます。  これにかかわって、労働省調査でも明らかになっておりますが、昭和五十九年度で既に女子雇用労働者専業主婦と申しますか家事専業者数を上回りましたし、この傾向は今後ますます上昇することが予想されております。しかも、夫が就業者の妻の就業率が五一・四%と、過半数が夫婦ともに働いている状況が拡大されていることも明らかにされています。しかも、その女子平均現金給与月額は十九万円をわずかに上回り、毎月決まって支給されている賃金はそのうち十四万四千四百円となっています。年額にしまして約百七十三万円強となっております。これは平均額でございまして、明らかに百万円内外の女子労働者が多数を占めていると推定できます。その場合、年間九十万円までの妻は無料でといいますか保険料を支払わずに基礎年金を受けるのに対しまして、九十万円以上を得ている妻の場合は年額十五万を超えると考えられる保険料をみずからその低い収入の中から支払うという大きな格差を生じてまいります。みずからが自立し、平等に社会に参加しようという意欲を減退させる結果をも招来しかねないと考えているところです。婦人差別撤廃条約の精神にも反するのではないでしょうか。  また私は、共済組合の場合よりも国民年金厚生年金の場合、心配いたしておりますのは、どのようにして四十年間の婦人経過を把握するのだろうかという事務的な事実でございます。婦人の場合は今後一層その生活基盤なり立場変化が激しくなると考えられます。働いていた勤労女性時代無業の妻となっている時代、九十万円以上の収入のあった期間、また離婚などによる独立の期間勤労女性期間無業の妻など、四十年の年月の間にはそれぞれ変化が起こり得るでありましょうし、しかもその際、夫が国年に該当している場合や厚生年金または共済年金変化する場合もあることを考えるとき、どうしてこの四十年間を捕捉し、だれがその保険料を管理し、どこが支払いの手続、証明などを考えていくのだろうかと考えたとき、至難のわざであると考えます。  さらに、働き続けた私どものような婦人の場合を考えますときに、扶養者がいないというだけで同じ保険料負担したにもかかわらず五万円の基礎年金部分減額される結果となり、妻のある男性より年額六十万円近い年金減額になってまいります。これは別に女性に限ったことではございませんが、単身者はすべてこの条項適用される結果となりますので、夫婦がともに働いている割合の多い私どものような公立学校共済の場合または地方公務員であるというような場合は、年金額水準は極めて低くなりまして、試算によりますと現行年金額よりも三五%以上カットされてしまう結果となっております。このような問題の多い基礎年金制度そのものを改善しないまま共済年金制度の中に導入しますことは矛盾を拡大する結果となりますので、私は基礎年金については、最低次の点を改善した上で導入すべきだと考えております。  それは、基礎年金はあくまで一定年齢に達したすべての国民に対して全額国庫負担による年金支給するという制度を確立すべきだと考えます。以前に社会保障制度審議会が提起いたしました基本年金の構想などに基づいて検討し直すべきではないかと考えます。  次に、共済制度に関しての問題を申し述べたいと思います。  公務員制度一環として機能するように充実することが共済の場合重要だと私は考えております。今回の改正案では、厚生年金と同じにしたことによって算定基礎で切り下げられ、その掛ける乗率で低くなり、配偶者への特別加算という新たな制度を加えましても、モデル年金試算した場合、四十年勤続で現行では三十二万三千円、改正案でまいりますと二十五万九千円という開きがございます。実に二〇%のダウンとなってまいります。厚生年金と同じ算式によって生まれるこの差が、従来の公務員としての厳しい制約のもとで責任を果たしてまいりました被保険者に対する報酬であり、また退職した後も誇りを持って地域社会で活動し得る支えとなっておりました共済年金制度であったと考えます。したがって、職域年金の設定に当たりましては、この部分をカバーし得るものでなければならないと私ども考えます。今次改正案ではわずかに千分の一・五の加算となっておりますが、改五年金額の総額に占める割合はわずか八%、一万二千円ないし一万五千円ぐらいにしかなっておりません。少なくともこの倍額以上上積みすることによりまして民間企業年金に近づくことになり、逆に格差是正することになると私ども考えます。また、この保険料につきましては、制度使用者負担を七割ぐらいとしても当然ではないかと考えております。民間企業年金考えましたときに、会社側全額拠出をしております会社が二三・五%もあるという事実から見ましても、公務員の場合の七割負担というのは当然ではないかと考えております。  さらに、共済制度研究会年金数理部会試算を私も拝見したことがありますが、年金給付額に占めております本人の掛けた保険料割合国民年金は三%、厚生年金は八%で共済年金は二〇%になっている事実もございます。これから考えましても、職域年金部分の充実を特に強調しておきたいと考えるところです。  さらにこの際触れておきたいのは、職域年金部分懲戒処分によります支給制限条項が予定されておりますが、労使折半保険を掛けておるのであるとするならば、このような労務管理なり公務員制度の強硬な面は導入すべきではなかろうというふうに考えているところです。  次に、年金額スライドの問題について述べたいと思います。  社会生活を営む上で、他の労働者賃金が上がるときに合わせて年金額スライドさせるのが自然であり、公務員の場合は特に明確な賃金体系となっておりますので、最も簡単に実施できると考えております。さらに、既裁定年金者が今次改正によりまして低い恩給年金の瀕のまま再計算されて、それがその額に至るまでスライドをストップされるという点も、今の高齢化社会さらには低い今の年金実態考えましたときに御検討いただきたい課題だというふうに思います。  次に、この年金改正案にあります併給調整は、導入することに反対はいたしません。確かに制度内の矛盾が生じていることも事実でございます。しかし、特別な例を除けば極めて低額の年金を二つ得てやっと老後の生活を支えているという場合が多いのが実態ではないかというふうに思います。私ども公立学校共済現行年金支給額実態の中で調べてまいりますと、本人年金額最低が七十五万四千八百円という方が現在いらっしゃいます。また、遺族年金についても最低保障額である五十三万三千五百円となっているという方もいらっしゃいます。これらが仮に併給されたといたしましても百二十万円、月額十万円やっとで生活するという事実がございます。これらにつきましては、平均的な年金受給額限度額とするというような弾力的な考え方をしていただければ、高年齢になりました、特に婦人が長く生きてまいりますので、高齢婦人生活を脅かす結果とならない措置ができるのではないかと考えますので、ぜひ弾力的な御検討をいただきたいと考えております。     〔委員長退席臼井委員長代理着席〕  最後に、算定基礎の問題と運営上の問題について申し述べますが、私ども地方公務員の場合は本俸を基礎補正率厚生年金との共通性を追求する案となっておりますが、国公共済標準報酬となっております。私の考えでは、共済年金公務員制度一環としての性格を維持発展させたいと考えておりますので、その観点に立つならば、通勤距離の遠いことや超勤が多い人が高い年金となることに矛盾を感ぜざるを得ません。私ども地方公務員には多様な業務内容に多様な手当がついております。職種も非常に差がございます。その差で年金に差を生じるということは余り好ましいことではないと考えております。公務員賃金は本俸を中心に確立されておりますし、厚生年金制度をかりる必要を感じておりません。地方公務員国家公務員相互に交流する場合の多いことも考え合わせますときに、できることなら同じ本俸を算定基礎とすることを期待いたしたいと思います。  また、私ども公務員は、退職後それぞれ共済組合年金を通じて深いつながりを感じております。共済は、それぞれの集団でみずからの共済組合として愛情を持って育ててまいっております。したがって、相互に信頼し合い、サービスをお互いに心を通わせ管理されておりますために、むだのないしかも効率的、効果的な運営に努力をしてまいっておるところです。この状況が今度の法改正後も持続されるよう期待いたしまして、極めて簡単ですが私の意見を終わりたいと思います。(拍手)
  6. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 どうもありがとうございました。     —————————————
  7. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 質疑の申し出がありますので順次これを許します。平林鴻三君。
  8. 平林鴻三

