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1985-11-08 第103回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十年十月十四日)(月曜日  )(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 柴田  弘君 理事 岡田 正勝君       伊藤 公介君    江崎 真澄君       大村 襄治君    工藤  巖君       小杉  隆君    坂本三十次君       中川 昭一君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    松田 九郎君       山岡 謙蔵君    五十嵐広三君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    山下洲夫君       小谷 輝二君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君 ————————————————————— 昭和六十年十一月八日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 柴田  弘君       伊藤 公介君    工藤  巖君       坂本三十次君    二階 俊博君       長谷川 峻君    細田 吉藏君       松田 九郎君    山岡 謙蔵君       綿貫 民輔君    五十嵐広三君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       山下洲夫君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     古屋  亨君  出席政府委員         警察庁長官   山田 英雄君         警察庁長官官房         長       鈴木 良一君         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         警察庁刑事局保         安部長     新田  勇君         警察庁交通局長 八島 幸彦君         警察庁警備局長 三島健二郎君         自治大臣官房長 津田  正君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省行政局選         挙部長     小笠原臣也君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         人事院事務総局         管理局職階課長 野田 禎男君         人事院事務総局         給与局給与第二         課長      野村 興児君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第一課長   里田 武臣君         大蔵省主計局主         計企画官    岡田 康彦君         大蔵省主計局主         計官      中島 義雄君         国税庁直税部資         産評価企画官  島田 眞一君         文部省初等中等         教育局高等学校         課長      阿部 憲司君         文部省教育助成         局財務課長   逸見 博昌君         厚生省保険局国         民健康保険課長 近藤純五郎君         建設省都市局区         画整理課長   小川 裕章君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ————————————— 委員の異動 十月二十九日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     河野 洋平君   大村 襄治君     宇野 宗佑君   中川 昭一君    小此木彦三郎君   松田 九郎君     武藤 嘉文君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     大村 襄治君  小此木彦三郎君     中川 昭一君   河野 洋平君     伊藤 公介君   武藤 嘉文君     松田 九郎君 同月三十一日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     小杉  隆君 十一月六日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     綿貫 民輔君 同月八日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     二階 俊博君 同日  辞任         補欠選任   二階 俊博君     江崎 真澄君     ————————————— 十月十四日  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八四号) 同月三十日  国庫補助負担率の一律削減反対に関する請願  (北口博紹介)(第一〇四号)  国庫補助負担率引き下げによる地方への負担  転嫁反対に関する請願佐藤隆紹介)(第一  〇五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本会期中、地方行政の実情を調査し、その健全なる発展に資するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等方法により  一、地方自治に関する事項  二、地方財政に関する事項  三、警察に関する事項  四、消防に関する事項以上の各事項について、国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。糸山英太郎君。
  5. 糸山英太郎

    ○糸山委員 大臣に最初にお伺いいたしますが、国の財政は今後とも危機的な状態がまだ続くと言われている中で、一部には、地方財政にはゆとりがあるという声もよく耳にします。私はもちろん、そんなことはないと思いますが、自治省地方財政の現況をどう認識し、今後どのように対処されるのか、お答えをいただきたいと思います。
  6. 古屋亨

    古屋国務大臣 国の財政は非常に厳しゅうございますが、私は、地方も同じように厳しいという感覚を持っております。国の方は御承知のように百三十三兆、地方は五十六兆と言っておりますが、地方の方は三千三百団体ございまして、団体によっていろいろまた、自治体によって違うわけでございますが、そういうものでございまして、これらの団体につきまして非常に厳しいところもございます。大都市周辺で若干ゆとりがあるように思われて、給与等も特別に高いところがございますが、こういうものにつきましては、私どもも適切な指導を行っております。国も厳しいが地方もそれに劣らず厳しい。特に三千三百団体のうちで四分の一は危険信号といいます公債負担率が二・〇%を超えているということでございますので、私ども地方財政は国に劣らず厳しいものであるという認識もとに、自治省としては対処しておるところでございます。
  7. 糸山英太郎

    ○糸山委員 六十年度の予算編成において、生活保護費等国庫補助率の一律引き下げが行われましたが、その措置昭和六十年度の暫定措置とされていますが、国の財政は引き続き大変厳しい状態であります。大蔵省は六十一年度にはさらにもう一ランク補助率引き下げたい意向もあると聞いていますが、どのような取り扱いになるのか、お尋ねいたします。
  8. 花岡圭三

    花岡政府委員 御指摘のように、六十一年度の国の財政というのは大変厳しい状況になっておりまして、六十一年度の概算要求におきます四千八百億円の一般歳出、また給与改定に伴う経費、こういったものをゼロにしたいという考えがあるようであります。また、これまでと違いまして、国債整理基金への定率繰り入れ、これも一般会計から繰り入れをある程度しなければならないというふうな状況になっておるわけで、その意味では国の財政というのは昨年度よりも厳しくなっておる状況でございます。  しかし、六十年度以降の補助負担率のあり方の問題につきましては、現在、補助金問題関係閣僚会議あるいは補助金問題検討会において検討している段階でございまして、これをどのように扱うかということにつきましては、この検討結果を待ちまして、私ども地方団体の納得するような方法で適切に対処してまいりたいと考えております。
  9. 糸山英太郎

    ○糸山委員 自治体病院の多くは地域住民医療確保に大きな役割を果たしているのに、経営状態は非常に苦しいと聞いています。五十九年度の決算結果がそろそろ明らかになると思いますが、自治体病院がその役割を果たしていくためには経営の安定が何よりも必要と考えます。自治省は、自治体病院経営健全化を図るためにどのような方策をとっているのか、お答えください。
  10. 花岡圭三

    花岡政府委員 病院事業経営健全化ということにつきましては、まず個々の病院経営実態に即して病床利用率向上など医療施設利用効率化を図る一方で職員の適正配置あるいは給与水準適正化医薬品等使用効率向上など引き続きその合理的、能率的な経営に努める必要があると考えておるところでございます。  自治省といたしましては、五十四年度から市町村の経営する病院のうら、経営努力の徹底によりまして収支の均衡を図ることが可能な百三事業に対して病院事業経営健全化措置を講じております。そして計画的に不良債務の解消に努めてきたわけでございます。これは五十九年度末までに九十二の事業が完了いたしておりまして、おおむね順調に計画が達成されつつあると考えております。また、この措置の対象とならなかった団体あるいはその後新たに不良債務を生じた団体につきましては、それぞれの経営実態を踏まえまして地方公営企業法によります準用再建制度活用等も含めまして自主的に経営改善を進めるよう指導しておるところでございます。
  11. 糸山英太郎

    ○糸山委員 政治資金規正法の問題についてちょっと触れてみたいと思います。  私は、この政治資金規正法のちょうど参議院通過のときに自民党でも数少ない反対者の一人だったのですが、そもそもこの法律ができたとき、いずれ矛盾が出るぞ、こんなインチキな法律はないぞと私もすごく強い信念を持っておりましたけれども、残念なことに多数決で押し切られてしまったわけでございます。  最近、何か自民党内部においても、もちろん野党からもそういう声が聞こえできますが、大臣、この政治資金規正法に関していろいろと声も聞かれますが、自治省としては、まずお考えを今後どんなふうに変えていこう、あるいは検討していく、あるいは国会へ報告していくといういろいろな点を聞いてまいりましたけれども古屋自治大臣の本当の腹の据わった答弁をいただきたいと思います。
  12. 古屋亨

    古屋国務大臣 政治資金規正法の問題につきましては、この改正をどうするかという断片的にはいろいろ御意見も聞いております。自民党の一部にまた緩和の意見もあることも承知しております。  ただ、こういう問題につきましては、政治基本ルール一つでございますから、各党各党でこういう問題を慎重にお考えくださいまして、そういうような意見を十分踏まえまして、私どもは、これを改正する場合にはそういう点も考えて進んでいかなければならぬと思っておりますが、いずれにいたしましても政治に莫大な金を要するというような考え方は、私は今の時代では一般的にとても納得できないようなそういう感じを持っておるのでありまして、やはり清潔な政治ということを私ども基本といたしまして、各党意見を聞きながらこの改正問題には対処していかなければならないと思っております。
  13. 糸山英太郎

    ○糸山委員 前向きにお考えいただいているようでございますが、私は、自民党の言っています枠だけを広げるという、ただそんなことだけではなくて、いろいろな盲点があるわけですね。今の現行法によっても、例えば、ついせんだって私も被害を受けたのですが、政治団体届出国会議員の、つまり主宰者とか被推薦者とかいう欄がございますが、あそこに名前を書かれてしまいますと、私の全然知らない団体から寄附を取って糸山はけしからぬと新聞にも載っていましたけれども、本当に困ったことだなと思うのです。  例えば私の実印なり印鑑証明なりを押した私が承諾したものならいいのですが、私などは参議院のときは全国区で出ていましたから、名前全国で有名ですから、糸山さんの後援会ならば金を出しますよというのがたくさんいますよね。ですからもう少し、例えば実印で押さなければいけないとか、あるいは国会議員身分関係することで、例えば倒産した会社から金をもらっていたらその国会議員は悪い国会議員だと言われます。まさかつぶれるかつぶれないか、私そんなこと知りませんけれども、やはりお金に絡んでいくならば、その点もうちょっと法律を厳しくしてきていただきたい。  こういう点も少し伺っておきたいし、せめて今回は政治家の、どの政治団体がだれの系列か、私は自民党ですからそこまでは言いませんよ、だれだれの系列だなんて。私なんかは正直だから、全部申告してしまっているから全部出てしまいますが、そういう系列まで私はただせとは言いませんが、少なくとも迷惑を受けた立場で言わせてもらうならば、この政治資金規正法というものをもう少し、国会議員身分もかかっているし、特に新聞、マスコミが大変注目をしている、これからますます注目をしていくでしょうから、余りだれでも安易に政治結社届け出をして金がもらえるということは、目を光らせていただきたい。これは答弁は要りませんが、御注意を申し上げておきたいと思います。ひとつ担当局長でも結構ですが、慎重に扱っていただきたいと思います。
  14. 小笠原臣也

    小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘になりましたような事例は、実は私ども初めてお聞きするわけでございます。政治資金規正法は、御案内のように、政党あるいは政治団体をすべて規制するというような法律ではございませんで、むしろねらいは、政党政治団体が扱う政治資金の流れをできるだけ国民の前に明らかにして、政治公明化を図っていこう、こういうことでございます。  そういうことで、政治団体につきましては、現行制度上、代表者氏名等届け出ることにされておるわけでございますけれども、そういう政治資金規正法趣旨でございますとか、あるいは余り介入するということになりますと政治活動の自由を抑制するというようなことも出てまいりますから、そういうことで形式的に届け出が整っておれば受理するということになっておることは、ひとつ御理解をいただきたいわけでございます。  それで、おっしゃいましたように、被推薦書等いろいろチェックすることとか、あるいはどういう系列議員団体であるかというようなことを今公表するということにはなっておりませんし、また実態を把握するというのは非常に困難なことでもございます。ただ、今御指摘になりましたような点、いろいろあろうかと思いますので、私どもこの政治資金規正法趣旨をあくまでも勘案しながら、そういう枠内で今後の研究課題として検討してみたいと思っております。
  15. 糸山英太郎

    ○糸山委員 もう一回念を押しておきますが、正直者がばかを見るというような法律はなるべくよく考えてください。私なんか正直者ですから何でも報告してしまうといつも新聞の記事になってしまうので、ひとつその点は公平に扱っていただきたいと思います。いいです、余りいじめても……。  消防庁長官がお見えになっておりますので、消防庁長官にお尋ねいたしましょう。  八月十二日の日航機事故で亡くなられた五百二十名の犠牲者方々に対し、深く追悼の意を表するとともに、自衛隊、警察関係者の御活躍に感謝を申し上げますが、中でも、地元消防団各位による多大な御尽力にはお礼の言葉もないくらいであります。私のおじが日本消防協会の会長をしているからという関係で言うのではありませんが、消防団日航機事故のような広域な大災害発生に備えて常設の消防機関に協力して活動するわけであり、しかもほとんどがボランティアであります。私の調査では、二百万人もいた全国消防団員がこの約二十年間にたしか百五万くらいに減った。大変残念なことでもあり、もちろん困ったなとは思っております。しかし、この原因については、団員となるべき農村の定住人口の減少とか、サラリーマンとして企業に勤めてしまうとか、社会情勢の変化があることはよく承知しておりますが、消防団活性化という問題に関して自治省消防庁はどんな妙案をお持ちでしょうか。事故があったときの災害補償面あるいは企業に対する理解を一層深める問題などもちょっとお答えいただきたいと思います。
  16. 関根則之

    関根政府委員 日航機事故に関連して消防団活動についてのお話があったわけでございますが、私どもは、消防としては極めて的確、効率的に対応できたというふうに考えております。何せ大変山深いところでございまして、尾根と急峻な谷が入り乱れている場所でございまして、地形を余り知らない人が行ったのでは、現実に火が見えておりましてもどこに落ちているのかよくわからぬ、またそこへたどり着くためにはどこをどう通っていったのかわからぬというような状況であったわけです。その中で、やはり地元生活をし、時には山仕事などに出かけていく地元住民が参加しております上野村の消防団が、道案内役を兼ねまして現地に到達し、生存者を発見することができたということだったと考えております。消防団の持っております現地密着性といいますか、そういう特性をフルに活用する、生かすことができた事例ではなかったかという感じがいたします。  最近、常備消防が、おかげさまで大分整備が進んでまいりましたので、通常単発的な火災でありますと、まあまあ都市部では常備消防で対応できますけれども災害というのは都市部だけで起こるわけではございません。特に、大規模化しつつあるような傾向がございますので、大規模な災害ということになりますと、現地をよくわかっておりかつ大量に動員できる消防団ボランティアとしての消防団がぜひとも必要であるという認識を私どもは持っております。  御指摘がありましたように、かつて二百万を超えておりました消防団員の数が現在では半数に減ってしまっております。数だけの問題ではありません。しかし、数も問題でございますから、できればもっとふやしていきたいというふうに考えておりますし、また消防団というのは単なる素人の集団であるわけではございません。プロではありませんけれども専門性を持った一つ防災機能集団、部隊であるわけでございますから、例えば防火衣なんかもきちんとしてやらなければいけない、あるいは機械器具等についても新しいものを備えていかなければいかぬというふうに考えておるところでございます。  そういう意味で、これからますます消防団が活発に活動していただけるようなものにしていきますための施策を私どもとしては今後積極的にとっていきたい。特に、ことしの七月に消防団活性化のための検討委員会結論を出しまして、それを受けまして消防審議会もその検討委員会結論どおり、強力に活性化のための方策消防庁としてとっていくべきだという答申をいただいておりますので、この答申趣旨に沿いましてできる限り活性化に努めていきたいと考えておるところでございます。
  17. 糸山英太郎

    ○糸山委員 もう一つ伺いますが、メキシコの大地震のとき、政府も直ちに技術協力チームを派遣し、民間や地方自治体からの義援金等も送られましたが、この地震被害状況、特徴は何であったのか。また、消防庁としては、メキシコ地震教訓として我が国での大地震に備えて今後どのような対応をお考えなのか、お聞かせください。
  18. 関根則之

    関根政府委員 メキシコ地震は大都会におきます大地震の例として特徴づけられる地震であるというふうに考えております。その結果、残念ながら大変な被害が発生いたしておりまして、外務省で在外公館等からの報告をもとにまとめた数字によりましても、死者が八千人、負傷者が約三万人ということになっておるわけでございます。特にメキシコ市の被害がひどうございまして、中高層の建物が倒壊いたしまして、その中に生き埋めになった方々が相当おられるわけでございます。  今回のメキシコ地震教訓というのはいろいろありますけれども、私どもが一番深刻に受けとめていかなければならないのは、そういった大都市において建物の下敷きになってしまった人たちをどうやって助けるか、いわゆる集団救助という問題でございます。日本の場合にも地震が心配されるわけでございまして、大勢の方々鉄筋コンクリートの大きな建物が倒壊いたしました中に閉じ込められるといった場合の救助体制というのは必ずしも十分とは考えられません。しかも、それは日本全国どこで起こるかわからないという状況も想定していかなければいけない。東京消防庁でありますとか横浜、大阪といった大都市消防というのは、救助のためのいろいろな機械でありますとか救助隊でありますとか、そういう編成が非常によくできております。まだまだ十分とは言えませんが、相当高度な技術を持ち、人員、機材を持っております。しかし、田舎の中小都市等ではまだそこまでいっておりません。仮に、そういうところでもし大きな地震等があって鉄筋コンクリート建物倒壊等が起こると仮定した場合には、やはり国の中で持っている、東京とか横浜消防隊をそこへ派遣していくということも必要になってくるのではなかろうかと思います。日本消防陣の持てる力をフルに活用して、どこにでも派遣できるような体制がぜひともこれから必要だなと私は考えております。  そのほかにもいろいろございますが、例えば消防防災計画の緻密な立案、実体的な計画にしていくというような問題等もあります。そういった面につきましては、消防といたしましてもこれから調査団といいますか技術援助団メキシコに派遣する予定になっております。そういった形で援助をし、またそういう機会を通じまして現地状況も見、これをもとにいたしまして日本防災対策というものを万全ならしめるために役に立てていきたいと考えているところでございます。
  19. 糸山英太郎

    ○糸山委員 今度は警察当局に伺います。  警備問題に関して二、三伺いますが、去る五日、イギリス留学から帰国されたばかりの浩宮様が東宮御所で記者会見をされたときに、日本皇室警備が過剰ではないか、イギリスでは要所要所警察官を配置しているのだがそれが目立たない、日本は人数が多過ぎるし目立つ、日本でもプロ警察官を養成する必要があるのではないかと感じましたと具体的に御指摘になり、さらにイギリス日本国民感情とか環境の違いがございますので、警察当局とよく話し合って解決したいとさえおっしゃっております。  六日の参議院予算委員会では、宮内庁もスマートな警備を望んでいる旨の見解が示されましたが、警察当局としてはスマートな警備実施について宮内庁から申し出があればどう対応されるのか、あるいは最近皇室に対する治安行政はどうなっているのか、どういう事件があったのか、続けてお答えください。
  20. 新田勇

    新田政府委員 お答え申し上げます。  これまでも警衛の実施に当たりましては、宮内庁を初め関係機関からいろいろな意見あるいはそれぞれの機関が持っておられる要望に耳を傾けながら、形式にとらわれることなく創意工夫を凝らしてその目的達成に努めてまいったところでございます。今後ともこの方針を堅持して、よりスマートな警衛を実施してまいりたく考えておるところでございます。  次に、皇室を取り巻く治安情勢でございますが、過去におきましていわゆる極左暴力集団はいろいろな暴力主義的な活動、彼らが言っておりますゲリラ事案を敢行いたしておるところでございます。例えて申せば、昭和四十九年八月に、荒川鉄橋に爆弾を仕掛けまして特別列車を爆破しようとしたというような事件がございます。昭和五十年七月には、沖縄におきまして、折から御訪問中の皇太子様御夫妻に対して火炎瓶を投てきした者がございます。それから、昭和五十一年の十月でございますが、平川橋のところでピッチングマシンを設置いたしまして火炎瓶を投てきしようとした事件がございます。また、昭和五十一年十一月には、千鳥ケ淵の高速道路上からガソリンをお堀に流しましてこれに点火したのがございます。昭和五十六年、これも千鳥ケ淵の道路上でございますが、火炎を皇居に向けて放射するというのがございました。五十七年五月には、皇居前でトラックを炎上させております。最近では、昭和五十九年八月に、葉山御用邸に時限式発火装置を仕掛けだというのが主な例でございます。  現在におきましても依然として厳しい情勢にあると考えられます。極左暴力集団皇室に対していろいろな暴力を用いた闘争を企図している、かように判断いたしておるところでございます。
  21. 糸山英太郎

    ○糸山委員 フレッシュな浩宮殿下が伸び伸びとできることをお祈りし、次の質問に入ります。  東京サミット、つまり第十二回先進国首脳会議が五月ですか、東京で開かれますが、去る昭和五十四年六月の第五回首脳会議以来これで二回目の東京サミットになります。私は、ボン・サミットの際、中曽根総理に同行し、西ドイツの警備状況をよく見てまいりましたが、極左暴力集団による武力闘争の激化が予想される中、東京サミットの警備は大丈夫なのか、この間予算もついたようですが、余り具体的なことでなくても結構ですからひとつお聞かせください。
  22. 三島健二郎

    ○三島政府委員 お答えいたします。  極左暴力集団、一般には過激派と言われておりますが、この連中はこのサミットに対しまして既に革命軍の総力を挙げて東京サミットを爆砕するという言い方をしております。爆砕というのは爆破粉砕という意味だと思いますが、そういう言い方をしておりまして、このサミットに対しまして大変厳しい姿勢を持っているところであります。したがいまして、サミットへ向けまして極左暴力集団がゲリラ的な活動をするということは十分予想されるところであります。  ゲリラの傾向につきましては、最近とみに彼らが戦術を高度化させておりまして、千メートル近くも飛ぶような爆発物を発射する機械も彼らは持っておるわけであります。そういう意味では、大変ゲリラの危険性が高まっているということが一つ。それからもう一つは、この間の十月二十日でありましたが、成田の現地の闘争におきまして、警察官に対しまして丸太あるいは角材を小わきに抱えて爆弾三勇士のごとく突っ込んでくる、あるいは機動隊に対しまして投石あるいは火炎瓶を投げるといった事態が起きております。さらにはまた、こちらが逮捕に出ようとすると、鉄パイプで警察官になぐりかかる、いわゆる街頭武装闘争と言っておりますが、こういった事態も起きているわけであります。  そういう状況もとでございますがら、我々といたしましては、何としてもサミットの開催のときにおきましては各国首脳の安全を第一に考えて、さらには会議の円滑な開催、運営を確保してまいりたい、このように考えておるところであります。  そのために、全国的に、警視庁のみならずほかの府県からも警察官を動員して、総力を挙げてひとつこれを警戒いたしたいと思いますし、また十月四日一閣議決定で特に予備費を認めていただいておりますが、それを有効に活用いたしたいと思っております。また同時に、的確な警備計画というものを策定いたしまして、サミットの安全確保に全力を挙げるという姿勢でございます。ただ、何分にも前回のサミットから比べますと、ただいま申し上げましたようにちょっと情勢が厳しくなっている状況でございますので、恐らく警備の内容も前回から見まするとより厳しいものにならざるを得ない状況だと思います。そういうことでございますので、ひとつ国民の皆様方の御理解あるいは御協力をいただきながら警備の万全を期してまいりたい、かように思っております。
  23. 糸山英太郎

    ○糸山委員 ただいま極左暴力集団の話も出ましたが、成田闘争についても、にせの消防車で検問所を通過したり、鉄パイプや火炎瓶などで武器を大量に使用するなど、ますます巧妙に戦術をエスカレートさせてきているわけでございますが、成田空港の第二期工事を踏まえて、今後の成田闘争をめぐる見通しとして警察の対応はどうなっているのか。特に、私は新聞などを読みますと、一〇・二〇ですか、闘争で逮捕された者の中には小学校の教員がいるとかあるいは教員や公務員がいたということを聞いているので、まあひどいなあ、これじゃ本当の教育なんかできやしないじゃないかと思いますし、また警察官の負傷が数多かったという点、私は心配しているわけです。  時間もございませんから、成田に対してはしっかりとした姿勢で守る、ひとつそのぐらいの決意を聞かせていただかないと、私もきょうこの質問した意味がないのです。最後の答弁で結構ですから、ひとつお答えいただきたいと思います。
  24. 三島健二郎

    ○三島政府委員 成田の情勢につきましてはただいま先生御指摘のとおりでございますし、先ほど私も御説明申し上げたとおりでありますが、まさに彼らの戦術というものは大変エスカレートしております。これに対しまして警察といたしましては、全警察の総力を挙げまして彼らの現場におきますところの不法行為等に対しましては厳正、的確に対応いたしまして、何としても違法行為があれば必ず検挙する、こういう姿勢でもって対処してまいりたいと思います。同時にまた、何といいましても空港の安全の確保ということが大事でございますから、その点に力点を置きましてゲリラ活動等に対しまする処置を十分とってまいりたいと思っております。(糸山委員「公務員はどうでしょう」と呼ぶ)公務員の問題につきましては、逮捕者が二百四十一名ございましたが、その中で、必ずしも全部判明いたしておりません、いわゆる完黙といいますか、完全黙秘の者が多いものでありますからなかなか判明いたしておりませんが、現在判明いたしました限りで申し上げますと、公務員といたしましては、教員を含めまして全体で二十一名という数字になっております。
  25. 糸山英太郎

    ○糸山委員 終わります。
  26. 高鳥修

  27. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私はきょう、公職選挙法の問題、特に百四十三条の問題につきまして一、二点お伺いしておきたいと思います。と申しますのは、私自身の解釈の仕方と自治省の解釈の仕方が違いますと今後の問題に大きくかかわるからでございます。  特にこの百四十三条は選挙運動の分野と政治活動の分野と分かれているわけです。特に政治活動というのは、国会議員で申し上げますと国会報告会を開いたり、それ以外に、例えば公職選挙法で認められております山下八洲夫連絡事務所が何枚持てるとか、そのような一定のものは規定がございます。それと同時に、例えば山下八洲夫の顔写真を自分自身の選挙区に張りますと、これは選挙運動にかかわる、違反分野にかかわる、そのように理解しているわけですが、その辺につきましてそのような理解でよろしいでしょうか。
  28. 小笠原臣也

    小笠原政府委員 ただいま御指摘の公職選挙法百四十三条第十五項でございますけれども、本来公職の候補者等の政治活動というのは自由でございますが、政治活動に籍口しての事前運動に紛らわしい政治活動というのがはんらんするということで、昭和五十年の改正あるいは昭和五十六年の改正によっていろいろな規制が設けられることになったのは御案内のとおりでございます。  公職選挙法百四十三条十五項は、公職の候補者等の政治活動のために使用される当該公職の候補者等の氏名または氏名が類推されるような事項を表示する文書図画につきまして、一定の場合を除きまして掲示することを禁止しておるわけでございます。一定の場合といいますのは、講演会の立て札、看板で一定の枚数あるいは裏打ちのないポスターというようなケースでございます。
  29. 山下八洲夫

    山下(八)委員 例えば、この中に文章では出てこないのですけれども、そっくり人形を立てた場合にはどのようになりますか。そっくり人形です。例えば私の選挙区に山下八洲夫にそっくり似た人形を、私はそういうものはつくりませんけれども、つくって自分の選挙区へ立てた場合にはどうなりますか。
  30. 小笠原臣也

    小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  公職選挙法の百四十三条第十五項は、氏名のみならず、氏名が類推されるような事項を表示する文書図画もいけない、こういうことになっております。その氏名が類推されるような事項の中には写真とかあるいは似顔絵とかそっくりの人形とか、そういうような、そのことを見ることによって客観的に候補者の氏名が想起されるような事項を含む、こういうふうに解釈されております。
  31. 山下八洲夫

    山下(八)委員 実はせんだってマスコミでも大変話題になったわけでございますが、十月二十八日に新潟県南魚沼郡大和町、これは新潟三区で、上越新幹線の浦佐駅前に立派な銅像が除幕されました。これは言うまでもなく元総理大臣であります、今でも現職の代議士でございます田中角榮氏でございます。本当に病に倒れていることにつきましては心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、同時に早く国会に復帰していただきたいというふうには思っておりますが、この銅像は公職選挙法とのかかわりで言った場合にどのようになるのか、その辺をまず御答弁をいただきたいと思うわけです。
  32. 小笠原臣也

    小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  お尋ねのこの田中議員の銅像につきましては詳細をよく承知していないわけでございますけれども、一般に銅像というのはモデルとなった方の顕著な事績を記念するためとか、あるいは功績をたたえるというような目的で建立されるものと考えられるわけでございますが、そういうものでございます以上、当該銅像のモデルがたまたま現職の方であるといたしましても、直ちに政治活動のために使用されるものではないというふうに考えておるわけでございます。
  33. 山下八洲夫

    山下(八)委員 確かに多大な功績を日本にもなされたでしょうし、場合によれば、特に新潟三区に対しましては多大な功績があったように私も伺っております。その功績というのはあくまでも政治家として政治的な功績であったと思うわけです。そのことをあくまでもやはり政治的に活用している、あるいは利用しているというふうに私は理解をしているわけでございます。特にそれ以前に、例えばこの銅像というのは選挙運動の分野に入るのか、あるいは政治活動の分野に入るのか、そのこともあわせて一度御答弁いただきたいと思うわけです。
  34. 小笠原臣也

    小笠原政府委員 お答え申し上げます。  政治活動とかあるいはそれ以外の活動、その中に選挙活動も含まれるわけでございますが、そういったものの区分といいますのは、その活動の目的とか態様とか時期等諸般の事情を総合的に判断して決められる問題でございまして、一義的にこれはこうだというふうに断定できるものではないと考えておるわけでございます。  御指摘の銅像の件につきましても、先ほども申し上げましたように、一般に銅像というのは記念碑的なものと考えられるのでございまして、政治活動とか選挙運動というようには受け取られておらないというふうに思うわけでございますけれども、それでは銅像というようなものがどんな場合でも問題にならないのか、こういいますとそうは言えないわけでございまして、仮にも事業の記念とかあるいは功績をたたえるというようなことに籍口して売名とかあるいは宣伝のための銅像をたくさん建立するというようなことがありました場合には、政治活動というどころかもっと事前運動ということになって規制を受けるということにもなろうか、このように考えておるわけでございます。
  35. 山下八洲夫

    山下(八)委員 公職の候補者等の氏名や氏名類推事項または後援団体の名称を表示する第十五項各号以外の政治活動用文書図画の掲示は何人も時期のいかんを問わず禁止されている、このようになっているわけですね。これ、十分御承知ですね。その上で御答弁なさっていると思うわけですが、功績をたたえる、それは確かに新潟三区の皆さんからすれば功績は大変あったと思うわけです。そういう意味であのような立派な銅像が除幕されたと思うのですが、私は、これは事業を行って功績があったんじゃなくてあくまでも政治活動上の功績があったと思うのです。そういうことを考えていきますと、今申し上げました文書図画の問題にも抵触いたしますし、同時に、功績があったという意味からも、逆に言うと政治的な功績を多大に与えたわけでございますから、そういう意味ではなお事前運動の疑いが大いにあるというふうに私は理解をしているわけです。それを一点お答えいただきたい。  もう一点は、これと同じような事例が過去にあるのかどうか。私は、調べてまいりましたけれども、少なくとも現職時代の代議士の中でこのようなものはこの二十数年はないというふうに判断しておりますが、過去にそういう事例があるのかどうか、そのこともあわせて御答弁いただきたいと思います。
  36. 小笠原臣也

    小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  公職選挙法百四十三条十五項で規制をされておりますのは、公職の候補者等の氏名あるいは氏名類推事項が記載されておる文書図画すべてではございませんで、御承知のように、これはあくまでも政治活動のために使用される文書図画ということになるわけでございます。そこで、現職にある、公職にある人の氏名あるいは氏名類推事項が記載された文書図画がすべて直ちに政治活動になるかといいますと、それはやはりいろいろな具体的な状況を総合的に判断して決めなければならない問題ではなかろうかと思うわけでございます。  ただいま御指摘のありましたように、現職で銅像を建てられた事例を知っておるかということでございますが、私は承知いたしておりませんが、銅像でなくて現職の方が氏名を残されるという例は、例えば現職の知事とかあるいは市長が建物ができた場合に礎石に市長あるいは知事の名前を刻み込まれるというようなことはあるわけでございます。それも公職にある人の名前が表示される文書図画にはなりますけれども、だれもそれを政治活動用の文書であるというふうには認識しないのではなかろうか、このように理解をしているわけでございます。
  37. 山下八洲夫

    山下(八)委員 新幹線の浦佐駅前に全体で八メートル五十センチもあるものが建てられていて、それと今おっしゃいました例えば何か箱物の建物ができた、そこへ知事の名前を挿入した、それとは意味合いが全然違うでしょう。公衆の面前に、見てください、拝んでくださいというふうに建てたのですよ。これはあくまでも選挙運動じゃないですか。あるいは政治活動ではないですか。そうでしょう。だったら、同じようにそっくり人形をつくって置いたっていいということじゃないですか、おっしゃっている言い方だと。そうじゃないですか。大臣、その辺どうですか。
  38. 古屋亨

    古屋国務大臣 山下先生御承知のように、大野伴睦さんの岐阜羽島のあれはやめられてからであると思っております。ただ、私は田中先生の場合は、新聞で見た程度でございますが、私の感じという点では功績をたたえることが中心であるというのが社会常識ではないかと考えております。
  39. 山下八洲夫

    山下(八)委員 じゃ功績というのはどういう功績ですか。具体的に大臣答えてください。どういう功績があったのですか。
  40. 古屋亨

    古屋国務大臣 山下先生も政治家になられたのだから御承知と思うのですが、やはり地域の発展のためにそれだけ尽くしたということを地元の人が感謝をしてつくられたのではないだろうか、私はそういうように推測しております。
  41. 山下八洲夫

    山下(八)委員 地元の人が感謝をして——確かにそうだと思います。この代表発起人には自民党の県会議員の方がなって、やはり政治的に動いてつくられたことも事実であるわけでございます。その一連のものを見、また当日の除幕式には知事まで見えていらっしゃるわけでございますが、これはいかに政治的にアピールしていくかということのあらわれではないかと思うわけです。そういうことを考えていきますと、私はあくまでもこのことは今の公職選挙法に必ず抵触する、選挙違反だというふうに思うわけです。その辺について一つも明確な回答がないわけでございますが、そうしますと政治的に利用をしなければそっくり人形を建てていいということですね。もう一度答弁ください。
  42. 小笠原臣也

    小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  そっくり人形というような場合が果たして政治活動あるいは選挙運動以外にどういう場合に使われるのかというのは私よくわかりませんけれども、先ほども申し上げましたように政治活動かそれ以外の活動であるかというのは、やはりその活動の目的であるとか態様であるとかいろいろな状況から見て政治活動として行われておるか、あるいはそれ以外のいろいろな活動があるわけでございますが、そういう活動の一環として行われておるかということが判断されるべき問題ではないかと思うわけでございます。  例えば別の事例を申し上げますと、公職にある人が弁護士あるいは医院を経営しておられる場合に、仮に医院の宣伝あるいは弁護士の事務所の看板をあちこちに掲げられるということがあった場合に、それが経済活動の一環として認められる範囲であればそれは政治活動ということにはならないでございましょうし、そういうことに籍口しましてあちこちにやたらにたくさん立てるということになるとそれは政治活動というよりはむしろそれを超えて事前運動、選挙運動ということにみなされる場合もあろうということでございまして、やはり具体的なケース一つをとらえてそれだけで直ちに政治活動であるとかあるいはそうでないとか断定をすることは非常に難しいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  43. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もうちょっと具体的にお尋ねしたいと思います。特に選挙運動の中で選挙期間中のことにちょっと触れてみたいと思います。  百四十三条の一号ですけれども、「選挙事務所を表示するために、その場所において使用するポスター、立札、ちょうちん及び看板の類」、それ以外にまだ五までありますけれども、そうしますと、それぞれの中でこの選挙期間中のあの銅像のかかわりはどのようになるのですか。選挙期間中にはまた選挙期間中の制限がございますよね。それとのかかわりもないとおっしゃるのですか。
  44. 小笠原臣也

    小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  選挙運動期間に入りまして規制をされますのは、選挙運動のために用いる文書図画でございまして、選挙運動のために用いる文書図画と認定されましたら、それは百四十三条一号からずっと列挙してありますような文書図画でないと使えない。百四十三条の場合は掲示でございますけれども、掲示できないということになっておるわけでございます。しかしながら、先ほども申し上げたと思いますけれども、選挙運動以外の文書図画は、それが選挙運動以外の文書図書であると認められる限り、それはこの公職選挙法の百四十三条の対象外であるわけでございます。平素から掲げておる営業用の看板であるとかそういうものが、選挙運動期間中に、名前が書いてあるからといって規制されるわけのものではないわけでございます。その点、御理解をいただきたいと思います。
  45. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ですから、例えば常設の山下八洲夫事務所の前に、私そういうことはしませんけれども山下八洲夫とそっくりの人形を立てておいても、選挙期間中であろうと選挙外であろうとこれは何ら今の選挙法には抵触をしないというふうに理解してよろしいのですねということを聞いているのです。それは政治活動やら選挙運動に活用しなければいいのでしょう、ただ立てておくだけだから。
  46. 小笠原臣也

    小笠原政府委員 御指摘のありましたようなそっくり人形といいますか似顔絵というようなものが平素から掲示をしてあるというようなことについて考えてみますと、それは一体どういう目的でそういうことを掲示しておるのかということの判断の問題になろうかと思うわけでございます。何らほかに合理的な目的がないのに名前を掲示するとか自分の似顔あるいはそっくりの人形を街頭に立てておくということになれば、それは当然公職にある音あるいは公職の候補者になろうとする者の名前を売り込んで選挙運動をするためにやっておるのではないか、こういうふうに判断される余地も出てくるわけでございます。
  47. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私は、過去に随分功績があった方の銅像は建てられていると思うわけです。あの吉田総理であり、あるいは芦田、池田、大平総理、それぞれ銅像は建てられているわけです。私はそれを否定するわけではございません。本当に功績があれば大変いいことだと思うわけです。ただ、実際にはこの方々は皆政界を引退されてから、あるいはお亡くなりになられてからという形になっているようです。私の岐阜県にも、先ほど古屋大臣からお話がありましたとおり銅像が羽島の駅前に建っております。これもやはり政界を引退されてからでございますし、また昨今では、何か大分県でございますか、西村自民党副総裁の銅像も建っているということもお聞きしております。それぞれ政界を引退してからなんですよ。そのことはやはり今日の、特に昭和五十六年の改正以降の公職選挙法等大きく文書図画とかかわってくる、そのようなこともあり、また選挙法に触れるようなみっともないことを立派な方はしていけない、そういう気持ちでそれぞれ今日までやられていなかったと私は思うわけです。それをあえてあのように、現職の国会議員であるうちにやられるということは、私は少なくともこれは政治活動というふうにしか理解ができないわけでございます。そういう意味で、私はこれについて警告を発したわけでございます。  ですから、私は今後の問題としてまだまだこれは検討をしていただきたいと思うわけですが、少なくとも私は、これはあくまでも今の公職選挙法に触れて選挙違反の事前運動の分野に入る、違反にかかわる問題であるということを申し上げたいわけでございます。そういう意味で、大臣答弁をもう一度お聞きしたいと思います。
  48. 古屋亨