    ○平林委員 佐野参考人橋口参考人には御多忙のところ御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。  当委員会において今審議中のこの重要法案でございますが、若干の点につきまして、今お述べいただきましたことを中心に御意見をさらにお聞かせをいただきたいと存じます。  まず、公的年金の一元化問題でありますが、国民年金という考え方で既に相当の期間経過して今日に至っております。しかも今後長寿社会、いわゆる高齢化社会に入っていくということで、年金制度の改善ということは今日どうしても行わなければならない必要性に迫られておるという認識、その認識は国民に共通をしておるものであろうと思うわけであります。既に国民年金厚生年金につきましては、法律改正でこの一元化の方向、いわば基礎年金を設けるということで制度改正が決まったわけでありまして、今日公務員その他の共済年金関係審議をされておるわけでありますが、橋口参考人もおっしゃいましたが、共済年金は他の年金よりも古い歴史がある、古い歴史があるだけにいろいろな経過を踏まえて新しい制度に入るにはそれなりに慎重な配慮が必要であろう、そのことは私どもも痛切に感じておるところであります。  それで、ただいま佐野参考人は、公的年金の一元化の方向ということにつきまして、今回の共済年金改正については原則的には賛意を表されたと解しておりますが、やはり共済制度は、利害得失それぞれ一元化に関してはお感じになっておると思うわけであります。端的に申しまして、今日の公務員関係共済年金で一元化に関して基礎年金を設けるということについてマイナスになるという点がもしありとすればどういう点があるとお感じになっておるか、佐野参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
  9. 佐野政一

    佐野参考人 お答えいたします。  基礎年金取り扱いの問題でございますが、私ども地方公務員共済グループの人たちにつきましては、基礎年金導入するのは、いずれやらざるを得ないんじゃないか。これは、年金一元化の面で基礎年金程度は仕方ないのじゃないかという考えは持っておったのでございます。と申しますのは、一つは、世帯間の年金のバランスでございます。今橋口先生お話があったんですが、共働きの場合、二つの年金を持っておる、一人二百五十万円ぐらいとしますと五百万円の年金になる、月四十何万円、五十万円の年金になるというような批判がございまして、年金財政の将来を考えるならばこれは是正しなければいかぬじゃないかというのが一つございます。世帯間の年金のアンバランスの是正でございます。  もう一つは、婦人年金権の確立、こうした点から見れば、年金の一元化ということになるならば基礎年金はやはり我々としてものまざるを得ないだろうというふうに私どもは理解しておったわけでございます。  ただ、それによって一応年金の一元化は終わるんだというふうに私どもは理解しておったわけですが、今度の改正案について見ますと余りにもショックが大きい。といいますのは、給付水準についても思い切った手直しをしておる、こういうようなことからしまして非常に驚いておる実情でございます。  今後どうなるのかということになりますと、私どもとしては、もうこれで一元化というものほぼ山を越したんだ、あとは厚生年金共済年金の中での若干の給付取り扱いのアンバランス面、厚生年金は六十五歳からでも在職中でも年金を出す、重役年金を出す、こういうような扱いというのはおかしいのじゃないかというのが私どもの見解でございますけれども、こういう取り扱いの違いを少し是正すればそれで一元化は達成される。ですから、先生御指摘のように、共済は古い歴史がございます。また公務員制度としての共済組合でございます。そうした点では共済組合というのは絶対残さなければいかぬ、共済年金は残さなければいかぬというふうに私ども理解しておりますし、また厚生年金との給付取り扱いのアンバランスを少し是正すれば公務員の特色を生かして共済というものはそのままやっていけるのだろう。そうした点で今回の改正で一元化というものはほぼ達成したのではないか、こういうように受け取っております。
  10. 平林鴻三

    ○平林委員 ありがとうございました。  橋口参考人にお尋ねをいたしたいのでありますが、ただいまの御意見を伺っておりますと、基礎年金につきまして数々疑念を差し挟むお考えを伺ったわけでございます。基本的にどうお考えでございましょうか、各年金共通して基礎年金を設けてしまうというその基本については御賛成なんでございましょうか、それとも基本についても多分の疑問をお持ちだ、こういうことでございましょうか、その点をちょっとお尋ねしたいのでございます。
  11. 橋口和子

    橋口参考人 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、基本的に基礎年金というのが社会保障制度審議会が提起いたしたような、基本年金という形でそれぞれ日本国民であればすべての高齢者に一定給付ができるというような、そういう制度考えていくべきではなかろうか。今回の法案にありますような基礎年金ではなくて、日本国民であれはすべて等しい生活し得る最低基本的な年金権を持っているという、そのような年金を構想すべきだという観点に立ては、御指摘のように、基本的にはそういうすべての者が等しい年金最低は保証されているということを追求すべきだろうと考えております。
  12. 平林鴻三

    ○平林委員 ありがとうございました。  実はこの基礎年金につきましては、私も、やはり全国民共通の最低のベースとして適切な金額を保証さるべきだと思うわけであります。でありますが、その場合にまたその財政をどうするかということが非常に問題になる。これはもう当然の話であります。この財政の賄い方につきましてまたいろいろな議論があろうかと思います。橋口参考人は先ほどこの基礎年金につきましては全額国庫負担でやるべきだ、いわば全部国民の税金で貯えという御趣旨ではないかと察したわけでございますけれども、そういう御意見もないではないと私も思います。  かようなことで、いろいろな御意見基礎年金の財政についてはあろうかと思います。方式としては、いわゆる税方式というようなこともあろうと思いますし、保険料方式ということもあろうと思いますし、いろいろなことが考えられるわけであります。また、佐野参考人のお話の中に出てまいりましたが、現在の国民年金のいわば保険料免除という割合が非常に高い、それについての御心配も述べられたわけであります。そういうことの影響、今度は地方公務員が掛金を納める、そういうところに悪影響が及ばないかという御心配も述べられたわけでありますけれども基礎年金の財政方式というようなことにつきまして改めて御意見があればと思ってお伺いするわけでございますが、佐野参考人はどのようなお考えでございますか、その点をお伺いしたいと思います。
  13. 佐野政一

    佐野参考人 お答えいたします。  現在の国民年金制度といいますのは、生活保護者なり所得水準の低い人たちを抱えておるわけでございます。そうした点からして、もし基礎年金ということになりますと、そういう人たちを全部抱え込むということになります。この人たちはいわゆる弱者ということになるだろうと思いますが、そうした弱者の人たちを抱え込むということになりますと、やはり保険よりも税方式でいくというのがベターではないだろうか、これは五十二年に社会保障制度審議会が建議されておりますが、やはりそういう方式が一番やりやすい、やりやすいというよりもそういう弱者の人たちを救済しやすいということは言えるかと思うのです。  ただ、税方式にするということになりますと、それを国民に納得させるためには相当の年数がかかるということが一つございます。もう一つは、婦人年金権の確立というものを早くしなければいかぬ、さらに、国民年金財政というものはだんだん悪くなってきておる、そうしたことを考えてみますと、税方式で実施するまでの余裕がなくなってしまう。そうなりますと、やはり次善の策として保険方式でいかざるを得ない。そうした点では今回の措置というものはやむを得ないんじゃないかなというふうに理解しております。  ただ、私、先ほど申し上げましたが、保険料免除取り扱いをいたしますと、国庫負担当分の三分の一に給付をカットされております。弱者に対して三分の一にカットするということは保険としてはおかしいわけでございます。そうした点で私はこの保険料免除制度というものを改善すべきではないだろうか、そうした部分については、社会保障というような見地から国がその部分については負担するというようなことにして完全な給付をするべきだ、保険方式であっても、その部分については国が配慮すべきではないだろうか、このように思っておるわけでございます。
  14. 平林鴻三

    ○平林委員 橋口参考人は、完全に基礎年金部分全額国庫負担というお話でございましたが、これは私から考えれば余りにも割り切ったお考えではないかという感じもしないでもないのであります。  結局、いわば社会保障として年とった人の所得の確保といいますか、所得保障というのは全部税金でやれというお考えもわからないでもありませんが、その場合にはまた税の取り方も関係してまいりましょうし、老人の税の納め方も問題になってきましょうし、あるいは所得の高い人に基礎年金というものを差し上げるかどうかという問題も出てきましょうし、いろいろな問題が出てくると思うのでありますが、全額国庫負担という問題について、必ずそうなければならぬというお考えでございましょうか。その点をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  15. 橋口和子

    橋口参考人 私は、今佐野参考人も申されましたように、本当は基礎年金部分というのは弱者を救済する、そして均等にという社会保障の理念が貫徹されるべきだろうという観点に立ったときに、全額国庫負担という考え方保険主義によらないのが最も妥当ではないか、そこに所得制限なりなんなり設けるのは今後の社会状況を考えて判断すればいいことではないかというふうには考えます。基本的にはそのように考えます。さらに、これを全額国庫負担といたしますときには、現行で約三兆円程度の国庫負担がなされておると聞いておりますが、これをもう少し暮らせる年金額で、二千万人くらいになるであろう高齢者の方々を基本年金的に見ますときに十兆円を超す資金の要ることも私どもわかります。したがって、その資金をどのような形で税金として取っていくかというような点でもこれから考えて御検討いただきたいと思いますが、私どもとしては、将来は成熟が進んでまいりました段階で賦課方式制度に移行しなければならないであろうということは今の年金財政を見ておりましてもわかります。だから、そこに向かってまいる過程の中で漸次国庫負担金を増額していきながら、さらに今ありますものに若干の年金目的の税の導入などのプロセスも総合させながら御検討いただいて、そのような事実を、最初から五万円ということにはなり得ないかもわかりませんけれども国民の間に将来こういう形でこういう額になるんだという展望を明らかにしてやっていくべきではなかろうかと考えているところです。
  16. 平林鴻三

    ○平林委員 次は、いわゆる官民格差問題といいますか、職域年金部分というものの考え方なりあるいはそれの金額をどの程度にするかという問題でございます。  この点につきましても両参考人それぞれに、今日の法律案に出ております職域年金部分の率では若干低いのではないかというお考えであったように拝聴したわけでございます。他方、公務員以外の年金を受ける人たちからは、やはりその格差をもう少し縮めるべきではないかという意見も聞くわけであります。私ども、この点につきましてはさらに慎重に考えていかなければいけないのではないかという気がいたしております。公務の特殊性ということから考える必要もあり、また、今日までの長い間の共済の歴史ということも直ちに消し去るというわけにはいかないということも頭に置いておく必要があろうと思いながら今審議を進めておるところでありますが、いわゆる官民格差というものについて忌憚のないお考えをお聞かせいただきたいのであります。将来に向かっては格差はなくなっていく方がいいのか、それとも、我我国民が従事する職務、職業に応じて年金の額には格差があってしかるべきとお考えになっておるか、そのあたりを、もう余り時間がございませんが、簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  17. 佐野政一

    佐野参考人 お答えいたします。  今回の改正法案で官民格差というのは大体解消したというふうに私ども理解しております。ただ、公務員特殊性についてある程度配慮しておる、その点につきましては今先生御指摘になりました職域部分の上乗せ、これがございます。それから公務によるところの障害年金なり遺族年金、こうしたものについて公務上の特別の配慮がいたしてあります。そうした点では、これが格差と言えば格差でしょうけれども、ただ、私どもが先ほど職域部分についてもう少し御検討願いたいと申しましたのは、厚生年金が二階建ての三割以上のものを積め、こうしております。公務員についてはこれが二割に相当する一・五になったわけでございます。ただ、公務員の場合にはこれにスライドがついておるというところがまた特殊性があるわけでございまして、それはそれなりに政府として配意してくれたのではないかということでございますが、現在の制度から見ますと給付水準が相当落ち込みますので、そうした点で公務員の将来を考えた場合にでき得るならば何らかの形でもう少し上積みができないだろうか、こういう点を希望しておるわけでございます。よろしくお願いします。
  18. 橋口和子

    橋口参考人 官民格差をどう考えるかという御質問でございますが、官民格差というふうに巷間大きく宣伝されましたけれども、私ども一般の公務員の場合、現実にそのような実感というものを余り持ち得ておりません。それよりも、厚生年金がどんどん成熟してまいりましたときに、厚生年金の計算方式の方を適用する共済が圧倒的にふえてきているという状況から見ましても、厚生年金水準にほぼ合致してきているのが現在の公務員の一般労働者の場合でありまして、よく先生方国会の御審議やマスコミ等で宣伝されておりました多額の差というのは、公務員内部にも起こってきている現在の制度上の矛盾というようなことがあるのではないかと思っております。  なお、保険主義であります建前から成り立っております共済制度であれば、高い保険料を払っていけばそれだけの高い年金給付されるという制度についてはある程度許容されなければならないのではないか、このように考えているところです。
  19. 平林鴻三

    ○平林委員 ありがとうございました。終わります。
  20. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 細谷治嘉君。
  21. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 最初に佐野さんにお伺いします。  佐野さんは、地方公務員共済ばかりでなく恩給制度にも非常に精通されておりますし、共済制度の中で育ちかつそれを仕上げてきた、言ってみますと生き字引というよりもこういう共済制度の大辞典だ、こう私は思っておるのですよ。そこで、先ほどの御意見を聞いたところで、社会保障というのは政治的には後退を許さないのが原則なんですね。今度のあれは官民格差論とかいろいろなことで年金の統合という形でやっておりまして、共済制度から見れば後退であることは間違いないわけです。それをやむを得ない、支持する、こうおっしゃっておったのですけれども、今日ここになった原因というのはどこにあるのか、先ほどちょっと言われましたけれども、生き字引であるあなたにひとつ率直な御意見を聞かしていただきたい、こう思います。
  22. 佐野政一

    佐野参考人 お答えいたします。  先生には昔から大変御厄介になりまして、御礼申し上げるのですが、確かに、私が在職中の共済制度なり年金制度というのは充実しなければいかぬということでずっと来たわけでございます。これは高度成長期でございまして、やはり国の財政にもそれなりの余裕がありましたし、またもう一つは年金受給者という面から見ますとわずかの年金受給者の給付を賄うだけで原資がどんどん蓄積されておる、こういうような状況でずっと制度が整備されてきたというふうに理解しております。  もう一つは、これは厚生省サイドの方の考え方からしますと、当時円が三百円あるいは三百六十円という時点で、西欧の給付水準をドルで比較した場合に日本の給付水準は非常に低い。ところが今日二百円近くなってきますと西欧の給付水準と日本の給付水準と比較して差がない、こういうようなことで、この年金等に関するところの給付の充実というか、そういう点での熱意というよりも、日本は逆に飛び出すような面が出てきて抑えにかかる、こういう点が一つ出てきたのじゃないか。その一番の端的な例に、石油ショックによって国庫財政が悪くなったために国の負担が期待できなくなったという点もあるのじゃないか。私どもがやっておりましたときには、最後には国がもう少し面倒を見てくれるだろう、こういう期待感が非常にあって整備したわけでございます。それが全く期待できずに、逆に搾られるような格好になってきておりますので、そうした点で後退のような感じは出てきております。  ただ、年金財政全体を見てみますと、どんどん年金受給者がふえてきております。年金受給者のふえますのは、当初この制度ができました当時予想した以上に高齢化社会への移行が早くて、年金受給者の数が急激にふえてきておる。こうした点で、十五年、二十年前に予測した収支というものが根底から違ってきておる、これも一つあると思います。  ですから、結論から申しますと、共済なりいろいろな保険の面からしますと、急激な高齢化社会によって見込みが全部違ってきた。もう一つは、頼りにしておったところの国庫財政というものが石油ショックによって当てにできなくなった。こうした二つの面から、先生のおっしゃるような後退というような方向に動きつつあるということは事実だろうと思います。
  23. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 高度成長期に予想しておったよりもはるかに人口の年齢構造が高齢化してきた、これが決定的な原因であるかのごとく言われておりますし、私もそれを認めるにやぶさかじゃありませんけれども、そればかりではなくて、四十年代にかなり共済年金の対象者というのがふえましたよね。三十八、九年ぐらいから四十二、三年ぐらいにかなりふえました。あなたはそのころ福利課長をしておったのじゃなかったかな。そうでしょう。だから、当事者の一人だね。ふやす際に財源措置というものについては必ずしますという約束のもとに法律改正したり政省令を手直しした、こういういきさつがあるわけですけれども、残念ながらまだ四十年代の前半ではそんなことを考える財源的な余裕などなかったなんという、そんな時代じゃないですから。そうしますと、かなりの部分は当事者の責任だ。ここまで年金財政が、年金原資の計算あるいは数理計算等いろいろやっての上でしょうけれども、見通しにかなり大きな誤りがあったのは人為的なものがある、不可抗力じゃなかった、こう言わざるを得ないのですけれども、あなたの方の率直な御意見を聞かせていただきたい。
  24. 佐野政一