    古屋国務大臣 再三のお尋ねでございますが、地元の人々が田中先生の功績をありがたい、病気をされておるが今後の復帰を願ってそういうものを建てた——どういう目的で建てたか知りませんけれども、功績をたたえて建てた。それだけを考えますと、私は直ちに政治活動に反するとは考えられぬわけでございます。私も法律の専門家じゃございませんが、そういう問題がありましたことはひとつ頭に置きまして……。
  49. 山下八洲夫

    山下(八)委員 最後にしますけれども、今大臣が、どういう目的で建てられたか知りません、ここが大変大事だと思うわけです。先ほどの小笠原選挙部長さんは、功績があったとおっしゃっていたのですからね。どういう目的で建てられたかわからない、これは本当だと思うのです。本当、大臣の方が素直ですよ。そういう意味では、私はあくまでも選挙の事前運動に抵触する。ですから、そのことについてもう一度選挙部長はしっかりと調べていただいて、きょうでなくても結構でございますから、また改めてきちっと、法的に抵触しないならしないということをはっきりと、いつの機会かは別にしまして回答いただきたいと思います。  私の時間がなくなりましたので、以上申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  50. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、安田修三君。
  51. 安田修三

    安田委員 それでは、初めに自治省の方に固定資産税の評価につきましてお尋ねいたしたいと存じます。  先に申し上げておきますが、一般的な固定資産税評価という問題で各地でいろいろと問題が出てまいります。ことしは平均一九・九%基準値で上がるということで、昨年からも議論がございましたが、法改正になりました。納める側にしますと非常に高いなという実感を持ちます。そういう点で、たまたま当県の砺波市というところで固定資産評価をめぐりまして、ことし、審査申し出が百六十六名の方から出ました。ここは近隣の市町村よりも大変高いということで実は争いになったわけでありますが、それの前提として申し上げておきますと、これに関しましては政党はどこも絡んでおりません。各党ともこれを取り上げてはおりません。本当に町の商工業者の人たちが市当局を相手に争っておるという問題でございます。それからもう一つ申し上げておきますと、砺波市というのはチューリップの生産地でございまして、言うなれば田園都市であります。  そこで、全国三千有余ある自治体の中で、砺波市というのは近隣と比べて一体どういう概況のところかということをちなみに申し上げておきます。争いのもとが、市街地区域のいわゆる宅地の固定資産税が高いということから出ておりますので、そういう点では砺波市というのはどの程度の規模かということをあらかじめ近隣との関係でちょっと申し上げておきますと、人口が三万六千四百八十四で、ちょうど隣に小矢部市というのがございまして、これは三万六千七百四十五。同じ三万規模では黒部市の三万五千九百十二というのがございますが、これはことし、六十年の県勢要覧でございますが、恐らく最近は黒部市の人口の方が追い抜いているわけでございまして、県会議員定数も逆にしろというお話が出ておるところでございます。それから近隣に福光町というのがありますが、これが二万二千三百七十。  これだけ申し上げてもまだ概況はわかりません。争いのもとになります市街地という概況から判断して、ではいわゆる市街地区域というのはどのようなものか。市街地といいましても、都市計画で線引きしますとまちまちでございます。ちなみに人口集中地区、富山県の人口集中地区は、県都の富山市以下全県平均で一キロ平米当たり平均四千九百七十一・六人というのでございまして、大体各都市ともこの前後になっておるわけであります。その人口集中地区は、例えば砺波市の場合は五千三十一人、小矢部市は九千九百七十三人、黒部市が一万一千六百四十四人、隣の福光町が七千百十五人。砺波市というのは、町村合併した中でも、もとの母体になる市街地の集中したところが非常に小そうございまして、そういう点では全域に占める人口集中地区の面積というのは〇・〇二%、この人口も〇・四六%、非常に小さい面積であります。ちなみに他の都市を見ますと、小矢部市は面積が〇・〇五%、黒部市が〇・〇七%、福光町にして〇・〇三%という大きさでありますから、砺波市がいかに小さいかということがわかります。これを町の中心地の商業地域だけに区切ってみますと、砺波市が二・八ヘクタール、隣の小矢部市が二十三ヘクタール、黒部市が二十一ヘクタール、隣町の福光という砺波より小さい人口の町が四・七ヘクタール、非常にのどかな田舎の町でございまして、言うなれば、砺波市と福光を比べた場合、福光の方が繁華でなかろうかというような概況を呈するようなところでございまして、これがそもそもやはり一般的に見て争いのもとになる根幹であったろうと思います。  さて、砺波市というのは大体そういう三万規模のこのようなのどかな田園の町だ。  そこで、まずお聞きしたいのでありますが、固定資産税の課税標準は、地方税法の三百四十一条五号、三百四十九条では、単に賦課期日における適正時価ということに規定されておるわけであります。そこで、自治省告示の固定資産税評価額は、宅地の場合、全国平均ではいわゆる私たちが言うところの市価、市価とか時価とか言っておりますが、この市価の何%ぐらいにおおよそなっているだろうかということをまずお聞きしたいと思います。
  52. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 宅地の固定資産税の評価額が市価の何%になっているかということでございますが、市価そのものをつかまえるということは非常に困難なことでございます。したがいまして、例えば地価公示価格、こういうものと比較をすることは可能でございますので、そういった点からお答え申し上げたいと思います。  もとより地価公示と固定資産の評価は目的も異なっておりますが、必ずしも直ちに比較をするのがいいのかどうかという問題はございますけれども、今全国に地価公示における標準地が約一万七千六百地点ございます。ここにつきまして、この地価公示価格に対する固定資産税の評価額の割合で見てみますと、最近のものはちょっとまだ比較ができておりませんが、前の基準年度である五十七年度で比較をしてみますと、全国平均で約三割ぐらい、これは土地によってある程度開きがあろうかと思います。あくまでも平均値でございまして、高いものになりますと七割ぐらいのものもあるというぐあいに承知しております。
  53. 安田修三

    安田委員 局長おっしゃるのも、行政官庁として極めて科学的な根拠でおっしゃっている。私たちがいわゆる町のふろ屋談義風に言う、まあどうだい、市価の何%ぐらいだ、こう言っておる話も、局長さんの科学的な根拠もおおよそ似たようなラインでございます。大体三割程度のものだろう。見ますと、大体二五から三〇%ラインというのが各市町村の不動産鑑定士の調べた時価、市価と言われるもの、それから、町のおやじたちが談義しているものから割り出したものからしましても大体そのようなところになっておりますので、役所の方も私たちの方も市民的感覚からして変わりないものだと思っております。  そこで、国税庁の方にお伺いいたします。  相続税の評価額でございますが、路線価方式、倍率方式がありますが、路線価方式の場合に、それでは相続税法二十二条の「時価」という、この「時価」の規定にもかかわらず、全国平均では今言ったようないわゆる市民的な概念からした市価の何%ぐらいに大体相続税評価の場合はなっておるだろうか、まずお聞きしたいと思います。
  54. 島田眞一

    ○島田説明員 お答えいたします。  ただいま自治省の方から御説明ありましたように、私たちも、土地の客観的な価格というのは非常に難しいものでございますから、公示価格との関係で御説明いたしたいと思います。これは地価公示法の制定の際、国会の附帯決議で、公示価格との均衡に努めるようにという決定がありまして、私たちもその線にのっとりまして、一応目標といたしましては公示価格の大体七〇%をめどにやっておりますけれども昭和六十年分の宅地の相続税評価額は全国平均で現在地価公示価格のおおむね六〇%弱となっております。
  55. 安田修三

    安田委員 国税庁の方はありがとうございました。それで結構でございます。  それで、自治省の方にお伺いするのですが、今の国税庁のお答えも私たちの感じあるいは普通聞いている数字と大体一緒であります。  そこで、固定資産評価と相続税評価との間に差異があるわけでありますが、固定資産評価の場合はそれでは相続税評価の大体何割ぐらいに、これも別に何割にせいということはないのでございますので、大体何割ぐらいに今ラインが位しておるだろうかということを税務当局の方は御存じでしょうか。
  56. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 相続税の評価と固定資産税の評価額との比較につきましてはいろいろ議論がございますが、その点はとりあえず差しおくといたしまして、ただいまの御質問の点はどれぐらいの比率に当たっているのかということでございますが、五十九年度相続税のそれに対しまして六十年度の固定資産税の最高路線価、つまり今回の評価がえによるところの最高路線価でございますが、これは全国平均で八九%ぐらいに相当をいたします。
  57. 安田修三

    安田委員 自治省の方で固定資産評価を相続税評価の額に近づけろということで御指導いただいておるというようなことを耳にするのでございますが、そういうような指導は実際現実にやっておられるのか。さらに、もしやっておるとすれば、大体そういうような線に沿って今おっしゃったように八九%程度まで上がってきた、こういうぐあいに見てようございますか。
  58. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 固定資産の評価に当たりましては、市町村の課税当局、評価員がそれぞれの自分のところの土地につきまして、売買実例価額なり不動産に関する専門家の意見その他を聞きながら評価をしてまいるわけでございますが、具体的に相続税の一定割合というような指導をしておるわけではございません。その場合におきまして、地価公示価格なり相続税といったようなものの評価、路線価なりを参考にしつつということでございます。  ただ、この固定資産税と相続税の評価につきましてはかねてより、これは昭和四十年代の後半ぐらいからでありますが、評価額が違うのはおかしいのではないか、できるだけ合わせるべきである、こういう御議論が各方面から出てきておりました。もとよりこの相続税というのは一回限りの税金でございますし、また固定資産税というのは毎年課税をするものでございます。昭和三十年代の後半から評価の適正化ということに努力しつつあるわけでございますが、その過程において、相続税との間に余り大きな開きが生ずることは理論的にも望ましくないと考えて、そういう観点からの評価に当たっての心構えというようなことにつきましては、評価に際してそのようなことを私どもも常々市町村当局に対して申しておるということでございます。
  59. 安田修三

    安田委員 砺波市がこの百六十六名の固定資産評価の審議に当たりまして、四月二十日付の答弁書が砺波市長から出ておりますが、その中によりますとこういう点があります。「相続税は一回限りの課税でありますが、固定資産税評価との間において、いずれも税負担の基礎となる課税標準としての価格を求める点では同様の目的を有しますので、可能な限り相続税の評価額と合せることが必要である旨、自治省の講習会でも述べられております。」今局長さんのおっしゃった趣旨と大体一緒ですが、「自治省の講習会でも述べられております。」ということが市長さんから出ておるのですが、これは自治省の方でそういうぐあいにやっておられるということでようございますね。
  60. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 先ほどお答え申し上げたように、そういったかねてからの指摘がございますので、相続税との間に開きが大きく生ずることのないように評価に当たってできるだけ心がけるべきである、このような趣旨のことは私どもも常々申しておるところでございます。
  61. 安田修三

    安田委員 そうしますと、富山県の地方課の資料によりますと、他の市町村、全県あるいは近隣市町村とあわせた場合に砺波市だけが自治省の御指導のように相続税評価との間には八〇ないし九〇%程度、さっき聞くと八九%程度になっておるとおっしゃるのですが、砺波市もそういう点では大体このラインに来ておるわけでございますが、他の町村はほとんどいっていなくて大体五〇から六〇というのです。砺波市だけが自治省の御指導の優良児、こういうことに見てようございますか。
  62. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 固定資産の評価の基本的な仕組み等は先ほど申し上げたとおりでございまして、相続税の路線価も一つの参考である。ただ、国税ではありますけれども、同じ税の間で余り大きな開きが生ずることはおかしいという観点からそのようなことを言っておるわけでございます。富山県内の市町村に限らず全国の市町村においてもそういった相続税という点は十分考えておると思いますが、ただ、何分にも相続税と固定資産税の評価の違い、性格の違いというようなこともございまして、その参考の仕方につきましては必ずしも一律的ではなかろうと考えております。  また、固定資産税の方は、例えば地価公示というようなものももちろん参考にすべきでありますが、地価公示の地点というのは全国で一万七千ぐらいでございます。相続税の件数も固定資産税に比べるとずっと少ないわけでございます。固定資産税の場合は全国約一億六千万筆にわたる土地の評価を行うわけでございますから、その辺の比較の仕方もいろいろあろうかと思いまして、必ずしも数字的にぴっしり比較できるものかどうかは若干問題があるかなと私ども考えておるところでございます。
  63. 安田修三

    安田委員 わかりました。  そこで、一つ指摘しておきたいのは、砺波市の場合には、今言ったように、比較対比をした場合に他の近隣市町村よりも非常に高くなっておる。これは、今言ったように、相続税評価と固定資産税評価との大体どの程度になっておるだろうか。自治省のおっしゃるような指導どおりなら砺波市の方が正しい。ところが、その段階を目標としておるとしても、他の方はそこへはるかにいっていない、砺波市だけが突出しておるということからすれば、砺波市はおかしい、こういうことになりますので、そういう点では砺波市の高さがおわかりいただけるかと思います。  ちなみに、これはいろいろな尺度のとり方はありましょうが、砺波市なり県内の統計からしまして六十年度の市街地の一平米当たりが、砺波市が二万九千二百九十九円、三十一万余の富山市が一万五千二百三十六円、十七万五千余の高岡市が一万五千七百四十六円、近隣の庄川町が八千二百三十九円、城端町が六千三百九十七円と、県都富山市あるいは十七万都市の高岡市の倍程度の高さ。市当局が散居村とか市街地区域の問題でいろいろ言っておりますが、越中というのは富山市を中心とした、加賀藩の分封した十万石以外はみんな加賀百万石の領下でありましたので、富山県全体は実は散居村なんであります。そのうち砺波市が極めて典型的に散居村の形が残っておるということで、砺波市だけが散居村であるわけではないので、そういう点では砺波市の言い分も私ちょっと見て非常に変だなと思うのでありますが、理由にはなっておりません。そういう点からしますと、これはどう見ても高い。尺度をどう下げても高い。どう上げても高い。ちょっとわからないわけですり市町村の村落地区宅地評価額の状況からしましても砺波市は非常に高い。砺波市を一〇〇とした場合に他の町村は五、六〇%に位してしまうという状況でありますので、そこでこの種の争いが起きるということになるかと思います。  私も、正式な問題ではございませんので、市民のこういう一つの税の評価に対する争いでありますからじっと見ておるわけでありますが、たまたま税法学者の方もこれは特異な存在であるということで取り上げておられますことから、こういう税負担に対する公平感ということがこれからの納税者の納税意欲を促進する点からも大事なことである、不公平だということが納税意欲を一番停滞させるわけでありますから、そういう点ではこういう点は、特に地方税法の中に、固定資産税というのは市町村の専管事項ではあるけれども法のもとにはお互いに平等でありますから、近隣市町村との均衡ということに大変配慮された規定が幾つもありますので、そういう点ではこの種のことは、全国自治体の中にあっても特異なこういう突出したものが出た以上は、将来のためにもいろいろな問題点は掘り下げておくべきでなかろうかなと思って取り上げたわけであります。砺波市が高いか安いかは、そこの市民が近隣市町村、要するに隣同士お互いに婚姻、血縁、地縁、いろいろなことで全部結ばれておりますので、直ちにおまえのところは高いか安いかという評価が出てまいることから出た話が、後は科学的に県なり市町村の資料を裏づけにして争いが出たもの、こういうことでございます。  そこで、まずお尋ねいたしますが、この固定資産の価格の市町村の均衡という点については自治省ではどのように考えておられるでしょうか。
  64. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 固定資産の評価に当たっての均衡は、これはまことに大事なことだと思います。同一市町村内の均衡、それから同一県内の市町村の均衡、さらに全国的な均衡、これらはいずれも御指摘のように極めて重要なことと存じます。そういう意味で、私どもも固定資産の評価に当たりましては、常に均衡化、適正化に努力をするように従来から指導に努めてきておるところでございます。
  65. 安田修三

    安田委員 均衡化にお努めであるということでございますので、ぜひひとつそういう点では適正に均衡化が行われるように御指導いただきたいと思います。  そこで、法の四百一条には「固定資産の評価に係る道府県知事の任務」、四百一条の二には「道府県固定資産評価審議会」、四百十九条には「固定資産の価格等の修正に関する道府県知事の勧告」、四百二十二条の二には「固定資産の価格の修正に関する自治大臣の指示」、もろもろの制度を規定されておるわけでありますが、先ほど言いましたように固定資産税は各市町村の専管するところでありますから、そういう点では自治省は直ちに突っ込んであれこれということはなかなかできがたい性格であるが、今局長のおっしゃったようにいろいろな点で均衡化の指導には当たらなければならぬ。特にこういうぐあいに近隣との間で非常に突出して高いじゃないか、こう言いますと広域的な均衡化を図る観点からなかなか打ち捨てがたい問題も含んでおります。法第四百二十二条の二にありますところの「固定資産の価格の修正に関する自治大臣の指示」というのは、評価基準に違反している場合には自治大臣が都道府県に指示して、都道府県知事から市町村に勧告をさせる。今の場合はそこまで違反しておるかどうかは、役所のことでありますからここは違反しておるということはないと私は思います。この種のものは長年の蓄積の結果ひずみとして生まれてきたのではないか。したがいまして、こういうような法の精神等も体して、今局長のおっしゃったようなその種の均衡を図るための自治省の努力というものはあっていいのではなかろうかと私は思いますが、その点はどうでしょうか。
  66. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 富山県砺波市の場合が自治大臣の定める固定資産評価基準に反した評価をやっておるものとは私ども考えておりません。  従来から固定資産の評価につきましては、長い歴史を持つものでございますけれども、三年に一度の評価でございます。かたがた住民負担能力という点もございます。そういう意味では従来完全に均衡のとれた評価がなされておるかどうかというと問題があるかと思いますので、そういった点について評価のたびごとに均衡化を図るようにと指摘をしてきたわけでございます。  そういう意味で、相続税との関係についてもできるだけ開きが出ないようにという均衡化の一つ考え方でございますが、ただこれがなかなか、各市町村ごとに同じようなやり方で行われるかどうかというとやはり問題があるわけでございます。また、地価公示との関係についても重要な要素と考えておるところでございます。固定資産の評価については、そういった他の参考とすべき要素との関係考え、かたがた固定資産税本来の性格、住民負担能力も考え、そういった観点からの均衡化の努力をしてまいりたい。  砺波市の場合、こういった評価そのものについてそれが不適正であるとはやはり私ども考えられない。相続税との比較においては若干ほかの市町村よりも高いなという感じがするわけでございますけれども、しかし一面、先ほどから御指摘のような市街地の面積が砺波市の場合は他の富山、高岡に比べますとコンパクトと申しますか、非常に狭いわけでございます。したがって平均の単価が高くなっているのかなと。その証拠には村落地区全体を入れた評価額は富山、高岡よりはずっと低くなっておる、半分くらいになっておるというような点がございますので、評価がえの年度におきましては砺波市に限らず全国各地でこういった案件がいろいろ出てまいります。そういうものの実情をよく聞きながら、できるだけ適正化を図るという方向で今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  67. 安田修三