    佐野参考人 お答えいたします。  地方公務員共済制度ができました直後、四十二年に財源率の再計算をいたしております。また、四十七年にもやっております。その当時の財源率の再計算についての基本的な考え方は、完全に積み立てができるような保険料にしようということであったことは事実でございます。また、そのような予測を立てて計算したものでございます。ただ、四十七年の時点になりますと、高度成長期のこともありまして、このまま幾ら積んでもインフレで目減りする、だから賦課方式に早く切りかえろというのが一般の御意見であったわけでございます。私どもとしては、後代の人たちの負担をできるだけ減らすというよりも、後代の人たちに負担をかけないようにするためにある程度積み立てをしなければならぬということを説得するのがやっとという状態でございまして、そういうような事情もございまして、この財源率の計算について少し手かげんしたということは事実でございます。そうした点では、誤っておったということは私ども考えておりませんけれども、ただそういうようないろいろな各方面の御意見に対して若干の妥協をした、それで掛金率の引き上げを抑えてきたということは事実でございます。
  25. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 時間も十分ありませんが、あなたは官民格差というのはほぼ今回の法改正が実現すれば大体落ちついたところにきているんじゃないかとおっしゃいました。ただ、その一つの問題として、職域部分については手直しをすべきだ。したがって、官民格差という問題も今度の措置で完了してない、これはやはり手直しすベきだ。ほかにもありますけれども、手直しすべきだと思う。しかし、現在の八%程度あるいは二〇%とか千分の一・五とかありますけれども、どのくらいだと専門家のあなたから見ますといいとお思いなのか、ずばり教えていただけませんか。
  26. 佐野政一

    佐野参考人 この千分の一・五という率が出ましたのは、大蔵省で各省関係の人が集まりました共済年金制度改革検討委員会の中でのものでございます。この率は、定額分と給与比例分、一階建て、二階建てのものを合わせまして一割程度のものを出そうか、こういうことからこの一・五という率が出たわけでございます。と申しますのは、現在の通年方式、これは厚生年金に準ずる方式だ、こう言われておりまして、大体厚生年金と同じだ、こういうふうに理解されておりますが、通年方式算定基礎となる給料というのは、現在は退職前一年間の平均でございます。そういたしますと、厚生年金には現在扶養加給というのが年額十八万円くっついておりますけれども、その扶養加給を考慮いたしましても、通年方式厚生年金よりも約一割程度上回っておるというのが現状でございます。ですから、この一割程度上回っておるものをどう残すかということになりますと、職域部分というものは給与比例分の二割程度のものを上乗せするということで何とかならぬか、こういうのが一つの発想でございます。  もう一つは、厚生年金につきましては民間厚生年金基金を設けております。厚生年金基金加入しておる人が厚生年金の被保険者の約半数のようでございます。この厚生年金基金給付は、厚生省が約三割程度のものを上積みしろ、こういう指導をしておりますけれども、聞くところによりますと、六十歳から支給するので、実質は二五%程度のアップになっておる。そういたしますと、二五%というのは、こちらの方の上積みにしますと二割程度がこれに相当してくるということになるわけでございます。検討委員会でこの千分の一・五を二にした場合にどうか、そうしますと厚生年金並みになってしまいます。そうしますと、厚生年金基金を設けてない民間の被保険者というのは半分いる、これで官民格差と言われたんでは大変だというようなこともございまして一・五に抑えた。ただし、これは自治省が強く主張しておりますところの二階建て部分なんだ、こういう考え方で自治省の方は主張しておりましたので、そうしますとどうしてもそれにスライドをつけなければいかぬ。また、公務員の処遇ということから考えればスライドをつけるべぎだということでスライドをつけたわけでございます。ですから、スライドという制度は将来どえらい負担になるわけでございまして、厚生年金スライドつけておりませんし、そうした点からすると比較はなかなか難しい。そうした点で、一・五にスライドをつけたことはバランス上はまあまあという感じはいたします。ただ、一・五という数字だけを見た場合に、もうちょっと上積みができないだろうか、これが関係者としては本音でございます。
  27. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 数字をおっしゃらぬですが、一・五じゃなくて二・〇ぐらいというのも作業の過程には出ておったようだし、国会審議でも、千分の一・五じゃなくて二・〇にしたらどうかあるいは二・二ぐらいにしたらどうかとかいろいろな意見が出ております。恐らく橋口さんのところでも作業をしたのでしょうけれども、後ほど私の質問に合わせてお答えいただきたいと思うのです。あなたはもうのどから出るようになっているのだろうけれども、遠慮してなかなか出していないのだろう思うのですが、どうですか、千分の一・五を上げてくれと言うなら、どのぐらいまで上げるかということは千分の二・〇ぐらいを考えておると受けとってよろしいですか。
  28. 佐野政一

    佐野参考人 厚生年金が上積みが実質二五%増してございます。ただ、こちらの方で一・五という率にしますとこれが二〇%、二にしますと二六・六%ぐらいの率になります。ですから、そうした点では厚生年金の上積みの最低と大体バランスがとれるということにはなるわけでございます。ただ、こちらの方はそこにスライドがついておる、これをどう評価するか、数理の専門家からしますとこれはどえらい負担になります、こういうことでございます。
  29. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 先ほど来、しきりにスライドスライドと言うのですけれどもスライドの評価をどうするか、絡み合いがあるというのですが、時間がありませんからそのまま先に進ませていただきます。  年金の計算の基礎になる金額、給料額が今度統一されてくるわけですけれども、国公と地共済では違うわけです。そこで、佐野参考人意見によりますと、地共済に取り入れてある方式の方がよろしいのではないかという意味のことをおっしゃったのではないかと思うのです。橋口参考人の場合は、本俸を基礎にされた方がいいのじゃないか、といいますと、国公の方に近い御意見でなかったかと承っているわけです。  残念ながら今まで、補正率がどうなるか、やめる前五年間のものをさらに延長して補正率を掛けて、全体として補正率を掛けるというややこしい方法があるのですけれども、手当とかなんとかがどういう形で入ってくるか、職種によって違いますからいろいろな問題点があると思うのです。佐野さんは地共済の方を支持する、橋口さんはどうも国公の方の本俸方式の支持じゃなかったかと私は思うのですが、私のミスリードでしょうか、どうでしょうか。
  30. 橋口和子

    橋口参考人 私が算定基礎について申し上げましたのは、私ども地公審で検討いたしましたように、公務員の場合は給与をもとに総報酬制ではなくて今の算定基礎基本に置くべきであろう、したがって、交流し合う間でありますから何とか国公との違いを地公のに合わせていただくような措置が御検討いただければ一番いいのではないか、このように申し上げたところでございます。もし表現に誤りがありましたら御訂正いただきたいと思います。
  31. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 わかりました。私が橋口参考人意見を誤って読んで大変恐縮でございましたが、私も地共済で取り入れた方式がよろしいという観点から物を申し上げておるわけです。  最後橋口参考人に、橋口さんは日教組でありまして、日教組はとにかく殊さらに男女共稼ぎが多いわけです。そして、婦人年金制度導入されておりますけれども、いろいろ問題点がある。  例えば基礎年金といった場合でも、女子の構成割合が他と比べて非常に大きいですから、掛け捨てが非常に大きくなるのではないかという心配をなさっておる方がございます。そうなってまいりますと何らかの手当て、例えば割り落としとかいうものをしていかなければ問題が起こってくるのではないかという御意見がございます。こういう点についていかがでしょうか。
  32. 橋口和子

    橋口参考人 教員の公立学校共済組合の場合は、特に婦人が働いておるという関係から、夫婦ともに働いている被保険者が多いことは確かに御指摘のとおりでございます。それが今度の基礎年金導入による改正によりまして五万円の十二カ月の六十万円が水準を切り下げられるという、男の場合も女の場合もそういう状況が出てくるであろうことは事実でございます。  ですから、確かに基礎年金部分に出しております拠出が掛け捨てが大きくなるという御指摘も否定できませんし、これを国民全体の負担ということである程度許容するにいたしましても、単身者の場合は一人だから夫婦の場合の半額で生活できるということではございませんので、そこは割り落とすということとあわせて幾らか加給年金的なものを、単身者の場合は五万円で二人の場合は十万円ということではなしに、そこに単身者の場合に加給できるような制度を御検討いただけたらその矛盾が若干でも解消できるのではないかと考えておるところであります。
  33. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 時間が過ぎておりますからごく簡単に佐野さんに。年金制度については、国年、厚年、今の四法案ともう随分やっております。ですから年金制度をやっておるのですけれども恩給制度という言葉は一言も出ないのです。恩給制度に通暁しているあなたに、共済年金制度恩給制度とは今度で落ちついた関係になるのかどうなのか、一言お聞かせいただきたいと思います。
  34. 佐野政一

    佐野参考人 今回は基礎年金制度導入に関連する措置ということで共済制度改正案をつくっております。そうした点で恩給には手をつけていないということでございます。  公務員の場合に、過去において、恩給期間あるいは年金条例の期間を持っておりますけれども、今回の改正については、それをすべて組合員期間にして一本に扱っておるということでございますので、そうした面からいたしますと、過去の恩給制度との関係はこれで断ち切られたと私どもは理解いたしております。
  35. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そこで、恩給制度共済制度との整合性は断ち切られたけれどもそれでいいのだと理解しているのか、イエスかノーかで答えてください。
  36. 佐野政一