    安田委員 それでは固定資産税の方はこれで終わりまして、次に公務員給与の方に入りたいと思います。  公務員給与の人勧についてきょう関係閣僚会議で決定されるということでございますが、そこでまず人事院の方に先にお伺いいたします。  人事院では昭和五十五年勧告で、任用その他の諸制度との関連を含めまして公務員給与制度の全般について総合的見直しを行うことを方針として出されたわけであります。大体ここ五年間にわたって研究検討をされた結果、本年の勧告において行政職俸給表の(一)を、現行八等級制から十一級制にするということを中心にして一定の改定の方向を実は出されました。  そこで、昭和三十二年に現行の八等級制へ移行して、いわば一職一等級の原則をもとにされまして運用していくということをその当初においては考えられていたんだろうと思います。しかし、これまで国家公務員の等級別の人員構成とそれから標準職務基準の矛盾といいましょうか、いわゆる等級構成と職務の対応関係についてその都度手直しを迫られるという事態が起きた中で、標準職務表なりあるいは等級別定数の是正という問題が図られてきた事情があります。  そこで、このような事情のもとで今回人事院が、等級増設によって職務と責任に見合った給与制度の確立ということで給与制度の改定を示されているわけでありますけれども、まずその趣旨についてひとつ御説明をいただきたいと存じます。
  68. 野村興児

    ○野村説明員 お答えさせていただきます。  現在の等級制度につきましては今先生御指摘ございましたように、昭和三十二年、それまでに行われておりましたいわゆる十五級制から移行してきたものでございます。しかしながら、その後三十年近い年月が経過しているわけでございまして、この間御高承のとおり我が国の経済、社会というのは非常に大きな変貌を遂げてきております。これに対応いたしますところの行政面におきましても、質及び量におきまして大きな変化があるわけでございます。行政需要の拡大あるいは行政の内容の多様化、複雑化、こういったことから起こりますところの各組織を通じましての職務段階の分化あるいは専門職化、こういったことがいろいろ出てきておるわけでございます。  もちろん、この間におきまして先生御指摘ございましたように、部分的ではございますけれども、例えば昭和三十九年あるいは四十三年など数次にわたりまして等級の新設あるいは標準職務の改正、こういったことで部分的な手直しをしてきたわけでございます。しかしそのような手直しにもかかわりませず、職責上も明らかに異なる官職、そういったものが同一等級とか、あるいはごく少数の限られた等級の幅の中に圧縮された形で格付される、先生おっしゃいますような混在という現象が生じてきているわけでございます。  このような現象というのは、やはり「職務と責任に応ずる給与の原則」という観点からするならば、決して適当であるものではございません。職責の非常に重い役職にある者がそうでない者と同じ等級に格付される、こういったことはやはり職員の勤務意欲にもかかわる話でございますし、ひいては組織の能率的運営、そういった観点からも看過し得ない問題でございます。そういうようなことから先ほどお話ございましたように、基本的な俸給表でございます行政職俸給表(一)、こういった俸給表につきまして、現行の八等級制を十一級制に改めた。他の俸給表についてもこれに準じた取り扱いをしてきているわけでございます。  いずれにいたしましても、今回の等級構成の再編整備、これは今まで申し述べましたような趣旨に基づきまして、職務と責任に見合った、より適正な給与の配分を確保する。それを基本といたしまして、しかも当面の話だけでなくて将来にわたりましても十分たえ得るような俸給表構造、こういったものをつくっていきたい、これが今回の改正の趣旨でございます。
  69. 安田修三

    安田委員 今御説明ありました給与制度改定ということについて、人事院の基本考え方というのはわかりました。  そこで国家公務員の場合、これまでの制度と実態、今おっしゃったような等級別に混在しておるという実態との乖離といいますか、そういう一つの矛盾、例えば一つには、現行の等級構成と標準職務表に示される等級別代表官職の例の矛盾を手直ししてきた結果、現四等級について管区機関の場合、課長あるいは課長補佐、係長が混在するという状況、これを解消する意味で新四等級を新設したということを私たちもいろいろと聞いているわけであります。そこで、職責の異なる職務の混在現象を整理する。  それから二つ目には、端的に言って行(一)の適用者のうち、四等級に二〇・九%、それから五等級に三〇・一%も集中しておりまして、昇格の頭打ち状態があるわけでありますから、これを改善していくに当たっても等級拡大ということを措置しなきゃならぬ、こういうことが言えると思うのであります。今私が言いましたようなここらあたりが一つ今度の改正の中でも力点になっていくんじゃなかろうかと思うのですが、そういうぐあいに思ってもようございますか。
  70. 野村興児

    ○野村説明員 お答えいたします。  今御指摘ございましたとおり、今回の等級構成の再編整備、それはまさにそのような趣旨で行われているわけでございます。ただいま例としてお引きになりました行政職俸給表の、特に管区機関におきますところの四等級の格付の現状、これは御指摘のとおりでございまして、課長も、またその補佐をいたします課長補佐も、そしてまたその下位の官職であります係長も実は同一等級に格付されている現状にあるわけでございます。これは極めて問題が多いわけでございまして、今回の勧告の表現を引用させていただきますならば「職務と責任に応じた給与の原則を更に推進する」、こういったことで、こういう問題意識で等級の新設を行っているわけでございます。  ただ、第二番目に御指摘ございましたところの昇格の頭打ちの状態の改善、これは実はそのものが目的ではございませんで、先ほど申しましたような趣旨に基づきまして等級の新設を行いました結果、その改善につながる、すなわち頭打ちの状態の改善につながる、こういうことでございまして、そういう点から見ますれば御指摘のとおりかと思います。
  71. 安田修三

    安田委員 そうしますと、今度のこの制度改正というのは、国家公務員の場合、その基本的な認識として現等級に格付されておるところの等級格付を下げることは一切しない、要するに合格付されておる者は今の格付で横滑りしていく、こういうことになっていくんじゃないかと思うわけです。  そこで、現行の到達等級水準とその到達までの期間については、最低、現行の昇格スピードを維持していく、こういうことになっていくようなことになって、例えば昇格スピードを落としたり、変更するということはないということに私たちは見るわけでありますが、そのように考えてようございますか。
  72. 野村興児

    ○野村説明員 お答えいたします。  そのとおりでございます。今回の等級再編成の整備の趣旨は先ほど来申し述べているとおりでございまして、既存の等級の価値あるいは評価といったものを変えるものでは決してございません。すなわち、新等級へ格付される官職以外の官職、これにつきましては従来からの評価は何ら変更されない、こういうことでございます。また既設等級の相対関係そのものを変更するものではございませんので、既設等級に係りますところの必要経験年数等の基準、こういったものについては特段の変更というものは考えていないわけでございます。  したがいまして、例示をいたしますと、今現在、五等級から四等級になるために実は必要在級年数というのは四年あるわけでございますが、これがもし仮に、その間に新しく設置いたします新四等級の在級年数がやはり四年ということになりますとこれは昇格スピードが二分の一に減速されるわけでございますけれども、その新しく設定されますところの新等級につきましては、これは在級年数を二年にするということによりまして従来の昇格スピードを変更しない、こういうような措置をとっているわけでございます。  いずれにいたしましても、等級の新設というものに起因いたしまして、従前と同じ条件のもとにおける昇格のスピード、そういったものが変わってくるあるいはおくれてくる、こういったことがないように十分措置考えているところでございます。
  73. 安田修三

    安田委員 わかりました。  そこで、重ねて繰り返すようでありますけれども、現行の標準職務に示されている代表官職例と新しいそれとを比べてみますと、いずれも二つか三つの等級にまたがって複数格付されているわけですが、格付を下げた職務はなくて出発等級または到達等級を今回の措置においては一級上げて格付している、こういうぐあいに今の御説明からしますと考えていいと思うのですが、そのように考えてようございますか。
  74. 野村興児

    ○野村説明員 お答えいたします。  新設等級に係ります官職すべてについて一級上げて格付されるというものでは必ずしもないわけでございますけれども基本的な考え方は先ほど来申しておりますように、既設等級の価値は変更しない、それから新設等級の関係で申しますと、同一等級においてより上位の職と評価できる官職、これにつきましては上位新等級に格付をする、こういうことでございますので、いずれにいたしましても現行の格付が下がるものが出てくるということは決してないわけでございます。
  75. 安田修三

    安田委員 そこで、人事院は人事行政施策の総合的見直しということで、任用から昇進管理を含めまして公務員制度全般にわたる検討を先般来言ってこられたようでありますが、五年間もかけて実はこの種のことについて研究されてきたわけであります。  そこで、今日職階法が実施されていない中で、科学的な職務分析あるいは職務評価に基づく職務の分類につきましては、今回の制度改定において成案が成らなかったようであります。なぜこの成案が成らなかったのか、この点ひとつお聞きしたいわけであります。つまり、現在の標準職務に示されているような代表官職例ではなくて、科学的あるいはまた客観的基準としての職務分類表というものがどうしてなかなかできないだろうか、こういう点についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  76. 野田禎男

    ○野田説明員 お答えいたします。  先生も御承知のように、職階法で定められている職階制といいますのは、個々の一つ一つの官職を精密に分析して評価して、その類似しているところ、違っているところ、それを基礎にして官職の集団というものをまとめ上げまして職級というものをつくりまして、それを基本単位とするものでございますけれども、先生も御承知のような諸般の事情から今日に至るまで実施されていないわけでございます。しかも、その職階法による今申しました職階制をそのままの内容で実施することは現実的ではないのじゃないか、そういった大方の理解も存するところでございます。  そこで、職階法にかわる現実的な形の官職の分類を行う、そういうことでこれまでいろいろな観点から検討を加えてきたわけでございます。しかし、官職の分類ということにつきましては、そういう分類をしてしまいますといろいろな制度の運用を固定化して、現実の人事運用に必要な柔軟性を損なうおそれがあるのではないか、こういうことを心配される向きもございますし、また先生御承知のようないわゆる終身雇用とか集団執務体制とかそういったことを基本とする日本的人事管理のもとにおきましては、職務の内容が簡素な手続によって客観的に評価できるほど、必ずしも標準的、固定的ではない面があるのではないか、こういった指摘がなされているわけでございます。  したがいまして、今回先生おっしゃいましたように成案を得るに至らなかったわけでございますが、今申し上げましたような問題も含めまして、現在も引き続き慎重に検討を進めているところでございます。
  77. 安田修三

    安田委員 これはもう戦後職務、職階問題では公務員、民間を問わず大変難しい問題でございまして、特に科学的客観性を持った職務分類表がなかなかできない、できがたいという事情は、今おっしゃった日本的雇用形態も確かにあります。  そこで、そうしますと、現行のこの標準職務表、つまり代表官職例という職務の例示をもって運用することに変わりはないということになってくるわけですが、その場合に、人事院が示されているこの標準職務表についての見解というものは私たち承知しておるわけです。それは、人事院給与局の給与第二課長編ということで、「俸給関係質疑応答集」、この三十ページに以下このように実は出ております。「等級別標準職務表は、各職務の等級についてすべての職務を定めているものではなく、その名称の示すとおり、いわば当該職務の等級の標準的な尺度としての職務を定めているもので、別の言い方をすれば、一種の代表官職例を示しているものである。したがって、等級別標準職務表に掲げられていない職務(官職)については、この表に示されている標準職務に照らしてその職務の複雑・困難及び責任の度が評価され、所要の職務の等級に分類されることになる」、こういうぐあいに見解が示されているわけであります。  そうしますと、先ほどの御説明からしますと、運用は大体見解に示されているような、こんなようなことで実はなされていくんだな、こう思うわけですが、そのように解してようございますか。
  78. 野村興児

    ○野村説明員 標準職務表の考え方につきましては、今先生が御紹介になりましたところの質疑応答集の見解、これが急に変わるものでは全くございません。そのような考え方に基づきまして現在の制度改正、これにも臨んでいるわけでございます。標準職務表の考え方、その取り扱い、これは一つの職務の分類基準といたしまして十分定着を見てきているものと私ども理解しているわけでございます。  以上でございます。
  79. 安田修三

    安田委員 それでは、そこで自治省の方にお伺いいたしますが、今回給与制度改定に伴いまして、地方の方も一緒に改定方向が出されたわけであります。指導方針として自治省は内部に地方公務員給与制度研究会、これを設置しまして、その中間答申もとに指導する、こう言っておられるようでありますが、また実際にそのような指導方法をとっておられるようにも実は伺っているわけです。  そこで、本日の人勧の閣議決定を受けての事務次官通達では、この地方公務員給与制度研究会の中間答申で示されているそのままの方針をもって指導ということになるのかどうか、この点まずお伺いしたいと思います。
  80. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 国の人事院の方から今回の国家公務員の給与制度の改定についての考え方が今よく説明されました。私も拝聴いたしまして、それ相当勉強させていただいたという気持ちでおりますけれども地方公務員の給与制度の改定に当たりましてもこの国家公務員の給与制度改定の趣旨を踏まえながら、しかも給与決定原則というものを念頭に置きつつ改定指導していかなきゃならないなというふうに考えております。  そこで、先生が今お話しになりました研究会の報告でございますが、地方公務員の給与制度運用の実態というものをよくとらえた上で、今回の給与制度改定というものをするに当たってのいろいろな考え方が示されております。私たちはその報告の趣旨に沿った指導というのをやっていきたいなというふうに考えております。
  81. 安田修三

    安田委員 そこで、この中間答申をさっと見ますと、国の制度改定の趣旨に合わしてみますと、実は問題点もいろいろたくさん含んでいるようであります。時間が、きょうはそこまで細かく触れるというわけにはいきませんので、いずれまた給与改定問題のときにいろいろと触れたいと思います。  この答申に示されておるところの標準職務表の設定においては、職務の対応関係として明らかに国よりも一、二級実は下の方に地方の格付というのは置いているということに見なければならぬと思っているわけです。そこで、自治省は、国に準ずる、こういうことをかねがねおっしゃっているわけでありますけれども、何かみずから国との対応関係というものを崩しておられるのじゃなかろうか、こういうぐあいに私たちは見たいわけであります。それで、国と同様地方自治体においても、それぞれ独立した行政機関でありますから、地方の方が格付が下というようなことは私たちもなかなかこれは承知しがたい、こういうことに思っているわけでありまして、その点、今私が言ったように、どうも皆さんは国よりも一、二級下の格付をやられるのじゃないか、ここらあたりどういうぐあいに考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  82. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 現在国の給与表というものは一等級から八等級までございます。それを地方団体の方にどのように適用して地方団体を指導していくかというのは非常に難しい問題だというふうにかねがね考えております。  少し余談になりますけれども、国の課長というのがおります。先生よく御存じのように、国の課長というのは各委員会の方に出席いたしまして先生方の御質問にお答えする、しかも部屋に帰りますと政府の政策決定の土台をつくるという非常に重要な仕事をしているわけでございますけれども、この課長というのを県や市町村の課長と同じように給与制度上格付していいものだろうかというふうに考えますと、やはりそこには少し違った評価があっていいのじゃないかという考え方が従来からとられてまいりました。先生も地方自治行政について非常に深い御経験をお持ちでございますのでおわかりいただけると思いますけれども、そういうことで評価をされてきたわけでございますが、中央省庁の課長というのは、対比するならば県庁の部長ということで対比したらどうだということで今まで考えられてきたわけでございますけれども、そういたしますと、県庁の方では部長を、現在の給料表で申し上げますと一等級に格付しようじゃないかということから始まりまして、県庁のそれぞれの職というものを現在の八等級のそれぞれの職に格付いたしまして給与の制度運用をしているわけでございますけれども、その結果、一部の官職につきましては国の——国といいましても、中央省庁もございますし、数府県を管轄しているブロック機関もございますし、府県単位機関もございます。いろいろな国の機関がございますけれども、一部の官職におきましては、官職といいますか、課長とか係長とか、そういう職名を付したポストにつきましては、国の中央省庁の同一名称のものよりも低い、あるいはブロック機関とか府県単位と比べてみると高いというような現象が起こっております。ただ、そうだからといってそれが不当かといいますと、やはり私は考えるのですけれども、県庁の部長というものを一等級にする、そして、県庁のそれぞれの官職というものを八等級のそれぞれ適当なところに格付する、そして、組織が全体として責任を持って仕事ができるような体制にしていく、給与の制度の面においてもそういうことを考えていかなければならないのじゃないかというふうに思います。  先生が一部のところに着眼されまして、一つないし二つは下じゃないかというふうにおっしゃいますけれども、全体としてよくごらんいただきますと、なるほど公務員部長の言うこともよくわかるなというふうにお考えいただけるのじゃないかと思います。
  83. 安田修三

    安田委員 今度の場合、例えば国の出先機関の係長の人たち、これと地方公務員の係長、本庁の係長、こういう人たちの間に、どうも地方の方が下になってくるというような格付が出るような格好になってくるんじゃなかろうか。こういうことになってまいりますと、今の部長のおっしゃるのは、町の談義からしますとだれでもそうだな、こういう話でありますが、しかし、今私が言うような国のいろんな出先があって、そこの係長クラス、それから各県庁等の本庁の係長クラスとでは格付はどうか、こうなった場合に地方の方が下ということになると、ちょっと承知ならぬなという感じになってきますし、まあそこら辺は大変難しい問題でありますが、とにかく要はやはりそういう職務という問題からして、地方自治ということで非常に地方も高度な仕事をしなければならぬ、何も国の下請じゃないのですから、そういう点からしますと、やはり給与の格付ということについてもそれなりの考え方というものは持つ必要があるのじゃないかと思いますので、そういう点ではそういう配慮をしながら、ひとつ今度の改定に当たっていただきたいと思います。そして、この賃金水準についていろいろ議論がありますが、今度の制度の問題では、国の制度の改定の趣旨あるいは考え方というものを正しく地方にも、私は先ほどの人事院からいろいろおっしゃったその趣旨を適用していくということが自治省の指導方針からしてもこれは当然ではないかと実は思うわけです。その上に立って、国とそれぞれの地方団体との間に職務、職員構成、こういうものが異なるわけでありますが、それに相応したもので弾力的に考えていってもらいたい、こういうぐあいに実は思います。  それで、特に大臣にもひとつお願いしておきますが、給与の適正化ということが最近非常にここ数年間前面に出まして、適正化とは賃金水準の突出したところを全体的にならすんだ、こう言いながら、実はどうも何か抑制作用のような感じが極めて強く作用しておるように思われます。そこで、地方団体ごとにこの標準職務表を今度つくるにつきましても、標準職務表ではなくて職務分類表を作成しろ、こういうような指導も実は行われているようでありますが、先ほど人事院からのお考えもあったように、職務分類表をつくるというのはなかなか大変な話、特に地方のように自治体が小さくなればなるほど、中小企業の小企業の方が職務分類が難しいと一緒で多岐にいろんな仕事がわたりますから、これは簡単なようで余計この職務分類というのは大変難しいことでありまして、そういう点ではそういう単純に職務分類表を作成しようというのはなかなかやりがたいことであるし、そういうことだけをするということはむちゃじゃないか、こうも思うわけであります。人事院が長い間研究してもなお今日成案ができないわけでありますので、科学的、客観的、社会的また妥当性なものというものを考えるようなその種のものはなかなかできがたいわけでありますから、即座につくれというようなことはなかなか困難なわけでありますので、この点自治省の方はいやいや、おれのところはそんなに即つくれということではなくして、先ほど人事院のおっしゃったような標準職務表、職務というものを中心にしてということのお考えでいかれるのか、この点ちょっとお聞きしたいと思います。
  84. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 職務分類表についてのお尋ねだと思います。  現在、地方団体が給与の運用をしております場合に、どの官職がどの等級に該当するのかという判断をして給与の運用をやってきておるわけでございますけれども、その経験というのも相当な年月を経まして相当定着したものになっているものが多いというふうに思います。そういう地方団体の経験と、もう一つは、やはり国の場合には、今人事院の方は少しだけしかお触れになりませんでしたけれども、非常に膨大な組織といいますか、非常に多くの任命権者が非常に大きな組織を抱えて仕事をしておる。霞が関に中央官庁がある。ブロック機関もあるし、出先機関もあるし、山の中には営林署の出張所もある。そういう大きな組織を抱えて仕事をしておられる。その大きな組織のそれぞれの官職について給与面から国の方は所管しておるわけですから、その職務分類というのを正確に行うのはなかなか難しいという技術的な問題もあるんじゃないかというふうに思います。それに比べまして地方団体の場合には国ほど多くの官職というものがございませんので、今私が申し上げましたような過去の経験というものを踏まえて分類していく、給与制度運用の面に当たって等級格付の必要性に応じて分類していくというのは相当突っ込んでやれるんじゃないかというふうに私は考えております。  そういう考え方で地方団体を一度指導してみたいと考えておりますが、先生、いろいろ御質問の中で、地方自治体の給与についてお話がございました。地方団体の行政についての先輩でもございますので、これからまたお話も伺いながら私たちは指導していかなければならないと思いますけれども、現在、私たちはそのように考えておりますので、御説明させていただきます。
  85. 安田修三