    佐野参考人 そこらの点につきまして、年金受給者等においては割り切れないものが残されておるようでございます。  一つは、恩給年金スライドを続けていく、共済年金についてはしばらくの間高い人は停止される、こういう点については何とかならぬかという気持ちは年金受給者は相当持っております。
  37. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 ありがとうございました。
  38. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 柴田弘君。
  39. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 きょうは、参考人にはお忙しいところをどうもありがとうございます。  私は、公的年金制度というものを概括的、総合的に申しまして、その性格というのは一体何ぞや、役割とは一体何ぞやということを考えた場合に、今日の生活保障機能というものがますます都市化、核家族化をしてまいりまして、いわゆる老後の生活安定ということを考えた場合に、この公的年金制度の役割というのは非常に増大をしている、こう思うのですね。  ところが、今回の一連の改正案に見ますように、要するに給付水準も平均現役賃金の六九%、そして職域年金相当部分、これは四十年加入厚生年金の場合は六九%。こういうことで、いわゆる何か政府の財政優先主義的な考え方によってそういった六九%という数字がただひとり歩きしている。本当に今後の高齢化社会考えた場合に、年金財政の長期安定ということ、これも非常に大事でありますが、やはり第一に老後の生活というものを考えたものでなければならぬ、こう思っています。  ところが、一方において公的年金制度以外に最近ますます個人年金発展をしている。しかも、貯蓄率も老後の生活を支えるための貯蓄というものがだんだん増強している。こういったことを考えますと、率直な年金受給者あるいはまた素朴な国民立場から考えた場合に、公的年金制度というものに対する信頼感というものが本当にますます低下をしているのじゃないか、こういう考え方を率直に私は持っておるわけであります。どうも厚生白書を見ても、六十年度発表されまして、やはり一定の限度までは国がやる、それ以上は民活という言葉で、あとは自己負担でやりなさい。こういうことで、私は公的年金制度というものは少なくとも、ゆとりある生活はともかくとして、いわゆる老後の生活安定のために最低生活を保障するものでなければならない。それこそが本当に公的年金制度、公的という役割であり性格である、こういうふうに率直な素朴な意見を持っているのですけれども、概括的で結構ですが両参考人からお伺いしてまいりたいと思います。
  40. 佐野政一

    佐野参考人 お答えいたします。  老後の生活保障としての公的年金の重要性という点につきましては、先生の御指摘のように私も理解しております。  ただ、先ほど申し上げましたのですが、高齢化社会に急速に移行しておるということからして、保険財政の今まで計算した前提が全部違ってきておる。こういうことからいたしまして、掛金率を相当上げなければならないという事態になってきておるわけでございます。ただ、現在の給付水準を維持するためには相当上げる、その場合に、後代の人たちの負担というものがどうなるのか。税負担社会保険負担というものをあわせて見ますと、相当の控除になってくるわけでございまして、後代の人たちの生活水準年金受給者の生活水準というのが逆転してくるような現象が出てくるわけでございます。そうした点で、年金受給者と現在職者との生活のバランスといいますか、それを考慮して現在職者の負担を決めなければならない。こういうようなことからいたしますと、年金水準をある程度落とさざるを得なくなってきたというのが実情でございます。
  41. 橋口和子

    橋口参考人 先生が御指摘になりましたように、公的年金制度はやはり国民生活最低を保障し得るもの、そういうものでありたい、そういうふうに私どもは願っております。したがいまして、先刻申し上げましたように、生活保護基準と余りの差のあるような基礎年金ということについては、私は大きな疑義があるわけでございます。  また、これからの高齢化社会を維持してまいりますのに、年金だけではすべてが完全であるというふうには思っておりません。やはり大きな社会の仕組み全体としてこの高齢化社会を乗り切っていくための制度が必要であろうと思うのでありますが、年金につきましては老後の生きていく最低の資金になっておりますのが現実でございますので、そのように私も考えているところでございます。
  42. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 基礎年金のお話がありました。私どもも、橋口参考人がおっしゃいましたように、今回の改正案による基礎年金というものについては、やはり国民がひとしく老後において健康で文化的な最低生活を営むための恒久的な年金制度を確立するという、いわゆる基礎年金導入基本理念に十分沿うものではない。無拠出の生活保護費よりも安いいわゆる五万円というものの設定というものには大いに疑問に思っておりまして、やはり国庫負担金を増大をいたしまして基礎年金を引き上げろ、こういう考え方を実は持っているわけであります。これは御答弁要りません。  そこで国鉄問題でございますが、先ほど佐野参考人からお話がありました。国の責任分担をまず明確にしなさい、こういうことですね。その後で全年金制度検討する、こういうようなことであったわけであります。これは大事なところでありますのでお伺いをしてまいりたいと思いますが、いわゆる今回の改正案がもし通れば、国鉄問題等を含めて要するにいよいよ七十年を目指しての年金の一元化というものが行われる。そういった中において将来国鉄問題を政府の責任の上において、赤字の問題を中心にしてきちっと国が解決をして負担を国がする。こういうことがはっきりと明確になれば、やはり一元化の過程の中で共済もいわゆる参加してもいいのか。つまり、一元化ということがまだ今明確になっておりませんので何とも言えませんが、要するに各制度を残しての一元化をするのか、負担給付において。それから、各制度もみんな廃止しちゃって、いわゆる積立金まで統合しちゃった完全統合であるのかということが、一つ将来大きな問題になっておるわけでございますが、やはりそういった政府の一元化構想に合わせて、国鉄問題を含めて共済の参加というのは絶対してならないのか、あるいはあり得るのか。この辺は先の話でございますけれども、どう思っていらっしゃるか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  43. 佐野政一

    佐野参考人 お答えいたします。  私は、先ほど申し上げましたのですが、年金の一元化というのは積立金まで統合して一本にするというものではないというふうに理解しております。共済制度というものはそのまま残るんだ、要するに基礎年金ができて、そうして厚生年金共済年金給付についての調整というものができるならば、それによって年金の一元化というものはできるのじゃないだろうか。これは保険でございますので、それぞれの組織でそれぞれの保険方式で今までやってきたものでございまして、これを統合しなければならないという理由は一つもございません。  その中で国鉄問題をどう解釈するかということでございますが、今回の問題は、国鉄が今までの給付を継続するための赤字をどう処理するかという問題が今までの課題でございましたが、今回新たに出ましたのは、国鉄の民営化ということに伴ってどうするかということでございます。国鉄が民間会社になってしまうわけであります。現在は国のものでございますけれども、これが民間に行くということになりますと、国鉄共済に内在するところのいろいろな問題というものを洗いざらい出して、それで新しい会社にどう引き継ぐのか、国がどうそれを始末するのかということになるだろうと思います。そうした場合の国鉄共済年金というものをどう考えるかということでございます。  そうなりますと、現在の国鉄共済というのはわずかに四千億ぐらいしか資産を持っていないわけでございます。ところが、今の給付を継続するということになりますと、三十二万人体制でいきましても六十五年度からは二千五百億、さらに三千億、四千億というふうな数字で膨大な赤字が単年度に出てくるということでございますが、そのほかに三十二万人体制を二十一万五千人体制に六十二年四月からやるということになりますと、その退職した人たちの年金がさらにかぶってくるわけでございます。  そうなりますと、その民営化の時点においてそれまでの債務というものをどう処理するのか。現在の国鉄の状況からしますと、責任準備金の積み立て不足と申しますか、共済組合はもともと積み立て制度になっておりますので、その積み立て不足というものになりますと、十数兆円になるのじゃないかというふうに言われております。先般国鉄監理委員会で、追加費用として四・七兆円あるのだ、こういうことでございますが、この点については三十一年の国鉄共済が発足する前のものについての追加費用というふうに聞いております。そうしますと、その後の年金の受給者の分、これについてどうしたらいいのかということでございまして、この積み立て不足額をどう処理するのかというのが一番の問題であろうと思います。もともと国の機関であったものを民間にやるわけでございますので、後始末を全部きれいにするというのであれば国が相当しょわなければいかぬ。その中において社会保険として見なければならぬものがあるのかどうなのか。  ですから、国の負担を明確にされた段階で、さらに国鉄の給付の中で国鉄が国家公務員よりも給付を上回っておった。私どもが、こんなことをしているといずれパンクしてしまうよということでもう十数年前から指摘しておったにもかかわらず、向こうは親方日の丸でそのままやってきた。こういうような給付については、やはり国鉄の労使がそれぞれ責任を持ってもらいまして、それなりの負担をしてもらわなければいかぬじゃないか。その上で出たものをどうするかということになりますと、やはり社会保険全体の中でどうするかを相談する。そして、見なければならぬという結論になれば、厚生年金と一緒に地方公務員共済あたりも協力しなければならぬだろうと思いますけれども、今の段階では私どもの方の共済組合というのは絶対反対。ですから、国の責任を明確にしてくれ、もし負担するということについては、これは厚生年金を含めた全保険で相談した上で、みんなが納得して持ちましょうということになれば負担するということになるかと思います。
  44. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 ありがとうございました。  橋口参考人、今国鉄問題で御意見を聞いたのですが、橋口参考人のお立場から見て、同じ労働者であるわけであります。大蔵大臣に言わせれば、連帯、オールジャパンというようなことも言っているわけでありますが、国の責任あるいは分担というものを明確にすべきだという議論もあるわけであります。あるいはまた、各年金制度救済をしていこうという、ここにおいても意見もあるわけでございます。いろいろな意見がありますが、簡潔で結構でございますが、どうしたらいいか、お教えいただきたいと思います。
  45. 橋口和子