    安田委員 部長の方で、そういう考えだけれどもいろいろとという、そのいろいろとの方にまた力点を置いて他も見てひとつやっていただきたい。というのは、部長はこの方の本当の専門でございますので、特に公務員の場合は、職務、職階という問題については民間よりも極めてすぐれてそういう点では研究の進んでいるところでありますから余計専門ですが、大きいところは職務は多岐にわたるけれども分解はしやすい。小さいところは領域は小さいけれども分解がしにくい。例えばA、Bと組み合わせの仕事がある。大きいところはAとBとそれぞれ仕事が単純化に分解できるというものがございますので、そういう点では小さければ小さいほどなかなか分類しにくい、包括的に分類はやりやすいが職務として単純には分解しにくいものが出てくるという点ではかえって職務表というのはつくりがたいという点も十分御存じだと思いますし、そういう点を特段考慮されて、余り角を矯めて牛を殺さぬようにひとつ御配慮をいただきたいと思います。  そこで、大臣に最後にお尋ねいたしますが、今言ったことも、大臣としまして地方自治体をいろいろと御配慮していただく立場から、今日、皆さんも公務員の人も毎年人勧問題ではさんざん苦労しているわけですから、ここらあたり、給与制度という制度にわたる場合は格段ひとつ慎重にやっていただきたいということと、それから、せっかくきょう人勧が決定されるということでありますと、地方の場合は議会手続等、来月一斉に各議会が控えます。年内支給を完全にやるという場合にも、地方の場合は特段また議会の手続等が控えておりますので、その点自治省としても年内支給に十分、まあぎりぎりになるとか、年内でもいろいろありますので、なるべく適切に、せっかく決定されたものは可及的速やかに支給されるように格段の行政指導を願いたい、こういうことをお願いして、ひとつ大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  86. 古屋亨

    古屋国務大臣 安田先生からいろいろお話を伺いまして私も大変勉強になりましたが、ことしの人勧の問題につきましてはきょうで第四回目の給与の関係閣僚会議をやりまして、私どもは第二回から、地方の立場を考えるならどうしてもこれは年内支給できるように早くやってもらいたい、そして完全実施ということを期待しておりましたが、四月からできなかったことはまことに申しわけない、残念と思っておりますが、七月から実施ということできょうの給与関係閣僚会議、それから後の閣議で決定をさしていただきました。御趣旨の点は十分尊重いたしまして、必ず年末に間に合うように措置をいたしたいと思います。
  87. 安田修三

    安田委員 次に、警察庁の方に、豊田商事の事件につきましてお尋ねいたします。  まず先に、いろいろと警察当局、最近は大きい事件がたくさん続いておりまして、当初も触れられましたように、日航機事件を初め随分最近は多忙でございます。大変労の多いところは多といたします。ところが、逆にまたいろんな事件等もありまして、警察内部の引き締めにも当たっていただきたいと思うのであります。  そこで、まず豊田商事の方では、詐欺罪の捜査状況についてひとつお伺いしたいと思います。  なお、この詐欺罪の問題について私が仄聞するところによりますと、これは新聞でも出た事件でありますが、被害者の方で告訴状を警察署へ持っていったら、告訴状を受け取らずに、まあ預かっておくということで、ということから多少トラブルのあったところもございます。中には、何か警察庁の方で告訴状を受け取るなと言って指導しておるのじゃないか、そんなばかなことはない、私たちもこう思っておるわけでありますが、被害者の方は大変惨めな目に遭っているだけに、こういう場合には苦しいときの神頼み、何としても警察にすがるよりほかはないというときでありますので、特段そういうこともささやかれておるような現状もございましたので、いろいろとそういう点も伺いたいと思います。
  88. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 会社ぐるみの豊田商法に対する詐欺罪の適用につきましては、既に大阪府警以下七府県警察におきまして告訴を受理しておりまして、現在捜査中でございます。  それから、告訴をめぐるトラブルの御指摘でございますが、これは宮城県警に対する詐欺罪等の告訴についてと思いますが、これは告訴相談を受けておりまして、現在はこれを受理する方向で被害者側に対応いたしておるところでございます。
  89. 安田修三

    安田委員 そこで、次にお尋ねするわけでありますが、白馬国際リゾートスキー場建設のための事件、これはお聞きしますと長野県警は国土利用計画法違反容疑で既に送検されたということであります。そこで、この結末につきまして金品等の流れを含めましてひとつ報告をいただきたいと思います。
  90. 新田勇

    新田政府委員 お尋ねの白馬高原開発の事件でございますが、先生のおっしゃいましたように、長野県警が今年の六月に捜査に着手いたしまして、この会社の社長ら五名を国土利用計画法違反ということで八月二十三日に長野地検大町支部に書類送致をいたしたものでございます。本件は、豊田商事関連会社でありますこの白馬高原開発株式会社がスキー場用の土地として山林約二万平方メートルを購入する際に、法に定められた知事に対します事前の届け出をしないで売買契約をしたということでございます。  それから、金銭の流れの方でございますが、いろいろ捜査いたしました結果、スキー場買収等に絡んで銀河計画という会社からこの白馬高原開発の方に、五十九年三月ごろから前後約七回に分けて五億七千万円余の金が貸し付けられておるということが判明いたしております。なお、その中でスキー場用地の買収のために約二億一千万円余が支払われておるというところが明らかになっておるところでございます。
  91. 安田修三

    安田委員 わかりました。  そこで、次にベルギーダイヤモンドの関係でございますが、このベルギーダイヤモンド社の商法はネズミ講禁止法違反じゃないかということで、その容疑として一道十三県にわたって捜査されまして書類が送検されましたけれども、結果的には起訴されなかったということでございます。このため、大体この種のネズミ講的な商法、言うなれば私たち悪徳商法と言っているものはここの辺まで限界ならやってもいいぞという、言うなれば実は結果的には許容範囲を示したような格好になったんじゃなかろうか、こういうぐあいに見えるわけです。しかし、警察当局の取り組まれたこと自身は大変よかったと存じます。社会正義実現のためにぜひ今後ともこの種のものの摘発をひとつ研究していただいて、そしてこういう商法の絶滅のために頑張っていただきたい、こう思うわけでありますが、さて、出資法違反という問題ではこの豊田商事事件全般を通じて皆さんの方では該当させるということはできなかったのかどうか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  92. 新田勇

    新田政府委員 まずベルギーダイヤモンド社の商法についてでございますが、私どもは、商品販売を仮装したいわゆるネズミ講に該当するということで、十一月一日までに十四道県の警察が社長など二十八名を無限連鎖講の防止に関する法律違反ということで各地検に送致をいたしたわけでございます。  この最終的な判断につきましては現在地検側にゆだねられておるということで裁定はございません。今後とも消費者保護というものの立場に立ちまして、事件は一つ一つ内容が違いますものですから、いろいろ各種法令が適用できないものかどうか、それを多角的に運用いたしまして積極的に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  93. 安田修三

    安田委員 そこで、最近どうもこの種の生活経済関係の事件というのが随分ふえておるようでありますし、また、聞くところによりますといろいろな新手の方法もまた随分出ておるようであります。  そこで、警察当局もこういうことについてかなり専門的にいろいろと研究なされておるのでありましょうが、警察の機構上もあるいはこの種のものについて対応できるものが必要になってくるのじゃなかろうかと思ったりするのですが、その点皆さんの方で何か対応を考えておられますか。
  94. 新田勇

    新田政府委員 御指摘のように最近は市民生活に直結した事犯が多く発生する傾向にありますことから、警察といたしましてもこれらの事案に的確に対処できるように組織の改編あるいは捜査体制の強化といったようなことについて積極的に取り組んでいるところでございます。  具体的に申し上げますと、警察庁におきましては、現在経済事犯の捜査に当たっておりますのが保安部の保安課という課でございますが、来年度には保安部の中の組織改編を行い、組織について見直しを行いまして、市民生活の保護により重点を置きました生活経済課というものを設置して、この課において生活経済関係事犯の捜査に積極的に取り組むというようにいたしたいと考えておるところでございます。  また、現に捜査に当たります都道府県警察でございますが、この種事犯に迅速かつ的確に対処できるように捜査体制の充実、すなわち捜査能力の向上あるいは捜査人員の増強というようなこともこれまでも図ってきたところであり、また警察庁としてもこういった方向で指導してまいりたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、消費者保護あるいは弱者保護という観点から、市民生活を侵害するような事犯につきましては全力を挙げて取り組んでまいりたい、かように考えております。
  95. 安田修三

    安田委員 経済企画庁の方にひとつお尋ねいたします。  一日の消費者保護会議で、現物まがい取引規制法というものをひとつ立法して通常国会に提出したらどうかという意見がまとまったように聞いておるわけでありますが、所管庁として経済企画庁が担当されるようですが、この関係は一体どういうような見通しになるかということをお聞きしたいと思います。
  96. 里田武臣

    里田説明員 十一月一日に第十八回消費者保護会議を開きまして二百八十項目の消費者保護政策を決定していただいたのですが、その重点としておりますのが先生今御質問になっております悪徳商法に対する対策でございまして、豊田の現物まがい商法につきましては一応保護会議決定の趣旨といいますのは、一つ現行法令の厳正な運用に努めるということでございます。ただし、現行法令につきましても、御案内のとおり豊田商事というのは弁護士も雇い現行法を徹底的に調べ上げてつくりましたかなり悪らつな商法でございますので、場合によりましては現行法の適用ができない場合も十分考えられる、そういう場合に速やかに法的措置も含めて適切な対応がとれるようにする、こういうぐあいに決定されたわけでございます。現在、先生御案内のとおり警察庁、検察庁の方で鋭意捜査中でございまして、私ども大変期待を持ってこれを見守っておるところでございますが、仮の、全くの仮定でございますけれども現行法が適用できないという場合にも備えまして、現在関係六省庁で協力いたしましてそういう法的措置も含めて検討を進めようというぐあいに考えております。こういう一環といたしまして、来年の一月には六省庁から成る調査団をアメリカに派遣したい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  97. 安田修三

    安田委員 アメリカへ調査団が行って、そこでその結果、いろいろ研究されながら現物まがい取引規制法という単独立法、そういうものを法案をまとめるかどうかというのは、そこまでまだはっきりしてないのですか。
  98. 里田武臣

    里田説明員 先ほど申しましたようなことで検討しておるということでございますので、まだ具体的にどういう法律をどうするかということについては決まっておりません。
  99. 安田修三

    安田委員 現行法を強化してということであってもいいんですが、せっかく別に立法されるということであれば、ぜひひとつ悪徳商法を絶滅するために単独立法できるように取り組んでいただきたい、こう思います。  さて、また警察庁に戻りますけれども、篠原誠の五億円事件が摘発されました。そこで、これにはダイマツという金融業者が絡んでおって、そこへまた豊田商事関係の松本祐商事が結びついておるという、その底流には大変暴力団と黒い流れがあるのではないかという相関関係がたまたま指摘されるわけであります。金に関する事件と暴力団の関係、とかく言われてくるわけでありますが、根っこは一つでないか。だからそういう根っこをひとつぜひ警察の方で解明していただいて根っこを断つというようなことはできないだろうか、こう世上からも言われるわけでありまして、皆さんの方でもそういう点個別に摘発しながらもいろいろとこういう解明に当たっておられると存じますし、ぜひひとつ根っこを断つようにお願いしたい、そういう点で、こういう点の底流について御承知されておられればお聞きしたいと思います。
  100. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 御指摘のむつ市における五億円強奪事件につきましての背後関係等につきましては現在捜査中でございまして、まだ私どもも十分掌握いたしておらないわけでありますが、既に被疑者四名を逮捕いたしました。残る主犯を含む三名につきましては、現在全国に指名手配をいたしまして早期にこれを逮捕すべく鋭意捜査中でございます。被疑者の取り調べあるいは関係者からの事情聴取等を徹底いたしまして、背後関係を含めまして事案の真相を明らかにするという方針でございます。  また、暴力団の金融事案への進出といいますか暴力団の経済取引等への関与の問題でございますが、暴力団の経済的な存立基盤である資金源を封圧すると同時に、社会的な弱者でございます市民を保護するという観点からこれまでも強力に取り締まりを進めてまいりましたが、今後とも引き続き取り締まりを強化していきたいと思っております。  ただ、こういったものが全部底流において一つに結びついているかどうかというところまでは私どももまだ十分把握しておらないわけであります。しかし暴力団またはその周辺の者が金融業を経営しておる数というものについてはおおむね把握しておるところでございまして、現在全国で約四千三百店ぐらいに上っておるところでございます。警察といたしましては、御指摘のように今後とも引き続きこういった悪の根源といいますか、の実態の解明に努めますとともに、取り締まりの強化を図ってまいりたい所存でございます。
  101. 安田修三

    安田委員 それじゃ、終わります。
  102. 高鳥修

    高鳥委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  103. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田弘君。
  104. 柴田弘

    柴田(弘)委員 きょうは私は、先般八月にも申し入れをいたしましたが、昭和六十一年度予算編成に絡めましていろいろな問題があるわけでございますが、そういった問題を中心にいたしまして御質問をしたいと思うのですが、その前に簡単に一つだけ聞いておきたいのです。  去る八月十二日に日航機の墜落事故がありましたね。群馬県あるいは藤岡市、上野村等々関係市町村が多大な迷惑をこうむった、こういうことでありますが、金額的に言って一口に十億円程度の負担をかけたということでありますが、その辺はどの程度になっていますでしょうか。
  105. 花岡圭三

    花岡政府委員 群馬県からの報告によりますと、県と市町村合わせまして支出した金額は八億三千四百万程度でございます。
  106. 柴田弘

    柴田(弘)委員 それに対してどう対応していくかということですが、私は、本来はこれは日航の責任において負担をさせるべきじゃないか、こう考えておるわけでありますが、その辺は自治大臣、どう考えておられますか。
  107. 古屋亨

    古屋国務大臣 お話しのようにやはり責任者負担ということもありますので、これは日航の方にも相当お願いしなければならぬと思っております。ただ、警察の捜査費等につきましては、これは当然警察で支弁すべき問題でございますので、日航に持たせるわけには絶対まいらないと思っております。私も九月に現場に参りまして、藤岡あるいは上野村、それから県、いろいろお話を伺ってきましたが、自治省といたしましてもこういう問題のあっせん、あるいはまた自治省における手当てということも考えております。  本当に皆さんの、各種団体におけるボランタリー活動というのはすさまじいものがございまして、私はすっかり感銘をしておるのでありますが、そういう費用につきましては今申し上げましたような点を考慮しながら地元に迷惑をかけないように措置をしてまいりたいと思っております。
  108. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そこで、具体的にお聞きしますが、この費用負担の問題をどうするか。聞くところによると、五億円ぐらい日航に負担をさせよう、いわゆる航空行政に対する監督の不行き届きということで運輸省にも負担させよう、それから自治省としては地方交付税で措置をしよう、こう言うのですが、そこら辺の八億三千数百万の負担割合、現在の段階でどう話し合って、先ほど自治大臣からお話がありましたように地元に一切御迷惑をかけない、こういう方針であるわけでありますが、どういった方向で対応しようとしているのか、まずそれを伺いたい。
  109. 花岡圭三

    花岡政府委員 群馬県の方でこの八億三千万円ほどの金額につきまして、このうち日航が負担すべきものというのをはじき出しましたのが五億一千五百万円程度でございます。また、警察関係で持つべきものというのが四千百万円程度というふうに分類をいたしております。これをどのように持つか、現在のところ日航に対する請求分を除きましてはまだはっきりいたしておりません。例えば自衛隊の分につきましては防衛庁からの予算要求があるとか、警察庁等も予算要求されているように思いますけれども、これをどのように持つか、現在のところはっきりしていない。そういう意味もございまして、先般群馬県知事から運輸大臣に対しまして、これらにつきましては国の責任において措置をしてくださいというふうな要請が出ております。  そういうこともございますので、私どもは、まず国の方で手当てをすべきものは十分にしていただいて、なおそれで貯えない部分があるという場合におきましては私どもの方で手当てをせざるを得ないだろうというふうに考えておりますが、今のところまだ事故の原因の究明等の問題もございますのか、はっきりした詰めと申しますか、各省間の話し合いというのは行われていない状況でございます。
  110. 柴田弘

    柴田(弘)委員 これはまだ各省庁間の話し合いがされていないということなんですが、これは早くしなければいかぬと思うのですね。やはり地方交付税の措置等も十二月あるいは三月、こうなっているわけですので、やはりいつまでに詰めて、自治省負担分はあらあら幾らくらいになって最終どうするかということですね。そこら辺のところはどうですか。
  111. 花岡圭三

    花岡政府委員 地方負担分につきましては、現在のところ、これは話に聞いたところでございますけれども日本航空におきましてもできるだけ地元に迷惑をかけたくないというふうな意向もあるようでございますので、そういったところも含めましてそれぞれの持ち分といいますか、話し合いを進めていかなければならぬと思います。  いずれにいたしましても、今年度の問題でございますから、今年度におきまして、地元県市町村に迷惑をかけないような方法措置をいたすというつもりでございます。
  112. 柴田弘

    柴田(弘)委員 とにかく早急にひとつきちっとしていただいて、地元負担のかからないように対応していただきたい、要望しておきます。  では、本題に入りまして、一つは減税問題ですね。政策減税の問題で、これは十月十四日の与野党幹事長・書記長会談におきまして、一つは寝たきり老人介護減税、寝たきり老人を介護している人の所得控除を現行の七十三万から八十万に引き上げる、国税で約三十億円くらいの減税規模になるということでございます。それから二つ目には教育費減税でありますが、これは六十年度予算で対処していこう、それから三つ目が別居手当、帰宅旅費、これを非課税とする単身赴任減税、これの三点について与野党合意を見ております。  いろいろとその後の動きがあるわけでありますが、やはりこれは各政党間の合意事項であるわけでありますが、政府としてもこの問題については責任を持って対処をしていただきたい、こういうように思うわけであります。自治大臣、ひとつ誠意を持って対応していただきたいのですが、どんなお考えでしょうか。
  113. 古屋亨

    古屋国務大臣 与野党の幹事長・書記長会談の結果に基づきまして、所得税において在宅寝たきり老人を含む特別障害者と同居して介護する場合の所得控除加算額について引き上げが行われた場合には、これも当然実施すべきことでありますが、私ども住民税におきましても昭和六十一年度からこれに見合う引き上げを行うこととして、明年度の税制改正におきまして所要の措置を講じたいというふうに考えております。所得税におきましては七万円の引き上げと聞いておりますので、これに見合う住民税の引き上げとしては四万円程度になるんではなかろうかと思っております。なお、これによりまして、同居特別障害者に対する控除額は現行の五十六万円から六十万円に引き上げられ、減税規模は平年度で約十二億になると見込まれております。  それから単身赴任減税につきましては、先般参議院の予算委員会で大蔵大臣がはっきり、暮れまで待たずにできるだけ早く実施するという言明もございました。私ども住民税におきまして、これは自動的に同様に取り扱ってまいりたいと考えております。
  114. 柴田弘

    柴田(弘)委員 今自治大臣から明確な答弁をいただいたわけでありますが、寝たきり老人の介護減税、これは七万円のアップということで八十万円の所得控除になるわけでありますね。国税が三十億円の減税になって、やはり税制の整合性を持つという意味において当然これは地方税にはね返ってくる、こういうことでありますね。  重ねてお聞きしていきますが、一つは、六十一年度の税制改正において地方税の減税は今十二億円程度ということでありますが、やはりきちっと政府提案で出されるのかどうかというのが一点。  それから二つ目は、単身赴任減税でありますが、国税庁の通達によってこの十一月十五日から、月一回、いわゆる帰宅旅費等を出張費として減税を行う。当然これは次の段階におきましては住民税の減税ということにはね返ってくるわけでありますが、当然そういった地方税の減税にもはね返ってくると私は思うのですが、その辺をきちっと再度確認をしたいわけでありますが、いかがでしょうか。
  115. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、所得税において引き上げが行われます場合におきましては、六十一年度税制改正において六十一年度分から実施するということで提案をいたしたい、このように考えております。  それから単身赴任の問題でございますが、これは与野党合意の中でいわゆる執行を通じてということでございます。国税庁当局の方においてどのような具体的な通達をお出しになるのか、この辺はまだ明確でございませんが、いずれにしても、そのような措置になりますれば、住民税においていわば自動的にはね返ってくるということでございます。
  116. 柴田弘

    柴田(弘)委員 ちょっとくどいようですが重ねて、大臣から答弁があったかと思うですが、老人介護減税は国税が三十億、これは七万円のアップでありますね。そうすると、地方税は四万円の控除のアップ、減税規模は十二億円、こういうふうな理解でいいですね。
  117. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 そのような御理解をしていただいて差し支えございません。
  118. 柴田弘

    柴田(弘)委員 次へ進めますが、来年度の税制改正で、見え隠れしておるわけでありますが、自動車運転免許税というのは、これはもうありませんね、創設は。こういうふうに理解していいですか、大臣どうですか。
  119. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 私からお答え申し上げることをお許しいただきたいと存じます。  運転免許税につきましては、これは税制調査会の昭和五十九年の御答申におきまして、近年、交通規制、交通安全対策事業などの地方財政需要が増大しているということ等にかんがみまして、道府県税として創設すべきであるという御意見と、一方ではこれを導入することはやはり適当でないとする御意見と両方ございまして、「税の性格等吟味すべき問題もあるので、今後、引き続き検討すること」とする、このようにされておるところでございます。私どもといたしましては、こういった税調の御答申を踏まえまして、検討する必要があると考えておりますが、目下いわば税制の抜本的改正に関する御審議が新しい諮問に基づいて行われておるところでもございます。そういった御審議の動向、御意見等を十分伺いながら検討していくべき課題だと考えております。
  120. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そういう答弁が返ってくると思っておりました。税制調査会の抜本的な答申というのは来年の秋、私の聞いているのは六十一年度ということですね。私はこれはないと判断しているのですが、大臣、それでよろしいですね。
  121. 古屋亨

    古屋国務大臣 これは両方意見がありますことは御承知のとおりでございまして、私どもも慎重にこれを検討する、慎重にということでひとつ……。
  122. 柴田弘

    柴田(弘)委員 それ以上の答弁を求めるのは無理かもしれません。大反対だということを意思表明しておきます。  それから次に、補助金の一律カットの問題についていろいろお聞きしていきたいわけでありますが、どうも大蔵省はこの高率補助金の一律カット存続、恒久化、そしてそれ以上の強化というものを図っていこう、こういう考え方にあると私は判断をいたしております。大蔵省にお聞きいたしたいのですが、この問題は、六十年度限りの暫定措置、こういうことでずっときたわけでありますが、それを存続、恒久化、さらに強化するということになると、この六十年度限りの暫定措置とした今日までのこの対応というものと非常に矛盾すると思うわけでありますが、その整合性というものは一体どう考えているのか、簡単でいいからお聞きしたい。
  123. 岡田康彦

    岡田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、高率補助率の引き下げ措置につきましては、六十年度における暫定措置とされているところでございます。昭和六十一年度以降の補助率のあり方につきましては、国、地方役割分担・費用負担の見直し等とともに、十分検討を進めて結論を得るものとしておるところでございます。このような検討を行う場所としまして、補助金問題関係閣僚会議及び学識経験者から成りますところの補助金問題検討会を随時開催しているところでございまして、これを踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
  124. 柴田弘

    柴田(弘)委員 それで六十年度に一律カットした。役割分担あるいは費用負担を根本的に見直すことかく一律に引き下げた。これは単なる国の財政負担地方への転嫁であり、国、地方を通ずる行政改革の理念に反し、国と地方間の信頼関係を損なっているわけであります。これは地方制度調査会がきちっと答申をしている。だから、決してこういった手法はとるべきではない、こういうことであるわけでありますが、私も、国が財政難というだけを理由にして、制度、施策の根本的な見直しを行わないで、国と地方負担割合を一方的に変えるということは、単なる地方への負担転嫁である以外の何物でもない、こういうふうに考えております。  それでお聞きいたしますが、この六十年度の一律カットについて大蔵省は一体、どう反省をしているのか、全然反省をしていないのか、その辺のところをお聞きしたいし、それから自治省にも、そういった点を一遍大臣にお聞きしていきたいと思うのですが、どうですか。
  125. 岡田康彦

    岡田説明員 お答えします。  まず前段の六十年度の措置についてでございますが、私ども、六十年度の一律引き下げ方式をとらしていただきましたときの基本的な考え方と申しますのは、現行の補助率はそれぞれの水準に定められた背景というものが区々ばらばらでございましてまちまちなんでございますが、実際の補助率は、性格の類似した補助金等の間においてそれなりのバランスを持って定められているという現状にございます。相互の関係について見れば安定的な体系をなし定着してきているという考えがあるというふうに、昨年の暮れの財政制度審議会の報告等もいただきまして、それを踏まえまして、当面、高率補助率の引き下げに当たっては、このような補助率間のバランスを配慮しながら、引き下げることが一つの手法としてあり得るだろう、こういう判断をさしていただいて、昨年は昭和六十年度予算においてそういう措置をさせていただいたわけでございます。  それで、今先生御指摘のように、いろいろ御批判もいただきまして、昨年の暮れにこれを予算で決着いたしますときには、先ほども申し上げましたように、「六十年度における暫定措置とする。」ということと、それから「昭和六十一年度以降の補助率のあり方については、国と地方の間の役割分担・費用負担の見直し等とともに、政府部内において検討を進め、今後一年以内に結論を得るものとする。」こういう政府間の約束によりまして、先ほど申し上げたように、現在、検討を進めているところでございます。
  126. 柴田弘

    柴田(弘)委員 大臣、どうですか。
  127. 古屋亨

    古屋国務大臣 この問題は、御存じのように、五月二十八日ですか官房長官と私と大蔵大臣と厚生大臣四人の閣僚会議を開きまして、その後、各省から推薦いたしました専門家の会議で、とにかく一応検討させよう、その結論を得て私ども、閣僚会議を開こうということになっておりますが、現在までその有識者の懇談は八回開かれているようでございます。最近、七回、八回は文部省関係の専門家あるいは建設関係の専門家も新たに加わっておるようでございます。したがいまして、新聞にはいろいろ書いておりますが、これはもう閣僚会議で最終的には決定すべきものでありますので、それまでいろいろな新聞記事を見ましても、これは余りはっきり言っていいかどうかわかりませんけれども新聞記事は新聞記事として扱わなければならぬじゃないかというふうに考えております。ただ私どもといたしましては、この前の国会の論議、これは大蔵大臣も同じようなことを言っておりますが、趣旨を十分踏まえまして地方団体と国との事務分担あるいは費用の見直し、そういうことを考えてやらなければならぬという前提は頭の中にありますので、私といたしましては、閣僚会議において今おっしゃったような点をあくまでも主張してまいるつもりでございます。
  128. 柴田弘

    柴田(弘)委員 大臣は先走って答弁されるものだからあれなんですけれども大蔵省、やはり反省がないのですね。財政制度審議会の答申を頼みにして勝手に解釈をしてやっている。しかし、大蔵、厚生、自治、三省の大臣の間で、この一律カットについては六十年度限りの暫定措置にする、そして、役割分担・費用負担のあり方というのを一遍きちっと見直す、こういった合意事項が取りつけられたその事実は、そういった反省があったからこういう取り決めがあって検討することになったと私は思うのですよ。こういう事実を差しおいて大蔵省流に、要するに地方財政が豊かだから、国がこういうときにはカットするのは当たり前だなんという考え方で予算措置をされるということは、私は大問題だと思います。また機会があったらこれを追及していきますけれどもね。  そこで、今大臣から答弁がありましたように、これは大臣もやはりそうだと思われますでしょう。六十年度暫定措置だとしたこと自体が大きな問題だった。だから反省があった。だからこういった検討会も設けられたと思うのです。閣僚会議だとか下部機構としての学識経験者あるいは地方自治体代表などによる検討会で話し合いを進められて、今八回とおっしゃったですか、それで今日までの経過、本当に予算編成までに各補助金に対してきちっとした補助率が決まるのかどうか、私はこの辺は極めて疑問に思っているのです。今そういう質問をすると、きちっとやりますとこうおっしゃるかもしれませんが、結局、私は毎回この問題を取り上げたときに言っていますが、やはり昨年と同じように再度、大臣折衝あるいは自民党の政務調査会等が入った政治折衝になってくるのではないかなという懸念を私は今しているのです。この辺、抽象的な考え方はまとまるかもわからぬけれども、はっきりしていただきたいのは、個々の補助金別に補助率が、費用負担のあり方、役割分担というものをきちっとしてきちっと出ますか。財政局長とうですか。出るなら出る、出ぬなら出ぬと言ってください。私は出ぬと思う。
  129. 花岡圭三

    花岡政府委員 この補助金問題検討会において検討しております内容というのは非常に難しい問題を扱っておるわけでございますから、確かにおっしゃいますように個々の補助金ごとにそういった結論が得られるものかどうかという御懸念があるのは当然かと思います。  現在検討いたしております内容というのは、社会保障の分野におきましては、例えば国の関与のあり方とか、実施主体は特に住民に身近な市町村へ事務移譲をすべきであるかどうか、あるいは国の責任の度合いがどうであるかとか非常に細部にわたって議論を詰めておりますが、まだ現在のところでは率に及んでの議論というところまでは入っておりません。     〔委員長退席、平林委員長代理着席〕 近くこういった核心に触れた議論もなされるわけでございますけれども、それぞれの考え方の違った方々が入っておられるわけでございますから、これがどのような展開になるのか私どももこの結果を見なければならぬわけでございますけれども、ともかく精力的に詰めていただいておりますので、できるだけそういったある程度はっきりした形で、今後の六十一年度の予算編成ができるような形に答申をまとめていただきたいというふうに私ども希望しているところでございます。
  130. 柴田弘

    柴田(弘)委員 今財政局長から答弁がありましたように、本当にきちっと一つ一つ詰めてもらいたいのですね。ところが、先ほど言いましたように果たしてそれが詰め切れるかどうか、私は非常に心配をしているし、疑問を持っているのです。そうすれば後で何が起こるかというと、政治折衝という形になって、また自治省は去年と同じように大蔵省に押し切られてしまって、そして一律カットが継続をされ、強化をされる。これを一番私は心配しているのです。  それで私は、八月六日、自治大臣に対しての六十一年度自治省予算に対する申し入れの中でも、そういった継続、強化をしようとすることに対して、地方財政を国の財政再建の犠牲にすることは許されない、地方への一方的な財政負担転嫁であるということで、こういった一律カットの強化というものをどうしても中止して、あくまでも六十年度限りの暫定措置としていくべきである、ひとつ強い強い決意を持って自治大臣も今後予算編成に向けて対応してもらいたいということを強力に要望した。大臣も、おっしゃることはもっともだ、断じて一律カットは納得できぬ、ここまで我々におっしゃったのですが、重ねてこの席で大臣の決意をお聞きしておきたいと思う。どうですか。
  131. 古屋亨

    古屋国務大臣 柴田先生のお話は私も考えておるとおりでございまして、とにかく今お話しになったような事務その他の見直しなく一律というようなことはあり得ない、私はさように考えておりまして、あっては大変だと思っております。
  132. 柴田弘

    柴田(弘)委員 続いてお聞きしていきますが、文部省にちょっとお聞きしますけれども新聞紙上によりますと大蔵省はこの八月二十日に、六十一年度予算編成に当たって文教予算の半分以上を占める義務教育費国庫負担の思い切った見直しを行う方針というのを明らかにした。新聞報道でありますけれども、そういう考え方は大蔵省にあると私は思っております。  御案内のように、義務教育の国庫負担というのは六十年度予算では二兆三千五百七十五億円、文教予算の五十一・五%、最大のウエートを占めておったわけであります。大蔵省は六十年度、補助してきた旅費あるいは教材費、これは約三百五十億円程度を切ったわけですね。六十一年度、さらに節減を進めて一千億程度のカットを目標にしている、こういうことでありますが、これは文部省は大反対だ、こう思うのでありますが、文部省、一遍御意見をお聞きしておきたいわけです。どうですか。
  133. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  現在までに、大蔵省の方から義務教育国庫負担金の本年度の取り扱い、まだ正式には全く聞いておりません。そういうことでございますから、文部省どう取り組むかということにつきまして今ここでお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、この義務教育費国庫負担制度、これは全国的に義務教育の水準を維持するという観点から極めて重要な制度でございますので、文部省といたしましては制度の根幹、これは絶対に守っていく、こういった方針でございます。
  134. 柴田弘

    柴田(弘)委員 その決意で頑張ってもらいたい。  私は愛知県なんですけれども、これが新聞紙上で出まして大問題になった。結局、不交付団体になったのは、一生懸命県民が経済の活性化等々で努力をして、そういう結果そうなったわけであって、大蔵省が国の財政の破綻というものをこういったところに向けて実質的なしわ寄せをしようとしている、これはもう見え見えであるわけであります。私はそういったことをここで特に指摘をしておきたいと思う。今後の問題だということでありますが、大反対であるということを重ねて強調いたしまして、次に行きたいわけであります。  自治大臣、六十一年度の予算編成大蔵省財政当局からいろいろと打ち出されている、新聞報道等もあるわけでありますが、先ほど来申しております高率補助金の補助率カットを来年度も継続する、強化していく。二つ目には、これ以外の補助金に対しても補助率の削減を図る。三つ目は、六十一年度から地方自治体の財政力に応じて補助金の給付に格差をつける。こうした点を打ち出しているわけでありますが、これは自治省としても認められぬ、こう思うのですが、重ねて大臣の御見解をお伺いしておきたい。
  135. 古屋亨

    古屋国務大臣 地方財政も国と同じように厳しいものでございますから、今先生のお話しの点は私も同感でございまして、地方自治を守るためにも当然こういう問題に適正に対処しますというか、最後までこういうことを認めさせないようにやっていかなきゃならぬということを常に言い聞かせておるのでございまして、そういうように措置をしたいと思っております。
  136. 柴田弘

    柴田(弘)委員 大蔵省にお聞きしたいのですが、補助金の一律カットについて余り反省がない。しからば、大蔵省としてのこの補助金の整理合理化についての哲学、基本的な理念はありますか。
  137. 岡田康彦

    岡田説明員 お答えいたします。  補助金等につきましては、一定の行政水準を維持するとか特定の施策を奨励する等、国の施策を実施するための重要な手段であるというようにまず基本的に認識しております。しかし、他方で既得権化されるとか、惰性的な運用に陥って硬直化しやすいなどの弊害も従来から指摘されておるところでございまして、このような弊害を除去しつつ、財政資金の効率的な使用を行い、行政運営の効率化を図る。そのために、補助効果の見直しを初めとして、補助金について整理合理化のための努力を不断にわたって続けていくことが肝要だとまず第一に思っております。  今御指摘の理念と申しますか、例えば、私どもまず基本的には、今申し上げました補助金等の整理合理化を進めるに当たりましては、まず既にその目的を達して、あるいは社会的経済的実情に合わなくなったようなものであるとか補助効果が乏しいもの、あるいは受益者負担、融資などほかの措置によることが可能なもの、あるいは既に地方公共団体の事務として同化、定着または定型化している事務に係るもの、あるいは零細補助金で効果が少ないと言われているものを中心にまず整理を進めていきたいと常々考え、努力しておるところでございます。
  138. 柴田弘

    柴田(弘)委員 生活保護費はどうなるんだ。あなた、今最後に何点か羅列した。地方自治体に同化、定着しているあるいはもう不要になった、うまいことばかりここで答弁しているけれども、実際やっていることは違うのじゃないか。大蔵省、本当に理念がない。とにかく国の財政負担地方に転嫁させる、むやみやたらにやる。一律カットがいい例なんです。何の哲学も基本的な理念もない。ただ財政中心的な考え方だということを言っておきたい。  そこで、自治大臣、あなたの理念を聞いていきたいのですが、僕はこう思うのですよ。やはり国と地方の間の機能分担、費用負担のあり方を見直すことなく国庫負担割合を一律に引き下げるということは、これは先ほどから申しておりますように、国の財政負担というものを地方に転嫁するにすぎず、国、地方を通ずる行財政改革の基本理念に反するものである、このように思っておる。大蔵省がやっているのはそれなんです。  国庫補助金の整理合理化は、国、地方を通ずる行財政の簡素合理化、地方公共団体の自主性及び自律性の尊重の観点から、事務事業の廃止縮減を行う、あるいはまた本来地方の自主性にゆだねるべきものは一般財源に移行することを基本として推進されるべきである。特に今後、二十一世紀を目指して、国際化あるいは高度情報化社会あるいは高齢化社会、こういったいろんな社会への対応、行政サービスに対するニーズの多様化に対する対応が迫られているわけでありますが、こういった対応について、一つは、地方自治体の行政サービスの自主性の確立、第二点は住民のニーズを的確に捕捉して、効率的にこれを充足するための行政能力の向上、第三点は安定的な財源確保というものが必要である。  以上の観点から、補助金の整理合理化、こういったものを根本的に見直していくということが必要ではないか、こういうふうに考えているわけでありますけれども、どうでしょうか、お考えがあったらお聞かせいただきたい。
  139. 古屋亨