    橋口参考人 お答え申し上げます。  国会でいろいろ御討議、御検討いただきます中でこの問題が出てきておりますことも私存じております。しかし、国鉄共済の問題は今突然に起こった問題ではございません。私どももこの問題を検討して、審議会では、国の責任、分担を明確にすることが先決ではないかというふうに御意見を申し上げております。  それは国鉄が今まで、やはり国の政策によりまして、先ほど佐野参考人も申し上げましたように、満鉄引揚者も引き受け、さらに膨大になった国鉄の中で、労働条件という格好で五十五歳になったらすべてみんな退職していく。激務のためにということもありますが、制度がそうなっているために退職させられるというようなこともございますし、さらには今度は分割して民間へというような形から、三十二万人、二十一万人、最低は十八万人ということまで想定されている模様でございますが、そういう形で国の政策の中で減員させられていっているわけです。また、私ども地方公務員の場合も行政改革という名前のもとで欠員不補充だとか小さな政府とかいう形で公務員の数はどんどん切り下げられていっている。行政として、そのような行政の責任で起こった事態に対する措置を当然考えるべきではないか。それを無視して、ただ労働者同士の連帯だからということですぐさますべてをそこに働く公務員なり労働者、さらには企業体の責任に転嫁していくというそのことは誤りではないだろうかというふうに考えております。  私ども地方公務員は既にそのような状況の中で苦況になっているのをお互い同士で連帯して救い合っていく道もやむを得ず取り上げておりますけれども、もし国鉄に対する救済考えるとするならば、私は、今回国民年金基礎年金部分として強制加入させられて多額の資金を国民年金基礎年金部分に充当するよりは、それは国民年金自体で、国庫で御検討いただくにしてでも、そちらの方を優先すべき策を考えるべきではないか、また将来は国も、こういう政策的に起こりました問題についてはすべてのものが十分お互いの力を出し合いながら検討していくべきではないか、このように考えております。
  46. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 ありがとうございました。  時間があとわずかですので、最後に一つですが、国鉄問題、今いろいろお話を聞きましてよくわかりましたが、やはり今国会におきまして年金改正法案審議しておりまして最大の課題でありまして、御承知のように入り口のところで非常に紛糾をしてきたわけであります。それは、先ほど来お話がありましたように、この国鉄共済をどういうふうに持っていくかということによってもこの四共済というのは大きな将来の問題になってくるわけでありまして、当然これは入り口の大きな議論であるわけであります。私どもといたしましては、やはり国鉄問題を政府がきちっとした対応をしていくのだ、国の責任分担を明確にしていくのだ、将来いわゆる他の共済制度には迷惑をかけませんよというような形で政府の統一見解を出して、それをきちっとしていかなければ、将来負担給付という関係で心配でたまらない、こう思うのですよ。だから、そういったきちっとしたものを、統一見解というものを出すということなのでございますが、やはり今改正案法律の条文にきちっと明記していくべき問題ではないかなというふうに私は私ながら考えておるわけでありますが、その辺で御意見があればお伺いをしておきたいと思います。
  47. 佐野政一

    佐野参考人 先生の御指摘のように、国鉄の問題については国の負担部分、そうしたものをはっきりしていただくということになりますれば一歩前進するのではないだろうかというふうに考えております。
  48. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 橋口参考人も御意見を。法律の条文で明記すべきでないかということですね。
  49. 橋口和子

    橋口参考人 私も今柴田先生が御指摘になりましたように、可能であればきちっとそれを明記していくことが、今後の大きな前進になるのではないかと思います。国の責任を明記すべきだというふうに考えております。
  50. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。
  51. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 藤原哲太郎君。
  52. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 きょうは貴重な時間、参考人として両参考人に御出席をいただきまして、ありがとうございました。  もう既に各党の委員から問題点についての御指摘がございました。先ほど佐野参考人がお話がございましたように、やはり高齢化社会到来あるいは経済社会の急激な変化、また国民一人一人にとって法のもとで平等であるという、こういったような権利義務との関係、こういうことを考えてまいりますると、これからの高度福祉社会を建設をする、そういう側面の中から、一つは医療の確保、一つは年金を確保して暮らしを守っていく、最小限の暮らしを守っていく、そういうような立場から、公的年金の一元化の問題を初めとして、これからの社会に対応するための一つの陣痛と申しまするか、一面から見ればそれを到達するためのいろいろの制度上の改革が迫られているというように私は思います。そういう点で、それが急激に来るか、徐々に来るかということでございまして、やはりこの道は通らなければならない一つの道であるような気がいたします。  そういう観点から、佐野参考人には今までの長い間の経験に照らし、今回のこの地方公務員共済組合法の一部改正について、先ほど来、いろいろの各般にわたるお話がございました。非常に参考になったわけでございますが、私どももこれから最終審議の段階を迎えます。したがいまして、最終的にどうするかは国会責任でございまするけれども、せっかくの機会でございまして、先ほど十五分、それぞれの答弁をあれしましても、まだまだ佐野参考人としても言い残しておる部分というのがあるような気がいたしまするので、そういう意味で、この機会にこの法案の審議に当たり、最小限こうすることがベターであるとか、あるいはこれからの過程ではこういうような方向をとることがベターであるとか、こういったような御意見があろうかと思いますので、この機会にお伺いをいたしたいというように思います。  また橋口参考人は、いわゆる現場での経験をされ、そしてその組織の責任者ということでございまして、そういう面からは血の通った職場職場における問題点等々も、こういう問題の審議に当たってはそれぞれ奥深いものがあるのではなかろうかと拝察をするわけでございます。  私どもの手元にもこの法案の審議に当たって廃案にしてほしいとかあるいは具体的な提案を含めての請願なり陳情なりいろいろの文書が参っておりますけれども、そういうものも私どもは十分参酌をしながら、しかもこれからのあるべき姿を求めるという理想像に向かって責任ある態度を決めなければならないというところに来ておるわけでございます。したがいまして、その辺のところを両参考人からお伺いをいたしたい、かように思うわけであります。
  53. 佐野政一

    佐野参考人 お答えいたします。  公務員年金という面で過去から見てまいりますと、恩給、それから共済年金、それから今回の改正というような段階を踏んできておりますけれども、この恩給あるいは共済年金の初めのころにつきましては、公務員の勤務の特殊性ということについて一般の国民が十分理解しておった。公務員だから恩給が出るのはあたりまえ、また共済年金に切りかわるにしても、公務員だから共済年金給付というものはある程度充実していていいんだ、こういうお考えがあったかと思うのでございますが、最近はこれが官民格差ということでいろいろ指摘が出てきておる、この点につきましてはやはり公務員の勤務態度というものもいろいろあるかと思います。しかし私は、年金制度というものから見ましてもし公務員が将来を失望するようなことになったのでは大変だ、そうした点で公務員制度一環でございますので、この共済年金については特段の御配慮をお願いいたしたい、そういうふうにお願いいたしたいと思うのでございます。
  54. 橋口和子