    古屋国務大臣 補助金の整理合理化につきましては、今お話のあったとおりに私も考えております。したがいまして、一律カットというようなことは地方負担を転嫁するだけであって、当然こういうことは首肯できないという考え方でございまして、昨年の予算編成の直前の党との折衝におきましても、予算編成ができないから一年限りという暫定的な措置として処理するというように、私どもはっきり、やむなくそういう態度をとったわけでございますから、地方負担転嫁するだけでは何にも効果はございません。したがいまして、補助金は物によりましてうんと整理できるものはすべきである。率直に言いますと、大蔵省と各省の間で自分のところの補助金はこれを残したいとかいろいろございます。私どもはそれに対して意見は言っておるのでありますが、具体的にその省と大蔵省の折衝になりますと、これは私どもの知らぬところで行われているわけでございますから、とにかく補助金は見直して、整理すべきものは十分見直してやらなければいけない、事務事業を見直してやらなければならぬということを根本にいたしまして、不要な補助金も地方になれてしまって、これは地方負担できるというようなものは地方負担すべきものだと思いますし、その根本はあくまでも国と地方との事務の分担、仕事の見直しあるいは費用の負担のあり方ということを検討していかなければならぬと思っておりますから、大変難しい問題でございますが、私は一律カットは絶対に応じない。補助金の整理合理化は極めて必要であるという観点に立ちまして、地方の税源の確保ということを一方の頭に置きながら、とにかく心豊かと申しますか潤いのある地方行政ができますように努力をさせていただきたいと思っております。
  140. 柴田弘

    柴田(弘)委員 ぜひひとつそういった方向でやっていただいて、私どもも一生懸命バックアップいたしまして、三千三百有余の地方自治体も後押ししていますから、ひとつ去年のようなことのないように、大蔵省に一敗地にまみれぬように今度は——この間一遍一敗地にまみれたわけですから、一生懸命ひとつやってください。お願いします。  それから、退職者医療制度の問題で、これは厚生省にお聞きしますが、六月に調査をされた。我が党の吉井議員の質問に対しても、果たして退職者医療制度の創設によって各市町村の国保会計の赤字というのは一体どんなふうになって、そしてそれぞれ六十年度積立金の取り崩しをしたところもあるだろうし、あるいは一般会計から繰り入れをせざるを得なかったところもあるだろうし、あるいは国保税の大幅引き上げをせざるを得なかった市町村も続出すると私は考えるわけでありますが、こういった市町村の実態というのは一体どういうふうに把握をされているのか。まだ公表されていないと思うのですが、この場でできる限りひとつ発表していただきたい、こう思います。
  141. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 市町村国保財政状況でございますけれども、現在私どもがいただいておりますのは、予算の関係は当然のことながら歳入と歳出というのが合っておりますのでこの辺はちょっと参考にならないわけでございますけれども、六十年度におきます各市町村の保険料の引き上げ状況でございますが、これは現在市町村からの報告を精査中でございまして、今後若干変わるかもわかりませんけれども、十月末現在にとりあえず取りまとめましたものを御報告申し上げます。  一〇%未満の市町村が千六百七市町村ございまして、全体の三千二百七十保険者のうちの四九%に相当するわけでございます。それから、一〇%から二〇%未満に上げました市町村が千百五十一市町村でございまして、これは全体の三五%に相当いたします。それから、二〇%から三〇%未満に引き上げました市町村が四百五ございまして、全体の一二%でございます。それから三〇%以上引き上げました市町村が百七ございまして全体の三%でございます。この引き上げの幅でございますけれども、これは各市町村におきまして、六月から十月にかけまして各被保険者ごとの保険料を調定しているわけでございます。その上げ幅額を先ほど申し上げたわけでございます。それで全体の加重平均はまだ出ておりませんけれども、単純平均でやりますと一〇%ちょっと上回る額ではないかというふうに思っているわけでございます。  それから基金の繰り入れでございますけれども、六十年度、これは予算でございますけれども、市町村の予算を合計いたしますと約六百三十億円、基金を繰り入れているわけでございます。それから一般会計からは、これは例年繰り入れていただいているわけでございますけれども、六十年度予算で合計いたしますと約千五百億円が一般会計からの繰り入れということでございます。  以上のような状況でございまして、市町村の赤字か黒字がというふうな問題につきましては、まだ年度途中でございまして、市町村は大変苦しいだろうと私ども思っておりますけれども、まだそこまでは把握し切れていないという状況でございます。
  142. 柴田弘

    柴田(弘)委員 今数字的なものを発表されたわけでありますが、とにかく三千二百七十ある保険者が九九%、一〇%未満から三〇%以上まであるわけですね。厚生省は退職者医療制度が創設をされたときに、こういった住民負担の引き上げに転嫁をするということはない、こういうふうに明言をしておったようでありますが、実態はこうであります。  で、早速この補てん策というものを講じていかなければならないと思いますが、その金額それから補てんの方法というのは今不明確であるわけであります。厚生大臣等は大蔵省等々と折衝している、こういうことを言うわけでありますが、一体幾らの金額を補正要求をして、どう対応していくのか。それから大蔵省にも聞きたいのですが、それに対してきちっと予算措置を補正でするかどうか、これは大事なところでありますのでお聞きをしたいわけですが、どうですか。
  143. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 退職者医療制度を昨年創設するときには、退職者医療制度によりまして市町村の負担が軽減する、これと各市町村あるいは国と共同いたしましていろいろな適正化努力を行う、こういうことで、従来見込まれている以上の医療費の水準、医療費の自然増等は当然上げていただくということでございますが、そういうふうなことでこの制度が発足したわけでございますけれども、御承知のとおり退職者の数が当初見込みより非常に少なかった、そういうふうなことで財政影響が出たわけでございます。この財政影響の額につきましては、私ども四月から六月にかけまして五十九年度のものにつきまして調査を行ったわけでございまして、その結果、五十九年度半年の財政影響額が六百七十億、それから、これから推計いたしました六十年度、満年度でございますが、約千四百十億円程度であろうというふうに思っているわけでございまして、この合計額の二千八十億につきまして、私どもとしては各市町村の財政状況、こういったものを踏まえまして、国保が安定して運営できるようにという形で、財政当局に対しまして所要の財政措置をしてくれというふうなことでお願いしているという段階でございます。
  144. 中島義雄

    中島説明員 ただいま厚生省の方からの答弁にもありましたように、厚生省の行った実態調査によりますと市町村国保の財政に約二千億円の影響が出ているということは、私どもとしても承知いたしております。このことにつきまして、私どもといたしましては、個々の市町村国保が真に運営難に直面しているのかどうかということにつきまして、さらに運営実態を把握する必要があると考えておりますが、その上で、まず本年度予算の国庫補助の中で占める割合が非常に拡大されました財政調整交付金、これは六十年度三千五百六十四億円あるわけでございますが、これの効率的な配分をしていただくこと、それから医療費適正化の推進、保険料設定方法の改善等、市町村国保の運営面においても種々工夫をしていただくことがまず必要であると考えております。  そこで、そういった上で財政措置をどうするのかというお尋ねでございますが、御承知のとおり現在財政事情は非常に厳しい状況にございまして、財源にも大きな制約があるわけでございます。こういった中での財政措置ということにつきましては、当然大きな制約もあるわけでございますが、これにつきましては関連制度も含めまして幅広い観点からどのように対処していくか、厚生省とも十分協議の上検討を進めていきたいと考えております。いずれにいたしましても、国保財政の安定化のため、私どもといたしましても最大限努力はしてまいりたいと考えております。
  145. 柴田弘

    柴田(弘)委員 地方自治体の財政問題ですから、やはり自治大臣財政の補てん策、財政措置というのは大蔵大臣等々ともしっかり話をしていただいて、市町村の国保財政の運営に支障のないようにひとつきちっとしていただきたいと思います。一言でいいですから。
  146. 古屋亨

    古屋国務大臣 国保財政の赤字が厚生省の調査で二年度にわたり二千八十億という問題につきましては、私の方も厚生省あるいは必要によって大蔵省にも、市町村の国保を維持するために、とにかく数字を間違えてこういうふうになったのだから、国の財政も苦しいことはわかっておるけれども、とにかくこれは市町村の国に対する信頼の問題にもなってくるわけでありますから、こういうものはぜひ補正なりあるいは適当な財源を確保するように、私どもも厚生省と同じような立場でひとつこの問題は進めていきたいと思います。
  147. 柴田弘

    柴田(弘)委員 補正でしっかりと財政措置をしていただきたい、こう思います。  六十一年度の問題でありますけれども、仄聞するところによりますと、この六十一年度の市町村の影響額は二千億といわれておる。厚生省は六十一年度には、別途老人保健制度の見直しで老人医療費拠出金算定における加入者按分率を引き上げ国庫負担を軽減することにしているので、これに充てることとしている。なお、不足する分を補てんするものとして、概算要求国民健康保険特別交付金三百五十億円を要望している、こういうことであります。この加入者按分率の引き上げ、六十年度の四四・七%、六十一年度は八〇%、六十二年度一〇〇%を厚生省は予定しているわけでありますが、これは負担増となる健保が猛反対をしているわけであります。果たして厚生省の予定どおりいくかどうかは非常に疑問である。あるいはまた、こうした退職者医療制度の問題というものをこのような形で処理するということの是非も問題であろう、私はこういうふうに思います。     〔平林委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、私はこの問題については議論する時間もありませんが、やはり先ほど来お話がありましたように、四百六万人と見込んでおったのが三百万人にも達しない、こういうこと等含めて、国庫補助制度のあり方というものを含めて、私は退職者医療制度そのものについて再検討する必要があるのじゃないかということを痛切に感じているわけでありますが、この辺、どういうふうに六十一年度に対応していくのか、一言お考えをお聞かせをいただきたい。
  148. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 退職者医療制度の創設の趣旨でございますけれども、従来、被用者保険のOBの方が退職後には国保に入っていらっしゃるということで、被用者保険と国民健康保険との費用負担の不合理というものがあったわけでございますが、これを是正するというのが一点でございます。それから、OBの方は被用者保険のときには高い給付率の医療保険に入っていたわけでございますけれども、国保に入りますと七割給付に落ちるということでございまして、退職後の医療給付の保障という意味があるわけでございます。確かに見込み違いはあったわけでございますけれども、制度そのものの意義は何ら変わらないと私ども考えているわけでございます。  ただ、見込み違いがございましたので、これに伴う財政影響につきましては先ほども申し上げましたように所要の財政措置を講ずる。それとともに、中長期的には制度改正を行わなければいけないというふうに考えているわけでございます。
  149. 柴田弘

    柴田(弘)委員 非常に甘い考え方だと思うのですが、この問題はまたそのときが来ましたら一遍深く議論をしていきたい、こう思っています。  次はちょっと明るい話をしていきたいと思うのですけれども、自治大臣が先般名古屋へお見えになって愛知県の鈴木知事とお話しになり、英語を教えている外人教師、こういった人たちの給料を交付税で補てんをしたらどうだ、これは国際化にも役立ってくるし貿易摩擦の解消にも役立ってくるということで、新聞にも大々的に載って私も非常にいいことだなと思って喜んでいるのです。これは自治体も非常に喜んでいるのですが、そういうお考えあるのですか。
  150. 古屋亨

    古屋国務大臣 予算編成のときにそういう話が出まして、私もそれを推進しておるところでございます。まだ大蔵省との結果は聞いておりませんが、これはうちの次官が総理にも話したら、総理も貿易摩擦あるいはそういう点からも大変おもしろいことだと言っておられたというようなことを私も聞いております。国際化の時代でございますからぜひそういうように自治体で外人等を招聘いたしまして、国内と外国との交流を自治体等から始めていくということは非常に意義のあるものだと思いまして、予算編成に向けまして一生懸命に頑張ってまいりたいと思っております。
  151. 柴田弘

    柴田(弘)委員 愛知県では文部省のMEF制度でアメリカ人二人が英語指導主事助手として働いている。この秋からオーストラリアのビクトリア州と職員の各一人相互派遣事業を行う。名古屋では昨年の九月に名古屋市立の名東高校に英語科を新設して、ロサンゼルスからアメリカ人の現職教師一人を英語教師として招聘した。そして数年前から中学校と高校を巡回して英語を教える外人教師が四人もいる、こういうことです。そのほか医師とか看護婦とか業務士、こういった職種にも外国人十一人を採用しておるわけであります。  これは文部省からでも結構でありますが、全国地方自治体、都道府県あるいは市町村、市町村といっても大きな市が対象になうのですが、この辺の実態はどうなっているのですか。それから、今何か七十人ほどの補助制度というのがあるということですが、その辺の整合性はどうなるのか。実態とその整合性ということについてお聞きしたいのです。
  152. 阿部憲司

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  現在我が国の公立学校におきまして英語教育に携わっております外国人の実態につきましては、我が国の教員免許を持って正規の教員として採用されております者は、高等学校につきまして昭和五十九年度は十数名いる程度でございます。しかしそれ以外に、日本人の英語担当教員を補助する形で英語の発言指導等に従事している外国人はかなり見られるところでございます。まだその全国的な把握につきまして正確な数字を承知しておりませんけれども、これらの中には国の補助事業としてあります英国人英語指導教員、米国人の英語指導主事助手の招致事業によって招致した外国人が含まれておるところでございます。  まず最初に、前者の英国人の英語指導教員につきましては、英国から指導者を招致して中学校、高等学校、大学等の各学校に配置するものでございますけれども、この事業によって公立の中学校及び高等学校において指導に当たっている指導者の数は、昭和六十年度現在で四十一名ございます。  また米国人の英語指導主事助手につきましては、各都道府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会に配置して、管下の中学校や高等学校を巡回指導する制度でございますけれども、この数は同じく昭和六十年度におきましては百六十七名となっている状況でございます。
  153. 柴田弘

    柴田(弘)委員 それで自治省にお聞きしたいのですが、今大臣からもお話がありまして、来年度の予算でこれを要求していく。仄聞するところによると五百名くらいというようなことをちょっと聞いたのですが、それは非常勤の教師だけに限るのかどうかという問題。それから予算はどのくらい、五百人なら五百人、どの程度の規模でやられる方針であるか、それがわかっておったら、簡単でいいですからちょっと。
  154. 津田正

    ○津田政府委員 現在私ども、さらに文部省、外務省と計画を練っておるわけでございますが、先ほど文部省から御答弁ありましたように、現在厳しい情勢でございますと、なかなかこれの国庫補助事業だけでの拡充というのは難しかろう。そういう意味におきまして、招致事務等は国の方でやらなければならないかと存じますが、基本的に給与費等の問題はむしろ地方の単独事業で処理をする、こういうような考え方で案を練っておる次第でございます。したがいまして、その人数につきましても地方団体意見というのは非常に期待するところがあるわけでございまして、私どもとしては数カ年かけて三千人程度のレベルにいたしたい。初年度は恐らく五百人程度になるのではないか、かように存じておる次第でございます。
  155. 柴田弘

    柴田(弘)委員 我々もまた積極的に御支援していきたいと思いますので、ぜひひとつ頑張ってください。  最後に、警察庁に交通安全対策についてお聞きをいたします。  時間もありませんので簡単にお聞きしますから簡単に御答弁願いたいのですが、とにかく第三次交通安全施設整備五カ年計画の達成率というのは六九%だったわけですね。やはりいろいろ考えてみますと、こういった実態が交通事故多発につながっているのではないか、こう思います。  ひとつお聞きしたいのは、いよいよ来年度から第四次交通安全施設整備五カ年計画、私どもはこれの発足をすべきである、既に予算要望を行いました。それで計画達成のために必要な財源の確保に努めてもらいたい、これが一点です。それからもう一つは、やはり交通安全教育の充実に努力をしてもらいたい、あるいは二輪車事故防止のためにも講習体制の充実、あるいはまた交通管制や情報システム等の研究機関としての研修センターの早期設立、あるいはまた自動車教習所の講習においては、トラブルに対処する技能をマスターするための技能学科を加えたらどうか、あるいはまた交通遺児及び家庭の負担軽減のための奨学金制度の充実、何点か細かく予算要望いたしたわけでありますが、この二点について、簡単で結構でございますから、私どものこの予算要望に対する警察庁当局の御見解と、そして国家公安委員長としての古屋大臣の御決意をお聞きいたしまして、質問を終わりたいと思います。いかがでしょうか。
  156. 八島幸彦

    ○八島政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、最近の交通事故情勢は大変厳しいものがございまして、本年も恐らく死者が九千人を突破すると見込まれております。一方、交通渋滞につきましても、年々その深刻の度合いを深めております。こういう情勢でございますので、私ども、第三次交通安全施設等の整備事業五カ年計画が本年で終了するわけでございますが、引き続き第四次の五カ年計画を策定いたしたい、こういうように考えております。  計画の中身につきましては、ただいま申しました交通事故の死者数をできれば八千人以下にするために施設を引き続き整備しますと同時に、最近、交通の混雑化が進んでおりますことから、老朽施設等を高性能のものに、特に信号機等は置きかえていく、こういうことを主たる内容といたしまして、第四次の五カ年計画では必要な予算を確保いたしたい、かように考えて現在、計画を策定しているところでございます。  次に、交通安全教育の問題でございますが、第三次の交通安全基本計画におきましても、交通安全教育の問題が取り上げられておりますけれども、私どもは、六十一年度を初年度とします第四次の安全基本計画におきましても、交通安全思想の普及徹底とか、あるいは安全運転の確保等についても盛り込みまして、各種交通安全教育について施策を総合的に推進してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  157. 古屋亨

    古屋国務大臣 交通安全の問題につきましては、死者も九千人を減らないという、まことに残念な状況でございますし、それから現に私の県におきましても、交通安全施設を古屋さんつくってくれぬかと言われて、所轄の署に話しましても、もうことしじゅうは満杯でしかも予算が少ないからどうにもなりませんというような残念な、率直なものを申し上げますとそういうふうなことでございますので、何としてもこれは安全施設整備それから教育の問題、これはもう最大限にやらなければならぬと思っておりまして、今警察庁とその他関係省との交渉をずっとやらしておりますので、その結果を見まして、私も先般申し上げましたように、とにかく施設を何らかの形で整備するという予算はどうしても確保しなければならない、交通安全に泣く方々に対しても、私ども当然のことであると感じておるところでございます。
  158. 柴田弘

    柴田(弘)委員 時間が参りましたのでこれでやめますが、代執行の問題とそれから区画整理事業の問題はちょっと時間の関係で質問ができません。おわびをさせていただきます。どうもありがとうございました。
  159. 高鳥修

  160. 経塚幸夫

    経塚委員 まず最初に、今も質疑がございました退職者医療の問題についてお尋ねをしたいわけであります。前回のときに私の質問に対しまして、厚生省の近藤さん、あなたでしたね、「市町村の国保の財政が安定的にできるような方策検討したい」、さらに「誠意を持って私どもとしては頑張りたい」、こういう御答弁があったわけであります。  そこで、先ほどの御答弁を聞いておりますと、二千八十億については財政措置を要望した、こういうことでありますが、どうも大蔵省答弁を聞いておりますと、一つは調整交付金、三千幾らあるじゃないか、それからもう一つは、真に市町村、地方の国保財政が支障を来しておるのかどうなのか、こういう疑問符も出されておりました。そこでお尋ねをしたいのですが、この調整交付金で退職者医療制度、見込み違いによる影響の穴埋めはできるんですか。
  161. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 調整交付金という制度は、市町村の財政力の格差がございますので、これを調整するというものでございます。したがいまして、退職者医療制度によりまして影響度の大きいところ、これにつきましてはたくさん行くという意味では埋め合わせになるわけですけれども、絶対額という点から申し上げますとこれは穴埋めにはならないというふうに思っております。
  162. 経塚幸夫