    橋口参考人 御質問でございますが、私ども今一番胸を痛めておりますのは、昭和三十七年から共済年金制度に変わりました。それまでは恩給受給者だけという形で、私どもの先輩と申しますか、そういう方々の中に恩給だけの生活をしている方と共済制度に移行して二年でも三年でもいる方と、大して年齢的には差のない方々が皆私どもと同じように、今公務員退職者としての地域での活動なり生活なりを送っているわけです。今回の改正によりまして、そこに片方はスライドをストップされる、片方は恩給という形の中でどんどん保障されていく、こういう差が生まれるということについては非常に問題があるのではなかろうか。私どもが今までさまざまの年金改正の場合に、恩給の方々と新しい年金での年金受給者との格差をどう埋めていくかという問題点で努力してきたところですが、これが今後は長年にわたって顕在化してくる、格差が生まれてくるということを何としても克服しなければならないのではないかというふうに思っております。  なお、私どもとしては、先ほども申しましたように、今後のあるべき姿といたしましては、確かにすべての労働者は皆同じという点での一つの制度の一元化を志向していくことは私ども考えております。しかし申し上げましたように、共済年金制度というのは制度も古く、ずっと前からみんなが長いこと年金にかかる保険料を支出して成熟させてきたという経過がございます。また、公務員制度一環という形の中で、例えばストライキをしたことによる処分者が私どもたくさんございますが、その者どもは皆二〇%の年金額減額され、それが永久だったのが、やっと法改正をしていただきまして、五年間にわたっては年金減額をされる、こういう過酷な状況の中で公務を遂行しているわけでございますので、その分については退職一定地域社会の中に安定した基盤、また自分の職務を誇り得る地域社会での推進役を担えるような年金制度が若干考えられても当然であり、諸外国でも公務員の場合は何らかのそういう措置が施されているということから考えますと、ぜひこの委員会の中でもそこは公務員制度一環としてのプラス分ということを御検討いただき、それが国民全体の納得のいく水準の中で維持されていくことを心から期待いたしておるところです。
  55. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 先ほど佐野参考人から、恩給制度あるいは共済に移行する過程の中での歴史的な経過を踏まえて、今回の改正に当たっても、いわゆる公務員としての特殊性というものを配慮しての措置というものについて十分御検討、御配慮をというお言葉がございましたが、現改正案の中や、先ほど来いろいろ言われておりましたけれども、ある部分特殊性というものを認めておる部分もあるわけでございます。そういう点で、具体的になかなか言いづらい面もあると思うのですけれども、再度、こういう点はひとつその特殊性として、特段の問題点として指摘できることである、こういうような意味で幾つかの点をこの機会に明確にしていただければありがたいと思います。
  56. 佐野政一

    佐野参考人 お答えします。  現在の改正法案の中で公務員特殊性というふうに出ておりますのは、一つは退職共済年金の中の職域年金部分の上積みでございます。特に、これにスライドがついておるというところが一つございます。それからもう一つは、厚生年金は、六十五歳になりますと年金支給されてくるわけでございます。大会社の社長といえども年金をもらっておるわけですが、こちらの方は在職中は一斉停止、掛金を払ってもらう。こういうところに一つの違いがございます。もう一つは、公務災害の場合に、それなりの障害年金なり遺族年金を出すようにしておる。この三点がはっきりしておるわけでございます。  ただ、そのほかに出ておりますのが退職者に対する年金の所得制限でございます。厚生年金の場合には、他の事業所へ移ったような場合に、同じ厚生年金の被保険者でございますので、若年停止ということで、二十万円以下の所得の人に対して年金が出るということでございますが、こちらの方におきましては、公務員退職者が民間会社等に行った場合につきましても、ある程度のものは出すようにしておる。これが所得制限で、具体的には政令でどう規定するかでございますが、一千万円ぐらいの場合には九割カットする、そのかわり低い人たちには丸々出す。こういうことで、公務員退職後の生活というものについては、仮に再就職して何らかの形で会社で働いていようともやはりある程度の配慮はなされておる、こういう点が違いがあるかと思います。
  57. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 時間があれでございますので最後の質問になりますけれども、先ほど来のお話を伺っておりまして、橋口参考人にちょっとお尋ね申し上げたいと思います。  これからの高齢化社会を迎えながら国民最低生活保障という立場からいいまして、暮らしは最低限守るという立場があるわけでございまするけれども、そういう中におきまして、基礎年金の問題についてこれは全面的に国庫負担にすべきであるという意見とともに、基礎年金部分のいわゆる生活保障という面では、生活保護費よりも下回っているという現状のお話がございました。もちろんこのことについては、財政規模その他のことを考えあわせながら、最低生活ができる状態の基礎年金というのは私どもも必要であるというように考えておるわけでございまするけれども、さっきの印象ではやや否定的なお話を承りましたが、やはり国民生活基礎には基礎年金というかそういうものがあって、それを最低限高めながら、そしてしかも全体の公的年金を含めた水準をずっと高めていくというような考え方を私自身は持っておるのでありまするけれども、その辺は私の印象と違っておったのでございましょうか、もう一度伺っておきたいというように思います。
  58. 橋口和子

    橋口参考人 私は、これからの高齢化社会の中で高齢者の人の唯一の生活基盤年金ということになっておりますので、やはり生活できる最低年金、そういうものをきちっと全国民ひとしく一定年齢になったら受給できるという制度を、これだけ高度に発達いたしました日本の国家としては見るべきではないか、このように考えております。  ただ、今導入されようとしております基礎年金については、余りにも問題が多過ぎるという点で、私はその問題点を指摘したにとどまっております。
  59. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 了解いたしました。  以上で質問は終わります。皆さん御苦労さまでございました。ありがとうございました。
  60. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 経塚幸夫君。
  61. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今回の改定につきましては、私の考え方といたしましては、給付が二〇%、場合によってはそれ以上切り下げられる、それから保険料、掛金が最高で二・五倍前後に引き上げられる、しかも国庫負担、公費負担が六〇%台に引き下げられる、こういうようなことでこれが一体改正、改定と言えるものであるのかどうなのか、大変疑問に思っておるものでございます。  そこで、両参考人に最初にお尋ねをいたしたいわけでありますが、国庫負担、それから公費負担の問題であります。昨日委員会でこの問題についてお尋ねをいたしましたところ、一応の目安として昭和九十年度を例にとりますと、基礎年金の拠出総額が約十三兆円ちょっとであります。現行制度国庫負担と公費負担をそのまま適用するとすれば、国庫、公費負担が約七兆二千億円にならなければならないところであります。しかし、今回の案によりますと、基礎年金の三分の一ということになりますので、これが総額にいたしますと四兆六千億円にしか達しない。しかもこの額は、国鉄、NTT、教員等々を一応外した額でございますから、これらを含めれば若干額は変わってくると思います。  そういうことですから、現行制度改正案とではその差が二兆六千億円に達するわけであります。基礎年金部分については、全額国庫負担適用すべきだとか貴重な御意見も伺いましたが、少なくとも公的年金制度が大変な危機に直面をする、このままでは高齢化社会に対応できない、この公的年金制度を守るための改定、改正と主張される以上は当然最小限度現行国庫負担、公費負担は継続をする、その上になおどれだけの上積みを掛けていくかというような観点がなければならないと思うわけでありますが、一方で公的年金制度の危機を主張しながら、他方で国庫負担、公費負担を六割台に引き下げるということにつきましてはどうも合点がいかないわけでございます。この点につきまして両参考人の御意見を承りたいと考えております。
  62. 佐野政一

    佐野参考人 お答えいたします。  確かに現行制度の国の負担率をそのまま引き延ばせば、先生の御指摘のように大きな金額が出る。今回の改正で相当国庫負担が減ることになるかと思います。私、局外者でございますので具体的な数字はちょっとわかりませんが、確かに減ってくるのは事実と思います。ただ、この国庫負担でございますが、これもやはり税で負担しておるわけでございます。税で負担するか保険料負担するかということになってくるんじゃないだろうか、もし国庫負担現行制度のまま維持するということになるならば、それなりの税負担を求めなければならぬということになるのじゃないだろうか、そういうような点で国の方としてはそれを保険料に求めた。ただ私どもは、保険料に求めるという方が割に国民のコンセンサスを得られやすいのだという感じは少し受け取れるわけでございますけれども、やはり出どころは国民ということになってきますと、さてどちらがいいだろうかと判断に迷うところがあるわけでございます。そうした点で、今の年金の将来の給付というものはどえらいものになりますので、国庫財政の限界というものを考えていきますとやむを得ないのかなという感じはいたしております。
  63. 橋口和子

    橋口参考人 御指摘でございますが、先ほど意見でも申し上げましたように、今回の改正で最も負担が軽減されているのが国庫負担、公費負担の分野でありまして、被保険者さらには事業主にはその分が大きくのしかかってくるようになるのではないかということは否めません。したがって、社会保険制度をとるとはいえ、国民公的年金制度というものでありますれば、国庫負担減額させるための法改正というふうに受け取れるこのような基礎年金部分の三分の一だけ公的負担をするというものでは、当然国民の納得は得られないのではなかろうか。私どもとしては、たとえ額は少なくてもすべてが公的負担支給されるような、そして将来はそれが最低生活を満たすに足るというような姿に持っていくべきではなかろうかというふうに考えているところでございます。  地方共済年金だけ見ましても相当な額の国庫負担の減少があります。それはそのまま勤労者の肩にかかってくるわけでありますから、やはり社会保障制度という形で今後の年金制度を政府が考えていくならば、これは所得の再配分効果を考えながら税の負担割合を大きくしていくのが筋道ではなかろうか、このように考えております。
  64. 経塚幸夫

    ○経塚委員 橋口参考人にお尋ねをいたします。  官民格差という問題でありますが、先ほどの陳述の中で、ある程度高い掛金を掛けておれば年金受給額が若干多かったとしてもそれは許容される、こういうお話があったと思いますが、厚生年金と皆さん方との間で保険料の率を十年とか二十年とかにわたって調査された資料がございますか。
  65. 橋口和子

    橋口参考人 これは先般この審議会に自治省から提示されて明らかになっているのではないかと思いますが、共済制度は長いだけに、年金制度が始まる冒頭から年金原資の計算数理を立てまして、ずっと千分の三十五ぐらいの高い掛金率を掛けてきております。現在六十年の時点で五十五・二まで上がってきているわけです。  厚生年金は、当初ほとんどの婦人労働者が掛け捨てということもありまして男女に差がありましたのと、遅く十七・五ぐらいから発足をいたしましたために、後年急激に上昇しておりまして、六十年時点では六十二・〇というところまで来ているというふうに私どもは数字を見ております。
  66. 経塚幸夫

    ○経塚委員 同じく橋口参考人にお尋ねしたいわけでありますが、今度の改正改定の理由として、世代間の均衡、現役と年金受給者との均衡ということを随分問題にされておるようであります。その一つの資料として、仮に四十年勤続した場合に、現役の平均給与と比較いたしますと、年金受給額が八割を超える、八四%にも達するという意見もあるようでありますが、私はちょっと疑問を抱いておるわけであります。その現職の給与というものは、きのう就職された方の分も含めまして全現職の給与を平均して物差しの基準にされておる、そして年金受給者の方は、仮に三十二年なら三十二年の平均の組合員資格期間での年金受給額を対比させておる。給与は、きのう就職された人も含めて全平均だ、年金受給者は今申し上げたようなことを基準にされておる。これはちょっと比較の物差しにならないのではないか。これでいきますと、差額が出てくるのは当然だろうと思います。  それから、もう一つの問題は、平均給与と言っておる中には期末・勤勉手当などが含まれておりません。基準にされる以上はこれを当然含めた金額を参考にして、現在の年金受給額が平均してどのくらいあるのかということを計算として出してくるべきではなかろうか。そういうことで計算をいたしますと、これは八〇%台にならないばかりか、逆にうんと比率が落ちまして、現職のいわゆる期末・勤勉手当等々を含めた収入に対します比は五〇%前後になるのではないかとさえ思われるわけでありますが、その点は橋口参考人はどのようにお考えでございましょうか。
  67. 橋口和子

    橋口参考人 私は、今先生の引例されました資料を不幸にして見ておりませんので、どのような基礎でどのような表が出たかは知ることができません。     〔臼井委員長代理退席。委員長着席〕  しかし、先生のおっしゃったとおり、よく比較対照として出される場合に、その算定の比較する基礎の誤りの多いのが官民格差という言葉でさまざまな場所で提起されましたものの中にあったように私も記憶いたしているところでございます。ですから、私は今の制度が仮に現職中の八割も給付されておる保障されておるとするならば、私ども公務員はこのようにがたがたと陳情や要請をすることはなかろうというふうに思っております。せめてILO百三十一号ですか、これに言われておりますように、自分の退職時の賃金の五五%ぐらいはすべてのものが保障され、その上に若干のプラス分があって当然ではなかろうか、日本の国の経済の発展の現状を見るときにこのように考えているところで、八割などということは到底考えることもできない数字ではないかというふうに私は思っております。
  68. 経塚幸夫

    ○経塚委員 佐野参考人にお尋ねいたしますが、いわゆる公経済負担の問題でありますが、これは社会保障制度審議会の今回の改正に対する答申の中でも、公経済負担には問題がある、こう指摘をしておるわけです。その理由としては、基礎年金に一元化をされるということになるのならば、これは当然国庫負担とすべきである、こういう意見もあって、先ほど申し上げましたように、答申で問題があるという指摘の表現になった、こういうふうに説明をされておるわけであります。少なくとも一元化という以上は、この際、国庫負担に改めるべきであるというふうに考えるわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
  69. 佐野政一

    佐野参考人 これは一昨年の春でございますが、厚生省の方から、基礎年金制度考えておる、その場合に今の国庫負担を全部そこへぶち込むようにしたらと考えておるんだ、こういうような話を聞いたことがございます。ただその際に、それならばやはり全額国庫負担にすべきでしょうなということで、私も意見は言ったことがございます。それは社会保険としての負担ということからしますと、今の公経済論というのは、私は依然として疑問を持っております。ただ、地方公務員共済制度を三十七年に実施せざるを得ないというところで、当時大蔵省の公経済論に妥協した。その際に交付税でそれだけの増額措置をしましたので、財政的にバランスがとれたということにはなっておりますけれども、今の基礎年金の中に、そうした公経済論でいいのだろうかという点については、私も疑問を持っております。
  70. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それから、国鉄の共済問題でありますが、佐野参考人にお尋ねしたいわけであります。  これは陳述の中にも触れておったわけでありますが、地公審の答申のように、国の責任をまず明らかにすべきだということでございますが、この国の責任の中身であります。当然今日の国鉄共済が危機的状況に瀕した最大の原因と責任は挙げて国にあるわけで、いわば国策上こういう危機的状態に至ったわけでありますから。この国の責任を明確にするということの中身は、いわゆる国の原因責任によって生じた赤字は当然全額国の責任において国が負担をする、こういうふうに解すべきだと思うのでありますが、これは委員会で論議される経過の中で、国の責任というものの中身がいろいろ問題になっている最中であります。厚生大臣は、公的年金制度全体で支えていくということを当委員会でも御答弁されたわけでありますが、そういう措置を国の責任で講じさせることも国の責任を果たしたことになると言わんばかりの御答弁でありますが、私どもは、国の責任という以上は、生じた赤字は当然、国庫の負担において賄うことが国が責任をとったことになるのであって、そうでない限りは、国は責任をとったとは言えない、かように解釈しているのですが、その点はいかがなものでしょうか。
  71. 佐野政一

    佐野参考人 そこの解釈がなかなか難しいわけでございますけれども、ただ、国鉄の今までの赤字の中には、国鉄の将来の収支見込みについての非常な甘さというものがはっきりあるわけでございます。これは給付内容につきましても、国家公務員よりも相当上回った給付をしておる。これについては国が監督しておるわけでございますから、そういう監督責任というものをどうするのか、さらに今、先生御指摘のように、満鉄の期間等そうしたものも相当出てきております。国鉄は言うなれば船員保険の状態と同じじゃないだろうか、そういう点ですべて国鉄の労使にかぶせるというよりも、やはり今のような国鉄になったのは国策でそうなったわけでございますので、国が相当見るべきだというふうな感じはいたしておるわけです。ただ、国鉄の赤字でございますけれども、今の責任準備金の積立不足額というのがどの程度あるのかというのがまだはっきりしておりません。それをはっきり出してもらった上で、今度は国の責任部分というものを明確にしてもらう。ですから、今、先生御指摘のように、全保険財政調整すれば国が責任を果たしたというふうには私ども考えないので、やはり国が持つべきものをはっきり出した上で、残ったものについて全保険でどうするかということを相談する、こういうことになるだろうと思います。ですから、先決は、まず国鉄の赤字というものが将来を通じてどれだけあるのか、それに対してどうするのか、こういうことになるのじゃないだろうか、このように私どもは理解しております。
  72. 経塚幸夫

    ○経塚委員 いろいろと貴重な御意見を聞かしていただきました。今後の審議にぜひ生かしてまいりたい、かように考えております。どうもありがとうございました。  終わります。
  73. 高鳥修

    高鳥委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、お忙しいところ御出席いただき、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次回は、来る二十六日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十七分散会