    経塚委員 絶対額では穴埋めにならない。調整交付金は通常のときでもあるわけでありますから、今回のように見込み違いによって二千億を超えるような巨額の影響額が出たときには、これはもう到底間尺に合わぬだろうと思うのであります。  これは大阪府の豊中市の例でありますが、今回議会でもって国の責任で補てんするようにという決議が上がっておると思います。試算によりますと、退職者医療制度実施による負担減が二億四千七百万、国庫負担引き下げによる影響が十二億四百万、差額が九億五千七百万、このうち特別調整交付金で措置されますのが二億七千六百万であります。それですから、調整交付金が仮に交付されたとしましても、なお六億八千百万穴があくわけですね。このために、五十九年度末累積赤字が五億六千三百万であったものが、六十年度末累積赤字の見込みとしては一挙に十二億四千四百万、こういう事態になってきたので、急速議会で国に対する意見書の決議、こういうことになってきたわけですね。  大蔵省の先ほどの答弁状況だと、厚生省、あなたの方で二千八十億予算措置を要求したとしても、調整交付金がどうだの、あるいは国保の財政の実情が本当に退職者医療の見込みによって影響を受けて抜き差しならぬことになっておるのかどうなのか、まだこれからどうも精査をするやに受け取れるわけですね。これは大変私は不安に感ずるわけでございます。全国的に見ましても、豊中のように意見書などの決議を行いました団体の数は、これはもう相当な数に上っておるわけですね。みんなそれぞれ今申し上げましたような実情に基づいて決議が上げられたと思うのですが、これはどうなんです、仮に大蔵省が二千八十億認めないという場合だってあり得ると思うのですが、その場合どうされるのですか。
  163. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 私どもは、先ほど申し上げましたように、見込み違いの額につきまして何とか補てん措置を講じたいということで、大蔵省にお願いをしているわけでございます。私どもといたしましては、やはり国保財政の安定というのが一番の眼目にあるわけでございますので、市町村国保の実態というものをよく見まして、私どもだけでは十分できませんので各都道府県の御協力も得まして、各市町村の実態というものも十分踏まえまして補てん措置というものを考えなければいかぬというふうに考えております。  現在どの程度の額が確保できるかといいますのは、まだ折衝中でございまして、私どもとしてはなるべく多くの額を確保したいということで粘り強く大蔵省と折衝中ということでございまして、これをどうするかということにつきましては今の段階ではまだお答えすることはできないと思うわけでございます。いずれにいたしましても、各市町村の国保財政を安定的にするということでございますので、例えば大蔵省が言いましたのも私どもと同じような立場の部分もあるわけでございまして、財政調整交付金は確かに市町村の財政の調整という機能があるわけでございますけれども、これも個々の市町村の実情を見てお配りするという面もあるわけでございますので、今まで健全に運営されてきて退職者医療制度の影響によりまして非常に落ち込んだというものにつきましてはある程度重点的に配慮するとか、こういったある程度弾力的な対応をする必要があるというふうに考えているわけでございます。
  164. 経塚幸夫

    経塚委員 これは市町村にとっては大変重大な問題で、国保中央会の十月の国保新聞を見ましても、国保財政破滅の危機、こういう見出しになっているわけですね。だから、まさに国保財政、いわば国保制度そのものが維持できるかどうかという重大な段階にこれは差しかかっておる、こう受け取られるわけであります。それで、あなたの答弁は前回のときも頑張りますという答弁なんですが、頑張ったけれどもあきまへんでした、こうなったのでは格好つかぬわけですね。だから、二千八十億要求はする。しかし、何かの都合で大蔵省が予算措置を認めない場合だってあり得るわけであります。市町村の国保の立場からとってみれば、どういう経緯、いきさつをとろうとも、要は国の見込み違いで相足らなんだから国の責任でこれは補てんをしてもらえるのかどうなのか、ここが焦点になると思うのです。したがって、大蔵省と厚生省との関係はあろうかと思いますけれども、最終には国の責任でこれはもう迷惑はかけません、補てんはいたします、これはお約束できますか。
  165. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 国の財政関係があるわけでございますので、私どもがここで確約というわけにはいかないと思いますが、厚生省としては全省を挙げて精いっぱいこの問題の解決のために頑張りたいというふうに考えているわけでございます。
  166. 経塚幸夫

    経塚委員 国の財政関係もあってというようなことになるとなお不安になるわけでありますが、大臣、お尋ねをしたいと思うのです。  これは地方一般会計からのいわゆる事務費の超過負担の補てんなどを含めましてかなり持ち出しをやっているわけですが、持ち出しをやりましてもなお国保財政というのは今回の影響でもって大変な危機的状況に来ているわけですね。先ほどからのやりとりをお聞きになっておられて、これは今の段階では、国の責任でもって迷惑はかけないような措置を講じますとは大蔵省もおっしゃらない、厚生省もおっしゃらない。しかし、市町村にとりましては予算編成を迎えましてこれは非常に重大な問題でありますので、自治省としても放置するわけにはまいらないと思いますので、やはり六十一年度の予算編成に当たりましては、この見込み違いによる穴があいた分については国の責任で補てんをするように自治大臣としても強く申し入れていただきたい、かように考えているわけですが、その点はいかがでしょうか。
  167. 古屋亨

    古屋国務大臣 私どもさっきから申し上げておりますように、市町村の国保財政という市町村の実態というのはある程度わかっております。昨年の二月でしたね、町村長会からこういう数字を最初持ってこられましたのは。それ以後の問題で、しかも厚生省が実態調査をやっているからそれをちょっと待ってくれということで、五、六月ごろの時点ではそういうようなお話がございました。私どもは事務当局を通じまして大蔵省にしょっちゅうこのことは申し入れをしておりますし、今後も、市町村の財政の健全化という上からいたしまして、また国保の使命の完遂ということからいたしまして、この制度を守っていかなきゃならぬという意味におきまして、厚生省に対してと同様に大蔵省にもこれを強く要求してまいるつもりでございます。
  168. 経塚幸夫

    経塚委員 続きまして、地方行革大綱の問題についてお尋ねをしたいと思います。  今年の三月二十六日の参議院地方行政委員会での大臣の御答弁では、この地方行革の問題につきましてはこうお答えになっているのですね。「自主的にそれぞれの特色を生かしてつくっていただきたいという気持ちでございまして、決して介入とか干渉とか、そういう気持ちは全然持っておりません」。この御答弁だけを聞く範囲内におきましては、当然のことでありますけれども自治省としては一切の介入、干渉はしない、あくまでも市町村の自主性に基づいてやっていただきたい、こういうふうに受け取れるわけでありますが、私どものところへはいろいろな例が報告されております。  これは一例でありますが、大阪府下のある市と申しておきましょう。市を名指しで申し上げますと、どうも今の自治省の態度からしますと、おまえのところはそんなこと言うたんかといってまたその市がやり玉に上げられそうなので。これはまことに残念なことなんですよ、名指しで言えればいいわけでありますが。だから、ある市と申し上げておきましょう。七四年に学識経験者、市民なども含めて財政審議会をつくられた。で、答申が出された。一九七六年に財政健全化委員会——これは審議会の答申に基づいて委員会をつくられた。こういうことで、市は今この答申に基づき、そしてそれに基づいてつくられた委員会を協議の母体として自主的な行革を実施しておるわけですね。そこへ一月二十二日の通達であります。あれやこれやと論議した結果、これは今でも生きておる、こういうことで、この内容を大阪府の地方課へ自治省の指示に基づく行革大綱ということで報告を上げようじゃないか、こういうことで衆議一決したわけであります。  さてその段になりまして、大阪府の地方課の方から横やりが入りまして、それはだめだ。で、どういうふうに言っておるかというと、自治省の納得が得られないので再検討をお願いしたい。どこが納得が得られないのかというと、財政健全化委員会、こういう名称自体も問題になる、こういうことで、委員会の名称変更などを含めた事細かな指図が来たというのですね。それで今関係者は、何だ、何が自主的なんだ、こんなことまで指図されるようだと、かつての官治時代じゃないか、こういう不満や批判が出ているのです。こういう事細かなことに至るまであっち向け、こっち向けというような指示をされているのですか、どうなんですか。
  169. 大林勝臣

    ○大林政府委員 各都道府県におきまして行革体制あるいは行革大綱の策定につきましてそれぞれの実情で指導をされておると思います。私ども個別に今お申し出がありましたような事例についての報告は受けておりませんが、ただ、私どもが各地方団体に足並みそろえてお願いをしてまいりましたのは、やはり市町村の行政を今日の時代に合うように全般的に見直していただく、こういうための組織づくりをお願いをしたわけであります。特に、役所の中だけで住民にわからないというようなやり方では住民の納得と協力が得られない、できるだけ住民にわかるような形で、住民の代表も委員に加えていただいてこれをやっていただきたい、こういう趣旨で市町村の指導をお願いをしておるわけであります。
  170. 経塚幸夫

    経塚委員 いや、私は具体の例を挙げたわけですが、そんな事細かなことまで指図しているのですか、していないのですかと聞いている。その点はどうですか。
  171. 大林勝臣

    ○大林政府委員 それぞれの行革組織、既存の組織でありますれば、それが私どもがお願いしました要するにその地方公共団体の仕事全体を見直すというような組織になっておるか、あるいは住民の代表の方が入っていただいておるか、こういった点を基本にして組織づくりのお願いをしてもらいたい、こういうお願いをしておるわけでございます。
  172. 経塚幸夫

    経塚委員 住民の代表が入っておるかどうかというようなことまでいろいろ問い合わせをしておるということでありますが、そんなことを含めて市町村の自主的な判断に任せるべきなんですよ、もともと自主的だと大臣が御答弁された以上は。  一方では、議会との関係を見てみましょう。これは自治省の通達によりますと、こう書いてあるのですね。「大綱策定に当たっては、議会はもとより民間有識者、住民の意向が十分反映されるよう配慮すること。」「議会はもとより」、これは言わずもがな、当然のことだ、こう言わんばかりでありますが、出てきております行革大綱、議会との関係はどうなっておりますか。東京都の行革大綱、五十九年八月二日終了いたしました活力懇の方針を基軸にする。そして、十月二十五日新聞発表。行革大綱は一言半句も議会に協議もゆだねられておらないし、報告もされておらない。これはもう議会ほったらかしですよ。もちろんこの活力懇には議員も入っていない。あなたが御存じのとおりでしょう。広島市、これも行革大綱が八月に提出されております。これは議会に相談しましたか。何の相談もないじゃないですか。それで、自治省の通達では公表ということになっておりますが、これは公表もされておらないでしょう。これは一体どういうことですか。みんなこうですよ。大阪市、十一月二日に行革大綱、これは公表はいたしましたが、公表した後、十一月六日、議会の財政総務委員会が急遽招集されまして、事後了解じゃないのですね、事後報告なんですね。しかも、新聞に公表して四日後。何事だ、こういうことになったのも当然であります。大阪府の場合も、これは二月二十日に議会の地方財政改革調査委員会に説明と称して説明があっただけであります。川崎市も十月三十日に大綱が発表されたわけでありますが、その日にこれも第一委員会に報告のみ。これでどうして「議会はもとより」「意向が十分反映されるよう配慮すること。」というこの指示どおり、通達どおりの実行が保証されているのですか。全く議会無視じゃないですか。しかも、行革大綱の中身を見ますと、それぞれの地方基本的な運営方針にかかわるような重大な問題が皆入っておるわけでしょう。この議会無視の実態についてどういうふうに判断されているのですか。
  173. 大林勝臣

    ○大林政府委員 組織づくりの段階それから行革大綱策定内容、そういうものにつきましては、できるだけ住民理解と協力ということを基本にしております。もちろん議会というのも住民の代表でありますから、議会の意向というものも行革大綱に十分に反映していただくようにしてもらうのが私どもの念願であります。  ただ、行革大綱自体というものが法律上は一つの議決事項ということではございません。行革大綱の内容づくりについて、その都度事実上いろいろな方法、いろいろな機会で議会と御相談になって行革大綱を策定したというお話も私ども聞いております。議会に対する意思疎通あるいは協議の方法、これはそれぞれの地方団体で実情に応じて、今までの慣習、そういったものに応じて適宜やっていただいておるものと存じております。
  174. 経塚幸夫

    経塚委員 今、局長いみじくも答弁されたように、議会と協議をしておるところもございます。「も」なんです。今、私が申し上げましたような、もうほとんど大きなところでしょう。大阪府、広島市、大阪市、川崎市。それは数百出てきておる中で、どこかで「も」というところもなければ不思議ですよ。それはどこかあるでしょう。しかし、私は具体の例を申し上げているんですよ。これは議会に協議していますか。意向を十分に反映させる措置をとっていますか。なるほど議会の議決事項ではないけれども、この地方行革大綱はもともと行革審の報告に基づいて閣議の方針として決められ、それを受けて出てきたのが地方行革大綱でしょう。国の施策としても閣議で方針として決定されたことを背景にして出てきたほどの重大な問題であるというのなら、議会の議決事項でないにしても、少なくとも住民の意向を代表する、地方では最高の審議、議決機関としての議会の意向を何らかの形態で反映させるような措置を講ずるのは当たり前じゃないですか。それを、先ほど例を申し上げましたように全く無視しておる。これは軽視というようなものじゃない、全く無視しておるわけです。  こういう状況に来ている最大の原因と責任は挙げて今回の地方行革大綱、まだかまだかと課長の内簡まで出したようでありますけれども、どうも結集が悪い、思うように集まらない、九月三十日には行革審のレクがあるというようなこともあって、しりにむち打たんばかりに督促をしておる、こういう強要、押しつけ、介入、干渉に私は問題があると思います。  これは地方の本当の声を代表しているんだろうと思うのですが、山梨県の都留市市長は議会でこういう答弁をしているんですね。本職はわずか五カ月で本市の将来を決める重要事項をすべて決めることは不可能と判断をいたした次第でございます、地方行革大綱に対して議会で問われて、本職はわずか五カ月で将来を決めるような重要な事項を決められしませんがなといって答弁しているんですよ。わずか短期間でこれをやろうと思えば、昔にやったものをたんすから引っ張り出してきて地方行革大綱でございますと言ってとにかくつじつまを合わせぬと、また起債の留保だとかいろいろなことで制裁措置を受けるんじゃないかという不安や危惧もあるものですから、こうしてつじつまだけを合わせよう。そうなってまいりますと、議会と協議するいとまなどおまへんがな。いつやりますねん。こんなことしていたら自治省の意向に沿うわけにはいきまへんがな。何なりとあり合わせのものを出しておけ、こうなりまんのや。こんなことで地方の下から盛り上がった真の地方行革が進められますか。そこをどない考えておるのですか。  これは山梨県だけじゃございませんよ。地方公共団体からの反発や批判が相次いでおりますね。これは出てないということ自体がその唯一の証左でございますが、九月二十日現在、大阪府下三十八市町村の中で五つだけでしょう。愛知県の津島市は、国はいろいろ押しつけてくるが、各自治体でもいろいろな考え方がある、自治体独自の施策まで押しつぶすようなやり方は許されない、自治体としての主体性、自主性を確立しながら憲法、地方自治法の本旨を生かして対応する。水口町は、自治省の一斉のやり方に憤りを感じておる。大阪枚方市は六十年度市政運営方針として市長が明らかにした。政府が直接地方行革大綱を策定し、指導に乗り出すことは地方自治の本旨からして疑念を抱かざるを得ない、国の言うような歳出の削減だけを強調した取り組みとはその趣旨を異にしている、国の行政改革や財政改革は地方自治を圧迫し、国民生活負担を増大させるものというほかはない。堺市議会、六十年九月二十七日「地方行革大綱の強要、財政制裁に反対し地方自治権擁護、確立を求める要望決議」をとうとう出すに至ったわけですね。一体、こういう事態についてどういうふうにあなた方は受けとめられておるのですか。こんなことではまさに強要以外の何物でもないですよ。国と地方の不信関係が拡大するばかりですよ。この点大臣にお伺いいたしますが、参議院大臣答弁された趣旨とこれは全然違うじゃないですか。どのようにお考えですか。
  175. 古屋亨

    古屋国務大臣 今経塚先生のお話を聞いていますと、特異といいますか、そういうことがあったというか、あるいは行革に反対しておったところのものだけをおっしゃったように私はお伺いしたのでございます、率直に申しまして。そういうことで、私は参議院で言っておりますように、これはあくまでもクリテリオン、基準というものを示したのだから、それによって地方自治体も、行革を国と地方が相並んでやっておりますので、御協力をいただきたい。あくまでもそれは自律的なものでありますということは参議院で言っておりまして、そのつもりで私もおるわけでございますが、今先生の話を聞きますと、そう言っては恐縮でございますが、そういう反対しておったところのお名前だけ挙がったように私はちょっと聞かれてなりませんけれども、とにかく実施状況等も私ども報告を受けております。絶対に私は干渉にわたるとかそういうことでなくて、自律的にこういうものをつくっていただきたいという、あくまでも考え方でございますから、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  176. 経塚幸夫

    経塚委員 反対しておるところだけを取り上げて——それは反対しておるところを取り上げて言っておるわけですが、質問するのに、自治省の姿勢をただすのに賛成しているところを取り上げて私は言うわけはございませんが、しかし反対をしておるところのこの声が大事だと私はこう言っているのですよ。おまえのところは反対しているのだったら勝手に反対しておけというようなことじゃ、全国三千三百の地方行政を預かる自治省として、自治大臣としてこれは不公平、不偏不党ということにはなりませんよ。偏ったことになりますよ。  私の住んでおります東大阪市などは市長さんはれっきとした自民党の公認市長さんでございますよ。こう言っていますよ。「地方行革大綱につきましては、画一的な計画づくりを求めたものであり、地方自治体の特性や実情についての配慮を欠いたもの」であり、その趣旨には賛同いたしかねます、こう言っておるのですね。自民党議員の質問に答えてこうおっしゃっているのですよ。だからごく一部じゃないです。こういう声が随分あちらこちらであるのですよ。このことを十分わきまえないと。だから、強要、介入、干渉すべきではない、あくまでも地方行革は地方自治体に任せるべきだ。  最後にお尋ねをしておきますが、これも自治省が口出しをしてもらったら困ると思いますので、念のために聞いておきたいのでありますけれども地方の自主的な行革を進めるに当たりまして重要なことは、地方が自主的にやるにいたしましても職員の協力でありますね。そこで職員との間でいろいろな協定を結んでおる事例が出ております。労働条件に関するいわゆる行革につきましては、よく事前協議をするだとか、私は幾つかの例を持っておりますけれども、随所でこういう労使間の協定、協約が結ばれておるところが出てきておるわけでありますが、これは当然介入、干渉すべきでない、労使間の確認、協定は尊重すべきだ、こういうふうに考えますが、その点は局長、いかがですか。
  177. 大林勝臣

    ○大林政府委員 行革推進のためには管理者、職員、住民三者の協力というものが必要であることは申し上げるまでもありません。そういう意味で行革大綱策定過程においていろいろな協議、相談ということはあるだろうと思います。そういった点については信義誠実の原則で両者対処されておるものと存じます。
  178. 経塚幸夫

    経塚委員 いや、対処されておるものと存じます、じゃない。そういうことについて自治省委員会の名称にまでどうだ、こうだと府県の地方課から言わせておるわけでありますから、労使間でそういう協定や協議が結ばれておったらそれはそのとおり尊重いたします、そんなことには一々介入、干渉いたしませんということなのか、それは困るということなのか、そこをはっきり御答弁をお願いしたい、こう言っているのです、どうなんですか。
  179. 大林勝臣

    ○大林政府委員 そういう趣旨でいろいろ御相談をされておることについて自治省として物を申す立場にはないと思います。
  180. 経塚幸夫

    経塚委員 終わります。
  181. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、来る十二日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五分散会